新たな生活者シングルソースデータ「ACR/ex」 通説 「女の子は男の子よりしっかりしている」は 本当かを検証する 子どもの頃や若い時は特にですが、 「女の子は 1.18 ~ 24 才男女の基本属性を確認する 男の子よりしっかりしている」や「女の子の方が 意識特性を確認する前に、基本属性を確認し 男の子よりも精神年齢が高い」と言われることが ます。職業構成をみると、男女とも 6 割前後が 多いです。すでに成人していても同年代の男性に 大学生・各種専門学校生という中、女性は給与 比べ「女性はしっかりしている」とよく耳にします。 事務研究職の割合が15. 6%(男性8.6%)と、 今回は、この通説を「ACR/ex」のデータを用い 男性に比べて高い傾向にあります。それを反映し て確認してみたいと思います。 てか、世帯年収は女性の 752 万円に対して、男 対象とするターゲットは、 「18 〜 24 才の男女」 性は 628 万円と100 万強の開きがあり、また、個 で、いずれも「未婚で子供がいない人」とし、 人年収でも女性の方が 10 万円程度高くなってい 男女で差のある意識項目を確認することで、女 ます。 性で特徴的な点、男性で特徴的な点を確認して しかし、1ヵ月のこづかい(平均)では男性が 19,495 円に対し、女 性は 17,197 円と 2000 円 いきます。 【図表 1】女性 18 〜 24 才の意識特性(男性と比較して特徴的な項目) ●基本属性 ・給与事務研究職多め ・世帯年収多め ・こづかい少なめ ●購買意識 ・あちこち店をみて歩く ・直接店に行きその場で決める ●「衣食住」 ~ファッション・身だしなみ~ ・メイク・美容関与が高い ●「衣食住」 ~食事・料理~ ・パンやお菓子をよく作りレパートリーを広げたい ・栄養バランスを考えて献立を作る ・朝食は必ず食べる ・糖分・塩分・脂肪分を気にする ●「衣食住」 ~くらしや社会~ ・リサイクル・エコ・省エネへの関与 ・ワークライフバランスのとれた自分らしい生き方 ・将来に備えてお金を貯める 32 Video Research Digest 2015. 3-4 ・バーゲン情報に関心 ・デザイン重視 ●「情報」 ~広告への関与~ ・広告は買物をする際に役立つ ・流行を知るために広告に関心 ・広告はよく見るほう ●「成長」 ~仕事・教育・勉強~ ・旅行・留学など海外や外国語への関与 ・幼児教育に関心 ●「身体」 ~健康・スポーツ~ ・ダイエットへの関心、家でエクササイズ ・薬はなるべく飲まない ・除菌・殺菌に気を配る Vol.16 程度下回っており、自由に使える金額は年収が 高いわりに少ないという結果でした。 同様に、男性の視点から女性に比べて高くなる 項目をまとめました【図表 2】 。 ●ここからわかること 女性は男性に比べて年収は高め、しかし倹約 傾向が強い <男性で高い項目> ・趣味やライフワークなど今を楽しむことに関 心が高い(スポーツなど) 自分に自信がある一方、 ・社会的地位を重視し、 2.意識・性格特性 続いて、意識特性を確認します。まずは男性に 今と違った生き方を望む 比べて高くなる女性の意識特性が【図表 1】です。 以上から、男性は今を楽しむことに関心が向い 以下にまとめると… ていることがわかります。女性は比較的将来を見据 えた考え方をする人の割合が多く、仕事も続けな <女性で高い項目> ・朝食を食べる習慣があり、自炊する傾向が強い ・将来や自分の生き方について展望がある ・外国語や留学など教育に関心があり、子ども の教育も想定している がら家庭生活を切り盛りしていく視野を持ち合わせ ていることがわかります。 ●ここからわかること 女性は男性に比べて現実的な視点を持っている 【図表 2】男性 18 ~ 24 才の意識特性(女性と比較して特徴的な項目) ●基本属性 ・世帯年収少なめ ・こづかい多め ●購買意識 ・性能・機能重視 ・事前に調べて必要なときに来店 ●「衣食住」 ~ファッション・身だしなみ~ ・ファッション・ブランド関与低め ●「衣食住」 ~食事・料理~ ・インスタントやファーストフード多用 ・食事時間が不規則 ●「衣食住」 ~くらしや社会~ ・社会的地位が重要 ・趣味やライフワークに時間を割き今を楽しむため に出費 ・自分に自信があるが、今と違った生き方をしたい ・ネット通販利用に抵抗なし ・バーゲン情報に興味がない ●「情報」 ~広告への関与~ ・情報収集に熱心 ・最新の情報を入手したい ・広告関与は低い ●「成長」 ~仕事・教育・勉強~ ・情報通信機器関連にくわしい ・教育にお金を惜しまない ・独立・起業に関心がある ●「身体」 ~健康・スポーツ~ ・定期的にスポーツをする ・スポーツは本格的に取り組みたい ・歯・歯茎の健康に無関心 33 3.