DANIELE SEPE STREETMARK LUCIFER`S

RECMMENDED DISC REVIEWS
バロック・プロジェクト
DANIELE SEPE
SHM-CD+bonus CD/Belle Antique
CD/MVM
Italy '15
/BAROCK PROJECT
地平線 /Skyline
A Note Spiegate
※国内プレス/ 紙ジャケ/ 解説・歌詞・対訳
Italy '15
トラッドとジャズが溶け合った孤高のサウンドでファンを魅了するナポリの奇
才、
ダニエーレ・セーペ(sax)。
「In Vin Veritas」
('13)に続く新作は初のカヴァー
集(全曲)。シャールス・ミンガス、
フランク・ザッパ、
マイルス・デイヴィス、
ウェザー・
リポート、
レッド・ツェッペリン、
セロニアス・モンク等、
自身のルーツとも言える巨
匠の曲を管楽器、
ギター、
キーボード、
ベース、
ドラムスらを迎えたバンド編成でプ
レイしている。セーペとしてはややシリアスなジャズ色の強い作品であるが、
持ち
味である珍妙さも十分に交えた、
ルーツ・リスペクトの大力作に仕上がっている。
超絶技巧キーボーダー、ルカ・ザッピーニ率いるイタリア産シンフォニック・ロック・
('12)に続く新作フォース。
バンド、バロック・プロジェクトの、
「Coffee In Neukolm」
フォーカス、
ニュー・トロルス等を思わせる華麗なクラシック・ロック色と甘美でキ
ELP、
ャッチーな歌メロ、
モダンなプログレ・ハード色がダイナミックに共存し、驚くべきクオ
リティのサウンドが展開されている。手法や方向性こそ異なれど、
ムーン・サファリと
並び、
現代プログレッシヴ・ロック・シーンの旗手に躍り出たことは疑うべくもない、
歴
史にその名を刻む名作 ! 日本盤はボーナス・ディスク付の2枚組、紙ジャケット仕様。
PARZIVALS EYE
エデン /EDEN
●期待 / Erwartung SHM-CD / 2 bonus '78
●ペレランドラ/ Perelandra SHM-CD / 2 bonus
●帰郷 SHM-CD / 3 bonus '81
Defragments
'80
CD/Gentle Art Of Music
Geramy '15
Belle Antique
※国内プレス/リマスター / 紙ジャケ/ 解説・歌詞・対訳
Germany
シンフォニック・ロックの王道とも言えるサウンドで人気を博したエデンの3作品
が SHM-CD、
紙ジャケットでリリースされた。男女ヴォーカリストを擁し、
ヴァイオリ
ン、
フルートも活躍するファースト
「期待(Erwartung)」
、前作同様のピュアーかつクリ
アーなシンフォニック・ロックでドイツならではのロマンティシズムが感じられる
「ペ
レランドラ」
(2枚目)、
'74∼ '80年に作った曲を '80年に録音した、前2作と同傾向の
「帰郷(Heimkehr)」、いずれもジャーマン・シンフォニック・ロック屈指の傑作である。
3作品を同時にお買い上げのお客様に収納ボックス(個数限定)をプレゼント。
STREETMARK
LUCIFER’S FRIEND
● Banquet CD/Repertoire '74
● Mind Exploding CD/Repertoire
● Live At Rockpalast
元 RPWL のベーシスト、
(vo、kbd、
マンドリン)
によるメロディ
g、b、
Chris Postl
アス・シンフォニック ~うたものプロジェクト・バンド、パルツィヴァールズ・アイ
の
「Fragments」
('09)
に続くセカンド。マジェンタの看板女性シンガーのクリス
ティーナ(主にバック vo。イエス曲カヴァー④とスーパートランプ曲カヴァー⑧ではリード
バンド + 多数のゲストにて、
フロイド、
キャメル、
イエス系ルーツのソ
vo)はじめ、
フトかつキャッチーなサウンドを展開している。冒頭とラストを飾る長尺曲をは
じめ、楽曲の質も申し分ない秀作だ。
Dry
CD/Sireena
Germany '79
'76
DVD:NTSC+CD/Repertoire '78
Geramny
独スカイ・レーベルからアルバムをリリースした数少ないシンフォニック・ロック系
バンドの一つ、
ストリートマーク。彼らのサード・アルバムがリマスター盤 / デジパッ
クで再登場した。女性ヴォーカル / キーボード、ヴォーカル / ギター、
ドラムスのトリ
オによる演奏(ベースがゲスト参加)で、
スペイシーなパートも交えたメロディアスなキ
