骨髄提供後にみられた合併症 ・喉頭肉芽腫(1例) 気管チューブを入れる刺激によって、喉頭に良性の腫瘤ができ、手術により切除しました。 (なお、気管チューブの刺激により一時的に声が変わることがまれにあります。) ・右下腿深部静脈血栓症(1例) ●安全情報(報告) (PDF) 骨髄採取後、右下腿深部静脈に血栓が認められました。治療の結果、血栓は消失しました。 ・左下肢痛(1例) 骨髄採取後、左大腿部から膝にかけて痺れが出現し、採取部位の痛みが長期間残存しました。 日常生活には復帰しましたが、痛みが続きました。その後、徐々に改善傾向を示し、フォロー アップを終了しました。 ・尿道損傷(2例) ●安全情報(報告) (PDF) 骨髄採取終了後、尿道カテーテルを抜去したところ出血がみられました。 圧迫により止血を図ると共に、絶対安静を保ち鎮痛剤投与し退院延期となりました。 経過観察にて改善し、フォローアップを終了しました。 ・その他の合併症 【6例】角膜びらん 【各5例】腰痛症、骨髄穿刺部の強い腰痛 【各4例】皮下血腫、薬疹、大腿外側 皮神経麻痺(左または右) 【各3例】腰痛悪化による再入院、顎関節症(左または右)、尺骨神経麻 痺・知覚鈍麻(左または右)、下肢神経障害・末梢神経障害(左または右)、強い穿刺部痛 【各2例】硬膜外麻酔による硬膜損傷、腎盂腎炎、喉頭肉芽腫(手術なし)、椎間板ヘルニア(腰部)、 右手指の痺れ感(第 4、5 指)、腸骨穿刺部痛(左または右)、肺炎(術後、誤嚥性)、口唇びらん(上 唇または下唇)、仙腸関節炎、臀部から腰部疼痛による歩行困難、上腕神経叢麻痺(左または右)、 大腿部の痛みとしびれ、左臀部のしびれ感 【各1例】骨片の残存、難聴の一時的悪化、骨髄採取 部位の皮膚炎、菌血症と化膿性仙腸関節炎、点滴部位の長期にわたる静脈炎、骨膜炎、筋膜性 腰痛症、急性化膿性扁桃腺炎、左右両臀部筋肉出血、気管支肺炎、腰痛・右下肢痺れ、外傷性坐 骨神経障害、右下肢外側痺れと疼痛、変形性脊椎症、抗生物質投与によるアナフィラキシー、 左外側大腿部知覚鈍麻、左大腿部背部痛、骨盤痛、腰部筋膜炎、上部消化管出血、喉頭外側面 の潰瘍形成、嚥下不良、左腸骨棘の線状骨折、毛嚢炎(下顎)、採取部位の腫脹と発熱、骨髄採 取後の血腫および腸骨炎、ウイルス性食道炎、陰茎びらん、点滴部位の小結節、右前腕橈骨側の しびれ、臀部から下肢への痛み、筋膜性疼痛、歯冠破折、肩関節周囲炎、肘部管症候群、左腸骨 剥離骨折、腰椎椎間板症、表層角膜炎、右目角膜上皮障害、両眼瞼腫脹、口内びらん、顔から頚 部にかけての接触性皮膚炎、左膝外側部の違和感、点滴部位の皮膚のびらん、尿道閉塞、発熱 の継続、自己血血管外漏出による皮下血腫、右上口唇の腫脹、左上口唇および口唇上部のしび れ、術後の一過性口唇炎、左下肢の違和感と疼痛、右坐骨神経痛、採取部位の神経障害性疼痛、 左臀部皮神経損傷、右大腿前面の知覚障害、穿刺部疼痛の持続と増強、右下肢全体のしびれと 歩行時の左臀部痛、左肩の違和感および持続する疼痛、両膝内障、膝のしびれと違和感、深部静 脈血栓症、歯牙損傷動脈穿刺後の血腫・内出血[DLI] ※いずれも治癒又は消失しています。 ※関節リウマチ(1 例)が報告されましたが、本人に素因があったこと、また骨髄採取のみでリウマチにはなり得ないとの 判断から、一部分の保険適用とされました。 JAPAN MARROW DONOR PROGRAM (財)骨髄移植推進財団 認定施設連絡責任医師 安全情報 平成13年 9月 5日 各位 財団法人 骨髄移植推進財団 ドナー安全委員会 採取後右下腿深部静脈血栓症(DVT)となった事例について このたび、非血縁骨髄ドナーからの骨髄採取において、重大な健康被害が発生し ましたので、ご報告します。 骨髄採取後(退院後)3日目より、右下腿痛が出現し、右下腿部CT検査を施行 した結果、右下腿深部に 3 ヶ所の血栓が認められました。 当該ドナーは、緊急入院となり、抗凝固療法(保存療法)が開始されました。 その後、腫脹疼痛は軽快、緊急入院後11日目に退院し、通院加療中です。 原因としては、採取後過度の緊張及び尿道カテーテル等の違和感で、長期間 (17時間程度)右下肢を動かさない状態であったことが原因の一つと考えられてお りますが、明らかな原因は特定されておらず、現在、原因究明中です。 過去、海外の骨髄採取事例において、肺塞栓症(PE)を併発し、死亡した事例 が報告されていることから、ドナー安全委員会は各施設に対し、安全情報を発信し 注意を促すことと致しました。 また、再発防止の観点から、①腹臥位は、腹部・鼠径部を圧迫し深部静脈血の うっ帯が起き易い体位であり、これにより血栓を生じる可能性があること、②術後 の安静による下肢の運動不足(静脈血のうっ帯)により血栓を生じる可能性がある こと、を認識し、静脈血のうっ帯を最小にするよう適切なご対応をお願い申しあげ ます。 以上をご確認の上、お願い申しあげます。 安全情報 JAPAN MARROW DONOR PROGRAM (財)骨髄移植推進財団 認定施設連絡責任医師 2002 年 9 月 19 日 各位 財団法人 骨髄移植推進財団 ドナー安全委員会 尿道損傷にて入院延期となった事例 このたび、採取時に尿道損傷により出血し入院が延長された事例が報告されました。 採取施設からの報告によれば以下のような概要です <経過> ①麻酔導入後、膀胱バルーンカテーテル挿入。特に抵抗もなくスムーズに挿入され、 バルーン膨隆時にも抵抗はなかった。 ②採取終了後、体位変換した際、尿道口より出血が認められたため、14Fr カテ ーテル抜去したところ鮮血が噴出した。圧迫により、止血を図るとともに、外科 医・泌尿器科医にコールした。(出血量は、300ml~400ml) ③腹部エコーで膀胱内の出血は認められなかった。 ④22Fr スタイレットバルーンカテーテルを挿入、牽引固定して止血に成功。 ⑤絶対安静および鎮痛剤投与で経過観察。10日後、止血を確認し尿道バルーンを 抜去。 <原因> 前立腺部尿道部でバルーンが膨らみ尿道の損傷に至った可能性が考えられます。 以上ご報告申し上げます。
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