Ⅽ4 5・12 汶川地震の建築被害情況と啓示 中国建築科学研究院 耐震

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5・12 汶川地震の建築被害情況と啓示
中国建築科学研究院 耐震工学研究所
所長
黄 世敏
皆様、こんにちは。
私は、午後、四川省の汶川地震の典型的な被害について紹介しようと思います。
(スライド№2)
皆様が知っておられるように、北京時間の 2008 年5月 12 日、中国の四川省でマグニチュー
ド 8.0 の大地震が発生しました。地震の後で、国家建設部の派遣で科学研究院は 12 回、専門家
を派遣しまして、震災地へ行って地震の災害調査をやりました。震災地へ行って、地震の後の
技術的な指導と被害の応急度評価と調査研究の仕事をやりました。今日は、四川地震の後の資
料を皆様にご紹介いたします。
(スライド№3)
これ(図2)は、中国の地震局が発表した今回の地震烈度の状況です。この図面から見ると、
震源地では震度 11 になりました。それは、加速度は 0.8Gに該当します。
(スライド№4、5)
次は、地震時の家屋・建築物の主要な構造体システムを紹介します。被災地の住宅の構造は
主に3つの種類に分けられます。1つは年代が非常に長い木構造で、もう1つは生土です。そ
のまま土を利用して構造になるもの。3番はレンガとコンクリートの構造です。ほかの多層の
住宅とオフィスビルなどは、大都市の建築とほとんど同じようで区別はないと思います。
まず、私は、中国の耐震設計の紹介をいたします。
中国の耐震に対する原則は3つあります。1つは、小さな地震になるとき壊れない。中等ぐ
らいの地震のとき回復できる、修繕できる。3番は、大きな地震のとき倒れない。そういう3
つの原則があります。これは、日本の耐震の設計と比べて同じぐらいです。
私たちも、2つの段階に分けて建築物を設計します。1つは、小さな地震のとき、弾性モジ
ュールで設計します。大きな地震のとき、建築物の変形と変位に基づいて、倒れないように設
計します。これは日本とちょっと違いまして、うちのほうはやはり変形・変位の形で設計して
いるのです。
すみません、専門用語がたくさんありますので、もしわからないところがあれば英語で説明
します。
(スライド№6)
今度の地震は、四川省の汶川というところで、震源地の震度は 11 になったのですから被害
はものすごく大きいと思います。この写真(図3)は汶川の映秀というところで、この写真を
見ると、映秀の家屋・建物はほとんど倒れています。
(スライド№7)
これも、映秀というところの写真です。
(スライド№8)
これは農村の建築が地震で倒れる状況です。
(スライド№9)
この写真(図4)は、北川というところで、北川が2つに県庁を分けています。これは新し
い県庁です。ここのところの被害は、地震だけでなくて、地震の後の2次災害で、山崩れで建
築物は土砂崩れで埋められた。
(スライド№10)
この写真(図5)を見るとわかりますが、山崩れで下の建築物はその衝撃で倒れた状況です。
下の写真を見てください。下の写真の中には大きな石があります。それは山崩れで山から転
げた石で、一番大きいのは2階ぐらいの高さで5~6mぐらいです。だから、ショックは一番
大きいです。うちの研究所は、基準法をつくるとき、建築物の場所を選ぶのが一番重要なもの
だと。この大きな石でショックがあれば、どんな丈夫な建物でも耐えられません。
(スライド№11)
これは、地震の後、土が崩れて、その高さは3mぐらいです。それは、地震で倒れるのはも
ちろんのことです。
(スライド№12)
これは、彭州というところのある学校です。学校の地面は地震で隆起されました。隆起の高
さは2mぐらいです。幸いなのは、その隆起は学校の建物と平行したもので、建物に対して災
害をもたらしませんでした。しかし、その隆起の両側、先生の寄宿舎はみな倒れました。
(スライド№13)
これは、地震の後の川岸の法面、波のような破壊ですね。もし建築物をこのような土地に建
てれば、必ず破壊されます。
(スライド№14)
これは、30 年前の唐山地震の写真です。そのとき、地面の移動でレールが変形になってしま
ったのです。大きな地震があったら、必ず地面の変形で災害を引き起こした。
(スライド№15)
これは、台湾の集集地震の地面の差等の状況です。
(スライド№16)
これも台湾の地震で、建物は大丈夫ですが、路面は上がって、道路の破壊です。
