膵癌診療ガイドライン2013年版 - 日本膵臓学会 JPS:Japan Pancreas

 iii
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会 委員一覧
委員長:山口幸二(産業医科大学医学部第 1 外科学)
副委員長:奥坂拓志(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)
○:各分野チーフ
診断法
○清水京子(東京女子医科大学消化器内科)
中泉明彦(創価大学看護学部)
糸井隆夫(東京医科大学消化器内科)
水野伸匡(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
羽鳥 隆(東京女子医科大学消化器外科)
山上裕機(和歌山県立医科大学外科学第 2 講座)
花田敬士(JA 広島厚生連尾道総合病院消化器内科)
外科的治療法
○山口幸二(産業医科大学医学部第 1 外科学)
藤井 努(名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学消化器外科学)
遠藤 格(横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学)
江川新一(東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門災害医療国際協力学分野)
山上裕機(和歌山県立医科大学外科学第 2 講座)
横山幸浩(名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学腫瘍外科学)
補助療法
○古瀬純司(杏林大学医学部内科学腫瘍内科)
大東弘明(大阪府済生会千里病院外科)
中郡聡夫(東海大学医学部消化器外科)
菅野 敦(東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野)
上坂克彦(静岡県立静岡がんセンター肝・胆・膵外科)
奥坂拓志(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)
中村聡明(京都府立医科大学放射線診断治療学講座)
放射線療法
○伊藤芳紀(国立がん研究センター中央病院放射線治療科)
澁谷景子(山口大学大学院医学系研究科放射線治療学分野)
中村聡明(京都府立医科大学放射線診断治療学講座)
大栗隆行(産業医科大学医学部放射線科学)
永倉久泰(KKR 札幌医療センター放射線科)
iv 化学療法
○奥坂拓志(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)
上坂克彦(静岡県立静岡がんセンター肝・胆・膵外科)
木原康之(北九州総合病院消化器内科)
伊藤鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
古瀬純司(杏林大学医学部内科学腫瘍内科)
ステント療法
○花田敬士(JA 広島厚生連尾道総合病院消化器内科)
糸井隆夫(東京医科大学消化器内科)
水野伸匡(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
伊佐山浩通(東京大学医学部消化器内科)
菅野 敦(東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野)
患者代表
眞島喜幸(特定非営利活動法人パンキャンジャパン)
ガイドライン評価委員
松野正紀(十和田市立中央病院)
税所宏光(化学療法研究所消化器内科)
川本俊弘(産業医科大学医学部産業衛生学)
石橋大海(国際医療福祉大学福岡保健医療学部)
A 氏(患者代表)
文献検索
三浦裕子(東京女子医科大学図書館)
諏訪部直子(杏林大学医学図書館)
平輪麻里子(東邦大学医学メディアセンター)
山口直比古(元東邦大学医学メディアセンター)
v
第 3 版の序
2006 年 3 月に初版の『膵癌診療ガイドライン』が出版され,2009 年 9 月に第 2 版が出版
された。その後,4 年後の 2013 年春を目処に改訂を目指していた。しかし,JASPAC─
01(切除膵癌に対する術後補助療法における S─1 とゲムシタビン塩酸塩の前向き臨床試
験)の結果が 2013 年 1 月の ASCO GI で発表されることがわかり,しかも,重要な結果で
あることが予想された。日本よりの前向き臨床試験である JASPAC─01 の結果まで改訂
に含むこととし,約半年刊行を遅らせることとなった。第 3 版は第 2 版と同様,『Minds
ガイドライン作成の手引き 2007』に従い,evidence based medicine( EBM)に基づくも
のとした。
今回の作成出版に際しては,以下の点が大きく変わった。
1.改訂委員会委員長が田中雅夫より山口幸二へ,副委員長は船越顕博より奥坂拓志に
替わり,同時に改訂委員の約 8 割が新人に入れ替わった。
2.診断のアルゴリズムは CT and/or MRI( MRCP)より「細胞診・組織診」に点線での
流れが追加された。また,
「可能な限り病理診断を行うことが望ましい」が追加され
た。
3.治療のアルゴリズムでは cStage の後に「切除可能」
,
「局所進行切除不能」
,
「転移(・
再発)切除不能」に分けられるようになった。Best supportive care( BSC)は,膵癌
患者においては診断初期から疼痛・消化吸収障害・
(膵性)糖尿病・不安などに対す
る支持療法が必要となるため,
「診断確定」に*で付記し,膵癌患者のすべてに関わ
る問題として削除された。また,「ステント療法,バイパス療法,放射線療法」が追
加された。
4.分野はステント療法が追加され,6 分野となった。また,分野の順番が1診断法,
2外科的治療法,3補助療法,4放射線療法,5化学療法,6ステント療法となった。
5.引用論文は 288 から 443 論文,さらに 629 論文へと増えた。
6.CQ は 22 から 25,さらに 35 に増え,推奨は 31 から 39,さらに 57 に増えた。
推奨,明日への提言,構造化抄録の CD─ROM などは作成方法に大きな変更はなし。
また,旧版同様,外部評価委員の各視点からの評価に加え,ガイドライン作成方法論の
立場からの評価もいただいた。
今後も医学の進歩に加え,保険診療をはじめとした臨床の医療は変化し続ける。診療
ガイドラインは,常に最新のエビデンスと実臨床を反映した推奨診療を提示し続ける必
要があるため,改訂委員会はガイドライン改訂作業を断続する必要がある。
本ガイドラインが,臨床医に適切な情報を提供し,何より患者に対し最良の医療が行
われることに役立てば幸いである。
vi 第 2 版の序
2006 年 3 月に第 1 版の『膵癌診療ガイドライン』が出版された。このガイドラインは日
本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン作成小委員会で,系統的エビデンス検索,明確な推
奨文と推奨度,フローチャート,図表写真,索引,外部評価などを取り入れて作成され,
高い評価を受けた。当初より,出版後 3 年をめどに改訂することが明記されていたので,
最新の文献検索を加え,改訂を行った。
今回,改訂第 2 版を作成出版するにあたり,以下の点が大きく変わった。
1.第 1 版の作成担当母体が日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン作成小委員会であった
が,今回は日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会となった。
2.最新のエビデンス追加は,第 1 版出版後の新しいエビデンスの系統的検索を行い,
さらに現在の日本の実臨床を勘案して推奨文を作成した。クリニカルクエスチョン
も変更や追加がなされた。
クリニカルクエスチョンの変更
1.診断法
CQ1─1,CQ1─2 に変更はないが,CQ1─3,CQ1─4 の診断法はファーストステップとセ
カンドステップを行うべき検査,次に行うべき検査に変えた。CQ1─5,CQ1─6 の TNM
分類と細胞診,組織診は順番を入れ替えた。
2.化学療法
CQ2─4 が,二次化学療法は何か?から,二次化学療法は推奨されるか?になった。
3.放射線療法
CQ3─2,CQ3─3 が追加となった。
CQ3─2 局 所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法の標準的な併用化学療法は何
か?
CQ3─3 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線治療の臨床標的体積に予防的リン
パ節領域を含めるべきか?
4.外科的治療法
CQ4─1〜CQ4─5 に変更はなかったが,CQ4─6 が追加となった。
CQ4─6 非切除バイパス,胆管ステント療法は意義があるか?
5.補助療法
変更なし。
エビデンスレベルの変更
エビデンスレベルは旧版の
Ⅰ システマティックレビュー/メタアナリシス
vii
Ⅱ 1 つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ 非ランダム化比較試験による
Ⅳ 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究による)
Ⅴ 記述研究(症例報告やケースシリーズ)による
Ⅵ 患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見
より
Ⅰ システマティックレビュー/RCT のメタアナリシス
Ⅱ 1 つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ 非ランダム化比較試験による
Ⅳa 分析疫学的研究(コホート研究)
Ⅳb 分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)
Ⅴ 記述研究(症例報告やケースシリーズ)
Ⅵ 患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見
に変更された。
推奨度の変更
旧版の
A 行うよう強く勧められる
B 行うよう勧められる
C 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
D 行わないよう勧められる
より
A 強い科学的根拠があり,行うよう強く勧められる
B 科学的根拠があり,行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが,行うよう勧められる
C2 科学的根拠がなく,行わないよう勧められる
D 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり,行わないよう勧められる
に変更となった。
これらの変更は『Mindsガイドライン作成の手引き 2007』に従ったものである。
推奨,明日への提言,構造化抄録の CD─ROM などは変更なし。また,旧版同様,外
部評価委員の各視点からの評価に加え,ガイドライン作成方法論の立場からの評価もい
ただいた。
今後も医学の進歩に加え,保険診療をはじめとした臨床の医療は変化し続ける。診療
ガイドラインは,常に最新のエビデンスと実臨床を反映した推奨診療を提示し続ける必
要があるため,改訂委員会はガイドライン改訂作業を継続する必要がある。
本ガイドラインが,臨床医に適切な情報を提供し,何より患者に対し最良の医療が行
われることに役立てば幸いである。
viii 初版の序
癌診療ガイドラインの作成は厚生労働省や国民からの強い要望があり,厚生労働省研
究班や各学会で個々にガイドラインが作成される傾向が増加している。そのため一般臨
床で癌治療に携わっている医師はいずれのガイドラインを参考にすべきか,判断に迷う
ことが今後ますます増加することが危惧される。こうした状況のなかで,各領域にわた
る横断的学会の責務として,日本癌治療学会では,実地医療に役立つ情報提供のため,
これまで作成された多数のガイドラインを再評価し,統一的なフォーマットのもとで公
開することを目指して,
「臨床腫瘍データベース」(癌診療ガイドラインと名称を変更)
を作成することとなった。種々の臓器の癌についての診療ガイドライン作成が個々の学
会に依頼された。膵癌に関しては,日本癌治療学会(北島政樹理事長,臨床腫瘍データ
ベース委員会佐治重豊委員長)より日本膵臓学会(松野正紀理事長)に膵癌診療ガイドラ
イン作成が依頼された。そこで日本膵臓学会内に膵癌診療ガイドライン作成小委員会
(委員長 田中雅夫)が設けられ,膵癌診療ガイドラインを作成することとなった。
目 次 ix
目 次
本ガイドラインについて
1
  1.本ガイドラインの目的   
1
  2.本ガイドラインを使用する場合の注意事項   
1
  3.ガイドライン作成法   
2
  4.文献検索   
3
  5.本ガイドラインの構成   
3
  6.文献レベルの分類法と推奨度(グレード)分類   
4
  7.改訂   
5
  8.資金   
5
  9.利益相反   
5
10.参考文献   
6
11.協力者   
7
CQ・推奨・明日への提言一覧
10
アルゴリズム
22
膵癌診断のアルゴリズム   
22
膵癌治療のアルゴリズム   
23
クリニカル・クエスチョン
1 診断法  
25
25
CQ 1─1 膵癌のリスクファクターとは何か?   
25
CQ 1─2 膵癌の発見はどのようにしたらよいか?   
30
CQ 1─3 膵癌を疑った場合,次に行うべき検査は何か?   
35
CQ 1─4 膵癌の診断を確定するための次のステップはどうするか?   
38
CQ 1─5 膵癌の病期はどのように決定するか?   
43
CQ 1─6 Borderline resectable膵癌の診断:わが国におけるborderline resectableとは?   
46
CQ 1─7 長期予後が期待できる早期の膵癌を診断するにはどうするか?   
48
2 外科的治療法  
55
CQ 2─1 Stage Ⅳa 膵癌に対する手術的切除療法の意義はあるか?   
55
CQ 2─2 腹腔洗浄細胞診陽性症例の切除の意義はあるか?   
58
x CQ 2─3  膵頭部癌に対しての膵頭十二指腸切除において, 
胃(全胃あるいは亜全胃)を温存する意義はあるか?   
61
CQ 2─4 膵癌に対する門脈合併切除は予後を改善するか?   
63
CQ 2─5 膵癌に対して拡大リンパ節・神経叢郭清の意義はあるか?   
66
CQ 2─6 (開腹後)非切除例での予防的バイパスは推奨されるか?   
70
CQ 2─7 膵癌に対する内視鏡的手術の意義は?   
73
CQ 2─8 膵癌では手術例数の多い施設で治療を受けるのがよいか?   
76
CQ 2─9 Borderline resectable 膵癌の治療:わが国における外科的切除の意義は?   
80
3 補助療法  
83
CQ 3─1 膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)は推奨されるか?   
83
CQ 3─2 膵癌の術中放射線療法は推奨されるか?   
87
CQ 3─3 膵癌の術後化学放射線療法は推奨されるか?   
89
CQ 3─4 術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?   
92
4 放射線療法  
95
CQ 4─1 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される一次治療は何か?   
95
CQ 4─2 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される化学放射線療法は何か?   
99
CQ 4─3  局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線療法では, 
どのような臨床標的体積を設定するのがよいか?   
103
CQ 4─4  局所進行切除不能膵癌に対し,
 
化学放射線療法前の導入化学療法の意義はあるか?   
106
CQ 4─5 局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の効果はあるか?   
108
CQ 4─6 放射線療法は局所進行切除不能膵癌の QOL を改善するか?   
111
CQ 4─7 膵癌骨転移に対する放射線療法は有用か?   
114
5 化学療法  
CQ 5─1 遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨されるか?   
117
117
CQ 5─2  局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対して推奨される 
一次化学療法は何か?   
118
CQ 5─3 切除不能膵癌に対して推奨される化学療法の投与期間はどれくらいか?   
125
CQ 5─4 切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?   
127
6 ステント療法  
CQ 6─1 閉塞性黄疸を伴う切除不能例に胆道ドレナージは推奨されるか?   
131
131
目 次 xi
CQ 6─2  切除不能膵癌に対する胆道ドレナージのアプローチルートは, 
経皮的と内視鏡的のどちらがよいか?   
134
CQ 6─3 膵癌による閉塞性黄疸に対するステントの種類は何が推奨されるか?   
135
CQ 6─4 胃十二指腸閉塞をきたした切除不能例に対する治療法は何が推奨されるか?   
141
検索式   
145
膵癌診療ガイドライン外部評価の結果   
168
あとがき   
172
索引   
177
xii CQ 担当委員
1 診断法(チーフ:清水京子)
CQ 1─1
膵癌のリスクファクターとは何か?
清水京子
CQ 1─2
膵癌の発見はどのようにしたらよいか?
中泉明彦
CQ 1─3
膵癌疑った場合,次に行うべき検査は何か?
糸井隆夫
CQ 1─4
膵癌の診断を確定するための次のステップはどうするか?
水野伸匡
CQ 1─5
膵癌の病期はどのように決定するか?
羽鳥 隆
CQ 1─6
Borderline resectable 膵癌の診断:わが国における borderline resectable とは?
山上裕機
CQ 1─7
長期予後が期待できる早期の膵癌を診断するにはどうするか?
花田敬士
2 外科的治療法(チーフ:山口幸二)
CQ 2─1
Stage IVa 膵癌に対する手術的切除療法の意義はあるか?
江川新一
CQ 2─2
腹腔洗浄細胞診陽性症例の切除の意義はあるか?
藤井 努
CQ 2─3
膵頭部癌に対しての膵頭十二指腸切除において胃(全胃あるいは亜全胃)を温存する 山口幸二
意義はあるか?
CQ 2─4
膵癌に対する門脈合併切除は予後を改善するか?
藤井 努
CQ 2─5
膵癌に対して拡大リンパ節・神経叢郭清の意義はあるか?
横山幸浩
CQ 2─6 (開腹後)非切除例での予防的バイパス療法は推奨されるか?
山口幸二
CQ 2─7
膵癌に対する内視鏡的手術の意義は?
遠藤 格
CQ 2─8
膵癌では手術例数の多い施設で治療を受けるのがよいか?
江川新一
CQ 2─9
Borderline resectable 膵癌の治療:わが国における外科的切除の意義は?
山上裕機
3 補助療法(チーフ:古瀬純司)
CQ 3─1
膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)は推奨されるか?
大東弘明
CQ 3─2
膵癌の術中放射線療法は推奨されるか?
中郡聡夫
CQ 3─3
膵癌の術後化学放射線療法は推奨されるか?
CQ 3─4
術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?
菅野 敦
(中村聡明サポート)
上坂克彦
4 放射線療法(チーフ:伊藤芳紀)
CQ 4─1
局所進行切除不能膵癌に対して推奨される一次治療は何か?
伊藤芳紀
CQ 4─2
局所進行切除不能膵癌に対して推奨される化学放射線療法は何か?
澁谷景子
CQ 4─3
局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線治療では,どのような臨床標的体積を設 中村聡明
定するのがよいか?
CQ 4─4
局所進行切除不能膵癌に対し,化学放射線療法前の導入化学療法の意義はあるか? 大栗隆行
CQ 4─5
局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の効果はあるか?
大栗隆行
CQ 4─6
放射線療法は局所進行切除不能膵癌の QOL を改善するか?
永倉久泰
CQ 4─7
膵癌骨転移に対する放射線療法は有用か?
澁谷景子
5 化学療法(チーフ:奥坂拓志)
CQ 5─1
遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨されるか?
CQ 5─2
局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対して推奨される一次化学療法は 木原康之
何か?
木原康之
CQ 5─3
切除不能膵癌に対して推奨される化学療法の投与期間はどれくらいか?
伊藤鉄英
CQ 5─4
切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
古瀬純司
6 ステント療法(チーフ:花田敬士)
CQ 6─1
閉塞性黄疸を伴う切除不能例に胆道ドレナージは推奨されるか?
CQ 6─2
切除不能膵癌に対する胆道ドレナ─ジのアプローチルートは,経皮的と内視鏡的の 糸井隆夫
どちらがよいか?
菅野 敦
CQ 6─3
膵癌による閉塞性黄疸に対するステントの種類は何が推奨されるか?
伊佐山浩通
CQ 6─4
胃十二指腸閉塞をきたした切除不能例に対する治療法は何が推奨されるか?
花田敬士
2.本ガイドラインを使用する場合の注意事項 1
本ガイドラインについて
ử1.本ガイドラインの目的
膵癌〔
『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)の浸潤性膵管癌を対象〕は 21 世紀に残された消化器
癌といわれ,近年増加傾向にあって,その診断法や治療成績の改善が急務とされている。
従来,膵癌に対しても種々の診断・治療法が開発されてきたが,その客観的な評価は十
分にはなされておらず,診療における標準化はなされていないのが現状である。そこで,
日本膵臓学会によりガイドラインが作成されることとなった。
■
目的
本ガイドラインの目的は,膵癌の診療にあたる臨床医に実際的な診療指針を提供する
ために,膵癌に関して evidence based medicine( EBM)の手法に基づいて効果的,効率
的な診断・治療法を体系化し,効果的保険医療を確立し,ひいては豊かな活力ある長寿
社会を創造するための一翼を担うことである。本ガイドラインでは EBM の手法により,
膵癌に対して多方向から,各関係学会や各領域の第一人者によって文献を十分に検討
し,体系化されたガイドラインを作成することに努めた。ただし,膵癌治療の現状は非
常に厳しく,エビデンスレベルの高い論文は少ないため,エビデンスは現在ないが将来
につながりそうな試みなどを,委員会の判断で加えた。
■
対象
本ガイドラインの対象は,膵癌診療にあたる臨床医である。一般臨床医が膵癌に効率
的かつ適切に対処することの一助となり得るよう配慮した。さらに患者,家族をはじめ
とした一般市民にも膵癌の理解を深めていただき,医療従事者と医療を受ける立場の
方々の相互の納得のもとに,より好ましい医療が選択され実行されることをも意図し
た。ガイドライン改訂にあたっては,日本各地より,内科,放射線科,外科の専門家よ
り成る改訂委員会が設置された。改訂委員名簿は巻頭に掲載した。膵癌の Stage 分類は
欧米とわが国で異なる。本ガイドラインでは日本膵臓学会が 2009 年 7 月に発表した『膵
癌取扱い規約』
(第 6 版)に準じた。
ử2.本ガイドラインを使用する場合の注意事項
本ガイドラインはエビデンスに基づき記載しており,それに基づいて推奨度を決定し
た。膵癌は乳癌,大腸癌,胃癌などのように診断や治療に対する randomized clinical
trial(RCT)などの情報が少なく,今後の課題が多く残された消化器癌であるという特
2 本ガイドラインについて
殊性のため,RCT はないが今後につながりそうな試みや作成員の個人的意見などを「明
日への提言」として挿入した。また,記載内容が多岐にわたるので読者が利用しやすい
ように巻末に索引を設けた。
ガイドラインはあくまでも作成時点での最も標準的な指針であり,実際の診療行為を
強制するものではなく,最終的には施設の状況(人員,経験,機器等)や個々の患者の
個別性を加味して対処法を患者,家族と治療にあたる医師との話し合いで決定すべきで
ある。また,ガイドラインの記述の内容に関しては日本膵臓学会が責任を負うものとす
るが,治療結果についての責任は直接の治療担当者に帰属すべきもので,日本膵臓学会
および膵癌診療ガイドライン改訂委員会は責任を負わない。なお,本文中の薬剤使用量
などは成人を対象としたものである。また,保険未収載のものについては*を付した。
ử3.ガイドライン作成法
ガイドラインの改訂にあたっては,下記のスケジュールで行った。
■
膵癌診療ガイドライン改訂委員会
[第 1 回]2010 年 7 月 9 日(第 41 回日本膵臓学会大会,福岡,福岡国際会議場)
新たな膵癌診療ガイドライン改訂委員会を立ち上げた。大幅なメンバーの入れ替えが
行われた。
[第 2 回]2010 年 10 月 15 日(第 18 回日本消化器病関連学会週間,横浜,横浜桜木町ワシ
ントンホテル)
アルゴリズム,分野,クリニカル・クエスチョン(clinical question;CQ),論文検索,
構造化抄録,推奨,推奨度などについて話し合った。その後,メールによる会議を行
い,CQ と委員の分担を決定した。次に,東邦大学医学メディアセンターの山口直比
古氏を中心に医学中央雑誌 Web と PubMed の論文検索をしていただき,担当分野の
各委員へ配布した。構造化抄録を作成する論文について,1CQ あたり 20~30 を目処
に選出していただいた。選出後,論文コピーを担当委員へ送付し,構造化抄録の作成
を開始した。
[第 3 回]2011 年 5 月 15 日(第 97 回日本消化器病学会総会,東京,京王プラザホテル)
2011 年 5 月 14 日の日本膵臓学会理事会での意見をもとに,再度,アルゴリズム,分野,
CQ などを検討した。
[第 4 回]2011 年 7 月 29 日(第 42 回日本膵臓学会大会,弘前,ホテルニューキャッスル)
膵癌診療ガイドライン改訂委員会─新旧改訂委員合同委員会を開催した。旧改訂委員
より今回の改訂(案)のアルゴリズム,CQ の立て方,ガイドラインの評価などについ
て,意見をいただいた。
[第 5 回]2011 年 10 月 20 日(第 19 回日本消化器病関連学会週間,福岡,福岡サンパレス)
膵癌診療ガイドライン改訂(案)の全 CQ に対する推奨と推奨度を検討した。
5.本ガイドラインの構成 3
[第 6 回]2012 年 4 月 19 日(第 98 回日本消化器病学会総会,東京,京王プラザホテル)
[第 7 回]2012 年 5 月 30 日(第 24 回肝胆膵外科学会学術集会,大阪,リーガロイヤルホ
テル)
第 6,7 回改訂委員会にて,全文の検討を再度行った。続いて,チーフ会議を 2012 年
12 月 15 日(ホテル日航福岡)にて行い,さらに詳細に全文検討を行った。
[第 8 回]2013 年 3 月 22 日(第 99 回日本消化器病学会総会,鹿児島,城山観光ホテル)
第 3 回公聴会直後に,同会場にて第 8 回改訂委員会を行い,最終案を作成した。
■
公聴会
[第 1 回]2012 年 6 月 29 日(第 43 回日本膵臓学会大会,山形,ホテルメトロポリタン山形)
[第 2 回]2012 年 10 月 26 日(第 50 回日本癌治療学会学術集会,横浜,パシフィコ横浜)
第 1,2 回公聴会をそれぞれ行った。この時点で JASPAC のデータが 2013 年 1 月の
ASCO GI で発表されるが,非常に重要な結果が発表されるとのことであったので,
JASPAC─01 のデータまで今改訂版に入れることを決定した。
[第 3 回]2013 年 3 月 22 日(第 99 回日本消化器病学会総会,鹿児島,城山観光ホテル)
第 3 回公聴会を改訂拡大委員会として行った。
す べ て の 委 員 会・ 公 聴 会 後, さ ら に 日 本 膵 臓 学 会 の ホ ー ム ペ ー ジ〈http://www.
suizou.org/〉に 2013 年 4 月 9 日より 5 月末まで最終案を公開し,意見をうかがい,最終
的な修正を行った。
ử4.文献検索
ガイドライン改訂委員より示された 6 カテゴリー,35 の CQ について文献検索を行っ
た。検索は各カテゴリーごとに 1 名の医学図書館員が担当し,第 2 版のための文献検索
以降,すなわち 2007 年 5 月から 2011 年 1 月末までを検索対象期間とした。ただし,新規
CQ やキーワードの追加などもあったため,検索年限が異なる場合があった。検索した
データベースは,医学中央雑誌 Web と PubMed である。言語は英語および日本語に限
定したほか,研究デザインを考慮した場合もある。巻末に検索したデータベース,検索
期間(2007 年~ 2011 年)
,検索式,検索結果について報告する。
ử5.本ガイドラインの構成
6 つの分野に分け,それぞれ 4 ~ 9 の CQ を設定した。CQ ごとに文献の検索のデータ
ベース,検索期間
(2007 年~ 2011 年),検索式,検索結果を記載した。そして各 CQ に従っ
て,
「推奨」
「エビデンス」
「明日への提言」
「引用文献」を記載した。「推奨」においては勧
告事項をその推奨度(グレード)とともに示した。また,
「推奨」の科学的根拠を「エビデ
ンス」として示した。膵癌は乳癌や胃癌などのように診断や治療に対する RCT などの情
4 本ガイドラインについて
報が少なく,今後の課題が多く残された消化器癌であるという特殊性のため,RCT は
ないが今後につながりそうな試みや作成者の個人的意見などを「明日への提言」として
挿入した。
エビデンスレベルと推奨度(グレード)の決定法は以下に示した。
ử6.文献レベルの分類法と推奨度(グレード)分類
Minds より示された『Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2007』(医学書院)をも
とに行った。
■
エビデンスレベルの分類
質の高いものから,
Ⅰ
システマティック・レビュー/ RCT のメタアナリシス
Ⅱ
1 つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ
非ランダム化比較試験による
Ⅳa 分析疫学的研究(コホート研究)
Ⅳb 分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)
■
Ⅴ
記述研究(症例報告やケース・シリーズ)
Ⅵ
患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見
推奨度(グレード)の分類
○勧告の強さの決め方:以下の要素を勘案して総合的に判断する。
1.エビデンスのレベル
2.エビデンスの数と結論のばらつき
(同じ結論のエビデンスが多ければ多いほど,そして結論のばらつきが小さけれ
ば小さいほど勧告は強いものとなる。必要に応じてメタアナリシスを行う。)
3.臨床的有効性の大きさ
4.臨床上の適用性
5.害やコストに関するエビデンス
○勧告の強さの分類:勧告の記述にはその強さを括弧内に明示する。
A 強い科学的根拠があり,行うよう強く勧められる
B
科学的根拠があり,行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが,行うよう勧められる
C2 科学的根拠がなく,行わないよう勧められる
D 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり,行わないよう勧められる
9.利益相反 5
ử7.改訂
今後も医学の進歩とともに膵癌に対する診療内容も変化し得るので,本ガイドライン
も定期的な再検討を要すると考えられる。必要に応じて,公聴会を経た推奨・推奨度の
変更や新たな情報を日本膵臓学会のホームページに NEW PROGRESS として提示して
いく予定である。また,3,4 年を目処に改訂を目指す予定である。
ử8.資金
本ガイドライン作成に要した資金はすべて日本膵臓学会の負担と,一部平成 24 年厚
生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業「がん登録からみたがん診療ガイドラインの
普及効果に関する研究 ─ 診療動向と治療成績の変化 ─ 」
(研究代表者:平田公一)より
助成を受けた。
ử9.利益相反
膵癌診療ガイドライン改訂における利益相反の報告書によると,利益相反(日本癌治
療学会「がん臨床研究の利益相反に関する指針」)に該当する事実は以下のごとくであっ
た。
④企業や営利を目的とした企業や団体より会議の出席(発表)に対し,研究者を拘束し
た時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)
古瀬 純司:バイエル薬品(2010,2011,2012 年)
中外製薬(2010,2011,2012 年)
エーザイ(2010,2011,2012 年)
日本イーライリリー(2010,2011,2012 年)
大鵬薬品工業(2010,2011,2012 年)
ファイザー(2010 年)
小野薬品工業(2012 年)
ゼリア新薬工業(2012 年)
ベーリンガーインゲルハイム(2012 年)
ノバルティス ファーマ(2012 年)
奥坂 拓志:日本イーライリリー(2010,2011 年)
ノバルティス ファーマ(2010,2011,2012 年)
バイエル薬品(2011 年)
大鵬薬品工業(2011 年)
伊藤 鉄英:エーザイ(2010,2011 年)
ノバルティス ファーマ(2010,2011 年)
6 本ガイドラインについて
糸井 隆夫:オリンパスメディカルシステムズ(2010,2011,2012 年)
エーザイ(2011,2012 年)
(氏名・企業名は順不同)
⑥企業や営利を目的とした団体が提供する研究費及び寄付講座
山上 裕機:中外製薬(2010,2011,2012 年)
オンコセラピー・サイエンス(2010,2011 年)
大鵬薬品工業(2010,2011,2012 年)
ヤクルト本社(2011,2012 年)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(2011 年)
古瀬 純司:バイエル薬品(2010,2011,2012 年)
大鵬薬品工業(2011,2012 年)
ファイザー(2010 年)
小野薬品工業(2012 年)
ノバルティス ファーマ(2010 年)
武田バイオ開発センター(2011 年)
パクレセル・インターナショナル(2011,2012 年)
グラクソ・スミスクライン(2011 年)
静岡県産業振興財団(2011,2012 年)
奥坂 拓志:大鵬薬品工業(2010,2011,2012 年)
ヤクルト本社(2011,2012 年)
中外製薬(2010,2011,2012 年)
ノバルティス ファーマ(2011 年)
静岡県産業振興財団(2011,2012 年)
武田バイオ開発センター(2011 年)
オンコセラピー・サイエンス(2011 年)
大塚製薬(2012 年)
伊佐山浩通:ボストン・サイエンティフィック ジャパン(2010 年)
ヤクルト本社(2011,2012 年)
(氏名・企業名は順不同)
ử10.参考文献
『Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2007』
(医学書院)
11.協力者 7
ử11.協力者
膵癌診療ガイドライン改訂にあたっては,巻頭に挙げた委員のほかにも,下記の協力
者の援助により改訂された。
■
CQ1─1
高山敬子,田原純子,久保木友子(東京女子医科大学消化器内科)
■
CQ1─3
祖父尼淳(東京医科大学消化器内科)
■
CQ1─4
永塩美邦(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
■
CQ1─6
谷 眞至,川井 学,廣野誠子,岡田健一(和歌山県立医科大学外科学第 2 講座)
■
CQ1─7
飯星知博(JA 広島厚生連尾道総合病院消化器内科)
山雄健太郞(近畿大学医学部消化器内科)
佐上晋太郎,佐々木民人,芹川正浩(広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学
部門消化器・代謝内科)
■
CQ2─3
佐藤典宏(産業医科大学医学部第 1 外科学)
■
CQ2─6
佐藤典宏(産業医科大学医学部第 1 外科学)
■
CQ2─7
松山隆生,谷口浩一,森隆太郎(横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学)
■
CQ2─9
谷 眞至,川井 学,廣野誠子,岡田健一(和歌山県立医科大学外科学第 2 講座)
8 本ガイドラインについて
■
CQ3─1
高橋秀典,石川 治(大阪府立成人病センター外科)
■
CQ3─2
矢澤直樹,古川大輔(東海大学医学部消化器外科)
■
CQ3─3
下瀬川徹(東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野)
■
CQ4
中村 晶(京都大学医学部附属病院放射線治療科)
高橋昌太郎(山口大学大学院医学系研究科放射線治療学分野)
■
CQ5─1
田口雅史(産業医科大学医学部第 3 内科学)
■
CQ5─2
田口雅史(産業医科大学医学部第 3 内科学)
■
CQ5─3
池田公史(国立がん研究センター東病院肝胆膵内科)
森実千種,上野秀樹(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科)
小倉孝氏(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科,現医薬品医療機器総合機構新薬
審査第五部)
松原淳一(国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科,現スタンフォード大学医学部幹
細胞学再生医学研究所)
藤井 努,鹿野敏雄,石川忠雄,井上総一郎,菅江 崇,竹田 伸(名古屋大学大学院
医学系研究科病態外科学消化器外科学)
船越顕博(国際医療福祉大学福岡山王病院)
澄井俊彦(国立病院機構小倉医療センター消化器内科)
中村太一,藤森 尚,大野隆真,新名雄介,五十嵐久人,内田匡彦(九州大学大学院医
学研究院病態制御内科学)
■
CQ5─4
春日章良,北村 浩,高須充子(杏林大学医学部内科学腫瘍内科)
11.協力者 9
■
CQ6
今岡 大(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
■
CQ6─3
辻野 武,平野賢二,中井陽介,山川夏代,外川 修,木暮宏史,佐々木隆,川久保和道,
宮林弘至,高原楠昊(東京大学医学部消化器内科)
■
CQ6─4
飯星知博(JA 広島厚生連尾道総合病院消化器内科)
山雄健太郞(近畿大学医学部消化器内科)
佐上晋太郎,佐々木民人,芹川正浩(広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学
部門消化器・代謝内科)
(順不同)
10 CQ・推奨・明日への提言一覧
CQ No.
CQ
推奨
1.診断法
1─1
膵癌のリスクファクター 1.膵癌のリスクファクターとして下記のものがある。
とは何か?
家 族 歴:膵癌,遺伝性膵癌症候群
合併疾患:‌‌糖尿病,慢性膵炎,遺伝性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍,
膵嚢胞,‌肥満
嗜 好:喫煙,大量飲酒
2.家族歴,合併疾患,嗜好などの危険因子を複数有する場合には,
膵癌の高リスク群として検査を行うことが勧められる
(グレード B)
。
3.膵管内乳頭粘液性腫瘍と膵嚢胞は膵癌の前癌病変として慎重な経
過観察が勧められる(グレード B)
。
1─2
膵癌の発見はどのように 1.腹痛,腰背部痛,黄疸,体重減少では膵癌を疑い検査を行う(グレー
したらよいか?
ド B)。糖尿病新発症や悪化では,膵癌合併を疑い,検査を行う(グ
レード B)。
2.血中膵酵素測定は膵癌に特異的ではないが,早期診断に有用性が
認められている(グレード B)
。
3.腫瘍マーカー測定は膵癌診断やフォローアップに勧められる(グ
レード B)が,早期診断には有用ではない(グレード C1)
。
4.US は膵癌のスクリーニングに勧められる(グレード B)が,腫瘍検
出率は低い(グレード C1)。主膵管の拡張や嚢胞が膵癌の間接所見
として重要である(グレード B)。このような所見が認められた場
合は,すみやかに次のステップに進む。
1─3
膵癌を疑った場合,次に 1.膵癌を診断するためには CT(造影が望ましい)や MRI(MRCP)
(造
行うべき検査は何か?
影および 3 テスラ以上が望ましい)を行うことが強く勧められる
(グレード A)
。
2.上記検査で異常所見があっても膵癌の確定診断に至らない場合に
は,次のステップ(CQ1─4)により確定診断することが望ましい(グ
レード B)。
1─4
膵癌の診断を確定するた 1.CT あるいは MRI‌( MRCP)で確定診断が得られない場合には,
EUS,ERCP のいずれかひとつを,あるいは組み合わせて用い,
めの次のステップはどう
必要に応じて PET を加える(グレード B)
。超音波内視鏡は腹部超
するか?
音波検査や CT などで腫瘤を捉えることが困難な病変に対しても
有用である(グレード C1)
。
2.各種の画像検査により膵腫瘤の確定診断がつかない症例では,細
胞診・組織診による確定診断が望ましい(グレード B)
。
3.切除不能膵癌と診断され化学(放射線)療法を開始する際には,細
胞診・組織診による病理診断が勧められる(グレード B)
。
4.遺伝子検索は細胞診・組織診の補助的診断として有用である(グ
レード C1)
。
5.上記検査で異常所見が認められるも膵癌の確定診断に至らない場
合には,以後の定期的な検査と慎重な経過観察が勧められる(グ
レード B)。
1─5
膵癌の病期はどのように 膵癌の病期診断(TNM 因子)には MDCT や EUS が勧められる(グレー
決定するか?
ド B)。
CQ・推奨・明日への提言一覧 11
推奨度
B
B
B
B
B
B
C1
B
C1
B
A
B
B
C1
B
B
C1
B
B
明日への提言
日常診療において,家族歴,既往歴,喫煙歴,飲酒歴などを詳細に聴取し,膵癌のリスクファクター
を拾い上げることが,膵癌の早期発見の第一歩である。遺伝性膵癌症候群,遺伝性膵炎などの遺
伝性疾患,家族性膵癌,慢性膵炎,IPMN は膵癌の前癌病変を形成する可能性があるので,検体
検査や画像検査による定期的な検診が勧められる。検診の方法については確立されたものはない
が,費用対効果のよいもの,患者の精神的負担が少ないものが望ましい。糖尿病は膵癌発生のマー
カーとして注意を要するので,糖尿病を診療する医師と広く知識を共有することが重要である。
肥満,喫煙,多量飲酒は膵癌リスクを高める因子であるので,特に遺伝的背景や合併疾患のある
膵癌の高リスク群に対して,若年成人からの肥満の予防,禁煙,適量範囲内の飲酒などの生活習
慣の指導が重要である。
膵癌は特異的な症状に乏しい。エビデンスの大部分は進行膵癌における分析に基づいたもので一
部には無症状の症例もある。したがって,臨床症状は膵癌早期発見の指標にはならないが,腹痛
などの腹部症状を認める場合や,糖尿病発症がみられた場合には,膵癌の可能性も考慮して検査
を行うことが望ましい。この際,腫瘍マーカーが早期の膵癌では異常値を示さないことが多いこ
とに留意が必要である。US で膵管拡張や嚢胞を認めた例や血清膵酵素高値例に対しては MRCP
や EUS を行い,膵管狭窄を認めた場合は,膵腫瘤がなくとも ERCP を行うことが望ましい。危険
因子を複数有する多危険群に対して,血液検査と US 検査を定期的に行うことにより,膵癌の早
期発見率が向上する。1 cm 以下の腫瘤を検出した場合,造影 CT で腫瘤が検出できなくとも膵癌
を否定してはいけないことにも注意すべきである。
造影 CT,MRI(特に造影)は膵癌の存在診断に有用であり,血中膵酵素,腫瘍マーカー,US で膵
癌が疑われれば次に行うべき検査である。しかし,小さい膵癌では腫瘤の描出が困難なこともあ
り,EUS や EUS─FNA,時に膵管上皮内癌に対しては ERCP とともに,細胞診や組織診による確
定診断を専門施設において行うことが望ましい。
US,CT などで質的診断に至らない場合には,EUS,ERCP,PET などの検査を必要に応じて組
み合わせ総合的に診断していくべきである。小さい膵癌では,これらの検査を駆使しても現在の
画像解析能力では腫瘤の描出が困難なことも多い。間接所見で膵癌が強く疑われる場合には,細
胞診や組織診による確定診断を専門施設において行うことが望ましい。
種々の画像診断により膵癌と診断され切除された病変において良性疾患が 5〜10% 存在すること,
膵癌患者に対する手術侵襲が大きいことを考慮すると,少なくとも画像診断で膵癌の診断に難渋
する場合には病理組織学的な確定診断を試みることが望ましい。組織採取に伴う偶発症も存在す
るが,その程度や頻度と手術侵襲を勘案すれば組織採取が勧められる。特に化学療法(化学放射
線療法)を行う際は,適切な薬剤選択のためにも病理診断を行うことが強く勧められる。組織採
取の方法はいくつか存在するが,患者の病態を考慮して最も安全で確実な方法を選択することが
重要である。採取方法の優劣を示す明らかなエビデンスはないことより,組織採取の手段は患者
および主治医によって決定されるべきである。遺伝子検索についてはいまだ研究段階であり今後
の発展が期待される。
正確な病期診断はいまだに困難であるが,MDCT,EUS を中心に US,MRI などいくつかの画像
診断を組み合わせて総合的に判断するのが現実的である。また,エビデンスはないものの,遠隔
転移診断では FDG─PET/CT や審査腹腔鏡が有用であることもあり,症例を適切に選択すれば病
期診断の決定の一助になるかもしれない。
12 1─6
Borderline‌ resectable 膵 1.NCCN ガイドラインの borderline‌ resectable 膵癌の定義は米国で
は広く用いられているが,NCCN ガイドラインは門脈浸潤例の取
癌の診断:わが国におけ
り扱いなどがわが国の実情とは異なることが問題であり,わが国
る borderline‌ resectable
独自の borderline‌resectable 膵癌の定義が必要である。
とは?
2.Borderline‌ resectable 膵癌の診断は,MD-CT を用いて,単純撮影
だけでなく,動脈相・膵実質相・門脈相の 3 相でかつ 3 mm 以下の
thin‌slice での撮影を行うことが望ましい(グレード B)
。
1─7
長期予後が期待できる早 1.主膵管の拡張,嚢胞が間接所見として重要であり,US,CT で腫
瘍の直接描出が困難な場合でも,MRCP,EUS を行うことが勧め
期の膵癌を診断するには
られる(グレード C1)
。
どうするか?
2.上記の画像診断で限局的な膵管狭窄が認められた場合は,ERCP
を施行し,膵液細胞診を繰り返し施行することが勧められる(グ
レード C1)
。
2.外科的治療法
2─1
Stage‌ Ⅳ a 膵癌に対する Stage‌ Ⅳa までの膵癌(注)には根治を目指した手術切除療法を行うこ
。
手術的切除療法の意義は とが推奨される(グレード B)
(注)『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)の Stage‌Ⅳa で上腸間膜動脈(SMA)
あるか?
もしくは腹腔動脈幹(CA)に浸潤のないものが対象。
2─2
腹腔洗浄細胞診陽性症例 腹腔洗浄細胞診陽性の膵癌に対しての膵切除を行うべきか否かは明ら
の切除の意義はあるか? かではない。今後,臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべ
きである(グレード C1)
。
2─3
膵頭部癌に対しての膵頭 膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除において,胃(全胃あるいは亜全
十二指腸切除において, 胃)温存によって手術時間は短縮され,出血量は少なく,また生存率
。
胃(全胃あるいは亜全胃) 低下はない(グレード C1)
を 温 存 す る 意 義 は あ る 一方で,胃(全胃あるいは亜全胃)温存による術後合併症の低下,
QOL,術後膵機能,栄養状態の改善については明らかではない(グレー
か?
ド C1)。
2─4
膵癌に対する門脈合併切 膵癌に対して根治性向上を目的とした予防的門脈合併切除により予後
除は予後を改善するか? が改善するか否かは明らかではない。門脈合併切除により切除断端お
よび剥離面における癌浸潤を陰性にできる症例に限り適応となる(グ
レード C1)。
CQ・推奨・明日への提言一覧 13
B
C1
C1
膵癌は随伴膵炎のため動脈周囲の脂肪組織濃度の上昇を伴う場合があり,画像では随伴する膵炎
に よ る 炎 症 性 変 化 な の か 膵 癌 に よ る 神 経 叢 浸 潤 な の か 鑑 別 診 断 に 苦 慮 す る 場 合 が あ る。
Borderline‌resectable 診断方法のさらなる改善が膵癌症例の治療方針決定に必要である。さらに,
日常臨床の術前診断において,癌が上腸間膜動脈に密に接していても encasement がない場合は,
わが国の『膵癌取扱い規約』(第 6 版)の Asm −,PL +にあたるが,術前画像診断の上腸間膜動脈
浸潤の有無に関する精度にいまだ問題があり,術前診断方法のさらなる改善が必要である。
危険因子を有する症例に対するスクリーニングが早期発見につながるかの検討では,家族性膵癌,
家 族 性 異 型 多 発 母 斑 黒 色 腫 症 候 群(FAMMM), 遺 伝 性 乳 癌 卵 巣 癌 症 候 群(HBOC),Peutz─
Jeghers 症候群などの危険因子を有する無症状の 44 例における初回 EUS の検討において,3 例
(6. 8%)に膵癌が認められ,1 例は Stage Ⅰであった(レベルⅣa)
。また p─16 Leiden 変異を認める
患者 79 例における 1 年ごとの MRCP 施行の検討では,観察期間中央値 4 年で 7 例(9%)に膵癌がみ
られ,うち 4 例が TS1 症例であった(レベルⅣa)
。今後,国内でも遺伝性膵癌症候群などの危険
因子を有する症例に対して画像診断を含めた定期的な検査体系の構築が望まれるが,検査の間隔,
どの画像診断法を選択すべきかなどは未解決であり今後の検討課題である。
早期発見に関する地域連携の重要性の報告も散見されている(レベルⅣb)。危険因子を有する症
例に対するスクリーニング,精査,経過観察の体制を病診で連携し,地域連携クルニカルパス等
を用いて全国の各地区で構築していくことが望まれる。今後,患者の検査負担,費用対効果,X
線被爆の問題を考慮した長期的な戦略の確立を目指した大規模な前向き研究が望まれる。
B
本 CQ に対する推奨のエビデンスとなっている臨床試験(レベルⅡ)で対象となった病期の膵癌で
は R0 手術が可能であり,一部の患者では治癒を含む長期生存が得られる。したがって,治癒の
可能性を期待した治療方針を選択する場合には,切除手術を実施することが理にかなっている。
さらに,入院期間,費用,長期生存率においても外科切除群が化学放射線療法群に比較して利益
がある。一方,化学療法のエビデンスも積み重ねられており,ゲムシタビン塩酸塩,S─1 あるい
はゲムシタビン塩酸塩+ S─1 による治療と外科切除術を前向きに比較する試験が行われる必要も
出てくる。動脈に接しているような場合に,down─staging を目指した治療が行われることが多
くなってきている。Borderline‌ resectable 膵癌を含むのがわが国の『膵癌取扱い規約』(第 6 版)に
お け る Stage Ⅳa で あ る こ と か ら, 術 前 の 病 期 診 断 の 精 度 を あ げ る と と も に,borderline‌
resectable 膵癌に対して,術前治療の意義が前向きに試験されるべきである。Stage‌ Ⅳa 膵癌は術
前の画像診断で正確に判断できないこともあり,術前治療がなされた場合には,診断的腹腔鏡あ
るいは開腹手術を行ったうえでの治療方針決定が重要なことを認識すべきである。
C1
膵癌は悪性度が極めて高いため,肝転移やリンパ節転移などの予後に与える影響が,腹腔内遊離
癌細胞からの影響を薄めてしまう可能性はある。いずれにせよ,切除手術の是非については今後
検討を重ねて明らかにされるべきである。
C1
PPPD と PD の検討は膵頭部癌や乳頭部癌を広く含んだ癌を対象としたものが多く,膵頭部癌に
限ったものは少ない。解析での早期や長期の合併症,QOL の検討もその定義が論文で異なり,根
治性の検討において長期観察したものは少ない。最近のメタアナリシスでは,PPPD が PD より
手術時間が短く,出血量が少ないが,予後は変わりないとの報告がある。膵頭部癌のみに絞り,
術後早期や長期の合併症,栄養状態,膵機能,QOL などについての詳細な RCT の検討が望まれる。
C1
C1
門脈浸潤の疑われる例,あるいは門脈浸潤陽性例に対する場合は,少なくとも主要動脈浸潤を伴
わず,切除断端および剥離面における癌浸潤を陰性にできれば,門脈合併切除により長期生存例
が得られることがあると考えられる。
14 2─5
膵癌に対して拡大リンパ 膵癌に対する拡大リンパ節・神経叢郭清が生存率向上に寄与するか否
節・神経叢郭清の意義は かは明らかでなく,行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない(グ
レード C2)。
あるか?
2─6
(開腹後)非切除例での予 外科切除を目的に開腹し非切除となった黄疸を伴う膵癌に対して,胆
防的バイパスは推奨され 管空腸吻合術による減黄術,予防的胃空腸吻合術が推奨される(グ
レード B)。
るか?
2─7
膵癌に対する内視鏡的手 膵癌に対する内視鏡的手術は症例を選べば安全に施行可能である。長
術の意義は?
期遠隔成績を向上させるか否かについては high‌volume‌center での症
例の蓄積により明らかにされるべきである(グレード C1)
。
2─8
膵癌では手術例数の多い 膵頭十二指腸切除など膵癌に対する外科切除術では,手術症例数が一
施設で治療を受けるのが 定以上ある専門医のいる施設では合併症が少ない傾向があり,合併症
発生後の管理も優れている(グレード B)
。
よいか?
2─9
Borderline‌ resectable 膵 Borderline‌ resectable 膵癌に対して補助(術前)治療を行うことで,外
癌の治療:わが国におけ 科的切除の治療成績が改善するかについては今後の臨床試験や研究で
。
る外科的切除の意義は? 明らかにされるべきである(グレード C1)
3.補助療法
3─1
膵癌に対する術前治療
(①化学放射線療法,②
化学療法)は推奨される
か?
術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)の有用性を支持する論文
が増加傾向にある。しかしこれが長期遠隔成績を向上させるか否かに
ついては,今後の臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべき
である(グレード C1)
。
3─2
膵癌の術中放射線療法は 膵癌に対する術中放射線療法の有用性は明らかではない。日本で行わ
推奨されるか?
れたランダム化比較試験では,術中放射線療法単独の効果は認められ
なかった(グレード C2)
。
3─3
膵癌の術後化学放射線療 膵癌に対する術後化学放射線療法の有用性は明らかではなく,試験的
法は推奨されるか?
