建物・施設におけるテロ対策 - 銀泉リスクソリューションズ

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建物・施設におけるテロ対策
平成16年9月
銀泉保険コンサルティング株式会社
ご照会先 東京 TEL 03−5226−2212 大阪 TEL 06−6205−6221
URL:http://ginsen-consul.com/
目 次
1.はじめに
1頁
2.テロ行為の分類
1頁
(1)生物兵器
(2)核兵器
(3)放火
(4)化学兵器
(5)爆発物
3.テロ災害に対する準備
5頁
(1)テロ一般に対する備え(テロ対応10箇条)
(2)サイバーテロに対する備え
(3)ビル等が爆破された場合の対応
(4)生物・化学兵器によるテロに対する備え
(5)生物・化学兵器によるテロ攻撃が起こった場合の対応
(6)核・放射性物質によるテロ攻撃に対する備え
(7)核・放射性物質によるテロ攻撃が起こった場合の対応
(8)核・放射性物質によるテロ攻撃後の対応
(9)【参考】個人(家庭)でできるテロ災害準備
4.テロ対策(∼爆弾テロ対策∼)
7頁
(1)爆弾テロ対策の心掛け(不動産会社・ビル施設管理会社を含めた一般的な心構え)
(2)爆弾予告電話への対応
(3)爆発物容疑物を発見した場合
(4)小包・手紙爆弾
(5)自動車に仕掛けられる爆弾
(6)脅迫電話チェックリスト
(7)小包・手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント
5.おわりに
12頁
(参考資料)FEMAの対テロ・ビルディングセキュリティ
13頁
《参考資料・出典》
15頁
1.はじめに
米国の同時多発テロから3年が経過しましたが、依然としてテロ根絶の見通しさえ立っていません。
先頃も、ロシア北オセチア共和国の学校がテロリストに占拠され、児童を含む300人以上が犠牲に
なるという異様な事件が発生しました。相次ぐテロ事件を背景に、テロの防止と被害の抑制が、
官民を問わず、喫緊の課題となっています。
米国連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation:FBI)は、テロ行為を「政治的または社会的な
目的を達成するために、政府、民間人またはその一部に対し脅威を与え、または威圧することを企図
して人間または財産に対して非合法的な形で武力を行使すること。」と定義しています。
テロリストは、このテロ行為の影響の極大化を狙い、議会、行政府、学校等の公共建築物、大量輸送
機関、経済的影響力が大きい場所、通信施設、歴史的または象徴的に重要な場所を標的にします。
この目的達成のための標的は、必ずしも公的な施設とは限りません。
この意味で、テロによる攻撃を少しでも予防し、万一攻撃を受けた場合でも、被害を最小にするための
対策を考えることは、民間企業にとっても重要です。
そこで以下では、米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)やわが国外務省の資料等を整理して、建物・
施設におけるテロ対策をまとめてみました。
2.テロ行為の分類
「米国 対テロ現場対応心得」(末尾参考資料5)によれば、テロ行為は次の5つに分類されます。
①生物兵器(Biological)
②核兵器(Nuclear)
③放火(Incendiary)
④化学兵器(Chemical)
⑤爆発物(Explosive)
これらテロ行為については、通常の緊急事態(ビル火災、地震、設備の爆発・故障)とは異なる対応が
必要となります。まず、これらテロ行為がどのようなものか理解するすることが、対応を検討していく
うえでのポイントとなります。
(1)生物兵器(Biological)
テロ兵器として改良され、使用される細菌。炭疽菌、ツラレミア(野兎病)、コレラ、脳炎、ペスト(時として
プレーリードッグの群生地で発見されます)、ボツリヌス菌(製造状態が悪い食物の缶詰で発見されます)
等がその例です。
生物兵器の主な感染経路は吸入と摂取です。エアゾール(噴霧装置)の使用、汚染された食物や水
による経口感染、物質と皮膚の直接接触による皮膚感染、注射といった方法によりまき散らされます。
これらの細菌は伝染力が強いため、壊滅的な打撃をもたらす非常に大きな脅威となります。
(2)核兵器(Nuclear)
核兵器によるテロ行為の脅威は、核爆弾の使用、使用・爆発の脅威と核物質を混入した通常爆発物
の爆破または爆発の脅威です。しかし、核保有国並びに核兵器保有国は核物質並びに核兵器の管
理を最高のセキュリティーの下においているため、テロ組織がこれを入手または作り上げ、使用すると
いうことは現実的ではありません。ただ、核兵器の使用を脅迫手段として使う可能性はあります。
核物質をまき散らす方法として、原子力発電所や核物質運送中の輸送機関を爆破させる方法が考え
られますが、これらは広汎な範囲に影響を及ぼすことになり、国家ベースでの対策が必要となります。
