酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化

酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化
南
方
建
明
はじめに
.酒類小売業界を取り巻く環境変化
酒類需要の動向
酒類小売規制の緩和
酒類小売価格
.規制緩和が小売業態に与えた影響
小売業態別シェアの推移
規制緩和による小売業態の盛衰
むすび
はじめに
年代後半以降、大規模小売店舗の出店、米穀類販売、酒類販売など小売販売に関する
経済的規制の緩和がすすんだ。これらは、いずれも需要停滞下での規制緩和であり、限られ
た需要をめぐって小売業態間の競争が激化した。
大規模小売店舗の出店規制に関しては、
よる規制が大幅に緩和され、
年
年
年代になって大規模小売店舗法(大店法)に
月に出店抑制地域の廃止などの運用適正化措置実施、
月に種別境界面積の引上げ、商調協の廃止、出店表明・事前説明制度の廃止などの
改正大店法施行、
年
月に
未満の出店の原則自由化、閉店時刻・休業日数の届
出不要基準の緩和などが実施された。そして、
年
月に大規模小売店舗立地法(大店立
地法)が施行され、大店法は廃止されることになった。
他方、小売業販売額(自動車小売業、ガソリンスタンドなど商業統計調査における売場面
積調査対象外業種を除く)は、
あったが、
円、
年
積は
年の
年
兆円、
年にピークを迎え、以降は
年
兆円と減少傾向にある(経済産業省
百万
から
年に
百万
、
年
兆円、
兆円、
年
年
兆円と微増で
兆円、
年
兆
商業統計表(産業編))
。一方、売場面
年には
百万
へと一貫して増加し
ている(同上)
。すなわち、需要停滞下の供給増加である。
このような状況のなかで、小売業販売額(同)に占める小売業態別の割合は、
スーパー(売場面積
模専門店(売場面積
以上、セルフサービス方式採用面積
未満)
%、 大規模専門店(売場面積
%以上)
年には
%、 小規
以上、スーパーを
大阪商業大学論集
除く)
%であったものが、
大規模専門店
スーパー
第
巻 第
年には
号(通号
号)
スーパー
%となり、 小規模専門店
%、 小規模専門店
のシェア減少、 大規模専門店
のシェア増加が明確になっている(経済産業省
商業販売統計
%、
および
商業統計表
(産業編))
。
米穀類販売に関しても、
年
月に
食糧管理法 (食管法)が廃止、 主要食糧の需給
及び価格の安定に関する法律(食糧法) が施行され、許可制から登録制となり原則自由化
された。他方、
人あたりの米の年間消費量の推移をみると、
に減少を続け、米穀類販売が原則自由化された
年度は
年度の
、
をピーク
年度には
まで
減少している(農林水産省 食料需給表 )
。
このような状況のなかで、米穀類の販売額(百貨店・総合スーパーを除く)に占める小売
業態別の割合は、
年は
米穀類専門店(米穀類の販売額が
%以上)
%、 食料品
中心店(食料品の割合 %以上、セルフサービス方式採用面積
%未満)
%、 食料品
スーパー(食料品の割合
以上)
%以上、売場面積
%であったものが、
%、 食料品スーパー
年には
以上、セルフサービス方式採用面積
米穀類専門店
%となり、 米穀類専門店
パー のシェア増加が明確になっている(経済産業省
酒類販売においても、
の距離基準の廃止、
年
%、 食料品中心店
のシェア減少、 食料品スー
商業統計表(業態別統計編))
。
年 月から酒類小売業免許の規制緩和が開始され、
月の人口基準の廃止、
、
年度は
年
月
年 月末の緊急調整区域の撤廃によ
り、原則として自由化された。他方、年間酒類販売数量は規制緩和が開始された
千
%
年度に
千 まで増加したが、その後は規制緩和が本格化し酒類取扱店
舗数が増加するなかで減少を続け、
年度には
千
まで減少している(国税庁
国
税庁統計年報書 )
。大規模小売店舗の出店規制の緩和や、米穀類販売の規制緩和と同様に、
需要停滞下の規制緩和がなされたわけである。
筆者は、すでに大規模小売店舗出店規制の変遷がわが国の小売業態の発展に与えた影響 )、
酒類および米穀類における参入規制が小規模な酒販店や米穀店の保護にいかに貢献してきた
か
)
について考察している。本論は、これらの論文を受けて、酒類小売業免許の規制緩和
に焦点をあて、需要停滞下の規制緩和が各小売業態の酒類販売にどのような影響を与えたか
について分析する。
.酒類小売業界を取り巻く環境変化
酒類需要の動向
表
に基づいて年間酒類販売数量の推移をみると
また成人 人あたり年間酒類販売数量は
年度をピークに減少傾向にあり )、
年度をピークに減少傾向にある )。
)南方建明 日本の小売業と流通政策 中央経済社、
年、および南方建明 大型店出店規制の変遷と
小売業態の発展
日本商業施設学会第 回研究発表論集
年、を参照されたい。
)南方建明、前掲書、
ページにおいて、時系列的に比較しうる
年から
年までの期間におけ
る食料品スーパー、酒販店および米穀店の販売割合の推移について明らかにしている。
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
表
成人人 成人
口(万 人あた
人)
り年間
酒類販
売数量
( )
酒類販売数量の推移
年間酒
類販売 ビール
数量計
(千 )
品
目(千 )
発泡酒 そ の 他 リキュー 清酒
しょう ウィスキ 果実酒
の醸造 ル
ちゅう ー・ブラ
酒
ンデー
その他
年度
(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)
年度
(
)(
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)
年度
(
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)
年度
(
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年度
(
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)
年度
(
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年度
(
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)
年度
(
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)(
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)
年度
(
)(
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)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)
年度
(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)
年度
(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)(