な位置づけとして行われるべきである(グレード C1)
。
CQ・推奨・明日への提言一覧 15
C2
本 CQ で紹介した RCT は目的が同じでも各々の国の医療事情を反映して微妙にプロトコールが異
なるためその結果の解釈には注意を要する。しかしいずれの RCT でも拡大郭清手術に予後を改善
する効果はなく,むしろ術後の合併症が多い傾向にあり,拡大郭清手術の意義はほぼ否定された
と言ってよい。膵癌の手術では切除断端を癌陰性にすることがまず大原則であり,そのための努
力を惜しんではいけない。しかし,高度な局所浸潤やリンパ節転移があるような症例は,たとえ
拡大郭清手術を行ったとしても予後は極めて不良である。したがって,このような症例はできる
だけ合併症が起こらないように注意して手術を行い,その後の補助療法に予後改善効果を期待し
たほうがよい。
ただ最近では診断精度の進歩により,より早期の段階で見つかる膵癌も増えてきた。このような
症例にどこまで郭清を行うべきなのかは今後の検討を要する。拡大手術を一概に否定するのでは
なく,今後は積極的な郭清手術が必要な症例とそうでない症例を見極めるための検討が必要なの
かもしれない。
B
臨床の場では非切除膵癌が大多数を占める現実を考えると減黄術,消化管バイパス,癌性疼痛除
去などは重要であるが,わが国ではやや置き去りにされてきた問題でもある。鏡視下手術でのバ
イパスや新規ステントの開発・改善などが進んでいるため,信頼度の高い RCT を行い,問題を整
理していく必要がある。
C1
1990 年代に始まった腹腔鏡下膵切除術は 20 年経過した現在でもいまだ膵癌に対する実施例は少
数にとどまっている。短期成績は開腹術と比較して遜色ないため,患者の希望があれば内視鏡的
手術を選択することは可能と思われる。しかしリンパ節郭清個数が少ないという報告があること
や長期成績の報告が少ないことから,膵癌への本術式の適応の意義は今後 high‌ volume‌ center で
の症例の蓄積により明らかにされるべきであろう。
B
多数の症例に基づいた HVC での合併症発生率,長期生存率での優位性が示されているが,HVC
を定義する症例数はばらついている。また,症例数だけでは高難度な膵切除術を安全・確実に施
行できる十分条件にはならない。どの地域に住む患者もアクセスがよく,高い診断精度・技術を
持ち,合併症の少ない標準的な手術と術後早期からの補助療法を受け,かつ全体の医療コストが
妥当な医療供給体制が求められる。NCD(National‌Clinical‌Database)
,地域がん登録などの大規
模全数調査データベースがわが国においても充実しつつある。膵癌登録のデータは長年の蓄積が
あるが,そもそも HVC における診療成績の積み重ねでもある。膵癌登録は,今後 NCD に組み込
まれることが確定しており,わが国の膵癌に対する診療体制の現状把握・改善に大きく寄与する
ものと思われる。
C1
有効な術前治療の開発により術後の補助療法も含めた集学的治療を施行することで,borderline‌
resectable 膵癌の予後は改善する可能性がある。さらに術前治療後に切除すると生命予後延長効
果が期待できる症例を選別することで,borderline‌ resectable 膵癌の新たな治療方針を確立でき
る可能性がある。
C1
今後,ランダム化比較試験の蓄積などによって,膵癌に対する術前化学放射線療法や術前化学療
法が生存期間(率)の向上に寄与するか否かを明らかにしていく必要がある。術前化学放射線療法
では,肝転移予防対策が重要課題である。
C2
わが国からの多施設共同 RCT により,膵癌に対する補助療法として IORT 単独治療には生存延長
効果がないことがエビデンスとして示された。しかし,補助化学療法または術前・術後照射など
との併用による IORT の有用性が今後認められる可能性は否定できない。こうした IORT とほか
の治療法の併用効果に関しては今後の研究課題であろう。
C1
RCT の結果からはフルオロウラシルをベースとした膵癌に対する補助化学放射線療法の有用性は
証明されなかった。しかし,R1 切除症例に対し有用である可能性が示されたこと,後ろ向き研究
ではあるが多数例の報告から予後を延長させる可能性が示されていること,ゲムシタビン塩酸塩
による補助化学放射線療法の解析がいまだに不十分であることから,今後さらなる検討が必要で
ある。
16 3─4
術後補助化学療法を行う 術後補助化学療法は切除単独に比べ良好な治療成績を示しており,実
ことは推奨されるか?
施することが勧められる(グレード A)
。術後補助療法のレジメンは S─
1 単独療法が推奨され(グレード A),S─1 に対する忍容性が低い症例
などではゲムシタビン塩酸塩単独療法が勧められる(グレード B)
。
4.放射線療法
4─1
局所進行切除不能膵癌に 局所進行切除不能膵癌に対する一次治療としては,化学放射線療法ま
(化学放射線
対して推奨される一次治 たは化学療法単独による治療が推奨される(グレード A)
療法,化学療法の具体的な治療レジメンは,CQ4─2,CQ5─2 において
療は何か?
推奨する)。
4─2
局所進行切除不能膵癌に 局所進行切除不能膵癌に対して,放射線療法を行う場合には,フッ化
対して推奨される化学放 ピリミジン系抗がん薬またはゲムシタビン塩酸塩との併用が推奨され
る(グレード B)
。放射線療法については,3 次元治療計画を行い,腫
射線療法は何か?
瘍に対する正確な照射と正常臓器への線量低減を図ることが推奨され
る。
4─3
局所進行切除不能膵癌に 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線療法では,肉眼的腫瘍体積
対する外部放射線療法で と転移頻度の高いリンパ節群のみを含んだ臨床標的体積にすることが
。
は,どのような臨床標的 勧められる(グレード C1)
体積を設定するのがよい
か?
4─4
局所進行切除不能膵癌に
対し,化学放射線療法前
の導入化学療法の意義は
あるか?
4─5
局所進行切除不能膵癌に 局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の有用性を支持する報告
対し術中放射線療法の効 はあるが,これが予後を改善させるか否かについての科学的根拠は十
分ではない(グレード C1)
。
果はあるか?
4─6
放射線療法は局所進行切 局所進行切除不能膵癌の QOL 改善には,化学放射線療法(グレード B)
除不能膵癌の QOL を改 や放射線療法(グレード C1)が勧められる。
善するか?
局所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法前に導入化学療法を行う
ことで,同時化学放射線療法を施行するメリットの高い症例群が選別
され,選別例では良好な治療成績が報告されている点から意義があ
り,治療選択肢として考慮されてもよい(グレード C1)
。
CQ・推奨・明日への提言一覧 17
A
A
B
術後補助化学療法の標準治療は,従来のゲムシタビン塩酸塩から新たに S─1 に切り替えられた。
今後数年の間に,ゲムシタビン塩酸塩と経口フッ化ピリミジンとの併用療法の臨床試験の結果が
明らかになる予定である。今後,これらの臨床試験の結果にも注目したい。
A
局所進行切除不能膵癌の治療成績は,ゲムシタビン塩酸塩や S─1 などの新規抗がん薬を用いた治
療により少しずつ向上してきているが(CQ4─2,CQ5─2)
,まだ満足いくものではなく,臨床試験
での治療開発が望まれる状況である。化学放射線療法の利点としては,化学療法単独に比し,2
年生存割合などの中長期的な生存割合の向上を図れることや,局所制御による疼痛緩和が期待で
きることなどがある(CQ4─6)。一方,化学療法単独の利点は,化学放射線療法に比し有害事象が
軽く,外来治療が可能なことが挙げられる。治療方針決定の際には,それぞれの治療の有効性と
ともに治療方法・治療スケジュール,有害事象なども含めた説明をすることが必要である。また
今後の臨床試験によって両治療法の優劣や位置づけを明らかにすることが重要である。
B
一般的に,膵癌は早期に遠隔転移をきたす率が高く,局所進行切除不能膵癌に対する治療におい
ては,局所治療と全身療法とのバランスが重要と考えられる。化学放射線療法におけるレジメン
の完遂率,有効性については,放射線療法の線量や照射野の設定,線量分割,照射方法によって
も大きく影響されることに注意されたい。また,現在進行しつつある分子レベルでの研究成果に
基づき,個々の進行パターンや効果を予測し治療法を選択する試みも進められており,今後の発
展が期待される。
いずれにしても,過去 20 年間における放射線治療技術の進歩を膵癌治療へすみやかに,かつ適切
に反映させる努力が望まれる。
C1
高精度放射線治療技術の登場により,膵癌に対しても線量集中性の高い放射線療法が行えるよう
になった。適切な照射範囲については,リンパ節転移の頻度を根拠にして CTV を設定した照射
範囲別の比較試験を行い,規準を作っていく価値があると考える。
C1
局所進行切除不能膵癌において導入化学療法を行うことで,潜在的な遠隔転移を有する症例を選
別し,同時化学放射線療法に適する症例群を選別し得るメリットがある。現在,フランスの
Groupe‌ Cooperateur‌ Multidisciplinaire‌ en‌ Oncologie( GERCOR)において,導入化学療法後に,
化学療法群と化学放射線療法群に割り付ける国際共同ランダム化比較試験が進行中であり,その
結果が注目されている。今後,ランダム化比較試験の蓄積などにより,同時化学放射線療法前に
導入化学療法を行うことで治療成績が向上するか否かを明らかにしていく必要がある。
C1
エビデンスは低いものの,局所進行切除不能膵癌でバイパス手術を施行する際には,術中放射線
療法を用いることにより 1 回で大線量(20〜25 Gy 程度)を照射することが可能となり,これに引き
続いての外照射療法の期間や入院期間を短縮できるという臨床的な利点がある。また外照射によ
る化学放射線療法(40〜50 Gy 程度)に術中放射線療法を追加し,放射線の総線量を腫瘍の根治可
能と考えられる線量レベルにまで高めることにより長期生存の可能性が開かれるという点から
も,実施可能な施設で本治療法を行うことは選択肢のひとつと思われる。
B
C1
放射線療法が,癌性疼痛などの症状緩和に有効なことは,日常診療でよく経験される。放射線療
法は,鎮痛薬などの対症療法とは異なり,症状の原因となる腫瘍そのものを縮小させる原因療法
であるため,有効なら鎮痛薬を減量ないし中止することもでき,経済的なメリットも期待できる
治療法である。
QOL 改善目的の緩和的放射線療法においては,照射野に予防域を設ける必要はなく,症状の責任
病巣に限局した照射野でよい。線量分割についても,基本的には症状が緩和できる程度でよいが,
遠隔転移のない場合は,治療が奏効し,ある程度の期間生存し得た場合の晩期有害事象にも配慮
し,50. 4 Gy/28 分割/5. 5 週や 50 Gy/25 分割/5 週などの通常分割照射が望ましい。
一方,遠隔転移などで長期生存が期待しがたい場合は,40 Gy/20 分割/4 週や,30 Gy/10 分割/2
週などのように,期待される予後に応じて治療期間が短縮される。
いずれにせよ,化学療法を同時併用する場合は,有害事象が増強されるおそれがあるため,治療
期間を短縮したい場合でも,一回線量は 3 Gy のようには上げずに,通常分割照射の範囲内にとど
めるのが無難である。
18 4─7
膵癌骨転移に対する放射 骨転移による疼痛緩和に放射線療法は有用である(グレード A)
。
線療法は有用か?
5.化学療法
5─1
遠隔転移を有する膵癌患 遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は best‌ supportive‌ care
。
者に対して化学療法は推 に比べ予後を改善することから推奨される(グレード A)
奨されるか?
5─2
局所進行切除不能膵癌・
転移病変を有する膵癌に
対して推奨される一次化
学療法は何か?
5─3
切除不能膵癌に対して推 切除不能膵癌に対する化学療法は,投与継続困難な有害事象の発現が
。
奨される化学療法の投与 なければ,病態が明らかに進行するまで投与を継続する(グレード B)
期間はどれくらいか?
5─4
切除不能膵癌に対して二 海外における二次治療のランダム化比較試験により,支持療法に比べ
次化学療法は推奨される 化学療法の有用性が示されており,二次化学療法の実施が推奨される
(グレード B)。二次化学療法のレジメンは一次治療に応じて,S─1 も
か?
しくはゲムシタビン塩酸塩を選択する(グレード C1)
。
局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対する一次化学療法
として,ゲムシタビン塩酸塩単剤治療,ゲムシタビン塩酸塩+エルロ
チニブ塩酸塩併用治療,または S─1 単剤治療が推奨される(グレード
A)。
6.ステント療法
6─1
閉塞性黄疸を伴う切除不 切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,推奨される(グレード B)。
能例に胆道ドレナージは 切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,開腹による外科的減黄術よ
り内視鏡的減黄術が推奨される(グレード B)
。
推奨されるか?
6─2
切除不能膵癌に対する胆 切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは内視鏡的に行うことが奨めら
。
道ドレナージのアプロー れる(グレード B)
チルートは,経皮的と内
視鏡的のどちらがよい
か?
CQ・推奨・明日への提言一覧 19
* A
遠隔転移を有する膵癌治療の主体は全身化学療法であるが,骨転移に伴う症状が顕在化してきた
症例に対して放射線療法が有効であることはしばしば経験される。病態に応じてオピオイドやビ
スフォスフォネートなど薬物療法も組み合わせつつ,放射線療法が可能な施設では積極的に施行
することが推奨される。全身化学療法中である場合は有害事象を避けるため照射野を大きくしす
ぎないこと,ゲムシタビン塩酸塩を継続している場合は胸部照射との併用は禁忌とされているこ
とに注意が必要である。また,放射線療法の一種として Sr─89 によるアイソトープ治療について
国内で多施設共同オープン試験(レベルⅢ)が行われ有効性が示されたことを受け,2007 年末より
保険治療として施行可能となった。骨髄抑制が著明な症例や期待予後が非常に短い症例では投与
を避けるべきで,化学療法継続中の症例でも慎重な適応判断が求められるが,外照射治療が困難
な場合など症例によっては選択肢のひとつになり得る。症状や予後なども含めて総合的に判断し,
最適な治療を提供していくことが望まれる。
A
遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨されるが,PS が低下し,化学療法を施行し得
ない患者あるいは化学療法不応性の患者に対しては,医師を含む緩和ケアチームが患者および患
者家族に十分説明し,同意を得たうえで,疼痛除去,栄養治療,減黄治療,腹水治療を含めた
BSC を行う必要がある。
A
遠隔転移あるいは局所進行膵癌に対する一次化学療法として,ゲムシタビン塩酸塩単剤治療に加
えて,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法,S ─ 1 単剤治療も保険収載されるよ
うになり,治療の選択肢が広がってきた。FOLFIRINOX‌*およびゲムシタビン塩酸塩+ nab─パク
リタキセル*併用療法は遠隔転移を有する膵癌患者において高い有用性が示されたが,日本人に
おける有効性や安全性は明らかではなく,現時点では保険未収載である。現在進行中の国内治験
の結果が待たれる。さらに有効性が高く,有害事象の少ない新治療の開発が望まれる。
B
なし
B
C1
膵癌に対する一次化学療法はゲムシタビン塩酸塩だけでなく,S─1 やゲムシタビン塩酸塩を含ま
ない治療法も確立しつつあり,それに伴い二次化学療法も選択肢が増えるものと予想される。ま
た,分子標的薬を含めた新規薬剤の開発が精力的に進められており,二次化学療法を含め,膵癌
の生物学的特徴に基づく有効な治療法の確立が期待される。
B
B
閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,化学療法前の減黄目的のみならず,
予後や QOL の改善が期待できるため,積極的に行うべきである。外科的胆道ドレナージは長期
開存が期待でき,内視鏡的胆道ドレナージを含む非外科的胆道ドレナージは合併症の発現率が低
く費用が少ないという結果だったが,その報告は過去のものが多く,現在の医療状況を反映して
いない。ステントの性能や内視鏡的技術の進歩は著しいため,現在の医療レベルに即した胆道ド
レナージの有用性の検討が必要である。
B
経皮的胆道ドレナージは内視鏡的ドレナージに比べて侵襲度が高いことから,現在では後者が標
準的な治療となっている。しかし,内視鏡的胆道ドレナージの成功率は 100% でないことに注意
し,内視鏡的ドレナージではコントロールが困難な肝門部狭窄などに関しては必要に応じて経皮
的胆道ドレナージを行うことが望ましい。
保険未収載の検査・治療
20 6─3
膵癌による閉塞性黄疸に 膵癌切除不能例による閉塞性黄疸に対しては,プラスチックステント
対するステントの種類は (plastic‌ stent;PS)よりも開存期間の長い自己拡張型メタリックステ
ント(self─expandable‌ metallic‌ stent;SEMS)が推奨される(グレー
何が推奨されるか?
ド C1)。SEMS の な か で は 被 覆 型(covered‌ type)の 開 存 期 間 が
uncovered‌ type より長いことが報告されている(グレード C1)。施設
ごとの技術,診療体制,患者の状態によって uncovered‌ type や PS の
選択を考慮してもよい。
6─4
胃十二指腸閉塞をきたし 全身状態が良好で比較的長期の予後が期待される症例には外科的胃空
た切除不能例に対する治 腸吻合術,それ以外の症例には内視鏡的十二指腸ステント挿入術が推
。
療 法 は 何 が 推 奨 さ れ る 奨される(グレード B)
か?
CQ・推奨・明日への提言一覧 21
C1
C1
現在まで報告されている多くの臨床試験は病態が異なる原疾患(膵頭部癌,胆管癌,リンパ節転
移など)を限定せずに施行されており,また,その評価の方法も異なる。そのため RCT 自体の評
価・解釈には限界があり,そうした RCT をもとにしたメタアナリシスの結果の評価・解釈にも注
意を要する。今後,膵癌による閉塞性黄疸のみに対象を絞った臨床試験が必要である。化学療法,
化学放射線療法の進歩とともに膵癌切除不能例の予後も延長してきているが,これらの治療がス
テントの成績に与える影響の研究も十分ではなく,また,延長した予後に対するステント療法の
改良すべき点も明らかにはなっていない。
Uncovered‌SEMS と covered‌SEMS の比較評価に関して,前述の限界のなかではあるが,2012 年
の ASGE で発表された(今回の改訂では慎重な査読がなされた学会の抄録は引用文献として採用)
北野らの論文は,わが国の 30 を超える多施設で膵癌を対象に限定し行われた多施設共同研究であ
ることと,わが国で最も多く使用されているステントを使用していること等より,現在のわが国
の臨床の実情に最も即した RCT と考えられる。その結果は Covered‌ SEMS が uncovered‌ SEMS
よりは開存期間が長いというものであった。しかし,ひとつの RCT のみで強力なエビデンスとは
言い切れず,膵癌とほかの癌種が混じた海外の臨床試験では有意差が出ていないことなどより,
弱い推奨にとどめておくのが現時点では妥当と考え,改訂委員会では推奨度を C1 とした。今回
の改訂過程において,この uncovered‌SEMS と covered‌SEMS の問題に関しては,RCT やメタア
ナリシスの評価・解釈の違いから,公聴会や public‌ comments において covered‌ SEMS に対して
否定的な見解の意見もあった。そのため,わが国での実診療に支障が生じないように推奨内容,
推奨度にも数度の修正が加えられた。Covered‌ SEMS と uncovered‌ SEMS の問題に関しては,次
回のガイドライン改訂において再検討をするために,化学療法,化学放射線療法の進歩を踏まえ
てのエビデンスレベルの高い結果の報告を期待したい。
B
2010 年 4 月に国内で認可された内視鏡的十二指腸ステント挿入術は,胃空腸吻合と並んで十二指
腸閉塞をきたした膵癌切除不能症例に対する新たな治療選択肢である。現在までに報告されてい
る胃空腸吻合術と内視鏡的十二指腸ステント群の比較試験の成績は対象がすべて膵癌ではなく,
胃癌を一定の割合で含んで検討されていることに注意すべきであり,今後切除不能膵癌のみを対
象とした胃空腸吻合術と内視鏡的十二指腸ステント挿入術を前向きに比較した多施設共同研究が
望まれる。また,十二指腸ステントは axial‌ force,挿入後の短縮の有無などがステントの種類に
よって大きく異なるため,用いるステントの種類によって大きく成績が異なる可能性があること
に留意すべきである。ステント留置後の化学療法が開存期間に影響を与えるかどうかの論証は十
分なされておらず今後の課題である。
22 アルゴリズム
アルゴリズム
ử膵癌診断のアルゴリズム
CQ1-1
臨床症状,膵酵素 / 腫瘍マーカー / 危険因子,
US
CQ1-2
CT and / or MRI
(MRCP)
CQ1-3
EUS and / or ERCP and/or PET
CQ1-4
細胞診・組織診
(ERP, EUS, US, CT)
診断確定
CQ1-5~7
可能な限り病理診断を
行うことが望ましい
膵癌治療のアルゴリズム 23
ử膵癌治療のアルゴリズム
診断確定*1
CQ1-5
cStage 0,
Ⅰ,
Ⅱ,
Ⅲ*2
cStage Ⅳa
cStage Ⅳb
CQ2-1,9
切除可能
局所進行切除不能
CQ4-1
外科的療法
CQ2-2~9
補助療法
CQ3-1~4
化学放射線療法
CQ4-2~6
転移
(・再発)
切除不能
CQ5-1
化学療法
CQ5-2~4
ステント療法,
バイパス療法,
放射線療法*3
CQ6-1~4
CQ4-7
*1:膵癌患者においては診断初期から疼痛・消化吸収障害・
(膵性)糖尿病・不
安などに対する支持療法が必要となる。詳細に関しては各病態の診療ガイ
ドラインおよび日本緩和医療学会の ホームページ〈http://www.jspm.ne.jp/
guidelines/index.html〉
を参照されたい。
*2:cStage 分類は
『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)
による。
,バイパス療法,放射線療法
(CQ4─7)
は症例によ
*3:ステント療法
(CQ6─1~4)
り適応とされる場合がある。
CQ 1 ─ 1 25
クリニカル・クエスチョン
1
診 断 法
ửCQ 1─1 ‌‌膵癌のリスクファクターとは何か?
推奨
1.膵癌のリスクファクターとして下記のものがある。
家 族 歴:膵癌,遺伝性膵癌症候群
合併疾患:‌‌糖尿病,慢性膵炎,遺伝性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍,膵嚢胞,
‌肥満
嗜 好:喫煙,大量飲酒
2.家族歴,合併疾患,嗜好などの危険因子を複数有する場合には,膵癌の高
リスク群として検査を行うことが勧められる(グレード B)。
3.膵管内乳頭粘液性腫瘍と膵嚢胞は膵癌の前癌病変として慎重な経過観察が
勧められる(グレード B)
。
■
エビデンス
膵癌患者の 3〜9% は膵癌の家族歴があり,その場合の膵癌の相対リスクは 1. 6〜3. 4
倍である 1)
(レベルⅠ)2)
(レベルⅣa)。わが国でのリスクも欧米とほぼ同じである 3, 4)
(レ
ベルⅣb)
。第一度近親者(両親,兄弟姉妹,子)に 2 人以上の膵癌罹患者がいる家族性膵
癌家系の標準化罹患比は一般人口の 6. 79 倍で,散発性膵癌家系の 2. 41 倍と比べて有意
に高く,家族性膵癌家系に 50 歳未満の若年発症がある場合にはさらにリスクが上がる 2)
(レベルⅣa)
。家族性膵癌,遺伝性膵炎,家族性大腸腺腫症,遺伝性非ポリポーシス大
腸癌(Lynch 症候群)
,Peutz─Jeghers 症候群,家族性異型多発母斑黒色腫症候群(familial atypical multiple mole melanoma;FAMMM),遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome;HBOC)は遺伝性膵癌症候群と呼ばれ,膵癌発
生率が高い 5, 6)
(レベルⅠ)
7)
(レベルⅣa)
。
わが国の膵癌登録報告 3)
(レベルⅣb)によると,膵癌患者の既往歴では糖尿病が
25. 9% と最も頻度が高く,糖尿病における膵癌リスクは約 2 倍である 8)(レベルⅠ)
。膵
癌の発症は糖尿病の発症 1〜3 年以内で最も高く 8)
(レベルⅠ),糖尿病の新規発症は膵癌
発見のマーカーとなり得る。肥満は糖尿病における膵癌リスクを増加させる 9)
(レベル
Ⅳa)
。糖尿病における膵癌の発生には高インスリン血症 10)
(レベルⅠ)
,インスリン抵
診断法
1
26 1.診断法
抗性 11)
(レベルⅣa)
,insulin─like growth factor( IGF)の遺伝子多型 12)
(レベルⅣb)が関
与しているとの報告がある。糖尿病の治療としてインスリンアナログやインスリン分泌
促進薬は膵癌リスクを増加させるが,メトフォルミンは膵癌の発生と死亡率を低下させ
る 13)
(レベルⅠ)
。
肥満と膵癌について,わが国で行われた大規模コホート研究によると,20 歳代に
body mass index(BMI)が 30 kg/m2 以上の男性では,正常 BMI に比べ膵癌危険率が 3. 5
倍増加することが示された 14)
(レベルⅣa)。一方,ほかの 2 つのコホート研究では膵癌
と BMI に相関が認められていない 15, 16)
(レベルⅣa)。諸外国では,BMI が 5 kg/m2 増加
すると膵癌危険率が 1. 12 倍上昇するとの報告がある 17)
(レベルⅠ)
。また,膵癌危険率
は BMI 35 kg/m2 以上で 2. 61 倍,女性では BMI 40 kg/m2 以上で 2. 76 倍と著増する 18)
(レ
ベルⅣa)
。特に若年時に過体重や肥満である場合には膵癌リスクが最も増加する 19)
(レ
ベルⅣb)
。
慢性膵炎からの膵癌発生頻度は約 5% で,わが国における発生頻度も 4. 1% と報告さ
れている 20)
(レベルⅣb)
。慢性膵炎の膵癌発生率は一般人口に比べ 13 倍高いが,2 年以
内に膵癌と診断されたものを除くと 5. 8 倍である 5)
(レベルⅠ)
。
遺伝性膵炎は,
「同一家系に 2 世代以上にわたり複数の膵炎患者がいて,若年発症で
胆石やアルコールの関与がない膵炎」と定義される。遺伝性膵炎の 60〜70% に,カチオ
ニックトリプシノーゲン(PRSS1)遺伝子の p. R122 H 変異あるいは p. N29 I 変異が認めら
れる 7)
(レベルⅣa)
。膵癌の累積リスクは 50 歳と 75 歳でそれぞれ 10. 0%,53. 5% で,一
般人口より約 60〜87 倍高率である 5)
(レベルⅠ)
7)
(レベルⅣa)
。
膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)は膵癌の
発癌母地である可能性が示唆されている。日本膵臓学会によるわが国の集計では,
IPMN に由来する浸潤癌は主膵管型 IPMN に多く,組織型では粘液癌が約 1/3 を占め,
IPMN に併存した通常型膵管癌は分枝型 IPMN に多く,組織型は管状腺癌が約 1/3 を占
める 21)
(レベルⅣb)
。また,壁在結節のない分枝型 IPMN 349 人を 1〜16. 3 年間経過観
察した多施設共同研究では,62 人(17. 8%)に嚢胞径,主膵管径,壁在結節の増大などの
形態学的変化があり,膵切除した 22 例中 9 人が癌,13 人が腺腫であり,IPMN とは離れ
た部位での膵癌の発生が 2% に認められた 22)
(レベルⅣa)
。分枝型 IPMN について,
1 cm 未満の分枝型 IPMN 60 例を平均 87 カ月経過観察した結果,IPMN の部位に 2 例
(3%)
,IPMN とは離れた部位に 5 例(8%)癌が発生し,年間の膵癌発生率は 1. 1% で,
70 歳以上の膵癌の発生率は 19. 5% と 69 歳以下より高いことが報告された 23)
(レベル Ⅳa)
。外科的切除を施行された IPMN 283 人における IPMN の組織学的亜分類と臨床病
理学的特徴の検討では,分枝型 IPMN は gastric type,主膵管型は intestinal type の頻度
が高く,管状腺癌の発生は pancreatobiliary type が最も多く,5 年生存率も最も不良で
あったと報告された 24)
(レベルⅣb)。IPMN と診断されない膵嚢胞に対しても,分枝型
IPMN 80 例と非 IPMN 嚢胞 117 例を平均 3. 8 年追跡した検討では,IPMN の癌化を 2 例,
CQ 1 ─ 1 27
浸潤型膵管癌を 5 例認め,そのうち非 IPMN 嚢胞の 3 例から膵癌が発生し,膵嚢胞患者
の膵癌発生リスクは一般人口の 22. 5 倍であることが報告された 25)
(レベルⅣa)。した
がって,IPMN のみならず IPMN と診断されない膵嚢胞についても膵癌の高リスク群と
して慎重な経過観察が必要である。
喫煙が膵癌のリスクを増加させることは多くの報告でほぼ一致した見解である。喫煙
による膵癌のハザード比は 1. 3 〜 3. 9 で 27)
(レベルⅣa)
(レベルⅠ),喫煙本数が
40 本/ 日以上の男性の膵癌による死亡は 3. 3 倍に増加することが示された 26)
(レベル
Ⅳa)
。禁煙後 10 年以上でも膵癌のリスクは高い 27)
(レベルⅠ)。喫煙は遺伝性膵炎や糖
尿病,肥満などの他の危険因子による膵癌の発生リスクを増加させる 5)(レベルⅠ)
7, 15)
(レベルⅣa)
。
アルコールが膵癌のリスクであるか否かは報告によって異なる。最近のメタアナリシ
スや前向き試験による膵癌発生の相対リスクは,適量の飲酒ではリスクの増加は認めら
れないが,アルコール 3 ドリンク以上(1 ドリンク=エタノール 12. 5 g)の多量飲酒者で
は膵癌のリスクが 1. 2 倍増加すると報告されている 28)
(レベルⅠ)
。
ABO 血液型と膵癌について欧米人を対象とした検討では,O 型に比べて非 O 型の人
は膵癌の頻度が有意に高い 29)
(レベルⅠ)が,日本人でも同様な結果かは不明である。
ヘリコバクター・ピロリ感染は膵癌リスクを増加させるという報告があり,ヘリコバク
ター・ピロリに対する血清学的陽性と膵癌発生についてのメタアナリシスでは関連性が
あるという結果が示されている 30)
(レベルⅠ)
。米国の大規模コホート研究では,消化性
潰瘍のない人に比べて胃潰瘍の既往がある場合に膵癌発生リスクが 1. 83 倍増加し,十二
指腸潰瘍の既往は膵癌リスクとの関連性はなかったことが報告された 31)
(レベルⅣa)
。
B 型肝炎ウイルス感染において,HBs 抗原陽性者のうち,HBe 抗原陽性,HBV-DNA が
高値の場合に膵癌リスクが増加するという報告もある 32)
(レベルⅣa)。職業の分野では
塩素化炭化水素への暴露に関わる職業でリスクが増加する可能性がある 33)
(レベルⅠ)
。
遺伝性膵癌症候群や家族性膵癌の高リスク群に対する前向き試験で,検体検査,
EUS,MRI/MRCP による 6〜12 カ月ごとのスクリーニング検査は前癌病変や切除可能
膵癌の発見に有用であるとの報告がある 34─36)
(レベルⅣa)。しかし,長期間の経過観察
となるので,費用対効果と精神的な負担についても十分考慮する必要がある 35, 36)
(レベ
ルⅣa)
。また,膵炎の既往歴がある場合,発症から 3 年以内の膵癌リスクが高いので,
膵炎と診断した場合には膵癌を念頭に入れて慎重に精査すべきである 37)
(レベルⅣb)
。
■
明日への提言
日常診療において,家族歴,既往歴,喫煙歴,飲酒歴などを詳細に聴取し,膵癌のリ
スクファクターを拾い上げることが,膵癌の早期発見の第一歩である。遺伝性膵癌症候
群,遺伝性膵炎などの遺伝性疾患,家族性膵癌,慢性膵炎,IPMN は膵癌の前癌病変を
形成する可能性があるので,検体検査や画像検査による定期的な検診が勧められる。検
1
診断法
15, 16, 26)
28 1.診断法
診の方法については確立されたものはないが,費用対効果のよいもの,患者の精神的負
担が少ないものが望ましい。糖尿病は膵癌発生のマーカーとして注意を要するので,糖
尿病を診療する医師と広く知識を共有することが重要である。肥満,喫煙,多量飲酒は
膵癌リスクを高める因子であるので,特に遺伝的背景や合併疾患のある膵癌の高リスク
群に対して,若年成人からの肥満の予防,禁煙,適量範囲内の飲酒などの生活習慣の指
導が重要である。
■
引用文献
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CQ 1 ─ 1 29
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1
診断法
IPMN and pancreatic ductal adenocarcinoma concomitant with IPMN. Pancreas 2011;40:571─
30 1.診断法
ửCQ 1─2 ‌‌膵癌の発見はどのようにしたらよいか?
推奨
1.腹痛,腰背部痛,黄疸,体重減少では膵癌を疑い検査を行う(グレード B)。
糖尿病新発症や悪化では,膵癌合併を疑い,検査を行う(グレード B)。
2.血中膵酵素測定は膵癌に特異的ではないが,早期診断に有用性が認められ
ている(グレード B)
。
3.腫瘍マーカー測定は膵癌診断やフォローアップに勧められる(グレード B)
が,早期診断には有用ではない(グレード C1)。
4.US は膵癌のスクリーニングに勧められる(グレード B)が,腫瘍検出率は
低い
(グレード C1)。主膵管の拡張や嚢胞が膵癌の間接所見として重要であ
る(グレード B)。このような所見が認められた場合は,すみやかに次のス
テップに進む。
■
エビデンス
1.症状
初発症状として腹痛,黄疸,腰背部痛が多く,次いで体重減少,消化不良などがあ
る 1─3)
(レベルⅣb)
。膵癌の局在部位による検討では,頭部癌での症状発現率が高く,腹
痛が 64%,黄疸が 63%,体重減少が 53% みられ,体部癌では腹痛が 93% と最も高い 4)
(レ
ベルⅣb)
。膵癌患者 305 例に対する面接調査により,腹痛や黄疸が発症する 6 カ月以上
前に,食欲低下(4. 6%)
,コーヒーや喫煙,ワインが嫌いになるという嗜好の変化(3. 6%)
を,対照 305 例に比べ有意に多く認めた 5)
(レベルⅣb)
。わが国の膵癌集計によると,
初発症状のない膵癌は 15. 4% であり 2)
(レベルⅣb),2 cm 以下の膵癌に限ると初発症状
として腹痛が 24. 5% と最も多いが,18. 1% が無症状であった 6)
(レベルⅣb)。静脈血栓
塞栓症患者では膵癌のリスクが 6 倍高い 7)
(レベルⅠ)。メタアナリシスによると糖尿病
は膵癌の 60〜81% に合併し,多くが糖尿病診断後 2 年以内に膵癌と診断された 8)
(レベ
ルⅠ)
。膵癌患者 187 例での検討で糖尿病の合併を 48 例(29. 3%)に認め,このうち先行 2
年以内が 21/40 例(52. 5%)
,先行 5 年以上が 14/40 例(35%)にみられた 9)
(レベルⅣb)
。
2 cm 以下の膵癌では糖尿病の増悪が 8% に認められた 6)
(レベルⅣb)
。50 歳以上の糖尿
病初発患者 2, 122 名の 0. 85% が 3 年以内に膵癌を発症したという報告 10)
(レベルⅣa)や,
55 歳以降に糖尿病を発症し,糖尿病悪化,体重減少,血清アミラーゼ上昇,CA19─9 上昇,
US で膵胆道系の異常のいずれかを認めた時点で ERCP を行ったところ,7% が膵癌と
診断され,特に糖尿病発症 3 年以内の群では 13. 9% が膵癌と診断されたとの報告 11)
(レ
ベルⅣb)がある。また糖尿病発症時に膵癌を診断すれば切除可能である可能性が高い
との報告がある 12)
(レベルⅣb)
。
CQ 1 ─ 2 31
2.血中膵酵素
膵型アミラーゼ,リパーゼ,エラスターゼ 1,トリプシンなどは膵癌に特異的ではない。
膵癌での血清アミラーゼ,エラスターゼ 1 の異常率は 20〜50% 2)(レベルⅣb)であり,
膵癌による膵管狭窄に伴う膵炎が起こるためと考えられている。膵癌早期診断における
膵酵素の有用性に関しては,腫瘍径 3. 5 cm 以下の膵癌では 6 例全例でエラスターゼ 1 高
値,腫瘍径 4 cm 以上の膵癌では 5/14 がエラスターゼ 1 高値であった (レベルⅣa)とい
う報告や,エラスターゼ 1 高値の膵癌では 10/17 例が切除可能であったのに対して,エ
ラスターゼ 1 正常値の膵癌 5 例は切除不能であった 14)
(レベルⅣa)という報告がある。
一方,膵癌登録によれば,2 cm 以下の膵癌でも膵酵素高値の頻度は CA19─9 高値の頻度
よりも低かった 6)
(レベルⅣb)
。
3.腫瘍マーカー
各 腫 瘍 マ ー カ ー の 膵 癌 検 出 感 度 は,CA19─9 が 70〜80 %,Span─1 が 70〜80 %,
Dupan─2 が 50〜60%,CEA が 30〜60%,CA50 が 60% と報告 2, 15, 16)
(レベルⅣb)されて
いるが,進行癌を除くと陽性率は低く,2 cm 以下の膵癌では CA19─9 の陽性率が 52% で
あり 6)
(レベルⅣb)
,膵癌の早期検出には有用ではない。CA19─9 が産生されず偽陰性
を示す Lewis 血液型陰性例では Dupan─2 が有用である 6)
(レベルⅣb)
。
Tumor M2 pyruvate kinase( Tu─M2─PK)* の 膵 癌 検 出 感 度 は 55 %,CA19─9 で は
86%,特異度は Tu─M2─PK で 52%,CA19─9 で 73% であり,Tu─M2─PK は CA19─9 よ
りも膵癌のマーカーとして劣っていたが,胆汁うっ滞や Lewis 血液型の影響を受けない
ことが優れている 17)
(レベルⅣb)
。また,別の報告によれば,Tu─M2─PK は慢性膵炎例
と Stage Ⅲ〜Ⅳ膵癌例間に有意差があったが,慢性膵炎例と Stage Ⅰ〜Ⅱ膵癌例間には
有意差はなく,早期膵癌と慢性膵炎との鑑別には有用でなかった 18)
(レベルⅣb)
。
糖尿病合併膵癌では CEA が 5 ng/ml 以上,CA19─9 が 500 U/ml 以上の例が糖尿病非
合併膵癌例に比べ有意に多かった。CA19─9 and/or CEA 高値を伴う新たに発症した糖
尿病患者は膵癌のスクリーニングの対象とすべきである 19)
(レベルⅣb)
。
血清 matrix metalloproteinase─9( MMP─9)
* は膵癌の予後予測に有用で,血清 tissue inhibitor of metalloproteinase─1( TIMP─1)
* は慢性膵炎での陽性率が 56%,健常者で
13% であり,特異性に問題があると報告されている 20)
(レベルⅣb)
。
プロテオーム解析により発見された新規腫瘍マーカー*:fibrinogen fragment と DR─
70 は膵癌患者血清で有意に上昇していたが,CA19─9 単独の成績を凌駕しなかった 21)
(レ
ベルⅣb)
。Prolyl─hydroxylated α─fibrinogen が検出されたが,早期膵癌では上昇して
いなかった 22)
(レベルⅣb)
。
膵 癌 患 者 の 膵 液 か ら MMP─9,oncogene DJ1( DJ─1),alpha─1 B─glycoprotein precursor( A1 BG)が検出され,上昇していることが western blot で確認された。A1 BG は
* 保険未収載の検査・治療
1
診断法
13)
32 1.診断法
膵癌のバイオマーカーとして初めて検出され,血清 MMP─9 は膵癌において,慢性膵炎
や健常人に比し有意に上昇していた 23)
(レベルⅣb)
。
免疫系のマーカー*:G─CSF,M─CSF,macrophage inhibitory cytokine 1 (MIC─1)
などのサイトカインの膵癌診断での有用性が報告された 24, 25)
(レベルⅣb)
。
4.腹部超音波検査(ultrasonography;US)
簡便で侵襲のない安全な検査として,外来診療や検診において有用であるが,消化管
ガスや肥満による超音波の減衰により膵が描出困難な場合がある。特に膵尾部や膵鈎部
は検出困難なことが多い。職場検診での US による膵の有所見率は約 1% で,膵癌発見
率は 0. 01% 以下と低い 26─28)
(レベルⅣb)
。
膵管拡張や膵嚢胞を伴う 1, 000 例以上の経過観察により同群から膵癌が高頻度に検出
され 29, 30)
(レベルⅣa)
,IPMN 80 例を含む膵嚢胞例 197 例の検討でも膵癌が高頻度に検
出された 31)
(レベルⅣa)
。したがって,このような所見がみられた場合は精査に進むべ
きである(CQ1─3,CQ1─4 参照)
。その時点で膵癌と診断されない場合も,定期的な
画像検査が膵癌の早期検出に有用である 32)
(レベルⅣb)
。一方,3 mm 未満の主膵管拡
張 114 例を 5. 8 年経過観察したが,1 例も膵癌は発症しなかったとの報告もある 33)
(レベ
ルⅣb)
。
5.血中遺伝子異常 *
膵癌組織では高頻度に K─ras や p53 の遺伝子異常が確認されている。膵癌患者で血中
K─ras の遺伝子異常や p53 蛋白・抗 p53 抗体の上昇が認められるとの報告 34─36)
(レベル Ⅳb)があるが,まだ評価は定まっていない。Microarray analysis により,糖尿病を伴っ
た膵癌患者に特異的な遺伝子のうち Vanin─1 と MMP─9 の組み合わせで,膵癌に伴う糖
尿病と 2 型糖尿病を最もよく鑑別できた(感度 95. 8%,特異度 76%)との報告がある 37)
(レ
ベルⅣb)
。
■
明日への提言
膵癌は特異的な症状に乏しい。エビデンスの大部分は進行膵癌における分析に基づい
たもので一部には無症状の症例もある。したがって,臨床症状は膵癌早期発見の指標に
はならないが,腹痛などの腹部症状を認める場合や,糖尿病発症がみられた場合には,
膵癌の可能性も考慮して検査を行うことが望ましい。この際,腫瘍マーカーが早期の膵
癌では異常値を示さないことが多いことに留意が必要である。US で膵管拡張や嚢胞を
認めた例や血清膵酵素高値例に対しては MRCP や EUS を行い,膵管狭窄を認めた場合
は,膵腫瘤がなくとも ERCP を行うことが望ましい。危険因子を複数有する多危険群に
対して,血液検査と US 検査を定期的に行うことにより,膵癌の早期発見率が向上する。
1 cm 以下の腫瘤を検出した場合,造影 CT で腫瘤が検出できなくとも膵癌を否定しては
いけないことにも注意すべきである。
CQ 1 ─ 2 33
■
引用文献
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1
診断法
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CQ 1 ─ 3 35
ửCQ 1─3 ‌‌膵癌を疑った場合,次に行うべき検査は何か?
推奨
1.膵癌を診断するためには CT(造影が望ましい)や MRI(MRCP)(造影およ
び 3 テスラ以上が望ましい)を行うことが強く勧められる(グレード A)。
ステップ( CQ1 ─ 4)により確定診断することが望ましい(グレード B)。
■
エビデンス
1.CT(computed tomography,造影も含む)
CT は病変の大きさ,位置や広がりが捉えられるばかりでなく,造影剤の造影効果よ
り病変の血流動態が把握できることから,質的診断において欠くことのできない検査で
ある。ただし,造影剤を使用しない単純 CT の単独使用は膵癌の診断には適さない。US
は低侵襲であり CT より分解能が高いこと,ある程度の質的診断が可能であることから
最初に行われる検査である。
US は CT とほぼ同等の成績 1)
(レベルⅤ) 2)
(レベルⅣb) 3)
(レベルⅠ)と考えられるが,
超音波造影剤の使用や小病変の描出には有利である。造影 US * の病変検出能は 87%,
CT は 79% であったと報告 4)
(レベルⅣb)されている。また,2 cm 以下の病変は,造影
剤を用いない US と CT の比較において,US の感度が 57%,CT の感度は 50% であり 5)
(レベルⅣb)
,造影 US *では感度が 95% と CT の感度 68% に比し有意に高い 6)
(レベル
Ⅴ)
。一方,CT は診断装置の発達により,小さいスライス幅や dynamic CT の撮像が可
能となり,造影剤を用いない US より高い診断能を有するとの報告 1)
(レベルⅤ) 2)
(レベ
ルⅣb)
3)
(レベルⅠ)もある。このように US と CT は低侵襲で高い病変検出能を有する
ことから,膵癌の質的診断の最初に行うべき検査と考えられる。
造影 multidetector row CT はより詳細な診断が可能となっており,膵癌の存在診断
のみならず血管浸潤などの進展度診断に関しても感度 85〜100%,特異度 82〜92% 7)
(レ
ベルⅠ)
8, 9)
(レベルⅣb)と報告されている。
2.MRI
(magnetic resonance imaging)
,MRCP
(magnetic resonance cholangiopancreatography)
以前は空間分解能が CT のそれよりも劣るため,一般的には膵癌診断としては CT よ
りも推奨されていなかった。しかし,近年 3 テスラの MRI により描出能が向上し,その
有用性が報告されている 10)
(レベルⅢ)。MRI の優れたところは CT と異なり,短期間で
の繰り返しの検査でも X 線被曝がないことであり,ハイリスク群に対して定期的な
MRI 検査により膵癌が診断可能であったとする報告もなされている 10)(レベルⅢ)
11)
(レ
ベルⅣb)
。
このように最近の高分解能の dynamic MRI による膵癌診断能は造影 CT とほぼ同等
診断法
2.上記検査で異常所見があっても膵癌の確定診断に至らない場合には,次の
1
36 1.診断法
の感度,特異度であると報告されており,MRI と CT はほぼ同等の位置づけとして精査
のための検査と考えられる 12, 13)(レベルⅣb)
14)
(レベルⅣa)。また通常の dynamic MRI
ではなく,拡散強調像(diffusion─weighted MRI)が MDCT と同等(84% vs 86%)の膵癌
正診率であったと報告されている 15)
(レベルⅣb)
。
正常の膵管像を呈する膵癌は 3% 未満であると報告 16)
(レベルⅤ)されており,MRCP
は CT・US などのほかの検査において診断できない場合に施行されるべき検査である。
一方,膵炎においても膵管像に変化がみられることから,ERCP における感度は 70〜
86%,特異度は 67〜94% と報告 17)
(レベルⅢ)
18)
(レベルⅣb)されている。MRCP は
ERCP との比較試験において感度および特異度に有意差が認められないが,低侵襲であ
ることを理由に MRCP を推奨する報告 17)
(レベルⅢ)がなされている。また,MRCP 単
独の検討であるが感度が 95%,特異度が 82% との報告 19)
(レベルⅣb)もあることから,
MRCP の診断能は ERCP とほぼ同等と考えられる。
3.特殊な腹部超音波検査(US)
体外 US は簡便で非侵襲な検査として,外来診療や検診において有用である。近年,
後述する第一世代超音波造影剤*を用いた US 4)(レベルⅣb)
6)
(レベルⅤ)
,第二世代超
音波造影剤*を用いた US 20)
(レベルⅣb)や組織の硬度を表示できる elastography * 21)
(レ
ベルⅣa)などが,通常のファンダメンタルイメージに付加することで膵癌の診断能を
向上させることが報告されている。また,化学療法の効果について造影剤を用いた US
で予測する試みも行われている 22)
(レベルⅣb)。造影 US *は膵癌に対しては保険収載さ
れていない検査であるが,CT や MRI において造影剤アレルギーなどで造影剤が使用で
きない場合には特に有用である。
■
明日への提言
造影 CT,MRI(特に造影)は膵癌の存在診断に有用であり,血中膵酵素,腫瘍マーカー,
US で膵癌が疑われれば次に行うべき検査である。しかし,小さい膵癌では腫瘤の描出
が困難なこともあり,EUS や EUS─FNA,時に膵管上皮内癌に対しては ERCP とともに,
細胞診や組織診による確定診断を専門施設において行うことが望ましい。
■
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1
診断法
creatic and periampullary cancers:a systematic review and meta─analysis. Hepatobiliary Pan-
38 1.診断法
ửCQ 1─4 ‌‌膵癌の診断を確定するための次のステップはどうするか?