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放射性物質から出る放射線としてはα線、β線、γ線の主要な放射線があります。いちばん厄介なの
はγ線で、ほとんどの物質を透過し、全ての細胞組織と器官を傷付けます。人が短時間に大量のγ線
を浴びると、皮膚の炎症、吐き気、嘔吐、高熱、抜け毛、皮膚火傷などの急性放射線症を引き起こしま
す。
(3)放火(Incendiary)
テロ行為における放火には放火装置が使われます。放火装置とは、発火を引き起こし、火災を起こす
ために意図的に使用される機械的、電気的、化学的な装置のことで、時限発火装置を含め単純なも
のから複雑なものまでバラエティに富んでいます。
通常、放火装置は、いったん発火点に到達した場合、可燃物が燃えるだけで十分な熱と炎を生じるよ
うに作られた物質やその混合物で構成され、点火装置またはヒューズ、容器または本体、放火材また
は充填剤の3つの基本部品から成り立っています。
容器としては、目的に応じて、ガラス、金属、プラスチック、紙が使用され、化学物質を使った装置には
金属やその他の壊れにくい容器、液状の化学反応活性剤を使った放火装置にはガラスのような壊れ
やすい容器を使用しています。
放火装置を発見した場合、未経験者がこの種の装置を扱うと発火したり死傷する恐れがあること、ま
た、犯罪現場保全の意味合いから特殊訓練を受けた者に取り扱いを任せるべきです。
(4)化学兵器(Chemical)
化学兵器によるテロ行為に使用される化学剤は以下の5つに分類されます。
①神経作用剤
神経の情報伝達を遮断する。
②糜爛(びらん)剤
発泡剤とも呼ばれ、目、皮膚、および気道の細胞組織に重度の炎症を引き起
こす。
③血液作用剤
血液の酸素を運ぶ機能を阻害する。
④窒息剤
呼吸器系の細胞組織に大きなダメージを与える。
⑤刺激剤
呼吸窮迫と流涙をもたらし、人間を無力化する。また、皮膚、特に体の湿った
部分に激痛を引き起こす。(別称)暴動鎮圧剤。
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各々の特徴、種類、症状は次の通りです。
化学剤
①神経作用剤
②糜爛(びらん)剤
③血液作用剤
特徴・種類・症状
≪特徴≫
神経作用剤は化学生成としては有機リン系の殺虫剤と同じですが、より強い
毒性を有し、わずか1滴でも致死量となります。東京地下鉄サリン事件で日本
のテロリストが使用したサリンも神経作用剤です。
≪種類≫
サリン(GB)
ソマン(GD)
タブン(GA)
V剤(VX)
GA、GB、GDの最初の文字「G」はこの神経作用剤を開発した国(Germany)
を、2番目の文字は開発の順序を示しています。また、VXガスの場合、「V」は
「毒液」を、「X」はある化合物の化学物質の一つを表しています。
≪症状≫
神経作用剤が使用された場合、被害者には目に見える形で初期症状が早い
段階で現れます。
よだれを流し、涙が流れ、失禁し、下痢症状を起こします。
その他の症状としては
目:瞳孔の縮小、視覚のかすみとぼやけ、日光の刺激による痛み
皮膚:過剰発汗、筋肉震せん
筋肉:無意識の痙攣と収縮
呼吸器系:鼻水と鼻充血、胸部圧迫、咳、呼吸困難
消化器系:過度のよだれ、さしこみ、吐き気、嘔吐、下痢と失禁
神経系:目眩、不安感、思考困難、睡眠困難(悪夢)
≪特徴≫
特徴的なにおいからマスタード剤とも呼ばれています。全ての糜爛剤は、神経
作用剤には劣りますが、高い毒性を持っており、ほんの数滴を皮膚に垂らすだ
けで重度の障害を引き起こし、皮膚を通して3グラムが吸収されると致死量と
なります。初期症状が表れるのには数時間から数日かかります。ニンニクのよ
うな匂いとともに、目の痛み、呼吸器系への刺激があるかで撒かれたかどうか
推測できます。
≪種類≫
マスタード(H、HD)
ルイサイト(L)
≪症状≫
目:発赤、充血、流涙、炎症、ほこりが入ったような感覚。重度の場合は、瞼の
腫れ、激しい痛み、瞼の痙攣。
皮膚:1∼12時間以内に、最初は軽いかゆみ、その後に赤斑、ひりひりする痛
み、火傷、さらに疱疹状態に移行。温かく、湿った部位ではさらに悪化。
呼吸器系:2∼12時間以内に、鼻と喉の焼けるような感じ、声のかすれ、おび
ただしい鼻水、ひどい咳、息切れ。
消化器系:2∼3時間以内に、腹部痛、吐き気、血の混じった嘔吐、血の混じっ
た下痢。
≪特徴≫
血液作用剤は、血液が酸素を運ぶ能力を阻害し、結果的に窒息状態にしま
す。血液作用剤は加圧状態では液体ですが、加圧しない状態では気体です。
全ての血液作用剤には「ビターアーモンド」か「桃の花」の香りがします。原料
は一般的な工業用化学物質であり、容易に入手することができます。
≪種類≫
青酸ガス(AC)
塩化シアン(CK)
≪症状≫
呼吸窮迫
嘔吐と下痢
目眩と頭痛
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④窒息剤
⑤刺激剤
≪特徴≫
窒息剤は気道を刺激します。強い刺激により浮腫(肺内部に液体が溜まる状
態)を引き起こし、溺れた状態と同様の窒息状態を引き起こします。