)
(注 )酒類販売数量は、国税庁 国税庁統計年報書 。
(注
)成人人口は、総務省(総務庁) 国勢調査
(注
) 第
のビール
たものは
人口推計 。
といわれるビール風味の発泡アルコール飲料は、麦芽以外を原材料とし
その他の醸造酒 、発泡酒に別のアルコール飲料(麦由来のスピリッツや焼
酎)を混ぜたものは
リキュール に分類されている。
(注
)カッコ内の数字は、年間酒類販売数量計を
資料
国税庁
とした品目別販売数量の割合。
国税庁統計年報書(各年度版)、総務省(総務庁) 国勢調査(各年版)
人口推
計(各年版) より作成。
酒類販売数量の品目別割合の推移をみると、 ビール
加させてきたが、
度
%、
年度
年度の
年度までは確実に割合を増
%をピークにその割合が減少し、
%まで減少、他方で
加傾向にある( 発泡酒
は
年度
%
発泡酒
年度
および
%
年度
%、
しょうちゅう
年度
%
年
の割合が増
年度
) ビール
発泡酒
新ジャンル を合計したビール系飲料の国内出荷量(大手 社、キリンビール推
計)の推移をみても、
年の
万 をピークに減少し、
年には
万 となっている。その内訳
は、
年は ビール
%、 発泡酒
%、
年は ビール
%、 発泡酒
%、 新
ジャンル
%となっている(キリンビール 国内酒類事業データ集
年 月、 ページ)。
)金額ベースで酒類消費の推移を推計すると、酒類消費額のピークは
年の
兆円で、
年には
兆円まで減少している(三和総合研究所 成熟段階を迎えたお酒の消費
年 月、 ページ)。
大阪商業大学論集
%、 しょ う ちゅ う
%)。第
増加させ、
る。 清酒
年度
のビールが含まれる
年度には
第
巻 第
%
号(通号
年度
%
その他の醸造酒
その他の醸造酒
が
は一貫してその割合が減少し、
号)
年度
リキュール
年度
は、近年大きく割合を
%、 リキュール
年度には
%
が
%を占めてい
%となっている。
酒類小売規制の緩和
表
は、酒類小売規制の変遷を整理したものである。酒類の販売は
造税法 の改正により免許制が導入され、
制定の
酒税法(現行法)
)
年 月制定の
へと受け継がれてきた。
年
月に
酒
酒税法(旧法)、
年
月
年
月には
酒税法
が改正さ
れ、酒類販売業免許は卸売業免許と小売業免許に分離された )。
その後、酒税法には具体的な規定がないにもかかわらず、長い期間にわたって需給調整要
件による酒類小売規制がおこなわれてきた。酒類小売規制の緩和を促す動きは、
の臨時行政調査会(第
臨調) 行政改革に関する第
表
年 月
年 月
年 月
年
年
年
年
月
月
月
月
年 月
次答申
最終答申
)
年
月
にはじまり、
酒類小売規制年表
酒造税法(
年 月制定) の改正により、酒類販売が免許制度に。
酒税法(旧法) 制定。
酒税法(現行法) 洒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 制定。
酒税法 改正により、販売業免許は卸売業免許と小売業免許に分離。
臨時行政調査会(第 臨調) 行政改革に関する第 次答申 最終答申 。
臨時行政改革推進審議会(新行革審) 公的規制の緩和等に関する答申 。
国税庁 酒類販売業免許等取扱要領 改正。酒類小売規制緩和が開始。
国税庁 酒類販売業免許等取扱要領
制、都市部の免許枠の確保。
改正。酒ディスカウンターの新規出店の抑
年 月 規制緩和推進計画について(閣議決定)。酒類小売業免許自由化の基本的な方向を示す。
年 月 行政改革委員会 規制緩和の推進に関する意見(第 次) 光り輝く国をめざして 。
年 月 中央酒類審議会 酒販免許制度等の在り方について 。
年 月 行政改革委員会 最終意見 。中央酒類審議会答申に沿った形で早急に対応を図るべき。
年 月
規制緩和推進 か年計画 閣議決定。同日、国税庁 酒類販売業免許等取扱要
領 改正( 月 日適用)。酒類小売業免許自由化のスケジュールが具体化される。
年 月
酒類小売業免許、距離基準廃止。
年 月
酒類小売業者の経営改善などに関する緊急措置法
年 月に、
年 月までの延長決定)
。
立(
年 月
年 月
酒類小売業免許、人口基準の廃止。
緊急調整区域撤廃、すべての地域で原則自由化。
が
年間の時限立法として成
)税務署長は、酒類の販売業免許を与える場合において、酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため
必要があると認められるときは、販売する酒類の範囲若しくはその販売方法につき条件を付することがで
きる(酒税法第 条抜粋)。
)酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場
ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない(酒税法第 条抜粋)。
)参入規制を緩和する方向で見直していく必要があるとし、当面の措置として、 免許基準の人的要件の
経験年数を短縮し、所要資金等の基準額を廃止する、 既免許者に対する期限付小売業免許を可能な範囲
で届出制に移行する、 百貨店の売場移動については、すべて異動申告制とする(臨時行政調査会(第
臨調) 最終答申
年 月)。
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
年
月の臨時行政改革推進審議会(新行革審) 公的規制の緩和等に関する答申
)
に
よって、その方向性が規定された。
この答申を受けて、国税庁は
年 月に
酒類販売業免許等取扱要領
ような規制緩和がすすめられることになる。 店舗面積
例免許として、単年度において、各都道府県人口の
準にかえて人口基準を導入。その基準人口は、
以上の大規模小売店舗の特
万人につき
場付与する、
地域(東京都特別区、人口
市、または可住地人口密度が
人
以上の市町村)
市、または可住地人口密度が
人
以上
人
(上記以外の地域) 人として、審査順位は抽選とする。
長が指定する主要駅から
を改正し、次の
人、
万人以上の
地域(
地域以外の
未満の町村)
人口
世帯基
人、
地域
万人以上の都市の国税局
以内にある商業地域における距離基準を
に緩和、
通信
販売酒類小売業免許の新設。
酒類小売規制の緩和が開始された
立つようになり、また
が表明
)
するなど、
年
年代後半には並行輸入された洋酒の低価格販売が目
月にはビールの希望小売価格は参考価格である旨をメーカー
年代前半は酒ディスカウンターが急速に成長した時期である。こ
のような環境変化のなかで、国税庁は
年
月に
酒類販売業免許等取扱要領
を改正し
)
た。この改正は酒ディスカウンターの新規出店の抑制が主眼とみられる 。
すなわち、 申請者の名義いかんにかかわらず実質的に同一申請者からの同一小売販売地
域内への複数の申請を制限する、
法人成り等に伴う免許の付与後 年は販売場の移転また
は営業譲受けは認めない、 販売場の移転に際し、移転後の販売場の面積が著しく増加する
場合(販売場の面積が
以上増加する場合で、かつ増加後の面積が
合)は新規免許申請とする、
以上となる場
営業の譲受けは、販売場の位置が同一であること、譲受けに
伴い既存の販売場の面積が著しく増加する場合は新規免許申請とする。他方で、同要領改正
