開催報告書

開催報告書
目 次
大会シンボルデザイン
開催概要…………………………………………………………………………………… 1
開催日程…………………………………………………………………………………… 2
第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会
開会宣言………………………………………………………………………………… 3
協議会会長あいさつ…………………………………………………………………… 3
来賓祝辞………………………………………………………………………………… 5
全国大会議事内容……………………………………………………………………… 10
美郷町ラベンダー園
名水シンポジウム
M、立ちのぼる水
「水:Mizu」のM、
「緑:Midori」のM、
そして「未来:Mirai」のM。
Mの文字をベースに、滴る水滴、
水環境学習モデル校学習発表 美郷町立千屋小学校………………………………………………………………… 12
美郷町立六郷中学校………………………………………………………………… 15
基調講演………………………………………………………………………………… 19
水を通して町とヒトが交わるイメージを構成。
パネルディスカッション……………………………………………………………… 23
第25回の節目を迎え、名水をかかえる自治体が一堂に会し、
大会宣言/次期開催地あいさつ……………………………………………………… 35
こころ新たに、かけがえのない水環境を次の世代に伝え紡いでいく決意を
第 25 回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会
M の一文字でイメージしている。
開催写真集
国際森林年記念
名水サミット in 美郷
幹事会・全国大会……………………………………………………………………… 37
展示・物販……………………………………………………………………………… 38
開催報告書
交流会…………………………………………………………………………………… 39
平成 23 年 9 月
オプショナルツアー……………………………………………………………………
40
全国水環境保全市町村連絡協議会
…………………………………………………………… 42
参加者アンケート集計結果開催事務局:秋田県美郷町
〒019-1541 秋田県仙北郡美郷町土崎字上野乙 170 番地 10
美郷町役場 住民生活課内
TEL0187-84-4903 FAX0187-85-2107
この開催報告書は、平成 23 年 7 月 1 日/ 2 日に開催された「名水サミット in 美郷」に
おける講演内容等をまとめたものです。報告書記載内容の無断での転載を禁じます。
国際森林年記念「名水サミット in 美郷」開催概要
開 催 日 程
1.日時
■ 1日目 7月1日(金) 会場:美郷町公民館
(1)平成23年7月1日(金)13:00 ~ 17:00
【第 25 回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会・名水シンポジウム】
第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会・名水シンポジウム
●幹事会(2Fメディアルーム)11:00 ~ 11:40
(2)平成23年7月2日(土) 8:30 ~ 13:00
●全国大会(ホール)13:00 ~ 13:40
オプショナルツアー(現地見学会)
開会宣言 佐賀県小城市長 江里口 秀次
協議会会長あいさつ 秋田県美郷町長 松田 知己
2.場所
来賓祝辞 環境省水環境担当審議官 関 荘一郎
秋田県美郷町(美郷町公民館)
秋田県仙北地域振興局長 伊藤 淳
(社)国土緑化推進機構 専務理事 梶谷 辰哉
(社)日本の水をきれいにする会 専務理事 橋本 啓芳
3.実施概要
環境省が、平成60年3月に選定した「名水百選」の所在市町村が連携し、水環境の保全の推進と水
質保全意識の高揚を図ることを目的として「全国水環境保全市町村連絡協議会」が設立され、毎年
全国6ブロックの持ち回りで全国大会及び「名水シンポジウム」が開催されている。
第25回となる大会は、国連が定めた国際森林年にあたることから、全国大会及び名水シンポジウ
ムを「国際森林年記念 名水サミットin美郷」と題し、秋田県美郷町で開催した。
水環境学習モデル校学習発表
「つながる つなげる」 美郷町立千屋小学校6年
「私たちのくらしと清水 ~創造と共生~」 美郷町立六郷中学校2年
講師:青森大学教授・エッセイスト・ジャーナリスト 見城 美枝子
(1)主催 全国水環境保全市町村連絡協議会・美郷町
パネルディスカッション
(2)共催 環境省、秋田県、(社)国土緑化推進機構
コーディネーター 環境省水担当審議官 関 荘一郎
パネリスト 佐賀県小城市長 江里口 秀次
5.参加者数
群馬県片品村長 千明 金造
(1)名水シンポジウム 約400名
一般参加者
●名水シンポジウム(ホール)13:50 ~ 17:00
基調講演 「21世紀は水と森の時代」
4.開催者
内訳 「名水百選」所在自治体及び湧水保全団体等
議事
30団体・約80名
約320名
(2)交流会
75名
(3)オプショナルツアー
43名
秋田県美郷町長 松田 知己
大会宣言 群馬県片品村長 千明 金造
●交流会(アクアホール)18:00 ~ 20:00
■2日目 7月2日(土) 8:30 ~ 12:45
【オプショナルツアー(現地見学会)】
名水市場湧太郎、水文館見学、高橋酒造工場、笑顔清水、わくわく広場、御伊勢堂川、諏訪清水、
藤清水、キャペコ清水、御台所清水、久米清水、ハタチヤ清水、手づくり工房湧子ちゃん、ニテ
コ清水、ニテコサイダー工場、後三年合戦古戦場、道の駅「雁の里せんなん」、美郷町ラベンダー
園散策・摘み取り体験、「べごっこまつり」美郷産黒毛和牛試食
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としています。
開会宣言
佐賀県小城市長 江里口 秀 次 さて、話は変わりますが最近価値観ということを考えることがあります。価値観は人の成長によっ
て時々変化してまいりますが、自分の経験から振り返って自分の価値観が変化したなと思ったときの
皆さんこんにちは。ただ今紹介いただきました佐賀県小城市
状況は、必ずや何か大きな事柄に遭遇しています。その大きな事柄に遭遇することで、自分が今まで
の市長の江里口でございます。
どうだったのか、これからどうするべきか、といったようなことを考えます。その考えが結果的に自
昨年第24回のこの全国名水サミットを小城市で開催させてい
分の価値観を変えてきたというふうに思うのですが、今日本全体、全国民がその価値観を考え直すそ
ただきました。その時には、松田町長を始めとして、多くの皆
の場に立たされているように私は思います。
さんに出席いただきました。本当に心から感謝申しあげます。
言うまでもなく、先の東日本大震災、これを経て、今までは自分たちが当たり前と思っていたこと
本当にありがとうございました。
が、実は当たり前ではなかった、自分が努力してその環境があると思っていたことが、実は周りの方々
水というのは、「命を育む水」ということで、本当に我々は
が、あるいは周りのことがあって初めて存在し得た環境であったといったことに遭遇しています。
自然の恵みを受けているわけでございます。しかしながら、あ
その際、今までの価値観は何だったのか、そしてこれからの価値観はどういう価値観を持つべきな
る時には豪雨災害や、そしてまた今回の東日本大震災のように、地震から津波ということで大きな災
のかということを考える、そういう状況にあるわけですが、改めて価値観を突き詰めて考えていくと、
害もまた起こっているわけであります。そういった中で、水環境をしっかりと保全しながらともに生
そこに存在するのは、調和であり、連携であり、連鎖である、という思いに至ります。
きるということを心の中に刻み込まなければならないと思っております。今回の全国大会の中で、こ
我々は自然との調和なくして生きてはいけません。そして我々は一人の力でも生きてはいけません。
うした気持ちを共有しながら、そしてまた、東日本の復興に向けて、日本が一丸となってがんばって
色んな方々の力添えをもらい連携を保ち、その連携が連鎖し、そしてまた、自分に戻ってくる。そん
いこうという強い気持ちを持って、この大会を開催していければと思っています。
な環境の中で生活しているわけですが、その環境も努力なしには維持できない、という思いに至ります。
それでは、ただ今より、第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会「名水サミットin美郷」の
水も、我々は当たり前のように飲んでいますが、そうした努力の結果として我々は水の恩恵に浴し
開会を宣言いたします。よろしくお願いいたします。 ているのだ、そしてその恩恵を次世代にバトンタッチするためには今を生きる我々が一生懸命努力を
しなければならないのだという思いに至ります。
今日の「名水サミットin 美郷」では水に関わる様々な思いとともに先人の努力した結果としての水
の恩恵、今を生きる我々の責務として次の世代にバトンタッチするための努力。こういったことをお
協議会会長あいさつ
秋田県美郷町長 松 田 知 己 互いに考え、その実行を誓い合うための名水サミットにしたいというふうに考えております。
全国大会から始まり、シンポジウムと流れていくわけですが、これからの時間、皆様方には、それ
まずもって皆様にはようこそ「名水サミットin 美郷」に足
ぞれの置かれている環境の中で水を考え、そして先人の努力を思い、これからの自分の努力に対し誓
を運んでいただきました。主催者を代表し心から感謝を申しあ
いをたてる、そんな意義ある名水サミットになりますことを心よりお願い申しあげ、開会にあたって
げます。とりわけ、県外から足を運んでくださった皆さんには、
のあいさつといたします。本日は誠にありがとうございました。
町を代表し心から歓迎の意を表したいと思います。そして本日
の開催にあたり環境省、秋田県、そして社団法人日本の水をき
れいにする会の皆様方から大変なお力添えを頂いております。
この場をお借りして感謝申しあげます。そして今年は国際森林
年です。その関係で社団法人国土緑化推進機構より多大なお力
添えを頂戴しています。この場をお借りして感謝を申しあげます。ありがとうございます。
さて、今日はわりと天気に恵まれました。昨日の雨のような状況になればどうなるんだろうという
ふうに心配しておりましたが、仮に雨が降ったとしても、名水と雨は切っても切れないというふうに
あいさつするつもりでしたが、今日は足下が軽い中で足を運んでもらって、実は主催者として一番ほっ
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要だと考えているところであります。地域の水環境保全の推進、水質保全意識のさらなる高揚を図る
来賓祝辞 ①
環境省 水環境担当審議官 関 荘一郎 ための取り組みをよりいっそう充実させていただくことをお願いするとともに、今後の水環境保全に
つきまして、引き続きご支援くださいますようお願いいたします。
ご紹介賜りました環境省の水環境担当審議官をしております
最後になりましたが、今大会の開会にあたりご尽力された美郷町を始めとする関係者の皆様方に深
関と申します。「第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国
く感謝申しあげますとともに、お集まりの皆様方のご健勝と協議会の益々のご発展を心より祈念いた
大会」の開催にあたりまして一言ご挨拶申しあげます。
しまして、私の挨拶とさせていただきます。本日は大変おめでとうございました。
初めに、去る3月11日、東北地方を襲いました東日本大震災
の被害を受けられました地域と被災者の皆様に心よりお見舞い
申しあげます。環境省としましては、環境大臣のイニシアチブ
のもと、東北地方環境事務所に現地本部を早速設置し、被災者
への支援体制を敷くとともに、災害瓦礫の処理や水質対策など、
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来賓祝辞 ②
秋田県仙北地域振興局長 伊 藤 淳 復興対策を現在進めているところでございます。一日も早い復興に向けて、できる限りの対策を実施
皆様、ようこそ秋田においでいただきました。秋田県仙北地
する所存でございますので、皆様方のご協力をよろしくお願い申しあげます。
域振興局長でございます。
さて、「全国水環境保全市町村連絡協議会」は先ほどご紹介にございましたように、昭和60年に当時
本来でございますと佐竹知事から歓迎のごあいさつを申しあ
の環境庁が昭和の名水100選を選定したのを契機として、関係市町村が連携して設立し、以来20年以上
げるところでございますが、県議会用務がございまして、どう
にわたりまして水環境の保全と水質保全意識の高揚に努めてこられました。また平成20年には昭和の
しても出席することができませんでしたので、私の方からごあ
名水100選に加えまして新たに平成の名水100選を選定させていただきました。平成の名水100選も昭和
いさつを申しあげたいと存じます。
の名水100選も身近で清澄な水であり、それぞれの地域にさまざまな形態で存在し、地域住民の皆様の
今回の名水サミットが、多数の方々のご尽力とご支援によ
生活に溶け込みながら、皆様自身の手による熱心な水環境保全の取り組みにより、永年にわたり水環
り、このように盛会裏に開催されましたことをお慶び申しあげ
境が守られてきたところでございます。これまでの会員の皆様や関係者の方々のご尽力とご労苦に改
ますとともに、美郷町に全国の名水100選に携わる皆様をお迎えすることができ、心から歓迎申しあげ
めて敬意を表するものでございます。ここ美郷町も、名水100選に選定された六郷湧水群をはじめ、町
ます。また、この度の東日本大震災におきましては、東北地方太平洋沿岸が甚大なる被害を受けまし
内に126箇所もの湧水が確認されており、その清水が古くから地域の人々の生活と密接に関わりを持ち
たが、全国の皆様から東北の被災地に多くのご支援をいただいておりまして、同じ東北人といたしま
ながら、保全され、現在も生活水の一部として使用されるなど、名水と地域の結びつきについて良好
して、心から感謝を申しあげますとともに、被災地の隣県として、これまでもできる限りの支援を行っ
な水環境を形成しているものと承知しているものでございます。
て参りましたが、引き続き支援を行って参りたいと存じます。
また、平成20年には美郷町水環境保全条例が制定され、毎年水環境シンポジウムが開催されるなど、
さて、ここ秋田県には昭和の名水100選としまして、六郷湧水群や、ここ美郷町から南にあたります
町政におきましても水環境保全に力を注いでおられ、まさに全国大会を開催するにふさわしい地であ
湯沢市の力水が選定されております。さらに平成の名水100選としまして、山形県境の鳥海山の麓に
ると存じております。
あります獅子ヶ鼻湿原出壺と元滝伏流水が選定されております。また、本県は北から米代川、雄物川、
我が国全体の水環境につきましては、近年の環境保全への意識の高まりを背景に、行政や地域の方々
子吉川の三大河川、さらには十和田湖、八郎湖、田沢湖の三大湖沼など多くの水資源があり、これら
によるさまざまな取り組みの推進が効果を上げ、水環境の改善が図られるとともに、水質保全だけで
の恵みを享受し、米どころ、酒どころの秋田と名を馳せております。特にこの美郷町周辺は仙北平野
なく、水辺の自然との触れ合い教育や、環境教育の実施など広がりを持った活動が盛んに実施されて