塩素は塩素臭、ホスゲンは「刈りたての干し草の匂い」がします。
≪種類≫
塩素
ホスゲン
≪症状≫
目に対する強い刺激
呼吸窮迫(咳と息苦しさ)
≪特徴≫
刺激剤は、暴動鎮圧剤または催涙ガスとしても知られており、人間を無力化す
ることを目的に作られています。一般的に、刺激剤に致命的効果はありませ
ん。
≪種類≫
クロロピクリン
MACE(CN)
催涙ガス(CS)
唐辛子/コショウスプレー
ジベンゾオキザゼピン(CR)
≪症状≫
目とのど:燃えるような感じまたは炎症、流涙
呼吸器系:呼吸窮迫、咳、息苦しさ、呼吸困難
消化器系:濃度が高い場合には、吐き気や嘔吐
(5)爆発物(Explosive)
爆発物とは、
①ガスや熱を急激な勢いで放出するといった爆発物として機能するように作られた物質または個体
(装置を含む)。
②爆発物として機能するように作られていなくても、内部の化学反応によって爆発物と同じように機能
することができる物質や個体(装置を含む)で、その他のカテゴリーに分類されないもの。
と、定義されています。
世界中で起こるテロ攻撃の70%は爆発物を使用していると推定されており、現在、テロ集団が最も
利用する武器が爆弾であることは明らかです。
また、連邦捜査局(FBI)は
①1994年に米国内で3,163件の爆弾事案が発生し、このうちの77%が爆発物によるもの。
②爆発物による事案のうち78%が爆発または発火し、前もって警告や脅しがあったのは4%。
③公安当局が装置の存在を知っていてもそれを見つけられる可能性はわずか20%。
④毎年、数百件の「イタズラ」の爆弾事案が報告されている。
⑤爆弾犯の一般的な標的は居住用財産。
と、報告しています。
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3.テロ災害に対する準備
具体的なテロ対策を考える前に、テロ災害に備え、事前にどのような準備が必要か、どのような対応を
心掛けなければならないかを検討します。平素の心掛けで、被害は相当少なくできます。
(FEMA「緊急事態マニュアル Are You Ready 」のポイント)
(1)テロ一般に対する備え(テロ対応10箇条)
①常に周囲に注意を払うこと。
常に危機管理意識を持つこと
②不審・不安を感じたときは、その場から離れること。
危機意識がなければ、不審・不安を感じることはない。
③建物等の非常出口がどこにあるかを知っておくこと。
慣れている場所と、慣れていない場所では、初期対応に大きな差が出る。
④不審な荷物や不審な人のことを警備員や警察に通報すること。
自分1人だけの判断で対応しない。自分が助からなければ、それ以上何もできない。
⑤消火器の使い方、応急処置を習って慣れておくこと。
会社や地域での防災・防犯活動には積極的に参加して、消火器等の扱い方や救急処置
の方法を習得する。
⑥消火器・ヘルメット等の置いてある場所を知っておくこと
何処にあるかわからないと、自分自身が危険に晒される。
⑦小型懐中電灯、ビニール袋、ホイッスルは常に携帯すること。
真っ暗では行動できない。酸素がなければ逃げ切れない。何処にいるか知らせなければ
ならない。
⑧携帯電話を活用すること。
外部との連絡をうまくとる。
⑨万一の場合は、パニックに陥らないこと。
どのテロに分類されるかがわかれば、対応は難しくない。他人の動きに左右されない。
⑩非常事態に備え必要な物品を準備しておくこと。
(2)サイバーテロに対する備え
①電気、電話、ガス、ガソリン給油器、ATMマシーン等がサイバーテロにより停止された場合に備える。
②政府より指示があった場合には、それに従うこと。
(3)ビル等が爆破された場合の対応
①ビル等からすぐに避難すること。物が落ちてくる状況では、テーブル等の下に身を隠し、落ち着いて
から避難する。
②火災が生じた場合
(ⅰ)煙を吸い込まないよう、身を低く床に近づけてビル外に避難する。
(ⅱ)濡れた布で鼻と口を覆う。
(ⅲ)避難路のドアが閉まっている場合、梯子を降りる際等に使用する手のひらでなく、手の甲で
熱さを確かめる。熱くない場合は、ドアを静かに開け、逃げ道がふさがってなければ、地を這
うようにして逃げる。逃げ道がふさがっている場合は、ドアを閉める。ドアが熱い場合は、開け
ずに、窓から逃げる。窓から逃げられない場合は、白い布等を窓にかざして消防士に自分の
存在を告げる。
③瓦礫にはさまれた場合
(ⅰ)マッチに火を付けない。
(ⅱ)動いたり、挨をまき散らすようなことはせず、口をハンカチ等で覆う。
(ⅲ)壁等をリズミカルに叩いて、救助員に居場所を知らせる。声を出して助けを呼ぶのは、近くに
救助員が居て声が聞こえると思われる時のみ。
(4)生物・化学兵器によるテロに対する備え
非常事態に備えた物品を用意する。特に、電池式のラジオ(スペアの電池とも)、保存可能な食品・飲
料水、(換気口等を塞ぐための)ガムテープとはさみ及びビニール、救急医療セット、石鹸等の衛生用具を
必ず用意すること。
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(5)生物・化学兵器によるテロ攻撃が起こった場合の対応
