インテリアコーディネート 1.インテリアコーディネーターとは • 「(社)インテリア産業協会」が実施・認定している資格です。現在は受験・ 登録ともに条件は特になく、誰でも取得可能となっています。一次試験は 学科試験となっており、「技術編」と「販売編」に分けられマークシート式 で答案をおこないます。二次試験は作文および平面図、立面図、パース 等によって表現するインテリアプランニングが出題されます。 • これまでの状況をみると、毎年の一次試験と二次試験を合わせた最終 合格率は20%前後となっています。ちなみに、昨年(平成16年)に実施さ れた第22回インテリアコーディネーター試験では、最終合格率は21.0% でした。(一次試験合格率は26.6%と公表されており、全国で15,755名の 受験者のうち4,183人が合格しています。また、二次試験は合格率57.8%、 5,845人の受験者中、3,376人が合格となっています。) • このように合格率だけを確認するとやや狭き門という印象を受けるかも しれませんが、入試試験のように合格枠が決められているわけではない ので、一定以上の得点さえ取れれば合格できます。学科試験に関してい えば、範囲が幅広いところがやや難点ですが、ひとつひとつの問題は基 本的なものがほとんどです。 2.学科試験の範囲 • 学科試験は「インテリア商品と販売」と「インテ リア計画と技術」とに大別され、各々100分の マークシート式による試験が行なわれます。 合否はそれぞれ別に判定されますが、どちら とも合格にならなければ一次試験合格となり ません。ただし、どちらか一方が合格した場 合は、次回に学科試験を受けるときに合格し た方の試験は免除可能となります。(受験費 用は変わりません。)なお、それぞれの試験 範囲は次のようになっています 【インテリア商品と販売】 • • • • • • • • • • • ①材料・・・・・・・ 床材/塗料/ガラス/石材/左官材/下地材/仕上げ材 な ど。 ②構造と施工・・・・ 下地、造作の構造・各施工方法/納まり など。 ③インテリア計画・・ 動作空間/人体寸法/各種インテリア寸法 など。 ④室内環境・・・・・ 採光/音(吸音・防音)/熱(換気・結露) など。 ⑤設備・・・・・・・ 電気/給排水/ガス/冷房/空調/暖房/換気/照明/キッ チン など。 ⑥ファブリックス・・ カーテン/ブラインド/カーペット/繊維 など。 ⑦照明・・・・・・・ 照明器具/光源/建築化照明 など。 ⑧家具と建具・・・・ イス/テーブル/ベッド/仕口・継手/窓/扉(障子)/錠 前/床の間/ヒンジ など。 ⑨インテリア販売・・ コンサルティング/情報/マーケティング(商法)/積算・見 積 など。 ⑩法規・・・・・・・ PL法/消費生活用製品安全法/家電リサイクル法/各種マー ク など。 ⑪一般常識・・・・・ 植栽/テーブルウェア/陶磁器/食器/和洋屋外設備/環 境 など 【インテリア計画と技術】 • • • • • • • • • • • ①材料・・・・・・・ 木材/石材/コンクリート/ガラス/セラミック/左官材/下地 材/仕上げ材 など。 ②構造と施工・・・・ 在来工法/2×4工法/RC造/S造/プレハブ/小屋組/ 壁/天井/金具 など。 ③表現技法・・・・・ 図面読解(間取り)/製図記号/表現技法(図法) など。 ④インテリア計画・・ 人体寸法/動作空間/インテリア寸法/室内寸法/人間 工学/インテリア計画 など。 ⑤室内環境・・・・・ 採光/照明/音(吸音・防音)/熱(換気・結露) など。 ⑥設備・・・・・・・ 電気/給排水/ガス/冷房/空調/暖房/換気 など。 ⑦インテリアの歴史・ 西洋様式/和様式/モダンインテリア/デザイナー など。 ⑧色彩と造形・・・・ 色彩/造形関連(黄金比/オーダーなど) など。 ⑨インテリア販売・・ 情報(パソコン) など。 ⑩法規・・・・・・・ 建築基準法(内装制限)/ハートビル法/品確法/消防法/各 種規格 など。 ⑪一般常識・・・・・ 住宅産業/自然環境問題 など。 • 「インテリア商品と販売」は主にインテリアに関わる 商品を販売する上で必要な知識を確認する試験とし て、また、「インテリア計画と技術」はインテリアの計画 や設計、施工業務に関わる上で必要な知識を確認す る試験として区別されているようです。しかし、試験範 囲を確認するとお互いに重複している部分も少なくな く、試験範囲に明確な線引きがされているわけではな いので、別々の試験として考えるよりは、まとめて一つ の試験と考える方が良いと思います。