日本の自動車産業のグローバル化を 世界市場で培った知見と

インフィニオン テクノロジーズ
Infineon Technologies
日本の自動車産業のグローバル化を
世界市場で培った知見と技術で支援
ここ数年、自動車業界では電子化・電動化がジワジワと進んできた。これに伴って、
自動車への半導体の搭載量は右肩上がりに増加し続けている。また、質の面から見て
も、より高度で高性能なデバイスが求められるようになっている。一方、新興国市場の
成長と円高によって、日本の自動車産業のグローバル展開が一気に加速している。
ドイツのインフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)の製品は、ヨーロッ
パをはじめとする世界中で販売されている自動車に数多く搭載されている。先端技術
の開発や、新しい生産ラインへの投資も絶え間なく行なっている。世界市場で培った
同社の知見と技術は、日本の半導体ベンダーとは異質の特徴を備えている。同社は、
日本の自動車産業のグローバル化に向けて、どのような貢献をしていくのか探った。
インフィニオンの自動車向けデバイス事業
日本企業のグローバル・パートナーとして
自動車業界の新たな時代を拓くインフィニオン… ………… p.2
インフィニオンの日本での役割
豊富な知見と高度な半導体技術で
日本企業のグローバル展開をサポート… ………………… p.4
グローバルなサポート体制
顧客バリューチェーンの変化に対応
共同開発や品質対応の取り組みでも世界をリード………… p.5
標準化とカスタム化を両立させる仕組み
差異化できるデバイスを低コストで実現
独自のスキームでニーズに呼応……………………………… p.6
グローバル・レベルでのBCP
高度なBCPをグローバルに適用
顧客の事業継続をバックアップ… ………………………… p.7
本冊子は日経 Automotive Technology に掲載した広告記事の抜粋です。
日本の自動車産業のグローバル化を世界市場で培った知見と技術で支援
Infineon Technologies
インフィニオンの自動車向けデバイス事業
日本企業のグローバル・パートナーとして
自動車業界の新たな時代を拓くインフィニオン
インフィニオンの半導体製品は、産業機器から民生製品まで幅広い分野で利用されている。
中でも自動車向け半導体は、先進の機能や高い品質と豊富な実績を背景に、ヨーロッパをは
じめアメリカや日本の自動車に数多く搭載されている。世界中の自動車メーカーやティア1サ
プライヤからの信頼も厚く、日本の半導体メーカーとは一味違う製品とサービスで、電子化・
電動化という技術変革とビジネスのグローバル化という事業構造の変化に直面している日
本企業の活動を支えていく。
車載用半導体の需要が急増してい
健全な企業体質を武器に
る。ある調査報告によると、2012年
次世代への投資を活発化
にはおよそ19億個の車載電子システ
成長市場である車載用半導体分野
ムに半導体デバイスが搭載されると
で、インフィニオンは世界第2位に相
見込まれる。2015年には、さらに26
当するおよそ10%のシェアを誇る。
200mmウエーハに対応したバイポー
によるミリ波フロン
ラ・プロセスや、業界トップクラスの
トエンドMMICなど、
性能を実現するトレンチDMOSプロ
車載向けに幅広い製
セスなどの高度なプロセスを独自に開
品を取り揃えている。
発。高性能かつ高品質な半導体製品
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
オートモーティブ事業本部 本部長
徳渕 夏樹氏
の顧客価値の向上だ
供給面では、ドイツのドレスデン、
けでなく、システムレ
オーストリアのフィラッハ、マレーシ
ベルでのトータルソ
アのクリムなどに前工程の工場を配
リューションをお客
置するとともに、ヨーロッパ、東南ア
様にご提案できるの
ジア、中国などに後工程の工場を配置
も、インフィニオンの
る。
このうちマレーシアのクリムには、
分社・売却してきました。その一方で、