と呼ばれる美田が広がる、日本の一大穀倉地帯となっております。
きたところであります。こうした中、東日本大震災による甚大な被害を受け、改めて水・大気・土壌
先日この平野の上流にあります水源涵養林で、美郷町の小学生と一緒にブナの植樹を行いました。
など、私たちを取り巻く環境について、安全・安心の重要性が認識されているところであります。特に、
江戸時代初期の秋田藩家老であります渋江内膳政光は、「国の宝は山なり 山の衰えはすなわち国の衰
水環境は私たちの生活に密着しており、今後の被災地の復興にあたり、健全な水環境の確保は大きな
えなり」と植林の大切さを説いております。水の源は豊かな森林であります。こうしたことから県の
課題であります。この大きな課題に対して、環境省も主体的な役割を果たしながら対処していく所存
環境保全計画においては、目指すべき秋田の環境像として、「豊かな水と緑あふれる秋田」を掲げ、水
でありますが、併せて会員の方々を始めとした地域の方々による自主的・積極的な取り組みは大変重
環境の保全を図っているところでありますが、今後ともより一層その努力を続けてまいりたいと存じ
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ます。
水は人類の生存に欠かせない大切なものであり、その水を育んでいるのは豊かな森林です。名水を
この美郷町の六郷湧水群を中心とする六郷・千畑・仙南の多くの湧水は、地域住民の生活と非常に
守るためには豊かな森林を守り育てる必要があります。将来にわたって豊かな水環境を保全するため
密着しており、住民の方々のたゆまない努力と愛着の中で守られてきたものであります。このような
には、関係自治体を始め多くの人たちの理解と協力により、健全で豊かな森林を維持管理し、自然環
美郷町の地におきまして、これまで名水を守り育ててこられました全国の市町村の皆様のご努力の輪
境を保全することが大切です。
と、先導的な取り組みの成果がさらに広がることにより、私たちにとって欠かすことができない貴重
今世界では9億人が安全な飲料水を継続して利用できていません。これに比べ我が国は安全で豊か
な水資源が、子々孫々まで末永く伝えられますことを祈念いたしまして、歓迎のあいさつとさせてい
な水に恵まれています。これは気候や地形・地質的条件もありますが、森や泉、風や雨、森羅万象に
ただきます。
神の宿るものとして畏怖し、祈り、自然と共生し、大切にしてきた祖先の努力の賜であり、私たちは
本日は誠におめでとうございました。
この恵まれた環境を将来にわたって維持し、子孫に引き継いでいかなければなりません。このために
は自然を守り育てていく意識と行動が必要です。豊かな森林と水環境に恵まれたここ美郷町における
国際森林年記念の名水サミットを契機に、多くの自治体住民が森林と水との関係について関心を持ち、
さらに具体的な行動へと大きな流れとなることを祈念し、ごあいさつといたします。
来賓祝辞 ③
社団法人 国土緑化推進機構 専務理事 梶 谷 辰 哉 平成23年7月1日 公益社団法人国土緑化推進機構 理事長 佐々木 毅 代読でした。
さて、先ほど松田町長さんからお話がありましたように、国土緑化推進機構といたしましては、こ
皆さんこんにちは。ただ今ご紹介いただきました国土緑化推
の名水サミットに初めてご支援を申しあげたわけでありますが、この支援につきましては、実は「緑
進機構専務理事を努めております梶谷と申します。
の募金」という国民の皆さんから森づくりに対してご寄付いただいた寄付金を財源とさせていただき
実は、国土緑化推進機構理事長 佐々木毅と申しますが、こ
ました。名水を守っていくためには、やはり森づくりが不可欠だと思っております。そういう意味で「緑
の美郷町の千畑地区が出身地ということで、ぜひここに来てご
の募金」に対して皆様方のこれからの協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。今日は
あいさつしたいということで日程調整をしましたが、なかなか
どうもありがとうございました。
忙しい方で、かないませんでした。そういうことで私が代理で
ここに来させていただきました。
まず初めに第25回目の全国名水サミットが、このように全国から大勢の皆様方にお集まりいただき
盛大に開催されますことに対しまして心からお祝い申しあげたいと思います。
ここに、佐々木理事長から預かってまいりましたメッセージがありますので、これを代読させてい
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来賓祝辞 ④
社団法人 日本の水をきれいにする会 専務理事 橋 本 啓 芳 ただきたいと思います。
「社団法人日本の水をきれいにする会」の橋本でございます。
「第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会シンポジウム」の開催にあたり、一言ごあいさつ
まず今日はかくも盛大に「名水サミットin美郷」が開催されま
申しあげます。
したことに対しましてお祝いを申しあげます。稲葉会長から
まず初めに、3月11日に発生した東日本大震災とそれに加えて福島第一原発の事故は未曾有の被害を
メッセージを言伝ってまいりましたので、ご披露させていただ
もたらし、我が国の社会経済に深刻な影響を及ぼしています。改めて被災された皆様にお見舞い申し
きます。
あげますとともに、一日も早い復興を祈念する次第であります。 まず東日本の震災につきましてお見舞いを申しあげます。私
さて、この名水サミットは、昭和60年に環境庁が名水100選を選定したのを契機に、「全国水環境保
ども「日本の水をきれいにする会」は、水に関わりをもつ者と
全市町村連絡協議会」が設立され、名水を通じて水環境の保全の推進と水質保全意識の高揚を図るこ
して特に放射能の問題につきまして、我々携わったことはありませんけれども、今後問題にしていか
とを目的として、毎年名水の地において開催されてきました。今年は第25回の節目となります。また
なくてはならないという気持ちを持っております。
今年は国連が定めた国際森林年です。森林と人々の関わりに対する認識を高める取り組みを推進する
すでにご存じの方もおられると思いますが、水の問題につきましては昨年から水改革をしようとい
ことが呼びかけられており、国土緑化推進機構では、国民参加の森づくり運動を推進しているところ
うことで、超党派の国会議員さんが議員連盟を作りまして、自民党の中川秀直先生が会長をやってお
であります。
りますけれども、やはり水の問題は全国民が対応していかなければいろいろ問題が多いということで
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今やっております。私ども積極的に推進していくことをお願いしまして、できるだけ応援をしていこ
うということで、国民会議的な形で今推進しておりますけれども、なかなか動いていかないという問
題もあるようです。そういうことで、水問題、先ほどからいろいろお話ありましたように非常に重要
第25回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会 議事内容
な問題ですので、今後とも私どもがんばっていきたいと思っております。
最後になりますが、若干私どもの会員の紹介をさせていただきます。私ども今、会員だいたい350団
報告第1号 名水百選所在市町村の本協議会への参加について
体あるいは個人でございます。漁業者が7割ぐらいおりまして、あと市民団体の「水をきれいにする会」
新たに兵庫県宍粟市、三重県志摩市が加わり、172市町村(182名水)となった。(平成23年3月31日
というのがございますので、そういう方や釣り団体、大きく分けてその3つが組織になっております。
現在)
実は新聞でも大きく出ましたけれども、昨年「日本の水をきれいにする会」は行政刷新会議で仕分
けの対象となりまして、環境省さんからの事業もストップしました。どうも噂によると私どもの歴代
議案第1号 平成24年度の大会開催地について
会長が自民党の議員ですので、ちょっといじめてやれというような話もあったというふうに聞いてお
第26回大会開催地は「関東ブロック」の群馬県片品村(名水百選:尾瀬の郷片品湧水群)とする。
ります。実施している業務自体、おかしい話ではなかったのですけれど、やっぱりその影響が大きくて、
私ども会員も動揺が走るというようなことになりました。ただ、いろんな事業に応募しましたところ、
議案第2号 平成25年度以降の開催地の推薦並びに幹事の選任について
環境省所管の団体の基金から事業をいただいておりますので、そういうことで私どものやっているこ
平成25年度以降の開催地については、第15回大会で決定された方法により、北のブロックから順
とは決してマイナスの話ではないと思っております。今後とも皆様方のご支援をいただければという
次開催していくことになっている。したがって、平成25年度は東海・北陸ブロックの開催とする。
ことで、お願い申しあげます。
幹事については、昭和の会員と平成の会員から、それぞれ2自治体ずつ、合わせて4自治体を幹事
本日はこういう機会を作っていただきまして大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願
候補として選出する。ただし、「前年度開催地」と「次年度開催予定地」にも幹事をお願いする申
いいたします。本日は本当におめでとうございました。
し合わせとなっていることから、平成24年度の北海道・東北ブロック幹事に秋田県美郷町が、平成
25年度の関東ブロック幹事に群馬県片品村が就任する
以上のことから平成25年度以降の開催ブロック並びに幹事の選任については、別表のように定め
る。
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(別表) 全国大会開催予定ブロック並びに幹事就任予定候補市町村
年度
ブロック
北海道
東 北
関 東
東 海
北 陸
近 畿
中 国
四 国
九 州
全国大会
開催地
水環境学習モデル校学習発表 ①
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
平成 27 年度
秋田県 湯沢市
秋田県 美郷町
福島県 磐梯町
北海道 京極市
北海道 千歳市
山形県 西川町
山形県 東根市
福島県 北塩原村
北海道 利尻富士町
青森県 弘前市
北海道 東川町
青森県 十和田市
青森県 中泊町
岩手県 一関市
山形県 庄内町
北海道 美深町
青森県 深浦町
岩手県 盛岡市
秋田県 にかほ市
福島県 福島市
山梨県 北杜市
新潟県 長岡市
長野県 安曇野市
茨城県 大子町
栃木県 塩谷町
新潟県 津南町
長野県 飯田市
長野県 白馬村
栃木県 佐野市
群馬県 甘楽町
茨城県 日立市
群馬県 上野村
群馬県 片品村
埼玉県 新座市
千葉県 君津市
群馬県 片品村
埼玉県 熊谷市
埼玉県 秩父市
埼玉県 小鹿野町
東京都 東久留米市
岐阜県 美濃市
静岡県 清水町
三重県 四日市市
富山県 黒部市
富山県 上市町
ます。全校児童は217人の学校です。私たちは、
岐阜県 養老町
愛知県 犬山市
三重県 志摩市
富山県 入善町
富山県 立山町
富山県 富山市
富山県 南砺市
岐阜県 大垣市
静岡県 静岡市
静岡県 三島市
水、動植物、自然、人と人、これらの「つな
富山県 高岡市
石川県 小松市
岐阜県 下呂市
静岡県 浜松市
静岡県 富士宮市
和歌山県 田辺市
滋賀県 米原市
兵庫県 西宮市
兵庫県 宍粟市
和歌山県 田辺市
3年生の時、フィールドワークで六郷の清水
滋賀県 彦根市
大阪府 島本町
兵庫県 神戸市
奈良県 天川村
滋賀県 彦根市
に行きました。あちこちに、いろいろな名前
滋賀県 高島市
京都府 舞鶴市
兵庫県 多可町
奈良県 曽爾村
和歌山県 新宮市
滋賀県 愛荘町
京都府 井手町
兵庫県 香美町
奈良県 東吉野村
和歌山県 那智勝浦町
の付いた清水が、かたまってありました。私
山口県 美弥市
徳島県 吉野川市
香川県 小豆島町
愛媛県 松山市
高知県 四万十町
山口県 岩国市
徳島県 三好市
愛媛県 西条市
愛媛県 西予市
高知県 梼原町
鳥取県 鳥取市
鳥取県 伯耆町
島根県 安来市
岡山県 新見市
広島県 北広島町
鳥取県 湯梨浜町
島根県 出雲市
島根県 吉賀町
広島県 呉市
山口県 荻市
佐賀県 小城市
鹿児島県 屋久島町
鹿児島県 南九州市
福岡県 うきは市
佐賀県 小城市
宮崎県 綾町
鹿児島県 湧水町
沖縄県 南城市
佐賀県 有田町
長崎県 島原市
福岡県 東峰村
熊本県 嘉島町
宮崎県 五ヶ瀬町
鹿児島県 指宿市
鹿児島県 知名町
千畑地区にも六郷の湧水群のように多くの湧き水からできた清水があります。野際清水・古屋敷清水・
熊本県 熊本市
大分県 玖珠町
鹿児島県 鹿児島市
鹿児島県 志布志市
沖縄県 北中城村
北海道・東北…
ブロック
関東ブロック…
(予定)
東海・北陸…
ブロック(予定)
近畿ブロック…
(予定)
中国・四国ブロック…
(予定)
古シズ・星山清水・おんこ清水などたくさんの清水が湧いています。中には絶滅危惧種のイバラトミ
秋田県美郷町
群馬県片品村
(注) 1.□で囲んだ市町村は幹事就任。
2.下線のある市町村は「前年度開催地」または「次年度開催地予定地」として幹事に就任予定。
発表テーマ 「つながる つなげる」
美郷町立千屋小学校 6 年
発表者/大川瑠成、小松凌弥、髙橋駿、藤嶋悠力、嶋津葵、髙橋琴美、高橋美月、畠山寧々
皆さんこんにちは。私たちは千屋小学校の6
年生です。千屋小学校は美郷町の北部にあり
がり」をテーマに発表します。
たちの住む千畑にも、同じような場所がある
ことに気がつきました。
私たちの美郷町では毎年、全小学校の4年生が植樹をしています。場所は七滝地区にあり、美郷町の
水源の一つになっている森林です。主にブナの木を植えます。そして水と森の学習会にも参加します。
この森林が緑のダムとなって水をためているという学習をしました。
ヨが生息する清水もあります。
平成10年頃、絶滅危惧種のイバラトミヨを守りたい、もっと生態を知りたい、学校にビオトープが
あればと考えられました。平成12年にビオトープを作る計画ができ、平成13年に完成しました。ビオ
トープには「ドリームトープ」と名前をつけました。それ以来毎年、5年生が春の清掃活動から総合的
な学習で使用しています。清掃には地域の方々やボランティア、お父さん、お母さん、おじいちゃん、
おばあちゃんなど多くの人が協力してくださいます。最近では、係活動で朝に清掃活動をしている学
年もあります。
それでは去年の私たちの活動を紹介します。
まず最初に、みんなでビオトープの掃除をしました。その時イバラトミヨやエビ、ふな、ヤゴ、ミ
ズカマキリ、カエル、おたまじゃくしなどたくさんの生き物がいることを知りました。ここで、ビオ
トープで発見した生き物たちを紹介します。
まずは、絶滅危惧種のイバラトミヨ雄物型です。ビオトープでたくさん生息しています。イバラト
ミヨは魚ですが、巣を作って産卵します。学校の水槽では去年も今年も、巣作りまでは成功しましたが、
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産卵まではいきませんでした。
起きました。千屋小学校の特色でもある、東京の御田小学校との交流が今年で35年目になります。そ
ヨシノボリ、モツゴ、フナ、ウグイ、イモリ、スジエビ、
の御田小でも去年、今の5年生がビオトープを作ったそうです。その時の先生が飯島先生だったと知り
トノサマガエル、ツチガエルとそれぞれのおたまじゃくし。
ました。私たちもビックリ! 御田小のお友達もビックリ! 先生方も、そして飯島先生もビックリ!