そのような視点 からインテリアコーディネーター学科試験の範囲をま とめてみると次のようになるかと思われます。 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ①建築材料 木材・木質材/石材/コンクリート/ガラス/セラミック/塗料/左官材/下地材/仕上げ材 など。 ②建築工法・施工 在来工法/2×4工法/RC造/S造/プレハブ/小屋組/壁/天井/床/金具 など。 ③設備・環境 採光・照明/電気/給排水/ガス/冷暖房/空調/防音・吸音/キッチン など。 ④インテリアエレメント イス/テーブル/ベッド/窓/扉/錠前/床の間/ヒンジ/カーテン/ブラインド/カーペット/繊維 など。 ⑤歴史様式 西洋様式/和様式/モダンインテリア/デザイナー など。 ⑥インテリア計画(寸法関係) 人体寸法/動作空間/インテリア寸法/室内寸法/人間工学/インテリア計画 ⑦表現技法 図面読解(間取り)/製図記号/表現技法(図法) など。 ⑧法規 建築基準法/ハートビル法/品確法/消防法/PL法/安全法/家電リサイクル法/各種マーク各・規格 な ど。 ⑨その他(一般常識等) 色彩/造形/コンサルティング/情報/マーケティング(商法)/積算・見積/パソコン/植栽/テーブルウェ ア 陶磁器/食器/和洋屋外設備/住宅産業/自然環境問題 など。 ①学科試験の概要 • 学科試験は「インテリア商品と販売」・「インテリア計画と技術」ともに25問となっています。各問 題は5つの記述の中で誤っているもの、もしくは正しいものを2つ選択する形式か、5つの記述に 対して該当するものを語群の中から選択するといった形式になっていて全て記号(マークシート) で解答します。合格ラインは明確にされていないのではっきりとはわかりませんが、おおよそ80% 以上の正答率であれば、まず合格と考えてよいと思われます。問題は「次の1~5の記述につい て、不適当なものを2つ選択しましょう。」とか「次の1~5の記述について、それぞれ下の語群か ら最も適当なものを選択しましょう。」といったタイプが今まで多くみられます。しかし、それら問題 の中に「適切なものを2つ選択しましょう。」とか「語群より不適切なものを選択しましょう。」といっ たパターンが混ざることもしばしばあるので、問題は必ずきちんと確認することを心掛けましょう。 試験は前述した範囲から全般的に出されるため、どこが特に重要というのは示しにくいですが、 例えば普段仕事で関係しているような分野でしたら、その部分は問題集で傾向をつかんでおけば 十分ですし、法規や一般常識などは、わりと普段の生活の中で予備知識が備わっている部分も 多いので、ポイントをいくつか抑えておけばさほど問題はないでしょう。建築士の資格試験のよう に科目に応じて最低必要点などは特にないようなので、場合によっては「ヤマをはって苦手な部 分は捨てる」という方法もなくはないですが、インテリアコーディネーター資格試験の場合ではあま り得策とはいえないでしょう。マークシート式だからこそ、うろ覚えの知識でも問題を解く大きなアド バンテージとなることは多いです。ざっとでもいいですから問題集などは一通り目を通しておく事を お勧めいたします。 ②試験勉強にあたって • • これから試験勉強を進める上で、十分な時間と気力がある方は参考書などをコツコツと勉強して いくのも手ですが、これだけ試験範囲が広いと、じっくり勉強するにはかなりの時間を必要としてし まいます。資格試験の場合は当然資格取得が目的ですから、効率よく学習するということも必要 となってきます。私がオススメする方法としては、とりあえずわからない部分はわからないまま問 題集に取り掛かり、答え合わせをしてみます。この場合、答えが合っているかどうかよりも、「自分 がその問題を十分理解できているか?」が大切になります。ですから、例え間違っていたとしても、 解答を確認してみて「なるほどそういうことか。」と合点がいくのであれば、それで良いわけです。 反対に解答を見てもチンプンカンプンなのであれば、その問題に対しての知識はほとんど備わっ ていないということになるでしょう。そういった部分に対しては後である程度基本的な知識を補完し てあげる必要があります。問題集の「解説」やその他の資料を参考に確認するようにしましょう。ま ずはそのような感じで問題集の星3つ(☆☆☆)以上の問題を一通り確認してみてください。これ だけでもかなりの効果がありますが、その後まとめて特に補足が必要な部分をフォローしておくと より確実です。 