London Antique Market シルバーとシルバープレートについて シルバーについて 銀は純度100%のものはやわらかく銀器などの加工に適さないため銅など他の金属を少し混ぜて使われ ます。 銀器やアクセサリーで一般的に純銀とよばれるものは実際はシルバーの純度としては 83%、 92.5%、まれに95%などの合金です。 これを1000分率で表した925とか950が品位を表す数字として使わ れています。 1544年に始まったイギリスのホールマークシステムのシルバーは925でスターリングと呼ば れ、イングランドではライオン、スコットランドではアザミかユニコーン、アイルランドでは女神とハープがス タンダードマークです。1697年から1719年の間は958が要求されこの品位はブリタニアと呼ばれていてスタ ンダードマークは女神です。 SV830: 北欧で使われていた標準 925より硬度があり繊細な細工に適しています。 SV900: コインシルバー SV925: スターリングシルバー イギリスの銀器はこれ、一番硫化しにくいと言われています。 SV958: ブリタニアシルバー SV1000: (化学的な意味での)純銀 シルバープレートは銅などの下地にシルバー100%をメッキしたものです。 シルバープレートについて 銀は高価ですので昔から銀の量を減らしてしかも同じ輝きが得られるように工夫研究がされてきました。 そのひとつがプレート(めっき)の技術です。 一番古い時代のめっきは銅の下地に溶かした銀をかけて作 られました。 これは非常に難しい技術で均一に銀が付着しない上に銀の付着する力が弱いとすぐに剥が れるという欠点がありました。 シェフィールドは18世紀にはカトラリーの生産で栄えた都市でしたが 1740年代、ここで現在オールドシェ フィールドと呼ばれる技術が考え出されました。 オールドシェフィールドは銅の板に薄い銀の板を貼り加 熱し銀が溶け始めたらローラープレスで延ばして圧力により銅と溶けた銀を一体化させる方法です。これ により銀と銅が一体化した板ができました。 この銀めっきされた板を加工して作られたのがオールドシェ フィールドと呼ばれる銀製品です。 長い間この技術が使われましたが1840年代に入りさらに優れためっきの方法が考え出されました。 それ が電気めっきの技術です。 金属の下地を銀を含んだ溶液のなかに浸し電気を流すと銀の原子が下地の 表面に均一に付着していきます。 いろいろな研究がされ下地には銅とニッケルと亜鉛を混ぜた金属が一 番適していることが分かり広く使われるようになりました。 この技術はとても優れていたので急速に広まり オールドシェフィールドの方法は1870年代にはほとんど使われなくなりました。 この技術を開発し実用化 したのがエルキントン社です。 現在手に入るシルバープレートの品物はほとんどが1850年以降のものですので全て電気めっきによるも のと考えてもよいでしょう。 本物のオールドシェフィールドのものは希少価値のため高価です。 この新しい(といっても今から150年以上も前です)技術は最初に下地で製品を作ってからめっきを行うとい う方法も可能になったのでそれまで純銀でしかできなかったような素晴らしい装飾のものが次々と作られ るようになりました。 EPNSというマークを見かける方も多いと思いますがこれは Electro Plated Nickel Silver の略でその製品 はニッケルシルバー(銅、ニッケル、亜鉛の合金)に電気銀めっきされたものであることを示しています。 シルバープレートの製品はシルバーのホールマークのような厳密なシステムがないのでこういったマーク もはいっていたりいなかったりでしかも立派なメーカーのマークなども合わせて刻印されているので簡単に 何年の何処製というのがわからないものも多くあります。 電気めっきの古いものは下地が銅だけのもの がありめっき厚が厚く高級と言われています。 イギリスのホールマーク シルバー(純銀)の製品についてそれが定められた品位のものであることを認定し 刻印されたマークが ホールマークのうちのスタンダードマークです。イギリスのホールマークのシステムは徹底しており世界一 信頼が置けるので安心してアンティークの銀製品を集めることができます。 ホールマークはシルバー(純銀)を示すライオンのマークをまず確認してください。ブリタニアのマークのも のは滅多には出会えませんのでまずはライオンを探してください。 これがあればソリッドシルバー(純銀: メッキではなく中までシルバー)です。 実はライオン以外にもスターリングシルバーを表すマークがありま す。 スコットランドのグラスゴー(ユニコーンのマーク)、エジンバラ(アザミのマーク)そしてアイルランドの ダブリン(女神とハープ)の3つです。 銀器の多くはイングランドのものが多いので普通はライオンのマー クが見つかります。 スタンダードマークが見つかったらまずは一安心です。 その次にはアセイオフィスのマークです。 これは その審査を行った事務所を表すマークで今では存在しないオフィスもありそういうのがまたコレクターの人 気になっていたりします。 ちなみにロンドンはヒョウの顔、分かりやすい錨のマークはバーミンガムです。 次はいよいよ製造年です。(これが一番難しい)アルファベットの書体と枠の形で何年のものか分かるよう になっています。 似たように見える別の年のマークがあったりしてなかなか判定も難しく ルーペで見なが らガイドブックとにらめっこです。でもご安心ください 慣れてくるとすぐに判定できるようになります。 