推奨
1.CT あ る い は MRI‌( MRCP)で 確 定 診 断 が 得 ら れ な い 場 合 に は,EUS,
ERCP のいずれかひとつを,あるいは組み合わせて用い,必要に応じて
PET を加える(グレード B)。超音波内視鏡は腹部超音波検査や CT などで
腫瘤を捉えることが困難な病変に対しても有用である(グレード C1)。
2.各種の画像検査により膵腫瘤の確定診断がつかない症例では,細胞診・組
織診による確定診断が望ましい(グレード B)。
3.切除不能膵癌と診断され化学(放射線)療法を開始する際には,細胞診・組
織診による病理診断が勧められる(グレード B)。
4.遺伝子検索は細胞診・組織診の補助的診断として有用である(グレード
C1)
。
5.上記検査で異常所見が認められるも膵癌の確定診断に至らない場合には,
以後の定期的な検査と慎重な経過観察が勧められる(グレード B)。
■
エビデンス
1.EUS(endoscopic ultrasonography)
超音波内視鏡は消化管のガスの影響を受けることがほとんどないこともあり,感度
86〜100%,特異度 58. 3〜97%,正診率 93% と比較的良好な成績 1─3)(レベルⅣb)
4)
(レ
ベルⅤ)が報告されている。ドプラーによる血流の評価を付加した EUS と CT との比較
検討を行った報告や dynamic CT と EUS との比較でも両者に差は認めていない。第二
世代超音波造影剤* 5)
(レベル V)や elastography * 6)
(レベルⅣb)の併用によって質的診
断能の向上に有用であるとの報告がある。
2.ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)
正常の膵管像を呈する膵癌は 3% 未満であると報告 7)
(レベル V)されており,CT,
US などのほかの検査において診断できない場合に施行されるべき検査である。一方,
膵炎においても膵管像に変化がみられることから,ERCP における感度は 70〜86%,特
異度は 67〜94% と報告 1)
(レベルⅣb)
8)
(レベルⅢ)されている。
3.PET
PET は第一に膵腫瘍の良悪性の鑑別に用いられており,感度は 82〜92% と報告 9)
(レ
ベル V)
10)
(レベルⅣb)されている。CT あるいは MRI と比較して良好な質的診断能が報
告 11)
(レベルⅣa)されているが,2 cm 以下の小膵癌に対する診断能は十分な検討がなさ
れておらず評価は定まっていない。PET に CT を組み合わせた PET/CT は PET 単独に
比べ診断能が優れるという報告 12)
(レベルⅣb)がある。
CQ 1 ─ 4 39
4.細胞診・組織診
1)
超 音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(endoscopic ultrasonography─fine needle aspiration;EUS─FNA)
システマティック・レビューがひとつあり,EUS─FNA の膵腫瘤性病変に対する
膵癌診断の感度は 54〜95%,特異度は 72〜100% である 13)
(レベルⅠ)。合併症は 1. 2
重篤な合併症は認めていない 14─18)
(レベル V)
。
2)
超音波ガイド下穿刺吸引細胞診
(US─FNA)
・CTガイド下穿刺吸引細胞診
(CT─FNA)
システマティック・レビューがひとつあり,US,CT の区別なく検討されている
論文もあり,体外式(US あるいは CT)FNA の膵腫瘤性病変に対する膵癌診断の感
度は 45〜100%,特異度は 91〜100% である 13)
(レベルⅠ)
。合併症は 1. 6〜4. 9% に
発生しており,そのほとんどが施行時の疼痛であり,その他に急性膵炎,迷走神経
反射,嚢胞出血,無症候性血腫などがある 19─21)
(レベル V)
。
US─FNA および CT─FNA の適応は画像診断で膵癌が疑われる膵腫瘤性病変であ
り,良悪性の鑑別を目的に施行される。非腫瘤病変に対する感度は 17% 22)
(レベル
V)と低下し,有用とはいえない。
3)
EUS─FNA と体外式 FNA の比較
EUS─FNA を体外式 FNA と直接比較した研究では,EUS─FNA と体外式 FNA と
の間で診断能に差はなかったと報告されている 23)
(レベルⅡ)が,EUS─FNA は体外
式 FNA に比し腹膜播種の頻度が低く 24)
(レベルⅣb)
,穿刺針の改良により穿刺が
容易になった 25)
(レベルⅡ)
。さらに保険収載されたことを考慮すると EUS─FNA
を第一選択と考えてもよい。
4)
その他
術中 FNA 26)
(レベル V)
,ERCP 下細胞診 27)
(レベル V)
,膵管ブラッシング細胞
診 28)
(レベル V)
,経口膵管内視鏡細胞診 29)
(レベル V),PTBD 下胆汁細胞診 30)
(レ
ベル V)などさまざまなアプローチによる細胞診が行われており,感度は 53〜93%
であるが,評価はまだ確定していない。
5.遺伝子検索
膵癌の診断において,採取された検体に対し K─ras 遺伝子変異 31)
(レベル V)の検索を
加えることで感度が上昇し,診断能の向上に寄与すると考えられる。その他,MUC * 32)
(レベル V)
,p53 * 33)
(レベル V)
,膵液テロメラーゼ活性* 34)
(レベル V)
,膵液中 DNA のメチル化* 35)(レベル V)などが診断に有用であるとの報告があるが,評価はまだ確定
していない。
遺伝子診断の適応は検体量が少ない場合や細胞診陰性例において補助診断として有用
である 31)
(レベル V)
。ただし,良性疾患においても陽性を示すことがあるため,その扱
いに注意が必要である 22, 36)
(レベル V)
。
診断法
〜6. 3% に発生しており,急性膵炎,誤嚥性肺炎,腹痛,消化管出血などを認めたが,
1
40 1.診断法
6.最終病理診断
膵癌が疑われ膵切除を施行された症例でも 5〜10% は切除標本に膵癌が証明されず,
炎症性疾患などであったという報告がある 37, 38)
(レベル V)。膵癌のなかには神経内分泌
腫瘍や少ないながらも他臓器癌の転移もあり,化学療法などでは治療法が異なってく
る。その場合,確定診断には EUS─FNA が有用という報告がある 39, 40)
(レベル V)
。
■
明日への提言
US,CT などで質的診断に至らない場合には,EUS,ERCP,PET などの検査を必要
に応じて組み合わせ総合的に診断していくべきである。小さい膵癌では,これらの検査
を駆使しても現在の画像解析能力では腫瘤の描出が困難なことも多い。間接所見で膵癌
が強く疑われる場合には,細胞診や組織診による確定診断を専門施設において行うこと
が望ましい。
種々の画像診断により膵癌と診断され切除された病変において良性疾患が 5〜10%
存在すること,膵癌患者に対する手術侵襲が大きいことを考慮すると,少なくとも画像
診断で膵癌の診断に難渋する場合には病理組織学的な確定診断を試みることが望まし
い。組織採取に伴う偶発症も存在するが,その程度や頻度と手術侵襲を勘案すれば組織
採取が勧められる。特に化学療法(化学放射線療法)を行う際は,適切な薬剤選択のた
めにも病理診断を行うことが強く勧められる。組織採取の方法はいくつか存在するが,
患者の病態を考慮して最も安全で確実な方法を選択することが重要である。採取方法の
優劣を示す明らかなエビデンスはないことより,組織採取の手段は患者および主治医に
よって決定されるべきである。遺伝子検索についてはいまだ研究段階であり今後の発展
が期待される。
■
引用文献
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CQ 1 ─ 4 41
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214.
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1
診断法
phy in the management of patients with suspected pancreatic cancer. Ann Surg. 1999;229:729
42 1.診断法
28) 伊藤正樹,石丸正平,藤井澄,他.膵管ブラッシング細胞診および p 53 染色の膵癌診断における有
用性の検討.広島医学 1995;47:1250─1251.
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37) Abraham SC, Wilentz RE, Yeo CJ, et al. Pancreaticoduodenectomy(Whipple resections)in patients without malignancy: are they all ‘chronic pancreatitis’? Am J Surg Pathol 2003;27:110─
120.
38) Smith CD, Behrns KE, van Heerden JA, e al. Radical pancreatoduodenectomy for misdiagnosed pancreatic mass. Br J Surg 1994;81:585─589.
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40) Hosoda W, Takagi T, Mizuno N, et al. Diagnostic approach to pancreatic tumors with the specimens of endoscopic ultrasound─guided fine needle aspiration. Pathol Int 2010;60:358─364.
CQ 1 ─ 5 43
ửCQ 1─5 ‌‌膵癌の病期はどのように決定するか?
推奨
膵癌の病期診断(TNM 因子)には MDCT や EUS が勧められる(グレード B)。
エビデンス
膵癌の TNM 診断に関する前向きの報告は 4 編に過ぎず(表 1),システマティック・
レビューが 1 編である。
EUS を主体とした膵癌の TNM 診断に関する報告がいくつかあり,そのなかで前向き
の報告が 3 編あった。2 編は EUS と CT の比較 1, 2)
(レベルⅢ)
,もう 1 編は EUS,ヘリカ
ル CT,MRI,血管造影の比較 3)
(レベルⅡ)の報告である。151 例の連続した症例のうち
81 例の手術例を対象として,TN 因子,血管浸潤,切除可能予測の正診率を比較したと
ころ,すべて EUS が CT を上回ったとの報告がある 1)
(レベルⅢ)。一方,80 例の膵癌を
含む 120 例の膵癌疑いで検討した報告では,腫瘍検出や腫瘍の staging には MDCT
(multi─detector─row CT)より EUS のほうが優れているが,リンパ節転移や切除可能の
診断については同等であるとしている 2)
(レベルⅢ)。3 編目は 62 例の開腹例を対象とし
て原発巣,局所進展,血管浸潤,遠隔転移,TNM ステージ,切除可能予測の正診率を
比較したところ,原発巣,局所進展,血管浸潤,遠隔転移,TNM ステージ,切除可能
予測でヘリカル CT が最も高い正診率,腫瘍径,リンパ節転移の評価で EUS が最も高い
正診率であり,決定解析において,この両者が最も信頼でき,コストのかからない診断
法と報告している 3)
(レベルⅡ)
。ただし EUS に関しては後ろ向きの検討だが 89 例を対
象として,TN 因子の正診率がそれぞれ 69%,34% であったが,主に過診断のため切除
可能予測率が 46% に過ぎず,正確ではないとの報告もあった 4)
(レベルⅣb)
。
他の検査法では,腹腔鏡を併施した腹腔鏡下 US 検査を用いた膵癌の TNM 診断に関
する報告がいくつかあった。 そのなかで 1 編は体外式 US,腹腔鏡 US,CT の前向きな
比較 5)
(レベルⅢ)
(表 1)
,もう 1 編は単独検査 6)
(レベルⅢ)の報告である。前者は 50 例
の膵癌を含む膵頭部領域癌を対象として,T 因子の特異度はそれぞれ 64%,100%,
47%,M 因子の特異度はそれぞれ 29%,94%,33% で,総合的な切除可能予測の正診
率も CT の 79% に対して腹腔鏡 US は 97% と最も信頼できる検査と報告している 5)
(レ
ベルⅢ)
。 後者は CT 等で遠隔転移を除く膵癌 35 例を対象として,TNM 各因子および
TNM ステージの特異度がそれぞれ 80%,76%,68%,68% と報告している 6)
(レベルⅢ)
。
しかし腹腔鏡下 US は現時点では広く行われていない。最近,遠隔転移である肝転移に
対して造影超音波検査*での検討が進められている。
また,システマティック・レビューの 1 編は CT による血管浸潤の評価,正確な放射
線学的診断および手術または病理による確定診断,陽性,偽陽性,陰性,偽陰性が表に
診断法
■
1
44 1.診断法
表 1 各種検査法による切除可能予測(前向き試験)
報告者
検査法
1)
Gress FG, et al 2)
DeWitt J, et al 3)
Sorinano A, et al 5)
John TG, et al 感度
特異度
正診度
EUS
95%
92%
93%
CT
97%
19%
60%
EUS
98%
90%
97%
MDCT
86%
90%
87%
EUS
23%
100%
67%
CT
67%
97%
83%
MRI
57%
90%
75%
Angio
37%
100%
71%
US
23%
56%
80%
CT
66%
54%
79%
Lap US
83%
93%
97%
Angio
62%
64%
82%
なっている膵癌および乳頭部領域癌に関する 18 の報告の 1, 231 例を対象にメタアナリシ
スした報告で,全体の CT による血管浸潤の感度は 77%,特異度は 81% であったが,
CT 性能が改善された 2004〜2008 年の報告ではそれぞれ 85%,82% に向上していた。
さらに,血管構築した場合はしない場合より良好で感度 84%,特異度 85% であったと
報告されている 7)
(レベルⅠ)
。
CQ2─1 にあるように,外科的手術適応の境界となる Stage Ⅳa での外科切除手術と
化学放射線療法の RCT による検討で,術前画像診断で Stage Ⅳa とされた 81 例中 39 例
(49. 4%)が開腹所見で過剰もしくは過少診断を示す傾向にあり,術前画像での進行度診
断が困難であることを示している。
膵癌の病期診断として期待される新しい検査法としては,CT と PET を融合した (レベルⅣb),正診率の点でまだ広く実用化されていない。
PET─CT スキャンがあるが 8)
また,審査腹腔鏡で遠隔転移が確認され切除が回避できた症例が 27. 6% あり,CT と審
査腹腔鏡を適切に施行することが膵癌の切除可能性の評価に有効であるとの報告もあっ
たが 9)
(レベルⅣa)
,標準化はされていない。結局,膵癌の TNM 診断に関する前向き
な報告は上記の 4 編しかなく,現時点で膵癌の病期診断(TNM 因子)には,MDCT,
EUS が勧められると考えられる。
■
明日への提言
正確な病期診断はいまだに困難であるが,MDCT,EUS を中心に US,MRI などいく
つかの画像診断を組み合わせて総合的に判断するのが現実的である。また,エビデンス
CQ 1 ─ 5 45
はないものの,遠隔転移診断では FDG─PET/CT や審査腹腔鏡が有用であることもあ
り,症例を適切に選択すれば病期診断の決定の一助になるかもしれない。
■
引用文献
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1
診断法
cancer:a large single─center experience. Gastrointest Endosc 1999;50:786─791.
46 1.診断法
ửCQ 1─6 ‌‌Borderline‌resectable 膵癌の診断:‌
わが国における borderline‌resectable とは?
推奨
1.NCCN ガイドラインの borderline‌ resectable 膵癌の定義は米国では広く用
いられているが,NCCN ガイドラインは門脈浸潤例の取り扱いなどがわが
国の実情とは異なることが問題であり,わが国独自の borderline‌ resectable 膵癌の定義が必要である。
2.Borderline‌ resectable 膵癌の診断は,MD-CT を用いて,単純撮影だけでな
く,動脈相・膵実質相・門脈相の 3 相でかつ 3 mm 以下の thin‌ slice での撮
影を行うことが望ましい(グレード B)。
『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)における Tumors considered borderline
resectable の定義
① 遠隔転移がない
② 上腸間膜静脈(SMV)および門脈(PV)に接し内腔が圧迫により狭くなっている,
SMV/PV に浸潤しているが,近接する動脈への浸潤がない,静脈が閉塞している
が安全に門脈再建が可能である
③ 胃十二指腸動脈への浸潤があるが,総肝動脈・固有肝動脈への短い浸潤または癌
による圧迫を認めるもの。ただし,腹腔動脈幹への進展例は除く
④ 上腸間膜動脈に 180 度以下で接しているもの
■
エビデンス
膵癌は症状に乏しく,診断時にすでに切除不能な症例が多いのが特徴といえる。診断
時に遠隔転移を有するため切除不能となるだけでなく,腹腔動脈や上腸間膜動脈などへ
の局所進行のため切除を行うのか,切除不能として化学放射線療法や化学療法を行うの
か治療方針の決定に難渋する症例を経験することがある。このような症例が borderline resectable 症例となるが,これは膵癌の局所浸潤により外科的切除を施行しても高率に
癌が遺残し(組織学的癌遺残:R1,肉眼的癌遺残:R2),切除による生存期間延長効果
を得ることができない可能性があるものと定義される 1)
(レベルⅥ)
。
『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)では tumors considered borderline resectable とし
て,上記のように定義している。これは日本の『膵癌取扱い規約』(第 6 版)でいうとこ
ろの神経叢浸潤が高度であるが動脈浸潤のない症例を意味しているものと考えることが
できる。
Borderline resectable 症例の診断において CT が全身検索を含め有用であるが 2─4)
(レ
ベルⅥ)
,撮影時の造影剤の時相やスライス幅などの撮影条件に注意を払う必要があり,
CQ 1 ─ 6 47
borderline resectable 膵癌の診断は,MD─CT で単純だけでなく,動脈相・膵実質相・
門 脈 相 の 3 相 で か つ 3 mm の thin slice で の 撮 影 を 行 う こ と が 望 ま し い。 ま た,
borderline resectable 症例は微小肝転移や腹膜播種により切除不能となる可能性があ
り,不必要な開腹術を避けるために審査腹腔鏡は有用である 5)
(レベルⅡ)
2, 3, 6)
(レベル
Ⅵ)が,切除不能因子を有する膵癌症例の高危険群を選別する方法を考えなければなら
術前画像で門脈または上腸間膜静脈浸潤を認めた膵癌患者 109 例において,術前化学
放射線療法あり群の R0 率が 59%であり,なし群の R0 率 11%と比較して有意に R0 率が
高率であった(p < 0. 0001)
7)
(レベルⅣb)。『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)における
borderline resectable 症例は手術先行では癌の遺残(R1,R2)が高率に認められること
から,米国では『NCCN ガイドライン』(2012 年版)における borderline resectable の定
義は有用である。
■
明日への提言
膵癌は随伴膵炎のため動脈周囲の脂肪組織濃度の上昇を伴う場合があり,画像では随
伴する膵炎による炎症性変化なのか膵癌による神経叢浸潤なのか鑑別診断に苦慮する場
合がある。Borderline resectable 診断方法のさらなる改善が膵癌症例の治療方針決定に
必要である。さらに,日常臨床の術前診断において,癌が上腸間膜動脈に密に接してい
ても encasement がない場合は,わが国の『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)の Asm − , PL +に
あたるが,術前画像診断の上腸間膜動脈浸潤の有無に関する精度にいまだ問題があり,
術前診断方法のさらなる改善が必要である。
■
引用文献
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診断法
ない。
1
48 1.診断法
ửCQ 1─7 ‌‌長期予後が期待できる早期の膵癌を診断するには‌
どうするか?
推奨
1.主膵管の拡張,嚢胞が間接所見として重要であり,US,CT で腫瘍の直接
描出が困難な場合でも,MRCP,EUS を行うことが勧められる(グレード
C1)
。
2.上記の画像診断で限局的な膵管狭窄が認められた場合は,ERCP を施行し,
膵液細胞診を繰り返し施行することが勧められる(グレード C1)。
■
エビデンス
膵癌には早期膵癌の概念が存在しない。従来,膵癌早期発見の腫瘍径は 2 cm 以下
(TS1)がひとつの目安とされてきた。一方,日本膵臓学会が 2007 年に集計した膵癌登
録では,腫瘍径 2 cm 以下(TS1)症例のうち,Stage Ⅰ〔『膵癌取扱い規約』(第 6 版)〕 1)の
5 年生存率は 54. 6% であったが,TS1 症例が Stage Ⅰに相当する割合は,膵頭部癌でわ
ずか 15. 3%,膵体尾部癌で 33. 3% と低率であった 2)
(レベルⅤ)。また切除可能例におけ
る腫瘍径 2 cm 以内のものと 2 cm を超えるものとの比較検討では,腫瘍径ではなく腫瘍
分化度が独立した予後因子として位置づけられるとの報告もみられ 3)
(レベルⅣb)
,早
期診断の目標として腫瘍径 2 cm は十分ではない可能性が示唆されている。現在までの
TS1 膵癌に関する報告では,初発症状として 20〜38% に腹痛,黄疸 4, 5)
(レベルⅣb)
,7%
に糖尿病の悪化 4)
(レベルⅣb)がみられ,17〜50% が無症状 4, 5)
(レベルⅣb)であった。
画像診断に関しては,腹部超音波の腫瘍描出率は 52〜63% と低率である 6, 7)
(レベル Ⅳb)
。MDCT での存在診断率は 88〜100% で,膵管拡張等の間接所見の描出率は 86〜
88% であるが 8, 9)
(レベルⅣb)
,腫瘍描出率は 43〜65% とやや低率であり 6─11)
(レベルⅣb)
,
間接所見を有さない症例では質的な診断が困難な場合がある。超音波内視鏡(EUS)は高
い分解能を有するため,危険因子を有する症例における膵癌の拾い上げに期待されてき
た 12)
(レベルⅣb)
。EUSの腫瘍描出率は 92〜97% と高率であり 6, 7, 10, 11)
(レベルⅣb)
,造影
EUS を併用することで診断率が向上する可能性が報告されている 11)
(レベルⅣb)
。
ERCP に関してはバルーン ERP の有用性が報告されており,91% に膵管の異常所見が
認められるが 13)
(レベルⅣb)
,膵管生検,膵液細胞診の診断率はそれぞれ 50〜75%,44
〜70% と報告されており 7, 14)
(レベルⅣb)
,超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS─
FNA)の併用により診断率が向上する可能性がある 7)
(レベルⅣb)
。
腫瘍径 1 cm 以下の症例は,62〜75% が Stage Ⅰに該当すると報告されている 15, 16)
(レ
ベルⅣb)
。日本膵臓学会の膵癌登録における 13 例の解析では,39% は無症状であり,
CEA,CA19─9 の上昇は 15%,39% と低率であった。腫瘍径 11〜20 mm の症例との比
CQ 1 ─ 7 49
較では,進行度が有意に早期で,リンパ管浸潤,静脈浸潤,神経周囲浸潤が少ない傾向
であり,術後生存率も高い傾向にあった 16)
(レベルⅣb)
。画像診断の特徴は,ほぼ全例
間接所見である主膵管拡張が US で捕捉され,腫瘍描出率は US が 17〜70%,MDCT が
33〜75% と報告により差がみられるが,EUS は 86〜100% と良好な成績が報告されて
いる 17, 18)
(レベルⅣb)
。腹部 CT で小型膵腫瘍を指摘し得ず EUS を施行した 132 例の検
討で,3 例に 1 cm 以下の膵癌を診断したとの報告もみられる (レベルⅣb)。EUS─
FNA は正診率 92〜96%,感度 75〜95%,特異度 98〜100% と良好な成績が報告されて
いる 20, 21)
(レベルⅣb)
。膵癌早期診断において EUS は非常に有力な診断法に位置づけら
れる。
膵上皮内癌(Stage 0)に関する詳細な報告は少ない。画像の特徴として報告例の 80〜
83% で主膵管または分枝膵管に限局的狭窄・拡張がみられる。大半の症例が腹部症状
に乏しいものの,急性膵炎が先行する場合がある。診断の契機となった画像所見は,US,
CT による軽微な膵管拡張あるいは拡張膵管径や嚢胞径の変化が大半である。MRCP,
ERCP で異常所見を確認の後,良質な膵管造影,および内視鏡的経鼻膵管ドレナージ
(ENPD)を留置した複数回の膵液細胞診を施行することが診断に有用であるとの報告が
みられる 22, 23)
(レベルⅣb)
。
初回 US で膵管径 2. 5 mm 以上または 5 mm 以上の嚢胞を有する 1, 058 例の前向き経過
観察の検討では,平均 75. 5 カ月の観察期間で,12 例に膵癌が発生し,42% が Stage Ⅰ
までで診断されており 24)
(レベルⅣa),軽微な膵管拡張,嚢胞を有する症例の経過観察
が早期診断の手がかりとなる可能性がある 25)
(レベルⅣa)
。膵管内乳頭粘液性腫瘍
(IPMN)は膵癌の危険因子に位置づけられ,併存する膵癌は 2〜8% と報告されてお り 26, 29)
(レベルⅣb)
27, 28)
(レベルⅣa),IPMN を併存しない膵癌と比較して早期に診断さ
れる可能性 30)
(レベルⅣb)
,IPMN の経過観察が通常型膵癌の早期診断につながる可能
性も報告されている 27, 28)
(レベルⅣa)
。今後,通常型膵癌の発生を念頭においた膵
IPMN の経過観察の体制構築が必要であろう。
■
明日への提言
危険因子を有する症例に対するスクリーニングが早期発見につながるかの検討では,
家族性膵癌,家族性異型多発母斑黒色腫症候群(FAMMM)
,遺伝性乳癌卵巣癌症候群
(HBOC)
,Peutz─Jeghers 症候群などの危険因子を有する無症状の 44 例における初回
EUS の検討において,3 例(6. 8%)に膵癌が認められ,1 例は Stage Ⅰであった 31)
(レベ
ルⅣa)
。また p─16 Leiden 変異を認める患者 79 例における 1 年ごとの MRCP 施行の検討
では,観察期間中央値 4 年で 7 例(9%)に膵癌がみられ,うち 4 例が TS1 症例であった 32)
(レベルⅣa)
。今後,国内でも遺伝性膵癌症候群などの危険因子を有する症例に対して
画像診断を含めた定期的な検査体系の構築が望まれるが,検査の間隔,どの画像診断法
を選択すべきかなどは未解決であり今後の検討課題である。
1
診断法
19)
50 1.診断法
早期発見に関する地域連携の重要性の報告も散見されている 33)(レベルⅣb)
。危険因
子を有する症例に対するスクリーニング,精査,経過観察の体制を病診で連携し,地域
連携クルニカルパス等を用いて全国の各地区で構築していくことが望まれる。今後,患
者の検査負担,費用対効果,X 線被爆の問題を考慮した長期的な戦略の確立を目指した
大規模な前向き研究が望まれる。
図 1 膵上皮内癌の 1 例(80 歳代 女性)
A 腹 部 CT にて尾側膵管 B ‌EUS では体部主膵管の狭窄が C ‌MRCP では体部主膵管の不整な狭窄
みられる。
がみられ,狭窄より尾側の分枝膵管が
の軽微な拡張を認める
拡張している。
が,明らかな腫瘍性病
変はみられない。
D ‌ERCP では体部主膵管の不整な狭窄が E ‌ERCP に引き続き内視鏡的経鼻膵 F 細胞診は癌陽性
みられ,狭窄部分の分枝膵管は描出が
管ドレナージ(ENPD)を施行し,
であった。
不良である。
複数回の膵液細胞診を施行。
CQ 1 ─ 7 51
← Head
carcinoma
Tail→
診断法
1
G
H
I
G〜I 体尾部切除が施行された結果,赤色の部位の主膵管に限局して上皮内癌を認めた。
■
引用文献
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52 1.診断法
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膵癌の診断は可能か.肝胆膵画像 2008;10:133─138.
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CQ 1 ─ 7 53
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地域連携〜(尾道市医師会膵癌早期診断プロジェクト).厚生連尾道総合病院医報 2010;20:21─
26.
http://ja─onomichi─hospital.jp/archives/index.php?sel=3&kid=4
1
診断法
CQ 2 ─ 1 55
2
外科的治療法
ửCQ 2─1 ‌‌Stage‌Ⅳa 膵癌に対する手術的切除療法の意義はあるか?
推奨
Stage Ⅳ a までの膵癌(注)には根治を目指した手術切除療法を行うことが推奨
される(グレード B)
。
(注)
『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)の Stage Ⅳa で上腸間膜動脈(SMA)もしくは
腹腔動脈幹(CA)に浸潤のないものが対象。
エビデンス
手術適応をほかの治療方法と比較した臨床研究は 1 編のみ存在する。手術中の所見を
もとに外科切除手術と化学放射線療法に無作為に割り付けした結果,外科切除群が化学
放射線療法群に比較して 3 年生存率(20% vs 0%),平均生存期間(22. 6 カ月 vs 11. 8 カ
月)ともにハザード比 0. 46 で有意に良好であった。5 年生存率は外科切除群 10% に対し
て化学放射線療法群では 0% であった。初回入院時の在院期間とコストの面でも外科切
除 群 が 平 均 66 日( 平 均 $17, 500)に 対 し, 化 学 放 射 線 療 法 群 で は 平 均 101 日( 平 均
$28, 200)と有意に多かった。Stage Ⅳa のなかでも A(+)例は対象としていない。上腸
間膜動脈(SMA)もしくは腹腔動脈幹(CA)に浸潤のない Stage Ⅳa 膵癌を対象に外科切
除を行うことは患者の利益になる。また,開腹所見からみた術前 CT の正診率は前方浸
潤(S)65%,後方浸潤(RP)84%,門脈浸潤(PV)86% であり,治療法の決定は開腹診
断を基準に行うべきであると述べている 1)
(レベルⅡ)
。
正確な進展度診断が治療方針の決定には重要であるが,開腹に基づいた進展度診断の
重要性は減っていない。局所進行切除不能膵癌の診断で術前治療を行った群では,血管
浸潤が過剰評価されて切除可能性が低く見積もられる傾向にあり,画像診断のみで外科
手術を否定することは最小限にすべきであるとしている 2)
(レベルⅢ)
。術前の切除可否
診断は,MDCT で感度 90〜100%,特異度 65〜71% 3─5, 8)
(レベルⅤ)6, 7)
(レベルⅣb)
,
MRI で感度 90〜100%,特異度 41〜89% 9)
(レベルⅢ)10)
(レベルⅤ),EUS で感度 100%,
特異度 75% 5, 11─13)
(レベルⅤ)であった。EUS は膵腫瘍の切除の可否についての診断や非
切除症例の開腹を避ける意味で CT の診断補助に重要である。しかし,複数の方法で診
断しても術前には検出できない腹膜播種・肝転移などの遠隔転移や切除できない血管浸
潤が 20〜50% 近い症例で存在する 3─5, 8, 10─14)
(レベルⅤ)という難点がまだ残存しており,
診断的腹腔鏡 15)
(レベルⅣb)の重要性も増加している。
外科的治療法
■
2
56 2.外科的治療法
■
明日への提言
本 CQ に対する推奨のエビデンスとなっている臨床試験 1)
(レベルⅡ)で対象となった
病期の膵癌では R0 手術が可能であり,一部の患者では治癒を含む長期生存が得られる。
したがって,治癒の可能性を期待した治療方針を選択する場合には,切除手術を実施す
ることが理にかなっている。さらに,入院期間,費用,長期生存率においても外科切除
群が化学放射線療法群に比較して利益がある。一方,化学療法のエビデンスも積み重ね
られており,ゲムシタビン塩酸塩,S─1 あるいはゲムシタビン塩酸塩+ S─1 による治療
と外科切除術を前向きに比較する試験が行われる必要も出てくる。動脈に接しているよ
うな場合に,down─staging を目指した治療が行われることが多くなってきている。
Borderline resectable 膵癌を含むのがわが国の『膵癌取扱い規約』(第 6 版)における
Stage Ⅳa で あ る こ と か ら, 術 前 の 病 期 診 断 の 精 度 を あ げ る と と も に,borderline
resectable 膵癌に対して,術前治療の意義が前向きに試験されるべきである。Stage Ⅳa
膵癌は術前の画像診断で正確に判断できないこともあり,術前治療がなされた場合に
は,診断的腹腔鏡あるいは開腹手術を行ったうえでの治療方針決定が重要なことを認識
すべきである。
■
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15)Mayo SC, Austin DF, Sheppard BC, et al. Evolving preoperative evaluation of patients with pan95.
2
外科的治療法
creatic cancer:does laparoscopy have a role in the current era? J Am Coll Surg 2009;208:87─
58 2.外科的治療法
ửCQ 2─2 腹腔洗浄細胞診陽性症例の切除の意義はあるか?
推奨
腹腔洗浄細胞診陽性の膵癌に対しての膵切除を行うべきか否かは明らかではな
い。今後,臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべきである(グレー
ド C1)
。
■
エビデンス
『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)において,膵癌手術における腹腔細胞診の実施方法が初め
て定義されたが,その結果は進行度分類には反映されていない。
腹腔洗浄細胞診陽性が予後の悪化に関与するという報告として,以下 5 編が挙げられ
る。1 つめは,32 例の腹腔洗浄細胞診陽性例のうち,17 例の肉眼的腹膜播種陽性例の生
存期間中央値は 8. 6 カ月,15 例の肉眼的腹膜播種陰性例は 7. 8 カ月で差を認めず,対照
群としての腹腔洗浄細胞診陰性例は 13. 5 カ月と有意に延長したという報告である 1)
(レ
ベルⅣb)
。2 つめは,50 例中 13 例(26%)で腹腔洗浄細胞診陽性で,13 例中 9 例で肉眼
的腹膜播種陰性であったものの細胞診陰性例のほうが陽性例より全生存期間の延長を認
めたという報告である 2)
(レベルⅣb)。3 つめは,40 例を対象として,細胞診の結果は
遠隔転移との相関を認めなかったものの,細胞診陽性例は陰性例より有意に予後不良で
あったとする報告である 3)
(レベルⅣb)。4 つめは,202 例の局所進行切除不能膵癌を対
象として,細胞診陽性例の生存期間中央値は 11 カ月で,陰性例の 15 カ月よりも有意に
不良であり,多変量解析でも有意な予後不良予測因子であったという報告である 4)
(レ
ベルⅣb)
。また 5 つめとして,36 例のうち細胞診陽性の 3 例はすべて肉眼的腹膜播種陽
性であったという報告もみられた 5)
(レベルⅣb)
。以上の 5 編は,全例もしくはその多
くが非切除例であったが,133 例の切除例を対象として,腹腔洗浄細胞診陽性が傍大動
脈リンパ節転移とともに,独立した早期再発予測因子であったという報告 6)
(レベルⅣb)
もみられた。
一方,腹腔洗浄細胞診陽性であっても予後に影響しないとした報告は以下の 3 編が挙
げられる。1 つめは,157 の切除例と 76 の非切除例のいずれにおいても,細胞診陽性例
と陰性例で生存期間中央値の差は認めなかった(切除例:13. 6 カ月 vs 13. 5 カ月,非切
除例:5. 9 カ月 vs 6. 1 カ月)という報告である 7)
(レベルⅣb)。2 つめは,135 の切除例を
対象として,無再発生存期間・全生存期間ともに細胞診陽性例,陰性例間に有意差は認
めず,細胞診陽性でも切除し得た場合長期生存例もみられたという報告である 8)
(レベ
ルⅣb)
。3 つめは,134 の切除例を対象として,肉眼的腹膜播種を認めない細胞診陽性
群は,細胞診陰性群と比較して有意に腫瘍径が大きく,前方・後方浸潤を認める進行症
例であったが,術後生存期間に差は認められなかったとする報告である 9)
(レベルⅣb)
。
この報告内でも,腹膜播種のない細胞診陽性例のなかには比較的長期生存例を認めたと
CQ 2 ─ 2 59
されており,また辺縁不整な細胞集塊と孤立した癌細胞は,腹膜再発の危険因子であっ
たという細胞診所見の特徴が記述されていた 9)。
上記の報告とはやや異なった見解として,65 の切除例では細胞診陽性群が全生存期
間・無再発生存期間の短縮を認めたのに対し,86 の非切除例では細胞診陽性例,陰性
例の間で生存期間に差は認められず,肉眼的腹膜播種のない細胞診陽性例では切除群よ
り放射線化学療法を施行された群のほうが生存期間の延長を認めたとする報告がみられ
た 10)
(レベルⅣb)
。
また,洗浄腹水中の CEA が RT─PCR 陽性であったものは有意に再発率が上昇すると
いう報告 11, 12)
(レベルⅣa)
,切除術閉腹直前の大量腹腔洗浄により腹膜再発率が低下し
この CQ に対する前向き研究,RCT は皆無であるため,腹腔洗浄細胞診陽性膵癌に対
して膵切除を行うべきか否かは現時点では明らかではない。今後のさらなる臨床研究が
期待される。
■
明日への提言
膵癌は悪性度が極めて高いため,肝転移やリンパ節転移などの予後に与える影響が,
腹腔内遊離癌細胞からの影響を薄めてしまう可能性はある。いずれにせよ,切除手術の
是非については今後検討を重ねて明らかにされるべきである。
■
引用文献
1) Makary MA, Warshaw AL, Centeno BA, et al. Implications of peritoneal cytology for pancreatic
cancer management. Arch Surg 1998;133:361─365.
2) Nakatsuka A, Yamaguchi K, Shimizu S, et al. Positive washing cytology in patients with pancreatic cancer indicates a contraindication of pancreatectomy. Int J Surg Investig 1999;1:311─317.
3) Warshaw AL. Implications of peritoneal cytology for staging of early pancreatic cancer. Am J
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6) Shimada K, Sakamoto Y, Sano T, et al. The role of paraaortic lymph node involvement on early
recurrence and survival after macroscopic curative resection with extended lymphadenectomy
for pancreatic carcinoma. J Am Coll Surg 2006;203:345─352.
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8) Meszoely IM, Lee JS, Watson JC, et al. Peritoneal cytology in patients with potentially resectable
adenocarcinoma of the pancreas. Am Surg 2004;70:208─213.
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10) Konishi M, Kinoshita T, Nakagohri T, et al. Prognostic value of cytologic examination of peritoneal washings in pancreatic cancer. Arch Surg 2002;137:475─480.
2
外科的治療法
たという報告 13)
(レベルⅣa)もみられた。
60 2.外科的治療法
11) Eguchi H, Ohigashi H, Takahashi H, et al. Presence of minute cancer cell dissemination in peritoneal lavage fluid detected by reverse transcription PCR is an independent prognostic factor in
patients with resectable pancreatic cancer. Surgery 2009;146:888─895.
12) Kelly KJ, Wong J, Gladdy R, et al. Prognostic impact of RT─PCR─based detection of peritoneal
micrometastases in patients with pancreatic cancer undergoing curative resection. Ann Surg
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13) Yamamoto K, Shimada S, Hirota M, et al. EIPL(extensive intraoperative peritoneal lavage)therapy significantly reduces peritoneal recurrence after pancreatectomy in patients with pancreatic
cancer. Int J Oncol 2005;27:1321─1328.
CQ 2 ─ 3 61
ửCQ 2─3 ‌膵頭部癌に対しての膵頭十二指腸切除において,‌
胃(全胃あるいは亜全胃)を温存する意義はあるか?
推奨
膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除において,胃(全胃あるいは亜全胃)温存
によって手術時間は短縮され,出血量は少なく,また生存率低下はない(グレー
ド C1)
。
一方で,胃(全胃あるいは亜全胃)温存による術後合併症の低下,QOL,術後
膵機能,栄養状態の改善については明らかではない(グレード C1)。
エビデンス
膵頭部癌に対しては従来,2/3 の胃切除を伴う膵頭十二指腸切除(pancreato duo-
denectomy;PD)が広く行われてきた。臓器機能温存の考えの普及にしたがい,幽門輪
とともに胃を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除(pylorus preserving pancreatoduodenectomy;PPPD)を行う施設が多くなってきている。
PPPD と PD を比較した RCT は 4 つの(英文)報告があるのみであり,それぞれ例数は
16 vs 15,37 vs 40,87 vs 83,64 vs 66 と少ない 1─4)
(レベルⅡ)。PPPD と PD を比較し
たメタアナリシスは 2007 年以降に 4 編発表された 5─8)
(レベルⅠ)
。多くはこれらの RCT
を中心に行われている 1─4)
(レベルⅡ)。4 編のメタアナリシスは対象も微妙に違っており,
メタアナリシスの方法,解析した因子も異なる。しかし,手術時間は PPPD が PD より
短く,出血量も PPPD が PD より少ないとするものが多い。合併症,手術死亡は変わり
ないとするものが多い。1 編では PPPD が PD より予後良好であると報告している 7)。
Diener らは RCT 間での比較の方法論の違い,結果のパラメータの違いが大きいことを
指摘している 5)。Karanicolas らは両群の差を検討するにはさらに方法論的に強力な,大
きなトライアルが必要だと述べている 6)。
PPPD と PD の比較では広く膵頭十二指腸領域癌(膵頭部癌,総胆管癌,乳頭部癌など
を含む)の検討が多く,膵頭部癌に限った検討は少ない。拡大手術と通常手術の比較の
なかで,ひとつの検討項目として胃切除の有無を検討しているものが,RCT 9)(レベル
Ⅱ)
においても,後ろ向きの分析 10─12)
(レベルⅤ)においても多い。その際,ほかの因子(リ
ンパ節や後腹膜郭清の程度など)の影響も除外できない。術後の QOL(quality of life)
,
膵機能,栄養状態などの評価法もさまざまである。以上のような問題点を含んでいる。
■
明日への提言
PPPD と PD の検討は膵頭部癌や乳頭部癌を広く含んだ癌を対象としたものが多く,
膵頭部癌に限ったものは少ない。解析での早期や長期の合併症,QOL の検討もその定
外科的治療法
■
2
62 2.外科的治療法
義が論文で異なり,根治性の検討において長期観察したものは少ない。最近のメタアナ
リシスでは,PPPD が PD より手術時間が短く,出血量が少ないが,予後は変わりない
との報告がある。膵頭部癌のみに絞り,術後早期や長期の合併症,栄養状態,膵機能,
QOL などについての詳細な RCT の検討が望まれる。
■
引用文献
1) Lin PW, Lin YJ. Prospective randomized comparison between pylorus─preserving and standard
pancreaticoduodenectomy. Br J Surg 1999;86:603─607.
2) Wenger FA, Jacobi CA, Haubold K, et al. Gastrointestinal quality of life after duodenopancreatectomy in pancreatic carcinoma. Preliminary results of a prospective randomized study:pancreatoduodenectomy or pylorus─preserving pancreatoduodenectomy.[Article in German]Chirurg
1999;70:1454─1459.
3) Tran KT, Smeenk HG, van Eijck CH, et al. Pylorus preserving pancreaticoduodenectomy versus
standard Whipple procedure:a prospective, randomized, multicenter analysis of 170 patients
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4) Seiler CA, Wagner M, Bachmann T, et al. Randomized clinical trial of pylorus─preserving duodenopancreatectomy versus classical Whipple resection─long term results. Br J Surg 2005;92:
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5) Diener MK, Knaebel HP, Heukaufer C, et al. A systematic review and meta─analysis of pylorus─
preserving versus classical pancreaticoduodenectomy for surgical treatment of periampullary
and pancreatic carcinoma. Ann Surg 2007;245:187─200.
6) Karanicolas PJ, Davies E, Kunz R, et al. The pylorus:take it or leave it? Systematic review
and meta─analysis of pylorus─preserving versus standard whipple pancreaticoduodenectomy for
pancreatic or periampullary cancer. Ann Surg Oncol 2007;14:1825─1834.
7) Iqbal N, Lovegrove RE, Tilney HS, et al. A comparison of pancreaticoduodenectomy with pylorus
preserving pancreaticoduodenectomy:a meta─analysis of 2822 patients. Eur J Surg Oncol 2008;
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8) Fitzmaurice C, Seiler CM, Büchler MW, et al. Survival, mortality and quality of life after pylorus
─preserving or classical Whipple operation. A systematic review with meta─analysis.[Article in
German]Chirurg 2010;81:454─471.
9) Yeo CJ, Cameron JL, Lillemoe KD, et al. Pancreaticoduodenectomy with or without distal gastrectomy and extended retroperitoneal lymphadenectomy for periampullary adenocarcinoma,
part 2:randomized controlled trial evaluating survival, morbidity, and mortality. Ann Surg
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12) Yeo CJ, Cameron JL, Lillemoe KD, et al. Pancreaticoduodenectomy for cancer of the head of the
pancreas. 201 patients. Ann Surg 1995;221:721─731;discussion 731─733.
CQ 2 ─ 4 63
ửCQ 2─4 膵癌に対する門脈合併切除は予後を改善するか?
推奨
膵癌に対して根治性向上を目的とした予防的門脈合併切除により予後が改善す
るか否かは明らかではない。門脈合併切除により切除断端および剥離面におけ
る癌浸潤を陰性にできる症例に限り適応となる(グレード C1)。
■
エビデンス
門脈合併切除は術前あるいは術中検査で門脈浸潤が疑われる例,あるいは門脈浸潤陽
防的に行う場合がある。
日本膵臓学会膵癌登録 20 年間の総括によると,膵頭部通常型膵癌切除例における門
脈合併切除と予後において,門脈浸潤ありのなかで,761 例の門脈合併切除非施行例と
1, 219 例の門脈合併切除例の生存期間中央値,5 年生存率がそれぞれ 9. 7 カ月,5. 9% と
10. 2 カ月,7. 4% で有意差なし,同様に膵体尾部癌において,門脈浸潤ありのなかで,
388 例の門脈合併切除非施行例と 148 例の門脈合併切除例の生存期間中央値,5 年生存率
がそれぞれ 9. 1 カ月,9. 2% と 8. 7 カ月,8. 3% で有意差なしと報告している。
門脈合併切除例と門脈合併切除非施行例を比較した 13 編の報告のうち 1 編 1)
(レベル
Ⅳb)を除いてすべてが,同等の生存率が望めるとしている 2─13)
(レベルⅣb)14)
(レベル
Ⅰ)
。そのなかで,門脈合併切除しなければならない症例は広範囲に後腹膜浸潤を伴う
進行例が多いため適応を厳格にする必要があるという報告 1)
(レベルⅣb),39 例,160
例の切除例を対象として,門脈合併切除例は出血量が多くなり入院期間が長くなるとす
る報告 2, 3)
(レベルⅣb)
,34 例の切除例を対象として,門脈合併切除例は切除断端の癌
の陰性化や予後の向上に寄与しなかったという報告 4)
(レベルⅣb)のように否定的な見
解もみられた。しかし一方で,1, 212 例の豊富な症例数を対象として,治癒切除ができ
れば門脈合併切除等の拡大手術でも長期予後が得られる場合があるという報告 5)
(レベ
ルⅣb)
,194 例,220 例,482 例,593 例の切除例の検討で,生存率,合併症発生率は門
脈合併切除非施行例と同等で,門脈合併切除は安全に施行し得るという報告 6─9)
(レベル
Ⅳb)
,81 例,32 例,110 例の切除例を対象として,切除断端および剥離面における癌浸
潤が陰性であることが生存率に関与しているという報告 10─12)
(レベルⅣb)のように肯定
的な見解もみられた。また,110 例の膵周囲血管合併切除例において,同時期の症状緩
和手術例より予後は良好で,同時期の門脈合併切除非施行例と同等の予後であったとい
う報告もみられた 13)
(レベルⅣb)
。さらに,2010 年の Chua らによる 1, 458 例の系統的レ
ビューでは,high volume center における血管合併切除併施膵頭十二指腸切除術施行例
の術後合併症,死亡率,生存率は,標準膵頭十二指腸切除術施行例と同等であると報告
された 14)
(レベルⅠ)
。
2
外科的治療法
性例に対して行う場合が多いが,門脈を膵臓の一部と考えて根治性向上を目的として予
64 2.外科的治療法
前述のような門脈合併切除非施行例との比較がない 7 編の報告では,門脈合併切除の
意義はさまざまである。R0 切除 121 例の病理学的検討で門脈壁浸潤進達度別で中内膜
浸潤している症例は非切除と変わらない予後であり,外膜までの浸潤例で門脈合併切除
すれば,門脈浸潤がない門脈非切除症例と全く同等の予後と報告するものがある 15)
(レ
ベルⅣb)
。また,212 例の切除例を対象として,術前血管造影検査で門脈浸潤の程度を
分類し,門脈浸潤が軽度であるほど切除断端および剥離面における癌浸潤の陰性率が高
く,予後が良好であったとする報告もある 16)
(レベルⅣb)
。176 例の膵頭部癌切除症例
を対象として,R2 切除はリンパ節転移,門脈系への浸潤,膵外神経叢浸潤とともに独
立した予後不良因子であったとするものもある 17)(レベルⅣb)
。一方,282 例の拡大手
術例を対象として,根治度 B 以上ならば拡大手術の意義があるとするもの18)
(レベルⅣb)
のように,門脈浸潤の程度や根治度により門脈合併切除の意義が変わってくるとする報
告や,門脈バイパスカテーテル法を用いた 114 例の切除例を対象として,動脈浸潤例で
は門脈合併切除の適応がなくなるとする報告 19)
(レベルⅣb)もあった。さらに,門脈を
合併切除することで切除断端および剥離面における癌浸潤を陰性化できる症例に限り,
門脈合併切除の適応となるとの報告があった 20)
(レベルⅣb)
。それによると 250 例の切
除例のうち,171 例(68. 4%)の門脈合併切除例中,術後 2 年あるいは 3 年生存例のほとん
どが門脈浸潤(PV)陽性であったにもかかわらず,切除断端および剥離面における癌浸
潤(DPM)が陰性であったと報告している 21)。すなわち,PV−DPM−> PV+DPM−>
DPM+の順に予後が悪くなるため剥離面が重要であると報告している 21)
(レベルⅣb)
。
今までのところ,この CQ に対する前向き研究,RCT は皆無であり,系統的レビュー
を除く引用した 20 編の報告はすべて自験例の後ろ向きの検討である。そのため,少な
くとも現時点では予防的門脈合併切除により予後が改善するという明確なエビデンス
は,十分ではないといわざるを得ない。
■
明日への提言
門脈浸潤の疑われる例,あるいは門脈浸潤陽性例に対する場合は,少なくとも主要動
脈浸潤を伴わず,切除断端および剥離面における癌浸潤を陰性にできれば,門脈合併切
除により長期生存例が得られることがあると考えられる。
■
引用文献
1) Shimada K, Sano T, Sakamoto Y, et al. Clinical implications of combined portal vein resection as
a palliative procedure in patients undergoing pancreaticoduodenectomy for pancreatic head carcinoma. Ann Surg Oncol 2006;13:1569─1578.
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CQ 2 ─ 4 65
4) van Geenen RC, ten Kate FJ, de Wit LT, et al. Segmental resection and wedge excision of the
portal or superior mesenteric vein during pancreatoduodenectomy. Surgery 2001;129:158─163.
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term survival in 136 patients. Ann Surg 2008;247:300─309.
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16) Nakao A, Harada A, Nonami T, et al. Regional vascular resection using catheter bypass procedure for pancreatic cancer. Hepatogastroenterology 1995;42:734─739.
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18) 今泉俊秀,羽鳥隆,原田信比古,他.膵癌に対する拡大手術は予後に貢献したか.消化器外科
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19) Nakao A, Takagi H. Isolated pancreatectomy for pancreatic head carcinoma using catheter bypass of the portal vein. Hepatogastroenterology 1993;40:426─429.
20) Nakao A, Takeda S, Sakai M, et al. Extended radical resection versus standard resection for pancreatic cancer:the rationale for extended radical resection. Pancreas 2004;28:289─292.
21) Nakao A, Takeda S, Inoue S, et al. Indications and techniques of extended resection for pancreatic cancer. World J Surg 2006;30:976─982;discussion 983─984.
2
外科的治療法
9) Martin RC 2 nd, Scoggins CR, Egnatashvili V, et al. Arterial and venous resection for pancreatic
66 2.外科的治療法
ửCQ 2─5 膵癌に対して拡大リンパ節・神経叢郭清の意義はあるか?
