受 賞 作 品 集 NPO法人 「日本で最も美しい村」連合 —概 要— ■主 催 NPO法人「日本で最も美しい村」連合 ■協 賛 ・キヤノンマーケティングジャパン株式会社 ・ハクバ写真産業株式会社 ・株式会社HGSTジャパン(G-Technology) ■募集期間 2016年6月21日(火)~2016年8月22日(月) ■応募テーマ 「日本で最も美しい村」の情景 ~生活の営みと景観、文化~ ■応募作品 1,316 点 ■審 査 員 写真家 吉村 和敏 さん グランプリ 題名:馬瀬大花火の夜(馬瀬) Hiroshi Sugiyama さん — 審査員 吉村和敏さんによる講評 — 今回のフォトコンテストの趣旨である「日本の生活の営み、景観と 文化」が見事に表現された作品です。色鮮やかな花火が山里全体を 明るく照らし出し、夜でも村の雰囲気がよく伝わってきます。また、 この花火を鑑賞する村人たちの姿も点景で映し出されており、花火 の眩しさや轟音に歓喜する大人や子供たちの声が聞こえてくるよう です。この村で大切に受け継がれてきた夏祭りの様子を見事に描き 出した優れたドキュメンタリー作品ともいえるでしょう。撮影技術 も優れています。何より構図が素晴らしい。花火を正面に配置し、 眼下に広い空間が生み出すことによって、構図に安定感をもたらせ ています。花火は動きのある難しい被写体ですが、的確な露出と シャッタースピードによって、色や形の美しさを切り取ることに成 功しました。 特 選 題名:花嫁茶宴(和束町) 上西 寛佳 さん — 審査員 吉村和敏さんによる講評 — 延々と茶畑が連なる光景は、日本が世界に誇る絶景です。そこに、 日本的なスタイルで行われている結婚式の様子が点景で映し出され ています。一枚の作品の中には、この地しかない風景の美しさと、 伝統文化が凝縮されているような気がしました。新郎と新婦、親族 の位置関係もよく、撮影者はファインダーを覗きながらシャッター チャンスを狙っていたことがわかります。また、望遠レンズの圧縮 効果によって、奥行き感のある茶畑を一枚の絵画のように見せるテ クニックも卓越しています。空と地に無限の広がりを感じさせる縦 位置の構図も正解でした。 特 選 題名:暮れ行く田園で(原村) 佐川 隆博 さん — 審査員 吉村和敏さんによる講評 — この作品を目にしたとき、まずは色彩の鮮やかさに心が奪われまし た。風景を3分割してとらえた構図も見事です。夕陽が輝く夕空で はなく、田圃の水に映り込む光景をメインにしたことにより、日本 の美しく豊かな田園風景をストレートに伝えることができました。 また、この作品の価値を高めているのは、田圃の中で苗を植える人 です。手を伸ばし、足を広げた瞬間を狙い、シャッターを切ったの でしょう。背景に一台の軽トラックをポツンと入れたことも素晴ら しい。あらゆる面で計算され、生み出されたベストショットだと思 いました。 特 選 題名:里の春(黒松内町) 下村 俊之 さん — 審査員 吉村和敏さんによる講評 — 北国に舞い降りた春を伝える爽やかな作品です。満開の桜の木と手 を結ぶように、民家、サイロ、納屋、ビニールハウスがバランスよ く建ち並んでいます。この山里の生活風景をとらえた作品には、撮 影者の心の優しさがとけ込んでいるような気がしました。煙突から 白い煙が立ち上っているので、暮らしている人の気配も感じます。 仮に、畑で作業をしている人が映り込んでいれば、間違いなくグラ ンプリを狙えたでしょう。 入 選 題名:Samurai(南木曽町) Toshio Nomura 題名:てるてる坊主の町(池田町) Daigaku Hajime さん 題名:神々の逍遥(三島町) 星 賢孝 さん さん 入 選 題名:ヒーヤイ踊り(1) (川根本町) 原 潔 さん 題名:朝霧の丘(美瑛町) 林 祐介 さん 題名:温泉街の夜(南小国町) 姫野 貴文 さん 入 選 題名:棚田の夕暮れ(松崎町) 鈴木 さよこ さん 題名:吉野(吉野町) 高藤 大稔 さん 題名:いつもの情景(高森町) 古閑んタッキー さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:残照の静寂(美瑛町) 斉藤 宏和 さん 題名:大地肥え、心実る(赤井川村) 天野 勝吾 さん 題名:求愛ダンス(鶴居村) 題名:ORIONの帰還は羊蹄の向こうに(京極町) 関根 元治 さん 西沢 政芳 さん 題名:町はずれのちいさな神社(黒松内町) 題名:天使の階段(江部乙) 菅原 正史 さん 川上 靖雄 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:祭(江差町) 題名:風薫る... (田子町) Sawa Sawaizumi さん 成田 和彦 さん 題名:朝焼けの十和田湖(小坂町) 題名:栗駒山荘と剣岳(東成瀬村) 小笠原 孝 さん 佐藤 あいこ さん 題名:ほたる火コンサート(大蔵村) 題名:旅立ち(飯豊町) 中野 好太郎 さん 島貫 一郎 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:きらめき(飯舘村) 題名:楽園(北塩原村) 高槁 みほり さん 畑中 亮輔 さん 題名:始発列車が往くとき(三島町) 題名:本当の空がある(大玉村) 猪狩 守司 さん 金子 茂 さん 題名:サニーレタスの出荷(昭和村) 題名:長い、長い休み(伊参) 角田 侃男 さん Arikawa Yuji さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:天空の花畑(六合) 題名:霧の中の集落(早川町) 関口 京子 さん 岩城 雄 さん 題名:雲海上の観測者(大鹿村) 