ミズカマキリ、アメンボ、ゲンゴロウ、ヒメガムシ、コオイ
という偶然でした。ここで御田小学校から届いたビデオレターをご覧ください。
ムシ、マツモムシ、オオシオカラトンボ、ハグロトンボ、ヤ
ビオトープを通した活動で、「水を大切にするには山を大切にすること」「海を汚さないためには、
ブヤンマのヤゴがいました。
川に汚したものを流さないこと」を、ボランティアの人たちから教えていただきました。それは、「自
私たちは、霞ケ浦アサザプロジェクトの飯島博先生と一緒
然はつながっている」ということだと思います。「自然を守る」とか、「自然を大切に」と言う言葉が
に、「ビオトープをもっとすごくしよう」プロジェクトを立ち
ありますが、私たちは、いろいろな人々のつながりでたくさんのことを学びました。
上げ活動をしてきました。
私たちができることは小さなことですが、人から人へ「してはいけないこと」「しなければならない
私たちは、「ビオトープに生き物を増やそう」、「ビオトープ
こと」を伝えあっていくことが大切なのだと思いました。
をきれいにしよう」、「ビオトープに関わってきた人たちの思
これで、千屋小学校の発表を終わります。
いを知ろう」、「ビオトープをPRしよう」の4つの班に分かれ
て、それぞれのテーマに沿って調査したり、実践したりしました。
「生き物を増やそう」チームは、イバラトミヨ、トンボ、ホタルの3つに分かれ生態を調べ、タマゴ
を産める環境にするために、エサになるものや水草を入れたり、池の淵を石から土に変えたりしました。
「ビオトープをきれいにしよう」チームはビオトープの周りに花を植えることと浮き草の繁殖を抑え
ることをしました。
どちらもより地域の自然に近い形にするために、千屋地区の清水に調査に行き、その近辺の用水路
や野原から植物を移植しました。水草の調査をしたときは用水路にセリを発見しました。セリはきれ
いな水の流れる沢に繁殖する植物なので千畑の水はきれいなのだと再確認しました。
「思いを知ろう」チームはビオトープがなぜ作られたのか、どんな人たちが関わっているのか、なぜ
ドリームトープと名付けられたのか、先輩たちはどんな思いを持っているのかなどインタビューした
りアンケート調査をしたりしました。
ビオトープにはイバラトミヨを守る会や北小屋ボランティアの人たちが協力してくださっていて、
ビオトープは水のきれいな町に住む子どもたちに、水辺の自然に親しんでほしい、地域の自然に興味
を持って守っていって欲しいという願いで作られたのだそうです。
そんな大切なビオトープだからもっと後輩たちや地域の人たちに知ってもらいたいと思い、「PRし
よう」チームがチラシやポスターをつくり宣伝しました。ポスターは郵便局とAコープにお願いして
貼ってもらいました。たくさんの人が見てくれていたらうれしいです。
去年の秋には、大きな研究会があり、そこで活動の中間報告会の様子を全国から集まったたくさん
の先生方にも見てもらい、私たちの活動を知ってもらうことができました。
私たちは、この活動をここで終わらせたくないと思ったので、今の5年生に自分たちの活動内容と
やってほしいことをまとめて、引き継ぎをしました。今年は5年生がもっとすてきなビオトープにして
くれると思います。
今年の5年生も飯島先生と一緒に総合的な学習の時間で活用しています。そして、ものすごい偶然が
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東京都港区立御田小学校から届いたビデオレターを紹介
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たいと思います。
水環境学習モデル校学習発表 ②
まず始めに清水の利用方法について紹介します。
発表テーマ 「私たちのくらしと清水 ~創造と共生~」
手作り豆腐、栗林酒造店の「春霞」や、高橋酒造店の「奥清水」など、お酒を造るのにも使われます。
美郷町立六郷中学校 2年 清水コース 有名なものではニテコ清水のニテコサイダーや、手づくり工房「湧子ちゃん」のおからドーナツや
現在はありませんが、一番古い記録では元禄2年(1689年)に造り酒屋の「しら梅」が創業したとありま
した。
発表者/青池優、大隅啓、須藤峻丞、伊藤純那、梅川孔平、高橋はるな
ちなみに、これらの食品は、地下30mあたりの地下水を使っています。清水は六郷の特産品を作る
のに使われ、それを全国に販売したり、清水を観光に来た人たちが特産物を買っていったりと、地域
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これから私たち六郷中学校の発表を始めま
の活性化には欠かせない要素となっています。
す。発表テーマは「私たちのくらしと清水 そのままでもおいしい清水の水は現在は食品に、昔は和紙などを作るのに使われました。その名ご
~創造と共生~」です。
りに「紙漉座清水」という名の清水が六郷小学校の近くに、今もあります。明治天皇が六郷においで
私たちの住む美郷町六郷地区は、秋田県南
になった際に、六郷産の和紙をご覧になり、お買い上げになった話も残っています。
部の横手盆地の北に位置し、自然豊かな所で、
二つめは、生活用水への利用です。清水の水は主には洗濯や、食品を冷やしたり、飲み水としたり
昔から「百清水」と言われる湧水に恵まれた
して、重宝されてきました。六郷の湧水群が名水百選に選ばれたのは単に水がきれいだから選定され
町です。名前のある清水だけでも、78カ所あ
たのではありません。水を生活に利用しつつ、水を守ってきたことも大きく評価されました。
ります。
この間の震災では、停電により各家庭の地下水を汲み上げるためのポンプが使えなくなってしまい
現在も、豊富な地下水を有し、ほとんどの
ました。その際、町内はもちろん町外からも家庭で使う目的で清水の水を汲みに来る人がたくさんい
家庭は地下水をホームポンプでくみ上げ、生
ました。このことから清水の水が生活用水としてとても優れていることを改めて感じました。
活に利用しています。近年、その湧き出る清水を目当てに観光客が数多く訪れています。
太平洋戦争のあと、清水で冷やして商品を売っていた酒屋さんの屋号がそのまま、現在の清水の名
六郷は昔、六郷城の城下町でした。羽州街道の宿場町となり、さらには秋田屈指の商業町として発
前になったところもあります。このことは、清水が私たちの生活に密接なつながりがあることを示し
展しました。江戸期には20を越える酒蔵がひしめいていました。現在は大規模な寺町があり、旧城下
ています。
町のたたずまいも残しています。
三つめは、農業用水としての利用です。私たちと同じように、総合の時間の学習で「七滝用水」を
私たちは地域のあるおばあさんに「昔、座頭清水は井戸のように深くてハリザッコがいたけれど、
調べているチームの内容もふまえながら紹介
今は浅くなり、ハリザッコも減ってきた」ということを教えてもらいました。私たちは、このことが
します。
本当なのか。そのほかにも、私たちが小さい頃からあって、親しみのある清水は、どのようなことに
清水の源である地下水は農業用水にも利用
利用されているのか。どんな生き物が住んでいるのか。湧いてくる過程はどうなっているのかなどが
されています。六郷では七滝用水として水田
気になり、学校の「総合的な学習の時間」に調べてみることにしました。
を潤しています。作られている米は、酒米(さ
清水は、雨水や雪溶け水が、地面にしみ込み、地下水層に一度たまった後湧き出たもののことをい
かまい)では美山錦、美郷錦、酒こまちです。
います。地下水層までに地層でろ過されるので、とても水がきれいです。清水は季節によって変わり、
食用の米はみなさんもご存じのあきたこまち
最も湧く量が多いのは5 ~ 8月にかけてです。逆に一番水位が低くなるのは冬の2月です。しかし、ニ
などです。この六郷は全国有数の「あきたこ
テコ清水と御台所清水だけは、年中湧いています。
まち」を生産する穀倉地帯なのです。おいし
清水の水は、まず奥羽山脈に染み込んだ雨水が地下水層を通して一日約30mを移動して、湧き出て
い地下水で育てているお米は全国で人気のブ
きます。こうして、場所にもよりますが、1 ヶ月~ 2 ヶ月前に奥羽山脈に降った雨水が湧いているのです。
ランド米です。
それではまず、テーマにもある「創造」について発表します。六郷の清水を、人々はより豊かな生活、
用水は七滝山の地下水です。この水源を枯らさないように七滝山に「水源涵養保安林」という林が
より価値のある商品に生かそうと知恵を絞り、様々な工夫をしてきました。それらを、紹介していき
あります。この林のおかげで水が自然に山にしみこみ、豊かな水源を確保しています。
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小学校の発表にもありましたが、町内の6つの小学校の児童が、「自分が飲む水、美郷町の湧水を守
として六郷地区は栄えました。多くの馬やそれを扱う人々や、往来する旅人の宿泊や食事のまかない
ろう」とこの七滝山にブナを植林したことが新聞で報じられていました。
などにかかわる人々が生活していました。それを支える飲み水や調理の際の水として、清水は活用さ
続いてもう一つのテーマ「共生」についてお話します。清水の湧いている環境ならではの条件に住
れていたのです。
む生物や、大切な清水を守ろうと人と人とがともに協力しあう関係に目を向けてみたいと思います。
清水はこれまで、その清水を利用している人たちで清掃するなどして守られてきましたが、現在は、
始めに、清水に住む特徴的な生物について紹介します。
町内ごとや通りの単位で、清水の清掃を行ったりしています。また、美郷町では水環境保全条例を制
最初はハリザッコです。ハリザッコは正式
定し、美しい水環境を次の世代に残そうと住民に呼びかけています。
名 称 を イ バ ラ ト ミ ヨ と い い ま す。 ハ リ ザ ッ
5月15日の日曜日には、御台所清水やキャペコ清水のあるワクワク通りで、大勢の人たちが清水や清
コは冷水性の淡水魚で、氷河期からの生き残
水のまわり、御伊勢堂川の清掃をしていました。個人の家で清水を清掃、管理している所もあるよう
りです。水温14度以上の生息環境は適さない
ですが、このように、清水を大切にし守ろうとすることで、今も昔も清水をめぐり、人と人とのつな
とされています。1年中水温10 ~ 13度と季節
がりが生まれているのではないでしょうか。
変化が少ない清水は、ハリザッコにとっては、
水(清水)は六郷の街を創り、産業を興し、自然や文化を育んだ貴重な財産であるといえます。
まさに生息に適した場所と言えます。ハリザッ
雨や雪が時間をかけて地下にしみこみ、地下の水脈を通り、私たちの身近な清水として湧いてきます。
コのオスは水草の枝などに、植物の繊維と腎
生活用水や農業用水として使われた水は、水路を通り川となり、海へとつながっています。太陽熱に
臓から出した粘液をからめてゴルフボールく
温められとたこれらの水は、水蒸気となり上昇し、やがて雲となり雨や雪を降らせます。このような
らいの大きさの巣を作るなど、特徴的な生活
大きな循環の中にある貴重な水が私たちの清水です。今も昔も清水は六郷地区に住む私たちにとって、
史をおくる希少生物です。
欠かせない存在となっています。
清水の清らかさを象徴するハリザッコですが、近年その数が減少してきています。①コンクリート
私たちは、身近に清水のあることの大切さを知り、感謝しながら、これからの生活を送っていきた
などの人工物の使用、②水草の減少、③水流の速度が増加したこと、④水の汚れがその要因として考
いと思います。そしてこの大切な清水を、次の世代に大事に引き継いでいきたいと思います。
えられます。
しかし、私たちはただ手をこまねいて見ているわけではありません。私たちの学校の先輩は、学校
の人工池でハリザッコの人工ふ化に成功し、清水に放流しました。これらの活動によりハリザッコの
個体数の増加に期待が持てます。
別室に展示している水槽のハリザッコは、この春に科学部が人工池の掃除をした際に捕獲したもの
です。どうぞご覧になってください。
続いてヨコエビを紹介します。ヨコエビは、ヨコエビ目ヨコエビ亜目に属する甲殻類の総称です。
体長は数mmから10数mmまで種類によって差はありますが、多くは数mm程度です。ヨコエビは個体
数が多いため食物連鎖で非常に重要で、ハリザッコもヨコエビを食べています。
最後にサンショウウオを紹介します。そうなんです。清水には、ハリザッコやヨコエビのほかにサ
ンショウウオも住んでいるのです。私たちもそれを知った時は、びっくりしました。サンショウウオは、
両生類で皮膚にはウロコがなく、粘膜で覆われています。呼吸の大半を皮膚呼吸に頼っていて皮膚が
湿っていないと生存できません。
次に、清水と人をめぐる関係についてです。水がふんだんにあることで、人々の生活が成り立って
います。大勢の人々の喉を潤すことができます。水があれば、農作物も育ちます。人々は水を求めて、
清水を求めて、集まってきたのかもしれません。
始めに紹介したとおり、六郷は昔、宿場町として発展しました。人々が集まり、物や人の交流の場
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アフリカにはウィッチドクターと呼ばれる呪術師、まじないをする人たちがいて、かつては聖なる
木の枝を持って祈ったあと、水が出る場所を言い当てていました。ところが、ホテルなどの開発で大
基調講演
「21世紀は水と森の時代」
量に水を汲み上げてしまうものですから、呪術師が言う小さな水脈は枯れてしまっています。一生懸
命水汲みをしている村の近くで、私たち観光客が「あー暑かった」と、ホテルのロビーに入るなり自
由に水や紅茶を飲み、部屋に入ればいつでもシャワーを浴び、ふんだんに水が使われていく。そうい
