帰国報告書 - 東京工業大学

平成 27 年度
文部科学省支援事業
大学の世界展開力強化事業
グローバル理工系リーダー養成協働ネットワークプログラム
Tokyo Institute of Technology
International Research Opportunities Program (TiROP)
先進理工系大学体験型短期派遣
英国超短期海外派遣プログラム
帰国報告書
東京工業大学
国際部留学生交流課
平成 27 年 10 月 28 日
目次
第一章
地図…p.1
第二章
プログラムの目的…p.2-3
第三章
研修日程・費用…p.3
第四章
参加学生の紹介…p.4-5
第五章
英国の概要…p.6-14
第六章 訪問先の詳細
第一節 訪問大学
第一項 インペリアル・カレッジ・ロンドン…p.15-16
1. 大学概要
2. 大学紹介・キャンパスツアー
3. 工学部概要
4. ロッド・スミス教授によるロンドン市内ツアー
5. その他
第二項 オクスフォード大学…p.17-19
1. 大学概要
2. カレッジ概要
3. 見学シンポジウム
4. カレッジ・ツアー
5. その他
第三項 ケンブリッジ大学…p.20-22
1. 大学概要
2. カレッジ概要
3. 工学部概要
4. 曽我健一先生による特別講義概要
5. 飯田史也先生の研究室
6. カレッジ・ツアー
7. その他
第二節 訪問企業
第一項 ミニ大田/ ミニ・オックスフォード工場…p.23
1. 企業概要
2. ツアー概要
3. その他
第二項 BBC ラジオ・ケンブリッジシャー…p.24
1. 企業概要
2. ツアー概要
3. その他
第三節 訪問施設
第一項 科学博物館…p.25
第二項 ケンブリッジ大学 ガードン研究所…p.26
第三項 ケンブリッジ大学 キャヴェンディッシュ研究所…p.27
第四項 ケンブリッジ大学 天文学研究所…p.28
第七章
自主活動報告…p.29-35
第八章
所感…p.36-38
2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第一章
地図
第二章 プログラムの目的
第一章 地図
第二章 プログラムの目的
本プログラムは 3, 4 年生の参加については、グローバル理工人育成コースの下記の4つの
プログラムのうち、4) 実践型海外派遣プログラムの一環として実施される。
1) 国際意識醸成プログラム:
国際的な視点から多面的に考えられる能力、グローバルな活躍への意欲を養う。
2) 英語力・コミュニケーション力強化プログラム:
海外の大学等で勉学するのに必要な英語力・コミュニケーション力を養う。
3) 学技術を用いた国際協力実践プログラム:
国や文化の違いを越えて協働できる能力や複合的な課題について、制約条件を考慮し
つつ本質を見極めて解決策を提示できる能力を養う。
4) 実践型海外派遣プログラム:
自らの専門性を基礎として、海外での危機管理も含めて主体的に行動できる能力を養
う。
グローバル理工人育成コースにおける 4) の実践型海外派遣プログラムのねらいは、1) - 3)
のプログラム履修後に学生を海外に派遣し、現在まで育成された能力を活用し、自身の今
後の研究やキャリア形成の参考となるような経験を積むことであり、本コースの集大成と
して位置づけられている。
実践型海外派遣プログラムは、下記の4つの能力の育成を目指すものである。
1) 自らの専門性を基礎として、異なる環境においても生活でき、業務をこなす力を持ち、
窮地を乗り切るための判断力、危機管理能力を含めて自らの意思で行動するための基
礎的な能力を身につけている。
2) 異文化理解が進み、相手の考えを理解して自分の考えを説明できるコミュニケーショ
ン能力、語学力、表現力を身につけている。
3) 海外の様々な場において、実践的能力と科学技術者としての倫理を身に着け、チーム
ワークと協調性を実践し、課題発見・問題解決能力を発揮して、新興国における科学
技術分野で活躍するための基礎的な能力を身につけている。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第一章
地図
第二章 プログラムの目的
また、本プログラムは、文部科学省 大学の世界展開力強化事業「グローバル理工系リーダ
ー養成協働ネットワーク」先進理工系大学体験型短期派遣としても実施される。
「大学の世界展開力強化事業」とは…国際的に活躍できるグローバルな人材の育成と大学
教育のグローバルな展開力の強化を目指し、高等教育の質の保証を図りながら、日本人学
生の海外留学と外国人学生の戦略的受入を支援する事業。アジア・米国・欧州等の大学と
の国際教育連携を目的として、文部科学省により平成 23 年度から開始された事業で、本学
からは次の 2 件が採択。
(ア) 「日中韓先進科学技術大学教育環」
(TKT CAMPUS Asia)
(イ) 「グローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク」(TiROP)
「グローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク」とは…英語名称 Tokyo Institute of
Technology International Research Opportunities Program(通称 TiROP)は欧米・アジアの理工
系トップ協定大学との連携のもと、学部入学から大学院修了・就職まで一貫した国際人教
育を行うグローバル理工系リーダー養成システム。教育の質の保証を伴った理工系学生の
新たな交流モデルを確立し、国際協働教育の共通基盤ネットワークを形成することを目指
す。協定大学 17 校との間で学生の受入れ及び派遣を実施。
(ア) 学生受入 ①「サマープログラム」 ②「大学院共同指導プログラム」
(イ) 学生派遣 ①「研究と授業」 ②「研究中心」 ③「短期派遣」
「先進理工系大学体験型短期派遣」とは…本学の学部生を協定大学に短期間(10 日間程度)
派遣し、現地教員から直接指導等を受けることで国際意識の涵養を図るとともに、実際の
研究内容や生活環境について理解することにより、将来の長期間にわたる派遣留学に向け
た準備を整えることを目的とするプログラム。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第三章 研修日程・費用
第三章 研修日程・費用
研修日程
日次
日時
活動
Day 1
9/15(火)
9/16(水)
22:30 集合 於羽田空港
00:30- 羽田空港出発(エミレーツ航空利用)
12:15 ヒースロー空港到着
Day 2
9/17(木)
11:00-12:00 大学紹介
12:00-13:00 キャンパスツアー
13:45-16:00 科学博物館見学
Day 3
9/18(金)
Day 4
9/19(土)
Day 5
9/20(日)
Day 6
場所
面談者
東京→ロンドン
インペリアル・カレッジ・
ロンドン
09:30-14:30 特別市内ツアー
交通工学 ロデリック・スミス教授
自主活動
ロンドン
9/21(月)
10:00-12:00 移動(Oxford Tube)
14:00-16:00 カレッジ・ツアー
ロンドン→オクスフォード
オクスフォード
Day 7
9/22(火)
08:30-11:30 シンポジウム見学
12:30-15:00 企業訪問 ミニ
19:00シンポジウム晩餐会
オクスフォード
Day 8
9/23(水)
08:30-12:30 シンポジウム見学
14:00-16:30 移動(貸切バス)
17:00-18:30 カレッジ・ツアー
オクスフォード
オクスフォード→ケンブリッジ
ケンブリッジ
Day 9
9/24(木)
10:00-12:00 ガードン研究所見学
13:00-16:00 工学部見学
博士課程 下英恵さん
土木工学 曽我健一教授
情報工学 飯田史也先生
10:00-12:00 キャヴェンディッシュ研究所見学
Day 10
ケンブリッジ大学
東工大 SERP 生 結城貴皓さん
学振・海外特別研究員 杉目恒志さん
博士課程 篠原肇さん
ケンブリッジ
ケンブリッジ→ヒースロー
ロンドン→
学振・海外特別研究員 服部公平さん
→東京
9/25(金)
14:00-15:00 BBC ラジオ局見学
Day 11
9/26(土)
10:00-11:30 天文学研究所訪問
14:30- 移動(鉄道→地下鉄)
20:40 ヒースロー空港出発(エミレーツ航空利用)
Day 12
9/27(日)
22:45 羽田空港到着
費用
項目
場所
ポンド
1. 航空運賃
2. 宿泊費
(1 名 1 泊あたり)
3. 国内移動
円 (¥196)
計
¥163,000 ×
1
¥ 163,000
ロンドン(ツイン・B&B)
£38.20
¥7,487 ×
5
泊
¥ 37,436
オクスフォード(シングル・B&B)
£52.00
¥10,192 ×
2
泊
¥ 20,384
ケンブリッジ(ツイン・B&B)
£55.00
¥10,780 ×
3
泊
¥ 32,340
(バス)ロンドン→オクスフォード
£15.00
¥2,940 ×
1
¥ 2,940
(鉄道)ケンブリッジ→ヒースロー
£22.40
¥4,390 ×
1
¥ 4,390
合計
3
¥ 163,000
¥ 90,160
¥ 7,330
¥ 260,490
2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第四章 参加学生の自己紹介
第四章 参加学生の自己紹介
リーダー:工学部制御システム工学科3年 貴志崇之
英語のスピーキング能力を向上させ、また今後の英語の学
習および海外での学生生活や仕事を行うことへの意欲を
高めるために今回の超短期派遣に参加しました。
大学では東工大リベラルアーツセンターで「東工大医療系
学生ネットワーク構築プロジェクト」という学生プロジェ
クトのリーダーを務めております。
サブリーダー:理学部化学科3年 一色裕次
将来、海外の大学院で Ph.D.をとりたくて、そのきっかけ
になれればと思い、このプログラムに参加しました。趣味
は水泳とマラソンです。よろしくお願いします。
サブリーダー:工学部土木・環境工学科3年 清水悠太
趣味は音楽で、サークル活動ではオーケストラで打楽器を
演奏しています。ロンドンには有名なロイヤル・アルバー
ト・ホールがあるので、実際に見てみたいと思っています。
今の学科にはもともとまちづくりに興味を持って入った
ということもあり、今回の派遣でもイギリスの街を見るの
が楽しみです。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第四章 参加学生の自己紹介
エディター:工学部社会工学科3年 中澤知己
大学生になってからは、地方のまちづくりに関心
があり、実際に奈良県の宇陀市という中山間地で
6週間住み込みインターンなどをしました。しか
し、地域の中の中を見るにはグローバルな視線が
必要なことに気付きました。
これからはより広い視野で活動、活躍していきた
いと考えております。
会計係:理学部物理学科3年 関根達侑
海外の文化や価値観をこの目で見たいと思い、参
加しました。英国は偉大な科学者を多数輩出して
きた国であり、特にケンブリッジでは科学の歴史
的発見の跡地がたくさんあり、感動しました。
趣味:ダーツ、ビリヤード、卓球、読書、映画鑑賞
交通係:工学部土木・環境工学科3年 鈴木新
土木ですが、分野としては都市交通計画や都市景
観を中心に勉強しています。 趣味はスキーと街歩
きで、イギリスでも自主活動の時間に色々なとこ
ろに歩きたいと思っています。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
第五章 英国の概要(文責:鈴木)
 正式名称
グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and
Northern Ireland)
ちなみにイギリスという名称はイングランドのポルトガル語イングレスが日本において定
着した際の慣用名。

