野鳥観察メモ - 音羽の野鳥

野鳥観察メモ
西暦
月
日
メモ
1997
1
1
繁殖
縄張り
巣作り
3~4日
交尾
14日
抱卵
40日~50日
2回目
1997
1
1
巣作り
2日
交尾
6日
97年 1月度 野鳥観察記録
全体
「今年は冬鳥に異変があるようだ」との新聞記事が載っていたが、自分自身の観察からも同じ現象を感じている。端的にいってあまり見られない鳥
たちが今年は比較的容易に観察できるのだ。 種別・クロジ → 室林道付近、羽根民家付近の竹薮など平地や低い山の茂みの下で、落ち葉をは
ねのけ冬眠中の虫を捕っている姿を観察できた。・カヤクグリ → 室林道や平尾の低い山の開けた所に居着いて落ち葉の下の虫を捕っている・ベ
ニマシコ → 平尾の低い山にいて、ウソと共に梅のつぼみを食している姿を観察した。・ヒガラ → 秋から音羽町の各地でも観察されている。・ マヒ
ワ → 平尾、室林道に数多く見られる。一部は羽根の田地でも確認。・ 草の実をついばむ姿を見た。
・ウソ → 各地で多く確認。普通種にベニバラ種が混じっている。
・チョウゲンボウ → 羽根の田地に1羽いる。小鳥などを捕っているの。
・ルリビタキ → 平尾、運動公園横で♂成鳥を見たが、割と確認数は少ない。
・
・
・
・
オオタカ → 赤坂小付近で確認したが、特に増減は感じられない。
ツグミ → 特に増減は感じられない。
カモ類 → 例年よりもやや少ない 飛来時期に水門工事で水位を下げていたのも原因に一つか。
室林道 マヒワが30羽くらいの群れではんの木をついばむ姿を見た。
ウグイスの地鳴きの確認はやや少ない
カヤクグリが一時確認できたが、定着はしなかった
ウソは多い
・ 平尾 ベニマシコが数羽の群れで初めて確認できた。
カヤクグリが1羽定着
・ 羽根 チョウゲンボウが1羽いる
西暦
月
日
メモ
1997
5
1
アオジの囀り
今年は茶臼山でもアオジの囀りを一度聞いた。茶臼湖のテニスコート横の茂みでほんの少しだけの囀りであった。
その後は茶臼山では全く聞かれなかったが、治部坂の標高1664m蛇峠山でアオジの見事な囀りを聞くことができた。そこは針葉樹の緑が眩しく
、谷から吹き上がる風が汗ばんだ体に気持ちが良い。ホオジロとも違った複雑な囀り、冬鳥としてなじみの地味な地鳴きとは別人のような晴れが
ましい面持ちである。今度秋に会ったら、すばらしい歌だったよと言ってやろう。
1997
6
15
茶臼山野鳥日記
6月半ばの茶臼山は野鳥のさえずりに溢れていた。ビジターセンターでミソサザイが迎えてくれた。山頂に向かう道沿いには、オオルリ、ヒガラ、
ミソサザイの声が針葉樹林の枝先から聞こえる。山頂を西側から回る。ウグイスとコルリが最もよく聞かれる。コマドリはコルリよりもも少ないよう
だ。遠くでカッコウ、ホトトギスが鳴いている。
茶臼山で一番鳥の居る所に車を止め、しばらくは鳥の種類を確認する。コマドリ、ウグイス、コルリ、オオルリ、ヒガラ、アカゲラ、カケス、ホオジロ
、ミソサザイ、シジュウカラ、ホトトギス、カッコウ、マミジロ、そしてジュウイチが鳴いた。オオルリは2回目の子育てに入りさえずりを再開した。コマ
ドリ、コルリは雛がいるのだろう。車を止めるとと親鳥が警戒して周りを飛び回る。おかげで今年初めてコルリの姿を見ることができた。
ホトトギスとウグイス達との子孫を残すための争いもし烈をきわめているのだろう。ホトトギスの切迫した声がそれを物語っているようだ。カッコウ
、ジュウイチもしかり。人には初夏の風物詩も、彼らにとっては攻防の時なのだと思うと自然の厳しさを禁じ得ない。
人の手の入らない森は植物の種類も桁外れに多い。名札から印象に残る名前を野帳に記入する。コチャルメルソウ(ゆきのした科)、ヒカンアオイ
(うまのすずくさ科)。
小鳥の森ではミソサザイがパートナーのために苔の巣材を運んでいた。ばったり行き会うと、彼は満足そうにさえずりを聞かせてくれた。牧場で
は秋までの間牛がのんびりと草を食む。
黄色い花のお花畑の側で今年もコヨシキリが1羽だけ鳴いている。オオヨシキリよりも高音の美しい声だ。一夏いるのか、一時の立ち寄りなのか
わからない。今年こそは確認したいと思う。
3年前のほぼ同じ時期に珍しい現象を見た。夏にはいないはずのジョウビタキのさえずりであった。電柱の頂で複雑な節で鳴いていた。その時
の驚きは今でもはっきり覚えている。翌年も5月半ばに見られたが、昨年はだめであった。今年も今のところ確認していないが、いないと結論は出
せ
ないと思う。われわれの目の届く範囲はごく限られているし、なにが起きるのかわからないのが自然なのだから。
JUNE/15/1997
1997
6
28
荒天の探鳥会
集合時間には雨模様の天気で先が案じられたがともかく出発。山の輪郭がハッキリしていてこの分では少しの雨ですみそうと思ったのは甘い考
えであった。大粒の雨が窓ガラスをたたきはじめた。
バスから降りて小鳥の声を聞く。強風でかき消されてしまう。かろうじてウグイス、コルリが鳴いいるのが確認できる。早々と小鳥茶屋に入る。店
の方のご厚意で管理棟にて早めの昼ご飯を食べる。くるみ五平餅をひとつづついただく。
少し小降りになったので思い切って小鳥の森を散策する事にした。コルリのさえずりが最初の声であった。足元に気をつけ進む。子供たちは存
外元気であった。ミソサザイが雨音の間から聞こえてくる。コルリも結構いる。ヒガラが鳴いた。こんな悪い条件下でもたくましくさえずりを行ってい
る。もし人間ならば恐怖でうろたえてしまうばかりだろうに。
子供たちは愚痴も出さず立派に歩き通した。標高1200mの雨の中の探鳥会、見られた鳥は極めて少ない数ではあったが、厳しい自然の中で
力強く生きている小鳥を肌で感じてくれたに違いない。そして、自分自身もっともっと鳥のことを知らなければと考えさせられた探鳥会であった。
JUN
西暦
月
日
メモ
1997
8
31
サンコウチョウの不思議
8月の末になってもさえずりが聞かれた。今までのイメージからは全く違うものだ。オオルリやキビタキに比べ早い時期に繁殖を終えさえずりも聞
かれなくなると思っていた。ところが夏中聞かれたばかりか、9月近くまでさえずっていたのだ。それと、今年の個体はハッキリとtuki,hosi,hiと
鳴いている。音階は高低高。姿のみならず不思議な鳥である。
1997
9
7
秋を待つ茶臼山
萩の濃いピンク、ピンク色のアカツメクサ、その外秋の気配を感じさせる様々な花が咲いている。すすきの穂も真新しい。ウグイスの歌も盆過ぎ
には止み、山は静かな風景を形づくる。そういえばあれだけ騒がしかったヒグラシも今は全く聞かれない。 それだけに静寂を破る小鳥の声は、
秋の探鳥の楽しみのひとつである。
今日もウグイスの地鳴きがあちこちで聞かれた。囀りも無論好いが、地鳴きにこそウグイスの真髄があると思うようになった。 舌打ちするような
地鳴きが聞こえる。ヤブサメである。春先の虫のような歌を歌っている時は、ほとんど姿を見せない。夏の終わり頃になると、日陰の低木の枝に、
尾羽が短くウグイスの子供のような可愛らしい姿を見ることができる。
97.SEP.7
1997
9
10
汐川干潟
平日ののんびりした日に汐川干潟ヘ出かける。豊橋港で潮を確認する。残念ながら干潮ではない。
やはり潮は確認して出かけなくては。豊島は稲刈りの真っ最中。刈り残しの稲から飛び出すバッタなどを狙い、アマサギが50羽近くもいる。体力
をつけるために必死だ。セッカの声はだいぶ寂しくなってきた。 干潟は残念ながらほとんど潮が満ちている。その僅かな砂洲に鳥達が羽を休め
ていた。一番数の多いのはカワウ、後はサギ類だ。コサギ、ダイサギ、アオサギが20羽前後ずついる。シギ、チドリはと探すが全くいない。その
中で、大きなシギが1羽だけせっせと餌をとっている。大きさ、腹部の色からホウロクシギと判断。初確認である。シギ・チドリはまだまだ初心者だ
。これからもじっくり覚えていこう。
97. SEP.10
1997
9
20
秋浅い裏谷
4ヶ月ぶりに裏谷を訪れた。真夏の蝉たちの喧騒が終わり、風の音が山を優しく包んでいる。裏谷に向かうアプローチが楽しい。作手村の東端
守義を転げ落ちると、当貝津川が荒々しく岩を食んでいる。上流に向かう。豊邦はカワガラスの宝庫だ。西川の部落に向かうと、探鳥の原点
ともいえる団子島林道がある。山口さんから鳥について生きた勉強を教わった所だ。裏谷への参道は冬積雪の多い所、谷は昔の面影を濃く残し
鳥の影も濃い。カヤクグリ、ベニマシコがこれからの楽しみだ。
急な坂を上り切ると、そこは別天地である。人工植林から原生林に変わるその鮮やかさ。モミやブナの古木にカラ達が遊ぶ。アカゲラのドラミン
グもよく響く。今はウグイスの笹鳴きが落ち着いた秋の雰囲気を、ヒガラの澄んだ歌が華やかさを醸し出す。
裏谷はたとえ鳥の姿は見えなくても、自然の懐に包まれる喜びを感じさせてくれる。
97.9.20
西暦
月
日
メモ
1997
9
20
97年10月11日 10月度 萩の里 土曜探鳥会
伊良湖へ向かう道中は秋の香りで満ち溢れていた。澄んだ空、心地よい北風。植え付けの終えたばかりのキャベツ畑にスプリンクラーの霧雨が
注いでいる。三河湾の波頭が朝日に白く輝き、カモメが力強く空を切る。
恋路ガ浜には溢れんばかりの人と車。ナンバーは全国各地から愛好家が訪れていることを示している。最初のイベントはハヤブサの食事風景で
あった、赤松の枝に陣取り獲物をむしり食べている。3羽ハヤブサが生息していると聞いたが、鳥たちの渡りのこの時期はハヤブサにとっても捕
食の好機なのかもしれない。だから、非捕食者の小鳥たちは、群れを造り捕食のリスクを下げているのだ。
ヒヨドリが100羽以上の群れを造り山の、次々と岬の先端の山の端に降りていく。大きな群れは帯のようになりうねって進む。昨年はヒヨドリとカケ
スがよく見られたが、今年はカケスの群れは全く見られなかった。もっとも、今日たまたま見られなかっただけかもしれず1回の観察ではなんとも
言えない。次は5羽のオオタカの群れが見られたことだ。一度に数羽のオオタカが見られる
なんて普段はめったに無いことだ。サシバか?と思ったが、真っ白な腹に細かな縞模様は違いなくオオタカのものだ。半分くらいの大きさのツミら
しい姿も ある。今年もサシバは少なく、われわれが居た短い時間の間には観察できなかった。
伊良湖の次に訪れた所は汐川干潟であった。ちょうど潮が満ちているところでシギは去ってしまった。かろうじてダイゼンらしい群れを確認できた
。水の中で餌を採っているカモやサギたちを観察した。ダイサギなどはあまり見ない鳥なのでコサギとの区別に迷った子もいたようだ。
豊橋の神野新田にある豊橋体育館に寄る。昨年はキビタキを見たが、今年はエゾビタキであった。サシバの華やかな渡りとは一味違った秋の渡
りの姿であった。最後まで緊張の途切れないすばらしい探鳥会であった。
97.10.11
1997
9
21
アマサギ必死
大型コンバインが往復運動をしている。かなりのスピードだ。そのすぐ側でアマサギが餌を捕っている。引かれはしないかと心配に成る程、餌捕
りに夢中になっている。あと1ヶ月もすれば、彼らは萩を旅立って行くだろう。体力が無いものは、旅の途中での死を待つばかりだ。だから必死に
餌を捕る。
同じ場所でコシアカツバメが、コンバインの音で稲の陰から飛び出した虫たちを狙って旋回を繰り返している。彼も又必死なのだ。
97.9.21
1997
9
23
シギ、チドリ真夏の渡り
お盆頃に汐川干潟でシギ、チドリの渡りを確認した。海岸の干潟よりも休耕の水田でよく見られた。イカルチドリ、アオアシシギ、オオジシギ、キア
シシギなど。数の多かったのはイカルチドリで20羽くらいの群れであった。
春の大規模な渡りには比べるべくも無いが、その後数回当地を訪れているものの、真夏に確認した以上の鳥たちには未だ出くわしていない。
97.9.23
1997
9
23
ムクドリ
半分ほど刈り取られた羽根の田んぼを観察。本格的な秋の訪れの前に、稲刈りはほとんど終わるだろう。里の秋の風景も変わってきた。見通し
のよい田んぼの観察は大好きだ。日ごろ見過ごしている風景の中で、鳥達の営みを眺めていると、自然を眺める楽しさ、喜びが体の中から沸い
て来る。
ムクドリが賑やかに水浴びをしていた。ありきたりの鳥だけど、生き生きとした彼らの姿は尊いものの様に見えた。珍種を追いかけていては、鳥
を、自然を理解するのは無理かもしれない。そんな気持ちにさせてくれた。自分のこれからの野鳥観察を変えるきっかけになるかもしれない。
9月13日(日) 曇時々雨
西暦
月
日
メモ
1997
9
28
97 秋の茶臼山
山に向かう途中季節の変わり目を感じた。それは雲の流れだった。明らかに冬の訪れを感じさせる風の動き。紅葉には未だ間があるけども、野
鳥は南下を早めるだろう。9月に入って鳥の南下を見ようと茶臼山を訪れているが、今日はこの風にのって北の鳥がいるかもしれと思うと、道中
がいつもよりも長く感じた。 牧場の縁にエゾビタキがいる、どうしても過去の観察イメージから逃れられない。いそうな場所を目を凝らして探すが
全く気配が無い。北西の風がまともに当る斜面の朽ちた梢の先で、2羽の小鳥が付かず離れずに動き回っている。直感的にエゾビタキか?と脇
に置いた双眼鏡を向ける。間違いなし、脇腹の縞模様がハッキリ分かる。番いだろうか、長い旅を助け合っていくのだろうか。 春にはコマドリ、ミ
ソサザイが美声を競った所も、今日は時々ウグイスやヤブサメの鳴き声が静寂を破るばかりだ。何かひとつ鳴き出すと他の鳥たちも連れられて
鳴き出す所があるが、今日はエナガの群れがキッカケになってくれた。ヒガラやシジュウカラが、どこにいたのかと思うほど近くで鳴く。囀りを始め
るものもいた。 少し遠い所からもうひとつ探していた声が聞こえる。リュリリュリと単調ではあるが、印象的なメボソムシクイの囀り。今年も確認で
きたと少しほっとする。昨年は春の渡り、繁殖地(木曽駒)での合唱を体験したが、今年はいつもの通り秋の通過をキャッチした。
97.9.28
1997
9
30
タカの舞う里山
秋も深まるとオオタカの舞う姿が見られるようになる。野鳥の世界に入り込んだキッカケとなったのもオオタカである。横縞の鷹斑が澄んだ青空
に眩しい。 ノスリのホバリングも見ていて面白いものだ。凧のようにポカリと空に浮かんでいる。鳥と風は友達なんだろう。 サシバの見られるの
もあと僅かだ。今年はあの鳴き声をあまり聞いていない。10月には伊良湖で見送ってやろう。
1997
10
11
97年10月11日 10月度 萩の里 土曜探鳥会
伊良湖へ向かう道中は秋の香りで満ち溢れていた。澄んだ空、心地よい北風。植え付けの終えたばかりのキャベツ畑にスプリンクラーの霧雨が
注いでいる。三河湾の波頭が朝日に白く輝き、カモメが力強く空を切る。
恋路ガ浜には溢れんばかりの人と車。ナンバーは全国各地から愛好家が訪れていることを示している。最初のイベントはハヤブサの食事風景で
あった、赤松の枝に陣取り獲物をむしり食べている。3羽ハヤブサが生息していると聞いたが、鳥たちの渡りのこの時期はハヤブサにとっても捕
食の好機なのかもしれない。だから、非捕食者の小鳥たちは、群れを造り捕食のリスクを下げているのだ。
ヒヨドリが100羽以上の群れを造り山の、次々と岬の先端の山の端に降りていく。大きな群れは帯のようになりうねって進む。昨年はヒヨドリとカケ
スがよく見られたが、今年はカケスの群れは全く見られなかった。もっとも、今日たまたま見られなかっただけかもしれず1回の観察ではなんとも
言えない。次は5羽のオオタカの群れが見られたことだ。一度に数羽のオオタカが見られる
なんて普段はめったに無いことだ。サシバか?と思ったが、真っ白な腹に細かな縞模様は違いなくオオタカのものだ。半分くらいの大きさのツミら
しい姿も ある。今年もサシバは少なく、われわれが居た短い時間の間には観察できなかった。
伊良湖の次に訪れた所は汐川干潟であった。ちょうど潮が満ちているところでシギは去ってしまった。かろうじてダイゼンらしい群れを確認できた
。水の中で餌を採っているカモやサギたちを観察した。ダイサギなどはあまり見ない鳥なのでコサギとの区別に迷った子もいたようだ。
豊橋の神野新田にある豊橋体育館に寄る。昨年はキビタキを見たが、今年はエゾビタキであった。サシバの華やかな渡りとは一味違った秋の渡
りの姿であった。最後まで緊張の途切れないすばらしい探鳥会であった。
97.10.11
1997
10
25
ジョウビタキ再び
10月25日(快晴)
そろそろジョウビタキが来そうだと、ススキが北風になびく里山を歩く。秋の澄んだ空気、斑に色付いた桜の葉、路傍のキリン草や野菊は昔から好き
だった。そして、特別思いの深いジョウビタキがいつやって来るのか、関心はその一点だ。
例年10月20日過ぎに見ている。去年は20日で最も早かった。そして今年は25日が初確認の日になった。稲株ばかりの棚田が赤松林と接する浅い
谷の日だまりで彼の声を聞いた。日本にやって来たばかりは随分と鳴く。
午後の陽射しは彼の黒とオレンジの姿をくっきり際立てた。ぜひ再び彼の歌を聞いてみたい。秋の虫の音を彷彿させる震えるような歌声、あの時の
興奮は忘れないだろう。
西暦
月
日
メモ
1997
10
26
秋深まる茶臼山
97年10月26日(曇)
家を出発した時には曇のかけら一つ無い青空であったのに、茶臼山は曇で覆われ素手のままでは悴んでしまいそうな冬の様子であった。潅木の
枝には葉が付いていない。少し下がった山の斜面の針葉樹の緑と紅葉とが織り成す錦は今が一番良い。
静まりかえった牧場には未だ放牧の牛たちがいたが、今朝の冷え込みは堪えたろう。ホオジロの声がする。数羽の小鳥が繁みから少し背の高い
梢に止った。鳴き声からするとカシラダカのようだ。舌打ちするような地鳴きは久しぶりに聞く声だ。雪を連想させるお腹の白が肉眼でもハッキリ分
かる。地味だけれど冬の野山を明るくしてくれるカシラダカはなくてはならない存在である。
林道でヒタキ科特有の火打ち石を打つような声がした。続いてヒッヒッヒッヒッと聞こえる。ジョウビタキかルリビタキである。声の主を探すと、何と両方
の共に雌が縄張りを主張している。信州の高山から降りてきたルリビタキと大陸からはるばる日本に来たジョウビタキが狭いスペースで縄張りを
主張しなければならないなんて、自然は厳しいものだ。
林道の入り口で10羽くらいの群れを見たが、帰りに再び出会った。彼らは盛んに木の種子を啄ばんでいた。スコープの中で美しい鶸色を楽しんだ。
マヒワの姿はカシラダカに比べ何て色彩豊かなんだろう。今年も2種類の愛すべき小鳥が来たのを確認でき満足して茶臼山を降りた。
1997
11
1
ノゴマとの出会い
昨年11月24日に山口さんがノゴマを室林道で確認されている。以前から南下の途中を観察できないかとあちこち探したが、全くだめであった。
それが予期せぬ場所で初めてノゴマに出会った。萩の北に位置する大代、北風がふく頃から足繁く通う場所のひとつである。カシラダカやミソサ
ザイが萩よりも早く見られるからである。
今日も狙いはそれらの鳥達であった。感じの良い林道があって、少々車にすり傷のつくのさえ我慢をすれば、探鳥にはもってこいの場所がある。
勝手に大代林道と呼んでいる所であるが、300M以上の標高はあるだろう。
明るい場所や薄暗い場所と変化に富んでおり、ビンズイやミソサザイが観察でき年に数回訪れている。すでにミソサザイの地鳴きを聞き満足して
車を先に進めた。行きたい場所はまだまだ沢山あり、秋の短い日はあっと言う間に過ぎてしまう。桧林に来たところで地面付近で動く鳥を見る。
ねずみ色で肉眼では良く分からない。双眼鏡に手を伸ばし、焦点を合わせる車の窓越しであったが、ヒタキの仲間のようだ。うっすらと眉班がある
、見たことが無い鳥だと直感した。そして正面から眺めた時にびっくりした。
のど元に鮮やかなサーモンピンク色、まさにノゴマの姿であった。ゆっくりと枯れ葉の下に潜む虫たちを啄ばんでいた。
野外観察の魅力は予期せぬこととの出会いだろう。今日のノゴマとの出会いはそれを地で行った。
97.11.1
1997
11
8
ビンズイ
上空を数羽の小鳥が、円を描くように波打ちながら飛んでいる。ズイと鳴く声からビンズイかなと思う。真夏の囀りを聞きたいと思って長野県まで
出かけたのが今年の夏であった。願いは叶わなかったけれども冬が近づくと向こうからやって来てくれる。複雑な色模様がセグロセキレイやキセ
キレイとは違った魅力である。5羽が電線に止った。紛れもなくビンズイであった。
1997
11
9
ベニマシコ
初めてこの魅力一杯の小鳥を見たのは、やはりここ三河湖の林道であった。やはり大好きなカヤクグリを探しに来たのであるが、真っ青な空に紅
色が鮮やかだったことが数年経った今でもハッキリ覚えている。その後茶臼山では雪景色の中で僅かに残った草の実をついばみ、地元では梅の
蕾を無心で食べている姿を何度か眺めた。
一様な紅色ではなく目の周りが特に濃い、微妙コントラストが派手さを押さえ日本の鳥そのものである。フィフィとよく通る地鳴きも耳に心地よい。
この声を頼りに紅色の鳥を探すこの頃である。
97.11.9
西暦
月
日
メモ
1997
11
15
ツグミの群れる晩秋の茶臼山
その日は時々曇の切れ目から日が射す天気であった。しかし前日からの穏やかな天気が続き寒い感じではない。若者がグラススキーに興じる
脇を長野県側に向かう。
静かな天気にふさわしく小鳥の声が全くない。今日は不作の日かと思いつつ先に進む。
それでもとっておきの場所に車を止め歩いてみる。ヤマガラの声がした、2羽見え隠れする。コガラだ。先ほどの声もコガラだった。曇空を鳥の群
れが山の端に隠れた。マヒワのようだ。いよいよお出ましか。今日の目的は未だ平地に来ない冬鳥が茶臼山に来ているか確認する事だ。道沿い
の笹の下で茶色の小鳥がいる、カヤクグリだ。ねずみ色の腹部が目に飛び込む。ルリビタキの若鳥がカカカと警戒音を立てる。
茶臼湖は静かにさざなみも立てず横たわっていた。夏のキャンプ場の喧騒さが嘘のようだ。3年前の初夏、ジョウビタキが複雑な囀りを聞かせて
くれた。湖畔のテニスコートはアオジの囀り。今日も牧場と林との境辺りにスコープを向けた。10羽以上のカシラダカが真っ白なお腹を見せ遠くを
眺めていた。突然頭上からけたたましいツグミの鳴き声がした。数10羽の群れが波打って旋回していた。懐かしい声も聞きなれた寂しげなものと
は別者のように力強く、野生の力を感じた。
笹を分けて遊歩道の中に足を進めた。ミソサザイがまだ居るかなと思ったからだ。しかし今日はいつもと全く違った驚きがあった。ツグミの群れ
が森の中で大騒ぎ、悪く言えば鶏小屋の中に入ったみたいだ。そのためなのか親戚にあたるシロハラが突然けたたましく鳴き、アカハラらしい囀
りも中に混ざっている。耳を疑ったが自分の経験ではアカハラしか浮かんでこなかった。もう半月もすれば田んぼに降り立ち、頭を空に向けている
姿を見ることができるだろう。
97. 11.15
後日、山口さんにこの話をした所、ツグミの囀りとのこと。
1997
11
16
ツグミの群れる晩秋の茶臼山
その日は時々曇の切れ目から日が射す天気であった。しかし前日からの穏やかな天気が続き寒い感じではない。若者がグラススキーに興じる脇
を長野県側に向かう。静かな天気にふさわしく小鳥の声が全くない。今日は不作の日かと思いつつ先に進む。それでもとっておきの場所に車を止
め歩いてみる。ヤマガラの声がした、2羽見え隠れするコガラだ。先ほどの声もコガラだった。曇空を鳥の群れが山の端に隠れた。マヒワのようだ
。いよいよお出ましか。今日の目的は未だ平地に来ない冬鳥が茶臼山に来ているか確認する事だ。道沿いの笹の下で茶色の小鳥がいる、カヤ
クグリだ。ねずみ色の腹部が目に飛び込む。ルリビタキの若鳥がカカカと警戒音を立てる。茶臼湖は静かにさざなみも立てず横たわっていた。夏
のキャンプ場の喧騒さが嘘のようだ。3年前の初夏、ジョウビタキが複雑な囀りを聞かせてくれた。湖畔のテニスコートはアオジの囀り。今日も牧
場と林との境辺りにスコープを向けた。10羽以上のカシラダカが真っ白なお腹を見せ遠くを眺めていた。突然頭上からけたたましいツグミの鳴き
声がした。数10羽の群れが波打って旋回していた。懐かしい声も聞きなれた寂しげなものとは別者のように力強く、野生の力を感じた。笹を分け
て遊歩道の中に足を進めた。ミソサザイがまだ居るかなと思ったからだ。しかし今日はいつもと全く違った驚きがあった。ツグミの群れが森の中で
大騒ぎ、悪く言えば鶏小屋の中に入ったみたいだ。そのためなのか親戚にあたるシロハラが突然けたたましく鳴き、アカハラらしい囀りも中に混ざ
っている。耳を疑ったが自分の経験ではアカハラしか浮かんでこなかった。もう半月もすれば田んぼに降り立ち、頭を空に向けている姿を見ること
ができるだろう。
97.11.
西暦
月
日
メモ
1997
11
22
室林道 野鳥の四季
春 ウグイスのホーホケキョのさえずりで野鳥の春は始まる。新芽がふくらみ、太陽の光が北風を押し返し、野鳥たちの1番大切な子育ての季節
が始まる。ホオジロの雄がヒノキのてっぺんに止って「一筆啓上つかまつり候」と歌えば、イカルもさわやかな声で結婚相手に歌いかける。
ウソが多い年にはかわいそうなほどに桜の木に花が少ない。ウソも見たいし、桜の花も見たいし困ってしまうが、桜の咲くころコマドリがやって来
る。野鳥の豊富な室林道でもコマドリの見られる場所は1個所しかない。ヒンカララ…と気持ちの良い鳴き声だ。しかし、萩にいるのはたった10日く
らい、少し休んだ後コマドリは北に向かって飛び去る。
初夏 オオルリがコバルトブルーの輝きを誇れば、こもれ日の間からキビタキのチャーミングなゴールド色が光る。この魅力一杯な夏鳥はバーダ
ーのあこがれである。姿だけでなくさえずりが素敵だ。センダイムシクイやヤブサメなどの名脇役がそろうと室林道はさながらオーケストラ演奏の
ようだ。最後にやって来た者にウグイスはまゆをひそめる。子育てを他人におまかせのホトトギスであった。
秋 せみ時雨もぴたりとやんで又静けさがもどってきた。時々ホオジロがさえずっているが、
小鳥たちは静かに会話を交わしているばかり。それならば空をながめてみよう。サシバが渡りの
前にしっかり体力を付けようと上空からえものをさがしている。やはり空の上ではツバメが一所
けんめい虫をつかまえている。秋は夏鳥と冬鳥とが入れ替わる季節。
冬 クヌギや山桜の枝先が、澄んだ碧空にとけこみそうな気持ちの良い景色だ。雑木があると何か気持ちが休まる。冬の主役はカラ類と雑木林。
エナガがジュリジュリと小枝をころげ回れば、シジュウカラ、ヤマガラが加わり少し低い所で餌を探す。時々ヒガラもいる。ヒガラはカラ類では一番
小さい。鳴き声も小さな子供のように可愛いい。可愛らしいといえば、ミソサザイが冬の林道にやって来る。スズメよりも一回り以上小さく、暗い所
にばかりいるものだから中々目に付かない。だからちょっとでも小さな姿を見ることができたなら有頂天になってしまう。3月の未だ水の冷たいコケ
むした渓流で、鈴を転がすようにさえずる彼に再開する時を想いながら。
97.11.22
1997
11
24
ミソサザイを探す
渓流で夏をすごしたあとどのように行動するのだろうか、ミソサザイには探鳥を開始した頃から最も注目している。これは鳥の師匠である山口さん
の影響が非常に大きい。何度も野外観察に同行し、生息する場所、生態、雄雌の違いなど手を取って教わった。自分の野鳥観察人生の中で大き
な財産である。
だから秋が深まり山が冷える頃になると、地元の山から茶臼山までミソサザイを探し回る。ウグイスとの地鳴きの差は徹底的に体で覚えた。ぜひ
ともミソサザイの生態を知りたい。春から冬までどのように過ごしているのだろうか。ミソサザイへの思いは益々つのる。
今年は11月24日が萩での初確認であった。室林道の2個所で地鳴きを聞いた。ああ今年もやって来たか、ほっとする。室林道もご多分に洩れず、
彼らの棲む場所が年々狭まっている。植林のため
広葉樹や照葉樹林が切り倒されていく。
これから初春まで凍える手に双眼鏡を持ち、鋭い地鳴きを頼りにミソサザイを探して回る日が続く。
97.1
西暦
月
日
メモ
1997
12
10
マガモ
今年も駒場池にマガモの姿を見た。10月中旬のことである。珍しくも何とも無いマガモではあるが、はるばるシベリアからやって来て疲れた羽を休
めているのを見ると、愛しく思えてくるのだった。雄の頭部の玉虫色に輝く光沢はカワセミにも劣らないし、雌の自然な色彩は派手過ぎる雄の中に
あって、ほっとするものを感じる。
カモ達はこれから受難の季節を迎える。ハンター達が彼らを狙っているのだ。何千キロをやっとの思いで来た鳥を、非情にも楽しみのために命を
取る、だから全ての人間に対し警戒の気持ちを決して捨てない。
1997
12
14
ホオアカ
朝から陽射しが雲に隠れたり、又暖かい光を投げかけたり北の空は澄んだ青空なのに太陽の周りだけに雲がまとわり付いている。
1度田おこしの終わった田んぼには、黒い土に点々と鮮やかな緑色の生命。それとは対照的に役割の終えた植物たちのアンバー色が消え行く生
命の美しさを放っている。そんな静かな中で小さな命が生き生きと活動している。セグロセキレイ、ハクセキレイ、そして土の色と同化したタヒバリが
少しでも良い餌場を求め飛び回っている。時々いざこざもあって追いかけまわす姿を見るが、たいていセグロセキレイである。賑やかなセキレイ達
に比べると、ホオジロはいたって静か、雄雌が寄り添いあうようにアンバー色の草に止り羽を休めている。2ヶ月前にはノビタキがやはりつがい同士
がお互いをいたわるようにしていた。
7×50倍の双眼鏡を三脚にセットしじっくり眺める楽しみを知り、今日も数百メートル四方をパノラマ写真を撮るようにゆっくり動かした。ホオジロの
つがいがいる。そして尾羽をピクと動かした鳥がいた。なにか変わった鳥だと思った。7倍は細部の観察には少々低い、しかし絶大な明るさのおか
げでその鳥のほおの茶色を逃すことはなかった。ホオアカに違いない。フィールドガイドの図と同じ小鳥が視野の中に入っていた。毎年冬になると
探してみるのがこのホオアカとミヤマホオジロ、ニュウナイスズメであるが、未だ見たことのなかったホオアカだ。感激もひとしおである。ほおじろより
も灰色味の強い頭部、そしてシンボルの頬の赤茶色、雄には黒色の首飾りがあるが、今見ているのがまさにその鳥であった。
スコープでも眺めたが、7倍の低倍率で風景の一部としての鳥を見るのは格別に美しい。やがて雄の近くに雌がやって来た。赤みが濃いようだ。雄
の方が頭の灰色と腹部の白味が強い。そして、ホオジロと同様雄雌仲が良い。ホオジロ科はみな派手ではないが、飽きのこない味のある小鳥が多
い。ホオアカも一目見てそんな鳥だと思った。自分好みの鳥だと思った。
97.12.14
1997
12
20
ミソサザイ
魅力一杯の小さな小鳥。初めて彼に出会ったのは地元の山で、真冬にも関わらず額にうっすら汗をかき、息を弾ませて山道を登っていった突き当
たりの沢であった。尾根からは西に開けた空が見え、ノスリがホバリングをしている。風を自在に捕らえ風と一体になった姿を見ると、鳥をつくづく羨
ましく思う。道の終点は小さな沢で、砂防ダムの無粋なコンクリートの壁が前に立ちはだかっていた。茶色の杉の落ち葉が一面に敷き詰められた中
で、彼は響き渡る声で鳴いていた。
当時は小鳥の声を聞き分けようと、野山を歩く時は耳をそばだてていたものだ。しかし、ウグイスとミソサザイの違いはなかなか判らなかった。その
時も、姿を見るまではウグイスと思っていた。ようやくのことで枯れ枝に見え隠れするミソサザイを見つけ、焦げ茶色の小さな姿を見た時には、一目
で彼の素晴らしさに魅せられてしまった。尾をぴんと上げた形がなんとも言えない粋なものだったからだ。
初春の谷間の清流から瀬の音に混じって聞こえて来る囀りも無論好きであるが、冬の涸れた沢に聞く地鳴きも大好きである。
西暦
月
日
メモ
1997
12
21
琵琶湖湖畔に憩う白鳥
ようやく陽射しが強くなり、湖畔の漣がきらきら輝く。岸から少し沖には様々な水鳥たちが群れていた。キンクロハジロやホシハジロといったなじみ
の鳥に混じり、カンムリカイツブリといったあまり数の多くない種類の群れを間近に見られるのは、驚きであった。目当てはガン、コハクチョウであ
る。特に、コハクチョウの群れを見たいと以前から願っていたが、今日はまたとないチャンスをものにできた。きれいな湖畔ロードを車で行く。湖の
色のすばらしい青色、水辺の木々が柔らかい小枝を見せ、薄黄色の木の葉色が煙り、遠くの山々が水色に霞む。林の間から水鳥が見える。すぐ
近くを頻繁に車が通っているのだから、視野の開けた所にはやはり鳥の影は少ない。だから、車を走らせながら木々の間から白鳥の姿を探さな
ければならなかった。そして、そのチャンスは案外早くやってきた。何しろハクチョウは他の水鳥に比べ桁外れに大きく、純白の姿はどんなに遠く
ても見つけ出すことが出来るのだから。さらに、ラッパのような大きな声も探す手助けになる。車を停め、ドキドキしながら双眼鏡を下げて湖岸に
向かう。岸から100メートルほどの沖を、やはり100メートルほどの長さの帯となって、ゆっくりと風上に向かって泳いでいる様子であった。最初に
行うことは、しっかり観察することだ。数は69羽。そのうち成鳥が59羽、薄い茶色かかった幼鳥が10羽いた。記録用に10枚ほど写真を撮り終わ
った頃、半分ほどの群れが大きな羽音を立て飛び立っていった。
1997
12
29
アトリ
茶臼山はスキー場だけ人の手が入っていた。猫の額ほどの広さに人々が群がり、スピーカーから喧騒な音が鳴り響いていた。小鳥茶屋は無論
閉まっておリ誰一人いない。靴の紐を締め直し森に分け入る。
暖かい冬といってもここは標高1200メートルある。手はかじかんで痛いほど。一歩踏み出すと靴裏にザクッという感触がした。霜柱である。平地
では霜柱を踏みしめて歩く経験もほとんど無くなった。暖かくなったせいもあるが、土の道を歩くことがほとんど無くなったことが一番の理由だろう
。
落葉樹が青い空に枝を伸ばし、見ていても気持ちが良い。森は森閑としている。小鳥の声も極僅か。
落ち葉を踏みしめる音がするばかりだ。足音に驚いて数羽の小鳥が飛び立ち梢に止った。アトリであった。大群はおろか1羽の姿を見ていない年
もあったが、今年は天候がどこか違っている。
派手な色ではないのが良い。何といってもアトリ科の名前を戴いている。
小鳥の森では3個所でアトリの群れ(数羽)を確認した。アトリ以外ではかすかにヒガラの声とハッキリと判るコゲラとコガラが居ただけであった。
1998
1
1
三河地方の野鳥繁殖時期
1月 タカ類 カワウ
2月 モズ ムクドリ
3月 スズメ ムクドリ カワラヒワ
4月 シジュウカラ ホオジロ エナガ
5月 ヤマガラ セグロセキレイ コゲラ アオゲラ アカゲラ アマサギ
ダイサギ ヒガラ キセキレイ
6月 ウグイス オオルリ キビタキ ヤブサメ セッカ オオヨシキリ
ヒガラ コガラ ヒヨドリ ミソサザイ
7月 ジョウビタキ ルリビタキ イワヒバリ カヤクグリ
西暦
月
日
メモ
1998
1
3
音羽川河口のヒドリガモ
音羽川と白川が交わり、東海道新幹線の風を切る。ヒドリガモはそんな場所で静かに羽を休めている。雄の茶とクリーム色は寒風の中で暖かい。
マガモほどきつくなく、ホシハジロよりも色気がある。
ヒドリガモの程よい色合いが気持ちよい。晴天を映した音羽川の水色にコサギユリカモメの白が眩しい。ホシハジロの暖かい色とカモメの寒い色
がそれぞれ大きな塊になってのんびりと浮かんでいる。冬ならではの風物詩だ。
1998
3
1
We love nature We love birds
自然と鳥の大好きなみなさんへ
3月~5月 野鳥観察計画
気の早い草花たちはもうつぼみを開いています。
小鳥たちも日の出が待ちきれずにあちこちでおしゃべり。
これからの3ヶ月間は野鳥を観察するのにも一番よい季節です。
自分で計画を立てて楽しみましょう。
1) 見られる鳥の種類を知ろう
これからは夏鳥がやってくる。夏鳥の種類をおぼえよう
おもな夏鳥
・ヒタキ亜科→オオルリ、キビタキ ・カササギヒタキ亜科→サンコウチョウ ・ツグミ亜科→コマドリ
ギ科→アマサギ ・ホトトギス科→ホトトギス
・フクロウ科→アオバズク 図鑑や写真で姿をおぼえておき、探鳥会で実物を見る ヤッター
テープでさえずりをおぼえ、探鳥会で本物を聞く またヤッタすがたも声も 本物は美しい かれらのすばらしさを知ろう
2) きちんと記録に残しておこう
観察したことはみんなで話し合おう(じまん話でもいい)
ひとりひとりの小さな観察が大切な記録となります
パソコンにインプットしよう
3) みぢかな鳥ほど大切にしよう
変った鳥、目立つ鳥ばかりおいかけることはやめよう
いつも見られる鳥をしっかりながめよう
・ワシタカ科→サシバ・ウグイス亜科→センダイムシクイ、ヤブサメ、セッカ
・サ
西暦
月
日
メモ
1998
3
3
伝統的 ウグイスの鳴きあわせ
江戸調 名古屋調 大阪調
三河調を継承
キヨ鳴き ホーホケキョのキヨ
カナ口ともいう
①中音(なかね) ホーホケ キヨ
②高音(たかね) ヒーホケキョ
③下音(さげね) ホ、ホ、ホケキョ 点打ちと称してすばらしい
ホブ、ホブ、ホブ 玉ころがしと称してきわめて希
ホホ、ホケキョ どもりウグイスで価値なし
谷渡り 谷渡りは身を明るみにさらすため、恐怖心から無意識に発する声
警戒音 捕食者や家族に対し発する声
1998
3
4
グイスの3段階さえずり
上位の個体が下位の個体に対し優位を宣言するのに、3段階のさえずりを行う
①ホーホケキョ
②ホ・ホ・ホ・ホケキョ
③ヒーホケキョ
である
下位の個体は、上位の縄張り内では3段階のサエズリを行はない
行えば、攻撃されるからである。
すなわち
②のさえずりを省いたり、①の単純なさえずりの繰り返し
①のさえずりすら正確に行わない幼鳥などがいる
縄張りを持てるのは最上位の個体のみで、8羽程度の♀と番の関係にある。
中位以下の個体は、いわば取り巻きであり、ヘルパー、見張り役などを行い、
上位者の失墜を待っている。
西暦
月
日
メモ
1998
3
28
早春の茶臼山
3月の最後の週末。出勤と同じ時間に家を出かける。朝日に向かって車のハンドルを握る。桜や菜の花が霞んだ風景に溶け込んでいるようだ。今
日は設楽、津具経由にする。山の形の面白さはこちらだ。津具村から豊根村に抜ける峠道は期待していたとおりミソサザイの囀りが聞かれた。以
外だったのはうルリビタキの囀り、そして納得したのはキクイタダキ。この道はほとんど針葉樹林であった。茶臼山に登る道々で元気のよかった鳥
はキクイタダキ、ヒガラか。期せずして最も小型の鳥たちが一番目立っていた。もっとも、キクイタダキを見つけるのはかなり手を焼くが。牧場の薄
曇りの空には聞きなれたヒバリの声がする。カシラダカもヒバリに良く似た囀りをするので注意が必要だ。カシラダカの歌も是非聞きたい。今は絶
好のチャンスなのである。もうウグイスが4つの歌い方をしている。すっかり元気の無くなったスキー場の雪の残っている縁の潅木の中にはベニマ
シコが群れている。スキーヤーの目に入っているだろうか。道路に雪は全く無いが、道路工事で通行止め。歩かなければならないが、反面観察を
通行中の車に邪魔されることがない。スキー場の反対側は野鳥の宝庫だ。あと半月もすればコマドリやコルリの囀りが谷間から聞かれる。今の
時期はどの鳥が取り仕切っているのだろうか。それが知りたくてやって来たのだ。ウグイスたちはこれからだ。2週間前に茶臼山にやって来た時、
シメの群れに驚いた。そうだ、シメは未だ居るのだろうか。
無残に折れた木々がそのままになっている。1300メートルの冬は平地では及びも付かないほど厳しいのに違いない。その冬を生き延びた鳥た
ちは。道路沿いの潅木の下で鳥たちが餌を啄ばんでいた。そのまま歩いたいくと一斉に飛び立っていく。その先を双眼鏡で探す。やはりシメであ
った。
又鳥の群れがいる。今度は少し小型である。アトリであった。そういえばアトリの姿は雪の小鳥の森で見ている。シメやアトリは種子を食物にして
いる。だから茶臼山の様な所でも何とか餌を探せられる。ベニマシコもしかりだ。今年の冬はどの様な状況だったのだろうか。やがて夏鳥がやっ
て
来ると、彼らは繁殖の地に去っていってしまう。少し感傷に浸っていたら、ルリビタキとカヤクグリがほとんど同時に鳴いた。そうだ、もう春だ。
98.3.28
1998
4
4
98年度 初確認記録 その1
4月4日(土)
・ヤブサメ
室林道 宮路山
・オオルリ
東霧山
・オオジュリン
田原町
4月5日(日)
・コマドリ
宮路山 長沢 観音山
・センダイムシクイ 室林道
92年11月の観察以来 98年は最も早い観察日となった。
桜の開花も1週間くらい早いが、気温が鳥の渡りの日を左右しているのだろうか
西暦
月
日
メモ
1998
4
5
98年 コマドリ
4月5日 初確認 宮路山(1)、長沢(2)
11日
宮路山(1)、東霧山(1)
12日
茶臼山、高嶺(5+)、根羽(1)
18日
観音山(1)、室林道(1)
19日
宮路山(2)、西切山(4)
19日の宮路山山系はコマドリで賑わっていた。大袈裟でなく沢には必ずいる感じ。
1998
4
12
オオルリの縄張り争い
いつも美しく優美な姿と声でバードウォッチャーを魅了するオオルリではあるが、時には、子孫を残すという生き物の本能を賭けた戦いを見ること
が出来る。それは、彼らが南方からやって来てあまり日の経っていない頃に多い。いわゆる囀りとは違うドスの効いた威嚇音を相手に向ける。双
方共完全な雄の成鳥である。ほんの数メートルを隔てて対峙している。ギュルーといったコマドリの威嚇声にも似た声を発する。興奮していて囀り
も旋律に成っていないようだ。二羽の近くでも別のオオルリの囀りがする。こちらの方は聞きなれた旋律だ。
1998.4.12 作手村 寺ノ入林道
1998
4
12
落葉松の梢でさえずるアオジ
標高は1500メートルにもなるだろうか。辺りは落葉松の林である。山頂に設けられた温度計のデジタル数値は4℃を示している。山は未だ芽吹
いていない。あと一月もすればエメラルド色の落葉松の新芽が見られることだろう。山頂からは南信州の山々がパノラマのように目に飛び込んで
くる。北には恵那山、駒ヶ岳、東には仙丈ヶ岳から光岳に至る長大な南アルプス、そして南には見慣れた茶臼山。足元には平谷の町、昔武田武
士が通った三州街道。谷からはウグイス、コマドリ、ルリビタキの聞きなれたさえずりが聞こえて来る。聞き慣れないものはいつも不安を感じる。今
日もそうだ。山頂付近の笹原から風で
途切れ途切れになったさえずりが聞こえた。明らかに日頃お目にかかっていない鳥の声だ。クロジでもないし、いくつかの鳥を思いうかべアオジに
たどり着くまでに数分はかかった。姿はだめであった。しばらくして道を下り始めた時、落葉松林の梢で先ほどと同じ声を聞いた。車を止め双眼鏡
で確認する。奇麗な雄のアオジの姿がそこにあった。内地産のアオジは腹の色の黄味が濃いと聞いていたので、目はそこに向く。確かに濃い黄
色であった。緑の勝った姿は落葉松林によく似合いそうだ。すると、真冬に繁みや川原の枯れ草にひそみ静かに餌を採る姿は世を忍ぶ仮の姿な
のだろうか。冬鳥として見ている自分としては少々複雑な気持ちがした。
1998.4.12 長野県下伊那郡平谷村 高嶺(たかね)
1998
5
10
5月10日 裏谷
山口さんと久しぶりのフィールドワーク。最初は寺ノ入林道。キビタキの♀がピイピイと鳴く。交尾を促すのだという。やがて、♂の囀りも聞かれた
。お返しにサンショウクイをプレゼントする。うまい具合に1羽現れてくれた。いまの所たった1羽のみ確認できたのみである。オオルが鳴いている。
いまの個体は番相手が有るという。鳴きかたで判るそうな。寄せ鳴きばかりのあぶれ♂も居る。豊邦から西川に向かう。途中炭焼きの里を覗いて
裏谷に入る。いきなりコルリの出迎えを受ける。コルリはかなりいそうだ。自然観察路に入るとヒガラ、ミソサザイが鳴いている。そしてコガラ。聞き
なれないゴジュウカラの忙しない囀りも聞こえる。もっとも気になったのはクロジに似た地鳴き。姿が見えないので?マーク付きとする。コマドリが
いない!と思った。それほど声が聞こえない。しかし山口さんが微かな鳴き声を確認。自分にもようやく聞こえた。コースを一周した頃ジュウイチ
が鳴いた。
西暦
月
日
メモ
1998
5
23
'98.5.23 蛇峠山 快晴
囀りが随分少ない。2週間前にはほとんどの鳥たちが囀りをしていたが。ウグイス、オオルリの声が目立つくらいだ。特にコマドリは全くといってよいほど聞
かれない。縄張り宣言、求婚が囀りの主な役割とすれば、それらの仕事を終えた今、囀りが消えたのも肯ける。抱卵、育雛の方に精力を注いでいう
訳だ。オオルリ、ウグイスの雄は全く抱卵、育雛に参加しない。相変わらず囀りを自分の仕事と心得て居るので彼らだけが目立つらしい。
1998
5
25
サンコウチョウ繁殖観察
場所 愛知県宝飯郡音羽町 観音山山麓 標高
5月15日に豊橋総合動植物園の林さんが観音山でサンコウチョウの巣を見つけた。
今年も番の姿を見つけたが、やはり営巣をしていた。
10mほどの高さに巣は造られていた。外観は漏斗形。材料はヒノキの皮
の様に見える。
(山口氏確認)
1998/5/28 最終卵
抱卵
13~14日
1巣卵数 3~5
育雛
11~12日
1卵産卵 1998/5/25
最終産卵 1998/5/28
孵化予想 1998/6/9~11
1998
6
14
1998/6/14
茶臼山
雨
ウグイス Sややおさまったか?コマドリ 多くないがしっかりしたSコルリ 同様オオルリ 1羽のみ 力強いSミソサザイ 山頂で2羽 麓で2羽確認大型ツグミ類、カラ類の
囀りが聞かれなかった。
1998
6
27
1998.6.27
梅雨の茶臼山コマドリ、コルリは随分鳴き声が減った。今元気なのはホオジロか。これからはアカハラ、マミジロが賑やかになる。草原の小鳥コヨシキリが鳴いてい
る。珍しくアオバトの群れが飛び回っていた。ノジコが鳴いたような気がする。
1998
6
28
1998.6.28
室林道巣立ち雛山口さんと室林道に行く今年はキビタキ、オオルリが7月近くになっても囀りを止めない。2回目の繁殖に入っているそうだ。最初の巣立
ち雛が室林道のあちこちで観察できた。ヒヨドリ、ホオジロは随分いる。雛特有の甘えるような声のヒヨドリ。あのうるさいくらいの鳴き声からは想像出来な
いくらいだ。ホオジロは林道脇でさかんに餌をあさっている。お腹のはん点が見分けるポイント。多分マスター出来たと思う。運がよければキビタキやオオルリの
巣立ち雛に会える。キビタキの巣立ち雛には2回会えた。両方とも最初に親の姿を見た後(♂であったが)親の様子がおかしいので注意していると、近
くに雛がいた。親よりも少し大きい。嘴が黄色い。今まで6月から7月にかけては地味な季節と思っていたが、梅雨の季節の楽しみが増えた。
西暦
月
日
メモ
1998
7
18
7月18日
寺ノ入林道をロードサイドセンサス
ホオジロやウグイスが囀りをしているのは室林道と同じ。ホトトギも同様に鳴いているが、こちらの方はオオルリが囀っている。室林道ではもう鳴き
声は聞かれない。カラ類の囀りや地鳴きも目立っていた。巣立った幼鳥たちの声も聞こえる。空にノスリのペアが輪を描いている。さかんに鳴いてい
る。きっと繁殖しているのだろう。ハチクマが1羽舞っていた。
1998
7
19
真夏近い室林道
98.7.19
例年、7月も半ばにもなると、野鳥は落ち着きを取り戻し、初夏の頃の様な、さまざまな囀りで溢れることもなくなり、一息入れる時期である。秋になれ
ば渡りの季節が来る。それまでしばらくの辛抱さ、と自らを慰める。ところが、今年は休日になると室林道を歩いている。
歩いてみて、さまざまな野鳥たちの姿を観察できた。子育てを終えたウグイスの雄達は、大胆にも、思い思いのソングポストに取り付き、自己主張の
囀りをしている。室林道はウグイスの多い所である。従って、室林道を声で支配しているのはやはりウグイスと言わざるを得ない。ウグイスと双璧を
なすのはホオジロであろう。絶対数も多いが、やはりマツやスギ、ヒノキの頂で囀っている姿がたいへん多い。1ヶ月ほど前ならば巣立ったばかりの
幼鳥がぎこちない格好で餌をあさっていたが、もうそんなに見当たらない。6月末まではオオルリの囀りが聞かれたが、今は全く聞かれない。もっとも
、三河湖辺りでは相変わらずの美声を聞かせてくれるが。今は巣立った幼鳥達が親に付いて生きるすべを学んでいるのだろう。派手ではないが中
身の濃い季節といえよう。
1998
7
20
7月20日(日)
近頃、家の近くでモズのギチギチと鳴く姿をよく見かけるようになった。秋の高鳴きのような新鮮さが感じられる。もう1週間以上も鳴き続けてい
る。モズを見て新鮮に感じた気持ちが嬉しい。どうしても珍しい鳥にのみ興味を覚えるようになってしまう。この気持ちを大切にしてい
きたい。ところでモズは何をやろうとしているのだろうか。山に行っても同じような行動が見られるので注意して観察しなくては。
1998
7
25
夏のホオアカ
初めて夏にホオアカを見た。場所は茶臼湖付近の草原地帯だ。標高は1200以上は
あるだろう。電線にとまって見事な雄が囀っていた。付近ではコヨシキリが繁殖しているし、少し前にはジョウビタキが貴重な歌を歌っていた。なにか
期待を抱かせてくれる所だ。
98.7.25(STA)
西暦
月
日
メモ
1998
8
8
fHighland Birds 98.8.8
茶臼山
コヨシキリ
茶臼山南東面 茶臼湖付近の草地
ホオアカ
同
同
コガラ
萩太郎山山頂 低潅木
マミジロ
根羽方面
毎年同じ場所で確認
今年初確認 番を確認 繁殖可能性あり
ヒガラ、シジュウカラ、ヤマガラと混群
落葉広葉樹林
茶臼山では比較的多い
ミソサザイ 茶臼山南東面 渓流
アカハラ
茶臼山南東面 落葉広葉樹林
蛇峠山
ゴジュウカラ 北面中腹1300m 落葉広葉樹林
1998
8
9
囀りが減り地鳴き増
蛇峠山では初確認 カラ類混群で採餌
エゾビタキ 同
同
秋の渡りのはしりか?
オオルリ
同
8月の囀りは高原ならでは
同
98.8.9
萩におけるサシバ繁殖の可能性
本日室林道でサシバを3羽確認した。
今年になって室林道でサシバを確認したのは次のとおり
年
月
日
種名
数
確認
性別
番形成
Age
羽色
98
5
5
サシバ
1
S
98
6
6
サシバ
1
V
98
7
5
サシバ
1
V
98
7
12
サシバ
1
CV
♂
P
成鳥
98
7
12
サシバ
1
CV
♀
P
成鳥
98
8
9
サシバ
3
CV
室林道
低山帯
人工針葉樹林
250~280
音羽町
A
Butastur indicus
ワシタカ
ワシタカ
ワシタカ
九州~本州
東南アジア
49
115
夏鳥
134
R
室林道(R)。
サシバ3羽。
今日は3羽である。
少なくとも1羽は幼鳥のはず。
大代でペアを見ているが、それと同じペアなのか?
西暦
月
日
メモ
1998
8
16
98.8.16
野鳥の声がめっきり少なくなった。この静寂が野鳥観察にはたいへん大切なものだと思うようになった。それは、鳥たちの息使いまでが感じられる
気がするからだ。
2組の命
コゲラのドラミングが聞こえる。アカゲラやアオゲラのそれと比較すると消え入るくらい弱々しいが、今日ほど感動したことはない。コマドリやミソサザイの声が賑
やかだったのが嘘のような静かさである。その静寂を壊さないくらいの柔らかなドラミングであった。少しハッキリとした高音でタタタと鳴ると低い音で
タタと相づちを打つ。そのタイミングが絶妙である。是非とも姿を見たくなり、足元の砂利の音を気にしながら山道を10mほど登ったら、2羽のコゲラが
互いに相手を意識しながら嘴を木に打ち付けていた。2羽の位置関係で高音と低音に分かれて聞こえたのだ。コゲラのドラミングがかすかに聞こえ
る場所でホオアカを探す。茶臼山では今年初めて確認できたが、この南東に面した場所以外では未だ見たことがない。番でいることは間違いない
ので繁殖している可能性は高い。道路からは草地の中には入れないので、人間からは安全な場所である。声ばかりするが一向に姿を見せない。し
かし、声の感じからして自分が招かざる客であることははっきり分かる。チッという地鳴き以外にも警戒の声を上げている。そしてついに草の先に姿
を見せた。雄である。もっと高い所から警戒しよう電線にとまる。この電線は辺りを見渡すには好都合な場所である。多分同じ個体と思うが、囀りをさ
かんに電線でやっていた。雄の警戒声に驚いたのか、雌が姿を見せやはりチッと繰り返し鳴く。やがて、2羽の声が辺りを圧倒するくらいに鳴りわたっ
た。この草原で子育てをしている可能性が益々高くなった。それにしても、2羽の迫力には圧倒される思いであった。
西暦
月
日
メモ
1998
9
1
9月から12月の野鳥観察
(1)ツバメ
4月の初めにやって来て、一生懸命ひなを育ててきたツバメたちも、そろそろ南に帰る季節がやってきた。電線で家族全員が休んでいる姿をよく
目にする。スズメは人が近づくとさーっと逃げてしまうけれど、ツバメは全く気にしていないようだ。
人々は昔からツバメと仲良く暮してきた。鳥に心があるのか分からないけれど、やさしく付き合えば、相手も逃げたりしない。田んぼの上では、ツ
バメが宙返りを繰り返している。よく観察して欲しい、背中の真っ黒なツバメに混じり、コシアカツバメ、イワツバメがいるぞ。
(2)モズ
夏休みの後半過ぎから、朝早くからモズのキーキーキーとか、ギチギチとか鳴く声が増えてきたようだ。モズの高鳴きは秋を告げる自然の音。今
年生まれた若鳥にとってモズは恐い存在である。のどかな田園風景の中でも、食われ食われつの生存競争がくりひろげられている。
(3)ノビタキ
北海道や本州の高原で夏をすごしたノビタキが、萩の田んぼにやって来るのが10月である。いつもオス・メス2羽が仲良く一緒に、えさになる虫
をとっている。背の高い草に止り田んぼの虫を取ると又草に止る。ノビタ
キはこれから海を渡り南の国に行かなければならない。えさをたくさん食べて体力を付けておかないと、途タカやモズの餌食になってしまう。生き
ぬくために食べているのだ。
(4)シギ・チドリ
日本のはるか北のシベリアで子育てを終えたシギ・チドリが、秋の渡りで日本の干潟に立ち寄る。田原町の汐川干潟、梅薮の海岸にはさまざまな
シギ・チドリを観察するバードウォッチャーが大勢やって来る。早走りで餌を探すチドリ、しばらく動きを止めてミミズを探すシギ。シギは大変よく似
ている、名前をしらべる楽しみがある鳥たちだ。体を休めた後、又はるか数千kmを飛んで南の国に渡のだ。
(5)カモたち
10月にはオシドリやマガモ、コガモたちがやって来る。駒場池にやってきたばかりの姿は真冬のあでやかさは無い。オスがエクリプスと呼ばれる
冬羽のためで、オス・メスの識別はバードウォッチャー泣かせである。そして、徐々に羽の色が変わっていくのが観察でき大変興味深い。
(6)ウグイスとミソサザイの地鳴き
ウグイスは3月から8月の半年間おなじみの「ホーホケキョ」のさえずりを、ミソサザイもほぼ同じ期間、深い山の渓流で鈴のような歌を聞かせてく
れる。全く異なった声の鳥が、秋から冬にはそっくりに鳴くのである。
「チャ チャ 」と鳴くのであるが、ウグイスはゆったりと、ミソサザイは少し口早に聞こえる。特にミソサザイは数が少ない、小さなこげ茶色の姿を探
して歩くのは、マニアチックで本人のみ知る楽しみである。
(7)ジョウビタキとルリビタキ
冬の鳥のスターといったら迷わずジョウビタキとルリビタキを挙げたい。
紋付き姿にセーラー服といったところか。夏には大陸や本州の高山ですばらしい歌を聞かせてくれる。冬鳥(漂鳥)として萩にもやってきて、「ヒッヒ
ッ」とよく聞こえる声で鳴く。ぜひ美しい姿を見て欲しい鳥たちだ。
西暦
月
日
メモ
(8)オオタカとチョウゲンボウ
冬はタカを見るのに1番よい季節である。餌にしている小鳥が山から平地に移動するため、タカも一緒に平地にやってくるからである。田んぼの
上空をオオタカがはばたく姿を見るのも珍しくないし、チョウゲンボウがヒラヒラと舞っているのを見つけると、タカのとりこになってしまう。
1998
9
19
98.9.19 茶臼山
静かな季節を迎えた。小鳥の囀りや蝉の鳴き声も全く無く、風の音と、時折カケスのしゃがれた声がするだけだ。今日の目当ては非常に地味な小鳥
で、美声で歌ったり、派手な姿を見せるでもない。しかし、これこそ野鳥だと思う。エゾビタキとコサメビタキである。彼らの好きな所は、明るい広葉樹
の林。茶臼湖は打ってつけの所である。バンガローも閉められ、人の姿はまばらである。彼らはヒタキの鳥らしく、空中で虫を捕らえる。無言で行動す
るので、見つけにくい。しかし、独特の動きで彼らと分かる。似た者同士行動を共にすることが多い。今日も、少し多きめのエゾビタキが最初に目
に入り、観察しているうちにコサメビタキが何時の間にか加わっていた。予想した時期に予想したところで会えるのは、なんとも言えないほど嬉し
いものだ。
1998
9
26
音羽町でエゾビタキ今秋初確認初確認
98/09/26
先週、茶臼山でエゾビタキとコサメビタキの渡りの途中を観察したが、地元ではどうだろうか。例年渡りを観察している宮路山に向かう。桜の木で
虫を捕っているのをよくみるが、やはり今年もそうだろうか。ゆっくり車で登っていく。いつも見る場所は残念ながらいなかった。正面に大きな桜の
木が見える。居た!。予想どおり居た。動作で判る。2羽でさかんに虫を探して居る。つがいだろうか。双眼鏡で確認する。脇腹の筋模様がはっき
り判る。
1998
10
11
8/10/11
土曜探鳥会 伊良湖
天気は全く申し分ない。伊良湖に到着すると、恋路が浜の駐車場は車で一杯である。早速、周りの人が親切心で鳥情報をくれる。ヒヨドリの群が次
々と岬を渡って行く。自分自身はサシバよりもヒヨドリの方が気に入っている。でも子供達はサシバが見たいのだろうに中々現れない。今年もと少し
不吉な予感がする。30分ほど待っただろうか。サシバの数羽の群が渡って行くのを見る。それからはかなりの群が海を渡って行った。延べ50羽
以上は見ただろうか。ツミ、オオタカ、アカハラダカなどの姿も見られた。3回目の伊良湖であったが、毎年感動的なシーンを見ることができ幸せで
ある。
1998
10
18
98/10/18
室林道のクマタカ
永年の夢がかなった。それも思いがけなく。山口さんから台風の後は鳥の動きがあることを教わっていたので、10号が通過したらなにが何でも見に
行こうと決めていた。幸いたいした風雨もなく18日の朝は薄日が差している。室林道に着いたのは8時30分、雲の動きが激しい。ライセンサスを行う
2時間天気はもってくれるだろうか。傘を持っていては鳥の動きには着いていけない。38分観察を開始する。カーブをいくつか回ると第1のポイント
がある。秋になるとオオタカが出没する開けた地形だ。進行正面の枯れた木にかなり大型の鳥が見える。形からトビくらいある。曇空のせいで肉眼
でははっきりしない。距離は200mくらいか。双眼鏡を向ける。すぐにクマタカだと判った。冠羽と胸の横班がくっきり、尾羽の縞も見える。相手もこちら
に気が付き山の向こうに飛び去った。約30秒くらいか。大きさが印象に残った。ラインセンサスを続ける。神経を集中させクマタカの気配をうかがう。
大きな枯れ木がポイントだ。何本かの枯れた椎木がある。いない。あまりクマタカばかりに気を取られてはいけないとは思い正面を注意して進む。
林道の最高地点で周りを見渡して見る。そしてふと振り返ってみると、先ほどよりもさらに近い所に悠然と木に止っているクマタカの姿があった。大
きい。ライセンサスを終え、帰り道は三度クマタカに会いたい気持ちで心がはやった。無論空を注視する。そして2度目の所まで来てさらに進む。空
の開けた所に来たところで最大の見せ場がやって来た。その美しい鷹班をたっぷり見せて帆翔してくれた。羽ばたきは無い。トビのように円を描い
ている。その特徴である鷹班がはっきり見える。尾羽を丸く広げ、後縁の大きくカーブした羽にたっぷりと風を受け王者の風格で舞っていた。
西暦
月
日
メモ
1998
10
24
98/10/24
ジョウビタキ今秋初確認
場所
長配上賀茂神社付近…朝からジョウビタキの地鳴きがする。いよいよ来たかと思った。
傘を片手に家の付近を歩く。花木の植わった畑から力強い声がする。ヒタキの仲間独特の嘴を鳴らす音もする。尾羽を振るしぐさが見えた。若い
雄であった。
室林道…午後室林道を歩く。今度は雄の成鳥がいた。
初確認月日
93/10/23
94/10/22
95/10/29
96/10/20
97/10/23
98/10/24
その後の観察記録
98/10/25…朝から夕方まで鳴く
98/10/26…出勤前鳴き声を聞く
98/10/27…同上
98/10/28…同上
98/10/29…同上
98/10/30…同上
98/10/31…朝から夕方まで鳴く
98/11/01…同上
98/11/02…出勤前鳴き声を聞く
1998
10
25
98/10/25
アオジがやってきた
昨日ジョウビタキがやってきたが、今日はアオジだ。ラインセンサスを開始直後からホオジロとは明らかに違う地鳴きを聞いた。アオジがやって来
たのだ。初夏に落葉松林で囀っていた生き生きとした姿を思い出す。しばらくは倹しく生きていくのだ。
渋いよもぎ色の姿は自分好みだ。昨日は気付かなかった。桜の小枝に止っているのを見つけた。雄であった。腹部の黄色味が濃い。山口さんに
よると日本系である。大陸系は黄色味が薄いという。
アオジ初確認
93/10/31
94/10/22
95/11/04
96/11/02
97/11/01
98/10/25
西暦
月
日
メモ
1998
10
31
秋盛りの茶臼山
98/10/31
山頂付近は紅葉も終わっていた。中腹がちょうどいい具合だ。北風が強くどんどん雲が切れていく。レストランの駐車場からラインセンサスを開始
する。
スタート6時30分。気温は10度。矢筈池周辺からはホオジロの囀りが聞こえる。スキー場周辺にジョウビタキ、ルリビタキがいた。生まれ故郷は
違うけれど似た者同士という所か。萩太郎山の山頂上をハイタカが飛ぶ。今日は期待が持てそうである。日も昇ったばかり、ひんやりとした空気
が気持ち良い。
山々は紅葉に染まり、東の空には白い頂の赤石、荒川が凛と聳える。茶臼山を周回する村道を歩いている。山頂方向から聞こえるのはウソ、ツ
グミのけたたましい声もする。長野県側に入りしばらくすると道のすぐ側からチリリと澄んだ声、期待していたカヤクグリだ。こげ茶と灰色のきわめ
て地味な鳥ではあるが大好きである。3羽確認できたがペアで行動しているのをよく見掛ける。
茶臼湖近くではノスリのペアが弧を描いてゆったり舞っていたし、表土を天地替えされた牧場の木々の枝と地表の間ををカシラダカが行ったり来
たりしていた。遊歩道のある森から突然ツグミの群が飛び出す。数はそんなに多くない。昨年は鶏小屋のようなけたたましさであった。小鳥の森
は今回は寄らなかった。約3時間をかけて茶臼山を一周したが、随分実り多いものだった。今秋初確認の種がかなりあったと思う。
98年今秋初確認の種
ルリビタキ、カヤクグリ、ウソ、カシラダカ、ツグミ、ベニマシコ
1998
11
1
MIKAWAKO RINDO-
98.11.1
昨日茶臼山で様々な冬鳥を確認できたが、三河山間部ではどうだろうか。大代の林道を久しぶりに車で行く。雨で道が荒れている。ミソサザイは未
だいないようだ。アオジはいたるところにいる。さらに山奥の千万町に向かう。紅葉が始まって美しい風景である。部落から離れ林道に入る。カケ
スが大声で騒ぎ、カラ類がささやく様にしていた。作手村で弁当を買い三河湖へ。豊川上流へは道路の崩壊で行かれない。思い切ってラインセン
サスをやる。昨日3時間茶臼山を歩いたばかりである。最高地点に車を止め林道を下る。萩ではほとんど無くなった松林がここにはある。松の樹
冠から微かな鳥の声がする。ヒガラかキクイタダキのようだ。姿は確認出来なかった。さらにカラ類の混群が迎えてくれた。中心はヤマガラである
。ヒガラもいた。さすがに標高600mの山地だ。やがて林道は沢と並行して進む。ここはミソサザザイの住処である。もう居るのだろうか。1000m
以上の山で繁殖を終えたミソサザイが北風と共に山を下る。萩でも年末近くにはウグイスに似た地鳴きが聞かれるが、三河湖でどうなのだろうか
。ミソサザイは縄張りの強い鳥である。人が近づけば警戒の声を上げる。そして特徴のある地鳴きがした。鷹も林道の名物であるが、今日は小鳥
を探したい。ヒガラはすでに萩にも来ている、当然ここにいた。カヤクグリは未だのようだ。ベニマシコがいた。これは意外であった。こんなに早く
来ていたとは。ラインセンサスは比較してこそ意味がある。室林道、茶臼山そして三河湖と3つのゾーンを空間、時間で比較した観察を続けたいと
思う。
1998
11
7
98.11.7
98.11.8
ツグミ飛来
茶臼山でツグミを見た後2週間たったが、萩の里にも姿を見せるようになった。ジョウビタキと並んで冬鳥の代表格だ。一般の小鳥と違い、田んぼ
でゆったり生活しており観察がやり易いのも、ツグミが親しまれている理由であろう。やや哀れっぽい鳴き声が草紅葉の畦から聞こえるのもそう遠
くない。この時期ツグミは里山に生活の基盤をおいている。北西の風が澄み切った空をもたらし、草や木の実が少なくなると、本格的な冬の季節
の到来である。やがてツグミも田に降り始める。
西暦
月
日
メモ
1998
11
15
98.11.15
室林道ロードセンサス
カヤクグリ、ミソサザイ、カシラダカ 今冬初確認
ようやく待ちに待った冬の客がやって来た。3週間前に茶臼山で確認できたがツグミやアオジに遅れること2週間であった。ツグミも数を増したよう
だ。
ミソサザイ音羽町初確認
93年11月27日 長配
94年11月20日 観音山
95年11月26日 室林道
96年12月 7日 観音山
97年11月24日 室林道
98年11月15日 室林道
カヤクグリ音羽町初確認
95年 1月29日 室林道
96年12月 7日 室林道
97年12月13日 観音山
98年11月15日 室林道
1998
11
16
98/11/16
フクロウ
明け方フクロウの声を聞いた。闇の中から絞り出すような声だった。
何を思って鳴いているのだろうか。
1998
11
18
98/11/18
音羽のシギ
11月の晩秋田んぼの中の道を歩いた。稲の切り株から30cmほども成長した穂に実が付いている。冬の野鳥の餌になってくれるだろうし、北風
や捕食者を避ける住処を提供してくれるだろう。水の浸いた田には2羽のタシギがひっそりと餌を採っていた。
1998
11
22
98.11.22
朝の小鳥
我が家の隣に栗畑がある。そこにシジュウカラのつがいが飛んで来てさかんに餌をあさっている。朝日が彼らの姿を美しく照らす。どんな絵画や写
真よりも今目の前に居る姿がすばらしい。野鳥写真がもてはやされていてプロアマ野鳥写真家があまたいるが、なにか安易な道に流れている気
がしてならない。自分はもっと真剣に野鳥と向かい合って行きたいと思う。イカルが数羽で大空に円を描いている。早春の朝にさわやかな声で人々
を眠りから起こしてくれるあの鳥である。桜の木にツグミがいた。そろそろ田んぼのあちこちで見られるようになるだろう。そのツグミが声を上げて
飛び去った。モズがやって来たのだ。モズは自分よりもはるかに大きな鳥たちにも恐れられている。いわば孤独な鳥なのだ。
1998
11
23
98.11.23
ヒガラの訪問
音羽町に住んでいる私達にとってヒガラは会いがたい鳥のひとつだろう。毎年見られるとは限らない。標高500mの三河湖では普通に見られる
種であるが、隣の額田まではやって来ても音羽町にはなかなかやって来ない。今日も萩の北隣にあの大代で1羽のヒガラの澄んだ高音の声を聞
いた。近くにはミソサザイもいたし、ベニマシコらしい声も聞いた。額堂山を超えれば萩である。今年は超せるだろうか。
西暦
月
日
メモ
1998
11
29
98/11/29
長配のミソサザイ
犬の散歩の途中ミソサザイを確認した。以前サシバを見るために朝早く通った場所だ。
我が家からたった1分の所にある。茶臼山や琵琶湖まで足を伸ばしているが、たった1分のところにこのような素晴らしいところがあるなんて。
1998
12
5
98/12/05
初冬雨の茶臼山
雨がしっとり降っていた。標高1300mの雨にしては非常に穏やかな雨だった。
小鳥の声は全くない。見事なほどである。キジがかたまって餌を採っていた。
いわゆる放鳥である。野鳥であるが野鳥でないような気がした。次はもっと不思議な光景である。
鶏の品種ものが震えるようにしていた。どうしたというのだろうか。
ラインセンサスはどうも無理の様なので森の中に入る。小鳥の森に向かう。
小屋の入り口でひそひそ話のような小鳥の声がする。足を止め姿を追う。
声でヒガラと思ったのはコガラであった。囀りならば間違えることは無いのだがが。
ひそひそでは難しい。一緒にヤマガラがいる。暖かい羽色が嬉しい。葉の落とした森は明るい。
だから苔が日の光をたっぷり吸収して鮮やかな緑色をしている。冬なのにグリーンの絨毯である。
今度はエナガとヤマガラの群が虫を捕っていた。コゲラの声もする。結局二つの群を確認できただけ
であったが満足できた。
1998
12
6
98/12/6
室林道オオタカ
いつものように室林道でラインセンサスを行う。今年の室林道はミソサザイや
カヤクグリがやって来て、週末になるとうきうきして室林道に向かう。最近は
ウソの声も聞く。オオタカが一本松に止っていた。辺りにまんべんなく目を光
らせている。成鳥ではなさそうだ。この鳥には特別の思いがある。しばらくし
て枝から離れた。
1998
12
12
御津の人たちと海岸で探鳥会を行う。曇空で覚悟はしていたとはいえ寒い。萩のメンバーは9名、御津の方も
昨年と比べると半分程度である。カモ類も昨年よりもかなり少ない。やはり埋め立て工事の影響があるのだろうか。ヨシガモなども見られない。ミ
サゴは皆の関心を集めてくれたし、ジョウビタキを見て感激してくれたり、探鳥会に慣れてしまった萩の子どもたちにはない清々しさを感じた。大切
なものを勉強した気がする。
西暦
月
日
メモ
1998
12
13
汐川干潟の冬羽のダイゼン
開けた水田風景と海岸、輝く空にはトビがゆったりと飛翔している。
昨日の探鳥会が今日であったらと思うくらいの、素晴らしい天気である。水田の所々にはキャベツなどが栽培され、ヒバリが突然囀りながら青空
に飛び上がる。海岸の場所らしくカモメやチュウヒが大きく羽をはばたかせている。堤防に昇と水際の後退した汐川干潟が見える。カモをみるの
にはあまりよい条件ではない。黒い干潟に白く光るものが動いている。瞬時に方向転換をしているシロチドリの群であった。よく見るとカモが顔を
水の中に入れて餌を採っている傍でシロチドリやイソシギが動き回っていた。
スコープを向けて種類を確認する。大型の鳥がいた。シロチドリの2倍近い大きさである。フィールドガイドのシギの項目には似た鳥はいない。し
ばらく困っていたが、どうも動きがチドリのようであることに気が付いた。そうすると大きさからしてダイゼンしかない。冬羽のダイゼンを見たのは初
めてであった。
1998
12
19
カヤクグリ
今年の室林道のカヤクグリは、1羽が頑張っていると思っていたが、どうやらつがいのようだ。表には♂がいて力強い地鳴きと、時々には渋いこ
げ茶の姿を見せる。ところが、今日♂の地鳴きに呼応するよう、やさしい声が聞こえてくるではないか。独り身では可哀想だと思っていたが、これ
でほっとした。
ミソサザイ
室林道、観音山そろって居る。
ウソ
ようやく目につくようになった。
1998
12
20
寺ノ入林道は北風が吹き抜け、野鳥の姿を見つけるのが難しかった。ラインセンサスをしながら冬枯れの景色を楽しんだ。落葉樹はほとんど葉を
落とし、少し残っているものもカサッと音をたてて地上に落ちる。風で木が擦れあってキュッ、キュッと音を立て、パキッと小枝が折れる。野鳥の声
以外にもさまざまな自然の音がする。
針葉樹林の中から小鳥の声がする。夏は暑苦しく見える針葉樹林も、冬は北風をさえぎり、獲物も豊富にいるのだろう、常緑照葉樹林の少ない
標高の高いこの地では、大切な植生なのかもしれない。ヒガラがアカマツの
枝の先きで転げまわっている。コゲラやエナガ・シジュウカラもいる。期待以上の混群だった。やがて、湧き水に氷柱がはり、雪が舞うようになる。
西暦
月
日
メモ
1998
12
24
鳴く
野鳥の魅力は人によりさまざまでしょうけれども、私は鳴き声に尽きると思っています。自由で変化にとんでいて、なによりも美しい。鳥の姿を探し
て野山を歩いていると、鳴き声で存在を知る方がずっと多いのです。けれども、私は、姿を見たのと全く同じ価値があると考えます。そこに小鳥が
いるのにかわりはないのだから。姿が見えない分、今何をしているのだろうか、何を思って鳴いているのだろうか、などと想像を働かせる楽しみも
あるでしょう。母親が、鳴き声で、赤ちゃんの欲していることが判る、と聞きますが、野鳥の声の聞き分けが出来るようになりたいのが私の願いで
す。
鳴き声にこだわってしまったのは、多分、師匠である山口仁氏の影響が大きいと思います。氏は、数多くの日本産野鳥の人工孵化に、初成功を
収められておられますが、成功に至る過程(より多くの失敗)から、つがいの行動と共に、鳴き声の意味を鋭く観察され、鳴き声で、鳥の行動を理
解できるまでになられました。たとえば、代表的な美声の持ち主であるオオルリのさえずりを聞けば、つがいになっているのか、独身なのか分かっ
てしまうのです。
それでは、萩の代表的な声自慢の小鳥をご紹介しましょう。
ウグイス
萩で、ウグイスのさえずりが聞かれるのは3月中旬頃ですが、あちこちで競い合うように鳴きはじめるのは3月末から4月に入ってからでしょう。
ご存知のとおり「ホー・ホケキョ」とさえずるのは雄の方で、雌は「チャッ」といたって地味な鳴きかたしかいたしません。雄のさえずりも3月から8月
までの期間限定でして、この期間は繁殖の時期に一致します。風流なウグイスの鳴き声も、実は自分の子孫を残すための、雄たちの涙ぐましい
営みであった訳です。
ウグイスの声は昔から最高とされ、日本人は芸術の域にまでもっていきました。その鳴き声は選りすぐられ、いわば作られた鳴き声です。自然
の中では、子どもは、親とか周りから聞こえて来る大人の声をまねして覚えるそうです。 萩のウグイスの鳴き声は、かなり上等であると思います
。どのウグイスも「ホー・ホケキョ」と鳴いているとお思いですか。よく聞くと、かなりいいかげんに鳴いている鳥が多いことか、「ホー・ホケペチョ」と
か、「ペチョホヘ」なんてひどい鳥もいます。昨年5月長野県浪合村で、ウグイスの鳴きかたを調べてみたところ、「ホー・ホケペチョ」と鳴いていた
個体がほとんどでした。その点、室林道で聞いたウグイスは、「ホー・ホケキョ」と鳴く個体がかなりの数にのぼりました。
お盆を過ぎると、「ホー・ホケキョ」の声が聞かれなくなります。94年から98年の4年間の、萩でさえずりの聞かれなくなる日を調べてみますと、
不思議なことに全て8月14日でした。その後は「チャッ」と鳴きます。昔の人は、笹が擦れあうように聞こえるため「笹鳴き」と呼びました。秋から冬
に向かうある日、北風の音だけがする室林道を歩いていたら、ウグイスの「笹鳴き」が聞こえました。しんみりとして、心に響くような声でした。
ホオジロ
昔から、一筆啓上つかまつり候、と聞きなしされてきましたホオジロ、体はスズメのような茶色で、大きさもほとんど同じくらいです。顔は頬白の語
源である白と黒で縁取りされ、なかなか派手です。雄のほうが輪郭がくっきりして美しいのですが、雌のほうも味があり、夫婦そろっている姿はな
んとも言えないものです。
3月も半ばを過ぎると、雄たちは、思い思いに梢のてっぺんに陣取り、空に向かってさえずりをおこないます。これから始まる、すべての生きとし
生けるものにとって、子孫を残すという最も大切な儀式を開始する合図のように。
ホオジロのさえずりは複雑で、それだけに鳥によってメロディや歌詞に個性があり、その変化を楽しむのもおつなものです。探鳥を始めた頃、茶
臼山で聞いたホオジロのさえずりを、何の鳥の声なのか全くわからなかったことがたびたびありました。萩で聞きなれた声とはまるで違っていたの
です。山口仁氏にホオジロの銅鈴を教えていただきました。金鈴のミソサザイ、銀鈴のカヤクグリと共に鈴声の美しい鳥の中に位置付けられてい
るそうです。
ホオジロは一夫一妻で一生をすごすとされています。一夫多妻のウグイスとちがって、春先のさえずりは、雌を獲得するための努力は必要ない
ような気がするのですが、本当のところはどうなのでしょうか。しかし、相手のいない若い雄にとってはたいへんです。若い雄は、来春の繁殖時期
にそなえて雌にアピールする必要があるのです。大人の雄は、喚羽(羽が抜け替わること)の始まる8月半ばでさえずるのをやめ、その後は「チチ
ッ」と地鳴きのみになりますが、若い雄は10月に入ると、再び春がきたかのように一斉に木の頂で 「一筆啓上つかまつり候」とやります。まさにラ
ブレターをしたためて、若い雌に訴えかけているわけです。
西暦
月
日
メモ
オオルリ・キビタキ
萩小探鳥会の一番人気といえばオオルリとキビタキでしょう。両方とも萩へは4月の10日から20日の間頃にやって来ます。室林道や観音山に
は毎年やって来て、春の探鳥会のお目当てにされています。昨年はテレビにも放映され、名古屋の愛鳥家からの問い合わせがあったとお聞きし
ています。
姿や声の美しい鳥としてもてはやされておりますが、どうも私は苦手です。華美に過ぎるのは生まれつきだから責任は無いとして、観察の対象と
しては、私の未熟さのため面白味に欠けるのです。ただ、その声に酔い、姿にほれぼれするばかりです。昨年の春、山口仁氏から、オオルリのメ
ロディの中に刻まれている意味を教えていただきましたが、とても私の手に負えるものではないと思いました。夢として、オオルリの歌のバリエー
ションを調べてみたいとは思います。ホオジロと同様、オオルリのさえずりには個体差がかなりあると感じていますから。
群れる
もうひとつの野鳥の特徴として、群があるとおもいます。初冬の駒場池にはマガモ、コガモが何百羽と水面をうめておりますし、実りの秋には、ス
ズメの大群がおこぼれをいただこうとしています。行動に関する学問的なことは分かりませんが、野鳥を観察していて群にであうといつも心がおど
ります。これからいくつかの野鳥の群風景をご紹介しましょう。
カラ類の混群
シジュウカラ・ヤマガラをカラ類といいます。2種類ともおなじみの小鳥ですが、彼らはよく一緒になって群をつくります。その群にはさらにエナガ・
コゲラ・メジロが参加します。種類の違った群ということで混群と呼んでいます。混群にであうと、それはもう素晴らしい野鳥たちのパフォーマンス
を満喫できます。まずピーピージュリジュリと小さな体に長い尾のエナガがやってくると続いてジュクジュクとネクタイ姿のシジュウカラ、茶色いぬ
いぐるみのような少し愛敬のあるヤマガラが枝を飛び回ります。群の中心で大将格ですが、体が大きい分エナガのようにすばやくは動けない。メ
ジロは単独でも群を作って行動する場合が多いのですが、混群にも参加します。チイチイと可愛らしい声と姿は群を明るくしてくれるようです。最
後にコゲラは混群になくてはならないキャラクターです。ギーギーととぼけた感じの声と、他の鳥の動きについていけなくておたおたしている様に
見えるが、我が道を行く、みたいに振る舞っている。何か人の世を垣間見ているようで、自分はどの鳥かなと思ってしまいます。(ヤマガラあたり
かな)
カワラヒワ
初冬から初春までの柔らかい陽射しの中に群れるカワラヒワ。日に透けるような羽の鳥は他にはほとんど見当たりませんが、軽やかな感じを受
けるため大群でも全く威圧感がありません。春から夏にかけては山で子育てをして、秋から春先まで田畑に集まって大きな群をつくります。数年
間の観察でも50羽以上の群は11月から3月に集中していて、私の冬の探鳥の大きな楽しみのひとつになっています。
狙う
野鳥を観察しているといろいろな場面にであいます。いつも可愛らしく平和的な光景ばかりではないのです。少しばかりショッキングではあります
が、これが野生なのです。
オオタカの狩り
西暦
月
日
メモ
1998
12
26
ゴジュウカラ
ゴジュウカラがいた。同じ木にはコガラが餌をついばんでいた。2種類の餌の捕り
方に差があることが分かった。コガラは枝先を丹念につついている。まあ他のカラ
たちと差は無いが、ゴジュウカラは幹を下りながら苔をはいでいる。なんとなく
強引な感じだ。けれども、虫も寒さをしのぐため苔に潜り込んでいるだろうから
うまい方法だろうと思われる。
1998
12
27
ホオアカ
ようやくホオアカがやって来た。3羽確認できた。3羽共♂のようだ。昨年は12月16日に確認をして3月7日までいた。いるのではないかと注意し
ていて想像どおりなのはやはり気持ちがいい。
そのあとすぐにセッカがいた。セッカも去年の12月26日に見た。よくよく相性のいい鳥達である。
98.12.27
1998
12
28
大空の喧騒
いつもカラスの追いかけられてばかりのトビが、3羽で1羽のカラスを追い回している。電線の上ではやはりカラスとトビの小競り合いが真っ盛りで
ある。何かに驚いてアオサギの群が舞い上がる。気の早いヒバリがさえずりを始めた。たんぼの傍にはトビが休んでいる。やはり大きいものだ。
目の前に2羽のチュウヒがやはり羽を休めている。つがいかもしれない。その一羽に向かって舞い下りるものがいる。ハヤブサだ。少し遠くでコチ
ョウゲンボウが徘徊している。いつの間に来たのかミサゴが頭上を飛び去った。このように、汐川干潟の空は猛禽類で騒がしかった。
98.12.28
1998
12
29
羽根
1枚の田んぼで何種の鳥がいるだろうか
セグロセキレイ
ケリ
ハクセキレイ
タヒバリ
ムクドリ
ツグミ
1998
12
31
3
2
1
2
1
1
アカゲラ
声はよく聞くが姿をみるのは久しぶりである。頭と尻の部分が真っ赤ではっとする色合いである。
西暦
月
日
メモ
1999
1
2
財賀寺への道
9日の土曜探鳥に財賀寺に遠足となったので、萩に抜ける道を確認する必要があり正月休みの間にと逆順ではあるが歩いてみた。今日もきれい
に晴れた素晴らしい天気である。
少し坂道を登ったら汗ばんできた。朽ちた松が行く手を遮り乗り越えて進む。ルリビタキがいた。恐れる気配も無く盛んに餌をさがしている。今年
になって随分ルルビタキやジョウビタキを見ているがいつも警戒行動しか見ておらず、餌をとる姿は初めてで感動した。
10分ほどで遊歩道の本道にでた。
これで今日の用は足したが下の方から鐘の音がしてきたので、さらに足を進める。アオゲラ、ミソサザイが出迎えてくれた。うっそうとした自然林に
は数多くの野鳥がいることだろう
99/01/02
1999
1
9
雪の日
昨日からこの冬一番の寒波が雪景色の朝をつくった。ヒヨドリが雪を落として飛び回る姿が窓から見える。田畑はすっかり雪に覆われている。羽
根の田んぼではカワラヒワの群が渦をまいていた。500羽以上はいるだろうか、数の多さはこの冬一番である。山から降りて来たのだろうか。天候
の変わり目は鳥の観察にはチャンスだ。クロジを求めて室林道に向かう。97年はクロジが多かったが98年は0であった。雪のため明るい斜面は鳥
はいそうもなかったが、かすかに鳴き声がする。アオジにしてはか細い声だ。幸いにしして雪は小降りになってきたので双眼鏡を取り出して姿を懸
命に探す。そしてついに庇のようになっていて雪の振り込まない場所に1羽のクロジを見つけた。羽色の感じでは雌のようである。あまり行動範囲
は広くない。今日は1羽しか確認出来なかったが、しばらくは注意が必要。
99.1.9
1999
1
17
カヤクグリ
昨年ペアで鳴き会っていたのを確認できたがそれっきりで、その後は単独の姿しか見られなかった。何処かに行ってしまったのだろうかと1羽に逢
うたびに悲しい思いになったが、今日のつがいの睦ましい鳴き合わせを聞くことができ、そんな気持ちが吹き飛んだ。たぶんいつも挨拶してくれる
のは主人で、奥さんは奥の方にいるのだろう。道を挟んで山と谷とから呼び合っている声は羨ましい限りであった。
1999
1
23
99年最初の土曜探鳥会を行った。2週間間に雪のために遠足は中止になったが、萩の野鳥の観察は欠かせたくないと思い参加を募ったところ、4
人の低学年の子どもたちが来てくれた。少しでも野鳥や自然を好きになってくれたらいい。運良くホオアカやノスリを観察できた。
1999
1
30
室林道(L)
ホオジロ、シジュウカラの囀りが聞かれた。ヒタキ類の姿は無い。カヤクグリの声は今日もあった。
1999
2
6
室林道
風は強いが、そんなに寒くない。陽射しが強くなったのを実感した。
カヤクグリのペアを初めて見る。同一個体のカヤクグリをこれほど長期間観察出来るのは初めてだ。定点観察で行動を追ってみるのもよいかも。
不思議なことに先週も今週もジョウビタキ、ルリビタキの声・姿が無い。
一宮金沢
ため池で一つがいのオカヨシガモを見る。これも珍しい。バンを5羽以上確認。
カシラダカは相変わらず多い。条件が良いのだろう。
ベニマシコの雌がいた。平地では今冬初めて見る。
一番寒い時期ではあるが、早春の野草が花を咲かせている。オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ナズナ。
西暦
月
日
メモ
1999
2
9
ジョウビタキ
朝5時半、我が家も縄張りに入れて居る雄のジョウビタキが、窓から進入しようとバタバタしているのを見た。野鳥を観察しはじめて初めて見る光景
であった。
1999
2
12
ジョウビタキ
一昨日と同じ光景にであった。窓ガラスにぶつかってもかまわず明かりに向かっている。手で掴めそうな感じがする。餓えているのだろうか。そん
なことは無いと思う。彼がやってきたのは昨年10月24日であった。それからは、家の周りを巡回して回る姿を頻繁に見かけるようなった。西側には
やはり雄が縄張りを作っており、時々鉢合わせをしている。南側は雌がいる。互いに相手の縄張りは侵さない決め事を守っているようである。少し
ずつ春の気配がしてきた。ふるさとに帰るのはいつ頃になるのだろうか。
1999
2
13
ルリビタキ
県民の森でルリビタキを一杯見る。他の鳥は見かけなかったが、ルリビタキだけは満足。それと渓流の美しさである。アクアマリンからエメラルド色
まで久しぶりに美しい水に出会った。
1999
2
21
室林道
カヤクグリを別の場所で見る。鷹場と名づけた場所で、過去にもカヤクグリを見たことのある場所である。昨年から定着した個体とは関連あるのか?
。昨年からの個体は一時ペアでいたのを確認したが、単独で居ることが多いようでもあるし、どうもはっきりしない。
カラ類の行動が活発になった。日の長さが影響しているのか。
ハイタカの2羽見る。ペアなのかもしれない。
1999
2
27
心配した雨も昨夜のうちに上がり、晴れ間の覗く中を県民の森に着く。静かな雰囲気に2週間前と違うものを直感した。予想どおり、あれほど沢山
いたルリビタキの姿はなかった。今、ドラスティックな変化を目の当たりにした。これが探鳥の醍醐味でもある。
初めて車椅子を押した。
1999
3
6
室林道
久しぶりにルリビタキを見る。毎年2月に一度姿を消し、3月に入ると再び見かけるようになる。
ヤマガラの囀りを今年初めて聞く。ホオジロは以前から囀りをしているが、力強さが加わって来た感じだ。
カヤクグリはまだいる。今年は、山に戻る時期を確認できるかもしれない。
1999
3
7
雨ではあったが田んぼの中は野鳥たちに溢れていた。まずはカワラヒワであるが、1月9日の雪の日に次ぐ大きな群をつくって、田んぼの上を旋回
している。3つの塊で巴になって回っている。電線に止った数は300羽以上いそうだ。注目度では、ヒバリも負けていない。2羽以上の雄が雨空でさえ
ずりをしている。先週までは見られなかった光景である。2羽による追いかけ行動も見られた。ツグミ、タヒバリ、キジバトは黙々と採餌、カシラダカも
数は多くないが、水路近くで餌を採っている。心なしか夏羽が出ているみたいだ。
1999
3
9
トラツグミの初囀り
寝床から起きると同時にトラツグミの囀りを聞いた。あいにくの雨模様で、やはりと思った次第。寂しげな声は一度聞いたら忘れられない。春先にな
ると、イカルやフクロウなどが盛んに鳴く。やがて、3鳴鳥に代表される囀鳴の季節が始まる。
西暦
月
日
メモ
1999
3
13
自宅付近
ハシボソガラスが巣財を咥えていた。少し前に交尾らしい行動を見る。
一宮町鳥会。今年も参加する。2年目の今年は、探鳥会専門になり、随分やり易くなった。
2時間熱心に鳥を探した。
ウグイスの初囀りを聞く。25種の野鳥を確認。
1999
3
20
豊橋公園にて
レンジャクは確認できなかったが、興味深い観察ができた。ハシボソガラスがあまり人を恐れないことだ。ドバトならば分かるが、萩では見られな
い光景である。数メートルまでは許してくれる。都会の中にパッチ状の緑地
帯。何処までも植生が続く場所とは異なる環境で野鳥の観察するのは興味深い。
今読んでいるR.H.MacArthurの島の野鳥研究にも通ずる感じがする。
1999
3
21
羽根
2羽のツバメが雨の中を飛び回っていた。越冬ツバメなのだろうか。それとも、今年は、サクラ前線も早いそうであるから、渡って来たのかもしれな
い。
冬鳥のツグミ、カシラダカ、タヒバリ、ハクセキレイもまだ残っている。
カシラダカの羽色が鮮やかになってきた。もう少しでホオジロと見間違う
ほどになる。ツグミが1枚の田に集まって採餌をしているのが印象的であった。ツグミは繁殖地に帰る前には群をつくるが、何かそれを暗示してい
るみたいだ。カワラヒワは相変わらず最大の群を作っている。100羽以上はいるだろう。
1999
3
27
雨後曇
宮路山に向かう。夏鳥の確認が目的であるが、むろん姿は未だなかった。その代わりマヒワの群に出会った。今年の冬はもう見ることが出来ない
と諦めていたが、移動中の出会いなのだろう。ウグイスやヤマガラの囀りが盛んであったが、あと1ヶ月もすれば夏鳥の声で溢れるだろう。
羽根の田んぼでは、ツグミ、ハクセキレイたち冬鳥が未だ帰らずに最後の餌を捕っていた。数は10分の1以下に減っている。
そして、夏鳥のコチドリの姿が2羽確認できた。
囀りでは、ヒバリ、セグロセキレイ、トラツグミが目立つ。
室林道
カヤクグリが姿を消して2週目になった。昨年の秋からずっと同じ場所にいたのであるが、繁殖のため山に向かったのだろう。ラインセンサスの度
に美しい声を聞かせてくれた。
1999
3
28
昨日の雨が上がり抜けるような青空が広がる。しばらくは朝日に向かって車を進める。
津具村から豊根村に向かう途中でミソサザイの囀りを聞く。半年ぶりの懐かしい声である。
2羽が接近して縄張りを主張している。ヒガラの声も懐かしい。
茶臼山は比較的風も弱く穏やかであった。スキー場の雪もすすけ、冬は遠のいていた。
カヤクグリが微かな囀りを繰り返している。かなりの数がいそうだ。
津具村にいたミソサザイも茶臼山では未だ鳴いていない。ウグイスはもうかなりあちこちで鳴いているが、北面だけは寒いのか鳴き声が無かった。
茶臼湖周辺でカシラダカの群がいた。ただの群では驚かないが、この群は賑やかに囀りを行なっていた。
平地で聞く地鳴きと比べると別の鳥のようだ。(ヒバリの様)今までの観察でも一番早い囀りの観察日である。
西暦
月
日
メモ
1999
4
3
宮路山
コマドリの確認できなかった。ウソがまだ徘徊している。
自宅周辺
イソヒヨドリを見る。萩小で何回か見られているが、海岸の環境がイソヒヨドリにとって住みにくいものになっていった
ためだろう。数年前に山口さんから聞いた時にはまさかと思ったが、こうして実際にみると、嬉しいよりも複雑な
気持ちである。
三河湖
寺ノ入林道はまだ芽も吹いていなかった。野鳥の声もあまり聞かれない。呟くような声が聞こえて来るが、判別
がし難い。
室林道
オオタカの姿があった。いつもの場所の枯れ木で羽を休めていた。少し前自宅から確認した個体なのか。
1999
4
4
室林道
センダイムシクイを確認する。昨年も夏鳥の一番乗りであった。場所も松の比較的残っている所である。
来るなりかなりの大声で囀りをしている。コマドリは未だいない。
宮路山から蒲郡市
今日もコマドリの確認をする。車でセンサスした限りでは全く気配は無い。三谷漁港ではセグロカモメ、スズガモなど。
ユリカモメはすっかり夏羽になっていた。
サクラは今が一番の見頃である。林道沿いにはタチボソスニレの薄紫やノバラの純白の花が咲き、虻の羽音がする。
レンゲやムラサキハナナが咲き始めた。
1999
4
8
観音山にてコマドリ今年初確認。
昨年よりも3日遅いが、まず早い方か。地元で聞くコマドリの囀りは格別である。
1999
4
11
茶臼山に行く。
ビジターセンターではミソサザイの囀りが谷川の音に混じって聞こえる。これからの茶臼山はミソサザイの声であふれる。長野県側でルリビタキの
囀りを聞いた。高山の鳥の代表である。冬の地鳴きとは全く違った声が新鮮さを覚える。ミソサザイも鳴いている。コマドリの声は無かった。音羽
での初確認から3日目の今日は、やはり少し早かった。コガラが鳴く。カラの中では地味な可愛らしい小鳥だ。小鳥の森を歩く。ザゼンソウやミズ
バショウが花開いていた。アカゲラの番が餌を捕っていた。
1999
4
17
茶臼山から高嶺を廻る
茶臼山で今年初めてコマドリを確認した。茶臼山全体で3羽の確認であった。やはり茶臼山にはコマドリが似合う。コルリは未だいない。
高嶺ではやはりコマドリ、ミソサザイを聞く。ルリビタキもいた。茶臼山の北に位置し、100m以上標高が高いこの山には、ビンズイやアオジなどと
いった高山の鳥がいる。山頂でアオジが鳴いていた。
裏谷でもコマドリがいたし、設楽町豊邦では移動中のコマドリを確認出来た。
西暦
月
日
メモ
1999
4
18
クロジ
4月の半ばを過ぎようとしているのにクロジの群を観察した。
場所はオレンジロード料金所付近の西切山である。今年は1度きりしか見ていないので、正直な所驚いた。
見事な♂の墨色と、♀の控目な姿があった。数羽の姿は確認出来たので、10羽以上の群ではないだろうか。
裏谷で撮影した個体よりも鮮やかな墨色であった。
1999
4
25
室林道
サシバの番を確認。今年初確認である。かすかに鳴き声がした。早いなとおもったが、2つの影が寄り添い逢うように弧を描いていた。ペアだ!初
めての出会いがペアとは。サシバは秋の渡りが有名になってしまったが、田植えが始まる頃やって来る、里山の初夏に欠かせない風物詩である
ことを忘れてはならないと思う。2羽の影は谷間からどんどん高度を上げやがて頭の上を通過した。
1999
4
27
茶臼山
コマドリの♂と♀の鳴き合いが盛んになる。数も増えている。
コルリやオオルリの囀りも聞かれるようになった。
アカハラを見たが、囀りは確認できなかった。
ヒガラやコガラは群で行動しているのと、ペアでいる個体がありそうだ。
小鳥や昆虫も増えてきた。当然捕食者もやって来る。ツミが一声二声鳴いて
山の端に姿を消した。
森ではアオゲラが大声で鳴いている。牧場ではヒバリである。こんな高原にも
いるんだな。
みどり湖
オオルリの囀りの声がダム湖の対岸の森からする。数羽はいるのでは。
明るい陽射しに輝く若葉が素晴らしい。エメラルドグリーンの湖面が透けるようだ。
ヤマセミの姿は確認できない。
ツツドリが鳴いた。今年初確認。
1999
4
29
室林道
オオルリやキビタキの囀りも本格的になってきた。オオルリなどは目の前で囀りをしている。全く恐れる様子が無い。キビタキの番を確認。地鳴きを
聞かれるようにもなった。繁殖の準備も着々と出来ているのか。
1999
5
1
汐川干潟
シギ・チドリ類は未だ寂しい
チュウシャクシギの確認のみ。水田側では今年初のアマサギを見た。
豊川河口
チュウシャクシギが4羽、コアジサシは今年初確認。シロチドリの姿もあった。
1999
5
2
高嶺
カラマツの新芽が吹いてきた。野鳥の囀りも一段と活発になった。コマドリ、コルリ、ルリビタキは言うにおよばず、ビンズイやアオジの囀りも聞か
れるようになった。アオジは確かに日本産の羽色をしていたし、ビンズイが枝の上を歩く様も確認。頭上をパラグライダーが空気を切って飛びすぎ
た。
西暦
月
日
メモ
1999
5
3
寺ノ入林道
08:25から09:40までラインセンサスを行なう。オオルリの囀りが盛ん。今日確認したいのはサンショウクイである。ポイントはマツ林であるが、寺ノ入
林道はアカマツが豊富に残っている。
行程の始めの場所に鳥のポイント(勝手に名前を付けている)がある。コサメビタキなどの変わった鳥が見られる。今日も足を止め鳥を探す。警戒声
を出しているキビタキの♂がいた。ウグイスもかなり高い所で囀りをしている。
聞きなれない声がした。白と黒の鳥が2羽いる。もしかしてと双眼鏡を向ける。やはり間違いなくサンショウクイであった。エナガのジュリという声にも
似ているように聞こえる。地鳴きは聞いたことが無い。やはり来ていた。番ならば繁殖が期待出来る。囀りも聞かれた。
千万町から夏山に向けて下る。花崗岩の石切り場でキビタキを聞く。車を停めた途端ヒリりという声を聞く。サンショウクイだ。盛んに鳴き声がするの
で姿が見られるだろうと待つ。やがて1羽のサンショウクイが波状に飛ぶ姿が見られた。運良く木に止ってくれた。白と黒のスマートな姿がそこにあ
った。
1999
5
5
室林道
ラインセンサスを行なう。13:06~14:13
室側から長根側まで全コースを歩く。
ヒヨドリが活発。ツツドリの声がした。
サンコウチョウは気配なし。
オオオサムシを3匹見る。
1999
5
8
土曜探鳥会
新しく来られた細川校長、子ども5名(内4名は1年生)、保護者1名が参加した。
室林道ではオオルリ、ヤマガラ、サシバを見る。
コジュケイのかわいい姿も見られた。
途中、おたまじゃくしすくいで盛り上がる。
羽根ではハクセキレイの夏羽すがたを確認。うっかりセグロセキレイと説明してしまった程である。
カルガモが7羽もいた。子どもたちは大喜びである。
11時無事学校に帰る。
1999
5
9
汐川干潟
ようやくシギ・チドリが干潟を賑わせている。キョウジョシギやキアシシギ、メダイチドリの夏羽が鮮やかである。チュウシャクシギの群の数も増えて
いる。少数ではあるが、ソリハシシギとムナグロも確認できた。スズガモの群がまだ残っている。水田側では、ケリのけたたましい声が切れ目無く
続いていた。珍しくタマシギのつがいが水田を歩いていた。地味な♂が先に、鮮やかな色の♀が後に従っていた。
1999
5
15
蛇峠山土曜探鳥会
昨年はオオルリの姿しか確認できなかったが、今年は亜高山性の野鳥を堪能できた。ヒガラの可愛らしい姿、声に子どもたちは満足したようだ。
しっかりした6年生が卒業した後に、大勢の1・2年生が入ってきた。この中から鳥好きの子が何人か出てくれるだろう。
1999
5
16
ホオジロ
♂がソングポストで囀りをしている姿が目立つ。自己主張なのだろうか?
アマサギの数が増えた。13羽確認。
室林道でサンコウチョウを確認。鳴きかたは昨年の個体とよく似ている。同じ個体なのだろうか。
西暦
月
日
メモ
1999
5
22
運良く野鳥の囀りで溢れんばかりの茶臼山に着いた。カッコウが鳴いている。高原に来てカッコウの声がないと何となくもの足りない。これはライ
ンセンサスしなくては。ヒガラ、コルリ、コマドリは言うまでもなく、アカハラやカッコウが鳴いて夏の高原の雰囲気を醸し出す。
みどり湖に立ち寄る。今日のみどり湖はすごかった。久しぶりにヤマセミ、アカショウビンを確認できた。アカショウビンの声に重なるようにアオバト
の声がする。
最高の日だ。
1999
5
29
室林道ラインセンサス
キビタキの囀りが盛ん。反対にオオルリの囀りはめっきり少なくなった。今日も1羽のみであった。声の調子は比較的単調で、寺ノ入林道で見た若鳥の
感じに似ている。単調ではあるが力強く繰り返しているので何となく気になり、繁みに入り注視する。すると、♀のオオルリが囀りを気にしているよう
な姿が目に入った。♀の囀りかとも思ったが、嘴の動きが無いのでやはり♂が居るのだ。
キビタキの♂の美しい姿を観察した。かなり神経質な感じだ。これが隣で囀っている♂に対してなのか、それとも自分に対してなのか。いずれにして
も育雛を守る♂の姿を思うのであるが。
1999
5
30
寺ノ入林道
定点観察 14:20~15:30
サンショウクイの番を確認。ある範囲内でおよそ直径100mくらいの円を描いて2羽で飛翔行動をしている。1回の飛翔時間は1分以内で、直に木陰に入
ってしまう。そしてまた、多分♂の先導によって♀も誘われペアの飛翔を再開しているように見える。多分、姿の隠れる場所は今年初めて姿を確認
した辺りだろう。「野鳥」でもサンショウクイの数が減少していると報じていたが、この希少な鳥が子育ての出来る環境がいつまでも残ってくれることを
祈るばかりである。
1999
6
5
PM2:30床を出る。4:30ビジターセンターに到着する。坂宇場川沿いにオオルリの囀りが連なって聞かれる。
ミソサザイが迎えてくれた。やはり鳥を見るには早朝に限る。あらゆる種類の鳥の声が一度に聞こえてくる。今日が期待出来そうだ。
茶臼山ではホトトギス科のオンパレードである。やはりカッコウはいい。アカハラの明るい声が初夏を感じさせる。
高嶺に向かう。9:00到着。こちらもやはりホトトギス科が元気が良い。反対にルリビタキの声が聞かれなかった。
やはり1500mを越す山頂に見所が多い。ビンズイがソングポストで囀りをしていた。ヒバリとミソサザイを足したような声だ。
有刺鉄線の上にホオアカがいる。見事な♂だ。飛び去った先に♀がいた。繁殖しているんだ。しばらくすると2羽で行動しているのが
観察できた。アオジの囀りもする。奇麗な♂が潅木の先に止っていた。
山頂の上空ではツツドリが飛び回っている。
夏至間近の山の鳥を堪能できた。
1999
6
6
土曜探鳥会
室林道から羽根を廻る。今年は低学年の子が多いので賑やかだ。先が楽しみでもある。
室林道ではキビタキ、サシバ、ホオジロなどに出会えた。やはり姿が見られると子どもたちは目が輝く。最後にはお目当てのサンコウチョウの声も聞かれた。
月星日のメロディが気に入ったようだ。
羽根ではバンがいた。近藤さんのカービングは見事であった。
1999
6
8
汐川干潟
水田側はケリが主導権を握っている。ハシボソガラスがテリトリに入ると群で防衛する。けたたましい声が切れ間無く聞こえる。ダイサギの群が餌
を捕っている。嘴の色が黒と黄色のかかった個体がいる。干潟は満ち潮でシギの姿は無い。その中で3羽のダイシャクシギが片足で休んでいた。
久々の確認だ。
西暦
月
日
メモ
1999
6
13
茶臼山
キクイタダキとミソサザイそしてヤブサメ小型種の代表がそろって元気がよい。キクイタダキは春先以来の賑やかな囀りを聞いた。ミソサザイにし
ても声が大きい。どうやら2度目の繁殖に入ったようだ。小鳥の森でラインセンサスを行なう。ミソサザイの空いた巣があった。尾をモズのように回
した♂の姿があった。りょうぶの丘でコサメビタキの姿があった。この鳥は鳴き声で発見するのは本当に難しい。すぐ近くでヤブサメの辺りを圧す
る囀りがする。小さな体ですごい声だ。遠くからカッコウの声がする。
1999
6
20
茶臼山
マミジロの囀りを確認した。今年は遅い確認だ。アカハラと共に高原の夏鳥の代表である。姿が魅力的だ。霧の中から聞こえて来るゆったりした
声は、この声を聞くためだけにやって来た気持ちを高ぶらせた。アカハラはいつものソングポストで美声を聞かせてくれた。
1999
7
4
室林道
ホオジロの囀りが復活。ソングポストに陣取った血気盛んな♂があちこち。
この時期になると子の姿を見かけるようになる。ホオジロの子は親と変わらない大きさにまで育っている。
喉元が少し膨れているように見える。食べ物をほうばっているのか?
ヤマガラの子どもがいた。近くで親の声がした。
寺ノ入林道
ノスリが3羽で輪を描いていた。近くで繁殖しているのは間違いないだろう。サンショウクイの飛び回る姿があった。
1999
7
10
盛夏間近の高原 茶臼山&高嶺
茶臼山
マミジロの囀りがあちこちから聞こえる。なんともゆったりとした牧歌的な声が魅力的だ。コマドリの空気を切り裂くような鋭さが全く無い。アカハラ
のように明快さも無い。けれども一度聞いたら虜になる鳥だ。針葉樹の頂で漆黒の中に白い眉が目に残る。その他(申し訳ない)アカハラ、コマド
リ、コガラ、ヒガラ、オオルリ、カッコウとまだ元気に鳴いている。そのなかでコルリの声が無かった。
高嶺
山頂で営巣?中のホオアカの番に出会う。今の所この1ペアしか確認していない。そんなに広くないので、そう何番(つがい)も養えないのだろう。
ゴジュウカラの連続的な声を初めて聞いた。しばらくはたった一人で雄大な景色を一人占めしていたが、やがて鳥人たちを乗せた車が登ってきた
。山頂からのパノラマは素晴らしい。わが茶臼山は堂々としており、向かいには蛇峠山。東は曇のうえから3千m峰の連なり。トンボやチョウも随
分いた。ヤマオダマキを見た。黄色の花は真下に開いていて地面に顔を付けないと見られない。アオジの囀りも聞こえる。本当に素晴らしい所だ
。
1999
7
10
土曜探鳥会
今月は夜の探鳥会。まだ日の残っている18時30分に集合。随分集まった。20人以上はいるかな。昨年は下賀茂神社でアオバズクを見たが今
年はどうだろうか。ねぐらに入る前の鳥たちを見ながら龍源寺に向かう。龍源寺に着いた頃はすっかり暗くなり、照明に照らし出された境内が幻想
的でもあり少し気味が悪い。去年ムササビを観察して果たせなかった場所で腰を下し待つ。15分ほどして子どもが何かを見つけた。それは獣の
ようであった。それはスギの木を登りはじめた。懐中電灯に照らし出されたのはお目当てのムササビであった。皆大喜び。多分子どもたちはこの
時を一生忘れないだろう。暗くなるにつれ梅雨時には珍しい星が瞬きはじめた。織り姫、彦星、白鳥、火星、乙女などの名前を覚えて帰った。
西暦
月
日
メモ
1999
7
11
ツバメのモビング
夕方我が家近くでツバメがモズに対してモビングをしている光景を観察した。5羽のヒナガ電線に止っている。近くのやはり電線でモズがキキキと鳴
き声を上げている。巣立ちビナ達とモズまでの距離は50mしか離れていない。すると親とおぼしき個体2羽が電線に止っているモズをめがけてモ
ビングを繰り返している。1mくらいまで接近して威嚇する。モズは無視しているがあまりしつこいのでその場を離れた。モズが電線に戻ると又親
たちは追い払おうとモビングする。よくトビやオオタカにカラスがモビングをするが、こちらは退屈しのぎでどちらも真剣味は無い。小鳥のモビング
は捕食者に対するものであるから命がかかっているので真剣であり、相手が去るまで続けられる。今日はそんな光景を目撃した。
1999
7
17
裏谷
3ヶ月前の同日に訪れたときには新緑であった今は濃い緑に覆われている。鳥の姿にも違いがある。例えばエナガの幼鳥の群が餌を求めて移動
している。マミジロの声がした。標高900mならば不思議ではないが、あまり聞いたことがなかったのでハットした。続いてコルリ・コマドリが鳴いた
。ゴジュウカラやコガラ・ヒガラはここが野鳥の宝庫であることをつくづく感じさせる。静かな森から聞こえて来るミソサザイの囀りはひときわ印象的
であった。裏谷から流れる渓流沿いに家路に向かった。
1999
7
18
気温、湿度とも高く鳥を観察するのも躊躇われる様な日であった。羽根の水田は今の時期が一番鳥を見つけ難い。苗も成長し鳥が餌を漁ってい
ても姿を隠してしまう。
室林道ではオオルリやキビタキに混じりセンダイムシクイの声が聞かれた。寺ノ入林道ではかなりの数がいるが、室林道では少ない。生息場所も
狭い気がする。ホオジロやウグイスは相変わらずよく鳴いている。
1999
7
24
標高1270mの治部坂から蛇峠山1620mまでの標高差350mをラインセンサスする。500ccのスポーツドリンクをポケットに仕込んで出かける
。別荘帯は今年巣立った幼鳥たちが盛んに餌を探していた。馬の背付近でアカハラの明るい声を聞く。コマドリが鳴いている。5月の探鳥会の時
期からあまり差は無いようだ。山頂ではトピックスがあった。ホシガラス(幼鳥)が1羽。針葉樹の天辺に止っていた。全く恐れない。木曽駒ヶ岳で
見たきり。まさか蛇峠山で見られるとは夢にも思わなかった。道端にはホタルブクロやトラノオなどが紫色の可憐な姿を見せている。白と紫色が目
立っている。帰りがけ山頂を振り向いたら、ノスリのペアがゆっくりと飛翔していた。
1999
7
31
室林道
キビタキの幼鳥を確認。近くで雌親がいるので安心しているようだ。しばらくは強い陽射しの当る場所にいたが、やがて母親の待つしげみに帰っ
ていった。
1999
8
1
汐川干潟
水田
ケリ・セッカが元気がいい。縄張りに入ろうものなら大騒ぎされてしまう。特にセッカの♂は忙しそうだ。
干潟
キアシシギが2群いた。それぞれ5羽くらいの群だ。カルガモ・カワウ・アオサギが30羽以上の群でいた。
積乱雲が発達し、夏空を絵に描いたような風景だ。
1999
8
7
茶臼山
ウグイスを始めとして野鳥の囀りも峠を越した感じだ。2時間30分のラインセンサスの間にコマドリ2羽、アカハラ1羽、ホトトギス1羽のみである。
南東面に広がるお花畑には毎年ホオアカやコヨシキリが巣を造っていたが、今年は付近の道路拡張工事で騒がしく全く姿を見ない。近年の観光
化は自然を売り物にして自然を失っている。
西暦
月
日
メモ
1999
8
8
カワセミ
久しぶり♂のカサセミを確認した。未だ水量の残っている川は餌を捕るのには好都合だろう。
コシアカツバメ
水田の上を数羽のコシアカツバメが舞っていた。例年春先よりも夏の盛りから姿を見せはじめる。今年も同様だ。普通のツバメよりも飛びかたが
優雅である。
1999
8
9
寺ノ入林道
入道雲が林立している。まさに夏の空だ。強い陽射しが肌を刺すようだ。タカが出没する見晴らしのよい場所で定点観察を行なう。見晴らしの良
いかわりに日蔭が全く無い。ノスリの声がする。やがて1羽のノスリが上空を鳴きながら旋回した。そして聞きなれたサンショウクイの声。目をこら
すと上空を3羽並んで飛び去った。ウグイスやホオジロの声もするが、さすがに数は少ない。むしろイカルの囀りが盛んである。しばらく見晴らし
の良いソングポストで美声を聞かせてくれた。
1999
8
12
臨海緑地公園
浜辺
キアシシギの群(22羽)を確認。カニが大量にいた。サギなどの格好の餌になる。
陸地
ヒバリとセッカがやたら多い。ヒバリは囀りこそないがいたるところで餌を啄ばんでいる。セッカの♂は縄張り内の見回りで大忙し。
1999
8
13
茶臼湖サイド
マミジロの囀りで目を覚ました。初夏の頃あまり鳴き声を聞かなかったので心配したが、夏の後半は自分の出番とばかりに鳴いている。
昨夜は久しぶりに素晴らしい星空を堪能した。天の川が南北に流れ、ちょうど茶臼山かけて射手の最も華やかな銀河が輝いている。肉眼でも暗
黒星雲の裂け目が良く分かる。双眼鏡の視野には干潟星雲、三裂星雲、盾座の散開星団、北の空にはアンドロメダ星雲、運良くペルセウス流星
群にあたり数個の流れ星も見ることができた。
未だ薄暗い4時過ぎ、鳥を求めて出発する。マミジロの囀りが群になって聞える。そして見事な♂の成鳥が飛び回っている。まさにマミジロの世界
だ。
アカゲラ・アオゲラ
この美しいキツツキたちも活発に活動している。西面の独立樹にアカゲラがやって来た。しばらくするとアオゲラも同じ木にとまる。
2種類の美しい赤色がちらちら見えた。
1999
8
14
室林道
ようやく子連れの野鳥を見た。キビタキである。幼鳥には斑点があるので分かりやすい。
ホオジロの幼鳥も見た。
1999
8
22
室林道
ホオジロの囀り個体数がめっきり減った。代わりにメジロやヤマガラが目立つようになった。目立たないようにしているのがヒタキ科。今日はオオ
ルリの♂♀がいた。♀も囀りをしていたようだ。センダイムシクイがハンノキで餌の虫を探していた。
1999
8
27
富士山 五合目
30年ぶりにやって来た。かすかな記憶しかないが、確かにここだった。霧の中からメボソムシクイの囀り。やはり高所なんだ。ウソやルリビタキの
声もする。高山の鳥の雰囲気を楽しんでいたら、ウグイスが鳴いた。
西暦
月
日
メモ
1999
8
28
蛇峠山
ススキの穂がそよ風になびく。ここは1400mの高原だ。平地ではまだまだ厳しい暑さが続く。野鳥たちの囀りもほとんど聞かれない。替わりにひそ
やかな声で話す会話が良く聞えるようになる。ウグイスが警戒の声を上げる。警戒の主はむろんこちらだ。警戒の声を上げた2個体に出くわした
が、共に雛らしい声が近くから聞えた。舌打ちするような声はヤブサメである。囀りのころはほとんど姿を見せないが、この時期はよく潅木の枝に
止っている姿を見る。この鳥も本当に小さい。小さいがきりりとしている。蛇峠山の山頂でキクイタダキの番を見た。頭の頂の菊模様がこんなには
っきり見られたのは初めてだ。
1999
9
4
汐川干潟
シギ、チドリは少し早い。イソシギが数羽いただけ。その代わりにアマサギの大群(150羽以上)が干潟の上を優雅に舞っていた。何時もは隣の水
田で餌を捕っているのであるが。
神野新田
カイツブリの親子4羽が遊んでいた。2羽の雛は両親の後を追いかけては、顔を埋めるしぐさをする。親は煩げに逃げる。するとピピピと大声を上
げて雛は追いかける。
カイツブリの横を少し大きなカモが進んでいく。嘴は黒。大きさはコガモくらいだ。スコープで見る限りではコガモのスクリプスみたいだ。何かの事
情で繁殖地に帰れなかったのか。
1999
9
5
宮路山ラインセンサス
メジロの声が一番多かった。番で行動している個体を多く見かけた。あとはヒヨドリが多い。秋の移動のはしりを見ようと思いやって来たのである
が、コサメビタキを1羽確認出来た。エゾビタキは少し早いようだ。オオルリの親子を見た。幼鳥の近くには♀の成鳥がしっかり寄り添っていた。
羽根
稲刈りも終盤。コンバインの近くでアマサギの群が餌を捕っていた。空中ではコシアカを含んだツバメが最後の追い込みだ。
1999
9
11
茶臼山
茶臼山の自然が危ない。道路拡張の傷痕は痛々しい。今年はコヨシキリもホオアカも確認できなかった。今日は移動中のエゾビタキを目当てに
来たが、少し早いようだ。代わりに、小鳥の森の笹の下に潜むヤブサメを2羽も確認できた。帰り道は寺ノ入林道だ。カワラヒワやカケスが鮮やか
な色彩を放っていた。ハチクマは一度も見ていない。今年はどうしてしまったのだろう。最後は地元で締める。観音山を源とする小川でカワセミを
見る。すっかり陽射しの戻った中で翡翠色が輝く。
1999
10
2
田畑ではモズの縄張り争いや、縄張り宣言の高鳴きがますます盛んになってきた。♂同士が20~30mの近くで対峙しているのをよく見かける。
又、番とおもわれる2羽が同じコースを何度も旋回しているのを確認した。
来週は伊良湖に行くが、カケスの6羽の群が南西方向に向かって居るのを見た。
羽根ではノビタキを4羽確認。
1999
10
9
伊良湖
AM7:40到着
1時間ほどは割合静かな空であった。時折サシバやハチクマが渡っていった。むろんヒヨドリの群がうねりながら半島先端の山に降り立つのは途
切れなく続いていたが。サシバはあまり飛ばなかった。1時間すぎると様子は一変した。サシバが上昇気流をとらえ30羽ほどの群が旋回しながら
どんどん上昇していった。それから30分は同じくらいの規模で鷹柱が出現した。時には見事なまでのオオタカの成鳥が上空を舞った。結局、過去
3年間に比べて最もサシバの渡りらしい光景を目撃することが出来た。
西暦
月
日
メモ
1999
10
16
室林道
北西の風に乗り雲がどんどん流れて行く。秋から冬へと季節は留まることなく進んでいく。鳥の層も変わってきた。カケスの数がめっきり増えた。
北方からの個体が入って来たのだろうか。混群も見られるようになってきた。シジュウカラ、メジロ、ヤマガラ、エナガなどの生き生きとした動作が
気持ち良い。平地では前からモズの高鳴きが盛んになったが、室林道ではようやく聞かれるようになった。そしてとどめはオオタカ。先週伊良湖で
久しぶりのオオタカを見たが、室林道では今秋初確認である。成鳥であった。
羽根・駒場池
ノビタキの姿を確認。カモは未だ。
1999
10
17
駒場池
カモがやって来た。昨日の湖面には全く鳥の影は無かったのだが。10羽程度の姿を道すがら確認したので、慌ててコースを変えた。最初に確認
したのは意外にもオシドリのペアであった。♂は繁殖羽になっていた。ほとんど満水状態の岸に上がって休んでいるようだ。次いで車から確認い
た湖面の水鳥だ。これは2つの群になっていて、カルガモが3羽と、マガモ9羽(♂6羽、♀3羽)であった。駒場池での初確認になる。♂の羽色をみ
ると、3羽は完全夏羽、2羽はかなり進んだ夏羽、そして1羽がエクリプスであった。
萩
室林道方面から急上昇した鳥がいる。オオタカか?。車を止め双眼鏡を取り出す。あっという間に小さくなるくらい高いところに到達した。15倍に
手をかける。この双眼鏡は高い空を飛ぶタカを確認するのに最適である。2Kgの重さが手ぶれを防いでくれる。7cmの口径が明るく解像力の高
い像が得られる。微かな姿をとらえた。しばらく旋回するのを追う。羽の先が尖っている。これはハヤブサ以外のなにものでもない。チョウゲンボウ
にしては大きすぎる。急降下して山の端に姿を消した。
我が家のすぐ近くの花木畑にジョウビタキが飛び込んでいった。♂の成鳥。10月20日というのがジョウビタキ初確認の最も早い日であるが、今年
は記録更新。
室林道
キビタキの♂成鳥がいた。別段不思議ではないが、やはり実際に姿を見ると「未だ居るんだな」と思う。奇麗な姿は春にやってきたままである。
1999
10
23
駒場池
カモ類の姿は全く無し。水位が2m程下がっていて、やはり鳥にとっては暮らし難いのだろう。
平尾
エナガの群に出会った。元気が出る光景だ。
茶色の水の池でカワセミの番。
室林道
一番多い鳥はカケス。
新堤池
オシドリ♀。ヨシガモ(?)。
1999
10
24
長根
ハクセキレイが来た。顔の薄黄色い若鳥たちである。全て若鳥ばかりであった。
寺ノ入林道
アマツバメの渡りを目撃した。北から南に向かって3羽が高速で移動していた。頻繁に羽ばたきを行い、向かい風に立ち向かっていた。(今日の
上空は南の風であった)
もう1種、イヌワシと思われる姿が北に向かっていた。かなりの高度のため絶対とはいえない。
西暦
月
日
メモ
1999
10
30
ビンズイ
自宅付近で4羽、羽根で10羽以上確認。今秋初確認となる。長野県高嶺の山頂で高らかに囀りしていた姿を思い出す。ズイと一鳴きして飛び去っ
た。羽根の田んぼはビンズイが元気だ。ヒバリも似た地鳴きではあるが、ビーと鳴き判別できる。むろん飛びかたにも特徴があり見間違うことはな
い。
オシドリ
新堤池に5つがいのオシドリが来ている。池の周りの木々が隠れ家を提供していて、駒場池や平尾の池よりもずっと環境が良い。
ハクセキレイ
先週確認した個体もそうであったが、今日見たのも若鳥であった。成鳥よりも先に異動してきたのか。
ノビタキ
羽根で5羽以上確認。
1999
10
31
タヒバリを長配の田んぼで確認した。昨日のビンズイに続いての確認だ。これでセキレイ科が勢揃いした。
そのセキレイをツミが襲撃した。セグロセキレイの群にツミが突っ込んだ。残念ながら首尾よくいかなかった。セグロセキレイたちは囀りのような声
を上げて興奮していたし、ツミは疲れたとばかりに木にとまった。急いでスコープを取り出し向ける。縦縞がクッキリしていて幼鳥くさい。サイズから
するとツミの幼鳥か。狩りも修行が大切だ。
1999
11
6
カシラダカ
先週からの冷え込みでカシラダカがやってきた。大代の田んぼにも、観音山の麓にも、羽根の田んぼでも確認。腹の白さがまぶしい。
ホオアカ
羽根の田んぼで群を確認。雄雌共にいる。このまま越冬するのか、さらに移動するのか興味深い。ノビタキの姿はなかった。
1999
11
20
久しぶりの晩秋の親子探鳥会
上萩を担当。コースは前日までに考えていた。変化に富んだ景色が欲しかった。そうすれば、鳥の種類も格段に増加する。ねらいは見事に当った
。20種以上確認できた。
又、できるだけ姿を見せるようにした。小さな子どもはなかなか双眼鏡で鳥を捉えられない。スコープの中の小鳥の姿にため息をつく子も多かった
。
1999
11
22
1年ぶりの琵琶湖だ。風もほとんど無く、湖岸には漣すら立たない。1昨年コハクチョウを撮影した所から観察を開始する。ヒドリガモ、カンムリカイ
ツブリ、ハシビロガモなどの群が見られたが、コハクチョウは確認出来なかった。
車を北に向け湖北町に行く。途中の水鳥の群にもコハクチョウは居ないようだ。観察センターは休館日であった。オオヒシクイも確認出来なかった
。群を観察する。キンクロハジロ、カンムリカイツブリ、オオバンなどが目立った。小数ではあったが、カワアイサもいる。
コハクチョウ、オオヒシクイが確認出来なかったのは残念ではあるが、これがよそ者観察者の宿命か。逆にテリトリーではないので、諦めもできる
。
1999
11
27
寒くなると平尾にやって来る。南向きの日だまりの暖かい地形は野鳥の観察に最適である。シジュウカラとアオジが多い。ルリビタキの声がした。
さらにさえずりのようなぐぜりを行なう。姿は未だ色の出ていない若鳥であった。
西暦
月
日
メモ
1999
11
28
蒲郡市形原町
カモの池
今年も池を埋め尽くす程のカモがいる。種類はそんなに多くない。ホシハジロとキンクロハジロがほとんどである。親子連れで観察に来ている。
室林道
久しぶりにラインセンサスを行なう。午後ということもあって鳥の姿は少ない。しかし気にせず歩きはじめる。
ルリビタキが2羽寄り添うようにしていた。つがいかと思ったが2羽ともぐぜる。♂の若鳥であった。縄張りは決まっていないのだろうか。ルリビタキ
は平地に降りてきた直後はぐぜりをやる。
1999
12
4
音羽川河口・佐脇浜
最初はユリカモメが出迎えてくれた。カモメたちの白さは美しく、見ていて気持ちがいい。ひときわ大きなセグロカモメがいる。この鳥は迫力がある
。パワーがありそうだ。広い海には良く似合う。少し沖合いではミミカイツブリが盛んに潜水していた。毎年同じ場所にやってきている。カモ類では
オナガガモが目立った。
1999
12
11
寺ノ入林道
曇空の切れ間から洩れる朝日が紅葉を赤く輝かせる。静かな山の朝であった。野鳥もひそひそ声。ヒガラがアカマツの葉の中をめまぐるしく動い
ている。ルリビタキとジョウビタキはどちらもメスがいた。カラ類はやはり冬の探鳥の王様である。今日は、そのカラに素晴らしいおまけが付いた。
絹の声と言えようか、キクイタダキが盛んに餌を捕っていた。落葉樹に止まっているので、シンボルの菊がバッチリ見られた。帰りは羽生ダム経由
。名物の五平餅を食べる。
1999
12
12
室林道
カヤクグリ今冬初確認
ようやく姿を見た。昨日は三河湖を探したがみつからなかったがやはり室林道にいた。全く声を上げないので、その人見知りしない性質がなかっ
たら気が付かなかったことだろう。茶色にグレーの入った独特の体色、高山の鳥らしい警戒心の薄い様子、今年も魅力的な小鳥を見られ幸せで
ある。
1999
12
30
タゲリ飛来
いつものように羽根の田んぼを巡回する。トラクターで田おこしをおこなっていた。その周りにはケリやセキレイたちが懸命に採餌。すると、突然に
横から飛び込んできた鳥がいた。タゲリである。自分としては萩で姿を見たのは初めてだ。5羽ほどの群で先に来ていた鳥たちに混じって早速獲
物探し。トラクターの人が手を休め教えてくれた。
2000
1
2
2000年2日目の探鳥は天下の急流天竜川は掛塚橋である。オジロワシの夢は見られなかったが、カモメ科の勉強をした。セグロカモメ・ウミネコ・
ユリカモメの成鳥、若鳥が入り混じって羽づくろいをしている。定番のカンムリカイツブリも健在である。次に、汐川干潟に行く。カモたちははるか
遠くで群になっている。スコープの出番だ。天竜川では15倍の双眼鏡がジャストであったが、ここでは38倍が威力を発揮する。陽射しがないので
陽炎の無いクリヤーな像が得られ、遠くの群も種類が分かる。オナガガモ・ホシハジロ・キンクロハジロ・ヒドリガモ・マガモ・コガモ・ハシビロガモ・
オカヨシガモ・ホオジロガモ・ミミカイツブリ・カルガモ。田んぼ側も負けていない。ケリ・タゲリ・ヒバリ・タヒバリ・ツグミ・ムクドリ・ホオジロ・ホオアカ・
カワラヒワ・マヒワの群・カワセミ。穏やかな天気の素晴らしい探鳥会であった。
2000
1
3
カシラダカの群
100羽越す群がいた。
場所 平尾カントリー付近
西暦
月
日
メモ
2000
1
4
冬のタカたち
山間部は獲物になる小動物や野鳥の数が減ってしまうので、本当は人目は恐いはずであるが、平地に多くのタカが下りてくる。萩にもオオタカや
チョウゲンボウが見られるが、今日は両方とも見ることができた。オオタカは新堤池で水鳥を観察し終え、池から斜面を登ったところで正面にある
栗畑に止まっていたのを見つけた。成鳥であった。新堤池にはさまざまな野鳥がすんでいるので、獲物探しには好都合なのだろう。チョゲンボウ
は田んぼで休んでいるのを見た。ノスリはゆうゆうと飛翔しており、冬はタカを見るには絶好だ。
2000
1
8
土曜探鳥会
今までで一番歩いた。曇空で昨夜から風が強く歩いていないと寒くて仕方が無い。それでも野鳥はしっかりいた。珍鳥もいた。2羽目のアリスイで
ある。
2000
1
9
ホオアカ・セッカ
羽根の水路でホオアカとセッカが採餌。昨年11月6日に確認して以来久しぶりの姿を見た。両者とも、毎年、冬をここで越しているのは間違いなさ
そうである。ここなら、水浴びも簡単だし、餌にも事欠かない。恐いのは、捕食者の存在。チョウゲンボウ・オオタカはもちろん、時々見かけるネコ
も要注意。水路付近の背の高い枯れ草に止まり、あたりに注意をはらっているように見える。つがいのようで、2羽が同じ場所にいる。ホオアカと
数メートルと離れていないと所にセッカがいた。こちらのほうもつがいかと思ったが、数は4羽確認。頻繁に田んぼに下りて餌をさがしている様子
だ。その外、ホオジロもたくさんいる。冬の田んぼは野鳥の宝庫である。
2000
1
15
室林道ラインセンサス
スタート地点でルリビタキの囀り(ぐぜり)を聞く。秋にやってきた直後と、山に帰る時期に囀りを聞いたことはあるが、正月もあけて間も無い時期
にぐぜりとはいえ、囀りをきいたのは初めてであった。ミソサザイは2個所で確認。今年は豊作だ。冬至から1ヶ月近く経ち陽射しが強くなってきた
。光が似合う鳥の一番はカワラヒワだとおもう。ハンノキに群れていた。タンポポに似通った爽やかさがある。真っ青な空にすくっと伸びる梢、身が
引き締まる感じが好きだ。ハシブトガラスのペアがゆっくり羽ばたいていた。
2000
1
16
金沢里山
ツグミの大群といってよいだろう。雑木の梢という梢にはツグミが止まって、あの、独特の姿勢で空を仰いでいた。時々、群になって曇空を旋回す
る。別に、タカがいるわけでもないのであるが、驚いたように、けたたましく鳴きながら飛んでいるのをみると、少し悲しくなる。
2000
1
22
今の季節は山の縁が面白そうだ。平尾ではカシラダカの大きな群が、山と田んぼを往復していた。歩くたびに足元から飛び立っていった。その数
200羽くらい。又、倉の山の周辺では、ビンズイがまとまっている。タヒバリに良く似ているが、緑っぽい羽色と鳴き声、枝を歩く姿はビンズイ独特の
ものである。初夏、長野県の1500mの山で彼らの囀りを聞いた。アオジ・ルリビタキ・ホオアカ・ミソサザイなど、夏と冬の両方の姿を見られる鳥
は貴重だ。
2000
1
24
田原豊島
チュウヒが田んぼの上を徘徊している。小鳥やキジたちは穏やかではないだろう。チュウヒはつがいだった。上空ではカワラヒワとタヒバリの群舞
が繰り返されていた。葦が生えているところは最も注意する。案の定、ホオアカとオオジュリンがいた。ツリスガラは残念。電柱に止まっていたの
は、コチョゲンボウであった。茶いろのお腹がコチョゲンボウであることを物語っていた。堤防野上を歩いてみる。潮がすっかり引いていた。アオサ
ギとタゲリがいるのみだ。水面のカモは遠すぎて判別できない。景色全体に靄がかかり真冬のものとも思われない。先回確認できたマヒワの確認
はできなかった。
2000
1
29
室林道ラインセンサス
素晴らしい天気だ。落葉樹の梢が晴天に映える。8時の開始時の気温は3度と昨日までの氷点下に比べ高い。そのせいか、ホオジロの囀りが聞か
れた。ホオジロは年中囀りをする。道路沿いではジョウビタキが、進入者を見張っている。今日も、ミソサザイが多かった。4~5羽は間違いなくいるだろう。
山口さんの話では、オス1羽につき、メス2羽がついているようである。注目の鳥はカヤクグリとヒガラ。両方とも確認できた。反対に、今年全く姿を見せ
ないのが、当地では代表的な冬鳥である、ウソやマヒワたちである。
西暦
月
日
メモ
2000
1
30
ビンズイ
ファインダーの中で、彼らは、一心に餌を漁っていた。夏至、落葉松林で歌を歌っていた姿からは想像もつかない、地味な生活の一面を見たよう
な気がする。タヒバリにうりふたつ。少し緑がかった背中の色も良く分かる。車から出た途端、彼らは付近のいつもの枝に舞い上がった。冬鳥には
、彼らの夏の生活を想像する楽しみがある。囀りがどんなだろうか。それは、夏鳥にも言える。ビンズイは日本にいて、両方を垣間見られる数少な
い鳥である。
2000
2
5
寺ノ入林道ラインセンサス
暖冬で観察も楽である。例年、寺ノ入林道から帰ると、平地の過ごしやすさを感ずるが。耳をひそめないと野鳥がいるとは思えない静かさだ。そ
の中で、ハシブトガラスの切れ目ない声だけがあたりに響く。山を超えるとクレイ射撃場があって、休日の観察が多いので大概こだましてくるのが
今日はそれも無い。だから、自然の音だけが聞えてくるばかりだ。雑木の落ち葉をかさかさと掘り起こし、餌を探している。ルリビタキだ。今日のラ
インセンサスでも3羽ほど確認できたが、いずれもオスであった。1羽は成鳥、2羽は若鳥であった。木々の樹冠では、ヤマガラのグイーグイーとい
う声がして、暖かみのある姿が盛んに餌を探していた。シジュウカラやエナガもいたが、今日は、ヤマガラが特に目立った。ヒガラは広くいて、さす
がに標高700mの山間部だなと思う。音羽では、数は限られている。ミソサザイは、室林道と同じくらいか。ウソやマヒワ、ベニマシコは相変わらず
全く見かけない。
2000
2
6
今冬初確認 クロジ・トラツグミ
ついに、クロジを見た。場所は、オレンジロード長沢料金所付近。昨年と同じ場所である。おまけに、トラツグミも。クロジはメスとおぼしき3羽で、
薮と道路沿いを一緒に行ったり来たり行動している。尾羽の両側が白くないので、かろうじてクロジと判断できるが、アオジのメスに酷似している
ので、随分悩んだ。
2000
2
12
御津町探鳥会 山口・鈴木・大橋さんと
萩では風も弱く探鳥会日よりと思われたが、そう甘くはなかった。海岸を吹き渡る風は厳しかった。日本列島と呼ばれている人工入り江は、カモが
休むのに好都合で例年多数のカモが羽を休めているが今日は全く居なかった。風もつよいので音羽川の河口に向かう。こちらも数は少ない。風
は多少弱まったが、あまり鳥の姿は無かった。
2000
2
13
土曜探鳥会 県民の森
風も穏やかな絶好の探鳥会日より。駐車場に到着した途端、ルリビタキの歓迎を受けた。それも、オスの成鳥である。子どもたちは大喜び。これ
で少し気が楽になる。エメラルドグリーンにアクアマリンを足したような素晴らしく澄んだ川の流れにため息をあげる。今日の探鳥会は美しさの発
見であった。力強さも発見できた。オオタカが目の前を疾走し、どんどん上空へと旋回してく姿を眺めた。探鳥のあとは昼食。今年もバーベキュー
で大騒ぎだ。後片づけも皆でやった。帰りのバスは歌声で盛り上がった。
2000
2
14
茶臼山
昨年9月11日以来5ヶ月ぶりの茶臼山である。1年で最も寒い季節の茶臼山はどのようだろうか、一度は行ってみたかった。豊根村に入るとあたり
はなごり雪があるものの、道路は除雪が行き届き安心して走行できる。長野県側を歩く。雪道はたいへん疲れる。アカゲラの声がした。アカゲラ
の声はよくとおるので発見は楽である。カラ類の声があまりなかった。比較的姿や声が聞かれたのは、やや標高が下がった林道であった。ヤマガ
ラやコガラのぐぜりがあったし、コガラの群が目の前で餌をとっている姿は、初夏と変わらないものであった。今日一番目に留まったのはヒガラの
追い行動であった。2羽が数10センチの間隔で1羽が逃げ、1羽が追いかけるのを5分くらい見た。その間2羽は50m四方くらいの間を、木々を縫いな
がら移動していた。オスメスの追い行動なのか、なわばり争いなのか、追いかけるほうが相手に一撃をくらわすようなそぶりがないので、前者の
ほうではないだろうか。これからも行動観察には力を入れたい。
2000
2
19
ヒバリの囀り
羽根のたんぼで明るい声を聞く。ヒバリであった。春と違って空に浮かんではいない。田んぼに下りて鳴いている。今年初確認である。
西暦
月
日
メモ
2000
2
26
室林道ラインセンサス
混群に出会う。エナガ、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、コガラと種類は多い。ヒガラが混じるのは今年の特徴だ。ランンセンサス中に3個所で混
群に出会ったが、同じ群のような気がする。林道をくまなく移動しているのだろう。カヤクグリ、ミソサザイもいた。カヤクグリの地鳴きを聞いてほっ
とした。小鳥の羽が落ちていた。タカに襲われたのだろう。茶色が混じった羽色であった。
羽根
カシラダカの冠羽が濃くなってきた。もう少しするとホオジロのようになる。群も大きく、カワラヒワにも引けを取らない。タヒバリの声がしなくなって
半月ほどたつ。今日は、ビンズイを見た。
2000
2
27
タヒバリ:昨日もう居なくなった、と記録した翌日には訂正しなければならなくなった。羽根のたんぼで20羽くらいの群でいた。ヒバリの囀りがする。
先週は地上でないていたのが、今日はヒバリらしく曇空で声がする。鳥川ではハイタカを見た。平尾ではアオジが餌をつばんでいた。日本産の腹
の黄色いアオジであった。
2000
3
12
雨上がりの日曜日。犬の散歩がてら鳥の姿を探す。なにもしなくても目に入ってくるものもあれば、注意深く探さないと見つけられない鳥もいる。
今日の場合前者はイカルであり、後者はアオジになろうか。イカルは昨日の土曜探鳥会でもかなりの群を観察できたが、今日も、10羽程度の群
で木々を移動していた。ペアで行動している個体やソングポストに止まって囀りをしている個体もいた。そういえば、近頃は囀りが聞かれる回数が
増えたように思う。アオジの方は数は随分いるのだが、何せ目立たない。ホオジオのように囀りをきかすこともめったに無いので、この地を去る時
期もなかなか特定が難しい。何時の間にかいなくなった。というのが毎年の感想である。田んぼではツグミ、ムクドリ、キジバトが餌をあさっている
し、モズが縄張を主張する声もする。梅薮にはシジュカラの夫婦。メジロもいる。ジョウビタキがナワバリを巡回する姿はいつまで見られるだろうか
。
2000
3
18
室林道
ウグイスの初囀りを聞く。いよいよ春本番だ。ミソサザイが谷から登ってきた。堂々としたそぶりが印象的。ラインセンサスの帰りに2組のカヤクグ
リのつがいを確認。4羽も同時にみたのは初めてで興奮した。移動途中の個体なのだろうか。
2000
3
25
雪の寺ノ入林道
作手村は雪化粧であった。途中で止めようかと思った。どうせこんな天気では鳥もいないだろうし。しかし、いないことが分かればよい、との金言を
思い出し先に進んだ。ヤマガラの囀りが聞えた。ぼたん雪、みぞれ、あられと雪質が刻々と変わった。雪の中でヒガラが元気に餌を捕っている。
彼らは本当に元気だ。突然、ドンドンと羽音を立ててヤマドリが飛んでいった。近頃ヤマドリをよく見る。
2000
3
26
冬鳥たち
室林道のカヤクグリのつがいはまだいた。羽根のハクセキレイもいる。ツグミもいる。昨日は我が家を縄張にしているジョウビタキにも会った。
2000
4
1
ツバメ
ツバメがやってきた。3月半ば頃出勤途中で越冬ツバメ(イワツバメ)を見ているが、今日のは海の向こうからやってきたのだろうか。
ルリビタキ
室林道でオスの成鳥を見る。今期でも美しい方に属する。
カシラダカ・ハクセキレイ・アオジ・ツグミ
冬鳥もまだ数居る
カワセミ
つがいが鳴きあっている。それも山つきの方でエノキの枝で2羽が並んでいた。川からは200m離れている。しばらく鳴いて山の中に消えていっ
た。自宅から50mと離れていない所での出来事だ。
西暦
月
日
メモ
2000
4
8
土曜探鳥会 宮路山
コマドリは確認できなかった。ホオジロが餌をついばむ姿をフィールドスコープで見ることができたので満足。
参加 牧野さん、三厨さん他7名。
2000
4
14
オオルリ・コマドリ
ようやく夏鳥の主役を確認できた。宮路山では、オオルリがソングポストに陣取って囀りをしている。見事な色の成鳥である。今日一日で数羽の
確認ができた。一方、コマドリは、萩では1週間ほど前から調べているが確認できていないのに対し、5日に山口さんが、西切山で確認している。
今日は、第2駐車場をはじめ、3個所で延べ5羽確認できた。
2000
4
16
茶臼山
道路拡張の爪痕が痛々しい。コマドリ・ミソサザイ・キクイタダキ・ヒガラ・コガラ・ウグイスたちが囀りをしている。けれども、今日の主役はカシラダ
カの群が賑やかな声を上げている。里山からは去ったが、いつもここで集まってから北に帰っていく。里山に居た時よりも色が鮮やかになった。オ
スの繁殖色が出てきた。ホオジロよりも黒が濃い。
2000
4
22
室林道
夏鳥がそろってきた。オオルリ・キビタキ・ヤブサメ・センダイムシクイなど定番が盛んに囀りをしていた。以外であったのは、コマドリが3個所で確
認できたこと。移動中と思われるツツドリに出会ったこと。冬鳥のほうも、シロハラが餌を探している。さらにビックリはヤマガラ・シジュウカラに混じ
りコガラの囀りが聞えたことだ。かなり大きな声で、間違えようがない。昨年もコガラらしい声が聞かれたが、遠くて確信できなかった。数年前観音
山でも聞いた。
観音山
サシバのピックイーの声を聞いた。
自宅
なにやら聞きなれない声。アオジの姿があった。黄色い腹が非常に鮮やかだ。梅の枝で囀りというよりはぐぜりか。
2000
4
30
高嶺
今年はじめての高嶺。1500mはさすがに初夏とはいえ肌寒い。コガラが出迎えてくれた。そのコガラに良く似た鳴き声の主も確認できた。エゾムシ
クイであった。室林道の声もこの声だ。これで納得。夏鳥のエゾムシクイならば移動中の声を聞いても不思議ではない。コマドリ、コルリは無論居
た。
2000
5
1
汐川干潟
シギ・チドリの初確認
春の渡りの本番になった。確認できたのは、チュウシャクシギ・ダイゼン・メダイチドリ・ハマシギ・ムナグロ。一方冬鳥の方も少ないがいる。カモ類
ではヒドリガモ・キンクロハジロ・ホシハジロ、シギではクサシギ。一方水田ではケリのけたたましい声が絶え間なく聞える。縄張に入った全ての鳥
を追い払う。セッカはオスが縄張を守り、ヒバリも自分の巣を守るため警戒をしている。水路では2羽のカワセミが鳴き交わしている。つがいに間
違いない。100mくらいの円を描くようにして飛び回っている。飛ぶ奇跡は2つの円が少し重なっている。それと、水路にそった直線的な動きをして
いる。
2000
5
3
室林道
オオルリのオスがメスとペアを組む行動の一端と思われるのを目撃した。両者は近づいたり離れたりしている。オスが1度地上に下りる。15分くら
いして見えなくなった。今日もオオルリの囀りが盛んにした。また、松や椎の低木の中にマミジロを確認。羽色からするとオスの成鳥である。採餌
行動中と思われる。移動中の個体であろう。
水田
採餌中のアマサギが20羽ほどいた。
西暦
月
日
メモ
2000
5
4
寺ノ入林道
サンショウクイのヒリリ、ヒリリの声が響き渡った。まだ、マツの木が沢山残っているのでやって来るのだろう。
2000
5
14
室林道ラインセンサス
サンコウチョウのメスを確認。今春初確認である。今日は、メジロの番がヘビへの威嚇音を発しているを目撃した。小型のヘビが地上から2メート
ルくらいのところにいた。すぐ近くでは、ヤマガラの番がガを咥えていた。ヒナへの餌だろうが、2羽で協力しているのは微笑ましい。別
のところで、やはり、ヤマガラが餌を運んでいるのを見たが、忙しなく羽を震わせ、鳴き声も、モズが物真似をするようにモグモグ言っているようだ
。
2000
5
20
サンコウチョウ
観音山と室林道にサンコウチョウがやって来た。観音山の方は2羽の鳴き声なので多分番だろう。繁殖してくれるといいのだが。姿・声とも印象に
残る鳥である。日本産の鳥の中でも異色度で特出ものだ。
汐川干潟
干潮の広大な干潟が姿をあらられた。目視では、サギ類やハシブトガラスなどの姿しか見られなかった。双眼鏡を向けたが、シギの姿はやはり無
い。その時、数羽のシギらしい鳥が鳴き声を上げて浜に舞い下りたのを見た。ダイゼンであった。意を強くしてスコープを汀に向ける。サギたちの
いる隣にハマシギの群がいた。200羽以上はいるだろうか。腹が黒くなった夏羽がよく見える。ダイゼンも鮮やかな黒いろをしている。ピークは過
ぎてしまったが、シギの渡りの一端を垣間見ることができた。
2000
5
21
室林道
ホトトギスを期待していったが未だいないようだ。センダイムシクイの声も無い。サンコウチョウがいた。オオルリの確認数が減った。奥山に移動し
たのか。キビタキの方が多いようだ。エナガの群をみた。成鳥に混じり羽色の違う個体がいたが、若鳥か?。
2000
5
26
茶臼山
初夏の陽射しは、カッコウやホトトギスの声で一層輝きを増すようである。萩太郎山の斜面を歩く。カッコウが鳴く。何ともいえない気分だ。ホトトギ
スも負けじと鳴く。明日は室林道でホトトギス確認に決まった。草原ではヒバリ、林の中からはコルリとコマドリ。初めての散策路に入ってみた。ヒ
ガラ、コガラ、クロツグミ、ウグイスなどでごった返していた。
2000
5
28
ソヒヨドリ
朝、ねむけまなこで窓の外を見たら形原温泉のホテルの屋上にイソヒヨドリが、獲物を咥えてあちこち動いているのを見た。オスの成鳥で、ヒナに
餌を運んでいるのであろう。久しぶりのイソヒヨドリであった。
サンショウクイ
午後に寺ノ入林道へ行く。サンショウクイが飛び回っている。オスが枝に止まってくれた。スマートな姿は初夏の爽やかさにピッタリ。幸いなことに
、メスが木に止まっている姿もみることができた。
2000
6
3
親子探鳥会 観音山
オオルリの囀りが2個所で聞かれた。遠くからはホトトギスの声。水田の上にはツバメたちがせっせと餌を捕っている。雨の心配が少し遠のいた。
子どもたちよりもむしろ親に向かって話した。オオルリが皆の目の前に現れた時、全員の目が輝いた。
2000
6
4
室林道ラインセンサス
07:45-08:50
ウグイスとホオジロの囀りが目立って多い。一時ウグイスの囀りがおさまった時期があったが、また賑やかになった。ホオジロは相変わらずといっ
た感じだ。思い思いのソングポストに陣取って囀っている。時々ヒナ特有の鳴き声が聞えるのもこの時期だ。オオルリ、キビタキ、センダイムシクイ
などの夏鳥も囀りの盛りは過ぎたが未だ聞かれる。でも今の時期はなんといってもホトトギスだ。目に青葉の句は、まさに今の季節を歌ったもの
に間違いない。
西暦
月
日
メモ
2000
6
11
サンコウチョウ
サンコウチョウの声を録音しようと、雨の室林道と観音山に出かけた。首尾は上々。2個所とも奇麗に録音できた。小雨のしっとりとした林の中か
ら聞えてくる小鳥の声は、普段よりも一層研かれて上等に聞える。サンコウチョウの声は幽玄すらある。何とも表現できない歌声。
2000
6
24
土曜探鳥会
室林道から長根の田んぼを探鳥会。室林道ではキビタキがソングポストで朗々と囀りをしていた。子どもも大人も大喜びだ。長根の田んぼではム
クドリの親子を当てっこ。短い時間ではあったが充実した探鳥会であった。
2000
7
1
室林道ラインセンサス
幼鳥の観察が中心であったが、予想通りいくつかのデータが得られた。最初はシジュウカラで確認個体数が1であったが、声から判断すると数羽
はいた。付近ではオスが警戒していた。次にエナガである。10羽程度の群になって移動していたが、幼鳥であった。全て幼鳥かは不明。サンコウ
チョウ、キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、ホトトギスなどの確認ができた。ウグイスもまだまだ盛んに囀りをしているし、ホオジロのソングポス
トでの囀り姿も多い。
2000
7
7
高嶺
ウグイスが非常に多い。道沿いにある電線に止まり囀りをしているのはさすがに山奥。中腹の沢から聞えてきたコマドリやミソサザイの囀りは今
日は無かった。とにかくウグイス・ウグイス。山頂の草地ではホオアカのつがいが子育てをしていた。メスが虫を咥えており、オスは近くの木の頂
でこちらを警戒している。草原のどこかに巣が有るに違いない。すぐ近くの山頂に立っている木立からはミソサザイと間違えそうなビンズイの囀り
姿があった。スコープで見ると胸の斑模様が冬に見た時より鮮やかであった。白い部分が薄いクリーム色をしている。繁殖色なのだろうか。期待
していたアオジの囀りは全く無かった。山頂からの眺めは素晴らしい。茶臼山の双耳峰が霞んでみた。これからあそこへ行こう。
2000
7
8
室林道 ラインセンサス
台風3号が通り過ぎた後、朝から強めの風が吹いている。青空が見えている。暑く成りそうな天気だ。今日も目当は幼鳥である。とにかく姿が見ら
れたら疑ってかかろう。しばらくして奇妙な声を聞く。すぐ近くの枝に止まっていたのは室林道で初めて見るものだった。背中と腹が水色。インコで
あった。昨日の高嶺と比べるとウグイスはやや少ない。代わりに1番の元気はホオジロである。やたらにソングポストに陣取って囀っている。肝心
の幼鳥は、先週エナガの幼鳥を見た同じ場所でオオルリとウグイスを確認した。それ以外でも姿は見せないが、ヒナらしい甘えるような声はあち
こちでする。ここは鳥を観察する絶好の場所のようだ。谷側からは、ヤブサメの警戒の声がする。ヒナがいるのだろうか。山床を親が忙しく動いて
いた。この時期は巣立ちしたヒナ達が外の世界に旅立つ時である。静かに見守ってやりたいものだ。
2000
7
9
額堂山
昨日夕方、山口さんが額堂山でヤマセミの巣があるから見に行こう、と来られた。砕石の比較的細かな資材を20メートル程に積み上げた山の斜
面にドッジボールほどの穴が空いている。それがヤマセミの巣穴だというのだ。その大きさに驚き、巣の場所に又ビックリ。決して安定していると
は思えない土砂の山に(斜面も緩やかで外敵から守るには心もとない)あるとは想像だにしなかった。又、イソヒヨが繁殖しているようだとも言わ
れ、2度ビックリした。その巣は垂直の断崖。その昔、ここは砕石場があり草木で覆われてはいるが、なごりの露頭が50メートルは超そうかと思わ
れる絶壁を成している。朝5時に乾いた砂場を歩く。しかし中に入るとアシが群生し、かなり深い沼の様相を示している。ウシガエルの声や、ショウ
ジョウトンボが飛び回る姿が見られた。決して砂埃だけの世界ではないのだ。崖から滝がほとばしる。しかし、ここの主役は砂の山であった。普通
は梢で囀るホオジロが砂の山の天辺で自分の天下とばかりに鳴いている。肝心のイソヒヨはというと、奇麗なオスには出会えなかったが、それ以
上のものを見せてくれた。母親と巣立ちビナが連れだっているのが見られたのだ。ここが繁殖地であることの何よりの証明である。絶壁の上の空
ではハチクマ、サシバ、ノスリのつがいが朝日を浴びて輝いていた。今までは山から下って家路に着く通過点に過ぎなかったが、こんなに野鳥が
豊富だったとは。無知が恥ずかしい。
西暦
月
日
メモ
2000
7
23
室林道ラインセンサス
今週も子どもを探そう。まず目に付くのはホオジロの子どもが、道路に降り立って盛んに餌を捕る姿である。道路端の落ち葉の近くでは虫が沢山
いるようだ。木陰の中をよく見ると、巣立って間も無いエナガやヤマガラの子どもが、枝にぶら下がり餌を捜している。行動も親とは違いおっとりし
ている。今の季節は自然の大きな営みを見せてくれる。
2000
7
29
室林道ラインセンサス
スタート時間には晴れ間が出るかと思っていたのが、コースの折り返しからはにわか雨になった。真夏の雨は濡れるのをいとわなかったら悪くな
い。枝の下で雨宿りとしゃれ込む。それでも滴が降り注ぐが、今日はなんだか楽しかった。しばらくして日が出れば濡れた体が暑さを和らげてくれ
るくらいに考えていた。首からつるしたニコンの双眼鏡は防水仕様である。何も恐いものはない。ウグイスのキヨ鳴きを聞いた。ホー、ホケキヨと鳴
く。見事な鳴き声であった。ヤマガラとヒヨドリの子どもを見た。毎週変わった顔を見せてくれる。
2000
8
12
土曜探鳥会
5時半集合。日の出直後の気持ちのよい朝である。小鳥たちの声も元気があるようだ。上萩方面を一回りする。アマサギとアオサギが竹林の上に
止まっている。大きな鳥たちは人気者だ。山陰川沿い魚を見ながらに歩く。コースの最後ではカワセミの姿も見られ大満足の子どもたちであった。
我が家で喉を潤し学校に戻る。
2000
8
14
室林道ラインセンサス
ウグイスの囀りは未だ衰えていない。センダイムシクイが群になって餌をとっていたのが印象的であった。これほどの数を見たのは初めてである
。中には地面近くで餌を捜しているものもいる。ヤブサメと勘違いした。同じ場所でサンコウチョウの♀を確認。少し離れた場所から囀りが聞えて
来たので♂がいるのだろう。
2000
8
20
室林道ラインセンサス
ウグイスの囀りがめっきり少なくなった。1週間前(8/14)には盛んに囀っていたのが嘘のようだ。経験では盆を過ぎると囀を止めると感じていた
が、今年もそのとうりになった。ホオジロも心なしかソングポストで声を張り上げている姿が少ないようだ。今日は珍しい声を聞いた。まるでジョウ
ビタキの地鳴きのよう。平谷村で姿を確認していなかったら正体不明になっていただろう。エゾムシクイである。春の渡り時にはコガラと間違えた。
ということは、秋の渡りがもう始まっているわけだ。幼鳥が多く見受けられた。ヒヨドリ、ホオジロ、シジュウカラ。
2000
9
3
室林道ラインセンサス
今日は珍しい鳥を見た。コサメビタキとサンショウクイである。前者は秋の渡りの途中であると思われるが、後者はここで繁殖していたのかもしれ
ない。なぜなら、今年の初夏ごろ声を聞いているからだ。いずれにしてもひっそりと暮らしている野鳥に出会えると嬉しさも数倍である。情報を聞き
つけて各地に遠出する愛好家が多いが、自分は意地でもそうはなりたくない。かすかな姿や声をたよりに自分の五感をたよりに自然のダイナミッ
クなうねりを感じていたい。
2000
9
16
室林道ラインセンサス
台風と秋雨前線の影響で断続的に強い雨が降る。こんな時は思いもよらぬ野鳥に出会える。2年前のクマタカとの出会いも9月の台風が日本の
近くにいる時であった。今日はクマタカには出会えなかったが、貴重な記録となるだろう。野鳥たちの声がきわめて少なかった。何かエアポケット
にはっているみたいだ。これから大きく鳥たちの模様も変わっていくその一瞬を見たような気がする。
2000
9
23
ノビタキ 今秋初確認
ここ1週間ほど注目していたノビタキがようやく姿を見せた。時折激しく降る雨の中、彼らはひっそりと刈り取りの終わった田んぼで羽を休めていた
。例年とほとんど変わらない出現である。いつもこの鳥を見ると、自然の不思議さと大きさを考えてしまう。
西暦
月
日
メモ
2000
10
1
室林道
非常に静かだ。時々ハシブトガラスの明るい声が聞えるばかりである。比較的元気に声を上げているのは
モズであろう。平地ではモズの声が絶えないが、山の中でもモズが縄張を主張し始めたようだ。
田んぼ
ノビタキの姿が見られる。時々モズがちょっかいを出す。
2000
10
7
伊良湖 土曜探鳥会
サシバの群が上空を次々と西に向かい海を渡っていく。過去4回とは比較にならないほどの数だ。ちょうど今年のピークに当ったみたいだ。反対
に規模が小さかったのがヒヨドリの群であった。オオタカやハヤブサが獲物を狙って旋回する姿はよく見られた。サシバについていえば、タカ柱を
つくって上昇するというよりは、そのまま上空通過といった姿が圧倒的に多かった。その外特に印象に残ったのはアオサギのV字飛行である。そ
れから大多数の観衆には見向きもされなかったアサギマダラの渡り姿である。
2000
10
8
ハクセキレイ
今年は10月8日にハクセキレイを初確認した。成鳥♂1羽、成鳥♀1羽、そして若鳥1羽である。これは比較的早い時期にあたる。93年から99年ま
でで9月にハクセキレイを初確認したのは2回のみである。昨日、伊良湖でみたのはやはりハクセキレイの可能性が強い。
2000
10
10
蛇峠山
谷を霧が流れていく。山頂に着く頃には青空が広がった。ウグイスの地鳴きが秋の訪れを思わせるが、時々初夏の頃を思い出せるヒガラの囀り
が響く。コマドリの幼鳥は確認できなかったが、ノビタキやシロハラの思いもしなかった姿や声を確認でき満足。谷川の音で定かではないがメボソ
ムシクイの声がする。記録には載せない。マツムシソウやキキョウの可憐な姿も拝むことができた。
2000
10
21
ホオジロ
再びソングポストでの囀りが聞かれるようなった。初秋の頃囀りが一度途絶え、秋が深まるこの時期に再開する。来年の繁殖に備え番相手でも
探しているのだろうか、それとも、家族のために縄張を守っているのだろうか。
ジョウビタキ
思わぬ時にこの秋初のジョウビタキを確認した。平尾CCの池で背後から衝かれた。驚きと慌てようは少々みっともない感じであった。飛ぶ姿を見
たが、オスに間違いない。下尾筒羽のだいだい色が目に焼き付いた。
オオルリ
声からしてオオルリのメスだろう。フライングキャッチで虫を捕っていた。
カワウ
音羽川の河口を海側に大群が移動して行く。1000羽は下らないだろう。悠々とそれはまるで生き物のようであった。明るい海の上をユリカモメが
泳ぐように飛行していた。
2000
10
28
金沢大池
秋も深まり自然と足がこちらに向いた。里山の景観を残したこの地は秋から初春が探鳥のベストだ。駐車場でジョウビタキのオスが出迎えてくれ
た。大池では釣り人がいてカモの姿は無い。ボートを使われると鳥たちの居所が無くなってしまう。ヒヨドリが色々な鳴きかたをしている。煩いばか
りではない。妙に甘い声を出すこともある。上空ではノスリが鳴きながら弧を描いていた。竹薮からアオジの地鳴きがする。久しぶりの友に出会っ
た気分だ。柿畑の上をビンズイが波打つように飛んでいった。この秋初確認。
羽根
ノビタキの姿が消えてしばらく経った。ハクセキレイに続く冬鳥が待ちどうしい。金沢でビンズイを見たのでもしやと思い羽根の田んぼを探す。田お
こしをして間もない所で待っていると、ケリ、セグロセキレイ、ハクセキレイの混じりビンズイの姿が、いやタヒバリの姿があった。10羽くらいの群に
なって飛び回っている。いよいよ冬の到来も間近。
西暦
月
日
メモ
2000
11
4
茶臼山ラインセンサス
澄み渡った空に楓の赤色が映える気持ちの良い日であった。アルプスの山々もクッキリ見える。スキー場(無論雪は未だ無い)付近でベニマシコ
を見る。さらに行くとアトリとカシラダカの群が草地と木の間を行ったり来たりしていた。両方ともこの秋初めてみる。笹の茂る潅木の下では4~5
羽のカヤクグリが盛んに餌を探している。そして上空では素晴らしいスピードで2羽のアマツバメが飛び交う。途中道が工事中で通れない。茶臼
山の山頂を経由して先に進む。すると、クロジ、マヒワ、キクイタダキ、ルリビタキが鳴いているではないか。こんなに一度に見たことは無い。たま
にはこんなこともあるんだな。
2000
11
11
室林道 ラインセンサス
ホオジロの代わりにアオジの地鳴きが林道の側から聞える。ホオジロが居なくなった訳ではないのだが。アオジ以外ではウグイスの地鳴きも結構
多い。クロジの番が椎の木の繁みの中で鳴いていた。最初オスを見つけた。見事な成鳥である。すぐ近くでメスもいた。敵対するような行動は見
られなかったので番にちがいない。地鳴きは主にオスが発しているようであった。割りに忙しなく鳴いている。元々クロジの地鳴きを聞く機会が少
ないので、声だけではアオジと区別するのが難しい。この機会にしっかり覚えておこうとしたのではあるが、やはり難しい。
2000
11
12
土曜探鳥会
参加者8名。低学年ながら熱心なメンバーである。今日は駒場池にオシドリを見に行く。道中にもカラ類がいてスコープで観察する。駒場池の堰堤
からオシドリを探すけれどもマガモしか見つからない。移動したのか、少し心配になる。一瞬、双眼鏡の視界に2羽のオシドリが湖面を滑空して奥
の入り江に飛んでいく姿をとらえた。あの付近に群がいるに違いない。堰堤から移動し池の奥をめざす。そして、対岸の入り江でオシドリたちがの
んびり過ごしている姿を見つけた。子どもたちは大喜びである。心から感動している気持ちが伝わってくる。戸田先生の指導でそれぞれ観察を開
始する。よく見ると様々な羽色があり、皆口々に何色が見えた!と感想を伝えてくれた。オスとメスの2羽が並んで泳いでいる姿に、皆思わず 可
愛い! 帰りは少しバテ気味の子もいたが、皆元気に学校まで歩き通した。
2000
12
16
室林道ラインエンサス
今週の初めにこの冬1番の寒気がやって来た。その時頭をよぎったのは、これでカヤクグリが山を下りるのでは、ということであった。期待にわく
わくしてこの日に望んだのであるが、案に反して全く気配は無い。寒気がそれほど強くなかったのだろう。
カラ類やメジロがよく見られたし、アオジやウグイスの地鳴きも多い。1羽だけではあるが、さえずりを行なっているホオジロがいた。まだまだ暖か
いわけである。更なる寒波を待ってカヤクグリの出現を期待しよう。
2000
12
19
田原・汐川干潟
冬の田原は常時北風が吹いていて探鳥にも厳しい季節ではあるが、それを補って余りあるほど魅力的な季節である。今日は穏やかな天気で助
かった。
田んぼのあちこちから、タヒバリやヒバリが飛び出して行く。中型の鳥の群はドバトばかりではない。この時期にはタゲリが多数やって来る。飛び
方や羽の形でハトとは違うことははっきりしている。
タカ類の見られるのも冬の楽しみだ。チュウヒ、チョウゲンボウ、オオタカが獲物を探していた。
堤防の外は汐川干潟だ。満潮に近いためいるのはカモ類である。その中にカンムリカイツブリの姿があった
2000
12
23
寺ノ入林道ラインセンサス
久しぶりのランセンサスだ。スタート時点の気温は6度。風も無く暖かい。
静まりかえった初冬といった感じであるが、耳を澄ませば小鳥たちの営みが聞かれる。
エナガの群が移動しながら食べ物を探している。ジョウビタキやルリビタキが良く届く声で鳴く。今日はメスが多かった。その中で2回ルリビタキの
囀りを聞いた。その付近にいたのはいずれもオスの若鳥であった。ルリビタキは山から下りて来た直後は囀りをするが、この比較的遅い時期に若
鳥の囀りが聞かれたことは、自分にとって興味深いものである。すなわち、成鳥よりも若鳥の方が移動が遅いのではないか。
3羽程度のミソサザイを確認した。
そして、ライセンサスの終わり頃なつかしいウソの姿が見られた。オスが2羽である。
標高600m以上の林道はほとんど落葉を終え、絨毯のように敷き詰められていた。梢が青空に溶け込むように美しかった。
西暦
月
日
メモ
2000
12
29
室林道ラインセンサス
ようやくカヤクグリに出会えた。全く鳴かないので偶然に出会ったとしか言いようが無い。場所も思いもよらぬヒノキの植林地帯であった。今日はマ
ヒワにも出会えた。茶臼山で見たの1ヶ月以上も前であったが、いよいよ平地にもやって来たわけだ。
平尾
ツグミに出会うため田んぼを丹念に廻っているが、それが平尾でかなえられた。約30羽の群が落葉樹と田んぼの間を行ったり来たりしていた。未
だ萩の田んぼではお目にかかっていないが、これで2000年の間に出会える可能性が高まった。
2000
12
31
2000年大晦日
ツグミが田んぼにやって来た。一昨日、平尾で地上に降りたツグミをみた。年内に萩の田んぼにやって来るのではと思ったが、予想通りであった
。少し気分が良い。20羽弱ほど確認したが、半数は地上に降りていた。
2001
1
1
21世紀 初めの日 室林道ラインセンサス
すばらしい青空である。風が余計なものを吹き払いあくまでも澄んだ空気。山に入ると風で木々が大きく揺れていた。残された枯れ葉もこれで地
上に降ろされる。ハシブトガラスが数羽で山頂付近を飛び回っている。全く元気なものだ。あとは耳を凝らさないといけない。山全体が唸っている
のだから。ホオジロやアオジが松の若木やススキの影で鳴いている。騒がしいヒヨドリも今日は正月休みか。カヤクグリも例年の場所から少し離
れた所で1羽確認できた。今日も、ぜんぜん鳴いてくれない。1羽だけというのも例年と異なる。
カヤクグリの縄張から50m程でクロジの縄張に入る。椎の木が多く薄暗い場所である。ようやく耳が慣れ、アオジとの区別がつくようになった。盛
んに鳴いているのはオスの成鳥で、見事な薄墨色である。番でいるものと思われるが、今日確認できたのは1羽であった。アオジよりも高い声で
余韻が少ない感じがする。ウグイスとミソサザイよりも難しいのは確かである。
ルリビタキが2羽いたが、1羽は見事なオスの成鳥であった。里に下りて日を重ねるほどに地鳴きが減り、例の火打ち石の音が頼りになってきた。
2001
1
2
山陰川
赤小に近い堰で定点観測をした。冬の風物であるクサシギがいたのは嬉しい。セキレイがいるのは当たり前としても、ジョウビタキが堰の上でホ
バリングをしているのは新鮮味を感じた。ヒヨドリが15羽群になり、赤小の山から飛び立ち赤坂の町方面に飛んでいった。食べ物を探しにいった
のであろうか。付近の竹薮からはアオジとウグイスが餌をとっている。
2001
1
3
音羽川・白川河口&豊川河口
音羽川と白川の合流地点には多数のカモたちが北風を避けるようにしていた。堤防の上は時々突風が吹き車が揺れる。河口付近は海から打ち
寄せる波が白く泡立っている。ただならない気配を感じた。河口に向かう。そこは水鳥を拒絶する世界であった。波頭が強風で崩れる。事実水面
には1羽の鳥もいない。埋め立て地の直線道路を南に向かうと豊川の河口右岸に出る。こちらも大きなうねりが次々と打ち寄せる。陸地の方をみ
ると積雲が西から東へと移動している。いつもはヒバリやホオジロが鳴く葦原にも小鳥の姿はない。すると、小さな鳥の群が道路に舞い下りた。双
眼鏡を向ける。スズメだ。最も身近な鳥だけに意外な出現に感動した。河口に向かって大波が寄せる。この大波に揺れる水鳥の姿があった。そ
の数ははっきり分からないくらい多い。種類を確かめようと15倍の双眼鏡を向けるが逆光で良く分からない。近くの鳥はホシハジロ。大きな群はキ
ンクロハジロかスズガモのようである。強風で飛行もままならないと思われたが、その風を意に介さないように飛ぶ鳥がいた。セグロカモメであっ
た。この大型のカモメは飛行の名人らしく力強く羽ばたき海上を舞う。陸の小鳥には真似できない。改めて彼らの飛翔の素晴らしさを知った。
2001
1
4
天竜川掛塚橋
いつ見ても掛塚橋は美しい。薄桃色も良いが、形が特にすばらしい。鳥が翼を広げた感じ。河川敷きは強烈な北風である。カモ類が風を避けてい
た。泳いでいる個体はほとんどいない。オカヨシガモ、マガモ。近くの砂洲にはカモメ類がいる。カモメは苦手である。セグロカモメがいる。成鳥に
混じり若鳥も見つかる。15倍の双眼鏡でじっくり観察。やはり強風を避けるようにじっとしている。ユリカモメはほんとに小さい。図鑑でチェックポイ
ントを確認。中型の姿が多いが、ウミネコとカモメが良く分からない。結局両方いる感じだ。大型のセグロカモメとほとんど同じくらいの大きさで背
中の濃い個体が数羽いる。図鑑からするとオオセグロカモメに間違いない。飛び上がれば翼下の色で区別がつくのであるが全くそんな気配がな
い。河口から見た風景はすごい迫力であった。大型貨物船が船首を上下にピッチングさせながらぐんぐん進んで行く。砂丘の奥では怒涛のような
大波。四輪駆動車がさらわれそうな錯覚に陥る。
西暦
月
日
メモ
2001
1
5
下萩を歩く
室林道をライセンンサスの途中でふと、よし今日は思いっきり歩いてやろうと思い立った。室林道から長根に下り、平地を見て再び室林道に戻る
コースである。
一度やってみたいとは思っていたものの、踏ん切りが付かなかった。たっぷり時間のある今こそと実行した。室林道から長根に下る薄暗い道から
一変して明るい場所に出る所が気持ちよく、希望に満たされる感じがした。鳥の種類も大きく変わる。民家には必ず植栽があって花が咲き、ヒヨド
リが蜜や果実を狙ってくる。それと、必ずモズが睨みを利かせている。田んぼに出ればカワラヒワとスズメが群の大きさを競う。セキレイやツグミ、
ムクドリ、ケリはなじみの鳥だ。室川に沿って山に向かう。小さな支流ではあるが、本流の山陰川が失った自然の流れがある。最後の民家にはジ
ョウビタキがいた。じつは我が家もジョウビタキのオスが縄張にしていて、時々見回りの姿に出くわすことがある。最後の登りにかかる。3時間以上
歩いてきて真冬とはいっても体はポカポカしてきた。手袋、帽子もとって歩く。クロジが鳴いている。アオキの茂った薄暗い所で、薄墨色をしたオス
が盛んに鳴いていた。いつもは車で過ぎてしまう所である。汗して歩くことがどんなに大切であるか。9:20にスタートして3時間強、12:40にやっ
と元の場所に帰った。
2001
1
20
室林道
ホオジロの囀りが聞かれた。今朝も寒く、陽射しのないあまりぱっとしない天気であるが、至る所で囀りをしているのにはビックリした。
カヤクグリの声をこの冬初めて聞いた。姿を見ても声を発することが無かっただけに、一年ぶりにその透き通るような声を聞きほっとした。
ウソの3人組みを再度確認した。どうやら彼らの行動範囲は室林道全域に及んでいるようである。林道に沿って植わっているサクラの芽をついば
みながら移動しているのか。
羽根・長根
カワラヒワの群がこの冬最大になった。300羽あまりだろう。その外にも、ヒバリ、タヒバリ、ビンズイが多数田んぼの中で餌を捕っていた。あぜ道
を行くと慌てて飛び立つ。見た目には静かな冬の田んぼにも野鳥たちの生活がある。
2001
1
21
室林道
アトリをついに見る。林道の入り口でオスが1羽サクラの木に止まっていた。アトリは茶臼山ではよく見ていたが、音羽町では初めてである。
駒場池
満水になり野鳥が戻って来た。その中にトモエガモがいる。久しぶりの姿であった。今回も長根の伊藤さんからの連絡。
2001
1
27
アトリの群
2週間前に室林道でアトリを確認(動物園 山口、杉本各氏)、その1週間後に自分も1羽だけ見た。さらに1週間あとの今日、ついにアトリの群が羽根
の田んぼに現れた。100羽は下らない。飛んでいる時にはっきりした黒の線が見える。田んぼに下りてさかんに餌をついばんでいる。黒と茶のは
っきりしたコントラストが美しい。
2001
1
28
ベニマシコ萩で確認
額堂山でベニマシコを見た。メスであったが萩で見るのはめずらしい。アシに止まってフィフィと独特の声で鳴いていた。
アトリとカシラダカ
今日もアトリの群を見る。たんぼや山付きの雑木の多い林で群になっている。オスのカシラダカの色が濃くなってきた。繁殖時期が近づくとホオジ
ロよりも黒くなる。
2001
1
30
長配にベニマシコ
何やら家の前の方角から聞き捨てならない声が聞える。ベニマシコの鳴き声だ。日曜日に額堂山で♀を確認したばかりで、もしやと逸って双眼鏡
を首にかけて飛び出した。ホオジロやアオジならばたくさんいるし、時にはミソサザイの声がしたこともあるが、ベニマシコは初めての経験である。
しばらくして、枯れたセイタカアワダチソウの実をむさぼる姿を見つけた。こちらはオスであった。多少薄いものの鮮やかな紅色であった。これで萩
地内で主な冬鳥が見られたことになる。
ミソサザイ、カヤクグリ、マヒワ、ウソ、クロジ、そしてベニマシコである。おまけにアトリまで。
西暦
月
日
メモ
2001
2
3
群行動
この時期の羽根・長根の田んぼは、鳥たちの素晴らしい群行動が見られる。一番大きいのはスズメである。それこそ、萩の全てのスズメが集まっ
たような盛況である。栗林と田んぼを大騒ぎで移動する。それに追従するようにカシラダカが群行動を起こす。対抗するようにアトリの群も同時に
行動する。その迫力をどのように形容したらよいものやら。今日はなりをひそめていたが、カワラヒワが加わったら。スズメとアトリは相当中心核に
集まる傾向にあるように見える。それに比べるとカシラダカは拡散している。もう少ししっかり観察してみよう。
2001
2
10
室林道ラインセンサス
少し霞がかった春のような天気、手袋も必要なさそうだ。途中、動物園の林さんに出会う。先週も出会った。マヒワの群れが賑やかに鳴いている。
今年のカヤクグリは全く鳴かない。今日も3羽確認できたが、黙ってえさを捕っている。2羽は番のようであった。今、この林道沿いには冬の鳥た
ちが多数春を待っている。彼らの生活の一端を垣間見るのは大変興味深い。
2001
2
18
群の考察
アトリの群れを見ていると、アトリの性質が分かるような気がする。まず、非常に求心性が強い。出来るだけ中心に集まろうとする。飛んでいる時
だけではなく、地表に降りる時でも狭い範囲でかたまって降りる。そして、少しの物音や異常にも敏感に反応してすぐに飛び立つ。それが見事なく
らいにシンクロナイズされているのだ。カワラヒワも同様な傾向があるが、アトリよりも若干弱い傾向にある。最も多数を占めるスズメも非常に用
心深い。それに比べると、カシラダカは田んぼの中ではほとんど密集しない。むろん特定の樹に止まる場合には密集しているが、地上に降りてか
らは固体同士一定の距離を取って餌を採っているように見える。これらの違いはどのようにして出来てきたのだろうか。
2001
2
25
久しぶりニ山口さんと鳥を見る。
乙女川でオシドリの番を見る。繁殖が近づきペアを作っているという。飛び立つ姿の一瞬であったが、オスの羽も少しばかり色あせて見えた。
山口さんたちはヤマセミも乙女川で見ている。
二人して観音山の林道を麓から歩く。
2001
3
3
囀り
イカル、セグロセキレイの囀りガよく聞かれるようになった。先週ほどからムクドリの行動も活発になったしいよいよ繁殖行動の開始か。
一方、冬鳥たちも健在。アトリは又数が増えたよな気がする。カシラダカは移動を開始したか?少し減ったみたいだ。
2001
3
10
土曜探鳥会IN豊橋総合動植物園
初めての豊橋総合動植物園での探鳥会である。山口さんにお願いしたお陰で有意義な時間を過ごすことができた。飼育係の方達の説明も興味
深いものであった。動物園に通ってみようかと思う。
2001
3
13
山口さんと
羽根・長根のアトリの姿が消えた。11日にはまだ100羽を越す数を確認できたのに。
ジョウビタキのぐぜり
7時ごろ我が家を縄張りに入れているオスが、囀りともとれるぐぜりをしていた。寝床で声を確認し、窓をそっと開くと飛び立つ寸前の姿があった。
まさに94年と95年の2回、茶臼山で聞いた囀りに共通の節回しである。繁殖地に戻る前に囀りをする鳥の例はルリビタキやアオジなどで知ってい
るが、ジョウビタキでは初めて経験した。
2001
3
17
ミソサザイを久しぶりに見た。場所は室林道のカヤクグリの回廊。谷からチャチャと一鳴きし、道を横切り木陰に身を潜めた。いよいよ大移動が始
まったか。羽根の田んぼはすっかり春の準備に入った。田起こし中のトラクターの脇ではケリやセキレイたちが必死になって餌を探している。カワ
ラヒワの群れにチョゲンボウが突っ込む。何度となく見る光景ではあるが、成功したのを見たことがない。アトリの姿は先週の日曜日11日が最後
であったが、今は野鳥たちの日本大移動のはしりで、羽根でもホオアカを確認した。
西暦
月
日
メモ
2001
3
24
茶臼山
雪がまだあちこちに残る登山道を進める。スキー場の歓声を脇に見て、茶臼山の麓に車を止める。実は、これから先は雪で進めないのだ。牧草
地と林との境目に鳥たちが集まる。早速、カシラダカの囀りが聞える。まだ、雪が解けてそんなに経っていないだろう。枝から降りて、カシラダカが
無心に餌を採っている。1週間ほど前に、萩の田んぼで過ごしていたそのままの姿があった。繁殖期を迎え、ますます見事な羽色になった。オス
が枝先で囀っていた。近くにはメスもいたので、番で繁殖地に向かうのだろうか。ルリビタキの囀りとミソサザイの地鳴きが聞かれた。そして、初め
てハギマシコに出会えた。100mほど先の木に30羽くらい、少し黒っぽい小鳥の姿があった。時々、地上に降りて餌をあさっている。他の鳥を追い
散らして餌をとる姿が印象的で、近づいてみるが、あまり警戒しない。十分、姿を確認出来るまでになったが、名前が出ない。カワラヒワの子供み
たいな縞があるが、断じて違う。残念だが、図鑑のお世話になる。ハギマシコであった。個体の中に、微かにハギの花の色をしたものもいる。顔と
頭の色で間違いなくハギマシコであることが分かった。アトリのように飛ぶ姿はかなり密集している。北日本に渡来とあるが、今年の冬は厳しかっ
たのだろうか。繁殖地に帰る前のならば、餌を取り合う姿も納得できる。この外、キクイタダキの可愛い姿、ヒガラがソングポストで囀る姿、など春
を満喫して山を下った。
2001
3
25
ツグミ・・・まだ、あちこちで餌を採っている。最後の確認は4月に入ってからか。
アオジ・・・まだいる。
クロジ・・・まだいる。
カシラダカ・・・いない。3/24に茶臼山で群れを確認。囀りも確認。
マガモ・・・まだいる。
タヒバリ・・・いない。
2001
3
31
みどり湖
雪の茶臼山を下りみどり湖にやってきた。みどり湖といえばやはりヤマセミ。水位はかなり低く、ヤマセミが好んで止まる水没木が姿を現している
。ウグイスやホオジロの声を聞いて取水塔まで来た。展望台から湖面を見た瞬間びっくりする。ヤマセミが崖の中ほどにいたのだ。キョキョと鳴い
ている。こちらの姿に気がついたのか、ダムのほうへ去っていく。しばらくして、水没木の頂きに止まった姿を確認することができた。帰りにも鳴き
声を聞いた。
2001
4
7
夏鳥到来
サクラが満開になった。合わせるかのように鳥たちの世界も替わっている。宮路山にコマドリを探しに行ったが、本命は見当たらず。ヤブサメが最
初の夏鳥になった。すぐにセンダイムシクイの声が続く。アオバトもいる。そのまま茶臼山に向かう。津具村から豊根村に抜ける道でトラツグミの
声を聞く。ミソサザザイはかなりいるようである。キクイタダキが聞えたので車を止めたらオオルリが鳴いた。萩よりも早い確認になる。続いて、ア
カショウビンが一声だけ鳴く。水も豊富そうなので繁殖する環境は整っている。茶臼山では夏鳥の姿は未だない。代りに、冬鳥がまだ餌を採って
いた。ウソの番。カシラダカは囀りをしている。道端ではベニマシコの群れがいた。残念ながら、ハギマシコは確認できなかった。コマドリは茶臼山
でも確認できない。
2001
4
8
コマドリ調査
昨日は確認できなかった。そうそう変わりはあるまいと思いつつも5時30分に家を出る。観音山には居ない。室林道をラインセンサス。ヤブサメ、
センダイムシクイが元気にさえずるが、コマドリの気配は無い。昨日、津具村で見たオオルリも居ない。次に長沢へ、最も可能性が高いと思われ
たがやはり居ない。さらに、西切山から宮路山を回り、音羽町のポイントというポイントを回ったが、今日のところは空振りであった。冬鳥の方は、
ツグミが最後の体力作りをしており、ホオアカ、ハクセキレイも居た。
2001
4
21
観音山
若葉が小雨でいっそう鮮やか。ウグイスやホオジロの囀りが響き渡る。そんな中からエゾムシクイの声がする。コガラと間違えた声の主である。そ
して林の中からはオオルリ。エゾムシクイで喜んでいたらさらにびっくり。コマドリの囀りが思いもよらない所から聞えてきたのだ。林の外の茂みか
らだ。金曜日には確認できなかった。やはり今年は遅かったのだ。
西暦
月
日
メモ
2001
4
22
室林道
夏鳥の囀りが盛んになった。オオルリがソングポストで朗々と囀っている。付近のサクラの枝にはオオルリのメスが餌を捕っていた。コマドリも数
羽の声を確認。今年は少し遅かったが数は多いようだ。ヤブサメの番が突然飛び出し、オスの方が威嚇の声を発している。アオジが囀っている。
繁殖地に出発するのももうすぐだ。
2001
4
28
茶臼山
コマドリ、キビタキ、オオルリなどの夏鳥が揃っていた。この中ではコマドリの数が少ないようだ。囀りも弱々しい。小鳥の森ではミソサザイ、アカハ
ラ、シロハラ、クロジを確認。バードウオッチャーも数組いた。ツグミやアオバトの声がした。
2001
4
29
汐川干潟
シギ・チドリがやってきた。数の多いのはハマシギ、次いでメダイチドリ。キョウジョシギ、ダイゼンも比較的多い。キョウジョシギには幼鳥もいる。チ
ュウシャクシギ、オオソリハシシギは少ない。その他、コアジサシがダイビングをしている。水の中ではヨシガモ、ホシハジロがいる。そろそろ帰る
時期か。
2001
4
30
寺ノ入林道
ヤマザクラが散りかけていた。2週間ほど萩より遅いか。今日は10Kg以上もあるカメラを担いで歩いた。健康のためである。と言いたいところであ
るが、サンショウクイの写真が撮りたくて仕方がないのだ。夏鳥の中で1番思い入れのあるのがサンショウクイなのだ。サンショウクイが激減して
いるという。そういえば、サンショウクイを確認しているのは全てマツ林のある所である。マツが絶滅に瀕していることを考え合わせると、サンショ
ウクイの減少とに因果関係があるような気がする。幸いにして寺ノ入林道にはマツが残っている。毎年5月初めにここを訪れるのは、サンショウク
イと今は見かけなくなったマツの緑を見たいからだろう。
2001
5
1
サンショウクイ
ついに営巣行動を確認した。番のサンショウクイがアカマツの枝の中に何度となく消えてゆくので、不信に思いスコープも取りだし注視したところ、
樹冠に近い所に枝の又に巣を発見した。一部しか見えないが、巣材にはマツの樹皮が使われている。巣の近くの樹皮が剥されているのが分かる
。一部にはゼニゴケが貼り付けられている。観察開始11:59から観察終了13:45までの間に22回巣に戻った。最初は育雛かと思っていた。しかし、
巣に戻っては嘴を巣の外の幹に擦り付ける動作を繰返しているのが府に落ちない。どうも雛に餌を与えている雰囲気ではなさそうだ。改めて巣の
外を見ると、透明な繊維が巣と幹の間で光っているのが確認できた。クモの糸で巣を幹に固定していたのだ。今日は5月1日である。いくらなんで
も育雛には早すぎる。やはり営巣行動だったのだ。オスとメスでは黒い部分の羽色の濃さが違うこともよく分かったので、抱卵、育雛時での区別も
できる。暫くは寺ノ入林道へ通うことになりそうである。無事に子育てが終了できるとよいが。
2001
5
2
汐川干潟
潮が満ちている時間帯であったため、限られた場所にしかシギ、チドリはいなかったが、かえって観察には好都合であった。数が多すぎても集中
できないものだ。肉眼でもはっきり見えるのはオオソリハシシギとチュシャクシギである。オオソリハシシギの約30羽のうち10羽程度は夏羽である
。スコープを向けると小型の鳥もいる。キョウジョシギが2羽、ダイゼンの成鳥と幼鳥が各1羽。オバシギが1羽。そして50羽以上のコアジサシが迫
りくる潮で狭まった干潟にいた。別の所ではキアシシギも見た。
豊島
田植えも終わりに近づいた。200羽以上の群れはドバト。ケリが縄張りに入ったものを蹴散らしているけたたましい声がする。田に水が張られ、ヒ
バリやセッカの居場所が限られてきたが相変わらず元気な囀りを聞かせている。堤防沿いの水路の茂みで聞きなれない声を3日前に聞いて気に
なっていたが、正体が判った。ベニスズメであった。いわゆる日本産野鳥には名前を連ねていないが、野鳥には変わりはない。生まれ故郷を調べ
てやろう。
2001
5
3
平尾
豊川用水を歩いてみた。スズメが非常に多い茂みがあった。口には青虫などを咥えている。近くに巣があるに違いない。用水路を跨ぐ橋の下に
あった。さかんに橋の下から親鳥が飛び出しては餌を探しに行く。まるでイワツバメのようだ。繁殖期には虫たちを沢山とっている。害鳥と決め付
けては可哀想である。
西暦
月
日
メモ
2001
5
4
高嶺
通行止めになってしまった。仕方ないので歩くことにする。標高差500mはかなりきつい。しかし、歩くことで高嶺の自然を満喫できる。ウグイスが多
い、それも、ほとんどのオスが木々の中ほどに陣取って囀っている。ウグイスといえば声ばかりで姿が見られず、という印象が強いが、この時期
は違っている。コルリ、オオルリの囀りも多い。オオルリは高嶺ならではの眺めである。カラマツの明るい緑の梢で
朗々と鳴いている。コマドリ、ルリビタキは少ない。エゾムシクイが鳴いている。コガラの声によく似ていてすっかり騙された。アオジ、ビンズイの囀
りはもう少し後のようだ。山頂まで3時間。
2001
5
5
寺ノ入林道
サンショウクイのペアは着実に自分達の巣を仕上げている。巣の外壁はゼニゴケで完全に覆われている。今は内装を行なっているみたいだ。50
分の間に20回交代で巣材を運んでいる。観察から20分したとき、1回だけオスが別のオスをしつこく追いかけていた。メスは巣にいたので、ペアで
はないことだけは確かである。あわよくば巣を横取りしようとして追いかけられていたのではあるまいか。その後は又ペアで巣材を運んでいた。運
搬回数オス8回、メス12回とオスが少ないが、侵入者への警戒はオスの役割であろうから、公平に仕事をしていると言えるのでは。
2001
5
6
室林道
久しぶりにエナガの群れに遭遇した。20羽以上にはなるだろう。メジロやコゲラの声も混じるが混群でもなさそう。キビタキの元気な囀りが聞えた。
オーシーツクも無論入っている。ほとんど休み無しで鳴いている。スタートから録音器を回しておいたので、臨場感のあるラインアセンサスデータ
が出来そうな感じがする。
2001
5
7
汐川干潟
干潮では野鳥までの距離がありすぎる。38倍のスコープでも厳しい。特にかげろうの影響が大きい。潮が満ちてくるのを待つ。やはり、ハマシギが
最も多い。ダイゼン、チュウシャクシギ、オオソリハシシギは大きいだけあって遠くからでも確認出来たが、目の前にきてトウネンの姿があった。そ
の他、メダイチドリ、キアシシギ、コアジサシ、夏羽のユリカモメ。
2001
5
13
寺ノ入林道
サンショウクイ抱卵
観察時間は08:06から09:41まで。抱卵はメスが担当している。観察時間中にオスが巣にきたのは1回。メスが巣を離れたのは3回。2回はハシブト
ガラスが近づいたためである。巣の場所を知られないためであろうか。残りの1回は分からない。抱卵中のメスはキョロキョとあたりを見ていて、神
経質になっている。カラスが1番の捕食者か。時折卵を見ている。又、体の向きを変えている。均等に卵を暖めているのだろう。
2001
5
19
室林道
室側スタート地点でメボソムシクイの声を聞く。メボソムシクイといえば高山帯で繁殖し、今まで木曽駒ケ岳や富士山五合目で、春と秋の渡りの姿
を茶臼山で見てばかりである。音羽町では初めての確認だ。コマドリの例にもあるように標高が低くても無論いても不思議ではないが。リュリリュ
リと単調なしかし印象深い声である。過去の観察記録を見てみると、茶臼山での春の渡りの確認日が、ちょうど5月19日と同じ日であった。又、今
日初めてサンコウチョウを確認した。例年よりも1週間ほど遅い確認である。先週は室林道に行かなかったので、実際は来ていたのかもしれない
。
寺ノ入林道
サンショウクイの抱卵が続いている。本によると、オスがメスに給餌するとあるが、延べ3時間の観察では確認できていない。抱卵中のメスが巣を
離れることはあっても、オスが給餌のために巣に戻るのは今のところ無い。
西暦
月
日
メモ
2001
5
26
寺ノ入林道
サンショウクイの観察も5日目に入る。育雛の姿を当然期待していたのであるが、スコープを向けた巣にはサンンショウクイの姿は無かった。始め
の内はメスが離巣しているのだろうと思っていたが、30分たっても1時間たっても姿をあらわさない。1度だけ巣から5mくらいの所にサンショウクイ
がやってきたがすぐに去った。付近からは声が頻繁にしている。まるで2週間前に営巣をしているときを再現しているようである。抱卵、育雛に1ヶ
月余り必要なことを考慮すると、この番は繁殖に失敗したようである。カラスなどの天敵に卵を奪われたのかもしれない。今は巣だけが空しくあっ
た。この日は3種類のタカを確認した。ハチクマ、サシバ、ノスリである。彼らは上空から獲物を探している。静かな山の中で厳しい競争が営まれて
いる。その繰返しの中から自然淘汰がなされ進化してきたのだ。
2001
6
23
茶臼山小鳥の森
連日の雨で道はぬかるみ橋は滑りやすい。コケの付いた岩や木の根はつるつるである。天候によって鳥たちの生活が変わることもない。だから、
野鳥の観察に天気は関係ない。とはいってもいつも以上に足元に気をつけて進む。小鳥の森の入り口でコルリの出迎えを受ける。先々でコルリ
の囀りが聞かれる。コマは?。ヒガラも負けじと美声を聞かせる。今年初めてのカッコウを聞く。森の外から聞える。キクイタダキが透き通るような
声で鳴いている。初春ほど盛んではないようだ。よく響くのがアカハラのキョロンキョロンである。コマドリ、オオルリ、ミソサザイの囀りが沢の下か
ら聞えてくる。湿った空気のため遠くからもよく聞える。トレッキグシューズは泥だらけ。ズボンの裾も泥だらけ。登り道を息を切らせて行く。しかし、
鳥の声やヒグラシの声と、森の樹木からの香りを胸一杯吸い、満足して帰途についた。
★珍しい出来事
★小鳥の森でヒガラの交尾
メスが羽を振るわせと共に、尾羽を水平にひろげ聞いたことのない声(甘ったるい声)を出している。すると、オスがメスの背中に乗った。
★茶臼湖でアオジの番
茶臼湖に着いたとたんアオジの囀りを聞く。車を降り探すと、今度は地鳴きが聞える。2羽の声の高さが違うので、オス、メスと思い姿を確認。
ようやく2羽とも姿を確認。オス、メスの番である。茶臼山よりも標高の高い高嶺ではアオジの囀りは珍しくないが、茶臼山では久しぶりであった。
さらに、番での確認は初めてである。
2001
6
30
鳥川
室林道から峠を越えると鳥川である。今はゲンジボタルが川沿いに幻想的な光を放っている。野鳥といえば萩と特別異なってはいないが、静かな
風景に魅せられ時々出かける。鳥川から大代に向かう峠越えの場所はなかなか雄大で、車を止め広がる景色を楽しむ。この日はキビタキやオオ
ルリの囀りも聞かれ満足した。遠くからサシバの声がする。萩の方角から1羽やってきた。メスだろうか。尾羽の1部が抜けてしまっている。音羽町
を中心として鳥の観察をしているが、隣接する地域も大切なフィールドである。北側には鳥川や大代、南は平尾、西は蒲郡。季節ごとに興味深い
観察が出来すばらしい地域である。
2001
7
1
蛇峠山
梅雨の中休みの蛇峠山を歩く。青空がすっきり広がり南アルプスの山並みを期待していたが、水蒸気が多いのかぼんやりとしか見えない。
【ラインセンサス】ウグイスに追いかけられるようにして山道を登る。縄張りの中に登山者が入ると警戒行動を起こすのだろうか。お陰で彼の姿を
見ることができる。コガラの姿も多い。囀りはしないが、ゼイゼイ鳴きながら群れになって餌を捕っていた。谷からはコマドリのヒンカララ。山頂直下
ではビンズイが電線に止まって囀っていた。上りの時も下りの時も同じ場所にいたので、このあたりが彼の縄張りなのだろう。国道から少し入った
別荘地帯ではミソサザイが囀っている。長野県の南の端ではあるが、信州の魅力を感じることが出来る場所である。
西暦
月
日
メモ
2001
7
14
茶臼山
猛暑の平地に比べ気持ちのよい高原。夏本番を前に茶臼山に出かける。出発が4時半は少々遅いが、後のことを考えると妥当なところか。豊根
村ビジターセンターと野外活動ロッジでは営巣中のイワツバメが雛のために餌をとっている。その活動ロッジのある茶臼山南東面からはコマドリ
の声もする。以前付近の草むらにコヨシキリがいたが、埋め立てられ狭くなってからは一度もみていない。東面のお花畑付近や茶臼湖近くでも道
路拡張工事により姿を見なくなった。代りに驚かせてくれたのがアオジである。茶臼湖で番を確認したのは1ヶ月前であるが、今日は囀りを聞くこ
とができた。繁殖は間違いないだろう。それと、この夏初めてマミジロを聞いた。遠くでカッコウとホトトギスが鳴き、アオバトの不思議な声もした。
気にかかっていた北面。工事中の道を歩いて見に行く。工事の爪あとが痛々しい。ここはコマドリがいつも出迎えてくれた場所である。2羽のコマ
ドリの声がしてほっとする。しかし以前のような賑わいは無い。売木村に向かう。途中の白樺高原キャンプ場でカラ類の混群に出会った。ヒガラ、
シジュウカラ、コガラにコゲラとメジロが加わった夏には珍しい混群である。幼鳥もいて目の前で餌を捕っている。観察の合間のホットする時間で
ある。
2001
7
15
室林道
ウグイスの囀りが少なくなった。ヤブサメやセンダイムシクイも囀りがめっきり減った。ヒヨドリは相変わらず賑やかである。
2001
7
21
高嶺ラインセンサス
通行止めのおかげで高嶺のラインセンサスをやることになったが、今日が2度目になる。リュックに飲み水、弁当を入れ万全の体制である。6:35ス
タート。ヒガラの囀りから始まりさすが1000mを越える山々が連なる信州である。ウグイスも非常に賑やかである。警戒の声を上げたオスが姿を現
す。崖くずれの痕は全く手が付いていない。その沢からミソサザイとミビタキの声がする。カラマツ帯を進めとカラ類が餌を捕っている姿を多く見か
ける。多くはヒガラ、コガラである。キクイタダキの囀りも聞かれた。大きな谷にでるとオオルリの囀りが聞える。節回しに特徴があり(流麗とはいえ
ない)前回(5/4)のラインセンサスで確認した個体と同じである。平地で多いホオジロ、モズもしっかり山頂付近までいる。コマドリは2箇所で囀りを
聞いたが、1400m付近と山頂に近い場所である。アオジとホオアカは高嶺の楽しみのひとつであるが、アオジの囀りとホオアカの番を山頂付近で
確認できほっとした。3時間かけ到着。山頂で弁当を食べ横になっていたら辺りが急に暗くなり雨が降り出した。汗もかいていたのでかまわず雨の
中を下山。まもなく雨曇も去り日差しがさす。きらきらと草木が輝きそれは美しい。2時間ほどで国道153号線に出た。
2001
7
29
寺ノ入林道ラインセンサス
曇り空というもあって気温24℃と気持ちのよい探鳥である。昨日の室林道でも感じたが、山が静かになった。ウグイスやホオジロの囀りもかなり少
なくなった。そのなかでアオゲラのつんざく声が印象的。これは室林道でも同じ。室林道では夏鳥の囀りがピタリとやんだが、ここ寺ノ入林道では
センダイムシクイとエゾムシクイのムシクイ類の囀りや地鳴きが聞かれた。そして久し振りのサンショウクイの声。巣は未だそのままの形であった
。カラ類も多い。ヤマガラ、シジュウカラがヒノキの林で餌を探している。曇り空で条件が悪いのかタカの姿はノスリ1羽のみ。木の実も大きくなり、
野鳥やけものたちの食料も豊富だ。足元にはピンク色したネジバナが可憐な花が咲いている。セミたちが夏を惜しむかのように鳴いている。
2001
8
5
茶臼山
早朝の高原は小鳥の囀りから始まる。ウグイス、ホオジロは無論のことアカハラやマミジロ、クロツグミなどの明るい声が響き渡る。谷からはコマ
ドリやミソサザイが盛りは過ぎたが最後の囀りを聞かせてくれる。ミソサザイは地鳴きの個体の方が多かった。驚いたのはイワツバメに混じってア
マツバメがいたことだ。イワツバメも素晴らしい飛翔力の持ち主であるが、アマツバメとくらべるとのんびりに見える。鎌の刃のような羽をひらめか
して飛ぶ姿は鳥の最も美しいものだろう。
みどり湖
意外にもみどり湖は満々の水をたたえていた。ヤマセミに合えなかったのは残念ではあるが、静かな風景にほっとした。水没の記念碑を読む。湖
底に沈んだ生活を想像する。
2001
8
11
室林道 土曜探鳥会
早朝5:30みんな遅れずに集合した。車に分乗して室林道に向かう。昨年は山陰川沿いに上萩を歩いたが、平地はどこも日の出と共に気温が上
がり、厳しい探鳥会になってしまう。ましてや今年のメンバーは小さな子達ばかりだ。そこで直前になって室林道にした。結果はよかった。早朝の
山はさわやかで、曲がりくねった道は木陰を作ってくれる。メジロやホオジロが多く、姿も見ることが出来た。ウグイスのさえずりを観察テーマに上
げたが、お盆前のこの日はまだまだかなりの数が囀りをしていた。ハシブトガラスがノスリを追いかけているシーンも見られ満足したようだ。
西暦
月
日
メモ
2001
8
12
汐川干潟
そろそろシギ・チドリの南下の姿が見られるのではと汐川干潟に出かけた。いつもの豊島ではなく、杉山町から入る。干潟は潮が満ちていて余り
条件はよくない。やはり干潮を確認しないといけない。最初に目に入ったのはアオサギやダイサギなど。その中にシギの姿がある。サギと比べて
もそんなにひけをとらない。ダイシャクシギかホウロクシギか迷ったが、腹の白さでダイシャクシギとする。やはり南下は始まっているのだ。さらに
田原方面に進むとコチドリの声がする。さらに、イソシギの姿もある。車を降りて観察する。わずかに残った干潟の縁で小型のシギが餌を捕ってい
る。スコープで姿を確認する。わずかに夏羽の残ったトウネンであった。いよいよもって南下の感を強くした次第。養魚場の方からはセッカやオオ
ヨシキリの囀りがひっきりなしに聞えるが、今日はカワラヒワの群れに感銘を覚えた。秋から春先までは耕地で群れを作っているが、夏の間は海
岸で過ごしているのだ。子育てに必要な動物性の餌が多いのだろうか。雨雲が通過し辺りが暗くなり大粒の雨。窓を少し開けて観察を行なう。竿
のようなものに思い思いに止まって羽を休めている大型の鳥がいる。3羽のアオサギ、1羽のカワウまでは問題無いがあとの1羽のタカの名前に
手間取った。場所柄チュウヒではないかと思うが、真夏にいるのだろうか。そうならば繁殖している可能性あるが。
2001
8
13
シギ・チドリ南下
昨日の確認が本物か又汐川干潟に出かける。昼前に到着したものの未だ水面の下である。しばらく休んで待つ。幸いにしてさわやかな風が吹い
ている。窓を開ければ暑くない。13:30ようやく干潟が見え出した。点々と鳥の姿が見える。昨日とは比べ物にならない。次から次へと飛んでくる
。最初に現われたのはダイゼン。幼鳥もいる。続いてキアシシギ。メダイチドリ、コチドリ、キョウジョシギ、ムナグロ、アオアシシギ、タカブシギ、ソリ
ハシシギといつのまにか百数十羽に膨れ上がった。いよいよ南下は本物だ。
2001
8
15
茶臼山のウグイス
茶臼山でもウグイスの囀りは少なかった。観察した西面で2個体、北面では0個体である。前々日に室林道を歩いたが、やはり2個体だけであっ
た。その反面地鳴きを聞く回数が増えている。囀りの終える日も近い。
2001
8
17
室林道のウグイス
ついに囀りを聞かれなくなった。
2001
8
18
寺ノ入林道
サンショウクイとエゾビタキを確認。特にエゾヒタキは群れでいるところが確認でき、繁殖の可能性を強く感じた。以前、地鳴きを聞いてジョウビタ
キかルリビタキと胸をときめかせたことを思い出す。詰まる所、彼らはエゾムシクイであった。ほほえましい光景を見た。3羽のヒヨドリの幼鳥がヒノ
キの枝にくっついて並んでいて、親が食べ物を運んでいたのだ。餌は昆虫、今日のご馳走はカマキリのようだった。いわゆる目白押しになって親
の帰りを待っている姿はいつまで見てもあきることはなさそうだ。餌をせがむ声も直接確認でき大きな収穫だった。標高600~700mの寺ノ入林道
は音羽町と茶臼山の中間に相当する。大切なフィールドでありいつも新しい発見を約束してくれる。
2001
8
26
蛇峠山
山の上は秋の気配が色濃くなっていた。ススキの穂が風に揺れ、マツムシソウの薄紫の色が溢れていた。蛇峠山の付近は曇がかかっていたが、
周りの山々は輝いていた。ウグイスの子供の声がした。親が警戒している。そんな光景があちこちで見られた。囀りの個体は全くない。山頂付近
で小型のタカが羽ばたいていた。鳴き声からツミと確認。山頂付近でヒガラとヤブサメを確認。コマドリの姿は確認出来なかった。中継アンテナの
林立する低潅木帯では珍しくアオジの姿があった。メスの成鳥である。
2001
8
31
宮路山
宮路山西切山でサンコウチョウに出会った。蒲郡から登って来た途中の出来事であった。突然あの囀りが聞えた。車を降りてヒノキ林の中を探す
。コゲラが枝を突ついている。メジロの群れがやってきて賑やかになる。サンコウチョウは樹冠付近にいる場合が多いので、上の方を探すが見つ
からない。こういう場合が肉眼で鳥の姿を探すのが一番。視野を広くして探す。種類確認はそのあとのことだ。そうしたら、割合低い枝に動く姿が
あった。やはり、サンコウチョウであった。しかし、何かが違う。尾羽が長くない。姿はメスのようではあるが羽色はオスである。換羽で抜けたのか
、繁殖時期を過ぎ不要になったのか?。もいずれにしても初めて見る姿に感激した。
西暦
月
日
メモ
2001
9
8
茶臼山
2時間余り茶臼山を歩く。澄んだ空は秋がすぐそこに来ていることを感じさせてくれる。ビジターセンター付近でもカケスの響き渡る声がしたが、茶
臼山も同様であった。時々ヒガラの高い声がする。登山道を歩き中腹の鳥を観察する。最も多いのはウグイス。よく耳をこらすとさまざまな地鳴き
が聞かれる。アオジ、ヤブサメ、ミソサザイ。声を発しない鳥もいる。オオルリ、マミジロたちだ。一見鳥などいそうにない初秋の山も、実は大変お
もしろいことが分かる。茶臼山湖近くでノスリのペアが輪を描いていた。山腹を2つの群れのアオバトが飛び回っている。逆に野外活動センターで
営巣していたイワツバメが1羽も確認出来なかったのは秋の訪れを実感した。
2001
9
9
室林道
南東方面から曇が次々とやってくる。晴れたり曇ったり。時に雨も。キビタキ、オオルリの姿があった。オオルリはオスの若鳥とメスとの接近があっ
た。しかし、今日最も目立ったのはハシブトガラスである。次々止まり木から舞い上がり大声で鳴きながら旋廻する。オスたちのパフォーマンスに
賭ける意気込みを感じた。
2001
9
15
9月土曜探鳥会
運動公園を起点に田んぼの観察を行なう。低学年の子供が多いので、フィールドスコープで見せることがポイントになる。やはり、実物を見ること
が一番である。タシギがいた。
2001
9
23
伊良湖岬
すっきりと晴れ渡り伊勢の山々もよく見える。神島はすぐ目の前にある。南側の断崖に白波が立っている。恋路が浜の駐車場には、カメラや望遠
鏡をセットした車が並んでいる。もしかして渡りが見られるのかもと場所を取ったが、やはり未だ早かった。1羽タカらしい姿を見たが。観光客から「
何か見られますか」と聞かれた。空の方は諦めて、海の方に目をやる。漁船や貨物船が行き交う海面にウミネコの群れが力強い飛翔を繰返して
いた。海鳥の飛翔の素晴らしさには惚れ惚れする。
2001
9
29
茶臼山ラインセンサス
高原は秋の風情が漂っていた。紅葉には少し早いが、野菊やすすきが少し寒い風にそよぐ。山頂付近にはノスリのつがいが輪を描いていた。少
しばかり寂しい景色にはカケスの声がなぜかよく合う。ウグイスの笹鳴きも風情がある。ところが今日は何度もウグイスの囀り(かなりへたくそ)を
聞くことができた。ウグイスばかりではない。長野県側ではコマドリが囀りをしていた。ヒガラも高い声を張り上げていた。これは何なのだろうか。
若いオスが練習でもしているというのか。スキー場から先に進むと牧場ようなの風景が開かれるが(今まで珍しい鳥が見られお気に入りの場所)、
オオルリがいた。半成りと呼ばれる翼の部分のみ青色になったオスである。どうやらメスを追いかけている。そのオオルリと同じ木に腹部に縦縞
模様のあるエゾビタキが止まっていた。こちらの方は身じろぎせず悠々としている。腹の白さが印象的であった。茶臼山をぐるりと3時間あまりか
けて鳥を見て歩いた。冬鳥と呼ばれる鳥に出会うには少し早い。
2001
10
6
伊良湖岬
いつものとおり駐車場は満車であった。スタートしばらくは静かな時間がすぎた。やがて、いくつかのサシバの群れが現われた。20羽くらいのあま
り多くない群れがほとんどある。D単独で海峡を渡る個体も多い。少し西側の方向に向かっているみたいだ。小鳥では、ヒヨドリ、メジロ、カワラヒ
ワの群れ。コサメビタキらしい姿があった。時々姿を現すハヤブサ、オオタカも今日は脇役である。海上では、ウミネコ、ミサゴがやや強い風をも
のともしないで獲物を探している。8時から10時30まで観察を続ける。サシバは100羽を少し越すくらいであった。昼食を蔵王山でとる。山頂の駐車
場に着いたとたん素晴らしい光景にであった。30羽くらいのサシバの群れが上昇気流にのりながら伊良湖岬方面に向かおうとしていた。一つの
発見であった。
2001
10
7
寺ノ入林道
9時01分歩きはじめる。カケスとアオゲラの鳴き声が響く。途中で木をつつくアオゲラのオスに2度も出会った。じっくり見ることが少ないので感激も
ひとしお。頭頂部の赤い色が長くオスと確認。カケスも数がふえた気がする。カラ類も多い。1度だけヒガラの囀りを聞いた。山から下りてきたのだ
。夏まであれだけ賑やかであったウグイスやホオジロは全く陰をひそめた。微かな地鳴きを聞いただけだ。
羽根
ノビタキはさらに数を増やした。5羽以上はいる。そして、寺ノ入林道のヒガラ同様に羽根にもビンズイがやってきた。
西暦
月
日
メモ
2001
10
13
室林道
ホオジロの囀りが聞かれた。例年9月いっぱい囀りがやむが10月に入り、しばらく一部の個体がソングポストにて囀りを再開する。縄張り確認な
のか、若いオスが伴侶を求めているのか。
カケスの姿が増えたように思う。
羽根・長根
今がノビタキの最も多い時ではなかろうか。100mくらいの範囲で数羽くらいはいるようである。
ハクセキレイがやってきた。チョウゲンボウも獲物を追って飛び交う。
御津佐脇浜
オナガガモ(70羽)とヒドリガモ(30羽)がやってきた。大多数のオスの羽はエプリクス状態で、繁殖羽の個体数は少ない。
砂浜では、10羽ほどのシロチドリがくぼみに身を潜めて風を避けるようにして、休んでいた。
草むらや潅木は、海岸までたどり着いたノビタキがかなりの数いた。ほんの20~30mくらいの範囲に10くらいいる。明らかに萩よりも鳥の密度
は高い。これから海岸線沿いに南下するのであろうが、渡りは昼・夜いつ行なうのだろうか。サシバたちに比べ見送るバードウオッチャは格段に
少ない。
2001
10
14
団子島林道
久し振りに、栗島川を溯り西川の部落を抜け団子島林道に来た。先回訪れた時は、沢の大水で道が寸断されすさまじい様相であった。すっかり
舗装された道を峠から麓まで歩く。時々通る車以外は自然の音ばかりだ。谷川の音、水量が豊富で力強い。ほとんどの沢からは勢いよく水が流
れていた。山頂付近のスギ・ヒノキ林ではカケスの姿が目立った。これは、寺ノ入林道や室林道と同様である。少し下がったところで突然合いたか
った鳥の声がする。ミソサザイであった。チャチャと一声鳴いたきりであったが、聞き間違いようがない。家から出発前にミソサザイの確認記録を
調べておいた。当地での10月の記録はなかった。1番早い確認になった。谷までの深さが最も深くなる中間部には落葉紅葉樹の自然林が見られ
る。明るく美しい場所で好きな所だ。カラ類の群れが餌を捕っていた。雑木の絡み合うその場所へ突然鳥が飛び込んだ。急いで入った先を探す。
正体は思いもしない鳥だった。双眼鏡の中には2羽のキビタキがいた。美しく輝くオスと落ち着いた感じのメスの番。ああ未だ残っているのか。そ
ろそろ越冬地に行かないと。鳥以外にも心躍らせることがある。静かな中で時折パチ、カサと微かな音がする。葉が枝から離れるのと地面に落ち
た時の音である。カサカサと音がするので振り向くと、ニホンリスが山から谷へ道を横切っていた。逆光にふさふさとした毛が輝いた。
2001
10
20
茶臼山
900mのビジターセンターで気温は5℃。抜けるような青空は秋のものである。南アルプスもくっきり望める。鳥たちの群れが大変目に付いた。秋か
ら冬にかけて鳥たちは群れをつくる。茶臼山全体を飛び回っていたのはマヒワとイカルであった。マヒワは初確認。50羽以上の群れであった。草
地と林の境界ではホオジロに混じってカシラダカがいた。カシラダカも初確認である。数は少ないものの、ルリビタキやミソサザイ、アオジなどの冬
におなじみの鳥たちを確認できた。やがて平地にもやって来ることだろう。紅葉もすばらしい。特に茶臼湖周辺がよかった。イタヤカエデの赤く染
まった葉が歩道に落ちていた。青空を舞うノスリ、ノスリにモビングするハシブトガラス。しつこさにノスリもうんざりしたようだ。上空では10羽ほど
のイワツバメが旋廻。秋になっても小鳥たちは歌い続ける。ヒガラ、キクイタダキ、ホオジロたちである。美しさでは指折りのアカゲラが目の前に止
まった。森の中から牧場に出る。乳牛が餌を食んでいる。草叢にはハシブト・ハシボソガラスが餌を探している。それが一斉に舞い上がった。200
羽以上はいるだろうか。ここでも一番繁栄しているのはカラスたちであった。
2001
10
27
室林道から長根・羽根・室へ
ジョウビタキの姿が多く見られた。室林道では確認できたのは全てメスであったが、声だけの確認も多くオスがいた可能性はある。民家近くでは
オスばかりであったが、これもまたメスを見逃している可能性はある。我が家のジュウビタキもオスで電線で鳴いていた。
田んぼにはタヒバリがやってきていた。ハクセキレイ、ビンズイはかなり前からいた。
室川の竹やぶではアオジがひそかにやってきていた。室林道でも声はしていたがどうしても姿を確認出来なかった。
室林道ではクロジの姿もあった。生活する場所をしっかり決めているのだろうか、今年もいつもと同じ場所にいた。
観音山の麓ではカシラダカを確認。梅畑に多くのホオジロと一緒にいた。これも例年どおりである。
ずいぶんと冬鳥が揃った。ルリビタキ、ミソサザイ、カヤクグリ、オオタカなどが待ち遠しい。
西暦
月
日
メモ
2001
11
10
茶臼山
山の登る途中でマヒワの群れを見る。止まった先はスギの木で実をついばんでいる。林道への入り口はベニマシコがいるはず。しばらく待つと小
鳥の声がする。ベニマシコの声が一番大きい。静かに鳴くヒガラ。実を付けている木にはヤマガラが3羽いた。そのヤマガラに混じってルリビタキ
が4羽で実を食べている。動物食と思われているルリビタキだが冬には贅沢はできない。高原のアグリリゾートの建物の付近は小鳥が多い。100
羽を越すツグミの群れが上空を旋廻していた。独特の羽の動きで、ああツグミがやってきたと思う。シメもいた。雨の降りそうな中で一人の客もい
ないスキー場のリフトが動いている。西面はカヤクグリが期待できるが残念。しかし。カシラダカとベニマシコが迎えてくれた。ベニマシコはほとん
どメスであった。茶臼湖の中で動くものがいる。一瞬緊張。カワウがもぐって餌をとっていた。近くではみどり湖に棲んでいるが茶臼山ではあまり
見かけない。ここはカシラダカとツグミに期待する。そのとおりツグミがややばらけた群れになり雨も間近い空を旋廻していた。到着したときに見た
群れと同じだろうか。10時半頃テニス場の近くで早い弁当を食べる。最近は手作り弁当を持参するのが楽しみになった。寒く車の中で食べるのが
少々残念。
一宮金沢
ツグミが来ていた。50羽以上の群れになり旋廻している姿は先ほどの茶臼山と変わらない。平地付近でも山付きにはやってきているようだ。すぐ
近くの水田では姿を確認できなかった。池にはカモの姿は全くない。
平尾
ツグミ2羽見る。
2001
11
11
萩ツグミ確認
2回目の長配ラインセンサス
室林道のセンサスと比べ変化に富み散歩としても気に入った。今日はリュウと一緒だ。時々記録するために紐をとめる杭を見つけなければならな
い。水田にはセキレイ科が勢ぞろい。ビンズイ、タヒバリもいる。川原からはホオジロ、アオジが。観音山にくるとカケス、ウグイス、シジュウカラが
出迎えてくれた。そのなかに
シロハラのけたたましい声と、ツグミの一声があった。昨日は茶臼山から一宮、平尾とツグミの確認をしてきたが萩でも確認できた。
2001
11
17
寺ノ入林道
今日ほど思い通り野鳥を観察できた日も珍しい。はたして、寺ノ入林道にも来ているかと期待していた鳥が全部見られたのだ。ツグミは萩で確認
済みなので当然いた。クロジもしかり。マヒワは最も頻繁に声を聞いた。一宮で確認済み。ベニマシコ、ルリビタキもさすがに寺ノ入林道だ。きちん
といた。本命はミソサザイとカヤクグリ。期待半分だったが両者とも確認できた。カヤクグリはつがいであった。ラインセンサス中は雲が日差しを隠
し歩いていなければ寒い天気であったが、すっかり興奮してポカポカの体であった。終点でカヤクグリの鳴き声を聞いた時は心臓が高鳴った。そ
して、2羽のおなじみの姿がスギの枝の中にあった。本当に野鳥観察はなにがおこるか分からない。まさにそれが魅力なのだが。
2001
11
24
室林道
小春日和の空に紅葉がこぼれんばかりだ。小鳥の声も弾んでいる。今日一番賑やかであったのはシジュウカラである。混群のときも単独でも元
気に騒いでいた。ミソサザイの一鳴きがあった。山頂のさらに梢に止まっていたのはノスリ。さらにもう1羽現われ番でゆっくりと輪を描く。谷からど
んどん高度を上げていったのはオオタカである。先週から聞えるウソの声。今週ついに姿を見せた。シロハラの群れは珍しかった。慌ててチリジリ
になった。
2001
12
1
御津海岸
父とカモを見に行く。音羽川河口付近に特にあつまっていた。500羽くらいはいるだろうか。そのほとんどがオナガガモである。少数ではあるが、ヒ
ドリガモやヨシガモ、キンクロハジロがいた。もう少し沖合いに1羽のカンムリカイツブリがいた。体の大きなカンムリカイツブリが現われると小型の
カイツブリは隅に追いやられる。確認したことを素直には喜べない気持ちだ。
室林道
先週に引き続きシジュウカラの賑やかな声があちこちで聞かれた。ツグミの姿も見かけるようになった。ラインセンサスの終点でミソサザイを確認
。先週同じ場所で声を聞いたが、やはり間違ってはいなかった。
西暦
月
日
メモ
2001
12
7
茶臼山ラインセンサス
11時過ぎからのやや遅い探鳥となった。スキー場のリフト付近でミソサザイが一鳴きした。全く同じ場所にカヤクグリの姿もあった。彼らは色も似
ているが棲む場所の好みも似ているのだろうか。ホオジロ、カシラダカは暖かい日溜りで草の実を食べている。切通しの土留めとして撒布された
草が一杯種を付けている。道路脇の草叢はベニマシコも気に入っているようだ。今日は遠くまでよく見えていて、名古屋のツインタワーが肉眼で
確認できた。茶臼山を時計回りにまわり茶臼湖の上が、南アルプスの絶好の観望スポットである。茶臼岳から北は雪で化粧している。上河内岳、
聖は雲の中、赤石岳、荒川岳、悪沢岳、塩見岳、農鳥岳、間のと北岳は雲の中、仙丈ガ岳、恵那山。伊吹山の奥には白山。小鳥の森にも入って
みた。あまり鳥の気配がない。マヒワ、コガラ、ヒヨドリを確認。かすかに聞えるのはヒガラか。午後2時過ぎ山を降りる。
2001
12
8
土曜探鳥会
最初に羽根の定点に行く。7時10分に到着した時点では未だ日の光は半分ほどしかあたっていない。心なしか鳥の数も少ない感じだ。やがてフィ
ールド全体が明るくなってきた。すると風景が一変する。ヒバリ、カワラヒワ、タヒバリ、カシラダカなど今まで田んぼで潜んでいた群れが上空を旋
廻し始めた。種によって群れの集中度なども違って面白い。
メンバー全員で御津の海岸に行く。風がなく鳥を見るには絶好の日だ。やがて御津町の親子の人達も加わって賑やかになった。萩小の子がスコ
ープで見せてあげていたのが頼もしく感じた。アメリカヒドリがいた。
2001
12
9
室林道ラインセンサス
スタート10:32 特定の種に偏らずまんべんなく色々な鳥の声がする。ヒヨドリ、カワラヒワ、メジロ、アオジ、ヤマガラ、シジュウカラ。少なくなるが
ウグイス、エナガ。ミソサザイが道端から飛び出た。一瞬崖に止まった。性別は分からないが、かなり強い声で鳴いているのでオスだろうか。実生
の小松の茂みでクロジが餌をあさっていた。きれいなオス2羽とメス1羽を確認。声からするともっともっと居りそうだ。カヤクグリはまだいない。サク
ラはすっかり葉を落とし、クヌギの紅葉がとても綺麗だ。
2001
12
15
室林道
ヒヨドリで溢れていた。そう言えば家の付近ではヒヨドリの声をあまり聞かない。常緑照葉樹の暗い樹冠近くから賑やかなヒヨドリの声だ。上空を暗
い雲が速い速度で抜けていく。今日はさしものハシブトガラスも山頂付近を飛ぶのを控えているようだ。カケスの声と姿がした。冬の静かな山に本
当に似つかわしい。
2001
12
16
天竜川河口
河口から先は波がこぶのように見える。それでも比較的風は緩やかで観察は楽である。しかし、車の外ではスコープが風にあおられ使い物にな
らない。車の中からの観察となる。広いスペースのとれる1boxカーならではと感謝している。干潮なのか砂州があちこちにありセグロカモメが羽を
やすめている。少し小型のウミネコも一緒にいる。中州の岸辺ちかくで2羽仲良く餌をとっている水鳥に注目した。頭部がオレンジ色でカルガモくら
いの大きさである。カイツブリの仲間かカモか悩んだ。結局結論が出せないままである。カワアイサ?、掛塚橋から演習大橋までの左岸は護岸工
事中で観察ができない。来る途中から富士山が眺められる。大きさに圧倒される。富士山の左手に雪山が見える。南アルプスの山だろう。ピンク色
の掛塚橋の姿がよい。大きな鳥がまさに羽ばたこうとしている姿にも見える。諏訪湖からはるばる遠州灘までやってきた天竜川。色々な生活を写
してそして海に帰るまさにその中での野鳥観察。鳥を含めた大自然のパワーを感じることの出来る場所である。
2001
12
22
羽根の田んぼ
いきなり田んぼからオオタカが飛び立ち旋廻しながら高度を増し視界から消えていった。小鳥でも捕らえたのだろうか。確かに冬の田んぼは小鳥
が集まる。今日もスズメを筆頭にカワラヒワ、タヒバリ、ヒバリ、セグロセキレイ、ハクセキレイなどが盛んに餌を探していた。もうひとりの狩人がチ
ョウゲンボウである。今日も電柱や看板に止まっては周りを見渡していた。獲物を追うときの華麗な飛翔は見事だ。いやもっと忘れてはいけない
のがいた。小さな狩人のモズである。あまりにも身近なため普通の小鳥と一緒にしてしまうがれっきとした猛禽類だ。時に小鳥も襲うとあるが、成
功した姿は見たことがない。モズが近づくと他の鳥はやはり警戒して逃げる。セッカ、ホオアカを注意して探すが未だ見ていない。寒気が下がると
やってくると思うが。そう言えば室林道のカヤクグリも未だである。
西暦
月
日
メモ
2002
1
1
2002年元旦
北風もまったく無い穏やかな正月だ。室林道から見る景色も霞んでいる。相変わらずヒヨドリが賑やかだ。ノスリがハシブトガラスの追いかけられ
ていた。偶然なのか平地の羽根でもノスリがハシボソガラスに追われていた。まさか同じ個体ではあるまいが。羽根ではタヒバリとカシラダカがそ
んなに大きな群れではないが、まとまって行動している。田んぼの水路は風を避けることができるため越冬個体が多い。例年、ホオアカやセッカ
がいるため確認を怠れない。今日も畦を進み覗いてみる。すると今まで見たことの無い鳥がいた。オオジュリンのようだ。海岸では確認しているが
萩では無い。ホオジロに比べ近づいても逃げる気配がない。行動からも明らかにホオジロのメスとは異なる。やがて飛び去ったが、もう1羽田ん
ぼから後を追っていった。
2002
1
3
2002年 初雪
明るい朝を迎えたと思ったら景色は真っ白である。3日目の初雪は記憶にない。まずは犬の散歩で鳥の様子を見る。田んぼが雪に覆われたため
採餌場所が限られた鳥たちがどのような行動に出ているのであろうか。11時過ぎに羽根に向かい歩く。傘と携帯ラジオを持って。倉の上空では
ツグミが旋廻したり電線に止まったりしていた。山の寒さに降りてきたものとみえる。民家の庭先ではホオジロ・アオジ・セグロセキレイなどがエサ
をあさっている。雪のない場所が限られているため鳥が必死になっているのがよく分かる。山口さんに年始の挨拶。早速4輪駆動車で出かける。
羽根の田んぼは常と様相が一変していた。田んぼは雪でエサが採れないので雪の少ない道路沿いに多数の鳥たちが終結している。タヒバリや
ハクセキレイが車が近づいてもまったく気にせずエサをあっている。田んぼの真中でチョゲンボウが急降下した。何か捕まえたのだろう。少し晴れ
間が出たので室林道にも向かってみた。さすがに雪の量は多い。ところが思った以上に鳥の姿が無い。車外気温は1℃から-1℃へと下がって
いく。長根よりも室側の方が低い。雪は鳥にとっても試練だ。食べ物を得ることができなければ死が待っているのだ。
2002
1
5
室林道ラインセンサス
3日の雪もほとんど融けたのだが相変わらず寒い。時折日が差すが切れ間無く雲が流れていく。あれほど沢山いたヒヨドリの数も減ったように思
える。今朝は家の裏山でミソサザイを見た。寒さが鳥の南下を促すのではと期待をしながら室林道にやって来た。寒いほうが好都合だ。カヤクグ
リの居場所で暫く様子をみる。カワラヒワの群れにマヒワが混ざっている。この冬初確認である。彼らの声に消されるように一声チリリとカヤクグリ
が鳴いた。それきりなので帰りに確認することにして先に進んだ。少しだけ明るくなったと思ったら次は黒い雲に覆われる。歩いていないと寒さで
手足がしびれそうだ。再びカヤクグリを確認するため立ち止まる。2分3分と待つ。すると上の方からチリリチリリチリリと前よりも長く声がした。間
違いない。2日前には気配もなかったのだ。やはり寒気に追われるようにやって来たに違いない。さらにもう1羽声がした。予想が的中して満足満
足。
2002
1
6
新年の穏やかな日の野鳥散策
昨日までの荒れ気味の天候がうそのように快晴の日曜日。景色を楽しみながら野鳥に会いに行こう。羽根・長根の田んぼを見て室林道をいつも
とは反対に回ってやろう。倉ではツグミの群れに圧倒された。大群というほどではないが、雪の日から堰をきって山から下りてくる姿に自然のエネ
ルギーを感じた。同じ気持ちを伊良湖で感じた。羽根の田んぼをカシラダカが舞っていた。室林道ではヒヨドリの数がめっきり減っていた。倉から
羽根までの住宅に沿って歩いてきたが、あちこちでヒヨドリが群れになっているのを見ているので、山のヒヨドリ減少を素直に納得できた。4時間
ほで休みなく歩いたが、歩く楽しみを存分に味わえた。
2002
1
12
2001年最初の土曜探鳥会
30名以上の参加で大いに活気付いた。冬には珍しい南よりの風は歩いて火照る体を気持ちよくしてくれる。いきなり、出発して50m足らずして見
所があった。山陰川でカワセミがダイビングを見せてくれた。平尾との境の山ではヤマガラがエサを貯蔵が見られ、平尾の池では2羽目のカワセ
ミを発見。これがいつまでもじっとしていて、子供たちもしっかり観察した。豊川自然遊歩道に入ってからはひたすら歩き続ける。ゴルフ場に別れを
告げると一番きつい階段の坂が現われる。一気に山の尾根に出るまで登りつめるがこれが結構きつい。登り下りの尾根道は普段歩いている平
坦な道から比べると大変である。一歩一歩我慢して歩き続けるしかない。自然は教師であると思う。文殊菩薩を奉った財賀寺は正月の賑わいの
後の静けさといったところか。みんなで梵鐘をついたので、近郷の人は今日はやけに鐘の音がするなと思ったことだろう。仁王門では地元の人が
説明を買って出てくれた。話を聞いてみると自然の方も詳しい。たった1時間の弁当の時間が子供たちの1番の楽しみである。思い思いに陣取っ
て昼食をとる。歩き続けてペコペコのお腹を満たしてくれる手作り弁当ほどおいしいものはない。帰りは尾根を越えれば地元の部落である。
西暦
月
日
メモ
2002
1
20
室林道
マヒワがやってきた。先週日曜日(1/13)に駒場池で確認したが、その頃には来ていたのだろう。ラインセンサスの間中マヒワの声が絶えること
はなかった。もう一つ、ホオジロの囀りが聞かれたことだ。1月に入ると囀りが増えることは今までの記録から判っていたが、今年もきちんと囀って
くれた。ミソサザイ1羽とウソのオスが2羽。このオスはお腹にもサーモンピンクが入っていた。そして復路ではカヤクグリが出現。
2002
1
26
ヒヨドリとツグミ
ツグミがけたたましく鳴きながら山と田んぼを往復するようになると時を同じくして、ヒヨドリも本格的に山を降りてきたようだ。常緑照葉樹の実を食
料にしていたが、そろそろ乏しくなってきたのか。
マヒワ
先週、室林道でマヒワの群れを確認したが、さらに平地にも降りてきたようである。裏山の沢のスギ林の中から賑やかな鳴き声を聞いた。鶸色の
基になった美しい小鳥を眺めるのは素晴らしい。
2002
1
27
羽根
風は強いが寒くない。大寒の季節にしては不思議な一日であった。カワラヒワの群れは日増しに大きくなっていく。強くなった日差しに反射する黄
色の翼がなんとも言えず美しい。春を待つ命の輝きを感じさせ大好きである。昨夜の雨で田んぼの土も一層黒々としている。そんな中で黙々と餌
をあさっているタヒバリやセグロセキレイたち。餌をめぐって争う姿もよくみられるようになった。セグロセキレイは繁殖相手をめぐる戦いもあること
だろう。年はじめの降雪からツグミたちも山から降りてきた。突然田んぼから飛び立ったものがいる。このあたりを縄張りにしているチョウゲンボウ
である。小鳥たちは常に彼の姿を注意深く把握していなければならない。少し離れた山の縁をノスリがホバリングを繰返して巡回している。食いつ
食われつの日常がそこにあった。
室林道
上空を雲が飛び去っていく。しかしまったく寒い感じがしない。昨夜の嵐のような出来事が鳥たちにどんな影響を与えたのだろうか。まず、ヒヨドリ
の姿、声がめっきり減っていた。あれほど騒がしくしていたのに。反対に、賑やかにしていたのがシロハラである。嵐はほとんど影響がなかったと
いってよい。群れていたマヒワはやや数を減らしたか。この季節、葉を落とした梢が青い空に抜ける景色が好きである。真冬の探鳥は、鳥たちの
懸命な営みを垣間見ることができる私にとって大切なものである。
2002
2
2
室林道
風の弱い穏やかな日であった。好条件の日は存外鳥が少ない。カラ類やメジロなども比較的静かである。一番賑やかなヒヨドリが平地に降りたた
め、室林道は静かなときを迎えている。その中にあってどこにいても聞えるのはマヒワの声である。そして思い出したようにカケスのだみ声。今最
後の送電線の鉄塔を組み立て中である。命綱があるとはいえ地上50mの危険な仕事場である。4人の男達は明るく声を掛け合いながら作業を
進めていた。地元のサルたちもこの男達には脱帽だろう。今日は、サルの群れに出会った。背中に小猿をおぶった母ザルが大きな声を上げて通
りすぎた。危害は加えないよ。
2002
2
10
土曜探鳥会
10名参加。室林道ではマヒワ、ウソなど真冬の探鳥会に相応しい鳥たちに出会えた。スコープで可愛い姿を満喫。
羽根
鳥の数では室林道を上回っている。スズメ、カシラダカがくりの木にすずなりになっていた。目をこらすと、タヒバリ、ビンズイが結構いることがわか
る。セグロセキレイやハクセキレイとともにセキレイの仲間が幅を利かせている。
西暦
月
日
メモ
2002
2
23
囀り
ヤマガラとシジュウカラの囀りを聞いた。ヤマガラは今年初めての囀りである。ツツピーととかピーツツとカラ類のなかではもっともゆったりしたテ
ンポで、暖色系の体の色とともに異色の存在だ。シジュウカラはもう少し早く囀りをしていたが、その後は聞かれなかった。再び元気のよい声を聞
いた。ウグイスは未だのようだ。室林道では、マヒワが相変わらず群れになって飛び回っていた。群れから離れペアをつくっている個体もいた。そ
ろそろ繁殖地に向かう準備に入っているのか。もうひとつの冬鳥、ウソは相変わらず数は少ないが何組か出会った。室林道のカシラダカの群れ
は決まった場所にいる。林道の中でも寒い場所であるが、もともと寒さには強いのだろう。田んぼで見るオスは夏羽になりつつある個体を見かけ
るが、ここではあまり夏羽はいない。まさか全部メスでもあるまいが。ニホンザルの群れがいた。いろんな声を出し合ってコミュニニケーションをと
っているのがわかった。
2002
2
24
自宅近くの山陰川でシメを確認した。枯れたアシに止っていた。萩での確認はあまり無いのでこのことをどう判断したらようのだろう。暖冬なのか
違うのか。裏山では棲みついたミソザザイが姿をみせた。その後金沢大池(一宮町)に行く。さ来週の土曜探鳥会に下見のためだ。コースを回る
時間は曇り空であったが、寒い天気ではなかった。マヒワやシメはさすがに萩よりも多い。最初の民家の庭先でベニマシコのメスがいた。その後
は、里山の鳥たちが色々現われた。シメ、ツグミ、シロハラ、ミソサザイ等など。池ではマガモ、キンクロハジロがゆったり泳ぎ、首をふりふりバン
が湖面を横切る。羽色からすると若鳥のようだ。そして、コースの終わりころ、ホーホケキョと囀る声が聞えた。ことしの囀り初確認となった。
2002
3
1
寺ノ入林道
昨日は雨でも降ったのだろうか。瑞々しい木々の緑の下を歩いた。ようやく囀りが聞かれるようになってきた。真っ先に囀ったのはシジュカラであ
ったが、寺ノ入林道でもシジュウカラの鳴き声が何ヵ所かでした。すると対抗するかのようにヤマガラが囀る。面白いものだ。そんなに大きな群れ
には見えないが、マヒワの声は林道の全コースで聞かれた。上り坂は少し汗ばむほどの暖かい日であった。所々に伐採したスギがきれいに積み
上げられていた。ほのかな香りがする。山側の斜面で1羽変わった感じの鳥がいたので双眼鏡を向けてみた。アトリのオスであった。昨年は音羽
町の水田に数百のアトリがきた。今年も期待していたが今の所見かけない。標高の高い寺ノ入林道にいるということは今年は暖かいということか
。寺ノ入林道のラインセンサスのコースは終わりほど標高が高くなる。優に600m以上はあるだろう。そこでヒガラの囀りを聞いた。カラ類きっての
美声の持ち主。春も間近い。
2002
3
2
ウグイス囀り
室林道でウグイスの囀りが聞かれるようになった。昨日、寺ノ入林道を歩いたがウグイスの囀りは全く気配がなかった。やはり気温も囀りに関係
するのだろう。
ヒバリの囀り
室林道から降りて羽根の田んぼを見る。早速ヒバリが田んぼから飛び立ち鳴き始める。空中にいる時間を測ってみたが1分14秒であった。
2002
3
10
室林道
今日も穏やかな日。昨日よりも少し風が冷たいが。マヒワの群れが飛び回っているが、群れの大きさは小さくなっている。最も多くて20羽くらい。
ハンノキの新芽が独特のにおいを漂わせている。ハンノキにはカワラヒワやマヒワが実を食べに来る。日の光を反射して輝くヤブツバキの濃い緑
の葉のあちこちから紅色の花が顔を覗かせている。湿った崖には桃色のショウジョウバカマがひっそり咲いている。サクラが待ち遠しいが、ウソが
随分食べてしまった。ウグイスの囀りも慣れてきた感じだ。それに対抗するようにホオジロの囀りも盛んになった。カラ類はそれほどでもない。ルリ
ビタキ、ジョウビタキ、クロジも健在。ただ、カヤクグリは確認出来ないでいる。
羽根
ツグミやカシラダカの数が減りつつある。代りに賑やかになったのが、ムクドリ、ヒバリ。ヒバリの囀りは地上でやっていて姿を探すのは大変だ。黒
い土と稲株にすっかり融け込む素晴らしい保護色である。タヒバリ、ハクセキレイも無論いる。
新堤池
オシドリ、マガモがいた。
西暦
月
日
メモ
2002
3
16
茶臼山ラインセンサス
2002年最初の茶臼山である。どうして3月まで1度も行っていないのかと問われれば、凍結道路や雪道が苦手なためである。だから今日も雪が
残っていなければいいなと思って家を出発した。ほぼ出勤時間と一緒の6時である。新城市のコンビニで弁当を買い駐車場で朝食。目の前の電
線にツバメが止っていた。今年初確認である。国道151号線は前日の雨で濡れていた。暖かい日が続いており凍結の心配は全く無い。そして、
茶臼山に登る入り口でタイヤチェーン不要の標識をみて安心した。頂上までの道中もさまざまな鳥を観察できるが、マヒワの群れが印象に残った
。200羽は下らないだろう。そして、ミソサザイの囀りを聞き茶臼山に来たことを実感した。スキーを楽しむ人々の姿があった。その脇をトレッキン
グシューズに履き替え茶臼山を一回りする。最初にウグイスの囀りを聞いたのでもう茶臼山にもと思ったが、これきりで、歩いている間だ全く聞くこ
とはなかった。やはり未だ本格的な囀りには入っていないみたいだ。夏の間牛を放牧している開けた所では、シメ、ウソ、カシラダカが多い。今日
もシメの群れが歩を進める度に足元から逃げ去っていくのを見た。およそ100羽余りか。この時期楽しみしているのがカシラダカの囀り。平地で
はチッと控えめにしか鳴かないのに、繁殖地に向かう前にオスたちは一斉に囀りを開始する。その賑やかなこと。懸命にメスに対しアピールして
いるのだろう。初めてその声を聞いたときにはヒバリと勘違いした。茶臼山の北側は道路も雪が残り全面通行止めである。野鳥たちも安心して餌
を食べている。道路わきではホオジロやベニマシコが草の種をついばみ、潅木ではヤマガラ、シジュウカラ、そして久し振りに見るコガラ。特に今
日はカラ類の姿が多かった。茶臼湖の近くでベニマシコの声がしている。コースの何ヵ所でベニマシコを見たがいずれもメスだったので、今度こそ
きれいなオスをと期待し姿を探した。それらしい群れが落葉樹を順に巡っていた。ところが双眼鏡の視野にはベニマシコにしては大きく色も鮮やか
な鳥の姿があった。すぐ近くには少し小さな鳥もいる。こちらの方は見慣れたベニマシコであった。大きいほうは素晴らしい紅色と腰の赤い2種類
いた。どうやらオオマシコのようだ。この鳥は1997年2月に岡崎市の公園で1度だけ見たきりである。茶臼山に通い10年近くなるがオオマシコは
今回が初めてだ。10羽弱の群れであろうか。木から下りては餌を探している様子を見ることができた。近くでもあまり警戒しない。カメラを持って
いないのが残念な気がした。大きな鳥では、カケス、アカゲラ、アオゲラが木から木へと伝って飛んでいる。いずれもきれいな姿を楽しめた。上空
ではノスリ、イワツバメの姿があった。もう少したつとイワツバメが巣を往復して飛び回る姿が見られるようになるだろう。9時から11時30分まで
春にもう少しの茶臼山を歩いてみたが、野鳥たちの大切な繁殖時期を目前にした姿をいろいろ観察することが出来た。
2002
3
23
羽根ラインセンサス
冬ほどではないが北風が強く手袋をはめてしまった。ヒバリの囀りも勿論であるが、タンポポやナズナが田んぼやあぜ道一面に咲いているのもま
さに春本番を感じさせる。数は少ないがツバメやイワツバメが輪を書いている。田んぼの中央を水路が通っていて一段低くなっている。風が当た
らないので越冬種には好都合なのか、例年ホオアカやセッカを確認しているが、この冬はついに見ることが出来なかった。今日はそのうちのセッ
カを見ることができた。これが越冬個体なのか夏鳥としてやって来たものなのかはっきりしないが、着々と夏鳥が姿をあらわしてきた。一方の冬鳥
もまだまだ健在である。その中ではカシラダカの数が最も減っているのではないかと思う。先週、茶臼山では群れになってオスたちが囀っている
のを見た。冬鳥たちがいつまでいるのか、非常な速さで桜前線が北上している今年、しっかり見届けてやろう。
2002
3
30
茶臼山
3月16日の時とは随分と様子が変わっていた。まず、マヒワ、シメ、カシラダカの群れがいなくなっていた。カシラダカはつがいが目にとまった。ウ
グイスがよく囀るようになっていたが、囀りに慣れない個体の割合がまだ多いようだ。コマドリなどの夏鳥にはさすがに少し時期が早い。今は、、
冬鳥が少し残っていて、ウグイス、ミソサザイ、キクイタダキなどの漂鳥が活動を開始する時期なのだろう。茶臼湖のほとりではカエルが鳴いてい
た。カエル館は未だ開いていないが、自然のほうは一足先をいっている。
2002
3
31
サクラの花が満開になった。山に入ると、ヒヨドリがあちこちでサクラに群がっていた。ヒヨドリが一気に山に戻ってきた。当然ながらメジロも黙って
はいない。そのせいか、囀りの声が増えたようだ。夏鳥の飛来が気になる季節になったきた。第1号はツバメ、イワツバメ。鳴禽類ではセンダイム
シクであった。去りつつある鳥たちも気になる。マヒワはまだ結構いる。アオジの囀りを聞いた。繁殖地の高山に向かう前に囀りをする個体がある
が、サクラの花に触発されたのか、サクラの枝で気持ちよさそうに鳴いていた。
西暦
月
日
メモ
2002
4
6
宮路山
コマドリの確認とため宮路山に向かう。4月に入ってからは毎朝出勤前に地元の山(観音山)に出かけているが、未だ確認できていない。音羽町
内では最も可能性の高い宮路山は、少し距離があるので会社の休みの今日満を持して出かけた。途中、豊橋総合動植物園の杉本さんに会う。
彼は山から下りてきた。オオルリとヤブサメは確認できたがコマドリはだめだったとのこと。それならば自分がと意気込んで頂上に向かう。たしか
にオオルリの囀りが聞こえた。ソングポストで鳴いている姿も見られた。立派な成鳥である。ヤブサメは相変わらず姿を見るのは難しい。特に、囀
りの時期は難しい。あの虫のような囀りは位置の同定が極めて困難である。明るい芽吹きの木々の上を旋廻する鳥の群れが一瞬見えた。ドバト
のようにも見えた。暫くして再び姿を現わし、今度ははっきり確認できた。アオバトであった。丁度10羽の群れであった。彼らのすばやい飛翔は見
ていても気持ちがいい。あのノンビリとした鳴き声に不似合いなほど高速で飛び回る。マヒワやシロハラもまだまだ数多くいる。特にシロハラはガ
サガサと林の床で落ち葉をはねのける姿があちこちで見られた。鳴き声では、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオシロ、ウグイスの囀りが山々に
こだましている。珍しいところではアオジの囀りだろう。結局コマドリは今日もお預けであったが、さまざまな色の新芽が一斉に開き、それに野鳥の
美しい鳴き声が加わって贅沢な時間を過ごすことができた。
2002
4
12
4月の茶臼山
雨は上がっていたが雲はまだ低く、これから行く茶臼山の天気が心配になる。平地ではすっかり葉桜になってしまったが、豊根村では、今が一番
の見ごろである。平日とあって訪れる人も少ない茶臼山への道を車で登る。沢のあちこちからミソサザイの囀りが聞こえ、カケスの姿がやけに多
い。1000mを越えたあたりで微かにコマドリらしい声がしたので、車を止めエンジンを切って声を確認すると弱々しい声で囀っている。10日に音羽
町での初確認をしたばかりであったので、これは意外であった。鳴き方も茶臼山にしては弱々しい。音羽町におけるコマドリの囀りに似ている気
がした。高原に到着直前には色々な小鳥が目の前で餌をとる姿が見られた。キクイタダキは頭の黄色と目の周りの白い色がはっきり見られ、エ
ナガ、ヤマガラのペアが芽吹いたばかりのカラマツの枝をころげまわる。スキー場には小さくなった雪が残っていた。その上をノスリのペアがホバ
リングを繰返している。展望台の横の潅木の中からは20羽以上のカシラダカが囀りをしていた。それぞれ夏羽に変身し美しい。同じ場所にツグミ
もいて近づいたら30羽くらい飛び立った。なんとなく、秋に飛来したばかり時の群れで飛翔している光景に似ていた。彼らはこれから繁殖地に向
かうのだ。茶臼山を取巻く道路はすっかり雲の中で視界は100m無い。西面からは今度は力強いコマドリの声がした。意外であったがもう来てい
たのだ。さらに進むと、あちこちから声がしている。いつもは五月の頃経験するようなコマドリの様子である。そのほかの鳥では、アトリ、ベニマシ
コを確認。ヒガラ、コガラの囀りに混じり、ゴジュウカラの声もした。枯れ木に巣穴を見つけた。出入りしている鳥が霧ではっきりしない。北の面でも
その先でもコマドリがいた。たぶん、音羽町よりも早く到着していたのでは。今までの観察からは経験したことのない出来事である。雲は晴れそう
に無く残念ながら早々に山を降りる。根羽村から国道153号線で帰る道筋は新緑とまぶしい光、美しい花々を堪能した。
2002
4
13
室林道ラインセンサス
スタート地点にコマドリがいた。囀りはかなり力強い。さらにオオルリが梢で囀り。ウグイスも囀っているので、日本三鳴鳥の声を同時に聞いてい
ることになる。今年の春はこれらメジャーな鳥よりも地味なアオジがいつもと違っている。アオジの囀りは繁殖地でしかほとんど聞かれないと思っ
ていたのに至る所で囀る姿が見られるのだ。マヒワ、ルリビタキ、クロジの姿を確認した。夏鳥の方はセンダイムシクイ、ヤブサメがいる。林道の
上空を100羽くらいの群れが北に向かっていた。飛び方からしてツグミだろう。いよいよ北への旅が始まったのだ。このあと、田んぼに行ってみた
が、ツグミの数が随分減っていた。
西暦
月
日
メモ
2002
4
20
平成14年度 第1回土曜探鳥会 (4月20日)
集まるも集まったり、37名の探鳥会となった。この人数では歩くしかないので、急きょコースを室林道の一つだけに変更する。交通量が多いので
1列になってしまい後ろまでは50mくらいありそうだ。車の退避場を見つけては説明するが、かなり厳しい状態だ。それでも、見易い位置に鳥がい
てくれるとフィールドスコープで見せてあげられる。シジュウカラ、ホオジロが最初のモデルになってくれた。高学年の子が必死になって目的の鳥
を視野に納める。その後ろには小さな子たちが並んで待っている。室林道に近づくと山の鳥の声が増える。キビタキが囀っている。さらに沢を隔て
た山からはオオルリ。オオルリならばきっと姿も確認できるだろうと梢の天辺を双眼鏡で探す。案の定一番高い所でオスの成鳥が囀りをしていた
。早速スコープの出番だ。さらに驚いたことに、沢からはコマドリの声がする。この場所でコマドリを確認したのが初めてだったので、子供たちに説
明する時興奮してしまった。そのときには、ウグイスも鳴いていたので、三鳴鳥を同時に聞くことができた。ここにクロツグミがいたら先のキビタキ
とあわせ、和鳥四品(わちょうよんぼん)が勢ぞろいしたことになる。なんとも贅沢なことであるが、子供たちには少々難しいか。せいぜい、コマドリ
の声をこの地(音羽町)で聞くことはめったに出来ない体験であることを力説するしかない。ところが、参加した子の半分くらいは去年も聞いている
。鳥グルメなのだ。終点で3分間のバードヒアリングを行なう。大の字に寝てリラックスし耳だけを働かせる。ごそごそする子もいるが、結構まじめ
に付き合ってくれた。気持ちよくて本当に寝てしまいそうになったよ、と言っていた子もいた。実は、このアイデアは会社のヘルスアップ教室におけ
るリラクゼーションから拝借したものだ。流された音楽の中に野鳥の声が入っていて、本物ならもっといいだろうな、と思った次第。結局、探鳥会で
は20数種類の野鳥を確認できた。種類の多さは自然の豊かさにつながるものである。自分のふるさとの自然を誇りにして生きていって欲しいと
願うものだ。
2002
4
21
寺ノ入林道
雨の中、寺ノ入林道に行く。サクラがほんの少し散らずに残っていた。寺ノ入林道は500mから700mの標高があり、新緑の色も平地に比べ浅
い。ここはセンダイムシクイが多いところで今日もよく囀っていた。オオルリ、キビタキも鳴いている。サンショウクイ(夏鳥で一番好きな鳥)はハッ
キリしない。一声鳴いたようにも聞こえたがそれっきりで確認できない。さすがに山深い所だなと思わせたのは、ミソサザイとヒガラの囀りであった
。私の地元(音羽町)では聞くことは不可能である。反対に茶臼山なら珍しくもなんともない。地理的に中間に位置する三河湖をフールドに持つこと
の意義がここにあるように思う。ヒガラなどは繁殖しているかもしれないと思う。しっかり観察ていきたい。
アマツバメ
今日の観察記録をパソコンに登録している。窓からは、雨の中をツバメがさかんに餌をとって飛びまわっている。よほど餌がが多いと見え、いつも
より数が多い。イワツバメもいるようだ。時々聞きなれない声がしていたので、窓を開け空を見上げてビックリ。なんと、ツバメよりもはるかに猛ス
ピードで飛び回る一群がいる。三日月型の長い羽、アマツバメであった。外に飛出てさらに眺める。およそ20羽くらい、他の2種類のツバメに混じ
って空を旋廻している。さすがのツバメもイワツバメに較べたら普通の鳥になってしまう。早く飛ぶために進化した鳥。交尾はもちろん眠ることさえ
飛びながら行なっているという。私はアマツバメに対し畏敬の念を禁じえない。好きということ自体失礼にあたる気がするが、私が一番好きなのは
アマツバメである。飛ぶことに進化した鳥の中でもさらに進化した鳥だからである。あの高速ターンを見たら出す言葉もなくなる。
2002
4
26
GW前の交通渋滞をさけるため早めの退社。未だ日の入りには間があるので鳥を見ることにする。夜明け前と日暮れ時は鳥がよく鳴く。早朝の探
鳥にも勝るくらいの鳴き声を堪能できた。オオルリがソングポストで歌えば、ウグイス、センダイムシクイ、ヤブサメの3兄弟はそれぞれ特徴のある
節を聞かせてくれる。桜の木ではキビタキの求愛行動が見られた。見る限りではうまくいかなかったみたいだ。日が昇ってしまうと鳥たちも鳴き疲
れたのか静かになってしまうが、寝る前の空騒ぎなのか夕暮れは本当に騒々しかった。
2002
4
27
土曜探鳥会 27名参加
萩小学校から羽根・長根の田んぼまで片道2kmの道のりである。田植えの済んだ田んぼがだいぶ増え、その上を渡るそよ風が心地よい。あぜ道
のタンポポやレンゲが薄日に輝いて見える。道中、ショッキングな光景を見てしまった。カワウがケガで動けず、羽に泥がベットリ付いている。まだ
生きていて、時々首を持ち上げて回りを見ている。子供たちは心配そうな顔で見つめている。しかし、どうすることもできない。急かせるように先に
進む。目的地の田んぼは半分くらい田植えが済んでいる。少し前までは、ツグミ、タヒバリといった冬鳥がいたが、今は、それに替わって、ヒバリや
ムクドリたちが主役である。夏羽のコサギでもと思っていたが、この日はチュウサギが子供たちの目を楽しませてくれた。シロツメクサで花かんむ
りを作る女の子や、学習でおぼえたのだろう、ノビルを採って大きさを競う男の子がいた。鳥ばかりの探鳥会では面白くない。危険さえなければ自
由にやらせるのも手だ。
西暦
月
日
メモ
2002
4
28
汐川干潟
山の鳥も夏鳥が次々やってきて、観察も大忙しであるが、この時期、シギ、チドリのことも忘れてはならない。地元が山付きということもあって、どう
しても、海岸の鳥を見る機会が少ない。春と秋のシギ、チドリの渡りと、冬にカモを見ることにしているが、とても、観察しています、とは恥ずかしく
て言えない。地元の観察者にまかせておけばよいのである。いわば、観光気分で見に行っている。水田の側にはアマサギが10羽いた。ケリやセ
ッカ、ヒバリが絶え間なく鳴いている。セッカのオスは縄張りをめぐって威嚇の体勢である。ケリの相当なものだ。きれいに生えた夏羽を風になび
かせ、ダイサギ、コサギが餌をさがしている。満潮を過ぎた海岸では少し干潟が覗いていたが、もう少したたないと、シギ、チドリには無理だろう。
10羽前後のヒドリガモの群れがいて頭を海中に入れていた。暫く待って、ポイントに移動する。すでに、1人先客がいて車の窓から観察していた。
あまり潮が引いてしまうと採餌場までの距離が長くなって観察には不利である。今日は近距離から眺められそうだ。肉眼ではなにもいないように
見えるのがシギ、チドリの観察である。15×70の双眼鏡を向けると、視野には、夏羽で飾ったメダイチドリとトウネンが早足で歩きまわっていた。
数を数える気がしないくらい多い、と言ってもよいだろう。この辺が海岸の観察者とは違う所か。野山では、同一種の個体数がまとめて見られる数
は知れているし、まず、木や草叢が視界をさえぎり正確には数えられない。しかし、海岸ではそんな言い訳はできない。けれども、こんな光景にで
あったら、カウントしろと言われても途方に暮れるだけである。前記2つがほとんどであるが、ほんの少し、チュウシャクシギ、ハマシギの姿があっ
た。先客のバードウオッヤーから「お久しぶり」と声をかけられたが、記憶に無い人であった。地道な観察者、との好印象を受けた。
2002
4
29
室林道ラインセンサス
オオルリ、キビタキをはじめ、様々な囀りを聞くことができるのがこの季節だ。さらに、注意深く観察すると、様々の行動に気づく。キビタキのオス
がメスに求愛行動をする様子を見ることができた。ニワトリの雛のような声がキビタキの地鳴きであるが、その地鳴きとヒタキ特有のカカカと少し
脅し気味の声を組み合わせた独特の声でメスに迫る。メスのほうもそう簡単には応じてはくれない。何度かそういった場面に遭遇したが、大体メ
スが逃げ回って終わりだ。オオルリがソングポストで囀っているのが目に付いた。その中に今年初めてのオスの若鳥がいた。成鳥のように囀りを
しない。黙ったままで、目に付く枯れ木の枝に止っている。時々場所を替える。頭のコバルトブルーは成鳥と変わらないが、羽はメスと同じ色であ
る。半成りと呼ばれる姿だ
2002
4
30
汐川干潟 2回目
一昨日に小型で赤茶色のトウネンとメダイチドリが羽を休めた後に、もう、彼らの姿はなかった。替わって、干潟の上を旋廻していたのは、千羽を
越すようなハマシギの群れであった。それと、ひとまわり大きなダイゼン。白い体と顔と腹部の黒色のコントラストが鮮やかである。美しい成鳥に
混じって幼鳥もいる。餌を採ることに夢中で、顔を上げることをしない。捕食者への警戒は行なっているのだろうか。数百m離れた海上には、コア
ジサシが飛びまわっていた。海鳥の魅力は、素晴らしい飛翔だと思う。コアジサシも、スマートな姿を明るい水面に写して舞う。この飛翔だけは、
山の鳥たちには真似できない。(アマツバメは別として)
2002
5
2
アオサギのコロニー
8時40分、南風が汐川干潟を渡る。まだ干潟が顔を出すには時間がかかりそうだ。堤防にアオサギが群れになっている。車を進めると仕方なさ
そうに飛び立った。降りた先は、使われなくなった養魚池。(今働いている養魚場は、ビニルハウスの中にあって、換気扇のモータがブンブン音を
立てている)水田のように真四角の形をした池の角で、1羽のアオサギが巣の上に座り込んでいた。抱卵であった。一時巣を離れた後には、真っ
白な卵があった。数はわからない。右隣の池はびっしりと葦が生えていて、0.5haあまりに12、3羽のアオサギがじっとしていた。足下を見ると巣
材が見える。抱卵をする個体、回りでは見守る個体。この狭い場所は、彼らのコロニーであった。
2002
5
3
茶臼山
マミジロ、アカハラ、コルリの囀り初確認もかすむ出来事があった。茶臼山の周囲をぐるりと回り、探鳥も終わりに近づいた頃、茶臼山山頂の上空
を、100羽を越すヒヨドリの群れが南から北へ移動する姿を確認したのだ。秋の渡りは伊良湖で有名だが、これは、春の移動なのでは。1週間前に
、子供たちを連れて地元で探鳥会を開いた。そのときに、やはり同じくらいの群れが北東方向に移動するのを目撃した。ヒヨドリなんてあまりにも
身近すぎるので、渡り鳥のように、やってきた、去っていった、がはっきりしない。同じ場所に同じ鳥たちがいるように見える。しかし、伊良湖での秋
の渡りの姿を見れば、決してそんなことはないことは理解できる。それならば、春の渡りがなければならないはずだ。今日の目撃で、自分なりに確
信できた。なにか、茶臼山の上空を移動するヒヨドリが神々しく見えてならなかった。はるか上空を群れになって渡る鳥たちの姿には無条件に感
動を覚える。
西暦
月
日
メモ
2002
5
4
日本中が曇又は雨、それならば出かけよう。22名を乗せた音羽町のマイクロバスは、一路茶臼山へ。千メートルに満たない山に雲がかかってい
ると、茶臼山の様子が見えるようで不安になる。それでも、雨は降っていない。子供たちは元気一杯だ。無理して来てよかった。やはり、山頂は雲
の中であった。しかし、そんなことはどうでもよい。野鳥は、天候に関係なくここで生活している。最初に小鳥の森を選んだ。本当の森を見せてやり
たかったからだ。幸いに、足下はしっかりしていたので、泥まみれになるようなことはなかった。ウグイスとヒガラが出迎えてくれた。さらに進むと、
コガラ、ミソサザイの囀り。頭の上からは、キクイタダキのデリケートな鳴き声。コルリも鳴き出した。霧の中から、クロツグミの陽気な歌が聞こえる
。思ったとおり、天気は関係なかった。あまりに上天気だと野鳥が見られないことは、何回も経験している。もうこれ以上望めないくらいの成果であ
るが、あと1種類だけ聞かせてやりたい鳥がいた。2週間前に音羽町での探鳥会で歌声を聞いたコマドリだ。小鳥小屋で弁当を食べながら、コマド
リの声を聞く場所を思い巡らした。霧雨はますます強く、一発で当てなければならない。帰る時間も気になる。バスは茶臼山を時計回りにぐるりと
一回りし、とっておきの場所に向かった。視界が極めて悪いため、バスを道路に止めることは危険である。バスを止めた所からコマドリのポイント
までは歩道を300m歩かなければならない。霧雨をついてひたすら歩く。もし、声が聞かれなかったら子供たちに合わす顔がない。しかし、自分
には絶対の自信があった。10年間の観察実績がある。そして、コマドリの囀りが霧の中からヒンカララと聞こえてきた。どうだい、音羽町で休んで
いたコマドリはちゃんと茶臼山まで来ていただろう。
2002
5
5
室林道
エナガの声が騒がしいと思ったら、20~30羽くらいの群れが餌を採りながら移動していた。よくみると、幼鳥が混じっている。親らしい成鳥の後を
追うように枝から枝を移動している。動きも心なしか鈍い気がする。今年は、明らかにキビタキの方が優勢である。オオルリは2羽くらいか。珍しく
、ソングポストで囀るキビタキを見た。肝心の声は単純で稚拙だ。まだ若い個体なのかもしれない。まさに、囀りの最盛期。
2002
5
11
室林道ラインセンサス
キビタキ、オオルリのメスの姿を見た。特に、キビタキはオス同士の縄張り争い、若いオスによる求愛行動と思われものを確認。縄張り争いでは、
ピヨピヨ、ビビビ、ブーン(羽音)となかなか忙しい。求愛もよく似ている気がする。相手がオスかメスかの違いか。若いオスにはメスの気をひくのは
難しいようである。今年の室林道では、明らかにオオルリよりもキビタキの方が個体数が多い。オオルリが少ないのは、室林道には沢らしい沢が
無い事も一因では。
2002
5
12
高嶺から茶臼山
早朝4時40分に出発しても高嶺に到着したのは7時。ここは、長野県南部に位置する平谷村。国道153号線を折れ高嶺(たかね)山頂に通ずる
林道をゆっくり進む。一昨年だったと思うが、大雨により道が流され通行止めになっていたが、復旧したようだ。高嶺は標高1574mで茶臼山より
も150mほども高い。この標高差は、生息する野鳥にも違いがで出ている。茶臼山では少ないアオジの囀りや、ルリビタキの囀りはその代表的な
ものだろう。今日も、明るい緑色のカラマツ林からアオジの歌が聞こえてきた。山頂は木がまばらで、潅木が茂っている。潅木からは、ウグイスや
アオジ、さらにはホオアカが繁殖している。今日も、ホオアカのオスが縄張りを守っていた。少ない木々は、今の季節、ビンズイのソングポストにな
っている。山頂からの景色は素晴らしい。目のしたには平谷の町並みが見える。車の音がよく聞こえる。南の方面は愛知県の山々。ひときわ高い
のが茶臼山(1415m)である。東側には、蛇峠山(1664m)。蛇峠山にもよく訪れる。その奥は、南アルプスの連なり。北は大川入山(1908m)
と恵那山(2190m)を仰ぎ見る。長野県の山らしく、植林されているマツはカラマツである。秋になると、谷沿いにサシバの南下する姿が見られる
というが、残念ながら、まだお目にかかっていない。9時には高嶺を後に、茶臼山に向かう。平谷村から売木村に向かうコースもきれいな川が流
れており気持ちがいい。平谷峠(1150m)からの眺めも絶景だ。売木村を茶臼山方面に上っていく。ここにも川が流れていて、ミソサザイとオオ
ルリの歌が切れ間なく続く。茶臼山では、ノジコの囀りを聞いた。(アオジではないと思う)小型のテープレコーダを必ず持ち歩くようにしている。鑑
賞用には向かないが、記録には結構役立っている。私にとっては、写真よりも声の方がその場の情景が浮かんで来易い。今日のノジコも、蒲谷さ
んの野鳥CDと何度も聞き比べて判断したものである。
西暦
月
日
メモ
2002
5
18
土曜探鳥会
集合時間になってようやく雨があがってきた。しかし、歩いての探鳥会には心配な天気である。当初の参加人数では3台必要であったが、天気も
悪く、全員で13人なので2台の車に便乗して出かける。最初は、定点観察の羽根、長根の田んぼである。ムクドリ、スズメ、コサギと種類は少ない
が早苗の田んぼは気持ちがいい。鳥も少ないので早々に室林道に向かう。予定には無かったのだが、車の移動で余裕が出たためと、夏鳥の囀
りを聞かせたいと思ったからだ。スギ林で車を止め暫く待つ。ここは、サンコウチョウのポイントである。耳を澄ませる。微かに聞こえた。暫くすると
はっきり囀りが聞こえるようになった。今年初めて聞いたサンコウチョウの声であった。小雨の中集まってくれた子供たちへのプレゼントができほ
っとした。
2002
5
25
茶臼山ラインセンサス
初夏の強い日差しがまぶしい。しかし、風もかなり強く、歩いていても汗ばむことはない。この時期、茶臼山高原の空では、点在する施設に巣作り
したイワツバメたちが、巣と牧場の上空との間を飛び交っている。観察を開始して間もなく、カッコウとホトトギスの声を聞く。今夏初確認である。茶
臼山にはウグイスが多い。托卵目的の彼らが居るということは、ウグイスたちの営巣も真っ盛りということである。運良く2種とも姿を見ることがで
きた。カッコウは番で牧場に点在する潅木を行き来していた。コルリやコマドリの囀りも一時ほどではないものの聞かれた。番の姿も目に付く。カッ
コウ、ホオジロ、イカルなど。茶臼山の東面はキンポウゲのお花畑があるが、所々で輝くような黄色の花を咲かせ始めていた。附近でコヨシキリを
確認したのはもう数年以上前になる。道路が拡張され環境も変わってしまった。彼らを見ることができるのだろうか。
スズメの親子
平尾GCで、子供が羽を震わせて餌をねだっている姿を見た。道路沿いのサクラに巣が見られ、スズメの声がしていたが、2羽がすぐ下の畑に舞
い降り、子供らしい個体が、親に餌をねだるしぐさをする。羽をぶるぶる振るわせている。すると親は、食べ物を見つけ、子に咥えさせているでは
ないか。この時は、餌が大きすぎたのか、飲み込めないでいた。親の後を追いかけて飛ぶ姿はまだまだぎこちない。
2002
5
26
寺ノ入林道ラインセンサス
遠くからツツドリののんびりした声が聞こえる。上空にはタカたちの姿。ノスリのペアとハチクマ。ハチクマの変わった飛翔を見た。ホバリングを一
瞬行ない羽ばたきを繰返すというものだ。ヒヨドリのペアが巣材を咥えていた。広葉樹の明るい林からキビタキとオオルリの囀りが聞こえる。早速
、手持ちのテープレコーダで録音した。しかし、目当ての鳥の姿、声がない。サンショウクイである。サンコウチョウとともに、夏鳥の中で個体数が
減ってしまった種である。最終地点まで気配なし。いつもはすぐに引き返すのであるが、今日は、腰を下ろし休む。実は、ここで昨年サンショウクイ
の営巣を確認したのだ。休んでいるうちに声だけでもと。そして、諦めかけて戻ろうとした時、ヒリヒリと鳴き声を聞くことができた。昨年よりも少な
いのでは。
2002
5
30
音中探鳥会
2年生80名ほどが参加した。出発時間にはかなり暑くなって先が思いやられる。ヒヨドリでも(といってはヒヨドリに悪いが)喜んでくれる。宮路山の
中腹でオオルリ、キビタキを見る。初めての子も多いのだろう。真剣に探す顔がよい。山頂下の駐車場に着いたとたんサンコウチョウの囀りが聞
こえる。ジャストタイミング。体を動かしたあとの弁当は本当にうまい。子供たちは、思い思いに食べている。帰りはゆったりとした気分になり、幸せ
な時間であった。無事に終わりほっとしたのだろう。あまり下らない所でメボソムシクイの声を聞いた。ホトトギスと共に飛来を待ち望んでいた鳥で
ある。
西暦
月
日
メモ
2002
6
1
土曜探鳥会
観音山(かんのんやま)山麓にサンコウチョウを見に行く。しかし、見なれた鳥たちも大切にしなければいけない。ハシブトガラスをスコープに入れ
、ハシボソガラスとの違いを説明する。子供たちもスコープを練習する。広々とした所でエナガの大きな声がする。山までは200mほどもあるのに
どうしてだろうか、と思うまもなく、丘のような林から水田にて隔てられた山に向かって、エナガの群れが次々と飛び立っていく。数日前にも、エナ
ガの幼鳥の群れが餌を採りながら移動している様を見たが、今日のは、規模が断然大きい。子供へのビッグプレゼントである。朝からよく晴れて
暑い探鳥会である。我慢して歩くしかない。ダイサギやアオサギにはやはり人気がある。スギの木の天辺でアオサギが休んでいる。スコープでと
らえるには恰好の練習台になる。終点にサンコウチョウのいる林がある。到着前からすでに囀りが聞こえた。姿を見ようと林の中に入っていく。囀
りが聞こえなくなった。キビタキやウグイスが鳴いている。暗い林の床ではヤブサメが我々を警戒している。暫くじっと待つ。小さな子供たちにとっ
てじっとすることは大変苦しいことであることはよく分かるが、探鳥会ではあえてこれに挑戦している。帰ろうと思ったとき声がした。地鳴きなので、
子供たちには気がつかない。近くにいるから、と言って再びじっと我慢。そして、1羽のサンコウチョウが姿を現わした。メスであったが、正真正銘
のサンコウチョウある。予定時間を過ぎてしまった。子供たちは学校まで走って帰る。元気なものだ。
2002
6
8
茶臼山ラインセンサス
子育ての光景が見られた。スキー場附近では、キセキレイがガードしたの導管の上で抱卵中。オスが道の上から目を光らせていた。5mほどまで
近づいても逃げない。スキー場の草叢ではヒバリがいる。巣のようなものが見えるが、近づくのはやめた。モズが餌を運んで茂みに消えた。ヒナ
の声が聞こえるが種類はわからない。カッコウ、ホトトギスが鳴きながら飛びまわる。被托卵者との熾烈な戦いが続いている。
2002
6
15
室林道
子供たちの姿を見るようになった。今日も、ホオジロの子が両親に見守られながら林道をちょこちょこ歩きながら餌を探していた。すぐ近くには母
親が、少し離れた枝には父親が目を光らせていた。ヒヨドリのヒナも聞こえる。シイシイとヒナ独特の声である。子供たちは、もうしばらくは親の庇
護のもとで暮らす。オオルリ、キビタキの囀りも続いている。まさに1年で最も日の長い時期である。
土曜探鳥会
室林道を歩いていたときは雲がかかっていたが、子供たちが集まる頃から雲間から青空が見えるようになった。天気の心配は無くなったが、暑さ
との戦いになる。今日の目当てはサギ類とした。今年は、ダイサギの数が多いように思う。山陰川沿いにヒノキの天辺にアオサギとダイサギが止
っていた。プロミナーの視野に大きな鳥が2羽見える。子供たちは大喜びである。田んぼ道に来ると日陰は全く無い。みんな、水路に手を浸してい
る。アマサギの首から上が見える。早速プロミナーを向ける。このプロミナーは借り物ではあるが、最も初期のタイプ(TS-2)である。6cmで25倍
の視野はなかなか切れ味がよい。一緒に持参したニコンの7.8cmに較べても遜色がない。セッカのオスが盛んに鳴いている。大きな鳥が続いた
ので、可愛らしいセッカをやりたい。しかし、なかなか思うような場所には止ってくれない。だめかなと思った時、水路沿いに立っている草に止った
姿を捉えることができた。小さく可愛らしい鳥はみんな好きだ
2002
6
21
蛇峠山ラインセンサス
2002年になって初めて。ずいぶん久し振りな感じがする。家を3時に出発し、治部坂に着いたのは5時48分。麓から蛇峠山までラインセンサス
する。標高差400mである。別荘地帯にはアカハラの明るい声がこだまする。もともと地上性の鳥なので注意していると、ジーといった声を上げて
林の床を移動する姿を見ることができた。沢のあるところからはミソサザイの美しい声がする。別荘地帯を抜けると道は明るくなり、日の光を浴び
て登ることになる。そろそろ暑くなってくる。熊笹の茂った潅木からはウグイスがこちらを窺っている。そして、彼らの縄張りを抜けるまで注意深く尾
行を受ける。今日の蛇峠山は1にウグイス、2にコルリの囀りで溢れていた。山頂に近くなると針葉樹の姿が多くなる。ウグイスやアオジが梢で思
いきり歌っていた。コマドリも居るにはいるが、前者の2種類が圧倒的に多い。9時ごろ山頂に到着した。平日とあって誰もいない。持参した弁当を
、昼飯にはだいぶ早いが食べた。朝早くからの行動で空いたお腹を満足させなくては。山頂からの眺めは素晴らしい。飯田の町がきらきら輝いて
いる。南アルプスは山頂の一部だけが雲の上から覗いていた。国土交通省の雨雲レーダ観測所に車がやって来る。それ意外は全て自然の音ばか
り。リュックを枕にウトウトと昼寝をきめこむ。遠くからカッコウ、ジュウイチ、ツツドリなどの声がした。登ってくる途中でホトトギスの番をみたが、こ
れだけウグイスやコルリがいれば、托卵性の鳥たちも成功率は高いに違いない。盛りの過ぎたレンゲツツジではあるが、明るい緑になんともいえ
ない対比の良いオレンジ色で点々と咲いていた。もう暫くすればマツムシソウも咲くだろう。10時12分に下山を開始。息は切らさないが足の指先
が痛くなる。プロミナーも肩に食いこんでくる。6時間余りかかって漸く麓に戻ってきた。久し振りの蛇峠山の野鳥を満喫し家路に就く。
西暦
月
日
メモ
2002
6
23
寺ノ入林道ラインセンサス 07:05~08:51
一昨日の蛇峠山に較べると静かである。ウグイスの囀りも少ない。しかし、ヒヨドリは数多くいる。ヒヨドリの好む環境を知るには良い比較の場所
かもしれない。そんな目で観察していった。どこにでもいるようにも見えるが、鳴き声は、スギの植林からが多いようだ。身を隠す場所として、薄暗
いスギ林は絶好なのだろう。ヒナの声も多いがなかなか姿は見えない。そんな中で1度だけ、親子のヒヨドリの行動を垣間見ることができた。子は
、ビイビイ鳴きながら、あの餌をねだるときヒナが羽を小刻みに振るわせる仕草を盛んにしている。親は、そんな子のねだりを無視している。そっ
けなく移動すると、子が後を追いかける。こんな具合であった。ヒナの姿からしても、自分で食べ物を捕る時期に来ているのだろう。ヤマガラの親
子にも出会った。親が盛んに警戒の声を上げる近くで、3羽の子が、こちらは親の助けなしで、幹の皮を剥いだりしている。ハチクマとノスリの番
がそれぞれ輪を描いていた。毎年見る光景だ。沢の多い寺ノ入林道にはオオルリが多い。今日も囀りの声がした。嬉しかったのは、サンショクイと
出会えたことだ。昨年の営巣とまではいかなくても、姿を確認出来た事にほっとしている。微かな声から鳥を探すのは何時もワクワクするものだ。
今日も、ヒガラのような声が聞こえた。高いところにいて姿から確認するのは困難。飛び去った大きさからヒガラということに。この時期いるというこ
は、繁殖か?