①ラジオを聴き、政府の指示に従い、避難、自宅待機等の行動を取る。
②自宅待機するよう指示を受けた場合は次の措置を取る。
(ⅰ)全ての通気口を塞ぐ。
(ⅱ)可能であれば窓のない部屋に避難し、部屋をガムテープとビニールで密閉する。ラジオを持ち
込む。
③守るものがない場所(屋外等)にいる場合
(ⅰ)汚染地域の風上に立つ。
(ⅱ)すぐに避難場所を見つける。
(ⅲ)ラジオを聞き、政府の指示に従う。
④化学兵器の影響 (視界がぼやける、目がひりひりする、呼吸が困難になる、吐き気をもよおす) が
現れた場合
(ⅰ)すぐに医師の診療を受ける。
(ⅱ)すぐに医師の診療を受けることが出来ない場合は、自らの汚染除去をした後、他人の汚染
除去を助ける。
・汚染汚染されている衣服等を脱ぎ(頭から脱がせる服は、目、鼻、口に触れるのを防ぐため、
切り裂く)、ビニール袋に入れる。自分の手を石鹸で洗う。眼鏡やコンタクトは外し、眼鏡は漂
白消毒する。
・目を水で洗う。
・顔と髪を石鹸でやさしく洗い、よくすすぐ。
・汚染された可能性のある身体のその他の部分を洗浄する。
・汚染されていない服装に着替える。
・可能であれば病院で検査を受ける。
⑤生物兵器による攻撃が起こった後の処置
(ⅰ)症状を感じた場合はすぐに医師の診療を受ける。生物兵器による症状は当初はわかりにく
いことが多いので、政府の警告や指示に注意する。
(ⅱ)衣服が病原体に接触したと考えられる場合は、衣服をビニール袋に入れ、身体を石鹸で洗
浄する。汚染されていない衣服に着替え、医師の診療を受ける。
(6)核・放射性物質(ダーティ・ボム)によるテロ攻撃に対する備え
①各コミュニティの警報を知っておく。
②非常事態に備えた食料、物品、医療品等を2週間分以上用意する。
③居住地近辺の放射性降下物から守るためのシェルターに指定されている建物が何か、具体的な避
難プランは何かを、官公庁等に問い合わせる等して承知しておく。
④ビルに居住している場合は、ビル内の最も安全な場所はどこか管理人等から聞いておく。
(7)核・放射性物質によるテロ攻撃が起こった場合の対応
①閃光を直視しない。
②攻撃の警告があった場合は次の措置を取る
(ⅰ)急いで身を隠し(可能であれば地下に)、更なる指示を待つ。
(ⅱ)戸外にいてすぐに屋内に入れない場合は、何か身を隠すことができるものの陰に隠れる。
地面に伏せ、頭を隠す。
(ⅲ)爆発が離れた場所で起こった場合、爆風が到違するまで30秒以上かかることもある。
③シェルターに入り、放射性降下物から身を守る。
④ラジオを聞き、政府の指示に従う。
(8)核・放射性物質によるテロ攻撃後の対応
①シェルター内に避難している時
(ⅰ政府の指示があるまでシェルターを離れない。
(ⅱ)シェルター内の衛生状態を保つよう努カする。
(ⅲ)限られた食料、飲料水を慎重に使用する。
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②自宅に戻る時
(ⅰ)ラジオでニュース、政府の指示等を聞き、危険な場所をチェックする。
(ⅱ)建物の被害をチェックする。
(ⅲ)有害な物質(医薬品、可燃性物質等)がこぼれている場合は、清掃する。
(ⅳ)ガス、水道、電気を止めた場合、これらが使用可能であることを確認できるまで再開しない。
(ⅴ)被害を受けた場所、「radiation hazard」や「HAZMAT」と表されている場所には近づかない。
(9)【参考】個人(家庭)でできるテロ災害準備
2003年2月11日付ワシントンポスト紙は、国土安全保障省(DHS)や米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)
がもしものテロ災害に備えて、各家庭に以下の準備行うことを奨めていると報じています。
・3日分の非常食や飲料水等、災害時の必需品を準備する。水は一人あたり一日1ガロン(約4.5リット
ル)、その他にも救急箱や毛布、手動の缶切りが必要。
・災害袋は自宅だけでなく車や職場にも常備しておく。
・停電時でも使用できる携帯ラジオと予備電池を準備し、災害の際には現地当局からの指示を確認す
る。状況によっては退避するより自宅で待機するほうが安全な場合あり。
・生物・化学兵器による攻撃に備え、自宅における避難部屋を設定しておく。
・ドアや窓、通気口を防げるよう、ガムテープ、ハサミ、ビニールなどを準備する。
・災害が起きた場合の避難方法を含む、緊急対応策を家族と再点検しておく。
・家族が離れ離れになった場合の連絡方法を定めておくと共に、はぐれた際の待ち合わせ場所を2箇
所指定しておく。
・周辺地域以外で、家族が安否を連絡できる友人又は親戚を設定する。
・電話機近くに緊急連絡先を記しておく。
4.テロ対策(∼爆弾テロ対策∼)
既述のように世界中で起きるテロ攻撃の70%は爆発物を使用していると推定されています。そこで、
以下では、在米国日本総領事館HPで紹介されている「爆弾テロを想定した対策」をご紹介します。
(1)爆弾テロ対策の心掛け
爆弾テロの被害に遭わないためには、平素から、関連情報を収集・評価し、物的・人的措置を講じ、訓
