― 健やかな体と、人や自然を愛する広い心の育成を目指す ― (人とのつながりを通して) 越前市味真野幼稚園 1 幼稚園の実態 ・本園は越前市の東部に位置し、 「万葉の里」と呼ばれている味真野地区にある。歴史が 古く、史跡や文化遺産の豊富なところであり、扇状地のあちこちから清水が湧き出る 自然豊かな地である。小学校校庭のエドヒガンザクラを始め、季節を彩る様々な木々 が園庭にもあり四季折々の自然を感じながら、のびのびと園生活を送っている。 ・小学校に併設しているので、日常的に小学校の児童が園庭や園舎を訪れており、交流 の機会に恵まれている。 ・保育園児や地域のいろいろな人々とも交流を図り、同年齢や幅広い年齢層の方と触れ 合う経験を積み重ねていく中で、多様性のある刺激を受けて、意欲や向上心、社会性 が育まれるような園活動を続けている。 ・祖父母同居が多い地域で、育児を積極的に支援してもらい、行事にも世代を超えて参 加し協力的である。 2 活動のねらい ・ 小学校生活に、安心感と期待感が持てるよう、保幼小連携活動を行い、育ちを学校へ とつなげる。 ・ 子ども主体の遊びや様々な体験を楽しむ中で、心も体も健やかに育む。 ・ 地域の文化、自然に触れ合い情操を育てる。 ・ 身近な人々や地域の人と触れ合いを通して豊かな人間関係を育てる。 3 ねらいに伴う実践例 ① 保幼小交流活動 ・1,2年生のおもちゃランドに招待され、近くの保育園児とと もに参加した。様々なおもちゃコーナーに興味を持ち、小学生 に遊び方を教えてもらい楽しむことができた。また、刺激を受 けたので園で再現して遊ぶ姿が見られた。 ・小学校の図書館で、毎週絵本を借りたり、体育館で遊んだりし て小学校を身近に感じることができた。 ・お店屋さんごっこでは、三人で品物を作ったり、ポスターを書いたりお金や財布を作 ったりして1年生を招待した。たくさんお客さんが来てくれ、お店屋さんでの会話や かかわりを楽しむことができた。また、遊びの中で、数やお金への興味も高まった。 ・ 保育園児と東運動公園で、秋のミニ運動会を実施した。味真野地区 の5歳児が、一緒に力いっぱい走ったり踊ったり一緒にお弁当を食 べたりして、交流を深めることができた。 ・ 幼稚園で保育園児を招待し、給食試食会をした。小学校での給食の 当番体験やマナーなどを丁寧に教えてあげる姿が見られた。 ★保育園と幼稚園と小学校の三者で、昨年の反省を踏まえ、交流活動に向けて、 「幼保交 流活動年間計画」を作成した。活動後は、三者で活動の反省や子どもの様子について、 話し合いをする場を設け、今後の指導へとつなげることができた。 交流を通して、友達の名前を覚えたり、味真野小学校で再会を楽しみにしたりする姿 が見られた。また小学校生活に対して、安心感や期待感が持てた。 ② いろいろな体験を通して、考えたり思いを出し合ったりしてあそぶ。 ・郵便屋さんごっこでは、郵便局を見学することで、ポストやは がき、切手を作ろうと遊びが盛り上がり、友達や先生、小学生 にはがきを書いた。役になりきり、喜んでスクーターに乗って はがきを配達する姿が見られた。数字や文字に興味を持ち自主 的に取り組む姿が見られるようになった。 ・探検ごっこでは、探検ポイントを作り、親子で、種さがし、鳥探し、よく飛ぶロケッ トづくり、学校探検など、日頃の遊びを取り入れて遊んだ。親子で考えたり探したり 挑戦したりして、触れ合いながら楽しく遊ぶことができた。 ・ハロウィンごっこでは、思い思いの衣装を作り、英語教室で習 った簡単な歌やことばを使って表現する楽しさを味わうことが できた。 ・製作コーナーでは、廃材を使ってイメージを膨らませ意欲を持 って作る姿が見られる。時には、三人で、イメージを共有し、 考えを出し合いながら製作する姿も見られる。 ・クッキングでは、地域の方に頂いたいちごでジャムを作ったり、豆を煮たり、園でで きた夏野菜を切ったり皮をむいたりする体験を通して食に対する関心が高まった。 ★遊びのきっかけとして、体験活動や環境を工夫し、子どもの発想や挑戦しようとする 姿を認め、発展を見守っていくようにした。とまどったら、教師も一緒に考えたりヒ ントを出したりして、達成感を味わうことができるようにした。 ③ 健康な心や体つくり ・一人一人に「がんばりカード」 (竹馬、のぼり棒、縄跳び、跳び箱、自転車など)をつ くり、友達と競い合いながら意欲を持って取り組めるようにした。 ・散歩では、味真野地域の自然や文化になるべく触れる機会を多く持つようにした。地 域の人や文化、自然の移り変わりを身近に感じることができた。 ・学校の味真野タイムでは、校庭の桜の周りを小学生と一緒にマラソンをした。 ★友達とかかわって遊ぶ楽しさや、できなくても最後まであきら めずにやり抜こうとするたくましい気持ち、友達を励ましたり 認め合ったりする優しさが見え、心身ともに育ちが見えた。 ④ 地域の文化や自然の中で情操が育つ ・ 味真野小学校の伝統行事である「茶摘み」に参加したり、『お茶会』で地域の人たち を招待し、お抹茶のおもてなしをしたりした。 ・ 小学校の校庭の桜が満開の時は、小学生や地域の方と一緒に、お花見会をした。その 中で桜の花を大切に守って行こうとする気持ちが芽生えた。 ・ 散歩時には、地域の方にすすんで挨拶をしたり、季節の樹木や畑の様子について教え てもらったりした。幼稚園で自分たちが育ててきた野菜の栽培について振り返る機会 となった。 ・ 地域の合唱サークルの方々が来園し、昔ながらの童謡に親 しんだり、伝承遊びを一緒に楽しんだりした。 ・亳攝寺で「のゑ女法要」に参加させてもらい、その由来 を聞き、感謝の気持ちを持って静かにお参りをすることが できた。とても良い情操教育の場となった。 ★ 自分たちの郷土の特性を知ることで、郷土愛が芽生えていくことを日頃より大切にし ている。 ⑤ 身近な人や地域の人たちとの触れ合うなかで、人間関係が育つ ・いちご狩り、ぶどう狩り、さつま芋掘りなど地域の人に お世話になった。園行事には、招待し園児と交流し親し みを深めることができた。 ・ボランティアの方の絵本読み聞かせ、ALTの英語教室、 地域の方の習字教室やゲストティーチャーのお茶教室で 楽しく学ぶことができた。 ★他の保育園、小学生、地域の人,ボランティアの人、お年寄りと触れ合う中で人間 関係が豊かになった。 4 成果と今後の課題 ・「幼保交流活動年間計画」を作成し、それを活用し年間通して計画的に交流ができた。 無理のない活動で、楽しく交流でき小学校への期待も膨らますことができた。交流保 育の大切さがわかり、今後も継続して「交流活動年間計画」を作成していきたい。 ・園児数が少ないが、少人数なりの遊びやルールを考え、経験させたい遊びをいろいろ 取り入れた。その中で、協力したり、責任を持って役をこなしたり意欲を持って遊ぶ ことができた。また、集団遊びも交流保育の中で経験することができ、大勢の中で遊 ぶ楽しさも味わうことができた。 ・ 「がんばりカード」を作ることでいろいろな運動に挑戦することができた。目標に向か って頑張る姿が見られ達成感を持ち、できたことを保護者にも伝え、親子で子どもの 成長を一緒に喜び合うことができた。 ・地域の文化や自然が豊かなところなので、小さい時から関心を持たせていきたいと地 域に出ていき、地域の人とのかかわりを多く持つようにした。すると、子ども達も親 しみを持って地域の方と交流を楽しみ、関心を持つことができた。 ・保護者との子育て相談では、子どものかかわり方や園での様子などをお互いに伝え合 い、安心してもらえるよう信頼関係を深めた。
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