また、なるべく毎日、少しでもいいので問題集に取り掛かることが一番効率がよい取り組み方だと 思います。というのも、とても広い範囲から販売編・技術編あわせてもたった50問しか出題されま せん。これら50問は各問題等価に扱われますから、どの問題が重要とは一様に判断できません。 言い換えれば、問題の重要性などからポイントを絞って勉強をするのは適当ではないということに なります。どうせ全般的に勉強するのであれば、1週間まとめて勉強するよりも、毎日のんびりと 勉強する方がゆとりもあって能率的です。 ③用語集の紹介 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • ●Interior Zukan ・http://www.icoffice.co.jp/zukan/index.htm#top インテリアコーディネーターのNaokoさんが作成しているホームページです。説明されている用語の数はそれほど多くはないですが、図説や写真が ほとんどされていて、現物を見る機会が乏しい人にとっては参考になる情報が多いです。インテリアコーディネーター資格試験を視野に入れた用 語集なので、一度はのぞいてみるとよいでしょう。 ●建築用語小事典 ・http://www.watanabegumi.co.jp/pavements/knowledges/cod_.html 図説はありませんが、とても多くの専門用が説明されています。(特に建築に関係する用語(大工用語なども含めて))説明文中に出てきた専門 用語はリンクしている場合が多く便利です。 ●住宅用語大辞典 ・http://www.jj-navi.com/edit/dictionary/index-j.html 「住宅情報ナビ」のホームページに掲載されている用語集です。一部図説も入っており、一般の人でも分かりやすい解説がされています。 ●用語集 ・http://www.reform-net.com/yogo/ 「リフォームネット」のホームページに掲載されている用語集です。あいうえお順による検索以外にも、カテゴリー別の検索も可能となっています。 上記の「住宅用語大辞典」と同様に解説も分かりやすいです。 インテリアコーディネーター2次試験 対策 • 平成22年度までの2次試験は、論文試験で 80分、プレゼンテーション試験で140分と試験 自体が二つに分かれていましたが、平成23 年度からは「論文・プレゼンテーション試験」と して一つになり、試験時間も180分に短縮され ました。 インテリアのアイソメ図、スケッチパー スのポイント • アイソメ図やパースと聞くと、ほとんどはじめて チャレンジする人や絵などを描くのがあまり得意 ではない人は「難しそう・・・」と思いがちですが、 ポイントさえ押さえて描くことができれば大丈夫 です。アイソメ図やスケッチパースの場合は絵と して上手に描くことは必ずしも求められていませ ん。それ以上に、各インテリアエレメントのレイア ウトやサイズの正確さが評価の大きな対象とさ れるものと思います。したがって、まずはアイソメ 図、スケッチパースそれぞれの描き方のノウハ ウを身につけましょう。その上で、下記のポイント に気を配るとよりよいものとなるでしょう。 ①描きやすいインテリアエレメントを用 意しておく。 • 平面図では記号的にインテリアエレメントを表記すればいいです が、アイソメ図やパースとなると、家具やカーテン、植栽なども「そ れらしく」表現する必要があります。試験時間は限られているので、 いざアイソメ図やパースを描くときになってから、「さてどうしよう。」 と悩んでいては時間がかかってしまいます。ダイニングチェアやソ ファ、テーブル、ベッド、カーテン、各種照明器具、植栽など描くこと が求められそうなインテリアエレメントは、自分の描きやすいデザ インを練習して用意しておきましょう。この場合、いずれも個性的な デザインを意識する必要はありません。むしろスタンダードな表現 で描けるようにしておいた方が好ましいでしょう。最も難しいのは チェアです。ダイニング用はスツールでも可とは思いますが、背も たれのあるチェアの方がベストです。また、書斎では肘掛け付きの チェアが望ましいです。 ②かたいモノとやわらかいモノを描き 分ける。 • 家具や部屋などかたいものはしっかりとした 線で描きます。全てフリーハンドでも可という ような場合でも、直線部分は定規を用いて描 く方が無難です。