膵癌に対する拡大リンパ節・神経叢郭清が生存率向上に寄与するか否かは明ら
推奨
かでなく,行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない(グレード C2)。
■
エビデンス
膵癌は生物学的悪性度が高く,ほかの消化器癌に比べその外科治療成績は極めて不良
である。しかし,さまざまな集学的治療が発達した現在においても外科的切除のみが唯
一の根治的治療である。わが国では遠隔転移を認めない膵癌に対し,腫瘍近傍リンパ節
転移の有無にかかわらず積極的にリンパ節や神経叢の拡大郭清を行う手術(いわゆる拡
大手術)が 1980 年代から 1990 年代にかけて行われてきた 1─10)
(レベルⅣb)
。欧米諸国で
も膵癌に対し積極的な拡大切除を行った報告はあるが,合併症発生率や在院死亡率が高
く遠隔成績も不良であったとの報告が多かった 11─17)
(レベルⅣb)
。このため欧米諸国で
は,リンパ節や神経叢郭清あるいは血管合併切除を行わない手術(いわゆる標準手術)
が行われるのが一般的となり,手術単独治療の限界が認識されていた 18, 19)
(レベルⅡ)
。
このように膵癌におけるリンパ節や神経叢郭清の意義については,わが国と欧米諸国の
間では考え方に大きな差異があった。
膵癌に対する標準郭清と拡大郭清の両者を比較した RCT が 1990 年代から 2000 年代に
かけて欧米より 3 つ報告された 20─24)
(レベルⅡ)
(表 2)。これらの報告はすべて術後生存
表 2 膵癌に対する標準切除と拡大切除の RCT
American
Italian
標準
Johns Hopkins *
拡大
標準
拡大
Japanese
Mayo Clinic
標準
拡大
標準
拡大
症例数
40
41
146
148
40
39
51
50
手術時間(分)
372
397
354
384
378
450
426
547
術中輸血量(U)
1. 95
2. 07
0. 5
0. 5
─
─
2. 1
2. 4
40/0/0
39/0/0
PD/PPPD/
SSPPD
門脈切除
20/20/0
18/23/0 21/125/0 148/0/0
13/19/19 11/23/16
─
─
4(3%)
4(3%)
リンパ節郭清個数
13. 3
19. 8
17
28. 5
15
36
13. 3
40. 1
術後在院日数
22. 7
19. 3
11. 3
14. 3
13
16
43. 8
42. 4
下痢 42%
下痢 0
下痢 48%
1(3%)
0
1(2%)
合併症率
死亡率
予後
9(23%) 8(21%) 24(47%) 24(48%)
18(45%) 14(34%) 42(29%) 64(43%) 下痢 8%
2(5%)
2(5%)
両群で差なし
*:periampullary carcinomas を含む。
6(4%)
3(2%)
両群で差なし
0
両群で差なし
両群で差なし
CQ 2 ─ 5 67
期間に差はなく,術後合併症率も拡大郭清群で有意に多いとの結果であった。しかし,
欧米諸国から報告された RCT における拡大郭清の程度は,日本式の徹底したリンパ節・
神経叢郭清が必ずしも行われているわけではなかった。そこで,わが国においても欧米
式のいわゆる標準手術と日本式の徹底した拡大手術を比較する RCT(厚生労働省がん研
究助成金班研究)が行われた 25, 26)
(レベルⅡ)
(表 2)。わが国の RCT においても,標準郭
清群と拡大郭清群の間で生存率に有意差はなく(1 年,3 年生存率は標準手術群で 78%,
28%,拡大手術群で 54%,18% と拡大手術群のほうが若干不良)
,術後の QOL は拡大
手術群が有意に不良であった。2007 年には膵癌に対する標準郭清と拡大郭清の意義に
ついてシステマティック・レビューおよびメタアナリシスを行った結果も報告され,膵
加させる傾向にあると結論づけられている 27)
(レベルⅠ)
。したがって,現時点では膵
癌に対する拡大郭清を伴う手術を積極的に推奨する根拠はなく,むしろ術後合併症発生
を予防するうえでは行うべきではないと考えられる。
■
明日への提言
本 CQ で紹介した RCT は目的が同じでも各々の国の医療事情を反映して微妙にプロ
トコールが異なるためその結果の解釈には注意を要する。しかしいずれの RCT でも拡
大郭清手術に予後を改善する効果はなく,むしろ術後の合併症が多い傾向にあり,拡大
郭清手術の意義はほぼ否定されたと言ってよい。膵癌の手術では切除断端を癌陰性にす
ることがまず大原則であり,そのための努力を惜しんではいけない。しかし,高度な局
所浸潤やリンパ節転移があるような症例は,たとえ拡大郭清手術を行ったとしても予後
は極めて不良である。したがって,このような症例はできるだけ合併症が起こらないよ
うに注意して手術を行い,その後の補助療法に予後改善効果を期待したほうがよい。
ただ最近では診断精度の進歩により,より早期の段階で見つかる膵癌も増えてきた。
このような症例にどこまで郭清を行うべきなのかは今後の検討を要する。拡大手術を一
概に否定するのではなく,今後は積極的な郭清手術が必要な症例とそうでない症例を見
極めるための検討が必要なのかもしれない。
■
引用文献
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discussion 777.
2
外科的治療法
癌に対する拡大郭清は生存率向上に寄与することはなく,むしろ術後合併症発生率を増
68 2.外科的治療法
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CQ 2 ─ 5 69
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外科的治療法
2
70 2.外科的治療法
‌
非切除例での予防的バイパスは推奨されるか?
ửCQ 2─6 ‌(開腹後)
推奨
外科切除を目的に開腹し非切除となった黄疸を伴う膵癌に対して,胆管空腸吻
合術による減黄術,予防的胃空腸吻合術が推奨される(グレード B)。
■
エビデンス
膵癌の保存的治療の対象となるのは,閉塞性黄疸,十二指腸狭窄による通過障害,癌
性疼痛などである。CQ4─6 では,外科切除を目的に開腹し,非切除となった黄疸を伴
う膵癌に対する胆管空腸吻合術による減黄術,予防的胃空腸吻合術,腹腔神経叢ブロッ
クについてのみ触れる。緩和医療に関しては日本緩和医療医療学会のホームページ
<http://www.jspm.ne.jp/guidelines/index.html> 1, 2)
(レベルⅥ)を参照されたい。
膵癌の外科的補助療法に対する RCT をまとめた総説が 3 つ発表されている 3─5)
(レベル
Ⅵ)
。閉塞性黄疸,十二指腸狭窄による通過障害,癌性疼痛の順序で記載する。
1.閉塞性黄疸の減黄
減黄術に関して ERC ルートよりのチューブステントと外科的減黄術を比較した RCT
は 3 つあり 6─8)
(レベルⅡ)
,メタアナリシスは 2 つある 9, 10)
(レベルⅠ)。Taylor ら 9)のこ
れら 3 つの RCT 6─8)に関するメタアナリシスでは,①減黄失敗,重症合併症はさまざま
で明らかな差はなかった,②内視鏡チューブステントでは外科的減黄術よりもさらなる
治療を要した,③ 30 日死亡率に有意差はなかった,④外科治療は引き続きの治療を要
さなかった,⑤内視鏡的チューブステントと外科的減黄術との間に明らかな差はなかっ
たとし,より大きな RCT で新たなメタリックステントと外科的減黄術との比較が必要
であり,適切な QOL の評価も必要であると述べている。Moss ら 10)の悪性下部胆管閉塞
に対する内視鏡的チューブステントと外科的減黄術の 3 つの RCT 6─8)を使ったメタアナ
リシスでは,技術的成功,治療的成功に両群間に差はなかった。全合併症はステントで
有意に少なく,30 日以内死亡はステントのほうがよい傾向であった。黄疸再発は有意
に外科的減黄術で少なかった。生存率と QOL は両群間に差はなかった。3 つの RCT の
うち,2 つのシリーズではステント群で総入院日数が短かった。
メタリックステントと外科的減黄術の RCT は 1 つあり,メタリックステントと外科
的減黄術の RCT では内視鏡的メタリックステントは外科的減黄術より安く,QOL がよ
りよいとの結果であった 11)
(レベルⅡ)
。
経皮経肝ルート(PTE)によるステントか外科的減黄術かの比較については,1986 年
に Bornman らにより RCT が報告されている 12)
(レベルⅡ)。PTE は最初の入院は短いが,
総入院日数は PTE と外科的減黄術とで違いはなく,ステントの閉塞,消化管閉塞を考
えると両者間に差はないとしている。
外科的減黄術の術式には胆嚢空腸吻合術と胆管空腸吻合術があるが,それらを比較した
CQ 2 ─ 6 71
Sarfeh らの RCT では,胆嚢空腸吻合術では再狭窄が多い一方で,胆管空腸吻合術では開
存率がよく,悪性胆管狭窄には胆管空腸吻合術のほうがよいとしている 13)
(レベルⅡ)
。
2.予防的胃空腸吻合
予防的胃空腸吻合については 2 つの RCT が発表されている 14, 15)
(レベルⅡ)
。膵癌の
外科的切除を目的に開腹しても非切除となることがしばしばあり,その際,予防的胃空
腸吻合が問題となる。開腹時,消化管の通過障害がなかった症例でも 10〜20% には将
来的に消化管の通過障害をきたすことが知られており,Lillemoe ら 14)や Van Heek ら 15)
の RCT では,胃空腸吻合を行うことにより,合併症,術死,術後入院日数,QOL,予
後に変化はなく,将来的に胃空腸吻合などを受ける必要がなくなるため,予防的胃空腸
比較した Yilmaz らの RCT では,両者間に術後合併症,経口開始までの期間,再開腹率,
上部消化管出血,術死,入院日数と生存期間に有意差はなかった 16)
(レベルⅡ)
。順蠕
動のほうが逆蠕動より有意に手術時間が長く,逆蠕動に胃排泄遅延が少ない傾向にあっ
た。順蠕動も逆蠕動も術後の胃の排泄時間を有意に延長した。順蠕動のほうが臨床的に
よい結果となる傾向にあった。
予防的胃空腸吻合については 2 つのメタアナリシスが 2009 年,2010 年に報告されて
いる 17, 18)
(レベルⅠ)
。どちらも予防的胃空腸吻合は短期の結果を悪化させず,長期に胃
十二指腸狭窄が発生する頻度が低く,開腹して非切除となった膵癌においては胃空腸吻
合を行っておくほうがよいとの結果であった。
3.癌性疼痛に対する外科的治療
癌性疼痛に対する外科的治療に関しては,開腹下 19)
(レベルⅡ)や胸腔鏡下 20)
(レベル
Ⅱ)の神経ブロックについての RCT が報告されている。開腹下に 50% エタノールによ
り神経ブロックした群と,プラセボとして生理食塩水を利用した群を比較検討した
RCT では,痛みのスコアの平均は有意に軽減したが,入院時死亡,合併症,経口摂取
開始,入院日数に差はなかった 19)。また,痛みのなかった患者への神経ブロックは痛み
のスコアを軽減し,痛みの発生を有意に遅らせた。さらに予後の改善が有意に認められ
た。別の手術的アプローチである両側胸腔鏡下神経ブロックは,良性,悪性の膵性疼痛
に対して有効な治療法であることが示されている 20)。
■
明日への提言
臨床の場では非切除膵癌が大多数を占める現実を考えると減黄術,消化管バイパス,
癌性疼痛除去などは重要であるが,わが国ではやや置き去りにされてきた問題でもあ
る。鏡視下手術でのバイパスや新規ステントの開発・改善などが進んでいるため,信頼
度の高い RCT を行い,問題を整理していく必要がある。
2
外科的治療法
吻合は意義があるとされている 14, 15)。さらに,胃空腸吻合での順蠕動と逆蠕動の吻合を
72 2.外科的治療法
■
引用文献
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CQ 2 ─ 7 73
ửCQ 2─7 膵癌に対する内視鏡的手術の意義は?
推奨
膵癌に対する内視鏡的手術は症例を選べば安全に施行可能である。長期遠隔成
績を向上させるか否かについては high volume center での症例の蓄積により明
らかにされるべきである(グレード C1)。
■
エビデンス
1992 年に Gagner らが慢性膵炎に対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除を報告して以来 1)
性疾患あるいは低悪性度の腫瘍に対して行われてきた。浸潤性膵管癌に対する内視鏡的
膵切除はようやく最近になって high volume center において施行例を増加しつつある
のが現状である。欧州の 25 施設で集計された 2005 年の Mabrut らの報告では,浸潤性
膵管癌は 127 例中 4 例に過ぎず 2)
(レベルⅣb),2008 年の Kooby らにによる米国 8 施設の
集計では 159 例の腹腔鏡下膵体尾部切除(LapDP)のうち腺癌は 10%(16/159 例)にとど
まっていた 3)
(レベルⅣb)
。2009 年の Gagner らによる腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術
(LapPD)の文献レビューでは,収集された 146 例中膵癌は 45 例(30. 8%)で 4)
(レベルⅥ)
,
2011 年の Ammori らのシステマティック・レビューでは,収集された 987 例の LapDP
のうち 139 例が悪性腫瘍,126 例の LapPD のうち 104 例が悪性腫瘍と報告されている 5)
(レベルⅠ)
。このように徐々に症例数は増加しつつあるものの,2011 年現在でも浸潤
性膵管癌の腹腔鏡下手術例は,慎重に適応を選んで行われているのが現状であろう。膵
癌のみを対象とする臨床研究はいまだ少ないため,今版の本 CQ では,短期成績につい
ては良性疾患を多く含む報告を採用せざるを得なかった。
LapDP について,2011 年に発表された腹腔鏡下膵切除のシステマティック・レビュー
で Ammori らは 46 論文から 987 例を収集した。LapDP のうち 83. 9% の症例が良性疾患
に施行されていた。手術時間 221 分,出血量 227 mL,在院日数 7. 7 日,膵液瘻 16. 4%,
開腹移行 11. 5%,手術死亡率 0. 4% であった。以上の結果から LapDP は症例を選べば安
全に施行可能であると結論づけられている 5)
(レベルⅠ)
。単一施設で LapDP と開腹膵
体尾部切除術(ODP)を比較した研究では,短期成績は ODP と比較して,術後合併症発
生率は同等であり,出血量が少なく在院日数が短いことが報告されている 6)
(レベル
Ⅳb)7)
(レベルⅣa)
。米国の 8 施設から集計した 142 例の LapDP と 200 例の ODP を case─
match させ比較した研究では,手術時間 230 分 vs 216 分(p = 0. 28),出血量 357 mL vs
588 mL(p < 0. 001)
,重大合併症 10% vs 17%(p = 0. 08),膵液瘻 11% vs 18%(p =
0. 10)
,在院日数 5. 9 日 vs 9. 0 日(p < 0. 001)と,LapDP は低侵襲であり症例選択により
良好な短期成績を示すことができるとしている 3)
(レベルⅣb)
。近年,ロボット手術の
報告も増加しつつある 8, 9)
(レベルⅣb)
。Waters らは膵体尾部切除において,ロボット
2
外科的治療法
(レベルⅤ)
,徐々に腹腔鏡下膵切除施行症例数は増加しつつある。しかしその多くは良
74 2.外科的治療法
手術は手術時間が長いが出血量は少なく,脾温存率も高かったとしている。在院日数は
4 日であり,開腹手術の 8 日,腹腔鏡下手術の 6 日と比べてもさらに短縮されていた 8)
(レ
ベルⅣb)
。
LapPD に関して,Ammori らのシステマティック・レビューでは,LapDP とは異な
り,89% が悪性疾患に施行されていた。LapPD は 14 論文(126 例)がレビューされ,手
術時間 448 分,出血量 324 mL,膵液瘻 11. 6%,開腹移行 15% であった 5)
(レベルⅠ)
。
現在までの単一施設の報告では最大規模である Kendrick らの報告では,完全鏡視下 PD
を施行した 62 例中膵癌は 30 例であった。手術時間は 368 分,出血量 240 mL,在院日数
中央値 7 日,膵液瘻 18%,在院死亡率 1. 6%(1/62)であった。直接の比較はできないが,
開腹手術と比較して遜色ない短期成績と考えられた 10)
(レベルⅣb)。ただし LapPD に
おいては開腹 PD と二群間比較した前向き研究は現在までみられないため,さらなる症
例の蓄積が必要と思われる。
癌の治癒度に関して,Kooby らは,開腹術と腹腔鏡下ではリンパ節郭清個数,断端陽
性率は同等であったと報告している 11)
(レベルⅣb)。Dulucq らは断端陽性率は 0% 12)
(レ
ベルⅣa)
,Palanivelu は 2. 4%
(2/82)13)(レベルⅣb)と報告しており,断端陽性率は低
率との報告が多い。一方,Baker らは LapDP と ODP の比較で,リンパ節郭清個数が 5. 2
個 vs 9. 4 個(p = 0. 04)と有意に少なかったため,LapDP は悪性疾患には不適切であると
結論している 7)
(レベルⅣa)
。このように,いまだその評価にはばらつきがあるため,
今後の症例集積を待たねばならない。
長期成績に関する報告は症例数が少ないうえ,観察期間が短いため,いまだ限られた
施設からの報告にとどまっている。Palanivelu らは 9 例の浸潤性膵管癌の 5 年生存率は
19. 1% と報告している 14)
(レベルⅤ)
。Pugliese らは 11 例の膵癌の平均生存期間は 18 カ
月であった報告している 15)
(レベルⅣb)。Kooby らは LDP と ODP の平均生存期間はと
もに 16 カ月であり有意差を認めなかったとしている 11)。内視鏡手術の低侵襲性という
利点を生かせれば,術後早期に補助化学療法を開始するという利点や,低侵襲のため潜
在癌の増殖が抑制されるなど長期成績にも好影響を及ぼす可能性についても今後の検討
を待ちたい。
内視鏡手術による姑息手術に関してもいくつか報告がみられる。Röthlin らは膵頭部
癌で十二指腸狭窄症例に対して腹腔鏡下胃空腸吻合,胆管空腸吻合を施行し,在院日数
は 9 日間と,開腹術の 21 日間と比較して短かったという成績を報告している 16)
(レベル
Ⅳb)
。今後,内視鏡的ステント留置との優劣について報告が出てくるものと思われる。
■
明日への提言
1990 年代に始まった腹腔鏡下膵切除術は 20 年経過した現在でもいまだ膵癌に対する
実施例は少数にとどまっている。短期成績は開腹術と比較して遜色ないため,患者の希
望があれば内視鏡的手術を選択することは可能と思われる。しかしリンパ節郭清個数が
CQ 2 ─ 7 75
少ないという報告があることや長期成績の報告が少ないことから,膵癌への本術式の適
応の意義は今後 high volume center での症例の蓄積により明らかにされるべきであろう。
■
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2
外科的治療法
ary Pancreat Surg 2009;16:726─730.
76 2.外科的治療法
ửCQ 2─8 膵癌では手術例数の多い施設で治療を受けるのがよいか?
推奨
膵頭十二指腸切除など膵癌に対する外科切除術では,手術症例数が一定以上あ
る専門医のいる施設では合併症が少ない傾向があり,合併症発生後の管理も優
れている(グレード B)
。
■
エビデンス
高度な技術と優れた周術期管理を要する血管合併切除を伴う膵切除術において,シス
テマティック・レビューが行われた 1)(レベルⅠ)。1995〜2009 年の 14 年間に報告され
た 28 論文からのサンプル数が 10 以上の 1, 458 症例において,手術関連死亡率の中央値
は 4%(0〜17%)
,生存期間中央値(median survival time;MST)は門脈合併切除例で
は 13 カ月,門脈・動脈合併切除例では 18 カ月であった。High volume center( HVC)16
施設における血管合併切除の MST は 15 カ月で,各施設における血管合併切除を伴わな
い場合との有意差はなく,HVC であれば許容されるとしている。ただし,62% の論文
で門脈塞栓は手術の禁忌とされ,71% の論文で動脈浸潤は手術の禁忌とされている。
また,国や地域における大規模な全数調査のデータベースに基づいた報告がなされてい
る。米国では,膵切除術後の在院死は 1998 年から 2003 年の間に 7. 8% から 4. 6% へと有
意な減少を認めている 2)
(レベルⅣa)。Low volume center( LVC)
(年 4 例以下),medium volume center( MVC)
(年間 5〜18 例),HVC(19 例以上)での死亡率は,HVC を 1
としたときに,オッズ比が MVC で 2. 1,LVC で 3. 3 であった。6 年間で HVC で手術され
た症例の割合が 30% から 39% に有意に増加していた。また,米国で,Nationwide
Inpatient Sample( NIS)に登録され,膵切除術後の在院死に影響するリスク因子は加齢・
男性・併存疾患罹患・切除症例数であった 3)
(レベルⅣa)
。在院死は加齢により増加す
るが,膵切除手術件数の多い施設と少ない施設で比べると PD 4. 78 倍 , DP 3. 84 倍 , TP
2. 6 倍の差があった。同様に切除症例数が少ないことは有意な在院死のリスクになって
いる 4)(レベルⅣa)
。年齢,合併症,性,膵切除術式,切除症例数からなるスコアにお
いて LVC は 5 点,MVC は 2 点,HVC は 0 点とされ,スコアの合計点が 5 点以下であれ
ば予測在院死亡率は 2. 0%,6〜9 点の場合は 6. 2%,10 点以上の場合は 13. 9% と上昇する。
また,イタリアでは,術後死亡率のハザード比は LVC が 1,MVC が 0. 601,HVC が 0. 448,
very high volume center が 0. 189 で,術後在院日数も very high volume center で有意
に短く,症例集約化の方針は適切であるとしている 5)
(レベルⅣa)
。
HVC の定義については,エビデンスとなる論文のなかでも表 3 のごとく,ばらつき
がある。
米国の HVC とする最適なカットオフ値は年間 19 例以上であったが,施設ごとの年間
切除数は術後死亡率のばらつきの 2% 以下しか説明し得ないとしている 6)
(レベルⅢ)
。
CQ 2 ─ 8 77
表 3 22 文献を比較した HVC の定義
文献
エビデンス
対象患者/Database
レベル
LVC
MVC
HVC
1)
Ⅰ
システマティック・レビュー
19 以下
20 以上
2)
Ⅳa
NIS
4 以下
3)
Ⅳa
NIS
< 3,3〜5,6〜11,12〜23,24〜35,
> 35 で 5 分割
4)
Ⅳa
NIS
8 以下
9〜32
33 以上
5)
Ⅳa
イタリア地域 DB
5 以下
6〜13
14〜51
5〜18
19 以上
6)
Ⅲ
NIS
Cut off を決定するモデル作成
7)
Ⅳb
LeapfrogGroup database,
Health Grades Web
10 以下
8)
Ⅳa
NCDB
患者数が等しくなるよう 5 分割
9)
Ⅳa
ノルウェー DB
6. 7 以下
10)
Ⅳa
NSQIP
患者数が等しくなるよう 5 分割
11)
Ⅲ
フロリダ癌登録
下位 1/3
12)
Ⅳa
NCDB
患者数が等しくなるよう 4 分割
13)
Ⅳa
SEER
2. 3 以下
14)
Ⅴ
自施設
自施設を HVC と定義
15)
Ⅳb
NIS(外科医の経験数)
4 以下
5 以上
16)
Ⅳb
自施設(外科医の経験数)
49 以下
50 以上
17)
Ⅳb
カリフォルニア退院データベース
<6,6〜10,11〜20,21〜30,31〜50,
> 50 に 6 分割
18)
Ⅳa
自施設
自施設を HVC と定義
19)
Ⅳa
カナダ地域の DB
< 10
10 以上
20)
Ⅳa
テキサス PUDF
10 以下
11 以上
21)
Ⅳa
ニューヨーク,ニュージャージー, 患者数が等しくなるよう 5 分割
11 以上
6. 7〜15
18. 8
上位 1/3
2〜7. 3
8. 3〜135. 5
ペンシルバニアの退院データベース
22)
Ⅳa
NIS, ARF
< 20
20 以上
切除症例数,医療資源,複雑な消化管診療における品質評価,一般外科レジデント,消
化器内科フェロー,IVR(interventional radiology)のいずれも,単独では周術期死亡と
相関しないが,6 つの医療資源すべてを備える(strong support)施設では,有意に周術
期死亡が少なかった(HR:0. 32)7)
(レベルⅣb)
。
2
外科的治療法
100 以上を very high volume
78 2.外科的治療法
■
明日への提言
多数の症例に基づいた HVC での合併症発生率,長期生存率での優位性が示されてい
るが,HVC を定義する症例数はばらついている。また,症例数だけでは高難度な膵切
除術を安全・確実に施行できる十分条件にはならない。どの地域に住む患者もアクセス
がよく,高い診断精度・技術を持ち,合併症の少ない標準的な手術と術後早期からの補
助療法を受け,かつ全体の医療コストが妥当な医療供給体制が求められる。NCD
(National Clinical Database)
,地域がん登録などの大規模全数調査データベースがわが
国においても充実しつつある。膵癌登録のデータは長年の蓄積があるが,そもそも
HVC における診療成績の積み重ねでもある。膵癌登録は,今後 NCD に組み込まれるこ
とが確定しており,わが国の膵癌に対する診療体制の現状把握・改善に大きく寄与する
ものと思われる。
■
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2
外科的治療法
Ann Surg Oncol 2010;17:2537─2544.
80 2.外科的治療法
ửCQ 2─9 ‌Borderline‌resectable 膵癌の治療:‌
わが国における外科的切除の意義は?
推奨
Borderline resectable 膵癌に対して補助(術前)治療を行うことで,外科的切除
の治療成績が改善するかについては今後の臨床試験や研究で明らかにされるべ
きである(グレード C1)
。
■
エビデンス
Borderline resectable 症例とは,技術的に外科的切除が困難なことに加え,膵癌の局
所の浸潤により外科的切除を施行しても高率に癌が遺残し(R1, 2)
,手術により生存期
間が延長しない可能性があるものと考えられる 1, 2)
(レベルⅥ)。したがって,borderline
resectable 症例に対する手術単独治療が推奨されるか否かは今後の課題である。さらに,
術前治療による down─staging により R0 切除率が向上することで,治療成績が改善する
可能性がある。
Borderline resectable 症例に対し,術前化学放射線療法あり群のほうがなし群より
R0 率が高率で(あり 59% vs なし 11%,p < 0. 0001)
,リンパ節転移陰性率も術前化学
放射線療法あり群のほうが高く(あり 73% vs なし 14%,p < 0. 0001),腫瘍も有意に小
さかった(あり 2. 5 cm vs なし 3. 5 cm,p = 0. 009)。また,術前化学放射線療法施行群で
リンパ節転移陽性率が有意に低かった 3)
(レベルⅣb)。Borderline resectable 膵癌を門
脈系静脈閉塞,総肝動脈または上腸間膜動脈への隣接とした場合,化学放射線療法を
行った群は行わなかった群と比較して手術時間は 1 時間長く(p < 0. 01)
,入院期間は 5
日長くなったが(p = 0. 02)
,輸血,morbidity,mortality に有意差はなかった。さらに 2
年の disease─free survival を達成できたのは R0 切除が得られた症例であった 4)
(レベル
Ⅳb)
。Borderline resectable 症例に対し,カペシタビンと放射線による術前化学放射線
療法を行った後に切除できた症例のうち,75% に R0 手術が可能であった 5)
(レベルⅣb)
。
後ろ向き観察研究で術前療法により切除できた症例の 67% は R0 切除であり,生存期間
中央値が 23. 3 カ月(非切除 15. 5 カ月)であり,同施設の initially resectable 症例の R0 率・
生存率と同じであった 6)
(レベルⅣa)
。術前化学放射線療法後に切除が可能であった
borderline resectable 症例は 94% が margin─negative となり,その予後規定因子は術前
化学放射線療法による組織学的効果がⅡb 以上であること,CA19─9 の 50% 以上の減少
の 2 項目が抽出されたことから,化学放射線療法後の手術治療効果がある症例を選択で
きることが示唆された 7)
(レベルⅣa)。また borderline resectable 膵癌 13 例の少数例の
検討ではあるが,術前治療により 84. 6% の症例で R0 切除が可能であり,組織学的に腫
瘍の線維化が 60% 以上認められた症例は生存期間が延長した 8)
(レベルⅣb)。再発形式
を検討した報告は少ないが,術前化学放射線療法は局所の再発を抑制していた 9)
(レベ
CQ 2 ─ 9 81
ルⅣb)
。Borderline resectable 膵癌に対する術前化学療法単独での報告は少ないが,術
前 化 学 療 法 単 独 で も borderline resectable 症 例 の 予 後 が 改 善 す る 可 能 性 が あ る。
Borderline resectable 症例 33 例中 13 例に手術を施行し,R0 率は 69%,生存期間中央値
は 22 カ月であった 10)
(レベルⅣa)
。
門脈・上腸間膜静脈浸潤症例 109 例のうち 74 例に術前化学放射線療法を施行したとこ
ろ,全周性に狭窄している症例では術前化学放射線療法により予後が改善しなかった
が,片側性の狭窄症例では術前化学放射線療法により生存期間は改善した(OS 中央値:
CRT あり 26 カ月 vs なし 10 カ月,p < 0. 0001)3)
(レベルⅣb)
。
腹腔動脈浸潤を伴う膵癌は『NCCN ガイドライン』(2012 年版)では切除不能膵癌とし
膵尾側切除術が行われることがある。癌遺残のない R0 切除率は 37〜91% 11─14),術後の
生存期間中央値は 10〜21 カ月 11─17)であった 14)
(レベルⅣa)11─13, 15─17)
(レベルⅥ)
。さらに
術前化学放射線療法施行後に腹腔動脈合併切除を伴う膵体尾部切除を施行することで
R0 率が 91%,生存期間中央値が 26 カ月という報告があり 18)
(レベルⅥ)
,腹腔動脈合併
切除することで局所制御効果が得られる症例もあることから,腹腔動脈合併切除にて切
除可能な膵癌を borderline resectable 膵癌とみなすことが可能かはさらなる症例の蓄積
と検討が必要である。
■
明日への提言
有効な術前治療の開発により術後の補助療法も含めた集学的治療を施行することで,
borderline resectable 膵癌の予後は改善する可能性がある。さらに術前治療後に切除す
ると生命予後延長効果が期待できる症例を選別することで,borderline resectable 膵癌
の新たな治療方針を確立できる可能性がある。
■
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2
外科的治療法
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82 2.外科的治療法
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CQ 3 ─ 1 83
3
補助療法
ửCQ 3─1 膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)は
推奨されるか?
推奨
術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)の有用性を支持する論文が増加傾
向にある。しかしこれが長期遠隔成績を向上させるか否かについては,今後の
臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべきである(グレード C1)。
■
エビデンス
膵癌に対する手術単独治療の成績が極めて不良であることから,術前に化学放射線療
法または化学療法を施行し,その後に膵癌を切除する方法が提唱されている。画像上切
staging)ことができれば,切除率を上げ,癌細胞が術中に遺残・撒布する機会を減少さ
せ得る。一方,術前治療中に遠隔転移を診断し得た場合や,同治療に全く奏効しない場
合には,開腹術を回避できる可能性もある。
これまで膵癌に対する術前化学放射線療法の報告は 1980 年代の Pilpich や Ishikawa に
始まり最近では急増している 1)
(レベルⅢ)
。しかし前向きランダム化比較試験で長期生
存率などを比較・検証したものはない。術前化学療法に関する十分な知見は蓄積されて
いない。
1.術前化学放射線療法
術前化学放射線療法後に膵癌切除を行っても術後合併症の頻度は増加しない(安全性
の確認)という報告は多いが,いずれもランダム化比較試験の結果ではない 2, 3)
(レベル
Ⅳa)
。Spitz らは膵癌切除後の合併症発生頻度は低くないので,手術先行例の約 1/4 が
術後化学放射線療法の機会を逸した(術前治療のほうが術後治療よりも併用治療の完遂
率が高い)と報告している 4)
(レベルⅣa)
。
化学放射線療法による down─staging が報告され,Hoffman らは約 1/3 の症例に腫瘍
縮小効果を認め 2)
(レベルⅣa)
,Evans らは約 40% の症例が組織学上 50% 以上の死滅癌
細胞で置換されていたと報告している 3)(レベルⅣa)。術前化学放射線療法によって切
除不能膵癌から切除可能になった症例でも R0 切除率が 90% と高率であったとする報告
もみられる 5)
(レベルⅣb)
。
Borderine resectable 例において Sa Cunha らは術前化学放射線療法によって約 20%
の症例で動脈浸潤(組織学上)が消失し,切除し得たと報告している 6)
(レベルⅣa)
。
Stokes らは術前治療によって切除可能となれば手術単独の切除可能例と同等の成績を
得た 7)
(レベルⅣb)
。Greer らは術前治療例では局所再発が 4% で術前無治療例の 44%
3
補助療法
除可能と考えられる症例において,術前治療によって癌の進行度を下げる(down─
84 3.補助療法
に比べ低率であったと報告している 8)
(レベルⅣb)。Gillen らが集計した 111 の報告にお
けるメタアナリシスでは,borderline resectable 例における術前治療の有用性が示され
たが,さらなる検証が必要である 1)
(レベルⅢ)
。
Snady らは化学放射線療法を行った 68 症例(全例 T3,うち 20 例がその後に切除可能)
の生存期間中央値は 24 カ月で,このうち切除 20 例の生存期間中央値は 32 カ月であった
と報告した。これに対して切除術を先行した 91 例(Tl〜2 が 73%,63 例が術後併用治療)
の生存期間中央値は 14 カ月に過ぎず,術前化学放射線療法の意義を評価している 9)
(レ
ベルⅣb)
。また,Stessin らのデータベースを用いた多数例の解析によれば,術前照射
が切除可能例の生存率改善に寄与していた 10)
(レベルⅣb)
。ちなみに,最近の切除可能
例における化学放射線療法後切除例の 5 年生存率について,Evans ら 11)は 36%,Turrini
ら 12)は 41%,Ohigashi ら 13)は 53% と報告している 11─13)
(レベルⅣa)
。
ゲムシタビン塩酸塩が膵癌治療における第一選択薬となり,ゲムシタビン塩酸塩併用
の報告が増加し,full─dose での投与 13─15),あるいはドセタキセル* 12)やカペシタビン* 7)
等の使用も試みられているが,これらのすべてがランダム化比較試験ではない 7)
(レベ
ルⅣb)
12─15)
(レベルⅣa)
。
一般に化学放射線療法後の切除例では,局所再発は減少した反面,遠隔再発,特に肝
転移再発が多い 4, 12, 16)(レベルⅣa)
8, 17)(レベルⅣb)。Ohigashi らは,術前化学放射線療
法後の切徐例に肝転移予防のための肝灌流化学療法を術後に追加し,生存率の改善を認
めた 13)
(レベルⅣa)
。
2.術前化学療法
Palmer らは切除可能と術前診断した膵癌に対し,術前化学療法の比較試験を施行し
た。これはゲムシタビン塩酸塩群(24 例)とゲムシタビン塩酸塩+シスプラチン*群(26
例)間でのランダム化比較試験であり,切除率は各々 38% vs 70%,非切除例を含む全
例の 1 年生存率は 42% vs 62% と
(有意差検定なし)
,いずれも後者の成績が優れていた 18)
(レベルⅡ)
。さらにゲムシタビン塩酸塩にシスプラチン*を併用した報告 19)や,化学放
射線療法に先立つ導入化学療法 20, 21)や化学放射線療法後の術前治療 22)としての取り組み
も行われているが,いずれもランダム化比較試験ではない 19─21)
(レベルⅣa)
22)
(レベル
Ⅳb)
。
3.わが国における術前治療に関するランダム化比較試験
術前治療としての S─1 併用放射線療法とゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用療法のランダ
ム化比較試験(JASPAC─04)や,切除+補助療法例に対する術前治療としてのゲムシタ
ビン塩酸塩+ S─1 併用療法の有効性・安全性に関するランダム化比較試験(Prep─02/
JSAP─05)などの RCT がわが国で行われようとしており,その結果が待たれる。
* 保険未収載の検査・治療
CQ 3 ─ 1 85
■
明日への提言
今後,ランダム化比較試験の蓄積などによって,膵癌に対する術前化学放射線療法や
術前化学療法が生存期間(率)の向上に寄与するか否かを明らかにしていく必要がある。
術前化学放射線療法では,肝転移予防対策が重要課題である。
■
引用文献
1) Gillen S, Schuster T, Meyer Zum Büschenfelde C, et al. Preoperative/neoadjuvant therapy in pancreatic cancer:a systematic review and meta─analysis of response and resection percentages. PLoS Med 2010;7:e1000267
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8) Greer SE, Pipas JM, Sutton JE, et al. Effect of neoadjuvant therapy on local recurrence after resection of pancreatic adenocarcinoma. J Am Coll Surg 2008;206:451─457.
9) Snady H, Bruckner H, Cooperman A, et al. Survival advantage of combined chemoradiotherapy compared with resection as the initial treatment of patients with regional pancreatic carcinoma. An outcomes trial. Cancer 2000;89:314─327.
10) Stessin AM, Meyer JE, Sherr DL. Neoadjuvant radiation is associated with improved survival in patients with resectable pancreatic cancer:an analysis of data from the surveillance, epidemiology, and end results( SEER)registry. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2008;72:1128─1133.
11) Evans DB, Varadhachary GR, Crane CH, et al. Preoperative gemcitabine─based chemoradiation for patients with resectable adenocarcinoma of the pancreatic head. J Clin Oncol 2008;26:3496─
3502.
12) Turrini O, Ychou M, Moureau─Zabotto L, et al. Neoadjuvant docetaxel─based chemoradiation for resectable adenocarcinoma of the pancreas:New neoadjuvant regimen was safe and provided an interesting pathologic response. Eur J Surg Oncol 2010;36:987─992.
13) Ohigashi H, Ishikawa O, Eguchi H, et al. Feasibility and efficacy of combination therapy with preoperative full─dose gemcitabine, concurrent three─dimensional conformal radiation, surgery, and postoperative liver perfusion chemotherapy for T3─pancreatic cancer. Ann Surg 2009;250:
88─95.
14) Talamonti MS, Small W Jr, Mulcahy MF, et al. A multi─institutional phase II trial of preoperative full─dose gemcitabine and concurrent radiation for patients with potentially resectable pancreatic carcinoma. Ann Surg Oncol 2006;13:150─158.
15) Small W Jr, Berlin J, Freedman GM, et al. Full─dose gemcitabine with concurrent radiation therapy in patients with nonmetastatic pancreatic cancer:a multicenter phase II trial. J Clin Oncol 2008;26:942─947.
3
補助療法
5) Golcher H, Brunner T, Grabenbauer G, et al. Preoperative chemoradiation in adenocarcinoma of 86 3.補助療法
16) Le Scodan R, Mornex F, Girard N, et al. Preoperative chemoradiation in potentially resectable pancreatic adenocarcinoma:feasibility, treatment effect evaluation and prognostic factors, analysis of the SFRO─FFCD 9704 trial and literature review. Ann Oncol 2009;20:1387─1396.
17) Ishikawa O, Ohigashi H, Imaoka S, et al. Is the long─term survival rate improved by preoperative irradiation prior to Whipple’s procedure for adenocarcinoma of the pancreatic head ? Arch Surg 1994;129:1075─1080.
18) Palmer DH, Stocken DD, Hewitt H, et al. A randomized phase 2 trial of neoadjuvant chemotherapy in resectable pancreatic cancer:gemcitabine alone versus gemcitabine combined with cisplatin. Ann Surg Oncol 2007;14:2088─2096.
19) Heinrich S, Pestalozzi BC, Schäfer M, et al. Prospective phase Ⅱ trial of neoadjuvant chemotherapy with gemcitabine and cisplatin for resectable adenocarcinoma of the pancreatic head. J Clin Oncol 2008;26:2526─2531.
20) Marti JL, Hochster HS, Hiotis SP, et al. Phase Ⅰ/Ⅱ trial of induction chemotherapy followed by concurrent chemoradiotherapy and surgery for locoregionally advanced pancreatic cancer. Ann Surg Oncol 2008;15:3521─3531.
21) Varadhachary GR, Wolff RA, Crane CH, et al. Preoperative gemcitabine and cisplatin followed by gemcitabine─based chemoradiation for resectable adenocarcinoma of the pancreatic head. J Clin Oncol 2008;26:3487─3495.
22) Brown KM, Siripurapu V, Davidson M, et al. Chemoradiation followed by chemotherapy before resection for borderline pancreatic adenocarcinoma. Am J Surg 2008;195:318─321.
CQ 3 ─ 2 87
ửCQ 3─2 膵癌の術中放射線療法は推奨されるか?
推奨
膵癌に対する術中放射線療法の有用性は明らかではない。日本で行われたラン
ダム化比較試験では,術中放射線療法単独の効果は認められなかった(グレー
ド C2)
。
■
エビデンス
膵 癌 に 対 す る 補 助 療 法 と し て の 術 中 放 射 線 療 法(intraoperative radiotherapy;
IORT)の有用性は明らかではない。なぜなら,ランダム化比較試験(RCT)またはメタ
アナリシスによって IORT の有用性を明確に示したエビデンスレベルの高い論文がない
からである。
膵癌補助療法としての IORT の有用性については,厚生労働省がん研究助成金研究班
および局所制御に影響を及ぼさなかったと報告されている。評価可能であった 144 例の
切除可能膵癌を手術単独群と手術+ IORT 群の 2 群に分けて比較したところ,OS と無再
発生存期間(PFS)は両群間に有意差を認めなかった。また 2 年局所制御率は,両群間に
有意差を認めなかったが,IORT 群で良好な傾向であった。なお,この試験では現在の
標準治療である術後補助化学療法は併用されていない。
その他の膵癌に対する IORT に関する報告 3─14)
(レベルⅣb)の多くは後ろ向きの研究
であり,術前・術後照射や種々の補助化学療法が併用されているなど条件もさまざまで
ある。
これらの報告の大半では,IORT による膵癌の生存延長効果は示されていない。さら
に詳しくみると,補助療法としての IORT の有用性は認められなかったとする報告 8, 11)
(レベルⅣb)
,IORT による生存延長効果は認められないものの局所再発は減少したと
する報告 3, 10, 13, 14)
(レベルⅣb)
,そして補助療法としての IORT の効果が評価されていな
い報告 5─7, 12)
(レベルⅣb)などに分けることができる。
一方,Reni らは局所に限局した(locally limited disease)Stage Ⅰ〜Ⅱ膵癌において,
IORT 非施行群の生存期間中央値 13 カ月に対して,IORT 群で 18. 5 カ月と生存期間が延
長したことを報告している 4)
(レベルⅣb)
。ただし,この IORT 非施行群の生存期間中
央値が 13 カ月と短すぎる点にはやや問題がある。一方で彼らは,広範囲に進展した(locally advanced disease)Stage Ⅲ〜Ⅳ膵癌の生存期間中央値は,IORT 非施行群 14. 5 カ
月,IORT 群 12 カ月であり,IORT の効果は認められなかったと報告している。
また,IORT にほかの治療法を併用することによって生存期間が改善したとする報告
がある。Valentini らは,術前照射に IORT を併用した群の生存期間中央値が 30 カ月で,
IORT +術後照射の 22 カ月,IORT 単独の 13 カ月よりも有意に予後良好であったと報告
3
補助療法
(木下班)による RCT で検証され 1, 2)
(レベルⅡ),膵癌切除後の IORT は全生存期間(OS)
88 3.補助療法
している 12)
(レベルⅣb)
。また,Ogawa らは,IORT を行った膵癌 210 例の生存期間中
央値は 19. 1 カ月であり,特に化学療法を併用した群の 2 年生存率が 48. 0% で,化学療法
を併用していない群の 2 年生存率 34. 8% よりも有意に良好であったと報告している 14)
(レベルⅣb)
。
■
明日への提言
わが国からの多施設共同 RCT により,膵癌に対する補助療法として IORT 単独治療
には生存延長効果がないことがエビデンスとして示された。しかし,補助化学療法また
は術前・術後照射などとの併用による IORT の有用性が今後認められる可能性は否定で
きない。こうした IORT とほかの治療法の併用効果に関しては今後の研究課題であろう。
■
引用文献
1) Kinoshita T, Uesaka K, Shimizu Y, et al. Effects of adjuvant intra─operative radiation therapy after curative resection in pancreatic cancer patients:Results of a randomized study by 11 institutions in Japan. J Clin Oncol 2009:27:15 (
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2) 木下平,中郡聡夫,上坂克彦,他.膵癌治癒切除後の補助療法としての術中放射線治療(IORT)の
意義を問う RCT.日本外科学会雑誌 2010;111:161.
3) Hiraoka T, Kanemitsu K. Value of extended resection and intraoperative radiotherapy for resectable pancreatic cancer. World J Surg 1999;23:930─936.
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5) Okamoto A, Matsumoto G, Tsuruta K, et al. Intraoperative radiation therapy for pancreatic adenocarcinoma:the Komagome hospital experience. Pancreas 2004;28:296─300.
6) O’Connor JK, Sause WT, Hazard LJ, et al. Survival after attempted surgical resection and intraoperative radiation therapy for pancreatic and periampullary adenocarcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;63:1060─1066.
7) Yamaguchi K, Nakamura K, Kobayashi K, et al. ERT following IORT improves survival of patients with resectable pancreatic cancer. Hepatogastroenterology 2005;52:1244─1249.
8) Messick C, Hardacre JM, McGee MF, et al. Early experience with intraoperative radiotherapy in patients with resected pancreatic adenocarcinoma. Am J Surg 2008;195:308─311;discussion 312.
9) Ruano─Ravina A, Almazán Ortega R, Guedea F. Intraoperative radiotherapy in pancreatic cancer:a systematic review. Radiother Oncol 2008;87:318─325.
10) Valentini V, Morganti AG, Macchia G, et al. Intraoperative radiation therapy in resected pancreatic carcinoma: long─term analysis. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2008;70:1094─1099.
11) Showalter TN, Rao AS, Rani Anne P, et al. Does intraoperative radiation therapy improve local tumor control in patients undergoing pancreaticoduodenectomy for pancreatic adenocarcinoma? A propensity score analysis. Ann Surg Oncol 2009;16:2116─2122.
12) Valentini V, Calvo F, Reni M, et al. Intra─operative radiotherapy(IORT)in pancreatic cancer: joint analysis of the ISIORT─Europe experience. Radiother Oncol 2009;91:54─59.
13) Bachireddy P, Tseng D, Horoschak M, et al. Orthovoltage intraoperative radiation therapy for pancreatic adenocarcinoma. Radiat Oncol 2010;5:105.
14) Ogawa K, Karasawa K, Ito Y, et al;JROSG Working Subgroup of Gastrointestinal Cancers. Intraoperative radiotherapy for resected pancreatic cancer:a multi─institutional retrospective analysis of 210 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2010;77:734─742.
CQ 3 ─ 3 89
ửCQ 3─3 膵癌の術後化学放射線療法は推奨されるか?
推奨
膵癌に対する術後化学放射線療法の有用性は明らかではなく,試験的な位置づ
けとして行われるべきである(グレード C1)。
■
エビデンス
フルオロウラシルをベースにした術後化学放射線療法に関するメタアナリシスが 2
編 1, 2)
(レベルⅠ)報告されている。Khanna らは,ランダム化比較試験(RCT)4 編と非ラ
ンダム化比較試験 1 編を用いて,生命予後を検討した 1)。RCT は,GITSG(n = 49) 3)
(レ
ベルⅡ)
4)
(レベルⅣa)
,NPST(n = 61) 5)
(レベルⅡ),EORTC(n = 207) 6)
(レベルⅡ)
,
ESPAC(n = 217)
7)
(レベルⅡ)の 4 編であり,非ランダム化比較試験は Hopkins Group
の論文(n = 174)
8)
(レベルⅢ)であった。結果は,手術単独に比べて術後の化学放射線
0. 022)
。しかし,症例数が多い 3 編の試験(Hopkins Group,EORTC,ESPAC)に限っ
て検討すると,改善率は 10%
(95% CI:−1〜21%)に低下し,有意差は消失した(p =
0. 084)
。以上の結果から,フルオロウラシルをベースとした術後化学放射線療法の有用
性を支持する根拠は不十分と結論された。
Stocken らは,Norway グループ 9)
(レベルⅡ)
,
ESPAC 7),EORTC 6),GITSG 4),日本
からの報告 10)
(レベルⅡ)
,以上 5 編 875 例の RCT のうち,フルオロウラシルをベースと
した類似のレジメンを用いた EORTC と ESPAC の 478 例についてメタアナリシスの検
討を行った 2)。しかし,両者を併せたハザード比は 1. 09(95%CI:0. 89〜1. 32, p = 0. 43)
であり,有意差を認めなかった。また,生存期間中央値は CRT 群が 15. 8 カ月 (95%
CI:13. 9〜18. 1)
,CRT を行わなかった群が 15. 2 カ月(95%CI:13. 1〜18. 2),2 年および
5 年生存率はそれぞれ CRT 群が 30% と 12%,CRT 非施行群が 34% と 17% でいずれも
有意な差がなかった。予後因子別に比較したところ,CRT は R0 より R1 でより有効(p
= 0. 04)であった。以上より,R0 切除では術後補助療法として化学放射線療法は推奨さ
れないが,切除断端陽性の R1 切除の化学放射線療法の有用性についてはさらなる検討
が必要とされた。
その後,オランダから 2 編の補助動注化学放射線療法に関する RCT 11, 12)
(レベルⅡ)が
報告された。切除後の膵癌および乳頭部癌患者 120 例を補助動注化学放射線療法群 59 例
と観察群 61 例に分け,前向きに検討したところ,補助動注化学放射線療法群で無増悪
期間は延長したが,全生存期間は延長しなかった 11)。また,アンケートで QOL を調査
した論文では,補助動注化学放射線療法群で有意に疼痛(p = 0. 02)と嘔気・嘔吐(p =
0. 01)の症状が減少し,全体の QOL は改善する傾向を示した(p = 0. 08) 12)。
また,後ろ向き研究ではあるが,大規模な症例を集積し術後放射線化学療法を検討し
3
補助療法
療法(CRT)は 2 年生存率を 12%
(95% CI:2〜22%)改善させ,有意差を認めた(p =
90 3.補助療法
た報告が 5 編 13─17)
(レベルⅣb)ある。これらの報告では,補助化学放射線療法は予後を
改善させたとしている。
現在,膵癌に対する化学療法の中心はゲムシタビン塩酸塩であることから,ゲムシタ
ビン塩酸塩を中心とした補助化学放射線療法のレジメンが検討されているが,3 編の報
告にとどまる 18, 19)
(レベルⅣb)
20)
(レベルⅡ)。これらはいずれも小規模な臨床試験であ
り,いまだ有用性を示すに至っていない。
術後化学放射線療法〔総線量 50. 4 Gy/5. 5 週の体外照射+フルオロウラシル(250 mg/
2
m /日,静注)
〕の前後に,フルオロウラシルとゲムシタビン塩酸塩のいずれかを静注す
るレジメンが有効か否かを無作為に比較した試験がある(RTOG 9704) 21)
(レベルⅡ)
。
膵頭部癌患者ではゲムシタビン塩酸塩群のほうがフルオロウラシル群よりも,生存期間
中央値(20. 5 カ月 vs 16. 9 カ月)や 3 年生存率(31% vs 22%)の点で優れていたが,有意
な差ではなかった。RTOG 9704 の長期予後をみた論文 22)
(レベルⅡ)が報告されたが,5
年生存率も同様に有意差はなかった。
■
明日への提言
RCT の結果からはフルオロウラシルをベースとした膵癌に対する補助化学放射線療
法の有用性は証明されなかった。しかし,R1 切除症例に対し有用である可能性が示さ
れたこと,後ろ向き研究ではあるが多数例の報告から予後を延長させる可能性が示され
ていること,ゲムシタビン塩酸塩による補助化学放射線療法の解析がいまだに不十分で
あることから,今後さらなる検討が必要である。
■
引用文献
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3) The Gastrointestinal Tumor Study Group. A multi─institutional comparative trial of radiation therapy alone and in combination with 5─fluorouracil for locally unresectable pancreatic carcinoma. Ann Surg 1979;189:205─208.
