基調講演 「バリアフリーの政治:書籍のアクセシビリティ 問題を手掛かりに」 障害学会初代会長(現理事) 静岡県立大学国際関係学部国際関係学科教授 石川 准 司会者より それでは、基調講演に移ります。石川准先生です。私は本学文学部で倫理学科の卒業ですが、その大学 院の終わり頃に、駒場から全盲の学生が進学するということで、社会学研究室の前に自習室というのが できました。実はその学生というのが石川先生でした。その当時は 1970 年代後半なので、バリアとか バリアフリーという言葉は私も知らなかったのですが、進学ということを通して、バリアが一歩ずつ崩 され、開かれていくことを実感しました。それ以降も研究会等でお付き合いさせていただいております。 バリアというのは、やはり「当事者」の自立の要求と、周りの権利擁護というものがかみあって一歩一 歩崩されるものだと思います。 石川先生のご専門は自立と権利擁護の障害学がメインなのですが、私が非常に影響を受けた本として、 『配慮の平等:社交とアシストの障害学』という本を医学書院から出されています。この本では自立や権 利擁護の大切さと同時に、人と人との付き合いを通して、またその付き合いの中でアシストを通して、 もう少し生きやすい社会をめざしていくという方向性が示されています。今日の講演では、そういった 話に立ち入る手前の、現実的な話が繰り広げられることになるようです。では、早速マイクを渡します。 石川先生、よろしくお願いします。 基調公演 こんにちは。まず最初に、バリアフリー教育開発研究センター主催の国際シンポジウムに基調講演者と してお招きをいただきまして、ありがとうございます。私は、だれもが自由に情報にアクセスできる、 そういう社会を実現したいとずっと考えてきました。今日はその中でも特に、読みたい本を自由に読め る社会を実現するにはどうしたらいいかということについて、具体的な内容に立ち入ってお話ししたい と思います。 今日の話の主役は、私が手元に持っています、Amazon の「Kindl(e キンドル)」という電子書籍リーダ ーです。見せびらかそうというわけではありません。Amazon.co.jp では買えませんが、Amazon.com で 購入することができます。購入すると、英語の Kindle の本を買って、すぐ読むことができます。私も音 声で読むことができます。(Kindle が読み上げの音を出している。)(英語) こんな感じです。今のはマイケル・サンデルの「Justice」です。日本でもベストセラーになりましたが、 その本の第 1 章、冒頭の部分。どうしてキンドルに音声読み上げ機能が付いているのか、という話しを 中心に、その条件やそれをめぐる、さまざまなことについてお話したいと思います。 私は社会学、あるいは障害学を仕事としてやってきましたが、同時にアクセシビリティ、支援技術開発 を併行して、ほぼ同じだけのエフォートを投入してやってきました。必要に迫られたということもあり ますし、そういう開発が好きであったということもあります。スライドを見ていただきながらお話しし ます。 1.「できるようにする」技術 私はこれまで、今日できないことを明日できるようにしたいという思いでずっとやってきました。 「今日 できないこと」を明日できるようにするにはどうしたらいいか。練習する、勉強する、やり方を工夫す る、道具を使う、道具を作る、環境を変える等々いろいろあります。 私は自分たちの道具は自分たちで作るというふうにしてやってきました。もちろん、自分だけで作れる わけではないので、いろんな人たちの力を借りてやってきましたし、またそういう事をしてきた人たち が、私の世代の視覚障害者には世界にも国内にもたくさんいます。もちろん、視覚障害をもった私たち だけでできるのではなく、様々な研究者、技術者等、障害のない方々の大きな協力や貢献も並行してあ って、支援技術の開発が行われてきました。例えばスクリーンリーダーといいまして、コンピューター の画面表示を音声で読み上げるソフトウェアだとか、携帯端末や、GPS を使った歩行ナビゲーション等 も開発しています。 支援技術というのは常に不完全なものですが、絶対に必要なものです。中でもスクリーンリーダーとい う技術は、最も支援技術的な技術と言えるでしょう。つまり、支援技術の本質的特長をすべてもってい るのがスクリーンリーダーなんです。この点は強調して言っておきたいと思います。 