実施報告 - 坂井田喜久

2014
高校生のための機械工学
体験セミナー報告書(H25年度)
高校生のための機械工学
体験セミナー実行委員会
静岡大学工学部
2014/4/17
目
次
1. 高校生のための機械工学体験セミナーの概要 ...................................................................................... 3
1.1. 組
織 ............................................................................................................................................ 3
1.2. 目的と本セミナーの特徴................................................................................................................ 4
1.3. 日程・会場 ....................................................................................................................................... 4
1.4. 参加者 ............................................................................................................................................ 4
2. 実施報告 ............................................................................................................................................... 5
2.1. 模擬講義......................................................................................................................................... 5
2.2. 実施報告「A:アーク風洞を用いた流星実験」 ............................................................................. 6
2.3. 実施報告「B:飛行機の飛ぶ仕組み」 ........................................................................................... 7
2.4. 実施報告「C:魔球のひみつとドルフィンジャンプコンテスト」 ................................................ 8
2.5 実施報告「D:身近な熱力学を探してみよう」 .............................................................................. 9
2.6. 実施報告「E:移動ロボットの反射型・計画型プログラム」....................................................... 11
2.7. 実施報告「F:精密測定学入門」 ................................................................................................. 12
2.8. 実施報告「G:ヤングの干渉実験 光の波動性」 ......................................................................... 13
2.9. 実施報告「H:デジタル技術を利用した「ものづくり」
」 ........................................................... 14
2.10. 実施報告「I:ライントレースカーを走らせよう!」 ................................................................ 16
2.11. 実施報告「J:パスタブリッジコンテストに挑戦」 ................................................................... 17
2
1. 高校生のための機械工学体験セミナーの概要
1.1. 組
織
総括責任者:
坂井田
模擬講義講師: 東郷
喜久
(機械工学科)
敬一郎
(機械工学科)
体験実験プログラム担当:
A
アーク風洞を用いた流星実験:
松井
信
(機械工学科)
B
飛行機の飛ぶ仕組み:
吹場
活佳
(機械工学科)
C
魔球のひみつとドルフィンジャンプコンテスト
真田
俊之
(機械工学科)
D
身近な熱力学を探してみよう
益子
岳史
(機械工学科)
E
移動ロボットの反射型・計画型プログラム
小林
祐一
(機械工学科)
F
精密測定学入門
臼杵 深
(機械工学科)
G
ヤングの干渉実験
居波 渉
(機械工学科)
H
デジタル技術を利用した「ものづくり」
静
(機械工学科)
I
ライントレースカーを走らせよう!
寺林 賢司
(機械工学科)
J
パスタブリッジコンテストに挑戦
藤井 朋之
(機械工学科)
光の波動性
企画運営担当:
朝間
淳一
(機械工学科)
臼杵
深
(機械工学科)
島田
和彦
(機械工学科)
本山
英明
(機械工学科)
協
力:
坂井田
天野
喜久
宗恒
(機械工学科長)
(工学部企画係長)
見学協力:
高柳記念館
ヒコーキ部
3
弘生
1.2. 目的と本セミナーの特徴
静岡大学工学部の基本理念に基づき浜松近郊地域の技術者育成を図る一環として,本セミナーでは,
高校生を対象として最新の機械工学における『ものづくり』の過程を簡単にではあるが一通り体験して
もらい『ものづくり』への興味付けと学習意欲の向上を図る教育プログラムである.本セミナーの特徴
は,大学と高校が連携して高校生の技術に対する意識改革を実体験学習により育成する点にある.本年
度は,東郷教授による「機械・構造物の安全を守る(材料強度学)」と題した模擬講義と,コース別の実
習を実施した.講義と実験の時間は,大学の講義時間に合わせて実施した.また,コースによっては物
づくりサークルの見学を通して,『ものづくり』や科学技術に対する理解を深められるように留意した.