2002
6
29
子育てと巣立ち
小雨降る室林道を車で進む。暫く確認していなかったサンコウチョウが気にかかったので、いつもと反対側から進入する。その入り口にはサンコ
ウチョウが棲んでいる。エンジンを止め鳥の声を聞く。オオルリとキビタキの声がする。オオルリの方は単調な囀りの繰返しで、メスが鳴いている
のではと思う。(後から、メスの姿を確認できた)キビタキは地鳴きで、オスがよく発する警戒か縄張り主張の声であった。(こちらも、虫を咥えたオ
スを見つけた)暫くして、2羽で鳴くサンコウチョウの声がした。囀りよりも地鳴きが主体といった感じで、なんとなく相手に語り掛けるような声である
。それに答えるかのような声もする。暫く見守る。すると、虫を咥えたオスの姿と、それをもらう子供の姿があった。子供の姿は今までもほとんど見
たことが無かった。生息場所のスギ・ヒノキの幹に融けこむような色である。ヒナの数は分からなかったが、声からすると1羽以上は間違いない。
メスが現われた。ペアで巣立ち雛を育てているのだ。どうも、先ほどのキビタキも同じ場所に居を構えているらしい。キビタキに向かってサンコウ
チョウのオスが威嚇行動に出た。体の小さいキビタキは逃げるのみ。雨の中を出てきたかいがあったというものだ。別の所では、路上をヒョコヒョ
コ歩いているホオジロの幼鳥を見た。一見、メスのようにも見えるが、メスの成鳥のような胸から腹の色はではない。縦縞の斑点
が入ったものだ。こちらは、両親とも離れ独り立ちいるのだろう。そんな姿を2羽見つけた。
2002
6
30
茶臼山
ウグイスのオスが盛んにソングポストでディスプレイをする。声はすれど姿は見えず、ウグイスはそんな思わせぶりの鳥の代表選手であるが、今
日のウグイスは十分目立っていた。梢の先で囀っていた。托卵主であるカッコウ、ホトトギスが大きな声で鳴くとますますディスプレイも激しくなる
ようである。カッコウが鳴く様をプロミナーでじっくり見る機会があった。カッで口を開け、コウでは口を閉じている。鳥は息を吸う時にも声を出せる
と聞いたことがあるが、カッで吸い、コウで吐いているのだろうか。観察を開始した頃にはあった日差しも消え、黒っぽい曇が広がり始めた。担い
でいる古いプロミナーは無論防水ではない。曇と競争で歩く。ウグイスの声に較べ、コマドリの鳴き声が少なくなった。牧場の上ではウワツバメが
飛び交い、種子の着いた草の上では、カワラヒワの群れがホバリングをしながら種をほおばっている。中には幼鳥が混じっている。駐車場に戻る
と、スタート時点では1台しかなかった車がほぼ満車になっていた。さて、賑やかな所には用はないとばかり下山する。
みどり湖
じとじと梅雨で増水した大入川はアユ釣りの人達で賑わっている。ダム湖に入ると静けさが支配する。人工の音は全くない。あるのは野鳥の声ば
かりである。湖面を注視しながらダムまでゆっくり進む。しかし、目的の鳥の姿はなかった。もともと数は少ない。しかし、いないと断言は出来ない
。だから来てみる。そんなことの繰返しである。湖面をふわふわ進むヤマセミの姿を見たくて。
2002
7
6
室林道ラインセンサス
豊橋総合動植物園の山口氏により室林道でのキビタキ、オオルリの育雛が確認された。これから子の姿を見られることだろう。先週は自分もサン
コウチョウの子供を見ることが出来たが、今日は、ホオジロ、ヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマガラの幼鳥を見た。これらの留鳥たちは、繁殖時期も早
いのですでに親から独立して餌を捕っている。この時期になると、ヤブサメの姿をよく見かけるようになる。飛来して囀りをする頃はなかなか姿を
見つけられないが、囀りも少しおさまると、地鳴きで居場所が判り易くなり、小さな姿を見ることができる。今日も2個体確認できた。生息場所、行
動する様子が冬のミソサザイによく似ている。サシバの姿があった。今日は1羽だけであったが、前に見た場所の近くで羽を休めている。もしかす
ると、近くで営巣しているのかもしれない
西暦
月
日
メモ
2002
7
6
土曜探鳥会 夜の探鳥会
7月度は恒例の夜の探鳥会である。朝からどんよりく曇って、一時強い雨が降る。どうやら今日の探鳥会は中止か、と思わざるを得ないような天
気になる。しかし、午後から徐々に雲が切れ始め薄日も差してきた。相変わらず雲は早いスピードで北に向かう。運を天に任せ午後6時30分に開
始した。父兄を入れると35名を越す大メンバーである。アマサギがねぐらに帰る姿もあったが、今日の主役は龍源禅寺のムササビである。山門か
ら私語を慎むよう子供たちに言い、それをよく我慢して守ってくれた。境内で30分ほど待つが、姿はおろか声などの気配さえしない。それでも、み
んなじっと待っている。野生動物と出会うにはひたすら待つこと。まさにそれを実践中であった。場所を替えても状況は変わらない。そろそろ帰る
事を考えなければ。最後に肝試しに全く光の当たらない所に子供たちを連れていく。その道すがら一人の子がムササビを見つけた。ムササビは
木の高い場所でじっとしている。懐中電灯に反射する目だけが存在を肯定する証拠であった。子供たちは自分なりに一心に探したに違いない。な
かなか見つからない子もいた。親切に教えてあげる子も沢山いた。気持ちが一つになった。ムササビと最初に見つけた子にありがとうと言いたい
。境内にはその他にも生き物がいた。ヒキガエルは子供たちがあまりにじろじろ見るので穴にも入りたい気持ちになったろう。事実塀の割れ目か
ら顔を覗かせているヒキガエルも子供たちに見つかってしまった。自分が子供の頃に盆踊りで仲間と夜を楽しんだ経験が微かに思い出されるが、
今日の出来事も、夏の夜の思い出になってくれたらと思う。
2002
7
13
愛知県昭和の森
標高100mくらいであろうか。なだらかな丘陵にアカマツを主体とした林が広がり小川が流れる。広場には昭和天皇お手植えの記念樹が鎮座す
る。設備も整っていて休みには賑わいそうだ。今日はあいにくの雨。しかし、野鳥の種類は多そうだ。ヒガラやシジュウカラなどの幼鳥が沢山いた
。ここは、豊田市の北部、猿投山の麓に広がるアカマツ林の丘陵地帯で、いわば、里山である。今日初めて鳥を見にやってきた。直感ではあるが
、秋から冬にかけて見所が多そうな気がする。これからも時々訪れてみようと思う。
2002
7
14
室林道ラインセンサス
繁殖の季節も後半にかかった。オオルリの囀りが単調でおかしいなと思ったら、メスの囀りであった。ホトトギスも大きな声で鳴いている。鳥は手
加減を知らないようだ。幼鳥の姿も沢山見る。ヤマガラ、ホオジロ、オオルリである。ヤブサメが茂みの中を動き回っている。センダイムシクイも鳴
いている。春先と変わらないかといえばそんなことはない。ウグイスの囀りも減ってきた。中でも大きな違いはセミの声だろうか。梅雨明けも近い。
2002
7
20
土曜探鳥会
後から知ったことではあるが、今日梅雨が開けた。朝からジリジリと太陽が照りつける。水筒を持ってこない子もいて、リュックサックの中の麦茶が
役立つ。これからは必ず持参するように言い聞かせる。肝心の鳥の方は、セッカの2種類の鳴き分けなどを観察した。昼間では比較的見ることの
少ないゴイサギもいた。木の中にいるので見付け難かったようだ。親子連れで、茶色の子供をプロミナーで捉えた。山陰川の橋の上は少しは涼し
い。帽子を落とした子がいた。サンダル履きの子が川に入って拾う。良いことをしたのという気持ちと、川に入って気持ちがよいとで、なんともいえ
ない満足した顔で上がってきた。周りの子も川の中に入りたげな表情であった。
2002
7
21
茶臼山&室林道ラインセンサス
茶臼山
ウグイスの囀りは相変わらず盛ん。反面、コルリやコマドリは全く気配がない。カッコウやアカハラは高原の代表格であるが、今日はアオバトとマ
ミジロの声がした。さすがに暑いので森の中の遊歩道に入る。近くでアオジのような声がした。遊歩道は木道部分が多く濡れていると滑る。しまっ
たと思ったがいまさら戻るのも残念だ。ゆっくり恐る恐る進む。その甲斐があって素晴らしいものに出会えた。ミソサザイが森を流れる川の辺で囀
ずっていたのだ。緑の中で囀る姿は幻想的である。現実に戻ったのは、番かライバル分からないが別のミソサザイが近づいてきた。すると、先の
個体が一段と大きな声で囀ったのだ。
室林道
夕方から始める。茶臼山同様ウグイスとホオジロは賑やかだ。戻り道で思いがけない鳥を見た。スズメの幼鳥である。鳴き声はスズメ。しかし室
林道では10年間で一度もスズメを確認していない
。マツの若木が密集する中でチュンチュンと鳴いて餌を捕っていた。当然ながら動物食である。本当にビックリした。室林道へ向かう民家附近でス
ズメの姿はなくなる。そこから先はスズメは棲まない世界と思い込んでいたし、事実、過去10年間一度も見たことがなかったのである。そうなると、
彼らはどのような行動をしているのか調べなければなるまい。
西暦
月
日
メモ
2002
7
27
高嶺から三河湖まで
3時30分起床。高嶺に6時着。今日は茶臼山や三河湖も同時に回るのため車で山頂まで向かう。ウグイスが電線で囀っているのは深い山ならで
はの光景である。ウグイスとホオジロの囀りが多い。深い谷底からコマドリの声が聞こえてきた。山頂では。ホオアカとアオバトを確認。アオバトが
朝日に映えて美しい。雲海の上を南アルプスが墨絵のような姿で連なる。反対に、西側の景色は、青空の下は灰色の層で覆われていた。スモッ
グの様にも見え無気味な感じであった。登ってくる途中でエゾムシクイの地鳴きを聞く。売木村経由で茶臼山に着いたのは9時。ここでも。コマドリ
を一度だけ聞く。カワラヒワの群れが牧場を飛びまわっている。三河湖寺ノ入林道には11時30分到着。比較的静かであるが、その中ではホオジ
ロが目立つ。ここでもエゾムシクイを聞く。
2002
7
28
サシバの繁殖
室林道をラインセンサスしていたらサシバの声がする。声からするとそんなに遠くない。足を止め声の方向を注視。飛んでいる様子はない。白っ
ぽいものがヒノキの梢にいる。早速25倍のプロミナーで眺める。今日は、双眼鏡の他にプロミナーを担いでいたのである。視野に入ってきたのは
、喉から腹にかけて縦縞の入った幼鳥の姿であった。時々鳴き声をあげる。見失ってしまい、さらにセンサスしながら進む。今度は2羽でジャレあ
うように飛んでいるサシバのペアがいた。すると、先ほどの幼鳥はこの番の子供か。サシバの番の姿は春先から時々見かけている。この附近で
繁殖しているのはかなり可能性が高い。
2002
8
3
土曜探鳥会 早朝の室林道への道
恒例の早朝探鳥会に10人あまりの子供が参加した。集合時間は5時30分。北よりの乾いた風の助けもあって真夏とは思えない涼しさだ。これも
後3時間もすればうだるような暑さになる。民家の上でセグロセキレイが囀っている。ヒノキの林ではメジロの群れが餌をとっている。ウグイスも鳴
いているが姿は見られない。室林道の入り口で休憩する。たった200mの標高しかないが涼しい風が吹いて別世界のようだ。早朝探鳥会は夏の
探鳥会として最高である。8時半に小学校の着いた。すっかり真夏になっていた。
寺ノ入林道
太陽が傾いた頃寺ノ入林道に到着。静かである。ホオジロ、ウグイスが鳴いている。車を止めて観察していたらサンショウクイの声が近づいてくる
。久し振りに出会えそうだ。波打ちながら旋廻している数は7羽。これほど多くのサンショウクイを同時に見たのは初めてだ。一腹の数は4~5羽と
言われている。すると両親と子供たちであろうか。そう信じたい。スギの林ではヒガラが鳴いている。寺ノ入林道は標高600m~700mである。こ
の時期にいるということは繁殖の可能性もある。ヒガラに続いてエナガ、シジュウカラの混群がやってきた。ヒグラシが鳴き始めるとなんとなく寂し
い気持ちになる。サンショウクイの家族が無事でありますようにと祈りつつ三河湖を後にする。
2002
8
4
室林道ラインセンサス
昨日は土曜探鳥会で室林道の入り口まで来た。昨日の乾いた風とはうってかわり、重苦しい雰囲気の風が吹く。雷鳴が聞こえる。しかし、暫くす
ると鳥たちの賑やかな鳴き声に包まれた。エナガ、メジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、センダイムシクイが一緒に朝の食事をとっている。群
れは林道に沿って移動していた。張られたばかりの高圧線(まだ電気は通っていない)に鳥がいた。キジバトかなと思いミニスポで覗く(軽量でセン
サスに持ち歩いても苦にならない)。姿の主はサシバであった。色模様からすると成鳥のようだ。先週は幼鳥と成鳥のペアを確認。最近は必ず姿
を確認できる。アブラゼミ、ヒグラシにツクツクボウシも加わってセミ時雨も盛りである。雷鳴が気になったが、心配したように帰り道からポツポツと
雨粒が落ちてきたので慌てて車まで戻った。
2002
8
10
茶臼山
3時に起床し茶臼山に向かう。雲が低く立ちこめ茶臼山での天気を暗示するようであったが、連日の猛暑から解放されると思うと気持ちは晴々と
していた。案の定山頂は雲の中であった。ウグイスの囀りがした。しかしお盆も間近に控え、一時のような賑わいはなかった。反面、地鳴きがよく
聞かれる。牧草の茂った中から移動する姿をとらえることができる。モズも目に付く。一羽のオスが何かの幼虫を咥え潅木の中に入った。すると、
3羽ほどのモズがかたまって止っていた。幼鳥なのだろうか。日が差し始めたので小鳥の森に入ることにした。せせらぎの小路と呼ばれる場所で
ミソサザイを発見。3mくらいの至近から餌を捕る様を観察する。すぐ近くに別の個体がいて囀っている。散策路が木道になっていてその下に入り
込む。どうやら巣があるようだ。ミソサザイは橋の下とかに巣を作ることが多い。馬の背と呼ばれる尾根を登り始めるころから雨になる。幸い森の
中は雨が降ってももろにかかることはない。真夏には気持ちが良いくらいだ。ただし手に持ったミニスポは防水仕様ではないので、レンズに雨滴
がかからないように気をつける。コマドリやコルリの声は全く聞かれない。アカハラとアオバトの声がした。
西暦
月
日
メモ
2002
8
11
室林道
スタートが9時10分と遅かったので暑い暑い探鳥となった。茶臼山でもウグイスの鳴き声が減ったのを感じたが、ここ室林道ではさらに減ってい
た。反対に地鳴きが目立つ。面白かったのは、オオルリとキビタキがともにへたくそな囀りをしていたことだ。積乱雲が発達していたが、途中でパ
ラパラときた。トビ大の鳥があたりを見渡しながら通過していく。首が長いのでハチクマであろう。小型のノスリが大型のノスりを追いかけている。
つがいがジャレあっているのだろう
2002
8
12
汐川干潟シギチドリ南への渡り
海岸へは6時50分に着いた。途中の豊川河口での水位から、満潮は過ぎたものの未だ潮は満ちていないと判断したとおり、海は満ちていた。暫
くは堤防の内側を観察する。水田と堤防との間には水路があり養魚池も広がる。葦が広がりオオヨシキリ、セッカが鳴く。葦池の中で動くものがい
たので早速プロミナーを向ける。くちばしの赤が鮮やかなバンであった。葦の生え際をゆっくり歩きながら獲物を捕っている。同じ池の水面の広が
った場所(緑色の浮き草が一面に広がっている)ではカイツブリの親子が潜水を繰返していた。ヒナが鳴きながら親の後に付いて行く。のどかな光
景ではあるが油断は禁物だ。いつのまにか上空をハヤブサが旋廻していた。海岸に目を向けると、サギたちが潮が引くのを待っている。ダイサギ
、コサギ、アオサギたちだ。湾の入り付近ではカワウが列になって漁をしている。奥まった所では夏にいる唯一のカモメであるウミネコがプカプカと
浮いている。気持ちよさそうだ。そろそろ暑くなってきた。車を東向きに変え、日陰を作り観察を続ける。一羽のスズガモ(♀)を確認。越冬ならぬ
越夏を決め込んだか。10時過ぎ頃から海面を旋廻するシギの姿が見られるようになる。声からキアシシギであろう。堤防の波打ち際にはいつの
間にかダイゼンの姿。早く食事をしたくてウズウズしている。サギはもう海の中に入ってしまった。10羽、20羽、数羽と群れになったシギが次々と
飛んでくる。降りた先にはシギ、チドリが懸命に餌を探していた。ダイゼン、ムナグロ、キョウジョシギ、キアシシギ、小さくて見にくいメダイチドリ、ひ
ときわ立派なダイシャクシギが3羽。春の渡りから3ヶ月余りしかたたないのに、子育てを終えた彼らは南に向かっている。繁殖地にいる時間は必
要最小限なのだ。ゆっくりする間もなく越冬地に向かう。人間ならばちょっと見物でもと言いたいところであるが。越冬地はそんなによい所なのか
い。11時30分過ぎ、のどを潤すお茶も無くなり帰ることにした。
2002
8
13
寺ノ入林道ラインセンサス
7時12分スタート。すでに太陽は相当高くはなっているが、寺ノ入林道が西に向いた地形のため日の当たらない場所が多く、標高600mというこ
ともあってかなり涼しい。全体を通して言えば静かである。ウグイスの囀りもめっきり減り声を聞いたのは2~3個体であった。その中でもエゾムシ
クイの声が印象に残った。地鳴きのみならず囀りまでもしていた。以前に、囀りはコガラと、地鳴きはヒタキ科のある鳥と勘違いした苦い思い出が
ある。正体を知った今でも、これは繁殖個体なのか越冬地への移動個体なのか考えてしまう。自分としては後者ではと思っている。繁殖期間を通
して囀りなど聞いたことがないからだ。海岸ではシギ・チドリの南下が始まっているが、山野でも同様なことが起きているであろう。ただ、海岸では
バードウオッチャーが待ち構えているが山野ではヒッソリと通りすぎて行くのであろう。シジュカラやメジロの声に混じりヒガラの高い声がする。ヒガ
ラの繁殖とまで言いきれるのだろうか。幼鳥が見つかれば可能性があるのだが。寺ノ入林道はタカもよく見る。近くの三河湖畔ではへぼ飯(ハチ
の子ご飯)を出す店がある。ハチが多いのだろうか、ハチクマを頻繁に確認する。今日はつがいで鳴きながら輪を描いていた。ノスリのつがいにも
出会った。鳴き方はソックリである。センサスをしている間は無心であることに努めているが、季節季節で会いたい鳥は無論いる。そんな場合会
わずに終わってしまうとなんとなく寂しい。今のそんな鳥がサンショウクイである。先回(8月3日)は7羽の群れを確認し、今日も期待していたのだ
が、とうとう最終地点に着いてしまった。こういう場合よくやる手は、片付け作業をゆっくり行ないその間に一声鳴いてくれないかなー、と神頼みす
ることだ。ところがあろうことか、今日はその願いが聞き入れられたのだ。ヒリリと一声だけ聞こえたのだ。
2002
8
15
しばらく野鳥写真を撮っていなかったが、レンズの虫干しと思いカメラを持参する。今日のモデルはセッカ。田んぼの中からツンと生えている雑草
にとまっている様がかっこいいので撮ってみよう。山の鳥が静かになってしまったのとは好対照に、田んぼではセッカが大騒ぎしている。田んぼ道
に車を止めた途端に2~3羽の賑やかな出迎えに会う。小さいけれども気は強そうだ。常に縄張りを回り侵入者には断固たる態度で臨む。自分に
は無いものを持っている。時折、色付き始めた稲の中に潜り込む。その場所が決まっているので、そこにはなにかがあるのだろう。このセッカ、こ
の地で越冬する個体もいる。
西暦
月
日
メモ
2002
8
16
蛇峠山
別荘帯には沢山の車が止まっていたし、すれ違う車も多かった。そう、今が蛇峠山の最も賑わう季節だ。おかげで、別荘帯からは小鳥の声が消
えてしまった。と思ったが、馬の背でも鳥のつぶやきすら無かった。ミニスポを担ぎ山頂に向かう。ウグイスの地鳴きが夏の終わりが近いことを感
じさせた。道端には様々な花が咲いている。多くは名前を知らない。マツムシソウ、アキノキリンソウも今が盛りだ。花に誘われるチョウやアブ。ア
ゲハチョウ、アオスジアゲハ、アサギマダラが乱舞。山頂で暫らく観察する。あんなに静かであったのが嘘のように小鳥の声がした。ヒガラ、ヤマ
ガラ、ホオジロ。野鳥の観察で、興味深い事柄は往々にして静かに進行する。ソングポストで美声を聞かせるオオルリやホオジロもいいが、ルリビ
タキが静かに枯れ木に止まっている姿をなんと表現したらよいだろう。蛇峠山の山頂には気の毒なくらいテレビや無線のアンテナが林立している
。その上空を1羽のオオタカが滑るように舞って行った。涼しい風が谷から湧き上がる。静かな小鳥たちの中で独り気を吐いたのがホオジロであっ
た。たった一人の聴衆が飽きないよう様々な節回しで囀ってくれた。
2002
8
17
土曜探鳥会
6時30分に集合。参加者が6名なので久し振りに車での探鳥会にする。歩いての探鳥会が望ましいが真夏では無理できない。田んぼではセッカ
が賑やかであった。田んぼの中に立てられた竹ざおに止まったり、稲よりも頭一つ飛び出た稗にもよく止まる。肉眼でも何か咥えているのが分か
る。プロミナーで見ると花の綿毛のように見える。巣材にでもしようとしているのか。サンダル履きの子が多かったので山陰川に行く。カワセミには
会えなかったが、川の中は気持ちよさそうであった。
2002
8
26
寺ノ入林道
静かなひとときだった。時折カケスやアオゲラの声がするばかりだ。ウグイスの地鳴きにも慣れてきた。スギの林はではヒガラやメジロがつぶやく
ようにしながら餌を探している。木から木へと渡りながら食べ物を探しているのはエナガ。17羽の群れであった。姿は確認出来なかったがノスリの
声がした。少し暑さが戻ってはきたが、空の雲は秋のようないわし雲が広がっていた。
2002
8
31
茶臼山ラインセンサス
山頂はひと月くらいは季節が早い。ススキが風になびき、ハギの花がこぼれおちる様に咲いていた。ウグイスやホオジロの囀りも無い静かな高原
の初秋。東の方には、くっきりと南アルプス3000m峰が連なる。空気が澄んできた。聞きなれない声が茂みの中から聞こえた。お世辞にも美しい
声とは言えない。かなりの数がいそうだ。一見して日本産野鳥ではない。全体的にはメジロの感じ。上半分がくすんだウグイス色。下半分が鮮や
かな黄色。白い眉斑がハッキり入り、朱色がかった嘴が最も目についた。残念ながら名前を特定できない。ウグイスももちろんいるが、静かに鳴
いているばかりだ。コマドリやコルリなどの夏鳥たちは今なにをしているのだろうか。
2002
9
7
萩小から平尾まで
天気予報では降水確率が50%とあったが、心配の必要はなかった。東の空には青空も見える。しかし、少しずつ雲が厚くなっていくようだ。7時
に集合。14人の子供たちが参加した。ヒヨドリがクスの木で鳴いている。ヒヨドリは基本種として大切な鳥だ。大きさ、鳴き声、飛びかたを観察する
。田んぼを過ぎると山に入る。メジロがクヌギの枝先で盛んに餌を探していた。平尾町に入るとゴルフ場が広がる。最初に現れる池にはカワセミ
がよくいる。しかし、今日は残念ながらお目にかかれなかった。さらに下にも池がある。晩秋にはコガモが羽を休める場所だ。ゴルフ場からの流水
不純物の沈殿池なので水の色は茶色である。カワウ、アオサギが羽を休めている姿をよく見かけるが、今日は、偶然にもゴイサギの幼鳥が池を
横切る姿を見た。10時30分に学校に戻る。
2002
9
8
室林道ラインセンサス
ツミの幼鳥に出会った。向こうもこちらを向いて観察しているようだ。2m進んでは立ち止まり双眼鏡で覗く。何度か繰返しているうちにすいぶん大
きくなった。一向に飛び立つ気配なし。やはり、まだ幼いから人間を恐れないのか。この付近で生まれたのか、それとも、移動中なのか、想像する
のは楽しいものだ
西暦
月
日
メモ
2002
9
14
羽根・長根定点観察
朝から低く雲がたちこめていたが、羽根・長根の田んぼに着いたころからとうとう降りだした。すべての田んぼが稲刈りを終え広々とした感じにな
っていた。近年は、各農家で稲刈りという風景は減ってきた。大型のコンバインであっという間に終えてしまう。イネをはざにかけることもなくなり、
秋の風物がひとつ消えた。この頃から、ハシボソガラス、カワラヒワ、スズメが大きな群れをつくるようになる。今日も50羽ほどのカワラヒワの群れ
が旋廻していた。足許から飛び立つシギがいた。嘴の長いタシギであった。そろそろノビタキの南下が始まる頃だ。残念ながら今日は見られなか
った。秋から冬にかけては田んぼの野鳥の数が最も多い時期になる。朝霧の中に飛び交う野鳥の姿が目に浮かぶようだ。
2002
9
15
秋の渡り
本日の観察中に3種類の秋の渡りを確認した。たんぼでは、ハクセキレイとノビタキ。山ではエゾビタキ。昨日ですべての田んぼの稲刈りが終わ
り、野鳥の観察には好都合になった。一夏の間賑やかにしてきたセッカがパタリと囀りを止めた。しかし、水路に生えているセイタカアワダチソウ
などに止まって地鳴きを聞かせてくれる。セッカと同じ所に1羽のノビタキがいた。昨日、今日、と田んぼ道を探してみたが、最後に確認することが
できた。田んぼが開けて、セグロセキレイがあちこちで、縄張りをかけ追い行動をおこしている。そんな中にハクセキレイが我関せずとばかりに餌
を採っていた。成鳥と若鳥がいる。ケリ、ヒバリ、カワラヒワと秋から冬にかけての役者が勢ぞろいしていた。
2002
9
21
土曜探鳥会 羽根・長根
7時に集合。10人の子ども達が集まった。7月・8月の暑さをのりこえてきたメンバーには何と気持ちの良い朝だったろう。学校の近くからイカルの
囀りが聞こえる。爽やかが倍増するようである。野鳥の声は自然のなかにあって、なくてはならないもののひとつにちがいない。羽根・長根の田ん
ぼへの道を行く。この道は通学路になっている。神社の高い木の天辺でモズが鳴いている。モズの高鳴きは場所をとわずあちこちで聞くことがで
きる。田んぼではスズメが群れになっているし、あぜ道にヒガンバナがの赤い色が点々とある。そして、田んぼを額縁のように囲っている丈の高
い草には、羽を休めるようにしてノビタキが止まっていた。数もかなりいる。羽根・長根N田んぼにはさらに沢山のノビタキがいた。さらに、ヒバリ、
セグロセキレイ、カワラヒワなどの常連に加え、ハクセキレイの澄んだ声が響き渡った。ヒバンンバナを両手一杯につむ子もいた。花瓶にさせば
立派なものだ。トンボが飛び、空に浮かぶ雲もすっかり秋のものであった。
2002
9
22
宮路山
野鳥の移動の季節になるとなぜか宮路山が気にかかる。海岸に近くにそびえるため、野鳥たちの移動のコースになっているのだ。春サクラの咲く
頃コマドリが一休みするのもこの場所である。赤坂の駅から山頂に向かって大勢のハイキングを楽しむ人々が歩いていく。晩秋のコアブラツツジ
の紅葉は特に有名だ。ヤマガラ、メジロ、ウグイスが鳴く登山道を登る。道端には様々な秋の草花が咲いている。名前は出てこないが美しさは分
かる。見晴らしも良い所に出たらエナガの群れが食べ物を採りながら移動していた。361mの山頂からは360度のパノラマが楽しめる。やはり海
岸線がいい。小学校の遠足で宮路山に登り、そこから眺めた海。当時はそう簡単には海岸に行かれなかった。そして、その雄大な海に得も言え
ぬ恐れと憧れを感じた。今こうして水平線を眺めると、さまざまな野鳥たちが海を渡りやって来て、そして去っていく姿を想像する。そういえば、車
で登ってくる道すがらアサギマダラを2羽見た。
2002
9
28
タカたち
10月5日に伊良湖岬にタカたちを見に行く。土曜探鳥会の第1回目もやはり伊良湖岬に行ったのだった。ただその時は、ヒヨドリの大群が次から次
へと岬に渡ってくる姿が印象に残った。その後、毎年伊良湖岬に子どもたちを連れて行く。我が音羽に棲んでいるサシバも仲間と一緒に南に向か
うことだろう。室林道ではペアと若鳥を確認しているが、今日その1羽と思われる個体を我が家の裏山で見た。室林道とは目と鼻の先である。標識
を付け伊良湖岬の上空で出会いたい気持ち。さらに羽根の田んぼでチョウゲンボウのペアを発見。冬の田んぼにはオオタカ、チョウゲンボウ、運
が良ければハヤブサに出会える。そんなタカたちが上空を飛び交うのももうすぐである。
西暦
月
日
メモ
2002
9
29
室林道ラインセンサス
昨日の雨あがりのすがすがしい林道を歩く。6.5cmのフィールドスコープをかついでいる。6cmのプロミナーと較べて3割軽いので足も軽やかにな
る。カケスの姿・声が多い。セミの声がめっきり減り静かになった山にカケスの声がよく響く。美声ではないカケスの声がこんなにも心打つのはな
んなのだろうか。色々なチョウが飛び交っているが、アサギマダラも5匹見つけた。鳥たちの渡りも始まっている。
羽根の田んぼ
土曜探鳥会の定点観察場所にしている羽根の田んぼに回る。ヒガンバナが最後の美しさを放っている。ツユクサやススキが秋の風情を一層深め
ているようだ。昨日は小雨の中羽根の田んぼに来てみたがノビタキの姿は無かった。今日もしばらくは確認できず。よく似た小鳥のセッカがいた。
セッカとノビタキでは草にとまる姿勢が違う。実は今日は萩小学校の運動会。土曜探鳥会の御縁で運動会を見させて頂いている。、昼休の休憩
で抜け出てここに来ているわけだ。だからあまりゆっくりできない。雲の切れ間から日が漏れる。すると、それに誘われたように1羽・2羽とお目当
てのノビタキが現れた。モズがノビタキを狙っている。ノビタキたちは難なく逃げた。昨日はここでチョウゲンボウのペアがいた。繁殖を終え越冬地
に向かう道中さまざまな障害があって、それを乗り越えてこそ来年また故郷に戻ることができるのである。自分もノビタキを見ることに満足して小
学校に戻ろう。
2002
10
5
土曜探鳥会 伊良湖岬
恒例の伊良湖岬への探鳥会。1996年10月が第1回目の土曜探鳥会であった。行き先は無論伊良湖岬。サシバ、ヒヨドリ、カケス、オオタカなど
がこちらの予想を越えて出現した。以来、10月の探鳥会は伊良湖岬になった。朝から雲一つ無い上天気で期待は高まる。まだ薄暗い6時に集合
。音羽町のご好意で毎回マイクロバスを利用している。7時50分に到着。恋路が浜の駐車場はサシバの渡りを見る人達の車で満車の状態であ
る。スコープやカメラが大砲のように並んでいる。なにか、自慢の機材を競うようにしているようで滑稽な感じがする。毎年思うのであるが、道具じ
ゃないよ。最初の30分ほどはサシバの姿は全くなし。ヒヨドリの群れは間もなく現れたが少ない感じだ。天気はよいのにどうしたものだろう。やや
不安になる。1時間ほど経ったころから、上空を羽ばたきながら渡っていくサシバが見られるようになった。必死にカウントする子もいる。上空ばか
りではない。民宿や土産店の屋根にイソヒヨドリを見つけたのは、家の近くでイソヒヨドリを見た子であった。彼はイソヒヨドリを完璧に覚えた。後半
の1時間は海岸での遊び。きれいな貝や石を拾ったり、波から逃げたり。結局、みんな裸足になりズボンを濡らしてしまった。昼食は田原町にそび
える蔵王山で。昨年には無かった風力発電機が回っていた。最後は汐川干潟。シギチドリの姿は無かったが、午後のゆったりした時間を楽しむこ
とができた。アオサギ、ダイサギ、胸までつかった漁をする人がいた。堤防の内側にある田んぼの畦でノビタキが羽を休めていた。
2002
10
6
土曜探鳥会 宮路山
連続の探鳥会になった。なおかつ、7時集合。しかし、遅刻者は一人もいなかった。宮路山は音羽町で一番の高さではないけれど、一番有名な山
である。四季を通じて、名鉄赤坂駅からのハイカーが絶えない。ヒヨドリ、メジロが鳴く登山道を行く。東屋の近くで視界が開け野鳥の観察には好
都合な所があった。ホオジロがソングポストで囀る。オスの近くにメスがきた。するともう1羽のオスがメスに近寄る。そんな光景が繰り広げられてい
た。山頂へのつづら折れの路を登る。小さな子にはススキやハギが顔にかかって辛そうだ。山頂からの景色はがもやがかかっていた。快晴も終
わり雨が近づいているようだ。山頂に聖碑がある。その脇にあるサクラの木にエゾビタキが止っているのを鈴木先生が見つけた。しばらく山頂で
遊び下山した。
2002
10
7
室林道ラインセンサス
山に入ったとたん、カケスの多さに驚いた。一年をとおしてカケスはいるが、秋から冬にかけて個体数が増加する。あちこちから聞こえる声と共に
、谷を渡る姿がやたらに目に付く。ふわふわと優雅に羽を動かしている。自分にはカケスのしわがれた声は、晩秋から冬の風物として好ましく感じ
られる。混群に出会った。エナガの声がするとそれに連れられるようにシジュウカラの声がした。横からメジロが仲間に入る。ヤマガラもいたが、
単独行動のようにも見える。帰りに舌打ちするような声が茂みの中から聞こえた。ヤブサメである。双眼鏡で探してみた。茂みの床で小さな姿を
見る。コースを通してカケスに埋め尽くされているようであった。
西暦
月
日
メモ
2002
10
8
秋の茶臼山
重く雲がたれこめ、気温10度と初冬を思わせる肌寒い天気で訪れる人もいない。すぐにでも雨が降りそうなので歩いてのラインセンサスは断念
する。手袋が欲しいくらいだ。有料道路の終点から時計回りに茶臼山をめぐる。ソウシチョウがいる。9月初めに存在を知った。外来種の繁殖は望
ましくない。飼育管理はしっかりやってもらいたいものだ。牧草地が広がる所でノビタキの群れがいた。雌雄ともいる。昆虫を捕まえたものがいる。
大きすぎ食べるのに苦労している。もっとも標高の高い所で3種類の鳥を確認。メボソムシクイ、ルリビタキ、ビンズイである。共に秋の深まりを感
じさせる鳥たちだ。草地と潅木帯の境でヒヨドリが群れになっていた。春先に、同じような所でカシラダカが大騒ぎしているのを彷彿させる。カケス
とアカゲラが静寂を破る。一声一声は短いが存在感がある。茶臼湖の少し上でソウシチョウが鳴いた。広がらなければよいのであるが。下山しよ
うとした所で豊橋動物の林氏、杉本氏と出会った。お互い行きたいと思う所は同じだねと苦笑する。
2002
10
9
寺ノ入林道ラインセンサス
開始時間が10時27分と遅かったのでどうかと思ったが、秋の山の野鳥の姿を観察できた。室林道、茶臼山と同じように、ここ寺ノ入林道でもカケ
スの姿が多い。それとシジュウカラやヤマガラなどのカラ類とアカゲラ・アオゲラが元気だ。標高600mを越えるだけあって、ヒガラの姿もある。囀
りする個体もいた。道端には秋の草花が咲き、落ち葉が地上に落ちるカサッという音も秋ならではの風情だ。
寺ノ入林道の帰りに、作手村の田んぼ道を歩いてみた。田原の集落は東西に水田が広がり、中央を巴川が西から東に流れている。最後の稲刈
りの真っ最中であった。広々とした田んぼのあちこちでノビタキが羽を休めている。随分沢山いる。トウモロコシ畑にはカワラヒワの大群がいた。
一斉に飛び立ったのをみると200羽は越しそうだ。コスモスが濃い薄い桃色の花を風が吹くままに揺らめかせていた。穏やかな日差しが降り注
ぎ、仕合せとはこんなひとときのことを言うんだろうな。しかし、それは永遠には続かない。
2002
10
10
秋の高嶺山
1ヶ月ぶりに高嶺山を訪れる。高く澄んだ青空と紅葉が輝くばかりである。ここでもカケスが目に付く。山が大きいので谷を渡るのも時間がかかる。
オオタカに狙われる心配も大きいだろう。カラマツ林ではコガラ・ヒガラが静かに餌をとっていた。時々ウグイスが鳴く。山頂近くになってノビタキの
姿を確認。さらに、熊笹の茂る山頂で3羽確認。もともと高原で繁殖する鳥なので、1500mの高嶺山もなんのそのだろう。高嶺山→茶臼山→作
手村→音羽町とノビタキの南下を見てきたが、サシバのように注目されることもなく、本能の命ずるままに南に向かう姿に声援を送りたいと思うの
は自分だけであろうか。
2002
10
12
室林道ラインセンサス
目に付くのはカケスとアサギマダラばかり。ドングリをどこに隠そうかさがしている個体を発見。アサギマダラの数も今日が最高。あちこちでフワフ
ワ、フワフワ。普通のチョウに較べてかなり高い所を飛んでいる。それもゆっくりと。毒があり食べるとまずいことを知らない鳥がいたら、すぐに食
べられてしまうだろうに。少し前にエゾビタキがいた場所で又、南下中のコサメビタキを確認。胸から腹への縦縞が無く、風切羽の先が白くないの
でコサメビタキあろう。
羽根の田んぼ
ノビタキの数、最も多い。
新堤池
オシドリが来ていた。繁殖羽のオス3羽。エクリプスのオス2羽。メス2羽確認。
西暦
月
日
メモ
2002
10
13
御津(みと)海岸
カモ類とノビタキを見たくて御津町の海岸へ行く。眩しいばかりの海に浮かぶ三河湾の島や半島が手に取るように見える。親子連れや釣り人たち
で賑わっている。岸近くに浮かぶユリカモメがいた。さらに沖合いにはウミネコが点々と。海の中に竿が立っているが、そこにはカワウとミサゴが
いる。カモたちがいる入り江に向かう。ダイサギやコサギの姿はすぐに分かった。カモはとみると、少数ではあるが黒い点々が浮かんでいる。如何
せん逆光でよく分からない。光線の良い所まで進む。浜の草叢にはノビタキがいた。それもかなりの数である。南下して海岸に来た。伊勢湾を渡
れば近道になるが、さてどうするのか。そうするうちに、カモたちの姿が分かるところまでやってきたが、どうやら30羽ほどのオナガガモである。1
羽だけ繁殖羽の個体がいる。さて、オスメスは?。エクリプスのオスとメスは本当に分かりにくい。やはり図鑑で確認するのが一番。嘴の色とある
。真っ黒なのがメスで横が水色なのがオス。スコープで1羽1羽確認すると皆オスであった。逆立ちして海藻を食べている。小競り合いも頻繁にあ
る。しばらくの間、K・ローレンツ(古典的ではあるが)を気取って行動を観察。よくみると1羽だけ小さいのがいる。嘴が反っているのでハジロカイツ
ブリのようだ。ここは愛知県が企業用地として造成した所で、未だ草地の部分がある。そこには草地を好む野鳥たちの楽園となっている。今日は
、ヒバリの囀り、ノビタキ、モズ、ホオジロがいた。
2002
10
14
茶臼山
紅葉も見ごろとあって、茶臼山は行楽客でにぎわっていた。会社から5連休をもらったので普通なら旅行でも考えるが、野鳥三昧を選んだ。茶臼
山には今日で3度来たことになる。冬鳥の飛来、夏鳥の南下が観察できたらと、何度も足を運んでしまった。今日は、メボソムシクイ、キビタキくら
いか。冬鳥にはもう少し時間が必要のようだ。気になるのは、外来種のソウシチョウの姿・声を確認することが珍しくなくなったことである。魚や植
物の例を挙げるまでもなく、外来種は旺盛な繁殖力をもっている。食性で競合する日本産種を駆逐する恐れが無いとはいえない。もとはペットとし
て来たものだ。飼い主のモラルを問われるが、篭脱けしたことへの影響について理解活動が必要だ。
2002
10
19
土曜探鳥会 羽根・長根定点観察(参加6名)
曇り空で薄暗い感じがする。羽根・長根の田んぼではヒバリたちが鳴きながら上空を旋廻していた。稲刈り後田おこしをした田んぼでは、セグロセ
キレイやハクセキレイが尾羽をふりふり食べものをさがしている。餌の場所をめぐって小競り合いのあるのもこの時期である。ムクドリが群れにな
って田んぼに降りた。先週、新堤池でオシドリを確認していたので行ってみる。最初に目に付いたのは20羽ほどのカルガモ。そして、人と気で一斉
に水面から飛び立ったのがオシドリたちであった。飛んでいても派手な顔はよく分かる。やはり20羽以上はいるようだ。カルガモに混じって顔の黒
っぽいカモがいる。スコープで覗いたら、エクリプスから繁殖羽にかわりつつあるマガモであった。最後は山陰川に向かう。期待していたとおりカワ
セミの川面を一直線に飛ぶ姿を見ることができ子どもたちは大満足であった。
2002
10
20
1.室林道ラインセンサス
この秋一番ヒヨドリが騒がしく鳴いている。スギやシイなどの実のなる木々から特に聞こえる。カケスも鳴いたり、谷を渡ったりでセンサスの間姿が
途切れることがない。長沢小の藤原先生に出会った。車のトランクを開け長い竿のついた網を出されたのには驚いた。どうされましたと言おうとす
る前に、「アサギマダラの姿を見たものですから」とおっしゃる。マーキングとのこと。しばらく、蝶や鳥の話をする。実は、同じ場所でジョウビタキの
声を聞いたのであった。これが今年の初確認になる。
2.山から池へ 駒場(こまんば)池
豊川(とよがわ)用水として作られた人口池で、秋も深まると水鳥たちがやって来る。時にはトモエガモも見られる。先週寄ってみた時はカルガモ
がいた。さて今日は。カルガモはすぐに分かったが、冬羽のカモは難しい。苦労して同定できたのはマガモ、ハシビロガモ、コガモ。いずれもエクリ
プスの個体が主体である。マガモの夏羽の個体がいるにはいたが。水面から奥まった茂みでのそのそしているものがいる。オシドリであった。オ
シドリはドングリなど木の実を食べるが、食べ物が落ちているのだろうか。3羽の飾り羽のオスと1羽のメスであった。取水塔付近でジョウビタキの
オスを見る。室林道に続いて2羽目のジョウビタキ。
3.御津佐脇浜(みとさわきはま)
先週の冬鳥はオナガガモとハジロカイツブリだけであった。今日はどうだろうか。音羽川の河口で様子を見るのがいつものパターン。点々と鳥たち
がいる。オナガガモ、ヒドリガモが食事の最中である。浅瀬ではさらに多くのカモメたちが集まっていた。セグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメ。幼鳥も
たくさん混じっている。少しずつ賑わいが大きくなってきたようだ。12月の第1土曜日には子どもたちを連れて探鳥会を行なう。海岸の魅力も知っ
てもらいたいものだ。
西暦
月
日
メモ
2002
10
26
茶臼山の夜明け
5時25分山頂の駐車場に到着。2台車が到着していて日の出前の一瞬を狙うべく、三脚にカメラを載せ今か今かと待っている。5時47分ホオシ
ロの囀りが聞かれる。48分ハシブトガラスが飛び始めた。北に連なる3000m峰がぼんやりしている中で、南アルプス最深部の山々が神々しく
見える。ご来光まで待てないので鳥を探しに行く。きょうのねらいは冬鳥。その期待は早々に叶えられた。ツグミの声がしたからだ。車を西斜面の
道路脇に止め、まずはオニギリで腹ごしらえ。その間にも鳥たちの生活が始まる。日が当たると紅葉がパット輝く。ホオジロが囀り、カケスがゆっく
りと飛ぶ。目の前で鳥の群れが餌を採っている。カシラダカであった。半年ぶりに見る姿に感激する。ツグミの声と一緒にマヒワのような声がした
。その声の主は同じアトリ科のずばりアトリであった。例にもれず密度の高い群れとなって行動している。アトリに較べたらカシラダカの方はずい
ぶん散らばって行動する。そして本命のツグミも姿を見せた。茶臼山を時計回りにぐるりと歩いた。ヤマガラやコガラの姿も見られるが、一番目に
付いたのはホオジロの囀り姿である。秋の囀りが茶臼山でも行なわれている。雲が厚くなっていくのが気にかかる。山の天気は急変する。ここは
1300mの高さがあるのだ。一周するのは難しいかもしれないと、茶臼湖でUターンする。茶臼湖に紅葉が映えすばらしい。山頂付近からアオバト
の声がした。10時には下山にかかるが一般の観光客はこの時間帯に上ってくる。さあ、音羽での冬鳥を楽しみに待とう。
2002
10
27
北風強し
今年初めての北風が吹いた。羽根・長根の田んぼも風が吹き抜ける。そんな中でヒバリが囀りで出迎えてくれた。要は警戒すべきものとして。春
のうららかな時期に聞く囀りと変わりはないのだけれども、北風に声が途切れるようで凄さを感じる。長根川(3面張りで情緒は無いが)にはセキレ
イたちが必ずいる。北風も当たらないいい所なんだろう。長根川の辺に住む伊藤先生のクラスの子達と11月に探鳥会を開くので下打ち合わせを
した。もっともっと北風が吹いて冬鳥が来ることを期待。室林道に向かう。北風が山を一変させる。春は囀りの声、夏は蝉時雨、秋から冬は山鳴り
。強い風で山全体が唸るのだ。落ち葉も急に増えてきた。その落ち葉が風が押すままに波のように寄せてくる。まだ葉っぱの残っているサクラの
枝に尾羽を振っている小鳥がいた。双眼鏡の中にいたのは、北風と一緒にやってきたジョウビタキだった。
2002
11
2
土曜探鳥会 室
数日前から冬型の気圧配置となりめっきり寒くなった。今日はジョウビタキを見せたいとの願いは、萩小学校をスタートしたすぐに叶えられた。ここ
では、はっきりと姿は分からなかったが、次から次へと縄張りを守ろうとする姿が現れた。最初はオス、次はメス、又オスと100mから200mおき
にいた。この一週間で次々とやってきたようだ。すぐ目の前の電線に止る姿をみて子どもたちはかわいいを連発した。藪からはウグイスの地鳴き
。これも、子どもたちに覚えてほしい声だ。晩秋から冬にかけて、凍えるような空気の中から聞こえるウグイスの声は、華やかな囀りに優ると思う。
スギ林からはアオジの地鳴きがする。アオジもやって来たのか。オオタカは見られなかったがノスリが輪を描いて飛んでいた。北西の強風にのっ
て雲がどんどんやって来ては去っていく。冬本番も間近である。
2002
11
3
寺ノ入林道ラインセンサス
気圧の等高線が狭まり寒気がどんどん押し寄せてくる感じだ。標高600mの寺ノ入林道は気温4°と冷え込んだ。時々、カケス、ハシブトガラス、
アオゲラの声がするだけでしんと静まり返っていた。サクラやハゼの葉が紅に染まり、黄色に色付いた葉っぱの所々に紫色が見える。リンドウで
ある。野菊も今が盛りと咲いていて静かで穏やかな風景。野鳥もひっそりつぶやくように鳴いている。スギ・ヒノキ林からカラ類が群れになって餌を
取っている声がする。ヤマガラは寒い季節に温かみを感じさせてくれ、シジュウカラの力強い声も印象的だ。そして、山間部ならではの可愛い小
鳥がいる。ヒガラである。声も一層高く透き通るばかりだ。透明感でヒガラに匹敵するのはキクイタダキくらいだろう。耳を澄まして小鳥の会話を聞
く。彼らの心を聞くようで何物にも替え難い楽しみである。
西暦
月
日
メモ
2002
11
9
冬鳥飛来
室林道ラインセンサス
念願のアオジたちが室林道にやってきた。1500mを越える山に行かないと繁殖を観察できないこの地方では高山の鳥である。カラマツ林で囀る
姿は晴々しくかつとても爽やかだ。そのアオジが平地に降りてくるのがこの季節。一変して彼らは身をかくすようにつつましく過ごす様になる。河
原の茂み、野山の潅木や林のしたで。ちっ・ちっと控えめではあるが澄んだ声で鳴く。そんな声をたくさん聞くことができた。よもぎ餅のような色の
顔に黄色がかった腹部、羽は茶色で日本産の野鳥らしく地味ではあるが味わい深い姿で好きな鳥の一つだ。彼らが来たことは山が冷え込んでき
たことを意味する。同じく高山に棲むミソサザイも1羽だけ確認できた。ミソサザイは特に興味深い鳥だ。囀りの素晴らしさは言うまでもない。あと
は、ウソ、シロハラの声を一声づつ聞いた。
羽根の田んぼ
11月の前半なのにこの北風の強さはどうだ。帽子も飛ばされそうになる。強風をもろともせず飛びまわっている鳥たちがいた。冬になると大きな
群れをつくるカワラヒワである。田んぼの冬鳥としてはハクセキレイが先陣をきったが、今日、カシラダカとタヒバリ、ビンズイが揃った。共に冬の
田んぼには欠かせない仲間たちだ。早速、田おこしをしているトラクターの側で餌をついばんでいた。あとは本命のツグミを待つばかりか。長旅で
ようやく越冬の地に来た彼らではあるが、安心してばかりいられない。お腹をすかせたチョウゲンボウがホバリングをしながら上空から狙っている
からだ。今日も1羽のチョウゲンボウがツバメのような軽い身のこなしで飛んでいた。
2002
11
16
土曜探鳥会 羽根・長根
日もかげり寒い朝である。しかし、こんな日は野鳥観察には好都合だ。民家近くではモズやスズメを。田んぼではホオジロやケリが餌を取ってい
る。上空を4羽のツグミが通過した。音羽町で姿を見たのはこれが初めて。しばらく進んだら、カキの木に3羽のツグミがとまっていた。なつかしい
姿である。田んぼに来ると、鳥たちが群れになって飛びまわっていた。一番はカワラヒワだろう。雲間から洩れる光のスジに入ると群れが輝いて
見える。ヒバリもなかなかのものだ。ビュンビュンと鳴きながら空を飛びまわる。優しい声を上げて飛び立つのはタヒバリ、ホオジロに似たカシラダ
カもすでにやってきた。もうほとんどの冬鳥がそろっている。ますます楽しみになる。
2002
11
19
生平小学校自然観察会
岡崎市立生平小学校に招待された。3年生の教室に入った途端大きな歓迎の挨拶を受けた。野鳥にくわしい子どもが多い。これには少なからず
驚いた。探鳥会のマナーについて話をした後、野外活動を開始する。何人かのご父兄もみえる。みんな熱心に観察している。しっかり記録も取っ
ていて感心しきりであるが、純粋に楽しむ姿勢も又大切だ。また、探鳥会で観察種の多さを追うことは注意しないといけない。それが目的になって
しまうからだ。たとえば、スズメだけをよく観察することも大いに意味のあることと思う。しかし、子どもたちの真剣な姿勢には大いに心打たれた。
2002
11
23
室林道ラインセンサス
どんよりした天気で雨も降りそうである。自分の双眼鏡は防水ではないのでケースも肩に掛けて出発する。ジョウビタキが盛んに鳴いている。沢
沿いの茂みからはミソサザイの地鳴き。ずいぶん多い。今日は5個体確認した。しかしすべてが定着するわけではない。漂鳥が平地にどんどん下
りてきている。とどめはルリビタキの囀りである。すると先ほどからジョウビタキと思っているのはルリビタキであったかもしれない。着いて間もない
ころは囀りや地鳴きをさかんに行なう。折り返し点に近づいた頃からポツポツと雨。サクラはあらかた落葉し道の両側に積もっている。落ち葉を撮
影。これが案外鮮やかで絵になる。パチン、カサ。これは落ち葉が枝から離れるときと地上に着いた時の音である。リンドウやノギクを楽しみ、暖
かい中気持ちよく野鳥を見ることができた。
西暦
月
日
メモ
2002
11
30
寺ノ入林道ラインセンサス
9時43分の気温9度。そんなに寒くはない。風もおだやかではあるがそれでも紅葉から落葉の季節に移っているようだ。枝から離れた葉っぱがカ
サカサと音を立てて地上にたどり着く。夏の音が蝉時雨ならば冬の音は落ち葉であろう。時折小鳥のつぶやくような声が聞こえる。初夏の囀りの
ような華やかさはない。しかし自然体の様子がうかがえ自分には好ましく聞こえる。シジュウカラやヤマガラが2~3羽で餌をとっている。シジュウ
カラは地上付近で、ヤマガラは中くらいの枝が多い。樹冠ではエナガやヒガラが目まぐるしく移動して餌をとる。標高の高い山から下りてきたルリ
ビタキやミソサザイも数を増してきた。ミソサザイを4個体、ルリビタキを2個体確認した。スギ、ヒノキの植林ではマヒワが群れになって実を食べて
いた。スギなど人工林は野生動物や野鳥にとって好ましい環境ではないと思われがちであるが決してそうではない。葉を落とした雑木林よりも多
くの小鳥が住み着いている。冬の季節には大切な環境なのだ。ウグイスとカケスの声が少なかった。カケスは10月ころ移動してきた当初は盛ん
に鳴いていたがこの季節静かに生活しているようだ。数が減ったわけではなさそうだ。ウグイスの方ははっきりしない。さらに標高の低い所に移っ
ているのかもしれない。ヒワの仲間で必ず見掛けるのがベニマシコである。今日も何度か声を聞いが姿を確認できたのは1羽のメスだけであった
。
2002
12
1
室林道ラインセンサス
傘をさしてのラインセンサスとなった。北風が吹く日よりも暖かく鳥を見るには楽であった。シジュウカラとエナガの群れが林道を縦横に動き回って
いた。特にシジュウカラはこれほどの群れは久しぶりに見る。昨日、三河湖の寺ノ入林道ではカケスが鳴かなかった。しかし、室林道のカケスの
騒がしいことといったらない。なにが違っているのだろうか。又頭を悩ませてしまう。お目当てのミソサザイは2個体。昨晩山口さん(豊橋総合動植
物園飼育係、私の鳥の師匠)からイワヒバリ情報があり、注意して歩いたが残念ながら今日は出会えなかった。マヒワには出会えなかった。以前
にそれらしい声は聞いているのだが。
2002
12
7
土曜探鳥会 御津
集合時間8時。曇り空のやや薄暗い日になったが20名をはるかに越える子どもが参加した。9時少し前にマイクロバスは豊川の河口西岸に位置
する臨海公園に到着した。幸いに鈴鹿下ろしの北風はほとんどない。カモが河口から沖合いにかけ黒い筋になって海面に浮かんでいる。子ども
から名前を聞かれるが遠くて見分けがつかない。たぶんスズガモと答えておいたが自信はない。その内に一斉に飛び立った。その迫力には子ど
もたちにも感動したようだ。この光景を見せたかった。本物の素晴らしさを見てもらいたかった。次に、バスは御津町側にある日本列島をかたちど
った公園に向かう。各県の民謡、童謡の句碑が設置され興味深い。入り江にはたくさんのカモたちが羽を休めていた。名前をあげると、オナガガ
モ、ヒドリガモ、ホシハジロ、マガモ、ヨシガモ、ハシビロガモ、オカヨシガモ、カイツブリ、カワウ。上空や海に立てられた竿にも止っいる。そのなか
の一つに白っぽい鳥がいた。ミサゴであった。少し沖合いにはハジロカイツブリの群れが浮かんでいた。ほんの一時雨がぱらついたが風がない
ため予定時間の11時までゆっくり過ごすことができたのは運が良かった。日本列島の中央にそびえる富士山。山頂まで登ったり滑り降りたり、童
心に返って楽しんだ。
2002
12
8
室林道ラインセンサス
標高200mの室林道にもヒガラがやってきた。愛知の地ではヒガラは茶臼山のような1000mを越える高山で繁殖し冬場には低山にもやってくる
が、音羽町では年によって見られないこともある。今年はミソサザイやルリビタキなどの漂鳥の個体数が多いように思われ期待していたが、ようや
く可愛らしい姿と声を確認することができた
。今日もルリビタキの囀りを確認。次から次へと山から下りてきているようである。又、ミソサザイも2個体確認。ミソサザイについては観音山の麓
でも声を聞いた。
2002
12
15
室林道ラインセンサス
マヒワのギュンギュンと鳴く声が室林道を席巻している。姿を見ればこれほど可愛らしい小鳥も珍しい。オスメスの色バランスも絶妙だ。足下から
飛び立つ鳥といえばホオジロと言いたい所であるが、今日はアオジばかりであった。腹部の黄色味が濃い国内産である。クヌギの紅葉もあらかた
落ち細かな枝先が青空に融けこむようだ。北風に乗った卷雲がゆっくり動く。凛とした空気が心地よい。冬の山には心が清められる何かがある。
西暦
月
日
メモ
2002
12
16
田原町豊島・汐川干潟
休みを取ったので久しぶりに汐川干潟に出かけた。今日は小春日和で、恐れていた伊吹下ろしの冷たい北風も無く申し分のない探鳥となった。
国道から豊島の水田地帯に入ると電線にすずなりになったカワラヒワとスズメが一斉に飛び立ち、壮観な光景を見せてくれた。降りた先の田んぼ
を見やれば大きな鳥が点々と見える。双眼鏡で覗いたら、数十羽のケリとタゲリの混成群であった。音羽に較べて田んぼが広いので数もずっと多
い。ヒバリやタヒバリの声がひっきりなしにする。道端で尾を振って餌をさがしているのはハクセキレイとタヒバリ。1羽のチュウヒが低空飛行をしな
がら獲物を探している。田んぼの向こうの堤防の先は汐川干潟である。春秋にはシギ・チドリで賑わう。今の季節の主役はカモたち。引き潮にあ
たって少し遠い所にカモたちはいる。マガモ・カルガモ・ホシハジロ・ヒドリガモ・キンクロハジロ・ヨシガモ・ハシビロガモ・オカヨシガモなどを確認。
白っぽいのはユリカモメ・セグロカモメ、小さいのはハマシギ・シロチドリ・イソシギ、旅鳥のダイゼンもいた。汐川を横切る高圧線に2種類の猛禽類
が止っていた。ミサゴとハヤブサあった。特にミサゴは目と鼻の先といった感じにもかかわらず全く逃げる気配を見せない。最後にオオジュリン。こ
の鳥は毎年この地で越冬する。葦に止まり風に揺れていた。
2002
12
21
土曜探鳥会 羽根・長根
あいにくの雨模様。それもどんどん強くなる。しかし、二人の姉弟が来てくれた。高浜市から来ていただいている牧野さんと総員4名で車で出かけ
る。初めはセグロセキレイやイハクセキレイの常連の姿が無かったので珍しいことと思っていたが、時間が経つに連れ結構鳥たちを観察できた。
ツグミが初めて田んぼに降りたのを見られたし、雨の中をカワラヒワが群れになって旋廻するのも迫力があり面白かった。雨が降っても鳥たちは
餌を取らなければ生きてゆけない。そんな姿を見てもらいたかった。
2002
12
22
室林道ラインセンサス
雨上がりの暖かい朝になった。室林道も霧が立ち込め静かなたたずまいである。カケスの声が霧を切り裂くように響く。それとは正反対のおっとり
とした声の主もいる。この季節ではウソが一番ではなかろうか。今日も6羽のウソがのんびりとした声で会話をしていた。フィ、フ、フィと高い声低い
声を交互にだしている。サクラの花芽を盛んについばんでいる。プロミナーでウソを見る。喉の赤が3つ見える。どうやらオスメス同数のようだ。ミ
ソサザイが1羽鳴いた。ルリビタキもかなりいる。しかし、待ちぼうけの鳥がいる。カヤクグリである。鈴のような鳴き声を今か今かと待っているの
である。
2002
12
27
室林道ラインセンサス
午後からのセンサスとなった。風が強く頭の上から落ち葉が雨のように降ってくる。落葉樹の枝先が日に輝く。山全体がゴーと鳴っている。従って
鳥たちのつぶやきもかき消されそうだ。春先の頃にも経験したが鳥たちがもっとも鳴くのは夜明けから早朝。そして日の沈む前である。太陽が高
い時は静かに過ごしている。そこに強風である。観察には不向きの時間ではあるがそれはそれで意義はあるのでは。ウソたちの声が一層よく聞
かれるようになった。早朝ほどではないがマヒワも見る。アオジやシジュウカラが落ち葉をかきわける音がする。ルリビタキが尾を振っている。メス
なのかオスの若鳥なのか定かではない。今年の冬でオスの成鳥をまだ見かけていない。囀りは随分聞いたのでその中にはいただろうが、美しい
青い姿は未だおあずけだ。
2002
12
28
気温3度の中ラインセンサスを開始する。林の床には未だ一面に雪が残っていた。凛とした風景というのはこのことを指すのだと思った。そんな中
でも野鳥たちは黙々と生活していた。2羽のベニマシコ(♀)が種子をほおばっている。その真上ではルリビタキがやはり木の種子を食べていた。
ハゼなどの乾燥した種子である。谷からはミソサザイの声、林の床付近ではシジュウカラやシロハラ、中段ではヤマガラ、樹冠付近ではエナガと
ヒガラが消え入るような声でやりとりをしている。余計な大声は体力を消耗するばかりであろう。上空にはトビ、ノスリ、ハシブトガラスが。珍しいか
ったのはウグイスの声を一度も聞かなかったことだ。まさか1羽もいないということは無いだろう。
西暦
月
日
メモ
2002
12
29
我が家の周り
家の北側はすぐ近くまで山がせまり南側は水田、西側は畑と神社の森。当然ながら小鳥たちの声や姿を間近に感じることができる。鳥好きの自
分にとって理想的な所に住んでいることに感謝したい。すぐ近くとはいえどうしても観察フィールドである室林道などに足を向けてしまう。本当なら
家の近くで観察するのが一番。移動による無駄な時間を最小限にできる。高山帯のフィールドとして茶臼山に出かけるが往復4時間のロスは大
きい。もっとも美しい景色を楽しむなど有意義な面もあるが、茶臼山がもっと近くにあったならと思うことの方が多い。午後からプロミナーを担いで
家の周りを歩いた。送電線工事の資材置き場跡にヒマワリが植えられ夏から秋にかけ美しい花を楽しむことができた。今は茶色に変わったヒマワ
リに引き寄せられるようにして、スズメとカワラヒワがやってきた。彼らの冬の糧を保証するヒマワリの種子がふんだんにあった。まるで羽根・長根
の田んぼのようにカワラヒワの大きな群れが飛び回っていた。午後の斜光に輝き神々しいばかりであった。1羽の中型のタカが上空に舞い上がっ
ていく。幸い今日は20倍の望遠鏡を手にしている。すぐさまレンズを上空に向けた。通常飛翔している鳥を20倍以上の倍率で捕捉するのは楽で
はないが、高度があるだけに動きは小さく、慣れれば視界に留めておく事は十分可能だ。その視野にあったのは予想通りオオタカであった。山陰
川沿いに歩く。ホオジロとアオジがアシ原から飛び出す。電線ではモズたちが獲物を虎視眈々と狙っている。セグロセキレイのような大きな鳥も狙
うが成功したのは見たことがない。実際は弱った小鳥や小さな昆虫などが獲物となるのだろう。続いて田んぼ地帯に入る。黒っぽい土色にすっか
り融けこんだタヒバリが20羽くらいで餌を探していた。冬至から1週間夕方の日は日一日と長くなった。斜めから当たった光に雑木林が輝く。田ん
ぼの畦の草もみじがオレンジに輝く。そろそろ風が冷たくなってくる。素手で握る三脚が痛くなる。足取りも軽く家路に着いた。
2002
12
30
室林道ラインセンサス
連休に入って朝寝坊の癖がついてしまい午後からの探鳥までやってしまう体たらくさ。これではだめだと気を取り直して室林道に向かったが、すで
に8時を大きく回っていた。気温6度でまあ普通か。秋のような卷雲が広がっていた。ポケットにはカセット録音機を忍ばせていた。冬の小鳥たち
のひそひそ話を残してやろうと思ったからだ。最初のお客さんはマヒワたちである。なにせ大勢で一斉に話し出すものだからゴチャゴチャにてなに
を言っているのかよく分からない。カワラヒワのようなグイーというものや、複雑で表現できないが比較的長い小節の声がある。後者は囀りにも聞
こえるが繁殖期の様子は窺い知れないので何とも言えない。ウソにもマイクを向けたが声が小さい。もっと大きな声で話して欲しいものだ。1羽だ
けインタビューできたのがミソサザイ。相変わらず良く通る声であるが安物のマイクを通してしまうとウグイス氏との微妙な違いが分るだろうかと本
人は心配するだろう。ヒガラの声は地鳴きであっても美しいものだ。清純、清楚といった言葉がぴったりする。そんなこんなで常よりも30分も時間
を余計にかけてしまった。
2003
1
1
元旦 我が家からの眺め
日の出の頃スズメの鳴き声が聞こえた。布団の中で聞く仕合せ。もう少しで真っ暗の中の出勤が再開される。穏やかな年明けとなった。スタート
は自宅からにしようと思う。隣の畑でジョウビタキ((♂)が尾を振っている。前の田んぼではカワラヒワが旋廻している。ヒマワリを植えた後めっき
り増加した。近くの山陰川からはウグイス、ホオジロ、アオジの声がする。北風も収まり小鳥の声もはっきり聞くことができる。サザンカが見頃であ
る。それらにメジロ、ヒヨドリがやってくる。決まった場所にモズが陣取る。セグロセキレやツグミに襲撃をかけるが殆ど成功しない。近くの神社の
杜からキジバトが飛び立つ。初詣の人影を見たのだろう。活発に羽ばたいている鳥がいた。スズメやカワラヒワを狙っているチョウゲンボウだろう
。
2003
1
2
室林道ラインセンサス
2日目はやはり室林道。賀状を書いていた為またもスタートはお昼近くになってしまった。すっかりぐうたら癖がついてしまう。気温は6度と先日と
一緒である。元旦は弱かった風が一変強風。風の強い日は鳥にありつけない(経験上)のではと心配していたが、取り越し苦労であった。ヒガラ、
ミソサザイ、ウソ、マヒワなどの年によってはあまり見られない小鳥をはじめ、ヤマガラ、シジュウカラ、アオジ、ルリビタキ、カケスなどの常連も姿
をよく見せた。冬は混群をよく見ることがある。今日もカラ類にメジロ、コゲラが加わり木から木へと餌を探して移動していた。ウソも徐々に数を増
しているようだ。どうやら今年の春はサクラの花は期待できない。
西暦
月
日
メモ
2003
1
4
土曜探鳥会 財賀寺
1月の土曜探鳥会は例年財賀寺に決めている。財賀寺は文殊さんの愛称で親しまれていて、開山は鎌倉時代に溯る古刹である。文殊菩薩を奉
り、進学試験を前にする受験生が奉納した旗の列が参道を埋める。入り口に鎌倉創建の仁王門があり2体の仁王像は運慶作とされる。萩小学校
に集まった子どもたち10名と大人4名で財賀寺までの尾根道を踏破する。(大げさ)平尾CCを横に見て豊川自然遊歩道が財賀寺まで続いてい
る。その入り口付近で3種類の目に付く鳥がいた。カワセミ、トラツグミ、ルリビタキ(オス成鳥)である。トラツグミは採餌に夢中なのかあまり動い
たりしない。スコープでしっかり観察できた。ゴルフ場を過ぎるといよいよ尾根に登る。急な階段を一気に登るが、我々はここを心臓破りの階段と
名付けている。尾根からは三河湾が遠望できる。スタート時点では快晴であったのが、山の中では霙混じりの小雨が降る。少々心配になる。財賀
寺からは梵鐘が聞こえ、もう間もなく到着する。本堂には初詣の人々がちらほら。鐘を皆でつく。文殊さんにお参りした後昼ご飯を食べる。黒い雲
は南に去って青空が戻り、小春日和の中で弁当を食べることができた。子どもたちは鬼ごっこなどで思い思いに遊んでいる。帰りにすぐ目の前に
ジョウビタキが止った。榊の実を食べているのだ。正午すぎ財賀寺に別れを告げ裏山を登る。最後の登り道が切れ尾根に出る。あとは萩へ下っ
ていくばかりだ。子どもたちは飛ぶように下っていく。
2003
1
5
一宮金沢大池
この里山の雰囲気を持ったフィールドは御津南小学校の戸田先生から教わった。先生は萩小学校に勤務されていた8年間懇意にして頂いた。土
曜探鳥会の発案も先生であった。茶臼山で一緒に野鳥観察した頃を懐かしく思い出す。金沢大池(潅漑用)の周辺は水田、雑木林、カキ畑、沢と
非常に変化に富んでいて、いわゆる里山である。秋から春にかけて野鳥の種類が特に多く自分にとっても馴みのフィールドとなった。池にはマガ
モ、カルガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、ハシビロガモ、オカヨシガモ、カイツブリ。上空にはノスリ、ハイタカが舞う。タカが近づくとツグミの群れが一
斉に飛び立つ。シロハラがけたたましい声を上げる。シメとカシラダカが雑木に止っている。藪の中からはウグイス、アオジが餌をとっている。ヤブ
ツバキの蜜に引きよされメジロ、ヒヨドリが群れになっている。観察者が近づくと、こんなにいたのかと思うくらい多数の個体が飛び出す。カキ畑の
木は、春の芽だしの力を蓄えているかのように滑らかで筋骨隆々としていた。その木々の枝を曲芸飛行するように10羽あまりのエナガが餌をと
っていた。観察者から数メートルしか離れていないのに全く逃げる気配はない。この冬最大の寒気団が居座っているとあって北風が非常に強い。
本宮山から鳳来寺山を方向を見れば、白いベールに包まれ雪が降っているようだ。
2003
1
11
羽根・長根ラインセンサス
かなり強い北風が田んぼを吹きぬける。草紅葉から枯れ草に移ってきた。しかしすでに春の芽吹きの準備が始まっているのだ。銀色の緑がやさ
しいヨモギ、ホトケノザにはぽちぽちとルビーのような花が見られる。しかし、大多数の植物は春の芽吹きを前にエネルギを蓄えているようにみえ
る。南回帰線から戻ってきた太陽の日差しは思いの外強くなっている。スコープを担いで羽根・長根の田んぼ道を歩いた。ムクドリの声がよく響く。
群れになって田んぼの中で餌をとっている。観察者が近づくとギュと鳴いて電線に止る。ビンズイが3羽等間隔で電線に止っていた。タヒバリによ
く似ているが模様、色が微妙に異なる。姿で見分けるのは難しいが、一声鳴けば直ぐ分ってしまう。ツグミも数が増してきた。黒・茶の暖色を基調
とした色、鹿の子模様が美しいと思う。スズメとカシラダカが群れになって田んぼを移動していた。カワラヒワは群れになって旋廻するが、両者は
飛び立っても直ぐに地上に降りてしまうか、近くの木立に止るのが常である。カシラダカの白い腹と赤茶色の背中の色もなかなかのものだ。春に
なり繁殖地に戻る頃には、カシラダカの語源となっている冠羽が黒くなり素晴らしく美しい。この冬は未だセッカとホオアカを確認していない。セン
サスの終わる頃から北風が吹いてきた。しかし手袋はいらない。
2003
1
18
土曜探鳥会 羽根・長根
雨が降る中を羽根・長根の田んぼを観察した。参加人数5名。3人と2人の兄弟・姉弟で天気が悪くとも毎回参加してくれる。ワゴン車から観察す
る。暗いこともあって田んぼのなかで餌を採る姿を見つけるのは中々大変だ。それでもムクドリやハクセキレイは白い部分があるので分る。問題
は黒い土に溶け込んでしまうタヒバリやビンズイだ。車のなかで彼らと保護色や広告色について話をした。ツグミも田んぼ1枚につき1羽程度はい
る。オオルリやキビタキだけでなくツグミの美しさも気づいてくれると嬉しいのだが。途中から雨が上がったので車から降りてスコープで観察する。
2003
1
19
室林道ラインセンサス
スタートではまだ明るかったのがどんどん雲が厚くなってきた。林道からは豊橋や豊川の市街地が望めるが靄で霞んでいる。風もない静かな山
にホオジロの囀りが響く。春のような高い場所に陣取って囀るのではなく、若いヒノキの植林に隠れるようにしていてそんなに真剣味がない。コー
スで5個体ほどが囀っていただろうか。スギ林からはヒガラがつぶやくようにして採餌。サクラの花芽は益々減りつつある。いたるところでウソが啄
ばんでいる。ハシブトガラスが盛んに鳴いている。いよいよ恋の季節になったのだろうか
西暦
月
日
メモ
2003
1
25
羽根ラインセンサス
午後羽根の田んぼ道をラインセンサスした。強い北西の風が絶え間無く吹いて、帽子もきつめにしておかないと飛ばされそうになる。ツグミやムク
ドリは強風を嫌ってかやや少ない。カワラヒワの群れも小集団である。そんな中でスズメは200羽くらいの群れで風をものともせず飛び回ってい
た。足元を見ればタンポポが黄色い花を咲かせている。春もそんなに遠くない
2003
1
26
室林道ラインセンサス
風のないどんよりとした曇り空である。豊川方面の平野部から煙が立っているが真っ直ぐ上がっている。カケスが目の前を飛び立ちサクラの枝に
止まる。その止ったサクラには8羽のウソが芽を啄ばんでいる。カケスの体の色は本当にきれいだ。ウソはオス4羽メス4羽と同数。これくらい居る
と芽をつぶす音が雨音のように聞こえる。シジュウカラも目に付いた。枝の中段から林床まで幅広く餌を探している。それに引きかえヤマガラが中
段以下には下がってこない。シジュウカラと違うのは枝をコンコンと突ついて餌を捕る。コゲラと間違えることもある。本家のコゲラも結構見かける
。冬の使者マヒワは20羽くらいの群れになっていた。列になって移動するエナガ。若いヒノキの植林を移動している。ジュリジュリといつもの声が
突然ビリリビリリと高く緊張感のある声に変わった。観察者の影響ではなさそうだ。エナガは人をあまり恐れない。ほんの数メートルの距離でも平
気で餌を取る。捕食者でもいるのか上空を見たが見当たらない。センサスをスタートした直後にノスリを見たが、ノスリはトビ同様死肉を食べるの
で他の鳥はノスリを恐れない。すると、1キロメートくらい離れたところで小刻みにはばたきと滑空を繰返し去っていく鳥がいた。離れているのでハ
ッキリしないがオオタカのように見えた。すると、エナガたちはオオタカを察知して警戒音を出していたのだろうか。去った途端平常の声に変わった
。センサスを終えた帰り道は鳥や自然の様子を楽しむようにしている。ニホンリスがヒノキの若木を伝っているのを見つけた。けものは鳥に較べる
とずっと警戒心が強い。直ぐに隠れてしまったが、体に較べ立派な尾がはっきり見えた。終わりのころ聞きなれない声で緊張が走った。10メート
ルくらいスギの枝先を小さな鳥がぶつぶつ言いながら餌を取っている。ヒガラとは違う。となるともうキクイタダキしかない。念を押すため頭頂部の
キク模様を探す。まちがい無し。しばらく地元では見なかっただけに驚きと嬉しさが交錯し久しぶりに興奮した。
2003
2
1
土曜探鳥会 室林道
風も穏やかな探鳥会日和である。萩小には16名の子どもたちが集まってくれた。今日の目当てはウソとマヒワ。彼らに会うためには室林道まで
行かないといけない。道中であまり時間を使えない。しかし、目に付く鳥たちを無視して進むわけもいかず、歩いていてもついつい速くなってしまい
低学年の子たちには申し訳ないことをした。最初に現れたのはマヒワである。3羽と少々寂しい群れである。そしてウソの声が聞こえ3羽の姿があ
った。3羽ともメス。それでも皆大喜び。しかし、何とかオスの姿を見せてやりたい。さらに先に進む。姿を現わしたのはメスばかりである。確かに
今年はメスの姿をよく見るのだが。とうとう予定地点まで来てしまった。そこは、はるかに渥美半島まで見渡せる見晴らしの良い所で、昨年10月
の探鳥会で寄った田原町の蔵王山頂にある風力発電機の羽が勢いよく回っているのが見えた。時間もないので帰ることにする。ところが、その帰
り道に待望のオスのウソが出現したのだ。朱色の喉元をスコープで眺め皆大喜びである。帰り道は逆光に木々たちが輝き本当に素晴らしい景色
である。幸せなある種の満足感に浸りながら帰途についた。
2003
2
2
室林道ラインセンサス
投票を終え室林道に向かう。比較的風が弱く遠くの景色はもやっている。目に付いた鳥は、ウソ、ヤマガラ、ルリビタキ、エナガ。特にヤマガラの
声が絶えまなく聞こえた。エナガやウソは群れが付いたり離れたりしていてカウントが非常に難しい。個体識別をしない限り正確な数を知るのは
無理だ。双眼鏡でウソの食事を観察した。尖った葉芽と丸い花芽があるが、丸いほうをねじるようにむしり、外側の皮をうまく剥いで中だけを食べ
る。その間2秒くらいしかかからない。遠からずして花芽は食べ尽くされるだろう。ルリビタキは完全に色の出た個体は少ない。メスか若いオスば
かりだ。ハンノキの古い果球の脇に今年の新芽が膨らんできている。
西暦
月
日
メモ
2003
2
8
くらがり渓谷
三河の秀峰本宮山の北西に小さな沢の水を集め、巨岩の間をすり抜け青緑色の滝壷を作る。くらがり渓谷は美しい水の流れが主役だ。涌き水
が大きな氷柱を造り輝く。渓流の音が谷にこだまする。しかし、この音が鳥の鳴き声を消してしまい何時もの探鳥と勝手が違う。スタート地点は谷
の底で名前どおりのくらがりである。鳥の姿もあまりない。声は沢音に消されてしまう。そんな中で最初に見たのは渓流の中からであった。声の方
も大きく存在をしっかり主張している。声の主はこげ茶色したカワガラスであった。観察者に注意をはらいつつ上流に向かっている。腹まで水につ
かって採餌している。本流ですら氷柱がたれているほどの冷たい水だ。中腹まで登ると空が広がってくる。ハシブトガラスが2羽盛んに鳴いている
。カーブに差しかかった所で黒っぽい小鳥が茂みを移動する姿を確認。一瞬心臓が鼓動した。カヤクグリでは?。この冬になって未だカヤクグリ
の姿は見られずじまいであったから、ここで合ったが百年目とばかり茂みを凝視する。やがて、黒い小鳥は茂みから道端に出てきた。そして、落ち
葉をカサカサとひっくり返して餌を探し始めた。薄墨色の腹部に魚の鰓のような顔の縞。待ちに待ったカヤクグリである。高山の小鳥らしく数メート
ルまで近づいても逃げようとはしない。食事の邪魔をして申し訳ない。そっとその場を離れた。山頂付近でアオジとルリビタキの成鳥を確認。きれ
いな青色が水浴びする光景に出会えた。パラボナアンテナが林立する中に一等三角点があり789mからのパノラマを楽しむ。西の方角には真っ
白な白山。北には御岳。雄大な恵那の麓にはなじみの蛇峠山。茶臼山も立派。東にはもう煌びやかな山塊。千丈、北、間、塩見、悪沢、赤石、聖
。帰路は下りばかり。小鳥の声を楽しみながらのんびりする。
2003
2
9
室林道ラインセンサス
晴れ間がみるみるうちに黒い曇に覆われ、途中で雨になるのではと心配しながらのセンサスとなった。豊橋市街地もぼんやりとしていて冬とは思
えない景色。暖かいせいかホオジロが囀っていた。マヒワ、エナガ、ヤマガラの声がセンサスの道中で聞かれる。反面、ウグイスの声が少ない。ヒ
ヨドリは一番賑やかなはずではあるが今日はとんと鳴かない。そういえば、昨日畑の野菜に群がるヒヨドリを見た。頭の良い彼らのことだから、山
にいるよりも民家の近くが食べ物にありつけるとばかり山を下りているのかもしれない。
2003
2
15
土曜探鳥会 羽根・長根
快晴の抜ける空に卷雲が2すじ。日差しがすいぶん強くなった。歩いていても気持ちが良い。民家からほのかに香ってくるのは今満開のウメ。ウメ
に群がるヒヨドリたち。一方メジロは生垣のサザンカの中でごそごそ蜜をとっている。羽根・長根の田んぼに入ると、急に北西の風が強くなる。何と
いってもまだ真冬なのだ。そんな中で野鳥たちは懸命に生きている。突然ヒバリの囀りがした。まさに命の声だと思った。小さな女の子は道端のタ
ンポポ、ホトケノザなどを摘み花束を造る。「春の花束」と彼女たちは言っていた。ツグミやムクドリが畦で餌を採っている。川の中では3種類のセ
キレイが尾っぽを振り採餌。キセキレイのレモン色が川面に映る。あと2回で今年度の探鳥会も終わりである。特に6年の子は最後になる。満足
してくれたらよいが。
2003
2
22
室林道ラインセンサス
カケスの姿が目立って多く感じた。地上付近で採餌するもの、枝の付け根あたりの皮を剥いで虫を探すもの、ヒノキの枝を移動して餌をさがすも
のと、様々な生態を観察できた。声の方も、いつものしわがれた鳴き声だけでなく、姿を見なければ何の声だろうと思わせるものもある。身近な鳥
の中では、モズと並んで物まね上手で知られるカケスのことだから、さらに色々な会話があるのだろうが。今日はそんなに寒くなかったが、真冬の
山での野鳥探しの醍醐味の一つに、カケスやウグイスの地鳴きを堪能することがあるように思う。決して春の囀りのように華やかではないが、何
か心に響くものがあると思う。濃い緑の茂みに一輪のヤブツバキが咲いている。ハンノキの芽も随分ふくらんできた。春の訪れを待つ前に冬の景
色を楽しんでおきたい。
2003
2
23
室林道ラインセンサス
昨日優勢であったカケスの姿が全く無いのには少なからず驚いた。今日の主役はヤマガラである。下枝打ちを終えさっぱりしたヒノキの枝をつつ
たり、マツの枝先を丹念に探し回っている。時々シジュウカラが仲間に入ってくる。少し離れた所からヤマガラの囀りが聞こえる。もしかすると今年
になって初めての囀りでは。エナガの群れが観察者を追い抜いていった。林道を横切って山から谷へ、またその逆へ。ハンノキにマヒワの群れが
いた。その数100羽くらいだろうか。手を一つ叩いてみた。一斉に飛び立ちボール状になって旋廻するが直ぐに元の枝に止る。3年前にアトリの
密集した飛翔に感動したが、マヒワの方もなかなかのものだ。一度は観察者が発した音に反応したのだが、2度目は捕食者に対する反応であっ
た。上空をはばたきと滑空を繰返し一直線に飛んでいく。姿からはオオタカのように見えるのであるが。エナガの時は鳴き声が変わった。戦うすべ
の無い小鳥が捕食者に出会った場面を目撃した時は、いつも何とも言えない余韻が残る。
西暦
月
日
メモ
2003
3
1
土曜探鳥会 豊橋総合動植物公園
雨の探鳥会であった。入場券を買う頃から雨足が強くなる。まずは野鳥コーナーへ。大沢池ではオオハクチョウ、サカツラガンなどの大型の水鳥
を観察。しかし、見慣れたマガモを見つけてほっとする。オナガガモたちは飛び立つのに大型の鳥たちは飛ばない。その少し悲しい秘密を説明す
る。モモイロペリカンが現れるとここは動物園なんだなと思う。野鳥コーナーで山口さんが出迎えてくれる。土曜探鳥会のために飼育担当の方が
飼育の話をしてくれることになったのだ。最初は日本産野鳥コーナー。続いてキリンの親子と飼育の話。最後はフンボルトペンギンの赤ちゃん。ヒ
ナの柔らかい毛を恐る恐る触る小さな手。キリン、フンボルトペンギンの姿は彼らの心に深く刻まれたことだろう。晴れていたら普通の探鳥会を開
いていた。雨が降り動物園での探鳥会になり鳥の師匠に泣きついた。その結果が先に述べたことである。
2003
3
3
寺ノ入林道ラインセンサス
今にも雨が降ってきそうな天気である。南の方向からどんどん雲が流れていく。傘を忘れてしまった。途中で降られたらと思うと歩いてのラインセ
ンサスも躊躇われたが、車に乗っていてはなにも分らないと気を取り直して歩き始める。傘とカッパは常備しなくては。歩き始めて鳥の気配が極め
て薄いのを感じた。天気のこともあるだろう。小鳥たちは日の光に敏感だ。微かに声がするものの種類までわからない。結局、終点までに確認し
たのはシジュウカラとホオジロ、ミソサザイのありさまであった。折りかえしてから序々に鳴き声が増えてきたのは鳥たちがようやく活動を開始した
のかもしれない。エナガのつがいが2組。ヒガラの群れ(20羽くらい)にエナガの群れ(10羽くらい)が加わりにぎやかになってきた。アカマツの枝先
を飛び回っている。スギ林からはマヒワの群れが鳴いている。かなりの数と見た。あとはアカゲラとカケスだけという寂しい結果に終わった。しかし
、これはこれで記録として役立つに違いない。いないことも立派な記録だから。
2003
3
8
室林道ラインセンサス
昨日までの雨があがったら北風が強くなった。そんなに寒くはないが。室林道に出かける前に自宅近くにある神社のサクラにウソを見つけた。こ
れはいよいよ里のサクラに目を付けてきたな。室林道にもウソがいた。サクラの花びらが見られないかもしれない。エナガのペアが目に付いた。
むろん群れもいたが以前ほどの大きな群れではない。反対にペアで行動する個体が増えたように思う。ホオジロも又しかり。繁殖への準備も着々
のようである。ヤマガラの囀り個体がいたが本格的な囀りではない。先回まで必ず確認できたマヒワの姿声が無い。ヒガラは確認できた。相変わ
らず澄んだ高音で呟いている。日差しはますます強くなった。2週間経たないうちに太陽は赤道を越えてくる。夏鳥たちも故郷に戻る準備をしてい
るのだろう。ハンノキの雌花も伸びてきた。
羽根・長根
室林道から田んぼに場所を変え鳥を探す。こちらの方は帽子が飛ばされそうな強風が吹いていた。ツグミがけたたましく鳴きながら餌を採ってい
る。北に帰る時期が近づいている。カシラダカは一足早く離れたようだ。一部が残っているに過ぎない。彼らは一度高原に集合してから繁殖地向
かう。毎年春先に茶臼山のスキー場周辺で、群れになって囀っているカシラダカに会うのを楽しみにしている。繁殖相手を探す場所にもなってい
るのだろう。平地では考えられないほどの大声で鳴いているのだ。ヒバリに似た囀りで最初勘違いしてしまった。羽根ではヒバリのディスプレイが
見られた。あたかも観察者に挑むかのように頭上で囀る。降りるかと思うと又空目指してはばたくき、そして囀る。彼にとって、地上で見ているメス
たちにアピールする絶好のチャンスである。ゆめゆめ手を抜くことは考えられない。自分は、こんな強風の中でも立派に囀が出来るんだぞと言い
たげだ。たんぼの畦にはセイヨウタンポポが点々と咲いている。濃いピンクのホトケノザ、花びらが笑っているみたいなオオイヌノフグリの青い花
は自分の大好きな花だ。ヨモギも一面に広がっている。所々にツクシが顔をのぞき強い風に驚いているようだ。次の土曜探鳥会ではヒバリの声を
楽しもうか。
2003
3
15
土曜探鳥会 羽根・長根
とうとう1年間最後の探鳥会の日がやってきた。日本晴れと願ったがあいにくの曇り空である。しかし、以前のような寒さはなく、春は確実に近づき
つつある。11名の子どもたちと大人2名の探鳥会がスタート。萩小の隣の田んぼでイカルが群れになり餌を探している。あぜ道を横切ると、一斉
に校舎を飛び越え木に止まる。至近距離からスコープで観察する。今日のスコープの担当は6年生から下級生に譲ってもらった。記録係もしかり
。ふたりの6年生ご苦労さま。中学に入っても忘れないで欲しい。そして、いつでも来て欲しい。田んぼではツグミ、ムクドリが声を上げて飛び回っ
ている。ツグミもあと一月もすればほとんど見られなくなる。山陰川の橋下でカワウが死んでいた。子どもたちの通学路に当たっていて、どんな思
いで通過しているのだろうか。羽根の田んぼに入ると、ヒバリやホオジロの囀りが聞かれた。特にヒバリのディスプレイには子供たちも喜んだ。今
年の冬はカワラヒワの群れの大きさが比較的小ぶりであった。降雪の年には200羽以上の群れを確認した気がするが、暖冬が原因であろうか。
特に冬鳥の中に、年によって全く見られない種がある。気温と個体数との関係があるのか調べてみたいと、以前から思ってる。学校に帰った後も
しばらく校庭で遊ぶ。6年生の子達は小学生の時間を惜しむかのように見えた。
西暦
月
日
メモ
2003
3
16
室林道ラインセンサス
スタート直後にミソサザイが現れた。繁殖地への移動途中の個体ではなかろうか。奥三河の渓流では、3月の終わり頃になると、ミソサザイの囀り
が聞かれる。囀りを記録しようと思い手には録音機を持っている。握りしめたらすっぽり隠れるほど小さいものだ。ラジカセを下げて山を歩いた頃
に較べると本当に便利になった。ところが、囀りをしているのは一部のホオジロだけで、あてがあずれてしまった。練習にと片っ端から録音しては
再生する。長年愛用のカセットよりは感度がよさそうだ。水脈の沸き出口があって水溜りがある。毎年、ヒキガエルの産卵場所になっているが、今
年もたくさんの卵が産み付けられていた。決まって3月15日前後である。昔から「カエル合戦」として知られている。センサスの折返しの途中、一声
二声サシバの鳴き声がした。夏鳥第1号である。
羽根
ヒバリを録音しようと羽根のたんぼに来た。昨日の土曜探鳥会とそんなに様子は違っていない。昨日確認できなかったのを挙げるとしたらタヒバリ
くらいだろう。彼らは田んぼの黒土とそっくな色をしており、うっかりすると見落す鳥である。肝心のヒバリ、到着して間もなく1羽が上空に舞いあが
り囀を開始した。1羽が降りると2羽目が始める。2羽目の一部始終を観察できた。新しい録音機の良い点は録音時間がすぐに分ることである。2
羽目の個体がディスプレイの費やした時間は17分42秒であった。その間、休み無くはばたき続けかつ様々な節回しで囀る。これは大変なことで
ある。強い体がものを言う。「ハンディキャップ原理」という進化論の仮説が注目されている。その中で、オスの様々なディスプレイは、自分の強さ
、メスに対しては彼女の遺伝子を共に子孫に残すに足る立派なオスであると、オスに対しては自分に歯向かっても勝ち目はない、ことを情報とし
て伝えているという。従って、その情報は信頼できるものでなければならない。今の、2羽目の個体の行動を見ていたら、その仮説が実感できる気
がした。
2003
3
22
春まだ浅い茶臼山
昨年10月以来5ヶ月ぶりに茶臼山を訪れた。表示に従いタイヤチェーンを付けて登ってきたが、道路には全く雪は残っていなかった。スキー場に
は、3月で閉じる前に最後のスキーを楽しむ人たちの歓声が聞こえる。茶臼山の北面は3月末でも雪が残っているので、チェーンを付けたまま進
む。山頂付近で最初に迎えてくれたのはシジュウカラだった。番であろうか、潅木の下を仲良く移動しながら餌を採っていた。ドラミングの音がした
。音の主はアカゲラ。波を打つ形で頭の上を通りすぎていった。灰色の世界で赤い羽色がひときわ鮮やかである。車を北面に進める。ベニマシコ
のオス2羽が草地にいる。これまた鮮やかな紅色である。彼らを見るのはいつも枯れ野の中である。もしも、周りが新緑の風景にいたらどんなだろ
う。メスならずとも、体の色に見惚れることだろう。それに囀りが付いてくる訳だから。気づかなかったのだが、道路脇で採餌中の鳥の邪魔をしたら
しく、20羽から30羽の中型の鳥が一斉に飛び立ち木に止った。すぐに思い浮かべたのは、2年前、ほとんど同じ時期に、ここからそう遠くない所
で初めてみたハギマシコであった。その時は、図鑑でようやく確認できた。2度目の今回は自信がある。双眼鏡で確認する。間違いなくハギマシコ
であった。黒っぽい体に紫がかった紅色。これだから、冬の茶臼山を見逃してはいけないのだ。来年は四駆にスタッドレスタイヤを付けた車に買
い替えるぞ。かなりの数にもかかわらず全く鳴き声を上げないで食べ物を採っている様子。生活道路として中央だけ除雪した道を茶臼湖に下る。
昼ご飯も食べたいし、チェーンも外そうと駐車場に車を止める。その頃からごく僅かながら雪が降ってきた。ここは標高1200m以上あるのだ。気
温は3度。春とはお世辞にも言えない季節。弁当を食べている車の中に聞こえてきたのは、ベニマシコとカシラダカの声。食事を中断して双眼鏡を
下げ外に出る。牧場の縁の床には雪が残り、黒々と株状の潅木がある。その中にベニマシコの群れと1羽のカシラダカがいた。この場所は、カシ
ラダカの群れが繁殖地に去る前に集合する所である。オスたちは、平地の地鳴きの時とは別人のように囀り、あたかも、メスの前で歌声を競って
いるかのようである。今日はまだそこまでの群れではなさそうだ。さらに潅木の茂みを探ってみる。1羽の小鳥が見えた。しばらくしてその鳥が鳴
いた。「チリリ・・チリリ」。カヤクグリだ。地元の室林道ではとうとう確認できずまいであった。本宮山の中腹で1羽だけ見ただけであったカヤクグリ
に出会えた。本当に来て良かった。今年もよろしく茶臼山殿。
2003
3
23
室林道ラインセンサス
ポカポカ陽気の中を歩く。着るものも1枚少なくて済む。ウグイスの囀りを聞く。先週は未だ鳴いていなかったので、室林道における初鳴きは先週
のどこかなのだろう。室林道の初囀り確認を見てみると次のようになる。(95年を除いてすべて3月である)94年・・26日、95年・・4月2日、96
年・・2日、97年・・8日、98年・・8日、99年・・14日、00年・・18日、01年・・17日、02年・・2日、03年・・23日。 こうしてみると、03年の23日
は遅い方だ。また、随分とバラツキがある。センサスの途中ぎやかな混群にであった。(個体数よりも種類の多さという意味で)リーダーシップをと
っているのはシジュウカラだろう。それに続くのは、ヤマガラ、コゲラ、エナガ、ヒガラ。キクイタダキの囀りも確認できた。鳥以外に目を向けると、ハ
ンノキの芽が吹き始め、水脈の滴る崖にはショウジョウバカマが咲き、林道を飛び交うチョウの数が格段に増加した。一方、冬のなごりの鳥は、ウ
ソ、ヒガラ、アオジがまだまだこの場を離れないでいた。
西暦
月
日
メモ
2003
3
29
茶臼山ラインセンサス
1週間前に今年初めての観察をしたばかりではあるが、この季節、気になることばかりで又やってきた。天気予報では、午後からは晴れると言っ
ていたが、茶臼山に到着した時はまだ厚い雲に覆われていた。標高900mの豊根村ビジターセンターでは今年初めてのミソサザイの囀りを聞き
、ウグイスやヒガラの囀りも初めて聞いた。ウグイスは1週間前に音羽では初めて囀りを聞いたが、それから1週間後には聞かれたわけだ。結局、
この日ウグイスは茶臼山の山頂付近(標高1300m)でも囀っていた。茶臼山高原の8時での気温は1度であったが、あまり気温には関係なく囀り
をするようだ。しかに、はっきりとは断定できない。8時9分から茶臼山を時計周りに周遊道路をセンサス。愛知県側にはあまり鳥の気配が無かっ
た。スキー場のスピーカーの音が鳥たちを警戒させているのかもしれない。少なくとも観察には邪魔になる。スキー場と反対になる北面で先週ハ
ギマシコを見たのであるが、その場所にはいなかった。ただし、ベニマシコはかなりの数がいるものと思われる。ホオジロみたいにいたる所から地
鳴きが聞こえてくる。声の先(潅木や枯草)には、数羽の群れが草の実を食べている姿があった。ハギマシコは少し下がった場所の道端(残雪が
残っている)で10羽ばかりが餌を探しているのを確認できた。2年前もそうであったが、ハギマシコの採餌する場所の近くにはなぜか残雪がある。
オスの後頭部のバフ色が印象的であった。ハギマシコを見られたのはもちろん嬉しいが、自分にとってはオマケのようなもの。いわゆる迷鳥のた
ぐいはそんな気持ちで接している。それよりも気になるのは、毎年きちんと観察できる出来事である。茶臼山には3月終わりから4月の始めにか
けてカシラダカの大きな群れが、集団囀りを行なう。それに似た現象はマヒワでも見るが、北の繁殖地に渡る前の儀式ではないかと思っている。
群れの中ではオスたちがあらん限りに囀っている。オスのパフォーマンス場とでもいえるのでは。(レックのようなもの)今日は集団囀りは確認でき
なかったが、先週よりも確実に個体数は増加している。潅木の下ですばやく歩きながら採餌する姿が見られる。時折、上位の個体が下位の個体
を追い散らす行動をしていた。そして、オスの冠羽は黒い繁殖羽に換わっている。あと1週間で集団囀りを始めるのではないか。センサスの最後
は夏の間牧場になる所である。そこでタヒバリを4羽確認。(2つがいのよう)茶臼山でのタヒバリは自分には珍しいことである。4月中旬には夏鳥
が故郷に戻って来る。今は、北の繁殖地に帰る冬鳥たちが、海をわたる体力を付け、さらに、より良い繁殖相手を見つけるための努力をしている
のだろう。
2003
3
30
室林道ラインセンサス
暖かい日差しが降り注ぎ、空にも飛行機雲しか見られない身持ちのよい快晴。ウグイスの囀り個体数も増えている。家を出る時にツバメの群れを
見た。夏鳥の到来を待ちわびていたが、いよいよ現実のものになり心が踊る。センダイムシクイが比較的早く来るので、今日あたり期待できそうだ
。ヤマガラがサクラの枝で囀っていた。近くにもう1羽のヤマガラがいて、どうやらメスの様子。すると、囀っていたオスがもう1羽を追い掛け回す。
この辺がよく分からないところだ。メジロの囀りもあちこちで聞かれる。やがて、毎年必ずセンダイムシクイのいる所に差し掛かる。案の定、センダ
イムシクイの鳴き声が聞こえる。「焼酎一杯グイー」と呑み助のように言われ気の毒である。それよりもセンダイムイクイの名前の元になった、名
物千代萩の「千代君様ー」の方が彼らの名誉の為にも似つかわしい。長谷川博氏がアホウドリの名前はやめてオキノタイフ(沖の大夫)を提唱さ
れているが、聞きなしにおいても同様のことが言えるのでは。マヒワもまだいた。4月に入れば一気に夏鳥が故郷に帰ってくる。こちらもますます
忙しくなる。
2003
4
5
雨の音羽町
夏鳥が来ているかもしれないと、雨の中、音羽町を巡った。宮路山から西切山への林道で気が付いたが、ソメイヨシノの花びらが一本の木で数輪
から数十輪しか咲いていない。ここもウソが沢山いたようだ。夏鳥は確認出来なかったが、アオジやシロハラがいた。アオジは腹部の黄色い個体
とそうでない個体がいた。長沢の田んぼではツグミが集まっていた。1枚の田んぼで5羽ほどもいる。さらに羽根では、夏羽で美しくなったカシラダ
カの群れが採餌。ナノハナ、ヤマザクラ、モモの花々の色が煙るように見える。この雨が上がったら夏鳥がやって来るのでは。
西暦
月
日
メモ
2003
4
6
観音山
コマドリは確認できなかったが、ヤブサメの囀りが聞かれた。今春初確認である。センダイムシクイも鳴いている。
室林道ラインセンサス
サクラ散らしの強風である。しかし、林道のサクラ(ソメイヨシノ)には散る花びらがほとんど無い。冬の間に、ウソによって食べられてしまったのだ。
満開のヤマザクラと対照的である。残っている花びらを眺めると、一定の法則らしきものがある。細い枝の枝先の芽は食べられずに残り、花を咲
かせることができた、ということである。エナガのように、枝先からぶら下がって採餌するような芸当はできないし、花芽をむしるように食べるには、
芽の付いている枝もヤナギのようにしなっては食べずらいし、自分の体重も支えられない。ヤマザクラはなぜ食べないのだろうか。近くにソメイヨ
シノがあればそれを食べればよいと考えるのか。たしかに、ヤマザクラは枝先が繊細で食べ難そうだ。室林道にもヤブサメが来ていた。キビタキ
らしい地鳴きが聞こえたがはっきりしないので、初確認にはしないでおく。ヒノキの植林から、下草刈のエンジンの音がする。岩手県ナンバーの車
が止めてあった。以前には、秋田ナンバーであった。東北地方の人達が音羽の山を守っている。
2003
4
12
雨の探鳥
夏鳥を確認しようと音羽町一円を回った。途中から雨になり肌寒い。ヤブサメやセンダイムシクイは全町で確認。宮路山の中腹でオオルリの囀り
を聞く。姿は無かったが、ソングポストで囀っていたのだろう。キビタキ、コマドリは確認できなかった。観音山の帰り道側を流れる川からサシバが
飛び立ち、降り立った木の中で何やら食べているのを見た。印象に残ったのはメジロの囀り。とかく、ウグイスやオオルリなどの囀りを賞賛してし
まうが、メジロも素晴らしい囀りを聞かせてくれるということだ。オオルリのような濁った音色は全く無く、あくまで明るい音色の連続。吸っている時
にも声を出せる鳥ならではの技である。
2003
4
13
室林道
オオルリ2個体確認。昨日の肌寒さから一変し半袖でも温かい。ヤマザクラの花びらが林道一面を覆う。林道の斜面にはノイバラの白い花びらが
咲いている。薄紫のスミレ、紅色のミツバツツジなどが色どりを添える。新緑も出揃い絵のような風景である。オオルリの出現はあったが今日の主
役はヤマガラである。あちこちで囀り、求愛行動らしきものを目撃した。オスは2種類の囀りをしていた。ビーツツビーとツイツイポーである。メスは
地鳴きで答える。オスは地鳴きと囀りを繰返しメスの気を引く。メスの方もオスの後を追うように行動する。もうペアとも言えそうである。又、オス同
士の囀り合戦を見た。一方はツツビーの聞き慣れた囀りであるが、片方は今まで聞いたことのない節回しであった。姿を見るまではヤマガラとは
思えない囀りで表現するのも難しい。2羽が3mほどの近距離で互いに囀りを競う。一方ホオジロは全く囀りをしていない。番の2羽はひっそりと地
鳴きで会話をしている。枯れ木でセンダイムシクイが囀っていた。捕食者からは丸見えの場所である。このオスは自らを危険にさらして縄張りを宣
言しているのだろう。すぐ近くでサシバが急降下するのを目撃したが、オスたちは捕食者の影にも怯えつつメスや競争相手のオスに自らの力を伝
えているのだろう。(自分は周りから影響受けやすく、この考えも、ザファヴィの「ハンディキャップ原理」を読んでそう思えるようになった。)コマドリ
、キビタキは確認できなかった。キビタキの地鳴きらしい声を聞いたと思っていたが、センダイムシクイであった。ショウチュウイッパイグイーのあと
ピヨピヨと鳴いているのを確認したからだ。キビタキもセンダイムシクイも科の括りではヒタキ科で同じだから似ていても不思議ではないか?。冬鳥
ではマヒワが残っている。室林道ではないが、ハクセキレイ、ツグミが昨日の雨で水の浸かった田んぼで居心地が悪そうにして餌を取っていた。
西暦
月
日
メモ
2003
4
14
茶臼山から長野県高嶺山
長期休暇(個人で取れる)の初日に主だったフィールドを回った。コースは、茶臼山、高嶺山、三河湖である。茶臼山には7時30分に着いた。豊
根村ビジターセンターにはイワツバメの群れが飛び回っていた。頂上に向かう道中でミソサザイの声を聞く。スキー場の雪もあと少し残すのみとな
った。5月の連休の頃には又家族連れで賑わうことだろう。そのスキー場の端でコガラが餌を探していた。カラ類、特にコガラやヒガラは人を気に
しない。エナガもそうだ。いつも通り茶臼山を時計回りに行く。ウグイスは平地と変わらず多くの個体が囀りをしている。ホオジロも目立つ場所で囀
る。突然コマドリの鳴き声がした。声の近くに進むと明らかに声質が変わった。ギュイーギュイーと威圧する感じに聞こえる声になった。未だ縄張り
が固定していなくて闘争的になっているのだろうか。14日という日付はそんなに早くも遅くもない。ちなみに茶臼山におけるコマドリの初確認日程
は、95年・・・4月14日(以下すべて4月)、96年・・・22日、97年・・・13日、98年・・・12日、99年・・・17日、00年・・・16日、01年・・・28日、02年
・・・12日である。我が音羽町ではコマドリを未だ確認していない。それから、同じ場所でたびたび聞くのであるが、フクロウの声が昼間にするのも
不思議な感じである。スキー場とは反対側になる茶臼山湖の方面でも数羽のコマドリの声を聞く。3月までいたハギマシコの姿はなかったが、ベ
ニマシコは未だ群れになって移動している。又、集団囀りの間近であったカシラダカも今は数は減っているが、小さな群れになり草地で餌を採って
いる。(集団囀りはすでに終わったようである。)オスの冠羽は真っ黒に換わりホオジロを凌ぐ美しさである。売木村、平谷村を通過して高嶺山に向
かう。売木村への道沿いの渓流からはミソサザイの声が聞こえる。音羽町では11日にオオルリを確認したがこちらは未だいないようだ。囀りの本
番になればそれこそ数百メートル毎にいるといっても大袈裟ではないくらい沢山いる。高嶺山は茶臼山よりも200mほど高く場所も北側にあるの
で、鳥たちの生態にも何らかの差があるのではないか。ルリビタキの囀りが聞かれたが茶臼山でも聞かれたので同じ。コマドリは確認できなかっ
た。これについては、絶対にいないとは自信をもって言えない。茶臼山に較べ谷が深いので、声が伝わって来ないことは十分ありうるからだ。
1500メートルの山頂付近では鳥の声はほとんど無かった。ノスリのペアがホバリングをしながら食べ物を探しているだけであった。茶臼山もノス
リが主のようにしている。標高1200メートル以上になるとめっきり鳥の数が減るようだ。今朝通った茶臼山の道路も1200m付近にあるが結構
鳥がいたので、この差は何によるものだろうか?。高嶺山を後にて津具村から三河湖に向かう。鳥と違い植物は標高の差がはっきりしている。津
具村ではウメが満開。さらに下がった設楽町でサクラが見ごろ。鳳来町で散り始めて、又登った作手村はこれから見ごろ、といった感じである。三
河湖の寺ノ入林道では比較的静かな中での観察であった。ポイントはオオルリはいるかであったが、未だいないようである。すると、4月11日か
ら12日にかけて音羽町で確認したのは、本当に飛来して間もない個体だった可能性が高いと思う。寺ノ入林道ではコマドリの確認記録は無い。
又、繁殖するほど標高が高くない。(600メートル程度)随分収穫があったのでほっと安心し、疲れもでてきたので景色の良いところで一休みと、作
手村田原(つくでむらたばら)の巴川のわき道に車を止めた。田んぼは田植え前の準備が進んでいる。ハシブト、ハシボソガラスが何十と田んぼで
餌を採っている。その中に音羽では見かけなくなったタヒバリの姿があった。さらに、夏鳥である、チュウサギやコチドリの姿もあった。そして、さら
に驚かせるできごとがあった。西から東にゆったりと流れる巴川の中州には結構大きな木が生えているが、その中から、あの茶臼山で聞いたこと
のある(今年は聞くことができなかった)カシラダカの集団囀りが聞こえたからだ。もう時期的にいってカシラダカは繁殖地に向かったであろうと思っ
ていたのが、比較的標高の低い(500メートル)この地で目撃したのであるから、一瞬頭が混乱してしまった。無論、繁殖地に戻るコースは無数に
あるだろうし、この地方よりも南の位置する所からの群れが移動しているであろうことは、冷静に考えれば何ら不思議ではない。が、今までの経験
で判断した事とは違う事実を目の当たりにして、知っていると思い込んでいたのがいかにちっぽけであったことか思い知らされた(今日一番の収
穫)。最後に地元の山に寄ったが、コマドリは確認できなかった。
西暦
月
日
メモ
2003
4
16
音羽にてコマドリ確認
ついにコマドリを確認した。最初は観音山(かんのんやま)で3羽。宮路山(みやじさん)で1羽。山口仁氏によると、4月10日段戸山、4月14日宮
路山、4月16日観音山、にてコマドリを確認したとのことである。例年よりもやや遅い初確認であったが、茶臼山で14日に確認した時にはかなり
の個体数がいるものと思われたことを勘案すると、今年、この地方にやってきたのは4月10日より少し前ではなかろうか。
夏鳥たち
今日確認できた夏鳥たちは、コマドリ、アマツバメ、キビタキ、クロツグミ、ハマシギ、ダイゼン、シロチドリ、コチドリであった。アマツバメはサンショ
ウクイと並んで私の好きな夏鳥であるが、その魅力は高速飛行に適応した形にある。鎌のような羽と砲弾型の体は飛行機を設計する人にとって
手本だろう。コマドリを確認しやれやれと思い空を見上げたらアマツバメがいた。クロツグミの明るい歌も今日の天候に似つかわしいものであった
。これが、どんより曇り雨が降りそうな時に聞いても素直に心に響かないことだろう。(人間の勝手な理屈ではあるが)
汐川干潟
それではシギ・チドリはどうだろうか?ということで汐川干潟に出かけてみた。昨日に潮の満ち干を確認しておいたから干潮に間に合うように出か
けた。晴れた日は観察には好都合にみえるがすべて良しという訳にはいかない。シギ・チドリの識別は私のような者には難しく望遠鏡と図鑑は手
放せないが、晴れた日の海にはすさまじいばかりの陽炎が立つ。遠いほど高い倍率が必要になるがその分陽炎による揺らぎも拡大されるので、
まるで、川の中の魚を見ているようになり微妙な判別が難しくなるのである。今日もそのような状況であった。ハマシギが一番多く、ついでキアシ
シギ、ダイゼンのようである。やや深い所でカモたちが顔を海中に入れ餌を取っている。スズガモ、ヒドリガモが多く、少々のヨシガモ、ホシハジロ
、オナガガモ。白っぽく見えるのは、ダイサギ、コサギ、アオサギ、そして夏羽に換わったユリカモメ。汐川干潟の堤防の内側ではセッカが縄張り
争いをしている。胸にうっすらピンク色の入ったタヒバリがいた。彼らもそろそろ繁殖地に戻る時期だろう。葦の茂った水辺を低空で巡回している
のはチュウヒである。カイツブリがけたたましく鳴いているのは、捕食者への警戒声なのかもしれない。
2003
4
17
寺ノ入林道
一番確認したかったのはオオルリである。14日に茶臼山からの帰りに寄ったときは気配がなかった(寄ったのが午後で、囀りをあまりしない時間
帯ではあるが)。三河湖への道中、乙女川で囀りを聞く(乙女川は音羽町から近い)。(寺ノ入林道で)ラインセンサスを開始早々にオオルリの声が
した。その後は次々と歌声が聞かれた。センサスの間に6羽確認。この個体数は結構多いように思う。15日から16日にかけて一斉に来たのでは
。15日は一日雨であったが翌日からは高気圧に入り快晴が続いている。さらに、夜は満月に照らされ捕食者を避けて飛ぶには好都合である。コ
マドリやオオルリたちが怒涛のごとくやって来る光景が浮かぶようである。この時期は鳥たちが南から北へ移動する。シギ・チドリの渡りやガン・カ
モ類の北帰行は新聞にも取上げられ、望遠鏡やレンズの砲列が記事になる。しかし、野山の小鳥についてはあまり知られていない。彼らの名誉
のためにも言いたい。シギ・チドリに負けないほどのダイナミックさで渡り(生息地の移動)をしているのだと。今日も普段お目にかかれないものを
目撃した。尾羽の長さや体長でキジを圧倒するヤマドリが、5・6羽一斉に大砲のような羽音を立てて飛び去っていったのだ。彼らは繁殖地に向か
っていたのだろう。又、ヒヨドリの群れが南から北へ移動するのを見た。全く山に降りたるする気配はない。「先を急ぎますので」とでも言っている
かのようである。逆向きの移動は秋に行なわれる(愛知県伊良湖岬はヒヨドリの移動を観察できるメッカである)。寺ノ入林道は600メートル以上
あるので音羽町とは異なる鳥を観察できる。ミソサザイの囀りはその最たるものだろう。音羽ではさすがに囀りは聞かれない。この地で繁殖まで
すると思は思えないが、標高1000メートル級の繁殖地まで向かう間のつかの間の囀りではなかろうか(理由はあるのだろうが)。キビタキの確認
は当然としてもコマドリの声を聞いたのには驚いた。今まで確認していたのは、飛来した直後の姿(音羽町がその例)と繁殖地での姿(茶臼山が例
)だけであって、途中は全く知らなかった。今日ここ寺ノ入林道(三河湖)でコマドリを確認したことで、道筋がおぼろげながら見えてきた感じだ。寺
ノ入林道のもう一つの目当てはサンショウクイだ。過去、寺ノ入林道以外でサンショウクイを確認できたのは3ヵ所だけだ(音羽町室林道、売木村、
額田町)。毎年確認できているのは寺ノ入林道だけである。夏鳥だけでなく全ての鳥の中で一番気にっている(理由はわからない)。残念ながら今
日は確認できなかった。これから当分足しげく通う日々が続きそうだ。
西暦
月
日
メモ
2003
4
18
室林道ラインセンサス
長期休暇もあと3日。明日土曜日は探鳥会なのでプライベートの観察は今日で最後になるだろう。締めくくりはやはり地元の室林道だろう。それに
室林道ではまだコマドリの確認が無い。初夏のような陽気の中センサスを開始する。新緑がややうっすらと雲のかかった空に映える。様々な緑色
である。オオルリがあちこちのソングポストで囀っている。5羽の囀り個体を確認した。コマドリも谷側から心なしか疲れたような声で鳴いている。2
個体は間違いなく居る。コマドリはメスも囀るので掛け合っているのかもしれない。昔コガラと間違えていたエゾムシクイが鳴いている。この春初
確認になる。この鳥、地鳴きがジョウビタキにも似ているので人騒がせな鳥である。コマドリ、オオルリが出揃った中でキビタキの歌があまり聞こ
えてこない。三河湖(寺ノ入林道)でも同じ傾向である。もう少し様子を見ないと何とも言えないが、個体数の減少なんてことにならなければよいが
。あと未確認の夏鳥としては、サンショウクイ、サンコウチョウ、ホトトギスあたりか。サンショウクイ、サンコウチョウは減少傾向にある夏鳥として危
惧されているが今年はどんなだろうか。
2003
4
19
土曜探鳥会 宮路山
土曜探鳥会として初めてのコースを子ども27人と牧野さんとで歩いた。2人の1年生が含まれている。コースは多くのハイカーやマイカーが宮路
山を目指し通る。安全に最も気を使う。民家から離れると鳥たちの鳴き声が増えてきた。メジロ、ホオジロ、ヤブサメ。このコースは毎年音羽中学
校の探鳥会で歩いている。オオルリ、キビタキは決まった所で確認できる。今日も2種類がほぼ同じ場所で囀っていた。おまけにキビタキのオス
は子ども達の目前で鮮やかな黄色い姿を見せてくれた。もう一つの目当てはコマドリである。音羽の地は三河湾に近く、飛来したコマドリの休憩
地となっている。早い年は4月5日に確認。5月まで入って声を聞くことは無い。コマドリもお気に入りの場所がある様で、確認できるのは毎年ほぼ
決まっている。アオキなどの低木で視界が遮られ、小さな沢があることが条件。繁殖地での環境もよく似ているようだ。今日も幸運にもコマドリの
囀りを聞くことができた。山頂からは三河湾が一望でき絶景といきたいが、埋め立て地がやたら目立つのは寂しくなる。下山道は立派なスギ林の
中で、オオルリの歌がこだまする。赤坂の町中を歩く頃になりぽつりぽつりと雨が降り出した。朝から歩き続け火照った体には気持ちがいいくらい
だ。別れ際本降りとなってきた。この天気にも助けられた。
2003
4
26
寺ノ入林道ラインセンサス
雨上がりの瑞々しい新緑が目に眩しい。スタート時には雨も降りそうでカサを片手に持ってのセンサスであったが、次第に雲が切れて、爽やかな
風が吹いてきた。フジの房が美しい。10日前にキビタキの声が少なかったと記録に書いたが、案ずることはない、あちこちから囀りが聞かれた。
オオルリも梢の天辺で囀る。ヒガラの声が聞こえるのは600mの標高がある寺ノ入林道ならでは。涌き水が豊富な林道にはカエル(ヒキガエル)
がたくさんいる。この時期、あちこちで鳴いている。また、卵の孵ってオタマジャクシになっていた。目当てのサンショウクイは確認できなかった。帰
りに作手村に寄る。タヒバリが薄いピンク色の夏羽になっていた。
2003
4
27
羽根・長根
羽根・長根の田んぼは田植えの準備が始まった。週末になると定期的に雨が降ったので、農家は水の心配をしなくていい。既に苗が植わってい
るたんぼもある。ツグミやセキレイはこの頃から田んぼで姿を見かけなくなる。一帯が水田に替るのももうすぐだ。今日も、観察種の数や個体数は
減ってしまったが、典型的な行動を観察できた。ヒバリの縄張り監視→畦で見張りをしていた個体(オス)がピーピーと鳴いた後、飛び立ち、春先よ
りもずっと低いところで囀りを行ない、それでも進入を止めないと見るや、進入者に猛然と突入し追い払った。そんなことを休みなく繰返しているの
である。ケリの縄張り防衛→ヒバリ同様、ケリも縄張りを徹底的に防衛する。ケリケリケリとけたたましく鳴いて侵入者に突入する。相手が自分より
も大きいハシボソガラスであったても全く怯むことはないし、観察者に対しても同じ行動を取る。コチドリの擬傷→農道を歩いていたらピピとコチド
リの声がした。10mほど先に移動したきり動こうとしない。氷ついたようである。双眼鏡で見ると、左の足を曲げて痛そうにしている。擬傷行動をし
ていたのだ。傷ついた(ふりをしている)足だけを動かしていて、体は全く止ったままである。背を向けた姿勢であったが、顔は横を向いていて、観
察者の行動はしっかり見ているようだ。3分ほどそのままの姿勢でいた。少しコチドリから遠ざかり望遠鏡で見たが、やはりこちらを見ていたので
その場を離れた。自分だけなら躊躇することなく安全圏まで飛び去るだろう。きっと守るべきヒナか卵があったのだろう。こうして、鳥たちの行動を
観察すると興味はつきない。
西暦
月
日
メモ
2003
4
28
室林道ラインセンサス
午後4時近くなってスタートする。野鳥の観察には早朝か夕暮れがいい。もっとも、そうは言っておれないことも多いが。夕方になると、又、鳥たち
は騒がしく鳴くようになる。新緑で覆われてしまったので、声が頼りのセンサスが暫らくは続く。オオルリがソングポストで囀るかと思えば、キビタキ
が観察者に向かって警戒の声をあげてくる。おかげで、自慢の姿をしっかり拝ませてもらった。写真などでははっきりしないが、この個体は、喉も
とが最も濃い黄色で、同心円状に胸から腹に下がるほど黄色が薄くなっているのが分る。その鮮やかさは、やはり黄色い鳥の王様である。きっと
、病気も無く、メスにとっても良いパートナーなのでは。しかし、この日は、センダイムシクが一番張り切っていたように感じた。力を込めた囀りがあ
ちこちから聞かれた。ウグイスはやや精彩を欠いていた。気温も上がってきたので、標高の高い地方に避暑としゃれ込んでいるのかもしれない。
茶臼山や高嶺・蛇峠山での初夏のウグイスの囀りは、音羽の比ではない。もちろん一部は残るが、やはり漂鳥といってよいのでは。あとは、サン
コウチョウとホトトギスを待つばかりとなった。
2003
4
29
裏谷
2001年7月8日が裏谷を訪れた最後の日付であるから、2年近くも行っていないことになる。晩秋、ミソサザイを見にここを訪れたことや、タイヤ
チェーンを着けて早春の鳥たちを観察に来たことが懐かしく思う。愛知県有数の自然林で野鳥の種類も無論多い。コルリやミソサザイの囀りを聞
ける数少ない場所でもある。数は少ないが、コマドリの声も聞かれる。では足が遠のいた理由、なんとなくではあるが、しいて言えば、道が狭く、
運転していて楽でないことか。対向車が来ないことを念じつつ裏谷への道を進む。右手が渓流になっていて、オオルリ、ミソサザイの多い所だ。駐
車場は一杯である。双眼鏡一つ(フィールドノートも)の軽装備で原生林に入る。何組かの鳥目当ての人に出会う。森の中では、双眼鏡もあまり役
に立たない。ましてや望遠鏡は担いで終わることが多い。頼りになるのは耳と目だけである。ヒガラやコガラの囀りが多いのはさすがに1000m
近い標高がある裏谷ならではである。センダイムシクイやヤブサメなど、音羽で馴染みの夏鳥もしっかり囀っていた。オオルリ、キビタキもいるが、
三河湖などもう少し標高の低い方が多いように感じた。明るい声が響くのはクロツグミ。コルリはかなりいたが、コマドリは1羽だけ確認できた。や
はり、もう少し標高が高くないと棲み難いのか。段度湖(だんど)ではルアーで魚釣りをしている。その湖畔は行楽の人で賑わっている。桜も見ごろ
である。2時間あまり歩いてもとの所に着いたが、息も切らさず歩けたのは嬉しい。帰り道がまた憂うつである。対向車が来なければよいが。
2003
5
1
茶臼山ラインセンサス
冷たい高気圧に覆われたのか冷え込む。手袋とジャンバーを持参して正解であった。ゴールデンウイークの谷間でもあり、スタートの駐車場には
1台の車も無かった。6時50分スタート。胸が真っ黒くなったキセキレイのオスが駐車場を歩いている。キセキレイの黄色もキビタキに劣らず見事
である。特に夏羽は。スキー場の上空をノスリが輪を描いている。モズのメスが巣材を咥えていた。いつものように茶臼山周回道路を時計回りに
進む。ヒガラ、コマドリの囀りが聞こえるが、比較的静か。カッコウ科の仲間ではツツドリが最初に飛来してくるが、今日ものどかな声が聞かれた。
スキー場とは正反対の面はコマドリの多い所ではあるが、今日は全く声が聞かれなかった。
道路沿いに向かって来たのは番らしいアオバトであった。緑色が何とも不思議な色合いのハトであるが、声も輪を掛けて不思議なのはご存知の
通り。山頂への登山道に少し入る。標高が1300mを越えるため針葉樹の大木は少なく、イタヤカエデなどの広葉樹と熊笹に覆われていて、コマ
ドリの声も聞かれる所だが今日は気配も無い。岩の割れ目からツララが垂れ下がっていて、まだまだ寒い日のあることを感じさせる。茶臼山湖か
ら小鳥の森に向かう。早春にはカヤクグリ、ベニマシコ、カシラダカがいた。ムクドリ大の鳥が3羽いた。1羽がぐぜりに近い声を上げていたので正
体が判った。アカハラである。高原には歌声自慢が多いが、カッコウと並んで、いかにも高原にやってきたな、と思わせる鳥である。声ならしといっ
たところか。本命のカッコウ、アカハラよりも渋い感じのマミジロも、あと少しでコーラスに加わるだろう。小鳥の森も静かであった。鳴き声の多かっ
たのはヒガラ。コマドリ、コルリの類は全く鳴き声なし。何時もの所でミソサザイの囀りを聞く。あとは牧場を見ながらスタート地点に戻るだけ。茶臼
山を右横に見る。静寂が支配しているといった感じである。(レイチェル・カーソンのSilent Springの一節を思い出した)
西暦
月
日
メモ
2003
5
3
土曜探鳥会 蛇峠山
雲一つない快晴の中、長野県浪合村蛇峠山を目指す。新緑が眩しい。長野県に入ると、カラマツやシラカバなどの高山性の樹木が目立って増え
てくる。蛇峠山はテレビなどの中継アンテナが林立する。ひときわ目立つ球形ドームには雨量レーダーが納まっている。馬の背と呼ばれる所から
頂上目指し歩く。道路は日陰は全くないので、標高1500mを越える場所ではあるがかなり暑い。のどが乾く。標高を上げるたびに素晴らしい風
景が眼下に広がる。愛知県方面を見れば、最高峰の茶臼山が双耳峰となってそびえる。愛知高原の山が広がる。北側の盟主は恵那山。その前
で守るのは大川入山。東は仙丈ヶ岳から光岳まで南アルプスが一望できる。飯田の町がきらきら輝いて見える。スタート地点でヒガラとコガラの
囀りを聞いた。その後は、ウグイスやヒガラが時折鳴くのみ。あまりに天気が良すぎて、鳥も鳴くのを控えてしまったようである。こういうことは結構
多い。沢の音がするところからコマドリの囀りがした。2週間前に音羽町宮路山で聞いたのと同じ声だ。山頂で昼ご飯にする。お腹を空かせて歩い
てきた子ども達にとって、180度のパノラマの中で食べる弁当は格別だ。さらに三角点のある所まで往復する。下山する少し前に数羽のアマツバ
メが高速飛行をしている姿を確認。下山は一気に。疲れも見せずにスタート地点まで降りる。途中、ルリビカキが囀った。漂鳥であるルリビタキ。
冬には音羽でも普通に見られ、探鳥会でも人気の鳥。この地で美しい声で鳴き繁殖する。残念ながら一部の子しか聞かれなかった。蛇峠山の麓
は、自然に親しむ人達で賑わっていた。しかし、本当の自然を体験する為苦労して山を登った子ども達を誇りに思う。
2003
5
4
室林道ラインセンサス
ゴールデンウイークの真ん中。室林道から眺める東名高速道路には車がひっきりなしに走っている。キビタキやオオルリの囀りが其処ここから聞
こえる。ホオジロやメジロもよく囀っている。エナガのペアが餌を探している姿に何度も出くわす。オオルリであるが、ソングポストで囀っている場合
は普通のディスプレイのように見える。所が、樹木の比較的低い位置で囀っている場合には、特定のメスに対して信号を発しているのでは、と思
うことが多い。今日も同様の光景に出会った。すぐ近くにメスがいて、オスを観察しているそぶりを見せている。ある程度の距離を置いてあちこち
移動している。オスも場所を替えて囀る。出会いの場面のような気がする。はたして目出度くペアになれるかどうか。ラインセンサスを終えたあと
で、今年初めてのサンコウチョウの囀りを聞いた。
2003
5
5
寺ノ入林道ラインセンサス
もうすっかり初夏の天気。サンショウクイが飛来しているかとまた訪れた。センダイムシクイ・オオルリ・キビタキは相変わらずよく囀る。沢からはミ
ソサザイが。しかし、目当てのサンショウクイの鳴き声は無い。未だ早いのかと半分諦めていた時、黄緑の新緑で覆われた広葉樹の茂った山から
ヒリリと一声聞こえてきた。やはり来ていたのだ。今日はその一回だけの確認であった。記録をみると、やはり、ゴールデンウイークの間に確認し
ていた。サンショウクイは夏鳥の中で個体数が激減している。いつまでもここ寺ノ入林道で観察できることを祈りたい。
2003
5
10
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道の前に山口さんと乙女川のヤマセミを見に行く。ヤマセミの糞を教えてもらう。残念ながらヤマセミには出会えなかったが、カワガラス
やオオルリたちを観察できた。カワガラスは巣材を咥えており繁殖準備中といったところか。三河湖寺ノ入林道は、其々の場所に陣取って囀る野
鳥たちの姿、声で満ち溢れていた。オオルリなどは、カーブを曲がる毎にソングポストで囀る姿が見られるといった感じだ。先週、サンショウクイの
一声を聞いた。今日はどうだろうか。スタート地点で明るい新緑の中から2個体のキビタキが囀っている。山頂方向からヒガラの高い声。しかし、
サンショウクイの声は無い。結局、終点まで確認出来なかった。歩いていて気持ちのよい日だ。休憩する必要もないが、サンショウクイの出現を
待つつもりで腰を下ろす。頭の上には、一昨年、営巣を確認したアカマツの林がある。サンショウクイ同様センダイムシクイもアカマツを好む。盛ん
に囀っている。やがて、アカマツから1番の小鳥が飛び立ち旋廻を始めた。鳴き声は無い。しかし、スマートな体型や透けたように見える羽から、
サンショウクイであることは明らかである。どちらからともなくヒリリヒリイと鳴き、やがて、互いの絆を確認するかのように鳴き声を交わす。アカマツ
の梢にとまり鳴いている。白と黒の夏の似合う鳥だ。暫らく鳴きわし交わしたのち別の場所にに移動していった。やはり、先週の一声は間違いな
かったのだ。今年も彼らに会えた事への嬉しさと、安堵の気持ちをもって寺ノ入林道を後にした。
西暦
月
日
メモ
2003
5
11
乙女川ラインセンサス
乙女川のラインセンサスは初めてである。いつもは車で一気に通過してしまうので川の様子が分らない。歩いてみて良い川であることを知った。
瀬あり淵ありで変化に富んでいる。なによりコンクリートの護岸が少ないところが良い。道路側はやむえないが、対岸には全く人工物が無いのは
すばらしい。車の往来が結構多いので気をつける必要がある。昨日山口さんと歩いた。ヤマセミの姿は無かったが、カワガラスの番による採餌を
じっくり観察できた。カワガラスは堰の中に巣を造っていた。滝のように落ちる水壁に突っ込んで巣の中の雛に餌を運んでいる。オスとメス両方が
餌を運んでいた。数分間隔で虫のようなものを咥えてきた。最初に見たときは直ぐに巣に向かわなかったので、周りを気にしているのかなと思っ
たが、巣の中からもう一羽が出てきたので、どうやら待っていたらしいことが分った。たとえ捕食者が巣の在り処を探しても、カワガラス以外には滝
を突き切って巣の中には辿りつけないだろう。堰のある川上と川下ではオオルリが歌っていた。直線距離で200mくらいしかないだろう。以前は
頻繁に訪れた乙女川。もう一度見なおしてじっくり観察してみよう。
2003
5
17
親子探鳥会
萩小学校 親子探鳥会に出席する。3コースあってその一つ観音山コースを担当する。総勢80名くらいか。出発早々にハチクマのペアに出会う。
黒味の強い羽色でタカの縞模様がはっきり分らない個体であった。いきなりの大物出現で皆大喜びしてくれた。10分間耳を澄ませて自然の音を
聞いてもらった。野鳥いがいにもカエル、セミ、小川、風、草刈のエンジンなど普段見過ごしてしまう音が一杯聞こえる。何か感じてもらえたらと思
う。終点の観音山はオオルリやキビタキなどが繁殖している。中でも、サンコウチョウが子育てする貴重な所だ。スギ林の中でサンコウチョウの出
現を待つ。ヒヨドリ、ヤブサメ、メジロたちがやかましいくらいに鳴いている。なかなかサンコウチョウの声はしない。無理もない。多分ひとつがいし
かいないのだから。突然頭上から「グエ」と鳴く声が聞こえた。サンコウチョウである。どうやらメスのようだ。きっと近くにオスがいる。暫らくすると
例の「ホイホイホイ」の囀りも聞くことができた。中にはオスの姿も見ることができた子もいたようだ。ホオジロの囀る姿をスコープで眺めることもで
き、まづまづ満足できる探鳥会であったと思う。終わりに、10年前にやはり親子探鳥会で野鳥に興味を持つに至った話しをさせていただいた。
2003
5
18
室林道ラインセンサス
室林道の入り口でオオルリが囀りをしている。たぶんこの個体が、昨日の親子探鳥会室コースの人気をさらったのだろう。メロディの中にキビタキ
に似た所があるのが特徴。その他の鳥も盛んに囀っている。印象的だったのはアオゲラの囀りがよく聞かれたこと。それと、上空を南から北の方
向へ15羽のガンカモが編隊飛行で通過したこと。カルガモなのか、もっと大きな体にも見えたのだが。(ハクチョウ?)
羽根
水田の中をゆっくり大・中・小のサギが歩いていた。いずれの体ににもレースを思わせる繁殖羽を纏い、優美な貴婦人の姿であった。海岸には多
数のサギがいるが、こうして、緑に囲まれた水田に下り立った姿は、彼らにとっては採餌行動に過ぎないが、優雅の一言に尽きる。これがカラス
であったら印象は正反対であっただろう。人の心は中立的な見方をするのは難しく出来ているようだ。
2003
5
24
茶臼山ラインセンサス
標高1300mの茶臼山高原に麓の牧場から牛たちが避暑にやってきた。なんといっても高原の鳥の王様はカッコウだろう。毎年初夏になると、カ
ッコウの声を聞かなくてはと、茶臼山までやって来て10年経った。今日はカッコウ科のオンパレードだ。カッコウ、ホトトギス、ツツドリ、ジュウイチす
べて鳴いている。ということは、被托卵鳥との仁義無き戦いが繰り広げられている事になる。ホトトギスが鳴きウグイスがそれに応じるように囀る
場面に出会った。なんとも胸を締めつけられそうな光景である。2羽のオオルリが囀りを競う姿があった。200mくらいしか離れていない。ここでも
競争が起こっている。茶臼湖の表面は細かな波紋が立っている。優しい風が歩いて火照った体に気持ちいい。茶臼湖の近くからアオジの囀りが
聞こえた。茶臼山の標高ではアオジには少しばかり低いらしく結構珍しい光景である。木立の切れ間からアオジの姿が見られた。お腹が黄色い
アオジ独特の色だ。冬鳥として音羽町にもやってくる。地味なイメージとは随分違って見える囀りの姿である。小鳥の森には寄らずに戻る。代りに
みどり湖へ足を伸ばそう。
西暦
月
日
メモ
2003
5
25
室林道ラインセンサス
午後5時スタートになった。天気は下り坂で明日には雨が降りそうだ。日の沈む前には再び野鳥が活動を活発化させるが曇り空でも変わらないよ
うだ。ホトトギスでも鳴かないかと期待していたのであるが今日は確認できなかった。様々な鳥たちの囀りがあったが特にキビタキが多かった。5
羽くらい確認できた。2ヶ所で縄張りを接した個体たちが囀りを交わしていた。センサスを終えた戻り道キビタキのオス成鳥に出会った。地上から
1mくらいの所でゆっくり移動している。なにやらこちらの様子を窺っているようだ。薄暗い場所ではあるが双眼鏡では非常に鮮やかに見える。黒
を基調とし白と黄色の体は日の当たらない林の中でとても目立ちそうである。室林道においてはキビタキは比較的暗いところを好んでいるようで
ある。今日のような条件でもメスの目にはオスは鮮やかに見えるのだろう。逆に、オスは意図的に薄暗い所で囀ることにより体の色を強調してい
るのかもしれない。
2003
6
1
室林道ラインセンサス
台風一過とはいかなかった。雲の流れる方向からすると天気は良くなる方向には間違いないのであるが、日差しがでたり又厚い雲で辺りが暗くな
ったりして目まぐるしく変わる。心配なので傘を持参する。子供の頃よくやったチャンバラよろしく日本刀を差すようにする。人目がないので堂々と
する。肩に担ぐのは5.2センチのスコープ。ツツドリが鳴いている。托卵性の鳥であるがホトトギスと比べ鳴き声のせいかのんびりしている感じを
受ける。ホトトギスもやはり鳴いていた。こちらは血が出るのではと心配になる声である。ヒヨドリは室林道でも優勢な種であるが、特に今日は、シ
イノキなど常緑照葉樹を中心にヒヨドリで溢れかえっている。梢の天辺に陣取って見張っている個体がいた。ソングポストに相当する場所なのだ
ろう。木の中から飛び出し、ぐるりと輪を描いて又戻る、あちこちでそんな光景が見られた。番の2羽が揃って谷を渡っていった。とかくヒヨドリは軽
く看られがち。騒がしさや黒っぽい体色がどちらかと言うと好きななれない、そんな人が多いのでは。そんな人は、10月に伊良湖岬でヒヨドリが大
群になって南み渡っていくのを見るといいと思う。ヒヨドリを狙いハヤブサやオオタカたちが待ち構えている。運悪く捕食されるものも出るだろう。し
かし、南に向かうことを止めない姿に心打たれる。海面すれすれに渡る。力尽きれば海面が待っている。凄い世界だ。今日、室林道で出会ったヒ
ヨドリたちもああして海を渡ったに違いない。決して軽く見る訳にはいかない。
2003
6
7
土曜探鳥会 室林道
薄雲に強い日差しが遮られ本当に気持ち良い朝を迎えた。先回は親子探鳥会であったため1ヶ月ぶりの土曜探鳥会である。大人から保育園児
までバラエティーに富んだメンバーになった。室の民家ではスズメやヒヨドリなど。山に近づくとキビタキやヤマガラの囀りが聞こえ出す。嬉しいこ
とに、今の季節に最も似つかわしい鳥、ホトトギスの声がこだました。虫のようで不思議なヤブサメの囀り。姿を探すも全く分らない。ヤブサメの声
は定位し難い。そんな話しをしたら、ある子が、見つかり難くするためそうしているの?、と聞いてきた。なかなかやるではないか。室林道の入り口
で、センダイムシクイがソングポスト上で囀っている姿をバッチリ観察できた。オオルリと違ってセンダイムシクイが梢の天辺で囀りをするのは珍し
い。室林道で皆で大の字になり小鳥の声を聞く。ホオジロが競い合って鳴いていたのが10分間ずっと続いた。帰りに、ようやくオオルリの歌が聞
かれた。
2003
6
14
室林道ラインセンサス
梅雨入りになった室林道はどの様になっているのだろう。それは、植物に現れてきていた。ツユクサの青、ムラサキシキブの薄いピンク、ガクアジ
サイの濃い紫、などの花々が咲いている。若葉から青葉に換わりつつある。1頭のイノシシの子どもと出会った。ほんの少しこちらを見た後走り去
った。母親がいたらと心配であったが、どうやらいないようだ。哺乳類を見つける事は大変なんだろうと思う。夜行性、鳴かない、野鳥と較べてでは
あるが。昼間の最も長い時期に差しかかり繁殖の真っ最中とも相俟って、本当に活発に行動し鳴いていることがどんどん体に伝わってくる。オス
たちは相変わらずソングポストに陣取って日長歌っている。メスは子育てに追われている。ウグイス(のメス?)がけたたましく鳴いた。きっと、近く
には巣立った雛がいて、観察者の気配を感じて母親が警戒の声を上げたのだと思う。そろそろ巣立ち雛も見られる。ラインセンサスを終えた帰り
道でキビタキの雛を見た。黄色い嘴がいかにも雛らしい。最後の最後で一声ないとのはサンショウクイではと思う。繁殖の可能性があれば大変嬉
しい。アマツバメ、サンショウクイは夏鳥の中でもとびきり気に入っているので。
西暦
月
日
メモ
2003
6
15
寺ノ入林道ラインセンサス
傘を持ってのラインセンサスになってしまった。梅雨の季節では仕方が無いというか当然というか。雨の日は小鳥の声がよく響く。オオルリやキビ
タキのオスにとっては分が雨。寺ノ入林道全体でみればヒヨドリが席巻しているように見える。ヒノキの林からは、ヒヨドリの雛の声が盛んに聞こえ
てくる。ヒヨドリが元気なのは昨日の室林道でも同様であった。室林道とは標高で400mの差があり、その差がヒガラの囀りに現れている。この季
節までいるということは、十中八九は繁殖していると思われる。センサスの終点にはアカマツ林があって、2年前に繁殖していたサンショウクイの
巣がある。この付近はサンショウクイをよく見かけるとっておきの場所でもある。たとえ、道中で一羽の姿がなくとも終点では姿を現わしてくれた。
ほとんど運命的でもあった。今日もきっと会えると信じて歩いてきた。そして、ヒリリヒリリと鳴く声を聞いた。5月の初めの日にサンショウクイに出
会ったが、個体数は本当に少ないと思う。出会った鳥たちが繁殖に成功していてくれたらと願うばかりだ。
2003
6
21
室林道ラインセンサス
子ども会とかち合ったので探鳥会を中止した。牧野さんと二人で室林道を歩く。そよ風が吹き、夏至間近の日差しは強烈ではあるが木陰はまこと
に気持ちよく、梅雨の中休みとしては上出来の天気である。コジュケイが大きな声で鳴く。遠くからはホトトギス。ウグイスやヤブサメ、ホオジロ、ヤ
マガラの囀りが其処でしている。ひときわ大きくヤブサメが鳴く。その中に地鳴きが混じっていたので、姿を観察する絶好のチャンスとばかりに探
す。経験では地鳴きの時の方が見つけ易い。囀りの方角を定位するのは難しいのだ。それでもなかなか見つからない。それもそのはず。あまりに
も近くにいたため全く探す所が違っていたのだ。無意識のうちに鳥は警戒心が強いからと、少し離れた茂みの中を探していたのだった。目の前数
メートルの枯枝の上で悠々と、10cmそこそこの小さな体が小気味良く動いていた。牧野さんもはじめて見るヤブサメに心引かれた様子。室林道
の帰りに7月の夜の探鳥会でお世話になる龍源禅寺に寄る。境内は静寂そのもの。その中でホオジロが歌っていた。山門の階段お下ってきたそ
の時、サンショウクイのヒリリヒリイと鳴く声が聞こえた。先週室林道で聞いたのと同じ声である。室林道は直ぐ上に位置する。サンショウクイの繁
殖への期待がますます膨らんできた。
2003
6
22
茶臼山ラインセンサス
5月24日に訪れて1ヶ月ほど経った。先回ではウグイスとホトトギスの戦いが印象に残った。今日も、ホトトギスとカッコウが鳴いていた。ホトトギ
スの1個体は梢で。別の個体は茶臼山周回道路の森の中から。アオジの囀りが別の所でも聞かれた。先回は茶臼湖付近で囀っていた。その個
体は今回もいた。アオジについては、茶臼山の標高ではそんなにいないだろうと予想していた。実際、囀りをまったく聞いたことのない年もある。
今年は、2度にわたりソングポストで囀っている。コルリ、アカハラ、クロツグミなど夏鳥たちの囀りが聞かれたが、コマドリは沈黙を守った。梅雨の
中休みで周回道路はドライブやツーリングの人達で溢れていた。数年前の狭い道路ではこれほどは賑わうことはなかったろう。その意味では成
功だろうが、肝心の、自然へのダメージを考えてみたことがあるだろうか?。
2003
6
28
室林道ラインセンサス
雨が降ったり止んだりのはっきりしない天気のラインセンサスである。野鳥の生活の垣間見るには、上天気よりも雨模様の方に軍配を上げたい気
がする。天候によって生活が変わることはありそうな事ではあるが、むしろそれよりも、雨の中をついてでも見届けようとする側の気持ちの強さが
軍配を上げさせていると思う。傘の色にも気を使いたい。ブラインドの役割も兼ねオリーブ色の傘を使っている。巣立ち雛の姿を見ることが多くな
ってきた。今日もエナガの群れが移動していたがどうやら一腹の幼鳥のようである。第1クラッチの子どもか?。この季節、枝に止まってじっとして
いる鳥は要注意である。幼鳥の可能性が高い。ホオジロ、キビタキ、オオルリの幼鳥らしい姿を見た。大体の図鑑は成鳥しか載っていない。色模
様がはっきりしない幼鳥は同定に苦労する(疑わしいのは正式記録にはしないでおく)。オオルリの囀りはめっきり少なくなった。それにひきかえキ
ビタキはまだまだよく囀る。微笑ましかったのは番いのヤブサメの採餌姿を偶然来た事。小さな恋人たちといったら分ってもらえるだろうか。
西暦
月
日
メモ
2003
7
5
室林道ラインセンサス
久しぶりにアオゲラを見た。大きく堂々としていて色も鮮やか、とても映える鳥である。そういえばどこかの図鑑の裏表紙にも描かれていた。ホトト
ギスがセンサスの間中休むことなく鳴いていた。托卵は成功したのだろうか。被托卵種も托卵拒否行動に進化するだろうから、いわば終わり無き
戦いの様相を呈するのだろうか。カッコウは特定の種に托卵するらしい。被托卵種に似せた卵を産むとのことである。被托卵種の方も托卵拒否に
進化すれば万々歳かといえばそんなに簡単なものでもない様だ。托卵拒否に進化するコストが掛かるからである。托卵種が存在しないなら、托
卵受け入れの方がコストが掛からず生涯の繁殖成功度は上がることになる。どんなに巧妙な擬態卵も見破り排除するための目を進化させるには
、繁殖のためのコストを割かなくてはならない(参照 これからの鳥類学)。ヤブサメの囀りを聞かなかった。対照的に地鳴き個体が増えた。一度、
囀から地鳴きにいつ頃替るのか記録を調べてみたい。ヤブサメの地鳴きは、人間でいえば舌打ちするような感じがする。ウグイスやミソサザイと
も違う。一度覚えてしまえば声だけで特定できる。囀り個体はなかなか見つけられないが、地鳴きの場合は比較的簡単である。機敏な動作では
あるが大きく移動しないので声の方向を見れば大体そこにいる。ウグイスよりも茶色が強い体色は、彼らが好んで棲んでいる場所に多いスギな
どの枯枝にそっくりな為、目の前にいても気がつかない事はあるだろう。
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道から車で30分とばして寺ノ入林道に来た。比較するには同じ日が一番よい。留鳥は大体同じ。夏鳥は標高の差と地形の差が出ている。
留鳥ではシジュウカラが室林道では数が少なかったことに対し、寺ノ入林道はヤマガラよりも多いくらいであった。夏鳥のサンショウクイは寺ノ入
林道の目玉とも言える。今日も、姿、声とも確認できた。エゾムシクイは室林道では通過点になるが、寺ノ入林道では繁殖の可能性が高いと思う
。囀りや地鳴きを確認できた。夏鳥の雄オオルリは寺ノ入林道に軍配が上がる。水量の豊富な沢がオオルリに絶好の繁殖場所を提供しているか
らだ。林道の脇にオカトラノオの白い花とホタルブクロの紫の花が列になっていた。坂道をハアハア言いながら登りつめるとセンサスの終点。靴を
脱いで仰向けになる。雨雲になりそうな中高度の雲が動いていく。今日は「夜の探鳥会」である。何とか終わるまで降らないでもらいたい。帰りは
下りばかりで楽かと思ったがそうでもない。室林道からでは3時間以上歩いた足には結構こたえる。空腹も手伝い、だらけた歩きになってしまう。
そんな折、またしてもホトトギスのあの胸が張り裂けそうな声が聞こえた。
2003
7
5
土曜探鳥会 夜の探鳥会IN龍源禅寺
夕方6時30分に集合。子供たち35名を含め40名を越える参加となった。何とか雨が降らずにと思う願いも空しくスターと同時にポツポツと雨粒。
中止も考えたけれども、残念がる子供たちの声を聞いて思い切ってスタートする。降り出したら直ぐに帰ればいい。龍源禅寺までの道程は2km
弱。境内には水銀灯が燈っているので明るいが、もしも、全くの闇なら、民家から離れているお寺のことだから怖いことだろう。龍源禅寺には
1998年から境内を利用させていただいている。うっそうと繁る杉の大木にはムササビが居を構えている。50%くらいの確率でムササビを見つけ
ることができたが、今日はどうだろうか。その前に山門の前でカエルを探す。あのでっかいヒキガエルである。2匹いた。山門をくぐりいよいよムサ
サビを待つ。どうするかって?。ただひたすらに待つしかない。例年、この時間帯にじっと我慢をして待つことがなかなか出来ないでいた。が、今
年は何かが違っていた。雨をおして来たからからには絶対見てやるゾ、との思いが皆にみなぎっているように見えた。全くざわつかない。10分ほ
ど経ったろうか。鈴木先生がムササビがするすると木を登るのを見た。皆その木の方を注目する。さらに10分くらいの時、登った木の樹冠付近か
ら黒い物体が、境内の狭い空間(10数メートル)を横切るように滑空するのを見た。過去にもこれほどはっきりと見た記憶がない。半分以上の子
が見たようであるが、残念ながら見る方向が悪かった子もいた。さらに20分くらい粘ったが、残念ながら再び雨粒が落ちてきた。学校への帰りも
楽しいものだ。大体、夜の道を歩くこと自体少なくなった。スイカで乾いた喉を潤し解散した。
2003
7
12
室林道ラインセンサス
太陽が少し西に傾いた午後3時過ぎにセンサスを開始した。所々に青空が覗いている。早朝に野鳥の鳴き声が盛んなのはよく知られていること
であるが、日の沈む前にもそれに負けないほどよく鳴く。今日も、ウグイス、ホオジロ、キビタキの囀りがあちこちで聞かれた。ヤブサメは囀りと地
鳴きとが半々くらい。先週には未だ鳴いていなかったセミの声が聞こえた。セミ時雨が室林道を覆い尽くすと野鳥たちの休息が始まる。ハシブトガ
ラスが数羽鳴いている。姿が見えないので何をしているのか想像するしかないが、カラス科の鳥たちの行動には他の鳥にない知性を感じる。オ
オルリとキビタキの個体数を較べると、室林道ではキビタキが優勢である。暫らく聞くことの無かったオオルリが1羽だけ囀っていた。キビタキより
もスローテンポな囀りの声は落ち着きを感じさせる。キビタキはその点相当な早口である。どちらが好いとは言えない。アオゲラとセンダイムシク
イが今日を締め括る様に囀った。
西暦
月
日
メモ
2003
7
19
土曜探鳥会 羽根・長根
羽根・長根の通学路定点観察も2年目に入った。4月と5月は行事が重なってしまい中止。今日が本年度の最初ということになる。はっきりしない天
気にも関わらず10名のメンバーが集まった。スターとして暫らくは民家の中を進む。ツバメが電線に止まっている。よく見ると尾羽が短く羽に白い
斑がある。一腹の巣立ち雛である。この後どうなるか暫らく観察することにした。親がやって来た。捕まえた虫を雛に与えようとする。雛たちは一
斉に体を震わせ大声で鳴く。1羽MP雛に餌を与えた親は直ぐに餌を探しに行く。すると、雛たちは何事なかったかのように静かにする。親の姿を
見ると又大騒ぎになる。これの繰返しが延々と続く。雛が餌をねだる行動はスズメも大変よく似ている。田んぼみちに来るとアオサギ、チュウサギ
、アマサギの姿があった。サギは大きくて姿も良いので子供たちにも人気がある。大きな声で鳴いているのは小さな姿のセッカである。子供たち
はスコープでとらえようと懸命である。けれども、まだまだ慣れないため思うようには使いこなせない。帰り道はいつもと変えてみる。河川林で覆わ
れた所から、カワセミの鳴く声が何時までもしていた。
2003
7
19
室林道ラインセンサス
またしても夕方前の観察となった。ウグイスの囀り、エナガの群れ、アオゲラのペア、それぞれが一生懸命に生きている姿を垣間見るのは楽しい
。又、勇気も与えられるようである。鳥たち以外にも、名前もわからない色々なチョウ、本番とばかり鳴くアブラゼミ、そして、ニホンザルたちの群れ
。生き物たちのことを少しでも知りたいと思う。
2003
7
20
茶臼山ラインセンサス
梅雨の最後に大雨が降るとはよく言われることであるが、熊本・長崎の水害もまた梅雨の終わりに起きてしまった。茶臼山に向かう車のラジオは
、この水害が非常に大きなものであることを伝えている。急峻な山にへばり付くように立っている山間地の家々。その裏山は定規で測ったように
スギ・ヒノキの植林である。テレビで映された崩落した山もこの例外ではなかった。通いなれた茶臼山への道からも似たような風景は沢山見られ
る。さて、ビジターセンターから高原までの沢からはオオルリやミソサザイの囀りが聞こえてくる。この事は、茶臼山から売木村に下る道中にも当
てはまる。スキー場のある萩太郎山の頂上付近にあるクロベの梢で、アカハラが気分良さそうに囀っていた。夏山にアカハラの明るい声は欠か
せない。ホトトギスとカッコウも鳴いている。カッコウなどはのどかな光景を思い浮かべてしまうが、本当は、被托卵主との熾烈な生存競争なので
ある。久しぶりにコマドリの囀りを聞く。確実に個体数が減ってきているように思えてならない。少なくとも、茶臼山周回道路沿いの環境変化(歩道
付きの2車線道路に拡張)は、コマドリやウグイスなどの地上性の鳥には少なからず影響を与えているに違いない。車の増加に伴う音の影響、空
気の汚れ、道路による分断、などの悪影響を受けていても不思議ではない。今年も外来種であるソウシチョウを確認した。メジロのような黄緑色
の体に赤い嘴。一見して日本産の鳥とは異なる雰囲気を持っている。張りのある声はなかなかのものだ。しかし、やはりこの鳥はここに棲むべき
ではない。生息の競業する種には脅威となるだろう。ペットの野生化は様々な種類で拡大している。全て人間という種の気まぐれ、慰みから端を
発していることは論ずるまでもない。生き物には責任は無い。
高嶺
茶臼山を歩いた後、売木村経由で高嶺(平谷村)に向かう。3連休とあってバイクが山頂に次々とやって来る。道の脇に立っていると、マフラーか
らの煙と匂いが鼻にツンとする。しかし、この事は自分自身にも当てはまることを言っておかなくてはならない。遠くの山は雲で隠れているが、平
谷の町だけは日が差しこみスポットライトが当たっているように見える。山頂から聞こえる音といえは、ウグイスの囀り、少し標高の下がった所か
らはコマドリの声がする。たった2種類である。それだけに貴重に思える。目の前を、2度3度テイクオフをやり直したパラブライダーが風切り音を
残して飛び去っていく。
西暦
月
日
メモ
2003
7
26
室林道ラインセンサス
梅雨前線が南に押しやられ大陸の乾いた風が吹きぬける,秋を思わせるような気持ちの良い朝を迎えた。ウグイスやホオジロたちの囀り、ヒヨドリ
の賑やかな声が室林道を歩いている間途切れることなく続いた。黒いドレスを纏ったアゲハチョウの仲間が優雅に飛び交う。この夏初めてのオニ
ヤンマにも出会った。彼は一瞥し、悠々と飛んでいった。日が高くなるにつれアブラゼミのボルテージも上がってくる。室林道の経年比較で、今の
時期、室林道の鳥の中でも5本の指に入るくらい馴染みのあるシジュウカラが、なぜかあまり確認されていないことに驚いている。今日も、3個体
ほど観察したのみであった。それらは全て今年産まれた幼鳥である。成鳥たちは何所に行ってしまったのか。同じカラ類でも、ヤマガラの方は幼
鳥、成鳥が共にいる。今日も親鳥と思われる鳥に見守られ採餌する幼鳥を見た。今しばらくシジュウカラには注目したい。ホトトギスが鳴いている
。それもセンサスの間ずっと鳴いている。室林道には、ウグイスやヤブサメなどホトトギスの被托卵種が生息している。しかし、室林道のホトトギス
個体数は本当にたかがしれているように思える。造巣、抱卵、育雛にかかるコストを全て他人に任せられるホトトギスにとって、一つのつがいが一
夏に、どのくらいのウグイスたちの自らの遺伝子を残す機会を奪っているか判らないが、大部分の個体は成功しているのではと想像する。それに
してもホトトギスの執念は凄いものがある。
2003
7
27
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日からの涼しい夏は今日も続いていた。真夏のセンサスは汗みどろと決まっているが、今日はそんなことはない。一番の関心はシジュウカラの
数。室林道では7月になるとシジュウカラの数が減る。昨日のセンサスでも3個体だけ。それも全て幼鳥であった。どこに移動してしまったのか。
寺ノ入林道は室林道よりも標高が400m以上も高い。その分気温も低いはず。寺ノ入林道でのシジュウカラの個体数と室林道とを較べてみたら
何かヒントになるのでは、と意気込んでやってきた。結果は、室林道と寺ノ入林道ではシジュウカラの個体数に大きな差があった。寺ノ入林道の
方が成鳥の数がずっと多かった。簡単に結論は出せないが、事実としてそうであった。寺ノ入林道ならではの鳥もいた。キクイタダキの囀り、ヒガ
ラの囀り、サンショウクイ、エゾムシクイなど。でも、一番目に付いたのはイカルだった。ペアで波打って飛んで行く姿や、体に似合わない美声が空
から降るように聞こえてくる。一体どうしてしまったの?、と聞きたくなるくらい張り切っている。この頃になるとオオルリやキビタキの歌もめっきり聞
かれなくなる。そのかわり、思わぬところでばったり鉢合わせをしてビックリすることがある。前方から小鳥が向かって来て頭上を飛び去った。振り
向きざまに見えたのはコバルトブルーに輝くオオルリであった。
2003
8
2
室林道 早朝探鳥会
夜明けにまだ時間があるが天気が気になって目が醒めてしまった。どうやら雨は上がったようだ。早朝探鳥会の集合時間は5時半。6名の子供た
ちが集まってくれた。人数が少ないので車で室林道まで行き、いつも自分がラインセンサスするコースを歩いてもらうことにした。ウグイスの囀りが
結構多い。今年は8月の何時頃まで囀りを聞くことができるだろうか。ホトトギスも鳴いている。ウグイスとの繁殖競争はまだ続いているのだろうか
。珍しくオオルリの囀りを聞く。声量も節回しも稚拙な感じで若鳥かメスの個体のような気がする。暫らくは声の主を探す。現れたのは無口のまま
サクラの枝に止まっているオオルリのメス(又は幼鳥)であった。オスの姿はソングポストでお馴染みであるが、メスはそんなに何時でも見られる
鳥ではないのでうれしい。すると囀りの主はメスではなさそうである。オオルリのメスはコマドリやサンコウチョウ同様、稚拙ではあるがはっきりと
囀ずる。時間が経つに連れセミの声が鳥の声をかき消すようになる。ヒグラシ、アブラゼミが主体である。オニヤンマも2匹見つけた。お腹の痛く
なった子が現れたのでセンサスの帰りは急いで歩く。幸い大した事にはならないで済んだ。それにしても、早朝の朝もやの中を歩くのは本当に気
持ちがいい。マイナスイオンのシャワーを浴びているようだ。
2003
8
3
室林道ラインセンサス
午前中は施餓鬼の行事で室林道には行けなかったので午後3時半過ぎからのラインセンサスになった。まずはセミ時雨のことを書かなくては。ニ
イニイゼミ、ヒグラシ。ヒグラシは夏の華やかさの隙間に潜む一抹の寂しさを具現化しているように思えてならない。お盆の時期に似つかわしい自
然の音の傑作だ。盆を過ぎるとあれほど賑わっていたウグイスも囀りを止めてしまう。これから暫らくが聞き納めになる。一腹の兄弟姉妹であろう
かエナガの幼鳥の群れが餌を探し移動していた。
西暦
月
日
メモ
2003
8
10
室林道ラインセンサス
大型の台風が本州を縦断していった。台風一過の澄んだ景色が広がる。落ち葉が林道一面を覆い尽くしている。どのくらいの葉を失うと影響を受
けるのか分らないが、出来る事ならとっておきたい所だろう。全く葉を落とさないでおけたらと思うが、風圧に抗し切れなくなり枝が折れてしまうの
も大きな痛手になる。鳥の方は、ウグイスの囀りが結構盛んである。暫らくは鳴鳥ナンバー1の鳴き声を楽しみたいものだ。久しぶりのシジュウカ
ラの囀りを聞いた。ここ1ヶ月あまり幼鳥の姿しか見ていなかったので新鮮に感じた。鳴禽類たちもすっかりセミたちに押されている。暑さが増す
ほどヒグラシ、アブラゼミの声が大きくなる。オオルリのメスがひっそりと枝に止まっていた。アゲハチョウの仲間、オニヤンマ、セミたちが林道を飛
び交う。それに較べて野鳥たちは比較的動きが少ない。
2003
8
11
茶臼山ラインセンサス
キャンプ場から子供たちの声が聞こえてくる。本当は夜明け前には到着したかった。9時半からセンサスを開始する。平地ではうだるような暑さも
標高1300mの高原では別天地のようだ。ホトトギスの声が響いてくる。まだウグイスとの攻防は続いているのか。電線やカラマツに止まったホオ
ジロが美声を聞かせる。一口に囀りと言っても、オオルリはメロディ的であるがウグイスやホオジロは話し口調的である。カラ類は単調な節の繰
返しに聞こえる。ホオジロは「一筆啓上仕り候」と聞きなしされるのは有名であるが、話し口調的囀りの特徴としてオシャベリの巧拙がハッキリ出て
しまうようだ。要するに舌が回らないのが居るって事。オオルリなどは所々にキビタキの節回しを入れている。ホオジロもたまに、あれ、アオジ?
と思わせるような囀りをする個体に出くわす。そういった個体に会うのは、やはり茶臼山のような高原・高山地帯である。音羽のようにアオジの囀
りを聞くことのできない平地でそのような個体に出会ったことが無い。種間交雑はまずあり得ないが、他種の囀りをとり入れてレパートリーにしてし
まうことは可能だろう。カケスやモズはそっくり真似てしまうが。ソウシチョウの明るい囀りが聞こえた。なかなかの美声ではあるが増えてくれては
困る。ゴジュウカラが鳴く。大型のチョウがふわふわと飛んでいる。渡りをすることで有名なアザギマダラである。
2003
8
12
寺ノ入林道ラインセンサス
スタート時点には天気が怪しかったので傘を持ってのラインセンサスとなった。雨の日もまた楽しである。この日、ウグイスの囀りは2個体だけで
あった。もう少し多くてもと思うが天候の加減があるのかもしれない。茶臼山でも強い調子で鳴いていたが、エゾムシクイのピッピッと鳴く声がする
。この声がエゾムシクイと知らなかった頃は、ジョウビタキ?と驚いたものだ。幼鳥の姿も見かけた。ヤマガラの幼鳥が親鳥の後を付いて餌を探し
ている姿は微笑ましいものだ。夏鳥の様子は先のエゾムシクイを除いてなかなか窺え知れない。オオルリもセンダイムシクイも現れない。まして、
寺ノ入林道で一番気になるサンショウクイはいわんやである。センサスの帰り道に暗い茂みからヒヨヒヨと鳴く声。センダイムシクイかキビタキか。
場所からするとキビタキだろう。やはり、キビタキのメスが餌を咥えていた。雛に運んでいるのだろう。警戒の声を上げていた。
2003
8
15
羽根・長根
昨夜からの雨が少しずつ小降りになり、室林道のラインセンサスを終えた後、羽根・長根の田んぼを観察した。頭を垂れはじめた稲穂も少し黄色
に色付いて。水田。農道に車を止め定点観察する。はばたきとソアリング(はばたかずに滑空すること)を繰返し軽やかに素早く飛び交うツバメた
ち。口を開け虫たちのいる所を突き抜ける。それがツバメの採餌方法である。一口にツバメと言っても何種類もいる。日本産のツバメとしては、シ
ョウドウツバメ、ツバメ、リュウキュウツバメ、コシアカツバメ、イワツバメの5種がいる。今、私の頭上を飛び交っているのは、ツバメ、コシアカツバ
メ、イワツバメの3種である。この3種の識別は姿や形で行なうのが最も簡単であるが、遠方の個体を肉眼で識別する場合には飛翔で見分けるこ
とができる。ツバメははばたきの割合が一番多く、次いでコシアカツバメ、ソアリングの割合の最も多いのがイワツバメだ。電線には巣立った幼鳥
を含め家族単位で羽を休めているツバメの姿がある。あと1ヶ月あまりの内に子たちは、渡りに耐える体力を付けなければならない。渡りを必要と
する鳥は先の3種類のツバメだけではない。スズメよりも小さいセッカ、チュウサギ、アマサギが秋の渡りを前にして繁殖に懸命だ。セッカは一夫
多妻。オスは縄張りの守り、観察者の頭上をけたたましく鳴きながら何度も旋廻する。アマサギは群れで採餌することが多いが、今年は数羽以下
の小さな群でいることが多い。チュウサギも個体数は少ない。
西暦
月
日
メモ
2003
8
16
土曜探鳥会 羽根・長根
霧雨の中、5名の子供たちが参加し、稲穂の広がる羽根・長根の田んぼで野鳥の観察をおこなった。カワラヒワの群れが稲穂やヒエに止まってい
た。植物食のカワラヒワはこれから田んぼでよく見かけるようになる。稲穂の中から突然大声で鳴きながら飛び立つセッカのオス。小さなグランド
くらいの範囲を円を描いて飛び回り、急降下し田んぼの中に姿を消す。セッカのオスはこうして一日中縄張りを守る。田んぼのあちこちでメスたち
が子どもを育てているのだ。田んぼの野鳥でまず目に付くのは大型のサギ類だ。今日の観察でも、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギの4
種類を観察できた。遠くの方でアオサギが飛んでいるのが見られたので、主なサギ類全部いたことになる。雨が降り続いているがとても細かいの
で濡れた感じがしない。むしろ真夏の日差しの中を歩くよりもずっと気持ちがよかった。
2003
8
23
室林道ラインセンサス
ここにきて夏らしい暑さが戻ってきた。太陽が西に傾いた午後4時頃から観察を開始した。室林道を歩き始めて直ぐに気がついたのはツクツクボ
ウシの初めての鳴き声。このセミの声で夏の終焉を知る。冷夏で農作物が心配だ。暫らくは厳しい残暑を期待しなければなるまい。今日以降囀り
を聞かなければ、自分にとってウグイスが囀りを終えた最初の日となるが。さてどうだろうか。この時期オオルリは囀りを止めひっそり暮らす。林
道沿いのアカマツの小枝の中ほどにオスの若鳥がいた。尾羽だけが青色になっている。いわゆる半成りである。(半々成りが正しいか?)ツバメ
の群れが森の上を飛び回っていた。越冬地への南下までの日数もどんどん減っている。幼鳥たちはそれまでにしっかり体重を増やす必要がある
。冷夏は、鳥たちの餌となる昆虫の発生に影響があるのだろうか。
2003
8
24
室林道ラインセンサス
いきなりびっくりした。あこがれのサンショウクイが3羽も目の前で見られたからだ。室林道の麓にある龍源禅寺などで聞いたサンショウクイの声。
確かに室林道でサンショウクイは生息していたのだ。スマートな体つき。透けるような羽。同じ場所にはさらにすごい鳥がいた。エゾムシクイである
。地鳴きで確認できた。もう1種。幼鳥がいる。どうやらオオルリのようだ。これらの3種がハンノキの木陰で餌をあさっていた。幼鳥といえば、ヒヨド
リの幼鳥が其処ここで見られる。ウグイスの囀りは1個体だけ確認できた。もう歌い収めに近いだろう。大変な収穫を得つつ、ツクツウボウシが鳴
く中汗をかきかきラインセンサスを終えた。
2003
8
30
蛇峠山ラインセンサス
8月最後の休日で蛇峠山に至る交通量は多かった。長野県浪合村にある蛇峠山は標高1600mを越える。麓に駐車し、お茶を買い、標高差
400mをラインセンサスした。静かだ。平地ではこの時期セミの声があたりを圧巻しているが、セミの声が全くしないことに気がついた。その代り
にトンボやチョウが沢山いる。あのアサギマダラもひときわ高い場所でヒラヒラしている。道の途中でマーキングしている夫婦がいた。コースの前
半は森の中。ヒガラやシジュウカラ、ヤマガラといった森林性の鳥が多い。そのほとんどは鳴き声での確認である。コースの中ほどに丘があり「馬
の背」の名がついている。ここまでは車で登れる。後半は蛇のように曲がりくねった開けた道を登る。シラビソのような針葉樹、シラカバ、背の低い
落葉樹が山頂まで生えている。先ほどの昆虫たちも明るい所に多い。それというのもマツムシソウやアキノキリンソウなど秋の花々が咲き乱れて
いるからだ。藪を好むウグイスやホオジロが多くなる。ウグイスはほとんど囀りを止めていた。2個体だけ囀っていたが最盛期とは比較にならない
弱いものである。事実上囀りの季節は終えたと言っていいだろう。ウグイスも声ばかりであったが、頂上付近でヒナを含む家族の姿を見た。ヒナの
姿を確認できたわけではないが、それらしい声があったから。ひと休みし、天気が心配なのですぐに下リはじめる。いくら高くても夏の日差しがあ
れば暑い。その点ではラッキーだった。20m四方くらい伐採され開けた場所があった。そこで1羽のミソサザイがチョン・チョンと鳴きながら枯木の
上を尾羽を直角なるくらいピンと立て動き回っていた。体は小さいが堂々としていた。登りは2時間、下りは1時間の秋の山を満喫するセンサスで
あった。
西暦
月
日
メモ
2003
9
6
土曜探鳥会 羽根・長根
朝7時集合。残暑の方が暑くなったにもかかわらず14名の子どもたちが集まってくれた。ゆっくりと秋は近づいているようだ。今朝方は涼しかった
し、校庭から見上げる空は秋の卷雲が広がっている。萩小の周りからはイカルの澄んだ囀りが聞こえるし、電線にはカワラヒワの幼鳥がいる。田
んぼから同じカワラヒワの幼鳥が飛び立った。餌を取っていたのだろう。夏でも日の低いうちは風も吹き渡り気持ちが良いものだ。まさにそんな日
であった。そろそろ稲の刈入れが始まっている。農道をコンバインが行き来している。セッカは気が気ではないだろう。刈られるまえにヒナを巣立
ちさせねばならない。青虫を咥えたセッカが田んぼを行ったり来たりしてなかなか巣に戻らない。我々を警戒しての行動なのだろうか。そうならば
申し訳ないことだ。コンバインがイネを刈る田んぼにはツバメやコシアカツバメが群がっている。追い出される昆虫を捕まえるためだ。ムクドリの群
れが田んぼと木々の間を往復している。稲刈りがすっかり終わると鳥たちの群れがやってくる。スズメ、カワラヒワ、セグロセキレイなど。畦にはツ
ユクサなどの花が咲いている。もう少しすればヒガンバナの朱色が点々と見られるだろう。それと同時に羽を休めくつろぐノビタキが見られること
だろう。そしていつの間にか北風の季節になって行く。コンバインを動かしている人に聞いた。「お米の出来映えはどうですか?」答えは「良くない
ね。ニュースで言っているとおりだよ」であった。
2003
9
7
室林道ラインセンサス
今朝も肌寒いくらいの気温である。雲一つ無い青空は秋のような高さ。しかし日が高くなれば暑くて鳥も飛び回らないと思い6時頃家を出発した。
セミの声もまばらで本当に静かである。鳥たちの声も微かにしか聞こえない。そこへエナガの群れがやってきた。成鳥である。するとその後を追う
ように次から次へと鳥が来る。この秋初めての混群であった。ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラまではよいとしても、センダイムシクイが混じっていた
のには驚いた。もしかして単独行動かもしれないと思ったが、群れとして移動しているようだ。センダイムシクイよりも茶色がかったエゾムシクイら
しい姿もあった。秋から冬にかけては混群が室林道の主役だ。ハトほどの鳥が枝に止まっていた。タカのように尾羽に横縞が見えるが嘴は普通
の鳥のようだ。カッコウ科のいずれかに違いないがさて?。今日は次の理由で珍しく図鑑を持参していた。渡りの季節では思いもよらない鳥に出
会うことも稀ではない。日ごろ見なれた鳥ならば図鑑のお世話にならなくてもと思っているが、渡りの季節では持っていたほうが安心だ。それがズ
バリ当たった。どうやら彼の鳥はジュウイチの幼鳥らしい。日が昇るとツクツクボウシやミンミンゼミが鳴き始めた。反対に秋の虫の声が消え入る
ように静かになっていく。
2003
9
13
秋の渡り
茶臼山
茶臼山にやって来た。時折激しく窓ガラスを雨粒が叩く。幸いなことに1000mを越えたところで雨は上がり雲が広がるだけになったので、これで
しっかり観察できると思った。霧が立ち込めているのでハザードランプを点灯して車を進める。ハシブトガラスとカケスの声が聞こえる。秋の草花
が唯一の色である。種子も沢山付いている。小鳥にとって大切な食べ物ある。コガラとヒガラが餌を探しているのか頭上で声がした。しかし視界が
悪い。シジュウカラの群れがいた。オスは囀っており、ネクタイ線の切れた幼鳥が群れの後を追いかけていた。シジュウカラの群れとは明らかに
違う行動をしている2種類の鳥がいた。大きい方はオオルリのメス。小さい方はコサメビタキ。コサメビタキは秋の南下をよく観察する。となると、エ
ゾビタキを見なくてはと茶臼湖に足を進める。ここはエゾビタキを観察する絶好の場所である。その前に1種類の渡りを見た。牧場が広がる見晴ら
しの良い所で(秋が深まると新雪の南アルプスが望まれる)牧草地から2羽の鳥が飛び立ちヒノキの梢に止まった。ノビタキである。そう言えば以
前同じ所でノビタキを観察した事がある。音羽の田んぼで観察するよりもずっと早くに。茶臼山のほとりにはキャンプ場やバンガローがあって夏に
は賑わう。しかし今日は、テニスコートの水をかいている若者たちを除いて誰一人いない。5分もしないうちに反応があった。木々の枝から枝へと
餌を取っている鳥の姿を見つける。直感的にエゾビタキと思った。落ち着いた感じの鳥で暫らく1ヶ所に留まるのでゆっくり確認できる。グレーの地
味なエゾビタキの姿があった。小鳥の森ではヤブサメ、ヒガラ、アカゲラなどに出会った。
羽根・長根ラインセンサス
茶臼山を下る頃から晴れ間が広がり音羽では残暑が厳しかった。汗をかきながら羽根・長根の田んぼ道を歩く。週末までにほとんどの田んぼで
稲刈りが終わっていた。水路脇の草を注目する。ノビタキは畦の草に止まっているからだ。しかし、もう少し先にならないとノビタキはやって来ない
。代わりに、水路で嘴の長い鳥を見つけた。シルエットからシギであることは分るのだが。図鑑の助けを借りてみると、飛び方や季節からタシギよ
りもオオジシギではとの結論に達した。シギは苦手である。
西暦
月
日
メモ
2003
9
14
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日の茶臼山では秋の渡りの一こまを観察したが寺ノ入林道ではどうだろうか。標高差600mはどのように出るだろうか。茶臼山に近いか音羽
に近いか。なんとも言えないが結論である。主役はヒヨドリ、ヤマガラ、シジュウカラである。時折ヒガラとカケスの声がしたのはさすがに標高600
mのことはある。しかし、南下中の鳥は確認できなかった。ススキの穂が出ていたのは標高差を感じる。1600mの長野県蛇峠山では2週間前に
アキノキリンソウが満開であったがここでは未だ開花していない。秋の気配を一番感じさせたのは高積雲(ひつじ雲)が青空に輝いている姿であ
った。
2003
9
19
室林道ラインセンサス
この時期は鳥たちの南下に目が離せない。干潟に立ち寄るシギ、チドリ類は比較的簡単に観察できる。田んぼを見渡せばノビタキがいるが、これ
も容易だ。しかし、山を伝って南下する鳥たちは観察はかなり難しい。春先のように特徴ある囀りも発しないし、落ち葉の季節には未だ早すぎて姿
を見るのすら容易ではないからだ。ではどのようにして居場所を知るかといえば、フィールドに足繁く通ってこの時期この場所には何が観察できる
か経験するしかなさそうだ。たとえ観察できなくとも失望する必要はない。居なかった事を観察したことになるからだ。毎年毎年その想いでフィール
ドに通っている。室林道はサクラの葉が地面に落ちる音に満ちていた。本格的な落ち葉の季節は未だ先であるが、寿命を終えた葉から地上に帰
って行く。黒い大柄のチョウが光線の加減で青や緑色に輝き羽ばたいている。ハシブトガラスやヤマガラの声が時折するだけの静かな朝である。
しかし、南下する鳥は静かな時にこそ出会う可能性が高いことを経験で知っている。ウグイス亜科の鳥がサクラの枝に止まっている.ジ・ジと聞い
たことの無い地鳴きである。消去法でセンダイムシクイ、エゾムシクイが消える。メボソムシクイか?と思ったとほぼ同時にぐぜり程度の囀りをリュ
リリュリと数秒間とした。ウグイス亜科の鳥は外観はたいへん似ているのに囀りや地鳴きは個性的である。中部地方では2500m以上の高山でし
か見られないメボソムシクイの南下中の姿であった。さらに、一瞬のできごとで特定は無理であったが、カモ類の編隊飛行を見た。北西から南東
方向に一直線に飛び去った。
羽根・長根の田んぼ
音羽町ではこの秋初めてノビタキを観察した。稲刈りも終え見通しの良くなった田んぼでは、暫らくはノビタキが羽を休める姿を観察できる。慣れ
てしまえば観察は容易で、田んぼ1枚くらいのエリアを移動するだけなのでじっくり見られる。夏羽の色は無くなっているので雌雄の区別はやや難
しい。又、ほとんど鳴き声を上げないので自分としては地鳴きをよく知らない。しかし、いくら観察が容易といっても関心を持って見なければ存在す
ら知ずに過ぎてしまうだろう。明日の土曜探鳥会では子どもたちにノビタキを見せたいと思う。自然の営みの一つとして南下中のノビタキを紹介す
るつもりだ。
2003
9
20
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
ツユクサの青、ヒガンバナの赤、ノボロギクの薄黄色と色とりどりの花が咲いている。参加者は7名。校庭からはイカルの囀りが聞こえ、セグロセ
キレイが活発に飛び回る。秋が深まるにつれモズの高鳴きも激しくなっている。2羽で追いかけ行動をする姿を頻繁に見かける。羽根・長根の田
んぼ到着。ハシボソガラスが多い。水路沿いの立ち草を双眼鏡で探す。最初に出会ったのはカワラヒワの幼鳥である。そして、お目当てのノビタ
キを見つけた。特徴のある体色はこの時期は消えてしまい、うっかりするとスズメと勘違いする。数羽ほどの個体数を確認した。サシバやシギ・チ
ドリのような注目度はないが、小鳥たちの渡りも観察していて面白み、奥の深さを感じさせてくれる。
2003
9
27
室林道ラインセンサス
あきらかに季節が変わった。快晴で日は強いが、乾いた北風が吹き抜け暑さを感じさせない。室林道で秋を感じさせる2つの出会いがあった。カ
ケスが戻ってきた。晩秋の寂しい山にカケスのひと鳴き。心に凍みる声である。もう一つは、ホオジロの囀り。ソングポストで囀る姿を見つけた。4
月から6月まで室林道では最も囀りを聞いてきた。真夏に入ってからはひっそりとしてしまうが、彼岸を過ぎる頃から徐々に囀り個体が増えてくる
。囀り個体数第2のピークがやがてやって来る。センサスの終点でエナガとシジュウカラの混群に出会った。付近にいたのはキビタキ。地味な色
のメスであった。1時間のセンサスを終えスタート地点に戻るとにぎやかなエナガとシジュウカラの声がした。混群である。もしかしたら先ほどの群
れか?。双方の距離は2kmほどある。そしてもっと驚いたのはキビタキがいたことだ。もちろん地味なメスが。
西暦
月
日
メモ
2003
9
28
寺ノ入林道ラインセンサス
静かな山が帰ってきたようだ。ツクツクボウシが2~3匹鳴いているばかりだ。昨日室林道で一声だけ鳴いたカケスが多くいた。ヒガラの囀りが聞
こえる。さすがに標高600mを越すだけのことはある。寺ノ入林道は三河湖に注ぐ沢の中腹にあるため「三河湖の野鳥」として紹介している。寺ノ
入林道は音羽と茶臼山の中間の位置し、標高も真ん中くらいだ。音羽・三河湖・茶臼山の3ヶ所が私の最も大切なフィールドである。センサス時
間は片道1時間ほど。音羽の室林道とほぼ同じくらいの時間が掛かる。沢が直ぐ近くに迫る場所には、これからの季節ミソサザイがぴょんぴょん
している姿を見ることができる。春先には勿論美しい囀りも聞かれる。今日はといえば、声はミソサザイとは較べるべくもないが、姿はそっくりその
まま巨大化したカワガラスがいた。カワガラスといえば、音羽町から三河湖に来る途中に乙女川というきれいなネーミングの清流があり、そこで棲
息している。滝を突っ切って巣に餌を運び、水鳥でもないのに川底をゆうゆうと潜って餌を探す。他に例を見ない野鳥である。今日はスタートが遅
かったので昼弁当を持参した。センサスのおり返し点で食べる。ちぎれ雲が北から南に足早に流れる。汗ばんだが体に乾いた風が本当に気持ち
いい。
2003
10
4
茶臼山ラインセンサス
未だ暗い5時前に家を出発する。ドライブしながら夜明けを迎える楽しみを何度味わったことだろう。空が白み始めるとやはりほっとする。豊根村
ビジターセンターに到着したころは太陽も登っていた。ミソサザイとヒガラが鳴いた。いつもの通り時計回りに茶臼山周回道路を歩く。小型の望遠
鏡を手に持つ。これが後々役立つことになる。まずカケスの多いのに驚いた。標高が高く真夏でもカケスはいるが、冷え込みが本格的になり個体
数も増えたようだ。長野県側に入りソウシチョウの囀りを聞く。いかにも生命力が強そうだ。生態系に悪影響を及ぼさなければよいが。さらに進み
、茶臼湖を見下ろす所でエゾビタキを確認。9月13日に来た時にも最初にエゾビタキを見た所である。同じ木にオオルリの若鳥もいた。羽の部分
に瑠璃色が出ている半成りである。しかし、驚くのことはもう少し先にあった。目立った梢という梢にはエゾビタキがちゃっかり止まっているではな
いか。これにはびっくり。初めて見る光景である。やがてその正体を現した。数十羽のエゾビタキが林から飛び出し頭上を越えて行ったのだ。今ま
さに群れとなって南下する様を目撃したのだと思う。日が差して急に小鳥たちが活発になってきた。エゾビタキの次はノジコの囀り。アオジと大変
紛らわしく大抵はアオジの場合が多いのだが、今回は近距離でおまけに望遠鏡を持参。顔をしげしげ眺めれば、ノジコの特徴である目の回りの
白い縁がはっきり見える。アオジとはあきらかに違う。ノビタキ、ビンズイも南下していた。ビンズイは里に降りノビタキは南国で越冬する。冬鳥の
姿はさすがに未だ無いようだ。コースの最後には牧場が広がる。ヒバリが3羽飛び回っていた。所どころに生えている木には大きな黒い鳥がすず
なりである。ハシブトガラスが50羽以上もいただろうか。茶臼山の頂上は10度を割って寒いほどであった。音羽町に戻りあらためてノビタキを探
してみた。茶臼山では電線に止まっていたが、こちらでは田んぼの畦が彼らの定位置である。
2003
10
5
室林道ラインセンサス
先週のはツクツクボウシが鳴いていたが今日は全く聞かれない。季節は疲れを知らないようだ。先週の室林道、寺ノ入林道、昨日の茶臼山では
様々な野鳥の渡りの姿を観察した。室林道にも期待して出かけたのであるが、その意味ではあっさりいなされてしまった。ヒヨドリとハシブトガラス
が最も活発であった。来週土曜日には伊良湖岬でヒヨドリに出会える。あの大集団で海を渡る姿をみると、今見ている個体は他所から来たのもの
かと思う。それとも出かける前の姿なのか?。どんどんと想像が膨らんできて愉快な気分になる。ヒヨドリは山を下りる時がある。シイたトチは大切
な食料源である。彼らはこうした常緑広葉樹の薄暗い中に居ることが多い。ヒノキやスギの実もよく食べる。食料が減ってくるといよいよ里に降り
てくる。正月明が多いようだ。
羽根・長根ラインセンサス
所々にヒガンバナの赤い花が残っているがもう盛りは過ぎた。換わって白・ピンク・赤のコスモスが風に揺れる。近頃は田んぼ一面に植えられたコ
スモス畑をよく目にする。ヒマワリ畑も多い。けちをつける訳ではないが、花の世界までも数の原理を取り込まなくても。自然に生えた路傍のコス
モス。当然ながら道路と田んぼの間の人が利用しない場所で居場所を見つけている。数は少ないが一つ一つが風に揺れ活き活きしている。田ん
ぼの真ん中のコスモスは息が詰まるのではと同情する。鑑賞する側も、何でもかんでも大量にあるのが好い事とばかりに噂やメディア記事をみて
見て歩く。古来からの花や鳥を愛でる気持ちはこれらとは一線を画すものだと思う。今日も数羽のノビタキが羽を休めていた。
西暦
月
日
メモ
2003
10
11
土曜探鳥会 伊良湖岬
雲が一面に覆っているが高い雲なので直ぐに雨が降る心配はなさそうだ。予定よりも20分遅れの6時50分に萩小を出発した。伊良湖岬恋路が
浜に8時40分到着。すでに駐車場には全国様々な地方のナンバープレートの車であふれていた。ヒヨドリの群れがビューホテルの裏からやって
来て灯台の裏山に下りる。あるときは楕円に、あるときは帯状になって飛んでくる。いつもの庭先で見かけるヒヨドリとは別物のようだ。上空には
ハヤブサが弱った鳥を見定めている。しかし、サシバの姿は3時間の滞在中1羽も見なかった。このようなことは非常に珍しいことだ。曇り空でも
渡っていった年もあった。メジロ、カケス、ハクセキレイも渡っていた。ハクセキレイはこの秋初めての確認だ。昨年もイソヒヨドリを確認したが、面
白いことに、同じ所(公衆トイレ)の屋根にいるのを発見。きれいなオスであった。2時間鳥の観察をした後はお楽しみの海岸での遊び。今日の海
岸はとても波が高かった。沖に高い波頭を見ると余計な心配をしてしまう。11時に岬を出発し、田原市(生まれてほやほやの市である)にそびえ
る蔵王山頂で昼食をとる。曇り空なのに視界は遠くまで見渡せた。南アルプスの3000m峰の連なりはもちろん、御岳、そして富士山までも。午後
3時前に音羽に戻ってきた。最後の観察は羽根・長根のノビタキ。サシバのように注目されることなくひっそりと渡る姿を是非見て欲しかった。
2003
10
12
室林道ラインセンサス
昨夜からの小雨もあがり雨に打たれてのセンサスはなさそうである。谷すじから霧がわき上がり幻想的な風景へと変えてゆく。昨日伊良湖岬でヒ
ヨドリの渡りを見た眼には、室林道でのヒヨドリの群れ行動に何か引っ掛るものを感じてしまう。明らかに群行動をしていると思われる個体は落ち
着きがなく慣れていないように見受けられた。(思い込みかもしれないが)まるで、他所から来た修学旅行生徒のようだ。急に室林道が賑やかに
なった。ヒヨドリについて一度過去のデータを調べてみよう。そして。ヒヨドリほど派手ではないが、ホオジロの囀り個体が増えた。夏以降囀りを止
めていたのが秋に再び囀るのが例年のパターンであるが、本格的に囀ったのは今日が最初である。ヤブサメのメスがいた。眉斑の淡さでメスとし
た。珍しかったのはアオバト。奇妙な声は間違えようがない。彼らも南下の途中なのか。
羽根・長根
ノビタキ1羽確認。昨日の個体とは場所が離れているので別だろう。やはり日々刻々と場所を移動しているのだろうか。さらに、昨日、この秋初確
認になるハクセキレイを見たが、今日も一羽確認した。灰色だったのでメスでは。
2003
10
18
羽根・長根
6名の子ども達が参加した。穏やかな秋の田んぼ道を歩く。あちこちでコスモスの花が揺れる。ススキやノギクが秋の風情を添える。野鳥の世界
も秋のステージへと衣替え。モズが競い合うように高鳴く。スコープでオスとメスの見分け方を説明する。群になって飛んでいるのはイカル。爽や
かな囀りの主である。萩小の前にこんもりと繁る木々にはイカルが多数止まっている。羽根のたんぼにはセキレイたちがいる。セグロセキレイは
留鳥であるが、この季節になると、ハクセキレイの姿を見ることができる。又、数は少ないものの、ビンズイの来る。ズイと鳴いて飛び去る。ノビタ
キが5羽を休めている。顔の色が黒く、繁殖羽の面影を彷彿とさせる個体もいる。突然、ヒバリが空中に飛びあがり春先のようなディスプレイをす
る。湿度の違いなのか声が微妙に違うように思う。音羽町運動公園には大きな音羽祭りの幕があった。ノビタキと音羽祭りとは私の中ではピッタ
リのものである。
2003
10
19
茶臼山ラインセンサス
紅葉の身頃で沢山の観光客が訪れていた。周回道路にはバイクの音がひっきりなしに響いていた。道路が拡張されたおかげでドライブは楽しく
なったであろうが、ここに生息する野鳥や動物たちには少なからず影響があるだろう。センサスを開始して30分。2種類のヒタキの地鳴きが聞こ
えた。ヒッヒッとジョウビタキ、ピヨピヨとキビタキ。キビタキの方ははメスであった。夏鳥と冬鳥がすぐ近くで鳴いているのも不思議な感じがする。ソ
ウシチョウは先回の時と変わりなく明るく囀っている。開けた草原にノビタキが1羽いた。彼らは1300mの茶臼山、500mの作手村、そして100
mの音羽町と、どこでも同じスタイルをつらぬき通して越冬地に向かっているように見える。「慌てず騒がず」である。茶臼湖から遊歩道を進む。村
道は今ラッシュアワーである。しかし、1歩遊歩道に入ると別世界が広がる。紅葉やカエデが彩り小さな沢音が響く。ウラジロモミやクロベの深い
緑も一層引き立っている。今、遊歩道を訪れる人はほとんどいない。車でさっと通りすぎるだけなのだ。耳を澄ますと様々な野鳥の声がする。コガ
ラ、シジュウカラ、アカゲラなど。コゲラは冬になってもガンとして山を下りない。従って、音羽でも、ヒガラは見るがコガラは駄目である。ベレー帽
が良く似合う愛らしい小鳥だ。目の前10m以内の所で、枝から枝へと餌を獲っている姿を見ることができる。11時30分になり早い昼食にする。
遊歩道脇にあるベンチの落ち葉をサットはらい、いなり寿司を広げる。本格的な冬鳥の飛来にはもう少し時間がかかる感じだ。今は、ちょうど夏鳥
と冬鳥の入れ替わるその時ではないか。
西暦
月
日
メモ
2003
10
24
琵琶湖 滋賀県湖北町
2000年に訪れたきりなので3年ぶりの琵琶湖である。北からの使者、それも飛びきりの大物に会いに来た。ガンとハクチョウ。正確に言うと、オ
オヒシクイとコハクチョウである。琵琶湖は静かであった。横目で湖面を見ながら長浜市から湖北町に向かう。カモたちが浮かんでいる。何しろ走
行中なのでしっかり確認はできないが白い大きな姿はコハクチョウであろう。野鳥センターの手前で面白いものを見つけた。ビオトープである。ビ
オトープとは、人工的に湿地などの景観を作り生物の多様化を復活させようとするものだ。びわ町「早崎内湖ビオトープ施設」と言うそうだ。驚いた
ことに、池の上をツバメが飛び交っている。茂みにはカモたちの姿が。オスはエクリプスのため種の判別には苦労する。マガモ、コガモ、ハシビロ
ガモ、オナガガモ、ホシハジロ、カルガモであろう。ゴイサギも結構多い。そんな中で一際大きな水鳥が4羽いた。オオヒシクイか?。一度ノートに
書いてから念のため図鑑を開いてみた。スズガモのメスのような嘴に接する部分の白さが気になったからだ。オオヒシクイにはそんな白い部分は
無かった。ガンの仲間を順に見ていくと、姿の主はマガンであることがわかった。自分としては初めて目にする姿であった。池を飛び立った4羽は
、ゆったりと大きな羽を羽ばたかせて編隊飛行をしている。ジェット機の曲芸飛行のようである。カモたちに較べ何と大きなことだ。オオヒシクイは
さらに大きく、コハクチョウはさらに大きい。湖北町営野鳥センターは3年前には一時閉鎖されていた。備え付けの望遠鏡で湖面を観察でき200
円の入館料は安いと思うが、大勢の人で結構賑わっていた。すぐにそれと分る位置にコハクチョウが若鳥を含め14羽、少し沖合いで肉眼では見
逃すほどの所にカモたちがいた。オオバン、ホシハジロが多く、それに混じってカンムリカイツブリ、ヒドリガモが見られた。オオヒシクイは湖面より
も陸地との境にいることが多い。彼らの餌になるのは、カモなどの海藻ではなく陸地に生えるヒシの種子である。従って、水位が高いと採餌には
困るのである。結局、オオヒシクイは確認出来なかった。しかし、今日は思いもよらなかったマガンに会えた。これ以上望むのは贅沢というものだ
。お昼前に、伊吹山の雄大な姿を眺めながら帰途についた。
2003
10
25
室林道&宮路山西切山林道ラインセンサス
室林道をセンサスしていたら山口さん(鳥の師匠)に会った。30年ぶりに宮路山でイスカを確認したとの事。自分は未だお目にかかっていない。
進化に興味を持ちイスカの食違った嘴の話しはよく聞くので、一度は見てみたいものだと思う。それも、地元音羽町で見たい。日本国中を旅して
探せば十分可能とは思うが、それでは面白くない。私の大きなネット(音羽から茶臼山までの)に掛かってくれたらと思うのである。そんな訳で室
林道を終えたら宮路山に行こうと思う。室林道ではヒヨドリとホオジロの囀り、それと、かなり大きな混群が印象に残った。ヒヨドリは元来騒がしい
鳥であるがいつにも増して大声を張り上げていた。ホオジロは秋に囀りのもうひとつのピークがある。繁殖行動の終えた今、囀りにどのような意味
があるのだろうか。私の考えでは、若いオスが来年のために予行演習をしているのでは、それを、若いメスが聞いてくれたら布石が打てるのでは
、などと思っているのだが。スタートして間もなくシジュウカラの群にエナガと少数のコゲラ、かなり多いメジロ、総数では50羽を越えるほどの混群
に出会った。トップランナーはエナガのことが多いが、今日は、シジュウカラが先頭に立っていた。数もエナガと同数くらいであった。以前にも、私
のセンサスの歩く速度と混群の移動速度がほぼ同じで、同じ群にスタートとゴールで出会ったことがあるとお話ししたが、今日も全く同じ経験をし
た。センサス速度は出来るだけ同じようにしているので、あながち偶然でもないのでは。シジュウカラが先頭であることは変わりが無かった。
イスカ見たさに宮路山(音羽町で最も有名な山)に行く。イスカは無理であったが、この秋初めてのジョウビタキに出会った。オスであった。半年ぶ
りの懐かしい姿を見て、心が癒される思いがした。それと、音羽の代表的な山を舞台に定期的なラインセンサスをしようかと考えた。すでに、十分
すぎるほどのフィールドを持っていてこなせない懸念は十分あるが、音羽の代表的地域を外しておいたままで良いのかとの気持ちも強い。
2003
10
26
我が家の周辺
2日ほど前からジョウビタキの声を聞くようになった。昨日は、宮路山で姿を見た。一週間前には茶臼山で確認している。例年、我家を含めた一体
を縄張りにしているのはオスの個体である。しかし、今日確認したのはメスでそれも2羽いた。当然、お互いに縄張りを譲る気配はないので縄張り
争いとなる。そこは、果樹や花木が植わっていて、日当たりが良く風も当たらない越冬には絶好の場所である。簡単には譲れないだろう。山陰川
沿いに歩いていたら、草むらからビンズイが飛び出した。ビンズイも山から降りて来た。それもかなりの高山から。地鳴きはズイと単調に鳴くが、
囀りは複雑な節回しで素晴らしいものだ。そんな囀りを標高1500mの長野県高嶺で聞いたことがある。朝から夕方まで完璧な快晴であった。プ
ロミナーを担いで家の近くをのんびり歩いた。野鳥観察の原点を楽しんだ。
西暦
月
日
メモ
2003
11
1
土曜探鳥会 室林道
子供8名と大人3名のコンパクトな探鳥会であった。行き先は室の集落を通って室林道まで。穏やかな秋晴れで歩くと汗ばむ。室の集落に入った
途端、1週間ほど前から見られるようななった、きれいなオスのジョウビタキに出会う。次いで、電柱の先で思い思いに鳴いているモズにスコープ
を向ける。ここでは、オスとメスの羽色の違いを知ってもらう。集落を抜けると室林道へのきつい登り道がある。薄暗い藪から、今年の秋としては
初めての、アオジの地鳴きを確認。今度は、アオジとホオジロの地鳴きの違いを説明。地鳴きの微妙な違を聞き分けるのは面白く、結構それだけ
でものめり込んでしまう。実際、ヒヨドリ一つをとっても様々な鳴き方をする。室林道では混群を見たが、小編成で、子供たちには分かり難かったか
もしれない。ウグイスやカケスの声を聞かれなかったのは残念であった。私としては、秋から冬にかけての前者の地鳴きは、心に染み入る感動的
なものと信じて疑わない。帰り道は、下り坂で楽なせいもあって周りの風景を楽しむ余裕がでる。逆光で、光と影の織り成す風景を見ながら帰途
についた。
羽根の田んぼとオシドリの池
ヒバリの囀りとノビタキを観察。ノビタキの南下は終わったと思っていたのに、早とちりしていたようだ。新堤池にはかなりのオシドリがいる。その他
には、カルガモ、マガモ、カワウ、コサギの姿があった。ここも、民家や工場に囲まれた野鳥の大切なオアシスである。安心して棲める環境を保た
なければならない。
2003
11
2
愛知県藤岡町 昭和の森
名前のとおり、昭和54年に昭和天皇が全国植樹祭にお越しになられた場所で、今では、生活環境保全林として整備され、観察、ハイキング、レク
リエション施設がある。秋に訪れたのは初めてである。音羽町よりも内陸性の気候であり、較べてみることには興味がある。7時30分に到着したと
きには10台ほどの車が並んでいた。ハゼやツタが赤く紅葉していて音羽町よいも早い紅葉である。これも、地形の違うためか。ホオジロ、カラ類、
などが多そうである。アオジも無論来ていた。ここまでは音羽と変わりない。しかし、山道のコースに入って様子は一変した。明らかにアオジやホ
オジロとは違う地鳴きがする。いくつかの声だけの後、ようやく正体を現わした。クロジとカシラダカであった。見事な墨色のオスのクロジがいた。
そして、クロジのメスかと思ったのはカシラダカである。いずれも、音羽町では今日現在で未確認だ。音羽でも早い年は今の時期で確認している
ので、藤岡町とそんなに差があるとは思えないが。昭和54年5月27日の昭和天皇・皇后両陛下は、ヒノキとハナノキをお手植えされた。その木は
直径20センチほどに育ち大切にされている。ここでは、音羽では全滅したマツが多数植わっていて、サンショウクイやイスカなどにも会える期待
を持たせる所である。小さな池にはカルガモ、カイツブリに混じってエクリプス姿のマガモがいた。
2003
11
8
寺ノ入林道ラインセンサス
センサスをしているとカサカサッと枯れ葉が地上に落ちる音がする。リンドウの紫色やノジギクの薄紫色が秋の落ち着いた雰囲気を醸し出す。シ
ジュウカラとヤマガラが今日の主役だ。シジュウカラは林床近くで餌を探す。成鳥に混じって、ネクタイの短い若鳥もすっかり一人前に行動してい
る。ヤマガラはシジュウカラよりも少し高い所が活動の拠点だ。樹冠付近はヒガラの居場所。今日も、1羽がきれいなソプラノで囀りをしている。し
かし、注意を引いたのはそれとは違う種類の声である。ギュンとかビュンと表わしたらよいか。鳥の声を表現するのはなかなか難しい。冬鳥の代
表である、マヒワの声であった。ヒノキの実を採っているようだ。日当たりの良い樹冠付近には沢山の実が付いている。とかく植林された木々は自
然でない、花粉症の元凶などと毛嫌いされているが、そればっかりではない。種子食の野鳥たちにとって大切な食物源である。フィフィとウソが鳴
いている。彼らの鳴き声は本当に控えめである。冬鳥が着々と遣って来ているのを感じさせる。音羽でもツグミが飛来した。ただし、人々の目に付
く田んぼに下りてくるのは、例年、12月の終わりの頃である。寺ノ入林道の帰りに立ち寄った作手村の田んぼには、ノビタキの姿は無く、代りに、
これも冬鳥の代表であるタヒバリの群が餌をついばんでいた。
西暦
月
日
メモ
2003
11
9
室林道ラインセンサス
投票を済ませて室林道へ向かう。薄雲がかかり舫った感じだ。時折晴れ間が覗き日が差す。やや風が強く吹き、急かされるようにして葉が一生を
終えていく。ヒヨドリたちの賑やかな声が林道に溢れる。山頂付近からグーンと飛びあがるタカがいた。この秋初めて目にするオオタカであった。
長めの尾には横縞がありカラス大のタカである。小刻みに羽ばたきと滑空を繰返し山の端に消えていった。11年前の11月に室林道でオオタカを
見たのが、鳥の観察にのめり込んだ大きな理由であった。昨日寺ノ入林道であれほどいたカラ類は、室林道ではほとんど目にしなかった。アオジ
は着実に多くなり、クロジもいるようだ。(地鳴きがよく似ていて判別者泣かせである)センサスの終点で腰を下ろしていたら聞きなれない声がした
。幸いにしてすぐに姿を表わした。先のオオタカだけでも満足なのに、さらにハヤブサの出現である。細い羽を強く羽ばたかせ上昇していく。しばら
くして円を描くように汎翔し始めた。小鳥たちの目だった反応はなかった。捕食者と被捕食者との関係はあらゆる所にある。
羽根・長根のたんぼ
タヒバリの澄んだ声が帰って来た。群になり、耕されて黒い地肌の田んぼで餌を捕っている。体の色が周りに融け込んで見つけ難い鳥だ。同じセ
キレイでもセグロセキレイやハクセキレイは白い部分があるので簡単に探し当てることができるのに。風は吹いていたがそれほど寒い感じはしな
い。むしろ、穏やかな秋の日と言ってよい。そんな日には季節はずれのヒバリのパフォーマンスを目にする。
2003
11
15
室林道ラインセンサス
萩小の学芸会をみてから室林道に向かう。子供たちは小鳥のように話し歌った。それだけ声がよく出ていた。子供に負けないくらい賑やかだった
のはヒヨドリ。木の中で、森の上で、とにかくよく鳴く。エナガやシジュウカラも負けてはいない。群をつくってつむじ風のように林道中を移動する。
センサスでカウントするとき気を使うのは同じ個体群をダブリカウントしないことである。しかし、これがなかなか難しい。心なしかウグイスの個体
数も増加したようだ。山がどんどん冷えてきて、里に下りて来ているのでは。例年、学芸会は2月頃に行なわれ、寒さに耐えながらの演技、鑑賞で
あったが、今日はその意味では大変楽であった。朝方、冬鳥の代表格であるツグミを確認したが、室林道でも声を聞くことができた。しかし、人の
目に止まるまでになるのにはあとひと月は掛かるだろう。曇り空の上、午後からの太陽の傾きは早くなってきた。日暮れ近くの室林道は、一日の
最後の賑わいを野鳥の声で締めくくっていた。
2003
11
16
茶臼山のツグミ
すでに音羽町にもツグミがやって来た。いまさら茶臼山でと思われるかもしれない。しかし、この時期、茶臼山の斜面を群になって旋廻する光景
が見られるのだ。その数およそ200羽あまり。ムクドリやアトリならば小さな群れかもしれないが、ツグミでこれほどの群れは簡単には見られない
。大陸から次々と渡ってきたツグミは、暫らくは山で過ごし、気温の低下とともに里に下りてくる。まさに、里に下りる直前の姿を見ていることになる
。前線の通過中茶臼山は雲の中にいた。10時過ぎころから雲が薄くなり遠くの山には日が照り始め野鳥たちが活発になった。ベニマシコが林の
縁を移動していた。紅色のオスも少し地味なメスもいた。カヤクグリがチリリ、チリリと鳴いている。はたしてこの鳥の声を音羽町でも聞かれるだろ
うか。潅木の下では若いオスのルリビタキが餌を探している。そして今日も気に掛かるソウシチョウの囀りがした。外来種であるソウシチョウが急
激に数を増やしていることを聞いた。この時期に囀りをしているとは。ブラックバスの二の舞にならねばよいが。他のペット同様、鳥を飼うときもし
っかり管理してもらいたい。今日の主役はツグミである。最初は数羽であったのが小さな群ができ、又群が集合して最後には100羽を超えるほど
になった。さらに、少し離れた場所で同規模の群が出来つつあった。全体では200羽以上になろうか。里に下りた後は春に北に去る時を除いて
群行動は起こさない。群で南下した後暫らくは群行動をとっているのか?30分ほどして群は解かれ、思い思いの場所に下りて休みそして採餌す
る。実のなる木々が豊富にある茶臼山は、疲れた体を休め栄養を補給するのに好都合な場所なのだ。1400mの標高は回りの山と較べ頭一つ
抜き出ており目印にもなり易い。そんなことで茶臼山にツグミが集まるのだろう。今日もいたが、カシラダカも繁殖地に向かう前、茶臼山で群をつく
る。そこではオスが集団で囀る。そんな茶臼山であるから、私にとって大切なフィールドになっている。
西暦
月
日
メモ
2003
11
21
茶臼山ラインセンサス
天気予報では朝から雨があがるはずであった。1週間前の、雲の中の鳥探しの様な事は無いだろうと思って来たのであるが。奥三河は今が紅葉
の最盛期である。赤というよりはレンガ色の紅葉が多い。それが素晴らしく美しい。ところが国道から茶臼山へのルートに折れ、見上げる先に茶
臼山の姿は無かった。厚い雲に覆われていたのだ。先週は車で回ったが、2週続けて車では情けない。カサを日本刀よろしく腰に差してラインセ
ンサスを開始する。視界は100m程で厳しい。こうなると声だけが頼りになる。ハシブトガラスが鳴く。霧の中のせいかまろやかに聞こえる。カシラ
ダカの地鳴きは、ぶつぶつとつぶやいているみたいで、聞き取りにくい方であろう。ホオジロのようにメリハリがない。それに較べ、ハッキリ鳴いて
くれるのはベニマシコ。フィ、フィと鳴く。しかし、ホオジロも似た声を出すことがあるので要注意だ。間違えようのないのは、チリリ、チリリと鈴を鳴
らすようなカヤクグリ。道中で3羽確認した。まだまだ平地に下りてくるのには時間がかかりそうだ。冬の茶臼山で魅力的なのはアトリ科の鳥たち
である。多いのはベニマシコとマヒワであるが、オオマシコやハギマシコといった珍しい鳥たちもいる。アトリ科の鳥は冬には群れになる習性があ
り、鳥によって群れの形が違う。カワラヒワよりもマヒワ、マヒワよりもアトリが密度が高いように思う。今日はアトリの初確認をした。オスの茶がっ
た羽色を乳のような視界でもはっきりと確認できた。茶臼山をぐるっと回ったが、どの場所からでもツグミの声が聞こえた。視界が開けていたら、
群れになって旋回する姿が見られただろう。訪れる人も無く、自分と茶臼山の二人だけの世界を満喫。そんな風流なことは言っておれない。腰に
差したカサが役に立つ時がきたのだ。
2003
11
22
土曜探鳥会 羽根・長根
7人の子どもたちと大人2人で通学路を歩いた。朝から北西の風が強く、いよいよ冬の探鳥会の始まりを思わせる。羽根・長根の通学路は昨年度
の探鳥会から続けて観察している。春先はタンポポが、早苗の初夏、日陰が全く無くて暑かった夏、ノビタキが休んでいた秋、そして冬の始まりを
思わせる今日の探鳥会。川原の下加茂神社付近の風景は素晴らしかった。シイの木が風に揺れそれに逆光が当たってきらきら輝く。柿の実が点
々となっている。ハクセキレイ、タヒバリなどの冬鳥を観察。メンバーに余裕がありそうだったので少し足をのばし、新堤池の水鳥を見ることにした
。四方を木に囲まれ回りから遮断されているせいかオシドリが毎年飛来する。草をかき分け鳥の見える所まで進む。カルガモ、マガモ、ヒドリガモ
などに混じってオシドリが池を行き来している。周りの木々にはアオサギやカワウが止まっているはず。晴れ間が広がるほどに北風が強くなって
きた。高い石垣の陽だまりのある小道で休憩する。
2003
11
24
室林道ラインセンサス
霞みがかかっていて折角の休日なのに天気は下り坂である。しかし、野鳥の観察には、風の強い快晴よりも曇り空だけれども穏やかな天気のほ
うがやり易い。それは、鳥たちの小さな鳴き声(つぶやきと言った方が当たっている)まで確認できるからだ。そもそも野山の鳥は海岸の鳥のよう
に姿をハッキリ見せるのはほんの一部に過ぎない。殆どは声が頼りなのだ。この時期に入って際立ってきたのは、ウグイスの個体数がぐんと増え
てきたことである。寒さが募ってきた証拠であろう。室林道(音羽町)としてはこの秋初めてミソサザイを2個体確認した。そのまま定着するというよ
りも、南下の途中ではないだろうか。ミソサザイには特別の思い入れがある。鳥の師である山口さんと、山を下りるミソサザイを何度も観察に出か
けた時期があった。そこで、ミソサザイの好む場所やウグイスとの地鳴きの違いなどを学んだ。山奥で聞く春先の囀りも無論好きだが、チョンチョ
ンと鳴きながら薄暗い林床で採餌する姿を見つけた時は野鳥を見始めた頃を思い出し、さらによく知りたいものだと気持ちを新たにするきっかけ
にしてくれ、自分にとって大変有難い鳥である。
2003
11
29
寺ノ入林道ラインセンサス
標高500mの作手高原は今が紅葉の見頃。クヌギなどが黄色やオレンジ色に染まっている。寺ノ入林道への道も落ち葉で道幅が狭く見える。カ
サを持参した方がよいか迷う微妙な天気である。一端車を離れたら途中でカサを取に戻るわけにもいかない。迷った挙句今日は無しとした。一時
パラパラと降られたが歩いて火照る体には気持ちが良いくらいだった。歩き始めて早速大きな声が飛びこんできた。ヒッヒッと鳴く鳥はジョウビタキ
かルリビタキである。どちらかは分からない。ルートの中ほどでも同様の声を聞いた。今度は姿を見た。見事なオスのルリビタキであった。ところ
が、ほとんど同じ場所にジョウビタキのオスもいたのだ。ジョウビタキが最初に縄張りを構えたあとルリビタキが標高の高い山を下りてきたのでは
。同種内での縄張り争いは激しいが近似種同士も時には激しく争う。これまでにもルリビタキとジョウビタキが小競り合いをする姿を何度も見てき
た。足元を見ればアオジが小声でスギ林の薄暗い床を移動している。それに較べて遠慮の無い大声で鳴くのはミソサザイだ。センサス中に3個
体確認した。こげ茶の体は回りの色に溶け込んで見つけるのは難しい。前にも言ったようにミソサザイには特別の感慨があり、こうして確認できた
ことは大変嬉しい。マヒワやアトリも期待していたのであるが確認できなかった。
西暦
月
日
メモ
2003
11
30
我家の周辺
家から1Kmくらいの範囲をゆっくり歩いてみた。川あり山あり田畑ありと野鳥の観察にはもってこいで、わざわざ遠出しなくても、と改めて感じさせ
てくれた。川沿いに歩く。葦が繁っている中からはホオジロ、アオジ、カシラダカの声が聞こえる。葦は枯れても刈らずに残しておいて欲しいものだ
。目の前を一直線にカワセミが通りすぎた。少し先で川面を眺めている姿があった。嘴からオスと確認。1年ほど前に堆積した土砂を除く工事をし
た後は深みが無くなって、カワセミの大切な食料源の魚が棲めなくなってしまった。しかし良くしたもので増水の度に川底が掘れ、そして、魚たち
の影が戻ってきたのである。頭上にはトビが輪を描く姿がある。そんな中にホバリングをしているタカがいた。最初はいつものノスリくらいに思って
いた。しかし、接近してきたのはオオタカであった。かなり風は強い日であったが巧みに姿勢を保ち、そして、一気に急降下していった。田んぼで
はセキレイ科のオンパレード。セグロセキレイ、ハクセキレイ、タヒバリが盛んに餌を捕っている。その鳥たちが騒がしく飛び立つシーンが何度か
あった。何かに怯えているのは間違いなさそうである。特別変わったことはない。トビが輪を描いているだけだ。ところが、トビよりもはるか上空に
ホバリングしているハヤブサの姿があったのだ。なるほど納得。タヒバリは30羽ほどの群れで飛び回り、他のセキレイは電線に止まっている。室
林道をセンサス中にオオタカ・ハヤブサを同時に見た日があったが同じ個体なのだろうか。
2003
12
6
土曜探鳥会 御津海岸
天気予報を見るかぎり探鳥会を行なうのは無理であった。早朝6時雨はやんでいた。子供たち16人の気持ちが通じたのか探鳥会が終了するま
で降ることはなかった。最初に向かったのは豊川河口。点々とカモたちの姿が見える。ホシハジロやキンクロハジロなどのハジロガモたちである。
盛んに潜ってエサを捕っていた。ここで用意した資料で淡水ガモと海ガモ(潜水ガモ)の違いを勉強。途中、カワウが波状になり編隊飛行をしてエ
サ場に移動する壮観な姿が見られた。そしてメインコースの渚方面に向かう。鏡面のような水面に淡水カモたちが憩う。オナガガモ、ヒドリガモが
多い。淡水カモは浅瀬で採餌する。逆立ちをしている姿も多い。マガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ、オカヨシガモもいた。多くの鳥が岸に上がり休ん
でいる。繁殖色のカワウも羽を乾かしていた。サオが立っている先に白いタカ、ミサゴの姿があった。スコープで眺め子供たちは口々にカッコイイ
と歓声を上げる。残りの1時間は遊びのタイム。思い思いに楽しみちょうど12時に帰ってきた。
室林道ラインセンサス
探鳥会を終えお昼ご飯を食べたあと直ぐにやって来た。今にも雨が降りそうな天気であるが明日は予定が入りやれそうにない。カサを持って室林
道を歩く。ヒヨドリやシジュウカラが活発に鳴いているのが印象的である。ヒヨドリが山を下りるのを見かけたことがある。正月早々初雪が降った朝
、多くのヒヨドリたちが山を下り、立ち木の枝にびっしり止まっていた。気になる鳥の一つミソサザイも3羽確認した。今日のような暗い日にこげ茶
色の姿を見つけるのは難しい。しかし、ミソサザイの性質なのか、縄張りへの侵入者への威嚇音を発してしまうため存在を知らしめることになる。
案の定、声の先には尾羽をピント上げた姿があった。2個体は林道を境に30mと離れていない山側と谷側にいた。境界線上では小競り合いがあ
るのだろうか。それとも一方が去るか。晴れていれば鳥の種類も違っていたかもしれないが、まずは晩秋の林道を観察できたのではと思っている
。
2003
12
13
茶臼山ラインセンサス
快晴の朝、白い月が浮かんでいた。どこかしこも雲のない上天気であった。ところが、茶臼山山頂は雲で覆われていた。スキー場の降雪機がか
すんで見える。木々にはある一方方向から吹きつけた雪が花のように付いている。気温はちょうど0度である。うっすら積もった山からカヤクグリ
の声がした。鈴のような、雪の景色に似つかわしいと思った。先回、茶臼山にはツグミが多数いた。既にツグミたちは平地に降りて来ているので
居ないと思っていたのであるが。しかし、予想とはうらはらに随分の個体数を確認できた。雪に覆われると採餌が地上性のツグミは都合が悪い。
果たしてツグミは山を下りるか(楽しみが又増えた)。雪の中で見る色鮮やかな鳥たち、息をのむほどである。今日のベニマシコは正にそんな感じ
だった。山を半分ほど回ったころ、1羽のタカが旋回しながら山頂を横切って消えた。いつものノスリかな?くらいにあまり気を止めていなかったが
、頭の上で広げられた羽色はノスリのものではなかった。横縞の鮮やかなオオタカである。茶臼山でオオタカを見るのは珍しい。被捕食者と一緒
に山を下りるとばかり思っていたから、自分の頭の中では、冬期にオオタカは居ないだろうとさえ思っていた。これは、認識を改める出来事である
。いつの間にか日が差し雪が輝き出した。白銀の南アルプスが手に取れるくらい近くに見える。しばらく鳥を忘れて美しい山々に見惚れた。
西暦
月
日
メモ
2003
12
14
室林道ラインセンサス
ようやく冬晴れが訪れた。葉を落とした梢がぬける青空にとけ込む。まだまだ紅葉が残っているが空の色は冬のものである。こんな天気の中を野
鳥の見て歩くのは何物にも換えがたい。ウソ、ミソサザイは定着しているようだ。そして、マヒワがギューンと鳴くのを確認できた。ジョウビタキ、ル
リビタキもいる。一番印象に残ったのはネクタイがまだ完全につながっていない、シジュウカラの若鳥たちの元気いっぱいの姿である。ヤマガラや
コゲラを引き連れていた。狩猟期の室林道はハンターたちの車が行き交う。シカやイノシシが狙いだ。気の毒なことだ。その点安心なのはニホンリ
スたち小動物とニホンザルだ。真っ赤な顔の大人ザルが見張りに立ち、群れで移動しているのに出くわした。子供ザルが可愛らしい顔でこちらを
見ている。農作物を取られたりで被害は結構多いのだが。木の枝が大きく揺れのはノホンリスが移動しているときだ。ちらっと目が合ったりする。
2003
12
17
佐鳴湖
日本野鳥の会刊「日本の探鳥地」によると佐鳴湖はミコアイサの飛来地とある。一度見てみたいと思いやって来た。カーナビのおかげで迷うこと
なく到着。三方ヶ原台地の窪地にある感じで思ったよりも広い湖である。2本の川が水源となっている。湖面を見渡してみると水鳥はぽつんぽつん
といるだけでとてもミコアイサは期待できない様子。それでも気を取り直してしらみつぶしに確認する。長い首をひょこんと水中に潜りこませている
のはカンムリカイツブリ。近くではカイツブリがやはりさかんに潜っている。黒いオオバンが首を振っている。逆光ではあるがヒドリガモとホシハジ
ロがまとまっている。岸の近くで休んでいる感じだ。対岸は佐鳴公園で岸辺の道を散歩している人々が見える。近くに20羽くらいのユリカモメが飛
び立ち騒がしく旋回している。どうやら、散歩中の人がエサを放り投げている様子。湖面を丹念に見ていく。カンムリカイツブリ、ユリカモメ、またカ
ンムリカイツブリ。すると、1羽だけ様子の違う水鳥がいた。白に黒い模様。念のために図鑑を広げてみる。ミコアイサであった。たった1羽でぷか
ぷか浮かんでいた。自分としては初めて見るミコアイサであった。
天竜川河口
せっかく浜松までやってきたのだから天竜川河口まで行ってみようとカーナビをセットする。初めての道だけれども全く迷うことなく目的地と到着し
た。堤防から富士山を望むとこができる。河口の砂州に白い鳥たちがいる。望遠鏡で確認する。大きいのはセグロカモメ。小さいのはウミネコであ
った。ここ2~3年は以前よりもカモ類の姿が減っているように思えてならない。コハクチョウの姿を見たこともあったのだが。
2003
12
20
室林道ラインセンサス
初雪の朝、娘を職場に送ったあと室林道へ向かう。4WDで難なく室林道の入り口に到着する。細かなさらさら雪だ。さすがに野鳥の動きは鈍い。
体の大きなヒヨドリがひとり気を吐いている。まだ新しい獣の足跡が付いている。ミソサザイが警戒の声を上げた。いつもいる個体だ。今日は林の
床までうっすら雪が積もっているので、こげ茶色の体が浮き上がって見える。そのせいか分からないが少し高い枝に止まっている。突然山から谷
へと林道を横切って繁みに隠れた。センサスのゴール地点で大形の鳥が飛び去って行った。薄い茶色がかった色の背中が見えた。かなり大きい
。いつも見るノスリとも何か違っている。カーブの先で木に止まっている姿を見て驚いた。なんと、フクロウがこちらを見ていたのだ。声を聞くことは
あっても姿はなかなか見られない。過去にも2~3度くらいしか記憶にないほどである。これも雪の日にもセンサスを欠かさなかったプレゼントか
?
