2007年度の問題

基礎分析化学
中間試験問題
2007-06-15(金)
担当
市村
【1】1.00×10−2 M Cu2+水溶液を100 cm3作るのに必要な硫酸銅五水和物の質量を求め
よ。(H = 1, O = 16, S = 32, Cu = 64)[0.250 g]
【2】ある三塩基酸(H3A)の二ナトリウム塩Na2HAのCS = 0.10 M水溶液について次
の問いに答えよ。ただしH3Aの酸解離定数はKa1 = 1.0×10−3 M, Ka2 = 1.0×10−7 M,
Ka3 = 1.0×10−11 Mである。
(a)プロトン収支の式を書け。
(b)物質収支の式を書け。
(c)電気的中性(電荷均衡)の式を書け。
(d)(b)の物質収支式と(c)の電気的中性式から(a)のプロトン収支式
を導け。
(e)物質収支の式と酸解離定数から,三塩基酸に関する化学種(4種)の濃度
を,プロトン濃度([H+]),酸解離定数(Ka1, Ka2, Ka3)、全濃度(CS)で
表せ。
(f)Ka1 >> Ka2 >> Ka3,かつCS >> Ka2, Ka3CS >> Kwが成立しているので,水の解
離およびH3Aの寄与は小さい,したがって(a)のプロトン収支式は簡略
化できる。簡略化したプロトン収支式を書け。[[H2A−] = [A3−]]
(g)(e)の化学種濃度を(f)のプロトン収支式に代入して[H+]を求めよ。
[[H+] = K a2 K a3 ]
(h)数値を代入して,0.10 M Na2HA溶液のpHを求めよ。[9.00]
(i)この溶液中に存在するすべての化学種(7種)の濃度を求めよ。
【3】0.050 Mリン酸二水素カリウム水溶液と 0.025 Mリン酸水素二ナトリウム水溶液
がある。この二つの水溶液を用いてpH = 6.91 の緩衝液を作るための混合比を求
めよ。 ただし,リン酸の酸解離定数はKa1 = 7.52×10−3 M, Ka2 = 6.23×10−8 M, Ka3
= 2.1×10−13 M(pKa1 = 2.12, pKa2 = 7.21, pKa3 = 12.68)である。[1:1]
log2 = 0.30, log3 = 0.48
基礎分析化学
期末試験問題
2007-07-27(金)
担当
市村
【1】1.0×10−3 molのFe(ClO4)3と 2.0 molのNaFを含む,pH = 3.2 の水溶液 1.0 dm3について以下
の問いに答えよ。
Fe3+ – F−の全生成定数:β1 = 1.0×105 M−1 (logβ1 = 5.0),
β2 =1.0×109 M−2 (logβ2 = 9.0),
β3 = 1.0×1012 M−3 (logβ3 = 12.0)
HFの酸解離定数:Ka = 6.3×10−4 M (pKa = 3.2)
(1)pH = 3.2 でのフッ化物イオンの副反応係数aF(H)を求めよ。[2.0]
(2)pH = 3.2 での逐次条件生成定数Kfi’を求めよ。[5.0×104 M−1, 5.0×103 M−1, 5.0×102 M−1]
(3)pH = 3.2 でのFeIIIが関与する 4 化学種の濃度を求めよ。[[Fe3+] = 1.0×10−15 M, [FeF2+]
= 1.0×10−10 M, [FeF2+] = 1.0×10−6 M, [FeF3] = 1.0×10−3 M]
【2】EDTA 滴定について以下の問いに答えよ。
(1)錯生成を利用する滴定にキレート試薬として EDTA がよく用いられる理由を列挙
せよ。
(2)pH = 4.80 の緩衝液中で 0.020 M Sr2+水溶液 50cm3に同濃度のEDTA水溶液を等量加
えたとき,錯体の生成分率を求めよ。[2/3]
(3)pH = 4.80 の緩衝液中で 0.020 M Cu2+水溶液 50cm3を同濃度のEDTA水溶液を等量加
えたとき,キレートを生成していないCu2+の濃度を求めよ。[1.0×10−7 M]
H4edtaの酸解離定数:Ka1 = 1.0×10−2 M, Ka2 = 2.1×10−3 M,
Ka3 = 7.8×10−7 M, Ka4 = 6.8×10−11 M
[Sr (edta)]2−の生成定数:Kf = 3.0×109 M−1
[Cu(edta)]2−の生成定数:Kf = 5.0×1018 M−1
pH = 4.80 でのedta4−の副反応係数:αedta(H) = 5.0×106
【3】1 価陽イオンX+,2 価陽イオンY2+,3 価陽イオンZ3+はともにヨウ化物イオンI−と難溶性
の塩を生じる。それぞれの溶解度積はつぎのとおりである。
Ksp(X) = 1.0×10−10 M2
Ksp(Y) = 4.0×10−15 M3
Ksp(Z) =2.7×10−19 M4
(1)純水中でのそれぞれの塩の溶解度を求めよ。
[S(XI) = 1.0×10−5 M, S(YI2) = 1.0×10−5 M,
S(ZI3) = 1.0×10−5 M]
(2)0.10 M KI水溶液中でのそれぞれの塩の溶解度を求めよ。[S(XI) = 1.0×10−9 M, S(YI2)
= 4.0×10−13 M, S(ZI3) = 2.7×10−16 M]
(3)X+,Y2+,Z3+の濃度がともに1.0×10−3 Mである混合溶液に,KI溶液を加えていった
たとき,最初に沈殿する塩は何か。[XI]