200mmウエーハを対象に生産コスト
2010
+15%
世界での販売額
(十億ユーロ)
3.0
「半導体製品個別で
を提供している。
し、安定的な供給能力を確保してい
2009
3.3
2011
4.0
事業の選択と集中
0.7
営業利益
(十億ユーロ)
­0.2
利益率:
­7%
0.3
11%
18%
図 2 ⃝事業の選択と集中によって、健全な事業体質
を作り上げたインフィニオン
強みと考えています」
(徳渕氏)
。
自動車大国で鍛えられた高い品質と
とえば、
トヨタ自動車の広瀬工場から
は、3年連続不良ゼロを表彰する「最
優秀賞」
(2009年)
、4年連続不良ゼ
億個にまで増える見通しだ。年成長
同社は、パワー半導体やセキュリテ
車載、産業機器、およびセキュリティ
効率をさらに高めた新プラント「Kulim
グローバルな経験を日本の顧客に
ロを表彰する「品質栄誉賞」
(2010
率に換算するとおよそ11%の高率に
ィ・チップカードICなどを中心に事業
(チップカード)に事業を特化して、盤
2」の建設が進行中で、現在稼働中の
進化の著しい自動車産業をグロー
年)
、単年度不良ゼロを表彰する「優
相当する。
を展開し、なかでも自動車向け半導体
石の事業基盤を築くための大幅な変
「Kulim1」と合わせ生産能力を引き上
バルなスケールで支えるインフィニオ
秀賞」
(2012年で4度目)をそれぞれ
こうした高成長を生み出す要因は
は売上高の40%以上を占める(図1)
。
革を成し遂げました」
(図2)
。
げる予定だ。また、ドイツのドレスデ
ンが、今改めて注目しているのが日本
受賞している。半導体ベンダーが直
2つある。1つは、世界的な自動車の
日本およびアメリカと並ぶ自動車大国
この結果、2009会計年度の利益
ン工場では、300mmの超薄型ウエー
市場である。もちろん、同社の製品は
接このような表彰を受けることは珍し
普及である。先進国における電動化・
であるドイツの自動車産業の成長を
率が世界規模での金融危機の影響も
ハを用いたパワー半導体の量産を、業
既に日本の自動車メーカーや主要な
く、日本の顧客から信頼を得ているこ
電子化された自動車への置き換え需
常に支え続ける存在である。
あり-7%だったのに対して、2010会
界の先陣を切って開始する予定であ
ティア1サプライヤで採用されている。
との証左である。
要だけでなく、新興国における爆発的
インフィニオンの強みの一端が健
計年度には11%へと急激に改善した。
る。
しかし「自動車の電子化や電動化を
またデンソーからは、タイヤ空気圧
な自動車の普及も合わせると、2ケタ
全な収益構造だ。日本法人であるイ
さらに2011会計年度には18%とい
供給体制の整備に余念がないのは、
牽引し、同時にグローバル展開を急速
モニタリングシステム(TPMS)を実
を若干下回る年率での安定した自動
ンフィニオン テクノロジーズ ジャパ
う高い利益率を叩き出している。
世界中のEV/HEVの出荷台数が業
に進めている日本のお客様に対して
現するタイヤ圧センサー・チップの共
車市場の成長が見込める。もう1つの
ンでオートモーティブ事業本部の本部
収益性の向上は安定的な経営に直
界の予測通り増えていった場合に、半
インフィニオンができることは、まだ
同開発に対して、
「2011年度技術開
理由が、長期的なEV/HEVの普及、
長を務める徳渕夏樹氏は次のように
結し、ひいては安定的な製品供給や上
導体業界全体を合わせてもパワー半
まだたくさんある」
(徳渕氏)との考え
発賞」が贈られている。
短中期的な自動車のパワートレインの
説明する。
「インフィニオンはいわゆ
質のサポート提供という形で顧客に
導体の生産キャパシティが足りずに、
の下、取り組みをさらに強化していく。
外資系ベンダーはややもすると敷
電子制御化やボディー・シャシー回り
る「集中と選択」を推し進め、メモリ
還元される。同時に、莫大な開発費を
需要に応えきれない可能性が高いの
そのきっかけとなったのが2011年
居が高いと感じる顧客も少なからず
の高機能・安全化に伴う、電動化・電