ーボード、ややハードでメロディアスなギター、情感に富んだヴォーカル等が織り
成すサウンドはソフトで叙情的な部分とポップで乗りの良い部分を巧みに配し、
変
化に富んだ展開を見せる。ノヴァーリスに通じる雰囲気もある隠れた好作品。
後にユーライア・ヒープに参加するジョン・ロートンが在籍したことでも知られるドイツのハー
「Banquet」
(4枚目)
は代表作
ド・プログレッシヴ・ロック・バンド、
ルシファーズ・フレンドの3作品。
の一つ。ブラス、
ストリングを用いた意欲的な作品でジャズ・ロック / ブラス・ロック色も加わった
は5枚目。本作のみに参加した Karl Hermann Liier
傑作に仕上がっている。
「Mind Exploding」
(ss, ts, bs,fl, vln, b-cl)
のプレイやロートンのヴォーカルが光る秀作で、
ジャズやポップの要素も取
はロートン脱退後の
り入れたハード・プログレッシヴ・ロックが楽しめる。
「Live At Rockpalast」
6 枚目発表直後のライヴ映像と音源('78)を収めたニュー・リリース。DVD(NTSC)とほぼ同内容
新旧9曲をプレイしたハード色の強い熱演が展開されている。
の CD のカップリングで、
KLAUS SCHULZE
ゴング / GONG
●ライヴ・イン・シャーウッ
ド・フォレスト
La Vie Electronique 16
CD/Belle Antique 解説
5CD/MIG MUsic
Germany
● Live
In Sherwood Forest
CD/M.L.P.
France rec '75
デヴィッド・アレン、
ジリ・スマイス脱退後、
「シャマール」
発表前というゴングの大
転換期、'75 年11月25日のライヴを収めた CD が再登場した。Steve Hillage(g,
vo)、
Mike Howlett(b, vo)、Patrice Lemoine(kbd)、Didier Malherbe(sax, fl)、
Pierre Moerlen(ds)、Miquette Giraudy(vo)、Jorge Pinchevesky(vln)、
「Shamal」、
ヒレッジの「Fish Rising」からの8曲を
Mireille Bauer(per)が「You」
演奏している。創造性と技巧のバランスが頂点に達した
「You」の流れを受け継ぎ
ながらテクニカルなプレイを展開する新生ゴングの意欲溢れる演奏が素晴らしい。
以前、
「The Ultimate Edition」
というタイトルでリースされた、
クラウス・シュ
ルツェの未発表音源から成る50枚組の作品を再編集して再発するシリーズの
完結編となる第16弾。これまでは3枚組だったが今回は5枚組で、'72∼ '02年
の音源が各 CD にぎっしりと詰め込まれている(全ての CD にボーナス・トラックを
。'72年のスタジオ、
マヌュエル・ゲッチング(g)が参加した
追加)
'73年のライヴ、
シュルツェ・ファン必
'81年のライヴ等、貴重かつ興味深い演奏が堪能出来る、
携の内容。
APSARA / Archives~Concerts
VAK
ALTAIS / Altais
CD/Soleil Zeuhl
France '15
Ete 1983
Aedividea
CD/Soleil Zeuhl
France '83, '86
後に SHUB NIGGURATH の中心メンバーとなる Frank W Fromy(g)が
在籍し、
'80年代に活動するもレコーディング作品を残さなかった幻の暗黒チェ
ンバー・ロック・バンド、
アプサラ。彼らの '83年録音の未発表音源5曲(スタジオ
ライヴ 4曲)
を収めた CD(54分)とFromyらが脱退しアルタイと改名した活
1曲、
動末期リリースの EP('86)を初 CD 化したもの(約14分)のカップリング。マグマ
の最もダークな部分にキング・クリムゾン的なヘヴィネスを加えたアグレッシヴ
かつ重厚な雰囲気の傑作。500枚のみの限定盤。
新世代のバンドが続々と登場し、活性化しているフレンチ・アヴァン・プログ
レッシヴのシーンに新たに現れた逸材、
ヴァクのファースト。マグマに触発され
た暗黒ヘヴィネス・サウンドに、
女性スキャットやフルートによる優美かつ流麗
なカンタベリー的ジャズ・ロック・テイストとクリムゾン由来の攻撃性を加えたそ
のサウンドは強力そのものである。重量級のヘヴィなリフによる高揚感と変化
に富んだ曲展開が耳を捉えて離さない、暗黒系ファンならずとも必聴と言える
クオリティの快作 !
