日本言語文化研究会論集 2014 年第 10 号 【特定課題研究報告】 成人学習者の話す自信を高める試み -授業にグループワークを取り入れて- クルシュレーシタ,ディヴィヤ 要旨 本研究は、インドの民間学校での、教師主導的で試験対策中心の勉強に慣れている成人学 習者が、グループワークを経験することによって、自信を持って、日本語でやり取りし、話 せるようになるかについて調査した。調査結果から、グループワークを通して学習者は、ク ラスメートとの不安の共有、話す時の文法の間違いや語彙不足に関する心配の軽減、少人数 の前での発表の練習などにより安心感が得られることがわかった。また、その安心感により 学習者の日本語で話すことに対する不安の低下、自信の度合いの上昇が見られた。そして、 グループワークは、日本語で話せるようになったという達成感や満足感を与え、学習者が話 すことを肯定的に捉えられるという効果をもたらした。さらに、本研究で取り組んだグルー プワークは、インドの民間学校の日本語教育においても実施可能であるということが示唆さ れた。 〔キーワード〕インドの民間学校、成人学習者、グループワーク、話す自信、不安 1. はじめに 2012 年度日本語教育機関調査(国際交流基金 2013)によると、インド全体の日本語学習 者は 20,115 人であり、その内学校教育以外で学ぶ学習者は 9,242 人、つまり、全体の 45.9% と多くを占めている。 「学校教育以外」の機関としては、民間学校で学ぶ学習者の割合が大き いと考えられる。従って、民間学校の学習者を対象とした研究が必要である。筆者の経験お よび知り合いの教師 12 名から得た情報によると、民間学校の学習者には、20~40 歳代の成 人が多く、その学習目的は将来の就職(日系企業に就職、日本語の教師、翻訳者、通訳者な ど)につなげることが中心である。また、女性学習者が多く、特に既婚女性にとって、フリ ーランサーとしてできる仕事は、魅力的だと考えられている。インドには日本人が少ないた め、日本人と接触する可能性がほとんどなく、日本に関連のある会社で働く人にしか、定期 的に日本語を使う機会がない。また、日本語能力試験(以下、JLPT)合格が主な学習目的と なり、民間学校での日本語教育は JLPT 受験対策向けの授業、つまり、文法学習が中心になり がちである。授業では、ある話題について学習者が意見を述べたり、学習者同士が交流した りすること自体あまりなく、日本語で話す機会はほとんどない。その結果、学習者は日本語 学習を上級まで終えても、 自分の考えや気持ちを自由に、 なめらかに述べることができない。 また、 筆者の経験上、民間学校の学習者は、日本に短期滞在した経験をクラスで共有する 機会や日本語学習に関するイベントとして行われるスピーチ大会に参加する機会があるもの の、積極的に参加しない。また、日本人のゲストが民間学校を訪問し、自分の日本語学習経 験や相互の文化について意見交換する機会も時々あるが、学習者の多くは、日本語を使って 話すことに慣れておらず、自信が持てないため、せっかく勉強したことを活かせていない。 従って企業に入る学習者は、就職してから内で日本語研修を受け、人前で発表したり、日本 人と意見交換したりするなど、 日本語が活用できるように学習する場合も多い。 マナシ (2003: 226)は、 「企業の求める日本語能力試験の合格だけを目指す学習者が多い。実際に日本人と 話す機会があって初めて、自分は話せないことに気が付くのである」と述べている。 2013 年 8 月に学習者(42 名)に対して行った事前調査 1では、日本語学習上の問題点とし て「話そうとする時ことばが出てこない」 (26 名)が最も多く、その解決方法として「日本 語の会話をもっと練習すること」 (25 名)という答えがあった。 本研究では、学習者が自信を持ち、お互い日本語で話せるようになることを期待し、授業 にグループワークを取り入れることで、 学習者にどのような変化が見られるかを観察したい。 2. 先行研究 第二言語学習に対する学習者の不安について研究している元田(2005: 8)は、第二言語不 安を「第二言語の学習や使用、習得に特定的に関わる不安や心配と、それによって引き起こ される緊張や焦り」と定義している。 また、学習者が持つさまざまな不安について元田(2005: 111)は、「第二言語学習を続け るうちに、他の学習者と比較して自分はなかなか上達しないと感じたり、まわりの学習者よ りも自分は劣っていると感じたりする可能性がある」と述べている。従って、身近なクラス メートと比較し、自分の日本語力をどう捉えるかということも、学習者の不安感に深く関連 する。そして学習者は、不安になると、自分の気持ちを上手く伝えることや相手の考えを聞 くことに集中することが難しくなるとしている。 元田(2005: 168-174)は、学習者が持つ不安感を軽減するための方法の 1 つとして、学習 者の仲間づくりをあげている。学習者は、協同作業で他者から支援を得ることや他者の経験 を聞き、 不安になっているのは自分だけではないと感じることによって、 仲間意識が作られ、 安心感が得られるようである。また、ことばの正確さや流暢さのような言語の形態だけでは なく、コミュニケーションに焦点を当てることや「伝える」 「聞く」ことを重視した活動が必 要であるという。 上記から、学習者は安心した雰囲気の中で、仲間の前で話すことができるようになり、や がて、緊張感や不安感を軽減させ、徐々に他の人の前で話すことに慣れていき、次第に日本 語で話す自信が高まると考えられる。 Brown(2001: 177)は、グループワークを“it is a generic term covering a multiplicity of techniques in which two or more students are assigned a task that involves collaboration and self-initiated language”(以下筆者訳:グループワークという用語は、 「2 人以上の学生による協同作業と自発的な言語使用」を必要とするタスクを達成するため に用いるテクニックの総称である)と定義している。本研究では、グループワークを学習者 同士で行う協同作業とする。 また、英語教育の文脈で Long & Porter(1985)は、教育的観点から語学の教室において グループワークを用いる 5 つの利点をあげている。それは、(1)言語の練習機会を増やす、 (2)学生の対話の質を改善する、(3)個別指導を促進する、(4)活動的で情緒的に安心で きる雰囲気を作り出す、(5)学習者の動機を高める、という 5 点である(訳は小柳 2004 よ り)。上記の利点は全て重要であるが、本研究では、段階的に取り入れることを検討し、自 国の教育場面で実施しやすいと思われる点を重視し、Long & Porter が述べた利点の中の「日 本語の練習機会を増やす」「活動的で情緒的に安心できる雰囲気を作り出す」「学習者の動 機を高める」という 3 つの利点を取り入れたグループワークを行い、それが学習者の日本語 で話すことに対する不安感を軽減し、自信の度合いを高めることにつながるかを確認したい と考える。 3. 研究課題 研究背景で述べたように、インドの民間学校の学習者は、授業で話す練習がないこと、話 す時文法を間違える心配、恥ずかしさなど、さまざまな要因で話す自信が持てず、話そうと しない可能性がある。授業の中にグループワークを取り入れることで、学習者が「話したい」 という気持ちを持てれば、多少間違いがあったとしても、話し始めるかもしれない。