また、カーテンや植栽などや わらかく、不定型なモノは強弱をつけた線で 表現するとそれらしく描くことができます。 ③全体のバランスを確認する。 • 「木を見て森を見ず。」という言葉がありますが、 アイソメ図やスケッチパースもディテール部分だ け熱心に描いていると、全体のパースラインと崩 れていることに気付かない場合があります。ディ テールの表現にこだわるよりも、全体を見たとき に不的確な線がないかを気をつけた方が適当で しょう。不適当な線があるかどうかは、全体を見 て違和感がないかを目安にするといいでしょう。 特にパースは人の目によるモノの見え方を表現 するための図法なので、見た感じで違和感があ るのであれば、どこか不的確な線があると思わ れます。 ④楕円をなめらかに描く。 • 平面図上で円のモノはアイソメ図やパースで描く 場合、楕円で表現することになります。円は意外 とインテリアの中に見られて、例えばダウンライト やコードペンダントなどの照明器具や、植木鉢な どに見られます。直線は定規で引けるので良い ですが、楕円をフリーハンドでなめらかに描くの は難しいです。楕円の乱れは目立つので注意が 必要です。慣れないうちは台形のグリッドを描い て、それを目安に楕円を描いてあげるといいで しょう。 過去の着彩に関する出題 • 色鉛筆による着彩が2次試験に取り入れられ たのは平成17 年度の第23 回プレゼンテー ション試験からとなります。過去のインテリア コーディネーター2次試験の出題傾向から確 認すると、色鉛筆による着彩は、問題文中に も明記されている通り、補助的な要素として 求められており、絵画のような美しさを求めら れている訳ではないので、必要以上に時間を かけて着彩を丁寧に仕上げる必要はないと 思われます。 色鉛筆による着彩の注意事項 • • • • • ①「塗り絵」的にならないようにしましょう。特に鮮やかな色で面を塗りつぶしてし まうと塗り絵のような幼稚な仕上がりになってしまう危険性があります。 ②淡い色(高明度・低彩度)の色から着彩していきましょう。鉛筆による輪郭線を 生かす様に(輪郭線が不明確にならないように)塗っていきます。淡い色を濃くす ることは容易ですが、高彩度の鮮やか色や、低明度の暗い色を淡くすることはし 難いです。徐々に濃い色をのせていくような感じで仕上げて行くとよいでしょう。 ③淡い色を塗る場合は、鉛筆の線で汚れない様に、鉛筆の線に気をつけましょう。 また。なるべく手を紙につけないで塗るようにしたいです。手によってこすり、紙面 を汚してしまう可能性があります。着彩が求められている場合は、フローリングや タイルなどの目地などは着彩時に表現するのも方法です。 ④パースなどの場合、同じ色でも面によって濃さを調整し、塗り分けると立体感が でます。濃さを変える場合は、塗りの密度などで調整する他、同系色の濃い色を 少し被せる方法もあります。 ⑤インテリアコーディネーター資格試験の場合、住宅を前提とした問題が出題さ れるので、暖色系を用いることが無難です。寒色系はフローリングのブラウン系 統の色とはなじみにくく、カラーコーディネートが難しくなります。 色鉛筆の選択 • 色鉛筆もピンキリで様々なものがあります。安いものだと12 色入りの色 鉛筆が100 円ショップなどで売っていますがオススメはできません。一般 的に安い色鉛筆は蝋(ロウ)の含有率が高く、塗りつぶすと不要な光沢が 出てしまいます。また、混色しにくく、消しゴムでも消えにくい短所があり ます。→200円/色 • 高価な色鉛筆であればなんでも良いというわけではありません。色鉛筆 の中には、水彩色鉛筆といって、水で滲むタイプのもあります。当然なが ら汗などでも滲んでしまうので、プレゼンテーション課題には不向きです。 パッケージに明記されていますので購入の際には気をつけてください。 • 一般的に12 色基本セットは白、黒を除いて彩度の高い色(原色)がほと んどなので、インテリアの着彩に用いるには不向きと思われます。(イン テリアのカラーコーディネートは洋服のコーディネートと似ています。色味 の強いものだけで構成するのは難しいです。)出来ればバラ売りのもの から使いやすい12 色を選びたいところです。基本的には彩度のあまり高 くない色が使いやすいでしょう。理想的には48 色セットくらいの色鉛筆を 購入し、自分自身でいくつか着彩をしてみて、使いやすい色を選びたいと ころです。
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