VOL38NO.3/2015 日本心脈管作動物質学会 ISSN 0911-4637 ・ 総 編 集 長 玉 置 俊 晃(徳島大学大学院病態情報医学講座情報伝達薬理学分野) ・ ベ ー シ ッ ク 編 集 長 西 山 成(香川大学医学部薬理学) ・ オ ミ ッ ク ス 編 集 長 田 中 利 男(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス) ・ ク リ ニ カ ル 編 集 長 伊 藤 正 明(三重大学大学院医学系研究科循環器内科学) 編集委員 (ABC順) 藤田 浩,福田 昇,古川安之,林登志雄,飯野正光,池田宇一,伊藤 宏,伊藤正明, 伊藤猛雄,松原達昭,三浦総一郎,宮内 卓,長田太助,中木敏夫,中村真潮,錦見俊雄, 岡村富夫,高橋和広,高橋克仁,田中利男,山崎峰夫,柳沢輝行,吉村道博 学会案内 第45回日本心脈管作動物質学会 「臓器障害における心脈管作動物質 Up To Date」 会 期:2016年2月5日㈮∼2月6日㈯ 会 場:阿波観光ホテル(徳島市一番町3-16-3) 会 長:佐田 政隆 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学分野 教授) 実行準備委員:事務局長 福田 大受 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学分野 特任講師) 事務局:第45回日本心脈管作動物質学会 準備事務局 〒650-0033 神戸市中央区江戸町85-1 ベイ・ウイング神戸ビル10階 ㈱プロアクティブ内 TEL 078-332-2505(平日9:30 ∼ 18:00) FAX 078-332-2506 E-mail:[email protected] 大会ホームページ http://www.pac.ne.jp/jscr45/ 会場アクセス 飛行機:羽田空港⇒徳島阿波おどり空港 1時間10分 バス:大阪⇒徳島 2時間30分,三宮⇒徳島 2時間,京都⇒徳島 2時間50分 JR:岡山⇒徳島 2時間20分 ─1─ ◆プログラム ………………………………………………………………………………………………… ●基調講演 演者 平田 恭信 先生(東京逓信病院 院長) ●特別講演 演者 清水 孝雄 先生(国立国際医療センター) ●シンポジウム1 「心脈管作動物質としてのプロスタノイド」 オーガナイザー:牛首 文隆(旭川医科大学医学部薬理学講座) ●シンポジウム2 「心脈管作動性ペプチド研究の新展開」 オーガナイザー:南野 直人(国立循環器病研究センター 創薬オミックス解析センター) 西山 成(香川大学医学部薬理学教室) ●シンポジウム3 「動脈硬化研究の最前線」 オーガナイザー:平田 健一(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座循環器内科学分野) 福本 義弘(久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門) ●シンポジウム4 「心脈管作動物質としてのマイクロRNA」 オーガナイザー:尾野 亘(京都大学大学院医学研究科 循環器内科) 家田 真樹(慶応義塾大学病院 循環器内科) その他,イブニングセミナー,ランチョンセミナー,一般演題(ポスター発表) 口頭発表(YIA)など ─2─ ◆事前参加申し込み ………………………………………………………………………………………………… ●参 加 費 ※発表をする学生および学部学生は無料です. 事前登録 当日登録 一 般 4,000 円 5,000 円 評 議 員 5,000 円 6,000 円 大学院生・研修生 2,000 円 3,000 円 ●申込み方法 事前参加ご希望の方は,下記の大会ホームページから受付いたします. 「事前参加申し込み」ページのエントリ−フォームから,必要事項をご入力いた だき,登録を行ってください.登録完了後,確認メールが自動配信されます. (確認メールが届かない場合は,お手数ですが事務局までご連絡お願いします) 参加費は学会当日に,受付にてお支払いください.尚,大学生は身分確認の為学 生証を提示していただきますので必ず持参ください. 事前登録は12月25日(金)17:00までとなります. 大会ホームページ http://www.pac.ne.jp/jscr45/ ◆演題申し込み 一般演題(ポスター),研究奨励賞(YIA)(口演) ………………………………………………………………………………………………… ●発表資格 学会の演者はすべて本学会員に限ります.未加入の方は日本心脈管作動物質学会 へ入会手続きを行ってください.また,今年度会費未納の方は早々に納入してくだ さい. ●演題申込み方法 メールにて受付いたします.大会ホームページの「演題申し込み」から申込用紙 をダウンロードの上,必要事項をご入力いただき,添付ファイルとしてお送りくだ さい. メール送信の際,件名に「演題申込」とご記入ください.登録完了後,事務局よ り確認メールをお送りいたします. (申込後1週間経過しても確認メールが届かな い場合は,お手数ですが事務局までご連絡お願いします) ※抄録集はいただいたデータを元に作成いたします. ●演題分類表 1.心臓 2.血管 3.腎臓 4.代謝 5.中枢神経 6.その他 文字数などの作成要綱は,ダウンロードした申込用紙にてご確認ください. ●提出先と受付期間 第45回日本心脈管作動物質学会 事務局 E-mail:jscr45@pac.ne.jp 受付期間:10月15日(木)必着 ─3─ 《日本心脈管作動物質学会の入会および各種届出について》 1.年会費:4,000円 2.期 間:加入(会費納入)した年の12月31日まで. 3.機関誌: 「血管」を年4回送付します.本年度は1号が学会抄録号となります. 4.総 会:年1回開催します.学会の演題申込者はすべて本会会員に限ります. 5.入会手続き:本学会入会希望者は,学会HP内の各種届出用紙より,入会申し込み用紙をダウンロー ドし,必要事項を記入した用紙をメールまたはFax(059−232−1765)にて事務局までご送付くだ さい.また,下記郵便口座あてに年会費4,000円をお払い込みください. 6.雑誌送付先などに変更が生じた場合はすみやかに事務局までお知らせください. 《振 込 先》 【ゆうちょ銀行からの振込口座】 郵便振替口座:00900−8−49012 加入者名:日本心脈管作動物質学会 【その他の金融機関からの振込口座】 ゆうちょ銀行 店 番:099〔ゼロキュウキュウ店〕 預金種目:当座 口座番号:0049012 受取人名:ニホンシンミャクカンサドウブッシツガッカイ 《 「お知らせ」の掲載について》 本誌では, 「血管」に関連した学会および学術集会(国内外,規模の大小は問いません. )の案内を, 無料掲載いたします.ご希望の方は,締切日までに原稿を事務局へお送りください.(締切日等は事 務局へご確認ください.) 〒514-8507 三重県津市江戸橋2丁目174番地 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野 日本心脈管作動物質学会事務局 TEL 059−231−5411 FAX 059−232−1765 http://jscr21.medic.mie-u.ac.jp/ [email protected] ─4─ 血管 VOL.38 NO.3 2015 JAPANESE JOURNAL OF CIRCULATION RESEARCH 編集・刊行/日本心脈管作動物質学会 ■巻頭総説 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 田中 君枝、佐田 政隆……………………………………………………………… 95 ■第44回日本心脈管作動物質学会 研究奨励賞受賞論文 心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による癌転移予防効果 −機序解明に向けて− 野尻 崇,徳留 健,細田 洋司,三浦 浩一,宮里 幹也,寒川 賢治…… 109 ■世界の研究室便り ボストン大学Kenneth Walsh研究室 吉田 守美子…………………………………………………………………………… 115 ─5─ Japanese Journal of Circulation Research VOL.38 NO.3 2015 JAPANESE JOURNAL OF CIRCULATION RESEARCH ■ Distinguished Review The roles of perivascular adipose tissue and vasa vasorum in atherosclerosis Kimie Tanaka , Masataka Sata …………………………………………………………95 ■ Young Investigator Research Awards Atrial natriuretic peptide prevents cancer metastasis through vascular endothelial cells Takashi Nojiri, Takeshi Tokudome, Hiroshi Hosoda, Koichi Miura, Mikiya Miyazato, Kenji Kangawa ………………………………………………… 109 ■ Research Laboratories over the Word Kenneth Walsh's Lab at Boston University School of Medicine Sumiko Yoshida ……………………………………………………………………… 115 ─6─ 血管Vol.38 No.3 2015 ベーシック───────────────────────────── 巻 頭 総 説 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と 血管外膜微小血管の役割 田 中 君 枝1),佐 田 政 隆2) 1) 2) 東京大学保健・健康推進本部, 徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学 および,血管外膜微小血管(vasa vasorum, VV)に注目 Ⅰ.はじめに し,血管の外膜側から内膜側に向かう動脈硬化病変調節 従来,動脈硬化は血管壁への脂質の沈着が原因と考え 機構について検討している. られてきた.しかし,最近の研究によると, 動脈硬化病変 には各種の活性化した炎症細胞の浸潤や様々なサイトカ インの発現が認められ,血管の慢性炎症が根本的成因で Ⅱ.血管周囲脂肪組織(PVAT)の構造 あると考えられている.古くから, 糖尿病と心血管疾患発 1)PVATとは 症の関連性が提唱されてきたが,最近では,糖尿病の背 PVATは,血管の周囲を覆う脂肪組織で,外膜との間 景となるインスリン抵抗性も,脂肪組織での慢性炎症と に明確な区切りは存在しないものの,構造的に区別され の関連が報告されている.高血圧でも, CRP(C-reactive る.大部分の血管はPVATに覆われているが,脳動脈や微 protein)値の上昇を認めるなど,炎症との関連が示唆さ 小血管には存在せず,大動脈周囲には豊富に存在する1. れおり,従来個別に考えられていたこれらの病態が, 全身 性の組織慢性炎症による一連の疾患として理解されるよ 2)脂肪組織の構成成分 うになっている.