羽根・長根のたんぼ
雪の日の田んぼの観察は大変興味深いものだ。常には田んぼでエサを取っていたのが急に出来なくなってしまう。だから、鳥たちはあの手この
手でエサを探さなければならない。案の定、農道沿いホオジロやタヒバリたちで賑わっていた。車で近くまで寄っても知らんふりして餌を探している
。気温も低い。餌を取らなければ生きては行けない。ヒバリが20羽くらいの群れになって田んぼの上を回っていた。クリの木には薄茶色のチョゲ
ンボウが止まっていた。カシラダカの群れを貫通する鳥がいた。あきらかに飛び方が違う。どうやら、近くの山陰川から飛び立ったカワセミのようで
ある。道で餌をとるタヒバリたちを間近にみると腹にはうっすらと夏羽のベージュ色が差していた。
西暦
月
日
メモ
2003
12
21
寺ノ入林道ラインセンサス
作手村への登り道から一面の雪景色である。4WDのおかげでここまでやって来られた。寺ノ入林道は5cmくらいの積雪で、雪の浅い轍の跡を
踏みしめてのラインセンサスとなった。快晴に山の雪が眩しい。林道に入る前にカヤクグリのこげ茶色い姿を確認する。室林道でもそうであったよ
うに、雪にも負けずに鳴いていたのは体の大きなハスブトガラスとヒヨドリであった。その他の小鳥が活発になるのはやはり雪が融けてからなの
か?少しではあったが確認できたのは、シジュウカラ、ヤマガラ、ウグイス、メジロ、ホオジロたち。1羽のルリビタキのオス(成鳥)は薄暗いスギ林
の中にいた。雪の中にいてくれたらさぞかし見事であったのに。雪道で面白いのは、足跡からどんな動物が通っていったんだろうと想像することだ
。無論、一目で言い当てられる人もいるだろうが。残念ながら自分には想像するしかない。雪道を歩くのは思いの外疲れるもので、センサスの降
り返し点はいつもより手前にした。最後に数羽のベニマシコを見る。いずれも地味なメスであった。とそのとき、1羽のオスが群れに加わった。雪の
中の紅色が鮮やかであった。
2003
12
21
金沢大池
三河湖から作手村を経由し新城まで降りてきた。道路のいたる所に雪が残り4WDとはいえ気を緩められない。新城まで来てほっとする。ここから
、一宮町金沢大池までそんなに遠くない。少しの寄り道と思い江島で豊川を渡る。金沢は冬の景色が最高だ。静岡県堺の弓張山系と東三河の秀
峰本宮山系に挟まれた吉祥山の麓にある。カキの栽培が盛んで一面のカキ畑になっている。雑木林と畑、田んぼが入り組んでいて典型的な里
山風景だと思う。池にはカモ類が飛来する。今日も、マガモ・ヒドリガモ。オカヨシガモ・オナガガモ・キンクロハジロ・ホシハジロが羽を休めていた。
雑木林には、ヒヨドリ、ツグミが多く、数羽のシメの姿があった。タカの姿も多い。運良く、オオタカとノスリを確認することができた。オオタカはキジ
バトに狙いをつけ追いかけ回したのであるが、どうやら逃げおおせたようだ。カキ畑の下ではツグミたちが餌を探していた。私の足音を聞きつけ一
斉に付近の林に隠れた。相当数の個体がいたものと思う。よく澄んだ冬晴れの道を歩くのは気持ちいい。時折深呼吸する。体の中から浄化され
るようだ。
2003
12
27
室林道ラインセンサス
素晴らしい青空。多くの落葉樹は葉を地上に返し繊細な小枝が青空に溶け込みそうだ。最初に出迎えてくれたのはルリビタキの囀りであった。平
地での囀りは稀と言うほどではないがそんなに頻繁に聞かれるものでもない。常には、ヒッヒッやカカッとジョウビタキとよく似た地鳴きを聞くことに
なる。私には、地鳴きでジョウビタキと区別することは未だに叶わない。囀りの主も姿を現わした。未だ青色になっていないオスの若鳥であった。
オスの若鳥とメスの成鳥との区別も難しい。このように囀ってくれたら簡単なのだが。カケス、ウグイスいつ聞いても心にずんとくる声だ。ウグイス
はチャチャと鳴く。1年中このように鳴いてはいるのだが冬ほど似つかわしい季節は無い。ウグイスに似た声で鳴いているのはミソサザイだ。体は
日本で2番目に小さく赤ミソのような色である。早春には奥三河の山々の渓流で素晴らしい囀りを聞かせてくれる。鈴のような澄んだ声で、これに
はどんなコロラテューラソプラノ歌手も舌を巻くだろう。今年もウソがやって来た。喉もとの紅色が綺麗なオスが数羽サクラの花芽をポリポリとやっ
ている。サクラの花が無くなってしまうのも少々寂しいがウソの花を見られるからまあいいか。シジュウカラの群れが餌を探して移動していた。地
上付近を探す者や木の中ほどを探すものさまざまである。アオジやシロハラは落ち葉を掻き分けて採餌する。カサカサと音がしたら彼らがいる証
拠。今日一番の出来事。シロハラのような声が聞こえたので姿を探す。ヒノキの林にいた。ところがシロハラらしくない体色に驚く。背中は真っ黒で
腹は白い。お尻部分が見えたが、白に黒い斑点がある。これではクロツグミになってしまう。フィールドガイドによれば、南西日本で越冬するらしい
。これから南下するのだろうか。
2003
12
29
羽根・長根ラインセンサス
空には卷雲が広がり弱い北西の風が吹いている。手袋も要らない暖かな日よりである。草紅葉が日の光に透けて綺麗だ。ホトケノザの小粒なル
ビーのような花がひとつ足元で咲いていた。ヒバリとタヒバリの鳴く声がする。両方とも田んぼの中にいると姿が分かり難い。その点、その他のセ
キレイたちは探しやすい。ハクセキレイ、セグロセキレイが田んぼや川の流れの中で餌を探している。冬にはキセキレイの姿もよく見る。冬鳥の代
表的なのはツグミであろう。そろそろ田んぼに下りてきてもと思うのであるが、今のところごく僅かしかいない。カワラヒワの大きな群れも見かけな
い。数羽程度の群れで採餌しているのみだ。ツグミとカワラヒワについては過去の記録と較べてみる必要がありそうだ。
西暦
月
日
メモ
2003
12
30
茶臼山ラインセンサス
茶臼山の周回道路は冬期通行止めに入った。足元のよい所を選んで歩く。茶臼山スキー場は大勢の人達でごったがえしている。当然ながら道を
歩いているのは自分一人だ。標高900mの麓ではアオジやカシラダカがいた。1300mの山頂付近ではどんな光景が見られるのか。10cmほど
の雪を踏みしめてゆくが、これが結構疲れる。気温はマイナス1度。しかし、1歩1歩雪に潜る歩を進めるうちに汗をかいてしまった。鳥の影は極
めて少なかった。ハシブトガラスとヒヨドリ。厳しい条件でも必ずいる鳥の定番だ。雪景色の室林道・三河湖でもそうであった。体の大きさが役にた
っているのだろう。カワラヒワが5羽群れになって飛んでいった。マヒワでなかったのが意外であった。牧場の近くで、心なしか元気の無い小声で
ホオジロが鳴いた。それでも、ホオジロはどこにでもいる鳥のひとつである。やはり雪の影響は大きかった。小型で脂肪の蓄えの少ない野鳥たち
はじーっと雪が解けるのを待ってしまったようだ。野外活動ロッジを過ぎコースの最終コーナーに近づいたとき、道と同じくらいの位置から飛び去
った大形の鳥がいた。空に舞いあがるのではなく、数mの高度を維持して雑木林に消えていった。フクロウであった。期せずして雪の室林道でフ
クロウを確認したのとダブった。センサスの最後のご褒美なのも同じであった。駐車場に戻りほっとする。
2004
1
1
04’元旦 室林道ラインセンサス
穏やかな元旦を迎えた。急いで雑煮を食べ犬の散歩を終えた。向かうはやはり原点である室林道。風が無いせいか野鳥の声も多い。数の多い
のはやはりヒヨドリ。ペアであったり数羽の群れであったり、様々な声で鳴いている。体の大きさと声の大きさで損をしていて多少気の毒である。
日本鳥の代表ウグイスも渋い笹鳴きを聞かせてくれる。林道沿いにソメイヨシノが植えられている。今年の春も昨年に続いて花の期待は遠のいた
。ウソたちが美味しそうに花芽を頬張っているからだ。日向のウソに対して日陰のシロハラ。ヒノキの若木の枝に2羽潜んでいた。薄暗い林の床に
下り餌を捕るのがかろうじて見える。大変臆病な鳥で大声を上げ逃げていくばかりである。その点カラ類やメジロは近くに寄っても恐れない。今日
もシジュウカラやメジロの可愛らしい姿をたくさん見た。カヤクグリの気配が無いのが気がかりだ。もう2年ほど見ていない。茶臼山ではあんなに
確認できたのになぜやって来ないのだろう。
2004
1
2
寺ノ入林道ラインセンサス
雪の寺ノ入林道を経験したあとの穏やかな小春日和のような中を歩いた。日陰には解けた雪が残り、滑らないように気をつけながら歩いたことを
思い出させる。そのときは大型の鳥たちが主役であったが、今日は、冬鳥たちの独壇場である。林道の全コースで耳から離れなかったのはマヒ
ワたちのお喋りであった。前にも書いたことがあるが、スギ・ヒノキの種子は鳥たちにとって大変大切な食料源である。ハンノキの実も大好物では
あるが多分直ぐに食べ尽くされてしまうであろう。その点スギ・ヒノキは豊富だ。それから、アトリの群れにも出会った。やはり、スギ・ヒノキの実を
食べていた。エナガ・シジュウカラの混群はあっという間に通り過ぎていった。先ほどから気になる声がする。アオジではない。クロジかカシラダカ
か。カシラダカの姿も見ていたからカシラダカだろうと決め付けた途端、姿を現わしたのはクロジの方であった。薄墨いろのオスとカシラダカにも似
ているメスの群れが10羽ほど、林道の斜面にあるアカマツの実生木の中を移動しながら餌を取っている。図鑑などでクロジはアオキの生育する
薄暗い場所を好むとあり、体色からも薄暗い場所ででひっそりと採餌するイメージであったが、室林道でも愛知和の森でもクロジを見つけた所は、
今日のようなアカマツの生い茂る日当たりのよい場所であった。南回帰線を折り返した太陽はまぶしく本当に気持ちよい風景が広がっている。幸
せなひとときである。
2004
1
3
土曜探鳥会 豊川自然歩道・財賀寺
1月恒例の探鳥会は遠足を兼ねた財賀寺。今年は第1土曜が正月3日。果たして参加してくれるのか心配であったが8名の子供が来てくれた。本
当に気持ちのよい快晴の空を仰いで出発。まずは平尾町に向かう。最初に出会ったのはマヒワの群れ。ハンノキの種を食べている。青空に鶸色
が美しく映える。平尾カントリークラブ内ではジョウビタキ・コガモ・カワウを見つけた。そして豊川自然遊歩道に向かう。贅沢にも落ち葉の絨毯を
踏みしめて歩く。そこで子供たちに大きなお年玉があった。ぬいぐるみのようなニホンリスが見られたのだ。スルスル枝から枝へと渡っていく。本
当に上手なものだ。子供たち全員が自然の中でリスを見たのは初めてであった。財賀寺は初詣の人達で賑わっていた。奥の院では甘酒を頂き、
口々に「正月に来て良かった」。お楽しみの弁当を食べたあと暫らく遊ぶ。大人3
名は昼寝を楽しむ。午後からは雲が広がり風の強まる。あえぎあえぎ財賀寺の裏山を越えて音羽町へ戻る。
2004
1
5
室林道ラインセンサス
久しぶりにアカゲラを見た。オオマシコやベニマシコなど赤い鳥には魅力があるがアカゲラほど赤の鮮やかな鳥はいないだろう。寺ノ入林道と同じ
ようにマヒワの鳴き声がいたる所でしている。ウソもサクラの花芽を食べている。飛行機雲が2本平行に出来、やがて少しずつ幅が広がっていっ
た。穏やかな空だ。
西暦
月
日
メモ
2004
1
10
羽根・長根ラインセンサス
太陽は西に傾き羽根の田んぼオレンジ色に染まり始めた。ロゼッタ状の葉の真ん中に黄色い花を付けたタンポポがちらほら。長方形のコースの
長辺の中央を水路が流れているが、そこにはホオジロの群れがいる。風除けにもなるし常に水が流れているので水浴びもできる。したがって、め
ったに餌食にはならないとはいえ油断ならないモズが必ず目を光らせている。夕方も近づきトビたちがどこからともなくやって来て輪を描いている
。スズメの群れがビニールハウスの屋根に一列にとまっていた。群れといえばカワラヒワであるが、この冬未だに群れらしい群れにはお目にかか
っていない。せいぜい20羽くらいだろうか。今日一番の群れはタヒバリで50羽ほどであった。声はしていたが姿は見えないそんな状態がしばらく
続き、やがて目の前を横切るようにして群れは飛び立った。タヒバリの群れはカワラヒワほど密集していない。だからカウントの精度も高くなる。そ
の点、先ほどのカワラヒワやスズメ・アトリは群れの密度が高く個体数のカウントも容易ではない。カシラダカは中間くらいか。畦を通って水路を覗
き込む。こうして今までにホオアカやセッカの越冬を観察してきた。今日はいなかった。最後に、クラブ活動から帰ってきたユタカくんと鉢合わせる
。彼は昨年まで土曜探鳥会のリーダーであった。にきびでいっぱいの顔は小学生の時のものとは違っていた。
2004
1
17
雪の朝
天気予報どおり夜半からの雪が降っていた。12月にも雪で探鳥会を中止したがまたもや。仕方がないのでそのまま羽根・長根の田んぼに一人で
出かける。雪の日は常には見られない光景を目にすることができるからだ。広い田んぼで自由に採餌していた小鳥たちは雪に遮られて採餌可能
な場所に集まってくる。予想どおりこの冬一番のカワラヒワの群れを観察することができた。その外特記事項としては、タヒバリやカシラダカなどの
冬鳥に混じりイソシギが見られたことだ。シギ・チドリの飛翔力は野山の小鳥には無いものだ。どちらかというと野山のとりたちに親しみを感じるが
、こと飛翔となると、海鳥のすばらしい飛翔に軍配を上げてしまう。農道や畦など、少しで地表が出ている所にはお腹を空かせた鳥がえさを漁って
いる。さらに時間がたてば、車で近づいても採餌に夢中になり逃げなくなるだろう。このように雪は、常には見られない鳥たちの行動を目の当りに
させてくれる貴重なものなのである。
2004
1
18
室林道ラインセンサス
凍った道路に足をとられないよう十分気を付けなければならない。エナガの群れが先を進んでいく。時折ウグイスとシロハラが暗い林の下で鳴く。
ハシブトガラスが2羽で鳴き交わしている。ウソがサクラの花芽を啄ばむ。オスの喉もとの紅色と青い空との対比が鮮やかだ。雲があるものの風
は弱く少し薄い青色である。青空をバックにマヒワの群れがハンノキの実を啄ばむ。鶸色が美しい。小さな体は、細い枝先にある実を食べるのに
たいへん適している。冬至を過ぎ日差しが戻ってきた。そろそろカラ類の囀りが聞かれる頃である。今日も囀りをするようなそぶりを見せたシジュ
ウカラがいた。
2004
1
24
自宅周辺
朝から賑やかに、山陰川沿いに植わっているソメイヨシノに止って鳴いているツグミたち。どうやら威嚇しあっているようだ。そろそろ田んぼに下り
てきてもよさそうなものである。ツグミは個体間の色の変異が大きい。今朝見たのは茶色系の綺麗なオスだった。同じサクラの木にはヒヨドリとモ
ズもいた。モズの方は我が家の近くを縄張りにしているオスではないだろうか。ジョウビタキのオスも我家を縄張りの一部にしている。部屋からも
見回りの姿を見ることができ、思わず、「ご苦労様」と言ってしまいたくなる。
羽根・長根の田んぼ
1週間前の雪の日には野鳥たちが群れになり餌を探していた。雪の日ほどではないが、カワラヒワやタヒバリ、カシラダカの群れを観察できた。ツ
グミほんの数羽を確認したのみでは殆ど見かけない。
駒場調整池
雨らしい雨が降らないため水位がかなり低くなっていた。池の周回する道路を歩いてみた。ウソのメスが2羽、ルリビタキの若鳥のオス、ツミらしい
小型のタカ、そして今年初めてのヤマガラの囀りを確認する。マガモ・カルガモが湖面を静かにすべっている。
2004
1
25
室林道ラインセンサス
歩いている所では枝の揺れは無いのだが山が鳴っている。高圧の送電線に2羽のハシブトガラスが止っている。風圧で頭が歪んで見える。全般
的にみると個体数が少ない。特にウグイスの地鳴きは全く聞かなかった。頻繁に出会ったのはウソ。相変わらずサクラの花芽を啄ばんでいる。こ
の分では、昨年に続いて室林道のサクラ並木は寂しいことになりそうだ。マヒワも声はよく聞こえるのであるが群れで飛ぶ姿は見られない。涌き
水が凍ってつららになっている。この冬初めての光景である。やはり厳しい寒さが観察個体数の減少となっているのだろう。
西暦
月
日
メモ
2004
1
31
豊田市自然観察の森
豊田市は近年自動車産業の街として大発展した。人工増加と共に住宅地造成が次々と進み里山と称していた所が団地になった。そんな中で、貴
重な自然を守ろうと市立の観察の森が出来たのだろう。外環状線に入り口がある。交通量は相当なものであるがネイチャーセンターからは車の
騒音は全く聞こえない。本日は仕事仲間3人と「冬の森」をテーマにした観察会に参加した。従って、バードウオッチングだけではない。天候が良
すぎたせいか野鳥の影は少なく、自然と興味の対象は昆虫の越冬になった。30名の参加者には何度も参加している人もいてなかなか詳しい。オ
オゴキブリが見つかり一同大喜びの状態。野鳥は触れる事すら叶わないわけだから昆虫はいい。しかし、メンバーの人は越冬中の昆虫の身にな
っていたか?。考えさせられた。観察会の前に見た寺部池は里山の景観を残した静かないい場所であった。高さが3mほどもある大岩が田んぼ
の縁に鎮座しているのが大変印象に残った。
2004
2
1
室林道ラインセンサス
今週は暖かい日が続いた。野鳥たちにとっても過ごし易かっただろう。室林道全体としてはマヒワの呟きのような声が響き渡った。呟きでも数がま
とまると煩いほどになるものだ。藪からはシジュウカラがもう少しで囀りとなりそうな声で鳴く。2種類のヒタキも何度も姿を現わした。ルリビタキの
方はオスの成鳥・若鳥・メスと識別テストを受けているようだ。ミソサザイも3個体確認。1羽は目の前に現れ、尾羽を立て、威嚇するそぶりを見せ
て去って行った。けれども、今日一番の驚きは、マヒワを眺めていた左後方のマツの枝にヒヨドリほどの鳥が止ったことである。距離にして10mも
ないほどだ。お腹のオレンジ色でツミのオスであることが分かった。鉤状の嘴は猛禽の証だ。近くでマヒワとウソが餌を取っている。さてどうするか
。体を動かさないようにしてじーっと待つ。やがて彼はウソがいる方向に飛び姿を消した。
山陰川
山から下り水辺の鳥を見て回った。音羽町には音羽川と山陰川が流れている。我が家の近くを流れるのは山陰川である。東名が横切る下流は
護岸工事の無い自然のままの川で好きな場所である。葦の生えた河川敷にはアオジ、ホオジロ、カシラダカたちがいる。葦に付く虫を餌にしてい
るようだ。メジロたちもよく見かける。下流に向かって歩いてみる。名鉄の線路、国道1号線は潜って渡る。山陰川の名前は音羽川との合流地点で
終わる。両方の水が流れているのだが片方の名前しか使えない。人間の世界を思わせる。その意味で、川の流れを人生に喩えても間違いでは
ないだろう。チュウサギとカワセミがじーっとしていた。カワラヒワやスズメが群れになり堤防と河川敷を往復している。川魚の影は無かったが大き
なコイが悠々と泳いでいた。
2004
2
7
土曜探鳥会 室林道
おそらく一年のうちで最も寒い探鳥会だろう。それでも10名の子供たちが参加してくれた。対する大人は4名。この中のお一人に豊橋から参加頂
いたTさんがみえる。「音羽の野鳥HP」をご覧になって室林道を歩いてみたいと思い立たれた。萩小校庭からイカルの爽やかな囀りが聞こえる。
すぐそばのヤナギのような梢にスズメが群れになっている。歩き始めてしばらくすると、様々な野鳥が姿をあらわした。ヒヨドリは勿論、ツグミ、メジ
ロ、ジョウビタキなど。地上に下り立って採餌する様子を観察する。室の民家からいよいよ室林道に入る。ノスリが円を描き帆翔している。ハシブト
ガラスが追いかけっこしている。道端の繁みではアオジの地鳴きがする。室林道のサクラの花は今年も期待できそうにない。数羽のウソが花芽を
啄ばんでいる。林道に入った途端薄雲が広がり寒さを感じるようになる。中には半ズボンの子もいる。やがてマヒワの声がした。ヤシャブシの実に
つかまりながら中の種子を食べている。ひとつ拍手を叩いてみる。総数30羽くらいの群れが飛び立った。しかし、直ぐに舞い降り食事に精を出す
のだった。林道から眺める豊橋方面の景色は紫いろに染まっていた。落葉樹と常緑樹が斑模様となってどこまでも続いている。近くを見れば唯一
の赤色であるヤブツバキの花が鮮やかだ。
2004
2
14
金沢大池
尾西市の堀田さんと金沢大池周辺を歩いた。氏は高校で生物の先生をされている。教材ビデオ制作をライフワークにされていて、インターネット
で適した場所を探していたところ、音羽の野鳥ホームページ記載内容をご覧になり興味を覚えられご一緒することになったのだ。天気予報どおり
春のように暖かく散策日和であった。大池では、近頃には珍しく、マガモ・ヒドリガモ・キンクロハジロ・ヨシガモなどまとまった数のカモたちが羽を
休めていた。雑木林に囲まれた畑では農家の人達が春を前にして、カキの木の枝を選定をしたり、幹に生えたコケをこそげるなどの手入れをして
いた。田んぼのあぜ道からはホオジロやカシラダカが飛び立ち雑木の梢にとまった。また、その梢にはアカゲラ、シメ、ツグミたちもいた。歩きなが
らお互いの苦労話しなどをした。氏のお話にはいちいち共感できるものがあった。本当に気持ちの良い日だったので、今度はこちらがお願いして
音羽町にも寄ってもらうことにし室林道をいつもの通り歩いた。午後1時過ぎと時間が時間であったので鳥の声は少なめながら、所々に咲いてい
るヤブツバキを探すうちに2時間ほど経過していた。最後にビデオの制作が終えたら是非見せていただくことを約束しお別れした。
西暦
月
日
メモ
2004
2
15
室林道ラインセンサス
昨夜からの雨が未だ残っていて時折パラパラとくる。フィールドノートが濡れては困るので傘を持参してのラインセンサスとなった。双眼鏡は防水
ではないが多少の雨ならば大丈夫。しかし、フィールドノートが濡れてしまう。水性インクは直ぐに滲んでしまう。ホオジロとシジュウカラの囀りを聞
く。ただし、ほんの少しだけ。今日もウソたちがサクラの花芽を食べている。同じ個体群を見ている可能性もあるが、およそ20羽くらいであろうか。
同じような行動を見た。エナガ1羽、ヤマガラ2羽。彼らは、必要以上に大騒ぎしながら枝から枝へと移動していた。ほかの個体に何かを知らせて
いるようにも見られるのだが。空の方は雨も上がり、北西の風に乗って雲がどんどん通過していく。クロジが鳴いた。ホオジロ類も地鳴きはなかな
か難関である。ホオジロは2度チチと鳴くとあるが、チと鳴くこともある。アオジはジと少し濁っている感じ。クロジは澄んだチ。カシラダカは弱いチ。
ウグイスとミソサザイの差よりもだいぶ小さい。センサスを終えてスタート地点に戻った途端、30羽ほどのマヒワの群れが飛び去った。
2004
2
18
寺ノ入林道ラインセンサス
今年2度目のラインセンサスである。山全体が鳴っている。風は強いけれども寒くはない。ここは標高600m余り、音羽町に比べ5度は気温が低
い。日の当たらない道路には雪が残っているので滑らないように気をつけなければならない。ホオジロとシジュウカラの囀りを聞く。囀りらしい囀り
を聞いたのは今年初めてだ。また、空を見上げれば、羽を広げたノスリが円を描いていた。ガーっとカケスが鳴く。まさに、清閑とした今の季節に
似つかわしい声だと思う。その他の鳥たちの声は微かだ。スギ林の樹冠で確かに鳴いているのではあるが声が小さ過ぎて種を特定できない。位
置からしてヒガラではなかろうか。林道を通してみるとカラ類が多いように思えた。マヒワの声も聞かれたが個体数までは確認できなかった。最後
に素晴らしいプレゼントがあった。ヒガラが美しいソプラノで囀ってくれたのだ。
2004
2
21
羽根・長根ラインセンサス
今週は冬の天気がどこかに行ってしまったかのような陽気が続いている。昨日、朝のラジオで、ヒバリの初囀りの便りを放送していた。多分、羽根
・長根の田んぼでも囀っていたのではなかろうか。何時もならば、まだまだ北風が強いはずの田んぼ道を歩く。本当に暖かく穏やかな日和である
。あちこちで、ウオーキングする人を見る。早速ヒバリのパフォーマンスを見る。2羽のオスが囀りながら上昇していく。地上では、メスたちの目が
注がれていることだろう。前にも言ったが、100mを歌いながら全速で走るのと同じで、人間には到底できる芸当ではない。ツグミも個体数が増え
てきた。人間が田んぼを耕作し、野鳥が地中から出たミミズなどのご相伴に預かる。共生とは言えないかもしれないが、鳥の生きる知恵と言って
良いだろう。ツグミが単独行動なら、群れ行動を得意とするのはムクドリだ。どこからともなくやって来て、かたまって餌を取っている。タヒバリもま
た群れをつくる習性が強い。ただし、その密集度合いはカワラヒワやスズメほど高くない。タヒバリの腹部はピンクの繁殖色が出ている。畦に咲く
早春の野草。中でも、笑顔のようなオオイヌノフグリの青い花が好きな花だ。タンポポ、ペンペングサ、ホトケノザと様々な色が目に飛びこんでくる
。冬の間は、枯草色や短調な緑しか無かった。ウメやツバキも咲き出した。命の強さを改めて感じた。
2004
2
29
室林道ラインセンサス
2月も今年はうるう年で3月までには1日余計にあるがもう少しで終わりである。季節的には2月は未だ冬であり、春は3月からと言うのが一般的
だろう。野鳥を観察していると、初囀りが一つの節目のような気がする。中でも、ウグイスの初鳴きは気になるものだ。今日は、私の、ウグイスの
初囀りを聞く日となった。囀り個体が多く、上手く囀っていることから、実際の囀り開始はもう少し早かったのだろう。去年の8月に最後の囀りを聞
いてから半年たって再び聞く。当然ながら新鮮に感じるものだ。気がついたことは、普通の囀りの他、高音、低音も聞こえたことだ。高音は自己主
張、低音は縄張り主張で、営巣、育雛時期に聞かれる、と思っていたのに、初囀りでもう3つの種類が聞かれるとは。谷渡りをする個体はさすが
にいなかった。一方、ウソやマヒワなど冬鳥も林道を賑わしている。マヒワの囀りというのはどんなだろうか。頭の上で10羽ほどが賑やかに鳴い
ている。地鳴きにも聞こえるが、地鳴きにしては節回しが複雑な気もする。繁殖地での囀りを知らない身にとって、この辺が大変悩ましい。ヤマガ
ラがツツピーと囀っている。シジュウカラも負けじと鳴く。彼らは良きライバルである。
西暦
月
日
メモ
2004
3
6
愛知県民の森
天気が目まぐるしく変わった。県民の森に向かうバスの窓からは明るい日が差しこみ上天気だと喜んでいたが、到着と同時に黒い雲が空を覆い
はじめた。澄んだ川辺で水切りをして遊びながら小鳥を探す。ヤマガラ、カワラヒワが枝先に止った。5年生がスコープで捉え見せてくれた。今日
は、6年生はお客様だ。毎年この日は6年生を送る会である。どんどん雲行きが怪しくなる。そして、霙交じりの雨がポツポツ。レストハウスで雨宿
りをしていたら、別の子供会のグループが濡れながらこちらに向かっている。たちまちレストハウスは子供たちで一杯となってしまった。思い思い
の所で昼ご飯を食べた後は、今日のメイン行事「6年生を送る会」を行なう。インフルエンザで出られない子もいた、きっと来たかったに違いない。
世の中、うまく行かないことがあるものだ。3名の主賓は立派に挨拶をしてくれた。中学に入っても鳥を好きであって欲しい。芝生でさんざん遊んで
も、バスの中では、テレビでおぼえたゲームを萩小に着くまでやっている。全く子供は元気なものだ。
2004
3
7
室林道ラインセンサス
今日は公民館祭り。集合時間までに室林道を歩くことにした。7時にスタートする。ウグイスの囀りはさらに上手になった様子。マヒワも30羽くらい
の群れが2群。いつものヤシャブシの種子を頬張っている。ウグイス以外にもホオジロ、ヤマガラ、シジュウカラの歌が聞かれるようになった。室
林道の留鳥で未だ囀りを聞いていないのはメジロくらいだろう。昨日、我が家の隣でコジュケイが大声で鳴き驚いた。室林道でも獣のような鳥離
れした声で鳴いている。ウメやツバキが咲き早春といっても季節、しかし、ジョウビタキ、ウソ、マヒワなどの冬鳥はもう暫らく越冬を続けるだろう。
明るい林床でアオジが採餌している。腹部がレモン色で美しい内地産である。5月になったら長野県の山でアオジの歌を聞こう。
2004
3
13
室林道ラインセンサス
室林道から見る風景は黄砂のせいなのか靄がかかったようにみえる。しかし、近くの照葉樹の葉は赤道まで帰ってきた太陽に照らされ、きらきら
と輝いていた。ウソを養っていたソメイヨシノの開花ももう直ぐである。ウグイスを始めとする小鳥たちの囀りが室林道を華やかなものにする。ウソ
やマヒワともそろそろお別れである。ミソサザイが鳴いた。彼らも又山間の渓流に戻り、美しい囀りをこだまさせることだろう。サクラの開花が平年
よりも早まりそうである。そうなると、夏鳥の飛来日も気にかかってくる。そして今一番のの関心事はヒヨドリが何時、室林道を我が森のように飛び
回るかにある。
2004
3
19
茶臼山ラインセンサス
今年初めての茶臼山センサスを楽しんだ。スタート時(8時41分)の気温はマイナス1度。さすがに標高1300メートルのことはある。豊根から山
頂への道中で出会った鳥たちは、ミソサザイ、アトリ、コガラなど。ミソサザイの囀りはこの春初めて聞く。その他、カワラヒワがヒノキの林で餌を採
っているのが印象的であった。センサスを開始して暫くはつぶやくような地鳴きばかりであったが、やがて森が広がる場所に来ると、ヒガラのソプ
ラノが聞こえてきた。そして、カラ類の中でも好きな鳥、コガラの囀りも。ウグイスの囀りにも注意を払った。囀り個体数は3。音羽町でウグイスの
サエズリを確認したのは2月28日であった。その時も確か3個体であったと思う。これからますますウグイスの囀りが盛んになるだろう。牧草地帯
ではカシラダカが次々と移動している。個体数の確認は困難であるが、100羽や200羽では収まらないだろう。そういったカシラダカの群れを3ヵ
所で確認できた。その一つ、茶臼湖付近の群れの中に、囀り個体が数羽いた。群れ全体が囀るにはもう少し時間が必要なのか。雄の羽色を確認
したが、案の定、冠羽の色が漆黒色となり求愛の唄を歌う準備も出来ているようだ。冬鳥の姿もあった。ベニマシコ、ウソ、アトリ、シメ達。カケス
は美しい鳥であるが、森の中で声を聞くことはあっても、姿を見るのはなかなか出来ない。それが、今日のカケスは落葉樹の枝に止まったきりジ
ーッとしたまま。お陰でしっかりとデリケートな羽色を堪能した。周回道路を歩いた印象では、春にはもう少し時間がかかりそうというものだった。
2004
3
20
土曜探鳥会 羽根・長根
9名の子が参加して15年度最後の探鳥会を行なった。最初に、恒例になった6年生から下級生への、スコープと記録用紙の引継ぎ式をやる。山
陰川を2度横切るが、最初の橋からは、夏羽になり黄色と黒のコントラストが素晴らしいキセキレイのオスがいた。直ぐ側をカワセミが川下に一直
線に飛んでいく。見損なった子もいたようだ。民家の近くではヒヨドリがよく見られた。あちこちで赤い花を付けるツバキの蜜がお目当てだ。室林道
では厳冬の2月以降ヒヨドリの姿が少なくなっている。やはり、山を下り、少しでも冬越しし易い場所に移っているのだろうか。田んぼのあぜ道には
ナズナやホトケノザ、セイヨウタンポポが其処ここで咲いている。サクラ開花の前に濃いピンクのモモの花が満開だ。セグロセキレイが囀りながら
追いかけるのは、ライバルなのか配偶者なのか。曇り空に浮かぶようにして飛びながら囀るのはヒバリ。似た名前のタヒバリは群れになり田んぼ
の上を旋回する。綺麗な声ではあるがヒバリに似ているとは思えない。その他に目だったのはツグミとイカル。ツグミの個体数の多さにびっくりし
たし、イカルは近くのクリの木に群れになって止り、子供たちを喜ばせた。
西暦
月
日
メモ
2004
3
21
寺ノ入林道ラインセンサス
地理的にみると寺ノ入林道は、室林道と茶臼山の中間にあたる。5000円札のようでどうしても影が薄い。しかし、フィールドが3ヶ所あることは意
味があると思っている。一昨日茶臼山でセンサスしたのである程度の予想を持って三河湖に向かった。予想とは、ウグイス・・・茶臼山よりも標高
が低い分囀り個体が多い。ミソサザイ・・・囀り個体がいるだろう。ヒヨドリ・・・室林道、茶臼山同様個体数は少ないのでは。予想は全て的中した。
ウグイスの囀り個体の多さは室林道と茶臼山の中間であった。ミソサザイの個体数の多さにはびっくりした。その内1羽が囀っていた。個体数の
多いのは、今が渡りの時期で、移動中の姿を見ているためではなかろうか。茶臼山でも既に囀りをしていたから特にそう思う。ヒヨドリはもう決定
的に個体数が少ない。やはり、寒さをさけているのだ。寒さに弱いヒヨドリに比べカラ類は強いものだ。中でもシジュウカラが活発に囀っている。
2004
3
27
室林道ラインセンサス
ソメイヨシノの蕾にピンク色が広がってきた。あと2もすれば開花だろう。もっと低い所のサクラはもう開花している。林道脇では、可愛らしいスミレ
の花が咲いていた。紫色の花にはなんとなく一目置いてしまう。そして、回りから聞こえる声は、囀りの王様、ウグイスである。ますます、囀り個体
が増えている。冬の鳥たちもまだまだいる。ウソ、シロハラ、ジョウビタキ、ルリビタキ、マヒワたち。中でもマヒワは、スギ・ヒノキ・シイ、などの枝に
群がり、囀りを含めた大騒ぎをしている。アトリ科の鳥はヤシャブシなどの球果をこじ開けて種を食べるのが大好きである。シイの枝でなにをして
いるのだろう。虫でも食べているのかしらんと、双眼鏡を向ける。頭を掻いているものがいる。しかし、餌を捕っている様子はない。静かに止ったま
ま鳴いている。このマヒワたちの行動、茶臼山におけるカシラダカの集団囀りに大変よく似ている。北の繁殖地に戻る前に、番う相手を見つけよう
としているのだろうか。オスたちは、レックに集い、メスの注意を惹きつけているのだろうか。
2004
3
28
家の周り
サクラやモモも花をはじめとして、様々な花が一斉に咲き揃う絶好の季節となった。朝から、イカルの囀りが響く。100mと離れていない山陰川か
ら、カワセミのチーという声が盛んにする。犬の散歩を兼ねて最初は山の方を、朝食のあとからは、ポッケトタイプの双眼鏡を提げて、川縁から田
んぼまで歩いた。濃い紅色、紫、黄色、白、と辺りは色で溢れている。木々の芽も随分ふくらんできた。川上からカワセミの声がする。咄嗟に川面
に視線を向け、一瞬の通過に備える。嘴の先が白く輝いたオスが通過した。どうやら、獲物を咥えているようだ。川辺の土手には営巣に適した場
所は無くなった。彼らは、田んぼや畑を横切って、山に造った巣を目指して一直線に飛んでいく。田んぼにはツグミが、いつもの空を見上げるポー
ズでたたずんでいた。山からは、ウグイスやマヒワの声がする。大きな鳥が止っている。ノスリだ。彼らは、オオタカのように小鳥から恐れられてい
ない。同じ木に平気で止っている。ノスリが少し気持ちを変えたらもっと簡単に獲物にありつけるのに、と思うのだが。帰りに、又、カワセミを見た。
どうやら、彼らは大変忙しそうだ。
2004
4
3
ソメイヨシノの花、ウソに随分食べられてしまった。それでも、昨年と比べたら、花は残っている方だ。落葉樹、常緑樹を問わず、芽吹きの勢いに
圧倒される。室林道全体がマヒワとウグイスの声に包まれている。数では、マヒワの方が圧倒的。それと、ようやく、ヒヨドリが山に帰ってきた。
2004
4
3
室林道ラインセンサス
ソメイヨシノの花はウソに随分と食べられてしまった。それでも、昨年と比べたらまだましな方だ。サクラばかりが主役ではない。この時期、落葉樹
、常緑樹を問わず、芽吹きの勢いに圧倒される。野鳥といえば、室林道全体がマヒワとウグイスの声に包まれてしまっているようだ。数では、マヒ
ワの方が圧倒的。しかし、ウグイスは、美声で十分アピールする。かといって、ウグイスの囀りの対象が人間ではないことは明白だが。一方、群れ
になったり分かれたり変幻自在なマヒワは、ふんだんにあるスギの球果をこじ開けて中の種を食べている。繁殖地に向かう前のエネルギー補給
に懸命といった感じだ。この2つの鳥に割り込むようにして、ようやく、ヒヨドリが山に帰ってきた。彼らは、真冬には確実に山を降りていると見た。
大きな体に似合わず、ソメイヨシノやヤマザクラの花の中から顔を出している。歩いていて手の届くほどの低い所にサクラの花びらがあった。手繰
り寄せ、匂いを嗅いで見る。ウメに比べるとほのかな、上品な香りであった。さらに冬の名残の鳥を探す。マヒワは探さなくとも目にや耳に飛びこ
んでくる。そうではなくて、ジョウビタキやルリビタキ、アオジなどを探す。ルリビタキがいた。成鳥に近いオスである。もしかして囀るのではと期待し
たが、暫らく大きな声でヒッヒッと鳴いていたが、やがて見えなくなってしまった。アオジもまだまだ残っていた。ルリビタキもアオジも繁殖地は標高
1500m級の亜高山帯である。ゴールデンウイークには、出かけていって自慢の囀りを聴かせてもらおう。
西暦
月
日
メモ
2004
4
10
いよいよ夏鳥飛来
元豊橋総合動植物園飼育係の山口さん、コマドリとサシバを4月6日に確認された。自分も遅れ馳せながらと宮路山に向かう。サクラの花吹雪を
浴びて進む。メジロとウグイスの囀りがすごい。コマドリはどうだろうか。個体数そのものが少ない上に、この地音羽ではコマドリはあくまでも通過
点に過ぎないのだ。昨日いても今日もいるとは限らない。そんな経験は数限りないほどした。はたして、本日のコマドリとの対面は果たせなかった
。けれども、先週から今週にかけて夏鳥が一斉にやってきたのは間違いない事実であった。宮路山のさらに奥、西切山の林道をセンサスした。オ
オルリの囀りを確認した。(その後、観音山でも確認)未だ日が浅いので節回しが単調なのは仕方があるまい。足元からはヤブサメの虫のような
囀り。若葉が眩しい枝からはセンダイムシクイの懐かしい囀りがする。さすがに数は未だ少ないようだ。太いヒノキの林からは、これも夏鳥のタカ
であるサシバの声がした。こちらの方は単純鳴き声ではなく、2羽でコミュニケーヨンを取合っているかのようだ。野鳥ばかりでなく、ニホンリスは3
匹も確認。アカハラは里で冬を越し、初夏に高原で明るく囀ずる。昨日の早朝5時頃、アカハラの囀りを聞いた。ルリビタキやアオジも山に戻る前
囀りを聞かせてくれるが、そのアカハラも2羽、林道道脇で餌を捕っているのを見た。コマドリは明日にとっておいて、春の祭礼で幟や花火で賑わ
う音羽の町に下りて行く。
2004
4
11
室林道ラインセンサス
昨日(宮路山)はオオルリ、ヤブサメ、センダイムシクイなどの夏鳥たちの姿を確認できた。室林道ではどうだろうか?。キビタキやコマドリは?。
その前に観音山を回ってみた。コマドリの気配はなかった。室林道では、全山、野鳥たちの歌で溢れていた。それに暖かい日差し、若葉の色々な
緑色。風に急かされるように散り行くサクラの花。ワラビやゼンマイが顔を出し、山菜摘みの人影がちらほら見える。ウグイス、メジロ、シジュウカ
ラ、ヤマガラ、ホオジロが競うように囀る。其処へ夏鳥たちが追い討ちをかけるように歌い出す。センダイムシクイはもう相当の個体数がいると見
た。地味なヤブサメは、大多数の人達には、これが野鳥の声とは理解してもらえないだろう。どうみても秋に鳴く昆虫の鳴き声だ。そして、ウグイス
と並ぶ美声の持ち主であるオオルリ。3羽の囀りを確認した。内1羽は見事な姿も見せてくれた。ただし、これらの個体が室林道で繁殖するとは限
らない。今の時期、日本中の野鳥たちは北上しているのだ。秋の南下と春の北上、鳥たちは長い時間をかけて、現在のような渡り行動を進化差
せてきた。夏鳥ばかりではない。冬鳥も北上を開始している。ツグミの群れは次第に大きくなりやがて大陸に渡っていく。観音山の麓でツグミの個
体数が増加している。室林道ではマヒワが渡りのタイミングを計っている。個々の個体にとっては2つやることがある。渡りを成功させるための脂
肪の蓄積と、繁殖地に着いたら直ぐに番う相手を見つけること。両方とも、自分のコピーを残すためには必須条件となる。マヒワの群れを見ると、
何か他の鳥たちには無い切羽詰まった印象を受けるが、これからの大仕事の前の緊迫感ともとれそうである。渡りの前に囀り(ぐぜり)をする種
類が多いが、今日は、アオジの囀りを聞いた。アオジは平地では本当に目立たなく生活する。しかし、初夏には高原のカラマツ林で、メスのハート
を射止めようと、美しい歌声で求愛する。声慣らしのつもりなのか、日差しが明るくなり居ても立ってもいられなくなるのか、里では珍しい歌を聞くこ
とができるのだ。
2004
4
13
茶臼山ラインセンサス
今年になって2度目の茶臼山である。先回からおよそ1ヶ月経つ。カシラダカは個体数を減らし、集団囀りも無論聞かれない。けれども全く囀りが
聞かれない訳ではない。夏羽に換わったオスが複雑な囀りを聞かせてくれる。カシラダカに代わって茶臼山を賑わしているのがウグイスである。
これは当然。風が吹いているせいか鳥たちの姿は少ない。また、ウグイスのような強い声の鳥でないと声もかき消されてしまう。そんな中でも、4
羽コマドリの囀りを確認できた。音羽での初確認が4月6日とすると、日程的にはそんなに違いは無さそうである。森の中に入ると、風の邪魔が無
くなり一層微かな呟きも聞こえてくる。コガラ、ヒガラの地鳴き。キクイタダキのデリケートではあるがメリハリの利いた囀り。体長はキクイタダキト
ほぼ同じ大きさなのに、素晴らしくよく通る声で囀るミソサザイ。珍しく、ゴジュウカラも鳴いた。こうなるともう茶臼山の独壇場である。音羽ではどう
しても聞かれない声がある。コマドリ以外の夏鳥の確認はできなかった。牧草地の緑が鮮やかである。周りの木々の蕾もふくらんできた。野外活
動ロッジの屋根でキセキレイが尾を振っていた。どうやらオスのようだ。喉元が黒く夏羽に換わりお腹のレモン色が一層濃さを増したようだ。キビ
タキにも負けない黄色だと思う。
西暦
月
日
メモ
2004
4
14
雨の宮路山で囀るコマドリ
どんよりと曇っていたがとうとう雨になった。傘を差して鳥たちの様子を観察する。雨の中の探鳥は嫌いではない。反対に、晴れていても強風の中
での探鳥は苦手だ。私の主なフィールドは野山にある。樹木などで姿を確認することができないのが山の鳥である。私の記録の7割は声の情報
といってもよい。雨の日は微かな声もよく聞こえるので私には好都合なのだ。宮路山第2駐車場から傘をさして歩く。最初は沢を下るコース。経験
的にも沢のある場所でコマドリを確認する確率は高い。200mも歩いただろうか。か細いながらもはっきりとコマドリの囀りを聞いた。いかにも疲
れていますといった声である。次いで、4日前にも歩いたコース。こちらは標高300mくらいの、ほぼ同じ等高線上に通っている林道である。やは
り沢の流れる所がポイントである。10分ほど歩いた場所で2羽目の声を聞く。こちらはかなり元気よく囀っている。こちらの行動に警戒している風
にみえる。姿を見せるかなと期待したが、そこまで威嚇的ではなかった。フィールドノートにコマドリの名前を書いてホットする。既に4月6日に確認
されてはいるとはいうものの、やはり、自身でも確認しておきたいのは人情である。センサスの帰りは緊張から解放され雨を楽しんだ。新緑が一
層瑞々しく美しい。ミツバツツジのピンクがそこここで煙って見える。花は確かに綺麗なのだが、それ以上に、緑の若葉が美しく感じた。
2004
4
15
寺ノ入林道ラインセンサス
茶臼山、室林道、宮路山と休暇をフル活用して回っている。寺ノ入林道を見れば主要フィールドを全て回ったことになる。4月13日、茶臼山で早く
もコマドリが来ているのを知った。音羽のコマドリは6日初確認(山口さん)。私自身は14日に初確認。オオルリは10日に宮路山で確認。その後
ヤブサメ、センダイムシクイ、キビタキなど、夏鳥たちが続々と飛来した。寺ノ入林道は音羽と茶臼山の中間に位置し標高もほぼ中間である。音羽
で確認した夏鳥はどうか?。結論は、音羽同様囀りの真っ最中であった。昨日の雨で新緑も一層鮮やかだ。芽吹き具合も音羽と茶臼山の間くら
いか。目の位置を変えると葉に残っている水滴が虹色に輝く。例年通り、オオルリの個体数は音羽を凌ぐ。アオジの囀り個体が多いことなども似
ている。繁殖地に向かう準備は出来ているようだ。ミソサザイとヒガラの囀りは音羽では聞かれない、さすがに標高が600mを越すだけのことは
ある。特にミソサザイは200mほどの間に3個体もいた。マヒワも未だいるがだいぶ減っている。マヒワの声に混じってキクイタダキの囀りが聞こ
える。カケスやヒヨドリも2羽で飛ぶ姿が多い。2組のクロジが共に追いかけるような行動をする。オスがメスを追いかけているのだろうか。早過ぎ
て見分けられない。キビタキは確認できなかった。寺ノ入林道にはサンショウクイが飛来する。待ち遠しいものだ。
2004
4
16
室林道ラインセンサス
センサスのスタートからして変わっていた。いきなり目の前をヤブサメが、大きな威嚇音をたてて横切ったのだ。キビタキにも出会えた。その個体
は囀りをせず、警戒音を交えた地鳴きで現れた。綺麗なオスの成鳥である。そこまではよい。次いで、オオルリの囀りである。ようやくまともかな、
と思ったのもつかの間。囀りの間隔が短いのだ。耳を凝らして聞く。それもそのはず。2羽で囀っていた。既にこのテリトリーには1羽いたのは確認
済だ。すると、もう一羽は侵入者か。ようやく2羽の姿を確認した。共に成鳥である。両者はあらん限りのテクニックを使って囀っているように見え
る。最も接近した時には2m程しか離れていなかった。取っ組み合いはしなかったが、囀り合戦の様相を示していた。15分ほど立ち止まって見て
いたが決着は付きそうになかった。さらに驚くことが、オオルリの足元からはコマドリのかなり力強い囀りがしたのだ。上を見たり下に注意を払った
りで大忙しである。そしてとどめは、まさにオオルリが争っている木から1羽の鳥が舞いあがった。舞いあがる直前の姿を見て声を上げそうになっ
た。サンショウクイだ。飛ぶ姿にもサンショウクイの特徴が(羽に横斑が入る)はっきり見てとれた。移動の時期は何があるかわからない。だからこ
の時期は楽しいのだ。ヤブサメのペアが林床をチョコチョコと移動している。オスが一段高いところで注意を払っている。次いでオオルリ。この個体
は鳴き声に特徴があった。キビタキの声を真似る(オーシツクと入れる)のは珍しくないが、この個体はキビタキとコマドリも真似ていた。本当によ
く似ているのだ。その他、ホオジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロたちの囀りが一層激しくなった気がした。そんな中で印象的であったのはヒヨド
リの2つの群れである。20羽から30羽ほどが丸くかたまって一瞬のうちに通過していった。思うに、今、彼らは北上の最中ではなかろうか。伊良
湖岬で秋の南下を見ていると、その逆も当然あってしかるべきと考えるのだが。
西暦
月
日
メモ
2004
4
17
土曜探鳥会 宮路山
平成16年度最初の土曜探鳥会は、音羽町赤坂にそびえる宮路山である。登山道もしっかり整備されていて、ハイキングを楽しむ人々で連日賑
わっている。大人の足でもかなりの距離にもかかわらず、新1年生を含め24名の子供たちが参加してくれた。気持ちの良いそよ風がありがたい
快晴の日である。上昇気流に乗って悠然と飛翔するアオサギの姿に、大きい、と歓声が上がる。音羽川を渡った杉森八幡社では、ヒヨドリとシジュ
ウカラを間近に見る。赤坂の町からいよいよ宮路山への登山道を進む。さまざまな小鳥の声がしてくる。中でも、イカルとヤマガラの囀りが目立つ
。さらに登っていくと、待ちに待ったオオルリの囀りも聞こえてくる。登りはきつい。特に低学年の子はなおさらだ。今日も乾燥注意予報がでていて
、喉がからからになる。けれど、思い思いにお喋りをしている姿は決して辛そうではない。我慢をして楽しんでいる。ハイキングを楽しむ人たちの
多くは車で登り、山頂までの少しだけ歩く。それに比べたら子供たちは大したもので、誉めてあげなければなるまい。11時半頃頂上に到着。早速
お弁当を広げる。その嬉しそうな顔といったらない。マナーもわきまえ、他のハイキング客の迷惑をかけずにすんだ。心の中では感謝し自慢にも
思う。下山はあっという間だ。昨年、コマドリの声を聞いたコースを下りる。森の中が長く、メジロのきれいな囀りが聞こえる。コマドリも昨年とほと
んど同じ所で確認できた。コマドリが好む共通点は沢が流れていること。子供たちに呼ばれ沢の中を覗き込む。小さな黒っぽい鳥がいたというの
だ。ミソサザイとも思ったのだが、ヤブサメの可能性が高いのでは。しかし、今の時期、多くの野鳥が日本中を北上している。移動途中のミソサザ
イではないとは言い切れない。喉をからからにし、顔を赤く日焼けさせ、スタート地点の赤坂駅まで辿りつくことができた。さすがに子供たちの顔に
は疲労が漂っている。よう頑張ったな。
2004
4
18
音羽のコマドリ
地元、観音山から室林道のコースでコマドリを探した。観音山ではオオルリを確認できたがコマドリはいなかった。室林道へ向かう途中に羽根・長
根の田んぼを見る。一部ではあるが、水が張られた田んぼがある。チュウサギを確認。嘴は黒い夏色になっていた。ツグミも少しではあるが未だ
いる。水の張られた田んぼで4羽のカルガモが泳いでいる。2組のペアのようである。水辺の夏鳥の代表でもあるコチドリがゆっくりとした動きで餌
を探している。ハクセキレイ、タヒバリの姿は確認出来なかった。今日も祭礼の幟が立っており青年団のはっぴ姿がある。私の住む萩地区には7
つのお宮があり、3月末から2週間にわたり例祭がある。室林道も車で通過。従ってラインセンサスとは呼ばない。車では個体数の観察は無理だ
。コマドリの声を囀りに取り入れたオオルリ、今日も鳴いていた。これだけ特徴があると囀りでも個体識別ができる。コマドリも1羽が最初に確認し
た時と同じ沢で、もう1羽を新しい場所で確認できた。コマドリの観察をしていた時、頭上のサクラの枝でセンダイムシクイが囀っていた。センダイ
ムシクイがウグイスよりも少し小型で、腹部が白く背中も緑色が勝ったすっきりとした姿である。常に、枝の中にいて、周りの色に溶け込んでいる。
しかし、ウグイスよりも姿は見つけ易い。その個体は私が近くにいるのに、どんどん下の方へ降りてきて、終いには、ゴミ投棄防止ようの網にとま
ってしまった。エナガのように人を恐れない性質かもしれない。
2004
4
24
土曜探鳥会 羽根・長根
桜が終わったのに時期外れの冬型の気圧配置。羽根・長根の田んぼ道を歩いていると、突風が帽子を飛ばそうとする。左右に広がる田んぼには
水が引かれ、溺れるように早苗が植わっている。飛ばされたら大変と手で帽子を押さえる。中学に入ったばかりの2名を含む8人の子どもたちが参
加した。電線でセグロセキレイがきれいな声で囀る。校庭のサクラにカラスが巣を造っている。長根川の中ではやはりセグロセキレイの番いが、
巣材に使うコケを口一杯に頬張ると、近くの森に消えていく。それを何回も繰返していた。遠くの田んぼで、ぽつんと白く見えるものがある。スコー
プの中に映ったのは今年初めて見るアマサギであった。ああやってきた。懐かしい人に合うような気持ちだ。其処個々で鳥たちの生活を垣間見な
がら萩小に戻った。そして、別れる間際に、校舎の上をアマツバメが通過した。
2004
4
25
室林道ラインセンサス
鳥たちの北上が続いていることを感じさせる。待っていたエゾムシクイの囀りを初めて聞くことができた。エゾムシクイには苦い思い出がある。囀り
をコガラのものと勘違いしていたのだ。平地には下りることはないコガラの声を聞いて、小躍りしたことを思い出す。また、地鳴きもジョウビタキや
ルリビタキと似ているため、初夏にこの声を聞いて悩んだこともあった。群れの数で他の鳥を席巻していたマヒワは激減し、代わりに、エナガの群
れが賑やかに移動している。群れの中を見ると、羽の色から殆ど雛であることがわかる。エナガの巣立ちは比較的早いので、巣立ち雛が親と共
に外の世界に出て、餌を探す訓練を受けているのではと想像する。初確認から2週間経て、オオルリ、キビタキも本格的な囀りモードに入った。1
週間前のコマドリ真似の個体、今日も囀っていた。ただし今日は状況が違っていた。ライバルが近くで鳴いているのだ。さらにこの付近でメスを見
た。これは大変である。帰りは早足で戻る。なにしろ、昨日からの寒い日が続いているのだ。
西暦
月
日
メモ
2004
4
29
汐川干潟シギ・チドリ
ゴールデンウイークの初日は汐川干潟とした。もっと早くに行こう思っていたのだが。ついつい野山の鳥の北上の方に気を取られてしまっていた。
従って、自分には海辺の鳥を語る資格はないと思っている。ただし、海辺の鳥に興味が無いわけでは決して無い。新聞で干潮の時間を調べ出か
ける。干潟が顔をのぞかせるくらいの方が近くで観察でき好都合だ。ダイサギやアオサギが浅瀬で餌をとり、カワウが羽を乾かしているのが見え
る。少し顔を覗かせた干潟で白く動くものが肉眼でもわかる。ダイゼンであった。白と黒の鹿の子模様が美しい。少し小型のキョウジョシギも混じっ
ている。1羽だけ少し離れているのはダイシャクシギであった。自分のいる場所は汐川干潟の堤防の上。反対側には水路や池があって、時折、カ
イツブリのけたたましい声がする。葦原からはオオヨシキリとセッカの囀りが聞こえる。今年の初確認である。ダイゼンの群れが去ったあとにやっ
て来たのは可愛らしい鳥たち。夏羽へ変身したメダイチドリとトウネンが忙しそうに餌をあさっている。無理もない。遥か赤道付近から北極卷へと、
気の遠くなるような渡りをしている最中なのだから。少しではあるがハマシギもいた。暫らく餌を取った後には、頭を風上に向け休んでいる。対岸
の田原の街から太鼓の音が聞こえてきた。最初は異様な感じを受けたが、暫らく聞いているうちに、力強い音が明るい景色と溶け合うようで心地
良さに変わった。
2004
4
30
茶臼山ラインセンサス
茶臼山のサクラの開花は音羽町よりも1ヶ月ほど遅い。その遅いサクラの花びらが風に舞っていた。ほとんどの木々の新芽も開き華やかな春、と
言うよりは初夏の風景が広がる。車を降りた途端、アカハラの明るい囀りが聞かれた。高原を感じさせる鳥の鳴き声としては、カッコウ、そしてアカ
ハラだ。見晴らしの利く草原と林の境界にはカケスがいる。音羽町にも居るにはいるが、しっかりと姿を見るのは難しい。その点、茶臼山のカケス
は綺麗な姿を存分に見せてくれる。恵那山や蛇峠山がくっきり見える。南アルプスの3000峰はぼんやり霞む。双眼鏡で眺めると雪渓が版画の
ように見えた。茶臼山の北側の斜面でコマドリとコルり、ミソサザイが囀る。懐かしい友に会った気分だ。コガラの歌い始める。山を下りないコガラ
は高山ならではの鳥だ。シックな色も気に入っている。少し音程を外した感じが微笑ましい。調子の外し方の似た鳥にエゾムシクイがいる。音羽町
でも春の渡りの途中に囀りを聞くが、コガラと勘違いして恥ずかしい思いをした事を思い出す。牧場の上をイワツバメが飛び交い建物の庇に舞い
戻る。そこでは、お腹を空かせた子供が待っている。2時間半でセンサスを終える。最後に今日1番気になる光景を見た。1kmほど先の水平線を
100羽くらいの群れが、かなりの速度でボールのようになって移動していったのだ。種類は特定できなかったが、分からないまま残しておくのも悪
くはないだろう。帰りには久しぶりに「みどり湖」によってみよう。
2004
5
1
土曜探鳥会 茶臼山
茶臼山で探鳥会をやるときは天気が良くないというジンクスがあった。霧の中のコマドリ,台風が接近して小鳥の森で雨宿りなど,今でもはっきり思
い出すことができる。快晴の空に飛行機雲が何時までも消えないでいる。そんな穏やかな高原を25人の子どもと5人の大人が歩いた。ウグイス
が手付かずの森の奥から聞こえる。耳を澄ませばさらに多くの小鳥の歌があった。ヒガラ、シジュウカラ、コルリなど。ヒガラとシジュウカラが同時
に歌えばソプラノとアルトの二重唱になる。音羽では聞くことが出来ない組み合わせだ。コマドリの囀りは多くの子供たちには聞こえなかった思う。
それほど微かな歌声だった。しかし、コマドリを聞こうと頑張った姿は敬服に値する。およそ20分間一言もお喋りをせず神経を集中していたのだ。
明るい道から一変して自然林の中を歩く。ヒガラ、ヤマガラの囀りが頭上から聞こえてくる。首が痛くなるほど姿を探す。既に時間は12時を回る。
突然ミソサザイの鈴のような歌声が渓流の音と共に流れる。これまた音羽町では聞くことが叶わない。ウラジロモミの巨木、茶臼湖の涌き水に咲
くミズバショウも記憶に残るだろう。ミズバショウは少し遅かったが。お腹を空かせた子供たちの食事の場所は森の中にした。せせらぎと小鳥の歌
と新緑と木漏れ日が店の飾りつけである。なんと贅沢な舞台装置。今日は最後まで穏やかで明るい光に包まれていた。1300mからどんどん高
度を下げていくと、今日は熱い日であったことを改めて感じた。小川運転手さんありがとう御座いました。
西暦
月
日
メモ
2004
5
2
寺ノ入林道ラインセンサス
あれほど勢力が強かった高気圧も去ったのか、少しずつ厚い雲が広がり始めた。ゴールデンウイークの後半は雨模様になるとのこと。素晴らしい
快晴よりも下り気味の方が鳥の観察には好都合な場合が多い。その通りの状況となった。同時に10種類を越す鳴き声が入ってくる。ウグイス・セ
ンダイムシクイ・ホオジロ・シジュウカラ・アオゲラ・ツツドリ・カケス・ヤマガラ・ハシブトガラス・オオルリ・キビタキなど。彼らの歌声は寺ノ入林道の
どの場所からも聞こえた。これら定番の鳥以外に、寺ノ入林道で繁殖しているのか?という意味で特に注意している種がある。エゾビタキ・キクイ
タダキ・ヒガラ・ミソサザイである。単なる移動の途中なのか繁殖しているのか。営巣・育雛の証拠を掴むのが目標である。今日は、エゾビタキ・ミ
ソサザイ・キクイタダキ・ヒガラ全ての囀りを聞いた。もう一種注目の鳥がいる。他ならぬ地元の室林道で今年の初確認したサンショウクイである。
サンショウクイは間違いなく寺ノ入林道で繁殖している。その姿かたち・鳴き声に魅力を感じている。ニホンリスが林道を横切った。慌てることなく
スルスルとヒノキをよじ登っていく。涌き水の流れる小さな沢ではキュウキュウとカエルが鳴いている。その声はの多さは野鳥にも匹敵する。ヒキ
ガエルのようだ。そういえば道路脇の水溜りのヒキガエルのオタマジャクシも活発に動いている。ただし、田んぼのオタマジャクシのような広い範
囲には行動しない。第一水溜りなのだ。こげ茶色の細長い体が何百とかたまっている様は、その気で見ないと落ち葉にしか見えないほど上手く回
りに溶け込んでいる。こういった形や行動は捕食者からの選択圧として進化してきたのだろう。
2004
5
3
室林道ラインセンサス
今にも雨が降りそうな天気。こんな日は鳥の声がよく聞こえセンサスにはもってこいである。ただし、傘の用意は絶対必要。エナガの群れが移動
している。幼鳥がいるか姿を確認したいものだ。道路から離れて移動しているらしく声は遠ざかっていった。できるだけ何時も同じ速度で歩かねば
と、あきらめてセンサスを続ける。すると、再びエナガの声が近づく。今度は近い。やがて、サクラの枝に群れが入ってきてピピピ、ジュリジュリと
大騒ぎになった。成鳥を確認。やはり先頭を切っている。その後から羽色でそれと分かる幼鳥が来る。センダイムシクイの囀りが強烈だ。今1番張
りきっている。オオルリのオスが静かにして低い枝にいる。これはおかしい。なにかありそうだ。暫らくして納得した。メスが直ぐ際にいるのだ。オス
はメスに対し静かに呼びかける。何時ものソングポストで歌うのとは全く異なる控えめなものだ。それに対しメスは単調な囀りを返した。くぜりに近
いものだ。メスの囀りそのものは何度も聞いてはいるが、求愛に対する返事の形で行なっているのを確認したのは初めてである。センサスの途中
でコマドリの声を節に取り入れたオオルリに出会った。枯れ木の梢で歌っていたが、首尾良くパートナーを見つけられるだろうか。どうやら縄張り
は確保したようすだ。
2004
5
5
一円
室林道
長根の入り口でキビタキの若鳥(とでも言っておこう)がぐぜりをしている。黄色い部分は成鳥と変わらないが、背中がグレーでメスのような色をし
ている。鳴き声は囀りとはいえない稚拙なものである。オオルリのオスとメスが接近しているのに出会った。無言のままで、オスからのアプローチ
らしきものは確認できなかった。サンコウチョウの気配はなし。最後に、15日に行なう親子探鳥会のコースを確認する。
羽根の田んぼ
すべての田んぼが田植えを終えた。農道の脇でカワラヒワが餌をさがしている。あとはムクドリ、ツバメ、2羽のチュウサギだけ。チュウサギの嘴
は黄色、羽は夏羽になっている。
自宅
キビタキのオーシーツクツクの囀り、アオゲラのピヨピヨと囀る声が大変よく聞こえる。
観音山
キビタキの囀り、サンコウチョウの気配はなし。
西暦
月
日
メモ
2004
5
8
音羽町運動公園から長根・室林道
萩小の先生8名の方々と5月15日の萩小親子探鳥会のコースを下見した。スタートは運動公園。暫らくは田んぼや民家を眺めて進む。ムクドリ、
ヒヨドリが頭上を行き交う。水田には番いのカルガモもいた。室林道に入る前からウグイスの囀りに混じりサンコウチョウの声も。今年初確認。林
道では、幸運にも今見られるほとんど全てを確認できた。キビタキの黄色いお腹、ホオジロがソングポストで囀ずる姿、センダイムシクイやヤブサ
メの特徴ある歌、木々に潜むメジロやイカルなどなど、次から次へと見所があって大忙しであった。姿・声を覚えようとされた先生も見えたかと思う
が、観察種が多すぎるのも問題だ。そんな中で、多分何時までも記憶に残るだろうと思う事がコースの最後にあった。オオルリの歌が聞こえるの
で場所を探したところ、少し見下ろす所にある、それも葉の無い枝先で朗々と囀っている。小躍りしてスコープを向け観察した。光線の加減、位置
、鳥の向き、全てが申し分ないアングルで、オオルリの魅力をたっぷり感じとって頂けたと思っている。全部で26種の鳥を確認できた。本番もこの
ようになって欲しいものだ。
2004
5
9
萩一円
雨が降る中を車で回ってみた。大部分の田んぼは苗が植わっている。川の水も有りまずまず安心である。観音山にもサンコウチョウが来ていた。
従って今週の間で飛来したのは確実だろう。田んぼではコチドリの声が聞こえ、畦ではカワラヒワが餌をとっている。明るい緑をバックにカワラヒ
ワの黄色い体色が映える。サギ類ではチュウサギとアマサギが目に付く。雨のなかでもツバメだけは休まず餌捕りに精を出している。
2004
5
15
萩小親子探鳥会
愛鳥週間のこの日、恒例の萩小親子探鳥会が催された。児童とご父兄が150名余り、先生と探鳥会リーダーが16名。7つの班に分かれ、音羽
町運動公園から室林道までの里山コースである。朝7時30分と学校行事としては早いにもかかわらず、いやな顔一つせず参加して頂いている。
私は学校の関係ではないが、手伝いをさせて頂いている立場の者として大変有難いと思っている。これが萩小PTAの伝統だ。班を例年の2倍に
増やしたおかげで、グループのお一人お一人の顔を見て案内ができたことが嬉しい。スタートをして間もなく、珍しい鳥に出会った。ゆっくりと円を
描いて帆翔するハヤブサである。最後のリーダーと先生方との反省会で見た班があることが分かり、内心胸をなでおろした。ヒナに食べさせる虫
を咥えているムクドリなどを観察しながら、左右に開けた水田を眺めつつ室林道へと進む。室林道に入ると様相は一変する。ひんやりとした空気
、沢の音、快晴の日には有りがたい木陰、まさに緑のシャワーを浴びての探鳥会となる。ただし、運動不足の方には登りが少々辛い。見所には事
欠かない。なにせ室林道は私のお気に入りのフィールドである。ウグイスが最初に出迎えてくれ、それにメジロやホオジロの囀りが加わる。9時に
一斉に耳澄ましタイムをもうけた。10分間お喋りをせず自然の音を聞くのである。そこではキビタキの歌も加わった。やがて、サンコウチョウ、ヤ
ブサメ、オオルリなどの歌の名手たちが奏でる歌に包まれる形で室林道を進むこととなった。とりわけ、サンコウチョウは人気がある。リスやヘビ
に出会った班もあった。サンコウチョウをデジタルカメラに収めた先生もいた。オオルリを見ることができた班もあった。話しを聞く限りでは大成功
であった。都合4時間の探鳥会となったが、これほど長いと大人でも音を上げる。しかし、子供たちは最後まで探鳥会のマナーを守って行動してい
たように見えた。運動公園に帰る頃には朝方はすっきり晴れていた空に雲が広がり、天気予報の通り今日が、ぐずつき気味の週間天気の晴れ間
であったことをあらためて思わせた。みんなの思いが天に通じたのだろう。
2004
5
16
室林道ラインセンサス
昨日は爽やかな日の親子探鳥会であった。今日は、昨夜からの雨が降り続いている。傘をさしてセンサス開始。雨にもかかわらずウグイスやヒヨ
ドリは鳴き続けている。オオルリ、キビタキは番う相手が出来たのか囀りはやや下火になった。天気の影響も有るのかもしれない。コースの中間
で山口さんの車に出会った。私の所に寄るつもりであったとのこと。オオルリの営巣場所を見せてくれた。全く無防備の場所で昨年も取られてしま
ったとの事。1卵目は5月14日で2卵まで確認した由。オオルリの他にキビタキ、ヤブサメの営巣も確認されたとの事。巣の状態はコケで覆われ、
開口部は庇状になった岩で雨を避けている。今日、明日と2卵産んだ後抱卵に入る。このような場所では人目に付かずに済むとは到底思えない
。
西暦
月
日
メモ
2004
5
22
寺ノ入林道ラインセンサス
今朝の室林道から戻り休息した後、午後から三河湖に向い、寺ノ入林道をセンサスした。再び雲が薄くなり太陽も覗かせる天気となったが、念に
は念をいれ傘だけは持っていくことにした。センサスには往復2時間ほど掛かる。途中で雨が降らないとも限らない。誰も見てはいないので、チャ
ンバラよろしく刀を差すように傘を腰に差した。室林道との違いは山の深さ高さにある。室林道が200mに対し寺ノ入林道は600mになる。ヒガラ
の囀りを聞いた。この時期で囀りを聞くということは、繁殖している可能性が強いのではと思う。室林道ではさすがにそんなことは無い。カケスも普
通にいる。春先までは室林道にも普通にいたが、今の季節には声を聞くことも無くなった。過去のデータでも夏場には記録がない。やはり、標高
差ははっきり表われているようである。室林道ではヒヨドリは秋までお預けだ。それ例外では寺ノ入林道の野鳥は室林道と大差が無いように思え
る。オオルリのオスが背中から飛び出し薄暗いスギの林に止まった。見事な色をしている。オスはやがて優しく囀りはじめた。たぶん付近にメスが
いるのだろう。そういった際の囀りは、ソングポストに陣取って他のオスに聞かせる囀りとは様子が全く違う。オスに対しては非常に力強い囀りを
する。さらに、美しい節回しの随所にジジと威嚇とも取れる音を入れる。しかしメスに向っては、音量も抑えて綺麗な節回しを繰り返すに留めるみ
たいだ。気になっているのは寺ノ入林道でサンショウクイの確認ができない事。室林道で移動中らしい個体を見たのは1ヶ月ほど前のことである。
その後、今日を入れて2回訪れたが未だ声すら聞いていない。路傍には黄色や白の草花が咲いている。白い花を咲かせた気にチョウが立ち寄っ
ていた。若葉から新緑の季節へと移り変わっていく。繁殖という最も大切な仕事を黙々と行なっている動物や植物。人間は何か大切なことを置き
忘れてきてはいないだろうか。
2004
5
22
室林道ラインセンサス
台風一過の晴天も昨日だけ、再び天気は下り坂となった。しかし、このような天気の方が、鳥たちもよく鳴き観察には好都合の場合が多い。従っ
て、バッグには声の録音にと小型のテープレコーダーを忍ばせてある。それが早速役だった。オオルリがソングポストで歌っているのに出くわした
からだ。運の良いことに姿の方もすこぶる見やすい。そして、近くでは巣があってメスが抱卵している。巣の上から顔が見えたが知らん顔して通り
すぎることにした。なぜ見つかり易い所に作ったのだろうか。ウグイス、センダイムシクイ、ヤブサメ、キビタキの囀りが林道のあちこちから聞こえ
る。そんな中で、今年初めてのホトトギスの声が少し離れた山の中腹から聞こえた。托卵性のため、托卵主の鳥たちが営巣するのにタイミングを
合わせるようにして飛来する。従って、夏鳥の中では最も遅く確認することになる。眼下の砂防ダムの上に数個の黒い点が見えた。双眼鏡の視
野の中に見えたのは、のんびりくつろいでいる様子のニホンザルであった。
2004
5
28
高嶺
カラマツが濃い緑色に変わっていた。シラカバの葉が風にゆれる。確かにここが長野県の高原であることを実感させてくれる風景だ。ここではシジ
ュウカラやヤマガラの代りにヒガラとコガラが主役になる。無論、前者も棲んではいるが。今日の高嶺における主役はカッコウだろうか。この季節
の野山は、どこに行ってもウグイスの囀りを聞かないことは無いだろう。そうなると全てウグイスが主役になってしまい面白くない。だからウグイス
を除いた鳥から探すことにしている。音羽でも時々移動中の個体の鳴く声を聞くことはあるが、まずは、高原ならではの鳥といっていいだろう。カッ
コウ科の鳥は托卵で遺伝子を次に伝えることで有名。卵を産んだ後は全て他人任せなのだ。その育ての親が生息する場所にカッコウたちは南か
ら渡って来る。今日も2羽のカッコウが、互いに鳴き交わしながらさながらハヤブサのように羽ばたいていた。笹の生い茂る高嶺の山頂付近はウ
グイスの絶好の生息場所である。2羽のカッコウは協力して托卵する巣を探しているに違いない。時々情報交換するかのように並んで木に止る。
地上ではウグイスたちが警戒の囀りをしている。道すがらで多かったのはコルリの囀りであった。それに比べるとコマドリは少ない。山頂で期待し
ていたビンズイとホオアカは確認出来なかった。また、カラマツで鳴くアオジの姿も無かった。花の蜜を求めてアサギマダラがヒラヒラと飛んでいた
。
蛇峠山
高嶺の後蛇峠山に向う。標高で100mほど蛇峠山の方が高い。直ぐ隣の山なので棲んでいる鳥は同じである。売店の傍のレンゲツツジが美しく
咲いている。馬の背までは車で行く。別荘地からミソサザイの声がした。車を降りて1時間歩くと山頂に付く。ここでも、その道すがらで聞く鳥の過
半数はウグイスであった。そしてコルリ。オオルリやコマドリは沢を好むので蛇峠山の登山道からは声が聞き難いこともあって、コマドリは1個体し
か確認できなかった。道の脇でレンゲツツジの橙色が目だっている。暫らくの後にはマツムシソウに替る。いづれも高原の雰囲気をたたえた草花
である。
西暦
月
日
メモ
2004
5
29
羽根・長根の田んぼ
水田を渡る風が心地いい。碧の風とは上手く言ったものだ。水の張られた田んぼで生活できる鳥は限られてくる。足の長いサギ類やケリか浮くこ
とのできるカルガモ位だ。その他の小鳥は、畑になった所や田んぼの畦道が生活の場所となる。音羽町でセッカの鳴き声が賑わうのはイネの穂
が出る頃である。今の時期に田んぼで囀る鳥といえばヒバリくらいしかない。そのヒバリが突然上空へとどんどん昇っていく。もちろんおなじみの
囀りと共に。何を思ったのか、彼は、その声が届かないほどの高さまで昇っていったのだ。滞空時間も半端ではなかった。20分以上は空の上に
いただろう。その為に費やすエネルギーは大変なものに違いない。彼はまったくの骨折り損のくたびれ儲けなのか。何か得することがあるのだろ
うか。
室林道
オオルリの巣が壊されていた。巣があまりにも人目に付き易い場所に造られていたので心配ではあったが。先に確認した山口さんによれば、巣
材と抱卵中の4個の卵が棄てられていたとのこと。雛に孵っていないのを見て棄てたにちがいない。全く世の中には悪人がいるものだ。その人に
言いたい。あんたには良心の呵責というものが無いのか。地獄へ落ちろ。
観音山
サンコウチョウが営巣している可能性が極めて高いヒノキの林を行く。キビタキが警戒のため寄ってきて威嚇音を上げる。鳥の観察は彼らへの圧
力になっているのだ。だから、よほど心してかからないと。キビタキの後はヤマガラである。4羽ほどのかたまりが移動していた。幼鳥なのかはっ
きりしなかったが、親に見守られた巣立ち雛のような気がする。そして、近くで囀っていたサンコウチョウもやってきた。サンコウチョウはメスも囀る
ので姿に注目する。肉眼で長い尾羽がはっきり見える。優雅な姿(飛んでいるとそう思える)は他のどの小鳥たちも歯が立たない。オオルリやキビ
タキでも負けてしまう。クジャクに代表されるメスの選択による進化の造形品が目の前にいるのだと思うと、言葉にならない感動を覚える。
2004
6
5
土曜探鳥会 室林道
子供5名・先生達4名・計9名のコンパクトな探鳥会となった。初夏の強い日差しが注ぐ。しかし、乾いた風が吹いていて日陰に入るとひんやりとす
るほどである。スズメの子供が群れに混じり餌を捕っている。室林道に近づくとヒノキ林からキビタキの囀りが聞こえる。暫らくその可愛らしい声を
楽しむ。キビタキについてはその他の場所からも囀りが聞かれかなりの個体数がいるようだ。林道ではセンダイムシクイの姿と声を確認。姿を見
たことのない子が多かったのでこれは収穫。そして、木陰の涼しい所で10分間の声のウオッチングをする。最近は10分間の精神集中にも慣れ
てきて注意することも無くなった。耳を澄ますと様々な音が聞こえる。野鳥ばかりでなくあらゆる音を聞いて欲しいと思う。帰り道で2つのプレゼント
があった。一つ目は、キビタキが道路に下りて餌探しする姿を目撃。姿を見ることができ良かった。二つ目は、ホトトギスの鳴き声を聞いたこと。始
めの挨拶で今日ホトトギスに会えるといいね、と話したのでこれは子供よりも自分が一番嬉しかった。それも、室林道からは離れもうすぐ学校に着
こうかという位置だったので、これは神様が助けてくれたのだと思いたい。目に青葉 山不如帰 初鰹 が正にピッタリの素晴らしい一日であった。
西暦
月
日
メモ
2004
6
6
室林道ラインセンサス
昨晩からの雨が降り続けている。東海地方もとうとう梅雨に入った。平年よりも少し早いようだ。かさをさしてセンサスする。コースの最初のうちは
雨も本降りの状態。鳥の方も身を潜めているといった感じで、わずかにヒヨドリとヤマガラの声がしたのみ。残り3分の1あたりから雨雲の本体が
通り過ぎたのか、明るくなると同時に小粒の雨に変わってきた。すると、それを待ちかねるように野鳥たちの声があちこちから聞かれる。キビタキ
、ウグイス、エナガ、ヤブサメなど。この変わりようはどう表わしたらいいのか。まるで、外で遊びたいのに雨がしとしと降って家のなかでじっと遊ん
でいる子供が、雨がやんで、大喜びで外に出るときの大はしゃぎの様を連想する。ホトトギスが室林道中に響く大きな声で鳴く。すると、ウグイス
たちが合わせるかの様に囀る。両者は托卵者と被托卵者の関係で結ばれている。両者の進化競争は大変興味がある。
羽根・長根
室林道から田んぼに移り観察を続ける。田んぼの中にポツンといるのは5羽のチュウサギ。今年は、未だアオサギの姿を見ていない。ケリが飛び
ながらけたたましく鳴いている。威嚇の行動である。畦からセッカの囀りが聞かれた。萩では今年初確認になる。田原町では4月半ばには確認し
ているが、この地では、田植え前にはほとんど確認していない。おそらく、営巣の条件が整わないためだろう。彼らの巣の在りかは畦の草叢など
である。田植え前では草の丈も低いし草刈作業で短く刈られ隠れる所がない。田原町のセッカも人の手の入らない所で確認したものだ。そうだと
するとセッカは、営巣に都合の良い場所に、都合の良いタイミングに飛来していることになる。同じ夏鳥でも、野山に生息する種は、4月上旬には
飛来し、今盛んに子育てをしている。セッカのオスが縄張り内の複数の巣を見回る姿を見るのは、稲の穂が出始めててからになる。同じ田んぼの
上を、人足先に子育て中のツバメが、休む暇を惜しんで雛のために餌を捕っている。
2004
6
12
寺ノ入林道ラインセンサス
滴るような緑と言ったらよいだろうか、露の玉を葉に載せた木々は生気が溢れている。ムラサキシキブの薄紫の花や、これも薄いブルーのアジサ
イのような花。雨の日が楽しくなるような草花が咲いている。崖には白っぽい緑色の地衣がびっしり。夏至を間近に控え野鳥たちの鳴き声も最高
潮の感がある。2羽のオオルリが200mほどの間隔で囀っている。その付近の崖で巣を見つけた。カケスやアオゲラの見応する大きく立派な姿
に見惚れる。しかし、今日はただの1点に焦点を合わせてセンサスした。それは、サンショウクイがこの寺ノ入林道で繁殖しているか。今年は未だ
サンショウクイを寺ノ入林道で見ていない。ラインセンサスの往路では声すら確認出来なかった。そして復路も半分過ぎた時、マツの樹冠でじーっ
としている鳥を見つけた。双眼鏡の視野に入ってきたのはまさしくサンショウクイの姿であった。黒い頭からオスの成鳥と判定。15分ほど羽繕い
をしていた。完全に視界から消えてしまうまでは立ち去りがたく、行動を観察することにした。マツまでの距離は50mくらい。警戒する様子も無くさ
らに近い木に止る。およそ30mほどした離れていない。黒と白の爽やかな雰囲気を持った鳥。私は、この、サンショウクイが大好きである。暫らく
して、ピリリと鳴いて再び元のマツに止り、ピリリ、ピリリと鳴き続ける。すると、近くの枝からもう1羽のサンショウクイがピリリと鳴いて飛び出してく
る。やはり番いだったのだ。小躍りして2羽の様子を見る。その付近には、営巣できそうなアカマツの林がある。営巣しているのはまず間違いない
だろう。ホットしたというのが本音である。サンンショウクイは近年激減している夏鳥である。もしかしてここ寺ノ入林道でも繁殖が無いのではと心
配していた。げんきんなもので、サンショウクイを確認した後は、小鳥たちの声が一層かがやかしく聞こえてきた。
西暦
月
日
メモ
2004
6
13
室林道ラインセンサス
少し肌寒い天気となった。どうやら北の高気圧が南下している模様。北と南の綱引き、この場合は押し合い、が日本列島の気候を左右する。自然
は大きい。室林道でスズメを見るのは本当に珍しいことだ。それが今日実現した。スズメは人と共に生活していると言っても過言ではない。人が住
まない所にスズメはいない。家の周りで聞くいつもの声でも、室林道で聞くと別種のように聞こえるから不思議だ。スタートして間もなく、シジュウカ
ラの給餌を観察。雛への給餌ではなくてオスからメスへの給餌である。大きな獲物のようで食べおわるまでに時間がかかっていた。さぞかしメス
は満足したことだろう。林道の脇には白い花が点々と咲いている。ドクダミであった。雲は一時空を厚く覆ったが、センサスの終わりころから北の
方から青空が広がってきた。それと共に小鳥たちの囀りも一層熱が入ったようだ。
羽根・長根の田んぼ
秋風が吹き始めた頃のような錯覚をうけるほど、梅雨に似つかわしくない北西の風が苗をゆらす。アマサギとチュウサギが緑の中から首を出し食
事をしていた。田んぼの縁ではハシボソガラスが餌を探している。突然飛び立った小鳥。ヒバリであった。ヒバリの巣は田んぼ一帯のどこかにある
はずである。簡単に見つけられそうではあるが、案外見つからない。ヒバリは未だ水がたっぷりある田んぼに下りたように見えた。あれあれどうす
るのかな、心配になる。ヒバリが水鳥になった?丹念に見ていくと、再び飛び立ち、今度は畦道に下りた模様。ヒバリは苗に下りていたのだろうか
。
2004
6
19
初夏の海岸の鳥
土曜探鳥会は子供会と重なったため中止とした。そこで、牧野さん(毎回高浜市から来られる)と二人で海岸に出かけることにした。場所は御津町
の海岸。豊川と音羽川にはさまれた位置にある佐脇浜海岸にした。ここは工業団地で様々な工業が建っている。しかし未整備の土地も多くあり、
そこには野鳥たちが数多く生息している。この季節には、ヒバリ、セッカ、オオヨシキリなどの草原性の陸鳥や、ダイビングをして魚を捕らえるコア
ジサシやコチドリ、ケリなどの水辺の鳥が生活している。ヒバリやセッカはともかくも、今年になって未だコアジサシを見ていなかったので、この機
会にと出かけた訳である。夏至直前の太陽は眩しく水面を照らし、目を開いておれない程であるにもかかわらず、(当然気温は高いにもかかわら
ず)、海から吹く風が気持ちの良い朝を提供してくれていた。まず目に入ったのはヒバリのオスのディスプレイである。佐脇浜にはヒバリが多数い
る。その結果、繁殖を巡る競争も激しくなり、オスたちは、次々と空に上りメスに対していかに自分は強いかアッピールする必要性に迫られること
になる。ある個体などは30分近く飛翔と囀りを続けていた。また、たった1分で止めてしまった個体もいた。次から次へと舞台に上り求愛劇を演じ
ている俳優を思いおこさせる。やがて、青空をバックに白いスマートな鳥が海から陸へ、陸から海へ、往復する姿が見られるようになる。目当ての
コアジサシである。海面から数mの位置で獲物を見定め一直線にダイビングをする。そして嘴には、キラリト輝く魚が咥えられていて、陸上で待つ
雛に急いで持って行くのだ。コアジサシの飛翔力は何時見ても惚れ惚れする。尖って細く長い翼がその源にある。同様に、海面で採餌中のツバメ
もたじたじといった感がある。現に1羽のコアジサシに2羽のツバメが威嚇する光景にぶつかったが、簡単にツバメの追跡を振り切ってしまった。
羽ばたきの数は少ないが一回一回が力強いのである。岸壁に打ち寄せる波がリズミカルな音を奏で、ヒバリやセッカの囀りがそれに乗って響い
てくる。瞬く間に2時間余り経ってしまった。
サンショウクイの確認
4月に室林道でサンショウクイを確認した。その後は声すら聞いていないので移動たのだろうと思っていた。6月1旬の室林道は、過去にもサンシ
ョウクイの確認が多いのに驚いたのだが、今年は確認されていなかった。ところが6月13日に声を自宅付近で聞いた。がぜん期待が高まったの
であるが、ついに、19日に紛れもないサンショウクイの飛翔の姿を見つけることができたのだった。音羽町でのサンショウクイの繁殖の可能性は
高いのではなかろうか。
2004
6
20
モズ
今朝もモズの声を聞いて目を覚ました。どうやら2羽で鳴いている様子である。窓から覗くと、電線に止まり、尾羽を回して鳴いていた。6月に入っ
てからモズたちの行動に変化がみられる気がする。いわゆる、オスの縄張り宣言のような行動である。この季節は、野鳥たちにとっては極めて大
切な繁殖を成し遂げる時期にあたる。そのために縄張りを守る行動に出ることは至極当たり前である。俳句の季語に「百舌鳥の高鳴き」がある。
この場合は、秋も深まり、自分自身生きるための餌を確保する行動と見られている。冬は最も生きるためには厳しい季節なのだから。6月のモズ
は家族のために縄張りを守ると言う意味で重いものがある。
西暦
月
日
メモ
2004
6
26
茶臼山ラインセンサス
梅雨の雨間を縫って茶臼山まで出かけた。空の所々に日が差しており、雨に降られることはないだろうとたかをくくっての行動である。茶臼山の山
頂は雲の中にあって、茶臼山と萩太朗山の鞍部を霧が流れて行く。視界は200mほどだろうか。斜面に白く浮かぶのはマーガレットの花。盛りは
過ぎ疲れぎみの様子。姿は期待できないので声を頼りにセンサスを開始する。カッコウが鳴いている。高原の雰囲気を最もよく表わしている鳥の
声だ。ホオジロやウグイスの囀りもよく聞かれる。どちらかといえば、ホオジロは囀りよりも地鳴き個体が多かった。ウグイスのオスは子育てに全く
関わらない。だから囀るしかないんだ。コマドリの声は大変少ない。個体数が減っているのではと心配になる。突然足元からキジが飛び立った。
その後は雛が次々と母親の後を追ってゆく。雛の数は6羽まで確認できた。北面(長野県側)まで進んだところでアオジの囀りを聞く。平地で越冬
する姿は控えめであるのに対し、繁殖地のアオジはソングポストで思いっきり美声を張り上げる。これが生きる力なんだなと思う。残念ながら今日
は声だけであったが。牧草地でのんびり草を食む牛たち。その傍ではイカルやカワラヒワの群れが餌を啄ばんでいる。センサスの間持参した傘を
使うことはなかった。
2004
6
27
室林道ラインセンサス
朝、モズの声で目を覚ます。2羽が対決しているような雰囲気である。1羽は尾羽をくるくる回す。もう1羽はジーッとしたまま。うっすらと青空が見
える。梅雨の晴れ間の野鳥観察を楽しもう。室林道ではウグイスやホオジロ、キビタキたちが囀っている。しかし、最も張りきっていたのはヒヨドリ
であった。ヒヨドリには囀りはないが変化に富む鳴き声がある。落ち着いた様子の声もあれば、狂ったように鳴くこともある。素直に気持ちを出して
いるようで、人間くさいところもある。番いで行動したり、群れになったりする。この時期には雛とおぼしき声があちらこちらから聞こえる。ヤマガラ
の若鳥を見つけた。成鳥に比べ羽色のコントラストが低い。足で実を抑え盛んに嘴で実を突ついている。そこまでは親と同じであった。ところが次
の行動が子供らしい。細い頼りなさそうな草に止ったが、重みで逆さまになって地面に落ちてしまうという微笑ましい状況になったのだった。キビタ
キのオスがメスに求愛をしている。ヒヨヒヨとニワトリの雛のような地鳴きとカカカと嘴を鳴らす音を繰返している。直ぐ近くにメスがいた。これだけ
で求愛と結論付けるわけにはいかないが、そんな雰囲気ではあった。足元でコガネムシのようなのが獣の糞をころがしていた。直ぐ傍で眺めても
全く動じる様子はない。やるべきことを行なうのみと決めているいるようだ。
2004
7
3
寺ノ入林道ラインセンサス
1週間晴れの日が続くと、梅雨が明けたような気になってしまうが大雨などの災害は7月に入ってからの方が多い。長崎の災害などは、被災者の
生の声が電波に乗って大変衝撃的であった。科学技術が発達した現代でも自然の猛威の前では人は無力である。寺ノ入林道でも少し前の台風
による倒木や落ち葉が道を覆っていた。ネムノキの濃いピンク色が緑に間にぽつんと見える。足元にはホタルブクロの紫色。車を止め準備してい
ると賑やかなエナガの声がした。どうやら子供たちの群れのようだ。その中にはヤマガラとシジュウカラもいた。いずれも今年生まれた子どもたち
だ。少し遠くでサンショウクイが鳴いた。順調に子育てが進んでいることを祈るばかり。そして、久しぶりに聞くエゾムシクイの懐かしい囀りが響い
た。ヒガラと共に寺ノ入林道で繁殖している可能性が高いと推測する。20日前に巣を見つけた。道路から簡単に見えるところにある。その付近を
通過している時にキビタキのメスが警戒音を出した。初めオオルリの巣かと思っていたのだが、さてどちらなのだろう。オオルリ、キビタキの囀りも
まだまだ盛んであるが、ウグイスの地鳴きもよく聞かれるようになってきた。いわゆる普通のの地鳴きと違って警戒する声である。私(観察者)事
体が野鳥にとっては警戒すべき対象になってしまうのは寂しいものだ。
2004
7
3
土曜探鳥会 夜の探鳥会in龍源寺
子どもが32名(うち2名は中学生)、それに父兄をいれると総勢40名近くが夜の探鳥会に参加した。例年、最も参加者の多い人気の探鳥会であ
る。萩小の校庭ではスズメたちが涼しい時間帯を楽しむようにお喋りに余念がない。夕方、40人の集団が行進しているのを傍から見ると不思議
に思うだろう。羽根の田んぼ道を歩いていたら、突然、大きな鳥が上空を旋回し始めた。夜の探鳥会にふさわしく、ゴイサギが、これから餌探しに
出かけるのかもう1羽も加わり、薄暗くなった空をゆったりと羽ばたいているのだった。龍源寺に到着する頃にはとっぷりと日も暮れ、本命のムサ
サビに出会うには申し分ない。境内の端の階段に腰をかけ、いよいよ、ムササビの出現を待つことにした。まさに、根競べである。昨年は、幸運に
も木から木へと飛ぶ姿を見た。6年間の観察で姿を見たのは2回程。必ず見られるといった簡単なものではないことは承知しているつもりではあ
るが、子どもたちに理解してもらうのは大変だ。ジーと待つこと40分。子ともたちはその間、一言も発することなく、まじめに、ムササビを見たい気
持ちだけで待ったと思う。しかし、苦労は必ずしも報われない。気落ちしているかもしれない子どもたちに向って、本当の科学者のようだったよ、と
労いの言葉をかけずにはいられなかった。子どもたちは静かに聞いてくた。境内から出ると、元気の良い子どもに戻った。歌を歌う子、走って帰る
子、みんな夜を楽しんでいた。
西暦
月
日
メモ
2004
7
4
室林道ラインセンサス
ウグイスの囀りは変わらず多いが、ヒヨドリのオスによる縄張り宣言的なディスプレイが大変目に付いた。付近の梢を渡り歩くがごとく鳴く、移動す
る、を繰返す個体が多い。ヒヨドリはウグイスのように囀りがはっきりしない。想像も入るが、たぶん、付近にヒナがいて、それを守っているのでは
。ホオジロの幼鳥が地面で餌を探していた。また、キビタキの幼鳥も姿を現わした。親から受け継いだ遺伝子を自らの子に伝えられるか、様々な
困難が行く手を阻むだろう。視界が開けた場所で偶然にも、3羽のホトトギスが飛行していた。3羽という所が気になる。もう、巣立ち雛がいたのか
。最後に、真夏にはいる筈のなかったカケスの姿を見てしまった。声を上げればいることは分かる。今回の個体は鳴くことなく目の前を通りすぎて
いった。
2004
7
9
2004
7
11
アカショウビン
早朝5時30分頃、アカショウビンの声を聞いた。ピロロロロ・・と綺麗に音程が下がる独特の声で、他の鳥と間違えようがない。
私がアカショウビンを音羽町で確認できたのは過去6回。他の種と比べても決して多いほうではない。しかし、少ないからといって、いわゆる迷鳥と
は根本的に違うと思う。アカショウビンが音羽町で生息・繁殖していても不思議ではないからだ。
2004
7
11
室林道ラインセンサス
雲が北西から南東に流れる。通りで爽やかな訳だ。野鳥たちも活き活きとしているように感じられる。エナガ(幼鳥)の群れに出会った。個体数は
ざっと20羽くらいか、従って、一腹の兄弟・姉妹がさらに結合した群れのようである。メジロの群れも多い。先の、エナガの群れのすぐ隣で採餌の
真っ最中である。今日の室林道全体を見ると、ヒヨドリ・メジロが元気一杯であった。ヒヨドリは実に多彩な鳴き声の持ち主で、感情(というものがあ
るとしたら、あると信じたいが)がそのまま出ているようで私は好きである。昨日の雨であちこちの水溜りが大きく広がっていた。覗いてみると、イ
モリが何匹も落ち葉の陰に隠れるようにしていた。オレンジ色の腹が暗い色の中で別物のようであった。
2004
7
17
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
厳しい暑さにもかかわらず6名の子供たちが参加してくれた。暑さ対策は十分しなければならない。水分の補給は極めて重要だ。リュックの中身
はスポーツドリンクばかり。民家の近くではツバメとスズメの子がやたら目に付く。成鳥のように黒い燕尾服や黒い頬と喉の模様は未だ無い。子
供たちにも親子の区別がはっきり分かったようだ。神社の木陰から離れるのに少々ためらいが出る。けれど、雲の向う方向は北から南であった。
太陽に暖められむっとする地上の空気を多少なりとも流してくれる。神社の繁みからウグイスの囀りが聞こえた。それもかなりの美声である。ウグ
イスの囀りも随分上手下手の差がある。特に、ホケキョを綺麗に囀る個体は少ない。こんな日は川の上は極楽だ。橋から魚の様子を眺める。繁
殖色の付いたオスもいる。羽根・長根の田んぼ道に入る。暫らくは全く日陰は無い。幸いにして、穂の出かかったイネをゆらす風が波頭のように
向って来て火照った体を冷やしてくれる。田んぼの主役はセッカである。縄張りを見回るオスが円を描くように飛ぶ。その時の声はセッカ独特のも
のだ。スコープで草の茎に止る姿を観察する。スズメよりも小さい愛らしい姿は子供たちの心をとらえたようだ。
2004
7
24
室林道ラインセンサス
野鳥の鳴き声をかき消す勢いでセミが鳴いている。クマゼミ、アブラゼミ。中でも、ヒグラシが最もよく鳴いていた。クマゼミやアブラゼミと違ってヒ
グラシの声は暑さを感じさせない。清涼感さえ覚えるから不思議だ。繁殖の最盛期は過ぎ少し落ち着きを取り戻した室林道の様子は、ヤマガラの
子が独りで餌を捕り、ウグイスが悔いが残らないようにと、高らかに囀っている。彼らは、8月の半ばには囀りをやめてしまうのが通例だ。ウグイス
に比べると、ホオジロの囀り個体は少ない。ホオジロはオスとメスで子育てするのに対して、ウグイスはオスは子育てをしない。その辺が囀りの仕
方にも違いが出ているのだろう。結構賑やかであったセンダイムシクイやヤブサメも殆ど囀る個体はいなかった。センサスの途中でカッコウの声
を聞く。カッコウは高原で繁殖する鳥で室林道に定着はしていない。おそらく、南下中の個体では。音羽町でカッコウの声を聞く機会はそんなに多
くはないが、毎年一度くらいは経験する。やがて鳥たちは繁殖を終え換羽に入る。暫らくはセミやチョウが室林道の主役となって過ぎて行くことに
なる。
西暦
月
日
メモ
2004
7
25
寺ノ入林道ラインセンサス
雲がたちこめ久しぶりに猛暑から解放されそうな一日の始まりであった。寺ノ入林道は静かだった。と言うのも、あれほどうるさいセミが殆ど鳴い
ていない。おかげで小鳥たちの声をしっかり聞くことができた。ウグイスの囀りはまだまだ続いているが、アオゲラ、エゾムシクイがハッキリとした
声で鳴いていた。エゾムシクイはここ寺ノ入林道で繁殖しているのでは。イカルも頻繁に飛び交っているし、澄んだ囀りも聞かれた。ラインセンサ
ス開始から雲が低く垂れ込めてきた。少々の雨なら濡れても気持ちがいい。そう思って傘も持たずに歩き始めた。折り返し点からポツポツと降っ
てきたので、何時もよりも少し手前で急いで戻る。しかし、帰りは雨の中を歩くことになった。降り始めたその時、サンショウクイが鳴きながら飛ぶ
姿に出会った。なにかご褒美を貰った気分で雨の林道を愉快に歩いた。
2004
8
7
土曜探鳥会 室林道
8月の第一週目は恒例の早朝探鳥会である。一年でも最も暑いこの時期に、太陽がじりじり照りつける中を行動するのは無謀というものだ。まし
てや子供たちの探鳥会である。早朝の爽やかな時間帯に鳥を観察する、なんと素晴らしいことだろう。実際林の下にいると涼しいのである。すっ
かり稲穂が出揃った田んぼではスズメたちが群れ、民家の近くではツバメが電線に止っている。彼らの姿に繁殖の大仕事を終えた安堵感を感じ
た。室林道に入ると今までならば様々な囀りを聞くことができたのだが、今は小声の地鳴きばかり。それもヒグラシの声にかき消されてしまう。クマ
ゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミも鳴いている。ウグイスの囀り個体もほんの2・3羽といったところか。そんな中でホオジロが孤軍奮
闘していた。セミ時雨と言うくらいで雨間のようにセミのこえが途切れる瞬間がある。すると今まで聞こえなかったホオジロの声が主役となるのだ。
しかし、再びセミ時雨になる。山の道端には花は見当たらないが、畑にはピンク・紫・赤・オレンジの強い色調の花が植えられている。いかにも夏
!といった風情でそれはそれでよいものだ。
2004
8
8
室林道ラインセンサス
昨日の土曜探鳥会の時にも子供たちに話したが、ここ暫らくは、野鳥は換羽の時期に入る。換羽とは一年に一度羽が生え換わる事である。羽は
非常に大切なものだから、痛んだり抜け落ちたりしたものが生え換わることは鳥にとってメリットがある。しかし。そのために大変なコストを負担し
なくてはいけない。少しでも換羽にコストを回せるように鳥たちは行動を自重しているのである。繁殖前の賑わいは今は無い。鳴く事さえも抑えて
いるかのようだ。ウグイスの囀り個体は3羽。ウグイスは8月半ばでほぼ囀りを停止する。ホオジロは結構ソングポストで囀っている。エナガ、メジ
ロ、ヤマガラ、シジュウカラたちも静かになった口である。ひたすら採餌に精を出していた。帰りのコースで思いがけない鳥の声を聞く。エゾムシク
イの地鳴きであった。春先、北上する際の囀りや姿を確認してから4ヶ月ほど経つ。南下する個体なのだろうか。今日も厚い雲が広がっていてそ
んなに暑さを感じない。5kmほど離れた御油町の昼花火の音がやけに大きく聞こえた。
2004
8
9
茶臼山ラインセンサス
下弦を過ぎた月を見ながら家を午前3時に出る。これほど早く出発するのは久しぶりのことだ。鳥を見るのにはやはり早朝がいい。茶臼山までは
2時間は必要。だから3時出発は至極当然のことになる。最近はさぼり癖がついてしまい、日も相当高くなった頃ラインセンサスをすることが普通
になっていた。盆の連休の時くらいはと発奮して出てきたと言う訳だ。6時14分スタート。夏休みなので親子づれで散策している姿もちらほら見え
た。あいにく茶臼山の山頂は霧で視界が200mくらしかない。日が出ないため涼しいほどだ。カラマツの梢でホオジロが囀っていた。霧のせいか
大変よく聞こえる。落葉樹林帯からは微かにコマドリの声がした。同時に心配な鳥の声が高らかに聞こえだす。本来日本にはいないソウシチョウ
である。2002年8月31日にソウシチョウを初めて確認した後、毎年必ず声なり姿なりを確認している。茶臼山をぐるりと取巻くように生息してい
て、範囲、個体数も拡大しているのではと懸念している。クロツグミ系の明るい声で鳴きペットとして飼われているようだ。先日テレビで、カブトムシ
の大敵が現れた話しを放送していた。やはり外来種の昆虫であった。人間の慰みでペットを飼う前に、ペットとして輸入したものが野生化しその結
果生態系にも大きな影響を与えている事実を知るべきだ。研究者は伝える義務がある。その意味では、無差別な森林伐採、大量なる農薬の使用
による生物への影響、と同レベルの罪を犯している事を自覚する所から出発すべきであろう。ペットに安らぎを求める傾向はますます強くなってい
る。農薬、ダイオキシンといえば誰でも目を背けるが、ペットだけが可愛いの一言でまかり通っているのが不思議だ。ソウシチョウの影響を受けて
いると想像するのは悲しいことであるが、今は、茶臼山の夏を存分に利用しているウグイスも、うかうかできない事体がやがて来ないとは言えよう
か。ウグイスは、室林道と比べて囀り個体がまだ相当数いるように見える。むろん、地鳴き個体も増えてきたが。(メスは地鳴きしかやらない)茶臼
山らしい野鳥といえば、ヒガラ、コガラ、アカハラだろう。コガラの群れが目の前で採餌しているのを見た時はヤッターと思った。
西暦
月
日
メモ
2004
8
10
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日とはうってかわって快晴の空。暑くならないうちにと6時そこそこに家を出発する。センサス開始時間6時52分。時計を忘れたのに気がつく。
これではセンサスのおり返し時間が分からない。(スタートとゴールは車の時計で分かる)所が運良くカメラを持ってきていた。デジタルカメラは時
刻が分単位までセットできる。早速時間セットから始める。(実は、横着していて今まで時間セットをしたことが無かった)携帯もそうであるが、デジ
タル方式はセットがやっかいだ。なんとかしてスタート。標高600mの寺ノ入林道は音羽に比べたら4度くらいは気温が低いので、特に朝方は気
持ちがいい。セミ時雨も無く野鳥の呟きがよく聞こえそうだ。ヒガラのソプラノの囀りがする。これはもう繁殖は確実だろう。エゾムシクイもかなりい
る。こちらは南下の可能性もある。(昨日の茶臼山、一昨日の室林道にもいた)ウグイスは茶臼山に比べると囀り個体は少ない。室林道よりは多
い。これは囀りと地鳴きの比率の違いなのか、個体数の違いなのか、よく分からない。私としたは後者の気がする。ホオジロの囀り個体が多いの
は寺ノ入林道でも同じだ。比較的近くの対象を8倍の双眼鏡で眺めたところ、顔の模様から成鳥ではないように見えた。若鳥ではなかろうか。サン
ショウクイも一回だけ声を聞く。なんとか繁殖に成功していてくれたらいいのだが。サンショウクイと共に寺ノ入林道の目玉がハチクマである。最初
、クマタカではと胸を躍らせたことが懐かしい。大きさといい、下から見上げた時の鷹斑といい、なかなか立派なものである。ここ2年ほど見かける
ことが無かった。今年も今日まではお目にかかっていなかったのだが、ようやく目にすることができた。その時の様子は、往路のセンサスを終え日
陰で休んでいたら突然タカの鳴き声した。ノスリかハチクマか?ノスリも多いのだ。まずは姿を探さなくては。靴を脱いだまま少しでも視界の開け
た所に移動し探しあてたのは、小さなタカ(推測するにツミかハイタカ)がハチクマを威嚇する姿であった。ハチクマは相手にせず旋回している。声
の様子からすると1羽だけではなさそうだ。やがてもう1羽も見えた。互いに鳴きあっているので番いでは。復路のセンサスを開始した途端、今度
は4羽の姿があった。2番いなのか、それとも子供なのか?。沢の水で顔を洗う。これで暫らくは爽やかな一時を持てる。セミの合唱が始まった。
オニヤンマがこちらを見て過ぎた行った。対照的に我関せずなのは、体に毒を持ち捕食の危険の無いアサギマダラである。昨日の茶臼山にもい
た。実にゆったりとふわふわ舞っている。せいぜい捕虫網で捕まっても羽にサインペンでマークを付けられるくらいだ。
2004
8
13
室林道ラインセンサス
暑くなったら観察どころではない。6時41分センサス開始。ヒヨドリがやたらに目に付く。体色では見分けが難しいが鳴き声からすると幼鳥らしき
個体が多い。ウグイスの囀り個体は3羽。例年8月下旬には囀りを終えてしまう。そんな中で囀るのはホオジロくらいだろう。こちらは10月になる
と再び囀りが盛んになり、年間を通しての第2のピークがある。殆どの野鳥は静かに採餌するようになるが、ヒヨドリ以外にも親から離れた子ども
たちがやんちゃ振りを発揮しているのを見るのはこの季節だけの楽しみである。今日も、キビタキ、オオルリの子どもがサクラの枝で虫を捕ってい
た。キビタキの方は近くで成鳥の番いを確認できた。何時見てもオスの成鳥はきれいだ。囀りは止めてしまったセンダイムシクイも採餌に熱中して
いた。残念ながら私には子どもかどうか判別はできない。林道を歩いていると様々な動物と出会う。チョウやトンボは歓迎である。オニヤンマが私
の傍を行ったり来たりする。黒と黄色の虎縞と緑色の大きな目が何とも美しい。出て欲しくないのはハチとヘビ。以前ハチに刺されて入院した経験
からハチには反射的に身構えてしまう。帰り道、細い線のように見えたのは若そうなヤマカガシであった。ヘビは別段怖くはない。普通に気色が
悪い程度である。そのまま歩いて行けば向こうが逃げてくれる。セミ時雨が始まった。鳥の声もかき消される。セミの声を物ともせずにハシブトガ
ラスが盛んに鳴き交わしている。
2004
8
15
羽根・長根の田んぼ
田んぼは少しずつ色の濃さは違っていはいるが黄色に染まっている。稲穂も頭を垂れていて生育は順調のようだ。昨年は冷夏で実の付きが悪か
った。スズメやカワラヒワのまとまった群れが稲穂を啄ばんでいた。困った状態ではあるが、田んぼは、彼らにとっては利用できるものの一部でし
かない。あちこちからセッカの囀りが聞こえる。セッカは一夫多妻。オスは常にテリトリー内を見張っている。もしも、他のオスが侵入すれば即座に
追い払う必要があるのだ。こんなことを1日中しているのだろう。室林道では同じことをウグイスがしている訳だが、こちらの方は行動がよく見える
。(1日セッカに付き合う勇気は持てないが)田んぼと民家の間を長根川が流れている。ここはセキレイたちの憩いの場所。今はセグロセキレイば
かりだ。換羽なのか色が抜けている個体が多い。幼鳥もいる。スズメやカワラヒワの群れの中にも幼鳥がかなりいた。当然といえば当然である。
大きな鳥では、ケリとアマサギがいた。しかし、アマサギの数はたったの1羽のみ。(少し寂しい)
西暦
月
日
メモ
2004
8
21
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
子どもたちは8名、中学生1名、ご父兄先生2名となかなか賑やかな探鳥会であった。うっすらと雲がかかっているものの暑いことにはかわりはな
い。しかし、田んぼの黄色い色付きとともに秋が少しばかり混じっている今日の天気だ。ツバメが田んぼの上を飛び交う。今年生まれた子はやが
て越冬地への旅という試練が待ち受ける。知ってか知らでか採餌に余念が無い。ツバメに混じってコシアカツバメがいた。音羽町には3種類のツ
バメがいる。残りの1種はイワツバメ。ツバメたちが集まっている時に出くわしたら是非見分けたいものだ。そんな説明をしていたら早速コシアカツ
バメとツバメがいた訳である。コンバインが農道を行き交う。8月も残りが随分あるのにもう稲刈りが始まった。田んぼからセッカが飛び立つ。ヒッ
ツヒッツヒッツと辺りを圧するほど大きな声で鳴く。下り立った先には小さいけれども立派なセッカの姿が。スコープで見ると足を大きく開いて止っ
ている精悍な姿が目に入る。セッカは一夫多妻でオスは縄張りを守っている。小さくても男気があるように見える。さしずめ清水の次郎長の子分
の小政か。スタートの時は曇っていたのであるが折り返し点で休んでいるときは綺麗な青空が広がった。
2004
8
22
室林道ラインセンサス
ツクツクボウシ、ミンミンゼミが鳴いている。ツクツクボウシが鳴くと夏も終わり。野鳥の世界は繁殖の大仕事を終えほっと一息といった所か。しか
し、換羽という試練が待ちうけている。従ってこの時期は、1年のうちでも不活発は時期のひとつだろう。そんな中でも比較的目に付くのはヒヨドリ
であった。ウグイスは囀りを止めてしまった。例年お盆を過ぎるとホーホケキョは聞かれなくなるが今年も例に漏れなかった。サクラの樹冠で何か
がいる。黙っている鳥には注意しろが私の経験から得たことだ。特に渡りの季節は。8月の終わりは渡りの時期。海岸ではシギ・チ
ドリの南下が始まる。野山でも同様なのだが、シギ・チドリに比べ圧倒的に観察が難しい。サウラの主はコサメビタキであった。茶臼山などで繁殖
している。(以前に育雛を観察したことがあった)音羽町では南下中の姿を観察することになる。8月から9月は日頃は見られない種を観察できる
というわくわくする時期でもあるのだ。コサメビタキの特徴は目の回りの白い部分。観察個体もこの特徴があった。よく似たのにエゾビタキがいる。
こちらは腹部の縞模様がはっきりしている。共にヒタキ科でオオルリやキビタキと同じであるが、こちらのほうはいたって地味な色で目に付き難い
。名前のサメビタキはサメの肌色から取られたものである。キビタキのオス・メスの成鳥にも出会ったが、もう全く声を発することが無くなった。換
羽のために無駄なエネルギーを節約しなければといった所か。晴れたり曇ったりとはっきりしない天気である。これも秋の前触れなのか。
2004
8
28
茶臼山ラインセンサス
台風16号が接近する前に茶臼山の鳥を見ようと出かけて来た。麓から茶臼山がくっきり見えた。素晴らしい晴天である。奥三河の山々が輝いて
見える。北には恵那山、東には南アルプスが連なる。山頂は比較的静かである。野鳥たちの鳴き声も少ない。やはり換羽の時期に入ったためか
。ウグイスの囀りも無論無い。代りに地鳴き個体が潅木や笹の茂みの下で活発に鳴いている。そんな中でソウシチョウの囀りが明るく響く。標高
1415mの山頂から少し下がった周回路をセンサスしているのだが360度あらゆる方向でソウシチョウを確認できた。ソウシチョウは中国でも冷
涼地帯に生息しているという。少しでも環境の近い場所に集まるのは自然なことだろう。はっきり言えるのは、ソウシチョウが茶臼山の環境に適応
し個体数を増やしている可能性が高いということだ。自然林の遊歩道コースを歩く。カケスの声が響いた。静かな森ではあるが、カラ類が通りすぎ
る時には一時の賑わいがある。厳しい自然を行き抜いてきたウラジロモミの太い幹がある。その懐に擁かれるようにしてカラ類が採餌している。
樹冠付近でヒガラが、少し下がってコガラ、地上付近ではシジュウカラたち。一応混群としておこう。シジュウカラ科の鳥たちは比較的人を恐れな
い。エナガを加えたカラ類の混群は野鳥観察の楽しみのひとつ。
西暦
月
日
メモ
2004
9
4
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
9月の第1週を羽根・長根の田んぼとしたため、3連続で羽根・長根の田んぼをフィールドに観察することになる。音羽では8月の終わり頃からあ
ちこちで稲刈りが始まっていて、今日のコースの前半では黄金色の田んぼが、後半では刈り取りの終えた田んぼが広がっている。羽根の田んぼ
に入る前に素晴らしいプレゼントが
った。山陰川を渡る橋の上から、カワセミが川面から飛び立ち宙返りをして去って行く姿を見ることが出来たのだ。ほんの数mの所から一途始終
を観察出来たことは大変幸運であった。嘴には魚が咥えられていた。瞬間の出来事ではあったが全員(8名の子どもと3名の大人)が綺麗な姿を
見ることが出来てよかった。羽根の田んぼでは、チュウサギの白い姿とハシボソガラスの黒い姿が点々とある。コンバインで刈られている田んぼ
の上ではツバメたちが飛び回っている。中にコシアカツバメも混じっている。ツバメにとって、越冬地に向かう前に稲刈りがあってこの様に食べ物
にありつく事が出来ることは、周辺にこのような餌場が無いツバメに比べ繁殖の成功度を高める要因になっているに違いない。自分の遺伝子の
半分を伝えた子が無事越冬地に向い、翌年の春に再びこの地を訪れ子育てに励む、そしてまた次の世代が生まれる。こうして遺伝子が伝えられ
ていく。田んぼ道を進んで行くと足元から飛び立つ鳥がいる。近くいたのに気が付かなかった。しかし、飛んでいる姿は白と黒の羽模様のたいへ
ん目に付く鳥である。鳴き声がケリケリなのでケリと言う。国内でも東海地方に生息している大型のチドリ科の鳥である。探鳥会会のメンバーにと
っては馴染みの鳥である。朝からしっかり晴れている上に風もない暑い日であった。羽根の田んぼでは日陰が全く無い。そこで恒例の長根川の
川遊びをする。川の中は気持ちが良いことだろう。川の上にいる大人は我慢するしかない。畦にはツユクサやノボロギクの花が咲いている。ノギ
クを見ると秋を感じさせる。やがてヒガンバナも。
2004
9
5
室林道ラインセンサス
秋雨が上がって暫らくは雨に降られる心配が無くなったのでセンサスを開始した。今回のセンサスで感じたのは鳥の分布は決して均一ではないと
いうことであった。メジロの群れが移動していく。エナガの群れがいる。群れに出会うと暫し喧騒の中に身を置くが、過ぎ去ってしまうとまた静寂が
支配する。通常、エナガには連れがいる。今日も、コガラ、シジュウカラ、ヤマガラが混じっていた。群れには属さない鳥もいる。エナガと一緒に餌
を探しているのはセンダイムシクイ。彼は、群れが移動しても単独で採餌している。時折顔を見せるのがオオルリやキビタキ。エナガの群れに気
を取られていた時、キビタキのオスがふらりとやってきた。私の視界からは端の方ではあったが何しろ目立つ鳥であるから、すぐに見つかってしま
った。
2004
9
11
寺ノ入林道ラインセンサス
秋分まであと10日余り、秋の気配が濃くなってきた。標高600mの寺ノ入林道の気温は22度であった。昨夜の大雨で沢音も一段と大きい。野鳥
の声はというと、時折、カケスのだみ声が聞こえるくらいである。いやいやそんなことはない。よく耳を澄ませば様々な鳥の呟きが聞こえるはずだ
。スギ林からはエナガとカラ類との混群が採餌している。シジュウカラやヤマガラがエナガの後を追いかける。コゲラも必ず群れに加わっている。
この日一番の群れは全体で50羽ほどいただろうか。カケスもかなりいる。音羽では秋になってようやく戻って来るが、寺ノ入林道では周年いうよう
だ。(ただし、同じ個体が留まっているとは限らない)ウグイスと共に藪や潅木で採餌しているのがウグイス科のヤブサメである。虫の声のような
囀りの替りに人の舌打ちのような地鳴きで鳴く。案外近くでも警戒することなく小さな姿ではあるが、堂々とした様子で枝を飛び回っていた。なに
かミソサザイにも合い通じる。さすがに坂道になると汗をかいてしまう。ツクツクボウシが夏を惜しむかの如く鳴いている。その声は盛りの時のよう
には力強くはなかった。
西暦
月
日
メモ
2004
9
12
室林道ラインセンサス
今日の室林道では、鳥の世界における秋の大移動が始まっていることを実感させられた。北半球では、春には繁殖地への北上、秋には越冬地
への南下、が地球規模で起きる。いわゆる「渡り」である。今日観察したのは、そういった規模の渡りではなくて、狭い範囲での鳥たちの移動のこ
とである。カケスが再び室林道に戻ってきたのだ。室林道では初夏から秋までの繁殖期間中ぽっかりとカケスの空白域がある。それにひきかえ、
標高の高い茶臼山(1000m以上)や三河湖(500m)では一年を通してカケスを観察できる。子育てするのにより良い条件が揃っているのだろう
。8年ほど前に室林道で、カケスの群れが次々と森に下りていった光景を見た。さらに伊良湖岬では、カケスがヒヨドリなどと一緒に移動する姿を
見て、たいへん感動した事を忘れることが出来ない。カケスは私にとって馴染み深い鳥なのである。先週のように賑やかな混群に出会うことはな
かったが、今日も予想外の鳥に出会った。それは、メスのサンコウチョウである。ヒタキ科の鳥たち(オオルリやキビタキが代表)は、繁殖期は素
晴らしい声で囀るが非繁殖期は地鳴きすらも無駄とばかりに口をつぐんでしまう。サンキョウチョウ(カササギヒタキ科)もよく似ている。従って、あ
の「月日星・ホイホイホイ」の後は居るのか居ないのか判らないくらいだ。突然に目の前にメスが姿を現わした!。かなりの感動である。その他、
キビタキがいた。先週はオスであったが今週はメスの方だ。メスとなるとコサメビタキ・エゾビタキではないかと疑ってかかるが、どうやらそうではな
さそうだ。これも、秋の移動の時期でなかったら疑うこともなかったろう。ツクツクボウシが鳴き、切り通しの斜面に生えているハギにも小さな花び
らが付いている。どうして生えているのか一株のヒガンバナが目にも鮮やかであった。
羽根・長根の田んぼ
見渡す範囲の田んぼは全て稲刈りが終わり、静かに秋を待つといった風景である。やがて始まるノビタキの移動を確認するためやって来た。未
だノビタキは居ないことは分かっているが、果たして何時もの時期に来るのか、そんなことは誰にも分からない。結果として後から分かることだ。
従って暫らくは毎週毎週田んぼ廻りになる。(年中行事のようなもの)室林道で始めて見たヒガンバナ、畦のあちらこちらで花開いていた。ツユク
サ、ノボロギクも秋らしくて好きだ。田んぼに点々とあるのは白サギが採餌している姿。3種類(ダイサギ・チュウサギ・コサギ)が全ていたのは当地
にとっては幸運である。そのサギに気を取られて見過ごしてしまうのがケリ。飛び立ってしまえば白と黒の良く目に付く羽の色、「ケリケリケリ」とけ
たたましく鳴く声で、誰にでも分かる。小型の鳥も見逃せない。長根川にはセキレイがいる。夏の間少し姿を見なかったキセキレイも多数いた。キ
セキレイのお腹のレモン色はキビタキにも引けを取らない。その中に1羽だけ注目鳥がいた。ハクセキレイである。ハクセキレイは繁殖時期には
当地に居ない。秋の始まりと共にやって来る。先週の土曜探鳥会で声を確認したが今日は姿も確認できた。顔の白い部分が薄黄色なので若鳥
だ。田んぼの中に巣を造るセッカはもう囀ってはいない。(巣を守る必要はないからだ)それでも居ることは居る。スズメみたいな地鳴きを出して飛
んでいた。飛んでいる様子は、囀りながら縄張りを見回って飛ぶ姿と違わなかった。来週か、さ来週辺りにはノビタキがやって来るだろう。セッカは
当地で越冬するか。再びホオアカに出会えるか。田んぼの鳥の醍醐味を味わう季節がいよいよ始まる。
2004
9
18
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
ついにノビタキがやって来た。羽根の田んぼにはおよそ10羽余りのノビタキが採餌に余念がなかった。畦の草やポールに止まって羽を休め田ん
ぼに下りて採餌する。毎年繰返される光景があった。9月に入りサギたちの姿が目立って増えた。チュウサギが最も多いが、コサギ、ダイサギ、ア
オサギも現れる。さながらサギ類の図鑑を見るようである。セキレイも負けてはいない。セグロセキレイにハクセキレイ、キセキレイも混じって田ん
ぼを縦横無尽に飛び回っている。縄張りを争って追いかけっこしている。牧野さんがムラサキツユクサの不思議を子どもたちに教えてくれた。ムラ
サキツユクサの花が1日花で翌日に咲く花が、また翌日に咲く花が準備されているそうだ。8名の子どもたち(1人は中学生)も興味深そうに牧野
さんの指先の花を注視していた。ヒガンバナは今が満開。秋の深まりを感じるのはもうすぐだ。
西暦
月
日
メモ
2004
9
19
汐川干潟
到着した時は干潟は海水の下にあった。防波堤の下で多くのサギが辛抱強く潮が引いてご馳走にありつけるのを待っている。目立たないが鳴き
声からキアシシギも混じっていることが分かる。少し待たねばならない。そこで思いつきに任せて伊良湖岬に行ってみることにした。もしや何がし
かの鳥の情報を得られかもしれないと思ったからだ。恋路が浜の駐車場には地元以外のナンバープレートの車もちらほらとあった。しかし、特別
な様子は無かったのですぐさま汐川干潟へ引き返した。引き潮になると思った以上に短時間で干潟が広がるものだ。気の早いダイサギが海の中
にいた。大部分のシギ・チドリはもう少し潮が引かないと採餌に入れない。しかし、大型のシギは別である。2羽のダイシャクシギがまだかなり深い
所で食事を楽しんでいた。ここでは餌の取合いも起こらないだろう。実際、餌を巡ってシギやチドリたちは常に諍いを起こす。強い個体が弱い個体
を追い回す光景は何時もの事だ。みるみる干潟が姿を現わしてきた。しかし、今日の主役たちは存外姿を見せない。せいぜい10羽くらいのダイ
ゼン、少しのキアシシギとシロチドリである。暫らく待ったが増える様子は無かった。堤防の内側は、葦原、養鰻池、釣り堀がある。葦原ではセッカ
が大きな声で鳴いていた。セッカは小さな体のくせに囀りのみならず地鳴きの声も相当大きい。田んぼのように刈られてしまう心配がない分ゆっく
り繁殖できるというものだ。水路には10羽ほどのカルガモがに混じってコガモの姿があった。羽は未だオスとメスの区別が付かないエプリクスと
呼ばれる状態のものである。もうやって来たのか。カモ類のエプリクス時の識別は素人の私にとって難題である。対岸の田原市から花火の音が
する。秋祭りなんだろう。
2004
9
25
室林道ラインセンサス
朝からからりと晴れた空が広がり暑くなりそうだ。夏の暑さは野鳥たちにどのような影響を与えただろうか。室林道に近づくと今までにない状況に
気付く。カケスがいたる所におり、だみ声を上げながらふわりふわり優雅に舞っている。9月に入ってカケスが室林道に戻ってきたが、すっかりカ
ケスで埋め尽くされた(少し大袈裟か)。カケスの南下の現場を見ることはなかなか出来ないで居る。いつの間に室林道にも来てしまった、という
のが毎年の記憶である。今日の室林道の主役はウグイスでもホオジロでもなくカケスである。秋の深まりに合わせるかのようにエナガの群れを先
頭に、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラ、メジロの大きな集団(混群
ができる。運良く混群に遭遇すればその活発な姿と声に圧倒されること請け合いだ。まるで竜巻が辺りを席巻するかのように、採餌をしながら、
次から次へと場所を替えて行く。今日も、それほどの個体数ではなかったものの混群に巡りあうことができた。これはもう運しかない。おっといけな
い。少し早めに切り上げないと萩小の運動会に送れてしまう。小鳥のように元気な姿を見なくては。
2004
9
25
羽根。長根
羽根・長根の田んぼでは先週からノビタキの南下を観察している。今日も数羽が草叢にとまっているのを見つけることが出来た。白く見えるのは
チュウサギである。灰色の鳥はケリ。幼鳥のような羽色の個体が6羽ほどいた。ここもゆっくりとしてはおられない。萩小運動会の昼の休憩中に来
ているのだ。午後からは一輪車ショウーがある。愛地球博の関係で愛知県の市町村と参加各国との交流が行なわれる。音羽町のパートナーは
チェコスロバキアとのこと。その駐日大使が一輪車ショーを見学されるそうな。時間までに戻らなくては。
西暦
月
日
メモ
2004
9
26
茶臼山ラインセンサス
センサスの後半はあいにくの雨になってしまった。車のヒーターの温度を一杯に上げ濡れたシャツを乾かした。それでも今日来て良かった。実に
様々な見所があったのだ。この時期の狙い目は鳥たちの南下である。茶臼山では、エゾビタキが牧場でゆっくり羽を休める、そんな姿を至るとこ
ろで観察できる。今日もまさにその通りになった。背中はグレー、腹は白、地味ではあるが私にとっては親しみ深い鳥である。反対に色彩の鮮や
かな鳥もいた。オオルリのオス(成鳥)である。オオルリは囀りを止めて久しい。あれだけ鳴いたのだからもう金輪際鳴くものか、とばかりに押し黙
ったまま行動している。アオバトが激しく羽ばたいて茶臼山の斜面を横切る。普通に見かけるのはキジバトであるが、羽ばたきが違う。アオバトは
同じリズムで羽ばたくからすぐに分かる。近くを通過した最に特徴ある緑色の体が双眼鏡の視界の中に収まった。長野県側に入った途端雨にな
ってしまった。真北に当たる場所でコガラとシジュウカラの混群を観察。コガラの混群とはさすがに茶臼山である。茶臼山と萩太朗山の鞍部を歩
いているとき、背後から羽音が近づきあっという間に飛び去る姿を見た。6羽のアマツバメであった。アマツバメは最も高速飛行の可能な鳥である
。三日月型の細く長い羽と砲弾のような体は早く飛ぶためにデザインされた。ツバメも他の鳥と較べたら随分早く飛ぶ。しかし、アマツバメの敵で
はない。服を乾かし、昼食をとったあと再び茶臼湖方面に車を進めてきた。エゾビタキをゆっくり見たかったからだ。牧草地の所々に昔に枯れてし
まった針葉樹が残っている。そこにはエゾビタキが4羽も羽を休めていた。まるで音羽におけるノビタキの様。両者に共通するのは、越冬地への
南下の姿ということ。少し違うのは、ツグミ科のノビタキが地上に降りて採餌するのに、ヒタキ科のエゾビタキはフライングキャッチ(空中で虫を捕ら
えること)することである。両者の動きの違いがよく分かった。秋は鳥の南下の季節。茶臼山山頂付近でとても珍しい光景に出会った。私にとって
は、1993年初めて茶臼山で野鳥を観察して以来、初めて見る光景である。ハチクマ(またはサシバ)と思われるタカが羽ばたきながら、少し上昇
するようにして視界から消えていったのである。その数8羽。(もうすこしいたかもしれない)そのときは雨もあがって視界が開けていた時で偶然に
も見つけることができたのだ。センサスの時は雨に打たれ足早に通り過ぎた場所だった。粘り勝ちと思った。
2004
10
1
寺ノ入林道ラインセンサス
台風一過の素晴らしい青空が広がった。昨日までの雨を集めた沢音が響いている。スタート地点に下り立った途端フワフワとアサギマダラが飛ん
でいった。これは幸先がいい。しかし、カケスやアオゲラの空気を切り裂くような鳴き声以外には野鳥の声があまりしない。今、鳥たちは日本列島
中を北から南に大移動中。時に鳥の姿が消えてしまう空白帯ともいえる時期があるのはよく経験することだ。けれど徐々に様々な声が聞こえてき
た。ウグイスの笹鳴き(地鳴き)は秋から冬にかけての落ち着いた季節に最も似つかわしい。小型のウグイスであるヤブサメは、囀りの季節には
姿を見つけるのは本当に難しかったのが、地鳴きの季節に入るとやたら見易くなる。結構気が強いみたいで人を恐れない。3羽のホオジロの若
鳥がアカマツの下を移動していた。ホオジロは繁殖期が終わっても囀りを止めない。換羽を終え10月に入ると囀りの第2のピークがある。今日は
残念ながら囀りは聞かれなかった。代りに囀りらしい歌を聞かせてくれたのはメジロ。繁殖期のような長い歌ではなかったが確かに囀りであった。
最も姿を見せたのはカケスである。広い谷をゆっくり横切る姿を何度も見た。明日、土曜探鳥会は伊良湖岬で探鳥会を行なう。主役のサシバやヒ
ヨドリと共にカケスの南下も是非見たいものだ。
西暦
月
日
メモ
2004
10
2
土曜探鳥会 伊良湖岬
23人の子どもたちが参加した。朝6時40分に萩小を出発し伊良湖岬に着いたのは丁度2時間後の8時40分であった。音羽町では晴れ間も見ら
れたのであるが、田原市を過ぎた頃から厚く雲が垂れ込めやがてポツポツとバスの窓に水滴がかかるようになり、伊良湖岬の手前ではかなり強
い雨粒となってしまった。これではバスから出るのも難しそうと思っていたが、恋路が浜の駐車場に到着した時には雨は止んでいた。何時もなが
らの光景があった。望遠鏡を上空に向ける人、カメラを構えている人、探鳥会のツアーに参加している人、自炊道具を車に積んで鳥を追いかけて
いる人、そして、我が土曜探鳥会の子どもたち。お年よりが多い中で小学生の団体は珍しいのか、ご婦人から声を掛けられた。さて今年はサシバ
を見られるだろうか。個体数ではサシバを遥かに凌ぐヒヨドリの群れになかなかお目に掛かれない。サシバの方も天気が天気だけに心配になっ
た。10分ほど経過しただろうか。先ほどの危惧は無用であった。20羽前後のサシバの群れが次々と上空を東から西へと通過して行く姿を観察
することができた。伊勢湾に浮かぶ神島を横に見て鳥羽の方面に向っている。見える大きさが全体に大きいので、晴れた日よりも低い高度を保っ
ているようだ。小鳥も群れになって飛んでいた。ハクセキのようだ。別の種もいたが同定するには遠方すぎた。ヒヨドリが少なかった。と言うよりも、
例年、東の方向から大きな塊になって伊良湖岬の先端に次々と下り立つのであるが、今日ヒヨドリがとった行動は、少数の群れが西から東へと何
時もと逆の方向に向っている。サシバもヒヨドリも今日の早朝、天気が崩れる前に多数移動したとの情報もあった。けれども、サシバの渡りを十分
堪能させてくれた。渡りには参加しない猛禽たちもいた。魚を狙うミサゴ、小鳥たちを狙うハヤブサ。いずれもなかなかお目に掛かれないだけに、
子供に知らせる声もついつい大きくなってしまう。ますます雲が垂れ込めてきたので、早めに裸足になり砂浜で遊ぶことにした。外海に面した恋路
が浜の波は豪快である。万が一の事があってはと一時も目を離す訳にはいかない。30分ほどで雨が降りだしたので、急いで足を洗い、何時もの
ように服を濡らして伊良湖岬を後にし、昼食の場所である田原市のシンボル蔵王山に向かう。雨のせいか人気もまばらで展望台を貸切ったみた
いである。天気さえ良ければ外の芝生で遊べるのに。伊良湖岬の駐車場にもいたアサギマダラが、展望台の窓の下をゆっくり飛んでいた。この
小動物(アサギマダラはタテハチョウ科の蝶である)も渡りをするという。鳥に較べはるかに頼りなさげなチョウが渡るのである。まさに金メダルも
のではないだろうか。
2004
10
3
室林道ラインセンサス
昨日からの雨は今朝になっても止む気配が無い。傘をさしてのセンサスとなった。雨の林道を歩くのは嫌いではない。緑が活き活きとするし、声を
潜めた小鳥たちのひそひそ話しを聞き分ける楽しみがある。カラ類は雨でもお喋りを止めないが、ウグイスは全く鳴かなかった。一度、雨の日の
記録をまとめてみると面白いかもしれない。目の前を高速で飛び去った鳥がいた。チーと一声上げたきりなので同定出来なかった。後から思い起
こすと、大型のツグミ類のような気がする。カケスが大きな木の実を咥えていた。冬に備えて食料を備蓄しているのか。キツツキ類ではアオゲラの
声が目立つ。三河湖の寺ノ入林道でもそうであった。黒いミニバンに乗った山口さんに会った。なんでも、この先でシカの子がフェンス用の網に引
っ掛かっていたので逃がしてやったとの事。さすがに動物園に勤めておられたことはある。昨日の伊良湖岬の話や、萩小の子らへの講師の話し
をした。ノビタキは田んぼや草地にいるものと決め付けていたから、室林道にノビタキがいたのには少々驚いた。けれども、鳥である以上少々の
山は飛び越えるのは造作ないだろうから、ここでノビタキに出会ってもおかしくはないと思うことにした。車で室林道を下りる途中でニホンザルの群
れに出会った。その数20頭あまり。みんな丸々と太り食べ物には困っていない様子であった。
羽根・長根・新堤池
室林道から下りて羽根・長根の田んぼ道を車でゆっくり回った。ノビタキとモズが用水路に刈り残されている草にとまっていた。ノビタキはかれこれ
1ヶ月前から羽根・長根の田んぼに姿を現わし始めた。私にとって秋を告げる鳥としてすっかり馴染みになっている。寒さが強くなると田んぼは餌
を求める鳥たちで賑わう。今はその時を待つ節目に当たる。カワラヒワが20羽余り一斉に飛び立った。この光景から、間違いなく秋が始まり、や
がて冬へと進んでいくことを実感した。
新堤池にも行ってみる。この貯め池は周りに木が生い茂り鳥たちの隠れ家となっている。毎年、オシドリやマガモが越冬する。もしかしてオシドリ
が来ているかもしれないと思ったからだ。雨に濡れた草でズボンはびしょびしょになり、草の実がベットリ。やぶ蚊にもめげず池を探す。オシドリは
確認できなかったが、珍しい鳥に出会えた。シジュウカラ、メジロなどの馴染みの鳥に混じりコサメビタキがいたからだ。彼らも秋の南下の最中な
のだ。池に白いものが落ちた。昼間はじっとしているゴイサギの糞である。フジ蔓の絡まった枝の上に2羽の成鳥と2羽の幼鳥が休んでいた。池
の周りは民家が囲んでいる。音羽町にやって来るオシドリやカモたち、様々な小鳥たちのためにも大切に残しておきたいものだ。
西暦
月
日
メモ
2004
10
10
新堤池&羽根・長根たんぼラインセンサス
新堤池にオシドリが来ていた。池の周辺が樹木に覆われていて隠れ家としての条件を備えていることが、毎年オシドリがやって来る要因だろう。
だから樹木を伐採してはいけない。未だイチョウ羽は生えていなかったようだ。その足で羽根・長根の田んぼの様子を見に行く。賑やかなのはモ
ズたち。縄張り宣言とも言える高鳴きのパフォーマンスに余念が無い。南下中のノビタキの姿もあちこちで見られた。餌を取っては草叢に止まると
いう行動を繰返ししている。モズがノビタキを襲うこともある。大部分は成功しないが、体力の無い個体に当たれば捕食することも夢ではない。モ
ズはノビタキを見たら先ず襲ってみるべきなのだろう。羽根・長根の田んぼは8月の終わりくらいに稲刈りを終えていて、今は、切り株から再び穂
が出ている状態になっている。種子食のカワラヒワたちの餌にうってつけである。今日のカワラヒワは10羽くらいの小さな群れであったが、秋の
深まりとともにより大きな群れを観察できるのではと期待している。
2004
10
11
室林道ラインセンサス
山口さんが来られ一緒に室林道を歩いて回った。山口さんは私の鳥の師匠で、今まで鳥に興味を持ち続けて来られたのも氏の影響が大きい。山
口さんは3月まで豊橋総合動植物園に勤務され、日本産野鳥の人工繁殖チームの中心となって来られた方だ。40数年にわたるご経験の一端を
聞くたびに野鳥への興味を募らせきた。今朝も地元の観音山の麓にコノハズクがいるとの電話が入って来たばかりであった。室林道を歩き始めし
ばらくして体の真っ黒なヘビを見付け捕らえようとされたので慌てて止めた。動物園で飼育の仕事をされていたのでヘビを捕まえるなどは朝飯前
。ヤマガラの声がよく聞こえる。ホオジロの囀り個体もちらほら。ホオジロは他の鳥よりも遅いまで(9月の終わりまで)子育てをするとの事である。
鳥の声は少ないがそれをカバーするかのようにアサギマダラの数が多い。センサスの間だけでも10数羽の数を確認した。1ヶ所に5、6羽もいて
我慢しきれなくなって手持ちのデジカメを向けた。ズームもないカメラで接写しないことにはチョウと分からない。駄目で元々とばかりアサギマダラ
の止まっている目と鼻の先にレンズを向けてみたが、驚いたことに全く逃げようとしないで蜜を吸っている。おかげで初めてのアサギマダラの写真
を撮ることに成功したが、裏を返せば彼らは相当に飢えていたとも言える。日本中悪天候が続いているし南下への負担は例年以上のものがある
に違いない。写真を撮ったのはそんな弱みにつけ込んだ行動でもあったのだ。センサスの下り返し近くでヤマガラに混じり微かではあるが癇高い
声を聞いた。氏も私もヒガラではなかろうかと思った。ヒガラはもっと寒くならないと室林道には定着しない。(それも、毎年来るわけではない)今こ
の時期観察できるのは南下中の個体だろう。センサスを終えたあと念の為ヒガラの声をテープで流してみたら、すぐに1羽が近くにやって来た。無
論、最初に確認した場所にいた個体ではない。
羽根・長根の田んぼ
室林道から下りて羽根・長根の田んぼに向った。今日も畦にある草叢にはノビタキの姿があった。ヒガラと同様彼らも又南下をしていた。刈り取っ
た株から再び穂が出て鳥たちの食料となっている。そのような田んぼから100羽ほどのスズメたちが一斉に飛び立った。我々が車で近づいたせ
いなのかと思ったが、そうばかりではなかった。スズメの群れに向ってカラスほどの鳥が素早い羽ばたきで向って来ていたのだ。ハヤブサであっ
た。彼も室林道のアサギマダラ同様に、最近の悪天候で腹を空かしていたのではなかろうか。どうらや食事の邪魔をした形になってしまった。
2004
10
16
土曜探鳥会 羽根・長根たんぼ
卷雲や卷積雲が白く空を覆う部分と灰色の高層雲に二分されためずらしい天気である。西の空が晴れており太陽は雲に隠されている。田んぼ道
ではススキがそよ風になびきノギクが顔を覗かせている。コスモスの薄いピンク色が優しく風に揺れているのを見るのはよいものだ。ヒヨドリは柿
の木に群がり近くの神社ではイカルが口笛を吹くような声で囀っていた。台風による増水した山陰川も治まり澄んだ流れになっていた。田んぼで
はノビタキが採餌に勤しんでいる。本日は4個体ほどで個体数はやや減った感じだ。今年も音羽祭りが明日の日曜日にある。毎年祭りの賑わいを
よそ目に見てノビタキの観察を続けてきた。ヒバリやツバメが田んぼの上空を飛び回っている。懐かしい声が聞こえる。ビンズイである。彼らも標
高の高い山から下りてきた。さらにはタヒバリも。萩小の校舎うらで確認したジョウビタキを加えると、今日1日で3種類の鳥を初めて見たことにな
る。これはなかなかの好成績であった。鳥ばかりではない。チョウの仲間で渡りをすることで知られているアサギマダラがフワフワと飛んで行くの
が見られた。帰り道で近くの山からカケスの声が響いた。
西暦
月
日
メモ
2004
10
17
茶臼山ラインセンサス
最近週末になると雨の日が続いていたが久しぶりに快晴の日曜日となった。従って茶臼山も例に漏れず行楽客で賑わった。スキーシーズン前の
楽しみはもっぱらドライブで、茶臼山周回道路は車とオートバイの音が途切れることはなかった。立派な歩道まで付いているので事故に遭う危険
はない。しかし、歩道を歩いていたのは自分ひとりだけであった。天気を良くした北の高気圧からの風が強くて、開けた場所では野鳥の姿もまばら
である。囀りの時期は終わり小さな音源の地鳴きが頼りなのだが、風でその声も消されがちになる。茶臼山に来る道すがら今日の目当ては考え
てきた。まだ夏鳥の姿が見られるか。ツグミとカシラダカは来ているか。そのうち前者は叶えらえた。キビタキの雌を確認できたからだ。その他にも
、アオバト、アカハラがいた。後者の方は少なくともラインセンサスの間中姿はおろか声すら無かった。先に言ったように、風が強すぎて行動を控
えていただけかもしれない。それと気になったのはオオタカの存在である。茶臼湖のほとりを歩いていた時山頂付近を上昇するオオタカの姿を見
たのだ。オオタカはあらゆる小鳥にとって最も警戒すべき捕食者である。ツグミたちが目に付かないようひっそりしていても不思議ではない。茶臼
山のオオタカ自体久しぶりなのでそれで満足。茶臼湖から遊歩道に入り林の中の鳥を観察する。入った途端林の中と外では別世界であることに
気付かされた。コガラやヒガラ、ヤマガラの採餌行動があちこちで繰り広げられていた。中でもコガラはチイチイと甘えるような声で鳴いて直ぐ近く
までやって来る。地元の音羽町ではお目に掛かれないのでとりわけ嬉しく思う。足元ではウグイスの地鳴きが。突然、チョンチョンと大きな声。ミソ
サザイである。ミソサザイ囀りは金の鈴と称えられるが、音羽町で聞くのはこの地鳴きである。(冬のミソサザイの観察は今までも力を入れてきた)
何とか姿を見ようと目と耳に神経を集中させるが中々見つからない。結局、探していたよりもずっと自分に近い所にこげ茶色の小さな姿を見つけ
た。それは本当に小さい姿であった。しかしながら、尾羽をピント立てて警戒する姿は立派であった。
2004
10
23
室林道ラインセンサス
カケスの姿が多いこと、ホオジロの囀り個体が多いことが印象的であった。トピックスも沢山ある。先週に続いてヒガラの移動中個体を確認。やは
り先週16日に萩小裏庭で確認されたジョウビタキが室林道にもいた。確認した2羽はいずれもオスである。カラ類ではシジュウカラの個体数が随
分増えたように思える。今まではヤマガラの方に分があったのだが。空には卷雲、地上にはノギクやアキノキリンソウが風情を添える。空と地上
の間を野鳥やチョウが舞う。アサギマダラもまだまだよく見る。あんなこんなで秋を満喫出来たが、一つだけ気がかりなものを見つけてしまった。
いつもはウグイスが潜む笹の中からソウシチョウの声がしたのだ。それも1羽や2羽ではない。茶臼山ではソウシチョウの姿を見るのは当たり前
になってしまったのだが、ここ室林道にも現れてしまったとは、かなりのショックである。ソウシチョウは日本産の鳥ではない。中国では愛玩用に飼
われているらしい。篭脱け個体が徐々に勢力を広げつつあるのだ。動植物全てにいえることではあるが、帰化種が地元種を駆逐することの意味
をもっと考えるべきである。同じように藪で冬を越すために山を下りる種にアオジがいる。室林道にもすでにやって来ていた。
2004
10
24
羽根・長根ラインセンサス
薄い雲をとおして柔かな日差しが注ぐ日曜日の朝、風もなく穏やかな羽根、長根の田んぼ道をセンサスした。イヌタデの濃いピンクやのアサガオ
のような花の薄い青目にとまった。最も目に付くのはセイタカアワダチソウの黄色ではあるが。野鳥の姿はというと秋の深まりと共に個体数が増
えてきた。中でもモズは互いに縄張り確認の鳴き声が絶えない。そして、田んぼに下りてバッタなどの昆虫を捕食している。被害者は小さな虫に
は止まらない。小鳥たちもモズの突然の襲撃には閉口している。スズメ、セキレイ類がよく槍玉に上げられる。自分の観察経験では捕食されたの
を見てはいないが、ケガや病気持ちの個体なら餌食にされても不思議ではない。今年のノビタキは9月18日が初確認であった。あれから1ヶ月と
1週間経過したが、今日も1羽確認することが出来た。群れ行動が増えるのも秋から冬にかけての特徴だ。地元の鳥スズメ、山から下りてきたカ
ワラヒワ、そして冬鳥のタヒバリがベスト3である。今日はスズメとカワラヒワの群れにあった。20羽くらいのそんなに大きな群れではないが、これ
からの観察が楽しみになる光景であった。
西暦
月
日
メモ
2004
10
30
茶臼山ラインセンサス
天気予報は雨であるが、どうしても確認したいことがあった。ツグミの初飛来である。音羽町でツグミを見るのは年末から年明けの頃で、実際には
もう少し早く山には来ている。そのさらに前に大陸からやって来たばかりの姿を見たいと、毎年茶臼山に出かけて来た。傘を手に歩き始めた途端
予想通り雨が降ってきた。真っ直ぐに降る分には一向に構わない。防水の双眼鏡ではあるが雨粒をふき取るティッシュは欠かせないし、フィール
ドノートが濡れないよう注意が必要だ。春から常連であったウグイスの声は少なくなった。ホオジロは相変わらず多く、囀り個体がいるのも音羽町
と変わらない。冬の鳥といってもいいだろうカシラダカが、開けた場所で群れになっている。この秋に彼らを見たのは初めてである。肝心のツグミ
は確認出来なかった。3羽の大型ツグミがチーと鳴いていくのを目撃したが一瞬で種類を確認するまでにはいかなかった。アカハラやシロハラか
もしれない。長野県側で特に多くのカシラダカを見た。同じ場所で嬉しいことにカヤクグリの地鳴きを聞くことができた。今年こそ室林道に戻ってき
て欲しい。雨で人気も殆ど無い。おかげさまで小鳥たちの会話を楽しむことができた。(会話の内容が分かるという意味では決してありません)。
帰りに地元豊根村の雑貨店で昼食のパンを買う。(時々寄る店です)すると、直ぐ傍の沢で珍しい鳥に出会った。カワガラスが大きな声で鳴いて
いたのだ。国道沿いには水量の豊富な坂宇場川が流れている。カワガラスは言うに及ばず、ヤマセミもいるに違いない。すっかり得した気分で雨
の国道151号線を下っていった。
2004
10
31
羽根・長根の田んぼラインセンサス
ノビタキはまだいるかしらと羽根・長根の田んぼ道を歩いた。雨はあがったので傘に替えて望遠鏡を持つ。水路にはセイタカアワダチソウなどが
生えていて様々の小鳥が休む場所になっている。ノビタキは主にここで休み田んぼに下りて採餌する。最初に見たのはモズのオス。秋の田んぼ
にはモズの姿が似合う。次いでノビタキ。まだ移動しているんだ。そして、聞き慣れない声。望遠鏡が役に立った。8倍の双眼鏡でも識別はできる
がやはり25倍の望遠鏡には敵わない。羽根・長根では久しく確認の無かったホオアカであった。オス2羽、メス1羽を確認した。ホオアカは標高の
高い所で繁殖する。自分は、毎年、長野県平谷村の標高1500余りの高嶺(たかね)にホオアカなどを見に行っている。名前のとおり頬が赤茶色
をしている。しばしば音羽町でも越冬個体を観察
すことが出来る。近くで、セッカも確認できた。長さ30mらいの範囲で同時にノビタキ、ホオアカ、セッカが見られるとは何たる幸運か。一見鳥など
居そうにない田んぼで実に多くの野鳥が生活しているのである。センサスの最後に、歩いて赤坂駅に向う中学2年の生徒と話しながら歩いた。奇
しくも土曜探鳥会のメンバーであった子と同級とのこと。これから茶臼山でのマウンテンバイクの大会に臨むとのこと。始めたきっかけや、コーチ
の話し、試合で優勝した事、ケガをした事などを話す声は生き生きとしていた。せっかくだからと、車に乗せ駅まで送っていった。
2004
11
5
琵琶湖周辺
早崎ビオトープ
湖岸道路からも大きな白いものがいるのが見えた。コハクチョウである。見える範囲でおよそ50羽ほど。昨年初めて立ち寄った時はマガンが飛来
していた。今年はコハクチョウが羽を休めていた。白い成鳥よりも灰色の幼鳥の数の方が多い。堂々たる体躯はやはり存在感がある。琵琶湖の
輝くような湖面に真っ白なコハクチョウ、絵になり過ぎの感もある。琵琶湖の周辺には早崎ビオトープのような施設が多いように見うけられる。日
本一の琵琶湖を中心に持つ滋賀県民の誇りが伝わってくる。我が愛知県は?。愛地球博が間近に迫ってきている割には・・・・。
湖北町水鳥センター
暖かく気持ちのよい日なので観察センターには入らずに堤防から観察する。直ぐに目に入って来たのは50羽ほどのオオヒシクイである。ガンの
中でも最も大きい鳥だ。その大きさと言ったら隣のカモがミニチュアに見えるほどである。背景の湖面には無数の水鳥たち。数をカウントするバー
ドウオッチャーは尊敬してしまう。大半はオオバンとホシハジロである。さらにスタイルの良いカンムリカイツブリやキンクロハジロもかなりいる。こ
れほど多くのオオバンやカンムリカイツブリはなかなかお目に掛かれない。オオバンは走って助走をつけないと飛びたてないグループに属するこ
とが分かった。船着場の防波堤にはユリカモメがいた。突然大きな羽音とけたたましい声が聞こえた。観察センターの前で休んでいたオオヒシク
イが軽く運動とばかりに一斉に飛び立ったのだ。そして、渡りの時は斯くのごときか、くの字型に編隊を組んで旋回を始めた。なにせ普通のカモの
4倍ほどの体格があるのでその迫力はすごい。ショーはあっという間に終わった。また元の所で日向ぼっこでもするかのように休んでいた。今日
はどうしても水鳥に目が向いてしまうが、堤防と湖の間には殆ど切れ間無くグリーンのベルトがある。これは素晴らしいことだ。陸鳥たちは保護さ
れた環境を手に入れることができる。ホオジロ、アオジ、エナガ、シジュウカラの声が無数に聞こえる。100mくらいの間にジョウビタキが4羽もい
た。琵琶湖は水鳥・陸鳥とも公平に生息の環境を与えているように見える。それには人々の理解が大きな力となっている。釣り人、カメラマンが環
境を壊さないように配慮している。この場合のカメラマンとは、自分のような野鳥を対象とした人達を差しているのは間違いない。穏やかな秋の一
日を楽しんだ。ひときわ高くそびえる伊吹山に別れを告げ帰途に付いた。
西暦
月
日
メモ
2004
11
5
羽根・長根
琵琶湖から戻った後は羽根・長根の田んぼで締めくくろう。琵琶湖と較べ何と小さなフィールドなんだろう。久しぶりにカメラを携えているので、ホ
オアカやノビタキがの写真を撮りたくなった。ノビタキはまだいるだろうか。ホオアカは一時の休息ではないのか。到着するまでは半信半疑であっ
たが案ずることは無かった。両方ともいた。さらにはカシラダカの声もあちこちで聞かれるようになっていた。こうなると、ホオアカが越冬するのか
気に掛かってくる。また一つ楽しみができた。(通う必要ができた)
2004
11
6
室林道ラインセンサス
今日は萩小の学芸会の日。自分の子どもはとっくに卒業してしまったが、毎年出かけている。親子探鳥会や土曜探鳥会で子どもたちやご父兄た
ちとは永い付き合い。毎年成長して行く姿は学芸会でもよく分かる。時間を気にしながら室林道をセンサスする。すでにジョウビタキやアオジは飛
来している。さて今日はどんな鳥たちと出会えるのか。ヒヨドリが活発に飛び回っている。カケスも風雅に舞う。ホオジロの囀り個体にも出会った。
しかし何といってもこの秋に初めて見た鳥を紹介しなければなるまい。まずクロジ。黒いからクロジではあるがカラスのような漆黒ではなくて山水
画の薄墨の色である。黒いのはオスの成鳥でメスは極普通の茶色の色をしている。最初に見たのはメスの方であった。メスは大概地味な色をし
ていて種の判別に困ることが多い。クロジもそういった類の鳥である。アオジにも似ている。鳴き声に至ってはアオジと区別するにはかなりの経験
が必要だ。最後の方で黒い個体(オスである)にも出会ったが、しっかりと鳴き声を記憶に留めなくてはと耳を澄ますが鳴いてくれなかった。次い
でカシラダカ。こちらは平尾CCや羽根・長根の田んぼで見ているのでそんなには驚かない。しかし、室林道では初めての観察日である。さらに驚
いたのはヒガラの様子である。10月11日に初めてヒガラを観察した時には移動個体なのだろうと思っていた。直ぐに室林道からはヒガラの姿が
消えてしまい、本格的な寒さになる12月末以降に果たして越冬個体が定着するかどうか、位に考えていたのであるが。その後センサスする度に
ヒガラを確認することになった。そして今日も。かなりの個体数がいるのは間違いなさそうだ。自分の経験では無かったことである。おかげでもう
少しで学芸会に遅刻するところだった。本当に穏やかな秋晴れの日で、これならば寒い思いをして学芸会を見ることはないだろう。
2004
11
7
寺ノ入林道ラインセンサス
快晴の中をラインセンサスした。紅葉もちょうど見頃であるが赤よりも黄色の方が目立つ。天気が良過ぎると鳥の姿が少ないという経験は数限り
なくしたが、どうも本当のようだ。鳥たちは木の中で活動しているのだ。従って声はするが姿は見せない。少ない中でもよく耳にしたのはヤマガラ
であった。ヒガラも樹冠付近で微かに鳴きながら採餌する。時折林道を横切って別の木の枝に止まる時しか姿を見ることができない。低い所では
ジョウビタキ、シジュウカラを確認する。林の床にはミソサザイもいるようだ。気温が下がり虫などの餌が捕り難くなったのだろう、エネルギーを無
駄にしない為にも声を出すことすらセーブしているように思えてならない。足元のリンドウに体を突っ込んでいるハチがいた。あちこちでリンドウの
紫色が日に輝いていた。
2004
11
13
茶臼山ラインセンサス
山頂付近の気温は4度まで下がっている。風が吹くと指先が痛いほどだ。しかしそんなことは気にならない。寒い中を歩き小鳥の声に耳を澄ます
。バードウオッチングの一番の醍醐味がこれから味わえるかと思うとわくわくする。自然の世界は分かっているように見えて、全く予測の付かない
ことが多くある。鳥の
世界も一緒だ。思い描いた事がそのように再現される事は稀だ。予想を覆されたのはカヤクグリとベニマシコの声が茶臼山中溢れていたことであ
る。「チリリチリリ」とカヤクグリの清楚な地鳴きは未だ本物の囀りを聞いたことが無い私に、さぞかし綺麗な囀りなんだろうなと夢を持たせてくれて
いる。こげ茶色と墨色の体色も地味好きの私には好ましく感じる。それと、意味ありげな名前にも心惹かれた。音羽町ではなかなか出会えない鳥
が、茶臼山を一周する道路に満遍なく配置されていた。一方のベニマシコは華やかな小鳥である。オスの成鳥の色は名前通りのベニ色で童謡の
「赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い。赤い実を食べた。」が本当にそうだと思わせるような小鳥である。ベニマシコはかなりまとまった個体数が観察できる
鳥で、今日ぐらいの出現ではそんなには驚かない。しかし、ベニマシコの「フィ、フィ」の声の直ぐ隣からカヤクグリの「チリリ、チリリ」が聞こえてくる
のには参ってしまった。それが何ヶ所もあったのだから。いずれにしてもこれほどのカヤクグリに出会ったのは初めてである。冬を代表する鳥の一
つツグミには今回も会えなかった。果たして飛来しているのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2004
11
14
室林道ラインセンサス
少し肌寒い曇り空の1日になりそうだ。ハシブトガラスの鳴き交わす声がやけに大きく聞こえる。メジロ・ヤマガラ・シジュウカラに混じってヒガラの
高い声も聞かれた。かれこれ1ヶ月以上室林道で確認したことになる。昨日、茶臼山でルリビタキを確認したが、今日のセンサスで室林道にもす
でに下りて来ているのが確認できた。羽色からしてメスかオスの若鳥である。そして、茶臼山では確認できなかったツグミの声も聞こえた。やはり
、既にツグミたちは各地に散っていたのだ。途中、山口さんに会った。クロジが多いこと、動物園の林さんがエゾセンニュウを室林道で確認したこ
と、観音山でキクイタダキがいる、事などを教えてくれた。私も、昨日の茶臼山の状況を話した。
2004
11
14
羽根・長根の田んぼ
田んぼに下ったら風が出てきた。日が出ていないので結構寒く持ってきたジャンバーを羽織った。確かに暖かな秋は終わりに近づいているようだ
。ホオアカはどうか、ノビタキどうか、気になる鳥が多い。しかし、最初に目に付いたのは、カワラヒワの群れ行動であった。いよいよ群れらしい群
れができて来たかと思った。鳥たちの群れ行動は興味深い。カワラヒワはスズメと並んで群れを最も身近に観察できる鳥である。用水路沿いに生
えているセイタカアワダチソウに止っている鳥をを端から端まで探す。ホオジロのオス・メス、モズのオス、そして、ノビタキが未だいる。この時期ま
で観察できるのは珍しいのではないか。
2004
11
20
土曜探鳥会 室林道
ほんの一刷毛の卷雲があるだけの本当の快晴の青空であった。それもこの秋一番青さである。こんなに日に有り勝ちな強い風も吹かずバードウ
オッチングにはこれ以上の天気はない。子どもたち9名と牧野さんと総勢11名で室林道に歩を進める。室の民家付近ではシイの木の中からヒヨ
ドリが大きな声で鳴いていた。田んぼの近くではホオジロたちが餌を啄ばむ。それをモズが狙っている。モズをスコープに収めて観察する。また別
の小鳥がカキの木に止った。カシラダカであった。民家の裏を横切るようにエナガの群れが移動する。さらに先の室林道でもエナガ・ヤマガラ・シ
ジュウカラからなる混群に出会った。ジョウビタキのオスが縄張りを見回っていた。目と鼻のくらいの近い所で見えたので皆大喜び。室林道手前
のヒノキの林にはカケスがやはり群れを成していた。冬には群れで餌を取る鳥たちが多いことを子どもたちに話す。今この日記をパソコンに打ち
込んでいる時にも窓の外にはエナガの群れが移動している姿があった。
2004
11
21
羽根・長根
昨日から穏やかな秋晴れが続いている。運動も兼ねて自転車で回ってみた。神社の木立からはヒヨドリの姿が見え隠れしている。ハシブトガラス
の呼び交わす声が聞こえる。田んぼではセグロセキレイ・ハクセキレイ・タヒバリが波状線を描いて飛び回っている。電線に一列になって止まって
いたカワラヒワが私の自転車に乗った姿に驚き一斉に飛び出した。その数およそ50羽以上。太陽光線の当り具合によって羽が透け黄色く見える
。この時のカワラヒワが一番美しい。カワラヒワの羽を透かせた秋の日はノギクや茶色になった雑草も全て等しく包んでいる。
2004
11
27
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ~新堤池
男子ばかり5名(うち1名は中学生)のこじんまりとした探鳥会となった。今日は男同士でやろう。そんな挨拶で始めた。萩小の校庭にはシジュウカ
ラとエナガが餌を探し移動していた。これは幸先がよさそうだ。下加茂神社の大楠にはヒヨドリが多数集まっていた。朝日に輝く草木が美しい。風
も無く探鳥会日和と喜んだのもここまでだった。羽根・長根の田んぼに入った途端猛烈な北西の風が吹きぬける。例によって3名の兄弟は半ズボ
ンだ。見ているこちらが鳥肌が立ってしまいそうだ。民家の庭先に10羽くらいのスズメがいた。のんびりとした光景に見えたのだが、その頭上に
恐ろしい捕獲者の姿があったのは当のスズメも我々も全く気が付かなかった。地上付近にいたスズメに突進したのはチョウゲンボウ。ちりじりにな
るスズメたち。僅か2・3秒の出来事であった。チョウゲンボウは我々の姿をみて急いで去っていった。どうやら狩りは失敗だったようだ。チョウゲン
ボの出現に合わせたかのように猛烈な風が吹き始めたのだ。2台のトラクターが田お起こしをしていた。そこでは小鳥たちが掘り起こされたミミズ
などを狙っているに違いない。はたして、セグロ、ハクセキ、タヒバリなどのセキレイ類が尾を振っていた。上空にはかなりの数のトビやカラスが群
れている。これも冬の初めならではの光景である。風を避ける場所で休みたいと思い新堤池まで足を伸ばした。きっとオシドリもいるだろう。新堤
池は直ぐ近くに自動車部品の工場がある。だから、こんな所にオシドリが本当にいるの、と思われるような所だ。しかし、木々で囲まれた小さな池
はオシドリが羽を休めるには好都合のなのだろう。毎年必ず飛来する場所である。今日も愛らしい姿を観察できた。10時を過ぎてようやく風もお
さまってきた。農道には散歩を楽しむ人影がある。人も車も景色もみんな太陽の光に包まれ輝いていた。
西暦
月
日
メモ
2004
11
28
室林道ラインセンサス
すっかり葉を落とした梢が濃い青空に溶けていくような、待ちに待った秋らしい景色の中を歩いている。そう言えば、今年の秋は澄んだ空がほと
んど無かった。なにやら春霞みのような日が続いていた気がする。今年もまた、山の手入れをするチエンソーの音が響き始めた。仕事を請け負っ
た秋田・岩手ナンバーの車が止っている。冬の季節は野鳥たちにとって食料確保に苦心する季節である。それが、混群という行動を進化させてき
た。今日も、1度だけエナガを中心とした混群に出会った。エナガの他には、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、メジロがいた。ヒガラとヤマガラはこず
えの中ほどから上で、シジュウカラは下の方で、エナガは上から下まで満遍なくと、餌を獲る場所を区分けしていて取合いになることはない。種間
競争よりも同じ種同士の競争の方が激しいのでは。注目していたヒガラの越冬目的の定着はあったと見ている。移動個体も勿論あっただろうが、
このまま室林道で越冬を決めた個体がかなりいたものと推測する。ルリビタキの囀りを聞いた。囀りはそんなに珍しいことではなく、秋、飛来した
直後や、春先に繁殖地に向う前にかなりの頻度で囀り個体に出会える。囀りといっても、繁殖地での求愛の歌とは比べ物にならないほど下手糞
である。ミソサザイもいた。ウグイスともあきらかに違う地鳴きである。後は、マヒワやウソなどのアトリ科の鳥たち、カヤクグリの飛来が多いに待
ち遠しい。
2004
11
28
羽根・長根のたんぼ
昨日、土曜探鳥会で観察した羽根・長根の野鳥。特に変わることはないのではあるが再び訪れてしまった。ひとつは、山の鳥と違い見晴らしの効
く所での観察は楽しいためだ。室林道の観察の大半は鳴き声だけである。田んぼならば相当遠くても姿が見える(スコープがあれば鬼に金棒だ)
。二つ目はカワラヒワの群れがいないか見たかったからである。冬期のカワラヒワの群れ行動は興味深い。My Fieldnoteでも紹介している。北西
の風が強くあいにくの観察日和ではあるが、暫らくは車の窓を空けて外の景色に注目する。セキレイ類がいるばかりであった。カワラヒワのキリ
キリと鳴く声は全く無い。諦めかけていた時、500mくらい離れているだろうか、小さな点々が輝いているのを見つけた。それは、およそ100羽以
上の群れになっていたカワラヒワが日の光を浴び輝いている姿だった。今年の秋では一番大きな群れであった。
2004
12
4
土曜探鳥会 御津海岸
先生2人、子どもたち13人、総勢16人が参加した。高学年の女の子がいないのは公民館ダンス教室に参加してのことのようだ。昨晩の天気予
報では雨が降ってもおかしくないくらいであったが、どうやら午前中は持ちそうである。行き先は御津町の海岸「臨海公園」通称「日本列島」である
。もう土曜探鳥会のフィールドとしてすっかり定着した。野鳥たちはいるだろうか?。恐る恐るバスから下り海面を探す。いるいる。風がなく静かな
海面には埋め尽くすようにカモたちが羽を休めていた。大きな鳴き声も聞こえる。早速観察を開始。下り坂の天気のため12月というのに本当に
暖かい。これならのんびり日向ぼっこをしてもいいくらいだ。全体の7割くらいを占めもっとも個体数の多かったのはオナガガモ。あとは、ヒドリガモ
、マガモ、キンクロハジロが続く。ヨシガモ、ハシビロガモもいる。砂州には黒いカワウの姿、吊り橋にはハシボソガラスがびっしり止っている。観察
を開始して暫らくしたところで珍しい鳥を発見。アメリカヒドリガモである。子どもたちは早速「アメリカン」と呼んでいる。「例年ミサゴを観察している
ので今年も」、と海の中に立てられた棒を丹念に見る。するといたいた。遠くではあったが精悍な体つきのミサゴの姿があった。少し沖合いにはホ
シハジロとハジロカイツブリが潜水を繰返していた。1時間半ほど観察したので場所を移動し遊ぶことにした。子どもたちにとっては大きな楽しみ
である。富士山から滑り下りる子、転がって降りる子、水切りをやる子、生き物を探す子、好きなことをして時間を過ごした。上空には、先ほどのミ
サゴとおぼしき姿があったし、同時にハヤブサも観察した。音羽ではなかなか見られないユリカモメ、セグロカモメも観察した。探鳥会の時間中雨
が降らなかったのは幸運だった。解散し家路に着く頃ポツポツと雨粒がフロントガラスにかかっていた。
2004
12
5
室林道ラインセンサス
ちょうど今の時期が紅葉の真っ盛り、最高気温が20度に成りなんとする暖かい晩秋の室林道を歩く。林道は昨夜の台風並の強風に飛ばされた
落ち葉が一面に覆われている。冬場は小鳥の鳴き声も小さくなるので風が一番の大敵である。幸いにしてほとんど風は出ていない。メジロ、アオ
ジ、エナガの呟きが聞こえる。けれどもヒガラに較べたら大きな呟きである。それほどヒガラの声は消え入るほどに小さい。そのヒガラが群れにな
って採餌する場面に出会った。若いヒノキの林を移動しながら餌を探している。カラ類は樹冠部でヒガラ、中間部でヤマガラ、下部でシジュウカラ
と採餌場のすみ分けをしている。観察しているとこれらの事柄が大体合っていることが判る。センサスの途中で山口さんと動物園の林さんに会っ
た。カサをベルトに差してまるでチャンバラ姿の私をみてどう思っただろうか。
西暦
月
日
メモ
2004
12
9
寺ノ入林道ラインセンサス
初冬の静かな林道を歩いた。ハシブトガラスの鳴き声だけが響き渡る。歩き始めて暫らくするとミソサザイのチョンチョンと鳴く声がした。ミソサザ
イは野鳥を観察し始めた頃からの思いで深い小鳥である。鳥の師である山口仁氏と奥三河の山々にミソサザイを探して分け入った時のことを、
10年以上も前の事なのに今でも鮮明に覚えている。師匠からはミソサザイの生息場所、地鳴きをしっかり叩きこまれた。縄張り意識の強いミソサ
ザイに近づくと、威嚇するようにチョンチョンと鳴く。それは大概突然起きるので一瞬ドキットする。年数を重ねる度にドキドキ具合は下がっていっ
たが、それでもミソサザイの地鳴きを聞くと落ち着かない気持ちになってしまう。今日のセンサスでは4個体確認する。内1羽はこげ茶色の小さな
姿を見せてくれた。カケスも冬の山には欠かせない。ジャージャーとお世辞にも良いとは言えない鳴き声が、小鳥の声がめっきり減ってしまう冬の
山で聞くと生命の声そのもののように思えてくる。だから、夏鳥の囀りと同じ位の重みで私の心に迫ってくる。
2004
12
10
茶臼山ラインセンサス
茶臼山山頂付近の気温は10度、それは、ラインセンサスの間中全く変化がなかった。正面にピラミッド型の聖岳が聳える。暖かな冬を象徴する
ように3000mの高みにも白いものは殆ど無い。平日ということもあって静かな空間が広がる。聞こえるのは、沢を流れる水音、時折聞かれるハ
シブトガラスの鳴き声、そしてこれが一番多いのであるが、飛行機のジェットエンジン音。まるで、レイチェルカーソンの「サイレント・スプリング」の
最初の光景のようだ。カシラダカが潅木の下で採餌していた。静かな鳴き声は繁殖地に向う前の春先とはずいぶん雰囲気が違う。多くは平地で
越冬生活を送っているのだが。北の斜面に回りこんだ所で珍しい鳥に出会う。背中越しの姿は普通のタカ(この場合ノスリを指す)のようにも見え
たが、色が違うようにも見える。正体は、彼が首を回して振り向いたところではっきりした。なんと、フクロウではないか。茶臼山でフクロウとはぴん
とこないが改めて調べてみた所、今回を含めて計6回の記録がある。3月から5月の間に4回、そして2回は12月に観察していた。厳冬の茶臼山
を離れずにいる鳥はそんなに多くはない。コガラは木の洞で寒さを耐え忍んでいるという。フクロウも同じようにしているのだろうか。体の大きなフ
クロウは気温が下がっても生きてゆけるのだろう。そういえば、雪上に点々と動物の足跡があるのをよくみかける。フクロウはそれらを捕食してい
るのか。しばらくこちらを眺めていたが、やがて、羽音を立てることなく姿を消した。12時になったので風の当たらない所で少し冷たくなったコロッ
ケを昼飯代りに食べる。
2004
12
11
室林道ラインセンサス
送電線がブーンと唸っているので強い風が吹いているのだろう。強い風に促されるように木の葉が音を立てて地上に落ちる。林道の落ち葉が波
のようにこちらに向って寄せてくる。ルリビタキ(ジョウビタキかも知れない)が大きな声で鳴いている。時折ヤマガラやウグイスの姿を見つける。シ
ジュウカラの群れに出会った。10羽くらいはいただろう。混群ではなかったようだ。ミソサザイも3個体確認。大型ツグミ類の姿や声の確認がここ
暫らくない。そろそろ現れてもよいと思うのであるが。
2004
12
12
羽根・長根田んぼラインセンサス
柔らかい日が差している。しかし、徐々に雲が広がってきた。枯れた草ばかりのように見えるが暖かい気候のせいか草花の姿も多い。株から稲穂
の出ている田んぼ、トラクターで天地替えした田んぼ、水の張られた田んぼと、田んぼにも色々な表情がある。野鳥の姿もそれに合わせて変化す
る。稲穂の未だ残っている所では種子食のカシラダカやホオジロ、カワラヒワなどが、耕されて黒い土の田んぼでは動物専門のセキレイ類やケリ
が餌を探して動き回っている。又それぞれの鳥たちの体の色は、採餌場所の環境に溶け込んでいる。50羽ほどのカワラヒワが電線に止まってい
る。すぐ下を通過したら一斉に飛び出し田んぼの上を旋回する。カワラヒワには申し訳無いが、私は、この光景が大好きである。もっともっと大き
な群れになって欲しい。カワラヒワ程ではないがタヒバリも群れになって田んぼを飛び回る。本物のヒバリよりも黒味が強く、声は(この場合は地
鳴き)ヒバリよりも澄んでいて美しいと思う。ホオジロのメスによく似た小鳥がカシラダカである。お腹の色がホオジロの黄土色に対して白いので区
別できる。カシラダカも近くの山と羽根・長根の田んぼを往復して冬の生活を送っている。鳴き声もホオジロとよく似ていてうっかりすると間違える
かもしれない。名前の由来のとおり冠羽を立てるとちょんまげがあるように見える。春先になりオスの求愛行動が活発になると、茶色のちょんまげ
が漆黒になり大層立派に見える。
西暦
月
日
メモ
2004
12
19
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
2004年最後の土曜探鳥会は地元の田んぼで終える。6人の子供が参加した。例年では北西の風がかなり強く防寒対策が欠かせないのであるが
、今年は春の陽気のように暖かい。暖かいといってもヒヨドリたちはかなり山を下りてきていて賑やかに飛び回っている。民家の庭木の下でオス
のジョウビタキが餌を探していた。この辺りは彼のテリトリーなのだろう。畑でモズが鳴いている。彼もしっかり縄張りを守っているようだ。山陰川の
橋ではカワセミを探すのが恒例になった。何度も見ているからだ。1度は1回転してから飛び去ったこともあった。そんな訳でここはカワセミスポット
である。そうそう見られるものでは無いと思いつつ川下に目を凝らした途端、驚くことにカワセミが枝に止りじっと川面を見つめている姿に出くわし
た。急いで子ども達にスコープを向けるよう指示。半逆光でかえって陰影のある姿を捉えた。「嘴の色は?」と子どもに聞く。「黒1色だからオス」と
返事が返る。10分以上もそのままの恰好でいただろう。子供たちは十分カワセミの美しさを堪能した。12月の始めに萩小の裏にある「萩っ子の
森」の整備が完成(子供たちが実施)した。目玉は元豊橋動物園の山口さんの指導で造ったカワセミの巣である。カワセミは皆の憧れの鳥なのだ
。さらに探鳥会は羽根・長根の田んぼ地帯に進む。今までのコースは真冬でも暖かいのであるが、羽根・長根の田んぼは寒い風をもろに受けて
進まなければならない所だった。しかし、今日は震えることもなく歩ける。最初に出会ったのは50羽程のカワラヒワ。今年の群れの大きさとしては
これ位のようだ。ハクセキレイやセグロセキレイは判り易いが、タヒバリ、ヒバリ、カシラダカは子供たちには覚え難い鳥のようだ。何度も見て体で
覚えるようになって欲しい。休憩時間に草の実をぶつけ合って遊んだ。
2004
12
25
室林道ラインセンサス
風もなく穏やかな空、ノスリがふわりと舞い上がり円を描いて上昇して行く。ミソサザイの地鳴きが薄暗い林床から聞こえる。そして冬の使者のひ
とつ、ウソののんびりとした声がサクラの枝先から聞こえてきた。室林道としてはこの冬初めての確認となる。2羽がサクラの花芽を頬張っていた
。いずれもメスであった。カワラヒワのオスがグイー、グイーと鳴いている。普通、囀りと地鳴きを比較すると囀りの方が複雑で美しく聞こえるもの
であるが、カワラヒワの囀りであるグイーはお世辞にも美声ではない。地鳴きであるキリキリキリの方が囀りのように聞こえてしまう。そう思うのは
人間の勝手と彼らは言うだろう。グイーには押し出しの強さが感じられるのでオスが自分を誇示するにはよいのかもしれない。シジュウカラ、ヤマ
ガラ、メジロたちは群れに出会ったときにはまとまって見られるが、そうでないとそんなでもない。徐々にではあるが暖かい場所に棲みかを移して
いるのかもしれない。比較して、ヒガラ、カシラダカは寒さに強いのかますます個体数が増えている感じだ。
2004
12
25
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道から寺ノ入林道へ向う。すでに13時を過ぎていたので寺ノ入林道の半分のコースは日陰になり、標高600mということもあって風は冷たく
感じた。氷が張って解けない場所もあり滑らないように気を付けて進んでいく。午後の最も鳥が活発でない時間帯でもあり鳥の声が極端に少ない
。ただ、室林道でもそうであったが、ハシブトガラスのカアカアと鳴く声だけがこだまする。スギやヒノキの林にさしかかるとヒガラの呟くような声が
するばかりだ。そして、予想した沢すじからはミソサザイの声。ヒガラ、ミソサザイ、共にススメよりもずっと小型の鳥だ。この小さな体で寒い山奥の
冬を生き抜く力はどこから生まれているのだろうか。文明の利器を手に入れた人間は、もうそれ無しでは生きて行けなくなってしまった。
2004
12
30
羽根・長根ラインセンサス
ようやく冬らしい寒さがやってきた。羽根・長根の田んぼの畦道も草紅葉で染まっている。木々の紅葉も良いが冬枯れの前の草紅葉も中々風情
のあるものだ。昨日の雨で田んぼにも水が貯まっている。カシラダカ、ヒバリ、タヒバリたちが群れをなして田んぼの上空を回っている。いずれも
30羽は越えない程度の小さな群れである。昨日見たカワラヒワは300羽ほども居ただろうか。この冬一番の群れであった。ツグミが2羽飛び去る
。例年、正月頃から田んぼに姿を見せ始めるので暖冬の今年もツグミについては例年並か?。ハヤブサとチョウゲンボウを同時に見る幸運に恵
まれた。ツグミの声がしたのでどちらかがツグミを襲ったのかもしれない。大型のハヤブサは室林道の方へ去っていったが、チョウゲンボウは電
柱に止ったり、上空を飛び回るパフォーマンスを披露した。東西に広がる水田の中央に水路がある。そこは風が当たらなく日溜りのようになってい
て、セッカが越冬するのに都合が良い場所である。小型の小鳥が田んぼから飛び去り水路脇に消えた。雰囲気としてはセッカに似ていたのだが
。
西暦
月
日
メモ
2005
1
1
音羽・平尾
2005年の正月は素晴らしい快晴で始まった。残念ながら日の出は既に終わっていた。大晦日の夜、どうしてもインターネットの接続が不調で復
旧に夜更かしをしたからだ。それよりも、休みという安心感が睡眠を深くした理由だろう。勤めの日は毎日5時には起きている。起き出すと早速犬
が吠える。一緒に散歩する。雑煮を食べ1年の最初の鳥を見て回る。家の前の田んぼではハクセキレイとモズ。直ぐ隣の神社のサクラにはトビが
止っている。モズがヒヨドリを追い回している。自分よりも大きなヒヨドリを襲っている。何度も同じような光景を見ているが狩りに成功した例は一度
も無い。2羽のツグミが餌を捕っていた。正月には田んぼ下りてくるのが今までの通例であった。暖冬もようやく例年並に寒さを挽回したのかな。
カメラを携えあちこち回ってみた。室林道や羽根・長根のラインセンサスでは記録に重きを置く為カメラは持たない。しかし、今日は気軽に見て回
ろう。レンズは愛用のものであるがカメラは銀塩フィルム用ではなくディジタルカメラにした。実は、今日が初使用である。記念すべき最初のモデ
ルは最初にでてきたトビ。羽根・長根ではタヒバリを撮影。地味な鳥だけに上手く撮ってやりたい。その足で新堤池のオシドリにも挨拶。恥ずかし
がり屋でなかなか繁みから出てくれない。それでも30分ほどで数羽のオスが池を横切ってくたので何とか撮影に成功した。1羽の勇気ある個体
を除いてメスが繁みから出ることはなかった。この辺りではよくタカを見かける。一昨日もハヤブサが飛んでいた。オオタカがいることも珍しくない
。山林の室林道は撮影が難しい所だ。大体が姿を見せるのはほんの一瞬であるし、見せたとしてもじっとしている鳥はほんの僅か。動きの激しい
エナガ・ヒガラは撮影者泣かせだろう。(それに較べたらカワセミなどは暫らくはそのままの姿でいてくれ楽だ)結局一枚も撮らず平尾に向う。平尾
はゴルフ場の周辺に鳥が多い。平尾ではゴルフコースと道路を隔てるサザンカの生垣の下で採餌中のアオジを撮影。一生懸命のせいか、カメラ
を構える姿を見ても知らん振りである。ファインダーで、アオジの黄色いお腹が日に当たる様が美しく見られた。最後は、毎年最初の土曜探鳥会
のコースとしている豊川自然遊歩道にした。財賀寺の梵鐘の音が途切れなく聞こえる。やはりゴルフ場の縁が野鳥の姿が多い。シロハラ・シジュ
カラ・コゲラ・メジロなど。そこに割りこんできたのがエナガ。忙しない動きの厄介なモデルだ。(しかし何と可愛らしいモデル)結局、あれよあれよい
うまに群れは通りすぎてしまった。
2005
1
2
音羽川
カモを見たくて音羽川の河口にやってきた。音羽川の上流部は音羽町、中流部は豊川市、河口部は御津町になる。河口はハゼ釣りに最高の場
所である。最初に出迎えてくれたのは30羽ほどのユリカモメの群れであった。ユリカモメは殆ど同じ場所いて、どうやらそこは海水の進入する最
上流部辺りのようなのだ。さらに河口に下ると川幅が一段と広がり海水に満たされる。そんな場所にカモは羽を休めている。ヒドリガモなどの淡水
カモとキンクロハジロやホシハジロなどの潜水カモが同居する。堤防に上がっている個体もいる。海岸を見ると河口の砂州にセグロカモメたちが
いた。彼らの力強い飛翔を見るのは大好きだ。煽られそうな強風でも風上に向ってどんどん進む。山の鳥ではこうはいくまい。佐脇浜を一周する
。南は豊川と豊川方水路の河口にあたる。その河口付近から海にむかって黒いすじのように見えたのはカモの大集団であった。その殆どがスズ
ガモである。波の動きに合わせ黒いすじも上下する。数えきれないという表現がぴったりである。餌が豊富にあるんだなと安心もし、少し誇りも感
じる。佐脇浜の北側は音羽川の河口にあたりその傍に人口の入り江が作られている。土曜探鳥会でカモを観察した場所だ。正月で駐車場はいつ
もより賑わっている。入り江の水鳥たちはそんなに多くなかったけれどヨシガモ、オカヨシガモなどいつもは少数派のカモが多く見られ楽しむことが
できた。オマケはカワセミ。カワセミは海岸にもむろんいる。清流の鳥というイメージがあるが、結構幅広い環境に適応している。近くにラグーナ蒲
郡がある。対岸から見ても人の姿は見えないが正月から賑わっているのだろうか。
2005
1
2
室林道ラインセンサス
元旦よりもさらに上天気の中をセンサスする。林道の入り口に車を止めているのだが無料駐車場を横切る一団がいた。一人前に育ったコジュケ
イの若鳥の列であった。申し訳無いが車を止めさせてもらう。彼らは仕方無しに木の中に隠れた。林道にアオジの姿が目に付きはじめた。山の斜
面の木陰から林道に降りて採餌する個体が増えたからだ。頭から背中にかけて草色、お腹は鮮やかな黄色をしている。黄色の薄いのは大陸か
らやってきた個体と山口さんから教わった。確認したのは全部黄色が濃かった。空の開けた場所でタカを見る。ノスリであった。そして、今日一番
の見物であった30羽を越すツグミの群れを観察。カラ類もいた。シジュウカラが移動しながら採餌している。シジュウカラは1m前後の低い所を移
動する。ヤマガラはもっと高い場所で採餌する。そして最も高い場所を選ぶのはこの冬例年になく個体数の多いヒガラである。採餌場の棲み分け
は進化の中で出来たのだろう。
西暦
月
日
メモ
2005
1
5
羽根・長根ラインセンサス
正月連休も今日で終わり。まずまず穏やかな天気であった。しかし、テレビを付ければ津波被害の惨憺たる光景が繰返し映し出される。冬至を過
ぎて徐々にではあるが日差しが強くなってきた。その日の光にすべてのものが包まれる。民家の瓦が輝く。枯草も命を蘇らせたよう。そんな中で
野鳥たちが思い思いに行動している。10羽くらいの小さな群れをつくるもの。2つの群れがひとつに交じり合い100羽ほどになって飛び回るカワ
ラヒワたち。しばらくして元の2つの群れに分かれ、大きな群れ(70羽くらい)は近くの林に消えていった。小さな群れはセンサスの間中田んぼを
旋回したり、下りて、採餌をしたりしていた。草紅葉の畦からはカシラダカが飛び出る。カワラヒワよりも密度の粗い群れになり飛び回る。最も密集
した群れをつくるのはスズメである。電線から田んぼに下りて採餌、すぐに電線に戻る。その際に一斉に鳴き声を上げるものだから喧しいことこの
上ない。年末の雨で増水した長根川も丁度よい水量になり、6・7羽のセグロセキレイが餌を捕っていた。
2005
1
8
金沢大池
冬の金沢大池は本当にすばらしい所だ。里山風景が広がっている。綺麗に手入れされた雑木林がまだ残っている。この辺りはカキの産地で丘陵
にはカキ畑が広がっている。スタートの金沢大池いは100羽を越えるカモが羽を休めていた。9割はマガモで、他にはキンクロハジロ、オカヨシガ
モ、コガモがいる。池沿いの小道を進んで行くと、繁みからアオジやカシラダカが飛び立った。潅木や草叢の下には一杯の小鳥がいるように見え
る。マガモが水面から一気に飛び立つ様は勇壮だ。飛んでいた10数羽のマガモが一気に下りた。1羽などはドボンと音を立てて落ちた。その瞬
間茶色の大きな鳥が視界から消えていった。オオタカだと感じた。その少し前に一瞬ではあるが2羽のタカらしい姿を見たからだ。しばらく見守っ
ていたがなんにも起こらなかったので先に進むことにした。暫らくして、オオタカと思われる鳴き声が聞こえた。ノスリやサシバの声を聞くことは珍
しくないがオオタカの鳴き声を聞くことは今まで無かったので本当に驚いた。農家の人がカキの木の手入れをしている側をセンサスして行く。シロ
ハラ、ツグミなどの大型ツグミ類の個体数は多くなかった。例年はもう少し雑木の枝先にツグミの姿を見るのであるが。代りに、エナガ、カシラダカ
、アオジなど小型の小鳥が多かった。大池の後ろに広がる水田から藪を上から見下ろしていると、先ほどの種類の鳥の移動して採餌する様子が
よく見えて面白い。時折ウグイスの声がするがやはりそんなに多くはなかった。ここは、東三河一番の川、豊川の左岸に位置し、川を隔て北には
本宮山(789m)が聳えている。平野から一気に立ちあがっているため数字以上に雄大に見え、気持ちも晴々とする。
2005
1
9
室林道ラインセンサス
雲が流れて行く。風もかなりあって送電線がブーンと音を立てている。車から降り、スタートした途端ルリビタキが現れた。尾羽だけが青い、メスか
オスの若鳥のようだ。地面に下りて餌を啄ばんでいる。高山の鳥らしく、ルリビタキはかなり近づいても逃げない。山口さんと会った。羽根の田ん
ぼでアトリを確認されたとのこと。さらに進んだところでウソを発見。6羽中2羽はこの冬初めてのオスであった。シロハラは大型ツグミの中でも一
番地味な鳥で、又、大層臆病に見える。今日は、そんなシロハラの、けたたましい鳴き声を残して飛び去って行く姿を何度も見ている。誰もいない
のに、林床からカサカサと落ち葉をかきわける音が聞こえたら、大概シロハラの仕業である。カワラヒワを観察するには羽根・長根の田んぼに行
ったほうが良い。しかし、室林道ではオスの囀りが聞かれる。グイー・グイーと囀りらしからぬ声であるが、力を込めて鳴いている姿を見かける。少
しの間ではあったがホオジロの囀りを聞いた。ホオジロは天気が良ければ秋でも冬でも囀るようだ。落葉樹の多い山は、夏よりも冬の方が明るい
。柔かな日が地面にまで注いでいる。ちょうど今時のセンサスが最も好きである。
2005
1
15
土曜探鳥会 萩小周辺
本来ならば財賀寺に出かけ探鳥会を行なうところであったが、どうしても午前中には終えなければならなくなった。急きょ萩小の周りを歩いてみる
ことにした。弁当を準備されたお母さん方には申し訳ありません。12名もの子どもたちが集まってくれた。最初に小学校の校庭で鳥を探す。「この
茶色の鳥なんて言うの」とスコープを覗いていた女の子が聞いてきた。さっきモズがいたからとアイピースに目を近づけて驚いた。私自身萩では
殆ど観察例の無いシメだった。じっくり眺めるほど怖い顔に見えてくる。早速、皆を呼んで観察してもらう。間違いなく初めて見る鳥である。「撮った
写真はメールで送るからと自由に撮影していいよ」と、今回初めてディジカメに望遠レンズをつけ持参した。最初は恐る恐るであったが直に慣れた
ようだ。時々探鳥会で観察した鳥を写真で記録してみようと思う。短い時間ではあったが、途中、初めての場所に立ち寄った。小さな神社で、一年
生の女の子が場所を教えてくれた。「多分、鳥が多いと思うけど」と少し大人びた話し方が面白い。境内からは小鳥の声がした。「良い所だね」と
女の子を労う。
西暦
月
日
メモ
2005
1
16
羽根・長根の田んぼラインセンサス
しっかり被っていた帽子を飛ばされるくらい田んぼは強風にさらされていた。30羽くらいのそれほど大きくないカワラヒワの群れが2つ。上空をハ
シボソガラス(と思う)が柱状になり上昇していく。(伊良湖岬のサシバの様)カシラダカは風を避けて叢の下にいるのが鳴き声で感じられる。近づ
くと飛び去る個体が見られるが、彼らが下りた先を見ると濃い茶色の顔をした繁殖羽の個体も見うけられる。さらに黒い羽色になって繁殖地に向
うことになる。ロゼット状になって春を待つ草。風の当たり難い場所にはセイヨウタンポポが塊になって咲いていた。
2005
1
16
室林道ラインセンサス
昨夜の雨があがり北西の風が強まってきた。時折、頭上を通過する雲からパラパラと冷たいものが落ちてくる。フィフィとウソの鳴き声。ソメイヨシ
ノの枝に5羽いた。3羽のオスと2羽のメスである。オスの紅色の頬が日に映えて美しい。真っ青なオスの成鳥こそいなかったがルリビタキの姿も
多かった。ミソサザイは2個体、残念ながらカヤクグリは確認できなかった。
2005
1
22
室林道ラインセンサス
少し大袈裟に言えば室林道は風が渦巻いていた。送電線から重低音が絶え間無く響いてくる。何時の間にかこの新参者の響きにも慣れてしまっ
た。ノスリがスピードを上げて山の端に消えていった。30羽くらいの鳥の群れが横切った。もしかしてマヒワか?、と思った。まあ、しばらくすれば
又出会うだろうと歩を進める。ウソがソメイヨシノの芽を啄ばんでいる。もうすっかり日常的な光景になった。ヒガラとエナガは高い声で鳴いている
とよく似ていて、どちらだったかなーと思うことが度々あるが、若いヒノキの林の中を移動しているエナガの群れにヒガラが混じっていた。同時に鳴
かれては参ってしまう。もっとも、エナガ特有のジュリジュリの声が聞かれれば間違うことはない。キセキレイが目の前の道端でさかんに尾羽を振
っている。冬には珍しいのではなかろうか。さらに、ルリビタキも直ぐ近くまで近寄っても逃げることなく悠々と採餌している。今日出会ったルリビタ
キはいずれもメスか若いオスである。なかなか青いオスにはお目にかかれない。ヤシャブシの木の上からカワラヒワの声がした。かなりまとまっ
た個体数の群れである。どうやら、先ほどの群れはマヒワではないようだ。従って、室林道ではマヒワの確認は未だである。過去にもマヒワの来な
かった年があった。その年は、年間を通して暖かかったと自身記録している。
2005
1
22
駒場池
買い物の帰り道に立ち寄ってみた。池の上を強い風が吹きぬける。ダムの堰堤にいたらさぞかし寒かろう。カモたちも風を避けて休んでいる個体
がほとんどだ。200羽くらいのマガモ、20羽くらいのカルガモとカワウ。種類も個体数も寂しい。しかし、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれたのは、
たった2羽の水鳥であった。何回となく潜水を繰返している。あきらかにマガモとは違う行動をしている。遠すぎて手持ちの小さな双眼鏡では心も
と無いが、亜麻色の頭はカワアイサの特徴を示していた。もう1羽、マガモのような緑色の頭に白い腹。白色の強い色が回りのマガモから一羽だ
け際立たせていた。こちらの方は名前が出てこない。図鑑を持参しなかったのを悔いた。家に帰り早速調べる。緑の頭はカワアイサのオスであっ
た。たしか、琵琶湖で確認したくらいで殆ど見ることはなかった鳥である。あらためて、なにが起こるか分らないのが自然観察である、と思い知らさ
れた。
西暦
月
日
メモ
2005
1
23
観音山ラインセンサス
朝食をとっていたら、山口さんが来られて「観音山へ行ってみよう」とおっしゃる。久しぶりのことなので喜んで出かける。麓まで車で、そこから林道
を歩くことになった。ここの林道は車が通れないので安心して歩けるし、植林されたヒノキも未だそれほど高くないのでしっかり下界を見渡すことが
できる。ただし、室林道に較べ単調な人工林で鳥の種類、個体数とも室林道に劣る、というイメージが自分の中に出来ていて、そんなに頻繁には
訪れてはいなかった。しかし、私が野鳥観察を始めた頃は家から近い場所ということもあって、観音山に分け入り飛来した夏鳥たちを探したもの
だ。サンコウチョウ、オオルリ、キビタキ、年によってはコマドリも見られた。暫らくは若いヒノキの植林を左右にみて進む。ホオジロやヒガラがいた
。谷には背の高いスギの林があってカケスやシジュウカラ、アオジなどを確認。曇り空ではあるものの、風がないので野鳥観察には絶好だ。山口
さんが頻繁にアスファルトを眺めているので聞いてみた。鳥の糞を見つけて鳥が集まっている所を見定めているとのこと。さすがに目の付け所が
違う。観音山の標高は410m足らずではあるが、地元では八方(はちかた)と呼んでいるだけあって見晴らしがすばらしい。三河の海もよく見えた
。コースの後半は背の高いスギやヒノキが点在しその間に落葉樹の潅木がある。そこで、この冬始めての鳴き声を2つ聞いた。最初はマヒワの賑
やかな声。スギの枝先にびっしりと止っている。個体数を確認する為に2人で拍手を叩く。マヒワが一斉に飛び立った。その数およそ200羽であっ
た。室林道に毎週通っているがマヒワには遭っていない。このまま春になってしまうのではと思い始めていたのであるが・・・・。そこで、「とうとうマ
ヒワも来たし、あとはカヤクグリだけだね」と願望も込めて山口さんに話しかけた途端、あろうことか、チリリ、チリリとかなり大きな声でカヤクグリが
鳴いた。偶然と言ってよいのか、それとも、マヒワに拍手したことが呼び水になったのか皆目見当が付かないが、待っていた2種を同時に確認す
ることが出来たのだった。帰り道、アスファルトに点々と糞が落ちている真上にはヤシャブシの木が生えていることを確認した。糞を触って、乾き
具合から1週間は経っているだろうと山口さん。自分の未熟さを改めて知った。鳥談義で麓まであっという間に下りてきた。
2005
1
29
羽根・長根の田んぼ
土曜探鳥会で羽根・長根の田んぼを観察する予定であったが雨で断念した。従って、子供たちと別れたあとどうしても行ってみたかった。雨は未
だ本降りではないが時々双眼鏡のレンズをティッシュで拭き拭き野鳥の観察を開始する。今日は定点観察にした。水田の縁にクリの畑がある。そ
こにはカシラダカが羽を休めている。時々田んぼに下りて採餌する。午前中の探鳥会でも同じような光景を見ることができた。この時期、カシラダ
カの羽色にも変化が見られる。繁殖前のオスが見事な夏羽にドレスアップするのだ。具体的には、冠羽と呼ばれる頭頂部や顔などの羽が茶色か
ら漆黒に換わるのだ。群れの中に、よく似た姿のホオジロを上回る黒い羽の個体を見つけた時は嬉しくなってしまう。同時に、やがて彼らがこの
地を去る時が来ることを知る。繁殖地に向う前に集団で囀りをするのを目撃してからは、毎年茶臼山に出かけのが楽しくなった。カワラヒワの群
れは寒さが厳しくなると共に大きくなっていった。100羽くらいいただろうか。しかし、今日はやはり100羽くらいのイカルの方に惹かれた。羽根の
田んぼを南から北(室林道がある方向)に一斉に飛んで行くのを観察できた。イカルは木の実で冬を生き抜く。木の実はどこにでもある訳ではな
いので、多数で探した方が有利なのだとの説明もある。群れの中にはただ後を付いていくだけの無能な鳥もいるのだろう。
2005
1
29
土曜探鳥会 川原
雨が今にも降り出しそうな気になる天気ではあったが4人の子が集まってくれた。あまり遠出して雨に降られてもと、定点観察の羽根・長根の田ん
ぼとは反対の方向に萩小から近い所を観察しながら歩いた。最初にノスリが羽を休めている姿を望遠鏡に捉えた。別の所にいたトビと見比べな
がら特徴を覚える。顔ではなかなか見分けが付かないみたいだ。やがて、尾羽の形の違いに気付いてくれた。田んぼの中の道は舗装もされてな
くて感じがいい。枯れた茅が一面に茂る所にはカシラダカが多数潜んでいる。彼らは、繁みと田んぼを往復し採餌する。その度に大騒ぎな声を上
げる。セグロセキレイやハクセキレイと共に、保護色になっていて大変見ずらいタヒバリが、少し緑色をした田んぼで採餌していた。山陰川沿いに
歩を進める。今日は見ることは出来なかったがカワセミが生息している。橋のたもとでコイが泳いでいる。その側の田んぼから突然小鳥の群れが
飛び立ち旋回し始めた。200羽くらいのカワラヒワの群れである。思わず溜息を上げてしまうほど壮観な光景。心配した雨も大した事無く、風が無
く曇った日には野鳥に出会える可能性が高いを地でいったような探鳥会に大満足して萩小に戻った。
西暦
月
日
メモ
2005
1
30
室林道ラインセンサス
強い北西の風に乗って白い塊の雲が次から次へと流れてくる。送電線もブーンと唸りを上げている。しかし、そんなに寒くはない。室林道の入り口
にいつもの通り車を止め準備をしていたら、クラクションが鳴った。林道への進入車か、あわててドアを締める際車に頭をぶつけた。ところが、そ
のクラクションの主は進入車ではなくて山口さんであった。あわてて損をした。先週の日曜日に観音山でマヒワを確認した以降再び訪れてみたが
、マヒワの姿は無かったと話された。すると、この冬はマヒワの定着は未だないことになる。これから室林道をセンサスするに当たって最大の関心
事は、果たしてマヒワは居るか、に尽きる。強風にもかかわらずハシブトガラスが盛んに鳴き交わしている。同じカラス科のカケスも随分と活発で
あった。個体数も多そうだ。カケスのだみ声が寒々とした山に響くのは悪くないと思う。ミソサザイが2羽いた。私にとってはミソサザイは特別な鳥
だ。山口さんと段戸高原までミソサザイを見に出かけたことを今でも思い出す。その頃、山口さんは豊橋総合動植物園で、日本初の人口繁殖を
目指しておられた。ヤシャブシの実にぶら下がってヒガラが採餌している。群れでいるのはカワラヒワ。マヒワではなかった。結局、室林道にはマ
ヒワはいなかった。すると、先週のマヒワは移動性の群れだったのか。
2005
2
5
愛知県民の森
今年の探鳥会のメインイベントは愛知県民の森と決めていた。なぜメインイベントというと、最上級生6年生を送り出す会だからだ。5名の6年生を
含む子ども18人大人6人の探鳥会メンバーと、豊橋総合動植物園の3人を加えた大人数の探鳥会となった。道中のバスからは穏やかな天気が
期待できたが、やはり最も寒いこの時期、宇連山を吹き降ろす風は強く寒かった。期待の鳥はルリビタキ。できたらオスの成鳥に出会いたい。スタ
ート直後に見られるアクアマリン色の水をした川の美しさといったらない。散策路と渓流と絡み合うようにして散策路を進む。肝心のルリビタキは2
個体いた。1羽はオス成鳥。もう1羽はメスかオスの若鳥。晴れて風が強い日は鳥が少ない。どうやら今日はそんな日に当たったようだ。エナガの
巣があった。無論空き家である。1時間30分で見つけたのは、ルリビタキ、ジョウビタキ、カケス、キセキレイ、セグロセキレイ、ヤマガラ、ヒヨドリ、
トビ、ハシブトガラス、コゲラであった。昼食にバーベキューの準備を先生方とご父兄の方がやって下さった。本当にありがとう御座いました。6年
生の送る会の後お楽しみの弁当とバーベキューを食べた。寒いバードウオッチングには最高の贅沢。子どもたちも火の温もりと一緒に、周りから
支えてくれている大人たちの温もりもご馳走にして食べたと思う。動物園(獣医の先生と飼育担当の方)の方のお話しも興味深く聞いた。2人とも
若い女の人で子どもたちにはよかった。(山口さんには悪いが)
2005
2
6
室林道ラインセンサス
日の光はもう春のものの様、しかし、まだまだ寒さは続く。強い北西の風が高圧線から低い振動音を紡ぎ出している。青い空に葉を落とした雑木
の枝が溶け込むよう。山歩きには一年で最もよい季節だと思う。ようやくマヒワに出会った。10羽ほどの小集団ではあるが貴重な個体群だ。ヤマ
ガラも比較的よく見られた。そろそろカラ類たちの初囀りが始まる頃である。
2005
2
6
羽根・長根田んぼ
山口さんからタゲリの確認情報を得た。早速出かける。室林道以上に風が強く帽子も飛ばされそうになる。カシラダカやタヒバリたちが10-20羽
くらいの群れになり採餌する姿を観察した。田んぼに隣接する林から途切れ途切れではあるがシジュウカラの囀りが聞こえた。これが今年の初
囀りの確認であった。タゲリは残念ながら見つけることは出来なかったが、シジュウカラの囀りで帳消しである。畦にはセイヨウタンポポ、オオイヌ
ノフグリ、ホトケノザ、ペンペングサがもう春を待っていた。
2005
2
6
我家周辺
イソヒヨドリの姿をみたのは2月5日。ヒヨドリくらいの比較的大型のツグミ類である。名前からは海岸の鳥のイメージを持たれるが海岸から10km
ほども入ったここ音羽でもよく見ることが出来る。山口さんによると、砕石場跡の岩盤の壁に営巣し繁殖している。去年も姿を見つけたが、青と茶
色の目に付く姿は地元の人も驚くだろう。私の父も見ていると言っていた。
西暦
月
日
メモ
2005
2
12
自宅周辺
リュウ(雑種犬)を連れて自宅周辺を回る。イソヒヨドリがいつもの場所にいた。近所の人達にはすっかり知られていることだろう。モズがカワラヒワ
の真似をしている。そのカワラヒワが20羽くらいで飛び回る。隣の畑には立派な栗の木がある。その枝には10羽を越すカシラダカが羽を休めて
いる。田んぼで採餌し、クリの木に止って休む。カシラダカに混じってホオジロもいる。山陰川には尾羽を揺すりながら採餌するセグロセキレイの
姿と、コンクリートの堰堤でジーッと川面を見つめるカワセミがいた。カワセミと言えば、萩小の観察園に人工的にカワセミの巣が造られた。カワセ
ミの姿も付近で見かけているようなので、利用してくれるとすばらしい。川のカワセミも繁殖期を迎えて、賑やかな声を頻繁に聞かれる季節になっ
た。あとひと月余りで太陽は赤道を越える。精一杯、冬を楽しみながら野鳥を観察しよう。
2005
2
12
室林道ラインセンサス
穏やかな日和となった。最初はヒガラ、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラの混群に出会った。尤も、声ばかりで姿はなかったが。カラ類は活発に動
いていた。もうすっかり馴染みになったヒガラ。群れで採餌するシジュウカラ。単独行動のヤマガラ。それぞれ特徴が出ていて興味深い。時折、羽
音を立て上空を掠めるのはハシブトガラス。繁殖期を迎えて落ち着かない様子に見えた。それと、今年になって初めてホオジロの囀りを聞いた。
少々心許無いが確かに囀っていた。先週の日曜日にシジュウカラの初囀りを聞いたが、これからは、訪れる度に囀り個体が増えることだろう。
2005
2
19
土曜探鳥会 羽根・長根
あいにくの雨模様。それでも5名の子どもたちが集まってくれた。牧野さんに山口さんも加わり総勢8名で出発。萩小校庭のサクラにはハシボソガ
ラスの巣がある。3羽が巣の周りで何やらやっている様子。若い個体で巣に興味を持っているのでは、と山口さん。校庭にはスズメが最も多かっ
たが、ツグミやムクドリ、セグロセキレイもやってきて餌を探している。休みの学校なら邪魔されないで済む。田んぼから鳥の群れが飛び立った。
止った梢の先には冠羽を黒い繁殖羽に変わりつつあるカシラダカの姿があった。時が過ぎればもっと顔の方までくっきりとした男前になるはず。
やはり雨が降ってきた。目的地、羽根・長根の田んぼは諦めて室へ向いお寺で雨宿り。住職の居ない小さなお寺。梅が咲きメジロが蜜を吸いに
訪れていた。脇には小さなお地蔵様がにっこり笑っている。カケスが境内の森を行ったり来たりしている。なんとなくほっとする場所である。雨脚が
強くなり、山口さんが、子どもたちが濡れてしまうからと、自らは濡れながら車を取りに行かれた。
2005
2
20
室林道から長根・羽根を経て室までのラインセンサス
昨日とは打って変わり暖かくて気持ちの良い日になった。室林道を歩くだけでは勿体無いと思い、そのまま室林道から長根、羽根、そして室を一
気に登り室林道の入り口に戻るコースを歩いた。室林道ではアオジ、カケス、シジュウカラの姿が多く、反対に、ヒガラ、ウソの個体数が少ない。
又、陽気に誘われたホオジロが囀っていた。室林道から長根に下りると鳥の種類ががらりと変わる。カシラダカ、ムクドリ、セグロセキレイ、ハクセ
キレイが群れになって行動している。そんな中で、ヒバリの囀りが聞かれた時は春が近いことを感じた。何時の間にか畦にはペンペングサやホト
ケノザ、オオイヌノフグリたちが風に揺られている。室林道からの流れは室川となって山陰川に注ぐ。川沿いには竹やヤブツバキなどの木々で覆
われ流れは隠されている。昔は、本流の山陰川も室川と同じ光景が見られたのであるが。所が、時代の流れは室川をも変えようとしている。耕地
整理の工事が始まっていた。コンクリートブロックで覆われた川はもう川ではない。羽根の田んぼではチョゲンボウの狩りを、室の畑ではオオタカ
の狩りを目撃した。共に、犠牲になった小鳥の姿が確認出来なかったが、野生の生活の厳しさを垣間見た。室の部落から室林道へと登る。歩き
始めて3時間になる最後の頑張り所だ。途中でカメラが不調になったが、幸いなことに鳥たちの姿もそれほどに多くなかった。(デジタルカメラはパ
ソコンと同じだ。マニュアルが無いと何が悪いのかさえ分らない)最後の登りは呼吸を整えながら進む。車が見えたらやれやれである。
2005
2
26
室林道ラインセンサス
久々にマヒワの賑やかな声が室林道に戻ってきた。この冬は、年をあけてようやく観音山で初めてマヒワを確認した。その後定着するのかなと期
待していたが、確認に至らなかった。室林道でも散発的に声を聞いてはいたが、マヒワ特有の密集した群れとなって飛翔する様をみたのは、2月
も終わりに近づいた今日26日であった。ヒガラは相変わらず相当数いる。マヒワ同様にヤシャブシの木で採餌している。種子食と昆虫食を同時
に行なっているようだ。要するに手当たり次第嘴でつまんでいる。春分まであと1ヶ月を切り強さの増した日差しに
常緑照葉樹の葉がきらきら輝く。室林道からは遠くに三河の海が見えるが、海も眩しく輝く。豊橋市街の建物の屋根も光っていた。
西暦
月
日
メモ
2005
2
26
ミソサザイ
父が、庭に落ちていたと言ってミソサザイを見せた。傷があるので、どうやら我が家のネコに噛まれたものと思われる。掌の中の小さな体は体温
こそ無かったが未だ柔かであった。あと一月もしたらミソサザイたちは金鈴と称えられる囀りを、山の渓流の中で競い合う事だろう。無念ではある
がこの個体は遺伝子を次の世代に伝えられなかった。
2005
2
27
寺ノ入林道ラインセンサス
今年になって一度だけ訪れた時は作手村全体が雪景色であった。寺ノ入林道も無論、雪と氷に覆われ鳥を見るどころではなかった。それから2ヶ
月余り経ち、もちろん、雪が残っているなどとは思わなかったが意を決して寺ノ入林道に向った。標高700mは伊達ではない。音羽よりも一段と冷
え込んでいた。ヒガラが消え入るくらいの微かな声で鳴いている。後は、谷川の音と、風の音と、頻繁に通過する飛行機の音ばかりである。これだ
けの強風の中では小鳥たちは動かないだろう。たしかに、センサス中に確認できたのは僅かな個体のみであった。オスのルリビタキ。ミソサザイ
が2羽。ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラなどのカラ類。それらを全て足しても上空を舞うハシブトガラスには敵わない。東の山から次々と飛び立っ
た群れが西の山に消えるまで、あるものはジャレ合うように、あるものは競い合うような行動に出るなど、20羽から30羽くらいの群れがほんの2
分程度の短い間ではあったが、パフォーマンスを見せてくれた。きっと繁殖の準備なのだろう。その後にも、鳴き交わしながら飛ぶ番いの姿を何
度も見た。マヒワ、アトリ、ベニマシコといった冬の鳥の姿や声は、今日のところは無かった。室林道に較べると、個体数は圧倒的に少ない。登り
坂はさすがに息が上がる。今年初めての寺ノ入林道の感触を楽しみながら帰途に着いた。
2005
3
5
土曜探鳥会 室林道
萩小もインフルエンザが流行っていて、先生からの「無理しないように」との適切なご配慮もあり、5名の子どもと中学生ひとりが参加してくれた。
天気は申し分ないが少々肌寒い。三寒四温の諺どおり鋸状になって暖かくなっていくのだろう。それでも萩小の近くの梅はほぼ満開で気持ちの良
い探鳥会となった。室林道ではコゲラが鉛筆ほどの細い枝をこつこつと突付いていた。その様が可愛らしく子供たちの人気をさらう。室林道まで
の道中は鳥の気配すら無い。「これははずれだったかな」と心配したが、室林道に入った途端、先ほどのコゲラ、ジョウビタキ、ルリビタキが続けざ
まに現れてくれて内心ほっとする。ルリビタキの囀りらしい一声も聞かれた。咳の子もいるので予定よりも早めに切り上げる。帰りの道は暖かさも
加わりウキウキ気分であった。
2005
3
5
室林道ラインセンサス
探鳥会の後少し休憩の取り室林道のセンサスに向う。その後は、公民館祭りの準備もしなければならない。大忙しである。探鳥会で、今日は鳥の
姿が少ないのは分っていたので、どのくらい少ないのかに興味が移った。エナガやヒガラ、ヤマガラの群れに出会った時だけは別であったが声も
余り聞かれない。均一にいるのではなくて、群れになって採餌をしているように見える。群れ行動以外ではホオジロがペアでいるのも目に付いた。
既に繁殖活動に入っているのだろう。
2005
3
12
茶臼山ラインセンサス
今年の茶臼山はスキーヤーにとっては幸いだ。リフトがポーンと奏でる度に人が萩太郎山の山頂に運ばれて行く。ロッジの前では小さな子達がカ
ラフルな井出達で歓声を上げていた。双眼鏡とカメラとMDレコーダーをリュックから出しカサを杖代わりに歩き始める。茶臼山は厚く雪に覆われ
野鳥の気配は少なかった。ロッジ付近でカシラダカ。茶臼山と萩太郎山の鞍部でホオジロの地鳴き。そして、北面でトビらしい姿。たったこれだけ
だった。ハギマシコやオオマシコはおろかベニマシコにも出会えなっか。しかし落胆する気持ちはまったく無い。いても、いなくても、これが今日の
茶臼山の姿だからだ。残念だったのは、センサスを最後まで出来なかったことだ。例年、最後まで雪が残っている北面でとうとう先に進めなくなっ
てしまった。かんじきが欲しくなった。
2005
3
13
室林道ラインセンサス
雪雲が流れて行く。気温も先週のセンサス時と較べかなり低い。1ヶ月時間が戻った感じだ。スタートして暫らくは気配がなかったが、ウソの姿を
見てから徐々に鳴き声も多くなった。ミソサザイ、ウグイスの声も確認できた。ホオジロは番いがほとんどである。コースの終点ではルリビタキ(メ
スか)がいた。上空にはハシブトガラスの賑やかな声があった。そして、この冬、室林道の野鳥をバラエティーあるものにした功労者のヒガラも健
在であった。冬に逆戻りした天気に驚いたのか、繁殖期を告げる囀りをしている個体はなかった。そう言えば、あと1ヶ月もすれば夏鳥たちが飛来
してくるのだ。
西暦
月
日
メモ
2005
3
19
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
ここ数日は寒暖の差が激しい。穏やかな天気ではあるが吹く風は冷たかった。萩小スタートでは5人の子どもたち、途中で2人の姉妹が加わって
くれた。羽根・長根の田んぼの畦道のはタンポポが沢山咲いていて、女の子たちはタンポポを摘んで楽しんだ。牧野さんや私の帽子の穴からはタ
ンポポ飛び出している。鳥のほうは、風が強くて観察には不向きではあったが10種類を越した。ツグミやタヒバリ、ハクセキレイといった冬鳥がま
だまだ残っていたし、空中での姿は無かったが、ヒバリの囀りも聞かれた。民家の垣根の下ではジョウビタキのオスが餌を採っている。畑にはナノ
ハナやウメ、ツバキは咲き誇り、いよいよ本格的な春の到来である。平成16年度の土曜探鳥会も今日で終わる。健康でいて、これからもずっと
続けていきたいと願っている。
2005
3
20
室林道ラインセンサス
薄雲を通して弱い日が差している。春分の日の今日、ようやくウグイスとヤマガラの本格的な囀りを確認した。記録を見ないと何とも言えないが、
例年よりもやや遅いのでは。一方で、秋から冬にかけて続いていたカラ類の混群が見られた。今年の特徴は、群れの中にヒガラがいることである
。ハシブトガラスが忙しなく鳴いている。営巣活動の真っ只中なのか。2羽のルリビタキが小競り合いをしているように見える。オスの成鳥ともう1
羽はオスの若鳥かメスなのか判断がつかない。もつれ合うようにして繁みに潜りこんでいった。盛んに地鳴をしている。野鳥以外にも、キツネ、シ
カを確認した。シカは直ぐに逃げたが、キツネの方は暫らくこちらを観察している様子で、1分ほどして視界から消えていった。獣との出会いは緊
張するが花は気持ちが和む。水脈からの滴りでコケが一面に生えている崖で、ショウジョウバカマの紅色の花が咲いていた。
2005
3
26
自宅にて
夜中、フクロウの声を聞いた。野太い声は幼い頃には恐ろしく聞こえた。昼間の姿を見ることは滅多に無いが、直立した大きな姿は鳥にはみえな
いくらい異様だ。そして、羽音を立てずに飛び去って行くのを二三度茶臼山で見ている。声の方は、幸いにも一年を通してよく聞かれる。夜の鳥で
はあるがコウモリのような暗いイメージではなくて、知恵の詰まったおじいさんの姿を思い浮かべる人が多かろう。
室林道ラインセンサス
雨の中をセンサスした。従って、ウグイスの囀りを満喫する訳にはいかなかった。それでも、ウグイスだけが唯一囀りをしていた。7羽のウソの群
れがサクラの芽を啄ばんでいた。1羽だけの喉元に紅色があった。今年はどのくらい食べたのだろうか。結果は花の開花とともに判る。
2005
3
27
寺ノ入林道ラインセンサス
今年になって2度目、静かな寺ノ入林道をセンサスした。音羽町に較べ標高500mの標高差は半月くらい季節が遅れている。自ら移動することの
出来ない植物はそれが言える。しかし、動物の中でも移動力では軍を抜く鳥の世界ではどうだろうか。判り易いものとして囀りがある。囀りは、オ
スが縄張り防衛、メスへの求愛、競争オスへの威嚇、の役目をはたしていると言われている。そして、囀り行動の引きがねとなるのは、日照時間、
気温などが関係しているようである。寺ノ入林道と音羽では気温が違うだろうから、囀りにも何等かの差が生じている可能性がある。それが知り
たくて毎年出かけている。昨日、雨の中を室林道のセンサスしたのも、続いて、寺ノ入林道をセンサスしたかったからだ。囀りの比較では、ウグイ
スについて、室林道では雨の中にもかかわらず数個体確認出来たが、寺ノ入林道では1個体だけであった。寺ノ入林道ではミソサザイとヒガラが
囀っていた。音羽ではこれらの種の囀りを聞くのはは無理だろう。その他の鳥では、ヤマガラ、シジュウカラはたまたま室林道は雨で確認できなか
ったが、寺ノ入林道ではよく囀りしていた。カラ類はウグイスよりも囀りが早いので、今の時期、両方の地点で囀っているのは間違いないだろう。
そうすると、カラ類よりも囀りの遅いウグイスの囀りに差を見つけたように思うのであるが。
西暦
月
日
メモ
2005
4
2
茶臼山ラインセンサス
朝6時少し前に家を出発。風もなくどんよりとした天気である。進行方向、右手の空には赤い太陽が出ている。いつものことではあるが、どんな野
鳥が見られるのかワクワクしながら車を進めてゆく。豊根村では今がウメやモモ花の盛り。国道に沿って流れる坂宇場川からはキセキレイの鳴き
声が途切れる事無く聞こえる。茶臼山ヴィジターセンターから山頂に向う道中ではミソサザイの囀りが沢の音に消されそうになりながら聞こえる。
先週、標高600mの三河湖で今年初めてのミソサザイの囀りを確認したのだが、1000mを越すここ茶臼山でも既にミソサザイの活動は始まって
いた。道脇に汚れた雪が残っているが、もう普通タイヤで問題なく登れる。スキー場は閉鎖されていて人影は全く無い。時折、蕗を採る光景に出
会うくらい。センサスをスタートした時の気温は2度。戻って見たときも変わらなかった。ウグイスは個体数はまだまだ少ないけれど茶臼山全山で
囀っていた。コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラも時折囀り個体を確認。こちらも、これからが本番といったところだ。アトリ科の赤い鳥も注目し
てみたが、ベニマシコが茶臼山の周辺で満遍なく確認できたくらい。もうひとつの注目点、カシラダカの集団囀りは気配すら無かった。カシラダカ
の姿そのものが殆ど無い。少しばかり時期が早いのかもしれない。次回の観察である程度分るだろう。標高の高い茶臼山高原にも、もうイワツバ
メがやって来ていた。これを見ると、植物などは標高の壁を乗越える手だては無さそうであるが、鳥は標高の差など問題にしていないようにみえ
る。雪の南アルプスを期待していたのだが、残念ながら霞みに阻まれていた。
2005
4
3
室林道ラインセンサス
いよいよ本格的な繁殖期が来た。ウグイスが囀り、ホオジロが木の天辺で縄張りを主張する、そんな光景を室林道のあちこちで見ることができた
。夏鳥の気配はと、注意していたが今日の所は全くなかった。ヤブサメやセンダイムシクイが先発隊でやって来るはずだ。つがいの姿を多く見か
けた。ホオジロ、ヤマガラ、カワラヒワ、ハシボソガラス、ヒヨドリたち。囀りはとても印象的なのでついついそちらに目が行ってしまいがちであるが(
ウグイスの初鳴きはよく話題になる)、今日とても印象的だったのは、ヒヨドリの個体数の増加と活発な行動であった。1羽のヒヨドリが数10メート
ルはど離れた所で鳴いているヒヨドリに答えるかのような行動をしているのを見た。たぶん、オスの鳴き声に反応しているメスを見たのだと思う。
2005
4
9
羽根・長根の田んぼ
田んぼの畦道にはタンポポが列をなしていた。ヒバリの歌を録音しようと室林道から羽根の田んぼに下りてきた。気持ちの良いそよ風が吹いてい
た。録音には少しの風も大敵。しかし、自然相手ではどうすることもできない。水が張られた苗代でピヨピヨと声を聞く。車を降りコチドリの番いを確
認する。ついつい室林道の山の夏鳥に注目してしまう。そんな自分に、「私を忘れてくれては困りますよ」と言っているようだ。シギ・チドリ科の鳥た
ちは長距離の渡りをするだけあって、細く長い羽ですばらしく早く飛ぶ。2羽のコチドリも少しだけ私の前を舞ってくれた。そのスピード感。鳥の凄さ
を改めて教えてくれた。しばらくコチドリに目をやっていたら、いつの間にか、周りではイワツバメが白い腰を目だ立たせて飛び回っていた。そして
、1羽が水田に下りたら、次々とほかの個体も冠水していない島のようになったところに降り、土を加え始めた。どうやら、巣の材料を採りに来たよ
うだ。そういえば、イワツバメの巣は黒っぽい土で造られている。その材料は田んぼに有ったのだ。冬鳥のタヒバリも数は減ったが未だいる。我家
の近辺にもツグミが残っている。今の季節、夏鳥の初飛来に注目が集まるが、冬鳥の最後の姿を記録するのも大切である。
2005
4
9
室林道ラインセンサス
一気に春本番となった。室林道へ向う道すがらウグイスの声を聞き、サクラの香を嗅ぐ。林道のサクラといえば、ウソが来る日も来る日も花芽を啄
ばんでいた。はたして花は残っているのだろうか。結果、多く見積もっても1割程度しか残っていないようだ。中には、簡単に数えられるくらいしか
残っていない木もある。囀りでは、ウグイス、メジロ、ホオジロが目立つ。中でもウグイス。メスをめぐるオス間の競争が繰り広げられているのだ。
ヒガラがヤマザクラの花の中で動き回っていた。こんな光景は室林道では初めて見る。この冬室林道のヒガラは、私の知る限りで最も個体数が
多かった。夏鳥では、ヤブサメとセンダイムシクイはセンサスを開始して間もなく囀りを聞く。懐かしい声である。そして、センサスのコースを折返し
た所で最初のオオルリの囀りを聞く。運良くコバルトブルーの姿も確認できた。その後もう1羽、今日は2個体のオオルリを確認した。ヒガラ以外に
室林道を離れる鳥では、アオジ、ウソ、カケスを確認する。ヤシャブシの葉の緑が鮮やかで、その他の木々の若葉も開いてきた。陽気でうっすらと
汗をかきながら、活発になった虫の羽音を聞き歩いた。
西暦
月
日
メモ
2005
4
10
宮路山・西切山ラインセンサス
夏鳥の様子を見ようと宮路山に出かけた。赤坂の町を抜けると宮路山の登山道に入る。ヤマザクラと新緑の織り成す模様が美しい。ウグイス、カ
ラ類の歌声が途切れなく聞こえる。麓近くの照葉樹林でオオルリの囀りを確認。さらに、センダイムシクイ、ヤブサメも確認する。ここまでは昨日の
室林道と同様である。さらに、期待はコマドリに移る。何と言っても宮路山はコマドリの飛来地として有名なのだ。無論、ここで繁殖することは無い
。第2駐車場を起点に、東霧山コース、西切山コースをセンサスしてみた。東霧山は林の中の渓流コースで雰囲気のある場所である。冬場に訪
れる人はほとんどいないが、ミソサザイを探しによく来た所である。コマドリのいるところに沢音がある。この条件に叶った場所である。しかし今日
はオオルリの歌声だけにとどまった。今度は西切山コースを歩いてみる。こちらは、音羽町から蒲郡市に抜けられる林道の一部で標高は300m
弱と室林道よりも少し高い。過去にもコマドリを確認している場所である。ウグイス、オオルリをはじめ、普通に見られるほとんどの野鳥を確認する
ことができた。しかし、コマドリの囀りは聞かれなかった。聞こえなかったからといって、いなかったと断定できないのはもちろんだ。微かな声で鳴い
ているのかもしれない。代りと言っては失礼だが、ヤマドリのオスが谷側から登ってきたのに鉢合わせた。向こうも一瞬どうしようと迷ったみたいだ
。こちらもコンパクトカメラをポケットから出そうと思うことすら忘れていた。それでも無意識のうちに頭から尾の先まで観察していた。その間たった
の数秒。ようやく彼はドドドと大きな羽音を立てて飛び去っていった。手にはMD録音機、観察野帳を持ち歩いているので、持参した傘の世話にな
らないで済んだのはもっけの幸いであった。最近は、写真よりも鳴き声の方が現地での印象を鮮やかに蘇らせてくれて気に入っている。春は様々
な野鳥の歌を楽しめる素晴らしい季節である。
2005
4
12
茶臼山ラインセンサス
雨を覚悟で茶臼山に出かける。コマドリが既に来ていると睨んだからだ。昨年も茶臼山で音羽町よりも早くコマドリを確認していた。何と言っても、
音羽と茶臼山ではコマドリの密度が違いすぎる。まるで、音羽町におけるホオジロくらい容易に茶臼山ではコマドリの鳴き声を聞くことができるの
だ。道中は麓に着くまで雨が降っていたが、山頂付近は雲の中にもかかわらず傘をささずに済みそうだ。いつものように傘を刀のように差してセ
ンサスを開始する。いきなり聞こえてきたのはスキー場の縁で囀るヒバリの声だった。天気が良ければ緑の美しい牧場には、カワラヒワや時には
ヒバリの囀りがよく聞かれる。雨雲さえも気にならないとはさすがに雲雀である。霧の中から聞こえる野鳥の歌声は特に響き、遠くからももよく聞こ
える。コマドリが鳴けば必ず聞こえるはずである。雨天でもよいと思ったのはそんな理由からだった。ウグイスとアカゲラが鳴いている。そして、ス
キー場を通り過ぎ長野県側に入った所で、山の下手からコマドリのヒンカララと鳴く声がした。「矢張りいたか」思わず顔がほころぶ。結局、今日確
認できたのは8個体。夏鳥としては、コマドリ以外にはセンダイムシクイがいた。さらに、漂鳥であるルリビタキとビンズイも繁殖地である高原に戻
っていた。そして、コマドリと同じくらい気になっていたカシラダカの姿があった。10羽弱くらいで群れになっている。集団囀りこそ聞かれなかった
が、霧の中でもそれと分る繁殖羽に換わったオスの姿があり、コマドリに負けないくらい嬉しかった。
2005
4
13
佐脇浜
今年の1月以来の御津海岸の野鳥観察である。強い西風に煽られて、白い波頭が次々と押し寄せ防波堤に砕ける。しかし、寒さはまったく感じな
い。この人工の土地は工業団地として生まれた。暫らくは葦や雑草の生い茂った区画が多く、ヒバリなどの格好の棲みかになっていたが、今日行
った区画も工場が出来きれいに整備されていた。徐々に棲みかを追われてしまうのだろう。真冬の間、海面にすじ模様になるほど沢山いたカモた
ちも殆ど見られない。彼らは繁殖地に戻ってしまったのか。いやいや、鳥たちの世界にものんびりした性格の持ち主がいた。入り江の浅瀬で嘴を
海面に合わせ前進しながら餌をあさっている。ヒドリガモ、スズガモ、ホシハジロたちだ。その隣ではユリカモメが良い餌場を確保しようと、けたた
ましく鳴きながら海面に下りて行く。その数200羽余り。後から来たのに、できるだけ先頭の方へ下りて沢山の餌に有りつこうとしているように見
える。その喧騒さに水の引いた干潟で餌を捕っているハシボソガラスもたじたじのように見える。彼らもやがて北に帰って行くことになる。夏羽の
黒い顔をした個体も多数いた。シギ、チドリの類は殆ど見かけなかった。渡りの姿に出会うにはもう少し時間が必要か。
西暦
月
日
メモ
2005
4
14
高嶺山
出来るだけ鳥を見ようとこの時期に取った1週間の休暇も後半に入ってしまった。茶臼山、室林道、宮路山と、主に夏鳥、とりわけコマドリの観察を
してきた。音羽町では未だ確認できていないが、茶臼山では相当数いることが分った。さらに足を伸ばし長野県南部の高嶺山の様子を見ることに
した。国道257号線から津具村を経由し、伊那街道を北上すると、ようやく平谷村に着く。正面の高嶺山は堂々としている。カラマツはまだまだ冬
の様子で、芽吹きの美しさが待ち遠しい。高嶺山への登山道を進めていくうちに珍しいものに出会った。ニホンカモシカとばったり顔を合わせたの
だった。天気も良いので徒歩も考えたが、万が一熊にでも出くわしたらと、車で山頂近くまで登ることにした。ニホンカモシカもどうしたものかと考え
ている様子で、こちらを見たまま動かない。先ずは、車の中から記念写真を撮ることには成功した。気を良くして進む。急な沢は崖崩れを頻繁に
起こしていて、この山が、花崗岩質の脆い地質でることが分る。中腹でミソサザイが囀っていた。何時もこの辺りで声を聞く。声を録音しようと暫ら
くいた所、声がだんだんと大きくなる。やがて、大胆にも私の直ぐ目の前の細い枝に止り、威嚇するように鳴き始めた。これには吃驚した。すると、
これが呼び水になったかのように、次々と小鳥たちが現れては去っていった。最初はシジュウカラとヒガラ、次いで珍しいゴジュウカラ。囀りながら
、幹や枝を自由自在に上り下りし餌を捕っている。頭を下にして下りる芸当はゴジュウカラしか出来ない。素晴らしい天気なので1300m付近から
は山頂まで歩いた。南の方面には見なれた茶臼山の姿が一段と高く見えている。左手からは南アルプスが連なる。雪の被った嶺は3000m峰た
ちだ。聖、赤石、荒川、塩見、白峰三山が少し靄のかかった空に見える。東にはアンテナの林立する蛇峠山。北には、雪渓の残った大入川山とそ
の奥に恵那山。大パノラマの真っ只中にいるのだ。山頂付近には特にウグイスが多い。そして、コマドリもいた。
2005
4
15
室林道ラインセンサス
サクラの花びらが林道に落ち始めた。ウソに食べられずに済んだ花は心なしか大きく見えた。そのサクラを目当てにしているのがメジロとヒヨドリ。
大きなヒヨドリが小さなサクラの蜜を吸っている様は微笑ましい。昆虫のように花粉媒介の役目は出来ているのだろうか。ヒヨドリが5羽、10羽と群
れで行動するのをよく見かける。(長野県高嶺山でも確認)今の季節、ペア行動に目が向くが、もしかして、春の渡りを見ているのかもしれない。(
秋の渡りは非常に大規模である)今日確認したオオルリのオスは、いずれも力強い囀りを行なっていた。真下から見上げているのに全く気にして
いないようだ。オオルリと並ぶ夏鳥の雄、キビタキは今日も確認できなかった。そしてコマドリも。遠くからサシバの声がした。(これまた高嶺山でも
同様に確認)さまざまな野鳥たちの新しい営みが始まろうとしている。ピーヨ、ピーヨ、とアオゲラが歌う。コゲラやアカゲラと違いアオゲラには地鳴
きとは別に囀りと呼べる鳴き声がある。室林道は今、正に野鳥の歌で溢れかえっているのだ。そんな中で珍しい声を聞いた。自信なさげな感じが
よく分かる。アオジのぐぜりである。高嶺山のカラマツ林で堂々と囀っているのとは大違い。生まれ故郷に帰れば上手く歌えるよ、とでも言いたげ
であった。
2005
4
16
土曜探鳥会 宮路山
平成17年度土曜探鳥会のスタートは、音羽の名山「宮路山」への遠足探鳥会となった。昨年も一昨年も雨模様の天気であったが、今年は春の強
い日が注ぐ素晴らしい上天気となった。新緑とサクラの織り成す宮路山を、子どもたち10名と、お父さん、おじいさんを含めた大人4人、計14人
のメンバーで登っていった。麓から歩いて登る人もかなりいるが、車で登る人も多く、頂上は人達でごった返すほどであった。赤坂の町中を流れる
音羽川沿いに進んでいたら、かなりのイワツバメが飛び回っている。それも、橋の下に入ったり出たり。どうやら、橋の下にある巣のヒナに餌を運
んでいるようだ。普通のツバメとの違いを観察する。宮路山への登山道には散りかけたサクラの花びらが敷き詰められていた。さまざまな新緑が
あり、さらに、サクラ、ヤマツツジのピンク、ヤブツバキの赤色が色を添えている。これだけでも十分なのに、さらに野鳥たちの歌声が加わる。ウグ
イス、メジロはいたる所で囀っているし、ヒヨドリ、シジュウカラなど馴染みの鳥もいる。南の海を渡ってきた、オオルリ、センダイムシクイ、ヤブサメ
も縄張りを守ろうと声を張り上げていた。オオルリなどはもう少しいてもよいのであるが。体を使い汗をかいて登ったあとの楽しみは昼ご飯。弁当
を頬張る子供たちの満足そうな顔を眺めるのは気持ちが良いものだ。かく言う私も、朝食が早過ぎてお腹がへり、山頂への最後の登りはエネル
ギーが切れそうであった。おにぎり(コンビニで買った買った)の美味かったこと。食後子どもたちは例によって遊びタイム、私は、木漏れ日の下で
お昼寝タイムを満喫した。20種を越す鳥がいたことを観察記録を取ってくれている6年の子が教えてくれた。その中に?マークのついた鳥がいた
。コマドリである。今年は未だ音羽でコマドリを確認していない。もしかしてゼロ記録になるかもしれない。
西暦
月
日
メモ
2005
4
17
ヒヨドリの北上
観音山の上空を200羽を越すヒヨドリの群れが北上して行くのを観察した。これまでも10羽くらいの小規模な群れをたびたび観察していて、もし
かして、春の北上の姿なのではと考えていた。しかし、秋の南下(伊良湖岬で有名)の規模に較べ余りにも小さく、移動個体郡であると言い切れる
自信はなかった。けれども今日の群れは明らかに北上個体群だと思う。伊良湖岬で観察したヒヨドリとそっくりであった。この光景に出会えたのも
、コマドリの北上を観察したかったからに他ならない。山口さんもこの春は未だコマドリを確認していないとのこと。こんな年は初めてとも言ってお
られた。
2005
4
23
汐川干潟
田原市に出かけた。汐川干潟はすっかり姿を現わしていて、ダイサギやアオサギが浅瀬で、ハシボソガラスが点々と干潟で採餌中であった。少
数ながらカモの姿もある。しかし期待していたシギ・チドリの姿はまだなかった。もう少し時間が必要なのだろう。けれども、堤防を隔てた養魚池の
並ぶ湿地では、アオサギの育雛・抱卵が今盛りとばかりに行なわれている。親を待つ幼鳥、抱卵の合間に巣を離れる親鳥、1ヘクタールくらいの
範囲にいくつもの巣がある。それが堤防から手を取るように見えてしまう。しかし、アオサギたちは全く気にしていない様子。近くの草叢からは、こ
の春初めてのオオヨシキリの囀りが聞かれ、同じく縄張りを巡回中のセッカの姿があった。
2005
4
24
室林道ラインセンサス
昨日、家の近くで今年初めてのキビタキの囀りを聞いた。当然室林道でも聞かれるだろう。新緑が眩しい室林道にやって来た所、早速、オオルリ
とキビタキの出迎えを受けた。これで夏鳥の双璧というべきヒタキ2種が顔を揃えたことになる。そして、2種ともオスの囀りをじっと聞き入るメスの
姿も確認することが出来た。メスは殆ど鳴かないし色も地味で気付き難いものだが、この時期だけは比較的容易に見つけることができる。ライバ
ルも負けてはいない、はたして彼女の心を射止めることができるだろうか。もう1種、この時期ならではの鳥を確認した。エゾムシクイである。囀り
はコガラの様で、地鳴きはルリビタキやジョウビタキみたい、と不思議な鳥である。以前、コガラと勘違いして赤面したことがある。今日は囀りを聞
くことができた。室林道は小鳥たちの歌で一杯だった。最初の3種以外に、ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、センダイムシクイ、ヤブサメ、ホオジ
ロ、アオゲラ、カワラヒワが囀っていた。チョウや甲虫も陽気に誘われ姿を見せ始めた。オサムシのキラキラと輝く体をアスファルトの道で見つけ
た。オサムシは日本に何種類もいてよく研究されている甲虫だ。従来の形態学的分類方と、分子生物学的分類では異なっている、ということを聞
いたことがある。DNAの配列が近いほうがより近縁種というわけであるが、DNA配列からみた分類でみると、その分布が地質の年代の違いと一
致する。オサムシは昆虫の中でも飛べない仲間に入る。従って、行動範囲も局地的である。日本列島は今の姿になるまでには隆起・沈降を繰返
している。地質の古い順とオサムシのDNA配列の順は一致する訳である。同じことが鳥にも当てはまるのだろうか?