では商業集積地区を特例免許指定地区とし、都市部の免許枠が確保された
その後、
年
政改革委員会
月に
規制緩和推進計画について(閣議決定)
規制緩和の推進に関する意見(第
次)
)
。
)
、
年
光り輝く国をめざして
月には行
)
に
おいて、酒類小売業免許自由化に向けた基本的方向が示されることになる。
年
月には、中央酒類審議会
酒販免許制度等の在り方について
)
において需給
) 大規模小売店舗の免許要件を緩和し、特定の商業集積地区の場所的要件を緩和、 免許付与に際して
の地元酒販組合等からの意見聴取はあくまで意見聴取にとどめ、透明性を確保するため聴取手続を明確
化・合理化、 免許運用基準の簡素化・明確化、 地域的な特色ある酒類に対する通信販売ニーズの増加
に対応した免許付与基準の整備(臨時行政改革推進審議会(新行革審) 公的規制の緩和に関する答申
年 月)。
) 日本経済新聞
年 月 日。
)中西将夫 規制緩和と酒類市場の変化
流通産業 第 巻第 号、
年 月、 ページ。
)向山雅夫 酒類小売業界の規制緩和と経営システムの変貌
商工金融 第 巻第 号、
年 月、
、 ページ、を参考にした。
) 酒類小売業免許基準を緩和の方向で見直す、 酒類の販売方法等の改善を図る、 中央酒類審議会の
審議を経て需給調整要件を含め基準の見直しを行う( 規制緩和推進計画について(閣議決定)
年
月)。
) 酒類小売業免許制度における需給調整要件については廃止を含めた検討を
年度中に開始すべき、
当面は、現行の需給調整要件について一層の緩和策を講ずる(行政改革委員会 規制緩和の推進に関す
る意見(第 次) 光り輝く国をめざして
年 月)。
) 距離基準については早期に廃止、 人口基準については早期に廃止する方向で見直すべき(中央酒類
審議会報告 酒販免許制度等の在り方について
年 月)。
大阪商業大学論集
調整要件の廃止を提言、
年
第
巻 第
号(通号
月の行政改革委員会
号)
最終意見
では、 中央酒類審議会
答申は、基本的には委員会意見に沿った内容であり、今後、政府において委員会意見に沿っ
た形で早急に対応を図るべき
とされた。そして、
画 が閣議決定され、同時に国税庁が
年 月には
酒類販売業免許等取扱要領
から適用されることになった。同要領では、 距離基準は
のように
年
年
月から段階的に緩和し、
月の閣議決定により、
か月遅れの
年
年
年
年
規制緩和推進
か年計
を改正し、
年
年 月廃止、
月
人口基準は表
月に廃止と決められた。なお、
月から実施するとされていた距離基準の廃止は、
月から実施することとされた )。
月には距離基準が廃止され、
年
月には人口基準も廃止され、酒類小売業免
許は原則自由化される予定であった。しかし、
年
月になって
酒類小売業者の経営改
善などに関する緊急措置法 が 年間の時限立法として成立、競争激化地域での新規参入制
限が認められることになった )。なお、この緊急措置法は
長が決定された。そして、
年
年
月に
年
月までの延
月末に緊急調整区域は撤廃され、酒類の小売販売はすべ
ての地域で原則自由化されることになった。現在は、人的要件や経営基礎要件などの一定の
要件を満たせば免許の取得が可能となっている )。
表
人口基準の段階的緩和(酒類販売業免許等取扱要領)
年度
年度
年度
年度
年度
地域
人に 場
人
人
人
人
人
地域
人に 場
人
人
人
人
人
地域
人に 場
人
人
人
人
人
資料 国税庁 酒類販売業免許等取扱要領
年
月。
酒類小売価格
表
は、酒類小売価格の変遷を整理したものである。酒類小売価格は
制価格となって以来、長らく価格の統制が続けられていたが、
格
制度が導入された。 基準販売価格
に定める価格である )。その後、
年
年
月に
年
月に統
基準販売価
とは大蔵大臣が標準的な原価や適正な利潤を基礎
月には国税庁が基準販売価格廃止を告示、 基準
)国税庁 酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の一部改正について
年 月。
) 酒類小売業者の経営改善等に関する緊急措置法 によると、税務署長は、 新規に免許の付与等が行
われており、前年度の当該地域における一酒類小売販売場当たりの 平均小売販売数量 が、その前 年
間の平均値に比べ %以上減少していること(供給過剰要件)
、 前年度の小売販売数量が、上記割合で
減少している酒類小売販売場の占める割合が 分の を超えていること(販売業継続困難要件)
、 当該
地域に存する酒類小売販売場の過半数について、経営改善計画が提出されていること(計画提出要件)の
いずれにも該当する地域を選定し、市区町村長の意見を聴いたうえで緊急調整地域に指定する区域を公告
する。なお、同法による指定地域は、
年度(
年 月 日
年 月 日)は
地域(全小売
販売地域の
%)、
年度は
地域(同
%)となっている(国税庁
酒類小売業者の経営の
改善等に関する緊急措置法 に基づく 緊急調整地域 の指定の公告等について
年 月)。
)酒税法 条、同第 条、同第 条第 項第 号を参照のこと。
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
表
年 月
酒類小売価格変遷年表
統制価格の廃止、基準販売価格制度となる。
国税庁、酒類の基準販売価格廃止を告示。 基価販売価格廃止記念セール と称する値引
年 月
年には、価格に関する行政指導がおこなわれた。
き販売店出現。しかし、
年 月
年 月
公正取引委員会告示第 号 不公正な取引方法 。
公正取引委員会 不当廉売に関する独占禁止法上の考え方 。
年 月
大手ビールメーカー
格という新聞広告。
年
年
年
年
公正取引委員会 流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針 。
公正取引委員会 酒類小売業における不当廉売問題の対応について 。
酒税増税を前に大手総合スーパーが低価格販売を本格化。
国税庁 公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針 。
月
月
月
月
社、公正取引委員会の要請に基づき、希望小売価格は参考価
年 月
公正取引委員会 酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について(酒
類ガイドライン)。
年 月
公正取引委員会 酒類の不当廉売に関する考え方の明確化について 。
年 月の酒
類ガイドラインにおける その他不当に低い対価で供給 する場合の考え方を明確化。
年 月
大手ビールメーカー 社と酒類卸との間で、希望卸売価格、希望小売価格を廃止
し、販売量に応じて卸売に支払う応量リベートを廃止する新しい取引制度を導入。
年 月
国税庁 酒類に関する公正な取引のための指針 (国税庁
年 月の改定)
。
な酒類産業の発展のための指針
年 月
公正取引委員会 不当廉売に関する独占禁止法上の考え方 、同 酒類の流通にお
ける不当廉売、差別対価等への対応について
(酒類ガイドライン) 改定。
販売価格廃止記念セール
公正な競争による健全
と称する値引き販売店が出現した )。しかし、
年から
)