2
DOMINIQUE PIFARELY
“ENSEMBLE DEDALES”
A L’Amitie
Time Geography
CD/Chambre 404
France '15
CD/Pros Editions
France '14
'10にムゼアからデビュー作をリリースしている、
カンタベリー / レコメン寄り
アヴァン・ロック・バンド、
アクアサージの '14リリースのセカンド。男性ヴォーカ
ル、
エレキ・ギター、
キーボード等からなる5人組にゲストを交え、R.ワイアットか
らの影響を感じさせる白昼夢的な浮遊感とザッパ系の屈折したジャズ・ロック
色をミックスさせたようなサウンドを展開している。音響ポップやポスト・ロック、
エレクトロニカなど、
モダンな要素をも巧みに採り込んだ、
フランスならではの
新鮮味とセンスが魅力を放つ、高水準な作品だ。
L’EFFET DE FOEHN
ルイ・スクラヴィスとの共演で知られるフレンチ・アヴァン・ジャズきってのヴァイ
オリン奏者、
ドミニク・ピフアレリの '14年リーダー作。自らのヴァイオリンはじめ、
ヴ
ィオラ、
ダブルベース、4管、
ピアノ、
ドラムスという9人編成によるアンサンブル・デ
ダールでの演奏を収録している。ポリリズミックな変拍子を多用した、
ダークかつス
リリングなシリアス / チェンバー寄りジャズ・サウンドは、
グループ名どおり、
正に音
の迷路のような音像となっている。近年の ONJ あたりを連想させるようなイメージ
のサウンドは、
ヴェテランの入魂作にしてインパクトも十分な傑作と言える。
DUPAIN
Variations Sur Les Variations
Goldberg
Sorga
CD/Buda Musique
France '15
CD/L’Arbre Canapas
France '14
ヴィブラフォン、
ク
Gerald Chagnard(as, ss)を中心にトランペット/ ベース、
ラリネット、女性ヴォーカル / ヴァイオリンの5人から成るレフェ・ドゥ・フェーンの
新作。今回はゲストでドラムス、
サックスも加わり、
J. S. バッハの「ゴールドベル
ク変奏曲」
の一部を更なる変奏曲という形で演奏している。マイク・ウェストブル
ックにも通じるシアトリカルで大道風のアヴァン・ジャズがダイナミックな展開を
見せる秀作。奔放な女性ヴォイスも印象的である。
南仏マルセイユを拠点に活動している、
コンテンポラリーなフォーク /トラッド・
バンド、
デュパンの10年振りとなる新作フォース。オック語ヴォーカル / マンドリ
ン、ハーディ・ガーディ、
フルート、
コントラバス、
ドラムスの男性5人組にて、
骨太
なシブさと、
ファンタジックなムードを共存させた、
ロック寄りのアコースティッ
ク・サウンドを展開している。オクシタン系を下地としつつ、
ブルターニュ / ケル
ト風味を交えたサウンドは、時にペイガン系の香りも漂わせる、深味十分の秀
作だ。
ALAN SIMON
THE BLACK CODEX
CD+bonus DVD:PAL/Verycords
France '15
CD/Freia Music
Holland ’15
Tristan & Yseult
Episodes 40-52
「Anne De Bretagne」
といった、豪華メンバー参加の
これまで「Excaliber」
ケルト・シンフォニック・ロック・オペラを発表しているコンポーザー、
アラン・シ
モンの '15新作は、
「トリスタンとイゾルデ」
をモチーフとしたロック・オペラとし