練を行い、爆弾が設置されないように、また爆弾が設置されても適切に対応できるようにしておくことが
極めて重要です。
①情報の収集・評価
所要の爆弾テロ対策を講じるためには、治安情勢、特に爆弾テロに関する情報を正確にフォロー・把
握しておく必要があります。
(ⅰ)日本の在外公館、現地の治安当局、日々の新聞の切り抜き等の情報を通じて、爆弾テロの
発生状況、犯行組織、政治背景、手口(手紙、車等を使用するのか)、使用爆弾の特徴(ダイ
ナマイトかプラスチック爆弾か)、攻撃の対象(無差別か特定目標か)、発生時刻・場所等につ
き承知しておく。
(ⅱ)収集した情報に基づいて、爆弾テロの直接・聞接的な脅威を評価する。この際、現地の情勢
に加え、日本国内の情勢や世界の他の地域の情勢がもたらし得る脅威への影響も考慮に
入れる。
(ⅲ)最寄りの警察等に爆発物処理班等があるか前もって調査しておき、緊急時の連絡方法等を
確認しておく。また、爆発物発見時の避難場所等についても複数のオプションを用意しておく。
②物の面の安全
爆弾テロ防止のためには、事務所・工場等を設置する以前の段階から、次のような考慮を払っておく
必要があります。
(ⅰ)事前調査を十分に行い、テロリスト等の攻撃の対象となるおそれのある施設の近辺には事務
所等を設置しない。特に共同使用のビルに事務所を設ける場合には、このようなおそれのあ
る企業等の事務所の近隣はできるだけ避ける。
(ⅱ)車両に仕かけられた爆弾によるテロを防止するため、利用する出入り口数はできるだけ少なく
し、車両通行用と歩行者用を区別しておく。駐車場は可能であれば社員用と外来用を区別し、
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外来用は事務所建物から離して設置する。また、社員用には監視員を配置する等警備対策
を講じる。
(ⅲ)事務所内に爆弾を設置されないよう人の移動を規制するため、事務所内は来訪者の立入を
認める区画と社員のみが立ち入ることができる区画に厳格に区分する。
(ⅳ)不審人物の出入り規制に当たっては、TVカメラやIDカード読取器等の設置を考慮する。
(ⅴ)爆発時の被害をできるだけ抑えるため、必要に応じガラス窓には飛散防止テープを貼付する
とともに、爆発物飛来防止のための金網又は幅の狭い鉄格子を取り付ける。
(ⅵ)爆弾テロの脅威があるときには、爆発物の発見を容易にするため、ロビーや事務所等の外周
にはできるだけ植え込み等を設置しないことが望ましい。
(ⅶ)爆弾テロの脅威が極めて高いときには、車両爆弾による攻撃を防止するためのコンクリート・
ブロック等の設置を考慮する。
③人の面の安全
爆弾を設置させない、また、設置されても早期に発見するため、次のような措置を講じておきます。
(ⅰ)来訪者及び手荷物のチェックを確実に行う。必要に応じ金属探知機(雷管探知のため)を使用
する。
(ⅱ)社内外の整理整頓を常時徹底するよう心がける。
(ⅲ)社内外の死角をなくし、監視の届かない所については見回りを頻繁に行う。
(ⅳ)外塀への爆弾設置、外塀の側での車両爆弾防止のため外回りについても見回りを行う。
(ⅴ)可能ならば、事務所等に隣接する道路上の駐車は禁止する。
(ⅵ)社員全員が不審物(放置荷物、手紙、小包等)に対し注意するよう平素からよく教育しておく。
④安全訓練
爆破予告があった場合ないし爆発物容疑物件を発見した場合、適切に対応できるよう、次のような
準備・予行訓練を十分に行っておくことが重要です。
(ⅰ)爆破予告(電話・手紙)があった場合ないし爆発物容疑物件を発見した場合の行動基準等を定
め、全従業員に周知する。
(ⅱ)爆破予告電話を受ける可能性のあるすべての社員(特に電話交換手)に対し、爆破予告電話へ
の対応要領を周知し、演習を行う。
(ⅲ)実際の場合も混乱に陥ることなく速やかに避難できるよう避難訓練を反復実施する。
(2)爆破予告電話への対応
爆破予告電話には単なる嫌がらせから、真の脅迫、さらには予告まで様々な動機のものがあります。
このような電話がかかってきた場合、いたずらにパニックになることなく、一応信憑性のあるものと仮定
して、適切な対応を行うことが被害を最小限にくい止める上で極めて重要です。このためには、爆破予
告電話への対応を平素から従業員に周知徹底させ訓練を行っておくことが重要になります。
また、脅迫内容を正確に把握し、後日の捜査に役立てられるよう電話録音装置を用意しておくことを
お勧めします。具体的な対応要領は次の通りです。
≪対応要領≫
①電話を受けた時点での対応
(ⅰ)電話を受けた人は余裕があれば、近くにいる人にメモ等を渡すことにより、警備担当責任者等
に、今、脅迫電話を受けている旨を連絡する。
(ⅱ)できれば電話を録音しておいたほうがよい。
(ⅲ)まず、冷静に対応し、通話内容を正確に聞き取ることが何よりも重要である。
(ⅳ)通話を中断させず、質問等により会話を引き伸ばし、できる限り情報入手(特に爆発物を仕掛け
た場所、爆発時刻)に心がける。(脅迫電話チェックリスト参照)
(ⅴ)また、通話後直ちに犯人との会話の詳細を記録しておくと、後日の対応に役立つ。(脅迫電話