糖尿病や高血圧,脂質異常症が動脈硬 脂肪組織は,脂肪細胞,炎症細胞,微小血管,神経組 化症に促進的に作用する経路は,血圧調節に関連するホ 織,コラーゲン線維などで構成され,従来,内臓や皮下 ルモンや,脂肪組織から分泌されるアディポサイトカイ に存在する白色脂肪組織(white adipose tissue, WAT) ンなど病態に関連する液性因子や,血液中の酸化低比重 と, 肩甲骨間部に存在する褐色脂肪組織(brown adipose リポタンパク質(low density lipoprotein, LDL)が,全身 tissue, BAT)に分類さていた.BATは,主に齧歯類や の血流を介して血管病変に到達して作用すると考えられ 幼少期のヒトに存在するが,成人にも少量存在すると報 るが,最近では,動脈硬化病変局所での隣接する組織と 告されている.WATは,一つの大きな脂肪滴を持つ大 の関連における動脈硬化促進因子の作用が注目されてい 型の脂肪細胞から成り,主な役割は脂質貯蔵であると考 る.従来動脈硬化病変は,血管内皮細胞の機能障害に始 えられている.BATは,複数の脂肪滴とミトコンドリ まり,炎症が血管内腔側から外膜側に進行すると考えら アを持つ小型の脂肪細胞から成り,熱産生に重要な役割 れ,動脈硬化研究は,血管内皮細胞や,新生内膜の構成 を果たすと考えられる.褐色脂肪細胞のミトコンドリア 成分,血管平滑筋細胞に着目したものが多数を占めてい 内膜には脱共役タンパク質(uncoupling protein, UCP) た.一方,我々は,動脈硬化病変を持つ血管に隣接する のうちUCP 1が存在し,交感神経活動の亢進などによ 血管周囲脂肪組織(perivascular adipose tissue, PVAT) り活性化し,ミトコンドリアでの酸化的リン酸化反応を 脱共役させエネルギーを熱に変換する機能を持ってお *1)東京大学保健・健康推進本部 (〒113−0033 東京都文京区本郷7−3−1) *2)徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学 (〒770−8503 徳島県徳島市蔵本町3−18−15) り,UCP 1は褐色脂肪細胞のマーカーとなっている2. 最近では,形態的には白色脂肪細胞に近いが,条件によ りUCP 1を発現し,脂質貯留と熱産生両方の機能を持つ 「ベージュ脂肪細胞」も同定されている3.ベージュ脂 ─ 95 ─ 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 肪細胞はマウスの皮下脂肪組織から同定されたが,成人 factor, TNF)αを分泌し,TNF αが骨格筋や肝臓に作 でBATと考えられていた組織は,発現している遺伝子な 用してインスリン抵抗性を惹起していることが報告され どからベージュ脂肪細胞に近いと報告されている3. た5.1994年にはマウス脂肪組織から食欲と代謝を調節 するレプチンがクローニングされ6, 1995年から1996年 3)PVATの脂肪組織としての特徴 にかけては,脂肪細胞から特異的に分泌される新規蛋白 齧歯類では,腸間膜動脈はWATに覆われており,胸 が発見されアディポネクチンと命名された7,8.その後ア 部大動脈はBAT様の脂肪組織,腹部大動脈はWATと ディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるものの,肥満 BATが混合した脂肪組織で覆われているが,冠動脈には 状態になると逆に分泌が減少しており9,膵β細胞の維 PVATは存在しない(図1) .ヒトや,ウサギやブタを含 持およびインスリン分泌の増加,腎臓や心臓の保護,血 む大型動物におけるPVATの性質は齧歯類のように明ら 管拡張作用,抗炎症作用などの好ましい作用を持つこと かになっていないが,ヒトのPVATはWATとBAT両方 が報告された1.2003年には,肥満状態では脂肪組織に の性質を持つと言われている2. 活性化マクロファージが浸潤しており,肥満における 脂肪組織炎症の中心になっていることが報告された10,11 (図2) .この他にも,プラスミノーゲン活性化抑制因 Ⅲ.内分泌器官としてのPVAT 子(plasminogen activator inhibitor, PAI)1やヘパリン 1)PVATによる血管調節の可能性 結合性上皮細胞成長因子(heparin binding endothelial PVATはこれまで単なる血管の支持組織にすぎないと growth factor-like growth factor, HB EGF)など,多数 考えられてきた.しかし,1991年に,ラットの胸部大動 の抗炎症性および炎症性のサイトカインが脂肪組織およ 脈を用いたin vitroの実験により,PVATを除去した血管 び脂肪組織に集積したマクロファージから分泌されるこ は,PVATが付いたままの血管と比べ,エピネフリンや とが報告され,総称してアディポサイトカインと呼ばれ, 電気刺激などの収縮刺激への反応性が減弱することが報 脂肪組織は内分泌器官と考えられるようになった12. 告された.このことから,PVATが血管反応性に大きく 関与している可能性が示された4. (*&, 2)脂肪組織からの生理活性物質の分泌 皮下脂肪組織や内臓脂肪組織の白色脂肪細胞について, 1993年には,脂肪細胞は腫瘍壊死因子(tumor necrosis $+ #'%"+ +!)+ 図2.脂肪細胞とマクロファージ 図1.齧歯類の大動脈のPVAT(文献2より改変して引用) 齧歯類の大動脈では,胸部大動脈のPVATは褐色脂肪組織であ り,頸動脈,腸間膜動脈,大腿動脈のPVATは白色脂肪組織であ る.腹部大動脈は,ベージュ脂肪組織となっている.冠動脈には PVATは認められない. 脂肪細胞とマクロファージが分泌する炎症性サイトカインが 相互に作用し炎症を持続させ,インスリン抵抗性を惹起する. CCR2, C-C chemokine receptor type2. MCP 1, monocytechemoattractant protein 1. TNF α, tumor necrosis factor α. IL 1β, interleukin 1β. ─ 96 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 3)PVATからの生理活性物質の分泌 デリングへの影響について検討した15.まず我々は,野生 PVATについても同様に,ヒトの冠動脈のPVATを解 型マウス(C57BL/6)およびそれに高脂肪/高ショ糖食 析した報告により,単球走化性タンパク質(monocyte- を投与して肥満させた肥満マウスの大腿動脈PVATの性 chemoattractant protein, MCP)1やインターロイキン 質を比較した.高脂肪/高ショ糖投与によって野生型マ (interleukin, IL)1β,IL 6,TNF αなどの炎症性サイ ウスの体重は54%増加したが,肥満によって,PVATに トカインやケモカインを発現しており,ケモカインの作 浸潤するマクロファージ数も増加した.また,抗動脈硬 用によりマクロファージやT細胞が集積していることが 化作用を持つアディポネクチンのメッセンジャーRNA 示された13,14.またPVATからは,活性酸素種(reactive (messenger RNA, mRNA)の発現は低下し,炎症性サ oxygen species)や酸化窒素(nitric oxide, NO) ,硫化水 イトカインであるMCP 1,TNF α,IL 6,PAI 1の 素(H2S)やアンジオテンシンⅡ,遊離脂肪酸なども分 mRNA発現が増加した. 泌されている1. 2)PVATが血管リモデリングに与える影響 次にPVATが機械的血管傷害後の血管リモデリングへ Ⅳ.機械的血管傷害における血管とPVATの相互作用 与える影響を調べるため,マウス大腿動脈ワイヤー傷害 1)肥満がPVATに及ぼす影響 モデルを用いて以下の実験を行った.マウス大腿動脈ワ 我々はPVATの,機械的血管傷害後の炎症と血管リモ イヤー傷害モデルは,経皮的冠動脈バルーン血管形成術 図3.肥満による血管周囲脂肪組織の変化が新生内膜形成に与える影響(文献15より改変して引用) A,B,野生型マウスに,普通食または高脂肪/高ショ糖食を投与して飼育した後,大腿動脈ワイヤー傷害を施行した.術後の新生内膜 形成は,高脂肪/高ショ糖食投与群で増強していた.**P<0.01. C,高脂肪/高ショ糖食投与群の血管周囲脂肪組織では,アディポネクチンの遺伝子発現が低下し,MCP 1の遺伝子発現が増加するなど の変化を認めた.*P<0.05. **P<0.01. ─ 97 ─ 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 後の再狭窄をマウス血管に再現するモデルで,血管過拡 を行う前にPVATを剥離したところ,血管傷害後の内膜 張による内皮や血管中膜の傷害により,術後に新生内膜 増殖が明らかに増悪した.脂肪を除去した血管の周囲に が形成される16.ワイヤー傷害後の新生内膜形成は, 野生 野生型マウスの皮下脂肪を移植すると内膜の増殖が抑制 型マウスに比べ肥満マウスで増強されていた.このこと された.肥満マウスから採取した皮下脂肪を移植しても から,肥満がPVATに炎症を惹起することが示され,そ この抑制作用は起こらなかった.また,アディポネクチ れが,血管傷害後の病的な血管リモデリングに関与して ン欠損マウスでは病変形成亢進傾向を認めたが,これは 15 組み換え型アディポネクチン徐放製剤を血管周囲に投与 いることが示唆された (図3) . することによって改善した.以上の結果から,正常な 3)PVATの血管保護的作用 状態ではPVATは血管障害後の新生内膜形成を抑制する 次に普通食を投与した野生型マウスで,ワイヤー傷害 作用を持つが,肥満によってPVATでの炎症が惹起され, TNF- / -Actin A IL-6 / -Actin Non- CAD Non- CAD CAD CAD EAT Non- CAD Non- CAD CAD CAD SCAT EAT SCAT B CD68 CD11c CD206 Non- CAD Non- CAD CAD CAD EAT SCAT Gensini score CD11c/CD206 ratio CD68 positive cells (/mm2) C r = 0.312 P = 0.039 Non- CAD Non- CAD CAD CAD EAT SCAT CD11c/CD206 ratio 図4.冠動脈疾患患者における冠動脈周囲脂肪組織(EAT)と冠動脈病変との関連(文献19より改変して引用) A.冠動脈疾患患者(CAD群)では,非冠動脈疾患患者(Non CAD群)に比べて,IL 6やTNF αなどの炎症性サイトカインのmRNA発 現が有意に亢進していた.皮下脂肪(SCAT)においては両群間に差は認められなかった. (*P<0.05) B.CAD群のEAT組織に免疫染色を施行した.色調の濃い部分が,それぞれCD68陽性マクロファージ,CD11c陽性M1マクロファージ(炎 症性),CD206陽性M2マクロファージ(抗炎症性)を示す. (Bar, 100μm) C.CAD群のEATにおいては,CD68陽性マクロファージの浸潤が増加しているのみならず,M1(CD11c陽性)とM2(CD206陽性)の 相対比が有意に上昇しており,脂肪組織マクロファージが炎症側にシフトしていることが分かる.