青森大学教授・エッセイスト・ジャーナリスト 見 城 美枝子 う矛盾があります。
草原の中を転々と移動しながら牛を育てている人たちにとっては、地下水が枯れていくと牧草地が
なくなって、生活ができなくなります。すると政府は定住策をとり、遊牧民もだんだん普通の仕事に
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皆さんこんにちは。本日は美郷町に、そしてこの
就かざるを得なくなってしまいます。テレビで見たことがあると思いますが、2メートル以上あるヤリ
名水サミットへのお招きありがとうございます。
を持ってポーンと飛び上がる棒のような長身のマサイ族の人たちが、定住すると小太りになってしま
昨日、美郷町にお伺いし、
「できる限りきれいな水
うのには驚きました。水をふんだんに使えるホテルに行くと、心が痛み居心地が悪く感じます。
を見てみたい」ということで、かなりの時間をかけ
また、ある土地でコテージに泊まったときは、バケツ一杯の水を渡されました。トイレの水も出ま
て名水を巡りました。この町は、水の上に立ってい
せんし、「とにかく明日の朝までこれで考えて使ってください。水は頭を使って使うものです」と言わ
るのではないかしらと思うほど、見事に水がこんこ
れました。上下水道がなく、地下水も汚染され、そういう中で非衛生的な水で命を落とす子供たちは
んと湧いている状況に感動しました。
年に180万人と言われています。
途中で、案内していただいた人に勧められ、勇気
水の惑星と呼ばれる地球ですが、地球を一つの水のバケツとしたら、私達が使える淡水はスプーン1
を出して飲んでみました。とってもおいしかったで
杯分しかないそうです。私たち水に恵まれた日本人にとって、普段は考えが及ばないことですが、水
す。以前、富山の黒部で、うわーっと湧いているの
が豊富な国とそうではない国とでは、コップ一杯の水でも大きな違いがあります。
を飲んだときも冷たくて、こんなにおいしい水があるのかと思いましたが、それ以来の感動でした。
ここで世界地図をご覧ください。私たちが普段見る日本地図は日本が世界地図の真ん中にあって、
私の住んでいる東京でも、ビオトープを作っている小学校があります。学校の裏手に低い場所があって、
日本海と太平洋に囲まれてまさに水の中に浮いている島というイメージです。そして日本の約7割は森
ここに水を引けば蛍が生まれてくれるかもしれないと一生懸命作っています。でも、
「ああ自然がそこに
林で非常に水も豊かです。次に見ていただく地図は、イギリスの地図です。ヨーロッパ中心で、日本
ある」というふうにはなかなか作れません。美郷町には126の清水があるということですから、発表した
は端の端の東、つまり「極東」と呼ばれるのがわかります。次はアメリカです。アメリカにとっては
小学校も中学校もいろいろ研究するには場所があってうらやましいなと思って聞いておりました。
大西洋(ヨーロッパとの関係)が非常に重要で、しかも太平洋も自分たちのものだということで、「環太
今日は「21世紀は水と森の時代」というタイトルをつけさせていただきましたが、20世紀は石油の
平洋」つまりアジアに対しても自分も仲間だという言い方をします。オーストラリアの地図は、オー
時代と言われました。石油が全てを動かす。石油の利権が戦争やテロを引き起こす。それは今でもつ
ストラリアこそ海に囲まれ、いろいろな国々の真ん中にあると考えます。日本中心に考えるとわから
ながっています。21世紀になると同時に言われたのが、「21世紀は水の時代」です。このようにこんこ
ないこと、対応できないことがあると思います。他の国々からはどう見えるかと考えることも重要だ
んと水の湧く所にお住まいですと、水不足と言われても実感がないわけですが、地球規模で見ますと、
と思います。
使える水の枯渇が深刻な問題となっています。
日本には世界自然遺産が4つあります。屋久島と白神山地と知床と小笠原諸島です。屋久島は屋久杉
人の体は水でできていると言われます。赤ちゃんの体は水が75%。触ってみると本当にしっとりし
で有名です。ここは亜熱帯から亜高山帯が垂直にすべてあって、いかにも水分がたくさんある感じの
ています。残念なことに、大人になり歳をとると水分が10%少なくなり、さらに加齢とともにその割
島です。
合は低くなっていきます。また、血液の場合は91%が水です。人間の体は2リットルの水分を失うと、
白神山地は日本海の隆起に起源すると言われ、200万年前には始まっていると言われます。ブナ林の
通常の56%しか機能しなくなるそうです。のどの渇きぐらいちょっと我慢すればいいと思うかもしれ
誕生は8,000年前の縄文時代になります。本当に水がおいしくて、ブナに聴診器を押し当てると水が上
ませんが、血液中からどんどん水がなくなってしまうと、頭も機能しない、体も機能しないというこ
がっていく「ガー」っていう音が聞こえ、木は水の柱って言われることが実感できます。
となりかねません。いかに水が重要かということです。
それから知床。絶滅危惧種の保護が進められ、希少動植物の宝庫となっています。知床は、流氷の
実は世界では安全な水を飲めない人が10億人いると言われています。何度も取材に行っているアフ
来る最南端と言われていますが、近年は流氷が少なくて、ここにも地球温暖化の影響を感じます。
リカにも大きな企業が入ってきて、ポンプで水を吸い上げてしまうと、その集落はもう掘っても、掘っ
小笠原諸島は、「東洋のガラパゴス」と呼ばれるように、大陸と陸続きになったことがありません。
ても水が出なくなってしまいます。それでも子供たちは水汲みのために、足場もない狭い穴を10メー
そのことで生態系がそのまま保たれています。よく日本はIT産業で、うまく進んでいかないと「ガ
トルくらい下りて行きます。小さなカップやビンなどを持って下りて行って、泥水を何度も何度も汲
ラパゴス化する」と言うように否定的に使われるので、ガラパゴスに失礼だなと思っていましたら、
んできます。
今回これが肯定的に使われたので非常にうれしかったですね。
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さて、私もいろんな形で「水辺の取り組み」に関わらせていただいています。たとえば、トンボを
命をつなぐのはもともと自分の国にある食料です。日本の水田、ここに水がたたえられる日本の農業
蘇らせてトンボがいっぱい飛ぶ所にしようというのがあります。そうすると護岸が大切で、植栽して
は非常に文化的です。水不足の国々を見て本当に感謝しなければいけないと思います。世界観をもって、
ヤゴが生きていけるような状況にしなければなりま
地球上で日本がどういう状況にあるのか、そういう考え方をもって、大人たちが次の世代のために水
せん。人の手が一回壊したものを再生しようという
問題を考えていくということはとても重要です。
活動です。ビオトープは、一度こういう護岸を作っ
今朝早起きして、宿泊した「サンアール」のまわりを1時間ほど歩きました。その時に田んぼからカ
てしまうと、なかなか大変です。きれいな状態で維
エルの鳴き声がしましたので、「あっ、健康な田んぼだ。おたまじゃくしがいたんだ」と思いながら
持していくことでずいぶん生態系が違ってきます。
ウォーキングしました。「田んぼにおたまじゃくしがいた」と簡単に言いましたが、田んぼの健康度、
やっぱり子供たちが関わってくるというのが重要な
つまり生き物が共生できる田んぼというのがいかに大事か、私もさらに学んで、学生たちにも教えた
のです。
いと思います。
私は「21世紀は水と土の時代」と考え、講演の演
水がいかに大事かいろいろ見ていただきました。世界の中で日本というのは、水の豊かなそして水
題にも使っています。なぜかと言うと、私たちは
がどこでも飲めるというのは信じられないと海外で言われました。30年くらい前の日本では、家庭用
飲む水とか工業用水とかそういう感覚でいました
浄水器を使っていなかったと思います。今はどうでしょうか。私が初めてブラジルに行って驚いたのは、
が、ロンドン大学のアレン教授が「バーチャルウォー
行く町ごとに必ず、ブリキのようなもので作ったじょうごを大きくしたようなものを置いてあるお店
ター」という発想をしました。「バーチャル」というのは、3Dと言われるように次元が3つ重なって、
があるんです。聞いてみると、それが浄水器、つまりそれを通して濾過して水を使っていて、それが
ここにないけれど浮き上がって見えるということです。日本語では「仮想水」という言葉でも使われ
なければ料理もできないのだそうです。「絶対に水を飲んではいけない、氷やアイス何とかというのも
ています。アレン教授が何を考えたかというと、食料を日本は船で輸入していますが、その食料を作
飲んではいけない」と言われ、注意していたつもりでしたが、夜になって乾杯したら、あたったんです。
る時に必要な水を数量化するわけです。お米を作った時に水は何トン使ったか、牛を育てるのに水を
まさかビールも危ないとは。本当に死ぬような思いしました。絵を描いて「湯たんぽがほしい」と言っ
何トン使ったか、そういう何トン使ったということを「バーチャルウォーター」として考えてみると
たら、さすがに日本人がいる国ですから、湯たんぽが来ました。それにお湯を入れてお腹にあてて腹
いう発想です。私が不安に思うのは、世界最大の食料輸入国ですので、「バーチャルウォーター」をた
ばいになって2日間耐えました。何とか復帰しましたが、日本では考えられないことです。ブラジルは
くさん輸入している日本は、水が枯渇したとき、いつまで輸入できるかということです。
そのように必ず濾過しなければ飲めませんでした。それ以来、私は「これは大丈夫ですよ」と言われ
同じように「フードマイレージ」という視点もあります。輸送にかかわるエネルギーを指標化し、
ても生水は飲まないようにしています。
地球環境にいくら負荷をかけているか判断するものです。当然、世界最大の食料輸入国である日本は、
フランスは、アルプスの麓の街に行ったときのこ
負の「フードマイレージ」が世界一となっています。消費大国と言われるアメリカの8倍くらい、日本
とです。寒い冬でした。石畳を登っていくと万屋み
はダントツで多くなっています。農産物を輸入するのは、よその土地の土と水も利用いるのではない
たいな小さな店が1軒ありまして、そこに年取った
かとなるわけです。こんなに水が豊富な日本ですが、特に原発の事故後、ミネラルウォーターの輸入
おばあさんがヨロヨロやって来ました。こんな寒い
も増えています。日本も実はやや水不足と言えるかもしれません。
日に何を買いに来たのだろう、と見ていたら、フラ
日本は、国土の約7割が森林と言われ、森と緑の国のようですが、実際は、その森は荒れてきていて、
ンスパンとペットボトルに入った水でした。蛇口か
木材の供給量も減ってきています。近年、この森を外国資本が水源として狙っています。識者の間で、
ら出た水は硬くて飲めないのです。その姿を見た時、
法による規制の必要性を訴える声が上がっています。
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「ああ日本で良かった。水は出る、お米が家の中にあ
体にとってももちろん水不足は重大ですが、実は水がなければ食料が作れません。日本の森林率は
れば、あとは火があればおいしいごはんが炊ける」と。
世界でフィンランドに次いで2位、約70%あります。森林があることは非常に有り難いことです。森林
他にもいろんな所へ行きましたが、なかなか水は
が水を育み、やがて里山に、そして里へと水を運んでくれます。森林がないと雨が降っても水を溜め
厳しくて、単に旅行者が「水にあたる」ということではなく、やっぱり水は注意しないといけないと
ておくことができません。豊かな地下水が脈々と流れてくれません。
いう国が多かったです。ですから世界地図を見て、島国で、日本列島の背骨をずーっと森林が、背骨
砂漠化の影響を受けている土地は36億ヘクタール、世界の約4分の1が影響を受けています。そこに
のようにしっかりとあって、それで大事な水を供給してくれる日本に改めて私は感謝しています。
暮らす人は約9億人、やがて10億人になるだろうと言われています。そこに飢餓が同時に起きてくると
21世紀を生きる子どもたちの時代に、地下水をどう守っていくのか、日本のおいしい水をどう伝え
いうことで、日本で「ちょっと今年のできが悪い」なんていう状況とは違って、本当に戦争、内戦に
ていくのか、どう残していくのかが大きなテーマだと思います。ぜひこのあとのシンポジウムでも、
なる危険性をはらんでいます。
名水をリレーして語り続け、名水を通して関係自治体が、そして一人ひとりがつながりを強めていっ
私は、本当に食料のない時にアフリカに行ったことがあります。最高級のホテルでしたが、朝はパ
てほしいと思います。この名水サミットがさらに成功を収めますことを祈念いたしまして、私の講演
ンくずしか残っていません。だから日本から持って行ったものを食べて、何とか1カ月滞在しました。
を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
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パネルディスカッション
佐賀県●小城市(おぎし)
■市の紹介
小城市は佐賀県のほぼ中央にあり、佐賀平野の西端、県庁
み
わ
「 美湧くの郷から ~かけがえのない水環境を未来へ~」
討議テーマ
水と森の大切さ、恵まれた自然環境のありがたさを、どう後世に伝えていくか、「名水百選」選定自
治体の水環境保全の取り組み事例から、かけがえのない水環境を未来へ伝える取り組みの輪を全国に