そして、 言いたいことを相手に理解してもらうことができれば、その満足感が自信の高まりにつなが り、同時に不安感を減らすことができるかもしれない、と仮説を立て、本研究では、グルー プワークにおける自信に着目し、次の研究課題を設定した。 課題 1 授業にグループワークを取り入れることによって、どのように学習者の不安感が減 り、自信の度合いが高まるか。 課題 2 インドの民間学校のカリキュラムにグループワークを取り入れるためにどのような 留意点が考えられるか。 4. コースの概要 4.1 コースの目標と内容 2014 年 4 月、帰国実習の機会を利用して、インドのムンバイ市にある民間学校で 1 コース 全 8 回の授業をデザインした。本コースでは、従来の授業にはなかったグループワークを取 り入れることによって、学習者が自信を持って日本語でやり取りや発表ができるようになる ことを目標とした。本コース期間中に、学習者の日本語を話すことに関する問題点や不安の 度合いの変化を知るためにアンケート調査とディスカッションを行った。その他に、学習者 からのフィードバックシート・自己評価紙の記入、学習者の事前・事後発表の教師評価、ム ンバイ・プネ市の日本語教師へのインタビュー調査を行った。なお、筆者は教師として 8 回 すべての授業を担当した。 4.2 授業の設計 4.2.1 対象者 民間学校で学習している 27~45 歳の学習者(全員女性)5 名を調査の対象者とした。対象 者の使用言語はヒンディー語・英語であり、全員 JLPT N3 に合格している。JF 日本語教育ス タンダードの観点から評価すると「話す・聞く・書く」技能は A2 レベル、「読む」技能は B1 レベル程度である。 5 名の対象者のプロフィールは次の通りである。S1 は、民間学校と企業で日本語の非常勤 教師をしている。企業にいる他の日本語母語話者の教師(以下、NT)や日本語教師会に出席 する NT、または、専門の日本語教師の訪問の際に、日本人と接触する機会が時々ある。S2 は、専業主婦であり、日本人と接したことは一度もない。S3 も専業主婦であるが、3 年半日 本に滞在したことがあり、その間日常生活で日本人と接触した経験が豊かである。S4 はフリ ーランサーの翻訳者かつ日本語の非常勤教師をしている。S4 も日本人と接する機会が一度も ない。S5 は現在専業主婦であるが、大学で日本語を学習中に、NT に教えられたり、日本人留 学生を自宅にホームステイさせたりしたことで、日本人との接触経験がある。 表 1 学習者のプロフィール S1 S2 S3 S4 S5 30 代 40 代 30 代 20 代 30 代 仕事の有無 ○ × × ○ × 日本人との接触経験 ○ × ○ × ○ 日本滞在歴 × × ○ × × 年代 4.2.2 学習目標とレベル設定 「みんなの Can-do サイト」を利用し、CEFR の Can-do Statement を参考に、対象者のレベ ルや目標を設定した。研究背景で述べたように、学習者は自分の考え、気持ち、経験等を自 由に述べる練習をしたことがほとんどないことから、CEFR の産出「経験や物語を語る」カテ ゴリーの Can-do の内、 「自分の感情や反応を記述しながら、経験を詳細に述べることができ る」という Can-do 項目に注目し、目標とした。選んだカテゴリーで、A2.2 レベルに当ては まる行動は「要点を短く述べることができる」 「事柄を例挙して、簡単に述べることができる」 「好きか嫌いかを述べることができる」であり、B1.2 は「集めた事実情報をもとに総括し、 報告できる。ある程度自信を持って自分の意見を提示できる」であった。筆者の教授経験か ら自国の学習者の学習レベルを考えると、A2.2 レベルは、JLPT N2 の学習をしている対象者 には易しすぎ、B1.2 レベルは、会話の練習経験があまりない対象者にとって少し難しいと考 えた。そこで、その間である B1.1 の「事実を述べ、理由を説明することができる」 「自分の 感情や反応を描写することができる」 「自分の考えを述べることができる」という Can-do 項 目を選び、学習目標を決めた。 4.2.3 授業の概要 授業は全部で 8 回あり、 1 回 90 分であった。 第 1 回の授業でオリエンテーションを行った。 第 2~7 回授業で、学習者の経験上身近で簡単に話せると考えられるトピックを 3 つ設定し、 1 トピックに 2 種類のグループワークを取り入れた授業を行った。第 8 回はまとめの授業で あった(コース全体の内容は表 2 を参照) 。 次に、授業に取り入れたグループワークについて述べる。グループワークでは、学習者同 士が交流できる機会を作ったり、安心した雰囲気を作ることや話す練習の機会を増やした。 そして、グループワークの活動中、学習者は、自由に話し合う時間が持て、それによって仲 間意識を持ち安心感を得られると同時に日本語で話す不安が減り、話す自信も高まると考え た。また、教師のコントロールのもと、2 名または 3 名に分けて 2 グループにし、グループ メンバーの前で発表を練習することで、仲間意識も持て、クラス全員の前での発表がしやす くなると想定した。また、学習者のグループワークへの反応を見るために、さまざまな形態 のグループワークを授業に取り入れた(グループワークを取り入れた授業の内容は表 3 を参 照) 。 表 2 コース全体の内容 活動の内容 ・教師(筆者)の自己紹介、研究目的について説明(ヒンディー語) ・学習者の自己紹介、日本語で話す上の問題点、不満、感想などについてディスカッ ションⅠ(ヒンディー語、英語、日本語) オリエンテーション 第1回 ・15 分の準備後、学習者による 2 分程度の事前発表 (テーマ: 「日本語の勉強を始めたきっかけ」 ) ・教師から発表のし方、評価の観点について説明(日本語、英語) ・学習者による日本語を話す能力についてのアンケート調査Ⅰ(前)の記入 ・教師から第 2~7 回の授業の流れ、フィードバックシート、自己評価紙の説明 グルー プ 第2回 ワークを 第3回 取り入れ 第4回 た授業 第5回 トピック 1「私の一ばん大切なもの」 トピック 2「忘れられない旅行」 第6回 トピック 3「恋愛結婚か、お見合い結婚か」 第7回 ・15 分の準備後、学習者による 2 分程度の事後発表(テーマ: 「日本語と将来の夢」 ) まとめ 第 8 回 ・学習者によるアンケート調査Ⅰ(後) 、アンケート調査Ⅱの記入 ・教師から授業のまとめ、学習者の感想、意見や提案などについてのディスカッショ ンⅡ(ヒンディー語、英語、日本語) 表 3 グループワークを取り入れた授業の内容(第 2~7 回) 手 第 2~7 回の授業の活動とその目的 内容 順 導入(5 分) ・教師が会話でトピックを導入した 1 ・背景知識の活性化 ブレインストーミング(10 分) 2 ・学習者がワークシート①でトピックに関連する表現や ・トピックに必要な語彙や表現を確認し、自信 キーワードを整理した(添付資料①ワークシート①-A) を高める ・教師から語彙・表現のリストを配付した グループワークⅠ(60 分) ・ワークシートを用いて、グループで活動をする(添付 ・日本語で話す機会を増やし、持っている知識 資料②、③) を互いに共有することによって、 学習者は新し ・トピックは、トピック 1「私の一ばん大切なもの」 、ト 3 い単語や表現を知り、 日本語力への自信を高め ピック 2「忘れられない旅行」 、トピック 3「恋愛結婚か、 る お見合い結婚か」の 3 つ ・グループでクラスに報告し、緊張感や不安感 ・グループワークⅠの結果をクラス全員の前で報告する を減らす 4 個人作業(10 分) ・教師が発表例を示した後、学習者は各自、トピックに ・学習者が自分の考えや話を整理する ついて話すことを考え、ワークシート①-B(添付資料①) に書いた 5 グループワークⅡ(30 分) ・学習者は練習後、グループ内で発表した ・まず、グループメンバーの前で発表の練習を ・ワークシート④(添付資料④)を使って、グループメ し、不安感を減らす ンバーからフィードバックをもらった ・グループメンバーからのフィードバックによ ・学習者は自分の発表をふり返り、改善した り発表内容を修正することで、 クラス全員の前 での発表に自信を高める 6 個人発表(30 分) ・学習者はクラスメート全員の前で発表した 7 コメントのやり取り(10 分) ・発表を聞き、好意的なコメントと建設的なコメントを 8 ・日本語発表の改善のポイントがわかる ピンクと黄色の付箋に無記名で書いた(日本語・英語) ・日本語学習への動機になる ・コメントを発表者に渡した 自己評価紙の記入(5 分) ・学習者は自分の発表を評価の観点を使って自己評価し ・学習者が自分の日本語力に変化があったかを た ふり返る ・発表の観点に注意できるようになる 9 授業へのフィードバックシート(5 分) ・学習者は自分の発表、グループワークについてフィー ・授業に対する学習者の気持ちがわかる ドバックシートの質問に答えた(添付資料⑤を参照) ・授業改善への提案を得る グループワークⅠ:グループワークⅠは、トピックによって活動の形態に違いはあるが、課 題が明確に理解されるように筆者が作成したワークシートを使って、与えられたタスクを進 めていく活動であった。トピック 1「私の一ばん大切なもの」の活動では、トピックに関連 するビデオを見、その内容について話し合う、トピック 2「忘れられない旅行」の活動では、 出来事の流れが描写できるように、1 人 1 コマの絵を与えて、協力してストーリーを完成さ せる(添付資料②を参照) 、トピック 3「恋愛結婚か、お見合い結婚か」の活動では、トピッ クについての利点と欠点を意見交換し合う、というものであった。学習者は、グループ内で やり取りし、助け合いながら、各トピックのワークシートにあるタスクを行った。その結果 をグループごとにクラス全員の前で報告した。 グループワークⅡ:学習者はグループワークⅠで確認、共有した表現やアイディアを基に、 自分の考えを整理しなおし、まず、グループメンバーの前で自分の発表の練習をした。そし て、自分の発表を振り返った後、クラス全員の前で発表した。 グループワークⅠ・Ⅱの計画時、第 2 章の先行研究に述べたポイントを踏まえ、教師は下 記の点に注意した。 (1)学習者の不安感を減らすために注意した点<安心できる雰囲気を作る> 学習者は、文法の間違い、語彙の乏しさや正確さなどのような細かいことに気を取られ、 不安になり、話す努力をしなくなる恐れがあった。そこで、安心して話せる雰囲気が作れる ように、教師は学習者に、グループワークでは、文法上の間違いや細かいことは気にせずに 日本語を使って話すように指示した。また、日本語で自分の考えを表せない時には、単語単 位での母語使用も認めた。 (2)学習者の自信を高めるために注意した点<グループの組み方> グループ内のメンバー間の、能力差が大きいと、能力の低い学習者が話す自信を失う恐れ があるため、学習者の日本語力に注意する必要もあると考えた。しかし、本コース受講者は 全員N3に合格しており、 似たような日本語レベルだとわかっていたため、 トピック1の際は、 日本人と接触した経験の有無を基にグループを組むことにした。トピック 2、3 は他の学習者 とも仲間意識ができるように、異なった相手と組むことにした。 (3)グループワークⅠで注意した点<トピックに必要な語彙・表現の補足> 学習者は、話す時にことばが出てこない、つまり、語彙や表現が足りずに、話せなくなる ことが事前調査でわかった(第 1 章を参照) 。そこで、学習者がトピックについて話すための 手助けとなるように、グループワークⅠの前には、トピックの語彙に関するブレインストー ミングを行い、ワークシート上の難しい語彙や表現の翻訳リストを配付し、グループワーク Ⅰの最後の報告の際には、教師から語彙、表現の確認を行った。これによって、学習者が自 分の頭の中で話す準備ができるように、課題や発表に必要な語彙や表現の補足をした。 (4)グループワークⅡで注意した点<聞き手への配慮> 学習者が、 「伝える」 「聞く」ことに集中でき、自分の考えを上手く「伝えられる」 、相手の 話を上手く「理解できる」ように、発表を聞いた後に聞き手がコメントする活動と、話し手 自身による発表のふり返りの活動(添付資料④を参照)を設定した。学習者はこのワークシ ートを利用し、自分の話を話し手の立場から説明したり、相手の話を聞き手の立場から確認 したりした。これによって学習者は、聞き手のことも意識することになり、 「話す」ことだけ ではなく、 「わかってもらう」ことの大切さにも注目できるようになると考えた。 5. 調査概要 5.1 データの種類と収集方法 調査で収集したデータを主データと補足データに分けて述べる。 5.1.1 主データ (1)アンケート調査Ⅰ:元田(2005: 215-218、221-222、241-242)の調査票(質問紙)は 日本に留学し、直説法で学ぶ学習者を対象にしているが、本コースでは、インドで学ぶ 成人学習者を対象にしているため、調査対象者の特徴を考慮し、項目を選んで、作成し た 2。第 1 回の授業時、学習者の日本語を話すことに対する自信の度合いを知るために ア Ⅰ) ア Ⅰ(後)として第 8 回 アンケート調査Ⅰ(以下、○ (前)を行った。同じ調査を ○ の授業時、学習者の自信の度合いの変化を見るために行った。 (2)アンケート調査Ⅱ:グループワークの効果について筆者が項目を考えた調査である。ア ア Ⅱ)は、グループワークを取り入れた授業に対する学習者の ンケート調査Ⅱ(以下、○ 反応を見るために第 8 回の授業で行った。 (3)ディスカッションⅠ・Ⅱの音声データ:第 1 回の授業で、日本語で話すことに対する学 デ Ⅰ)を行った(20 習者の問題点や不満点、期待についてディスカッションⅠ(以下、○ 分程度)。第 8 回の授業で、本コースに関する学習者からの意見や感想を聞くためにデ デ Ⅱ)を行った(30 分程度)。 ィスカッションⅡ(以下、○ 5.1.2 補足データ (1)フィードバックシート:学習者が、トピック終了時に自分の発表についてふり返り、授 業全体やグループワーク活動について記入した(添付資料⑤を参照) 。 (2)自己評価紙:学習者が、発表の評価の観点 3を基に、自分の発表を評価し、記入した。 (3)コメント:学習者が、互いの発表に対して相互評価をし、好意的・建設的なコメントを 色の異なる付箋に書き発表者に渡した。 (4)事前・事後発表の教師評価紙:教授歴 10 年以上の非母語話者教師(以下、NNT)3 人が コース終了後、学習者の事前・事後発表を評価した。 (5)教師インタビューの音声データ:筆者が、コース修了後、実践した授業の有効性や問題 点を知るために、プネ・ムンバイ市の教授歴 5 年以上の NNT 7 人(上記の(4)の教師を 含む)に、授業に関する意見や感想、提案を聞いた。 5.2 データ分析方法 ア Ⅰと ○ ア Ⅱの全体の回答傾向を探るために、結果の表(表 4、5)を作成し、変化がわかる ○ E A A E A ア ように示した。結果全体を見、その中で変化があった学習者について個別に詳しく見た。○ A E Ⅱには自由記述欄として、 感想や意見を書くスペースを設けており、 本稿では< >で示す。 デ Ⅰ・Ⅱは、やり取りを文字化し、分析に必要な部分を日本語に訳した。○ デ の発話は また、○ 『 』で示す。