チェックリスト参照)
②脅迫の評価(真偽の判断)
(ⅰ)警備責任者は、脅迫の内容について分析し、その真偽を判断し、退避すべきか否か、警戒を
強化すべきか否か等を決定することになるが、その決定は迅速に行う必要がある。
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(ⅱ)その際、明らかにいたずらと考えられる場合を除き、一応本物の可能性があると考えて対応
すべきであり、まず、社員全員を安全な場所に避難させ、現地警察に爆発物の捜査を依頼す
るのが無難な対応といえる。
(ⅲ)真偽の判断に際しては、会社に対する恨みや前兆の有無等関連の出来事を含め総合的に考
えるべきである。
③避難
(ⅰ)避難に当たっては、パニック状態の発生を防ぎ整然と避難することが最も重要です。あらかじ
め責任者は、次の措置を講じておきましょう。
・避難計画をたて、関係者全員に周知し、それに基づいて訓練を行い、その都度決定を修正す
る。
・避難の態様(全員か一部か、屋外か屋内か)に応じたシグナルを定めておく。
・避難経路(複数)を明確に示しておく。
・避難統制のための補助者を指定しておく。
・避難先(複数)を決め、その安全を確認しておく。
(ⅱ)また、避難に当たっては、次のことが大切です。
・ハンドバック等私物は、すべて室内に残さず、仮に残しても取りに戻らない。
・机の引き出し、扉等にはカギをかけない。
・避難の前に、平素職場にない物があれば速報する。
・すべての電気器具のスイッチを切る。
・すべての窓、ドアは開けたままにしておく。
④事後対策
爆破予告が本当であった場合はもちろん、仮に爆破予告電話があり避難等を行ったにもかかわらず、
爆発物が発見されず、また、爆発も発生しなかった場合にも、その後終わったからといって安心して
忘れてしまうのではなく、このようなことが発生したことに対する原因究明の努カを行うべきです。
また、次の点についても念のため警戒を強化する等の措置を取っておく必要があります。
(ⅰ)出入者、受理郵便物、小包等の検査を強化する。
(ⅱ)外周道路における路上駐車を禁止する。
(ⅲ)社員の自宅周辺、通勤途上の警戒を強化する。
(3)爆発物容疑物を発見した場合
爆発物の取り扱いでミスを犯すと生命にかかわる重大な結果を招くことになります。このため、爆発物
の疑いのある不審な物品を発見した場合には、次のことに注意しましょう。
(ⅰ)これに触ることなく、速やかに容疑物件から遠ざかり、警察等関係当局へ通報し、事後の処
理を依頼する。
(ⅱ)容疑物件は一つだけとは限らない。犯人は分かりやすい所に一個を仕かけ、他の爆弾から
注意をそらせ、より大きな被害を発生させようと考えていることがある。
(4)小包・手紙爆弾
「小包爆弾」及び「手紙爆弾」の対策に当たっては、配達・受領時点での点検により、爆発物の疑いが
あるか否かにつき早期に発見することが重要です。
不審物の疑いのあるときは特に取り扱いに注意し、持ち主、発送人に問い合わせるなど不審点の解明
に努め、不審物と判断されるときは爆発物容疑物件発見時の措置に従うことが必要です。
①小包・手紙爆弾等の送付方法等
「小包爆弾」及び「手紙爆弾」の送付方法としては、郵便、宅配便、直接届けられる場合が考えられま
す。
(ⅰ)郵便による場合: 開被した瞬間に爆発するよう調整されており、受取人の不用意、不注意、
無意識等に乗ずる。
(ⅱ)宅配便の場合: 手紙や小包引き渡りの時間を特定できるため時限起爆装置の使用が可能で
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あり最も危険である。
(ⅲ)直接届けられる場合: 手紙や小包を取り上げた瞬間に爆発するよう仕組まれている可能性、
若しくは開被した瞬間に爆発する方法がとられている可能性があり、対象を
直接ねらえることから、テロリストの中にはこの方法をしばしば使用するもの
もある。
②小包・手紙爆弾等の特徴<不審物の疑いのある物>
・差出人が未知の人の場合や、差出人の住所が記載されていないもの。
・あて名や住所の誤字又は誤記のあるもの。
・重量に違和感のあるもの。
そのほか、後述「小包及び手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント」を参照してください。
③爆発物処理隊が到着するまでの措置
小包や手紙爆弾が直接届けられた場合 : 触ることなく、遠ざかる。
郵便や宅配便によることが明らかな場合 : 人の出入りがない場合に保管する。
いずれも、必要により避難する。
(5)自動車に仕掛けられる爆弾
テロリスト等爆弾の専門家は自動車に爆弾を仕かけることも多く、会社や住宅における爆弾対策とと
もに自動車に仕掛けられる爆弾対策にも、次のように心掛けることが必要です。
・夜間、長時間路上や警備員のいない駐車場に車を放置することはできるだけ避ける。
また、自宅や事務所のガレージ外部からの不審者が近づけないよう工夫する。
・車に乗り込む際には、車体を一巡して異常がないか確認する。この際、特に、タイヤ周辺、車