国旗
イギリスの国旗
国旗のルーツ
通称ユニオンジャック、起源としては西暦 1606 年にイングランドの守護聖人の象徴セン
ト・ジョージ・クロスにスコットランドの守護聖人の象徴セント・アンドリュー・クロス
を重ねたことによってできた旗。その後 1801 年にアイルランド連合が参加したことにより
セント・パトリック・クロスが加わったことで、今現在のイギリスの国旗となった。
 国歌
“God Save the Queen”(女王陛下万歳)
イギリスやコモンウェルス(連邦王国)諸国で賛歌(アンセム)として歌われている歌で、
法律で定められているわけではないが、事実上のイギリス国歌として位置づけられている。
また、歌詞において Queen や her などは国王が在位している場合、歌詞が一部変更され King
や him が用いられる。以下に歌詞を載せるが、本来この歌は第 6 節まであるため、第 1 節
のみのせ、第 2 節以降は省略する。
原文
日本語訳
God save our gracious Queen,
Long live our noble Queen,
God save the Queen:
Send her victorious,
Happy and glorious,
Long to reign over us,
God save the Queen.
おお神よ、我らが慈悲深き女王を守りたまへ
我らが気高き女王よ、とこしへ(永遠)にあれ、
神よ、女王を守りたまへ:
君に勝利を
幸福を栄光をたまはせ
御世の長からむことを:
神よ、女王(国王)を守りたまへ
 人口
62,035,570 人
(2015 年現在)
、
ちなみに首都ロンドンの人口は今年に入り 860 万人を突破し、
過去最多の人口を記録した。人材の流入や移民、経済発展、富裕層の流入などが理由と考
えられている。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
 面積
243,600 km²
 元首&王室
2015 年現在のイギリスの元首はエリザベス 2 世(実名エ
リザベス・アレクサンドラ・メアリー)
。
イギリスの王室は 1066 年のノルマン・コンクエスト(ノ
ルマンディー公のギヨーム(ウィリアム)が、大ブリト
ン島に攻め込み、そのまま王様となった事件)が起源と
されており、その後 1714 年に、王は「君臨するとも統治
せず」という立憲君主制が成立したことにより今の政治
体制となった。近年の王室の家系図は右図のようになっ
ている。
英王室家系図
 首相
2015 年現在の首相はデーヴィッド・ウィリアム・ドナルド・キャメロン(David William Donald
Cameron)
(在任期間 2010 年 5 月 11 日~)。前述の王は「君臨するとも統治せず」に基づき、
イギリス憲法とともに首相を中心とする内閣が行政の実権を握っている。ちなみに初代首
相はロバート・ウォルポール(Robert Walpole)
(在任期間 1721 年~1742 年)
。
 政体
イギリスは 1700 年ごろまでは王政による政治が行われていた。王政による政治が終わると
元首の権限を憲法で制限する立憲君主制という政治体制がとられた。
(前述のとおり「君臨
するとも統治せず」に基づき王としての権力は基本的になくなっているが行政権の実質的
トップは元首である。
)そして、日本同様権力分立の考え方から、立法・行政・司法という
三権分立が行われ、そのうち行政においては議会より選ばれた首相が行う議院内閣制体制
を取っている。
 宗教
キリスト教:75.6%、イスラム教:1.7%、ヒンドゥー教:1%、その他:1.6%、特定の宗教
を持たないあるいは無宗教:20.1%。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要

人種構成
イギリスの人種構成は以下のようになっている

2001 年
イギリスの人種構成

イギリスの人種構成(白人以外)
2011 年
イギリスの人種構成
イギリスの人種構成(白人以外)
イギリスの人種構成には近年変化が見られるが、これは移民を受け入れた事が要因となっ
ている。しかし近年、移民を受け入れすぎて問題となっている国(ドイツなど)も存在す
る。
8
2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
 首都:ロンドン
ロンドンと言っても中心部、内部行政区、外部行政区と大きく 3 つに分かれており、その
中においてもさらにいくつかの地域に分かれている。
ロンドン中心部
 ブルームズベリー
 シティ・オブ・ロンドン
 コヴェント・ガーデン
 ホルボーンとクラーケンウェル
 レスター・スクウェア
 メイフェアとメリルボーン
 パディントンとメイダバレ
 ソーホー
 サウス・バンク
 サウス・ケンジントンとチェルシー
 ウェストミンスター
 ノッティング・ヒルとノースケンジ
ントン
ロンドン中心部地域
ロンドン内部行政区
 カムデン
 イーストエンド
 グリニッジ
 ハックニー
 ハマース・アンド・フラム
 ハムステッド
 イズリントン
 ランベス
 サザークとルイシャム
 ウォンズワース
ロンドン内部行政地域
ロンドン外部行政区
 西部
 北部
 東部
 南部
 リッチモンドとキュー
 ウィンブルドン
ロンドン外部行政地域
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要

言語
イギリス英語、アイルランド語、ウェールズ語

通貨&為替
ポンド、ペンス
1 ポンド=198.18 円(2015 年 7 月 7 日)
また、EU に加盟しているほとんどの国では通貨にユーロを導入しているが、イギリスはユ
ーロを導入していない。その理由としてはイギリスから金利の決定権が離れてしまい、独
自に金融政策が行うことができなくなることや EU の高いインフレ率への警戒、物価が高
い国にはなりたくないという事などがユーロを導入しない理由などがあげられる。
 時差
-8 時間(サマータイム時)
サマータイムでないときは-9 時間
今年のサマータイムの開始日時:2015 年 3 月 29 日(日)1 時 0 分
終了日時:2015 年 10 月 25 日(日)2 時 0 分

気候
イギリスの気候
また、ケッペンの気候区分によるとイギリスは Cfb(西岸海洋性気候)であり、温暖湿潤な
気候である。Cfb の特徴としては、

最寒月平均気温が-3℃以上 18℃未満

最暖月平均気温が 10℃以上 22℃未満

年間を通して降水量が多い地域で、乾季はない。
などがある。北海道以北の場所にあるにもかかわらず気温がそこまで下がらないのは偏西
風の影響である。また僕らが行く 9 月下旬ごろには曇りの日が多なり、朝晩はかなり冷え
込むようになるため、上着やセーターを用意して寒さに備えるのがよい。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
 祝祭日
以下のとおりである(2015 年度)
。また、祝祭日が土曜日もしくは日曜日に重なる場合、
翌月曜日が振替休日となる。
 新年(New Year's Day)
:1 月 1 日…新年のお祝いをする。
 聖金曜日(Good Friday):4 月 3 日…キリスト教の祭日。復活祭前の金曜日。イエ
ス・キリストの磔刑による受難を記念する。
 復活祭(Easter)
:4 月 5 日…キリスト教のキリスト復活信仰に基づいており、キリ
スト教信者はこの日に礼拝を行い、家族でお祝いをする。茹で卵をカラフルに装
飾するイースターエッグの習わしがあり、エッグを隠して子供たちが探す遊びが
伝統となっている。
 復活祭月曜日(Easter Monday)
:4 月 6 日…同上、このあたりの連休をイースター
休暇という。
 五月祭(Early May Bank Holiday):5 月 4 日…1871 年の法律に従って銀行が(土)
(日)以外に休業となる日。他の祝日とは違い、何かを祝ったり、お祭りしたり
する祝祭日では無い。
 五月祭終り(Spring Bank Holiday):5 月 25 日…同上
 クリスマス(Christmas Day):12 月 25 日…キリストの誕生日
 ボクシング・デー(Boxing Day):12 月 26 日…クリスマスの翌日。クリスマスも
仕事をしなければならなかった使用人や郵便配達員のための休日であり、彼らに
も箱(Box)に入れた贈り物が渡されたことに由来する。スポーツのボクシングと
は関係がない。
 単位
日本と単位が異なるのは長さ(インチ、フィート)
、重さ(ポンド、オンス)
、面積(エー
カー)
、容積(ガロン、リットル)
、温度(華氏 F)、お金(ポンド)などがある。
 電圧
電圧は 240V で周波数 50Hz(日本は電圧が 100V で周波数は 50or60Hz)
。プラ
グは 3 本足の BF タイプが一般的。日本国内の電化製品はそのままでは使え
ないものが多く、変圧器が必要。
BF タイプ
 産業
18 世紀中ごろ、世界で最初に産業革命が起こった国であるイギリスは、19 世紀にはその経
済力を背景に世界最強の国となった。最初は綿工業などの軽工業を中心に発展したが、し
だいに鉄鋼業などの重工業も発達し、「世界の工場」と呼ばれるようになった。
GDP はアメリカ、中国、日本、ドイツ、フランスに次いで 6 位。また、かつて繊維工業が
発達していたことから羊毛の生産も多く、世界 4 位である。また以下が輸出入品目と輸出
入相手国である。
主な輸出入品目
イギリスの主な貿易相手国
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
 食事・水
イギリスの料理として何より有名なものはフィッシュ&チップス(Fish & Chips)であろう。
チップスとともに、塩を軽くふり、ケチャップやモルト・ビネガーをかけて食べる。また
その他にもイングリッシュ・ブレックファスト(English Breakfast)が有名であり、ソーセ
ージ、ベーコン、ブラッドプディング(Blood Pudding)
、卵、ハッシュドポテト、マッシュ
ルーム、トマト、ビーンズ、そして食パンなどかなりボリュームのある朝食(もしくはブ
ランチ)となる。
また、イギリスの水は硬水(マグネシウムやカルシウムの含有量が多い)であり、その中
には石灰が含まれている。そのため日本など軟水の地域から来た人々はジュースや硬水で
ない水を買う必要がある。
フィッシュ&チップスとハンバーガー