(スライド№17)
これも台湾の集集地震の写真です。
(スライド№18)
今度の四川省の地震は、地面の砂の液状化で砂は下から出ました。
(スライド№19)
これは、田畑の液状化によって破壊されました。
(スライド№20)
これは、まちの中の車は液状化で埋められた。
(スライド№21)
これも、液状化で生じた被害です。
(スライド№22)
これは、日本の新潟で起きたマグニチュード 7.5 の地震で、液状化で建物は斜めになって倒
れるのもある。構造そのものは破壊していなかったのです。液状化によって基礎が悪くなって、
建物は倒れるのです。
(スライド№23)
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今度の四川の地震は、液状化によって被害が発生したことがありますが、少ないほうです。
これは、四川の隣の山西省です。建物の前側、堀面がちょっと崩れて、建物の壁は斜めのひ
び割れが出てきました。基準法の中でちゃんとつくりましたが、堀面のそばで建物を建てると
き、必ず地震の支持力は大きくなるように設計しなければなりません。
(スライド№24)
これは、中国の耐震設計基準法の中で3つに分けていますが、建築物を建てるとき、必ず主
に平らなところで建築してくださいということです。もし斜めがある場合、やわらかいところ
を避けてください。地震の後の2次災害を避けるように。
(スライド№25~28)
これは中国の耐震設計基準の中に規定されたものですが、時間の関係で略します。
私たちの耐震設計基準は、日本と同じように、建築物を建てるところで砂の液状化の場所を
避けるように決めています。
(スライド№29)
これは形がおかしい建築物ですね。地震のとき、ねじれの作用で薄弱部分は厳しく破壊され
ました。これは6階の建物で、下は商業用ですが、下の壁が余り密でなかったので破壊をされ
ました。地震のねじれ作用によりまして、下の3つの柱が倒れてしまいました。鉄筋は圧力で
灯篭みたいな形になりました。しかし、ちょっと離れたところの柱はほとんど倒れていない。
この建物は地震で傾いて、今はとり外しました。
(スライド№30)
これは5階の住宅で、1階は全部倒れまして、5階の建築が4階になりました。
(スライド№31)
これは阪神地震のとき倒れた建物で、ほとんどさっき紹介した写真と同じような状況でした。
(スライド№32)
これも同じです。
(スライド№33)
これも台湾の集集地震で被害を起こした建物で、1階は大空間で支持力がないですから、地
震のとき倒れました。
(スライド№34)
これも阪神地震のときの写真ですが、弱い部分は真ん中にあるから、上と下の部分は大丈夫
でした。
(スライド№35)
下の写真は地震後の写真ですが、地震の後でほとんど変わっていないです。上の写真は弱い
部分の写真です。地震で破壊しました。
(スライド№36)
これも、弱い部分は真ん中にあります。その弱い部分は地震の関係で倒れました。
(スライド№37)
これも今度の四川地震のときの写真です。これは、1階は商業用ですから、耐震不足で倒れ
ました。2階は全く倒れました。
(スライド№38)
これは、もともと5階の建築ですが、地震で下の2階は全部倒れまして3階になりました。
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(スライド№39)
これは基準法の規定です。
(スライド№41)
これは、ラーメン構造で地震でほとんど被害はありません。しかし、一部分だけ倒れました。
(スライド№42)
これは、ある中学校の例ですが、ラーメン構造で、地震の後で下の部分はちょっと倒れてし
まいました。倒れる原因の1つは、また液状化の問題もあります。
(スライド№43)
これは、ラーメン構造の倒れる状況。これは、5階のラーメン構造の建築で、下は全部倒れ
ました。
(スライド№44)
これは、台湾の集集地震のとき、ある 12 階の鉄筋コンクリート構造、ラーメン構造です。
独立的なレンガの柱構造は余りよくないと思います。今度の地震で破壊は厳しい。
(スライド№47)
これは、レンガ柱構造の水平変位の写真です。
(スライド№49)
今度の破壊がひどいのは、レンガ・コンクリート構造です。
(スライド№51)
これは6階のレンガ・コンクリート造ですが、右の部分は1階は倒れて、左部分の1階のサ
ポートで支持しています。
(スライド№53)
