Title 成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究

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成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究 : 生活習
慣病と精神科疾患から見る年齢群別特徴と加齢の影響に
ついて( fulltext )
光村, まり; 菅野, 敦
東京学芸大学紀要. 総合教育科学系, 60: 515-522
2009/2/27
URL
http://hdl.handle.net/2309/95661
Publisher
東京学芸大学紀要出版委員会
Rights
東京学芸大学紀要 総合教育科学系 60: 515 - 522,2009.
成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究
── 生活習慣病と精神科疾患から見る年齢群別特徴と加齢の影響について ──
光 村 ま り*・菅 野 敦**
教育実践研究支援センター
(2008 年 9 月 26 日受理)
1.問題と目的
以上のことから成人期知的障害者の健康・生活支援を
進める上でも,就業生活を支援するためにも,心身の状
現在,高齢化の急速な進展や生活スタイルの変化を背
態がどのようなライフコースをたどるのかを把握するこ
景に,疾病全体に占めるがんや生活習慣病の割合の増加
とが重要である。
が問題となっている。これらは一般成人において調査・
本研究では知的障害養護学校卒業生を対象として調
研究されたものであり,知的障害者の健康状態の把握を
査し,成人期知的障害者の健康状態について大まかな実
目的に公的になされた詳細な調査はない。内野(2007)
態の把握を試みた。分析では①近年の患者数の増加や,
によると「
(重症心身障害者を除いて)知的障害者の健
死亡につながる疾病との関連が強調されている生活習慣
康,特徴的な疾病構造,寿命などについては1990年代
病について着目し,回答者内の有病者数や加齢に伴う有
までほとんど注目されてこなかった」という状況にあり,
病者数の変化を把握する。そして,②健康な状態とは心
知的障害者の健康状況の把握は近年になって取り組まれ
身の状態が良好であることを指すことから,精神科疾患
てきたと言える。
についても取り上げ,同様に分析・把握をおこなう。
冨田ら(2004)がおこなった鳥取県内における高校卒
これらの分析を通して,成人期知的障害者の健康問題
業後の知的障害者を対象とした調査では,加齢とともに
に関する年齢群別特徴と加齢の影響についてどのような
内科の受診が多くなっていることや,消化器系症状,生
傾向があるか明らかにし,成人期の健康面での配慮や,
活習慣病,白内障など加齢に伴う症状が確認されたとし
生涯発達支援の視点に立った支援を考える上での知見を
ている。また,城田(2008)は青年期・成人期自閉症の
得ることを目指した。
医療機関利用と主訴についての調査から,加齢に伴い
健康問題が増加する様子と30 代後半で特に問題が多く
2.方法
なっていたことを報告している。このように健康問題の
発症については,加齢という条件が大きな要因となって
2.1 調査対象
いることがわかる。
関東地区の知的障害 A 養護学校高等部卒業生538名を
しかし,成人期全般にわたっての健康問題の出現状況
対象として調査票を配布または郵送し,回答を求めた。
や,ライフステージごとの特徴について,検討している
このうち回答が得られたのは194名(回収率36.0%)で
研究は,ごくわずかである。菅野(2006)は「健康で豊
あった。回答者の内わけは男性102名(52.8%)
,女性
かな成人期をおくるためにはどのような支援が必要であ
91名(47.1%)で全体の平均年齢は40.6歳(SD13.0)で
るのか,これまで組織的,体系的な取り組みがほとんど
あった。
なされていないのが現状である」として,成人期知的障
害の実態把握について不十分さを指摘している。
* 東京学芸大学大学院教育学研究科特別支援教育専攻
** 東京学芸大学(184-8501 小金井市貫井北町 4-1-1)
− 515 −
東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 60 集(2009)
2.2 調査期間
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2007年 6 月∼ 8 月。
2.3 調査内容
調査票 A(本人のプロフィール)
,調査票B(職歴,生
活状況,健康状態,精神的・行動上の問題,相談したい
事柄など 6 領域からなる質問項目)を作成し,郵送によ
図 2 診断されている疾患症状の有無
る質問紙調査を行った。
表 1 疾患・症状の有無別平均年齢・男女比
2.4 分析の手続き
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本研究では調査票の健康状態に関する領域より「診断
されている病気・症状の有無」
「該当する疾患名・症状」
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について分析した。
「該当する疾患名・症状」について
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は,診療科ごとに主な病名・症状の選択肢を提示し,回
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答を得た。
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2.5 分析対象
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3.1.2 診断されている疾患・症状有り者の年齢