さらに,このM1/M2の相対比は,動 脈硬化病変の重症度の指標であるGensini Scoreと正の相関を認めた.(*P<0.05) ─ 98 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 脂肪組織のアディポサイトカイン発現パターンが変化し, いことが,我々を含め多施設から報告されている18.冠 近接した血管壁の修復反応への保護的効果が減弱するこ 動脈疾患(coronary artery disease, CAD)のために冠動 とが示唆された15. 脈バイパス手術 (coronary artery bypass graft, CABG) を施行する患者の,冠動脈のPVATである冠動脈周囲脂 4)機械的血管傷害がPVATに与える影響 肪組織(Epicardial adipose tissue:EAT)を採取し,脂 上記とは逆に,機械的血管傷害が,PVATに与える影 肪組織における炎症状態と病変の関連性について検討を 17 響も検討した .野生型マウス(C57BL/6)の大腿動脈 行った19. を用いてワイヤー傷害モデルを作成し,1日後にPVAT 対 象 と し た 症 例 は,CABGを 施 行 す るCAD群38例 を採取してアディポサイトカインのmRNAを測定した と, 冠 動 脈 病 変 の な い 弁 手 術 施 行 患 者(Non CAD ところ,アディポネクチンの発現は低下し,MCP 1, 群)40例である.それぞれの患者からEATと皮下脂肪 TNF α,IL 6,PAI 1のmRNA発 現 が 増 加 し て い た (Subcutaneous adipose tissue:SCAT)を採取し比較 (図3) .ワイヤー傷害手技に伴う皮膚切開などによる 検討した. 大腿動脈局所の炎症の影響を除外するため,ラット頸動 脈からバルーンカテーテルを挿入し,大腿動脈でバルー 2)ヒト冠動脈PVATのマクロファージ集積 ンを拡張させてバルーン傷害モデルを作成し,大腿動脈 まず心臓周囲脂肪組織におけるサイトカインの発現を のPVATを採取してアディポサイトカインのmRNAを 調べたところ,CAD群のEATでは,Non CAD群と比べ 計測したところ,同様に,アディポネクチンの発現低下 てIL 6,TNF αなどの炎症性サイトカインのmRNA発 と,炎症性サイトカインの発現上昇を認めた.PVATに 現が有意に増強していた.しかし両群のSCATでは差を は,マクロファージやT細胞など炎症細胞の浸潤を認め 認めなかった(図4) .この, 心臓特異的な炎症性サイト た. カインの発現亢進の原因を調べるため,脂肪組織に浸潤 したマクロファージを組織学的に評価した.免疫染色を 5)PVATの炎症におけるTNF αの重要性 行ったところ,まずCD68陽性マクロファージは,CAD群 次に,MCP 1,TNF-α,IL 6それぞれの欠損マウ のEATにおいて有意に増加していた.次に表面抗原の違 スの大腿動脈を用いてワイヤー傷害モデルを作成し,1 いによって炎症性のM1マクロファージ(抗CD11c抗体 日後,7日後,28日後にPVATの炎症性アディポサイ を用いて同定)と抗炎症性M2マクロファージ(抗CD206 トカインのmRNAを計測したところ,MCP 1欠損およ 抗体を用いて同定)の極性の変化を調べたところ,これ びIL 6欠損マウスでは,それぞれ他のサイトカインの もCAD群のEATにおいて,M1マクロファージの比率が mRNAの発現は減少しなかったが,TNF α欠損マウス 有意に増加していた.さらに,このM1/M2の相対比 では,MCP 1,IL 6,PAI 1の発現も野生型マウスと は,冠動脈病変の重症度スコアであるGensini scoreと有 比較して低下し,4週間後の内膜/中膜比も抑制された. 意な正の相関が認められた(図4) .これらのことから, 炎症性アディポサイトカイン発現の抑制は,手術1日後 冠動脈病変のある患者のEATにおいては,マクロファー が最も大きかった.TNF α欠損マウスの大腿動脈にワ ジの浸潤が増加しているのみならず,マクロファージが イヤー傷害モデルを作成し,浸透圧ポンプにより血管周 相対的に炎症側にシフトしており,そのことが,EATに 囲にTNF αを持続的に投与すると,上記で認めた炎症 おける炎症性サイトカインの発現亢進と関連しているの 性アディポサイトカインのmRNA発現抑制や病変形成 ではないかと考えられた.これらの結果は,冠動脈周囲 抑制は認められなくなった.以上のことから,血管傷害 脂肪組織における慢性炎症状態が,冠動脈の動脈硬化病 はPVATに急性の炎症性変化をもたらし,その作用には 変形成に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆する TNF αが重要な役割を果たしていると考えられた17. ものと考えられる. Ⅴ.ヒト冠動脈病変とPVATの関連 Ⅵ.動脈硬化病変外膜における微小血管増殖と病変内微 小血管新生 1)ヒト冠動脈PVATの観察 我々はヒトの冠動脈においてもPVATと動脈硬化病変 1)正常血管における外膜微小血管の存在との役割 の関連を観察した.冠動脈病変を持つ患者の心臓周囲脂 上に述べたPVATと血管壁の間にある血管外膜には, 肪組織の容積をCTにより評価すると,冠動脈プラークの 微小血管(vasa vasorum, VV)が存在する. ある患者では,ない患者と比較して,優位に脂肪量が多 血管外膜VVは1940年台よりイヌの頸動脈の観察など ─ 99 ─ 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 によりその存在が報告され,1960年代には,正常な血管 ることも報告された24. での役割について多数の研究がなされた.VVは正常な 状態の血管では,内腔からの拡散が届かない血管中膜外 2)動脈硬化病変におけるVV 側への酸素や栄養供給の役割を持ち,ヒトの血管の観察 1984年には,ヒトの剖検検体を用いた研究により, 冠動 では血管壁厚が0.5mm以上,また,ヒトの他齧歯類やウ 脈の動脈硬化病変部分の外膜に,VVの増殖を認めるこ サギ,イヌ,ウマなど12種の哺乳類の胸部大動脈の観察 とが報告された25.発達した動脈硬化病変ではVVは増殖 では血管中膜が29層以上の場合,外膜から血管壁内に侵 して外膜側から血管中膜を貫通してプラーク内に侵入す 入が認められたと報告されている20,21.また,ヒトの腹部 る.ヒトの冠動脈の観察により,動脈硬化病変内の新生 大動脈では壁厚は約0.7mmであるが中膜にはVVを認め 血管は,血管内腔から侵入しているものより,外膜側か ず,中膜への血液供給が不十分であることが,胸部大動 ら侵入しているものの方が多いと報告されている26.外 脈に比べ腹部大動脈に動脈硬化病変が形成されやすいこ 膜側から病変内に侵入したVVは,外膜と病変内を交通 との原因の一つではないかといわれている22.イヌの肋 する導管となる27(図5) . 間動脈を胸部大動脈からの分枝部で結紮すると,大動脈 微小血管を通ってプラーク内に侵入したマクロファー 中膜の中央部の壊死が生じることも報告された23.これ ジは,脂質を取り込み泡沫化して壊死性コアを拡大させ より,肋間動脈が胸部大動脈VVへの血流供給の一部で るほか,MMP(matrix metalloproteinase)を産生して あるが,中膜の外側の壊死は生じなかったことから,す 組織融解を誘発し,病変を不安定化させる.病変中には べてではないと考えられた.さらに,イヌの胸部大動脈 血管平滑筋細胞も存在し,コラーゲンを産生してプラー で,アデノシンを投与して血管を拡張させるとVVの血 ク安定化に関与していると考えられるが,外膜からの流 流量は増加し,ノルエピネフリン投与および大動脈結紮 入により炎症細胞が増加すると,平滑筋細胞とのバラン により急性に高血圧状態にするとVVの血流量は低下す スが崩れ,細胞外マトリックスの分解が産生に勝り安定 図5.動脈硬化病変のVasa vasorum 動脈硬化病変の外膜ではvasa vasorumの増殖を認め,血管外膜側から動脈硬化病変内に侵入し,外膜と血管壁内部を交通する導管の役割 をしていると考えられる. ─ 100 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 性が失われる28.病変内には,炎症細胞だけでなく赤血 ことが報告されている38. 球も流入する.赤血球は膜に脂質を多く含んでいるため, 血管内腔から取り込まれる酸化LDLとともに,病変内の 29 2)内因性の血管新生抑制因子 脂質の供給源となる .外膜のVVがプラーク内に侵入す エンドスタチンは,コラーゲンVXIIIのC末端が分解さ ること自体も,コラーゲンやフィブリンの融解を伴って れて生じるタンパク質で,血管基底膜に多く存在し血管 おり,プラークを不安定化させると考えられる30.プラー 新生阻害作用を持つ.成体マウスの大動脈壁ではエンド ク内に侵入したVVは脆弱で破綻しやすく,プラーク内 スタチンの発現を認める39.高脂血症モデルマウスであ 出血の原因になり,プラーク破裂の誘因となる.ヒトの るアポリポタンパク質(apolipoprotein, Apo)E欠損マ 剖検検体で様々な進展段階のプラーク病変を組織学的に ウスと,エンドスタチンの元となるコラーゲンVXIIIの 観察すると,プラーク内微小血管密度の亢進は,炎症細 欠損マウスを掛け合わせて二重欠損マウスを作成し,高 胞浸潤,プラーク内出血,線維性被膜の菲薄化と相関し 脂食を投与して飼育の後ApoE欠損マウスと大動脈病変 ている31.微小血管密度の増加は特に,破裂部位である を比較すると,二重欠損マウスの方が,プラークサイズ プラークショルダー(境界)部分で認められる. が大きく,病変内および外膜の微小血管数も多く認めら また最近では,血管外膜や中膜に血管幹細胞が常在し れた40.プラスミンの分解物で血管新生阻害作用を持つ ている可能性が示唆されている. これらの幹細胞は, 筋芽 アンジオスタチンも,ApoE欠損マウスに全身性に投与 細胞に分化して内膜に移動し,新生内膜増殖に関与する すると,動脈硬化病変の形成とVV増殖を抑制すると報 と考えられる.VVのペリサイトも同様に幹細胞の性質 告されているが27,動脈硬化病変における内因性因子の を持っており,病変内で血管平滑筋細胞や内皮細胞,線 役割は明らかになっていない. 維芽細胞に分化し,病変の進展や,場合により安定化に このように,VV調節に関与する様々な因子が報告さ 32 も関与する可能性がある .以上のように,動脈硬化病 れているが,VV増殖が動脈硬化病変や血管傷害後に形 変におけるVVの役割について,様々な可能性が示され 成される病変の原因であるのか,結果として反応性に生 ている. じているものであるのか,明らかになっていない.おそ らく,血管傷害の種類によっても異なるものと思われる. Ⅶ.血管外膜VVの調節因子 3)外因性血管新生促進因子・抑制因子が動脈硬化病変 とVV増殖に与える影響 1)内因性の血管新生促進因子 動脈硬化病変では,肥厚した動脈硬化プラーク内が低 血管新生促進因子,血管新生抑制因子を,外因性に 酸素状態になることや,炎症などの刺激により,プラー ク内の血管平滑筋細胞や白血球における血管内皮増殖因 子(vascular endothelial growth factor, VEGF)や線維 芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor, FGF)など の成長因子の発現が亢進し,VVおよびプラーク内微小 血管の増殖を引き起こすと考えられる33,34.