2005
4
30
寺ノ入林道ラインセンサス
標高600mの寺ノ入林道ではヤマザクラが咲いていた。先回訪れた時には未だ裸であった雑木も、薄いエマラルド色の若葉に覆われている。そ
よ風に揺れた葉っぱが太陽の光でキラキラと輝く様は、生物の活力をまざまざと感じさせてくれる。センサスを開始して直ぐに、今日は、実に多く
の個体の野鳥が囀っていることを感じた。ウグイスは少し大人し目ではあるが、オオルリ、センダイムシクイ、ヤマガラ、アオゲラ、キビタキ、ヤブ
サメ、ヒガラ、ミソサザイ、シジュウカラ。その中でもオオルリが競うように囀っている様は本当に圧巻であった。近い個体では100mから200mく
らいしか離れていない。囀りの節回しも個体毎に違うので、メスは気に入った歌を耳を澄まして聞いているのだろう。センサスの間にメスを2個体
確認した。ひとつは、オスがメスの近くまで来ていて、気を引こうとしている様子であった。もう1羽のメスは、オスの囀りに触発されて、火打ち石を
叩く(ヒタキの語源)ような音を立てていた。ヒガラの囀りが聞かれるのは、さすがに標高600mのことはある。忘れてはならない鳥は鳥がある。サ
ンコウチョウと共に個体数の激減が心配なサンショウクイ。寺ノ入林道には毎年サンショウクイがやって来て繁殖している。今日はどうだろうか?
。ドキドキしながらセンサスをした。スターしてまもなくそれらしい地鳴きを一瞬だけ聞いた。ただ、それきりなのではっきり言えない。そして、復路
の3分2ほど進んだ所でオオルリの囀りを録音をしていた時、ヒリリヒリリと間違いなくサンショクイの声が聞こえた。嬉しい事に、羽の中央に透け
たような線の入ったサンショウクイの羽ばたく姿が見られた。
西暦
月
日
メモ
2005
5
2
茶臼山ラインセンサス
豊根村ビジターセンターに7時38分到着。囀りを観察する目的としてはもう少し早く到着すべきであった。川宇連神社で観察道具を揃えるのを日
課としている。ここから観察の始まりである。神社の上空ではイワツバメが20-30羽の群れになり雛のために餌を取っている。神社の前に架か
る橋の下にイワツバメの巣があるのだ。茶臼山から流れ出た沢はここで、巨石の間をすり抜けるように流れ大きな沢音を立てる。そんな沢音に負
けない声でミソサザイが囀っている。ここから茶臼山の頂上(1415m)まではおよそ600mの標高差がある。道が沢が近づく度にオオルリ、ミソ
サザイの囀りを聞くことが出来る。いつものように車を茶臼山高原美術館(写真の常設展示がある)の駐車場に止めセンサスを開始する。表示板
の気温は2度とあるがそんなに低い感じはしない。雲の中に入りそうではあるが雨に打たれる心配はなさそうだ。スタートして直ぐに、今日は手帳
に一杯鳥の名前が書けそうなことが分った。第一に、コルリの囀りがすごい。それこそ、200mも歩けば次の個体がいる、そんな感じである。コル
リは、多分コマドリよりも遅く茶臼山に到着していると思う。着いたオスがやるべき事は良い縄張りを見つけ、そこを守るあることである。だから、先
に着き、縄張りが決まり始めたコマドリよりも囀りが盛んなのではと思う。事実、センサスによるコマドリの囀り個体数はコルリよりもずっと少なかっ
た。スキー場のある方向からやけに明るい声が聞こえる。ソウシチョウであった。この外来の鳥は、茶臼山にしっかり定着してしまった。(冬は音
羽町などの低地で確認されている)東には、真っ白い雲の上に青色の南アルプスが望まれる。しかし、それはほんの10分程の幕でしかなかった
。茶臼山はすっぽりと雲の中に入ってしまった。こうなると首から下げたカメラはお荷物でしかない。活躍するのはMDレコーダーである。この日の
為にマイクも奮発した。直着けマイクでは機械音を拾ってしまうので1.5mのケーブル付きマイクにした。コマドリ、コルリ、ミソサザイなど茶臼山
ならではの野鳥の歌声を記録したかったのだ。北の面にとっておきの場所があり、楽しみにしてセンサスを続ける。囀りでは、やはりウグイスは多
い。次いで、コルリか。カラ類では、音羽町ならヤマガラとシジュウカラがライバルになるが、ここでは、ヒガラとコガラがいずれ劣らぬ囀りを聞かせ
てくれる。ツグミ科の代表はコマドリとコルリ、囀り個体数ではコルリが優勢、しかし、コマドリの一声はコルリの10にも匹敵すると私は思っている
。ヒタキ科はオオルリとキビタキ。こちらは、ややキビタキが多かった。一人奮闘しているのがミソサザイ。ミソサザイ科の鳥は彼しかいないのであ
る。センサスの終わりになってようやく雲が切れてきた。あたりの木々を見ると、小さな葉がようやく開き出したばかりといったところである。
2005
5
3
室林道ラインセンサス
初夏の陽気である。サクラの後にはフジの花が待っている。フジの紫は日本的で好きだ。それにピンクと赤のヤマツツジも新緑をバックに良く映え
る。花が咲けば蜜を求めて昆虫たちも忙しい。頭上をクマバチがブーンと羽音を立てて行き交う。黒い色のチョウを見つけた。チョウの名前は鳥
のように覚えられない。茶臼山や三河湖の寺ノ入林道でもそうであったが、室林道は、今まさに野鳥の歌声で溢れかえっている。そんな中で、ホ
オジロと思われる幼鳥と、食事を兼ねた散歩中のヤブサメの小粋な姿を観察出来たのは幸いだった。ホオジロ(と思う)の幼鳥はサクラの葉の中
にひっそりと潜んでいた。嘴の形はがっしりとしたホオジロのものであるし、斑点の入った体色もそのような感じがしたからだ。今の時期、サクラの
木には、オオルリやキビタキのメスがいたりして注目が必要だ。ヤブサメは虫のような声で囀る鳥で、初めて聞く人には虫の声と思うに違いない。
その体はとても小さく、見つけた時はその可愛らしさに、一目で好きになるだろう。茶色い小さな体は、林の朽ちた落ち葉に良く溶け込み中々分り
難い。ヤブサメの声がしたので下の方を見ていたら、眉斑と呼ばれる眉のようなすじが目に入った。というのも、眉斑の色が体よりも明るい黄土色
であるため私の目に入りこんで来たという訳だ。その後から、彼の存在に気付いたといってよい。林道の直ぐ側を移動して採餌している。5mくら
しか離れていないにも関わらず逃げようともしない。それどころか、歩くのに合わせて移動しているようにも見える。日本産野鳥ではキクイタダキ、
ミソサザイと並んで小さい体。小さいが堂々とした態度であった。
カワセミの子育て
山陰川には何ヶ所かカワセミがよく見られる場所があり、東名高速が横切る下流にもそのひとつだ。室林道のラインセンサスを終え携えてきた「2
重らせんへの道」R・オルビー著を読もうと、どうせならカワセミの見られる所でと、ここへやって来た。川は左手あり、右手には田植え前の田んぼ
広がる。後ろには、東名を走る車が途切れることはない。ゴールデンウイークのこの日は、車の量が格段に多い。2重らせんは無論DNAのことで
、1953年のJ.WatsonとF.Crickが遺伝情報を掌るDNAが2重らせん構造であることを示した事はあまりにも有名であるが、この本は、それに至
るまでの1900年初頭からの科学者たちの取り組みを詳しく述べたものである。ようやく、1950年ころの所まで読み進み、ワトソン、クリックと競
ったライナス.ポーリングを読んでいた所で読書は中断した。山陰川を上流から下流へ、下流から上流へ行ったり来たりするカワセミの番を見た
からだ。太陽の光に背中が翡翠色に輝く様はこの世のものとは思えないが、チーチーと鳴く声を聞くと、生き物なんだなと実感させられる。時折、
川に覆い被さっている木々の中に消えていく。巣の在りかを見つけるのは難しい。注意深く行動し、同じ場所に消えてゆかないからだ。これほど
何度も姿を見たのは初めての経験だ。読書に戻る。今読んでいるのは、ワトソン、クリックである。その間にも、カワセミの育雛に奮闘する声が聞
こえる。
西暦
月
日
メモ
2005
5
5
土曜探鳥会 室林道
連休の最終日、子ども日、室林道への道すがらには様々な花が咲き、火照った体を冷やしてくれる初夏の風がそよいでいた。萩小校舎のひさし
の隙間から親スズメの顔が覗いている。公民館の玄関のはツバメの巣がある。室林道への登り道は、今日のような陽気が良いと汗が滲んで来る
。ヒヨドリやウグイスの声を聞きながら室林道に辿りついた。そこではセンダイムシクイが大声で囀っていた。(全体を通してセンダイムシクイが最
も目に付いた)いつもなら茂った葉に隠れて姿を現わさないことが多いのに、この個体は、未だ芽吹いて間も無い木で囀っていたので姿は丸見え
である。早速望遠鏡の出番となった。子どもたちは、彼が口を開けた時赤い舌が見えたと言っている。今日の目当てはオオルリとキビタキを見る
事である。しかし、声はするものの姿は見えない。時間になり、暫らく休んだ後戻ることにした。センダイムシクイが見られたのだからと自らを慰め
ながら。引き返して間もなく、林道に止めてある車の付近でオオルリのメスを見つけた。メスが去った後、次いで現れたのは紛れも無くオオルリの
オスであった。彼は、車の付近に降り歩いている。みんな双眼鏡で青い鳥を眺めた。願いはかなったのだ。足取りも軽く下ってゆくと、今度は、キ
ビタキが姿を現わした。近くで囀っているオス、そして別の2羽のキビタキ。2羽はオスがメスを追いかけているみたいだ。繁殖をめぐる様々な行
動の一端を垣間見た。こんなにもあっさりと願いが叶うなんて信じられないくらいだ。帰りは下りばかりで楽チンである。景色にも目がいく。畦には
黄色、紫、ピンクの花々が、畑や庭には大輪の菖蒲が誇らしげにしていた。
2005
5
8
室林道ラインセンサス
ヤマガラのメスが餌ねだりをしている光景に出会った。実は、このことはラインセンサスを終え、日本野鳥生態図鑑(中村登流・中村雅彦)で調べ
て分ったことだ。最初はオスの求愛給餌行動かと思っていた。その行動とは。翼を震わせ、ヤマガラとは思えない鳴き声を出していた。口には緑
色の虫を咥えている。そして、直ぐ近くにもう1羽のヤマガラが付かず離れずの位置にいた。暫らくして2羽は接近し餌の遣り取りを行なったのだが
、私の予想では、翼を震わせていたのがオスだから嘴には餌は残っていないはずなのに、意外にも虫は残っている。その時も、メスが受け取りを
拒否したのだと解釈した。そして、この記録をまとめる前に何となく気になったので、冒頭で記したように日本野鳥生態図鑑を開いてみた訳である
。それによると、羽を震わしていたのはメスであって餌をねだる行動であった。すると、メスは前にオスからもらった餌を食べる前に追加を要求す
る行動に出ていたことになる。オスはメスが餌ねだりをしている間、休みなくそれに応じていたことになるのだ。ただし、日本野鳥生態図鑑では、3
月から4月ころに餌ねだり行動が起こるとあるので、それに較べると遅い。オスにとっては自分の繁殖成功頻度を上げるのが目的であるので、産
卵・抱卵を控えメスにとってエネルギーの補給が極めて大切なこの時期に、オスがメスの要求を拒めないのは当然といえる。私もこのような観察
ができ大変満足している。
2005
5
12
トヨタ本社周辺ラインセンサス
今日からトヨタ本社の周辺をラインセンサスする。出勤前の密かな楽しみとなりそうだ。道路沿い、田んぼを見下ろす散策路、市街地、などと変化
に富むコースで、私のフィールドにはこのような場所は珍しい。道路沿いの電線でカワラヒワのオスが囀っていた。散策路に入ると様々な野鳥の
姿や声が聞こえてくる。ハシボソガラスの幼鳥が4羽かたまって木にとまっていた。動作も何となく頼り気ない。反対に、自信満万なのは縄張りを
守っている者たち。見下ろす位置に広がる水田では、縄張りへ侵入する者を威嚇するケリの甲高い声がひっきりなしに聞こえる。所々に生えてい
る葦にはオオヨシキリがいる。キジも負けてはいない。ケーン、ケーンと鳴くオスは私のいる場所からは丸見えである。市街地がどんどんと田んぼ
や畑を呑み込んで行く豊田の市街地で、オアシスのように残っている貴重な野鳥の生息地をこれから見つめていこうと思う。
2005
5
14
茶臼山ラインセンサス
何時もの道順では飽いてしまう。新しく開通した東海環状自動車道の環八・足助インターで降り、国道153号線を稲武町、根羽村と北上し、小戸
名渓谷を眺め茶臼山に着いた。北側の斜面を登る為若葉が逆光に輝きすばらしい。茶臼湖畔に車を止め、左回りにセンサスを開始した。いきな
り聞こえて来たのはソウシチョウの陽気な鳴き声。すっかり夏季の繁殖地として定着してしまったようだ。彼ら帰化種の生態系に及ぼす影響は多
いに気に掛かるところだ。ウグイスとコルリがコース全体満遍なく囀っていた。それに較べコマドリの囀りは非常に少ない。少なくとも、コースから
100m位の幅の中にはいなかったと言ってもよいだろう。道路の拡張以降センサスコースのコマドリの個体数は減っていると感ずる。スキーリフト
で茶臼山の弟峰、萩太郎山の山頂に簡単に登れるが、一人も乗っていなかった。歩いているからそんなに気にはならなかったが結構肌寒い。だ
れも車から降りようともせずドアガラス越しの風景に満足している。雲が切れ、日が差し始めたのでほっとする。何所にいても太陽の光はあり難い
。すると、ツツドリとカッコウがいかにものんびりとした声で鳴き始めたではないか。ウグイスなどの被托卵種の鳥たちにとっては聞きたくない声で
あろう。茶臼山で未だ聞いていない夏鳥としてはアカハラやマミジロなど高原の歌い手たちだ。そうそう、ホトトギスも忘れてはならない。
西暦
月
日
メモ
2005
5
15
室林道ラインセンサス
我家を出るときにセッカの囀りを聞いたが、音羽町としては初確認であった。室林道に向う道が工事で通れないので、いつもと反対の長根側から
林道に入る。その途中、羽根の田んぼを通過する時に田んぼにアマサギの姿を見た。越冬地の東南アジアから生まれ故郷の日本にようやく着い
た訳だ。室林道では囀りの大合唱であった。長根側の入り口、ここは薄暗いスギ・ヒノキの林で毎年サンコウチョウが営巣する場所であるが、早く
もサンコウチョウの鳴き声を聞くことが出来た。サンコウチョウは独特の鳴き声と姿で人気の鳥だ。オスの尾羽があんなにも(30cm)長くなったの
は、メスが尾の長いオスを好んで番になったという説(性選択)や、オスが自分はこんなに長い尾羽でも敵から逃げ果せる力があるんだというハン
ディキャップ原理、などが知られている。真実はどうなのか?珍しいところでは、ツツドリの長閑な声が聞こえた。同じカッコウ科の鳥にホトトギス
がいる。共に托卵し悪者のイメージが付き纏うが、ホトトギスの神経質な声に較べるとツツドリは、少し抜けた所がある悪人のイメージがあり憎め
ない感じがする。
2005
5
21
親子探鳥会 観音山
恒例の親子探鳥会に出席した。場所は萩地区の東に聳える観音山(411m)で、初めてのことではないだろうか。ひとつのグループが40人くらい
で、4つのグループ分れて行なった。仮設トイレを設置するなど事前の手配も大変だったろう。幸いにして探鳥会日和となり、親子ともども自然の
懐にい抱かれ、ふれあいの1日を過されたのではと思う。私のグループではホオジロの囀る姿や、キビタキ(声だけではあったが)に出会うことが
出来た。もう初夏と言って良いだろう。そうなるとホトトギスの声を聞きたくなるものだ。その希望は見事に叶えられた。それどころか、ツツドリの声
まで聞くことが出来たのである。林道の最高点はおよそ300m、遠くは三河湾を隔て田原市まで見渡すことが出来る。景色の良さにも助けられ、
3時間あまりの探鳥会を最後までやり通すことが出来た。最後は、オオルリに合いたい一心でお喋りも我慢している親子を見て、何とかオオルリ
に会わしてあげたいと念じたのであるが、これは叶わなかった。
2005
5
22
寺ノ入林道ラインセンサス
雨の中をラインセンサスした。予想以上に野鳥の姿や鳴き声があった。特に、室林道では営巣抱卵に入りめっきり減ったオオルリ囀りが、ここ寺ノ
入林道では非常に盛んであったことが意外であった。もともと、室林道に較べ個体数の多い寺ノ入林道ではあるが、それにしてもこの差はどうし
て起きるのだろうか。しとしと降る雨も乙なものと、傘をさしたりつぼめたりしながら2時間余り歩いたが、寺ノ入林道に来ると出現を期待してしまう
サンショウクイはついに確認出来なかった。今年既に、寺ノ入林道におけるサンショウクイの確認は出来ているので、今日は、たまたま見られな
かっただけ、と自身を納得させて林道を後にした。
2005
5
28
土曜探鳥会 羽根・長根
今年度から土曜探鳥会のお世話をして頂いている伊藤先生と、お嬢さんが参加された。子どもたちは新しい顔ぶれに、少しよそ行きの感じであっ
たが、中には、直ぐうちとけた子もいた。この辺は大人も子供も同じである。薄雲に日差しが和らいでいる上に風もそよそよと吹いていて、歩いて
いても大変気持ちがいい。水田の上をツバメが飛び交う。そして、口一杯に蓄えた虫を、お腹を減らしたヒナの元に持ちかえり与えている。民家の
車庫で手厚く保護された巣から可愛らしい子供が顔を出して親の帰りを待っていた。探鳥会のメンバーがいるのでためらっていた親は、別の入り
口から巣に戻り無事餌をやった。山陰川は田んぼに与えすっかりやせ細っている。流れの無い水面には水草がびっしりと覆っている。しかし深み
では魚がゆったりと泳いでいるのが、橋の上から眺めることが出来た。羽根の田んぼに入る。畦にはハルジオンがそよ風に揺れている。農道を
散歩している人がいる。すると、田んぼにいたサギたちが一斉に飛び立つではないか。チュウサギが大部分でアマサギとコサギが1羽づつ。どう
やら、一緒に散歩している犬に驚いたようだ。別の所ではケリがけたたましく鳴きながら旋回している。田んぼから少し歩けば低い山が広がる。そ
こにはヒヨドリ、ヤマガラ、キビタキたちが一生懸命子育てしている。日が高くなると流石に暑くなってきた。少々汗をかきながら萩小に戻ってきた。
西暦
月
日
メモ
2005
5
29
室林道ラインセンサス
室林道の正式名は林道筑田牛沢線と言う。今までは筑田側(室側)からスタートしていたのであるが、室川の河川改修工事で通行止めとなり、5
月の半ばからは牛沢側(長根側)からセンサスを開始している。従って観察データに微妙な違いが出ているかもしれない。牛沢側のスギ林にはサ
ンコウチョウがいる。最初に出会ったのはやはりサンコウチョウであった。音羽町に春先にやって来る筈のコマドリが、今年に限り観察出来なかっ
たことは私にとって驚き(残念)であったが、やはり数が減っているサンコウチョウについては例年よりも少しばかり早く確認されている。サンコウ
チョウはその独特の声と、オスの長い尾羽が他の鳥にはない特徴として良く知られている。土曜探鳥会でも子供たちの人気ナンバーワンになっ
ている。車を止めたところでホトトギスの大きな声が響き渡った。ホトトギスは言うまでもなく托卵することで知られている。その鳴き声は昔から歌
人や俳人の心を捉えてきた。室林道では夏になってもウグイスがいて繁殖していると思われる。小さなヤブサメも繁殖している。ホトトギスは彼ら
に托卵しているのである。声が一段と大きくなったので上空を見上げたら、あたかもハヤブサのような飛び方をした姿があった。オオルリはは1個
体が囀りをしていた。それに較べキビタキは多数が囀りしている。個体数もきっとオオルリよりも多いに違いない。ヤブサメの夫婦が共に行動して
いた。なにをしようとしていたのかは分らない。ヤブサメの声をカケスと記録するところであった。よく聞けば違っているのだが。林道を気持ちよく歩
いていたらニホンザルにばったり会った。むこうも天気が良いので散歩でもしていたのだろうか。私の前をどんどん先に歩いて行き、私の姿が見
えるとまた先に行くといった具合である。なんとも微笑ましい光景であった。
2005
6
3
夕方自宅周辺
会社から帰り車を降りたらヨタカの声が聞こえて来た。ヨタカの声を聞いたのはかなり久しい。私の記録としては今回を入れて過去4回しかない。
5月が1回、6月が2回、7月が1回である。夜の鳥ではフクロウやアオバズクに較べ馴染みが薄い。
2005
6
4
自宅でサンショウウクイを見る
茶臼山に鳥を見に行こうと5時頃家を出た時に、思いがけない鳥を見てしまった、サンショウクイである。ピリリ、ピリリと聞こえたのでもしやと空を
見上げたら、1羽のサンショウクイが西から東へと通過していった。音羽町におけるサンショウクイの記録は18回。春の飛来と秋の南下時に、移
動中の姿を捉えているのだと思う。中でも6月の回数が多い。もしかして繁殖の可能性もあるのではと思ってしまう。
2005
6
4
茶臼山ラインセンサス
入梅前の清々しい山の景色と鳥を楽しもうと出かけた来た。豊根村に入るまでは低い山も靄っていて、今日も雲の中を歩かないといけないのかと
少し気持ちが沈んでいたのだが、麓からは萩太郎山と茶臼山がくっきり見えほっとする。美術館前に車を止めセンサス開始。スキー場の方角から
はカッコウが、茶臼山の方からはホトトギスの声が聞かれる。どうやら賑やかなセンサスになりそうである。茶臼山のような高原にはカッコウやア
カハラ・マミジロの歌声がよく似合う。そのアカハラもソングポストに陣取って囀っている。大型ツグミ類には美声が多い。それも底抜けに明るいの
が良い。多くのウグイス、コルリが笹の下で鳴いている。それに較べ、コマドリは遠くで聞こえるばかりだ。コマドリの個体数は本当に減ってしまっ
たのか。心配である。豊根村の坂宇場川にはキセキレイが多数いる。茶臼山の水辺にも必ずいて、その綺麗なレモン色を楽しむことが出来た。
原生林の遊歩道ではミソサザイの囀りを聞く。茶臼山で珍しいのはアオジの囀りである。音羽町には秋から春先までいるが、川原や林に潜み目
に付かない鳥である。しかし、標高の高い繁殖地では梢の頂きで朗々と歌うのである。野外活動ロッジの庇にはイワツバメが巣を造っている。牧
場の上には多数の昆虫がいるのだろう。親は1日中餌を捕っている。植物も花盛りである。ヒメジオン、キンポウゲが可憐な花を咲かせ、昆虫た
ちが蜜を集めている。
西暦
月
日
メモ
2005
6
5
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道から三河湖寺ノ入林道に向う。既に2時間余り歩いているが、無理してでも、昨日の茶臼山と併せて3大フィールドをほぼ同時期に訪れた
かったからだ。昨日の雷雨で緑が生き返っていた。室林道ではホオジロ、ウグイスが賑やかに囀っていたが、こちらではオオルリ、キビタキが目
立っていた。ウグイスの囀り個体が少ないのは意外であった。茶臼山ではよく鳴いていたのであるが。サンショウクイは5月22日同様に確認出来
なかった。どうしたのだろうか。林道の山側の斜面でミソサザイのような地鳴きが聞こえた。これには少なからず驚いた。ミソサザイはとっくに、もっ
と標高の高い山に移動していると思ったからだ。昨日も茶臼山でミソサザイを観察したばかりだ。別の鳥、例えばヤブサメではないかと疑ってみた
。鳴いてくれたら種の名前を挙げられる、と思っている私ではあるが、囀りでこそある程度自信があるに過ぎない。地鳴きでは全く自信がない。常
の地鳴きならまだしも、危険が迫った、怒っている、などといった場合の声は殆ど分からない。今回がその例であった。ヤブサメの囀りは近くで何
度も聞いた。ミソサザイは?。結局記録無難にはヤブサメとした。ところが、驚くべきことがあったのである。帰り道、作手の町から巴山に向う途中
のバンガローが立っている杉林から、あろうことか、ミソサザイの美しい囀りが聞こえるではないか。寺ノ入林道でミソサザイを最も遅く観察したの
は2003年5月3日で、6月になっての観察例は全くない。巴山で確認した場所は寺ノ入林道とほぼ同じ標高(600m余り)であるので、先ほどの
声の主がミソサザイである可能性も棄て切れなくなった。こうしてみると、フィールドに出ると何が何なのか分らない事が多くある事がわかる。そし
てそのことが、何度も何度も同じ所へ足繁く通う理由ではあるが。
2005
6
5
室林道ラインセンサス
6月に入った。一年の折返し点も間近である。生き物は自らの子孫を残すために繁殖という最も大事な仕事を、今正に行なっている。野鳥の世界
も例外ではない。ホトトギスが鳴いた。托卵主との真剣勝負が始まっている。1羽の鳥がブーンと音を立てて繁みに消えた。余りに一瞬の出来事
なため、種類はおろか何をしていたのかも分らない。双眼鏡で消えた繁みの奥を探す。暫らくして、その鳥がオオルリのオスであることが分った。
繁殖時期であることからして何となく合点が行った。オスは自分の繁殖成功率を最大にすることに全てを費やしていると考えられる。きっと相手が
何であれ、自分の繁殖成功率を下げるのを防いでいたのだ。今日はホオジロデーの感があった。オスたちは梢の頂きで歌を競っている。ウグイ
スやオオルリもそうであるが、近くで囀っている個体とのエール合戦を頻繁に耳にする。これも、自らの繁殖成功率を最大にするためだ。
西暦
月
日
メモ
2005
6
10
豊田市前田町
トヨタ本社の北に位置する前田町。市街地が広がる中にかなりまとまった面積の田んぼが残っている。そこには都市の真ん中とは思えないほど
多くの野鳥が生活している。水田にはケリやカルガモ。草地にはキジ、ヒバリ、オオヨシキリたち。カルガモを除くと鳴き声の大きな鳥ばかりで賑や
かなことこの上ない。ハシブトガラスが縄張りに入ろうものならケリの攻撃が待っている。オオヨシキリは草叢で鳴いているだけでは心配らしく、電
線でこれ見よがしとばかり体を震わせて囀っている。随分とエネルギーを使い果たすことだろう。それぞれの鳥たちが勝手気ままに鳴いている、
それが初夏の前田町田んぼの光景である。
高嶺山
豊田市から国道153号線を北上し長野県平谷村に向う。高嶺へ登る道筋でうれしい光景に出会った。オオルリがソングポストに陣取り朗々と囀
っていたのだ。囀りの姿はそんなに珍しくもないが、カラマツやシラカバのような私の地元では見る事のない木々をバックにして見る姿が素晴らし
く見えたのである。高嶺の山頂に向う間にはコルリ、ウグイス、ヒガラ、ミソサザイなどの歌が谷間や見上げる尾根から聞こえてくる。期待していた
アオジの囀りは残念ながら聞かれなかった。コマドリは1個体のみの確認であった。コマドリに関しては囀りのピークは過ぎてしまったのだろう。山
頂からは恵那山、大入川山、茶臼山、南アルプス最深部の連なりが望まれた。あわよくばホオアカやビンズイといった高山の鳥に出合えないか、
そう願っていたが叶わなかった。
蛇峠山
今日最後のフィールドは浪合村の蛇峠山である。治部坂高原の別荘地を懐にかかえ堂々とした山容の山である。山頂にはテレビ局のアンテナが
林立している。私の地元では本宮山がその役目を担っている。1500mほどの馬の背まで車で登り、そこから頂上までは歩きである。蛇のように
曲がりくねった道を登る。コルリとウグイスしかいないのではと心配するくらいに2種の囀りが活発である。実際には、カッコウ、ヒガラ、コガラたち
も鳴いていたのだが。雲で日差しが遮られそんなに汗をかかずに登って行ったのではあるが、顔にかかってくるものがある。雨を降らすような雲
ではないとそのまま進んでみたが、何時のまにか回りの山々が白く霞んできた。そこでは雨が降っているに違いない。こちらは傘も無いしおまけ
にカメラを担いでいる。台無しなった大変とばかり引き返すことにした。時間は丁度12時であった。山頂の様子を見られなかったのは残念ではあ
るが、これも自然相手では仕方がない。麓のスキー場周辺にたくさんのレンゲツツジが咲いていた。夏が近づくとマツムシソウも見られる。まさに
ここは高原なのだ。
2005
6
11
土曜探鳥会 観音山
探鳥会の日が入梅宣言となった。萩小に着いてみたものの子供たちの姿は無かった。それでも時間が来るまではと車の中で横になっていると、
やがて兄弟二人の姿があった。三人で出かけることにする。直ぐにでも降る様子なので車で出かけた。観音山は私が最初にフィールドにした場所
で、オオルリ、サンコウチョウを初めて観察したのも観音山であった。案の定観音山についた頃には雨が本降り。けれども折角来てくれた子どもた
ちにはサンコウチョウに会わせたい。祈るような気持ちでスギ林の小道を進む。石ころだらけのその道にはコケがびっしり生え大変に滑りやすい。
一番滑ってしまう可能性が高いのは私なのだが。すぐに林の2ヶ所から、キビタキの笛のような歌声が聞こえた。スギ林全体が水蒸気に満たされ
好条件のせいもあるが、キビタキの声がとても上等な音楽のように聞こえた。ヒヨドリ、ヤブサメ、ウグイスなどもキビタキの声につられるように聞
こえるようになった。あとはサンコウチョウを待つばかり。実のところ私は観音山で未だサンコウチョウを確認しては無かった。室林道には居たの
でまず間違いなかろうと思っていた。だから最初の一声を聞いた時は正直ほっとした。雨も少しあがり辺りが明るくなったので、次いでスギ林から
出て林道を歩いてみた。今度はスギ林を上から俯瞰する位置関係になる。すると林の中からは、先ほど聞いたよりもハッキリとサンコウチョウの
歌声が聞こえてきた。ヒノキの若木の天辺に仲の良いキジバトの夫婦がいた。向かいの山に消えたタカの姿があった。それは直ぐに再び現れた
。サシバであった。里山で繁殖する彼らを見るとこが出来る事そのものが嬉しいし、誇らしくも思う。雨の中をやってきた甲斐があった。帰り道、林
道で2本のササユリを発見した。何の混じりも無い薄いピンク色の花が雨に濡れ生き生きとしていた。子どもたちも素直にきれいだねと言った。
西暦
月
日
メモ
2005
6
12
室林道ラインセンサス
北西よりの爽やかな風が吹いていて、久しぶりに高圧線が唸っている。早いものであと1週間余りで夏至になるが、野鳥たちの繁殖活動もピーク
を迎えようとしている。ヒヨドリが落ち着かない様子で円を描き飛び回っている。梢で鳴いていると直ぐに飛び立ち円を描き、また梢に止る。そんな
ことを何度も何度も繰返す。落ち付きが全く無い。そんな訳で、今日の室林道の主役はヒヨドリ、後は、ウグイスとキビタキといった所か。青虫が尺
をとりながら糸を登っていく姿をよく見かける。なぜ危険を犯してそのような行動に出るのだろうか。鳥に見つかればたちどころに食べられてしまう
だろうに。
2005
6
12
羽根・長根の田んぼ
稲の苗が風に揺られ波打っている。2羽のセッカが縄張りを見張っている。もう少し経つともっともっと賑やかに田んぼの上で鳴くことだろう。大き
な白い鳥はダイサギである。繁殖時に見られる飾り羽が風に吹かれレースの様である。この時期の田んぼの鳥はあまり種類は多くない。しかし、
繁殖行動という最も活発な姿を見られるという、他の季節では得がたい時である。シロツメクサ、ヘビ苺、ムラサキカタバミなどが畦道にあった。草
刈鎌で刈られなかなか命を全うすることが出来ないものたちである。
2005
6
18
寺ノ入林道ラインセンサス
牧野さんと2人で寺ノ入林道をセンサスした。夏至にもっとも近い休日で期待はしていたが実際その通りになった。キビタキやオオルリはその美声
を競っていたし、ウグイスとホトトギスの争いに一端も感じることができた。シロモジなど落葉広葉樹の林から突然ホトトギスのけたたましい声がし
た。托卵をめぐる争いなのでは。世界中に托卵種がどれほどいるのか知らないが、被托卵種の中には進化の過程で托卵種に勝って来た種もい
るという。今は托卵されているけれども長い進化の過程で、托卵を見破り防御する能力を身につけた遺伝子が増えていくのかもしれない。卵の違
いを見破る目を持つように進化するのだろうか。それとも、あえて托卵を許し、托卵を見破る目ではなく、別の形態的変異に進化の矛先を変える
のか、それは、Richard Dawkindが言っている盲目的なプログラムなのだろうか。カケスが鳴く。それも常に聞くジェイではなく得体のしれない獣の
ような声で。一瞬顔を見合わせてしまった。ヤマドリのドドド・・と羽を打ち鳴らす音もした。様々な野鳥の声、沢の音、ハルゼミの声に混じり消え入
るように聞こえたのは待ち焦がれたサンショウクイあった。サンショウクイとの出会いは4月30日以来である。もしかして寺ノ入林道には定着して
いないのでは、毎年確認していたコマドりを今年は音羽の地で鳴き声を聞くことが出来なかったように。そう思い始めていたのであるが。そんな不
安を払拭するかのような鳴き声であった。ノイチゴ、野生のアジサイ(すばらしくよい匂い)が林道に沿って咲いている。それらには様々なチョウが
止っている。ひときわ大きなアサギマダラがふわふわと舞っていた。センサスの帰りには、アカマツの枝で囀るオオルリと落葉広葉樹林の緑の中
で囀るキビタキの姿をスコープに捉え、夏鳥を代表する美しい姿と鳴き声を堪能した。やっぱり本物には敵わない。
2005
6
25
室林道ラインセンサス
梅雨の晴間に室林道を歩いた。日差しの強さは今が一年中で最大である。野鳥たちも静かにしていられないとばかりに歌をうたう。オオルリがヒ
ノキの梢で囀れば、キビタキは明るい落葉樹の枝に止まりフルートのような声で鳴く。その節回しはどこかセミのツクツクボウシに似ている。オオ
ルリもライバルのキビタキの節を頂戴しているので、他人のよい所はどんどん取り入れて行くのが当たり前になっているのだろう。見習いたいもの
だ。キビタキが近くで囀っていたので録音する。オオルリほど顕著ではないが個体によって囀りに個性があるように思える。囀りでみるとウグイス
、ホオジロの囀り個体が多く、次いで、ヤマガラやキビタキがの順になる。ポピュラーな鳥であるシジュウカラは、この時期においても囀りをしてい
る個体の観察例が少ないのは興味深い。センサスの途中でニホンザルに出会った。若いサルたちの群れのようだ。一匹は木の枝に腰を掛けこ
ちらの方を眺めていた。ノンビリしたものだ。
2005
7
2
室林道ラインセンサス
梅雨空が戻ってきた。渇水を解消するためには洪水の被害もありうるというジレンマ。我が地元の山陰川の水量も少しだけ増加した。大丈夫とは
思ったがカサを携えてのラインセンサスとなった。室林道の入り口付近でオオルリの巣を見つけた。巣の中には4つの卵。親の姿はない。抱卵を
放棄したのだろうか。ヒヨドリの活発さが目だった日であった。それと、メジロが久々に主役の座を得た。キビタキは囀り個体が2と控え目である。
概して夏鳥が大人しく留鳥が賑やか。先週に続いてニホンザルの群れにも会った。今はヤマモモの実が食べ頃であり、彼らの言い争いの声もヤ
マモモの木から聞こえた。彼らの世界もリーダー争いが有るのだろう。
西暦
月
日
メモ
2005
7
3
御津海岸 佐脇浜
真冬にはよく出かけ水鳥を観察する御津海岸ではあるが、夏はどうしても足が遠のいてしまう。しかし気になる鳥が居るのではあるが。名前はコ
アジサシ。最近新聞でコアジサシのヒナ、卵の盗難の記事を見た。音羽でもオオルリなどの密猟が後を断たない。農作物の盗難同様もっと問題
視しなくては。コアジサシには野山の鳥にはない飛ぶ姿の美しさがある。それはカモメ課の鳥に共通したものである。細く尖った羽は早く・力強く飛
ぶのに最適な形である。羽ばたきはゆっくりであるが冬の強い風に逆らって飛ぶカモメたち。見ていても惚れ惚れする。コアジサシはダイビングを
して魚を捕える習性があり、海面にダイブする姿をよく見ることができる。佐脇浜には10羽ほどの個体が海面を飛び回っていた。海面のあちこち
で魚が飛び跳ねている。コアジサシにはさしずめ大事な獲物に見えるだろう。サーフボードのモーターボートが何回も往復し食事の邪魔をしてい
た。
2005
7
9
豊田市前田町
出勤前にほぼ毎日といってよいくらい歩いているため、ここ前田町は私にとって急速に馴染み深いフィールドになりつつある。5月半ば初めて訪れ
た時、直感的に、素晴らしいフィールドに出会ったと思った。現在もその気持ちは変わっていない。オオヨシキリは私の地元では一過性の夏鳥で、
前田町で多くの個体が繁殖していることに驚いている。似たような環境は音羽町にもあるように思えるが、この個体数の違いはどうしてなのか。
都市化は遥かに進んでいる前田町になぜこれだけのオオヨシキリが生息しているのか。ケリも多数居る。2日ほど前に数羽の幼鳥らしき姿を見
かけたので、繁殖している事は間違い無さそうである。水田とトウモロコシ畑、そして2本の灌漑用水路、トヨタの工場に接した所にはまとまった林
がある。他のフィールドは10年くらいは通い続けているが、ここ前田町は1年目のフィールドである。ある程度予想は付けられるが、実際に見て
からの事である。夏から秋にかけての自然の変遷と野鳥の変化を知ることが当面の関心事である。
2005
7
16
土曜探鳥会 夜の探鳥会
本当は7月2日に予定していた。しかし、梅雨の真っ只中でもあり敢え無く雨天中止。翌週順延も又雨。3度目の正直でようやく雨が上がった。龍
源寺さんには何度もお願いしご迷惑をお掛けしました。本命のムササビには出会えなかったけれど、夏の夜の面白さを感じてもらえたと思う。子
どもたち11人、大人5人で夜の帳が下りる午後7時30分に萩小を出発した。向かう先は龍源禅寺。夜の道は一人で歩くと大人でもなんとなく怖
いものである。ましてや子どもは。日頃経験しない夜の道を歩くことこそ夜の探鳥会の楽しみであろう。そこには仲間がいるし大人に守られている
。とはいえ、小さな子には大きな事だろう。龍源寺の境内でムササビの出現をじっと待つ。声を立てずに我慢して待つ。子どもには辛いことである
。遠くからホッホッと鳴く声がする。アオバズクである。すぐ近くでピュと鋭い声がした。「シカだよ」と言う。夜は動物の世界であることを体感する。
境内には蓮の鉢が幾つもあって、見事な花が咲いていた。それを懐中電灯で照らすと、闇の中から浮かび上がりそれは幻想的な眺めであった。
蓮の種の数によりラッパ状の形が六角形であったり十角形であったりすることを子どもたちが発見し、大いに盛り上がった。さらに、庭石の上には
お馴染みのヒキガエルがちょこんと座り出迎えてくれているかの様である。先生の少し怖い話も楽しい思いでとなろう。
2005
7
16
茶臼山ラインセンサス
茶臼山を訪れるのはひと月半ぶりである。その間、梅雨らしい天気になり、土曜探鳥会を2度にわたり延期するなど、やきもきされられ通しであっ
た。どうやら今晩の天気は良さそうだ。そんな訳で満を持して茶臼山へ向った。途中、宇連ダムや大島ダムから放流されている宇連川を眺めた所
かなりの水量であった。探鳥会には困った天気であったが恵みの雨には違いない。茶臼山への道沿いで幸先よくオオルリ、キクイタダキ、ミソサ
ザイの囀りが聞かれた。さぞかし山頂の方はと期待は膨らむが、実際は思ったほどでもなかった、が帰り道での感想である。それは、繁殖も後半
になりオスによる縄張り主張のための囀りが減ってきたためであろう。現に、ウグイスの囀り個体と地鳴き個体の割合をみると、先回の6月4日に
較べると地鳴き個体が増加している。カッコウ・ホトトギスも鳴いてはいるが最盛期は過ぎた感じである。比較的耳にしたのはホオジロの囀りであ
る。カラマツのソングポストで囀る姿は確かに絵になる。夏鳥では先のカッコウ科の2種とアカハラ、アオバトの声を確認した。コマドリ、コルリはも
う囀りを止めてしまったのか。気になる鳥にアオジとコヨシキリがいる。コヨシキリはここ数年全く見ることが無い。アオジの方は運次第である。今
日は運良く茶臼山の南東面で囀っているのを見ることができた。遠目で見ても腹の黄色が鮮やかであった。そこは一面の草地で、相当数のカワ
ラヒワが生活している。試しに草地を進んで行ったところ50羽越すカワラヒワが飛び立っていった。今年生まれた幼鳥の姿ももちろんある。それ
にしても強い日差しと暑さには閉口した。牧場を見下ろす所で休んでいたら、牧童の声に急かされるように若いウシたちが一列になって牧場を移
動する姿に出会った。
西暦
月
日
メモ
2005
7
17
セッカが縄張りを守っている姿が見られる。体は小さいが気持ちは大きい鳥のようである。そう言えば、小さくても堂々とした鳥はその他にもいる。
ミソサザイ、ヤブサメは尾をピンと立てて行動する。セッカにも巣を守る気概を感じる。水溜りでスズメが水浴びをしている。蒸し暑い天気だけに羨
ましい。
2005
7
17
室林道ラインセンサス
時折吹く風にほっとする。しかし蒸し暑い。昨日の茶臼山でもホオジロの囀りが多いように感じたが、室林道も確かにソングポストで鳴く姿をよく見
た。ウグイスやキビタキも特別変わった様子は無い。しかし何がいるのか判らないのが野外観察の面白さ。聞き慣れた鳥に混じり思いがけない
声を見つけた。春先に聞くエゾムシクイの囀りである。この声をコガラと勘違いしていたことは前にも述べた。エゾムシクイは夏鳥である。そろそろ
南下する個体が出始める頃なのか。変化といえば、ここ暫くあまり見掛けなかったシジュウカラの確認が多かった。この事は毎年感じている。シジ
ュウカラというポピュラーな鳥にこのような変化を毎年起こさせるものとは。考えただけでもワクワクする。
2005
7
19
豊田市前田町
今週に入って劇的な変化が見られた。あれほど活発に囀りをしていたオオヨシキリがパタツと鳴くのを止めてしまったのだ。このことは何を意味す
るのだろうか。囀りはオスの繁殖行動の最たるもの。それを止すのは繁殖行動の終焉ということか。今日はまた新しい仲間を見つけた。黒い体に
赤い嘴のバンである。首を前後にふりふり愛嬌のある姿で水面を移動していた。
2005
7
21
豊田市前田町
オオヨシキリの囀りは全く聞かれなくなった。その変化ぶりは驚くほどだ。けれどもオオヨシキリはまだ、この前田町の地で子育てを行なっている。
ヒバリが足元から飛び去る。灰色の尾を振る鳥はハクセキレイである。この事実は、正直いって心中穏やかではない。ハクセキレイとは冬鳥とし
て付き合っていたからだ。真夏に東海地方に居る訳がないと信じていたのが脆くも崩れ去った。深く水の張られた田んぼには15羽のカルガモが
いる。気持ち良さそうだ。
2005
7
23
寺ノ入林道ラインセンサス
直ぐにでも雨が降りそうな空模様、しかし、暑さの中をセンサスするよりはずっと益しだ。今日の収穫は混群に何度も出会った事。秋過ぎてからの
混群は珍しくないが、この時期はあまり混群の印象はない。以前に室林道でエナガの群れを観察したことがあるが、巣立った幼鳥であった。今回
の混群もやはりエナガが先導する形であった。その後をシジュウカラ、コゲラが続く。もしかしたらヒガラが混じっていたかもしれない。全体では50
羽くらいだろうか。センサスの間に3グループほど確認したが、ひとつの群れの中に確かに幼鳥の姿があった。この季節、ベテランの成鳥にとって
は昆虫を探すには難しいことではないが、まだ慣れない幼鳥は群れで探す方が有利なのか。囀りでは、ウグイスの囀り個体が少ない。ホオジロ
はそれほどでもない。オオルリ、キビタキもそれぞれ1個体ずつ確認できた。変わったところでは、アオバトの不思議な声を聞いた。そして寺ノ入
林道で最も見たい鳥サンショウクイは、幸運なことに、梢でヒリリヒリリと鳴く姿を双眼鏡の中に納めることができた。繁殖に成功していてくれること
を願うばかりだ。
2005
7
24
室林道ラインセンサス
今日も雲が暑い日差しを遮ってくれていて、気持ちよくセンサスが出来そうである。鳥たちも気持ちは同じなのだろうか、活発に飛び回っている。
中でも元気なのはヒヨドリである。ホオジロの囀り個体も多い。ソングポストに陣取って鳴いている。それにひきかえウグイスの囀りはやや下火に
なってきた。昨日の寺ノ入林道では本当に寂しいくらいであったが、そこまでは行っていない。シジュウカラとセグロセキレイの幼鳥を確認した。親
から独立して一人前になった姿を見るのは嬉しいものだ。林道の草がきれいに刈られていた。車の運転には必要ではあるが鳥たちには迷惑なこ
とだと思う。
西暦
月
日
メモ
2005
7
27
豊田市前田町ラインセンサス
オオヨシキリの囀りが止みすっかり静かになった田んぼに新たな歌声が始まった。セッカである。このウグイス亜科の小鳥はオオヨシキリと近しい
仲間。生息地もよく似ていて、三河湾に奥まった汐川干潟の芦原にはセッカもオオヨシキリも共に繁殖している。オオヨシキリが囀っていた頃、セ
ッカの特徴ある鳴き声は殆ど聞かれなかった。どうやら前田町はセッカのニッチはないのかと思っていた。それほどオオヨシキリは激しく縄張りを
守っていたのである。それが、オオヨシキリが鳴かなくなった途端セッカが囀り出したのだ。大変興味深い出来事であると思う。ここ暫らく目が離せ
ない。そしていつの間にかスズメやカワラヒワが群れをつくるようになった。秋から冬にかけての光景を思い浮かべることが出来る。多分、この2
種が大きな群れをつくり前田町の上空を旋回していることだろう。
2005
7
29
朝霧野外活動センター
雲の上に富士の山頂が覗いている。日本の探鳥地(日本野鳥の会発行)に載っていて前々から来てみたかった場所である。高原とはいっても日
が当たっている所はかなり暑い。ホオジロがソングポストで囀っている。無論ウグイスもあちこちで鳴いている。車を止め広場を歩く。東には富士、
西には毛無山が聳える。濃い緑色の針葉林が明るい緑色の草原に点々と広がり素晴らしい景色だ。広場を一周して来たところで気になる鳴き声
があった。どうやらソウシチョウのようである。ここにもいたか。キジの子どもが母親と一緒にいた。もっとも、バタバタと羽音を立てて逃げるばかり
なので、皇居のカルガモのような可愛らしさは期待できないが。もっと朝早くに歩いてみたい所である。
富士山ニ合目
ニ合目は標高1600mで中途半端な高さがいい。目指したのは勿論五合目であるが、メボソムシクイの声で、二合目(高鉢)と書かれた駐車場に
車を止めた。どうやら遊歩道もあるらしい。上り下りする車の音が小さくなる程に遊歩道を進んだ所に少し開けた場所があった。沢からはミソサザ
イの鈴のような囀りが、針葉樹の枝先にはメボソムシクイが見られた。音羽町でも春と秋にメボソムシクイの通過個体が観察されている。しかし何
といってもメボソは高山の鳥である。ここが1600mあることを実感できた。足元にはふんわりしたコケが広がっている。その緑の下には溶岩で出
来ている黒色の砂がある。五合目に行かなくてもここは正しく富士山なのだ。
2005
7
30
我家周辺
モズの高鳴きは俳句の秋の季語になっている。秋になるとあちこちで縄張り争いが起き、高鳴きをする姿をよく見るようになるのだ。我が家の側
に立っている電柱を縄張りにしている個体がいて7月半ば頃からよく見かけるようになった。まだそんなに鳴かないが、秋になってから急に高鳴き
するわけでもなさそうだ。夏の始めからその兆候は見られる。
2005
7
30
観音山
ホオジロがソングポストで囀っていた。20倍の望遠鏡でのぞいたらそれほど真剣に囀っている様子でもなかった。頭を掻いたり、羽繕いをしたり
で、よく観察しなければ騙されるところであった。
2005
7
30
室林道
車の前を鳥が横切った。緑色の虫を咥えていた。なんとなく気になり車を止め戻って見ると、鳴き声からヤブサメのようだ。しばらく様子を見ていた
らもう1羽同じ所に潜りこんだ。ヒナに与える餌を運んでいたのだろう。
2005
7
31
室林道ラインセンサス
谷間を渡る風に束の間の涼を感じる。室林道は木陰が多いので、夏のセンサスでもそんなに苦にはならない。茶臼山の道路は開けていて、標高
が高いにも関わらず室林道よりも夏は辛い。ウグイスの囀りがまた盛り返してきた。しかし、主役の座は野鳥からセミに移ってしまったと言ってよ
い。蝉時雨の凄い声に鳥の声がかき消される。大きな羽音を立てて飛ぶ甲虫たち。ハチと違い恐れることは無いのについ首をすぼめてしまう。カ
ラスアゲハの類も素早く飛び回る。オニヤンマに行き会う。オニヤンマは縦に止るようだ。ハシブトガラスが鳴き交わしている。セミの声が暑さを増
長させていることを思えば一服の清涼である。道路脇で採餌中のホオジオを見かけることが多くなった。決ってオスであるのが不思議だ。ホオジ
ロの元へキセキレイが近づいた。キセキレイは夏の間は少し高いところに移動するので渓流の鳥というイメージがある。室林道にも少数ながらい
るようだ。
西暦
月
日
メモ
2005
8
6
土曜探鳥会 室林道早朝探鳥会
夏休み恒例の早朝探鳥会を室林道で行なった。朝早のに7人(1人は中学生)集まってくれた。今日の目標は、ウグイスは囀っているか、である。
お盆の頃まではウグイスが囀っているがはたして今日はどうだろうか。萩小をスタートし室林道までの往復3時間、太陽はかなり昇っていてもう暑
さが堪える。電線にはツバメの群れが羽を休め、稲穂が目立ってきた田んぼにはスズメが群れる。室の民家から暫らく登った所でウグイスの最初
の囀りを聞く。時間が経つにつれアブラゼミ、ヒグラシたちの合唱が大きくなる。そうなるとますます暑く感じる。ウグイスの囀りはオアシスのような
もので、少しだけ暑さを忘れさせてくれる。林道に涌き水があって一年中枯れることがない。子供たちは持ってきたハンカチやタオルを涌き水に浸
して涼をとる。冷たいタオルで顔をぬぐうと生き返るようだ。風のよく通る所で休憩、持参したお菓子をみんなで食べる。子供たちはたちまち元気
になった。2時間ほどがあっという間に過ぎ室林道を下りかけた時に思いがけない光景に出会った。後ろを歩く子達を呼び寄せ室林道の山頂を
指差した。大きなトビを追い回す中型の鳥の姿があった。普段はその中型の鳥はハシブトガラスに決っていた。しかし今日の鳥は様子が異なる。
あまり羽ばたきもせずトビを追いかけている。タカがいるよ。双眼鏡の視野に入っていたのは夏のタカ、サシバであった。すばらしい室林道からの
プレゼントであった。
2005
8
7
茶臼山ラインセンサス
豊根村ビジターセンターに着いたのが6時40分。麓から見る茶臼山には雲ひとつかかっていなかった。相当暑くなりそうだと覚悟して山を目指す
。7時12分からセンサスを開始する。ウグイスの囀り、ホオジロのソングポストで囀ずる姿を見ながら進む。スキー場の縁で3羽のモズを見る。メ
スのように見えるが互いに警戒しているようだ。スキー場の草叢にはハシボソガラスが10羽ほど。上空ではイワツバメが飛び回っている。さらに
周回道路を時計回りに進む。ウグイスやホオジロの囀りが多いが、エゾムシクイの地鳴きを確認。南下の個体なのか。さらに高さを増して行く。奥
三河の1000m級の山々が青く広がっている。その上には輝く白い雲。先ほどから気になっていたソウシチョウの姿が目の前にあった。それもか
なりの数の群れである。木々の枝先や道路の斜面を覆う草叢で盛んに採餌する。オスの成鳥やメスの姿を確認できる。幼鳥をと思って見たのだ
がはっきりとは確認できなかった。俊敏な動きで枝から枝へと移動する。草叢が揺れているのはソウシチョウが採餌しているためである。そうして
みると、ホオジロやウグイスと行動がよく似ている。エナガの群れとソウシチョウの群れが鉢合わせになった。互いに相手を無視しているように見
える。鳴き声については、囀り個体もいるが全体としては地鳴きといってよいだろう。群れの個体数は難しいが30羽は越しているのでは。今まで
は鳴き声と数羽程度の確認であったが、今日の観察で、予想以上に大きな群れであることが分った。ホトトギスが1羽鳴いていた。又、久しぶりに
コサメビタキを確認。茶臼湖のキャンプ場は子供たちの声で賑わっていた。付近からアカハラの明るい声がする。日差しを避け原生林の中にある
観察道路を歩く。大変気持ちよい。茶臼山を訪れた人に、ドライブやバーベキューだけが茶臼山の魅力ではないですよ、と言いたい。10年以上
観察路を歩いていて殆ど人に出合うことが無かった。これは驚きである。センサスの最後は牧場を左にみて開けた景色の中を歩く。今も道路の
拡張工事が進んでいる。地域振興は必要である。知恵を出して茶臼山にお客を誘致いている姿も理解できる。しかし、ミニリゾート開発的な手法
では本当に茶臼山を役立てているのか疑問だ。昔、埋め立てられる前にはコヨシキリが鳴いていた湿地があった。今は駐車場となって沢山の車
で埋まっていた。それでも満車には程遠いが。バーベキューのよい匂いが漂ってくる。大人も子供も和やかに火を囲んでいるようだった。
2005
8
9
寺ノ入林道ラインセンサス
豊田市前田町から岡崎市・設楽町を経由しやって来たので、到着したのはもう9時40分を過ぎていた。快晴の空に刷毛で掃いた様にすじ雲が広
がっていた。センサスは静かなスタートであった。ハシブトガラス、ノスリの鳴き声が空の方から聞こえてくる。ヒヨドリ、シジュウカラが木立の中に
見え隠れする。そして矢張りいた。ソウシチョウの囀りである。一昨日茶臼山で30羽を超す群れに出会ったばかりだ。ウグイスがきれいに鳴いて
いた。けれどセンサスを終えてみたら囀っていたのはその個体のみであった。アオゲラやカケスも時折鳴く。2ヶ所でエゾムシクイの地鳴きを聞く。
シジュウカラやカワラヒワも多いようだ。反対にヤマガラの声は余り聞かない。林道の中ほどに、見晴らしが良く上空を舞うタカを探すのに好適な
所がある。10分ほどいただろうか。山の端から2羽のノスリが舞いあがった。ペアなのだろう。1羽がホバリングをする。尾羽を広げうまくバランス
をとって1点に止ったようになり獲物を探す。もともと目の良いタカではあるが静止することで視力はさらに上がる。トビもよくホバリングをしている
のを見かける。林道には様々な死骸がある。今日も1匹のヘビが車に轢かれていたが、目ざといノスリはきっと探し当てることだろう。寺ノ入林道
でもセミ時雨である。アブラゼミではなさそうだ。少しではあるがツクツクボウシも聞こえた。
西暦
月
日
メモ
2005
8
9
豊田市前田町
田んぼのイネは順調に生育している。少し景色に変化がおきた。前田町を東西に流れる水路から1番外れた小高い場所に植えられていたコウモ
ロコシが刈り取られたのだ。作業のやり方からして家畜の飼料用に植えられていたものだ。そして刈り取られた後にはスズメ、ドバトが群れになっ
て残った食べ物を探している。オオヨシキリの巣も有ったに違いないが、刈り取られる前にヒナたちは巣立っただろうか。オオヨシキリは今、休耕
田として手入れのされていない草叢に多数いる。囀ることは止めてしまったが、オオヨシキリはひそひそ話しが嫌いみたいで地鳴きでもかなり大
声だ。どこにいても声で居場所がわかってしまう。草が揺れたら彼がいる証拠である。オオヨシキリの囀りが止むと同時にセッカの囀りを聞くよう
になった。しかし、その個体数は極めて少ない。囀り個体としては2羽程度しか確認できないのだ。セッカとオオヨシキリの勢力の差は歴然である
。共に草叢のような所に巣を造る。そして、縄張りを強く守る事でも類似している。いわゆる棲み分けが難しいのだ。水の中にも野鳥たちが生活し
ている。最も大きい鳥はチュウサギ、コサギなどのサギ類だろう。水田の中をゆっくり歩きながら餌を探している。体重ではカルガモの方が上かも
しれない。水草を食べてくれるので除草の手間が省ける。(アイガモを放して除草させる所もある)中くらいのカモメのような姿をしたケリも多数い
る。飛んでいると白と黒の羽がとても目立つ鳥である。巣造りの頃には、大声でケリケリと鳴いて縄張りを守る姿をよく目にしたものだ。ケリはチド
リ科の鳥ではあるが、多くのチドリとは異なり渡りはしない。冬にも前田町に残るはずである。水路の脇を歩いてみたらアサガオが咲いていた。こ
こだけみると今や愛知県第2位の人口を有する都市の真ん中にいるようには思えない。
2005
8
10
室林道ラインセンサス
そろそろウグイスの囀りについて気になる頃だ。いつ囀りを止めるかである。その点に注目してみると、今日の室林道はかなりの個体が囀ってい
た。メジロとカワラヒワの声も多かった。巣立ち雛もかなりいるのではと思う。茶臼山、寺ノ入林道に続いてエゾムシクイの地鳴きを確認。早めの
南下が始まっているようだ。囀りは聞かれなくなったがセンダイムシクイも健在で3羽が餌を捕っていた。林道を境にして左右でセミの種類が違う
のは面白い。アブラゼミとヒグラシがきれいに分かれて鳴いている。オーケストラをステレオで聞いているようだ。
2005
8
13
裏谷
2年ぶりに裏谷へ出かけた。段戸山の懐に広がる裏谷原生林は愛知県で有数の規模を誇っている。晩秋から冬期にかけミソサザイの観察にた
びたび出かけているし、春先にはコマドリ、コルリの姿を求めて原生林のコースを歩き回った。裏谷に至るまでの山間の集落の名前も覚えた。とこ
ろがここ暫らくは足が遠のいていた。理由は、裏谷に至るまでの道が苦手なのだ。対向車が来ないことを祈って進む狭くて見通しの利かない道で
ある。今日も2トントラックとのすれ違いに緊張した。段戸湖のほとりの駐車場に止め身支度する。カメラを2台と双眼鏡、MD録音機、大事なのは
口を潤すペットボトルと汗を吹くタオル。標高900mの裏谷である。平地よりも快適に決っているが観察路を登ったり下ったりすると汗が吹き出て
くる。おまけに昨日の雨で木の通路が滑りそう。ミソサザイの囀りが聞こえる。さすがに900mのことはある。ウグイスの囀りも4個体ほど確認。小
さな地鳴きの声はセミ時雨でかき消されてしまい、フィールドノートに名前が載らない。このまま終わってしまうのではと心配になってきた。カラスア
ゲハが鳥に見えてくる。それでも良くしたもので、可哀想と思ったのかエナガとシジュウカラの混群が頭上を通り過ぎてくれた。これが唯一原生林
で姿を見た鳥たちであった。こうしてみると我が地元の室林道の方が鳥の影は多そうである。背丈よりも高い熊笹の中からヤブサメの地鳴きが聞
こえた。マイナスイオンを一杯浴びて裏谷を後にする。帰りは、大回りになるが安心して運転できるように、田口の町を経由して戻ることにした。
2005
8
13
我家の窓から
朝1番早く鳴くのはモズである。4時過ぎ頃には鳴いている。モズは秋の高鳴きが有名であるが、7月に入ったころからよく鳴くようになる。近くの
電線に止まり鳴いている。あとは、ハシブトガラス、スズメ、セグロセキレイたちが鳴き始める。鳥の声を聞きながうたた寝するのも乙なものだ。
2005
8
13
羽根・長根の田んぼ
早稲米の田んぼはもう穂が垂れ色付き始めている。スズメ脅しの銀に光るテープが風に揺れる。セッカの姿を見ようと車を止め農道を一周する。
声はすれど姿は見えず。ケリが2羽飛び去った。あとはスズメばかり。結局1周しても姿は見つからない。諦めが付かずまたコースを戻ることにし
た。しかし駄目である。さすがに炎天下のセンサスはきつい。諦めて車のキーを開けた時に1羽の鳥が稲穂よりも頭ひとつ出ているヒエに止った。
咄嗟にセッカと思いゆっくりと近づく。どうやらヒナにご馳走を持って帰ってきたらしい。小さな体にピントを合わせカメラのシャッターを切る。上手く
撮れてくれたら良いが。
西暦
月
日
メモ
2005
8
14
室林道ラインセンサス
朝から雲ひとつない快晴で一言で暑い。ところが室林道に入ってしまうと木陰と風のおかげで歩いても苦にならない。コースの2/3まではメジロ
とヒヨドリが独占状態。ぽつぽつとウグイスの囀り個体がいるといった感じである。今年のウグイス囀りの最終日はいつ頃になるだろう。野鳥につ
いて今一番の関心事である。コースの終わり近く「ヘアピンカーブ」と名付けた所で、スギの林の縁に白っぽい鳥を見つけてから、フィールドノート
に次々と名前を記録することになった。その白っぽい鳥はコサメビタキ(またはサメビタキ)らしい。夏鳥の南下(越冬地に向うこと)の様々な兆候
は感じていた。エゾムシクイの地鳴きを茶臼山や寺ノ入林道で聞いている。だから室林道で確認しても不思議はない。次いで、ヤマガラの幼鳥の
採餌、オオルリのオス(成鳥)のお出まし、ご丁寧にも奥方までもが近くに寄り添っておられる。ヒヨドリの幼鳥も空中で獲物を捕らえてご満悦の様
子。擬人化して申し訳ないが、観察している自身がはしゃいでしまうほど次から次へと色々な光景を見せてくれた。色んな鳥たちに狙われて虫た
ちもたまったものではない。こういった光景に出会うことは偶然の賜であり予め考えて出来ることではない。だからこそ何度も同じ場所に出かけて
しまうのだ。
2005
8
16
御津海岸
最初に豊川(とよがわ)河口右岸の駐車場に寄る。釣り人やスポーツ(トライアスロン・バイクの練習)をする人がいてなかなか賑やかである。干潮
でかなりの沖でアサリ採りをしている漁師の姿がある。砂州で羽を休めるカワウの群れは200-300羽もいるだろうか。海面を飛び跳ねる魚。河
口から沖へウミネコがゆったりとした羽ばたきで出てゆく。早い羽ばたきで海面を進むのはカワウである。沖には大小様々な船が行き交う。自動
車運搬船、貨物船、フェリー、ヨットなど。真夏の太陽が照り付けているのに都会のようないやな暑さは感じられない。自然のクーラーの素晴らしさ
を実感する。今いる所は企業誘致のための埋立地である。従っていずれは全て工場や倉庫になってしまう運命にある。まだ売れていないか整地
されていない土地に一面の草叢があって、四季それぞれに様々な野鳥が生息している。冬にはツグミやそれを狙うタカの仲間、春にはヒバリの歌
声で一杯になる。夏はセッカ。海に目を転ずれば、もう枚挙のいとまがないほどの水鳥がやって来る。今日はセッカが主人公だ。ヒッヒッヒッと鳴き
ながら草叢の上を飛び回るオス、縄張りの中に他のオスが侵入するのを見張っている。縄張りのなかではメスが子育ての真っ最中。音羽町の羽
根・長根の田んぼにもセッカが営巣している。巣はなんと田んぼの中にある。稲刈りと共に巣は無くなる運命にある。それに較べたら、この広い原
っぱに棲むセッカは恵まれていると思う。以前はアシもあってオオヨシキリの姿もあった。今はアシも無くなりオオヨシキリの姿も見なくなった。アシ
が無くなったからなのか、セッカとの競争に負けたのか分らないが、今のところ、ここ佐脇浜ではセッカが優勢のようだ。
2005
8
20
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
夏休みにもかかわらず中学生を含む子供たち4名が参加してくれた。雲がかかって過ごしやすい探鳥会になりそうだ。川原ではイカルの囀りを聞
く。10羽ほどの群れになって大きな木々を移動しているようだ。下加茂神社を過ぎた頃から雲行きが怪しくなってきた。それでも霧のような雨だか
ら気にならない。カンカン照りよりもずっとましだ。キジバトののんびりとした声を聞きながら先へ進むとアオサギが梢の頂きに止っているのを見る
。こんなのはスコープを操作する絶好の練習になる。子供たちは、デジスコよろしく手持ちでアオサギを撮影する。雨は少しずつ大粒になった。羽
根の田んぼでセッカを観察する。鳴きながら田んぼに降りたのをスコープに収める。足を開いて止っている様が可愛らしい。もうコンバインが置か
れていて、一部の田んぼでは稲の獲りいれが終わっていた。そこにはアマサギとケリもやって来ていて食べ物をさがしている。そしてついに本格
的に雨が降り出した。軒先で雨宿りをさせて頂く。急に暗くなり土砂降りとなる。目の前の長根川が一気に濁り水かさを増す。県道を車が水飛沫
を上げて通る。雨の上がるのをおやつを食べながら待つ。恵みの雨だねと誰からともなく言う。みんな水不足のことは理解していた。20分くらいで
辺りも明るくなりやがて日が差して来た。萩小への帰り道はまた強い夏の日に戻ったが、爽快感の方が上回った。小さな水路でキセキレイとハク
セキレイを観察。特にハクセキレイは冬鳥のイメージが強い為、夏に見るのは新鮮であった。たった3時間の間に色んな天気を経験したため、も
っと長い時間居たような錯覚にとらわれた。再びイカルの爽やかな声を聞いた。
2005
8
21
室林道ラインセンサス
雲の流れが速くセンサスの最後まで雨間は持ちそうにない。カサを持って歩き始まる。メジロとヒヨドリが特に目立つ。雨のせいもあって野鳥たち
は静かに木陰で生活している。センダイムシクイがヤシャブシの木で採餌している。コゲラもコンコンと幹を突つきながら木々を移動している。注
目はウグイス。囀りはいつまでやるか。今日は地鳴き個体が1羽だけ、囀りは無かった。このことが、天気の影響が無かったとは言えないかもしれ
ない。しかし、囀り個体ゼロであったことは事実である。来週にも再度確認してみよう。センサスの折返し点を過ぎた途端雨が降ってきた。
西暦
月
日
メモ
2005
8
27
茶臼山ラインセンサス
快晴の青い空の色が濃くなった気がする。山頂付近ではススキの穂が開き秋間近の様子である。アサギマダラを始めとして様々なチョウが飛び
交っている。一口にチョウといっても大きさや色様々で、識別は鳥よりも難しいそうだ。注目していたウグイスの囀りは、1個体しか確認できなかっ
た。後は全て地鳴き個体ばかりである。どうやらウグイスの囀りの季節は終わったようである。それに較べホオジロはまだかなり囀っている。朝日
に木の葉が眩しいほどに輝く。そして、真新しいススキの穂が風になびいている。奥三河の1000m級の山々の奥に都会が広がりツインタワーが
微かに見えていた。東の方面には雲に隠れた南アルプスがある。聖と兎、大小2つのピラミッドが雲の上から顔を覗かせる。そんな景色を楽しん
でいると、茶臼山の斜面から2種類の囀りが聞こえて来た。ひとつはメボソムシクイ、おそらく南下中の個体ではなかろうか。もうひとつはソウシチ
ョウ。こちらは繁殖の可能性が極めて高いと思われる。南アルプスを最も良く見渡せられる所でアオサギが飛ぶ姿を見た。茶臼山にアオサギと思
われるかもしれないが、茶臼湖、矢筈湖もあるし、茶臼山を源流とする川の流れも数多くあるので不思議ではない。
2005
8
28
室林道ラインセンサス
爽やかな風が谷間から吹き上がっていて暑さを感じさせない日となった。ツクツクボウシが鳴いている。あちこちに命を全うしたセミの姿があった。
ウグイスの囀りは全く無い。しかし、ウグイス以外のウグイス属の仲間たちを観察できた。センダイムシクイが木々の枝の中で、そしてエゾムシク
イが林床近くで採餌している。エゾムシクイについては南下個体ではなかろうか。エゾムシクイについてこれほどじっくりと観察したことは無かった
。採餌場所が地表に近いことが、センダイムシクイとの体色の違いとなっているのではと思った。センダイムシクイは緑色に近いが、エゾムシクイ
は茶色掛かっている。それぞれ周りの色に溶け込む色をしている。メジロは常に緑色の中で採餌しているし、茶色のヤブサメは林床にいる。セン
サスの途中2度ほど混群に出会った。20-50羽くらいの群れである。構成員としては、メジロ・シジュウカラ・ヤマガラ・コゲラ・センダイムシクイな
ど。鳥の個体数は当然ながら均一ではない。スギ・ヒノキの植林よりも広葉樹林の方が個体数、種類の数ともに多い。特に、林床付近ではそうだ
。特に鳥の影が濃いのは群れである。混群に出会うとセミ時雨も止んでしまうかのようだ。
2005
8
28
羽根・長根の田んぼ
黄金色の稲穂が次々と刈り取られて行く。居場所の無くなった昆虫たちを狙いツバメが飛び交っている。中にコシアカツバメの姿もあった。電線に
はずらり並んだハシボソガラスが50羽余りいる。空中には4羽のアマサギとコサギが1羽。青い空に舞う白い姿は格別だ。セッカのオスがディス
プレイを行なっている。稲穂の中のヒナは無事に巣立ちしているだろうか。
2005
9
2
アカショウビンとサンショウクイ
凄い日になったものである。朝起き掛けにアカショウビンの声を聞き、出社前のウオーキング中に20羽ほどのサンショウクイが、南東から北西の
方向に移動するのを目撃したのだ。両方とも越冬地への南下個体と思われる。アカショウビンの方は、過去にも同様の事があったのでそんなに
驚かなかった。しかし、サンショウクイの群れは経験が無い。いつもの通り前田町の田んぼ道を歩いていた。ケリの大きな鳴き声が再び戻り、セッ
カが縄張りを見回っている。チュウサギがかたまって採餌中。太陽は雲に隠されていたが歩を進める毎に汗が滲んできた。タオルで首筋を拭いて
いた時に彼らは突然にやって来た。ヒリリ、ヒリリ、ヒリリと忘れる筈も無い声を聞いた。一瞬、そんな筈が無いと耳を疑った。けれども間違いは無
かった。それは、自分にとって初めて見る光景であった。50mくらいの低空を円盤型になりサンショウクイが羽ばたいていた。特徴のある羽ばた
きとそして鳴き声。咄嗟に数を数える。20羽であった。1度にこれだけの数のサンショウクイを見たのは初めてであった。彼らの向った先には猿投
山があり、その先には愛知万博の会場もあるはずである。やはり彼らは、東から西へ、北から南へと越冬地に向かっている個体群と受け取るの
が自然のようである。みるみるうちに視界から消えていった。あの中には今年生まれた子どももいるだろか。
2005
9
3
土曜探鳥会 室林道
6名の子どもたちが参加した。校庭ではツバメが飛び交っていた。その中に、コシアカツバメの姿もあった。室の集落を進んでいたらイカルの口笛
を吹くような囀りが聞こえてくる。よくみると木々の中に結構たくさんのイカルが止っている。畑にあるヒマワリにはカワラヒワが止って種を食べて
いる。食べるのに夢中で、おかげでスコープにバッチリ収めることが出来た。田んぼが広がる場所ではオオヨシキリが鳴いている。萩では結構珍
しい光景だ。もしかすると南下個体かもしれない。室林道へと登る道すがらチョウやハチが目に付く。ハチは歓迎されざる虫だ、刺されないよう気
を付けて進む。室林道に入ると、メジロ、センダイムシクイ、ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラなどの混群に遭遇。全く幸運であった。涌き水でタオル
を湿らせ火照った顔を拭いた。冷たく気持ちがいい。日陰はひんやりしていて残暑を忘れそうだ。林道に腰を下ろし暫し休む。思い思いにお喋りを
する。帰りは下り坂ばかりで楽チンである。水辺に立ち寄り、萩小へと戻った。
西暦
月
日
メモ
2005
9
4
室林道ラインセンサス
繁殖期の終盤、換羽に入る、などといった行動が鳥たちから鳴き声を奪っているのかもしれない。必要最小限のコミュニケーションで済まそうとし
ているように見える。いうまでもなく羽は鳥にとって大切なものだ。年に1度新しい羽に換わる時期が今ごろである。そのためのエネルギーはかな
りなものに違いない。体力の弱っている時は捕食者に狙われやすいから、不用意に声を上げるのは得策ではないのだ。だから室林道は比較的
静かな状態になっている。代わりにツクツクボウシの大合唱となっている。
2005
9
10
汐川干潟
ダイゼンが汐川干潟に立ち寄った。干潟が顔を出すまで3時間ほど待った甲斐があった。気の早いダイサギたちが浅瀬に点々といる。潮の引く
速度は遅々としているように見える。しかし一旦海面から顔を出した干潟の姿はどんどん変わって行く。そしてとうとうチドリの姿を初めて確認した
。成鳥のダイゼンが数羽ほど姿を見せたのだ。8倍の双眼鏡でもはっきり確認できる。目を凝らして見ると幼鳥の姿もかなりある。はっきりとはし
ないが20-30羽くらいではなかろうか。望遠鏡でみても、特に幼鳥の保護色は見事だ。カキなどの殻と見分けが付かないほどである。採餌のた
めに動かなければおそらく分らないだろう。採餌場所も考えているように見える。貝殻などがごろごろしているような場所で。砂時の所では捕食者
から見つかり易い。これは穿った見方かもしれないが。汐川干潟に付いたのは9時50分。潮は引き始めてはいたがまだほとんど干潟は海面の下
にあった。時間はたっぷりありそうである。天気も良い。サギたちの姿をカメラに収めたり、海に隣接する養魚場や芦原にいる鳥たちを観察する。
セッカの鳴き声が止むことなく続く。またカイツブリが突然鳴くこともあった。対岸には風力発電の羽がゆっくりと回っている。その数10余り。南か
らの風を受けて回っていた。干潟と風力発電機の組み合わせは多いに意味があるように思える。共進化の考えである。北極圏を発ったシギ・チド
リたちが日本の干潟に立ち寄る姿が本格化する。
2005
9
11
室林道ラインセンサス
ツクツクボウシやミンミンゼミが最後の合唱をしている。ススキの穂が開きはじめた。ハギの花の蕾もはっきり分るようになった。秋は刻々と進行し
ている。スタート地点でオオルリの声を聞く。しばらく様子を見る。すると、オオルリのメスが現れ盛んにフライングキャッチをする。その対象が虫で
なく木の実なのが意外であった。実の近くにいる虫なのか、それとも実を採ろうとしているのかはっきり分らないが、逃げる心配の無い実に対して
もフライングキャッチするのだろうか。地上採取型のジョウビタキはしっかり止って実を採っている。やがて先ほど鳴いていた主が現れた。きれい
な色をしたオスの成鳥である。2羽の姿が見えなくなると、3羽目の姿があった。今度は幼鳥である。出来すぎの感もあるが、巣立ち雛を両親が見
守っている図ととれなくもない。記録を整理し、囀り個体が全く無かったことに気が付いた。
2005
9
17
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
4名とミニ探鳥会ではあるが人数は問題ではない。日差しはたっぷりあるが今までのような暑さは無い。緑の畦道には真っ赤なヒガンバナが咲き
、アゲハチョウが蜜を求めてひらひらと羽ばたいている。いよいよ秋だなー。そういえば姿は見えないが、あちこちからモズの高鳴きが聞こえたり
する。ツバメの飛び交う姿も減ったみたいだ。代わりに沢山のトンボがスイスイと飛ぶ。羽根・長根の田んぼではスズメの群れが田んぼと民家の
屋根を上がったり下がったり。田んぼではセグロセキレイが小競り合い。大人しいのはハクセキレイである。長根川の中では顔の色が極薄い黄
色のハクセキレイの若鳥が食事をしている。ケリが何やら引っ張っている。長いミミズであった。たいへんなご馳走を見つけたものだ。室林道の下
の山からノスリが舞い上り我々の方に向ってきた。労せずして間近に見ることができ子どもたちも喜んだ。一人の子が、「冬に、同じ所でチョゲン
ボウがスズメの群れに襲いかかったね」と言った。他の子も「そうそう」と相づちを打つ。しっかり覚えているんだな。
2005
9
18
ノビタキ2005
今年初めてのノビタキを見た。昨日、同じ場所を子どもたちと歩いてノビタキの姿を探した。しかし、残念ながら確認出来なかった。翌日の今日、
輝くばかりの緑の草叢にちょこんととまっているノビタキを見た。もう1日早く来てくれたらよかったのに。自然とはそうしたもの。決して人間の意思
では動いてはいない。人間の方が自然に合わせるしか方法がないのだ。ノビタキの南下を音羽の地で観察を開始して11年になる。田んぼで見
通しがきき、限られた範囲でしか行動しない、秋の日に輝く姿が美しい、などの好都合な点が、毎年々飽きもせずノビタキの姿を追わせた。避暑
地への南下行動というと、「大変な苦労をして」と思われるだろう。実際その通りと思うが、目の前で見るノビタキの姿には悲壮感は見えない。太
陽や自然の懐に擁かれ何の心配もなく目的地への旅をこなしている。過去の例では10月中にはほとんど南下を終えているようだ。もしもにビタ
キに出会えたら無事に越冬地へ辿りつくことができるよう祈ってあげてください。
西暦
月
日
メモ
2005
9
18
寺ノ入林道ラインセンサス
完璧な快晴の空、日陰から日向に出たときは空が眩しかった。標高600mの寺ノ入林道は秋そのもの、ススキの穂の側に開きかけのハギの花
や、小さな野菊のような白い花が日陰にひっそりと咲いている。野鳥たちは声をひそめている様だった。よく耳を澄ませないと見逃してしまいそう
である。それでも、ヤマガラやシジュウカラ、エナガの声が聞こえた。ははん、混群だなと思った。カケスが飛び去る。藪からはウグイスの地鳴き
が聞こえる。いわゆる笹鳴きである。囀りとは違う趣がある。ツクツクボウシの声も心なしか弱々しい。次にここへ来た時には聞くことはないだろう
2005
9
20
前田町ラインセンサス
ようやく稲穂が頭をたれ黄金色に色付こうとしている。繁殖の賑わいも何時の間にか薄れ巣立ち雛の成長した姿を見るようになった。スズメやム
クドリが群れになり前田町の空を飛ぶ。日曜日に音羽町で見たノビタキはここ前田町にも来ているだろうか。目を凝らして田んぼ道を歩く。モズの
高鳴きを聞き、オオヨシキリのぐぜりの声を聞く。肝心のノビタキはどちらかと言えば無口の方だ。(繁殖時の囀りは別として)従って肉眼だけが頼
りになる。草叢を中心に探しながら歩く。そしてとうとう見なれた姿にお目に掛かることが出来た。2羽は間違いないが、もっといるに違いない。草
に止り、羽をばたつかせる様子(ツグミ科特有の)がノビタキであることを確信させる。彼らはひっそりと南の国に渡って行く。生まれ故郷は日本だ
。再び無事に戻って子どもを育てて欲しい。
2005
9
24
室林道ラインセンサス
雲が広がり少し蒸し暑さを感じる。萩小の運動会が始まるまでにセンサスを終えなければと、双眼鏡ひとつの身軽なスタイルで室林道を歩いた。
山の中なのにヒガンバナの株がひとつ、毎年目を楽しませてくれる。崖からこぼれるようにハギの花がいつの間にか咲いていた。カケスの声が室
林道に戻ってきた。春先から夏の終わりまで姿はおろか鳴き声すら耳にしなかった。もうすこし標高の高い場所で繁殖していたのであろう。秋の
南下で再び姿を現わした。何時も思う、カケスは美声ではないが味のある声だ。特に晩秋の静かな山で聞く声は腸に染みる。オオルリなどの声
が西洋の歌曲だとすると、カケスは能の謡曲か。センサスの途中で林氏(豊橋動物園にお勤め)と会った。しばし鳥談義。今年の夏は暑さが厳しく
繁殖の成功率が低かったよう。そんな時に偶然にもサシバの声が聞こえた。来週の土曜日には伊良湖岬に出かける。今鳴いた個体も、群れの
仲間に加わり越冬地への旅に出ることだろう。ツクツクボウシの声も減り暫らくは静かな室林道が楽しめそうだ。やがて冬鳥が来て、葉を落とした
木々に群がる姿を見ることだろう。運動会にはまだ十分時間がある。今度は子どもたちの歓声を浴びることにしよう。
2005
9
30
2005
10
1
土曜探鳥会 伊良湖岬
10名の子どもたちが参加してくれた。スタートから終わりまで素晴らしい秋晴に恵まれ、無事に終えられたことを喜んでいる。早朝6:30に萩公民
館をスタート。伊良湖岬までは2時間ほど掛かるので、恒例のクイズで楽しみながら行く。9時少し前に恋路が浜の駐車場に到着。何時ものように
サシバを見に来た人たちで賑わっている。暫らくは東の空を注目するもサシバの姿は全く無い。ヒヨドリの集団も無いありさまである。トビ、ノスリ、
ハシボソガラスが岬突端の上空を旋回しているだけである。そこで、伊良湖灯台へ回ってみることにした。サシバばかりが鳥ではない心境で。海
の景色は素晴らしかった。藍色の海面が岩に砕け水色に変わり、水面に反射する秋の輝く日差しが眩しい。釣り舟、ボート、貨物船が伊良湖水
道に散りばめられる。目の前には潮騒で有名な神島。その奥には三重県の町や山々がくっきりと見える。岩礁に守られた穏やかな水辺で遊んだ
後、伊良湖岬灯台に行く。その時、灯台を掠める鳥の姿があった。ヒヨドリたちが灯台から対岸の三重県に向おうとしていたのだ。9回目の伊良湖
岬の探鳥会でもこのような光景に出会ったのは初めて。これもサシバの姿がないお陰である。(サシバが出たら灯台には足を運ばなかった)その
まま行くのかなと見守っている端からUターンしてしまう。Uターン行動を何度も何度も繰返す。踏ん切りがつかない様子はすごく人間くさい。灯台
から帰る直前まで見守ったが結局渡ることは無かった。11時に岬を出発し、田原市の蔵王山で昼食を取る。子どもたちがいつの間にか手に手に
風船を持っている。風船細工を作って頂いたようだ。未だ時間があったので運動公園の近くでノビタキを観察する。これも渡りの観察である。サシ
バみたいに注目されることなく渡っていく。スコープの中のノビタキに口々に可愛いを連発。モズやチュウサギにも目を向ける。すると、田んぼの
上空でホバリングをする中型の鳥が出現。チョウゲンボウの初確認である。子どもたちからホバリングを行なう目的を聞かれる。随分と興味を持
ったみたいだ。萩の里もいよいよ秋本番である。北寄りの風にコスモスが揺れ、ヒガンバナが今を盛りと咲き誇っている。
西暦
月
日
メモ
2005
10
2
室林道ラインセンサス
カケスとハシブトガラス、アオゲラの鳴き声が目立っていた。カケスは個体数の増加がすでに始まっており、ハシブトガラスは様々な鳴き方をして
いた。カケスも含めカラス科の鳥は物真似も上手だ。賢い鳥だから、声色(こわいろ)を使って相手を威嚇したり、番相手との意思疎通を図ってい
るようだ。アオゲラは囀りとされるピーヨの声と地鳴きを聞かせてくれる。ハギの花もあちこちで咲き出したし、ドギツイ紅色に染まった草もある。ア
サギマダラがひらひらと舞う姿もようやく見られ始めた。鳴き声は聞かれないが、オオルリやセンダイムシクイも南下に備え採餌に熱中している。
2005
10
2
我家周辺
今では様々な色のコスモスがあり、家の前の田んぼにはオレンジ色のコスモスが風に揺れている。すぐ側ではモズ達が縄張りをめぐり暑い戦い
を繰り広げる姿がある。モズばかりではない。白黒のセグロセキレイが追いかけっこをする。餌が減る秋から冬への戦いの準備が既に始まってい
るのである。ノビタキの姿はと、気をつけて見たが確認出来なかった。代わりにビンズイの声を初めて聞いた時、確実に秋が深まっていると感じた
。
2005
10
8
茶臼山ラインセンサス
天気は良くないと聞いていたが、今の時期でないと見られない野鳥の観察ができる筈と、午前3時過ぎに家を出発して来た。茶臼山の麓、豊根村
に着いたのは5時50分。周りの山々は霧に見え隠れしている。肌寒い気温は眠気を覚ますのに兆度良い。リュックには望遠鏡・カメラ・録音機な
ど、それにおにぎりも詰め込む。南の方面は青空も見えるが北は暗い雲が重なっている。これは途中で雨が降ると見た。これまでも雨でずぶぬれ
になったことはある。しかし今は秋である。濡れねずみはご免こうむりたい。そこでチャンバラよろしくカサを腰に差す。どうせ周りには人は居ない
のだから気にすることは無い。スキー上の草原にはハシボソ・ハシブトガラスが下りていて餌を獲っている様子。周りの牧場でもカラスの姿が多い
。西の斜面は原生林になっていて野鳥の数も多い。今ではすっかり馴染みになったソウシチョウの囀りや地鳴きが聞こえる。この時期になっても
まだ囀っていられるとは、ソウシチョウのバイタリティーを感じると共に、ウグイスなどの日本産の鳥が駆逐されなければよいが、と願う気持ちが起
きてきた。ソウシチョウの声を聞きながら私の目は針葉樹の天辺に止った鳥に釘付けになる。ヒタキ科特有の行動をとっていた。エゾビタキか。双
眼鏡の視野にはまさしくエゾビタキがいた。さらに、少し小型の鳥も捕らえた。目の回りに注目する。白い縁取りでコサメビタキと確認。こちらもヒタ
キ科の鳥なので同様の行動を繰返している。それは虫を空中で捕らえるフライングキャッチ。推定ではあるが越冬地への南下の途中なのだろう。
今日見たかったのはまさにこのことなのである。鳥の種類にはこだわってはいない。サシバでもノビタキでもよかった。北の面ではミソサザイの地
鳴きを聞く。囀りが聞かれなくなって暫らく経ったウグイスも今は大人しく会話をしている。茶臼山全体に聞こえるような元気な声で鳴くのはアカゲ
ラ。木を突つくドラミングの音も聞こえる。茶臼湖は電線に止まるノビタキを確認する。ノビタキといえば音羽町でも南下の姿を観察できる。茶臼山
もその例外ではないようだ。3ヶ所でそれぞれ10羽くらいのを群れをつくっていた。雨が降り始めた。牧場の柵に止っているノビタキが可哀想にな
った。
2005
10
9
豊田市前田町
久しぶりに父を隣に乗せて前田町に来た。心配であった天気も外れ上々の秋晴れであった。ノビタキが稲刈りを終えた田んぼを縦横に飛び回っ
ている。追いかけっこをしている個体もいる。昨日の寒い雨の茶臼山のノビタキもいれば、今日のように日の光に抱かれているノビタキもいる。い
や、今日の前田町のノビタキは明日の茶臼山のノビタキになるかも知れないのだ。前田町にはヘリポートがある。黄色と白のヘリコプターが相次
いで着陸し、エンジンを止めること無く再び飛び去った。野鳥たちはこのうるさい飛行物体をどう見ているのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2005
10
15
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
あいにくの天気で集まったのは一人の女の子だけであった。牧野さんを入れて3人の探鳥会となった。始まるまえから雨がポツポツ降り出したの
で車に乗って出かけることにした。萩小の校庭にはセグロセキレイやハクセキレイがいる。ハクセキレイは元々は冬鳥であったはずなのだが。今
年は夏にもその姿を見ることができた。生息地の変化が起きているようである。羽根の田んぼでそれぞれ3台のスコープを覗く。鳥を見つけたら
お互いに見せ合うのである。これは使えると思う。ノビタキは1羽しか確認出来なかったが、賑やかな声と共に2羽のヒバリが頭上でディスプレイし
ていた。さらに1羽も加わる。モズやホオジロ、ケリたちが盛り上げる。そして最も印象的であったのは、30羽以上の塊となったヒヨドリの群れが移
動する姿だ。まるで、2週間前に、伊良湖岬灯台から海に向ったヒヨドリのようであった。ここでも南下は行なわれているのだ。オシドリたちが来て
いるかも知れないと新堤池にも向かった。池に下りる前から鳥たちの賑やかな声。ヒヨドリが多いがそればかりではない。期待が持てそうだ。木陰
から水面を見たらそこにはオシドリの姿があった。オスは繁殖羽
換わっていてメスとの対比も容易である。しかしシンボルの銀杏羽はまだ用意されていなかった。番いで泳ぐ者。水面を叩くような動作をする者。
着陸する者。離陸する者。と池はオシドリの喧騒で一杯であった。一斉に飛び立つ。そこには2羽のゴイサギも含まれていた。集団で池の上空を
旋回する数を数えてみる。20羽くらいだろう。この秋初確認であった。池の木々にはアケビが絡まっていて大きな口を開けている。一つ取ってみ
たら、実はまだ半分残っていて小鳥が食べていた様子。「申し訳無いことをした」と牧野さん。雨も心配したほど降らず、秋を満喫した探鳥会であっ
た。
2005
10
16
室林道ラインセンサス
すっきりと快晴とはいかないが、北西の風に雲は払われ青空が見え始めた。林道に植えられたサクラの葉も色付いてきたようだ。ハゼの葉の一
部が真っ赤に染まっている。歩き始めて直ぐにヒヨドリが活発であることに気づいた。シイの木の中で多くの個体が鳴き、飛び回っている。北の地
域から南下して来た個体が互いに挨拶でも交わしているのだろうか。ヒヨドリ以外ではハシブトガラスやカケスが賑やかである。シジュウカラやヤ
マガラ、ウグイスも局所的にはいるが、どちらかといえばひっそりとしていると言える。鳥に代わって、アサギマダラが青空を舞っている。アゲハな
どの大型のチョウでも木の高さ以上には昇らない(そのように感じる)が、アサギマダラだけは遥かに上空まで昇る。センサスの間中いたる所でア
サギマダラを確認することができた。いま正に南下の時期なのだろう。林道全体を覆う声としては夏のセミに代わって秋の虫たちが主役である。
そんな中で弱々しいにツクツクボウシの声が聞かれたのは意外であった。
2005
10
19
豊田市前田町
休日と雨の日が続いたために前田町を歩くのは4日ぶりになる。最低気温もぐんと下がって、秋の早朝という言葉がピッタリな日になってきた。ま
づ目に付くのはモズたちの高鳴きである。秋の風物詩と言ってもよいだろう。冬の厳しい生き残りをかけて縄張りを守る。縄張りの貧富差の結果と
しての春先の体重は、繁殖成功度にも影響するに違いない。先週見かけたノビタキの姿は、今回は無かった。確実に南下が進んでいるのだろう
。スズメの個体数は他の野鳥を圧倒しているが、新しく出来た食事の店の屋根にびっしりと止っている。きれいな田んぼが減っていくのがたいへ
ん気掛かりである。
2005
10
21
茶臼山ラインセンサス
2週間前に観察をしたばかりではあるが再び茶臼山に登ってきた。素晴らしい青空で爽やかな風も吹いている。赤く染まった木もちらほら、しかし
、本格的な紅葉はもう少し先である。ゲレンデからは荒川三山、赤石、聖などの3千メートル峰がくっきりと見える。ホオジロが囀っている。ホオジ
ロの囀りピークは繁殖期なのは勿論であるが、10月に第2のピークがある。今日のセンサスを通して最も囀り個体が多かったのはホオジロであ
った。ソウシチョウの囀りも止まることがない。季節はずれの脳天気な声を聞いていると(彼らの本来の土地ではいつも囀っているのが当たり前か
も知れないが、ここは日本だ)美しい声にはどうしても思えない。カラ類の囀りも聞かれた。ヒガラとシジュウカラが囀り、コガラとヤマガラは地鳴き
だけであった。皮肉なことに前者の囀りと後者の地鳴きは互いによく似ている。うっかり間違えることも多々あるので思わず緊張してしまう。2週間
前に沢山いたノビタキは確認できなかった。茶臼山の帰りに音羽町羽根で1羽のノビタキを確認できたので、南下が終了したとは言えないがピー
クは過ぎたものと思われる。今日一番の収穫はキビタキの地鳴き確認だろう。茶臼山では余り観察していないキビタキを3個体も確認出来たのだ
。これは多いと思う。キビタキの南下ではなかろうか。南アルプスの眺望が素晴らしい場所に茶臼山高原観光協会の4輪駆動のマイクロバスが留
っていた。男女10数名ほどのお年寄りが三脚を据え傑作を物にしようとファインダーを覗いていた。私のいでたちに興味を示すわけでもなく。(こ
ちらも興味はないが)
西暦
月
日
メモ
2005
10
22
寺ノ入林道ラインセンサス
曇り空で少し肌寒い。センサスを始める頃は雲が低く垂れこみ雨の心配もあった。そこで奥の手を出す。カサを腰に差すサムライスタイルである。
通りかかる人もいないので気にすることはない。谷を隔てた山からはオスジカの声が聞こえる。そういえば昨日の茶臼山でも鳴いていた。いきな
り賑やかな声に囲まれてしまった。ヒヨドリたちが落ち着きのない様子でわめいているといった感じの様子である。枝に止まっても直ぐに飛び立と
うとする。はっきりとは分らないが30羽は下らないだろう。想像ではあるが、南下個体群が縄張りを決めかねているのでは。付近にいたのはヒヨド
リたちばかりではなかった。あまり聞き慣れない声がして緑の葉の中で餌をとっている姿がちらりと見えたのだった。大きさはムクドリ大。黒っぽい
色をしている。1羽が姿を現したのを双眼鏡で確認する。クロツグミのオスであった。少し茶色の個体もいる。メスなのだろうか。私に気付きちょっ
とした騒ぎになっている。こちらも大よそ20羽はいそうである。連れ立って越冬地に向かっているのだろうか。2つの群れを後ろにおいてさらに進
む。もう喧騒に似た鳥たちの声は無かった。そうではなく、秋の季節に似つかわしい静かに採餌する姿があった。(センサスでの確認のほとんど
は鳴き声なので、姿が見られたという意味ではない)ウグイスの地鳴きは印象的だ。個体数ではシジュウカラが1番。茶臼山でも囀りをよく耳にし
た。そしてカケス。セミや秋の虫がいなくなり、風の音と、木の葉が地上に落ちる音だけが聞こえるような深閑とした山を歩いている時、突然カケス
の空気を切り裂くような声、喩えようの無いものである。道端には、黄色や紫色の秋の草花が風に揺られている。秋には薄い色の花が似合うと思
う。コスモスやノギクなど。
2005
10
23
室林道ラインセンサス
北西の風が吹いている。室林道の上を高圧線が通っているが、この秋初めて長い波長の音を奏でた。堰などから川の水が落下するときに遠くま
で聞こえる低音の唸りと似ている。林道に積もった落ち葉が飛ばされる。カケス、ハシブトガラスの声が響く。時たまアオゲラの鳴き声とドラミング
の音。ヒヨドリを筆頭に結構鳥の数は多い。ここを越冬地と決めた鳥たちが集まって来たのだろう。囀り個体は少ないが、シジュウカラやホオジロ
の一部に囀り個体が見られた。茶臼山や三河湖寺ノ入林道でも同様であった。よく似たヤマガラが囀るそぶりを見せないのは面白い。冬鳥ではメ
スのジョウビタキが来ていた。半年振りの懐かしい姿である。これも又茶臼山や三河湖と同様に、オスのシカが鳴く寂しげな声が聞こえた。
2005
10
24
豊田市前田町ラインセンサス
ワイシャツの上に一枚羽織りたくなるような冷え込みである。出勤前の散歩もこれからは寒さとの戦いになる。季節が大きく移り変わる時、野鳥の
種類にも変化が起きてくる。散歩と野鳥の観察を同時にそれも平日に毎日できるなんて、私にとっての満塁ホームランである。歩道を歩いて前田
町へ向う途中、にぎやかな声と共に数十羽のカワラヒワが頭上を横切っていった。寒くなるとカワラヒワの群れが大きくなることは音羽町でも同じ
。田んぼ道を歩く。これがたいへん気持ちいい。約1km隔て南北に伸びる2本の幹線道路があって交通量は大変に多い。所が、道路に挟まれた
田んぼの中では聞こえるのは野鳥
の鳴き声だけなのだ。スズメ、モズ、ムクドリが主な種類であるが、季節によって様々な声を堪能できる。観察を始めた初夏にはオオヨシキリやケ
リが大騒ぎをしていた。さらには、ヒバリ、セッカが田んぼの上で鳴きながら飛んでいた。今はモズが一番の主役だろう。ギチギチ、キーキーキー
と縄張りを守るべく競争相手を威嚇する。時には自分と同じ大きさの鳥に襲いかかることもある。滅多なことでは狩りは成功しないが失敗を気に
する様子も無い。小鳥たちにとって本当に怖い捕食者はタカの仲間だ。今日も1羽のチョウゲンボウが10羽くらいのムクドリたちに警戒されなが
ら飛ぶ姿を確認した。大きさこそハトと同じであるが鋭い爪にかかったらひとたまりもない。太陽は日いちにちと南に移動している。北風に凍えて
観察することになるのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2005
10
29
御津海岸 カモ類とミサゴの狩猟
雨が降ったり日が照ったりと忙しい天気であった。結局は、正午過ぎから本降りになってしまったが。ウミネコとカワウが光と影の交錯した海面を
舞っている。その舞い方は対称的である。ウミネコはゆっくりではあるが上下に深く羽ばたく。カワウは浅く小刻みに羽ばたく。カワウの飛び方は
疲れそうであるが、本当の所はどうなのだろうか。草地では季節はずれのヒバリの囀り。ここ御津の佐脇浜は埋立地である。沖ではスズガモの群
れ(ちょうど30羽いた)がゆらゆら波間を漂っていた。この秋初確認である。埋め立て地の北端に日本列島を象った人口渚がある。(県の花のプ
レートや富士山もある)ここで毎年12月に土曜探鳥会を開くのが恒例となった。音羽町ではカモ類はごく限られた種しか見られない。静かな浅瀬
に200羽を越すカモがいた。直ぐ近くにいるのはヒドリガモ。双眼鏡で見分けが付くくらいの位置にはマガモ、キンクロハジロがいる。オスがエプリ
クス状態のため判別に迷う個体もいる。数は少ないが、オナナガモ、ヨシガモ、ハシビロガモもいるようである。対岸の岩組にはサギやカワウが羽
を休めている。(カワウは羽を広げている)そんな静かな中を小型の鳥が追いかけっこしていた。イソシギである。一番の見ものはミサゴの狩猟だ
ろう。海岸到着した時に早速3羽のミサゴを確認した。ミサゴは音羽川で狩猟をしていたのだった。ドボンと海面に突撃し獲物を爪で鷲づかみし、
再び大空に舞い上がるのである。それを何回も繰返していた。1回でご馳走にありつけるとは限らない。私が佐脇浜を一回りしてカモのいる渚に
いた時にもミサゴは狩猟に励んでいた。それを見守るカモたちも別段恐れる様子も見せない。彼は(ミサゴ)は我々を襲うことは無いと見て取って
いるのだろうか。ここにチュウヒやオオタカが来たらどうなのだろう。20mくらいで狙いを定め落ちる様に海面に突入し、力一杯羽ばたいて飛び上
がる。回数が増えればかなりのエネルギーを消費することになるので、猟の上手下手は生存率にも影響するだろう。優れたハンターの表現型を
担う遺伝子は、遺伝子プール内で広まることだろう。そんなことを考えながらミサゴの仕事を見ていた。
2005
10
30
室林道ラインセンサス
久しぶりに山口さんと室林道をセンサスする。爽やかで歩くのが楽しくなるような天気である。サクラの紅葉と落葉が同時に進んでいるようだ。テ
レビで見た。落ち葉を菌が柔らかくし、団子虫の幼虫が食べ糞が土になる様子を。昨今の産業廃棄物の不法投棄を見るに付け、人間以外の生き
物が、生き物全てのために役割を果たしているのになぜ人間は人間のためになることしかできないのか。山口さんは巣箱をどこに付けようか考え
を巡らしているいる様子。小学校の子どもたちのために頑張っておられる。カケスは相変わらず多いが、エナガを先頭にした混群も観察した。これ
からの季節は混群が一番の見所になる。ウグイスのぐぜり(囀りに至る前の状態)を聞く。山口さんいわく、若鳥のようだね。またこんな事もあった
。メジロが盛んに鳴いていた。すると1羽の鳥が二人が近づいたのに気がつき飛び去っていった。どうやら小型のタカのようだ。メジロは警戒音を
上げていたのだ。コジュケイが大きな声で鳴き出した。センサスの帰り道にこの秋初めてのアオジを確認。久しぶりの姿にほっとした。
西暦
月
日
メモ
2005
11
5
琵琶湖 湖北町
琵琶湖にコハクチョウ、ヒシクイを始めとする水鳥たちを見に行ってきた。年に一度の楽しみとして行なっている。往復7千円もの高速料金を考え
ると、そう何度も出かけられない。だから記録として価値は無いのかもしれない。どちらかといえばドライブを楽しんでいる。名神高速を西に進み
左手に養老山脈が迫ってくる場所が気に入っているし、標高では茶臼山に譲るが迫力ある伊吹山の山塊も素晴らしい。さらに、琵琶湖湖岸道路
は、私の地元にはない光景を繰り広げてくれる。鳥を見るのだったら冬に近い方が面白いかも知れないが、琵琶湖に関しては気持ちの良い季節
に訪れたいと思っている。今日も正にそのとおりになった。湖北町にある水鳥センターが目的地であるが、その前に、吉崎ビオトープに立ち寄る。
一昨年にはマガン、昨年はコハクチョウが羽を休めていた。今年もと期待していたのであるが、付近で工事の音が鳴り響いていて野鳥たちはほと
んど寄り付いていなかった。カルガモが少しいただけである。ビオトープに隣接する田んぼではヒバリたちの声と、チョウゲンボウの姿があった。
次いで湖北町水鳥センターに向かう。ここの目玉はコハクチョウとオオヒシクイである。それと近年、さらに秋が深まった頃オオワシがやって来て
話題となっている。オオワシは琵琶湖とは反対の山で見られるようだ。2階から望遠鏡で湖面を観察できる。寒さと風による望遠鏡の揺れを遮断し
てくれ、長時間の観察も苦にならない優れものである。しかし何か物足りない気がする。(そうは言っても観察に適しているが)大物は後の楽しみ
にし、一般の水鳥から眺める。ここはオオバンでも有名である。黒い体と白い嘴の周りが特徴的で直ぐにそれと分る。首を前後に振って湖面を進
んで様もユーモラスだ。カンムリカイツブリもここでは極普通に見られる。オカヨシガモ、ホシハジロ、ヒドリガモ、キンクロハジロなどが湖面に帯の
ようになっている。コハクチョウは陸地に上がって休んでいる個体が多い。幼鳥もいるがここで見られたのは大部分が真っ白い成鳥であった。コ
ハクチョウの群れの左手に、灰色っぽい地味な色をした巨大なガンのヒシクイがやはり陸に上がっている。普通サイズのカモと並ぶとそのデカさ
加減がよく分かる。そうこうしていると突然大きな鳥の群れが(20羽くらいの)湖面を旋回し始めた。ヒシクイの群れである。迫力万点の飛翔を見
守る。家族連れの歓声が上がる。これは確かに見物であった。なんといっても鳥は飛んでいる時の姿が一番だ。水鳥センターを出て湖畔道路を
歩いてみる。位置が低くなった分視界が遮られるが、風や日を感じながら観察する素晴らしさを味わうことができた。大きな違いは鳴き声を聞くこ
とができるということだ。湖を囲むように緑のベルトがある。そこにも湖面に匹敵する野鳥たちの空間がある。ウグイスやモズといった馴染みの鳥
に混じって鳴く声がした。姿は見せなかったがどうやらベニマシコのようだ。寒さ知らずのセンターの中では分らないもの、何か物足りなさを感じた
のは、大自然の中の仲間であるという一体感と鳴き声だったのだ。(センターではアカショウビンの声をエンドレステープで流していたがあれは頂
けないと思った)
2005
11
6
室林道ラインセンサス
昨日の秋晴れから一転し雨の降りそうな空模様である。何時ものようにカサを腰に差して歩き始める。日が過ぎるのは早いものでもう11月に入っ
てしまった。秋も下り返し点を過ぎた。鳥たちの南下も一息付いたか?。ハシブトガラスが林道で鳴き交わしている。ヒヨドリ、メジロもかなりの個体
数。先週はアオジを初確認したが、今日はクロジの声を聞いた。両者の地鳴きを聞き分けるのはかなりの修練が必要だ。自分も出来たら姿まで
確認して安心したい口である。エナガとコゲラの声を聞くと混群では?、と期待してしまう。しかし目だった混群に出会うことは無かった。センサス
中には野鳥以外の様々な動物とも遭遇する。特に4つ足の獣を目の前に見るときは驚きと緊張が交差する。センサス残り少し、ヒノキの林床でニ
ホンジカを見た。白い胸が薄暗い林の中でも目立つ。ピツと鋭い一声を上げる。すると、数メートル左手にいた2頭のシカが谷底のようへ逃げて
行く。確認したあと親シカも視界から去って行った。親子連れであった。11月15日に銃による狩猟が解禁になる。彼らにとって受難の季節が再び
始まろうとしている。
2005
11
12
土曜探鳥会 羽根・長根
夜半からの雨もすっかりあがり素晴らしい快晴になった。北西の風が吹き抜ける田んぼ道を歩くのは6人子と私たち大人2名。太陽の温かさと風
の冷たさのバランスがぴったりの日であった。前山の上ではハシボソガラスが遊び興じている(ように見える)。ケヤキやエノキの葉が紅葉し緑色
のクスの木との対比が鮮やかだ。神社の大楠からヒヨドリの声が聞こえる。山陰川に架かる橋から川底を覗くと沢山の魚たちが泳いでいる。県道
を横切り羽根の田んぼ道にを進むと野鳥の姿が増え始めた。ハクセキレイ、セグロセキレイ、タヒバリなどセキレイ科の鳥たちで賑やかだ。子供
たちは鳥を見たり草の実を付け合ったりして遊ぶ。私と牧野さんは秋の日を楽しむ。今日は新堤池に足を伸ばしオシドリを観察する。池から10羽
ほどのオシドリが飛び立つ。それでも、池の縁を覆う木々に隠れてかなりのオシドリが見え隠れする。手前にいるのはカワウとカイツブリだ。仲良
く2羽で泳ぎ出るマガモのつがい。すいぶん歩いたので風の当たらない高い石垣のある道で一休みする。近くのおばあさんが子どもたちにカキを
くれた。
西暦
月
日
メモ
2005
11
13
寺ノ入林道ラインセンサス
今が一番紅葉が見頃なのではと思う。寺ノ入林道の紅葉は黄色が主体で、その中にオレンジや赤が散りばめられる。紅葉を引き立てるのは鮮や
かな緑色。スギやヒノキ、そして最も高貴な緑色のマツ(内陸の寺ノ入林道はアカマツである)がしっかり残っているため、綾錦の雰囲気が味わえ
る。センサスをスタートして直ぐにヒタキ科特有の嘴を打ち鳴らす音がした。ジョウビタキかルリビタキに間違いない。どちらかなのか確認しようと
潅木の中に目を凝らすが、なかなか姿を確認できない。数分後にようやくルリビタキの若鳥かメス成鳥であることが分った。この秋初確認である。
沢が林道と最も接近する場所には毎年ミソサザイが縄張りを構える。今日はどうだろうか。耳を澄ませてゆっくり進む。いれば必ず反応があるは
ず。50m進んだところで1羽が鳴いた。やれやれ、ほっとする。折り返し点で一休みする。ほとんど雲は見られないが卷雲が秋の空を飾っている。
復路になると気温も上がり野鳥たちが活発になる。カラ類、特にシジュウカラの個体数が多い。標高600mの寺ノ入林道らしく、ヒガラが他のカラ
類に混じり採餌する姿が見られた。最後を締め括ったのはオオタカ。山の中腹から小刻みに羽ばたき山の端に消えていった。風もほとんどなく穏
やかな秋の午前を、紅葉を眺め、野鳥の声に耳を傾け、ゆったりと歩いた。
2005
11
18
萩小探鳥会
牧野さん山口さんと萩小探鳥会に参加した。3年生以上が対象だ。全員で挨拶を交わし、高学年から順に出発する。私は3年・4年生を受け持っ
た。校庭で出発を待つ間に、校舎の庇の隙間に住むスズメをスコープで観察する。みんな「可愛い!」を連発。いよいよスタート。萩っ子の森の給
餌台を見てから室林道へと向かう。ハシブトガラスがやけに多い。トビやツミを追いかけ回している。室林道に近づくとカラ類の声が増え、藪から
はウグイスの地鳴きも聞こえる。「あれがウグイスだよ」と説明するとみんな一様に驚いた様子であった。室林道を少し入った所が下り返し点。そ
こでみんなで寝転んで鳥の声を聞くことにした。幸いそこは暖かな日溜りである。真っ青な空を見たり、目を瞑ってうつらうつらしたり、日頃やった
ことの無い事だけに気に入って貰えたようだ。帰りは下り坂ばかりで早い。歌まで飛び出して、秋の日を楽しみながら学校へ戻った。
2005
11
19
羽根・長根ラインセンサス
室林道から下り羽根・長根の田んぼを歩いた。林道では感じなかったが、北西の風が非常に強く吹いていた。そのために田んぼにいる鳥の数は
少ない。セキレイの仲間であるタヒバリ、セグロセキレイ、ハクセキレイがまばらに採餌する姿が見られる。上空では隣接する山を移動するハシブ
トガラス(山に棲んでいるのほとんどハシブトガラスである)が10羽あまりいる。時折タカが飛ぶので注意が必要である。そんな見本のようなこと
が起きた。室林道の付近から飛び立った鳥がどんどん高度を上げ田んぼの上空に向かってくる。羽ばたきや姿からしてオオタカに間違いない。
10倍の双眼鏡で姿を追う。羽のタカ縞がくっきり、注目は胸元だ。縦縞なら幼鳥、横縞なら成鳥だからだ。この個体は幼鳥(若鳥)であった。実は
もう2羽ほどタカを見ているが種を特定することはできなかった。(タカ自体を見る機会が少ないので)羽根・長根の田んぼで繰り広げられる捕食
者と被食者との戦いは、これから春の田植え準備の頃まで続くだろう。
2005
11
19
室林道ラインセンサス
落ち葉が車の轍を残し林道の縁を飾っていた。厚い絨毯のような葉を踏みながら歩く。スタートして直ぐにミソサザイの地鳴きを聞く。定着個体に
なるのか移動個体なのか、しばらく様子を見なければならない。ウグイスの地鳴きも多かった。ウグイスについては南下個体が室林道に定着した
のだと思う。反対に確認できない種もいた。カケスである。秋の始まりと共にカケスの個体数は増加していた。当然室林道にいるものと思っている
。しかし今日は反応が全く無かった。冬には混群がよく見られる。きょうもエナガとヤマガラの群れに出会うことができた。日の当たらない所は手
袋をはめていないと手が痛いほど冷えている。暫らくで冬に突入といった感じだ。
2005
11
26
駒場池
平尾で昼弁当をたべた。しばし平尾の里山を歩く。カシラダカがいち早くやってきて数多く見られる場所である。今日はホオジロとモズを見た。そ
の次に向かうのは駒場池。ロックフィルの堤防で守られた調整池である。冬には北国からカモ類が飛来する。1番多いのはマガモ。水位の下がっ
た水面で餌を取っている。今日は150羽ほど。次いでカルガモ。20羽くらいで群れていた。岸辺で羽を広げるカワウが10羽。マガモから離れて
採餌するキンクロハジロはたった2羽であった。池の西側は土剥き出しの道が通っている。ここも探鳥には良い所だ。カワセミの声がしたので車を
止めた。すると、池の上まで張り出した枝に綺麗な姿があった。10倍の双眼鏡で観察する。黒い嘴のオスであった。
西暦
月
日
メモ
2005
11
26
室林道ラインセンサス
萩小の学芸会の前に急いでセンサスする。従っていつもより少し距離が短くなった。ハシブトガラスの声がのんびり聞こえる。先週には全く気配の
無かったカケスの声も2、3ヶ所から聞こえた。ウグイスに混じってミソサザイがチャと鳴いた。センサスの間に2個体確認。ヒッヒッと地鳴きはジョ
ウビタキかルリビタキか迷う所。やはり姿を見たい。こういった場合直ぐに双眼鏡を使わないことだ。肉眼で視野を広くとり姿を捉えることだ。やっ
と潅木の中に姿を発見。ED10倍の鮮明な視野に入ったのはルリビタキであった。成鳥のオスではない。喉元の白さが薄いのでメスと判断した。
帰り道にはタカを見た。オオタカとツミであった。2羽ともに室林道を中心に狩りをしている個体だ。朝日がサクラの紅葉を輝かせる。気持ちよく歩
いた。
2005
12
3
土曜探鳥会 御津海岸
子ども8名、大人5名のバランスの良い参加人数となった。晴れたり曇ったりと変化の激しい天気ではあったが比較的風も弱く暖かな日和で、ゆっ
くりと鳥を眺め、そして海岸で遊んだ。御津町を流れる音羽川沿いに車を進める。満ち潮に近い川面に様々な水鳥が浮かんでいる。数は200-
300羽ほどか。マガモ、ヒドリガモ、コガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ヨシガモ、オカヨシガモ、オナガガモなど。佐脇浜から豊川河口を望むと
すじ状の黒い点々が浮かんでいる。2000羽以上はいると思われるスズガモの群れである。早速スコープで観察する。この頃になると日差しも強
くなり温かくさえ感じられる。日の光が海面でキラキラと反射し、スズガモが何か特別な鳥であるかのように神々しく見える。実際、何千キロも空を
飛んでやってきたお客様だ、丁重にもてなさなばなるまい。カモたちの中で1羽だけ白い鳥がいた。カモメの仲間であることは直ぐに分る。様子が
何かおかしい。盛んに海面に顔を突っ込んでいる。同じ行動を繰り返しながらゆっくりと沖の方へ流されていく。子どもたちも気がついてその様子
を言い合う。嘴で突ついた後赤いものが見えるよ。血のようだ。その可能性は多いに有ると思った。魚のようなものを食べているんだろう。もしかし
たらカモかもしれない。臨海公園に向かった。カモは予想に反して少ない。おまけに勢いよく鳥に近づいたために、みんな次から次へと飛び立って
しまった。もうカモは数えるほどしかいない。私は内心、音羽川で観察しておいた良かったと思った。しかし良くしたもので、自然と水辺の野鳥に注
意が向いて思わぬ光景に出会うことが出来たのだった。それはカワセミで、50mくらいの対岸の岩場で姿を見せ、綺麗な姿をスコープに収めるこ
とが出来た。さらには何を思ったのか、彼は(オスのカワセミなので)50mを飛び越えてこちら側の堤防にとまった。さあ子どもたちは大喜び。出
来るだけ近くで見ようとカワセミに近づく。ところがカワセミは逃げない。とっくに逃げられてしまう距離に入ってもだ。後から一緒にいた山口さん(
私の鳥の師匠)は言われるには、餌がとれなく体が弱っている。体が膨らんだように見える。体温の調整が上手く出来ないようだ。そこで、子ども
にはカワセミをそってしておくよう言い聞かせた。青空をバックに大きなミサゴの姿もあった。カワセミもミサゴも魚を食料にし、ダイビングで捕らえ
るのも同じ。カワセミを見た岩場にはメスのイソヒヨドリもいた。地味な色ではあるが、伊良湖岬の探鳥会で子供たちには馴染みである。イソシギ
もセキレイに代わって腰を振っていた。残りの1時間は遊んだ。水切りが一番の人気だ。地元の萩では思いっきり水切り出来る場所が無い。ここ
なら思いっきり出来るし、形のよい石がごろごろしているのだ。私も何度か試みた。月曜日辺りになると肩の痛みを訴えることになりそうだ。
2005
12
4
室林道ラインセンサス
傘を片手にして雨の中のセンサスである。ヒヨドリの個体数が多い。ウグイスの地鳴きも要所で聞こえる。シイの木の中からの声からするとメジロ
もかなりいるようだ。谷底から鹿の声がした。雨は徐々に強くなってきた。ところが林道は随分と明るい。その理由はサクラなどの葉がほとんど落
ちてしまったことによる。赤や黄色の落ち葉が林道の脇を飾る。なかなか美しい。カラ類に会いたいと思っていた。エナガの声がしたので期待は
高まる。思っていたとおり混群であった。シジュウカラとヤマガラの声を確認できほっとする。雨のせいか個体数は少ない。けれども雨の日の観察
は大切であると信じている。
西暦
月
日
メモ
2005
12
11
我家周辺の野鳥
保護中のミニ犬(ミニチュアダックス)を連れて、家から観音山までの道を歩いた。厚い雲が広がって薄暗く感じる。萩の紅葉はクヌギなどの黄色
が主流である。暖かなせいかまだまだ落葉までに時間がかかりそう。私としては落葉した梢も大変気に入ってのだが。山陰川で、アシの陰に隠れ
るようにするカシラダカを見つけた。カシラダカの姿をこれほどはっきりと確認出来たのは初めてであった。川を隔てた田んぼではモズが鳴いてい
る。そして、観音山から流れ下る小さな川に沿った道へ歩を進める。周りは田んぼと畑、その先は里山が広がる。萩の中でも屈指の風景だと(私
は)思う。電線などの野暮なものは一切無い。紅葉とヒノキの緑が美しい織錦を描く。所々で、落葉し柔らかな梢を見せる木々がある。青い空に雑
木林の梢が溶け込む姿が好きである。同時に、寒さの中で観察する野鳥の姿も一年の内で一番気好きだ。アオサギがじっとしていた。採餌の機
会を待っているのだろうか。私が進めば彼はどうしても飛び去る必要がある。無駄なエネルギーを使わせることになるが仕方ない。観音山の麓に
着く。ヒヨドリが飛び交う姿が見える。ホオジロが2羽飛び去る。来春の繁殖ではペアになるのだろうか。連れのミニダックスは黙々と尾を振り歩い
ている。私は、ピンボールというゲームを済ませてきていて、そろそろ足が笑いそうである。道端の気持ちの良さそうな場所に腰を下ろしハーと息
を吐いた。彼女(メスの犬なので)が早速膝の上に乗っかりこちらの顔を覗きこんだ。未だに飼主が現れない可哀想な犬を抱いて時間を過ごした
。
2005
12
17
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
この冬1番の寒波が到来しているという、そんな天気予報を聞いて心配したが、案ずるは生むが安しの諺どおり、冬にしては風の穏やかな探鳥会
日和となった。考えてみれば、今日が、今年最後の土曜探鳥会である。事故もなくやってこられたことに感謝せねば。先生と子ども4名、そして私
の6名というミニ探鳥会である。川原地区を流れる山陰川の辺でイカルの採餌を観察する。7羽ほどのイカルが落葉した梢にとまり盛んに木の実
を啄ばんでいる。冬の探鳥会の良い所は野鳥の姿が一番見やすいこと。スコープで見るとパリパリと食べる音が聞こえそうである。民家の近くで
はモズが良いモデルになってくれた。子どもたちが手持ちで撮影したのでご笑覧ください。モズは探鳥会の間我々を楽しませてくれた。羽根の田
んぼに出て少しばかり北西の風が強くなってきた。しかし、この程度なら穏やかな部類に入る。タヒバリやセグロセキレイが田んぼで餌をとってい
た。特にタヒバリは田んぼの土の色に同化し、気が付かずに近寄ると一斉に飛び立つ。こんなにいたのかしらと思うほど。30羽以上はいるに違
いない。山の紅葉が(黄色から茶色に変わっているが)沢山見られるのは雑木が多い証拠。萩の里山風景もなかなかのものだ。足を延ばし運動
公園で一休みする。帰り道、子どもたちは親父ギャグに興じながら萩小へと帰った。
2005
12
18
室林道ラインセンサス
平野部でも積雪がありそうなことを言っていたので、明日の室林道は無理かなと思っていたが、どうやら室林道の月3回の記録取りを途切れさす
こともなさそうだ。いかにも雪を降らせそうな雲がどんどんと北西から南東に流れて行く。林道一面に落ち葉が広がっている。その上をさくさく音を
立てて歩く。室林道のいたる所でヒヨドリが大騒ぎしている。ヒヨドリはもともと個体数も多く大声で鳴く鳥だから、室林道でも一番目立ってはいる。
しかし、今日のように賑やかになるのは珍しいことである。この寒さが影響しているのだろうか、その他の鳥が全く目立たなくなってしまった。小さ
なエナガの群れに出会った。シジュウカラの声もしたので混群かもしれない。山の斜面を小さな物が移動する。ニホンリスであった。体に比べ大き
な尾が太く感じた。
2005
12
18
室林道ラインセンサス
平野部でも積雪がありそうなことを言っていたので、明日の室林道は無理かなと思っていたが、どうやら室林道の月3回の記録取りを途切れさす
こともなさそうだ。いかにも雪を降らせそうな雲がどんどんと北西から南東に流れて行く。林道一面に落ち葉が広がっている。その上をさくさく音を
立てて歩く。室林道のいたる所でヒヨドリが大騒ぎしている。ヒヨドリはもともと個体数も多く大声で鳴く鳥だから、室林道でも一番目立ってはいる。
しかし、今日のように賑やかになるのは珍しいことである。この寒さが影響しているのだろうか、その他の鳥が全く目立たなくなってしまった。小さ
なエナガの群れに出会った。シジュウカラの声もしたので混群かもしれない。山の斜面を小さな物が移動する。ニホンリスであった。体に比べ大き
な尾が太く感じた。
西暦
月
日
メモ
2005
12
24
我家周辺
犬の散歩を兼ねて鳥の様子を見る。山陰川沿いでビンズイを6羽確認する。彼らはこの場所が気にっている様子。経験では川沿い(水があるとこ
ろ)に多いようだ。川の中にはアイガモが5羽ほどいる。彼らは田植時に除草の役目を仰せつかって飼われているのだ。畑にモズがいる。モズも
冬には欠かせない鳥だ。足が短い犬なので、疲れるのか時々止まってしまう。抱いて歩くと大人しくしている。ノスリが藪から飛びあがった。ノスリ
はそんなに珍しくはない。朝からずっと歩いていたので疲れてきた。犬を下ろして再び一緒に歩く。我家の直ぐ側に植えられているクリにエナガが
いた。数えたら成鳥が6羽。愛すべきはエナガ。
2005
12
24
羽根・長根ラインセンサス
民家の屋根には雪が残っている。太陽が時折顔を覗かせるが、頭上を足早に行く雲からは冷たい北西の風が吹き降ろす。今、羽根・長根の田ん
ぼで最も個体数が多いのはタヒバリだろう。例年カワラヒワがその栄誉を担うのに今のところ全く姿を見せないのはどういうことか。ツグミを1羽見
つけた。ただし田んぼに下り立った姿ではない。クリの樹に止まっている。やはりツグミを見るとほっとする。なんと言っても冬鳥の代表だから。ヒ
バリが飛び立つ。風が強いせいか田んぼに鳥の姿は少ない。センサスも終わり頃、驚く光景に出会う。つがいのホオアカを見つけたのだ。ホオア
カは標高の高い所で繁殖し、冬期は平地で過ごすいわゆる漂鳥である。羽根,長根でも時々越冬するが毎年見られるわけではない。今年は例
年になく雪が多いが何か影響があるのだろうか。
2005
12
24
室林道ラインセンサス
轍の跡は雪も解けているので大丈夫だろう。しかし調子に乗ってはいけない。慎重に歩き始めた。相変わらずヒヨドリの鳴き声が多い。ヒヨドリ以
外ではメジロの群れもかなりの個体数である。それ以外となると。その中でも元気の良かったのはシジュウカラのオス。ヒノキの枝を飛び渡りなが
ら餌を捕っていた。ルリビタキ,シロハラ,カケス,などは黙ったまま茂みの中で採餌。やっとのことで姿を確認する。昨年の室林道にはヒガラが溢
れていた。今年もと期待は大きいが今のところ気配はなさそうだ。
2005
12
25
一宮金沢大池
冬期の金沢大池は野鳥の宝庫である。大池を中心にして里山風景が広がり、雑木林、カキ畑、竹林など変化に富んだ植生がパッチ状にある。池
の一部は凍結していた。縁の茂みには、ウグイス,アオジ,メジロが潜んでいる。メジロは目の前で採餌。ここでもヒヨドリの個体数は多い。盛んに
池を横切っている。ツグミが1羽だけ梢にとまっている。センサスの間で確認できたのはこれ1羽であった。池を背にカキ畑に向かう。ホオジロの
地鳴きが忙しくなりついに囀りだした。この冬初めての囀り確認の瞬間である。大きなサクラを横に見て里山の道を進む。雑木林,竹林,カキ畑の
順に風景が変わり飽きることがない。小高い位置にあるので視界が広がり気持ちが良い。など、素晴らしい道である。従って、ここには、オリエン
テーリングのコースも設けられている。再びカキ畑に折れる。そこで、今日2羽目の囀りを聞く。ルリビタキ(オスの若鳥)であった。こちらもまだま
だ本当の囀りとは言えない。直ぐに3羽目の囀り。ヤマガラであった。こちらは無難にこなしている。もっとも、ホオジロやルリビタキに比べるとヤマ
ガラの囀りは簡単そうではある。農家の人がカキの木の剪定をしていた。「畑の中を通して頂きます」と大声で挨拶。3度目に大きな声が返って来
た。「はいどうぞどうぞ」センサスの間で随分沢山の鳥を見た。地元の室林道とは単純に比較はできないが、優るとも劣らない個体数である。
2005
12
30
室林道ラインセンサス
室林道の気温は6.4度。それほど寒くはないが、それでも日の当たる所にできるだけ長く留まりたいと正直思う。スタートの地点でエナガの群れ
が道路を横切る様を見た。エナガの群れに出会えると気持ちが和む。さらに大きな群れに会いたいものだ。その願いは直ぐに叶えられた。20羽
以上の個体数だろうか。直ぐ目の前の枝先で獲物を探している。そこへ、メジロの群れも加わり、蜂の巣を突ついたようになってしまった。センサ
スの間に10羽以上の群れをあと2つ確認したが、これが同じ群れなのかが難しい。エナガの群れは移動して採餌する。同じ群れに出会う可能性
は多いにあるわけだ。迷う最たるのはジョウビタキとルリビタキの地鳴きである。今日も4個体の地鳴きを聞いた。はたしてどちらなのか。
西暦
月
日
メモ
2005
12
31
長配
ルナを散歩に連れて行く。朝方物凄い風が吹いていたが、散歩の間も野鳥の声をかき消す勢いで吹きぬける風に苦労した。我家は長配という
23戸あまりの部落にある。思えば、1992年の晩秋、初めての野鳥観察は我家から家から2km足らずの観音山(411m)までのラインセンサス
であった。同じコースを今年最後に歩くのも何かの縁だ。風が災いして野鳥の姿は少ない。山陰川の葦からアオジが飛び去った。同じくホオジロ
は近くの木の小枝にとまって姿を見せてくれる。オスの成鳥である。川底にいたアオサギが我々の気配に気付いて飛びあがるが、ほんの50mく
らい飛んでから下り立つ。どうやらまだ辺に用事がある様子。県道を横切り観音山への道に進む。観音山への道は2本あって、往路は古い道に
した。この道は、我家がまだ薪を燃料にしていた頃、一家でリヤカーを引いて薪を採りに出かけた道である。私が小学校の頃の話しだ。その後リ
ヤカーが耕運機に換わり随分と楽になった。坂道をタイヤが滑りながら登っていった。勿論同じ坂道が今でもある。その辺りは雑木林になってい
て、道には厚い絨毯のようにクヌギやナラの葉が積もっていた。ルナを放し休憩する。風も遮られ日溜りの心地よい場所に私もルナもすっかり満
足した。何時の間にかあぐらの中に入り私の顔をなめる。棄てられたのか逃げたのか知らないが、彼女にとっては大変な年になってしまったこと
になる。観音山の麓でUターンし家に戻る。復路は比較的新しい。耕地整理で今まで田んぼであった所に新しくできた道である。観音山水系を集
めた流れも一緒に変えられた。セグロセキレイが4羽で行動をしている。縄張り争いなのか。田おこしが始まるとそこは餌の宝庫となる。ミミズなど
が地表に掘り返されるからだ。その時には争って餌をあさる鳥の姿を見ることができる。再び山陰川沿いの道にもどった。電線が川にそって引か
れていて、その上に20羽くらいのスズメが止まっていた。スズメの行動を観察するのはなかなか面白い。1羽が飛び足すと我先にと他の鳥も後に
続く。1羽が電線に戻ると他の鳥たちも追従する。室林道ではエナガやメジロが群れで生活している。(ペアを作る繁殖時期を除いて)鳥たちの群
れ行動は興味深い。我家の近くでアオサギを見る。羽の色からして成鳥ではなさそうだ。やはり川底にいたのが舞いあがり10mくらい離れた土
手に下りる。片足を羽の中に入れ休憩の体勢に入った。今日は風が強いので少しでも体温を逃がさないようにしているのだ。(足と嘴には羽が生
えていないので体温が逃げてしまう)
2006
1
1
室林道ラインセンサス
元旦、今年の野鳥観察始めはやはり室林道にした。朝方は雲がたちこめ初日の出はむろん拝めなかった。その分、風の無い穏やかな日で、少し
ずつ雲が切れやがて青空が広がった後もほとんど無風状態で、正月晴れのなんとも気持ちの良い一日となった。正午過ぎてからのセンサスにも
かかわらずかなりの鳥を見ることが出来幸先良い。ヒヨドリやメジロは相変わらず活発であるが、シジュウカラが特に目だった。オスの一部には囀
り個体もいる。谷間から聞こえるのはミソサザイの地鳴き。センサス中に2個体確認する。シロハラ,ジョウビタキ,ルリビタキなどのツグミ科の鳥
たちもよく鳴く。日の当たらない特に寒い所では手袋をした。しかしほとんど手袋は不必要であった。12月29日のセンサスよりも5度以上は暖か
い。
2006
1
2
作手(つくで)から音羽まで
今年から新城市となった旧作手村。名前は変わっても自然豊かな高原であることには変わりない。これからも私の大切なフィールドであり続ける
ことだろう。年末の雪があちこちに残っている。4輪駆動でスタッドレスタイヤを履いているからこそここへやってくる気にもなる。主だった道路は雪
も融けていて心配はなかった。菅沼から三河湖へ向かう道はゆっくり進む。民家付近でムクドリの群れに出会う。林の中を進む道路でミソサザイ
の地鳴きを聞いた。ルリビタキもいるようだ。そしていよいよ寺ノ入林道の入り口に着いた。車が通った跡があるので、途中で引き返すつもりで先
に進む。やはり雪が残っていてざくざく音を立て坂を登る。駆動力の伝わっている登り坂は大丈夫。しかし問題は下り。下れそうか?、確認しなが
ら進む。やはり雪は深くなり引き返すことにする。細心の注意をはらい林道の入り口に戻った。雪道は無理できない。たとえ歩いても転ぶ心配が
ある。作手から千万町(ぜまんじょう)に下りる。千万町小学校の脇に車を止めて周辺の鳥を観察。カケス,ハシブトガラス,ヒヨドリの声がする。あ
たりは全て雪景色である。川沿いに歩いてみた。すると土手に生えている木に10羽ほどのカシラダカを確認。雪とカシラダカのお腹の白い色がよ
く調和しているように思えた。そして音羽町に戻ってきた。境を接する額田町も岡崎市になる。境にある峠の名は萩坂峠。そこを起点に「観音山林
道」が伸びている。昨年の冬にマヒワやカヤクグリを確認していたので、今日はどうかしらと寄ってみる。標高は室林道よりも高い。植相は人工針
葉樹林が中心でやや単純ではあるが、マヒワなどが好むヤシャブシの木が多いので面白い所だ。昨年の萩小学校親子探鳥会のコースでもある
。上空を7,8羽のトビが円を描いていた。その前にノスリの姿もあった。林道の両側からはアオジ、ジョウビタキの地鳴き、林の梢にはヒヨドリとカ
ケスの姿もある。一番はビンズイだ。ヒノキの植林が続くところで数羽の黒っぽい小鳥が林床から枝に飛びあがるのを見つける。経験からなにか
面白い鳥だなと直感。止まった先を注視する。こんな時はやたらに双眼鏡でさがしても無駄なことが多い。視野が狭くなるからだ。それよりも肉眼
で広く探し(鳥が動くまで待つ)止まった先に双眼鏡を向けるのがコツである。そうして見つけたのがビンズイの姿であった。薄暗い中にはっきりと
確認することができた。なるほど、ここなら姿を隠すのが容易だ。正午を過ぎて雲が切れだした。日が照り始め辺りの景色もパッと明るくなった。
西暦
月
日
メモ
2006
1
4
室林道ラインセンサス
元旦の続いての室林道センサスである。山口さんからツグミが沢山いるようだ(室林道とは言っていなかったが)、との情報を得た。自分はツグミ
の個体数が少ない印象を持っているので、室林道にもいるのか確認したいと思っていた。例年年が明けたことからツグミの姿をよく見掛けるよう
になる。もう少し先かなとも思えるのであるが。雪雲が流れる寒い日である。ただし室林道は位置的には山の南斜面にあるので北西の風をまとも
に受けない。体感温度はそれほどでもない。むしろ風の通る田んぼの方が冬場はきつい。ヒヨドリの個体数が多いのは相変わらずである。それで
も、林道全ての場所で均等に多いわけではなさそうだ。一番は常緑照葉樹が多く生えている所だ。シイなどが林を作っている場所に多い。反対に
未だ若いヒノキの植林地は少ない。室林道はヒノキやスギの植林が多いが常緑照葉樹もバッチ状に残ってはいる。(それでも毎年少しずつヒノキ
に植え替えられている)照葉樹林は、雨風を避けたり採餌したり、ヒヨドリの生活にとって好都合なのかもしれない。スギ,ヒノキ林でも年数が経っ
て樹木が大きくなると照葉樹林の代わりになるのかもしれない。結構色々な野鳥がいるからだ。メジロもヒヨドリと同じような所を好む。平地でもカ
キなどの果実を奪い姿はお馴染みであるが、山地でも、木の実をめぐっての争いが繰り広げられているのだろう。両者の個体数は室林道におけ
る双璧である。暫らくはヒヨドリばかりであった。もしかしてこのまま終点までいってしまうのかと思われた。残り3分の1の地点で混群に会えて救
われた。最初にシジュウカラがやってきて(中には囀り個体もいた)本体のエナガが加わる、エナガとほぼ同数のメジロもいた。総数で50羽以上
はいた。混群は①採餌の効率を上げる,②捕食者への警戒に有利,などの自然選択の結果だと思うが、バードウオッチングをやっていて最もワ
クワクする光景の一つであろう。少しずつ囀りをする個体が現れている。今日もシジュウカラ,ヤマガラの囀りを聞くことができた。
2006
1
5
観音山林道
観音山林道を歩いた。室林道よりも新しい道で、標高の高い中間部分の植生はヒノキの若木が大部分である。両端が低くなっていてそこはスギ,
ヒノキ,マツ,などが生えている。土留めとしてヤシャブシが植えられているのは室林道に似る。室林道は照葉樹や落葉樹もあって樹相は豊かな
のに対し観音山はスギ,ヒノキで占められる。それでも標高の低い両端では様々な野鳥を観察できる。今日も、ヒヨドリ,メジロ,ヤマガラ,ウグイ
スなどがいた。観音山の北の部分では雪が残り、涌き水の氷柱が出来るほど冷え込む。そんな厳しい場所にも鳥はいる。カシラダカ,ホオジロ,
ジョウビタキの姿を確認した。林道からの眺めもなかなかのものだ。音羽町の街はもちろん、三河湾,渥美半島,遠くは伊勢の山々まで見渡せた
。センサスの途中から雲が切れすっきりと晴れ渡った。その代わりに風も強く吹くようになった。ぼうしを飛ばされないよう何度もかぶりなおす。そ
れでも1度飛ばされてしまう。幸いに少しだけ谷を下った所で引っ掛ったので助かった。
2006
1
5
我家周辺
山陰川沿いの道を犬と散歩していたら、突然、つがいのアオゲラが正面に見えるヒノキに跳び込んで来た。そう言えば何日か前にアオゲラの囀り
を聞いた。猛禽類やカラスなどは小鳥よりも繁殖が早いと聞いたことある。アオゲラもそうなんだろうか。田んぼではセグロセキレイが2羽で餌を捕
っている。その上にある電線にも6羽のムクドリがいた。毎年この時期にはカワラヒワが群れをつくるのであるが、この冬は今のところ全く見ること
がない。
2006
1
8
羽根・長根の田んぼラインセンサス
よく晴れた穏やかな日であった。田んぼを吹きぬける北西の風もそれほどでなく野鳥観察日和だ。車を止めて車外に出た途端ヒバリの囀りを聞く
。こちらを警戒しての囀りかもしれない。囀りといえば、山では、シジュウカラやヤマガラの初囀りを既に聞いている。そうなると、ヒバリにとっても
繁殖への足がかりとして囀り行動をしているのかもしれない。長根川ではハクセキレイ,セグロセキレイが採餌している。所々で氷が川面に浮か
んでいるのでさぞかし冷たいだろうに。田んぼでまとまっているのはスズメとタヒバリである。タヒバリはセグロやハクセキレイのように体色に白い
部分がないので田んぼにいても気付き難い。足とが聞こえるとさっと飛び立つので、ああ、こんなに沢山いたのかと驚いてしまう。それにしても群
れの常連であるカワラヒワの姿が見当たらないのはどうしたことか。
2006
1
8
新堤池
最初に見たのはカシラダカ。池の周辺には大きな木々があって野鳥たちの格好の棲みかとなっている。カシラダカはそのような所にいる。池に下
り観察する。まず目に入るのは緑色の顔が見事なマガモ。オス,メスともいる。池の奥にいるのはコガモ,カルガモたちである。そして目当てのオ
シドリは、数羽の塊となって木の下に隠れるようにしている。こちらもオス,メスともにいる。個体数は正確には分らないが、30羽はいるだろう。銀
杏羽も立派になっていてオスたちの準備は万端である。メスはどのオスと番うのかしっかり選択するのだろう。
西暦
月
日
メモ
2006
1
14
土曜探鳥会 財賀寺
年始めの探鳥会を財賀寺に決めてもう6~7年になる。平尾町から豊川自然遊歩道を通って財賀寺に至る。ところが今年はコースを変えて行なっ
た。時ならぬ春の雨になってしまったからだ。雨が降るのは保証付きの朝、出発予定の30分前に萩小学校にいた。予定通り小雨が降っている。
少し待って帰ろうと車の中でシートを寝かせてFMラジオを聞いている。うとうとしていたら窓をこつこつ叩く音が聞こえる。子どもたちが来ていた。6
名の子どもが集まてくれた。こうなったら傘を差してでもやらねばなるまい。コースを一般道に変えて財賀寺に向かうことにした。平尾から2kmで
財賀寺に着く。静かな通りを進むと小高い位置に大きなサクラが見える。根元には力壽姫の碑がある。財賀寺の門前の民家でジョウビタキのオ
スを見た。そう言えば私の家の近くにも毎年ジョウビタキがやって来るのにこの冬はまだ姿を見ていない。仁王門で早い昼食。(まだ11時にもなっ
ていないのであるが、随分歩いた気分で子どもたちは腹ペコであった)仁王門は屋根が広く濡れることはない。仁王さんは保護ネットでよく見えな
かった。周辺には年代を経たスギやヒノキがそそり立つ。その枝にエナガがやって来て採餌。10羽以上はいるだろうか。隣には射的場がある。(
的場がもう無くなってはいるが)その付近でチョンチョンとミソサザイが鳴いた。暫らくは食べたり飲んだり。中腹にある文殊堂にお参りし、ちょうど
展示中の財賀時にいる野生動物の写真を見させていただく。ニホンジカ,イノシシ,テン,イタチ,ハクビシン,ノウサギ,ムササビの夜の生態が生
き生きと写っていたのには感心させられた。書,俳賀,写真,はては動くおもちゃまで、庫裏一杯に展示されていた。山を越えるショットカットにする
か元の道を引き返すか子どもたちに聞いたところ、ためらわず山道を選んだ。一行は山賊になった気分で萩への山道を上りそして下りた。靴の中
が水浸しになったのはいうまでもない。けれどもケガもなく無事に行って来れた。途中私の家に寄って体を温めた。(最初驚いた様子であった奥さ
んは汚れた靴下を洗ってくれた。ありがとう。)
2006
1
15
室林道ラインセンサス
再び冬型の気圧に戻ったようである。室林道の上空は北西の風が吹きぬけている。風の強さは高圧送電線の唸り音となってあらわれる。ミソサ
ザイが早速鳴く。財賀寺や私の家の裏山にもミソサザイがいたが、寒さと共に移動しているのかもしれない。エナガの群れに2回出会う。エナガに
出会うと何時も活発な姿に勇気つけられる思いがする。シジュウカラの囀りを2ヶ所で聞いた。ウグイスも日によって鳴き方に随分バラツキがある
ようだ。今日は今までの寒さに比べたら暖かい部類に入ろう。そんな日は活発になるのかもしれない。今までの秋から冬にかけての様子と違いカ
ワラヒワの姿が非常に少ないと感じる。それは羽根・長根の田んぼにおいても同じである。一体どうしたというのか。マヒワ,ウソ,ヒガラについて
は毎年飛来するとは限らないといえるが、カワラヒワは地元の鳥である。前者の3種がいなくてもカワラヒワがいない年は無かった。今でも全くい
ないということではないが極めて少数である。
2006
1
21
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
2週続いての雨の探鳥会はご免こうむりたいとの願いがかなったようだ。4名の子どもと共に羽根・長根の田んぼに向かう。牧野さんは風邪を引
いてしまったようだ。木々が密集した所にはかなりのヒヨドリがいた。まるで室林道で大騒ぎするヒヨドリを見ているかのようだ。ヒヨドリも真冬には
山を下りるようだ。そのような光景を何度も見ている。特に雪の積もった日に平地で群れるヒヨドリを見て驚いた記憶がある。始めの挨拶でツグミ
とカワラヒワに注目していると子どもたちに話をした。両者ともこの冬姿を見ることが極めて稀なためである。その一角ツグミは羽根の田んぼでは
なくて川原のカキ畑にいた。探鳥会の帰り道に一瞬鳴き声が聞こえたので、目を凝らしようやく探し当てたのだった。3羽まで確認できたがもう少
しはいるだろう。カワラヒワが全く見当たらないのは不思議だ。羽根の田んぼでは10羽ほどのハクセキレイの群れがいた。羽根の田んぼは大変
冷えた。林のヒヨドリとは対照的に静かな様子であった。唯一賑やかだったのが先のハクセキレイであった。萩小が目前に見える民家の生垣の
中に2羽のアオジを見つけた。お腹の黄色いメスであった。最後に萩っ子の森に寄った。ここでもヒヨドリが群れている。暫らく遊んで探鳥会を終え
た。
2006
1
28
室林道ラインセンサス
音羽町の北に聳える300-400m級の山々の南斜面の一角に室林道がある。北東の風は山に遮られて、200mほどの中腹にある林道付近は
冬でも温かい。もっとも、日の当たる箇所というのが条件ではあるが。林道が南北に走る場所では底冷えがして涌き水が凍ることは珍しくない。今
日も直径4cmほどに育った氷柱が見られた。一時賑わっていたヒヨドリの声はかなりおさまっていた。その代わりにシジュウカラやヤマガラの囀り
が聞かれ、真冬にも関わらず春の雰囲気を楽しむことができた。ホオジロの囀り個体も現れ、いよいよ繁殖準備の季節到来といったところか。ウ
グイスやルリビタキも確認できたが確認個体はそれぞれ1羽で少ない。その他、アオジやカシラダカなど普通に見られる鳥があまりいないことも注
目される。林道の上を走る高圧線が震え超低音を奏でている。雑木の枝先が青空に融け込む。真冬の室林道を満喫した。
西暦
月
日
メモ
2006
1
29
羽根・長根の田んぼ
朝から夕方まで暖かい穏やかな日で、布団を干したり、掃除をしたり、体をしっかり動かした。羽根の田んぼも春先のような光に包まれていた。昨
日の強い風がうそのようだ。トラクターで田起こしをしている側にはセキレイたちが餌探しで忙しい。セグロセキレイ,ハクセキレイ,タヒバリがその
メンバーだ。モズが尾羽を回している。繁殖時期を控えてオスたちは囀り(他の鳥たちの鳴き真似をよくする)の練習に余念が無い。ちなみに今日
聞いた物真似にはキビタキの節回しが使われていた。タヒバリの群れに対抗する筈のカワラヒワやカシラダカの群れ。今日も姿を見ることは無か
った。
2006
1
29
自宅周辺の野鳥
犬の散歩と鳥の観察を同時にやってしまおうと思う。フィールドノートと双眼鏡。双眼鏡は片手で操作するので小型でないとまずい。8×25はそん
な用途にもってこいだ。まず裏山に行く。シイなどの常緑照葉樹とスギ,ヒノキの混成林である。エナガの群れがいる。同じ方向からシジュウカラ
の地鳴きも聞こえる。混群か?しばらくしてシジュウカラの囀りが聞こえはじめた。室林道でもシジュウカラの囀り個体がいた。ヒヨドリの声がした
が騒がしい感じはしない。ヒノキの梢でホオジロが囀りはじめた。太陽がどんどん赤道に近づいている。オスたちは繁殖に備えて囀りを始める。
2006
2
4
土曜探鳥会 室林道ラインセンサス
既に、牧野さんが新車のプリウスで萩小に来ていた。前々から、今度車を買い換える時にはプリウスと言ってみえた。学校での気温が氷点下とは
、春先のような陽気から一変した。それでも3人の子どもたちが集まってくれた。総勢5名なので、私の車で室林道入り口まで行き、私がいつも行
なっているとおりにラインセンサスをすることにした。風が当たらないのでまだ助かるが、底冷えがして顔が痛いほどだ。最初に現われたのがルリ
ビタキ(もしくはジョウビタキ)。谷側からはアオジの地鳴きが聞こえる。代表的なアオジではあるが、今まではあまり確認することが無かった。ハシ
ブトガラスの明るい声も真っ青な空に融けこむようで好ましく感じられた。暫らくはヒヨドリの姿や声が続く。涌き水は氷柱になり輝いていた。子ども
たちは大喜びで手折っている。空気の入っていない氷は透明で緻密で宝石のようだ。センサスの帰り道この氷をサッカーボール代わりに蹴って帰
ったところ、2kmほどをほとんど大きさを変えずにスタート地点まで戻った。ヤシャブシの木に10羽ほどの鳥がとまっていた。マヒワかと思ったが、
正体はカワラヒワの方であった。カワラヒワも室林道で見るのは久しぶりのことで、透ける羽を羽ばたかせ飛び去る姿が懐かしく思えた。センサス
の最終地点手前が室林道でも一番寒い所である。震えながらそこを通過したいるとシジュウカラのツツピー,ツツピーと囀る声が聞こえた。始め
の会で囀りについて話したので私としてはほっとする。折り返しては日溜りとなっていて、腰を下ろしてお菓子を楽しむ。帰り道に印象的な光景を
見た。ホオジロがススキの穂をしごく様にして食べていた。私たちのすぐ前5mほどの所にいる。ホオジロの性質を考えるとこんなに近くにいて逃
げ出さないのは不思議な気がする。ひたすらススキの穂を(中にある実を)食べている。食べ物が不足しているのだろうか。生きていくために懸命
な姿を見たような気がする。子どもたちもそのことを分ってくれたようである。
2006
2
5
駒場池
先週、山口さんが山陰川にトモエガモを見ている。豊川上流の寒狭川でもいるとのこと。ではということで、駒場池に行ってみた。予想は大当たり
であった。マガモが大多数を占める中に、カルガモ,オナナガモ,久しく駒場池では見なかったオシドリ(20羽以上),そして他のカモよりも一回り
小型のトモエガモ。2羽のオスは難なく確認できた。1羽だけメスがいたようであるが確信はない。午後に入って北西の風が強くなった。駒場池も
猛烈な風で波立っていた。帽子を飛ばされまいと手で抑える。池の上に聳える樹木で風に抗している鳥がいた。目視では真っ白く見えるミサゴで
あった。
2006
2
5
我家周辺
山陰川で2種類の印象的な鳥を観察した。ひとつはカワセミ。オスのカワセミである。早春の明け方寝床からも度々、カワセミのつがいが鳴き交
わす声を聞くことがある。カワセミは土曜探鳥会でも人気の鳥なので、いつまでも居て欲しいと思う。もう一つはシギである。シギと言ってはいけな
いのであるが私にとっては同定の困難な鳥の仲間である。比較的背中が濃く、腰が白、腹部も白が目立つヒヨドリ大の鳥。そこまで確認してから
図鑑で探すことにする。私の冬場のシギの記憶としてはクサシギが一番印象的。クサシギならば私が見た記憶に合致するみたいだ。このクサシ
ギ(としておこう)、実は何度も姿を見せていたのだ。さらに川沿いに歩いて行くと、土手から飛び上り電線に止まったのはビンズイ。越冬している
ビンズイの姿を見ると、彼らは水辺を好むようだ。尤も、どんな鳥も水は大切(大事な羽の手入れに水浴びは欠かせない)である。ビンズイの直ぐ
側にいたのはアオジ。ホオジロやアオジは河川敷きの葦,ススキ、潅木に多い。アオジはまだまだ蕾の堅いウメの木にいた。日本産の種らしく腹
部の黄色が鮮やかである。ビンズイ,アオジは共通点がある。亜高山で繁殖し平地で越冬するサイクルを持つ。私のフィールドの一つ、長野県最
南部にある蛇峠山,高嶺で素晴らしい囀りを聞くのが初夏の楽しみである。
西暦
月
日
メモ
2006
2
11
林道ラインセンサス
風も無く暖かい。シジュウカラの囀りを聞きながらセンサスをしていたらガサガサと音が聞こえた。一瞬どきりとする。すると1頭のシカが20mほど
の真近にいて、私を見つけるなり走り去り、木陰に隠れてしまった。咄嗟にカメラのシャッターを切ったがちゃんと写っているのか疑わしい。センサ
スを続けようと歩き出した途端、木陰から先のシカが飛び出し、林道を横切って、崖を駆け上がる様子である。少し苦労をしていたけれども難なく
登っていってしまった。個体数は少ないもののカワラヒワを確認できほっとする。ウグイス,シロハラ,カシラダカ,アオジなど林床の野鳥も確認す
る。その中に、囀りに兆戦しているウグイスの2個体もいた。囀りとしては稚拙でぐぜりともとれる程度であったが。ともかくウグイスの初囀りとして
記録に残すことにする。
2006
2
17
豊田市前田町
出勤前に前田町の田んぼ周辺を歩くとことにして8ヶ月経つ。すぐに、市街地にも関わらず野鳥が多いことに驚いた。6月だったのでいろんな鳥た
ちがここで繁殖していた。中でもオオヨシキリの縄張りを守る姿に心引かれたものである。最も寒い時期を少し過ぎたであろう今、再び春の繁殖に
備えて準備が始まっている。木々の間でシジュウカラやカワラヒワの囀りが聞かれる。田んぼではケリが大きな声で鳴き始めた。日の出前の静か
な時間に野鳥たちの歌やつぶやきを聞くことができるのは、何て贅沢なことだろう。
2006
2
18
我家周辺
休みの日のルナとの散歩が野鳥観察の時間となった。今日は新しいコースを歩いてみた。そこで出会ったのがイソヒヨドリである。毎年この季節
にから暫らく顔を合わせる野鳥となった。屋根瓦の上に、強くなった日の光に輝く青と茶色の美しい姿を見つけた。イソヒヨドリは名前のとおり海岸
に多い。ただし、ヒヨドリとは別のツグミ科の鳥である。繁殖期を目前にして頻繁に目撃されるのでこの地で繁殖しているに違いない。
2006
2
18
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
6名の子どもたちが参加して厳冬期最後の探鳥会を行なった。子どもたちの中には半ズボンの子もいて見ている方が寒くなってきそうだ。萩小学
校から暫らくは風も弱く暖かであったが、羽根の田んぼに入った途端北西の風が吹き抜け体感温度は瞬く間に下がった。これには北西の風を遮
ってくれる山の存在が大きい。学校付近ではムクドリたちがいた。ムクドリは大群をつくることで有名であるが、萩ではそれほど多くない。それでも
日が長くなると共に活発な鳴き声を聞くようになってきた。羽根の田んぼは冷たい風が吹き抜けていて正直鳥どころではない状態であった。そん
な中でツグミの声を聞いたのは幸いであった。民家に接したカキの木に止まり盛んに果実を啄ばむ姿があった。一斉に飛び立つシーンもあってカ
ウントして見た所20羽は下らない。この冬では一番まとまった個体数の群れである。探鳥会を始める前にツグミが大変少ないことを子供たちに話
した。今日はどうだろうか確認しようとも。結果は先の通りである。まさに自然観察の醍醐味を味わった訳だ。休憩を取る場所もままならないほど
風が冷たい。止む得ず民家の軒先で風を避け、お茶とお菓子で暖を取った。帰りは寒い羽根の田んぼから暖かな萩小学校に向かうことになる。
自然と足取りもゆったりとなる。神社の鳥居に石を載せたり、学校の校庭で暫らく遊んだりして探鳥会を終えた。
2006
2
25
自宅周辺
ムクドリとツグミの鳴き声が聞こえる。私は布団の中で聞いている。ルナを連れて山陰川沿いの道を歩く。メタセコイアの枝にはムクドリとツグミが
、鎮守のヒノキの中からはヒヨドリの群れが、暖かい日の光を楽しむかのように鳴き交わしていた。川床にはガアガアとのんびりとした声を上げる
アイガモの姿がある。紅白のウメが咲きマンサクの黄色いリボンが光に透ける。カシラダカが草の藪で鳴く。この鳥は春先になると美しく変身する
。トレードマークの冠羽や顔の隈取りが真っ黒くなるのだ。冬を越し命ながらえた者が希望の旅へと向かう前の姿を見ていると言えよう。このカシ
ラダカ、室林道でも羽根・長根の田んぼでもその姿を確認することができる。私の家よりも上流にあたる大林地区には、ここを縄張りと決めたらし
いイソヒヨドリのオス(成鳥)がいる。棟瓦にちょこんと留ってじっとしたままである。一度その囀りを聞いてみたいものだ。(残念ながら今日は口を
つぐんだままであった)
西暦
月
日
メモ
2006
2
25
室林道ラインセンサス
今日のセンサスから録音機を持つことにした。既に囀りを開始したホオジロ,シジュウカラ,ヤマガラ。ぐぜりを聞いたウグイス。今日の室林道で
はさらに多くの囀り個体に出会えると思った。出発時間は遅かったものの野鳥たちは活発だった。ウグイスはすっかり自信を持った囀りを聞かせ
ている。ホオジロがソングポストで囀る。嬉しいことに2個体のミソサザイにも出会えた。晩春のような暖かさに気を良くした私は、録音機のバッグ
の中に2枚のMDを入れていた。1枚は3大テナー、もう1枚はヨハン.シュトラウス。パバロッティのトゥーランロッドが入っている。荒川選手のテレ
ビを見た後のせいか。シュトラウスの春の声も聞きたかった。そしてセンサスの折り返しで空を見ながらMDを聞いた。目を瞑ると視界がオレンジ
色一色になった。
2006
3
4
室林道ラインセンサス
春の陽気に気持ちの良い観察ができた。室林道から南の方面に豊橋市街が一望できる。明るい光に街並みや豊橋港の海が輝いて見える。いよ
いよ繁殖の時期が迫っている。ヤマガラが2羽追いつ追われつの行動をしている。直ぐ側にも別の個体がいてどのような関係になるのか興味深
い。シジュウカラの囀り個体もかなりいた。この冬、萩小の6年生たちが室林道に巣箱を掛けた。シジュウカラが入ってくれると嬉しい。個体数が少
ないので気になっているカワラヒワの囀りも1個体だけではあるが聞かれた。冬鳥のルリビタキやカシラダカも暫らくはいるだろう。ヤブツバキの
蕾が赤く染まっていた。時折、虫たちが飛んで行く。春は直ぐそこまで来ている。
2006
3
11
土曜探鳥会 県民の森 6年生を送る会
平成16年度最後の探鳥会。恒例の「6年生を送る会」を愛知県民の森で行なった。参加者は子ども11人、おとな6人と比較的大所帯となった。
天気予報どおり初夏のような暖かさ、なによりのご馳走である。1昨年には霙混じりの雨に降られ、昨年もそこそこ寒かった事を思えば天国のよう
な日である。道中は霧が立ち込め幻想的な風景であったが、森に到着した頃にはすっきりと青空が広がっていた。駐車場に下りた途端ジョウビタ
キかルリビタキの声が聞こえる。ヒヨドリが林の中で動き回る。荷物を預ける時若い女性から利用について説明を受ける。お洒落をして街を歩くの
が好きな娘をいれば、このように、キャンプ場でいきいきとしている娘もいる。(今日、ボランティアの若者が多数働いていた)ヒノキ林でヤマガラを
観察。声はすれども姿が見えない。みんな真剣に姿を探した。森の中を流れる大津谷川は透明感に溢れ、ある所ではエメラルド色、また、ある所
ではアクアマリン色になる。ヤマガラが囀っている。今日はヤマガラの姿が目立つ。ウグイスも3個体ほど囀りをしていた。繁殖を間近に控えオス
たちの奮闘が始まる。11時頃まで探鳥会をやり昼食の準備にかかる。ヤキソバを作ることにした。好い匂いがすると子どもたちは待ちきれない様
子。一緒に来ていただいた保護者の方のお陰で腹いっぱいになるほど食べた。最後に6年生を送る会をやる。4人がそれぞれ後輩に託す言葉を
贈る。ちょっぴりしんみりさせる場面ではある。帰りのバスでも子どもたちは元気一杯。それにひきかえ大人は。うつらうつらするうちに萩公民館に
到着した。上天気がなによりの探鳥会であった。
2006
3
18
室林道ラインセンサス
探鳥会の始まる前に室林道をセンサスする。可哀想ではあるがルナの朝の散歩はお預けだ。林道の入り口でカワラヒワの囀りを聞いた。この冬
、カワラヒワの個体数が例年になく少なかった。そのせいか少しでも声を聞くとほっとする。ヤマガラ,シジュウカラ,ウグイスの囀りが室林道のあ
ちこちから聞こえる。ソメイヨシノの枝に止まっていたヤマガラが求愛のような行動を見せた。パリパリと枝の折れる音がし、ニホンザルの吠える声
が聞こえる。野鳥とは違ってあまり気持ちのいいものではない。崖にショウジョウバカマが咲いてるのを見つけた。ツバキと共に室林道の春の先
駆けの花である。そこには水溜りができていて、もう少しすると、産み落とされたヒキガエルの卵がところてんのようになっているのを見ることがで
きる。残念ながらまだ少し早いようだ。空を見れば黒い雲が広がって行く。これから探鳥会がある。せめて午前中は降らないで欲しい。
西暦
月
日
メモ
2006
3
18
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
先週の県民の森に続いての探鳥会になる。2005年度の最後、そして、6年生の子にとっては、萩小学校での最後の探鳥会になる。6年生の4人
を含む7名の子どもたちと、大人2名が参加した。少々天気が気になるがお陰で風は無い。こういった天候の方が野鳥の姿が多いのは何度も経
験済である。校庭からはイカルの澄んだ囀りが聞かれ幸先よい。山陰川でキセキレイが捕食するのを見た。コンクリートブロックをさかんによじ登
っていた。どう見つけたのか嘴にはかなり大きめの獲物が咥えられていた。ヒルのようにも見える。ごくりと飲み込んでしまった。春先になってよう
やく、ツグミやカワラヒワの姿をよく見かけるようになった。今日も、カキの木やクリの木にツグミがとまっているのを望遠鏡で眺める。同じ場所でカ
シラダカの群を観察。彼らはやがて繁殖地へ向かって北上する。羽根の田んぼではハクセキレイ,セグロセキレイ,タヒバリなどのセキレイの仲
間が採餌中。春を感じさせる出来事が3つあった。ヒバリのディスプレイ,イワツバメの飛来,そしてコチドリである。ツグミがクリの木で騒げば、そ
れにつられるようにヒバリが鳴きながらどんどんと登って行く。すると今度は一番喧しいケリが黙ってはいない。どうやら求愛中を御邪魔したようだ
。小鳥たちが恋に夢中な時に魔の手が伸びる。今日もオオタカとチョウゲンボウが早い羽ばたきで山の端に消えてゆくのを見た。誰かの帽子が
田んぼに落ちた。拾いに入ったが柔らかくて靴が泥だらけになる。それを見ていた子の靴も泥だらけ。結局、5人(男の子)全員泥だらけになる。
女の子はそんな事には無関心。男の子って馬鹿ね、と言いたげな顔であった。
2006
3
25
我家周辺
今日は一生忘れられない日となる。長女、梨絵の嫁ぐ日である。いつものとおりルナと散歩をしながら野鳥の観察を行なった。繁殖地に戻る前の
ツグミは名前のように口を噤んではいない。大いにお喋りを楽しんでいる。近くの山からはウグイスの囀り。無風の暖かい春の日となった。久々に
アオジが潅木で鳴く姿を見た。綺麗なオスだった。ルナと山陰川沿いの道を進んで行く。アオサギが大きな翼を輝かせて飛び去る。今日の、娘の
親元を飛び去る姿と重なり複雑な気持ちになった。
2006
4
2
室林道ラインセンサス
朝からしとしと雨が降っている。かさをさして室林道をセンサスすることにした。雨が野鳥たちの行動に影響を与えるのか知るのも悪くない。ウグイ
スが霧の山肌から響いてくる。晴れた日のウグイスとは一味違って聞こえる。(無論、今日の方が素晴らしい)冬とは違って群れではんなかったが
エナガも多かった。そして、アオジ、クロジ、カシラダカなどの冬鳥たちも。林道にはソメイヨシノが植えられていてちらほらと咲きだした。この冬はこ
のサクラの新芽を食する鳥がいなかった。昨年はこのウソが多数飛来し、あらかた食べられてしまった。ヒヨドリたち蜜を好物にしている野鳥や昆
虫たちにとっては嬉しい春となりそうだ。もちろん一番嬉しいのはサクラであるが。このように互いに影響しあっているのだ。4月に入ると萩地区の
各神社で春祭りが始まる。神事を告げる号砲が響いた。それに合わせるかのように天井から春雷。稲妻のおまけ付きである。
2006
4
8
室林道ラインセンサス
春の祭礼で氏神さまへ幟を立てに行く。30分ほどして立った幟の上をツバメが翔飛するのを見た。用事が済んだので室林道に出かける。録音機
とカメラも供にする。室地区からは室林道がピンク色のリボンのように見える。そのように見えるのはサクラの並木があるからだ。今年は満開の花
で埋め尽くされた。それというのも、花芽が大好きなウソがやって来なかったためである。昨年の場合はほとんど食べつくされてしまった。サクラの
花の中からはヒヨドリやメジロたちが大騒ぎしている。ウソの個体数の増減がサクラの花の数に影響し、それが、野鳥や昆虫たちの食物の量を調
節する。当然彼らの繁殖にも影響を与えることだろうし、サクラの種子の数も変化するだろう。ウグイス,シジュウカラ,ヤマガラ,ホオジロなどさま
ざまな囀りが聞こえる。今日聞きたいのは少し異なる。彼らのような留鳥ではなくて春に南から北上して来る夏鳥である。林道の入り口で早速そ
の一つに出会った。虫のような声のヤブサメ。夏鳥の中では早くやって来る鳥である。次いで聞いたのはセンダムシクイイ。聞きなしは「焼酎一杯
グイー」。両者ともウグイス属で姿は似通っている。しかし囀りは全く共通点が無い。先週のラインセンサスでは確認できなかったので、今週のど
こかでやって来たに違いない。日本をあとにして北上するのは冬鳥と呼ばれる。ここ室林道には冬鳥もまだまだ見ることができる。ジョウビタキ,
シロハラ,クロジを確認した。けれども主役は最後に登場する。毎年同じ所で見るオオルリである。最初は囀り、その後に、美しい成鳥のオスの姿
を見つけることができた。まだまだ本調子ではない囀り。けれども、ウグイス,コマドリとともに日本三鳴鳥に掲げられている片鱗は見られた。サク
ラの薄いピンク、ヤシャブシの明るい緑色、その他さまざまな色に彩られた室林道。さらには野鳥たちの歌に溢れた室林道。今まさに室林道は生
命の息吹に満ちている。
西暦
月
日
メモ
2006
4
12
豊田市前田町の野鳥
前田町にはシダレザクラの並木が1㎞にわたってあって見事であるが、強風や雨に打たれ已む無く散り始めている。ここ前田町の野鳥観察を始
めたのは昨年の5月であった。その頃はケリやオオヨシキリの縄張り争いの真っ最中であった。大きな鳴き声で喧騒感さえあった。ここに来てよう
やくそのような賑わいが戻ってきたという感じである。ケリ,キジがあたりの空気をつんざくように鳴く。ヒバリも負けてはいない。オスたちはゆっくり
と地上50mのステージに向かい秘術を尽して愛のセレナーデを奏でる。地上では妙齢のご婦人方が品定めに忙しいことだろう。北に帰るタイミン
グを見計らっているのはツグミ。この時期になるとやけに活発になる。北へ向え、向え、と体の中から突き上げてくる何があるのではないか。冬の
間枯れていた用水路に水の流れが戻ってきた。トラクターも留まっている。また新しい前田町の田んぼに変わろうとしている。
2006
4
15
土曜探鳥会 宮路山
18年度最初の土曜探鳥会は生憎の天気でスタートした。霧雨ではあるが、「これでは探鳥会は中止」と子供たちが思うのも無理はない。牧野さ
んと集合地点の赤坂駅で待って誰も来なかったら、雨の中を二人で鳥を見に行くつもりでいた。しかし、ホームページに載せることができたのは熱
心な子供たちがいたおかげである。2台の車に乗って宮路山に向う。さまざまな緑いろをした若葉が雨にうたれみずみずしい。葉陰からはメジロ
やヒヨドリの活発に動き回る姿がよく見える。メジロの群れに出会った時はサラウンド状態である。中腹を過ぎる頃からヤマガラやウグイスの囀り
が増え、その中に混じってオオルリも歌っていた。しかし、やや遠かったのと周りの鳥たちの声があまりに多かったので、子供たちにとっては聞分
けは難しいようであった。お目当てのコマドリを探して谷筋や林道を移動する。その間にも実に沢山の個体を観察できたが、コマドリだけは確認で
きないでいた。最後の希望の場所へは入り口が鎖で遮られていたので歩いて行く。そこも野鳥と新緑で目を奪われるほどであった。雨も上がり条
件は整った。中でも一番のポイントに差し掛かった時、谷の方から、決して元気一杯ではないがコマドリの声が聞こえた。昨年、ずーっと確認出来
ていた個体確認が途切れてしまった。今日も正直いって嫌な予感があった。だから、この一声をきいて泣きたいくらいに嬉しかった。(こんなことは
おくびにも出せないが)山頂に向う。振り返って景色を眺めると木々の色はどれ一つとして同じものはないほど取り取りである。天候のせいで山頂
での人の姿は週末にもかかわらもまばらである。眼下に三河湾が広がっている。お楽しみの弁当を食べ帰途に着く。解散場所の赤坂駅で今日2
度目の感動的な光景をみた。再びぽつぽつ降り出してきた空を、20羽ほどのアマツバメが高速で弧を描いていたのだ。アマツバメは私にとって
憧れの鳥。同じ夏鳥のサンショウクイとともに大好きな鳥なのだ。久しぶり見る惚れ惚れする飛翔姿にうっとり。今日は何もかも良かった。
2006
4
16
室林道ラインセンサス
朝から小雨が降っている。今日センサスを行わないと4月中旬としての記録が取れなくなる。すると室林道の連続観察記録が途切れてしまう。昼
からは甥の結婚式がある。山口さんはコマドリを4月4日に確認しているという。こうなったら室林道に行くしかない。室林道の入り口には鎖が掛
かっていた。昨日の宮路山にも鎖があった。心無い人のゴミ投棄が原因である。車を止め準備をしていたら、沢からコマドリの囀りが聞こえた。ま
だ体力が回復していない元気の無い声ではあったが、1年の空白期間の後再び室林道でもコマドリを確認出来、ほっとすると同時に大変うれしく
思った。これで主だった夏鳥はほぼ勢ぞろいした。ヤブサメ,センダイムシクイ,オオルリ,キビタキ,そしてコマドリ。少し遅れて来るサンコウチョ
ウ、最後は托卵する鳥のホトトギス,ツツドリがやって来るはずだ。オオルリの囀りも熱を帯び節回しが複雑になってきた。オスが囀る側でじっとし
ているメスの姿もあった。林道はサクラの花びらでピンク色に染まっている。通行止めになったおかげで轍の痕もなく結構美しいものだ。踏みつけ
るのがもったいない。帰りにもコマドリの声を聞いた。今度はかなり力強く鳴いている。MDレコーダをONにし、あまっ片手で双眼鏡を操作し姿を
探す。コマドリの姿をここ音羽町の地で確認できたのはほんの2~3回きりである。幸運にも今日、もう1回追加追加することができた。林床のうす
暗い場所できれいなオスのコマドリが嘴を大きく開け鳴いているのを双眼鏡の視野に捉えたのだ。
西暦
月
日
メモ
2006
4
20
茶臼山(今年初めての観察)
天気は期待していなかった。休みを取ったのでただ行きたい気持ちだけでいそいそと出かけた。ただ、以前のように深夜に出発する無理はしない
。東栄町,豊根と懐かしい町並みを抜け茶臼山への登り道に差し掛かった頃からワイパーが動き出した。歩いてのセンサスは無理のようだ。せめ
て車の窓が少しでも開けられるくらいの雨でいて欲しい。野鳥の声が聞こえないとお手上げだから。8時頃が最も雨が強かった。仕方が無いので
ラジオを聴きながら駐車場で様子を見る。今日はニッポン放送で荒川選手が出演することを知っていたので1242KHZに合わせる。標高が高い
ので受信は良好。雨が小降りになるまで荒川選手の話でも聞こう。どうせ一度に2つのことを集中させることは出来ないのだから。かえってこの雨
に感謝したいくらいだ。トリノまでの紆余曲折、両親への感謝(特に母親が夜なべをして衣装を作ってくれたこと)、長野オリンピックからトリノまで
の選手としての生き方、おしゃれや食事に大変興味を持っていることなど、ただ一般的な若い女性としてだけではなく、そうではなく、スケーターと
しての自分に好いことを常に考えている、研究していることに心打たれた。過密なスケジュールを苦しいと思わず、新しい世界のプレッシャーを楽
しんでいる姿は、やはり、日常の様々な所でプレッシャーを感じている人たちに大きな希望を与え続けているのだと思う。パーソナリティーも言って
いたが、荒川選手の口からでる言葉が、いわゆる、大人の女性の言葉で気持よい。スポーツ選手によくある・・・なんですがという所を、きちんと、
・・・なのですが、と話している。彼女は、トリノ以前から数少ない大人の女性のスケーターとして評価を受けていたが、2月23日早朝多くの人々が
彼女の演技をみて心打たれたのは正にここだったのでは。きちんとした大人の女性、これは、ご両親の影響が出ているのだろう。ご両親は、娘が
競技で頂いた花をきちんと生けなおして、花があたかもスケーターの選手のごとく舞っているにして、ホームページからファンに感謝の気持ちをあ
らわしている。荒川選手もメダルの後の会見でも多くの人に支えられたおかげと述べているが、その心根は両親から受けているのだろう。ご両親
は、ベストカップル特別賞を受けられた。事情をよく知ったなら当然と思う人が多かろう。番組も終わり空が少し明るくなったのでいよいよ野鳥を楽
しむことにした。急速に視界が広がってきたが風も強くなり、やや薄着の体には寒さが堪える。すぐに車の中に戻りヒータで暖まってしまう。少々だ
らしない姿だ。音羽町や各地でコマドリの通過は確認されている。ここ茶臼山は。案ずることはなかった。数箇所で囀りを聞くことができた。ヒガラ
,コガラなど茶臼山ならではの小鳥も盛んに囀っている。夏鳥ではコマドリ,ヤブサメを確認。ルリビタキ,カヤクグリ,カシラダカ,ベニマシコ(♀)
など冬鳥たちも少しではあるが確認。今年初めての茶臼山。大事な大事なマイフィールドであることを実感した一日であった。
2006
4
22
室林道 日本3鳴鳥そろい踏み
入社以来の友人が室林道でバードウォッチングをするため職場の方お二人を伴ってやって来た。大人の人たちばかりお連れして野鳥を見に行く
ことはめったにないので、こちらもどのようになるのか少し不安はあったが、すぐに、余計な取り越し苦労であることがわかった。三人は、まるで子
供のようにはしゃぎ、楽しんでおられた。薄曇の風のない穏やかな天気は野鳥を見るのには最高である。今の室林道は最も活気溢れる季節、い
ろいろな鳥が出迎えてくれるだろう。自分の車で室林道に向う。最初に出会ったのはエナガやシジュウカラたち、サクラの木を縦横に動き回る。双
眼鏡で野鳥の早い動きを追うのはなかなか難しいものだ。個体数や行動を観察するのには広い視野が大切。そこで、肉眼で見ることをお勧めし
た。オオルリの囀りを聞く。しかし、木立の影に隠れて姿は見られない。そのオオルリを撮影しようとしている人に出会う。今はそれ程でもないが自
分も以前は野鳥の撮影に熱中した。待って待って待っても思うような姿は撮れないものだ。今は観察を優先しているのでメモ程度に撮るばかりだ
。また、音声にも力を入れている。オオルリに出会ったのはその先であった。サクラの木にひっそりととまっていた。きれいなオスの成鳥できっと満
足して頂いたことだろう。ウグイスの囀りも良かった。黒いネクタイ姿のシジュウカラ、ウグイス色のメジロ、きれいな色と可愛らしい姿を堪能してし
て頂けただろうか。ウグイス,オオルリとくれば次に見たいのはキビタキだろう。鳴き声は全く聞かれなかったので今日は無理かな、と思っていた。
ところが、突然にその時は訪れた。たぶん、その時の4人の行動をはたから見たらかなり滑稽であったに違いない。会話にならない言葉。おまけ
にそのキビタキは焦らすかのように隠れたり出たりする。その度に大の大人の男が大騒ぎし右往左往しているのだ。いつの間にか正午の音楽が
流れてきた。帰り道の最後に今日の大漁のとどめを刺す出来事が待っていた。コマドリである。音羽町は今、繁殖地に向うコマドリが体を休めて
いる。ヒンカララと囀るコマドリがいた。名だたる夏鳥に出会うことができ本当に良かった。三人の方には再び来て頂きたい。
西暦
月
日
メモ
2006
4
30
室林道ラインセンサス
早いものでもう一年の三分の一が終わろうとしている。季節は春から初夏へと変わりつつある中、野鳥の世界もいよいよ本格的な繁殖の時期を
迎える。オスたちは精一杯の囀りでメスにアピールする。室林道では正に一年で最も活気溢れる場面の幕が揚げられた。ウグイスは言うに及ば
ず、オオルリ,キビタキ,センダイムシクイ,ヤブサメなどの夏鳥に加え、シジュウカラ,ヤマガラ,ホオジロなどの留鳥も一斉に繁殖レースのスタ
ートである。室林道のあちこちの梢の頂でメスへの愛の歌を奏でるオスの姿を見ることができる。今日は珍しくキビタキの囀る姿を観察した。(オ
オルリならば珍しくはないのであるが)オス同士の小競り合いもよくあることだ。2羽のオオルリが至近距離で出会い、結局追いかけっこが始まっ
た。つがいで行動する鳥たちもいれば群れる鳥もいる。エナガは秋から冬にかけて大きな群れをつくって採餌行動を行うが、この季節でも、かなり
の個体数(30羽以上)での群れを見る。冬鳥であるシロハラもま残っていてつがいで行動する姿を見た。同じツグミの仲間のクロツグミが自慢の
喉を聞かせてくれた。明るい声は若葉の山々にぴったり合う。哺乳動物にも出会った。若いニホンザルたちと2頭のニホンジカである。シカの姿を
見つけるとやはり緊張する。植物も変わりつつある。サクラのあとは自分たちの出番とばかりにヤマフジが房を始めた。そして野鳥では、私の好
きな鳥ベスト2に入るサンショウクイが遣って来ていた。この鳥は三河湖に多い。そこに訪れて観察しようと楽しみにしていたのであるが。
2006
5
1
寺ノ入林道ラインセンサス
朝からわくわくしながら寺ノ入林道にやってきた。今年初めてのラインセンサスである。2月に一度訪れた時は雪に埋もれ、さすがの4輪駆動車で
も引き返さざるを得なかった。ヤマザクラの花びらが少し残っていて標高600メートルを実感。種類によっては新芽が開いていないものもある。植
物は標高の差がはっきりと現れるが野鳥はどうか。高山ならばいざ知らず、まあほとんど同時期にやって来ていると言ってよい。車を降り、道具
一式を首から下げポケットにも図鑑、ノート、録音機を入れいざ出発。歩き始めてすぐに、オオルリ,キビタキ,ツツドリ,アオゲラの声がした。幸先
が良さそうだ。一番の目当て(できるだけ野鳥に差を付けたくはないのだが)はサンショウクイ。室林道でも地鳴きを確認しており、本家の寺ノ入林
道では姿を見たいもの。(サンショウクイは夏鳥の中で個体数が激減している種のひとつ。)あの特徴ある鳴き声(ヒリリ、ヒリリ)を聞きたいものだ
。その願いは案外早く叶えられた。毎年よく確認している箇所を通過中に頭上を通り過ぎる個体に出会うことができたのだ。まずはホッとした。サ
ンショウクイはアカマツ林を好むと聞いたことがある。ここ三河湖の山中にもアカマツが植えられていて、マツクイムシの被害は出ていない。そん
な好条件が幸いしてサンショウクイが繁殖しているのだろう。沢があって水辺を好むオオルリもかなりの個体数を確認できる。残念ではあるがオ
オルリの個体数では我が室林道よりも多いと思う。標高の違い(室林道は200m、寺ノ入林道は600m)は種の違いにも表れる。ここではヒガラ
の囀りが聞かれるのだ。(室林道では冬季に越冬個体が遣ってくるのみ)あまり上ばかり見ていると危険な目にあうので注意が必要だ。陽気がよ
くなり暖かなアスファルトで体温を上げている動物を踏んづけるかもしれないからだ。動物とは体の長い苦手なやつだ。今日も2匹いた。サンショ
ウクイもよかったが一番の成果はヒヨドリの群れを確認したこと。100羽はいただろうか。秋に伊良湖岬で南下個体を観察することができるが、春
の北上個体はあまり話題にならない。しかし必ず往復しているはずだ。運よく偶然にもその姿を観察することができた訳である。路傍には可憐な
タチツボスミレが咲いている。寺ノ入林道よあなたは素晴らしい!
2006
5
2
羽根・長根の田んぼ
連休に入ると一斉に田植えが始まる。田んぼでミミズを取っていたツグミたちもそれぞれ目的地に向う。代わって田んぼを彩る野鳥たちは必然的
に水辺に強い種類になる。ツバメ、サギ、ケリ、チドリといった鳥が主役になるのだ。今は縄張り確保のためのオスのディスプレイが頻繁に行われ
る。ヒバリは次々と大空の舞台に舞い上がり、10分近くも、強く羽ばたいたままの姿でさえずりをする。1500mトラックで全速力しながら歌を歌え
といっているようなものだ。人間業ではない。ケリは気の強い鳥で、縄張りに入ろうものならどんなものでも威嚇のご挨拶に与かることができる。た
とえ人であっても。植えられたばかりの早苗をそよ風がゆらす。眩しいばかりにタンポポやジシバリの黄色い花弁が輝く。上空にはツバメが宙返り
したり優美な滑空をしたりまるでフィギュアスケートを見ているようだ。スポーツや舞踊の中で最も野鳥の動きを連想させるのはフィギュアスケート
と信じて疑わない。(近頃フィギュアファンになりました)
西暦
月
日
メモ
2006
5
4
室林道バードウォッチング
2週間前に初めて室林道にお連れした方達にお仲間が加わり、総勢11名で再び室林道でバードウォッチングした。この中には幼い兄妹が含まれ
土曜探鳥会の様相を呈していた。幸いにしてうっすら雲がかかり暑くなく爽やかな風が吹き抜ける気持ちの良い日である。スタート地点からオオ
ルリの出迎えを受け、逆光で色がイマイチではあったが梢の先で囀るオオルリを間近で見ることができた。エナガの群れにも先回と同様に遭遇し
サラウンド状態を満喫。ホオジロもサービス精神たっぷりにここぞとばかり囀りをしてくれた。先々週の時あまりにも間近にオオルリやキビタキを見
ることができ、新しく見えた方達も期待されているのではと思うと少し心配になる。そうそう幸運は続かないものだ。そんな胸の内を知ってかどうか
、っ先回にも増して美しい姿を披露してくれたのだった。幼い兄妹も嫌がらずに最後まで歩きとおしてくれた。(バードウォッチャーとしての素質が
あるかも)おかげで楽く探鳥会を終えることができた。(個人的には旧友と再会できたし)
2006
5
6
室林道ラインセンサス
5月に入ってもう6日目になる。本当に日にちが過ぎるのは早いものだ。野鳥たちも繁殖の機会を逃すまいと必死になっている。メスは間違いなく
自分の遺伝子を残すことはできるのではあるが、さらに子ども自身の繁殖成功率を上げるためにオスを選択する。オスは必ず番うことができると
は限らない。メスが受け入れてくれなければ繁殖のチャンスは無いのだ。だから必死なのだ。捕食者からの危険を顧みずソングポストで囀るのは
その為だ。今日もいろいろな種類の鳴禽類(よく鳴く鳥の仲間)がそれぞれの節回しで求愛のの歌を歌っている。番うことに成功したオスはメスや
自身の子どもを守らなければならない。だから私が林道をセンサスしているとよく、オオルリやキビタキ、センダイムシクイに警戒される。その時に
は、囀りのような美しい歌で歓迎はしてくれない。警戒の声はあたかも、「お前は邪魔だ早く立ち去れ」と言っているように聞こえる。遠くからサシ
バの声がした。昨日、ルナと散歩中に室林道のある山の上をサシバがゆったりとソアリングしていた。繁殖している可能性もあるだろう。話は変わ
るが、昨日、横浜で開催中の「プリンスアイスワールド2006」にゲスト出演中の日本のトップスケーター中の3名及びアイスワールドの面々とのフ
ァンミーティングに参加した。約30倍の抽選に当たったのだ。おかげで、荒川静香さん、村主章枝さん、中野友香里さんを間近で見ることができ
た。3人とも、テレビで見るよりもずっと美しかった。鳥と比べるのはひんしゅくものではあるが、荒川さんは凛としたオオルリ、村主さんは華やかな
コマドリ、中野さんは可愛らしいキビタキのイメージであった。世界を相手にしている人だけに感じられるオーラのようなものが特に荒川さんから強
く感じた。抽選会で全員のサイン入りのプログラムを荒川さんから手渡しされた女性(わたしの2つ隣に座っていた)が戻るなり、「荒川さんからも
のすごく強いオーラが出ていた」と興奮して話された。たぶんだれもそう感じることだろう。(現場にいて私自身そう感じた)荒川さんに注目が集ま
ることに対して村主さんはどう思っているのだろうか、大変気になる所ではあるが、さすがにスケートの事しか考えていない人だ。周りの騒音は意
に介していないように感じた。2010年バンクーバを目指すといちはやく表明されたのは凄いことだ。中野友香里さんは荒川さん村主さんの後を
継ぐホープだ。カルガリでの笑顔が良かった。質問で、スパイラルにビールマンを取り入れたいと話していた。アイスショーに対し各スケーターは
新しいプログラムで臨んでいるが、中でも注目の荒川さんは、音楽をユー・レイズアップ・ミーからシューベルトのアベマリアに、衣装も2005全日
本やトリノのエキシビションでの青いコスチュームからゴールドになった。(金メダリストに似つかわしい)これも鳥に当てはめてみたい。ところが、
オオルリまでは言えるがゴールドは何に当てはめたらよいのか。昆虫の世界では黄金クワガタというのがいるようだ。しかし虫ではバチが当たる
。世界の鳥に範囲を広げて探してみよう。再び室林道。いろんな事があったとしても野鳥を見ていると心が落ち着く。今までに野鳥観察が嫌にな
ったとか、あそこまで出かけなければいけないのか!辛いなーと感じたことは一度も無い。野鳥に関する事ならばどんなことでも楽しくて仕方がな
いのだ。楽しいから続けてこられたと思う。そして、人との出会いがある。(土曜探鳥会での子ども達、バードウォッチグを通じて知りあった人)それ
らの方々には私自身には無い何かを持っているので、刺激になるし勉強にもなる。再び荒川静香さん、「これまでのスケート人生でスケートをや
めたいと思ったことは一度も無かった、特に、大学生になってスケートを楽しむことを知っからは。2004年世界選手権優勝後一度は引退を考え
た自分がトリノを目指そうと考えたのは、若い選手(浅田真央さん)から受けた刺激があったから」と仰っている。なんだか自分の事のようで密か
にニンマリしている今日この頃である。(これが言いたかった)
西暦
月
日
メモ
2006
5
12
前田町
前田町を初めて訪れたとき最も印象に残った事は、なんて賑やかなんだろうということだった。オオヨシキリ,ケリ,キジなどそうそうたる大声の持
ち主が一斉に声を張り上げていたからである。中でもオオヨシキリの多さには舌を巻いた。電線に止まって、美声とまではいかないが中々の節回
しで囀るさまは聞き応えがあった。あれから1年たった今、再びあのオオヨシキリの囀りが聞かれ始めた。まだまだ最盛期とまではいかないがそれ
でもかなり賑やである。ヒバリも負けてはいない。こちらの舞台は50mよりも高い所にあって、ゆっくりと花道を登り一しきりパフォーマンスを行わ
なければならない。10分も歌い続け、たぶん相当疲れていることだろう足早に地上に降りてくる。田んぼに水が張られる頃になると冬の鳥ツグミ
も故郷に戻り繁殖に入る。いつの間にか居なくなってしまった。2本ある水路には水がとうとうと流れていてそろそろ田植えが始まる頃だ。頭を亜
麻色に染めたサギの姿もちらほら、季節は初夏に向かって動き出した。
2006
5
13
土曜探鳥会 室林道
朝から雨が降りだした。茶臼山での探鳥会は残念ながらできそうもない。予定通り延期だ。萩小学校でしばらく待って誰も来なかったら戻ろう、そ
う思って家を出た。所が、次々と子ども達を乗せたご父兄の車が来た。「茶臼山は中止にします」とまでは言ったが、子どもたちが雨の中を来てく
れたのに、「今日は中止にします」とは言えなかった。雨も本降りではないし、伊藤先生の車に7人乗って羽根・長根の田んぼ,室林道を回ってみ
ることにした。羽根・長根でアマサギを見る。私自身今年になって羽根・長根で初めて見る姿である。伊藤先生はアマサギがお好きなようで「可愛
い」などとおっしゃる。全ての田んぼに早苗が植えられ、その上をツバメが軽やかに弧を描いている。そのうちにツバメと入れ替わりにイワツバメ
がやって来て田んぼに降りる。それも同じ場所に。降りると口を田んぼに付けている。どうやら土を咥えているみたいだ。彼らは巣材を集めていた
のだ。近くに東名高速道路の橋がある。その下には沢山のイワツバメの巣があって多くの雛が孵っているが、そういった巣は田んぼの土で造られ
ている。早速現地に出かけてみる。残念ながらまだ今年の巣はできてはいなかったが、去年のやや崩れた巣は確認できた。次いで室林道に向う
。所が、室林道は先週来の雨で土砂崩れが発生していた。入り口は閉鎖。そこで安全な場所までということで歩いてみた。「雨が降るくらいの方が
鳥が多い」は私の経験則。今回もぴったり当てはまった。スギ林からはこれも今年初めてのサンコウチョウの囀り、そこから先々ではオオルリのつ
がい、キビタキなどが次からつぎへと姿を見せてくれた。オオルリは青い鳥と思っている子どもたちにつがいを見せたのはよかった。オスだけが青
くてメスは青くは無いことが実際の鳥で確認できたのだから。次には、なぜオスとメスとで色が違うのだろうか疑問に思ってくれればいい。そう聞か
れたらどう答えようか。難しい質問だ。
2006
5
20
萩小 親子探鳥会 室林道
今年も親子探鳥会のお手伝いをさせて頂いた。昨年は観音山でホオジロの囀りを観察したが、今年は実績のある室林道を室側と長根側の二手
に分かれて行った。山口さんと大橋さん(豊橋動物園)が室側、私と牧野さんが長根側。私達が運動公園に着いたときにはすでに大勢の親子が
いて、特に、若いお母さんの姿の多いのはいまさらながら驚いた。当たり前のことではあるが、毎年私達との年の差は広がってゆくことになるわけ
だ。朝にはかなりの雨が降っていて中止やむなし、と学校も考えたよう。従って相当むしむしする。慣れない子どもやご父兄には気の毒な生憎の
天気である。スコープは土曜探鳥会の子どもが操作する。最初にヒヨドリを見た。スコープで野鳥を覗くのは1年生の子どもは初めての経験であ
ろう。どんな説明よりも実際に見ることが分かる一番の近道。雨上がりで虫達が多いのだろう、日吉神社近くでツバメたちが群れになって飛んで
いた。室林道に入ると少し蒸暑さが和らぐが今度は登り道に苦戦する。私もそうであるが肉付の良い子がこのグループには揃っていた。それを紛
らわせてくれるのはやはり野鳥たち。ウグイス,オオルリ,キビタキたちの美しい囀りが聞こえてきた。最初はご父兄たちも鳥達の声を聞分けるの
にご苦労されていた。(当然である)けれども最後あたりでは皆さんオオルリの声を分かっていただけた事と思う。「ほんの少しだけ山に入っただけ
でこれだけの鳥達の声を聞けるなんて、萩の里山はすごい!」と本当に思う。若いお母さん方は熱心に話を聞いてくれた。そして鳥達の姿を見よ
うと真剣に探してくれた。「ただのお付き合い」とは言い切れない熱意を感じた。ご自身が野鳥を楽しみたいと思われているのでは。学校でアンケ
ートを取っていただけたらと思う。好きになってくだされば萩の自然は悪くはならないだろう。帰り道パラパラと雨が降り出したが汗ばんだ体にはち
ょうど良いくらいだ。タンポポで草笛を作って吹きながら帰った。
西暦
月
日
メモ
2006
5
21
室林道ラインセンサス
大陸の高気圧が支配し爽やかな風が吹く気持ちのよい日曜日となった。昨日の探鳥会が1日ずれていたらと思う。山口さんが来られてひとしきり
鳥情報を交換。アカショウビンがいたとのこと。こちらは川原の伊藤先生がカッコウの声を聞いた話をする。さらに、観音山で営巣中のオオルリの
雛を密猟する者が居ることを聞く。密猟者が雛を捕ってしまうことは頭の痛いことだ。そのあと別れて室林道でラインセンサスを行う。1週間ほど前
からホトトギスの鳴き声が聞かれるようになったが今日も大きな声を聞く。托卵者と被托卵者との戦いが始まったのだ。ウグイス,オオルリ,キビ
タキ,センダイムシクイ,シジュウカラ,ヤマガラ,ホオジロ,ヤブサメの囀りが室林道をシンフォニーホールに仕立てあげる。そして傍らでは営巣,
抱卵が始まっている。野鳥の巣は見つけ難いがオオルリは案外目に付き易い所にある。(従って密猟され易い)1箇所オオルリのメスが抱卵して
いる巣があった。目が合ったような気がして急いで巣を離れた。別のところではキビタキのメスがオスの囀りを聞いていた。(ように見えた)正に今
は繁殖の最盛期のようだ。オスは自分の遺伝子を、メスはより良いオスの遺伝子を自分の子どもに伝えるために戦略を練っている。山口さんに
会う。室林道にアカショウビンがいるとのこと。観音山ではカケスが巣材を運んでいたとも。カケスが萩で繁殖しているのか?サンショウクイがや
たらに目に付くのも気に掛かるところだ。カケスもサンショウクイも三河湖辺りで繁殖するものだと思っていたから。陽気に誘われ昆虫も目に付く。
アゲハチョウの仲間やハチが飛び交っている。
2006
5
27
茶臼山ラインセンサス
本当は子どもたちとここに来るはずであった。無常な天気予報は土曜日は雨であることを告げていた。昨日の時点では中止む無しの判断は正解
だった。標高1300メートルの中で雨に当たっては子どもたちの体が心配だ。残念がった子も沢山いただろう。そんな中で記録をとるために茶臼
山に向った。(2006年になって2回目の茶臼山になる)新城では小雨、東栄では曇り、豊根はまた小雨、やはりこんな天気では中止してよかった
かなと思いつつ茶臼山への登り口までやって来た。そこからは茶臼山の姿がはっきり見られ、どうやら雲の中でのセンサスは避けられそうであっ
た。いつものように高原美術館の駐車場に車を停め、茶臼山を1周するコースでラインセンサスを実施する。ドアを開け車を降りた途端、茶臼山
の方向からカッコウの声がした。カッコウは私が茶臼山で聞きたい鳥の声の筆頭に位置する。進むうちに道路の脇からはウグイスの囀りが切れ
目なく聞かれる。天候せいか分からないが今日は、ヒガラやコガラなどのシジュウカラ科の鳥の声が少ないように思う。とにかくウグイス一本であ
る。ホオジロの囀りも聞かれた。ホオジロの囀りはなかなかデリケートなので個体差が大きい。私の地元で聞きなれた囀りと違う囀りをする個体に
出くわすことが時々ある。そんな時によく犯す過ちは「アオジがいる!」と口走ることだ。ここ茶臼山でも本物のアオジの囀りを聞くことができるため
、(今日も1個体確認したが)そんなことになってしまう。草むらにキジのオスがいた。盛んにケーン・ケーンと鳴く。薄日が差し始め羽が輝いて見え
る。1個体だけコマドリを確認。北面に向うとヒガラ、コガラの声もし出した。沢からはミソサザイ。オオルリ・キビタキといったお馴染みの囀りも聞か
れなんとなくホッとする。歩いていてすれ違う車は少ない。所が上ってくる車から顔を覗かせたのは山口さんと林さん(豊橋総合動植物園)である
。開口一番、「コマドリが全滅」ここから下にはコマドリの声は全く無いという意味だ。私は反対側から来たので「入り口で1個体だけ確認したよ」と
言う。数十秒の会話でまたそれぞれの目的に向う。周りの山々も見る余裕がでた。北の恵那山の山頂は雲の中。隣の大入川山と蛇峠山は全体
までくっきり。東の南アルプスは雲の中ではあるが聖岳と兎岳の雪渓の白いすじがはっきり分かる。日も当たり始めたため新緑が目に眩しい。傘
を持って歩いていたが全く問題なかった。たら・ればをを言っても仕方がないが思い切って子どもたちを連れてきてもよかたかな。
2006
6
1
豊田市前田町
早苗がそよ風にゆれ上空をツバメが飛び交う。初夏を絵に描いたような朝の道を歩いている。朝は気持ちがいい。犬と散歩している近所の人とも
挨拶を交わすようになった。夏至が近づくにつれ野鳥達の囀りの勢いはますます増しているようだ。オオヨシキリは、葦原,電線、はたまた民家の
庭先で、ひたすら天に向って鳴いている。ヒバリは、田んぼのすみかはなくなってしまったかのように見える。しかし、「田んぼの畦や畑があるさ」と
ばかりにしょげる気配は毛頭ない。付近にいるメスに対してなのか、獰猛なケリやハシボソガラスに対してなのか、それとも、たまたま通り過ぎた
私に対してなのか、息つく間も無いほど囀る。朝からあんなではすぐに腹が減るのではと同情する。意外に感じるのは、セキレイたちの姿が少な
いこと。今の季節はどこで生活しているのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2006
6
3
室林道ラインセンサス
16時近くから室林道をセンサスするがまだまだ太陽はかなり高い。最初に聞こえたのはヤブサメの囀りと地鳴き。姿を確認しようと林床付近を双
眼鏡でなぞっていたら偶然にオオルリを見つけた。もしかするとヤブサメの地鳴きと思ったのはオオルリであったかもしれない。綺麗なオスで(今
まで沢山のオオルリを見てきたがかなり上等の部類)口にいっぱい虫を咥えていた。当然雛への餌であろう。次いで幼鳥だけの混群に出会う。巣
立ちして自分達だけで餌を捕っている姿なのだろう。エナガが中心でそれにシジュウカラとヤマガラが付いている。成鳥のようにうまく餌がとれる
だろうか思わず応援したくなる。先ほどの雨で崩れた場所は修復されていた。その先にはオオルリの巣がある。前に通った時はメスが抱卵してい
た。今日は親の姿はなく雛たちが頭を覗かせていた。親がいないのを幸いに写真を1枚。山口さんは室林道で6ヶ所巣を確認されている。探鳥会
で出会ったサンショウクイ、やはり室林道にもいた。サンショウクイについて言えば明らかに例年よりも個体数は多い。折り返してすぐにサンコウ
チョウの囀りを聞く。日が傾くにつれメジロ、ホオジロなどの囀り個体が多くなった。ホオジロが夕日の中に染まり空に向って囀る様は絵のようでな
かなか感動的だ。
2006
6
3
土曜探鳥会 観音山
先週の茶臼山探鳥会の中止した分プラスして楽しめたらと、天気が良くなるのを願って床に着いた。目が覚めたのは4時半前でどうやら大丈夫の
ようなのでほっとする。学校に着いたら既に牧野さんは見える。毎回1時間以上の道のりを来られるのには頭が下がる思いだ。年度が替わって探
鳥会のメンバーにも少し変化が見られる。今日は8名の子どもたちと3名の大人という割と賑やかな探鳥会となった。観音山は私の家に近い所に
位置し、サンコウチョウやオオルリなどを最初に観察した私にとって大事なフィールドである。室林道と違って通り抜け道路が無いので農作業をす
る人たちが通るだけで、のんびりとした風景も楽しめるのが良い。出発してすぐ、保育園の軒先に巣を造って子育てしているツバメを観察する。ス
コープで親鳥が雛にえさを与えるさまを眺めた。しばらくは水田と山との縁を進む。そこで、今年の異常な野鳥界の一つの姿であるサンショウクイ
の繁殖行動を見た。音羽町でこれほど多くのサンショウクイを確認するのは初めてだ。山口さんによると、サンショウクイ以外にもスズメの個体数
が異常に少ない、カケスの繁殖行動が見られる、オオルリの個体数が多くまた民家の近くでの営巣、ミソサザイの繁殖の跡がある、など今までに
ない生態の変化が見られているという。ホトトギスが鳴いた。独特の鳴き声で私は好きだ。探鳥会の終点は観音山。毎年麓のヒノキの林でサンコ
ウチョウが繁殖している。今日は残念ながら確認できなかったが、その代わりにキビタキがすばらしい喉を聴かせてくれた。倒木も子ども達には
遊び道具だ。全員で腰掛けてゆさゆさ揺すって喜んでいる。帰りはアザミやヒメジオンが咲く道を足取りも軽く学校に戻った。
2006
6
10
寺ノ入林道ラインセンサス
前田町から1時間以上かかって寺ノ入林道にやって来た。すでに10時をかなり回っていて時間帯としては「申し分なし」とはいかない。この鳥が
主役!という鳥はなかった。まんべんなくちりばめられていたというのが感想である。印象に残ったのは、ウグイスの威嚇の声とヒガラの囀り。雛
がいると親は警戒の声を上げるがそんな感じであった。ヒガラは音羽町では囀りを聞かせてくれない。ここ寺ノ入林道では辛うじてその声を聞くこ
とが出来る。(茶臼山のように沢山の個体がいないとは思うが)この事が、私が、音羽町室林道、三河湖寺ノ入林道、そして茶臼山をマイフィール
ドの三羽烏として位置づけ大切にしているゆえんである。センサスの途中で何回かタカの声を聞いた。ノスリかハチクマのどちらかであろう。そし
て帰り道初列風切羽の抜けたハチクマの姿を上空に見た。カメラを首に提げていたがやはり撮る余裕はない。個体数カウントは集中力が途切れ
たら出来ないからだ。ここではありきたりの風景写真ばかり撮っている。
2006
6
10
前田町
前田町では出勤前に田んぼ道を歩き野鳥の観察とウオーキングを日課にしている。毎日でも観察できるところは凄いが、写真撮影や録音などは
休日でないと出来ない。今年になっても一枚も撮っていないのでは困りもの、お客様に申し訳ない、と言うわけで東名高速で(毎日使ってはいるが
)料金を払ってやって来た。主な被写体はオオヨシキリやケリか。うまくいけばキジも撮れるかも。個体数カウントでラインセンサスを行う時は集中
しないといけないが、写真を撮るときは楽しみながらやろうと思う。虫干しを兼ね久しぶりに500ミリを使った。オオヨシキリはいたる所にいる。囀る
姿は真剣そのものでその一端でも紹介出来たらと思う。オオヨシキリがこれほど多い所を、私は、前田町以外には知らない。それも周りが市街化
された所で。ケリも多い。縄張りに近づくと「ケリケリケリ・・・」とけたたましい声で威嚇される。迫力ではキジも負けない。堂々たるオスの姿は国鳥
の名に恥じない。サギではチュウサギをよく見かける。今日は綺麗に色づいたアマサギが1羽ポツリといた。田んぼの中で見かける大きな鳥は「
カルガモ」である。少し小さいほうは「バン」。黒い体に赤い嘴が洒落ている。暫くは「前田町自然公園??」をカメラを担いで歩き回った。次に向う
のは三河湖寺ノ入林道。こちらは真剣勝負のラインセンサスだ。その前に朝御飯を買って英気を養うことにしよう。
西暦
月
日
メモ
2006
6
17
室林道ラインセンサス
探鳥会を終え昼食をとり少し休んだ後、6月2旬の記録をとるために室林道に出かけた。昼から雨が降り出し室林道では傘をさしてセンサスした。
雨の中で野鳥を観察するのは嫌いではない。
わざわざ雨の日を選んですることはないが、予め予定を立てていて、その日が雨だとしても大雨で無い限りたぶん出かけるだろう。そのために双
眼鏡は防水タイプにしたし、ボールペンも濡れた紙にも書ける少しばかり高いものを使っている。ウグイスの囀りがよく聞こえる。ヒヨドリも多そうだ
。カラ類ではシジュウカラよりもヤマガラの個体数が多かった。オオルリ,キビタキは仲良く1個体ずつ囀りを聞く。かなりの雨で薄暗い天気のせい
かニホンジカが発する「ピュ」という鋭い鳴き声を数回聞いた。かなり近そうなので思わず緊張する。先週からの雨で沢音も大きい。林道にも溢れ
て流れをつくっている。センサスを終える頃には、双眼鏡と違い防水ではない靴の中はすっかりビショビショになってしまった。
2006
6
17
土曜探鳥会 羽根・長根
梅雨の中休みといった天気だろうか、明日はまた雨になるとの予報なので、探鳥会を雨で断たれがちになる近頃としては運がよい。萩小学校で
は卒業した6年生が造った巣箱にシジュウカラなどの野鳥が営巣したので、子ども達は育雛の様子をビデオに撮り観察している。そのせいだろか
、今年度の探鳥会には新しいメンバーが参加してくれるようになった。また地域でも鎮守の森にフクロウの巣箱をかけることを進めている。今日も
公民館は巣箱つくりをしている人たちがいた。今日の参加者は子どもたち8名と大人2名である。子どもたちの内3名は初参加。うれしいものだ。
私たち大人も自然と力が入る。小学校付近ではスズメの育雛を観察。親鳥が巣(外灯に営巣)を出入りし、近くで見守っている鳥の姿があった。川
原の集落を抜け山陰川でも観察。カワセミの姿はなかったが、川に近づくと6年生の子が初参加の子どもに、「カワセミがいるかもしれないから声
を出さないで!」と注意したのには思わず吹き出すところだった。同じことを何時も私が言っていたのだ。6年生の彼は6年間も聞いてきたことにな
る。門前の小僧なんとやらである。集落を吹けると田んぼや畑が広がる。山にも近いので小鳥たちが鎮守の森との間を行き来する。大きなクスノ
キにはヒヨドリをはじめアオゲラ・メジロ・エナガたちがいた。エナガやメジロが群れになって山に向うさまを観察する。また山の麓では大きなアオ
サギが梢で羽繕いをしていた。持参の2台のスコープは今では全て子どもたちに任せている。小さな子は双眼鏡を与えてもなかなか使えこなせな
いのだ。皆んな真剣にスコープを覗いている。一瞬たりでも真剣になってくれることは此方の望みである。野鳥には子どもたちを真剣にする力が
あるのだと確信している。羽根・長根の田んぼに入ったけれども野鳥の姿は殆どない。子どもたちもそろそろ歩き疲れて「休憩はまだー」と聞いて
くるので一気に終点まで進む。そこは長根川が流れ、多くのセキレイたちが川底で餌をとっている所である。しかし、今日は水量が多すぎるせい
か川に下りているセキレイはいなかった。お茶やお菓子で元気を取り戻した子どもたちはすぐに遊びを考え付く。流れの速い川をレース場にして
草の葉っぱの競争である。真夏になれば川に入って遊ぶ。高学年の女の子はおしゃべりを楽しんでいる。(他の子たちよりも少し大人といった感
じか)
鳥の姿の無かった田んぼに(たぶんチュウサギであろう)6羽のサギがやってきた。もっと遊びたい子を無理やり止めさせ帰途に付く。コチドリが鮮
やかな飛翔を見せてくれた。
2006
6
24
室林道ラインセンサス
高嶺から3時間ほどかけてようやく着いた。日が長いのでまだ太陽はかなり高い。それではということで車を室林道に向けた。高嶺は1500メート
ルある。室林道はたったの200メートル。しかし鳥の多さでは負けてはいない。ウグイスはほぼ互角。キビタキ、オオルリは勝っている。ヒガラ、コ
ガラ、コルリはどうあがいても勝ち目はない。全体としては引き分け。なにも勝ち負けにこだわる気は毛頭ない。両方とも大切なフィールドだから。
日が傾いた頃になると再び野鳥たちが活発になるのは本当だ。オオルリやキビタキの囀りを聞くことができた。特にキビタキが多い。ハシブトガラ
スが2羽のタカを追いかけている。ノスリではなさそうだ。ハチクマのようにも見えた。ホトトギスが鳴き出した。ウグイスやヤブサメなどが被托卵鳥
である。山口さんはオオルリがホトトギスに托卵されているのを見つけている。さすがに足は重くなってきたがそれでも立ち止まりたくはならなかっ
た。
西暦
月
日
メモ
2006
6
24
高嶺山ラインセンサス
2006年になって初めて高嶺を訪れた。通行止めは解除されていたがあまりに天気が良いので麓から歩いて登ることにした。それと最近体力に自
信を持ってきたので試す気持ちもあった。カラマツ林を徐々に標高を上げてゆく。セミの鳴き声が凄い。野鳥の声を消してしまいそうだ。けれども
鳥達も負けてはいない。夏至を3日過ぎたばかりの昼間の長いこの季節、オス達は囀りに余念がない。特にウグイスとコルリの声が多かった。ウ
グイスは常には藪に潜んでいて姿を見つけることはなかなか難しい。ところが、今、目の前の梢の先っぽで囀っているのはホオジロやオオルリで
はなくてウグイスなのだ。(ホオジロ、オオルリの囀る姿は簡単に見られる)標高1300メートルあたりを過ぎるとコルリが多くなる。すばらしい青い
色の小鳥であるがまず姿は見られない。コマドリもと期待したがまったく鳴き声すら無かった。途中で何台かの車が上がっていったが、中にパラグ
ライダー教室の車があった。しばらくして頭上では、白,赤,黄のパラグライダーたちがゆったりと舞っている姿があった。今までと比べ随分と楽に
歩を進めることができた。平谷の町並みが小さく見える。周りは緑一色である。贅沢にもこの景色を殆ど独り占めしているわけだ。
2006
7
1
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道から戻り昼食をとって休憩した後、今度は室林道に出かける。午後からの室林道センサスが増えてきた。最初は心配したが、午後の
半ばを過ぎると鳥達も再び早朝のように活発に鳴き出すので個体数の確認には問題なさそうだ。今日も入り口でオオルリが囀っていた。寺ノ入林
道でも感じたがホオジロの囀り個体が多い。一方で地鳴き個体もよく目に付く。ホオジロの幼鳥にも出会った。ホトトギスが大きな声で鳴いている
。相変わらず被托卵鳥との攻防が続いているのだろうか。ポケットにMDレコーダーを忍ばせてきた。センサスの折り返し地点でキビタキの大きな
声がした。そのまま出来るだけ近くに進みステレオマイクを声の方向に向ける。気配を察知して遠ざかってしまうことが多いのだがこの個体は私
を気にしていないようだ。室林道の後には土曜探鳥会がある。
2006
7
1
寺ノ入林道ラインセンサス
高い雲なので直ぐに雨が降るようにも思えなかったが、なにせここは標高600mの山の中である、ずぶ濡れになるのはいやだから傘は持参して
センサスを開始する。カケスの姿が多いようだ。2,3羽で移動する姿も見られた。ホオジロが梢で囀るのも目立った。オオルリ,キビタキ,センダイム
シクイといった夏鳥の囀りも相変わらず活発である。サンショウクイはスタート地点で声を聞いた。繁殖しているのは間違いなかろう。ヒガラも活発
な囀りを聞くことが出来たのでやはり繁殖中と思われる。早朝の雨に洗われた林道にはみずみずしいホタルブクロの大きな蕾があった。どうやら
最後まで傘は開かずに済みそうだ。
2006
7
1
夜の探鳥会
恒例の夜の探鳥会には(なんと17人もの)沢山の子どもたちが集まってくれた。それにご父兄や先生がた大人を入れると25名ほどにもなる。ま
だ明るい午後6時30分から開始した。最初は定期的に行なっている羽根・長根コースを歩く。ハシボソガラスやハシブトガラスが群れになってね
ぐらに向う姿があった。多くの野鳥たちがねぐらに戻ってもツバメは子どもやる餌を捕っている。目的地は龍源禅寺。参道で山口さんが待っていて
くれた。私にとってもムササビなど哺乳類は未知の世界、頼もしい助っ人である。(実は午前中に出来たら参加して欲しいと伝えてあったのだ)山
口さんから夜の動物についてお話を聞きながら進む。アオバズクのホッホッ、ホッホッと鳴く声を皆で聞く。最初はよく分からなかったみたいである
が、耳が慣れてきたのか殆どの子どもがアオバズクの声を聞くことができたようだ。お寺の奥に陣取りムササビの出現を待った。山口さんが居場
所を突き止めた。牧野さんが持参した双眼鏡で確認した。しかしこの暗闇の中では我々の慣れない目にその姿を捉えることは無理であった。どれ
ほどの時間が経ったのか分からないくらい皆んな息を凝らして待った。(声を上げるものは誰もいない)今日はここまで。山口さんから境内の壁に
開けられている穴の話を聞く。ムササビは自身では垂直の壁には穴を開けることは出来ない。それらはキツツキの仲間が開けた穴である。ムサ
サビもその穴を利用している。ムササビ自身は水平ないし斜めになった部分に穴を開ける。今日見たムササビの巣も節穴をうまく使っていた。帰
りも面白いことがあった。シカが何頭もいるのだ。時折、シカの目が光るのである。これも素人には難しい。しかし、それなりに緊張し面白かった。
これも大勢でいるからこそであって、一人でその場面に遭遇したら心臓が飛び出そうになること間違いなし。子どもたちは元気いっぱいで学校に
帰った。いつまでも思い出に残ってくれると嬉しいのであるが。
西暦
月
日
メモ
2006
7
8
茶臼山ラインセンサス
茶臼湖のほとりでノジコを見た。ほんのちょっとしたきっかけが幸いした。セミたちの大合唱の中から聞き慣れない囀りを聞いたのだ。アオジのよう
に思えた。それでも茶臼山ではめったに聞くことは無いので声の主を確認しようと、階段を下ってほとりに向った。囀りは力強くて姿を見つけるの
は容易と思った。ところがこれが結構手強い。やっとの思いで見たのは枝から飛び去る姿であった。あー残念。諦めていたら彼は再び同じ木にや
って来た。見上げる格好で腹部がよく見える。真黄色のお腹はアオジのようでアオジでようでも無い。似た囀りの小鳥といえばノジコの名が浮んだ
。ポケットから図鑑を出す。ところが、あろうことかこの図鑑にノジコは載っていなかった。幸いカメラを携帯していたので撮影し、併せて囀りを録音
する。その結果、声の主はノジコと判定した。くしくも、1995年5月にジョウビタキの囀りをきいたのと100メートルほどしか離れていない場所での
確認であった。珍しさから言えばジョウビタキにはかなわないが、今回も、ほんのかすかな声がきっかけとなって、私にとっては至福の時間を手に
入れることが出来たのは幸いであった。センサスを開始してまもなくスキー場の方角から、カッコウの声が聞こえた。高原であることが実感できる
一番の鳴き声である。センサスの最後にはやはり高山の渓流の代表、ミソサザイの囀りを聞いた。センサスの真ん中で先のノジコの囀りである。
なんて
運のいい日。豊根から上る道中ではミソサザイ,オオルリ,キビタキの囀りがあった。駐車場の植え込みからはエナガやシジュウカラの群れが食
事をしている。羽の色からすると幼鳥であろう。茶臼山の周囲路では圧倒的にウグイスが優勢である。不思議な事としては、昨年まで年々勢力を
拡大してきた帰化鳥であるソウシチョウが、姿はおろか声すら全く確認できないのである。そのこと自体は歓迎すべきではあるが。スキー場や牧
場が点在する茶臼山に、草原をすみかとするヒバリがいても不思議ではない。ところが、田んぼや畑での上空でディスプレイを見慣れている私に
は茶臼山でヒバリを見ることはいまひとつしっくりこないのである。反対に今の季節に是非聞きたいアカハラやマミジロが減っているように思えて
ならない。特にマミジロはほとんど確認していない状態だ。少ないといえばコマドリもそうである。今は駐車場になっている所にはコヨシキリがいた
。茶臼山も、年々開発が進み野鳥が減少しているのは間違いないと思う。
2006
7
15
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
子ども3名と大人2名のこじんまりとした探鳥会となった。朝から真夏のような日差しが注ぎ暑さが心配になる。幸いやや強めの風が吹いていて汗
は直ぐに乾いてしまう。その分水分補給が必要。背中のリュックサックにはお茶入りペットボトルがたっぷり入いっている。最初にツバメを観察。電
線にとまっているのは幼鳥で親からの差し入れをまっている様子だ。元気に飛び回っているのはもっぱらツバメで、そのほかの鳥達はあまり活発
ではなさそう。牧野さんがカワセミを見つけた。「そこそこ!」と言われても他のメンバーにはさっぱりである。「牧野さんズルイ!」とうらやましがる
子の声。所がである、羽根の田んぼを歩いていたら、先のカワセミと思しき個体が田んぼの上をすれすれに飛んでいくのを見たのだ。飛び去る先
には長根の大池があるので別段不思議ではないが、川面を飛ぶイメージが強いので一瞬アレーと思ってしまう。羽根・長根の田んぼに入った途
端賑やかな鳥の声。声の主はスズメよりも小さいセッカ。セッカのオスが自分の縄張りを見張ように鳴きながら飛ぶ姿であった。羽根・長根の田ん
ぼにおける夏の探鳥会の主役とも言えよう。明るい空にぽっかり浮かぶ雲や幾すじもの飛行機雲が景色に変化を与えてくれる。単調な快晴より
もやはり雲がある空のほうが見ていて面白い。折り返しにある長根川に降りた子どもたちは暫く水の感触を楽しんだ。ああ自分も入りたい!