回答者のうち,年齢が定かな192名を対象に,20歳未満
群別人数・割合
群とそれ以降を 5 歳刻みの 6 群,さらに50歳代,60歳以
有病者131名について年齢が明らかな129名を対象に
上群の計 9 群に分類した。各年齢群の人数を図 1 に表す。
全 9 群の年齢階級による分類をおこなった。この年齢階
ੱᢙ
級に基づき,疾患・症状有り者の各群内に占める割合
㪊㪇
(有病者率)を算出したところ,図 3 のとおりであった。
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有病者率は,20歳未満では40%と最も低くなっており,
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疾患・症状がある者の方が少なかった。しかし,それ以
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外の群では60%以上になっており,健康問題を抱えてい
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る者の方が多くなっていた。
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有病者率が高かった上位 5 群は40-44 歳群(83%)
,
35-39歳群(78%)
,20-24 歳群(67%)
,50歳代群(66%)
,
図 1 年齢群別の人数(合計192 名)
60歳以上群(65%)であった。また,特に目立って高
かったのは30 代後半から40 代前半で,約 8 割の者が疾
患症状があるという結果であった。このことから,成人
3.結果
後期となる50 代以降の他にも,40歳前後と若年層であ
3.1 健康問題に関する回答の概要
る20歳前半でも健康問題のある者が多くなっていること
3.1.1 診断されている症状の有無
がわかった。
診断されている疾患・症状の有無についての結果を図
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2 及び表 1 に示す。
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「診断されている疾患・症状がある」と回答した有病
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者は68%(131名)で,無病者の25%(49名)を大きく
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上回っていた。平均年齢については,有病者が 40.8歳で
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回答者全体の平均年齢 40.6歳とほぼ同じであった。無病
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に大きな差はなかった。
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者は38.3歳で,やや低くなっていたが,両者の平均年齢
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有病者の男女比については,男49%:女51%であっ
図 3 疾患・症状有り者の年齢群別人数・割合
た。回答者全体の男女比が男性 52.8%:女性 47.1%で
あったことから,若干ではあるが女性有病者の割合が多
3.1.3 一人当たりの疾患・症状回答数
かった。
「該当する疾患名・症状」について,選択肢とその他
− 516 −
光村・菅野 : 成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究
に記入されたものを合わせると,計 275件の回答があっ
③眼科疾患:計 33件
近視 ⑻,白内障 ⑺,アレルギー ⑷,遠視 ⑵,緑内障 ⑵,
その他 ⑽
④精神科疾患:計 28 件
うつ病/ 抑うつ反応を含む気分障害 ⒃,統合失調症 ⑷,
その他 ⑻
⑤耳鼻科疾患:計 26 件
アレルギー性鼻炎 ⒄,副鼻腔炎 ⑶,その他 ⑹
⑥内分泌・代謝疾患:計 25件
糖尿病 ⑽,高脂血症 ⑼,甲状腺機能低下症 ⑷,高尿酸
血症 ⑴,甲状腺機能亢進症 ⑴
⑦皮膚科疾患:計 20 件
アトピー性皮膚炎 ⒂,湿疹 ⑷,その他 ⑴
⑧循環器疾患:計19 件
高血圧 ⑽,低血圧 ⑵,動脈硬化症 ⑴,その他 ⑹
⑨運動器疾患:計17 件
痛風 ⑻,腰痛 ⑶,膝痛 ⑶,骨粗鬆症 ⑵,その他 ⑴
※( )内は件数で下線は10名以上の有病者がいたもの。
た。回答された疾患・症状の重複数についてまとめたも
のが表 2 である。
疾患・症状有り者のうち,一つだけ回答した者が 44%
(58名)で最も多く,回答数が増えるほど人数が減る傾
向であるが,6 つの疾患を回答した者はやや増加してい
た。最も多い疾患の回答数は 9 件( 1 名,25歳女性)で
あった。疾患・症状の重複について,一人当たりの平均
回答数は2.1件であった。
表 2 疾患・症状の回答数ごとの人数・割合
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3.1.4 診療科ごとの件数と内わけ
診療科ごとに回答された疾患・症状の合計件数を図 4
3.2 生活習慣病に着目した分析
に表す。件数の多かった上位 9 つについての疾患内容の
生活習慣病の定義を「生活習慣に着目した疾病対策の
詳細と件数は表 3 のとおりである。
基本的方向性について(意見具申)
」
(厚生省,1996)に
診療科ごとの件数については,
「その他・分類不明」
基づき,