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CQ 3 ─ 3 91
8) Yeo CJ, Abrams RA, Grochow LB, et al. Pancreaticoduodenectomy for pancreatic adenocarcinoma:postoperative adjuvant chemoradiation improves survival. A prospective, single─institution experience. Ann Surg 1997;225:621─633;discussion 633─636.
9) Bakkevold KE, Arnesjø B, Dahl O, et al. Adjuvant combination chemotherapy(AMF)following radical resection of carcinoma of the pancreas and papilla of Vater──results of a controlled, prospective, randomised multicentre study. Eur J Cancer 1993;29 A:698─703.
10) Takada T, Amano H, Yasuda H, et al;Study Group of Surgical Adjuvant Therapy for Carcinomas of the Pancreas and Biliary Tract. Is postoperative adjuvant chemotherapy useful for gallbladder carcinoma? A phase Ⅲ multicenter prospective randomized controlled trial in patients with resected pancreaticobiliary carcinoma. Cancer 2002;95:1685─1695.
11) Morak MJ, van der Gaast A, Incrocci L, et al. Adjuvant intra─arterial chemotherapy and radiotherapy versus surgery alone in resectable pancreatic and periampullary cancer:a prospective randomized controlled trial. Ann Surgery 2008;248:1031─1041.
12) Morak MJ, Pek CJ, Kompanje EJ, et al. Quality of life after adjuvant intra─arterial chemotherapy and radiotherapy versus surgery alone in resectable pancreatic and periampullary cancer:a prospective randomized controlled study. Cancer 2010;15:830─836.
13) Hsu CC, Herman JM, Corsini MM, et al. Adjuvant chemoradiation for pancreatic adenocarcinoma:the Johns Hopkins Hospital─Mayo Clinic collaborative study. Ann Surg Oncol 2010;17:
14) Corsini MM, Miller RC, Haddock MG, et al. Adjuvant radiotherapy and chemotherapy for pancreatic carcinoma:the Mayo Clinic experience(1975─2005). J Clin Oncol 2008;26:3511─3516.
15) You DD, Lee HG, Heo JS, et al. Prognostic factors and adjuvant chemoradiation therapy after pancreaticoduodenectomy for pancreatic adenocarcinoma. J Gastointest Surg 2009;13:1699─
1706.
16) Merchant NB, Rymer J, Koehler EA, et al. Adjuvant chemoradiation therapy for pancreatic adenocarcinoma:who really benefits? J Am Coll Surg 2009;208:829─838.
17) Yang R, Cheung MC, Byrne MM, et al. Survival effects of adjuvant chemoradiotherapy after resection for pancreatic carcinoma. Arch Surg 2010;145:49─56.
18) Abrams RA, Winter KA, Regine WF, et al. Failure to adhere to protocol specified radiation therapy guidelines was associated with decreased survival in RTOG 9704──a phase III trial of adjuvant chemotherapy and chemoradiotherapy for patients with resected adenocarcinoma of the pancreas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2012;82:809─816.
19) Ozkok S, Demirci S, Yalman D, et al. Postoperative gemcitabine alone and concurrent with radiation therapy in locally advanced pancreatic carcinoma. Tumori 2010;96:560─567.
20) Van Laethem JL, Hammel P, Mornex F, et al. Adjuvant gemcitabine alone versus gemcitabine─
based chemoradiotherapy after curative resection for pancreatic cancer:a randomized EORTC─
40013─22012/FFCD─9203/GERCOR phase Ⅱ study. J Clin Oncol 2010;28:4450─4456.
21) Regine WF, Winter KA, Abrams RA, et al. Fluorouracil vs gemcitabine chemotherapy before and after fluorouracil─based chemoradiation following resection of pancreatic adenocarcinoma:a randomized controlled trial. JAMA 2008;299:1019─1026.
22) Regine WF, Winter KA, Abrams R, et al. Fluorouracil─based chemoradiation with either gemcitabine or fluorouracil chemotherapy after resection of pancreatic adenocarcinoma:5─year analysis of the U.S. Intergroup/RTOG 9704 phase III trial. Ann Surg Oncol 2011;18:1319─1326.
3
補助療法
981─990.
92 3.補助療法
ửCQ 3─4 術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?
推奨
術後補助化学療法は切除単独に比べ良好な治療成績を示しており,実施するこ
とが勧められる(グレード A)。術後補助療法のレジメンは S─1 単独療法が推奨
され(グレード A)
,S─1 に対する忍容性が低い症例などではゲムシタビン塩酸
塩単独療法が勧められる(グレード B)。
■
エビデンス
1.術後補助化学療法と切除単独との比較検討
術後補助化学療法と切除単独を比較したランダム化比較試験は,欧州およびわが国を
中心に行われてきた。ノルウェーで行われた試験では,61 名の根治切除後の患者をフ
ルオロウラシル+ドキソルビシン塩酸塩+マイトマイシン C(AMF)療法施行群と切除
単独群に無作為に割り付け,AMF 療法施行群の生存期間中央値が切除単独群よりも有
意に良好であることを示したが 1)
(レベルⅡ)
,61 名の中に 14 名の乳頭部癌患者を含ん
でいた点で,研究デザインに課題を含んでいた。わが国で行われた試験では,508 例の
膵・胆道癌切除例をフルオロウラシル+マイトマイシン C 療法群と切除単独群に無作為
に割り付けたが,このうち膵癌 158 例のサブグループにおいては,生存に対する補助化
学療法の有効性は示されなかった 2)
(レベルⅡ)。また,89 例の膵癌切除例をフルオロウ
ラシル+シスプラチン*療法群と切除単独群に無作為に割り付けたわが国の試験におい
ても,補助化学療法の生存に対する有効性は示されなかった 3)
(レベルⅡ)
。
一方ドイツを中心に,膵癌切除後の 354 例をゲムシタビン塩酸塩単剤による補助化学
療法群と切除単独群に無作為に割り付けた CONKO─001 試験が行われ,補助化学療法に
よる無再発生存期間の有意な延長が示された 4)
(レベルⅡ)
。当初は,補助化学療法が生
存期間の有意な延長を示すには至らなかった(p = 0. 06)が,その後の長期の追跡調査で
は,無再発生存期間のみならず,生存期間をも有意に延長させることが報告された 5)
(レ
ベルⅡ)
。またわが国では,118 例の膵癌切除後の患者をゲムシタビン塩酸塩による補助
化学療法群と切除単独群に無作為に割り付けた JSAP─02 試験が行われ,CONKO─001 試
験の当初の報告と同様,ゲムシタビン塩酸塩による補助化学療法が無再発生存期間の有
意な延長をもたらすことが報告された 6)
(レベルⅡ)
。
2.フルオロウラシル+ホリナートカルシウム*併用療法およびゲムシタビン塩酸塩に
よる術後補助療法
European Study Group of Pancreatic Cancer( ESPAC)では,膵癌切除後の 289 例を
two─by─two factorial design によって化学療法(フルオロウラシル+ホリナートカルシ
ウム* )群,フルオロウラシル併用化学放射線療法群,化学放射線療法+化学療法群,
CQ 3 ─ 4 93
切除単独群の 4 群に無作為に割り付け,化学放射線療法を含む 2 群 vs 化学放射線療法を
含まない 2 群,化学療法を含む 2 群 vs 化学療法を含まない 2 群において生存期間を比較
した(ESPAC─1 試験)
。この結果,化学放射線療法を含む 2 群の生存期間は,化学放射
線療法を含まない 2 群の生存期間よりも劣った(p = 0. 05)が,フルオロウラシルをベー
スとする化学療法を含む 2 群は,化学療法を含まない 2 群よりも有意に生存期間が良好
であった(p = 0. 009)ことが示された 7)
(レベルⅡ)
。
また,その後 ESPAC は,1, 088 例の膵癌切除後の患者をフルオロウラシル+ホリナー
トカルシウム*による補助化学療法群とゲムシタビン塩酸塩による補助化学療法群に無
作為に割り付けた ESPAC─3 試験を行い,ゲムシタビン塩酸塩群とフルオロウラシル+
ホリナートカルシウム*群の間に生存期間の有意な差はなかったが,重篤な有害事象は
ゲムシタビン塩酸塩群のほうがフルオロウラシル+ホリナートカルシウム*群よりも有
意に少なかったことを報告した 8)
(レベルⅡ)
。
以上のことより,術後補助化学療法,特にゲムシタビン塩酸塩を用いた術後補助化学
を示し,またゲムシタビン塩酸塩はフルオロウラシル+ホリナートカルシウム*よりも
重篤な有害事象が少なかったことから,2012 年までは術後補助化学療法の標準治療は
ゲムシタビン塩酸塩であると位置づけられていた。
3.S─1 による術後補助療法
わが国の膵癌補助化学療法研究グループ(JASPAC)は,膵癌切除後の補助化学療法に
おけるゲムシタビン塩酸塩療法と S─1 療法の第Ⅲ相比較試験(JASPAC─01)を行い,S─1
がゲムシタビン塩酸塩に比べて,膵癌切除後の全生存および無再発生存を有意に延長さ
せることを,2013 年の Gastrointestinal Cancers Symposium で発表した。JASPAC─01
では,肉眼的に根治切除が施行された膵癌患者 385 例が登録され,術後の補助化学療法
としてゲムシタビン塩酸塩施行群と S─1 施行群に無作為に割り付けられた。最終登録か
ら 2 年 1 カ月目の追跡データで中間解析がなされ,術後 2 年生存率は S─1 群:70%,ゲ
ムシタビン塩酸塩群:53%,S─1 のゲムシタビン塩酸塩群に対する死亡をイベントとす
るハザード比は 0. 56 であり,S─1 はゲムシタビン塩酸塩に比べて有意に全生存を改善す
る(p < 0. 001)ことが示された。また,2 年無再発生存率および無再発生存期間中央値は,
S─1 群が 49% , 23. 2カ月,ゲムシタビン塩酸塩群が 29%,11. 2カ月であり,S─1はゲムシタ
ビン塩酸塩に比べて無再発生存も有意に改善する
(p <0. 001)
ことが示された 9)
(レベルⅡ)
。
以上のことから,2013 年現在では,膵癌の術後補助化学療法としては S─1 単独療法を
行うことが推奨される。その際のレジメンは JASPAC─01 に準じて,体表面積に応じて
1 回 40〜60 mg( 体 表 面 積 1. 25 m2 未 満:40 mg,1. 25 m2 以 上 1. 5 m2 未 満:50 mg,1. 5 m2
以上:60 mg)の S─1 を 1 日 2 回経口投与(1 日量 80〜120 mg),これを 28 日間連続投与し,
その後 14 日間の休薬期間を設け,以上 6 週を 1 コースとし 4 コース繰り返すことが推奨
される。
3
補助療法
療法は,切除単独に比べて,無再発生存期間および生存期間において有意に良好な成績
94 3.補助療法
一方,術後コントロール不良の下痢や経口摂取が不十分な症例など,S─1 の忍容性が
低いと考えられる場合は,比較的消化器毒性が低いゲムシタビン塩酸塩を用いた術後補
助療法が勧められる。
■
明日への提言
術後補助化学療法の標準治療は,従来のゲムシタビン塩酸塩から新たに S─1 に切り替
えられた。今後数年の間に,ゲムシタビン塩酸塩と経口フッ化ピリミジンとの併用療法
の臨床試験の結果が明らかになる予定である。今後,これらの臨床試験の結果にも注目
したい。
■
引用文献
1) Bakkevold KE, Arnesjø B, Dahl O, et al. Adjuvant combination chemotherapy(AMF)following radical resection of carcinoma of the pancreas and papilla of Vater──results of a controlled, prospective, randomised multicentre study. Eur J Cancer 1993;29 A:698─703.
2) Takada T, Amano H, Yasuda H, et al;Study Group of Surgical Adjuvant Therapy for Carcinomas of the Pancreas and Biliary Tract. Is postoperative adjuvant chemotherapy useful for gallbladder carcinoma? A phase Ⅲ multicenter prospective randomized controlled trial in patients with resected pancreaticobiliary carcinoma. Cancer 2002;95:1685─1695.
3) Kosuge T, Kiuchi T, Mukai K, et al; Japanese Study Group of Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer( JSAP). A multicenter randomized controlled trial to evaluate the effect of adjuvant cisplatin and 5─fluorouracil therapy after curative resection in cases of pancreatic cancer. Jpn J Clin Oncol 2006;36:159─165.
4) Oettle H, Post S, Neuhaus P, et al. Adjuvant chemotherapy with gemcitabine vs observation in patients undergoing curative─intent resection of pancreatic cancer:a randomized controlled trial. JAMA 2007;297:267─277.
5) Neuhaus P, Riess H, Post S, et al;Deutsche Krebsgesellschaft( CAO/AIO). CONKO─001:Final results of the randomized, prospective, multicenter phase Ⅲ trial of adjuvant chemotherapy with gemcitabine versus observation in patients with resected pancreatic cancer( PC). J Clin Oncol 2008;26:abstr LBA4504.
6) Ueno H, Kosuge T, Matsuyama Y, et al. A randomised phase Ⅲ trial comparing gemcitabine with surgery─only in patients with resected pancreatic cancer:Japanese Study Group of Adjuvant Therapy for Pancreatic Cancer. Br J Cancer 2009;101:908─915.
7) Neoptolemos JP, Stocken DD, Friess H, et al;European Study Group for Pancreatic Cancer. A randomized trial of chemoradiotherapy and chemotherapy after resection of pancreatic cancer. N Engl J Med 2004;350:1200─1210.
8) Neoptolemos JP, Stocken DD, Bassi C, et al;European Study Group for Pancreatic Cancer. Adjuvant chemotherapy with fluorouracil plus folinic acid vs gemcitabine following pancreatic cancer resection:a randomized controlled trial. JAMA 2010;304:1073─1081.
9) Uesaka K, Fukutomi A, Boku N, et al. Randomized phase Ⅲ trial of adjuvant chemotherapy with gemcitabine versus S─1 for patients with resected pancreatic cancer( JASPAC─01 study). J Clin Oncol 2013;31( suppl):abstr 145.
CQ 4 ─ 1 95
4
放射線療法
ửCQ 4─1 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される一次治療は
何か?
推奨
局所進行切除不能膵癌に対する一次治療としては,化学放射線療法または化学
療法単独による治療が推奨される(グレード A)(化学放射線療法,化学療法の
具体的な治療レジメンは,CQ4─2,CQ5─2 において推奨する)。
■
エビデンス
切除は困難であるが遠隔転移を認めない局所進行切除不能膵癌を対象とした放射線療
法単独,化学放射線療法,化学療法単独に関するランダム化比較試験としては,古くは
1988 年までに報告された 4 つの試験 1─4)と,実際の登録が 1980 年代(発表は 2005 年)
に行わ
れた 1 つの試験 5)の,計 5 つの試験がある。その後 14 年間ランダム化比較試験の報告は
なかったが,2002 年以降に化学放射線療法,化学療法単独,支持療法に関する 4 つのラ
ンダム化比較試験が報告された 6─9)。それらのランダム化比較試験の結果をまとめ(表 4)
,
1.化学放射線療法と放射線療法単独の比較(3 つのランダム化比較試験)
米国の Moertel らは,局所進行切除不能消化器癌 187 例(膵癌 64 例)に対してフルオロ
ウラシル併用化学放射線療法群と放射線療法単独群(プラセボとして生理食塩水を点滴)
とに分ける二重盲検によるランダム化比較試験を施行し,化学放射線療法群の生存期間
が放射線療法単独群に比し有意に良好であることを 1969 年に報告している(生存期間中
央値は化学放射線療法群が 10. 4 カ月,放射線療法単独群が 6. 3 カ月) 1)
(レベルⅡ)。その
後,米国の Gastrointestinal Tumor Study Group(GITSG)は,局所進行切除不能膵癌に
対してフルオロウラシル併用化学放射線療法群 (40 Gy 群,60 Gy 群)と放射線療法単独
群とに割り付けるランダム化比較試験を施行し,化学放射線療法群の生存期間が有意に
良好であることを 1981 年に報告した(生存期間中央値は 40 Gy の化学放射線療法群が
10. 6 カ月,60 Gy の化学放射線療法群が 10. 1 カ月,放射線療法単独群が 5. 7 カ月) 2)
(レベ
ルⅡ)
。一方,米国の Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)は,局所進行切除
不能膵癌 104 例に対してフルオロウラシルとマイトマイシン C 併用化学放射線療法群と
放射線療法単独群とに割り付けるランダム化比較試験を実施し(登録期間は 1983 年から
1989 年)
,両群間には生存期間の差がなかったことを 2005 年に報告した(生存期間中央
値は化学放射線療法群が 8. 4 カ月,放射線療法単独群が 7. 1 カ月) 5)
(レベルⅡ)。この試
験の化学放射線療法群ではフルオロウラシルとマイトマイシン C による 2 剤の抗がん薬
併用のために有害事象の発現割合が有意に高く (p = 0. 0002),これが生存期間の向上に
4
放射線療法
局所進行切除不能膵癌に対して推奨される一次治療について検討した。
96 4.放射線療法
結びつかなかった可能性がある。
以上のことから,化学放射線療法の生存期間は放射線療法単独に比し有意に良好と考
えられる。
2.化学放射線療法と支持療法の比較(1 つのランダム化比較試験)
日本の Shinchi らは,局所進行切除不能膵癌 31 例に対してフルオロウラシル併用化学
放射線療法群と無治療群とに割り付けるランダム化比較試験を施行し,化学放射線療法
群の生存期間が有意に良好であることを 2002 年に報告している(生存期間中央値は化学
放射線療法群が 13. 2 カ月,無治療群が 6. 4 カ月) 6)
(レベルⅡ)。有害事象に関して,化学
放射線療法群の grade 3 の割合は 6. 3% であった。
3.化学放射線療法と化学療法単独の比較(4 つのランダム化比較試験)
米国の ECOG は,局所進行切除不能膵癌 91 例に対してフルオロウラシル併用化学放
射線療法群とフルオロウラシルによる化学療法単独群とに割り付けるランダム化比較試
験を施行し,両群間には明らかな差がないことを 1985 年に報告している(生存期間中央
値は化学放射線療法群が 8. 3 カ月,化学療法単独群が 8. 2 カ月) 3)
(レベルⅡ)。この試験
では放射線の総線量が 40 Gy と少ないという指摘がある。一方,米国の GITSG は,局所
進行切除不能膵癌 43 例に対してフルオロウラシル併用化学放射線療法群とストレプト
ゾシン*+マイトマイシン C +フルオロウラシルによる化学療法単独群とに割り付ける
ランダム化比較試験を施行し,化学放射線療法群の生存期間が有意に良好であることを
1988 年に報告した(生存期間中央値は化学放射線療法群が 10. 5 カ月,化学療法単独群が
8. 0 カ月)
4)
(レベルⅡ)
。
近年,化学放射線療法とゲムシタビン塩酸塩による化学療法単独の 2 つのランダム化
比較試験が報告されている。1 つはフランスの Fédération Francophone de Cancérologie Digestive/Société Francophone de Radiotherapié Oncologique( FFCD/SFRO)が,
局所進行切除不能膵癌 119 例に対してフルオロウラシル+シスプラチン併用化学放射線
療法群と,ゲムシタビン塩酸塩による化学療法単独群とに割り付けるランダム化試験を
実施したもので,化学療法単独群の生存期間が有意に良好であることを 2008 年に報告
している(生存期間中央値は化学放射線療法群が 8. 6 カ月,化学療法単独群が 13. 0 カ月) 8)
(レベルⅡ)
。有害事象に関して,grade 3〜4 の割合は一次療法中と維持療法中のどち
らも化学放射線療法群で有意に高かった(一次療法中,維持化学療法中で各々,化学放
射線療法群が 65. 5%,78. 1%,化学療法単独群が 40. 0%,40. 0%)。この試験の化学放射
線療法群の生存期間が従来の報告よりも不良な理由として,フルオロウラシルとシスプ
ラチン併用のために有害事象が強く,維持化学療法のゲムシタビン塩酸塩の投与回数と
総投与量が有意に低かったことが関係していると考えられている。一方,米国の ECOG
は局所進行切除不能膵癌 71 例に対してゲムシタビン塩酸塩併用化学放射線療法群とゲ
* 保険未収載の検査・治療
CQ 4 ─ 1 97
ムシタビン塩酸塩による化学療法単独群とに割り付けるランダム化比較試験を実施し,
化学放射線療法群の生存期間が有意に良好であることを 2011 年に報告している(生存期
間中央値は化学放射線療法群が 11. 1 カ月,化学療法単独群が 9. 2 カ月) 9)
(レベルⅡ)
。有
害事象に関して,grade 4〜5 の割合は化学放射線療法群で高かったが(化学放射線療法
群が 41%,化学療法単独群が 9%)
,grade 3〜4 の割合は両群で差はなかった(化学放射
線療法群が 77%,化学療法単独群が 79%)
。これら 2 つの試験は登録集積が遅く,途中
で試験が終了しているため,試験の質に対する疑問が呈されている。
以上のことから,現時点で化学放射線療法と化学療法単独の優位性を結論付けること
はできない。
4.結論
1〜3 より局所進行切除不能膵癌に対しては,1,2 で述べたように放射線療法単独ま
たは支持療法との比較からは化学放射線療法が推奨される。また,3 で述べたように化
学放射線療法と化学療法単独のランダム化比較試験は相反する結果であり,その優劣に
ついて一定のコンセンサスは得られていない。化学放射線療法と化学療法単独治療はす
表 4 局所進行切除不能膵癌に対するランダム化比較試験
Moertel 1)
Moertel 2)
1969
1981
GITSG
Klaassen 3)
1985
ECOG
GITSG 4)
Cohen 5)
1988
2005
ECOG
Shinchi 6)
Li 7)
Chauffert 8)
2002
2003
化学
療法
35〜40 Gy + 5─FU
─
─
─
─
40 Gy
─
─
40 Gy + 5─FU
─
─
5─FU
生存期間
中央値
(月)
p値
32
10. 4
< 0. 05
32
6. 3
28
10. 6
< 0. 01
< 0. 01
維持化
患者数
学療法
60 Gy + 5─FU
─
─
5─FU
31
10. 1
─
60 Gy
─
─
25
5. 7
40 Gy + 5─FU
─
─
5─FU
47
8. 3
─
─
5─FU
5─FU
44
8. 2
54 Gy + 5─FU
─
─
SMF
22
10. 5
─
─
SMF
SMF
21
8. 0
59. 4 Gy+5─FU+MMC
─
─
─
55
8. 4
─
59. 4 Gy
─
─
49
7. 1
50. 4 Gy + 5─FU
─
─
5─FU
16
13. 2
─
─
─
─
15
6. 4
50. 4〜61. 2 Gy + 5─FU
─
─
GEM
16
6. 7
50. 4〜61. 2 Gy + GEM
─
─
GEM
18
14. 5
2008
60 Gy + 5─FU + CDDP
─
─
GEM
59
8. 6
─
─
GEM
GEM
60
13. 0
2011
50. 4 Gy + GEM
─
─
GEM
34
11. 1
─
─
GEM
GEM
37
9. 2
FFCD/SFRO
Loehrer 9)
放射線
療法
化学放射線療法
ECOG
5─FU:フルオロウラシル MMC:マイトマイシン C GEM:ゲムシタビン塩酸塩 n.s.
0. 02
0. 16
0. 0009
0. 027
0. 03
0. 017
CDDP:シスプラチン
SMF:ストレプトゾシン*,マイトマイシン C,フルオロウラシル
n.s.:有意差なし
4
放射線療法
報告者
報告年
臨床試験グループ
98 4.放射線療法
でに実地診療として広く浸透しており,安全性も高いことからどちらも一次治療として
推奨され得ると判断した。
■
明日への提言
局所進行切除不能膵癌の治療成績は,ゲムシタビン塩酸塩や S─1 などの新規抗がん薬
を用いた治療により少しずつ向上してきているが(CQ4─2,CQ5─2),まだ満足いく
ものではなく,臨床試験での治療開発が望まれる状況である。化学放射線療法の利点と
しては,化学療法単独に比し,2 年生存割合などの中長期的な生存割合の向上を図れる
ことや,局所制御による疼痛緩和が期待できることなどがある(CQ4─6)
。一方,化学
療法単独の利点は,化学放射線療法に比し有害事象が軽く,外来治療が可能なことが挙
げられる。治療方針決定の際には,それぞれの治療の有効性とともに治療方法・治療ス
ケジュール,有害事象なども含めた説明をすることが必要である。また今後の臨床試験
によって両治療法の優劣や位置づけを明らかにすることが重要である。
■
引用文献
1) Moertel CG, Childs DS Jr, Reitemeier RJ, et al. Combined 5─fluorouracil and supervoltage radiation therapy of locally unresectable gastrointestinal cancer. Lancet 1969;2:865─867.
2) Moertel CG, Frytak S, Hahn RG, et al. Therapy of locally unresectable pancreatic carcinoma:a randomized comparison of high dose(6000 rads)radiation alone, moderate dose radiation(4000 rads+5─fluorouracil), and high dose radiation+5─fluorouracil:The Gastrointestinal Tumor Study Group. Cancer 1981;48:1705─1710.
3) Klaassen DJ, MacIntyre JM, Catton GE, et al. Treatment of locally unresectable cancer of the stomach and pancreas:a randomized comparison of 5─fluorouracil alone with radiation plus concurrent and maintenance 5─fluorouracil──an Eastern Cooperative Oncology Group study. J Clin Oncol 1985;3:373─378.
4) Gastrointestinal Tumor Study Group. Treatment of locally unresectable carcinoma of the pancreas:comparison of combined─modality therapy(chemotherapy plus radiotherapy)to chemotherapy alone. J Natl Cancer Inst 1988;80:751─755.
5) Cohen SJ, Dobelbower R Jr, Lipsitz S, et al. A randomized phase Ⅲ study of radiotherapy alone or with 5─fluorouracil and mitomycin─C in patients with locally advanced adenocarcinoma of the pancreas:Eastern Cooperative Oncology Group study E8282. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;62:1345─1350.
6) Shinchi H, Takao S, Noma H, et al. Length and quality of survival after external─beam radiotherapy with concurrent continuous 5─fluorouracil infusion for locally unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2002;53:146─150.
7) Li CP, Chao Y, Chi KH, et al. Concurrent chemoradiotherapy treatment of locally advanced pancreatic cancer:gemcitabine versus 5─fluorouracil, a randomized controlled study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2003;57:98─104.
8) Chauffert B, Mornex F, Bonnetain F, et al. Phase Ⅲ trial comparing intensive induction chemoradiotherapy(60 Gy, infusional 5─FU and intermittent cisplatin)followed by maintenance gemcitabine with gemcitabine alone for locally advanced unresectable pancreatic cancer. Definitive results of the 2000─01 FFCD/SFRO study. Ann Oncol 2008;19:1592─1599.
9) Loehrer PJ Sr, Feng Y, Cardenes H, et al. Gemcitabine alone versus gemcitabine plus radiotherapy in patients with locally advanced pancreatic cancer:an Eastern Cooperative Oncology Group trial. J Clin Oncol 2011;29:4105─4112.
CQ 4 ─ 2 99
ửCQ 4─2 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される化学放射線療法
は何か?
推奨
局所進行切除不能膵癌に対して,放射線療法を行う場合には,フッ化ピリミジ
ン系抗がん薬またはゲムシタビン塩酸塩との併用が推奨される(グレード B)。
放射線療法については,3 次元治療計画を行い,腫瘍に対する正確な照射と正
常臓器への線量低減を図ることが推奨される。
■
エビデンス
局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法について,これまでに得られているエ
ビデンスを検証した。
フルオロウラシルは古くから消化器癌の治療薬として用いられてきたが,放射線の増
感剤としてもその有効性が知られており,多くの固形癌に対して併用療法が試みられて
きた。切除不能膵癌の標準治療として化学放射線療法が推奨される根拠となった 3 つの
ランダム化比較試験においても,フルオロウラシルをベースとした化学療法が用いられ
ており 1─3)
(レベルⅡ)
,また米国の『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)においては,総線
法の同時併用が推奨されている。
しかしながら,その具体的なレジメンについてはいまだ研究段階であり,一定のコン
センサスは得られていない。フルオロウラシルはその暴露時間が長いほど,放射線に対
する増感作用が増強することが知られており,放射線との併用療法において,持続静注
(protracted venous infusion;PVI)がボーラス静注より効果の面で優れていることが,
直腸癌(Ⅱ〜Ⅲ期)に対するランダム化比較試験において示されている。これに基づき,
膵癌の治療においても,フルオロウラシル持続静注と放射線とのさまざまな併用療法が
試みられてきたが,ランダム化比較試験を行うには至っておらず,後ろ向きの比較検討
においては,治療強度,生存期間において,持続静注の優位性を示すことはできなかっ
た 4)
(レベルⅢ)
。
一方,2006 年,膵癌に対して新規に保険適応が認可された S─1 は,フルオロウラシル
持続静注と同様,血中フルオロウラシル濃度をより高濃度でかつ長時間持続させる作用
をもち,ほかの癌種においても放射線療法との併用効果が期待される薬剤である。膵癌
に対する放射線療法との併用については,第Ⅰ,Ⅱ相試験の報告があり,全生存期間は
12. 9〜16. 8 カ月(中央値)であった 5─8)
(レベルⅢ)。これらの試験における放射線療法の
レジメンには,従来のフルオロウラシル併用レジメンと同様に 50 Gy 程度の線量(1 回
1. 8 Gy にて 1 日 1 回または 1 回 1. 25 Gy にて 1 日 2 回)が用いられている。フルオロウラシ
ル併用化学放射線療法との比較試験はこれまでにないが,経口薬であることの利便性に
4
放射線療法
量 45〜54 Gy(1 回 1. 8〜2. 4 Gy)の放射線療法にフルオロウラシルをベースとした化学療
100 4.放射線療法
より,
『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)においては同じくフッ化ピリミジン系経口抗
がん薬であるカペシタビン*が選択肢として挙げられている。
なお,シスプラチンについても,放射線増感作用を期待し併用が試みられたが,シス
プラチン単剤少量連日投与での同時併用においては毒性が強く,有効性は示されなかっ
た 9)
(レベルⅢ)
。
ゲムシタビン塩酸塩はフルオロウラシルとのランダム化比較試験の結果,切除不能膵
癌に対する一次化学療法と位置づけられているが,放射線療法との併用については,ま
とまった比較試験がない。ただし,膵癌への使用が開始されてから現在までに,第Ⅰ,
Ⅱ相試験を中心とした研究結果は数多く報告されている 10, 11, 13, 15)
(レベルⅢ)
12)
(レベル
Ⅳb)
14)
(レベルⅡ)
(日本では 2002 年より保険適用)。その治療成績は全生存期間で 8. 2
〜16. 6 カ月(中央値)と幅はあるものの,2〜3 年を超える長期生存例も散見されること
が特徴のひとつである。ただし,消化管への毒性などの合併症の割合も高く,安全性が
確認されていないレジメンは併用療法として使用されるべきではない。薬剤の投与量,
放射線療法の照射線量や照射スケジュールなどについてはいまだコンセンサスは得られ
ていないが,これまでの方向性としては大きく 2 つの方法に分けることができる。ひと
つは,通常分割法を用いた 45〜54 Gy〔1 回 1. 8 Gy〜2. 0 Gy,生物学的等価線量(biologically effective dose;BED)60〜65 Gy〕の放射線療法に少量のゲムシタビン塩酸塩(通常投与
量の 25〜60% 程度,或いは 100 mg/m2 以下の低用量で週 2 回投与)を同時併用するレジ
メン 10, 11, 13─15),もう一方は,総線量,分割回数(照射期間)を減じた放射線療法(例として,
総線量 36 Gy,1 回 2. 4 Gy,BED 45 Gy)に高濃度のゲムシタビン塩酸塩(1, 000 mg/m2)
を併用する方法である 12)。前者は,ある程度広い範囲の照射野を設定し(多くは予防的
リンパ節領域を含む)
,有害事象が許容できる最大投与量での薬剤の増感作用を期待し
たものであり,後者は,臨床標的体積に予防的リンパ節領域をまったく含まない方法で
周囲臓器への有害事象を物理的に軽減し,局所治療と同時に全身治療を強化することを
狙いとしたものである。リンパ節領域の予防照射については議論の分かれるところであ
るが,詳細は CQ4─3 を参照されたい。また,化学放射線療法の前に導入化学療法を行
うレジメンも近年試みられている 16)
(レベルⅢ)。遠隔転移が早期に顕在化する症例(局
所療法である放射線療法の上乗せ効果が小さいと考えられる症例)を選別することが目
的のひとつと考えられているが,化学療法を先行することで,放射線療法のコンプライ
アンスや感受性も何らかの影響を受ける可能性があり,全体的な治療効果としては,今
後の検証結果を待つ必要がある(詳細は CQ4─4 を参照)。
なお,照射方法については,高エネルギーの X 線を用いることが望ましく,リスク臓
器への線量を考慮し 3 次元治療計画を行うことが推奨される。体幹部定位放射線治療
(stereotactic body radiation therapy;SBRT)や強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy;IMRT)などの高精度治療や粒子線治療の導入も近年試みられ
ている。いずれも周囲臓器への有害事象を増強させることなく線量増加を行うことを目
CQ 4 ─ 2 101
的としたものであるが,現時点ではいまだ研究レベルである。
以上より,現時点において,局所進行切除不能膵癌に対して化学放射線療法を行う場
合,フッ化ピリミジン系抗がん薬またはゲムシタビン塩酸塩との併用が推奨される。併
用時の具体的なレジメンについてはいまだ一定のコンセンサスは得られていないが,放
射線療法に関しては高エネルギーの X 線を用い,リスク臓器への線量を考慮し 3 次元治
療計画を行うことが望ましい。
■
明日への提言
一般的に,膵癌は早期に遠隔転移をきたす率が高く,局所進行切除不能膵癌に対する
治療においては,局所治療と全身療法とのバランスが重要と考えられる。化学放射線療
法におけるレジメンの完遂率,有効性については,放射線療法の線量や照射野の設定,
線量分割,照射方法によっても大きく影響されることに注意されたい。また,現在進行
しつつある分子レベルでの研究成果に基づき,個々の進行パターンや効果を予測し治療
法を選択する試みも進められており,今後の発展が期待される。
いずれにしても,過去 20 年間における放射線治療技術の進歩を膵癌治療へすみやか
に,かつ適切に反映させる努力が望まれる。
引用文献
1) Moertel CG, Childs DS Jr, Reitemeier RJ, et al. Combined 5─fluorouracil and supervoltage radiation therapy of locally unresectable gastrointestinal cancer. Lancet 1969;2:865─867.
2) Moertel CG, Frytak S, Hahn RG, et al. Therapy of locally unresectable pancreatic carcinoma:a randomized comparison of high dose(6000 rads)radiation alone, moderate dose radiation(4000 rads+5─fluorouracil), and high dose radiation+5─fluorouracil:The Gastrointestinal Tumor Study Group. Cancer 1981;48:1705─1710.
3) Gastrointestinal Tumor Study Group. Treatment of locally unresectable carcinoma of the pancreas:comparison of combined─modality therapy(chemotherapy plus radiotherapy)to chemotherapy alone. J Natl Cancer Inst 1988;80:751─755.
4) Mehta VK, Poen JC, Ford JM, et al. Protracted venous infusion 5─fluorouracil with concomitant radiotherapy compared with bolus 5─fluorouracil for unresectable pancreatic cancer. Am J Clin Oncol 2001;24:155─159.
5) Kim HM, Bang S, Park JY, et al. Phase II trial of S─1 and concurrent radiotherapy in patients with locally advanced pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol 2009;63:535─541.
6) Sudo K, Yamaguchi T, Ishihara T, et al. Phase II study of oral S─1 and concurrent radiotherapy in patients with unresectable locally advanced pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys, 2011;80:119─125.
7) Shinchi H, Maemura K, Mataki Y, et al. A phase Ⅱ study of oral S─1 with concurrent radiotherapy followed by chemotherapy with S─1 alone for locally advanced pancreatic cancer. J Hepatobiliary Pancreat Sci 2012;19:152─158.
8) Ikeda M, Ioka T, Ito Y, et al. A multicenter phase II trial of S─1 with concurrent radiation therapy for locally advanced pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2013;85:163─169.
9) Okusaka T, Okada S, Tokuuye K, et al. Lack of effectiveness of radiotherapy combined with cisplatin in patients with locally advanced pancreatic carcinoma. Cancer 2001;91:1384─1389.
10) Blackstock AW, Tepper JE, Niedwiecki D, et al. Cancer and leukemia group B(CALGB)89805:
4
放射線療法
■
102 4.放射線療法
phase Ⅱ chemoradiation trial using gemcitabine in patients with locoregional adenocarcinoma of the pancreas. Int J Gastrointest Cancer 2003;34:107─116.
11) Okusaka T, Ito Y, Ueno H, et al. Phase Ⅱ study of radiotherapy combined with gemcitabine for locally advanced pancreatic cancer. Br J Cancer 2004;91:673─677.
12) Murphy JD, Adusumilli S, Griffith KA, et al. Full─dose gemcitabine and concurrent radiotherapy for unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007;68:801─808.
13) Girard N, Mornex F, Bossard N, et al. Estimating optimal dose of twice─weekly gemcitabine for concurrent chemoradiotherapy in unresectable pancreatic carcinoma:mature results of GEMRT─
01 Phase I trial. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2010;77:1426─1432.
14) Loehrer PJ Sr, Feng Y, Cardenes H, et al. Gemcitabine alone versus gemcitabine plus radiotherapy in patients with locally advanced pancreatic cancer:an Eastern Cooperative Oncology Group trial. J clin Oncol 2011;29:4105─4112.
15) Shibuya K, Oya N, Fujii T, et al. Phase Ⅱ study of radiation therapy combined with weekly low─
dose gemcitabine for locally advanced, unresectable pancreatic cancer. Am J Clin Oncol 2011;
34:115─119.
16) Kurt E, Kurt M, Kanat O, et al. Phase Ⅱ study of induction chemotherapy with gemcitabine plus 5─fluorouracil followed by gemcitabine─based concurrent chemoradiotherapy for unresectable locally advanced pancreatic cancer. Tumori 2006;92:481─486.
CQ 4 ─ 3 103
ửCQ 4─3 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線療法では,
どのような臨床標的体積を設定するのがよいか?
推奨
局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線療法では,肉眼的腫瘍体積と転移頻
度の高いリンパ節群のみを含んだ臨床標的体積にすることが勧められる(グ
レード C1)
。
■
エビデンス
局所進行切除不能膵癌に対しては,化学放射線療法を行うことが推奨されている
(CQ4─1)
。その際の放射線療法の臨床標的体積(clinical target volume;CTV)として,
肉眼的腫瘍体積(gross tumor volume;GTV)に局所の顕微鏡的進展のみを加えるだけ
でなく,腫大のないリンパ節領域(予防的リンパ節領域)を含める必要があるかについ
て検討した。
膵癌はリンパ管浸潤や神経周囲浸潤の頻度が高いため,特に欧米では予防的リンパ節
領域として Th11 から L3 付近までの傍大動脈リンパ節領域を含んだ照射野で治療が行わ
れてきた。術後化学放射線療法の場合は,現在でも予防的リンパ節領域を含めた広い照
しかし局所進行切除不能膵癌に対しては,原発巣自体の制御が困難であり,予防的リ
ンパ節領域まで照射野に含める意義は乏しいとする考え方がある。そのため特に化学療
法を併用する場合は,GTV のみ,または GTV と膵周囲のリンパ節のみに限局した照射
法が試みられるようになってきた。
CTV に予防的リンパ節領域を含めるかどうかに関しては,これまで前向き比較試験
は行われておらず,いずれかの方法を積極的に支持するだけの科学的根拠はない。実際
のケースシリーズの報告では GTV ±転移頻度の高いリンパ節群を CTV として照射を行
い,治療はほとんどの症例で完遂可能で,照射野外リンパ節再発はなかった,という報
告が散見される 1─3)
(レベルⅣb)
。
また切除例の病理組織学的観察の報告では,転移頻度の高いリンパ節は膵周囲に限局
していたとするものや 4)
(レベルⅤ),リンパ流は傍大動脈リンパ節領域を体軸方向へ進
展するよりも膵レベルにとどまっていることが多いとするものがある 5)(レベルⅤ)
。わ
が国の『膵癌取扱い規約』
(第 6 版)では,リンパ流やリンパ節転移率,予後の成績に基
づき,原発部位に応じてリンパ節領域を 3 群に分類している(表 5)
6)。
一方,予防的リンパ節領域を含めた広い照射野の場合は照射体積内に含まれる腸管の
体積が増え,消化器毒性が強くなるデメリットがある。国立がん研究センターからの報
告によると,ゲムシタビン塩酸塩を併用した化学放射線療法の場合,計画標的体積 (planning target volume;PTV)が 500 cm3 以上で grade 3 以上の消化器毒性の頻度が
4
放射線療法
射野が用いられることが多い。
104 4.放射線療法
表 5 『膵癌取扱い規約』(第 6 版)によるリンパ節群分類
頭部
体尾部
1 群リンパ節
13 a,13 b,17 a,17 b
2 群リンパ節
6,8 a,8 p,12 a,12 b,12 p,14 p, 7,9,14 p,14 d,15
14 d
3 群リンパ節
1,2,3,4,5,7,9,10,11 p,11 d, 5,6,12 a,12 b,12 p,13 a,13 b,17 a,
15,16 a2,16 b1,18
17 b,16 a2,16 b1
8 a,8 p,10,11 p,11 d,18
有意に高いという結果であった 7)
(レベルⅣb)
。
このように少なくとも広い予防的リンパ節領域設定の必要性は,局所制御の面からも
有害事象の観点からも薄いことが示唆される。
『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)では
カテゴリー 2 A の推奨度で,標準的な CTV は GTV+0. 5〜1. 5 cm であるとし,さらに 0. 5
〜2 cm の呼吸性移動などを加味した PTV マージンを加えることで膵臓近傍のリンパ節
(peri─pancreatic nodes)も概ね含まれるとしている。また照射技術的には体幹部定位放
射線治療(SBRT)
8)
(レベルⅣb)や強度変調放射線治療(IMRT) 9)
(レベルⅣb)という技
法にて線量の集中性を高める方法も用いられるようになってきた。SBRT では CTV に
予防的リンパ節領域を全く含めない照射法,IMRT では転移の頻度が高いリンパ節群を
含む照射法が用いられることが多いが,それら照射法や照射範囲の比較については今後
の臨床試験による検証が必要である。
以上より,現時点においては,局所進行切除不能膵癌の化学放射線療法時には,放射
線療法の線量増加,および化学療法の併用を考慮すると,広範な予防的リンパ節領域の
設定は勧められるだけの根拠がなく,CT で認められる GTV と転移の頻度が高いリンパ
節群のみを CTV に含むことが勧められる。
■
明日への提言
高精度放射線治療技術の登場により,膵癌に対しても線量集中性の高い放射線療法が
行えるようになった。適切な照射範囲については,リンパ節転移の頻度を根拠にして
CTV を設定した照射範囲別の比較試験を行い,規準を作っていく価値があると考える。
■
引用文献
1) Kawakami H, Uno T, Isobe K, et al. Toxicities and effects of involved─field irradiation with concurrent cisplatin for unresectable carcinoma of the pancreas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;
62:1357─1362.
2) Tokuuye K, Sumi M, Kagami Y, et al. Small─field radiotherapy in combination with concomitant chemotherapy for locally advanced pancreatic carcinoma. Radiother Oncol 2003;67:327─330.
3) Murphy JD, Adusumilli S, Griffith KA, et al. Full─dose gemcitabine and concurrent radiotherapy for unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007;68:801─808.
4) Brunner TB, Merkel S, Grabenbauer GG, et al. Definition of elective lymphatic target volume in CQ 4 ─ 3 105
ductal carcinoma of the pancreatic head based on histopathologic analysis. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;62:1021─1029.
5) Nagakawa T, Kobayashi H, Ueno K, et al. Clinical study of lymphatic flow to the paraaortic lymph nodes in carcinoma of the head of the pancreas. Cancer 1994;73:1155─1162.
6) 日本膵臓学会編.膵癌取扱い規約(第 6 版).金原出版,2009
7) Ito Y, Okusaka T, Kagami Y, et al. Evaluation of acute intestinal toxicity in relation to the volume of irradiated small bowel in patients treated with concurrent weekly gemcitabine and radiotherapy for locally advanced pancreatic cancer. Anticancer Res 2006;26:3755─3759.
8) Mahadevan A, Miksad R, Goldstein M, et al. Induction gemcitabine and stereotactic body radiotherapy for locally advanced nonmetastatic pancreas cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2011;
81:e615─622.
9) Abelson JA, Murphy JD, Minn AY, et al. Intensity─modulated radiotherapy for pancreatic adenocarcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2012;82:e595─601.
放射線療法
4
106 4.放射線療法
ửCQ 4─4 局所進行切除不能膵癌に対し,化学放射線療法前の
導入化学療法の意義はあるか?
推奨
局所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法前に導入化学療法を行うことで,
同時化学放射線療法を施行するメリットの高い症例群が選別され,選別例では
良好な治療成績が報告されている点から意義があり,治療選択肢として考慮さ
れてもよい(グレード C1)
。
■
エビデンス
局所進行切除不能膵癌に対して,化学放射線療法が標準治療(CQ4─1)として推奨さ
れているが,早期に遠隔転移を生じる症例は少なくない。化学放射線療法前に導入化学
療法を施行する目的として,化学放射線療法のメリットを得やすい症例の選別,潜在的
な遠隔転移の抑制などがある。化学放射線療法前の導入化学療法が局所進行切除不能膵
癌に対して有効な治療法であるかどうかのエビデンスを検討した。
これまで膵癌に対する化学放射線療法前の導入化学療法の報告は第Ⅰ,Ⅱ相試験に限
られており,ランダム化比較試験によって長期生存率などを比較・検証したものはな
い。 複数の第Ⅱ相試験で,導入化学療法により潜在的な遠隔転移例が 3〜33% 選別でき,
全生存期間は 10〜19 カ月と,比較的良好な成績が得られている 1─9)(レベルⅢ)
。局所進
行切除不能膵癌に対してゲムシタビン塩酸塩と S─1 による導入化学療法後,ゲムシタビ
ン塩酸塩を用いた同時化学放射線療法を施行したわが国で行われた第Ⅱ相試験では,全
生存期間 14. 4 カ月と報告されている 6)
(レベルⅢ)。また,borderline resectable を含む
局所進行膵癌に対しゲムシタビン塩酸塩とシスプラチンによる導入化学療法後,同時化
学放射線療法を施行した第Ⅱ相試験では,全生存期間 13 カ月と報告されている 9)
(レベ
ルⅢ)
。多数例を対象とした後ろ向き検討では,ゲムシタビン塩酸塩を中心とした 3 カ
月間の導入化学療法により 29% を占める潜在的な遠隔転移例を選別することができ,
また,導入化学療法後の同時化学放射線療法施行例は,全生存期間 15. 0 カ月と,化学
療法継続例の 11. 7 カ月と比較し有意に良好な成績が得られている 10)
(レベルⅣa)
。
以上のように,第Ⅱ相試験や後ろ向き検討の結果から,導入化学療法により同時化学
放射線療法を加えるメリットの高い症例群を選別し得る可能性が示唆され,また選別さ
れた症例は同時化学放射線療法により比較的良好な成績が得られている。しかしなが
ら,大規模なランダム化比較試験はなく,現段階で本治療の推奨度は C1 と判定する。
■
明日への提言
局所進行切除不能膵癌において導入化学療法を行うことで,潜在的な遠隔転移を有す
る症例を選別し,同時化学放射線療法に適する症例群を選別し得るメリットがある。現
CQ 4 ─ 4 107
在,フランスの Groupe Cooperateur Multidisciplinaire en Oncologie( GERCOR)におい
て,導入化学療法後に,化学療法群と化学放射線療法群に割り付ける国際共同ランダム
化比較試験が進行中であり,その結果が注目されている 10)。今後,ランダム化比較試験
の蓄積などにより,同時化学放射線療法前に導入化学療法を行うことで治療成績が向上
するか否かを明らかにしていく必要がある。
■
引用文献
1) Schneider BJ, Ben─Josef E, McGinn CJ, et al. Capecitabine and radiation therapy preceded and followed by combination chemotherapy in advanced pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;63:1325─1330.
2) Mishra G, Butler J, Ho C, et al. Phase Ⅱ trial of induction gemcitabine/CPT─11 followed by a twice─weekly infusion of gemcitabine and concurrent external beam radiation for the treatment of locally advanced pancreatic cancer. Am J Clin Oncol 2005;28:345─350.
3) Ko AH, Quivey JM, Venook AP, et al. A phase Ⅱ study of fixed─dose rate gemcitabine plus low─
dose cisplatin followed by consolidative chemoradiation for locally advanced pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007;68:809─816.
4) Moureau─Zabotto L, Phélip JM, Afchain P, et al. Concomitant administration of weekly oxaliplatin, fluorouracil continuous infusion, and radiotherapy after 2 months of gemcitabine and oxaliplatin induction in patients with locally advanced pancreatic cancer:a Groupe Coordinateur Multidisciplinaire en Oncologie phase Ⅱ study. J Clin Oncol 2008;26:1080─1085.
5) Kurt E, Kurt M, Kanat O, et al. Phase II study of induction chemotherapy with gemcitabine plus cally advanced pancreatic cancer. Tumori 2006;92:481─486.
6) Nakachi K, Furuse J, Kinoshita T, et al. A phase Ⅱ study of induction chemotherapy with gemcitabine plus S─1 followed by chemoradiotherapy for locally advanced pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol 2010;66:527─534.
7) Crane CH, Varadhachary GR, Yordy JS, et al. Phase Ⅱ trial of cetuximab, gemcitabine, and oxaliplatin followed by chemoradiation with cetuximab for locally advanced( T4)pancreatic adenocarcinoma:correlation of Smad4( Dpc4)immunostaining with pattern of disease progression. J Clin Oncol 2011;29:3037─3043.
8) Ch’ang HJ, Lin YL, Wang HP, et al. Induction chemotherapy with gemcitabine, oxaliplatin, and 5─
fluorouracil/leucovorin followed by concomitant chemoradiotherapy in patients with locally advanced pancreatic cancer:a Taiwan cooperative oncology group phase Ⅱ study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2011;81:e749─757.
9) Marti JL, Hochster HS, Hiotis SP, et al. Phase Ⅰ/Ⅱ trial of induction chemotherapy followed by concurrent chemoradiotherapy and surgery for locoregionally advanced pancreatic cancer. Ann Surg Oncol 2008;15:3521─3531.