2006
7
16
室林道ラインセンサス
この時期になると巣立ち雛に出会うことがよくある。今日も、エナガ,ヤマガラ,ヒヨドリの幼鳥が群れを作って採餌する姿を観察することができた
。特にエナガは20羽以上の個体数で、その賑やかなことは成鳥と変わらない。スタートした時点にはコオロギの声がしたが、終わり頃になるとア
ブラゼミの声が優勢になった。ウグイスやホオジロの囀りが目立っているが、キビタキやオオルリもまだ囀りを終えてはいない。夏鳥の中ではヤブ
サメとセンダイムシクイの囀り個体が減ってきているみたいだ。ヤブサメは地鳴き個体を確認し、センダイムシクイはあまり鳴かずに採餌していた
。(エナガの幼鳥の群れを観察中に偶然に見た)枝が大きく揺れているので注目した。野鳥の体重では枝先でもそんなに揺れない。小型の哺乳
類に間違いない。双眼鏡で探すと比較的丸い顔で耳が立っている姿を発見。ニホンリスよりも大型である。残念ながら哺乳類の同定には全く自
信がない。カメラを持っていたのが幸いと樹幹部まで登った姿を撮影する。相手も災難だったろう。どなたか名前が分かったら教えてください。今
日もホトトギスが鳴いていた。首尾よく他人の親にわが子を託すことが出来ただろうか。
西暦
月
日
メモ
2006
7
22
茶臼山ラインセンサス
梅雨の中休みの合間を縫って茶臼山を訪れる。道中沿いに見える川はいずれも増水しており、2箇所で崩れたところを応急処置していた。(山間
部の道路ではよく見る光景だ)久しぶりの晴れとあって茶臼山に登る車も多い。圧倒的に多かったのはやはりウグイスであった。次いでホオジロ。
私のフィールドノートにはこの2種の名前が繰り返されるばかり。時折、カッコウ,ホトトギスの鳴き声が聞こえてくる。ウグイスなどの被托卵鳥の
個体数が多いのだから、茶臼山はこれら托卵種にはうってつけの場所なのだろう。センサスで唯一木陰の中を歩くコースに入って、ようやくヤマガ
ラ,シジュウカラ,ヒガラ,コガラを確認する。彼らはひっそりと採餌していた。増水した沢音にかき消されそうにミソサザイの囀りが聞こえる。今年
はコマドリ,アカハラといった高原を代表する夏鳥を全く見ていない。ミソサザイの囀りは、はるばる茶臼山まで出かけてきたご褒美のように思え
る。(茶臼山には今日で216回遣って来ている)山頂付近にかかっていた雲も吹き払われ上空には高層の雲が広がった。水をたっぷり体内に蓄
えた植物たち、今度は光のエネルギーを利用しようと待った晴れ間がやって来た。そんなに多くない花に群がるように蜜を求める昆虫がいる。ア
スファルトの割れ目にアリが獲物を運んでいる。芋虫などはすぐに入れるが羽のある虫はなかなか大変な様子だ。何匹ものアリが何とか巣に入
れようと頑張っているが、いかんせん獲物が大き過ぎて入らない。センサスも終わりに近づくと野外ロッジの方から歓声が聞こえてきた。夏休みの
林間学校なのだろうか、小学生たちが昼ごはんを食べていた。到着したばかりなのだろうか、みんな持参したおにぎりを楽しそうに頬張っている。
私は少し早めの昼ごはんを済ましたばかりだ。
2006
7
29
観音山ラインセンサス
山口さんが観音山でヒガラの繁殖行動を確認されて暫く経つ。別にそれを期待するわけでもないが久しぶりに観音山に出かけた。室林道のライ
ンセンサスを終えた後なので時間的にもやや遅い。何よりかんかん照りの中を歩くので体力勝負になる。幸いにして以前よりは体力に自信を持
てるようになったし、風があるのでそんなに辛くはない。どんどん高度を上げてゆく。ウグイス、ホオジロが囀っている。向かいの山からはホトトギ
スの声も聞かれた。そのあたりは室林道と似かよっている。やがて南西の方向に三河湾が見えてきた。景色の良さでは室林道を凌ぐだろう。観音
山もマツクイ虫でマツが全滅した後植林され緑豊かな山となった。植生の殆どはヒノキやスギである。雑木が少ない分、室林道に比べ鳥の数が
少ないように思う。それでも私にとては大事なフィールドにかわりはない。
2006
7
29
室林道ラインセンサス
林道の崖が再びさらに大規模に崩落した。1回目の崩落ヶ所の上部が一気に崩れた形だ。道は完全に塞がれてしまいセンサスはここで終了とな
った。林道の入り口でオオルリのメスを発見。虫を咥えて鳴いていた。地鳴きと囀りを交互にしている。囀りといってもオスのように鳴いているわけ
ではない、一つの節回しを繰返しているだけである。それでもメスが囀りをする種はそんなに多くはないと思うので、いいものを聞いたと一人ほく
そ笑む。ウグイスの囀りは相変わらず多い。今年はいつまでこの囀りを聞かせてくれるだろうか。崩落現場を見てこれは大変だと思った。土砂撤
去作業に厳しい県の財政を当てねばならない。(続けて2度も出費しなけれはならないのだ)室林道はたしか県の管理と聞いた。タカが飛び立つ
のを見た。ノスリであった。エナガの声がする。この鳥が周りにやってくると静かな林道も一時賑やかになる。それに、エナガを先頭にしてシジュウ
カラやヤマガラたちが群れを作り一緒にえさ探しをする。混群と呼ばれるこの行動は本当に見応えがある。秋から冬にかけてのそれ(混群)程の
大きさではなかったが、今私の頭の上では前記の種を主体とした鳥達が思い思いに餌を捕っていた。その中の1個体に注目。彼は(彼女かもしれ
ない)はヤマガラで、まだ若い幼鳥である。大きさは親と変わらないが体色は親よりも薄くぼんやりとした感じだ。盛んに木の枝をつついて潜んで
いる虫を突き出そうとしている。鳴き声もヤマガラと分かる部分と別の鳥の囀りのような部分とがあって、余計に気になって仕方が無かった。北か
らの風にのって雲が流れてゆく。その形は夏のそれである。崖に咲くハギももう少しで花を開く様子。セミたちが鳴きだした。暑いけれども爽快な
気分だ。キアゲハが飛ぶようにしてゆく。そして、トンボの王様オニヤンマの登場。いつも彼は堂々としている。
2006
8
1
前田町
梅雨明け宣言も出されいよいよ本格的な夏の到来である。前田町の田んぼの稲も順調に生育している。田んぼ以外にも畑として利用されている
が、その中でもトウモロコシ畑がかなりの面積を占めている。食用としてではなくて家畜の飼料として作られているのだ。従って、まだ青いうちに刈
り取られてしまう。そのトウモロコシ畑に多くの野鳥がやってくる。(カワラヒワ、スズメ、ドバトなど:ドバトは野鳥ではないが)その中でもカワラヒワ
の個体数が特に多い。トウモロコシが生育する前には個体数も大したことはなかったが、ここに来て急に増え始めたようだ。下火になったのがオ
オヨシキリの囀り。とうとう今日は囀りをする個体を見ることができなかった。
西暦
月
日
メモ
2006
8
5
土曜探鳥会茶臼山
早朝探鳥会が茶臼山探鳥会に替わってしまった。兄弟二人が6時に来てくれた。私と牧野さん総勢4名。そこで、遠くから来ていただいている牧
野さんのことも考えて、兄弟のご両親の了解を得て茶臼山に出かけることにした。牧野さんのハイブリッド車で颯爽と出発。8時30分には茶臼山
に到着。静かな山の朝を楽しみながら野鳥の声や姿を探した。頭上を30羽ほどのイワツバメが飛び交う。よく晴れてはいるが遠くの山々は霞ん
でいる。ウグイスがよく囀っている。時折枝から枝へと渡る姿が見られる。ホオジロもソングポストで上空を仰いで鳴いている。2週間前に確認した
姿と変わっていない。ただ2週間前には聞かれなかったソウシチョウの声が聞かれた。やはりソウシチョウはいたのだ。それとも梅雨が明け気温
の上昇と共に高地に移動してきたのかもしれない。ハイブリッド車は静かなので野鳥観察には好都合である。コガラやヒガラも確認出来た。子ど
もたちにはよいプレゼントが出来たと思う。小鳥の森ではコガラの姿を確認。さらに嬉しかったのはオオルリのメスが囀る姿を観察できたことであ
る。小鳥の森は静かで涼しく最高であった。木漏れ日に輝く緑色の苔の美しかったこと。森から出て小鳥茶屋でおやつを食べた。「森の外は蒸し
暑いね」などと贅沢なことを言っていたが、その言葉を吐いたことは茶臼山に対して失礼であった。東栄町でトイレ休憩した時に車から降りた途端
襲ってきた熱波のような空気、思わず出た言葉は「茶臼山はなんて涼しかったんだろう」であった。
2006
8
6
室林道ラインセンサス
昨日茶臼山に行って来た。室林道と茶臼山とを比べてみたい。ウグイスとホオジロの囀りが盛んであることは似ている。1000メートルの標高差
は感じられない。(茶臼山のセンサスルートが1200メートル、室林道は200メートルである)茶臼山のカラ類はヒガラ、コガラ、シジュウカラ、ヤマ
ガラであるが、小鳥の森のような森の中に入ってゆくと結構いる。もっとも囀り個体は4月~6月に比べるとずっと減っている。室林道にはシジュウ
カラとヤマガラがいる。こちらの方もこの時期ほとんど囀ってはいない。雑木の密集した所や薄暗いヒノキ林の中でひっそとり採餌する姿を観察で
きる。ウグイスなどの被托卵主が多いのでホトトギスの鳴き声がよく聞かれるのも共通している。カッコウだけは標高の低い室林道では見ること
はできないが。夏鳥たち、オオルリ、キビタキ、ヤブサメ、センダイムシクイはどうだろうか。茶臼山でオオルリの囀り個体がいた。それもメス。とこ
ろが、室林道でも先週のセンサスでメスの囀り個体がいたのである。その他の夏鳥たちは茶臼山・室林道どちらもほとんど囀りを止めてしまった。
(オスたちはと言ったほうが正確か?)このように共通する点が多々ある。昨日、茶臼山から戻ってくる際つくずく思ったのは、茶臼山は涼しいとい
うこと。室林道はと言えば、コースの半分程度は直射日光が当たらないため、茶臼山よりも格段に標高が低いにも関わらず涼しい環境でセンサス
できる。室林道から平地に戻るとやはり暑いのである。このことは本当にありがたいと思っている。
2006
8
12
長野県 蛇峠山
ほぼ1年ぶりに長野県蛇峠山に出かける。今回は一人ではなく会社の同僚と一緒である。彼は、私のホームページを見てくれている一人だ。昼
食に、「今度長野県の山に鳥を見に行こう」と話がまとまりお盆休みの初日に決行することになった。スタートからトラブルが発生する。東名が事
故で渋滞。携帯電話で連絡をとるが、心なしか電話口での声に元気がない。どうやら天気を心配している様子。予定よりも30分遅れて彼の家に
到着する。豊田市の上空には雷雲があって稲光もする。はたして長野県の南部は大丈夫だろうか?。不安を抱きつつ国道153号線を進める。と
ころが蛇峠山への登り口である治部坂に到着したときには青空も広がっていて、「何だ!大丈夫じゃん!」思わず二人は顔を見合わせて笑った。
ホオジロがソングポストで囀っていた。練習とばかりにスコープで姿を捉えてもらう。実物と図鑑とを見比べ「間違いない!」と彼は言った。別荘地
帯をゆっくり車で進む。アカゲラの声がした。そしてウグイスの声。馬の背で車は終わりだ。後は山頂まで歩いて登る。馬の背からの見晴らしが素
晴らしかった。平谷の町並みが下に。隣にはの兄貴分格の大入川山が聳え、南には穏やかな形をした茶臼山、東に目を向けると遥かに高く木曽
駒の山並みが連なっている。刷毛ではいたような白い雲が青空に広がる。歩き始めて暫くはウグイスの囀りが続く。耳が慣れてくると、コガラ、ヒ
ガラ、カケスたちの呟くような声も聞こえてきた。そこへ突然、「ヒンカララ」紛れも無いコマドリの声。この春からずっと探していた声がしたのだ。茶
臼山でも高嶺でもついに聞かれなかったコマドリの囀り。これには驚きと喜びがとが同時にやって来た。隣の彼も「そんなに珍しいのなら」と一緒
に喜んでくれた。ここでもソウシチョウは繁殖していた。ウグイスを除いてよく鳴き声が聞こえたのがソウシチョウであった。メジロのような緑色の体
に黄色、橙色の模様が入った体を確認した。種間競争の対象としてウグイスがあげられるのではと思う。どんどん生息域を広げていけば日本産
野鳥との競争も起きてくるだろう。山頂手前の道端にはマツムシソウが風に揺られていた。いかにも標高の高い所に来ていることを実感させてく
れる花で私は好きである。蛇峠山には雨量レーダーをはじめとして電波の中継アンテナが林立する。二人の携帯は別のメーカー同士であるが、
共に、同じくらいの大きさのアンテナが立っていた。その近くでは携帯の電波が最強(当たり前だ)であることを確認した。空の上にも鳥達がいた。
雲に届きそうに高いところではオオタカが、アンテナの近くでは3羽のノスリがじゃれあうようしていた。山頂にいたのは1時間もなかっただろうに、
山の天気は刻々と変わってゆく。晴の区域が減ると同時に黒い雲が広がるのを見ながら下山の足を速めた。実際にそれから1時間も経たないう
ちにかなり強い雨が降ってきたのだ。
西暦
月
日
メモ
2006
8
14
萩一円
早朝ウォーキングを兼ねて萩の中を歩いた。出来るだけ日が高くならないうちに家に戻ってきたい。出発時点では山の下に太陽があり涼しくて気
持ちが良い。アオサギの大きな体がゆったりと舞っている。電線の上ではツバメたちがなにやら会話をしているようだ。山陰川沿いに進んでゆく。
カワセミをと期待したがそれは叶わなかった。草には露がかかりプリズムのように輝いている。鎮守の森からはイカルの声がした。羽根・長根の
田んぼ道までゆくとセッカたちが縄張りを守る様子が観察できる。このスズメよりも小さな鳥は夏の田んぼの名士である。同じような田んぼでも羽
根・長根はセッカが多く、豊田市前田町ではセッカよりもオオヨシキリが多いのは面白い。今年の冬はカワラヒワの姿を見ることが少なかったが真
夏の羽根には結構いる。季節別個体数で従来と逆になってしまった。これも面白い現象だ。コチドリが3羽いた。耳障りのない感じの良い声で鳴く
。長根川まで行って戻ることにした。復路は太陽に向かって進む。既に眩しい光の玉は山の上にあって目を細めることになる。緑という緑に露が
掛かっていて、日の光に輝いて見えるさまは思わず息を呑むほど美しい。そろそろ額からも汗が流れだした。お腹も空いてきた。早く帰ろう。
2006
8
14
室林道ラインセンサス
例年お盆を過ぎるとウグイスもそろそろ囀りを終わりにするみたいだ。いつが囀りの最終日になるのか、毎年この時期になると注目している。今
日のセンサスではまだまだ囀り個体は健在だ。崩落地点から先は確認できないので心配ではあるが、ウグイスの囀りは声量の大きさも別格で鳴
けば分かってしまう。シジュウカラの若鳥たちの群れに出会った。成鳥のようにシンボルのネクタイがまだしっかり結ばれていない。
2006
8
16
寺ノ入林道ラインセンサス
やはり気になるのはウグイスである。囀り個体がいるかどうかであるが、結論から言うと1個体だけいた。あとは全て地鳴き個体である。囀りゼロ
かに見えたが、センサスの復路最終地点つまり出発地点でようやく囀りを聞いた。いずれにしても囀りを終える日が近いことを示していた。ウグイ
スに比べてホオジロは囀りが盛んであった。これは室林道でも同様である。結局、囀りをしていた種は、ホオジロ、イカル、ヒガラ、ウグイス、ヤブ
サメであるが、ホオジロ以外は全て最少の1個体ずつであった。春先から続いてきた子育てが終焉に近づいているのであろう。どの種もひっそり
と生活しているように見える。これから始まる換羽(1年に一度羽が生え変わること)に備えているのかもしれない。つぶやくような声から種を確認
するのは大変ではあるが面白みも多い。今日も、キビタキのメスが青虫を捕らえている姿を探すことができたのは、地鳴きがきっかけであった。
歩いているとぶつかりそうになるぶっそうなものがいる。オニヤンマである。ブーンと飛行機みたいな羽音をたてて林道を行き交っている。静かに
やってきて突然ブーンとやらかす個体もいて、スズメバチのような恐怖感はないものの、相手を驚かす効果はかなりのものだ。寺ノ入林道での楽
しみは好きなサンショウクイに出会うこと。幸いにも2ヶ所で鳴き声を確認することが出来た。
2006
8
18
豊田市前田町
自然観察の森から前田町に移動する。ここは勤務地に近くて毎日早朝ウォーキングのコースである。写真を撮りたい時は会社の休日にやってく
る外はないので今日は願ったりの日である。とは言っても、日陰も無く暑い日差しが照りつける中での観察である。タオルで頭を隠す人前には出
られない格好となった。歩く前に水分を補給しなくては。8月に入ってオオヨシキリはパタリと鳴くことを止めてしまった。従って今の前田町は比較
的静かである。カルガモやチュウサギが休んでいた。休みなく働いているのはツバメたちだ。群でいるのが次の3種。スズメ、カワラヒワ、ムクドリ
。ドバトも群をつくっているが野鳥としてはカウントしない。スズメやカワラヒワはトウモロコシ畑に集まっている。ここのトウモロコシは家畜の飼料
に栽培しているものだ。コンバインのような機械で刈り取っていた。ドバトが刈り取り後の畑に降りてトウモロコシの実を食べている姿を見ることが
できる。正午までの1時間余り、蚊の攻撃は無いが日差しの攻撃に参ってしまい2本目の水分補給をして(実は前田町の田んぼに1ヶ所だけある
自動販売機の前に車を停めておいた)前田町を後にした。
2006
8
18
室林道~羽根・長根の田んぼ
室林道のウグイスを確認したかった。豊田市自然観察の森でもウグイスの囀り個体はいなかった。三河湖寺ノ入林道では1個体だけいた。はた
して室林道では? 観察を行なった14時~15時は朝夕に比べて野鳥が静かな時間帯ではあるが囀りは全く聞かれなかった。ここで直ぐにウグ
イス囀り終了の結論付けるわけにはいかないが、終了に近づいているとは言えるのではないか。
羽根・長根の田んぼではハクセキレイを見た。ハクセキレイは冬鳥とのイメージを持っていたし、実際そのような結果であった。ところが2~3年ほ
ど前から真夏でもハクセキレイを見るようになった。「ハクセキレイが真夏にもいる!」最初に驚いたのは豊田市前田町での観察を開始した時の
ことであった。もしかして音羽町でも、と今までの常識を捨ててハクセキレイを探し始めたわけである。そして、予想通り音羽町でもいたのだ。そん
な訳で今日の確認にも「やはりいたか」と比較的冷静にみている自分に気が付いた。2年ほど前であったら大喜びしていただろうに。
西暦
月
日
メモ
2006
8
18
我が家周辺
朝夕にはウグイスの囀りも聞かれるところです。早朝と夕方にルナ(犬)と散歩するのですがウグイスの囀りも聞かれなくなりました。モズの声が
よく聞かれます。モズの高鳴きは秋が有名ですが、実際には夏の初めからモズたちはよく鳴きます。それと、カワラヒワの群が目立つようになりま
した。2005年秋から2006年冬にかけてカワラヒワの姿を殆どることがなかったのですが(珍しい出来事だと思っています)はたして今年の秋は
どのようになるのでしょうか?この日は豊田市自然観察の森に始まって4ヶ所も回って野鳥を見ました。ルナとのんびり山陰川沿いを歩いていま
したら、久しぶりにカワセミが出現。こちら側に向かってきましたので姿もはっきり確認。黒い嘴でしたのでオスであることが分かりました。豊田で
は飛び去っていきましたので雌雄は分かりませんでした。まだ蚊に刺された跡が痒いのですが盆休みの終盤を飾る日であったと自画自賛。
2006
8
18
豊田市自然観察の森
交通量の多い片側2車線の幹線道路(外環状線)が直ぐ側を通っている。9時の開門時間にはまだ1時間もあるので(野鳥観察には今の時間で
も遅いと思うのであるが)行き止まりの(散歩をする人たちが利用している)道に駐車することにした。外環状線の歩道から森の中に入れる場所が
あったので早速進入する。ほんの数メートルで別世界が広がる。森の外は切れ間なく車が行き交い活気溢れる暮らしがある。しかし森の中に入
った途端静けさが支配する。もちろん車の音が聞こえなくなった訳ではないが、外界の雑音を森が和らげてくれている。そこには小川が流れてい
た。湿地の上を木の遊歩道が附けられている。雨で濡れているのできちんと横板の上を歩かないと滑ってしまう。一目でここが気に入ってしまっ
た。セミの声に混じって小鳥たちの鳴き声もする。ヤマガラ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、ヒヨドリ、アオゲラを確認した。ここは雑木が主体のよう
だ。ネイチャーセンターへは階段を登ってゆく。途中にクイズ形式の標識があって楽しみながら森のことを学べるようにしてある。中腹にネイチャ
ーセンターがあるが、帰りに寄寄ることにしてコースを順に回った。展望台からは豊田市街地が一望できる。(もっとも南方面が主体ではあるが)
一際大きなトヨタ自動車の本社ビル。サッカーの豊田スタジアムも大きい。少し前までは山であった所がどんどん住宅地になってゆく様もよく分か
る。お金は掛かるだろうがこのような施設があることは市民にとって良いことだと思う。展望台を降りて今度は下り坂が続く。オオルリやキビタキが
居そうな所に出たが時期的にも囀りは期待できない。その代わりに(いやそれ以上)すばらしい鳥が出迎えてくれたのだ。私が好きなあのサンショ
ウクイである。私の住む音羽町にもサンショウクイがいる。今年はどこかおかしいのだ。ここは毎年飛来しているのか見当も付かないが、都会で
ある?豊田市の市街地近くでもいることが分かった。サンショウクイは良かったのであるが、良くないのはやぶ蚊の攻撃である。こうなると鳥の観
察もままならない。(蚊の季節には虫除けスプレーと長袖着用をお勧めします)明るい「トンボの池」に避難する。ここは田んぼであった所に水辺を
作って水辺の植物や魚、昆虫などが棲めるようにしている。ちょうどハスの花が満開で見事であった。メダカも泳いでいる。トンボの池というだけあ
って多くの個体を確認できる。昆虫の名前は苦手であるが、シオカラトンボ、アキアカネ、ギンヤンマの名前くらいは挙げられる。タンデムになって
飛んでいる個体もいる。これは当のオスが、メスが他のオスと交尾するのを力づくで阻止している行動であると聞いたことがある。あきらかにトン
ボであるが一風かわったのがいた。羽はカラスアゲハのように輝ている。そして羽ばたきが目で見えるくらいゆっくりである。普通トンボの羽ばた
きは早すぎて、人間の目には羽ばたいているようには見えないものだ。このトンボの名前はネイチャーセンターに寄って知ることができた。「チョウ
トンボ」と言うのがそうだ。彼女(女性職員であった)はチョウトンボが好きで写真を撮りたいと言っていた。「タンデムのチョウトンボもいましたよ」と
話したら、まだ見ていないと羨ましがられてしまった。さらにご親切にも虫刺されの薬を貸して下さった。本当にありがとう。
2006
8
19
土曜探鳥会 羽根・長根のたんぼ
私と2人のこどもだけのミニ探鳥会である。朝から積乱雲が頭上に居座り、何時にわか雨が来ても不思議ではない天気である。そういえば昨年の
探鳥会でも30分ほど雨宿りをしたっけ。「車で」とも思ったが、まあ何とかなるさ!でいざ出発。一人の子は今年から来てくれているので、こちらを
中心にと、「アオサギがいた! スコープで入れてみて!、電柱にカラスがいる!」とスコープを使う練習をする。2人は無口とおしゃべりと好対照
ですごく面白い。下賀茂神社付近で「スズメがいるからスコープで捕らえて!」とその子に言う。のみ込みが早くて一言いって覗くよう促された。私
が覗いてみると、スズメではなくホオジロであった。それも子どものホオジロである。よく確認しなくてはと反省する。羽根・長根の田んぼではセッカ
の独壇場。天気は目まぐるしく変わる。要するに雨雲の下は雨が降っていて、雨雲がどこにいるかが問題なのだ。どうやら幸運もここまでみたい。
雨が近づいてきているのがよくわかる。「萩小に着く前に降られるかもしれないな」と2人に話す。「晴れていても汗びしょになるんだから同じだね」
と覚悟を決めて帰り支度をする。幸いにして小雨で済み、少しだけ雨宿りをしてから解散した。
西暦
月
日
メモ
2006
8
26
室林道ラインセンサス
室林道に向う道中に広がる田んぼが黄色く色付いてきた。一ヶ所ではコンバインが運びこまれていて稲刈りが始まろうとしている。これから向う室
林道は何時もとは反対側の入り口になる。最初はスギの林の中を進む。そこではサンコウチョウが営巣していてとても楽しみな場所である。もっと
も今の時期はあの特徴的な鳴き声を聞くことはできないが。その代わりにと言ってはなんだが、トラツグミを見ることができた。トラツグミは虎の縞
模様のような鹿の子模様の羽色から名づけられた。鳴き声は虎とは正反対の繊細な(寂しげな)声である。この個体も声を発することなくひっそり
としていた。キビタキ、オオルリにも出会えた。両方とも綺麗なオスではなくて目立たないメスの羽色である。ツクツクボウシが一斉に鳴き出した。
こうなると野鳥の声は殆ど聞こえない。夏の盛りに鳴くアブラゼミの声は暑さを倍増する効果があるが、ツクツクボウシには夏を惜しむ、気持ちを
センチにさせる効果がありそうだ。そこへ聞こえてきたのがミンミンゼミ。おどけたようなミーンミンミン・ミーンミンミンの声に思わす笑ってしまう。
2006
8
26
乙女川
この綺麗な名前の川は音羽町の隣に位置する岡崎市(旧額田町)を流れている。アユ釣りもできるほどの川で私の地元に欲しいくらいだ。早春に
はカワガラス(最近は見なくなってしまった)が子育てを行い、、新緑の頃にはソングポストに陣取り歌声を競い合うオオルリの姿を見ることができ
る。運が良ければ(私は一度も無いが)ヤマセミが川面を行き交う姿さえ見られるのだ。ある年の夏の初めに山口さんと私は、乙女川の近くから
幻想的なコノハズクの「ブッポウソー」と鳴く声を聞いた。もう10年は経っていると思うが、その時のことは今でも鮮明に覚えている。さて午後も少
し経ってからの観察となったのであまり期待はしていなかったが、やはりそのとおりになった。川を眺めて楽しめればいいや!くらいのつもりで歩
いた。夏休みの最後とあって水遊びの姿があった。(怖いくらいの深みもあるので気をつけないといけない)少ない鳥の姿の中に面白いものが一
つだけあった。(面白いといっては当事者に申し訳ないが。)それは、ヤマガラがチョウ(ガかもしれない)をフライングキャッチする姿である。鳥とさ
らに小さな姿が突然視界に入った。2つはもつれ合って1つになった。すなわち鳥が小さい方を捕まえたのだ。鳥は近くの枝に止まった。こんな芸
当をやる鳥といったらあれしかない!。枝にはオオルリがいるものとばかり思って双眼鏡を向けたら、丸い視界にあったはヤマガラだったという訳
である。
2006
9
2
土曜探鳥会 室林道
私と牧野さん子ども2名のミニ探鳥会である。北からの乾いた空気が入り込んで、秋めいた気持ちの良い朝を迎えた。室林道には霧がかかって
いてなかなかの風景である。メジロがチイチイと鳴きながら飛んで行く。シジュウカラやヤマガラもヒノキの林の中で採餌中。朝露が虹色に光る。
日影は爽やかで気持ちが良い。室林道に入ると急に様々な小鳥に出会った。3羽のキビタキの不可解な行動。さらにはオオルリのメスが現れ地
上に降りて採餌。4人は必死で鳥の姿を追った。「ウグイスの声がしないね」と私。その途端、私の言葉を否定するように、チャ チャ チャとウグイ
スの地鳴きが聞こえた。私達の会話を聞いていたかのようである。珍しい鳥がいた。エゾムシクイの地鳴きが聞こえたからだ。エゾムシクイはたぶ
ん室林道では繁殖していない。従って今見ている個体は繁殖地から越冬地に移動しているのだろう。室林道の最高地点で休憩をとる。その間に
もいろんな生き物が現れる。オニヤンマ、カラスアゲハ、トカゲ、そして多くのセミたち。鳥もいる。コゲラ、メジロ、エゾムシクイなど。地味ではある
が可愛らしい小鳥たちだ。ここで寝てしまいたいくらい気持ちが良かった。予定を1時間も超過し萩小学校に戻った。まだ夏休みが終わったばかり
。正午近くになって気温もぐんと上昇していた。出た言葉は「まだまだ暑いねー」
2006
9
6
前田町
田んぼの稲穂も頭をたれてきた。そして今元気に囀っているのがセッカ。このスズメよりも小さな小鳥は一夫多妻で知られている。オスは縄張りを
守り、他のオスの侵入を頑として排除する。今日もその時の鳴き声が聞こえてくる。100メートルほどの円を描いて縄張りを見回っている。目の前
数メートルに近づいても逃げようとしないほど気の強い鳥でもある。半月ほど前までは同じウグイス属のオオヨシキリが盛んに鳴いていたのであ
るが、彼らの声が消えた途端にセッカが現在のように活発に行動するようになったのである。これは偶然なのか?。いやそうではあるまい。
西暦
月
日
メモ
2006
9
9
室林道ラインセンサス
残暑が厳しい。朝の涼しい時間にと前日まで考えていたのに夜更かしが祟ってセンサスを開始したのが9時過ぎとなってしまった。ヤマガラ、シジ
ュウカラの呟くような声がするもののあまり姿を現さない。けれども、たまに姿を現すのに結構面白い鳥がいることを知っているので油断はできな
い。それらは林道に植えられたサクラの木に出現することも知っている。たとえば、オオルリ、キビタキ、エゾビタキ、エゾムシクイ、コサメビタキな
ど。先週の土曜探鳥会ではエゾムシクイを確認した。囀りは終わってしまったが、オオルリやキビタキが静かに採餌する姿を見つけることができる
。今日はまさに後者の出番であった。(オオルリ、キビタキの若鳥か幼鳥)秋らしいものといえばハギの花か?ようやく花弁が開いてきた。トンボや
チョウも沢山いる。大型のアゲハチョウの仲間やオニヤンマが林道を行ったり来たりしている。数十メートル先で物音がする。とっさにその方向を
見たらニホンジカが走り去っていくではないか。(心臓どきどき)
2006
9
9
羽根・長根の田んぼ
先週1週間ほどの間にすっかり稲の取り入れは終わってしまった。今は、刈られた稲たばを干すことは無くなり、一日で風景が変わってしまう。刈
り取り後の広々とした田んぼに大挙してやってきたのはハシボソガラスである。電線にも列をなしてとまっている。野鳥達をえこひいきするのは本
位ではないが、ハシボソガラスではなくてサギだったらなと思う。数ではムクドリが一番多い。丸い塊となってあちこち移動している。あとはケリとセ
キレイたち。今日はケリの数も多かった。3羽のセグロセキレイが鳴きあっているのを見る。オス・メス間のやり取りのようにも見え面白い。ハクセ
キレイの顔を見ると若鳥の特徴である極く薄い黄色がでていた。ハクセキレイの繁殖の可能性もある音羽町である。はたして、この個体は移動し
てきたのかそれともここで生まれたのか?ここ羽根・長根も秋への準備は進んでいるようだ。1週間もすればヒガンバナが顔をだすだろうし、ノビタ
キノ南下個体が姿を現す。
2006
9
16
土曜探鳥会 羽根・長根
4人の子どもたちと先生と私、総勢6人のミニ探鳥会をおこなった。行き先は羽根・長根の田んぼである。目当てはノビタキの南下個体を観察する
こと。イワシ雲が秋の空を飾っている。稲刈りを終えた田んぼの畦にはヒガンバナが頭を出し始めた。透明な秋の空気を胸いっぱいに吸う。萩小
を出発すると直にノスリが現れた。2組のつがいと1羽、全部で5羽も。つがいはそれぞれに相手を確かめ合うようにして円を描いている。2組の
輪の距離はおそらく2キロメートルは離れているだろう。一度に見るとなかなかのものである。ツバメの数が減ってきた。越冬地への旅に発ったの
だろう。代わりに目だって個体数を増やしたのがスズメである。春先にはどこに行ってしまったのかと思うほど見かけなかった。羽根・長根の田ん
ぼでは群になって行動している。本来の姿に戻り安心する。目当てのノビタキを1羽だけ確認する。実は、ここに行き着くまでに2度も失態を犯し
た。子どもたちのカワラヒワとセッカを間違ってノビタキと言ってしまったのだ。もっとも肉眼で見えたのをあてずっぽで言ったのではあるが。間違い
は間違いである。ノビタキについて言えば、先週の観察では確認できなかったので、今週のどこかでやって来たのは間違いなさそうだ。
2006
9
16
めて見たキマユムシクイ
探鳥会を始める前に先生から落鳥(死んだ鳥)を見て欲しいを言われた。こどもが持ってきたとのことである。それも2羽も。冷蔵庫で冷やされた
体を手に取る。ひんやりとしてなんともいえない感触だ。オオルリのメスではないかと1羽目に出されたのはキビタキのメスのようの思えた。サイ
ズを測らなくては分からない。咄嗟に胸のポケットに入っている「日本野鳥の会」製のフィールドノートにスケールが書いてあるのを思い出したの
は上出来であった。既に硬直しているので真っ直ぐにはならないものの14センチメートルはキビタキのサイズにぴったりであった。
2羽の方はミビタキよりもずっと小さかった。11センチに満たない小ささだ。これほど小さな鳥はそんなに数はないはず。私が知っている種のミソ
サザイやキクイタダキはこのくらいの大きさの鳥であるが目の前の鳥とは全く違う。裏返してみると眉斑が明瞭に見えた。そこで、ウグイス属の仲
間であろうと見当をつける。色はセンダイムシクイに似ているがサイズが全く違う。センダイムシクイは12センチメートルもある。もっ小さなヤブサ
メは赤みが強い。こうなったらウグイス属の中からこの鳥とサイズと色が合致する鳥を片っ端から見てゆくことにした。そして浮かび上がったのが「
キマユムシクイ」であった。体長10.5センチメートル、上面は黄緑色。名前の由来となる黄色の眉斑を持つ。そして目の前の鳥の眉斑も明瞭な
黄色をしている。図鑑の中にはもうキマユムシクイ以外にこの鳥と同じ特徴を持つ鳥はいなかった。繁殖地は東シベリア、越冬地は中国南部から
東南アジア。日本では数少ない旅鳥として春に多くの記録があるとあった。するとこの個体はさらに少ない秋の南下個体となる。大変な鳥に出会
ってしまった。先生に「専門家に観てもらってくださいと」言ったのは賢明であったと思う。
西暦
月
日
メモ
2006
9
16
室林道ラインセンサス
探鳥会を終え昼食・休憩をとって室林道に出かけた。(どうしても今日行かないと記録が途絶えることになるので)カケスの声を聞いた。そろそろ
室林道にもカケスがやって来る時期ではある。セミの声もずいぶんと静かになってきた。大半は一生を終えたのであろう。キマユムシクイの衝撃
は簡単は収まりそうにない。割と静かな室林道ではあるが実は凄い鳥が南下しているかもしれないのだ。2匹めのドジョウはならなかったが、そ
れでも南下個体は見られたのだ。サクラの木で採餌していたコサメビタキを見つけた。目の周りの白い輪がよく特徴を現していた。朝見たキビタキ
の落鳥はもっと茶色が強い。この鳥は名前のように魚のサメのようなグレーの色をしている。コサメビタキに間違いなかった。
2006
9
16
カワセミとイソヒヨドリ
最近太ってきたルナ(ミニチュアダックス)を散歩に連れてよく。太ると歩くのが億劫になるのは犬も同じらしい。山陰川沿いの道を歩いていたら橋
の欄干に止まる鳥がいた。ヒヨドリでもなさそう。目を凝らすとそれはイソヒヨドリのオスであった。早春には毎年姿を現すので驚きはしないが、や
はり急に目の前に出現されるとドキッとする。綺麗な青色をしていた。カメラを持っていなかったのがやや残念。そこから10メートルも歩かないう
ちに今度はカワセミである。とかく物事は起きるときは連続して起きるものだ。イソヒヨドリよりもさらに普通に見られる鳥ではあるがやはり嬉しいも
のだ。
2006
9
17
寺ノ入林道ラインセンサス
野鳥の南下を観察しようと寺ノ入林道にやってきた。すでに、ノビタキ、エゾムシクイ、コサメビタキ、珍しいミマユムシクイ(落鳥)の南下個体を確
認しているので、寺ノ入林道でさらに別の種が確認できたら嬉しいのであるが。南下個体と言えるのか自信はないが、ヤマドリを2羽見ることがで
きた。2羽ともオスの成鳥で、朝日が体に当たり見事であった。キジも綺麗ではあるが少しグロテスクなところがある。それにひきかえヤマドリは誰
がみても見事と思う端正な姿があるように思う。室林道ではまだ数少ないカケスが多かった。小鳥ではシジュウカラとヤマガラは多いように思う。
夏鳥ではヤブサメの地鳴き個体が1羽のみ。まだまだ9月の半ばでは寺ノ入林道を後にして越冬地に向うことはあるまいが。秋らしい景色を探し
てみた。崖から垂れ下がるように咲くハギの花は濃い赤紫の花弁を開いた。背丈以上に伸びたススキは少しだけ穂を覗かせている。リンドウの
花はもう少し先だ。全体として秋らしい静かさを取り戻したかのようにみえる。ツクツクボウシが弱々しく鳴いている。次に訪れる時には、静寂の中
でウグイスやカケスの鳴き声だけが響く、私のもっとも気に入っている寺ノ入林道になっているだろう。
2006
9
21
茶臼山ラインセンサス
休みを取って茶臼山に出かけた。平日の茶臼山はひと気もなく野鳥観察にはうってつけっだ。よく晴れているので南アルプスの山々が見えるので
はと期待していたのであるが、残念ながら雲に隠されていた。辛うじて兎岳の三角が見えるのみ。(茶臼岳から南の山は見えてはいたが)茶臼の
山頂付近ではトビの群が制空権を握っていた。ときたまハシブトガラスガ近づいたりすると直に追い払われてしまう。よくみる光景と反対になって
いる。ノスリはうまくトビとお近づきになって一緒に輪を描いている。開けた所ではカケスが活発に飛び回っている。今年の茶臼山で一番の個体数
ではなかろうか。秋の渡りの季節になってうずうずしているのかもしれない。さらに木々の中から一番元気な声で鳴いているのはソウシチョウであ
る。今年はソウシチョウを確認出来ないと記録していたのであるが、今日は一変して茶臼山の周回道路付近は全てソウシチョウに占拠されてしま
った。囀り個体や地鳴き個体が混在していることから、単独でいることはほとんどないようである。こうした外来種は古来種との競争に勝って急速
に増加していく傾向が強い。心配である。野鳥以外では数は少ないながらも渡りで有名なチョウ(アサギマダラ)を確認する。
2006
9
21
室林道ラインセンサス
茶臼山から戻り直に室林道へ向う。そんなに無理しなくてもとも思うがいろいろ都合があるのだ。ヒヨドリ、ヤマガラ、ホオジロ、カケスとまんべんな
くいるが南下個体らしき姿は確認できなかった。崖崩れで通行止めとなりサル達は安心して行動している環境になったのか、今日も多数のサルを
見た。子どものサルや母親の背中に負ぶさっている赤ちゃんザルもいて微笑ましい。(農作物の被害を思うと困ったことではあるが)
西暦
月
日
メモ
2006
9
28
前田町
前田町の田んぼの稲穂も黄色く色づいてきた。オオヨシキリやセッカといった夏鳥たちは、繁殖も終え、後は、幼鳥たちを渡りに耐えるだけの体に
仕立て上げ南下の時期を待つばかり。地元で育って暮らす鳥たちは、厳しい冬越しに備えて、少しでも餌の条件の良いところを確保しようと縄張
りを争う。モズが高鳴きをする季節になった。モズは漢字で百舌(鳥)と書く。百の舌、すなわち100の鳴き真似をするという意味だ。実際、かなり
の鳴き真似をする。大きな鳥ではチュウサギが多い。数羽がゆったりと飛翔する姿は実に優雅である。9月の半ばころから新しいお客がやってき
た。彼らは前田町に永くは滞在してくれない。「先を急ぎますので」と次々と遣って来ては去ってゆく。本州中部以北の草原で繁殖を済ませた、ノビ
タキたちの南下する姿なのだ。田んぼの隅にスズメよけのテープを止める棒が立っている。その棒の上で休んでいるのがノビタキである。オオヨ
シキリやセッカとも違う雰囲気を持っている。時折尾羽を振るしぐさをする。この所作は冬鳥の代表各であるジョウビタキとよく似ていて、ツグミの
仲間であることを表していると思う。ヒガンバナが咲き終わる頃にはノビタキたちは越冬地に向かい前田町からは姿を消す
2006
9
30
萩小運動会
今年も萩小から招待状をいただいた。親子探鳥会から約15年、土曜探鳥会で10年、萩小の子どもたちと交流している。そのおかげで、運動会、
学芸会の招待、萩小の田んぼで収穫したお米のぼた餅をいただいている。最高の運動会日和で、一日を楽しく過ごさせていただいた。「完全燃焼
」が今年のスローガン。完全燃焼することなんて大人になって味わったであろうか。どこかで出し惜しみしてきたように思う。100名に少し足りない
小さな学校だからこその運動会である。全員が何回もの演技をしなければならない。高学年は自分の演技を終えたら直に持ち場に付く。道具、放
送、得点集計などなど。高学年が演技中は4年が代わりを務める。表舞台だけでなと裏方の様子がスケルトン器具のように透けて見えるのが運
動会である。萩小の目玉は自慢の一輪ショーだ。1年生から練習を始め高学年は難しい技にも挑戦する。1年生はまだ一人で立てない子もいる。
6年生がやさしく手を貸して進む姿は感動的だ。親子演技での子ども達の喜色満面の顔を見ると、親子の断絶なんてあり得ないと感じる。終わり
に近づくと6年生の表情に変化が見られた。種目に勝利してもなにかうわの空。「これで終わってしまうんだ」との感慨にふけっているのだろうか。
6年間の思い出がよぎったのだろうか。やり切った後の満足感と空虚な気持ちを味わっている様子にこちらも胸が痛くなった。
2006
10
7
室林道ラインセンサス
朝からぬけるような青空が広がっている。肌寒いと感じ窓を開けてみたら、木の葉を巻き上げて今年初めての北風が吹き抜けていた。室林道は
夏の終わりに再び崖が崩れ通行止めになっている。道路というものは使われないとどんどん痛んでくるものだ。倒れたアカマツが無造作に道を塞
いでいた。今日の室林道は2種の鳥に注目。カケスとヒガラである。カケスは秋になると室林道にもやってる。少し前からカケスの姿を見ていたが
、今日の個体数の多さは驚きである。これらが全てここ室林道で越冬するとは思えない。冬の時期に見聞きする個体数を完全に上回っている。
相当数は南下して行くのではなかろうか。だみ声、綺麗な色、ふわふわと舞うような飛び方、いずれもカケス独特で私は気に入っている。だみ声も
、真冬の深閑とした山奥で聞くと、趣があって決して悪声とは思わない。もう一種、ヒガラがやって来た。一昨年の秋から冬にかけてかなり多くのヒ
ガラを確認した。それの再来になるのか、これからの成り行きに興味深々といったところだ。南下個体もあるに違いないと思うが。アサギマダラに
も出会った。渡りをするチョウで有名になった感があるが、そうでなくても美しい羽は魅力的だ。特に秋の空のような水色がいい。春以降ずっと靄
がかかったような景色にうんざりしていたが、久しぶりに遠く豊橋の市街地がくっきり見え、明日アイスショーを見に行く豊橋体育館を双眼鏡でとら
え悦にいった私である。
2006
10
13
室林道ラインセンサス
秋には独特の空気の香りがある。今日も秋の香りを胸いっぱいに吸い込んで室林道をラインセンサスした。セミのあとを引き継いだ虫たちの鳴き
声がする中で、野鳥が活発に動いていた。一番目についたのはカケスだ。ふわふわと優雅に飛ぶカケスであるが、これだけ沢山のカケスが飛び
交うと少々鼻につく(ではなく目に付く)。林道の脇を歩き回るもの。茂みの中で変わった声で鳴くもの。谷をふわふわと渡るもの。まさにカケス王
国の感がある。シジュウカラやヤマガラたちもかなりいる。真夏と比べ活発になった。そのシジュウカラ科にもう1種加わっている。ヒガラである。ヒ
ガラは先週から室林道で確認できている。繰り返しになるが、室林道で定着し冬越しするのか、南下の途中で寄ったものなのか。暫く様子を見る
必要がありそうだ。今日の室林道で囀っている鳥が2種いた。イカルとホオジロだ。ホオジロの囀りにはピークは2つある。高いピークは繁殖の時
期(4月から6月)である。もう一つの低いピークは秋にある。ウグイスは繁殖時期を終えたら囀りはしない。ヤマガラやシジュウカラもそうだ。ホオ
ジロは何故秋に囀るのか不思議である。上空をサシバが南下していった。明日、土曜探鳥会で伊良湖岬に行くので、できたら今晩は羽を休めて
、早朝にも我々に勇士を見せて欲しいものだ。
西暦
月
日
メモ
2006
10
14
土曜探鳥会 伊良湖岬
土曜探鳥会が始まって10年になる。1996年の10月12日に第1回目の探鳥会を伊良湖岬で行なった。探鳥会の発端はこの年から学校週5日
制の試みが始まったことに因る。地域で子ども達を支えて行こうと各地で行事を行なった。多くは1年間の期間付きであったようだ。萩小学校は愛
鳥活動が盛んで、春か秋には親子でバードウォッチングを楽しんでいるほどだ。当時萩小学校に赴任されていた戸田先生の発案で土曜探鳥会
を開き、10年間一緒に鳥を見させていただいた。戸田先生の後には鈴木先生、そして現在の伊藤先生にお世話をお願いしている。伊良湖岬の
探鳥会は、気候も良く、雄大な景色や野鳥たちの大スペクタルを目の当たりにでき、さらに探鳥会あとの遊びもできるとあって、子どもたちには一
番人気のイベントであった。今回も、ほぼマイクロバスが満席になる13人の子どもと大人たち6名が参加した。早朝6時30分に出発。窓ガラスに
雨がかかる少々心配な天気もやがて雲が切れ、恋路が浜に到着した頃は青空が広がり、高い波が日に輝いて砕け散る様は鬼気迫るものがあっ
た。最盛期は過ぎ恋路が浜の駐車上は空いていたとはいえ、熱心な野鳥写真ファンがサシバの出現を期待し、東の(伊良湖ビューホテルのある
)方向を眺めていた。我々も一角に陣取り観察を開始する。直に気が付いたのはカケスの多さであった。上空を飛び交う鳥の中でも個体数でカケ
スが群を抜いていたのだ。これほどのカケスを見たのは10年間の土曜探鳥会でも初めてのこと。サシバは飛ばなかったが十分穴埋めしてくれた
。ヒヨドリが岬の突端から対岸の三重県の方向に飛び立つのであるが、何か心配事でもあるのか何度も引き返すシーンが見られた。目の前でU
ターンしたときには群の中に入った錯覚に襲われたほど迫力に満ち、子どもたちからおもわずため息が出た。サシバの代役(失礼)に加わってく
れたのは他ならぬハヤブサであった。空高く舞い上がり獲物を探す様子を子どもたちに見せてくれた。伊良湖灯台ではもう少しで狩が成功するシ
ーンを見た。(子どもたちのためには獲物の小鳥が逃げてくれて良かった。)渡りは鳥たちばかりではない。岬のあちこちで渡りをするチョウで有
名なアサギマダラを見つけた。「10月10日伊良湖」と羽に書かれた個体を見つけた。海岸での遊びは取りやめた。(子どもたちは残念がっていた
が)それほど今日の伊良湖は波が高かった。朝が早かったので「お腹が空いたー」と言う子も出はじめる。10時30分に伊良湖を後にし田原市の
蔵王山に向った。山頂には立派な展望台と風力発電の施設がある。待ちに待った弁当を広げ綺麗な景色を見ながらの昼食タイム。爽やかな風と
降り注ぐ日の光。幸せな気分になる。子どもたちは芝生の斜面で転げまわって遊んでいる。私と牧野さんは昼寝をする。先生たちは子どもたちを
見ている。1時間30分の昼ごはんタイムは瞬く間に過ぎ、バスは再び萩小学校に向った。事故や怪我もなく無事探鳥会を終えられたのも先生た
ちや子どもたちのお陰と感謝します。
2006
10
15
寺ノ入林道ラインセンサス
伊良湖岬で見たカケスの群。室林道でも多数確認。こうなると寺ノ入林道ではどうだろうか知りたくなる。その1点で三河湖に向った。作手の道沿
いに真っ赤なサルビアが植えられている。何時見ても見事なものだ。地域を美しく飾ろうとする地元の人たちの気持ちが伝わってくる。寺ノ入林道
の林から見上げる空には一塊の雲さえない。澄んだ青空が見えるばかりだ。そして静寂。(時折山の向こうからライフル射撃の音がするのは残念
)アオゲラの声がけたたましく聞こえる。そしてハシブトガラスののんびりした声。室林道で感じる賑わいはない。そう、主役のカケスがさっぱり鳴
いてくれないのだ。往復都合2時間でたったの姿1個体、声3個体しか確認できなかった。大変興味深い。室林道や伊良湖とのこの格差はなんだ
ろうか。標高600mを越す寺ノ入林道とはいえまだそんなに寒いわけではない。山を降りてしまうのは早すぎないだろうか。室林道にいるのは南
下個体たちで、寺ノ入林道はたまたま移動した後の空白帯だった、直に次の個体が流入する、ということなのだろうか。またまた寺ノ入林道に通
わねばならなくなった。シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラもかなりいるようだ。ヒノキの林で特に多い。歩いていて目についたのは野菊たち。白、薄い
紫、紫と日本的な色も、素朴な姿も好きである。
西暦
月
日
メモ
2006
10
21
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
雲ひとつない明るい光の降り注ぐ中を7人の子どもたちと歩いた。羽根・長根への道沿いには野の花が咲き、畑にはカキやミカンの実がたわわに
成っている。上空ではトビがゆったりと輪を描き、急に個体数を増した感のあるカケスが、ゆっくりと羽ばたき視界を横切って行く。子どもたちには
ヒヨドリとカケスの違いがまだ分かり難いようだ。カキの実をついばむヒヨドリの姿をスコープで観察する。羽根・長根の田んぼに到着。真冬の探
鳥会では北風が強く我慢を強いられる所。けれども今日は、歩いて汗ばむ体にはちょうどよい微風があるのみ。草むらに注目して進んでゆく。ノ
ビタキの南下個体に出会えるからである。案の定、ススキの穂に止まる2・3羽の姿を確認することができ、可愛らしい姿をスコープで観察した。こ
の小さな体で海を渡ってゆく。子どもたちには、人間には真似できないその凄さを感じてもらいたいと思う。さらに今日はいつもと違う道順で進む。
オシドリが飛来する「新堤池」への最短コースを選んだ。朝刊(中日新聞)の「豊川オシドリ飛来記事」を見て確認してやろうと思ったのだ。新堤池
は小さな潅漑用の池で回りは民家である。にも関わらず、周りを樹木で囲まれていて警戒心が強い水鳥でも安心できるのか、秋になるとカモ類が
飛来する。その中にオシドリがいる訳だ。観察できる箇所が狭いためひとりづつ交代で観察する。水面にはオスとメスのオシドリたちがゆっくり泳
いでいた。警戒心が強いオシドリである。直に我々の気配を感じ茂みに姿を隠す。どうしても後になった子は不利である。やぶ蚊に刺されながらも
見たい一身で粘る。何とか見せてやりたいと思うがままならないのも現実である。最後の子には申し訳ないと思う。往復4キロメートル余りを歩く
んでお腹も空く。おやつで空腹を少し満たし再び萩小学校へと戻る。わいわいがやがや子どもたちの会話は取り留めなく、また、途切れることが
ない。
2006
10
28
室林道ラインセンサス
10月も末になるとそろそろ冬鳥たちの飛来が気にかかる。先週、冬鳥ではないが、オシドリを新堤池で子どもたちと見た。秋に山から下りてくる鳥
としては、ウグイスやカケスがいるが(室林道でも2種の個体数が増えてきた)、私としてはもっと標高の高いところから降りてくるカヤクグリ、ビン
ズイ、ミソサザイ、アオジのほうが気にかかる。その中の一種ビンズイの声が聞かれるようになった。我が家の近くを流れている山陰川に沿ってビ
ンズイが多数越冬する。土曜日の朝、モズの囀りに混じってビンズイの「ズイ・ズイ」と鳴く声が聞こえたのには秋の深まりを感じずにはいられなか
った。室林道に付くと直に第2番目の冬鳥に出会った。正真正銘の冬鳥ジョウビタキである。彼らは海を渡って北の国からやって来る鳥だ。出会っ
たのはメスである。毎年、家の周りを行ったり来たりして縄張りを見回る姿を見る。鳥が好きになり、初めて綺麗な鳥だなーと感心したのがジョウ
ビタキであった。気をよくしてセンサスを進める。シジュウカラやヤマガラが結構いる。特にシジュウカラが多かった。特に珍しい鳥ではないが、い
てくれるだけでホッとする鳥ではなかろうか。ホオジロ科の鳥たちは地鳴きが似ていて聞分けが難しい仲間の一つだ。秋になるとホオジロ以外に
も、クロジ、アオジ、カシラダカたちが室林道にやって来るので、センサスで最も神経を使う。今日も迷う声がしていた。アオジかクロジか。結局声
の主はオスのクロジであったが(墨色の姿が見られたから)、冬に入り耳が慣れてくるまでは、声だけで種名を判断するのは骨が折れる仕事なの
だ。3番目の鳥はクロジである。静かな室林道で場違いに明るく鳴く鳥がいた。日本産野鳥には入っていないソウシチョウであった。ソウシチョウ
は中国などに棲む鳥で飼い鳥が野生化したものである。(真夏、茶臼山で多数確認している。)気温が下がりソウシチョウも山を降りてきたものと
みえる。招かざる客ではあるが。4番目の冬鳥はシロハラであった。地味な鳥である。センサスで歩を進めると急にけたたましく鳴いて飛び去るば
かり。従って、私にとっては印象の薄い鳥の一つとなっている。これからさらに冬鳥が増えてくる。カシラダカ、ルリビタキ、カラクグリ、ミソサザイな
ど馴染みの姿・声が聞こえてくるのを楽しみにしたい。
西暦
月
日
メモ
2006
10
29
茶臼山ラインセンサス
朝4時にケータイの目覚ましが鳴った。着替えをして家を出たのが4時20分。向った先は茶臼山である。音羽でもオシドリやジョウビタキなど冬の
鳥がやって来た。まだ見ぬ冬鳥を一足先に茶臼山で見てやろうという魂胆である。狙いの鳥ははっきりしている。ツグミ・カヤクグリ・カシラダカと
いった秋が深まってから平地で見かける鳥である。特にツグミの群を見てみたい。数年以上前になるが、茶臼山の上をツグミが群になって旋回す
る様をみて感動したことを思い出すからだ。次いでカヤクグリ。こちらは数年前から室林道に来るのをパタッとやめてしまった。茶色の渋い鳥であ
るが綺麗な地鳴きに魅かれた。私の好きな鳥のベスト3に入れてもよいくらい。夜明けが近づくにつれ雲の様子が見えてきた。高い雲ではないが
雨の心配は全くなさそうだ。そして、国道151号線から折れて茶臼山への道を進んだところで、全く雲のかかっていない茶臼山を見た。天気が良
すぎて返って心配になってきた。風は強くないだろうか。それというのも天気は申し分ないが野鳥はちょっと、という経験を数限りなくしてきたから。
行楽に来たわけではないのだ。そんな心配は駐車場に降り立った瞬間無用なものとなった。ソングポストで囀りをするホオジロが私を出迎えてく
れた。2・3台の車があった。天気もよく山頂は紅葉の盛りとあって写真愛好家が来ているのだろう。7時からセンサスを開始する。スキー場のゲレ
ンデから「マイクのテスト」とか聞こえ、どうも様子が違う。(マウウテンバイクのスラローム競技があった)賑やかな所には用はないので足早に進
む。ゲレンデの脇から聞きなれた鳥の声がしてきた。困り者のソウシチョウである。かなりの数がいそうだ。昨日室林道で聞いたのよりズーッと沢
山の声だ。やれやれ。その後もソウシチョウの群は何ケ所かで確認した。そして、見たかったツグミとカヤクグリに殆ど同時に出会った。カヤクグリ
は2羽いた。互いに鳴き交わしている様子。カヤクグリも茶臼山を半周する間に10個体は確認できただろうか。こんなにいるとは予想もしていな
かった。ツグミもカヤクグリ同様、いれば必ずといってよいほど鳴き声が聞かれるので確認は易しい鳥である。山頂近くの樹で鳴いている様子や、
10羽から20羽くらいの群で移動する様子を観察した。その際、ツグミとは違う30羽くらいの群を見つける。あまり聞きなれない声なのでノートに
記録できない。カワラヒワでは絶対ない。少しだけ似ているところはあるが絶対に違う。ノートには「カワラヒワもどき」と書く。その鳥は茶臼湖付近
で再び確認した。止まった姿はアトリであった。アトリは今日の予想には入っていなかった。開けた昔牧場であった場所でカシラダカとアオジを確
認。ホオジロも多数いる。ホオジロ科の地鳴きは皆良く似ているが、この3種は比較的聞分けが簡単な組み合わせである。群をつくる習性のある
カシラダカの個体数はかなり多そうだ。茶臼山に多数いるということは、間もなく平地でも見られるということだ。これで目当ての鳥たちは皆そろっ
た。(ツグミ・カヤクグリ・アオジ・カシラダカ・そして番外のアトリとソウシチョウ)ソウシチョウだけは居て欲しくなかった。柔らかな日差しの中を幸せ
な気分で歩いた。路傍にはそろそろ終わりかけのノギクがあったし、日に透かした紅葉の赤や黄色が美しかった。再びマウンテンバイクの競技会
場の横を進んだ。若者たちが赤・青のフラッグの間を懸命に漕いでいる様をみてスポーツはいいものだと思った。
2006
11
4
室林道ラインセンサス
穏やかな秋晴れ、気持ちのよい観察日和になった。室林道では本当にカケスが多かった。これほど個体数が多い年はあまり記憶にない。いたる
所にいるにも関わらず私の下手なカメラに収まってしまうのんびり屋はほとんどいない。私の姿なのか足音なのかは分からないが鋭い感覚で察
知し、知らぬ間に繁みへと姿を隠してしまうのである。アオジも見るようになった。お腹の黄色が鮮やかな日本国内産の個体だ。シジュウカラ、ヤ
マガラ、ヒガラなどのカラ類は室林道の主役になっている。昨年に続いて今年もヒガラの姿を見ることができて大変うれしい。ソウシチョウは今日
も確認。このまま室林道で越冬するのか。ブラックバスと同様な問題にならない保証はどこにも無い。生息域が広がらないうちに駆除などの対策
が必要ではと思う。(そのためには彼らの生息域をよく調べなくては)
1羽だけミソサザイの声を確認する。時期的にみて移動中の個体かもしれない。
西暦
月
日
メモ
2006
11
4
我が家周辺から観音山まで
歩くのが気持ちよい日なので観音山までセンサスした。我が家も縄張りの範囲に入れたメスのジョウビタキは今日も姿を現した。モズがジョウビタ
キにちょっかいを出すとさっさと退散する。今までもモズが小鳥に襲いかかるのを何度も目撃したが全部失敗に終わっている。(体が弱い個体に
対しては成果が上げられたかもしれないが、見た目には丈夫か弱いか分からないだろうからまずは襲ってみるのかも)山陰川沿いにはホオジロ
やアオジの姿が多い。川の中の繁みは天敵から襲われる危険が少ないのだろう、多数の個体が生息している。ビンズイもいる。アオジとビンズイ
は初夏に長野県などの山々で綺麗な声で囀っている。私も毎年彼らの姿を求めて出かけているのだが。秋になると反対に彼らが会いにやって来
る。いたって地味に生活しているのであまり人々の目に触れないが、(たとえばオシドリのように注目されることは絶対にない)私は、きちんと出迎
えたいと毎年思う。観音山への道は里山そのもので、歩いていても大変気持ちよい。カケスが大声で鳴き、ホオジロが梢で囀りをする。ホオジロ
に混じってカシラダカの姿があった。
カシラダカも冬鳥として待っていた鳥である。群をつくる習性があり田んぼでも多数見ることができる。ホオジロよりもお腹が白いので判別は容易
だ。先週の茶臼山に続いての確認である。ほぼ例年どおりか。終点の観音山の麓でジョウビタキのオスが迎えてくれた。(今年初めてのオス)15
年前、萩小親子探鳥会に参加し綺麗な鳥をみて感動した。その鳥がジョウビタキであった。何か不思議な因縁を感じる。少しばかり歩き疲れたの
でそこで仰向けになって休んだ。思えば15年間、頭の中の中心に野鳥たちがいたのだった。
2006
11
7
前田町
出勤前の観察も1年半あまりになり前田町の野鳥にも慣れてきた。市街地に残された自然の中で精一杯に生きている野鳥の姿には心打たれる。
豊田市民に人たちにもこうした自然があることを是非知って欲しい。立派な自然観察の森があるが前田町には前田町の自然があり野鳥がいるの
だ。たとえば、初夏のオオヨシキリの合唱は見事なものだ。私はこれほどの囀りを聞いたことが無い。チュウサギ・カルガモ・ケリなど水辺の鳥も沢
山いる。初冬を迎えたこの時期は厳しい冬を生きるための餌場をめぐっての競争が繰りひろげられている。日の出と共に前田町の田んぼ道を歩
いているが、どんどんと日のでは遅くなり、寒く暗い道を歩まなくてはならなくなる。私にとっても厳しい日を迎える。
2006
11
11
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
昨夜の雨は上がってはいたが、雨雲が低くたれさがっていていつ降ってもおかしくない天気であった。それでも探鳥会は行なうことに決めた。子ど
もたち4名と大人3名のミニ探鳥会である。傘を手にもっての野鳥の観察は慣れないと大変であるがこの天気では仕方が無い。(私は雨の日の野
鳥観察は結構好きだ)萩小学校前の森の中からヒヨドリとイカルが飛びだしてくる。両者の大きさや飛び方の違いを知るにはよい教材である。ヒヨ
ドリは特に個体数が多かった。(山から移動して来ているのか?)その森から数羽の鳥が飛び出し近くのお寺の庭に生えている樹におりた。飛ん
だ瞬間ツグミだと思った。(もう来ていたのか)子どもたちがスコープで捉える。やはりツグミであった。民家の庭先ではきれいなアオジが3羽いた。
電線にはオスのジョウビタキが図鑑の写真そっくりにポーズをとる。図鑑と違いこちらは正面・背中とモデルのほうが動いてくれる。山陰川は増水
し濁っていた。川を渡ると羽根・長根の田んぼに入る。田んぼの上空を移動する小さな点々、どうやらカワラヒワの大きな群のようだ。昨年の冬は
例年と異なりカワラヒワの群を見ることはほとんど無かった。今年はまたいつものカワラヒワを見ることができ安心した。(私にとっては今日がカワ
ラヒワの群の初確認)さらに進むとタヒバリが次々と田んぼから飛び立つ。(タヒバリも来ていたのか・タヒバリも今日が初確認)さらにタヒバリによ
く似たビンズイも。(ビンズイはもう少し前からいるが)もちろん顔馴染みのセグロセキレイ・ハクセキレイ・ケリもいた。いつものとおり長根川のたも
とで一休みする。雲の動きが早いので明るくなったと思うとすぐに暗くなったりする。厚い雲が通過しようとした時、とうとう我慢ができず雨が降って
きた。傘を持っていてよかった~~。お腹もすいたのでおやつタイム。(^0^)Y
少し寒かったけれど野鳥はしっかり見られたので大満足の探鳥会でした。
2006
11
11
室林道ラインセンサス
傘を差してセンサスをした。相変わらずカケスが多い。探鳥会ではヒヨドリが多いと感じたが室林道では反対に少なかった。(平地に下りていった
のか?)シジュウカラやヤマガラが林の中で採餌している。薄暗い林床近くではクロジが数羽の群れになって採餌。うまい具合に林道に出て採餌
する個体がいたので観察する。オスもメスもいた。そのような群れを2ヶ所で見つけた。声だけというものもかなりいたので、今の室林道はかなり
の個体数のクロジがいるようだ。初確認ではないがジョウビタキを見る。そして鳴き声だけではいまだにジョウビタキとの識別に自信のもてないル
リビタキを初確認した。(オスの成鳥で、きれいな青色をしていた)さらに、2週間ほど前から声を確認しているミソサザイを2個体確認する(いづれ
も声だけ)とどめはマヒワである。(もうマヒワもいたのかー)
西暦
月
日
メモ
2006
11
17
萩小探鳥会
萩小秋の探鳥会に参加した。春には親子での探鳥会があり、秋は子どもたちだけの探鳥会になる。牧野さんと私で3・4年生、山口さんと林さん(
豊橋総合動植物園)が5・6年生を受け持った。抜けるような青空、歩くのには程よい寒さである。鳥を楽しんでもらえることを一番に考えた。あり
のままを見てもらい、「可愛い!」の一声が上がればそれでよいと思う。きっと子ども達の心の奥底に残るだろう。自然の力はそれほど大きなもの
だ。先週初めて見たツグミが個体数を増やし子ども達の頭上を飛び交った。今年はツグミを見るのが例年よりも早い。室の集落近くではジョウビタ
キが電線で出迎えてくれた。綺麗なオスで随分と長く同じ所に留まっていてくれたので全員見ることができた。感謝します。山に入ったところでソウ
シチョウが囀っていた。またとないくらいにグッドタイミング。飼い鳥が野生化し生態系を乱していることを話す。子どもたちも心なしか真剣な面持ち
で話を聞いてくれた。室林道の入り口では小さなヤマカガシが出るハプニングも。3時間たっぷりと時間をとっていたのであるが瞬く間に予定時間
になってしまう。フィールドスコープで鳥をとらえるのも子どもたちにやってもらった。随分と上手になった。
2006
11
17
寺ノ入林道ラインセンサス
探鳥会を終えその足で三河湖に向った。ツグミの確認が早いこと、カケスの個体数が多いこと、今年の鳥の様子は例年と何か違うと感じていたか
ら、そのことを三河湖でも確認したかった。秋の日はつるべ落としというように午後からはあっというまに夕方になってしまう。谷の深い寺ノ入林道
は日の翳った所では薄暗くなっていた。全体としては秋の静かな午後といったところ。しかしよく目を凝らし耳を澄ませば沢山の小鳥たちのいるこ
とが分かる。私としては、春の囀り時期も好いが秋のこのような時期も一層好いと思う。そして予想もしなかったことを目撃したのだ。ここ標高600
メートルを超える寺ノ入林道でも初めて確認する鳥であった。ヒガラやカヤクグリたちが山を下りて平地で越冬するようになってもこの鳥だけは
1000メートル級の生息地を離れることは無いと信じていた鳥、コガラの声がしたのだ。ヒガラやコガラは茶臼山にはいる。そして真冬でも山に残
ると思っていた。実際、ヒガラは室林道にやってくるがコガラは来ない。それは寺ノ入林道でも同じであった。(少なくとも私は今まで寺ノ入林道で
コガラを確認したことは無い)ところが目の前の光景は今までの常識を覆してしまった。ベレー帽をかぶった可愛らしいコガラがマツなどの枝先で
採餌する姿があった。これには驚いてしまった。想定外の出来事だと驚きを通り越し呆れてしまう。想定内としてはカヤクグリの確認だ。こちらは
ある程度想像がついた。とはいっても、チリリ・・・と澄んだ声で鳴いている姿を実際に目の前で見ると息を呑んでしまう。そしてこれも秋の山歩き
の楽しみ、ミソサザイの地鳴きを2ヶ所で確認することができた。
2006
11
19
羽根・長根ラインセンサス
先週の探鳥会での鳥たちの群れのことが気にかかり羽根・長根の田んぼに出かけた。田んぼに車を進めていたら大きなカワラヒワの群れが飛び
立つ。50羽以上はあろうか。時折、ぱらぱらと雨粒が落ちてくる程度なので問題ない。傘を持って歩き始める。あぜ道を飾るのはイヌタデの赤い
小さな花。先ほどのカワラヒワは群れが2つに別れ田んぼを旋回している。日が当たれば黄色いスポットと透けるような羽がさぞかし綺麗だろう。
黒い田んぼからは2種類のセキレイの声が聞こえる。ハクセキレイは澄んだ、セグロセキレイは少し濁った声。体の白い部分が無ければ田んぼ
にいても全く気づかないだろう。セキレイの仲間がもう1種いる。タヒバリである。彼らこそ田んぼの色に溶け込んでいる一番の鳥であろう。30羽
ほどの群れで餌をとっていたが、そんんなに沢山の鳥がいるなんてまったく分からないほどだ。群れる鳥の第3番目はスズメである。なんといても
個体数が段違いに多い。全部集合したら何百羽になるのか予想もつかない。今日は控えめに集まっていた。それに比べ小さな群れないしは単独
でいるのは、ヒバリ、ホオジロ、カシラダカ、ツグミ、ハシボソガラスだ。(カシラダカは中規模の群れをつくることが多い)注目していたのはツグミが
田んぼに下りているか否かである。今年は姿を見せるのも早いようだ。姿を見せた後も田んぼに下りるのは年明けの頃が多い。さてツグミは田ん
ぼにいるか。近くの工場のサクラにツグミがいた。地鳴きが近くから聞こえた。目を凝らし探すこと数分。そしてついにツグミが畦に下りているのを
確認した。
西暦
月
日
メモ
2006
11
25
室林道ラインセンサス
萩小の学芸会が始まる前に室林道のセンサスを終えなければと、前日は早めに寝たのであるが、結果はセンサススタートが8時少し前、遅れを
取り戻すべく少し早めに歩いた。スタートしてすぐにウソの声を聞く。サクラの花芽が大好物で有名だがまだ蕾はしっかり固い。声の主は意外にも
ヒノキの植林にいた。3羽いたがいずれも綺麗な色をしたオスであった。ウソを初めて見たのは本宮山スカイラインで確か今頃の季節だったと思う
。フィールドノートにウソの絵を載せのどもとの紅色の特徴が記入してあった。当時はウソという名前はすぐに出てこなかった。家に帰って図鑑で
知ったのだ。今年の春は室林道のサクラは満開であった。すなわち、ウソがあまりいなかった。昨年はほとんどの花芽を食べられてしまった。セン
サスを進めていくうちにあちこちから声がしたので、どうやら来年の春のサクラは寂しくなりそうだ。ヒガラは室林道での越冬を決込んだ様子。こち
らもかなりの個体数と見た。その他のカラ類も多そうだ。カケス・ウグイスも山を下りて室林道など低山に棲みついている。今の季節、さえずりをす
る鳥はほとんどいないが、ルリビタキは時々複雑なさえずりを聞かせてくれる。縄張り確保なのだろうか。センサスの折り返しは8時46分。もうゆ
っくりしていられない。脱兎のごとく戻って学芸会を見に行った。楽しい劇、涙を誘う劇、子どもたちの真剣な演技を楽しむことができ本当に良かっ
た。
2006
12
2006
12
2006
12
2
室林道ラインセンサス
オシドリの後は山の野鳥だ。新堤池から室林道へと向う。林道は落ち葉が敷きつめれれていた。夏に起きたがけ崩れで車が通れないため落ち葉
が自然と積もってゆく。落ち葉と一緒に木の実も落ちる。それは野鳥たちの格好の餌となる。カケスが道端にやたらに多いのはそのせいか。車が
通ればそういった落下物は掻き分けられたり風圧で道路わきに飛ばされて、カケスのこのような行動にはならないのではと感じる。それにしても
今年はカケスが多い。ミソサザイは3個体確認した。冬の山とミソサザイは私にとって切っても切れない仲なのだ。15年前、山口さんに連れられ
三河山間部の山々をまわってミソサザイを観察した。思えば、それが私の野鳥観察の原点であった。その鳥がミソサザイであったことに今更なが
ら感謝している。それほど魅力的な小鳥なのだ。魅力的な鳥ならばまだいる。ヒガラが2年連続で室林道での越冬を決めたのは確実だ。梢の先
で高い声で鳴いていればそれはヒガラである。そしてその個体数は相当数にのぼる。生息環境がかわったのか。それとも適応力がついたのだろ
うか。似た例にハクセキレイがいる。ハクセキレイはヒガラとは逆で音羽町において夏にはいなかったのであるが、今では年中いるようになってし
まった。ウソやマヒワの声も確認できた。一通りの冬鳥は確認できたのではあるが、あと一種、室林道どうしても見たい小鳥には未だ出会えてい
ない。
2006
12
2
新堤池
オシドリを撮影した。この鳥はなかなか用心深く暗い木陰から出てこない。忍耐勝負である。オシドリが出てくるまでの間楽しませてくれたのがキ
セキレイ。水面から少しだけ出ている枝先に止まって愛嬌をふりまいてくれた。(そのようなことは決してあり得ないが)足先が完全に水面下にな
ることもあって不思議な感じがした。緑と紅葉が水面に映り素晴らしい美しさ。そこへ一羽のオシドリが泳いできた。想い羽(銀杏羽)をピンと立て
て伊達男の風情である。オスはメスを引き付けるべく繁殖羽の美しさを競う。クジャクのメスはオスの羽の目玉の数を数えているらしい。数が多い
ほど多くのメスを引き付けるようなのだ。オシドリも個体差があるのだろうか。みんな美しくみえるのだが、オシドリのメスから見ればきっと差がある
のだろう。
2006
12
4
豊田市前田町
午後の日が傾き始めると、穏やかな天気が終わりを告げ、北風が強く吹き出した。東の方向を見ると1000メートルくらいの低さまで雪雲が立ち
込めた。しかし、西の空には青空が広ろがっていて、前田町の田んぼをオレンジ色に染めていた。田んぼのそこここに点々と黒い沁みのように見
えるのはカラスの群れである。ハシブトガラスとハシボソガラスの両方が見られた。近くの工場の上空にもカラスの群れが乱舞していた。追いかけ
あったりして実に楽しそうだ。1羽のチョウゲンボウが数羽のカラスに追い回されている。いくら精悍なチョウゲンボウでも体が大きくて数も多いと
あっては逃げるしかないようだ。双眼鏡を下げ前田町の田んぼを歩いた。スズメが黒い帯のようになって田んぼと電線を上下している。その数お
よそ2、3百羽といったところか。カラスとスズメ以外にはあまり鳥は見かけなかった。これでは典型的な市街地の野鳥になってしまうが、前田町の
名誉のために言っておくと決してそんなことはない。常に10種以上の野鳥を確認することができる。
西暦
月
日
メモ
2006
12
5
茶臼山ラインセンサス
連休2日目。用事で茶臼山に出発したのが10時前と遅くなってしまった。よほど別の近い所に鳥を見に行こうと思ったが何となく茶臼山に向かっ
ていた。雲の様子からそんなに風が吹いていないのではと思ったからである。気温が低いのは覚悟しているが、それに風まで強くてはたまらない
。(第一鳥たちが出てこない)従って茶臼山に到着したのが12時。これほど遅い観察は初めてといってよい。あたりはしんと静まり返っていた。矢
筈池の半分くらいに氷が張っている。スキー場に人口降雪機が据えてあってその付近だけ白くなっている。池のほとりから小鳥の声が聞こえた。
どうやらコガラのようだ。コガラは厳冬期でも残っている数少ない鳥である。キツツキのように幹をこじ開け虫たちを捕るが今日のコガラは種子を
食べていた。センサスしてゆくと聞こえてくる声としてはコガラが一番多かった。さすがはコガラと感心する。茶臼山に向わせた理由が二つある。
一つはアトリ科の仲間を観察すること。何々マシコと名づけられた赤い鳥たちがいるかもしれないのだ。もう一つは白銀の南アルプスを見ること。
そろそろくっきりとした姿を見せてくれてもよさそうなものだ。(ここしばらくは霞んだ山ばかり見ていた)南アルプスの方は期待以上であった。千丈
から上河内岳まで3000メートル級の山は白く化粧をしていた。恵那山も薄っすらと白い。恵那山の左には御岳が、蛇峠山の右には中央アルプ
スの一部が白い姿を見せる。野鳥に話を戻そう。数年前の3月にオオマシコとハギマシコを見たことがある。ともに冬が終わり春の気配が感じら
れる季節であった。ハギマシコは思ったよりも黒ずんでいて図鑑のようなハギの花の色らしい感じはしなかった。二度みただけの私にとっては憧
れの鳥の一つだ。それに名前が気に入った。(私の住んでいる萩と同じだ)そのハギマシコを初めてみた場所に行くとついつい「柳の下にドジョウ」
の心境になり姿を探してしまうのはやむ得ない。そこで見たのは、つがいかどうか分からないがオス・メス1羽づつ2羽のベニマシコであった。ベニ
マシコの声は今年は音羽町でもよく聞かれる。珍しくはないが赤い綺麗な鳥だ。(赤いのはオスだけである)コガラ、エナガ、シジュウカラの声もあ
った。彼らは寒さに強い!珍しいなと感じたのはヒヨドリの姿を見たこと。室林道でも冬になると個体数は減る。ずっと厳しい茶臼山で見かけると
は。山頂付近の樹に白いものが見える。双眼鏡で見たら風上の方に樹氷が付いていた。そして驚きの地点へと近づいてきた。道端から15羽ほど
の群れが聞きなれない声を出し飛び立ったのだ。姿はカラスを小型にしたように黒い。もしやと思った。でも群れは飛び去ってしまう。あきらめてセ
ンサスを続けようとしたところ群れは再びこちらの方に向ってくるではないか。神様ありがとうございます。切開いて造られた道路は侵食を防ぐた
めにのり面に人工的に草を植えている。その植物の種子を食べているのだ。そういえば二度観察したときも同じような場所であった。写真におさ
めようと静かに近づいてみる。よく見ると押し合いへしあいしながらあらそって食べているのが分かる。相当に空腹のようだ。かなり近くから観察し
ていても逃げようとしない。光線の加減で黒く見えていたものが、個体によって差があるが、ハギの花のような色が分かるようになった。なるほど
ハギマシコだ!あれほど出発する時には茶臼山は別の日にしようと思っていたのに、結局やってきてハギマシコに出会えた。このようなことは偶
然であろうが、私には偶然ではないように思えてならない。
2006
12
6
滋賀県湖北町
コハクチョウとオオヒシクイを見に琵琶湖に出かけた。気持ちのよい湖岸道路をちらちらと湖面を見ながら北上し湖北野鳥センターに着いたのは
11時に近かった。歩道から大勢の人が野鳥を観察している。私は野鳥センターから眺めることにした。コハクチョウの姿はなかったが、オオヒシク
イはかなりの個体数いた。(300羽以上)それ以外では、オオバン、カンムリカイツブリ、ホシハジロ、キンクロハジロ、カワアイサが近くにいた。説
明員の方に聞いたところ、コハクチョウは例年以上(最高で464羽)、オオヒシクイは例年並み(最高で337羽)とのこと。もう一種目玉があってこ
ちらはたった1羽のみ。東に聳える山本山に居を構えるオオワシである。望遠鏡を指して「今のオオワシはここにいます」と言われたので覗いてみ
る。なにやら白いものが見えるが陽炎が激しく姿は分からない。3.5km先で休んでいるとのこと。白い部分は肩であった。(図鑑で確認すると確
かに肩が白い)コハクチョウの群れにオオハクチョウの幼鳥が1羽、オオヒシクイにはマガンが3羽混ざっているとも言っておられた。それと、ウソ、
ベニマシコ、ツグミなどの冬鳥が多いとも。そのことについては私も同感である。湖面をカラスの群れが飛んでゆくとき「あれはミヤマガラスです」と
説明があった。これが今日一番の驚きであった。今までの出てきた鳥たちはすごく有名で、ここで見られることは予想されるものばかりだ。ところ
がミヤマガラスは全く念頭になかった。ハシブトガラスやハシボソガラスとの違いを言えといわれても答えられないのが本音である。「この辺りでは
電線にたくさん止まっておればそれはミヤマガラスですよ」といわれたのを良いことに、ミヤマガラスを探しに野鳥センターを後にした。ところが、探
そうとするとなかなか見つからないものである。ハシブトガラスばかりいる。豊橋ナンバーの車が田んぼ道を右往左往していては不審者と間違え
られそう。しかし手ぶらでは帰られない。湖岸道路を戻り、もう少しで長浜市街に入るあたりでようやくカラスの群れを見つけた。やれ嬉や。カラス
をこれほど真剣に探したのは初めてであった。嘴が細く、嘴の根元が白っぽい特徴を当てはめてみる。確かにミヤマガラスのようだ。ハシボソガラ
スよりもさらに細くとがった嘴。おでこはハシブトガラス並に出ている。言い換えたら、ハシブトとハシボソのミックスした顔である。隣のハシブトと比
較すると一回りは小型に見える。しゃがれ声もハシボソのものとも異なる。今日は成果大の日であった。オオワシとミヤマガラスの2種が観察種に
加わったのだ。特に後者は、想定外であっただけに驚きのが大きかった。
西暦
月
日
メモ
2006
12
7
金沢大池
金沢大池週辺に最も野鳥たちが集まる季節に訪れた。今年の冬は冬鳥たちが多くやってきているので楽しみであった。池に浮かぶのは、マガモ
、キンクロハジロ、ヒドリガモたち。そして池を取り巻く木々には多くの小鳥であふれていた。最も個体数の多いのはヒヨドリ。多すぎて記録できな
い。どこを歩いてもヒヨドリの声が途切れることはなかった。カケスは今年はどこに行っても沢山いる。群れているのはツグミである。100羽では
到底きかないだろう。一帯を群れで旋回したかと思うと、今度は高い梢に次々と降りてくる。それを飽くことなく繰り返している。飛ぶエネルギーを
使ってまでそうするには訳があるのだろう。道を歩いていたら小鳥の死骸があった。タカに食べられた跡のようだ。ツグミたちも捕食者への警戒は
最優先のはずだ。今見ている行動と何か関係があるのかもしれない。カシラダカやシジュウカラが緑の絨毯の中で遊んでいた。絨毯は5アール
ほどの広さで、道からは見下ろす位置にあるので、小鳥たちの動きが大変よく分かる。楽な姿勢で1時間ほど観察すれば様々な光景にであえる
ことだろう。(今度挑戦してみよう)樹の上に目をやれば、ツグミ、ヒヨドリ、そしてシメの姿に出あえる。シメは大きな嘴で木の実を食べていた。金
沢一帯はカキ(富有柿)の産地である。収穫を終えた木をいたわるようにこれから手入れをしてゆく。選定する音が「パチン、パチン」と聞こえる。
鳥たちのために残しておいたのか、遠目に見ると柿色の花のようだ。ヒヨドリが多いのも頷ける。小鳥たちへのプレゼントは自然からも贈られてい
る。様々な実が真っ赤に熟れ、「私、食べ頃よ!」と誘っている。暖かな里山風景にぴったりの野仏がある。その顔のやさしいこと。
2006
12
8
寺ノ入林道ラインセンサス
朝方は冷たい雨が降っていた。休暇も今日が最後。いろんな所に出かけた。少し疲れも出てきたので体をやすめようかと思っていたのであるが、
西の空が明るくなり、やがて晴れ間もでていたのを見て、もう一ヶ所だけ行こうと決めた。三河湖、寺ノ入林道が残っている。コガラははたしている
だろうか。アトリの仲間はどうか。いろいろ興味は尽きない。雨上がりの静かな林道を歩く。大量の落ち葉が林床に降り積もっていてなかなか綺麗
だ。寺ノ入林道は結構落葉樹もあって冬になると明るくなる。それでも標高600メートルを越す所だけに冷え込みはきつい。(雨上がりの今日は
暖かな日であった)野鳥の声はかすかにしか聞こえない。ヒガラ、シジュウカラたちが針葉樹林で採餌している声だ。林床からはウグイス、ホオジ
ロの地鳴き。はっきりと聞こえるのは小型な鳥の代表であるミソサザイである。彼らは、沢に縄張りを持っていることが多い。そこでミソサザイが好
みそうな地形が何となく分かってくる。今日は6羽まで確認する。個体数としては多い部類に入るのでは。静かな初冬の山ではあるが、運よく混群
に出会ったりすると一時の賑わいを楽しめる。先頭はエナガのことが多い。10羽ほどのエナガが「ジュリ・ジュリ」と鳴きながら来た。それに続いて
シジュウカラ、ヒガラも加わる。しんがりにちらりと見えたのはベレー帽をかぶったコガラであった。やはりコガラがいたのだ。豪華キャストの混群に
大満足。はたしてコガラはどこまで山を下ろうとしているのか。これからの観察テーマである。
2006
12
9
御津海岸
朝から小雨が降り続いているが、町のマイクロバスを使わせていただくので決行する。晴れていたら寒風との戦いになるので、いずれにしても楽
な探鳥会にはならない。「寒いよりはよいだろう」が感想。豊川の河口でスズガモの群れを観察する。水深のある沖合いにいるのはスズガモやキ
ンクロハジロ、ホシハジロなどの海水ガモで、得意の潜水で餌を捕っているのがわかる。対岸の田原市の方向には幾本もの黒い筋が海面に見え
ている。それらが全て海水カモたちなのだ。かなりの数にちがいないが数えることは無理だ。小雨はやまず、時々紙でレンズを拭きながら眺める
。次いで臨海公園に向う。こちらは音羽川の河口と人口干潟から成っている。水深のある河口では海水カモがほとんど。浅い干潟では淡水カモ
が多い。干潟ではヒドリガモ、オナガガモ、ヨシガモ、ハシビロガモが見られた。カモの半分しかないカイツブリが盛んに潜るようすは愛嬌があって
可愛らしい。後半になってようやく傘をささなくてもよくなり、子どもたちは雨で足元が濡れているにもかかわらず遊ぶ算段を始めた。富士山(10メ
ートルくらいしかないが)に登って、水切り遊びをして。(毎年の恒例であるが)先生が一緒について行かれたのでこちらは一休みとなる。お昼まで
の時間は瞬く間に過ぎ帰途に着いた。
西暦
月
日
メモ
2006
12
16
羽根・長根の田んぼ
先週の御津の探鳥会とはうってかわって素晴らしい天気になった。風もあまりなさそうだ。子ども3名、大人3名のミニ探鳥会である。萩小学校の
校庭にはハクセキレイが歩き回り、ヒヨドリ、スズメたちがサクラの木で鳴いている。ここは本当に小鳥たちに会うのにはお世辞抜きで絶好の場所
である。校舎の裏手にシイなどの常緑照葉樹が主体の「萩っ子の森」があって、そこには子どもたちがかけた巣箱がいくつもある。最近、6年生の
子が、萩で見られる野鳥の掲示板を作った。なかなか良く描かれているので写真で紹介したい。そしてイザ出発しようとした時に目を見張る光景
が起きた。近くの森から一斉に飛び立ったおよそ100羽ほどのイカルが校庭の上を横切り、校舎の裏に去っていったのだ。一部は1月前の探鳥
会でツグミを観察したのと同じ所にとまったのでスコープでじっくり観察することができた。(今日は3台のスコープを使った)ハシブトガラス、カケス
、ヒヨドリが森から森へと飛び渡る姿が観察できた。飛び方の違いなども勉強できてよかったと思う。羽根・長根の田んぼに入るとさすがに風が出
てきて寒い。しかし、本格的な寒さではないのでこんなことでは音を上げられない。ここではチョウゲンボウが主役になった。田んぼ道を歩いてい
たら、100メートルくらい先でハトくらいの鳥が何かしていた。手前にはハクセキレイが餌を探して道を歩いている。最初はキジバトくらいに思って
いたがちょっと様子が違う。ハトなら首を下げて食べ物を探す。タカのようだと思った。(獲物を食べているみたい)やがてそれは一直線に飛び立
ち(その瞬間にチョウゲンボウとわかった)電柱にとまった。スコープの視野には赤茶色した精悍な顔つきの鳥があたりを見渡している姿があった
。カワラヒワやタヒバリたちもそれほど多くではなかったが群れになって採餌中であった。興味深かったのは、屋根に設置されている太陽熱湯沸
かし器に鳥たちがやってきてはその回りを歩く姿である。最初はキセキレイが、続いてセグロセキレイが、ステンレス製のタンクの回りを回ったりタ
ンクの上に乗ったり、同じ動作をくりかえしている。タンクは鏡のように綺麗であったから写った姿に興味を覚えたのかもしれない。最後はオシドリ
を見る。今年もこの小さな池にオシドリがやって来た。いつ見ても見事なくらいに飾っている。これもダーウィンのいう性選択(メスの好み)なのだろ
うか。
2006
12
16
室林道ラインセンサス
探鳥会を終え、お昼ご飯を食べ一休みした後、室林道に出かけた。既に午後2時をまわっていて探鳥会では青空であったものがかなり厚い雲が
広がっている。従って夕方のような明るさであった。双眼鏡を首から下げ、フィールドノートとボールペンを手に少し足早に林道を歩く。8月に崩落
したままの状態なので車が通らない。従って、落ち葉の吹き溜まりがあちこちにあって道そのものが痛んでいる。やはり道は利用されないとだめ
だ。ヒガラが消え入るようなか細い声で鳴きながら樹冠近くで採餌。かなりの数がいるはずだ。今までは声ばかりであったウソも、2羽・3羽と小さ
い群れではあるが見ることができた。さらに個体数が増えそうなので来年の4月のサクラの花は期待できないかもしれない。カケスやハシブトガラ
スも活発に鳴く。カラスの類は繁殖時期が早いと聞いているので、すでにカップルができているのかもしれない。エナガの群れに会った。ヒガラが
控えめな声で鳴いているのに対してエナガはかなり大きな声で鳴きながら移動する。だからエナガの群れに出会うと活気付くようだ。今日も期待
どおり。ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ、ヒガラたちがエナガの後に続いて来たのだ。エナガは元気をくれる鳥といってよい。ひきかえウグイスは
孤高の鳥である。私はどちらも好きだ。
西暦
月
日
メモ
2006
12
20
2006年12月20日 クリスマス オン アイス 新横浜プリンスホテル アイススケートセンター
荒川静香 本田武司 エフゲニー・プルシェンコらが出演したクリスマス オン アイスを観てきた。荒川さんの演技を観るのはこれで4回目となる
。これまでの3回アヴェ・マリアとユー・レイズ・ミー・アップでは既にテレビで演技を見たのと同じ振り付けであったが、今日のは全く新しいもので得
した気分に浸っている。第一部は曲目こそトゥーランドットとお馴染みのものではあったが、振り付けはトリノとは随分と違っていた。音楽も歌入り
でかつ余りオペラ・オペラしていないものだった。(またヒットするか)そこここで荒川さんらしさがでていものであったが、Y字スパイラス(もちろん手
を離す場面もある)では大きな拍手、しかし、肝心のイナバウアーがなかなか出てこずやきもきしていたところ、エンディングで長いかなり直線的な
イナバウアーがでてくるやいなや会場は大歓声となる。荒川さんやったな。衣装も初めて見るものであった。青と白の清潔感のあるもので好ましく
感じた。第二部は各スケーターともリラックスした演技を見せてくれた。プルシェンコは赤ちゃんからマッチョスタイルへ変身しユーモアたっぷりの
演技を、本田武司君は男らしいクリスマスソングでトリプルアクセルを。そして静香さんも年に一度だけというクリスマスソングの演技であった。彼
女が好きというパープルの上品な衣装で、スタイルの良さが一層際立っていた。これまた、長い長いイナバウアーで得した気分。今回は、スケー
ターにアクロバットの女性が一緒に参加し盛り上げてくれた。オープニングで荒川さんが宙吊の仕掛けから現れてびっくりする。(高所恐怖症では
なさそうだ)
最後は、SMAPの日本の女性は美しいの曲に乗り、女性スケーターだけで演じた。PIWのメンバー男女3名ずつ出演したが、彼らのスケートを見
るのももう3回目になる。ファンミーティングですっかり顔なじみとなり素直に応援したいと思っている。荒川さんの進化した姿を見られて感激すると
ともに、自分も、野鳥ではさらに頑張ろうと勇気付けられるショーであった。
2006
12
23
室林道ラインセンサス
穏やかな初冬の室林道をセンサスした。室林道は南斜面にあるため冬場でも存外暖かい。(だから野鳥も多いのだが)ハシブトガラスやカケスと
いった大きな鳥の声は遠くからでもはっきり聞かれるが、春先の囀りの頃とは違い、今の野鳥は、小声で鳴きあっているためかなり神経を集中さ
せないと聞き逃してしまうし、種の特定が難しい。冬はいつも以上に捕食者が多く(オオタカやツミなど)できるだけ場所を悟られないほうが有利で
あるし、鳴き声を上げるにもエネルギーを使う。餌が少ない冬は省エネは有利のはずだ。春先までつがいを持たないのでつがう相手との交信も不
要だ。個体数は結構多いのに、姿は見せない、鳴かない、となれば野鳥に出会うのは難しいはずであるが、それでも冬は野鳥観察の好期に変わ
りはないし、私が最も好きな時期である。小鳥の呟きを楽しむ。ウソは特徴のある声ですぐにわかる。必ずサクラの木にいるかといえばそんなこと
はない。でもかなりの確立でサクラで採餌している。今日も、メスの3羽のグループ、単独のオス、またメスのグループと結構いた。寒さが加わり、
ヒガラに遅れてマヒワもやってきた。マヒワは正真の冬鳥である。(ヒガラは漂鳥である)このアトリ科の小鳥は黄色い鶸色が美しく私も大好きだ。
ギュン・ギュンと変わった声で鳴きながら群れて飛ぶ。カワラヒワと同じく種子食で(ヤシャブシを好んで食べる)20~30羽くらいで一斉に鳴くとこ
れはもうかなりうるさく感じる。ヒガラはもっとおとなしい。聞きようによってはエナガともシジュウカラとも似ているので厄介だ。もっと厄介なのはル
リビタキとジョウビタキ、アオジとクロジの違いである。特に前者は、私にはいまだに地鳴きだけでは同定できないでいる。どうしても姿を見たいと
思ってしまう。声だけでは分からないので記録には載せないでおく。もちろん囀りが入っていれば簡単になる。(私は1994年と1995年に茶臼山
でジョウビタキの囀りを聞いたことがあるので囀ならば同定に自信がある)もう一つの難しいクロジがこの冬は室林道にかなりいる。オスの墨の衣
をまとった姿はなかなか素晴らしいものである。今日も、完全な成鳥とはいえないがオスを確認することができた。(一月ほど前に、萩小の先生か
ら窓ガラスにぶつかったクロジのオス(これも若鳥だった)を見せていただいた)それと私の好きな鳥ベスト5には入るミソサザイもいた。ミソ(親し
みを込めてそう呼ばせてもらおう)は小さいにもかかわらず声は大きい。観察を始めて最初の頃は、どうしてもウグイスの地鳴きとの区別ができな
かった。山道をカラカラと音を立てて下ってくるものがあった。シカなどを追っている猟犬である。仕事をサボって来たのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2006
12
30
オールジャパン・メダリスト・オン・アイス2006
2006年の最後を飾るアイスショーを見た。全日本選手権で前の日まで熱戦を繰り広げたスケーターたちが今度は、自分自身も楽しみながらファ
ンの前で演技を行なう。きっと、緊張から解き放たれたすばらしい微笑みが見られることだろう。会場の「なみはやドーム」は大阪にある。
行きは東海道本線で4時間あまりかけて行った。せっかくならば車窓からの景色を楽しみたいと思ったからだ。(帰りはのぞみに乗った)長蛇の列
になって会場に入る。今まで見たアイスショーはどちらかというとアマチュアの競技者はゲスト扱いである。しかし、今日のアイスショーは競技者の
ためにある。ゲスト出演は2名のプロである。だから、多くのアマチュアスケーターを見ることができると楽しみにしていた。テレビの「ドリーム・オン
・アイス」で見たスケーターが今回多く出場しているが、そこには出ていない人もいるので、ますます楽しみである。出場の選考はシビアである。全
日本選手権の成績から世界大会への切符が渡される。その切符を手にした選手だけが今回のアイスショーに出ることを許されるのである。最初
、チケットの値段を見て高いなと感じた。その訳が会場に来て分かった。常には、スケーターは持参したCDなどで流した音楽により演じるが、今回
は、豪華にも、フルオーケストラをバックに舞うことができるのだ。これはさぞかし気持ちがいいに違いない。素晴らしい試合をしたスケーターへの
プレゼント、すばらしい演技へのお礼とも言えるだろうか。第1部はジュニアの選手が男女交互に出た。武田奈也、澤田亜紀といった自分も知って
いる選手は無論注目したが、ジュニア選手権で上位に入った選手ばかりでそれ以外の選手もすばらしかった。今の若い選手は体にも恵まれ手足
も大変長い。それに綺麗な子が多い。シニアの選手もうかうかしてはおられないなと正直思った。男子選手でも今年はすごい争いをしているが、
ジュニアも例外ではない。高橋大輔選手の後輩という高校生は初めて知った。第2部からオーケストラがバックに付く。織田信成選手は柔らかな
ジャンプといろいろなポジションのスピンを、村主章枝選手はボレロで観衆を釘付けにした。オーケストラ演奏ですばらしかった。本田武司さんは
感情が表に出たプロらしい演技で見応えがあった。安藤美姫選手は怪我で出演できなかった。それでも会場まで足を運んで、応援へのお礼を言
った。中野友香里選手はとても印象に残った。アメージンググレースをしっとりと演じた。彼女の代名詞であるドーナッツスピンは本当にすごい。高
橋大輔選手、ショーにも関わらず4回転ジャンプに挑戦した。浅田真央ちゃんはお馴染みのカルメンで軽やかに舞った。ほんとに動きが軽く柔ら
かいのだ。最後はこの人しかいない。荒川静香さんはプロ版トゥーランドット。クリスマス・オン・アイスで演じたものである。ただし、今回はフルバッ
クオーケストでの演技だ。雰囲気は随分違っていた。さすがにプッチーニの名曲である。ヴァネッサ・メイのオリジナルも良いが、今日のオーケスト
ラも良かった。トリプルジャンプやイナバウアーの美しさは言うに及ばす、スピン、スパイラル、ステップのどれをとっても素晴らしいものであった。
流れるようなスケーティングは一流品である。フィナーレは印所的なものだった。ベートーベンの合唱が流れ、実際に、これまたフルの合唱団が付
き添った。二人のプロスケーターは盛り上げ役に徹していた。二人でカーリングストーンよろしくお尻で滑って会場を喜ばせてくれた。織田選手と
中野選手が急ごしらえのペアになってスルージャンプをしたのは皆んな驚いたに違いない。回転数は少なかったけれどやれんだなー。
2006
12
31
自宅周辺の野鳥
仕事が29日まであって、30日は大阪にフィギュアスケートを見に行ってつぶれ、正月を迎える準備を31日に行なう。鳥を見に行くどころではない
ので、動かずに野鳥を観察する。ただ、ルナの散歩は欠かせないので、散歩のときに見かけた鳥は記録を取ることにして、後は、掃除の合間に
見たり聞いたりした鳥ばかりで今年最後のフィールドノートを埋めた。ルナは昨日美容院に行ったのでシャンプーの匂いと両耳に飾りが付いてい
る。民家の近くで鳥の声が聞こえた。なにやら、ホオジロとジョウビタキが争っているように見えた。さらに進むと、カケスが柿の木に止まっている。
しかし用心深いカケスはいつの間にか藪に消えてしまった。その藪からはクロジの声がする。この冬はクロジが多いように思う。山陰川沿いに家
の方に戻る。川の水は少し濁っていた。川の中にアオサギがたたずんでいる。散歩から戻り、朝ごはんを食べ、いよいよ掃除の開始。ガラスを拭
き綺麗ななった窓から外を眺める。すぐ前は田んぼであるが、そこでハクセキレイとセグロセキレイが餌を探していた。その鳥たちを狙って一匹の
ネコがいた。我家のMOKOである。逃げられてしまいMOKOはさっさと次の遊びを探している。あまり敏捷なネコではないので無理とは思ったが。
最後はトリをとるのにふさわしい鳥であった。家の隣の畑から「チャ・チャ・チャ」とウグイスの声が聞こえたからだ。ちょうど外から窓ガラスを拭いて
いた時であった。声の主を探そうと畑に近づくと、ウグイスは花木の間を餌を探して敏捷に移動していた。幸いにもその端正な姿を確認する。散
歩でかすかな芳香に気づく。蝋梅(ロウバイ)が既に開花していた。
西暦
月
日
メモ
2007
1
1
室林道ラインセンサス
初観察はやはり室林道でやろうと決めていたので年末はあえて出向かなかった。満を持して室林道に出かける。太陽は既に高く、暖かくて気持ち
よいセンサスとなった。室林道から眺める萩の里や遠くに広がる町並みもはっきり望める。静かである。小鳥の声が微かに聞こえるばかり。クロジ
、ヒガラ、ウソが多く鳴いている。ウソはサクラで、ヒガラはヤシャブシとヒノキで、クロジは暗い林床から時々明るい林道に出てきて餌をついばむ
。今日はルリビタキを3個体確認したが、内2個体は綺麗なオスの成鳥であった。常には個体数の多いヒヨドリとホオジロであるが、今の季節は平
地に下がっておりセンサスでも時々しか出会わない。冬の季節にはホオジロを河川敷で多数見ることができる。冬の室林道は夏よりも明るい。そ
れは、常緑照葉樹や落葉樹が多いためで太陽の光が林床まで届き、ツバキやアオキなどの葉が光を鏡のように照らしてくれるからだ。林床で生
活するクロジ、ミソサザイ、ウグイス、シロハラたちの姿も見かけるようになる。カケスは相変わらず多い。センサスの先々で確認するも持参のカメ
ラにはおさまってくれそうにない。本当に用心深い鳥である。概して小型の鳥のほうが警戒心が少ないようだ。今日も、ルリビタキはかなり至近か
ら撮ることができた。林道にはもう花は咲いていないとおもったが、藪ツバキの蕾が一輪だけ開いているのを見つけた。
2007
1
3
寺ノ入林道ラインセンサス
野鳥の気配がほとんど無いような本当に静かな寺ノ入林道をセンサスした。それでは記録が取れないか、そんなことはない。、微かではあるが鳥
たちのつぶやきが木々の間から聞こえてくるのである。個体数で多いのはたぶんヒガラであろう。センサスする先々で、特に針葉樹の林に入ると
必ずといってよいほどヒガラたちの声が聞こえた。その声たるや、まるで聴力テストでも受けているようだ。コガラがいないか気をつけていたが似
た声の主はたぶんヤマガラであろう。ミソサザイは3個体を確認する。1羽は前触れもなく目の前から飛立ち心臓がドキドキ。カメラを持参したが
撮る間もなかった。空を見上げればハシブトガラスが3羽で鳴きながら山から山へと移動中。残念ながらタカの姿は無かった。冬季になると寺ノ入
林道も雪に閉ざされ訪れるのが難しくなる。今年の冬はどうであろうか。
2007
1
3
観音山林道ラインセンサス
寺ノ入林道センサスの帰りに観音山林道に寄った。岡崎市を抜け音羽町に入ろうとする所に観音山林道の入り口がある。音羽町にある林道の中
では最も標高が高い。(室林道よりも50~100メートルくらい高いだろうか)入り口付近に採石場跡があり石を採った跡は植林されていて、主に
ヤシャブシの木が植えられている。(室林道でも道を切り開いた崖にはヤシャブシが植えられていて表土が流れるのを食い止めている)ヤシャブ
シの種子は野鳥たちの大切な食べ物になる。特にアトリ科やシジュウカラ科の小鳥にとっては。カワラヒワやマヒワが室林道や観音山林道に多
いのはまさにヤシャブシの実のお陰だ。(ヒノキの実も役に立っているが)観音山林道に寄ったのはそのマヒワが群れでいるのではと思ったから
である。ところが、いるにはいたがそれ程の数ではなかった。しかし、それ以上の成果があった。室林道ではもう数年以上見ていない鳥、待ち焦
がれているカヤクグリがいたからだ。カヤクグリは高山の鳥で茶臼山でも繁殖するには未だ低すぎる。アオジ、ルリビタキ、ミソサザイ、ビンズイな
どと同様に、秋から春先まで平地で越冬する漂鳥の仲間である。こげ茶色の地味な小鳥あるが鳴き声は素晴らしく美しい。(その点ではミソサザ
イに似ている)地鳴きはチリリ・チリりであるが、地鳴きでもきれいだ。カヤクグリを漢字で書くと萱潜となるが、越冬地での生息場所も潅木の茂っ
た所であるから、棲んでいる場所から名づけられたのだと思う。たった1個体ではあったが私の顔はすっかりほころんでしまった。またよいことに
同じ場所でミソサザイもいたのだった。両者とも沢がある所を好むので一緒にいる可能性は高くなるのだろう。「こいつぁー春から縁起がいいわ~
い」
西暦
月
日
メモ
2007
1
4
茶臼山ラインセンサス
正月休みの間に3大フィールドを見ておきたかった。すなわち、地元の室林道、三河湖にある寺ノ入林道、そして茶臼山の、今の様子をできるだ
け同じタイミングで比較したかったのだ。正午過ぎに到着する。ゲレンデは家族連れで賑やかであった。不思議な光景ではあるがスキー場だけが
白くなっている。そしてそこだけが、子供たちの歓声や、リフト乗り場の音や、スピーカーから流れる音楽で、まるで別世界のようである。センサス
ルートは冬季通行止めの柵が設けられ通ることはできない。本当に雪がある時は通る気にもならないが、今年は、全く雪は無いのである。風もほ
とんど吹いておらず好条件なのに、暫くは鳥の気配は全く無い。これは困った。室林道や寺ノ入林道では冬の鳥をしっかり観察したのに。これで
は茶臼山の顔が丸つぶれになる。(先回のハギマシコに再び登場くれとまでは言わないが。)そんな茶臼山のピンチを救ったのはやはり頼りにな
るコガラであった。スキー場からの音が聞こえなくなると、後は、野鳥、沢、風、空からの飛行機、だけが聞こえてくるのみ。(冬季通行止めで車は
来ない)最初のコガラの声を聞いた後は次から次へと野鳥の声を聞くことができた。ハシブトガラス(この鳥はどこに行ってもいる)、コゲラ、アカゲ
ラ、(キツツキたちは幹の中にいる虫たちをほじくり出して食べてしまうので、雪が降っても困らないのだろう)エナガ(この小さな鳥も寒さに強い)
がさかんに餌をとっている姿を観察する。茶臼山の北の斜面にだけ雪が解けずに残っていた。その上には、いろいろな形・大きさの足跡が残され
ていて、未だ新しいものもあった。きっと、夜中か早朝に付けられたものに違いない。南アルプスがパノラマ写真のように見え正に絶景である。一
番のビューポイントの手前で今日の核心部分が訪れた。コガラ、シジュウカラ、ヤマガラのカラ類3兄弟に加えて、いとこのゴジュウカラまでが一
本の木で餌をあさっているのに出くわしたのだ。(本当はコゲラもいたのであるが)ゴジュウカラとは久しぶりの対面である。コガラは幹の周りから
太い枝まで丁寧に餌を探している。それが終わると地上におりて採餌。ササの中まで顔を突っ込んで探している。その姿は真剣そのものである。
その崇高な姿を写真に撮っている自分が惨めに思えた。ゴジュウカラは幹を上から下に向って下りる珍しい特技を持つ鳥である。動作を眺めて
みたがそのようにも見えるくらいであった。(写真に撮るとわかり易い)気分を良くして南アルプスのビューポイントに向う。北から、仙丈ヶ岳、北岳
、中白根岳、間ノ岳、農鳥岳、塩見岳、荒川岳、赤石岳、大沢岳、中盛丸山、小兎、兎岳、聖岳、上河内岳が白銀の姿を見せていた。(いずれも
2800mを越す山々である)さらに、雪化粧はしていないが、2500m級の山々(南アルプス最深部と呼ばれる、茶臼岳、光岳、イザルガ岳、加々
森山など)が連なる。眺めていると刻々と姿を変えるのが分かる。雲が太陽を隠し白銀が白さを失い灰色になる瞬間がある。それは北岳から塩見
、荒川、赤石、聖へと移ってゆく。赤石岳が白さを失った時に面白い光景を見た。赤石岳(3120m)の手前に2800m級の大沢岳、中盛丸山、子
兎岳が連なっているが、バックの赤石があまりにも大きいため溶け込んでよく輪郭がわからない。赤石がトーンを落とした途端前述の山々が浮か
び上がってきたわけだ。単独に存在すれば2800mもあるのだから立派に見えるのであろうが、なにやら人の世界にも通用するようである。何時
のまにか、我が茶臼山にも薄雲がかかり寒い様相を呈してきた。手袋を急いではめる。これで終わりにしよう。
2007
1
5
羽根・長根の田んぼ
今日も穏やかな日となった。豊橋の本屋に出かけたあと羽根・長根の田んぼに寄る。ノート・双眼鏡は持参しておいた。あぜが草もみじで綺麗に
なっている。歩いていても全く寒くなく(北西の風が通り抜ける羽根・長根の田んぼは本当に寒い)幸せな気分である。田んぼのあちこちで鳥の姿
が見られた。まずは冬の鳥の代表(と私は思っているのだが)ツグミ。あの空を見上げるような仕草には何故か心引かれる。かなりの個体数がい
る。次にセキレイの仲間たち。個体数からいけばタヒバリが一番だろう。20羽ほどの群れを作って餌を採っている。田んぼの黒土と同じ色で遠目
では全く存在が分からない。セグロセキレイとハクセキレイを比較すると数の上ではハクセキレイに軍配が上がる。もともとはセグロセキレイが多
かった。しかし、近年、冬鳥(音羽では)であるはずのハクセキレイが夏にも見られるようになり、冬場では個体数で上回るようになったのだ。セグ
ロセキレイは日本固有種(外国にはいない)で減少してくれては困る。セキレイの仲間にはもう2種見られる。そのうちのキセキレイがいた。レモン
色が綺麗な鳥で一番スマートに見える。ビンズイが残りの1種であるが時々羽根の田んぼでも見かけることがある。冬の鳥の特徴は群れで生活
することだろう。ここではスズメやカワラヒワが代表的な鳥である。今日もカワラヒワが50羽ほどの群れになって田んぼの上を旋回していた。羽が
光線の加減によって透けるように見え美しい。今日も1羽のチョウゲンボウがいた。電柱にとまって獲物を待ち構えている。小鳥たちは群れを作る
ことで捕食者への対抗策を講じているのかもしれない。群れの中心にいる鳥は捕食者から狙われにくく、結果として、繁殖できる年齢まで生き延
び易い。群れを作らない個体は捕食され繁殖できない。自然淘汰圧は群れをつくる方向にかけられているのだろう。センサスをしていると1台のト
ラクタが田んぼを起こし始めた。野鳥たちは目聡くごちそうのテーブルに向った。
西暦
月
日
メモ
2007
1
13
我家周辺
ルナと散歩をしながら鳥を観察した。山の近くではホオジロやカシラダカがいる。近くに田んぼがあるので山との間を往復している。我家にあるコ
チョウワビスケからはメジロの声がしてくる。きっと蜜を吸っているのだ。案の定、近づいたら2羽のメジロが飛び出していった。山陰川ではカワセ
ミがいた。オスの若鳥が付近を縄張りにしているのできっとその個体だろう。飛び去る背中のコバルトブルーの綺麗なこと。隣の畑に20本ほどの
クリが植えられている。そのクリの木をエナガとシジュウカラが順に回って餌を捕っていた。思わず見入ってしまった。冬至からそろそろひと月経つ
。太陽の光も徐々に強さを増してくる。その中で、小鳥たちの活発な動作を見ていると自分も何か元気が出てくるようだ。
2007
1
13
駒場池のカモたち
室林道から下り駒場池に向う。駒場池は豊川用水の調整池として人工的に造られたものだ。(出来たのは、たしか私が高校生の頃だったと思う)
調整池の宿命としての水位の変動があり、水位が最も低い時には昔の橋や道が姿を現す。この冬は雨もまずまず多くて水位もかなり高い。する
とオシドリの期待がもてる。(オシドリは木々の枝に登って休むことが多いので、水位が下がると何時のまにかいなくなってしまう)25倍の望遠鏡
を持参し湖面を眺めた。少し波が立っているが風はそれ程強くはないので観察は楽だ。緑色の頭が日に輝いているいる。駒場の主役はなんとい
ってもマガモだ。時々他の種が混じることもあるが、大体はマガモとカルガモの2種である。カルガモはマガモとは少し離れて泳いでいた。陸に上
がって羽に頭を突っ込んで休んでいるものも多い。どうやらオシドリはいない模様と帰り支度をする。車を来た道の方向に走らせていてふと対岸
を見たら未だ見落とした鳥たちの姿が目に入った。木々が覆いかぶさりオシドリが好きそうな場所ではある。念のためと車を止め目視すると、どう
やらマガモではなさそう。カルガモでもないなと思い双眼鏡を取りに車に向う。遠く離れているのでこちらには気が付いていないはず。それでも逃
げないでくれと念じて双眼鏡を手に対岸を眺めた。10倍の視野には20羽ほどのオシドリが入っていた。オス・メスがほぼ同数3箇所ほどにかた
まって休んでいる姿であった。デジタルカメラには500ミリのレンズを付けてきた。それでも遠いため小さく写るのみであった。記録写真にはなる
だろうとシャッターを切る。実はこれが功を奏したのだった。オシドリの中にさらにトモエガモも写っていたのだ。自分の目も存外いい加減だなと感
じた。いるのに見えていなかったのだ。その点写真は正直である。写っているものを見落とすことはさらに少ない。確か数日前の新聞に、新城市
の寒狭川でトモエガモが、オシドリと一緒に写っている写真が載っていた。駒場池でも同様の状況であることが確認でき大変満足した。
2007
1
13
室林道ラインセンサス
2007年になって2回目のラインセンサスである。午後を回っていたので南東に面した所は既に日陰になり寒さを覚える。しかし。日の当たるコー
スは本当に気持ちよくて、やはり冬のバードウォッチングが一番だと思う。静寂を破る鳥の声。様々な声が聞こえてくる。その声に気持ちを集中さ
せて種を同定する。結果は、ミソサザイ、ヒガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、マヒワといった小型でも元気な鳥たちがかなりの数がいた。声だ
けを聞くと元気のなさそうなウソであるが、いたるところでサクラの芽をついばんでいて、今年の春はサクラの花は期待できそうにない。湧き水が
溜まっている場所では(例年3月、ヒキガエルがそこに産卵する)獣が水浴びをして戻っていった跡があった。濡れた足跡が点々とあって、それも
2頭の足跡であった。室林道からは午後の日差しに輝く豊橋の市街地がよく見えた。
西暦
月
日
メモ
2007
1
20
土曜探鳥会 財賀寺
2007年の探鳥会は財賀寺への遠足で幕を開いた。2週間前が本当の予定日であったが生憎の雨となり今日に延期となっていたのだ。8時30
分に集合する頃は雨が降るとは思わないまでも少々心配になった。しかし、音羽町から豊川市に入る地点を過ぎる頃から雲が消えてゆき、風が
弱いことも幸いして絶好の探鳥会日和となった。本当にたくさんの小鳥たちを見ることができたのだ。平尾のゴルフ場近くの池にはカワセミがいた
。(いるかもしれないよ、と話しながらやって来たのであります)その少し上でハンノキにしがみ付くマヒワの群れもいた。これは幸先がいい。今日
集まってくれたのは子ども9名、大人3名とまずまずの大所帯で、どうかするとまとまりが欠ける人数であるが、熱心な子どもたちばかりで、最後ま
で探鳥会らしく過ごせたのは良かったと思う。コースの中心は豊川自然遊歩道で山の尾根を歩く。尾根に上る階段が一直線にあって結構きつく、
探鳥会では「心臓破りの階段」と称している。参加した子は初めての経験でしんどい思いをしたことだろう。遊歩道でカケスの羽が沢山落ちていた
。黒い羽は多かったが、中に青い帯の入った羽も見つかり、その羽を拾った子は大喜びである。狩猟期のため声を出して行こうと話したこともあっ
て、伝令ゲーム(先頭から同じ言葉を次々伝えてゆく)を大声でやりながら財賀寺へ進んでいった。奥の院が見えてきて子どもたちもホッとした様
子。千手観音にお参りし梵鐘を鳴らす。さらに境内を下り文殊菩薩にお参りする。最終目的地の仁王堂に付いたのは12時直前であった。もうお
腹がペコペコだ。早速楽しみにしてたお弁当タイム。みんなお母さん手作りの弁当を広げた。満面の笑み。柔らかい日差しの下で幸せな時間を過
ごした。大人はほっとひと息継ぎたいところであるが、子どもたちは、何をやって遊ぼうかなと皆で大騒ぎして決めている。「初めの一歩」「花いちも
んめ」といった昔ながらの遊びを喜んでやっている。(今の子がこんな遊びを知っているなんて、正直言って感慨無用であった)13時まで遊んで萩
に帰る。帰り道は山越えで本当ならきつい筈なのに、皆で大騒ぎをして進むと時間を忘れあっという間に山を越えてしまう。観音山の麓から萩小
学校まではほんとに気持ちが良かった。春のような陽気で野鳥たちもご機嫌だ。ホオジロ、アオジ、カシラダカ、ツグミ、エナガたちが元気に飛び
回る。最後にはウソまでも登場してくれた。(子どもたちは学校に戻り、終わりの挨拶を終えた途端運動場で遊んでいる)
2007
1
21
室林道ラインセンサス
天気が悪く予報であったがセンサスの間は日差しもあって暖かであった。ハシブトガラスが盛んに鳴いているのが印象に残っている。カラス類の
繁殖は小鳥よりも早いと聞いているので、求愛行動なのかもしれない。目に付いたのはカケスだ。かなりの個体数に違いない。小鳥たちも混群を
つくっている。エナガ・ヤマガラの群れに出合った。ヒガラもかなりいそうである。スギ・ヒノキを中心に採餌している。ウソがサクラの花芽を食べる
とパリパリと音がする。そして芽の殻にあたるところを地上に落とすので、林道にはそれらが一面に広がっている。ヒガラやエナガは虫にこだわっ
て採餌する。サクラ・ヤシャブシ・マツとなんでもよい。軽い体は枝先までぶら下がることができる。シジュウカラやヤマガラは少し体が大きい分太
い枝が作業場になる。地上性採餌のウグイス・クロジもすみ分けをしているのだろうか。先週はヤブツバキを1輪だけ見たが今週は4-5輪ほど
に増えている。日の強さは確実に戻っている。カラ類はやがて求愛の囀りを開始する。
2007
1
27
羽根・長根の田んぼ
用事を済ませてまた鳥を見に行く。室林道へと思ったがもう午後3時を回っている。室林道は日陰はかなり冷えそうなので諦め、未だ日がたっぷ
りと当たっている羽根・長根の田んぼに出かけることにした。朝から暖かで手袋を持たずに出かけた。センサスの間双眼鏡と指先の間を冷たい風
が通りぬけてゆくのには少々閉口した。手袋を持ってくればよかったと思った。冬の羽根・長根の田んぼでの一番の見所は、野鳥たちの群れ行動
であると信じてやまない。スズメでも群れになると見応えがあるし、まして珍しい野鳥ならばなおさらのこと。2001年の1月から2月にかけアトリの
群れが羽根・長根の田んぼにやって来たことは今でも鮮明に覚えている。音羽町でのアトリとの出会いはその一度きりである。カワラヒワは最もも
大規模な群れをつくる。今日も50羽ほどの群れで田んぼの上を舞っていた。(去年はなぜかカワラヒワの群れが殆ど見られなかったが)羽根・長
根でもセキレイの仲間は中心の鳥に違いない。ところがその鳥たちに異変が起きている。主従の位が変わりつつあるのだ。セグロセキレイが減り
始め。代わりに中心の座をハクセキレイが占めつつある。ハクセキレイは音羽では冬鳥であったはずである。それが今では年間をとおして見るこ
とができるようになってしまった。羽根・長根にはかなりの個体数の野鳥が生息している。(特に秋季から冬季にかけてが多い)それを狙って捕食
者も棲みつく。その中でもポピュラーなのが小型のハヤブサであるチョウゲンボウだ。ほとんど必ずといいいくらいに出会える。群れが急にざわつ
いた時にはかなりの確率で、群れの中にチョウゲンボウの姿を見つけることができるのである。
西暦
月
日
メモ
2007
1
27
自宅周辺
春先のような陽気で今が真冬であることが信じられない程である。家の前には黄色い菜の花が咲いていて明るい緑の葉とともに眺めていると心
が浮き浮きする。春と間違えたのか一羽のホオジロが囀りをしていた。(今年の初囀りになる)ルナと一緒に小鳥たちを観察しよう。田んぼにはも
うぺんぺん草やホトケノザが小さな花を開いている。そこではセグロセキレイやハクセキレイが尾を振りながら採餌中。田んぼにはツグミの姿も見
られる。私はツグミの白・黒・茶色が織り成す羽色がなかなか見事なものだと思う。民家の近くでカシラダカの群れを見た。ホオジロに似るも雪の
ような白い腹部は冬鳥らしさを連想させる。この鳥も私は気に入っている。鳴き声はいたって地味ではあるが、それはあくまでも今の季節のことで
あって、繁殖を控えた春先に群れで鳴く姿を茶臼山で見たことがあるが、それはそれは賑やかであった。ルナとの散歩コースには何箇所か竹や
ぶがある。そこには川が流れ、ヤブツバキが咲いている。冬に咲く真っ赤な花はとても印象的だ。サザンカも好いがヤブツバキは特別である。囀
りをしているのはホオジロばかりではない。イカルは体に似合わない爽やかな美声で囀る。真冬の朝、青空に澄み渡る囀りを聞くのは気持ちの良
いものだ。ホトケノザが咲いているならば、と私の好きなオオイヌノフグリを探してみたが残念ながら開花した姿は無かった。もう暫く待たねばなる
まい。
2007
2
3
土曜探鳥会 室林道
真冬の室林道を子どもたちと歩いた。今が一年の内で最も寒い時期にあたるはずではあるが、なんという暖かな一日だったろう。陽だまりは春そ
のものである。気の早いウメがほぼ満開に近い姿を見せている。(ただし1本きりではあったが)ノスリがホバリングしながら地上を探索していた。
なんとも気持ちが良さそうである。室の部落ではジョウビタキ(オス)が縄張りを巡回している。我々がすぐ近くで観察していても一向に気にしてい
ない様子に、子どもたちも感心した。田んぼではホオジロとカワラヒワが稲穂に残ったもみをついばむ。又、室川沿いには50羽ほどのカシラダカ
の群れがいて我々を喜ばせた。そこから200mくらい離れた所を2頭のニホンザルが歩いているのを見つけた。早速子どもたちは駆け寄り眺め
ている。そんなに危険な様子でもないので我々大人はその様子を眺めている。萩が自然が豊富な里山であることを改めて認識させられた。最初
はのんびりとした光景であったが、やがて様子が変わってきた。2頭のサルが大騒ぎで民家の庭を横切り屋根に登る有様は緊迫感をはらんでい
て、何事かあったのだろうかと思わせた。いよいよ民家とも離れ室林道へと進んでゆくと、暖かな陽気に誘われたのかホオジロが囀りをしていた。
室林道に入るとホッとする。車がまったく通らない。(昨年2度にわたり崩落があり、そのため現在まで通行止めなのだ)サクラの新芽を食べるウソ
の姿。元気に採餌するカラ類(シジュウカラ・ヤマガラ・ヒガラたち)を観察する。冬の室林道は一年で最も魅力にあふれている。冬鳥たちが雑木
林で採餌する姿がよく観察できるからだ。澄んだ青空、きりりと身が引き締まるような寒さも好きである。帰りにはアカゲラに出会え大変ラッキーな
一日であった。(伊藤先生はバードカービングでアカゲラを作られた由、初めて本物のアカゲラに会えたことを大層喜んでおられた)
2007
2
4
室林道ラインセンサス
風が強い。高圧線が奏でる重低音を久しぶりに聞きながらのセンサスである。落ち葉がくるくると回りながら飛ばされている。小さな竜巻である。
突然、足元からニホンリスが顔を覗かせた。そして、あわてる素振りも見せずヒノキの若木を登り始めた。バックからの日差しで太い尻尾が輝いて
いる。ウソがソメイヨシノの花芽をついばむ。ヒノキの林ではヒガラの小さな声が聞こえる。この声はセンサスの間中聞こえた。だから記録以上に
個体数は多いと思う。なにしろ微かな声だから。混群にも出会えた。冬のバードウォッチングの醍醐味は混群であると思っている。林道の入り口を
守っているルリビタキは健在っだった。必ず顔を合わせているのだ。
2007
2
10
寺ノ入林道ラインセンサス
茶臼山からの帰り道を寺ノ入林道のあるルートにした。ルート上の地図からは平成の大合併で津具村と作手村の名前が消えた。現実の生活で
の変化はあるのだろうか。役場までの距離は相当に遠くなったのは間違いない。(津具は設楽町に、作手は新城市まで行かねばならない)茶臼
山と同様に寺ノ入林道でも強めの風ではあったが、標高が茶臼山の約半分(600メートル)の分だけ野鳥確認個体数は多い。ヒガラが最も多か
った。エナガ・ヤマガラ・シジュウカラ・コゲラの声も確認できたが、私からは見えない位置で混群が通過していったのだと思う。1個体だけではあっ
たが、まだ本格的とは言えないシジュウカラの囀りを確認した。イカルを除いて、シジュウカラは最も早く囀りを開始する。センサスのスタート地点
(いつもの折り返し地点)オスとメスのルリビタキを見た。(開始時にオスを、終了時にメスを)つがいであろうか?
西暦
月
日
メモ
2007
2
10
茶臼山ラインセンサス
予想よりも風が強かった。それが今日のセンサス結果にはっきりと表れた。確かに家を出る時には雲に覆われ風も弱かった。ところがセンサスを
開始した頃にはかなり強い風が吹き抜けるようになっていた。スキー場は子供たちのための教室が開かれていたが、アナウンスの声は風上を歩
いている私には聞き取り難かった。ウソとハシブトガラスを確認する。林床は雪で覆われ採餌は難しそうだ。スキー場からは鳥の姿・声ともなかっ
た。北側の面では足首が隠れる程度の積雪であった。この時期に訪れることは殆ど無かったので比較できないが、たぶん少ないのだろう。ベニマ
シコ・ハギマシコの出現を期待していたが鳥の声はほとんど聞こえなかった。かろうじて、ヤマガラの声を確認した。南アルプスの方向は霞んでい
て3000メートル蜂の連なりは見るべくも無い。個体確認数については、風がもう少し弱かったらならば結果はちがっていたかもしれない。
2007
2
17
碧南火力発電所
探鳥会と子ども会の行事が重なってしまい牧野さんと二人だけの探鳥会となった。そうなった場合として牧野さんの地元で出向いて鳥を観察する
ことに決めていたので、まよわずに碧南火力発電所に行くことにした。音羽町から蒲郡市に出て県道41号線を真っ直ぐ行くと矢作川の河口に出
る。その近くに碧南火力発電所があった。2本の高い煙突から白い蒸気のようなものが出ていて石炭を燃料にしている感じはしなかった。広大な
発電所の敷地内には一般に開放されたエリアがあって、電気館、多目的広場、散策コース、観察コースなどがある。今日は、散策コースを使って
地元の小学生によるクロスカントリー競技会が開かれていた。そこで、鳥の観察の前に子供たちの力走に声援を送ることにした。4年生から6年
生の順に男女にわかれてのスタートで、距離は1000メートルと1500メートルである。この辺りは当然ながら平坦な土地で山らしいものは無いので
、クロスカントリー競技は野山を走る楽しみを与えてくれることだろう。息を荒らせて走ってくる子達に声を掛けた。コースではシジュウカラやメジロ
といった鳥たちが多数いたが、我々は常緑照葉樹の林を抜けていったん緑地帯の外に出る。歩道橋からは発電所、矢作川河口の海岸線、発電
所に接した農地がすっきりと見渡せて身分がいい。碧南市は農業が盛んで様々な作物畑が色とりどりになって広がっている。幅が30メートルほ
どの水路がありハシビロガモが浮かんでいた。スコープで見ても皆ハシビロガモで、カイツブリの姿が少しだけの珍しい光景であった。そして観察
コースへと向う。コースは水辺の環境が再現れていて(水位など全てコントロールされている)かなりの投資をしていると見た。今の季節、冬鳥が
多いのは当然であるが、中でもツグミの姿が一番だった。繁殖地に渡る4月頃には相当な個体数になるだろう。花の咲く木も多く植えられメジロの
姿もツグミに負けず多い。そしてシジュウカラやヤマガラなどの定番の鳥たち。水域ではセグロカモメ(と思う)がタカ柱ならぬカモメ柱をつくり上昇
している。水面に浮かぶのはカルガモとホシハジロ。低空飛行をして獲物を探す2種類のタカにも出会うことができた。チュウヒとミサゴである。観
察コースには池が点在しそこに来る鳥たちを観察するためのコンクリート製の建物もある。(すごく立派であった)コースの最後には思いもかけぬ
鳥にも。池のほとりにカワセミがいたのだ。少し若いオスのカワセミがポールにとまっていて、ダイビングまで見せてくれた。こんなに見られていい
のかしらんと思った。広場では表彰式をやっている。広場でスコープをのぞいていたら競技会にでた子ども3人とお父さんに出会い、たった今見つ
けたハヤブサを見せてあげる。ハヤブサは発電所のシンボルである高い煙突の天辺で羽を休めていたのだ。しばらくは子どもたちと探鳥会であ
る。小さな子が見事に鳥の姿をとらえた。
2007
2
18
室林道ラインセンサス
雨雲が通り過ぎてゆく。大丈夫とはおもったが山の天気は変わりやすい、冬に雨に打たれるのはご免蒙りたい。チャンバラよろしく刀のように傘を
差してセンサスを開始する。林道の入り口でエナガの群れに出会う。エナガの群れに出会うとこちらも気持ちが高揚する。これ以上に大きな群れ
に後ほど出会うことになるのである。ただしエナガではなくヒガラとシジュウカラの混群であったが。暖かいので一枚着るものを減らしているがそれ
でも全く寒くない。そんな陽気にホオジロが囀りをしている。2個体の囀りを確認した。やがて室林道は野鳥たちの囀りでにぎわうだろう。その日が
刻一刻と近づいている。ヒノキの若木の林でヒガラの群れに出会う。20羽以上はいただろう。その群れにはシジュウカラも付き添っている。この冬
もヒガラの可愛らしい姿を堪能でき本当に嬉しい気持ちだ。
西暦
月
日
メモ
2007
2
24
羽根・長根の田んぼ
室林道のラインセンサスのあと羽根・長根の田んぼに下りてセンサスした。風はさらに強く吹き抜ける。しかしもう冬の北風ではなかった。その証
拠に、其処で春の息吹を感じることができた。明るい空にはヒバリの声が響いていた。ヒバリは雲雀と書く。雲のように高く舞い上がり求愛のアリ
アを奏でる。オスが歌うわけであるからテノール歌手が主役である。その歌いっぷりは3大テナーも舌を巻くほど凄いものだ。全く声を切らすことな
く休まずに10分以上も歌っている。こんなことは人間には不可能である。全く鳥がいそうも無い田んぼにもよく見ると様々な小鳥達がいることが
分かる。セグロセキレイやハクセキレイは羽色ですぐに分かるが、タヒバリ、ホオジロ、カシラダカになると大変分かりにくい。ところが、彼らもまた
ヒバリ同様に鳴き声で存在を知られてくれるのだ。大多数の小鳥たちは鳴禽類と呼ばれ鳴かずにはおれない鳥たちなのである。吹き抜ける風は
冷たくとも田んぼのあちこちではすでに春が見える。黒い土に緑色の絨毯が広がっている。タンポポ(西洋タンポポ)、オオイヌノフグリ、ホトケノザ
、ペンペングサのとりどりの花色が春を運んでくれている。
2007
2
24
室林道ラインセンサス
朝から家の周りでも強い北西の風が吹き抜けていた。標高が150メートルほど高い室林道でも同じであった。山全体が吼えていた。久しぶりに高
圧線から重低音が奏でられるのも聞いた。そんな中でウグイスが一声ホーホケキョと囀りをした。そんなに下手くそでもないのは初囀りではない
からだろう。それに連れられてシジュウカラが囀る。もう日差しは早春である。遠くの街並みがキラキラ輝いて見える。頭上に広がる空は光溢れて
いる。ヤシャブシの新芽の緑が色濃くなってきた。カラ類の行動が特に活発であった。シジュウカラ、ヤマガラはペアらしき2羽が互いに声で確認
し合っている様子。ヒガラも群れで採餌している。しかし、繁殖行動に付き物の囀り行動はもう少し先になりそうだ。ヤシャブシの球果を盛んに啄
ばんでいるのはマヒワのペア。綺麗な鶸色の姿を写真に収めようと、彼らが樹冠まで上がってくれるのを待つ。その辺りがちょうど光線の当たり具
合が良いのだ。春の光に黄色が良く似合うと思う。スイセン、レンギョウ、タンポポの花、そして野鳥ではカワラヒワやマヒワの黄色である。太陽が
再び南回帰線から帰ってくる浮き浮きした気持ちと、太陽自身が、自分と同じ色を持つものに対して特に念入りに光のシャワーを降り注いでくれて
いのではと思ってしまう。
2007
3
3
豊橋総合動植物園
毎年最後の探鳥会は6年生を送る会として「愛知県民の森」に出かけていた。ところが、時期がよくないのか肝心の野鳥にあまり出会えないこと
が多かった。景色などは申し分ないのであるが、そこで今年は最初から豊橋総合動植物園と決めていた。子どもの参加人数は4名。ひとり風邪で
欠席となってしまった。楽しみにしていたので大変残念である。町のワゴン車で送っていただき感謝いたします。素晴らしい青空に恵まれて、楽し
く時を過ごすことが出来、子どもたちや同行したいただいた方々にも感謝します。飼育係の林さんから野鳥の説明をしていただいた。日本産野鳥
の人工繁殖に関しては、日本でもトップクラスの実績を上げられている。野鳥園では見たことのない鳥たちが出迎えてくれる。(熱帯産の鳥ではな
く、日本産の鳥たち)たとえばコマドリに夢中の子もいれば、カワセミにぞっこんの子どももいる。ミソサザイを見てその小ささに驚く子もいた。外国
産の鳥よりも見慣れた鳥(姿は見ていないが声は聞いたことがあるなど)に興味を覚える子が多い。あっとい間に昼ごはんの時間になってしまっ
た。大勢の人たちが草むらで弁当を開いていた。我々も早速弁当箱を開けた。子どもたちは先生に連れられてジェットコースターに乗った。その
間私はうとうとする。最後は植物園に入った。大温室で熱帯の花々を鑑賞する。今日はひな祭りであった。花でつくったおびなとめびなが飾られて
いた。
2007
3
4
室林道ラインセンサス
公民館祭りの前にセンサスした。暖かい陽気は野鳥の様子にも表れていた。ウグイス、ホオジロ、シジュウカラ、ヤマガラの囀りがいたる所から聞
こえてくる。特にウグイスは活発である。いよいよ繁殖の季節。野鳥観察の最も重要な季節を迎えたのだ。谷底からミソサザイの声が聞こえた。
思わず、昨日豊橋総合動植物園で見た姿を思い浮かべた。ヤマガラの少しのんびりした囀りを聞いて、「いよいよ春だな」と思った。
2007
3
10
茶臼山ラインセンサス
スキー場から赤石や聖がくっきり見える。スキー客はまばらである。小さな子どもが上手に滑っている。ホオジロ、ヤマガラの囀りが聞こえた。風
がないのでよく聞こえる。期待も高まるが(先回は風が強く鳥が動かなかった)その割には野鳥の気配がない。しかし、それを埋め合わせてお釣り
がくるほど明るい景色は気持ちが良かった。恵那山の北側には北アルプスの連なりが見えた。そして、東の方角には、雄大な南アルプスの山々
が凛と聳えている。茶臼山の北の斜面でカヤクグリに出会った。どうなのだろう。これからゆっくりと繁殖地に向うのだろうか。ヤマガラ、シジュウカ
ラもいた。カラ類は何時行っても必ずいるが、寒さには強い鳥である。年末に見たハギマシコをついつい期待してしまうがそんなに甘くはない。茶
臼湖から南アルプスを眺める。冬季通行止めが解除されるまでは車は通れない。堂々と車道の真ん中に三脚を立ててカメラを山に向けた。
西暦
月
日
メモ
2007
3
10
寺ノ入林道ラインセンサス
茶臼山から三河湖経由で帰ることにした。茶臼山はまだまだ冬の様子。では、寺ノ入林道ではどうなのか。地元の室林道ではウグイスの囀りが
始まっている。標高は茶臼山のほぼ半分の600メートルあまり。それでも、室林道に比べたら3倍近くある。すでに午後2時を回っていて、野鳥観
察にはあまりよい時間帯ではない。しかし贅沢はいっておられない。スタートして暫くは鳥の気配がない。針葉樹の林に差し掛かってようやく微か
に鳥の声。どうやらヒガラのようだ。場所によっては日が翳り肌寒い。上り坂なのでこのくらいの気温が丁度よい。茶臼山で散々歩いたあとなので
折り返し点に着いたらぐったり。しばらく休んで引き返す。ところがよくしたもので、折り返してからの方が多くの鳥に出会えたのだ。林道と並行に
流れている沢からは今年初めてのミソサザイの囀りが、山からはヒガラの高く澄んだ囀りが(これも今年初めて聞く)聞こえた。ミソサザイの囀りは
茶臼山ではもう少し先になるだろう。彼らは繁殖に向って徐々に高度を上げてゆくのだ。
2007
3
16
前田町
すっかり明るくなった前田町の田んぼ道。出勤前の散歩を始めてちょうど1年経ったことになる。記録的な暖冬が野鳥の生活になにか影響をあた
えているのか興味あるところではあるが、前田町のような標高の低い所でヒガラの姿を見たのには正直驚いてしまった。自動車工場と前田町との
境界は林のようになっていて沢山の野鳥が棲んでいる。今日もウグイスの囀りを聞くことがでいた。そこから多数のヒガラが飛び出してきたのだっ
た。私の地元音羽町でもヒガラが沢山見られる。従って、ここ前田町にいても何も不思議ではないが、深山の鳥のイメージが強いだけに違和感を
禁じ得ない。朝日は今ほぼ真東から昇ってくる。やがて昼間が夜を抜き野鳥たちの脳下垂体を刺激する。うきうきとオスたちはメスに求愛する。道
端に花が咲き乱れチョウが舞う季節もすぐ側だ。
2007
3
17
前山
萩小の校歌にも歌われている前山は文字どおり学校の前にそびえている。200メートルたらずの山ではあるが、子どもたちには思入れのある山
なのである。朝から校庭が砂埃が立つほどの強い風が吹いている。これは計画通り羽根・長根の田んぼに行っても鳥はいないし、田んぼ道を歩
くのも辛いなと判断した。そこでコースを右に行くべきところを左に変更し、さらに、左と思っていたのも右に咄嗟に変えた。子どもの一人が「前山
に行こう」と言ったからだ。私も、今日は平地よりも山の中に入ってしまったほうが良さそうだと思い、すぐに賛成した。「とっておきの場所に案内す
るからね」と子どもたち。落ち葉が積もって滑りやすい階段を登り尾根に出る。尾根づたいに道があって山頂に到着。さらに進むと開けた場所に
出た。そこからは、遠くは渥美半島や三河湾が望め、足元には朝日に輝く駒場池があった。緑の山々と雑木林が織り成す模様が心地いい。薄緑
の新芽はヤシャブシの木だろう。地元音羽町の町並みや豊川、豊橋の市街地が眼下に広がっている。「確かに絶景だね」と私は子供たちに感謝
の意を表した。尾根の南側なので風も無く春の陽気で、ここで昼寝をしたらさぞかしぐっすりと寝られることだろうと思った。1羽のトビが悠々と飛ん
でいる。本当に来て良かった。持ってきたお菓子を皆で食べ、今度は下り坂で思わず尻餅を付きそうになりながら学校に戻った。
2007
3
17
室林道ラインセンサス
探鳥会を終え簡単にパンで昼食をし室林道に向う。大きな鳥が突然飛び去った。ヒノキの若い林に降り立った。再び飛び立つ姿に驚いた。タカの
ような縞模様が見えた。音も無く移動する。どうやらフクロウに違いない。かなり昔茶臼山で、日中でのフクロウの飛翔を目撃したことがある。この
日の出来事は私にとってはかなり珍しいことであった。寒さがぶり返しウグイスの囀りも足踏みしているようだ。囀り個体はそんなに多くない。ヤシ
ャブシの木は雄花が役割を終え地上に落ちている。これからさらに道路いっぱいに広がる。崖の水脈の露頭ではショウジョウバカマが咲き始めた
。露頭からの水滴は落ち葉のダムで蓄えられ小さな池となり、そこには少しばかり気持ちが悪い寒天状に包まれたヒキガエルの卵が産み付けら
れていた。昔、山口さんから教えてもらったカエル合戦(ヒキガエルの交尾)は春まだ早い3月の半ばに行なわれるというものであった。まさにピッ
タリのタイミングである。昨年の春はここには卵は無かった。実は、道路の溝を綺麗にしたため露頭からの水が溜まることがなかったのだ。それが
、1年足らずで再び水溜りが出来、それによりヒキガエルも卵を産み付けることが可能になった。ほんの小さな水溜りが命の誕生を促し、反対に
拒絶もする。この水溜りにシカなどの哺乳動物もお世話になっている。寄生虫を退治するための泥浴びに欠かせない場所なのだ。そろそろ繁殖
地に向う鳥たちがいる。ルリビタキ、マヒワ、ヒガラたちである。彼らはやがて室林道を去ってゆく。しかし、まだその時期ではない。今は、沢山食
べることに専念することだ。マヒワとヒガラを観察していて採餌姿がそっくりなのに驚いた。
西暦
月
日
メモ
2007
3
24
前田町
早朝ウォーキングで野鳥の存在を知って観察を始めて3度目の春を迎えた。久しぶりに休日に訪れたが、前田町の野鳥も春の繁殖の時期を迎
え活発な行動を開始していた。一番目に付くのがケリである。自分のテリトリーに入ってくるものは全て攻撃の対象とみなし、急降下と自慢のけた
たましい進軍ラッパで威嚇する。自分よりも大きなハシボソガラスも例外ではない。一見何の問題も起こしそうにない小鳥たちにも容赦しない。今
日はハクセキレイに向っていった。ケリ以外ではヒバリのオスのディスプレイが今の季節の見所。最初のうちは地上で囀りしているが、我慢できな
くなり、空中に飛び出し、大きな囀りの歌とともにゆっくりと上昇してゆく。明らかに普通の飛翔とは異なる。飛行機ではなくヘリコプターの飛び方で
ある。羽ばたきは非常に早くそれだけでもエネルギーを費やすだろう。それに歌が加わるのである。その歌も全く途切れることが無い。人間の歌
手のように息継ぎ場所が見当たらない。鳥は息を吸うときも吐くときにも声を出すことができるのだ。それにしてもはた目には苦行を強いられてい
るようにしか見えない。車の工場の隣に前田町は位置している。境界にはグリーンベルトがあって実に沢山の種の野鳥がいる。ウグイスやカラ類
は言うに及ばず、夏になればキビタキの囀りも聞かれる。今の季節、越冬に来た小鳥たちが繁殖地に向う準備をしているに違いない。アオジ、ツ
グミ、ベニマシコを確認でしているがこの冬はヒガラの存在を知った。高原で綺麗なソプラノを聞かせるヒガラ、カラ類の中で最も小さな鳥、私の地
元音羽町でもヒガラが多かった。しかし、市街地でヒガラの姿を見るとができたのは意外であった。桃色の蕾をつけた枝垂れザクラの中をヒガラ、
メジロ、アオジ、ヤマガラ、シジュウカラたちが懸命に餌を探していたのが実に印象的であった。前田町は市街地に残された水田地帯を抱えてい
る。次々と田んぼが埋められ店舗に変わっているのを見ると、暗たんたる思いになる。
2007
3
24
豊田市野外観察の森
天気予報は昼過ぎには雨が降り始めるとある。急いで野外観察の森に向った。前田町が田んぼの野鳥ならばここは山の野鳥を観察できる。や
はり3年前の冬に「冬の森の観察会」として仕事仲間4人で訪れたのが最初であった。昨年の初夏に、ここ「トンボ池」にギンヤンマ(子どもの頃以
来だと思う)を見にやって来た。ブルーと緑の美しい姿にすっかりギンヤンマのファンになってしまった。春先の森はどんなだろう。駐車場にはすで
に沢山の車が止まっていて、自然を楽しむ人たちが多いんだなと思わせた。くまなく観察路を歩いてみた。メジロが盛んに囀っている。個体数も多
い。カラ類(ヤマガラ・シジュウカラ)やエナガも群れが横切る際には賑やかにおしゃべりしていた。声だけの確認ではあったがミソサザイ、ベニマ
シコ、マヒワといった越冬にやって来た小鳥たちもいた。彼らは早晩繁殖地に向うことになる。落ち葉を踏みしめながら落葉樹の森を歩くのは大変
に楽しい。観察の森には種名を記した名札だかけられていて勉強になる。クイズもあって正解するとお土産がもられる。ミツバツツジのピンク、ア
シビの白、ショウジョウバカマの紫色などが緑の森に彩りを添えていた。2つの大きな池のうち上池ではマガモが羽を休めていた。通りかかった人
が「オシドリもいるんですよ」と言っていた。
2007
3
26
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道に着いてみると風が強く吹いていた。鳥のほうはどうかな?風はバードウオッチングには大敵である。(雨の方がましだと自分は思って
いる)室林道に比べると鳥の影は少ないが、寺ノ入林道ならではの光景に出会えた。その一番手はミソサザイ。林道に接して渓流がある。昨日の
雨で水量も増え水の音がうるさいほど。(鳥の声を消してしまうので)その中でミソサザイは鈴のような美しい囀りを聞かせてくれた。この小さな(全
長10センチたらず)体からあのバイタリティーあふれる声が出るのが不思議なくらいだ。室林道にもいるヒガラ、ここでは囀りを聞かせてくれた。(
寺ノ入林道では繁殖もしているのでは)やはり室林道の約3倍の標高があるだけのことはある。ウグイスの囀りは室林道の方が多かった。囀り行
動を促す条件として、明るさだけでなく気温も微妙に影響しているのだろうか。餌の総数が違ってウグイスの個体数の差になっているのかも知れ
ない。ウグイスも漂鳥。徐々に標高の高い場所に向っているのだろう。
2007
3
26
室林道ラインセンサス
休みを取った。昨日は雨が降り続いて外にも出られなかったので、今日の晴天はうれしい。まずは室林道へと向う。ここはもうウグイスたちの囀り
で溢れかえっていた。オス間の競争が始まっているわけだ。一握りのオスだけがメスの心を射止めることができる。ホオジロもソングポストで歌っ
ているがウグイスに比べると囀り個体は少ないようだ。サクラの蕾を観察してみるとやはり目立って少ない。ウソが冬の間に食べ尽くしてしまった
のだ。そのウソはもう見られない。繁殖地へと向かっていのだろう。上空にはノスリが翼をつぼめて急降下する姿があった。もう一羽ハチクマのよ
うな姿もあったがはっきりしない。夏鳥の先陣をきってやってくるのがサシバたちだ。ハチクマであっても不思議ではない。路傍にはいつの間にか
薄紫色のスミレが咲いている。ショウジョウバカマの花の数も増えた。田んぼから始まった春の花の息吹が野山にも広がっているのを感じた。次
いで寺ノ入林道へ行く。
西暦
月
日
メモ
2007
3
31
茶臼山ラインセンサス
ウグイスやカシラダカのことが気になっていたので、天候が怪しかったにもかかわらず茶臼山にやってきた。ウグイスはもう囀っているだろうか。
平地で越冬していたカシラダカ、繁殖地に向う前の儀式(集団囀り・・・私が勝手に付けた名前)を見られるのか。結論は、両者ともその通りであっ
た。オスのウグイスはすっかり縄張りを構え、ライバルたちに差をつけようと躍起である。それでも未だ日が浅いせいか溌剌というほどではなかっ
た。囀り個体数もまだまだこんなものではないはずだ。平地から登っている鳥はウグイスだけではない。ヒガラやミソサザイといった素晴らしい歌
い手達も負けてはいない。ミソサザイは茶臼山に来る道中でも渓流から聞こえてきた。先週、三河湖の寺ノ入林道でも囀りを聞いている。(車の窓
を閉めきっていては聞こえないので、いくら寒くても少し開けるようにしている)私にとってミソサザイは、早春の風物詩ともいえる。今、私は、
1300m辺りをラインセンサスしながら歩いている。彼らの先頭はどの辺りまで進んでいるのだろう。そのことはウグイスにも当てはまる疑問であ
るが。時折、コガラ、ヤマガラ、シジュウカラの囀りも聞こえ、いよいよ茶臼山にも春が訪れて来たなと思う。ウグイスやミソサザイは素晴らしい声
で歌うので誰でも気が付く。しかし、カシラダカともなると。初めてこの囀りに気が付いたときはヒバリと思っていた。場所的にもヒバリがいても不思
議ではなかったからだ。(後日、本物のヒバリも確認してはいるが)ところが、囀る本人の姿をみてびっくりした。それはヒバリではなくて、越冬にや
って来ている姿で馴染みのカシラダカだった。ただし、トレードマークの冠羽の色は鮮やかな黒で見違えるほど美しかった。第一、越冬時のカシラ
ダカはごく控えめにしか鳴かない。地鳴きはホオジロ科の鳥らしく「チッ、チッ」と小さな声で鳴くが、ホオジロやアオジと比べてもいっそう地味であ
る。それが、ヒバリと勘違いさせるほどの囀りで歌うのである。それも、ホオジロとは違い、潅木にいる群れが一斉に合唱するのだ。私には、それ
が、これから繁殖地に向う前にペアを見つけるための集団見合いに思えてならない。南からの暖かい空気が冷やされ雲となって茶臼山の鞍部を
流れる。春というにはまだまだ早い。フキノトウが顔を覗かせていた。
2007
3
31
どり湖
茶臼山から帰り道、みどり湖に寄り道した。もしかしたらヤマセミに合えることを期待して。大河、天龍川の支流である大入川(おおにゅう)に新豊
根ダムができたのは昭和48年であった。古真立地区の人々の大半は水没する家を離れた。ここ「みどり湖」を訪れるといつも、10年ほど前にな
るが、萩小に赴任されていた戸田先生と一緒に茶臼山にでかけ、やはり、みどり湖に立ち寄った事、先生が新任として古真小学校におられたこと
、独身生活を地区の人々が支えてくれたこと、そして、家が水没から免れ、いまでもひっそりと暮らしている人に会いたいからと、手土産をもって一
緒に家にお邪魔したことなどを鮮明に思いだす。御池とよばれる急流があって神社があった、水没する前の大入川の景色がすばらしかった、など
の懐かしく先生は話された。今もその神社は残ってはいるが、景色は想像するしかない。ダムへの取り付け道路は曲がりくねっていてダムに向う
時にはいつも方向の感覚が狂ってしまう。ダム湖は満水の状態で、枝先に少しばかり緑色の新芽をつけた木々が湖面から頭を覗かせている景
色は不思議な感じがする。サクラの木が植えられていて(ソメイヨシノではないようだ)濃い少し小型の花が開きかかっている。急な斜面からはシ
ジュウカラやエナガ、ヒガラといった鳥の賑やかな声が聞こえた。特に、シジュウカラはダムへの道すがら常に声を聞いていた感じがする。湖面で
はカワウの姿が目に付いた。残念ながらヤマセミには会えなかったが、久々のみどり湖は静かに春の到来を告げていた
2007
3
31
羽根・長根の田んぼ
茶臼山・みどり湖から最後は地元の羽根・長根の田んぼで鳥を見る。茶臼山やみどり湖の急峻な地形から穏やかな羽根・長根の田んぼに戻ると
やはりホッとする。すでに午後4時を過ぎていて、厚い雲に覆われ、辺りは暗くなっていた。個体数を調べるには条件が悪いので目安程度にしか
ならない。ヒバリが黒い雲をバックに囀っている。鋭い声を上げて飛び回るのはムクドリの群れ。ツグミはそろそろ繁殖地に戻らなければならない
。海を渡る体力をつけるべく採餌に勤しんでいる。タヒバリやカシラダカも同じ立場の鳥だ。茶臼山でカシラダカの囀りを聞いてきたが、タヒバリは
どんな囀りをするのだろうか。鳴き声もヒバリに似ているのだろうか。姿がタヒバリによく似たビンズイはやはり複雑な囀りで魅了する。空を見上げ
ると懐かしい鳥が舞っていた。秋以来のツバメの姿であった。
西暦
月
日
メモ
2007
4
1
室林道ラインセンサス
ここ2-3日でサクラが一気に開花し、あちこちで花見の会が行なわれているようだ。ここ室林道では残念ながら花見はお預けである。このことは
予想していたことではあるが、ウソ君、少し僕のためにサクラを残しておいて欲しかった。冬の間中、ぽりぽりとサクラの花芽を食べていたウソも
今頃は、繁殖地に向かって北上していることだろう。室林道の入り口で車を止め、手帳に時間を記入し、双眼鏡を首に下げ、今日はさらにMD録
音機を持った。繁殖期を迎え、オスたちの囀りの競演がいよいよ始まったからである。そんな準備をしている最中にもう嬉しくなくような出来事が
あった。夏鳥の初陣をきってセンダイムシクイが来ていたのだ。「ショウチュウ・イッパイ・グイー」と特徴のある囀りが聞こえてきた。ウグイスと同じ
仲間のセンダイムシクイは綺麗な緑色で、新緑にうまく溶け込んでしまい姿を見るのはなかなか難しい。続々と魅力的な夏鳥たちが飛来してくる
と思うと本当にわくわくする。今日特に印象的だったのはウグイスの囀りでもメジロの囀りでもなかった。冬の間、平地におりて過ごした鳥が再び
室林道に戻っていた。ありきたり過ぎてバードウォッチャーからもあまり注目されない(だろうと私は思う)鳥、ヒヨドリがいかにもこの季節が始まっ
たことを喜んでいるかのよう。ヒヨドリの鳴き声は様々な種類があると思う。いわゆる美声ではないが味のある声である。ヒヨドリが戻って室林道
が騒々しくなったが、生きていることを実感させる大事な鳥だと思っている。
2007
4
7
宮路山 ラインセンサス
夏鳥を求めて宮路山周辺を歩いた。なぜ宮路山なのかと言うと、それは、宮路山の位置に関係する。宮路山は音羽町の西の端にあって標高は
361メートル。四季を通してハイキングの人たちで賑わっている。山頂からの眺めも良く、西には三河湾が広がっている。海岸線の近くに位置す
ることで、春先に繁殖地に向う夏鳥たちが陸地にたどり着く最初の場所になるのだ。私が野鳥を観察し始めた頃、宮路山でコマドリが見られると
こを知った。本の知識ではコマドリは、標高の高い所で繁殖するはずなのに。何故宮路山なのか、最初は疑問に思った。それもやがて理解できる
ようになったが、それでも、毎年、判で押したように同じ所でコマドリを見ることができるということに、自然の不思議さを感じている。そろそろ来る
頃ではないかと思っていた。車を降り辺りの様子を観察する。実は、以前に何度も、駐車場からコマドリの鳴き声を聞いていたからだ。しかし、辺り
の山の下草は綺麗に刈り込まれていて見た目は綺麗ではあるが、コマドリにとってはあまり居心地は良くなさそうだ。そこで、西切山林道を一周
するラインセンサスを試みることにした。そうすればコマドリが飛来しているかはっきりする。コマドリは日本3鳴鳥に挙げられるほどの美声の持ち
主。鳴いてくれれば必ず分かる鳥である。林道は今まさに春の始まりを告げようとしていた。ヤマザクラと新緑の様々な緑色が織りなす素晴らし
い景色。ところが主役のひとりソメイヨシノは淋しい姿をしていた。山に植えられたソメイヨシノの多くは同じ運命を辿ったに違いない。今年の冬は
ウソが多かった。サクラの花芽はウソの一番のご馳走なのだ。野鳥たちの歌声は途切れることはなかった。主な歌手を挙げると、ウグイス、メジロ
、ホオジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、センダイムシクイなど。夏鳥としては既にセンダムシクイイを確認していたので、今日はどれだけの名簿を追
加できるか楽しみであった。切山林道は300メートルほどの標高をほぼ等高線上にあり室林道よりもかなり高く距離もずっとある。そして海岸線
に近い位置。期待は高まる。歩き出してすぐにヤブサメの声を聞いた。2番目の夏鳥となった。そうなると次は夏鳥の御三家か。最初の御三家は
オオルリであった。ウグイスの声と重なるようにオオルリの懐かしい歌が聞こえてきた。姿は残念ながら見ることができなかったが、まずは来た甲
斐があったと言うものだ。コマドリはそう簡単には見つからないと思っていた。昨年も数は本当に少なかった。たまたま鳴いてくれなかったら居な
いことになってしまうからだ。昨年、土曜探鳥会で聞いた場所では確認できなかった。やや失望。さらに進んで微かな沢音か聞こえる場所で最初
の声を聞いたときは、思わず顔がほころんでしまった。そうだ、コマドリは沢がある所を好むんだった。繁殖地の好みは無論、通過点としての場所
のえり好みも同じなのである。私にも、コマドリを探すときの感が戻ってきたようだ。そのあとに2ヶ所でコマドリを確認したが、全て水が流れている
所にいた。もこれで今日の仕事は終わったと思った。それほど嬉しかった。けれども切山林道は長かった。150メートルほど下って、又150メート
ル登らなくてはならない。結局、駐車場に戻ったのは4時間後になっていた。
西暦
月
日
メモ
2007
4
8
室林道ラインセンサス
春爛漫の言葉がピッタリの一日であった。サクラ、ナノハナ、ツツジ、ムラサキダイコンバナなど色とりどりの花で満ち溢れている。祭礼を告げる花
火も聞こえる。室林道のサクラはウソに食べられてしまい淋しかったが、新緑の美しさが補ってくれている。昨日、隣の宮路山でコマドリ、オオルリ
を確認したが、室林道でははたしてどうだろうか。いることを期待しつつセンサスを開始した。コジュケイが大きな声で鳴く。今日もヒガラの囀りを
確認。いつまで室林道に留まるのか興味津々といったところだ。まさか繁殖までしてしまうことはあるまいが。ハクセキレイが夏でも残ってしまう例
があるだけに、あながちあり得ない事とは言い切れないかもしれない。ヒヨドリのつがいが多数見られた。前にも言ったが、ヒヨドリが室林道に戻っ
た途端、急に活気づいた感がある。沢のある所は入念にコマドリの鳴き声に気をつけてみたが、残念ながら確認できなかった。(室林道に来る前
に観音山にも寄ってみたがやはりいなかった)スタートの時は鳴かなかったオオルリがセンサスの最後に現れた。初列風切羽に黒い部分が残っ
ていはいたが、それ以外は見事な瑠璃色をしていた。まだ本格的な囀りとまではいかなかったが、なにか自問自答するような、つぶやきのような
囀りであった。
2007
4
13
前田町
アオジがシダレザクラの枝先で囀りをしていた。実は昨日も囀りをしていたのである。アオジは漂鳥である。そろそろ繁殖地に向う時期となった。
越冬中は実に地味に生活している。ところが繁殖地では見事な繁殖羽に化粧直しをして、複雑な囀りで求愛するのである。この地方では平地で
は囀ることの無いアオジであるが、繁殖地に向う短い期間だけ囀ることがある。その時のオスの姿はもう隠れて過ごす地味なアオジのものではな
い。田んぼではケリが縄張り内に進入しようとするあらゆるものに攻撃的な態度をとる。同種同士とのいざこざが最も多いが、ハシボソガラスもう
っかり進入すると追い立てられる羽目になる。野鳥ばかりではない。散歩する人間も空からの威嚇に見舞われることになるのである。
2007
4
14
宮路山
昨夜中まとまった雨が降り続いた。すっきりと全部使い果たして明日は青空になって欲しいと思った。朝、東の空には月が出ていた。窓を開けて
みたら雲ひとつ無い。子どもたちが集まる赤坂駅に向う頃になるとどんどん雲が垂れ込めてきた。しかしそれも局地的なもので、宮路山の中腹を
登っている頃からは青空がどんどん広がってくると、それに合わせたかのように野鳥の声が聞かれた。歩くのは子どもたち7人と大人3人。2007
年度土曜探鳥会の開幕である。ウグイス、ヤマガラが囀る。夏鳥としてはセンダイムシクイが孤軍奮闘。コマドリもオオルリも確認できなかったが
、それは、赤坂駅から歩き続けた子どもたちには、山頂に向う前に2~3キロも林道を歩かせるのは酷と感じたからである。つづれ折の山頂への
登山路の周りには、秋には赤く染まるドウダンツツジが若葉を開かせる。一息付きながら最後のひとがんばり。見下ろす風景は素晴らしかった。
そして山頂へ。南西に広がる風景はまさに絶景であった。豊橋の市街地、渥美半島と知多半島、2つの半島に抱かれる三河湾には幾筋もの波頭
が見られた。昨夜の雨がプレゼントしてくれたものだ。男の子たちは新幹線がいたく気に入った様子。山頂での2時間あまり、出発前から楽しみに
していたお弁当と遊びを存分に楽しんだ。私はというと、暖かい陽だまりを探して昼寝を貪っていた。
西暦
月
日
メモ
2007
4
16
茶臼山ラインセンサス
リフレッシュ休暇を取った。最初はやはり茶臼山でないと、そう思って天気予報で雨が降ることは知っていたが構わず出かけた。それには理由が
ある。コマドリを1週間前に宮路山で確認しているので、できるだけ早く茶臼山のコマドリを確認したかったのだ。天気に関係なくコマドリは囀りをす
る。なまじか風の強い快晴の時よりも、霧や雨の日の方が声を聞くのには都合がよい。自分は傘をさしてセンサスすることには全く抵抗を感じな
い。高原美術館(写真家前田真三が常設)に車を止め下りた時点で小鳥の囀りが活発なのを感じた。ウグイス、ホオジロ、シジュウカラなど。さら
に、高原らしくコガラやヒガラも鳴いている。雨は降ってはいなかったがやはり傘を持ってゆくことにする。(大正解)カメラを三脚にのせ肩に担いで
歩き始める。400メートル進んで三脚を持つ指先が痛いことに気づく。手袋がいる。再び車に戻り手袋を用意。その時カメラを使わないことにしよ
うと思った。雨が降り出したらカメラは邪魔になる。コマドリがいたら声を録音すればよい。これも大正解。再びセンサス開始。スキー場のリフトの
下を進んでいた。そこではコガラの囀りがする。コガラの鳴き声は独特である。はっきり言ってヒガラのように美声ではない。しかし、少しばかり調
子の外れた感じがなんとも憎めないのだ。そのコガラに混じって聞こえたのはカシラダカの囀りであった。集団と言うほど多くいたわけではないが
、1羽でということでもなさそうだ。数羽くらいだろう。この場所は以前にも集団囀りを聞いていたので驚きはしなかった。今日の目的にカシラダカの
囀り確認も入れていた。標高1300メートル付近がセンサスの最高点であるが、我慢していた雲からぽつぽつと雨粒が落ちてきた。やがて傘が必
要になった。霙が混ざっている。寒いはずだ。晴れていれば恵那山が大きく見える場所にやってきた。今日は雲の中に隠れている。茶臼山よりも
200m以上高い蛇峠山が辛うじて分かった。暫く景色を眺めていたところに霧の中からコマドリの囀りが一声聞こえてきた。急いで胸ポケットに仕
舞ったマイクを取り出しコマドリのいる方向に向ける。録音ボタンを押して後はひたすら待つのみ。雨が傘を叩く音も入ってしまうけど仕方がない。
それよりも、「コマドリ君もう一度だけでいいから鳴いてくれ」と祈るばかりだ。随分と時間が経過した気がする。祈りが通じたのかやがて2声目の
声がはっきり聞こえた。嬉しい!これならば間違いなく録音されている。宮路山で聞いた疲れ果てた声ではなかった。番い相手を求める力強い声
である。間隔を置いて3声目、4声目を聞く。これで目的が果たせた。雨の中を歩いた甲斐があったというものだ。予定していたコースがどうやら工
事中らしい。ここで引き返すことにし、コマドリの個体数を確認することにした。往路では聞かれなかったコマドリの声が復路では最初のと合せて4
個体確認できた。もう1つ、フクロウを見た。カケスが声を荒げていたので何かと思ってみると、大きなフクロウの姿が近くにあった。カケスがモビ
ング行動をしていたのだ。フクロウも過去にも見ているが今日と大体同じ場所だった。ノスリやトビならば舞い上がって去ってゆくのにフクロウはそ
うはしない。音も無く近くの木に飛んで行くばかりだ。滑らかな飛翔と白い翼が心に残る。今日もまさにそのとおりであった。平地では花が咲き乱
れているというのに1200メートルではフキノトウが顔を覗かせ、道端に植えられたほんの一部のスイセンが花弁を開いたばかりである。新芽が
芽吹くのも暫く先である。
2007
4
17
室林道ラインセンサス
1年のうちで最も生命力にあふれ、自然からパワーを貰っている気がする季節を迎えた。今日の室林道は一言でいうと「凄い!」に尽きる。オオル
リはソングポストに陣取って求愛のセレナーデを奏でていた。それも4個体も。それぞれに独特の節回しがあって当然稚拙なものもいる。オオルリ
と人気を2分するキビタキも室林道に来ていた。歌に関しては遅れてきた分練習不足は否めないが美しい色は決して負けてはいない。どちらがお
好みかは人それぞれであろう。忘れてはならないのはコマドリである。昨日、茶臼山で力強い囀りを聞いてきたばかりなので、室林道でもとついつ
い期待してしまう。オオルリやキビタキが次々と現れたのでつい忘れていたが、まだコマドリを確認できる時期であった。そのコマドリもいたのだ。
独特の鳴き声が、林道の下手(まるで足元)から聞こえてきたのである。急いでマイクを地面に置いた。脇を固めるのはメジロ、シジュウカラ、ヤマ
ガラたち。主役に負けない歌声を聞かせてくれた。一声ではあったがサシバもいた。ほとんどの夏鳥たちが室林道に揃っていた。あとはサンコウ
チョウとホトトギスを待つばかりか。
西暦
月
日
メモ
2007
4
18
寺ノ入林道ラインセンサス
天気予報では上空に寒気が入り込んでいるとのこと。気温は3月に戻ってしまった。寺ノ入林道はようやくサクラ(ヤマザクラ)が咲き始めていた。
若葉もまだまばらである。茶臼山、室林道、そして寺ノ入林道と見てきたが植物の春は標高によって大きく異なっていた。それに比べて野鳥の世
界はどうであろうか。たとえばウグイスの囀り、3ヶ所とも盛んに囀っていた。囀りの開始は多少の違いはあると思うが(少し前に室林道では囀りを
開始したが、寺ノ入林道、茶臼山では囀りが無かったことを確認している)植物ほど差はないように思える。コマドリもそんなに差はなさそうだ。茶
臼山でもセンダイムシクイが囀っていたし、今日の寺ノ入林道もしかり。それでは夏鳥の本命、オオルリとキビタキは?。寺ノ入林道では確認でき
なかった。無論茶臼山でも。しかし、ウグイスでも差があったのだから別に不思議ではない。今は夏鳥に注目しているが、忘れてはならないのが
冬鳥の北上である。夏鳥も北上して日本に戻ってくるので冬鳥となんら変わらない訳ではあるが、寺ノ入林道ではルリビタキ、マヒワが北上のタイ
ミングを計っているようだ。ルリビタキは囀りで、マヒワについてもは群れになっての囀りで確認する。なにやら良く似た組み合わせがあることに気
づく。アオジの囀りとカシラダカの集団囀りである。特に、集団囀りは大変よく似ていると思う。寺ノ入林道ならではのミソサザイとヒガラの囀りも確
認できた。さらに嬉しかったのは目の前で立派なヤマドリの姿を見られたこと。(私としてはキジよりもヤマドリの方がはるかに美しいと思う)綺麗な
湧き水にヒキガエルの卵があった。すでにオタマジャクシが孵っていたが、室林道では尾を振っていたのに、こちらではじっとしたままであった。や
はり少しばかり春は遅いようだ。
2007
4
19
高嶺ラインセンサス
平谷村から望む長野県最南部の山々に白いものが見えていた。最高峰の大入川山をはじめ、蛇峠山、高嶺までも。高嶺は車は通れないので歩
いてセンサスすることにした。かなり黒い雲が通過するが、雲の流れからすると天気は良くなるだろうと雨具の用意はしなかった。そんなこともあ
って山頂までと、下りの暫くは天気が心配でならなかった。幸いにして雨の中を歩くことにはならなかったが。(雨合羽は持参すべき)野鳥はすば
らしかった。コマドリは1300メートル付近から山頂直下で確認できた。また、私の大好きなカヤクグリも繁殖地に向う姿を見せてくれた。1500メ
ートルの高嶺でもカヤクグリには低すぎるのだ。個体数ではヒガラが最も多く、次いでコガラの順か。麓からカラマツの新芽が吹いてゆく。小さな
緑色の玉はヒスイのようだ。山頂から眺める景色も素晴らしかった。真南には茶臼山がひとり抜きん出ている。東には蛇峠山。ふもとの平谷の町
並みが小さく見える。そして、周りからは野鳥たちの歌声。山頂に着いた頃が一番雨が心配だった。ゆっくりする間もなく足早に下山する。途中カ
ヤクグリに出会う。どうやら番いのようだ。こうして番いになりながら繁殖地を目指すのだろう。コマドリも力強い囀りであった。コマドリにしてもさら
に北上を続けるのかもしれない。コガラを観察していて初めて気付いたことがある。鳴き声の一部がベニマシコにそっくりなのだ。3日前に茶臼山
で聞いたのはベニマシコではなくてコガラの可能性が高いようだ。観察を始めた頃、「音羽町でコガラの囀りを聞いた!」などと喜んでいたら、本
当はエゾムシクイであったことを思い出す。どうもコガラは私にとって厄介な鳥のようである。
2007
4
21
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
強い日差しも遮られ、風も無く、本当に穏やかな中を気持ちよく歩いた。道端にはタンポポなどの花が咲き乱れチョウがひらひら舞っている。萩小
学校を出発して直ぐに、民家の庭先で珍しい囀りを聞く。アオジである。アオジは本来標高の高い(1500メートル以上)所で繁殖する鳥で、囀りも
平地ではあまり聞かれない。ただし、繁殖地に向う時期に囀ることは比較的多いので、今日のアオジもやがてこの地を離れることになるだろう。私
の友人宅がコース沿いにあって、車庫にはツバメのために巣をかけ易くしてあった。以前にヘビに襲われたこともあり、ヘビが巣に近づけないよう
な工夫が施されていた。付近のたんぼの上を多数のツバメが舞っていたので、たぶんその巣を利用しているのだろう。羽根・長根の田んぼではこ
れから田植えの準備が始まろうとしている。今年は川の水量もまずまずなので田植えも順調に進むのでは。ここではヒバリのディスプレイやケリ
の威嚇などを見る。タヒバリやカシラダカは確認できなかったがツグミはまだまだいる。農道に下りていたのはイワツバメたち。田んぼの泥を巣材
として運んでいる合間の一休みなのか。子どもたちはシロツメクサでネックレスを作ったり、タンポポを鳴らしたり、タンポポの花を水路で流して競
争させたり、野外で遊ぶことは大切なのだなとつくずく思う。
西暦
月
日
メモ
2007
4
28
室林道ラインセンサス
林道に進むと明るい緑色がパッと広がる。その緑色と青空と色とが太陽の恵みを受けて輝く。空気も匂うようだ。車を下りた途端、まるで蜂の巣を
つついたような小鳥たちの鳴き声。センダイムシクイ、キビタキが力強く囀っている。無論、ウグイスも負けてはいない。MD録音機、カメラ、双眼
鏡を肩から吊るし、ノートをポケットに入れ歩きかけると、気になる声が一声二声。今朝、家の近くで聞いた、サンショウクイの声である。なぜだか
、我が愛する鳥のベスト2に入っている。初夏の風景とサンショウクイがピッタリくるのだ。すでにオスの求愛は最高潮。オオルリ、キビタキ、ヤマ
ガラたちが囀りを競い合う。番になった鳥たちが仲良く飛び交う。まさに生きていることの素晴らしさを体現してくれている。オスに比べてメスのほ
うは慎み深くなかなか目の前に現れてくれない。(姿も地味で目に付きにくいことも原因ではあるが)それでも1羽だけオオルリのメスを確認できた
。林道沿いに植えられたソメイヨシノが野鳥たちの憩いの場所になっている。(大事な餌も沢山いるのであろう)突然、キビタキやオオルリのオスが
目の前のサクラの木に止まったりする。そんなときはオタオタするばかり。(カメラも手ぶれ、ピンボケ)オオルリが止まっていた。そして、キビタキ
の声を気にしている様子。すると、あろうことか、キビタキが現れオオルリの隣にとまったのである。まさにツーショット。咄嗟にカメラに収めたが満
足な出来ではなかった。
2007
4
29
フィギュアスケート・ジャパンオープン2007
はるばる埼玉までやって来た。今まで旅行はほとんどしなかったが、フィギュアスケートを観戦するようになりあちこち出かけるようになった。行き
先々に立派なスケーットリンクを持ったアリーナがあるのは当然である。さいたまスーパーアリーナは今までの中で最大級であろう。1万数千人も
入ったそうである。ここでの主役は2人の女の子。若干16歳と18歳の浅田真央と安藤美姫である。しかし頑張ったのは男子陣であった。織田選
手と小塚選手は素晴らしかった。注目が日本選手に集まってしまうのは仕方がないが、海外の著名な選手を直に見ることが出来たのは嬉しかっ
た。アレクセイ・ヤグディンを見られて良かった。ジョアニー・ロシェット、サラ・マイヤー・キミー・マイズナーは何度もテレビでは見ているので、本物
を見ても直ぐに名前と顔が一致した。フィンランドのキーラ・コルピー選手はこれから覚える選手だ。ブライアン・ジュベール選手、ジェフリー・バト
ル選手もさすがである。出場選手以上にインパクトのあったのが、キム・ヨナ選手の代役で出場した中国のペア選手であった。夜には、出場選手
によるガラ・エキシビションがあった。競技とは違う華やかさと笑顔に満ちた選手の姿が特に印象的であった。エキシビションでは浅田舞選手も出
た。彼女の演技を見るのは初めてである。18歳なのに大人の雰囲気でアランフェスを舞った。アイスショーに出ればきっと人気を集めるに違いな
い試合では不満な演技と思った選手もいただろうが、エキシビションではきっと選手の皆さん全員満足しただろう。大観衆とスケーターとが一体と
なりフィナーレを迎えた。ペンライトの青い光がアリーナを包みとても幻想的であった。
西暦
月
日
メモ
2007
4
30
プリンスアイスワールド2007 横浜公演
プリンスアイスワールドは本拠地横浜から始まる。去年は残念ながらチケットを取ることが出来なかった。荒川静香さんが金メダルを取って、日本
中空前のフィギュアスケートブーム、静香フィーバーが巻き起こりチケットは30分で売り切れてしまうほど。とてもではないが無理な話であった。所
が神は見捨てず、なんと、プリンスアイスワールドファンミーティングに当選してしまったのだ。公演中のスケートセンターでプログラムだけ買って、
ファンミーティングに参加したのがちょうど1年前であった。その後は、順調にスケート観戦のキャリヤをに積み、荒川さん出演の公演だけでも今
回を含めて6回を数えるまでになった。新しいシーズンの初めだけにどのような演技を見せてくれるのか、自然と期待も高まる。今まで見た演目
は、 トゥーランドット、アヴェ・マリア、ユー・レイズ・ミー・アップ、曲目は忘れてしまったがクリスマスの曲、SMAPの「日本の女性は美しい」の5曲
である。最後のはポップ調であった。そして2007年はどうか。最初に、本田武司とのコラボで「ウエストサイド物語」特にSam Wayのメロディーが
美しかった。ペアでの演技は初めてではなかろうか。本人がHPでも言っているように、未だ時間が浅く、これから作り上げて行く段階なのだろう。
二人が本当の恋人のように演じられると素晴らしい。昨年の荒川さんは白・青系の衣装が多かった。この演技では情熱的な赤い衣装で、新しい
一面を見たような気がする。自分が知る限りでは、赤の衣装は、トリノのSPとアメリカのチャンピオン・オン・アイスのオープニングとフィナーレを飾
る場面だけである。演技を観てすごく印象に残ったのは、引き込まれるような顔の表情であった。テレビ番組で、彼女を育てた長久保コーチの言
葉に、「何かググットくるものが出るようになると表彰台も夢ではないのですが」というものがあった。トリノではそれが出た。そしてプロ2年目の今
年さらに磨きがかかっていたようだ。昨年1年間「プロスケーターとしては1年生」と自らを鼓舞してきた荒川さんが見せた今日の演技、本当に引き
込まれてしまった。長久保コーチが言われたググットがあった。視線だけで全ての観客を殺してしまったのだ。もしかするとイナバウアーは無くても
よかったかもしれない。ソロの演技は新しい曲で始まった。トゥーランドットと同じ作曲家プッチー二の代表オペラ、マダムバタフライ「ある晴れた日
に」の優雅な調べに乗って舞う白い衣装の荒川さん。またもや観客を虜にしてしまった。彼女の細い腕から天女の羽衣に似た布が靡いている。マ
ダムバタフライの甘美な旋律で優雅に舞う。チャンピオンアイスで、アメリカのお客さんはきっと東洋的な神秘に引き込まれるだろうな思った。滑り
を見るたびに新しいことに挑戦していることが十分に分かる。わずか1年でこれほど変わるなんて。彼女がプロ転向で言った言葉は嘘ではなかっ
た。ゲストも良かった。高橋大輔は銀メダルの演技を魅せた。織田信成も埼玉での素晴らしい演技を又もや見せる。新しい曲「シネマ・パラダイス」
は私の好きな曲なのでとても嬉しい。中野由加里さんも新しい曲で舞った。ドウナッツスピンは素晴らしいの一言。ゲストのトリはやはりこの人。村
主章枝さんは情熱的に演じた。この人は荒川さんには無いものを持っている。お互い切磋琢磨し、二人でフィギュアスケートオ界を引張っていって
欲しい。そしてリーダーの八木沼純子さん。容姿の美しさはにはもともと定評があった。当時はそれに実力が多少付いて行かない感じがしていた
が、プロになられ、プリンスアイスワールドを牽引しておられる姿は自信に満ちている。一般には解説者としての顔が知られているが、プロスケー
ターとしての顔を知ってからすっかりファンになってしまった。荒川さんもよいお手本があるというものだ。私はプリンスアイスワールドチームの大フ
ァンでもある。それは2006年のファンミーティングが大きなきっかけであった。名の売れたスケーターではないかもしれないが、一人ひとり個性的
で魅力がある。ゲストやスタースケーターだけでは成り立たないのだ。(スポーツでもあるフィギュアスケートは、演劇と違って主演がズーット出ず
っぱりという訳にはいかないのだ)今年プロスケーターに転向した恩田美枝さんの初デビューも横浜公演からである。荒川さんとしーちゃん・よし
おの仲で良い関係でやって入れるだろう行けるだろう。彼女は青い衣装で登場し心のこもった演技をした。チームの人たちも彼女のデビューを祝
福してくれているようだ。フィナーレが終わるといよいよファンとの交流が始まる。ファンは憧れのスケータにプレゼントを用意し、言葉を交わすとい
う夢のひと時を迎えることが出来る。プリンス・アイスワールドの素晴らしいのがファンを大切にするところである。他のショーや競技会では憧れの
選手とこれほど近くで話すことなんてとても出来ない。私もひいきのスケータのために花束を求めた。荒川さんと並んで最後までリンクにいたのは
村主章枝さんであった。彼女のファンを大切に思う気持ちはとみに有名で、人間的にも素晴らしい人だなと思った。やはりなんと言っても村主・荒
川の両名は日本のフィギュアスケート界の至宝であろう。
西暦
月
日
メモ
2007
5
2
茶臼山から蛇峠山
会社の友人と茶臼山経由で蛇峠山まで鳥を見に行った。7時に彼の自宅に着く。昨日の天気ようでは晴マークだったのに小雨が降っている。去
年は落雷騒ぎがあってよく記憶に残っているので、二人とも雨男らしい。根羽村から茶臼山に登っていくコースを選んだ。途中、昼食を買い準備
万端整える。雨に濡れた新緑も高度を上げるほどに少なくなり、茶臼山ではようやく蕾が膨らんだ状態である。何とか雨は上がっているので少し
歩くことにした。やはり多いのはウグイスであった。意外だったのはコルリがかなりいたこと。期待していたコマドリも何とか囀りを聞くことが出来ほ
っとする。朝が早かったせいか友人が昼ごはんを食べたいと言う。まだ11時なのに。実は自分も食べたかったので、小鳥の森にある小鳥小屋で
弁当の稲荷すしを食べる。野外で食べると何でもうまい。ひとりで来たときには寄ることのない温泉にも行った。茶臼山から売木村に下がり、名前
もよい「コマドリの湯」に寄る。彼に言わせるとこの一帯にある温泉は泉質が良いとのこと。ここコマドリの湯も合格。蛇峠山に着いた頃には雨もあ
がり薄日が差していた。山頂は諦め、車で行ける「馬の背」までとする。午後になって鳥も一休みなのかあまり声がしない。「まあ茶臼山でコマドリ
も聞けたしいいか」と慰めながら車を進める。歌碑のある見晴らしの良いところでとりあえず車を停めた途端、これから始まる野鳥ショーの幕開き
があったのである。最初に群れで鳴く鳥に出会う、ところが何の鳥の声か直ぐに思い出せないのである。姿を見ればと辺りに目を凝らす。ところが
大きな声にも関わらず姿は一向に見せない。諦めかけていたら、偶然にも、声の主ではないが素晴らしいのに出くわした。オスのオオルリであっ
た。餌探しで夢中なのかこちらを余り警戒していない様子。彼には双眼鏡で見るように指示し、こちらは急いでスコープでオオルリをゲットする。薄
い日差しに照りかえるコバルトブルーの姿が美しい。友人は、初めて見たオオルリの姿にいたく感じ入った様子。目が慣れてくると回りにいろんな
鳥が見えてきた。先の声の主であるゴジュウカラが顔を下にして幹を下りる様や、繁殖地に北上中ち思われるルリビタキの囀り、スキー場のある
方角からは茶臼山でも聞いたミソサザイの囀り、そして、私の大好きなサンショウクイまでもいたのだった。偶然ではあるが、これほどの鳥たちに
囲まれてバードウォッチングする機会はそうは無い。馬の背では寒さに震えてしまった。再び雲が厚くなった上に風も少し出てきた。ここは標高
1400メートである。(上高地とほぼ同じ高さ)ゆっくりする気分にもなれずに早々に山を下りる。
2007
5
3
室林道ラインセンサス
2日間ほどはっきりしない天気が続いたけれども今日は素晴らしい快晴になった。いつの間にか明るい緑色の葉のフジが薄紫色の花を咲かせて
いる。春は紫色の花が結構多い。室林道でもタチツボスミレが終わり次いでフジの花である。(おちついた色で好きだ)新緑の中には様々な小鳥
が生活している。メジロ、センダイムシクイなどは体の色が周囲に溶け込み見難い。オオルリやキビタキは針葉樹の暗い林では分かり難いが、新
緑の中にいると目立つ存在となる。今日も、囀り個体を多数確認することができた。初確認の種もあった。繁殖地への北上中のエゾムシクイであ
る。バードウォッチングではどうしても色の綺麗な種(オスである場合がほんどと)に注目されがちであるが、オスだけで繁殖は不可能。繁殖時期
では特にメスに注目したい。オオルリやキビタキのメスを見つけたら行動をしっかり観察したいものだ。今日は、オオルリのメスが巣材を咥えてい
るのを見た。サシバも見ることができた。最初鳴き声を聞いた。そして、空の開けた遠く海の見える場所で、サシバが森の中から飛び立つ様を見
つけた。やや高度を上げた後、山の裏側に消えていった。残りの夏鳥はサンコウチョウくらいになった。明日もう一度、室林道の長根口からライン
センサスして探してみよう。
2007
5
4
観音山
室林道と並んで私の大切なフィールドが観音山である。音羽町で2番目に高い観音山(409m)の麓にあり初夏のサンコウチョウが目玉。今日は
オオルリやキビタキなどを確認した。それとクロツグミの明るい歌声。オオルリがクロツグミに対抗して掛け合いで囀っているのには微笑ましく感じ
た。両者とも一歩も譲らずいい勝負であった。和鳥四品と言う言葉がある。鳴き声の美しい日本産の鳥を指したもので、5種が挙がっている。ウグ
イス、オオルリ、キビタキ、コマドリ、クロツグミまたはミヤマホオジロである。4品なのに5種類とは。この中でウグイスは別格として扱われている
のである。残りの4種類が4品というわけだ。日本三名鳥と言う言葉もある。ウグイス、オオルリ、コマドリである。私は、ミヤマホオジロは、姿は見
ているが囀りは聞いたことがないので、残りの5種の中で好きのを挙げるとしたら、迷わず、コマドリにする。
西暦
月
日
メモ
2007
5
4
寺ノ入林道ラインセンサス
今まさに新緑で溢れた寺ノ入林道であった。寺ノ入林道には、植林されたヒノキなどの針葉樹以外に、落葉広葉樹の占める面積が相当広い。こ
のことが野鳥の種類の多さにつながっているのは間違いないと思う。細くて株立ち状の木が多いのは、この林が比較的若いことを示している。そ
して初夏になると緑で一杯になるのである。標高が500メートル以上あるので、サクラがまだ残っている。ここではオオルリ・キビタキ・センダイム
シクイ・セッカなど、ほとんどの夏鳥たちの囀りが聞かれる。また、ツツドリ、サンショウクイも毎年やって来る。標高が高いところを好む留鳥、ウグ
イス・ヒガラ・ミソサザイも勿論いる。言うことなしのフィールであるが、私の3大フィールド(室林道・寺ノ入林道・茶臼山)の中では、3番目に甘んじ
ている。車で10分の室林道ほど簡単に行けない、標高1300mの茶臼山ほど高山を好む種がいない、などパンチに欠けるからだと思っている。
中庸の良さは無論ある。比較する場合も2つよりも3つで比較した方がよく見えてくる。この日の印象に残った出来事。キビタキの三角関係。2羽
のオスが1羽のメスを巡り争う姿を見た。オスはブン、ブンと羽を鳴らし(ハチの羽音みたい)追いかけっこをしている。姿の美しさも囀りも自分の遺
伝子を残さんがため。繁殖期にはオスばかりでなくメスの活動も観察しやすいので是非注目したいものだ。小鳥以外にはいないかって。いえいえ
、今、山に入って聞こえる声には野鳥ばかりではありません。カエルの声があちこちで。また、ハルゼミが鳴きだしました。盛夏のセミは暑さを倍
増さる効果があるが、ハルゼミの声はさわやかな風にのって聞こえる。センサスを終えたあとは暫く昼寝を貪りたい気分になる。小鳥たちの歌を
子守唄代わりにして。
2007
5
5
土曜探鳥会 室林道
ゴールデンウイークの真っ最中にもかかわらず4人の子どもたちが参加してくれた。内、中学生になったOBと初参加の1年生がひとりずつ。1年
生の子にはお父さんが同伴。嬉しい限りだ。大人はお父さんを入れて5人。これまた、朝日新聞の記者の方がご一緒されるという異例の探鳥会と
なった。初めての人には是非楽しんで帰ってもらいたいと思う。そのためには野鳥が現れてくれないと困る。しかし、そんな気持ちを吹き飛ばすほ
ど多数の鳥たちを観察することが出来、内心ほっとした気持ちで終えることが出来た。小鳥さんありがとう。m(_ _)m 最初にスコープを向けたの
はモズ。猛禽の印である鍵形のくちばしを見る。次いでカワラヒワ。田植え前の水が使っていない所で餌を探している。黄色いくちばしと黄色い羽
が印象に残ったようだ。ホオジロのペアを見た後今日の一番の見せ場が訪れる。室林道に近づくとオオルリやキビタキの美しいさえずりが聞こえ
てきた。ここまでは想定範囲内。この後に、願ってはいるが難しいと思うことが現実に起きたのだ。オオルリのさえずりがどんどん大きくなってきた
。もう目の前まで来ているはず。子どもたちにはそれ以上近づかないよう注意。息をこらして出現を待つ。オオルリの習性として梢の頂きでさえず
り行動をすることが多く、きっと姿を現してくれると思ったからだ。そして期待通り、きれいなオスの成鳥が朗々と歌う姿を間じかに見ることが出来
たのだった。(^ォ^)V 室林道の手前で1年生の親子とお別れ。「おじいさんがお迎えに来る時間までに学校に戻れそうにないから」と言われ申し
訳なく思った。時間にルーズなのがこの会の欠点だ。m(_ _)m 鳥を見に来たのにニホンザルの歓迎を受けてしまった。サル群れでいた。それは
それでいいのであるが困ったことになった。道のあちこちにサルたちの排泄物が落ちている。鳥を見つけることに熱中してしまうと痛い目にあう。
いかんながら被害者も出てしまった。(>ォ<); 楽しんでもらえただろうか。1年生の子に聞いてみる。嬉しいことに顔を縦にふってくれた。(^o^)
2007
5
7
前田町
10日ぶりに前田町を歩いたら、あの賑やかな鳥が飛来していた。あの鳥とは、オオヨシキリのことである。2年前の6月に初めて前田町を歩いて
みてびっくりしたのは、オオヨシキリの多さであった。私の地元音羽町ではほとんどいない。条件的にはそんなに変わっていないのに、なぜこれほ
どの個体数が見つかるのだろう。いまだに不思議である。ともあれ、オオヨシキリはゴールデンウイーク中にやって来た。2年間見ていて、前田町
には飼料用のトウモロコシが栽培されていて、そこは、野鳥たちの格好の棲みかや採餌場になっている、ということに気が付いた。オオヨシキリも
、葦原ならぬもろこし畑で繁殖のためのひと夏を過ごしているようである。そこで心配になるのは、酪農家がいつまでここで餌を栽培してくれるか
ということ。すでにこの春には、ひとつの畑が整地され、彼らの生活場所が狭まってしまった。こんなことを心配するのは自分だけなのか。前田町
の田んぼもいまや、民家や食べ物屋が立ち並び虫食い状態にある。水田が直ぐに無くなるとは思わないが、サトウキビ畑や休耕田になって荒地
になっている所が野鳥にとっては棲みや場所であることを考えると、近い将来、そのような場所は消えてしまうのではと、悲観的にならざるを得な
い。
西暦
月
日
メモ
2007
5
12
Prince Ice World 2007 TOYOHASHI
地元の豊橋でプリンス アイス ワールド の公演があるとは、広い(?)日本で2年連続で公演がある都市は大津市と2ヶ所だけである。奇跡的
である。なんせ、会場まで行くのに大変な交通費がかかる上に、エキサイティングシートは決して安くないのだ。(でもAやB席では見る気にならな
いが)今日のシートは北の2列24番。素晴らしい場所であった。正面の中央。そこにはメーンカメラが据えられていて、2階の観客のために大型ス
クリーンにスケーターのアップを映し出しているのだ。だから、スケーターはカメラを意識しにっこり微笑んでくれるのだ。出演者はレギュラー(八木
沼純子&プリンスアイスワールドチーム(含む恩田美枝)、本田武史、荒川静香)ゲスト(村主章枝、中野友香里、鈴木明子、高橋大輔、織田信成
、エレナ・レオーノワ、アンドレ・コワルコ)と豪華メンバーである。ペアやアイスダンスは仕方がないとしても、シングルは国産スケーターで全く問題
ない。(実力は世界トップレベルだから)アイスワールドのテーマはスケータたちの住む街。小気味のいいテンポで次々と場面が変わる。八木沼さ
んの頑張りには感心した。ある時は会場を盛り上げるためにボケてみたり、薄田さんとのコラボでは二人は女子高となり会場は大爆笑、怪我から
復帰したさんとのデュエットでは白い衣装で会場をうっとりさせた。今日見ていて感じたのは、プロスケーターとアマチャスケーターとの違いである
。プロは表情が大変豊か。本田君や荒川さんもこのことは十分承知していて大変努力されている。アマでも村主さんと高橋君は表情豊かに演じて
いる。荒川さんの「マダムバタフライ」、2回目なので曲の感じに特に注意してみた。荒川さんに多いスローな感じはせずポップな調子であった。新
境地への挑戦、意気込みをひしひしと感じた。最初の演目は荒川さんと本田君とのコラボ。この曲も速いテンポで進む。(もちろんバラード調な場
面もあるが)新川さん頑張っているな。横浜と違うシーンを見つけた。横浜の時は荒川さんが最後に氷上に横たわった、しかし、今日は立ったまま
であった。細かな変更は公演のたびに見直されることが分かって嬉しかった。マダムバタフライでは荒川さんはイナバウアーのあとに氷上に横た
わった。横浜の時がどうであったか思い出せないのが残念であるが、もしも同じであったとしたら、両方ともより片方だけにした方が印象に残ると
思われたかもしれない。荒川さんに対して観客はどうしてもイナバウアーを求めてしまうが、私は、スパイラルを待つ。あの有名な両手を離したY
字バランスはもちろん素晴らしい。私の待っているのは、彼女の表情が最もよく見える足を高く上げた普通のスパイラルである。彼女は、この時、
微妙な表情を見せるのである。単なる微笑みとは違っていた。彼女はクールビューティと評され笑わないスケーターであった。トリノの演技をみる
と決してそんなことはないことは衆目の認めるところ。しかし、荒川さんは決して満足していなかったと思う。アメリカでのアイスショーのレギュラー
出演で学んだことも多かったろう。クールさも味方にした表情を見せてくれた。(微妙すぎて言葉にあらわせない)もしかしたら私だけが知っている
のかも。(自惚れ過ぎ)他のスポーツと同じでフィギュアースケートはテレビよりも実際に見るのが一番。人間の力だけであれほどのスピードで移
動できるのはほとんど無い。テレビではその辺が分からないし、氷を切る音も伝わってこない。アイスショーではスケーターにスポットライトが当た
り瞳や衣装が輝いているのであるが、カメラでの画面ではほとんど見えてこないのだ。やはり生に勝るものはない。
2007
5
19
親子探鳥会 室林道
今年も親子探鳥会に出席した。そもそも野鳥に興味を覚え、ライフワークとして取り組もうと思ったきっかけを作ってくれたのが、15年前の親子探
鳥会であった。当時、娘二人は6年と4年生でそれがもう長女は一児の母になっている。早朝にパラパラとしたけれども集合時間にはすっかり明
るくなって探鳥会日和である。私ともうひとり(戸田先生)は長根側から室林道に入るコースを受け持ち音羽町運動公園に集合した。当然ではある
が、10年以上も講師をお受けしていると感じるのが年の差である。それも子どもとの差ではなくてご父兄との差である。でも年齢のことは考えな
いようにしている。(気持ちは最初のころと全く変わっていないつもり)運動公園から室林道に入るまでは周りは水田や畑が広がる。北からのそよ
風に植えられたばかりの早苗がなびいている。ハルジオンやアザミの花があぜ道に咲き乱れる。本当に歩くだけでも気持ちがよい。ツバメやムク
ドリが田んぼの上空を飛びまわる中、一羽のヒバリ(雲雀)がちょうど名前のとおり雲をバックに懸命に囀っている姿を見ることができた。また、キ
ジのオスが悠々とあぜ道を歩いている姿には一同唖然。カルガモのペアが水田に着陸する姿もバッチリ。いよいよ室林道に入る。途端に鳥の様
子も変わってきた。ウグイスがホーホケキョとさえずり、センダイムシクイやヤブサメなどが迎えてくれる。ここでのお目当てはサンコウチョウである
。戸田先生も下見に来られてサンコウチョウのペアを見ている。もともと個体数の少ない鳥で、室林道にも数えるほどしかいない。運を天に任せて
進んでいく。(もしかしたら鳴かないのではないかと)少し心配になりだした頃、待望の囀りのイントロが聞こえた。「ツキヒホシ」までは鳴けるので
あるがその後(ホイホイホイ)がなかなか出てこない。それでも何度か「ツキヒホシ・ホイホイホイ」とフルコーラスで歌ってくれたのではあるが、慣
れないとはっきり聞き取れなかったのではと思う。(もう少し頑張ってほしかった)気を取り直して先に進む。次いで現れたのは本命のキビタキであ
る。こちらの方は大きな声で歌ってくれた。(残念ながら姿はなく声だけであったが)3時間が予定の時間なので、本当はもう少し進んでオオルリな
どを見てもらいたかったが、ここを折り返し点と決めて、暫く休憩することにした。鳴れないご父兄には結構疲れる山歩きではなかったか。周りは
野鳥やハルゼミの声が一杯で、爽やかな風が汗ばんだ体を冷やしてくれた。萩に住んでこそ味わえることである。帰り道は下りなので早い。すっ
かり青空が広がって初夏の陽気。のどかな田園風景を楽しみながら運動公園と向った。
西暦
月
日
メモ
2007
5
26
曜探鳥会 茶臼山
本年度前半のメインイベントである茶臼山探鳥会を行なった。前日までに雨を降らせた雲は東に去り列島は日本晴れである。子ども9名と大人5
名と、探鳥会としてうまくまとまった人数となり、音羽町のマイクロバスをお借りし出発。車窓からの風景、青葉が風に揺れ本当に気持ちの良い探
鳥会になりそうだ。10時ジャストに到着。いつも私がラインセンサスしているコースを歩いて鳥を探すことにする。矢筈池の周りを歩いていると、
辺りからはウグイスの囀りが途切れることなく聞こえる。個体数の多さは室林道を凌いでいる。奥三河の山々を見渡す場所ではホトトギスの声。(
自分としては今年初めて聞いた)北側の斜面は期待の場所で、ここで鳥の声が聞かれなかったらどうしようと思ってしまうが、嬉しいことに、コマド
リ、コルリ、オオルリ、キビタキなど美声を誇る小鳥たちに出会うことができた。特にコマドリは、子供たちが最も会いたがっている野鳥のひとつで
あっただけに嬉しい。空は晴れているのに周りの山は霞んでいる。恵那山までは見えるが御岳山や南アルプスの3000メートル峰は全く見えな
い。どうやら、中国からの黄砂が原因のようである。こうなると野鳥一本に絞るしかない。(鳥が不作の時は、3000メートルの山に助けてもらおう
とのもくろみは脆くも崩れた)願いが通じたのか、コマドリの声の後は、コルリ、珍しいマミジロがお出まししてくれた。(マミジロは久しぶり)茶臼湖
の側でお待ちかねの弁当タイム。(もう集発する時から弁当はいつ?と聞くありさま)美味しそうにおにぎりを頬張っている。その顔は皆優しく幸せ
そうだ。近くの広場で、夜を徹してのダンスフェスティバルがあるらしく、スタッフの人が働いていた。最後は森の中を歩くコース。自動車道路から
一歩離れただけなのにまるで別世界のように静まり返って、苔が遊歩道一面を覆い、ウラジロの古木が昔の茶臼山の様相を連想させてくれる素
晴らしい所であった。ミソサザイが鈴のような美声を聞かせてくれ、ヒガラの夫婦が雛に餌を運ぶシーンも間近に観察出来、一同大満足であった。
終点の小鳥茶屋では先回りしたマイクロバスがいてくれ、予定通り帰途に着くことができた。運転手さん本当にありがとうございました。
2007
6
2
寺ノ入林道ラインセンサス
午前中は土曜探鳥会で野山を歩いて過ごした。午後は車で40分ほどの三河湖にある寺ノ入林道にいた。午後3時にラインセンサスを開始する。
キビタキ、センダイムシクイ、ウグイスが囀っている。その中に私の好きなサンショウクイが、明るい緑の広葉樹の上空を特徴のある声で鳴きなが
ら旋回していた。私の寺ノ入林道での印象的な鳥は、夏はサンショウクイとオオルリ、冬はミソサザイとカヤクグリである。サンショウクイの個体数
が気になるところであるが、少なくとも1つがいは間違いない。少し離れた所で確認できたので、同じペアを見ている可能性は否定できないが、4
羽以上いるのではと推測する。初夏の空でピリリ・ピリリと鳴きながら飛ぶサンショウクイは本当に絵になっていた。ウグイスの囀りが始まって2ヶ
月も経つとそろそろ地鳴きが恋しくってきた。そのタイミングに合せるようにヒナを連れたメスが、常の地鳴きよりも神経質な声で(そのように聞こえ
るので)潅木の間を移動している姿が散見されるのだ。今日も2ヶ所で確認できた。(ヒナらしい姿は無かったが)再び頭を樹上に戻すと、聞こえて
くるのはヒガラのきれいなツツピーと鳴く声。聞きなれたシジュウカラのツツピーと比べ高くて澄んだ声だ。アルトとソプラノの違いである。我が地元
室林道でも春先まではいた鳥である。ここは標高600メート以上。ヒガラが繁殖している条件が揃っているのであろう。木々は益々緑色を深め、
白や桃色の花を付けていた。これから梅雨が始まると寺ノ入林道は一層きれいになる。
2007
6
2
土曜探鳥会 観音山
先週の茶臼山探鳥会を終えたばかり、地元でもあるし、果たして来てくれるだろうかと少し心配ではあった。けれども、萩小学校の安田先生から
届いたメールの参加人数を見て、思った以上に多いのに感激した。参加人数は12名。子どもと大人が同数で今までにない組み合わせとなった。
子どもだけではなく大人も多いに楽しんだ。観音山は音羽町の東はずれに聳え標高は409メートル。2番目に高い山である。東三河の平野に君
臨する本宮山(789メートル)山系の一部となっている。萩小学校を出発しようとしても校門付近で足が止まってしまう。(毎度のことではあるが)
つまり、校庭から小鳥達が一杯見えるのである。特別珍しい種類がいるわけではないが、それどもキビタキの囀りが聞こえてきた。山陰川を渡り
、水田と山を左右に見て歩く。ホオジロのメスが青虫を咥えてうろうろしている。どうも自分で食べる様子ではない。きっと子どものために捕ったの
だと思う。青空が広がり日差しは大変強い。そよ風があるので暑くはないが体力は存外消耗する。日陰を探しておやつタイムとする。観音山の麓
に近づくにつれ私は気が気ではなくなった。お目当てのサンコウチョウのことが心配であったのだ。果たしているのだろうか。そしてついに、数十
年の樹齢のスギやヒノキの林の中に入り込んでいった。子どもたちには、「これからは一言も喋ってはいけないよ」と言い聞かせた。林の中心まで
は入って静かにサンコウチョウの出現を待った。直ぐ近くでキビタキの囀りが聞こえた。サンコウチョウの第一声が聞こえるまで随分長く感じた。
実際は10分くらいなのであるが、1時間くらいに感じた。それだけに、大人たちの間には安堵の顔が広がる。(戸田先生とは両手ではまる印をつ
くった)残念ながら姿までのサービスはなかったが、ホイホイホイの声を何度も聞かせてくれた。これならば親子探鳥会の時よりも良かった。去り
難い気持ちもあったが既に予定よりも大幅に超過。観音山を後にする。帰りは光溢れる景色の中を子どもと大人とが遊びながら帰った。
西暦
月
日
メモ
2007
6
3
室林道ラインセンサス
子育てを観察できたらと、室林道をラインセンサスする。山口さんは室林道で何箇所かオオルリの育雛を確認している。ところが、巣がかなりの割
合で破壊されているとのことだ。密猟者なのかそれとも天敵の仕業なのか分からないという。室林道のセンサスで子育てに関係する行動を2つ見
た。ひとつはオオルリの番いによる雛への採餌。最初は囀りの鳴き交わしで始まった。メスが囀っている。さらにその嘴には餌が咥えられていた
のを確認。オスの方は声だけ。数分観察を続けていると、オスの方も餌を加えている姿を発見する。その距離は徐々に狭まり一時は2メートル程
まで近づく。同じ木にキビタキやセンダイムシクイもいてなかなか賑やかであった。最後はどのようになったのか分からない。2つ目はヤブサメの
緊迫した地鳴きで始まった。ヤブサメは囀りの姿はなかなか確認できない。(あの虫のような囀りは位置を同定するのが大変困難)しかし、地鳴き
の姿は簡単に見つけられるのである。2羽の居場所を確認したが、2羽とも常の地鳴きとは全く異なる声を発していた。そして、地鳴き個体から
20メートルも離れていない所に茶色の哺乳動物を見つけた。きっとヤブサメはそれに対して警戒していたのだろう。室林道から戻って、山口さん
が我家を訪れたときその話をしたら、「テンが増えていて、野鳥にとって天敵だから繁殖にも影響していると思う」とのことであった。又、ニホンザル
も雛や卵を捕るので影響があるだろう。こうしてみると、山の手入れがなされなくなったために、野鳥の生息環境が好転し捕食者も増加しているこ
とが見え隠れする。ホトトギスの声がした。サンコウチョウの声がした。今まさに室林道は繁殖の真っ最中。
2007
6
10
羽根・長根の田んぼ
おや親ムクドリが田んぼや畑から餌を咥えてきては、枝に止まっている子どもに与えている。その個体数50羽程度。餌場と子が待つ枝を行った
り来たりする様はエネルギッシュそのものである。そのムクドリの群れが驚いたように移動する。こんな場合は大抵天敵がいる。冬場ならばチョウ
ゲンボウ。さて今はサシバでもいるだろうか、と上空を見渡してみる。すると羽ばたきがまさにタカの姿が視界に入ってきた。大きさはカラスほど。
もしかして?大急ぎで双眼鏡を向ける。普通にいるノスリには尾羽の横縞模様は無い。このタカにははっきりと縞があった。「オオタカだ」。カメラを
向けるも殆ど真上にいるため三脚の脚が邪魔になる。早い動きにピント合せもままならないが何枚かシャッターを切った。水田の上ではツバメが
、中ではセキレイが餌を取っている。鳥ばかりではない。あぜ道の花にチョウが止まって蜜を吸っている。やがて産む卵のために。
2007
6
10
前田町
前田町の田んぼも田植えが終わり(私の地元、音羽町に比べると随分遅く)初夏の様相を見せてきた。今は、辺り一面オオヨシキリの鳴き声で覆
われてしまう。こんなにオオヨシキリの多い所は私は知らない。電線で、店の照明灯の上で、民家の庭先の物干しの上で、所構わず鳴いている。
不思議なことに、セッカの姿が殆ど無い。(音羽町では形勢が逆転している)生息環境が似ている2種が競合するとどちらかに軍配が上がる例な
のだろうか。日曜日の早朝、晴れていたらさぞかし良かったのに生憎の強い雨。それでもオオヨシキリたちはものともせず鳴きあっていた。
2007
6
16
寺ノ入林道ラインセンサス
茶臼山から三河湖に向う。山々は新緑で覆われ車の窓からも小鳥の歌が聞こえてくる。昼ごはんを10時に食べてしまったのでもう一食分をコン
ビ二で買うことにする。寺ノ入林道で2時間。出来たら室林道をも。腹が減っては戦は出来ないのは道理である。寺ノ入林道は茶臼山の半分の
600メートくらいの標高である。かなり気温が上がっていた。汗を拭きながらのセンサスは今年初めてになる。ヒヨドリやメジロが多いのは茶臼山
と大きく異なるところ。カラ類は共に多いがヒガラの囀りが茶臼山と比べると少ない。それでも私のいる音羽町ではヒガラの囀りは皆無であるから
、さすがに三河湖あたりは高いのだなーと感心する。ここの目玉はサンショウクイとハチクマ。サンショウクイは必ず姿を現す。ハチクマの代りにノ
スリのペアが姿を見せた。(ノスリは必ずといってよいほど現れる)今日のトピックはノウサギを見たこと。道路わきの草がカサカサ揺れたので、何
かいるなと注目していたらどうやら4つ足の様子。リスかテンか? 双眼鏡に入っていたのは、目が輝き耳をピンと立てた茶色い体のノウサギであ
った。私は低い姿勢で息を懲らしていたノウサギはやがて緑の葉っぱを美味そうにもぐもぐと食べ始めた。彼とはおよそ20メートルくらい離れてい
るだろう。野生の動物を見るとドキっとするがウサギなら安心。1分程度しかいなかったと思うが長く感じた。満足したのかやがて彼は林の中へと
消えていった。
2007
6
16
室林道ラインセンサス
3大フィールド制覇とばかり三河湖から室林道に向う。既に太陽は西に傾いていたけれども夏至の前の日差しはまだまだ明るい。さすがにカメラ
を担ぐ元気は無くなってきた。録音機と双眼鏡を首に下げて室林道を奥へと進んでゆく。オオルリ(今年は多い)やキビタキは茶臼山を凌ぎ、寺ノ
入林道にもひけをとらない。逆に勝ったのもあった。それがニホンジカとサシバ。シカは今増えすぎて困っているのだ。50メートルほどの所でシカ
を見た。彼のほうが高
西暦
月
日
メモ
2007
6
16
茶臼山ラインセンサス
夏至に近いこの日、茶臼山までの2時間あまりを考えて3時に起床する。それでも到着する頃には太陽は顔を出しているだろうが。これほどの早
起きは久しぶりのことだ。ラジオの深夜放送を聞きながら車を進める。登るにつれ空気がひんやりしてきて気持ちが良い。センサスを5時55分に
開始する。カッコウやホトトギスが鳴いていた。いかにも高原にやって来たと思わせるカッコウは、夏の茶臼山とは切っても切れない特別な間柄で
ある。もしカッコウの声が絶えてしまったら悲しい。カッコウ科の鳥は他人に子どもを預ける托卵鳥で知られている。その預けさせられる主(被托卵
鳥)の代表が茶臼山ではウグイスである。茶臼山は記録をみても分かるようにウグイスは個体数の多い鳥であり、托卵鳥にとって天国のような所
だ。カッコウ、ホトトギスといった常連はもちろんツツドリの声もよく聞かれる。今日はあまり馴染みのないジュウイチにも会うことが出来ラッキーで
あった。目だったのはホオジロの囀り姿であった。樹冠で囀るものや電線で囀るもの様々であるが、囀りの節回しそのものも個体によって微妙に
違うのが面白い。ヒガラやミソサザイの囀りの個体差を聞分けるのは至難の業。それにひきかえ、ウグイス、オオルリ、ホオジロは違いがわかり
易い鳥である。ホオジロの聞きなしは 一筆啓上仕り候 であるが、正確にそのように鳴いている個体は案外少ない。すっきり晴れた空は久しぶ
りに遠くの山々を見せてくれた。名古屋の街も良く見え高層ビルがはっきり分かる。これなら南アルプスも素晴らしいだろう。北の斜面ではコルリ、
コマドリを確認。両者とも本当に個体数が減ってしまった。カッコウと並んで夏の茶臼山を響き渡る鳥であったアカハラの声がした。であったの意
味は、最近はあまり聞かれなくなったいうことだ。マミジロに至っては暫く見ていない。それが今年に限っては運よく姿を見ることが出来た。5月26
日の土曜探鳥会で見たときと同じ個体なのかもしれない。北に聳える仙丈ヶ岳の残雪の姿が見えてきた。進むにつれ北、間ノ、農鳥、塩見と次々
姿を現す。野鳥の声を聞きながらのパノラマ鑑賞とは、本当に贅沢である。最近舗装されたビューポイントに来て驚いた。ひと番いのアマツバメが
今まさに大空に舞い上がろうとする姿を捉えることが出来たのである。三日月型の細くて長い翼を羽ばたかせてどの鳥よりも早く飛ぶ姿に思わず
見入ってしまった。こんな事ってあってい善いのだろうか。
2007
6
17
我家周辺の野鳥
昨日の強行軍(茶臼山→寺ノ入林道→室林道)で疲れている。今日は野鳥はお休みとする。しかし、ルナとの散歩のコースには沢山の鳥がいる。
手帳だけ持って出かける。山の縁からサンコウチョウやキビタキといったバードウオッチャーにとっては見たい鳥の声が聞こえる。都会のバードウ
オッチャーには申し訳ないような所だ。山陰川を上流に歩く。セキレイたち(キセキレイ・セグロセキレイ・ハクセキレイ)が屋根で賑やかに鳴いてい
る。ハクセキレイはすっかり留鳥になってしまった。電線に止まっている巣立ちビナにツバメの親が餌を与えている。順調に子育ても進んでいるよ
うだ。我家にもスズメが巣を造った。今パソコンに向かっている時にもヒナの声が聞こえる。
2007
6
23
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
目まぐるしく天気が変わる一日であった。探鳥会をスタートした時間では少し日の透ける雲が広がり気持ちの良い感じ、折り返し地点で休んでい
るといつの間にか雲が厚くなりその下は雨、どうやら萩小学校に到着するまでにはシャワーを浴びることになりそうだ。実際そうなってしまったが
そんなに不愉快ではなかった。むしろ、カンカン照りよりも良かった。でもスタートした直後は、雨に濡れるとは全く考え及ばなかった。小学校周辺
は野鳥の姿が特に多い。「わざわざ遠くに行く必要はないよ」と言っているかのようだ。今日はセグロセキレイの親子を見た。最初は別々にいたの
であるが、子どものいる屋根に親がやって来て近づいた瞬間、子どもの口に餌を差し入れたのだった。その後も子どもは激しく餌をねだっていた。
決定的瞬間を観察できたことは幸運であった。通学路を羽根・長根に向う。ホオジロ、シジュウカラが囀っている。中でもウグイスの囀りはやはり
別格である。湿った空気のせいなのか響くように聞こえるのが印象的であった。近くの山からコジュケイの大きな声がする。山陰川を渡ると羽根・
長根の田んぼも直ぐ近く。水田がまるで芝生のように広がる。ここにも沢山の種類の野鳥がいる。アオサギやダイサギなどのサギの仲間、ムクド
リも群れを成して採餌している。成鳥に混じって幼鳥の姿もあった。水辺の鳥といえばセキレイたち。セグロセキレイとハクセキレイがいた。数年
来ハクセキレイの越夏が普通になった。(たしか冬の鳥として覚えたはずなのに)野山で美声を聞かせてくれるのがウグイスやオオルリ・キビタキ
ならば、羽根・長根の田んぼではヒバリがその役割を担っている。水が張られた今も彼のパフォーマンスが止むことは無い。激しく翼を羽ばたか
せて田んぼの上を旋回しながら複雑な囀りを聞かせてくれる。但し彼は、我々に聞かそうとはこれっぽっちも思ってはいない。同じ仲間の異性に
対して行なっているのである。ヒバリに比べると注目度が少し低くなってしまうがセッカも、縄張りを見回るべく大きな声で(体はスズメより小さい)
鳴いている。「ヒッヒッ」「ジャッジャッ」の節を交互に行なっている。終点の長根川で休んでいたら俄かに暗くなった。東の方から雨が降り出してい
る。子どもたちは川の中に入りたくてサンダル履きで来ていた。遊ぶ時間はたっぷりあったがみすみす雨に濡れるのも嫌なので、遊びを早めに切
り上げさせ学校に戻る。結局、雨の方向に帰るので濡れずに済む訳が無かったが。体の心まで濡れるような雨ではなかったので、学校に戻り、
先生が作っていただいたコーヒーをすすっているうちにすっかり乾いてしまった。
西暦
月
日
メモ
2007
7
1
富士山スカイライン(静岡県側)
日本の象徴富士山。野鳥愛好家にとっても一度は行って見たい場所である。登山シーズンの前、梅雨の晴れ間に出かけたい思っていた。幸運に
も絶好の天気になったので7月の初日、まだ暗い中、富士山に向け出発した。東名を走行中浜松市付近で、周りの山々の上に富士山がうっすら
と聳えている姿が見えた。トンネルを抜けると駿河湾が右手に広がり、正面には、端正な富士の峰があった。雪渓が所々に見え、新聞では、未だ
山頂に向う登山道も開通していないとの記事が載っていたことを思い出した。富士宮市から静岡県側からの登山道への道に向う。途中コンビに
寄り朝ご飯を買う。町並みが消え針葉樹の林に入ると、日の出直後の野鳥たちの賑わいを車窓から感じることができた。最初に寄ったのは西臼
塚駐車場。夏の登山時期になると一般車はここでバスに乗り換えることになる。車はまばらであった。正面には右手に宝永火口がある姿の富士
山が聳える。ここに来る道すがらでもウグイス、ミソサザイ、ヒガラなどが鳴いていたが、ここ西臼塚ではメボソムシクイが多かった。夏鳥のメボソ
ムシクイは亜高山で子育てをする。音羽町でも、春と秋、通過するときに鳴き声を聞くことがある。ウグイスに似た姿、ここにはウグイスも多いが囀
りは全く違っている。「リュリ・リュリ・リュリ」これが囀りである。次いで2合目である高鉢駐車場で車を降りる。ここには富士山に何箇所かある散策
路があり、原生林の中を歩く楽しみを満喫できる。植物層の下は溶岩層で思いのほか植物層の厚さは少ない。倒木の根を見たがほとんど横に広
がっている。地中に根を伸ばすことができないのだ。ミソサザイやウグイスがきれいな声で囀っている。しかしここでも多かったのはメボソムシクイ
であった。高鉢の標高は1600メートルである。私が定期的に訪れているフィールドでこれだけの標高があるのは、長野県蛇峠山の山頂付近だ
けである。それだけに、これより先は私にとっても未知の世界である。メボソムシクイは地上性かと思っていた。這松帯で繁殖する鳥というイメー
ジがあったからだ。しかし、ここでは樹冠かそこよりも少し下辺りで鳴いていた。餌の虫が沢山いる層が採餌の場の中心と考えるのが自然であろ
う。遠くからはアオバトの不思議な鳴き声が聞こえる。そのような様々な鳴き声を楽しんでいたら、突然、ある鳥のけたたましいばかりの鳴き声に
驚かされた。声の主はソウシチョウ。オリーブ色の体に赤・オレンジ・黄色の原色でペイントされた派手な色。嘴も赤い色。とても日本の野鳥とは
思えない。しかり、ソウシチョウは日本産野鳥図鑑には名を載せられていないのだ。原産は中国。何らかの理由で帰化したのだ。私のフィールド
でもソウシチョウの個体数増加を感じている。20羽以上の群れが囀り、鳴く様は本当に驚きに値する。派手なペイントをしたオスや少し地味なメ
ス、囀ずる個体、地鳴きの個体、周りを圧倒する力を感じた。このパワーが生息地を開拓し個体数を増やし続けているのだと感じた。しかし、この
ようなことは決して好ましいことではないことは明らかである。さらに先に進む。雲海に入ったのか周りは霧。七曲駐車場に停める。標高はさらに
上がって1900メートル。300メートルの標高差が鳥の相に劇的に変化を与えた。2-3個体のルリビタキの囀りが聞こえてきた。そのうちの1羽が
囀っている姿を見ることができた。繁殖期のルリビタキの囀りは何度も聞いてはいるが、梢で囀る姿を見たのは初めて。私にとっての初体験にと
ても興奮した。記念写真も撮ったが、逆光で果たしてうまく撮れたか心配である。それともう一種、ビンズイの地鳴きを確認した。そのビンズイの囀
りを終点の新五合目で聞いた。新五合目で車は終点となる。この先頂上までは歩いて登ることになる。標高を示す値は2350メートル。霧が立ち
込め野鳥の姿は見えない。それでも、ミソサザイ、メボソムシクイ、ルリビタキ、ウグイスの囀りを聞くことができた。積雪のため未だ山頂には立て
ない。それでも2人が登山道を登る姿が見られた。しばらくは亜高山の雰囲気を楽しんだ。朝が早かったので少し体を休ませた。帰り道、雲間に
見える市街地がとても低く見えた。大変な高さにいるんだなーと実感する。それは鳥たちの種類でも実感した。
2007
7
7
室林道ラインセンサス
朝からはっきりしない夕方からの探鳥会が心配になる天気だ.しかし、暑さだけは避けられそうな、センサスを行なうにはもってこいの日よりといっ
てもいいだろう。繁殖も後半にはいり例年ではオオルリやキビタキの囀りも減ってくる頃なのだが、今年は一向に止む気配がないのはどういうこと
か。囀り個体が多いということはヒナの数も多いに違いないと考え、ヒナの姿を探しながらセンサスを進める。最初に出会ったのはカワラヒワ。ヒ
ナの行動を見るとやはり親とは違う。飛び方や枝へのとまり方もぎこちない。近くには親の姿もあった。続いてはキビタキ。白い斑点模様で直ぐに
メスの成鳥とは区別が付いた。2羽が近くの枝に止まって採餌している。さらに、オオルリとエナガの幼鳥も確認する。こうしてみると順調に巣立ち
しているように見える。ところがそうでもないのだ。人間の子育てを中断させられたオオルリが数多くいるのである。巣のヒナや卵を盗む悪い奴が
後を絶たない。また繁殖分布も狂ってきている。クロツグミ、サンショウクイは普通に見られ、一過性のツツドリが室林道で定着しつつあるのだ。去
年8月に崩れたあと通行止めになっている箇所の土砂がようやく取り除かれた。さば土の地層はもろく、何時再び崩れないともいえない状態であ
る。
西暦
月
日
メモ
2007
7
7
夜の探鳥会 龍源寺
毎年7月第1週は龍源寺で夜の探鳥会を開いている。萩小学校から龍源寺まで夜の道を歩き、龍源寺境内でムササビが出るのをひたすら待つ
のだ。子どもたちの人気も高く、14人の子どもと7人の大人が参加した。(さらに途中から親子2人も合流)まだ明るい空にはツバメが飛び交い子
どもに餌を運んでいたし、モズの声が少しばかり淋しげに聞こえてくる。ねぐらに帰るカラスの姿もあった。いよいよ暗くなると辺りからはカエルや
セミといった探鳥会の対象ではないが、(鳥たちを頂点とする生態系の仲間たちの意味で関係は深い)生き物たちの夜の活動が始まりつつあった
。境内でおよそ30分くらいねばったか。(その間子どもたちはおしゃべりを我慢していた)そうそう簡単には見られないことは分かっていても終了を
告げるのは少しばかり辛いもの。結局、境内ではヒキガエルを見るだけにとどまった。折角だからと、お墓の周りを回って帰途に着く。帰りは皆楽
しそうに多いにおしゃべりする。今では(特に子どもにとっては)夜道を歩くことは非日常的な行為である。昔は盆踊会場への道は暗く怖かったが、
お父さんがいるから安心であった。そこで親の大きさを感じたものだ。車社会になり親子のそういった機会は消えていった。学校に戻りこれも恒例
の乾いた喉に冷たく冷やしたスイカ。夏の探鳥会らしくていいなと思う。
2007
7
8
室林道ラインセンサス
朝からはっきりしない夕方からの探鳥会が心配になる天気だ.しかし、暑さだけは避けられそうな、センサスを行なうにはもってこいの日よりといっ
てもいいだろう。繁殖も後半にはいり例年ではオオルリやキビタキの囀りも減ってくる頃なのだが、今年は一向に止む気配がないのはどういうこと
か。囀り個体が多いということはヒナの数も多いに違いないと考え、ヒナの姿を探しながらセンサスを進める。最初に出会ったのはカワラヒワ。ヒ
ナの行動を見るとやはり親とは違う。飛び方や枝へのとまり方もぎこちない。近くには親の姿もあった。続いてはキビタキ。白い斑点模様で直ぐに
メスの成鳥とは区別が付いた。2羽が近くの枝に止まって採餌している。さらに、オオルリとエナガの幼鳥も確認する。こうしてみると順調に巣立ち
しているように見える。ところがそうでもないのだ。人間の子育てを中断させられたオオルリが数多くいるのである。巣のヒナや卵を盗む悪い奴が
後を絶たない。また繁殖分布も狂ってきている。クロツグミ、サンショウクイは普通に見られ、一過性のツツドリが室林道で定着しつつあるのだ。去
年8月に崩れたあと通行止めになっている箇所の土砂がようやく取り除かれた。さば土の地層はもろく、何時再び崩れないともいえない状態であ
る。
2007
7
13
前田町
平日は必ず歩いている前田町の田んぼ道。今はオオヨシキリの繁殖が真っ盛りである。相変わらず囀り個体も多い。少し前から囀りを聞くように
なった、オオヨシキリと棲みかが競合するセッカは肩身が狭い。2-3個体ほどが、それでもオスの習性として縄張りを守るために、田んぼの上を
旋回している。
2007
7
14
室林道ラインセンサス
梅雨の空が続く。そこに台風が追い討ちである。一度は引き返した室林道への道を車で進む。強い雨にもかかわらず強行するのは、室林道ライ
ンセンサス記録が途切れてしまうのが残念だからである。それと、雨には雨の良さもある。傘を差しても足元は濡れてしまう。しかし、フィールドノ
ートだけは濡らさないよう注意を払う。圧倒的にヒヨドリとメジロが多かった。あとはウグイスとホオジロの囀り個体。時折シカが鋭く鳴く。常は薄暗
い夏の林床も雨の日は明るく見える。表面を水の膜で覆われたコケが文字通り瑞々しい。雨の日でも野鳥たちの活動が休止するわけではないの
だ。先週と同じ所でキビタキの幼鳥を確認する。今度は傘を差さずに雨具で歩いてみたい。
2007
7
15
寺ノ入林道ラインセンサス
台風4号は幸いにも左半分をかすめて通過した。(被害に遭われた方にはお悔やみいたします)台風一過の青空が広がったので、寺ノ入林道に
出かけることにした。台風が迷鳥をもたらす事をよく聞くが期待はしていない。所々で道が川になっているので十分注意して車を走らせる。優しい
名前の「乙女川」もじゃじゃ馬の様相を呈している。寺ノ入林道は思いのほか水浸しではなかったので安心した。昨日の室林道と同様にヒヨドリと
メジロが出迎えてくれる。さすがに天気もよくなり、その他の小鳥達も活発になっていた。飢えていたに違いない。キセキレイがちょこちょこやって
来る。こちらも姿勢を低くして動かないでいると、餌捕りに夢中になっているのか、どんどんと近づいてきた。次々と口の中に獲物を放り込んでいく
。さすがに途中で気が付いて私の頭上を飛んでいった。大きな水溜りで水浴びしているものがいる。ホオジロのようだ。枝に移って羽を乾かす素
振りを見せるが、気に入らないのか、再び水浴びを始める。かなりのきれい好きのようだ。(メスであったが)室林道センサスの記録を見ていたら7
月にエゾムシクイを確認するとあった。寺ノ入林道でも無論いるはず。予想が当たった時は嬉しいものだ。はっきりとした地鳴きで直ぐに分かった
。寺ノ入林道にはオオルリも多いが、今日はキビタキの囀りの方が多かった。センサスの最後に嬉しい鳥に逢った。サンショウクイが2羽で鳴いて
いるのを確認したのだ。
西暦
月
日
メモ
2007
7
21
室林道ラインセンサス
今年は梅雨らしい梅雨といっていいだろう。子どもの頃、長い雨があけて暑い夏が来るのが待ち遠しかったものだ。梅雨があける時には決まって
雷が鳴った。本当は今朝から土曜探鳥会のはずだった。しかし、迷うこともないくらいの本降りの雨。一応、集合時間に萩小に出かける。誰も来て
いないことを確認し、その足で-もしも天気が良かったら午後に出かけるつもりだった-室林道へ向う。たとえ雨が降る日でも室林道ラインセンサ
スの記録を途切れさすのは嫌だった。実は2日ほど前から腰が痛くなった。運動のやりすぎかな?何時もは1時間程のセンサスに20分余計かけ
ゆっくり歩いた。傘に当たる雨粒の音と野鳥たちの声だけが聞こえるばかり。正確に言うと、コオロギの鳴き声も。谷から霧がどんどん湧き上がっ
て来る。こんなときに聞く鳥の声は特にきれいに聞こえるものだ。今日はウグイスの囀り個体数が多かった。個体数で見ればヒヨドリとメジロが多
い。薄暗い日ほど姿よりも鳴き声が種の同定に役立つ。ヤマガラ、シジュウカラ、ヤブサメの地鳴きにも注目。ヤブサメは囀り個体を見つけるのは
難しいが、地鳴き個体は比較的易しい。(今日の地鳴き個体は残念ながら姿を確認できなかったが)囀りを確認できたのは、ウグイス、ホオジロ、
ヤブサメ、メジロであった。地鳴き個体では、メジロ、ヒヨドリ、ホオジロ、ヤブサメ、ヤマガラ、ハシブトガラス、コゲラ、キビタキ、センダイムシクイた
ち。雨の日のバードウォッチングは嫌いではない。なんとなく落ち着いた気持ちでやれる気がする。
2007
7
21
我家周辺
傘をさして歩いていたら、山陰川の上を2羽のカワセミが下流から上流に向かって飛び去っていった。久しぶりのカワセミに気を良くした。働き者
のツバメが田んぼの上を飛び回る。黄色いカンナが目に鮮やか。カワセミを見たので欲を出しカメラを取りに家に帰る。(撮ろうと思った時にはい
ないことがほとんど)カワセミはあきらめてツバメを撮る。ツバメはなんといっても高速ターンが魅力だ。(電線に止まっている姿を撮っても仕方な
い)飛び回る相手にピントを合せるのは難しい。ピンボケ写真ばかり撮れた。
2007
7
28
茶臼山ラインセンサス
真夏の茶臼山に出かけた。平地では30度をはるかに超えそうな勢い、こんな日の茶臼山は別天地だ。車を降り準備をしていると遠くからアカハ
ラの声がした。カッコウやアカハラの声を聞くと、「ああ茶臼山に来たんだなー」とつくづく思う。夏の茶臼山の楽しみの一つなのである。茶臼山の
登る道筋ではキセキレイが目立った。遠目ではっきりしなかったが子どもがいたのかも知れない。山頂付近ではウグイスとホオジロばかりが目立
った。どこに行ってもこの2種ばかり。普段は姿を見るのが難しいウグイスも、囀りながら梢を渡る姿を頻繁に目にした。ホオジロに至っては、あち
こちのソングポストで歌いだす有様。何が彼らを高揚させているのだろうか。ウグイスにとって脅威となろう帰化鳥のソウシチョウ、今年はあまり姿
を見せない。センサスの間、1箇所で確認したのみであった。それはそれで歓迎すべきことではあるが、何故少ないのだろうかという疑問は残る。
帰化種を目の仇にするのはどうかと思う時がある。火山活動で絶海の孤島が出来たとする。最初は生物はいなかった。しかし、やがて植物が生
え動物が流入してくる。自然とはそうゆうものなのだ。人が関与しなくても、個体間競争、種間競争は常に起きている。ソウシチョウそのものが悪
いのではない。今日のウグイスの繁栄振りをみると余計な心配とも思えなくもない。
2007
7
30
観音山
山口さんが来られ庭先で鳥の情報を交換した。観音山でジョウビタキを見た、スズメが1000羽以上ねぐらにしている、クロツグミが繁殖、オオル
リが巣立ち、などなど師匠の話は何度聞いても唸ってしまう。ジョウビタキについては私も、6月に茶臼山で越夏の姿を見ているので、師匠の話と
はいえ十分信頼できると思う。スズメの話も興味津々。早速太陽の日が傾き出した頃、観音山林道をえっちら歩きだした。室林道よりも新しい道で
、アカマツが全滅した後植林したヒノキが両側に広がる。室林道でも茶臼山でもウグイスは多かった。ここ観音山でも同じ。ホオジロがソングポス
トで囀る姿も、昨日茶臼山で見たのと同じである。同じであることに何かホッとする。観音山の山頂付近からクロツグミの明るい声が聞こえる。あ
あこれが山口さんが言っていたことなんだな。実は10㎏近くの撮影機材を背負っている。ジョウビタキを撮ってやろう。けれども野鳥の撮影で、野
心を持って望んでその通りになることは殆どないのであるが。観音山からの眺めは中々のものだ。北は岡崎の山々、西は蒲郡の山々、そして、こ
こが素晴らしいのだが、南から東へは三河の平野、その奥には三河湾が輝いている。汗が滴るのに気持ちが良い。時折谷間を渡る風が涼を呉
れる。極楽々。ジョウビタキには逢えなかった。(当たり前だ)2時間近くも居ただろうか。エネルギー保存の法則で、下り坂は楽のはずなのである
が、実は背中に食い込んでくる10㎏の重さはむしろ辛い。何度も降ろして休む。ほうほうの態で車まで運んでくる。「しまった、ペットボトルのお茶
を全部飲むんじゃなかった」車を走らせて100mくらいだった。山口さんの言うスズメの群れが(1000羽は無理で50羽くらいだった)木々を伝っ
て行くのを見つけた。スズメの群れは田んぼ付近に見ることが普通。山の木の中を移動する群れは只者ではないように見えた。
西暦
月
日
メモ
2007
8
4
早朝探鳥会 室林道
6時集合。1年で1番暑い時の探鳥会は涼しいうちにと、8月の探鳥会は「早朝探鳥会」を行なっている。伊藤先生と娘さんが参加してくれた。太陽
が透けて見えるくらいの曇り空でなので過ごしやすい。室林道への道沿い、ツバメたちが電線で休んでいる。田んぼにスズメが戻ってきたようだ。
一時は本当に少なかった。室林道に近づくにつれ山の野鳥が見られる。ウグイスの囀りやソングポストで囀るホオジロ。湿気が多いので鳴き声が
よく通る。こどもたちはスコープにとらえたホオジロやアオサギをカメラでパチリ。うまく撮れただろうか。中学生が2人参加しているので話は自然と
学校のこと。萩小の子も来年は中学生、いろいろ聞きたいことがあるようだ。林道の補修工事を見ることができた。砂とセメントを混ぜホースで送
る先には、崖から1本のロープだけを頼りに垂直の壁にとり付いた作業者がいて、ホースから吐き出されるコンクリートを金網の張られた壁に吹き
付けている。相当な力で押さえつけていないと思う所にコンクリートを吹き付けられないだろう。たった2人で仕上げてしまうのだ(すごい)。暫く休
憩し、萩小に戻る。火照った顔を冷ますためタオルを湧き水でしぼる。(気持ちいい)
2007
8
5
室林道ラインセンサス
朝からカンカン照りなのに、室林道の中はそよ風も吹いていて涼しい。車を止め準備しているとセンダイムシクイの囀りが出迎えてくれた。まだウ
グイスの囀り個体も多い。8月の半ばを過ぎる頃から囀りが聞かれなくなるのだが、今年ははたしてどうか?濃い緑の木々からはヒヨドリやメジロ
の声が多く聞かれる。その他、エナガの幼鳥、ヤマガラ、ウグイスたちが時々顔を覗かせる。そんな中でジッとして鳴かない鳥たちがいる。オオル
リ、キビタキたち美声の持ち主である。繁殖も終わりに近づきオスたちは囀りを止めた。ところが珍しく囀り個体に出会った。その囀りがいかにも
稚拙。最初はメスかと思った。ところがよく見ると羽はルリ色。いわゆる半成りの亜成鳥であった。さらにキビタキ。こちらはメスの成鳥。こういった
静かな鳥の楽しみ方がある。今は目だった花がない。濃い紫のハギが咲きそろうのは少し先のこと。野鳥以外にもセミやトンボ、チョウが林道を
飛び交っている。野鳥を撮影するための道具は、接近を許さないチョウなどの姿を撮るにも好都合だ。また時には、トカゲやヘビやクモなどの嫌
われものを撮ったりもする。同じ仲間だと思うことで親近感も湧く。
2007
8
11
萩一円
お盆休みに入って初日、およそ7キロメートルを1時間30分かけて早朝ウォーキングを行なった。手にはノートとボールペン。双眼鏡は持たない。
日の出前の涼しい空気が心地良い。その前にルナと散歩をしたが、カワセミが川面を滑るように飛び去った。5時36分にセンサスのスタート。ツ
バメの子どもが電線に整列しているのは微笑ましいものだ。モズの鳴き声が聞こえる。秋には「モズの高鳴き」が有名であるが決して秋だけに聞
かれるわけではない。既に前ぶりの行動が始まっているのだ。暫くは山陰川沿いに進む。梅雨が開けてから暫く雨が降っていないので水量も心
細くなってきた。干上がることはあるまいが、カワセミのことが心配になる。保育園の横でもカワセミを発見。オスである。飛立ったあと川面にダイ
ビング。近くの山からウグイスの囀りがする。あとどのくらいの間聞かれるだろうか。スタートしてから5個目の橋を渡ると羽根・長根の田んぼが見
えてくる。その入り口でスズメの群れがたむろする。およそ100羽あまりか。確かにスズメの数が増加したようだ。どのような仕組みになっている
のか興味深い。朝日に輝く風景を見ていると野鳥が羨ましくなる。田んぼの穂はたわわに実り薄く色付いている。トンボがすいすいと飛ぶ。その
中に、緑とブルーの美しいギンヤンマがいた。夏の羽根・長根を代表する鳥のひとつ、セッカは今日も縄張りを見廻っていた。ハクセキレイの成鳥
が2羽で追いかけ行動をしている。そもそもハクセキレイは夏にこの地にいる鳥ではなかったはずだ。それがいつの時期か、ハクセキレイは留鳥
になってしまった。
西暦
月
日
メモ
2007
8
12
蛇峠山
会社の友人とみたび長野県南部に聳える蛇峠山(1664メートル)に登った。山登りで汗をかいて、その後に温泉に浸かろうという訳だ。お盆休み
の幹線道路はどこも混んでいる。豊田から浪合への国道153号線もしかり。地理に詳しい友人のナビで空いた道を進む。初めて矢作ダムを見た
が、なかなか立派な姿なのに驚いた。堰堤からの眺めは爽快だ。大型のアオサギも小さく見える。ホオジロがソングポストで囀っている。春や冬
に訪れたらどんな野鳥が見られるだろうか。(想像するだけでもわくわくする)さらにダムから奥矢作村を経由して平谷村に出た。目がくらむような
谷を見ながら進んだり、トンネルを抜けたり、昔ながらの狭い道を通ったり、確かに渋滞は無いが。(慣れないと疲れる道ではある)治部坂峠を越
えて蛇峠山に向う。馬の背までは車で行ける。平地よりも10度は低い、とはいえ、真夏の日差しは強烈で汗が噴出してくる。(日陰では本当に気
持ちいいのであるが)馬の背からはウグイスとホオジロの囀りが聞こえる。さらに歩いて標高を上げてゆく。ウグイス、ソウシチョウが潅木の中で
餌を捕る。ここにもソウシチョウがいる。少し残念な気持ちに浸っていた時突然、至近距離で「ヒリリリ」と鳴く声。第1声目で「コルリ!」と思った。2
声目で「違う!コマドリだ!」3声目で「間違いなし、コマドリだ!」。時期的にはコマドリの囀りが聞けるなんて期待していなかった。茶臼山では個
体数も激減。囀りさえも滅多に聞かれないのだ。それだけに今日はなんという幸運だ。山で出会ったのは10名ほど。人出が多い割には少ない。
マツムシソウやホタルブクロ、トラノオなどが道端を飾る。花々を目当てに昆虫もやって来る。そんな中に渡りをするチョウで有名なアサギマダラ
の姿もあった。大きく美しい姿を久しぶりに見て秋が近いことを感じた。友人は温泉めぐりを企てているようだ。コマドリの湯でシールを貼ってもら
っている。先は長そうだ。本物のコマドリに逢って、同じ名が冠せられた温泉に浸かる。標高950メートルの気温は24度、クーラーは要らない。ひ
と時の秋を楽しんだ。
2007
8
13
自宅周辺
ルナと散歩の途中でアカショウビンの声を聞いた。「キョロロロー」ふた声聞く。年に1度は聞くが繁殖しているのか、それとも、繁殖を終えた南下
個体なのかは定かではない。姿を見たことは一度もないが、さぞかし美しいことだろう。山陰川ではカワセミ、セグロセキレイ、キセキレイがいた。
カワセミは鮮やかな羽色ではなかったので幼鳥かもしれない。キセキレイも幼鳥。そこここに子どもの鳥がいるのである。今日は不安定な天気と
のこと。散歩の途中から霧雨になった。蒸暑い日が続いているので少しは降って欲しいくらいだ。
2007
8
14
室林道ラインセンサス
昨夜からの雨が少し残っていたが構わずセンサスすることにした。少し大粒の雨が降った。しかし、猛暑が続いていたので恵みの雨といえよう。
雨の日には何故かヒヨドリとメジロが多い。今日もご多聞に漏れなかった。お盆が近くなるとウグイスの囀り個体に注目することにしている。求愛、
縄張り確保、ウグイスのオスにとっては極めて重大な事柄を、囀りという行動によって行なってきた。一夫多妻のウグイスにとってオスはまさに繁
殖マシーン。だから一夫一妻の大多数の鳥たちとは囀りの回数(1個体あたりの)ずっと多いのでは推測する。室林道を賑わしていたウグイスも
そろそろ囀り収め。囀りの最後は何時なのか。ところで今日のウグイスは、囀り個体はいなかった。代わりに、子どもたちの群れが採餌する様子
を観察することができた。白い綿のようなものがクモ糸くらい細いものにぶら下がっている。不思議な生き物。キビタキの声がした。威嚇声なので
オスかと思った。しかしその姿は、予想に反し幼鳥のものであった。続いてエゾムシクイが現われた。茶色が勝ったウグイスといった感じ。決め手
はウグイスとは明らかに違う地鳴きの一声。南下個体なのか。センサスを折り返した頃から日が差してきた。それに合せたようにアブラゼミの声
が一層大きくなった。
2007
8
15
寺ノ入林道ラインセンサス
標高600メートルでも暑い。誰もいないので体裁を気にする必要はない。湧き水で濡らしたタオルを頭にかけその上から帽子を被る。(暫くは役に
立つ)スタート時間が10時30分と遅かったせいか野鳥の声はあまりしない。(その代わりはセミたちが勤めている)それでもよく耳を澄ませばつ
ぶやきのようなメジロやエナガの声がする。確かに小鳥達はいるのだが今日の主役は、センサスの間かなりの割合で鳴き続けていたハチクマで
あろう。私は、寺ノ入林道の名物は、サンショウクイとハチクマだと思っている。(3大フィールドの茶臼山・室林道と比べても)そのハチクマがタカ
科特有の鳴き声を聞かせてくれた。もちろん姿も確認。ハチクマが出現する前にノスリのペアが上空を旋回していた。ノスリは寺ノ入林道ではほ
ぼ毎回見ることの出来るタカである。そのノスリよりもひとまわり大きいのがハチクマ。見応えがある。以前に親子らしい4羽が飛んでいたのを見
たことがあるが、今日は、単独(実は、山陰でよく見えない)のようである。彼らは10月になると越冬地に向う。(伊良湖でサシバとともに大型のタ
カが渡りをするが、それがハチクマなのである)
西暦
月
日
メモ
2007
8
16
室林道ラインセンサス
注目点は”ウグイスはまだ囀っているか”である。センサスの半ばまでは囀り個体はゼロであった。もしかするとこのままゼロで終えるかも(半分
期待しつつ)。しかし、立て続けに「ホーホケキョ」と聞こえたので、囀り中止日の特定はお預けとなった。ウグイスの囀りが減ったのは間違いない
。反対に地鳴き個体が増加した。特に子どもたちが数羽で採餌する微笑ましい姿をよく見るようになった。全体的にいって野鳥は声を潜めて生活
しているように見える。というのも、繁殖が終わるや否や今度は、換羽の季節に入るからである。鳥の最も大切な羽は換羽で全て生え変わる。か
なりのエネルギーを費やすに違いない。省エネモードに切り替わるのは自然なことだ。気が付いたのは、セミがやたら飛び回っていることである。
今までは木に止まって鳴いてばかりであった。それが、鳴くのを止め、木から木へと飛んでいる。センサスの間にかなりの個体が、私を木と思って
ぶつかって来たのだ。道にも動かなくなったセミが落ちている。彼らの生きる目的はひとえに繁殖の成功。やり遂げたのかやり遂げられなかった
のかは想像するしかない。
2007
8
18
土曜探鳥会 室林道
記録的な暑さが報じられて、ますます暑く感じるようになったこの頃。探鳥会も熱中症の心配を真剣にしなくてはいけない。だから子ども達が来な
かったことに対して内心ホッとしている。事が起きてからでは遅いのだ。そんな訳で牧野さんと2人で日陰の多い室林道をセンサスすることにした
。萩小から室林道までは日当なので車で行く。室林道の大半は日陰なので大丈夫である。果たしてウグイスはまだ囀っているのか?これが一番
の関心事。結果は2個体が囀りをしていた。囀りそのものも最盛期のような真剣味は感じられなかった。多かったのはヒヨドリとメジロで、この傾向
は8月に入ってずっと続いている。遠くから一声サシバの鳴き声が聞こえる。
2007
8
19
フレンドオンアイス2007
荒川静香さんがプロに転向し最初に出演したアイスショーがフレンドオンアイス2006であった。それも自らが企画した初めてのアイスショーを。
残念ながらこのアイスショーは見ることができなかったが、雑誌などによると、アットホームで手作り的なショーであったと記されている。今年のショ
ーもやはり、仲の良いスケーター達が和気あいあいとやってくれることだろう。アリーナの照明が落とされ一瞬真っ暗に、そして、輝かしい音楽と
色とりどりの照明がリンクを照らす。そこへキラキラ輝く衣装に身を包んだスケーターが、普通では成し得ないスピード感をもってリンクを自在に舞
う。まるで青い空を飛び交うツバメ達のように。この躍動感と煌びやかさはフィギュアスケートでしか表現できないのでは、と思った次第。第1部の