1.3. 日程・会場
日
程:2013 年 3 月 25 日(火)
10:00-10:20
開会式
10:20-11:50
模擬講義(全員共通)
11:50-12:45
昼食・昼休み
12:45-15:55
体験実験
16:00-16:30
閉会式・写真撮影
会
場:工学部 1 号館 31 教室(メイン会場)他
1.4. 参加者
静岡県内 18 校(昨年度 13 校),愛知県より 2 校から 111 人(昨年度 69 人)が参加した.参加高校リ
ストは以下の通り.
静岡県
富士東高校:
1名
浜松湖東高校:
清水西高校:
7名
掛川西高校:
2名
清水東高校:
5名
島田工業高校:
2名
静岡学園高校:
12 名
科学技術高校:
9名
富士高校:
7名
知立東高校:
御殿場高校:
2名
安城高校:
磐田西高校:
7名
磐田南高校:
1名
愛知県
西遠女子学園高校: 7 名
袋井高校:
9名
島田高校:
4名
浜松城北工業高校: 1 名
清水南高校:
1名
浜松南高校:
1名
15 名
4
11 名
6名
2. 実施報告
2.1. 模擬講義
作成者:臼杵
講
師:東郷
敬一郎(静岡大学工学研究科
機械工学専攻
題
目:機械・構造物の安全を守る(材料強度学)
深
教授、副学長(評価担当))
講演概要:
人類の発展に大きな役割を果たしてきた機械・構造物が,時として破壊事故を起こし,多くの人命を
奪ったり,経済的損失を招くことがあります.機械・構造物は,壊れないように出来ていてはじめてそ
の機能を発揮し,当然壊れないように作られているはずです.一方,形あるものはいつかは壊れるとい
うことも宿命です.機械・構造物を安全に設計し,使用中の安全性を確保することは機械技術者として
極めて重要です.この講義では,以上の観点から,機械材料(金属材料,プラスチック,セラミック,
複合材料など)の変形・破壊挙動とその工学的評価手法を紹介します.
内容報告:
講師である東郷先生は,材料強度学・複合材料工学がご専門であり,各種工業材料についての説明や
工業材料発達の歴史の説明から講義を始めていただいた.その後,材料力学における応力と歪みの関係,
強度と安全性の関係といったように大学の講義さながらの内容であった.講義レベルを落とすことなく,
理解し易く,を両立した内容で,高校生も聴き入っていた.講義終盤には,金属疲労が原因となって大
惨事を引き起こした事例の紹介があった.特に航空機の事故は恐ろしく,材料強度学の重要性を再認識
させられることとなった.
5
2.2. 実施報告「A:アーク風洞による流星模擬実験」
担当:松井
信(機械工学専攻),TA4 名
参加申込者: 15 名,参加者:14 名
目的:アーク風洞を使った人工流星を作り,流星が光る原理を学ぶ.
プログラム概要:
【アーク風洞による流星模擬実験】
まず流星の正体,光るしくみについての講義と実験装置の説明をプロジェクタを用いて行なった.次
に二人一組になって好きな流星の大きさ,表面物質を選んでもらい,実際に大気圏突入環境を模擬でき
るアーク風洞を用いて人工流星を作ってもらい,大きさや表面物質による光り方の違いを体感し,分光
器を用いて定量的な違いを学んだ.
流星が光るしくみについての講義
アーク風洞を用いた流星模擬実験
【見学ツアー】
高柳記念館,大学キャンパスを見学し,ものづくりサークル(ヒコーキ部,静岡大学 SATT)活動の現
場を見学し,学生との懇談を行った.
担当者感想と今後の課題:
感想:人数を半分ずつに分けて交互に実験と見学ツアーを行った分,実験時間が 90 分しかなく高校生が
自分で手を動かして作業をする時間が十分に取れなかった.