早期の動脈 硬化病変を持つヒトの大動脈の観察では,正常な大動 脈に比べ,中膜平滑筋細胞でのVEGF産生が増加して いることも報告されている 35.また,高コレステロー ル食を投与したブタの冠動脈では,血管中膜外側の平 滑筋細胞での低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor, HIF)1αやVEGFの発現を認め,動脈硬化病変が形成さ れるより前から外膜VVの増殖を認めると報告されてい る36.一方高脂血症モデルマウスでは,病変を持たない 血管ではVV増殖は認められず,病変拡大に伴いVVが増 殖すると考えられている37(図6) . その他,肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor, HGF)も,ヒトの冠動脈プラークの内膜切除術により採 取した組織中の,微小血管を認める部位に発現している 図6.高齢ApoE欠損マウスの大動脈外膜微小血管増殖 の組織像 普通食を投与して飼育した94週令ApoE欠損マウスの腹部大動 脈組織像.ビオチン付きトマトレクチンを用いた染色により,血 管内皮細胞が染色されている色調の濃い部分.血管外膜に微小血 管増殖を認める(矢印).Bar, 50μm. ─ 101 ─ 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 投与した場合の動脈硬化病変とVV増殖に与える影響は, 病変に及ぼす影響を検討した.bFGFを酸性ゼラチンと 様々なモデルを用いて検討されている.Moultonらは,高 混合して徐放化し,若年ApoE欠損マウスの腎動脈下腹 脂血症マウスに,アンジオスタチンの他,エンドスタチ 部大動脈周囲に留置し,13週後に血管を周囲組織と一塊 ンや血管新生阻害薬の一種であるTNP 470を全身性に投 にして採取して観察した.その結果,リン酸緩衝液を投 与すると,動脈硬化病変の形成と病変内VV増殖が抑制 与したコントロール血管では動脈硬化病変を認めなかっ されると報告した41.短小化されたPAI 1(rPAI 123)の たが,bFGFを留置した血管では病変が形成されており, 42 投与も同様に抑制作用を持つと報告されている .高脂 外膜に増殖したVVを認めた.また,bFGF留置手術後4 血症マウスに,VEGFを全身投与すると,胸部大動脈の動 週間まで1週間ごとに経過を追って観察したところ,動 脈硬化病変が拡大し,病変内VVも増加したと報告され 脈硬化病変を認める前に,外膜におけるVV増殖と炎症 た43.機械的血管傷害モデルを用いた検討では, ラット頸 細胞集積を認めた37.これらの結果より,VVは進展した 動脈にバルーン傷害モデルを作成して血管周囲に塩基性 病変を不安定化させるだけでなく,病変形成の早期にも FGF(basic FGF, bFGF)を投与すると,病変形成と外 病変進展に作用している可能性がある. 44 膜VV増殖が増強されることや ,ウサギ頸動脈周囲に筒 状のシリコンゴムを巻きつけたカラー傷害モデルを作成 し,同時にアデノウイルスベクターを用いてVEGF遺伝 Ⅷ.PVATと血管外膜VV 子を導入すると,同様の病変形成増強効果を認めたこと 動脈硬化病変を持つ血管では,血管外膜に増殖した が報告されている45.また,スタチンを投与したApoE欠 VVを認め,その外側をPVATで覆われている.実験的に, 損マウスの頸動脈にカラー傷害モデルを作成すると,動 血管外膜にIL 1βを投与すると,血管内膜にも変化が生 脈硬化病変の進展および外膜VV増殖が抑制されたと報 じることから47,PVATが分泌する生理活性物質が血管 告されている46. に作用する経路の一つは,血管外膜から内膜への拡散で あると考えられる.しかし,動脈硬化病変により肥厚し 4)局所投与した血管新生促進因子が自然発症動脈硬化 た血管壁では,血管外膜と血管内腔側を繋ぐ導管の役割 をしていると考えられるVVを介する経路の方が,拡散 病変に及ぼす影響 このように,外因性の血管新生促進因子および血管 よりも血管内膜に到達し易い経路である可能性があ 新生抑制因子が動脈硬化病変とVV増殖に及ぼす影響は, る48.実際に,PVATが分泌する物質がVVを介して血管 全身投与および局所投与,高脂血症モデル動物に自然発 に作用しているかどうかは明らかではない.我々は,高 症する動脈硬化病変や機械的血管傷害モデルなど,様々 齢ApoE欠損マウスの大動脈を用いてPVATとVV,血 な組み合わせで検討されてきた.我々は,血管新生促進 管壁との形態的な検討を行った.液体プラスチックを灌 因子であるbFGFを,ApoE欠損マウスの腹部大動脈局所 流して血管鋳型を作成し,組織を融解させた後に走査電 に投与した場合に,高脂血症下で自然発症する動脈硬化 子顕微鏡で観察したところ,PVAT内の微小血管が血管 内腔と交通していると思われる像を認めた(図7) .ま た,凍結切片に抗CD31抗体と抗α SMA抗体で蛍光二重 免疫染色を行い,共焦点顕微鏡を用いて撮像し3D解析 した画像でも,PVATの微小血管が血管壁に向かって伸 長していると思われる所見を得た37.これらの所見より, PVATはVVにより血管壁あるいは動脈硬化病変と直接 交通をもち,病変形成に何らかの役割を担っている可能 性がある. Ⅸ.PVATおよびVVの臨床における意味と今後の可能性 図7.動脈硬化病変と血管外膜VV,PVATとの関連 1)動脈硬化症の指標としてのPVAT 普通食を投与して飼育した111週令のApoE欠損マウスの大動脈 弓部に,液体プラスチックを灌流させて血管鋳型を作成し,組織 を融解させた後に走査電子顕微鏡で観察した. 血管周囲脂肪組織の微小血管が血管壁および動脈硬化病変内へ 伸長している可能性が認められた(白矢印).Bar, 300μm. 心臓のEAT容量は冠動脈CTや心エコーを用いて定量 的な評価が可能である.EATを計測することにより,動 脈硬化症の重症度評価や,予後予測が可能であるか検討 されている. ─ 102 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 ドイツで一般集団を対象として実施された前向き集団 危険因子にEATを追加することでより識別できるか検 症例研究であるThe Heinz Nixdorf Recall Studyの参加 証したところ,HarrellのC値とintegrated discrimination 者のEAT容量をCTで計測し,EATと冠危険因子,冠動脈 improvement(IDI,値が大きいほど予測能が高い)に改 石灰化と冠動脈イベントとの関連を評価した結果が報告 善傾向が見られたが, 統計的に有意ではなかった. (C値 49 された .8.0±1.5年の経過観察期間で4,093名 (平均59.4歳, は冠危険因子のみ0.720,EATを追加すると0.730,P=0.10, 女性47%)のうち130名に致死的・非致死的冠動脈イベ 時間依存IDI改善率=0.196%).EATは致死的・非致死的 ントが発症した.ベースラインでのEAT容量の中央値は 冠動脈イベント発症に古典的な冠危険因子とは独立して 85.9ml(四分位範囲61.4−150.9,12.99から390.0ml)であ 関連しており,CT検査で得られる冠動脈石灰化スコアを り,四分位により比較すると, 冠動脈イベントの発症率は 補完する情報である. 容量の多い群で増加した. (第一四分位0.9%, 第四四分位 我々の研究室でも,冠動脈CT検査を施行された90症例 4.7%,p<0.001) .冠危険因子で補正すると, EAT容量が倍 (63±12歳,男性47名,女性43名)において,EAT容量の になると,冠動脈イベント発症リスクが1.5倍上昇し(ハ 増加と冠動脈病変の存在との関連を検討したところ,関 ザード比[95%信頼区間] :1.54[1.09 to 2.19] ),さらに 連に性差を認め,強く相関するのは男性のみであった18. 冠動脈石灰化スコアで補正しても同様であった(ハザー また,CTにより計測したEAT容量と,EAT組織のサイ ド比[95%信頼区間] :1.50[1.07 to 2.11] ) .冠動脈イベ トカイン発現やマクロファージ集積と,CADの関連も検 ントを発症した症例と発症しなかった症例を,従来の冠 討した.心臓手術を受けるCAD患者50名とNon CAD患 50 図8.EAT容量とマクロファージおよびサイトカイン発現との関連(文献 より改変して引用) A.EAT容量(EATV)およびEAT容量指標(EATV index)は,Non-CAD群と比較し,CAD群で有意に大きかった. B.EATV indexは,CD68陽性細胞数およびIL 1βのmRNA発現と正の相関を認め,アディポネクチンのmRNA発現と負の相関を認めた. ─ 103 ─ 動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管の役割 者50名のEAT容量をCTにより計測して比較したところ, ル)を冠動脈内へ注入して血管内エコー(intravascular EAT容量およびEAT容量指標(EAT容量/体表面積)は, ultrasound, IVUS)で観察する手法が試みられた56.こ CAD群の方が有意に大きかった(p<0.0001,p=0.0003). の手法では,造影剤の灌流強度によってVV の発達度を また,CD68陽性細胞数や,IL 1βおよびアディポネクチ 評価し,生体内で冠動脈プラークと外膜のVVの存在を ンのmRNA発現は,EAT容量指標と正または負の相関を 推定できる可能性が示された.しかし,IVUSは,一本 認めた(図8) .CADの存在との相関係数は,古典的な 一本の微小血管を同定することができるほど解像度が十 冠危険因子に加え,EAT容量指標および,これら3要素 分高くない.そのため,より解像度が高く,プラークの を加味した場合に最も大きくなった(R2=0.882).この 性状も評価することができる,光干渉断層撮影(optical ことから,EAT 容量はCADの存在と相関するが,容量 coherence tomography, OCT)の利用が期待された. 以上に,マクロファージ集積やサイトカイン発現などの Vorphalらは,ヒトの剖検時に血管造影を行い,新世代 50 のOCTである光周波数領域画像技術(optical frequency EATの質的変化が重要であると考えられる . domain imaging, OFDI)で認められるプラーク内の黒い 2)PVATの臨床応用における問題点 穴状の所見が,組織学的検討によりプラーク内新生血管 CTを用いて脂肪組織容量を計測する手法には再現性 と一致することを報告した57.Uemuraらは,OCTにより がある.しかし,冠動脈のPVATを計測する場合,心臓 プラーク内新生血管を微小流路として同定し,プラーク 周囲脂肪組織には,冠動脈と直接接するEATと,壁側心 病変の進展の前兆であることを示した58. 膜を囲む心臓脂肪paracardial adipose tissue(PAT)が 最近,OCTを用いてヒト冠動脈VVを評価した新しい あり,分解能が高くないCTではEATとPATの分離が困 論文が報告された.Nishimiyaらはまず,ブタ冠動脈に 難でありEATとPATを合わせて「心臓周囲脂肪組織」と ステントを留置するとステント末端部にVV増殖が生じ して計測している小規模な研究も報告されている.