広げていくポイントを探り出す。
がある佐賀市に隣接し、平成17年3月に旧小城郡の小城町、三
日 月 町、 牛 津 町、 芦 刈 町 の 4 町 が 合 併 し て 誕 生 し た 人 口 約
4万6千人、面積95.85㎢の市である。
北部に天山山系、中央部は肥沃な佐賀平野、南部には農業用
排水路のクリーク地帯が縦横に広がり、日本一の干潟・有明海
に面する。天山山系から源を発し流れ下る祇園川、晴気川、牛
津川は、扇状地を形成し、佐賀平野を潤し、嘉瀬川及び六角川、
有明海へと注いでいる。
小城は、「九州の小京都」と呼ばれ、文化的遺産が多く残され、天山県立公園、ムツゴロウ・シオマ
コーディネーター
関 荘一郎 (環境省 水環境担当審議官)
ネキ保護区に代表される、貴重で豊かな自然資源に恵まれている。また、名水百選「清水川」を始めとし、
さくら名所百選・日本歴史公園百選に選ばれた「小城公園」や日本の棚田百選の「江里山の棚田」、ふ
るさといきものの里に選ばれた「ゲンジボタル」などがある。
■名水の紹介
パネリスト
「 清 水 川 」( きよみずがわ )
江里口 秀次 (佐賀県小城市長)
名水百選に選ばれている各地の名水は湧水が多い中、筑紫山系にあ
千明 金造 (群馬県片品村長)
る秀峰天山の源から生み出された水が清水の滝となって清水川に流れ
松田 知己 (秋田県美郷町長)
る。
この清水川の上流にある「清水の滝」は、別名珠簾(たますだれ)の
滝とも呼ばれ、落差75m、幅13mの清流がさらさらと流れおちる様子
は荘厳で流麗の趣きがある。清水の滝は古くから観世音菩薩信仰で有
名で、滝壺の降り口にある清水観音宝寺院は滝う
けの霊場になっている。
また、この名水に育まれた名産品として、清流
にさらされた鯉を使った鯉料理や、清らかな水と
厳選された小豆を使った小城羊羹などがあり、多
くの観光客に親しまれている。
■水環境保全の取り組み
名水百選清水川のある地域では、現在、小学校を中心にホタ
ルをきっかけとして水環境保全の取り組みが行われている。清
水川の本流祗園川では、一時、ホタルが見られなくなったこと
もあったが、地区のホタル保存会により、ホタルの飼育や河川
の清掃活動が長年続けられてきた。その姿を見て地域の方や子
供たちも一緒になって活動を続けた結果、ホタルが見られるよ
うになり、今では川を覆い尽くすような幻想的な光景を見るこ
とができる。
市全体では春と秋に市民総参加による河川清掃を実施し、毎
年約1万5千人の市民が参加して、「みずから」できることを
実践している。
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群馬県●片品村(かたしなむら)
秋田県●美郷町(みさとちょう)
■村の紹介
■町の紹介
片品村は、群馬県の北東部に位置し、東は栃木県日光市、北
は新潟県魚沼市と福島県檜枝岐村に接しており、高山植物と湿
原で多くのハイカーを魅了する尾瀬国立公園をはじめ、至仏山、
日光白根山、武尊山など2,000m級の山々の山岳景観や丸沼、菅
沼の湖水美など、自然環境に恵まれている。
大合併で秋田県第1号として平成16年11月に誕生した。2町1
村の合併であるが、ともに扇状地の恩恵に浴し、豊かな土壌に
恵まれた県内有数の穀倉地帯を形成している。現在、町内には
126 ヵ所の湧水が確認され、六郷湧水群は、昭和60年に環境庁
の「名水百選」に、また、その水源域は林野庁の「水源の森百選」
村の面積は、392.01㎢で県内第4位の広さとなっているが、村
に選定され、豊かな森と水に恵まれた風土を今に伝えている。
内の92%は森林に覆われており、標高の高さも相まって県内唯
古くから日本酒醸造が盛んでニテコサイダーという地サイ
一の特別豪雪地帯に指定されている。
平成17年11月に、尾瀬が世界的にも貴重な湿原としてラムサール条約に登録され、平成19年8月には
従来の日光国立公園から、単独の尾瀬国立公園となった。
■名水の紹介
ダーも製造され、全国のファンに愛飲されている。さらには、
なハリザッコ(イバラトミヨ)が生息し、平成17年に「町の魚」に制定している。こうした水環境は住
民の心を癒す憩いの場であり、大切な町の観光資源となっている。また、豊かな地下水は町の水道水
源として生活の基盤となっている。
■名水の紹介
(おぜのさとかたしなゆうすいぐん)
「 六郷湧水群 」(ろくごうゆうすいぐん)
な「湧き水」となる。湧水は、尾瀬の自然保護のきっかけとなっ
た「岩清水」、霊験あらたかな水として地域住民に親しまれて
きた「観音様の水」をはじめ、全村民が使用している水道水す
べてが「湧き水」を源水としており、村全域をもって湧水群を
形成している。これらの水は夏でも冷たく、「美味しい水」の
水質要件を満たし、村を訪れる多くの方々より「美味しい」と
奥羽山脈に源を発した丸子川の氾濫により、気の遠くなる
ような年月をかけて形成された扇状地に広がる「水の郷六郷」、
六郷という地名もアイヌ語の「ルココッツイ(清い水たまりの
ある所」がなまったものだと言われるほど、各所に清水が湧い
ている。
湧水群の区域内は、清水巡りの散策コースとなっていて、観
光情報センター「清水の館」や地場産品を取りそろえた「湧
子ちゃん」、地酒の酒蔵を改築した名水市場「湧太郎」があり、
絶賛されている。平成20年6月、環境省により、平成の名水百選に認定された。 中には『水文館』という資料館を併設し、地下水と地酒に関す
湧水の一つ、
「花の谷湧水」は片品村役場近くの花の谷公園内にあり、学校帰りの子供達や都市部か
る解説、六郷扇状地や湧き水・地下水に関する資料や文献を展
らの観光客に親しまれている。ここから溢れ出た水は、公園内の池に流れ、動植物などに力を与えな
がら片品川、利根川を経由し、やがては太平洋に注いでいる。
■水環境保全の取り組み
水源の周辺をはじめ、流域全体の自然環境を守るため、地域
住民、村内小中学校、地元高校、村内企業、各種ボランティア
■水環境保全の取り組み
町民共有の財産「水環境」を大切にし次の世代へ引き継いで
いくため、平成20年に「水環境保全条例」を制定した。①水環
境は美郷町を象徴する地域資源、②水環境の保全は、町、町民、
事業者が連携して取り組む、③飲料水として利用されている地
下水は有限の共有資源、④湧水などの地表水や水辺は、町民生
掃活動など、水源涵養機能をより高めるための活動を多方面で
活への潤いの提供のみならず、交流など町を活性化させる大切
また、村内の小中学校においては、将来を担う子供たちに対
し、自然への認識を高めるよう、尾瀬国立公園や武尊山ブナ林
などでの自然観察を通じて、水の大切さや森林の持つ機能など
について教えている。
御台所清水
示している。
団体等が連携を図りながら、計画的な森林整備、周辺地域の清
行っている。
ラベンダー園
水温が年間を通じて15℃前後のきれいな清水には、氷河時代の生き残りともいわれ、学術的にも貴重
「 尾瀬の郷片品湧水群 」
深山に降った雨や雪は、長い時間を経て自然濾過され、良質
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美郷町は、奥羽山脈の麓に形成された扇状地にあり、平成の
な要素の一つ、の4つを共通認識に、町の実施する方策につい
ての連携・協力を求めている。また、町民の自主的活動の育成
と学習活動の支援にも力を入れている。
具体的な取り組みとして、平成21年度から個別に実施されて
水環境マイスター養成講座
いた水関連施策を、町の重点プロジェクトに位置づけ、
「守ろう」「学ぼう」「楽しもう」をキーワードに、
各課横断的に取り組んでいる。
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(発表市町村のプレゼンテーション内容は省略します)
うすればそういう取り組みを持続することができるのか、おそらくいろんなご苦労があると思います。
そういうご苦労というのは、全国の名水、環境省、地域にも共通する、あるいは名水と言われてない
(関) 大変すばらしい三名のパネリストの方からご発表いただきましたので、もう少しその話をさら
にもう一歩進めるという観点からパネルディスカッションをさせていただきたいと思います。
すが、どうすればそういうことが広がるのか、次の世代に伝えることができるのかについて、もう一
今日のパネルディスカッションのテーマは「美湧くの郷から~かけがえのない水環境を未来へ~」
度そういう観点から、こういう点がいい、あるいはこういう失敗があった等々についてご発表を簡単
となっています。
にいただければ参考になるかと思っております。
今の3名の方からのお話にございましたように、名水を
守り育てていくためにはどうすればいいのか、その意識と
それでは小城市の江里口市長さんからお願いできればと思います。
(江里口) それでは私の方から。しっかり水環境の保全のためにどういうふうな経過で小城市がやっ
行動をどういうふうに受け継いでいくのかということがポ
てきたのかということがございますので。
イントとなると思いますので、その点に絞ってお話を伺い
ホタルを例に上げてお話したいと思います。というのは、小城市も実は非常に河川とかそれから池
たいと思います。
とかの中で、水の悪化というのがけっこう顕著に現れていて、実はホタルがいなくなった時期もあっ
初めに、私の方から国で水環境行政を担当している立場
たんですね。そういった中で、ひとつは市民運動という形でホタルを守っていこうと、また蘇らせよ
から若干国の状況について簡単にご紹介させていただきま
うということで市民の方が、一言でいうと「ホタルきちがい」になったというくらいの「ホタル保存会」
すと、水環境を保全するというのは、環境省のみならず多
が一生懸命にやってくれた。これは、一年二年でできるものじゃありません。やはり五年かけ、十年
くの政府の機関にとって大変重要な課題でございまして、
かけ、そして会のメンバーを増やしながらホタルを蘇らせてくれたんですね。一生懸命になっていた
たくさんの政策・法律等が毎年できております。
だいた人たちのおかげでした。
私ども環境省に限って申しあげましても、例えば先月に国会で水質汚濁防止、つまり水を汚染から
そういった中で今、スライドにもあったように本当にすごい数のホタルが乱舞しておりますけれど
守る法律がありますけれども、これが改正されまして、今回の改正は地下水汚染の未然防止のための
も、そのホタルというのをひとつのきっかけにして、子どもたちの環境教育やそれからまたいろんな
政策ということでありまして、大変清浄な水でありましても、有害なものがある所から地下に入って
観光政策とか、そういったものにつながってきて、そしてまたそれが産業にもつながっていくという。
しまいますと、一気にダメになってしまう。一旦その地下水が汚染されますと、流動というのがあま
ひとつのことが、いろんな産業や教育やそしてこれが町づくりということにもつながってきたという
り早くありませんので、いつまでも留まってしまうというそういう性格がありますので、何よりも未
ふうに思っております。
然防止をするということが重要だということで、追加的な措置を講ずるための体制整備でありまして、
私はそういった意味でもホタルから非常に町が変わってきたということでご紹介をいたしました。
これは与党・野党問わずに全党が賛成してくれまして、来年春から新しい取り組みが始まるというふ
以上でございます。
うになっております。これが大きな取り組みだと思います。
それに加えまして、全国の、もちろん水環境を守るというのは、国の制度・法律等がすべてにつき
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地域におきましても、例えば東京の玉川等でも多くの方が自発的にいろんな取り組みをされておりま
(関) ありがとうございました。ホタルという具体的なものをきっかけに、それを起爆剤として取り
組んでこられたということでございました。続きまして千明村長さんお願いします。
るものでは当然ありませんので、それぞれの地域地域で住民の方、地方自治体の方が、創意工夫をし
(千明) こうした豊かな資源を後世に残すためにということで、私たちの村、先ほど少しご紹介した
て、法律とは関係なく、法律であーしろこーしろと言うのではなくて、自主的な取り組みが重要であ
んですけれども、尾瀬が分水嶺になります。尾瀬の水は一方で利根川からそして東京の方へ流れるわ
るということは、お三人の方からご発表いただきましたところでありますけれども、そういうことを
けです。そして一方では阿賀野川を下って最終的には新潟県へ流れるという、その分水嶺の村が私た
ご支援できないかということで、昭和60年に環境庁として、名水100選を作らせていただきました。名
ちの村です。そして尾瀬は新潟県と福島県と3県で共有する場なんですけれども、尾瀬の檜枝岐村は、
水100選として、全国民にわかるような形で、こういうすばらしいものがあるということを知っていた
福島県の第一原発から150キロ離れているということで、かなり私たちの南の方はもっと離れているか
だくことによって、取り組みが加速されるのではないかということがありまして、以降、なんとか100
もしれません。そうした中で、この尾瀬の水があるいは片品村の水が最終的には都会の東京の方へ流
選というのがたくさん出てまいりまして、環境省におきましても音風景100選とか、香り100選、他の
れていく中で、近年東京の水が大変おいしくなったと。2年ほど前に東京の水道局の方がペットボトル
省庁でも海岸100選とかいろいろなものが出ておりますけれど、この名水100選ほど、数ある100選の中
を持ってきて、東京の水がおいしくなったと。
で知名度があるものはおそらくないのではないかと思っておりまして、そういう意味では、関係者が
