小規模地熱バイナリー発電設備実証試験の実施について(PDF:138.4KB)

平 成 23 年 8 月 30 日
川崎重工業株式会社
九州電力株式会社
小規模地熱バイナリー発電設備実証試験の実施について
九州電力株式会社と川崎重工業株式会社は、九州電力株式会社山川発電所(定格出
力:3万kW,鹿児島県指宿市)構内に小規模バイナリー発電設備を設置し、実証試
験を開始する予定です。
バイナリー発電設備とは、沸点の低い媒体を熱交換器で加熱・蒸発させ、その媒体
蒸気により発電を行うもので、従来の地熱発電方式では利用できなかった比較的温度
の低い蒸気・熱水での発電が可能になります。
今回、設置する小規模バイナリー発電設備(定格出力:250kW)は、川崎重工
業株式会社が工場の排熱等の有効活用を目的に開発したグリーンバイナリータービン
を採用しており、地熱への適用が可能になれば、地熱資源が賦存する島への適用が期
待できること、温泉水等の熱の有効活用が図れることから実証試験を行うものです。
●設備概要
定 格 出 力
250kW
媒 体
代替フロン
熱 源
地熱熱水
●スケジュール
年度
項目
2011
2012
設備設計・製作
据付・試運転
実証試験
<添付資料>
「地熱バイナリー発電方式」の概要
2013
備 考
[検証項目]
・熱回収技術
・スケール対策
・腐食対策
・設備性能
・経済性
添付資料
「地熱バイナリー発電方式」の概要
バイナリー発電とは、加熱源により沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気で
タービンを回す方式である。加熱源系統と媒体系統の二つの熱サイクルを利用して発
電することから、バイナリーサイクル(Binary※ -Cycle)発電と呼ばれており、地熱
発電などで利用されている。
地熱バイナリー発電では、低沸点媒体を利用することにより、媒体の加熱源に従来
方式では利用できない低温の蒸気・熱水を利用することができる。
発電システムとしては、加熱源としての蒸気・熱水サイクルと代替フロンを用いた
媒体サイクルで構成されており、これに対して、従来方式は蒸気・熱水サイクルのみ
で構成されている。
今回の山川発電所の実証試験においては、地下に還元する熱水を気水分離し、加熱
源として使用する。
※Binaryとは「2つの」という意味であり、Binary-Cycleは熱サイクルを二つ利用しているということ。
バイナリー系統フロー図
従来方式
蒸気
従来発電
気
水
分
離
器
蒸気・熱水サイクル
蒸気
気
水
分
離
器
媒体サイクル
媒体蒸気
媒体:代替フロン(HFE)
沸点:34℃
熱
水
熱水タンク
蒸
気
+
熱
水
蒸気・熱水サイクル
熱
水
気
水
分
離
器
熱水タンク
蒸気タービン
蒸
発
器
タービン発電機
(一体型)
熱水
予
熱
器
蒸
気
+
熱
水
発電機
冷却ファン
空冷式復水器
冷
却
用
空
気
冷却水
水冷式復水器
冷却塔
蒸気井
還元井
加熱源系統
熱媒循環ポンプ
媒体系統
蒸気井
還元井