この ることをOFDIによりex vivoで画像化し,組織学的所 ように,検査方法が統一されておらず,どのような評価 見と一致することを示した.さらに,ヒトの生体内で 法がより有効であるのかを評価する比較は行われていな も,OFDIによりステント末端部のVVを描出可能である い.心エコーを用いてEATを計測した研究では, CAD患 ことを示した59.Taruyaらは,OFDIを施行した53名の 者の心血管イベント発症とEATの厚さとは関連を認め 左前下降枝を評価した.OFDIで取得した画像の三次元 なかった,との報告もある51.我々は,高周波リニアプ 解析を行うと,血管外膜および病変内のVVの長軸方向 ローブを用いた心エコーによりEATの厚さと冠動脈病 の走行が描出可能であった.また,冠動脈断面像より病 変の有無の関連を検討した. 冠動脈造影を施行された311 変の性状を分類し,それぞれの病変で認められる血管外 名の前室間溝と右室自由壁のEATの厚さを計測し,75% 膜VV容積および病変内VV容積を比較したところ,血管 以上の冠動脈病変を認めた群(CAD群)と認めなかった 外膜VV容積は線維性プラークで最も多く認められ,プ 群(Non-CAD群)に分けて検討したところ,前室間溝 ラーク内のVVは,破裂したプラークで最も多く認めら のEATは,Non-CAD群と比較しCAD群で有意に厚かっ れた60.このように,臨床で用いられる検査法によりVV 52 た .EAT容量や厚さの計測を動脈硬化症の標準検査の を描出して評価することが可能となってきている.この 一つとして用いるに足るエビデンスはまだ得られていな 技術を用いることで,動脈硬化の病態におけるVVの役 いが,今後の臨床研究の発展により,検査法が統一され, 割や,薬物療法によるVV密度への影響,PCI後の再狭窄 病態や予後との関連が解明されていくことが期待される. とVVとの関係など,臨床的な疑問点を解決する糸口が 得られると期待される. 3)臨床におけるVV評価方法の検討 VVは,動物を用いた基礎研究では組織学的検討やマ イクロCTなどにより評価され,ヒトでは,冠動脈の剖 X.おわりに 検検体を用いた検討により存在は古くから示されていた 最近の動脈硬化病変の進展と破綻に関する研究の進歩 が,現在はまだ,生体における描出手法は検討段階であ には目覚ましいものがあるが,イベント発症前の病変を 53 る.頸動脈の動脈硬化病変では,CTアンギオ やコント 早期に検出するための検査技術の確立には至っていない. ラストエコー54,MRI55によるVV同定が試みられており, 今までの動脈硬化研究は,血管内膜や中膜の構成成分に 後ろ向き研究ではあるが,脳虚血による神経症状や,心 主眼が置かれていたが, ここで述べたように, 最近では血 血管イベント発症との関連が示唆されている.冠動脈に 管外膜や,その周囲の脂肪組織の研究も進んでいる.こ ついては,Vavuranakisらにより,造影剤(マイクロバブ れらの研究の今後の発展により,VVやPVATを標的とし ─ 104 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 Vasc Biol. 2004;24:29−33 た新しい検査法や治療法が開発され,早期病変の検出や 予後予測,イベント発症前の治療介入が可能となること 13.Mazurek T, Zhang L, Zalewski A, Mannion JD, Diehl JT, Arafat H, Sarov-Blat L, O'Brien S, Keiper EA, Johnson AG, が期待される. Martin J, Goldstein BJ, Shi Y. Human epicardial adipose tissue is a source of inflammatory mediators. Circulation. 2003;108: 2460−2466 引用文献 14.Henrichot E, Juge-Aubry CE, Pernin A, Pache JC, Velebit V, Dayer JM, Meda P, Chizzolini C, Meier CA. Production of 1.Szasz T, Bomfim GF, Webb RC. The influence of perivascular chemokines by perivascular adipose tissue: A role in the adipose tissue on vascular homeostasis. Vasc Health Risk pathogenesis of atherosclerosis? Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2005;25:2594−2599 Manag. 2013;9:105−116 2.Brown NK, Zhou Z, Zhang J, Zeng R, Wu J, Eitzman DT, 15.Takaoka M, Nagata D, Kihara S, Shimomura I, Kimura Y, Chen YE, Chang L. Perivascular adipose tissue in vascular Tabata Y, Saito Y, Nagai R, Sata M. Periadventitial adipose function and disease: A review of current research and animal tissue plays a critical role in vascular remodeling. Circ Res. 2009;105:906−911 models. 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Ⅰ.はじめに ANP(Atrial natriuretic peptide; 心 房 性 ナ ト リ ウ ム利尿ペプチド)は主に心房から分泌され,guanylyl Ⅱ.肺癌周術期ANP投与による術後合併症予防効果 cyclase A(GC A)受容体に結合し,cyclic GMP産生を 我々はまず,術前BNP高値の場合,肺癌術後心房細 介して様々な生理活性作用を発揮するペプチドホルモン 動発生率が有意に高いこと4), 75歳以上の高齢者におい であり(図1)1),主に心血管系,腎臓や副腎を標的臓 ては,術前BNP高値(≧30pg/mL)の場合,術後心房 器として,ナトリウム利尿,血管拡張,レニン・アルド 細動だけでなく,肺炎やARDS等の呼吸器合併症を含め ステロン分泌抑制や抗炎症・抗線維化作用を発揮するこ た術後心肺合併症の発生率が有意に高まることを報告し とが知られている 2).ANPは,1995年本邦でヒトANP た 5).次に我々は,術前BNP高値群(≧30pg/mL)に 製剤(カルペリチド)が急性心不全治療薬として承認さ 対する介入試験として,肺癌周術期低用量ANP投与に れて以来20年が経過し,これまでに数百万人に使用され 関するプラセボ対照無作為化比較試験を行った.手術開 たが,低血圧以外に大きな副作用がないこと,さらには 始直前から低用量ANP(0.025µg/kg/分)又はプラセボ 低用量ANP投与(0.025µg/kg/分)では,血圧への影響 (5%ブドウ糖)を3日間投与し,術後心房細動発生 が少なく,さらに安全性が高いことが知られており,本 率について検討を行った.結果,術後心房細動発生率は, 邦での大規模臨床試験において急性心筋梗塞患者に対す プラセボ群60%に対してANP群10%と有意に良好な成 る臨床転帰の改善が報告される等,多くのエビデンスが 績であった 6).また,ANP群では,血行動態に著変を 蓄積されたことから,現在急性心不全治療に対する第一 認めず,周術期白血球数及びCRP値はANP群で有意に 選択薬となっている3). 肺癌手術における主な問題点として,急性期では術後 合併症,慢性期では術後再発,が挙げられる.手術を安 全に遂行し,かつ術後再発を可能な限り予防することは 呼吸器外科医にとって,重要な任務である.我々は,肺 癌術前リスク評価項目として,BNP(Brain natriuretic peptide;脳性ナトリウム利尿ペプチド)を積極的に導 入し,高リスクと判断された患者に対して,ANPを肺癌 周術期に積極的に投与する臨床試験を実施し,手術の安 全性向上について取り組むと同時に,偶然にもANPの 術後再発抑制効果を見出し,研究を進めてきた.本稿で はこのメカニズムを含めて我々の臨床及び基礎研究につ *国立循環器病研究センター研究所・生化学部・ペプチド創薬研究室 (〒565−8565 大阪府吹田市藤白台5丁目7番1号) 図1.ナトリウム利尿ペプチドファミリー )+ ─ 109 ─ 心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による癌転移予防効果−機序解明に向けて− 低値であり(図2) ,周術期ANP投与は安全に施行でき GC A過剰発現(トランスジェニック)マウスでは,逆 ると共に,強力な抗炎症作用を有する可能性が示唆され に肺転移は有意に少なかった(図4) .以上より,ANP た. の作用標的は血管内皮細胞であることが強く示唆された. その後,肺癌周術期に積極的にANP投与を行った結 果,後ろ向き解析ではあるが,75歳以上の高齢者に対 2)ANPの血管内皮細胞に対する作用メカニズム して,ANP投与群は,非投与群(対照群)と比較して, ANPの血管内皮細胞に対する鍵遺伝子を明らかにす 7) 術後心肺合併症の発生率が有意に低値であること ,さ る為に,ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用い らにCOPD併存肺癌患者に対しても,ANP投与群は非投 てANP投与前後における網羅的遺伝子解析を行ったと 与群と比較して,術後心肺合併症の発生率が有意に低値 ころ,E selectinがANP投与によって最も抑制される遺 であることを報告した8).ANPが心血管系合併症だけ 伝子であることを見出した.実際,周術期炎症の血管内 でなく,呼吸器合併症発生率も軽減するメカニズムとし 皮への影響について調べる為,ヒト肺動脈血管内皮細 て,肺血管内皮細胞を介した血管保護作用のメカニズム 胞(HPAEC)に対してリポポリサッカライド(LPS) 9) 刺激を行うと,E selectinの発現が増加し,ヒト肺癌細 について報告した . 胞との共培養において,HPAECに接着する癌細胞が有 意に増加した.本実験系に対してANPを前処置すると, Ⅲ.肺癌周術期ANP投与による術後再発予防効果10) E selectinの発現増加が抑制され,HPAECに接着する癌 肺癌手術におけるANP投与に関する臨床試験の追跡 細胞も有意に減少した(図5) .また,GC Aをノックダ 調査として,術後早期(2年以内)無再発生存率を調べ ウンしたHPAECではANPのE-selectin抑制効果はキャ た結果,肺癌周術期ANP投与群は非投与群(手術単独 ンセルされた(図5).以上より,ANPは血管内皮細胞 群)と比較して有意に良好な成績であった(図3) .但 のGC A受容体を介して,E selectinの発現を抑制し,癌 し,ANP投与群では患者背景に偏りが存在する為,年齢, 細胞が血管へ接着するのを防ぐことによって,抗転移効 性別,BNP値,並びに病理病期等の背景因子を合わせ 果を発揮することが示唆された. たペアマッチ解析を行ったが,同様の結果であった.