事業やワイヤレス事業など弊社では
必要とする次世代の半導体プロセス
がひとつの理由だという。このように、
3月の東日本大震災だった。
「震災で
いると思われる。少しでも親しみやす
子化の拡大である。
強みを活かしきれない事業を早期に
チップカード&
セキュリティ
インフィニオンの世界売上構成
(2012年1-3月期の世界売上実績をベースに作成)
11%
インダストリアル
パワーコントロール
オートモーティブ
5%
43%
18%
パワーマネージメント&
マルチマーケット
23%
図 1 ⃝自動車向け半導体デバイス事業はインフィニオンの柱
2
や回路技術への先行投資を、長期的
車載半導体の長期的な需要拡大を見
大きな影響を受けた日本のお客様が
いインフィニオンとなるように顧客目
かつ継続的に進められることを意味
据えて準備を進めている点も、顧客に
驚くほどのスピードで回復していく状
線での対応を目指していきたいと考え
する。
とっての安心感を生み出す要因とな
況を目の当たりにして、ドイツ本社を
ているそうだ。一方で、自動車大国ド
ろう。
はじめとするインフィニオン全体が、
イツで鍛えられた製品の強みや品質
の高さと、グローバルな事業展開で培
柔軟な生産体制を整備し
パワー半導体の需要拡大に対応
製品ラインナップも豊富だ。車載用
危機から短期間のうちに立ち直ろうと
で求められる8ビット/16ビット/32
する日本の底力に驚嘆しました」と、
ってきた経験とノウハウは代えがたい
インフィニオンの強みはもちろん財
ビット・マイコン、DSPの機能を統合
徳渕氏は語る。日本のメーカーやサプ
ものがある。
務だけではない。半導体技術におい
した32ビット・マイコン「TriCore™」
、
ライヤとさらなる信頼関係の強化を図
優れた半導体製品、先進のテクノロ
ても同社はさまざまな強みを持ってい
低損失のIGBTやMOSFET、高耐圧
りながら、日本の自動車産業を、グロ
ジ、グローバルなサポートなどを強み
る。その結果、車載用電圧レギュレー
MOSFET、レギュレータ、CAN/LIN
ーバルな視点を交えて応援し盛り上
とするインフィニオンは、日本の自動
タでは第1位、トランシーバでは第 2
トランシーバ、ホール素子・GMR 素
げていきたいという。
車メーカーおよびサプライヤにとって、
位、車載用MOSFETでは第1位のシ
子を使った磁気センサー、圧力センサ
なお、インフィニオンの半導体製品
最適かつ最強なグローバル・パートナ
ェアをそれぞれ誇っている。また、
ー、RFコントローラ、SiGeウエーハ
は日本の顧客からも評価が高い。た
ーといえるだろう。
3
日本の自動車産業のグローバル化を世界市場で培った知見と技術で支援
Infineon Technologies
インフィニオンの日本での役割
グローバルなサポート体制
豊富な知見と高度な半導体技術で
日本企業のグローバル展開をサポート
顧客バリューチェーンの変化に対応
共同開発や品質対応の取り組みでも世界をリード
自動車産業は大きな転換点を迎えている。日本など一部の先進国では需要が一巡し、今後
の成長を求めようとすればグローバル展開の強化が避けられない状況だ。また、ハイブリッ
ド自動車や電気自動車といった新たな駆動方式が台頭するなど、自動車の電子化や電動化
が急速な勢いで進み、新たな技術への取り組みが急務となっている。自動車向け半導体で
世界をリードするインフィニオンは、同社ならではの強みを生かして、こうした課題に取り組む
日本の自動車メーカーおよびサプライヤの成長を支える的確な製品とサービスを提供する。
少子化が進む日本国内の自動車市
強固なサポート体制を構築
場は、長期的な観点からの成長が期
最も重要になるのが、半導体ベンダ
待できなくなっている。一方で、グロ
ーのサポート体制が顧客バリューチェ
ーバル・ビジネスは、長期的には成長
ーンのグローバル化に適切に対応し
することは確実であり、日本の自動車
インフィニオンのような半導体ベン
においては一般にティア2に分類され
る。サブアッシーやモジュールなどの
開発と製造を手掛けるティア1サプラ
イヤに半導体デバイスを提供するの