スクリーンリーダーに対する強いこだわりとかを持って、開発をやってきました。Windows や Mac、 Linux、最近では iPhone にもスクリーンリーダーが搭載されています。しかし、スクリーンリーダー開 発はいつも限界にぶつかってきました。それを、つじつま合わせ、トリッキーな方法で何とかしようと したわけですが、それはいつも不完全、不安定なものでした。そういう中で必然的に、ユニバーサルデ ザインの思想に基づいて、メインストリームベンダーの協力を得ることが不可欠だということになって きました。 ところで、日本は支援技術の開発においてもガラパゴス的です。日本にしかないものがあると同時に、 世界にあって日本にないものもたくさんありました。そうした日本の状況について、私は「点字ブロッ ク的支援技術」と呼んでいます。その上を歩けば目的地まで到達できるが、そこを離脱すると、支援が 何もないという支援機器の特性を指して、 「点字ブロック型」と呼んでいます。やや否定的ですが、100% 否定しているわけではありません。いいところも、悪いところもある。安心、安全だが、あまり自由で はないという感じですね。 それで、セカンドベストの方法ですが、自分で作れない場合は、海外の最も先端的な支援技術をローカ ライズするということもやってきています。 ところでアメリカの視覚障害者団体で NFB というのがあるのですが、NFB の人たちに、次に開発して ほしい支援機器は何ですか?と聞いたところ、盲人が運転できる自動車をつくれと言ったそうです。もち ろん半分は夢物語ですが、100%の夢物語ではない。一定の条件さえ合えば可能性がないわけではありま せん。無人運転可能な自動車。音声で幾つかの選択肢を提示し、それに対して判断することで目的地に 運んでくれる自動車ということだと思います。アメリカ社会で暮らせば、車を運転できないといかに不 便かを示していると同時に、とにかくいけるところまでいってみようという感じですね。 2.多用な読書環境 従来の私たちの読書環境は、情報提供施設、つまり点字図書館やボランティアグループなどが、点訳や 音訳、テキストデータなどを制作して提供するという形でした。日本では福祉ベースで進んできたわけ です。こうした点訳などの提供を可能にするために著作権法の中に例外規定、免除規定が設定されてい ます。最近この規定は、視覚障害だけではなく、ディスレクシアを含め視覚的な情報取得に困難がある 人たちへと、少し対象が拡張されました。 今では、サピエというオンラインの電子図書館から音訳図書をダウンロード、ストリーミングして読書 することができるようになっています。既に制作されている本については、とても便利です。小説など を中心にそれなりに充実してきました。 音訳図書は、DAISY(デイジー)という形式で作られています。これは、アクセシブルな電子書籍のグロ ーバルなスタンダードになっています。DAISY コンソーシアムという国際非営利団体が規格を策定し ています。この規格の第 1 の特徴は、構造化に基づくナビゲーションです。構造化というのは見出しな どを適切にマークアップして階層を設定して、次の章や節へジャンプしたり、ページを移動することが 簡単にできます。そういうマークアップをしたドキュメントのことを、構造化ドキュメントといいます。 もう 1 つの特徴として、テキストと画像と音声がシンクロナイズ、同期していることが挙げられていま す。これらによって、いろいろな特性を持った人たちに対して、その人たちのニーズに即した読書の機 会を提供できるような設計になっています。まだ動画対応になっていないのですが、今後動画で手話も 入れられるように考えられています。 日本ではちょっと普及が遅れているのですが、欧米では、音訳図書の他にテキスト DAISY、つまりテキ ストと画像でつくられた電子書籍の形式が普及してきました。人が音訳したデータを入れるのではなく、 英語では Text-to-Speach、日本では音声合成エンジンと呼んでいるソフトに読み上げさせます。現在、 情報提供施設が提供する音訳図書やテキストデータは、皆この DAISY 形式になっています。 それから、かつて私が「ハイテク読書」と呼んでいた方法があります。今は自炊(じすい)と呼ばれるよう になっています。本を電動カッターで切って、スキャンして OCR にかけて、最後は人が校正をかけて、 テキストファイルを作るというアプローチです。