これは、ある中学校の建物で、レンガ・コンクリート造です。下の1階は全部倒れました。
そのところの震度は高いですから、建物破壊はひどいと思います。5階が4階になりました。
これは同じですが、建物の石部分は傾きになって、2つに分けてしまいました。これは2階
のレンガ・コンクリート造です。
これは6階の住宅で、建物全体の構造強度は足りないですから全部倒れてしまいました。
これは、ある幼稚園の写真です。この幼稚園は、こんな大きな地震の中で倒れていなかった
のですが、耐震壁は強いと思います。これは将来、私たちは推薦するものとして研究する模型
になるのですね。
建物から突き出したものに対して、地震力の破壊でひどい被害を受けました。
この写真を見ると、下の部分はほとんど変わっていなかったのですが、突き出した部分は破
壊がひどい。だから、設計したとき、屋上のせり出した部分を重点として考えなければなりま
せん。今、私たちのつくり方は、地震度の3倍以上のデータで計算するのです。
農村部の建物です。先進的に設計していないものですから、地震の中でほとんど倒れました。
左の写真です。これも鋼構造ですが、地震の中でほとんど倒れていないのですが、まちに沿
って建てた建物は、先進的に設計したものですから、地震のとき全く変わっていない。梁があ
る部分は水平的なひび割れが出てきました。それは、柱の下のひび割れです。
まちの両側に建てた建物の下はほとんど商業用なものですから、下は大空間を使っています。
その下はほとんどコンクリート構造のラーメン構造で、上のほうは積立て式で、レンガで積み
立てしたものです。だから、下の部分は破壊がひどいです。
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今度の四川地震は、実は震度が高いので、今まで建築物に要求していた震度よりも数倍も高
いのです。だから、今度の被害は大きいです。
この地震の中で、避難用の階段はほとんど破壊されました。だから、人間の避難は、どこへ
も避難することができないものになります。だから、今度は基準法を改正するとき、階段室の
そばに構造柱をつけるように決めました。
また、基準法の中には、避難の階段が建物の両側、それから曲がるところに設置するのはで
きるだけ避けるように。今度の地震の中で、両側に接している階段はほとんど倒れてしまいま
した。
また、この地震の中で破壊がひどい建物として、プレストレストの中空の板を使う原因で破
壊がひどい。私たちが言った短い柱は、断面のサイズより低いのを短い柱と言います。そのと
きの柱の破壊はせん断破壊と言います。だから、設計のとき、注意しなければなりません。
これは柱の破壊で、鉄筋は曲がるようになりました。写真を見てください。
これは、さっき言ったように短い柱の破壊で被害を受けました。
これは、今度の地震の特徴です。壁と縦の柱のつながりは余りよくないですから破壊が発生
しました。それは、建てる柱は余り破壊していなかったのですが、しかし、改善するときコス
トが高い。
○那珂議長 黄所長、そろそろまとめに入っていただけますか。
○黄所長 これは膨張ジョイントで、設計のとき、広さが足りないですから、地震のとき分か
れてしまいました。
耐震補強をやったもので、地震のとき、ほとんど変わっていません。
構造柱と帯梁は足りないですから、サポートの支持力は低くなる。
これは免震構造を使いました。基礎のところでゴムの免震措置を使いました。
地震でほとんど変わっていなかったので、もう1つ、揺れるのは余りないですから、人の気
持ちは穏やかになるものです。こんな大きな地震の中で、30m以上の構造建築は一つも倒れて
いなかったんです。建築基準法は改正してからだんだん厳しくなって、新しい基準法によって
設計されたものはほとんど破壊していなかったのです。
地震の後で、私たちは今までの耐震基準法に対して局部的な改正をしました。今度の地震を
通じて、中国の耐震基準法は大きな地震に耐えることができると自信を持っています。今度の
地震で被害が大きい建物は瑕疵があると。だから、政府のほうは、責任は一体誰が負担するか
処分しています。また、残った建物に対して耐震補強をしています。
大体以上です。どうもありがとうございます。
○那珂議長 ご質問があろうかと思いますけれども、次の日本側の犬飼室長の発表と合わせて、
地震問題として後ほど質疑の時間を取りたいと思います。
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