イングリッシュ・ブレックファスト
緊急連絡
警察、救急、消防、海上警察、山岳救助など全て「999」となる。
 訪問地域の地理

ロンドン
ロンドンの街並みは右図のようになっており、ビック・ベン
やロンドン塔などのような歴史的建造物の横をテムズ川が
流れる。ハイド・パークなど緑が多く、地下鉄やバスなど交
通網もかなり発達している。地下鉄やバスなどを使う場合は
オイスターカード(Oyster Card)という日本で言う Suica や
PASMO のようなものを買ったほうが運賃はかなり安くなる。
その他の交通手段としてはシェアサイクルがあり、簡単な登
録が必要だが駐輪場が至る所にある上に 30 分間は無料なた
め、ロンドンの主要交通移動手段の一つとなっている。
(その人気ゆえ、休日は自転車がすべて貸し出し中になるこ
とも多い。
)
ロンドンの地図
またロンドンに行く際は、必ずクレジットカードを
作っていったほうが良いと思われる。至る所にカー
ドオンリーの券売機などがあるため、現金だけだと
様々なところで苦労すると思われる。
(逆にタクシー
などはキャッシュオンリーなため、現金も多少必要
である。)
ビック・ベン前
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要

ケンブリッジ
ロンドンの北北東約 80km に位置し、電車だと約 1 時間で着く。市街中心部をケム川(River
Cam)が流れ、市街中心部の北部ケンブリッジ州(Cambridgeshire)庁舎の位置しているあ
たりはやや小高くなっておいる。しかし、一帯は東アングリア地方のなだらかな地形を反
映して、市全体としてあまり起伏はない。
ケンブリッジの街並み