確かに飲んでみておいしくなりました。しかしそれは私たちのような水源の村で、また水源の涵養
うまく取り組んでいくときのスローガンのようなものだと私は思っています。
林として資源を守り、そしてそのきれいな水を都会に流してやろうということで、合併浄化槽やある
そこで、3人のパネリストの方にそれぞれお伺いしたいんですけれども、先ほどご発表いただきまし
いは集落排水、下水道、そういった整備をしているわけであります。
て、大変それぞれの地域に根ざした様々な取り組みを繰り広げられていらっしゃいますけれども、ど
私はいつも考えるんですけれども、利用者は下流の都圏の人になる。やはりそうしたものを整備し
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たその維持管理費ぐらいは、下流都圏に住む人たちが出す、費用を持つ、このくらいのことは私は当
ようだとかゴミを減らそうとか、私ども特に※3R(スリーアール)と言っておりますけれど、そういう
然ではないかとこのように考えております。
ことについては比較的身近で取り組めるんですけれど、水をきれいにしよう、水を守ろうということ
(関) ありがとうございました。続きまして松田町長さん。
になると、なかなか潜在的な意識がないと取り組めないというような課題が、日本全国どこにでもあ
(松田) 審議官からお話をいただきました、どう広がりをもてるかということに対してですが、まず、
るだろうなと思っております。
美郷町の水環境保全の動機となっていることがふたつございます。ひとつは合併で誕生したからこ
そこでまたもう一度各パネリストの方にお伺いしたいのですけれども、名水100選に選ばれている
そ、美郷町の姿・形をはっきりさせたい。その際の中核に置くべきことが何かということを町民に理
ということは、もともとは名水があるからそれが地域の重要な資源になっていた。住んでいる方には
解してもらいたいということで、地域の共通した資源である水環境を守ることを美郷町のアイデンティ
都会人よりも当然そういう意識が高くなるというような、置かれている状況というのがあるのかなと。
ティーにしたいということで、水環境の保全ということがそのひとつになっています。
でもその一方で、そういうふうな守る活動をしてきたから名水が残っていると、そういう伝統が残っ
もうひとつが、美郷町の生活用水はほぼ地下水です。つまり、ここで生活し続けていくためには、
ていると、そういう両方向からの動きが当然あると思いますけれど、広く日本のいろんな地域の水と
地下水を守らざるを得ない、というふうな理由があります。
いうのは、どこにいても必ず水はありますし、それは貴重なものでありますので、みんなでそういう
私どもが今生活できるのは、やはり先人ががんばって水環境を維持してくれたから、我々がここに
ものを守っていこうとした時に、名水100選の地域よりも、取り組みが当然遅れている地域に対しては、
住み続けられる。自分たちの子ども、あるいは孫がここに住み続けて行くためには、今、私どもが一
どういう点が重要であるということをですね、ご経験からコメントなりご意見をいただければと思い
生懸命努力する部分をがんばって、水環境を維持し、バトンタッチすることが、この地域が引き続き
ますけれど。江里口市長さんから。
住み続けられる地域であることの重要な部分であると。
このふたつのことで、水環境保全の取り組みがあるわけですが、その取り組みに広く町民の方から
うのは先ほど見城先生のお話の中でも、例えば蛇口をひねると安全な水がすぐ飲める水があるという
ご理解いただいたのは、やはり水環境について、これまでの地域の誇れる資産だということ。そして
のは日本では当たり前ですけれども、よその国では当たり前じゃないということを聞いておりました。
水を守るのがもはや理屈ではない、地域文化になっているということ。このふたつが、活動を継続で
そういった中でいつもある水が当たり前じゃないよと、そして本当に感謝しなきゃいけないよと、そ
きる原点だというふうに思っております。その上で、さらに広がりを持つためには、やはり意識啓発
ういうふうなことをいかに伝えていくかということだと思います。
であると私は思っております。意識啓発は、こういった名
小城市は平成17年に合併したんですけれど、合併して山から海までというひとつの市が誕生いたし
水サミットをこの美郷町で開催したり、あるいは水がいか
ました。その中でソフト的な理念として「スローライフ」ということを実は上げたんですね。「スロー
に貴重なものであるかということを、学習を通じて住民の
ライフ」っていうのは、本当に今までどんどんどんどん急いできた中で、もっともっと考え直すことが
理解を得たり、そしてその理解を、大人だけではなくて子
あるんじゃないのか、そして、急いできた中で、非常に便利になったけれど、なくしたものもあるん
どもたちも巻き込んで、幅広い年代で啓発活動をすること
じゃないかということで、その「スローライフ」という理念の中でテーマとして、山から海までの「水
によって、徐々に徐々に世代間の総合意識となって定着し
つなぎ」ということで、実は「スローライフ」をソフト版の理念として、いろんな形で方針を出して
ていくのではないかと思っておりまして、その広がりを持
きました。そういった中で水というものがいかに私たちの暮らし、産業、教育の場で影響があるのか
たせるために、意識啓発活動並びにその実績を、町民理解
ということを「スローライフ」運動の中でいろいろと示してきたということです。ですからそういっ
の元で積み重ねていくことが、今後とも必要なんだと思っ
た意味でも、水ということで端的にポンとやったんじゃなくて、「スローライフ」という大きなひとつ
ています。
の考え方の中で「水つなぎ」というこのテーマをしっかりと作りながらいろんな事業の中に水という
(関) ありがとうございました。私自身は九州の田舎の出身でありまして、お三方の地域が田舎だと
言うと失礼かもしれませんが、私が育った所と良く似ておりますので、私自身も身近に水もあって、
のを入れていったということです。そういったことを紹介しました。
(関) ありがとうございました。都会の方は皆さんの地元に比べたら、水を守ろうという潜在意識が
子どものころ川の中で遊んだなどの経験があります。
あっても取り組みがスタートしないということをどういうことをきっかけに、あるいはどういうアド
しかし、長く東京のような都会に住んでおりますと、当然のことでありますけれど、自分が飲む水
バイスがあるのかなと。もしございましたら都会の自治体の方、あるいは都会の住民の方に、みんな
というのは身近な水ではなくて、遙か彼方から、千明村長さんがおっしゃいましたように尾瀬の方や、
水の大切さを守らなきゃいかんと思っても身近ではなく距離感がありますので、なかなか取り組めな
いろいろな所からきているということで、身近に感じられないということがありまして、なかなか環
い人が多いと思います。そういう方に対して何かアドバイスをいただければと思います。千明村長さ
境意識と結びつけることが難しいのですが、一方で、環境省で仕事をしておりますと、年を追う毎に
んお願いします。
日本国民の環境意識は極めて高くなってきたとも思っております。30年ぐらい前に比べたら全然違う
ような時代になってきたと。ただ、具体的に何か身近なことで行動しようと、例えばゴミの分別をし
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(江里口) 水というものに対してどういう意識付けをもっていくかということだと思います。水とい
(千明) 先ほども少し発言させていただいた、都会の方々が水のありがたさをあるいは上流の人たち
の苦労がわかってもらえる人が少ない、そういうふうに感じます。
※3R(Reduceリデュース:発生抑制、Reuseリユース:再利用、Recycleリサイクル:再生利用)
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私、前にも水源税とかあるいは涵養森林税とかそういうものを国が制度として作って、そしてしっ
嵐というか、前に車がいてもライトをつけてもほとんど見えなくなる恐ろしいような所でして、そこ
かりと水源を守る自治体に配分して、そして負担を軽減するべきだと思います。そのような関係でそ
に中国政府は木を植えたんです。
ういった組織に入ったこともあるんですけれど、一向に会費をとられるだけで前に進まない。そういっ
樹種を選ばないとほとんど雨が降りませんので、普通の木を植えても枯れてしまう。どういう木だっ
たことで私の方はそれはやめて、何か機会があれば訴えていきたい。いずれにしても、良い水が飲め
たら生き延びることができるのかということを実験地を作っていろんな種類の木を植えてどうなるか
るということは、上流でどれだけの人たちが苦労しているのかという、それをやはり知ってもらう必
観察して最もふさわしい木で生き延びることができる樹種を見つけだして植林をするわけなんですね。
要があるんですね。
そういうのを見る機会がありまして。それに比べると、日本に戻ってくると、日本は何もしなくても、
(関) ありがとうございました。松田町長さん。
植林なんかしなくても雨が豊富にありますので、そういうことで我々水の重要さを肌身で知ろうと思
(松田) 今回の震災を踏まえて、失って初めてわかるものという概念をどう持てるかというのが出発
うと、見城先生のお話にもありましたけれども、そういうことを体験するのも大変いいのかなと。
点のような気がします。
これをいかに次の世代にそういう思いなどを伝えていくかという、これがまた重要だと思います。そ
水が大切だということは、誰もがわかっていても、実体験としては、「断水した」、あるいは「放射
れで最初に千屋小学校の皆さんと六郷中学校の皆さんがいきいきとした発表をしていただいて大変感
能汚染で水が飲めなかった」という経験をして初めて、水って大切なんだということがわかるんだろ
銘を受けたわけでありますけれども、この美郷町においては、環境教育なり学校の総合学習の中でう
うと思います。それを長続きさせるためにはどうするのか、ということが大切なんだろうと思いますが、
まく伝わっていっているのだと思いまして、大変うれしく思ったんですけれども、それぞれのパネリ
都会の方に限らず、今の日本は情報に溢れていて、次から次に新しい情報が来ることによって、前の
ストの地方自治体さんでも同じような取り組みを先ほどご紹介いただきましたけれども、おそらくしっ
情報、困った情報でも、楽しい情報でも、やや忘れてしまうという気がしてならないので、水に対し
かり伝わっているという楽観できる部分もありますけれども、こういうものを伝えていく時に、私ど
てのバーチャルな体験、あるいは「もし水がなかったらどうなるんだろう」という空想を喚起するよ
もの世代はまだ、便利じゃなかった時代に子どもの時を生きたという体験がありますが、便利の中で
うな取り組み、こういったものが必要なんではないかと思います。
育った世代というのは、そういう体験が少のうございますので、そういう意味で、豊かな中で育って
それは自発的に住民の方々で考えられる方もいらっしゃるでしょうが、なかなかそうもいかないで
きている今の若い世代の方に、いかにして水環境を守ったり、それを自ら努力して地域の方と連携し
しょうから、やっぱり行政関係者であったり、水の対して思いのある団体の方々が、「もしあなた、水
ていったりすることが必要だということをうまく伝えられているかという部分もあります。
がなかったらどうするんですか」「もしここに水がなくなった時に皆さんはどうしますか」というよう
そういう視点から、こういうことが重要だ、あるいはこうやってうまくいかなかったとか、こうい
な問いかけを、何かを通じて、何かの会合であったり、何かのイベントの際に情報発信するというこ
う点は留意すべきだ等々のご経験、ご意見、ぜひお伺いしたいと思います。
とが必要な気がします。
誠に自分の話で恐縮なんですが、私、学生時代、お金はありませんでした。ただ時間はたくさんあ
とだと思いますけれど、水環境をしっかり守っていくとい
りました。就職してみたら、少し給料を貰いますのでお金が出たんですが、その引き換えに時間をな
うこと、これは本当に大変なことだというふうに思ってお
くしました。やっぱり、失って初めてわかることってあるんだなと思って、これがすべてに共通する
ります。特にゴミの問題。先ほどビオトープとかポイ捨て
ような気がします。
の話をしましたけれども、例えば生ゴミの処理についても
(関) ありがとうございました。
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(江里口) 水環境を守っていく中でうまくいかなかったことですね。そういう事例はあるかというこ
いかに協力してもらって処理ができるかということで、昨
松田町長のお話で、失って初めてわかるものがある、あるいはない所に行ってわかるものがあると
年の水サミットを開催してもっともっと自分達の身近に
いうことはそのとおりでございますね。先ほど始まる前にお話させていただいて、今回の東京でも計
ある水環境をもう一回自分たちで保全をしていこうとい
画停電で町が真っ暗になりまして、私の住んでいる所も真っ暗になって、道路の自動車のライトしか
う市民運動をやりたいと、昨年パネラーの方にいろんなご
なくて、町が真っ暗なんですね。人口密集地帯で。そういうことになってみると、「灯り」というもの
意見をいただいたことを実際広めていこうと考えています
がいかに重要かという、誰にも教わらなくてもわかってしまう。やっぱり体験してこれは何とかしな
が、なかなかまだうまくいってない状況なんですね。これは簡単に言いますと、ホッカイロの使い捨