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
オートモーティブ事業本部 セールスダイレクター
が主な役割だ。
ところが最近、同社のようなティア
黄 博淵氏
2を交えた自動車の開発プロセスに変
ていることである。海外で活動する自
3つ目は、半導体ベンダーがグロー
ようなティア2ベンダーは、ティア1サ
メーカーは販売・生産・開発において、
動車メーカーやサプライヤに対して、
バル・レベルでのBCP(事業継続計
プライヤから提示される要件に沿って
海外への展開をさらに加速させていか
それぞれの国や地域の事情に合った
画)を適切に定めているかどうかだ。
半導体デバイスを開発し供給してき
なければならないことは明らかだろう
(図3)
。実際に日本の大手自動車メ
ティア1の米国法人
ティア1の本社(日本)
ダーは、ピラミッド構造の自動車業界
インフィニオンの日本法人
(中心的役割)
プロジェクトの進 管理
● ティア1の要求への初期対応
● 技術支援の1次窓口
● 契約の締結 ● 注文・供給管理
● 品質サポート
●
化が起きつつある。
「これまで当社の
品質の高いサポートを提供できなけれ
東日本大震災やタイの洪水では、一部
ました。しかし、最近では自動車メー
ばならない。
の部品や原材料の調達が困難になり、
カーの要請により、新車の企画段階か
インフィニオンの米国法人
ティア1 現地法人の1次窓口
● 自動車メーカー現地法人の
1 次窓口
・技術折衝
・要求の受付
・プロジェクトの状況把握
●
インフィニオンのドイツ本社
デバイス仕様の策定
● プロジェクト・チームの編成と管理
● チップの開発
● モジュールの開発
●
自動車
メーカーの
米国法人
顧客の事業形態に
対する柔軟性と
プロジェクトの
一元管理が
テクニカルサポートの後方支援
契約の締結
● サンプルの用意
● 開発した製品の検証
●
●
図 4 ⃝世界中のインフィニオンの法人が一丸となって日本企業を支援
ーカーでは、国内工場をマザー工場と
2つ目が、自動車メーカーやサプラ
日本のみならず世界中の製造業に影
らコンセプト・パートナーとして参画
して位置付けて生産キャパシティは縮
イヤが求める仕様の半導体デバイス
響を与えたことは記憶に新しい。サプ
するケースが増えました」
(黄氏)
。
デバイスに関する要件の取りまとめ、
形で、独自の「解析ラボ」を東京オフ
小し、その代わり海外生産を増やす動
を、なるべく安価に提供できる仕組み
ライチェーンがグローバル化している
その背景には、開発要件に合わせ
プロジェクトの進捗管理、テクニカル
ィス(東京都品川区)内に2006年に
きが見られるようになった。
である。低コスト化という側面からだ
今日、半導体ベンダーにも相当レベル
た仕様の半導体デバイスの開発を早
サポートの一次窓口、受注業務、品質
開設済みだ。サポートエンジニアを含
とはいえ海外でビジネスを展開する
けならば、大量生産する標準仕様のデ
のBCPが求められている。
期かつ直接的にベンダーに促して、開
サポート、およびインフィニオン社内
めた体制も充実しており、ほとんどの
のはやはり簡単ではない。グローバル
バイスの方が有利だ。しかし、他社製
化をさらに加速させようとしたとき、
品と差異化できるクルマを開発するた
国内市場とは異なる様々な課題が浮
めには、カスタム開発が必要になる場
前述のような課題に対して明確な
き上がってくる。グローバル化に向け
合も多い。この二律背反した要求を
答えを持つのがインフィニオンだ。
グローバルな経験を日本に還元
発期間の短縮を図りたいという自動
の調整などを行い、米国法人ではティ
初期対応を東京オフィスだけで終え
車メーカーの意図がある。
ア1の米国法人とのやりとりや米国自
ることができるという。顧客から見る
グローバルなサポート体制
動車メーカーとのやりとりを担当。ま
と、日本の半導体ベンダーとほとんど
た、ドイツ本社では、デバイスやモジ
変わらない初期サポートが受けられる
て、車載用半導体デバイスのベンダー