題名:霧氷初日(木曽町) 向山 真登 さん 古谷 徹 さん 題名:陣馬形山から(中川村) 題名:妻籠宿夜明け前(南木曽町) 松本 亜希子 さん 松本 日出夫 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:街道に建つ(小川村) 題名:陸郷の桜(池田町) 滝沢 康幸 さん Kim Gyonwon さん 題名:春待雪(高山村) 題名:総出のセロリ植付(原村) 八木 千賀子 さん 小口 照人 さん 題名:遠照寺その3 (高遠) 題名:水鏡(馬瀬) 鈴木 清文 さん 平岡 尚樹 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:茶畑と星と月と(東白川村) 題名:スローな時を… (松崎町) 池田 晶子 さん 藤井 昭浩 さん 題名:樹齢300年の時を超えて(川根本町) 題名:海ある日常(伊根町) 木全 雅裕 さん 千葉 真志 さん 題名:廃墟と緑(和束町) 題名:希望の光(小代) 別所 隆弘 さん 山神 山人 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:高原と山に囲まれて(曽爾村) 上杉 裕昭 さん 題名:霧の神社(十津川村) 城田 祥男 さん 題名:電車と花火 吉野まつり2016 (吉野町) 題名:夏のメルヘン(新庄村) 眞鍋 久徳 さん Hirabayashi Chieko さん 題名:清流(上勝町) 題名:雷光のゆめしま(上島町) 川内 秀喜 さん 濱本 一人 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:ダム湖のある風景(馬路村) 題名:天空の郷(本山町) 広末 政光 さん 高石 健一 さん 題名:彼岸花にも星の降る夜。 (星野村) 題名:未来を見つめる(東峰村) 堤 隆博 さん 田中 勝志 さん 題名:漁火と教会(小値賀町) 題名:滝のカーテン(南小国町) 中山 亜紀 さん 小関 晃典 さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:Power_Spot(高森町) 題名:緑に愛された村(球磨村) Umezaki Atsushi さん 岩渕 貴志 さん 題名:Untitled(塚原) 題名:源流の流れ(高原町) 五島 英子 さん 堂元 久志 さん 題名:金色(綾町) 題名:カントリーロード(喜界町) 酢矢藤 沢美 さん Watanabe Shosaku さん 「日本で最も 美しい村」賞 題名:水納島の港(多良間村) 粕谷 誠二 さん —総 評— 皆様から送られてきた作品を目にしたとき、まずは レベルの高さに驚きました。すぐには審査に入るこ とができず、思わず時間を忘れ、個々の作品に見入 ってしまったほどです。この中からどのようにして 受賞作を選んでいけばいいのか随分と悩みましたが、 やはりフォトコンテストの趣旨である「日本の生活 の営み、景観と文化」を強く意識し、選考していく ことに決めました。動物や植物をとらえた優れたネ イチャーフォトも数多く集まりましたが、「村」の 魅力を伝えるには少々物足りなさを感じたのも事実 です。 そしてもう一つ大切にしたことは、撮影者の土地に対する想いの強さです。地 元の人も、そうでない人も、被写体への「愛」は不思議と作品に反映されてい くものです。じっくりと時間を掛けて作品を見つめ、一枚に込められた作者の 心の内をすくい取る努力をしました。 ここに各町村賞を含め約60点あまりの作品が選ばれたわけですが、一枚一枚を 見て改めて感じることは、日本の景観の美しさと多様性です。雪降る北の大地、 深緑に覆われた山里、南国の輝く碧い海、そして各地で大切に受け継がれてき た祭りや行事、工芸などの伝統文化……。これほどまでに様々な要素が詰まっ た国は他に例がなく、今回集まった作品を通して、この国の地方の魅力をもっ ともっと世界中の人々にアピールしていきたい衝動に駆られました。 「日本で最も美しい村」フォトコンテストは、日本の素晴らしさを描き出す極 めて質の高い写真選考会であると断言できます。これからも継続してカメラを 向けてください。来年も皆様からの力作をお待ちしております。 写真家・吉村和敏 「日本で最も美しい村」連合とは NPO法人「日本で最も美しい村」連合は、2005年10 月に設立しました。 失ったら二度と取り戻せない日本の農山漁村の景観や環 境・文化を守り、地域資源を生かしながら美しい村として の自立をめざす運動を展開しています。今、日本各地で 脈々と受け継がれてきた美しいふるさとの風景が消えよう としています。黄金色に輝く秋の棚田や、古民家が連なる 集落の佇まい、五穀豊穣を願う祭りなどは、地域に根付い た暮らしの営みから育まれ、多くの人々の手で大切に守ら れてきました。しかし、過疎化や少子高齢化が進む中で、 人々が故郷から離れ、地域と人との関わりが希薄になると、 田畑は荒れた山野となり、祭りの継続や集落の維持そのも のが困難にもなりかねません。どんなに素晴らしい地域資 源があっても、そこに暮らす人々がいて、その価値を認め て応援し支え合う人々がいなければ、守り続けることは難 しいのです。美しい地域資源を持つそれぞれの町や村が自 らのふるさとに誇りを持ち、切磋琢磨しながら自立した地 域づくりに取り組むことは、日本の原風景を守ることにも つながります。 自然と人間の営みが長い年月をかけて作り上げた本当の 美しい日本を未来に残したい、小さくてもオンリーワンの 輝きを持つ日本の村を —— それが「日本で最も美しい村」連合の基本理念です。
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