にかけては、国税庁による販売価格の行政指導がおこなわれてきた 。その後も、
月には、公正取引委員会告示
不公正な取引方法
)
、
年
年
年
月には公正取引委員会
不
当廉売に関する独占禁止法上の考え方 が提示されるなかで、メーカー希望小売価格を大幅
に下回る販売は少なく )、希望小売価格で販売されることが多かったといえる。
その後、
年代後半には酒ディスカウンターが相次いで誕生し、その低価格販売が話題
にのぼるようになる。酒ディスカウンターは、急速な円高を背景とした洋酒の並行輸入、
ビールメーカーからのリベートを原資とした薄利多売、びんビールから缶ビールへの移行
どの要因を背景に急速に成長した
)
。また、
)
な
年頃には大手スーパーも低価格販売を開
) 基準販売価格 とは、財務大臣(大蔵大臣)が、酒税の保全のために必要があると認められる場合に
おいて、酒類取引の円滑な運行に資するため、酒類製造業または酒類販売業における酒類の標準的な原価
および適正な利潤を基礎として、酒類の販売価格の基準額を定めるもの(酒税の保全及び酒類業組合等に
関する法律第 条)。
)醸造産業新聞社編 酒類産業年鑑 醸造産業新聞社、
年、
ページ。
)大崎恒次 酒類業組合の役割と酒類販売免許制
青山社会科学紀要 第 巻第 号、
年 月、
ページ。
) 正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る価格で継続して供給し、
その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるこ
と (公正取引委員会告示第 号 不公正な取引方法
年 月)。
)
年には、国税庁によって 廉売店調査 が実施された。 廉売店 とは、 酒類の定価(メーカー希
望小売価格)より %以上安く販売している店であり、しかも近隣の販売店に迷惑をかけている店 をい
う(中西将夫 酒ディスカウンター新時代 同文舘出版、
年、 ページ)。
大阪商業大学論集
)
始した 。
年
月には、ビール
第
巻 第
号(通号
号)
社が公正取引委員会の要請に基づき、 ビールの希望
小売価格は参考価格です(小売店は、これになんら拘束されずに自主的に価格設定できま
す) という新聞広告を出し、希望小売価格制は崩壊していくことになる。
年
月には、公正取引委員会
流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針
が公
表、違法となる再販売価格維持行為のガイドラインが示され、酒ディスカウンターの成長、
小売価格のいっそうの弾力化の契機となった。次いで、
酒類小売業における不当廉売問題の対応について
販売経費
年
月には、公正取引委員会
が公表され、総販売原価は仕入価格
一般管理費という考え方が示されている。
年
月には、翌月の酒税増税を前に、ダイエーが国産ビールなど清酒を除くほぼ全酒
類の価格を引下げ、
月の酒税増税後もこの価格を継続すると発表した。イト
ヨーカ
ドー、ジャスコ、西友などの大手総合スーパーもこれに追随し、価格競争が激化した )。こ
のように大手総合スーパーの低価格販売が本格化するなかで、それまで急成長してきた酒
ディスカウンターの成長にブレーキがかかることになる。
その後は、極端な廉売を防止するために、国税庁あるいは公正取引委員会から不当廉売に
関する指針が出されている。
の発展のための指針
)
、
年
月には国税庁から
年
月には公正取引委員会
酒類の流通における不当廉
)
年 月には公正取引委員
売、差別対価等への対応について(酒類ガイドライン)
会が
年
月の酒類ガイドラインにおける
え方を明確化し
れている
税庁
)
公正な競争による健全な酒類産業
、
その他不当に低い対価で供給
する場合の考
、これに基づいて独占禁止法違反(不当廉売)による注意や警告がなさ
)
。最近では、
年
月に国税庁
酒類に関する公正な取引のための指針 (国
公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針
月には公正取引委員会
年
月の改定)
、
不当廉売に関する独占禁止法上の考え方 、同
年
酒類の流通にお
)缶ビールは、
年の アサヒ ゴールド が国内初とされている。ビール出荷量に占める缶ビールの
割合は、
年に約 %となり、
年には約 %にまで増加した(キリンビール編 キリンビールの歴
史 新戦後編 キリンビール、
年、
ページ)。また、 ビール
発泡酒
新ジャンル を合計した
ビール系飲料の容器別構成比の推移(大手 社計、キリンビール推計)をみると、
年には びん
%、 缶
%、 樽等
%、
年には びん
%、 缶
%、 樽等
%となっている(キリ
ンビール 国内酒類事業データ集
年 月、 ページ)。
)小林哲 酒類業界の流通再編と取引制度改革 崔相鐵・石井淳蔵編 流通チャネルの再編 中央経済
社、
年、 ページ。
)国税庁は個々の企業の価格設定には原則として介入しない方針であるが、地域市場全体の過当競争防止
の 観 点 か ら、 必 要 の 都 度 指 導 を 行っ て い る の が 現 状 で あ る (国 税 庁 酒 税 及 び 酒 類 行 政 の 変 遷
(
))。
)醸造産業新聞社編 酒類産業年鑑 醸造産業新聞社、
年、 ページ。
) 合理的な価格の設定、 取引先等の公正な取り扱い、 公正な取引条件の設定、 透明かつ合理的な
リベート類についての指針を定める(国税庁 公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針
年 月)。
)不当廉売は、 供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給 する場合と、 その他不当に低い
対価で供給 する場合の つがあり、このような廉売によって、 他の事業者の事業活動を困難にさせる
おそれ がある場合をいう(公正取引委員会 酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応につい
て(酒類ガイドライン)
年 月)。
) その他不当に低い対価で供給 する場合に該当し得る行為態様としては、小売業者が、 )実質的仕
入価格を上回る価格(総販売原価を下回ることが前提)で販売する場合、 )実質的仕入価格を下回る価
格で短期間販売する場合がある。かかる行為により、周辺の酒類販売業者の事業活動を困難にさせるおそ
れがある場合には、不当廉売として規制される(公正取引委員会 酒類の不当廉売に関する考え方の明確
化について
年 月)。
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
ける不当廉売、差別対価等への対応について(酒類ガイドライン)
年
月には、大手ビールメーカー
)
が改定されている。
社と酒類卸との間で、希望卸売価格、希望小売価
格を廃止し、販売量に応じて卸売に支払う応量リベートを廃止する新しい取引制度
)
が導
入された。新しい取引制度導入の背景には、 酒ディスカウンターやスーパーなどの台頭に
より、希望小売価格の維持が困難になったこと、
応量リベートに代表される販促費が値引
き販売の原資になり、既存チャネルの経営を圧迫していること、