一冊あたり、一日から数日かかります。 「自炊」は、今では健常者が iPad などで本を読むときにも行われるようになっていますね。ただその 場合は、実際に読むのは画像で、テキストは検索のために使うだけなので、校正作業は必要ありません。 だから、すぐに透明化テキストのついた PDF ファイルか何かで読むことができるわけで、その点では だいぶ違いますが、スキャナを使って印刷図書を電子図書にするというところは同じです。これを 10 年 ぐらい前からやってきました。ただし、OCR は数式や表の認識については、非常に苦しいということが あって、OCR による読書に適しているのは文字だけの本ということになります。 ユーザインタフェイスによって、読書のスタイルは劇的に変わるものです。ここまでお話ししてきたよ うに読書のために使われる道具にはいろんなものがあります。パソコン+スクリーンリーダーで読み上 げる。携帯端末で読む。DAISY で読む。OCR 読書機で読む、等々です。 今ご覧いただいているのは、携帯端末の画像です。オンハンドというもので、韓国の会社が開発してい るハードウェアを私のところでローカライズしたものです。次のスライドは DAISY プレイヤーです。 カナダの会社が作っているもので「ストリーム」という名前です。 道具というのは、使ってみなければ評価できません。使う前に想像していたことは、使ってみると、大 体裏切られます。いい方向のこともあれば、悪い方向のこともあります。規格の良し悪しは、開発して は使う、使っては開発するというなかでよくわかってきます。 3.障壁のある出版物 WBU(世界盲人連合)という組織があります。ここが WIPO(世界知的所有権機関)に著作権の免除規定を 作って制作された音訳図書や展示図書、テキスト DAISY 図書などを国境を越えて貸借できるようにす る条約の締結を要請しています。現在は、各国でそれぞれ定められている著作権法の免除規定の枠内で 図書が制作されているので、国境を越えて貸し出すことができません。例えば、せっかく充実した英語 の図書がアメリカにあって、その本を他の国の人たちが読みたいと思っても、読むことができない。著 作権の免除規定はあくまで国内法なので、国境を越えては適用されないからです。WBU はこの点を是 正できるように働きかけているわけです。その中で、日本の著作権法が、視覚障害だけではなく出版物 の読みに困難のある人にまで対象を拡張して包含している、という点が評価されています。 「プリント・ディスアビリティ」という言葉があります。これは、印刷物の読みに困難のある人という ことですが、障害学、あるいは社会モデル的に訳すなら「出版物の読書障壁に直面している人々」とい うことになります。こうした考え方に立てば、著作権法の免除というアプローチもまた、再考を迫られ ると思います。つまり、読書権という権利設定をきちんと行った上で著作権と読書権とをどのように折 り合わせていくかという観点から話し合っていく必要があると考えています。 ある範囲のユニバーサルデザインは、ビジネスモデルとして成立する限りにおいて自然に広がっていく 可能性がなくはありません。しかしその範囲には限界があるわけで、それを超えていかなくてはならな い。となると、業界としての自主的な取り組みのほか、法律や規格によるユニバーサルデザインの推進 が社会的に求められます。 例えば、アメリカの例でいうと、ADA(アメリカ障害者法)、リハビリテーション法、その他様々な国際 規格があることによって、Microsoft も Adobe も Apple もなにがしかユニバーサルデザイン的な取り組 みをやってきたわけです。制度的にやらざるを得なかったという面と、CSR 的な面と両方あるだろうと 思います。 ユニバーサルデザイン的なアプローチが導入されているものについては、支援技術との共同作業で、よ りよくアクセシビリティを実現することができます。例えば、同じオフィスアプリケーションでも、Word とか Excel はかなりよく使えます。だけど、パワーポイントとか Outlook とか Access になると、そこ まではそんなにアクセシビリティを考慮しなくてもいいだろうという企業判断が働いて、結果的にアク セシビリティのレベルが低くなっています。