学習者のフィードバックシートや自己評価紙の回答、そしてクラスメートか らのコメントをまとめ、主データをサポートするものがあるかどうかを調べた。事前・事後 発表の教師評価の結果からグループワークの取り入れが学習者の運用力の伸びにつながった かどうかを調べた。 5.3 クラス全体の結果の傾向と考察 ア Ⅰは学習者の自信や不安の変化を見る調査であるが、 クラス全体の分析結果(表 4 を参照) ○ E A を見ると、その回答は多様であり、全体に共通する傾向は見られなかった。不安を測る項目 は、9 項目(問 1、2、4、5、7、8、9、11、12)であり、自信に関する項目は、4 項目(問 3、 ア Ⅰの結果では、不安感に関する 9 項目の内 7 項目に不安感の低下が 6、10、13)であった。○ E A A 見られた。その中で、問 4、8 は話す時に間違える心配に関するものであり、問 1、2、7、5、 12 は、自分の日本語能力に関する不安についての項目であった。そして自信の度合いに関す る 4 項目の内 3 項目(問 3、6、13)には上昇が見られた(5.3.1 を参照)。変化が見られな かった項目は問 9、10、11 の 3 項目であった。また、自信の度合いに少し低下が見られた項 目もあり、それらは学習者によって異なるものであった。2 名が低下を示した項目は問 6、8 の日本語の間違いや日本語力に関するものであった。問 6、8、9、10、11 については 5.3.2 で述べる。 ア Ⅱはグループワークに対する学習者の反応を見る調査である(表 5 を参照) ○ 。回答を大き E A A く分けると回答 3、4 は「あてはまる」 、回答 1、2 は「あてはまらない」に分けられる。学習 者は全員すべての項目に対して、3 か 4(あてはまる)という肯定的な回答を選び、グループ ワークを授業に定期的に(regularly)取り入れることに対して肯定的に捉えていることがわ かった。 表 4 学習者の話す不安・自信の度合いの結果(授業前と後) (アンケート調査Ⅰ)※ 1.全くあてはまらない 2.あまりあてはまらない 3.少しあてはまる 4. 非常にあてはまる S1 番号 1 S2 前 後 前 後 前 後 前 後 3 3 4 3 ○ ○ 2 2 4 4 3 3 日本語を話すとき、笑われないかと心配し E 2 1 ○ ○ A E A E 3 3 2 2 私には日本語の会話能力がないのだろう 授業のとき、日本語を使ってディスカッシ 1 1 2 2 1 1 3 2 2 3 ○ ○ □ □ A E E A E A E A 3 1 ○ ○ 授業のとき、日本語をまちがえないかと心 E A E A E E A E A E 4 3 2 3 ○ ○ □ □ E E 2 A A A 4 3 1 2 ○ ○ □ □ 2 E A E A 2 2 4 4 E A E 3 2 ○ ○ A E A 2 E 2 1 3 2 3 □ □ □ □ 3 3 1 1 4 1 1 4 4 3 3 3 3 3 3 4 4 3 1 4 1 1 2 3 2 ○ ○ ○ ○ □ □ ○ ○ 2 2 3 4 ○ ○ 1 2 ○ ○ 3 3 2 3 ○ ○ 2 2 4 4 A E 配します。 9 1 3 2 3 2 ○ ○ ○ ○ A ョンするとき、緊張します。 8 E 1 A かと心配になります。 7 A 他の学生の前で日本語をまちがえたとき、 恥ずかしいと思います。 5 S5 後 授業のときで日本語を話すとき、たいてい ます。 4 S4 前 緊張します。 2 S3 質問項目 A E A E A E A E A E 授業のとき、日本語を使って発表すると 3 3 4 4 4 4 き、緊張します。 11 日本語の授業のとき、もっと自分に自信を 4 もてたらいいのにと思います 12 日本語での会話が、なかなか上手にならな A E くて心配です。 3 私は、他の学生と同じぐらい日本語がうま A A くできます。 E 6 自分の日本語には、いい面がたくさんある 10 A A E A E 3 E A 3 4 3 3 2 □ □ □ □ A と思います。 E E A E A E A E E A E A E A E 3 3 3 3 4 4 3 3 4 4 3 3 E A A A E A E E 私は、自分の日本語を前向きに考えていま 4 4 4 4 4 4 す。 13 みんなの前で自分の経験(例えば来日の経 験、日本語学習の経験)について積極的に 話したいと思います。 4 3 □ □ A E A E 2 3 ○ ○ A E A E ※問 1、2、4、5、7、8、9、11、12 は不安の度合いを示す項目であり、高い数値は不安が高いことを示す。問 3、 6、10、13 は自信の度合いを示す項目であり、高い数値は自信が高いことを示す。○の項目は不安の減少・自信 の上昇を表し、網かけの項目はマイナスイメージからプラスイメージへの変化を表す。□の項目は自信の低下を 表す。 表 5 グループワークに対する学習者の反応(アンケート調査Ⅱ) 1.全くあてはまらない 2.あまりあてはまらない 3.少しあてはまる 4. 非常にあてはまる 質問内容 S1 S2 S3 S4 S5 4 4 3 4 3 4 4 3 3 4 4 4 3 3 4 4 4 4 3 4 4 4 3 3 3 1.授業でペア・グループワークを定期的にすれば、多くの人の前で話す際に緊張し ないだろう。 2.授業でペア・グループワークを定期的にすれば、日本語を話す時間違える心配は しないだろう。 3.授業でペア・グループワークを定期的にすれば、スピーチ大会のようなイベント に参加したくなるだろう。 4.授業でペア・グループワークを定期的にすれば、日本人に会った時話したくなる だろう。 5.授業でペア・グループワークを定期的にすれば、日本語を使って話す動機になる だろう。 意欲に関する問 4「授業でペア・グループワークを定期的にすれば、日本人に会った時話 したくなるだろう」に対して回答 4 を 4 名が選択し、また、自信の度合いを表す項目問 1「多 くの人の前で話す際に緊張しないだろう」、問 2「日本語を話す時間違える心配はしないだ ろう」、問 3「スピーチ大会のようなイベントに参加したくなるだろう」に対しては、回答 4 が 3 名で、3 が 2 名であった。また、問 5「授業でペア・グループワークを定期的にすれば、 日本語を使って話す動機になるだろう」に対しても、回答 4 が 2 名、3 が 3 名で、全員肯定 的な回答であった。このことから話すことに対して前向きになり、意欲の高まりが見られた ア Ⅱ、○ デ Ⅱの自由記述で発言された学習者の感想からもわか と考えられる。これは、下記の ○ る。 ア Ⅱ:S2<このようなグループ活動を取り入れた授業を楽しみにしている>、S3<このようなグループ活動を将 ○ E A 来も楽しみにしている>、S4<この 8 日間の授業はとても豊かな経験だった>、S5<このような授業はとても楽 しかったのでこれからも参加したい> デ Ⅱ:S2『他の人の前で、日本語で話すことができて、自信がついた』 ○ 、S4『前はあまり話せなかったがテレビ E A A 広告などのグループ活動をやっているうちに、自分に変化を感じた』 、S5『活動でやったテレビ広告、また「グ プタさんの話」によって授業がとても面白くなった』 5.3.1 学習者の自信の度合いが上昇した項目について ア Ⅰの結果については、項目ごとの違いが明らかにできなかった部分があるため、○ デ Ⅰ・Ⅱ ○ E A E A A A の発言を引用し、分析を進める。