オックスフォード
ロンドンの西約 90km に位置する。世界的に有名なオックスフォード大学や博物館など歴史
ある学問の街として知られている。世界的に有名な映画「ハリーポッター」のロケ地とし
ても知られ、日々観光客が多く訪れる。
オックスフォードの街並み
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第五章 英国の概要
 教育制度
イギリスの学校には大きく分けて 3 つの種類がある。
A) 公立学校
イギリスでは 5 歳から 16 歳までのすべての子どもは無料で公立の学校で勉強する権利が
ある。たいていの子供は公立学校に通っており、学校は英国政府か地方の教育委員会から
資金を得て維持されている。
B) 私立学校
イギリスには 2,600 の私立学校があり、約 62 万 5 千人
(イギリスで学校に通う全生徒の 6.5%)
が勉強している。奨学金や補助金を提供しているところが多く、非営利の学校も多い。
C) ホーム・スクーリング
4歳から 16 歳までの子どものうち少数が、家で親や家庭教師による教育を受けている。
イギリスの教育
1) 3 歳から4歳
ナーサリー・スクール、プレー・グループと呼ばれる保育園や小学校の幼児クラスなどに
入って教育を受け始める。これらは義務教育ではない。
2) 4 歳から 16 歳
5 歳から 16 歳まではすべての子どもが公立学校に無料で通い、義務教育を受ける。
3) 5 歳から 11 歳~13 歳
小学校に通う。小学校は、プライマリー・スクール、インファント・スクール、ジュニア・
スクール、プレ・プレパラトリー(プレ・プレップ)・スクール、プレパラトリー(プレッ
プ)
・スクールなどの言い方がある。
4) 11 歳または 13 歳から 16 歳
中学校に通う。中学校は、セカンダリー・スクール、ハイスクールまたはシニア・スクー
ルといい、シニア・スクールという言葉は、私立学校において使われる。
14
2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第六章 訪問先の詳細 訪問大学
第六章 訪問先の詳細
第一節 訪問大学
第一項 インペリアル・カレッジ・ロンドン(文責:清水)
1. 大学概要
インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)はロンドンに本部を置く公立大学である。正式
名称は The Imperial College of Science, Technology and Medicine。一般にはインペリアルとし
て知られており、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学とともにイギリスを代表する
大学である。世界における最難関大学の1つであり、大学ランキングでは QS 2014/2015 年
版でマサチューセッツ工科大学に次ぐ 2 位(ケンブリッジ大学と同位)となっている。
1907 年にロイヤル・カレッジ・オブ・サイエンス(Royal College of Science)
、ロイヤル・ス
クール・オブ・マインズ(Royal School of Mines)
、シティ・アンド・ギルド・カレッジ(City
& Guilds College)が統合してロンドン大学(University of London)に編入され、ICL の前身
となった。創立 100 周年にあたる 2007 年にロンドン大学から独立し、現在に至っている。
これまでに 14 人のノーベル賞受賞者と 2 人のフィールズ賞受賞者を輩出している。
約 14,700 人の学生と 8,000 人のスタッフを抱えており、
学生のうち約 43%が留学生である。
ブリティッシュ・カウンシル(教育機会と文化交流を目指す、英国の公的な国際文化交流
機関)の支援も充実している。医学部、理学部、工学部からなる理系大学であるが、2004
年にはビジネススクールも作られており、マネージメントの学位や MBA を取得することも
できる。日本で言うサークル活動も充実しており、スポーツや音楽など 320 以上の団体が
活動している。本部はロンドン西部のサウス・ケンジントン(South Kensington)に置かれ
ており、全 9 つのキャンパスがロンドン市内に点在する。
なお、東工大の学術交流協定校にもなっている。
大学内の風景
2. 工学部概要
航空宇宙工学や生物工学、土木環境工学など 10 の学科からなり、全ての学科がサウス・
ケンジントンキャンパスに置かれている。約 1,600 人のスタッフと 5,800 人の学生を抱えて
おり、また 100 以上の国から留学生を受け入れている。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第六章 訪問先の詳細 訪問大学
3. 大学紹介・キャンパスツアー
今回の派遣ではロンドンに着いた次の日に大学紹介とキャンパスツアーをしていただいた。
大学紹介では ICL の職員の方が大学の概要を説明してくださった。内容としては学部の構
成や学生数、キャンパスの位置やクラブ活動についてと言った基本情報から、実際に入学
する場合に必要な作業などの実用的なことまで様々で、質疑応答まで含めて私達の知りた
いことを細かく説明していただいた。特に今回は参加者が全員学部 3 年生だったというこ
ともあり、大学院への進学ということを前提に説明してくださった。
大学紹介の後にキャンパスツアーをしていただいた。ガイドは学生の方がしてくださり、
校舎内や食堂、すぐ近くにあるロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)といっ
た所から、普通は入れない図書館などまで見ることができた。また、学生の方と話せる貴
重な機会であり、個人的には教授などよりも話しやすい雰囲気でよかった。
大学紹介
キャンパスツアー
4. ロデリック・スミス教授によるロンドン市内ツアー
大学紹介・キャンパスツアーの翌日には ICL のロデリック・スミス教授によるロンドン市
内ツアーがあった。スミス教授は、この「大学の世界展開力強化事業」の外部評価委員で
あるため、今回このツアーを依頼することが出来た。また、交通・鉄道の専門家であり、
そのような方にロンドンを案内していただけるのはまたとない機会だったと思う。
ツアーではグリーン・パーク(Green Park)
、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)
、ビッ
グ・ベン(Big Ben)
、ロンドン塔(Tower of London)といった名所を案内していただき、そ
の中で歴史や文化的なことから、先生の専門である交通のことまでいろいろと教えていた
だいた。特に印象に残っているのは、ドックランズ・ライト・レイルウェイ(Docklands Light
Railway: DLR)という無人運転の電車だ。教授が熱く語っていたのが印象に残っているが、
実際にロンドンの二大金融街やロンドン・シティ空港(London City Airport)といった重要
な場所を結ぶ鉄道を無人化しているのは画期的なことだと思った。
スミス教授による説明
DLR
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第六章 訪問先の詳細 訪問大学
5. 参考文献
 「インペリアル・カレッジ・ロンドン Imperial College London」
『beo イギリス留学』
BEO 株式会社 http://www.beo.jp/program/schools/detail/20080723133706.html
 「Imperial College London」
『SI-UK Education Council』
SI-UK http://www.ukeducation.jp/profiles/university/imperial/
第二項
オックスフォード大学(文責:一色)
1. 大学概要
イギリスのイングランドのオックスフォードに位置している。1096 年(919 年前)には講
義が行われており、正確な創立年は不明である。現存大学のうち、世界で二番目に最も古
い大学といわれている。英語圏では最古の大学。大学の教育モットーは “The LORD is my
Light.”(直訳;主(神)は私の光である。
)であり、
「自分自身を見失わずに生きていこう」
、
もしくは光を「学問の真理に導く道標」、「人生を歩む道標」などととらえており、様々な
意味が込められている。学部生は総勢 11,772 人、大学院生は 9,850 人、全部で 38 のカレッ
ジから構成されている。27 人のノーベル賞者と 26 人のイギリスの大統領を輩出している。
特に物理学者で有名なスティーヴン・ホーキング(Stephen Hawking)や、詩人で有名なオ
スカー・ワイルド(Oscar Wilde)がここオックスフォード大学で勉強していた。
2. カレッジ概要
学生はオックスフォード大学の生徒であ
るとともにカレッジにも所属する。生活
の基盤はカレッジ中心となるので、どの
カレッジに所属しているかが重要である。
大学に比べるとカレッジの規模はずっと
小さいコミュニティーで学生数は平均で
だいたい 200~300 人、最大のセント・キ
ャ サ リ ン ズ ・ カ レ ッ ジ ( St Catherine's
College)でも学部、大学院生合わせて 700
クライスト・チャーチ
人である。学生はカレッジ内の寮に教員
の中庭にて
とともに住み、学問の修練に励む。各カ
レッジはそれぞれが独立した自治組織で独自の判断で入学者を選抜し勉学に必要な施設や
最良の学習手段を提供している。
オックスフォード大学は Balliol College, Blackfriars, Brasenose College, Christ Church, Corpus
Christi College, Exeter College, Harris Manchester College, Hertford College, Jesus College, Keble
College, Lady Margaret Hall, Lincoln College, Magdalen College, Mansfield College, Merton
College, New College, Oriel College, Pembroke College, The Queen's College, Regent's Park
College, St Anne's College, St Benet's Hall, St Catherine's College, St Edmund Hall, St Hilda's
College, St Hugh's College, St John's College, St Peter's College, St Stephen's House, Somerville
College, Trinity College, University College, Wadham College, Worcester College, Wycliffe Hall の
38 のカレッジから成っておりアカデミックなコミュニティーの場として生徒に使われてい
る。
今回私たちはクライスト・チャーチに宿泊した。食堂は
ハリーポッターの撮影地とだけあって単なる食堂にも
かかわらず、美しい建物の造りにとても魅了された。
クライスト・チャーチの
ダイニングルーム
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第六章 訪問先の詳細 訪問大学
3. 見学シンポジウム
Materials Under Extreme Conditions Effects of Temperature High Strain Rate and irradiation High
Temperature Oxidation of Metals
物質科学の学会に参加させていただきました。学会のような場所に参加することは初めて