始まり。トップバッターは鈴木明子さん。本人が曲の紹介と意気込みを話してくれる設定。何しろ本人の説明なのでスケーターのことがよく分かる
し、何よりも親近感が湧いてくる。心のこもった演技だったと思う。恩田美枝さんがシスター姿で登場。長いスカートでジャンプは難しかろう。自分
のキャラでを連発していた彼女であるが、新しい一面を見たように思った。ペアの最初はアメリカCPの井上玲奈・ボールドウイン組。ガンを克服し
て彼女は日米の代表に登りつめた。それを支えた男性にも拍手したい。中野由加里さんはインディアンの女性のような(女ターザンか)衣装で、相
変わらず凄いドーナッツスピンであった。フレンドの一角、本田武史さんはゴッドファーザーを情熱的に、田村岳斗さんは荒川さんの十八番トゥー
ランドットを劇的に演じた。荒川さんと2人は同じ東北高校生。3人揃って長野オリンピックに出場した。若いゆえ、3人は満足の行く演技が出来た
とはいえなかった。しかし、その後の活躍は今更述べるまでもない。男性陣はコーチとしても活躍していて頼もしい限りだ。本田さんの演技中、振
り付師でもある宮本賢二さんが登場。漫才のような状態に会場も爆笑。荒川さんは自ら尊敬するスケーターと称している佐藤由香さんとの関係を
曲目紹介の中で説明。新しいピンク色(ハギの花の色のようだった)の衣装で登場した。何を着けても似合う。競技用のプログラムを崩さずにやっ
たため思った以上にジャンプが多くてきつかった。などと笑いを取る一面も。製氷時間に買い物をしようと売店に行ったところ、押すな押すなで近
づくことすら出来なかった。第2部。最初は、若いスケーターの登場。応募から選ばれた2名の(男女)子どもが主役となり、本日の出演者が支え
るといった場面である。エスコート役は中野由加里さんと高橋大輔さん。曲はユーレイズミーアップ。嬉しいことに、荒川さんはとトリノと同じ青い衣
装で出てくれた。後半のペアは世界選手権の銀メダリスト。素晴らしい演技であった。中国はペアが凄い。フレンドは荒川さんはセクシーな黒い衣
装でフライトゥーザムーン。アップテンポでアメリカのミュージカルを見ているようだ。新しい荒川さんの発見。日本初公開に立ち会えて幸せだ。結
婚を発表したという本田武史さんは、恥ずかしげもなく、世界の中心で愛を叫ぶを披露。先を越された田村岳斗さんはロッキーのテーマで男らしさ
をアピール。新しい女性ファンが増えたのでは。アメリカチャンピオンと日本チャンピオンは共に譲らず。カルメンのライサチェックは迫真の演技を
、人間でないような動きと本人も言っていた高橋大輔さんの演技中は皆、拍手を忘れていた。荒川さんの時もそうであった。ほんとに引き込まれる
と人間、黙ってしまうものなのだ。もうひとつ、荒川さんの3女のアロマがデビューしたことを忘れてはいけない。抽選会の間荒川さんの懐にはいっ
ていた3女。退場するとき、お母さんの後をヨチヨチ追いかけて行く様が微笑ましくも素晴らしかった。荒川さんが呼びかけて始まったフレンドオン
アイス。これからも回数を重ねてくれることを1ファンとして願って止まない。
西暦
月
日
メモ
2007
8
25
リンスアイスワールド2007 東京公演
ダイドードリンコアイスアリーナにて
2007年のプリンスアイスワールドも横浜・豊橋についで3度目。従って、プログラムは大体頭に入ってしまった。ゲストは毎回同じではないので、
それはそれで楽しみになる。織田君があのようになってしまい非常に残念だ。本人も深く反省しているので、ここは天が与えた試練だと思い、これ
から先に繋げて欲しいし、他のスケーターも他山の石と受けとらずに自身を律して欲しい。憧れを持ってあなた方を見つめている若いスケーター
やファンのためにも。代わりに長野オリンピック男子シングルの金メダリスト、イリヤ・クーリックさんが出演した。長野では、荒川さん、本田君など
高校生が挑戦し、世界の壁の高さとオリンピックの怖さを身をもって知った年である。本田君はその後一人奮闘、ソルトレークでは5位入賞となっ
た。荒川さんは村主さん、恩田さんの後塵を拝した。長野から8年の想い。刈屋アナウンサーの言葉が忘れられない。2006年2月トリノ、荒川さ
んは選手生活の最後とすべく悔いのない自分らしい演技をした。出演者を見て「スケーターはみんな繋がっているんだなー」と痛感した。最初は
本田君と荒川さんのペア演技。ウエストサイド物語の素晴らしい音楽が2人を一層引き立てる。マリア役の荒川さんは赤い衣装。序盤は2人のダ
ンスを連想させる演技、中盤、本田君がマリアを思う気持ちをぶつける、そして荒川さんがそれに答え、終盤はサムウエイーの曲で愛する気持ち
を表現した。アマチュアの頃の荒川さんだったら出来ない演目ではないだろうか。目の前の2人は本当の恋人のように思わせる迫真の演技をした
。恩田さんすっかりアイスワールドにメンバーに迎え入れられたと言っていいだろう。もちろん本人の努力の賜物であるが、大スターの荒川さんと
永く一緒にやって来ただけに葛藤はあっただろう推測する。けれども今の恩田さんは生き生きとしていて幸せそうだ。それが表情の端々に表れて
いる。ここの所は大きな会場の後席からだと伺えない部分だ。スケーターの息遣いがわかるくらいの場所でないと読み取れない。とかくゲストスケ
ーターにばかりが注目されるが、アイスワールドチームの面々はとてもチャーミングである。鈴木誠一さんなどは4大陸選手権にもでた実力の持
ち主と聞いた。女性たちは可愛い人ばかりだ。多分街中を歩いていたら目立たないだろう。しかし、スケーターとして銀盤の上にのれば輝かんば
かりである。顔の表情は何ともいえない。これも近くで見ないと駄目だ。男性陣はベテランと中堅、若手がバランスよく配置され、時に女性を引き
立てている。華やかなアイスショーなのだから女性上位になるのは必然。しかし、それを支えるのはやはり男でないと出来ない。ゲストはイリヤと
大輔と由加里さん。中野友香里さんはフレンドオンアイスと同じ演目であった。今期はアイスショー用のプログラムとして使うのだろう。スパイラス
の時に見せた女性らしい表情が特に良かった。彼女も荒川さん同様に笑顔をつくるのが苦手であったと聞いているので、どのようにしてあの素晴
らしい表情を手に入れたのか聞いてみたい気がする。単に笑い顔を作るなんてことでは無いと思う。役に成りきらなければ感動させることは出来
ない。(もちろん技術の裏づけがあってのこと)唯一のペアであるエレーナとアンドレが青い衣装で登場。(前は白い衣装であったと思う)夫婦らし
いお互いを信頼した演技であるのはもちろん、プロならではのスリリングな場面もあってお客からは大きな拍手が沸いた。ペアーやアイスダンス
はアイスショーに向いているなと思う。イリヤ・クーリックは2006年の豊橋公演でも見た。その時は、飛ぶ鳥を落とす勢いのプルシェンコと一緒で
あったため、余り目だたかったように思う。しかし今日の彼の演技はさすがに金メダリストと思わせるものであった。ジャンプやスピンのスピードだ
けを見たら現役の選手の方が上だろう。けれどもスケートはそれだけでは無論ない。全体の印象がどうなのかが問題なのだ。どれだけお客さんを
引き込み感動させるかが勝負なのだ。自分も含めて、試合のようにアイスショーでもジャップやスピン・スパイラルで上手く決まると拍手というのは
考えたほうがいい。競技会ではなのだから、物語性・音楽性・そしてスケーターの演技をトータルで評価してあげたいものだ。大輔君のプログラム
も生で見るのは2度目である。最初に披露したのは2007ドリームオンアイス。彼でなければ成し得ない難しい演目だと思う。演技に深い精神性
がある。その点では荒川さんにもひけをとらない。八木沼純子さんはショーの司会やトークと八面六歩の大活躍だ。現役の頃は、アイドルにも負
けない美少女(今でも綺麗だが)ぶりで人気が先行した感はあったが、チームリーダーとしての責任を十分果たしている。お笑い系も出来るし、し
っとりしたアイスダンスも大島淳さんと演じてくれた。シングルスケーターなのによくあれだけやれると感心する。トリは荒川さん。(当然だ)彼女の
人気は衰えることを知らない。金メダルの興奮から1年半が過ぎようとしている。その間に浅田真央や安藤美姫の活躍があった。世間は荒川さん
を忘れつつあるのではと心配する必要はない。アイスショーの観客は決してトリノを忘れてはいないのだ。2007年バージョンは蝶々婦人。青い
布を両手で翳しゆっくりと進んでくる。普通、氷上に着いていて音楽と共に照明に照らし出されるやりかたが多いのに、荒川さんの場合は、幕が引
かれそこから登場してくる。考えてもみれば、相当に長い布を靡かせるわけだから止まっていては上手くスタート出来ないに違いない。女性ヴォー
カルのある晴れた日のアリアが荒川さんの風雅なスケートにピッタリだ。2006年のアヴェマリアの時は最後まで優雅に滑るスケートであった。し
かし、2007年(2007年版も見るのは3度目になる)は一味違っていた。荒川さんが身に付けたいと言っていたアップテンポの曲調に変わる。そ
こで蝶々さんの苦しみ、悲しみ、期待感を上手く表わそうとしている。大柄な荒川さんコミカルな動きは苦手かなと思うにはからんや、軽々とやって
のける辺りはやはり天才か。後半は又スローなスケートで優雅に。締めはやはりイナバウアーを見たい。そう思う頃にやってくれる。(憎いね)銀
盤に横たわる白い衣装の荒川さん。ドーッと拍手と歓声が沸いた。貴女の演技は別格です。フィナーレではアイスワールドチームによるシンクロ
西暦
月
日
メモ
ナイズを披露。つい最近テレビでシンクロナイズドスケート大会を見たばかりなので、こういった演技も興味を持てるようになった。お客さんもきっ
と同じ事を思っただろう。ゲストスケーターが次々と得意技を披露し並ぶフィナーレ。大輔君は大技の4回転をクリーンに決めた。イリヤは豪快な
フライングスピン、由加里さんはドーナッツ、荒川さんはイナバウアーに3回転2回転2回転を連ねトリの再現をした。(現役でも十分やっていける
なー) 番外編 ここダイドードリンコアイスアリーナ(旧名は伏見アイスアリーナ)は東京の西部にあって、新幹線で品川、そこから山手線外回りで
高田の馬場、さらに西部鉄道新宿線の東伏見で下りる。アイスアリーナ専用ばかりではないが、スケートショウを見るのであるからアリーナのある
所に足を運ぶことになる。お陰で随分と鉄道に乗る機会が増えた。そのダイドードリンコアリーナに9時頃着いただろうか。まだ殆ど人はいなかっ
たが、熱心なスケートファンがちらほら見えだした。広場の木陰で休んでいたところ、最初に現れたのが大輔君。目聡いファンが早速色紙を持って
彼の前に立った。どうするかなと見ていた所、会話の後に気さくにサインをしていた。夜間出入口と書かれた扉に消えていったようだ。次に、赤い
ダウンの女性が出て来た。中は相当寒いらしい。その顔を見て吃驚仰天。荒川さんの母上(佐知さん)だったのだ。先週のフレンズオンアイスに
はお父上(晃市さん)とばったり、そして。関係者と会話をし私の目の前を横切り街に出て行かれた。結局近くのコンビニ(私も寄ったセブンイレブ
ン)で買い物をして戻って来られた。静香さんの好きな甘いものでも買われたのかな。荒川さん本人が出ていては大騒ぎになるかも。もっとも、お
店の人はスケート関係の人とは知り合いで問題ないかもしれないが、通行人が静香さんを見たらほっておかないだろう)ここは、そんなに顔を知ら
れていないママの出番になったのでは。(凄い想像だ)ママの後からは本田君が2度ほど顔を見せたが、今度はサインを貰う人はいなかった。さら
にさらにアイスワールドの面々がその扉からから出ては日向ぼっこで体を温めている。男性人にはタバコを吸う人もいて、タバコを燻らせて本番
前のひと時を過ごしている。もう一人知った顔が出てきた。恩田美枝さんである。彼女も連れとおやつを買いに行った。そんな訳でショーの始まる
1時間前に、普段着のスケーターを見せてもらい大変得をした気分になった。買い物を終えた母上は小包を載せた台車を自ら押して再び現れた。
携帯電話で連絡をとっているがなかなか手間取っていた。パワフルな母上の一面を見た。これでご両親を生で見たことになる。荒川さんの体格の
良いのは特にお母さん譲りか。お母さんを見て、今は大変スレンダーな体形の荒川さんではあるが油断召されないことを祈る。
2007
8
26
羽根・長根の田んぼ
余り暑くならないうちに羽根・長根を回ってみようと、いつもは室林道を見てから羽根・長根に下りてくるのを逆にする。音羽町の米は9月に入る頃
には刈り取りを終えるくらいに早い。従ってもう田んぼは黄金色一色に染まっている。田んぼの中の様子は見ることができないが、セッカたちが稲
穂に隠れる様をみると、もしかすると巣がつくられているのかもしれない。巣を見つけにくくするには良いかもしれないが、それも稲刈りまでの話。
タイミングが遅ければヒナの明日はない。セッカは時期を計らっているのだろうか。たまたま早く卵を生んだセッカのヒナのみが生き延び、そのヒ
ナが繁殖可能な年になって、親から受け継いだ繁殖開始時期を指示遺伝子が、稲刈り前に巣立ちできるよう計らってくれるのだろうか。
2007
8
26
室林道ラインセンサス
8月もあと1週間で終わり。長い夏休みも終盤にかかり小さな子どものいる親は宿題を手伝う週末となろう。私もそうだった。ウグイスは完全に囀
りを終えた。ヒヨドリとメジロは相変わらず多い。時折、コゲラ、ヤマガラ、シジュウカラの地鳴きが聞こえる。全く鳴かなくなったものもいる。オオル
リやキビタキ、センダイムシクイなどがそうだ。巣立ち雛が自力で餌を取るようになり、其処ここで幼鳥を見かける。大きさは親と変わらないが色や
顔の形(特に嘴)が親とは明らかに違っているので、その気になって探せば結構いることが分かる。ヒヨドリは個体数も多いので子どもに当たる可
能性は高い。
2007
8
31
豊田市前田町
オオヨシキリの囀りで賑わっていた前田町。今は、セッカたちが縄張りを守るべく、穂が出揃った田んぼの上を飛び回っている。前田町は、私の地
元の音羽町よりも刈り取りが遅いので、たぶん、子どもが巣立つ頃までは子育てを邪魔されることはないだろう。時折、ケリが大きな声を上げるが
、繁殖開始の頃のような熱の入れようではない。かしましい鳥がいないので田んぼは静まりかえっている。それもまたいいものだ。あと2~3週間
もたてば、北で子育てを終えたノビタキの南下する姿を、ここ前田町でも見られるだろう。そうすると、辺りは一層秋が深まってきてあぜ道では真っ
赤なヒガンバナが咲いていることだろう。
西暦
月
日
メモ
2007
9
1
土曜探鳥会 室林道
子どもたちにとっては長い夏休みもあとわずかとなった。子どもたち4名と大人2名で室林道に向った。今までの暑さでは心配が先に立ってしまう
が今日は意外と爽やか。それを証明するように室林道の山々が、秋の空気を通して見られるあの透明感に染まっていた。だから日陰に入ると途
端に冷ややかに感じる。ヤマガラが木陰から飛び出し電線に止まった。さらに2羽、3羽と。電線に4羽のヤマガラの図が珍しかった。室林道への
最後の坂をあえぎながら登る。林道に入った途端に様々な小鳥の姿。メジロ、シジュウカラ、エナガは室林道ならでは。さらにビッグプレゼントが
あった。キビタキの綺麗なオスがサクラの木にとまっていたのである。緑の中にいると涼しいだけでなく気持ちが癒される。木陰でおやつを食べの
んびりする。
2007
9
2
室林道ラインセンサス
何度か採餌しながら移動する群れに出会うことが出来たので、観察個体数は何時になく多かった。最初はメジロの群れ。サクラの木に群がるメジ
ロを観察した。中には囀り個体もいた。その中にサンショウクイが含まれていたのには驚きもし嬉しくもあった。声がしたのでいることは分かってい
たが、近く見ることが出来幸運だった。昨日の探鳥会でキビタキを確認した。今日もまたオスの成鳥を見た。(場所は離れていた)カラ類ではシジ
ュウカラよりもヤマガラの方が多かった。セミではツクツクボウシとアブラゼミが多い。狭い範囲ではあるがミンミンゼミもいる。枝先を採餌場にして
いるセンダイムシクイも数羽以下の小さな群れをつくっている。越冬地に向う前に彼らは静かに餌をあさっているように見える。チョウも見ごろ。渡
りをするアサギマダラを初めて見ることができた。
2007
9
8
寺ノ入林道ラインセンサス
再び暑さが厳しくなりそうだからと、未だ太陽が昇らないうちに家を出発し三河湖に向った。朝靄の景色は何故か秋から冬を思わせるものだった。
7時にラインセンサスを開始。すぐに今日は沢山の鳥たちを見られると予感した。嬉しいことにヤマガラやシジュウカラなどのカラ類の声が多い。
やはり彼らは野山の鳥たちの中心だ。それにその他の鳥たちも加わってオーケストラを奏でてくれるのが一番だと思う。標高600メートルの地ら
しく、もうひとつとっておきのカラが演奏してくれた。一番高いパートを受け持つヒガラ。その清純なソプラノは誰にも真似できない。独奏者であり続
けたウグイスのオスたちは今は、ひっそりと伴奏パートの一部を受け持っている。その伴奏が好きだというバードウォッチャーもいる。やはり標高
を感じさせるものとして平地には晩秋に下りてくるカケスを忘れてはなるまい。彼らはこれから渡りの主役のひとつとなる。(2006年の伊良湖はカ
ケスの渡りで沸いた)下を見ても色の着いた花は少ない。(晩秋に咲くノギクは大好きであるが)しかし、ススキの穂が開いていたりして確実に秋
は近くなって来た。
2007
9
9
チャンピオンズ オン アイス 2007 SHIZUOKA
今年もチャンピオンズ オン アイス の日本公演が始まった。去年よりも2倍の公演。日本のファンの熱意が主催者をして、見込みのある市場と
思わせたのだろうか。最初のアイスショーが昨年のチャンピオンズ オン アイスであった。その後、精力的にアイスショーを見たが、世界的なショ
ーとの定評となっているこのアイスショーは何か一味二味も違っていた。スケーター意外にもエンターティナーが沢山いて、ここでは脇役ではある
が、自分のパフォーマンスを信じて演じているのがひしひしと感じられるのだ。今年は女性スケーターに待ちに待った人が出演した。太田由希奈
さん。彼女の美しいスケートにすっかり魅せられてしまった。日本人で太田さん以上のスケータは荒川さんしかいない。マダムバタフライを青い衣
装で美しく舞った。ジャンプで失敗したもののレイバックスピン(ビールマンも入れていた)、足が高く上がったスパイラル、荒川さんと同じ大きく反ら
せたイナバウアーなど素晴らしい本当に綺麗だ。男子では南里選手が初出演。初々しさが良かった。ランビエール選手への声援は凄い。ロメオと
ジュリエットをしっとりと演じた。荒川さんの1部の演目はマダムバタフライ。もう随分見た感じがする。スケータでリボン演技をするのは初めて。男
性なのにビールマンもできるほど体が柔らかいそうだ。人気が高いアクロバットスケート。困難な技をコミカルにやってしまう凄い2人だ。3組のペ
ア演技も見応えがあった。中国ペアの端正な美しさ、フランスぺアの大人の演技、全米チャンピオンの井上玲奈・ボルドウインペアもフレンズオン
アイスに続いて見た。荒川さんの2部目は曲目は分からなかったが、ゴールドの衣装には見覚えがあった。あのアヴェ・マリアの衣装であった。去
年のこのショーでは白い衣装でアヴェ・マリアを演じた。その時には白が似合うと感想を書いた。それは変わらないが、白い衣装の荒川さんを観
る機会が多かったので、このゴールドの衣装は初めてなだけに得した気分だ。
西暦
月
日
メモ
2007
9
13
茶臼山ラインセンサス
休みを取って茶臼山に行ってきた。7月以来。もう山は涼しくなっているだろうか。到着して30分ほどは雲の中。それが急に秋の晴天に変わるま
でにはほんの少しの時間があればよかった。頭上に広がる雲はまさに秋のものであった。ススキの穂が風に靡いている。気持ちいい! しっとり
とした景色に少し感傷的になろうとしていた気持ちを逆なでする出来事が、今日の茶臼山のハイライトである。能天気に明るい声と耳障りな声と
が茶臼山周回コースのおよそ半分を覆っていた。声の主は、言うまでもない、ソウシチョウ様である。帰化鳥の殆どは繁殖力旺盛でどんどん増え
続けている。まるで癌細胞。今日のソウシチョウは今までで一番多かった。赤い嘴がやたら目立ち、日本産野鳥に名を連ねていなくて良かった。
ソウシチョウの勢いに押されがちな日本産野鳥。そんな中で奮闘していたのが意外や意外。イカル殿であった。もともとアトリ科の鳥たちは群れを
よくつくる。イカルは30~50羽くらいで茶臼山の中腹を移動していた。あとは割りとひっそりしている鳥ばかりであった。けれども嬉しいことも。南
下中のエゾビタキを確認することが出来た。白とグレーのいたって地味な色合いの鳥ではあるが、私には秋の鳥としてなくてはならないものの一
つである。そんなに何時でも見られる鳥ではないので良かった。コースには地味ではあるがよく見ると可愛らしい花を付けた雑草。実を結ぶのを
待っているのは当の植物たちばかりではない。小鳥たちの大切な食料源でもあるのだ。早春、雪から顔を出した草の実を貪るハギマシコの姿は
何時までも忘れることはないだろう。長野県側に入った。雲が切れて景色が素晴らしい。鮮やかな緑がどこまでも広がっている。そしてその奥に
聳え立つ3000メートルの秀峰。平日で車も来ない。この景色を独り占め。罰が当るかな。
2007
9
15
土曜探鳥会 羽根・長根
子ども4名、大人2名とこじんまりとした探鳥会。羽根・長根の田んぼも稲刈りはとうに終え、いつの間にかヒガンバナが顔を出し、今の季節に最も
よく似合う青いツユクサの花も咲き乱れ、秋を待つ風情に変わってきた。萩小の近くにイカルが群れる大木があって、早朝には涼しげな声で囀り
をする。今日も、30羽以上の群れが校庭を横切って飛んでいった。田んぼにはスズメが群れ(今年の夏までの暫くの間スズメの群れを見ることは
なかった)、白いダイサギとチュウサギがのんびり餌をあさっている。群れの中にコサギの姿が見られなかったのも最近の傾向である。以前はコ
サギばかりでその他の白色のサギは数少なかった筈だが。自分よりも体の大きな鳥が増えれば厳しい状況になるだろう。山の小鳥のように林床
・樹木の中間・樹冠などのように採餌場所を分け合って暮らすことが出来れば、最も小型のコサギも同じ所に棲めるのであるが現状をみると難し
そうだ。そういえば、コサギと同じくらい小さいアマサギも10年ほど前には飛来する個体数がもっと多かった。東からの生暖かい風が時折真っ黒
な雲を運んでくる。とうとう雨脚に追いつかれてしまい、今年2度目の雨の中の探鳥会になるのを覚悟。しかし、歩いて火照った体を冷ましてくてあ
りがたいと思える程度のにわか雨であった。帰り道に1羽だけノビタキを見た。私にとってノビタキは秋の田んぼの風物詩。今年も会えて良かった
。
2007
9
16
室林道ラインセンサス
雨音で目が覚めた。かなり強い大粒の雨である。しばらくしたら明るくなってきたので、これは何がなんでも室林道にと出かけてきた訳である。直
ぐにでも降りそうな空模様。何時ものように腰に傘を差して歩き出す。しばらくは鳥の気配も無くて、ここまま最後まで行ってしまいそうで、本当に
心配した。ようやく、ウグイスの地鳴きが2声。キジバトの眠そうな声が聞こえた。それを合図のように、雨、そんなの関係ない、とばかりにいろい
ろな声がしてくる。メジロとエナガのかなり大きな群れに遭遇。その頃にはすっかり本降りとなって、傘を斜交いに構えて鳥たちの姿を観察する。
首から掛けた双眼鏡は防水タイプなので構わないが、手に持ったフィールドノートが濡れるのは困る。大切なノートだ。ツクツクボウシが最後の力
を振り絞って鳴く。
西暦
月
日
メモ
2007
9
22
プリンスアイスワールド 大津公演 2007.9.22
今年度の最後になるだろう、と思う、PIWの公演を観に、滋賀県大津市に行ってきた。初めてのPIW公演を見たのが2006年の大津でもあったの
で、自分にとってとても印象深い場所である。琵琶湖の畔に滋賀県アイスアリーナはある。正面には有名な比叡山、左手には大津プリンスホテル
がひときわ高く見える。去年と同様に、瀬田の駅から強い日差しの中を歩いた。地図を頼りにした去年とは違い、未だ記憶に残る町並みを見なが
ら進んでゆく。来年も再来年も歩いて行くのだろうか。4回目となるPIW公演。ストーリーはすっかり覚えてしまった。オープニングはいつもわくわく
する。八木沼リーダーがライトに照らされて銀盤を進む。フィギュアスケートならではのスピード感。これがたまらなく気持ちいい。本田・荒川ご両
名のコラボレーションもしっくりして荒川さんのいい。荒川さんのシャンプの美しさにはうっとりしてしまう。軸がまったくぶれないのだ。現役でもスパ
イラルであれだけ足が上がる選手は日本にはいない。凌ぐとしたらサーシャ・コーエンくらいだろう。オリンピックで有名になったY字スパイラルをさ
らにかっこよく決決めてくれた。本人も公言してはばからない、お客さんが「もういいよ」と言われても、私は、イナバウアーをやります。荒川さんが
大きく反るイナバウアーをやりだしたのは随分と昔なのだ。アメリカのショーでは解説者がゴージャスと言っていた。バレーの美しいポーズ集に入
りそうなイナバウアー。誰が見ても美しく感じるのだ。止める必要性はさらさらない。サラ・ブライトマンのIts A Beautiful Day も自分の目に馴染ん
できた。インターネットでサラのビデオを見た。荒川さんが青い布を靡かせて登場するのと同じシーンがあるのだ。COIで八木沼さんが、この演技
に対して、単に奇麗に失敗無く演じるという次元を超え、音楽を自分のものとしに消化した後に、どのような動き・表情をしたら良いのかを分かって
演技している。と言っていた。自分も同感である。彼女の表情には他の人には真似のできないものがあって、まるでブラックホールのように吸い込
まれそうになるのである。(男には危険かも)フィナーレが終ってまた荒川さんへのファンからのプレゼントが延々と続く。花束の90パーセントは荒
川さんへ。無理もないだろう。もしも、荒川さんが出演しないPIWだったら、と思うとぞーとする。皆それは分かっている。だから、十分体には気を
付けて欲しい。八木沼さんをはじめとして団員の頑張りにも拍手を送りたい。(アイスワールド友の会会員としても)ファンミーティングで親しく席を
同じにした人たちだ、もっと大きな拍手を贈ってあげてもいいはずだ。自分は手が痛くなるほど拍手した。荒川さんがリンクを時計と反対周りに、
花束を受け取り、握手をする。二人の会話。「美しかったです」「ありがとうございます」。午後の公演のこともある。しかし、彼女は決してファンとの
交流を蔑ろにはしない。一度幕に消えかけた、一人だけ花束を渡せなかった人を見つけた彼女は、幕を再び開けてもらい受け取りにリンクに現れ
たのであった。大きな拍手、その人は、一生の思い出になっただろうし、生涯、荒川静香のファンであり続けるだろうと思った。
You Raise Me Up あなたの支えがあったから今の私がある 荒川さんは、あの感動的な演技に勝る美しい心で今を生きているのだな。引き込
まれる魅力は、単なる演技・表情ではないのだな。
2007
9
23
室林道ラインセンサス
時折霧のような雨粒が落ちてきた。カメラを持っていたので心配したが、徐々に明るくなって、それに連れ野鳥たちの鳴き声も活発になっていく。
その中でもヒヨドリが一番であった。もともとこの鳥はうるさい。「少し静かにしたら」と思うことは少なくない。「随分なことを言うじゃないか」「でも、
君が静かにしていてくれたら、引っ込み思案な小鳥達の会話を聞くことができるんだ」ツクツクボウシが最後の鳴き声を聞かせてくれている。どこ
から来たのか、ヒガンバナが咲いている。(墓場に咲くといわれ、山にあっても不思議ではないが)緑の中に朱色の花、凄い感じがした。
2007
9
23
羽根・長根の田んぼ
室林道から下りてきてそのまま羽根・長根に向う。先週から姿を見せたノビタキがどのくらいいるのか。稲穂が姿を消した途端、田んぼは野鳥で
ごった返していた。セグロセキレイのオス達が追い掛け回しっこ、ケリも大きな声を上げ、近くの鳥を片っ端から追い払う。本当に活気に満ちてい
る。ムクドリが50羽ほど、塊になって飛んでいたと思えば直ぐに電線に止まり、田んぼに下りて餌をあさる。そのサイクルを頻繁に繰り返す。「もう
少し落ち着いたらどう」。急に足元から鳥の群れが飛立った。尖った羽、長い嘴、どう見てもシギの仲間である。シギは苦手だ。とりあえずタシギか
オオジシギと記録。南下個体なのだろうか。そして本命のノビタキ。数はそれほど多くは無いが確かにいた。常々思うことであるが、タカなどの渡り
は多くの人に注目され、マスコミも取り上げるが、今目の前にいる小鳥たちは同じ様に大変な旅をしているのに、注目もされないし、見向きもされ
ない。当のノビタキは意に介さないかもしれないが、それではあまりに不公平である。
西暦
月
日
メモ
2007
9
27
茶臼山ラインセンサス
休みを取って茶臼山に出かけた。3時50分にセットしたケータイがサンサーンスの白鳥を奏でる。茶臼山で出会う鳥はなにかな。2時間余りかけ
駐車場に降り立つと、出迎えてくれたのはヒガラの歌声であった。澄んだ声でツーピー・ツーピーと囀る。そういえば今日は囀り個体が多かった。
その隣の梢では無言の鳥が、それも3箇所で。これこそ今日の主役。秋の始まりとともに南下を開始したエゾビタキである。我が音羽町でも見ら
れる鳥ではあるが、田んぼで見られるノビタキの方が出会える可能性は高い。しかし、ここ茶臼山では、時期さえ間違わなければ間違いなく大量
のエゾビタキに逢えるのだ。どうやら今日はそんな運の良い日のようだ。紅葉にはまだ早いけれども、道端には秋の草花が咲きそろっていてセン
サスを一層楽しいものにしてくれる。正式な名前はしらないがいろんなノギクの花が咲いていた。昔からとりわけ秋のノギクが好きであった。ウグ
イスの地鳴き、モズの高鳴き、ノスリの少し悲しげな声。皆、秋の落ち着いた風景にピッタリ合っている。しかし今日も、あのソウシチョウの明るい
声が茶臼山一帯を覆っていた。360度どの方向からでもその声が聞こえるのである。一網打尽にして、本来の場所に送り返してやりたい。エゾビ
タキはヒタキ科共通の特徴であるフライングキャッチ方式の採餌を行なうため、森の中よりも開けた空間があった方が都合がよい。森の周辺部に
多いともいえる。従って、道路に沿ってセンサスするやり方(ラインセンサス)で見つける可能性が高い鳥なのである。事実、まばらに立っている樹
木の2つ置きか3つ置きに、エゾビタキが止まっているのだ。エゾビタキに対してノビタキは地上性のツグミ科の鳥である。地面近くで採餌している
ので姿は見つけやすい。この日も数羽ほど見つけた。時に、2種類の鳥が同時に見えたりもする。そこで興味深いことに気付いた。どちらの鳥が
観察者を近くまで寄らせるか?。エゾビタキの方が近くまで寄っても逃げないのだ。ノビタキはかなり警戒心が強そうだ。身近な鳥では、スズメや
ホオジロは警戒心が強い。エナガやメジロは弱い。地上性の方が強いのか?。樹上性の鳥は地上からの攻撃に対する構えは不要だ。人も含め
地上で活動する捕食者への警戒心が、地上性のノビタキの方がより高いのは、説明が付きそうな気がする。茶臼湖で小さな真っ赤に染まったト
ンボを見た。大きさを測ろうと、止まっていた杭の上にフィールドノートの物差しを印刷したページを開いて置いた。一度逃げたトンボがノートの上
に降りるまでに時間は掛からなかった。お陰で大きさがバッチリ分かる写真を撮ることができた。
2007
9
29
室林道ラインセンサス
雨が降っていたがそれほ強くもなく、秋の南下個体に出会うのを楽しみに室林道に出かけた。秋らしくしとしと降る雨で苦にならなかった。暫くは
鳥の声も少なく歩を進めるばかり。呟くように、メジロ、ヒヨドリの声がする。林道の側で何やら動くもの。ニホンザルの群れである。さらには、ニホ
ンジカが短く鋭い声を発した。サルには驚かないがシカは緊張する。万が一突撃されたらひとたまりもないからだ。このシカは早々に飛び去ってく
れた。車が来た。色と型で持ち主は直ぐに分かった。師匠の山口さんだ。開口一発。3羽のアカショウビンがいたとのこと。一羽は落鳥で萩小で見
られるとのこと。(剥製になって)自分も今年になって同鳥の声を聞いているので、繁殖しているのだろうかと思った。話題は鳥以外にも及ぶ。公民
館活動で、ひょうたん作り、竹馬作りを教えているとのこと。毎度ながら師匠の観察眼には敬服し分かれる。子どもたちが楽しみにしている運動会
、この雨では今日は中止かな。
2007
10
2
前田町ラインセンサス
前田町の田んぼのニビタキの南下個体を見たくて、久しぶりに田んぼ道を歩いた。駐車場が出来、道路の拡張工事が行なわれているため、3ヶ
月ほど前から朝の散歩コースを変えていた。田んぼの稲は黄色を増し直ぐにでも刈り入れが出来そうであった。今前田町を支配しているのは小
さな猛禽モズたち。威嚇するような声と姿勢に周りのスズメたちは油断できない様子。タカやハヤブサならば無理もないが自分とそんなに違わな
い大きさのモズ。そうビクビクしなくてもと思う。ノビタキはそんなに簡単には見つからなかった。センサスの後半残り少ない所で2羽だけ見つける
ことができた。稲が刈り取られるのと、ノビタキが通過するのとどちらが早いだろうか。最後の最後に思いがけない声が。カワセミの「ツゥイー」と鳴
く声が国道の近くで聞こえた。
2007
10
6
自宅周辺
コスモス、百日草、ヒガンバナ、我家から眺めて楽しめる秋の花々である。それと、モズやスズメが賑やかに鳴いている。モズは、目立つところな
らどこでも良いとばかりに、あちこちの天辺で、尾羽をくるくる回しながらあの高鳴きを繰り返す。回す方向?。それは?。今度、しっかり見ておき
ます。スズメは、昨年の不作が嘘のように個体数が多い。今年の初夏山口さんが、「観音山で約1000羽のスズメを見た」と言われた後から、徐
々に見られる個体数が増えていった気がする。そして今は、繁みや木立にスズメが鈴なりになっていると言うと大げさかもしれないが、相当に多
いことは確かである。田んぼではセキレイ科が主役。セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイはもちろん、山から下りて来たビンズイの姿もそろ
そろ見かけるようになった。観音山への道を歩いてみたが、羽根・長根の田んぼのようにノビタキの南下個体には出会うことはなかった。似たよう
な場所なのに何かが違うのだろう。
西暦
月
日
メモ
2007
10
6
室林道ラインセンサス
ウグイス、ヤマガラ、シジュウカラなど主力メンバーが揃って多数確認できた。天気予報どおり徐々に晴れ間が広がり始めると、野鳥たちも気持ち
良さそうに鳴きだした。ホオジロが囀りを始めた。秋に入ると春ほどではないにしても、なぜか囀り個体が増える。その他の鳥で秋にも囀りをする
のはイカルくらいだろう。中でもウグイスの地鳴きが多かった。囀りとは一味違う趣があり私は嫌いではない。エゾビタキなどの南下個体も期待し
たが見つからなかった。それども、カケスの声を聞くなど秋に向けて着々と時間は進んでいることを感じさせる一日であった。
2007
10
6
羽根・長根の田んぼ
ここもセキレイたちが多い。それに、ヒバリ、ケリ、ムクドリたちが加わる。田んぼの鳥を見るには最適な場所だ。場所取りでもめる場面に頻繁に
出くわす。特に、セグロセキレイの追いかけっこは見ていても面白い。ヒバリも群れになって田んぼの上を旋回するようになった。スズメは相変わ
らず多い。あまり多いと餌が不足することもあるのでは。はたしてどのようになるのか。ノビタキの個体数ははっきりと増加していた。日本列島を大
移動中。明日はノビタキを追ってみようと思う。
2007
10
7
寺ノ入林道ラインセンサス
前田町から国道301号線を経由して寺ノ入林道に入る。三河湖畔では釣りやドライブを楽しむ人々に出会い、車の通りが少なくなると寺ノ入林道
もすぐ近く。林道は静かさに包まれていた。雨の日が多かったので沢音だけははっきり聞こえてくる。着いた時間が正午近かったので野鳥の声も
まばら。「カサッ」と音のする方を見れば、地表には一杯ヤマグリの毬が転がっている。毬の落ちる音だったのだ。アキノキリンソウやミズヒキ、ノ
ギクが道端を飾る。薄紫や黄色の色が多いのも秋の特徴か。そして嬉しいのはたわわに実ったアケビ。沢山あるので少しくらい頂いてもいいだろ
う。静かな林道にこれまた静かにヤマガラの地鳴きが響く。低く気持ちを落ち着かせてくれるような響きだ。(正反対なのが繁殖時の、様々な野鳥
の囀りであろう)実際に今日の寺ノ入林道はヤマガラが多かった。ライバルのシジュウカラはこの時期、どこに消えてしまったのかと思うほどに個
体数が少ない。ウグイスの地鳴きもいいものだ。昔のひとはこれを笹鳴きと称し愛でたのだった。地鳴きは一年中聞かれるはず。しかし、秋から
冬にかけて聞くのが一番だと私は信じている。微妙にウグイスの地鳴きとは違って聞こえるのがヤブサメ。囀りは全く違うのに地鳴きは似ている
のが面白い。番相手を間違えないためと説明している本もあるがはたして。センサスの折り返し点で休んでいた。目の前の実の成った木と道路を
隔てたアカマツの間とを、数羽のヤマガラが、何回も何回も往復していた。実を咥えては運んでいるのだ。一心不乱というのがピッタリだ。冬に向
かって蓄えをする、そんな答えを直ぐにしそうだが、あまりにもすばやく往復するので、どんな所に隠しているのだろうか、と思ったりもした。
2007
10
7
新城市作手
寺ノ入林道から次に訪れたのは作手の田原(たばら)。もっとも場所的には帰りに少しだけ寄り道しただけの所である。朝訪れた豊田市前田町の
直ぐ脇を流れる矢作川の支流、巴川の最上流部に位置する。その巴川の堤防に車を止め、近くの商店で買った菓子パンをかじりで遅めの昼食を
とっている。すでに田原の田んぼでもノビタキの姿を見つけていたので、自然と浮き浮きした気分になる。それに標高500メートルの作手。爽やか
な気分になるのは当然であった。川沿いに暫く歩いてみた。そこで、自分としてのノビタキのイメージを覆すような光景を見つけた。数羽のノビタキ
が川の中の葦で採餌していたのだ。ノビタキは田んぼの鳥のイメージが強いのでこれは新鮮であった。しかし、よくよく考えてみると、2週間ほど
前に茶臼山で、エゾビタキと共にノビタキの南下個体を見つけているのだ。飛べる鳥類にとって、通れないコースなんて無いのだと思った。
2007
10
7
前田町
収穫の秋、コンバインが次々と稲を刈り取っている。車を道路わきに止め、まずは周りの様子を見る。ケリが大きな声を上げている。休耕田の脇
でノビタキがいた。さて前田町のノビタキはどうかな。いるいる。田んぼの中の竹ざおや、今では珍しいはざの上にとまっている。羽をバタつかせ
る姿はノビタキ独特なもので、見渡す田んぼのあちこちでその姿を見つけると、こちらも思わず顔がほころんでしまう。2本ある水路の一つ沿いに
歩を進める。すると水面30センチの低空飛行でカワセミが、凄いスピードで目の前を通過していった。
西暦
月
日
メモ
2007
10
13
伊良湖岬
キャベツ畑が広がる道を一路伊良湖へとバスは進む。補助席を使うほど参加者は多い。子ども13名、大人8名。いつもながら恋路が浜の駐車場
には、大きなカメラを構えた人たちが東の空を見つめ、主役のサシバの登場を今かと待っている。結果、サシバはすでに大多数が渡り終えていた
。去年と一緒だ。しかし、もすごく印象に残る形で出現したのだ。数はたった12羽。けれども隊形が奇麗だ。ありきたりな横一列だったらこれほど
感動はしていない。yの文字が空にくっきりと描かれていた。まるでアクロバット飛行。期待を裏切らないのはヒヨドリ。ビューホテルから伊良湖灯
台へ塊になって飛ぶ姿、伊良湖灯台から伊勢湾へと果敢にアタックする姿、心打つものがある。後半は恋路が浜で磯遊び。どんどんと青空が広
がり、明るい光に包まれ、輝く波で心行くまで遊んだ。
2007
10
14
室林道ラインセンサス
すっかり秋らしくなった室林道をサクラの落ち葉を踏みしめて歩いた。いつの間にかカケスが増えていた。あちこちからあのだみ声がする。それと
小鳥たちが群れをつくる。今日もエナガの群れを見つけた。最初はヤマガラやシジュウカラも加わった約30羽ほどの混群。そして再びエナガとメ
ジロの群れが出現した。繁殖時期には囀りという特別な行動がある。夏は子育て。そして秋から冬にかけては、混群、群れ行動。それらは採餌効
率を上げる方法として進化してきたのだと思う。1羽の個体が探すよりも大勢の個体で探したほうがより多くの餌を見つけられる。見つけた餌は皆
で食べるので分け合わなければならない。人の世界にも言えるようで面白い。混群さらに面白い。複数の種が共同して採餌をするのだ。室林道
ではシジュウカラ、ヤマガラ、エナガたちカラ類が中心となっている。群れに遭遇すると、まるでつむじ風のように鳴き声が聞こえ次から次へとやっ
て来る。それはかなりの迫力で何度出会っても感動的。まさに冬のバードウォチングの醍醐味だ。
2007
10
18
茶臼山ラインセンサス
休みを取って茶臼山に出かけた。ほぼ一ヶ月ぶりである。ハギやノギクは散り、黄色く色付いた木の葉が目立ち始めた。到着した時の気温は3度
。眠気を振り払うには適当な寒さであった。センサスのコースの途中で茶臼山の弟分の萩太郎山に登った。スキー場のゲレンデはこの萩太郎に
ある。平日なのでリフトは運転していない。(たとえ運転していても使わないが)坂道を難なく登れるのは嬉しいことだ。緑色のゲレンデではハシブ
トガラスが思い思いに餌を探している。ここも12月に入れば人工降雪機によって白く化粧が施されることだろう。南アルプスは雲の中で残念では
あるが、向かいに茶臼山、さらに奥には恵那や蛇峠山が聳え素晴らしい風景である。茶臼と萩太郎との鞍部をヒヨドリの群れが移動して行く姿を
見下ろす。黄色く見える群れはカワラヒワである。そうだ! 今日は冬鳥の群れを探さなくては。山頂付近にシバザクラを植えて養生していた。私
としたら人の手を加えないのが一番だと思うが、それでは遊びに来た人々を満足させられないのか。地元の人たちにとっては観光は大切な収入
源なので仕方がない。山頂でコガラが採餌しなから移動していた。ベレー帽を被ったような姿はカラ類の中では一番可愛らしく見え私は気に入っ
ている。また、頑なに山を下りない姿勢も悪くない。写真におさめた姿を見ると胸の羽は温かそうに覆っている。自然は来るべき冬への備えは怠
らない。長い道草をしてセンサスを進める。今度はマヒワの群れに遭遇した。カワラヒワとは鳴き声で区別できるし、個体の色合いも幾分違う。今
年になって南下したマヒワを見たのは今日が初めてだ。これは「いよいよ冬鳥たちがやってきたな」と思わせるのに十分な出来事であった。ところ
がまだまだ続くのである。マヒワの群れと競い合うかのように別の群れ。こちらのほうが大きい体。これはもうあれだろうと想像を巡らす。候補はい
くつかある。シメ? アトリ? ウソ? もしかしたらハギマシコ? どこかに下りてくれたら分かるのに。けれども意地悪な彼らは私の願いを無視。
センサスの間はとうとう同定出来なかった。癪なのでセンサスを終えてから車で再び彼らを追う。群れはバラけていて、数羽が潅木に降り立つの
を見逃さなかったのは上出来であった。10倍の双眼鏡で十分な距離であったのが幸運であった。繁みの中から顔を出したのは自らの名が科に
冠される栄誉に与かったアトリであった。もうこれで十分。満ち足りた気持ちで山を下った。
西暦
月
日
メモ
2007
10
20
土曜探鳥会 羽根・長根
素晴らしい秋晴れの中、子ども5人、大人3人、メス犬1匹の珍道中、いや、ワン道中となった。それにしても、前日にたっぷり降ってくれたので朝
から霧が立ち込め、それが太陽が昇るにつれどんどん消えてゆき、探鳥会が始まる時は日本晴れとなった。気持ちよいそよ風。初参加のメス犬
のさくらはコーギー種。さくらは先生の愛犬で、先生はイヌのデザインのTシャツを作るほどの愛犬家である。小さな子はさくらを引いて歩きたくて
仕方ない。山陰川でカワセミ。「カワセミを見つけた!」いつもなら「どこどこ」とくるところであるが、今日は違った。「こちらにもカワセミがいる!」何
と2ヶ所でカワセミが2羽いたのだ。少なくとも探鳥会では初めてである。先生は、「萩小にいた時はカワセミには一度も出合ってんませんでした」「
今日は本当に嬉しい」と仰っておられた。1.5キロメートル先に長根川が流れていて、そこでいつも一休みしている。お茶を飲み、お菓子を頬張り
、今日はさくらもいて楽しみが倍増。ここで引き返してもよいが、もう少し欲張ってみよう。「オシドリを見に行こう!」農業用ため池の「新堤池」には
オシドリが飛来してくる。アケビが誘惑する池のほとりから中を覗くと「いたいた!」オシドリのオスとメスが水面を滑っている。「もうやってきたんだ
!」子どもたちはアケビを採るのに一生懸命。上品な紫色の実が手の中に一杯。やぶ蚊に刺されるくらい我慢しなくては。池から上がってさらに
驚きの光景に出会った。オシドリが12羽編隊を組んで飛んでいたのだ。双眼鏡で見ると確かにオシドリである。おもちゃのようなあのオシドリが猛
スピードで飛んでいるのだ。子どもたちには新鮮な驚きであった。羽根・長根の田んぼでは南下中のノビタキ2羽を観察することも出来た。こんな
に野鳥を見られたのもさくらのお陰。「また来てね さくら」
2007
10
27
平尾
雨が降っていたが心地良い野鳥観察ができた。場所は平尾CC周辺で我家からも比較的近い所に位置する。全体が南斜面で冬の日差しが暖か
く、冬鳥の観察に適している。ミヤマホオジロという私にとっては非常にまれな鳥を確認したのも平尾であった。ゴルフコースを横に見ながら進む。
3つの池があるが(奇麗な水ではない)最上部の池でカワセミを見た。この池はカワセミがよくいて、土曜探鳥会でも、子どもたちに人気のある場
所だ。隣の、駒場池にも寄る。湖面に点々といるのはマガモである。はるばる大陸から渡って来た姿。およそ50羽ほど。さらに数を増してゆくこと
だろう。真冬になると、室林道よりも鳥の姿が多くなる平尾。忘れてはならないフィールドである。
2007
10
28
室林道ラインセンサス
秋が深まる室林道をセンサスした。秋の空にサクラの紅葉がきれいだ。ホオジロの囀り個体が多かった。さらにヒヨドリやメジロたち。野鳥たちにと
っても気持ちのよい天気なのだろう。実に沢山の姿を見、鳴き声を聞くことができた。クロジらしい声を聞いた。そろそろやって来る頃だ。ヒガラに
注目もしたが、今日は確認できなかった。日陰と日当のコントラストが強い。そんな中で面白いものを見つけた。クモの巣である。光線の加減で虹
色が出てまるでCDのよう。または漆黒の空に浮かぶ小宇宙のようだ。大小の巣が寄りそっていた。天空の銀河にも似た姿があったように記憶し
ている。
2007
10
28
羽根・長根
室林道からさらに歩き続けた。山から下りて羽根・長根の田んぼ地帯に入った。モズやホオジロが鳴いている。田んぼでは(季節外れの)オスのヒ
バリがパフォーマンスを見せてくれる。一応囀りながら空に浮かんでいるが、繁殖時期のような真剣さはなさそうで、時間もごく短いものだ。地上
にはセキレイの仲間とともにノビタキの南下個体が、採餌に勤しんでいた。5、6羽ほどいただろうか。さらに田んぼから室林道に向けて歩く。そろ
そろ額に汗が滲んできた。しかし、真っ青の空を見ながら気分よく歩いた。
2007
11
3
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道からその足で寺ノ入林道へ向う。個人商店でパンとコロッケを買い昼食とする。山に行き食べ物を求める時、しばしばこのような地元の商
店を利用する。コンビニストアーを利用すれば種類も多いが、敢て不便を楽しんでいる。寺ノ入林道に着いたのは12時少し前。早速買ったパンと
コロッケを食べた。静かな日だ。それに少し寒い。寺ノ入林道は室林道よりも300以上標高が高いので季節も先を行っている。そこが寺ノ入林道
を大事なフィールドとしている所以である。林道には様々なコケが生えている。湧き水が多くコケの種類も多そうだ。今の時期で一番の花はリンド
ウだろう。湿った場所に群生している。高貴な紫色の花は眺めていて引き込まれそうだ。デジタルカメラで撮る。残念ながらその高貴な紫を再現で
きたことは一度も無い。ヒガラの囀りが聞こえた。さすがは寺ノ入林道。室林道ではヒガラの囀りを聞くことはまずあるまい。ミソサザイも確認でき
た。やがて室林道でもその声を聞くことだできるだろう。
西暦
月
日
メモ
2007
11
3
室林道ラインセンサス
朝夕の冷え込みが本格化し、ジョウビタキやアオジといった冬鳥が確認される季節となった。室林道もあちこちからジョウビタキの声が聞こえる。
偶然なのか、いずれも地味な色合いのメスであった。平地の民家ではオスを見ることのほうが多いのに。両方で帳尻があっているのかも知れな
い。(理由は全く検討がつかない)アオジも姿は見なかったが地鳴きを聞く。緑と黄色の奇麗な小鳥だ。前者以外の冬鳥にも(たとえばヒガラ)気を
付けて見ていたが確認できなかった。その代わりにごく普通の野鳥はやはり多い。ヒヨドリは寒さと共に山を下りるが、その時期はもう少し先。ヤ
マガラ、シジュウカラ、エナガは混群を作ることで室林道の主役の地位を得る。センサス中で観察する最高のパフォーマンスといってよい。雲間が
切れセンサスが終る頃に明るい日差しが戻った。黄色や薄紫色のキク科の花が林道に彩を添える。野草の中でも秋のノギクが一番好きだ。
2007
11
10
羽根・長根ラインセンサス
春でもないのにヒバリが浮かびながら囀っている。春ではない証拠は澄んだ青空だ。昨夜まで降っていた雨も上がり雲がどんどん切れ、足元の
草にへばり付いた水玉が宝石のように輝いた。思わずレンズを向ける。セキレイたちが縦横無尽に飛び回る。セグロセキレイのオスが小競り合
い。キセキレイは大人しい。いつもセグロセキレイにチョッカイをされる。逃げるが勝ちとばかりに飛びされのが常だ。冬になると群れる鳥たちがい
る。カワラヒワがその代表である。今日も、30羽ほどの群れが日の光に輝いて飛んでいた。
2007
11
10
御津海岸
水鳥を見たくなり御津海岸に出かけた。キラキラと輝く海。いいものだ。豊川の河口では海鳥が黒い筋となって海面に浮かんでいた。。スコープで
覗くと対岸の田原市が陽炎で揺れて見え、その手前の海面にはスズガモの大群が幾本もの筋を成していた。遠すぎて数は数えられない。近くで
はホシハジロもいた。その数十羽ほどの群れに一羽だけ形の違う鳥がいる。カンムリカイツブリであった。これは珍しい鳥を見たと喜んだ次第。颯
爽と飛び回っているのはカモメの類。大きなセグロカモメと小さなユリカモメ。波頭が飛び散るほどの北風の中でも飛んでいるカモメたち。野山の
小鳥たちには無い魅力が備わっている。
2007
11
11
室林道ラインセンサス
ヒヨドリの個体数が非常に多い。多いだけでなく活発な行動が目立つ。ヒヨドリが多いのはシイの木などの常緑照葉樹。林道を歩くとパリパリと音
がする。シイやクヌギなど大小様々な木の実を踏みつけた音である。ヒヨドリも冬に備えて木の実を採っているのだろう。冬鳥たちも徐々に充実し
てきた。ジョウビタキに続いて、シロハラ・クロジ・アオジの地鳴きが増えてきたし、センサスの後半では、美しいルリビタキのオスを確認できた。谷
の方からがさがさと音がした。一頭のニホンジカがピュと鋭い声を上げ去って行く。15日から狩猟が解禁になる。無事に春を迎えられるか。
2007
11
15
金沢大池
茶臼山の帰りに金沢大池に寄ってみた。どんな種類の水鳥が見られるだろうか。まさかツグミはいないだろうが。いろいろ想像しながら豊川の橋
を渡り里山風景の広がる金沢に向う。秋の日のつるべ落としと言うではないか。感じとしては夕暮れ。大池に浮かぶマガモやキンクロハジロも黄
金色に輝く。ハシビロガモ、カルガモ、オカヨシガモも見られる。太陽を背にした水鳥たちがとても神々しく見えた。池のほとりでメスのベニマシコを
見た。先ほど茶臼山で群れになっていたベニマシコ。既に平地にもやって来ていたのだ。この分だとツグミもいるかな。淡い期待が沸いてきた。し
かし姿を見つけることは無かった。代わりにと言ったら当人に悪いが3羽のシメを発見。ここはシメの多い所なのだ。もう半月したら再び訪れてみ
よう。きっとツグミに逢えるだろう。
2007
11
15
茶臼山ラインセンサス
黄色く染まった奥三河の山々を縫って茶臼山に到着した。山頂付近は既に冬の様相。それでもカラマツの黄色やドウダンの赤が彩りを添える。歩
けば暖かくなるものの指先だけは冷えたまま。手袋を持参してきて正解だった。牧場を中心にハシブトガラスがやたら多い。彼らの生命力の強さ
には脱帽だ。それに匹敵するのが外来種であるソウシチョウ。秋も終ろうと言うのに明るい声で囀っている。声はすれども姿は見せない。クマザ
サなどが生えている風が当らない場所を選んで過ごしているようだ。冬の鳥を期待してやって来たのでソウシチョウでもあるまいと、あまり真剣に
は探さなかった。その冬鳥であるがまずまずの成果。マヒワ、カヤクグリ、ベニマシコ、カシラダカ、ルリビタキとほぼ予想した鳥は全て見られた。(
といいたい所ではあるが、ツグミは駄目であった)空は雲ひとつ無いのに残念ながら南アルプスは霞んでいる。余り欲張るのは良くないか。茶臼
山で見られた鳥たちもやがて平地に下りてきて、冬のバードウオッチングを充実したものにしてくれるだろう。
西暦
月
日
メモ
2007
11
18
我家周辺
北西の風に乗ってどんどんと雲が流れる。寒い日になりそうだ。近くを流れる山陰川に沿って歩いてゆく。早々に2個体のオスのジョウビタキを見
る。1羽は我家も縄張りに入れている個体だ。田んぼではハクセキレイが採餌中。藪からはホオジロやアオジの声が聞かれる。下りは川沿いに歩
く。2つの流れが合流している地点でカワセミを確認。オスの成鳥のようだ。この付近ではよく見かけるのでウオッチポイントといっていいだろう。さ
らに下って再びカワセミ発見。むろん先の個体とは別。観音山から流れ出て山陰川に注ぐ川沿いに進むと、カワラヒワの群れが田んぼから飛立
った。およそ20羽くらいだろうか。天気が良ければ黄色い羽が美しいのに。さらに進むと別の群れが飛立つ。黒っぽい姿はあれしかない。鳴き声
からも、この秋初めてのタヒバリであることを確認した。澄んだ地鳴きを聞くのも8ヶ月ぶり。冬鳥の代表のひとつがとうとうやって来たわけだ。あと
は大本命のツグミを待つのみ。再び山陰川でカワセミを発見。2度目にみた個体である。一度川面にダイビングをした後飛び去っていった。
2007
11
24
室林道ラインセンサス
暖かな日差しがサクラの枝越しに降り注ぐ。きらりと七色に輝くものが目に入った。それは林道をゆっくり歩いていた小さな甲虫であった。思わず
顔を地べたに擦りつけて眺めた。彼は、迷惑そうな様子で立ち止まる。樹上ではエナガが混群の先頭に立って採餌する姿。「ジュリリ・ジュリリ」エ
ナガに続くのはシジュウカラやヤマガラたち、ワンテンポ遅れてコゲラの愛嬌ある姿が後を追う。今日は、さらに素晴らしい小鳥が付き添っていた
。室林道では冬にならないとやって来ないあのヒガラである。三河湖や茶臼山で澄んだ囀りを聞かせてくれる。一番小さなカラ類。今年も室林道
にやって来た。姿を見たのは3羽ほどであったが、声だけの個体数も多く、ここ数年ほどは安定してかなりの個体数が来ているものと推測する。
陽気に誘われてのかヤマカガシが落ち葉を縫ってゆっくり進んでいた。こちらは甲虫のように顔を見つめあう訳にはいかない。
2007
12
2
土曜探鳥会 駒場池
私の地元、音羽町は、今がもっとも紅葉が見事なのでは。真っ赤な色の木は少ないが、オレンジ色、黄色、音羽って結構落葉樹が多いんだ、と感
心する。御津の海岸へカモを見に行くことにしていたが、都合で、隣の町にある駒場池に変更した。以前の探鳥会では何度か行ったことがあり、
今の季節には、マガモを初めとする水鳥が羽を休めているはずである。上手くすれば、奇麗な羽のオシドリも見られる。参加は子ども2名、大人2
名。牧野さんのハイブリッドカーで現地へ直行する。池の周りの木々も奇麗に色付いて、波もなく静かな湖面がまるで絵のようだ。車を止め、鳥た
ちを脅さないように静かに歩く。それでも、彼らは我々の気配を察知して、ゆっくりと遠くに離れていくのである。そして、何かのきっかけが引き金と
なって、羽音(湖面を叩く)がすると同時に十数羽の水鳥が飛立ってしまう。マガモやオシドリはその場から離陸できる。海に多いキンクロハジロ(
今日も3羽見つけた)は、湖面を足で蹴って助走をしてからでないと離陸できないのだ。その代わり、前者は潜れないが、後者は潜り見事に魚を
捕らえることができる。ここは昔からマガモの個体数が最も多い。それに続くのがカルガモとオシドリなのだ。ここでは無論、オシドリで有名になっ
た田峰のように、餌を与えたりしてはいない。ゆっくりと湖面をオシドリのつがいが進んでゆく。2羽、4羽、8羽と次第に数を増してゆく。いたいた。
子どもも大人もその奇麗な姿に大喜び。それも、こんなに沢山な群れを見るのは初めてなのだから。低学年の子は歯医者さんと探鳥会とが重な
ってしまった。それでも彼は、鳥を見てから医者さんに行くときかなかったそうだ。オシドリを見られて本当に良かった。カモ類以外にも小鳥たちは
沢山いる。ヒヨドリ、メジロは言うに及ばず、ウグイス、ジョウビタキ(もしくはルリビタキ)、それに水辺に多い、セキレイの仲間たちを見つけた。そ
んなんかに珍しい鳥も。尾を振る姿や羽の色がセキレイにも似てるが嘴の長さは明らかに長いイソシギが、一羽セキレイと一緒に餌をついばん
でいた。たしか少し前に、数羽のシロチドリもいたはずなので、シギ・チドリの越冬地として駒場池を紹介してよいかもしれない。やがてお父さんが
迎えにきた。その子は嫌がる顔もせず歯医者さんに行った。
西暦
月
日
メモ
2007
12
3
琵琶湖
休みを取って琵琶湖に来たのはよかったが生憎の雨模様。残念至極と道中はあまり嬉しくなかった。ただ運転には気を付けなければ。伊吹山も
雲の中だしさっぱりであった。湖岸道路を北に進める。目指すは水鳥センター。その前に早崎ビオトープにも寄らなくては。半分諦め気分であった
が、ビオトープ敷地内で白い点々を車中から確認。これで少し気持ちが落ち着いてきた。まずはコハクチョウに逢えることができる。雨はやむ気配
はないので傘を差しながらの観察となった。「結構いるじゃん」「いるならば琵琶湖の湖面よりも間近に見られるこちらの方が好い」まったくもって現
金なものだ、先ほどまでの落ち込み様が嘘のようだ。成鳥に混じって灰色の幼鳥もいる。長い首を羽の下に潜らせたものや、すっくと立てたもの、
美しい姿を見られて遥々雨の中をやって来た甲斐があるというものだ
。一緒にいるマガモたちは私が移動すると一斉に飛立ってにげてゆく。しかし、コハクチョウたちは全く動じることなく悠々としている。さしずめ女王
の貫禄といったところか。コハクチョウと並ぶもう一方の雄がガンの中でも最大級のオオヒシクイである。こちらは野鳥センターの少し手前で岸に
上がっている姿を見ることができた。およそ50羽くらい。湖面に浮かんでいる個体もいるので70羽は越すだろう。周りのカモたちの2倍ほどもあ
るド迫力は、コハクチョウにはない凄さがある。ヒシの実を好物にしているとことからこの名がついた。さらに琵琶湖のは亜種のオオヒシクイである
。やれやれ「雨の中でも来てよかった~」。野鳥センターの前にはいなかったので悪いけれど寄るのはやめにする。少しばかり寒い日であったが
頑張って行って良かった。
2007
12
9
室林道ラインセンサス
久しぶりに鼻かぜをひいた。そんなに寒さが厳しくないのは有難い。それでも室林道へは念のために昨日ホームセンターで買い求めたウインドブ
レーカーを着込んで行った。林道には日に日に落ち葉が積もっている。「カサッ」と乾いた音を立てて落ち葉は地上に舞い落ちる。冬の山道は明
るくて気持ちがいい。そしてバードウォッチングも冬が一番だと思っている。餌の乏しい冬をいかに生き抜くかが野鳥にとって最大のことだと思った
からだ。冬を越さなくては子孫を残すことは叶わない。ハシブトガラスが送電線の鉄塔に止り大声で鳴いていた。声は大きいのであるが澄んだ声
なので耳障りな感じはまったくない。繁殖期への前触れなのだろうか。混群を期待していた。しかし、目の前を一瞬通過したのは、およそ30羽くら
いのイカルであった。イカルの群れは珍しくないが悪い気はしない。そういえば室林道に出かける前、自宅の隣のエノキに群がるイカルを見た。
室林道から平地に下り羽根・長根の田んぼに出かけてみた。北西の風が吹き抜ける何時もながらの景色である。日に透かして見る草紅葉が好き
である。全てが枯れているかのように見える中でも緑色を保っているロゼット状の草との対照が好きだ。車から降りることなく帰ってしまったのは
やはり風邪のせいか。
2007
12
15
土曜探鳥会 羽根・長根
大人3人と子どもが3人。初冬の柔らかな日差しの降り注ぐ田舎道をのんびりと歩いた。山の中腹までは落葉樹の樺色が最後の光を放っている。
地上には、あちこちでカキのオレンジ色が鮮やかに輝く。ひと塊の雲が太陽を隠す。一瞬にしてそれまでの輝きが消える。お天道様はありがたい
と思う。今日は空の上でのドラマが多かった。3種類のタカが見られた。最初はノスリ。萩小を出発してまもなく、校舎のある辺りから飛立って我々
のいる上を旋回しながら高度を上げていった。今日のコースは何時もと違う。幾度となく写真を撮った山陰川に架かる橋が取り壊されてしまったた
めに、少し回り道するコースに変更を余儀なくされたのだ。新しいコースで今度はハイタカを発見。羽ばたきや尾の形がノスリと違うのがよく分か
る。3羽目は羽根・長根の田んぼにいたチョウゲンボウ。若鳥のようである。我々の目の前で何度も地上に下りて餌を探す様子に子どもも大人も
大満足。実は探鳥会メンバーにもう一人(1匹)いた。サクラ(コーギー メス)である。初参加の時に探鳥会史上初の、カワセミ3個体確認という快
挙があった。サクラ効果と呼んでおこう。すでに3種類のタカ。これで十分なのに、さらに最後に盛り上がりがあったのだ。山陰川を渡っていたとき
カワセミが出現、その個体が10分近くもジッと魚を狙う場面に出会えたのだ。嘴がオレンジ色なのでメスである。体の向きを変えるとコバルトブル
ーの色が目に入ってきた。カワセミは揺れるタケの中でジッとしている。回りのことなど全く気にしていないようである。一度だけ川面にダイビング
をしたが獲物にはありつけなかった。そこにはカワセミだけでなくほかにも興味深い小鳥がいた。奇麗な黄色いお腹をしたアオジがチッチッと鳴き
ながら藪を移動していた。アオジはカラ松林で美しい囀りを聞かせてくれる漂鳥。冬季には平地で過ごす。恥ずかしがりで中々姿を見せないが運
よく見るアオジはかなり美しい。お昼近く厚い雲がやってきてみるみる辺りを暗くする。サクラに感謝して探鳥会を終えた。
西暦
月
日
メモ
2007
12
16
室林道ラインセンサス
昨日の探鳥会よりは寒さが厳しい。風もあって、冬の室林道の風物ともいえる送電線が奏でる重低音が絶え間なく聞こえる。ハシブトガラスが送
電線で鳴くのは何時ものこと。カラたちも採餌に勤しんでいる。冬鳥では、シロハラとミソサザイ、そして、ウソの声を聞いた。センサスの後半に今
の季節には似つかわしくない明るい声を聞く。ソウシチョウが囀っていたのだ。春から秋に掛けて茶臼山で何度も聞いたあの囀り。冬になり平地
に下りてきた。アオジなどは慎ましい地鳴きなのに対してソウシチョウの明るい能天気な歌声はなにか。12月に入ると毎年気になる鳥がいる。こ
げ茶色の渋い鳥、カヤクグリである。室林道からカヤクグリが見られなくなってもう5-6年は経つ。残念ながら今日も出逢うことはなかった。
2007
12
20
寺ノ入林道ラインセンサス
初冬の三河湖、殆どの雑木が葉を落とした明るい寺ノ入林道を歩いた。入り口でべニマシコを見る。さい先がいいと思った。初夏の囀りの季節と
比べると圧倒的に野鳥の声が低い。春に大声で歌っていたのがもぐもぐと呟いている。極めて省エネ的。むりもない。冬に入って虫も木の実も減
る一方なのだ。人間も見習わなければ。冬の山で聞く声でも特に印象的なのはカケスである。ジャー・ジャーと美声ではないが凄くインパクトがあ
る。寒さに負けまいとピンと張り詰めた気持ちにカケスが応えてくれているような気がしてならない。
2007
12
20
観音山
三河湖からの帰りに観音山に寄り道した。太陽は西に傾きかけ西面に開く観音山林道にも暖かい光が注ぐ。遠く三河湾が輝いていた。林道を歩
き始めてまもなく一羽のタカが飛立った。オオタカである。オオタカは見る見る高度を上げ、やがて山頂の向こう側に消えていった。ひそかに期待
していたのがカヤクグリとマヒワ。カヤクグリが室林道で見られなくなって久しい。その鳥が観音山では割と見ることができるのである。しかしそん
なに甘くはなかった。カヤクグリもマヒワもいなかった。山口さん(鳥の師匠)の言葉をかみしめる。「いなくても、いないことが分かることが大事な
んです」
2007
12
22
クリスマスオンアイス
昨年から始まったクリスマスオンアイス。そのアットホームな雰囲気が忘れられず今年も観に行った。昨年はティラミスも友情出演してくれた。今
年はどの娘が出るのかも楽しみとなった。オープニングで荒川さんは黒の衣装だったので、これはきっとフライミー・トゥーザムーンをやるのかなと
思った。スタートは青谷いずみさんらプリンスアイスワールドのメンバーが盛り上げる。ジュニアチャンピオンが活きのよい演技。ベテラン勢は日本
は本田・田村の長野オリンピックメンバー。外国勢はプルシェンコ・クーリックの金メダリスト。それぞれ貫禄ある演技ではあったが、田村岳斗の出
来がよかった。フレンズオンアイスでもそんな感じを受けたが、3回転の切れ味が素晴らしかった。女子は恩田さん・シェ-リー・ボーン・荒川さん。
シェーリーは初めて見るスケーター。荒川さんの金メダルに一役かったスケーターであることを知ってから一度見たかったので、出演者の名簿に
載っているのを見たときは嬉しかった。ジャンプはひとつもない。しかし見入ってしまうスケーターであった。低い姿勢からのスピン、ショートトラック
のコーナリングを見ているようだ。この人にしかない技である。恩田さんも頑張っている。独創的な演技だと思う。一度だけビールマンスピンを見
せた。自分は初めてみた。荒川さんは衣装を白に変えてイッアビューティフルデイズを演じた。ますます演技に磨きがかかっていた。他の誰よりも
輝いていた。製氷休憩の時に女性たちの会話が耳に入った。「荒川さんからのオーラが凄かった」。一人でニンマリ。後半の荒川さんはサンタクロ
ース姿でアイスワールドの男性メンバーと競演。コミカルな演技ですっかり楽しめた。最後、袖に下がった荒川さんが再びリンクへ。腕に抱かれて
いたのは茶色の姿。2女のティラミスであるのは直ぐに分かった。お姉さんと同じサンタの衣装が可愛らしい。フィナーレで荒川さんがこちらに近づ
いて前列のお客さんにプレゼントを渡した。そのときの顔といったら表現のしようが無いほど。今年最後の素晴らしいシーンを見られた。
2007
12
23
我家周辺
家の隣のクリ畑でヒッ・ヒッと鳴き声がする。2羽いるようだ。ジョビタキかな。その姿をみて驚いた。ルリビタキだった。2羽ともメスで、何故2羽もこ
こにいるのか不思議でならなかった。ジョウビタキご本人も現れた。彼は2羽の彼女たちに近づき背筋をピンと伸ばし挨拶をした。2種類のツグミ
科の止り方がよく分かった。ジョウビタキの方がより直立の姿勢なのだ。ルナをつれて散歩に。セグロセキレイやハクセキレイ、さらにビンズイにも
。とどめは屋根の上にいたイソヒヨドリ。彼はもうこの辺に棲みついている。青い背中と黄土色のおなかの美しい鳥である。
西暦
月
日
メモ
2007
12
28
羽根・長根の田んぼ
トラクタが起こした田んぼをセキレイたちが餌をあさりまわる。ハクセキレイ・セグロセキレイは直ぐに発見できるがタヒバリはそうはいかない。なに
しろ体色が田んぼの黒っぽい土色とそっくりなのだ。タヒバリの存在に気付かなくても向こうのほうで反応してくれる。近くの田んぼから一斉に飛び
立つのをカウントすればよい。群れは直ぐ近くに下り立ち何も無かったかのように採餌を開始する。電線がたわむほどにスズメが止っている。ポツ
ポツと大きく見えるのは大抵ムクドリである。風のない穏やかな日なので歩くのが気持ちいい。畦から花の姿は消えてしまったが、それでも全くの
枯れ野ではない。ロゼッタ状の鮮やかな緑も見られる。冬の田んぼを歩くのは嫌いではない。
2007
12
28
室林道ラインセンサス
傘をもって室林道をラインセンサスした。手に持った傘はフィールドノートや双眼鏡を雨から守るためかなりビッグサイズである。(ちなみに、職場
では私のが一番大きい)スタートしてまもなくウソを確認する。3羽(オス2羽・メス1羽)がサクラの花芽を啄ばんでいた。さらに4羽(オス3羽・メス
1羽)がすぐ近くにいる。採餌姿を確認できたのは今日が初めて。フィ、フィ、フィと優しく鳴く声も一年ぶりで懐かしい。放射冷却が無い分暖かな朝
で、室林道も真冬とは思えないほど。そのせいかハシブトガラスやヒヨドリが活発に鳴いている。一度だけエナガにシジュウカラが加わった混群に
出会う。ウグイスの地鳴きを大きくしたようなシロハラの声も聞かれた。シロハラはけたたましい声を上げることが常なのでウグイスと間違えること
は無い。ミソサザイは私が観察を始めた頃から気になる存在であった。特に、繁殖期ではない真冬の観察に興味を覚えた。それは、私の住んで
いる音羽町でも見られる事が理由でもある。ミソサザイの居そうな所を車で回った。お陰で地形を見て「何となく居そうだな」と感じることが出来る
ようになった。今日も1個体を確認する。センサス後半になってポツポツと降りだした。ようやく大きな傘の出番となった。
2007
12
31
室林道ラインセンサス
今年最後の観察はやはり室林道にした。2日前には雨がぱらつく室林道が一変して北風が吹き抜ける青空。室林道はもともと南に開けているの
で風をまともには受けない。だから野鳥の個体数も多いのだが。それでも真冬は厳しい環境のはずだ。ミソサザイが2個体、ウソ、シロハラ、ルリ
ビタキ、冬鳥の定番が勢揃いした。突然林道を横切るハト大の影。どこかに止ったようだ。若いヒノキの林にその姿があった。10倍の双眼鏡に移
ったのは間違いなくタカの姿。オオタカの仲間に間違いない。ハイタカかツミか残念ながら同定できなかった。後から図鑑で確認したもののはっき
りとはしなかった。どうもタカは苦手である。正月を迎える準備もある。センサスの帰りは運動を兼ねて早歩きで戻った。
2008
1
1
観音山
またしても、マヒワとカヤクグリの出現を念じて観音山へ出かけた。日も経っていないのにとは思ったが、何が起きるか分からないのが自然、もし
かして、いるかもしれないのだ。近くに地蔵さんの祠があって参拝者が木魚をたたく音が聞こえてくる。ご利益がありそうだ。現に、目の前にオス
の奇麗なルリビタキがいるではないか。視界が広がる場所でミソサザイの地鳴きを聞くも、待ち遠しいカヤクグリにはなかなか逢えない。強い風
にも負けずハシブトガラスが頭上をひらリひらりと舞う。なかなかに美しい姿(に見えた)。カケスが一声鳴いて出現。何度も言うが、冬の山で聞く
カケスの声はハットさせるものがある。カヤクグリ、マヒワには出会えなかったけれど満足して山を下りた。
2008
1
2
ルナと散歩しながら鳥を探した。山陰川のススキからホオジロが飛び出す。アオジの声も多数聞こえる。アオジもホオジロも室林道よりも河川敷
の方がずっと沢山いると思う。ほんの少しの時間だったがホオジロが囀りをしていた。少し懐かしかった。ノスリが舞い上がる。我家近くにはノスリ
が繁殖しているのか、ごく普通に見ることができるのだ。一見ヤブツバキに見えるが実は八重のツバキが満開になる。それでは他に春らしいもの
はと、いろいろ探してみた。蝋梅、ペンペングサ、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、まだ春ではないので蝋梅以外はひっそりと咲いているが。デジタル
カメラを小さな花に向ける。広角レンズは10ミリしかないので被写界深度がメチャ深い。接写しても背景までピントが合ってくれる。ローアングル
で接写が野の花を撮る定番となった。最近、露の玉を撮る面白さを知った。プリズム効果で素晴らしく奇麗に見えるのを何とか撮れないかと思っ
ている。
2008
1
3
室林道ラインセンサス
2008年最初のラインセンサス。年が改まって何となく新しい事が起こりそうな予感がした。実際それは起こったのだ。シジュウカラの囀り、カワラ
ヒワの囀りである。囀りはオス特有の(メスも行なう種もあるが)行動で繁殖に関係しているといわれている。彼らの囀りを聞いて私は、鳥たちの来
たる春への想いを強く感じた。確かシジュウカラは最も早く囀りをしていたっけ。(年中囀りを絶やさないイカルを別にして)カワラヒワの囀りはグイ
ー・グイーと余り美しくはないが力強い。そこが女の子へアピールするところなのだろう。太陽は南回帰線を越えて来た。小鳥達は日の長さを感じ
て恋の歌を奏で始めるのだ。今日聞いたのはそれの先鞭であったと思うことにしよう。
西暦
月
日
メモ
2008
1
3
羽根・長根の田んぼ
室林道から羽根・長根の田んぼに下りた。時折雲が太陽を隠すと肌寒くなるもののまずまず暖かな日和である。セグロセキレイやハクセキレイた
ちがのんびり飛び回っている。年が明けると、南回帰線を折り返した太陽は輝きが増してくるように思える。そんな光の中でひときわ輝くのがカワ
ラヒワで、光の中を群れになって飛ぶ様は神々しいく見えるほど。ところがあまりカワラヒワの群れを見ていないことに気が付いた。冬に最も個体
数が増えるのに昨年の秋から群れと呼べるほどいないのである。そういえばスズメもそんなに多くない。100羽を越す群れも珍しくないのに。元
旦に近くの新堤池の寄ってみた。池からはオシドリたちの騒がしい声がした。今日は長根の大池に寄る。静かな水面に数羽の水鳥だけ。コガモ、
キンクロハジロがのんびり浮かんでいるだけであった。
2008
1
5
平尾・豊川自然歩道・財賀寺
子ども3名と大人1名のミニ探鳥会となった。正月休みで運動不足の身にとっては体重維持には格好とばかり勇んで出かけた。日の出前に秋の
ような巻積雲が空の半分以上を占めていて大層美しかった。探鳥会が始まる頃には全ての雲が振り払われ一点の曇もない。小牛が4頭穏やか
な日を楽しむかのように佇んでいる。峠を下りるとカワセミのいる池。今年はどうだろうか。水位が下がっていて、いないかもしれないと思うように
なった時、水面から2メートルほどの枝にエメラルドの宝石がとまった。やっぱりいた。不思議だ。平尾CCからボールを叩く音がする。我々はここ
から豊川自然歩道を一路財賀寺へと向う。尾根に上る道は、土曜探鳥会では心臓破りの階段と称し毎年楽しみにしている名所だ。子ども3人は
立ち止まることなく登りきった。(自分も負けじと頑張る)暫くは尾根道を行く。尾根道はそんなに鳥が多くない。木の切れ間から望む三河の海は輝
く。やがて尾根を下る道に。財賀寺から鐘の音。伽藍が見え奥の院(本堂)に到着する。参拝者も沢山いて華やいだ雰囲気。鐘を突き、文殊菩薩
にお参りし、楽しみの弁当を食べ、再び尾根への道を音羽町へと向かった。日差しはあるのに風がない、これ以上の好天気は望めない素晴らし
い一日であった。
2008
1
12
室林道ラインセンサス
3月下旬の陽気も寒冷前線の通過とともに終わろうとしている。曇空に惑わされ起きたらもう8時を回っていた。そして室林道に向かう頃には霧の
ような雨も降り出す。デカ傘を持って室林道を歩き出すと間もなく上空を急降下するオオタカを発見。これは幸先がいい。次いで、サクラの木に群
がるウソたち。まだそんなに多くないが寒さが深まるとどうだろうか。エナガ・シジュウカラ・ヤマガラから成る混群に出会った。冬の探鳥の一番の
楽しみであり、活発な鳥たちの営みに励まされる。冬の室林道で特に注意している鳥が3種いる。ヒガラ・マヒワ・カヤクグリである。そのうちのヒ
ガラを久しぶりに見た。アカマツの枝先を転げまわりながら採餌していた。厚い雲が通過するたびに雨が降るので傘を差したりたたんだり忙しな
かったが、鳥たちの静かな営みを垣間見て満足。
2008
1
12
寺ノ入林道ラインセンンサス
室林道から下りずさらに山に入り、着いたのが三河湖に近い寺ノ入林道。標高が600メートルと茶臼山の半分室林道の3倍ある。ちょうど3人兄
弟の次男にあたるわけだ。霧が山を覆い水墨画のような景色。こちらもスタートの時は傘を差していた。室林道では不要だった手袋を嵌めた。や
かりここは標高が高いのだ。コースの半分過ぎても2-3種しか確認できなかった。雨だし小鳥も休んでいるのかなと思う。折り返した頃から明るく
なった。すると現金なものであちこちから微かな声が聞こえてきた。いずれも聴力検査のような小さな音。最初の驚きはカシラダカで始まった。地
鳴きが聞こえたので懸命に姿を探した。そして潅木の中を移動するのを見つけ10倍の双眼鏡を向けた。その視野の中には冠羽や顔が鮮やかな
黒い夏羽に変身したオスがいた。これから本格的な冬を迎えるというのに繁殖の準備が出来ているとは、意外であり大変驚いた。(その時はそう
感じたが、オシドリなどカモは夏羽は冬に見られることを思い出した)ついで寺ノ入林道ならではのヒガラの囀り(室林道で囀りを聞くことは殆どな
い)。まだまだ続く。数羽のクロジを発見。オスの成鳥で、少しだけ茶色部分があるが奇麗な墨色をしていた。ホオジロ以外のホオジロ科の地鳴き
は大変よく似ていて種の同定が難しい。この場合もカシラダカの声かなとも思った(両者では少し感じは違うのであるが)。ところが10倍の視野に
は見事なクロジの姿があったのである(まだまだ勉強しなくては)。さらに、ミソサザイ、ウソ、マヒワ、ルリビタキと冬の小鳥達のオンパレードになっ
てしまった。言っておくが、彼らはいずれもごく小さな地鳴きを上げているだけなのだ。うっかりすれば気が付かないで通り過ぎてしまうだろう。
西暦
月
日
メモ
2008
1
19
昭和の森
昭和天皇御在位50年を記念し、緑化センターに隣接してつくられた。従って、ここには昭和50年に昭和天皇・皇后が御手植えされた樹がある。
散策路が整備され、何よりも静かなたたずまいがいい。東海環状自動車道が東名高速と繋がったお陰で私の家からはすこぶる近くになった。(通
勤時間帯を利用すれば半額なのも嬉しい)豊田藤岡インターを下りると昭和の森は直ぐ近く。南に愛知県緑化センターがあるが未だ訪れたことが
ない。10時近く到着する。親子連れ、ハイキングの老夫婦など様々な人々がいた。広い上に慣れていないので範囲を絞ることにした。中心は無
論御手植えされた3本のヒノキと1本のハナノキ。近くの長根池(親しみがわく名前だ)にはカルガモがいる。さらによく見るとカイツブリやカワウも
。彼らは潜水の名手だ。畔の小路を音を立てないように歩く。それでも敏感に反対の方へといってしまう。頭をコミカルに前後しながら泳ぐ水鳥が
いた。バンである。嘴の色から成鳥ではなさそうだ。落葉樹の林は明るく常緑照葉樹の林は暗い。野鳥の声は薄暗い所からより多く聞こえた。ヒヨ
ドリ、シロハラ、メジロなど。尾根伝いにハイキングコースがあって「ふるさとの森」などの名前がついている。ヤマガラが囀りを聞かせてくれた。エ
ナガの群が採餌しながら林を移動している。ハシブトガラスが落ち葉の絨毯を撥ね退け食べ物を探している。ルリビタキは3個体(うち1個体は奇
麗なオスの成鳥であった)ジョウビタキ1個体、さらにベニマシコ(メス)もいた。これは素晴らしい場所だなと思う。冬季はたぶんいいだろうと思って
いたが、期待を裏切ることはなかった。最高点からの眺めも素晴らしい。恵那山、大川入山、蛇峠山、見慣れた山々、六所山、焙烙山、猿投山は
新鮮に見ることが出来た。
2008
1
20
室林道ラインセンサス
夜には雪との予報が出ていたので寒くなるのかなと思っていたが存外暖かかった。ハシブトガラスが大きな鳴き声を上げていたのが印象に残っ
た。「その他の野鳥はいるのかしらん」と思うほど静かな室林道。それでもよく耳を凝らせば彼らの生活の一端を覗く事ができる。そんな中でもヒヨ
ドリたちが特に目立った。ヒヨドリは室林道に多い常緑照葉樹にたむろしている。薄暗い林の中から切れ間無く声が聞こえる。ジョウビタキとルリ
ビタキも結構いる。私には、両者の地鳴きの違いを聞分けるほどの耳を持っていないので、記録に残すには姿で確認するしかない。姿を見せる
比率は当然ながら高くないので、センサスでの個体数は実際よりもかなり少なくなってしまう。そのルリビタキで嬉しいことがあった。完全ではない
けれども奇麗な青い色の成鳥が目の前で、地上に下りて餌を探しているのをかなりの時間見ることが出来たのだった。
2008
1
26
土曜探鳥会 羽根・長根
参加者8人と1匹。探鳥会の正メンバー雌イヌのさくらは、福ならぬ鳥を呼ぶ鳥として子ども達の人気者になっている。年が明けてもこのジンクス
は続いているようだ。あまり見ることのなかったツグミが群で現れたり、前山の上でホバリングをするノスリに出合ったり。極め付きは羽根・長根の
田んぼに向かうハヤブサ。(山口さんのお話では3週間前からハヤブサが現れ、スズメの捕食を見たとのこと)山陰川でカワセミ1羽、支流でもう1
羽。後者は、メンバー皆、飛び去るコバルトブルーの姿を見て大喜びする。羽根・長根の田んぼは寒すぎる、そこで風の当らない室川沿いに歩く
ことにした。そこでもいろいろな小鳥に出会った。ホオジロ、カシラダカ、エナガ、トラツグミ(ただしトラツグミは自分だけ見ただけ)、ジョウビタキな
ど。「寒い時期に物好きな」と思われるかもしれない。しかし、いくら歩いても汗をかくこともないこの季節こそバードウォッチングシーズンなのであ
る。
2008
1
26
室林道ラインセンサス
もう1月の後半、1日が早く過ぎてゆくことしきり。午前中の探鳥会を終え昼食を摂り今度は室林道へ。1月の3旬の記録を取らないと。(明日はど
うしても行かなければならない用事があるので)暖かな小春日和、しかし午後になると寒さが増してくるようだ。スタートからしばらくは鳥の声が無
く少し心配になる。ようやくヒヨドリの声。ヒヨドリも立派な野鳥。フィールドノートに名前を書く。次いでアカゲラ。これが呼び水になったのか、ルリビ
タキ、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラ、ウソが次々やって来た。頭上からは高圧線が奏でる重低音が、ヒノキ林からは野鳥の地鳴きが、地上から
は農地整理工事の重機の音、様々な音が交じり合って耳に入ってくる。これからがまさに真冬の室林道。寒さを楽しもうと思う。立派な氷柱が初
めて出来た。
西暦
月
日
メモ
2008
2
2
土曜探鳥会 室林道
子ども6人と大人3人バランスの取れた探鳥会だ。久しぶりの子もいる。いれかわりたちかわりやって来てくれたらよいと思う。天気予報では寒くて
辛い探鳥会になりそうだった。しかし、薄日ではあるがしっかり照っているし、低気圧が近づく前兆の穏やかな風、本当に願ったり叶ったりの小春
日和となってしまった。萩小学校の近くでは多くの小鳥たちが見られる。お世辞でもなんでもない。萩市民館(公民館から名前がかわったが、まだ
まだピンとこない)の隣にある忠魂碑のソメイヨシノにイカルの群がやって来た。大きなオウムのような嘴もはっきり見える。萩っ子も森からもイカ
ルの声、全体で30羽はいただろう。先の9名には鳥招犬サクラが漏れていた。ゆっくりとおしゃべりしながら室林道への道を進む。アカゲラが雑
木に止っている。少しずつ上に上っていく。鮮やかな頭とお尻の赤は必見もの。田んぼに出ると鳥の種類が変わる。ホオジロやカワラヒワが鹿よ
けの網に止っている。この辺りは野生のシカやサルが出没する。現に探鳥会の帰りにニホンザルの群を見た。室林道に入ったが野鳥の声は少な
い。ウソ、ルリビタキ、ミソサザイなどの冬鳥を期待してきたが全く気配なし。(こんなことは珍しいが)いつの間にか3時間が過ぎた。そんなに経っ
ているとは思えないほど時間が早い)風もなく穏やかな小春日和を存分楽しむことができた。実は昨日まで腹風邪で臥せっていたのだ。子どもた
ちの元気をもらい回復も早かった。サクラと同じ名前の犬、孫を背負ったおばあさん、豊橋で鳥を見ているという仕事で来ている人、市議会議員
選の街宣カー、林道からの帰り道もいろいろの出会いがあった。子どもたちは屈託無く声を掛ける。(いい子たちだ)
2008
2
3
室林道ラインセンサス
昨夜から降り続く雨、乾燥した空気も少しは喉に優しくなるか。傘を差し室林道を歩く。双眼鏡は使わずにあえて肉眼で望むことにした。身軽にな
るし、行動全体を観察するには肉眼の広い視野が好都合なのだ。室林道の入り口で道路わきから飛び立つ鳥がいた。アオジである。道路で餌を
取っていたのだ。道路には様々な餌があるのだろう。枯葉の下には昆虫の幼虫もいるだろうし、アトリ科のアオジは種子食者でもある。昨日の探
鳥会では見ることの出来なかったウソであるが、この日は、ほぼいつもどおりの個体数がいた。突然、「ピュッ」とニホンシカが鳴いた。緊張して周
りを見る。山の斜面に5頭ほどの姿があった。4頭はやや小型で子ども、最後に後を追ったのが母親であろう。静かな林道の空気を時折切り裂く
ウソの声があった。冬の山を歩く楽しみを与えてくれる。今日はいつもよりも沢山の声を聞いた。最後はホオジロの囀り。
2008
2
10
自宅周辺
雪の中の野鳥観察はたいへん興味深いものだ。野鳥にとっても、このあたりの鳥たちは雪には慣れていないので面食らうのではなかろうか。雪
が融け地面が現れた所で採餌するので、鳥たちがかたまって見られるのも楽しい。ヒヨドリがツバキの花に顔を突っ込んで蜜を吸っているのが見
られた。その木にはメジロが先にいたのであるが大きなヒヨドリが追いはらってしまった。メジロ(別の群と思う)はそののちビワの畑にやってきて
思う存分採餌していた。民家の前ではカシラダカとホオジロたちの食事会が開かれていた。両者は一緒にいることが多い。白い雪とカシラダカの
お腹の白さが印象的だ。山陰川沿いにセンサスを進めた。ここにはビンズイが結構いる。同じセキレイ科の鳥たちも川沿いに多数いるが、その中
では一番地味な鳥である。ビンスイの名誉のために言うが彼の囀りは素晴らしい。数年前、初夏の長野県平谷村で聞いたビンズイの囀りは非常
に複雑でまるでミソサザイを聞いているようであった。ズイ・ズイその声は川の土手から聞こえた。数羽の姿がすぐに見つかった。草むらやコンク
リートの河岸を歩いたり行動が面白い。(図鑑で枝を歩く姿がよくあり、ビンズイは行動が面白いと思われているのか)ところが姿をカメラに収める
にはどうしても氷の張った所を横切らなければならない。おまけに坂になっている。躊躇したがどうしても撮りたい。結局、三脚をアイゼンのかわり
に氷の上を歩いたのだった。こうして、ビンズイの姿を収めることができたのだった。
2008
2
10
羽根・長根ラインセンサス
すっかり日が当たってきたので、車で羽根・長根に出かけた。田んぼの雪は消えていた。そして真冬の羽根・長根特有の強い風が吹いている。車
を降りカメラを担いで歩き出す。次々と、田んぼから飛び去るツグミの姿。とてものんびりとは撮影をする暇を与えてくれない。撮影は諦めることに
した。長根川沿いにはセキレイがいた。浅い川で採餌するセグロセキレイ。日本固有種のセグロセキレイがハクセキレイに駆逐されるのでは、微
かな危惧を持っている。10年前はハクセキレイは冬にしかいなかった。しかし今は、真夏でもハクセキレイを見るし、個体数でも、冬ではセグロセ
キレイの方が少ないような気がする。ウインドブレーカーを通して強い風圧を感じる北西の風、野鳥を観察するにはよい条件ではない。田んぼの
隅で塊になって採餌するスズメがいた。50羽は下らない。その塊は数メートルの高さを上下し、場所を換えて餌を採っている。その動きは神経質
なほど。それは、捕獲者の存在とは無関係ではないだろう。ハヤブサやオオタカが目を光らせている。畦に黄色いタンポポの花があった。あと1月
、羽根・長根の田んぼに本当の春がやってくる。
西暦
月
日
メモ
2008
2
16
室林道ラインセンサス
手袋を車に置いて来たのを後悔した。日陰に入るとまだまだ厳しい寒さが残っている。日に日に太陽は北に向かっている、その明るさについ油断
したのが先の言葉となって出てしまった。空は真っ青といいたいが少し靄って見える。そこを小振りの積雲が足早に流れてゆく。あきらかに聞こえ
るのは高圧線の鉄塔付近で群れるハシボソガラスだけ。あとはひっそりとした室林道。冬には鳥なんかいないだろうと思われそうである。しかしそ
んなことは決して無い。冬こそバードウオッチングの最高の時期なのである。室林道の入り口を縄張りにするオスのルリビタキが迎えてくれた。そ
ういえば、嫁いだ娘が呉れたチョコレートに幸せを呼ぶ鳥としてルリビタキの絵が描かれていたのは、偶然とはいえ、不思議な感じを持った。鳥好
きの父のため、数ある中からこのチョコレートを選んだことは容易に想像できるが、ルリビタキである必要はなかろうにとも思う。青い色の鳥は幸
せを呼ぶと信じられているようだ。青い鳥にはオオルリやコルリもいる。しかしながら彼らはまだこの日本にはいない鳥だ。(春にやってくる)ルリビ
タキならば、今の季節にピッタリとくる。そう思うと、チョコレートでルリビタキを見た後本物に出会うのは偶然ではなく必然であったかもしれない。
ルリビタキは個体数も多かった。別のオスの成鳥、メス(またはオス若鳥)もいた。ウグイスの地鳴きも増えてきた気がする。漂鳥(ルリビタキやウ
グイス)たちはやがて山を上り繁殖に備える。冬鳥にしてもしかり。シジュウカラは囀りを始めていた。暫く見なかったヒガラを2個体確認した。新
芽が膨らんできた樹もちらほら。日差しはもう早春のものである
2008
2
23
昭和の森 6年生を送る会
子ども10名、大人5名を乗せた豊川市のマイクロバスは一路豊田市にある昭和の森へ。旧音羽町教育課の方のお骨折りで市のバスを出して頂
けることになったのだ(マイクロバスによる遠出は諦めていたのに)。地図で見ると随分と遠くにある。しかし、東名から東海環状自動車道を経由し
てたった40分で到着。朝起きてみたら霧のような雨が降っていた。たいへん心配したが何とか天気は持ちそう。半分祈る気持ちで出かけてきた。
昭和の森は、昭和天皇が全国植樹祭で愛知県に来られ植樹された会場となった(御手植えのヒノキとハナノキは随分と太くなった)。バスを降りて
早速バードウォッチングを開始する。辺りは枝先が細かい落葉の雑木林で、野鳥たちがいれば直ぐに見つけられる(冬のバードウォッチングの良
いところは姿が見える所にある)。萩小学校を出発する時見たイカルをここでも最初に見つけた。大きな黄色いくちばしがはっきり分かる。そのイ
カルに似た鳥が枝に止る。最初、「イカルかな?」と思ったが少し様子が違う。双眼鏡に映ったのはシメの姿であった。音羽町では比較的珍しいの
で、つい大声で「シメ!シメ!」と叫んでしまった。それから暫くは小鳥たちのオンパレードといった感があった。シジュウカラが目の前で餌を取り、
エナガの群が移動する。ホオジロのさえずりも聞こえる。小さな川の側でアオジやジョウビタキが採餌するといった具合である。喉を潤している鳥
をみて又吃驚。私にとっても久しぶりのアトリの姿であった。尾根に上りさらに新たな姿を探した。ところが、この頃から雲行きが怪しくなってきてい
たのだ(発達した低気圧から伸びた寒冷前線が通過しようとしていた)。風が吹き雨にみぞれが混じる。それなのに私達は、無謀にも、早い昼ご
はんを繰りひろげていたのだ。子どもたちはブツブツ言いながらも結構喜んでいた。「下山!」命令を下し尾根を下りる(1分あまりで下りてしまう
が)。子ども広場でひと遊びし、いよいよ6年生を送る会を開く。1年生の時からの二人のメンバーがいる。しかし、残念ながら一人は来られなかっ
た(本人も楽しみにしていたのに)。バスに乗っている間に挨拶文を考えていたらしく、私に「これでいい?」と聞いてきた。後輩達にも一言ずつ話
してもらった(それぞれ個性が出て大変面白い)。寒冷前線通過のあとは雲が跡形もなく消えた(替わりに猛烈な北西の風)。マイクロバスが横風
に揺れるたびに少しドキドキしながら家路へと向かった。
2008
2
24
室林道ラインセンサス
重低音がブーンと鳴る。音の主は高圧線と北西の風である。光は強いのであるが冷たい風は厳しい。入り口でオスのルリビタキを確認する(うっ
かり馴染みになった)。「グイー」と鳴くのはオスのカワラヒワである。今日のセンサスでは、ヤマガラの囀りを、この冬初めて確認できた。ライバル
のシジュウカラは、既に、囀りを開始している。ヤマガラ独特のゆったりしたテンポが心地良い。混群もまだ健在。構成員はエナガ、ヤマガラ、シジ
ュウカラ、コゲラ。シジュウカラの中には活発に囀る個体もみられる。突然、珍しい鳴き声を聞く。なんとも不思議な声の持ち主はアオバト(緑色の
きれいな鳥である)。湧き水の箇所には、やはり氷柱ができていた。田んぼでの主役はツグミ。それに対して、室林道の主役はシロハラになる。同
じ大型ツグミ類であるが、常に明るいところにいるツグミ、一方のシロハラは、日を避けているように見える。暗いオリーブ色は林床では見事なカ
モフラージュ色だ。突然、けたたましい声を上げて飛び去る鳥、シロハラはそんな鳥だ。道端の植物は茶色であるが、目を上に向ければ、新しい
芽が膨らんできつつある。ヤブツバキの赤も新春の赤である。
西暦
月
日
メモ
2008
3
1
土曜探鳥会 山陰川
朝日を見たのもつかの間、車を萩小学校に走らせたときにはワイパーで雨粒を拭っていた。頭上には暗い雲がどんどん押し寄せ本降りになって
しまう。牧野さんが来られた。「西の方は降っていないよ」とおっしゃる。集合時間が過ぎても未だだれも来ない。「そろそろかな」(もう来ないかな)
と思ったときに2人の子が傘を差して現れた。彼女たちは6年間ずっと一緒であった。先週の、6年生を送る会にどうしても出たかった子が、「昨日
学校を休んだ」と言う。どうやら体調の悪いのをおして来たようなのだ。何がなんでもやらなければ。その前に、牧野さんが二人に雛人形をプレゼ
ント。工房(あかおにどん)で作ってきた木製の精巧なものだ。傘を差して学校近くの山陰川に出かける。途中で小牛を見る(少し前見た時よりも
随分としっかりした体つきである)。リラ(老人の家)の側に山陰川が流れている。雨が上がったのでそこで休むことにした。川沿いにサクラが植え
られていて、若い木々の花は中々のものである。サクラの樹には小鳥たちがよくやって来る、このことは室林道での観察で知った。幹や枝に多く
の虫が越冬しているのであろうか。直ぐに鳥の声が聞こえてきた。エナガとシジュウカラの混群がやって来たのだ。混群は樹を順々に回って行く。
薄紅色で飾ったエナガ、緑と黒と白い色が粋なシジュウカラ、数メートルと離れていないので肉眼でもよく分かる。枝の上側に止まったのはカシラ
ダカの群だ。群のオスの中には、冠羽が黒色になった個体もいた(繁殖羽という)。「自分も見てよ!」ジョウビタキがやって来た。土手に下り立ち
餌を探す仕草が可愛らしい。彼は、どうやらこの辺りを縄張りにしているようだ。子ども体調を気遣い予定よりも1時間早めに探鳥会を打ち切るこ
とにした。2人は4月から別々の中学校に通う。
2008
3
2
寺ノ入林道ラインセンサス
真冬の寺ノ入林道は雪に覆われる厳しい所だ。4輪駆動冬用タイヤをもってしても林道入り口からの急坂は躊躇する。だから、2月は行かないこ
とにしている。作手に向かう坂道の脇に雪が残っていたので嫌な予感がしたが、寺ノ入林道の坂には残っていなかったのでホッとする。ここは標
高が600メートルあるので季節が半月は遅い。晴れて日が当たっていてもまだまだ寒いのだ。群で鳴いている声が聞こえた。もしかしたらカシラ
ダカの集団囀りか!そうだとしたら久しぶりに聞くことになる。フィールドノートにもそのように書いたが、どうも怪しい。はっきり聞こえるようになる
まで接近すると、それは、マヒワのものであった(残念)。それでもさすがに寺ノ入林道と思わせる鳥もちらほら。ヒガラの囀りである(ヤマガラやシ
ジュウカラは音羽で普通であるが、ヒガラの囀りはまず聞かれない)。センサスの折り返し点で一休み。ヤマガラの声が聞こえた。聞こえる音は極
く僅か。静かである。暫くして、微かに聞こえる鳥の声が聞こえだした。囀りのようだ。段々とその声に気持ちが吸い寄せられる。そして、彼の名を
フィールドノートに書く。キクイタダキと。日本最小の鳥。囀りも繊細そのものだ。この声は、15年前(一生懸命に鳥の声を勉強していた頃)カセット
テープで覚えた。本物の声が聞こえてきて久しぶりに興奮した。帰り道、再びマヒワの群に出会う。「チョン、チョン」ミソサザイ(日本で2番目に小さ
い鳥)が私を忘れないでとアピールしてきた。
2008
3
2
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道でキクイタダキを見た興奮をそのままに室林道に寄る。午後の時間帯は観察には適していないが、何が起こるかわからないのが野外
観察だ。いてもいなくても気にしないのが私の流儀だ(いないことも立派な記録と思っている)。案の定、姿はおろか声も少ない。ハシブトガラスの
声がやけに大きい。カラ類(ヤマガラ・シジュウカラ)の囀りが聞こえる。1種が鳴くとそれに連れられて数種類の鳥が鳴き出すことはよくあることだ
。ミソサザイ、ウグイス、エナガ、カケスたちが鳴いた。エナガは元気の素。シジュウカラ、ヤマガラ、メジロがエナガの後を追って出てきた(いわゆ
る混群)。小さな鳥が一緒にいた。ヒガラかな?。10倍の双眼鏡で確認して吃驚した。頭の上に黄色いスジがはっきり見えるではないか。「キクイ
タダキ!」こんなことってあるんだナー。寺ノ入林道で囀りを聞いた後、室林道で姿を見るなんて。キクイタダキは2羽いた。その小さいこと。枝先
を転げるようにして虫を探している。同じ樹にウグイスもいた。なにか魔法がかけられているような気分であった。
2008
3
4
前田町
出勤前のウォーキングを前田町の田んぼ道で始めて3年になる。メモ帳を手にし、両側に広がる田んぼからの鳴き声、姿に、神経を集中させる。
春分の半月前ともなると辺りは明るくなって野鳥の見分けも容易になる(ちなみにウォーキングの開始時間は6時15分)。今一番の楽しみはツグ
ミを見る事である。冬鳥でも一押しの鳥と思っている。今年のツグミは茶系の羽色が多いように思う。黒系に比べ華やかで自分は好きだ。モズが
鳴いていた。それもモズ自身の鳴き声ではなくて物真似の方である。メスはより多くの鳥の物真似ができるオスを選択する、と聞いたことがある。
いよいよ繁殖レースのスタートが切って落とされたということだろう。昨日(3月3日)前田町でウグイスのぐぜりを聞いた。まだまだ囀りと言える代
物ではなかったが、地鳴きの声とは明らかに違っていた。太陽は南回帰線を折り返しほぼ赤道近くまでやって来た。野鳥の鳴き声は春の到を告
げている。
西暦
月
日
メモ
2008
3
8
我家周辺
ウグイスが囀った(今春初確認)。暖かい朝を迎えルナと散歩。20羽ほどのヒヨドリが群になって飛んでゆく。少しおいて、さらに20羽のかたまり
が。そういえば、やけにヒヨドリの姿を見る。ヒヨドリも渡りをする鳥なので、春の北上の前触れなのかもしれない。それとツグミの個体数が多い。
やはり繁殖地への北上の準備なのだろうか。カワセミを2個体見る。カワセミの繁殖は早いので、そろそろ山陰川から、番が鳴き交わす声が聞こ
えるはずだ。ホトケノザが群生していた。柘榴石色の花がびっしり。ウグイスは最初の一声だけであった。
2008
3
9
茶臼山ラインセンサス
2008年最初の茶臼山となった。昨年もほぼ同じ時期(3月10日)にラインセンサスを行なっているが山の様子は全く違っていた。積雪が多いの
だ。北の斜面ではガードレールの頭が隠れるくらい。これほどの大雪は久しぶりのことだ。滑ったときの杖代わりに三脚を担ぐ。リュックサックには
お昼の弁当を入れている。スキー場の近くではホオジロの囀りが聞こえる。センサスを通してホオジロの囀り個体が目立った。見渡す限り山は雪
で覆われているので、野鳥や獣たちにとっては餌を見つけることが大切になってくる。それでも、姿は見えないけれども多くの小鳥の声が聞こえて
くるので(シジュウカラ・ヤマガラ・コゲラ・ヒガラ・コガラ・カケス)、逞しく生きていることがわかる。段々と雪が深くなってくる。締まっている場所とそ
うでない所が分かるとどんなに楽だろう。いきなり太ももまでブスリとやる。これを何回やったら終わりになるのだろうか(早く終わりにしたい気持ち
で一杯になる)。カンジキをつけたような新しい足跡に沿って進む。そのほうが良さそうな気がしたからだ。カンジキの威力は歴然としていた。こち
らはズボ・ズボ。その度に靴の中が濡れてくる。それでも、小鳥の声を聞けば立ち止まり、フィールドノートに記録することは忘れなかった自分を褒
めたい。悪戦苦闘の末、目の前に広がったのは南アルプスの壮麗な山々。これほど美しい南アルプスも久しぶりのことである。力を使って歩いて
きたのでお腹が空いた。雪の上なので腰も掛けられない。結局しゃがんで弁当を食べるはめに。やっとのおもいで除雪されている一般道路に出
た。アスファルトは雪よりも美しくないが有難かった。
2008
3
15
室林道ラインセンサス
土曜探鳥会の前に室林道に向かう。時間がないのでフルコースは歩けない。それでも個体数はかなり多い。その中でもウグイスの囀り個体が多
かった2週間前には2・3個体の囀りが聞こえただけであった。オスたちはもう必死だろう。ウソの声がする。10羽ほどがサクラの芽を啄ばんでい
る。改めてさくらを見るとかなり花目が食べられていることが分かる。ミソサザイが林床で採餌。声の先を見ると小さな勇者がぴょんぴょんと移動し
ていた。小さな姿ではさらに上を行く鳥、キクイタダキがサクラの樹にいた。キクイタダキがそんなに頻繁に見られる鳥ではないので(少なくともこ
こ音羽では)こちらも真剣に見入る。エナガと同様あまり人を恐れない鳥のようである。
2008
3
15
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
2007年度の探鳥会も最後となった。朝から素晴らしい天気。風が少し強いのが気になるが雨の心配をするよりましだ。参加は子ども2人と大人
3人そして犬1匹である。サクラは車が止ると大きな声で鳴きだした。「早く降ろしてくれ」と言っているのだ。田んぼは昨夜の雨でしっとりしている。
あぜ道にはツクシが頭を覗かせている。親子2人がツクシを採っていた(給食で使うとのこと)。田んぼや畑でツグミが賑やかであった。羽の色もき
れいで(派手ではないが)好きな鳥である。彼らの目の先には(繁殖地でもある)北の大地があるのだろうか。羽根の田んぼに入ると案の定の強
い風が待っていた。冷たいことはないが矢張り堪えた。ここはセキレイが多いが、それに負けないほどヒバリの個体数が目立った。ダイサギが1
羽田んぼで採餌している。田んぼの畦がきれいにつくられていた。やがて今年も田植えの準備が始まるのだ。
2008
3
16
室林道ラインセンサス
昨日のセンサスは時間が無かったため途中で引き返した。キクイタダキを確認するなど成果があったけれども、フルコースで再度センサスするこ
とにした。無風状態で、室林道からの眺めは春霞でぼんやりしている。スタートして間もなく珍しい鳥に出会った。この冬はとうとう確認できなかっ
たマヒワである。10羽ほどがサクラの枝で採餌中。今頃出現するとは、北上個体なのか?。特に渡りの季節は何がいるか分からない。そろそろ
そんな時期に入ってきたのだろう。ウグイス、カラ類の囀り個体が多かったのは昨日以上、それに加えカワラヒワも活発であった。注意しないと聞
きそこなうのがキツツキのドラミング。今日は何度も軽快なリズムを聞くことになる。ドラマーはアカゲラ?アオゲラ?、これも囀りの一種として考え
てよいのだろう。声楽家と演奏家の違いといったところ。私の敬愛する進化生物学者R.DAWKINSの本に「延長された表現型」がある。進化の表
現型は体の外にまで及ぼす。例としてビーバーのダム。ドラミングという行動は、樹という体外のものを利用していることで延長された表現型とい
えないだろうか。樹の種類、状態によって、ドラミングの出来に差異があればそれが繁殖成功度に影響を与え、より多くの子孫を残す行動が広ま
っていったのかもしれない。キクイタダキには出会えなかったが、もともと少ない鳥なのであまり残念とは思わない。ミソサザイの地鳴は聞くことが
できた(ミソサザイはそれほで珍しい鳥ではない)。
西暦
月
日
メモ
2008
3
22
室林道ラインセンサス
野鳥たちのエネルギーが爆発した。そんな感じを受けた。ウグイスは無論、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロなど主だった鳥たちの囀りはもう既に頂
点に達した感がある。そんな中で自分を吃驚させたのは、今まで室林道では囀らないと信じていたヒガラの囀り個体を確認したことだ。今までも全
く無かった訳ではないが、声と姿で間違いないと確信したのはそんなに無い。今日はそんなに無い経験をしたのである。生態系が変わりつつある
ことは野鳥を観察してきて実感している。例えば冬鳥であるハクセキレイを真夏に観察する例がそうだ。ヒガラもいずれ音羽の山々で繁殖する日
が来るかもしれない。そんなことは無いとは言い切れないだろう。暖かくなってソメイヨシノの蕾が膨らんできた。今の時期も相も変わらずサクラの
木で食事をウソのを見るが、今年は少し花びらを残してくれている。ウソと同じフィンチの仲間であるカワラヒワやマヒワもヤシャブシの種子に嘴を
こじ入れていた。マヒワは寒い最中では全く姿を見せなかった。春になってようやくその名の通りの鶸色を見せてくれている。黄色い鳥の中でも上
位にくる美しさだ。群になって囀っていた。水脈が露出しそれが小さな池になっている所には、今の時期になると、大量の卵が産み付けられる。ま
だまだ肌寒い変温動物にとっては活動的でないこの時期に、地中から出てきて卵を産む仕事をするのは大きく少しグロテスクでもあるヒキガエル
である。私は、3月17日がその日と聞いている。先週のセンサスでは卵は無かった(3月15日)。となるとその日が17日というのもあながち間違
いともいえない気がする。いっぱいの卵ではあるが、大人まで生き延びるのはほんのわずかに過ぎないのは想像に難くない。室林道にはハシブ
トガラスが沢山いる。彼らが貪るようにして食事をする姿を見たことがある。成すすべなく食べられるしかない。そのハシブトガラスは番で室林道
を空を飛び回っている。嘴には巣の材料にする木の枝をくわえていた。
2008
3
24
茶臼山ラインセンサス
家を出て茶臼山でのラインセンサスを終えるまでずっと雨。途中、寺ノ入林道、根羽村を通過する。雨が振り込む窓ガラスを下げ耳をそばだてて
いたのは、はたしてウグイスの囀りは聞かれるかどうか。結論は標高600メートルの寺ノ入林道、900メートルの根羽村、いずれの場所でもウグ
イスは囀りをしていた。それでは標高1300メートルではどうか。茶臼山に到着。強い横なぐりの雨だ。これでは車の外にすら出られない。仕方が
無いので暫く待つことにする。霧雨になったので傘を差して歩き出す。4週間には膝までの雪に悪戦苦闘した場所だ。霧か雪かよく分からないが
構わず進むと道路の黒い筋がずっと先まであった。どうやら雪は融けてしまったようである。シジュウカラとヤマガラがいた。彼等は身近の鳥の代
表なのに雪深い山奥でも平気で生活している。さらに進む。カワラヒワのキリキリという声が聞こえた。アトリ科の鳥も寒い所に多い。茶臼山では
ベニマシコやアトリもよく見られるし、運がよければオオマシコやハギマシコにもお目にかかれる(この時期はいつも密かに期待しているのだが)。
カワラヒワよりもひと回り大きな姿が霧の中の樹の枝先にあった。もしや(ハギマシコ)?。10倍の双眼鏡を向ける。ナントそれはシメであった。
10羽以上はいるようだ。次から次へと飛んでくる。特徴的な大きな嘴がで間違いはなさそうである(視界が良ければ迷うことはないのだが)。雨が
上がり少し明るくなった。すると、あちこちから「ホーホケキョ」「ケキョケキョ」と鳴きだした。ここでもウグイスはもう囀りを始めていたのである。ウメ
にウグイスと言うが、平地ではウメも終わりサクラが咲こうとしているのに茶臼山は未だ冬の様相。しかし、ウグイスは既に繁殖モードに入ってい
る。雨が上がると風が出てきた。これがなかなか厳しい。日が出てくれたら助かるのに、しかし、再び雨脚が強くなる。最後に確認したのはカシラ
ダカの小さな群。残念ながら集団囀りはしていなかった。山を下りるといつの間にか青空が見えていた。麓から山頂を振り返るとやはり雲の中で
見えなかった。
2008
3
29
宮路山・西切山
ルナと散歩していたら空から聞きなれた声が聞こえた。仰ぎ見るまでもなくツバメの鳴き声だ。そうだ、散歩が終ったら宮路山へ行ってみよう。もし
かしたらコマドリが来ているかもしれない。平地のソメイヨシノはすっかり見ごろになった。コマドリはサクラと共にやって来ているからな。標高300
メートル付近、林道西切山線でラインセンサスを行なう。音羽でも最もコマドリに出会いやすい場所である。4月になってからは頻繁に訪れるが、
3月にコマドリを確認したことは一度もない。ソメイヨシノやヤマザクラもまだ蕾、日の当らない場所は手がかじかむ位に寒い。室林道同様ここのウ
グイスは戦争状態になっている。オスたちは声をふりしぼってメスに求愛する。カラ類も同じ。ヒガラがきれいな声で囀っている。もしかすると本当
に音羽で繁殖しているのかもしれない。サクラは未だだけれどツバキはほぼ満開である(ここは本当にツバキが多い)。ツバキの咲く日陰にはア
オジやシロハラが落ち葉を払い採餌している。まだまだ冬鳥はこの地に留まっているのだ。では夏鳥は?。センサス(片道1時間)の間では全く確
認できなかった。けれど無駄ではない。いないことが確認できたのだ。山から下り用事を済ませて羽根・長根の田んぼに向かった。そこで見たの
は、前日の雨で水溜りの出来た田んぼを小走りで行くコチドリたちであった。足元がおぼつかないことをチドリ足と言うが、実際のチドリの足は目
にもとまらないほど早い。ペンペングサやタンポポが風にそよいでいる。少しばかり肌さむい春の一日となった。
西暦
月
日
メモ
2008
3
30
室林道ラインセンサス
昨日の宮路山では夏鳥の確認はできなかった。はたして室林道は?。期待をしつつ、まだ早いかなとも思いながらセンサスを開始する。下り坂に
なるとの予報どおりやや厚い雲に覆われ、気温もやや低めである。明るさが増すに連れ小鳥たちの囀りが室林道全体を包み込むようになる。一
番はやはりウグイス。二番手は激しい。ヤマガラ、ホオジロ、それにメジロが割って入る勢いである。野鳥とは別に可愛いものを見た。カサカサと
林床から聞こえる音。シロハラが餌を探しているのかな、ところがそれは幹をどんどん登ってきた。ようやく太い尾っぽのニホンリスが現れた。そ
れも2匹も。2匹目は枝の又で一休み。別に慌てる素振りも見せないでじっとしている。鳴き声主体と録音機しか持っていないことを悔やんだ。野
鳥ならばそれでもいいが、哺乳動物には録音機はあまり役にたたないことがよくわかった。そして夏鳥であるが、やはり全く気配がなかった。
2008
4
5
室林道ラインセンサス
朝から風も無く穏やかな日となった。室林道に向かう道筋にはタンポポが咲き乱れ、白や薄桃色のサクラがあちこちに見られる。平地から室林道
を望むと白いバンドとなって見える。この冬にもサクラの花芽をウソが貪っていた。はたしてサクラは見られるだろうか?心配したが案ずることは
なかったようだ。ウソの個体数はそれほどでもなかったようだ。室林道を歩く。明るい太陽に輝く新緑とサクラのコントラストが素晴らしい。そのサ
クラの花弁に顔を突っ込んでいるのはメジロ。蜜をもらうのと引き換えに受粉を手助けする。サクラと野鳥との共進化の表れである。メジロたちは
厳しい冬を乗り越え豊潤な春を迎えた喜びを体中で表現する。こんなに沢山の栄養豊富な蜜を得られる機会は今しかない。あまりにサクラの花
が多いので苦手なヒヨドリに食事を邪魔されることもない。ヒヨドリもまたサクラの樹から顔を覗かせていた。ウグイスやカラ類の囀りに耳を傾けつ
つも、もう一方の耳は別のことに神経を集中させていた。それは夏鳥の初陣はどの鳥か?。コマドリ、センダイムシクイ、ヤブサメがその候補にな
る(オオルリやキビタキはその後)。そしてついに1羽の夏鳥を確認した。暗いヒノキの林から聞こえたのは、まるで虫が鳴いているかのような(と
ても鳥がないているとは思えない)ヤブサメのオスの囀りであった。ヤブサメはキクイタダキ・ミソサザイとともに室林道で見られる小型の鳥ベスト
3に入る。囀りは独特で、声の質もそうであるが位置を同定し難いのだ。どこから聞こえてくるのか見当がつかない。このことは捕食者に対しては
有利なこと。しかし、同じ種のメスに対してはどうなのだろう。これで今年の夏鳥第一号の栄冠はこの個体に決定した。冬鳥も気にはなる。ただ確
認することと確認できなかったことでは差があるように思う。冬鳥の最後がいつかを決めるのは難しいし自信もゆらぐ。ニホンリスとニホンイタチに
出会う。これらの小型動物は微笑ましくもあり歓迎するが、ニホンジカやニホンイノシシとなると恐怖も沸いてくる。ひっそりと咲くスミレの花。いろ
んな種類があるようだ。今日見たのは2種類。見慣れたタチツボスミレと、葉っぱの形が違う花の小さなスミレ。後者の名前は一度図鑑を手に調
べてみよう。
2008
4
6
宮路山ラインセンサス
午後を回ってからどうしても夏鳥を確認したくなって宮路山に出かけた。昨日は室林道でヤブサメを聞いた。直感できっと何かいるのではと思った
。長沢町から沢沿いに宮路山へと車を進める。昼なお薄暗い東霧山を通過して(ここでもコマドリが見られるハズ)宮路山第2駐車場へ。センサス
は西切山林道で行なった。ここは室林道よりもさらに100メートルは高い。海岸にも近いので夏鳥たちの飛来後の休憩地となっているのである。
私は15年来、サクラの開花と時同じくしてコマドリなどの飛来を確認してきた。しかしこの日は夏鳥を見ることはできなかった。1時間のラインセン
サスを終え、今度は赤坂町に向かって車を進めた。第1駐車場には1台車が止まっていただけ。日も西に傾き今日は皆帰ったようだ。その時全く
予期せぬ事が起こった。フロントガラスの越しに青い鳥がちらりと見えたのだ。オオルリだ!。直ぐに車を止め、バックドアを開けカメラを出す。カメ
ラを持ってきて良かった!。オオルリ(オスの成鳥)は声を出すことも無く地上5メートルほどの枝に止まっていた。少し遠いところからシャッターを
切り、少し近づき又パチリ。近づきすぎると逃げてゆく。一気に飛び去る様子でもなかったので、もう少しカメラに収めようと姿を探す。彼は不審者
とは認めたが危害を加える様子もないと思ってくれたのか、こちらの方を注意深く見ながら行ったり来たり。孤独な渡りを終えて、何でも良いから
生き物に対し親近感を持ったのだろうか。山の夕暮れは早く辺りは日が翳っている。しかし、彼がいる辺りにはまだ日が残っていて、素晴らしいコ
バルトブルーの姿を認めることができたのだった。少しでもハンサムに写っていたらよいのであるが。
2008
4
13
宮路山・西切山
春の、日の出間もない時間帯の山は、本当に野鳥たちの生気に満ちている。繁殖期に入ったオスたちの囀りが山全体を覆い尽さんばかりである
。その中にオオルりのものも確認できた。先週初めて見たオオルリではあったが、すでに何ヶ所かで囀りをしていた。さらにキビタキやセンダイム
シクイの囀りも。どうやら一気に夏鳥たちがやって来たようである。そうなるとコマドリも。期待は膨らむ。センサス中、耳に全神経を傾けコマドリの
声を確認したが果たせなかった。去年のことではあるが、茶臼山や蛇峠山でのコマドリの確認でも目立って個体数は少なかった。他の夏鳥が到
着しているというのに。新緑は益々見事になってきた。明るい林に似合いの鳥がいる。エゾムシクイである。地鳴きではあったが明瞭な声で鳴い
ていた。
西暦
月
日
メモ
2008
4
13
室林道ラインセンサス
宮路山がだめなら室林道に期待とばかり、宮路山を下りて、萩の里を室林道に向かう。途中、2人の男に出会う。彼等は、人気の無い山道に車を
止め、コマドリを誘き寄せようとしていた。私はスピードを落として一人に声をかけた。「あんた達だめだよ」。室林道には8時頃到着。室林道もウ
グイスを初めとして、ありとあやゆる小鳥たちの鳴き声で溢れていた。夏鳥(オオルリ、キビタキ、ヤブサメ、センダイムシクイ)も確認できた。しか
し、コマドリだけは駄目であった。目に付いたのはヒヨドリのつがいたち。実に多くのつがいがいることか。ヒキガエルのオタマジャクシが湧き水の
中を群れでいた。尾びれを動かすも体の位置は固定したまま。私を驚かせたのはその少なさ。あれほど一面に産み付けられていた卵からこれし
か生き残った個体がいないとは。自然の生存競争は厳しい。
2008
4
19
土曜探鳥会 宮路山
朝は肌寒く、昼には木陰を探すほどの初夏の陽気となった。宮路山の山頂からの眺めは本当に素晴らしかった。平野の中央を通過する新幹線。
子どもたちは700系だとか、午後3時に500系が通るとか言っている。三河湾には大きな自動車運搬船が浮かんでいる。足元にはヨットハーバ
ーがあって海が主役の風景なのである。海の反対側にある赤坂。赤坂駅に子どもたちが集まってきた。萩小周辺よりもずっと車の通行量が多い
ので気を使う。音羽川沿いを進む。2種類のツバメが飛び交っている。ツバメとイワツバメである。子どもたちに特徴を話す。杉森八幡社の境内を
抜け宮路山登山道へ向かう。間もなくオオルリの囀りを聞く。近かったのでもしかしたらと思った所、案の定4年生の子が奇麗な姿を見つけた。肉
眼でも十分なほどはっきりと見ることができた。幸先がいい。最初の個体を見つけた場所から500メートルほど来た所で別のオオルリを見る。こ
れで全員が見ることができた。例年車道を利用していたが今年は気分を換え歩道を使った。もしかして沢沿いでコマドリを発見できるかもしれない
。緑いっぱいの中を歩く楽しみを味わった。そして、歩くのは歩道に限ると実感した。聞いたのはコマドリではなくキビタキの囀りではあったが(キビ
タキには申し訳ない)。コアブラツツジの若緑のトンネルを頂上に向かって進む。秋には紅葉の名所としてちょっとは有名な所。ハイキングを楽し
む人たちと声を交わす。汗が額から落ちる。顔を下げハンカチで拭っていると可憐なスミレの花が目に入った。子どもたちに励まされついに山頂
へ到着。眼下に広がるパノラマに疲れがいっぺんに吹き飛んだ。いくら奇麗な景色があっても無意識のうちに鳥の姿を探してしまう。トビ、ハシブ
トガラスに混じってサシバを見たときには、なんて贅沢なんだと心の中で叫んでいた。
2008
4
23
前田町
夏と冬の鳥たちが交差している。冬鳥ではツグミ。この分だとゴールデンウイーク明けまでいそうな感じであるが、果たしてどうか(確認に来よう)。
前田町での夏鳥の代表は何といてもオオヨシキリ。市街地の一角でこれほどのオオヨシキリがいるとは驚きである。所が今年は、最初に聞いたの
はセッカの方であった。どちらかと言えばオオヨシキリに隠れた存在のセッカである。所で、待ちかねたオオヨシキリがやって来た。ヒバリの囀りに
被さるようにしてオオヨシキリの声が聞こえたのだ。まずはホッとした。これから個体数の確認に入るわけであるが減少しないことを念じている。と
いうのも、かなり前田町の様子が変わったからだ。飼料用のトウモロコシ畑が整地され駐車場になった。それ以外でも、年々田んぼから店舗に変
わっている。オオヨシキリに限らず野鳥にとって棲み難くなっていることは確かだ。目の前をつがいのカルガモが重そうに飛んでいった。彼らが子
どもたちとが水路で泳ぐ姿を見たいと思う。
2008
4
24
茶臼山ラインセンサス
休みを取ってきたものの雨は一向に弱まる気配はない。茶臼山高原道路(有料)が無料になった。めったに利用したことのないこの道路を車でゆ
っくりセンサスできるのは、この悪天候のお陰。いくらなんでもこの雨の中を通行しようとする車はない。道路の標高は950~1200メートル。愛
知県においては茶臼山を除き最も標高が高い所である。最初に霧の中から聞こえてきたのはオオルリの囀りである。雨の中でも熱心に求愛して
いるとは見上げたものだ。続いてウグイス。又オオルリが2個体。というわけでオオルリが多い。ヒガラの囀り、コガラの採餌姿なども確認できたが
、いかんせん視界が非常に悪いので確認個体数はごく限られたものになった。天狗の棚付近でコルリの囀りを聞く。この春初めての確認である。
もしかしてコマドリも。車の窓をできるだけ広く開け(外は巻くように雨が降っている)耳に神経を集中しゆっくり進んでいったが確認できなかった。
茶臼山では傘を差して歩いた。寒い。晴れていたら小鳥の合唱の中を歩いたであろう。わずかに確認できたのが、ウグイス、ホオジロ、センダイ
ムシクイ、ソウシチョウ。中でもソウシチョウの囀りは音量も大きくはっきり分かるものだった。傘の柄が冷たい、かじかんでフィールドノートの文字
がぐしゃぐしゃ。いつの間にか手が赤くなっていた。茶臼山においてもコマドリは確認できなかった。数年単位でみると確かに確認個体数は減少し
ているが、今日の天候では無理だったかもしれない。
西暦
月
日
メモ
2008
4
26
室林道ラインセンサス
オオルリが入れかわり立ちかわりやって来た。オオルリはフライングキャッチヤーと呼ばれ採餌はもっぱら飛びながら行なうが、今日見た個体は
何度も地上に下りて来た。それにしてもオオルリの個体数が多い。室林道はどちらかと言えばキビタキが優勢。しかし今年は今のところ立場が逆
転しているようだ。八重桜も散り始めたこの時期、明るい緑の葉から高貴な紫色の花びらといえばフジ。室林道も初夏の景色に移り変わりつつあ
る。しかし、冬の鳥もしぶとく、カケス、シロハラがまだいる。
2008
4
27
前田町
出勤前のセンサスでは撮影や録音はできない。一年中で一番活気付いている前田町を紹介したくて、日曜日の朝、東名高速を使ってやってきた
。いつもは大型トラックと一緒であるが、大型連休とあって乗用車が多い。前田町も田んぼに水が引かれ田植えの準備が始まっていた。2本の水
路から勢いよく流れている。畦みちはヒメジオンやタンポポなど白・黄色い花で一杯だ。気になるのはオオヨシキリの個体数。1時間30分で回った
具合では目立って少ないこともない。まずは一安心。しかし、生息に適した植生から全く適さない駐車場に変わったことは事実であり、これから先
観察してゆく必要があると思っている。水路のそばで2羽の個体が鳴きあっていた。どうやらオス同士のようだ。どうなるか見守っていたら、突然2
羽が飛立った。追い行動のようである。見えなくなるまで追いかけて行き、しばらくして1羽が戻って来た。もしかして近くに巣でもあるのかもしれな
い。ヒバリとケリも大忙しである。ケリは縄張りに侵入するあらゆるものに攻撃を加えているし、ヒバリはメスが見守るなかやおら天空の舞台に踊
り出てパフォーマンスを披露する。共に真剣そのもの。私は500ミリのレンズを担いでこれまた真剣に姿を追った。
2008
4
28
高嶺山
2008年最初の高嶺山へのバードウォッチング。会社の友人と二人で、屋上からの高嶺の勇姿を望みながら出かける日を今日と決め、とうとうや
って来た。この山は山頂まで自動車道路が付いていて非常に便が良いのであるが、頻繁に道路が崩れ通れなくなるのが玉に傷。確か、去年は
通行止めになっていた筈だ。だから入り口に鎖が張られていないのを見てホッとした。コマドリやコルリの囀りを期待していたが思ったほど鳥の姿
は無かった。日はしっかり出ていたのにとても肌寒いのに驚いた。これならば先だっての雨の茶臼山の方がまだ暖かく思えた(実際にはそんなこ
とは無いとは思うが)。それでもオオルリ、ヒガラ、カケス、アオゲラ、ホオジロなどを確認できた。しかし、高度を上げるにつれて鳥の声姿とも減り
、常にはウグイスの囀りで溢れかえる山頂付近でも、今日は、ほんの2-3個体しか確認できない有様であった。この傾向は後から回った茶臼山
でも一緒で、「今日は珍しいほど不作だなー」「いつもはこんなことはないんだよー」と弁解する言葉が出てしまう。お昼はコマドリの湯で食べる。ソ
ースカツどんを注文。(昨年は材料が無くなり食べ損なったメニュー)今年はリベンジでき溜飲をおろす。温泉につかり昼寝を貪った後、再び茶臼
山経由で帰途につく。「もしかしてコマドリがいるかもしれない」淡い期待を抱いて茶臼山へ向かったが現実は甘くはなかった。「夏にもう一度来よ
うな」とリベンジを誓うしかなかったのである。
2008
4
29
乙女川
この奇麗な名前の川が私の住んでいる近くにあることを知ったのは、やはり小鳥たちのお陰であった。師匠の山口さんと乙女川にカワガラスを見
に来てからであった。名前を知ったのはもう少し経ってから。国土地理院2万5千分の一の地図にその名前が載っていた。以来、お気に入りの川
のひとつになった。乙女川の流れる旧額田町へはよく通った。カワガラスはもちろん、ミソサザイやオオルリ、キビタキなど素晴らしい鳥と出合った
。中でも忘れないのはノゴマである。移動中個体とは思うが想像だにしなかったので本当にびっくりした。明るい緑の雑木林からサンショウクイの
ピリリピリリと鳴く声がする。夏鳥の中で一番好きな鳥。まさに似つかわしい風景の中で鳴いていた。釧路、札幌ナンバーのダンプが通る道を乙
女川の流れに沿って歩いた。流れがあればオオルリがいる。乙女川沿いにはオオルリが多いのだ(200-300メートル間隔で囀っているといっ
ても誇張しすぎではない)。渦が多いのが乙女川の特徴である。川の底を横切る硬い岩盤。まるで大木が化石になったよう。水は岩盤をのり越え
曲げられ流れ、く輝くのだ。それはまさに乙女のヴェールと言えよう。
西暦
月
日
メモ
2008
5
1
寺ノ入林道ラインセンサス
ヤマザクラの花びらがひらひらと足元に落ちる。若い緑が太陽に透けて素晴らしく美しい。雲がたなびき風が香る。そして、小鳥たちの歌声で一
杯の寺ノ入林道をゆっくりとセンサスした。車を停めたらもうサンショウクイが出迎えてくれた。乙女川でも見かけたが本場はやはり三河湖である。
雑木林(新芽が吹いてそれはもう凄く奇麗)の中からはキビタキの声。囀りも無論いいが、地鳴きが聞こえるともっとわくわくする。地鳴きにもヒヨコ
が甘えるような声と、威嚇する声とがあって、両方を使い分けているようだ。声の方を見るとオスとメスがいた。求愛か?。突然2羽が目にも止ま
らぬスピードで追いかけっこをする。絡まって林床に落ちることもしばしば。どうも2羽だけではなさそうだ。最低3羽はいる。オスが争っているよう
にも見えるし、メスを追う様にも見える。こういった行動はよくあることだ。オオルリの同じ様な行動も見たことがある。つがいが出来るまでには争
いが絶えないのだろう。サンショウクイはといえば、3ヶ所くらいで頻繁に鳴きながら飛んでいたので、その辺りで営巣しているのかもしれない。10
年ほど前に育雛記録をとったことがある。たしか5月の初旬であった。その声がよく聞こえるようにと林道からわき道に50メートル入ると、そこで見
たのはオオルリのメスがなにやらごじゃごじゃ喋っている姿。さらに、目の前のアカマツの枝先で囀るヒガラであった。これは録音しなくては。そこ
へ追い討ちをかけるように鳥の声。一瞬名前が出てこなかった。我に返って「コルリ?」。その通りコルリが囀っているのだ。いまだかつて寺ノ入林
道でコルリの声を聞いたためしがない。これには本当に吃驚した。そこで30分も道草をしてしまった(仕方ないわね)。ヒガラ、サンショウクイ、オ
オルリのメス、そしてコルリ。なかなか滅多にない凄いクァルテットを聴いてしまったものだ。思った。今一番野鳥が元気なのは三河湖あたりの辺(
標高数100メートル)に違いないと(単純!)。
2008
5
2
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道で野鳥の囀りが多かったと言ったが、今日の室林道もそれに負けない程であった。オオルリやキビタキの伴侶を獲得する競争も激しさ
を増していた。キビタキはブン、ブンとハチのような羽音を立てて相手を威嚇する。オス同士がもつれ合ってすっ飛ぶ。オオルリもオス同士の鉢合
わせの場面を見ることができる。春を幸せに謳歌しているような雰囲気ではない。しかし、人の目や耳には野鳥たちは幸せに満ち満ちているよう
である。ニホンリスが枝をゆらしていた。太い尾が輝いて見える。センサスの後半に道を歩いてくるものが見える。細い足。ニホンジカだ。思わず
体を強ばらせる。向こうも察知したのか、道から逸れて山の上に向かっていった。雲は次第に厚くなっていった。やがて雨になるだろう。雨になれ
ば野鳥も口をつぐむ。その前の一時の素晴らしさを感じた。
2008
5
4
茶臼山ラインセンサス
茶臼山にもサクラの花が咲き、ウグイスの囀りが全山を覆い尽すほど凄かった。コルリも多かった。姿を見せることは殆どないがコマドリに似た囀
りがあちこちからした。それにひきかえコマドリは、たった1つがいしか確認できなかった。つがいで呼び合う囀りが風の音にかき消されそうになり
ながら聞こえてきた。茶臼山で一番よくコマドリが聞かれる場所でたった2羽しか確認できないとは。本当に悲しい。嬉しいこともあった。アカハラと
マミジロを確認できた事。特にマミジロが頭上を真っ黒い姿で飛ぶのを見て思わず声を上げそうになった。そこはコマドリのいた場所にも近くコマ
ドリのお陰(足を止めていたために見ることが出来たから)と感謝したい。でもどうしてコマドリは減ってしまったのだろうか。コルリは随分いるのに
。連休で道には車やバイクが切れ間なく通っている。道路が拡張され通行量が増加していることは影響していないだろうか。冬の季節とは比べら
れないが遠くの山々がよく見えた。北は御岳、東は南アルプスの3000メートルの連なり、未だ白い化粧を施されていて花嫁のヴェールのようで
あった。
西暦
月
日
メモ
2008
5
10
羽根・長根
恨めしい雨(本日の土曜探鳥会は雨のために中止)の中、こうなったら雨の似合う場所へ行って、雨の似合う野鳥にでも挨拶してこようと羽根・長
根の田んぼに向かった。目に付くのは2種類のツバメたち。背の真っ黒な普通のツバメと、腰の白いバンドが印象に深いイワツバメである。個体
数はほぼ同じくらい。天気のせいか、上空よりも地上すれすれを滑るように舞っている。これに似た光景は、そう、スケーターが銀盤に絵を描くの
に似ている。両者は姿・形だけでなく、飛翔の様子もずいぶんと差がある。普通のツバメは、佐々木小次郎の「ツバメ返し」よろしく縦横無尽に動き
まわる。一方、白いバンドのイワツバメは、滑らかな曲線を描いて滑るように舞うのである。フィギュアスケートで言うと、前者は、ジャンプとスピン
が得意、後者は、スパイラルが美しい、であろうか。昨夜からの雨で長根川もやや水量が多く、普段はセグロセキレイが多い所ではあるが、今日
は、1個体を確認したのみ。その代わりにといっては何だが、イワツバメが、川を道路代わりに上流から下流へ、下流から上流へと、行ったり来た
りしてトレーニング(採餌)する。ツバメはスピンをしたり、ジャンプをすることが好きなので、狭い長根川では、壁に衝突してしまう。ホッケー選手な
らイザ知らず。やはり「リンクの方がいいわ」と早苗が広がる田んぼの上を練習場(採餌場)にしている。雨は水。水鳥は当然雨が好き?。カルガ
モが、早苗のことなどあまり気にしていない様子で、田んぼに降立った。「水面だから痛くない」と言わんばかりに降りる様子も豪快だ。太目の体
なので大目にみよう。スレンダーなのもいる。今日は、4羽の白鳥ならぬ4羽の白鷺(ダイサキ)が出演者である。恥ずかしがり屋の彼等は、双眼
鏡をむけると、サッと少し先に飛んでいってしまう。(決して飛び去ってしまわないのがミソ)ケリは血の気が多い鳥で、テリトリーに入ろうものなら
誰でも、ヒステリックなサイレンを鳴らして追いかけられてしまう。しかし、今日は静か。雨で頭を冷やしたせいだろうか。
2008
5
11
プリンスアイスワールド2008 大津
本年度最初のアイスショーはプリンスアイスワールド大津公演となった。瀬田の駅から会場の滋賀県立アリーナまでは徒歩で30分。道が随分と
きれいになった。アリーナに到着したのと開場が同時、そのまま進めばよかった。パンフレット、グッズ、花束を求め席に着く。正面3列目とまずま
ずの位置。荒川さんがプロになって学んだ「視線は5列目あたりに置くこと」を思い出し、(視線が合うのを)実際に確認できるかもしれないと思った
。待ち時間はわくわくするものだ。特に、新しい年度は。今年のテーマは、時間と空間を超えてであった。(イメージが少々湧きにくい)どうやら、時
が経ても場所が変わっても普遍なものと理解できた。女性タレントの今・昔から始まり、時代劇
美しい青空、などなど、次々と繰りひろげられる煌びやかな場面に圧倒させられるのは、今回のアイスショーでも変わらなかった。男性の連続ジャ
ンプ(3回転)あり、コミカルな演技あり、女性の華やかな衣装あり。レギュラーは、荒川静香、本田武史、恩田美枝。ゲストは、村主章枝、高橋大
輔、中野由加里、武田奈々の豪華なもの。それぞれに素晴らしかった。高橋選手は白鳥の湖。今シーズンは新い曲を作るだろうから、最後に実
物を見られて本当に良かった。競技者としての成績はもうひとつの感があった村主章枝さん、しかし、表現者として定評のある彼女の演技はさす
が、会場は村主ワールドに包まれた。トリは勿論荒川さん。ジャズナンバーFly me to the moon であった。アップテンポの曲が少なかった
荒川さんがプロになって挑戦した曲である。本人も、今一番気に入っていると言うだけに、自分もいいなと思う。イナバウアー、スピン、スパイラル
、安定したジャンプ、どれをとっても一級品だと思う。フィナーレではイナバウアー・トリプル・ダブル・ダブルを見せた。そして一番の楽しみ、花束を
渡す時となった。荒川さんは高橋君のあとで最後にやって来る。ほぼ全員と握手出来た。(花束を渡さないで握手してずうずいしくないか)本人を
目の前にすると緊張する。「頑張ってください」と言うのがやっとであったが、「ありがとうございます」と返事をしてもらうことが出来た。彼女の手は
やはりあたたかであった。
西暦
月
日
メモ
2008
5
17
室林道ラインセンサス から 親子探鳥会(室林道)
今日は萩小学校恒例の親子探鳥会だ。どうやら、豊川市立の全部の学校で同時に「学校に行こう」(テレビ番組にも同名があるが)と銘打って行
なわれるらしい。学校に行くのは親たちである。そこで、学校に行く前に済ませておこうと、出勤時間には起きて室林道へ向かう(休みくらいのん
びりしたい!)。探鳥会のコースの下見なのだ(鳥たちに出演交渉しなければ?)。夏鳥の最後を飾るのがホトトギスである。昔から歌にも詠まれ
絶大な人気を誇っている。そのホトトギスが室林道で鳴いた。懐かしくもあり安堵の気持ちもある。野鳥たちの棲みやすい環境が年々減ってきて
いるからだ。一例を挙げると、コマドリは茶臼山でも本当に出会えなくなった。反対に、居て欲しくない外来種のソウシチョウは年々生息域を広げ
ている。とは言え、まだまだ室林道は野鳥の宝庫。オオルリやキビタキの囀りが聞かれる。もっと室林道の価値を知ってもらい、大切にすることを
やらなければと思う。その意味では、親子探鳥会は絶好の機会である。
親子探鳥会
今年は5コースで行なった。講師は師匠の山口さん、高浜から土曜探鳥会で来ていただいている牧野さん、豊橋総合動植物園の林さん、大橋さ
んである(野鳥のプロ)。お二人はとは長いお付き合いで懇意して頂いている。学校をスタートした間もなく、青い空を旋回する大きなアオサギを見
つけた。今日も働き者のツバメが子どもに餌を取っている。民家が切れ室林道への登りが始まる。数羽のセグロセキレイが田んぼで餌を啄ばん
でいた。どうやら親子のようである。みんな懸命に姿を追った。山に入るとオオルリの囀りやキビタキの囀りが聞こえてくる(一羽でも姿が見られた
らいいのに)。その願いはキビタキが叶えてくれた。少し薄暗いヒノキの林の中で、キビタキが姿を現したのだ。まさに萩小が用意した小冊子のカ
ラーに載っているのと同じ、(強調するが)本物が見られたのだ。みんなの期待は真打オオルリに集まった。自分としてはキビタキで十分と思うが
。声は十分堪能できたが、用心深いオオルリのことだ、簡単には姿を見せてはくれなかった。今年の親子探鳥会は、その名にふさわしく、「親子が
常に隣にいるようにした」ところが新しい試みであった。そのあたりは客観的にみても成功していたように思う。なかなか探せない我が子に懸命に
教えている姿が見られ微笑ましく思えた。これならば共通の会話が交わせそうである。素晴らしい天気で汗ばんだ。畑の花が日に輝いていた。最
後は声がひっくり返ってしまったが、私自身も、親子からパワーをもらった一日であった。
2008
5
24
土曜探鳥会 羽根・長根
天気が心配だ。予報では午後は雨の確率が高い。それでもうっすら薄日が差していたので探鳥会の間は大丈夫だろうと、予定どうり行なうことに
した。大人2人、子ども3人のこじんまりとした探鳥会だ。先週は親子探鳥会をおこない、その前の土曜探鳥会は雨で中止。久しぶりの土曜探鳥
会である。3人は3年・4年生で、高学年がいない今回は、記録取りやフィールドスコープの操作もやってもらおうと思う。ツバメが飛び回り、スズメ
のヒナが餌を求める声が聞こえる。今親たちは大忙しである。山陰川で鳥を見ていたらおじさんから声を掛けられた。「鳥を見ています」。「この藪
にはカワセミがいるよ」と返事。川を越えて50メートルほど過ぎたときカワセミの「チー」と鳴く声が聞こえたのでもう一度山陰川に戻った。しばらく
待つとますます声が頻繁になったので内心「これは見られるぞ」と思った。予想したとおり、下流で餌を取った親が、ヒナに運ぶ姿を垣間見ること
ができたのだった。それも両親の姿が。はっきりと咥えた魚が見える。先生は「久しぶりにカワセミを見ました」と喜んでくれ、自分自身も一度に2
羽ものカワセミに興奮気味。雨を心配しながらやってきた甲斐があったというものだ。羽根・長根の田んぼに入ったころから雨粒が落ちてきた。だ
んだん大きくなった。こんな場合はあっさりとひき返すのがよい。自然のままに自然に行動すべきなのだ。コースの中ほどに位置する下加茂神社
で休憩する。森が雨を遮っててくれる。鎮守の小さな森から美しい声。キビタキだ。
2008
5
24
観音山
先週の親子探鳥会ではあまり鳥がみられなかった観音山。牧野さんが「サンコウチョウもいなかったよ」と言っておられたので改めて確認しに出
かけた。サンコウチョウの姿はほとんど見られない。声で確認できるのが普通。だから鳴かないと分からないことになる。ジシバリの黄色い花、ド
クダミの白花が咲いている(地味な花たちだ)。サンコウチョウの棲む林の中に入る。数十年を経たスギの植林は薄暗くサンコウチョウが好む場所
である。キビタキが囀りをしている。作業道路を奥に進むと見慣れた場所に出た。スギが倒れベンチになっている。腰を掛けサンコウチョウを待つ
。自然観察では待つことがやれることの全て。楽な姿勢でゆったりが良い。キビタキ、ヒヨドリ、ウグイスさまざまな鳥の声。エナガが群でやって来
た。かなり多そうだ。それに釣られヤマガラも。30分ほど経っただろうか。サンコウチョウの地鳴きが聞こえた。さらに待つ。声が大きくなり近づい
ている。そして、樹冠近く薄日をとおしてシルエット状にあの尾羽の長い姿が見られた。尾羽は水平に伸びている。サンコウチョウとはっきり分か
る「ホイホイホイ」の声は発しないので、サンコウチョウがいると感じられるには慣れが必要か。よくみるとメスの姿もある。メスの尾羽は特に長くは
ない。近くにいたヒヨドリがサンコウチョウに近づいた途端2羽に追い払われる光景も何度か見られた。繁殖しているのだろうか(可能性は高いと
思う)。探鳥会では大勢の人がいた。いすれにしても警戒心の強い鳥を観察するには難しい条件だ。確認できなくても無理はない。
西暦
月
日
メモ
2008
5
29
茶臼山ラインセンサス
よりによって有給を取った日に雨が降るとは、前日まであれほど晴が続いていたのに。もう100パーセント雨と分かっているのに届けいるので仕
方ない。茶臼山に向かう。ラジオによると午後から晴れてくる。その通りであった。正午の時報を合図にセンサスを開始する。実は8時30分には
着いていた。雨で車から出られなかったのだ。小雨なら傘をさしての手もあるがかなりの横殴り。気温12度とひんやりする中で濡れるのはやはり
嫌である。それでも「歩く前に車で一回り」はちゃっかり済ませておいたが。歩き出して携帯がなった。会社の友人からだ。「昼休みで屋上からこち
らを眺めているが雲の中だよ」と言ってきた。ははん、蛇峠山に行くと話したからそう言っているんだな。ウグイスの声は聞かせたが茶臼山にいる
とは言わなかった。薄日が出始めて気分も明るくなった。ウグイスやホトトギス、カッコウの鳴き声が高原の雰囲気を感じさせてくれる。コマドリの
確認が今日の目的。車では確認できなかった。歩けば確認できるかもしれないと頑張ってみたが駄目であった。ほんとに茶臼山からコマドリが消
えてしまったのか?。それにひきかえいて欲しくないソウシチョウは、今日も元気に鳴いていた(このノー天気野郎)。牧場で若い牛たちが草を食
んでいた。その側を通ると、20頭全員がこちらに向かってくるではないか。彼らとの間にある2本の有刺鉄線はいかにも頼りない。すこし不安にな
った(有刺鉄線をなぎ倒して来ないだろうか)。
2008
5
31
羽根・長根の田んぼ
音羽米の早苗が爽やかな風に揺られていた。水田には3種類のサギが風雅に歩いている。アオサギ、ダイサギ、チュウサギである。小型種のコ
サギ、アマサギはいなかった。胸や背中の繁殖羽がレースカーテンのように波打っている。1箇所だけ麦畑があり、そこにはスズメの群がいた。
刈り取り近い麦を食べているのだろうか。目の前をカワセミが飛び去った。魚を咥えていた。飛び去る先を目で追う。赤土がむき出しの崖に消えた
のでそこに巣があるようだ。離れてはいたが確かにカワセミの巣は見つかった。(ただし、使われている巣か分からなかった)田んぼをリンクのよう
に滑空するイワツバメとツバメ。同じツバメといっても姿は違うし飛び方も異なる。しばらく見とれていると、同じ視界に、猛烈に速いのが割り込ん
できた。スピードスケートの選手を見ているかのようだ。特徴的な羽は三日月形。アマツバメだ。(全ての野鳥の中で一番気に入っている)500ミ
リのレンズを携えてきたが、まったく歯が立たない。普通のツバメですら長い玉での追いかけ撮りは難しいのに相手は野鳥界一のスピードの持ち
主。多分ピンボケばかりと思いつつも懸命に、ここで合ったが百年目とばかりにシャッターを切った。そうそう出会える鳥ではないから。雨が降った
りやんだり変な天気であるが、変な天気だから出会えたのかもしれない。心が満足すると優しくなるのか、畦に咲くヒメジオンやシロツメクサをでき
るだけ可愛く撮ってあげた。
2008
5
31
室林道ラインセンサス
起きたら小雨が降っていた。しかし、これくらいの雨なら雨の中には入らない。傘を差してセンサスするだけだ。室林道はしっとりと落ち着いた雰囲
気であった。ただし、どこからでも聞こえるホトトギスの鳴き声を別にしたら。それほど今日の(いつもそうであるが)ホトトギスは気合が入っていた
。「トッキョキョカキョク」「トッキョキョカキョク」「トッキョキョカキョク」けたたましいのに何か哀愁を感じてしまう。托卵行動は有名であるが人間の規
範を物差しにすれば悪人になってしまう。育ての親よりも大きなヒナに何故騙されてしまうのか?。以前にホトトギスの声を聞いて、被托卵種のウ
グイスが警戒の声を上げたのを観察したことがあった。そのウグイスは今日も多くの個体が囀っている。繁殖をめぐる競争はまだまだ続いてゆく
のだ。
2008
6
7
今日は一生忘れられぬ日となる。次女、志緒の結婚式の日である。忙しいぞ。いつものようにルナと散歩をする。梅雨入りしたばかりというのに爽
やかな青空が見える。神様有難うございます。聞き慣れたキビタキの声に混じって聞こえる声に耳を傾ける。サンコウチョウだ。民家の裏のこんも
りした山から聞こえる。一瞬にして時間が遡る。ちょうど今頃、志緒が小学4年生であった。一緒に観音山へバードウォッチングに出かけた。ウグイ
ス、オオルリなど様々な小鳥に出会えた。そして、あのサンコウチョウに出合った。”ツキヒホシホイホイホイ”聞いたら忘れることは無い囀りを一
緒に聞いたのであった。当時は志緒が鳥の先生であった。披露宴での紹介で一緒に鳥を見たことが思い出に残っていると言ってくれたのには、
嬉しいやら驚きやら。元気に頑張って、孫と一緒にバードウォッチングしたいものだ。
西暦
月
日
メモ
2008
6
8
寺ノ入林道ラインセンサス
2日目の梅雨の晴れ間、結婚式でくたくたではあったが沢山の野鳥に出会えれば何よりの骨休み。期待どおり、寺ノ入林道は野鳥の囀りで満ち
満ちていた。名前を書き出すと、ウグイス、オオルリ、キビタキ、ホジロ、イカル、ヤブサメ、センダイムシクイ、メジロが囀り。ヒヨドリ、ツツドリ、ホト
トギス、カケス、サンショウクイなどが地鳴きを聞かせてくれる。勿論、両方を聞かせてくれる個体もいる。今日は地鳴きが面白かった。最初はウ
グイス。巣立ちビナが母親と連れ立っている。そんなところに出くわすと一斉に警戒の地鳴きを浴びせられる。そこはまだ子ども。大胆にも姿を見
せてくれる。母親のほうは気が気ではないだろうに。一腹の子が一斉に鳴き出すので相当うるさい。もう一つはキビタキ。地鳴きは彼が近くにいる
ことを示している。ピヨピヨとヒヨコのような声と、カカカ・カカカと嘴を打ち鳴らす音を交互に発するので、直ぐにキビタキだと分かる。そうの場に出
会ったらジッとするのが一番である。オスが見えたならメスが近くにいる。その反対の場合も無論ある。今日はオスがいた。暗いヒノキの林の中に
いた。10メートル以内の近距離だ。姿は丸見え。当然向こうも私を見つけているに違いない。しかし、逃げる気配など全く見せないでドスの効いた
声で鳴き続けている。バードウォッチャーはキビタキを可愛らしい鳥と思うに違いない。それは見た目と声の美しさからの勝手な判断である。彼の
行動をみると「実態はそんなものではないぞ」と教えているようだ。それにしても、薄暗い林の中に佇むキビタキのオス、正面から見る喉もとのオ
レンジ色が何と鮮やかなこと。メスにはどのように映るのだろうか。きっと魅力的な姿に見えているのだろう。これも性選択だろうか。
2008
6
14
室林道ラインセンサス
梅雨に入ったのに梅雨らしくない天気、これも異常気象か?。出勤時間とほぼ同じ5時40分には家を出た。室林道には朝日が差しおまけに涼し
い風が吹いていた。高圧線が重低音を奏でていた(まるで冬のように)。車を降りたらセンダイムシクイの大きな囀りが聞こえる。ショウチュウイッ
パイグイー(相当飲んだらしい)。センサスを開始する。やけにヒヨドリが賑やかだ。ウグイスやキビタキの囀りよりもヒヨドリの地鳴きの方が生き生
きと聞こえたのだ。ヒヨドリはいろいろな声を持っている。その変化に富んだ鳴き声は彼の懐の広さを感じさせる。オオルリの古巣を見つけた。室
林道はすばらしい。
2008
6
15
観音山
彼は3年生である。日曜日に変更したので参加できたのは彼一人。使い込んだカード式の図鑑を持参する。二人しかいないので役割を決める。
フィールドスコープは彼にやってもらおう。25倍あると簡単には視野に野鳥を入れられない。練習あるのみだ。田んぼでスズメが群れていた。子
どものセグロセキレイが目に付く。サンショウクイもいた。今日はとても幸先がいい。観音山に近づくと野山の鳥が現れた。センダイムシクイ、ホオ
ジロの囀り。観音山から流れる小さな川にはカワセミもいる。いよいよ核心部に入る。そこは薄暗い林の中。センダイムシクイが大きな声で囀って
いる。歩を進めるうち聞こえてくるのはキビタキの囀り。それが実に美しい声なのだ。彼に丸太のベンチに腰掛けてもらう。ゆったりと野鳥の声に
耳を傾けてもらうのだ。「キビタキの声奇麗だね」と呟く。「今聞こえるのはヤブサメだよ」。二人は帰りの時間を気にしながら暫くは野鳥の声に聞き
入った。
2008
6
16
富士山
1年に1度だけやって来る場所富士山。2合目にして1600メートルの高さだ。1600メートルは茶臼山よりも200メートル高く、高嶺や蛇峠山に匹
敵する。西臼塚駐車場(1270メートル)で寒さに備え着込むことにする。この時はまだ5合目(2300メートル)まで行くつもりであった。カッコウ、
キビタキ、メボソムシクイが鳴いている。すこし暖かくして2合目まで直行する。去年はくっきりと富士山頂が見えたのに今日は雲の中。高鉢の駐
車場で初めて見る光景に出会った。ウソが地上に下り植物の種を食べていたのだ。さらに散策路を進んでゆく。回りから聞こえる高山鳥の囀り。
メボソムシクイはそこらじゅうで鳴いている。ミソサザイの囀りもかなりの数である。さらに嬉しいことに聞き慣れたオオルリやキビタキの声もあった
。コガラが虫を捕まえた。ヒナに持って行くのだろう。ソウシチョウがウグイスと張り合っている。思わずウグイス頑張れ。こんなに鳥の密度が高い
経験はめったにあるものではない。そうなると欲が出てくる。茶臼山では聞かれなくなってしまったコマドリの囀りが聞きたい!。神経を集中させて
道を進む。原生林というのだろうか。太い樹が倒れているのを何度も見る。溶岩が造り出した山富士、そのことがよく分かる地形があった。メボソ
ムシクイは益々多く、夏のセミの合唱を聞いているかの様。それでもコマドリの声は未だ無い。聞こえるまでは引き返せないと思った。ガスが噴出
した穴がポッカリ見える所を通過した時、枯れ沢の上流から、ウグイスやメボソムシクイに混じって、あのカラララ・・・の声が聞こえてきたのだ。コ
ルリと間違っていないか。気を落ち着かせて次の囀りを待つ(囀りと囀りの間に静寂がある)。そしてヒンカラララ・・・。コルリではない。間違いなく
コマドリだ。嬉しかった。気持ちを強く持てば願いは叶うものなのだ。しかし、なんて少ないのだろう。その他の鳥は一杯いるというのに。結局1時
間半近く散策路で過ごした。霧は少しずつ濃くなっていくみたい。5合目はきっと霧でなにもかも見えないだろう。コマドリの余韻を大事にして下山
することにした。
西暦
月
日
メモ
2008
6
18
高嶺
蛇峠から下り国道をそれ高嶺に向かう頃には薄日が差すようになった。休みには山頂から飛び発つ色とりどりのパラグライダーの花が見られる
所だ(今日は平日なのでドライブする車も無い)。ここでの注目はやはりコマドリである。ヒガラ・ウグイスが麓から山頂まで鳴いていた。蛇峠ほど
ではないがコルリもちらほら。肝心のコマドリ、1個体だけ確認できた。そこは急な谷を見下ろす場所で、ミソサザイと共に囀る声を聞いた(コマドリ
とミソサザイはよく一緒に聞く)。やれやれ。自分のフィールドに限って最近の観察ではっきり言えるのは、コマドリの個体数は激減しているというこ
とだ。同じような環境で繁殖していると思われるコルリは減っていないのにだ。茶臼山・蛇峠山・高嶺・富士山2合目と間をおかず訪れてみた。そ
の結果が先に述べた通りである。高嶺の山頂でもやはり、あのウグイスの囀りを見ることができた。長い(そう見えた)尾羽を斜め上に立てて歌う
姿は世紀のテナー歌手のように思えたのだった。
2008
6
18
蛇峠山
山頂は雲に隠れていた。山の天気は気まぐれなので心配したが雨具は持たないで山頂へ向かう。馬の背への道ではヒガラ・コルリ・アカハラが囀
っていた。馬の背からは明るい車道。ここでもコルリは多い。コマドリの声に注意していたが確認できなかった。やはり蛇峠でもコマドリはいない(
または非常に少ない)。山頂近くではウグイスがソングポストで囀る姿が見られた。オオルリやホオジロでは普通の光景であるがウグイスでは珍
しいことだ。ウグイスやホオジロはオオルリに比べて声を上げる時に力んでいるように見える。特にウグイスはである。ウグイスが1番声量がある
ことや、節回しからも頷ける。ホー・ホケキョと単純ではあるが一気に歌い上げている。ホオジロもその傾向があるがウグイスよりも節が長い分力
を貯めている。オオルリはさらに長いので小出しにしている。短距離ランナーと長距離ランナーの差といったらわかり易い。今が最も生き物にとっ
て活気溢れる季節。何時もは繁みが好きなウグイスも堂々と囀るのである。
2008
6
20
豊田市自然観察の森
高速道路を乗り継いでやって来た豊田市自然観察の森は市街地に接した丘陵にある。去年は野鳥よりもトンボが面白かった記憶がある。ギンヤ
ンマやチョウトンボが行き交うトンボの池を今でも思い出す。トンボの時期からは少し早いので、今年は野鳥を沢山みたいものだ。そんな気持ちを
十分満足させてくれる一日であった。コースはしっかり整備されていてたいへん歩きやすいし、標識もあってためになるのではあるが、森の中のコ
ースの宿命か、姿を確認できるのはごく一部、殆どは声が頼りにあってしまう。それと、蚊の襲撃を防ぐ手立てをしておかないと早々に退散する把
目になる。カルチャーセンターで受付し、ついでに虫除けスプレーを借りた(夏の山には絶対必要)。まず印象に残ったのはウグイスが少ないこと
。先に述べたように湿潤な環境のため蚊が多いことに関係があるのでは。ウグイスは涼しい所で繁殖する鳥だ。1500メートルを越す山にはウグ
イスが多い。その訳は蚊が少ない環境だからと本で読んだことがある。もともとウグイスが好むのは日当たりのよい所だ。ここは最高地点を除い
て日当たりは悪い。そんな環境に合ったのかキビタキは随分いた。直ぐ側を広い環状線が通り車の音が途切れることが無いにもかかわらず、ひ
とたび森に入ると深い山に来たような心持がするから不思議な場所である。受付に来たときから小学生の子たちの先を歩いてきたがとうとうトン
ボの池では追いつかれてしまった。挨拶を交わして、彼らの様子も見ながら池を眺めた。私が近くの子に「これメダカじゃあない?」と声を掛ける。
すると女の子と男の子が覗きに来た。そこで事故。男の子が田んぼに片足を入れてしまった。「あれあれ」かわいそうな事をしたものだ。声を掛け
なければ靴を(靴下も)泥だらけにすることは無かっただろうに。その罰が起きたのだ。担いでいたカメラが三脚もろとも肩からするりと落ち、その
ままレンズとカメラは離れ離れに。カメラは使用不能と相成った。娘の結婚で出費が激しいので当分カメラは買えそうにない。ここ暫くは鳥の写真
は撮れなくなりました。
西暦
月
日
メモ
2008
6
20
室林道ラインセンサス
豊田から山道を進んできたら室林道の入り口の着く(ことになっている)。それでは未だ日が高いのでみすみす通り過ぎるのはもったいない。サン
コウチョウが初めて室林道の室側の入り口で囀っていた。なんというタイミングの良さ。おまけにサンコウチョウの右からはオオルリの囀り。豪華
な競演をまのあたりにした。その周りでもウグイスやキビタキが囀っているのだ(室林道は最高のフィールドだ・自画自賛)。しかしスター軍団ばか
りを追っていてはいけないと思い直しセンサスを開始する。その結果若い連中を沢山発掘した。一番手はヤマガラ。顔も体も大人になり切れてい
ない(青いのだ)幼鳥が、声だけはかなり一人前に上げて、一腹の兄弟・姉妹であろうか数羽で群をつくっていたのだった。子どもといえばエナガ
もそうであった。成鳥のような薄紫色の化粧もなく何となくパッとしない姿が群を形作っていた。林の下に目をやると、落ち葉と同じ色をした小さな
姿が2羽。小さくても大人である。どうやら夫婦のヤブサメらしい。ヤブサメは滅多に姿を見せない。「シシシシ・・・・」まるで虫の音のような囀りは
聞こえてくる先を定位し難い。そんなでヤブサメを見つけようとは最初から思わないようにしている。しかし、地鳴きが聞こえたときは話は別。殆ど
の確率で姿を探せられる。どうしてこんなに違うのだろうかと思うほどだ。2羽は営巣の最中なのだろうか。2羽とも巣からはなれて問題ないのだ
ろうか。いやこれからか、それとも子育ては終って休養中なのか、想像するとまことに面白いものだ。シカとイモリに出合った(取り合わせが凄いが
)。イモリは数匹がかたまっていた。上から見ると黒っぽい。その中の一匹、我家のネコもするようにお腹を上にのんびりしていた。イモリのお腹は
鮮やかな朱色。おお少し気味悪い!
2008
6
28
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日食堂でササユリの話がでた。「白山の麓に写真を撮りに行く」「ササユリの写真を撮ろうと思う」と話していた。たしか、寺ノ入林道にもササユ
リが咲いていたっけ。サンショウクイの声とササユリに逢うのもいいな、旬のものだから。車を降りたら、そこは野鳥たちの世界。キビタキ・イカル・
ウグイス・ヒガラの囀りが林道の山に響く。地味ではあるがヤブサメも外せない。嬉しいことに大好きなサンショウクイが鳴きながら飛ぶ姿もあった
し、アオバトの摩訶不思議な声も聞かれた。最初に大きなスズメバチを見たため常に気を張って歩いた。なんせここはハチクマも棲むハチの宝庫
。ハチに刺され救急車で病院に運び込まれた私としては簡単に刺されるわけにはゆかぬ。お目当てのササユリはというと、少し最盛期は過ぎた
ものの、道の側のあちこちで、乙女の白い頬がポットピンク色に染まったような楚々としたササユリが咲いていた。そろそろ子どもの姿が見られる
のも楽しみのひとつだ。カワラヒワがいた、親と比べ茶色い色をしている子どもであった。
2008
6
28
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道から下りてきた。室林道の標高は寺ノ入林道の3分の1しかないので下りてきたと言ってもよいだろう。鳥の種類はヒガラの囀りが聞か
れないくらいであまり差は無い。キビタキもオオルリもいる。しかし室林道では子どもの姿を沢山見ることができた。最初はキビタキ。メスに似た色
で鹿の子模様が子どもの証。初めて見るのがセンダイムシクイらしい子ども。もしかしてウグスかもしれない。オオルリの子どもはキビタキと迷う。
体の大きさで決断。両者とも鳴き声を発しないので声で判断できるヤマガラやシジュウカラがうらやましい。エナガとヤマガラの子どもが群で移動
していた。子どもといっても羽色の差がある。微妙な年の差なのかもしれない。50メートルほどの所にいた若いシカに出合った。彼は私を見るなり
谷の方向に下っていった。工事の音が聞こえる。第2東名高速工事用道路を造っているのだ。東名とと第2東名に挟まれることになるわが町。自
然への影響は大丈夫なのだろうか。
2008
7
5
室林道ラインセンサス
ホトトギスが鳴く。彼らも子孫を残すために必死なのだ。一方で被托卵主のウグイスたちも繁殖の機会を失ってはたまらないだろう。ここは人間の
倫理観をもち出すべきではないのだ。センダイムシクイが印象的な声で囀っている。緑の葉の中に隠れて見つけにくいセンダイムシクイではある
が、ホオジロのように梢で囀ることもあるのだ。道路で餌を捕る姿が。オオルリ?。いやいやホオジロの幼鳥であった。鳥によってはなかなか判別
し難いのが幼鳥なのである。今日も、キビタキ・オオルリ・エナガ・ヤマガラの子どもを確認した。そうしてみると新しい命が躍動するこの時期(梅雨
のうっとうしい)はなかなか魅力的なのだなと思えるように成りつつあるtといってもよい。
西暦
月
日
メモ
2008
7
5
土曜探鳥会 龍源寺
夜の探鳥会を行なった。毎年、場所は龍源寺と決めてある。子どもたちには一番の人気で(参加しやすいのだろう)15名の参加があった。梅雨の
晴れ間で日中の日差しは最高に強かった。だから、夕方の風は体に心地良い。羽根・長根の探鳥会と同じコースを進み、途中から龍源寺に向か
うことにした。働き者のツバメはただ一人、まだ明るさの残っている空を飛び回り、巣で待つヒナのため食べ物を探している。ハシブトガラスはねぐ
らに向かっている。彼らにも子どもがいるのだろうか。ひときわ大きなアオサギがゆったりと羽ばたいていた。久しぶりに夕焼け雲と三日月を見る(
夕方の空をゆっくり眺めることはあまりなのだなー)。龍源寺境内でヒキガエルを探したが見つからない(何時も沢山いたのに)。そして30分ほど(
実際はもう少し短い)静かにムササビの出現を待った。子どもたちは、むずむずする口にチャックして(ひたすら耐えているのよく良く分かる)待っ
た。しかし、聞こえるのは蒲郡から聞こえる花火の音だけ。残念だが今年もムササビには逢えなかった。帰り道、もう一度境内でヒキガエルを探し
たら「いたいた!」と叫ぶ子。その声の活き活きとしている事といったらない。直ぐにこどもたちがはヒキガエルの周りを取り囲んだ。絶叫にも似た
歓声が沸きあがったのだった。さらに嬉しいことに、ホタル(ヘイケボタルか)が点滅する様を見ることもできた。夜の道を歩くこと自体経験の少な
い今の子ども、大人になってから思い出してくれたら嬉しいと思う。
2008
7
6
フレンズオンアイス
今年で3年目を迎えるフレンズオンアイス。トリノ金メダリストの荒川静香さんが立ち上げた手作りのアイスショーだ。スケーター自身が出演者の
紹介を行う。肉声が聞かれるだけでも得した気分になるし、アットホームで大変よい。もうひとつ、未来の荒川静香を目指すスケーターに夢を与え
、スケート、アイスショーを好きになってもらうために、スケーターとして参加してもらっている。このコーナーも大変人気があるのだ。ここは各スケ
ーターを代表して、荒川さんの演技を振り返りたい。オープニングでは紫色のコスチューム(キャンディマン)。今日はこの衣装で行くのか。その予
想は見事に裏切られた。実に沢山の衣装を纏って荒川さんは登場したのである。最初は6人のコラボレーション。ミュージカルの名曲が流れる。
オペラ座の怪人は男性陣(宮本、本田、田村)、ウエストサイドは女性(荒川、中野)ふたりでイナバウアーをやったときはもう拍手喝采。高橋選手
がオペラ座の怪人を有名にした。その当人が最後を締めたのは言うまでも無い。1部の最後はお楽しみ抽選会。荒川さんと宮本、高橋さんが担
当。高橋選手のキャラクターがたいへんよい。荒川さんはお姉さん役である。第2部のスタートに何と荒川さん。少し早過ぎではないの。暗闇から
ライトに照らされた荒川さんのコスチュームは黒。フライミートゥ-ザムーンが始まった。所がここで問題が。宮本さんと中野さんが注文を付けたの
だ。その曲もいいけれども他の曲も聴いてみたいと言うものであった。荒川さんは首をすくめたが、それならやってみようじゃん、といったかどうか
。まずは衣装を換える行動をとった。一度舞台裏に戻ることなく銀盤の上で早替わり。白と黒のツートン。同じ色の手袋をして、流れた曲はミュー
ジカルキャッツのメモリーである。古いファンならたまらない。2004年のエキシビションの名曲である。当時の衣装はネコそのままに大きな目が
荒川さんの胸で光っていた。私はビデオでしか見たことがないが、スパイラル、スピン、イナバウアーが当時の演技をよく再現していると感じた。こ
れは嬉しい。3曲目は白い衣装のキャンディマン。キャットが横たわった上に衣装換えブラインドが天井から下がってきて荒川さんを隠した。再び
現れたのがキャンディーマンであった。そしてサラ・ブライトマンのイッツ・ア・ビューティフル・デイズが聞こえてきた。ところがリボンを持って登場し
たのは荒川さんに演出したシェイリー・ボーンであった。ところがところがシェーリーの影のように荒川さんが登場し、ふたりの天女の舞となった。
これまた凄くいい。こんなにやっちゃっていいの。驚嘆すべきは荒川さんのパワー。休む間もなく演じたすぐ後で司会をしてのけた。荒川さんの紹
介で2回目の子どもスケーターの登場。これだけでいいのに荒川さんは律儀にトリを勤める。シェイリーが振り付けした新曲を黒い衣装で披露し
た。曲名は残念ながら忘れてしまったがいずれ分かるだろう。そしてとうとうエンディング。荒川さんはピンク(濃い目)の衣装で登場する。荒川さん
の人気は別格だ。プレゼント・花を渡す人が並ぶ(見慣れた光景)。PIWではメンバーの一人が大きなカゴでプレゼントを運んでくれるのにここで
はそれがない。荒川さんは何回も往復してプレゼントを受け取った。ファンを本当に大切にする人だ。フレンズ・オン・アイス2008。ファンとスケー
ターと裏方さんが一緒に創った他にないアイスショーであった。
附)荒川さんの衣装替え
オープニング(紫)→ウエストサイド(白)→抽選会(白)→フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン(黒)→メモリー(白・黒)→キャンディーマン(白)→イッツ・
ザ・ビューティフル・デイズ(白)→新曲(黒)→エンディング(ピンク)
西暦
月
日
メモ
2008
7
12
室林道ラインセンサス
今日は氏神さまの祭礼で直会(なおらい)の当番なので、8時までに家に戻らなくてはいけない。出勤時間(4時50分)には起きて室林道に向かっ
た。まだ低い太陽からの木漏れ日が赤い色をしていた。早朝だけに味わうことができる涼しい風が気持ちいい。スタート地点ではオオルリとセン
ダイムシクイの囀りが、進むうちにホオジロの囀りが多いことに気が付いた。ウグイスは別として、囀りの多い種はホオジロである。続いてキビタ
キ、センダイムシクイ、オオルリになろうか。幼鳥はキビタキ、エナガ、ヤマガラ、ホオジロを確認した。囀りもいいけれどもキジバトののんびりした
声も悪くない。コジュケイはすっかり目が覚めたような鳴き声だ。目の前を黒いものが歩いている。顔を近づけ焦点を合わせるとオサムシであった
。オサムシは飛べない甲虫である。移動が限定的なため地域毎に特徴があるということを聞いたことがある。従来の形態的な分類とDNAからの
分子的な分類で差があって、分子的分類から分かったことは、日本列島の成り立ちと同期しているということであった。何度も隆起・沈降を繰り返
してきた列島。地質的年代とその地域で採取されたオサムシの系統(古さ)が一致していたのだ。早起きは3文の得。いやいや、もっともっと充実
できると思う。
2008
7
13
プリンスアイスワールド2008 豊田公演
毎日職場の屋上から眺めたスカイホールで、プリンスアイスワールード2008豊田公演が始まった。豊田市民の反応はどうだろうか、暖かい拍手
はあるだろうか、スケーターを乗せる拍手は起きるだろうか。真央ちゃんや由加里さん荒川さんに送るのと同じ拍手をアイスワールドチームは貰
えるだろうか。何故こんな心配をしているかだって。2006年に友の会会員になり、ファンミーティングで親しくなって以来、ゲストスケーターを見る
のと同じ目で彼らを見つめるようになった。魅力的な女性スケーターも多いし、素晴らしいトリプルアクセルを跳ぶ男性スケーターもいる。異色な
のは長いブレードを着けたスケーター。段違いのスピードはショートトラックのテクニックである。ベテランふたりの大島・薄田組、コミカルな演技で
開場は爆笑。ボレロに乗ってシンクロナイズドスケート、素晴らし演技だ。チームの新しい一面を見たようだ。ゲストスケーターは愛知県出身者が
目白押し。舞・真央姉妹、由加里さん、戸塚貴彦選手、武田奈々さんと若い選手が次々と演じた。自分としては舞さんと由加里さんが良かった。荒
川さんはフライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン。先週のフレンド・オン・アイスで中断したものを最後まで見られて良かった。(フレンド・オン・アイスではフラ
ーミー・トゥー・ザ・ムーンを中断させられ、4曲メドレーを行なった。その後、今日の八木沼純子さんと同様に司会を勤めたが、全く息が弾んでいな
いのには驚いた。年齢の差か。隣の席には親子連れ。男の子は真央ちゃんのファンだ。仲良くなって話をしたのはアイスショーでも初めてである。
2008
7
17
茶臼山ラインセンサス
平地は35度を連日更新。温暖化が早まっているのではと危惧してしまうのは自分だけではないだろう。1300メートル茶臼山もかなり暑かった。
ウグイスの囀りは相変わらず多いが、目に付いたのはホオジロが梢で囀る姿であった。ウグイスも1個体が電線でホーホケキョと鳴いているのを
見たが。カッコウやアカハラといった高原らしい鳥の声を聞くのは夏の茶臼山バードウォッチングの楽しみのひとつである。それに今日はアの付く
鳥が揃った。アオバト、アオジ、アカハラである。アオバトは緑色の奇麗なハトで、独特の声は一度聞いたら忘れない。アオジも冬には平地で普通
に見られるが、繁殖地での囀りも興味深いものだ。自分が知る限り、茶臼山は辛うじて囀りが聞かれる最低線(標高でみて)の場所だ。従って、毎
年確認出来ているわけではないので、突然の鳴き声には驚いた。アカハラは以前に比べると個体数が減少しているような気がする。夏鳥では、
新しく出来た遊歩道を歩いていてオオルリとキビタキを確認した。矢作川の源流の沢は大変冷たく、汗ばんだ顔を洗い生き返った。
2008
7
19
羽根・長根
子ども4人・おとな2人のミニ探鳥会、今日の天気で梅雨が明けた。しかし、朝早いこともあって涼しいそよ風が火照った体を冷やしてくれた。電線
で餌を受け取るツバメの子どもや、畑の中で草の実を啄ばむスズメの群。近くの山からウグイスのさえずりがした。子どもちは田んぼの水路でド
ジョウやアメリカザガニリを見つけた。「ほう、少しばかり自然が戻ってきた。」羽根・長根の田んぼ、そよ風の模様が滴る緑の田んぼで揺れていた
。思わず、「先生、気持ちいいですねー」と声を出した。稲の中を歩くダイサギ、2羽のアオサギ、縄張りを見張るセッカの小さな陰、夏の田んぼの
野鳥を垣間見た。
西暦
月
日
メモ
2008
7
20
裏谷
東栄町で用事を済ませ、国道473線で設楽町に向かった。深い谷を流れる清流にはアユつりの姿が見える。昔、トンネルの崩落が話題になった
。今日通った堤石トンネルも危険度が高かったと記憶している(今は安全であるが)。設楽町から裏谷に向かう。快晴の空に輝く山の緑が凄かっ
た。段戸湖は人造湖ではあるが原生林によく馴染んでいる。久しぶりの裏谷である。10年以上前には、チェーンを着け真冬に来たこともある。特
に、ミソサザイを探して師匠の山口さんと歩いたことが懐かしい。樹齢300年というツガの林に入る。そこで聞いたのは、以前には全く聞いたこと
の無いものであった。茶臼山で増殖している、例の、ソウシチョウである。その多さは茶臼山以上であった。ここは標高が900~1000メートル。
ソウシチョウにとって都合の良い場所なのだろう。ウグイスと競うように囀っていた。キビタキも多かった。広葉樹の林から奇麗な声を聞かせてくれ
たが、ソウシチョウの囀りにかき消されそう。多勢に無勢といったところか。ヒガラ、ミソサザイといった高山の鳥もバッチリ。そこで、欲を出してつい
つい聞いてしまうのはコマドリやコルリの声。残念ではあるが、こちらの方は無理であった。観察路を歩く人に出会い挨拶を交わす。お昼時に来た
ので家族連れの楽しい声が聞こえる。帰りの道は、これまた久しぶりの西川(にしがわ)-豊邦を経由するコース。西川までの川筋ではオオルリ
が思い思いに囀っていた。しばらくご無沙汰していてすみませんでした。そんな気持ちで走った。
2008
7
26
室林道ラインセンサス
室林道でアブラゼミが鳴きだした。野鳥は主役の座をセミたちに譲り、静かに時を過ごしているいるようだ。セミたちは永い幼虫時代を過ごし、よう
やく子孫を残せる年齢になった。しかし、時間は限られている、ここはひとつセミたちに譲ってみよう、そう思っているのかも知れない。もしそうだと
したら素晴らしい。静かに生活している鳥たちを眺めてみよう。キビタキの若いオスが採餌していた。成鳥のようには美しくない。しかし、オスとは
っきり分かる。幼鳥にも逢った。こちらはメスのような色をしていた。ヤマガラ、エナガ、シジュウカラ、見かける姿は殆どが子どもである。巣立ちし
て、親の助けも打ち切られ、自分ひとりで生きていかなくてはならない、しかし、そんな重さは微塵にも感じさせない。上を見上げて歩いてばかりし
ていて気付いたことがある。ソメイヨシノの葉は虫食いだらけだということ。すなわち、鳥たちの餌となるチョウやガの幼虫が沢山いるということ。や
はり、植物は全ての動物の母親なのである。
2008
8
2
早朝探鳥会 室林道
早朝6時に集合する。ただし集まったのは子ども1人と大人3名。少しでも涼しいうちに終えるよう室林道まで車で向かうことにした(これほど暑い
中を歩くのは体にも良くない)。林道は微風が吹いていて結構気持ちいい。メジロやエナガの群がサクラの木で採餌しているのを首を曲げて観察
する(これが結構疲れるのだ)。6年生の彼は、1人しか参加していないことに多少不満を漏らしていたが、私は、人数には関係なく何時もの通り
にすることを毎回思ってやっている。ウグイスは最後の囀りを交わしていた。これも、あと2週間もすると聞かれなくなるだろう。ウグイスとは托卵で
繋がっているホトトギスの鳴き声が何度も聞かれた。托卵主の繁殖行動が終わりに近づき、忙しい想いをしているのではないだろうか。車のお陰
であっというまに萩小学校に戻ってきた。暑い。室林道はなんて過ごしやすかったことか。
2008
8
3
前田町
じりじりと照りつける太陽、前田町には日を遮るものは何も無い。オオヨシキリの賑やかな声が止んで、今、囀り個体はセッカだけとなった。彼は、
小さな体の割りには大きな声で囀る。ヒッヒッヒッ・・・・
田んぼの上空を円く飛んでいる。暑さで野鳥たちもぐったりしているのか、先ほどのセッカを除いて声を上げる姿はあまりないが、それども時折聞
こえるのがモズの声である。秋本番ともなれば、季語にもなっているモズの高鳴きを披露してくれる。あれほど鳴いていたオオヨシキリはどうした
のか。もちろんまだまだここに留まって子育てをしている。囀らなくなっただけである。そういえば、オオヨシキリの地鳴きを正確には知っていない。
どんな調子で会話しているのだろう。時々、繁みから出てくる姿を見ることがある。そんな時にどう鳴いていたのか、はっきり思い出せないでいる。
個体数の多いのはやはりスズメとカワラヒワであった。今は稗などの実を食べているが、やがて稲穂に実が付きはじめると・・・・。農家の目の仇
になりそうである。水路の中でダイサギが餌を捕っていた。冷たくて気持ちがいいだろうな。何かを嘴に咥えた。餌の正体はカメラであとから確認
しよう。
西暦
月
日
メモ
2008
8
9
室林道ラインセンサス
オリンピック開会式、その長さには少し閉口した(選手はどうだったか?)。お陰で、目が覚めたらもう日は高い(文句を言いつつも見ていた)。室林
道はアブラゼミの声で一杯で、小鳥の会話も途切れ途切れに聞こえるばかり。不思議と、お盆を境にウグイスの囀りが止む。その兆候は既に出
ていて、あれほど鳴いていたウグイスも静かになった。今日の面白い出来事はキビタキの睨み合い。キビタキの地鳴きが聞こえたので、番でもい
るのかなと思っていたら、オス同士が鳴いていたのだった。徐々に間合いが狭まって、最後には1メートルも無いほど接近して睨み合っている。こ
れは面白い(高みの見物を決めこむことにした)。両方とも成鳥と思われる。両者の脇をウグイスが通っていく。こちらは子どものようである(まだ
事態が飲み込めていないのは仕方がない)。けれども、体と体のぶつかり合いまでには至らなかった(少しがっかり)。キビタキの脇を通ったと思
われるウグイス(幼鳥)には別の所で出会うことになったが。日が高くなっても室林道は涼しい。ここの日陰でのんびり過ごすのも悪くないな。
2008
8
10
寺ノ入林道ラインセンサス
積乱雲の黒い雲が頭上を覆った。もしかして降られるかな。双眼鏡だけなら雨も歓迎であるが大事なカメラを担いでいる。もう少し待ってくれ。ア
オゲラの囀りと地鳴きがする。そして、同じく囀りをするホオジロ。ソングポストで天を仰いで囀っていた。私の大好きなサンショウクイの声がした。
やはり、寺ノ入林道はサンショウクイの宝庫である。センサスの折り返し点では3個体のサンショウクイが鳴きながら飛翔していた。羽が透けるよ
うな独特の姿、大満足である。ウグイスの囀り個体は居るにはいたが少ない。珍しい鳥としてはエゾムシクイ。この鳥には苦い思い出がある。春
の囀りの時期にはコガラの囀りと間違えてしまった。地元での出来事で、冷静に考えればコガラが居るわけないのであるが。そして、ここ寺ノ入林
道では危うくジョウビタキと間違える所であった。ジョウビタキが夏に居るわけない。しかし、私には茶臼山でジョウビタキの越夏を見た経験がある
ので、まんざらあり得ないとは思えなかったのである。後日、売木村で、同じ鳴き声の鳥を見つけ、エゾムシクイであることが分ったのである。そろ
そろ夏鳥の南下が始まっているのだろう(エゾムシクイは夏鳥である)。三河湖に向かう道にはサイクリングを楽しむ人やキャンプ場に向かう車が
多く通る。しかし、寺ノ入林道はそんな喧騒とは無縁であった。
2008
8
11
茶臼山ラインセンサス
茶臼山、朝早くから子どもたちの声が聞かれるのは夏ならではの光景である。親子とおぼしき人影が緑のゲレンデを歩いている。矢筈池のほとり
でエナガとシジュウカラの混群に出会った。共に今年生まれた幼鳥である。逆さまになりながら器用に獲物を捕っている。ある個体は白いクモの
巣のようなものを咥え引き伸ばしていた。クモは虫を捕らえそして鳥に食べられる。茶臼山はウグイスの囀りがまだまだ盛んであった(三河湖寺ノ
入林道や室林道に比較して)。しかし、地鳴きもよく聞かれるようになった。囀りの目だったのは、ここ茶臼山でもホオジロであった。梢の天辺で天
を仰ぐあの姿があちこちで見られた。北面でタカを見る。横じまがはっきり見える。クマタカ?。あっという間に視界から消えてゆく。あとは写真で
確認しよう。ソウシチョウは相変わらず囀っている。エゾムシクイの地鳴きが聞こえた。昨日、三河湖寺ノ入林道でも聞かれたあのエゾムシクイ。
やはり南下は始まっている(そう確信した)。野鳥以外では、路傍の花々が奇麗に咲いた。白い色の落ち着いた感じの花が多いのは、秋の始まり
を表わしているのだろうか。その花に群がる昆虫の中にアサギマダラがいた。タテハチョウ科のこのチョウは渡りで有名になった。センサスの終わ
り頃になると茶臼山に登ってくる車両ががぜん増えてきた。そろそろ帰り時だな。
2008
8
14
室林道ラインセンサス
ウグイス囀り個体を確認した。徐々にではあるが囀り個体数は減っている。途中で2頭の若いニホンジカを見た。1頭は山頂側へ、もう1頭は谷側
へ逃げていった。体にぶつかってくるものがいる。セミだ。この頃になるとセミの飛び交う姿が多くなる。そして、やたらぶつかってくる。ヒグラシの
声が聞こえる。まるで、引いては返す波のようだ。アブラゼミの方はバックを支えるかのように同じ調子で鳴く。まるで笙(しょう)のようだ。さらにツ
クツクボウシが加われば立派な楽団である。小鳥たちは静かに木々を巡って採餌している。およそ20羽ほどのカワラヒワの群が羽を休めていた
。すぐ隣では、イカルが美声を張り上げている。オオシオカラトンボが湧き水の近くで見られた。メスが水溜りに何度も尾を浸ける仕草をしている(
産卵)。オスは近くで見ている。オニヤンマにもよく出くわした。彼は、林道をわが道のように行ったり来たりする。「また逢いましたね」挨拶をする
のが礼儀である。
西暦
月
日
メモ
2008
8
16
羽根・長根
6年生の子とふたりで羽根・長根の田んぼを歩いた。日差しはむろん強いが、意外と過ごしやすかったのは北西からの風のおかげ。セッカが田ん
ぼの上を旋回している。空を見上げていたら凄いものが現れた。何と、ハヤブサがハチクマにモビングしながら近づいてくるではないか。カラスが
トビにモビングすのは珍しくないが、ハヤブサとは。豪華な組み合わせにふたりは大喜び。「ハヤブサは珍しいんですか」男の子は冷静に聞いた。
私は「珍しい!」と答えた。スポーツドリンクを飲みながら長根川の橋の上で休憩する(水分補給は重要だ)。快晴だった空に積雲が現れてきた。
少し太陽を隠してくれたらいいのにな。サンショウクイが小さな声をあげて横切っていく。山に端に姿が消えた(サンショウクイの地鳴きをはっきり
聞いたのは初めてだ)。
2008
8
23
羽根・長根の田んぼ
すでに刈り取りを終えた田んぼには、様々な野鳥が見られた。大きなチュウサギ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ケリなど。ハクセキレイは成鳥
以外に幼鳥もいた。ハクセキレイについては思いがある。10年前までは、真夏のハクセキレイは考えられなかった。萩町では冬鳥として位置づ
けていたのである。最初に真夏のハクセキレイを見たのは豊田市前田町であった。当たり前のようにハクセキレイが舞っていたのである。この事
は、自然は常に変わっていることを裏付ける事実として興味深いと思っている。まだまだ黄金色の田んぼの方が多い。そこでは、セッカが最後の
子育てを行なっている。スズメよりも小さいこの鳥は、オスが縄張りを守っている。縄張りの下ではメスが単独でヒナを育てる。刈り取り作業との競
争である。何とか全部無事に巣立って欲しい。
2008
8
23
室林道ラインセンサス
急に秋が来たような天気に変わった。野鳥の世界にも秋が足早にやって来た。予想通り、ウグイスは囀りを終えていた。天気の加減で鳴かなか
ったのかもしれないが(久しぶりの雨が降っている)、いずれにしても、間もなく彼等は繁殖活動を終えるだろう。あとは、時折聞く地鳴きの声が早
春までのウグイスの生活の証だ。水溜りでイモリがゆっくりと歩いていた。動作の鈍いこと。省エネの生活は、人間よりも立派なのかもしれない。
ピッピッと力強い声が聞こえた。寺ノ入林道や茶臼山でも聞いたエゾムシクイの声だ。エゾムシクイは夏鳥。室林道では繁殖していない。今鳴いて
いるのは、おそらく、繁殖を終えて越冬地に向かう個体(南下個体)だろう。9月に入ると、こういった南下個体に出会う機会が多くなり、バードウォ
ッチングの大きな楽しみとなる。活発な繁殖期の鳥も好きだが、これからの静かな中での野鳥を見るのはさらに好きである。山は雨に煙っている
。あれほど煩いほどに鳴いていたセミ、もう殆ど鳴いていなかった。地上に落ちているセミたち。子孫は上手く残せただろうか。
2008
8
29
高嶺
強烈な雷鳴に目が覚めた(自慢ではないが地震や雷程度では目を覚ましたことがないのだが)。これでは山に行けないな、再び布団に戻ろうとし
たら不思議や不思議、東の空に月が見えるではないか。よく見るとそこには雲は無かった。家を出たときに、西の空に素晴らしい虹が架かってい
た。高嶺は青空が広がっていた。隣に見える蛇峠山もくっきり見える。それでは計画通り麓から600メートルの標高差を歩こう。道路わきに咲く秋
の草花を眺めながら意気揚々。ところが山の天気は急変。雲行きが怪しくなってきたのだ。結局山頂へは車で向かった。イカルの囀りがする。あ
と囀っているのはヒガラ、ホオジロとソウシチョウ(ああ、ソウシチョウはもう普通にいる鳥になってしまった)。しかし、今日一番印象に残ったのは
奇麗な声の彼らではなく、しわがれ声のカケスであった。秋から冬にかけてのしんと静まった山の中で、一声二声カケスの声を聞くと、本当にいい
なと思う。山を下りるときには10羽くらいがまとまっていた。山頂では秋の草花がちょっとしたお花畑のようになっていて、叢からはウグイスの地
鳴きが聞こえる。この地鳴きも深みがあって好いなー。山の様子を変えるのは何も植物だけではない、雲の働きも重要だ。湧き上がった雲が上空
の雲と衝突する、普段気にしていない雲の様子も、山に来ると関心をもって眺めるようになるのは何故だろうか。自然への恐怖感からくるのだろう
か。自分の身を守るためには常に用心深くなければならない。
西暦
月
日
メモ
2008
8
31
室林道ラインセンサス
暑さが戻り室林道にもセミの鳴き声が溢れていた。先週は全く鳴いていなかったのだ。主旋律はツクツクボウシ、それに少しのアブラゼミとミンミン
ゼミが加わる。大型のアゲハチョウが凄いスピードで飛ぶ。シジミチョウもちょこまか舞う。鳥の飛ぶ姿は撮影できても、チョウの舞う姿は無理だ。
どの方向に移動するのか予想できないのだ。メジロが多かったのであるが、凄い鳥にも出会えた。私が2番目に好きな夏鳥、サンショウクイであ
る。音羽での確認が増えた種であるが、数羽の群を室林道で見たのは今回が初めて。声のする方に向かう。ドキドキしながら(恋人に逢うような)
。声が急に大きくなり、群は、ヤシャブシの樹に下りてきた。3羽ほどが枝を行ったり来たりしていた。そのうちの1羽がまさに、ポーズをとり「どうぞ
私を撮って」といわんばかりに、しばらく(10数秒くらい)静止してくれたのであった。これは!ピンボケを撮ったら叱られる。何か光るものがある。
近づけば、それは小さなトカゲの体であった。回析格子の光が強烈であった。いわゆる物理の光だ。化学的な体色とは違う鮮やかな鼠銀色。カメ
ラで上手く表現出来たろうか?。岩にへばり付いていたのは、ぎょっとするものであった。ムカデがセミを食べている姿であった。これも自然のひと
こま。なんとも中身の濃いセンサスではないか。訪れるごとに新しい発見。それが野外観察の醍醐味だ。
2008
9
6
羽根・長根の田んぼ
7人の子どもたちが参加してくれた。少し前までの夏とは思えない天気が、ここに来てようやく残暑らしくなってきた。野外活動の鉄則は安全であ
ること。特に、夏の水分補給には一番気を使う。子どもたちのために、リュックに1リットルのスポーツドリンクを入れた。校庭にはハクセキレイが
来ていて、トラックの中で餌を探している。夏休み中に蔓延った草がトラックの形に奇麗に取られていたのは、きっと、保護者(もしくはお年寄り)た
ちの労働のなせる業であろう。ハクセキレイは、ほんの10年程前までは、夏にはいなかった。こちらでは冬鳥の代表ですらあったのだ。電線にモ
ズがいた。子どもたちの恰好の練習台になってくれた。なにかって。フィールドスコープの操作である。暑いことは確かであるが、その中にも秋の
気配がひしひし感じられる。最後の子育てをしているツバメたち。少しずつ数は減っているようだ。友人の車庫でツバメが巣を造った。そのひとつ、
細長い巣に目を見張った。蛍光灯の長さに負けないほど長い巣。羽根・長根の田んぼは、最後の稲刈りが家族で行なわれていた。広々とした田
んぼに点々と白いサギ。ダイサギである。優美に歩いている。ここで、1年生の女の子のお母さんが迎えにきた。用事があるにもかかわらず、どう
しても鳥を見たいと参加していたのだ。「また来てね」。帰りは随分と気温が上ってきた。リュックを背負った背中は子どもたちがびっくりするほど汗
ビショになった。
2008
9
7
室林道ラインセンサス
残暑もそれほどと思えるのは、ゲリラ豪雨や涼しい夏の終わりに象徴される今年の異常気象なのだろうか。雲の流れも北から。セミたちが最後の
力をふりしぼって鳴いている。野鳥も静かに暮らしているようだ。ヒヨドリ・メジロ・シジュウカラ・ヤマガラ・エナガの声が比較的多く聞かれる。あれ
ほど盛んであったウグイスの囀りも今は全くない。室林道の入り口に先客の車が止まっていたが、その人はやはりバードウォッチんグをしていた
ようだ。挨拶だけで別れたが、何か気の利いた会話が出来ないのは自分の良くない点だ
。特に同業者には上手く入り込めない(メンバーで鳥を楽しむ習慣を持たなかったのが原因だろうか。そうとも言えない気がする)。ハンターから声
をかけられた。頼まれて、シカ・イノシシの駆除をしていると言う。室林道に向けて発砲しないよう仲間に伝えるからとのこと。農家にとっては、これ
にサルを加えた食害は甚大であるから、駆除もやむえないと私は思う(動物愛護の人からは非難されるだろうが)。オニヤンマが飛んできた。大き
さ・速さすべて彼に勝るものはない。とまりかたで気付いたことがある。彼は、必ず頭を上に垂直にとまるのである(トンボでよく見るのは水平にと
まる姿だと思う)。センサスの最後でサンショウクイの声を聞いた。先回のセンサスでは運よく写真も撮れた。南下個体か繁殖個体か。私は後者
であることを期待したい。
2008
9
13
室林道ラインセンサス
サシバの番が2組、室林道の上空を舞っている。さらに、近くのスギの梢にはサシバの幼鳥。センサスの半ばで出合った凄い光景だ。スター間も
なく、ノスリが上空でホバリングしていたので、「今日はなかなか良いで出しだわい」と喜んでいたのである。サシバは夏鳥、日本の里山で子育て
たあと、秋真っ盛りのある日、一斉に越冬地に南下するのである。秋の高い空を飛ぶタカの姿は本当に勇壮である。海を渡るのは鳥ばかりでは
ない。チョウも海を渡る。そのチョウ、アサギマダラが室林道をひらひら飛んでいる。今日は頑張って500ミリのレンズを背負って歩いた甲斐があ
ったというもんだ。サシバが正面から迫ってくるようなショットをものに出来た。
西暦
月
日
メモ
2008
9
13
羽根・長根の田んぼ
見晴らしの良くなった田んぼ道を歩いた。大きい白い鳥はダイサギである。10羽くらいいるだろうか。私の視線の先は、水田の中央を流れる水路
に生えているセイタカアワダチソウなど。モズやカワラヒワなどの野鳥が止っている。これからしばらく目が離せなくなる。それというのも、ノビタキ
がのんびり羽を休めているからだ。ノビタキは夏鳥で高原の草原で繁殖する。そして、秋に越冬地に南下する。今日はまだ姿はなかったが、あと
10日もすれば、沢山の南下個体に出会えるだろう。このノビタキは結構普通に見られるので、是非探して欲しいものだ。
2008
9
14
チャンピオンズ オン アイス 2008 横浜公演
今年で3年目の日本公演、2006年の日本上陸静岡公演から見ている自分としては見逃せないアイスショーである。参加スケータの中で初めて
見るのがジョニー・ウイアー選手で楽しみにしていた。彼は2度滑ったが、白鳥は絶品であった。女性的な感じのする彼の特長が良く引き出された
素晴らしい演技であった。荒川さんも2度出演。最初は黒の衣装でセクシーさを感じさせたが、2回目は、全く違う感じの清楚さを印象付けた。衣
装をみて、「ピンクのような、ブルーのような、淡いパープル」すなわち、荒川さんの好きな色の衣装であった。バイオリンの生演奏にのって優雅に
滑る姿をみて、これぞ静香節と思った。初めて日本的な音楽で滑ったのではないだろうか。その意味では、記念碑的な場面に参加できたわけだ。
2008
9
19
寺ノ入林道ラインセンサス
会社の休みを取ったのはよいが、天気のほうはいまひとつ。雨、降ってもいいか。少しのセミの声を除けば寺ノ入林道はすごく静かであった。野鳥
の鳴き声も少ない。シジュウカラ・ヤマガラ・コゲラが一緒に聞こえるのはおそらく混群であろう。静かな山で印象深いのはカケスの鳴き声(と私は
思っている)。寺ノ入林道は車の通りから外れているので、小鳥たちのつぶやきがよく聞こえるのが嬉しい。今日は聞かれなかったが、ヒガラの声
は体の小ささに負けず微妙なところがある。もちろん、囀りのようにメスにアピールする必要がある場合には凄く大きな声であるが、地鳴きはごく
小さな声で鳴く。それを聞分けるのがまた楽しみなのだ。ススキの穂が秋らしく、林道沿いも小さな草花(つつましい姿の)で一杯である。頭上には
蔓がたくさん下がっているが、クズの花、フジの鞘、アケビのまだ青い実などバライティに富んでいる。しかし、今日、一番の植物は、真っ白なキノ
コだ。こんなキノコは見たことが無い。キノコの生えている下には別世界があるみたいだ。
2008
9
20
茶臼山ラインセンサス
台風13号が思ったより早く通り過ぎ、朝から晴れ間が広がったので、茶臼山へ出かけることにした。そろそろ夏鳥の南下が見られるのではと期待
して。土曜探鳥会は中止になってしまい残念。けれども、これから先、何度でも探鳥会は開けるから。茶臼山に着いたのは8時をかなり回ってい
て、もう少し早ければ見られる鳥の数も増えていたと思う。それでも、ウグイスを初めとして、カケス、イカル、オオルリを確認。そして、南下個体。
エゾビタキ、エゾムシクイが静かに採餌する。森の中を歩く。黄色や紫色の野草がひっそり咲いている。そして、流れの近くに茶色の小さな鳥の姿
があった。私の好きなミソサザイであった。何とか姿を撮りたいと粘ったが駄目だった。茶臼山のいたるところにソウシチョウがいた。囀り個体の多
くてやはり違和感があるのは拭えない。願いとはうらはらに個体数は増加の一途をたどっている。
2008
9
20
羽根・長根の田んぼ
茶臼山から山路を上ったり下ったりして萩に戻ってきた。すぐにも家で休みたかったが少しだけ寄り道をすることにした。茶臼山で南下個体を見た
ばかりだ。こうなれば地元でもと。目当てはノビタキだ。先週はそれらしい気配は無かった。羽根・長根の田んぼはすっかり稲の刈り入れを終え、
野鳥観察には最高の条件となっている。田んぼの水路を注目する。ノビタキは、丈のある草に止まって羽を休めることが多いのである。当然なが
らノビタキ以外の鳥もいる。モズ、スズメ、カワラヒワが特に多い。ノビタキはヒタキ科ツグミ亜科の鳥だ。だから、所作が同亜科のジョウビタキなど
に似ているように思える。尾を振る動作だ。もう直ぐにノビタキであることが分かってしまう。しばらく探して2羽のノビタキを確認する。やはり寄り道
してよかった。記念写真をパチリ。3日後にやって来る秋分の日。太陽が赤道を越え遠ざかってゆく日。日本では彼岸。自然は凄い。きっちりと彼
岸の日に合わせてヒガンバナが咲いている。
2008
9
27
室林道ラインセンサス
萩小学校の運動会を見に行く前に室林道をセンサスするのがもう数年以上続いている(去年は雨で連続出場が途切れたが)。北西の風が絹雲
を運んできた。それと同時にカケスの姿も。カケスは日本内で渡りをしていると(信じている)思う。標高の低い室林道には真夏のカケスの居場所
はないのだ。そのカケスが再びやって来た(嬉しかった)。ミソサザイとソウシチョウらしき地鳴きを聞く。らしきと、少々自信が無い言い回しになる
が(多分そうだろう)。南下個体であろうか。いよいよ日本列島大移動が始まったのだと感じた。センサスの復路でとんでもない動物にばったり出
会った。両者ともびっくり。彼は山の下に逃げていった。彼の名前はニホンイノシシ。
西暦
月
日
メモ
2008
10
4
土曜探鳥会 宮路山
朝から青空が広がる願ってもない遠足(いや、探鳥会)日和である。今日参加してくれるのは8人の子どもたち。初めて参加の子もいて新鮮な探
鳥会になりそうだ。名電赤坂駅から宮路山まで、およそ300メートール余りの高低差を2時間半かけて登る。付き添う大人3人にも新しいメンバー
が。少しでも野鳥が出て欲しいものだ。最初は、音羽川沿いに進んで行く。澄んだ川の中ほどでつがいのカルガモが泳いでいた。水が澄んでいる
ので水面下の足の動きがよく分かる。カワセミがいるかもしれないよ。少しでも楽しんでもらおうと言った言葉が本当になってしまった。突然、1羽
の緑色をした体が川面を舞った。宮路山の登山道の前に祭礼の準備をしている光景にであった。舞台の前に竹製の桟敷を造っているいるのだっ
た。そこで記録写真を撮っていた人が声をかけてきた。何年か前に土曜探鳥会TBSテレビの取材を受けたとき、当時音羽町役場の職員として同
行され、写真を撮っておられた方であった。その写真は、ホームページ、土曜探鳥会コーナーを飾っている。いよいよ宮路山登山道を歩く。子ども
たちは遊びながらゆっくり登っていった。全く、子どもは遊びの天才だ。今年の春に参加した子たちはほほえましくも、初参加の子に、山頂直下の
坂道の厳しさをとうとうと説明している。山頂からの眺めは最高だ。眼下には、豊橋の市街地、三河湾の青い海、長い新幹線の帯の動き。それに
しても暑い。秋風を期待していったのに無風。しかし、子どもたちは全く意に介さない。弁当を食べている時だけは静かであったが、そのあとは騒
いで走ってである。火照った顔を谷川の水で冷やした。赤坂の町が見えて子どもたちもホッとしたようである。再び赤坂駅へ。7時間があっという
まに過ぎた感じだ。元気をもらい子どもたちと別れたのだった。
2008
10
5
室林道ラインセンサス
前田町からそのまま室林道へと向かう。室林道はひっそり。セミの声は既に無く、小鳥たちの囀りも役割を終えた今、呟くような消え入るばかりの
地鳴きばかり。そんな秋から冬への山里を歩いて野鳥たちの痕跡を探すのは、私にとってはバードウォッチング一番の醍醐味だ(華やかな囀りの
季節以上に)。カケスが徐々に増えているように思う。北方からの使者がやって来る一方、越冬地に向かう鳥たちも多い。今日見たキビタキのメス
は今年最後の姿なのかもしれない。ニホンザルの吼える声が聞こえた。
2008
10
5
豊田市前田町
平日の毎朝歩いている豊田市前田町の田んぼ道を、500ミリのレンズを装着したカメラを担いで歩いた。10月に入ってようや黄色く色付いてきた
稲穂。コンバインがエンジン音を響かせ刈り取りが始まった。そんな賑わいを見せる田んぼで、ひっそりと過しているのが越冬地に向かうノビタキ
たちだ。越冬地への南下はかなりの種で行なわれているが、ノビタキほど普通に見られる種は珍しいと私は思う。タカやハクチョウのようにニュー
スになることはまず無い。バードウォチャーに注目されることもあまり無い。ノビタキを見ていると何の気負いもなく自然に振舞っている(人間だけ
が人目を気にして生きている)。そんなノビタキの姿を再び目にすることができ嬉しく思う。ダイサギが佇んでいた。ケリの空気を切り裂く声が聞こ
える。ノビタキはいつものように前田町を楽しんでいた。水路の脇に生える竹に止まるもの、農家が田んぼに立てた棒杭に止まるもの(杭に止ま
る個体は本当に多い)、田んぼに下りて採餌するもの、いろんな行動があった。散歩中の人と挨拶を交わす。ノビタキに自然体を教えてもらった
から。
2008
10
11
新堤池
果たしてオシドリは来ているだろうか、笹をかき分けて池に下りてゆく。水面を見る限りでは姿は無い、しかし、オシドリは水面にいるのと同じくらい
多くの時間を樹の上で過しているのだ。池に覆い被さるように樹が枝を広げていて、彼等は横枝に登って羽を休めていたのだ。およそ10羽から
20羽の個体を確認できた。既に夏羽になっているオスもいれば、エプリクスの個体もいる。昨年、同じ新堤池でオシドリを確認したのは10月20
日であったから、ほぼ、同じくらいのタイミングで飛来して来たわけである。それにしても藪蚊には参った。手首や首筋がみるみる赤くなってしまっ
た。ボリボリと掻くことしかできなかった。羽根・長根の田んぼにはノビタキの南下個体がひっそりと羽を休めていた。ヒタキ科らしくカッカッと声をあ
げていたのが印象的であった。今年初めて北西の風を感じた。ススキもコスモスも南東の方向に靡いている。
西暦
月
日
メモ
2008
10
12
室林道ラインセンサス
静かな林道に聞こえるのはホオジロの囀り。繁殖期を終えた今、メスへのラブコールである囀りはもう用無しであるはず、所が、囀りの第2のピー
クが秋の盛りに起こっているのだ。この現象は野鳥の世界の不思議さを、もっと野鳥のことを知りたいと思うようになったきっかけとなった。久々に
少し昔の自分の気持ちを思い出させてくれ嬉しかった。2週間前にニホンイノシシを見たが、今日は、親子のニホンジカ3頭と鉢合わせをした。目
に入ったのは小鹿であった。驚いて逃げ去る先に母親と子どもの2頭がいた。あとひと月すると銃による狩猟が解禁させる。農家の困りごとは理
解できるがどうか銃弾に当らないで欲しい。カケスとハシブトガラスも澄んだ青空に溶け込むような鳴き声を聞かせてくれた。ハシブトガラスの濁
らない声は晴れた日に聞くとなかなか良いものである。夏鳥と冬鳥が交差するのが今の季節。シロハラ(冬鳥)の初陣がやってきたし、ヤブサメ(
夏鳥)の残党が小さな体を見せてくれた。あんな小さな鳥が渡りをするなんて信じられないくらいだ。早く越冬地に行かなきゃ。
2008
10
18
高嶺(奥矢作川から平谷を経て天龍村)
会社友人と今年2度目のバードウォッチング&温泉めぐりを敢行した。お互い予定が空いていたというのが理由である。豊田市郊外に住む彼の
家に朝6時にやって来た。矢作川に沿って目的地である平谷村に向かう。矢作川は愛知県一番の大河であるが、結構流れが激しく、時代がかか
った小さなダムが今でも立派に働いていることに驚いた。CO2を出さない水力発電は今こそ見直されるべきだ。上流に進むほどに谷は深くなり、
最上流には最も大きな矢作ダムが鎮座している。堰堤からの眺めは絶景。朝日がサーチライトのように山肌を照らす。ここまで来ると山々は織り
錦。どんなに深い山に分け入っても人々の生活は止むことはない。古い家を大切に守っている姿があった。登り路が下り路に変わると平谷の町
はもう直ぐだ。空が近くにある町である。最近できたコンビニでお茶とお菓子を買いいざ高嶺へ!。最初に出合った鳥が良かった。南下中のエゾ
ビタキ2羽。番だろうか。近くに並んで立つカラマツの梢に止まって、ヒタキ科の鳥らしく羽をバタつかせていた。早速フィールドスコープを取り出し
眺める。友人には図鑑を見せてエゾビタキであることを証明。「滅多に見られないんだ」少し自慢げに言う。カケス、ウグイス、ヒヨドリ、次々と野鳥
が姿を見せた。けれど、一番の主役は素晴らしい景色であった。澄んだ空、輝く木々の葉、一番見ごろの紅葉、180度パノラマの絶景、日当たり
のよい路に咲くリンドウ、全てが素晴らしかった。二人で何度「すごいねー」と感嘆の声あげたことか。山頂からは、恵那山、大川入山、南アルプス
、蛇峠山、茶臼山、そして眼下に広がる平谷の町並みが一望できた。そして素晴らしい紅葉。楽しみは大人でも同じ、お菓子を食べながら子ども
のようにくつろいだ。次に向かうのは、売木村の先にある温泉「おきよめの湯」である。売木村、阿南町を経て天龍村までやって来た。阿南町は随
分昔に野鳥を探しに通ったことがあって懐かしい。おきよめの湯は1994年から始まった。自分の野鳥人生とほぼ一緒とは奇遇である。複雑な谷
の底にそれはあった。駐車場もそれほで広くはないので静かに湯に浸かれて、自分としては満足であった。露天風呂は特に気持ちがいい。湯上
り後の昼食も箸が進む?。(すこし、高嶺でおやつを食べ過ぎたかな)食後すぐに横になるのは体に良くないけれど、運転の疲れもあっていびきを
かいて寝入ってしまった。
2008
10
25
室林道ラインセンサス
曇り空の林道を歩いた。曇空の方が林床への光が届き易いのか全体的には明るく感じる。林の中にはカケスやヒヨドリが多い。空から聞こえるハ
シブトガラスと合わせ大きなサイズの野鳥が元気一杯である。群になって飛び回るのはイカル。小鳥はいうと、ホオジロの季節はずれの囀りは別
にすると沈黙を守っている。時たま、シジュウカラやヤマガラの地鳴きが聞こえ、アサギマダラがひらひらと秋草にとまる、ほんとうに静かである。
静かということは、微妙な鳴き声を捉えやすいというこ。それが幸いした。2個体のジョウビタキの声を聞き、さらにそれがオスとメスの成鳥である
ことを確認した。薄暗い樹木の中からクロジの声がした。アオジかとも思ったが姿でクロジであることを確認する。いよいよ冬鳥のお出ましである。
そうなると夏鳥の痕跡を探したくなる。例えばヤブサメ。しかし痕跡なし。今日ほどアサギマダラの姿を多く見たことはない。今年一番の個体数で
ある。後から写真をみて分かったことは、随分羽を痛めていることだ。それはそうだろう。渡りをする蝶として注目を浴び、実際、長距離を飛ぶとあ
れば無傷で済むわけがない。運が悪けりゃマーカーと称し大切な羽に刺青されてしまう。ひらひらひらひら。
西暦
月
日
メモ
2008
10
31
萩小学校探鳥会
今年も萩小探鳥会に呼んで頂いた。萩小にはもうひとつ親子探鳥会があるが、こちらは子どもだけで行い授業時間に行なう。1年・2年はお預け
で教室で授業、3年生以上が晴れて探鳥会に参加できるのだ。自分は3年生を担当した。コースは馴染みの観音山コース。観音山は16年前に
初めて野鳥観察に訪れた場所なのだ。校庭ですでに多数の鳥の声がしていた。いつも思う。学校近くが一番鳥が多い。なまじか遠くに行くほど鳥
は少ない。最初に見たのはヒヨドリ。身近であるだけに見過ごされ勝ちな可愛そうな野鳥だ。けれども変幻自在な鳴き声はなかなか味がある。コ
ースは重要だ。観音山までには川あり畑あり田んぼあり民家ありで、それぞれ棲んでいる小鳥の種類が異なっている。できるだけ変化に富んだ
コースにしたいと思った。民家ではヒヨドリやジョウビタキが狙い目。そして子どもたちの一番人気であるカワセミは川が無ければ見られない。田
んぼではセキレイ類、カワラヒワの群。畑はモズの縄張りだ。そのためには道らしい所ばかり歩いてはいられない。何せ、給食時間までには戻ら
ないと大変なことになるのだから。学校近くで時間を使いすぎた。こうなったら近道するしかない。あぜ道を通り、溝を飛び越え、子どもたちは結構
喜んでいたように見えたのだが。行きのコースではカワセミには出会えなかったが、帰りはビッグプレゼントが待っていた。田んぼでセグロセキレ
イを見、観音山近くではウグイスやホオジロを確認した。学校への帰路で、列の後ろにいた子がカワセミを見た。幅が数メートルの小さな川ではあ
るが、結構カワセミを見ることの多い場所だったので、彼らの言っていることは間違いないと思った。そして2回目のカワセミとの出会い。最初は川
面すれすれに飛び去る姿を見た。最も美しい背中のコバルト色が実に鮮やかであった。小川の先には山陰川本流が流れている。きっとまだいる
に違いない。上流から下流へと目の届く範囲を目視する。コンクリートの川岸に止まり川の中の獲物をぐっと睨んでいるオスのカワセミの姿を見つ
けるのにそんなに時間は掛からなかった。それから5分くらいただろうか。給食の時間が刻一刻と迫っているのに、皆息を押し殺して彼の行動を
見守った。そして1度だけダイビングを見た。岸に戻った彼の嘴には魚の姿はなかった。失敗。このままいてくれると、今度は、こちらが給食にあり
つけなくなってしまう。困った。結局、追い払うことなく彼は視界から姿を消した。あとは、頑張って給食に間に合わせよう。小規模校とは言え、全
員がきちんと双眼鏡、図鑑、フールドノートを用意しているのは凄いと思う。先生方の熱心な取り組みに敬意をはらいたい。
2008
10
31
寺ノ入林道ラインセンサス
萩小探鳥会を12時に終え、その足で三河湖寺ノ入林道に向かった。9月に一度訪れてから2ヶ月近くになるし、秋の深まり具合も見たい。山は静
かであった。到着した時にはチェーンソーのエンジン音が聞こえていたが、やがて静寂が広がった。空を雲が覆い夕方のような感じにはなってき
たが、気分は晴々としていた。探鳥会ではカワセミをはじめとして数々の小鳥が出迎えてくれ、子どもたちも正面からそれと向き合い、真剣にやっ
てくれたから。今度は、自分自身のために鳥を見て歩こう。呟くような地鳴きを聞分け種を同定する、これは自分にとっては最も楽しいバードウォ
ッチングの方法だ。目の前に出てきて「どうぞご覧ください」、では全くもって面白くないのだ。そういう意味では、餌付けされた野性もどきな光景に
は、100歩譲って保護的な意義は認めたとしても、自分自身の興味の対象にはならない。寺ノ入林道林道を支配していたのは体の小さなカラ類
であった。中でも、最も小型のヒガラが樹冠付近で、消え入るようなか細い声でお喋りする声が、林道をくまなく行き渡っていた。「やはりここは結
構標高が高いんだ」そう実感させてくれたのがヒガラであった。紅葉にはもう少し時間が必要であった。気になったのはちりちりの葉っぱ多く、かな
り痛んで見えたことだ。これはあまり紅葉は期待できないな。
2008
11
1
土曜探鳥会 室
昨日、萩小探鳥会を行なったばかりなので、果たして参加児童があるのか心配したが、4名の子どもたちが参加してくれた。昨日とダブルのを避
けるために室林道のコースを室地区をぐるりと回るコースに変更した。まずは校庭のサクラの木にやってきたシジュウカラとヤマガラを観察する。
金木犀(だと思った)の中に入ってしまったモズを探す。ようやく学校を後に、地元の道に詳しい子が草が茂った道を教えてくれたので彼に任せて
進む。今日の目当ては冬鳥、ジョウビタキたちを見ようと始めに話したので、なんとか現れて欲しいと思っていた。ところが、なかなか姿を見せな
いのに少し心配になってきた。コースの半ばまで来て猟犬を見る。子どもたちはヤギだと言う。そんなはずはないと反論。それでは見に行こう、コ
ースを変えた途端、民家の庭先で見事なオスのジョウビタキを見つけたのだ。子どもたちは大喜び。室川は自然豊かな小川である。ところが、田
んぼの耕地整理を期に改修され、3面張りの憂き目を見ることは避けられたものの、残念な姿になってしまった。希少種の魚類たちの棲息の行く
末が心配となっている。改修されていない場所には藪が残り、ホオジロ、アオジ、ビンズイの声が多く聞かれる。見た目が良くない藪は、野鳥をは
じめとする生き物たちのゆりかごなのである。公園なども奇麗に手入れすると野鳥は減ってしまう。室の氏神さまで休憩して学校へ戻った。
西暦
月
日
メモ
2008
11
2
室林道ラインセンサス
自分のための野鳥観察が室林道ラインセンサスである。萩小探鳥会、土曜探鳥会と立て続けに行い、さらに、室林道センサスと、やや体も重た
い。午前中に用事を済ませて、野鳥観察の条件はやや悪くなるこの時間帯、が贅沢言ってはおられない。というのも、そろそろヒガラが山から下り
て来てもよさそうな頃だから、である。ハシボソガラスが澄んだ鳴き声を響かせていた。カラスの繁殖期は小鳥よりも早い。活発に番う相手を探し
ているのだろう。ジョウビタキ、クロジ、アオジを確認する。ここまでは順調。あとはヒガラのみ。ヒガラの確認は、繁殖期は囀りで簡単に分かるの
に対して、非繁殖期は結構骨が折れる。呟くような地鳴きが曲者なのだ。一端姿を確認し、姿と声とをセットで覚えてしまうと、随分沢山の個体が
いたことに後からびっくりする、毎年同じ事の繰り返しである。だから早く姿を見たいと思うのだ。その機会がやってきたのは、センサスを折り返し
た時であった。ヒノキの林でヒガラっぽい声を聞いた。懸命に姿を探す。そして、とうとう2羽のヒガラを見つけることができた。ホッとする。やはり、
先だってから聞こえていた鳴き声はヒガラのものであったのだ。室林道のヒガラ今秋初確認の瞬間であった。
2008
11
8
茶臼山ラインセンサス
雨のラインセンサスとなった。家を出る時から既に小雨であった。しかし、迷うことなく出発。北風の強く吹く快晴よりも雨の方が、野鳥観察には向
いていることを経験から知った。国道151沿いは今まさに紅葉・黄葉に彩られようとしている。一年中でも最も美しい一瞬を見ることができ、これだ
けでもやって来た甲斐があった。最初に出会ったのはジョウビタキのオスとエナガ・シジュカラの混群であった。シジュウカラのネクタイ姿がモミジ
にとても映えていた。もしもヤマガラだったら、同じ暖色系なので背景に溶け込んでいただろう。ということは、捕食者には見つかり難いということ
だ。茶臼山の山頂は予想よりも明るかった。雨もそれほど強くはない。それでは、薄いレインコートで歩くことにした。もし雨が降ってきても大切な
カメラを濡らすことはない。天気が良ければ紅葉狩りのマイカーで賑わうところなのに生憎の雨。私にとっては嬉しい天気。そして、本当に嬉しい
日となったのだった。スキー場を横に見ながら歩き続けると「フィフィフィ」と鳥の声。「来ていたかベニマシコ」。今日の狙い目のひとつをゲット。さら
に、ベニマシコの聞こえるすぐ側で「チリリ、チリリ」とカヤクグリが鳴いている。「なんてことだ」こうも簡単に二つのお目当てが現れてくれるとは。そ
の後ウソやアオジも確認できた。雨は降り続けたが気分は青空である。車が横を何度かすり抜けていった。搭乗者は不思議そうな顔をしている。
満足げな顔をして歩いていたであろうから無理もないが。
2008
11
9
我家周辺
雲の厚い薄暗い日となった。暗いだけではなく気温も低い。雲は北西から南東へと流れる。晴れた日が続いたので、冬を思わせる今日は体にイ
ンパクトがある。再び茶臼山で利用したウインドブレーカーを着る破目になった。隣を歩くのはルナ。川沿いの道を歩きながら景色を眺め野鳥の
鳴き声に耳をすませる。ビンズイが鳴く。彼は水が大好きのようで、どこで見たとしても景色の中には水の流れがある(生き物は皆水を欲して生き
ているのだが)。静かにしていても存在感のあるのがイソヒヨドリである。水色と黄土色のツートンの体はオス。いまやすっかり馴染みの鳥となって
しまったが、昔、イソヒヨドリの姿が見たくて何度も海岸に向かったことがある(ほとんど見ることができなかったが)。それが我家の近くで見られる
ようになったのは10年あまり前の頃からである。あちこちの屋根に留まっているのを見たときは本当に驚いた。ある時は我家の物干し竿にいたこ
ともある。早春に見かけることが多いが、今日のように秋にいたとしても驚きはしない。大体、小鳥のことはあまりよく分かっていないことが多いの
だ。
2008
11
15
室林道ラインセンサス
先週、茶臼山をセンサスした。雨が降りそうな天気であったが、冬鳥を多数確認できた。それにひきかえ、常連の、ウグイスの鳴き声が非常に少
なく感じた(天気を考慮に入れてもだ)。今日の室林道は、ウグイスの地鳴きが相当に多かった。気象予報士が最低気温更新を告げることが多く
なり、棲みやすかった高原とも暫くのお別れ。ウグイスたちは大挙して越冬地にやって来たのだ。とは言っても、ウグイスは年中室林道にいる鳥な
ので、冬鳥と言うには抵抗感がある。アオジやルリビタキのようなのが本物の冬鳥(または漂鳥)と思っている。けれども、これほど劇的な変化は
驚きだ。秋から冬への野鳥の楽しみは混群との出会い、と心底から思っている。静かな山野を歩いている。聞こえるのはカケスのだみ声と北風に
揺れる葉の音だけ。そこへ突然に、エナガ・シジュウカラなどが群になってやってくる。急に辺りが明るくなったようだ(少女たちが笑いこげている
場面を思い浮かべて欲しい)。今日の混群にはスペシャルゲストが付いていた。山から下りてきて間もない小さな体のヒガラである。シジュウカラ
よりも小さな体のヒガラはソプラノ歌手でもある。澄んだ囀りは他の追従を許さない。野鳥はすぐに仲良くなれるのか分からないが、傍から見る限
りではそのように見受けられる。それにはそれなりの理由があるのだ。混群が冬季の餌の少ない中でいかに効率的に餌を探せるか、そんな中で
進化した行動と言われている。群は一緒に行動しているが、採餌場所はお互いに別々に確保している。エナガやヒガラは林の上部、シジュカラや
ヤマガラは下部、といった具合。時々日が差す穏やかな室林道。ヨメナの薄紫の花びらにも日が当たった。ひざまずいて眺めていたら、なにやら
動くものがいる。草の葉に溶け込むようなバッタがこちらを見ていた。
西暦
月
日
メモ
2008
11
15
観音山ラインセンサス
室林道を見た足で観音山へ向かった。萩へは戻らず、鳥川(とっかわ)から峠を越える道を行く。11月15日は狩猟解禁の初日だ。峠で大勢のハ
ンターが車を停めていた。自分はハンターは嫌いではあるが、農作物を食べられ困っていることは事実。仲良くやるのは非常に難しいことだ。観
音山林道は室林道よりも50メートル以上高い。それと、造られてからの日が浅く木々が未だ若いので、景色を良く見渡せる点が室林道よりも勝っ
ている。ここでも、ヒガラを含んだ混群が見られた。大きさでは室林道以上であった。最初に現れたのはシジュウカラ。さらにエナガとヒガラも。彼ら
の移動のスピードは凄い。それに力強い。生命の強さをまざまざと感じさせてくれる。一緒にいるだけで元気を貰えるような気がしている。冬季の
観音山でカヤクグリを見たことがある。その思い出が忘れなくて再開のチャンスを毎年狙っている。今年の冬も勿論である。
2008
11
19
小坂井西小学校をたずねて 同校研究発表会のゲストとして3年3組の公開授業にお招きいただいたので、簡単に感想を述べたい。招かれた経緯も、担任の先生との不思議
なご縁も、野鳥が取持ってくれたものとして置いておき、臨時駐車場の設けられた校庭について思ったのは、果たして、自分が6年生の時に宝飯
郡ソフトボール大会で来たのはここだったのだろうか?、ということであった。小坂井町には東西2校の小学校がある。どっちだったかは遥か記憶
の彼方にある。ほぼ中央に3年3組の教室がある。全体発表を体育館で済ませ、各教室で公開授業が始まった。見当を付け教室を目指す。先生
とは一度我家でお会いしたので全く心配はしなかった。何といても全くの初対面では緊張は解けないものだ。どのような人なのか知ることは安心
の第一歩であろう。私のよく知っている萩小の子と違いはあるだろうか。少しばかり都会っ子なのかな。いろいろ想像して授業に臨んだ。野鳥観察
とは井出達からして違う。だから子どもたちは、先生からの紹介があるまで私を本物の先生と思っていたようだ。子どもたちは既に、小坂井の町で
見る野鳥について調べていた。掲示板を見るとヒヨドリなどの名前があった。公開授業はお父さんと娘との会話について掘り下げて進められた。「
小鳥のために柿を残しておいてあげようね」そう言ったお父さんの気持ちを子どもたちがどう受け止めるか、なかなか興味深い。いろんな意見が
出るのは当然。賛成、反対。どうなるのかなと少々心配になる。冬になり小鳥が柿の実を食べに来た。「では、それを見たみんなはどう思う?」と
先生が子どもたちに聞く。今度は、全員が「柿の実を残しておいて良かった」と意見を述べた。生き物の存在そのものが子どもたちの考えに影響
を与えたのだと思った。理屈など大した力にはならないのかな。最後の10分が私の持ち時間。言いたい事は山ほど。思い切って絞り込んだ。ま
ず鳥の声だけにした。私の鳥の先生は野鳥の言葉が理解できる。真剣に野鳥と向き合えばそれは可能となる。私は先生に少しでも近づきたい一
心で観察した。視力の弱い子が探鳥会に入りたいが親御さんは心配。目の良い子よりも鳥の声をよく知ることができるから心配しないで。実際の
エピソードと実録した小鳥の声を聞いてもらい、何とか時間内で終えることができた。先生が子どもたちに感想は?と聞いてくれた。私はといえば
、まるで受験生の心境であった。感想はどうだったか?。優しい子たちばかりだ。では私の感想。よく知っている萩小の子と同じ子たちであった。
2008
11
22
室林道ラインセンサス
萩小学芸会の前に室林道へ向かった。スタートして間もなくエナガとシジュウカラの混群に出会う。幸先いい。少しばかりの暖かさに誘われてホオ
ジロが囀りをしていた。まわりの小鳥たちが全て地鳴きであったのでホオジロの囀りはとても印象的であった。アオジが目の前にひょっこり現れ採
餌開始。まあなんてのんびり。その隣ではアカゲラとコゲラのドラム合戦。コゲラはアカゲラの敵ではない。しかし、コゲラは意に介さず。今年も室
林道のソメイヨシノはウソに怯えなければならなかった。10羽ほどの群がサクラの樹で採餌していた。フィフィフィ、柔らかな日差しの中で柔らかな
鳴き声を発して。室林道からカヤクグリの声を聞かれなくなって久しくなる。毎年、今年こそはと待ちわびている。突然、「ヒリリ」、一声だけ聞こえ
た。平静を装い心の中で「カヤクグリ」と叫んでいた。も少し鳴いてくれないかな、正直そう思う。もう一声二声あれば断言してもいいのに、そう思っ
た。
2008
11
22
萩小学芸会
室林道から萩小体育館へ気分良く山下り。既に二つの劇が終っていた(すみません、あとは最後までしっかり見ます)。牛の授業を再現したもの、
3匹の子豚を狼の立場から見たもの、舞台装置が凄いと思った「名前を見てちょうだい」、大きな樹との共生、そして戦争と平和、今年の六年生は
泣かせたね。ハンカチを目にした女性もいたよ。私も涙腺が潤んで困ったよ。
西暦
月
日
メモ
2008
11
23
観音山
昨日室林道でカヤクグリの声を聞いた。10年ぶりであった。その10年の間に観音山で確認することがたびたびあったので、もしやと思い観音山
に向かった。場所は観音山林道の最高地点で木々のまばらなススキの茂る所。カヤクグリは林の真ん中よりも周辺に居を構える鳥なのではない
か。林の中からミソサザイの地鳴きを一声聞く。さらに高度を上げるとヒノキの林からヒガラの声がする。スギ・ヒノキの人工林には野鳥が少ない
とよく言われる。しかし、経験では、特に冬季には人工林も立派な居場所を提供していると思う。崖が崩れた所を過ぎると目的地、ススキが茂る場
所に出る。今からの出来事はウソではない。いきなりピリリピリリピリリと鳴き、黒っぽい小鳥がススキの斜面から飛立ったのである。「カヤクグリ
だ」心の中で叫んだ。観音山にもやはりいたのだ。反対に、昨日の室林道の一声も可能性が高くなったように思う。観音山としては2007年1月に
確認して以来の出来事である。
2008
11
28
琵琶湖 早崎ビオトープ
天気予報はかんばしくはなかったが成る様になれとばかりに琵琶湖に向かった(折角の休みだ無駄にしたくない)。思った通り今にも降りそうな雲
行き、しかし、北陸道を長浜で下りて湖岸道路を早崎まで来た途端、浮き浮きする光景に出会ったのである。ビオトープの水面に多数の白い姿が
あった。勿論コハクチョウである。優に200羽は越しているだろう。早崎で見た個体数としては一番多いと思う。鳥たちを驚かせないようにして観
察路をカメラを担いで歩く
。以外であったのは成鳥ばかりで幼鳥の姿が見られないことだ。2・3のグレーの色をした幼鳥がいるのみ。暫く観察。時折鳴き声をあげる。そこ
で、持ってきたMD録音機を取り出しマイクを向ける。突然、羽をバタつかせ、上半身を垂直に伸ばし、大きな声で鳴声を上げた。1羽が行なうと又
1羽と連鎖するようだ。ビオトープの池にはマガモもいたが、どうしても目が向かなかった。早崎の田んぼの風景は最高だ(たとえ天気はよくなくて
も)。水路沿いの木々の紅葉、点々と見える家々、山本山が立派に見える。晴れていたら伊吹山の雄姿も拝むことができるのに残念。景色の写
真でも思い田んぼ道を歩くことにした。その事が良かったのだ。ビオトープから次々と飛立ったコハクチョウが、頭上を通過し、伊吹山の方向に飛
んで行く。縦になり横になり、変幻自在の白い線を何本も何本も見送る。琵琶湖の方向には白い縦の帯が見える。雨雲が近づいていた。車まで
はモッテ欲しい。危うく見過ごす所、いや、驚いて飛立つのを口をくわえて見るところであった。左手の田んぼに大きな鳥の姿を見た。その距離お
よそ50~70メートル。オオヒシクイに間違いなかった。双眼鏡で確認したら、さらに奥に群がいる。距離の割りに小さく見える。別の鳥だ。こちら
の方はマガンであることは直ぐに分かった。数年目にその姿を見ていたからである。田んぼから首だけが何本も出ていた。天気の具合と羽色が
見事に保護色になっていて個体数は到底分からない。こうなったら飛立った後数えるしかない。撮影しておけば正確な数がわかる。最初にオオヒ
シクイが、後を追いかけるようにマガンが飛立った。両方とも一般のカモに比べ比較にならないほど大きい。迫力満点の飛翔だ。車に着いたと同
時に雨も降ってきた。まあなんていいタイミングだろう。
2008
11
28
湖北野鳥センター付近
コハクチョウもオオヒシクイ・マガンも見たし、雨が降ってきたから琵琶湖を後にしよう、(愛知県は晴れていそうだから豊田市のフィールドを)と思っ
た。でも、目の前にある山本山の存在が気になって仕方なかった。双眼鏡で見ると山の上で芥子粒のように小さな鳥の姿が沢山あったのだ。そう
だ、ミヤマガラスを見なけりゃ。愛知では見られないこのカラスには、散々探して出会えたという思い出がある。去年は見ていなかったけ。野鳥セ
ンターを右に折れ山本山の直ぐ近くに来た。カラスはいるがおなじみの種類ばかり。やはり駄目か。諦めて戻ろうとした。センターの2階からは琵
琶湖と山本山の方向に監視のスコープが向いている。琵琶湖はカモの類。オオヒシクイ・コハクチョウといったスター以外にも多くの名脇役がいる
。例えば、オオバン・カンムリカイツブリ・ウミアイサなど。山本山にははただ一つのオオワシという名のスターがいる。私のように遠くから来る者に
とっては、これはもう見るのは時の運である。あまり期待はしていない。帰りは山本山側の監視を見ることになる。ところが。ガラス越しに見えたの
はフィールドスコープを真剣に眺める姿であった。瞬時に、これはただならぬ事と思った。駐車場で引き返し、再び山を間近に見る所まで移動。オ
オワシがいると思うと心臓が高鳴った。車から降りた途端、一瞬、オオワシの声(勿論聞いたことが無い)と、白い姿が宙に舞いアカマツの樹にと
まるのを確認する。肩の白い色が緑の松の中にぽつんと見えている。カメラを取り出し、双眼鏡をぶら下げ,
スタンバイ完了。そのオオワシを見せてくれたのは他ならぬカラス(ハシブトか)たちであった。飛立ったオオワシは、モビングするカラスの中を迷
惑そうな様子もせず悠然と飛んでいた。白い羽色が目に飛び込んでくる。尾羽が白く楔状に尖っている。翼開長はさすがと思わせる大きさ、カラス
が小鳥に見える程。姿を見ることができたのは全体でも数分も無かったろう。本当に幸運であったと思う。興奮していたのだろう、近くの田んぼに
カラスがやってきた事に気付かなかった。双眼鏡で見るとハシブトガラス。それでも1個体ずつ丁寧にみると、オデコが大きく嘴の細い個体もいる
ではないか。まさにミヤマガラスの特徴を備えている。何てことだ。三度の幸運に恵まれた(オオヒシクイ・マガン、オオワシ、ミヤマガラス)。
西暦
月
日
メモ
2008
11
29
室林道ラインセンサス
萩の山は紅葉の真っ盛り。針葉樹・照葉樹の緑と落葉樹の黄色や茶色が織り錦となる。野鳥を見て歩いても今ほど気持ちの良い季節は無い。雲
が無いので風の流れが分からないが、高圧線が奏でる重低音が途切れることなく聞こえる。まるで大きな滝が音を立てているかのようである。今
日の室林道、小さな鳥たちが主役となった。まずミソサザイ、このこげ茶色の小さな鳥は自分にとっても特別な鳥である。10数年前、山口さん(鳥
の師)に連れられて奥三河の山々にミソサザイを見に度々出かけたものだ。鳴き声ではウグイスの地鳴きとの違いを徹底的に教えられた。また、
生息環境も経験から何となく分かるようになった。それもこれも師匠のお陰であり、それだけミソサザイという鳥が魅力的であった。繁殖期には高
山で過ごし平地で越冬する(いわゆる漂鳥)。室林道では冬季の個体を見ていることになるわけだ。今年の個体数はどうなのか?毎年秋の深まり
と共にミソサザイを待ちわびる気持ちが強くなる、それの繰り返しである。その点では今日は満足であった。4個体ほども確認できたことは最近と
しては珍しい。もうひとつの小さな鳥はヒガラ。こちらの方も漂鳥。1992年11月21日。初めて探鳥会に参加して、山口さんから説明された中にヒ
ガラのことがあった。今でも鮮明に覚えている。「ヒガラは、萩では、200メートルが棲息の境界で、200メートル以下では棲んでいません」この言
葉は私に、野鳥観察は科学である事を教えてくれた大事なものである。鳥との付きあい方も、写真はもともと好きではあったが、単なる野鳥写真
マニアには成るまいと気をつけたものだ。ヒガラの個体数は年により大きく差がある。全く見ない年もある。今年は早くからヒガラがやって来たの
でホッとしていたのだ。今日も、ヒノキやアカマツの中でヒガラの小さな地鳴きを何度も聞いた。アカマツの中にいる個体を撮影したのを見ると、葉
の間に潜む小さな虫を小さな嘴で探している。こういった細かな所の観察はカメラの目が手助けしてくれる。センサスを終えて戻ろうとしたら山口
さんがやってきた。萩小6年の子どもたちに巣箱賭けを指導するにあたり、下見に来られたようだ。師匠もますますお忙しくあられて結構結構。
2008
11
29
羽根・長根
萩町の中でも羽根・長根の田んぼ付近は、北風が通りやすい地形のため、12月ともなると野鳥観察も防寒対策が必要になる。しかし、今日はそ
んな心配は無用。遮るものは何も無い暖かな日差しが降り注ぎ、気持ちよく田んぼ道を歩くことができた。ツグミはどうかな、時々鳴き声も聞いた
ので田んぼにもいるだろうか?。けれども、例年は年末にならないと姿を見せないツグミである。やはり、少しばかり気が早かったか。確認できた
冬鳥としてはタヒバリ。土の黒い色に隠れてしまい存在を確認するのは結構難しい。近くまで接近すると、足元からいきなり飛び去って行く。田ん
ぼの水路(今はもう水は流れてはいないけれど)の脇にはセイタカアワダチソウやススキなどが刈取られずにあって、防風林と食糧倉庫の役割を
果たしている。草の実はホオジロやアオジ、カシラダカといった鳥たちの命を繋ぎとめているのだ。ホオジロがススキの穂を嘴でしごく様にして採
餌していた。何個体も同様に動作を行なっていたが、2羽のオスの採餌を撮影したものを見ていたら面白いことに気が付いた。羽色から若い鳥と
思われる個体は、年の取った個体よりも後から採餌している節が見えるのだ。採餌する場所も若い個体は年寄りの個体よりも一段低いのだ。人
間は若い者が威張っているが、動物の世界では経験の豊富な大人のほうが優位であることを聞いたことがある。もしかしてそれを具現化している
のかもしれない。一度研究してみようか。珍しかったのはセッカの越冬個体を見たこと。セッカはれっきとした夏鳥である。今居るということは、今
更南下はせず越冬する覚悟なのだろう。小さな体ではあるが勇敢なセッカらしい。水路の中は北風も当らないので大丈夫なのだろう。空にあるの
は鳥ばかりではない。4つのエンジンを持つ変わった型のジェット機が中部国際空港への着陸態勢をとっていた。もしかしてエアバスA380?。
2008
12
7
室林道ラインセンサス
一番の冷え込みを体験する。空は真っ青、放射冷却も最高だったに違いない。手袋の指先がしびれる。頬が痛い。そんな厳しい中からホオジロ
の囀りが聞かれた(何て強い鳥だろう)。ミソサザイが、ウグイスが、よく似た地鳴きが聞こえてくる。私の、鳥の声の勉強の原点の鳥たちである。
山口さんの言うとおりカケスが少ない。冬の山の主のような鳥であるが鳴き声があまり聞かれない。日差しが恋しい日は携帯カイロという手もある
が余りエコではない。やはリ早歩きをして暖めるのがバードウォッチングには似つかわしいと思う。
西暦
月
日
メモ
2008
12
7
平尾
冬の鳥探しの穴場とも言えるのが平尾。萩町の山を隔て、南に開けた里山である。北風が当らなくて暖かいので野鳥の個体数もかなり多い。ル
リビタキやカヤクグリなども観察したことがある。珍しい一番はミヤマホオジロだろう。その美しい姿を見つけた時は本当に有頂天であった。平尾C
Cからゴルファーの明るい声が聞こえる。今日のような天気なら自然と気分も明るくなることだろう。萩から峠を越えて平尾に入る最初に見る池に
はカワセミが棲んでいる。小さな池ではあるが大切な池なのだ(私にとっても)。室林道からさらに買い物をして帰りに平尾に寄ってみた。どんな鳥
が見られるのか楽しみだ。池の側に車を停めて歩いてみる。ルリビタキ(もしくはジョウビタキ)の声がする。池の縁で鳴いていたのはジョウビタキ
であった。さらに行くと今度はルリビタキのオスの姿があった。さすが平尾と関心しきり。とどめはやはりカワセミ。池の周りの枝に止り水面を見つ
めている。残念、逆光である。場所を変えてくれないかな。思わず強行軍。落ち葉を踏みつけると当然音がする。音に驚いて移動してくれるかも。
ところがこのカワセミ君(オスなので)、度胸があるのか意に介せずビクともしない。結局、当人のご意志次第となった。それでも気の毒に思ったの
か日の当る場所に移動してくれたのには感謝感激。
2008
12
14
室林道ラインセンサス
夜中に雨の中心は通り過ぎたのだろう、ポツポツとトタンの屋根を叩いているが十分に野鳥観察のできる天気だ。雨のお陰で風も無く気温も高い
。久しぶりに手袋を着けずに歩くことができた。林の中を観察するのには晴れた日よりも曇天または雨の日の方がやり易い。雲の反射光が林床
を明るく照らしてくれる。太陽の光があるとコントラストが強すぎて暗い林床が一層暗くなってしまう。クロジ、アオジ、ミソサザイといった地上で採
餌する鳥を観察するには曇空が良い理由だ。今日もミソサザイを3個体確認した。アオバトが鳴いていた。不思議な鳴き声は一度聞いたら忘れら
れない。地元で聞く不思議な鳴き声ベスト3。3位トラツグミ、2位アオバト、1位アカショウビン。アオバトは体色が緑色の美しいハト科の鳥である。
可愛らしかったのはコジュケイの子どもたちであった。母親の姿は見られなかったが3羽のヒナが道を歩いていた。こちらに気付くと急いで林の中
に消えていった。センサスの折り返し辺りから日差しが出てきた。それに併せて風も。手袋の無いことが悔やまれてきた。
2008
12
14
羽根・長根の田んぼ
そろそろツグミが来ているだろうか、ねらい目はツグミである。やはり多いのはセグロセキレイ、ハクセキレイといったセキレイ科の鳥たちである。
中でもハクセキレイが多い。以前はセグロセキレイが優勢であった。しかし、今は形勢が逆転してしまった。さらに、止まることを知らないハクセキ
レイは、とうとう夏にも居座ってしまったのである。目を皿にしてツグミを探すも姿なし。田んぼ道を北風が吹き抜け始めた。どうしても歩く速度が早
くなる。同時に集中力が落ちてしまいがちになる。(早く終えてしまいたい)車まで10メートルまで来たとき、半逆光の太陽を浴びて田んぼに佇む
ツグミの姿があった。いた!。羽色からするとメスのようだ。とうとうツグミが田んぼに下りてきたのだ。あぜ道の草紅葉が輝いていた。
2008
12
20
平尾・駒場池
12人もの子どもたちが参加して今年最後の土曜探鳥会が始まった。月曜日まで行くと楽しい冬休み。11月上旬の陽気だと先生が言われた。牧
野さんはカイロを腰に潜ませて暑い暑いと言っていた。南からの風が雲をゆっくり北に運ぶ。小鳥たちの声も心なしか楽しそうに聞こえる。平尾へ
の登り道で子どもたちが大きな声をあげた。フクロウがいるというのだ。枝にはノスリがとまっていた。「ノスリだよ」と私。「かっこいい」と子どもたち
。割と至近距離でタカの姿が見られ大満足であった。峠を越えて平尾カントリークラブに出た。その小さな池でカワセミが毎回見られるのであるが
、今日はどうだろうか。忍び足で池に向かった。「池の周りの樹にいるから」ついつい池に近づき過ぎてしまうのは仕方が無い事だ。やはりいた!
