導入教材〈社会編〉解説アマゾンの熱帯林 2 枚の画像は、1986 ∼ 87 年と 2004 年 7 月 29 日に、それぞれアメリカの地球観測衛星「Landsat-5 （ランドサット 5 号）」と「Terra（テラ）」により観測されたもので、ブラジルのパラ州を東西に走るアマゾン横断道路と、その周りに魚の骨のように広がる熱帯林の伐採跡「フィッシュボーン」がとらえられている。濃い緑色は熱帯林を、薄い緑色は草地や牧場を、黒色は川や湖を、赤茶色は裸地や岩肌など植生の少ないところを表している。ブラジルでは、1960 年代に農民のアマゾンへの入植が積極的に勧められ、原生林を伐採して全長 5,500km に及ぶアマゾン横断道路が建設された。農地を拓くために伐採が繰り返され、地味のなくなった土地は野焼きして牧場として開発されている。2 枚の画像から、熱帯林が道路沿いから消失し、その範囲が広がっている様子が分かる。活用場面中学校社会地理的分野（1）世界の様々な地域ウ . 世界の諸地域（オ）南アメリカ学習の概要ここでは、南アメリカについて、その地域的特色を学習する。南アメリカの大国であるブラジルの地域的特色として、アマゾン川流域に広大なセルバと呼ばれる熱帯林が広がっていることが挙げられる。表題の画像を提示し、ブラジルの熱帯林の開発の問題を考えさせることによって、学習に対する意欲を高める。活用例発問例 1. この画像は、1986 ∼ 87 年と 2004 年に地球観測衛星が撮影したものです。何が写っていると思いますか。 2. 2 枚の画像を比較して、気が付いたことを発表しましょう。 3. この画像から、ブラジルという国の課題を設定してみましょう。 4. 森林の伐採による問題点を整理してみましょう。広大なアマゾン川流域の熱帯林の開発の問題が世界的な課題となっており、これについて学習することは、ブラジルの地域的特色をとらえる際に非常に重要です。これから、ブラジルなどの南アメリカの国々について学習していきましょう。活用場面中学校社会公民的分野（4）私たちと国際社会の諸課題学習の概要ここでは、さまざまな地球規模の環境問題を具体的に例示し、理解を深め対策を考えていく学習を行う。地球環境問題の主なものとして、地球温暖化、砂漠化、酸性雨、熱帯林の減少などがあるが、そのうち熱帯林の減少の問題を取り上げ、表題の画像を提示してアマゾンの熱帯林の伐採の実態を理解させることによって、地球環境問題を考えるきっかけとする。活用例発問例 1. 現在、世界で問題となっている地球環境問題には、どのようなものがありますか。 2. この画像は、アマゾンの熱帯林の伐採の状況を示したものです。気が付いたことを発表しましょう。 3. 熱帯林の伐採が進行すると、どのような問題が起こるか予想してみましょう。 4. どうして伐採が進行するのか、実際に伐採を行っている人の立場で考えてみましょう。森林の伐採は、そこに住む動植物の生態系に重大な影響を及ぼすだけでなく、地球上の二酸化炭素の量が増加するなど、地球環境全体に大きな影響を与えていることが分かってきました。熱帯林の保全は緊急の課題といえるでしょう。これから、このような地球環境問題について具体的に学習していきましょう。 JAXA 宇宙教育センター画像2 画像1