買い物の特性 次に購買特性の違いをまとめたところ、以下のよ ●ここからわかること 女性は男性に比べてショッピングを楽しみ、場合 によっては衝動買いしがち うな男女の違いが明らかになりました。女性はデザ インを重視し、店をいろいろ回ってその場で決め ることが多い一方、男性は性能機能を重視し、事 4.メディア接触の違い 参考として、メディアの接触状況を確認しました。 前に調べてから買いに行く傾向が強くなります。 その概況を 【図表 3】 に示します。1 週間のリーチ (累 バーゲンの関与は女性で高く、ネット通販は男性 積到達率)でみると、インターネット以外のテレ で親和性が高い結果でした。 ビや雑誌、屋外(交通媒体)は、いずれも女性 の方が高くなっています。インターネットは、デバ 【図表 3】18 〜 24 才男女別メディア接触概況 34 Video Research Digest 2015. 3-4 にあるとおり、短期的な判断場面では男性の方が 【図表 4】利用経験サイト 女性よりも比較的慎重であると考えられます。今回 カ YouTube(ユーチューブ) 女性 18-24 才 男性 18-24 才 (%)YouTube(ユーチューブ) (%) 78.1 82.2 Google(グーグル) 71.9 Google(グーグル) 76.6 Twitter(ツイッター) 65.6 Yahoo!JAPAN 61.9 Yahoo!JAPAN 62.5 Twitter(ツイッター) 52.8 LINE(ライン) 55.6 LINE(ライン) 50.3 Yahoo!ニュース 41.3 ニコニコ動画 43.7 Yahoo!ニュース 34.5 Wikipedia (ウィキペディア) 34.5 Facebook (フェイスブック) NAVERまとめ Wikipedia (ウィキペディア) Yahoo!知恵袋 39.4 30.0 27.5 25.0 amazon.co.jp Facebook (フェイスブック) 33.5 28.9 取り上げた通説は主に前者を指して「しっかりして いる」と捉えていると言え、短期的な場面(例えば 何かを買う場面)ではむしろ男性の方がしっかりし ている可能性が考えられます。展望を持つ時間的ス パンが男女では異なっており、男性の時間的スパン が女性に比べて短いことがこうした通説を作り上げ ていると言えます。 将来を見据えたしっかりものでも、うっかりセール イス全体では男女差はないものの、スマホは女性、 で衝動買いをしてしまう女性と、その場の判断はしっ パソコンは男性の方が高く、利用するデバイスに性 かりできて頼もしい反面、ちょっと先のことは見えて 差がみられます。 いない男性というイメージの違いが生じるのかもしれ インターネットの利用経験サイト(直近 1カ月)で ません。 は、女性では Twitter や LINE といった SNS 系サ イトや、NAVER まとめや Yahoo! 知恵袋などの情 この違いを社会全体の中で捉えた場合、様々な 報サイトが高く、男性ではニコニコ動画といった動 意思決定や選択場面に影響を及ぼしているはずで 画系サイトや、amazon.com のような通販サイトの す。昨今、出産後の女性雇用を支援する政策を推 接触が高い傾向にあります【図表 4】 。 し進める動きがあります。景気動向が少し上向きと 男女でインターネットの使い方が違っており、女 はいえ閉塞感を否めない現在の社会は、とかく短期 性はコミュニケーションツールや情報源ツールとし 的な成果や収益に着目しがちです。出産後も女性 て、男性は買い物において事前に調べるツールやコ が職場で活躍する場面が増えることで、この現状 ンテンツの視聴ツールとして利用している実態が見 により長期的な視点が加わり、社会や経済に今まで えてきます。 とは違った角度からのプラスの影響が出ることを期 待したいところです。 ●ここからわかること 女性のネット利用は男性と同レベルだが、スマホ このように、 「ACR/ex」では意識項目、購買行 を多用し、コミュニケーション、情報源のツールとし 動実態を多岐に渡って調査しており、特性の違いを て利用している きめ細かに明かにすることが出来ます。今まで以上 に、ターゲットの設定や理解するのに非常に有効で ここまでの結果を総合的に解釈すると、18 ~24 才の若者を捉えるとき、男性に比べて女性は意識 面で長期的な視点を持っており、将来を見据えた 意識が強いと言えるでしょう。一方で、買い物特性 す。しかも、継続的に調査を行っているため、推移 がみられるのも「ACR/ex」ならではです。 もしご興味を持たれましたら、当社担当営業まで お問い合せください。 35
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