本 成績は,ANPが癌転移に対して抑制的に作用する可能 3)ANPのin vivo におけるE selectin抑制効果 性を示すものであり,本研究を開始する動機となった. マウスにLPS刺激後,メラノーマを尾静脈投与すると, 肺転移が顕著に増加するが,LPS刺激前にANP投与を開 始することによって,メラノーマの肺転移は有意に抑制 Ⅳ.ANP投与による癌転移抑制メカニズム10) された(図6) .また,E selectin中和抗体を用いても同 1)ANPの作用標的の同定 様に,LPS刺激に伴うメラノーマの肺転移は抑制された ANPの受容体であるGC Aは,多くの癌細胞で発現し (図6) . ていた為,当初ANPの癌細胞に対する直接効果がある E selectinは本来,血管内皮細胞において,炎症によ のではないかと考えたが,様々な癌細胞に対する直接的 り発現が増加することによって,白血球が組織へ浸潤す な増殖抑制効果は認められなかった.次に,ヒト肺癌細 る際,血管壁への接着を促進させる働きを持つ接着分子 胞株A549(腺癌)及びH460(大細胞癌)をヌードマウ である.癌細胞も同様の機序で,血管内皮細胞へ接着す ス尾静脈から投与する肺転移モデルを作製し,ANP投 ることが近年報告されている.今回の研究により,肺癌 与群 vs. 対照群で比較検討したところ,ANP群において, 周術期3日間のANP投与による術後再発・転移抑制効 肺転移は有意に抑制された.続いて,GC Aを持たない 果の機序について,次のように考えられた.癌手術時に 細胞株である,マウスメラノーマ(B16/F10)を用いて, 血中に放出される遊離癌細胞は,その多くが1−2日以 同様の実験を行ったところ,ANP群で肺転移は有意に 内に細胞死を迎え,消退することが知られているが,手 抑制された.以上より,癌細胞に依らず,ANP投与に 術時の炎症によって惹起された血管E selectinの発現亢 よって肺転移抑制効果が認められたことから,癌細胞以 進によって,血中遊離癌細胞が血管へ接着・浸潤し易 外,即ち宿主側への作用の可能性が示唆された.そこで, くなり,術後早期再発・転移の一因となっている可能 体内でGC Aを最も豊富に発現している細胞である血管 性がある.ANPは周術期炎症によって惹起された血管 内皮細胞に着目した.血管内皮特異的GC Aノックアウ E selectinの発現亢進を抑制することにより,遊離癌細 トマウスを作製し,同様の実験を行ったところ,野生型 胞が血管へ接着するのを防ぎ,その結果,術後再発・転 マウスと比較して肺転移は有意に多く,血管内皮特異的 移抑制効果を発揮したと考えられた(図7) . ─ 110 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 T! .0-/T U9 7SKU9 D<KU9 W5 W>IW>IW> IW>I RUNG ?CG W5 W>IW>IW> I W>I 4 * * * * ** W5 W>IW>IW>IW>J ** W5 W>IW>IW>IW>J 8\ 図2.低用量ANP投与は血行動態への影響少なく,抗炎症作用を発揮する(文献6より改変) wXt rHwfyb> w+('.I%?uU}]3\< ExJo}Fkqpd E$WYKsc4 |CA[/g7dmFKsc4 M0RZ 9s1SzNlM0 2tv5~hpdsI]8eaD` G]8eaD` ,&-*)I!uU Ksn Ks=^n G]8eaD` Ksn ]8eaD` ]8eaD` 6c4!uU G]8eaD` sITP Ks=^n G]8eaD` Ksn sITP 図3.ANPの肺癌術後再発抑制効果に関する臨床研究(文献10より改変) @ ─ 111 ─ 心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による癌転移予防効果−機序解明に向けて− GC-A GC-A ! GC-A% )'( ! GC-A%$ )'( # (N=10, ," ) *P<0.05 !GC-A %)'( )'( !GC-A %$)'( &&& !GC-A %)'( && && &&& ! (N=10, ," ) *P<0.05 * * )'( #& #& * # !GC-A %$)'( *+ *+ 図4.遺伝子改変マウスを用いたマウスメラノーマ肺転移実験(文献10より改変) A549H460 () LPSng/ml 図5.血管内皮細胞を用いた基礎実験(文献10より改変) ─ 112 ─ 血管Vol.38 No.3 2015 30 LPS E-selectin Vehicle Control 20 図6.LPS刺激マウスメラノーマ肺転移モデル(文献10より改変) ANP%!)$+ ! E-selectin $!%** #&'E-selectin) ANP("** E-selectin! ANP GC-A E-selectin ! 図7.肺癌周術期ANP投与による術後再発抑制効果のメカニズムの概念 JANP Study (Japan Human Atrial Natriuretic Peptide for Lung Cancer Surgery) rl10v{4`w#4 ml$b-W - j%VYXK56K|hu q3^9{2Ud_8yx ZI;zs?'Xs [B [A;|iR @c! nlHMe - 500 H (250;0\D, 250; 0\+ ANP1) &*! &*OT Gg TGg=< f! :&Gg ol]akN Tt}PS 7Gg 7! f)T.G f)T ~ J Q/! - \+2(CLF 図8.JANP studyの概要 ─ 113 ─ pl>akN - \+5(F sCLF - ",\+ HLFE 心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による癌転移予防効果−機序解明に向けて− peptide and nicorandil as adjuncts to reperfusion treatment for Ⅴ.多施設共同無作為化比較試験 (JANP study) の開始 本研究成果を基に,肺癌手術周術期ANP投与に関す る多施設共同無作為化比較試験(Japan Human Atrial acute myocardial infarction( J WIND) : two randomised trials. Lancet 370:1483-1493, 2007 4)Nojiri T, Maeda H, Takeuchi Y, Funakoshi Y, Kimura T, Maekura R, Yamamoto K, Okumura M. Predictive value of Natriuretic Peptide for Lung Cancer Surgery;JANP B-type natriuretic peptide for postoperative atrial fibrillation study)を立案し,今後前向きにANPの癌転移・再発抑 following pulmonary resection for lung cancer. Eur J Cardiothoracic Surg 37:787−791, 2010 制効果について検証を行う予定である.本試験の概要は 以下の通りである(図8) .非小細胞肺癌に対する完全 5)Nojiri T, Inoue M, Yamamoto K, Maeda H, Takeuchi Y, Funakoshi Y, Okumura M. B-type natriuretic peptide as a 切除症例500例に対して,手術単独群(通常治療群)250 predictor of postoperative cardiopulmonary complications 例と,手術+ANP投与群250例に無作為(オープンラベ in elderly patients undergoing pulmonary resection for lung ル)に割付を行う.ANP群では術当日から3日間ヒト cancer. Ann Thorac Surg 92:1051−1055, 2011 ANP 0.025µg/kg/分静脈内持続投与を行う.主要評価項 6)Nojiri T, Maeda H, Takeuchi Y, Funakoshi Y, Maekura R, 目は術後2年無再発生存率であり,副次評価項目は,術 Yamamoto K, Okumura M. Effect of low-dose human atrial 後5年無再発生存率,全生存率及び術後合併症発生率等 natriuretic peptide on postoperative atrial fibrillation in patients undergoing pulmonary resection lung cancer: A double-blind, である.また,腫瘍検体に加えて,背景肺や周術期血漿・ placebo-controlled study. J Thorac Cardiovasc Surg 143:488− 血清検体を集積・保存し,腫瘍側因子だけでなく,宿主 494, 2012 側因子を含めた解析を行い,ANPの血管保護作用の観 7)Nojiri T, Inoue M, Yamamoto K, Maeda H, Takeuchi 点から,新しい視点で独自の解析を追加し,検討を行う Y, Funakoshi Y, Okumura M. Effects of low-dose human 予定である. atrial natriuretic peptide for preventing postoperative cardiopulmonary complications in elderly patients undergoing pulmonary resection for lung cancer. Eur J Cardiothoracic Surg 41:1330−1334, 2012 Ⅵ.おわりに 8)Nojiri T, Inoue M, Maeda H, Takeuchi Y, Sawabata N, 本研究は,宿主血管内皮細胞を標的としていることか Shintani Y, Yamamoto K, Okumura M. Low-dose human ら, 様々な癌腫へ応用可能と考えられる.