満たす製品展開や顧客対応、サービス
日本の顧客をサポートするインフィ
このように、コンセプト開発、デバ
ュールの開発、プロジェクトのスタッ
と考えて良さそうだ。
を的確に選択するためのポイントは3
を供給できるかが、ベンダー選択の鍵
ニオンの日本法人、インフィニオン テ
イス開発、調達、物流、品質管理、技
フィングやチーム管理、テクニカルサ
ちなみに同社のパワー半導体は、車
つある。
となる。
クノロジーズ ジャパンでは、
「当社が
術サポートなどの事業プロセスがグロ
ポートの後方支援などを担当するとい
載向けと同等以上の信頼性を要求さ
海外市場で培ってきたグローバルな知
ーバル・レベルで変わりつつある中、
う仕組みだ。
れる鉄道や産業分野でも長年にわた
日本の自動車産業のグローバル展開
▶電子化・電動化での先進技術
▶高い品質
世界市場で培った
インフィニオンの知見と技術
▶グローバルなサポート体制
▶標準化とカスタム化を両立
させる仕組み
▶グローバル・レベルでのBCP
図 3 ⃝世界市場で培った知見と技術を日本企業のグローバル化に役立てる
4
見と優れた製品および技術を、日本の
インフィニオンは適切かつ強固なサポ
顧客の担当窓口としてはインフィニ
って使われ続けている。自動車向けデ
お客様にも還元する」
(インフィニオン
ート体制の下、海外で活動する自動車
オンの日本法人にグローバル・アカウ
バイスには、そうした高い信頼性を確
テクノロジーズ ジャパン オートモー
メーカーやサプライヤのバックアップ
ント・マネージャ
(GAM)が配置され
保するノウハウが適用されているとい
ティブ事業本部 セールスダイレクタ
に努めてきた(図4)
。
る。各国のオフィスはGAMの指示に
う。
ーの黄 博淵氏)ことを使命としてい
たとえば日本のティア1サプライヤ
よって一元的に動くというスキームが
グローバルなサポート体制、信頼性
る。
が米国で事業を展開する場合に、イン
確立されているため、顧客からは「ワ
の高い製品、高品質な技術サポートな
インフィニオンの強みを「グローバ
フィニオンの日本法人、米国法人、ド
ン・インフィニオン」として見える。
どを強みとするインフィニオンは、グ
ルなサポート体制」
「標準化とカスタ
イツの本社がそれぞれ適材適所の役
ム化を両立させる仕組み」
「グローバ
割を担い、顧客企業の事業プロセスに
ル・レベルでのBCP」という3つの側
合った支援を行う。
また同社は、高い品質と速やかな初
て強力なパートナーを務めてくれるに
面から解説していこう。
具体的には、日本法人では半導体
動を求める日本の顧客に声に応える
違いない。
解析ラボなど品質への取り組みを強化
ローバルにビジネスを推し進める日本
の自動車メーカーやサプライヤにとっ
5
日本の自動車産業のグローバル化を世界市場で培った知見と技術で支援
Infineon Technologies
標準化とカスタム化を両立させる仕組み
グローバル・レベルでの BCP
差異化できるデバイスを低コストで実現
独自のスキームでニーズに呼応
高度なBCPをグローバルに適用
顧客の事業継続をバックアップ
半導体デバイスの調達方法を大き
行うユニークなソリューションを用意
れるというメリットがある。
サプライチェーンのグローバル化が
く分けると、自社専用の「フルカスタ
する(図5)
。
例えば、エンジン制御用に多チャン
ますます進む昨今。大規模な自然災
ム品」
(ASICあるいはSoC)を開発す
そのスキームは次のようなものだ。
ネルのローサイドスイッチ、ETC制御
害などによって一部の物流網が断た
る方法と、半導体ベンダーが大量生
まず、デバイスの基本仕様の策定はイ
用ハーフブリッジ、スイッチやトラン
れただけで、原材料や部品の納入が
産している「標準品」
(ASSPなど)を
ンフィニオンが行う。その仕様をベー
シーバを一体化した高機能IC、RKE
途絶えて製品の製造がストップしてし
採用する方法の二種類がある。それ
スに、1社または複数社の「リードカ
アプリケーション用RF 受信 ICなど
まう事態が容易に起こり得るようにな