いと、町が全部真っ暗になるようなことになったら大変だということ、皆さんが心に沁みて思ったか
てを集めて、酸化した鉄を水路とか、汚い、濁っている所に置きますと非常に水が浄化するという簡
らだったと思います。
単なことなんですが、なかなかうまくいってないというのが現状です。もうひとつ非常に気になるの
水について、私の体験で恐縮なんですが、以前仕事でよく中国に行っておりまして、中国の北西部
は、先ほど見城先生も言われた森のことなんですね。実は、森が非常に今荒れてます。そういった意
の黄土高原で黄砂を巻き起こしているような所に行きますと大変で、あの辺は砂漠がどんどん北京に
味でも森をもっともっと本来の森に戻すことによってその水が海の方に流れていくということで、森
向かって広がっている所でありますけれど、そういう所に行く機会が何回かありまして、全然草木も
をもっと植林をしながらそして整備をして、昔本来の森に戻していくというのは非常に大事なことか
生えてなくて、その中に土で作った家でかろうじて暮らしている方がたくさんいて、風が吹いたら砂
なと、ですから森が今非常に荒れていますので、動物たちも里に下りてくるという悪循環になってし
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まっているのかなあと思っています。
(江里口) 私の方からひとこと申しあげたいと思います。実はこの水サミットのご縁のお話をしたい
ちなみに九州はイノシシですが、こちらの方は月の輪熊ですか、それが下りてくるという。動物た
と思いますが、私はちょうど3年ぐらい前になりますかね、おととしからこの水サミットに参加させて
ちには罪はないと思います。やっぱり荒れているからこそ、そういうふうな悪循環になっていると思
いただいておりまして、そういった中でそれぞれの地域が本当に水と共生をし、また水に感謝しなが
います。本当に森が荒れてきているのが現状じゃないかなというふうに思います。
らいろんな活動をされている状況を聞きながら本当に勉強になりました。そしてまた、こうやって皆
(関) ありがとうございました。引き続きまして千明村長。
様たちといろんな縁ができたということでございます。今回のこの美郷町のサミットからまた来年は
(千明) 先ほども申しあげさせていただきましたけれども、私の村の場合には森林を守る、あるいは
片品村ということですが、そういった意味でもぜひお互い参考にしながら本当に水のことに対して感
自然を守ることが水を守ることにつながるということで、子どもたちも自然保全学習とかあるいはま
謝をする気持ちをもっともっと持ちながらそして、いろんな勉強といろんな交流をしていきたいと思っ
たすぐ隣り村なんですけれども、「尾瀬高校」には自然環境を学ぶ学科もありますし、4年前に尾瀬国
ておりますので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
立公園が誕生したその年に、今の知事が「尾瀬学校」ということで、群馬県に生まれた子どもたちは、
(千明) 私の方は1年ほど前に松田町長さんから2年後の名水サミットを私の村で開催してもらえない
一度は尾瀬の貴重な自然に触れて、そしてその自然の大切さを学ぶという「尾瀬学校」がスタートし
かとそのような電話をもらいまして、その時はおそらくそれなりのレール、あるいはまた環境省の方
ました。それで今年が4年目になるんですけれども、当初は8,000人くらいだったんですけれど、今年は
で、次は2年後にはこういう形でというようにされていた
この「尾瀬学校」に県内の164校の11,100人を越える子どもたちがシーズン中に尾瀬に入って、そして
のかなと、そんなふうに感じて、ぜひ開催させていただき
その自然の大切さを学ぶ、そういった取り組みをしております。やはり子どもたちからそういった大
たいという話をさせていただきました。そういったところ、
切さを学んで、そして守っていくことが大切だと思っております。
そうではなくて主催する自治体が次の開催地にお願いする
(関) ありがとうございました。「尾瀬学校」年々参加者が増えてすばらしい取り組みだと思います。
んだと言われて、さて次はどこに回したらいいかと心配も
それでは松田町長さん。
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あるわけですけれど、参加させていただきまして、同じ湧
(松田) 子どもたちが興味を持つような情報提供の仕方をいかに我々ができるのかということが、子
水ですから水でもこの美郷町のように一軒一軒が地下水を
どもたちにとっては重要なことかなと思っています。大人の立場では、押しつけられることにある種
持ってそしてそのおいしい地下水を使っている。私どもで
の抵抗感を感じると思います。ですから、小城市の方で取り組んでらっしゃるストレスフリーという
は先ほども説明させていただきましたようにそういった自
のがよくわかります。
治体があるということをまったく知らなかったものですから、それでは水道料金はいらないんですか
一方で、子どもではどうかと考えると、押しつけるというほどではないかもしれませんが、それを
と言ったら、当然水道料金はなし。まあ電気料金がかかるということで、今回逆に停電になると大変
学ばなければならないという中で水環境について接することが、もしかすると、学ぼうとする動機に
な思いをするというように、それぞれが抱えている問題というのがあるんだなあと思いました。
なって、さらに学ぼうとする意欲がふくらんでいくというふうにつながってくると思うので、やっぱ
いずれにしても今日初めて参加をさせていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうござ
り豊かな生活の中で、実体験が少ない子どもたちが、根源的な水を大切にしなければならないと思う
いました。
ためには、一定の枠組みの中で水を勉強しないといけない、そして、勉強しなければならないのであ
(関) 最後の締めとなります松田町長お願いします。
れば、子どもたちが楽しめるような勉強のスタイルを工夫する、それの繰り返し、積み重ねが必要で
(松田) あまりプレッシャーをかけないでください。
あると思っております。
私、常々、縁というものを大切にしているつもりです。縁というのは、作ろうと思ってもできるも
ちなみに美郷町では、社会科と教育読本の中に水環境というテーマを設けまして、学校の先生方の
のではありませんし、ただ、その縁が、いろんな所でつながりが出てくるということもあって、縁と
協議の元で、美郷町の水について子どもたちが勉強しなければならない環境を作っています。
いうものは大切にしているつもりです。
それから、先ほど来紹介があります、七滝水の森植樹事業についても、子どもたちが木を植える意味
今回私がバトンを受け、そして渡すことができたのもひとつの縁だろうと思っています。また、小
がよりわかりやすいように、森林組合の方々から、森に木を植える意味を、植樹活動の前にレクチャー
城市から私どもに声がかかったのもひとつの縁だろうと思います。やっぱり縁が何かを生む、理屈で
をしてもらって、その上で植樹に臨んでいるということで、いくらかでも作業について、意味と楽し
はなくて何かを生むと考えた時に、その縁をいかに生かし切るかということに力を注ぐべきであろう
みがわくような工夫はしているつもりではあります。もちろん全員の子どもたちがしっかりとそういっ
と私は思っております。
たことで植樹に対して、あるいは水に対して意識が伸ばせたかということは自信がないんですが。
会場の皆様方も縁あってこの会場に足を運び、縁あっていろんな方と出会い、その縁が必ずいい方
(関) ありがとうございました。あっという間に時間が来てしまいました。最後に今回のサミットに
向に向かうであろうと思いますので、今回の名水サミットに参加したという縁で、いろんな部分でネッ
参加されて、聴衆の方もたくさんいらっしゃいますので、何かぜひひとこと言っておきたいというこ
トワークを築いてもらいたいと思います。もちろん我々美郷町も、今日参加していただいた自治体と
とを、短時間で恐縮でありますけれども、ございましたら一人ずつお願いします。
は水を介した縁というのを今後大切にしていきたいと思います。そして何より、この会場に足を運ぶ
34
大 会 宣 言
という皆さんは、水に対して思いがあると私は思います。
人が生きていく中で、物事について共通して分かり合えるということほど、実は力になることはな
いと思います。今後、水環境を守ろうという時に、分かり合える人がこんなにたくさんいるんだと思っ
た時に、ひとりひとりの活動にも力がこもるだろうと思いますので、今後とも、お互いに水環境を守
水はあらゆる生命の源であり、地域が誇る文化や伝統、産業を育くみ、私たちの暮らしを潤してき
ろうと誓い合うことをお願いをして終わりたいと思います。ありがとうございました。
ました。しかし、私たちのライフスタイルは大きく変わり、いつでも、どこでも水が使えるような生
(関) 短時間ではありましたが、大変それぞれお三方とも、地域の住民の方と一緒に水を守る具体的
な活動に取り組んでおられる方のご発言でありますので、説得力があって感銘深いものがありました。
ひとこと私から感想のようなものを恐縮でありますけれど述べさせていただきますと、やっぱり大
人はあまり強制されるとやらない、その通りだと思って、ストレスフリー、そのとおりだと思います。
1人の100歩よりも100人の1歩。これはたぶん大人がそういうふうなのではないかと思います。
片やこれからの世代の方は、青少年の方についてはやっぱりある意味で押しつけがいいと。環境教
育という形でしっかりと深く学んでいただくような仕組みがあった方がいいというのは大変私個人と
しても感銘深いお話でした。会場の皆さん、本当に大変ありがとうございました。
活に慣れ、使用量を年々増加させてきました。
水の源は豊かな森にあります。わが国は、国土の約3分の2が森林に覆われた世界有数の森林国です。
一方、世界の森林は、熱帯林の過剰伐採、砂漠化の進行や酸性雨などの環境変化により、この20年間で、
日本の国土の約4倍の面積が減少し、慢性的な水不足にあります。
水に恵まれた環境にあるわが国は、水資源に対する関心が低いといわれています。しかし、水は決
して無限ではなく、限りある共有資源であり、自然と調和し共存できる環境のもとでの水の量と質の
確保が必要です。
私たち「名水」を有する全国の市町村は、率先して故郷の自然、とりわけ水と森を大切にし、各々が「水
の語りべ」として、次世代へ「水環境の大切さ」を引き継いでいくため、全国さらには全世界におい
て水環境保全を訴えていくことを誓い、ここに第25回水環境保全市町村連絡協議会全国大会参加者の
総意をもって次のとおり宣言します。
大会宣言/次期開催地あいさつ 群馬県片品村長 千 明 金 造
私の村はまさに自然の宝庫であります。高地700mから
1,000mということで、夏は直射日光は熱いんですけれども、
夜になるとぐっと涼しくなって、ほとんどクーラーを持っ
ている家がないくらいな状況です。
去年のあの暑い猛暑の中でも、私も扇風機を使ったのが
幾日なのか、指で数えられるくらい。
私たちの村はそのように夜涼しく、そしてそれが夏場の
野菜をおいしくしています。一度片品村のトマト、トウモ
ロコシを食べたら他のものはもう食べられない、そのくらいおいしい所であります。ぜひとも来年は
一.水は限りある共有資源であることを認識し、水環境の学習活動を通じた
意識啓発に努めます。
一.水は自然との調和の中で維持されていることを認識し、森をはじめとす
る自然環境の保全活動に努めます。
一.名水の地として水環境を守ってきた先人の努力を認識し、かけがえのな
い水環境を未来へ引き継ぐ活動を続けます。
一人でも多くの皆さんが大勢、国立公園の里であります私たちの村に来ていただきたいと思います。
それでは大会の宣言を朗読させていただきます。
35
36
◆展示・物産
◆幹事会・全国大会
開催写真集
◆展示・物産
◆交流会
◆オプショナルツアー
◆幹事会・全国大会
37
美郷町特産品販売コーナー
美郷町の魚「ハリザッコ」の展示水槽
午前中に開かれた幹事会兼実行委員会
一般来場者受付風景
地サイダーと手づくりおやつで「おもてなし」
中国水墨画、水彩画の作品展示
会場前の沿道をのぼり旗でアピール
大会会場前の案内誘導係員
七滝土地改良区展示コーナー
水環境学習モデル校展示コーナー
全国6ブロックから出席された幹事の皆さん
全国大会に参列されたご来賓の皆さん
六郷高校書道部による水に関する習字展
名水百選パネル展示コーナー
38
◆交流会
39
◆オプショナルツアー
歓迎のあいさつをする美郷町議会 高橋議長
竹とんぼでサミットを応援した「環境フロンティア21」
スタートは名水市場湧太郎・水文館
名水があるところに造り酒屋あり
美郷町水環境マイスターも全国会員と交流
NPO法人環境フロンティア21 吉川理事長
高橋酒造工場見学
観光ボランティアガイドが「清水のまち」を案内
美郷が生んだ天才「いかさま」マジックショー
会場を爆笑の渦にしてくれたブラボー中谷さん
湧水が集まって流れを作る「御伊勢堂川」
木々に囲まれ涼しげな「藤清水」
町農産加工チャンピオン「まひるの恵」で歓迎
あっという間の2時間でした
石畳まで湛えた澄んだ水は、まるで大きな鏡
御台所清水で一息、冷たい水がのどを潤す
40
「全国名水サミットin美郷」アンケート集計結果
※ 来場受付数 400 人
※ 回答者数 196 人
※ 回答率 49.0%
1.性別は
男
アジサイや芝桜が四季の風情を楽しませる
道端や住宅の近くに点在する六郷湧水群
女
無回答
単位
計
125
71