ビール需要が頭打ちにな
り、値引き販売が販売量の拡大に結びつかず、ビールメーカーの収益を悪化させていること
などがあげられる
表
)
。
は、
年
年におけるビールの小売業態別の価格比較である。この時期は、
月にビールメーカーが希望小売価格は参考価格である旨を表明して以降、
年
月に大手総合スーパーが価格引下げに踏み切る以前の時期である。
これによると、国産ビールは
店
つの銘柄ともに、 コンビニエンスストア
も含めて各業態とも価格差はほとんどない。他方、輸入ビールは
店 が最も安く、次いで
その他のスーパー店
や
一般小売
スーパーチェーン
が安くなっているものの、その他の業態間
では価格差はほとんどない。すなわち、輸入ビールのみ スーパーチェーン店
において低
価格で販売されていたといえる。
表
る。
(
は、
年、
年、
年には、 量販専門店(
以上)
円、他方
年におけるビールの小売業態別の価格比較であ
以上) が
一般小売店(
円と最も安く、次いで
未満)
スーパー
円、 コンビニエンススト
)酒類の不当廉売の注意件数の推移をみると、国税庁 公正な競争による健全な酒類産業の発展のための
年 月)が出された前年度の
年度は 件、
年度
件、
年度
件と推移し、公
指針 (
年 月)が出された
正取引委員会 酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について (
年度は
件、
年度は
件と急増し、ピークに達している。その後は、
年度
件、
年度
件、
年度
件、
年度
件と推移し、
年 月末の緊急措置法の失効によってすべて
年度は
件、
年度は
件とやや増加したが、
の地域で酒類小売販売の原則自由化がなされた
年度は
件と再び減少している(公正取引委員会 公正取引委員会の最近の活動状況
年
月、 ページ(
年度以前)、および公正取引委員会 独占禁止法違反事件の処理状況について(各年
年度以降))。また、独占禁止法違反(不当廉売)の疑いによる警告の事例として、
年
度版)(
月に埼玉県および北海道の酒類小売業者 名に警告、
年 月に兵庫県の酒類小売業者に警告、
年
月に秋田県の酒類小売業者 名に警告、
年 月に中部地区の酒類小売業者 名がビールを不当に安
く販売したとして警告、富山県で独占禁止法違反(不当廉売)の疑いで警告などがある(公正取引員会
独占禁止法違反事件の処理状況について(各年度版))。
)公正取引委員会 酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について(酒類ガイドライン)
(
年 月 日)、同 酒類の不当廉売に関する考え方の明確化について (
年 月 日)を統合
し、酒類ガイドラインを改定して、 供給に要する費用を著しく下回る対価 についての考え方を明確化
した。 供給に要する費用 は 総販売原価 であり、 可変的性質を持つ費用 を下回るものは 供給に
要する費用を著しく下回る対価 であると推定されること、また、実質的仕入価格に加え、運送費等の廉
売対象商品の注文の履行に要する費用も 可変的性質を持つ費用 となること及び仕入れに付随する諸経
費は 可変的性質を持つ費用 と推定されることを明記 (公正取引委員会 酒類の流通における不当廉
年 月)。
売、差別対価等への対応について(酒類ガイドライン) 改定、
)新しい取引制度は、キリンビールではオープン価格制、他の大手 社では新取引制度とよんでいる。ア
サヒビールにおける 販売奨励金および手数料 をリベートとみると、売上高に対するリベートの割合
は、アサヒビールが希望小売価格は参考価格である旨を表明(
年 月)した
年度に
%と明ら
年度
%、
年度
%、
年度
%、
年度
%)。その後は %
かなピークを迎える(
年度に
%となり、新取引制度を導入(
年 月)した
年度
%、
未満で推移していたが、
年度
%と再びピークを迎え、
年度
%、
年度
%と漸減傾向にある(アサヒビール
損益計算書(単体)(各年度版))。
)小林哲 酒類業界の流通再編と取引制度改革 崔相鐵・石井淳蔵編 流通チャネルの再編 中央経済
年、
ページ。
社、
大阪商業大学論集
表
第
巻 第
号(通号
号)
小売業態別価格比較(缶ビール 本)
(
年)
(単位 円)
国
アサヒ
スーパー
ドライ
産
オリオン
ドラフト
品
キリン
ラガー
輸
サッポロ
黒ラベル
入
品
サントリー バドワイザー ミラー・
ジェニュイン
モルツ
ドラフト
総数
一般小売店
スーパーチェーン店
その他のスーパー店
コンビニエンスストア
百貨店
(注)各小売業態の定義は次のとおりである。
%未満、店舗の従業者数が常時
一般小売店
人未満の店舗又は店舗の従業者数が常時
スーパーチェーン店
食・住の一部の商品を販売している店舗、
用面積
%以上、
日の営業時間が
店舗以上の店舗、
の営業時間が
時間未満、通常の閉店時間が
以上の店舗又は
店
日の営業時間が
時前、チェーン店の数が
%以上、
時間未満で通常の閉店時間が
セルフサービス方式採用面積
時前、チェーン店の数が
セルフサービス方式採用面積
セルフサービス方式採用面積
人以上で衣・
セルフサービス方式採
時間未満、通常の閉店時間が
その他のスーパー店
コンビニエンスストア
セルフサービス方式採用面積
%以上、
店舗未満の店舗、
日の営業時間が
時以降の店舗、
%未満、店舗の従業者数が常時
日
時間
百貨
人以上、衣・食・住に
わたる商品を販売している店舗。
資料
総務省(総務庁) 全国物価統計調査(
年) より作成。
小売業態別価格比較(缶ビール 本)
(
表
年)
(単位
年
全店舗
総数
一般小売店
スーパー
量販専門店
コンビニエンスストア
以上
─
年
未満
以上
─
未満
以上
一般小売店
未満
─
(注)各小売業態の定義は、少しずつ変更はされているが、大きな変更ではない。
義は、次のとおりである。
円)
年
年調査の定
商店街や駅前、ロードサイド、商業ビル内等で
営業する専門店・個人商店などで、他に該当しないもの。弁当販売店、ガソリンスタンド等も
含める。
スーパー
食品、家事雑貨を中心にセルフサービス方式で販売している店舗。
いわゆる総合スーパー、均一価格で多様な商品を販売する小売店(ワンプライスショップ)も
含める。
量販専門店
主に家電、住関連、衣料、がん具、スポーツ用品などを取り扱
い、薄利多売を営業方針としている店舗。いわゆるホームセンターも含める。
ンスストア
どの日用品を取りそろえ、店舗の規模が小さく(売場面積
間以上)営業を行う店舗。
資料
コンビニエ
販売商品のほとんどをセルフサービス方式で販売し、食品、家事雑貨、雑誌な
総務省(総務庁) 全国物価統計調査(各年版) より作成。
)
、終日又は長時間(
時
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
ア(
未 満)
(
円 と、
以上) が
般小売店(
小売店
円 程 度 の 価 格 差 が あっ た。
円と最も安く、次いで
未満)
スーパー(
年 に は、 量 販 専 門 店 (
以上)
ア(
以 上) が
円、他方
未満)
以上)
円、 コンビニエンスストア(
との価格差は大きいが、 コンビニエンスストア
(
年 に は、 量 販 専 門 店