で、研究発表の雰囲気を味わえたことは本当に貴重な体験でした。学会後の晩餐会は色ん
な大学から来た博士課程の学生や教授と話す機会があり、みな自分の研究には誇りを持っ
ており、これならだれにも負けないくらい知り尽くしているというような自分の強みを持
つことの大切さを学びました。それと同時に科学の話には国境がないことを、身を持って
体験しました。
学生による発表
1) Ph.D. program Training: Comparison and analysis between Japan and UK Univ.
博士号修得プログラムでの教育法について、日本とイギリスの大学の比較、分析
2) Energy Policy in UK and Japan: Similarities and Differences
日本とイギリスのエネルギー政策の似たところと異なるところ
3) Science or Engineering: What Contributes More to Society
科学もしくは工学 どの分野がより一層社会に役立っているか
4) The Public Perception of Science and Engineering in UK and Japan: How do they differ?
日本とイギリスでの科学と工学の一般人の認識の違い
5) Possibilities of Recycling of Metals: japan and the UK
日本とイギリスでの金属の再利用の見込み
6) New Propulsion Strategies for Cars, Train, and Airplanes
車や電車や飛行機の新しい推進力の方策
シンポジウムの様子
東工大修士・博士課程学生の発表
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第六章 訪問先の詳細 訪問大学
晩餐会前の集合写真
メイン・ディッシュ
晩餐会
4. カレッジ・ツアー
3 時間くらいのカレッジ・ツアーだったため、オックスフォードのすべ
てを見ることは出来ず、主にクライスト・チャーチ周辺のみ見学しまし
た。カレッジのほとんどは高い塀で覆われていたので外からではあまり
見晴らしはよくなかったのですが、学生ショップや雑貨屋や喫茶店が集
まった路地をぬけると街のように広がるオックスフォードの建物、図書
館をはじめとても趣のある歴史を感じさせる建物が見られ感動しまし
た。
カバード・マーケット
ため息橋の前にて
カレッジ内の礼拝堂にて
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第六章 訪問先の詳細 訪問大学
第三項
ケンブリッジ大学(文責:一色)
1. 大学概要
現存する大学の中で四番目に古い大学、英語圏ではオックスフォードについで二番目に古
い大学である。ケンブリッジ大学出身者は、スティーヴン・ホーキング(Stephan Hawking)
、
チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)
、アイザック・ニュートン(Isaac Newton)
、ジョ
ゼフ・ジョン・トムソン(Joseph John Thomson)など世界で名の知れた科学者ばかりである。
2. カレッジ概要
ケンブリッジ大学は、31 のカレッジから成るカレッジ制を採る大学である。カレッジは「学
寮」とも訳され、全ての学生は学部生・大学院生を問わず、どこか必ず 1 つのカレッジに
所属することになっている。歴史的に見れば、カレッジは教師と学生が寝食を共にし、そ
こで共に学ぶという修道院の形態に由来している。19 世紀の半ばまで、教員は英国国教会
徒であること、および生涯独身であることなどが義務付けられていたが、19 世紀を通じて
の大学改革により、こうした義務は緩和されていった。現在では国教会に限らず、カトリ
ックのカレッジも存在している。各カレッジは、代々固有の財産と安定収入のある独立な
私立大学である。伝統的な資産はイギリス各地の荘園、農園である。したがって歴史ある
カレッジほど、資産と安定収入が多いことになる。それぞれのカレッジの資産を管理・運
用するフェロー(Fellow)のことをバルサー(Bursar)といい、経済学者のケインズ(John
Maynard Keynes)はケンブリッジ大学のキングス・カレッジ(King's College)のバルサーで
あった。かつてはそれぞれのカレッジに強い学問分野や特徴があり、現在ではその名残が
一部に見られるものの、基本的にどのカレッジも様々な分野の勉強をする学生や研究者が
集まっている。そのため分野を越えた人間関係を作り、学際的な研究や知的なフォーラム
の生まれる可能性が高いこと、また学内のカレッジ間で学究やスポーツ・文化活動などに
ついて、自発的な切磋琢磨を誘発しうることなどの点で強みを持ったシステムとなってい
る。カレッジは以下の 31 である。
King's College, Trinity Hall, Sidney Sussex College, Darwin College, Trinity College, Corpus
Christi, Downing College, Wolfson College, St John's College, Queens' College, Girton College,
Clare Hall, St Catharine's College, Newnham College, Robinson College, Peterhouse, Jesus College,
Selwyn College, Lucy Cavendish College, Clare College, Christ's College, Arms of Fitzwilliam
College, St Edmund's College, Pembroke College, Magdalene College, Churchill College, Hughes
Hall, Gonville and Caius College, Emmanuel College, Murray Edwards College, Homerton College
今回私たちはセント・ジョンズ・カレッジ(St John's College)に宿泊した。
今回の宿舎
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第六章 訪問先の詳細 訪問大学
3. 工学部概要
ケンブリッジ大学の工学部は、六つに分けられている。
1) Energy
特に流体力学やターボエンジンの技術を学ぶ。エネルギー生成を学ぶ上で欠かせない
熱力学、流体力学を基本にして、飛行機や自動車などの輸送機による環境への悪影響
を緩和することを目指す。
2) Electrical engineering
基本的な電子、光子の研究を究める。特にナノテクノロジー、センサー、エネルギー
生成、変換、ディスプレイの分野を究める。
3) Mechanics, materials and design
機械工学、構成要素とそのデザインの基本的な研究またはそれを応用した研究。
4) Civil engineering
土木、建築工学システムを発展させる
5) Manufacturing
産業活動を向上させるために製造操作、戦略、政策の理解を追究していく
6) Information engineering
工学技術システムと生態系の情報の使い方、作り方、分析、伝達に関する基礎的な理
論とその応用の改善をめざす。
4. 曽我健一教授による特別講義概要(文責:鈴木)
今回ケンブリッジを訪れた際に、ケンブリッジ大学工学部土木工学科の曽我教授に特別講
義をしていただきました。曽我教授は、この「大学の世界展開力強化事業」の外部評価委
員であり、その繋がりで今回訪問させていただきました。
講義の内容としては、大規模な講義室にてケンブリッジの歴史を中心に講義していただき、
その後、先生の研究内容についての説明をしていただきました。先生は、土木の中でも土
質系の専門であり、メタンハイドレートなどのエネルギー関係の研究もなさっていました。
実験室巡りでは、構造力学実験の引張試験の実験器具のような見慣れた器具もあれば、一
方で人が歩くことで構造物にどのような影響が出るのか測定する試験機(測定器の上にラ
ンニングマシンが設置されている)など独特なものもありました。このようにこの研究室
独特の研究もしているため、世界各地からその分野を研究したい学生が集まります。
工学部校舎前にて
学部内施設見学
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第六章 訪問先の詳細 訪問大学
5. 飯田史也先生の研究室訪問(文責:貴志)
またケンブリッジ大学では、ロボットの研究をされている工学部情報工学科の飯田史也先
生の研究室を訪問した。
飯田先生の研究室では、単に産業用ロボットのような決められた動作を繰り返しするもの
だけでなく、
「生物を模倣したロボット」の研究をされていた。先生は以前、
「人間は坂道
の歩行をスムーズにできるが、ロボットは簡単にできない。その違いは何か。」という疑問
を持っていた。そこで着目したのが、筋肉などの人間にはあってロボットにはない生体材
料である。生体材料を用い、人間のスムーズな動作に近づけたロボットの研究という従来
のロボット産業では行われなかった生物学的視点からのイノベーションが行われていた。
生体材料を用いたロボットハンド
飯田先生
6. カレッジ・ツアー(文責:一色)
ケンブリッジ大学はニュートン、ホーキング、J.J.トムソン、ラザフォードなど著名な科学
者の出身校で個人的に一番行きたかった大学だったので、訪問 1 日目から興奮しっぱなし
で、石造りの大学、ケンブリッジの中心にある教会などを見て回りました。オックスフォ
ードにも共通して言えることですが何千万冊と貯蔵された図書館が近くにあり、各カレッ
ジにはチューター、学生同士で議論や雑談のできる談話室があり、何かを研究したり、追
究したりするには最適な場所だと感じました。インターネットでかなり大学については調
べて古くからある世界トップレベルのすごい大学とは知ってはいたのですが、実際見て、
歩いてみるといままでにここで研究してきた多くの研究者の痕跡や体で直接感じる大学の
迫力、その大学周辺の美しい庭、森林が自然と何かを深く考えさせるため、ここで研究し
たいという気持ちがより一層増してきました。
キングス・カレッジの前にて
ケム川下り(9/26)
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第六章 訪問先の詳細 訪問企業
第二節 訪問企業
第一項 ミニ大田/ミニ・オックスフォード工場(MINI Plant Oxford)(文責:清水)
1. 企業概要
元々はブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が生んだ大衆車であり、生
産・販売会社の名前は幾度も変わったが 1959 年から 2000 年まで 40 年以上にわたって生産・
販売が続けられた。1994 年以降は独 BMW がローバーを傘下に収めミニにまつわる権利も
手中にした。旧ローバーの技術者による開発を行い、2001 年にミニを新しいブランドとし
て売り出し現在に至る。BMW グループとなったあともミニの伝統を守るべくドイツではな
くイギリスで生産されており、組み立てはオクスフォード工場で行われている。先代が 40
年間同じコンセプトで生産していたのと同様、モデルチェンジを経てもほぼ同じデザイン
を継承している。カラーやオプション装備を組み合わせることにより、10 万通りにも及ぶ
バリエーションを作り出せ、自分の個性を表現できるという魅力がある。
2. ミニ・オックスフォード工場見学
渡航中にはオックスフォードにてミニのオックスフォード工場を見学した。オックスフォ
ード工場は前項 1.で述べたように BMC 時代からミニを生産していた歴史ある工場である。