て登場した。オーケストラ、バンド、民族楽器(パイプ /フルート等)、
そして、C. デカ
ン(ANGE)を含む男女シンガー / キャストが、
その壮大な世界観を見事に描き切
っている、
これまでの作品同様、傑作と呼ぶに相応しい会心作だ。メイキング、
PV 等を収録したボーナス DVD 付き限定盤。
スカイ・アーキテクトのドラマーにして、
マルチ・プレイヤー /コンポーザーとしても
その才覚を余すところなく発揮している、Chris Bruin 。彼が自らの自らのオリジナ
ル・ファンタジー・ストーリーに基づいた新曲を、1年にわたり週1曲ずつウェブ上に
公開 / 販売するという、壮大な試みの、本作は完結編となる40-52曲目を収めた
マルチ・プレイにギター、管弦を加えて、
クラシカル
2CD。今回も自らのヴォーカル、
かつオーケストラルなシンフォニック・サウンドを展開している。カヤック + エニド的
な面も見せるスケールの大きな作品は、
完結編にふさわしい納得の出来栄えだ。
サイモン・スティーンズランド
/ カミカゼ・ユナイテッド
AGUSA
Tva
CD/The Laser’s Edge
Sweden '15
●ライヴ・ギャング・ギャング
CD/Belle Antique 解説
● Live
Gang Gang
CD/U.A.E.
Sweden '04
マッツ / モルガンとも交流の深い暗黒チェンバー・ロックの旗手、
サイモン・ス
ティーンズランドが '04にリリースした、
カミカゼ・ユナイテッドというバンド名
義でのライヴ録音作。盟友モルガン・オーギュレン(dr)はじめ、
ツイン・キーボー
ド、
ギターを加えた(自身は b)バンドをコアに、曲毎に様々なゲストを交え、
1曲を
除き全て新曲がプレイされている。初期に回帰したような暗黒性と、疾走感が
高次元で共存した、会心の名演だ。
元 KAMA LOKA のメンバーらが結成したオルガン・サイケデリック∼レト
ロ・プログレッシヴ・ロック系バンド、
アグサの
「Hogtid」
('14)
に続くセカンド。新
たにフルートが加わった5人編成になり、
20分前後の曲2曲を演奏している。ボ・
ハンソン、
ケブネカイゼ、
更には近年のカイパなどにも通じる北欧フォーク系の
ノスタルジックなメロディをベースに、
「エコーズ」期のピンク・フロイド / ジャー
マン・サイケデリック風のサウンドも取り入れた、
北欧らしいレトロ・モダな傑作。
トニー・バンクス /TONY BANKS
ザ・シン /THE SYN
●ライヴ・ロスフェスト
●ア・コード・
トゥ・ファー
CD+DVD:NTSC/Belle Antique 解説付
4CD/Belle Antique 解説付
●A
UK
Chord Too Far
● Live
4CD/Esoteric Recordings
UK
ジェネシスにおいて音楽性の要だったトニー・バンクス(kbd)。ソロ・キャリア
の集大成とも言える CD4枚組ボックス・セットが登場した。
「A Curious Feel('79)
「The Fugitive」
、
('83)
から
「Bankstatement」
('89)
「Strictly Inc.」
、
ing」
('96)
といったプロジェクト、更にはサントラや近年のクラシック系の作品まで、
現在入手困難な作品を含む9枚のアルバムからバンクス自身が48曲(内4曲は
を選曲している。本ボックスのためにリミックスされた新たな音質で聴
未発表)
かせる、
ファン必携の決定盤。60ページのカラー・ブックレット付き。
Rosfest
CD/U.M.E.