6
2.3. 実施報告「B:飛行機が飛ぶ仕組み」
担当:吹場活佳(機械工学科)
参加者 9 名
プログラム概要:
【飛行機が飛ぶ仕組み】
飛行機が空気中を安定に飛行する仕組みを、紙飛行機を組み立てて飛ばしてみることで理解するプロ
グラムを実施した。市販の紙飛行機の製作キットを用意し、学生に機体を選ばせ各自組み立てを行った。
このキットは胴体、主翼、尾翼からなる本格的な競技用紙飛行機のもので、うまく製作・調整すれば 100m
以上飛ばすことも可能なものである。製作後、飛行機がどうやって安定に飛行するかをパワーポイント
を使って解説した。その後大講義室へ移動し講義室にて実際に飛ばした。紙飛行機を微調整しながら飛
ばすことで、飛行機が安定に飛行するメカニズムを学習した。さらに、水流洞を用いた飛行機周りの流
れの観察なども行った。
製作した紙飛行機の一例
水流洞による流れの観察
担当者感想と今後の課題:
感想: 今年度から内容を一新し、学生がより手を動かして課題に取り組める内容に変更した。反応は上々
であった。
今後の問題点:
紙飛行機の製作に要する時間は個人差が大きく、対応に苦慮した。また人数的には 10
名が限界であると思われる。
7
2.4. 実施報告「C:魔球のひみつとドルフィンジャンプコンテスト」
担当:真田俊之,本澤政明
参加者10名
目的:高校物理で学習する質点の物理において,通常無視される流体の抵抗について学び,物体の形の
重要性について学ぶ.物体に働く揚力や効力といった概念を学ぶ.さらに,発泡スチロールを加工し水
深 300mm の底からどれだけ高く飛ばすことができるかを競うドルフィンジャンプコンテストを行う.
【流体抵抗に関する講義】
ガリレオ・ガリレイの実験の話から,運動量と位置エネルギーを復習し,ベルヌーイの定理の説明を行
った.またマグナス効果を体験してもらうため,卓球用のマシーンにて回転と揚力の関係を学び,物体
周囲の流れが物体に及ぼす力について学習した.
【ドルフィンジャンプコンテスト】
実際に加工した発泡スチロールで記録に挑戦した.最も高くまで飛んだ記録は 110cm 程度で,かなり高
く飛んだ.
担当者の感想と今後の課題
感想:それなりに楽しめたと思う.今回は大学院生も入り,記録を競った.結果高校生の方が高く飛び,
またその理由もそれなりに回答していたので,形状の重要性を理解してもらったと思う.
8
2.5 実施報告「D:身近な熱力学を探してみよう」
担当:益子岳史
参加者:10 名
【プログラム概要】
コーヒーサイフォンや水飲み鳥,蒸気機関車模型の動作を観察・実験し,熱機関,相転移,蒸発熱,
状態方程式,永久機関などの熱力学的概念とともに,身の周りの自然現象や機械に熱力学が関連してい
ることを学ぶ.
【コーヒーサイフォンの実験】
最初に,比較的簡単なテーマとしてコーヒーサイフォンを取り上げた.その動作を観察し,原理を考
え,できたコーヒーを飲みながら議論してもらった.その後議論をまとめる形で,関連する熱力学的概
念を説明しながら解説を行った.
コーヒーサイフォンの実験の様子
【水飲み鳥の実験】
次に,やや難しめのテーマとして水飲み鳥の実験を行った.水飲み鳥の周期的な動作を観察し,コー
ヒーサイフォンの実験で学んだことを念頭において動作原理を考え,議論してもらった.関連する熱力
学概念を説明しながら解説を行った後,以下のような条件で水飲み鳥の動作がどう変わるか予想し,
「水
飲み」の周期測定を行って予想を確認し,理解を深めてもらった.
・ 密閉容器に閉じ込めた場合
・ 風をあてながら水を飲ませた場合
・ 水の代わりにエタノールを飲ませた場合
9
水飲み鳥の実験の様子
【蒸気機関車の実験】
最後に,蒸気機関車の模型の運転を行った.蒸気機関車の動作原理について説明した後,模型を動か
した.熱力学的な説明に加え,はずみ車,死点,クランク,ギアなど機械工学の用語についても模型を
見せながら紹介した.
