局所形状の類似度に基づくエネルギー最小化による三次元欠損修復 河合紀彦 ½ 佐藤智和 ½ 横矢直和 ½ 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 ½ はじめに 本稿では,レーザレンジファインダや画像計測により 取得した実物体の三次元メッシュモデルについて,計測 もれにより生じる欠損領域を自動的に修復する新たな手 法を提案する.従来,欠損修復手法として,欠損領域周 辺の表面形状と類似した形状を同一物体上の欠損領域以 外の領域 以下,データ領域! から探し,それを欠損領 域に逐次的にコピーすることで欠損領域を修復する手法 "#$ %& が提案されている.しかし,逐次的な表面形状の コピーでは,局所形状の接続部において形状に不連続が 現れ,違和感が生じる可能性がある.そこで,本研究で は,欠損領域とデータ領域間の局所表面形状の類似度を 用いてエネルギー関数を定義し,これを欠損領域全体に 対して最小化することで欠損領域を修復する. エネルギー最小化による欠損修復 エネルギー関数の定義 本研究では,図 # に示すように,三次元モデルを欠損 領域 ' を含む領域 ' 内と,' 以外のデータ領域 ( に分 ¼ ¼ け,欠損領域の表面形状の尤もらしさを表すエネルギー を,領域 '¼ 内の点 周辺の頂点群とデータ領域 ( 内 の点 ! 周辺の局所表面形状との距離に基づく類似度 ) の重み付き総和として以下のように定義する. * ¾ ª ¼ !! ª ¾ ¾ ¼ ´ ! µ ! Ω′ ¾ 法線ベクトル 位置あわせした データ領域の面 データ領域 Φ Mf (p)pgp (pi ) Ω 範囲 A f (p ) p 範囲 Ap f (p) pi 欠損領域 p = M の点群 類似パターン f (p )p f (p) 図 % の算出 図 # モデルの各領域 ! 欠損領域内の各頂点 の位置の並列的な更新 をエネルギーが収束するまで繰り返し,エネルギーを最 小化する.以下では,処理 ! について詳述する. ここでは,エネルギー を,式 -! に示すように欠損 領域内の各頂点の要素エネルギー ! に分解し,各頂 点を独立に扱う. ! * ¾ ! ´ µ ! ¾ -! ! は各頂点について独立なので, ! を最小化する ことで,全体のエネルギー を最小化することができ る.すなわち,式 -! を微分することで を最小化する 欠損領域内の頂点 が以下のように独立かつ並列に一意 的に求まる. * #! ただし, は重みである. ! は領域 '¼ 内の頂点 周辺の局所表面形状と最も類似した局所表面形状を持つ データ領域 ( 内の頂点である.また,欠損領域とデー タ領域の局所表面形状の類似度を表す !! を, 頂点 を中心とする一定範囲 内の頂点群と頂点 ! 周辺の面を位置合わせした上での点群と面の距離の総和 として以下の式で定義する. !! * 欠損領域 ¾ ´ µ ´ µ ´ µ ! .! ¾ 実験 提案手法の有効性を示すために図 - に示す欠損を持つ モデルの修復を行った.提案手法により修復したモデル を図 . に示す.修復モデルでは,欠損領域内にも周辺と 類似した形状が再現されている.また,欠損領域下部の エッジもつながり,違和感の少ないモデルが生成されて いる.今後は,モデルの形状とテクスチャの同時修復を 実現する手法を開発する. %! ただし,´ µ は局所形状の位置合わせのための座標 変換行列を表す.また,図 % に示すように頂点 ! の法線方向にある位置合わせ済みのデータ領域の面上の 点を ´ µ !,範囲 の内部に存在する頂点の 数を ! とする. エネルギー最小化による頂点位置の更新 + , の枠組みを用いて式 #! で定義し たエネルギー を最小化する.ここでは,類似局所形 状の組 , !! を固定することで,エネルギー を欠 損領域 ' 内の各頂点で独立に扱えることに着目し, ! 各頂点 の類似形状を持つ頂点 ! の位置の更新 図- 欠損したモデル 図 . 修復したモデル 参考文献 ! "##$!%&''( )*)+ ))* &''( & !, -. / ! - 0 , #, !0 &/+/& &''1
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