アメリカの制度ではユニバーサルデザインを進めないと公 共調達の条件を満たさないということになっていて、そのためメインストリームの企業はユニバーサル デザインに一定程度対応しなければならない、そうした社会的な責任を負うことになっているわけです。 Apple は VoiceOver というスクリーンリーダーを自社開発し、全ての製品に搭載しました。iPhone で も iPad でも Mac でも載っています。初めにご覧にいれた Kindle にしても偶然読み上げ機能を実現し ているということではないわけですね。先ほどお見せしたのは Kindle の 3 代目ですが、kindle が最初 に出たときは、先ほど紹介した NFB という視覚障害者団体が、Amazon の Kindle は ADA 違反という ことで大変強く抗議しました。TTS は最初から搭載されていましたが、オフになっていて、オンにする には追加費用が必要だったとかいろいろ問題があったのです。3 代目の Kindle ではかなり改善されて きてはいますが、アクセシビリティやユーザビリティの点ではまだまだです。それでも、本を買ってす ぐに読めるのは、何と素晴らしいことかと思います。様々なアクター、視覚障害者団体、支援技術ベン ダー、IT 機器の標準化団体等、様々なアクターの相互作用によって、そうした望ましい状況が実現しつ つあります。 アクセシビリティの実現をめざす上で、2 つのモデルを考えておく必要があります。 一つは垂直統合モデル。これは、簡単に言えば「囲い込みビジネスモデル」でコンテンツの購入からそ の利用まで、自社の枠組みの中ですべて完結するようにユーザーを囲いこむという考え方です。アップ ルは典型的です。Kin-dle も基本的にそうです。この場合、制度的条件が規定されていれば、企業はその 条件に基づいてアクセシビリティやバリアフリーを一定程度行わなければいけませんが、そのレベルは 最終的に企業判断にゆだねられる、依存することになります。リスク管理の観点、CSR の観点、マーケ ットとしてのユニバーサルデザインに対する見通し等々を考慮して判断がなされます。 垂直統合モデルを成り立たせていくものに DRM、DigitalRightsManage-men(t 著作権保護)があります。 プロテクトをかけて、ほかの機器では読めないようにする仕組みです。これがかけられていると、例え ば Kindle ストアで購入した Kindle ブックスを、点字ユーザーの操作性がよくなるように支援機器で読 めるようにしたくても、それはできない。DRM には 2 つの機能があります。1 つはコピープロテクト。 もう 1 つは囲い込み。この 2 つの機能は原理的に切り離しうるものです。前者、つまりコピープロテク ト、知的財産権保護については尊重すべきですが囲い込みに関しては、アクセシビリティを阻害しない という条件を満たさない場合は制限すべきではないかと考えます。 次に垂直統合モデルのイメージを書いてみました。その次のページには、これに対して水平分散モデル です。垂直統合と正反対のアプローチで、デバイス依存しない考え方です。それぞれの多様なニーズに 合わせて、いろいろな方法で自分で選んだ道具をつかってコンテンツにアクセスできるような枠組み、 これを水平分散モデルと言います。 EPUB3、これは現在世界標準になりつつある電子書籍フォーマットです。ISO という、電器を除く工業 製品の国際規格をつくっている団体で、やがて標準になると見なされています。この 5 月に EPUB3 が 公開される予定です。 スライドに EPUB3=DAISY4 と書きました。ここが非常に重要です。これが何を意味しているか。今や 世界では、電子出版のグローバルスタンダードを考えるに当たって、最初からアクセシビリティを考慮 することが大前提になっているということです。もともと EPUB というのは、アメリカの IDPF という 出版社等で作る団体が開発してきた規格ですが、そこの代表をしているのは全盲の方で、彼は DAISY コンソーシアムの事務局長です。それほどまでに、メインストリームの電子出版とアクセシビリティは 一緒に仕事をしているということなのです。 日本ではどうなのか、現状まだ不透明です。EPUB 派と独自派があって、フォーマットはどちらでも出 せるようにしようというようなことを議論しています。電子出版は成功してアクセシビリティは実現し ないというのは、個人的には最悪のシナリオだと思っています。