この新しい “抗 atrial natriuretic peptide for the prevention of postoperative 転移薬”の開発を迅速に進めていき,より早く実臨床に cardiopulmonary complications in chronic obstructive pulmonary disease patients undergoing lung cancer surgery. おいて使用可能となるよう,今後も努力していきたいと 考えている. Eur J Cardiothoracic Surg 44:98−103, 2013 9)Nojiri T, Hosoda H, Tokudome T, Miura K, Ishikane S, Kimura T, Shintani Y, Inoue M, Sawabata N, Miyazato M, Okumura M, Kangawa K. Atrial natriuretic peptide inhibits 謝辞 lipopolysaccharide-induced acute lung injury. Pulm Pharmacol 本稿を執筆する機会を与えて頂いた日本心脈管作動物 質学会に深謝致します. Ther 29:24−30, 2014 10)Nojiri T, Hosoda H, Tokudome T, Miura K, Ishikane S, Otani K, Kishimoto I,Shintani Y, Inoue M, Kimura T, Sawabata N, Minami M, Nakagiri T, Funaki S, Takeuchi Y, Maeda H, Kidoya H, Kiyonari H, Shioi G, Arai Y, Hasegawa T, Takakura N, Hori M, Ohno Y, Miyazato M, Mochizuki N, Okumura M, Kangawa 文 献 K. Atrial natriuretic peptide prevents cancer metastasis 1)Kangawa K, Matsuo H. Purification and complete amino acid sequence of α-human atrial natriuretic polypeptide (α hANP) . Biochem Biophys Res Commun 118:131−139, 1984 2)Kishimoto I, Tokudome T, Horio T, Garbers DL, Nakao K, Kangawa K. Natriuretic Peptide Signaling via Guanylyl Cyclase (GC)A: An Endogenous Protective Mechanism of the Heart. Curr Cardiol Rev 5:45−51, 2009 3)Kitakaze M, Asakura M, Kim J, Shintani Y, Asanuma H, Hamasaki T, Seguchi O, Myoishi M, Minamino T, Ohara T, Nagai Y, Nanto S, Watanabe K, Fukuzawa S, Hirayama A, Nakamura N, Kimura K, Fujii K, Ishihara M, Saito Y, Tomoike H, Kitamura S; J-WIND investigators. Human atrial natriuretic ─ 114 ─ through vascular endothelial cells. Proc Natl Acad Sci U S A 112:4086−4091, 2015 血管Vol.38 No.3 2015 ベーシック───────────────────────────── 世界の研究室便り 『ボストン大学Kenneth Walsh研究室』 吉 田 守美子 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学 助教 私 は, 2013年 1 月 か ら2014年 9 月 ま で, 米 国 の Boston University School of Medicine, Whitaker Cardiovascular InstituteのKenneth Walsh教授の研究室 で研究生活を送りました.ボストンでの生活を振り返り ながら,留学を検討中の方の参考になればと思い,研究 室を紹介します. ボストンは,学術,科学技術だけでなく,ビジネスや 政治の分野でも中心的な都市で,視野を広げれば全く 違った分野の人とも交流ができる魅力があります.ボス トンに数多くある大学の中で,Boston Universityは全 米でも有数の大規模総合大学で,ボストンのチャールズ リバー沿いに広く充実したメインキャンパスを有し,医 学系学部や病院のあるメディカルキャンパスはボストン のサウスエンドに位置しています.私の所属した研究室 Walsh研究室のメンバー,中心がKenneth Walsh教授, その左が著者。 は,Boston University Medical Centerに近接する,心 血管病に関する研究・治療・教育を推進するために1974 研究室で扱うテーマは,心臓血管や骨格筋,脂肪組織, 年に設立されたWhitaker Cardiovascular Instituteの中 代謝に関連する分野と幅広く,私が所属していた時期 心的な研究室で,Walsh教授は心血管や骨格筋における は,「骨格筋や脂肪由来分泌物質の新規同定とその心血 Aktの役割を世界に先駆けて発表してきたことで有名で 管臓器や代謝における役割の解明」が主な研究テーマで す.研究室のメンバーは, 10名弱のポスドクと数名の した.基本的に,ポスドク一人ひとりにいくつかの研究 テクニシャンで構成され,米国人のWalsh教授をはじめ, テーマが与えられ,個人の興味や得意分野を生かして自 欧州,アジア,アフリカ出身と世界中から研究者が集 由に研究を行いますが,有望な研究テーマには複数のポ まっており,非常に自由な雰囲気です.当然,研究(仕 スドクが共同して取り組む場合もあります.研究の進み 事)に対する考え方や目標は様々ですが,top journalを 具合は,週1回の研究室全体のミーティングに加え,結 目指して研究室にやってきた人が多いため,長時間労働 果や方向性をWalsh教授と直接議論する機会も多々あり, が当たり前の日本人以外でも,週末や夜遅くまで研究す 非常に緊張する場面ですが,どんな結果でも前向きなア る人もいて,大いに刺激になります.また,Walsh教授 ドバイスをもらえますので,自信につながると思いま の研究室には,今まで日本から数多くの研究者,特に循 す.研究施設面では,動物実験施設や,小動物の心血管 環器系を専門とするM.D.が留学し,立派な成果を上げ 病モデルを解析するための実験設備が非常に充実してお られ,各地で大活躍されています.こうした先輩たちに り,大部分の研究者が,遺伝子改変マウスを用いた様々 刺激されて,この研究室に留学してくる日本人研究者も な病態モデルの作成に精通しています.また,Medical 多く,現在は4名の日本人が在籍しています.日本人が Centerに隣接する強みを生かして,臨床医との共同研 全くいない環境で過ごすのも貴重な経験ですが,日本の 究や,患者検体を使用した研究を積極的に行える環境に 研究環境についてよく理解しているボスがいるというの あります.Walsh教授はM.D.ではありませんが,人の臨 も,長所の一つではないかと思います. 床に応用できるような基礎研究を重要視されており,私 の臨床医としての知識や経験に基づいた意見を,興味深 *徳島大学大学院 医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学 (〒770−8503 徳島市蔵本町3丁目18−15) く聞いていただけたことが大変印象に残っています.さ らに,ほとんどの研究者が,Walsh教授の人脈を生かし ─ 115 ─ ボストン大学Kenneth Walsh研究室 て各国の研究者と共同研究を行っています.得られた成 果を研究室内だけで掘り下げるのではなく,積極的に他 の研究者も巻き込んで大きく発展させることで,より自 分の成果を高めることにつながるということも教わりま した.Walsh教授はCirculationのassociate editorを務め ていますので,非常に人脈が広く,top scientistの世界 を垣間見みられることも,貴重な経験の一つであると思 います. 最後に,海外での研究生活は,世界中の研究者と競争 していく難しさと楽しさを実感すると同時に,日本の研 究環境を外から見つめなおすことができ,自分のこれか らの目標を考えるのに絶好の機会だと思います.留学を 支援していただいた方々や,後に続く人たちのためにも, 留学で得られた経験を生かして,私自身日々挑戦を続け ています. ─ 116 ─ ─ 117 ─ 編 集 後 記 日本のプロ野球選手の最年長記録を数々書き換えてきた中日ドラゴンズの山本昌(昌広)投手 が引退する.現役プロ野球選手としては異例の50歳である.入団時はドラフト5位指名で,田中 将大,ダルビッシュ有,大谷翔平などのように華やかにデビューし初年度から活躍した投手では ない.それどころか入団2年目までは1軍での登板もなく,でっかい体ではあったが球は遅く, 常に解雇の危機にあった.4年目にアメリカ留学した.これを機会に大変身して中日ドラゴン ズのエースとして活躍し,通算219勝の大記録を残した.アメリカ留学で何があったのか?詳し くは知らないが,大リーグでのアメリカンドリームを夢見た若者達が世界中から集まるマイナー リーグの競争社会での経験が,山本昌を大きく変えたのであろう.異なる文化や価値観,考え方 や発想の違い,練習方法や精神鍛錬の違い,などを感じたのであろう.多様な人間が存在する競 争環境で自身を鍛えることにより,秘められた才能が開花したと思われる.本号で,吉田守美子 先生が世界の研究者と競争して行く難しさと楽しさを報告してくれたが,日本心脈管作動物質学 会員の若い研究者も世界に目を向けて,異国の研究の場で世界の研究者と共に切磋琢磨して大き く羽ばたいて欲しい. 今回は,巻頭総説と1編, 「第43回日本心脈管作動物質学会研究奨励賞」の受賞論文1編と世 界の研究室便りを掲載した.巻頭総説「動脈硬化病変における血管周囲脂肪組織と血管外膜微小 血管の役割」では、 著者等が進めてきた血管周囲脂肪組織と血管外膜微小血管に関する基礎研究 を発展させ,動脈硬化の早期病変の検出や予後予測,イベント発症前の治療介入を目指した臨床 応用にまで研究を進めている興味深い総説である.非侵襲的画像解析装置が急速に進歩している ので,近い将来に筆者等の新しい発想が臨床に生かされることを期待したい.研究奨励賞授賞論 文「心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による癌転移予防効果−機序解明に向けて− 」は,循環器臓器に多様な作用を持つANPが癌転移予防効果を持つ可能性を指摘した驚く内容 である.さらにヒトでの臨床応用を目指して,既に多施設による無作為化比較試験にまで研究を 発展させている.血管内皮機能を強化させることにより癌の転移を防ぐとの新しい発想を副作用 の少ない癌治療法として確立していただきたい. (T. T.) ─ 118 ─ 日本心脈管作動物質学会 学会誌「血管」投稿規定 投稿論文は,その内容が未投稿及び未掲載であって,独創的な知見を含むものに限ります. すべての著者は原稿の内容を理解していること,投稿について同意していることが必要です.なお,日本心脈管作動 物質学会の会員以外からの投稿も随時受け付けます. Ⅰ.論文種別 論文は投稿による総説,ポストシークエンス時代の心脈管ゲノミクス,若手研究者による最新海外情報,世界の研 究室便りがあります. 用語は日本語とします. 1.総説 ⑴ 投稿による総説:著者の関与する研究についての最近の成果をまとめたもので,主題が明確な論文. ⑵ 招待による総説:理事,評議員,編集委員が執筆推薦,依頼する論文. 2.一般論文:著者の原著であり,独創的研究で得られた有意義な新知見を含む論文. 3.ノート:断片的な研究であっても,新しい事実や価値あるデータを含む論文. Ⅱ.原稿様式・記載方法 1.