0
196
人
63.8
36.2
0.0
100.0
%
2.年齢は
10 代
20 代
30 代
40 代
50 代
60 代
70 歳以上
無回答
計
0
5
14
12
40
76
49
0
196
0.0
2.6
7.1
6.1
20.4
38.8
25.0
0.0
100.0
3.職業は
児童・生
徒・学生
明治天皇御巡幸の折、献上された「ニテコ清水」
ニテコサイダー工場見学
会社員
自営業
公務員
主婦
無職
その他
無回答
計
1
21
51
19
40
39
19
6
196
0.5
10.7
26.0
9.7
20.4
19.9
9.7
3.1
100.0
4.美郷町の六郷湧水群が全国名水百選に選定されていることを知っていましたか。
知っていた
今日知った
無回答
計
183
11
2
196
93.4
5.6
1.0
100.0
5.本日のサミットが開催されることを何で知りましたか。(複数回答可)
ポスター
チラシ
道の駅「雁の里せんなん」で美郷のお土産探し
テレビ
知人
学校
勤務先
22
23
5
0
36
1
22
8.1
8.5
1.8
0.0
13.3
0.4
8.1
町広報
手づくり工房「湧子ちゃん」でひと休み
新聞
町 HP
開催案内
その他
無回答
計
80
14
65
2
1
271
29.5
5.2
24.0
0.7
0.4
100.0
6.本日のサミットの内容はいかがでしたか。
大変良い
まあまあ良い
あまり良くない
全然良くない
無回答
計
118
64
1
1
12
196
60.2
32.7
0.5
0.5
6.1
100.0
7.本日のサミットは、あなたが「水環境」について理解を深めることに役立ちましたか。
大変役立った
一面紫のラベンダー園で、摘み取り体験
41
まあまあ役立
った
あまり役立た
なかった
全く役立たな
かった
無回答
計
105
82
3
0
6
196
53.6
41.8
1.5
0.0
3.1
100.0
「べごっこまつり」で地場産黒毛和牛肉の試食
42
8.美郷町では、「水環境」を守るための様々な取り組みを行っていることを知っていますか。
よく知っている
知っている
あまり知らない
全く知らない
無回答
計
70
86
30
7
3
196
35.7
43.9
15.3
3.6
1.5
100.0
○人と自然(水)は、お互いの力を借り、共生していることが分かった。もっと水を大切にしなければと
改めて感じました。全日程終了に4時間かかる・・・少し長かった。(50代・女性・自営業)
○水の大切さをこれからも実践していきたい。災害ではたいへん役立ちました。(60代・男性・無職)
○水の大切さを改めて思い、子どもたちが安心して生活できるように水環境を次世代につなげたく思
い来年の片品村にも参加したいと思います。(70歳以上・主婦)
○美郷町の水環境に対する取り組みはすばらしい。(60代・男性・会社員)
9.本日のサミットや水環境に関するご意見などございましたらご記入ください。
○名水サミットが開催されたことたいへん良かったと思います。水と森は人間が生活する上で欠かせ
ないものです。水を汚さない、森林を守っていかなければならないとつくづく考えさせられました。
このサミットに関係した皆さんに感謝します。ありがとう。(70歳以上・男性・自営業)
○全国からたくさんのパネルを集めて、聞いたこともないようなところを見せていただきありがとう
ございました。(70歳以上・主婦)
○水の大切さ、子どもの時から関心を持たせる活動、すばらしいと思いました。私は「水のありがたさ」
の取組の情報発信元になっていただきたい。(60代・男性・無職)
○子どもの頃と比べ、今の水は汚れ川魚を食べる気になりません。これは人間が山を荒らしたからだ
と思います。住みやすくするといろんなリスクがつきます。どうか、良い水、空気の中で未来の人
たちが幸せになれるように祈っている次第です。(60代・男性・無職)
○本当によい意味でご縁が出来たと思います。ありがとうございました。(60代・男性)
○今までどおり、次の世代へと守っていただきたい。(70歳以上・女性・自営業)
を痛切に感じたのは、3月11日の停電時、水道の水が出たときです。地震で停電になっても、水を使
○水環境を守る担い手、子どもたちの発表がすばらしかったと思います。(20代・公務員)
用できる環境を作ってくれた関係者の皆さんに感謝します。(60代、主婦)
○水環境とそれを支えることの大事な要素の森林、今後も大事にしていかなければならないことを再
○愚息が水土里
(県土地連)に勤務しており、先般、被災地(宮城県)に赴きました。郷里の水、土地等を
守ることがいかに大切か、あらためて思い知った出張だったようです。名水は是非守り抜きたいと
痛感しています。(60代・主婦)
○自然水源を守りましょう。(70歳以上・男性・無職)
認識しました。若い人たちが未来に向かって進んでいこうという意欲を感じ、エールとともに拍手
を送りたいと思います。さて、私たちに出来ることは、と考えてみたいと思います。(60代・主婦)
○小中学校の発表がすばらしかった。子どもたちのアピールほど、大きく心に響くものはない。(60代・
男性)
○名水百選に入っている市長さんたちの話はとても理解しやすく、自分たちの知っていない様々なこ
○以前、美郷町清水めぐりを成人になった息子達としたことがありましたが、案内が不十分で非常に
とを知ることが出来ました。これからも自分たちの地域のために今以上に活動していきたいと思い
分かりづらかったです。知人に誘われて今日出席しましたが、想像以上に感動しました。このよう
ました。(60代・主婦)
なサミットがあることも知りませんでした。(60代・主婦)
○全国名水サミットなので、内容は一般向けというより会員向けという感じを受けました。児童生徒
○堅くない講演で良かった。(50代・男性・自営業)
の研究も良くなされていたと思いました。私も水環境マイスターなので、自主的に湧水調査をしてい
○何気なく使っている水だけれど、大切さを再認識しました。(60代・主婦)
ますが、冬季の水量低下がたいへん気になっています。地下水も大切に使う(節水する)ことが必要だ
○名水の郷を大切にしましょう。(60代・男性・自営業)
と思われます。大地震の停電で、清水は重要なライフラインであることを痛感しました。
(30代・男性・
○水の大切さを改めて深く感じました。他県のすばらしい取組を聞き、たいへん勉強になりました。
公務員)
○今まであたりまえと思って使っていた水ですが、今日本当に大事に使いたいと思いました。(60代・
主婦)
○原発事故後の「水」は一番気にかかることでした。名水が名水でなくなる日・・・声には出せないが、
誰もが心配していることだと思います。見城先生は最後に取り残された牛たちの映像を見せてくれま
参加して、たいへん良かったです。(60代・主婦)
○いつも何気なく使っている水ですが、今日の会で改めて水の大切さを痛感しました。これからは心
の片隅に水についての大切さを感じていければと思いました。(60代・主婦)
○水を守ることは大切だと思うが、町民としては一歩進んで、生活に農業に観光にどう活かすのかを
議論すべきと思う。(70歳以上・男性)
した。つらいけれど向き合わなければならない現状がそこにありました。名水が名水であるためにも、
○子ども達の発表がとても良かった。よく勉強していて、これからが楽しみです。(70歳以上・主婦)
いや人が人らしく生きていけるためにも、原発は順番に停止の方向へ向いてほしいものです。名水
○子ども達から元気をもらいました。(50代・主婦)
と放射能は共存できませんから。町の皆さまご苦労様でした。(50代・女性)
○使用水、飲用水ともに不自由なく暮らしている自分たちはなんて幸運なことなのかと感じました。
(70
○もっともっと子どもたちと「水」に対して興味を持てる活動、きっかけを作り出していきたいと思
いました。ありがとうございました。(30代・男性・自営業)
○水辺ウォーキングに参加しています。七滝山の植樹地を見て、10年後に植えた子どもたちと見に行
きたいと思います。(70歳以上・女性・無職)
○自然だけでなく、人と自分たちのつながりの大切さを伝えた子どもたちの発表に感動した。松田町
長が話された「価値観」についても考えながら、子どもたちがこの地で心豊かに暮らしていける未
来となるよう、みんなで取り組んでいかなければならないと思った。(50代・男性・公務員)
43
○名水に取り組む姿勢のすばらしさを再認識しました。美郷町が「かけがえのない水環境を未来へ」
歳以上・男性)
○水のない生活は出来ません。大切に清水を守っていかないと、守りたいです。地元の人間ですので、
訪れてくださる方達にお礼を言われたいです。(60代・主婦)
○農地水環境保全活動に携わってきた一人ですが、改めて水の大切さ、大事さを感じました。これか
らも名水を守っていきたいと思います。(70歳以上・男性)
○町長と若い学生達の向上心がよく分かるサミットでした。トップの志が町の若い者にも伝わってい
るものと感じます。(30代・男性)
44
○町の次世代を子どもに託す思いが伝わりました。名水をいろいろな意味で、研究でサポートできれ
ばとの思いです。「水プロジェクトの実践から次世代へのつなぎ」(60代・男性)
○冒頭の挨拶が少し長かった気がする。ポスターのデザインやロゴデザインが良かった。
(30代・公務員)
○海外旅行で水の尊さをしみじみ感じました。豊富な水でも日本人はもっと大切にすべきと思う。ご
みの不法投棄は絶対許せない。(60代・男性・自営業)
○山と川を大事に大切にしたい。(50代・男性・自営業)
大会シンボルデザイン
○開催時間が長い。もっとコンパクトな時間配分にしてほしかった。(60代・男性・自営業)
○水の大切さを知るために、大人が子ども達に将来に向かって何が重要なのかを知る(理解)ために水の
ない状況、水の不足している状況を体験してもらうことが重要。(70歳以上・男性・自営業)
○勉強になりました。見城先生の講義の最後のビデオを見させていただいて、とても心が痛みました。
同じ生きているもの同士なのに、動物であろうとあんな姿、状況になっている現実を知り、とても
恐ろしく思います。今日のサミットに参加できた人は幸せです。今日はありがとうございました。
(50
代・女性)
○見城先生の21世紀は水と森の時代の講演がとてもわかりやすくて良かったです。(世界の水不足、日
本7割が森林とのこと)(60代・女性・自営業)
○子ども達がふるさとの水環境を学習していることがすばらしい。クールビズ、節電の時にエアコン
を効かせすぎ。(50代・男性・自営業)
○美郷に住んでいながら知らない清水もたくさんあり、名水百選に選定されていることは知っていて
美郷町ラベンダー園
も、これほどすばらしいものだとは知らなかったです。美郷はすばらしい町だと誇りに思いました。
子ども達の発表や取組も感心しました。清水、水を大切に守ることは、不法投棄をしないなど誰に
でも出来る、心がけから成ることを教わりました。見城先生の講話は、福島県の映像が衝撃的でし
M、立ちのぼる水
た。見せていただいて本当に良かったと思います。早く安心して生活が出来るよう東北が一つになっ
「水:Mizu」のM、
「緑:Midori」のM、
てがんばるよう協力したいです。県外からの市長さん方のお話しもとても楽しく、勉強になりました。
そして「未来:Mirai」
のM。
遠いところから来ていただいてとても感謝します。
(40代・女性・会社員)
Mの文字をベースに、滴る水滴、
○今後も続けてもらいたい。(60代・男性)
水を通して町とヒトが交わるイメージを構成。
○子ども達のビオトープ活動の発表がとても良かった。パネリスト3名もとても良かった。
(60代・女性・
第25回の節目を迎え、名水をかかえる自治体が一堂に会し、
無職)
こころ新たに、かけがえのない水環境を次の世代に伝え紡いでいく決意を
○水の豊富なところに生活して幸せに思う。今後、水を大切にしたい。子ども達にも教えたい。
(70歳
M の一文字でイメージしている。
以上・男性・無職)
第 25 回全国水環境保全市町村連絡協議会全国大会
○見城先生のたいへん分かりやすい水に対する講話を聞きまして、田んぼを今まで以上に大切にしな
名水サミット in 美郷
ければと思いました。(50代・主婦)
○きれい事だけではない重いテーマも問題提起されて良かったと思います。(60代・男性・自営業)
○六郷小学校前の清水は何とかならないものか。秋から冬にかけて半分の清水が枯れてますが、どう
思いますか?(70歳以上・女性・無職)
○小中学校の発表はすごいものでした。(50代・主婦)
○他都市他県の水環境が良く管理されていて感動しました。美郷町においても力を入れて、予算あれ
ばと思います。(70歳以上・女性・無職)
○水、山や森林の整備が必要であることはもちろんですが、子ども達も良く理解することができ、た
いへん良いサミットであったと思います。ありがとうございました。(60代・主婦)
国際森林年記念
開催報告書
平成 23 年 9 月
全国水環境保全市町村連絡協議会
開催事務局:秋田県美郷町
〒019-1541 秋田県仙北郡美郷町土崎字上野乙 170 番地 10
美郷町役場 住民生活課内
TEL0187-84-4903 FAX0187-85-2107
○水に対する大切な気持ちがさらに大きく感じ、来年も参加させていただきたいと思います。(70歳以
上・女性・自営業)
45
この開催報告書は、平成 23 年 7 月 1 日/ 2 日に開催された「名水サミット in 美郷」に
おける講演内容等をまとめたものです。報告書記載内容の無断での転載を禁じます。
この事業は、
(社)国土緑化推進機構から「緑の募金」の助成を受け実施されました。