10) Huguet F, André T, Hammel P, et al. Impact of chemoradiotherapy after disease control with chemotherapy in locally advanced pancreatic adenocarcinoma in GERCOR phase Ⅱ and Ⅲ studies. J Clin Oncol. 2007;25:326─331.
4
放射線療法
5─fluorouracil followed by gemcitabine─based concurrent chemoradiotherapy for unresectable lo-
108 4.放射線療法
ửCQ 4─5 局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の効果は
あるか?
推奨
局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の有用性を支持する報告はある
が,これが予後を改善させるか否かについての科学的根拠は十分ではない(グ
レード C1)
。
■
エビデンス
局所進行切除不能膵癌に対する術中放射線療法は,膵癌の外照射療法で問題となる小
腸などの放射線感受性の高い膵周囲の正常組織を開腹下に照射野外に退避させ,1 回に
大線量の電子線を病巣あるいは切除後の腫瘍床に対して照射する治療法である。海外に
おいては放射性同位元素を手術中に病巣に刺入する試みも行われている 1)
(レベルⅣb)
。
局所進行切除不能膵癌の治療としては,術中放射線療法,外照射療法,化学療法(全
身投与,動注療法)の 3 種類の治療法が単独または組み合わせて用いられている。一方
で,それぞれの有用性を直接比較するための臨床試験は行われておらず,標準治療に関
してのコンセンサスは形成されていない。
術中放射線療法の除痛効果の検討では,術中放射線療法単独または外照射療法,化学
療法との併用で,50〜95% 程度の有効性が報告されており 2─6)
(レベルⅣb),術中放射
線療法非施行例と比較して除痛率が高いという報告がある 2)。
術中放射線療法による延命効果に関しては,除痛効果と同様に,術中放射線療法単
独 6),または術中放射線療法と外照射療法は 5),保存療法に比べて延命効果があり 5, 6),
術中放射線療法非施行例に比べて,長期生存が可能であるとする報告はある 1, 7)
(レベル
Ⅳb)
。しかし,術中放射線療法非施行例の内訳が多様であり,外照射療法±化学療法
などと比較して,より優れた延命効果があるかどうかは不明である。また術中照射(±
術後照射)による局所の効果については評価が困難ではあるが,剖検所見の報告などか
ら推測することが可能である 8)
(レベルⅣb)
。
標準治療としての術中放射線療法の意義は不明なものの,術中放射線療法と外照射療
法,フルオロウラシルを組み合わせた集学治療は,第Ⅰ相臨床試験で良好な治療成績と
安全性が報告されている 9, 10)
(レベルⅢ)
。術中放射線療法を施行する際には外照射療法
や化学療法を併用することにより,生存期間の延長が得られること 4, 11)
(レベルⅣb)
,
電子線照射は小線源治療より副作用が少なく,生存期間が長いこと 1)などが報告されて
おり,生存期間の延長を目的とする際には外照射療法や化学療法を併用すべきであると
いうコンセンサスは形成されている。また,わが国のランダム化比較試験で術中放射線
療法に低酸素細胞放射線増感剤のドラニダゾールを併用することで有意な生存期間の延
長が得られている 12)
(レベルⅡ)
。
CQ 4 ─ 5 109
このように術中放射線療法は局所進行切除不能膵癌に対し一定の効果があることは明
らかであるが,標準的に術中放射線療法を用いるべきかどうかを現時点で決定すること
は困難である。また,局所進行切除不能膵癌の死因が,肝転移など局所以外の病変が主
因であることが多いことも,術中放射線療法の延命効果が証明されにくい要因になって
いると思われる。しかしながら,文献的考察とは別に,局所進行切除不能膵癌でバイパ
ス手術を施行する際には,術中放射線療法を用いることにより 1 回で大線量を照射する
ことが可能で,バイパス手術後の外照射療法の期間,入院期間を短縮できるという臨床
的な利点があるため,実施可能な施設で行うことは妥当であると考えられる。その際,
延命を目的とするのであれば外照射療法や化学療法との併用が望ましい。
以上より,局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の有用性を支持する報告はあ
るものの,大規模なランダム化比較試験はなく,現段階で本治療の推奨度は C1 と判定
する。
■
明日への提言
エビデンスは低いものの,局所進行切除不能膵癌でバイパス手術を施行する際には,
術中放射線療法を用いることにより 1 回で大線量(20〜25 Gy 程度)を照射することが可
能となり,これに引き続いての外照射療法の期間や入院期間を短縮できるという臨床的
追加し,放射線の総線量を腫瘍の根治可能と考えられる線量レベルにまで高めることに
より長期生存の可能性が開かれるという点からも,実施可能な施設で本治療法を行うこ
とは選択肢のひとつと思われる。
■
引用文献
1) Schuricht AL, Spitz F, Barbot D, et al. Intraoperative radiotherapy in the combined─modality management of pancreatic cancer. Am Surg 1998;64:1043─1049.
2) 阿部哲夫,伊藤契,阿川千一郎,他.膵癌に対する術中照射療法の成績と合併症.日消外会誌 2001;34:459─464.
3) 岡本篤武,鶴田耕二,田中良明,他.切除不能膵癌に対する術中照射と術後原体照射の併用療法─
特に 1 年以上生存 13 例の検討─.日消外会誌 1992;25:1020─1026.
4) Okamoto A, Matsumoto G, Tsuruta K, et al. Intraoperative radiation therapy for pancreatic adenocarcinoma: the Komagome hospital experience. Pancreas 2004;28:296─300.
5) Shibamoto Y, Manabe T, Baba N, et al. High dose, external beam and intraoperative radiotherapy in the treatment of resectable and unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 1990;19:605─611.
6) Miyamatsu A, Morinaga S, Yukawa N, et al. Intraoperative radiation therapy(IORT)for locally unresectable pancreatic cancer. Gan To Kagaku Ryoho 1999;26:1846─1848. [Article in Japanese]
7) 江川新一,福山尚治,砂村眞琴,他.【癌局所療法研究会】術後遠隔成績からみた膵体尾部癌に対す
る術中放射線療法の効果と意義.癌と化療 1997;24:1687─1690.
8) Hoekstra HJ, Restrepo C, Kinsella TJ, et al. Histopathological effects of intraoperative radiotherapy on pancreas and adjacent tissues:a postmortem analysis. J Surg Oncol 1988;37:104─108.
9) Furuse J, Kinoshita T, Kawashima M, et al. Intraoperative and conformal external─beam radia-
4
放射線療法
な利点がある。また外照射による化学放射線療法(40〜50 Gy 程度)に術中放射線療法を
110 4.放射線療法
tion therapy with protracted 5─fluorouracil infusion in patients with locally advanced pancreatic carcinoma. Cancer 2003;97:1346─1352.
10) Tepper JE, Noyes D, Krall JM, et al. Intraoperative radiation therapy of pancreatic carcinoma:a report of RTOG─8505. Radiation Therapy Oncology Group. Int J Radiat Oncol Biol Phys 1991;
21:1145─1149.
11) Ogawa K, Karasawa K, Ito Y, et al. Intraoperative radiotherapy for unresectable pancreatic cancer: a multi─institutional retrospective analysis of 144 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011;80:111─118.
12) Karasawa K, Sunamura M, Okamoto A, et al. Efficacy of novel hypoxic cell sensitiser doranidazole in the treatment of locally advanced pancreatic cancer:long─term results of a placebo─controlled randomised study. Radiother Oncol. 2008;87:326─330.
CQ 4 ─ 6 111
ửCQ 4─6 放射線療法は局所進行切除不能膵癌の QOL を改善するか?
推奨
局所進行切除不能膵癌の QOL 改善には,化学放射線療法(グレード B)や放射
線療法(グレード C1)が勧められる。
■
エビデンス
放射線療法は,癌性疼痛などの苦痛な症状の原因療法として,さまざまな悪性腫瘍に
用いられている。局所進行切除不能膵癌においても,放射線療法が QOL 改善に有用か
どうか,検討を行った。
1.Best supportive care( BSC)
フルオロウラシル併用化学放射線療法群と BSC 群とを比較した小規模なランダム化
比較試験の結果,化学放射線療法群の生存期間中央値や Karnofsky performance scale
は,BSC 群と比べ有意に改善され,在院期間にも有意差がないことが報告されている 1)
(レベルⅡ)
。
2.化学療法
化学療法単独群,術中照射群,そして外部照射単独群を比較した小規模な非ランダム
かったとの報告がある 2)
(レベルⅢ)。膵癌に対し,単剤で最も高い除痛効果が報告され
ている薬剤はゲムシタビン塩酸塩で,23. 8% に症状緩和が得られたと報告されている
(CQ5─2)
。
3.放射線療法
外部照射単独では,70〜72 Gy で 68% の症例に,また 30 Gy/10 回で 75% の症例に,
除痛効果が得られたとの報告がある 3)(レベルⅣb)
4)
(レベルⅤ)
。術中照射単独では,
77〜81% の除痛効果が報告されている 5, 6)
(レベルⅣb)
。外部照射と術中照射の併用で
は,57〜90% の除痛効果が報告されており 7─10)
(レベルⅣb),外部照射単独よりも,外
部照射と術中照射を併用したほうが,良好な除痛効果が得られるとの報告がある 2)
(レ
ベルⅢ)
。
4.化学放射線療法
前述の通り,フルオロウラシル併用化学放射線療法の QOL 改善効果は,BSC より優
れているとの小規模ランダム化比較試験の結果がある 1)(レベルⅡ)
。フルオロウラシル
併用化学放射線療法では,80% の症例に除痛効果が得られたとの報告や 1)
(レベルⅤ)
,
76% の症例で鎮痛薬が不要になったとの報告がある 11)
(レベルⅣb)
。
シスプラチンとフルオロウラシルを併用した化学放射線療法では,52〜78% の除痛
効果が報告されている 12)
(レベルⅤ)
13)
(レベルⅣb)
。
ゲムシタビン塩酸塩併用化学放射線療法と,フルオロウラシル併用化学放射線療法を
4
放射線療法
化比較試験の結果,ゲムシタビン塩酸塩を含まない化学療法では,除痛効果が得られな
112 4.放射線療法
比較したランダム化比較試験の結果,QOL 改善効果には有意差はなかったと報告され
ている 14)
(レベルⅡ)
。
5.結論
これらの結果を総合すると,化学放射線療法が施行可能な症例であれば,BSC に徹
することは勧められない。放射線療法については,ランダム化比較試験による確認は行
われておらず,至適線量についてのエビデンスもないが,外部照射と術中照射のいずれ
か一方か両者の併用により,除痛効果が期待できる。化学療法でもある程度の除痛効果
は期待できるが,ランダム化比較試験による確認は行われていないものの,放射線単独
療法または化学放射線療法のほうが,良好な除痛効果が報告されている。化学放射線療
法の除痛効果は,BSC より優れており推奨できるが,放射線単独療法より優れている
とのエビデンスはない。化学放射線療法における併用化学療法剤は,ゲムシタビン塩酸
塩でもフルオロウラシルでも,QOL 改善効果に差はないというエビデンスがある。
■
明日への提言
放射線療法が,癌性疼痛などの症状緩和に有効なことは,日常診療でよく経験される。
放射線療法は,鎮痛薬などの対症療法とは異なり,症状の原因となる腫瘍そのものを縮
小させる原因療法であるため,有効なら鎮痛薬を減量ないし中止することもでき,経済
的なメリットも期待できる治療法である。
QOL 改善目的の緩和的放射線療法においては,照射野に予防域を設ける必要はなく,
症状の責任病巣に限局した照射野でよい。線量分割についても,基本的には症状が緩和
できる程度でよいが,遠隔転移のない場合は,治療が奏効し,ある程度の期間生存し得
た場合の晩期有害事象にも配慮し,50. 4 Gy/28 分割/5. 5 週や 50 Gy/25 分割/5 週などの
通常分割照射が望ましい。
一方,遠隔転移などで長期生存が期待しがたい場合は,40 Gy/20 分割/4 週や,30 Gy/
10 分割/2 週などのように,期待される予後に応じて治療期間が短縮される。
いずれにせよ,化学療法を同時併用する場合は,有害事象が増強されるおそれがある
ため,治療期間を短縮したい場合でも,一回線量は 3 Gy のようには上げずに,通常分
割照射の範囲内にとどめるのが無難である。
■
引用文献
1) Shinchi H, Takao S, Noma H, et al. Length and quality of survival after external─beam radiotherapy with concurrent continuous 5─fluorouracil infusion for locally unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2002;53:146─150.
2) 佐伯博行,杉政征夫,山田六平,他.切除不能(Stage Ⅳb)膵癌に対する術中照射療法(IORT).
癌と化学療法 2002;29:2221─2223.
3) Ceha HM, van Tienhoven G, Gouma DJ, et al. Feasibility and efficacy of high dose conformal radiotherapy for patients with locally advanced pancreatic carcinoma. Cancer 2000;89:2222─
2229.
CQ 4 ─ 6 113
4) Morganti AG, Trodella L, Valentini V, et al. Pain relief with short─term irradiation in locally advanced carcinoma of the pancreas. J Palliat Care 2003;19:258─262.
5) 松野正紀,島村弘宗,砂村眞琴,他.膵癌の集学的治療.消化器外科 1994;17:199─205.
6) 平岡武久,金光敬一郎,西田英史.膵癌切除不能例に対する術中照射療法.胆と膵 1994;15:139─
144.
7) Shibamoto Y, Manabe T, Baba N, et al. High dose, external beam and intraoperative radiotherapy in the treatment of resectable and unresectable pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 1990;19:605─611.
8) 岡本篤武,鶴田耕二,田中良明,他.切除不能膵癌に対する術中照射と術後原体照射の併用療法:
特に 1 年以上生存 13 例の検討.日本消化器外科学会雑誌 1992;25:1020─1026.
9) Okamoto A, Tsuruta K, Isawa T, et al. Okamoto A, Tsuruta K, Isawa T, Kamisawa T, Tanaka Y, Onodera T. Intraoperative radiation therapy for pancreatic carcinoma. The choice of treatment modality. Int J Pancreatol 1994;16:157─164.
10) Okamoto A, Matsumoto G, Tsuruta K, et al. Intraoperative radiation therapy for pancreatic adenocarcinoma: the Komagome hospital experience. Pancreas 2004;28:296─300.
11) Morganti AG, Valentini V, Macchia G, et al. 5─fluorouracil─based chemoradiation in unresectable pancreatic carcinoma:PhaseⅠ─Ⅱdose─escalation study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2004;59:
1454─1460.
12) Azria D, Ychou M, Jacot W, et al. Treatment of unresectable, locally advanced pancreatic adenocarcinoma with combined radiochemotherapy with 5─fluorouracil and cisplatin. Pancreas 2002;
25:360─365.
13) Kawakami H, Uno T, Isobe K, et al. Toxicities and effects of involved─field irradiation with concurrent cisplatin for unresectable carcinoma of the pancreas. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;
62:1357─1362.
in patients with pancreatic cancer. Am J Ther 2009;16:316─318.
4
放射線療法
14) Heras P, Kritikos K, Hatzopoulos A, et al. Effect of combined treatment methods on quality of life 114 4.放射線療法
ửCQ 4─7 膵癌骨転移に対する放射線療法は有用か?
推奨
骨転移による疼痛緩和に放射線療法は有用である(グレード A)。
■
エビデンス
悪性腫瘍による骨転移は 30〜70% の癌患者でみられるが,膵癌による骨転移の症例
数はほかの固形癌に比べると少なく,膵癌症例のなかでも割合は 5〜20% 程度とされ
る 1)
(レベルⅤ)
。しかしながら,近年膵癌患者数が増加してきたことや,膵癌に対する
全身療法の進歩に伴って予後が延長してきたことにより,骨転移が問題となる症例の増
加が予想される。
転移性骨腫瘍に対する放射線療法は腫瘍の根絶を目的とするものではなく,短期間の
外照射により症状を緩和する目的で行われ,多くの固形癌において有効性が示されてい
る。骨転移による症状として最も多いのは疼痛であるが,放射線療法は疼痛緩和効果を
もつ有力な治療法であり,最近広く行われるようになってきたオピオイドなどの鎮痛剤
やビスフォスフォネートによる薬物療法と併用することができる。また,放射線療法は
疼痛緩和だけでなく原因療法となる利点を有するため,骨転移により誘発される病的骨
折や脊髄圧迫の予防,改善も期待される。骨転移による癌性疼痛をはじめとする諸症状
に対する,放射線療法の役割および線量や分割方法を検討する。
疼痛緩和に関しての有効率は 75〜90% と高く,20 Gy/5 分割,30 Gy/10 分割,35 Gy/
14 分割といった複数の方法が有効である 2─5)
(レベルⅠ)。最適な線量や分割方法につい
てはこれまでランダム化比較試験を含む多くの研究により検討されており,米国では
Radiation Therapy Oncology Group(RTOG)による多施設共同研究の結果から,30 Gy/
10 分割の照射が標準とされてきた 6, 7)
(レベルⅡ)。一方,欧州を中心に 8 Gy/1 回照射法
の有用性が報告され,寛解率,完全寛解率ともに分割照射と差がなかった 8)
(レベルⅠ)
。
メタアナリシスによると,疼痛緩和効果と線量との関係について,分割回数を増やし多
くの線量を照射するほうが効果も高く症状緩和期間も長いとする報告があるが 3)(レベ
ルⅠ)
,明らかな関係はみられないとする報告もある 5, 9)
(レベルⅠ)
。ただし,1 回照射
と分割照射では前者において同一部位への再照射率が高いこと,両者間の寛解率や完全
寛解率に差がみられないことは複数のメタアナリシスで一致している 8─10)
(レベルⅠ)
。
膵癌骨転移症例に絞った疼痛緩和効果について,13 症例 18 部位の骨転移に対する緩和
的放射線療法(20〜30 Gy,中央値 30 Gy)により 92% と高率に疼痛緩和が得られたもの
の,生存期間中央値は 3 カ月(95%CI:1〜6 カ月)と短期予後であったことが報告されて
いる 11)
(レベルⅤ)
。以上より,疼痛緩和に関してはどの線量分割による放射線療法も
有効な選択肢であるが,長期予後が期待できない症例においては,20 Gy/5 分割や 8 Gy/
CQ 4 ─ 7 115
1 回などの少分割による短期照射も含めた線量分割方法を考慮していくことが望まれ
る。
病的骨折に関しては,荷重骨で皮質の 50% 以上に破壊がみられるか溶骨病変が 2. 5 cm
以上の場合にはリスクが高く,予防を目的とした内固定と放射線療法が適応となる 2)
(レ
ベルⅠ)
。メタアナリシスによると 1 回照射法と分割照射法では前者で病的骨折率が高
くなる傾向 8─10)にあることが報告されているため,分割照射が望ましいが,骨以外の病
勢や予後なども勘案し総合的に判断することが必要である。
骨転移巣の脊柱管への進展に伴う脊髄圧迫症状に関しては,放射線療法単独よりも外
科的に転移腫瘍を切除し術後照射を加えるほうが有効であることが米国の多施設共同研
究で報告されているが 12)
(レベルⅡ)
,この研究については症例数が少ないことや放射
線療法単独の成績が悪すぎることなどの問題点が指摘されている 13)
(レベルⅢ)
。実地
臨床では手術療法が選択されることは少なく,中等量ステロイドと放射線療法が用いら
れることが多い。線量分割については 1 回照射と分割照射との間で神経症状改善や治療
後歩行率に差はないものの,分割照射のほうが照射野内の腫瘍再燃が少ない傾向 14)(レ
ベルⅣb)にあることが報告されている。ある程度予後が見込める場合には分割照射が
望ましいが,やはり総合的な判断が必要である。
これらの骨転移に対する放射線療法の有害事象は,嘔気など急性期の軽微なものに限
QOL を保つうえで優れた治療法であるといえる。
■
明日への提言
遠隔転移を有する膵癌治療の主体は全身化学療法であるが,骨転移に伴う症状が顕在
化してきた症例に対して放射線療法が有効であることはしばしば経験される。病態に応
じてオピオイドやビスフォスフォネートなど薬物療法も組み合わせつつ,放射線療法が
可能な施設では積極的に施行することが推奨される。全身化学療法中である場合は有害
事象を避けるため照射野を大きくしすぎないこと,ゲムシタビン塩酸塩を継続している
場合は胸部照射との併用は禁忌とされていることに注意が必要である。また,放射線療
法の一種として Sr─89 によるアイソトープ治療について国内で多施設共同オープン試
験 15)
(レベルⅢ)が行われ有効性が示されたことを受け,2007 年末より保険治療として
施行可能となった。骨髄抑制が著明な症例や期待予後が非常に短い症例では投与を避け
るべきで,化学療法継続中の症例でも慎重な適応判断が求められるが,外照射治療が困
難な場合など症例によっては選択肢のひとつになり得る。症状や予後なども含めて総合
的に判断し,最適な治療を提供していくことが望まれる。
4
放射線療法
られ発生頻度も低いとされている 8─10)。効果および副作用の両面から考えても,患者の
116 4.放射線療法
■
引用文献
1) Hatfield DR, DeLand FH, Maruyama Y. Skeletal metastases in pancreatic carcinoma:study by isotopic bone scanning. Oncology 1976;33:44─47.
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CQ 5 ─ 1 117
5
化学療法
ửCQ 5─1 遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨される
か?
推奨
遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は best supportive care に比べ予
後を改善することから推奨される(グレード A)。
■
エビデンス
切除不能進行膵癌患者に対する化学療法は best supportive care( BSC)に比し患者の
生命予後を改善する。
50 研究,7, 043 例の切除不能進行膵癌患者を対象に行われたメタアナリシスの結果,
化学療法は BSC に比し,1 年生存率(OR:0. 37, 95%CI:0. 25 〜 0. 57,p < 0. 00001)を改
善した 1)
(レベルⅠ)
。切除不能進行膵癌あるいは転移性病変を有する膵癌患者を対象と
した 43 のランダム化比較試験 5, 365 例の解析の結果,9 の研究でフルオロウラシルを使
用した化学療法の生命予後は BSC に比し改善した 2)
(レベルⅠ)。局所進行切除不能膵癌
あるいは転移性病変を有する膵癌患者を対象とした 51 のランダム化比較試験 9, 970 例の
解析の結果,化学療法は BSC に比し生存率を改善(HR:0. 64,95%CI:0. 42〜0. 98)し
た 3)
(レベルⅠ)
。
明日への提言
遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨されるが,PS が低下し,化学療
法を施行し得ない患者あるいは化学療法不応性の患者に対しては,医師を含む緩和ケア
チームが患者および患者家族に十分説明し,同意を得たうえで,疼痛除去,栄養治療,
減黄治療,腹水治療を含めた BSC を行う必要がある。
■
引用文献
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5
化学療法
■
118 5.化学療法
ửCQ 5─2 局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対して
推奨される一次化学療法は何か?
推奨
局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対する一次化学療法として,
ゲムシタビン塩酸塩単剤治療,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用
治療,または S─1 単剤治療が推奨される(グレード A)。
エビデンス
■
1.ゲムシタビン塩酸塩単剤治療
1997 年 Burris らは Karnofsky performance scale( KPS)50〜70% の症例を 70% 含む
切除不能進行膵癌患者 126 例に対して,ゲムシタビン塩酸塩とフルオロウラシルの第Ⅲ
相試験を行った。ゲムシタビン塩酸塩群の生存期間中央値が 5. 65 カ月でフルオロウラ
シル群(4. 41 カ月)に比し有意(p = 0. 0025)に延長し,ゲムシタビン塩酸塩群の 1 年生存
率が 18% でフルオロウラシル群(2%)に比し有意に良好であった。ゲムシタビン塩酸塩
群の無増悪生存期間中央値は 2. 33 カ月であり,フルオロウラシル群(0. 92 カ月)に比し
有意(p = 0. 0025)に延長したことを明らかにした。さらに,ゲムシタビン塩酸塩群の症
状緩和効果は 23. 8% で,フルオロウラシル群(4. 8%)に比し有意(p = 0. 0022)に効果が
認められたことから 1)
(レベルⅡ)
,ゲムシタビン塩酸塩単剤が切除不能進行膵癌患者に
対する第一選択薬として位置づけられた。
その後,マトリックスメタロプロテアーゼであるマリマスタット*2),BAY12─9566 *3),
エキサテカン* 4)とゲムゲシタビン塩酸塩とを各々比較する第Ⅲ相試験が行われたが 2─4)
(レベルⅡ)
,これらの試験においてもゲムシタビン塩酸塩の生存期間が有意に延長ある
いは延長する傾向が示されている。
2.ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法
エルロチニブ塩酸塩は上皮成長因子受容体のチロシンキナーゼを選択的に阻害する分
子標的治療薬である。局所進行切除不能膵癌あるいは遠隔転移を有する膵癌患者 569 名
を対象に,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用群,ゲムシタビン塩酸塩単剤
群の 2 群に分けた第Ⅲ相試験 5)
(表 6)では,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩
併用群の生存期間中央値は 6. 2 カ月で,ゲムシタビン塩酸塩単剤群(5. 9 カ月)より有意
に生存期間の延長が認められた。一方,エルロチニブ塩酸塩には有害事象として発疹な
どの皮膚症状が高頻度に報告されている。欧米でのランダム化二重盲検第Ⅲ相臨床試験
において 282 例中 203 例(72%)に発疹が認められ 5)
(レベルⅡ),切除不能膵癌を対象と
したゲムシタビン塩酸塩 +エルロチニブ塩酸塩併用の国内第Ⅱ相臨床試験において,
* 保険未収載の検査・治療
CQ 5 ─ 2 119
表 6 進行膵癌に対する GEM 併用療法試験(ランダム化比較試験)
抗がん薬
生存期間中央値(月)
GEM vs GEM +フルオロウラシル
p値
著者
7)
0. 09
Berlin
GEM vs GEM +カペシタビン
7. 2 vs 8. 4
0. 23
Herrmann10)
GEM vs GEM +カペシタビン*
6. 2 vs 7. 1
0. 08
Cunningham11)
GEM vs GEM + S─1
8. 8 vs 10. 1
0. 15
Ioka34)
GEM vs GEM +シスプラチン*
4. 6 vs 6. 9
0. 48
Colucci12)
GEM vs GEM +シスプラチン*
6. 0 vs 7. 5
0. 15
Heinemann13)
GEM vs GEM+オキサリプラチン*
7. 1 vs 9. 0
0. 13
Louvet14)
GEM vs GEM+オキサリプラチン*
4. 9 vs 5. 7
0. 22
Poplin15)
GEM vs
GEM +イリノテカン塩酸塩*
6. 6 vs 6. 3
0. 79
Rocha16)
GEM vs
GEM +イリノテカン塩酸塩*
6. 5 vs 6. 4
0. 97
Stathopoulos17)
GEM vs GEM +エキサテカン*
6. 2 vs 6. 7
0. 52
Abou─Alfa18)
GEM vs GEM +ペメトレキセド*
6. 3 vs 6. 2
0. 85
Oettle19)
GEM vs GEM +ティピファニブ*
6. 0 vs 6. 4
0. 75
Van Cutsem20)
GEM vs GEM +マリマスタット*
5. 4 vs 5. 4
0. 95
Bramhall21)
GEM vs
GEM +エルロチニブ塩酸塩
5. 9 vs 6. 2
0. 038
Moore5)
GEM vs GEM +ベバシズマブ*
5. 9 vs 5. 8
0. 95
Kindler22)
GEM vs GEM +セツキシマブ*
5. 9 vs 6. 3
0. 23
Philip23)
GEM vs GEM +アキシチニブ*
8. 3 vs 8. 5
0. 54
Kindler25)
GEM:ゲムシタビン塩酸塩
106 例中 99 例(93. 4%)に発疹が認められたが,93. 8% が grade 2 以下であった 6)
(レベル
Ⅲ)。一方,発疹の grade 2 以上の群の平均生存期間,1 年生存率は grade 1 以下の群に
比し有意に良好であった 5)。ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法の延命
効果は大きくなく,また有害事象が増強する傾向を認めることから,ゲムシタビン塩酸
塩単剤療法を完全に凌駕する新たな標準治療としてのコンセンサスは得られていない。
わが国においても切除不能進行膵癌患者 107 例に対して国内第Ⅱ相試験が行われ,ゲム
シタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法の生存期間中央値が 9. 23 カ月と比較的
良好であり忍容性も示されたため,わが国でも保険適用が承認されている 6)
(レベルⅢ)
。
3.ゲムシタビン塩酸塩,種々の抗がん薬の併用療法(表 6)
ゲムシタビン塩酸塩はその他にも種々の抗がん薬と併用され,ゲムシタビン塩酸塩単
剤と比較検討されてきたが,これまでに有意な延命効果が示されていない。局所進行切
5
化学療法
5. 4 vs 6. 7
*
120 5.化学療法
除不能膵癌あるいは遠隔転移を有する膵癌患者に対して,
・ゲムシタビン塩酸塩+フルオロウラシル併用療法(レベルⅡ)7,8)
(レベルⅢ)9)
・ゲムシタビン塩酸塩+カペシタビン*併用療法 10,11)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+シスプラチン*併用療法 12,13)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+オキサリプラチン*併用療法 14,15)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+イリノテカン塩酸塩*併用療法 16,17)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+エキサテカン*併用療法 18)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+ペメトレキセド*併用療法 19)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+ティピファニブ*併用療法 20)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+マリマスタット*併用療法 21)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+ベバシズマブ*併用療法 22)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩+セツキシマブ*併用療法 23)
(レベルⅡ)
・ゲムシタビン塩酸塩 +アキシチニブ*併用療法 24,25)
(レベルⅡ)
が行われたが,いずれもゲムシタビン塩酸塩単剤に対する明らかな優越性は示されな
かった。
ゲムシタビン塩酸塩+プラチナ製剤(オキサリプラチン*あるいはシスプラチン*)の
併用療法とゲムシタビン塩酸塩単剤の pooled analysis では,生存期間の HR が 0. 81( p =
0. 031)であり,このうち PS = 0 の患者においては HR:0. 72( p = 0. 063)で,より有用で
あったことが明らかにされた 26)
(レベルⅠ)。さらに,メタアナリシスでは
・ゲムシタビン塩酸塩+抗がん薬(カペシタビン*,フルオロウラシル,プラチナ製剤,
イリノテカン塩酸塩*いずれか)併用 27)
(レベルⅠ)
・ゲムシタビン塩酸塩+カペシタビン*併用 28)
(レベルⅠ)
・ゲムシタビン塩酸塩+オキサリプラチン*併用 28)
(レベルⅠ)
・ゲムシタビン塩酸塩+プラチナ製剤併用 29,30)
(レベルⅠ)
・ゲムシタビン塩酸塩+フルオロウラシル併用 29,31)
(レベルⅠ)
が有用であると報告されているが,複数の異なるレジメンを解析しているため,特定の
レジメンの有用性を示しているものではない。しかし,米国において癌の家族歴,特に
膵癌の家族歴がある転移病変を有する膵癌患者にプラチナ製剤を含む化学療法を行う
と,膵癌の家族歴のない患者に比し有意に生存期間が延長するとの報告がなされた 32)
(レベルⅣb)
。
『NCCN ガイドライン』
(2012 年版)でも遺伝性膵癌の可能性がある転移
病変を有する膵癌患者に対してゲムシタビン塩酸塩+シスプラチン*の併用の推奨度が
カテゴリー 2 A に変更されており,一部の遺伝子変異を有する患者においてシスプラチ
ン*併用治療が有用な治療のひとつとして挙げられている。今後,わが国においても検
証していく必要があると考えられる。
4.S─1 単剤治療
わが国において S─1 は種々の癌に対して用いられているが,膵癌に対しても国内後期
CQ 5 ─ 2 121
第Ⅱ相試験が実施され,奏功率は 37. 5% で,無増悪生存期間中央値は 3. 7 カ月,生存期
間中央値は 9. 2 カ月であった 33)
(レベルⅢ)。さらに,日本および台湾の切除不能進行膵
癌に対するゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用療法(GS 療法),ゲムシタビン塩酸塩単剤,
S─1 単剤の第Ⅲ相試験(GEST 試験)が行われ,ゲムシタビン塩酸塩単剤と S─1 単剤の比
較では生存期間の HR が 0. 96,97. 5%CI が 0. 78 〜 1. 18 であり,ゲムシタビン塩酸塩単剤
に対する S─1 単剤の非劣性が示された。QOL はゲムシタビン塩酸塩単剤と S─1 単剤で差
が認められなかった 34)
(レベルⅡ)
。
S─1 単剤治療の有害事象として GEST 試験では食欲不振,下痢,口内炎などの消化器
症状が高頻度に認められており,また,腎機能障害のある患者では有害事象が出やすい
ことから慎重投与が望まれる。
5.ゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用療法(GS 療法)
進行膵癌に対してゲムシタビン塩酸塩単剤あるいは S─1 単剤治療の有用性が報告され
てきたことから,ゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用療法の有用性についてわが国で検討さ
れている 35,37)
(レベルⅢ)36)
(レベルⅡ)。GEST 試験ではゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用
療法(GS 療法)
,ゲムシタビン塩酸塩単剤の生存期間中央値はそれぞれ 10. 1 カ月,8. 8 カ
月で,HR:0. 88 であり,GS 療法の生存期間はゲムシタビン塩酸塩単剤と比較して有意
な改善は認められなかった 34)。
6.オキサリプラチン*,イリノテカン塩酸塩*,フルオロウラシル,ホリナートカルシ
ウム*併用療法(FOLFIRINOX *)
PS0〜1 の遠隔転移を有する膵癌患者 324 例を対象にオキサリプラチン*,イリノテカ
ン塩酸塩*,フルオロウラシル,ホリナートカルシウム*併用群(FOLFIRINOX *)
,ゲ
カ月,ゲムシタビン塩酸塩単剤は 6. 8 カ月であり,HR は 0. 57(95% CI:0. 45 〜 0. 73,
p < 0. 001)であった。有害事象として FOLFIRINOX *の 5. 4% に発熱性好中球減少が認
められ,QOL 低下が認められた患者は FOLFIRINOX * 31% に対し,ゲムシタビン塩
酸塩単剤で 66% であった。FOLFIRINOX *レジメンの毒性はゲムシタビン塩酸塩単剤
より強かったことから 38)
(レベルⅡ),FOLFIRINOX *は遠隔転移を有する膵癌で全身
状態が良好な患者の治療選択肢のひとつになるが,現時点では保険未収載であり,現在
国内で治験が進行中である。
7.ゲムシタビン塩酸塩+ nab─パクリタキセル*併用療法
Nab─パクリタキセル*はアルブミンにパクリタキセルを結合させナノ粒子化した製剤
で,前臨床試験,臨床第Ⅰ,Ⅱ相試験の結果,ゲムシタビン塩酸塩との併用によりゲム
シタビン塩酸塩単剤を上回る効果が期待されてきた。遠隔転移を有する膵癌患者 842 例
を対象に行われた第Ⅲ相試験の結果,ゲムシタビン塩酸塩+ nab─パクリタキセル*併用
群の生存期間中央値は 8. 5 カ月,ゲムシタビン塩酸塩単剤群は 6. 7 カ月,HR は 0. 72(95%
CI:0. 617 〜 0. 835,p = 0. 000015)であり,両群間には有意な差が認められた。ゲムシタ
5
化学療法
ムシタビン塩酸塩単剤群に無作為に分け検討した。FOLFIRINOX * の生存期間は 11. 1
122 5.化学療法
ビン塩酸塩単剤に比べゲムシタビン塩酸塩+ nab─パクリタキセル*併用療法は重篤な有
害事象の増加が少なく,忍容性も示されたことから 39)
(レベルⅡ)
,ゲムシタビン塩酸
塩+ nab─パクリタキセル*併用療法は遠隔転移を有する膵癌患者の今後の有力な治療法
のひとつとなる可能性がある。わが国では現時点で保険未収載であり,現在国内での治
験が進行中である。
■
明日への提言
遠隔転移あるいは局所進行膵癌に対する一次化学療法として,ゲムシタビン塩酸塩単
剤治療に加えて,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用療法,S─1 単剤治療も
保険収載されるようになり,治療の選択肢が広がってきた。FOLFIRINOX * およびゲ
ムシタビン塩酸塩+ nab─パクリタキセル*併用療法は遠隔転移を有する膵癌患者におい
て高い有用性が示されたが,日本人における有効性や安全性は明らかではなく,現時点
では保険未収載である。現在進行中の国内治験の結果が待たれる。さらに有効性が高く,
有害事象の少ない新治療の開発が望まれる。
■
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5
化学療法
versus gemcitabine in patients with unresectable or metastatic pancreatic cancer. Ann Oncol
124 5.化学療法
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CQ 5 ─ 3 125
ửCQ 5─3 切除不能膵癌に対して推奨される化学療法の投与期間は
どれくらいか?
推奨
切除不能膵癌に対する化学療法は,投与継続困難な有害事象の発現がなけれ
ば,病態が明らかに進行するまで投与を継続する(グレード B)。
■
エビデンス
化学療法は一般的には長期に継続することにより,蓄積毒性が出現し,治療効果が減
弱する傾向が認められる。適切な投与期間は,投与する薬剤や癌腫により異なると考え
られている。切除不能膵癌に対する化学療法の投与期間について検証したが,化学療法
の投与期間を明らかにすることを目的とした研究論文はみられなかった。多くはゲムシ
タビン塩酸塩とほかの治療を比較した大規模なランダム化比較試験の報告であるが,こ
れまですべて,病態が明らかに進行するまで,または継続が困難な有害事象が発現する
まで治療が継続され,有用性が検証されている 1─15, 19, 21, 23)(レベルⅡ)16─18, 20, 22, 24)(レベル
Ⅲ)
。よって,現時点ではこれらと同様な投与期間を設定することが推奨される。
■
引用文献
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5
化学療法
mastat as first─line therapy for patients with unresectable pancreatic cancer:a randomized tri-
126 5.化学療法
phase Ⅲ study of the Gruppo Oncologia dell’Italia Meridionale. Cancer 2002;94:902─910.
9) Heinemann V, Quietzsch D, Gieseler F, et al. Randomized phase Ⅲ trial of gemcitabine plus cisplatin compared with gemcitabine alone in advanced pancreatic cancer. J Clin Oncol 2006;24:
3946─3952.
10) Louvet C, Labianca R, Hammel P, et al;GERCOR;GISCAD. Gemcitabine in combination with
oxaliplatin compared with gemcitabine alone in locally advanced or metastatic pancreatic cancer:results of a GERCOR and GISCAD phase Ⅲ trial. J Clin Oncol 2005;23:3509─3516.
11) Rocha Lima CM, Green MR, Rotche R, et al. Irinotecan plus gemcitabine results in no survival
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3783.
12) Stathopoulos GP, Syrigos K, Aravantinos G, et al. A multicenter phase Ⅲ trial comparing irinotecan─gemcitabine( IG)with gemcitabine( G)monotherapy as first─line treatment in patients with
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13) Bramhall SR, Schulz J, Nemunaitis J, et al. A double─blind placebo─controlled, randomised study
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19) Philip PA, Benedetti J, Corless CL, et al. Phase Ⅲ study comparing gemcitabine plus cetuximab
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CQ 5 ─ 4 127
ửCQ 5─4 切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
推奨
海外における二次治療のランダム化比較試験により,支持療法に比べ化学療法
の有用性が示されており,二次化学療法の実施が推奨される(グレード B)。二
次化学療法のレジメンは一次治療に応じて,S─1 もしくはゲムシタビン塩酸塩
を選択する(グレード C1)
。
■
エビデンス
ゲムシタビン塩酸塩あるいは S─1 が切除不能膵癌に対する一次化学療法として用いら
れるが,治癒を望めるものではなく,病状の増悪は必発である。したがって,切除不能
膵癌患者の予後の改善には有効な二次治療の確立が必要であり,多くの臨床試験が実施
されてきた。
検索範囲内で切除不能膵癌に対する二次化学療法の論文は 25 編あり,うち 3 編がラン
ダム化比較試験,3 編が後ろ向き研究によるケースシリーズ報告,その他 19 編は対照を
伴わない単アームの第Ⅱ相試験であった。
ランダム化比較試験は,①イリノテカン塩酸塩*+ラルチトレキセド*とラルチトレ
キセド*単剤の比較試験 1)
(レベルⅡ),② modified FOLFIRI. 3 *と modified FOLFOX *
の比較試験 2)
(レベルⅡ)
,③支持療法(BSC)とオキサリプラチン*+ホリナートカルシ
ウム*+フルオロウラシル(OFF)+ BSC の比較試験 3)
(レベルⅡ)であるが,症例数はそ
いえない。①ではイリノテカン塩酸塩*+ラルチトレキセド*の有用性が示唆され,②
では FOLFIRI.3 *と FOLFOX *のいずれも忍容性のある有効な治療となり得ると結論さ
れているが 1,2),その後大規模な比較試験は行われていない。③は支持療法に対する
OFF * を用いた化学療法の有用性を検証する第Ⅲ相試験であり,ドイツの CONKO─
study group で実施されたが,支持療法への受け入れが難しいため登録が進まず,46 例
で中止勧告が出されている。本試験では Karnofsky performance scale( KPS)> 60%,
主要臓器が保たれている患者を対象として実施され,全生存期間が主要評価項目と設定
された。症例数は少ないものの,OFF *群のハザード比が 0. 45(95%CI:0. 24 〜 0. 83)と
有意な生存期間の延長が認められた 3)
(レベルⅡ)
。本試験に引き続いて,ホリナートカ
ルシウム*+フルオロウラシル(FF)と OFF *との比較試験が 160 例で行われ,生存期間
中央値が FF 群 13 週に対し,OFF *群 26 週と OFF 群での良好な成績(p = 0. 014)が 2008
年 ASCO にて報告されている 4)
(レベルⅡ)。しかしその後論文による報告はされていな
い。
単アームの第Ⅱ相試験ではさまざまなレジメンが試みられている 5─14)
(レベルⅢ)
。わ
5
化学療法
れぞれ 38 例,61 例,46 例と小規模なものであり,高いエビデンスが得られているとは
128 5.化学療法
が国ではゲムシタビン塩酸塩と S─1 が膵癌に適応が承認されており,二次化学療法とし
て S─1 を中心とした治療が開発されている。S─1 単剤では奏効割合 15%,生存期間中央
値 4. 5 カ月と報告されており 13)
(レベルⅢ),今後の新しい治療法の開発において参考と
なる成績である。定速静注法を用いたゲムシタビン塩酸塩と S─1 の併用による治療
(FGS 療法)の第Ⅱ相試験では,奏効割合 18%,生存期間中央値 7. 0 カ月と報告されてお
り 14)
(レベルⅢ)
,ゲムシタビン塩酸塩耐性後もゲムシタビン塩酸塩を継続する意義が
示唆されている。
切除不能膵癌に対する一次治療として,ゲムシタビン塩酸塩単剤,S─1 単剤,ゲムシ
タビン塩酸塩+ S─1 併用の大規模な第Ⅲ相試験(GEST 試験)が日本と台湾の共同試験と
して実施された 15)。その結果,生存期間中央値はゲムシタビン塩酸塩単剤群 8. 8 カ月,
S─1 単剤群 9. 7 カ月,ゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用群 10. 1 カ月であり,ゲムシタビン
塩酸塩に対する S─1 の非劣性が証明されたが,ゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用の優越性
は示されなかった。この試験において二次治療はゲムシタビン塩酸塩群 66. 4%,S─1 群
66. 1%,ゲムシタビン塩酸塩+ S─1 併用群 62. 5% と高率に実施されている。また,二次
治療のレジメンとしては,ゲムシタビン塩酸塩群では 50. 5% で S─1 を用いた治療,S─1
群では 57. 9% でゲムシタビン塩酸塩を用いた治療とクロスオーバーでの治療が多く行
われている。その結果,GEST 試験におけるゲムシタビン塩酸塩単剤ならびに S─1 単剤
群の生存期間は,海外で実施されたこれまでの単剤による臨床試験の結果と比べ良好で
あり,二次治療が生存期間の延長に寄与したものと推察されている 15)
(レベルⅡ)
。
以上より,切除不能膵癌では,BSC と OFF * レジメンとの比較試験により,KPS70
以上と比較的全身状態が良好であり,かつ主要臓器機能が保たれた状態であれば,二次
化学療法の有用性が認められており,二次治療を実施することが勧められる。しかし,
わが国では現時点でオキサリプラチン*は保険適用が承認されておらず,標準的治療法
は確立しているとはいえない。現状では,一次治療に応じて,一次治療で用いていない
薬剤を選択して治療を行うことが適当と考えられる。現在,国内治験として S─1 単剤と
S─1 +オキサリプラチン*(SOX)
,S─1 単剤と S─1 +イリノテカン塩酸塩*(IRIS)および
S─1 +ホリナートカルシウム*の比較試験が進行中である。今後,標準的二次化学療法
の確立が期待される。
■
明日への提言
膵癌に対する一次化学療法はゲムシタビン塩酸塩だけでなく,S─1 やゲムシタビン塩
酸塩を含まない治療法も確立しつつあり,それに伴い二次化学療法も選択肢が増えるも
のと予想される。また,分子標的薬を含めた新規薬剤の開発が精力的に進められており,
二次化学療法を含め,膵癌の生物学的特徴に基づく有効な治療法の確立が期待される。
CQ 5 ─ 4 129
■
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or gemcitabine alone in patients with locally advanced and metastatic pancreatic cancer in Japan
and Taiwan:GEST study. J Clin Oncol 2013;31:1640─1648.
5
化学療法
11) Yi SY, Park YS, Kim HS, et al. Irinotecan monotherapy as second─line treatment in advanced
CQ 6 ─ 1 131
6
ステント療法
ửCQ 6─1 閉塞性黄疸を伴う切除不能例に胆道ドレナージは
推奨されるか?
推奨
切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,推奨される(グレード B)。
切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,開腹による外科的減黄術より内視鏡
的減黄術が推奨される(グレード B)。
■
エビデンス
1.胆道ドレナージによる予後の改善効果
閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌症例の多くは,化学療法を行うため胆道ドレナージに
よる減黄を必要とする。ただし,減黄術による予後の改善や臨床上の利点を述べた論文
は少ない。胆道ドレナージによる予後への効果を記載した論文は,1960 年代から 1980
年代に報告されている。いずれも画像診断が発達していない頃の論文で,黄疸症例に対
し開腹術を施行し膵癌と診断され切除を行わなかった場合,胆道ドレナージ施行群と非
施行群で予後を比較した論文が多い。Sarr らは,1965 年から 1980 年までの報告から 45
論文 8, 571 例を集積し,切除不能膵癌患者の姑息的手術を検討した 1)
(レベル V)。胆道
バイパスに関しては,10 論文 912 例が解析された。各論文の症例を集積し,胆道バイパ
ス群と単開腹群に分けて生命予後を比較検討したところ,5. 4 カ月 vs 3. 5 カ月で胆道バ
イパス群のほうが予後良好であった。また,胆道バイパス群をさらに胆管ドレナージ群
と胆嚢ドレナージ群に分け比較検討したところ,6. 5 カ月 vs 5. 3 カ月と胆管ドレナージ
群でやや予後が良好であった。
2.胆道ドレナージによる QOL の改善効果
らの検討を行った論文はほとんどない。Ballinger らは閉塞性黄疸を伴う膵頭部癌患者
に対し,内視鏡的もしくは経皮経肝的に胆道ドレナージを施行し,症状への影響を後ろ
向きに検討した 2)
(レベルⅣb)
。胆道ドレナージを施行した 19 例全例で黄疸は改善し,
11 例(57. 9%)で皮膚掻痒感が改善,16 例(84. 2%)で食思不振も改善した。一方,疼痛や
嘔気は改善しなかった。
3.外科的胆道ドレナージと内視鏡的胆道ドレナージの比較
外科的胆道ドレナージと内視鏡的胆道ドレナージの比較をした論文は多数あるが 3─12),
RCT は 4 編 4─7)
(レベルⅡ)
,メタアナリシスは 2 報ある 8, 9)
(レベルⅠ)。Moss らはこのう
ち RCT3 編を用いたメタアナリシスを報告している 8)。このメタアナリシスにおける外科
的胆道ドレナージと内視鏡的胆道ドレナージ(plastic stent)の比較では,合併症の相対
6
ステント療法
切除不能膵癌の黄疸改善の目的のひとつに症状や QOL の改善が挙げられるが,それ
132 6.ステント療法
リスクは内視鏡的胆道ドレナージ群で有意に低く(p < 0. 0007)
,30 日後の死亡率は内視
鏡的胆道ドレナージ群で低い傾向にあったが,有意差を認めなかった(p = 0. 07)
。再閉
塞の相対リスクは内視鏡的胆道ドレナージ群のほうが有意に高かったが(p < 0. 00001)
,
両群で予後や QOL に差を認めなかった。Taler らは RCT3 編を用いたメタアナリシスを
報告している 9)。内視鏡的胆道ドレナージ群と外科的胆道ドレナージ群の両群間におい
て,減黄不成功,重症合併症,30 日死亡率(OR:0. 522,95% CI:0. 263〜1. 036)に関し
ては有意差がなかった。一方,内視鏡的胆道ドレナージ群は外科的胆道ドレナージ群と
比較し,有意差をもって追加治療を必要とした(OR:7. 23,95% CI:3. 73〜13. 98)
。
Watanapa らは,1971〜90 年に発表された外科的胆道ドレナージに関する 23 論文 1, 807
例と経皮経肝的胆道ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage;PTBD)
に関する 7 論文 490 例,および内視鏡的胆道ドレナージ(endoscopic biliary drainage;
EBD)に関する 9 論文 689 例を比較し,術前診断の方法,減黄処置の比較,十二指腸狭
窄に対する方法,疼痛,補助療法などについてまとめた 10)
(レベルⅤ)
。切除不能膵癌
の減黄について,早期合併症は外科的胆道ドレナージ群で多かったが,胆管炎,チュー
ブ閉塞などの後期合併症は PTBD 群と EBD 群で多いことから,切除不能膵癌に対し緩
和目的のために長期的な減黄を期待する場合には外科的胆道ドレナージがよい方法であ
ると述べている。
Raikar らは,切除不能膵癌患者に内視鏡的胆道ドレナージを施行した 34 例と外科的
胆道ドレナージを施行した 32 例に分け,後ろ向きに減黄の効果と胆道ドレナージにか
かる費用を比較した 11)
(レベルⅣb)。術後合併症は外科的胆道ドレナージ群 33%,内視
鏡的胆道ドレナージ群 21% と差はなかった。最初の在院日数は外科的胆道ドレナージ
群 14 日,内視鏡的胆道ドレナージ群 7 日(p < 0. 001)と有意差をもって内視鏡的ドレナー
ジ群で短く,費用は $18, 325 と $9, 663 であり内視鏡ドレナージ群のほうが少なかった。
Brandabur らは,黄疸を伴う切除不能膵癌症例に対する外科的胆道ドレナージ群(外
科群)と非外科的胆道ドレナージ群(非外科群:17 例は内視鏡的胆道ドレナージ,15 例
は経皮経肝的胆道ドレナージ)の在院日数,合併症,死亡率,費用について調べており,
在院日数,合併症,死亡率に差を認めなかったが,費用は非外科群のほうが少なかった
と報告している 12)
(レベルⅣb)
。
■
明日への提言
閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは,化学療法前の減黄目的の
みならず,予後や QOL の改善が期待できるため,積極的に行うべきである。外科的胆
道ドレナージは長期開存が期待でき,内視鏡的胆道ドレナージを含む非外科的胆道ドレ
ナージは合併症の発現率が低く費用が少ないという結果だったが,その報告は過去のも
のが多く,現在の医療状況を反映していない。ステントの性能や内視鏡的技術の進歩は
著しいため,現在の医療レベルに即した胆道ドレナージの有用性の検討が必要である。
CQ 6 ─ 1 133
■
引用文献
1) Sarr MG, Cameron JL. Surgical management of unresectable carcinoma of the pancreas. Surgery 1982;91:123─133.