「食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒等の生
が 44 件で最も多かった。これは,この項目に全ての疾
活習慣が,その発症・進行に関与する疾患群」と位置
患・症状の中で一番回答が多かった「てんかん」
(30 件)
づけた。そして同報告の中で例示された「生活習慣と疾
が含まれるためである。続いて件数の多かった診療科項
病との関連が明らかになっているもの」より,
「糖尿病」
目は,歯科(35件)> 眼科(33件)> 精神科(28 件)
> 耳鼻科(24 件)> 皮膚科(20 件)の順であった。
「高血圧症」
「高脂血症」
「高尿酸血症」
「歯周病」の 5 つ
と,これらの疾患とともに生活習慣の影響が指摘される
疾患・症状の詳細についてみると,10 件以上回答さ
「動脈硬化症」
「痛風」を加え,生活習慣病とした。高尿
れたものは「てんかん」を含めて8 項目であった。すな
酸血症は痛風の原因となり連続性があるため,この 2 つ
わち,
「虫歯」
「アレルギー性鼻炎」
(17 件)>「うつ病/
を 1 項目として計 6 項目で分析をおこなった。
抑うつ反応を含む気分障害」
(16 件)>「アトピー性皮
なお結果については,
「厚生労働省,平成17年患者調
膚炎」
(15件)>「水虫/たむし等」
「糖尿病」
「高血圧」
査 総患者数(傷病別推計)
」に示された資料を一般群の
実態とし,MR 群との比較をおこなった。
(10 件)であった。
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図 4 診療科ごとの回答件数
3.2.1 生活習慣病有病者の年齢群別内わけ
生活習慣病の内わけについて各疾患の有病者数を年齢
群ごとに算出したところ図 5 のとおりであった。これと
同様に一般群の状況について表したものが図 6 である。
内わけについてみると,MR 群では動脈硬化症を除く
5 項目でそれぞれの有病者が 9 ∼ 10名であり,各項目が
ほぼ同数という結果になっていた。しかし一般群では高
血圧>歯周病>高脂血症>糖尿病の順に有病者が多く,
この4 項目が全数のほとんどを占めていた。また,とく
表 3 上位 9 診療科項目の疾患内容の詳細・件数
①その他・分類不詳:計 44 件
てんかん ,水虫/たむし等 ⑽,円形脱毛症 ⑴,その他
⑶
②歯科疾患:計 35件
虫歯 ⒄,歯周病 ⑼,歯石 ⑶,入れ歯 ⑴,その他 ⑸
に高血圧の多さが目立った。このことから比較において,
MR 群では糖尿病,痛風・高尿酸血症の有病者が多く
なっている様子がうかがえる。
− 517 −
東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 60 集(2009)
全体としては,全ての年齢階級において一般群より
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もMR 群の方が有病者の割合が高かった。特に,MR 群
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では20-24 歳群(33%)<35-39歳群(35%)<50歳代群
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一般群の特徴として加齢に伴い有病者率が増加してい
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たが,35-39歳群と50歳群については,前群からの増加
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傾向が特に大きくなっていることが確認でき,MR 群と
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(37%)<60歳以上群(39%)で,目立って割合が高くなっ
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の関連がうかがえた。20-24 歳群の割合の高さはMR 群
のみにみられた。
図 5 MR:生活習慣病者の年齢群別内わけ
3.3 精神科疾患に着目した分析
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精神科疾患については,質問紙の「精神科疾患」の項
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つ病・抑うつ反応)
」
「その他」の 3 項目について分析を
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目に選択肢として設定した「統合失調症」
「気分障害(う
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おこなった。
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一般に関しては全数を把握する公的な統計資料が得ら
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れないため,
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数」をもとに,調査日当日に外来と入院として受療した
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図 6 一般:生活習慣病総患者の年齢群別内わけ
(厚生労働省「平成17 年患者調査 傷病別推計」より)
患者の推計数を用いてMR 群との比較をおこなった。疾
患の項目については同資料に示された「精神分裂病,分
裂病型障害及び妄想性障害」を「統合失調症等」
,
「気