蒸気機関車の実験の様子
【担当者の感想と今後の課題】
昨年度の経験を基に,理想気体の状態方程式が未習の参加者を想定した解説を準備し,蒸気機関車の
実験を加えるなどの工夫をして臨んだ.全員が熱力学に興味があるということで(10 名中 7 名が第 1 志
望,3 名が第 2 志望で本テーマを選択),発言も積極的にしてくれた.水飲み鳥の実験では予想通りの結
果となって喜んでいた.また,やはり蒸気機関車が動き出した時が一番盛り上がったようである.
水飲み鳥を昨年(欠席もあって参加者 4 名)と同じ 2 個しか準備しなかったため,5 名で 1 個の水飲み
鳥を扱うことになり,参加者が手持無沙汰になりがちであった.次の機会では, 2 名に 1 個くらいの水
飲み鳥を準備するようにしたい.
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2.6. 実施報告「E:移動ロボットの反射型・計画型プログラム」
担当:小林祐一
参加者:12 名
【体験授業概要】
① モータ回転量の制御による移動ロボットの位置制御プログラム作成と実験.
② 距離センサ情報を利用した移動ロボットの壁沿い走行制御プログラム作成と実験.
【報告事項と感想】
① 2 名ずつ 3 グループに分け,各グループに PC1 台と移動ロボット 1 台を割り当てた.
② 実験に用いる小型移動ロボットの説明を行い,課題とプログラムをパワーポイントで説明した.If,
while, などの C 言語コマンドについての解説を含む説明資料を配布した.
③ 位置制御課題については,ステッピングモータの回転量と車輪径・車輪間距離などの関係から所望
の距離だけ進む(もしくは所望の角度だけその場回転する)ための制御量の指定を手計算により求
めさせ,実験により計画通りの運動(L 字型の軌道を描いて目標位置で停止する)を実現してもら
った.
④ 壁沿い走行課題については距離センサの情報を分岐の条件に用いた反射的な制御則の設計を行った.
「反射的」に行動させるためには一定時間車輪を回すのではなくセンサ値を取得しながら行動を変
化させる必要があるが,その点に十分に気づいてもらうことができなかった.昨年度と比較して全
体の進捗は早かったため,「反射型」の意味合いについてより深くしっかりと理解してもらうよう
工夫をする余地がある.
⑤ 6 つのグループのうち, 1 つのグループではプログラミング経験があったため非常に早く課題を達
成した.そのグループには反射と計画を組み合わせた課題を追加で与えてみたが,それには少し時
間が不足していた.もう少し発展的な内容を取り込めるように工夫する余地があるとも感じた.
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2.7. 実施報告「F:精密測定学入門」
担当:臼杵
深,TA2 名
参加申込者:9名,参加者:8名
目的:
「信頼できる測定とは何か?」を学び,ノギスやマイクロメーターを使ってミクロな世界の測定を
実体験する.
【精密測定学の講義】
ものづくりの基本である設計,加工,計測に関する説明の後,精密測定学の初歩の講義を行った.まず,
測定精度や誤差,誤差の補正等について詳しく説明し,測定の不確かさの概念を学んでもらった.併せ
て,実際の測定結果の例に基づいた不確かさの計算方法を説明した.次に,寸法(長さ)の単位である
メートルの基準についてその設定方法やトレーサビリティ確保の方法を説明した.続いて,寸法を測定
するための各種機器について紹介した後,アッベの原理について学んでもらった.
【マイクロ測定実習】
ノギス,マイクロメーターを用いて,マイクロメートルオーダー(1mm 以下)の厚さのコピー用紙,ア
ルミ箔,ラップを測定する実習を行った.まず,ブロックゲージの測定を行い,各種測定機器の測定値
を保証・確認した.測定結果データを処理し,平均値,標準偏差,標準不確かさを求め,測定精度やア
ッベ誤差について体験してもらった.また,不確かさ要因について全員で考察を行った後,質問コーナ
ーではノギスの副尺の原理について全員で議論した.