ぞれ長所と短所があって、機能の最
スタマー」の要求仕様を盛り込んだ半
が、このスキームで開発されている。
った。多くのメーカーが原材料や部品
適化という観点ではフルカスタム品に
導体デバイスを開発する。
明らかに軍配が上がる一方で、コスト
完成したデバイスはリードカスタマ
18〜24か月前に着手
の面では標準品が一般には有利だ。
ーに納入されると同時に、インフィニ
「準標準品」を開発する際には、自
になっている。
これまで日本の自動車メーカーやサ
オンは他社にも販売できる。ただし契
動車メーカーあるいはサプライヤから、
こうした事態に備えて各社が準備
Management Board
Business Continuity
Business Continuity Planning
BC North America
約によっては、期間限定でリードカス
技術ロードマップおよび要件が早期
しているのがBCP(Business Conti-
タマーのみに供給されるようにしたり、
かつ定期的にインフィニオンに開示さ
nuity Plan)と略される「事業継続計
BC Asia Pacific
Real Estate Management + …
った問題を起こしやすくしている一因
タム品を開発する傾向にあった。しか
Information Security
Central Security
の在庫を圧縮していることも、こうい
プライヤは自社に最適化したフルカス
Environmental Affairs & Operations Support
+ local BC representatives at Infineons key sites
図 6 ⃝インフィニオンの BCP 体制
「C-TPAT/AEO」などの各認証を取
揮されたのが、2010年4月にアイス
しグローバル展開の進展に伴い、海外
開発費も基本はインフィニオン負担
れる必要がある。プロセスやパッケー
画」である。さまざまな不測の事態を
得済み、
または取得予定である。
ランドで起きた火山の噴火のときであ
市場での高いコスト圧力を背景にし
にし、条件によってはリードカスタマ
ジ、あるいはIPといった要素技術を先
想定して平時から準備を進めるととも
生産については、ドイツのレーゲン
る。同社の事業継続チームは、大量の
て、標準品を採用するケースも増えて
ーが一部を負担することもある。
行開発しなければならないためだ。
に、万が一問題が発生した場合でも
スブルク工場、オーストリアのフィラ
噴煙によってヨーロッパの航空網に甚
きた。それでも、日本基準の品質を維
リードカスタマーの視点でこのよう
「できるだけ早い時期に当社にご相
影響が最小限になるように、対処方法
ッハ工場、および、マレーシアのクリ
大な影響が出ると判断し、即座に貨物
を体系化したものである。
持するために、カスタム品を利用した
な「準標準品」と呼べるデバイスを見
談をお寄せいただければと思います。
いとするニーズは根強い。
ると、ベースは標準品ではあるものの
目安としてはお客様が半導体デバイ
自社の要件が充分に盛り込まれ、開
スを必要とする18~24か月くらい前
標準品の開発に自動車メーカーが関与
ム工場間でそれぞれ補完できる体制
用の航空機をチャーターしたという。
10年以上の経験を持つ専任体制
がほぼ完成しつつある状態だ。顧客
「決断が一日遅れていたらチャーター
から見た場合にいわゆる「デュアルソ
は不可能でした。迅速な決断と日頃
発費負担がゼロもしくは少額で済む
にはプロジェクトをスタートさせる必
インフィニオンが独自のBCPを社
ース」が担保される。なお工場の立地
の備えが対応を可能にしたと考えて
こうした二律背反する要求に対し
というメリットが得られる。インフィ
要があります」
(黄氏)
。
内で定めたのは、こうしたBCPの考え
については、地盤調査やアクセス性も
います」と黄氏。飛行が規制されてい
て、インフィニオンでは大量生産する
ニオンにとっても、リードカスタマー
なお、技術的なディスカッションや、
方がまだそれほど浸透していない