3.2.2 生活習慣病有病者の年齢群別人数と回答
者内の割合
分[感情]障害(躁うつ病を含む)
」を「気分障害(う
つ病・抑うつ反応)
」として用いた。
生活習慣病の年齢群別有病者数をもとに,有病者が各
年齢群内に占める割合を算出した(図 7 )
。一般群につ
3.3.1 精神科疾患有病者の年齢群別内わけ
いては,年齢階級ごとに有病者が総人口内に占める割合
精神科疾患の内わけについて各疾患の有病者数を年
を算出したところ,図 8 のとおりであった。
齢群ごとに算出したところ図 9 のとおりであった。これ
と同様に一般群の推計患者数について表したものが図10
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MR 群では20歳未満に有病者がおらず,それ以外の群
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では加齢にともない増減があった。有病者の合計数は50
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歳代と40-44 群が同数で最も多く,その間の45-49歳群
は1名とかなり少なくなっており,年齢によってまばらで
あった。この点について一般群では,50-54 歳群をピー
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クに加齢とともに増加し続け,その後は減少していた。
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である。
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図 7 MR:生活習慣病有病者の年齢群別人数・割合
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図8
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齢群でも半数以上を占める項目となっていた。しかし,
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一般群では「統合失調症等」がどの年齢でも多くを占め
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ており,違いがみられた。
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分障害」が16 件で最も多く,
「その他」を除くとどの年
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疾患の内容については,MR 群では「うつ病を含む気
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3.3.2 精神科疾患有病者の年齢群別人数と回答
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者内の割合
MR 群の有病者率は20歳未満( 0 %)と45-49歳群
一般:生活習慣病有病者の人数・総人口内での割合
( 4 %)が少なく,その他では各年齢群に約1 ∼ 3割ほ
− 518 −
光村・菅野 : 成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究
4.結果のまとめと考察
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4.1 生活習慣病有病者と精神科疾患有病者の加齢
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に伴う割合の変化
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前述の結果より得られた,生活習慣病と精神科疾患の
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年齢群別有病者率について,並列して表したものが図13
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である。
加齢に伴う有病者率の推移について,生活習慣病有病
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者と精神科疾患有病者の増加・減少の傾向が大まかに重
図 9 MR:精神科疾患有病者数の年齢群別内わけ
なっており,心身の不調な状態を含めた健康問題の起こ
りやすい年代があることが示唆された。
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どの有病者がいることがわかった。加齢に伴う有病者率
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図10 一般:精神科疾患推計患者数の年齢群別内わけ
(厚生労働省「平成17 年患者調査 傷病別推計」より)
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図13 回答者内における生活習慣病有病者と精神科疾患
有病者の割合
の推移についてみると,40-44 歳(33%)をピークに上
昇する傾向が現れ,その後は増減があった。一般では
4.2 有病者の割合の高い年代についての考察
50-54 歳群まで増加し続け,その後は増減があり,ピー
健康問題について割合の高さが顕著に現れていた年齢
クはMR 群の方が10歳早く現れていたが,共通性のある
群として,① 30 代後半∼ 40 代前半にかけてと,② 50歳
様相が確認できた。
以降があった。また,生活習慣病において③ 20歳未満