測定器
高校生A
高校生B
高校生C
高校生D
高校生E
高校生F
高校生G
高校生H
平均値
標準偏差
標準不確かさ
図
ノギス
デジタルノギス デジタルマイクロメーター
0.05
0.09
0.0903
0.05
0.09
0.08859
0.05
0.08
0.0879
0.05
0.08
0.08899
0.05
0.08
0.08815
0.05
0.05
0.08821
0.05
0.09
0.08907
0.1
0.09
0.0877
0.05625
0.08125
0.08861375
0.01767767
0.013562027
0.000838041
0.00589256
0.004520676
0.000279347
厚さ 0.0875mm(カタログ値)のコピー用紙の測定結果
担当者感想と今後の課題:今回は工業高校の学生がいなかったため,ノギスの副尺の読み取り方などか
ら丁寧に説明した.講義と実習の時間を半々としたため,結果の考察やディスカッションの時間を設け
ることが出来た.
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2.8. 実施報告「G:ヤングの干渉実験
実施報告「ヤングの干渉実験
光の波動性」
光の波動性」
担当:居波 渉 (機械工学科), TA: 2 名
参加者:11 名
目的:ヤングの干渉実験を実際に行い、光の波動性について学ぶ。
【ヤングの干渉実験】
始めに、光が我々の生活でどのように役に立っているかについて紹介した。そして、光の波動性と粒
子性の論議の歴史を紹介した。どのような実験や理論に基づいて、光が波や粒子だと考えられたのかを
説明した。ヤングの干渉実験により光が波であることが示された。ヤングの干渉実験で、なぜ光が波で
あると考えられるかについて、解説した。使用する光の波長、スリットの幅、スリットから観測スクリ
ーンまでの距離から、ヤングの干渉縞の間隔を簡単に計算できることを示した。また、このヤングの干
渉実験から光の波長が測定できることも示した。
次に実際に実験を行った。まず、複スリットを作製した。スライドガラスを黒マジックインキで塗り、
そこにカッターナイフなどで2本の線を引いた。複スリットの幅は、ルーペを用いて測定した。作製し
た複スリットにレーザーを照射し、干渉縞をスクリーンに映した。そして、スクリーンにできた干渉縞
の間隔を測定した。また、レーザー光の波長、スリット間隔、スリットとスクリーン間の距離から干渉
縞の間隔を計算した。計算から求めた値と実験値を比較し、理論が正しいことを確認した。ヤングの干
渉実験を通して、光が波の性質を持つことを体験することができた。
作製したスリットの幅の測定
干渉縞の間隔の測定
担当者感想と今後の課題
感想:参加した学生は、実験に興味を持ち取り組んだ。非常に簡単な実験で光の波動性を理解できたと
思う。本実験を通して、科学に興味を持ったと思う。
課題:光の波動性は示すことができた。さらに、光の粒子性に関する実験も行うことでより理解を深め
ることができる。
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2.9. 実施報告「H:デジタル技術を利用した「ものづくり」
」
担当:静
弘生(機械工学科),TA1 名
参加者 7 名
目的:数値制御工作機械の仕組みと CAD・CAM について体験を通じてモノが出来る仕組みを理解する
プログラム概要:
本体験では,キーホルダーの製作を通じて CAD・CAM についての体験を行う.最初に次世代ものづ
くり人材センターの見学を行い金属を加工する加工機について学習する.次に CAD を用いてキーホルダ
ーとして加工する形状を作図し CAM により加工プログラムを作成する.その後,3 次元加工機を用いて
作成した形状の加工を行いキーホルダーを製作する.
【ものづくりセンターの見学】
キーホルダー作成体験に先立ち,次世代ものづくり人材育成センターの見学を行った(図 1).参加者
からは,金属等を加工する加工機を実際に見たことがない学生がほとんどで,機械の仕組みや機械を使
って出来るものについて熱心に見学していた.
【NC 工作機械と CAD・CAM についての講義】
モノを作るにおいて必要となる図面の説明や,CAD について講義を行った.また,CAD データを用
いてどのように実際の加工機で加工されるのか CAM 等についての説明を行った.参加者からはデザイン
した形状がコンピューター制御により加工できる仕組みについては初めて聞いたとの感想があった.