未満)
一
円と、 一般
との価格差は縮小傾向にある。
円 と 最 も 安 く、 次 い で
一般小売店(
円であり、 一般小売店
円、他方
未満)
スー パー
円、 コンビニエンススト
との価格差は依然として大きく、また
コ
ンビニエンスストア との価格差は再び拡大している。
.規制緩和が小売業態に与えた影響
小売業態別シェアの推移
商業統計表
表
は、経済産業省
商業統計表
に基づいて、 百貨店
および
総合スーパー
を除く酒類販売額に占める小売業態別シェアの推移をみたものである。酒類小売規制の緩和
は、表
でみたように
月の人口基準の廃止、
酒類販売額の割合
制緩和前の
年には
年の
年
月から開始され、
年
月の距離基準の廃止、
年
年 月末の緊急調整区域の撤廃によって原則自由化された。
%以上の
食料品専門店 、いわゆる
%から、
年には
%、
酒類専門店
年
のシェアは、規
%、原則自由化された
%と、調査を重ねるたびにシェアを減少させている。同様に、酒類販売額の割合
%未満、食料品の割合
%以上、かつ対面販売を主とする
酒類を販売する小規模食料品店
には
%、
年
のシェアも、規制緩和前の
%、原則自由化された
食料品中心店 、すなわち
年の
%から、
年
年には
%とシェアを減少させてい
コンビニエンスストア
の合計、すなわちセルフサー
る。
他方、 食料品スーパー
および
ビス方式で酒類を販売する小売業態のシェアは、規制緩和前の
には
%、
年
%、原則自由化された
ている。 食料品スーパー
と
年には
コンビニエンスストア
年の
のシェアの内訳は、
シェアを大きく増加する一方で、 コンビニエンスストア
年の
%から
ンビニエンスストア は
年
年以降そ
食料品スーパー
年の
年には
%から
が
のシェアの増加はそれほど大き
年以降のシェアの推移をみても、 食料品スーパー
%、
年
%とシェアを大幅に増加させ
の定義が変更されたため時系列的な比較は難しいが、傾向としては
くない。時系列比較が可能な
%から、
が
%へと大幅に増加したのに対して、 コ
年には
%に増加したものの、
年は
%と微増にとどまっている。
国税庁
表
酒類小売業の経営実態調査
は、国税庁の調査に基づいて、酒類小売業の業態別シェアの推移をみたものであ
る。 一般小売店
和開始直後の
のシェアは、規制緩和前の
年度も
年度には
%と圧倒的であり、規制緩
%のシェアを保っていたが、その後は急速に落ち込み、
年
大阪商業大学論集
表
第
巻 第
号(通号
号)
酒類販売額(百貨店・総合スーパーを除く)の業態別シェアの推移(商業統計表)
(単位 %)
飲食料品販売額
食 料 品 スー
計 の う ち 百 貨 パー コ ン ビ
店・ 総 合 スー ニ エ ン ス ス ト
パーによる販売 ア の合計
額を除く飲食料
品小売業の販売
額
(
(
(
年
年
年
年
年
年
年
(注
(
(
(
(
(
(
(
) 百貨店・総合スーパー
%、
百貨店・総合スーパー
年
%、
) 食料品スーパー
および
年以前と
年
コンビニエンスストア
%以上、売場面積
年
年
%、
年
%、となっている。 百貨
売場面積
以上
年以前の調査では
売場面積
以上
上、営業時間
の定義が
年から変更されたた
は、
年以前の調査
以上、セルフサービス方式採用面積
年以降の調査では
以上
%、
%、
年以降の数字は連続しない。 食料品スーパー
食料品の割合
では
%、
年
%以上 %未満の範囲内にある事業所で、従業者数が常時 人以上のもの。
販売額の
め、
年
の割合は、
の定義は、衣・食・住にわたる各種の商品を小売し、そのいずれもが小売
店・総合スーパー
(注
の販売額は、飲食料品計のレベルでしか把握できないため、 百
による酒類販売額を除く販売額に占めるシェアを算出した。なお、飲食
貨店・総合スーパー
料品計に占める
コンビニエンス 食料品専門店 食料品中心店 その他の小売店
(
年) (
年) (
年)
ストア
(
以上
未満)
年) (
年)
以上) (
以上
未満)
年) (
年)
)
(
)
)
(
)
)
(
)
)
(
)
)
(
)
)
(
)
)
(
)
食料品スーパー
(
以上)
時間以上又は閉店時刻
時
%以上 、
に変更された。 コンビニエンスストア
は、
未満、セルフサービス方式採用面積
%以
分以降 、
未満、セルフサービス方式採用面積
年以降の調査では
%以上、営業時間
売場面積
時間以上
に変更され
た。
) 食料品専門店
(注
は、酒、食肉、鮮魚、野菜・果実、菓子・パン、米穀類、牛乳、飲料
年調査から)、茶、料理品、豆腐・かまぼこ等加工食品、乾物、他に分類されない飲食
(
料品のいずれかが
式採用面積
%以上。 食料品中心店
は、食料品の割合
%以上、セルフサービス方
%未満。
資料
経済産業省(通商産業省) 商業統計表(業態別統計編)
(各年版) より作成。
度
%、
年度
%、
年度
%まで減少している。
この調査では、 コンビニエンスストア
く、 コンビニエンスストア
に一部の
れるものの、 スーパーマーケット
度
と
スーパーマーケット
スーパーマーケット
のシェアは
年度
業態も含まれているとみら
%、
%と、大きく増加している。他方、 コンビニエンスストア
%、
年度
%、
年度
の定義が明確ではな
年度
%、
のシェアは
%と、ほとんど横ばいであり、先に表
統計表の分析からみたように、酒類小売規制緩和の効果は コンビニエンスストア
年
年度
の商業
よりも
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
表
酒類小売業の業態別シェアの推移(国税庁)
(単位 %)
年度
年度
年度
年度
年度
一般小売店
コンビニエンスストア
スーパーマーケット
百貨店等
量販店
─
─
─
─
業務用
─
─
─
─
ホームセンター・ドラッグストア
─
─
─
─
その他
合計
(注
)小売業態の定義は、調査年によって少し異なるが、
一般小売店
通常の酒販店、
コンビニエンスストア
%以上)を基本とし、いわゆる
サービス方式採用面積
年度調査では次のとおりである。
セルフサービス(セルフ
コンビニエンス (営業時間が長
く、原則的に年中無休で、食品を中心に日用品を幅広く品揃えしている)の形態をとるもの
で、おおむね次のいずれにも該当する店舗。
間以上で閉店時刻が
時以降、
)売場面積
スーパーマーケット
未満、
)営業時間が
セルフサービスを基本とし、食
百貨
品を中心に日用品を幅広く品揃えしている店舗でコンビニエンスストア以外の店舗、
大規模小売店舗立地法に規定する大規模小売店舗でスーパーマーケット以外のもの。
店等
(注
)生活協同組合、農業協同組合等は
ニスーパー
資料
時
その他 、
年度の
スーパーマーケット
は
ミ
および スーパーマーケット の合計。
国税庁 酒類小売業の経営実態調査結果(各年度版) より作成。
食料品スーパー
にシェア増加をもたらしたといえる。
キリンビール実績
表
は、キリンビールにおけるビールおよび発泡酒の販売チャネル別構成比の推移を
みたものである。これによると、 スーパーマーケット
年には
%へと、
%から
年には
シェアが
のシェアは
ポイント増加した反面、 一般酒販店
%へと、
スーパーマーケット