グループワークを取り入れた授業に参加する前に、学習者 は、自分の日本語の会話力、話す時に間違えること、間違えた時の周りの人からの反応など ア Ⅰ(前)と ○ デ Ⅰから見 について、心配や不安な気持ちになり、自信の度合いが低いことが ○ E A E A A A デ Ⅰで学習者は、下記のように言っていた。 られた。○ E A A S1『言いたいことがはっきり説明できない』 、S2『文法の知識はあるが、適切に使えない』 『日本語でたくさん話 したいけれどできない』 『文型をたくさん知っていても、話す時思い出せない』 『読むことができる、書くことが できる、でも会話はちょっと苦手』 『話す時、いいことばが見つからない』 、S3『話す練習が足りない』 、S4『教 科書の文法の勉強より運用できるようになる学習方法が必要』 しかし、グループワークの際、学習者同士が話し合うことによって、安心でき、緊張感が 減り、そして自信を持って日本語で話せるようになったようである。そのことで得られた達 デ Ⅱで見られた。その例と理由を 3 つにまとめる。 成感や満足感が ○ (1)安心感の醸成:授業でグループワークを行うことで、学習者の気持ちが落ち着き、安心 感が得られた要因は、下記のように考えられる。 デ Ⅱでの下記の発言から、学習者はグループワークを通して ①共通の問題点や不安の共有:○ 互いに交流し、 日本語を話すことに関する共通の問題点や不安感を共有したことがわかる。 S1『相手が同じレベルなので、自分が言いたいことを気楽に表すことができた』 、S2『日本語が上手じゃないと か、緊張するのは自分1人だけじゃなく、みんな同じ気持ちだ、それが大事だった』 『みんなレベルが同じなの で、相手と話す時に、後で(日本語のことで)笑われるかもしれないなどの感じがしなかった』 、S3『活動をや っているうちにお互いに慣れて緊張感が減った』 上記から、他の学習者も日本語を話すことに対する問題を抱えていることや、話す時に間 違えたり、緊張したりするのは自分 1 人ではなく、他の学習者も同じだということを実感 し、学習者は安心感を得ることができたと思われる。 ②教師の指示:グループワークを始める前に、 文法や語彙の間違いの心配を気にせずに話す、 単語単位なら母語を使ってもいいという教師からの指示があったため、 学習者が安心でき、 緊張せずに日本語で話せたと考えられる。 S2『間違いを指摘されなかったので話す時緊張しなかった』 『母語使用が許されたことによってお互い楽な気持 ちになれて活動ができた。これからは日本語だけでも話せる』 、S4『文法をあまり気にしないで、まず話したい ことを思いきって話す。文法の間違いを直すのは後でもできる』 、S5『間違いに注意しなくてもよかったので、 もっと自信を持って話せた』 ③学習者同士の学び合い:従来の教師主導的な授業と違って、グループワークをするために デ Ⅰで学 クラスメート同士話し合ったり、意見交換したりする機会があった。授業の前の ○ 習者は、 『日本人がいないから練習する機会がない』 (S2) 、 『ネイティブの教師と会話練習 をすることが大事だ』 (S3)と述べていたが、授業後は、グループワークで自分より話すこ とが得意に見える人と交流することによって、自分の語彙や表現も上達したように感じた という発言も見られた。 S3『話し言葉を習うためにわざわざ日本人の教師のところに行かなくてもいいと思った』 『グループ活動で、語 彙や言葉遣いが得意な人と交流することによって、自分も正しい語彙や文などが勉強になった。それはとても役 に立ったと思う』 ④楽しい雰囲気づくり:グループワークで新しい形態の活動を経験し、またその経験が面白 くてわかりやすかったことで授業が楽しくなり、学習者の日本語で話すことに対する緊張 デ Ⅱ)からわかる。 感が減ったことが次の記述(○ S2『クラスがとても面白くてわかりやすかった。このようなクラスがあれば、将来きっと日本語がもっと流暢に 話せると思う』 、S4『前はあまり話せなかった。でも次第にテレビ広告などのグループ活動をやっているうちに、 自分に変化を感じた』 、S5『活動でやったテレビ広告(*見て内容を話す活動) 、また「グプタさんの話」 (*ス トーリー完成の活動)によって授業がとても面白くなった』 (*は筆者注) 上記の①~④のことで学習者は緊張感が減り、自信を持って日本語で話せるようになったと ア Ⅰ(後)の問 1、2、4、7) 。また、日本語レベルが全員ほぼ同じであり、自 考えられる(○ 分の日本語力は思ったほど悪くないと感じたようである。その結果、気持ちが楽になり、自 ア Ⅰ(後)問 3、6) 尊心の高まりによって自信が高まったと考えられる(○ 。 (2)会話練習機会の増加:グループワークを授業に取り入れることによって、日本語で話す 機会が従来の授業に比べて多かったこと、活動によって学習者が緊張せずに自分の考えを日 デ Ⅱの感想やフィードバックシー 本語で話せたことからの満足感が得られたということが、○ ト(添付資料⑤の問 4、5)の回答からわかった。 (3)学習者同士のお互いへのコメント:下記に見られるような好意的なコメントが励まし になり、 学習者の日本語で話す自信の高まりにも貢献したのではないかと考えられる。 以下、 好意的コメントのうち、類似したコメントを集約して記述する。建設的なコメントについて は 5.3.2 で述べる。 発表を聞いて自分も語彙をたくさん勉強しようと思った/説明がわかりやすかった/内容が面白かった/発音 がはっきりしていた/手振りや顔の表情がよかった 以上の点以外に、次のことが考えられる。グループワークは、学習者の不安を減らし、自 信を高めただけではなく、学習者の学習動機や意欲の高まりにも影響を与えたことは、下記 デ Ⅱ)からもわかる。 の学習者からの授業改善に関する積極的な提案(○ S1『グループワークを定期的にする時、母語使用に対してもっと厳しくした方がいいと思う』 、S2『トピックに 関係する決まった文型の使用もあった方がもっと効果的になる』 『インプットが聴解の形になって、聞き取った ことを説明したり、それについて話したりするようなことも考えられる』 、S4『トピックに関係する表現なども 使うようにさせる』 、S5『ある場面の動画を見せて、それを演技させる』 学習者が、グループワークに興味を持ち、将来このような授業に参加することを楽しみに していることがうかがえ、このことは、学習動機にもつながると考えられる。 上記考察を通じて、Long & Porter (1985) のグループワークを用いる利点(言語の練習機 会を増やす、活動的で情緒的に安心できる雰囲気を作り出す、学習者の動機を高める)、元 田(2005)の学習者の第二言語不安の軽減(仲間づくり、コミュニケーションに焦点を当て た活動)と同様のことが、本研究でも確認することができた。 5.3.2 自信の度合いが変化しなかった項目・低下した項目について ア Ⅰ(前後)の結果には、自信の度合いに変化が見られなかった項目や低下が見られた項目 ○ E A ア Ⅰの問 10 は自分の日本語を前向き もある。変化が見られなかった項目は次の通りである。○ A E A に考えているかどうかという態度に関するものであり、元々高い度合いを示しており、変化 ア Ⅰの問 9、11 は、度合いが低いままにとどまった。し のしようがなかったと考えられる。○ A E A かし、本コースの授業は 6 回だったが、インドの民間学校では、1 コース半年続くことが多 い。発表という活動形態には緊張が伴うが、実際のカリキュラムに組み込んだ場合は、時間 をかけてその緊張を弱めることができ、 問 9 の不安感について改善可能と考えられる。 また、 同様に総合的な日本語力が短期間で伸びるものではないが、 カリキュラムに組み込んだ場合、 時間をかけて仲間意識を高め、安心感を抱いたり、自信を高めたりし、問 11 の不安感を改善 することができると考えられる。