ただ、そもそも出版社の側に電子出版 を本気で成功させようとする強い意志が出版社にあるのかどうか、そこからして不透明です。書籍とは こうあるべしという固定観念は依然として強固です。 4.日本における電子書籍の将来 次に、この分野における私自身の当面の仕事についてお話しします。まず、ネットワークにアクセスで きる音声点字携帯端末を開発しているのですが、これを使ってオンラインの電子書籍ストアから本を購 入し、すぐに読めるようにしようとしています。これには電子書籍ストアの協力が不可欠ですし、出版 社の協力も不可欠ですし、先ほどの DRM の問題をなんとかしなくてはいけないというかなり難しい課 題があります。 日本でもボイジャーという会社がすでに一定の実績をあげていて、ドットブックの電子書籍を支援機器 で読めるようにしています。電子書籍で本を書いている人がいますが、まだまだそういう人は例外的な、 貴重な存在です。他にも電子書籍のアクセシビリティに取り組もうとしているところもないわけではな いですが、全体としては結果が出てから評価したいというような姿勢です。 情報アクセシビリティに関わる政策提言については、特別支援教育やインクルーシブ教育のありかたに 関わる検討の場などで、合理的配慮という観点から、アクセシブルな教科書に対する提言をしたいと考 えています。 最後に、自分ではできないけれども、期待したいことを述べます。まず、Kindle 日本語版が日本語 TTS を搭載して登場することを期待したい。Kindle はいつ来るんだ、黒船はやってくるのか来ないのか、と いうことなんですが、日本語 TTS を搭載してやってこないと意味がありません。ただ、それはなかなか 難しいだろうと思います。もしかすると、Kindle 日本版は出るかもしれないが TTS は載ってこないだ ろうという、悲観的な予測をしています。 アクセシビリティを阻害する DRM の業界による自主規制も必要です。これもできないかもしれないで すが、それが出来ないときは制度的規制を設けることが必要だと思います。 それから、権利ベースの読書権法の制定を期待します。例えば、アメリカではナイマクというシステム を作ってアクセシブルな電子教科書の提供を行っています。小学校 1 年から高校生までの教科書を保障 しているんですね。視覚障害だけでなくディスクレシアも含めて、アクセシブルな電子教科書の保障が 必要です。 最後に、障害者制度改革と権利条約の批准。これも重要なことです。バリアフリーを実現するためには、 まずは社会意識の問題、思想や哲学の問題が非常に重要です。その上に、どういう社会をつくっていく のかという政策、制度の設計があり、技術的な問題解決がある。そうした様々な条件を全部足し算して いかないとバリアフリーは実現しない。どこかで切れてしまうと止まってしまう。そういう問題であろ うと思っています。 やや技術的な話が中心となりましたけれども、個別の細かな議論というよりも全体のダイナミズムの中 で合理的配慮、社会モデル、ユニバーサルデザイン、インクルーシブな社会、こういったものを実現し ていくためには何が必要なのか、具体的な事例を通して、私なりに考えたことをお話しました。ありが とうございました。 司会者より終りの言葉 石川先生、ありがとうございました。もう少し時間があればここから本格的に、 「社交とアシスト」の話 に展開していただきたいところですが、今日はここでお開きにしたいと思います。 最後のところで「読書権」という言葉を使われましたが、活字が読めている私などにとっては、 「権利」 として意識していないものでありながら、それまで読めなかった人にとっては重要な「権利」の主張で す。当事者が権利として打ち出すことで、社交やアシストを通して「なるほど」と思った周りの人がそ れを擁護するという付き合いが広がっていく。それが「バリアフリーの政治」のベースになるのだと思 います。 しかも、そこには思想哲学だけではなく、政策提言などの、ダイレクトな政治や技術的な革新といった 様々な要素が含まれており、それらが足し算となっていくことが重要である。意味の深い言葉を使われ たと思います。今後の石川先生の活躍を期待したいと思います。どうもありがとうございました。
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