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221.
9) Taylor MC, McLeod RS, Langer B. Biliary stenting versus bypass surgery for the palliation of malignant distal bile duct obstruction:a meta─analysis. Liver Transpl 2000;6:302─308.
10) Watanapa P, Williamson RC. Surgical palliation for pancreatic cancer:developments during the past two decades. Br J Surg1992;79:8─20.
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12) Brandabur JJ, Kozarek RA, Ball TJ, et al. Nonoperative versus operative treatment of obstructive jaundice in pancreatic cancer:cost and survival analysis. Am J Gastroenterol 1988;83:
1132─1139.
ステント療法
6
134 6.ステント療法
ửCQ 6─2 切除不能膵癌に対する胆道ドレナージのアプローチルート
は,経皮的と内視鏡的のどちらがよいか?
推奨
切除不能膵癌に対する胆道ドレナージは内視鏡的に行うことが奨められる(グ
レード B)
。
■
エビデンス
局所進行切除不能膵癌のみに限定した経皮的ドレナージおよび内視鏡的ドレナージの
選択に関する RCT はないが,悪性胆道閉塞に対する RCT では内視鏡的ドレナージが経
皮的ドレナージに比べて手技成功率は同等(89% vs 76%)だが,減黄率(81% vs 61%,
p = 0. 017)は有意に優れていた 1)
(レベルⅡ)。また偶発症発生率は 19% vs 67% と経皮
的ドレナージで高く,
30 日以内死亡率(15% vs 33%,p = 0. 016)も有意に経皮的ドレナー
ジで高く,特に高齢の患者には内視鏡的ドレナージが奨められている。1987 年に発表
された本論文以降,症例集積研究も含めた経皮的ドレナージおよび内視鏡的ドレナージ
の選択に関する報告はなかったが,2002 年に非切除悪性胆道閉塞例に対する 8〜10 mm
径の自己拡張型メタリックステントを用いた経皮的ドレナージと 12 Fr のプラスチック
ステントを用いた内視鏡的ドレナージの RCT が報告された 2)
(レベルⅡ)
。手技成功率
は同等で(75% vs 58%,p = 0. 29)
,減黄率(71% vs 42%,p = 0. 03),生存期間中央値(3. 7
カ月 vs 2. 0 カ月,p = 0. 02)は有意に経皮的ドレナージで優れていた。一方,偶発症は
経皮的ドレナージで多くみられたが(61% vs 35%,p = 0. 09),30 日以内死亡率(36% vs 42%,p = 0. 83)は変わらなかった。このなかで筆者らも述べているが,近年切除不
能膵癌に対してメタリックステントを用いた内視鏡的ドレナージは標準的な治療となっ
ており,同一のステントを用いた場合の比較試験が望まれる。
■
明日への提言
経皮的胆道ドレナージは内視鏡的ドレナージに比べて侵襲度が高いことから,現在で
は後者が標準的な治療となっている。しかし,内視鏡的胆道ドレナージの成功率は
100% でないことに注意し,内視鏡的ドレナージではコントロールが困難な肝門部狭窄
などに関しては必要に応じて経皮的胆道ドレナージを行うことが望ましい。
■
引用文献
1) Speer AG, Cotton PB, Russell RC, et al. Randomised trial of endoscopic versus percutaneous stent insertion in malignant obstructive jaundice. Lancet 1987;2:57─62.
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CQ 6 ─ 3 135
ửCQ 6─3 膵癌による閉塞性黄疸に対するステントの種類は何が推奨
されるか?
推奨
膵癌切除不能例による閉塞性黄疸に対しては,プラスチックステント(plastic
stent;PS)よりも開存期間の長い自己拡張型メタリックステント(self─expandable metallic stent;SEMS)が推奨される(グレード C1)。SEMS のなか
では被覆型(covered type)の開存期間が uncovered type より長いことが報告
されている(グレード C1)。施設ごとの技術,診療体制,患者の状態によって
uncovered type や PS の選択を考慮してもよい。
■
エビデンス
1.ステントの種類
ステントの種類には大きく分けてプラスチックステント(plastic stent;PS)と自己拡
張型メタリックステント(self─expandable metallic stent;SEMS)がある(図 2〜5)
。
SEMS は金属ワイヤーで編んだ網目状の構造をしており,細く畳んだ状態での収納が可
能であり,内視鏡の鉗子チャンネルを通過可能で,かつ胆管閉塞部において拡張すると
10 mm 程度の内腔が確保できる(図 3〜5)。しかし,SEMS は網目状のため,閉塞部で
癌組織が侵入して再閉塞することが知られており,これを防ぐために被覆型の covered type が開発された(図 4)
。このため従来型の網目状の SEMS は uncovered type と呼称
されている。
ステントの臨床試験は通常中部胆管閉塞例と肝門部胆管閉塞例は区別されて施行され
ているが,原発巣を特定して検討した臨床試験は極めて少ない。中下部胆管閉塞に対す
る臨床試験の多くは膵癌が 60〜80% を占めているが,試験ごとにその比率は異なる。
れている。まず,uncovered type の SEMS と PS の比較では,uncovered SEMS のほう
が有意に成績良好とする RCT が報告されており 1, 2)
(レベルⅡ),covered SEMS vs PS
も 2 編ある 3, 4)
(レベルⅡ)
。いずれも SEMS の開存期間が長く,非切除悪性中下部胆管
閉塞では合併症,コストの面からも SEMS のほうが推奨される。このうち膵癌に限定し
た報告は covered SEMS vs PS の 1 編であった 4)。しかし,SEMS の留置には専門的な
知識と技術が要求され,特に閉塞時,合併症発生時やその対策には難渋することもある。
そのため,専門的な知識や技術を有さない術者では,開存期間よりも安全性を優先して
PS を選択肢のひとつとして考慮することもやむを得ない。そのため,PS と SEMS の選
択に関しての推奨度をグレード C1 とした。また,SEMS のタイプに関しても,膵癌に
限った比較試験が少なく,エビデンスがやや不足していると考えられ,現在の推奨度を
6
ステント療法
原発巣を限定していない切除不能悪性中下部胆管閉塞に対する RCT はいくつか報告さ
136 6.ステント療法
グレード C1 とした。初回ドレナージ時には PS を使用し,二期的に SEMS を留置してい
る施設もあるので,あくまでも長期留置を念頭に置いた選択であることを追加してお
く。
SEMS のなかでは covered type と uncovered type があり,これらを比較した RCT は
6 編あり,covered type の優位性を統計学的に示したものは 4 編ある 5─10)
(レベルⅡ)
。
膵癌に限定した RCT は 2 編しかなく,いずれもcovered SEMS の成績が良好であった 6, 7)。
疾患別の層別化がなされている RCT が 1 編あり,サブグループ解析で膵癌では有意に
covered SEMS の開存期間が長いという結果であった 5)。また,メタアナリシスが 2 編
報告されており,covered SEMS の開存期間が有意に長いというものと,差がないとい
う解析であったが,いずれも疾患を膵癌に限定していない報告である 11, 12)
(レベルⅠ)
。
Kitano らは,対象を膵癌に限定した多施設共同 RCT の成績を 2012 年の ASGE で発表し
た 7)。わが国の 22 施設で行われた RCT であり,現在国内で使用可能なステントを用い
て統計学的に covered type の開存期間が uncovered type よりも長いことを示しており,
現状に最も即したエビデンスを提供しているものと考えられる。以上より,SEMS の種
類では,膵癌に限定した報告は少ないものの,開存期間の長い covered type が推奨さ
れる。
ステントを使用する際に重要なのは閉塞・開存期間だけでなく,合併症を含めた安全
性である。主な合併症は逸脱,胆嚢炎,膵炎である。PS ではステント閉塞が多く,次
いで逸脱が多い。SEMS では胆嚢炎,膵炎,covered type では逸脱が危惧される。胆嚢
炎,膵炎は covered type で多いとされていたが,メタアナリシスでは差がないことが
示された 11)
(レベルⅠ)
。また,胆嚢炎高危険群についての研究が 2 編報告されている 13, 14)
(レベルⅣb)
。いずれの報告でも胆嚢管が総胆管に合流する部位に癌性狭窄,癌浸潤が
あるものが高危険群と考えられており,1 編では胆嚢結石も高危険群であると報告され
ている。しかし,予防法に関しての有用な報告はない。膵炎に関しては膵癌では少ない
ことが示されている 15)
(レベルⅣa)。予防法としては乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy;EST)が有用という報告もあるが 16)
(レベルⅣb),RCT による検討は
なく,後ろ向きの解析では,必ずしもその有用性は示されていない 17)
(レベルⅣb)
。
SEMS の物理学的特性である radial force と axial force が検討されており 18)
(レベルⅢ)
,
axial force が膵炎発生 19)
(レベルⅢ)に関係していることが最近の論文で示唆されてい
る。逸脱は covered type に特有の合併症であり,fin を装着した covered SEMS で少な
いことが報告されている(図 5)
6)。また,axial force の違う covered SEMS の比較から,
逸脱への関与を臨床試験の結果から示唆している論文も発表されており 20)
(レベルⅢ)
,
逸脱の防止には SEMS の物理学的特性の改良と fin に代表される防止装置の工夫が求め
られる。以上のことから,合併症の面からも SEMS および covered type の推奨は妥当
と考えられる。
CQ 6 ─ 3 137
2.化学療法,化学放射線療法施行例に対するステント療法の安全性
化 学 療 法 施 行 中 の ス テ ン ト 療 法 の 成 績 は 十 分 に 検 討 さ れ て い る と は い え な い。
Hoffman らは膵癌に対する術前化学放射線療法の前向き試験において,減黄手技に関連
した重篤な合併症が高率に認められたと報告 21)
(レベルⅣa)している。その後 Pisters ら
は術前化学放射線療法の前向き試験において,ステントに関連した有害事象の発生頻度
はむしろ低かったと報告 22)
(レベルⅣb)している。Nakai らの後ろ向きの検討では,メ
タリックステント留置はゲムシタビンによる毒性発現や胆道感染を除く感染症の頻度に
影響しなかったと報告 23)(レベルⅣb)している。化学療法がステントの成績に与える影
響は明らかではなく,今後症例の集積が必要と考えられる。
■
明日への提言
現在まで報告されている多くの臨床試験は病態が異なる原疾患(膵頭部癌,胆管癌,
リンパ節転移など)を限定せずに施行されており,また,その評価の方法も異なる。そ
のため RCT 自体の評価・解釈には限界があり,そうした RCT をもとにしたメタアナリ
シスの結果の評価・解釈にも注意を要する。今後,膵癌による閉塞性黄疸のみに対象を
絞った臨床試験が必要である。化学療法,化学放射線療法の進歩とともに膵癌切除不能
例の予後も延長してきているが,これらの治療がステントの成績に与える影響の研究も
十分ではなく,また,延長した予後に対するステント療法の改良すべき点も明らかには
なっていない。
Uncovered SEMS と covered SEMS の比較評価に関して,前述の限界のなかではある
が,2012 年の ASGE で発表された(今回の改訂では慎重な査読がなされた学会の抄録は
引用文献として採用)北野らの論文は,わが国の 30 を超える多施設で膵癌を対象に限定
し行われた多施設共同研究であることと,わが国で最も多く使用されているステントを
使用していること等より,現在のわが国の臨床の実情に最も即した RCT と考えられる。
その結果は covered SEMS が uncovered SEMS よりは開存期間が長いというもので
の癌種が混じた海外の臨床試験では有意差が出ていないことなどより,弱い推奨にとど
めておくのが現時点では妥当と考え,改訂委員会では推奨度を C1 とした。今回の改訂
過程において,この uncovered SEMS と covered SEMS の問題に関しては,RCT やメ
タアナリシスの評価・解釈の違いから,公聴会や public comments において covered SEMS に対して否定的な見解の意見もあった。そのため,わが国での実診療に支障が生
じ な い よ う に 推 奨 内 容, 推 奨 度 に も 数 度 の 修 正 が 加 え ら れ た。Covered SEMS と
uncovered SEMS の問題に関しては,次回のガイドライン改訂において再検討をするた
めに,化学療法,化学放射線療法の進歩を踏まえてのエビデンスレベルの高い結果の報
告を期待したい。
6
ステント療法
あった。しかし,ひとつの RCT のみで強力なエビデンスとは言い切れず,膵癌とほか
138 6.ステント療法
a
b
c
図 2:プラスチックステント(plastic stent;PS)。ステントの推奨については本文を参照のこと
a:ストレート型(アムステルダム型ともいう),Flexima:Boston Scientific 社製
両端にフラップを有し,フラップ作成部位にも孔が開いている。
b:ダブルピッグテール型,クック社製
両端がピッグテール状になっており,逸脱を防ぐ構造になっている。通常丸まった部分の内側に側
孔を有している。
c:タネンバウム型,Double Layer stent:Olympus 社製
両端にフラップを有しているが側孔がない。
図 3:‌‌自己拡張型メタリックステント(self─expandable metallic stent;SEMS)の非被覆型(uncovered type),WallFlex stent:Boston Scientific 社製
網 目 状 の 構 造 で, 細 く 折 り た た め る。 自 己
拡張力を有しており,閉塞部で拡張すると
10 mm 位の内腔確保が可能である。
図 5:‌Viabil biliary stent(Gore, Flagstaff, AZ)
現在わが国では販売されていないが,海外で
は販売されている。Covered type でステント
の外側に逸脱防止のための fin が装着されてい
る。現在のところわが国での販売予定はない。
図 4:‌自己拡張型メタリックステント(self─expandable metallic stent;SEMS)の被覆型(covered
type)
,SUPUREMO stent:TaeWoong 社製,
Century Medical 社販売
被覆されているため癌組織の網目から侵入に
よる再閉塞が防げる。抜去が可能な利点を有
する。
CQ 6 ─ 3 139
■
引用文献
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16) Tarnasky PR, Cunningham JT, Hawes RH, et al. Transpapillary stenting of proximal biliary strictures: does biliary sphincterotomy reduce the risk of postprocedure pancreatitis? Gastrointest Endosc 1997;45:46─51.
17) Coté GA, Kumar N, Ansstas M, et al. Risk of post─ERCP pancreatitis with placement of self─expandable metallic stents. Gastrointest Endosc 2010;72:748─754.
18) Isayama H, Nakai Y, Toyokawa Y, et al. Measurement of radial and axial forces of biliary self─
expandable metallic stents. Gastrointest Endosc. 2009;70:37─44.
19) Kawakubo K, Isayama H, Nakai Y, et al. Risk factors for pancreatitis following transpapillary self
─expandable metal stent placement. Surg Endosc 2012;26:771─776.
6
ステント療法
13) Isayama H, Kawabe T, Nakai Y, et al. Cholecystitis after metallic stent placement in patients 140 6.ステント療法
20) Isayama H, Mukai T, Itoi T, et al. Comparison of partially covered nitinol stents with partially covered stainless stents as a historical control in a multicenter study of distal malignant biliary obstruction: the WATCH study. Gastrointest Endosc 2012;76:84─92.
21) Hoffman JP, Lipsitz S, Pisansky T, et al. Phase Ⅱ trial of preoperative radiation therapy and chemotherapy for patients with localized, resectable adenocarcinoma of the pancreas: an Eastern Cooperative Oncology Group Study. J Clin Oncol 1998;16:317─323.
22) Pisters PW, Hudec WA, Lee JE, et al. Preoperative chemoradiation for patients with pancreatic cancer: toxicity of endobiliary stents. J Clin Oncol 2000;18:860─867.
23) Nakai Y, Isayama H, Kawabe T, et al. Efficacy and safety of metallic stents in patients with unresectable pancreatic cancer receiving gemcitabine. Pancreas 2008;37:405─410.
CQ 6 ─ 4 141
ửCQ 6─4 胃十二指腸閉塞をきたした切除不能例に対する治療法は
何が推奨されるか?
推奨
全身状態が良好で比較的長期の予後が期待される症例には外科的胃空腸吻合
術,それ以外の症例には内視鏡的十二指腸ステント挿入術が推奨される(グ
レード B)
。
■
エビデンス
切除不能膵癌では 70〜80% に胆道閉塞を,20% に十二指腸閉塞をきたすと報告され
ている 1)
(レベルⅤ)
。膵頭部癌では十二指腸球部から下行脚,膵鈎部癌では下行脚から
水平脚,体部から尾部癌では水平脚以遠に閉塞をきたしやすい。膵癌では外科的切除を
目的として開腹しても切除不能となることがしばしばあり,その際の予防的胃空腸吻合
は意義があるとされている 2)
(レベルⅡ)
。
一方,1990 年前半から十二指腸ステントの報告例がみられ,内視鏡を用いた成績に
おける安全性と有効性が報告されている 3─5)
(レベルⅣb)
6)
(レベルⅣa)。胃空腸吻合術
との比較では,後ろ向きの検討において,手技成功率,食事摂取可能率はほぼ同等であ
り,十二指腸ステントの長所として,症状の改善が迅速,経口摂取開始までの時間の短
縮,入院期間の短縮,死亡率の低下,医療コストの削減が挙げられている。一方,短所
として逸脱,閉塞,再治療,腸管壁の損傷の問題が挙げられている 7─9)
(レベルⅣb)
。ス
テント留置後に発生する overgrowth は約 4% であり,十二指腸狭窄例,長期生存例,
消化管閉塞または狭窄の長さが危険因子とされている 10)
(レベルⅢ)
。また,ステント留
置後の化学療法が経口摂取期間の延長に寄与する可能性も報告されている 11)
(レベルⅤ)
。
わが国では内視鏡的十二指腸ステント挿入術が 2010 年 4 月に保険収載された。膵癌を
含 む 胃・ 十 二 指 腸 閉 塞 症 例 に お け る 前 向 き な 検 討 で は,GOOSS(gastric outlet 入院期間中央値は 2 日,開存期間の中央値は 270 日,生存期間中央値は 82〜99 日と報告
されている。また合併症は 21〜23% で,主なものは疼痛,逸脱,腸管穿孔,貧血,
overgrowth または ingrowth であった。また,ステント挿入後の化学療法が開存期間の
延長に寄与する可能性も報告されている 12)
(レベルⅢ)13)
(レベルⅡ)。胃空腸吻合術群
と内視鏡的十二指腸ステント群の前向き比較試験では,経口摂取開始可能までの期間は
内視鏡的十二指腸ステント群が有意に早く,長期の症状改善効果は胃空腸吻合群が優
る。重篤な合併症および閉塞症状の再発,再治療は内視鏡的十二指腸ステント群に有意
に多い。生存期間には差がなく,治療に関する医療コストは胃空腸吻合がやや高い傾向
にあるが差はわずかであり,治療法の決定に大きな影響を与えないと報告された 14, 15) (レベルⅡ)
。以上の結果から,全身状態が良好で予後が数カ月程度期待できる症例には
6
ステント療法
obstruction scoring system)の継続的改善と手技成功率はともに 94〜96%,手技関連の
142 6.ステント療法
胃空腸吻合術,それ以外の症例には内視鏡的十二指腸ステント挿入術が推奨される 16)
(レベルⅠ)
。
■
明日への提言
2010 年 4 月に国内で認可された内視鏡的十二指腸ステント挿入術は,胃空腸吻合と並
んで十二指腸閉塞をきたした膵癌切除不能症例に対する新たな治療選択肢である。現在
までに報告されている胃空腸吻合術と内視鏡的十二指腸ステント群の比較試験の成績は
対象がすべて膵癌ではなく,胃癌を一定の割合で含んで検討されていることに注意すべ
きであり,今後切除不能膵癌のみを対象とした胃空腸吻合術と内視鏡的十二指腸ステン
ト挿入術を前向きに比較した多施設共同研究が望まれる。また,十二指腸ステントは
axial force,挿入後の短縮の有無などがステントの種類によって大きく異なるため,用
いるステントの種類によって大きく成績が異なる可能性があることに留意すべきであ
る。ステント留置後の化学療法が開存期間に影響を与えるかどうかの論証は十分なされ
ておらず今後の課題である。
■
引用文献
1) Andtbacka RH, Evans DB, Pisters PW. Surgical and endoscopic palliation for pancreatic cancer. Minerva Chir 2004;59:123─126.
2) Van Heek NT, De Castro SM, van Eijck CH, et al. The need for a prophylactic gastrojejunostomy for unresectable periampullary cancer:a prospective randomized multicenter trial with special focus on assessment of quality of life. Ann Surg 2003;238:894─905;discussion 902─5.
3) Adler DG, Baron TH. Endoscopic palliation of malignant gastric outlet obstruction using self─expanding metal stents: experience in 36 patients. Am J Gastroenteol 2002;97:72─78.
4) Kaw M, Singh S, Gagneja H, et al. Role of self─expandable metal stents in the palliation of malignant duodenal obstruction. Surg Enodsc 2003;17:646─650.
5) Graber I, Dumas R, Filoche B, et al. The efficacy and safety of duodenal stenting:a prospective multicenter study. Endoscopy 2007;39:784─787.
6) Shaw JM, Bornman PC, Krige JE, et al. Self─expanding metal stents as an alternative to surgical bypass for malignant gastric outlet obstruction. Br J Surg 2010;97:872─876.
7) Wong YT, Brams DM, Munson L, et al. Gastric outlet obstruction secondary to pancreatic cancer: surgical vs endoscopic palliation. Surg Endosc 2002;16:310─312.
8) Maetani I, Tada T, Ukita T, et al. Comparison of duodenal stent placement with surgical gastrojejunostomy for palliation in patients with duodenal obstructions caused by pancreaticobiliary malignancies. Endoscopy 2004;36:73─78.
9) Del Piano M, Ballarè M, Montino F, et al. Endoscopy or surgery for malignant GI outlet obstruction ? Gastrointest Endosc 2005;61:421─426.
10) Jang JK, Song HY, Kim JH, et al. Tumor overgrowth after expandable metallic stent placement:
experience in 583 patients with malignant gastroduodenal obstruction. AJR 2011;196:W 831─836.
11) Telford JJ, Carr─Locke DL, Baron TH, et al. Palliation of patients with malignant gastric outlet obstruction with the enteral Wallstent:outcomes from a multicenter study. Gastrointest Endosc 2004;60:916─920.
12) Kim JH, Song HY, Shin JH, et al. Metallic stent placement in the palliative treatment of malignant gastroduodenal obstructions:prospective evaluation of results and factors influencing outcome in 213 patients. Gastrointest Endosc 2007;66:256─264.
CQ 6 ─ 4 143
13) van Hooft JE, van Montfoort ML, Jeurnink SM, et al. Safety and efficacy of a new non─foreshortening nitinol stent in malignant gastric outlet obstruction(DUONITI study)
:a prospective, multicenter study. Endoscopy 2011;43:671─675.
14) Jeurnink SM, Steyerberg EW, van Hooft JE, et al. Surgical gastrojejunostomy or endoscopic stent placement for the palliation of malignant gastric outlet obstruction(SUSTENT study):a multicenter randomized trial. Gastrointest Endosc 2009;71:490─499.
15) Jeurnink SM, Polinder S, Steyerberg EW, et al. Cost comparison of gastrojejunostomy versus duodenal stent placement for malignant gastric outlet obstruction. J Gastroenterol 2010;45:537─
543.
16) Jeurnink SM, van Eijck CH, Steyerberg EW, et al. Stent versus gastrojejunostomy for the palliation of gastric outlet obstruction:a systematic review. BMC Gastroenterol 2007;7:18.
ステント療法
6
CQ1 ─ 1 145
検索式
検索期間 2007 年〜 2011 年
1.診断法
ửCQ 1─1 膵癌のリスクファクターとは何か?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
pancreatitis[ mesh]
#3
diabetesmellitus[ mesh]
#4
#1and#2
#5
#1and#3
#6
riskfactors[ mesh]
#7
risk[mesh]
#8
alcoholdrinking[mesh]
#9
aging[mesh]
#10
lifestyle[ mesh]
#11
smoking[mesh]
#12
oncogene[ mesh]
#13
“familyhistory”
#14
geneticpredispositiontodisease[ mesh]
#15
ABOBlood─GroupSystem[mesh]
#16
coffee[ mesh]
#17
obesity[mesh]
#18
bodymassindex[mesh]
#19
helicobacterpylori[mesh]
#20
#
4or#5or#6or#7or#8or#9or#10or#11or#12or#13or#14or#15or#16or#17or
#18or#19
#21
#1and#20
#22
#21 Limits:Clinical Trial, Meta─Analysis, Randomized Controlled Trial, Research Support,
American Recovery and Reinvestment Act, Research Support, N I H, Extramural, Research
Support, N I H, Intramural, Research Support, Non U S Gov’t, Research Support, U.S.
Government, Research Support, U S Gov’t, Non P H S, Research Support, U S Gov’t, P H S,
English,Japanese
●検索結果 558 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
#4
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
146 検索式
#5
#6
#7
#8
#9
#1or#2or#3or#4
(膵炎/THor膵炎/AL)
#6AND(SH =合併症)
(糖尿病/THor糖尿病/AL)
#8AND(SH =合併症)
#10 (合併症/THor合併症/AL)
#11
#6and#10
#12
#8and#10
#13
#7or#9or#11or#12
#14 (危険因子/THor危険因子/AL)
#15 (危険因子/THorリスクファクター/AL)
#16 (リスク/THorリスク/AL)
#17 (飲酒/THor飲酒/AL)
#18 (喫煙/THor喫煙/AL)
#19 (加齢/THor加齢/AL)
#20 (ライフスタイル/THor生活習慣/AL)
#21 (癌遺伝子/THor癌遺伝子/AL)
#22
家族暦/AL
#23
遺伝的要因/AL
#24 (" 遺伝的素因(疾患)"/THor遺伝的素因/AL)
#25 (コーヒー/THorコーヒー/AL)
6, 162
#26 ("Helicobacterpylori"/THorヘリコバクターピロリ/AL)
#27 (肥満/THor肥満/AL)
#28
#29
#5and#13
#
14or#15or#16or#17or#18or#19or#20or#21or#22or#23or#24or#25or#26or
#27
#30
#5and#29
#31
#28or#30
#32
#31AND(PT =症例報告除く,会議録除くPDAT = 2007:2011)
#33 (外科手術/THor外科的療法/AL)
#34
#32not#33
●検索結果 168 件
ửCQ 1─2 膵癌の発見はどのようにしたらよいか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
symptoms[ TI]
#3
signs[ TI]
#4
#1and#2
#5
#1and#3
#6
#4or#5
#7
pathologicalconditions,signsandsymptoms
#8
#1and#7
CQ1 ─ 3 147
#9
massscreening[mesh]
#10
#8and#9
#11
#6or#10
#12
english[la]orjapanese[ la]
#13
#11and#12Limits:PublicationDatefrom2007/5/18
●検索結果 15 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
#4
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#5
(徴候と症状/THor徴候/AL)
#6
症候/AL
#7
主訴/AL
#8
#1or#2or#3or#4
#9
#5or#6or#7
#10
#8and#9
#11
外来/AL
#12
発見/AL
#13 (集団検診/THorスクリーニング/AL)
#14 (鎖陰/THorサイン/AL)
#15
#11and#8
#16
#12and#8
#17
#13and#8
#18
#14and#8
#19
#15or#16or#17or#18
#20
#19AND(PT =症例報告除く,会議録除くCK =ヒトPDAT = 2007:2011)
●検索結果 170 件
ửCQ 1─3 膵癌を疑った場合,次に行うべき検査は何か?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
antigenstumorassociatedcarbohydrate
#3
ca─19─9antigen
#4
TumorMarkers,Biological[mesh]
#5
#2or#3or#4
#6
#1and#5
#7
serum
#8
#6and#7
#9
ultrasonography[mesh]
#10
ultrasonography,interventional[mesh]
#11
ultrasound
#12
tomography,x─raycomputed[mesh]
148 検索式
#13
tomography,emission─computed[mesh]
#14
CT
#15
#9or#10or#11or#12or#13or#14
#16
#1and#15
#17
#8or#16
#18
english[la]orjapanese[ la]
#19
#17 and #18 Limits:Humans, Clinical Trial, Meta─Analysis, Practice Guideline, Randomized
ControlledTrial
#20
#
19Limits:ResearchSupport,AmericanRecoveryandReinvestmentAct,ResearchSupport,
N I H, Extramural, Research Support, N I H, Intramural, Research Support, Non U S Gov’t,
ResearchSupport,USGov’t,NonPHS,ResearchSupport,USGov’t,PHS
#21
epidemiologicstudycharacteristics[ mesh]
#22
#20and#21
#23
#19or#22Limits:PublicationDatefrom2007/6/15
●検索結果 165 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
#4
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#5
#1or#2or#3or#4
#6
(膵酵素/THor膵酵素/AL)
#7
(Amylases/THorアミラーゼ/AL)
#8
(“TriacylglycerolLipase”/THorリパーゼ/AL)
#9
(“PancreaticElastase”/THorエラスターゼ/AL)
#10
#6or#7or#8or#9
#11
#5and#10
#12 (超音波診断/THor超音波診断/AL)
#13
#5and#12
#14 (X 線 CT/THorct/AL)
#15
#5and#14
#16 (腫瘍マーカー/THor腫瘍マーカー/AL)
#17 (Alpha─Fetoproteins/THoralpha─fetoproteins/AL)
#18 (“CarcinoembryonicAntigen”/THorcea/AL)
#19 (CA─19─9 抗原/THorca─19─9/AL)
#20
gp25/AL
#21 (erbB─2 癌原遺伝子蛋白質/THorerbB─2 癌原遺伝子蛋白質/AL)
#22 (“EpidermalGrowthFactorReceptor”/THoregfr/AL)
#23 (erbB─2 癌原遺伝子蛋白質/THorher2/AL)
#24
#16or#17or#18or#19or#20or#21or#22or#23
#25
#5and#24
#26
#11or#13or#15or#25
#27
#26AND(PT =症例報告除く,会議録除くPDAT = 2007:2011)
CQ1 ─ 4 149
#28
sh =外科的療法
#29 (術後期/THor術後/AL)
#30 (外科手術/THor手術/AL)
#31 (薬物療法/THor化学療法/AL)
#32
#28or#29or#30or#31
#33
#27not#32
#34
#33AND(PT =原著論文,解説CK =ヒト)
#35
膵/ti
#36
#34and#35
●検索結果 207 件
ửCQ 1─4 膵癌の診断を確定するための次のステップはどうするか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
ultrasonography[mesh]
#3
ultrasonography,interventional[mesh]
#4
ultrasound
#5
#2or#3or#4
#6
tomography,x─raycomputed[mesh]
#7
tomography,emission─computed[mesh]
#8
ct
#9
#6or#7or#8
#10
magneticresonanceangiography[mesh]
#11
magneticresonanceimaging[mesh]
#12
magneticresonancecholangiopancreatography
#13
mri
#14
mra
#15
mrcp
#16
#10or#11or#12or#13or#14or#15
#17
#1and#5
#18
#1and#16
#19
#17or#18
#20
#17or#18 Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/5
●検索件数 198 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
#4
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#5
#1or#2or#3or#4
#6
(腹部 X 線診断/THor腹部 X 線診断/AL)
#7
(CT 血管造影/THorCTA/AL)
#8
(X 線 CT/THorX 線 CT/AL)
150 検索式
#9
(スパイラル CT/THorヘリカル CT/AL)
#10 (MRI/THorMRI/AL)
#11 (MRA/THorMRA/AL)
#12 (放射型コンピュータ断層撮影/THor放射型コンピュータ断層撮影/AL)
#13 (陽電子放射型断層撮影/THorPET/AL)
#14
FDG─PET/AL
and
(フッ素放射性同位体/THor18 f/AL)
#15 (“FluorodeoxyglucoseF18”/THorfludeoxyglucose/AL)
#16
SASI/AL
#17
選択的動脈内セクレチン注入試験/AL
#18
SASI/ALandtest/AL
#19 (三次元イメージング/THor三次元イメージング/AL)
#20 (マルチスライス CT/THorマルチスライス CT/AL)
#21 (マルチスライス CT/THorMDCT/AL)
#22 (超音波内視鏡検査/THor超音波内視鏡検査/AL)
#23
超音波内視鏡診断/AL
#24 (超音波内視鏡検査/THoreus/AL)
#25
IPEUS/AL
#26 (Doppler 超音波診断/THordoppler 超音波診断/AL)
#27
カラードップラー/AL
#28 (カラー Doppler 超音波診断/THorカラー doppler 超音波診断/AL)
#29 (内視鏡的逆行性胆道膵管造影/THorercp/AL)
#30 (管腔内超音波診断/THor管腔内超音波診断/AL)
#31 (管腔内超音波診断/THoridus/AL)
#32 (インターベンショナル超音波診断/THor血管内超音波診断/AL)
#33 (血管造影/THor血管造影/AL)
#34
血管内超音波カテーテル/AL
#35 (インターベンショナルラジオロジー/THorインターベンショナルラジオロジー/AL)
#36 (膵管鏡法/THor膵管鏡法/AL)
#37
#
6or#7or#8or#9or#10or#11or#12or#13or#14or#15or#16or#17or#18or#19
or#20or#21or#22or#23or#24or#25or#26or#27or#28or#29or#30or#31or#32
or#33or#34or#35or#36
#38
#5and#37
#39
#38AND(PT =症例報告除く,会議録除く CK =ヒト)
#40 (術後期/THor術後/AL)
#41 (外科手術/THor手術/AL)
#42
#40or#41
#43
#39not#42
#44 (薬物療法/THor化学療法/AL)
#45
#43not#44
#46 (造影剤/THor造影剤/AL)
#47
#45not#46
#48
#47AND(LA =日本語 PT =原著論文,解説CK =ヒト PDAT = 2007:2011)
●検索結果 151 件
CQ1 ─ 5 151
ửCQ 1─5 膵癌の病期はどのように決定するか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
tumornodemetastas*
#3
tumournodemetastas*
#4
tum
#5
UICC
#6
japanpancreassocietystage
#7
#2or#3or#4or#5or#6
#8
#1and#7Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/6/6
●検索結果 82 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
#4
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#5
#1or#2or#3or#4
#6
(腫瘍進行度/THor病期分類/AL)
#7
(重症度指標/THor病期分類/AL)
#8
#9
病期診断/AL
(TNM 分類/THortnm 分類/AL)
#10
jps/ALandstage/AL
#11
ステージング/AL
#12
原発腫瘍/AL
#13 (リンパ性転移/THorリンパ節転移/AL)
#14
遠隔転移/AL
#15
stage 分類/AL
#16
“stagescore”/AL
#17
stage/AL
#18
t 分類/AL
#19
n 分類/AL
#20
m 分類/AL
#21
リンパ節群分類/AL
#22
uicc/AL
#23
#
6or#7or#8or#9or#10or#11or#12or#13or#14or#15or#16or#17or#18or#19
#24
#5and#23
#25
#24AND(PT =症例報告除く , 会議録除く CK =ヒト PDAT = 2007:2011)
or#20or#21or#22
#26 (外科手術/THor外科的療法/AL)
#27
#25not#26
●検索結果 110 件
152 検索式
ửCQ 1─6 Borderline resectable 膵癌の診断:わが国における borderline resectable とは?
PubMed
#1
“Pancreaticoduodenectomy”[Mesh]OR“PancreaticNeoplasms”[Mesh]
#2
borderlineresectable
#3
#1AND#2
#4
borderlineresectableAND(pancreaticORpancreas)
#5
#3OR#4Limits:PublicationDatefrom1990to2011/02/19
●検索結果 53 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)or
(膵臓腫瘍/THor膵癌/AL)
#2
borderline/ALandresectable/AL
#3
境界/ALand切除/ALand可能/AL
#4
#2or#3
#5
#1and#4
#6
#5AND(PDAT = 1990/01/01:2011/02/19)
●検索結果 46 件
ửCQ 1─7 長期予後が期待できる早期の膵癌を診断するにはどうするか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ mesh]
#2
petORpositron─emissiontomography[meshTerms]
#3
endosonography[meshTerms]
#4
ESU
#5
ERCP
#6
IDUS
#7
#2or#3or#4or#5or#6
#8
#1and#7
#9
biopsy,needle[ mesh]
#10
biopsy,fineneedle[ mesh]
#11
ESUFNA
#12
FluorodeoxyglucoseF18[ mesh]
#13
cytodiagnosis[ mesh]
#14
pancreaticjuice[ mesh]
#15
ct─guided
#16
eus─guided
#17
#9or#10
#18
#15or#16
#19
#13or#14
#20
#13and#14
#21
#17or#18or#19
#22
#21and#13
#23
#20or#22
CQ2 ─ 1 153
#24
#1and#23
#25
english[la]orjapanese[ la]
#26
#24and#25
#27
#24 and #25 Limits:Humans, Clinical Trial, Meta─Analysis, Practice Guideline, Randomized
Controlled
#28
#
26Limits:ResearchSupport,AmericanRecoveryandReinvestmentAct,ResearchSupport,
N I H, Extramural, Research Support, N I H, Intramural, Research Support, Non U S Gov’t,
ResearchSupport,USGov’t,NonPHS,ResearchSupport,USGov’t,PHS
#29
epidemiologicstudycharacteristics[ mesh]
#30
#28and#29
#31
#27or#30
#32
#27or#30Limits:PublicationDatefrom2007/6/15
●検索結果 165 件
医中誌 Web
#1
ts1 膵癌/AL
#2
小膵癌/AL
#3
#1or#2
#4
#3AND(PT =会議録除くCK =ヒト)
●検索結果 87 件
2.外科的治療法
ửCQ 2─1 Stage Ⅳa 膵癌に対する手術的切除療法の意義はあるか?
PubMed
#1
(
“Pancreaticoduodenectomy”[ Mesh ] OR “pancreatectomy”[ Mesh ]) AND “Pancreatic
Neoplasms”[Mesh]
#2
“PancreaticNeoplasms/surgery”[Mesh]
#3
#2OR#3
#4
vascular OR blood vessels OR portal vein OR Superior mesenteric vein OR splenic vein OR
#5
arterialORarteryORstomachORcolonORmesocolonORinferiorvenacavaORotherorgan
#6
#4OR#5
#7
InfiltrationORinvasionORinvolveORinvolvementOR“NeoplasmInvasiveness”[Mesh]
#8
#3AND#6AND#7
#9
resectabilityORresectable
peripancreaticnerveplexus
#10 (resectORresection)Indication
#11
#9OR#10
#12
#8AND#11
#13
#8AND#11Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011
#14
R
andomizedControlledTrial[PT]ORControlledClinicalTrial[PT]ORClinicalTrial[PT]OR
MulticenterStudy[PT]ORComparativeStudy[PT]ORtreatmentoutcomeOR“Case─Control
Studies”[ Mesh ] OR “Cohort Studies”[ Mesh ] OR “Cross─Sectional Studies”[ Mesh ] OR
systematicReview*ORRetrospectiveStudiesORMeta─Analysis[ PT]
154 検索式
#15
#8AND#14Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011
#16
IvaOR“Iva”
#17
#3AND#16Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011
#18
#13OR#15OR#17
●検索件数 119 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#2
#1AND(SH =外科的療法)
#3
消化器外科/TH
#4
#1and#3
#5
#2or#4
#6
IVa/ALor“Iva”/AL
#7
#1and#5and#6
#8
#7AND(PT =解説,総説,会議録,図説,講義,座談会,Q & A,レター)
#9
#7not#8
#10
1 例/TIor一例/ALor1 切除/ALor一切除/ALor1 症例/ALor一症例/ALor1 剖検/ALor
#11
#9not#10
#12
#11AND(PDAT = 2007/05/01:2011)
一剖検/ALor1 手術/ALor一手術/AL
●検索結果 15 件
ửCQ 2─2 腹腔洗浄細胞診陽性症例の切除の意義はあるか?
PubMed
#1
#2
“Pancreaticoduodenectomy”[Mesh]OR“PancreaticNeoplasms”[Mesh]
(washORwashingORwashingsORlavage)ANDcytology
#3
peritoneallavage
#4
#2OR#3
#5
#1AND#4
#6
#1AND#4Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1990to2011/02/19
●検索結果 78 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
(洗浄/THor洗浄/AL)and(細胞診/THor細胞診/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)or
(膵臓腫瘍/THor膵癌/AL)
#3
腹腔細胞診/AL
#4
(洗浄/THorlavage/AL)
wash/ALorwashing/ALorwashings/ALor
#5
cytology/ALor細胞診/AL
#6
#4and#5
#7
#2or#3or#6
#8
#1and#7
#9
#8AND(PT =会議録除くPDAT = 1990/01/01:2011/02/19)
●検索結果 29 件
CQ2 ─ 4 155
ửCQ 2─3 膵頭部癌に対しての膵頭十二指腸切除において,胃(全胃あるいは亜全胃)を温存する
意義はあるか?
PubMed
#1
“PancreaticNeoplasms”[MeSH]
#2
PancreatoduodenectomyORpancreaticoduodenectomy
#3
Pylorus─preserving OR pylorus preserving OR stomach─preserving OR stomach preserving
#4
OR Controlled Clinical Trial[PT]
M
eta─Analysis[ PT]OR Randomized Controlled Trial[PT]
ORPPPDORSSPPD
OR Clinical Trial[PT]OR Multicenter Study[PT]OR Comparative Study[PT]OR “Case─
ControlStudies”[MeSH]OR“CohortStudies”[MeSH]OR“Cross─SectionalStudies”[MeSH]
#5
#1AND#2AND#3AND#4
#6
#
1AND#2AND#3AND#4Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/
05/01to2011/02/09
●検索結果 31 件
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/THor膵頭部癌/AL)or膵頭癌/AL
#2
or 膵十二指腸切除/AL)
or(膵頭十二指腸切除/TH or 膵頭十二指腸切
(膵頭十二指腸切除/TH
#3
or(幽門輪温存膵十二指腸
(幽門輪温存膵十二指腸切除/THor幽門輪温存膵頭十二指腸切除/AL)
除/AL)
切除/THor幽門輪温存膵十二指腸切除/AL)or 幽門輪全胃温存膵頭十二指腸切除/ALor幽門輪
全胃温存膵十二指腸切除/ALor(幽門輪温存膵十二指腸切除/THorPPPD/AL)orSSPPD/AL
#4
#5
#1and#2and#3
1 例/TIor一例/ALor1 切除/ALor一切除/ALor1 症例/ALor一症例/ALor1 剖検/ALor
一剖検/ALor1 手術/ALor一手術/AL
#6
#4not#5
#7
#6and(PT =解説,総説,会議録,図説,講義,座談会,Q & A,レター)
#8
#6not#7
#9
#8and(PDAT = 2007/05/01:2011/02/09)
●検索結果 33 件
ửCQ 2─4 膵癌に対する門脈合併切除は予後を改善するか?
PubMed
#1
”pancreaticneoplasms/surgery”[MeSH]
#2
”PortalVein/surgery”[MeSH]
#3
OR Controlled Clinical Trial[PT]
M
eta─Analysis[ PT]OR Randomized Controlled Trial[PT]
ORClinicalTrial[PT]ORMulticenterStudy[PT]ORComparativeStudy[PT]
OR ”Case─
Control Studies”[ MeSH ] OR “Cohort Studies”[ MeSH ] OR systematic Review* OR
“EpidemiologicStudyCharacteristicsasTopic”[MeSH]
#4
#
1AND#2AND#3Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to
2011/02/14
●検索結果 64 件
156 検索式
医中誌 Web
#1
(膵臓腫瘍/TH
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
#2
or
(血管/THor血管/AL)
(静脈/THor静脈/AL)or(門脈/THor門脈/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#3
合併切除/ALor(外科手術/THor外科的療法/AL)
#4
#1and#2and#3
#5
#4AND(PT =解説,総説,会議録,図説,講義,一般,座談会,Q & A,レター)
#6
#4not#5
#7
1 例/TIor一例/ALor1 切除/ALor一切除/ALor1 症例/ALor一症例/ALor1 剖検/ALor
#8
#6not#7
#9
#8AND(PDAT = 2007/05/01:2011/02/14)
一剖検/ALor1 手術/ALor一手術/AL
#10 (合併症/THor合併症/AL)
#11
#9 Not #10
●検索結果 82 件
ửCQ 2─5 膵癌に対して拡大リンパ節・神経叢郭清の意義はあるか?
PubMed
#1
”PancreaticNeoplasms”[MeSH]
#2
Lymphadenectom*OR“LymphNodeExcision”[MeSH]
#3
(plexusORplexusesORplexal)AND(dissection*ORrespection*ORexcision*ORresect*)
#4
#1AND(#3OR#2)
#5
#
1AND( #3OR#20)Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01
to2011/02/15
●検索結果 87 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
or リンパ節郭清/AL)
or リンパ節摘出/AL or 拡大手術/AL or 拡大郭清/
(リンパ節郭清/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
ALor拡大切除/ALorARPD/AL
#3
or切除/AL)
神経叢/ALand((リンパ節郭清/THor郭清/AL)
#4
#2or#3
#5
#1and#4
#6
#5and(PT =解説,総説,会議録,図説,講義,一般,座談会,Q & A,レター)
#7
#5not#6
#8
#7and(PDAT = 2007/05/01:2011/02/14)
#9
1 例/TIor一例/ALor1 切除/ALor一切除/ALor1 症例/ALor一症例/ALor1 剖検/ALor
一剖検/ALor1 手術/ALor一手術/AL
#10
#8 NOT #9
●検索結果 46 件
CQ2 ─ 7 157
ửCQ 2─6 (開腹後)非切除例での予防的バイパスは推奨されるか?
PubMed
#1
”Pancreaticoduodenectomy”[Mesh]OR“PancreaticNeoplasms”[Mesh]
#2
bypassORby─pass
#3
#
1AND#2Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011/02
/18
●検索結果 67 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)or
(膵臓腫瘍/THor膵癌/AL)
#2
bypass/ALorby─pass/ALor(バイパス術/THorバイパス/AL)
#3
#1and#2
#4
#3AND(PDAT = 2007/05/01:2011/02/18)
#5
#4AND(PT =会議録除く)
●検索結果 30 件
ửCQ 2─7 膵癌に対する内視鏡的手術の意義は?
PubMed
#1
“PancreaticNeoplasms/surgery”[MeSH]
#2
“Laparoscopy”[MeSH]
#3
#1AND#2Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1990to2011/02/22
#4
R
andomizedControlledTrial[PT]ORControlledClinicalTrial[PT]ORClinicalTrial[PT]OR
OR
Multicenter Study[PT]OR Comparative Study[PT]OR “Case─Control Studies”[ MeSH]
“Cohort Studies”[ MeSH]OR “Cross─Sectional Studies”[ MeSH]OR systematic Review* OR
RetrospectiveStudiesORMeta─Analysis[ PT]ORPracticeGuideline[ PT]
#5
#3AND#4
●検索結果 144 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
(腹腔鏡法/THor腹腔鏡法/AL)
#3
(腹腔鏡法/THor腹腔鏡下手術/AL)
#4
(腹腔鏡法/THor腹腔鏡補助下手術/AL)
#5
(用手補助腹腔鏡下手術/THorHALS/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)or
(膵臓腫瘍/THor膵癌/AL)
#6
#2or#3or#4or#5
#7
#1and#6
#8
#7AND(PDAT = 1990/ /:2011/02/19)
#9
1 例/TIor一例/ALor1 切除/ALor一切除/ALor1 症例/ALor一症例/ALor1 剖検/ALor
#10
#8not#9
#11
#10AND(PT =解説,会議録,図説,講義,一般,座談会,Q & A,レター)
#12
#10not#11
一剖検/ALor1 手術/ALor一手術/AL
●検索結果 52 件
158 検索式
ửCQ 2─8 膵癌では手術例数の多い施設で治療を受けるのがよいか?
PubMed
#1
”Pancreaticoduodenectomy”[Mesh]OR“PancreaticNeoplasms/surgery”[Mesh]
#2
high─volumeORhighvolumeORhighersurgicalvolumeOR“HealthFacilitySize”[Mesh]
#3
#1and#2Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011/02/17
●検索結果 72 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
#2
high/ALandvolume/AL
#3
保健医療施設の規模/THor手術例数/ALor症例数/ALor手術数/ALor経験数/AL
#4
#2or#3
#5
#1and#4
#6
#5AND(PDAT = 2007/05/01:2011/02/18)
●検索結果 20 件
ửCQ 2─9 Borderline resectable 膵癌の治療:わが国における外科的切除の意義は?
PubMed
#1
”Pancreaticoduodenectomy”[Mesh]OR“PancreaticNeoplasms”[Mesh]
#2
borderlineresectable
#3
#1AND#2
#4
borderlineresectableAND(pancreaticORpancreas)
#5
#3OR#4Limits:PublicationDatefrom1990to2011/02/19
●検索結果 53 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)or
(膵臓腫瘍/THor膵癌/AL)
#2
borderline/ALandresectable/AL
#3
境界/ALand切除/ALand可能/AL
#4
#2or#3
#5
#1and#4
#6
#5 AND(PDAT = 1990/01/01:2011/02/19)
●検索結果 46 件
3.補助療法
ửCQ 3─1 膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法,②化学療法)は推奨されるか?
ửCQ 3─2 膵癌の術中放射線療法は推奨されるか?