カワセミは気配を感じて隣の大きな池の方向に飛び去ってしまった。一部の子しか見られなかったようだ。残念!。ところが、カワセミ君はまだそ
の池の畔にいたのだった。牧野さんが最初に見つけた。スコープを操る子供たちの声が明るく響いた。これくらい離れていれば安心して暫くは姿
を見せてくれるだろう。願ってもない展開に私自身が喜んだ。彼(カワセミのこと)はその後、小さな池と大きな池を移動しながら餌を捕っていた。
気持ちも晴々、景色も晴々。悠々とゴルフ場の脇を歩いていった。すると今度はサルたちの親子連れと鉢合わせ。いるわいるわ小さな子ザルたち
が。探鳥会の子ザルたち、何を思ったのか猿真似を始めた。これにはプレー中のゴルファーもあっけに取られたのでは。駒場池の堰堤で一休み
する。湖面ではカルガモやマガモがのんびり浮かんでいる。個体数はかなり少ない。カワウが岸で羽を広げている。3種類で全部と思っていたが
、たった1羽だけヒドリガモがいた。常ならば湖面を渡る風が冷たい駒場池であるが、今日は超気持ちいい。鏡のような水面に初冬の景色が逆さ
まに映っていた。
西暦
月
日
メモ
2008
12
21
昭和の森
東名と東海環状をつないで昭和の森にやって来た。まだ訪れる人もほとんどいない。曇空のせいかそれほど寒さは感じない。最初は尾根を登る
コースを歩く。ヒヨドリ、メジロが多いように感じた。行く手の奥に猿投山が見える。最高地点から南の方向を望む。六所・焙烙山が聳える。雲の切
れ目からの光が山々を照らす。管理棟までやって来たところでジョウビタキが道路に下りている姿を目撃。のんびり屋なのか、近づいても逃げよう
としない。この場所は谷にあたるので小さな流れがある。水のある所には鳥が集まるようだ。ホオジロ、アオジ、カシラダカといった渋い野鳥が集
まっていた。アオジに日が当たった。ヨモギ色の姿が大変良かった。今年の2月にここで土曜探鳥会を開いた。その時に見たシメを今回も確認す
ることができた。植生をみると針葉樹、照葉常緑樹、落葉樹がバランス良く配置されているように思える。実の成る樹木も多数あった。種子食のイ
カルやシメ、ホオジロやアオジの個体数が多いのは至極もっとな事なのである。森の中心はもちろん昭和天皇・皇后が植樹された所。ヒノキとハ
ナノキが大切に管理されている。近くには長根池があってカルガモが羽を休めている。少数ではあるがカイツブリとバンもいる。それではとカワセ
ミを探す。いたいた(鳴き声がしたので)。昨日、探鳥会でもしっかり見たカワセミに最後に出会え満足して帰途に着いた。
2008
12
26
寺ノ入林道ラインセンサス
今年最後の寺ノ入林道ラインセンサスに出かけた。寺ノ入林道は標高500メートル以上、山間地でもあり冬季での観察は見合わせている(凍結・
積雪が理由)。私の住む萩町では全く雪の気配は無いが、寺ノ入林道に着いてみるとうっすら白いものがあった。ニュースによると全国的に荒れ
た天気であったが、寺ノ入林道もかなり強い風が吹きぬけ、冬の野鳥観察とはいえ厳しいものであった。体の方はヤッケで守られていても手袋を
した指先が痺れる。しかし、冬の寺ノ入林道で見た小鳥たちは私を十分暖めてくれた。センサスを開始して間もなく現れたのはオスのルリビタキ。
奇麗な青色が茶色の多い冬景色のなかで一際目立っている。続いては、やはりオスのジョウビタキとメスのルリビタキ。2羽は直ぐ近くにいて小
競り合いをしていた。頭上のアカマツにはヒガラがいて、聞き取れないくらい微かな声で鳴いていた。坂道を登るコースは特に期待できるのだ。細
いアカマツの実生木が生えていて如何にも鳥の好みそうな場所。途端に足が止まってしまった。「チリリ・チリリ」私の好きなカヤクグリである。どう
やら2羽いるみたいだ。つがいかも知れない。さらに、林道の脇の落ち葉を歩いているのはクロジ。顔は墨色のオスの色をしているが羽は未だ茶
色なので若鳥であろう。その奥およそ10メートルにはルリビタキのメス(またはオスの若鳥)がやはり餌さがしに躍起になっている。それにしても
ルリビタキの多いこと。オスであったり、メスであったり。いつもの折り返し点よりも少し足を伸ばしてみた(ルリビタキがその先もいるような予感が
して)。少し延長したコースでオス・オス若鳥のルリビタキとカラクグリのメスを確認したのであった。カメラに収めるのはセンサスではあまりやりた
くはない。同じ歩行速度でのセンサスにならないからだ。しかし、これ程次から次と魅力的な小鳥がいたのではシャッターを切らない訳にはいかな
い。寒い山の中を野鳥たちは逞しく暮らしている。パワーを貰って山を下りた。
2008
12
26
金沢大池
寺ノ入林道から本宮山を下って豊川市にある金沢に来た。ため池である大池にはマガモたちが羽を休めている。少数ではあるが海ガモのキンク
ロハジロとホシハジロも、仲良く餌を捕っている。池の周辺は畑で、カキを栽培している。気にかかったのは柿木に沢山実が付いていたことだ。ヒ
ヨドリの個体数が図抜けて多いのはカキの存在とも無関係ではないかもしれない。金沢ではツグミも沢山いる。その姿を見たいと思って来たので
、1羽しか確認できなかったのは少し残念。ここでも風は強かった。大空を行き交うのは飛行機ばかり。ところが1つがいのノスリが、まるで凧が浮
かんでいるように一点に留まっている。ホバリングである。やっぱり風の一番の友だちは鳥であると思った。
2008
12
28
室林道ラインセンサス
2008年最後の室林道ラインセンサスになるのか、あと1種、冬鳥で確認出来ていない鳥がいる。マヒワだ。そのマヒワの声がようやく聞かれた。
そして、スギの樹から飛立った20羽ほどの群が、室林道の空を勢いよく旋回したのである。鶸色の奇麗な姿は私も好きである。林道に入ると、最
初に目に入ったのは、萩小の子供たちが設営した看板と、巣箱であった。普通の巣箱とは一味違う。箱に丸い穴が無いのである。オオルリの巣
箱である(山口さんが指導された)。室林道には数々の名鳥が飛来する。中でもオオルリは、子供たちの憧れの鳥だ。6年生の子たちによる卒業
前の恒例の愛鳥活動。素晴らしい!。
西暦
月
日
メモ
2008
12
30
室林道ラインセンサス
この時期にしては暖かな日が続く。とうとうウインドブレーカーを羽織るのを止した。手袋も要らない。天気は言うことないのであるが、天気に釣ら
れて野鳥も活発になるのかなと思いきや、存外であった。鳴き声ではヒヨドリとハシブトガラスが比較的活発。あとはだんまりを決込んでいるようだ
。センサス開始も9時少し前と、決して早すぎることはないのになぜだろう。日が高くなり気温が上昇するに連れて、少しずつ鳥の声が増えてきた
のをみると、鳥も寒さは堪えているのだろうか。シジュウカラがいきなり、こちらを威嚇するような声をあげた。「ジュクジュクジュク」。ヒガラは、姿は
見せなかったが微かな声で存在を示していた。ウソは、穏やかな姿で頭上から見下ろしていた。北風に煽られて枝が揺れることもない、高圧線の
重低音も聞かれない、ああなんて静かなんだ。林床をカサカサと音を立て移動するものがいた。太巻きの尾が見える。ニホンリスだ。少し離れた
ところからカケスのしわがれた声が聞こえた。そして、ヒノキの林から数羽のマヒワが飛立った。
2008
12
31
我家周辺
2008年の最後は、身近な鳥たちの観察が一番似つかわしいと思っている。女の人ほど忙しくはないけれど、家を空けるのは気がひける。それに
、周りは田んぼや畑ばかり、山陰川にはカワセミがいる。500ミリのレンズを付けたカメラと3脚の重さ約10KG。背中全体で支えないと長い間背
負えない。幸いにして、年末にはいって暖かい日が続いている。のんびりと歩くにはこれ以上の天気はない。隣の畑では、我家も縄張りに治めて
いるジョウビタキ君が見回りしている最中であった。油断しなさんな、我家はネコ人口密集地帯だからな。2羽のスズメが畑で餌を探している。仲
が良さそうなのでつがいかもしれない。潅木の根元では珍しい鳥がいた。シロハラだ。山付きの鳥のイメージがあるので、民家近くで見られて少し
驚いた。山陰川沿いに歩いた。水場には沢山の鳥が見られる。今日も、アオジ、ホオジロ、ヒヨドリ、ビンズイ、モズなどを随所で確認することがで
きた。そして2つの青い鳥も。エメラルド色のカワセミと濃い青のイソヒヨドリだ。「わざわざ遠くに行かなくても私たちがいるのに」、と諭されているよ
うであった。
2009
1
1
室林道ラインセンサス
氏神さまへの初詣、お寺への年始回り、二歳先輩の方と昔話に花を咲かせながら、快晴の空の下をのんびり歩いた。家に戻り、さて、今年の初
バードウォッチングは何処にしようか。HPの賑わしにオシドリの写真でも、ところが、オシドリのいる新堤池はまともに北風が吹き抜け、ウインドブ
レーカーを着込んでいても寒いのなんの。オシドリも木陰に隠れて出てこない。退散と相成った。気を取り直して室林道へ。常とは反対のコースか
ら歩き出した。カワラヒワが明るい声で鳴いていた。オスとメスの2羽で、つがいなのかもしれない。人間の世界と同じくメスの方が上にいた。室林
道から西に伸びるコース(牛沢下谷下線)を歩くことにした。室林道(筑田牛沢線)よりも新しい林道である。未舗装の部分もあってそれが良い。高
度を上げると視界が開け遠く弓張山系の山々が連なる。豊橋や豊川の市街地もすっきり見渡せる。新幹線がゆっくり移動(遠いので)。足元には
自動車部品メーカーの工場が見える。周りは主にヒノキの植林。雑木の多い室林道本道とは鳥の種類が多少はちがうのであろうか。沢沿いには
ホオジロやアオジがいた。入り口でも見たカワラヒワが群になってヤシャブシの種を啄ばんでいた。そうなると期待してしまうのは、ここへマヒワが
来てくれないか、という事。室林道は直ぐ隣、期待しよう。高圧送電線の鉄塔が直ぐ側に見られる所に来た。急な斜面に堅固な基礎が造られてい
た。ここの搭は一級のサイズである。工事の様子は室林道のセンサスの最中に何度も見てきた。塔の基礎付近に来たときに、若いヒノキの林の
中からマヒワの声がしたのであった。担いでいた三脚を下ろした音で一斉に飛立つ。「やあやあ飛んでいってしまったか」。残念がっていたが、直
ぐに舞い戻って来てくれ、今度は、頭上にあるヤシャブシにとまった。そして、真剣に実を啄ばみ始めたのであった。やれうれし、これで新年のHP
のモデルは決まったな。20、30羽はいたであろう。黄色い色の鳥は結構いる。室林道では、キビタキ(スターである)、キセキレイ、カワラヒワ、ア
オジなどだろう。中でもマヒワの黄色が私としては一番気に入っている。古代色の鶸色もこの鳥の色からつけられたと聞いたことがある。由緒正し
い鳥をお正月にみられたのは嬉しいこと。
西暦
月
日
メモ
2009
1
4
碧南火力発電所
ずっと気になっていた場所である。なかなか行く機会がなかった。正月なら道も空いているだろうと思って、思い切って出かけることにした。音羽か
ら蒲郡に抜けたらあとは碧南まで一直線(気持ちいいほど真っ直ぐである)。吉良を過ぎると左前方に2本の煙突が見えてくる。それが碧南火力
発電所。発電所の南端に一般の人に解放された区域があり、電気館、広場、エコパークが隣接している。主にエコパークを歩いて野鳥を探すこと
にする。様々な樹木が植えられているが照葉常緑樹が多いようだ。実の成る樹も多くて野鳥たちの楽園といったところか。冬季はどんな鳥がいる
だろうか。まずはヒヨドリ、一番鳴き声が聞かれる。個体数ではメジロが一番かもしれない。常緑樹とメジロの体色は相性が良い(捕食者が見つけ
難い意味で)し、実が一杯のこの地に一番似つかわしい鳥であろう。冬の鳥では、アオジ、ツグミ、シロハラ、ウグイス、ジョウビタキであろうか。コ
ースには海鳥の観測シェルターや小川などがあって変化に富んでいる。シェルターは大変立派なものであるが今は開店休業の状態だ。シギ・チ
ドリの渡りの季節に訪れたい。カモを見るためには高台に登らないといけない。海とは隔てられた一角に凄い数のカモがいた。数えることなんて
出来ないし、やる気も起きない程の個体数である。広場から歩道橋を渡ってエコパークに向かうのであるが、歩道橋からは碧南からの眺めが一
望できる。西は海である。貨物船が何艘も停泊していた。遠くには渥美半島や知多半島が見え、半島の切れた先には、三島由紀夫の潮騒で有名
になった神島も見える。東は濃尾平野、更に山々がぐるりと見渡せる。一際高く雪を頂いた白い山は、木曽御岳、中央アルプス、南アルプスであ
る。南には、愛知県最大の矢作川の河口が見える。上空にはトビがゆったりと帆翔。トビに混じって白っぽい姿のミサゴが。思わずカメラを向けた
。2本の煙突からは白い煙(一本はほとんど分からないほど透明な煙)がたなびき、発電機とおぼしき大きな建物から低い音が聞こえる。石炭火
力発電機とは出力では比ではないが、環境への優しさでは断然勝る風力発電機が並んでいたのは印象的だ。
2009
1
5
萩と近辺の野鳥
正月休みで体も少々鈍っていたこともあり、最後の休みに思い切って一日中、鳥を見て歩こうと思い立った。コースは、観音山林道を登り大代に
出て、峠を下った先の鳥川(とっかわ)から室林道に出て、我家に戻るという壮大なものであった。観音山では2羽のカヤクグリを観察する。2個体
の確認は初めてだったので大層嬉しかった。観音山の山頂へ登ろうとしたが、途中で藪になってしまい断念。無理すれば可能であったかもしれな
いが、まだまだ先は長いと思い引き返した。大代ではヒガラが、そして急な下り坂でそろそろ足の痛みが出てきた。スタートして4時間経っていた。
鳥川を歩いて気が付いたのは、炭焼窯とか、平成の名水とか、建て看板が沢山立っていたということ。ホタルは鳥川の自慢である。奇麗な川のあ
る箇所で、川底に何かが捨てられていた。何かあるのかなと思っていたが、近くに、「カワニナの餌としてここに好物を捨ててください」という看板
が立っていたことで納得。メロンの皮も好物らしい。贅沢なものだ。車で通り過ぎるとあっという間の距離でも、2つの足で歩くと随分と掛かるもの
である。6時間弱を掛けて1周した。最後は足も痛くなり家に着いたときはほっとした。
2009
1
10
平尾・財賀寺
最近では最も多い11人の子どもたちが集まった。雲は全くない。強風が雨雲をすっかり追い払ってしまった。ゴーゴーと山全体が唸っている、そ
んな表現がピッタリの日、山の尾根伝いに歩を進めて行く。平尾CCの池では再びカワセミが出迎えてくれた(先回の、駒場池探鳥会でも大いに
楽しませてくれたのだが)。どうやら2羽いるようだ。つがいなのだろうか。ここからは豊川自然歩道を歩いてゆく。山の尾根まで一気に登る探鳥会
名物の心臓破りの階段が見えてみた。子供たちの背中を見ながら大人2人はマイペースで登る(子どもたちに負けないようになんて思わないほう
がよい)。尾根は木立が遮っているといっても風が吹きぬけ音がもの凄い。大勢でいるから安心できるが、1人2人ではきっと心細いだろう。自然
の怖さの一面を子どもたちそれぞれが感じているのでは。最後に奥の院の急な坂道を降りると到着。ひとりずつ鐘を突いてお参りした。一番の楽
しみのお昼の弁当。山門の隣の日溜りの広場でシートを広げて思い思いに食べる。ここでちょっとした出来事が。1人場所が確保できない子が出
来てしまったのだ。涙目の子を上級生が迎えて事なきを得た。あとは遊びタイム。大人は昼寝を貪る(そう願いたいが、いかんせん外はやはり寒
い)?。子どもは遊びの天才だ、とはよく言った。大きい子も小さい子も一緒に遊ぶ(変に上級生が気を使っていないのが返って気持ち良い
。再び強風の山の中をさまようように進み、見覚えのある萩の家々の近くまで来た。皆疲れた素振りも見せず萩小に戻ってきたのだった。
2009
1
11
室林道ラインセンサス
寒い。室林道で初めて氷柱ができた。時折、空から雪のようなものが落ちてくる。寒さに、野鳥もあまり活発に動けないのか、センサスの間、鳴き
声が聞こえてくることが少なかった。耳を澄ませて声を聞く、そんなバードウォッチングが大好きである。アオジvsクロジ、エナガvsヒガラ、などは
聞き分けが難しい鳥。声と姿が一致した時はやはり嬉しい。はっきり聞こえるのは、ハシブトガラス、カケス、ウグイス、ウソなどである。中でもカケ
スの声が今までのセンサス時よりも多かった。ウソは、黙々とサクラの花芽を啄ばんでいた。果たして、今年の開花は無事出来るであろうか。鈴
をぶら下げた猟犬が通り過ぎてゆく。今まさに狩猟期の真っ最中である。シカやイノシシが対象になろうが、農作物への被害も多く、かといって撃
ち取られるのは可哀想。複雑である。
西暦
月
日
メモ
2009
1
18
羽根・長根の田んぼ
畦の草には白く霜がついていた。草の毛が模様のように浮き出て見えるのはなかなか美しい。正月が過ぎると田んぼの田起こしが始まる。すると
、それを待ちかねたように野鳥たちがやって来る。土の中からミミズなどが掘り起こされるからだ。冬鳥の代表格でもあるツグミ、飛来してからは
暫く山で過ごし、今の時期に一斉に平地に下り田んぼで採餌する。その変化は見事と言うしかないほど。今朝の羽根・長根の田んぼも例に漏れ
ることはなかった。ツグミは噤むが語源らしい。あまり頻繁に鳴くことは無いのは確かである。採餌の途中頻繁に上空を見上げるのは捕食者に対
する警戒心からであろう。同じ田んぼにいるムクドリはそのような行動はあまり見ない。ムクドリは群れで採餌するので、交代で警戒担当をしてい
るのかもしれない。それに比べツグミは、基本的には単独で採餌する。だから、採餌と警戒を独りでやらなければならないのだ。見ていると警戒に
より時間を費やしているように思える。ヒバリの行動も活発化しているように思える。ヒバリの初さえずりが楽しみである。(昨年の羽根・長根での
初さえずりを観察したには3月15日であった)
2009
1
24
羽根・長根の田んぼ
この冬一番の寒気襲来と気象予報士の言葉にすっかり怖気づいていた。確かに寒くはあったが震えあがる程ではなかった。随分と冬の探鳥会を
経験したが、もっと寒いことは何度もあったような気がする。萩小の資源回収を手伝った子どもたちがそのまま参加してくれた。今回も11人と大勢
だ。今回は代表的冬鳥のツグミを覚えることを目当てとする。そのツグミの最初の姿は川原の田んぼ(下加茂神社の近く)で見た。茶系羽色がな
かなかである。コースのポイントポイントではきまってモズの姿があった。尾をクリクリ回す小粋な姿が絵になる鳥だ。羽根・長根の田んぼに来る
と冬の厳しさを思い知らされることになる。北風が田んぼを吹く抜けている。一見何もいないように見える田んぼだが、実は、数多くの野鳥が生活
しているのだ。セグロセキレイやハクセキレイは良く目立つので直ぐに分かるが、カワラヒワの群が採餌していてもなかなか気付かない。人の気
配で一斉に飛立つ姿に逆に驚いてしまうのだ。電線にスズメがとまっている。それがまた見事なほどきれいに並んでいる。寒かったので田んぼ道
をランニングすることにした。私も子供たちの後を追いかけて走ったが、寒さをしのぐには好いかも。1年生から6年生まで賑やかな探鳥会であっ
2009
1
25
室林道ラインセンサス
再び寒さが厳しくなり野鳥たちには一層厳しい季節となった。室林道は南斜面に開けているので比較的暖かいが、それでも日の当りの悪いところ
には氷柱が成長していた。マヒワがヤシャブシの実を突いている脇で、ウソがサクラの花芽を啄ばんでいた。両者に共通するのは、時間を惜しん
で食べていること。いさかいや小競り合いなどすることなくひたすら啄ばむ。センサスコースの折り返しでメジロがやはり黒く熟れた実を食べてい
た。こちらは頻繁に互いにちょっかいを出していたことが印象的であった。冬を生き延びてこそ自分の未来がある(遺伝子的にいえば)。今まさに
選択圧が掛かっているのだと感じた。
2009
1
27
葦毛湿原
会社の休みをとり用事を済ませた後、久しぶりに葦毛湿原に向かった。久しぶりは道を忘れてしまったくらいに本当だった。それでも何とか到着。
停めた車から見た光景が最高だった(湿原本体よりも)。シメとイカル、あのデカイ嘴と強面(シメのこと)が20羽以上も群れていたのだ。枝に止っ
たり、地上で木の実を食べたり大賑わいである。用心深いスズメたちはシメよりも離れて食事中。さらには群をつくる事のないツグミも仲間入りし
てきた。相変わらず空を仰ぐ恰好をしているが少し滑稽であった(可哀想かな)。冬の湿原は静かだ(ひと気がない)。林の中からはシロハラの声
がする(一番多い)。湿原であるから川の流れもある。水を堰きとめたため池にはヒドリガモがたった3羽だけいた。やはり最初に見つけたシメ・イ
カルが一番だったようだ。
西暦
月
日
メモ
2009
1
30
寺ノ入林道ラインセンサス
暖冬を証明するような暖かい朝を迎えた。用事を済ますと11時になっていた。しかし、折角の休みをぼんやり過ごしていては勿体無いので、家に
は帰らずその足で三河湖に向かった。直ぐにでも雨が落ちてきそうな雲いきだ。仕方がないので傘を腰に差して(人目が無いので)歩き出す。静
かな山の中は小鳥たちの冬を生き延びるための懸命な営みの熱気に溢れていた。マヒワがスギの実を啄ばんでいた。室林道ではヤシャブシを
好んでいるマヒワも、ふんだんにあるスギの実を知らぷりは出来ないようだ。人工林には野鳥が少ないとよく言われる。多様な樹種の森の素晴ら
しさは否定できないが、スギの林でも種子食の鳥にとっては大切であることは、冬の採餌を見ているとよくわかる。ヒガラは寺ノ入林道で最もよく
見られる鳥のひとつであろう。ごく小さな声を上げ林の中を移動するが、カラ類の中でも小さな姿なので直ぐにわかる。カラ類といえば、シジュウカ
ラとヤマガラが囀っていた。地上にも小さな鳥が頑張っている。沢沿いに棲息するミソサザイである。いつも声ばかりのこの鳥がサービス精神よろ
しく、尾羽をピンと上げて出迎えてくれた。といよりは、別の個体と競い合っているのに出くわしたのだった。ミソサザイの姿を見たいばかりによく冬
の山に出掛けたものだ。もちろん今でも逢えたら嬉しい。冬の山に似合うのがカケスだ。しわがれた声が山の空気を切り裂いて響くのだ。腰に差
した傘が役立つ時がきた。我慢を重ねた雲がついに耐え切れず雨粒を落とし始めた。カメラを背負って来なかったことは正解であった。雨が降っ
ても寒さは全く感じない。それどころか、手袋をはめずに真冬の寺ノ入林道を歩けるのはあまり記憶にないほどである。おかげで気持ち良く2時間
30分のセンサスを終え山を下りた。
2009
2
1
室林道ラインセンサス
新しい年が始まったと思ったらもう12分の1が終ってしまった。時間というものは何だろうと思う。暖かい北風というあまり経験することのない状況
が2・3日続いている。室林道にも強い風が吹いていて送電線がブーンとうなっている。しかし、寒さは感じない。本当に寒いのは、風が吹き付け
なくて、日差しがあまり無い所、いわゆる底冷えという奴である。時間帯が遅い(12時少し前)影響もあろうがあまり鳥の声が聞こえない。ヒヨドリ
とハシブトガラスとか、大きな声の鳥の数が少ないのだ。ウソやヤマガラは居るには居るが元々それ程大きな声では鳴かない(囀りは別である)。
だから、本当に鳥が居なくなったのでは、と思えるくらいである。2日前に寺ノ入林道でヤマガラとシジュウカラの囀りを聞いたので室林道でも期待
していたのであるが、はっきりと囀っている個体には出合えなかった。なにやら白い綿のようなものが舞っている。よく見ると小さな竹とんぼのよう
なもの。竹の軸のつけ根種が付いている。枯れや植物の種が強風にあおられて空高く舞い上がっているのだ。新しい命がまた引き継がれてゆく
。
2009
2
7
新城総合公園
安田先生から薦められて今年の6年生を送る会は、新城総合公園で行なった。小春日和の穏やかな青空のもとで子どもたち18人は思いっ切り
走り回った。その分野鳥の姿は少なめではあったが、あれもこれもと欲張るなという事だろう。ピーカンの晴天に野鳥の方は人前に出るのが気恥
ずかしくなったのであろう。そんな中でもハシブトガラスとトビのちょっとしたいさかいは目を楽しませてくれた。小鳥たちは口をつぐんでしまったよう
だ。それでも、エナガの群が公園の雑木林を群になりながら採餌するのをちょっとだけ見られた。運が良ければヤマセミもいるらしい池にはマガモ
とカルガモの姿があった。公園内のコースにはいたるところに遊び道具が設置されており、早く遊びたい子どもたちは気が気ではない。お昼ご飯
を食べるまでは鳥を見る約束で我慢させる。そして楽しみの弁当の時間。思い思いに陣取ってお昼ご飯。私は自炊の野菜炒めをおかずに。コン
ビニ弁当でなくて良かった。遊ぶ前に大事な儀式がある。6年生を送る会だ。一列に並んだ6名の6年生に下級生から挨拶。その後に6年生から
答礼を返した。それぞれに稚拙ではあるが気持ちを込めた挨拶であった(この時には何時も感動を覚える)。最後は広場で思いっきり遊んだ。私
も牧野さんと遊具を回って遊んだ。中でも水平からジャンプするスリリングな変形滑り台は面白かった。童心に返り時間を過ごしたことは私にとっ
ても有意義であったと思う。探鳥会や子供たちのお陰と感謝するばかり。バスの中で心地良い披露を感じつつ帰途に着いた。
2009
2
14
室林道ラインセンサス
果たして冬鳥が居るのか知らん、そんな気持ちにさせるほどものすごく暖かい(気象庁が記録を取り始めて一番という)。心配をよそに冬鳥たちは
元気にいた。ウソ・ヒガラ・ルリビタキ・ミソサザイの地鳴きを聞くことができた。ルリビタキは奇麗なオスで、道路をホップするようにして採餌してい
た。暖かい風が山の斜面を吹き渡ると、黄色い煙が舞い上がる。花粉症の人が見たら震え上ってしまうだろう。室林道は杉林も豊富である。お陰
で、種子食のマヒワやカワラヒワなどのアトリ科の野鳥には好評である。アカゲラがキョキョと鳴いて飛び去った。アカゲラの羽には他に無い真っ
赤な部分がある。その赤さに対抗するように、数輪のヤブツバキの蕾が開いていた。
西暦
月
日
メモ
2009
2
15
我家周辺
あまりに暖かいので変な感じである。野の草花も春と思って開いてしまっている。オオイヌノフグリ、ナズナ、ホトケノザが笑っている。ツグミが春の
ような風に吹かれ上空を見上げていた。彼等はどのようにしていまれ故郷への旅立ちの日を決めるのであろうか。空を見上げているのは望郷の
念、それとも、捕食者への警戒?。前者であって欲しいと思うのは身勝手であろうか。ツグミを撮っていたら空からセグロセキレイのけたたましい
声がした。慌てて見上げると、2、3のセグロセキレイにモビングされているタカの姿があった。どうもハイタカ類のようだ。オオタカにしては少し小
振りのようだ。ハイタカかもしれない。旋回中のタカにピントを合わせシャッターを切る(上手く写っていたらおなぐさみ)。歩いているのが幸せにな
る上天気であった。
2009
2
21
室林道ラインセンサス
2年生と1年生の子ども3名、先生とその妹さん、自分、都合6名の程よい人数で探鳥会を行なった。天気は良いのであるが風が強い、羽根・長根
の田んぼは厳しいと思い急遽室林道に2台で向かうことにした。室林道は底冷えする、しかし、明るい日差しが注ぐ中を歩くのは気持ち良い。野
鳥の方は少な目であった。カワラヒワ・マヒワ・ヤマガラなど。先生は、微かな声を見逃さずに、「今、鳥の声が聞こえました」と言う。少なからず感
心した。持ち寄ったお菓子で、山上でのパーティーと洒落込んだ。歩いてお腹を空かせた子どもたちは、あっという間に平らげた。野外で食べるも
のは何でもうまい。妹さんにも時々は探鳥会に参加してもらいたものだ。「春になったら、オオルリやキビタキを見せますよ」と話した。
2009
2
22
羽根・長根ラインセンサス
冬鳥はどんなだろうか、幸いにも今日は北風もあまり吹いていない。タヒバリやカシラダカ・カワラヒワの群が、明るくなった日差しの中で乱舞する
光景を期待してみたものの、最近は、目を見張るような群にはとんとお目にかかっていない。群を養う力が無くなったのだろうか。辛うじて30羽くら
いのカワラヒワが田んぼで採餌するのを見つけた。カシラダカは本当に見かけなくなった。原因は分からないが淋しい限りだ。冬鳥の代表格のツ
グミはまずまずの数を確認する。もう暫くはこの地に留まるだろう。あぜ道にもあちこち春の息吹が見られた。タンポポの輝く黄色は春の訪れを最
も感じさせる。小さな花ではあるが、ホトケノザの紫色、オオイヌノフグリの青色は、園芸種の花々にはない素朴さがあって大好きだ。
2009
2
22
室林道ラインセンサス
昨日の土曜探鳥会であまりに鳥の姿が少なかったので、もう一度確認すべくセンサスを開始した。結果、それほど少ないという感じはなかった。
冬鳥では、マヒワ、ウソ、シロハラを確認。今日は、彼らよりも留鳥であるヤマガラやシジュウカラの方が目に付いた。両者とも、囀り個体も表れた
。各地からのウグイスの初鳴きの便りを聞くようになった。我が室林道では未だ囀りまでは聞いていない。懐かしい声との再開の日が楽しみであ
る。
2009
2
28
我家周辺
日も西に傾き、辺りの景色が赤く染まる頃、双眼鏡を首から下げて、家の近くをセンサスした。ウメの花は盛りを過ぎていたが、樹によってはまだ
大分花びらが残っており、それらからは、微かな香りが漂っていた。朝、イカルの囀りで目を覚ました。いよいよ春が来たなと思った。センサスの
途中で、シジュウカラの囀り個体に出会う。しっかりとした囀りで、繁殖に向けての、オスとしての決意を述べているように思えた。山陰川沿いに進
むコースが我家周辺のセンサスである。セキレイ類がごく普通に見られる。ハクセキレイ、セグロセキレイに次いで、タヒバリのピピ、ピピ、という
奇麗な声が聞こえる。何時の間にか、様々な野草が花開いている。カラスノエンドウの濃いピンクがやけに目に付く。同じ濃いピンク色のホトケノ
ザよりも華やかである。夕日の山にツグミが飛んで行く。娘夫婦4人が来ている。センサスを終えたらふたりの孫の相手をしよう。幸せな時間であ
る。
西暦
月
日
メモ
2009
3
1
萩市民館祭り
今年から公民館祭りから市民館祭りに変わった。何となく、田舎の祭りから都会の祭りになったような気がするから不思議である(実態は何も変
わってはいないのに)。私も、2月に入ってから萩の野鳥コーナーの準備をしてきた。随分前からは、パソコンによるプレゼンテーションの形をとっ
ている。今回は、2008年から撮りためた野鳥写真と、土曜探鳥会の写真を紹介することにした。併せて、萩小の子と野鳥、野鳥観察種の推移(
10年間の)のグラフなどを考えた。同じ部屋には、パソコンクラブやお年寄りの作品を一緒に紹介している。もっぱらこの部屋で一日過ごすことに
なる。もっとも、折角なので全ての会場を見て回るつもりではあるが。子どもたちとは、探鳥会を通して随分馴染みになった。今日は、大人の人と
馴染みになる絶好の機会。来てくれた人には丁寧に応対しなければ。同級生のお母さんが大勢入ってきた。随分と年をとって見えた(当然だ、自
分がおじいちゃんと呼ばれているのだから)。それでも、自然と会話が出来るのは不思議なものだ。新聞紙の花飾り、毛糸のスイーツ、絵画、写真
、芸能はいうに及ばず、昔懐かしい発動機の展示まである。萩に嫁いで来て、公民館祭りに参加しているお嫁さんが、田舎なのに文化レベルが
高いとびっくりした、と話してくれた。地元の人間としては、少々誇らしい気持ちになった。
2009
3
7
室林道ラインセンサス
3月の声を聞いて一気に春めいてきた。野山の草花も日に日に数を増やしている。好きなスミレが咲くのもそう先ではない。室林道に入ると直ぐに
、懐かしい囀りが聞こえてきた。ウグイスである。今週の初めから勤め先の周辺で囀りを聞いていたが、やはり室林道は一味違うと思った。個体
数もずっと多く、鳴き声もしっかりしている。ウグイスばかりではない。ホオジロは、ソングポストで天を仰いで歌っていた。また、シジュウカラも活発
に鳴いている。一方冬鳥たちは、大丈夫、まだまだ去るには早すぎるとばかりに採餌に余念がない。ヒガラも暖かさに誘われ姿を見せたし、雄花
が膨らみだして独特の香りを放っているハンノキをマヒワの群が巡回している。球果を丈夫な嘴でこじ開け栄養たっぷりの種子を美味しそうに食
べている。強さを増し始めた太陽の日に浴びた鶸色がとても美しく見えた。水脈からの滴でコケが生き生きとしている場所では、毎年、3月の半ば
になるとヒキガエルの産卵が見られる。水溜りを覗いてみたが、あと1週間はかかりそうな様子であった。産卵日のその正確さは驚くべきである。
2009
3
14
室林道ラインセンサス
夜からの雨がまだ残っていて(さらに強くなった感じ)室林道のラインセンサスも傘をさして行なう。こんな時はカメラは使えない。しかし、記録を取
ることを第一に考えると逆にそこが有利な点となる。一番活発だったのはシジュウカラである。囀り個体や餌を探す個体などが見られた。雨の
せいかウグイスの囀りは鳴りを潜めた。冬鳥のマヒワは数を減らした。いるにはいるが、群で飛び交う姿は無くなった。コース復路の半ばで今日
一番の出来事が。それは、多分、北上個体のミソサザイの囀り。室林道で囀りを聞くこと自体が珍しい。早春ともなると、毎年、ミソサザイの囀りを
聞くために三河高原の山に出かけることにしている。標高の低い音羽ではミソサザイの囀りは無理だと思っていた。それが今日かなえられたので
ある。コマドリの囀りを聞いた時も驚いたが、ミソサザイもそれに負けないほどびっくりした。
2009
3
15
寺ノ入林道ラインセンサス
雨上がりの爽やかさと、赤道の近くまで戻った太陽の光の強さ、ダブルのご馳走である。そそくさと用事(運動を兼ねた掃除)を済ませ、寺ノ入林
道に向かったのは10時30分過ぎ。少々遅いか。風はかなり吹いていた。足早に雲が流れてゆく。山が鳴いている。だから、小鳥の鳴き声がかき
消されてしまう。囀りならばまだしも、小声の地鳴きは聞き難い。ところが、いないように思えた小鳥たち、実は沢山いたのだ。最初はキクイタダキ
、日本産野鳥で一番小さな鳥、絹糸のようなか細い囀りを聞くことができた。それにつられるように他の鳥たちも鳴き始める。ヒガラのツピツピツピ
、ヤマガラのツーピーツーピ、カラ類の快活な囀りを聞くと気分が晴れるようだ。囀りの本命のウグイスは室林道に比べると少ない気がした。標高
の差が気温の差となり囀りの差にも出ているのだろうか。囀りをするのは樹の上ばかりではない。ウグイスは藪の中にいるし、ミソサザイは林床
で囀る。昨日室林道で聞いたミソサザイの囀り、ここ寺ノ入林道でも囀り個体を確認した。重いカメラのシャッターは一度も押さなかったけど、気分
は上々であった。
西暦
月
日
メモ
2009
3
18
茶臼山ラインセンサス
2009年最初のセンサスは3月も半ばになってしまった。遅くなった原因は目出度い事ではあるが。休みを取って満を持して茶臼山に向かった。
道中何の問題もなく(例年だと凍結する箇所もある)、スキー場こそ残雪はあるが、一般道路には残り雪は殆ど見当たらなかった。おまけに春を
通り過ぎたような陽気。標高1200メートルのセンサスコースも暑さを感じるほどである。最初に出迎えてくれたのは、沢から聞こえるミソサザイの
囀りとノスリの鳴き声であった。何十倍と大きさが違うのに鳴き声だけで判断すると同じくらいの鳥に思えるのが面白い。駐車場には車の姿はなく
閑散としている。その周りの木々でホオジロが囀っているのが大層よく響く。早速双眼鏡を首からぶら下げカメラを担いで歩き出す。暫くはホオジ
ロ、ヤマガラの鳴き声(囀りも含めて)がする。スキー場の脇ではコガラ、シジュウカラの採餌する姿があった。リフトが頭上を通る付近で20羽ほ
どの群に出会う。アトリ科であることは間違いないが特定できなかった(行きと帰り二度見たのに残念)。ハギマシコである可能性も。ウグイスの囀
り個体も確認できたが未だ少ない。あと数日でぐんと増えるのでは。やはり気温の違いが現れているのではと思う。アトリ科ではベニマシコの姿
があった。道端の植物の実を食べている。平日の茶臼山で出会う車はほとんど老夫婦が乗っている。その中の1台からの人からザゼンソウの在
りかを尋ねられた。そうそう今咲いているんだったなー。フィールドスコープを担いでいる人にも出合った。いわゆるデジスコで鳥を撮る人である。
フィールドスコープにデジタルカメラの組み合わせは、写真レンズに比べ(超望遠は超高価)安上がりなので人気があるのだ。アイピース(接眼レ
ンズ)を介しているので周辺像の乱れは残るが、天体写真と違い、中心付近の像が良ければ気にならない。但し、飛翔中の姿を撮るのは殆ど不
可能であろう。飛んでいる姿こそ鳥の本来のものと思うのだが。南アルプスの雪山姿をおさめるのも楽しみであったが、黄砂のせいか、今ひとつく
っきり見えなかった。しかし、寒さに震えることなく、のんびりと茶臼山の周りを歩くことができ、楽しい一日を過ごすことができ好かった。
2009
3
21
前田町
休日の東名高速を使って前田町の野鳥を観察しに来た。道路が込み合っていないか少々心配であったが、帰り、豊田JCから岡崎間で渋滞に遭
遇した。何処まで行っても1000円は良くも悪くもインパクトがある。遠出してのバードウオッチングには朗報か。毎日、出勤前の20分、前田町の
田んぼ道をウオーキングしている。ヒバリが囀り、ケリが縄張りを守る、繁殖の季節の到来である。今日もまさにそんな日になった。ヒバリは田ん
ぼで採餌し、地上で囀りを開始し、おもむろに空に飛び上がる。きっと、メスたちはオスのディスプレイを冷静に眺めているのだろう。田んぼが埋め
立てられていた。次々と自然が消えてゆく。前田町の野鳥の行く末が心配だ。埋め立て地の近くでセッカの越冬個体のペアがいた。あぜ道には
春の花が咲き出した。お馴染みのタンポポ、ナノハナ、オオイヌノフグリ、ペンペングサ。小川の脇では好きなスミレの姿もあった。水路は3面張り
なので自然の姿とはいえないのかもしれないが、水のある風景は安らぎを感じるものだ。前田町の小川は澄んでいて見ていても気持ちが良い。
2009
3
21
室林道ラインセンサス
ウグイスの囀りは日に日に増えてきている。新たにメジロが囀りに加わった。コジュケイが大きな声で鳴いている。田んぼからはキジの声、山では
コジュケイがキジの代わりとなる。一方で、マヒワ、ヒガラの声も聞かれた。そろそろ繁殖地に向かって北上するのだろう。室林道でもサクラの開
花が始まった。気になるのはその数。この冬も、ウソがせっせと花芽を啄ばんでいたからだ。案の定花びらはまばらである。崖に白いノイバラの花
が咲いた。水脈の近くではショウジョウバカマの紫色。淡いタチツボスミレの紫色も顔を出し始めた。あとは南からの野鳥たちの訪れを首を長くし
て待とう。
2009
3
28
羽根・長根の田んぼラインセンサス
ヤマザクラの薄いピンクとハンノキの新緑の織りなす美しい風景を見ながら羽根・長根の田んぼ道を歩いた。3月の初めの頃よりも気温が低い状
態が続いている。今日も、冬の北風が田んぼを吹き抜けていた。ペンペングサが激しく揺れる。長根川を見るとセキレイたちが嘴を川面に打ち付
けている。2羽のセグロセキレイが場所取りで小競り合い。直ぐに分かれて採餌をする。2つ目の橋の下流でキセキレイとハクセキレイが、同じ様
に尾を上下に振りながら採餌していた。ハクセキレイの方が警戒心が低いのか、どんどんこちらに近づいてて来た。確かにハクセキレイは割りと
近くに人がいても気にしないようだ。春の鳥もやって来た。ツバメの夫婦が互いの絆を確認するかのように飛翔していた。鳥は飛んで何ぼ。その
意味では、今この場所でツバメを脅かすものは何もない。もうひとつはやはりペアのコチドリ。水溜りを足早に歩いている。黒い土の中に溶け込ん
でいても目の金縁取りが日に輝き、コチドリの存在が分かる。冬鳥たちもまだまだ生まれ故郷に帰る様子はない。ツグミ、タヒバリがそれぞれの形
で採餌していた。カワラヒワの群は春の日に最も似合う。黄色い羽色が太陽の色と一緒だから。いつのまにか、これぞ春に風景と言えるレンゲの
花が咲いていた。少しばかり眠たそうな花の形ではあったが。
西暦
月
日
メモ
2009
3
28
我家周辺の野鳥
フィールドノートだけ持ってルナと散歩した。朝から吹いていた北風も大分納まってきたので、あたりの景色もゆっくり眺められる。山々に鮮やかな
若い緑色が広がってきている。その緑と接するように咲くヤマザクラの白い色も。田んぼの上を飛ぶのは2種類のツバメ。普通のツバメと腰の白
線が大層目立つイワツバメである。2種類のツバメは色形だけではなく飛び方も違う。イワツバメは羽ばたきと滑空を交互に行なう。普通種のツバ
メは羽ばたきが主体である。山陰川の堤防に植えられたソメイヨシノが5分咲きくらいになった。川面に映ってなかなかいい光景だ。自然のもので
はないがレンギョウの濃い黄色も春らしくていい。ルナが匂いを嗅ぐような仕草をする。彼女は野の花の香りをどのように感じ取っているのだろう
か。第2東名の工事用道路を舗装していた。着々と準備は進んでいる。それこそ莫大なお金をかけての工事、どこが潤うのやら(少なくとも一般庶
民は税金を払うだけ)。工事の脇で見つけたのが色の全く違う2羽のアオジとジョウビタキのオス。彼らもやがて生まれ故郷の地を目指して北上す
る。これから庭に植える花の苗を買いに行こうと思う。
2009
3
31
宮路山から西切山ラインセンサス
休みを取ったので、用事を済ませ、宮路山と西切山林道をラインセンサスした。宮路山は豊川市の西に位置し、隣の、蒲郡市と隣接している標高
360メートルあまりの山である。山頂からの四方の眺めは素晴らしい。特に、三河湾の眺めが気に入っている。私の小学校時代の遠足の中でも
、宮路山から蒲郡の海岸までの縦走は、今でも記憶の奥底に残っている。赤坂の街から宮路山への登り道はヤマザクラと新緑の織錦。それに引
き換え、道脇のソメイヨシノはガッカリな姿である。こちらも室林道と同様に、冬鳥でサクラの花芽が大好物のウソが、すっかり平らげてしまったよ
うだ。谷からはウグイスの谷渡りが、山側からは本格的に囀りをし始めたメジロが、本格的な春の訪れを告げていた。宮路山は花も多い。有名な
のはコアブラツツジ。ドウダンツツジの仲間で、春は可愛らしい釣鐘状の花、秋は(こちらの方が人気があるが)燃えるような紅葉、さらに、ヤマザ
クラ、ヤブツバキなどが山を彩るのである。それらも良いが、私としては、可憐なタイツボスミレを是非お勧めしたい。上品な色が何ともいえない。
山頂直下の駐車場に車を停め、西切山林道をラインセンサスする。この林道は、この地の中でも、最もコマドリの逗留の可能性が高い所であった
。4月上旬サクラの咲く頃の早朝に、コマドリの初囀りを探して林道を歩くのが、17年来の楽しみである。しかし、コマドリに異変?。確認個体数が
激減しているのだ。逗留地である音羽も、繁殖地である茶臼山でも、コマドリの美しい囀りを聞く機会がめっきり減ってしまった。今日のセンサスで
コマドリやその他の夏鳥を確認出来るとは思ってはいない。いないことが分かればよいのである。センサスを開始して間もなく、2種類のキツツキ
が姿を見せた。オリーブ色のアオゲラ、白と黒のまだら模様のアカゲラ、共に、頭部とお尻の真っ赤な色が大変美しい。アカゲラはつがいで、2羽
が互いに呼び合っているようだ。頭上から聞こえるのはメジロの囀り。メジロは昔からウグイスと並んで囀りを愛でられた鳥。ウグイスは大名に、メ
ジロは商人たちに愛されたという。やはり、夏鳥の気配はなかったが、もう間もなく美しいすがたと歌声に出会えるだろう。彼等は生まれ故郷の日
本に来てどんなにか嬉しいことだろう。沢山の苦難を乗り越えて(途中で命を落としたものもいるだろうに)ようやく着いたのだ。許せないのは、そ
んな鳥たちを狙う密猟者だ。自分の満足のためになんと卑劣なことをしていることだろう。
2009
4
4
室林道ラインセンサス
里山は新緑に彩られている。野鳥たちの繁殖の季節の始まりである。留鳥たちは地の利を生かしいち早く縄張りを主張し、番う相手を見つけはじ
めている。一方、繁殖と休息とを異なる場所で過ごすことを選んだ鳥たちは、抗しがたい気持ちの赴くままに、生まれ故郷の森や草原、さらにはツ
ンドラ地帯を目指して旅立つ覚悟を決めている。平地ではツグミやジョウビタキが、そして、山ではマヒワたちが北に向かう日を待っている。室林
道でも、マヒワが最後の採餌に明け暮れていた。一方で、故郷を目指す鳥たちは。今日は、そんな鳥たちの一陣を見つけた。室林道の藪から聞
こえる虫の声。いや虫ではない。れっきとした鳥ヤブサメ。ウグイス属では小さな部類に入るこの鳥は、林床の枯れ葉色と同じ茶色の体を持ち、
そこで暮らしている。シシシシ・・・・と虫の鳴き声そっくり。声の発生源を定位することが大変困難な鳥である。一ヶ所で鳴いているのは間違いない
のであるが、まるで前からも後ろからも聞こえてくるようである。小さなヤブサメと一緒に来た訳ではないだろうが、今年初めてのサシバも。この中
型のタカは日本が生まれ故郷。越冬地からやって来てまもないのだろう。彼は、声を上げることなく、羽ばたきと滑空を繰り返して山の端に消えた
。ヒノキの林を移動する鳥たちの中にヒガラの姿を見た。そういえば、少し甲高い声で囀りをしていたのは、シジュウカラではなくヒガラだったのか
も知れない。両者の囀りを聞いていると時々迷うような時がある。里からドカンと花火の音がした。春祭りを告げる音である。ドシンと音をたて地上
に下りたテンが、金色の毛並みを輝かせて走り去った。
西暦
月
日
メモ
2009
4
5
西切山ラインセンサス
先週に続いて再び西切山をセンサスした。目的は夏鳥の飛来確認。その中でもコマドリの確認をするためである。結果は、コマドリはおろか、そ
れ以外の鳥たちの姿・声もまったく無かった。地の鳥たちの囀りはまことに盛んであった。ウグイス・ホオジロ・ヤマガラ・シジュウカラ・メジロはコー
スのいたる所で囀っていた。コースの部分部分では個体数に差がある。多いのは樹種の豊かな所、少ないのはヒノキの単独林、その図式はここ
西切山林道でもそのまま当てはまる。かといって、単独林は駄目かというとそうでもない。ウグイスはそこでもいるし、エナガ、マヒワ、ヒガラといっ
た鳥はかなりの個体がそこで採餌している。囀り個体のようにはっきり存在を確認できないだけかも知れない。ヒガラやマヒワの地鳴きははっきり
と聞き取れないことがままあるからだ。昨日室林道でヤブサメを確認したので、夏鳥の確認を期待して歩いた。しかし、コースからはそれらしい声
は聞かれなかった。
2009
4
10
茶臼山・高値・蛇峠山・室林道
会社の休みを取って長野県最南部の山を登った。最初に向かったのはやはり茶臼山。もしかして夏鳥が来ているかもしれないかと思ったからだ。
それと、距離的には近いとはいえ、これから向かう高嶺・蛇峠山と比較するのは意味がある。行きは設楽町から茶臼山高原道路(今は無料となっ
た)を通る。その高原道路で車を止めて野鳥を観察する。そきは牧場地帯で今までは来たことが無い場所なので新鮮な気持ちになった。直ぐ近く
ではヒガラが囀り、カケスがふわふわと舞うご機嫌な所。開けた場所を双眼鏡やフィールドスコープで鳥の姿を探すのは、バードウォッチング一番
の醍醐味である。私はどちらかと言うと道路にそってラインセンサスする機会の方が多くて、姿よりも鳴き声ばかりで探すことに慣れてしまってい
て、このような場所でのんびりと定点観察するのに憧れさえ感じる。200メートルほどの牧場にまばらに生えている木々に鳥の群が舞い降りた。
なんだろうと双眼鏡を向ける。どうやらカシラダカみたいに見える。春先の、カシラダカの集団囀りが頭に浮かんだ。今年の最初の茶臼山観察で
は出会えなかったので嬉しくてならない。茶臼山周回道路を車を止めながら進む(何時もは歩き)。平地と同様にウグイスを初めとする野鳥の囀り
で満ちていたが、やはり高原と思わせる鳥も出現した。1つはルリビタキ。平地で越冬したものが繁殖のために山に戻って囀りをしていたのだ。も
う1つはゴジュウカラ。カラ類のなかでは見つけ難い部類に入るが、今日の山歩きでは、茶臼山・高嶺・蛇峠山すべてでこれら2種類の鳥を観察す
ることができたのは大層興味深かった。高嶺へは売木村経由とした。売木峠・平谷峠2つを越してゆくが、峠から流れる川では、沢音に負けない
大声でしかも美しく囀るミソサザイたちに会うことができた。大げさに言えば数百メートル置き、それこそいたる所から声が聞こえたきたのである。
高嶺山頂からの360度の眺めは素晴らしい。南には愛すべき茶臼山、北は茶臼山の兄貴分の恵那山と大入川山(5月に登ろうと思っている)。
東は南アルプスが圧倒的な存在感で聳えている。思わず手を合わせたくなるような光景だ。高嶺でも夏鳥を期待していたが、残念ながら果たせ
なかった。最後は3山の中では最も高い蛇峠山。治部坂峠(1200メートル)から別荘地を通り抜け馬の背(1400メートル)まで車で行ける。そこ
から先は歩き。初夏の陽気でもあり、重いカメラを担ぎでいると汗が滲んでくる。ウグイス・コガラ・ヒガラは無論のこと、例のゴジュウカラとルリビタ
キの囀りも聞こえる。これで、1300メートル以上の標高では、両者の存在を確認することができたと思う。蛇峠山からは東の空高く南アルプスを
、北の空には御岳・乗鞍が微かに望むことができた。乗鞍を見たのは初めてなので大層嬉しかった。南アルプスを見て感じたのは、茶臼山・高嶺
・蛇峠山それぞれで、山脈との距離や角度が変わって山の形が違って見えるということである。茶臼山では聖・赤石が大きく見え、蛇峠山では、
北岳が茶臼山ほど小さく(遠く)見えないのである。午後2時に帰途につくことにした。国道153号線を軽快に走り、東海環状・東名高速を使う。午
後5時以前に音羽・蒲郡インターを下りると料金が半額にならないので、時間を気にしながら帰った。萩町に着いても未だ日は高い。そこで、夏鳥
が来ていないかしらと室林道に寄ることに。何時もの半分だけ歩いて今日の野鳥三昧を終えた。
西暦
月
日
メモ
2009
4
12
宮路山から室林道
夏鳥を確認しに宮路山へ出かけた。昨日から春祭りなので余りゆっくりしてもしていられない。登り道でセンダイムシクイの囀りを聞く。今年初確
認である。サクラの花びらが散り始めた。絨毯のような花びらを踏みつけて走るのは勿体無い様な気がしてくる。西切山林道を歩いてセンサスす
る。ツバキの花は盛りを過ぎ道路に落ちているが、スミレやノイバラはまだまだ奇麗に咲いている。サクラの花の中をメジロとヒヨドリが飛び回って
いる。メジロの囀りにも益々磨きがかかってきた。夏鳥は結局、山の中腹で聞いたセンダイムシクイしか確認できなかった。こうなったら室林道に
も寄ってみよう。
15分ほどで室林道のスタート地点に着いた。カメラを担いでいては時間がかかってしまう。録音機を首から下げて直ぐに出発。こちらも野鳥の鳴
き声で溢れかえっていた。その中から夏鳥を探すのだ。既に1台車が止っていたので、どんな人だろうと想像してみた。山菜取り?、散歩?、密猟
?(これはありえない)、バードウォッチング?、1番目かなと思ったが結果は最後であった。その人は、今人気のデジスコ(望遠鏡にコンパクトデ
ジカメを装着して野鳥撮影する)を肩に担いで歩いて来たのである。黄緑色の若葉が快晴の天気に映え爽快な気分になる。結局、夏鳥について
いえば折り返し地点までは何もなく過ぎていった。ところが、センサス折り返し間際、シイの大きな樹の中から夏鳥の声が聞こえてきたのである。
かなり威勢のよいオオルリである。旅の疲れもなんのそのだ。暗い中を目を凝らす。彼は、ここを縄張りにしようしているのだろうか、シイの中から
飛び出して若葉の出始めたナラの樹の枝にとまると、再び囀りをやらかした。見事なオスの成鳥である。さすが室林道。センダイムシクイとオオル
リ。成果が上がり大満足である。
2009
4
18
宮路山
2009年度のスタートは宮路山から。若緑が美しい登山道を、主役の子どもたち8名と大人7名が寄り添い、ゆっくりと山頂目指して行く。途中、車
庫前で店開きするようにして田植えの準備をしているのを見つけ、農家の方と話をする。親切にも、ビニルハウスで緑色に育った稲苗をみせてく
れるという。萩小でも授業として稲を育てているので、皆、興味津々のようだ。宮路山への道を高度を上げてゆくにつれ、街の喧騒(主に車の音で
ある)も薄れ、代わりに、野鳥たちの囀りが一杯に広がってきた。ウグイスやカラ類(シジュウカラ・ヤマガラ)はもちろんのこと、遣ってきて間もない
夏鳥たちの声も加わっていた。あいうえお順に言おう。アカハラ・オオルリ・キビタキ・センダイムシクイ・ヤブサメ。この中にコマドリの名がないの
は淋しいが。山頂真下の急坂は短いが楽ではない。息を弾ませ階段を一歩一歩登る。振り返れば色とりどりの若葉の風景画。足元では薄紫色
のタチツボスミレが可憐に咲く。山頂からは先に着いた子どもたちの大きな声がする。水平に枝を伸ばした樹に数人の子が登っていた。毎年、隠
れ家と称して遊んでいる樹である。スタートして3時間歩いてきた体は、子どもでなくともエネルギーの補充を欲していた。思い思いの場所で弁当
をあける。私は牧野さんと一緒に食べた。牧野さんからはコロッケと漬物、私からはゆで卵を提供した。中腹で曇空にノスリが舞っているのを見た
。そして山頂では、普通種のツバメに混じり、ひときわ高速で飛ぶアマツバメに出会うことができた。たった1個体ではあったが予想しないことであ
ったので驚き、そして、嬉しさがこみ上げてきた。やがて山を下りる時間がやってきた。登りよりも下りのほうが足には辛いものだ。階段なんか造っ
てくれないほうがよっぽどか良いのにといつも思う。
2009
4
20
前田町
オオヨシキリの囀り個体を確認する。いよいよ、セッカ、オオヨシキリと夏鳥の季節到来である。尤も、セッカについては越冬個体を確認しているの
で、今囀りをしているのが飛来してきたものなのか、越冬していたものかは定かでない。居場所からすると越冬個体の可能性が強い。前田町を数
年にわたり観てきたが、耕地放棄により荒地になり、そこが野鳥の棲みかには適していて、街中でオオヨシキリなどが生息する特異な場所になっ
ている。ところが、その荒地が埋め立てられて店舗ができてくるようになった。都会では仕方がないのかもしれないが、野鳥好きにとっては残念な
ことだ。今のうちに記録しておかないと、と急かれるように観察することとなった。
2009
4
24
寺ノ入林道ラインセンサス
たぶん夏鳥のオンパレードであろうと期待し、寺ノ入林道へやって来た。予想と一致しないことが多いのが自然相手の宿命ではあるが、今日の寺
ノ入林道は予想以上であった。何時も目立っているウグイスがどこに行った?と思うくらいに様々な野鳥の歌声があった。今年初確認もあった。
寺ノ入林道といえばサンショウクイ。ヒリリヒリリと鳴きながら特徴ある羽ばたきで円を描いている。托卵鳥のツツドリの鳴き声に被托卵鳥のオオ
ルリはピリピリしていることだろう。キビタキが囀るすぐ側で、キビタキの寂びの部分を採用したと思はれる節回しで鳴く鳥がいた。日頃聞いたこと
の無い声に緊張する。声からは結論を出せなかったので体色から予想してみた。コサメビタキ?、エゾビタキ?。結局分からなかったので、写真
を撮り後で調べることにした(どうやらコサメビタキ)。平地に比べるとまだまだ緑色が若く、ヤマザクラの花びらも残っている。改めて寺ノ入林道の
位置(標高)を実感することになった。
西暦
月
日
メモ
2009
4
24
2009
4
24
裏谷
最初から寺ノ入林道と裏谷の2ヶ所を巡ることに決めていた。愛知高原の中心的な段戸山に広がる裏谷とそこに辿り着く道すがらは、10数年前
には、茶臼山などと同じくらいに頻繁に出かけ野鳥観察の原点と言ってもよい所であった。対向車が来て欲しくない! 通るのにも勇気がいるような
深い谷が迫る道が延々と続くのがこの地域の特徴である。しかし、鳥好きの私にはたまらない所だ。沢音に負けないほど大きな声でオオルリやミ
ソサザイが歌っているし、針葉樹の林には絹糸のような声の持ちのキクイタダキがいる。段戸湖の畔に車を停め裏谷原生林へと向かう。寺ノ入林
道と同様にここでも野鳥の声で溢れかえっていた。最もよく聞かれたのはヒガラのソプラノ。美声といえばウグイス・オオルリ・コマドリ・キビタキ・ク
ロツグミを古来から和声四品と称し愛でている。5種なのに四品なのかといえば、ウグイスは別格なのだそうだ。今日の裏谷では4種まで楽しむこ
とができた。ただコマドリだけは叶わなかった。ただ、一声だけカララ・・とコマドリの声がしたことは確認できたのだ。ところがその声は偽者である
可能性がでてきたのだ。駐車場から向かう際、大きなレンズを担いで足早で奥に行く人に出会い挨拶をした。随分高そうだな!と思った。野鳥の
撮影であることは間違いない。コマドリの声は、そんな人たち10人ほどがバズーカ砲を向けている先から聞こえてきた。なかなかの見ものである
!。あきらかに本物をおびき寄せるためのテープの音であることは瞬時にさとった。残念!。コマドリはここ何年とみに個体数を減らしている。音
羽での通過個体、茶臼山や蛇峠山での繁殖個体、理由ははっきりしないが殆ど確認できずにいる。ここ裏谷でも以前にはいたのだが。面白く思
ったのは、その光景が、同好の士がたむろし獲物を探すというハンターのそれによく似ていたことである。テープを使うのは密猟者がよく使う手で
ある。野鳥写真愛好者を密猟者と同じにしてはいけないと思うが、なにか釈然としないものが残るのは確かである。フレームの外の出来事は出来
上がった作品の中には現れてこないからといって何でも有りではないだろうに。まして、土地の所有者の了解を得ず入り込み、さらに、邪魔になる
からと木々を切り払ったり、マナーの悪いカメラマンのことが話題から消えることが無いのは残念だ。そんなのは本当の愛鳥家とはいえない。そこ
で、その人たちに一声かけて通り過ぎた。「コマドリを撮るんですか?」「えも最近は見たことないですよねー」おなじ夏鳥であるコルリがすでにや
って来ていて囀りをしているので、コマドリがいれば必ず囀りが聞かれるはずだ(過去の記録ではコマドリの方が先に来ていることが多かった)。
最後に見たくないものを見たという、少々残念な裏谷であった。
2009
4
26
室林道ラインセンサス
三河湖・段戸山裏谷と野鳥観察し、オスたちの囀りの凄まじさを肌で感じた。いよいよ、我が室林道の野鳥たちの出番である。昨日は一日中雨が
降ったので満を持して囀りをしてくれるだろう。林道の入り口でオオルリが囀っていた。樹上から聞こえるのはホオジロの囀りである。キビタキはさ
らに賑やか。2羽で掛け合いコールをする個体もある。双方譲る気配はないが、ツクツボウシの鳴き声を真似た個体の方がやはり迫力があって、
メスには分がよさそうである。薄暗い林ではクロジが活動していた。いつの間にか1羽のオスが道路わきで餌をとっていた。驚かさないようにして
カメラに収めた。オスたちの囀りに誘われるようにして付近を行ったり来たりするメスのオオルリを確認した。すぐ近くに、萩小6年生の児童たちが
設置したオオルリ用の巣がある(人数分なので随分多い)。利用してくれたら素晴らしいが。もうひとつ嬉しい事があった。サシバが林道で採餌し
ていたのだ。嘴に餌を咥えた個体が飛び去るのを確認できた。付近で繁殖行動をしている可能性がある。ひんやりする天気で季節が戻ってしま
ったようだ。けれども、生き物たちは着々と子育てを進めているみたいだ。
西暦
月
日
メモ
2009
4
29
汐川干潟
数年ぶりに汐川干潟でシギ・チドリを見た。野山の野鳥ばかり見ていたので、急に、海岸に行きたくなったのだった。それに、今がまさに旬なので
。これを逃すと1年待たないといけないのも、汐川へと駆り立てた要因である。豊川を渡る時に水位をちらりと見たところ、かなり高い感じがしたの
で、これは時間を誤ったかなと少し後悔した。干潟に到着したところ、案の定、波打ち際は堤防まであった。まあ上天気だし、のんびり待てばいい
や。風だけはかなり強かったがあとは言うことなし。5センチ7倍の双眼鏡で見ると、海の中にいるアオサギやダイサギ、カワウがさかんに餌をとっ
ているのが分かる。さらには、白くスマートな姿のコアジサシが、10メートルほどの高さから海面に突撃する姿もあった。彼等は小魚を捕っている
のだ。暫くはコアジサシの行動を観察する。そして、急に頭上から数羽の鳥の声が聞こえたのだ。これがカラスか何かだったら気にも留めないの
だが。ところが、その声はまさにシギのそれであった。大きな下に曲がった嘴がはっきり分かる。「チュウシャクシギだ!」。思わず声が出てしまっ
た。まだ海には降りることは出来ないほど潮が満ちている。その後も何度も姿を見せたが、30分ほどしてついに、少しだけ顔を覗かせた砂浜に下
り立ち直に採餌を開始した。あとは雪なだれ式にシギたちがやって来ては、良い場所を確保すべく足早に動きまわる。ハマシギの大きな群れが海
面をキラリと輝かせてやって来た。そして、丸い形になって嘴を泥の中に突っ込む。チュウシャクシギの嘴が下に曲がっているのに対して、隣の群
の嘴は上に反っている。オオソリハシシギである。嘴の形が全く正反対の鳥同士が、すぐ隣で採餌している。見た目は同じ様に見えるがきっと、泥
の中での状態は嘴の形と同様に大きく違っているのだろう。今度はチドリがやって来た。田んぼにもコチドリが来ているが、こちらはメダイチドリ。
個体数は田んぼの比ではない。繁殖色のベージュ色がとても鮮やかだ。足早に移動して採餌する。堤防の近くでキョウジョシギが数羽で餌を捕り
ながら移動していた。京女と言われるだけにシギの中でも鮮やかな色をしている。最後にやってきたのは大柄のダイゼン。成鳥は白と黒のコント
ラストが美しい鳥だ。こうしてみると、シギ・チドリについても、今まさに北上の真っ只中にあるといえよう。彼らの繁殖地は、日本の遥か北の地で
ある。ここは、さらに北に向かうための中継基地といえよう。彼らのためにも、もう1ヶ所たちとも干潟を失ってはならないと思う。
2009
4
30
茶臼山ラインセンサス
夏鳥の様子を見に茶臼山に登った(今回は本当に山頂に登った)。豊根村のヴィジターセンターではキクイタダキが囀りをしていたし、オオルリや
エゾムシクイなどの夏鳥も来ていた。渓流からはミソサザイの歌声がする。山頂周回コースを歩くとやはり、ウグイスの個体数が圧倒的に多い。さ
らには、麓で聞いたエゾムシクイの囀りも聞かれる。山頂に向かう。周回道路では聞かれなくなったコマドリ、コルリがいるかもしれないと思ったか
らだ。結果は変わらなかった。茶臼山ではコマドリは殆どか、全く棲みついていないのだ。茶臼山は彼らにとって棲みやすい場所では無くなってし
まったのだろうか。周回道路が広くなり行楽の車が増えた、外来種のソウシチョウが急激に勢力を伸ばしニッチを失った、個体数そのものが減少
傾向にある、などが要因であろうと私は推測する。山頂からはこれから向かう長野県南部の山々が見える。はたしてコマドリの声を聞くことが出来
るであろうか。
西暦
月
日
メモ
2009
5
1
あららぎ高原
今までは蛇峠山までが私のフィールドであった。国道153号線を治部坂峠を越え先に行くことはなかった。今、慣れない道をあららぎ高原に向か
っている。会社友人たちと先輩の山荘に一泊し、翌日(5月1日)に、念願であった大川入山(1908メートル)に登ることを計画していたのである。
高嶺からも蛇峠山からも、大川入山は見上げる存在であった。山頂はクマザサの明るい緑に覆われ、独立峰のためさぞかし眺めが良いことだろ
うと思っていた。さらに数百メートルも高いのである。今まで見られなかった野鳥に出会えるかもしれない。期待は膨らむばかりだ。その反面不安
も大きい。はたして頂上まで辿り着けるだろうか?。標高1200メートルのアララギスキー場のゲレンデを登山道に向かい歩き始める。手袋が必
要なくらい肌寒いは気分は晴々。周りの景色も素晴らしい。メンバーは5人。皆山歩きの経験はほとんど無い。入り口が分からず寄り道をしてしま
った(ゲレンデの最上部から上級者用コースを下るはめになった)。ホオジロ、モスなどを双眼鏡で観察する。姿は無理であったが、ウグイス、オ
オルリ、コルリの囀りもあった。そして、あれほど無理であったコマドリの囀りも簡単に聞かれたのにはびっくりした。ゲレンデを後につづら折れ遊
歩道に入った。最初こそ緩やかな登りであったが、その後に、尾根に登る急坂が待ち構えていたとは。一直線に登る難所が次々現われる。息を
整えては再び歩く、それの繰り返し。向かいに見える山、三階峰(1400メートル余り)が標高の目安となった。ようやく山頂よりも高くなり、大川入
山までの標高差500メートルとなった。尾根道は南と北で全く様相が違っていた。南は、カラマツ林が広がって明るい緑(標高が高いと未だ芽吹
ていなかったが)、北は、シラビソやブナの古木が覆う薄暗い森、さらに、北の谷は冷気が辺りの景色を薄ぼんやりとさせていた。そのあたりであ
ったろうか、コマドリのヒンカラカラカラ・・・のいな鳴きが聞こえたのは。高嶺のように弱々しいものではなかった。これこそコマドリと言えた。もう耳
を澄ませる必要は無かった。そこで2人が登頂を諦め引き帰した。それほで尾根に登る急坂はインパクトがあった。あとは尾根道を登ったり下った
り。標高が1700メートルを越すとあちこちに残雪があった。滑らないように気を使うため疲れは一層深まる。そして、野鳥観察としては一番ので
きごとがやがて訪れることになる。最初の声、あれカエル?、私はそうかもしれないと言ってしまった。けれど、何となく違うようだ。カラス科には違
いないと思った。その時は、平地のカラスを想像していた。ミヤマガラス?。ここが2000メートルに少し足りない高山であることを失念していた。
やっとのことで声の主を探して、大川入山の高さを思い知らされた。ホシガラス!。高山帯の鳥である。今まで2・3度しかお目にかかっていない。
一度は、標高2800メートルの木曽駒ケ岳の這松帯であった。目の前に山頂が見えてきた。現在地点も山頂とそう変わりないくらいだ。ということ
は、下がって登らないといけないという愚痴も出る。しかし、稜線からの景色はそんな愚痴を言う口をつぐませてしまった。東の方面には中央アル
プスと南アルプスの白い峰、それに挟まれた伊那谷が眼下に広がっていた。まさに絶景!西は隣接する恩田大川入山とクマザサで覆われた山
肌、茶臼山や高嶺が眼下に見えた。頂上には2組の登山者がいた。いずれも治部坂側から登ってきていた。北には御岳と隣にうっすら乗鞍岳が
あった。早速昼飯。おにぎりとコロッケを頬張る。旨い!。一息ついで野鳥の様子を見る。相変わらずウグイスの声は多い。ヒガラがやってきて目
の前で歌い始めた。ヒガラもウグイス同様に登山道全ての場所で鳴いていた。頂上に数10分いたであろうか。軽くなったリュックサックを背負い、
今来た道を再びアララギスキー場へと目指す。雪は登り以上に我々を苦しめた。尾根への急な登りは、今度は、つま先を襲う下り坂となる。下り
坂の方が辛いのだ。再度のシラカバ林を抜けてスキー場に着いた時はホッとと同時にやったと思った。よくぞ歩き通したものだと。今朝停めた車
が主人を待っていてくれたかのように思えてならなかった。
2009
5
1
高嶺
平谷峠をだらだら下ると平谷の町に出る。そこから見る1500メートルを超える高嶺の山容は堂々としていて、きっと平谷の人々のシンボル的な
存在なんだろうなと思う。今年になって未だ、色とりどりのパラグライダーが浮かんでいるのを見ることは無い。ここでも鳴き声の多いのはウグイス
である。気温の上昇と共にウグイスも標高の高い場所を目指しているのがよく分かる。そして、ここでもソウシチョウの囀りを聞くことができる。高
嶺で一番のソングスポット(と自分は思っている)で車のエンジンを止め耳を澄ます。深い谷底からは沢音が聞こえる。野鳥にとっても水はとても
大事なものだ。飲み水、命の次に大事な羽の洗濯水、水の豊富な所には餌も多いし、巣の材料になるコケが生えている。林道のセンサスで感じ
るのは、おなじカーブでも谷と尾根を比べると圧倒的に、谷カーブで野鳥を観察することが多いということだ。ミソサザイは必ずいる。さらに今日は
ルリビタキの囀りも聞かれる。肝心のコマドリは?。コマドリの鳴き方から考えなければならない。ミソサザイやルリビタキはほとんど連続で鳴き続
けるのに対して、コマドリは間隔が広いのである(当然個体差はあろうが)。場合によっては1分以上にもなる。だから、じっくり腰を落ち着けて聞
かないと駄目なのである。およそ10分以上は待った時、一声、カラカラカラ・・・、とコマドリの声が聞こえた。第2声はいくら待ってもやってくれなか
った。しかし、間違いなくコマドリのものであった。生息は確認できたが果たして?。繁殖しているのだろうかという疑問がわいてくるのを禁じ得な
かった。囀りは弱々しいし、オス同士の競い合いの様子が全く感じられない。ここも個体数は極端に減少しているのだと感じた。中腹でオオルリを
発見。光線の加減で明るいコバルトブルーの姿がはっきり見えたのはラッキーであった。おなじ場所からは高嶺の隣に位置する蛇峠山の雄大な
姿を拝める。そして、その奥には南アルプスの赤石岳が空中に浮かぶがごとく聳え立っていたのだ。
西暦
月
日
メモ
2009
5
2
室林道ラインセンサス
目の前に突然オオルリやキビタキが現われたらおたおたとしてしまうだろう。そんなシーンが何度もあった。声で威嚇するでもなし、どうしてこんな
近くまで来るのか見当も付かない。全く無言かといえばそうでもない。囀りというよりかぐぜりに近い声を上げていた。彼にしてみれば私のことは
気にも留めてはいないだろう。そうではなくて、メスの存在が気になっているのだ。確かに、メスも近くで確認している。もしかして、近くにメスか別
のオスがいるのかもしれない。サンコウチョウを確認しようと、何時もと違う長根側からセンサスを開始したのであるが、確認することはできなかっ
た。5月の第3土曜日には恒例の萩小親子探鳥会が開かれる。その頃にはサンコウチョウもやって来ることだろう。楽しみにしたい。
2009
5
2
2009
5
4
自宅周辺
山口さんを連れて昨晩電話のあった人の田んぼに向かった。ケリの巣が田んぼの真ん中にあって(卵は4つ)どのようにしたらよいか相談の電話
であった。ともかく現地で落ち合うことにした。専門家に立ち会ってもらうのが良いと思い山口さんを連れて来た訳である。田起しを1ヶ月待てない
か確認すると無理とのこと。作業開始の頃にはヒナが孵るので結果的に死なしてしまうことになる。そこで、卵は山口さんに預けることになった。
可哀想だが仕方が無い。動物園で貰ってくれないか聞いてみると言う。巣は本当に簡単に皿状に作ってあった。そこにニワトリとウズラの中間くら
いの大きさで、グレーに粒粒の斑点のある卵が4つ並んでいた。形状はニワトリに比べ尖っている。尖った形なので巣からうっかり出ても遠くに転
がって行かないという利点がある。皿のような巣の形状に適応した形なのだ。8時間くらいは抱卵しなくても大丈夫との事。周りの田んぼは殆ど田
植えを終えた。ツバメが雛に与える餌をさかんにとっている。いつの間にか新緑の濃さが増してきて初夏の様相である。サンショウクイがヒリリヒリ
リ・・・と鳴きながら飛んでいた。民家の直ぐ近くでも沢があれば、バードウォッチャーに大人気のキビタキ・オオルリの囀りがスズメやヒヨドリのよう
にごく普通に聞かれるのが、萩の里の今日この頃である。私の家でも、家の中でキビタキの歌を聞くことができる。
2009
5
9
室林道
素晴らしい五月晴。前日までの雨を体中に蓄え植物たちは活き活きと萌え立っている。子どもたち5名と大人3名、2台の車に乗って室林道
へと向かう(時間配分や日差しの強さを考えた結果このようにした)。室林道は標高200メートルほど、森の中でもあり平地と比べてかなり涼しく
感じるが、今日もそよ風の助けもあって大変気持ちよく歩くことができた。キビタキ・オオルリの囀りを堪能したが、さらにラッキーなできごとがあっ
た。大きな声で囀っていた個体のオオルリが姿を見せてくれたのだ。これだけでも十分なのだが、サプライズは復路で次々と起こった。それは、3
組のオオルリのオス・メスつがいが目の前に現われたのである。サクラの新緑の中を2羽が現われては消え、消えては現われ、その度に子ども
たちは真剣なまなざしを向けた。ヤマフジの絡む山の斜面の中にオオルリの姿を見つけたのは、参加した子どもであった(彼は、今日のことをい
つまでも忘れないだろう)。日陰でおやつタイム。次から次へと小鳥がやって来るのを横目で見ながらお菓子を食べた
西暦
月
日
メモ
2009
5
10
前田町
オオヨシキリの個体数が気になっていたので、休日の朝、勤め先の建物が見える前田町にやって来た。音羽に比べて田植えが遅い田んぼは、用
水路から来た矢作川の水が満々と張られ、そよ風の立てる波が、五月晴の強い日差しを浴びてキラキラと輝いている。あぜ道は綺麗に刈り込ま
れてはいるが、所々、わざわざ残して観賞しようとしたかのように、ハルジオンの薄くピンク色に染まった蕾が、やはり、初夏のそよ風にゆらゆら揺
れて、人々の目を楽しませてくれていた。オオヨシキリは田植えを放棄して葦などが生える場所に営巣している。棲みか一帯の縄張りを守るべく
オスのオオヨシキリが、葦の根元から穂先へと順々に上りながら囀りをする姿が見られる。だから、前田町から葦が消えるときには、オオヨシキリ
も消える運命にあることは想像に難くない。最初の前田町の水田は全て水稲が作られていたのだと思う。そこへ、減反のあおりを受けて耕作放棄
地が現われ、現在のようにオオヨシキリの棲息地がバッチ状にできあがった。将来は?。耕作放棄地が商用地として転用されつつあるのは紛れ
も無い事実である。私が前田町の観察を開始したのが2005年の6月であるから、今年は5年目に入ることになる。その間にも、飲食・美容・居酒
屋が開店している。トウモロコシ畑が駐車場に変わってもいる。今日確認できたオオヨシキリの個体数は6羽であった。メスの個体数は入っていな
いが、決して多いとは言えないと思う。バッチ状になった葦のある場所では必ずオスが囀りをしていた。どう見てもオオヨシキリの明日は明るくは
なさそうだ。もう1種気になる鳥がいる。ケリである。ケリは全国的にみると東海地方に偏在し、棲息地は局所的である。開けた農耕地で採餌・営
巣をおこなう。前田町はケリもかなり多くいて、その意味でも市街地にある自然が残る場所として重要であると考えられる。人間の田植えと野鳥の
繁殖とのせめぎ合い(この場合人間が一方的に攻めている)がここで見られるのだ。ヒナが自活できるまでに田植えを待つようなことは普通しな
いだろう。間に合わない時は卵は放棄するしかないのだ。ケリの巣のありかを見つけるのは容易ではない(たとえ田んぼの中にある場合でも)。し
かし、他の鳥が巣の近くに来ようものなら、急降下爆撃よろしくケリの執拗な威嚇攻撃に見舞われることは必至だ。だからその付近には巣やヒナ
がいることになる。そんな光景はいたる所で繰りひろげられている。その1つで、明らかに成鳥よりも小さなケリの姿を見つけた。双眼鏡でみるとも
っとハッキリした。間違いなくヒナの姿であった。近くでは親とおぼしき個体が警戒の声を上げ続けていた。雛に注意を促しているのだろう。特に注
意を払う必要のあるのはハシブト・ハシボソガラスであろう。前田町にも多くのハシブト・ハシボソガラスが棲んでいる。ヒナの姿は微笑ましいもの
ではあるが、無事に成鳥にまで育つのを祈らずにはいられない。
2009
5
16
親子探鳥会 平尾
天気予報は曇から雨となっていた。前の日の夕方はあれほど晴れていたし、夜空には星も瞬いていたのに、起きて直に眺めた空にはいつの間に
か厚い雲が覆っていた。それでも道路は乾いていたので、何とかいけるのではと自分を思い込ませるようにした。校長室に集まった他の4人の方
は皆さん顔なじみで年に2度集まっている。何か野鳥の世界の春と秋の出会いのようでもある。100人あまりの全校児童と同じ数の父兄200人
あまりが、萩町内を5つのコースに分かれて歩く訳であるが、一組当りの人数が探鳥会としてはかなり多いので、説明者も工夫が必要であるし難
しさもある。萩小のような小規模校でないと全校で行なうのは大変難しい事は想像に難くない。校庭で挨拶をする頃から雨粒が落ちだしてきた。こ
うなったら気合でやり通すしかないと思い、自己紹介では「気合を入れて行きましょう」と探鳥会らしからぬ挨拶をしてしまった。平尾のコースは5
つのうち唯一萩町の外に出るもので、親子探鳥会としては初めての試みである。冬の探鳥会としては良い場所であるが、果たして、春のコースと
してはどうだろうか?正直にいうと一抹の不安はあった。期待としては、カワセミが棲む池があること、キビタキ・オオルリが萩の平地で個体数を
増やしている事実、きっと平尾でも同じだろう。期待は半分叶えられたようだ。平尾CCのコース近くでオオルリとキビタキの囀りが聞こえたのだ。
こと鳥の鳴き声を聞くのなら、晴れた天気よりも曇天か雨天の方が良い。音が伝わり易いのだ。だから鳥の声は十分堪能した。ウグイス、ヒヨドリ
、メジロ、ヤマガラ、ハシボソガラス、センダイムシクイなどなど。熱心なお母さん方もいた。コースの殆どを後ろ歩きで通す。よく見ていないと長い
列になってしまい、後ろにいる人たちは唯の遠足になってしまうからだ。カワセミの池では皆神妙な面持ちで脇を通り過ぎた。残念ながら、畔の枝
に止って水面を睨んでいる姿を見つけることはできなかった。2時間あまりを歩き通した。明るい光と爽やかなそよ風の中を歩くのであればともか
く、やや肌寒い雨の中を文句も言わずに歩いてくれた親子たち、最後まで心の糸を切らさず鳥に注目してくれた親子たち、伝統の重みと片付けら
れないものを感じた。みんな野鳥が好きであり、口には出さないけれど気になっているんだと。
西暦
月
日
メモ
2009
5
17
室林道ラインセンサス
傘をさして室林道を歩いた。霧が立ち込め室林道からの眺めは幻想的だ。ノートを濡らさないように、傘の柄を脇にしっかり固定して記録をつける
。双眼鏡を持参したが全く使わなかった。今日のような条件のもとでは目視と耳が全てである。萩小の子が作ったオオルリの巣箱に1ヶ所営巣し
ている。既に抱卵に入っていて、今日はメスが巣箱から出て行くのを見た。巣からできるだけ離れたところを通過してゆく。巣立ちまで無事にいっ
て欲しいものだ。雨は本降り状態。ズボンはすっかり濡れてしまった。野鳥はともかく、不思議なくらい小動物に出合ったのが印象的であった。最
初に林道を横切るテン。続いてノウサギとばったり。意外とのんびりとしていてこちらに気が付いていない様子。センサスの帰りにも別のノウサギ
に出会う。ぴょんと跳ねて姿を消した。ノウサギを見たのは久しぶりで雨のおかげだろうか。溝の水溜りでは3匹のイモリが元気に動いていた。雨
は全ての生物に欠かせないものだ。今日の雨も恵みの雨といってよいだろう。
2009
5
17
プリンスアイスワールド2009 豊橋公演
2人の娘からプリンスアイスワールドのチケットをプレゼントされた時には、正直大変びっくりした。探鳥会と同様に朝から雨だ。しかし、アイスショ
ーは天候には全く左右されない。今年のテーマは2010年冬季オリンピックへの道。画面にはオリンピックの印象深い場面が映し出される。札幌
日の丸飛行隊、グルノーブル白い恋人たち、リレハンメル伊藤みどりトリプルアクセル銀メダル、長野500メートル清水宏康、トリノ荒川静香。いよ
いよショーの始まり。この一瞬はどきどきするものだ。何とスタートは荒川さんのとトゥーランドット、定番の青い衣装で登場した。半分くらいの短い
演技ではあったが静香ファンとしては満足。今年からキャスターの一員となったのは、銀盤のバレリーナの異名を持つ太田由希奈さん。楽しみに
していたスケーターである。彼女の存在を知ったのは2006年日本スーパーチャレンジのテレビ放映であった。無論、荒川さんの凱旋気分の強い
時期であり、注目度は一番であった。八木沼・荒川さんの解説であったこの番組に登場した太田さんの演目はスワンレイク。他のスケーターとは
明らかに違う所作に驚き感銘した。怪我をしなかったらトリノに出ていたかも知れない人であることも分かった。それ以来、何度かテレビで演技を
見た。完全には直らない怪我を押して頑張る人柄にも共感した。本物を見たのは2008年チャンピオンズオンアイス静岡公演であった。サラの澄
んだ歌声をバックに優雅に舞ったのを覚えている。レイバックスピンの手の動きは比類ないものだ。さて、今日の曲は、ゆっくり演技するバックか
ら流れたのはカッチーニのアベマリアであった。アベマリアの言葉だけの歌詞は最初に聞いたときは驚きであった。今、太田さんの比類ない表現
力と相まってアベマリアが輝きを発したようだ。もう一人の見たい演技は荒川さんの新しい曲、今年は何を聞かせてくれるのか。彼女のトゥーラン
ドットは一生忘れないだろう。それと、ユー・レイズ・ミー・アップ。この二つは荒川さんの曲として永久欠番にして欲しいくらいだ。青いベールを纏っ
て現われた荒川さん、日本調の調べに、これ見たことがあると思った。ユーチューブにも載っている
源氏藤壺のテーマであった。衣装は薄い藤色で荒川さんが頻繁に用いる色でもある。きっと好きな色なんだろう。スピード感はあるがゆったりして
いる。この変幻自在さは、荒川さんが3年間かけて練り上げてきた、彼女だけのものであると思う。アイスショーとはいえトリプルジャップは失敗が
つきまとう。スケータのその日の調子によって失敗することもあるはずだ。プロであるからミスはいけない。しかし、アイスショーの良い所は暖かい
お客さんの拍手であろう。試合においてもこの事は変わらない。真央とヨナの一騎打ちでも、失敗して喜ぶようなお客はいない。良いものは良いと
いう考えが伝統的にあるのだと思う。スポーツであり芸術でもあるからだ。アイスワールドのメンバーはソロスケーターと違って沢山の出番がある
。衣装換えも迅速さが要求されるし、振り付けを覚えるのも大変だと思う。群舞で行なうから相手との呼吸がピッタリ合わないといけない。あれこ
れ考えると彼ら(彼女ら)は凄い人たちの集まりなのだと思う。実際、実績あるスケーターであるのだ。かっこよく、美しく、おかしく演技する姿は、
若いアマチュアスケーターにも影響を与えずにはおかないと思う。ショーに参加することで演じる感性を養っ行けるるはず。確かに、荒川さんや村
主章枝さんも若い頃からアイスショーに出て、今のような素晴らしいスケーターになったのだ。
2009
5
23
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日の雨に寺ノ入林道林道の緑が一層瑞々しかった。シロモジの葉に載った水の玉に太陽光が屈折し色とりどりの虹が見える。ツツドリが柔ら
かな声を上げ初夏の訪れを告げていた。寺ノ入林道といえばサンショウクイ。近年、音羽の地でもよく見られるようになったが、やはり寺ノ入林道
の鳥のイメージがある。サンショウクイはヒリリ、ヒリリ、と独特の鳴き声を上げながら林道の上空を飛び回っていた。林の中からはキビタキやセン
ダイムシクイの囀りがする。今日は、センダイムシクイがよく鳴くようだ。登り坂ではミソサザイの囀りが聞かれた。ここは標高600メートルくらいは
ある。ミソサザイの繁殖にはやはりこれくらいの標高が最低必要なのかなと思う。ようやくオオルリの姿を発見。オスの成鳥がアカマツの梢で悠々
と囀っていた。ここはオオルリが多いが、今日見たのはこの個体だけであった。浜松ナンバーの車が止っていたが、どうやら鳥を見に来ていたよう
だ。センサスの最後で思ってもいなかった鳥の声を聞く。ホイホイホイ。サンコウチョウである。サンコウチョウは暗い林の鳥。寺ノ入林道には明る
い落葉樹の木陰が多いので意外な気がする。2度目の声がした。間違いなくサンコウチョウであった。音羽ではまだサンコウチョウを確認していな
い。一度探してみよう。
西暦
月
日
メモ
2009
5
23
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道から戻り用事をすませた後、室林道へと向かう。午後の日差しが日向と日陰のコントラストを際立てていた。スタート地点で、センダイ
ムシクイが力強く囀っていた。寺ノ入林道でもセンダイムシクイの声が大きいのに驚いたのであるが、繁殖も佳境に入ったということか。オオルリ
も何時ものように囀っている。萩小の子どもたちが作った巣箱に営巣していたオオルリ、またもや心無い人間の餌食になっていた。巣が持ち去ら
れていたのだ。心から憤りを覚える。寺ノ入林道でサンコウチョウを確認した。室林道としては先を越されてしまった形になってしまったので、室林
道にはホトトギスでもプレゼントしなくては。最初からそう期待してやってきた。その希望が叶ったのは、毎年、ホトトギスの声を最もよく聞く箇所に
来てからであった。もっとも、ホトトギスの声は素晴らしく大きいので、室林道のどこにいても鳴けば直に分かってしまう。ひそひそ話などには縁の
ない鳥である。いよいよホトトギスもやって来たのだ。青葉がはち切れんばかりの室林道に木霊するホトトギス。俳句の言葉通りである。ホトトギ
スの声が聞かれた近くでサシバが舞い上がった。あの独特の声を上げながら。シイの樹の薄暗い中から聞こえてきたオオルリとキビタキの囀り、
どうやら2羽が接近しているようだ。オオルリの方は小さな声で鳴くのみ、キビタキはなにやら獲物を咥えているようだ。随分と大きな虫をぶら下げ
ている。枝に打ちつけて弱らせている姿はカワセミを想像させる。上空でまたサシバが鳴いた。
2009
5
30
羽根・長根の田んぼ
今年度最初の羽根・長根探鳥会には子ども5人が参加してくれた。萩小から羽根・長根までの通学路を一年間通して歩いてみよう。それがこの探
鳥会の趣旨である。毎年同じ事の繰り返し、しかし、それが大切なのだと思う。もう10年以上の観察記録が先輩達の手によって取られている。傘
を持参しようか迷った。しかし、探鳥会の後半は日差しで暑いくらい。子どもたちも我慢できずに長根川に入ってしまった。水の冷たさが気持ちよ
いらしい。羽根・長根の田んぼはダイサギやアオサギがゆったり舞っていた。静かな雰囲気をぶち破ったのはケリのけたたましい鳴き声であった
。彼らは子育ての真っ最中、子どもに近づくものには容赦ない威嚇をお見舞いしていた。羽根・長根の初夏は小さな野鳥が主役である。ツバメ、イ
ワツバメはもとより、セッカ、コチドリが早苗がゆれる田んぼ上空を旋回している。今日も、セッカが2組、コチドリも2組確認する。帰り道、子どもた
ちはあぜ道に沢山生えている草の穂を摘んだ。そして、油断しているといきなり柔らかい穂が首すじをくすぐる。川原の田んぼではカワセミの鳴き
声が聞こえた。子どもに餌を運んでいるのだろうか。
2009
5
31
室林道・観音山サンコウチョウ
夏鳥として飛来するサンコウチョウ。音羽ではまだ確認していないので、是非確認しようと、午後から室林道と観音山に出かけた。ラインセンサス
ではなく、サンコウチョウの確認だけを目的にした。まず室林道の長根口へ。入り口はシカ進入防止ネットが張られていたが、なんとか室林道へ
入ることができた。スギとヒノキが鬱蒼と茂る林はひんやり。ウグイスとキビタキが綺麗な声で囀っていた。ヤブサメ、ヒヨドリも活発である。煩いほ
どのヒヨドリの声に邪魔されながらも暫くの間、サンコウチョウの声を聞き分けようと耳を澄ませる。しかし、残念ながら、今日のところは無駄足に
おわったようだ。次いで、観音山に向かう。観音山の麓にも室林道と同様な背の高いスギ林があって、サンコウチョウの生息地となっている。コケ
が生えて足元が滑りそうな道を先に進む。ここもキビタキの声がした。キビタキは近年、個体数が増加しているように思える。民家近くでも普通に
囀っているのである。遠くからはホトトギスの声を聞こえる。しかし、肝心なサンコウチョウの気配は無い。30分ほどたたずんでいただろうか。あき
らめて戻ることにした。6月6日の土曜探鳥会はここ観音山で行なう。まあその頃にはいるだろうと思うことにした。林の出口に差し掛かったその時
、短く、サンコウチョウの声がした。まてよ、止って耳を澄ます。徐々に存在をあらわしてきたサンコウチョウ、入り口にいたなんて。意地悪な鳥で
ある。
西暦
月
日
メモ
2009
6
6
観音山
サンコウチョウを目当てに観音山に向かったのは6名の子供たちと大人4名。サンコウチョウは誰しも見たいと思う鳥ではあるが、個体数が少な
いのでそう簡単にはいかないのも事実だ。私としては、先週のように鳴き声くらいは聞かれるだろうと楽観視してはいたのだが。天気予報では雨
は朝方だけと言ってはいたが、現に小雨が降っているし、直に止みそうにないので、それぞれ傘を差して行くことにした。入梅には間があるが、そ
んな感じの探鳥会となった。すでに青紫のアジサイが庭先で咲いていて、今日の日にピッタリである。電線に止るキジバトやホオジロをスコープで
捉える。探鳥会用のスコープの中では唯一の防水タイプなので、「雨何するのものぞ」である。近くの山からはウグイスの声が聞こえる。曇天の日
は特に声がよく響いて気持ちが良いものだ。民家周辺では、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、キジバトといったよく見かける鳥が迎えてくれた。倉戸橋の
下にはイワツバメの巣があって、親たちが雛に餌を届けている。目の前を通り過ぎるのでイワツバメの特徴である腰の白い線が本当によく分かる
。ツバメとの違いをしっかり勉強した。民家を通るルートから田んぼ、さらに山を見るルートに入ると、景色も変わり野鳥も変わってくる。ウグイスの
声も益々増えてきたし、キビタキの囀りも聞かれるようになる。観音山が近づく頃には雨はすっかりあがり、薄日が差すまでに回復していた。観音
山の方角からホトトギスの声がした。あまり大きな声ではなかったので皆に聞こえたかどうか。そして運命のサンコウチョウの棲む林に到着した。
休みなく歩いてきたので本当はここで休憩すべきであるが、まずはサンコウチョウを確認してからと思い、子供たちには、「今からはおしゃべりして
はいけないよ」と、さらに厳しい要求をした。それでもみんな言うことを聞いてくれた。20分は林の中で佇んでいただろうか。ウグイス、キビタキ、セ
ンダイムシクイ、メジロがそれぞれの美しい声で囀っている。私といえば、切れ目なく聞こえる野鳥の声の中から、本命のサンコウチョウの声を探
していた。名前の由来になった月日星の節回しの前に聞かれるヴェとかヴャとの一声を待っていた。けれどもどうしてもその一声を聞き分けること
が出来なかった。時間も経ってしまい已む無く引き返すことに。林から出て休憩タイムとした。少しのお菓子を分け合う。そんな時である、林からそ
の一声が聞こえたのは。私は「今、サンコウチョウが鳴いた!」と叫んでしまった。みんなの顔に一瞬緊張が走り、声を聞いてやろうという顔に変
わった。完全な節回しではなかったが、他の鳥とは明らかに違うホイホイホイの節が聞かれ皆納得したようだ。小雨の中傘を差して歩きやってき
た子どもたちの労をねぎらってくれているかのようだ(そう思いたい)。帰り道で2羽目のサンコウチョウの声を聞いた。こちらの方も実にしっかりと
聞くことが出来、一同大満足であった。さらに、観音山からホトトギスの声。まさに、目に青葉、夏ホトトギスであった。
2009
6
8
富士山新五合目
東名を東に向かっている時は日が出ていたので、もしかしたら富士山が姿を現してくれるのかなと期待していた。しかし、富士山はやはり高い山
であった。脇の山の山頂付近に雲が位置する日には富士山はすっぽり雲の中。富士吉田市街から富士の方向には雲が見えるだけ。登山道路に
大きく雪を頂いた富士の写真が掲げてあるが、残念な気持ちを増進させるだけである。野鳥観察には関係ないと気を取り直して、何時ものように
、西臼塚駐車場(1240m)、高鉢駐車場1600m)、七曲駐車場(1900m)、新五合目駐車場(2400m)の順にバードウォッチングする。夏の富
士山になくてはならない小鳥といえばメボソムシクイ、ルリビタキ、コルリが挙げられる。これらの鳥は標高が高くないと見られない。(緯度が高くな
れば徐々に標高は低くなるが)さらに、ウグイス、ミソサザイ、ゴジュウカラ、ヒガラ、変わったところではエゾムシクイがある。要するに、山ろくの原
生林は多くの野鳥を養ってゆけるバイオマスが有るということ。これだけの野鳥がいる富士山はやはり凄い!。托卵性の鳥カッコウ、ツツドリ、ジ
ュウイチ、ホトトギスすべていた。標高が上がるにつれてルリビタキの囀りが目立つようになったのが特に心に残る。新五合目は完全に雲の中で
寒かった。ここよりも標高の高い所はアルプスと呼ばれる3つの山脈のみ。それとて富士山の肩まで、頭1つ突き抜けている富士山なのである。
2009
6
9
茶臼山ラインセンサス
茶臼山に到着したらカッコウが出迎えてくれた。高原らしい鳥のナンバー1と私は思う。托卵鳥の仲間は鳴き声がユニークだ。カッコウ・ホトトギス
・ツツドリ・ジュウイチなどがその仲間である。姿を見ただけではどれがどれか私にはよく分からないが、鳴き声を聞けば直に名前を言える。多分
誰にとっても分かり易い声だと思う。4羽の中でもカッコウとホトトギスがよく知られている。ツツドリとジュウイチはマイナーだ。今日はメジャーが頑
張っていた。共通しているのは声の大きさ。なぜこれほどの大声でなければならないのか?と思う程だ。カッコウやホトトギスが鳴き始めるとウグ
イスがそれに呼応して鳴き出すのを観察できる。被托卵鳥のウグイスにとってホトトギスの声は空襲警報か雷のように聞こえるだろうか。無意味
な行動はないと思はれるので、大声が進化してきた理由があるのであろう。開けた牧場のような所では、カッコウやホトトギスが梢に止ったり鳴き
ながら飛ぶ姿をよく見られる。飛翔姿は小型のハヤブサのようにも見え、声の大きさとともに被托卵鳥をパニックに陥れる効果があるのかもしれ
ない。運よく、両者の姿も声も堪能することができた。夏鳥の様子、コルリの囀りが多かった反面、コマドリ、アカハラの声はまったく聞かれなかっ
た。マミジロの真っ黒な姿を見られたのはまさに幸運と言ってよい。平日にも関わらずリフトはフル回転。萩太郎山の山頂に広がるシバザクラを観
に来た人たちだ。お客さんが大勢来るのはよいが、野鳥たちにとっては迷惑なことであろう。
西暦
月
日
メモ
2009
6
10
室林道ラインセンサス
一日の昼間の長さがもっとも長い季節に入ってきた。昼間に活動する種が圧倒的に多い鳥類はこのタイミングに子育てを合わせているのだろう
か。ヒナの旺盛な食欲を満たすためには、対象となる昆虫やクモなどが豊富であるばかりでなく、昼間が出来るだけ長い方が有利であろう。夜行
性の哺乳類の中には秋から冬に繁殖するものが多いことは、採餌時間の長さが問題になることを物語っているのではないだろうか。室林道はそ
んな野鳥たちの活発な様子を見せてくれた。林道をセンサスしていたら1匹のガ。道路にはらりと下りたのを見つけた。それ自体は珍しくもない。ま
して、くすんだ色のガとあっては。ところが今回は鳥が絡んでいたのだ。ガが道路に下りたのをみたヒヨドリが襲いかかった。ところが数メートルの
近さに私がいるのを見て襲うのをためらった。それどもご馳走をそのままにするのは残念と思ったのか、もう少しで捉えそうな所までやって来た。
しかし、身の危険を感じるほうが大きかったのだろう。とうとう諦めて飛び去った。ガ君は命拾いをしてこれも飛び去った。またこんな光景も見た。
シジュウカラが2・3羽鳴きながらやって来た。先頭はオスの成鳥であることはお腹の縦線の形で分かる。しっかりとした声で鳴きながら後から来
る鳥を見守っている。続く鳥の線は途中で無くなっている。すなわち幼鳥である。幼鳥は枝を回って食べ物を探しながら親に付いていたのだ。萩
小の6年生が去年の卒業前にオオルリの巣箱を作ったことは以前にも紹介した。室林道にはその12個の巣箱が異彩を放っている。センサスで
は営巣を確認するのも大きな楽しみだ。5月4日、山口さんと室林道で12個の巣箱の1つに営巣しているのを確認した。そのときの驚きは。まさ
か本当に巣箱にオオルリが営巣するとは。残念ながらその巣は育雛まで至らなかった。何者かに持ち去られたのだ(人間でない可能性も含め)。
ところが2件目の営巣が見つかったのだ。コケでお椀状に作られていた巣の中には卵は未だ無かったが、巣箱の優秀さを示すのには十分であろ
う。
2009
6
13
室林道ラインセンサス
ヒヨドリが活発であった。いつも賑やかな鳥のイメージがあり、その通りであるが、季節によっては静かなときもある(そうそう脳天気でもない)。今
はハイテンションの時期。つがいの2羽が鳴きながら木々を移動する、子どもが親に餌をねだる、オスがごろごろと喉を鳴らす、などなど実に賑や
かなのだ。夏になると姿を消すカケス。今年はお馴染みのだみ声を聞かせてくれている。心なしか元気がないように感じるのは気のせいか。もっ
とも、ヒヨドリのように鳴かれては一層暑苦しくなってしまう。歩いていたら良い香りが広がっていた。匂いのもとを探したら垂れ下がった枝に絡み
ついた蔓に咲く白い花からであった。調べてみるとテイカカズラとあった。丁の形の花びらからきているのだろか。ほのかな香りが気に入ってしま
った。
2009
6
13
羽根・長根の田んぼ
田んぼのあちこちに立てられた黒いビニル製の旗がはためいていた。ほどよい風が吹き抜ける田んぼ道を歩いてみた。草の穂がしなやかにそり
返る脇をオレンジや紫のシジミ蝶、白や黄色の蝶が花の蜜を求めてひらひら舞う。アジサイのかたまりがあったのでついレンズを向けてしまった。
梅雨とアジサイは日本人には切っても切れないものだ。背丈の伸びた苗の間をゆっくり歩いているのはダイサギたち。アオサギとともにサギの仲
間でよく見られるものだ。余り見られなくなったのは小型のコサギとアマサギである。以前はその関係が逆転していたのだった。水が張られた田ん
ぼにどのような鳥がいるのだろうか。カルガモが水草を食べにやってくるのは容易に想像できるが、ヒバリやセッカといった、水が得意というイメー
ジのない鳥たちが活き活きと生活しているのを見ると、野鳥の逞しさを感じてしまう。両者とも春先から田んぼで生活している訳であるが、ヒナが
成鳥している今も田んぼは彼らのフィールドなのだ。春先、緑が濃かった麦畑も今は刈り取られ、そこだけが冬枯れのような色をしている。よく見
ると(同じような色で見分けをつけるのが困難ではあるが)たくさんのスズメが落穂を啄ばんでいるのを見つけることができる。スズメにとっては麦
畑は、秋の実りまでのつなぎの大事な場所なのだろう。
西暦
月
日
メモ
2009
6
20
寺ノ入林道ラインセンサス
梅雨の晴れ間を見て寺ノ入林道を訪れた。寺ノ入林道で見る草花で印象深いものを挙げよと言われたら、初夏のササユリと秋のキキョウの名前
を迷わず出すに違いない。ササユリの楚々とした淡いピンクの花が、緑溢れる中でポツンと佇んでいるのを見ると、日本の自然は本当に素晴らし
いなと心から思う。子どもの頃に皆と一緒に近くの山でササユリを摘んだ記憶がある。子ども心にもササユリの美しさは分かるような気がした。も
っとも、花より団子の喩えで、ヤマモモやグミの甘酸っぱい実を口いっぱいに頬張ることが本当の目的であったが。まだ開いて間もないのであろう
(蕾のものもある)。花弁の色はピンクが勝っていて瑞々しかった。鳥の声を聞きながら寺ノ入林道を歩いてゆくと、あちこちからキビタキの囀りが
。かなりの個体数と見た。その中で、警戒音を出している個体を発見。最初に見つけたのはオスであったが、直近くにもう一羽いるのを確認。どう
やらメスのようだ。密集した林の中の出来事なので姿を見失いがちになるものの、メスが近くに止ったのをカメラに捉えることが出来た。虫を咥え
ておりヒナに運ぶ様子。けれども、いきなり巣に向かわずに警戒していたのだと思う。寺ノ入林道で唯一視界が開ける場所では、ホオジロとオオ
ルリが向かい合ったアカマツの天辺で囀り合戦を繰りひろげていた。もっとも、相手のオスは異種であり競争する必要はないので、たまたま近くで
鳴いているだけなのだろう。ウグイスよりもオオルリの囀りの方が活発であった。数は少ないが、サンショウクイは相変わらず寺ノ入林道の名物鳥
であるし、ここが標高600メートルを超える場所であることを実感させてくれるのは、ミソサザイとキクイタダキの小さいもの鳥である(日本産野鳥
の1位と2位)。雲が切れ日が差してきた。どこからともなくノスリの声がした。
2009
6
27
室林道ラインセンサス
室林道に向かう道端にカンナの黄色い花が咲いていた。綺麗な花なのに何故かほったらかしにされている事が多いように感じる。それだけ逞し
い花でもある。室林道の入り口に到着した途端、サンコウチョウの囀りが聞こえてきた。林が成長し暗い繁みができると、サンコウチョウやキビタ
キなどの薄暗い所を好む鳥が増えてくる。事実、両者とも室林道では個体数を増やしていると思う。何とか姿を確認したかったが残念であった。
今日気になったのはクロツグミの囀りとヤブサメの地鳴きである。クロツグミは室林道では今年初めて聞いた。明るい調子の歌は何時聞いても心
地良いものである。ヤブサメの地鳴き個体が増えてきた。囀りが減ってきたとも言える。繁殖のピークが過ぎたのであろうか。不思議なことに囀り
個体の同定は極めて難しいのに対して、地鳴き個体の居場所を見つけるのは易しいのである。囀りは救急車の音に似ていて、どちらから聞こえ
るのか最初は戸惑ってしまうのである。その点地鳴きは音の発進箇所を同定しやすい。今日聞いた地鳴きの個体は繁みの中をちょこちょこ歩き
回っていた。ちょうど冬に見かけるミソサザイのような小さな姿である。枯れ枝に似せた茶色の姿は見事な保護色となっている。近くからニホンザ
ルの声がした。ヤマモモの実が熟す時期でもある。彼らにとってはご馳走であろう。昔は子どもたちが徒党を組んで野山を駆け巡った。ヤマモモ
の実は彼らのおやつであったのだが。
2009
7
4
龍源禅寺 夜の探鳥会
「今度の探鳥会は大勢集まりましたよ」と先生から電話が入った。夕日が残る萩小学校の校庭に集まった子どもたちの人数を見て驚いてしまった
。去年の探鳥会メンバーも参加してくれた。彼らの幼さと青年の同居した顔を見て懐かしく思った。大人数を思い図って、忙しい体の先生方がサポ
ートに駆けつけてくださった。本当に有難うございます。明るさの残る空にツバメが舞う。一番遅くまで働いているのはいつもツバメである。探鳥会
でお馴染みの室林道へ向かう道を進む。学校から300メートルほど歩いた所でウグイスの囀りを聞く。あと暫く、お盆が終る頃まではウグイスの
歌を聞かれるだろう。盆が過ぎたら来年の早春までお預けだ。昔ミカン畑だった箇所からはモズの声だ。龍源禅寺までの道のりをゆっくり進んだ。
もう少し暗くなってから境内に進もうと、途中で休憩することにした。子どもたちは田んぼの中にいる虫を見つけ騒いでいる。話をしない約束をして
いよいよ境内に入る。境内ではヒキガエルが鎮座していた。まるで我々を待っていたかのようだ。黒門をくぐって境内へ。探鳥会でムササビを待つ
場所が決まっていて、みんなで出現をひたすら待つ。ムササビは数年前に見たきり。しかし、現われる可能性がゼロで無い限り探鳥会で見に行こ
うと思う。子どもたちは一言も発しないで待った。そんな気持ちが通じたのか闇の中から聞こえてきた。ホッ、ホッ、ホッ、思わず「今、アオバズクが
鳴いたよ」と言ってしまった。帰り道にも楽しみが残っていた。みんな思い思いにお喋りを楽しんだ。
2009
7
4
我家周辺
田んぼの上をツバメが滑空する。電線に止っている2羽のツバメの後姿は仲のよい夫婦のようだ。望遠で飛んでいるツバメを撮影するのは中々
難しいものだ。逆光でよい雰囲気の景色をバックに数カット撮った。山陰川沿いに歩いた。カンナやキンギョソウが鮮やかに咲いている。昔ながら
の花ではあるが綺麗なものはいつまでも褪せないものだ。民家の軒先からツバメが飛び出してきた。きっと大切に巣を守っているのであろう。20
羽を越すツバメが電線に整列している。いずれも若鳥たちで巣立ちした時期もさまざまのようである。羽つくろいに余念がなく、あくびをしている個
体も。夕方からは土曜探鳥会。もうひと頑張りしなければ。
西暦
月
日
メモ
2009
7
4
室林道ラインセンサス
梅雨の晴れ間、室林道から眺めると行楽地に向かう車が切れ間無く東名高速を走るのが見える。休日は1000円だ。ヤブサメが大きな声で囀れ
ばウグイスがそれに応える。相変わらず室林道は小鳥の声が絶えない。もしも60分のテープを回したらその間、小鳥の声の無い箇所を見つける
ことは不可能だ。普段は枯れている沢にも流れが出来、初夏の季節に安らぎを添える。シジュウカラの若鳥がサクラの枝で採餌していた。幼鳥よ
りも大人に似てはいるがネクタイが途中までしかないので、若鳥であることが直にわかる。キビタキの囀りも多い。その中の個体にまだ完全に成
鳥になっていないオスがいた。センダイムシクイは体色に近い緑の葉を常に背にしているため、姿を見つけ難い鳥の仲間に入る。大きな囀りがし
たので見上げたら数羽ほどの姿があった。ひとつは囀りのオス成鳥、しかし、残りの個体は若鳥(幼鳥)のようだ。お互いに近寄ってじゃれあうよう
な素振りも見せる。このように巣立ちしたヒナや幼鳥、さらに若鳥たちが独り立ちすべく頑張っている。彼らのうちどれくらいが自分の子どもを残す
ことができるのだろうか。生き物全てに対して自然選択の圧力は休み無く働いているのだ。
2009
7
11
乙女川
以前から行こうと思っていたのに果たせなかった。その気になればすぐ来れる近さが返って仇になった。乙女川の水の流れは男川→乙川→矢作
川と繋がる。水かさの多さははさすがに梅雨時のことはある。晴れ間も広がって川全体が輝いている。泡立つ瀬は乙女のレース飾りのようだ。清
流にしか棲まないカジカガエルの歌が聞こえた。その美しい声に耳を澄ませていたら、突然に、あまり耳に心地良いとはいえない声がする。どち
らかと言えば耳障りである。しかし、私には驚きと喜びの声であった。間違いなくカワガラスのものに違いないからだ。声の方向に顔を向けたら、
特徴のあるこげ茶色の鳥が川面から飛立ち、目の前を川の上流に向かって一直線に飛び去って行くのが見えた。本当に吃驚した。まさか乙女川
で再びカワガラスに出会えるとは夢にも思っていなかったから。カワガラスは普通の鳥なのに水中で採餌する一風変わった習性を持つ。巣の場
所も変わっていて堰の空洞に作る。巣に入るには滝をくぐらないといけないので外敵から襲われる心配がないというわけだ。乙女川を上流に向か
い少し歩いてみた。水田も少しあるが殆ど林の中をくねって流れる。だから流れが綺麗なのだ。川底は固い岩盤が倒木のように横切っていて瀬
や淵を造り川幅以上に迫力を感じさせ、乙女川よりも強い女の川の方が似合う。ウグイスやヒヨドリの声がする。明るい林からはサンショウクイの
声もあった。土手には小さな花々が咲いている。ネジバナのピンクの小花はなんとも愛らしい。普段雑草にしかみられないムラサキカタバミもここ
では乙女のような雰囲気を持つ。電線にヒヨドリが止っていた。と思った。ところが様子が変だ。飛んでゆく姿がヒヨドリのものでは無かった。双眼
鏡で見るとやはり違っていた。メスか子どもの鳥か判断に迷ったが、まさにイソヒヨドリであった。地上に下りる仕草も見せたがやがてスギ林のな
かへと姿を消した。つくづく思う。自然観察は現地に行かないと始まらない。たとえ確率は低くともゼロではないと思って行くべきだと。
2009
7
12
室林道ラインセンサス
用事を済ませ室林道に向かう。雲がすっかり切れ真夏の空が広がっていた。当然ながら相当暑いのであるが、室林道は平地よりもかなり涼しく
感じる。標高は250メートルを越すことはない。もっぱら日差しを遮られることが涼しさの要因であろう。風の通りが良いことも一因と思う。ウグイス
の囀り個体は相変わらず多い。しかし、そろそろ子どもたちの声が賑やかに聞かれる時期となった。ササが揺れウグイスの声が聞こえる、その下
にはヒナたちが群れているのだ。ヒヨドリもヒナに食べ物を運んでいたし、ヒナの上げる声もあちこちから聞こえた。オオルリは囀りをすっかり止め
てしまった。いまは育雛に全精力を傾けている。可愛らしい姿もあった。ニホンリスとノウサギが道をのんびり歩いていたのだった。
2009
7
18
羽根・長根の田んぼ
梅雨明けも間近、晴れていたらさぞかし暑いだろうと心配していた。起きてみたら厚く雲が立ち込め道路も濡れており雨が心配な空模様である。
けれども小学校に着く頃には白い雲に覆われ心配なくなった。既に2人の大きい子が待っていて挨拶を交わす。さらに4人の子が集まり羽根・長
根の田んぼへと向かう。校庭にいた時、少し丸っこいサギが飛んで行くのが見られた。ゴイサギである。アマサギを見たいと思う。羽根・長根で何
度も見てきたアマサギが姿を消して久しい。下賀茂神社付近でウグイスが鳴いた。田んぼの水路ではドジョウもいた。山陰川を渡ると羽根・長根
の田んぼに入る。既に、セッカの囀りがあちこちから聞こえる。やはり羽根・長根はセッカだ。アオサギの姿は見たがアマサギはおろか他のサギも
いなかった。けれども、セッカの元気な様子が子どもたちの瞳に映ってくれたのではと思う。徐々に薄日が差すようになり、それとともに蒸暑くなっ
てきた。そういえば風がほとんどない。長根川のたもとで一休みしながらおやつを食べる。親子と思われる2羽のハシボソガラスが直ぐ近くの電柱
にとまっていた。日頃はあまり可愛いとは思えないカラスではあるが、親子でいる姿はやはり微笑ましい。
西暦
月
日
メモ
2009
7
19
茶臼山ラインセンサス
茶臼山の山頂は雲の流れが急で、日差しが出たと思えばパラパラと雨粒が落ちてくるといった、ネコの目のような天気であった。幸いにしてセン
サスの最中は本降りにはならなかった。もし降ったらカメラを守らないといけない(双眼鏡は防水タイプ)。ペットボトルを包んだビニル袋が役に立
つ。萩太郎山からカッコウ、茶臼山からホトトギスの声が聞こえる。カッコウは茶臼山のシンボルだ。夏の高原らしい鳥のもうひとつにアカハラ・マ
ミジロがいる。よく似た鳴き声であるが姿は全く異なる。所が、これらの鳥の声がほとんど聞かれなくなってしまった。何度も言っているように、コマ
ドリは茶臼山からはいなくなってしまった。これらの状況は危機的であると思う。ウグイスやホオジロといった一般的な鳥の声が聞かれるばかりだ
。台頭する鳥もいる。ソウシチョウである。なにも茶臼山に限ったことではない。私が回った1000メート以上の高原にはソウシチョウのいない所は
無かった。間違いなく、ウグイスとホオジロはともに、今、茶臼山で最も活発に囀っている鳥だ。
2009
7
25
室林道ラインセンサス
時々パラパラと降ってくるので傘をさしてセンサスする。ウグイスの囀り、ヒヨドリ、メジロの群れと特別珍しい鳥ではないが、霧の立ち込めた林の
中から聞こえてくる声はなかなかのものだ。コジュケイの子どもが3羽、林道の隅から顔をのぞかせた。しかし、こちらの気配を感じたのかそそくさ
と茂みに姿を隠したのは残念であった。室林道の入り口にサンコウチョウがいるハズ。センサスのスタートでは気配すらなかった。ところが、車に
ノートや傘をしまっているまさにその時に、一声地鳴きがしたのだ。持って歩きはしなかったがカメラも持ってきている。ところが、カメラを用意する
間もなく緑色の虫を咥えたメスが、林から飛び出して行くのを見送ることになってしまった。
2009
7
25
前田町
室林道から高速道路を飛ばし(制限速度以下)豊田市前田町に向かった。1000円の恩恵も無く唯混みあうだけ。案の定、往路は岡崎で渋滞に
はまりハザードを使い、復路は渋滞表示に怖じ気付いて一般道をのんびり帰った。前田町でコヨシキリを確認!これには驚いた。通勤途中では
撮影も録音も駄目だ。そこで、休みになったら飛んでゆこうと思った次第。ところが、思うとおりに行かないのが世の習い。コヨシキリはおろか、オ
オヨシキリの声も全く聞くことはなかった。残念、でも高速代を使って来たのだから一回りして帰ろう。気を取り直して双眼鏡を取り出す。不思議な
くらいにオオヨシキリの姿が見つからなかった。トウモロコシ畑で風に揺れる穂にしがみ付くスズメとカワラヒワの群。50羽以上はいたであろう。田
んぼを見ると白いサギが3羽首だけ見えていた。ダイサギだ。ケリが畦を歩いている。さすがのケリも少し大人しくなったみたいだ。さらに歩いてゆ
くと緑一色のあぜ道に黒色の鳥がいた。さらに目立つ真っ赤な嘴。バンに間違いない。警戒心の強い鳥で直に稲の陰に隠れてしまった。オスのこ
の色は確かに目立つ。きっと、メスへのアピール色になっているのであろう。
2009
8
1
室林道早朝探鳥会
100パーセント雨が降るだろうと予想していたけれどもどうやら何とかできそうだ。しかし油断はできない、黒い雲が次から次へとやって来る。萩
小には5時30分過ぎに到着。すでに先生が来ていた。集まったのは2組の兄弟と4人の大人計8人。保育園の年中さんもいて可愛らしいメンバ
ーたちだ。校庭ではハクセキレイやツバメたちを観察する。巣立ちしたツバメの子どもが電線に並んでとまっている。室の民家を抜けて一路室林
道へと向かう。ヒヨドリ、キジバト、イカルたちに出会えた。途中、苦しそうなカエルの声が聞こえた。ヘビに呑み込まれていた。ショッキングではあ
るがこれが真実の姿なのだ。室林道が近づくとウグイスの鳴き声が増えてくる。朝の静かな時間に聞く歌声、贅沢な気がする。曇ってるお陰で汗
をかくこともなく、ほどなく室林道の入り口に到着。ここではサンコウチョウの出現を期待していたのであるが、残念ながら願いは叶えられなかった
。室林道は霧が立ち込め、さらに、ゆるい風の後押しもあって大変気持ちいい。ウグイスやメジロの鳴き声がする中で用意したお菓子を食べる。
まあ何と贅沢なことか! 恒例の記念写真を撮っていたまさにその時、至近距離にいたホトトギスが鳴き声を上げた。その声の大きなこと。最後
にビッグなプレゼントが用意してされていたのだった。だれがこんなこと予測できようか。だからこそ自然観察は面白いのだ。少しばかりパラパラ
雨が落ち用意した傘を開いたものの、直に薄日まで差す良い天気となり、帰り道を愉快な気分で学校に向かった。先生たちとも別れ帰途に着こう
とし途端、我慢しきれなくなった空から大きな雨粒が落ち始めやがて土砂降りとなった。
西暦
月
日
メモ
2009
8
8
室林道ラインセンサス
梅雨明けの真夏の空が室林道に広がっていた。遠く三河湾には積雲の列が連なり、いかにも夏の空といった感じである。そろそろ室林道での関
心は、ウグイスの最後の囀りが何時かということ。お盆を過ぎると不思議なくらい囀らなくなる。ササの中からウグイスの地鳴きが聞こえた。声の
近くのササが揺れているのはウグイスがいる証拠。動きを追えば姿を見せる瞬間があるはず、カメラのピントをササにあわせウグイスの出現を待
つ。囀り個体数は随分と減っているので平年並まで持たせることが出来るか、少し心配になる。野鳥たちはこれから換羽に入る。体力温存で鳴き
声も無駄にはあげない。だから室林道はセミの声が独占する。すでにすべての種が鳴いている。定番のアブラゼミとヒグラシ、最近増加したクマ
ゼミ、そしてツクツクボウシ。ツクツクボウシはもっと遅くから鳴きだしていたように思ったが。サンショウクイの地鳴きがした。この鳥は音羽でも増
えている。室林道の半分は木々のアーチで日差しを遮られ、夏のセンサスを随分と快適にしている。室林道に足繁く通う要因ともなっているはず
。
2009
8
10
寺ノ入林道ラインセンサス
再び梅雨空に逆戻りしたような天気が続いている。寺ノ入林道を歩いていた最中にも何度も傘を差した。南下個体であろうかエゾムシクイの鋭い
地鳴きが聞かれた。天気のせいかもしれないがウグイスの囀りは1個体だけにとどまった。セミの声が聞かれないことに気が付いたのは、センサ
スの終了間じかになってアブラゼミの声を聞いた時だった。ヤブサメとかホオジロなどの地鳴きが結構多く記録されていたのはそのせいだろう。夏
はセミの声にかき消されてしまうことが多いのである。
2009
8
11
茶臼山ラインセンサス
朝、起きしなに地震を感じた。家はなんともないので一安心する。その後の状況はテレビやラジオで放送されたとおりである。茶臼山はどうであろ
うか?。道路は?。いつもより緊張した気持ちで向かったのは言うまでもない。家を出たときには一面雲に覆われていた。どんどん雲の切れ間が
広がって、茶臼山に着いたときには夏とは思えないほど爽やかな風が吹き渡り、周りの山々が克明に見渡すことができた。雄大な南アルプスの
連なりは雲の上に頭を出している。愛知県側では名古屋のビル群がはっきりと見て取れる。高層ビルや名港トリトンは巨大なため肉眼で存在を
確認できるほどである。鳥はというと、ウグイス、ホオジロの囀り個体が非常に多かった。特に、ホオジロが至る所で囀りをしているのに出くわした
。ウグイスと違い姿が見られるのが凄くいい。名古屋市街地までどのくらいあるだろうか?。秋冬でもなかなか見ることができない。ワクワクしなが
ら周回路を進む。そして、奥三河の山々のさらに奥に街がごちゃごちゃと見えた時は、思わず指を鳴らした。長野県側に出ると山が主役である。
恵那山は雲の中から出てくれなかったが、蛇峠・大川入はすっきり。さらに進むと、3000メートル峰の連なりが堪能できる。途中に雲がかかりそ
の高さが一層際立つしくみだ。茶臼湖ではテントが張ってあった。子供たちの楽しい声と美味そうな匂いが漂って来そうだ。いよいよ晴れ間が広
がり木陰が恋しくなった。遊歩道に入るとそこは別天地、涼しくて静かだ。少数派ではあるが楽しみな鳥も多い。アカハラ、コガラ、ヒガラは高原な
らではの野鳥だ。帰化種のソウシチョウはもうどこにでもいる。4時間のセンサスを終えたら汗だくになった。
2009
8
14
室林道ラインセンサス
雲の流れは西から東へと、それもかなり早い。そのせいか大陸性の爽やかな風が吹いて心地良い。夏にはめったに聞かれない重低音が送電線
によって奏でられている。盆に入った。そうなると気になるのはウグイスの囀りである。今日は囀りを聞かれるだろうか。室林道に向かう道すがら
思う。センサスを開始して間もなくウグイスの囀りを聞く。そうなると止まらない。次から次へと囀り個体が現われた。夏鳥たちは全く囀りをやめて
しまった。しかし、姿を消したわけではない。しっかり子育てをしている。サクラの枝ではセンダイムシクイが虫を捕らえヒナに運んでいる。オオルリ
のメスがフライングキャチの体勢で採餌していた。賑やかなのはヒヨドリ。親子の会話と思われる地鳴きがあちこちで聞かれる。この時期になると
セミたちも焦ってくるのか、見境なく体にぶつかったり、肩にとまったりする。ハチのように危険ではないがシッコをかけられたら災難だ。センサス
の折り返し地点で珍しい姿をみた。ヤシャブシの枝にホトトギスがとまっていたのだ。「うまく繁殖できているのかい」そんな気持ちで見つめた。
西暦
月
日
メモ
2009
8
15
羽根・長根
お盆の最中なので参加者があるだろうか?少々心配しながら萩小学校へ向かった。校庭の雑草が夏休み中だなと思わせる。一箇所だけ綺麗に
刈ってあり迷路のように見える。パートナーは可愛らしい1年生。彼は、野鳥が大好きである。そして、よく知っている。あとはフィールドで実践すれ
ば鬼に金棒というものだ。山陰川でカワセミの鳴き声を聞いた。民家を出ると田んぼ道。ツバメが飛び回っている。ヒナのために休みなく餌とる姿
をみると本当に感心する。田んぼはだいぶ色付いてきた。水路をのぞくと小さな魚が一杯行き来している。オタマジャクシも増えたし、少しずつ生
態系が回復しているように思う。羽根・長根の田んぼの入り口に山陰川の支流である室川(源は室林道)が流れていて、そこで、今日2羽目のカ
ワセミを見た。その子は、観察記録に、青いうしろ姿と書いた。まだカタカナを習っていないので鳥の名前はすべてひらがなである。羽根・長根の
田んぼではセッカが鳴きながら円を描いている。そして、ついに彼が鳥を見つけた。田んぼから顔をだしたキジである。つごう4・5羽の子どものキ
ジだ。目には見えないが、田んぼの中は野鳥たちの生活圏があるのだ。2人で記念写真を撮り、帰りも鳥の話をして学校へと向かった。
2009
8
22
室林道ラインセンサス
とうとう、ウグイスの囀り個体が室林道から消えた。先週の土曜日には、まだかなりの個体数がいたのであるが。サクラの木にはセンダイムシクイ
が群で採餌していた。すぐ近くには、エナガとシジュウカラもいる。広く見渡すと3種が一緒になって移動しているように見える(混群)。囀りを止め
たウグイスは、ササの中に姿を隠し、地鳴きで存在を明らかにする。オスの成鳥ではないが、キビタキ、オオルリの姿も確認した。こうしてみると、
留鳥、夏鳥、それぞれが精一杯夏を生延びているのがよくわかる。セミは、アブラゼミの声がかなり弱まり、クマゼミは全く聞かれない。やはり、ツ
クツクボウシが一番活発だ。林道の脇では、朝露の下りた秋の風景に最も似合う、ツユクサの濁りのない青い花が早くも顔を覗かせていた。
2009
8
22
羽根・長根ラインセンサス
8月に入って暑さが戻り、稲穂も頭をおおきく垂れている羽根・長根の田んぼ道をセンサスした。セッカの囀りが頭上から聞こえる。50メートル四
方くらいをなわばりに治めているオスが油断なく見回っているのだ。サギが見えた。そして驚いた。ここ数年姿を見ることがなかった、夏鳥のサギ
、アマサギがいたのだ。それもたった1羽だけ。何故今の時期に?夏鳥の例にもれず南下中の個体だろうか?。原因はともあれ、アマサギの象徴
である亜麻色の羽色を見たのはたいへん嬉しかった。音羽での個体数減少の理由は思いつかない。室林道でのセンサスを終えそのままやって
来た。アマサギのことは少しだけ頭にあった。しかし、ほとんど見ることは無いだろうと思っていたので、驚きは半端ではなかった。コンパクトカメラ
しか持ってこなかったので、とりあえずはその姿を撮ったがやはり物足りない。久しぶりの姿だ。きちんと撮ってやりたいと思い、家の戻ると、フジ
のボディにニッコールの500ミリを装着し、昼ごはんもそこそこにして羽根に向かった。まだいるだろうか?顔を見るまでは安心できなかった。アマ
サギは同じ所に留まっていた。気持ち良さそうに梢の天辺にとまっていた。
2009
8
23
フレンズオンアイス2009
待ちに待ったフレンズオンアイスがやって来た。急用で見に行けなくなるのではと、横浜の銀盤をこの目で見るまでは心配であった。スタートから
観客のテンションは上がっていた。普通のアイスショーではないことだ。これも、観客もフレンド同士というこのショー独特の雰囲気を皆が感じはじ
めたからではないだろうか。スタートを飾ったのは、自己推薦枠の村元五月選手。容姿も可愛らしくすばらしい演技であった。フレンズたちは2回
の演技で盛り上げた。田村岳斗、本田武史は切れがあった。アイスダンスとペアー2組の外国ペアーは、アイスショーには欠かせない物語性のあ
る演技で魅了した。鈴木明子選手は情熱的な演技を披露した。どんどん素晴らしくなっていくような気がしてならない。佐藤由香さんは流石のスケ
ート。世界チャンピオンのライサチェックはスケールが大きい。小塚選手はトリプルアクセルを披露した。特に印象に残ったのは、荒川さん、シェイ
リー・ボーン、カート・ブラウニング、そして、高橋大輔選手。フラメンコの情熱的な演技は新しい荒川さんを観た。イスと踊ったシェイリーの独創と
芸術性は見事、カートは中年を元気つけた。大ちゃんの復活は皆が待っていた。荒川さんと一緒に舞った青森出身のスケーター、本当に可愛らし
かった。これで、ますますスケートに打ち込むだろう。もう一人、大活躍したのは荒川ティラミス。20分の製氷タイムで外に出て用を足し、戻る途中
で会ったのが荒川さんの母上佐知さんと抱かれたティラミス。お母さんは子どもたちと話をしていたので、このすきにティラミスの頭と喉を撫でてし
まった。これは大変なことをしたもんだと思った次第。
西暦
月
日
メモ
2009
8
29
茶臼山
家を出発したのは午前2時前、久しぶりの夜間ドライブである。奥三河の谷間に入り街の明かりが消えると、帯状に見える夜空には満天の星が
輝いていた。こんな沢山の星を見たのも久しぶりだ。一番明るいのは木星。カシオペアから双子に流れる天の川もくっきり。ゆっくり見ようと豊根村
の入り口、太和金トンネルで車を停める。夜のトンネルも幻想的であった。恐怖感は全く無い。茶臼山は当然ではあるが静まりかえっていた。ただ
、今はまだ夏休みとあって、キャンプ用テントから明かりが漏れている。茶臼湖の近くに車を停めたのが午前4時頃、漆黒から藍色に変わりつつ
ある空に一等星がポツリ。南アルプスからの日の出を期待するも、急速に雲が広がりつつあった。恵那山は既に雲に呑み込まれ、3000メートル
峰も顔を隠しつつあり日の出までは持ちそうにない。何とかシルエットになった聖の姿を撮る。雲が茜色に染まる頃になると、早起き鳥たちのコー
ラスが始まった。アカハラ、ソウシチョウ、カケス、ホオジロ、モズたちが一斉に合唱する。最後に雲を通して円い太陽が顔を出した。
高嶺
雲の中に入っているかもしれない。茶臼山から向かう時はそう思った。阿知村からの高嶺の山頂は、遮るものが何も無いのを見てまずはホッとす
る。高嶺ではオオルリを見た。数羽で梢から梢へとじゃれあうように移動している。メスのようにも見えたが、撮ったのをみると、半成り(オスの若
鳥で羽だけ青い)の個体もいたことが分かった。山頂でもオオルリがいたし、囀り個体までも確認できたことは収穫であった。遊歩道を少しだけ歩
く。平谷の街が眼下に見える。ツリガネソウ、ミヤマオダマキ、ヤマハハコが可憐な花を咲かせている。次は何処に向かおうか。アララギか蛇峠か
。結局、アララギスキー場に行くことにした。4月の終わりに初めて行った時の印象がとても良かったから。ところが、ゲレンデには膝の高さまで夏
草が生い茂る有様で、とても先には進めそうになかった。(残念)帰りは一寸した冒険を味わった。蛇峠山を西に見て阿南町に抜ける県道を通っ
たところ、これがなかなかの絶景で、深い谷にへばりつく昔ながらの狭い道であった。そんな所にも(失礼な言い方である)部落があり、学校を2つ
見た。川の澄み様は半端ではない。宝石のアクアマリの色であった。いくら景勝地でも山奥の道は緊張する。正直に言って、新野の町に出たとき
は心の底からほっとした。
2009
8
30
萩一円
日曜日の夕方は休みの体をシャキッとさせる為歩くことにした。どうせ歩くなら鳥の記録も取ろうと思う。家を出るとすぐに山陰川に沿って歩く。運
が良ければカワセミもいるはずだ。今日は川面をひらひら飛ぶイトトンボを見る。お年寄りのホームで1人外に出ていた方に挨拶。「まだまだ暑い
ねー」と返ってきた。新しいバイパスが出来た。広い歩道も付いているので散歩をする人も多い。そこは山の周辺に造られたのでヒヨドリなどが多
い。夜通るとシカとよく鉢合わせするので速度には注意が必要だ(すぐに止まれる事)。坂を下ると羽根の部落があり、再び山陰川を渡ると羽根・
長根の田んぼも間近だ。ここは昔からの山陰川の雰囲気を保っていてカワセミもいる。田んぼでは今刈りいれの最中であった。大型のコンバイン
が縦横に走る。一帯の田んぼ、もう半分以上終えていた。刈り取りの現場にはツバメの集団がいて飛び出す昆虫を狙っている。200羽以上はい
るだろう。セッカが鳴いている。セッカは田んぼの中で子育てする。刈り取りまでに巣立ちしないと先が無いのである。ツバメと並んで個体数の多
かったムクドリ、電線に止まっているのをみると成鳥から幼鳥まで全部揃っていた。家の前でトラクターの点検している友人に挨拶し残りは1/4
ほで。前コース歩くと1時間10分掛かった(かなりの早歩きで)。
2009
9
5
探鳥会 室林道
9月に入ったのに一番暑い探鳥会となった。子ども6名、大人3名と鳥を見るには程よい参加となった。校庭の前の大きな樹からはイカルの声が
する。電線にセグロセキレイがいて大きな声で鳴きあっていた。セグロセキレイのこうした行動は、秋の始まりとともによく見られるようになる。そし
て、夏にいるのも珍しくなくなったハクセキレイが、澄んだ声で校庭に降り立ち餌を啄ばみ始めた。参加した子どもたちはみんな虫が大好きで、平
気で虫をつかみ、そして名前を言い当てている。室の民家では特にモズの姿が目立った。1人の子が「秋の鳥の代表はなに?}と私に聞いてきた
。私はすぐに「モズ」と答えた。事実そう思ったからだ。モズは留鳥なのでいつでも見られるが、やはり秋に一番似合う鳥だと思う。室林道への登り
にはいると速度はさすがに鈍ってきた。それでも子どもたちはお喋りや虫などをつかんで楽しみながら歩いた。湧き水で顔を洗うと「気持ちいいー
」の言葉を連発した。「前の室林道の探鳥会では17種類いたけど、今日は18種類見たいナー」と言う。前向きな言葉が素敵であった。大人たち
に聞かせたいくらいだ。室林道は日が高くなっても涼しかった。ここで昼寝をしたらどんなに気持ちがいいだろう。探鳥会の先輩が萩の名水と名づ
けた湧き水に案内する。みんなで火照った手や顔を湧き水で洗った。帰り道にプレゼントがあった。2羽のノスリが寄り添うように室林道の上空を
飛翔していたのだった。室林道からの下り道は楽ではあったが、反面、暑さは増してきた。
西暦
月
日
メモ
2009
9
6
室林道ラインセンサス
ツクツクボウシが懸命に鳴く。昨日の土曜探鳥会でノスリのペアらしき姿を見たので(サイズが似ていたので同性同士かもしれない)、今日も上空
には要注意を意識した。最初に現われたのはエナガの群。見える範囲では成鳥ばかりであった。エナガがやってくると、静かであったところが急
に活気付く。釣られてシジュウカラやヤマガラたちも鳴き出す。一瞬ノスリが見える。今日も見られるみたいだ。空が広く開けた室林道では唯一の
場所で暫く待つ。1分も経たなかったであろう。2羽のノスリが山の端から舞い上がる。サイズもはっきり違うのでオス・メスのペアであろう。暫くそ
の2羽を注視していたらもう1羽いることが確認された。3羽もいた。喜んでいると、あれあれ4羽になってしまった。2ペアーか?これで終了かと思
っていたらいつの間にか5羽になっていた。豪華なタカのショーは1分も続かなかった。再びセンサスを開始する。オオルリの営巣ヶ所を10メート
ルほど過ぎたところで、30メートル先で鳥が動いているのが見えた。サクラの樹の主を双眼鏡で見ると、朝日に輝く濃いオレンジ色の姿、カワセミ
のような長い嘴、アカショウビンに違いなかった。(この鳥を見間違えるなんてあり得ないことだ)一度は見てみたかった。キョロロロロロロロと鳴く
声は何度も聞いている。音羽でも聞く機会は何度もあった。しかし、姿は今度が始めてである。気配を感じたのかあっという間に飛び去ってしまっ
た。これは興奮ものである。もう少しジッとしてくれていたらカメラに収められたのに残念だ。しかし、見られただけでも大満足。それと同時に自然
観察は何が起こるのか予測がつかないことも勉強した。
2009
9
11
羽根・長根の田んぼ
始めの挨拶でモズとノビタキを話した。秋になるとモズの声が一層高らかになること、ノビタキは渡り鳥で、今時分になると南に渡る姿を見ること
ができることなど。朝夕はめっきり涼しくなった。直感ではあるがそろそろノビタキが見られる気がしたのである。モズは萩小を出て間もなく聞くこと
ができた。梢に、竹やぶに、電線に、あちこちで力強いモズの姿と声を確認することができた。刈り取りの終えた田んぼでは、セグロセキレイ、ハ
クセキレイが採餌していた。参加メンバーの子どもたちは昆虫などが大好きで、バッタやトカゲも平気で手に取る。虫たちには要注意人物なので
ある。山陰川の橋を渡るといよいよ羽根・長根の田んぼに入る。あぜ道が転々と朱色に染まっているのはヒガンバナ。彼岸も間近、名前どうりの
花である。幼い頃に、ヒガンバナは墓場に咲く死人の花と聞かされ、花が咲くと片っ端からちょん切った記憶がある。多くは赤花であるが白花も見
られる。校長さんが運動会で紅白のヒガンバナを飾ったことを聞き、粋なことをするもんだと感心した。私の目はヒガンバナと共にノビタキの姿も追
っていた。スズメ大の茶色と黄土色がいたらそれがノビタキだ。緑色の畦草ではよく目立つので肉眼でも見つけることが出きる。いや、むしろ肉眼
の方が視野が広い分有利である。ノビタキやモズを比べても、鳥の種類で止まったり、飛んだり、羽ばたく姿に特徴がある。ノビタキはツグミ科の
鳥らしく頻繁に羽ばたきの動作をするのですぐに分かるのだ。予想通りというか、やれやれというか、幸運にも2羽の姿を確認した。早速フィール
ドスコープで捉え子どもたちに見てもらう。さらにもう1羽。この個体は農道におりて餌をあさっていた。終点の長根川で子どもたちは靴を脱いで川
の中に入ってしまった。最初から入るつもりでいたらしい。気持ち良さそうで羨ましい限りだ。青空にはすじ雲がたなびきすっかり秋の雰囲気を漂
わせていた。地上は刈り取りの終えた田んぼとヒガンバナの朱色。ムクドリが群となって電線にとまっていた。
2009
9
12
室林道ラインセンサス
今晩は久々の雨が期待できるとのこと。長い梅雨が空けた途端、今度は全く雨が降らなくなってしまった。まるで熱帯の雨季乾季のような(経験
がないのでよく分からないが)感じの気候である。ツクツクボウシも最後の鳴き声になるであろうか、心なしか物悲しい。予想していたとおり、たっ
た1個体ではあったがこの秋初めてアサギマダラを確認した。天候のせいか鳥の声も少な目であった。そんな中でのメジロの囀りは聞いていて気
持ちの良いものであった。
2009
9
13
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日の雨が汚れを洗い流してくれた。寺ノ入林道の空もすっきり澄んで気持ちがよい。上空は強い風があり雲の流れも速い。アオゲラの力強い
声がした。続いてヒヨドリたち。上空に下弦間近の月がかかっていて、雲に隠れたり現われたりしている。しばらく顔を上げていたら視界を高速で
横切るものがいる。あのスピードで飛ぶのはあれしかいない。アマツバメである。昨日は雨雲の立ち込めた萩の空を10羽以上で餌を捕っていた
。2日連続で見られるとは嬉しい限り。私の一番好きな鳥でもあるからだ。その魅力はツバメが遅く見えるほどの飛翔力。暫く美しい弧を眺めてい
たら、さらに上空を集団が通過しているではないか。姿から、イワツバメの群であることが分かる。東から西へと一直線に進んでゆく。どうしてもこ
れは南下個体と思いたくなる。地上ではヒガラの囀り個体が目立つ。美しいヒガラの声を聞き大満足である。野菊が私は大好きである。寺ノ入林
道にも一杯咲いている。しかし、秋本番はもう少し先である。
西暦
月
日
メモ
2009
9
20
羽根・長根の田んぼ【定点観察】
昨日の土曜探鳥会でこの秋初めてのノビタキを確認した。その姿を撮影してやろうと500ミリを持って出かけた。羽根・長根の田んぼは、日差し
は夏なのに、晩秋のような北西の風が吹き抜けていた。ノビタキのいる光景はまさにそのようなものなのだ。大きく揺れるセイタカアワダチソウに
とまって、上手くバランスをとっている姿を思い浮かべる。田んぼ全体で5・6羽はいたと思う。9月20日は過去のデータでは晩いほうである。もっ
とも、休日観察者なので土曜・日曜が周期的になり本当の所はよく分からない。
2009
9
20
室林道ラインセンサス
野鳥たちは南下を開始している。この時期、めずらしい南下個体に出くわすのが大いなる楽しみである。アカショウビンが室林道で繁殖していた
のか、それとも通過個体なのかはよく分からないが、6月に囀りを山口さんが聞いているので、繁殖の目も消えてはいないと思う。オオルリとセン
ダイムシクイを確認。越冬地に向かう前の体力作りに余念がなさそう。留鳥ではヤマガラが目立った。あれほど賑やかに囀っていたウグイスは3
個体ほどの地鳴きを確認したにすぎない。これも気温の低下とともに個体数も増やしてゆくことだろう。ノスリは1羽。上空を注意していたけれども
これだけであった。ツクツクボウシが鳴き、アサギマダラが飛び(1匹だけだった)、ハギの花が咲く、やがてはじまる秋の序奏であった。
2009
9
20
我家周辺
今年、我家の前の田んぼは、ヒマワリとコスモスの花で見事であった。ヒマワリには種がある。種は野鳥たちの好物。熟した種を頂こうとカワラヒ
ワやスズメたちがやってくる。カワラヒワの写真も欲しいなと思っていたので車を停めたところ足元にいたのは、あのノビタキである。そのノビタキ
はヒマワリ畑にいて右往左往していた。冬にジョウビタキがハゼの実を食べているのを見ているので同じ科のノビタキが種子を食べられないとは
思わないが、ヒマワリ畑には似合わないと思った。
2009
9
26
健康ウォーキングコースラインセンサス
日の出前、爽やかな朝のうちに歩いておこうと、新調したハイキングシューズを履いてコースを歩いた。これから野山などを共にする靴の具合を
見たい気持ちもあったからだ。結果は上々。甲高な足にもピッタリあってこれならいくらでも歩けそうだ。スタートしてすぐにカワセミを見た。早朝に
賑やかに鳴いている声を聞いていたので、きっとこの個体であろう。復路で再びカワセミを見たが、今度はつがいでいた。仲良く並んで同じような
動作をしているのが微笑ましい。何かを呑み込むような動きをしたり、頭を水平にしたりしている。田んぼではキセキレイやセグロセキレイが目に
付いた。特にキセキレイが多かった。神社の大きなクスノキには色々な鳥がいる。中でもイカルの群は賑やかだ。囀りをしている個体もいたが多く
は地鳴きで、聞きなれないとイカルがいるとは思わないだろう。モズも勿論いた。互いに鳴きあって縄張りを守っているのが、戦国時代の城の構
えを思い起こさせる。羽根・長根の田んぼには南下中のノビタキが羽を休めていて個体数も増えた。ヒガンバナやツユクサが咲き、畦を歩くと露に
濡れるようになったのは、空の雲の形とともに秋の深まりを実感させてくれる。新品の靴なので今日のところは汚さないように努めた。再びカワセ
ミにもどる。2羽はつがいであった。我家から数十メートルしか離れていない山陰川の川底に仲良く並んでいた。手持ちのカメラは風景を撮るため
のコンパクトデジカメで野鳥を撮るのには適さない。しかし、家に取りにいっている間にいなくならないとも限らないと思いこのカメラで撮ることに決
めた。まずは画像サイズを1メガ(常にはこのサイズ)を最大の5メガに切り替えた。そして、望遠にズームし、できるだけ近くから撮ることにした。
これがなかなか難しく、カワセミはすぐに気が付いて逃げてしまうものなのだ。ところが今日は飛び跳ねても余り遠くには行かないなど、近くに寄っ
ても気が付かない様子なのだ。これもオスとメスが互いに相手のことに注意がいっているからではないだろうか。記録ように撮ったので今度はオ
ームページのお客様のためにカメラを取りに戻った。幸いにして100メートルほど上流の土手の樹の枝の中から声が聞こえた。そして2羽でくつ
ろぐ姿を撮ることができたのだ。
西暦
月
日
メモ
2009
10
3
宮路山
朝は厚い雨雲に覆われていて霧雨が車の天井を濡らしていた。しかし、雲の流れる方向は上りなので回復に向かうはず、天気予報を信じて迷わ
ず探鳥会を決行した。赤坂駅が集合場所で先生も来ていた。今日の参加は子ども5人とおとな4人。音羽川に沿って進んだときに、カメラを車に
忘れてしまったことに気がつき慌てて取りに行く。やれやれ先が思いやられる。赤坂の杉森八幡社の境内には、18日に行なわれる歌舞伎の準
備が始まっていて、観客の席に竹で屋根が作られようとしていた。(
小屋がけと言うそうだ)大楠の根元に子供たちが上って暫し遊ぶ。宮路山登山道に入る頃には雲は全く見られない素晴らしい快晴となった。ツク
ツクボウシがまだ鳴いている。時折、ヤマガラやヒヨドリ、メジロといった宮路山に多くいる鳥が鳴いたり姿を見せてくれるものの、全体的には静か
な山のたたずまいである。子どもたちは鳥よりもトカゲやバッタに目が向いていて、手づかみしている。頭上からはアケビの実がぶら下がり、何と
か取れないかと大人たちは汗をかきかき奮闘する。紫色に熟れた実は甘く
緑色の実はまずいことを実体験する。山頂へ気持ちのよい登り道をゆっくり進むと、目の前には東三河の平野と三河湾のパノラマが広がる。子ど
もたちは隠れ小屋の樹にすぐに向かった。その前に、昼が近い、弁当を食べるぞ。思い思いに陣取って弁当を広げる。この時ばかりは大人も童
心に帰る。おかずを分け合って食べると何倍も楽しめるわけだ。私はしばしまどろみの時間を楽しんだ。(牧神の午後への前奏が浮かんだ)目を
覚まし景色を見ていたら、東の方向からゆったりとした羽の動きの鳥がやってきた。トビならば同じ位置で輪を描くことが多い。この鳥は徐々に迫
ってきたのでトビではないなと思った。背中の色は黒っぽい、腹が見えたらトビかどうか分かる。輪を描いた瞬間タカ特有の縞模様がはっきり見え
た。トビと同等の大きさといえばクマタカかハチクマ。前者であることを願ったがハチクマの可能性が高いと思った。ハチクマは越冬地に向かって
今まさに南下中なのだ。クマタカでなくとも十分である。みんなに声をかけ見てもらった。頂上に向かう道中では上空には1羽の鳥いなかったが、
それがどうだ、自然観察はなにが起こるかわからないことをあらためて思い知った。帰りは下り道ばかり。心地良い疲れを感じながら林の小路を
赤坂の街へと急いだ。
2009
10
4
室林道ラインセンサス
快晴の室林道を歩いた。昨日の宮路山探鳥会で随分歩いたので体が相当に重い。体調が万全でないと観察に集中できないので、無理をして鳥
を見るのは良いことではないが今日は少し無理しようと思う。なぜなら、越冬地への南下個体が最も観やすい時だからである。そのかいがあって
サクラの樹を順に移動しているエゾビタキを確認することができた。エゾビタキは茶臼山でよく見ることができる鳥で、ヒタキ科独特のフライングキ
ャッチをして採餌する。ハシブトガラスがよくとおる声で鳴いていた。しわがれ声のカケスやハシブトガラスと比べて、声が明るいことも相まって決し
て耳障りではない。ウグイスの地鳴きも増えてきたようだ。ツクツクボウシが鳴いているがもう個体数も限られてきた。セミの声が減って野鳥の地
鳴きが聞き易くなった。ホオジロがチチッと呟く。
2009
10
9
茶臼山ラインセンサス
台風一過の青空が奥三河の山々の上に広がっていた。おにぎり2個とお茶を買って一路茶臼山へ。何がしかの南下個体が観察できたらいいなと
思った。一応ねらいはあった。エゾビタキとノビタキだ。前者には会えなかったが、思いもよらない鳥と出会うことができた。ノゴマである。喉の綺麗
なオスではなくて地味なメスであったがそんなことはどうでもいいことだ。最初、声がした時は、ジョウビタキかと思った。姿を見てウグイスのように
も見えた。白っぽい眉斑が目についたのである。しかし、その形は小型ツグミのものであった。ルリビタキやジョウビタキのメスは眉斑はない。もし
かしてノゴマ?。残念ながら断定はできなかった。撮った姿をよく見て決めようと思った。その結果が、やはりノゴマに違いないという結論に至った
のである。過去に1度だけ旧額田町でオスのノゴマを見たことがある。たった1個体しか見たことのない鳥なのだ。センサスの間で聞かれたのは
ウグイスとシジュウカラ、そして、この季節になっても囀りを続けるソウシチョウ。シジュウカラが地元室林道では少ないのに対してここ茶臼山では
、ライバルのヤマガラを個体数で圧倒している感じを受けた。カケスもよく見られたし、ヒヨドリの群れ(30羽ほど)が塊りになって飛び去っていくの
を見て伊良湖岬のヒヨドリの渡りを連想した。コースの最後は牧場が広がる。ここでノビタキの登場。平地であろうが高原であろうがひたすら南下
するノビタキを偉いと思う。12時きっかりでセンサスを終え帰途に着く。途中、平尾でノビタキを、地元音羽でオシドリを確認した。ノビタキが見られ
る頃にオシドリもやって来る、そんな方程式が今年もあてはまったようだ。
西暦
月
日
メモ
2009
10
10
室林道ラインセンサス
台風で秋が深まった感じがする。涼しいほどの室林道を気持ちよく歩いた。鳥の影も濃くなったようだ。ウグイス、ヤマガラ、カケスなど。カケスな
どは真夏に比べ明らかに個体数が増えていることがわかる。南下個体もいた。前回のセンサスで確認したエゾビタキである。サクラの枝で羽を休
めている。オオルリと同じヒタキ亜科の鳥らしく足は短い。オオルリもいた。全く声を発しなくなったのでいることに気がつかない鳥のひとつだ。この
個体はメスの体に翼の部分だけ青くなったオスの若鳥である。ヤブサメもいる。ヤブサメの地鳴きはいたって地味である。採餌のために小さな体
を存分に使って林床を移動していた。鳥ばかりではない。アサギマダラも南下していたし、ツクツクボウシもまだまだ鳴いている。
2009
10
11
我家周辺の野鳥
屋根瓦がはがれた住宅もみられ台風の爪あとが生々しい。しかし、台風は秋の天気をぐっと引き寄せてもくれた。真っ白な卷雲は見ていて本当に
気持ちがいい。山陰川の側をぐるりと回るコースでラインセンサスを行なう。まず今日の主役はなっといってもモズだろう。秋の高鳴きの光景をい
たるところで見つけることができた。ある個体は電線で、別の個体は梢、縄張りの中に入った個体を追い出すものをいる。田んぼではスズメの群
が落穂ひろいを、その周辺ではノビタキが2羽、キセキレイとセグロセキレイも川の中で採餌している。再び川の側を歩いていたら、川下から水面
を一直線に飛び去るもの、カワセミのエメラルドブルーの光が眩しいほどであった。トンボが飛び交い、アサギマダラがひらひら宙に舞う。
2009
10
17
萩小から下加茂神社へ
雨がパラパラ降り始めたのでしばらくは萩小の校舎で待機する。子ども4人・大人1人。暫くして強い雨脚。待っていてよかったー。明るくなり萩っ
子の森で観察(というよりアスレチック)をする。アマガエルが多い。(このメンバーは生き物大好き)すっかり止んだのでいざ出発する。ヒヨドリやイ
カルが小学校の近くで見られ、モズが高鳴きをしていた。山陰川のキセキレイはレモン色で子どもたちも感動。下加茂神社のクスノキも台風の被
害を受けていた。折れた枝先が痛々しい。境内で暫く遊ぶことにした。ぽこぺんをやる。羽根・長根の田んぼに行くことは止めにし山陰川で遊ぶ。
子どもは遊びの天才とはよく言ったものだ。帰りにこの秋の初確認鳥にであった。ジョウビタキが庭先で採餌していたのだ。オスの綺麗なジョウビ
タキである。さらに賑やかな声が聞こえる。つがいらしいシジュウカラがツバキの樹に止まった。
2009
10
18
室林道ラインセンサス
爽やかな風が吹く室林道をセンサスした。カケスがしわがれ声を上げた。ハシブトガラスは明るい澄んだ声を空の上から撒き散らす。昨日、ジョウ
ビタキを初めて見たので室林道でもと期待したが、鳴き声すら聞けなかった。その代わりといってはなんだが、ホオジロの囀り個体を幾匹か確認
することができた。ホオジロの囀りのピークは当然ながら繁殖期(3月-6月)であるが、第2のピークが秋にある。その囀りが始まったようだ。夏
以降室林道では囀りを聞く機会が少なくなっている(イカル・メジロくらい)ので、ホオジロの囀りが新鮮に思えた。それと、シジュウカラの声が戻っ
てきたように思える。ライバルのヤマガラはずっと個体数を維持していたがシジュウカラは繁殖期を過ぎた後、個体数を減らしていた。ジョウビタ
キの確認で冬鳥の飛来が間近となった。既に平地では漂鳥であるビンズイの声を聞いている。室林道の野鳥も冬鳥へと移り変ってゆく。
2009
10
24
寺ノ入林道ラインセンサス
ヤマザクラがいい色に染まり、シロモジが黄色く色付いていた。標高600メートルの寺ノ入林道はこれからが紅葉の本番といった感じである。ノギ
クやアザミが林道を飾る。リンドウを一輪見つけたときは嬉しかった。キキョウはもう少し先だ。今日は隣の町にあるライフル射撃場からの音もな
いので野鳥の鳴き声と沢の音だけが聞こえる。いや、もうひとつ、ニホンジカの遠鳴きもあった。実は、寺ノ入林道に来る道中で頭に角のある立
派なオスジカを見ていたのだ
。林道を賑わしていたのはカケス。だみ声でお世辞にも綺麗な声では絶対ないが私は好きである。寒い山から聞こえるカケスの声には精神性を
感じる。小さな声で林を巡るのは混群
鳥たちである。主な配役はエナガ、シジュウカラ、ヤマガラ、そして標高のある寺ノ入林道らしいヒガラも。ヒガラは囀り個体もいた。この時期に囀
りとはどんな理由なのだろうか。カケスと並んで賑やかなのがヒヨドリだ。里の鳥と思われているヒヨドリ、元はといえば山の鳥なのだ。徐々に里に
広がっていったのである。だから山にいても活き活きとしているのは至極当然なこと。
西暦
月
日
メモ
2009
10
25
室林道ラインセンサス
センサスの途中で山口さんと会った。赤坂台市民館祭りでコケ玉製作を頼まれていて材料を取りに来たとのこと。萩町以外の市民館からも依頼
が多々あって大層忙しそうである。暫くは取り情報の交換をする。①オオタカ1つがいがヒナを孵した。スギの大木で営巣していた。②龍源寺の近
くでアカショウビンがヒナ3羽を孵した。樹のうろで営巣していた。③シロハラを10月22日に確認。④サンショウクイが6羽のヒナを連れていた。⑤
室林道のオオルリ営巣、2ヶ所で巣立ったのを確認した。とのことである。オオタカの営巣は大層驚いた。絶滅危惧Ⅱ類に位置するオオタカの繁
殖が確認されたことの意味は大きい。アカショウビンの繁殖は自身もある程度予想していた。最後に、室林道で巣立ちに成功したオオルリとヤブ
サメの巣を案内してもらう。共に林道の壁に見つかり難いように造られていた。師匠の観察眼は凄い、まだまだ足元にも及ばない。ヤブサメを見
た。室林道の鳥なのか南下中の個体なのか分からない。クロジとジョウビタキも確認。徐々に冬の鳥たちが種類を増やしていっている。
2009
10
25
羽根・長根ラインセンサス
ノビタキの南下個体2羽を確認する。ついでにセッカも。セッカについては越冬する可能性もありそうだ。田んぼではヒバリたちが飛び回っていた。
なかには囀る個体もいるようだ。畦にはイヌタデの赤い粒々が一杯。ススキの穂も風に揺れている。やがて北西の季節風が羽根・長根の田んぼ
を支配するようになり、野鳥たちは厳しい冬に備えなければならない。天敵もすでに到着していた。彼に睨まれたら生きた心地がしないだろう。チ
ョウゲンボウの早い羽ばたきはいつ見てもワクワクする。
2009
10
28
萩小 秋の探鳥会 3年生 観音山コース
朝起きて窓を開けると気持ちの良い風が入ってきた。隣の畑ではセグロセキレイとハクセキレイが仲良く餌を探している。少し離れた電線にはモ
ズが止まっていて高鳴きだ。我家も縄張りに入っているオスのジョウビタキ、隣の庭でヒッヒッヒッと朝の巡回を開始している。きっとこんな光景が
子どもたちの前にも繰りひろげられることだろう。隣の上加茂神社ではオオタカもいた。幸先がよさそうだ。校庭に集合した3年生以上の子どもた
ち、インフルエンザの影響で少し淋しい感じだ。ここは元気よくやるしかないか。3年生と観音山のコースを行く。今年が探鳥会のスタートとなった
子どもたちに思い出に残るものを、と願いつつ校庭を後にする。プール脇の木立でエナガの群を発見。エナガの群を初めて見たときの印象は、
17年経った今でもはっきり覚えている。つむじ風のようにエナガたちの声が迫ってきた、とたんに辺りは鳥が縦横無人に飛びかい出した。それは
それは可愛らしいエナガであった。私はそのときの情景を、おしゃべりの女の子たちの群に入ったようだと思った。ものの1分もたたないうちに群
はどこともなく去ってしまった。あの騒々しさはなんだたのだろう。子供たちが個体数をカウントする。枝で動き回っているときは無理、飛立ったとき
がチャンス。個体数は13。きっとこの数はクラスの子だけのものになるのかも。倉の民家を抜けるときにもいろいろな鳥を見た。モズ・トビ・セグロ
セキレイ・ハクセキレイ・スズメ・日頃通学でもおなじみの鳥たちだ。そして我家でも見かけたジョウビタキ。冬鳥として海を渡ってきた姿は子どもた
ちにはどう映るのだろうか。善住禅寺ではこれも魅力的な鳥がお出ましだ。同定に少し時間を要したがチョウゲンボウである。さらに上空にはノス
リのペア。隣ではモズが高鳴き。目が回ってしまう。高台を下りると山陰川が見える。ここはなんといってもカワセミが主役だ。子どもたちには「川
の上から目をはなさないように!」と告げ、一列になって進む。川の見えるのは200メートルくらいしかない。この間にカワセミが見られるとは正直
思わなかった。しかしいたのだ!。最初は川下に向かい一直線。全員がはっきりと見たようだ。さらに、Uターンして川上へ飛んでゆく。もう大サー
ビス。観音山へは田んぼ道を行く。山が迫り鳥たちが飛んで行く。のどかな風景の中に子どもたちの元気な声が響く。身も心も気持ちよい。近道
するため帰りはさらに自然な道を歩いた。子どもたちには日頃あまり通ったこのない道だろうな。
2009
10
31
茶臼山ラインセンサス
紅葉狩りのマイカーが朝早くから茶臼山に来ていた。真っ青の空にほどよい風が吹いていて、歩いて行なうラインセンサスにはもってこいの日で
ある。山頂付近は落葉も始まっているが、所々に植えられているモミジやドウダンツツジは真っ赤だ。もっともこれらは後から植えられたものであ
る。ホオジロがカラマツの天辺で囀っている。室林道など平地でもそうであるが今ホオジロの囀りが聞かれる。この季節で聞かれた囀りはホオジ
ロとソウシチョウそしてイカルである。今日のセンサスでもホオジロとソウシチョウは賑やかに歌っていた。特にソウシチョウは全ての野鳥の中でも
一番繁栄しているのではと思うほど。冬鳥も見られた。ジョウビタキにルリビタキはもちろん、大好きなカヤクグリも鳴いていた。チリリ・チリリ・チリ
リ地鳴きなのに美しい声である。ソウシチョウの囀りと地鳴きは、ウグイスなどの囀りが無くなった今、山に明るさをもたらしてくれていると思うが、
外来種であるということを割り引いても少しうるさいな!が本音である。冬鳥の茶臼山はアトリ科の鳥たちが主役になる。ベニマシコや運がよけれ
ばオオマシコ・ハギマシコも飛来する。今日はそこまでは。イカルとカワラヒワが塊りを作って飛んでいる。群を見るとついついハギマシコを期待し
てしまう。360度のパノラマは天気の割には見通しが利かなかった。それでも奥三河の山々や長野最南部の秀峰が手に取るように見られた。セ
ンサスする道路は車の通りが多かった。重いカメラを担いでいると物珍しそうに見てゆく。てやんでい!こっちとらもう20年近くからここを歩いてい
るだぞー!。
西暦
月
日
メモ
2009
10
31
観音山
茶臼山からの帰りは山から山へ、幾つもの峠を越えてやって来た。最後の萩坂峠を過ぎた所に観音山林道がある。鎖を跨いで林道に入ると曲が
りくねった坂道になる。ヒヨドリがやけに多い。峠の最高地点からは萩の部落がよく見える。さらに先に行けば輝く三河の海が見えるはずだ。少々
疲れてきたのでここまで。振り返ると輝く空に点々と鳥が見える。飛び方はトビで間違い無いのであるが数が結構多い。双眼鏡で数えたら16羽で
あった。林からはこの秋初めての聞くアオジの声がする。ジョウビタキのメスがいた。全く鳴いてくれないので藪の中の姿を確認してようやくジョウ
ビタキと分かった。1時間ほどの短いセンサスではあったが、身近すぎてあまり行かない観音山を久しぶりに楽しんだ。
2009
11
1
室林道ラインセンサス
抜けるような青空、センサスの途中で歩け歩け大会の親子にであった。これはといった目に付いた鳥もいなかった。まんべんなく観察できたのが
今日の特徴か。冬鳥ではジョウビタキ、クロジを確認する。ルリビタキやシロハラは確認できなかった。夏鳥もまったく確認できない。秋から冬への
バードウォッチングの楽しみは混群に出会うこと。運よくエナガやカラ類の群に出会えるとうきうきする。今日は群らしい群には出会わなかったが、
小さな群の中にヒガラらしい個体がいた。けれども確信できないので記録には残さないでおく。ウグイスがぐぜりをしていた。下手くそな囀りでオス
の若鳥が練習していたのか?。
2009
11
7
駒場池・平尾
寒さが急に深まったこの秋、そろそろ水鳥たちがやってき来ているのでは思い駒場池にやって来た。駒場池は豊川用水系の調整池としての役割
を担っていて大切なものなのだ。調整池の宿命であろうか常に水位が変わっている。棲むものにとってはなんともやり難い。池の東側は交通量も
多いので西側の道を行くのが良い。舗装されていないので自然な感じがいい。ただし水溜りで車や靴が汚れるのは覚悟する必要あり。湖面をの
ぞくと点々と鳥たちが見える。双眼鏡に映ったのはマガモたち。この池にやってくる鳥の大部分はマガモである。見ている最中にも空からどんどん
降りてくる。そして羽を羽ばたかせ減速、最後は足を突っ張って着水する。カモほどの大きな鳥が編隊飛行する姿は本当に迫力がある。鳥は飛ん
でこそ鳥だと思っているので。大多数のマガモに混じっていたのがヒドリガモ。クリーム色の姿が懐かしい。さらに空から着水したのはカルガモた
ちだ。鳴き声も立てない静かな状況ではあったが(カモの声は大きいので周りの鳥の声が聞こえなくなる程である)、たった1種だけが声を上げて
いた。それはコガモで、小振りの姿を見つけるのに時間がかかってしまった。対岸の水際で数羽の点々が見えたので双眼鏡を向けた。案の定そ
れはオシドリたちであった。音羽の新堤池にオシドリが飛来したのは10月の上旬であった。従って、目と鼻の先にある駒場池にいても不思議では
ない。寒狭川のオシドリが知られているがこちらは自然の姿なのである。オスとメス数組がゆっくり泳いでいた。12月の土曜探鳥会でここを訪れ
る。オシドリを見せてやりたいものだ。次にすぐ隣に位置する平尾CCへ向かう。朝日に山の木々や田んぼの色付いた草が黄金に輝いていて、そ
こかしこにいるホオジロがより美しく見えて私を喜ばせた。モズが2ヶ所で高鳴きをすれば、カワラヒワの群が黄色に透ける羽を羽ばたかせる。ノ
スリが1羽上空を旋回しマツの樹にとまった。鳥好きにとってはたまらない光景が繰り広げられる。ゴルフ場に向かう外車が音も無く行き去る。自
分はあの人のようにはなれないがきっと幸せなんだろうな。
2009
11
8
観音山
室林道から観音山にコースを変更した。理由は、開けた場所の方が鳥を見やすいと思ったからだ。萩小探鳥会でのカワセミとの出会いもまだ記
憶に新しい。子どもたち5人と暖かな光の溢れる萩の里をのんびり歩いた。もっとも彼らの興味はめまぐるしく変わるので決してコースどおりに歩く
ことはない。当然ながら危なそうな所は厳しく口出さなくてはならない。萩小探鳥会では倉の山陰川でカワセミを見た。同じか所を同じように一列
に歩いた。今回はかなり進んでからカワセミを見つけた。川下に一直線。子どもたちは戻るのを承知でカワセミを見つけたいと言い出した。これは
良い状況だ。思い入れがなければわざわざ戻るなんて思わないと思うからだ。おまけに、常にさわがしい子が「シー・静かに」何て言っている。熱
意が通じたのか、彼は土手から伸びた枝にとまって川面を見ていた。スコープで見るその綺麗な姿。しっかり記憶に残るだろう。観音山が近づい
て来た。田んぼや川ではセキレイたちが賑やかに鳴いている。セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイなど。時折ビンズイの声もする。キセキ
レイの個体数が多かったように思える。気温が下がって一斉に山から下りてきたのでは。山の緑の中にポツンと白いものが見える。スコープに映
し出されたのはやはり萩小探鳥会で見たことのあるチョウゲンボウであった。胸の縞が縦にあるので幼鳥であることも一緒。きっと同じ個体だと思
う。捕った獲物を梢で食べていたのだ。これまた凄いシーンを見たものだ。結果的にコースを変えたことは大変良かった。彼らの興味は多岐にわ
たっている。決して鳥だけを見たいのではないが、一瞬でも野鳥に打ちこんでくれたら嬉しい。
西暦
月
日
メモ
2009
11
14
我家周辺の野鳥
夕日で秋草が輝いた。一番はススキ。スズメの群れがススキに止まっている。近くを通り過ぎたら一斉に飛立ちイチジクの樹にとまる。それが黄
金色に染まり素晴らしい景色であった。スズメをバカにしてはいけない。川沿いの道を歩いたこともあってセキレイが多かった。キセキレイ、セグロ
セキレイは勿論、ビンズイやタヒバリの鳴き声も聞こえる。
2009
11
14
室林道ラインセンサス
朝方が最も雨脚が強かった。窓を開けると細かな雨しぶきが舞い込んできたほど。それも9時過ぎには止み、それとともに室林道に向かって車を
走らせた。我家から室林道までは直線距離にして2キロ程、10分もあれば着いてしまう。これほど近いところで豊富な野鳥が観察できるなんて私
はしあわせ者だ。室の山を旋回している小鳥の群を発見。その数およそ50羽ほど。飛び方や微かに聞こえる鳴き声からイカルであることが分か
る。冬にして美しい声で囀る変わった鳥、決して珍しい鳥ではないのだが。晴れ間が広がるにつれて野鳥たちの動きが活発になる。エナガが動き
出すとカラ類たちが後を追う。ヒガラがいないかと注目したがどうもいないようだ。本格的な冬鳥の訪れはもう少し先か。センサスの終わりに一声
、カケスが鳴いた。
2009
11
15
2009
11
15
乙女川
乙女川と言うとやさしい流れと思われるかもしれないが、岩盤がむき出しになった川底には大きな岩の塊が水の流れを変え渦をまくような、どちら
かというと男性的な川である。アユなども遡上する清流なのだ。鳥ではなんといってもカワガラスが棲息していることだろう。流れが直角に変わる
箇所に堰があって滝の裏側に造られた巣に突進するカワガラスを見たこともある。数年ぶりに今年カワガラスを確認できたのは嬉しい出来事で
あった。オオルリなどの夏鳥が去った今、静けさをとりもどした乙女川ではあるが、ヒョドリやウグイスのおなじみの鳴き声を聞きながら歩くのもま
たいいのもだ。川沿いの林も先の台風の爪あとがあちこちであった。キラキラ輝く川面を目を細めて眺めていると、こうして川を見ることが減って
きたことを思わずにいられなかった。川は命の源。それほど大切で身近である川を今の人たちは無関心になってしまった。名勝地に行けば愛でる
こともしよう。しかし、生活に密着した我が川を忘れてしまったのだ。
雨山ダム
乙女川の上流に雨山ダムはある。高さ12.5m 幅160m。大きなダムではないが近寄ってみると結構迫力がある。ダム湖の名前は三和湖。周
りの山々には多くの野鳥がいる。駐車場にキセキレイがいた。周りが静かなだけにキセキレイの澄んだ声がよくとおる。中学のとき萩からこの近く
を通り本宮山に登った。谷から尾根までの坂を必死に登ると本宮山が顔をのぞかせていた。あの道はまだあるかしらん。たしか道の片側にはイノ
シシなどを食い止める石垣があったように記憶している。
大代
18年前、野鳥観察を始めたころは家から近い野山を主なフィールドにしていた。大代もそのひとつで、秋深まった頃にはにミソサザイやヒガラの
姿を求めて歩いた。1日で5羽も6羽も見つけることも珍しくなかった。あまりに近すぎるため、その後はメインのフィールドになれなかった。少し遠
くに行きたいと思うのは止む得ないことだ。少し寄り道すればこれほどご無沙汰することもなかったのにと思う。萩ではヒガラを毎年みることはなか
った。山寄り位置する大代までは来るのに萩に下りてこない。そんな言葉を師匠の山口さんから何度も聞いたことがあった。県道から山に車で入
ってみた。ホオジロが数羽飛立った。たしかここにはホオジロやアオジがいたっけ。この突き当たりの場所はミソサザイが必ずいたな。見覚えのあ
る地形。そこではミソサザイのかわりにウグイスが鳴いていた。
西暦
月
日
メモ
2009
11
21
茶臼山ラインセンサス
茶臼山に着いた時には既に正午を少しまわっていた。風も強く体感温度は相当低い。ウインドブレーカーと手袋は絶対必要。スキー場のゲレンデ
には数台のスノーマシンが並んでいる。たしか新聞で試運転をしている記事が載っていたがいよいよ冬本番だ。リフトの近くでコガラを確認する。
コガラは頑固に山を下りようとはしない。カラ類のなかでは地味な鳥ではあるが魅力がある。そして茶臼山定番の冬鳥であるベニマシコもいた。フ
ィフィと柔らかな声で鳴く。東を見ると雪化粧の赤石・荒川・聖が聳えている。寒いはずである。2・3日前に降った雨、山では雪を散らしたのであっ
た。北面は日陰になっていて芯から冷える。ベニマシコやカヤクグリの出現を期待したがなにもなかった。恵那山・大川入など長野県南部の山々
や紅葉の風景を眺めていたら、視野の端に鳥の群が飛び込んできた。しかし、遠すぎて種類は分からない。少し大きな体からアトリ科のイカルか
シメかなと思っていた。さらに歩いてアルプスの見渡せる場所に着いた。ここで山の写真を撮る。聖が雲の上に聳えていた。引き返そうとしたら再
びあの群にであった。今度は鳴き声が聞こえる。その声はツグミのものであった。そういえば過去にもツグミの大群を見たことがあったけ。忘れて
いた。今晩はさらに山奥の山荘に泊めていただくことになっている。そろそろセンサスを終えて向かわなくては。
2009
11
22
あららぎ高原
別荘主の方と3人で近くのゴルフ場でプレイをしていた仲間の2人は既に山荘に到着していた。日が落ちるとあっという間に暗く寒くなるのが山の
天気だ。部屋の中はストーブで暖かくテレビがついていた。晩ご飯は飯田市でとることになった。飯田に向かう道中、白く映える南アルプスの山々
が最高に美しかった。千丈ヶ岳から聖岳までの3千メートル峰がずらり。いつもこんな景色が見られるなんて羨ましい。飯田の南信州豚のとんか
つと高原キャベツは格別であった。帰りの空には三日月が輝く。山荘に着く、まだ7時前なのに車から降りると空に一面の星が輝いていた。これ
ほどの星空を見たことがない。昔取った杵柄で星座の位置を確認する。西の空に流れ落ちる天の川がよく見える。ミルキーウエイの意味が良く分
かる。双眼鏡を持参したので眺める。小さな口径なのにすごい数の星だ。天頂付近にペガススとアンドロメダが見えたのでM31を覗いてみた。昔
、天体望遠鏡で眺めた姿がそこにあった。当然ながら昔と少しも変わっていない。9時には就寝。大川入山登山を計画していた。しかし、天気予報
は芳しいことをいっていない。中年登山で事故が多発している。已む無く断念。かわりに山荘の裏山の林道を登ることにした。裏山といっても山頂
は1400メートルもある。鳥の声が聞こえたら車を降りて眺める。最初はエナガとヒガラ・シジュウカラの混群。すっかり葉を落としたカラマツ林を移
動していた。高度を上げてゆくとすばらしい景色が広がってくる。飯田の町並み、中央道の太いすじと高い橋脚、アルプスは雲の中。ぐるりと回る
と大川入山が見える。やはり山頂は雲の中であった。こんな素晴らしい林道があったとは、みんな驚いた。お礼をして山荘を後に、途中、ひまわり
の湯でさっぱりして帰途に着いた。
2009
11
28
羽根・長根の田んぼ
子どもたち6人と大人2人で羽根・長根までの田んぼ道を歩いた。雲一つない快晴で絵に描いたような小春日和。庭先の白や赤やピンク色のサ
ザンカが眩しいほどである。久しぶりに参加た子が「おはようございます」と挨拶をくれた。手前味噌になるが萩小の子たちは挨拶が上手だ。前の
山からはヒヨドリがかしましく鳴く。徐々に山から里に下りて来ているのだ。私個人はヒヨドリは好きな鳥。特に里山の風景には欠かせない役者で
あると思っている。羽根・長根の田んぼでは、冬鳥としてやってきた、タヒバリの群に出合った。ヒバリとあって綺麗な地鳴きでこの鳥も好きである
。(実は、嫌いな鳥はいないのであるが)羽根・長根は冬には北西の風が吹き抜ける厳しい所なのだ。今日の風は無しに等しい。いつもであると、
長根川まで行ったら一休みし、萩小に戻ってくるのであるが、時間がまだ早いので新堤池まで足を伸ばし、オシドリたちを観察することにした。ヤ
ブ蚊に悩まされないこの季節はイチオシの場所のひとつである。農業用潅漑に使われているこの池は、周りには民家や工場があるのにもかかわ
らず、水鳥や小鳥たちの鳴き声が絶えることがない。それは、池の周辺に植えられた樹木が隠れ家を提供しているからだ。秋に飛来したマガモや
山から下りてきたオシドリ、カワウ、サギ類、カワセミやヒヨドリたちが暮らしている。そっと雌竹の藪の切れ間から池を眺めると、いるいる、樹の陰
にマガモとオシドリの夫婦たちが見える。時折、池の周辺から中のように出てきて可愛らしい姿を見せてくれる。カワウが2羽池から飛び立った。(
まるで飛行機が離陸するように、我々の方向に向かって来たのにはびっくりした)帰りには風もすっかりおさまり、のんびりとした気分で歩くことが
できた。
西暦
月
日
メモ
2009
11
29
室林道ラインセンサス
寒い朝となった。豊橋で用事を済ませそのまま室林道へと向かう。曇空で暗い林を予想し、50×7の明るい双眼鏡を持参した。1.5㎏と重いレン
ズなので腰からベルトで引っ張り首への負担を減らすことは重要だ。反面、その重さが手振れを抑制してくれる。明るさ50は虹彩が最も広がった
状態に一致し、これ以上明るくしても虹彩で遮られるので意味を持たない。星空の観望にも勿論有効であるし、薄暗い林床の鳥を観察するのに
はこれ以上の道具はない。サクラの枝に群れるメジロたち。目の周りの白い輪がくっきりと見える。50ミリの解像力が野鳥の観察にも威力を発揮
する。しかし、ノートに記録されるのは声だけの個体が7割以上を占める。ミソサザイの地鳴きをこの秋初めて室林道で聞いた。また、繁殖期に高
山で聞いたルリビタキの囀りが室林道に響いた。ルリビタキは越冬地として平地に下りてくるわけであるが、来て間もない頃にオスだけではある
が囀りをすることが珍しくない。地鳴きが聞こえたのでルリビタキ地鳴と記録した。するとまもなく囀りを始めたのであった。ルリビタキが室林道で
囀る?。何度も聞いてはいるが毎回不思議な感じを受ける。室林道がやけに静かに感じた。野鳥観察もいよいよ冬のステージになったなと。その
静かな原因のひとつはヒヨドリの鳴き声が減ったからに違いない。今年の里の風景はカキのオレンジ色が一杯溢れているようだ。カラスやメジロ
とともに果物に目のないヒヨドリ。山から下りてきてご馳走をついばんでいる姿が其処ここで見られるようになった。その分、室林道は静寂さを増し
たのである。
2009
12
6
室林道ラインセンサス
どこも同じだろうが今年の紅葉は見事である。室林道も例外ではない。黄色や橙色の落葉樹と常緑針葉樹や照葉樹の緑色が織りなす景色が室
林道を飾る。それに、真っ青な空の色が加わる。白い雲も忘れてはいけない。季節風が吹き始めるともうひとつ必ず起こる現象が。バロック音楽
の通奏低音ならぬ通奏重低音の響きである。弦は山から山へと架けられている鉄塔の24本の高圧線、それを季節風が奏でる。滝の音と言った
ら似ているだろう。藪からクロジの地鳴き、負けじとウグイスもササの中から鳴く。ミソサザイも定着しているようだ。ウグイスに似ているようで全く
違うとも言える。先週、ルリビタキの囀りを聞いた。今日は姿を確認。その名のとおり青いオスの成鳥であった。
2009
12
6
羽根・長根と新堤池
室林道から羽根・長根に下りてきた。農道をゆっくり歩いてみる。草花もモミジ色に変わってなかなか風情がある。しかし、新鮮な緑色の場所もあ
ってそれはそれで綺麗である。セグロセキレイやハクセキレイが鳴きながら飛び回っている。彼らは田んぼで採餌をする鳥にしては色が派手、一
方、同じセキレイ科のタヒバリは、鳴かずにジッとしていたら存在に気付かれることはないだろう。彼らに近づくと一斉に鳴いて飛び回る。ぴぴぴと
澄んだ地鳴きである。本家のヒバリも田んぼで採餌しているが、こちらも急に飛立つ癖はタヒバリと同じである。畦で咲いているのはタンポポとイ
ヌタデ。黄色と濃い桃色はこの時期には貴重な色だ。周りの山々には黄色やかば色の林が、常緑林と混ざり合って織り錦である。続いて水鳥を
見にゆく。羽根・長根の田んぼのすぐ近くにある新堤池、そこには秋になるとマガモが大陸から飛来して来る。それほで遠くはないが、オシドリが
深い山奥から里にやってきて冬を越している。音羽の中でも自然な姿のオシドリが見られる貴重な場所である。ササを分けて池に近づいてみると
、水鳥たちの声が聞こえる。マガモのオスとメスが湖面に浮かんでいた。オシドリたちは池の周りに生える木々に隠れてよく見えない。双眼鏡で探
すと枝の上に止まっているものもいる。装飾過剰のオスと灰色の地味なメスが樹の陰で行ったり来たり。しかし、なかなか池の中には来ない。勇
気ある個体の出現を待つしかないのである。
西暦
月
日
メモ
2009
12
12
平尾・駒場池
まさに小春日和(本当は11月が小春なのだそう)の汗ばむ陽気となった。駒場ダムの堰堤に立つと風の冷たさが身にしみることが多いのであるが
、今日は火照った体を程よく冷やしてくれる有難いそよ風である。子どもたち11人、大人5人、久しぶりの大人数に気合が入ろうというものだ。萩
小を出発し川原の部落を抜けるとあとは平尾へ一本道。紅葉の山を縫って最初のポイントカワセミの池に向かう。途中、ノスリが青空を気持ち良
さそうに滑っていた。ホバリングをして地上のようすを伺っているのだ。きっと、賑やかな連中が歩いているなと思ったことだろう。カワセミ池には本
当にカワセミがいた。その時ばかりはみんなしんとして真剣に姿を探していた。本物の力は凄いものだと思う。子どもたちは正直である。つまらな
いものはつまらないと態度で表す。ゴルフ場の一角にカワセミの棲息地があることに関しては、一方で、水鳥の棲めない汚れた沈殿地がある現
実をみると複雑な気持ちになる。きれいなグリーンを保つには止む終えないこととは言え、人間は多くのダメージを自然に与えているのだ。池と道
路を隔てて枯れ木が立っている。そこにノスリの若鳥がとまっていた。警戒心の強いタカがかなりの近距離で、それも子どもたちの声にも驚かな
いで一ヶ所にじっとしているのは驚きだ。このノスリ君には何度も出会っている。そして最後の目的地である駒場池に到着した。ダムの堰堤は強
い風が吹き抜けているのが常、しかし今日は穏やかな姿で迎えてくれた。湖面を速いスピードで旋回したのはシロチドリ。この鳥も毎年やってくる
ようだ。池といってもかなりの大きさで点々と浮いている水鳥も肉眼ではゴマ粒の大きさにしか見えない。やはりここでは25倍のフィールドスコー
プが活躍する。マガモのエメラルド色の姿が最も多いが、カルガモもかなりいる様子。牧野さんの住む高浜市の海岸ではヒドリガモやホシハジロと
いった茶色系の鳥が多いので、マガモの緑色が新鮮に見えると言われた。個体数では海岸には遠く及ばないと思うが、淡水の池独特の雰囲気
があるのだろう。それになんといってもこちらにはオシドリもいるのだ。期待に応えて10羽ほどの着飾ったオスが優雅に水面を滑っていた。みん
なでおやつを食べ満足して学校へと戻る。小さな児を抱いて歩いたお母さんご苦労様でした。
2009
12
13
室林道ラインセンサス
昨日の土曜探鳥会の小春日和から一転して本格的な寒波がやってきた。高圧線と鉄塔がブーンと重低音を放っている。風の強い日はホオジロ
やクロジといった小声の鳥たちはどうしても見つけ難くなる。ヒヨドリやウグイスなど地鳴きでもしっかり聞こえる鳥の個体数が多くなるのはいたし
方ない。今日はヒヨドリが最も目に付いた。それに反してウグイスは1羽だけであった。途中で車に乗った山口さんと出会う。キクイタダキを確認し
たこと、アオジを平尾で見たことなど野鳥情報を交換する。その中で、カケスの個体数が減っている話になる。確かにそうである。秋に入って間も
なくは順調にカケスがやってきたのに、今は鳴き声すら途切れてしまった。やや淋しいセンサスを活気付けてくれたのはやはりエナガたちであった
。帯状になって林の中を抜けてゆく。7倍の双眼鏡には彼らが成鳥であることを示す紫の羽色が写っていた。日溜りに咲くヤブツバキは赤い蕾や
花弁が冬枯れの世界とは一線を画している。林道をすばやく動くものがあった。それはぴょこんと樹に飛び移った。それは体に比較して太い尾を
もったニホンリスであった。
2009
12
19
家周辺の野鳥
萩小からもどってみたら皆は食事に出かけたあとであった。パンで昼食を済ませ暖かな午後をもう少し楽しむことにした。時折雲が太陽を隠すこと
があったが、それ以外のときは気持ちが晴々とするそんな午後であった。アオジのオスを久しぶりに見た。その近くからも幾羽かの地鳴きがした
のでこの辺りは、アオジにとって棲みやすい場所なのだろう。ホオジロも沢山見かけた。この鳥もありふれてはいるが味のある姿をしている。サク
ラの樹の又にタカの姿。思わず息を呑む。ところがこのタカ微動だにしないのである。正面に回ってみるとそれは作り物ではないか。はっとして損
をしたと同時に悪戯とは言えないまでも、あまり褒められた趣味ではないなと思った。
西暦
月
日
メモ
2009
12
19
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
朝起きて驚いた。畑や屋根が真っ白ではないか。さらに心配させたのは、白いものが止むことなく空から落ち続けていること。探鳥会大丈夫だろう
か、牧野さんに電話しなくていいだろうか。もうそろそろ家を出発されている頃だ。道路には積もっていないようだしまあいいか。やっちゃえ。そんな
こんなで萩小に来てみると、校庭で雪だるまを作っている二人の姉弟を見た。今時珍しい元気のいい子たちだ。牧野さんも遅れず着いた。どうで
すかと聞いたら、家のほうは全く降っていないとのこと。それでも雪が降る中を歩き続けることには抵抗を感じた。しかし、それでもやって来た子ど
もたちのことを考えるとやろうと思った。あとは回復してくれることを祈るだけだ。下加茂神社を過ぎた頃から雲に切れ間が見えてきた。南の方は
青空ものぞいている。お日様の力は凄い。メンバーの気持ちもずっと明るくなってきた。そこで見たのがビンズイ。子どもたちはあまりなじみのない
鳥の名前である。電線に止まってポーズをとってくれた。羽根の田んぼに入る所でスズメが一杯とまっている木を見つけた。そのスズメがみんな
丸くふくらんでいる。袋雀である。羽根・長根の田んぼから室林道方面をみるといつもは濃い緑の山が、砂糖をふりかけたようになっていた。今日
は2人の新しい子どもたちが参加してくれた。朝校庭で雪だるまを作っていた姉弟だ。子どもたち6人と大人3人が向かった先は新堤池。再びオシ
ドリに会うため。ところが今日に限ってオシドリたちは木陰に隠れて姿を現さなかった。そのわけは木立の一角にとまる小型のタカにあった。その
姿は威厳に満ちていて金の虹彩が辺りににらみを利かせていた。ライオンとシマウマと同じ関係を今見ているのだ。萩小からここ新堤池まで一気
に歩いてきた。しばらくはおやつをいただいて休むとしよう。いつもの石垣のある暖かい場所で。
2010
1
2
室林道ラインセンサス
2010年最初の野鳥観察はやはり室林道と決めていた。ルリビタキが道端で採餌し、ようやく姿を現したシロハラが藪から飛び出してゆく。山口さ
んがシロハラを確認したのはかなり前のことであるが自分が確認したのは今回が最初である。シロハラもツグミ同様大形ツグミ類である。ツグミ
のほうもようやく姿を見るようになった。室林道の後に羽根・長根の田んぼにも寄ってみたが、田んぼの畦から頭をのぞかせるツグミの姿があっ
た。我が家近くの山陰川沿いでもツグミがやって来ていた。すぐ側にはイソヒヨドリの姿もあった。ただしイソヒヨドリは冬鳥ではないが共に大形ツ
グミ類。小鳥のほうはといえばシジュウカラの囀りがイチ押しであろう。彼らの初囀りは毎年他の鳥に比べ早いが今年も正月2日目で早くも囀って
いたのだった。ヒヨドリが意外に多かったのも印象深かった。冬になると山から里に下りる個体が多いのが普通であるが、この冬は木の実が豊富
に生ったのであろうか。
2010
1
9
財賀寺
探鳥会のスタートは財賀寺から、毎年そのように決めている。この地域では文殊さんの名で親しまれていて学業成就の参拝が多いお寺でもある
。萩小から平尾CCを通り、尾根伝いに進むと奥の院に到着する。境内は広く昔は多くの僧房があったようである。子どもたち10人と4人の大人
で雲ひとつない空の下、がやがやお喋りしながら歩いた。学校を出て間もなく2羽のツグミを確認。接近したかと思うと絡み合うようにして追いかけ
っこである。田んぼではセグロセキレイが採餌の最中、空の上からはノスリが2羽ホバリングをしている。峠を下ると平尾町。残念ながらいつも見
るカワセミには出会うことができなかったが、代わりにエナガの可愛らしい姿を間近に見ることができた。尾根を一気に進んで財賀寺へ。手を清め
口をすすいでからお参りする。そのあとみんなで鐘をついた。お寺へは先生が前もって連絡していただいた。そのおかげで予期せぬ接待をお受
けすることになった。お昼の弁当をとったあと庫裏の一室(庭の見える)に招いて下さり、お菓子や甘酒をご馳走になった。奥様が菓子を次々と運
ばれ、子どもたちはそれを遠慮なく食べる、食べっぷりは気持ちよいがこちらは恐縮しっぱなしであった。美味しい甘酒とお茶、本当に有難うござ
いました。山をひとつ越えればすぐ萩である。子どもの頃文殊さんのお祭りの日、子どもたちだけで山を越え、境内に沢山並ぶ露天を見て周り欲
しいものを買うのがまたと無い楽しみであったことを思い出させる懐かしい道であった
2010
1
14
室林道ラインセンサス
病院からの帰り道、室林道に立ち寄った。双眼鏡を忘れてしまったがあまり出番がなさそうであった。既に太陽は西に傾き南東面に開いた室林道
は日陰となっていた。冬将軍が猛威を振るっている西日本ならずとも寒い。今日は室林道で初めてつららを見た。野鳥の気配もごく限られた範囲
であった。ヒヨドリとシロハラは声も大きいのですぐに分かるが、クロジの微かな地鳴きは耳を澄まさないといけない。冬の山をこのように探鳥する
のは嫌いではない。微かな鳥の息吹きを感じることは私にとっては何よりの喜びなのだ。早春の手前を思いっきり楽しみたい
西暦
月
日
メモ
2010
1
16
羽根・長根の田んぼ
青い空に雑木の細かな梢が溶け込むよう。運動公園では子どもたちの野球チームが練習にはげんでいた。萩小を出発した子どもたちは、途中ヘ
ビの日光浴をからかいながら羽根・長根の田んぼに向かう。このシマヘビ君はかなりの大物ではあるがまだまだ体が温まらないせいかまるっきり
動かない。羽根・長根の田んぼは北風が寒い所で心配していたが、今日は、気が抜けるほど穏やかな気持ちよさであった。長根大池にマイクロ
バスが止まっている。そこには迷彩色の青年たちが。恰好からすれば自衛隊員風。しかし、マイクロバスが怪しい。似非自衛隊か?。何故こんな
所に。運動公園からの帰りに一行に思い切って聞いてみた。どこから来て何をしているの?。答え。富士市から来ました。新人の隊員たちが地図
の見方を実地で勉強しています。とのことであった。本物の自衛隊員であった。(失礼しました)運動公園では木に登ったりして遊んだのは低学年
の子で、高学年グループはゲーム器の磁石に引き寄せられた鉄クギのようであった。運動公園の近くに様々な樹木に囲まれた感じのよい家があ
った。そこにはムクドリ、ジョウビタキ、メジロ、ヒヨドリたちがやって来ていた。室の山からノスリが輪を描いて上昇していった。白い翼が青空に映
える。シマヘビ君は帰り道にもいた。今度は体も温まって鎌首を上げて子どもたちを睨んでいたので、子どもたちには「怒らせるなよ」と言った。
2010
1
17
室林道ラインセンサス
冬将軍も一休みといったところか。昨日の探鳥会も、今日の室林道も穏やかな暖かい日となった。野鳥を観察にて歩くのには大助かりである。室
林道の入り口でアオジのメスを見る。さらに混群たち(エナガ・シジュウカラ・コゲラ)。混群は冬ならではの行動である(勿論、他の季節にはまった
く無い、というわけではないが、冬が似つかわしいと思う)シジュウカラの囀りも聞かれた。シジュウカラの囀りは、新しい年を明けて俄然多くなった
。ライバルのヤマガラはまだそのような個体には出会ってはいない。さらに別の囀りが聞こえてきた。ソウシチョウである。外来種といにはあまりに
も広く・深く進入しているソウシチョウ。在来種への影響はどの程度なのか心配ではある。初確認ではウソがあげられる。今年も林道のソメイヨシ
ノの花芽を食べつくすのであろうか。ウソが見られるのは嬉しいがサクラも。ほどほどにして欲しいと思うばかりだ。
2010
1
18
観音山
室林道から姿が見られなくなって久しいカヤクグリが観音山で毎年冬に現われることを知って、確認しようと出かけることにした。観音山林道まで
は車で数分とごく近い。毎週行けばと思うが、やはり、室林道に比べると回数はどんと下がってしまう。平日の今日は、豊川市の方々が廃棄ゴミ
の回収をしていた。本当にマナーの悪さには呆れるほどだ。カワラヒワがヤシャブシの球果を啄ばんでいた。林道の脇は以前は砕石場があった。
今は全て撤去され跡地は樹木で覆われている。その中の多くはヤシャブシである。従って、球果を餌とする野鳥たちが多く集まってくるのだ。最も
ポピュラーであるカワラヒワ、冬の使者マヒワ。そのマヒワはまだ姿を現してはいなかった。肝心のカヤクグリは毎年せいぜい1・2個体しかいない
ので、必ず見つかるとは限らない。今日のところは明日以降に期待。
2010
1
21
寺ノ入林道ラインセンサス
融けて消える寸前の汚れた雪が残っている寺ノ入林道を歩いた。普通なら凍結で危なっかしい真冬の寺ノ入林道のハズであるが、春の陽気が続
いていたせいか普通に歩いても全く問題ない。曇り空ではあるが手袋も不要。あちこちから野鳥の声が聞かれる。一番手はハシブトガラス。繁殖
時期も他の小鳥たちよりも早いハシブトガラス、今の鳴き声も繁殖行動であろうか。ホオジロと一緒にカシラダカがいた。茶臼山でのカシラダカの
集団囀りを記録したのはもう10年以上も前のこと。萩の田んぼでも群を見たことがあったのに、最近はとんと見なくなったカシラダカが、予期せぬ
寺ノ入林道で確認できたのは大層驚いた。それだけではない。そのカシラダカが群で採餌していたのだった。これに囀り行動が加わればまさに茶
臼山での光景と一緒だったのに。シジュウカラやヤマガラが賑やかに枝を転げまわっている。室林道ではエナガがリード役になっているので、寺
ノ入林道はどの鳥かなと(ヒガラだったらうれしいのに)探してみたが、やはり2羽が共に主役であった。(少々残念)寺ノ入林道ならではの期待も
あった。カヤクグリがいるのでは。そうは期待どおりには事は運ばないものだ。その代わりにクロジ、ミソサザイが迎えてくれた。曇空の日は小鳥
たちのつぶやきを聞くのには好都合だ。音がよく通るのである。耳を凝らして鳥のひそひそ話を聞く。ヒガラがヒノキの中で絹のような艶のある声
でお喋りしている。私としてはこれが一番充実したバードウォチングだと思っている。これから家に戻り病院に行く準備をしなくては。来週から1週
間ほどは外出できないので思い切って寺ノ入林道へやってきたが、とても充実した時間を過ごすことができた。
西暦
月
日
メモ
2010
1
23
室林道ラインセンサス
もう1月も後半に入ってしまった。全く早いものだ。林道で最も標高のある地点は定点写真スポットである。眼下には羽根・長根の田んぼ、奥には
豊橋市街が広がるり三河湾が輝いている。太陽は徐々に南回帰線から離れつつあり、脳下垂体ホルモンに刺激を受けたオスたちが、繁殖行動
への準備を始めている。その最たるものが囀りではないだろうか。すでに、シジュウカラは正月早々囀りしていたし、本日、室林道ではヤマガラの
囀りを聞くことができた。カサカサと音を立てた後目の前を一直線に飛び去ったのは、立派な立派なヤマドリのオスであった。さらに二まわり小柄
なメスが(これもなかなか美しい)同様に一直線に飛び去った。先の定点ポイントで20羽ほどの群を確認。双眼鏡にはイカルの姿があった。冬に
なるとイカルをはじめとするアトリ科の野鳥が群をつくる。カワラヒワもその代表であるが、陽光が当たり黄色く見える体は、野鳥版「春の使者」と
私は芯そこ思うのであるが。林道のそこここにヤブツバキがあって、日当たりのよい枝には紅色の花がついている。ホッとした。
2010
1
24
我家周辺
夕日が地平線に近づいた。きれいな夕日が見られそうなので野鳥観察を兼ね散歩した。田んぼではモズが高鳴きをしていた。ヒヨドリも忙しそう
にしている。空を見上げれば全体に赤みがかかっていて、いつの間にか6羽のトビが輪を描いていた。トビの羽色も赤みが強い。山陰川沿いに歩
いていたら賑やかな声がする。葦の中でエナガが採餌しているのだ。その活発なこと。昔、私は公民館祭りの資料でエナガについて、まるで女子
学生の賑やかなおしゃべりの様である、と形容したことがあった。今でもその気持ちは変わらない。夕日が山の端に隠れるのをカメラにおさめ、よ
い気分になって道をひき返した。トビは相変わらず、2羽のハシボソガラスが鳴きながら飛んでいる。そこへ、強い羽ばたきで飛ぶ個体が視界に
入ってきた。イワツバメのようだ。今ここで見られる理由を考えてみた。越冬ツバメ?、南の国からの早い飛来?。いずれにしても珍客である。
2010
1
30
自宅周辺
5日間の入院から家に戻り最初の野鳥観察はやはり家の周りのフィールドであった。当然と言えば当然であろう。看護師さんからくれぐれも無理し
ないようにと言い含めるように諭された。さらに都合の悪いことに空を仰げないのである。傷口が開いては困るからこれは守らないといけない。ハ
シブト・ハシボソのカラスがすぐ目に入った。病院の窓から見えたのもやはりカラスであった。中庭の芝生にはツグミがやって来ていて足早に採餌
している。我が家近くの田んぼでもすでにツグミは珍しくはない。山陰川を上流に向かって歩いた。必ず見かける鳥、ハクセキレイとセグロセキレ
イを始めとして、アオジ、ビンズイの声が聞こえる。後者の2つは漂鳥といって平地で冬を越して繁殖は奥深い山で行なう代表的なものだ。越冬地
ではひたすら目立たないことを第一に考えているように見えるアオジが、繁殖地では、ホオジロも顔負けの艶のある歌を披露してくれるのだ。ビン
ズイはセキレイ科の鳥で、尾を振る姿を見れば合点がいく。越冬地として水がある場所を好むようだ。ズイ、ズイ、と名前の由来となく地鳴きが聞
こえると、冬枯れの土手で餌をあさる姿が見られるのである。こちらも囀りはなかなかのものだ。初めて囀りを聞いたときの印象は、ミソサザイの
ようだ、であった。ということは、かなりの美声といってよいであろう。冬鳥の囀りは繁殖地であるシベリアなど大陸に行かないとふつうは聞かれな
い。それだけにおなじみの鳥たちのオスがメスに求愛するときの歌声は是非とも聞いてみたいものである。
2010
1
31
室林道ラインセンサス
入院明け後初めての室林道である。時折の霧雨をものともせず双眼鏡とコンパクトカメラを首から下げて歩き出す。注意しなければいけないこと
は、首を反らさないこと。バードウォッチングをやる身にとってはかなりのハンディキャップ。室林道のような樹木が生い茂る場所での俯瞰制限は
視野の半分が利用できないことになる。センサスの前半は極めて静かに過ぎていった。野鳥の声が全くと言ってよいほど無いのである。ヒヨドリ、
ヤマガラ(囀り個体)、カケス、メジロくらいしか確認できなかった。ところが折り返してから目を見張る出来事が起きたのだ。こげ茶色の小鳥が採
餌していた。私は思わず緊張した。目視ではあったが室林道から姿を消して久しいカヤクグリに間違いなかった。繁みに隠れてから暫く待つ。則
面に再び姿を現したのを双眼鏡で確認。間違いなくカヤクグリであった。後で調べてみたら、最後に室林道で見られたのは2003年1月であった
。なんと7年ぶりの再開。コンパクトカメラではあったがその愛すべき姿を収めることも出来嬉しい限りである。そこから終点までは、カワラヒワの
群、クロジの採餌、ウグイスの採餌などを確認できた。自然観察においては予測できないことが起こりうる。今までも何度もそう思う事があったが
、今日のカヤクグリとの再開で、ますます野鳥(自然)観察の奥深さ、素晴らしさを思い知らされる気がした。
西暦
月
日
メモ
2010
1
31
羽根・長根ラインセンサス
せっかくだから昼ごはんを遅らせて羽根の田んぼへ寄ってみよう。そして、雨が降り始める前に歩いてしまおう。幸い、今の時期に付きものの寒い
北西の季節風はなりをひそめていた。冬の羽根・長根の田んぼ一見すると野鳥の姿は全く無いようである。しかし、実際に農道やあぜ道をセンサ
スして行くと実に多くの野鳥たちが生息し、採餌していることがわかる。タヒバリはセキレイ科の冬鳥である。見事に田んぼの黒っぽい背景にカモ
フラージュされ、1枚の田んぼに数10羽いようが全く気付かれないのだ。それが、観察者が接近した途端一斉に飛立つ。澄んだピピピ、ピピピ ・
・・、の声を残して少しばかり遠い場所に逃げて行く。ヒバリも群で採餌する。タヒバリとは異なるヒバリ科の鳥なのだが、両者の姿は大変よく似て
いる。ヒバリも背景にすっかり溶け込んでなかなか姿を見つけにくい。ヒバリは早春にはオスたちが、メスが注目する晴れ舞台で美声と体力を競う
ことになるが、今は、ビューンとかビュル~ンといった感じのあまり美しいとはいえない地鳴きである。地鳴きではタヒバリに軍配があがそう。長根
川ではお馴染みのセグロセキレイやハクセキレイ、キセキレイが採餌をしていた。一様にみえても餌の量には差があるらしく、互いに良い場所を
確保すべく競争している。ダーウィン流に言えば生存を懸けた自然選択がまさに行なわれているのであろう。畦には春の花たちがすでに出番を
待っている。ペンペン草、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、セイヨウタンポポたち。
2010
2
2
観音山
室林道のカヤクグリに勇気付けられ、毎年確認している観音山も、と意気揚々と出かけた。観音山までは車で5分足らず。林道へは一般車は乗
り入れができない。もっともセンサスには車は邪魔になるだけ。観音山ではよく見かけるビンズイがいた。(室林道ではあまり見かけない)場所も
毎年同じ所である。なにか好都合な条件があるのだろうか。アオバトが近くで鳴いた。林道脇のヒノキ林がきれいに間伐がなされ気持ちがいい。
その一角に、萩町財産区の指導のもと萩小のこどもたちの山仕事活動の様子が見られた。きれいに枝打ちもされていた。森林の再生は日本の
国にとっても重要な課題である。差し迫るのは間伐すること。地産地消のサイクルがまわるような経済システムが林業にも求められている。
2010
2
3
室林道ラインセンサス
センサスのスタートでルリビタキのオス(成鳥)が出迎えてくれた。毎年見ていたように思うが、同じ個体かどうかは定かではない。萩小の子どもた
ちが作った「野鳥を守ろう」と呼びかけた看板にとまってポーズをととったり、林道に下りて採餌したり、許される距離を保って暫くは様子を見ること
にした。コンパクトカメラを持っていたので手振れに気を付けて撮影した。カメラを地上に固定し手振れを防ぐことができたのは可変式モニターの
おかげである。手袋がいらないほど暖かく穏やかな冬晴れであった。真っ青な空で思わず見上げたい衝動に駈られたが思い止まる。アカゲラが
鋭く鳴いた。シジュカラの囀りも聞かれた。春はもう近くに来ているように感じた。そういえば室林道のソメイヨシノ、今年はウソがあまりいないので
きれいに咲くことができそうだ、と思っていたら1つがいのウソが花芽を食べる姿に出くわした。サクラ君まだまだ油断は禁物だね。
2010
2
4
金沢大池
診察を終えコンビニ弁当を食べたら正午を30分過ぎていた。近いところでと、金沢に向かう。吉祥山の麓に池があって、あたり一帯はカキ畑が広
がっている。水鳥が羽を休め、里山風景の雑木林には様々な小鳥が越冬する。まさに冬の穴場である。瀬川鉄工所の駐車場の脇に停め金沢大
池へ。いたいた。キンクロハジロとマガモが中心となって、ヒドリガモ、ハシビロガモ、カルガモが混じる。池を巻く道を行くと足元からマガモが次々
飛び立ってゆく。キンクロハジロたちは動きが鈍い。そして果樹の広がる畑へ。その前の田んぼで面白い光景に出会う。オスのジョウビタキが接
近戦を演じたのだ。冬の採餌場をめぐり彼らは縄張りを守る。このときはオスもメスもない。よりによって2羽のオスが1メートル以内に接近してし
まったのだ。こちらの方がはらはらする。結局何も起こらなかったが。ところが、さらに進むとはっとする光景が目に入ってきたのだ。鳥の羽が散ら
ばっている。まさにここで猛禽に襲われ命を落とした個体が存在したのだ。いよいよ柿の樹が見えてくる。畑を縁取る雑木に鈴なりになっているの
はカシラダカである。これほどの個体数を見たのは久しぶり。あとからではあるが、金沢一帯はカシラダカが多かったことを思い出した。金沢大池
の存在は萩小で教鞭をとっておられた戸田先生からのものだ。一緒に鳥を見たことや、ここで土曜探鳥会を開いたことも懐かしく思い出す。柿畑
の中に金沢の大サクラと呼ばれる古木がある。その姿がこれだ。人の背丈ほどの高さでバッサリと切られていた。大切に守られていたのに残念
だが生き物に永遠はない。
西暦
月
日
メモ
2010
2
6
室林道ラインセンサス
土曜探鳥会の中止は残念であった。集合時間での降雪を考えると仕方がなかった。たとえ行えたとしても厳しい寒さは免れなかったと思う。無理
は禁物だ。一端家に戻ったのち室林道へ出かける。カヤクグリが気になっていたからである。7年ぶりにカヤクグリを確認できたのはよいが、果た
して、通過してしまったのか再び室林道で見られるのか、はっきりさせたかった。結果、ほとんど同じ場所で採餌しているのを確認できたのだ。落
ち葉の背景にうまく溶け込んだ姿を飽くことなく眺めた。この日はルリビタキにもよく出あった。林道をぴょんぴょんと撥ねながら採餌している。オス
、メスそれぞれの個体を確認する。
2010
2
7
東三河広域公園
よそからは眺めてはいたが(室林道・宮路山からよく見える)実際に公園内に入ったのは今日が初めて。なぜ行こうと思ったのか。定年後のことを
考えたからだ。遠目に地形を見ると結構標高差があるようだ。広さも十分ある。車で10分で行けるのもよい。すなわち、毎朝、出勤前に1時間歩
いたり筋トレしたりすることが無くなってしまうため、代わりに、トレーニングを行なう場所がないのか、その有力候補になりそうなのだ。鳥も見られ
るであろう。家族を国府駅に送ったあと、公園に向かう。駐車場からは安心して歩ける。管理棟、トイレ、休息所、いずれも立派な建物。御影石の
腰掛がフンダンに配置され豪華。太陽光発電のパネルがいたる所にありエコにも気をつけているようだ。すなわち。かなりお金がかかっていると
みた。御油・国府・御津町に広がる丘陵地からは東三河南部がよく見渡せる。西は三河湾、東は豊川市街、北は我が萩の山が広がる。特に目を
見張ったのは眼下に広がる住宅群。小山の上までも立ち並んでいる。視点を変えると風景も変わって見えるとは良く言ったものだ。公園は広大で
自然が生かされ造られているとあって野鳥の声も沢山聞こえる。シジュウカラ・ヤマガラ・ホオジロの囀りを聞くことができた。ツグミ・シロハラとい
った大型ツグミ類、ジョウビタキ、ルリビタキの小型ツグミも勿論いた。山口さんはここでキクイタダキを観察しておられる。春になればまた違う鳥
たちに出会えることだろう。肝心の健康ウォーキングであるが、すでに沢山の人が歩いたりジョギングなどをしていたのを見て安心できた。本当の
ことであるが、会社の先輩ご夫婦にあった。毎日歩いておられる事は知っていた。ここもお気に入りのコースなのであろう。行き止まりになってしま
い坂道を戻る。階段を一気に登る。あれやこれやで汗をかいてしまった。
2010
2
13
寺ノ入林道ラインセンサス
午前の用事を済ませ気持ちは寺ノ入林道へ。山口さんに会って寺ノ入林道の情報をもらい、自分もイスカを見てみたいと思った。この有名な鳥を
見ることができたなら何と幸せなことだろう。空はあくまでも青く、三河の山の上に広がっていた。イスカの群が飛んでいるのを見られたら、赤い鳥
と青い空、なんて素晴らしいことだろう。寺ノ入林道には静寂に充ちていた。かすかに静寂を破るのは野鳥の声。ヒガラ、シジュウカラ、ヤマガラ、
エナガなどおなじみの声に、アトリの声が加わった。山口さんも「アトリもいるから」と言っていた。これで半分は達成だ。イスカは?。なんとか現わ
れて欲しい。ハシブトガラスのペアが寺ノ入林道の上空を飛ぶ、やや西に傾いた日に照らされカワラヒワの群が乱舞した。カワラヒワの黄色は春
を告げる色。アオジとクロジの声がした。彼らの声はとても似ていて、いつも悩ませてくれる。両者の聞き分けは自分にとって大きな目標であった
。イスかはくいちがったくちばしが他の鳥にはない最大の特徴である。松かさをこのくいちがったくちばしでこじ開けることで中の種子を食べること
ができる。まさに、松かさに特化したくちばしである。ランとスズメガの関係を思い出させるがこちらは共生とは言えないかもしれない。マツにとって
は種子を食べられてしまうだけのように見えるからだ。イスカはマツ科の存在が自身の生存に大きく影響する。近年、マツの枯死が目立っている
ことはよく知られている。イスカがマツに依存しているとすればイスカにとっては厳しい状況といわざるをえない。幸にして寺ノ入林道にはまだマツ
が多く残っている。夏鳥であるサンショウクイもマツ科の植生に多いと聞くが、確かに、寺ノ入林道には毎年のようにサンショウクイがやってくる。
同様にイスカがやって来る条件は整っているように思える。ところで、今日はサンショウクイは確認できなかった。まず、鳴き声(地鳴き)が分から
ないのだ。声で存在が分かればもっと可能性は高まるだろう。さらに、体の大きな鳥は、「どこどこにいるよ」と言われてやってきた場合に発見でき
る可能性は高い。しかし、小鳥は、なかなかそううまく事は運ばないのは多くの経験から分かっているつもりだ。だから、見られないからといって落
胆することは短絡的に過ぎると思っている。
2010
2
14
室林道ラインセンサス
手袋がいらない暖かな室林道であった。昨日の寺ノ入林道と同様に野鳥の声もまばらでしっかり耳を澄ませて歩いてゆく。ウグイス、ヤマガラ、メ
ジロ、エナガなど姿は見えないが樹の陰で採餌している様子がわかる。今日印象深かったのはヒヨドリだ。なにやら赤いものが見えた。双眼鏡で
追うとそれはヒヨドリが咥えているツバキの花であった。室林道にも沢山のツバキが生えているが、ヒヨドリとメジロはここでも花粉運搬役を喜んで
担っているようだ。
西暦
月
日
メモ
2010
2
16
トヨタの森 フォレスタ
用事でトヨタの森に建つホテルに来た。その前に、折角来たのだから様子を見ておこう(ホテルではない)とフォレスタヒルズの散策路を歩いた。
散歩をする人の影もまばらであった。所々にあるスピーカーからは落ち着いた感じの曲が流れてきて良い雰囲気であった。ここへは10年ほど前
に一度だけ来たことがある。学芸員の説明を聞き林を歩いた。様々な実験をしているとのことであったと記憶している。シデコブシの群生地では、
一帯に生えている個体は全て同じDNAを持っていると言われた(これも記憶があるとしかいえないが)。散策路を歩いていたら偶然にも同じ所に
出た。大変懐かしい。その時には、ハッチョウトンボも見ているので季節は初夏ごろではなかろうか。今は、春を待つ植物や動物たちの様子を目
の当たりしているわけだ。コゲラ、エナガが混群となって採餌している。森から出てホテルの近くを歩くと、シロハラ、ツグミが芝生で餌を探している
し、ガードレールにジョウビタキがとまって尾を振っている。「森からのお手紙」の見出しで森の様子をホームページで紹介しているのを毎月楽しみ
している。ホテルのポイントカードも最近手に入れたばかりなので、これからも、森を歩いたあとに食事を取るなどして楽しみたい場所だ。今まで
は、そのような楽しみ方は全くといってよいほでやってこなかった。温泉があっても見向きもせず、観察が終ったら真っ直ぐ帰宅ばかりしていたの
であったから。
2010
2
20
寺ノ入林道ラインセンサス
あまり日を空けずに再び寺ノ入林道へやって来た。風が強い分空は真っ青だ。航路の下にあたるのか旅客機がひっきりなしに飛ぶ。そのほとん
どが西に向かっている。ヤマガラの囀りが聞こえるも風にかき消されそうだ。このような日は、特に小さな声で鳴く鳥たちは見つけ難いもの。その
点、カケスやハシブトガラスは大きな声で鳴いてくれるので聞き漏らすことはない。太陽は赤道に向かって、あと1ヶ月後には春分となる。春の訪
れは野鳥の囀りから。ここ寺ノ入林道は600メートルあるので、音羽とは一味違った囀りが楽しめるのだ。その代表格がヒガラのソプラノである。
太陽の輝きに我慢できなくなったのか元気なオスが歌いだした。それに触発されたのかあの日本一小さな鳥の透きとおる声が近くで聞こえる。デ
リケートな節回しは彼しか真似のできないものだ。それにしても近い。首を捻って姿を探す。周りはスギ、ヒノキの若い植林である。彼の命の元は
小動物。スギ、ホノキの植林であろうが餌があれば生きてゆけるのである。とかく人工林は目の仇にされる。落葉樹林は良くてスギ林は悪いのか
。そんなことは無い。彼は数メートルの近さにいたのだ。ヒノキの枝に隠れているのを小さなくちばしで突いていた。囀りを聞かせてくれた個体(オ
ス)だろうか。一瞬のできごとであったのでシンボルの菊の花弁がはっきりと見えなかった。それにしても何が起きるのか分からないと思い知った
。
2010
2
22
茶臼山ラインセンサス
2010年の茶臼山センサスを行なった。例年、3月に入るまで出かけることはなかった。暖冬ではあったのでもしやと思いきってやってきたのだ。
茶臼山への登山道にはタイヤチェーンなしで通行可の標識があった。意を強くして登ってゆく。ゲレンデは子どもたちの黄色い声が、スキー場は
原色の花が開いたようだ。スキーリフトが頭上を通る茶臼山周回路をラインセンサスする。多分、スキー場と真反対の北面は雪で覆われていると
思い長靴に履き替える。標高1300メートルの茶臼山コース、ここで無ければ見られない鳥もいる。例えばハギマシコ。今まででも2度しか見たこ
とがない幻の鳥だ。この日は、コガラの囀りをしっかり聞くことができた。コガラは真冬になってもずっと山に棲み続ける鳥だ。柔らかな囀りである。
群が出現すると緊張が走る。アトリ科の鳥は群をつくる習性があるからだ。(ハギマシキもアトリ科である)カワラヒワの群とアトリの群を確認する。
雪道を乗り越えて南アルプスのビューポイントまで来た。聖・赤石・荒川・塩見・間ノ・北の順に3000メートル峰が連なっている。その北側には我
がフィールドの蛇峠山と高嶺も。ひときわ白く化粧をした大川入山、今年もコマドリの声を聞きに行こう。茶臼湖の側でコガラの囀りがよく聞かれた
。もう繁殖の準備に入っているのだ。冬鳥はもうしばらくここに留まるのだろう。ツグミが枝先の実をつまんでいる姿を目撃した。平地ならば田んぼ
で餌を探せるけれども厳しい環境では、食べられるものなら何でも口にしないと生きてゆけない。自然の厳しさを見るようであった。二枚重ねにし
た靴下と底溝がしっかりある長靴のおかげで、今までにない快適な雪道歩きを堪能することができた。
西暦
月
日
メモ
2010
2
27
室林道
とても2月下旬の気温とは思えない汗ばむ天気に集まった7人の子どもたちも皆驚いている。この分だとウグイスの囀りが聞かれるかもしてない、
かなりの期待を持って室林道に向かった。あまり鳥の声がしない、少々不安になってきた。最初に見たのはハシブトガラスであったがそれでも姿
が見られれば文句はない。室の民家を過ぎてからようやく鳥たちがやってきた。アオジやホオジロといった叢にすむ鳥たちが足元や10数メートル
先から飛去ってゆく。ようやく鳥の声が聞かれたと思った。ヒノキの林を進んでいって、一声、大きな声が聞こえた。子供たちと顔を見合わせ、あれ
ってウグイス?まだまだウグイスらしいさえずりとは思えない。けれども他の鳥の声とも思えない。その場を50メートルほど過ぎさらに一声、今度
はもう少しウグイスらしく聞こえた。ラジオではウグイス初鳴きの話題を話していたが、本日が私の初記録である。それにしてもこの暖かさは何だ
。花は一気に開き鳥たちもどうしてよいのか分からないのではと想像する。もう繁殖地に向かうべきか、待つべきか。どのようにして決断するので
あろうか。また結果はどうなるのか興味は尽きない。
2010
3
7
市民館祭り
3月7日に市民館祭りを行なった。毎年、野鳥をテーマに会場の一角で展示している。雨は間違いなしとの天気予報ではあったが、実行委員全員
、前日の土曜(さらに前から)からそれぞれの持ち場で準備を進めてきた。そして当日は来館者に精一杯のもてなしをするのだ。私も、コーナーの
担当の人と一緒に、来てくれた人たちに野鳥の話を精一杯した。お年寄りの人、若い人とも会話ができるのはなんとも楽しいことである。空いた時
には同じコーナー仲間と世間話もした。その人は小豆島育ちで、私も、若いころ旅行に行ったことがあったので、クジャクショーの話をしたら、もう
そのショーは行なっていないとのことであった。9時から15時までの長丁場なので、交代で館内の展示や催しを見てまわった。萩町は小さな町な
のに幅広い趣味の人々が住んでいるんだなと、自画自賛的になるが思ったのである。
2010
3
8
室林道ラインセンサス
春の長雨とも思えるような週末の天気であったが週明けの今日もハッキリしない。用事をひとつ済ませ室林道へ行ってみた。霧雨とはいえ双眼鏡
やノートには雨は大敵である。傘を差してラインセンサスを開始する。最初に目に入ってきたのは真新しい巣箱たち、萩小6年生の子供たちが卒
業前に製作したものだ。昨年は、オオルリ用のユニークな巣箱であったが、今年の巣箱といえば、屋根のさらに上にひさしがついている。ヒナに餌
を運ぶ親鳥が止まるためのものであろう。カラ類用のものからその4倍はあろうかと思われる大きなものまである。大きな方は誰のためのものだ
ろうか?。ウグイスの初鳴きを聞いてから1週間ほど経た今、囀り個体数はずっと多くなっているとの予想どおり、沢や谷の下からオスたちの歌声
が聞こえてきた。何度聞いても、早春のウグイスの声は良いものであるし新鮮に感じられるのである。勝手なもので、これがあまりにも賑やかにな
ると時にはうるさく思うこともある。囀りに混じって地鳴きも聞こえる。地鳴きはいくら多くても苦にはならないから不思議だ。ウグイスの地鳴きと多
少感じが違うがミソサザイの声もすぐ側で聞こえる。雨が降っているせいもあった静かな室林道ではあったが、それを慰めてくれるように、ツバキ
の赤い花があちこちで咲いている。花の大きさや開き具合にそれぞれ個性があって面白いものだ。水脈から雨だれのように音を立ててしたたり落
ちる湧き水を眺めていたら、側に、紫がかったショウジョウバカマの群生があった。そうだそうだ。ショウジョウバカマも早春の花なのだ。遠くからヤ
マガラの囀りが聞こえた。もう春は始まっている。
2010
3
10
前田町
雨模様の日が続くので前田町の田んぼもぬかるんだままである。こんな日は、農道にも水溜りができ、使い込んだ運動靴からは水が沁みこんで
きて気持ちが悪い。ケリやヒバリは縄張りを守って賑やかに鳴いている。また、水の浸かった田んぼからはこの春最初のコチドリの声を聞きことが
できた。
2010
3
11
前田町
田んぼ道を歩いていたら、多分、田んぼに下りていたのだろう、オオタカが目の前を横切って飛立った。ここには、被捕食者である野鳥たちがたく
さんいる。オオタカが棲みついていたとしても決して不思議ではない。
西暦
月
日
メモ
2010
3
13
愛知県民の森
朝方は晴れ間も見えていたのであるが、県民の森に着いたとたんにパラパラと雨粒が落ちてきた。これはまずいことになったぞ。今日の探鳥会
は、2月に雪で中止になったのを受けてのリベンジなのだから、子どもたちにはどうしても良い条件でやらしてやりたかった。子どもたち15人と大
人5人。カサの用意もないので、濡れながらでも少し歩いてみようと探鳥会を強行する。さいわい強い雨ではなさそうだから。山を下りた渓流が森
の中を南北に縦断する。流れをみると、雨模様の天気が続いたためいつになく水量が多かった。川べりを歩けば、手をひたしたり飛び石の上に乗
りたくなるのが人情だ。野鳥の声が少ないのもあって暫くは川で遊ぶことにした。萩の探鳥会でも虫などを探すことが得意な彼らが、川の中に生
き物を見つけるのにそう時間はかからなかった。「エビがいる」と言い出した。手の平にのっかかった物をみると確かにエビのような生きものであ
る。雨脚は刻々と変わった。止んでは降り、降っては止んだ。ピンクの濃いサクラがちょうど見ごろであった。さらに、アシビの白やミツバツツジの
鮮やかな桃色も目に付く。随分と早くに咲いているなと感心する。標高が165メートルと書かれた標識が目に入る。こんなに山奥に感じるのに室
林道とかわらないとは。昼食を取る頃にはすっかり止み、薄日も差していた。子どもたちは広場でひとしきりエネルギーを発散する。その後に、こ
れでみんなズボン・靴下・靴がすっかり濡れてしまうことになったが、再び川の中へ。最初は石の上を歩いていたが、裸足になり水の中に入るそ
の心地良さが気に入ったらしく、ズボンをずぶ濡らしにして遊びはじめたのだった。今日の目的は6年生を送る会。最後の探鳥会はこれで締める
のが恒例である。1人参加してくれた彼女を中心にきれいな自然の中でセレモニーをやった。萩の子はシャイな子が多いので背中を押してやらな
いと。「ムササビを見たことが印象にのこっています」と彼女は話した。鳥でないのが少々残念。再びバスに乗り満ち足りた気分で萩小へ向かう。
豊川市のご好意に感謝します。
2010
3
14
室林道ラインセンサス
初めてというわけではないがかなり珍しい鳥の声を聞いた。ヒガラが囀っていたのだ。冬の間ヒガラの姿や鳴き声には注意を払ってきたがどうし
ても確認できなかったのに。室林道に定着していた個体なのか、繁殖地へ移動中の個体なのか確認のしようがないが、多分、見落としていた可
能性の方が高い。ウグイスの囀り個体も順調に増えており山を歩くのが益々楽しみとなった。3月半ばにヒキガエルの産卵が行なわれる。それが
時計のように正確なのだ。雨の多い冬だったので水脈からの滴りも豊富で、産卵場所になる水溜りの出来具合も問題ない。今日の所は卵の方は
おあずけであったが次に訪れるころにはきっと、寒天状のゆりかごに包まれた小さな沢山の卵が見られるだろう。春の使者といってもよいだろう、
うす紫色のスミレもハート状の葉がはっきり見え、中心に花を送り出すのももうすぐである。
2010
3
14
前田町
日曜日の朝、東名をつかって前田町にやってきた。会社の休日に訪れるのは久しぶりのことだ。車を停めたすぐ側で田んぼが埋められていた。
その隣も。4年前から前田町を見てきたが随分と店が増えた。それらは全て農地からの転用である。農地がすぐに無くなるとは思えないが、耕作
放棄の場所が店舗に変わると最初に影響を受けるのが野鳥であろう。特にオオヨシキリは繁殖場所(営巣地)が無くなるに等しい打撃を受けよう
。もうひと月も前からここでは、ヒバリやケリのオスたちが縄張りを争って
いる。その声は日に日に高まってゆく。あぜには春の草花が咲きそろった。水路は水が流され田植えの準備も始まった。温んだ水溜りにはアオミ
ドロが繁殖している。遠くの景色も春の霞でよく見えない。
2010
3
20
健康ウォーキングコース
連休の天気は大荒れとのお天気お姉さんの声が耳についていて、布団から出ておそるおそる窓から外を見れば穏やかな空が広がっていた。家
の中にいてもウグイスの囀りが聞こえる。気分がいいので、運動靴に小型の双眼鏡・カメラ・フィールドノートだけの軽装で、定年後の健康を考え
て作ったコースを歩くことにした。サクラもちらほら、濃い色の桃の花も、ナシの白い花も、モクレン、コブシ、などなど花木たちが一斉に花を開いた
ではないか。昆虫や野鳥たちも蜜の香りに酔いしれているだろう。ツグミ、タヒバリ、アオジたちはこれから向かう繁殖地の様子が気になるであろ
うし、日本に向かって来る鳥たちもそろそろ姿を見せてくれそうだ。地元の鳥も活発になってきた。セグロセキレイは屋根で囀っているし、イカルや
ホオジロも美しい歌を聞かせてくれる。そんな中で今日一番目を引いたのは、屋根で歌うイソヒヨドリであろう。イソヒヨドリはすっかり萩の鳥になっ
てしまった。何度も何度も海岸に出かけてみたが逢うことのできなかったこの鳥が、我が家の目の前で見られるなんて想像もしなかったことである
。そのイソヒヨドリのすぐ側では長い旅で疲れたであろうツバメが、電線にとまって羽を休めていた。去年の秋以来の懐かしい姿である。やれ嬉、
喜ぶいとまも与えず次は、青空を滑るように飛んでいる数羽のイワツバメを見つけた。もう言うことはない。大きな影が背後から移動してきた。ア
オサギであった。さらに今度は白い姿も。チュウサギである。チュウサギも夏鳥の一員だ。鳥と花とが一杯。脳みそも嬉しくてもうクラクラである。
西暦
月
日
メモ
2010
3
21
室林道ラインセンサス
黄砂が空中を漂っているのがはっきり分かるそんな天気であった。薄雲のように太陽を隠してしまう。これは強烈だと思うと同時に、地元の中国で
は凄いだろうなと、心配心も起きるほどであった。砂漠化は地球全体の出来事だ。そんな天気で野鳥もひっそりとした様子であった。ウグイスの囀
りは聞かれたがそれ以外の鳥たちは、今日は静かにしておこうよ、と示し合わせているみたいだ。毎年、3月半ばにはヒキガエルの卵が見られる
のだが、産卵場所は問題ないのに影も形もなかった。ただひとつ嬉しいこともあった。紫色のスミレと薄紫色のタチツボスミレが咲きだしたのだっ
た。
2010
3
22
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日の黄砂はすっかり通り過ぎて朝から気持ちの良い青空が広がった。寺ノ入林道は活気があった。ウグイスこそまだ囀っている個体数は少な
かったが、カラ類は、(特にシジュウカラが)活発に行動をしていた。もうひとつ、せっかく寺ノ入林道に来たのだから、ミソサザイの囀りが渓流の音
とのハーモニーとなって聞こえてくるのを聞きたいものだ、と期待していた。こちらは、都合3個体も確認することができ大満足。カラス科であるカ
ケスは物真似も上手と聞いたことがあった。どの鳥の真似をしたのか分からなかったが、常のしわがれ声とは明らかに違う(表現が難しい)声を出
していたのが印象的であった。上空はジェット雲が消えては引かれ引かれては消えるほど飛行機の往来が多い所、年末に出かけたイタリアやそ
こで見た鳥を思い浮かべて眺めた。寺ノ入林道でも湧き水にヒキガエルが卵を産む。覗きこんだらあったあった。粒々の卵が入ったゼリーが水溜
り一杯に産み付けられていた。
2010
4
2
室林道ラインセンサス
室の集落から見上げると室林道がピンク色の線のようだ。この光景は今しか見られない。路沿いに咲くソメイヨシノがその正体であるが、今年は、
とりわけ見事である。サクラの状態にも拠るであろうがウソが少なかった。多数飛来した年はほとんどサクラの花は見られない。ウソが花芽を食
べてしまうからだ。鳥の中で一番喜んでいるのはヒヨドリとメジロだ。蜜を目当てに花の間を転げまわっている。メジロはヒヨドリに追い払われるこ
とも無い。何せ彼らがいくら頑張っても圧倒的なサクラの花の数なのだから。夏鳥の姿も少しだけ期待して向かったが予想通り全く気配は無かっ
た。カラ類ではヤマガラが優勢で、シジュウカラは声すら確認できなかったのが印象的であった。室林道を跨ぐ高圧線がブーンと重低音を発して
いる。かなりの強風である。咲いたばかりなのに枝先から折れたサクラの花が痛々しく路に横たわる。もう少し優しく吹いてくれないかな。
2010
4
4
観音山
あまりに気持ちの良い朝なので(鳥はさえずり・野山は花盛り)観音山まで歩いてみた。近くの山からはウグイスが鳴きホオジロがソングポストで
囀っている。ヤマザクラや若葉の緑が山に生命力を与えているようだ。突然畑付近から飛立ったものがいる。サシバである。春先に南方からやっ
てきて里山で子育てをする。音羽の里でも無事に子どもを育てて欲しい。観音山ではニホンリスを見た。谷川が流れる細い路で暫く鳥の声を聞く
。まだ夏鳥は来ていないようだ。
2010
4
5
宮路山
サクラはすでに満開となりどうしてもあの鳥のことが気になって仕方がない。遥か東南アジアから飛来する夏鳥の中でも特別な鳥。コマドリ。やっ
との思いで辿りついたのだと思う。弱々しい囀りが宮路山の谷間から消えたのはつい最近のことだ。サクラと共にやって来たコマドリ。なぜいなく
なってしまったのか。残念でならない。駐車場は空っぽであった。標高300メートルの西切山林道をセンサスする。カケス、アカゲラ、アオゲラとい
った大きな鳥たちがペアを作り営巣の準備をしている。実に見応えがある。エナガの一羽が、自分の羽を抜いてそれを咥えたまま飛び去っていっ
た。巣材に用いるのであろう。コマドリの声は結局なかったが、センダイムシクイはすでにやって来ていた。特徴のある節回しでかなり勢いよく囀り
をしていた。山の夏鳥の第一号であった。
2010
4
8
室林道ラインセンサス
サクラがどんどん散ってゆく。室林道はさながらピンクの絨毯になった。緑が益々濃くなり一年でも一番の美しさだと思う。(私は秋の紅葉よりも若
葉の方が好きだ)オオルリの囀りを探してみたがやはり駄目であった。センダイムシクイはすっかり定着した。コマドリも見逃せない。可能性は低
いと思うが頑張って探してみよう。サシバが林道を旋回するようになった。うまく繁殖してくれるとよいが。
西暦
月
日
メモ
2010
4
9
西切山林道ラインセンサス
ついにコマドリの囀りを確認した。その喜び、感動は計り知れない程。もうだめかと思っていた。それが、小声ではあるけれども2回、はっきりと聞く
ことができた。2年間のあいだ音羽の地ではコマドリは鳴かなかった。コースが変わったのか、とか、数が減ったのでは、とか、様々のことを思い
浮かべた。そのことは、もしかして当っているのかもしれない。しかし、再びこの地でコマドリが聞かれることが何よりの素晴らしさと思う。室林道や
観音山でも見つかるかもしれない。ここ2週間が勝負である。
2010
4
11
室林道ラインセンサス
夏鳥の飛来状況を確認した。一昨日には宮路山にある林道で2年ぶりにコマドリを確認。そんなこともあって室林道にも足繁く通っている。結果は
、すでに飛来したセンンダイムシクイとヤブサメがいたのみで新たに確認した種はなかった。ウグイスの囀りはますます熱を帯び、ある個体などは
梢の先で(まるでホオジロのように)囀っている。普段は姿さえ見るのは難しいウグイスではあるが撮影するにはまことに好都合。囀りにもいかに
多くのエネルビーを使っているのかは喉を膨らます様子からもうかがえる。オス同士の直接的な戦いは見られないが、囀り合戦でも決して体は楽
ではないのだ。冬を室林道で過ごした鳥たちのうち、クロジはまだ林の暗がりで採餌しているが、ルリビタキは姿を消したようだ。(民家付近ではジ
ョウビタキやアオジが残っている)風がないのにサクラは花びらを落とし続ける。昆虫たちの受粉はまんべんなく出来たのであろうか。
2010
4
14
室林道ラインセンサス
サクラが散り始めたというのに寒い朝。室林道にも強風が吹いていた。室林道とほぼ並行に走る高圧線の唸り音も真冬以上の大きさであった。
あらかた散ってしまったソメイヨシノの並木に驚くほどの数のメジロがいた。満開時で多かったのはヒヨドリであったが、今度は、メジロ大挙してサ
クラに群がっていたのだった。コマドリにも注意を払った。しかし、気配は全く無かった。オオルリはどうだろうか。この強風では、いたとしても鳴か
ないかもしれない。そんなであまり期待はしていなかった。ところが、高圧線と山全体が唸り声をあげている中から、あの懐かしい歌声が聞こえて
きたのだった。それも2ヶ所から。うれしいのとほっとした気持ちが同時にわいてきた。今年も萩小の子たちが設置した巣箱で営巣してくれたらす
ばらしいのであるが。
2010
4
17
宮路山
今年も、土曜探鳥会は宮路山から始まった。参加する子どもたちは11名。それと、大人4名。赤坂駅に集合したときには風も強くて寒いほどであ
った。しかし、宮路山の頂上は意外にもぽかぽか陽気で、のんびりとした日を過ごすことができた。音羽川では、最後にカワセミまで出現して皆を
喜ばせた。アオサギ、カルガモ、カワウといった水辺の代表格もバッチリだ。赤坂の町を抜け宮路山への登山道を進むと、ツツピー・ツツピーとヤ
マガラが囀っている。車の来ない登山道を進むと、センダイムシクイとヤブサメが迎えてくれた。子供たちは走るように坂を上ってゆく。全くもって
元気なものだ。山頂直下で提案した。このまま山頂に登っても鳥の姿は少ない。だから、オオルリとコマドリを探しに行こうと。これは結構プレッシ
ャーである。もしも見られなかったら?。そんな不安を吹き飛ばしてくれたのがオオルリでもコマドリでもなくきれいなキビタキであった。道端の樹に
とまったり地上に下りたりを繰り返している。まるでキセキレイのように我々が近づくと先に進み、近づくのを待っているといった行動をくりかえした
。これは珍しいことである。残念ながらコマドリの手がかりは無かったが、オオルリの歌は風に乗ってかすかに聞こえてきたのだった。子供たちは
山頂へ一気に上った。樹の隠れ家は秋の台風で半分くらいが無残に折れ、葉っぱは茶色く枯れていた。それでも大層気に入っているらしく、弁当
を食べた後そこで遊んだ。風が心配であったが幸にも穏やかでのんびりとした時間を過した。
2010
4
20
室林道ラインセンサス
キビタキが夏鳥に加わった。まだ本格的な囀りは行なっていないがオスの成鳥が鮮やかな姿を見せてくれた。その近くにオオルリがいて、こちら
の方は、かなりの声量で囀っていた。その声を聞いて思ったのであるが、よく聞く節回しとかなり違っていたのだ。オオルリの歌は個体差がかなり
あるように思う。時には、キビタキの節を使わせてもらってもいる。今日の個体は、あまりキビタキのものはなかったように聞こえた。カケスが奇妙
な声をあげていた。それよりもカケスがまだいたことに興味を覚えた。繁殖はもっと山奥でやっているのだと思っていたから。
西暦
月
日
メモ
2010
4
24
寺ノ入林道ラインセンサス
1ヶ月あまり行ってなかったので気が気ではなかった。夏鳥や冬鳥たちはどんな様子だろう。標高が高い分鳥たちの様子も違っているのだろうか
?。新芽の吹き方やサクラの散り具合など植物は平地とは確実に違っていると思う。最初に出迎えてくれたのは3羽のノスリであった。どういう関
係かは分からないが2羽が接近を繰り返して飛んでいた。薄暗い杉林からはかなりの個体数のクロジがいた。夏鳥では、センダイムシクイとヤブ
サメは来ていた。オオルリの声もしたが数は少ない。沢沿いに進むと急にミソサザイが大きな声で囀りだした。あまりに突然であったのでびっくりし
た。センサスの最後にはアマツバメとサンショウクイを確認。この2羽は自分の好きな鳥のベスト3に入る。これには嬉しいやら驚いたやらである。
寺ノ入林道に行くと期待以上の出会いがあるように思う。私にとってとても大切なフィールドである。
2010
4
26
室林道ラインセンサス
ついに室林道でコマドリが鳴いた。オオルリやキビタキもやってきて賑やかになった室林道ではあるが、どうしても見たい鳥があった。コマドリであ
る。もともとコマドリは音羽の地では繁殖しない。南国から飛来して繁殖地に向かうまでの休息の地であるのだ。サクラの花が咲く4月上旬頃に順
次やってきて4月末には見られなくなる。今年もコマドリを探して音羽を歩いた。その結果、4月6日に3年ぶりに宮路山で確認することができたの
だった。その後は全く見ることはなかったのであるが、もう諦めていたころ思いがけなく室林道で囀りを聞いたわけだ。うれしいと言うよりもびっくり
した。とっさに思いついたのは山口さんに連絡しようということ。携帯で連絡をとるとすぐに来るとのこと。山口さんとコマドリのようすを伺う。囀りの
間隔で2個体で鳴いているのではとの結論になった。つがいを作って繁殖地に向かっている可能性がある。山口さんと別れそのままラインセンサ
スを続けたところ、別の場所でコマドリを確認することができた。この日は、オオルリのオス(成鳥)2羽が縄張り争をする光景も見られ大きな収穫
があった。
2010
4
29
蛇峠山
恒例になった会社友人とのバードウォッチングを南信州で行なった。友人宅に行くまでが大変であった。東名は渋滞、その上に土砂降りに見舞わ
れた。蛇峠山に到着した頃には天気が上がるであろうと踏んでいたがさっぱり雲は切れてこない。結局、山頂の登山は諦めざるを得なかった。気
落ちして下山していた時に、一気に暗い気持ちを晴らしてくれる事が起きた。沢が橋の下を流れる所でコマドリが一声鳴いたのだ。その声が大層
力強いもので、すぐ近くにいることを示していた。車の外に出たら逃げられてしまうと思い中から様子をうかがった。岩石がごろごろした岩場の林
をコマドリがちょこちょこ歩いているではないか。友人に見えたか聞く。見えると応える。自身コマドリの姿を見るのは本当に10年ぶり以上である。
(囀りは毎年聞いているが)レンガ色の体が懐かしかった。車から出ると寒さが身にしみた。(多分数度以下であろう)沢を登ってみようということに
なった。霧は晴れて空も明るくなったようだ。隣の横岳あたりは日も当っている。そうなると元気が出る。コマドリに続いてミソサザイが美声を聞か
せてくれる。さらに、ヒガラ、コガラ、ゴジュウカラもやって来た。落胆から有頂天へ。この変わり様は何だと思う。最後まで諦めてはいけないと言う
ことだ。
2010
4
30
あららぎ高原(三階峰)
ほぼ茶臼山と同じ標高で山頂まで林道が通っている。しかし、観光化した茶臼山とは随分雰囲気は違う。静かな山を山頂まで一気に上った。東
は飯田市街のパノラマが広がる絶景である。中央アルプスの白銀もよく見える。右手には南アルプスの3000メートル峰。西側に回ると、眼下に
あららぎCCのグリーンが飛び込んでくる。それを見上げると、三階峰よりも500メートも高く大川入山がそびえ、さらに高い恵那山まで一望できる
。恵那山に向かい直線上の白い線が見えた。登山道であろう。山頂で途中買ってきたパンを食べる。すっかり雲は掃われ真っ青な空が広がるば
かりだ。それに暖かい。つい先ほどまで寒さにふるえていたのが嘘のようだ。空にノスリが舞う。のどかだ。そこへびっくりする事が起きた。(今日
はびっくり仰天ばかりである)ノスリがいきなり崖に(道路から1メートルくらの高さ)へばりつく様に下りた。羽をバタつかしていて何が起きたのか見
当がつかない。その後反対側のガードレールにしがみ付いたときに様子が分かった。彼の鋭いくちばしには尻尾がよく見えるネズミらしき物があ
ったのだ。先ほどの行動はネズミを捕まえていたのだ。友人も「こんなの初めて」と興奮気味であった。絶景も見たし、珍しい鳥たちにもあえた。下
山して温泉につかろう。
夜には近くの温泉旅館で炭焼きの食事を楽しんだ。その前に2度目の温泉に入った。露天風呂があったので少し肌寒くはなっていたが湯船につ
かり空を眺めていた。すると、東の空低く南から北に移動する光を見た。すぐにこの光の正体は分かった。2日前の新聞に載っていたのだ。宇宙
ステーションが日本上空を通過することが。
西暦
月
日
メモ
2010
5
1
プリンス・アイスワールド2010横浜公演
バンクーバーオリンピックとミラノ世界選手権、日本人選手はよくやったと思う。ゲストスケータに名を連ねているメダリストをひと目見ようと大勢の
人が会場にやってきた。自分も、大ちゃんや明子さんを見たいと思うが、一番はやはり荒川さん。4年間見てきたが、まいとし毎年進化している、
精進している姿に感動しっぱなしだ。アマチュアの頃と比べ目標を持つのが難しいと思うのであるが、彼女の場合、プロになって真価が発揮され
ているように思えてならない。席は向こう正面であまり良い場所ではない。レギュラーは八木沼純子率いるアイスワールドチーム、本田武史、荒
川静香、太田由希奈、外国人ペア、ゲストは、高橋大輔、鈴木明子。由希奈さんは是非見たかったスケーターであった。その彼女がアイスワール
ドの一員になったと聞いたときには、これで見ることができると喜んだ。足の怪我さえなかったらオリンピックの有力候補であった。2006年ドリー
ムオンアイスでの白鳥の湖の演技ですっかりファンになった。つま先まで神経の行き届くといったらよいだろうか。明子さんはオリンピックで大活躍
した。拒食症をのり越えての演技は自信にあふれ、彼女にしかない(真央ちゃんでもできない)世界をしっかり持ったスケーターであることが分か
った。大ちゃんはこの日一番の拍手で迎えられた。無理もない。曲は分からなかったが、トリプルルッツは芸術品だ。トリプルアクセルを飛んでくれ
たばかりか、フィナーレでは4回転まで成功させた。アイスワールドチームも様々なシーンを素晴らしいスケートと演技、華やかな衣装と笑顔で楽
しませてくれた。スケートの特長であるスピーディーな場面変換はいつ見ても感心させられる。と同時に、1人何役もこなすのは大変だと思う。ソロ
スケーターには無い凄さをいつも感じる。異色スケーターなのは章枝さんの妹である村主千佳さん。ほとんどスケートはしなかった。空中バレイを
披露したのだ。表情も際立っていたように思えた。静香さんはフラメンコ姿で現われた。アベ・マリアやユーレイズミーアップは優雅さ、キャンディー
マン、リッスンはジャズ調、夕顔は和風、そしてフラメンコ、次から次へ新しい世界を切り開いていった彼女、今に満足せず、まさに金メダルがスタ
ートであるといった4年前の言葉をしっかり守ってやっているのが良く分かる。背が高い彼女はなんでも似合うが色白なのでフラメンコの黒い衣装
は良かった。すばらしい演技はあっというまに終ってしまう。本当に時間が短く感じるのだ。今では荒川さんの右に出るプロスケーターはいないの
ではと思わせるほどの素晴らしさ。アイスワールドは外せない理由のひとつは、フィナーレー後のスケーターとの交流であろう。目当てのスケータ
ーを間近にすることができるのはファンにとって他に無い嬉しいことである。荒川さんはずっと最後の位置にいたが今年は、大ちゃん明子さんに場
所を譲った。彼女は決して悔しいなどとは思っていないだろう。弟、妹のようにしている二人を祝福しているに違いない。
2010
5
2
高嶺
友人たちはゴルフに、自分は野鳥を見に、朝食のあと別れ今度は高嶺に向かった。蛇峠山でコマドリにあえた、高嶺ではどうであろうか?。期待
は高まる。高嶺も麓はカラマツが芽吹いていた。麓は緑なのに山頂付近ではまだ灰色っぽい。中腹の黄緑色したカラマツ林の谷を見下ろすポイ
ントで車を止め、エンジンを切って鳥の声を聞いた。(エンジンの音は野鳥観察にはやはり邪魔になる)ここでミソサザイの声が聞かれる筈なのに
。ところがもっと凄い鳥の声が聞こえたのだ。コマドリとコルリである。似たような鳴き方をするがやはりコマドリに軍配をあげたくなる。その両方が
鳴いていた。もう有頂天である。
2010
5
2
茶臼山ラインセンサス
蛇峠山と高嶺にコマドリがいた。そうなると茶臼山もと思うのは仕方あるまい。駐車場に車を止めいつものコースをセンサスした。子供の日も間近
。スキー場には数十匹のこいのぼりが泳いでいた。コマドリの声に耳をそばだててみたが思うようにはいかないものだ。次から次へとオートバイが
爆音を立てて通り過ぎてよく。車並に消音してもらいたい。それに、なんでわざわざこんな所で爆音を立てなければならないのか。周回道路が広く
なり車が増えたのとコマドリが茶臼山から消えたのは、相関関係にあるのではと心の内では思っている。センサスコースも昔はしっとりしていたが
、今は、ドライコースなのだ。これでは鳥たちも棲みにくいだろう。道路から離れて林の奥深くに行かないと会うことはできないのかと思う。路沿い
から森の中へ進んでみるとそこここで小鳥の姿を見ることができる。ゴジュウカラ、キビタキ、ミソサザイ、コガラ、ヒガラ、いずれもスズメ大の小さ
な鳥である。繁殖時期のあわただしさを感じることができる。結局、コマドリは確認できなかったが、もう少し様子をみようと思う。茶臼山高原道路
を家路に急いだが、車窓から聞こえるオオルリの囀りが耳に残った。
2010
5
4
室林道ラインセンサス
今は、夏鳥たちが室林道に来て縄張りを争っている様子をひんぱんに見ることができる、数少ないチャンスの時だ。オオルリやキビタキといった
姿も声も美しい鳥(オス)たちも、自分の子孫を残すことにかけてはし烈な争いになる。それこそぶつかり合いの現場を何度も見ることになる。最
初は、囀り合戦のようであったものが、鳴き声の様子が変わりただならぬ状況であることがこちらの方にもはっきり分かるようになると、ハチのよう
にブーンと羽音を立て接近戦に入るのである。繁みや樹木の枝に隠れてははっきりとは見えないことが多いが、きっと、オス同士の意地の張り合
いが繰りひろげられているのだと思う。今日は、キビタキのそんな様子を見たが、少し前にはオオルリが同じことをやっていた。サンショウクイも来
ていた。この鳥は近年室林道で(萩町一円でも)頻繁に確認できるようになった。好きな鳥なので喜ばしいことだ。
西暦
月
日
メモ
2010
5
5
観音山ラインセンサス
メスのオオルリが少しばかりたどたどしく(オスのような艶のある声ではないが)、間違いなく地鳴きではない、節回しのはっきり分かる鳴き声を聞
かせてくれた。オオルリはメスも囀りをすることは存外知られていない。コマドリもそうだ。囀りがオスの専売特許のように思われているが、どの世
界にも例外はあるのだ。そのメスのオオルリは観音山の中腹にいた。少し離れた場所からは、メスよりもずっとうまくこなしているオスの歌がきこ
えてくる。しかし、私には、ありきたりの歌よりもずっと印象深いものであった。疑問は、何に対しての歌であるのかということ。オスへなのか、同じ
メスにへなのか。それとも自身へなのか?。観音山林道をさらに登ってゆくと暗い林からピュと鋭い声がした。ニホンシカだ。萩町でシカは珍しくは
ない。けれども出合って嬉しいものではない相手だ。子持ちの母親は特に危険。もうすこし先までいってみたい気もあったがここで引き返すことに
した。
2010
5
8
室林道
朝から気持ちのよいそよ風がそよぐ探鳥会日よりとなった。集まった子どもは11名となかなかにぎやかだ。今日の目当ては室林道の人気鳥であ
るオオルリとキビタキだ。その願いはスタートの萩小から数百メートルで半分かなってしまった。キビタキが木立の中でさえずっていたのだ。姿を
見ようと皆んなで探したがなかなか見つからない。ヒヨドリやメジロも同じ樹木にいたのでキビタキを同定するのは子どもたちには難しかったようだ
。明るい日差しのなかで菖蒲が美しく映えていたし、ヘビイチゴやタンポポの黄色も輝いている。野鳥たちも気分が良いのであろう。メジロやホオ
ジロたちがおもいおもいに歌をかなでる。ヒノキ林が近づくと再びキビタキが現われる。今度は姿をはっきり見つけることができた。子どもたちは正
直だ。興味を引けば真剣になるし、そうでなければ見向きもしない。大人のようなお世辞は通用しない。その意味で、オオルリやキビタチたちの力
はすごいと思う。(本物の持つパワーとも言えよう)残りの願いは室林道に入る直前にかなう。囀りとともに薄暗い林の中にたたずむオオルリの姿
を見つけることができたのだ。ゆったりとした節回しで歌っていたその姿は子どもたちにはどのように写っていたのであろうか。後で子どもたちに、
オオルリ派?、キビタキ派?、聞いてみた。少しキビタチ派が多かったが分からないでもない。オオルリは明るい場所で最高に美しく、キビタキは
薄暗いほうが浮き上がって見えるからだ。今日はオオルリには不利であった。
2010
5
10
前田町
オオヨシキリを見に前田町にやってきた。すぐに目に入ったのは、水田の一角に店が建設されている様子である。事情はあろうが残念なことだ。
特に、オオヨシキリは葦原のような叢が無くなると棲めなくなる可能性が高い鳥だ。こういった場所は生産性が低いので直ぐに埋め立てられてしま
う。数年間の観察でもかなりの面積が埋め立てられて店舗や駐車場になっている。もうオオヨシキリの棲めるところはほんの一握りだ。前田町に
到着し車のドアを開けるとオオヨシキリの囀りがにぎやかに聞こえてきたのには、内心ほっとした。それと、進入者にはだれ構わず向かってゆくケ
リの姿もこの時期の風物詩であろう。ヒメジオンのピンクの花が風に揺れている。水路から引かれた水が田んぼを覆ってゆく。もう少しで田植えが
始まるのだ。
2010
5
14
室林道ラインセンサス
電動バイクで室林道への坂道を登ってゆくとオオルリやキビタキの囀りが聞こえてくる。結局、オオルリはこの1個体と室林道でのもう1個体だけ
で、キビタキがあちこちで囀ずっているのと対照的であった。林道から眺める景色はとてもくっきりしていてそれだけで得した気分である。そして、
室林道を歩き出したらいきなりサプライズ。サンコウチョウが鳴いた。実は、昨日、家の裏でサンコウチョウが鳴いたのをきいた。これが、今年初
めてのサンコウチョウだった。明日、萩小の、親子探鳥会が開かれる。天気は心配なさそうである。サンコウチョウが現われてくれたら最高なのだ
が(子どもたちの人気は抜群)。シイの樹(だと思うが)の枝先は薄黄色の花で覆われている。落葉樹の新緑はむろんきれいだが、このような、常
緑樹の新緑も(落葉樹ほど派手ではないが)なかなかのものである。
西暦
月
日
メモ
2010
5
20
寺ノ入林道ラインセンサス
我が家の庭からサンショウクイが飛翔する。もう、寺ノ入林道へ行かなくてもサンショウクイが見られるのだ。では、マイフィールドから寺ノ入林道
を消し去ってよいのか?。とんでもない事だ。寺ノ入林道は、今まさに新緑に溢れかえっていた。間伐の終えたヒノキ・スギ林の林床にも、シロモ
ジなどの低木が、太陽の光を浴びて一面に若い緑を広げている。手入れの行き届かない人工林の林床には緑なんて全く無い。それに比べ何と
気持ちのよい林であろうか。林の樹冠からはキクイタダキの透きとおる囀りが、林床からはヤブサメの鳥とは思えない(秋の虫のような)鳴き声が
する。黄緑色の中にポツポツと紫のフジや赤色のアブラツツジがある。両者とも初夏の野山には馴染みのものだ。もう暫くするとササユリの清楚
な花が見られることだろう。午後からのセンサスにも関わらず小鳥の声で溢れていた。キビタキ、ヒガラ、シジュウカラ、センダイムシクイ、ウグイス
などは今盛と囀っている。山菜取りの人に出合った。彼曰く、「ハチクマはもう来ている?」。「まだ見てないです」。「ヘボが皆食べられてしまう」。(
ヘボとはクロスズメバチのこと。幼虫は食用にされていて三河湖の名物)寺ノ入林道はハチクマの繁殖地でもある。ヘボ料理とハチクマ。切り離せ
ない仲なのかもしれない。
2010
5
22
土曜探鳥会 羽根・長根
萩小で子どもたちを待っていたら、校庭を、コシアカツバメが2羽飛翔していた。残念、もう10分後に現われてくれたらよかったのに。万事が、自然
相手のことは、人間の思うようにはいかないものだ。集まってくれた子どもたちは9人、それと、大人2人で、もう夏のような日差しの中を歩き始め
た。その前に、今日は、国際生物多様性の日である旨を話したら、先生から、学校でも6年生が全校児童に向けメッセージを発した事を教えてい
ただいた。ナチュラリストを育てることは生物多様性の保護には欠かせないと思う。土曜探鳥会も少しはお役に立っているのかな?。羽根・長根
の田んぼは、地味ではあるが、四季の野鳥観察を継続して、それも、1年限りではなく毎年行なってゆくことで、とても意義あることと自負している
。途中、ホオジロのソングポストでの囀りや、ダイサギの飛翔を観察した。羽根・長根の田んぼでは、ツバメのように軽やかに飛ぶコチドリ、けたた
ましい鳴き声のケリ、声はすれど姿が見えないセッカなどを観察。低学年の子たちが積極的にスコープをかついでくれた。将来が楽しみ。たぶん
言いだすだろうと予想はしていた。「長根川に入りたい」の言葉を聞き、一度は「だめっ」と行ってはみたものの、自分自身が入りたいと思うこの上
天気である。川でのんびりしていたミミズも災難である。子どもたちのすばやい手で捕まってしまった。もっとも直ぐに川へ帰されたが。学校に戻る
と、校庭のサクラからキビタキの歌が聞こえる。これには、驚いたというよりもあきれてしまった。常々、萩は野鳥の豊富さでは稀にみる特異点、と
自画自賛している私、しかし、「これはやりすぎだよキビタキ君」といいたい気分だ。
2010
5
22
室林道ラインセンサス
探鳥会の後、昼食をとって、休む間もなく室林道へと向かった。午後を回ると、野鳥のほうも一服するものであるが、今日の室林道はなかなかに
ぎやかであった。(三河湖寺ノ入林道でも同様であった)やはり、今が1年で最も鳥たちが活動的な季節なのだ。被托卵種の営巣・育雛が始まっ
たのを見定めてホトトギスがやってきたのは少し前。今日は、そのホトトギスが雷鳴のような勢いで鳴いていた。それに呼応するかのように、被托
卵鳥であるウグイスが一斉に鳴く。そのやり取りは、想像するだけではあるが面白いものだ。以前、山口さんが、オオルリの個体数の減少を指摘
されたが、自分も、そのように感じている。ライバル(人気鳥としての)であるキビタキは逆に個体数が増えているのである。今のところ、ラインセン
サスで確認できているのは2個体のみである。(以前の半分以下と思う)
2010
5
28
サンショウクイ
数年ほど前から初夏の鳥としてサンショウクイが音羽の里に頻繁に現れるようになった。その昔は、わざわざ、三河湖方面にまで出向いて、お気
に入りの鳥を見にていたのであるが。むろん、音羽の地でも全くいなかったわけではない。たまに室林道であの独特な声を聞いたことはあったが
、多くは、イワツバメの声を聞き違えていたように思う。10以上も前であったか、ある記事でサンショウクイの飛来数が激減していると知ってから
はこの鳥への思い入れがさらに増したように思う。三河湖では、一度だけ育雛を観察したことがあった。アカマツの梢近くに巣があり、スコープで
見る限りでは、それの外観はコケで覆われていた。オスとメスが交互にヒナに餌を運んでいるように見えた。姿はセキレイに似たスマートな体形で
、ヒバリのように鳴きながら飛翔することが多い。(そういえば、鳴かずに飛ぶ姿は見たことがない)飛形も独特。直線状に飛ぶのではなく、かとい
って、ヒヨドリやセキレイのように波形でもない。直線に近い波形で大きな円を描くようにして飛び回っている。真下から眺めると翼に白い線が入っ
ているのがよく分かる。毎朝散歩をしていると、裏山でサンショウクイが、ヒリリ・ヒリリと大きな声で鳴いている。足を止め様子を見ていると、やが
て彼(もしくは彼女)は上空を旋回し始め、しばらくして、神社の境内にあるクスノキに消える。そんな光景を毎日繰り返している。散歩の途中でも
、勿論別の個体と思われるが、少なくとも3ヶ所で確認できている。この分では三河湖よりも個体数は多いのではと思う程。なにがサンショウクイに
起きているのであろうか。ますます知りたくなる。
西暦
月
日
メモ
2010
5
30
羽根・長根の田んぼ
昨日とは雲の流れて行く先が正反対になっている。道理で少し蒸暑い。けれども早苗が水面にへばり付くほどの気持ちよい風のおかげでセンサ
スもはかどる。センサスのコースも少し変えて、東名近くまで歩いてみた。少しだけの変化が存外知らなかった風景を作るものである。ダイサギが
餌を啄ばんでいる。11羽いたが2羽はくちばしが黄色である。サギの中でも本種とチュウサギはくちばしの色が変化する。(夏:黒、冬:黄)セッカ
とヒバリがさえずる。メスへのアッピールというよりも、自分の子どもを育てるために必要な縄張りを守るためではなかろうか。すでにヒナをかえし
一緒に行動している鳥もいる。長根川で一緒に採餌しているセグロセキレイに出会った。昔は冬鳥として認識していたハクセキレイも通年見ること
ができる。数を減らした種がある一方でハクセキレイのような例もあるのだ。田んぼのあぜはシロツメクサで占領されている。少し見える黄色いの