年の
%から
のシェアは
年の
ポイント減少している。すなわち、 一般酒販店
の
にシフトした形になっている。 コンビニエンスストア
のシェアは、ほぼ横ばいであり、先の商業統計表や国税庁調査と符合する結果となってい
る。 ディスカウントストア
および
業務用酒販店
のシェアも、ほぼ横ばいで推移して
いる。
規制緩和による小売業態の盛衰
小規模酒販店
年
月から開始された酒類小売業免許の規制緩和による酒類取扱店舗の増加、
年
月からの総合スーパーによる価格引下げなどの価格競争の激化により、小規模酒販店の
シェアは大幅に減少した。小規模酒販店のシェアの推移をみると、経済産業省
商業統計
大阪商業大学論集
表
第
巻 第
号(通号
号)
ビールおよび発泡酒の業態別シェアの推移
(単位 %)
スー パー マー コンビニエンス ディスカウント
ケット
ストア
一般酒販店
ストア
業務用酒販店
年
年
年
年
年
年
年
年
資料 キリンホールディングス
表
。
においては、 酒類専門店 (酒類販売額の割合
規制緩和前の
年の
%以上の食料品専門店)のシェアは、
%から原則自由化された
年には
に、 酒類を販売する小規模食料品店 (酒類販売額の割合
%まで減少した。同様
%未満、食料品の割合
上、かつ対面販売を主とする食料品中心店)のシェアも、規制緩和前の
原則自由化された
年には
業の経営実態調査
%と圧倒的であったが、
表
年の
%から
参照)
。国税庁
酒類小売
のシェアは、規制緩和前の
年度は
%まで減少している(表
においても、 一般小売店
年度には
%まで減少している(表
規制緩和前の
年には
で減少している。そのほとんどは売場面積
千店から
年には
ると、 一般小売店
は
年調査でも
上) と比較して
千店から
%まで減
年には
千店ま
未満の小規模店の減少によるもので、
によって缶ビール
本の価格を小売業態別に比較す
年調査では輸入ビールを除いて他の業態との価格差はほとんど
参照)
。しかし、
も安い 量販専門店(
年の
年には
千店となっている。
さらに、総務省 全国物価統計調査
なかった(表
未満の小規模店のシェアは
%を占めていたが、原則自由化された
少している。酒類小売業は、事業所数においても
る。
参照)
。
は、 酒類小売業(商品分類において酒類販売額が最も多いもの) の売場面積規
模別年間販売額シェアの推移をみたものである。売場面積
年の
%以
年調査では
以上) と比較して
一般小売店(
一般小売店(
円、
年調査でも
未満) は最も安い
円高くなっている(表
未満) は最
円高くなってい
量販専門店(
以
参照)
。
小規模酒販店の店舗数が減少し、またシェアも急速に減少するなかで、存続している店舗
も酒類以外の商品の販売を増加させ、兼業化がすすんでいる。表
は、 一般酒販店
の 企業平均の総売上高および酒類売上高の推移をみたものである。これによると、総売上
高はほぼ横ばいであるが、酒類売上高は
年度の
万円から
と半分以下となり、総売上高に占める酒類売上高の割合も
は
%まで減少している。
年度の
年度には
%から
万円へ
年度に
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
表
酒類小売業の売場面積規模別シェアの推移
(単位 %)
年
年
年
年
年
年
年
年
未満
以上
未満
以上
未満
以上
未満
以上(売場面積不詳を含む)
(注)
以上
未満 は、
資料
未満
は、
年までは
年までは
以上
以上
未満 、同様に
以上
未満 。
経済産業省(通商産業省) 商業統計表(産業編)
(各年版) より作成。
表
一般酒販店の 企業平均の総売上高および酒類売上高の推移
年度
年度
年度
年度
年間総売上高(万円)
うち酒類売上高(万円)
総売上高に占める酒類売上高割合(%)
資料 国税庁 酒類小売業者の経営実態調査結果(各年度版) より作成。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアのシェアの推移をみると、経済産業省
時系列比較が可能な
年の
%から
%と微増にとどまっている(表
おいても、
年度
といってもよい(表
年
%、
年度
年には
においては、
%に増加したものの、
年には
参照)
。国税庁
酒類小売業の経営実態調査
%、
%と、ほとんど増加していない
年度
参照)
。キリンビール実績でも、
%と、ほぼ横ばいである(表
商業統計表
年
%、
年
に
%、
参照)
。
セブンイレブンをはじめとして初期のフランチャイズチェーン店は、酒類小売業免許を
もっている酒販店からの転換
)
が多かったが、次第に酒販店以外からの転換、あるいは新
たな開店が増加する一方で、酒類小売業免許の取得が難しかったため、酒類を取り扱ってい
ない店舗が増加していった。コンビニエンスストアにとって、酒類小売業免許を取得するこ
とは極めて大きな課題であったといってもよい。
いるコンビニエンスストアは
約
万円で、年間売上高の
年において、酒類小売業免許をもって
%にとどまっていたが、酒有り店 店あたりの酒売上高は
%を酒が占めていた )。規制緩和後は、コンビニエンス
ストアにおける酒有り店の割合は年々増加し、現在ではほとんどの店舗が酒類を販売するよ
)セブンイレブンの
タイプ加盟店 (土地・建物を所有するオーナー)の加盟前業種において酒類小
売店が占める割合は、
年度
%、
年度
%、
年度
%となっている(セブン イレブ
ン・ジャパン編 セブン イレブン・ジャパン
年、 ページ)。
) コンビニ 第 巻第 号、
年 月、 、
ページ。
大阪商業大学論集
第
巻 第
号(通号
号)
)
うになっている 。
しかし、後述する
食料品スーパー
による酒類販売の一般化、 食料品スーパー
時間営業による便宜性の向上、さらには コンビニエンスストア
酒類小売規制緩和の効果は コンビニエンスストア
国物価統計調査
によって缶ビール
は、 コンビニエンスストア
円)、最も安い
以上) の
が
の
円と比較すると
円と、 一般小売店(
円安かったものの、最も安い
円高い。
量販専門店(
年調査では、 コンビニエンスストア
円よりも
に及んでいないといえる。総務省
円と最も高く( 一般小売店(
量販専門店(
では、 コンビニエンスストア
の価格の高さもあって、
本の価格を小売業態別に比較すると、
が
円安かったものの、最も安い
すると 円高くなっている(表
の長
年調査で
未満) は
円高い。
未満) の
以上) の
が
全
年調査
円よりも
円と比較すると
円と一般小売店(
量販専門店(
未満)
以上) の
円と比較
参照)。
食料品スーパー
食料品スーパーのシェアの推移をみると、経済産業省
比較が可能な
年の
%から
年には
加させている(表
参照)
。国税庁
度
%、
%、
年度
キリンビール実績でも、
(表
年
年度
%、
商業統計表
年には
においては、時系列
%と着実にシェアを増
酒類小売業の経営実態調査
%と、
%、
年
においても、
年間に倍増している(表
%、
年
参照)。
%と大きく増加している
参照)
。
総務省
全国物価統計調査
食料品スーパー
は
によって缶ビール
量販専門店
本の価格を小売業態別に比較すると、
よりも高いが、 コンビニエンスストア