含めて、多面的なアセスメントを実施
ない空港を利用して物流を維持した
標準品の開発をティア1サプライヤ含
への数量が確定できるとともに、標準
ドイツ本社の開発部隊との摺り合わ
2000年頃に遡る。現在は取締役会
しているという。
結果、顧客への納入遅れはほとんど生
め先進的な自動車メーカーと共同で
品として自社ラインナップの拡充が図
カスタム品
顧客の要求に応じて開発・製造
顧客の個別要求への対応
準標準品
リードカスタマーとインフィニオンが共同開発
1 社以上のリードカスタマーが仕様決定に関与
● インフィニオンが中心に開発
● 顧客が開発に関与
● 製品は他の顧客にも販売
● 場合によっては開発・製造のコストを顧客が部分負担
●
標準品
インフィニオンが企画・製造
インフィ二オンが仕様決定と開発
特定顧客固有の仕様は盛り込まない
● 複数の顧客に同じ製品を販売
● 顧客の開発費負担は不要
●
●
事例 :
GDI ドライバ
事例 :
O2 ヒーター、
10ch LS、
リニア・ソレノイド、
DBW、Uchip
事例 :
4ch LS、8ch LS、
電圧レギュレータ、
CAN/LIN、
MOSFET
図 5 ⃝標準化とカスタム化のよい部分を両立させたソリューションを提供
6
開発・製造コストまたは価格
顧客がすべての仕様を決定
● インフィニオンが中心に開発
● 他の顧客には販売しない
● 開発・製造のコストは顧客が負担
●
せなどは、インフィニオン テクノロジ
直下に事業継続の専任部署を置き、
また、災害やストなどの重大事象
じなかった。なお、このようなBCPに
ーズ ジャパンのアプリケーション・エ
BCPの策定のほか、施設、セキュリテ
を24時間監視し報知する独自のシ
対応した高度なロジスティクスを展開
ンジニアが責任を持って担当するとい
ィ、IT 基盤などの継続性について責
ステムを運用中だ。インフィニオンあ
する同社は、プライスウォーターハウ
う。
任を負っている(図6)
。
るいはインフィニオンの顧客に影響が
スクーパースらが主催する「サプライ・
このほかインフィニオンでは、
「フル
BCPに対する同社の取り組みの
あると判断されると、通知書が発行さ
チェーン・マネージメント・アワード
カスタム品」の開発も従来どおり手掛
特徴の1つが、管理体制をグローバ
れ社内および取引先に速やかに通知
2012」を受賞している。
けているほか、パワートレイン用のロ
ルに標準化し責任を明確に定義する
するという。
ーコスト「U-chip」
、常時点灯も含む
と同時に、さまざまな国際スタンダー
信頼性の高いライトの制御を実現す
ドへの準拠を図っている点だ。例え
る「PROFET™+」ファミリ、電動自
転車に適した電圧レギュレータなど、
日本の顧客の頼もしいパートナー
迅速な意思決定で影響を最小化
以上述べてきたように、自動車大国
ば、事 業 継 続 に 関 し て は「B S
事業継続の専任部隊を持ち、速や
の1つであるドイツで鍛えられ、自動
25999/ISO 22301」
、環境管理で
かな意思決定によってBCPを発動で
車分野にさまざまな強みを持つインフ
新時代の自動車に向けた「標準品」も
は「I S O 1 4 0 0 1」と「O H S A S
きる体制を整えているのは、グローバ
ィニオン。自動車の新たな時代を切り
続々と投入している。これら多様な製
18001」
、エネルギー管理では「ISO
ルに事業を展開してきたインフィニオ
拓く頼もしいパートナーとして、日本
品で、顧客ニーズにフレキシブルに対
50001」
、情報セキュリティでは「ISO
ンならではだろう。
の顧客との信頼関係をさらに高めて
応していく。
2 7 0 0 1」、一般セキュリティでは
その速やかな初動がいかんなく発
いきたい考えだ。
7
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社
URL http://www.infineon.com/jp/
会社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。