それから、表 4 を見ると、S3 は 他の学習者に比べて変化 なしが目立つ。日本の滞在歴が長いこと、自然習得で日本語を身に付けたことなど、他の学 習者と異なる学習背景を持つことが要因の1つだったのではないかと考えられる。 また、結果に低下が見られた項目は問 6、8 であり、その理由として、クラスメートからも らったコメントによって、学習者は自分の日本語を意識するようになり、自分の発表をふり 返るきっかけが得られた可能性がある。建設的なコメントは集約して次に記す。 もう少し話した方がいいと思う/文法の使い方に気を付けてください/話の流れについて気を付けてください /もっと説明した方がいい/簡単なことばを使った方がいい/もう少しがんばったらもっと上手くできる/話 す時文を途中でやめないで、全部言ってください 5.4 学習者個別の分析の結果と考察 S2 も S4 も、日本語を使って会話をすることに対する自信が低かったようである。 S2『この授業の最初の日はとても、とても緊張していて、実際に震えていた』 、S4『前はあまり話せなかった。 授業で会話の機会があっても、緊張のあまり舌がもつれてしまった』 ただし、分析の結果、2 人には自信の度合いに変化が見られたという共通の部分があるため S2、S4 を個別に分析することにした。 (1)S2 の分析 この授業の前に、S2 が自分の会話力に不満を持っていたことは S2 の感想からわかる(『読 むことができる、書くことができる、でも会話はちょっと苦手』『このクラスの前私は、日 本語で話せるとは思いもしなかった』『文型は勉強したが、話そうとする時出てこないこと ア Ⅰ(前)と(後)を比べると、S2 の自信の高まりが見られた項目(問 が大きな問題だ』)。○ 1:4→3、問 5:4→3、問 7:3→2、問 12:4→1)は全て話すことに関連し、特に日本語で会 話をすることに関しては、著しい上昇(問 12:4→1)が見られた。S2 の感想を見ると、①ト ピックで使われる語彙の準備ができたこと(『トピックが予めわかったことはとてもよかっ た。そのおかげで使いたい単語が考えられて、話す時迷わなくて、話の流れがよくなった』 )、 ②話の途中で間違いを指摘されなかったこと(『話している途中で間違いを指摘されなかっ たことはよかったと思う。そうされた場合、話す時緊張しただろう』)、③母語使用がサポ ートになったこと(『この授業は、母語使用が許されたことによって、お互い楽な気持ちに なれて活動ができた。これからは日本語だけでも話せる』 )、④クラスメートと問題点や不安 が共通していたこと(『みんな問題や気持ちが同じなので、お互いの気持ちが分かりやすく なった』)などがあげられ、安心でき、気楽に話せたことで、話すことに自信が高まったと 考えられる(『この授業が終わった後、今、少し日本語ができるようになったと思う』『他 の人の前で日本語で話すことができて、自信がついた』)。以上の点は、今回の授業設計・ 実施で留意した点(4.2.3 に詳述)と呼応しており、これらが S2 の自信を高める上で重要な 要因となったと考えられる。 (2)S4 の分析 ア Ⅰの問 2:3→2、問 4:4→3、問 12:3→2、問 3:1→2、問 6:2→3 などの結果 S4 は、○ E A から、自信に関して全体的に肯定的な変化が見られた。S4 は教科書で学んだ文法上の知識が 運用できないことに不満を持っていた(『教科書で学んだことを会話で使おうとしたら、で きなくなる』『習ったことをもっと運用する必要がある』)。しかし、グループワークを取 り入れた授業に参加した後、文法の正確さを気にせずに話せたこと( 『文法のことをあまり気 にしないで、 まず、 話したいことを思い切って話す。 文法の間違いを直すのは後でもできる』 ) 、 昔覚えたことばを思い出して使えたこと( 『5 年前に覚えたことばを、ところどころ使うこと ができた。たくさんは使えなかったかもしれないが、少なくとも学んだことが思い出せた』 ) で達成感を感じ、教科書で学んだ文法の知識を運用できたことに対する満足感が感想ではっ きり表れた( 『前は日本語で全く考えられなかった。でもこの授業でわずか 4 行だったが、日 本語で話すことができた』 ) 。 このことが S4 の自信の度合いの上昇につながったと考えられる。 S2 と S4 の分析の結果、S2 はクラスメートと日本語で会話ができたこと、人前で日本語が すらすら話せたことで自分の自信の高まりを表していることに対し、S4 は自分をふり返って みて、今回の授業で、昔勉強した言葉や表現が使いこなせるようになってきたことを感じ、 そこから生まれた満足感や達成感により自分の自信の高まりを表しているようである。この ように 2 人の表し方は違うが、2 人とも日本語で話す自信が増したと考えられる。以上のこ とから、それぞれの学習者が違う観点で日本語学習を捉えている可能性があり、グループワ ークを取り入れた授業を実施する上で、教師は個々の学びのあり方の違いにも配慮すること が大切だと考えられる。 6. グループワークの効果と留意点 6.1 グループワークの効果について 本研究でのグループワークの目的は、学習者同士が交流できる機会を作り、安心した雰囲 気を作ることや話す練習の機会を増やすことによって、学習者の自信の度合いを高めること であった。グループワークを取り入れた授業に参加した後、学習者の日本語で話すことに対 ア Ⅰ・Ⅱの結果から明らかになった。また、○ ア Ⅱの する不安が減り、自信が高まったことが ○ デ Ⅱでの学習者の感想から、グループワークに対する学習者の反応が肯定的であ 自由記述や ○ り、グループワークに積極的に参加していたこともわかった。では、なぜ学習者はグループ ワークを通して、話す不安が軽減し、また話す自信を高めただろうか。以下、それぞれの理 由について述べる。 (1)グループワークが学習者の話す不安を軽減できた理由 学習者は、従来の教師主導的な授業でお互いやり取りする機会はほとんどなく、他者の日 本語で話す力に関する問題点や不安を知ることができず、自分だけが問題を抱えており、他 の学習者に比べ会話力が弱いのではないかと思っていたかもしれない。また、他の人の前で 話す機会がなかったため、間違ったら笑われるという心配や恥ずかしさを感じていた可能性 がある(5.3.1(1)①を参照) 。しかし、グループワークの時、学習者間のやり取りの中、共 通の問題点や不安の共有によって仲間意識が作られたこと、教師の指示によって間違える心 配を軽減させられたこと、グループワークの面白い活動を行っている内に作られた楽しい雰 囲気の中で学習者はより気楽になれたことなどが、学習者を安心させ、不安を軽減させたと 考えられる。 (2)グループワークが学習者の話す自信を高められた理由 デ Ⅰから①語彙が足りないこと、②文法や語彙を適切(正確)に使えないこと 事前調査や ○ などに不安を感じており、学習者が自らの考えを表現する際に、以前学んだ文法や語彙など の知識から、必要なことばを探し出すような練習の機会がなかったため、話す自信が持てず にいたのではないかと考えられる。グループワークで、グループごとにゴール達成に向けて 行ったやり取りは、 学習者が持っている知識を整理し、 使ってみるよい機会となっただろう。 さらに、文法の間違いの心配がなくなり、 「自分が適切な言葉遣いができないから話せない、 相手に理解してもらえない」という足枷になるような心理的な制限が少なくなった。また、 クラス全体の前でいきなり話すのではなく、限られたグループメンバーの前で発表し、問題 点を教えてもらった後、学習者は間違いを直すことができ、内容により自信を持って、クラ ス全員の前で話せるようになったことも、自信の高まりに貢献したと思われる。 