だが中身は産業用ロボットがせわしなく動き、通路を自動で動く台車が走る、オートメー
ション化が進んだ現代の工場であった。世界中からの注文を受けており 1 日に 1,000 台以上
生産できるということだった。150 カ国近い国々で売れている人気の車ということで、ハン
ドルの位置やボディタイプが微妙に違うミニを次々と作り出していく仕組みには驚かされ
た。私は自動車工場を見学したのが初めてで、ロボットばかりが作業しているというイメ
ージを持っていたが、実際には仕上げの段階では多くの人が手作業で部品の取り付けを行
っていることを知り意外に感じた。
ミニ・オックスフォード工場
ツアー用の制服を着用
3. 参考文献
御堀直嗣/2014 年/ミニの至福/河出書房新社
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第六章 訪問先の詳細 訪問企業
第二項
BBC ラジオ・ケンブリッジシャー(BBC Radio Cambridgeshire)
(文責:中澤)
1. 企業概要
BBC(British Broadcasting Corporation/英国放送協会)は 1922 年英国国内および海外に放
送サービスをおこなうために設立された公共放送局である。
BBCのサービスは、1)イギリス国内向け公共サービス、2)ワールドサービス(ラジオ
国際放送)
、3)商業サービスの 3 つであり、1)の公共サービスはイギリスに住む人々が支
払う「受信許可料」によって運営している。
参考文献(https://www.bbcworldnews-japan.com/about_us/)
2. ツアー概要
幅広い活動を行っている BBC ラジオ。
まず連れていってもらったのは、アナ
ウンサーやスタッフの人が集まって仕
事をしている一番大きいであろうオフ
ィス。そのあとは、テレビで CM への
切り替えや統括を行っている部屋へ。
そのあとは、実際にスタジオに入れ
て下さった。たぶん、有名であろう
女性アナウンサーさんが準備して
いるところであった。カメラ目線を
キープできるようにカメラの画面
のところに言うことが表示できる
カメラを使用していた。
その次は、ラジオを収録している現場と、ラジオをリ
アルタイムで同時に聞きながら、BGM などを選び流
しているスタッフさんのいるところへ。
ラジオは好きでよく聞くが、
1 人で BGM の選別から、
タイミングまでこなしていて凄いと思った。音楽編集
もその場で行っており “Nice DJ!”と言ったら喜んで
いた。
イギリスでは、学生寮に泊まったのでテレビを見る機
会はなかったが、次行ったときは見てみたい。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第六章 訪問先の詳細 訪問施設
第三節 訪問施設
第一項 科学博物館(The Science Museum, London)
(文責:貴志)
ロンドン科学博物館はイギリスのロンドンにある国立科学産業博物館(National Museum of
Science and Industry)に属する科学博物館。自然史博物館のすぐ北に隣接しており、インペ
リアル・カレッジ・ロンドンから徒歩 1 分である。1857 年に設立されたヴィクトリア&ア
ルバート博物館(Victoria and Albert Museum)の一部分として創られ、1909 年に独立した。
設立のきっかけはロンドン万国博覧会である。万博は 1851 年にそばにあるハイド・パーク
で開かれた。当時のヴィクトリア女王の夫であるアルバート公は万博の開催に尽力された
方で、科学教育に強い関心があった。万博は成功し、そこで得られた収益を使ってアルバ
ート公が支援をしたことで設立されたのである。現在は、博物館は歴史的収集物や荘厳な
画廊、展示物がある。
実際にロンドン科学博物館に行くと、その展示物の多さに驚いた。展示物の分野は、蒸気
機関、宇宙、農業、材料、時計の歴史、数学、飛行機、医学史など多岐にわたる。科学技
術者を志す学生が自身の専門分野の技術の実物を見ることができるだけでなく、教養とし
て他分野の科学技術を楽しみながら知ることができるようになっていたが、かなり多くの
展示物があるため、5 時間かけたが全体の 7 割程度しか見ることができなかった。
また、有名な展示物であるマシュー・ボールトン(Matthew Boulton)
、ジェームズ・ワット
(James Watt)による蒸気機関の実物を見ることができ、高校や大学の授業で学んだ蒸気機
関技術を間近に見ることができ嬉しかった。他にもロンドン科学博物館には科学史で学ぶ
技術の実物が数多く展示されているので、科学技術に興味のある学生にはとても刺激的な
場所だと思う。
ボールトンとワットによる現存最古の蒸気機関
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第六章 訪問先の詳細 訪問施設
第二項 ケンブリッジ大学 ガードン研究所(Gurdon Institute)(文責:一色)
ケンブリッジ大学の博士課程に所属している下英恵さんの研究室を訪問しました。下さん
には、夏季休暇中に一時帰国された際に、私たちの事前学習会などにも出席していただき、
今回の派遣に関する様々な調整もしていただきました。
ガードン研究所では Molecular basis of cell shape と Changes that occur when cells move tissue
develop について研究しているのですが、私たちは今回研究で用いる Xenopus と呼ばれるア
フリカガエル、ショウジョウバエ、電子顕微鏡、その他研究しているところの見学をさせ
ていただきました。
ナノ電子顕微鏡での撮影画像
ショウジョウバエの観察
最後にケンブリッジで研究をしている日本の学生に話を聞く機会をいただき、イギリスの
博士課程の苦労、日本の研究室との違いなど自分の聞きたかったことを聞け、本当に勉強
になりましたし、充実した時間を過ごせました。
日本人学生・研究者との懇談会
左前:大谷さん 右前:下さん
ガードン研究所にて
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第六章 訪問先の詳細 訪問施設
第三項 ケンブリッジ大学 キャヴェンディッシュ研究所(Cavendish Laboratory)
(文責:一色)
この日は、まず、ケンブリッジ大学に留学している結城貴皓さん、杉目恒志さん、篠原肇
さんの 3 人から、研究生活や大学の概要などの説明を受けました。
結城さんは、本学の工学系学生交流プログラムの一つである Summer Exchange Research
Program(SERP)で、今夏ケンブリッジ大学に留学している有機・高分子物質専攻の修士課
程学生です。杉目さんは、ナノ・カーボン材料を研究する日本学術振興会海外特別研究員
として、篠原さんは物性物理学専攻の博士課程学生として、現在キャヴェンディッシュ研
究所で研鑽を積んでおられます。
カレッジ対抗試合や、部活の紹介など、研究生活でも運動する機会があることや、現地の
人との交流ができることなどの説明を受けました。研究内容は、難しくあまり理解できま
せんでしたが、将来できるかもしれない宇宙エレベーターなど夢のある話に興味を持ちま
した。
左から:杉目さん、結城さん
右:篠原さんによる学生生活のプレゼン
研究所内ツアー
その後、物理学研究所のキャヴェンディッシュ研究所を訪問しました。キャヴェンディッ
シュ研究所は、19 世紀にキャヴェンディッシュによって設立された研究所で、マクスウェ
ル(James Clerk Maxwell)を初代所長とし、ラザフォード、J.J.トムソンなど多数の物理学
者を輩出してきました。
研究所内には、マクスウェルの使っていた机や、ワトソン・クリックの DNA 塩基配列モデ
ルの模型など興味を惹かれるものがたくさん置いてありました。
マクスウェル
マクスウェルの机
ワトソン&クリックの DNA モデル
自分の専門の研究所を見学することができ、今日広く知られている法則を発見した人々の
軌跡に触れて、非常に貴重な経験をしたとともに、今後の研究で頑張っていこうという意
識も生まれました。
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第六章 訪問先の詳細 訪問施設
第四項
ケンブリッジ大学 天文学研究所(Institute of Astronomy)(文責:関根)
9 月 22 日に前述のキャヴェンディッシュ研究所へバスで移動している際に、車中で私たち
の引率教職員に声をかけてくださったのが日本学術振興会海外特別研究員としてケンブリ
ッジ大学天文学研究所に派遣されている服部公平さんでした。その日のうちに私たちを天
文学研究所に案内してくれるとの連絡を受け、翌日急遽訪問させていただくことになりま
した。私自身、宇宙や天文学を専攻したいと思っていたので、非常に興味深いものでした。
天文研究所
所内書架(中央:服部さん)
天文研究所には、頂上に観測用のドームがあり、今は使っていませんが昔はそこで 360 度
回転可能な望遠鏡で観測していたようです。
また、中にはエアリー(George Biddell Airy)
、ニュートンの肖像もあり、昔使っていた書架
などを見学しました。
エアリー
ニュートン
服部さんの研究は、銀河の周りにできる星の理論的考察で、大変興味深いものでした。理
論系の研究ということでそれほど実験器具は置いてなく、紙と鉛筆とパソコンという最も
研究者らしい研究室でした。銀河が円盤状に形成される理由や、太陽の寿命、ブラックホ
ール、ダークマターなど馴染みの深いものについても丁寧に説明してくださり、とても勉
強になったと同時に、自分もこんな研究がしたいと思いました。自分の興味ある分野が分
かったということでも、個人的に最もためになった訪問でした。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第七章 自主活動報告
第七章 自主活動報告
リーダー:貴志崇之
ロンドン滞在中に二日間の自由時間があったので、科学博物館や大英博物館、ロンドン
交通博物館、テムズ川周辺を散策した。
科学博物館では、ワットの蒸気機関の実物を見ることができた。ロンドンの交通網の発
展や産業革命に大きく貢献した技術を学ぶことができ、今後の自身の科学に対する勉強意
欲がさらに湧いた。大英博物館では、高校生時代に勉強した世界史で登場する偉人の彫刻
がたくさんあり、世界史の復習をすることができ、また政治や経済は歴史から学ぶことが
多いことを再認識することができた。テムズ川周辺では日本とイギリスの建築様式やイン
フラの違いを感じた。イギリスは 1666 年にロンドン大火があったのと、バロック様式など
といた西洋の建築様式、さらには地震が少ないということもあり、普段日本で生活してい
るとみることができないような建物の形や、まちの様子をみることができた。イギリスの
過去と現在を学ぶことで、日本文化との違いを感じ、また科学技術の歴史に触れることが
できた。
ロンドン交通博物館では、ロンドンの交通史を学ぶことができた。具体的には、1800 年
以降の馬車、馬バス、鉄道、地下鉄、二階建てバスなどの展示が数多くあり、その起源や
利点、欠点などを知ることができた。特に、ロンドンの地下鉄は世界初のものであったの
で、その歴史を知ることができて嬉しかった。また、日本の地下鉄路線図の展示も目立つ
ところにあり、日本の地下鉄の技術レベルの高さを知る良いきっかけとなった。ロンドン
の交通の歴史、そしてロンドンと日本の地下鉄の比較から、科学技術の発展と交通の関係
を学ぶことができた。また地下鉄発祥の地であるロンドンで実際にそれに乗ることにより、
日常生活における交通の重要性も感じることができた。
自主活動では、さまざまな博物館に行き、今まで自身が興味のある科学技術の分野だけ
でなく、それ以外の分野のものに触れることができたことが良かった。特に、政治や交通、
まちづくり、社会システムについてはこれまであまり意識して考えることが無かったので、