売店 よりも、かなり低価格での販売をおこなっている(表
食料品スーパー
積
や
一般小
参照)
。
においては、食料品のワンストップショッピングという点で、酒類の
取り扱いは重要な課題であったことは間違いない。 総合スーパー
は
年
月に店舗面
以上の大規模小売店舗に特例免許が与えられることになったものの、 食料品
スーパー は免許の取得が難しく、その取得率は
しかし、規制緩和がすすんだ
に、
年
年
年には
年において
%にとどまっていた。
%が免許を取得するようになっている )。さら
月末の大店法廃止により、営業時間や休日日数に関する規制が撤廃されたこと
を受けて、長時間営業や終日営業をおこなう
このような
食料品スーパー
食料品スーパー
も増加した )。
による酒類販売の一般化、 食料品スーパー
業による便宜性の向上、さらに 食料品スーパー
の長時間営
の価格の安さがあいまって、酒類小売規
)
年 月末現在で酒類を取り扱っている店舗の割合は、セブンイレブン
%、ローソン
%、
%( コンビニ 第 巻第 号、
年 月、
、
、
ページ)にとどまって
ファミリーマート
年 月末現在で酒類を取り扱っている店舗の割合は、セブンイレブン
%、ローソ
いた。同様に、
ン
%、ファミリーマート
%( コンビニ 第 巻第 号、
年 月、
ページ)であっ
年 月末
た。その後、酒類小売業免許の規制緩和により酒類を取り扱っている店舗が急速に増加し、
%、ローソン
%、ファミリーマート
%( コンビニ 第 巻第
現在ではセブンイレブン
号、
年 月、 ページ)と、ほとんどの店舗が酒類を取り扱うようになっている。
)経済産業省 商業統計表(産業編) による。ここでは、産業編における 各種食料品小売業 を 食
飲食料品小売業 に格付けされた事業所のうち、小分
料品スーパー とみた。その定義は、中分類
までのうち つ以上の小分類に該当する商品を小売し、そのいずれもが 飲食料品小売販
類
売額 の %に満たない事業所となっている。
酒類小売規制の緩和による酒類小売市場の変化(南方)
制の緩和は
食料品スーパー
のシェア増加をもたらしたといえる。
酒類量販店(酒ディスカウンター)
酒ディスカウンター
という表現は、価格競争が一般的になった現在では適当ではな
く、むしろ 酒類量販店
と呼称するほうが妥当かもしれない。酒類量販店のシェアは十分
な資料はないが、国税庁 酒類小売業の経営実態調査
ている(表
参照)
。キリンビール実績でも、
%と、横ばいないしは微減傾向にある(表
総務省
全国物価統計調査
年
によると、
年
年度に
%、
年
%となっ
%、
年
参照)
。
によると、 量販専門店(
年および
年
以上、
以上) の缶ビール 本の価格は各業態のなかで最安値であり、 スーパー
(同) と比較しても、
年で
円、
年は
円、
年は
円安くなっている(表
参照)
。
酒類量販店は、急速な円高を背景とした洋酒の並行輸入による低価格販売、
年
ビールメーカーによる希望小売価格は参考価格である旨の表明などの要因により、
の後半から
に サリ 、
)
年代の前半にかけて急成長した 。そして、大手酒類量販店では
年
月に
やまや
月の
年代
年
月
カウボーイ 、
年
月に
が相次いで店頭公開を果
このような酒類量販店の成長のなかで、
年
月には、その新規出店を抑制することに
たした。
なる 酒類販売業免許等取扱要領
が実施されることになった。その後、
年
月には総
合スーパーも低価格販売に参入し、酒類量販店の成長にブレーキがかかることになる。この
他、酒類量販店の成長にブレーキがかかった要因として、輸入酒の正規代理店が海外との価
格差を是正したことで並行輸入のメリットが減少したこと、さらに
年をピークに酒類販
売量が横ばいから減少に転じたことで酒類メーカーの販売戦略が量的拡大から利益重視に変
わり、値引きの原資だった応量リベートが減少したことなどがその要因としてあげられる )。
このような状況のなかで、
し、酒類量販店最大手の
年
やまや
月には
も
サリ 、
年
年度の売上高の
月には
前田(楽市) が破綻
億円がピークで、
年度は
)
億円と伸び悩んでいる 。
)
年 月末の大店法廃止により、営業時間や休日日数に関する規制が撤廃されたことを受けて、長時
間営業や終日営業をおこなう 食料品スーパー も増加した。すなわち、
年には 時間以上営業店は
%(終日営業店
%)であったのに対して、
年には 時間以上営業店
%(終日営業店
%)、
年には 時間以上営業店
%(終日営業店
%)となっている。なお、 コンビニエンス
ストア は 時間以上営業している店と定義されているが、終日営業店の割合は
年
%、
年
%、
年
%と増加している(経済産業省 商業統計表(業態別統計編))。
)
年末に
店といわれていた酒類販売
は、
年末には
店に増加し、家庭用市場
の販売チャネルとして大きなウエイトを占めるようになった (キリンビール編 キリンビールの歴史.
新戦後編 キリンビール、
年、 ページ)。
)浅島亮子・大坪稚子・小出康成・藤井一・柳紀久夫・山本猛嗣 日本の 酒 は変わった
週刊ダイ
ヤモンド 第 巻第 号、
年 月 日、 ページ。
)
年度の酒類量販店売上高ランキングは、 位の やまや に続いて、 位 カクヤス
億円、
位 リカーマウンテン
億円、 位 藤桂京伊
億円となっている(日経
編 日経
トレ
ンド情報源(
年版) 日本経済新聞社、
年、
ページ)。
大阪商業大学論集
第
巻 第
号(通号
号)
むすび
本論では、酒類小売業免許の規制緩和が各小売業態の酒類販売にどのような影響を与えた
かについて分析してきた。酒類小売規制の緩和は
年
月から開始され、
緊急調整区域が撤廃、すべての地域で原則自由化された。価格面でも、
類量販店による値引き販売、
年
年
月には
年代後半から酒
月からは総合スーパーによる価格引下げなど、規制緩
和と歩調を合わせるように価格競争も本格化してきた。他方、年間酒類販売数量は
をピークに減少傾向にあり、また成人 人あたり年間酒類販売数量は
年度
年度をピークに減
少傾向にある。すなわち、需要停滞下での規制緩和がすすめられ、競争が激化していったわ
けである。
需要停滞下の規制緩和は、各小売業態の盛衰に大きな影響を与えた。厳しい免許制と希望
小売価格によって保護されてきた 小規模酒販店
は、シェアを大幅に減少させ、また存続
している小規模酒販店も酒類以外の商品の販売を増加させ、兼業化がすすんでいる。 食料
品スーパー は、免許取得により酒類販売を一般化させ、さらに長時間営業による便宜性の
向上や価格の安さがあいまって、シェアが大幅に増加した。他方、 コンビニエンススト
ア
は、価格の高さや、 食料品スーパー
による酒類販売の一般化やその便宜性向上も
あって、規制緩和の効果を享受することができず、シェアはそれほど増加していない。 酒
類量販店 は、
年代前半までは価格の安さを武器に急成長したが、酒類販売の原則自由
化により酒類取扱店舗が増加し、また
食料品スーパー
と比較した価格優位性が失われて
いくなかで、その成長にブレーキがかかっている。
すなわち、酒類小売業免許の規制緩和は、 小規模酒販店
一方で、 食料品スーパー
のシェアを大幅に減少させる
に大きなシェア増加をもたらしたといえる。