体下部、車内に異常がないか確認する。
・新たなテロの手口として、自動車に爆弾物を積載して事務所等に突入させる方法も見られる
ようになっており、かかるテロ攻撃が発生する危険性のある地域においては、コンクリート製
の車止め等の大がかりな対策が必要になる。
(6)脅迫電話チェックリスト
①爆破予告電話を受けた時の質問事項
・爆弾はいつ爆発しますか
・現在どこにありますか
・どのような形をしていますか
・どんな種類の爆弾ですか
・どうすれば爆発しますか
・あなたが爆弾を仕かけたのですか
・なぜですか
・あなたの住所は
・あなたの名前は
②脅迫に使われた正確な言葉
③相手の性別、人種、年齢
④電話がかかってきた電話番号、電話時間の長さ、日付、時刻
⑤通話終了後、直ちに報告する連絡先 [電話番号 OOO-OOOO]
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⑥関連情報
下記に注意し、手掛かりを掴む。
(相手の声)
・落ち着いている
・鼻にかかっている
・怒っている
・どもっている
・興奮している
・舌がもつれている
・ゆっくりしている
・しわがれ声
・速い ・深い声 ・低い
・耳障りな声
・大きい
・せき払い
・笑っている
・息遣いが荒い声
・泣いている
・かすれ声 ・普通
・声色を使っている
・はっきりしている
・なまりがある
・はっきりしない
・聞き覚えがある
・聞き覚えのある声である
場合、だれの声のようです
(背景の音)
・街頭の雑踏
・工事の機械音
・食器の音
・動物の声
・拡声器音
・静か
・音楽
・近距離電話
・住居の雑音
・遠距離電話
・自動車の音
・電話ボックス
・事務所機械音
・その他
(脅迫の言葉)
・教養ある言葉遣い
・支離滅裂な言葉遣い
・乱暴な言葉遣い
・テープ吹き込み
・非論理的
・脅迫者によるメッセージの
読み上げ
(7)小包・手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント
日常から下記の項目に注意を傾け、早期、事前感知に努めることが大切です。
項目
外見
臭い
チェック・ポイント
・住所・氏名等の記載内容、消印、切手等が不自然(差出人の住
所・名前の欠如、差出人住所と消印の相違、切手の貼り過ぎ等)
・包装が不自然(稚拙な包装、テープやひもを多用し必要以上に
頑丈等)
・必要以上に「親展」、「至急」、「取り扱い注意」、等の表示
・ワイヤー、ひも等の突出及ぴ油状のシミや汚れ
・靴墨、アーモンドのような臭いや芳香
・異常な重さ(軽さ)や重さのバランスに片寄り
・手紙爆弾の場合には、通常の手紙に比し、重く、厚みあり
・不自然な固さや弾力感
感触 (ただし、強く押
・突起物や塊状物質の存在感・内容物にガタつき
したり、振らないこと)
・時計のようなコチコチ音や液体のゴボゴボ音等の異常な音
重さ
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5.おわりに
テロ行為は通常の緊急事態とは本質的に異なり、損害の極大化を意図した犯罪行為です。
したがってテロ行為に遭遇した場合は、自己防衛に努めながらできるだけ被害拡大防止を行い、
あとは、高度な訓練を受けた警察や消防などの応援を仰ぐ必要があります。そのためには、
平素から警察や消防との連絡を密にして、友好な関係を築くとともに、専門家であるこれら機関の
訓練を積極的に受けておくことが肝要です。
世界的にテロが横行するなかで、わが国においてもテロ行為がいつ発生してもおかしくない状況
となっています。民間企業がテロに直接対処する余地は限られていますが、既述のような「テロ
災害に対する準備」「テロ対策(∼爆弾テロ対策∼)」等を念頭において、企業としての危機管理
体制を確立しておくことが、テロを未然に予防し、被害の拡大を防ぐうえで重要と判断されます。
銀泉保険コンサルティング(株)は危機管理体制を含む最適なリスクマネジメント体制の構築を
ご支援いたします。全社一丸となってリスク管理が行われる体制を構築・定着させ、リスク感性の
高い企業風土、組織体制を確立するために、当社をご活用下さい。
以 上
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(ご参考資料)
FEMAの対テロ・ビルディングセキュリティ
2003年12月、FEMA(Federal Emergency Management Agency :米国連邦緊急事態管理庁)は、ビル
ディングに対するテロ攻撃向けマニュアルを公表。
本資料は同マニュアルからテロリスク評価とテロ対策例のポイントを抜粋したもの。
Ⅰ.テロリスク評価
1.基本的考え方
リスク = 資産価値 × 脅威 × 脆弱性
各要素を10段階に格付けして数値評価
2.リスク評価モデル
費用分析
資産価値
評価
脆弱性
評価
脅威評価
軽減策の特定
リスク評価
決定
(リスクマネジメント)
効果分析
(評価のポイント)
・資産価値評価
①ビルのコア機能評価: 主要業務は? 危険業務は? 従業者・来訪者数は?
