The Murata Science Foundation 次世代電子ペーパー用マルチカラーヤヌス微粒子色材の作製 Fabrication of Multi-Colored Janus Pigments for Next-Generation Electric Papers H24助自72 代表研究者 藪 浩 東北大学 多元物質科学研究所 准教授 Hiroshi Yabu Associate Professor, Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University 共同研究者 有 田 稔 彦 東北大学 多元物質科学研究所 助教 Toshihiko Arita Assistant Professor, Institute of Multidisciplinary Research for Advanced Materials, Tohoku University 研究目的 概 要 バックライトを必要とせず、より自然に近 バックライトを必要とせず、より自然に近い い発色が可能であり、フレキシブルで省エネル 発色が可能であり、フレキシブルで省エネル ギーな電子ペーパーは今後発展が望めるディ ギーな電子ペーパーは今後発展が望めるディ スプレイ技術の一つである。電子ペーパーの スプレイ技術の一つである。電子ペーパーの 駆動方式としては、今までに反射型液晶ディ 駆動方式としては、今までに反射型液晶ディ スプレイの技術を応用した手法や、帯電した スプレイの技術を応用した手法や、帯電した 顔料を電気泳動させる手法など、様々な方式 顔料を電気泳動させる手法など、様々な方式 が提案されている。その中でも半球ごとに色分 が提案されている。その中でも半球ごとに色分 けした球(ヤヌス粒子)を回転させるツイスト けした球(ヤヌス粒子)を回転させるツイスト ボールタイプの電子ペーパーは低消費電力と ボールタイプの電子ペーパーは低消費電力と 高いコントラストが期待できる次世代電子ペー 高いコントラストが期待できる次世代電子ペー パー駆動方式の一つである。しかしながら現状 パー駆動方式の一つである。しかしながら現状 の手法では、1画素に当たる粒子のサイズは最 の手法では、1画素に当たる粒子のサイズは最 小でも数十ミクロン程度であり、画素の高精細 小でも数十ミクロン程度であり、画素の高精細 化と高速駆動化が課題となっていた。 化と高速駆動化が課題となっていた。本研究 本研究の目的は、ポリマー被覆することによ の目的は、ポリマー被覆することにより磁性を り磁性を持つ無機酸化物ナノ粒子を有機溶媒 持つ無機酸化物ナノ粒子を有機溶媒に可溶化 に可溶化(ポリマーに擬態化)し、高分子材料 (ポリマーに擬態化)し、高分子材料特有の自 特有の自己組織化により内部に相分離構造を 己組織化により内部に相分離構造を持つポリ 持つポリマーブレンド微粒子中に偏在化させる マーブレンド微粒子中に偏在化させることで、 ことで、ポリマーブレンド微粒子に磁気異方性 ポリマーブレンド微粒子に磁気異方性を持た を持たせ、磁場応答性を持つ有機・無機ハイ せ、磁場応答性を持つ有機・無機ハイブリッ ブリッドヤヌス微粒子を作製することである。 ドヤヌス微粒子を作製することである。 粉体状(市販)ナノ粒子表面にUVオゾン処 ─ 293 ─ Annual Report No.28 2014 理を施し、ラジカル重合開始基を導入した。 ノ粒子に適用できる手法であり、より多様な 処理した粒子は、あらかじめ準備しておいた 無機材料による機能化が期待できる。 リビングラジカル重合(LRP)用の溶液に浸し、 あらかじめ反応温度に加熱しておいたアルミ ブロックヒーターに設置し、重合を行なった。 所定の反応時間経過後、重合を停止した。ポ リマーグラフトしたナノ粒子は、CHCl 3 に良好 な分散を示すのに対し、未修飾の粒子はすぐ に沈降する。調整したγ-Fe 2 O 3−b-PS、ポリス チレン(PS) 、ポリイソプレン(PI)をテトラヒド ロフラン(THF)に溶解し、分散液を調整した 後、水を加え、良溶媒であるTHFを蒸発除去 した。得られた微粒子分散液にネオジム磁石 を近づけると磁石周辺に凝集した。また、磁 石を離すと再分散する事から、得られた微粒 子は再分散性が良いこと、磁性を持っている ことが示された。光学顕微鏡による観察の結 果から、半球が色分けされたヤヌス型微粒子 が形成していることを見いだした。断面TEM 像から、四酸化オスミウムにより染色されたPI 相とγ-Fe2O3−b-PSが導入されたPS相が明確に 観察されたことから、PS相にγ-Fe 2 O 3−b-PSが 選択的に導入されたPS/PIブレンドヤヌス粒子 が得られたことが確認された。光学顕微鏡下 でネオジム磁石の置く位置に依存して、微粒 子の配向がどのように変化するかを観察したと ころ、ヤヌス粒子は磁場の方向に対して、ヤ ヌス微粒子の界面が垂直になるように配向し、 前後左右どの方向にも明確な配向を示した。 さらに、磁石を上下に動かすことにより、回転 運動をさせることにも成功した。 本研究により、無機磁性ナノ粒子をポリマー グラフトし、有機溶媒に可溶化した後、SORP 法によりヤヌス型の微粒子中に無機磁性ナノ 粒子を導入する手法を確立することが出来た。 本ポリマーグラフト手法は今回した磁性ナノ粒 子(γ-Fe2 O3−b-PS)だけでなく、多様な無機ナ ─ 294 ─ −以下割愛−
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