教養としての必要性を実感することができた。
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第七章 自主活動報告
サブリーダー:一色裕次
休日はインペリアル大学では二日以上あったので一日目は博物館見学(大英博物館、
National Gallery, シャーロック・ホームズ博物館、科学博物館)とロンドン観光でロンドン
中を徒歩でぶらぶらしていました。二日目はインペリアル大学で大学説明会をやっていた
ので化学科の説明会に出、本を読むことにはまっているので、ロンドン中の本屋を見て回
り、哲学と化学の本と小説を一冊ずつ三冊購入し公園で読書しておりました。それに加え
プログラムが早めに終わった時などは、あらかじめコンタクトしていた物理化学の研究室
(Nanoparticle self-assembly, Energy transfer at nanoscale interfaces (Prof. Fernando Bresme ))に
お邪魔したりしました。
一番印象に残っているのはやはり個人的に研究室に訪問したことで、海外の研究室を見
学することなんて初めてで、ましてや自信のない英語力で教授、学生と一対一で会話する
なんて、私にはとても度胸のいるできご
とでした。
オックスフォードは二日間しかいなか
ったためこれといったことはしていませ
んが、ケンブリッジ大学では各カレッジ
の 見 学 、 Kings College, Trinity College,
Queens College, など、自分の学部の研究
室、ケンブリッジ大学に流れるケム川の
ほとりを散歩したり、ケム川を Punting と
呼ばれるボートで下ったりとゆっくりと
した休日を楽しめました。
サブリーダー:清水悠太
今回の派遣ではロンドンにおいて土日に 2 日間の自主活動日があった。ここでの活動に
ついて報告する。
まず 1 日目はロンドン市内の博物館をめぐった。宿の近くにシェアサイクルのスポット
がありそれを利用して移動をしたが、地下鉄と違ってロンドンの街並みを直に見ながら移
動することができてよかった。だが、ロンドンの交通事情に慣れない中で車道を自転車で
走るのは怖い部分も多く、市内の移動手段は値段だけでなく道路事情も踏まえて選ぶべき
だと感じた。
最初に行ったのはシャーロック・ホームズ博物館だったが、私はシャーロック・ホーム
ズを読んでおらず、読んでくるべきだったと後悔した。家の中が再現されており、物語の
場面を描写した人形もあるなど、作品を知っている友人はとても楽しそうだった。
次に大英博物館を訪れた。やはり数時間で見きるのは難しい広さであったが、その中で
も普段写真で見ている物の実物を見ることができ感動した。特にロゼッタストーンとモア
イ像は有名でいつかは見たいと思っていたものだったので、見ることができてとても嬉し
かった。モアイ像はぜひモアイ島でも見てみたいが。
1 日目最後に訪れたのはロンドン交通博物館だ。ここはロンドン交通局が管理している博
物館で、展示物の大半は交通局のコレクションに起因するものとなっている。私は交通政
策にも興味があったので、ロンドンの地下鉄の歴史やそれに伴う掘削技術や車両技術の進
歩といった展示は興味深かった。
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第七章 自主活動報告
シャーロック・ホームズ博物館
ロンドン交通博物館
大英博物館
2 日目は当初、ロンドンの名所であるビック・ベンやタワー・ブリッジといった所をまわ
る計画を立てていたが、ICL のスミス教授による市内ツアーでまわっていたので急遽計画を
変更し、電車でカンタベリーとドーバーへ行った。
カンタベリーでは世界遺産にも登録されているカンタベリー大聖堂を訪れた。石造りの
荘厳な雰囲気で、またヨーロッパの教会によくあるステンドグラスがとてもきれいだった。
ドーバーでは白い崖で有名なホワイトクリフを見ることができた。青い空と海の中に長
く続く白い崖と緑の草原はとても美しく見ることができて本当に良かった。またドーバー
は大陸との結節点でもあり、港の近くにはロンドンなどでは見ないような数の大型トラッ
クが走っていた。個人的にはフランスを見ることができたというのも感動した。
カンタベリーもドーバーもロンドンとは違った、いわばイギリスの田園風景といったよ
うな街並みを見ることができたので、この派遣の目的の1つとして海外の街並みを見ると
いうことを掲げていた私としてはとてもよい経験になった。
カンタベリー大聖堂
ドーバー海峡とホワイトクリフ
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第七章 自主活動報告
エディター:中澤知己
9/19 はアーセナル vs チェルシーの試合を見に、ずっとテレビで見ていたスタンフォード
ブリッジへ。この時、ずっと乗りたかった 2 階建てのバスに乗る。
チェルシーのホームということもあり、一面青色ばかり。道路も閉鎖されていて、馬に
乗った警察が待機していて、さすがプレミアリーグと思った。スタジアム近くの HUB で見
ることに。“Home Only”と入口に表示があり、その日は運悪くアーセナルの赤い色の割合が
多い服装をしていたがすんなり入ることが出来た。HUB では、定員のメキシコ人と話しな
がら観戦していた。結果は、チェルシーの勝利。もっと荒々しく応援するかと思っていた
が、意外とドライだった。
午後は、映画にもなったノッティング・ヒルへ。街歩きなどが、学科がら趣味であるの
で、ロンドンの街とは全然違う超高級住宅街を歩くのは最高だった。また、土曜日である
ので骨董品で有名なマーケットが出ており、あれほど骨董品を一気に見たのはなかなかな
かった。
9/20 は、午前中に行きたかった大英博物館へ。午前中だけで回るのは無理があったが、
なんとか一通り見ることができた。自分的には、モアイ像を生で見られたことが一番刺激
的だった。
午後は、ロンドンに語学留学にきている友人と会い行動することに。まずは、街並みが
凄くアートの街と言われているブルックリーレーンへ。一面壁中にアートがあり、街中な
ところが面白いと思った。また、マーケットもやっていて、屋台のブラジル料理がイギリ
スに来て一番おいしいと思ったものだった。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第七章 自主活動報告
そのあとは、都市をテーマにした博物館では世界一のロンドン博物館へ。ロンドンの街
の成り立ちが時系列で紹介されていた。都市計画的にも面白い訪問ができた。夕飯はピカ
デリーへ移動して、イタリア料理を食べながら友人と意見交換をし、宿へ帰った。
会計係:関根達侑
週末の 9/19, 20 はロンドンで自由行動だったので、自分の興味のあるところや、勉強した
い場所へ行きました。
1 日目
この日は英国の有名な博物館を見学しようと思い、まず午前にシャーロック・ホームズ
博物館へ行きました。シャーロック・ホームズは母が好きで、自分はあまり読んだことが
無かったのですが、英国に行ったのならば訪れた方が良いと思い、行ってみましたが、部
屋のつくりや、人形がかなりリアルで、ホームズの世界に迷い込んだかのような感じがし
ました。
次に、昼食をとってから大英博物館へ行きました。大英博物館は、世界一大きい博物館
と言われるほどの英国最大の博物館で、一日で周りきれないほどたくさんのものが展示さ
れていました。有名なロゼッタストーンから、スフィンクス、モアイ像、仏像など世界中
の建造物や、ハリーポッターの映画に使われたチェス盤、日本のマンガ展、ミイラなどあ
りとあらゆるものが置かれていて、とても見終わりませんでした。これほど世界の貴重な
ものが見られ、迷子になるほど大きいにもかかわらず、入場料が無料ということにとても
驚きました。
その後最後に、交通博物館へ行きました。こちらは、主に英国の交通の歴史で、馬車の
時代から現代の車や電車に至るまで、時代順に実物サイズの模型が展示されていました。
デザインがとにかく精工につくられていて、技術に感動しました。また、英国の交通機関
がどのようなものであったかも知ることができて、深く文化を知ることができました。
シャーロック・ホームズ
博物館
大英博物館
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交通博物館
2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第七章 自主活動報告
2 日目
1 日目は複数人で行動しましたが、2 日目はそれぞれ別行動をしました。海外は治安の悪
いところが多いという話も聞いていたので、一人で行動することに最初は不安がありまし
たが、自分のペースで海外を歩いてみるのは予想以上に楽しく、もともと一人で行動する
ことが好きなので、楽しく過ごすことができました。
まず、自然史博物館へ行きました。ここは、地球史を扱っており、地球が誕生してから
の進化、地形などの地球規模のマクロから、あらゆる生命(恐竜、陸上動物、水生動物か
ら甲殻類、虫や植物)を通して細胞レベルのミクロまで扱っていて、かなり多くのものを
見ることができました。私は生き物にとても興味を持っているので、あらゆる生物の観察
や、かつて存在した絶滅種の化石なども見ることができて、大変興味深かったです。また、
地球や宇宙の歴史なども扱っていて、そちらもとても興味があったので楽しく学ぶことが
できました。
次に、昼食を日本食チェーン点の wasabi で済ませ、海外での日本食を堪能した後、ハリ
ーポッターでお馴染みのキングスクロス駅へ行きました。
キングスクロス駅には、9 番線と 10 番線の間に記念でつくられた 9 と 3/4 番線があり、記
念写真が撮れるので、20 分ほど並んで撮ってきました。
2 日間ではありましたが、自分で計画を立て、海外を歩き回り、とても疲れましたが計り
知れない程良い経験ができたと思います。
自然史博物館入口
9 と 3/4 番線にて
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第七章 自主活動報告
交通係:鈴木新
事前学習会において今回のロンドン 2 日間の自主活動計画表を作成したが、実際現地に
行って作成した計画目標は達成できたのか、また実際現地ではどのような活動をしたのか
記していく。
自主活動初日の 9 月 19 日、この日は朝食を済ませた後、これまでの移動のように地下鉄
で移動するのではつまらないので前日にスミス先生に教えてもらったロンドンで盛んのシ
ェアサイクルに乗ってベイカー・ストリートのシャーロッ
ク・ホームズ博物館を目指した。現地の独得な自転車に慣れ
ていない僕らは一般道を走るのは危険なためできるだけハ
イド・パーク内の道路を走るようにした。パーク内は緑豊か
できちんと整備されており走り心地はかなり良かった。シャ
ーロック・ホームズ・ミュージアムを楽しんだ後、大英博物
館とロンドン交通博物館へ行った。大英博物館ではモアイや
エジプトのミイラなどここ以外では見ることが難しいもの
を見て学ぶことができ、交通博物館ではイギリスの鉄道網の
歴史や機関車の時代だった当時どのようにして地下に機関
車を走らせるかなどその時代の人々の苦労や創意工夫を知
ることができた。
ハイド・パーク内の道路
2 日目はこの日は本来ロンドンの名所を回る予定であったがスミス先生の特別講義で行
きたい場所は回りつくしてしまったため、ロンドンから少し足を延ばしカンタベリーとド
ーバーに行くことにした。この際地下鉄とは違う長距離列車を使うことになったがこれは
日本の特急電車のような構造で地下鉄とはまた雰囲気も異なり、またロンドンから少し離
れただけでイギリスの田園風景を見ることができたのも面白かった。カンタベリーでは大
聖堂を訪れたが、僕は宗教はあまり詳しくないためガイドブ
ックを頼りにどこにどのような見どころがあるのかを調べ
ながら探索した。その後ドーバーへ向かい、ドーバーのホワ
イトクリフを目指した。石灰岩でできたこの絶壁はこれまで
見たことのないほど美しく感じ、またそこから辛うじてフラ
ンスを見ることもでき良い経験となった。