カバーレター 和文の連絡著者情報(連絡著者名,所属機関及び住所,電話番号,Fax番号,E-mailアドレス)を記載して下さい. 2.タイトル 「総説」心脈管に関連した内容でお書き下さい. 「ポストシークエンス時代の心脈管ゲノミクス」心脈管ゲノミクスに関連した内容でお書きください. 「若手研究者による最新海外情報」心脈管に関連した内容でお書きください. 「世界の研究室便り」があります. 3.原稿 原稿枚数は,(400字詰)「総説」40枚程度, 「ポストシークエンス時代のゲノミクス」40枚程度,「若手研究者によ る最新海外情報」20枚程度, 「世界の研究室便り」2 ∼ 5枚程度を目安に執筆して下さい. 原稿は本文,図,表をそれぞれ別のファイルで作成して下さい. 本文中の項目は次のランクづけでお願いします. Ⅰ.…………太字,左右中央(2行ドリ) 1)……….明朝,左寄せ(1行ドリ) a)…….明朝,左寄せ(1行ドリ) 原稿は,楷書,横書き,ひらがな,新かなづかい,口語体,当用漢字を用い,正確に句読点をつけ,句読点,かっ こは1字を要し,改行の際は冒頭1字分をあける. 外国語で一般に日本語化しているものは,かたかなを用いてもよい. 数字はアラビア数字を用い,度量衡の単位は,mm, cm, ml, dl, μg, g, kg, N/10などと記す. ─ 119 ─ 次の字はかな表示にする. 勿論,唯,夫々,及び,各々,並び,殆ど,但し,併せる,全て,更に,為,何故,於いて,就く,我々,若,其, 出来,共,所,事,訳,即ち,様……….. 引用文献は主なものに限る.本文中の引用箇所の右肩に番号を付す. 例 「○○○1∼2) ,○○○1∼5)」 3.引用文献及び注記 引用文献は雑誌掲載論文,書籍,単行本,インターネット,技術報告,特許,講演等とします.これ以外は文章 的な記述として下さい.出現順に通し番号(引用文献1件ごとに1つの番号とします)を付け, 文中右肩に右片カッ コ付きのアラビア数字で示し,番号順位並べてREFERENCESとして論文末尾に一覧表示して下さい. 和名のみの場合は,ローマ字表記にして下さい. 引用文献の記載には,著者名は全員を記し,first 及びmiddle nameのイニシャルを記載して下さい. Ⅲ.費用 1.投稿手数料 無料 2.掲載料 無料 3.原稿料 なし 4.別刷料 無料 (50部を贈呈)※追加増刷の場合は,別途費用がかかります. Ⅳ.その他 1.著作権 本誌に掲載された論文,抄録,記事等の著作権は日本心脈管作動物質学会に帰属する. 本会は,これら著作権の全部または一部を,本会のホームページ,本会が認めたネットワーク媒体,その他の媒 体において掲載し,出版(電子出版を含む)することができる. 2.本学会の学会誌「血管」は,査読システムにより,論文の改訂をお願いすることがございますのでご了承下さい. (施行 平成26年6月2日) ─ 120 ─ 日本心脈管作動物質学会会則 第1章 総 則 第 1 条 本 会 は 日 本 心 脈 管 作 動 物 質 学 会(Japanese Society for Circulation Research)と称する. 第2条 本会の事務局は,三重県津市江戸橋2−174, 三重大学医学部薬理学教室内に置く. 第2章 目的および事業 第3条 本会は心脈管作動物質に関する研究の発展を図 り,会員相互の連絡および関連機関との連絡を 保ち,広く知識の交流を求めることを持って目 的とする. 第4条 本会は前条の目的を達成するために次の事業を 行う. 1.学術講演会,学会等の開催 2.会誌および図書の発行 3.研究,調査および教育 4.関係学術団体との連絡および調整 5.心脈管作動物質に関する国際交流 6.その他本会の目的達成に必要な事業 第3章 会 員 第5条 本会会員は本会目的達成に協力するもので次の 通りとする. 1.正会員 2.賛助会員 3.名誉会員 第6条 正会員の会費は年額4,000円とする. 第7条 賛助会員は本会の目的に賛同し,かつ事業を維 持するための会費年額100,000円(一口)以上 を納める団体または個人とする. 賛助会員には次の権利がある. (賛助会員の権利) 1.総会での傍聴を認めること. 2.本会の発行する学会誌の配布をうけること. 3.年1回の学会年会に無料で参加できること. (年会前に招待状送付) 第8条 名誉会員は理事会で推薦し,評議員会の議決を 経て総会で承認する.名誉会員は会費免除とす る. 第9条 本会に入会を希望するものは,所定の手続きを 経て,会費を添えて本会事務局に申し込むもの とする.原則として2年間会費を滞納したもの は退会とみなす. 第4章 役員および評議員 第10条 本会は次の役員を置く. 1.会長 1名 2.理事 若干名(うち理事長1名) 3.会計監事 若干名 第11条 会長は理事会の推薦により,評議員会の議決 を経て選ばれ,総会の承認を得るものとする. 会長は総会を主宰する. 第12条 理事会は会長を補佐して会務を執行し,庶務, 会計その他の業務を分担する.理事長は理事会 の互選により選出され, 本会の運営を統括する. 第13条 会計監事は理事より互選により選出し,会計 監査を行う. 第14条 本会には,評議員をおく.評議員は正会員中 より選出し,理事会の推薦を経て評議員会で議 決し,総会の承認を得るものとする.理事長が これを委嘱する.評議員は評議員会を組織し, 本会に関する重要事項を審議する. 第15条 編集委員は機関誌“血管”(Japanese Journal of Circulation Research)を編集し,本会の学 術活動に関する連絡を行う.なお,編集に関す る事項は,事務局にて決定する. 第16条 役員の任期は会長は1年,理事長,理事,会 計監事および編集委員は2年とする.ただし再 任は妨げない. 第17条 役員は次の事項に該当するときはその資格を 失う. 1.定期評議員会時に満65歳を過ぎていた場合 2. 3年間連続で,役員会等を正当な理由なく して欠席した場合 第5章 会 議 第18条 理事会は少なくとも年1回理事長が招集し, 議長は理事長がこれに当たる. 第19条 総会および評議員会は毎年1回これを開き, 次の議事を行う. 1.会務の報告 2.会則の変更 3.その他必要と認める事項 第20条 臨時の総会,評議員会は理事会の議決があっ た時これを開く. 第6章 会 計 第21条 本会の事業年度は毎年1月1日より始まり, 12月31日に終わる. 第22条 本会の会計は会費,各種補助金及び寄付金を もって充てる. ─ 121 ─ 日本心脈管作動物質学会賛助会員 旭化成ファーマ株式会社 武田薬品工業株式会社 味の素製薬株式会社 田辺三菱製薬株式会社 アステラス製薬株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 協和発酵キリン株式会社 バイエル薬品株式会社 第一三共株式会社 ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 《五十音順》 ─ 122 ─ 日本心脈管作動物質学会役員 名誉会員 平田恭信 中川雅夫 岩尾 洋 山田和生 寒川賢治 平田結喜緒 毛利喜久男 田 中 利 男(理事長) 平野勝也 平田健一 筒井正人 西山 成 玉置俊晃 伊藤 宏 佐田政隆 伊藤正明 下川宏明 萩原正敏 五十嵐友紀 石井邦明 蒔田直昌 宮田篤郎 中山貢一 西山 成 佐藤靖史 高井真司 田中利男 筒井正人 柳澤輝行 服部良之 福田大也 平田健一 今西政仁 伊藤正明 倉林正彦 上月正博 三浦総一郎 長田太助 大蔵隆文 佐々木 享 七里眞義 添木 武 吉村道博 服部裕一 池田康将 伊藤猛雄 松村靖夫 望月直樹 西田育弘 野間玄督 島田康人 高倉伸幸 徳留 健 上田陽一 吉栖正典 藤田 浩 福本義弘 廣岡良隆 石橋敏幸 伊藤貞嘉 小林直彦 前村浩二 宮内 卓 野出孝一 大柳光正 佐藤公 下門顕太郎 高橋克仁 吉栖正生 第45回会長 佐田政隆 理 事 監 事 評 議 員 〈基礎〉 〈臨床〉 雄 前村浩二 吉栖正典 福 平 飯 岩 光 中 西 岡 末 多 冨 牛 赤 深 檜 市 石 岸 河 丸 室 錦 楽 斎 下 上 古川安之 五十嵐淳介 今泉祐治 泉 康雄 三輪聡一 中田徹男 西尾眞友 新藤隆行 菅原 明 玉置俊晃 土屋浩一郎 山本隆一 長谷部直幸 福田 昇 東 幸仁 池田宇一 伊藤 宏 北村和雄 川辺淳一 湊口信也 森本 聡 小川久雄 佐田政隆 渋谷正人 下澤達雄 矢田豊隆 永 野 野 本 山 木 村 村 松 久 田 首 澤 水 垣 来 光 野 山 原 見 木 藤 川 田 浩 勝 正 隆 勝 敏 有 富 和 修 文 實 俊 俊 拓 雅 一 豊 俊 宏 能 宏 誠 司 也 光 宏 慶 夫 平 夫 誠 陽 平 隆 宏 圭 男 弘 彦 弥 和 男 明 雄 実 彦 明 二 (ABC順) 事 務 局 〒514-8507 三重県津市江戸橋2−174 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス分野内 TEL 059−231−5411, FAX 059−232−1765 ─ 123 ─ 会長 第1回研究会 横山 育三 第2回研究会 藤原 元始 第3回研究会 岳中 典男 第4回研究会 毛利喜久男 第5回研究会 藤原 元始 第6回研究会 岳中 典男 第7回研究会 山本国太郎 第8回研究会 毛利喜久男 第9回研究会 土屋 雅晴 第10回研究会 横山 育三 第11回研究会 日高 弘義 第12回研究会 三島 好雄 第13回研究会 東 健彦 第14回研究会 恒川 謙吾 第15回研究会 戸田 昇 第16回学会 塩野谷恵彦 第17回学会 野々村禎昭 第18回学会 河合 忠一 第19回学会 平 則夫 第20回学会 杉本 恒明 第21回学会 安孫子 保 第22回学会 外山 淳治 第23回学会 千葉 茂俊 第24回学会 中川 雅夫 第25回学会 室田 誠逸 第26回学会 猿田 享男 第27回学会 矢崎 義雄 第28回学会 田中 利男 第29回学会 竹下 彰 第30回学会 岩尾 洋 第31回学会 平田結喜緒 第32回学会 荻原 俊男 第33回学会 藤田 敏郎 第34回学会 辻本 豪三 第35回学会 松岡 博昭 第36回学会 玉置 俊晃 第37回学会 下川 宏明 第38回学会 川 博己 第39回学会 伊藤 正明 第40回学会 西山 成 第41回学会 伊藤 宏 第42回学会 吉栖 正典 第43回学会 平田 健一 第44回学会 平野 勝也 第45回学会 佐田 政隆 日本心脈管作動物質学会誌 血管 第38巻3号 2015年10月15日発行 発行人 田中利男 三重大学大学院医学系研究科 発行所 日本心脈管作動物質学会事務局 〒514-8507 三重県津市江戸橋2−174 三重大学大学院医学系研究科 薬理ゲノミクス分野内 TEL 059−231−5411 FAX 059−232−1765 http://jscr21.medic.mie-u.ac.jp/ 薬理ゲノミクス分野 印刷所 合資会社 黒川印刷 〒514-0008 三重県津市上浜町2−11 ─ 124 ─ ・ 総 編 集 長 玉 置 俊 晃(徳島大学大学院病態情報医学講座情報伝達薬理学分野) ・ ベ ー シ ッ ク 編 集 長 西 山 成(香川大学医学部薬理学) ・ オ ミ ッ ク ス 編 集 長 田 中 利 男(三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス) ・ ク リ ニ カ ル 編 集 長 伊 藤 正 明(三重大学大学院医学系研究科循環器内科学)
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