ửCQ 3─3 膵癌の術後化学放射線療法は推奨されるか?
ửCQ 3─4 術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?
以上 4 CQ をまとめて検索した。
PubMed
#1
”PancreaticNeoplasms”[Mesh]
CQ3 ─ 4 159
#2
”PancreaticNeoplasms/radiotherapy”[Mesh]
#3
5 ─fluorouracil OR 5─FU OR gemcitabine OR cisplatin OR leucovorin OR doxorubicin OR
paclitaxel OR cytarabine OR cyclophosphamide OR docetaxel OR irinotecan OR S─1 OR
capecitabineORtopotecanORUFT
#4
” Radiotherapy”[ Mesh ]OR Radiation OR “Drug Therapy”[ Mesh ]OR Chemotherapy OR
“Combined Modality Therapy”[ Mesh ]OR Chemoradiotherapy OR Chemoradiation OR
NeoadjuvantORneo─adjuvan
#5
Antineoplasticagents OR mitomycinC OR TegafurUracil
#6
#4OR#5OR#6
#7
P
reoperative* OR Intraoperative* OR Postoperative* OR Preoperative* OR Intraoperative* OR
Postoperative*
#8
“PancreaticNeoplasms/surgery”[Mesh]ORPancreaticoduodenectomyORpancreatectomy
#9
#1AND#7AND#8
#10
P rognosis OR Time Factors OR Quality of Life OR Mortality OR Survival Analysis OR
Treatment Outcome OR Survival OR Disease Progression OR Predict OR Prognost* OR
Outcome* OR Neoplasm Metastasis OR Neoplasm Recurrence, Local OR Liver Neoplasms/
secondaryORlivermetastasisORhepaticmetastasis
#11
#9AND#10
#12
#11 AND( Clinical Trial[PT]OR Randomized Controlled Trial[PT]OR Controlled Clinical
Trial[ PT ]OR Multicenter Study[ PT ]OR Cohort Studies OR Comparative Study OR
systematic Review* OR Retrospective Studies OR Meta─Analysis[ PT])Limits:Humans,
English,Japanese,PublicationDatefrom2007/05/01to2011
#13
#12NOT(#12Limits:Editorial,Letter,News)
●検索結果 38 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
or 放射線療法/AL)or(放射線療法/TH or 放射線治療/AL)
or(放射線化学
(放射線療法/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
療法/THor化学放射線療法/AL)or(放射線化学療法/THor放射線化学療法/AL)
#3
or(放射線照射/TH
C
hemoradiation/ALor(放射線化学療法/THorChemoradiotherapy/AL)
or
(術中放射線療法/THorIOR/AL)
or
(放射線療法/THor照射療法/AL)
or放射線照射/AL)
#4
ERT/AL
#5
or(薬物療法/THor化学療法/AL)
or(動脈内投与/THor動
(薬物療法/THor薬物療法/AL)
#6
( Fluorouracil /TH or Fluorouracil /AL ) or( Fluorouracil /TH or 5─fluorouracil /AL ) or
注化学療法/AL)or(抗腫瘍剤と免疫抑制剤/THor抗腫瘍剤と免疫抑制剤/AL)
or(Gemcitabine/
(Fluorouracil/THor5─FU/AL)or(Gemcitabine/THorGemcitabine/AL)
THorGEM/AL)or(Gemcitabine/THorゲムシタビン/AL)
#7
or(Leucovorin/THorleucovorin/AL)
or(Mitomycin/THor
(Cisplatin/THorcisplatin/AL)
or
(Doxorubicin/THordoxorubicin/AL)
or
(Paclitaxel/THorpaclitaxel/AL)
mitomycin/AL)
#8
or cytarabine/AL)
or(Cyclophosphamide/TH or cyclophosphamide/AL)
or
(Cytarabine/TH
or
(Irinotecan/THoririnotecan/AL)
or
(TS─1/THorS─1/AL)
(Docetaxel/THordocetaxel/AL)
#9
or TS─1/AL)or( Capecitabine/TH or capecitabine/AL)or( Topotecan/TH or
(TS─1/TH
160 検索式
topotecan/AL)or( Tegafur─Uracil/TH or UFT/AL)or( Tegafur─Uracil/TH or Tegafur─
Uracil/AL)or(Cisplatin/THorシスプラチン/AL)
or(集学的治療/THor集学的療法/AL)
or補助化学療法
#10 (集学的治療/THor集学的治療/AL)
/ALor補助療法/ALoradjuvant/AL
#11
アジュバント/ALorNeoadjuvant/ALorネオアジュバント/ALorNeo─adjuvant/AL
#12
#2or#3or#4or#5or#6or#7or#8or#9or#10or#11
(術後期/THor術後/AL)
#13 (周術期管理/THor周術期管理/AL)or術前/ALor術中/ALor
or 膵切除/AL)or 切除前/AL or 切除後/AL or(外科手術/TH or 外科的療法/
#14 (膵切除/TH
AL)or(膵十二指腸切除/THor膵頭十二指腸切除/AL)
or
(膵切除/THor膵体尾部切除/AL)
#15
#13or#14
or(治療成績/THor治療成績/AL)
or(死亡率/THor死亡率/AL)
or
#16 (予後/THor予後/AL)
or
(死亡/THor死亡/AL)
(生存率/THor生存率/AL)or(生存/THor生存/AL)
#17
or(生活の質
転
帰/ALor(再発/THor再発/AL)or予防/ALor(生活の質/THorQOL/AL)
/THor生活の質/AL)or腫瘍縮小/ALor緩和/AL
or( " アウトカム評価(保健医療)"/
#18 (“
アウトカム評価(保健医療)"/TH or アウトカム評価/AL)
THorアウトカム/AL)or(治療成績/THor治療効果/AL)
or肝転移/ALor成績/AL
#19 (肝臓腫瘍/TH)and(SH =転移性)
#20
#16or#17or#18or#19
#21
#1and#12and#15and#20
#22
#21AND(PT =会議録除く)
#23
#22AND(PT =解説,総説,図説,講義,一般,座談会,Q & A,レター)
#24 #22not#23
#25
#24AND(CK =ヒト)
#26
#1AND(RD =メタアナリシス)
#27
#25or#26
#28
#27AND(PT =症例報告除く)
#29
#28and(PDAT = 2007/05/01:2011/02/01)
●検索結果 79 件
4.放射線療法
ửCQ 4─1 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される一次治療は何か?
PubMed
(PancreaticNeoplasms
[ mh]OR“pancreaticcancer”[ tiab]OR“pancreascancer”[ tiab]
)AND
( “non operative” or nonoperative or inoperative or unresectable OR inoperable )AND
(chemoradiotherapy[tiab]OR radiochemotherapy[tiab]OR Combined Modality Therapy
[mh]
)
AND((“clinicaltrial”[PT]
OR“controlledclinicaltrial”[PT]
OR“cohortstudies”[MeSH
Terms]ORmeta─analysis[ pt]ORpracticeguideline[ pt]ORrandomizedcontrolledtrial[pt]
OR systematic[ sb]OR comparative study[pt]OR multicenter study[pt]OR “case─control
studies”[ MeSHTerms])NOTcomment[ pt]
)AND(“humans”[ MeSHTerms]
AND(English
)
)
[lang]ORJapanese[ lang])AND(“2007/04/30”[PDAT]:“2011/03/01”[PDAT]
●検索結果 65 件
CQ4 ─ 3 161
医中誌 web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
#3
#4
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
or
(放射線化学療法/THor化学放射線療法/AL)
(放射線化学療法/THor放射線化学療法/AL)
#1and#2and#3
#5
#4AND(DT = 2007:2011PT =症例報告除く,原著論文)
#6
#
4AND(DT = 2007:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
比較研究,診療ガイドライン)
#7
#5or#6
●検索結果 16 件
ửCQ 4─2 局所進行切除不能膵癌に対して推奨される化学放射線療法は何か?
PubMed
(PancreaticNeoplasms
[ mh]OR“pancreaticcancer”[ tiab]OR“pancreascancer”[ tiab]
)AND
(“non operative” OR nonoperative OR inoperative OR unresectable OR inoperable)AND
( A n t i n e o p l a s t i c C o m b i n e d C h e m o t h e r a p y P r o t o c o l s[ m h ] O R c o m b i * ) A N D
((chemoradiotherapy[tiab]OR radiochemotherapy[tiab]OR Combined Modality Therapy
[mh]
)
)AND((“clinicaltrial”[ PT]OR“cohortstudies”[ MeSHTerms]
ORmeta─analysis[ pt]
ORpracticeguideline[ pt]ORrandomizedcontrolledtrial[pt]ORcontrolledclinicaltrial[pt]
OR systematic[ sb]OR comparative study[pt]OR multicenter study[pt]OR “case─control
studies”[ MeSHTerms])NOTcomment[ pt]
)AND(“humans”[ MeSHTerms]
AND(English
)
)
[lang]ORJapanese[ lang])AND(“2007/04/30”[PDAT]:“2011/02/28”[PDAT]
●検索結果 58 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
#3
or
(放射線化学療法/THor化学放射線療法/AL)
(放射線化学療法/THor放射線化学療法/AL)
#4
or併用化学療法/ALor併用療法/THor併
(腫瘍多剤併用療法/THor腫瘍多剤併用療法/AL)
用/AL
#5
#1and#2and#3and#4
#6
#5AND(DT = 2007:2011PT =症例報告除く,原著論文)
#7
#
5AND(DT = 2007:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
比較研究,診療ガイドライン)
#8
#6or#7
●検索結果 12 件
ửCQ 4─3 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線療法では,どのような臨床標的体積を設定
するのがよいか?
PubMed
(PancreaticNeoplasms
[ mh]OR“pancreaticcancer”[ tiab]OR“pancreascancer”[ tiab]
)AND
(“non operative” OR nonoperative OR inoperative OR unresectable OR inoperable)AND
162 検索式
(“lymph node” OR “lymph nodes”)AND((“clinical trial”[ PT]OR “cohort studies”[ MeSH
Terms]ORmeta─analysis[ pt]ORpracticeguideline[ pt]ORrandomizedcontrolledtrial[pt]
OR systematic[ sb]OR comparative study[pt]OR multicenter study[pt]OR “case─control
studies”[ MeSHTerms])NOTcomment[ pt]
)AND(“humans”[ MeSHTerms]
AND(English
)
)
[lang]ORJapanese[ lang])AND(“2007/5/22”[PDAT]:“2011/03/01”[PDAT]
●検索結果 15 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
#3
SH =放射線療法or(放射線療法/THor放射線療法/AL)
#4
#5
(リンパ節/THorリンパ節/AL)
#1and#2and#3and#4
#6
#5AND(DT = 2007:2011PT =症例報告除く,原著論文)
#7
#
5AND(DT = 2007:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
#8
#6or#7
比較研究,診療ガイドライン)
●検索結果 3 件
ửCQ 4─4 局所進行切除不能膵癌に対し,化学放射線療法前の導入化学療法の意義はあるか?
PubMed
(PancreaticNeoplasms
[ mh]OR“pancreaticcancer”[ tiab]OR“pancreascancer”[ tiab]
)AND
(“non operative” OR nonoperative OR inoperative OR unresectable OR inoperable)AND
(Neoadjuvant Therapy[mh]OR “induction chemotherapy”)AND((“clinical trial”[ PT]OR
“cohort studies”[ MeSH Terms ] OR meta─analysis[ pt ] OR practice guideline[ pt ] OR
randomizedcontrolledtrial[pt]ORsystematic[ sb]ORcomparativestudy[pt]ORmulticenter
“humans”
study[pt]OR “case─control studies”[ MeSH Terms])NOT comment[ pt])AND (
[MeSH Terms]AND( English[lang]OR Japanese[ lang])AND( “1990”[ PDAT]:“2011”
[PDAT]))
●検索結果 20 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
#3
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
(ネオアジュバント療法/THor導入化学療法/AL)
#4
#1and#2and#3
#5
#4AND(DT = 1990:2011PT =症例報告除く,原著論文)
#6
#
4AND(DT = 1990:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
比較研究,診療ガイドライン)
#7
#5or#6
●検索結果 2 件
CQ4 ─ 6 163
ửCQ 4─5 局所進行切除不能膵癌に対し術中放射線療法の効果はあるか?
PubMed
#1
Search“survivalrate”ormortalityor“deathrate”
#2
S
earch meta─analysis[ pt]or randomized controlled trial[ PT]or controlled clinical trial[pt]
#3
Searchradiotherapyor“intraoperativeradiotherapy”
#4
Search“nonoperative”ornonoperativeor“inoperative”orinoperativeorunresectable
#5
Searchpancreaticneoplasm
#6
S
earch#1AND#2AND#3AND#4AND#5Limits:Humans,English,Japanese,Publication
orclinicaltrial[pt]
Datefrom2007/04/30to2011/05/15
●検索結果 19 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
or(膵嚢胞/THor膵嚢胞/
((膵臓腫瘍/THor膵臓腫瘍/AL)
#2
and
(PT =会議録除く)
(非切除/ALor切除不能/ALor手術不能/AL)
#3
or 術中放射線/AL or(術中放射線療法/TH or
(
(術中放射線療法/TH or 術中放射線療法/AL)
AL)or(膵管癌/THor膵管癌 AL/AL)
)and
(PT =会議録除く)
術中照射/AL))and(PT =会議録除く)
#4
#5
#1and#2and#3
(#4)and(DT = 2007:2011)
●検索結果 7 件
ửCQ 4─6 放射線療法は局所進行切除不能膵癌の QOL を改善するか?
PubMed
(PancreaticNeoplasms
[ mh]OR“pancreaticcancer”[ tiab]OR“pancreascancer”[ tiab]
)AND
(“non operative” OR nonoperative OR inoperative OR unresectable OR inoperable)AND
(radiotherapy[mh]ORradiotherapy[sh]
)AND(QualityofLife[ mh]ORQOLor“qualityof
life”ORpainOR“paincontrol”)AND((“clinicaltrial”[ PT]OR“controlledclinicaltrial”[ PT]
OR “cohort studies”[ MeSH Terms]OR meta─analysis[ pt]OR practice guideline[ pt]OR
randomizedcontrolledtrial[pt]ORsystematic[ sb]ORcomparativestudy[pt]ORmulticenter
“humans”
study[pt]OR “case─control studies”[ MeSH Terms])NOT comment[ pt])AND (
[MeSHTerms]AND(English[lang]ORJapanese[lang]
)AND
(“2007/04/30”[PDAT]:“2011
/03/01”[PDAT]))
●検索結果 7 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
#3
(放射線療法/THor放射線療法/AL)
#4
or 生活の質/AL)or(生活の質/TH or QOL/AL)
or( quality/AL and of/AL
(生活の質/TH
or(無痛法/THor無痛法/AL)
or(無痛法/THor除
andlife/AL)or(生命/THor生命/AL)
痛/AL)or(疼痛/THor疼痛/AL)or(疼痛/THor痛み/AL)
#5
#1and#2and#3and#4
#6
#5AND(DT = 2007:2011PT =症例報告除く,原著論文)
164 検索式
#7
#
5AND(DT = 2007:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
比較研究,診療ガイドライン)
#8
#6or#7
●検索結果 2 件
ửCQ 4─7 膵癌骨転移に対する放射線療法は有用か?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms
#2
neoplasmmetastasis
#3
boneneoplasms/secondary
#4
#1AND#2AND#3
●検索結果 50 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
AND
(PT =会議録除く)
(腫瘍転移/THor転移/AL)and(骨腫瘍/THor骨腫瘍/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
#3
放射線療法/THAND(PT =会議録除く)
#4
#1and#2and#3
●検索結果 13 件
5.化学療法
ửCQ 5─1 遠隔転移を有する膵癌患者に対して化学療法は推奨されるか?
PubMed
(Pancreatic
Neoplasms[ mh]OR “pancreatic cancer”[ tiab]OR “pancreas cancer”[ tiab])AND
(“non operative” OR nonoperative OR inoperative OR unresectable OR inoperable)AND
(antineoplastic agents[ mh]OR antineoplastic agents[ pa]OR 5─fluorouracil OR 5─FU OR
gemcitabine OR cisplatin OR leucovorin OR mitomycin C OR doxorubicin OR paclitaxel OR
cytarabine OR cyclophosphamide OR docetaxel OR irinotecan OR S─1 OR capecitabine OR
topotecanORUFTOR(tagafuranduracil)
)
AND(
(“clinicaltrial”[ PT]
OR“controlledclinical
OR practice guideline[ pt]
OR randomized controlled trial
trial”[ PT]OR meta─analysis[ pt]
[pt]
ORsystematic[sb]
ORmulticenterstudy
[pt]
)
NOTcomment
[pt]
)
AND
(“humans”
[MeSH
:“2011/03/01”
Terms]AND(English[lang]ORJapanese[ lang]
)AND(“2007/04/30”[ PDAT]
[PDAT]))
●検索結果 77 件
医中誌 Web
#1
or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)
orすい臓がん/
膵
癌/ALor(膵臓腫瘍/THor膵臓がん/AL)
ALor膵臓腫瘍/ALor(膵嚢胞/THor膵嚢胞/AL)
or
(膵管癌/THor膵管癌/AL)
#2
#3
切除不能/ALor非切除/ALor手術不能/AL
or(薬物療法/THor化学療法/AL)
or(抗腫瘍剤/THor抗腫
(薬物療法/THor薬物療法/AL)
or
(抗腫瘍剤/THor抗癌剤/AL)
瘍剤/AL)or(腫瘍多剤併用療法/THor混合抗腫瘍剤/AL)
#4
#1and#2and#3
#5
#
4AND(DT = 1990:2011RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
CQ5 ─ 4 165
比較研究,診療ガイドライン)
●検索結果 72 件
ửCQ 5─2 局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対して推奨される一次化学療法は
何か?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms/drugtherapy
#2
neoplasmmetastasis
#3
#1 AND #2 Limits:Humans, Clinical Trial, Meta─Analysis, Randomized Controlled Trial,
ControlledClinicalTrial,English,Japanese,PublicationDatefrom2007to2010
●検索結果 35 件
医中誌 Web
CQ5─3,5─4 とまとめて検索し,CQ5─4 の欄に検索式を示した。
ửCQ 5─3 切除不能膵癌に対して推奨される化学療法の投与期間はどれくらいか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms/drugtherapy
#2
administrationanddosage
#3
a ntineoplasticagentsOR5─FUOR5─FluorauracilORgemcitabineORcisplatinORleucovorin
OR mytomycin C OR doxorubicin OR paclitaxel OR cytarabine OR cyclophsphamide OR
docetaxel OR irinotecan OR S─1 OR capecitabine OR topotecan OR UFT OR(tagafur AND
uracil)
#4
#1 AND #2 AND #3 Limits:Humans, Clinical Trial, Meta─Analysis, Randomized Controlled
Trial,ControlledClinicalTrial,English,Japanese,PublicationDatefrom2007to2010
●検索結果 176 件
医中誌 Web
CQ5─2,5─4 とまとめて検索し,CQ5─4 の欄に検索式を示した。
ửCQ 5─4 切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms/drugtherapy
#2
n
tineoplastic agents OR 5─FU OR 5─Fluorauracil OR gemcitabine OR cisplatin OR leucovorin
OR mytomycin C OR doxorubicin OR paclitaxel OR cytarabine OR cyclophsphamide OR
docetaxel OR irinotecan OR S─1 OR capecitabine OR topotecan OR UFT OR(tagafur AND
uracil)
#3
#1 AND #2 Limits:Humans, Clinical Trial, Meta─Analysis, Randomized Controlled Trial,
ControlledClinicalTrial,English,Japanese,PublicationDatefrom2007to2010
#4
second─line
#5
#3AND#4
●検索結果 23 件
医中誌 Web
CQ5─2 局所進行切除不能膵癌・転移病変を有する膵癌に対して推奨される一次化学療法は何か?
CQ5─3 切除不能膵癌に対して推奨される化学療法の投与期間はどれくらいか?
166 検索式
CQ5─4 切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
以上の 3 CQ をまとめて検索した。
#1
(膵臓腫瘍/TH
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
#2
or(薬物療法/THor化学療法/AL)
or(抗腫瘍剤/THor抗腫
(薬物療法/THor薬物療法/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
or(腫瘍多剤併用療法/TH or 腫瘍多剤併用療法/
瘍剤/AL)or(抗腫瘍剤/TH or 抗癌剤/AL)
AL)AND(PT =会議録除く)
#3
#1and#2
#4
#
3 AND( PT =原著論文 RD =メタアナリシス,ランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,
比較研究)
●検索結果 117 件
6.ステント療法
ửCQ 6─1 閉塞性黄疸を伴う切除不能例に胆道ドレナージは推奨されるか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ majr]
#2
pancreaticneoplasms[ majr]
#3
bileductsANDdrainage
#4
#1AND#2AND#3Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1983to2010
●検索結果 38 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
#2
AND
(PT =会議録除く)
黄疸─閉塞性/THor(黄疸─閉塞性/THor閉塞性黄疸/AL)
#3
胆道ドレナージ/THAND(PT =会議録除く)
#4
#1and#2and#3
●検索結果 79 件
ửCQ 6─2 切除不能膵癌に対する胆道ドレナージのアプローチルートは,経皮的と内視鏡的の
どちらがよいか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms[ majr]
#2
bileductsANDdrainage
#3
percutaneousORendoscop*ORlaparoscop*ORperitoneoscop*
#4
#1AND#2AND#3Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1983to2010
●検索結果 55 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
#2
胆道ドレナージ/THAND(PT =会議録除く)
#3
経皮経肝胆道ドレナージ/THAND(PT =会議録除く)
CQ6 ─ 4 167
#4
#5
内視鏡法/THAND(PT =会議録除く)
(#1and#3)or(#1and#2and#4)AND
(PT =会議録除く)
●検索結果 110 件
ửCQ 6─3 膵癌による閉塞性黄疸に対するステントの種類は何が推奨されるか?
PubMed
#1
pancreatic neoplasms[ majr]OR biliary tract neoplasms[ majr]OR( biliary AND( duct OR
#2
stents[ majr]
#3
radiotherapy[sh]ORradiochemotherapyORchemoradiotherapy
#4
#1AND#2AND#3Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1983to2011
ducts))
●検索結果 19 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
#2
and(* 胆汁うっ滞/ALor(胆嚢疾患/THor胆嚢疾患/AL)
or
(ステント/THorステント/AL)
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
(PT =会議録除く)
(胆汁うっ滞/THor胆管閉塞/AL))AND
#3
#1and#2
●検索結果 67 件
ửCQ 6─4 胃十二指腸閉塞をきたした切除不能例に対する治療法は何が推奨されるか?
PubMed
#1
pancreaticneoplasms/therapy[majr]
#2
IntestinalObstruction
#3
#1AND#2Limits:Humans,English,Japanese,PublicationDatefrom1983to2010
●検索結果 64 件
医中誌 Web
#1
or 膵臓腫瘍/AL)or(膵嚢胞/TH or 膵嚢胞/AL)
or(膵管癌/TH or 膵管癌/
(膵臓腫瘍/TH
AL)or(膵臓腫瘍/THor膵臓癌/AL)AND
(PT =会議録除く)
#2
#3
(PT =会議録除く)
(腸閉塞/THor腸閉塞/AL)or消化管閉塞/ALAND
#1and#2
●検索結果 81 件
168 膵癌診療ガイドライン外部評価の結果
膵癌診療ガイドライン外部評価の結果
本ガイドライン作成過程の妥当性や臨床現場への適用可能性などを客観的に評価する
ために,本ガイドラインの作成後,作成に直接関わっていない膵癌専門医 2 名(外科系,
内科系)
,膵癌を専門としないが臨床ガイドラインに精通している医師 1 名(非専門医),
生物統計学専門家 1 名,患者代表 1 名の計 5 名から構成される外部評価委員によって,
独立した評価が行われた。評価は,診療ガイドラインを評価するツールとして世界的に
用いられている AGREE Ⅱ(Appraisal of Guidelines for Research and Evaluation)プロ
ジェクトによる評価法 1)を用いて行われた。結果の概要を以下に示す。なお,評価全体
のサンプルサイズが 5 名と少ないため,結果の解釈には十分注意する必要がある。外部
評価委員の人数が少ないため,膵癌専門医,膵癌非専門医,患者代表 3 者間での比較を
今回は行わなかった。
AGREE Ⅱによる評価
AGREE Ⅱによる評価(表 1)は 6 領域〔「対象と目的」
(1─3),
「利害関係者の参加」
(4─6)
,
「作成の厳密さ」
(7─14)
,
「提示の明確さ」
(15─17)
,
「適用可能性」
(18─21)
,
「編集の独立性」
(22─23)
〕23 項目および全体評価 1 項目(24)の計 24 項目から成る。各項目について,7 点:
「強く合う」から 1 点:
「強く合わない」(1─23),7 点:「最も高い」から 1 点:「最も低い」
の 7 段階で評価される。また,各項目にはコメントを記載するための欄が設けられてい
る。
領域ごとの平均点(最低 1 点〜最高 7 点)および標準化スコア(最高評点に対するパー
センテージとして標準化したスコア,最低 0%〜最高 100%)は,
「対象と目的」について
は 94%,
「利害関係者の参加」84%,
「作成の厳密さ」91%,
「提示の明確さ」83%,
「適用
可能性」74%,
「編集の独立性」95% であり,「対象と目的」「作成の厳密さ」および「編集
の独立性」については優れているものの,「適用可能性」については改善の余地があるこ
とが示唆された(図 1)
。
各項目に関しては,評価が高いものとしては,項目 1:
「ガイドライン全体の目的が
具体的に記載されている」
,項目 3:「ガイドラインの適用が想定される対象(患者,一
般など)が具体的に記載されている」
,項目 7:
「エビデンスを検索するために系統的な
方法が用いられている」
,項目 22:
「資金源によりガイドラインの内容が影響されてい
ない」などである。一方で,評価が低かった項目は,項目 15:「推奨が具体的であり,
曖昧でない」
,項目 21:
「ガイドラインにモニタリング・監査のための基準が示されて
いる」などであった。
全体評価については,項目 25:
「本ガイドラインを診療に用いることを推奨するか?」
という質問に対し,4 人が「YES」と回答し,残り 1 人のみ「YES(修正あり)
」と回答して
いた。
169
表 1 評価結果
NO. 1 〜 23 1:強く合わない,2,3,4,5,6,7:強く合う
NO. 24
1:最も低い,2,3,4,5,6,7:最も高い
NO. 25
YES,YES(修正して),NO
領域
1.
対象と
目的
2.
利害関係
者の参加
3.
作成の
厳密さ
No.
日本語暫定訳
A
B
C
D
E
平均
値
1
ガイドライン全体の目的が具体的に記載されている
6
7
7
7
7
6. 8
2
ガイドラインが取り扱う健康上の課題が具体的に記載
されている
6
6
7
6
7
6. 4
3
ガイドラインの適用が想定される対象(患者,一般な
ど)が具体的に記載されている
7
7
7
6
7
6. 8
4
ガイドライン作成グループには,関係する全ての専門
家グループの代表者が加わっている
6
7
5
7
6
6. 2
5
対象集団(患者,一般など)の価値感や好みが十分に考
慮されている
5
7
4
6
7
5. 8
6
ガイドラインの利用者が明確に定義されている
6
7
5
7
6
6. 2
7
エビデンスを検索するために系統的な方法が用いられ
ている
7
7
7
6
7
6. 8
8
エビデンスの選択基準が明確に記載されている
6
7
7
6
7
6. 6
9
エビデンス総体の強固さと限界が明確に記載されている
5
7
7
5
7
6. 2
10
推奨を決定する方法が明確に記載されている
6
7
7
7
6
6. 6
11
推奨の決定にあたって,健康上の利益,副作用,リス
クが考慮されている
6
7
6
5
7
6. 2
12
推奨とそれを支持するエビデンスとの対応関係が明確
である
5
7
7
6
6
6. 2
13 ガイドラインの公表に先立って,外部評価がなされている
5
7
7
7
7
6. 6
14
ガイドラインの改訂手続きが示されている
5
7
7
7
7
6. 6
15
推奨が具体的であり,曖昧でない
6
7
7
6
7
6. 6
16
患者の状態や健康上の問題に応じて,可能な他の選択
肢が明確に示されている
5
6
2
6
7
5. 2
17
どれが重要な推奨か容易に見分けられる
6
7
7
7
5
6. 4
18
ガイドラインの適用にあたっての促進要因と阻害要因 無回
を記述している
答
7
5
5
7
6
19
どのように推奨を適用するかについての助言・ツール
を提供している
5
6
7
6
7
6. 2
20
推奨の適用に伴う付加的な資源が考慮されている
5
7
6
6
6
6
21
ガイドラインにモニタリング・監査のための基準が示
されている
4
7
1
5
7
4. 8
6.
編集の
独立性
22
資金源によりガイドラインの内容が影響されていない
6
7
7
7
7
6. 8
23
ガイドライン作成グループメンバーの利益相反が記載
され,適切な対応がなされている
7
7
5
7
7
6. 6
全体評価
24
このガイドライン全体の質を評価してください
6
7
5
6
7
6. 2
4.
提示の
明確さ
5.
適用
可能性
25
このガイドラインの使用を推奨する
A:膵癌専門外科医
B:膵癌専門内科医
C:膵癌非専門内科医
D:膵癌非専門内科医(基礎医学)
E:患者代表
YES
YES
YES (修正 YES
あり)
YES
170 膵癌診療ガイドライン外部評価の結果
対象と目的
0. 94
1
0. 8
編集の独立性
0.95
0. 6
利害関係者の参加
0.84
0. 4
0. 2
0
適用可能性
0.74
作成の厳密さ
0.91
提示の明確さ
0.83
図1 AGREE Ⅱ 6領域の領域別標準化スコア
コメントとしては推奨度 C1 や C2 が多いためか,選ぶべき選択肢が明確でないとの意
見があったが,膵癌では前向き臨床試験が少なく,現状では致し方ないかと考えられる。
考察
ガイドラインの対象や目的,作成の厳密さ,編集の独立性などについては,いずれの
評価方法を用いても高い評価が得られていたものの,利害関係者の参加,提示の明確さ,
適用可能性(実際の適用にあたっての考慮)などについては評価が低かった。ある程度
予想された結果ではあるが,これらをどう考慮していくかは今後の課題と思われた。今
回の作成には医師とともに患者も参加したが,コメディカルは参加していない。将来的
にはこれらの方々にも参加してもらう必要があるようだ。評価者が 5 名と限定されてお
り,また,膵癌専門医,膵癌非専門医,患者代表の比較についての検討は行わなかった。
今後は特に,本ガイドラインを実際の臨床現場で用いることにより,多くの医師,コメ
ディカルあるいは患者などからの評価を受け,意見を求めることが重要である。また,
どのような評価方法を用いるかについても,さらなる検討の余地があると思われる。
(産業医科大学医学部第 1 外科学 山口幸二)
171
引用文献など
1) Appraisal of Guideline for Research and Evaluation(AGREE)collaboration.
http://www.agreecollaboration.org/
2) Shaneyfelt TM, Mayo─Smith MF, Rothwangl J. Are guidelines following guidelines? The methodological quality of clinical practice guidelines in the peer─reviewed medical literature. JAMA
1999;281:1900─1905
3) Shiffman RN, Shekelle P, Overhage JM, et al. Standardized reporting of clinical practice guideline:a proposal from the Conference on Guideline Standardization. Ann Intern Med 2003;139:
493─498
4) 長谷川友紀ら訳.ガイドラインの研究・評価用チエックリスト Appraisal of Guidelines for Research and Evaluation(AGREE)instrument. AGREE 共同計画,2001
5) Minds 診療ガイドライン選定部会監修,福井次矢,吉田雅博,山口直人編集.Minds 診療ガイド
ライン作成の手引き 2007.医学書院,2007
172 第 3 版 あとがき
『膵癌診療ガイドライン』
(2013 年版)が発刊されることとなり,膵癌診療ガイドライ
ンとしては 2006 年版,2009 年版に続き 3 冊目となる。発刊の経緯は「本ガイドラインに
ついて」の「3. ガイドライン作成法」に詳しく記したので,今回は割愛する。「本ガイド
ラインについて」に記載のない点を中心に紹介する。
2006 年版,2009 年版は日本膵臓学会より田中雅夫委員長,船越顕博副委員長のもと,
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン作成委員会/改訂委員会として作成された。その
間,メンバーはほとんど入れ替わっていない。今回は委員長が山口幸二,副委員長が奥
坂拓志先生に入れ替わり,膵癌診療ガイドライン改訂委員会として作成された。委員は
今回,大きく入れ替わり,患者代表者にも作成段階より参加していただいた。ステント
部門が新設され,花田敬志先生にチーフをお願いした。作成法は『Minds 診療ガイドラ
イン作成の手引き 2007』に従ったが,論文検索を開始する頃に Minds より GRADE シス
テムに移行してはとの意見があった。しかしその当時,わが国では GRADE システムで
作成されたガイドラインは皆無であり,どのようにして作成するのかもわからない状況
であったので,Minds 2007 に従うこととした。次回からの改訂では GRADE システム
を採用する予定である。採用論文数は 2006 年,2009 年,2013 年で 288,443,629 と大
きく増加した。
アルゴリズムについては,診断のアルゴリズムは大きく変わっていないが,治療のア
ルゴリズムは Stage 分類と治療法の間に「切除可能」
,
「局所進行切除不能」
,
「転移(・再
発)切除不能」といった分類を挿入した。この点については,
「borderline resectable」も
「切除可能」と「局所進行切除不能」の間に入れてはどうかとの意見があったが,時期尚
早との判断で次回の検討課題として残された。ステント療法,バイパス療法,補助療法
を支持療法として挿入し,膵癌の診断がついた時点より「膵癌患者においては診断初期
から疼痛・消化吸収障害・
(膵性)糖尿病・不安などに対する支持療法が必要となる。詳
細に関しては各病態の診療ガイドラインおよび日本緩和医療学会のホームページ
<http://www.jspm.ne.jp/guidelines/index.html> を参照されたい。」という文章を脚注に
挿入した。
CQ は 2006 年版,2009 年版,2013 年版で 22,25,35 と増加し,推奨も 31,39,57 と
大きく増加した。しかし,推奨度をみると A:B:C(C1,C2):D は 4:12:5:9, 4:
18:17(16, 1)
:0,8:26:23(22, 1):0 で相変わらず A は少なく,B,C が多い。膵癌
に対する科学的エビデンスの高い論文が少ない状況は変わりない。
3 回の公聴会,約 2 カ月のパブリックコメントで過去 2 版より多くの貴重なご意見を
いただいた。ご意見にはメール等でお返事を差し上げた。コメントの数が増えたのは,
ガイドラインの普及とともにガイドラインの重要性が認識されるようになった状況が反
映されているものと考えられる。
あとがき 173
今回,新たな試みとしてアルゴリズム,CQ, 推奨,推奨度をモバイル端末で参照で
きるようにした。
『膵癌診療ガイドライン』(2013 年版)が広く使われることを期待して
いる。
膵癌は現在,化学療法などを中心に新たなエビデンスが発表されており,新たな情報
は適時,日本膵臓学会のホームページなどで公開していく予定である。『膵癌診療ガイ
ドライン』
(2013 年版)発刊後は『膵癌取扱い規約』の改訂作業などと並行して,3,4 年
後の改訂を目指して作業に入る予定である。
2013 年 10 月
膵癌診療ガイドライン改訂委員会 委員長
産業医科大学医学部第 1 外科学
山口 幸二
174 第 2 版 あとがき
膵癌診療ガイドラインは初版を 2006 年 3 月 15 日に発行したが,同年の 4 月 21 日には
早くも第 1 回の改訂委員会を北九州で開催した。委員は基本的に今回までは前回と同様
としたが,転勤の関係で一部が交代した。その後,ガイドラインがひとまず普及したと
思われる頃を見計らって日本膵臓学会会員にその評価を問いかけるアンケートを行い,
その結果をまとめたデータをもって第 2 回委員会を 2007 年 4 月 21 日に青森で開催した。
推奨のグレード分類を Minds の A,B,C1,C2,D と分けた新しいものに変更すること
として改訂作業を進め,第 3 回を 2007 年 6 月 27 日に福岡で,第 4 回を 2008 年 1 月 19 日に
再び福岡で行って形を整えた。初版のときは公聴会を 3 回にわたって行ったが,改訂で
は 2 回でいいだろうということになり,2008 年 5 月 10 日に福岡の第 94 回日本消化器病
学会,同年 7 月 31 日に横浜の第 39 回日本膵臓学会大会で公聴会を開催した。さらに修
正を加えて推敲したガイドラインを,日本膵臓学会のホームページ(http://www.
suizou.org/)に 2008 年 10 月末より 1 カ月間公開し,最終版として整えた。診断と治療の
アルゴリズムなどに変更はなかったが,内容では膵癌の危険因子に IPMN を主体とする
膵嚢胞が追加された。これには綿密に経過観察された本邦からの結果が英文論文 2 編に
報告されたことが役立った。また,放射線治療の項にかなりの追加改訂がなされた。
本改訂版は初版の不十分な点を改め,膵癌の診断と治療に関して最近の 3 年の間に得
られた新しい知見を加えて改訂された。初版と本改訂版はほとんど同じ顔ぶれの委員会
で担当したので,委員の方々には 5 年近くの長い間かかわっていただいたことになる。
各種のガイドラインがほぼ出揃った現在と違い,当初は戸惑ったり,やり直したりしな
がらのこともありご苦労だったことと思う。次回からは半分あるいはそれ以上の委員に
交代していただいて,新しい視点を入れての改訂にしたいと考えている。次の改訂時期
は,改訂を要する進歩がどの程度の速度で蓄積されるかを見守りながら決定することに
なると思う。
2009 年 8 月 31 日
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会 委員長
九州大学大学院臨床・腫瘍外科
田中 雅夫
あとがき 175
初版 あとがき
本ガイドラインを公開するにあたり,ここにその策定の過程を要約して書き留めてお
きたいと思う。日本膵臓学会前理事長の松野正紀先生から膵癌診療ガイドライン作成小
委員会委員長の辞令をいただいたのは 2003 年 8 月のことであった。副委員長を九州がん
センターの船越先生にお願いし,他に外科 7 名,内科 4 名,放射線科 1 名の委員会を結
成した。多勢に及ぶと作業内容は分散して楽にはなるが,その分まとめるのは困難を伴
うようになりがちであるから比較的少人数の委員会にし,目標を 2 年以内にガイドライ
ンを作成して理事長へ報告することと定めた。診断法と診断基準,化学療法,放射線療
法,外科的治療法,補助療法(術前・術後)という項目を決め,各々担当の委員とチー
フを決定し,日程伺いを立てて委員会を持つまでに半年を要した(第 1 回 2004 年 3 月 5
日)
。少人数のために委員の方々には複数の役割をお願いすることになり大変ご苦労を
おかけすることになったが,これだけの人数であっても一同に会するということがいか
に難しいかを示している。それから先はクリニカルクエスチョン(CQ)の設定,文献検
索,採択,通読,推奨度決定,構造化抄録作成と,電子媒体を駆使してぐんぐん作業を
進めた。3 カ月間で CQ 設定を済ませる間に,国立保健医療科学院研究情報センター磯
野威先生から文献検索の専門家をご紹介いただき,検索を行う傍らチーフ会議を開催
(第 2 回 2004 年 7 月 13 日)
,文献選択の仕方,推奨度の決め方などを学びながら,9 カ月
後の日本消化器病学会の折に 1 回目の公聴会を開催することとして作業に拍車をかけ
た。
論文選択に約半年を要し,そのコピーを揃え,約 2 カ月間で構造化抄録の作成を進め
た。この段階で,エビデンスレベルの決め方がまだ様々で一定したものがないことがわ
かったが,混乱を避けるためにひとまず当初採用した Oxford 分類のままとし,作業を
進めながら検討を続けた。結局,推奨度を決める段階になって,MINDS の指示に従い
福井次矢先生の「診療ガイドラインの作成の手順 ver. 4. 3」の採用を決定した。再び委員
会を開催,日本癌治療学会診療ガイドライン委員会の佐治重豊先生にもご出席いただい
てご意見をいただいた(第 3 回 2005 年 1 月 18 日)。
第 1 回公聴会には 250 名を超える参加者があり,活発な意見交換があった(2005 年 4 月
15 日)
。これらを取り入れて修正を加えたものを日本膵臓学会の評議員へ前もって送付
したうえで,横浜の日本肝胆膵外科関連会議の際に第 2 回公聴会を開いた(2005 年 6 月 9
日)
。ここでは,エビデンスとそのレベルに基づいた推奨度のみでは今後の研究への展
望がみられないとの意見が強く,別欄に「オピニオン」として展望や将来の研究につな
がるような意見を少しだけ入れることにした。その修正を受けて東京の日本消化器外科
学会に合わせて委員会を開き(第 4 回 2005 年 7 月 22 日)
,続いて日本膵臓学会の際に第 3
回の公聴会を開催した(2005 年 7 月 28 日)。その結果,オピニオンという言葉がガイド
ラインにしては強い意味を持ちすぎる懸念があるということで,これを「明日への提言」
176 と変更した。その他にも公聴会の度に多くの修正を加え,機関誌「膵臓」で会員に通知
したうえで 2005 年 9 月 28 日から 1 カ月間日本膵臓学会のホームページに全文を公開し
た。アクセスは 151 回(外科 77,内科 55,放射線科 2,病理 1,看護師・技師 13,その他
3),ダウンロード数は 119 件あった。寄せられた意見は 3 名からのみであったが修正に
有用であった。さらに各方面からの意見を伺い,評価委員に公衆衛生学専門家,膵癌以
外の領域を専門とする医師会関係者,および患者さん各 1 名を追加した。10 月末までに
は委員と大勢の協力者の手による構造化抄録が出揃い,11 月末までに 3 社からの出版費
用の入札と選定,日本癌治療学会診療ガイドライン委員会の佐治委員長へその結果の報
告を済ませた。かくして,委員会を結成して 2 年弱,辞令を拝受して 2 年半で出版まで
持って行けたのは,ひとえに松野正紀前理事長のご指導のもと,本小委員会委員,協力
者,評価委員,学会事務局諸氏のご健闘の賜である。日本癌治療学会の北島政樹理事長,
佐治重豊ガイドライン委員長にも大変お世話になった。心より感謝申しあげる次第であ
る。
膵癌は,まだ決定的な早期診断法が確立されていない。上腹部痛,血清膵酵素の上昇,
尾側膵管の拡張や嚢胞形成,膵腫大,中年以後の糖尿病の発症または増悪など,いわゆ
る「閉塞性膵炎」に基づく種々の徴候をよく理解し,十分な注意を日常的に払うことが
診断への早道である。最近,膵管内乳頭粘液性腫瘍が別の意味での診断の契機になり得
ることを私どもは提唱し,現在検証が進められつつある。診断技術も治療法も日進月歩
の時代であるから,ガイドラインは数年ごとに改訂されていく必要があり,委員会は出
版とほぼ同時に改訂作業に入るが,本ガイドラインが,現時点での膵癌の診断に関する
正しい知識の普及と治療方針の標準化に役立つことを願っている。
2006 年 3 月 10 日
日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン作成小委員会 委員長
田中 雅夫
索 引 177
和文索引
あ
アルコール 27
い
胃温存 61
胃空腸吻合術 141
胃十二指腸閉塞 141
一次化学療法 118
遺伝子検索 38
遺伝性膵炎 25
遺伝性膵癌症候群 25, 49
遺伝性乳癌卵巣癌症候群 25, 49
遺伝性非ポリポーシス大腸癌 25
イリノテカン塩酸塩 121, 128
え
エビデンスレベル 4
エラスターゼ 1 31
エルロチニブ塩酸塩 118
遠隔転移 117
塩素化炭化水素 27
お
黄疸 30
オキサリプラチン 121, 128
か
外部放射線療法 103
化学放射線療法 83, 95, 99, 111
化学療法 83, 95, 111, 117
拡散強調像 36
拡大リンパ節・神経叢郭清 66
家族性異型多発母斑黒色腫症候群
25, 49
家族性膵癌 25, 49
家族性大腸腺腫症 25
合併症 76
カペシタビン 100
勧告の強さ 4
癌性疼痛 71
き
喫煙 25
強度変調放射線治療 100, 104
局所進行切除不能膵癌 95, 99, 108
く
グレード 4
け
計画標的体積 103
経口膵管内視鏡細胞診 39
経口フッ化ピリミジン 94
経皮的ドレナージ 134
外科的胃空腸吻合術 141
外科的減黄術 70
外科的胆道ドレナージ 131
血清アミラーゼ上昇 30
血中遺伝子異常 32
血中膵酵素 30
ゲムシタビン塩酸塩
90, 92, 96, 99, 106, 111, 118, 127
こ
高インスリン血症 25
固有肝動脈 46
さ
細胞診 38
し
自己拡張型メタリックステント
134, 135
支持療法 127
シスプラチン 96, 106, 111
集学的治療 81
手術的切除療法 55
手術例数の多い施設 76
主膵管型 IPMN 26
主膵管の拡張 48
術後化学放射線療法 89
術後の補助療法 81
術後補助化学療法 92
術前化学放射線療法 83
術前化学療法 84
術前治療 81, 83
術中放射線療法 87
腫瘍マーカー 30
上腸間膜静脈 46
上腸間膜動脈 46
静脈血栓塞栓症 30
審査腹腔鏡 44
進展度診断 55
す
膵液細胞診 48
膵液中 DNA のメチル化 39
膵液テロメラーゼ活性 39
膵型アミラーゼ 31
膵癌 25
膵癌骨転移 114
膵管生検 48
膵管内乳頭粘液性腫瘍 25
膵管ブラッシング細胞診 39
推奨度 4
膵上皮内癌(Stage 0) 49
膵頭十二指腸切除 61
膵嚢胞 25
ステントの種類 135
ステント療法 131
ストレプトゾシン 96
せ
洗浄腹水中の CEA 59
そ
造影 US 36
総肝動脈 46
早期の膵癌 48
組織学的癌遺残 46
組織診 38
た
体幹部定位放射線治療 100, 104
体重減少 30
大量飲酒 25
胆道ドレナージ 131
ち
超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 48
と
疼痛緩和 114
導入化学療法 106
糖尿病 25, 30
投与期間 125
ドキソルビシン 92
ドラニダゾール 108
トリプシン 31
な
内視鏡的十二指腸ステント挿入術
141
内視鏡的手術 73
内視鏡的胆道ドレナージ 131
内視鏡的ドレナージ 134
178 索 引
に
肉眼的癌遺残 46
肉眼的腫瘍体積 103
二次化学療法 127
の
嚢胞 48
ひ
非外科的胆道ドレナージ 132
肥満 25
病期診断 43
ふ
腹腔鏡下膵体尾部切除 73
腹腔鏡下膵頭十二指腸切除 73
腹腔神経叢ブロック 70
腹腔洗浄細胞診 58
腹腔動脈 46
腹痛 30
腹部超音波検査 32
フッ化ピリミジン系抗がん薬 99
プラスチックステント 134, 135
プラチナ製剤 120
フルオロウラシル
90, 92, 95, 99, 108, 111, 118
プロテオーム解析 31
へ
閉塞性黄疸 131
ヘリコバクター・ピロリ 27
ほ
放射線療法 99, 111, 114
補助動注化学放射線療法 89
ホリナートカルシウム 92, 121, 128
ま
マイトマイシン C 92, 95
慢性膵炎 25
も
門脈合併切除 63
門脈浸潤陽性例 64
ゆ
幽門輪温存膵頭十二指腸切除 61
よ
腰背部痛 30
予防的胃空腸吻合術 70
予防的バイパス 70
り
利益相反 5
リスクファクター 25
リパーゼ 31
粒子線治療 100
臨床標的体積 103
め
メタリックステント 135
欧文索引
ABO 血液型 27
B 型肝炎ウイルス 27
best supportive care( BSC)
111, 117, 127
borderline resectable 膵癌 46, 80
CA19─9 30, 31
CA50 31
CEA 31
CONKO─001 試験 92
covered SEMS 137
covered type 135
CT 35, 48
CT─FNA 39
CTV 103
Dupan─2 31
dynamic MRI 35
ECOG 95, 96
ERCP 36, 38, 48
ERCP 下細胞診 39
ESPAC─1 試験 93
EUS 38, 43, 48
EUS─FNA 39, 48
FAMMM 25, 49
FFCD/SFRO 96
FOLFIRINOX 121
GEST 試験 121, 128
GITSG 95
GS 療法 121
GTV 103
high volume center 76
HBOC 25, 49
IMRT 104
IPMN 26, 49
IRIS 128
JASPAC 93
JASPAC─01 93
K─ras 32, 39
Karnofsky performance scale
(KPS)
118, 127
low volume center 76
Lynch 症候群 25
MDCT 36, 43
medium volume center 76
MMP─9 31
MRCP 35, 48
MRI 35
MUC 39
nab─パクリタキセル 121
NCCN ガイドライン 46
p53 32, 39
PD 61
PET 38
Peutz─Jeghers 症候群 25, 49
PPPD 61
PTV 103
QOL 111
R1 46
R2 46
S─1 92, 98, 106, 120, 127
SBRT 104
SOX 128
Span─1 31
Stage Ⅳa 膵癌 55
TIMP─1 31
TNM 因子 43
TS1 48
Tu─M2─PK 31
uncovered SEMS 137
uncovered type 135
US 32, 48
US─FNA 39
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本書から「アルゴリズム」
,
「CQ」
,
「推奨」,「明日への提言」を抜粋し,スマートフォンやタ
ブレットで閲覧できるアプリを作成しました。下の QR コードを iOS,Android 端末で読み取
ることにより,日本膵臓学会ホームページ内のダウンロード用ページ(下記 URL)が表示され
ます。ご使用の端末にあらかじめ QR コード読み取りアプリがインストールされている必要が
あります。
http://www.suizou.org/etc.htm
科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン
2013 年版(構造化抄録 CD─ROM 付)
定価(本体 3,000 円+税)
2006 年 3 月 10 日 第 1 版(2006 年版)発行
2009 年 9 月 30 日 第 2 版(2009 年版)発行
2013 年 10 月 24 日 第 3 版(2013 年版)第 1 刷発行
2014 年 4 月 7 日 第 2 刷発行
編 者
発行者
発行所
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン
改訂委員会
古谷 純朗
金原出版株式会社
〒 113─ 8687 東京都文京区湯島 2─ 31─14
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営業
(03)3811─7184
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© 日本膵臓学会,2006,2013
検印省略
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印刷・製本/真興社
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