②ビルインフラ評価: 諸インフラ(*)が破壊された場合の重大性評価
(*)敷地、建築設計、構造システム、建物外面、ユーティリティ、機械システム、
水道・ガスシステム、電気システム、火災警報、ITメンテナンス、安全システム
・脅威評価
①脅威/危険物例: 爆発物、化学物質、放火、武装攻撃、サイバーテロ、食品、放射能、核兵器
②テロリスト分析: 存在、可能性、歴史、意図、標的等により分析
・脆弱性評価
①ビル固有因子: ビルの認知度、社会的資産価値、被災影響度、アクセス管理、危険物、
収容人員数、周辺派生被害
②チェックリスト:上記諸インフラの脆弱性判定チェック(216項目)
③クラス分類: 従業員数、面積、テナント、セキュリティ方法等に応じて分類
(クラスに応じてリクワイアメントレベルは上昇)
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Ⅱ.建物の対テロ対策例〔米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)資料〕
(仮訳:銀泉保険コンサルティング(株))
小
対
策
の
効
果
・
費
用
・
難
易
度
大
・ゴミ置き場を建物からできる限り遠ざける
・隠れた行動を容易にするような密集した草木を取り除く
・とげのある植物により自然のバリアを設ける
・地域にある重要な施設を認識する(消防署、警察署、病院他)
・地域にある潜在的脅威となる施設を特定する(原子力施設、化学研究施設他)
・高リスク建物への車両による直接アクセスを避けるための仮設バリアを使用する
・危機が迫った状況において、車両を物理的なバリアとして使用する
・車両通行管理、入館管理のための適切な表示を行い、また高リスクエリアが特定できるような表示は極力行わない
・建物付帯の諸設備(ユーティリティ)へのアクセスを管理し、安全を保つ
・爆発物の設置を防ぐため、(作業用の)狭い空間、ユーティリティ・トンネルその他建物の地下へのアクセスを制限、
管理する
・隣接地の使用状況を評価するため、GIS(地図情報システム)を活用する
・柵の内側に境界に沿ってオープンスペースを設ける
・燃料貯蔵タンクは全ての建物から少なくとも100フィート離れた場所に設置する
・建物の配置、造園、スクリーン(視界を遮る遮絶物)、地形により視線を遮る
・駐車を制限し、安全確保ゾーン((注)危険物の接近を防ぐため定めるゾーンまたは距離)を増加させるための
一時的または継続的な手段を利用する
・構内の高リスク部分を特定し、強固にする
・脅威のレベルにより、バリアの選択、デザインを行う
・潜在的な自動車爆弾攻撃からできる限り多くの距離を保つようにする
・余剰の((注)バックアップ用など常用する設備以上の)ユーティリティ設備を離しておく
・水の検査を定期的に行い、水の中の汚染物質を検知する
・周囲との境界を閉ざし、車両は1箇所の管理された入り口から入るようにする
・法令適用による措置の実行や保安部隊のプレゼンスを確立する
・移動可能なバックアップ用ユーティリティ設備に迅速に接続できるようにする
・セキュリティのための照明具を設置する
・構内用テレビカメラを設置する
・全ての装置は全方向からの脅威に対抗できるように装備する
・必要となる土地面積を計算する際に、セキュリティ、防護手段を考慮に入れる
・駐車場のデザイン、建設の際に、自動車爆弾から守るに十分なスペースをとる
・サイトの使用者、保安要員がサイトをモニターできるように建物を配置する
・潜在的脅威となるものに隣接した位置に建物を作らない
・建物のクリティカルな部分をできる限り玄関口、車寄せ、駐車場、作業エリアから離れた場所にする
・構内全体に亘る拡声装置を設けるとともに、目に付きやすい場所に非常用電話ボックスを設置する
・建物の下や中での駐車を禁止する
・アクセス(コントロール)ポイントを構内へ進入する道路の曲がった位置に設置する
・商用車、配送車の入構ポイントは、高リスクエリアからできるだけ離れたところにする
・都市部においては、敷地の外周の通路、道路沿いにボラード((注)柱状の車止め)、プランター、その他の
障害物を設置し、できる限り境界を(路肩ぎりぎりまで)外側にする、さらに、縁石沿い駐車の制限、排除、
荷物積み下ろしゾーンの排除、道路の閉鎖といった手段により、境界を一層外側にする
・全てのユーティリティ施設に侵入検知センサーを取り付ける
・ユーティリティシステムを余分に((注)バックアップ用など常用する設備以上に)保有し、セキュリティ、
身体の安全、救護機能を充実させる
・外から入ってくるユーティリティシステムを隠す、または強固にする
・アクティブな((注)静止ではなく必要時に作動する)対車両バリアを設置する
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《参考資料・出典》
1.FEMAマニュアルの概要(英語)
ホワイトハウス:
URL: http://www.whitehouse.gov/news/releases/2003/02/20030207-10.html
2.同概要(日本語)
在米国日本大使館:
URL: http://www.us.emb-japan.go.jp/j/ryoji/areyouready.htm
3.FEMA(Federal Emergency Management Agency / 米国連邦緊急事態管理庁)
URL: http://www.fema.gov
4.FEMA 「 Are You Ready ? 」
URL: http://www.fema.gov/areyouready/
5.「米国対テロ現場対応心得」
作成:米国司法省・連邦緊急事態管理庁 監訳:防災行政学会 企画編集:帝国繊維(株)
URL: http://www.teisen.co.jp
6.防災システム研究所
URL: http://www.bo-sai.co.jp/tero.htm
7.「公立文化施設の危機管理ガイドブック」
文化庁
社団法人全国公立文化施設協会
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