(案)及びガイドライン(案) - nacs [公益社団法人 日本消費生活

消費者庁消費者教育・地方協力課
法制検討担当
平成 27 年 2 月 13 日
御中
公益社団法人
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
(通称NACS)
消費者提言特別委員会
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷一丁目17番14号
全国婦人会館2階
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消費者安全法の改正に伴う関係内閣府令(案)及びガイドライン(案)
に関する意見
この度、貴庁で、
「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律」
(平
成26年法律第71 号)により消費者安全法(平成21 年法律第50 号)が改正されたこと
に伴い、「不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に
伴う経過措置に関する内閣府令」を定めるとともに、消費者安全法の規定に基づき、及
び同法の規定を実施するため、消費者安全法施行規則(平成21 年内閣府令第48 号)等
を改正し、あわせて「改正消費者安全法の実施に係る地方消費者行政ガイドライン」、
「消費者安全法第11 条の2 の運用に関するガイドライン」、「登録試験機関の消費生
活相談員資格試験の試験業務に関するガイドライン」及び「指定講習実施機関に関する
ガイドライン」を作成されました。
これに関しまして下記の通り意見を述べさせていただきます。
記
(1)消費生活相談体制の充実
消費生活相談等の事務の委託【施行規則第 7 条、地方消費者行政ガイドライン】
①事務の民間委託により期待される効果
「受託契約は原則として1年単位であり、業務の実施状況により受託者が替わる可
能性があることから、競争性が確保され、結果として効率的な事務の実施が可能と
なる」との指摘は、消費生活相談業務の趣旨や民間委託の実態が全く理解されていな
いものであり、このようなメリットを強調するような記述(13 頁)は、有害であり
全部削除すべきです。特に、受託団体が1年単位で変わる可能性があるから競争性・
効率性が確保されるとの指摘は、消費生活相談という役割の継続性と全く相反するも
のです。
【理由】
消費生活相談業務は、一度の相談で完結する相談ばかりではなく、消費者の権利を守
り、被害を回復・救済するために、時間と労力を費やし取り組んでいます。従って、原
則1年単位の契約は相談員の雇用の不安定にも繋がり、相談員が安心して相談業務に取
り組めない結果となります。また、消費生活相談業務は効率性を図る業務ではありませ
ん。効率的な相談業務の実施は、事務的な相談業務に繋がり、消費者安全法の目指す相
談業務とはかけ離れ相反するものです。
②事務の民間委託により生ずる可能性のある問題
○消費生活相談等の事務を民間委託する際の留意点について
7条で「委託を受ける事務を公正かつ中立に実施できるものであって、特定非営利活動
法人又は一般社団法人若しくは一般財団法人その他都道府県知事(市町村長)が適当と
認める者であること」と規定しています。しかし基準が曖昧で抽象的であり、消費生活
相談業務の理念を十分に理解しない営利事業者でも都道府県知事(市町村長)が適当と
認めれば委託先に選定されることになり、消費生活相談業務の中立性、公平性は守れま
せん。「委託を受ける事務を公正かつ中立に実施できるものであって、かつ、消費者の
権利の尊重及び自立の支援の観点を保持し、加えて営利団体(株式会社等事業者)を除
く者」とすべきです。
【理由】
既に市区町村長が、株式会社等事業者に民間委託する自治体があります。消費生活相
談業務は、収益事業として成り立つ性質の業務ではなく、営利団体がこれを受託するの
であれば、そこには,営利団体としての収益に繋がる何らかの利益が存在していると思
われ、消費生活相談業務の公平性、中立性に疑念が生じます。また PIO-NET の情報は、
相談員が受けた相談を適切に入力することで、同様のトラブル解決、また被害の拡大防
止というフィードバックの目的があります。従って、事業者には公開しないことが原則
ですが、
株式会社等事業者が委託を受け、常に PIO-NET 情報に接触することになると、
守秘義務等課しても自己の利益のために情報が利用されるという危険性があります。営
利団体(株式会社等事業者)への業務委託は排除すべきです。
消費生活相談員の任用の考え方について【経過措置府令第 1 条~第 4 条、地方消費者
ガイドライン】
○景表法等改正等法附則第 3 条第1項に基づき、みなし合格者と認められる者について