以上の理由で、グループワークには学習者の話すことに関する不安を軽減させ、自信を高 める効果があったと言えるだろう。 6.2 グループワークを行う際の留意点について 上記のように、今回行ったグループワークには効果が認められるが、グループワークを効 果的に行うために、教師が注意すべき 4 つの点が確認できた。 (1)指示の仕方:学習者の不安感を減らし、気楽に話させるために、単語単位で母語使用を認 めた。また、学習者にまず話してもらう、そして文法の間違いなどの不安を減らす目的で、 文法の正確さに気を取られずに話すよう指示した。しかし、教師が注意しないと、母語使 用に頼りすぎたり、文法使用上の間違いが多くなったりする恐れがある。従って、学習者 のレベルや自信の度合いを測り、どの程度まで母語使用が適切か、無視できない間違いの 修正はどうするかなど、教師が適切に判断する必要がある。 (2)グループの組み方:学習者は他のクラスメートの日本語力を気にする傾向がある(5.3.1 (1)①)ため、グループを組む時、学習者のレベルにあまり差がないように注意する必要 がある。 (3)インプット素材・アウトプット方法の工夫:グループ活動を定期的に行う場合、同じ形式 の活動が重なると、面白くなくなり、効果が薄くなる可能性がある。学習者からの提案 (5.3.1)にもあるようにインプット素材として視聴覚教材を活用すること、アウトプット の方法として説明したり、演技したりするなど、様々な方法を組み合わせることが必要だ ろう。 (4)教師からのフィードバック:学習者の日本語力の向上のために教師からのフィードバッ クは欠かせないものである。ただし、学習者は話している途中で間違いを指摘されると緊 張してしまうことから、グループワークの活動における教師からのフィードバックについ て、タイミングや内容を検討する必要がある。 6.3 授業にグループワークを取り入れることの実現可能性について 学習者から『将来このような授業に必ず参加したい』(S2)などの声が聞かれ、グループワ ークを取り入れた授業への期待を垣間見ることができた一方で、教師を対象としたインタビ ュー調査で、授業にグループワークを取り入れることに対する共通の問題点として「時間」 があげられた。 “このような活動をぜひやりたいと思うが、限られた時間でこれができるかどうかは問題だ” “時間がないから、 どれぐらいできるか疑問だ” “時間だけが問題点だ。シラバスを終えなければならないから、会話練習の時間が 作りにくい” “学習者は最低限の時間で最大限の学びがしたい” 民間学校の日本語コースは、JLPT 受験のためのカリキュラムが組まれていることが多く、 限られた時間数で行われることが多いため、授業にグループワークを取り入れることが難し いという意見が出たが、筆者の教師経験から推察すると、それはグループワークのやり方、 効果がわからないため、 時間を理由に拒絶感を表したのではないかと思われる。 というのも、 授業を見学していた民間学校の教師がその後、自分の授業でグループワークを取り入れ始め たということを耳にしたためである。実際にグループワークを目にしたり、やり方を学んだ りすれば、インドの教師でも取り入れてみたいと思うのかもしれない。また、本研究で 2 種 類のグループワークを取り入れたが、現在の民間学校でのシラバスに合わせつつ、必要に応 じて活動の種類や数、内容を変えたり、グループワーク活動を入れた授業の頻度をカリキュ ラムに合わせたりするなど、様々な工夫が考えられる。従って、筆者は、インドの民間学校 においてもグループワークが実施可能であると考える。 7. まとめと今後の課題 話す自信の上昇についての研究課題 1 においては、グループワークによって安心できる雰 囲気や日本語での会話練習の機会が作られたことで、学習者は不安感が減り、自信を持って 話せたことがわかった。研究課題 2 においては、グループワークをデザインする際に注意す べき点として、指示の仕方、グループの組み方などが確認できた。本研究を通し、グループ ワークはインドの民間学校の成人学習者に肯定的に捉えられ、教師の理解さえ得られれば民 間学校でも実施可能であることがわかった。 今回の授業では、学習者の自信を高めることを重視してコースをデザインした。民間学校 の日本語教育では、グループワークによって、学習者が話す自信がついてきた段階で、学習 者の全体的な運用力の伸びにつながる活動についても考える必要がある。その際に教師は、 グループワークが次第に、学習者の話の構成、内容、説明のし方、接続詞の使用、話のまと め方、文法的な正確さ、発音、流暢さなどの向上にもつながるように注目する必要がある。 また、活動中のクラスメートからのフィードバックや活動後の教師からのフィードバックに より、学習者の日本語面についての対応にも時間をかける必要がある。 今回の実践では、5.4 の最後に述べたように個々の学びのあり方への配慮が足りていなか った。また、グループワークの際、グループ内でどのようなやり取りがなされていたか、教 師による把握は十分だったとは言えない。自国で実践する際には、Long & Porter のグルー プワークの利点「学生の対話の質を改善する」 「個別指導を促進する」にも着目し、グループ ワークのあり方を考えてみたいと思う。 謝辞 本研究に協力してくださった民間学校 Vzone Academy、プネ・ムンバイの先生方に感謝申 し上げます。 注 1 調査は、選択式の質問紙調査であり、民間学校の成人学習者を対象に実施した。 2 元田(2005)の「日本語不安(教室内・教室外)尺度」 「日本語での自尊感情(教室内) 尺度」を参考にした。 3 事前・事後発表のトピックは、事前発表が「日本語の勉強を始めたきっかけ」、事後発表 が「日本語と将来の夢」であり、話の「構成」 「内容」 「進め方」 「文法的な正確さ」 「発音」 「流暢さ」という観点で、学習者は自己評価した。さらに、インド人日本語教師 3 人(プネ の大学の日本語教師であり、教授歴 10 年以上)に点数をつけてもらった。項目によって異 なるものの、総合的な平均点数としては伸びが見られなかった。 参考文献 (1)国際交流基金(2012) 『JF 日本語教育スタンダード 2010 利用者ガイドブック[第二版]』 (2)国際交流基金(2013) 『海外の日本語教育の現状 2012 年度日本語教育機関調査より』く ろしお出版、58. (3)国際交流基金「みんなの Can-do サイト」<jfstandard.jp/cando/>2014 年 3 月参照 (4)小柳かおる(2004) 『日本語教師のための新しい言語習得概論』スリーエーネットワー ク、102. (5)シルグルカル・マナシ・マンダル(2003) 「機能シラバスに基づいた中級会話授業の試 み」 『日本言語文化研究会論集』創刊号、国際交流基金日本語国際センター・国立国語研 究所・政策研究大学院大学、226. (6)元田静(2005) 『第二言語不安の理論と実態』溪水社、8、111、168-174、215-218、221-222、 241-242. (7)Brown, H. Douglas (2000) Teaching by Principles: An Interactive Approach to Language Pedagogy. New York: Addison Wesley Longman, Inc. 177. (8)Long, Michael H. & Porter, Patricia A. (1985) Group work, interlanguage talk, and second language acquisition. TESOL Quarterly,Vol.19 (2), 207-228. 