で 2 割,20 代前半で 3 割と高い割合で有病者がいること
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① 30 代後半∼ 40 代前半については健常者と同様に,
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加齢という生理的な変化として身体面に健康問題が顕在
化しやすい年代であると考えられる。また本人を取りま
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く環境では,親の高齢化による介護の限界やそれに伴い
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生活スタイルが変化する時期である。これらをきっかけ
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に,本人の生活習慣や場の変化,そして精神的な不安が
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が明らかになった。
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図11 MR:精神科疾患有病者の年齢群別人数・回答者
内の割合
起こり,結果として健康面に影響があらわれたのではな
いかと推測される。以上のことから知的障害者にとって
40歳前後という時期が心身機能の変化や衰えが顕著に
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生じる節目であり,さらに生活環境などの変化が重なる
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ことによって,健康問題発症のリスクを高めていると言
えるだろう。
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② 50歳以降については,生活習慣病と精神科疾患の
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両方において,40 代後半から50歳にかけて約20%の大
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幅な割合の増加が見られた。そして続く60歳以上でも高
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い割合であった。50歳前後という年齢ではホルモン分泌
図12 一般:精神科疾患推計患者数・総人口内での割合
の変化などによって,心身に大きな影響を与えることが
− 519 −
東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 60 集(2009)
知られている。健常者でも生物学的に身体機能や運動機
卒業後も生活リズムや食・運動習慣に引き続き配慮した
能の老化が起こり始める時期であり,知的障害者におい
生活をすることが重要である。それと同時に,所属先が
ては,その傾向が顕著に現れている様子が確認できた。
変わっても途切れることなく定期的な検診を受けられる
また,50歳以降の二群が続けて高い割合であったことか
ようにすることは,早期に病気や症状を発見できるだけ
らも,老化による衰えにより健康問題が高い頻度で出現
ではなく日頃から健康問題を意識するきっかけとなり,
する年代であると考えられる。
生活習慣病の予防にも一層効果が期待できる。また,学
③ 20歳未満∼ 20 代前半については,若年層であるに
校教育においては健康の自己管理を身につける実践がな
もかかわらず生活習慣病の有病者が多くいることがわ
されるべきであり,卒業後も定期的な検診を受けるため
かった。このことから,新たな所属先へと移行し,生活
のシステムを位置づけることと合わせて,健康問題の予
環境が大きく変わる学校卒業後においては,健康的な生
防に向けた対策への取り組みが望まれる。
活習慣が引き継がれるように特に配慮する必要がある。
また若年層での健康問題を予防するためにも,日頃の配
6.参考文献
慮とともに卒業後の所属先にかかわらず定期的に検診を
受けるなど,予防の視点での対策が求められる。
1 ) 内野義紀(2008)
:成人期知的障害者における健康支援上の
課題に関する研究 ― 通所施設における家庭との連携および,
5.まとめと今後の課題
自己管理に向けた検討 ―.東京学芸大学大学院修士論文.
2 ) 大野良之・柳川洋(2005)
:改定 4 版 生活習慣病予防マニュ
調査の結果 1 では,診断されている疾患・症状がある
者が回答者全体の約 7 割にのぼっていた。これに加えて
アル.南海堂.
3 ) 菅野敦(2006)
:知的障害の成人理解と生涯発達支援.発達
まだ診断はされていないが心身の不調がある者がいるこ
とを想定すると,実際にはさらに多くの者が健康問題を
障害研究,28(3)
,183-192.
4 ) 厚生省(1996)
:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向
抱えていることが推測される。結果 2 及び 3 では,回答
性について(意見具申)
.
された疾患・症状について生活習慣病と精神科疾患に
5 ) 厚生労働省(2005)
:平成17年患者調査の概況.
着目し,年齢群別特徴と加齢の影響について分析をおこ
6 ) 就労支援担当者(ジョブ・コーチ)に関する調査研究委員会
なった。そこから40歳前後と50歳以降が両疾患群で共
(2003)
:知的障害者就労支援マニュアルQ&A.社団法人日
通して有病者の割合が高くなる年代であることが明らか
になった。また,生活習慣病については,一般群との比
本知的障害福祉連盟.