'60年代中頃に活動を開始し、
故クリス・スクワイア(b)や故ピーター・バンクス(g)が
参加したことでイエスに繋がるバンドとしても知られるザ・シン。オリジナル・メンバー
キャメル、ルネ
の Steve Nardelli(vo)が元イット・バイツのフランシス・ダナリー(g)、
らを迎えてリリースした
「Big Sky」後
ッサンスにも参加しているトム・ブリスリン(kbd)
に行ったライヴの演奏を収めた CDとDVD(NTSC)が登場した。イエスの歌物的な側
面とムーディ・ブルースを思わせるブリティッシュ・プログレッシヴ・ポップ風の演奏が
融合した秀作である。DVD には参加ミュージシャンのインタヴュー(スクワイア等)を含
むドキュメンタリーも収録されている。
3
RECMMENDED DISC REVIEWS
AQUASERGE
RECMMENDED DISC REVIEWS
TIGER MOTH TALES
MAGENTA
CD/White Knight
UK '15
CD/Tiger Moth
UK '07/'15
The Singles Complete
Story Tellers Part One
英国シンフォニックの雄、
マジェンタが初期のシングルのみに収録されてい
たレア曲を新規に再録音したアルバム
「The Singles」
('07)
に、
イエス " 不思議
なお話を "、EL&P"ラッキーマン " のカヴァーや、新規リミックス等、数々のレア
音源を10曲以上追加して、
内容倍増の2枚組拡大版として再発した作品。看板
女性ヴォーカリスト、
クリスティーナの美声とバンドのキャッチーでメロディアス
な側面を出しつつも、中心人物ロブ・リードによる絶妙なシンフォニック & プロ
グレッシヴなアレンジが光る、
彼らの魅力が凝縮されている好作だ。
ジェネシス、
スティーヴ・ハケットの初期作から多大な影響を受け、
クイーン、
ELO 等
の親しみ易くも壮麗なメロディ・センスを併せ持つ、天才的な作曲家 / マルチ・プレイ
ピート・ジョーンズによる完全ソロ・プロジェクト、
タイガー・モス・テイ
ヤー / シンガー、
('15)が賞賛を持って迎え入れられた彼が、
「眠れる森の
ルズ。デビュー作「コクーン」
美女」
「ハーメルンの笛吹き男」
等のおとぎ話をモチーフとした楽曲を集めた新作セカ
ンドを早くもリリースした。前作以上にファンタジックで親しみ易く、
それでいて英国的
なサウンドに満ち溢れており、
本作もメロディー派ならば必聴と言える快作だ。
パーパスフル・ポーパス
THE PSYCHEDELIC ENSEMBLE
●ザ・ウォーター・ゲイムス
CD/Glowing Sky
USA '15
/PURPOSEFUL PORPOISE
The Sunstone
2CD/Belle Antique 解説付
● The Water
Games
2CD/GEP
USA '15
あのヴィニー・カリウタ(dr)、
デレク・
アレックス・コラ(g,vo, 作曲)を中心とし、
シェリニアン(kbd)、
リック・フィエラブラッチ(b)
という、名うてのテクニシャンが
全面参加している驚愕の新バンド、パーパスフル・ポーパスのファースト。各人
の技巧性やメンバー全員で一から制作に携わったというその楽曲の質の高さ
は言わずもがなで、大々的にフィーチャーされているヴァイオリンも含め、全盛
期のイエス /カンサスにジャン・リュック・ポンティを合体させたような、驚異的な
傑作だ。
'09の CD デビュー以降、
コンスタントに作品を発表しているマルチ・プレイ
ヤー / シンガー /コンポーザー、
ザ・サイケデリック・アンサンブル(が個人の名義)
による、
2年ぶりとなる新作5th。ジャケット・イラスト通りのファンタジックなコン
セプト/ ストーリーに基づく内容となっており、女性シンガーやステッペンウル
フのキーボード奏者、
さらには管弦等を加えて、ELP 系のたたみかけてくるよう
な展開を見せる分厚くスリリングなサウンドを展開している。所々で J.タル的
なフォーキー・パートも交えながらもダイナミックに押しまくる傑作だ。
BOX OF SHAMANS
TOM DONCOURT
CD/10t
USA '15
CD/Phosphorescent
USA '14
The Mortal Coil
Belief And Illusion
テン・ジンのギタリスト、
マイケル・マティエを中心に、
マーズ・ホロウのドラム
ス、