①現行3資格のいずれかを有する者で、かつ実務経験1年以上の経験者というのは
賛意を表するものの、法施行時までの直近5年間という縛りは反対です。
【理由】
実務経験を有する場合直近、5年も3年も7年も同じである。相談のノウハウを
蓄積していることによって「今」の消費者問題を紐解くセンスは身についており消
費者問題を果敢に解決する意識をもって相談対応することは個々人の能力の問題
になります。直近5年以内であれば良いという根拠はないものと思料します。
○景表法等改正等法附則第 3 条第2項に基づきみなし合格と認められる者について
経過措置府令について【指定講習実施機関に関するガイドライン】
2
消費生活相談員の職務と求められる知識及び技術
(1)消費生活相談員の職務について
・「他の専門家等への橋渡し」について、単に振り分けにとどまってしまいか
ねない文言です。相談を傾聴する中で、臨床心理関係に委ねたり、あるいは医
師の診断を求めたり、口座凍結が急がれたり、広域的同時多発事案等他者との
連携が急がれる場合もありますがその場合もどういう理由により、他の専門家
等に橋渡しすることがベターなのかきちんと説明責任を果たすことが重要で
す。書き方の工夫が必要です。
(2)消費生活相談員に求められる知識及び技術について
・昨今の消費者相談はインターネット、資金決済あるいは国際カード利用、と
国内のみならず、相談がグローバル化している。更には製品の国際標準化等も
進み、かつ CI(コンシューマーインターナショナル)等国際連携が必要となる
ことから常に国際的視野が求められている点も記述しておくべきです。
3
指定講習実施機関の社会的役割について
消費生活相談員を養成するという社会的な役割を考慮することが重要と言
うことは自明であり、賛意を表します。但し、指定講習実施機関は受講希望者
に対し利便性の高い時期及び場所、地方でも実施することが要件となっていま
す。また講習会修了者への証明書の交付、名簿の作成・管理、受講手数料の適
正化及び帳簿書類の管理方法にまで詳細に義務付けられ、しかも、消費者庁へ
の提出書類等を規定され、“指定講習実施機関”となれば一定の規制は余儀な
いものと考えますが、かなりの事務負担が重く荷重になります。資格者団体と
して従来の資格者に対する責任として当該指定講習を実施するのが社会的責
務と考えますが、これら一連の強制的監視監督規制は、法施行に伴い行政の民
間圧迫に他ならないものと些かの異議を唱えるものです。新規政策展開をする
ならば経済的支援があってしかるべきと考えます。予算措置を望みます。
4
指定講習会の内容について
講習会の内容については概ね是とします。但し、地方、及び職をもつ者等々を
考慮すると取り溜め方式も認めるよう要請します。また、その場合も複数の指
定講習機関の科目受講を認めるべきと思います。
5
指定講習会の運営について
(2)受講手数料
講師の選任及び様々な要件を鑑みた時に、指定講習実施機関はかなりの費用
負担が免れません。しかし、それを全て受講者に転嫁するとなると、当該改正
法の理念から遠くかけ離れ、受講者そのものの減少を招きかねません。本来、
日本全国津々浦々、質の高い消費者相談を受けることが暮らしの安全・安心に
欠かせないということから消費生活相談員の量的確保と質の確保を求めたも
のが改正法の主旨であったと思います。だとするなら受講者に対する経済的支
援も欠かせないものと考えます。消費者庁発足当時、地方への活性化基金で、
消費生活相談員の養成を実施した地方自治体も多かったと聞きます。その際、
消費生活相談員になりたいと受講をした受講生には、この活性化基金を利用し
て交通費及び参加手当を支給した自治体も多かったと聞きます。そのことから
敷衍的に考えれば、従来の3資格者は当然にして「消費生活相談員」に任用さ
れる資格を保持していたものです。それが現在職についていないという理由で、
みなし者になるための指定講習を受けることが要件となっている結果、時間的
にも精神的にも経済的にも甚だ過度な負担を強いることになる訳です。前記受
講生に対する厚遇を考えれば、この指定講習の受講生に対する費用支弁があっ
て当然と思われます。ここにも予算措置を望むものです。
(3)ア
修了証の交付・再交付
指定講習実施機関は、指定講習会を修了した者に対し経過措置府令別記様式第
二に基づき指定講習会を修了したことを証明する修了証を交付することとす
る。とありますが、経過措置として景表法等改正法附則第 3 条第 1 項及び第 3
条第 2 項の規定により「試験に合格した者」とみなされる規程を採用している
ことから、指定講習会の修了証には「消費生活相談員資格試験に合格した者と
みなされる」という文言を併記した修了証とすることを求めます。このことに
より、指定講習の受講意欲と共に新資格受験へのインセンティブが惹起される
ものと確信します。
以上