参考教材 (1)鴻野豊子 (2013)『会話授業の作り方』アルク、108-109. (2)嶋田和子(監修)できる日本語教材開発プロジェクト(著) (2013) 『できる 日本語 中級』アルク、139. (3)西口光一(監修)澤田幸子・武田みゆき・福家枝里・三輪香織(著) (2006) 『日本語 おしゃべりのたね』スリーエーネットワーク、32-35. (4)細川英雄・蒲谷宏編 (2008)『日本語教師のための「活動型」授業の手引き』スリーエ ーネットワーク、74-77. 添付資料① トピック 2 のワークシート① 西口光一(監修)澤田幸子他(2006)『日本語おしゃべりのたね』スリーエーネットワー ク ユニット 5、P32 より筆者が改作 ワークシート①-A ❉ どんな思い出がありますか。 例)タクシーにカメラを忘れて、パニックになった。 (A さん) おもしろかった よかった うれしかった 楽しかった おいしかった ❉ (B さん) 困った 大変だった 怖かった まず、忘れられない旅行について教えてください。 ・いつ行きましたか。 ・どこへ行きましたか。 ・だれと行きましたか。 ・どんな思い出がありますか。 びっくりした つかれた 失敗した ワークシート①-B ❉次に、忘れられない旅行で、どんな経験をしたか、詳しく思い出してください。そし て、自分のストーリーのキーワード/キーセンテンスを書いてください。 私の忘れられない旅行 私が経験したエピソード: ① どんなことがありましたか。 ② それから、あなたはどうしましたか。 ③ 最後はどうなりましたか。 添付資料② トピック 2 のワークシート② 西口光一(監修)澤田幸子他(2006)『日本語おしゃべりのたね』スリーエーネットワー ク ユニット 5、P32 より筆者が改作 ❉絵を見て書いてください。 1.あなたは今どこにいますか。 2.あなたは今何をしていますか。 3.あなたと一緒に他にだれかがいますか。 4.それはどんな人ですか。あなたとどんな関係でしょうか。 5.その人は何をしていますか。 6.あなたは今どんな気持ちですか。 7.あなたはこれから何をしますか。 添付資料③ トピック 2 のワークシート③ 嶋田和子(監修)できる日本語教材開発プロジェクト(2013) 『できる 日本語中級』第 10 課(アルク) 、P139 より筆者が改作 ワークシート③(A) ❉ これは、ある人が書いた、自分の印象に残った旅行の話です。それを読んで、下 にある質問に答えてください。 私が印象に残っているのは四国の______への旅行です。旅行の数日前に 台風がきていたので、天気が心配でしたが、当日は幸運なことに、雲一つない青空で した。松山は夏目漱石が書いた『坊っちゃん』という小説の舞台になった所です。私 は、_________________、いつか松山にある温泉へ行ってみた いと思っていました。松山駅に着いて、早速温泉に行くために路面電車に乗りました。 温泉は有名な観光地だけあって、たくさんの観光客でにぎわっていました。建物もとて も立派で古い雰囲気に_______しました。わくわくしながら中に入ると、天井が 思ったより高くてびっくりしました。ここが『坊っちゃん』に出てくるお風呂かと思って、う れしくなりました。温泉に行ったついでに、__________に教えてもらった料 理屋さんにも行きました。おいしい物もたくさん食べられて、大満足な旅行でした。 1. この人が印象に残っているのは、どこの旅行ですか。 2. この人は、どうしていつか松山にある温泉へ行ってみたいと思っていましたか。 3. この人は建物を見て、どんな気持ちになりましたか。 4. 料理屋さんのことはだれに教えてもらいましたか。 5. この話に出てくる気持ちを表すことばを書いてください。 ワークシート③(B) ❉ これは、ある人が書いた、自分の印象に残った旅行の話です。それを読んで、下 にある質問に答えてください。 私が印象に残っているのは四国の松山への旅行です。旅行の数日前に____ _______ので、天気が心配でしたが、当日は幸運なことに、雲一つない青 空でした。松山は夏目漱石が書いた『坊っちゃん』という小説の舞台になった所です。 私は、『坊っちゃん』を読んでから、いつか松山にある温泉へ行ってみたいと思ってい ました。松山駅に着いて、早速温泉に行くために路面電車に乗りました。温泉は__ ______________________、たくさんの観光客でにぎわって いました。建物もとても立派で古い雰囲気に感動しました。わくわくしながら中に入る と、_______________てびっくりしました。ここが『坊っちゃん』に出て くるお風呂かと思って、うれしくなりました。温泉に行ったついでに、地元の人に教えて もらった料理屋さんにも行きました。おいしい物もたくさん食べられて、大満足な旅行 でした。 1. この人はどうして天気が心配でしたか。 2. 温泉は、どうしてたくさんの観光客でにぎわっていましたか。 3. この人は建物の中に入ってどうしてびっくりしましたか。 4. この話に出てくる気持ちを表すことばをさがして書いてください。 添付資料④ トピック 2 のワークシート④ ワークシート④-1 ペアで話しましょう 聞き手(listener)の名前:__________ 話し手(speaker)の名前:__________ ❉ 話を聞いてあなたはどう思いましたか。 内容は面白かったですか(経験/エピソード/思い出が入っていたか、経験/エピソー ドがわかりやすく説明されたか、自分の気持ち、感想を話したか) 意味がわからないことば/表現がありましたか。それは何ですか。 話がつながっていて(well connected)、わかりやすかったですか( 「はじめ→中心部 →まとめ」があったか、話の要点、流れがわかりやすかったか) コメント(ことば使い、ジェスチャー、発音、表情、自信などについてよかったと 思うこと、話し手にアドバイスしたいことを書いてください) ワークシート④-2 ペアで話しましょう 話し手(speaker)の名前:__________ ❉ 話し手が直したいと思ったこと: 言いたかったが、言えなかった語いや表現があったか 説明のしかたについて:わかりやすく、はっきり説明できたか 話の内容について:自分の気持ち、感想を話したか 添付資料⑤ 各トピックの授業へのフィードバックシート 1.今日のトピックはどうでしたか。 a 難しかったです b 少し難しかったです c ちょうどよかったです d やさしかったです 2. 今日のトピックについて上手く話せましたか。 a よく話せたと思います b まあまあ話せたと思います c あまりよく話せなかったと思います d 全然よく話せなかったと思います 3. 今日のトピックについて話した時どんな気持ちでしたか。 a とても緊張しました b 少し緊張しました c あまり緊張しませんでした d 全然緊張しませんでした 4. 今までの授業とくらべて、この授業で話す機会が多かったと思いますか。 a 話す機会が多かった b 話す機会が少しありました c 話す機会があまりありませんでした d 話す機会が全然ありませんでした 5. ペア・グループワークの活動のおかげで自分の考えを日本語で話せるようになったと 思いますか。 a よく話せるようになったと思います b だいたい話せるようになったと思います c あまり話せるようにならなかったと思います d 全然話せるようにならなかったと思います
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