ホー ルマークが読み取れる限りイギリスのシルバー製品は全て何年の何処製というのが分かるようになってい る18世紀に作られた世界一素晴らしいシステムなのです。 C www.london-antiquemarket.com London Antique Market シルバーのお手入れについて お手入れについて (純銀もシルバープレートも全く同じ方法です) まずは汚れを残さないことと乾いた状態に保つのが第一です。 それからできるだけ使ってあげることでシルバー製品は輝きが保たれます。 普段のお手入れの方法 ご使用後は柔らかいスポンジを使い薄めた中性洗剤の入ったぬるま湯で洗い、よくすすいだ後 早めにや わらかい布で水分を拭き取り乾かしてください。 その後で柔らかい布で軽く磨いておけば完璧です。 使用後、お茶を入れっぱなしで何時間も放置したりはNGです。ティーポットの中の茶渋を取るには重層と 熱湯を入れしばらく置きそのあと綺麗に洗います。または市販の茶渋取りなどを使用するのもいいです。 アンティークフェアなどで買ったばかりの銀器は頑固な汚れがついている事があります。こういう場合もま ずは薄めた洗剤の入ったぬるま湯でやさしく洗い、隅のほうや入り組んだ隙間などは筆や柔らかい歯ブラ シなどで汚れをとります。 磨き粉の入っているようなもの(クレンザーや歯磨き粉のようなもの)は細かな傷を表面に残してしまいま すので使わないようにしましょう、ナイロンたわしもいけません。また塩素の入った漂白剤は塩素が銀と反 応して元に戻らないシミになります。 ティーポットなどの木製ハンドルの艶がなくなってきたら、同じ色の家具用Bee Waxまたは靴墨を塗り磨いて下さい。 黒くなってきた時の磨き方 銀磨きペーストを使って磨く 銀磨きペーストをやわらかい布(または柔らかいスポンジ)につけやさしく磨きます。頑固な場合には根気 よく時間をかけて磨いて下さい。 磨くときには円を描くようにではなく前後に磨くようにしたほうが均一な仕上がりになります。 手が黒くなりますので手袋をして磨くのが良いでしょう。 ペーストで磨き終わったら乾いたきれいな布でペーストをよく拭き取り、更に軽く磨きます。 ティースプーン、ティーポット、クリーマー、シュガーボウルなど口に付くものは台所用洗剤で綺麗に洗いす すぎます。その後拭いて乾かします。布巾は柔らかいものなら何でもいいです。磨く時は力強くごしごしこ すらないようにしてくださいね。 銀器は柔らかいので、どんな場合にも銀器を磨くときには優しくが原則です。あまり力を入れると凹んでし まいますので注意をして下さい。 細工のあるもの(そうでないものにも)には当ショップお奨めの泡立ちタイプのクリーナーがあります。 Goddard's社のFoamタイプは銀器をぬるま湯につけてから、備え付けの専用スポンジを水に浸け絞った 後、スポンジにFormペーストを適量付け、銀器に塗り付け泡立てながら丁寧に磨き、汚れや硫化物を取り 除いた後 ぬるま湯でよく洗い布巾で拭きます。 泡というよりはクリーミーな感じなのですがしつこい汚れ も何回か繰り返すうちにスルッと取れたりします。 汚れ具合に依り柔らかい歯ブラシなどを使い優しく磨いてもいいでしょう。 私の経験ではこのGoddard's社の製品が一番のお奨めです。多くのイギリス人ディーラーも同じものを使っ ていますのできっと一番使いやすくきれいに磨けるのでしょう。 茶葉による詰まり 買ってきたばかりのアンティークのティーポットでも洗ってみると注ぎ口の中に細かい茶葉がたくさん詰まっ ている事がよくあります。 こういう時は根気良く何度もすすがなくてはなりません。 細めのバーベキュー の串などを使ってみたくなりますが絶対にいけません。お水を入れて思い切り振り洗いを何度もして見て 下さい。 実際に使われる際にもこの部分には茶葉が詰まりやすいので良くすすいでください。 アルミホイルを入れたお湯で銀器を煮る方法 <要注意!> アルミホイルを丸めて入れたお湯の中に銀器を入れて煮る方法がよく紹介されています。 化学反応によ りシルバーの表面の硫黄分が除かれてピカピカになるのですが、私の経験では上手く行かない事もあり もっと黒いシミが付いてしまった事もあります。 特に注意していただきたいのはこの方法はオールワンタイプのものにしか使えないということです。オール インワンとは例えばカトラリーですと刃先とハンドルが一緒の材料でつながっているタイプです。 マザーパールやアイボリーなどが付いたものにこの方法を使うと継ぎ目の膠(ニカワ:昔の接着剤です)が 溶けたり黒くなったり隙間や割れが出たりで取り返しのつかない事になります。 大切な銀器は丁寧に手で磨くのが一番だと思います。 イギリスではクリスマスの前に家族みんなで家中のシルバーのものを磨きます。 これもクリスマスの前の楽しい準備のひとつです。 保管時に気をつけること 空気中の硫黄分と反応して黒くなりますので外気がいつも入ってくる場所より戸棚の中などのほうが黒くな りにくいといえるでしょう。 ステンレス製品など他の金属と長いこと接触しているとその部分が化学変化により黒くなる場合がありま すので要注意です。輪ゴムもゴムの中に含まれる硫黄分がシルバーと化学反応しシルバーを黒くします。 私は頻繁に使用しないものは磨いたあと、ジップロック(ファスナー付のビニール袋)に入れておきます。こ うしておくといつまでもピカピカのままです。 C www.london-antiquemarket.com
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