【キーホルダーの作成】
CAD・CAM について説明した後にキーホルダー製作体験を行った.キーホルダーに削り込む形状は図
2 に示す CAD を用いて参加者各自で好きな形状を作成した.その後に図 3 に示す加工機で切削加工し,
キーリングを付け配布した.(図 4)
担当者感想と今後の課題:
感想: NC 機械を実際に見たり触ったりした経験を持つ学生はほとんどいなかった.このことから,本
体験は加工について学ぶ良い機会になったのではないかと思われる.また,難しい実験ではなくキーホ
ルダーという身近な物を作るということが興味を抱くきやすくなったのではないかと考えられる.さら
に,キーホルダーは携帯が容易で,自分でデザインした形状であることから,今後も静大の体験で作っ
たという愛着とともに使用してくれるのではないかと思われる.
今後の問題点:デザイン段階で悩む学生がいたことから加工までに思いの外時間がかかってしまい,終
わるのが当初設定されていた講義の時間ギリギリになってしまった.また,一部の学生については写真
撮影が終わり,全体の体験会が終了した後に引き続き作業することになった.このことから,時間内に
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終わる工夫が必要であると感じた.また,加工機は今回次世代ものづくり人材育成センターよりお借り
しての開催となったが,当センターの機械使用状況の関係もあることから研究室の加工機を使用するな
どの方法を採る必要があると思われる.
図 1 CCE の様子
図 2 CAD によるデザインの様子
図 3 体験で使用した加工機
図 4 製作したキーホルダーの例
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2.10. 実施報告「I:ライントレースカーを走らせよう!」
参加人数: 9 名(1 年生 4 名,2 年生 5 名)
実施担当: 寺林賢司,TA 3 名
体験目的: ライントレースカー走行を通じたメカトロニクス基礎の学習
体験内容:
(1) ライントレースカーの走行原理の理解
ライン検出用の光センサ,マイクロコンピュータ,モータ駆動用スイッチング回路等につ
いてスライドを使って説明を行った.また,ライントレースカー走行とメカトロニクスとの
関連について説明した.
(2) ライントレースカーの走行実験
簡単なプログラミング課題の後に,参加者毎にライントレース走行プログラムを行い,タ
イムトライアル競技を実施した.
実験の様子
ライントレースカー
ライントレースカー走行
タイムトライアル競技
謝辞
ライントレースカー,ノートパソコン等の実験機材,および地域連携スペースをお貸し頂きました,
静岡大学工学部次世代ものづくり人材育成センターの東先生,関係各位に深く感謝致します.
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2.11. 実施報告「J:パスタブリッジコンテストに挑戦」
担当:藤井
朋之(機械工学科),TA6 名(B4)
参加者 22 名 (欠席者 1 名)
プログラム概要:
【材料と構造に関する力学の座学】
機械工学および今回のテーマである橋の構造・材料の強さに関する講義を 30 分程度行った.パスタの
強さに関して重点的に講義を行い,学生自身に考えさせるように問いかけながら,講義を行った.
【パスタブリッジの製作とコンテスト】
パスタで出来た強い橋を作ることを目標に,6 グループに分かれて,ブリッジを設計・製作を行った.
各班では,講義と TA のアドバイスに基づいて,議論・協力しながらパスタブリッジを完成させた.
講義の風景
パスタブリッジの製作風景
担当者感想と今後の課題:
感想:
パスタブリッジ製作に先立ち,橋の構造に関する
説明を実施し,橋の形状や力の方向について考えな
がら設計する様子が見られた.午前中に開催された
材料強度に関する模擬講義を受講していたため,材
料の壊れ方などに関する興味があったように感じた.
今後の課題:
パスタブリッジコンテスト
多くの班が,橋の構造を考えることに時間を費や
しため,製作に十分な時間が取れず,中途半端な状態でコンテストを行った.次回は,時間内に終わる
ようにスケジュール管理を実施する必要がある.また,班によって進捗に差があるため,TA の教育を十
分に行い,スムーズな進行が出来るように心がけることが必要である.
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