ホワイトクリフ
このように 2 日目に至っては予定と全く異なる行動をとってしまったが、実際この 2 日
間の行動はイギリスの国風、都市を知る良い機会となった。この自主活動で学んだことは
今後自分の専門に活かすことができると考える。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第八章 所感
第八章 所感
リーダー:貴志崇之
イギリスに行き、これまで自分には無かった新たな視点を身につけることができ、将
来の進路の選択肢を増やすことができたと思う。
学問に関しては、さまざまな分野のヒトからまちづくりや建築様式、交通システム、
原子力発電についての話を聞く中で、エネルギーシステムに強く興味をもった。超短期
派遣終了後に、自主学習として日本と他国を比較してみたが、再生可能エネルギーを安
定して供給するシステム制御は日本が一番であることを知り、自分はその分野を学びた
いと思った。日本のエネルギーシステムだけでなく、エネルギー問題のことも調べると、
エネルギー問題は、単にエネルギーシステムの制御だけでなく、経済システムや、地方
消滅問題、環境問題などに関わっていることも知ったので、今後はそれらも学習してい
きたいと思う。
また、このプログラムで自分がこれまで話したことがあまり無かった分野の方と話す
機会が多々あったことも自分の価値観が変わるきっかけになったと思う。特に、今回の
超短期派遣では、土木・環境工学科と社会工学科の友人、そしてこの参加していただい
た高橋航圭先生と話をする機会を多く作ることができたのが良かったと思う。ロンドン
で自主活動をするなかでまちの様子や交通に興味をもつようになったのは友人に日本
とロンドンのまちづくりの違いを聞いたのがきっかけであった。エネルギーシステムや
原発問題に興味をもったのはケンブリッジ大学の曽我健一教授に質問をしたのがきっ
かけであった。また、以前は海外留学の長所を知らず自分の進路の選択肢になかったが、
高橋先生から海外留学の方法をより具体的に伺うことができ、留学のイメージがより具
体的になり、大学院のときにしてみたいと思うようになり、またそのために必要な英語
の継続的な学習の必要性も痛感した。
イギリスに行く前は、英語を聞き取れるか、コミュニケーションをとれるかの不安し
かなく、帰国後に自分の価値観がこれほど変わるとは思ってもみなかった。勿論、英語
力向上に対する意欲も高まったが、それ以上に自分の今後の進路選択に対して新たな価
値観を得ることができたのが良かった。短い期間ではあったが、イギリスから帰国した
後に自分が成長できたことを嬉しく思う。また、今回の TiROP 超短期派遣に参加した
学生六名を支えていただいた方々、特に派遣中サポートしていただいた高橋先生と留学
生交流課の久須美文さんに感謝している。
サブリーダー:一色裕次
大きく成長したなと実感したことは初対面の人に積極的に話していけるようになったこ
とです。自腹で行ったせいか話していかなければ、せっかく得られる情報や人とのつなが
りを失ってしまうという焦りにかられ、もうどうにでもなれという勢いで初対面の人でも、
相手がネイティブスピーカーの教授でも、話しかけていったら、意外と何とかやり過ごす
ことができました。最初は簡単な質問をぶつけるくらいだったのですが、次第に晩餐会や
大学の寮のバーでいろいろな学生と化学の話やプライベートな話までできるようになりま
した。ギリシャやドイツなどいろいろな国から来た人と話しているうちに、個々人それぞ
れユニークな考え方に触れ合い、自分の考え、ものの見方の幅を広げることができました。
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第八章 所感
サブリーダー:清水悠太
今回の派遣を通して変わったことは大きくわけて 2 つある。
1 つ目は英語を学ぶ姿勢だ。これまでも漠然と英語は必要だし勉強するべきだと思ってい
た。だがそれはあくまでも TOEIC の点数を伸ばしたいなどといった本当に漠然としたもの
だった。それがイギリスに行ったことで、海外の人と言葉の壁なく話したい、海外に行っ
ても自分の能力を遺憾なく発揮できるようにしたい、などといったより具体的な思いを持
つことができた。これによって、例えば同じ TOEIC の本を使って勉強をするにしても、モ
チベーションを高めることができるようになったと感じた。また、イギリスにいる日本人
の多くがおっしゃっていたが、英語力をつけるためにも留学はとても意味のあることなの
だと改めて感じた。さらに英語の先にあることとして、文化の違う人との意見交換をうま
くできるようにするということがあるが、これも留学によって身につけられるのではない
かと思った。今回訪問したような世界中から学生が集まってくる大学に留学することで、
多様なバックグラウンドを持つ人と対等に意見を言い合う経験をするのは大切なのではな
いかと思う。
2 つ目として将来の進路の選択肢が広がったということが挙げられる。これまでは学部を
卒業して就職するか、修士まで進むかというところで迷っており、博士課程への進学は全
く考えていなかった。
だが、
留学して Ph.D.を取ろうとしている方などの話を聞いたことで、
海外の大学で博士を取るという選択肢が自分の中にできた。企業に入ってその中でステッ
プアップしていくものだと考えていたが、あくまで自分自身の能力を高めてどこに行って
も通用する人間を目指すという道を歩んでいる方々に会い、また海外では博士まで取るの
が普通だという話を伺ったことで、日本にずっといたら考えなかったであろう道を見つけ
られたのは大きな収穫だったと思う。
だがそうは言っても博士に進む決心はまだつかないので、今後はこのモチベーションを
維持しつつ英語を勉強しながら、サマープログラムなどへの参加という形で再び海外を経
験したいと考えている。
エディター:中澤知己
今までは、日本で将来働くから海外は旅行で行くという捉え方であった。ましてや、自
分の興味は地方や田舎。しかし、いざ海を越えてみると、課題は繋がっていて、日本だけ
の規模で見ていてあまり実態が掴めなかった課題も、世界規模で考えると因果関係が見え
てくることが多いということがわかり凄くためになった。また、日本で満足していた自分
がいたが、世界規模で活躍していけるになりたいと視野を大きく持つようになれた。院か
らの就活と思っていたが、ドクターの方々や高橋先生と触れ合う中で、ドクターという選
択肢まで入ってきて、より人生をワクワクさせてもらった。
ただ、懸念点は婚期がとても遅くなるということだが、40手前の結婚でもまあいいか
なと思えるようになったので、大丈夫だ。
会計係:関根達侑
本プログラムに参加する前、私は海外に行ったことが無かった。ますますグローバル化
していく世界で、将来海外へ行く機会は必ずあると言ってよく、学生時代に海外へ行って
おくことは非常に重要であると。しかし、さまざまな不安から、今まで留学説明会へは行
ってもなかなかプログラムに申し込む勇気が無かった。しかし、学部 3 年生になり、来年
研究室に入る前にどうしても海外に行っておきたいと思い、不安の中参加した。実際に現
地に行ってみると、今までの不安がかき消されるくらい多くの感銘を受けた。これまでの
人生で見てきた世界とは全く異なった世界。人々、街並み、言語すべて異なり、実際に英
語を使って話していて、英語は学問などではなく言語なのだということを再認識した。今
まで自分は試験のために数学や物理と同じ学問として英語を勉強してきたが、彼らにとっ
てはそれは生活の一部であり、私たちの話す日本語となんら変わりない、言語として使っ
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2015 夏 TiROP 英国超短期派遣報告書
第八章 所感
ている。それを実感して今までの自分が恥ずかしくなった。これからは英語を人の話す言
葉だということを意識して勉強していきたいと思った。
また、文化の違いも多く見られた。私たち日本人は、街中でお互いに干渉せず、満員電
車に乗り、疲れた顔をして携帯を見ているが、英国の人たちは、皆顔が明るい。外で携帯
を見ている人は誰もいなく、電車は日本のよりも小さく空いていた。これは、英国に満員
電車という概念が存在しないからだと考えられる。商店街も、夕方 5 時には閉まってしま
うので、多くの人が早く帰れるのだろう。幸福度は、明らかに彼らの方が高いように感じ
た。
言語の面でも、大きな違いが見られた。日本には、敬語というものがある。目上の人や、
お客様、初対面の人には敬語で話すが、これは良いところも悪いところもあると感じた。
まず、この敬語は、相手に敬意を表し、安心させる働きがある。実際、機内や店内で早口
で英語で話しかけられた際、相手が怒っているような気がして少し怖いことがあった。
しかし、敬語は人と人の間に壁を作り、一定の距離を保ってしまう面もある。例えば店員
に、
「いらっしゃいませ」と言われても、これに返事をする客はいない。いらっしゃいませ
と言っている本人は機械的に、客が来たら言うよう指導され、自分の感情とは無関係に言
っているに過ぎない。これに対して、英語では “Hello?” や “Good morning”などと言われ、
こちらも “Hello” “Good morning”と返す。これは気軽であると同時に挨拶をすることによっ
てお互い距離が縮まり、フレンドリーになれる。このように、敬語は良くも悪くも日本の
文化であるが、相手に敬意を表す格式ばった表現があるのは誇りに思ってよいと思った。
今渡航は、わずか 2 週間であったが、非常に貴重な体験をたくさんすることができ、異
文化理解や、将来について考え直す良い機会となった。また、海外についてますます興味
を持ったので、これからも留学プログラムを使って積極的に留学していこうと思った。
交通係:鈴木新
今回の派遣交換プログラムを通じて僕は様々なことを学びました。アメリカ英語とイギ
リス英語の違いや英国と日本の文化の違い、また学科に関係あることとしてはイギリスの
地下鉄のルーツや公共交通利用の現状などを知ることができました。
特に印象に残っていることとしてはロンドンのシェアサイクルの利用があります。日本
では現在様々な場所でシェアサイクルの利用を呼びかけていますが、なかなか利用者が増
えません。しかしロンドンのシェアサイクル事情を見て驚愕しました。なぜならシェアサ
イクルのステーションが多いところではワンブロックごとにあり、その上休日だとほとん
どのステーションの自転車が貸し出し中だからです。僕も自由行動の時にシェアサイクル
を利用しようとして人数分の自転車がそのステーションにない時にはちょっと困りました
(笑)
。また、休日じゃなくても朝は家から最寄り駅まで通勤で使う人が多いため駅に自転
車が集中し、夜になると逆に駅の自転車が少なくなり、逆に駅から少し離れた場所のステ
ーションに自転車が集まるところも興味深いなと思いました。
その他にもこの留学でできた貴重な体験として、オックスフォードのシンポジウムの晩
餐会に参加できたことがあります。これは日中に行われた東工大の教授なども参加するシ
ンポジウムの晩餐会であり、
「晩餐会」という名前の通りこの日は正装(ドレスコードはス
マートでした。
)で参加し、ハリーポッターの晩餐会のようなムードを体験することができ
ました。もちろんムードを楽しむだけでなくそこに参加した東工大の先輩たちや海外の
様々な大学の人たちとも話をし、英語を話すことの大変さやその人たちの通う大学の雰囲
気などいろいろなことを聞くことができました。食事も高価なだけあってとても美味しく、
ワインも飲み放題だったことも印象的でした。
特に印象に残っていることを紹介しましたがこの留学では本当に様々な貴重な体験をす
ることができました。2 週間という短い期間の間にロンドン、オックスフォード、ケンブリ
ッジというイギリスの学術的都市を回り、文化や歴史など様々なことを学ぶことができま
した。この留学で得たことは今後必ず役に立ち、一生の宝物になると思いました。
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