7 ) 城田和晃・菅野敦(2008)
:青年期・成年期における自閉症
較においてMR 群の方が全体的に有病者の割合が高く,
者の実態に関する研究 ― 医療機関利用者の主訴から ―.東
特に若年層である20歳未満と20 代前半でも高い割合で
京学芸大学紀要総合教育科学系 第59集,481-487.
あった。これらの健康問題が目立って多かったライフス
8 ) 冨田豊・福田佐知子・加藤洋介(2004)
:鳥取県西部の知的
テージについては,加齢による心身機能の低下,老化の
障害者施設における健康と医療の実態調査.知的障害のあ
衰え,環境の変化に伴う負担などに配慮して支援をおこ
る人への適正な医療の提供に関する研究報告書,平成15年
なうとともに,長期的な視点に立った健康問題予防策を
度厚生労働科学研究.
講じることが求められる。
9 ) 三宅貴夫(2006)
:高齢者の医学常識.日総研.
心身の健康を維持し,問題を予防するためには,学校
− 520 −
光村・菅野 : 成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究
成人期知的障害者の健康問題に関する調査研究
── 生活習慣病と精神科疾患から見る年齢群別特徴と加齢の影響について ──
Research about the Issue of Health in Adults with Mental Retardation:
── Feature according to age group and influence of aging through
the lifestyle-related disease and psychiatry disease ──
光 村 ま り*・菅 野 敦**
Mari MITSUMURA, Atsusi KANNO
教育実践研究支援センター
Abstract
In this study, We researched special education gradute to graip about the Issue of Health. About a result analyze lifestyle-related
disease and Psychiatry disease.
The person who had a diagnosed disease was about 70%.
It is ① late 30’s ∼ early 40’s ② after 50 years old, that a ratio was high with both lifestyle-related disease and psychiatry diseases.
In addition, ③ about 20 years old were high for the lifestyle-related disease.
About the life stage that there was much issue of health, the support that considered the fall of the mind and body function by the
aging, a burden with the environmental change is necessary. Life and the periodical examination that considered life rhythm and a
meal and an exercise custom after school graduation are important.
Key words: lifestyle: adult, Intellectual Disability, Issue of Health, Aging, lifelong development support
Center for the Research and Support of Educational Practice, Tokyo Gakugei University, 4-1-1 Nukuikita-machi, Koganei-shi, Tokyo
184-8501, Japan
要旨 : 本研究では知的障害養護学校卒業生を対象とした調査から,成人期知的障害者の健康状態について大まかな
実態を把握し,生活習慣病と精神科疾患に着目した分析をおこなった。
結果の概要については,診断されている疾患・症状がある者が回答者全体の約 7 割にのぼり,多くなっていた。
生活習慣病に着目した分析では,全ての年齢階級において一般群よりも MR 群の方が有病者の割合が高く,糖尿病,
痛風・高尿酸血症の有病者が多くなっている様子が示唆された。
精神科疾患に着目した分析では,MR 群の有病者の割合が 20 歳未満と 40 代後半で少なく,その他では各年齢群に
約 1 ∼ 3 割ほどの有病者がいることがわかった。
生活習慣病と精神科疾患で共通して有病者の割合が高くなっていた年齢は,① 30 代後半∼ 40 代前半,② 50 歳以降
* 東京学芸大学大学院教育学研究科特別支援教育専攻
** 東京学芸大学(184-8501 小金井市貫井北町 4-1-1)
− 521 −
東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 60 集(2009)
であった。また,生活習慣病において③ 20 歳前後での割合の高さが明らかになった。これらの健康問題が目立って
多かったライフステージについては,加齢による心身機能の低下,老化の衰え,環境の変化に伴う負担などを特に考
慮して支援をおこなうとともに,長期的な視点に立った健康問題予防策を講じることが求められる。健康問題の予防
に向けた取り組みとしては,学校卒業後も生活リズムや食・運動習慣に引き続き配慮した生活をすることや,成人期
に所属先が変わっても途切れることなく定期的な検診を受けられるようにすることが望まれる。
キーワード : 成人期,知的障害,健康問題,加齢,生涯発達支援
− 522 −