ロケット・サイエンティスツのヴォーカルという、
3名ともヘリオポリスのメン
バーでもある、言わば別ユニットとなるボックス・オヴ・シャーマンズのファース
ト。マティエのマルチ・プレイと音楽性を中心としたサウンドは、
イエス系を下地
としつつも GG 風味も強い、
ヘリオポリスと比べ、
よりダークでコンプレクシャス
なものとなっている。フロイドや J.タルのルーツも見え隠れする、才気溢れる楽
曲が並ぶ高水準な仕上りの秀作だ。
アメリカン・シンフォニックきっての名バンド、
カテドラルのキーボード奏者、
ト
ム・ドンカートによるファースト・ソロ。メロトロン、
チェンバリン、ハモンド、
モーグ
等各種ヴィンテージ機材の多重と自らのヴォーカルを中心に、男女ヴォーカル(各
マティアス・オルソン(dr 等)
らがゲスト的に加わり、
クリムゾン・ルーツの
1曲)や、
うたもの寄りのモダン・シンフォニック ~ 耽美的かつアンビエントなサウンドを展
開している。キーボード・オーケストレーションを効果的に配したダークな音像は
所々でフロイド系の内政的な雰囲気も漂わせる、
イマジナリーな秀作だ。
CASTLE CANYON
ADRIAN BELEW
CD/Bottom Feeder)
USA '15
DVD:NTSC+CD/Repertoire
USA
Criteria Obsession
Live At Rockpalast
元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリュー(g, vo)がドイツの TVライヴ番
組「Rockplast」
に出演した時の映像を収めた DVD(NTSC)
と同内容の音源を
収めた CD
(インタヴューは DVD のみに収録)
。ジュリー・スリック(b)、
エリック・スリ
ック
(ds)
という若き姉弟リズム・セクションを擁しての演奏である。 Dinosaur"
Three Of A Perfect Pair " Thela Hun Ginjeet" のクリムゾン・ナンバー3
曲を含む9曲をプレイしており、
さすがの安定感と言えるブリューのギター / ヴ
ォーカルと迫力十分のリズムが一体となったパワフル極まる熱演が楽しめる。
キーボード奏者 / シンガー、Eric Ian Walker を中心に、'70年代前半に活動(後にフ
するも当時作品を残さなかった、米キーボード・プログレッシヴ・
レッド・シャルノーも在籍)
「Gods Of 1973」
は未発集的な作
トリオのセカンド・リリース作。'09にリリースされた
品となっていたが、
こちらは何と復活して '70年代に作成された楽曲を中心に新録(一
しているのが特徴。ハモンド、
ピアノ、
アープ等を駆使した、初期 ELP+部 '73ライヴ)
なかでも13分の大曲⑤はソフト・マシー
VDGG ルーツのサウンドは高水準なもので、
ン風味を感じさせるハイライト曲となっている。US アンダーグラウンドの底力を示す
快作だ。
J.A. シーザー
RODOLFO MEDEROS
かんぞう
おにやんま
ライヴ盤「萱草歌 = 鬼蜻蜓が飛び交う
日 2012
Todo Hoy
CD/Viajero Inmovil
Argentina '78
CD/Asian Crack 解説付
Japan rec '12
アルゼンチン・タンゴ系バンドネオンの巨匠、
ロドルフォ・メデーロスがプロ
グレッシヴ・ロックに接近し始めた時期の名作「Todo Hoy」
が CD 化された。元
エスピリトゥの Gustavo Fedel(p, syn)やリピタル / マクラフリン風のギター
を含む5人編成で、
アナクルーサを彷彿させる甘美で叙情的な泣きの演奏から
リターン・トゥ・フォーエヴァーや ELP に通じるテクニカルな演奏まで、南米らし
さ満開のドラマチックなサウンドを作り出している。ファン必聴の一枚。ボーナ
ス(サントラ音源)入り。
天井桟敷で音楽を担当していた J. A. シーザーが 30年ぶりに音楽活動を
再開したことで話題になった '12年5月のリサイタル「山に登りて告げよ」
に続い
て行われた同年9月のライヴ(渋谷 La-Mama)を収録した CD(8曲、36分)。女性
コーラスを含む若手バンド、
ASIAN CRACKBAND がヴォーカルのシーザー
とギターの森岳志を支えており、ハードなロック・ナンバー中心の熱い演奏が
展開されている。本年5月に亡くなった森の最後の演奏を収めた貴重な作品で
もある。
4