はヘビイチゴである。
2010
5
30
室林道ラインセンサス
キビタキの地鳴きと思っていたら違っていた。そこにはセンダイムシクイの姿。そうだった。センダイムシクイとキビタキとは、地鳴きに関しては大
変よく似ていた事を思い出した。地鳴きは囀りよりも地味ではあるが、興味深い点ではなんら変わらない。このセンダイムシクイの場合も、2羽の
個体が寄り添うように行動しているのが、明るい広葉樹の枝の中に垣間見られた。ヒヨコのような地鳴き。これは、キビタキにも当てはまる。しいて
言うとセンダイムシクイのほうが力強い感じがする。冬鳥のジョウビタキと夏鳥のエゾムシクイも間違えやすい地鳴きをする。エゾムシクイのほう
が強い声を出すのである。センダイムシクイは大変地味な鳥だ。地上に下りてくることもない。体の色に似た木の葉の陰に隠れて生活する。その
点キビタキの方が目立つ。しかし、今鳴いているセンダイムシクイの地鳴きの声は、キビタキよりも力強かった。
2010
5
31
蛇峠山
4月29日にコマドリを見た場所にやって来た。ついつい柳の下のどじょうを期待してしまう(現実はそれほで甘くはない)。別荘帯では、オオルリ、
ヒガラ、キセキレイなどを確認。そして、沢の問題の場所へ、様子は当然ながら随分と変わっていた。新緑が一面を覆っている。そしてコマドリは、
残念ながら確認することはできなかった。ただし、別の場所で素晴らしい囀りを聞かせてくれたのであるが。それは見事な声であった。元に戻って
、前と同様に沢を50メートルほで登ってみた。すると、あまり聞きなれない声がする。警戒の声であろうと思った。ただし、鳥の名前が出てこない。
一番大きく聞こえる点を凝視。すると、そこにいたのは、小さな体に、尾羽をピンと立てたミソサザイではないか。周りにも動くものがいる。ヒナだ。
どうやら家族の群と遭遇したようなのだ。警戒の声はオス(囀りを交えたので)。ヒナの体はまだ黒い毛が残っている。数羽以上はいたのではなか
ろうか。こんな光景は初めてである。ある程度の距離を保って観察させてもらうことに。手元にはコンパクトカメラしかないが記録写真として撮影す
る。オスは私への警戒を怠ることなく、ヒナたちを安全な所に移そうとしていた。当然、メスの親がその役割を担っているに違いない。それにしても
、凄い場面になったものだ。ミソ君申し訳ない。すこしばかりいてその場を離れた。その先では、ゴジュウカラの群が幹を登ったり下ったりの、これ
また見応えある様子を観察する。馬の背から先は徒歩。そこで、コマドリの美声を聞いた。声の大きさからして、囀り個体とは目と鼻の先くらいだ
ろう。懸命に姿をさがしたのであるが声は少しずつ遠くなってゆく。すぐそばでコルリも鳴いた。やはりコマドリの方が上物だ。天気が怪しくなり山
頂は断念し帰途に着く。
2010
5
31
茶臼山ラインセンサス
初夏の茶臼山、カッコウやアカハラたちの声がこだまする、そんなイメージが私の頭に刷り込まれている。到着してみると、描いたとおりの光景大
いに満足する。地元では、スキー客以外にもお客を呼ぼうと数年前から萩太郎山の山頂にピンクのシバザクラを植えていた。それが実を結び、今
、沢山の観光客が訪れているのである。そんなで、普段は無料の駐車場が有料になっていたのは仕方がないか。カッコウもアカハラも、この声を
聞くと、いかにも高原に来たな、と思わせる鳥である。それとコマドリ。残念なことに、コマドリの声は今回も聞くことができなかった。カッコウととも
に托卵するのがホトトギス。カッコウののんびりとした声とは対照的な空気をつんざく声。ホトトギスが鳴くと付近のウグイスたち被托卵鳥は、一斉
に鳴き声を上げ警戒するようである。あてびの森に入ってみた。小鳥の森とも呼ばれ、宿泊小屋と茶家があって鳥好きたちが利用している。森の
中は静寂に包まれ聞こえるのは鳥の声ばかり、と普段は言えるのであるが、今日は、爆音を立ててヘリコプターが上空を旋回していた。きっと、お
茶の間のテレビにはシバザクラが美しく映っていたのではなかろうか。ヘリが去ってみると、コルリ、キクイタダキ、ミソサザイといった小鳥の囀り
が聞かれた。ここでもコマドリの声は皆無であった。
西暦
月
日
メモ
2010
6
4
室林道ラインセンサス
日の当る所と、日陰の場所とのコントラストがとても強い。瞳孔はめまぐるしく変わることを要求される。それが初夏の野鳥観察である。例えば、シ
イの樹には若いヤマガラたちが群になっていた。若鳥はもともと成鳥に比べコントラストが弱い、そこへ持ってきて薄暗い中にいる。これはどうして
も観察対象としては手ごわいことになる。そろそろ幼鳥が独り立ちして行動するのを見るようになった。ヤマガラやエナガたちの羽色を注意して見
なければならない。センサスの一番の楽しみは、思いもよらなかった場面に遭遇することだろう。中にはドキッとすることもある。例えば、大きな動
物に出会った時など。イノシシやシカは正直怖いと思う。今日のは大丈夫であった。のこのことやってきたのはコジュケイの夫婦。こちらに気が付
かなかったのか10メートルくらいまで接近した。ようやく、これはいけないと思ったのか逃げる体制に入ったが、後になって(撮影した映像で)分か
ったのは、オスのほうがさっさと先に逃げたみたいなのだ。安全な茂みにはいってから妻から一言あったのでは。
2010
6
5
観音山
水銀柱はどんどん上がっていることだろう。雲は一つもなく、ほぼ真上から照りつける太陽は強烈だ。校庭はからからで少しの風で砂埃が立つ。
少し弱気な気分を奮い立ててくれたのはやはり子供たちだ。なんと13人も参加してくれたのだ。観音山でサンコウチョウを見るのが目的。ところ
が、萩小から直線距離で500メートル以内で早々とサンコウチョウが鳴いていたのだった。この結果は納得できる。近年、サンコウチョウの個体
数が、萩町だけに限ってみれば、増加傾向にあるのだ。薄暗い環境を好むサンコウチョウとしては、手入れがあまりされていない森は好都合なの
では。しばらくは山陰川沿いに進んでゆく。すると、イワツバメの個体数が急に増加する。橋の下に巣を造って、餌を捕るたびに橋をくぐっている。
川の音は涼しさを倍加してくれる。今は見た目あまり良い川とはいえないが、何とか再生できないものだろうか。野鳥にとっては今でも大切な川だ
。カワセミはその代表であるが、今日も、河岸の縁から魚を探すカワセミの姿を観察することができた。すこしくすんでいる羽色はこの個体が成鳥
ではないことを現していた。こんな場合には望遠鏡が威力を発揮する。きっと、いつまでも記憶に残ってくれるだろう。観音山への上りは暑さもあっ
てきつかった。一休みのあと観音山の林の中に進んだ。歩きにくい道に子供たちは手こずったことだろう。倒木に腰をかけてサンコウチョウの出
現を待った。その姿を見て、数年前にも似た光景があったことを思い出した。
2010
6
13
室林道ラインセンサス
室林道に来る途中で大勢のハンターに出合った。彼らは、有害獣駆除の委託を受けた人たちである。有害獣とは、農作物への食害を与えるイノ
シシやシカが対象となる。シカなどは、以前は、植林した若木の食害が中心であったと思う。それが今では民家まで出没し、農作物を食害するよ
うに変わってきた。一方では、絶滅を心配しなければならない種もいるのは、今まさに、人が気付かないうちに、生存競争が激しく行われているこ
との証明になるのでは。今問題にしているのは、ヒトという種が絶滅に大きな役割を果たしている(皮肉っぽく言えば)ということと、特定の種が異
常に繁栄している手助けをしているのではなかろうか。それも、環境にうまく適応していると言ってしまえばそれまでだが。室林道の入り口でサン
コウチョウの姿を確認した。囀りをしていたのは尾羽の短いメスであった。一方で、近くからも囀りが聞かれたのでつがい相手もいるのは間違いな
いだろう。センサスで活発に囀りしていたのは、ウグイスとキビタキの2種であった。メジロ・ホオジロ・センダイムシクイも囀ってはいるが数は少な
い。ウツギの白い花もほとんど散り、代わって、ムラサキシキブの桃色の小さな花が開き始めた。頭の上からもテイカカズラの薄黄色が花が垂れ
下がっている。ギヨッとする光景に出くわす。マムシがいたのだ。ただし、車に轢かれたのか既に死んでいた。羽アリが12匹で行進するのも面白
かった。
西暦
月
日
メモ
2010
6
15
富士山
富士市の天気予報を見たら、午前中は曇で午後は雨が降る、とのことであった。富士山は見られなくてもよいと思い(概して天気が良すぎると鳥
の方は見られない、との自分なりのジンクスがあるので)、一年中で最も野鳥が活発なこの時期を逃さないと意を決して家を出たのだった。静岡
市から残雪の富士山が見られた時は思わず笑みが出てしまった。富士市から見た富士山は一層迫力がある。あと野鳥もお願いします!。最初
は1合目の西臼塚駐車場。さらにくっきりと晴れた青空に富士が聳え立つ。ここまでの道中でも、ミソサザイやキビタキの囀りが聞かれたが、駐車
場では、ウグイス、ホトトギス、シジュウカラが、メボソムシクイを確認することができた。2合目は標高1600メートルと高鉢駐車場である。散策路
の存在を知ってから私にとってこの場所は、富士山の野鳥の中心フィールドとなった。ほんの5分も歩けば原生林に迷い込んだ気がするのである
。中心となるのはメボソムシクイである。この鳥は高山で繁殖する。対抗馬はルリビタキか。この鳥も繁殖は高い所で行っている。真冬には室林
道でも見られ懐かしい友人に逢ったようだ。コルリやミソサザイ、キクイタダキと声の美しい鳥たちが一斉に鳴くのは実に壮観だ。3合目2000メー
トル七曲駐車場。ここの一押しはビンズイであろう。この鳥も、ルリビタキと同じで、冬になると山陰川の草むらで採餌する姿を頻繁に見かける。そ
れがここ富士山では、カラマツの梢に陣取ったビンズイのオスがミソサザイばりの美声を聞かせていた。2500メートルの五合目では自動車道路
を離れ尾根で一休みした。自動車道から50メートルしか入っていないのであるが、富士山の懐に抱かれている気分をひしひしと感じる事ができ
た。ルリビタキの聞き慣れた地鳴きがあった。目を凝らすとメスらしい姿がある。なにか咥えている。たぶんヒナに与える食べ物ではなかろうか。
目線よりも低いところを雲が流れてゆく。山の天気はネコの目のよう。あっという間に青空は消え霧につつまれてしまった。天気予報は正確であっ
た。東名を半ばほど来たところで雨足が強くなってきたのだ。
2010
6
18
寺ノ入林道ラインセンサス
カサをさしてラインセンサスをおこなった。カサをさしてバードウォッチングをやることはそんなに嫌いではない。けれども、時間をかけて雨の中を
出かける必要があるかと問われたら、返事に困ってしまうだろう。ただ雨の中を歩きたかったのだ。雨粒が大きくてカサに当る音もかなりのもので
ある。これが問題であった。野鳥の声がかき消されてしまうのだ。聞こえるのは大声の持ち主ばかり。ヒヨドリ、カケス、ハシブトガラスたちである。
そんな中で、ソングポストで囀っているオオルリのオスを発見したと時には、まあ雨の中でご苦労なこと、と驚きあきれてしまった。室林道でもオオ
ルリの個体数はごくわずかだけに、雨の中をはるばるやって来た甲斐があったというものだ。林の中に入ると多少は雨音が弱くなる。そこでヤブ
サメやらシジュウカラやらエナガなどの地鳴きを辛うじて聞くことができた。この靴、防水とあったが中はすっかり濡れてしまった。
2010
6
20
室林道ラインセンサス
萩小の子どもたちが設営したオオルリの巣箱に卵が2個。2年ぶりに営巣を確認した。2個ということは産卵の途中であろうか。山口さんに報告し
たら大変喜んだおられた。それにしてもこの形の巣箱の成績の良さには驚いている。初めに見たときには、まさかこの巣箱に入る鳥がいるなんて
想像すらできなかった。今回の営巣で4例目になるのではと記憶している。一方で、室林道におけるオオルリの個体数は減少している。(室林道
ばかりではないように思える、寺ノ入林道でもしかり)だから今回の営巣はとても貴重に思える。ぜひ成功して欲しいものだ。
2010
6
20
羽根・長根の田んぼ
苗はすくすくと成長している。田んぼに水が張られるとそこで生活する鳥たちの種類も変わってくる。今では、カルガモやダイサギ、アオサギといっ
た水辺の鳥を見ることができる。一方で、スズメは個体数を減らしている。これはなにも減少したわけではなく、単により条件の良い所に棲んでい
るのだと思う。数はそんなに多くはないが、セッカやヒバリも繁殖している可能性はある。そういえば、昨晩、関係者とホタルを見て回った。意外に
多いのに驚いた。今では田んぼホタルを見ることは少なくなったが、きれいな水があれば復活できるのではと思う。
2010
6
25
室林道ラインセンサス
最初はオオルリの抱卵の確認だ。6月20日に2個の卵を確認したのが最初であった。それから3日経つので順調にすすめば、親鳥の抱卵が見ら
れるはずである。ちらりと横目で巣を見た。ところが親の姿は見られない。やむえず巣を覗いたところ卵は2個のままであった。すっかり気落ちして
しまったのは言うまでもない。あとは淡々とラインセンサスするしかない。その中でもキビタキのメスが、ヒナに与える餌を咥えていて、近くで、つが
いのオスが私の方を警戒しているのを見たときは、うまく育てて欲しいと心から思った。その近くでは、室林道では数少ないオオルリの囀りが聞こ
える。囀りそのものは美しく力強いものではあるが、はたして、彼の嫁さんはいるのだろうか?。センサスの最後でサシバとホトトギスの声を聞い
た。彼らの遺伝子は首尾よく新しい命に乗り移る事ができたであろうか。
西暦
月
日
メモ
2010
6
28
室林道ラインセンサス
エナガ・センダイムシクイ・メジロたちの混群がつむじ風のように通過していった。中心はエナガの幼鳥で、巣立ちし、独り立ちし、生きてゆくための
努力をまさに実行しているのだ。2度サシバの鳴き声を聞いた。秋の渡りには息子・娘を連れて参加できるか。気になるところではある。
2010
6
30
茶臼山ラインセンサス
国民休暇村の入り口にある草むらでコヨシキリが囀っていた。茶臼山でのコヨシキリの記録は1995年と1998年の2回きり。最初に見たのは、今
日の場所から50メートルほどの所で、今は駐車場になっている。当時はやはり草むらが広がっていて、ヨシキリの好みそうな場所であった。従っ
て、ブルドーザが草むらを踏みにじった時には心底怒りを覚えたものだ。それから15年目にして、我が耳を疑る、コヨシキリの歌を聞いたのだ。茶
臼山の様変わりは愛鳥家としては実に残念。コマドリが去り、代わりに、外来種のソウシチョウが我が家の春を謳歌するのを見ていると、コヨシキ
リの飛来は、自然の優しさを感じさせてくれる。とっくに見捨てられても文句は言えないのであるが。
2010
6
30
蛇峠山ラインセンサス
手っ取り早くコマドリに逢おうと思ったら蛇峠山に登ればよい。茶臼山はもう逢えない。とは言うものの、自然観察で絶対はない。馬の背から登り
始めて10分の場所がコマドリのいる地点。その場所が近づくと耳に全神経を集中させる。ウグイス、ヒガラ、コルリが囀っている。しかし、肝心の
コマドリの声はない。たとえいたとしても鳴いてくれなくては分からないのである。5分くらい待ったがだめである。残念ではあるが歩き始める。
100メートルくらい進んで、後ろの方向から微かにヒンカララ・・・。いるではないか。もっと早く鳴いてくれよ。山頂からは飯田市街がすっきり見えた
。伊那谷の東と西に聳えるアルプスは雲の中だ。見晴らしを良くするために少しばかり木々が犠牲になっているが、北アルプス、中央アルプス、
南アルプスが一望できるのは、さすが、その昔武田勢が、狼煙台をここに造ったことはある。今は、TV、ケイタイ電話の中継基地はむろん、めっ
たにない雨レーダーもあって、普通の山とは一味違う、たいそうお役に立っている山なのである。
2010
7
6
室林道ラインセンサス
もう1年の折り返し点を回ってしまった。昨日、萩町久田野(ハギチョウクダノ)地区で、環境アセスメント調査をしているのを見た。2人で、大きな望
遠鏡(カメラレンズ)を搭載した三脚を2つ並べ、第2東名工事現場の周辺を観察しているのだった。突然、1人がカメラを構えたのを見た私は、運
転中ではあったがごくゆっくりであったので、フロントウインドガラス越しに空を見上げた。そこで見たのはどうやらハチクマらしい姿。そこで、目的
地の家の前に止まり車の中にあるカメラをハチクマに向けたのあった。双眼鏡でも確認した。たぶんハチクマであろう。そう思った。(なにもハチク
マを期待して車に機材を置いていたわけでは決してない)ハチクマは環境省準絶滅危惧種である。室林道は相変わらず野鳥たちの鳴き声で賑や
かであった。それと、朝早いせいもあってコオロギの声も聞かれる。多くの鳥たちの中でもヤブサメが今までになく囀っていることに驚いた。抱卵を
止めてしまったオオルリ。営巣した近くで囀りが聞こえる。何とか秋までには子どもを巣立ちさせて欲しいものである。もう1ヶ所で鳴いているオオ
ルリをとうとうカメラにおさめた。きれいな成鳥である。彼はお嫁さんをうまくつかまえたのであろうか。その近くの空からサシバの声がする。林道
の空は非常に狭くて、空を飛んでいる鳥たちを見るのにはあまり条件が良くない。少しでも空の開けている場所に向かい、しばらく待つことにした
。こういう場合、なかなか現われないのが普通であるのに、幸運にも、それも空の長手方向に、それでもかなりのスピードで横切る姿をカメラに収
めるのに成功した。あらかじめ送電線でピントをあわせておいて出現した時にさらにピンとをあわせるようにした。それでも、なかなかパッチリとは
いかないものだ。
2010
7
11
室林道ラインセンサス
いつも室林道の入り口で囀っていたサンコウチョウがとうとう、その番である姿を現わした。私にとって、オスのリボン状の長い尾羽を見たのはか
なり久しぶりのことである。サンコウチョウはここ萩町では増えていると思う。ひとつは、野山が暗くなっていることがその理由では。つまり、山の手
入れがされていないことが吉と出たのだ。カサをさしながらのラインセンサスではあったが、適度のそよ風も吹いて悪い気分ではない。サンコウチ
ョウの歌を聴いた隣から、今度は、オオルリの歌が聞こえた。私が確認出来ている限り、室林道では2個体のオオルリがいる。ただし、つがいなの
かは分からない。これまた久しぶりにシジュウカラを見つけた。シジュウカラは珍しい鳥では無論ないが、今の時期、鳴き声すら聞かれないことが
多いのである。2個体いたが、1個体は、まだ大人のネクタイをしていない幼鳥であった。アスファルトの林道に花びらが2枚、いま、野山で咲き誇
るネムノキのものであった。なんとなく、鳥の羽に色をつけたようにも見える。
西暦
月
日
メモ
2010
7
15
岡崎市自然観察の森
7月25日に元職場のひとたちと探鳥会を行うにあたり、いい場所がないかなと頭を悩ませている。候補のひとつとして考えたのがここ。しかし、行
ったことがないのではお話にもならない。そこで意を決して、天候も時間もかんばしくはないのだが、岡崎自然体験の森までやって来た訳だ。豊田
市にも同様の施設がある。そこの様子は分かっているのでいろいろ比較する事ができる。駐車場は野山と田んぼに囲まれた所にあった。開門は
8時30分。里山の感じではあるが,
すぐ近くにまで民家が迫っていた。観察の森そのものが団地に囲まれているといってもよい。葦原が隣接しておりオオヨシキリの声が聞こえてい
た。入り口からしばらくは一本道。左手が山で右手に水路があり、感じの良い池が林の中に見え隠れしていた。なにやら撮っている人の姿もある
。これからはトンボやドジョウなどが見られるのかな。管理棟で記帳する。古い農作業道具が展示されていたり、自然の写真も飾ってある。途中の
案内板には7月の予定が掲示されていた。その中に、バードウオッチングもあったようだ。道なりに進むことにした。山の中の散策路もよさそうで
はあるが今日のところは一般道にする。田んぼの上ではツバメが多かったが、山道の両側からは、ヒヨドリの声がが最も多く聞かれた(ほぼ予想
通り)。それから、ウグイス、ホオジロ、キビタキとこれまた予想された鳥の声。管理棟から1キロメートルであずまやに到着。林の中を進むとあづ
まや(展望台)がある。小高い丘といった感じではあるが、眼下の正面には豊田ジャンクション、左手には岡崎の市街地が広がり、なかなか見応
えのある風景だ。さらに奥に進んでみた。今度は、道端の花に目を奪われた。キキョウ、カワラナデシコ、ネジバナが、今の季節としては色鮮やか
な姿を見せてくれていた。ここではたと気がつく。5時に駐車場が閉まるのではなかったけ?。カワラヒワやイカルの鳴き声もする中を急いで引き
返す。キビタキは相変わらずさえずっていた。その側から聞こえるのは?、オオルリだ。この個体、オオルリらしい節まわしで鳴いている。急いで
見て回ったので正しい評価とは言えないが、探鳥会をやるには少し単調な所かなと思う。特に初めての人を楽しませるには。
2010
7
16
寺ノ入林道ラインセンサス
雨が上がったので家を出たのであるが、作手に入ると再び雨粒。寺ノ入林道に着いた頃には本格的な雨となってしまった。仕方が無い、ここは標
高600メートルの山の中なのだから。カサをさして、コンパクトカメラと双眼鏡だけを首から下げ、フィールドノートを濡らさないようにしながら歩き
出した。積乱雲が見えたので雷が心配ではあったが。センサスの前半は雨の中であった。ヒヨドリの声と、時折、キビタキやヤマガラの声が聞こえ
るくらいであった。鳥の声は雨音に消されがちになるのは仕方がないが、そんな中でもヒグラシの声が心にしみるように感じられた。セミの鳴き声
の中でもヒグラシは格別だ。おかげで、本来ならもと聞かれる鳥の声が今日は少なくとも、そんなに残念とは思わないですんだ。センサスの折り
返しにきたら雲間から青空が見えるまで回復し、あれよあれよと言う間に晴れてしまった。この変わり身の早さが山の天気。そうなると野鳥たちも
鬱憤を晴らすかのように鳴き始める。オオルリ、キビタキ、ウグイスといった名歌手は無論、愛知県ではある程度の標高の高い所でしか聞かれな
いヒガラたちも高く澄んだ歌声を聞かせてくれる。雨傘が日傘に早替わりとなる。靴はすっかり濡れてしまったが気分は晴れやかであった。
2010
7
17
室林道ラインセンサス
今年の梅雨明けは7月17日と決まった。見事に天気が変わったのである。昨日は雨の中をセンサスしたので愛用の靴は干してある。少々歩き難
い靴ではあるが仕方がない。500mmのレンズをつけたカメラと三脚は総質量は10kg近い。底のしっかりした靴でなければ歩き難いのだ。サン
コウチョウとオオルリの写真でも撮れたらと考えたからだ。結果は、思うようにはいかないのが世の常のとりになった。そんな中でも、サシバがとま
っている姿を撮影できたことは嬉しかった。とまって鳴いていた個体のつがい相手らしき姿も、一瞬ではあったが、林道脇の樹に止まっていたの
が飛び去るのを見た。大きさと色からサシバではなかろうかと思った次第。ある巣箱付近でシジュウカラのオスが激しく鳴く。普通は遠ざかるのが
全く逃げない。巣箱を中心に移動している。警戒しているようにも見えるのだ。巣箱を利用しているのかもしれない。サンコウチョウとオオルリはい
つもとおり囀っていた。けれどモデルにはなってくれなかったのである。
2010
7
18
龍源禅寺 夜の探鳥会
ひと月ぶりの土曜探鳥会に19人の子どもたちが集まり(7月1回目の探鳥会は茶臼山であったが雨で中止)で力が入った。気象庁お墨付きの梅
雨明けで素晴らしい夕焼けを楽しみ、暗くなるのを待って、目的地、龍源禅寺の境内に入った。ここでヒキガエルのお出迎えを受けるのが恒例に
なっている。立派なヒキガエル君がいた。実に堂々としていて、子どもたちも羨望の目で眺めていた(ように思いたい)。黒門をくぐりいつもの場所
に陣取って息をひそめる。10分間は一言も話さないという子どもたちには苦しい時間を過ごさせた。見事クリアする。ムササビは出なかった。遠く
から花火のドカーンの音がした。境内の空は七夕の星が輝いていた。一声、アオバズクが鳴いた。
西暦
月
日
メモ
2010
7
22
健康ウオーキングコース&羽根・長根ラインセンサス
涼しいうちにと思い早めにウオーキングとラインセンサスを兼ねて行った。カメラもコンパクトのみの軽装である。ところが、このカメラに問題が発
生。雨の中の観察を強行したのが影響したのかレンズの内側がくもっているではないか。当然拭っても無駄だ。自然にくもりが取れるのを待つし
かなさそうである。梅雨が明けたと思ったら灼熱の日が続いている。朝夕は涼しい風が吹いてくれるが日中は本当に暑い。ツバメが朝から飛び回
っている。彼らは本当に働き者である。山にいる野鳥もヒナに餌を懸命になって運搬しているに違いないのであるが、なかなかそういった姿を見る
ことができない。その点ツバメは空中採餌の様子がはっきりわかる。今日も鳴いていたが、朝夕にモズが高鳴きとするようになった。主に、見晴ら
しのよい電線のような所で鳴くことが多い。羽根・長根の田んぼではセッカが賑やかであった。スズメよりも小さな体ではあるが、縄張り意識の強
い鳥で、オスは、一日中自分の縄張りをパトロールする。パトロールだけではなく、2羽が追いかけっこする様子も見られた。朝方は川原からクマ
ゼミが、そして今この記録をパソコンで書いている時にはアブラゼミの声が途切れることなく聞こえる。
2010
7
23
室林道ラインセンサス
梅雨明け、酷暑、季節の変わり目がとても印象的な今年の気候ではあるが、野鳥の様子もかなり鮮明に移り変わっている。室林道でみると、ウグ
イスは相変わらず囀りを行っているが、例えばキビタキは、囀り個体数がぐんと減っている。囀りはオスの縄張り宣言やメスへの求愛に用いられ
ていると考えられているが、繁殖を開始したら、オスも育雛に関わるキビタキにとってはあまり必要ではないのかもしれない。他の両性が育雛する
種も同様であろうと思われる。ウグイスはオスは直接育雛を行わない。メスが専任で育雛する。オスは縄張りの防衛の役割だ。自分の子どものい
る巣はひとつだけではないので、それはそれで大変なのであろう(ウグイスは一夫多妻なのである)。今日も鳴いていたが、ホトトギスが巣を狙っ
ている。ウグイスは被托卵鳥でもあるのだ。エゾムシクイの地鳴きが一声聞かれた。室林道では繁殖していないこの鳥が、夏の頃によく姿を現わ
す。思うに、北方で繁殖した鳥たちは越冬地に南下するわけであるが、もうすでに、このエゾムシクイは南に向かっているのでは。先週来た時に
はきれいに咲いていたネジバナも、もうその痕すら窺い知れない。かわりに、セミたちは一斉に室林道のあらゆる木々から鳴き声をあげているし、
さっそうと行き交うオニヤンマの姿を頻繁に見つけられるようになった。
2010
7
28
高嶺
ひと月前は茶臼山と蛇峠山を回ったので、今回は、高嶺を外せないと決めてやってきた。平谷の町からの高嶺はとても大きく、麓から歩いて登っ
たのはほんの2・2回しかない。山頂まで林道ができているのは実にありがたい。山頂と平地のちょうど中間の位置に、鮮やかに塗り分けられた
パラグライダーが、ぽかりと浮かんでいた。自分もあそこに行くのだ、そう思い、道中で見られる鳥たちに思いをはせたのであった。その前に腹ご
しらえだ。JA
のコンビ二でお菓子を買う。すでに早朝の活動時間を過ぎて、茶臼山で聞いたように、鳥たちの声が溢れてくることはなかったが、ここでも、ソウ
シチョウはウグイスと双璧であった。アサギマダラの飛翔も茶臼山と同じ、違いは、久しぶりに聞いたオオルリの歌くらい。恵那山は山頂を雲の中
に隠し、2000メートル超の貫禄を見せ付ける。隣の大川入山は1900メートル。茶臼山や高嶺からみると見上げる高さだ。1800メートル付近で
、昨年の春、今でも耳に残っているコマドリの歌。是非もう一回登りたい。そしてコマドリに逢いたい。
2010
7
28
茶臼山ラインセンサス
ひと月ぶりの茶臼山、朝5時過ぎから気持ちよくセンサスすることができた。高原道路をゆっくり車を走らせると様々な鳴き声がする。そんな中で
ソウシチョウの明るい囀りが際立っていた。茶臼山をぐるりと回るコースでも、ソウシチョウは、ウグイスと並んで個体数の多さの双璧である。ソウ
シチョウを茶臼山で初めて確認したのは今から8年前の2002年のことであった。その後増加の一途をたどり、先ほどの話のようにウグイスと並
んで個体数の多いポピュラーな鳥となってしまった。外来種のソウシチョウが増えることは好ましいことではない。センサスでは鳥だけを対象とし
ているわけではない。きれいな草花ももちろん好きだ。ただし、観光客目当ての人工植栽には興味ない。今日は、空をひらひらと舞う昆虫に目が
集中した。あの渡りをするチョウ、アサギマダラが早くも旅行をしていたのであった。それともうひとつ、着いてすぐ、やけにアオバトの声がすると思
っていたのであるが、かなりの個体数が大小の群をつくって高原を舞っているのを見る事ができ、とても驚いている。アオバトの声はなんとも奇妙
奇天烈で、一度聞いたら決して忘れることができないだろう。
西暦
月
日
メモ
2010
7
31
羽根・長根の田んぼ
子どもたちは夏休みにはいって毎日どうすごしているのだろうか?。連日の猛暑で家の中にとじこもりゲームをしていないだろうか。午後になると
プールに向かう子どもたちをみるとホッとする。校庭には3名の子どもが集まってきた。今日は総勢4名で探鳥会を行う。羽根・長根のコースは日
陰らしい日陰がないので真夏の探鳥会にとっては厳しい所である。けれども今日の3人は、鳥が大好きな子たちで、最後まで飽きることなく観察
を続けた。特に、記録用紙に、名前だけでなく見て感じた事を書くように話したところ、すべての鳥の備考欄に感想を書いてくれた。例えば、ハシ
ボソガラスでは、どの個体も少し口を開けいた事を書いていた。どうして口を開けているんだろうね、と話し合った。暑いからかな?。私は見過ごし
てしまったが、3人の子は、黒っぽくて丸っこい体の鳥を見たと言い張る。カラスじゃないと言う。大きさはハトくらいとも。そこで、たぶんバンかもし
れないと話した。彼らの見た印象が的確であったので、私は、バンを記録として残してもよいのではと確信したのである。道中は鳥の話ばかりで
あった。その中で印象に残ったのは、愛知県の県の鳥が、カワセミでも、イヌワシでも、オオタカでもなく、ぱっとしない、みすぼらしげなコノハズク
であるのは納得がいかない、という事であった。コノハズクになったと思われる経緯を話したのであるが、それでも気に入らない様子であった。私
にとってはそれやこれやで、とても楽しい時を過ごすことができたと思う。
2010
8
3
室林道ラインセンサス
標高はたったの200メートル強、けれども、家よりも断然涼しいのである。歩いていても気持ちの良い風が首筋をひんやりさせる。ここには自分し
かいない。いや、野鳥も、蝶も、蜻蛉も、蝉たちもいる。ウグイスは疲れを知らない子どものように歌う(土曜探鳥会でも子どものエネルギーには脱
帽)。今年の歌い修めは何日頃になろうか。すると秋もすぐそこだ。朝早くにはクマゼミが鳴き、日が昇るとアブラゼミが、室林道ではツクツクボウ
シも鳴きだした。林道を行き来しているのはトンボの王様オニヤンマ。ひらひら舞うカラスアゲハのスピードは意外に早いのだ。足元では早足のオ
サムシが行く。飛べないオサムシは地域単位で独自進化したと考えられている。従来の形態分類と遺伝子分類で大きく異なるようで、日本列島の
成り立ちと遺伝子分類法がよく一致していることを聞いた事がある。鳥ばかりではない楽しみが室林道には一杯ある。
2010
8
8
蛇峠山
以前勤めていた会社の友人たちと、今年2度目のあららぎ高原での一泊を計画した。前日は二人でバードウオッチング。温泉に浸かったあと山荘
で眠り、翌日は、自分以外はゴルフを楽しむ計画。バードウオッチングは蛇峠山とあららぎ高原にある三階峰で行った。別荘地帯をゆっくり車でゆ
くと、シジュウカラやコゲラの鳴き声がしたので降りて観察する。すると、2種とは異なる姿を見つけた。ゴジュウカラである。友人にとっては初めて
見る鳥であった。馬の背からは歩いて山頂へ。最初のうちは雲が日差しを遮ってくれとても快適であった。足元にはマツムシソウが咲いていてしっ
かり高原の雰囲気を味わう。秋の草花も咲き出した。その蜜をを目当てに昆虫が群がる。そんな中にアサギマダラの姿もあった。その数や10や
20頭ばかりではない。望遠鏡を持参したのでホオジロを眺める。大人でも子どもでも、大きく拡大できる望遠鏡は、野鳥観察の必須アイテムのよ
うに思う(まづは見てもらうのが一番良いから)。コマドリの囀りを聞くには少し時期が遅すぎるので、前もって彼には、無理かもしれないと話してお
いた。それでも、万が一を期待してしまう。しかし、やはり無理であった。ウグイスとソウシチョウを交互に聞く感じで山頂までの道を歩いてゆく。直
下で景色を眺めていてふと思いついた事があった。会社の屋上で蛇峠山を見る事ができたのだから、会社も見えるはずだ。幸いにして今日は見
通しが良い。名古屋の高層ビルもはっきり見える。それから二人で目を凝らして探し始めた。豊田市の特徴的な橋が見つかった。そこから会社を
割り出そうと懸命になり、10分も頑張ったであろうか、ようやく両者が納得できる建物を同定することができた。子どもじみてはいるが、結構達成
感を覚えたのである。山頂で4人の親子(子どもも成人になっている)にあった。成人の子どもと一緒に山登りとは、珍しくも、見ていて羨ましくもあ
った。
西暦
月
日
メモ
2010
8
9
あららぎ高原
山荘で落ち合うことにしている時間までもう1ヶ所まわろう。そこで、山荘の裏山ともいえる、標高1450メートルほどの三階峰に向かった。この山
には林道が通っていて山頂まで車で行けるのだ。その前に是非書いておきたいことがあった。大川入山から流れ出る恩田川(とてもきれいな川で
ある)で、岩の上にカワガラスを見つけた(運転中に)。幸に車が来なかったので10メートルほどバックし、その姿を観察する事ができた。岩にい
たカワガラスはドボンと水中に飛び込んで、再び岩に姿を現わしたのである。この鳥も友人にとっては初めての鳥であった。そして、2度あること
は3度あるの喩えどおり、三階峰で、枝にとまる緑色のハトを見つけたのであった。友人は「黄緑色の体」と言う。アオバトといってそんなに多くは
ないよとつたえる。鳴き声がまた不思議な声でね。運よく、山頂からの帰りに、その個体とおぼしき声を聞くこともできたのである。夕方、山荘に集
合した4人で近くの温泉旅館に夕食をとりに。先回、最後まで食べられなかったという苦い経験をしているので、昼食を控え目にする作戦が功を
奏して、デザートまで余裕をもって完食できた。帰りに、夜景を見ようということになり、再び、三階峰に車を向けた。そこから見る飯田の町並みが
良いことは分かっていたので、夜景の素晴らしさは格別であろうことは容易に想像できた。そして、想像以上の景色を堪能したのであった。お盆休
みなのだからどこかで花火をあげていてもいいはず。この予想もズバリ的中し、2ヶ所から花火の円い輪を確認。夕方の雨で街の光がやけに強く
感じたのであった。「スペシャルオプションツアーだったね」と自画自賛しながら山を下りたのは言うまでもない。真っ暗の中からヨタカの声が聞こ
えた。
2010
8
13
室林道ラインセンサス
そろそろウグイスの囀りも下火になってくるのでは、と、室林道に向かうとき思った。実際にセンサスを終えてみるとそんな感じであった。地鳴き個
体も目立ち始めたのである。これからは、ひなを連れた群に出会うことが多くなり、それはそれで楽しみが増えるというものだ。セミの声も雑多で
ある。ベースを勤めるのはアブラゼミとツクツクボウシ。そこへ割り込むのがヒグラシである。それが今日は、もう1種、少数ではあるが印象深い声
がした。ミンミンゼミである。どこかとぼけた感じの声で自分は嫌いではない。生存競争の厳しさにもであった。ひとつは、カマキリがセミを襲うとこ
ろ、もうひとつは、オニヤンマがアブのような昆虫を咥えるところである。今、リチャード・ドーキンスの本を読み返している。利己的な遺伝子・延長
された表現型・盲目の時計職人まで来た。ダーウイニズムの旗頭であるドーキンス。その本の中には何度も自然淘汰が出てくる。今、目の前で起
きている出来事は、まさに自然淘汰なんだなと思うのである。日陰は涼しく微かに秋を感じる。あらためと見ると、崖に咲くハギに濃い紅色の花び
らがついているのがわかった。
2010
8
14
早朝探鳥会 室林道
夏休み恒例の早朝探鳥会「室林道」に8名の子どもたちが参加してくれた。スタートは6時30分。さらに嬉しいことに雲が強い日差しを遮ってくれ
ている。ところがそんない楽ではなかった。室林道への登り道はかなりきつく、額にはじんわりと汗が浮いてくる。ここまでに出合ったのは、ツバメ
、スズメ、モズ、ホオジロなど田んぼが広がる里で見つけた。これからはいよいよ山の鳥だ。その前に大きな声がする。コジュケイか?ヤマドリか
?。姿がないので私の知識では断定しかねた。室林道にはいったら本当に涼しく感じた。林道は一日を通して日陰の時間が多く、それで涼しいの
ではと牧野さん。ウグイスが囀った。地鳴きの個体もいた。二通りの鳴き声を子どもたちに聞いてもらえ良かった。休憩をしたあと、1年中枯れるこ
とのない湧き水のある場所に案内した。名づけて「萩の名水」。そこで手や顔を洗い、口をゆすいだ。口々に「冷たい」美味しいを連発する。萩小
に戻ってきたら、室林道はやっぱり涼しいことが実感できた。
2010
8
19
寺ノ入林道ラインセンサス
用事を済ませ、少し探鳥会としては時間が遅くなったが、正午前に寺ノ入林道を歩き出した。メジロやヤマガラの地鳴きが聞こえる。ウグイスも鳴
いていたが、それも地鳴き。ちなみに、おなじみのホーホケキョの声はゼロであった。この地方でウグイスが囀りを終えるのは、大体8月後半のど
こかである。会社勤めを終えた今、例えば室林道に毎日通えばいつの日に囀りが終ったのか分かるわけであるが、なかなかそうも行かないのが
現実だ。嗚呼・・・今、寺ノ入林道は変化の乏しい時期に入ったようだ。もう少し経てば、例えば、越冬地に向かう南下個体を見つけることもできる
。それでも、今の状態は今でしか見ることができないと持っている。寺ノ入林道もセミの声が溢れ野鳥のつぶやきを消し去っている。たった1種だ
けが存在感のある声をあげた。カケスであった。
西暦
月
日
メモ
2010
8
21
土曜探鳥会 羽根・長根の田んぼ
夏休みも後半に入った。子どもたちも徐々に宿題を心配する気持ちが広がってくる頃だろう。そういう訳でもなかろうが、今日の参加は二人であっ
た。牧野さんを含め4人で、お母さん方に見送られ萩小学校を出発した。再び、カワセミの鳴き声を耳にする話をした。だから、山陰川を渡る時に
は注意しよう。それが的中した。コンクリートの河岸にとまっているのを見つけたのだ。スコープで照準する間もなく飛び去ってしまったが、強い日
差しに輝くエメラルド色の姿を一瞬ではあったが見ることができた。下加茂神社では牧野さんにアオバズクの巣箱を見てもらった(子どもたちは既
に見ていた)。羽根・長根の田んぼに入る前にもう一度橋を渡る。橋からは流れに逆らって泳ぐ川魚たちが見えた。カワムツ、ゴマドジョウ、オイカ
ワ、それに立派なカニ。どうも野鳥よりも魚の方が優勢のようだ。セッカの姿を探しながら田んぼ道を歩く。この頃になるとすっかり青空が広がって
おり、微風があるとはいえジリジリと暑い。稲穂はすぐにでも刈り取りできそうに黄色くなっている。ツバメが田んぼを舞ってはいるものの鳥の影は
あまりない。それよりもむしろ大小様々なトンボがより多く飛んでいた。中でも、ギンヤンマの青と緑の体が青空に映えているのは一見の価値があ
るやに思われた。日陰を求め、近くのクリ畑の中で休憩をとる。外からクリ畑を見るのと、中から見る景色とは随分違って見える。あぜ道に咲く青
い花はツユクサ。葉に皺がある普通に見るツユクサとは別種のようだ。あまり見たことない。それが結構多いのである。このツユクサも外来種な
のかな?。
2010
8
22
室林道ラインセンサス
センサスの途中山口さんに出合った。話しはやはり鳥のこと。自宅前でサンショウクイの親子を確認されたとの事。私も、センサスの最初にサンシ
ョウクイを確認した話をした。オオルリが減ってしまった話をする(私も同感だ)。ウグイスの囀りについては、ここ数日で終えたことを確認した。サ
クラの枝のなかでは様々な鳥が採餌をしていた。エナガ、メジロ、センダイムシクイたちだ。換羽という一大事を乗り切るために。
2010
8
27
茶臼山ラインセンサス
CDで音楽を聴きながら茶臼山に着いたのは午前5時頃であった。家を出るとき明るく光っていた月が山の端で白くなっていた。駐車場脇のカラマ
ツの樹に小鳥が群がっていた。山のほうから次から次へとやってくる。いきなり難しい鳥に出会い困ってしまう。キビタキの幼鳥としておこう。写真
と図鑑で確認できるだろう。梢にいるのはエゾビタキか?。出現するのが少しは早いんではないか?。これも写真を撮る。耳慣れた声だ。メジロが
いる。すごいスピードでおっかけっこしている鳥がいる。追っていた個体が梢にとまった。オオルリだ。それも頭部だけ青くないオスの若鳥だ。バー
ドウオッチングにとって朝が早いことは、それだけで何倍ものアドバンテージ。アルプス展望の丘へと向かう。これだけ空が青いと期待も高まる。
その前に、ソウシチョウの囀りのシャワーを浴びた(個人的には浴びたくない声であるが)。それを多少なりとも和らげてくれたのは(かなりかも)、
大好きなサンショウクイの声が(群でいるみたいな)したからである。南アルプスの3000メートル峰たちは幾重にもかさなった山脈のさらに上に、
神々しい姿でそびえていた。左手には探鳥フィールドである蛇峠山や大川入山に朝日が差して。尾根や谷の複雑な模様を浮かび上がらしていた
。こんなのも早朝の効果だ。常とは反対周りにセンサスしているのであるが、北の面に来たとき上空には秋の雲が広がっていた。その空をゆった
りと舞う鳥がいた。鳴き声がヒントになった。最も小型のハイタカ類であるツミである。一番大きいのはかの有名なオオタカである。小さくても精悍
な姿といきたいが、高い空を飛んでいるのでそこまでは分からないのが本音。キャンプ場では親子の姿が見られた。もし私が親ならば、日が昇る
前に起き、野鳥のコーラスを我が子に聞かせてやるのであるが。
西暦
月
日
メモ
2010
8
28
フレンズ オン アイス 2010(新横浜スケートセンター)
荒川さんがプロに転向し最初に出演したのが、自らがプロデュースしたフレンズオンアイスで2006年5月のことであった。このときは確か、今まで
指導を受けたコーチ陣を招いて、銀盤上でお礼をしたことで記憶に残っている。残念ながら1回目は見ていないのであるが。その後の第2回目か
ら今回の第5回までは全て見ている。プリンスアイスワールドやチャンピオンアイスといったアイスショーとは明らかに違う特徴を持っていることは
ひと目で分かるアイスショーである。それは、荒川さんをはじめとして、出演者が自らがショーをつくっていることだ。気の置けない仲間という雰囲
気はショーのあらゆる場所で感じられる。プログラムを見るとそれは一層鮮明になる(例えば手書きの出演者の感想文など)。楽しみは、荒川さん
とスケーターの抽選会。今年は、小塚選手と鈴木明子選手のコンビであった。二人をしっかりアッピールしようとする荒川さんの気持ちが伝わって
くるようだ。荒川さんもマイクを持って話すのが上手になった(噛むこともなく?失礼!)。荒川さん自身は脇役に徹そうとの思いが垣間見られて、
大層好ましく思えた。拍手の大きかったベスト3は、荒川さん、シェイリー・ボーンさん、それと当然ながら高橋大輔選手であった。観客を黙らせる
のが本当のスターだ。ついつい見とれてしまうのである。そんな時は手拍子も忘れるのだ。荒川さんの最初の演目はジャズ。フライミー・ツー・ザ・
ムーンとは又感じが違った。バリバリのスイングジャズで極めてスキャットも入ったアップテンポの曲。黒の衣装が大人っぽい。荒川さんの衣装は
、オープニングの女性とキッズとの群舞では青い衣装、前半のソロが黒、抽選会は(覚えていない)、後半のソロは薄いブルーピンク、フィナーレ
はシルバーであった。スタイル抜群の荒川さんなので、何を着ても似合うとは思うが、それにしても着こなしが上手だ。スケートを始めたきっかけ
が少女たちが着ていたひらひらの衣装、と公言してはばからない荒川さんの、衣装に対しての思い入れがひしひし伝わってくるようだ。トリをとっ
たのはサラ・ブライトマンの歌声で荒川さん十八番である、美しく舞うというのをストレートに打ち出したもので、ジャズと対極に位置する、荒川さん
でないと成しえないプログラムであったと思う。大ちゃんはマンボを踊った。トリプルアクセルも難なく決め技の冴えは群を抜いている。そんな彼も
、荒川さんの前では素直な弟である。荒川さんが花束を捧げたのが金メダリストであるライサチェック選手。4回転を回避したで一部批判もあった
が、彼の努力を内から見て理解している荒川さんであるから、心底、彼を称えたいととの思いがそうさせたのではなかろうか。ファンのひとりとして
荒川さんの人柄をますます好ましく思う。
2010
8
30
自宅周辺
珍しい鳥を見た。萩町で白いツバメが仲間と一緒に田んぼの上空を舞っているのだ。いわゆるアルビノと呼ばれる、メラニンが少ないため体が真
っ白になる突然変異個体である。実は、10日ほど前に、ツバメの群の中に白い個体がいるのを見たのであるが、その後、農作業をしている近く
の人からも目撃の情報を頂いたため、改めて記録に残そうと思ったわけだ。電線で休んでいるツバメたちの中にアルビノを探す。普通の個体ば
かりだ。そう簡単にはいかないだろう。そう覚悟した途端、田んぼをスイスイ飛ぶアルビノを発見。天敵からすると実によく目に付く。真っ先に襲わ
れる可能性大だ。それと。通常よりも視力が低いともいわれている。仲間に入りにくいなどとも言われているので、成鳥まで生き延び、さらに、パ
ートナーに受け入れられることができる確率は大変低いのだろうと容易に想像できそうだ。しばらくあちこちで採餌をおこなった後、ようやく電線に
向かってきた。「とまってくれ」大声で叫ぶ。通常のツバメが2羽いるその間にアルビノ君はとまった。心なしか遠慮がちに見える。鳥の間隔もやや
長めに思える。あれ変な奴だな?。そんなように見えるのは気のせいかだろうか。
2010
9
2
羽根・長根
日中はとても我慢ができないので、夕日が傾いた頃に羽根・長根の田んぼにやってきた。コンバインに稲が刈りとられてゆく。その周りでは、群に
なったツバメたち、隠れ家から追い出された昆虫たちを次々口にほおばる。昆虫の密度は一律ではないことは、ツバメの密度が知らせてくれる。
ある場所では数メートルの高度で、別のところでは20メートルほど、もっと高い所でも奮闘している群があった。ツバメの群とは行動を異にしてい
るのはムクドリたち。こちらは田んぼでの採餌と避難先の電線との往復である。刈り取りを終えた田んぼが広がって、ムクドリの個体数も増えてき
たようだ。ずっと田んぼにいた住民のなかにセッカがいる。田んぼの中に巣を造るので、稲刈りまでにヒナは巣立ちしないと将来が無い。今も、セ
ッカのオスたちは縄張りを見廻っている。無事に巣立って欲しいものだ。日が山の端に沈み込んだ。宮路山の上にかかった雲。灰色になる直前
の輝きが美しい。
2010
9
3
室林道ラインセンサス
サクラの落ち葉が林道を広く覆っている。暑い夏の話題ばかりではあるけれど、セミはそろそろ静になろうとしているし、ノギクの花も咲き始めた。
一番は空の色。色のトーンが濃いほうに変ってきた。セミの声が優しくなると野鳥のつぶやきが目立ってくる。エナガ、ヤマガラ、シジュカラ、コゲラ
、メジロが採餌しながら混群となって移動している様子などは、秋から冬の行動がそろそろ始まってきた証拠ではなかろうか。気配を消したかに見
える鳥たちが、突如現われるのを見つける楽しみがある。オオルリのオス(成鳥)、キビタキのメス(ヒナに餌運搬)を見ることができた。
西暦
月
日
メモ
2010
9
5
倉の田んぼ
暑い中ではあったが3人の子どもたちが参加してくれた。急遽、行き先を、白いツバメ(アルビノ)が見られた倉の田んぼに変更した。このような機
会はめったにないと判断したからだ。萩小から山陰川に沿って上流部に歩く。イカルの囀りがした。アオサギが梢でじっとしている。恰好のフィー
ルドスコープ練習台になってくれた。突然、川から、稲穂とすれすれに飛びこちらに向かって来るものがいた。カワセミだ。農業水路に沿って飛ん
でいたみたいだ。子どもたちも、飛び去ってゆく背中をゆっくり眺められたようだ。そしてついに、ツバメたちがいる地域に到着した。そこには1台の
コンバインが稲を刈っている。稲穂の中から飛び出る獲物を狙って、ツバメたちが縦横無尽の乱舞を見せる。目に見えないのでなんとも感じない
が、これが十分目に見えるサイズでの出来事であれば、すごい光景であったと思う。50羽を越すツバメがいたが、その中に白い姿は見当たらな
い。簡単には現われないだろうと、木陰を選んで、じっくりと観察することにした。じっくり見た成果はあった。ツバメに混じってコシアカツバメを見つ
けることができたし、上空を注視していた先にノスリの姿があった。採餌に加わらない個体もいる。すばやく双眼鏡を使って、電線にとまっている
個体をしらみつぶしに見てゆく。そこにも白いツバメはいなかった。1時間くらい見ていただろうか、残念ながら見つけることはできなった。子どもた
ちは、「タカに襲われちゃったんじゃあないの」という。「そんでないといいね」と返す他はなかった。
2010
9
9
室林道ラインセンサス
明らかに空の色は秋になってきた。暑さも、日差しを避ければそれほどでもない(涼しいほど)。ツクツクボウシの声もかなり弱々しくなってきた。鳥
たちの声がよみがえってきた感じだ。そんな中で、久しぶりに、ヤブサメの地鳴きを聞いた。囀りの声は、定位するのがとても難しくて、360度あら
ゆる方向から聞こえるように感じるが、地鳴きは、一変して、定位が容易で、声の方向を探せば、小さな体の声の主が林床をちょこちょこと歩いて
いるのを見つけることができる。それと今日は、アサギマダラを室林道で初めて見た。渡りをするチョウは、関心度からいっても、自分にとってチョ
ウの中では特別な存在だ。すなわち、鳥の渡りと同列で見ているのだ。
2010
9
13
宮路山ラインセンサス
麓にある施設に寄ったのでそのまま久しぶりに宮路山を歩いた。というのも、宮路山には、春と秋の渡りの季節において、様々な野鳥を観察でき
るという特長があるからだ。その最たるものが春のコマドリであり、秋のエゾビタキである。特に、コマドリの飛来を見るのは、私にとって、一年の
大事なイベントとなっている(10数年以上の)。秋の今はエゾビタキを探す事になる。それと疑われる鳥がいるにはいたが、残念ながら光線の加
減ではっきりしなかった。平地に下りればノビタキの渡りが見られる季節でもある。こちらの方は、個体数も多く観察ははるかに楽である。見晴らし
の良い田んぼで見られるからである。エゾビタキはそうはいかない。登山道を歩いてゆくとカーブの頂点で、バタバタと音を立てコジュケイが飛び
去った。続いてもう一羽。つがいであろうか。ハゼの葉の一部が朱色に変わっているのを見ると、暑い々と言ってはいても季節は確実に進んでい
るのだナーと思う。見晴らしの良い場所で足を止める。赤坂の町並みと黄色い田んぼが広がり、気持ちが晴々とする。10月の探鳥会はここ宮路
山。その時にはエゾビタキの南下を見たいと思う。
2010
9
14
室林道ラインセンサス
昨日の宮路山でもそうであったが、夏から秋への変りを鳥を通して感じたい。そんな気持ちで室林道への道を登っていった。入り口で、サクラの木
に群れるエナガ、シジュウカラを確認。シジュウカラについて言えば、真夏にはあまり見られなかった。混群による採餌も秋らしくて新鮮さを感じる
。南下個体も勿論探した。エゾビタキらしい姿を確認したがはっきりしない。もう少しの時間経過が必要かなと感じた。セミ(ツクツクボウシ)の声も
ますますか細くなり、セミの季節の終わりを告げていた。
2010
9
17
寺ノ入林道ラインセンサス
ひと月に一度、三河湖への道を車を進める。標高500メートルを超える所にあるので平地よりも数℃は涼しいことになる。音羽と同様に稲刈りの
終えた田んぼと、まだ黄金色の田んぼとがある。こちらの品種はミネアサヒという名前なそうな。寺ノ入林道は朝日が差さない所もあって、そこを
あるくと寒いほどである。セミの声はほとんど無くなった。日が高く登って暖かくなってから、ほんの少しだけ鳴いていた。ススキの穂も風に揺れす
っかり秋の雰囲気である。林の中から聞こえるのはカラ類の地鳴き。主にシジュウカラのものであった。回廊のような空から勢いよく流れる雲は、
白く輝いて、ヴェールのよう。今日は、あいにく、南下個体らしい姿は無かったけれども、日をおいて再び訪れてみよう。もちろん、秋の南下のシー
ズンを狙って。
西暦
月
日
メモ
2010
9
18
羽根・長根
真夏のすごい暑さは峠を越え、急に、秋らしい空模様になってきた。これほど劇的な様変わりも珍しい。いろいろの自然現象が過激になった。今
日のバードウオッチャーは7人の子どもと大人2人。老人クラブの方々が校庭の草取りを開始する隣をスタートした。例のアオバズクの営巣で少し
有名になった、下加茂神社の杜の中にはイカルの群がいて、爽やかな口笛に似た囀りを盛んにする。山陰川からカワセミの声、一度来た道を戻
って姿を探したが、残念であった。アオサギがとまっている。子どもたちにとって恰好の、フィールドスコープ操作の練習台である。このメンバーも、
虫やらとかげやらが大好きで、今日の犠牲者?はシマヘビであった。U字溝に逃げたものの、のぞかれ、大騒ぎされ、大層迷惑なことであった。
羽根・長根の田んぼで、今年の最初のノビタキ(南下個体)を見た。その小ささに子どもたちは驚いていた。はじめに、ノビタキが海を渡って行くと
話したので、まさか、こんなに小さいとは思わなかったのであろう。あんなに小さな体で海を渡るなんてすごい!。きっと、心に残る出来事に違い
ない。そう思いたい。
2010
9
19
倉にて
チー、チー、細い声を残してその鳥は舞った。ツバメに負けないスピード。しかし、ツバメとは明らかに飛び方が違う。シギ・チドリの仲間であること
は間違いない。残念ながら双眼鏡をもっていない。決め手は鳴き声と嘴の形であった。チドリにしては嘴が長い。鳴き声がカワセミに似ていたのを
思い出して、イソシギに決定。
2010
9
20
倉にて
イソシギと同じ場所で、今度は、南下中のエゾビタキを見た。双眼鏡をもっていなかったのは昨日と同じ(ウオーキング中の出来事なので)。姿か
たちと、時折みせた、フライングキャッチを見て、ヒタキの仲間であることを確認。結果、エゾビタキとする。
2010
9
20
羽根・長根にて
9月18日に行った土曜探鳥会で初めてノビタキの南下個体をみた。そこで、HPを飾るための写真を撮ろうと思い、500ミリを担いで畦を歩いた。
数羽の個体を確認したが、あまり接近すると逃げられてしまう。従って、いきなり接近して撮るのは得策ではない。最初は少し遠いところから撮る
。その後、数歩進んではパチリを繰り返すのだ。最後の個体は接近を許してくれたようだ。
2010
9
21
健康ウォーキングコース
イソシギとエゾビタキ(らしい)といった、少しばかり珍しい鳥を立て続けに確認したので、今日からは、双眼鏡を持って行くことにした。しかし、柳の
下に二匹目のドジョウは、諺どおりいなかった。かといって、ここでめげてはいけない。基本的に言って、自然観察には何が起こるのかわからない
。コースで最も目に付いたのはモズの高鳴きである。これは当然予想されること。次いで、キセキレイの姿である。秋を感じるようになってから富
みに個体数が増えた。羽根・長根の田んぼでは既にノビタキがいる。コースの田んぼにもやがてやって来るだろう。
2010
9
21
室林道ラインセンサス
鳥の影が薄い日であった。留鳥と呼ばれている鳥でも季節移動を行うらしい。秋の伊良湖岬では、ヒヨドリの大群が西に渡る姿をじかに見ること
ができる。規模でみればサシバの渡りを遥かに凌ぐ。よく、師匠(鳥の)の山口さんが、空白期という比喩を使っているが、それに相当するのでは
ないかと思う。それでも、全くいないわけではない。エナガの群が移動して行ったし、この秋、初めて、カケスの鳴き声を確認した。真夏にはいない
鳥なので、移動してきた鳥になろう。
2010
9
25
萩小運動会
萩小運動会を見た。全校で110人しかいない小さな学校ではあるが、運動場にこだまする声は、300人くらいいそうな、元気の良さではどこにも
負けない萩小の子ども達である。子どもの姿を
見るのはもちろん良いが、トラックの外から、大声で(身振り・手振り交えた)応援している親や祖父母の姿も大層おもしろい。自分も、孫が走れば
むきになって応援するにちがいない。参加した人全てがスッキリして帰路についたことだろう。伝統の一輪車はすっかり運動会の名物となっている
が、昔の子のほうが上手であった気がする。しかし、相変わらずすごい出し物ではある。私も二つ参加した。そのひとつ、萩音頭は、音源をCDに
切り替えたので歌詞も明瞭になり、子どもの頃から慣れ親しんだ歌なので、こういったものがあるのはいいもんだなーと思った次第。
西暦
月
日
メモ
2010
9
25
我が家周辺の野鳥
萩小運動会の前に家の周りを歩いた。秋晴れの絶好の運動会日和である。ヒヨドリの姿がずいぶん多かった。秋の南下
の影響であろうか。ヒラヒラと谷を渡っているのはカケス。こちらも南下個体であろうか。地上を見れば、田んぼのちこちからヒガンバナが顔を出し
ている。家の隣ではコスモスの白と桃色の花が風で揺れていた。
2010
9
26
室林道ラインセンサス
先日は空白期といえる状態(鳥たちの移動が盛んなこの時期ならではの現象)だった。今日はどんなだろうか興味津々で室林道へと向かった。結
果は、カケスを筆頭に、野鳥の姿がまずまず多い状態であった。カケスは山から(室林道よりも山奥から)室林道に下りてきたわけだ。晩秋から冬
の、深閑とした室林道を歩いている時、カケスの一声二声が、とても心に響くものになっている(その声はダミ声であるが)。夏鳥のヤブサメが、私
の通る少し先を、舌打ちするようなチェと言う声をあげて飛立ちシダの中に消えていった。シダが揺れて居場所を知らせてくれたが、やがてシダも
揺れなくなった。空は真っ青。室林道もいよいよ本格的な秋に入る。
2010
9
26
新堤池
近くの羽根・長根の田んぼでノビタキの南下を見た。ふと、新堤池にオシドリの南下個体が見られないかと思い、車を新堤に向けた。池の周りで
はヒヨドリがいて(わりと賑やかに)、池の中の樹には、同じくらいの大きさの、アオサギとダイサギが、それも2羽ずつとまって休んでいた。水辺に
は1羽のカルガモが。サギたちは警戒して飛立つ。まだいないのかな!そんな雰囲気であった。数分経った。突如、繁殖羽となったオシドリが右
から左に池を横断してゆくのが見られた。エクリプスではない。いちょう羽もはっきり分かる。これは感動ものだ。南下行動圧はオシドリに対しても
等しくあったのだ。
2010
9
29
茶臼山ラインセンサス
茶臼山へはほぼひと月毎に出かけている。今は、日本列島で野鳥たちの南下が始まっている。今日の狙い目ももちろん南下だ。移動の空白に当
ったら悲惨ではあるが、そんなことは終ってからの話。窓を全開にして車を進める。お気に入りのCDを聞きながら(FMラジオは途中から電波が
届かなくなってしまうので)。長袖だけでは寒いので風除けを着てセンサスを開始。使わなくなった愛知県の体育施設が廃墟のようにたたずむ脇
をスタート地点とする。2ヶ月ほど前からそうしているのだが、理由は、ずっと利用していた駐車場が、朝早すぎて開いていないためだ(防犯なの
かどうか知らないが面倒な事だ)。体育館の脇に雰囲気のいい池がありその様子を見に行ったらキビタキをはじめとする小鳥にであった。ミビタキ
はオスで随分近くで観察できた。その他には、コガラ、シジュウカラ、コゲラが見られた。カケスの声も多かった。今日のセンサスの主役のひとりは
カケスである。カケスはクヌギの木に来て。しばらくごそごそした後、遠めでも良く分かるほど大きな木の実は実を咥えて森に消えていった。冬に
向かって食料の備蓄をしているのだ。牧場には若い牛が思い思いに草を食んでいる。まだ体が小さくほっそりしている。センサスコースに満遍なく
いたのはやはりウグイスであった。囀りだとうるさく感じるが、今は、地鳴きをするのみ(自分は好きだ)。季節はずれの囀りは外来種であるソウシ
チョウのものだ。ウグイスを上回る勢いで鳴いている(困ったことだ)。ノギクなどの秋の草花も今が一番の見ごろであろう。鳥と同じくらいに注目し
ているアサギマダラであるが、不思議と姿をほとんど見ることがなかった。センサスを終え茶臼山から下ってくる時にようやく見つけた。肝心の南
下個体であるが、牧場の有刺鉄線にノビタキがとまっているのが確認された。エゾビタキも期待していたのであるが残念ながら見られなかった。
2010
10
2
宮路山
素晴らしい青空に見守られ、子どもたち9名と、サポートする大人5名、元気に赤坂駅を出発した。音羽川に沿って杉森八幡社に来ると、境内がな
にやら騒がしい。来週に開かれる歌舞伎を観るための天井桟敷を、同好会の人たちが設営しているのだ。柱を組み、天井を真竹でふきあげる。
そこへちょうど立ち寄った訳だ。桟敷に上げていただいたり、歌舞伎の回り舞台を押して動かすこともやらせて頂いた。地元の子供たちすらできな
い経験だ。本当にありがとうございました。少し道草したので、宮路山へ真っ直ぐ進む近道を通って行くことにした。道をヤマドリが歩いていた。そ
の大きさに子どもたちはびっくりしていた。森の中の登山道ではアオゲラやアカゲラも鳴いていた。そして、南下直前のヤブサメも。11月半ばにな
ると真っ赤にそまる山頂直下の急な上りを喘ぎ喘ぎ登りきると目の前がぱっと広がる。東三河の平野と海を眼下に望むことができるので登ってき
た疲れが吹っ飛ぶ。お楽しみの昼ごはんの後は、大人はのんびり、子どもは遊び。かれこれ10年来使い続けている遊び場がある。程よい高さの
枝が張った木なのだが、いかにも秘密の隠れ家の雰囲気があり、子どもは遊び場を探す名人であることを思い知らされるものだ。帰りには道草を
する。おかげで、子供たちの衣類には草の実がべったりついてしまった。再び、音羽川に沿って赤坂駅へ戻る。その途中、1羽のサシバが軽快に
青空を横切って行った。
西暦
月
日
メモ
2010
10
3
室林道ラインセンサス
このところ一気に秋が深まった感があるが、野鳥の世界も秋の色が濃くなったと感じられる。その代表として挙げたいのがカケスである。標高の
高い所から続々やって来ている。今朝の室林道はまさにそんな様子であった。カケスたちは数羽から10数羽の塊りになって、室林道の空を優雅
に飛んでいる。ふわふわとカケス独特の羽ばたき方である(鷹揚な感じで私は気に入っている)。暑かった夏は、彼らの食料源であるクヌギやコナ
ラなどの種子生産にどう影響しているのであろうか。あまり多く来て食料不足になりはしまいか。つんざくような声はニホンジカのものだ。かなり近
い。本能的に血管が収縮する。母親の注意を促す鳴き声に応えるように、1頭の子どもジカ逃げ去ってゆくのが見られた。鳥と同列に注意を払っ
ているアサギマダラであるが、センサスの間でようやく1羽を確認する。これから増加するのであろうか。
2010
10
7
室林道ラインセンサス
用事を済ませ、日は山の端に隠れようとしていたが、少し早歩きをすれば明るいうちに終えるであろうと、意を決してラインセンサスを開始した。既
に薄暗いが、首から下げた口径5センチメートル7倍の双眼鏡を信じて。日が沈む前の一層の静寂を楽しむように歩き始める。エナガが群になっ
て横切ってゆく。カケスのしわがれ声が凄みを帯び聞こえる。そして、ピューとニホンジカ。夜はけもの達の時間。刻一刻とその夜に入ってゆく事
を考えると、昼間に出逢うノホンジカとは全く違って感じられる。センサスをしている自分のほうが部外者なのだ。それと、できるなら出くわしたくは
なかった。薄暗い道に白いノギクが浮き出るよう。ああ!、ようやく、大好きなノギクが咲いたな。
2010
10
11
室林道ラインセンサス
今日のセンサスで室林道を800日歩いたことになる(1993年3月から始めた)。多く通えば良いということにはならないであろが、それにしてもせ
っせと通ったものだ。ただし、単なる節目に過ぎないと思っている(敬愛するイチローにあやかって)。ようやくアサギマダラを複数見るようになった
。セミにかわって鳥たちの地鳴きが室林道の主要な音になった。カラ類やカケス、ハシブトガラスなどである。ヒヨドリも賑やかだ。南下個体にも注
目しているが、アサギマダラが目に付くばかりである。
2010
10
11
健康ウォーキングコース
雲が全く無い青空を仰いでウォーキングを行った(事情で暫くできなかったので、是非歩きたかった)。秋が深まるにつれ目に付くのが風に揺れる
コスモスと、山から山へと飛び交うカケスである。本当にカケスの個体数が目に見えて増加した。田んぼの脇を通過する時にはノビタキの南下個
体に注意する。今日は6羽確認できた(一見スズメのようにも見えるが)。それと、この秋初めての、小型のハヤブサ科チョウゲンボウを見る。彼
が(あるいは彼女)がクスノキに降り立った途端30羽ほどの小鳥が舞い上がった。イカルである。捕食者の姿を見てびっくりしたことであろう。ヒガ
ンバナは少しくたびれた様子。ススキの穂も出そろい、セイタカアワダチソウ(昔ほどではないが)の黄色い花が見られるようになった。そういえば
我が家のキンモクセイはそろそろ散りそうだ。
2010
10
15
御津海岸
この海に最後に鳥を見に来たのはもう2年前になるだろうか。ここにある海岸を基点して、室林道、三河湖、茶臼山が直線的に並び、標高も上が
ってゆく、私にとっての3大野鳥フィールドがそのようになっているのは少しばかり気に入っている。今私は、豊川本流と豊川放水路が合流し三河
湾に注ぐ右岸に立っている。双眼鏡は5センチ7倍。海外メーカーに見られる目の飛び出るような高級品ではないが、信頼できるメーカー品だ(や
たらと高い製品をこれ見よがしにする人がいるのも確か)。やはり口径が大きいのは解像力がある。海に浮かぶウミネコも難なく数えられそうだ。
カモ類の様子は、スズガモ、オナガガモの初陣が北の国からやって来ていた。やはり海の鳥も良いものだ。寒さにも負けず見に来ようと誓った次
第。
西暦
月
日
メモ
2010
10
16
土曜探鳥会 羽根・長根
1・2年の子どもたち3人と探鳥会を行った。上級生はサッカーの試合があったのだ。今日の目あては、羽根・長根の田んぼで繰り広げられるノビ
タキの南下、新堤池のオシドリを見る、秋らしい鳥を探す、である。そのどれもが叶えられたといってよい。ノビタキは少なくとも10羽はいたであろ
う。背の高い草を弓なりのさせて止って休んでいる事からはとても、彼らがこれから広大な海を南下して行くという、人にとってとてつもない事を、
小さな体ひとつでやろうとしている英雄の姿であるとは想像できないであろう。「今僕達は、その事を知っていて、なおかつ、その生の姿を見てい
るんだよ」「すごいだろ」と諭すように話した。3人は素直に頷いた。オシドリは既に確認済み。ただ、姿を現わしてくれるかは時の運と、運を手繰り
寄せる忍耐が必要だ。じっと池の水面に目を凝らす。暫くすると、水面に一筋のスジを引いて進む鳥がいる。オシドリのメスだ。そのすぐ後からは
、きれいに着飾ったオスがメスに続いて現われた。それが呼び水となり、次々と姿を現わしては茂みに身を隠して行った。幾つかは水面を強く蹴
って飛立ってもいった(優雅に見えるが決して大人しい鳥ではない)。ヤブ蚊にさされながらも暫くはオシドリに熱中した。満足して萩小に戻る道で
最後の秋らしい鳥が出現。ハヤブサである。秋になるとタカがやってくる。例えばオオタカやチョウゲンボウである。今日のハヤブサはそれらの中
でも1級品だ。北西の風が寒さを持ってきたと話していたら、今度は暑いよー、目まぐるしく変る天気に体がおかしくなりそうであった。
2010
10
18
寺ノ入林道ラインセンサス
アキノキリンソウやノギクが寺ノ入林道を飾る(大型ダンプ5台が、土砂運搬の仕事をしていなかったらもっとゆっくり見て歩けたのだが)大きな声
で鳴いているのはヒヨドリとハシブトガラス、カケスくらいか。他の鳥たちは小声でぼそぼそ。シジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラのカラ類トリオはスギ、
ヒノキの林で鳴いている。林床ではウグイスがササ鳴き(数は多くない)。突然の訪問者はよくある事。今日は、キビタキのオスが、美しい姿を見
せびらかしに来た。寺ノ入林道は大型は1台が精一杯。すれ違いは2ヶ所でしか出来ない。彼らは、無線で連絡を取り合うので、鉢合わせになる
事は無いのである。リーダーと思しき人から、「ここから抜ける時には、ダンプの後からついてきて欲しい」と言われた。今までは休日にしか来られ
なかった。それが今は。生活が変ったことを思わぬ所から実感させられた。
2010
10
23
室林道ラインセンサス
セミの声が消えて久しく、秋の虫の声も聞かれない室林道。小鳥たちのつぶやきと、枝から離れた木の葉が地面に触れる音だけが聞こえる(正確
には、昆虫の羽音も含めるべき)。カケス、ハシブトガラス、ヒヨドリははっきりした声で鳴く。小鳥では、シジュウカラが最もよく聞かれた。野鳥の南
下は引き続き行われている。田んぼでは、ノビタキの姿を見ることができる。そしてここ室林道では、ジョウビタキが北の国からやって来た。同じ場
所でオスとメスを確認することができた。外来種のソウシチョウも、夏の棲みかから人里に下りてきて季節はずれの囀りをしていた。そういった小
鳥の移動に合わせるかのように、捕食者である猛禽類も南下しているが、上空を鳴きながら滑空するツミの姿を見つけることができた。忘れては
いけない鳥がいる。カラ類のソプラノパートを受け持っているヒガラも既に室林道にいたのだ。春に咲く野草とは一味違う秋の花。ノギク、ムラサキ
シキブ、ミズヒキがひっそりと咲いている(ムラサキシキブは実ではあるが)。花に群がる昆虫たち。その中にアサギマダラの姿もあった。今日は
市民館で巣箱を作っているはずだ。室林道にも新しい巣箱が掛けられるだろう。
2010
10
23
室林道ラインセンサス
セミの声がしなくなって久しく、虫の鳴き声も無いので、今聞こえるのは、野鳥のつぶやきと、木の葉が梢を離れ地面に落ちる”カサ”という音であ
る(秋の花に群がる虫の羽音も忘れてはならないが)。下の田んぼではノビタキの南下個体が今でも見られるが、室林道では、予想したよりも少
し早く、ジョウビタキが北の大陸からやって来ていた。オスとメスが同じ場所で見られたのである。どうなのであろうか?。彼らは、縄張りをめぐり争
うのであろうか、それとも、助け合うのであろうか。第一印象では争っている様子は無かったが。夏のあいだは比較的高い山にいたソウシチョウが
やってきた。ソウシチョウは東南アジア産の外来種。愛知県下でも広く繁殖している(脅威に感じるほどに)。季節はずれのさえずりで迎えてくれた
。さえずりといえば、ホオジロのさえずり個体がかなりいた。夏を過ぎるとさえずりを止めるが、秋が深まるとさえずりを再開するのである。繁殖の
道具としてのさえずりではないと思うので目的は何だろうか(つがう相手探しか?)。
西暦
月
日
メモ
2010
10
26
萩小探鳥会
春の親子探鳥会と秋の探鳥会が萩小学校の伝統行事である。私は、3年生・観音山コースを担当した。スタートする前に先生から、双眼鏡の使
い方を説明してください、と言われた。この一言で学校の意気を感じた(基本を教える事はとても大切なことだ)。出発して間もなくモズを発見。普
通の鳴き声(高鳴き)とは異なる鳴き方をしている。この事について話した。すなわち、他の鳥の真似をしていること。それが、メスへのアピールで
あることなどを。双眼鏡を使いこなすのは大人でも難しいが、子どもたちの様子を見ると、かなりいい線にあると感じた。しかし、難しいと感じてい
る子どもも勿論いるようだ。姿を捉えられないことで意気消沈させない工夫が大切だと感じた。中には、本当に視力のハンディを持つ子もいるだろ
う。以前から私は、野鳥の鳴き声は、この世の中で(人間の音楽も含めて)最も美しいと思っている。その鳴き声を鳥情報の主たるものに昇格させ
てやりたいのだ。バードウオッチングが目からの情報に偏重しているのではと思うのだ。探鳥会も後半。観音山を正面にみる地点にまでやってき
た。そこで見たのはトビ。そこで、ソアリングとホバリングの用語を出し話をした(同じ意味の帆翔とか停空飛翔よりも分かりやすいと思ったから)。
そうしたら突然現われたノスリがホバリング(停空飛翔)の技を披露してくれたのだ。その嘘みたいなグッドタイミング。私はたたみかけるように子
どもたち聞く。なぜホバリングするの?。走りながら見る景色と止って見るではどちらが良く見える?。実演してもらう。結果は明らかだ。帰り道の
ハイライトはカワセミだった(残念ながら全員が見られたわけではなかったが)。
2010
10
31
茶臼山ラインセンサス
霧雨の中をラインセンサスした。晴れていたら、紅葉も一層鮮やかであったろうに。しかし、考えようによったら霧に霞む紅葉も決して悪くはない。
茶臼山で真っ赤になるのはほとんど、後から植えられた、ドウダンツツジやモミジである。自然の生えているのは少しのハゼだけである。広く植生
しするイタヤカエデやシロモジは黄葉である。茶臼山全体では黄色や茶色が多いようだ(標高も関係していよう)。地味ではあるが飽きがこない色
だと思う。駐車場を下りたらすぐに待っていた鳥に出合った。冬鳥のツグミだ。平地ではまだ見られないが、山奥に来るとこうして早々と確認する
ことができる。冬鳥の茶臼山での主役はアトリ科の小鳥だと思う。その代表格なのがベニマシコとアトリだ。今日のセンサスでは両方とも出合った
。ベニマシコの声とアトリの群行動は冬の風物詩と思っている。たまには珍しい鳥も出現する。その中で印象深かったハギマシコとオオマシコには
是非再会したいものだ。やがて平地にやってくるアオジもいちはやく見つけた。待ってるよ。
2010
11
1
羽根・長根ラインセンサス
茶臼山の牧場でノビタキを確認して、改めて、地元での南下個体を確認しなくてはと思うようになった。ようやく羽根・長根にやって来たときに見た
ものは、枝豆畑で羽ばたいているノビタキの姿であった。おう!いるいる。もっと早くに南下を終えるのではと思っていたので意外な気がした。子ど
もたちが下校してきた。その中に、先日、探鳥会に参加した子がいた。ひとしきり話をする。「何か見えますか」「ノスリではないけれど、チョウゲン
ボウのホバリングが見られるよ」(探鳥会でノスリのホバリングを見たのだ)そのチョウゲンボウがスズメの群に突入する。スズメたちは散り尻にな
った。
2010
11
2
室林道ラインセンサス
サクラに絡まるツタの葉が少し赤みを帯びてきた。空を足早に雲が通り過ぎる。シジュウカラが機敏に採餌しながら林を抜ける。それを追いかけ
るコゲラ。混群も冬の訪れを感じさせる。林床からチ・チとクロジの地鳴きが聞こえた。私にとって、地鳴きのなかでも特にアオジとクロジの区別が
難しいが、今日は、クロジであろうと結論付けできた。以前は、クロジのほうが珍しいとの認識を持っていたが、ここ室林道においては、その考え
は逆転してきている(原因は不明だが)。カラ類が優勢な今の室林道に、さらに追い討ちをかけるのが、山から下りてきたヒガラである。10日ほど
前に初めて室林道でのヒガラを確認している。色を添えていたノギクの花も少々疲れてきた。風に木の葉が舞うのももう少しだ。
2010
11
5
健康ウォーキングコース
早歩きしても汗をかかない季節となった。野鳥も次々と冬の主役がやって来ている。この日は、アオジとカシラダカを山陰川で確認した。共にホオ
ジロ科の小鳥で私も気に入っている。留鳥のように一年中見られることは無いので余計再会するのが嬉しい。アオジは葦の茂みで、カシラダカは
植樹されたサクラの枝にとまっていた。決め手は地鳴きである。留鳥のホオジロとは違う鳴き声なのですぐにわかる(そうはいってもアオジとクロ
ジとカシラダカはよく似ている)。微妙な鳴き声の違いを楽しむのも乙なものではなかろうか。
西暦
月
日
メモ
2010
11
6
観音山
歩くにはもってこい、これ以上は望めないほどの上天気である。参加した子供たちは6名。久しぶりに参加した兄弟もいた。実は、萩小探鳥会の3
年生が同じコースを歩いたのであるが、今日のメンバーには3年はいないことを先生が教えてくれた(良かった良かった)。その時を上回る成果が
あったことをまずもって話しておきたいと思う。最初はジョウビタキの縄張り争い。背戸を歩いていたら2羽のオスがいきなり出現。でも様子が変だ
。2羽は追いかけっこを始めたのである。30センチくらいの間隔を保って庭木や果樹の間を猛スピードで飛び回る。2件目は2個体のカワセミだ。
山陰川本流から少し離れた川幅が1メートルもない溝で1羽目。観音山から流れ下る支流で2羽目。こちらの方はフィールドスコープでしっかり見
ることができた。3件目はオオタカとノスリ。2種類のタカが同時に見られた。最後は冬鳥たち。カシラダカとアオジがやって来たのだ。華やかな鳥
から地味な鳥まで。最後に何が一番良かった?と聞くと、全員、カワセミと答えた(納得)。
2010
11
9
寺ノ入林道ラインセンサス
標高が500~600メートルの寺ノ入林道を含めた三河山間部は紅葉本番となった。我が寺ノ入林道もシロモジが黄色に色付いた。落葉樹が多
いのが寺ノ入林道である。モミジのトンネルを気持ちよく歩くことができたのだった。野鳥では、いよいよミソサザイが姿をあらわした。野鳥観察を
始めて間もない頃、私は、山口さんと一緒に奥三河の山に入って、ミソサザイやカワガラスなどを見て回った。だから、ミソサザイに対して特別な
思い入れがある。ウグイスとの地鳴きの違いなどもこのとき学んだ。今日は3個体確認。このまま定着するのか、さらに南下するのか。もうひとつ
、リンドウを見つけた。11月の声を聞くと上品な紫の姿を探すのであるが、数輪の花びらを見つけた時はとても嬉しかった。
2010
11
9
御津海岸
北西の風に背を押され、押し寄せる波は波頭を崩して目の前を通り過ぎる。ここは、豊川と豊川放水路が合流して三河湾に注ぐ河口の右岸。空
は青いのに海の色は緑っぽい。その水面を点々とスズガモが連なっている。近い所では1羽々確認できるが、遠くになると筋のように見える。個
体数? とても数えられたものではない。荒波もどこ吹く風。荒波を楽しんでいるかのよう。一方、波のおだやかな浅瀬で採餌する淡水ガモたち(
今日見たのはカルガモとヒドリガモ)。逆さになって餌を採っている。スズガモの様子とあまりに違うのでびっくりするほどだ(スズガモが気に入った
)。
西暦
月
日
メモ
2010
11
9
<P><FONT color="#0000ff">2010 11 9 寺ノ入林道ラインセンサス</FONT><BR>
標高が500~600メートルの寺ノ入林道を含めた三河山間部は紅葉本番となった。我が寺ノ入林道もシロモジが黄色に色付いた。落葉樹が多
いのが寺ノ入林道である。モミジのトンネルを気持ちよく歩くことができたのだった。野鳥では、いよいよミソサザイが姿をあらわした。野鳥観察を
始めて間もない頃、私は、山口さんと一緒に奥三河の山に入って、ミソサザイやカワガラスなどを見て回った。だから、ミソサザイに対して特別な
思い入れがある。ウグイスとの地鳴きの違いなどもこのとき学んだ。今日は3個体確認。このまま定着するのか、さらに南下するのか。もうひとつ
、リンドウを見つけた。11月の声を聞くと上品な紫の姿を探すのであるが、数輪の花びらを見つけた時はとても嬉しかった。<BR>
<BR>
<FONT color="#0000ff">紅葉が真っ盛りの寺ノ入林道 リンドウも咲き出した 渓流からはミソサザイの地鳴き ⑦⑧ミソサザイを初確認する
</FONT></P>
<DIV align="left">
<TABLE border="0" cellpadding="5" cellspacing="0">
<TBODY>
<TR>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_01_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_01_101109_thumb.jpg" width="128" height="96" border="1" alt="寺ノ入林道
1"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_02_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_02_101109_thumb.jpg" width="128" height="96" border="1" alt="寺ノ入林道
2"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_03_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_03_101109_thumb.jpg" width="96" height="128" border="1" alt="寺ノ入林道
3"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_04_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_04_101109_thumb.jpg" width="128" height="96" border="1" alt="寺ノ入林道
4"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_05_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_05_101109_thumb.jpg" width="128" height="96" border="1" alt="寺ノ入林道
5"></A></TD>
</TR>
<TR>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_06_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/mikawako_06_101109_thumb.jpg" width="128" height="96" border="1" alt="寺ノ入林道
6"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/misosazai_01_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/misosazai_01_101109_thumb.jpg" width="128" height="103" border="1" alt="ミソサザイ
1"></A></TD>
<TD align="center" valign="middle" width="128" height="128"><A href="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
西暦
月
日
メモ
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/misosazai_02_101109.jpg"><IMG src="file:///C:/Documents and Settings/Owner/Application
Data/IBM/Homepage Builder Version 8/tmp/misosazai_02_101109_thumb.jpg" width="128" height="109" border="1" alt="ミソサザイ
2"></A></TD>
<TD></TD>
<TD></TD></TR></TBODY></TABLE></DIV>
2010
11
11
室林道ラインセンサス
点検のために送電線に沿ってヘリコプターがゆっくり進んでいった(このような光景を見たのは初めて)。墜落事故が頻繁に起きているので余計な
心配をしてしまう。ヘリの音はセンサスには全く影響を与えなかった。いや、何時もより多くの鳥たちを観察できたほどだ。朝、我が家の前に現わ
れたツグミ、室林道でも確認することができた。同じ大型ツグミのシロハラは、もうかなりの個体数となっていた。林床からいきなり飛び出す(少々
臆病か)姿は懐かしい。それと、もうひとつ、冬鳥らしい鳥も来ていた。ウソである。昨年の冬は少なかったので、室林道のソメイヨシノは満開を迎
えることができたが、来年の春は少々心配になった。それと特筆すべきはクロジの多さ(ホオジロくらい多い)。私自身は、少し前まで珍しい鳥との
認識があった。10年単位で見ると生態は変りつつある、そう確信させる出来事だと思う。
2010
11
19
健康ウォーキングコース
今は8時になってようやく陽のありがたさを味わえる。山陰川の葦にシジュウカラが群になっている。葦の鞘の中に潜む餌を捕っていると言われて
いる。桜並木に鳥が止っている。肉眼で逆光。残念ながら種を同定できない。帰りは順光なのできっと分かるだろう。結果は、ホオジロとビンズイ
であった。ホオジロはともかく、ビンズイならば尾羽の動作で分からなくては。センサスの途中娘からケータイが入る。急いで切り上げて孫の面倒
を見に行かなくては。
2010
11
20
室林道ラインセンサス
空が青いと気分もうきうきしてくる。萩の野山は真っ赤になる樹はあまりないが、黄色から樺色まで様々な紅葉に包まれる。室林道もこれからが
本番だ。寒さがつのると小鳥たちもいろいろ考える。餌の捕りかたなど。そのリーダ格は体の大きなシジュウカラ。しかし、先頭をきって餌を探すの
は決まってエナガである。これは冬に限らないが、やはり冬が本番だ。これというのは混群。見事にすみわけして決してけんかにはならない。本で
読んだ進化的安定な状態とでも言えるのだろうか?続々と冬鳥が来ていたが、今日も嬉しい事に2種を確認した。ヤシャブシの実をほじくるマヒワ
とルリビタキである。ルリビタキは飛来して間もない頃よく行っているぐぜりをしてくれた。さえずり(ぐぜり)をしていた個体は先のルリビタキ以外に
、ホオジロ、ソウシチョウがいた。
2010
11
25
室林道ラインセンサス
11月21日は18年前に初めて野鳥を観察した記念すべき日。萩小の親子探鳥会に参加したのが野鳥との出会いの出発点であった。勿論、それ
以前から鳥を見ていない訳ではない。しかし、関心が無ければ見ていないと同じことである。今年は冬鳥が多そうだ。18年前にもヒガラがいたの
できっと今年のような年だったのだろう(はっきりとは言えないが)。秋の山を飾るのは紅葉ばかりではない。何種のも野鳥がひと塊の群になって
採餌する(混群)姿に出逢える。まるで台風のように移動してゆく。昆虫たちの幼虫(被捕食者)たちは息をひそめて台風の通過を待つわけだ。虫
たちには申し訳ないが、バードウォッチャーにとっては嬉しい混群との出逢いである。冬鳥たちの中でも私にとって特別な鳥が2種いる。ミソサザ
イとカヤクグリである。両者とも決して色鮮やかな鳥ではない。むしろ、こげ茶色の地味な鳥である。私が10数年前に山口さん(鳥の師匠)と共に
、秋深い奥三河に向かい、ミソサザイやカヤクグリを観察した事を、今でもハッキリと思い出すのだ。その時に2つの鳥の地鳴きをしっかり勉強し
た。そんな訳で、冬になると、自然と2つの地鳴きに耳を傾けるようになったのである。
西暦
月
日
メモ
2010
11
27
羽根・長根の田んぼ
風はかなり強いのであるが、空には一点の曇りもなく、はたしてどれほどの風速なのかよく分からない。子どもと大人がふたりずつ、紅葉盛の萩
の里をゆっくりと歩いた。お隣の赤坂町で、今日から、モミジ祭りが始まった。春の探鳥会で必ず登っている宮路山の”コアブラツツジ”(ドウダンの
一種)が見ごろなのだ。残念ながら我々が歩いている所からは隠れてしまっている。こちらの紅葉は、ナラやクヌギ、イチョウといった黄色い葉が
ほとんどである。ヒヨドリやモズといった身近な鳥と、オシドリ、ヨシガモなどあまり見られない水鳥が、ひとつのコースで観察できる素晴らしい所な
のである。すでにやって来た冬の鳥のうち、田んぼで群になっているタヒバリも、探鳥会の最後に見つけることができた。子どもたちにとってノスリ
のホバリングはすっかり馴染みになっている(少しのことでは驚いてはくれないのがつらい)。そんな時には決まって、神様は、何がしかのサプライ
ズをプレゼントしてしてくれるのであるが。4人の気持ちが通じたのか、それは、素晴らしいプレゼントであった。つがいと思われる2羽のハヤブサ
が現われたのだ(見とれるだけでカメラに収めるのを忘れてしまった)。なんと幸福な時間よ!
2010
11
28
観音山ラインセンサス
カヤクグリとマヒワを確認しようと観音山に向かった。マヒワは既に室林道でも確認済みなので、観音山にもいるであろうことは、容易に予想でき
た。そして、そのとおりの結果になった。カヤクグリは?。去年の冬は数年ぶりに室林道でも確認できたのであるが、それまでは、観音山でのみの
確認だった。だから、ことカヤクグリについては観音山により多くの期待をかけているのだ。観音山の林道は室林道に比べ、標高が少し高い、樹
木の長が低く空が広く見える、などの違いがある。後者の条件が今日は生かされたようだ。トビとハシブトガラスとのバトル、同種どうしのつがいら
しい個体のパフォーマンスなどが青空で繰りひろげられていた。タカの姿もあった。ノスリであった。最初にトビを見たときに、側で飛翔するハヤブ
サをほんの一瞬だが確認できたのはラッキーであった。昨日の探鳥会でも確認しているし、もしかして繁殖も考えられそうだ。10年も経たないうち
に、観音山を貫通したトンネルを車が高速で走ることになるだろう。高架橋も架かり付近の風景も様変わりになる。その時、ハヤブサやノスリが大
空を羽ばたいているだろうか?。
2010
12
3
室林道ラインセンサス
昨日の夜は、晩秋とは思えない天気だった。木枯らし交じりの大雨とは、何か気候変化がどんどん進んでいるみたいだ。おかげで、朝から真っ青
。林道は枯れ葉が積もっていてふかふかの絨毯を歩いているようだ。さらに、朝霧が林の中を流れ、松の尖った葉の先には無数のスペクトラム。
綺麗だ!。クロジが薄暗い林床で鳴く。2羽が飛立った。こちらは、室林道では久しぶりに見るアオジだ。林道に入る前に、ソウシチョウの囀りを聞
いたが、ホオジロの囀り個体にも久しぶりに出あった。夕方の天気予報で、最高気温が記録的に高かったことを話していた。きっと、春のような気
温にホオジロも騙されたのでは。冬の使者とも言ってよいマヒワとウソ。今日は、ウソ10羽ほどが、ソメイヨシノの並木で採餌するのを見ることが
できた。お目当てのミソサザイもきっちり2羽。ウグイスとはまた違った地鳴きを楽しむ。娘親子と会う時刻が近づいて来た。カメラを持たずにセン
サスに専念したので待たせることは無かった。
2010
12
6
豊川金沢大池
毎年飛来してくるマガモの姿が全く無い、という驚きの状態が金沢大池でも起きていた。萩町の隣町にある駒場池、100羽を超えるマガモの姿を
見るのが常であったが、今年は、水鳥の姿はほとんど無い。金沢大池にいるカモ類は、ホシハジロ2羽と、10羽ほどのハシビロガモだけであった
(数も少ない)。そのようなことで池は淋しいが、林を見ればたくさんの小鳥たちを見つけた。やはり一番多いのはヒヨドリだ。そしてメジロやヤマガ
ラ、シジュウカラ、エナガの混群が目に付く。大池の周辺ではジョウビタキやアオジ。里山の林床ではウグイス、クロジ、シロハラがいる。ここは柿
の産地である。収穫されない実は小鳥たちのご馳走となる。ヒヨドリが多いのも頷けるが、ツグミなどもついばんでいる。小鳥が多ければ捕食者も
やってくる。今日も2羽のタカ(ハイタカかツミ)を確認した。
西暦
月
日
メモ
2010
12
12
御津海岸
市のマイクロバスを使わせていただいた。久しぶりに町の外に出かけ探鳥会を行った。行った先は御津海岸。最も近い海岸線である。ここは豊川
河口の右岸。工業団地として埋め立てられた所である。そこで見られたのは主にホシハジロであった。北西の風も穏やかなため静かな波間をゆ
らゆらする様は、とても平和的で心和むものであった。スズガモの姿が見えないな(いつもは一番多い鳥なのだが)と思いつつも、ホシハジロだけ
でも満足しければ。それをカバーしてくれたのがノスリとミサゴ、2種のタカであった。前者は地元でも馴染みのタカ。しかし、ミサゴを見るのは子ど
もたちにとって初めてに違いない。白と黒の鮮やかな姿は青空にくっきりと映えて、とても印象的なものであった。2種のタカは、1羽のウミネコと
共に頭上で旋回した。三者三様の、白い翼を広げた姿はとても高貴に思えた。その後はラグーナ蒲郡がわの海岸線に回ってみた。そこで目にし
た圧巻の光景。スズガモの大群が(1000羽ではとても効かないだろう)乱舞するのをバスの窓から眺めたのであった。声も出ないとはこの事。臨
海公園でバスを止め、さらに水鳥たちを探す。浅瀬群れるのは淡水ガモたち。オナガガモ、ヒドリガモが多く、少しのヨシガモ、カルガモが見られた
。逆立ちして採餌する淡水ガモと、潜るウミガモの違いをうまい具合に説明できたと思う。おまけはカワセミ。子どもたちは海にもカワセミがいるこ
とに驚いた様子であった。比較的暖かで風も穏やか。光り輝く海を見て心も晴々としたのでなかろうか。
2010
12
15
室林道ラインセンサス
黄色だった木の葉に茶が混じり、やがて木枯らしに耐えられず枝先から離れてゆく。晩秋から初冬に入った。この時期の室林道は冬鳥たちが大
挙して飛来する。今年はうれしいことに、ヒガラ・マヒワ・ウソたちがそろって見られる。林道から三河平野と三河湾が一望できるが、風に吹き掃わ
れ透明度を増した空気を通して輝いて見えた。自然の素晴らしさよ! ウソが静にサクラの芽(花芽)をついばんでいた。ウソの声はとても控えめ
だ。パリパリとついばむ音が聞こえるようだ(実際、以前、個体数が多い時に聞いたことがある)シジュウカラとエナガの混群は一年を通して見ら
れる(冬季の方がずっと多いが)。しかし、ヒガラとの混群は冬季だけの特権である。ヒガラは、室林道に周年留まってはくれない。
2010
12
18
茶臼山ラインセンサス
10月の末に行ったきりであったので、何とか茶臼山に登りたいと思っていた。積雪の中を行くのは気が重い。それがようやく叶い勇んで出かけた
訳である。1000メートル級の明神山を見ると白いものは全く無いので少し安心した。東栄町から奥の村は花祭りの季節である。一度だけ見たこ
とがあるだけであり偉そうなことは言えないが、神事として永く伝えられてきた重みを感じた。演じる者に神が乗り移ったかに見える。其れでなけ
ればあんなに長時間、激しい動作を繰り返せるはずがない。いや、神様のお陰にするのは止して、演者の永い鍛錬の賜物に帰することにしよう。
幸にしてチェーンが無くても通行可の表示が出ていた。山頂までの道々、鳥の声はほとんど無かった。駐車場で身支度を整える。風がほとんど無
いのがありがたい。しかし温度はかなり低そうだ。設置してある温度計はなぜか表示されていない。今ここで生活している鳥たちは、寒さ、飢え、
その他の困難(捕食者)と戦って生き延びなければならない。もっと安易な道を選べばよいのにとも思うが、彼らにとってはこれが最善の道なのだ
ろう。駐車場脇の潅木でベニマシコが鳴いていた。1羽だけいたが(メス)普通数羽の群をなすことが多いので、散りじりになって餌探しをしている
のかもしれない。冬季になると室林道にヒガラが越冬にやってくる。茶臼山にももちろんヒガラは多数いる。それらは全て山を離れるのだろうか。
そんなことはあるまいと思う。今日センサスで見ているシジュウカラやエナガなども積雪と同時にここを放棄するのだろうか。五分五分かな?。全
体的には冬の訪れと共に個体数が激減しているのは確かのようである。あれだけいたウグイスやソウシチョウは跡形も無い。茶臼山ではスキー
場の整備が進んでいた。人工降雪機のお世話にならないとスキーは難しそうだ。北に聳える恵那山は薄くベールをまとっていた(ベールを通して
花嫁の黒髪が見えるように)。東には南アルプスの3000メートル峰が連なる。当然ながらこちらはすっかり白くなっている。この姿を見るのも冬
の茶臼山センサスの大きな楽しみなのだ。
西暦
月
日
メモ
2010
12
21
寺ノ入林道ラインセンサス
山に入ると、雲が集まってきて、いつの間にか太陽の居場所が分からなくなっていた。雨が降る心配すら出てきたので、三脚を担いでいる身とし
ては気が気ではなかった(結局の所は大丈夫であった)。陽は当らなくても寒さは感じなかった(ここは600メートルあるのでかなり寒いはず)。ヒ
ガラが地表に下りていたので様子を伺っていると、どうやら、湧き水のある所で飲んでいるらしいことが分かった。ヒガラは森林の上部で採餌する
のが常であり、珍しい事だなと一瞬思ったが、水飲みは地上に下りないと不可能だ。寺ノ入林道に来ると痛切に感じるのは、冬季の野鳥たちの地
鳴きがとても控えめな事。独り言をぶつぶつ話しているようだ。カラ類の中でもヒガラが特にそうである。いるのか、いないのか、なかなか分からな
い。もちろん例外は常にいる。ルリビタキ、カケス、ハシブトガラス、ヒヨドリたちに「小声で話してね」と頼んでも、約束を守ってくれる可能性は無し
に等しいだろう。そう考えると、小声で悩む鳥は”ヒガラ”に限定かも。静かな林道をとぼとぼ歩いてきた人(人ではない)があった。特大の筆のよう
な尻尾をたらりとさせていた。キツネだ。こういった場合(はちあわせ状態)、写真におさめるのは普通無理だ。相手はこちらに気付いていない、こ
ちらは気付いていてカメラを構えていつでもシャッターが押せる、そんな状態でなければ撮れないのが動物写真だ。一度は視界から消えたキツネ
、さらに歩を進めてゆくと、ヒノキ林の中を谷に向かい下りてゆく姿を数秒ほど見ることができた(2度見られただけでも大満足としなければ)。音羽
ではなかなか見られない冬鳥も期待したが(アトリ・カヤクグリ・望み高くイスカ)、なかなか願いは叶わないのが常、それでもミソサザイが4個体も
いたのはさすがと言うべきか。
2010
12
23
羽根・長根
風が急に出て上空を黒雲が覆った。気圧の通過か?。しかし、センサスを終える1時間後には、また、陽の暖かさを感じる事ができた。前日の雨
で田んぼには水溜りができている。数羽のケリが田んぼ上空を飛翔する。ただし、春先のようなけたたましい鳴き声は伴ってはいない。ハシボソ
ガラスも黙って採餌中だ。両者は、繁殖期には犬猿の仲になる。今は休戦中。タヒバリの爽やかな声が聞こえた。しかし、姿はほとんど分からな
い。彼らほど田んぼの環境に溶け込む鳥もそういない。飛立たないと本当に気付かないのだ。畦を見ると所々赤くなって、いわゆる草紅葉状態に
なっている。これがなかなかきれいなのだ。
2010
12
23
室林道ラインセンサス
北西の風が送電線を震わすことで発生する重低音が途切れなく聞こえる。この音は冬にならないと聞かれないものだ。積雲が勢いよく流れ一瞬
の日陰をつくり出す。その瞬間身体がゾクゾクっとする。シロハラがけたたましく鳴いた(臆病な鳥だ)。それに比べてウソはのんびりとしたものだ。
夢中になってサクラの花芽を食べる真下に来ても気にする様子はない。ウソのオスは殊の外きれいだ。野鳥観察を始めて間もない頃に、標高
600メートル程のスカイラインを通行中に目に入ったのがウソであった。紅色のオスを見た感激は17年経った今でも思い出す。
2010
12
25
川原から室まで
この冬一番の寒気がやってきた。たしか、1年前のこの日(探鳥会の日)は雪の日であった。校庭で雪だるまを作ったと思う。それに比べたら、と
思いつつも、羽根・長根の田んぼは吹く抜けでとても寒い所。急きょ、コースを少し楽な方向に変更したのだった。それが功を奏したのか、室(むろ
)川を歩いていた時カワセミを見つけた。側の家のご主人が土曜探鳥会のことをよくご存知で、しばし昔話を楽しむ。室林道の下にあたる林道を
標高を挙げて行く。そこで、探鳥会としては珍しい鳥に出合った。ミソサザイである。山の懐に入って風も弱まった。太陽が顔を現わすと何ともいえ
ない安堵感。少々寒くはあったが、6名の子供たちとお菓子タイムを楽しんだ。
2011
1
1
室林道ラインセンサス
初詣と年始参りを終え、その足で室林道へ向かう。スタートはやはり室林道でないと、と思ったからだ。北西の風が白い塊の雲を次々と運ぶ。送
電線もゴーと重低音を奏でる。穏やかそうに見えても寒波は室林道を冷蔵庫にした。手袋をしていないとフィールドノートの文字がミミズの痕にな
ってしまう。ヒガラかメジロか判別が定かにできないつぶやき声が聞こえる(ジョウビタキとルリビタキ同様何時も惑わさせられる)。ルリビタキとク
ロジが林道上に下りて採餌していた。両者ともにオスの成鳥である(ラッキー)。主役であるはずの冬鳥はというと、今日は主役ではなかった(群を
つくる鳥が多いので、運よく群に出合えたら記録個体数が一気に増えることになる)。代わりに、地の鳥たちが頑張っていた。シジュウカラ、ヤマガ
ラ、コゲラはコンコンとリズムカルな音を立てて、樹の中に潜んでいる獲物をついばんでいる。冬季になるとヒヨドリは、里に下りて採餌することが
多いが、かなりの個体が室林道に留まり過ごしているようだ。センサスを終えようとしていたとき、付近の樹の枝が激しく揺れ、大声が聞こえた。
サルたちだ。尻の赤い大人や子ども、さらに赤ん坊もいる。何頭くらいだろうか。
西暦
月
日
メモ
2011
1
1
我が家周辺
山陰川沿いをカメラを担いで歩いた。日が高くなって徐々に風が強くなる。こんな時は鳥たちも静に風が止むのを待っている。だから鳥の陰も薄
い。結果的に、家のごく近くが一番多かったようだ。神社のサクラにつがいのトビが止っている。暫くして上空をトビが飛翔する姿を見る。サクラの
トビかな。いいや、彼らは相変わらず並んでいた。さらに何羽ものトビ。いつの間にか10羽ほどに増えていではないか。そういえば、近頃トビが増
えたみたいだ。
2011
1
1
2011
1
4
観音山ラインセンサス
風が強く山全体が叫んでいるよう。こんな日はあまり鳥は見られない。それでも出かけたのはひとえに、カヤクグリがやって来ていないかと思った
からだ。萩の中では室林道と観音山が出会える可能性が高いと思う。しかし、結果は空振りであった。それでも楽しませてくれたのは鳥たちから
のお年玉か?。林床から飛び出したのは、アオジ、ホオジロ、ジョウビタキだ。梢からはメジロのつぶやきが聞こえる。空の美しさに見とれ、鳥たち
が少なかったのが残念とは感じなかった。
2011
1
8
財賀寺
快晴(雲ひとつ無い)を見るのは気持ちよいものだ。萩小学校から財賀寺まで山道を歩く。途中、平尾CCがあってその脇をとおり抜けるのである
が、牧野さん曰く、「あまりゴルフボールが落ちていないのは、皆腕を上げたのかね」。カワセミの見られる池に来た。半分は凍っている。これでは
カワセミも魚を捕まえられないと思った。ところが、しっかりカワセミはいた。配管の上に止ったまま、10分以上はジッとしていただろうか。観察して
いる間に、池を取り巻く樹木にはマヒワの群がやって来た。ここまでの道中にも、ヒガラの群やカケスを見ることができた。子どもたちにとっては初
めて見る鳥である。コース一番の難関は尾根に登る急な階段(子どもたちが数えたら327段あった)。おとなふたりをおいてスイスイと登ってゆく
子どもたちの遠ざかる背中を見つつふうふう言いながら登る。財賀寺には正月の賑わいは無にものの、親子ずれや老夫婦の姿がちらほら見られ
た。1人ずつ鐘を突いてお祈りをする。歩いてお腹が空いたので少し早いが弁当を食べる。外で食べる弁当は特に美味しいものだ。それに天気
が良い。帰りは山ひとつ越せば萩に戻る。最後まで元気一杯な子どもたちであった。
2011
1
13
室林道ラインセンサス
冬至からそろそろ1ヶ月になろうとする。寒さはこれからが本番だが日差しは日増しに強くなってきている。放射冷却で車の窓も凍り付いたし、室林
道の湧き水の氷柱を初めて観察した。ラインセンサスのスタート時点では野鳥の声も小さかった。しかし、折り返して、日の光が室林道に行き渡る
ようになる頃には体が温まったのか、活発に動きまわり鳴き始めた。中でもシジュウカラは力強い地鳴きを聞かせてくれる。オスとメスが2羽で行
動しているようにも見える。シジュウカラは室林道では最も早くから囀り行動を開始する鳥である。もうすぐにオスの求愛の歌を聞くことができるだ
ろう。
2011
1
14
高浜市貯木場
土曜探鳥会のパートナーである牧野さんの地元、高浜市にやってきた。高浜市は愛知県知多半島の根元から少し奥まった所にあり、古くから瓦
の生産地として有名である。音羽からは車で1時間30分ほどの所。通ってみると、牧野さんが探鳥会に来ていただいている事がいかに大変なこ
となのかが身にしみて分かる。早速牧野さんと海岸に向かう。そこは、昔は(少し前まで)は貯木場であった。従って、魚も沢山釣れたし鳥
も多かったという。今は、冬季にカモたちが羽を休める程度になてしまったようだ。どこもそうであるが、海岸は埋め立てられ工場が林立している。
堤防の内側は元は養魚場であった。牧野さんはその池を今日の観察場所にした。池の中ほどにいるのはキンクロハジロが大半で、ホシハジロが
少し混じる。満潮なので干潟はほとんど隠れているが、池の縁ではコガモが羽を休め、シギ・チドリ類(シロチドリ・イソシギ)が餌を探していた。時
々ここにセイタカシギがやって来ているとのこと。残念ながら今日は確認できなかった。池の周りは葦原となっていて、音羽でも馴染みの野鳥(ヒヨ
ドリ・ツグミなど)が棲息している。大きな鳥もいた。一番多いのははアオサギだ。海岸のタカ類の代表であるミサゴも確認できた。そして、白く大き
なセグロカモメ。地元の人たちを対象にした観察会では30種以上を記録したそうだ(やはり海岸は鳥の種類が多い)。
西暦
月
日
メモ
2011
1
14
碧南火力発電所
高浜貯木場を後にして碧南火力発電所にやって来た。昼ごはんは2年前に寄ったレストランで食べた。温泉、農産販売所、温室が同居している
珍しい所だ。平日なのでお年寄りの客が多い。ご飯の量は可なりのもので残さず食べるのが大変。皆どうするのか心配になる。高浜もそうであっ
たが、ありがたいことに今日は風がほとんど無かった。発電所の外れに自然観察コーナーが設けられていて(小川など全て人工のものだ)多くの
野鳥がいる。ヒヨドリとツグミ、メジロが目に付く。石炭火力発電所であるため燃えカスを埋め立てている。徐々にカモ類の休み場所が失われれゆ
くのが気がかりだ。
2011
1
19
羽根・長根の田んぼ
センサスを行っている間中、太陽はほんの一瞬しか顔を見せなかった。そんな冬の羽根・長根の田んぼは寒さが身にしみる。緑色はほとんど無く
なり枯れ野が広がっている。既に1回目の田起こしを終え、昨日の積雪で土は黒く変っている。そこには多くの野鳥がいた。カワラヒワ、タヒバリ、
ヒバリなどである。特にカワラヒワは大きな群れをつくり上空を旋回していた。太陽の光が差せば黄色に輝く姿が見事であろうに。ヒバリも盛んに
鳴いている。ただし、この時期は地鳴きであるが。道路で2羽のツグミが取っ組み合いをしていた。何が原因なんだろう。縄張り争いか?。それと
も彼女を巡ってか?。これだけ鳥が多いとチョウゲンボウものんびりできないだろう。電柱にとまってジッと獲物に狙いをつけていた。
2011
1
20
室林道ラインセンサス
雪の日以来寒波が波状的に襲っているようだ。今日も底冷えのする一日であった。寒さの影響か室林道の野鳥も静まり返っていた。一番大きく
鳴いたのはサクラの花芽をついばんでいるウソの一羽が発した声で、その他は、微かに口ごもるばかりであった。フィールドノートの番号を見ても
常の半分程度しかなかった。
2011
1
22
羽根・長根の田んぼ
天気予報を見たら昨日よりも1度高い。冬季の羽根・長根探鳥会は寒さと風との戦いなのでこの予想は嬉しい。実際もその通りの穏やかな一日と
なった。久しぶりに女の子がふたり参加して、桃の節句が間近いこともあり、華やいだ様相となった(女の子のいる家では、そろそろ雛人形を出さ
れるのではなかろうか)。萩小から羽根・長根の田んぼまではヒヨドリが多かった。羽根・長根の田んぼに入って後、1台のトラクターが田起こしを
していたことが幸した。そこには、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ツグミ、ケリ、ムクドリたち(羽根・長根の田んぼ中の全てが集まったと感じさせる
ほどの)がひしめき合うようにしてトラクターによって地中から地上に放り出された(鳥たちの大好きな)虫やミミズなどを奪い合っていた。中でもひ
ときわ大きなケリは子どもたちの人気であった。目立つ鳥はよい。タヒバリはかわいそうに子どもたちから無視され続けている。長根の大池でカワ
セミを見た。釣り人たちが竿をたれる側で水面を見つめていた。ここではフィールドスコープが活躍する。ちょうどコバルトブルーの背中を見ること
ができ大満足。大小2種類の白いサギ(ダイサキ・コサギ)も空を飛んでいて、子どもたち(いやおとなにとっても)嬉しい探鳥会であった。
2011
1
23
駒場池
マガモは来ているか?。年末に寄った時にはあまりにも閑散としていた。池の脇を自動車道がありかなりの頻度で利用しているので、ちらりと見る
限りではまずまず水鳥はいる様子であった。双眼鏡で種類を確認する。マガモ、オナガガモ、カルガモ、ヒドリガモが確認できた。白い繁殖羽のカ
ワウも相当いる。何度も見返していたら、先のカモたちに混じり少し小型のカモを見つけ出した。コガモ?。いや違う。けれどもはっきりとは分から
ない。スコープを持ってこなかった事を悔いた。結局、家に取りに戻ったのだが。スコープの視野に入ってきたのはトモエガモであった。ここ駒場池
には時たまトモエガモが飛来してくるのである。やはり、時々は注意して見なければいけないなーと思った次第。
2011
1
26
寺ノ入林道ラインセンサス
三河湖に行くまでの道々の脇には1週間前の雪が残っている。この分では林道は真っ白ではなかろうか。案の定、林道への登り坂はつるつるし
ている。何時もよりもかなり手前から歩き出す。雲行きも怪しい。今にも雨か雪が降りそうだ。林床を採餌場とするシロハラやルリビタキなどは林
床が雪で埋まり採餌も難しそうだ。その点、樹冠付近や中くらいの高さで採餌するカラ類はまだましだろう。変った声が聞こえたがアカゲラだろう。
それからヤマゲラとコゲラ。両者共に雪にも負けない兵だ。そして気にかけたシロハラに出合った。雪を撥ね退けて餌を探すのであろうか。ヒガラ
が1羽林を飛んで行く。さすがにまとまっては行動していない。センサスの折り返しを過ぎたら雪が降ってきた。双眼鏡は防水なので大丈夫、しか
しカメラは無防備なのでバッグにしまう。靴の中にカイロを入れてきたのは正解だった。わだちはつるつる、そこを避ければ一歩一歩が重い。早く
センサスを終えたい気持ちで一杯になった。
西暦
月
日
メモ
2011
1
29
我が家周辺
風も無く暖かい日差しの気持よい午前の日に、我が家から半径1キロメートルほどの範囲でラインセンサスを行った。我田引水に聞こえるのを承
知で言うと、川あり、山あり、田畑ありの箱庭のような場所である。隣の畑ではオスのジョウビタキが縄張りをもっていて、我が家も彼のテリトリー
に入っている。その隣の山陰川あたりはメスが占領しているようだ。朝になると神社のエノキからはカワラヒワの声がしてくる。最近、そこに定住を
決込んだのかノスリが1羽いる事が多い。今年の冬は田畑でツグミを沢山見かける。厳しい寒さで山付きの個体が平地に下りてきたのだろうか。
山陰川で何度かシギの姿を見たのであるが、今日、その正体を確認することができた(写真撮影により)。どうやらそれはタシギらしい。その時に
興味深い行動に出た。最初は橋の下の薄暗い所にいたが、やがて、日向にでて採餌していた。私が見つからないようにして接近し撮影した所、
逃げる様子も無く、まるで死んでいるかのようにジッとしてしまった。私はそれをいいかのようにますます近くに寄った。しかし、彼は嘴を水面に付
けたまま銅像のパフォーマンスを決込んでいたのだった。日本野鳥生態図鑑(中村)によると、危険にさらされるとジッとする習性があるとある。確
かに彼の羽模様は川底の石ころのようにも見えるので、今回のように居場所を知っていないとなかなか気付かれる事は無いように思える。上空
を数羽のトビが輪を描いている。その中に小さく2羽の鳥が争っていた。大きい方はハシブト(又はハシボソ)ガラスで、小さいのは(こちらの方が
強かった)小型のハイタカ類だろう。ということは、ツミかハイタカになる。今日のセンサスでは確認できなかったが、山陰川沿いの民家にイソヒヨド
リのオスが現われるようになった。これは、毎年の出来事になっている。土手に春の気配を探そうと目を凝らした。多くの植物はロゼット状になっ
てまだまだ春は先のように見える。しかし、背丈はごく小さいもののハッキリと春の色が見て取れた。ひとつは青いオオイヌノフグリ、もうひとつは
赤いホトケノザである。私は、こうした雑草ではあるが可憐な花を咲かせるのが好きだ。
2011
2
1
2011
2
1
室林道ラインセンサス
冬至から1ヶ月以上経ったことは景色の輝き具合にも表れているようだ。室林道には植林(針葉樹)以外にも、常緑照葉樹や落葉樹がパッチ状に
生えている。太陽の光を透かしてみるヒノキの緑色が明るく感じられ、逆光の照葉樹がミラーのように輝いて見える。夏の名残を見つけた。オオ
ルリの巣箱を支える支柱にセミの抜け殻が、林道のアスファルトの上に毛を纏った細長い種子が落ちていた。野鳥のほうといえば、ソメイヨシノの
花芽をウソが、ヤシャブシの球果をマヒワが、私が真下を通っても一心不乱に啄んでいる。山口さんと会った。軽トラで、萩っ子の森の巣箱設営に
あたって選定した、不要材を運んでいるとの事。彼の萩小学校への貢献は計り知れないほど大きい。
2011
2
2
乙女川
私の家から数キロの所に乙女川はある。最初、本当の名前は別にあるんではと思ったほど見事な名前である。国土地理院1/25000の地図に
もちゃんと乙女川とある。ここでの思い出は、カワガラスが巣に堰の裏にある巣に、滝の流れを突っ切って入って行ったこと。その堰は新しくなり
巣を作れるような穴が無くなってしまった。しかし、カワガラスがいなくなったわけではないので、2月の声を聞く頃にいつも出かけるのである。初
夏のオオルリも見ごたえがある。乙女川は近い穴場なのである。川は勿論きれいだ。特に川床が一面の岩に覆われている点が特徴的と言ってよ
いだろう。泥が溜まっていないのでどこも澄んでいるのである。カワガラスを見つけたのは旧大雨河小学校(廃校になってしまった)から少し上流
にいったあたりである。カワガラスは特徴のある鳴き声で存在を知り、その後で姿を見つけることが多い。今日もそのとおりになった。姿はこげ茶
色。外観はミソサザイをそのまま大きくしたよう。しかし全く別の科である。
西暦
月
日
メモ
2011
2
5
室林道コース
9名もの多くの子どもたちが集まってくれた。2月になってから、あの寒い冬はどこへ行った?、と思う日が続いている。まるで、昨年の夏が突然秋
から冬に変わってしまったように。けれど、まだまだ春になったとは言い切れないだろう。しかし、今日の探鳥会で小鳥たちの囀りを聴くに及んで、
いや、ひょっとして春は早いのかも知れないぞと思った。囀りをしていたのは、イカルとホオジロだ。子どもたちに囀りについて話をする。暖かいの
は結構、しかし、冬はあるていど寒くないと、今日の探鳥会も「冬鳥を見よう」なのだ。冬鳥が居なくなってしまわないかが心配の種となってくる。ウ
ソを見せてあげると言った言葉が嘘にならなければいいが。室林道が近づくとカケスとソウシチョウの声が聞こえた。対照的な声である(ソウシチ
ョウは囀りであったので、もしも地鳴きなら似通っていたろう)。そして室林道に入った。あまり鳥の声がしない。心配が現実のものになるのか。い
や、ウソは嘘付きはお嫌いのようであった。数羽の群になって静かにサクラの花芽をついばんでいた。オスもメスもいた。オスの紅色が鮮やかだ
。たぶん、参加した子たちにとって初めて見る光景ではなかろうか。室林道を奥に進んだ。ウソは私たちを追いかけるように、あるいは、出迎えて
くれているかのように、私たちの視界に入ってゆっくりと採餌している。時おり、フィ・フィ・フィと口笛を鳴らす。この声も珍しい経験だったと思う。見
晴らしの良い所でおやつを食べた。至福の時間を過ごし、いつの間にか2時間が経っていたので萩小学校に帰る準備をした。最初少しばかりの
苦言を呈した(子どもにとって厳しい)。まあ、めげることはあるまい。サルを2頭見るなど楽しい思いをして定刻どおりに到着。お母さんたちが優し
い笑顔で出迎えてくれていた。
2011
2
13
室林道ラインセンサス
それほど寒いとは感じなかったが測ってみると気温は3℃であった。ようやく朝日が差し込む8時少し前にセンサスを開始する。カケスの声がジャ
ー、ジャーとする。この声は冬の寂しい山にとても似合っていると思う。しかし、寒さは残っているものの、野鳥たちの間からは命の息吹きが聞こえ
てくる時期でもある。すでにホオジロの囀りは経験済みであるが、さらに加えて、ヤマガラがピーツツとゆったりしたテンポで囀りを始めた。近くの
林からは、姿は確認できないものの、リズミカルなドラミングを聞かせてくれるアオゲラ(またはアカゲラ)がいる。ウソは相変わらず黙々とサクラを
啄ばむ。もっとも、サクラばかりを食しているわけでもなさそうだ。室林道にはいろいろな種子があるので、当然それらも採餌対象となる。センサス
の復路でエナガの群に会う。相変わらず元気なものだ。エナガに少しばかり混じっていたのはヒガラとヤマガラであった。やがて群は解消され、ペ
アとなったオスとメスは子育てに勤しむことになろう。
2011
2
15
自宅周辺
少しばかり時間が取れたので(孫が1人増え何かと用事ができたのだが)運動を兼ね近くを鳥を見て歩いた。だから、携帯したのはフィールドノート
だけ。いつも思うのであるが、一番大切なのはだ、自分自身の目と耳、そして、集中力、すなわち健康体だ。車のエアバッグと同様、道具(双眼鏡
やスコープ)は肉眼の補助だと思うのだ。高価な道具(例えばツアイスやニコン)が無ければ立派な仕事ができないなんてないだろう。歩いていた
らプーんと匂ってきた。表現が悪いが決して悪い匂いではない。それはウメの香なのだから。そこに1羽のシジュウカラがいる。幅広のネクタイか
らオスだとわかる。その彼がやがて囀りを始めたのである。グッドタイミングとはこの事。このウメは山陰川にかぶさるようにあり、シジュウカラの
下を青い光を投げかけカワセミが飛び去ってゆく。この辺りにイソヒヨドリがよくいる。今日もいるかしらと主に甍を探した。残念ながら、付近にいた
のは同じツグミ科ではあるが、もっと地味なツグミばかりであった(決して嫌ではないが)。
西暦
月
日
メモ
2011
2
19
羽根・長根の田んぼ
子どもたちが来ない、不思議に思っていたらどうやら子ども会をやっているらしい。結局、いつも隣の町から来てくれる子と大人3人で探鳥会をや
ることになった。最初は新堤池のオシドリだ。マガモとオシドリが10羽ほど、静かない池の上を泳いでいる。突然カワセミが現われた。そして、もう
一羽のカワセミが。つがいだろうか。藪からはウグイスの地鳴きも聞こえた。次いで、羽根・長根の田んぼに向かう(移動は車で)。栗林にアカゲラ
がやってきて、下から幹をつつきながら樹冠へと登ってゆく様を望遠鏡で観察する。川の中には、ハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイ、ツグ
ミが採餌中。田んぼの中には、ツグミ、ケリ、カワラヒワ、スズメ、ハシボソガラスが餌をあさっている。車の窓から鳥の群が見えた。群のいた田ん
ぼに近づいてみると、田んぼの土とよく似た色のタヒバリが20~30羽ほど、ごそごそしながら虫を探している。車から降りると逃げられてしまうが
、車の中からだとすぐ近くまで寄ってくる。上空ではトビが位1羽ゆったりと輪を描く。つい習慣的に、トビとは異なる飛翔をする大型の鳥を探してし
まう。今日もそうだ。半分ほど青空が、半分は雲におおわれている。ダイサギがゆったりとこちらに飛んできた。降りた先は、たぶん山陰川だろう。
実は、その前に今日一番の出来事があった(最初のオシドリの出会いよりも、起こり得なさの高さにおいて)。それは、ハヤブサが山陰から飛立ち
、最初はソアリングしていたが、何時までも(トビのようには)せず、早いピッチで羽ばたきはじめた。先の尖った翼がハヤブサ科の特徴を示してい
る。羽根・長根の田んぼでは冬季になると、数の増えた野鳥達を捕食しようと猛禽たちが現れる。ハヤブサもそうだ。しかし、最もよく観察されるの
はチョウゲンボウである。この、小型のハヤブサは細かく羽ばたきし、ホバリングで獲物を探し突如襲い掛かる。より大型のハヤブサはそう滅多に
見ることができない。その意味で今日は運がよかったし、参加してくれた一人の子に大きなプレゼントができたような気がする。
2011
2
23
乙女川
三河湖からの帰りに乙女川に寄った。先(2月2日)のメモでカワガラスを確認したので、その場所とは違うが、昔、堰に巣を作っていた場所に寄っ
てみたのだ。すると案の定、1羽のカワガラスが堰の下の岩にとまっていたのだ。堰からの水の落ち方が滑らかであったので(工事のしていた)、
堰を造り替えた思い込んでいたのだが(それでは巣は作れない)、実際は、上部だけ補修をしていたらしく、堰はほとんど昔のままだった。それな
ら穴もあって巣も作れる。暫く静観していたところ、1度だけ滝の中に突入してゆくのを見ることが叶った。
2011
2
23
寺ノ入林道ラインセンサス
ここ数日の暖かさに勇気づけられ寺ノ入林道に向かう決心をした。さすがに雪は残ってはいない(どの世界でもしぶといものがいるので、100パ
ーセントではなかったが)。今日のセンサスで確認できたのはほとんど(この場合も100パーセントではむろんない)シジュウカラ科の小鳥であっ
た。本家シジュウカラよりも、ヒガラ、ヤマガラの鳴き声が多かった。センサスの後半に行くほど活発であった気がする。やはり、太陽が辺りを暖か
くしてくれるのを待っているのか?。エナガもいたが、真冬とは少し違っていたようだ。すなわち、群で行動せず単独ないしは2羽程度でいる姿の
ほうが多かった。これは繁殖の前触れを現わしているのだろうと思う。まだまだ夜や明け方の寒さは厳しい。野鳥たちは春に備えエネルギーを蓄
えていた。ヤマガラはアカマツの赤い樹皮を1枚1枚剥がし中の虫を捕っていた。
2011
2
25
室林道ラインセンサス
ここ数日の暖かさと、朝日が早く当るようになったことで、室林道でもウグイスの囀りが聞かれるようになった。やはり、初めて聞く囀りは新鮮に感
じる。まだまだ地鳴き個体も多いがこれから一気に囀りが増えることだろう。あと囀りをしている鳥はといえば、ホオジロ、ヤマガラ、アオゲラである
。シジュウカラはまだ地鳴き個体が多くて(というか、個体数そのものが少ない感じがする)、たった1羽だけが囀りをしていた。もうひとつ面白いこ
とがあった。冬季では全く聞かれなかったミソサザイの地鳴きが2ヶ所から聞かれたのである。この2個体は、南方の個体が北上している姿では
ないだろうか。冬鳥も勿論いる。マヒワ、ウソは懸命に種子を啄んでいる。変化といえば、混群や群が見られなくなったことではないだろうか。混群
の先達を任されているエナガも、今日であった個体は1・2羽で行動していた。すでにペアになっているのかも。1ヶ月余りもすれば夏鳥たちが大
挙してやってくる。室林道は賑やかになる。
2011
3
3
室林道ラインセンサス
放射冷却がしっかり成されたらしく今日の室林道は久々に寒さが増した。先に、ウグイスの囀り個体が多かったと記録していたのに、どうやら、ウ
グイスは冬に戻ってしまったようだ。囀りをしていたのは2個体と少なかった。それでも春の訪れがすぐそこであることを感じさせる出来事があった
。エナガ、ヒガラ、ヤマガラがそれぞれにペアを組んで採餌している様を確認できたのだ。エナガの群も見たが、冬季ほど大きくはない(数羽程度
の群)ようだ。緑色と枯れ葉色が優勢な中にほんのり赤いものが混じりだした。ヤブツバキである。春に先駆け咲く真っ赤な花は、野鳥たちへのエ
ールのようにも見える。
西暦
月
日
メモ
2011
3
13
羽根・長根の田んぼ
オスのヒバリがたんぼのあちこちでディスプレイを見せる。カワラヒワとスズメの群が田んぼと民家の生垣の間を行ったり来たりする。あぜ道には
タンポポ、ペンペングサ、ホトケノザ、オオイヌノフグリが咲いている。民家の脇にはウメも咲いている。もうすっかり春の風景である。ヒバリの囀り
を聞くと本当に春なんだなと思う。これはオスにとっては勿論、メスにとっても、より良い伴侶を見定めるためにも大変重要なことである。これから
しばらく、オスはメスの視線を意識し空の舞台に次々と向かい、踊りかつ歌うのである。春の気配を探したわけであるが、もうひとつ見つかった。
ケリのディスプレイである。ケリの名のもととなったケケケケケと特徴ある鳴き声が聞かれたのだ。もっと繁殖行動が活発になると、羽根・長根の
田んぼ全体からけたたましくこの声が聞かれる。冬を羽根・長根で過ごしたツグミ、タヒバリなどの冬鳥たちもまだ残っている。ただし今日のセンサ
スでは個体数は余り多くなかった。
2011
3
13
室林道ラインセンサス
日本における史上最大の震災のさなか、何をやっても、申し訳ない気持が沸いてきてやり切れない気持だ。用事を済ませ室林道に向かい10日
ぶりにラインセンサスを行う。日照時間の拡大と、本格的な春の陽気も相まって囀りがあちこちで聞かれる。ウグイス、ホオジロ、ヤマガラが最も
活発であるが、シジュウカラも囀りをしている。ひとつ驚いたことがある。カケスは警戒の強い鳥なので姿をみてもすぐに、木陰に隠れてしまうこと
が多い訳であるが、今日の個体は、ヒノキの若木の枝先に堂々ととまり、私がすぐ近くにいても逃げることをしないのである。また、春を告げるも
のとしてミソサザイの北上個体を確認。室林道で一番早く新緑になるヤシャブシもコゲ茶の球果のわきの新芽が膨らんできた。
2011
3
18
寺ノ入林道ラインセンサス
萩小卒業式に出席しました。たしか、我が子の卒業式には出ていなかったと思います(サラリーマンの辛さ)。今風の卒業式を知ることができたが
、君が代と仰げば尊しの斉唱は残されていて、胸にこみ上げるものがあった。昼ごはんを食べ、少し空き時間もあって寺ノ入林道に向うことにしま
した。趣味に時間を割いているのは後ろめたいのですが、記録を取る事も大事だと言いきかせながらの出発です。午後であることも多分に影響し
ていると思いますが、鳥の鳴き声がほとんど聞こえません。朝ならばどうでしょうか。まだまだ相当冷えそうですので(太い氷柱ができています)き
っと小鳥の目覚めは遅いのでは。それにしても静かでです。そんなときに頭に浮かんだのは、農薬公害を糾弾したレイチェル・カーソンのサイレン
ト・スプリングです。春が来たというのに鳥たちの歌がまったく聞かれない、そんな恐いほど印象的な言葉でその本は始まっています。その状況と
は全く事情が違うので冷静に観察しなければと戒めつつセンサスを行いました。標高600メートルありますのでまだまだ春の気配はありません(
平地よりも半月は季節の時計は遅いでしょう)。けれども、よく観れば春は来ているのです。ここには低木の常緑樹としてアシビが多く植生してい
ます。その所々に純白の釣鐘状の花が咲いていました。湧き水の溜まった所にはカエル(ヒキガエル)が卵を産むのですが、まだ少しばかり早い
ようです。小鳥の声は本当に少なかったのですがその中に、ヒガラの囀りが含まれていました。この美しい歌声(名歌手のソプラノにもひけをとら
ない)を聞いて春を感じる事ができました。被災地はまだ雪が降っています。その雪を太陽の光が溶かし、小鳥たちの歌声で疲れた心を癒されん
ことを願わずにはいられませんでした。
西暦
月
日
メモ
2011
3
19
茶臼山ラインセンサス
少し時間がとれたので思い切って茶臼山に出かけた。登山道に入るときに凍結情報が出ていて、スタッドレスではあるが4駆から2駆に替えたの
で少々不安。しかし、グズグズの雪が少しあるばかりなので問題なく到着した。センサスコースの大半はアスファルト面が出ていたが、茶臼山の
北の面はやはり雪に覆われており歩いていると息が弾む。センサスの前半は全く鳥の声が無かった。昨日の三河湖寺ノ入林道と似ている。最初
の声はホオジロであった。メスの成鳥が木にとまり鳴いていた。あたりに鳥の姿が全くないのでとても大切なものに思えた(普段ならば平凡な鳥な
のだが)。このあたりでハギマシコを見たのはもう何年も前のことであるのに、どうしても、又遇えるのではと期待してしまうのは、いたし方ない事。
残念ながら今日は駄目であったが。スキー場が見えてきた。スキーヤーの滑る姿がポツポツ見える。ゲレンデの上空をトビとハシブトガラスが旋
回していた。これで確認種は3種。次いで、道路わきの潅木で声がする。ベニマシコだ。2羽は番のようだ。何とか撮影しようと接近するも気付か
れて逃げられる。追う、逃げる、を何度か繰り返しようやく数枚シャッターを押した。一度に接近するのは禁物だ。遠くても我慢して撮っておかねば
。数歩近寄り又撮るのだ。構図も贅沢言ってはおれない。手前に枝が映ってしまうことは常にあることだ。自分は、記録として残せばよいと思って
いるので、ボケていてもあまり気にしないようにしている。これで4種になった。このままで終りそうになったのを救ってくれたのは、スタート地点の
戻ってからであった。牧場の中を数羽のツグミが採餌する姿、そして、1羽のヒバリが旋回していた。ヒバリの後を追うようにして1羽のセグロセキ
レイを確認する。橋から氷柱が下がっている。この下を歩くのは気をつけろ。頭上から氷錐が落ちてくるぞ。氷の張った池で鳥を見つけた。2羽の
カワウであった。2羽とも池からでた杭にとまり羽を広げている。ホオジロ・ハシブトガラス数羽・トビ1羽・ベニマシコの番2羽・ツグミの群・ヒバリ1
羽・セグロセキレイ1羽・カワウ2羽・以上8種が今日確認できた鳥たちであった。数は少ないものの興味深いこともある。冬鳥のベニマシコの確認
はなんという事はないが、ヒバリが登って来ていたのには驚いた。それとも越冬したのか?。地元の室林道ではウグイスなどの囀りがかしましい。
しかし、寺ノ入林道(標高600メートル)でも囀りは聞かれなかったが、ここ、茶臼山(標高1300メートル)ではなおさらのこと囀りなど聞くことはな
かった。けれども、これもそんなにかからないと予想する。雪が残っているのはもう極僅かだ。ウグイスは北上しつつ囀りを開始するだろう。センサ
スコースは積雪のため冬季通行止めになる(危険と言うわけではないが)。たった一人で白く化粧された南アルプスを横にみつつ歩くのは愉快な
気分であった。
2011
3
20
健康ウォーキングコース
山、川、田んぼと、変化に富んだコースだから、見られる種の多さからいったら萩の中でもトップクラスだろう。今日初めてここでイワツバメを見た。
彼らは、山陰川に架かる橋の下に毎年営巣する。普通のツバメよりも早く飛来し、早く去るようだ。囀りをしていたのはシジュウカラ・ヤマガラ・イカ
ル・ウグイス・ホオジロ・カワラヒワであった。いよいよ繁殖期のスタートと言ってよい。囀りしない種であるカラス類も、上空で変化に富んだ飛翔を
したり、巣材をくわえていたりと、今、まさに子育ての時期であることを示している。ムラサキハナナが咲きだした。紫色の花が好きなのでとて嬉し
い。
2011
3
21
室林道ラインセンサス
昨夜からの雨が上がりそうなので、傘を覚悟で室林道に向かった。着いてみると薄日も差し出して雨に降られる心配はなさそうだ。ウグイス・ホオ
ジロ・カワラヒワなど囀り個体も結構多い。その中でヒガラの囀りを聞かれたのはとても嬉しい。ヒガラは室林道においては越冬にくる鳥で囀りを
聞くことはそう多くない。しかし、繁殖地に向かう直前の頃、萩の地では聞くことができない囀りを聞く幸運に恵まれることもあるのだ。同様の事は
ルリビタキ・アオジにも当てはまる。春は野鳥ばかりに来るのではない。ツバキはますます蕾の数を増やし、まだ開いたばかりのタチツボスミレや
ショウジョウバカマを初めて目にした。両者とも好きな紫色なのが嬉しい。
2011
3
25
室林道ラインセンサス
夏鳥の飛来がいつごろになるのか、毎日でも室林道に通いたいところである。ミソサザイの地鳴きを確認する。これは北上個体ではなかろうか。
飛来時期は分かりやすいが、去る時期はなかなか記録に残すのは難しい。冬鳥として飛来した中で今日確認できなかったのは、マヒワ・ウソであ
る。マヒワはここ暫く記録していない。ウソは4日前にはいた。ヒガラもまだいる。夏鳥はまだ確認できない。サシバあたりが早くやってくるので期待
していたが、鳴いたのはノスリであった。囀りしていたのは、ウグイス・ヤマガラ・ホオジロ・カワラヒワ・シジュウカラの5種。メジロがまだ囀りをして
いない。鳥以外には、ニホンシカ1頭とニホンザル10頭余りがいた。朝が早いといろいろな動物に出会え得した気分になるものだ。
西暦
月
日
メモ
2011
3
26
羽根・長根の田んぼ
今日は、三寒四温の三寒の日になった。羽根・長根の田んぼを吹き抜ける風は、手袋を持ってこなかったことを悔やむほど。それでも9名の子ど
もたちは元気一杯であった。子どもの会話を聞くと家庭の様子がそこはかとなく分かるものだ。羽根の田んぼにいっぱい生えているナズナやホト
ケノザから春の七草を連想する子どももいた。きっと親子で探したのだろう。新しく参加した子がいた。彼の名前はカメラの名機から取ったそうだ。
民家の垣根でジョウビタキを見る。きれいなオスで皆懸命に双眼鏡を覗き込む。出発前に双眼鏡の使い方を教えたけれど役に立ったかしら。羽
根・長根の田んぼに入ると北西の風が強まった。手がかじかんでフィールドノートの文字も歪んでしまう。それでも真冬のようなことはなく雲が切
れれば春の暖かさだ。タヒバリがピイピイ鳴きながら飛び交う。ケリが田んぼの真ん中で採餌する。そのうちにヒバリのオスが満を持して青空の舞
台へと登ってゆく。ああ春が来たな!。長根川のたもとで休憩する(子どもたちが待ったお八つタイム)。嬉しそうな顔を見るとこちらも自然と笑顔
になれる。22年度の土曜探鳥会もこれで終った。指導者の先生方、そして主役の子どもたち、本当にありがとう様。来年度も楽しくやりましょう。
2011
3
27
室林道ラインセンサス
野鳥北上の時期にあたる今は、個体数も日により大きく変動しているのでは、そんな感じを受ける。鳥の師匠である山口さんが”空白期間がある
”とたびたび言われるのと同様のものである。まさに今日の室林道が、空白期間に入っていると思わせるほど鳥陰が薄かった。そんな中でもヒガ
ラやヤマガラのつがいに会ったりもした。ウグイスの囀りはわずか2個体で格段にすくない。少し前に、警戒心の強いカケスにしては驚くほど近距
離で姿を見られたお話をしたが、今日も、今度は、地上に下りて採餌している個体を見つけた。こちらの姿は見えているはずであるが逃げようとし
ない。数歩近づくと相手も少し離れる、近づくと離れるを数回繰り返してようやく樹上に飛び去った。確信は無いが以前と同じ個体ではと思う。
2011
3
28
室林道ラインセンサス
昨日と比べてウグイスの囀り個体は増えていた。他の種は同程度の個体数。ウグイスが鳴くようになると室林道は賑やかになる。それほどウグイ
スはインパクトがあるのである。アカゲラの声は初めて聞く。ミソサザイの地鳴きはやはり北に向かう個体なのだろう。ハシブトガラスの番が鳴き
ながら谷をわたってゆく。
2011
4
2
室林道ラインセンサス
家の近くにあるソメイヨシノで一部開花した。ナノハナやモクレン・コブシも鮮やかな花を咲かせている。ようやく本格的に春がやてきたようだ。室
林道を歩いても暖かな日差しにあふれ、木々の新芽もかなり膨らんでいる。ヤシャブシの雄花であろうか(独特の匂いを放つ)ボタボタと音を立て
て地上に落下するのが見られ、何か異様な雰囲気をかもし出している。暖かいのでウグイスも盛んに囀る。突然(いつもそうであるが)ヤマドリが
羽を鳴らした。ドドド・・・。正体が分からないと少し薄気味が悪いものだ。室林道にはメジロが沢山いるがようやく囀りを聞くことができた(なかなか
の美声である)。ウソが啄ばんだおかげでソメイヨシノの蕾が大変少ない。そのウソも北に向かったのか鳴き声すらない。越冬でやってきた鳥でま
だいるのはヒガラであろうか。番らしい2羽がヒノキの枝の中で採餌していた。
2011
4
6
室林道ラインセンサス
山陰川沿いのサクラ並木も随分と花が開いてきた。それにひきかえ室林道は、ウソがすっかり平らげてしまい申し訳程度にしか咲いていない。花
の蜜をあてにしている鳥や昆虫たちも随分と困ったことだろう。ウグイスの囀りが一番多いがその他では、ヤマガラ・シジュウカラ・ホオジロ・メジロ
の声が聞かれる。いや、たった1個体だけではあるがヒガラも囀っていた。また、北上個体と思われるミソサザイも確認できた。ところが、期待して
いた夏鳥については全くけ気配がない。どうしたのであろうか
西暦
月
日
メモ
2011
4
7
自宅周辺
桜の花に誘われて、山陰川沿いを歩いた。双眼鏡とF4.0の300ミリ望遠レンズ(一番愛用している)を付けたカメラも一緒だ。そして腰ベルトには
コンパクトカメラを(メモ代わりに撮るときにはこれが一番)。通学路を、始業式を終え午前中で下校の子供たちが帰ってゆく。大勢の大人が一緒し
ているのは恒例のことだ。それとは別に、向こうからやってきたのは校長先生。離れて皆の様子を観察している。なにか、野鳥観察と通ずるところ
があり可笑しい。今朝早くに川に近い畑からアオジの囀りが聞こえてきた。急いで見にゆくと2羽のアオジがいて、囀っているオスは繁殖羽に装っ
てきれいな姿であった。肉眼見る限りでは、もう1羽はそれほどでもなかったのでメスかもしれない。越冬地を去るのももう直ぐだ。山陰川ではセグ
ロセキレイが複雑な囀りをしている。親戚のハクセキレイはあまり囀りを聞いたことがない(いや、ほとんど聞いていない)。そのためにどうしても、
ハクセキレイは冬の鳥というイメージが付きまとっている。まだまだ冬鳥もいる。ツグミはやたら鳴くようになった(口をつぐんでいるからツグミなの
に)。田んぼでい多いのはカワラヒワである。多くは2羽のペアで行動している。もう一つ、タヒバリの姿を確認できた
彼も正真正銘の冬鳥だ。ツバメをみると、その中に真っ白の個体を探してしまう。この地で生まれたアルビノ。はたして故郷に舞い戻って来るだろ
うか。
2011
4
8
宮路山
サクラが咲くと宮路山通いにがぜん忙しくなる。目的はコマドリである。この魅力的な小鳥、近頃お目にかかることが難しくなった。今年はどうだろ
うか。赤坂から見上げるとサクラのピンク色が鮮やかである。今見えているサクラの大部分はヤマザクラである。ソメイヨシノは室林道同様に咲い
ていない。ウソが食べてしまったのだ。その他の花ではツバキとタチツボスミレが綺麗に咲いていた。コマドリは無理でも夏鳥(ヤブサメやセンダイ
ムシクイ)に会えるのではと期待してみたが、結果は全くダメであった。では面白くなかったのかと聞かれれば、そんなことはないと答えるだろう。
ウグイスを筆頭に種々の野鳥が囀っていたし、当地では珍しいヒガラの囀りも室林道同様に聞かれた。もう少し宮路山に通わねば、たとえコマドリ
には出会えなくてもよいではないか。
2011
4
10
室林道ラインセンサス
昨日の雨で空気が洗われ花曇りではあるがすっきりとした風景になっている。家の裏にそびえているセコイアの樹の天辺でイカルが囀っている。
今日こそ夏鳥に出会えるであろうか。ヒガラが囀っている。すっかり耳に馴染んだ。カケスのだみ声が聞こえた。ソプラノ歌手と浪曲師のコラボと
いったところか。人間の世界では有りえない組み合わせでも野鳥では日常茶飯事の事だ。耳をそばだてて聞くも夏鳥の声は聞こえない。やっぱり
遅いぞ。コマドリどころではなくなってきた。
2011
4
12
室林道ラインセンサス
午後からのセンサスとなったためあまり鳥が活発でなかった。やはり朝の時間帯に行うのがベストだ。夏鳥の確認は今日もできなかったが、早朝
なら違う結果になっていたかもしれない。ウグイスとヒヨドリは相変わらずにぎやかであったが、他の鳥たちは声を潜めてしまった。
2011
4
13
室林道ラインセンサス
昨日、夏鳥が来ないことに疑問を呈し、一方で、午後であったことが確認できない理由かもしれないとも考えた。今日のヤブサメとコマドリの初確
認はこう考えたらよいのだろうか。昨夜のうちにやってきたのか、それとも、すでにいたのであるがたまたまセンサスの時には鳴かなかったのか。
月の形は上弦ほどなので暗闇とは言えない。けれども、満月ほどには辺りを照らしてはくれない。いずれにせよ、半ば悲観的であったコマドリが
音羽の地にやってきたことは事実である(とてもうれしい)。山口さんにケータイで連絡した。コマドリだけは毎年情報交換をしているのである。
2011
4
14
西切山林道ラインセンサス
昨日の室林道のコマドリ確認に元気付けられ三度、西切山林道をラインセンサスした。しかし残念な結果となった。ウグイス・ヤマガラ・メジロに加
え、ヒガラも囀っていたが、ホオジロやシジュウカラは囀り個体が少ない。夏鳥の中でも、コマドリ・ヤブサメ・センダイムシクイなどは早くから鳴き
始めるが、今日は、すべて確認することはできなかった。そんな中で素晴らしかったんは、ヤマドリに出会ったことである。最初はオス、道路から
少し下がった所に潜んでいるのを車から見つけたのだ。長い尾はとても立派に見える。2度目はセンサスの途中で、いきなり、目の前からメスが
飛び去った。向こうも驚いたろうが当方はもっとびっくりした。彼らも北上中の個体なのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2011
4
15
室林道ラインセンサス
オオルリの囀りを確認した。室林道写真の定点としている開けた谷間から、ウグイス・ホオジロの囀りに交じって、オオルリの(コマドリ・ウグイスと
並び日本三鳴鳥とよばれる)美しい歌が聞こえてきたのだ。ああ、ようやく夏鳥の代表のひとつがやってきた。山の端から飛び立ったのはサシバ
だ。タカの仲間は似ているので迷うが、この鳴き声が一緒ならば間違いない。観音山でも見たが、距離的には、サシバにとって隣の家ほどに近い
ので、たぶん、同じ個体ではなかろうか。コマドリの声は聞かれなかった。すでに北上しているのかもしれない。今日、最も声が大きかったのはア
オゲラだ。繁殖期に特有の囀りを(キツツキ科では珍しく)室林道Nどこにいても聞こえる大声で歌っていた。
2011
4
15
羽根・長根の田んぼ
田んぼのあぜ道には色とりどりの野草(雑草)が花開いている。タンポポ・ペンペングサ・スズメノエンドウ・スイバ・ハコベ・オオイヌノフグリなどな
ど。のどかな田園風景を飾る花たちにも負けない鳥の歌もある。筆頭は当然ヒバリだ。空高くに羽ばたきながら囀る様子は、古来より、文学方面
でも挙げられてきた。声はすれども姿は見えず。空に浮かぶ姿を見つけるのは存外難しいが、時には、空で囀っていないこともあることを知ってお
きたい。田んぼの中で鳴いているのだ。水が引かれた田んぼではタヒバリとハクセキレイが膝まで水に浸かって餌を取っていた。突然、その脇に
、ピヨピヨと鳴きながら降り立ったのは、夏鳥のコチドリだ。ここでも夏鳥の飛来があったのだ。上空では1羽のツバメが軽快に舞っていた。まだま
だツバメはこれからだ。それと忘れてはいけない役者がいた。ツバメ同様1羽のみであったが、繁殖期になると、田んぼ中がケリのけたたましい
警戒の声で響き渡るのだ。
2011
4
16
宮路山
2011年度最初の探鳥会を宮路山で行った。天気予報どおりに雲はどんどん消えてゆき高層にベールのかかった空模様となる。赤坂駅からの登
りコースは無風状態で、子供たちは申し合わせたかのように半そで姿となった。山頂直下あたりからこれも天気予報どおりに強い北風になり、お
楽しみの弁当も落ち着いて取れないくらいであった。赤坂駅の周りではヒバリが囀り
ケリが賑やかにしている。しばらくは音羽川に沿って進む。川で見つけたのはつがいのカルガモである。去年はカワセミを見た所だ(2匹目のドジョ
ウはいなかったが)。森の中の登山道ではウグイスやヒヨドリ・メジロの声が多かった。夏鳥の声がないかと、耳をそばだてて進んだがはっきりと
分かるものは無かった。駐車場に富士山ナンバーのバスが止まっていた。宮路山は別名は音羽富士である。本家本元からわざわざ、標高で10
分の1に満たない小さな富士山に来ていただいたのか。一休みしていると周りの木々から気になる声がする。最もよく聞こえる所まで移動し耳に
神経を集中させる。これ以外にはあるまい。キクイタダキに違いない。急いで子供たちを呼び寄せる。これだから野鳥観察は面白い。予想だにし
なかった事に出くわすほど楽しいことはない。急な登りを山頂に向かう。寒冷前線の通過なのか風が強くなってきていて(一時は黒い雲も出現)、
ほとんど汗をかくことなく頂上に着く。バスの主たちはほとんど女性だった。バスの旅、きっと賑やかであろう。予定よりも早く下山する(風のせいだ
)。子供たちは親御さんが迎えに来るまでの長い時間を、大人ならばもう結構というほど、走り回って遊んだのだった。
2011
4
17
寺ノ入林道ラインセンサス
ひとことで言って、野鳥たちの活発な繁殖活動の真っただ中に入ったようだ。空からは、ノスリの夫婦が鳴き交わし、樹冠近くではヒガラたちがソ
プラノで歌う。中間部にはいろんな鳥たちが歌っている。シジュウカラ・ヤマガラ・センダイムシクイたちだ。そして地上では、渓流のあちらこちらで
ミソサザイのトレモロが聞こえてくる。よく耳を澄ませば、キクイタダキの絹のような歌も交じっていることがわかる。ミソサザイは人口密度が高すぎ
るのではと思う。北上個体たちがかたまってしまったのか。センダイムシクイは、残念ながら室林道(は寺ノ入林道に先を越されてしまった(地元の
贔屓目)。反対にウグイスは、囀り個体数が室林道よりも少ないと感じた(これであいこだ)。標高600メートルの寺ノ入林道はおよそ半月季節が
遅れていると感じている。新芽のが開くのもこれからの木々が多い。ヤマザクラの一部に開花したところがあったくらいだ。
2011
4
19
室林道ラインセンサス
オオルリの姿を初めて見た。きれいなオスの成鳥だ。あちこちの木々を渡り歩いて囀りをしている。まずは自分の存在を主張しているかのようで
ある。カメラに収めようと頑張ったが、思い通りの所にはとまってくれないのは何時もの事である。とりあえず証拠写真として記録する。一昨日、寺
ノ入林道で確認したセンダイムシクイ、室林道でも囀りを聞くことができた。夏鳥として(室林道で)確認できたのは、ヤブサメ、オオルリ、センダイ
ムシクイの3種となった。
西暦
月
日
メモ
2011
4
21
室林道ラインセンサス
オオルリの囀り個体数が2に増えていた。室林道の東口入口付近からも囀りが聞こえてきた(ここは毎年やってくる所だ)。センダイムシクイは一
挙に増えているし、ヤブサメの囀りも必ず聞かれる。主だった夏鳥ではキビタキの姿が未だない。クサイチゴの白い花に虫たちがとまっている。そ
ういえば昆虫の羽音が目立って増えてきた。淡い紫のタチツボスミレに代わって紫色のスミレが咲きだした。両者ともに好きな花だ。我が家の庭(
花を植えたり、雑草を取ったり忙しくしている)に咲くスミレ、可愛らしいとそのままにして置いたら、鉢植えの中に一杯増えて困っている。やはり適
度な間引きは必要だ。
2011
4
24
茶臼山ラインセンサス
早朝の茶臼山は結構寒かった(手袋を用意してよかった)。北西面の山頂が輝いて見えるのは木々の枝に付いた霧氷のためだった。数は少ない
がウグイスの囀りが聞こえる。スキー場の近くでホオジロが囀りをしている。いつものとおり時計回りに茶臼山をぐるりとセンサスする。ホオジロの
次に聞こえたのが驚くなかれコマドリだった。ここ茶臼山で久しく聞かれなかったのだ。こんなに嬉しいことはない。さらに数分歩いたら2個体目の
コマドリが。こんなことがあるんだ。結局、合計で3羽のコマドリを確認した。ここ10年ほど前から茶臼山では、コマドリが目立って少なくなった。周
回道路が拡張され(ほとんど歩く人を見ない歩道まで完備)棲家が減り、車やオートバイが増えたことも原因のひとつであろう。麓の豊根ではよう
やくサクラが咲き始めたが標高1300メートルのここはもう少し先のことになろう。カラマツの蕾が少し開いたくらいだ。茶臼山は主峰茶臼山と副峰
萩太郎山からなる双耳峰で、強風にあおられた霧ともつかない雲がその鞍部を流れ、西に傾いた下弦の月が見え隠れする。平地では多くの野鳥
たちは囀りを行い、まさに春爛漫の感があるが、季節的におよそ1か月遅れている茶臼山ではどうであろうか。草木は確かに未だ春とは言えない
。ところが野鳥の世界は、コマドリは別としても(はたして定着するか分からないので)ヒガラ・ホオジロ・ゴジュウカラ・アオゲラたちが囀りを開始し
ている。花が咲かなければ昆虫たちは飛ばない。にもかかわらず昆虫食の鳥が繁殖を始められるのは、これらの鳥たちは樹皮の中に潜む虫を
ほじくりだして子供に与えることができるからだ。朝日がさして山々の襞をくっきりと浮き立たせる。南アルプスの展望台からは北岳から聖岳まで
の3000メートル峰が周りの山々を従えて空に浮かんでいた。
2011
4
25
高嶺
茶臼山のセンサスの後は高嶺に向かう。途中1100メートルの平谷峠を越えて30分ほどかけてやってきた。高嶺の標高はおよそ1500メートル
で茶臼山(およそ1400メートル)よりも少し高い。長者峰まで車で登れ(本当の山頂へは少し歩く)お気に入りのフィールドのひとつだ。次回には
麓から歩いてセンサスしようと思うが今回は車で登る。ゴジュウカラ・センダイムシクイが囀っている。風にのってヒガラの声も聞かれる。ここも茶
臼山同様にウグイスが多くて山頂までウグイス一色であるが、さすがに未だそこまではいっていない。1200メートルほどから上部は声は聞かれ
なかった。コマドリにも気を付けて車を(可能性の高いと場所では車を降りて)進めたが残念ながら確認できなかった。山頂(くどいようであるが高
嶺の本当の山頂は少し離れている)で道路の拡張工事をしていた(茶臼山の例が頭を過ぎり悪い予感がする)。静かな山頂からは恵那山・大川
入山(ともに2000メートル級)の優しい姿(しかし雪渓があるほどの標高もある)が間近に見える。南には先ほどまでセンサスしていた茶臼山が
周りの山よりも首ひとつ抜き出ている。東には蛇峠山がある。ここを降りたら向かう先だ。蛇峠山の奥には3000メートルの南アルプスの峰が白
い姿で空に浮かぶ。カラマツ林のエメラルド色と谷底から聞こえるミソサザイ・コマドリ・コルリの歌。そしてウグイスたち。下山の途中で登ってくる
バンとすれ違った。バンの側面には”・・・パラグライダー教室”と書かれていた。そう!高嶺はパラグライダーの山でもあるのだ。
西暦
月
日
メモ
2011
4
25
蛇峠山
愛知県と長野県の境に位置する茶臼山から少し長野県に入った所に蛇峠山(そして高嶺も)がある。3つの中では最も高く1600メートルを超す。
山頂に林立するアンテナ群がこの山の特徴を物語っている。周辺に同じような高さの無い独立峰で、武田信玄もここにのろし台を置いたそうな。
山頂には(高嶺と同様山頂は別にあって100メートルほど離れているのだが)その石組みが残されている。国道から離れ別荘地帯を抜けると馬
の背に着き(ここまでは車で登れる)、そこからは徒歩で山頂に向かうことになる。各テレビ局などのアンテナの管理者など許可された車しか通れ
ないのである。従って道は歩きやすい(あえて困難さを望むならば遊歩道もある)。ここでも私を驚かすことが待ち受けていた。コマドリについて言
えば蛇峠山が一番望みがあった。毎年確認できたからである。しかし、馬の背で車を降りた途端コマドリのいななきの歓迎を受けるとは全く予想
していなかった。はやりの想定外だ。それも良いことへの想定外なのだから。早朝、茶臼山での鳴き声確認の喜びからさらに倍加した嬉しさ。もう
表す言葉がない。まだまだ若葉の季節まで少し時間がかかりそうな山々を見ながら元気100倍で歩き始めた。ここから見る茶臼山は見事に双耳
峰になっている。高嶺といえば広い山頂の奥に少しだけ高い本当の山頂がポツンと見える。大川入山はさすがに高い(恵那山はもっと高いが隠
れている)。2年前に友人とあの山頂に立った。登りのきつかったのとコマドリとホシガラスに会えたことは忘れようもない。2個体目のコマドリには
センサスの中ほどで会った。この個体は声も大きく囀り間隔も短かった。まさに縄張りを主張し始めているかのようであった。この個体以外のは茶
臼山のも含めて声に力がまだ無い。12時まで山頂にとどまったが、そこでも嬉しいことがあった。山頂への道を踏みしめて行くと、南アルプスの
輝かんばかりの白い峰々が伊那盆地の空高く(浮かんで見える表現がピッタリ)神々しい姿を見せていた。茶臼山よりも北に位置するため形も変
わって見える。聖岳は前聖と奥聖が吊天井を作っている(茶臼山では奥聖は前聖で隠され3角錐の形に見えている)。何枚も写真を撮った。至福
の時を過ごしているとどこからともなく懐かしい声が聞こえる。ルリビタキの囀りである。彼は(囀りは普通オスのみ行う)パッとしない越冬地(平野
部)から勇んでこの美しい山に戻り、愛の歌をふたたび歌い始めたのだ。なんと生き生きとした歌声であろうか。
2011
4
28
室林道ラインセンサス
4日前に我が家のすぐそばでオオルリとキビタキの囀りを聞いたので、室林道でもキビタキは来ているだろうと思って出かけたが、そのとおり、あ
ちこちからキビタキの囀りを聞くことができた(オオルリはすでに飛来している)。さらにそれに加えて3種類の夏鳥を確認できた。サンショウクイ・エ
ゾムシクイ・ツツドリである。エゾムシクイについては恥ずかしい思い出がある。その囀りを聞いてコガラがいると勘違いしたのだ。コガラが平地に
いるのはあり得ない、これは珍しい。師匠の山口さんに伝えたら笑われてしまった。「権田さん、それはエゾムシクイだよ」。サンショウクイは私の
お気に入りのベスト3に入る鳥だ。なぜ?。理由ははっきりとは言えない。なにしろ好きなのだ。近年、サンショウクイが地元の初夏を飾る鳥となっ
た。以前は、三河湖あたりまで足を伸ばさないと見ることができなかったのだが。ガサガサと音のする方向に顔をまわしたらリスが幹を登っていた
。
2011
4
29
室林道ラインセンサス
牧野さんが我が家まで来られた(高浜の海岸での観察会にと、スコープを借りに見えたのだ)。そのあとすぐに室林道へと向かった。サクラの樹で
センダイムシクイが囀っていた。すぐ真下から観察できる。そして、オオルリの囀りも聞こえた。すぐ近くまで来ているようだ。しばらく待つと向こうか
ら遣って来てくれた。きれいなオスである(少し黒い色が残っているので完全な成鳥ではないが)。逃げ隠れするでもなくよう通る声で歌っている。
ほとんど同時にキビタキのつがいが出てきた。こちらは無言でお出ましだ。目線まで下がってきてくれ観察には大層よい。地上に降りたりもしてサ
ービス精神満点だ。ウグイスはもちろんあちこちで鳴いている。しかしなかなか姿を見せてはくれぬ。サンショウクイもやってきて飛び回っていたが
、こちらは声だけの確認となった。最後にメスのヤマドリが足元から飛び去るのを目撃。オスに比べたら小ぶりではあるがそれでも見事なもので
ある。そのあと食事に出かけ、再び我が家に戻るまでに(コースを行きと帰えりで変えたのが大成功)、乙女川でカワガラスを、額堂山でサシバの
つがいを観察することができた。牧野さんも大層喜んでくれたのがとても嬉しい。
西暦
月
日
メモ
2011
4
30
PIW2011横浜公演
初夏の先駆けとしてPIW公演がスタートする。その最初は毎年本拠地の横浜と決まっている。思えば、2006年の公演はすごい人気であった。荒
川静香さんのイナバウアー人気(流行語大賞にも選ばれた)でチケットは瞬く間に売り切れてしまった。それからも日本人選手の活躍でスケート人
気は衰えを知らないのは喜ばしい限りではあるが、人気というものは陰りがでてくるのも真実であるから、アイスショーそのものが一部の人の人
気で支えられているのではなく、エンターテナーとしての実力を伸ばして行く努力を常に怠らないことが大事だと思う。さて、今年のPIWはどうであ
ろうか。2006年からのことしか分からないが毎年垢抜けしているように感じる。メンバーも変わってきてはいるだろうが、5年間見ていると顔なじ
みの人が多い。彼、彼女たちが真剣にショーに取り組んでいるさまも良くわかる(友の会会報などの情報源で)ので、いつまでも応援してあげたい
。ソロではやはり荒川さんがすばらしかった。月の光(ドビッシー)という思い切った曲を選んだ。ゆったりとして荒川さん向きではあるが、抑揚の少
ないおとなしいメロディーを観客にいかに聞かせ、そして舞うか、腕の見せどころでもある。歌詞がありよく聞かれるようなのは曲に助けられること
もあろう。荒川さんはあえて困難な道を選んだと思う。プロ5年目の自負心がそうさせたのかな。青い月の光というイメージ通りの衣装で登場。光
という捉えどころのないものを見事に演じきって静かに終えた。彼女18番のイナバウアー、曲により振付が微妙に違うのも楽しみのひとつである
。彼女のスケートがバレイダンサーのように芸術の域に達しようとしている証だと思う。もうひとりひそかに応援したい人がいる。足の故障と戦い、
美し所作では随一と誉れの高い、太田由希奈さんである。彼女がPIWのレギュラーメンバーに入ったのは何とも嬉しいことであった。2年目の今
年、体調はどうなのか(昨年、体調不調で不参加の公演もあったので)心配ではあるが、青い衣装に身を包み、オペラ座の怪人のテーマで舞った
(舞うという表現がこれほどピッタリな人はいない)。ジャンプは2回転に止めそのぶん芸術性に重き置いていたように思う。レイバックスピン(彼女
の十八番だ)はさすがであり、イナバウアー・スパイラル、そして手足の所作が彼女の世界を創る。二人とも良かった。満足した気持ちでフィナー
レを迎えたのであった。今年も荒川さんには花束を渡した。顔を合わせた時に荒川さんがアッとした表情を示したのを見逃さなかった。もしかして
覚えていてくれたのかな(と勝手に解釈した)。
2011
5
2
室林道ラインセンサス
あらためて鳥の声を録ろうと思い付いた。野鳥の生き生きとした様子を伝える手段としては写真よりも音声のほうに軍配が上がると以前から思っ
ていた。しかし、近頃はそれが出来ていなかった。自身の怠慢が一番であるが道具もあまり好くなかった。そこで最新の道具を手に入れ再び声の
ライブラリー作りに挑戦しようと思い立ったわけである。いわゆるリニアPCMレコーダーを使うことにした。テープ・MDレコーダはすべてソニー製
であった。今度は特別な理由はないがティアックにした。オープンリール時代のオーディオセットとして名を馳せたことだけは記憶にある。取扱い
説明書も専門的で難しい。まずは録ってみようとカメラの代わりに三脚にセットし室林道に出かけてみた。ここ数日、夏鳥の囀りが盛んになり今日
も録るには絶好の日和となった。オオルリ・キビタキ・センダイムシクイ・ウグイスなど。できたらサンショウクイとエゾムシクイも録りたいと思う。音
質重視のWAVE16ビットで録る。スタンバイで目盛の振れ具合を確認し録音する手順に慣れないのでスタンバイのままになっていたり、リモコン
を向ける位置がまずく一時停止したつもりが録音のままであったり、使いこなすには少し時間がかかりそうである。風の音も気になるし、送電線か
らの重低音がどのように影響するのかなど、テストを重ねて、説明書をよく読んで、少しでも良い録音結果を得たいものと願っている。キビタキで
面白いことがある。ヒタキ科の鳥は空中で採餌するのが特徴なのだが、今年のキビタキを見ていると地上採餌のシーンをとても多く見かけるのだ
。
2011
5
5
汐川干潟
シギ、チドリの北上を見に出かけた。潮の満ち引きを気にせずに(いつもそうである)出かけたのであるが、海岸線が見える国道からはほぼ干潮
のように見えたので一安心。いつもの場所に車を止めてさっそく干潟の様子をうかがう。7倍の双眼鏡で見る限り目当ての鳥の姿は無い。浪打際
で点々と見えるのはハシボソガラスであった。海岸の裏手には芦原が広がっているが、そこからはセッカのオスが縄張りを見回る姿が見られる。
少し離れた樹の枝にハシボソガラスの巣があり2羽の姿が見られた。抱卵の最中なのであろうか。最初のシギはキアシシギであった。私のいるす
ぐ近くにいたのを見落としていたのだ。目的のシギの群れは水打ち際の上を高速で移動しているのが見られたが、遠すぎてお手上げの状態であ
った。少しでも近くからと場所を変えてみた。それがうまくいった。川の淡水が流れ込む所にシギたちがやってきた。立派なダイゼンとおなじみの
ハマシギが忙しそうに餌をあさり始める。さらに、別のハマシギの群れと可愛らしいトウネンも加わり大騒ぎである。声を上げると同時に羽ばたい
てジャンプをする行動ががあちこちで繰り広げられる。餌の取り合いもあるのであろう。砂地にくちばしを抜き差しするスピードはものすごいもので
ある(キツツキのドラミングにも太刀打ちできそう)。数は少ないが、チュウシャクシギやキョウジョシギも確認できた。彼らは繁殖地に向かう中継地
として日本の干潟を利用している。地元愛知県には藤前干潟という有名な所もあるが、比較的近くにこのような干潟が見られることは鳥好きにと
って幸せなことだ。
西暦
月
日
メモ
2011
5
7
室林道
雲行きが怪しくなり萩小に向かう途中フロントガラスに雨粒がかかってくるに及んで、これは探鳥会できないかもしれないと案じた。それでも、子ど
もたちは集まってきてくれた。子ども6人、大人4人。車2台あれば全員乗って室林道に行ける。降ってきたら車に逃げればよい。結果的にはこれ
が良かった。雨は無用の心配であったが、室林道の奥深くまでゆっくり歩くことでお目当てのオオルリやキビタキを見ることができたのだ。特にオ
オルリは梢の天辺で囀っている姿をスコープで観察できた。キビタキももう少しで姿を見ることができた(囀りはしっかり聞かれたが)。うれしい予
定外の出来事があった。サンコウチョウのオスが一声あげたのち、皆の目の前を、あの長い尾羽をなびかせて飛び去っていったのだった(自分に
とっても最初のサンコウチョウである)。辺りは野鳥の歌であふれていた。先の鳥以外に、ウグイス・センダイムシクイ・ヤブサメ・ヤマガラ・ホオジ
ロの囀りが聞かれた。おやつタイムで子どもたちはサワガニを見つけたようだ(やさしく扱いなよ)。
2011
5
8
みどり湖
茶臼山からどこに回ろうか迷った。さらに北上して長野県の山を目指そうか。それとも。結局、水と緑の織りなす景色を見たくなって豊根村のみど
り湖にした。初めて、ヤマセミとアカショウビンを確認できた思いで深い場所でもある。まあそう簡単には会える鳥ではないので行楽気分で向かう
ことにした(コマドリで十分である)。大入川と坂宇場川の豊富な水量を貰ったみどり湖(新豊根ダム湖)は満水状態であった。常には頭の先を見
せている枯れ木も水面下に隠れている。これではますますカワセミは望み薄だ。湖の対岸から野鳥の囀りが聞こえる。オオルリやキビタキたちで
ある。ここでは鳥よりも、針葉樹の山々を映した濃い緑色の湖面と、若葉の開き切った体の半分だけを湖面から見せている木々の、何とも言えな
い色の対比を楽しんだ。この湖の主はどの鳥であろうか。上空高く5・6羽の鳥が早い羽ばたきで旋回していた。トビやカラスの類とはもちろん違う
。カワウである。そうか、カワウならば主に相応しいだろうな。
2011
5
8
茶臼山ラインセンサス
なにが何でもコマドリの鳴き声を録音しようと、3時過ぎには家を出発した。茶臼山まで2時間少しかかるので着いた頃には日の出は過ぎている。
鳴き声を録音するには日の出が目安になる。麓から見ると山頂付近は雲に隠れていたが、鳴き声ならば雲の中でもお構いなしだ。スタートは小
鳥の森。森の中だけに喧噪さは和らぐのが嬉しい(茶臼山でも朝早くからバイクが唸っているのだ)。アカハラの明るい囀りが聞こえる。ずっと思っ
ていたが茶臼山らしい鳥の代表はカッコウとアカハラだ。彼らの鳴き声を聞くと高原に来ているんだなとしみじみ思う。コマドリの親戚のようなコル
リも鳴いていた。囀りに似た部分もあるがコマドリには敵わない(相手は日本3鳴鳥だ)。森から出て茶臼山周回路を歩く。このあたりから雲はま
すます低く立ち込め視界が利かなくなる。ウグイスとソウシチョウの囀りが霧の中からこだまする。まだコマドリは鳴かない
どうだろうか。2週間前に確認した個体は定着せず今年もコマドリ不在の茶臼山になるのか。不安が頭をよぎる。そして2週間前に聞いた場所に
着いた。そして、繁みの中から力強く(まさに馬のいななきのような)歌い上げるコマドリが出現した(姿は実際には見られなかったが)のだ。その
強い声は別人の感がある。道路から10メートルと離れてはいないだろう。録音をしている最中にもバイクが2台通過している。録音を聞き返して
みて分かったのであるが、バイクが最接近したタイミングで囀りをしているのだ。ここしばらくこれほど立派な囀りを聞いたことが無かっただけにま
さに感動ものであった。
2011
5
10
羽根・長根の田んぼ
ゴールデンウイークで萩町の水田はほとんど田植えを完了した。羽根・長根の田んぼも満々とたたえた水面から早苗が頭を覗かせている。ヒメジ
オンの白や薄ピンクの花があぜ道を縁取る。水が張られたらこちらのものとばかり、数羽のカルガモが、くちばしを細かく動かして採餌していた。
こちらは乾いた田んぼのほうが良かったのでは、それでも上空に上って囀るヒバリがいる。ポツンと立っているのはダイサギとアオサギである。今
ではこの2種以外のサギはなかなかお目にかかれないのが現状である。再びあの美しいアマサギにこの場所で出会えるだろうか。コチドリが澄
んだ声で鳴く。録音機を持っていたが、スイッチをオンすると途端に鳴きやんでしまう意地の悪い個体であった。
西暦
月
日
メモ
2011
5
11
室林道ラインセンサス
すぐにも雨が落ちてきそうな空模様、しっかり傘を用意し3脚に載せたDR100を担いでのセンサスである(デジカメに比べ軽いこと々)。室林道の
入口はいま最もホットな所となった。オオルリ・キビタキ・サンコウチョウが隣を接して歌っているのだ。先の土曜探鳥会でサンコウチョウの飛来を
確認したのち最初のセンサスであったが、室林道に入ってまもなく地鳴きの後にあの特徴的なホイホイホイの囀りを聞かせてくれた。オオルリは2
個体が接近して縄張りを構えていて囀り合戦となっている。キビタキはもっと厳しいかもしれない。相当オスの人口密度が高そうなのだ。スタート
では雨は降ってはいなかった。ただ、樹の葉にたまった雨粒がポタポタと落ちてはきた。道具を蒸らさないよう注意しセンサスを続けた。ところが、
折り返しを過ぎてからは空からの雨粒のほうが多くなり、最後は本降りになってしまった。録音はあきらめバッグにしまう。ただ、雨が降ってからも
問たちの歌声はますます盛んとなったのは嬉しいことであった。
2011
5
14
羽根・長根の田んぼ
参加、子供5人・大人1人。実に気持ちの良い探鳥会であった。天気も上々であったし、又、思いがけない鳥にも出会えたからである。その鳥の名
はアマサギ。アマサギに萩の水田が嫌われて久しい。なぜやって来なくなったのか分からない。だだ、アマサギの限らず小型のコサギ・少し大き
いチュウサギもほとんどいなくなったことから、より大きな、ダイサギやアオサギとの競争に負けてしまったとも考えられる。そのアマサギの姿を羽
根・長根の田んぼの中で見つけたのだ。思わず大きな声をあげてしまった。きれいな夏羽に着飾った個体である。ツバメが水田の上で宙返りし、
カルガモが重戦車のような体を早い羽ばたきで一直線に横切る。声だけ聞こえるヒバリの姿はどこに?。田植えの喧噪が嘘のような長閑さである
。子供たちは例によってさまざまなことに興味を示す。スイバやノビルをかじったりした。その周りではそよ風が優しく草花たちを揺らしていた。
2011
5
16
寺ノ入林道ラインセンサス
若葉色から新緑色に移り変わろうとしている寺ノ入林道を歩いた。オオルリやセンダイムシクイなどの囀りがアカマツ林から聞こえてくる。谷間を
流れる渓流のザーという音とツツドリのポポ・ポポ・ポポの鳴き声が不思議な調和をかもし出している。ヒガラのソプラノとキクイタダキのヴェール
のような歌の舞台は針葉樹林からだ。コゲラが若葉の枝を上ってゆく。すぐそばにいるのはエナガとサンショウクイだ。両者が並んでいたため面
白いことに気が付いた。共に長い尾羽を有しているがピンと上げているエナガに対してサンショウクイはダラリと下げている。2羽で行動している
サンショウクイはつがいであろう。2001年の初夏に寺ノ入林道でサンショウクイの育雛活動を観察したことがある。それ以来ここはサンショウクイ
を見るための大切なフィールドとなっている。センサスが終わって気づいたのはウグイスの囀りがたったの1個体であった事(こんなこともあるんだ
な)。それと4月17日に来たときはミソサザイの囀りがあちこちから聞こえていた。少し多すぎるくらいであった。ところが今日は全く気配すらない。
やはりここは通過点に過ぎなかったのだ。
2011
5
19
室林道ラインセンサス
もう五月も後半に入ってしまった。一年の半分が過ぎようとしている(本当に早いものだ)。室林道ではクロツグミが明るい声で迎えてくれた。日本
三鳴超からは漏れているもののその声は美しい。名誉のために紹介すると和鳥四品の一員として美声を讃えているのだ。ちなみに三鳴鳥はウグ
イス・コマドリ・オオルリ、和鳥四品はウグイスを別格として、コマドリ・オオルリ・キビタキ・クロツグミ(またはミヤマホオジロ)となっている。昔の人
はさまざまなものを格付したようである。その豊かな発想と柔軟な心根は見習わなくてはと思う。そのクロツグミの脇ではウグイス・オオルリ・キビ
タキが歌っている。なんて贅沢なこと。どこからともなく甘い香りが漂って来た。
西暦
月
日
メモ
2011
5
20
富士吉田(富士林道)
最初からここに来る計画は全く無かった。長い東名のドライブもようやく終ろうとする富士川SEで、念のためにナビを目的地(新富士五合目)にセ
ットしたところ大変なことが分かったのである。通行止めのマークとともに、道路崩壊、復旧予定不明とあった。こんなことなら家を出るときに確認
しておくのだった。悔やんでも後の祭り、急きょ進路変更となった。山梨県側に行ってみよう。しかし、時間がかかりそうだな。などと、運転に集中で
きないまま富士吉田まで(途中、本栖湖を一周して)やってきたのである。スバルラインに行こうと思っていたのであるが、ふと、●●登山口の標
識が目に入り、それにつられてここまで来てしまった。道路地図を見るといろんな名前の林道が網の目のようにある。林道?自分にふさわしい場
所みたいだ(ヤッター)。きれいに舗装されているし観光客も居りそうにないし、という訳で、スバルラインはやめにした。林道なので木材を切り出
すためにある。マツ(エゾマツ・カラマツ)林が広がっていて、そこから小鳥たちの歌が聞こえてくる。ヒガラ、コガラ、コルリ、ゴジュウカラ、ウグイス
たちであろう。力強い囀りをしているキクイタダキもいた(おかげで鳴き声コレクションを増やす事ができた)。スバルラインは林道の上を通ってい
た。五合目ははるか高みにある。従って、ここでは、メボソムシクイやルリビタキといった鳥は難しい感じである(一度も声を聞かなかった)。しかし
、アオジはいた。ソングポストで力強い囀りをしている様を見ることができた。南に富士山がでかく見える(それこそなによりのご馳走だ)。急に景
色が開けた(おかげで富士山がくっきり)。そこは伐採地跡であった。車を降りるとまだ樹の香りプーンと残っていたのが何ともいえない気分で、可
哀想なと感じた。
2011
5
25
室林道ラインセンサス
ホトトギスが飛来して1週間ほど経った。いよいよ彼らたちの繁殖活動が本格的に始まったようだ。室林道に着くなり上空から、ホトトギスからの鳴
き声のシャワーを浴びた。ウグイス、センダイムシクイ、ヤブサメ、といった被托卵鳥が室林道には多数生息しているので、運悪く、托卵される可
能性はそんなに高くはないだろう。しかし、せっかく育てたわが子を失う悲しみは人間と基本的には同じではないだろうか。
2011
5
28
前田町
会社を定年になってから1年ぶりに前田町に来た。出勤前の運動にと田んぼ道を歩いていたことが昔のように思えてくる。わざわざ来るのには理
由がある。それはここが、オオヨシキリの観察場所として自分の中では最高のフィールドであるからだ。高速道路を下りると久しぶりに見る風景が
広がる。会社の建物であったり、道路を足早に歩く従業員の姿も懐かしい。前田町の田んぼは残り少ない田植えの最中であった。農道は農家の
車が行きかっているのでゆっくりと観察というわけにはいかない。それと、昼時前なのでスーパーに向かう車もひっきりなしに通る。前田町の田ん
ぼははまさに、町のまん中にある野鳥たちのオアシスなのである。車から降りると早速、ケリの威嚇の洗礼を受ける。つがいは互いに鳴き合い、
1羽が上空から睨みをきかす(オスだろう)。地上にいる親の近くで2羽の雛の姿を見つけた。まだまだ小さくスズメほどの大きさしかない。雛は親
の声に反応して草むらへと避難していった。ケリの威嚇は観察の間受けることになる。オオヨシキリもあちこちで囀っていた。その1羽は新しくでき
た喫茶店(開業間近)の屋根にいた。観察を初めて数年になるが、その間にも、田んぼが埋め立てられ店が出現する様子を見てきただけに、オオ
ヨシキリの(少しうるさい)囀りを聞くことはうれしいことである。両者の鳴き声に交じって聞こえてくるのはヒバリの歌声である。前田町のトップ歌手
といってよい。休耕田や駐車場まわりの畑で営巣しているのであろう。ケーンと一声。キジのオスがこちらを見ていた。人馴れしているのかのんび
りしたものだ。最後に、スズメの巣立ちビナを見つけた。道路にうずくまるように2羽のスズメがいた。なんとなく様子が変なので近寄ってみると、ま
だあどけない様子のヒナ鳥であった。よたよたと歩くさまもほほえましい。2羽は兄弟と思われた。仲良くかたまっていたからである。しばらくして1
羽が道路わきに移動した時に、親が現れヒナに食べ物を渡す様子を見た。その時のヒナは食べ物をねだる羽をバタバタさせる仕草をした。そして
もう一羽のヒナも親のいる草むらの方へ精一杯の力で飛んで行った。
西暦
月
日
メモ
2011
6
3
室林道ラインセンサス
ヤブサメのつがいに怪しい者として警戒されるはめになった。目の前10メートルほど先を山側から谷側へと横切る小鳥が見えた。最初は、キビタ
キのメスかと思ったのであるが、小鳥は私の姿を認めて反って接近してきた。その姿はヤブサメであった。それも2羽。どうやらつがいのようだ。1
羽(オスのほうか)が盛んに鳴きながら私の前を左右に飛び回る。単に餌を探している様子でもない。鳴き声も(ヤブサメとしては)活発な感じだ。
確信は持てないが警戒されているのではなかろうか。ヤブサメの虫の鳴き声のような囀りは非常に定位し難い。360度すべての方向から聞こえ
てくるように感じられる。捕食者からの防衛の点で有利)。それに対し地鳴きは鳴き声の先を定位するのは容易だ。従って私がヤブサメの姿を見
つけることができるのは、ほとんどの場合地鳴きをしている時である。時期的にも4月・5月(繁殖開始)よりも6月(梅雨に入って以降)に姿を見る
ことが多い印象だ。ペアをみてしばらく歩いていたら頭上をホトトギスが通過した。例によって被托卵鳥を恐怖に落し入れるような(悪魔のような)
鳴き声をあげて。昔の人はこの声を趣があるものとして愛でたのであるが、托卵鳥であることを知っていたのであろうか?。口笛を吹いているよう
な声がする。野鳥のウソではなくニホンザルだ。背中に子どもをおぶった母ザルも群れにいる。ニホンザルの農作物への被害は甚大。困ったもの
だ。
2011
6
8
寺ノ入林道ラインセンサス
ササユリには少し早かったようだ。林道の脇を飾る花としては秋のキキョウとともに最高のものだと思う。新緑のトンネルをくぐってセンサスを開始
。時間が正午近いこともあって鳥たちの鳴き声は少ない。代わりにセミの声が聞かれるようになった。ハルゼミか?。林道を挟んで山側と谷側で
かけ合いをしているようだ。トンボやチョウも出番が多くなった。今年最初のアサギマダラも出現。いわゆる北上個体か。囀りをしている野鳥を挙
げると、センダイムシクイ・キクイタダキ・キビタキ・ヤブサメ・ホオジロなどであるが最も活発だったのはセンダイムシクイ。ウグイスはたった1個体
のみの確認であった。静かな昼下がりだったがそんな中でエナガの集団が気を吐いていた。数ははっきりしないが20羽以上はいたと思う。羽の
色から察すると巣立ちした幼鳥の群れと思われる。今日もカメラの代りにリニア録音機を三脚に載せた。声を録るなら早朝に勝るものはなさそう
である。
2011
6
10
室林道ラインセンサス
梅雨らしいスカッと晴れない天気が続いている。自分が子どもの頃の梅雨と似ている気がしてならない。最近は、梅雨といってもかんかん照りの
日があったり、そうかと思えば、熱帯のスコール(実際の経験はないが)のような集中豪雨が話題になったりして、日本の気候が変わりつつあるの
ではと感じさせる年が続いただけに、しとしと雨の今年の梅雨が妙に懐かしく、内心ほっとしている。明日はまた雨が降りそうなので今日行こうと、
室林道にやってきた次第。相変わらず野鳥たちの囀りが室林道を覆っていたが、ほんの少しだけではあったがセミらしい声も聞かれた。今日のト
ピックスは巣立ちした幼鳥のことである。寺ノ入林道でも確認したが、幼鳥たちがいよいよ親の手を離れて生活していく様子が見られるようになっ
てきた。シジュウカラの幼鳥はネクタイが細いので、又、エナガの幼鳥は体色の違いで、親とは見分けがつく。エナガが(たぶん2腹以上のグルー
プが)群れをなして採餌行動に及んでいるのを観察できた。シジュウカラでは給仕している様子も観察できたが、給仕される側が幼鳥なのかどう
かがはっきりしなかった。幼鳥のようでもあるし成鳥のようでもあった。いわゆる求愛給仕のようにも見えた。餌をねだる所作はヒナに見られる羽
を小刻みにばたつかせるもので、これは、メスの成鳥でも同じなのであろうか。頭上ではハシブトガラスが3羽が追いかけっこ。三角関係のもつれ
なのか想像すると楽しくなる。
2011
6
12
高嶺
高嶺の上空(実際は山頂よりも低いが)をパラグライダーが浮かんでいる。麓の着地地点にも多くの車が止まっていた。道路わきで鳥の観察をし
ていたら生徒を乗せたパラグライダー教室の車が勢いよく山頂に向かっていった。(あまり軽いと風で飛ばされる心配があるのか)体格の良い中
年太りのおじさんが多かった。そこで確認していたのはコマドリの囀り。茶臼山では駄目だったので今度こそはと耳をそばだてていたのだった。そ
の脇を車が通りすぎたのである。顔を合わせたら先に述べた人たちであった。高嶺通いも長くなる。1度だけパラグライダーが樹に引っかかってし
まったのを目撃している。そして、何とかコマドリの声を聞くことができた。声の間隔と高さの違いから2羽(つがいか?)で鳴いていると思われた。
やれやれ。山頂ではホトトギスとカッコウが狂ったように鳴いている。なにか、被托卵鳥を攪乱しているみたいだ。巣のある場所を特定するための
技なのかもれない。
西暦
月
日
メモ
2011
6
12
蛇峠山ラインセンサス
高嶺の隣に兄弟のように鎮座する蛇峠山。こちらの方が少し高いので兄貴になるだろう。別荘地帯を抜け馬の背で車を降りたあとは山頂まで徒
歩になる。ここでもコルリは随分いるのにコマドリはさっぱり。それでもさまざまな鳥の声が聞かれ気分よく歩ける。右の肩にはカメラ、左手は三脚
に付けた録音機。両手をふさがれるのでノートを出す前に三脚を立てなければならない。必然的に三脚は開いたままで運ぶことになる。こうして
みると少し(結構)無理をしている。けれどもこの無理が報われたのだ。それも2度も。登り、コマドリのいた地点では囀りは全くなかった。ところが
下りで素晴らしいことが起きた。その地点にさしかかったら何やら地鳴きが聞こえる。もしかして。経験則に過ぎないが囀りよりも地鳴きの時の方
が面白い事が見られるのだ。思ったとおり声の主はコマドリであった。ササと灌木の中をコマドリ(成鳥)が鳴きながら移動していた。姿全体は見え
ない。顔だけでも写真に残したいと、とりあえずシャッターを切った。同時にその地鳴きを録音する。一度姿を消した後に再び確認。すると親は子
に与える餌を口にくわえて現れたのだった。やったー!嬉しいのなんの。コマドリの姿を収めることができたのは15年ぶりのことだから。2つ目は
ホトトギス。いきなり目の前でホトトギスの強烈な声がした。その個体は手前の樹の隙間から見えた。樹がブラインドになって気づかれないでいる
みたいだ。急いで三脚の高さを調整し、狭い空間に見えるホトトギスをかろうじて撮影した。もちろん隣では録音機が回っているのだ。これだけ至
近ならば迫力ある声になっているだろう。これでますます足取りは軽くなった。
2011
6
12
茶臼山ラインセンサス
牧場やスキー場の上空を颯爽と飛び交う2種類の鳥が主役だ。ウグイスたちにはとても嫌われている。その名はカッコウ・ホトトギス。飛びながら
でも梢にとまってでも辺りに存在を示すが如く大声で鳴いている。つがいが2羽一緒に飛んでいることも多い。ウグイスたちも彼らのどう喝するよう
な声に反応してしまう。先回(5月に)コマドリの囀りを聞いた。今日も期待してその地点を通過したのであるが残念な結果に終わった。コルリの囀
りは至る所から聞こえるのになぜコマドリは。後知恵になるが、最後に回った蛇峠山でコマドリを確認した時の状況からすると、囀りはもう止して
子育てに専念している可能性もあるのだ。くたびれた様子の体育館脇の池からカエルの合唱が聞こえてきた。姿は全く見えないが声だけは第9
並だ。池の畔の灌木にビニル袋が引っかかっている。だれが捨てたのかと近寄ってみるとそれはカエルの卵だった。モリアオガエルではなかろう
か。池の中を見たらオタマジャクシの塊があちこちにある。かれらはなんというカエルなのだろう?
2011
6
16
室林道ラインセンサス
すっかり青葉の季節となった室林道は歩いていても薄暗い感じがする。この日は雨間近の曇り空なので余計そのように感じるのかもしれないが、
晴天でも夏の室林道は木陰が多く暗く感じる。むしろ、一面の高い雲の日が一番明るい。姿を見るのがまれなのが夏の室林道の野鳥なのだ。従
って、ラインセンサス記録の9割以上は鳴き声によるものである。萩小N子たちが懸けた巣箱近くにシジュウカラのつがいがいて辺りの様子をうか
がっているように見える。目の前に私がいるので巣箱に入って行けないのかもしれない。面白いので申し訳ないないがしばらく様子を見る。そのう
ち向こうの方が飛び去ってしまった。巣箱からはヒナの声らしきものは無かった。センダイムシクイとメジロ・ヤマガラの囀りが目立つ。ウグイス・キ
ビタキも相変わらずである。キビタキとセンダイムシクイが競って鳴いている場面に出くわした。我々からするとキビタキに歩があると思いがちで
あるが、当人にとっては何ら臆するところなく堂々と歌っているのが微笑ましくもある。
2011
6
18
羽根・長根の田んぼ
天気が気になり早く目が覚めてしまった。なんとしても今回はやりたい(2週連続の中止はごめんだ)。インターネットの予報では午前中の降水量
は0ミリとある。神頼みの心境で萩小へと向かった。それでも6人の子どもたちが集まってくれた。その中のひとりは初参加の子である。張り切らざ
るをえない。上天気よりもこのような時の方が鳥が出現するというジンクス(私のみの)があり、雨さえ降らなかったらおもしろい探鳥会になると思
い出発する。その予想は大きくは外れなかった。アオサギの家族4羽が梢にとまり休んでいたり、ダイサギ8羽が田んぼで餌を取っているのも見
られた。ツバメが巣立ちした子どもに餌を与えている様子が目の前で繰り広げられた。梅雨の申し子であるアマガエルがあちこちで見られ、子ど
もたちは手の中に何匹もつかんで遊んだ。水路にはオタマジャクシが泳ぎ、足のでているものも見られた。いつもの場所で休憩し再び萩小に帰る
頃から天気が怪しくなってきた。霧雨なので子どもたちも楽しんでいるかのようだ。歌を歌いながら母親たちの待つ学校へと向かった。
西暦
月
日
メモ
2011
6
22
室林道ラインセンサス
今日は夏至。北半球は最も太陽のエネルギーの恩恵を受ける日である。そんな日に相応しく梅雨の中休みとなった。まともに日が当たるとやはり
暑い。太陽のエネルギーを何とか使わせて頂こう。少し前にテレビ番組で太陽の活動について放送された。極小期を過ぎたのに活動が活発化し
ていないことについて最新の研究を紹介していた。もしかすると寒冷化するかもしれないのだ。林道の脇にあたかも電柱のように立っているのは
オオルリの巣箱である。センサスの度にちらりと覗いているわけであるが、いつもはその中には何も無い。ところが今日は違っていた。2か所の巣
箱にオオルリの巣が造られており、1か所には2個の卵があった。ここまでは良い。問題はこのあと。抱卵・育雛まで進んで欲しいものである。2つ
の巣箱は30メートルほどしか離れていない。どういう関係なのかがとても興味ある。センサスを進めてゆく。突然、黒っぽい大きな鳥がシューと声
をあげ飛び去った。最初ノートにはオオルリと書いた。しかし、すぐに訂正する。飛び去った先から大きな声でクロツグミが鳴いたのだ。その明るい
声は心地よい。ホトトギスも負けじと鳴き返す。オペラ歌手顔負けの大声量。ほかの鳥たちはあきれ返っていた。
2011
6
25
富士山(富士山スカイライン新五合目まで)
先回訪れた時には通行止めになっていて急きょ山梨県側に回った経緯があるので、今回は、事前に道路情報を入手し問題ないことを確認して家
を3時過ぎに出発した。ところが、スカイライン入り口に車の列があるではないか。元の料金所には通行止めの柵が置いてある。またもや!
結局それは交通整理の担当がまだ来ていないのであった。夜間は通行止め、さらに、先の地震で道路補修がなされ交互通行になっているため
に交通整理が必要となっているわけである。西臼塚から富士山を眺めると山頂付近は雲の中、西側で次々と湧き、山頂を通過するときれいに消
えてしまう、何とも意地の悪い雲である。山頂の見えない富士は鳴かないカナリヤか。高鉢駐車場で遊歩道に入り鳥たちの様子をみる。入口に(
熊出没)と看板が出ている(もうずいぶん前から)。ここならさもありなん、あまり奥には行きたくない。ブナやシラカバの新緑が綺麗な林からは、メ
ボソムシクイ、ヒガラ、ミソサザイ、コルリといった常連から、エゾムシクイの囀りも聞かれる。高山性の野鳥の囀りがきかれるここはまだ2合目な
のだ。先をごそごそするものがいる。クマか?思わず背筋が寒くなる。後から思うとシカのように思える。気持ちが悪いので早々に退散し3合目手
前の七曲り駐車場標高1900メートルに向かう(3合目は標高2000メートル)。この高度になると西日本では比べる山はほとんどなくなってしまう
。高度の差は鳥たちの種類も変えていた。ルリビタキ・ビンズイが仲間に加わったのだ。ビンズイのディスプレイが見られたのは幸いであった。当
然ながら録音を試みたのであるが風防を付けていてもメーターは大きく揺れる。2000メートルの富士山で無風を願うのは無理なことか?。そして
最終地点の5合目に到着。一般の車と離れた場所に車を止める。そこにいたのは、先の鳥たちに加えてウグイス・キクイタダキであった。小さな
キクイタダキ頑張ってるな。地震の爪痕が残る富士山。自然の力の一端を垣間見た一日であった。
2011
6
29
室林道ラインセンサス
オオルリのその後を見届けようと室林道に出かけた。順々にオオルリの巣を確認し、ついにその巣箱の前に来た。普通に行けばそこにはオオル
リが巣の中から辺りを注視しながら抱卵しているはずなのだが。しかし、親の姿は無かった。それでも卵があればと近づいて見たのは空っぽの巣
であった。やはりな。そう思った。盗ってくださいとばかりに産み付けられているのだから。盗ったのは人間なのか人間以外なのかは分からないが
、人間だったら実に悲しいことだ。オオルリは相変わらず囀っている。この個体は巣の場所から離れているので、もしかしたら、うまくやっているか
もしれない(そう願いたいものだ)。無事に巣立った幼鳥たちが連れ立って採餌していた。シジュウカラ・ヤマガラ・エナガが緑の繁みを賑やかに闊
歩する。
2011
7
2
龍源禅寺
事前に先生から、今日の探鳥会の参加人数は23人であるとの連絡があった。こりゃ大変だ。でも嬉しい。夕日が残る校庭に次々と子供たちがや
ってくる。1年生にはご父兄が付き添っていただくよう先生が取り計らっていただいたことを感謝します。23名それも夜、とても心強い助っ人でした。
明るさが残っている限りヒナのために食べ物を捕るツバメを見ながら田んぼ道を進む。これが昼間だったら楽しむどころではない。暑い夏は昼は
睡眠、活動は夜が良いのでは。龍源禅寺の入り口でアオバズクの声を聞いた。毎晩聞いていたので探鳥会で鳴かないこともあるまいとたかをくく
っていた。しかし、本心は、やったーである。境内に入り、決めた場所に陣取ってムササビ観察を開始。残念ではあるがここ数年以上ムササビに
は出会っていない。けれども可能性0%ということはないと信じ今日までやってきた。子供たちに15分の我慢を強いた。ひと言もしゃべらない、物
音を立てない、である。その間、さまざまな自然の音が聞こえた。多いのは、境内からのカエルの鳴き声。虫の声もしている。水の流れる音は途
切れることなしに、遠くからは電車のような自動車の加速するような音が断続的に。最後は境内から墓地に移動し恒例の肝試し。平気だよと言い
残して暗闇に消えてゆく子供たち。本心は怖いのでは。
西暦
月
日
メモ
2011
7
5
我家周辺
久しぶりに家の周りの野鳥記録を取った。もちろん、毎日毎日鳥の姿や鳴き声は聞いているのだけども。ついつい、身近にあるものは疎遠にして
しまう癖がある(なにか遠くには価値の高い鳥たちがいるかのように)。つい先日もカワセミが目の前を飛び去るのを見たのあるが、慣れっこにな
っている節があるのだ。我が家にはツバメの巣はない。けれども、家の前の電線は疲れた羽を休めたりおしゃべりに興じたり、さながら、ツバメの
社交場の感がある。こうしてまとまり易い場所というのがあるようだ。山陰川の向こうに広がる田んぼに行ってみた。ツバメ、カワラヒワなどが飛び
交っている。その中に、辺りを制するかのように警戒の鳴き声をあげているセッカの姿があった。この小さな鳥は、オスが縄張りを守りメスが子育
てをしている一夫多妻の鳥である。水田の一角にシソの畑があってそこに彼は降り立った。ここは恰好の繁殖場である。畑の持ち主は理解のあ
る人なので巣立ちまでそっとしておいてくれることだろう。ハシボソガラスのペアが電柱で休んでいる。この暑さは彼らも堪えるとみえ口を開け呼吸
している(黒い体はこういう場合不利だ)。山陰川でウマオイが鳴いていた。スズムシやコオロギに比べると地味な感じもする。それと、アブラゼミ
のジーーーーーである。梅雨の真っ最中なのにあまりの暑さで夏と勘違いしたのか?
2011
7
6
室林道ラインセンサス
早いものでもう1年の折り返し点を過ぎてしまった。開始時間が11時26分と鳥を見るにはかなり遅い。その割には結構鳴き声もしていた。今日は
室林道で3つ目のオオルリの巣を見つけた。2つは巣箱に造られたものであったが、今回は、自然の岩の棚に造られていた。ただし、卵は無かっ
た。まだ産み付けられていないのか、それとも、先の巣箱の例と同じく、何者かに盗まれた(捕食された)のかは今後の観察で確認するしかない。
卵の消えたオオルリの巣箱を通過するタイミングで車と出会う。豊川市の委託を受けた害獣パトロールの車だ。二人連れと会話を交わす。「小鳥
かね?」と聞いてくる。「ここは鳥が多いかね?」。どうやら地元の人ではなさそうだ。四季を通して多いことや、時に密猟に遭っていることを話す。
「密猟?」と聞き返してくるので目の前にあるオオルリの巣の件を説明する。すると、害獣を捕まえるよりも密猟者を捕まえる方が面白いなどとと
言う(捕まえてください)。二人と別れセンサスを続ける。
2011
7
8
寺ノ入林道ラインセンサス
梅雨明け初日、寺ノ入林道は夏の雲や太陽の光があふれていた。雨のあとのすがすがしさ、ここが標高600メートルということもあって、気持ち
の良いラインセンサス作業となった。もちろん天気だけではなく気持ちの面もある。オオルリ・キビタキ・ウグイス・センダイムシクイの囀りが聞かれ
る。ヤマガラ・シジュウカラもさかんに鳴く。けれど、一番元気なのはヒヨドリであった。よく鳴く。鳴き声も個体により違う。普通の鳥ではあるが奥の
深い鳥でもある。この地は時々ハチクマが棲息する。上空を注意して見る。出会ったのはノスリであった。ガやトンボが行き交う道にはクモが網を
張って待ち構える。その網を、私の顔が容赦なく破ってゆく。クモの憤りやいかん。目を下にやると、緑したたる下草の中に、ホタルブクロがぷっく
らふくれたお腹を重たげに俯き、また、トラノオがまっ白い筆を垂らして手習いをしていた。少し来るのが遅すぎたのか可憐なササユリは散ったあ
とであった。
2011
7
12
室林道ラインセンサス
先回のセンサスで確認したオオルリの巣には3個の卵が産み付けれれていた。それをメスが抱卵しているのだった。やれやれ。今度こそ巣立ち
までいって欲しいと思うばかりだ。オオルリ以外では、冬季には普通の混群がこの時期に見られたのが印象に残る。エナガ・メジロ・シジュウカラ・
ヤマガラ・コゲラが群れを構成していた。冬季ではヒガラが、今の時期ではセンダイムシクイが混群に加わることもありそうだ。サルを追い払う音
が下の方から聞こえた。すると林道からもサルの出す声がよく聞こえてくるばかりでなく、数頭の姿がちらちら見える。少し前から探していたネジ
バナを見つけた。濃いピンクの花がらせんを描いている。まるでDNAみたいだ。
2011
7
16
室林道
早朝、太陽を隠していた雲はいつの間にか消え、いつもの暑い一日の始まりとなった。この暑さだ、時間になって集まったのは一人だけというのも
無理からぬことだ。牧野さんと3人、日陰の無い羽根・長根の田んぼコースはあきらめ、車で、室林道に向かうことに変更した。室林道ならばコー
スの大半は木立の中である。室林道の入り口でサンコウチョウが囀った。いつとなく明瞭な声である。そばでは、センダイムシクイもこれまた勢い
のある歌を歌う。多種の囀りに触発されるとともあるだろう。今日の目玉はオオルリの抱卵である。その願いは帰りのコースでかなった。スコープ
が遠くから観察するとメスが卵を抱いているさまが手に取るようにわかる。参加してくれた彼にはよいプレゼントであった。林道を抜ける風が気持
ち良い。日長一日をこんな所でうとうとできたら最高だろうにな。牧野さんも同じことをおもっていたようだ。
西暦
月
日
メモ
2011
7
17
観音山
ここ1週間ほど観音山の麓へ出かける機会があった。そのついでと言ったらごへいがあるが野鳥の様子も見ることができた。朝6時に観音山の麓
に到着すると野鳥たちの歌声が聞こえる。ウグイス・ホオジロ・メジロなど。それと、よく鳴いていたのはサンコウチョウであった。我が家の裏山か
らもほとんど毎日聞かれるように、サンコウチョウは、ここ10年ほど前から、少なくとも音羽の地では増加しているのは間違いない。そして、たび
たび出現したのがサシバである
室林道方面からやって来て観音山に降下するというパターンが多かった。サシバの姿が現れると決まってハシブトガラスがモビングをかけた。今
日で用事も終わりという日、1羽のサシバが観音山から飛び立たったのち、およそ200~300メートル先のヒノキの梢にとまったのである。用事の
ついでの道具がその時にはあった。双眼鏡でみる姿は胸の縞が縦にあり幼鳥であることがわかる。コンパクトカメラも持っていた。鳥用のために
一番大きな画面にセットしてある目盛にダイヤルを合わせる(これをしておかないとHPの一般撮影用として小さなサイズにセットしたままで撮影し
てしまう)。このカメラ、一眼レフの画質には敵わないが携帯性は勝る特徴を生かし常に持ち歩いている。全く、一眼レフの大きなレンズと重い三
脚にはへきへきしている。双眼鏡だけの野鳥観察では鳥に集中できる(特に、ラインセンサスを行っている時はそうである)。その点大ズーム付コ
ンパクトカメラはセンサスの邪魔をしなくて良い。そのカメラでサシバを撮影した。
2011
7
21
室林道ラインセンサス
オオルリの抱卵は確認できなかった。巣を出払っていたのであろうと想像するしかない。サンコウチョウの姿を見た。たぶん囀っていた個体でろう
と思うがメスであった。ヤマガラとエナガの幼鳥がそれぞれ数羽の群れで採餌している。オオルリも彼らのようになることを祈る。ホトトギスは相変
わらず室林道を飛び回りけたたましく鳴いている。彼らの成功は宿主の犠牲を意味するだけに考えさせられる。しかし、自然界のできごとに人間
のきまりを当てはめるのは間違いであろう。
2011
7
23
裏谷
茶臼山からの帰り道に裏谷によってみた。ちょと寄り道。そんなわけにはいかない。曲がりくねった狭い道を車を気にしながら走らなくてはならな
いのだ。午後1時前に段戸湖の畔に到着。時間が時間だけに(鳥たちも昼寝を貪っているに違いない)辺りは閑散としていた。全く、セミの声以外
は物音すらしない。気を取り直して、裏谷原生林の散策路を目指して歩き出す。案内板によると、ここの樹齢は260年から300年以上のツガが
中心となり、落葉広葉樹の古木も多数あって、愛知県有数の原生林である。鳥とかかわる初期の頃から訪れた由緒あるフィールドの一つにもか
かわらず、近年、茶臼山・三河湖・室林道の3大フィールに関心が集中し、どの方向からもたどり着くのに手間のかかる段戸山裏谷への訪問が減
ってしまっていた。昔ながらの道で(趣は十分なのであるが)すれ違いに苦労してしまう。さて、鳥のほうは、昼寝もせず頑張っていたのはここでも
ウグイスとソウシチョウ。そして1羽のオオルリであった。個体数的には多いと想像するヒガラはやはり昼寝を選択したようだ。段戸湖へは東西か
らそれぞれに清流が流れ込んでいるが、各々で、カワセミのエメラルド色に輝く姿を見ることができたのは、数少ない鳥しか確認できなかったこと
へのせめてもの慰めであった。もっともこれは裏谷が悪いのではなく、昼過ぎに鳥を見ようとする料簡が間違っているのである。近々早朝に来て
みよう(そうでないと申し訳ない)。
西暦
月
日
メモ
2011
7
23
茶臼山ラインセンサス
雨の心配もなさそうなので安心して出かけた。実は昨日は、茶臼山に出発したのであるが、雨が強くなり引き返したのだ。山頂は雲が払われつつ
あった。キャンプ場もすでに人々が起きているようだ。駐車場の脇にカラマツが生えており、その梢で、朝日を浴びて見るからに気持ち良さそうに
ホオジロが、空に向かって囀りをしている。山頂からは、皆よく知っているカッコウの目の覚めるような声や、アオバトの得体のしれない声が、ウグ
イスやソウシチョウの囀りとともに聞こえてくる。しばらく歩いた時、牧場の林縁からオオルリの歌声がした。近くで鳴いている。静かにそっと近づく
と、緑鮮やかな樹の枝先で、広く開けた谷間の方向を向いたオスが、瑠璃色の冠羽を輝かせて朝の歌を歌っているのだった。彼の眼の先には晴
れておれば遠くに南アルプスが横たわっているのであるが、朝もやで何も見ることができない。去年も目撃したアオバトが、20羽ほどの群れをな
し、すごいスピードでこちらの方向に向かっている。一部は群れから離れ山頂付近に降り立った。長野県側は拡声器からの音楽もなく比較的静か
な環境なので野鳥たちも安心しているようだ。もっとも、休日ともなれば隊をなしたオートバイがけたたましい音を立てて通り過ぎるのは今に始ま
ったことではない。ここでも囀りの中心はウグイスとソウシチョウで、今日の様子だけでは、ウグイスはソウシチョウの侵入に対してそれほどダメー
ジを受けてない感じがする。スキー場から正反対の位置に来たところ、先のアオバトに似ているが、20年弱前に初めて茶臼山に来た頃、ひとり
のバードウオッチャーと出会い、その人とマミジロとアカハラの鳴き声について話したことをはっきりと思えている。マミジロのキョロン・キョロンと鳴
く声を、今まさに鳴いているこの場所で聞いたのである。マミジロは茶臼山でも少数部類に入るが、不思議と、この場所で鳴いていることが多いの
だ。彼らのお気に入りの場所なのである。さっそく録音。ところが、マミジロが鳴き出すと割って入る者がいる。他ならぬウグイスとソウシチョウであ
る。マミジロの1節は彼らの3節。早口でまくしたてて録音の妨害をするのだ。高原の涼しい風に吹かれながらセンサスをする、なんと贅沢なこと
だ。
2011
7
28
室林道ラインセンサス
オオルリの抱卵、結局、卵は盗難(捕食)にあっていた。先回のセンサス(7/21)で抱卵の姿が見られなかったのは、その時すでに、無くなって
いたのではと思われる。当のオオルリのメスにセンサス復路の最後に出会った。巣の真上の樹から地鳴きが聞こえ、もしやと思った。そして抱卵
している時の姿を思い出させる地味な体色のメスが現れたのだ。人格化するのは好ましくないと思うが、腹を痛めた子を探しているように思えて
ならなかった。
2011
8
2
室林道ラインセンサス
先に室林道ラインセンサスを行ってオオルリの抱卵が失敗に終わったことを確認したが、それとは別の個体(メス)がヒナに与える虫を咥えている
のを見た。その場所は、オオルリが飛来してから暫らくの間、スギの林の中で囀りをしていた所に近かった。ああ、今まさに、育雛の真っ最中なん
だなと感動した。あのように卵を略奪されたメスを、センサスの帰り道何の気なしに見てしまった時の思いと、今回の状態は何となくにているように
も思えてならない。育雛行動を見たことは嬉しいに違いないが、あれもこれも生活の中の一場面位過ぎないのだ、と感じてしまうのだ。この辺りに
はオオルリの巣箱は設置されていないので、当然ながら、巣は、自然環境の中に造られている。捕食者・盗賊たちに見つからない所にあればよ
い。突然、ピピピピという空気をつんざく声がした。その声はとても大きい。そして聞いた者に一瞬不安を与える。声の主を考えた。鳥であることは
間違いない。冷静になれば、その声の主はホトトギスであることに気が付くだろう。今日もホトトギスは、いつも以上に通る声で室林道にいる被托
卵鳥たちを恐怖に落とし入れているのだった。もう8月だ。彼やにとっても気が気ではないだろう。何しろ彼らは、秋の声を聞いたら暖かい地方へ
逃げなくてはならないのだから。それまでにヒナが海を渡ることができるまで成長していなければならない。はたして、一つがいで、どのくらいの宿
主に世話を押し付けているのであろうか?2つに比べると地味ではあるが、カケスの声を聞いたのは収穫であった。真夏にはほとんど室林道から
は離れていると思っていたカケスの声が聞かれたのは、やはり、まだまだいっぱい知らないことがあることの証明でもある。
西暦
月
日
メモ
2011
8
3
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道の青い空には、秋の巻積雲と夏の高積雲とが同居していた。上空を飛ぶ鳥とてなく、旅客機の引いた白い線が綺麗なカーブを描いて
いるばかりだ。早朝にも関わらず静かであった。繁殖開始時期の狂わんばかりの喧噪はなりを潜め、今、寺ノ入林道を支配しているのは、セミた
ちの寄せては返す波のようにリズムカルな鳴き声である。多くはニイニイゼミでヒグラシも混ざっていた。野鳥たちは子育てに忙殺され伝達手段と
しての鳴き声を最小限に抑えているようである。ヒヨドリの鋭い声とキジバトのおっとりした声とは対照的である。声を聞き楽しむ立場からすると、
どちらか一方だけでも退屈してしまうだろう。声の数(種類)は多い方が良いに決まっている。種の多様性はあらゆる場面で優れていると思わざる
を得ない。昔から(寺ノ入林道に通い始めた20年弱前から)夏の寺ノ入林道に期待する鳥はそんなに多くはない。多くは、家に近い室林道にもい
るので、寺ノ入林道独自の鳥ということになる。ひとつ目はハチクマ。タカ科の鳥である。寺ノ入林道のある三河湖はへぼ(ハチ)料理が有名であ
り、ハチクマがいても不思議ではない。ノスリよりも大きく、クマタカではないかと興奮することもしばしばだ。ふたつ目はサンショウクイ。しかし、最
近は地元でもこの鳥を見るのは珍しくなくなった。三つ目はエゾムシクイ。これには恥ずかしい想い出がある。寺ノ入林道で夏に鳴いているエゾム
シクイの地鳴きをジョウビタキと勘違いしてしまったのである。ジョウビタキは冬鳥である。こんな間違いは普通起こさない。けれどこれには訳があ
った。1994年と95年の2回にわたり。茶臼山でジョウビタキの囀りを聞き、それは間違いなくジョウビタキで、稀な、越夏の姿であった。このこと
が、夏の寺ノ入林道にもジョウビタキがいても不思議ではないと思わせたのだった。その後、ある年の夏に、長野県売木平谷峠でジョウビタキの
ように鳴いていたのは、ウグイス科のエゾムシクイであることが分かった。この時には鳴いている姿も見つけて、それは、明らかにジョウビタキで
はなく、ウグイスによく似たものであった。図鑑でしらべるとそれはエゾムシクイに間違いなかった。それ以来、夏になるとジョウビタキのような声を
期待してしまうのだ。今日のセンサスでは、ふたつ目、3つ目の希望がかなった。寺ノ入林道のハチクマの姿はここしばらく目にしていない。食物
が特殊化している鳥は、被食動物や植物の変動に影響を受けやすいので、もしかするとハチクマも何らかの影響で数を減らしているいるのでは
ないだろうか。
2011
8
5
室林道
夏休み恒例の早朝探鳥会に、今日は思いがけないお客さんがあった。岡崎市から鳥が大好きな親子とその友人が参加してくださった。なんでも、
海外にまで鳥を見に出かけられているとのこと。すでに、中学生になっているので、萩小の子にとってはお兄さんとして慕っている風にも見え、彼
らも、小さな弟のように扱ってくれているのが随所に垣間見れた。熱心に観察する態度は萩小の子どもたちにも良い刺激となった。ウグイスやホ
オジロ・センダイムシクイの囀りはまだかろうじて聞くことができたが、一時の、林道がコンサートホールになったような野鳥たちの歌の共演はなり
を潜めてしまった。換羽の準備と考えればこうした状態は必然なのではあるが、やはり、子どもたちのことを考えれば何とかしてやりたいと考えて
しまう。しかし、それは無理な相談なので、その理由を説明してあげるしかできなかった。帰りがけ、「室林道は良い所ですね」と言っていただいた
ことが嬉しかった。自分の子どもが褒められたように思えて。
2011
8
7
ツバメ(アルビノ)再会
去年の真夏に地元の話題をさらった感のあるツバメ(アルビノ)と思われる個体と再会した。8月7日の午前、庭に水を散布しているとツバメの群
れがいつもの様に餌と探し舞っていた。10羽ほどであった。視野を横切る中にギクリとする。あの白いツバメがいたのである。バケツと如雨露を
ほっぽってカメラと双眼鏡を取りに行く。一旦は姿を見失ったものの、やがて、上空を仲間と一緒に舞うアルビノを見つけることができた。無我夢
中でシャッターを切った。白いツバメは群れと完全に同化していた。目立ち易いハンディキャップを克服して生きている姿には心打たれる。写真で
見ると、周りの仲間たちと心を通わしているさまがよりはっきりわかった。虚脱状態で家へ向かう。水やりを再開だ。
2011
8
12
乙女川
カワガラスがいないかと探してみたが駄目であった。その代り、アユが飛び跳ねているのを見ることができたのは、暑さを、一瞬ではあるが忘れる
ことができた。
2011
8
12
室林道ラインセンサス
エゾムシクイ(南下個体とおもわれる)の鳴き声を聞いた。寺ノ入林道でも確認している。春の囀りがコガラに、夏の地鳴きがジョウビタキに似てい
て、室林道でとんでもない鳥(この時期にいるはずもない)を見てしまったと思い込み、すっかり騙されてしまった時期もあった。今はそんなこともな
く、もう越冬地に向かうのかと思うだけである。オオルリのメスは毎回姿を見せる。子どもを連れているのを早く見たいものだ。
西暦
月
日
メモ
2011
8
13
茶臼山ラインセンサス
家族や仲間同士で一晩すごした茶臼山湖畔のテントが10ほどもあろうか。夜遅くまで話をしたり、外に出て虫の声を聞いたり星をながめたりした
のかもしれない。ペルセウス座から星が流れるのを見ただろうか。そして、日が昇り、小鳥たちの歌声で目を覚ました人もいるだろう。自分だった
ら、コマドリの歌を聞きたい。10年以上昔ならそれも叶えられたろうが。今は、ソウシチョウが目覚まし時計がわりだ。快活な歌は一日の始まりに
相応しい。けれども、どれほどのの人がソウシチョウは10年前にはほとんどいなかったことを知っているだろうか。間違いなくソウシチョウは移入
種である。中国東南部の標高の高い所でくらしている。鑑賞用に持ち込まれたが、かごぬけなどで野生化し、今では、日本中に広がっている。茶
臼山の自然・植生が彼らにピッタリしていたため瞬く間に茶臼山のトップに躍り出てしまったようだ。在来種で採餌場所が競合する種としてまず最
初にウグイスが思いつく。地上付近でササの生えている所。まさしくウグイスの好みと一致する。鳴き声によるセンサスでも個体数はいい勝負の
ようだ。今後、ウグイスはソウシチョウに駆逐されるのだろうか。そうあってほしくないのは山々なのだが。20日前に行ったセンサスから変わった
ことがある。寄生繁殖者であるカッコウとホトトギスが鳴かなくなっていた。彼らの努力は報われたのか。ウグイスは寄生対象である。ソウシチョウ
との競争激化に加えて托卵鳥も相手にしなければならない。ソウシチョウも寄生されるのか。もしそうだとすると、個体数増加を抑える役割をカッ
コウが果たすことになる。カッコウの鳴き声は聞かれなかった。そのかわりにアカハラが針葉樹の梢でさえずっているのを見ることができた。それ
も3個体も。カッコウとアカハラは夏の高原の雰囲気を醸し出してくれる一番手と信じている。蝶やトンボもたくさん飛んでいた。その中に、私にとっ
ては鳥に近い渡り蝶のアサギマダラをいたことは嬉しかった。
2011
8
17
室林道ラインセンサス
盆を過ぎると気になることがある。ウグイスの囀りの終わりである。春からずっと室林道で最も囀りをしていたのがウグイスだ。それは、日本の鳥
の中の王様であり世界にも誇れるものだ。センサスで縄張りの中に入るとさっそく警戒の囀りが発せられる。さまざまな音程・節で身内は部外者
に発信している。その声が聞かれるのもあとわずかだ。今日は聞かれるかな?半分聞かれないことを期待しながら室林道に向かう途中でウグイ
スが鳴いた。センサスの間セミの体当たりを何度も受けた。地中で長い時を過ごし、成虫になって、異性とつがい、あっという間に一生を終える。
人間でいえば老人の春。いや、余命幾ばくも無い男の恋人探し。なりふり構わない行動に出たとしても不思議ではなかろう。私が異性がデート先
に指定した樹木に見えたのかも。小鳥のほうは落ち着いている。センダイムシクイがサクラの枝で虫を捕えていた。その中でも比較的元気なのは
ヒヨドリである。つがいであったり、単独であったり、大きな声で鳴きながら木々を渡っている。
2011
8
20
羽根・長根の田んぼ
数日前までは、今日の探鳥会は灼熱の下の探鳥会と覚悟していたのであるが、急に、秋の色を濃く帯びた朝を迎えた。天気予報では次第に悪く
なるが午前中は持ちそうと踏んでいた。ところが、萩小に着くころから霧雨が頬にかかる。それでもふたりの子が親御さんの車でやってきていた。
迷わず車での探鳥会に決め、大人2名、子ども2名のミニ探鳥会となった。羽根・長根の田んぼでは音羽米が黄色く頭を垂れていた。農道で車の
バックドアを屋根代わりにして辺りを観察する。出勤車の連なる脇で4羽のダイサギが獲物を探している。電線にはキジバトが3羽ひっそりとまる
。静けさを破ったのは小さな鳥であった。ヒッヒッヒッとセッカが鳴いていた。それは田んぼの中の黒いビニル製の旗にとまっていたのだ。暫らく鳴
いた後彼は、上空へと上がり大きな楕円を描くように縄張りを巡回した。そして再び旗のもとへと下りる。それを何度も繰り返すのだった。「あそこ
がお気に入りの場所だね」と子どもたちと話した。せっかくだから他の所にも行ってみる。室林道は雨のせいもあろうがセミたちの鳴き声もまばら
であった。だから小鳥の声が聞き易い。それでも、ウグイスの囀り2羽、ヤマガラ、メジロ、ヒヨドリのわずかの個体が確認できただけであった。最
後に観音山に向かう。サシバが飛ぶかもと思ったからだ。残念ながらサシバは飛ばなかったが、その代り目の前でホオジロを見ることができたの
だった。
2011
8
24
室林道ラインセンサス
室林道からウグイスの囀りが聞かれなくなった。4日前の土曜探鳥会ではかろうじて2個体の囀りがあったが、ついに、いなくなったわけだ。ほぼ
予定通りといってよい。今日囀りをしていたのはホオジロとメジロであった。ホオジロは10月に繁殖期に次ぐ囀りのピークがある。何とかその理由
を知りたいと思う。囀りは減ってしまったが黙々と採餌する姿は見られる。センダイムシクイやキビタキな黙んまり派、エナガ・メジロは賑やか派で
ある。ヒヨドリと思われる羽が路上に落ちていた。3枚の初列風切羽であったが、これも換羽のなごりであろうか。
2011
8
26
西暦
月
日
メモ
2011
8
26
我家周辺
空の青さも雲の形も秋の色を濃く感じさせる。一点の曇りもない青空はそれはそれで良いがいつまでも眺める気にはなれない。やはり何らかの変
化に富む雲があった方が楽しいものだ。今日は周りを積乱雲や高積雲に囲まれていた。太陽に近い所はシルエットになり、最も遠い位置にある
積乱雲は午後の光に染められて黄色がかっている。もっと濃い黄色に染まった田んぼからスズメの群れが飛び立った。上空ではツバメが旋回し
ている。収穫までのしばらくは前者は悪者あつかいされるのだ。そろそろ気になりだすのがモズの様子である。我が家の前の電線にとまって縄張
りを主張するのも間もなくだ。今年は、せいぜい立派な高鳴きを録音してやろうと思う。いくつか録って一番をアップする。
2011
8
27
寺ノ入林道ラインセンサス
頭上に覆いかぶさる積乱雲を見やりながらセンサスをおこなった。虫よけのため厚手の長袖を着ているが暑さを感じることはなかった。室林道同
様ウグイスの囀りは消え、3・4種のセミの鳴き声が聞こえる。それでも一時のつんざくようなものではない。比較的静かで落ち着いた鳥の中でも
ヒヨドリが、単独であったり、ペアであったり、あるいは数羽のむれであったり、さまざまな形で賑わっていたのが印象的であった。何かの力で揺り
動かされているかのように。もしかするとそれは、渡りをせよという本能なのかもしれない。秋の南下にヒヨドリの大群が参加するのはつとに有名
なことである。夏鳥のうち確認できたのはサンショウクイとヤブサメの2種のみであった。かといって、他の鳥たちもまだ南下してはいないはずでは
あるが。針葉樹の暗い林床で動くものを見つけた。めざとく私の気配を察知して去っていこうとしている立派な尾羽を持ったオスのヤマドリであっ
た。
2011
9
2
羽根・長根の田んぼ
すでに半分以上の田んぼは稲刈りを終えている。刈取りを終えると、急に秋の雰囲気を感じるようになるのは不思議である。そして、田んぼの中
が開けると、そこで採餌する鳥たちが再び姿を現す。ハクセキレイとセグロセキレイがいた。前者は、以前ならば冬鳥の仲間に入る鳥であったが
、今では、留鳥としてこの地でも越夏する。ツバメが上空を舞う。ムクドリの群れが直線的な飛行を見せる。今は横殴りの風と雨が車の窓ガラスを
叩く。少しだけ窓を下して観察。田んぼの中にたたずむ2羽のケリが目に入ってきた。
2011
9
2
室林道ラインセンサス
雨脚との競争であった。南からの強い風に乗って黒い雲が流れ、高圧線の重低音がまるでジェットエンジンのようである。その中で鳥たちはひっ
そりと採餌していた。センダイムシクイやエナガ、ヤマガラがサクラの枝で動き回る。特にセンダイムシクイの姿が目につぃた。アブラゼミが林道に
横たわっていた。その姿には繁殖という最後の仕事を終えた安らぎを感じる。今はツクツクボウシが鳴いている。その鳴き声の中からもはっきりと
分かるほどの声が聞こえてきた。エゾムシクイである。室林道では春と秋への変わり目にたびたび出会うことがある。今は、南下中の姿である。
センサスの終わりになって降り出してきた。蒸し暑いので気持が良いくらいである。
2011
9
2
2011
9
6
茶臼山ラインセンサス
車から降りると寒さに驚いてしまった。13度との電光表示がちらりと見えた。標高1000メートル以上には雲がかかっていて周りは何にも見えな
い。そこで、少しでも日差しが出て暖かくなるのを待つことにした。こんな時にはCDを聞くのが一番。6時38分からラインセンサスを開始した。茶
臼山を左回りに1周する。鳴き声が最も活発なのはソウシチョウである。囀り、地鳴き、ともに群れで行うので大層にぎやかだ。囀りはホオジロも
盛んにしている。ノスリが梢で休んでいた。この個体にはたびたび出会う。そこへ、ハシブトガラスがやってきた。ノスリも少し警戒したが、ハシブト
ガラスの方から飛び去って行った。長野県に入ると面白いくらいに鳥たちがやってきた。アカハラは、囀りをしていた頃と同じ場所で見つけた。アカ
ゲラやアオゲラの鳴き声もあった。運よく、アオゲラの姿を見ることができた。ほとんど同じところでサンショウクイを発見。4羽でふざけ合っている
ようにみえる。南下個体なのか。さらに、同じ場所にオオルリもやってきた。オスの若鳥で翼が青色になった個体である。いわゆる半成りと呼ばれ
るものだ。これほど次々と種々の鳥がみられるのは珍しいことであるが、想定外の鳥がいたわけではない。エゾビタキやノビタキの南下個体がい
ないかと探したが少し早いようだ。秋の色は平地よりも一層濃い。
西暦
月
日
メモ
2011
9
10
観音山
5人の子どもたちと観音山までの道々で野鳥を観察した。田んぼのほとんどは稲刈りを終え、あぜ道に赤くヒガンバナの花が開いているのが見ら
れる。スズメの群れが田んぼで餌をついばみ、ツバメがひらひらと舞いながら空中の虫を捕まえる。芝生でグランドゴルフをやっている脇を通り観
音山への道を進む。カラリとした暑さである。日陰道が終わりに近づくともう少しここに留まりたい気分になる。モズが高鳴きを始めた。ああ秋だな
と思う。私は、しきりに上空を見上げた。この付近をたびたびサシバが舞うのを見かけていたので、子どもたちのために出現してくれないかと願っ
た。しかし、現れたのはトビであった。そうそう思うようにはいかない。
2011
9
14
室林道ラインセンサス
センサスで林道を歩いている時にたびたび出会う人と挨拶だけでなく初めて話をする。その人は健康ウオーキングを目的にしていることは分かっ
ていたが、カメラを肩にかついでいる自分をどういう趣味の人間だと思っていたのだろうか。鳥を観察していると話すと、うなずいて納得してくれた
。あいかわらず鳥たちは静かにしている。むろん鳥たちは鳴くことはやめられないのでノートに次々と記録していく。ヒヨドリはその中でも活発に鳴
いている。渡りの時期を間近に控えた行動なのであろうか。足元にヘビが横たわっていた。気づいた時にはその脇を通り過ぎていた。踏んづけな
くて良かった。
2011
9
15
羽根・長根の田んぼ
夕日を浴びた羽根・長根の田んぼは気持ちよいほどに輝いている。稲刈りの終えた田んぼはすでに、1回目の田起こしを済ませていた。そうなる
と野鳥たちにとっては好都合になる。ミミズなどの食べ物をどんどん探せるからだ。ハシボソガラスがそのような行動をしていた。近くの丘陵から
飛び立ったハシブトガラスは電柱や電線に止まり押し合い圧し合いをしていた。順位の高い個体が良い場所を占めるのであろうか(そもそも良い
場所なんてあるのか)。これほどのケリを見たのは久しぶりだ。20羽ほどもいたろうか。それらの鳥たちが茜色の夕日に染まっている。
2011
9
17
羽根・長根の田んぼ
天気予報では探鳥会は無理のようであったが、朝起きてみると、雨雲はどんどん北に向かってはいたが、南の空は明るく、雨も止んでいた。これ
ならばなんとか探鳥会もできそうである。萩小で待っていたら、来週の運動会を前にして、校庭の草取りや樹木の剪定を行うために地元のお年寄
りが集まっていた。いつも探鳥会と同じ日で、探鳥会を終えて校庭に戻ると、見違えるほどの美しさに、いつも感心させられる。子どもたちは地域
ぐるみで育てられているのだ。集合時間になると突然大粒の雨が降ってきた。そこで、参加した2人のこどもとお母さん、そして自分、4人で車に乗
って羽根・長根の田んぼに向かうことにした。農道に車を止め、定点観察を行う。6羽のダイサギが田んぼを歩いていたのだが、車から降りた途
端散り散りに飛んで行ってしまった。日差しが出始めた。すると、どこからともなく鳥の声が聞こえてくる。最初はモズ。田んぼの真ん中の水路に
生える灌木で縄張り宣言をする。最初にメス、そのあとオス。民家の近くでも別のモズが尾羽を回しながら鳴いている。2羽のヒバリが田んぼの上
を飛び回る。電線に向かって多くの鳥が飛んでゆく。ムクドリだ。夏の間はそれほど見かけなかったけれど、稲刈りが終わり開けた風景になると、
多い時には100羽以上の群れをつくるのだ。少しでは期待していたノビタキの南下個体、やはり少々気が早すぎたようだ。ヒガンバナは一層目立
つようになったし、ツユクサ、ノボロギクも沢山咲いている。一角に白花ヒガンバナが見られた。
2011
9
22
羽根・長根の田んぼ
台風15号は日本各地に爪痕を残した。山間部、河川、都市部、それぞれに、自然の猛威の前に人間はいかに無力であるかを、今更ながら思い
知らされた。けれど、人間は打ちのめされても立ち上がってきた。日の出前に近くを歩いてみた。空は良く澄み爽やかな秋のそよ風があった。痛
めつけた後の安息。自然は何も思ってはいないし意図もない。それぞれの人間がそれぞれに考えたり感じたりするだけである。背丈の伸びた秋
草を丁寧に見て回った。ノビタキがいないかと思ったからだ。彼らはそろそろ南下を開始するはず。北からの涼しい風に揺れるノボロギクにとまっ
て、時々ツグミ科の鳥らしく羽ばたく。そんな姿を探した。けれど、それらしいものは見当たらなかった。あちこちで赤く花開くヒガンバナ。近寄って
みると開花したものはほとんど、昨日の嵐の前に、散り際時のように白っぽく色あせていた。それと比べるとツユクサは、瑞々しい緑の葉と、空の
青より鮮やかな花は、何事もなかったかのようにしていた。
西暦
月
日
メモ
2011
9
23
羽根・長根の田んぼ
夕方、夕日に誘われて羽根・長根の田んぼに行ってみた。というよりは、ノビタキが来ていないか気になったのだ。自転車をこぎながら田んぼに
向かう。途中、友人に会う。夫婦で散歩中であった(自分にはなかなかできないこと)。田んぼ道をゆっくり進んで行くと、いたいた、1年ぶりに見つ
けた姿に、懐かしさとほっとする気分が交錯する。数を数えると4羽である。羽色からオスとメスが混ざっているようだ。ぐるりと回ってみたが、4羽
以外には見当たらなかった。昨日は見つけることができなかった。昨日と今日とで明らかに違うのは風向きである。昨日は南風で今日は北風であ
った。ノビタキを見る頃は決まって北風が吹いている。周りではケリとハシボソガラスが喧嘩している。田んぼから少し離れた小高い山に企業団地
がある。その工場の上で、ハシブトガラスの群れ(30羽ほど)が盛んに旋回したり、もつれあったり、繁殖行動の準備をしている。雲が茜色から赤
紫色に変わってきた。気分よく自転車をこいで帰宅する。
2011
9
23
寺ノ入林道ラインセンサス
ふた刷けほどの巻雲が見えていたが、それも消え、どこを見ても全く雲が見当たらなくなった。寺ノ入林道は北西の斜面にあるので日の当たるの
が遅い。日陰は寒いのを通り越して肌寒いくらいだ。目の前にニホンシカがいた。角はなく若いシカのようだ。すぐに山側に逃げ込んでいった。そ
のあと、ピュッと鋭い声をあげた。カケスが鳴いた。カケスはヒヨドリと同じく渡りをする。秋の南下で個体が入れ替わっているのかもしれない。カラ
類やエナガの地鳴きがよく聞かれたが、1度だけヒガラの囀りを聞いた。折り返し点では10分ほど腰を下ろして一休みする。休んでいたらヒタキ
の声が。暫らくして4羽くらいの鳥が繁みで採餌を始めた。鳴かないので、かえって注目してしまう。先ほどの声と今の群れの姿からキビタキかそ
れ以外の鳥(コサメビタキ)ではと直感。こんな時には写真に撮っておくに限る。短い時間で得られる情報は知れているので、迷う場合は写真はあ
りがたい。家に帰り、写真と図鑑とを見比べて、キビタキのメスであることを確認できたのだった。風にススキが揺れる。ヤマグリの毬が一面に落
ちているのは台風の置き土産。大好きな野菊の花を楽しむのには少し早い。
2011
9
25
室林道ラインセンサス
台風15号の大雨で室林道に向かう道路が崩れた。それが分かっていたので、今日は、別のルートから室林道に入った。野鳥の声はひそやかで
あった。その中でも、ハシブトガラスとコジュケイだけは辺りに響くほどの大声で鳴いているのであった。それと、鳥類とは違う声も。ニホンザルの
群れが行動しているのだ。暗い植林の林床を親子で移動する様子を5センチ7倍の双眼鏡が捕えた。今回に限りセンサスのルートを変えたことで
、センサス結果に影響が出ているのかもしれない(コースのあるところまで車を乗り付けたことを指す)。季節の変わりを感じることもあった。カケス
の鳴き声である。室林道ではカケスは冬季にいる鳥である。以前に私は、秋のある日、カケスが、次々と室林道に下り立つのを見た。それは、や
はり昔の話である伊良湖岬のカケスの渡りを少しばかり彷彿とさせるものであった。
2011
9
27
茶臼山ラインセンサス
秋風が吹き、平地でも肌寒い朝になっている。標高1300メートルの茶臼山ではいかばかりか。用心のため着てきたウインドブレイカーが役に立
った。寒さで眠気も一気に吹き飛んでしまった。牧場から牛の声が聞こえてくる。真っ黒のと乳牛と2グループの群れがいた。しばらく行くと牧場の
縁に数頭の姿が見えた。これは牛ではない。双眼鏡で確認。ニホンシカの親子である。母親に5頭の子ども。子どもの年齢も同じではなさそうだ。
とりあえず記録写真を撮る。こういう場合、最初から近くから撮ろうと思ってはいけない。遠くからパチリ、近づいてパチリ、さらに近づく。野鳥と同
じである。今回の場合、母親の警戒は怠りないのであるが、かなり真剣に草を食んでいる様子であった。母親は私の方から目を離さずにいたが、
逃げ出す様子は全く見せない。センサスに専念すべくその場を離れる。エナガ、シジュウカラ、コゲラが混群をつくっている。樹冠付近で追いかけ
っこをする個体がいた。動きが早すぎて種を特定できないほど。コースを通して多く確認できたのは、ウグイス、ソウシチョウ、カケスであろうか。ソ
ウシチョウは相変わらず囀りに夢中。上空ではノスリのペアがホバリングをしている。巻雲をバックに2羽がキリモミのように飛ぶさまは爽快である
。もう一種、ツミが鳴きながら飛んでいたが、こちらはほんの1瞬で山の端に消えてしまった。エゾビタキやノビタキの南下個体も目当てではあった
が、残念ながら確認することはできなかった。10月前半の頃には見られるのでは。
2011
9
29
我家周辺
モズの高鳴きがあまりにもあちこちから聞こえるので、一体どれくらいいるのかと思い、家の周り4キロほどを自転車でまわり個体数を調べてみた
。結果は11個体。多いのか少ないのかよくわからないが、縄張りを持ち、侵入者を排他することを考えれば、結構過密のようにも思える。きっと順
位が決められていて、劣位の個体はひもじい思いに耐えなければならないのだろう。有名な高鳴きとは別に、もの真似もかなりの個体が行ってい
る。真似の数が順位を決めているのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2011
9
30
新堤池から羽根・長根の田んぼ
新堤池にオシドリが飛来した。オスですでに夏羽になっている。去年よりも4日遅い確認であった。愛知県には、オシドリの飛来で有名なところが
あるが、そこでは餌やりがおこなわれ、まったくの自然な状態ではない。その点新堤池は、正真正銘の自然状態である。最盛期になれば数10羽
は下るまい。オシドリは日本の中で移動している。大陸から渡ってくるマガモたちよりも一足先に姿をみせるようだ。羽根・長根の田んぼの田んぼ
に来た。そこで繰り広げられているのは南下するノビタキの採餌の姿である。田んぼの畦の草にとまったり、田んぼに下りたり、こんな時にでも縄
張り争いがあるのか、2羽が勢いよく追いかけっこする姿を見るのは珍しいことではない。ヒガンバナは畦をますます赤く染め、ツユクサも秋の秋
の空の青さと競うようだ。それらのはっきりとした色とは真反対なのが薄黄色のノボロギクだ。ぼろとは可哀そうな名前だ。柔らかで目にも優しい
色だと思うのだが。
2011
10
1
宮路山
名鉄赤坂駅には次々と子どもたちを乗せた車が構内に入ってきた。参加人数はスタートしてみないと分からないので、果たして今日参加者はいる
のだろうか、と心配になることがある。心配は危惧におわり、7名の子どもたちが来てくれた。ちょうどよい人数である。音羽川沿いに進むと、杉森
八幡社境内で、奉納歌舞伎の準備をしているのを見た。舞台を見下ろすような桟敷をつくっているのだ。実は、この光景は毎年見ている。探鳥会
の時期と重なっているのが理由である。宮路山登山道に入る。山道を息を切らして登り広場に出る。そこで、上空を横切るようにして山の端に消
えてゆく2羽のハヤブサを見た。子どもたちには、今日はサシバを見よう、と出発前に話した手前、それにも勝るとも劣らないハヤブサの出現をみ
て、内心大いに安堵した。寒冷前線通過後の冷え冷えする風は、登り道で悪戦苦闘する体には程よいものであった。山頂直下には名物のつつじ
(コアブラツツジ)の群生があって、緑色の中に、ほのかに赤が混じったいい感じの色をしていた。山頂からの眺めはなかなかのものである。三河
湾を囲むように渥美半島が伸び、その奥に、霞む伊勢志摩の山が見える。眼下は三河平野、1軒1軒の家並みが手に取るようにはっきり見えて
いるのは空気がよく澄んでいる証拠だ。北を見ると、豊田市から名古屋市が、名駅前の高層ビルがどーんと見える。ツバメが急旋回し、たった1
匹ではあったが、アサギマダラの飛ぶ姿を捕えた。赤坂の町でも宮路山の山頂にも、ほとんど葉を落としたソメイヨシノに所々、薄ピンク色の花弁
が開いていたのは何の加減であろうか。そのサクラにやってきたのはヒタキ科の小鳥。最初、エゾビタキかと期待したのであったが、腹部の模様
から、キビタキのメスであることが判明。少しがっかりだ。帰路は宮路山を直滑降する。福祉保健センターで少し遊んで再び駅に向かう。音羽川で
はカルガモたちが泳ぎ、岸辺で餌を取っていた。子どもたちは最後の力をふりしぼり親の待つ駅へと歩いて行くのであった。
2011
10
2
室林道ラインセンサス
室林道はいっそう静かになった。セミの声がほとんど聞かれなくなったことが、野鳥たちのつぶやきを確認できる確かな原因である。メジロ・エナガ
の声が聞こえる。それは繁殖期のつがいの声ではなく、大げさに言えば、津波のように押し寄せてく声である。声はどんどん近づいて、やがて、
先頭集団の姿が見えだす。それは、針葉樹の暗い中からも、広葉樹の明るい葉陰からも、要は餌がある場所ならばどこにでも出没する。エナガ
はヒガラと違って背丈がとどくほど低い場所にも下りてきて採餌する。ヒガラはほとんど樹冠で採餌。エナガの後はメジロの群れが来る。この場合
、混群ではなく単独種の群れのようだ。エナガに他の鳥が交じっている様子もなかった。鳥ではこの2種が目についた。その他では、アサギマダラ
をようやく見るようになったことだ。5匹はいたろうか。
2011
10
7
室林道ラインセンサス
麓からのながめ通り林道には霧が流れていた。しかし、センサスが進むうちに徐々に日が差し込むようになってきた。すると野鳥たちも活発に活
動する。エナガやメジロは最も大きな群れをつくるが、混群になっている様子はない。林の中を進む姿が見えた。小型のタカのようだ。ツミは比較
的見やすいタカである。たぶんツミであろう。小鳥ではカラ類がやはり多い。シジュウカラ、ヤマガラである。そして、今年は、高原の鳥ヒガラはい
つ頃やってくるのであろうか。アサギマダラの渡りも見られた。今は全く鳴かなくなったセミに代わって、アサギマダラが、林道を、私にとってより魅
力的な場所にしてくれるのだ。
西暦
月
日
メモ
2011
10
9
健康ウォーキングコース
気持のよい抜けるような空、風に秋の草花が揺れる。見ごろを迎えたコスモス、我家のカキはなり年である。先の尖った樹木にはモズが陣取って
秋の高鳴きを聞かせてくれる。モズに劣らず賑やかなのはヒヨドリたちだ。こちらは数羽から10数羽の群れで辺りを移動している。彼らは他所の
土地から渡って来たのであろうか。3面張りの、川というよりも水路に近い、長根川でカワセミを見た。本流の山陰川に向かって一直線。まるで道
路の役割を果たしているかのようだ。あぜ道には、人々に彼岸が近いことを伝えた花が、茶色い姿を留めている。その脇には、みずみずしいツユ
クサの花もある。ノビタキも今が南下の最盛期。モズに追われながらも、餌を求めつつ南に近づいてゆく。山陰川の流れの中でじっとしている鳥を
見つけた。肉眼では、正面からはシロチドリのようにも見えたが、横向きの姿でイソシギであることを確認した。セキレイの様に尾羽を振る仕草も
きめ手だ。体重が少し増えたので、久しぶりのウォーキングで気持ちが楽になった。
2011
10
12
室林道ラインセンサス
室林道の山頂上空をハリオアマツバメが飛んでいた。10羽程度の小さな群れである。下部から見ての白い模様がはっきり見えるので間違いな
いだろう。昨年の9月12日にも、自宅の上空を旋回している群れを見た。その時は、アマツバメだと思い込んでいたのであるが、その時に撮影し
た写真から、そうではなく、ハリオアマツバメであることが分かったのだ。今の時期はさまざまな鳥たちが南下する。今日も、エゾビタキが見られな
いかと注視していたところ、このように、思ってもいなかったハリオアマツバメとの出会いとなったわけだ。
2011
10
13
茶臼山ラインセンサス
家を出発するのが遅れ、茶臼山に到着したのは9時を少し回っていた。それでも一面に覆われた雲のため早朝のような暗さであった。雨に降られ
ることもあるまいと、雨具の用意もせずセンサスを開始する。色付き始めた山肌からはソウシチョウの囀りがする。今の季節で囀るのはソウシチョ
ウとホオジロかイカルくらいなものだ。コース全体で目についたのはカケスである。しわがれた声があちらこちらから聞かれるし、山頂辺りで数羽
が飛び回るのを見た。所々で赤く染まった木々をみたが、全体としては黄色が中心で、落葉している枝もかなり見られた。突然枝から離れ、揺ら
れたり回ったりしながら、音を立て、地上に落ちるのであった。センサスの間に幾度もカサッという音を聞いたものだ。ソウシチョウも多かったが、
ウグイスも負けないくらいにいたのには少しホッとする。池の近くに差しかかるとビンズイの地鳴きが聞こえた。また、北側の斜面からがルリビタキ
のぐぜりもあった。どうやら、漂鳥が移動しつつあるようだ。ノビタキの南下個体も確認できた。梢の先端にとまっている。目を見張ったのは、ヒヨド
リの丸くなっ飛ぶ群れで、遠目で見た感じで30羽から50羽くらいはいたのでは。このように、季節の移り変わりを鳥たちの様子で感じることがで
きたのは、来たかいがあったというものである。
2011
10
13
高嶺
空は曇ってはいたが、茶臼山から高嶺はくっきり見えていた。そこで、思い立つまま車を長野県の方角に向けた。高嶺は山頂まで車で登れる。平
谷村から見る高嶺の山塊は実に堂々としている。植林されたカラマツに覆われていて、私の地元の愛知では見られない風景なのが魅力である。
麓から山頂へと、緑から黄色へのグラデーションが見られるのは、必然的とはいえ不思議な光景である。空は一向に晴れ間が広がる様子はなく
、逆に厚みを増したようにも見える。茶臼山よりも100メートル以上標高の高い山頂はうすら寒い程であった。山道にはリンドウが紫の筆を広げよ
うとしていた。ヤマハハコの白い蕾も曇空では生気がない。夏であれば、山頂一帯でウグイスの囀りが聞かれるのであるが、今は、ほとんど物音
がしない。山頂から少し下がって、鳥たちの営みの声が聞かれた。コガラ、ヒガラといった山の鳥の声が聞かれるのはここならではことだ
2011
10
16
我家周辺
室林道、茶臼山とメインのフィールドを歩いたので、気持ちの良い朝に我が家の周りを、ゆっくりと、鳥を見て回ろうと思い、ようやく実行した。案外
、身近な場所というのは忘れがちになるものだ。山陰川に沿って歩くと、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイが、それぞれに陣取って採餌し
ている。昨日の雨ですっかり水浸しになった、稲刈りをとっくに終えた田んぼの水鏡に、セキレイたちが映っている。異種の個体が近くにいても全く
気にしなのであるが、同種が近づくと途端に争いが始まる。その追撃シーンはなかなかの迫力であるし、飛行能力もすごいものだ。あれほどの急
激な方向転換がセキレイにできるとは。ツバメならいら知らず。そのツバメの姿はどこにもなかったことは記載すべきであろう。上空では数羽のト
ビがゆっくりソアリングをしている。そこへ、しなやかな羽の動きをみせてハシブトガラスが近づいてゆく。いつもの行動である。モズは、自分と同じ
大きさの鳥にも襲撃をかける。メスのモズが田んぼにいた2羽のセグロセキレイに向かってしつこい位に向かってゆく。2羽とも攻撃されたが、とも
に充実している成鳥とみえて、難なくかわしていた。時間とともに雲の面積は狭まり、秋晴れの空が広がった。この辺りは航路になっていて、常に
飛行機雲が幾本も筋をひいている。中でも、東の方向からやってきた機影が上空で南西に旋回してできる曲線は、特に見た目にも美しいものだと
思っている。そういえばに日本列島の海岸線も、愛知県で、東西方向から南西方向へと折れ曲がっている。
西暦
月
日
メモ
2011
10
19
寺ノ入林道ラインセンサス
刷毛で書いたような巻雲が幾本もできている。上空は強い気流なのだろう。下弦の月も時折、空との境界線がはっきりとしない高層雲に隠れる。
とはいっても完全に見えなくなるわけではないが。山の中からカケスの鳴き声が聞こえる。そして声の方向から、数羽のカケスが飛び立ち、優雅
に羽ばたきながら谷を渡ってゆく。ふわり、ふわりと、彼らの飛行は、飛ぶというよりも舞うという表現の方が似合うようだ。それに比べると、山頂よ
りもかなり高い所で飛行するハリオアマツバメの南下個体は、まさに高速飛行物体である。アマツバメ類の出現はいつも突然であり、その姿を消
すのにも数分とかからない。飛ぶことを生業とする鳥の中でもプロ中のプロ。私にとってとても魅力的な鳥である。
2011
10
21
室林道ラインセンサス
室林道に向かう途中で呼びとめられた。アサギマダラが沢山いるというのだ。確かに、10匹くらいが1か所で群れているのが見えた。室林道でも
と期待して向かったが、それほどのことは無かった。そういえば10日ほど前から、我家の庭先をひらひらする姿を見かけるようになっていた。か
弱い声でツクツクボウシが鳴いていた。10月に入ると、あちらこちらでホオジロの囀りが聞かれる。今日の室林道でも3個体の囀りを確認した。珍
しいのはツミの鳴き声。10月6日に、この付近で林の中を飛ぶ小型のタカを見ていた。その時には感じでツミと記録しておいたのであるが、声の
確認で、それが間違いなかった。賑やかにエナガとメジロが混群のような形で移動していたのは、季節の移り変りを先取りしているかのようである
。
2011
10
24
健康ウォーキングコース
ヒヨドリが林から民家の植え込みに入ったり出たりしている。今年はカキの生り年みたいだし、恰好の越冬食になることだろう。10月も後半に入り
ようやくホオジロの囀りが聞かれるようになった。季節外れではあるが、なんのために囀るのだろうか。少しでも冬の気配を感じたいと耳をそばか
せる。アオジやビンズイがいないだろうか?。冬になれば山陰川の葦の茂みにはホオジロやアオジが多い。ビンズイも水辺に多い冬鳥だ(漂鳥と
もいえる)。そして分かったのは、ビンズイが山から下りてきている、ということだ。山の上ではハシブトガラスが群れる。小鳥たちよりもいち早く繁
殖するハシブトガラス。つがい相手を見つけるための行動のひとつなのかもしれない。
2011
10
27
室林道ラインセンサス
空は雲一つない青空なのに、室林道から眺める豊橋市市街地は霞がかかっていた。その青空をバックに、2つがいのノスリがそれぞれ互いに円
を描いている。なかなか豪華な演出。森からアオバトの声が聞こえる。いつ聞いても捉えどころのない不思議な鳴き方である。林道ではエナガの
群れが採餌する。混群ではなさそうだ。ヒヨドリも活発に行動している。実に多様な声を出す。そして、いつも元気な感じを受ける。ついに冬鳥の姿
を確認。シロハラである。これから次々と冬鳥が来るだろう。同日、住宅地で鳴くジョウビタキも見つけることができた。
2011
10
29
我家周辺から倉
昨日初めてジョウビタキを見た。そして今日は、大体いそうな場所には、声なり姿なりを確認することができたのだった。一斉に飛来してくるのであ
ろう。お寺の境内でノビタキを見た。ノビタキであるからといってなにも、田んぼの中にいなければならない理由はない。墓石の前で空を見上げた
時のこと、2羽のアマツバメが飛び去ってゆくのを偶然に発見した。ハリオアマツバメかもしれないと念を押して確認する。宙返りした時に白くみえ
たのでアマツバメに決定。彼らも南下の途中であろう。我家の前ではカワセミが鳴いている。録音を試みるが道具を持っている時には出会わない
ものだ。一緒に聞こえたのがビンズイである。少し前からあちこちで声を聞くようになった。庭に咲くコスモスが揺れている。キクも蕾がだいぶふく
らんできた。さらには、いつの間にか侘助の蕾が目立つようになった。
西暦
月
日
メモ
2011
10
31
萩町民歩け歩け遠足
200名を超す老若男女が2つのコースを歩いた。7㎞の室林道コースは結構歩き出があるし、2㎞に満たない近さでも、自然を楽しむ親子や祖父
母と孫たちにとって楽しいものであった。私は、あえて短いコースを選んだ。小さな子どもたちやお年寄りたちに、担いで持参した8センチのフィー
ルドスコープで野鳥の姿を見せたいと思ったからだ。室林道コースはひたすら歩くばかりであるが、短いコースでは必ず時間調整の休憩があるは
ずだと踏んだからである。そしてそれは見事に当たった。コースの半ばに位置する龍源禅寺の境内がその場所となった。同寺は土曜探鳥会の場
所でもあり、何か因縁を感じないわけにはいかない。休憩時間も30分以上とたっぷりある。まずは鳥がいなくては。ヒヨドリ、メジロ、さてはジョウビ
タキと、鳴き声は聞こえるのであるが見渡せる範囲にはやってこない。少し焦りを感じた頃、庫裡の奥にある樹の天辺に鳥が舞い下りるのを見逃
さなかった。さっそくフィールドスコープを広場に据え鳥に照準を合わせる。お年寄りの中には何が始まるのかな、と怪訝な面持ちの人も確かにい
たが、子どもたちは直ぐに、鳥が見られるのだと分かり近くに寄ってきた。10月末から活発に囀りだしたホオジロの姿があった。そのホオジロ、見
られているの知ってか知らでか、10近くも同じ場所に留まり鳴いていたのだった。私は、近くにいた3人のご婦人(むろん孫がいてもおかしくはない
年頃の)にも見るのを勧めた。ありがたいことに、素直に応じてくれ、子どものように喜んでくれたのである。実は、少し考える所があって、この様
な行動に打って出たのであった。そしてこの結果は、少しこれからの事に自信を持たせるものであった。再び行進が始まった。田んぼの上空では
、最初はオオタカと思ったツミがハシブトガラスに追われる様子も見られ隣の人と鳥の話も弾んだ。のんびりと景色を眺めながらの、それも、1人
だけではなく大勢で歩くことの楽しさを満喫しゴールの運動公園へと向かった。
2011
11
4
室林道ラインセンサス
室林道はうっそうと葉を茂らせていた季節を終えて、林床にも日の光が射し込んでいた。本格的な落葉にはまだ少し早いが、林道を歩いていると
、梢を離れた葉っぱが予測のつかない動きをしながら落下し、ほとんど重さなど無いように思えるのであるが、地面に到達するときは微かな音を
立てるのである。囀りを終えた野鳥たちの営みを耳で聞こうとするときには、木の葉の音も気になるくらいだ。集中した甲斐があってクロジの声を
聞くことができた。室林道に来る前の早朝ウォーキングで、川沿いの繁みからアオジの地鳴きを初めて確認したが、期せずして、兄弟のようなクロ
ジも飛来していたことがわかった。体色を見れば違いは歴然(とはいっても、メスになるとかなり似ている)ではあるが、地鳴の判別はなかなか難
しい鳥のひとつだ。平地ほどではないが正真正銘の冬鳥であるジョウビタキも鳴いている。この鳥もルリビタキという地鳴きのそっくりな兄弟がい
て、もう少し経つと2種が生息するようになり私には判定できない。ただ今の時期はルリビタキはまずいないのでノートにはジョウビタキと書いてい
るのだ。今日もツミの声を聞いた。毎回同じ場所だ。先週の町民遠足でツミらしき姿を見た。行動範囲の広いタカ科の鳥なので同じ個体なのかも
しれない。
2011
11
5
観音山方面
午後から雨の予報になっており、何とか探鳥会の間は降らないで欲しいと願っていたが、3度目の正直で(2回雨でできなかったので)秋晴れとは
いかなかったが、気温の上昇を押さてくれた雲の下で探鳥会をおこなった。各学年に分かれた4名の子どもたちが参加してくれた。萩小の子の良
いのは縦割りの関係がうまくいっている点である。上の子は下の子の面倒をよく見る。仲間外れすることもない。校庭をでて間もなく、プールの近
くでジョウビタキを確認する。今日の目当てをさっそく見られたわけだ。民家付近にジョビタキが多くいるのを期待してコースを考えたのであるが、
どうやら空振りに終わったようだ。こういう時もある。モズがウグイスの囀りをしていた。モズは百舌鳥と書く。百もの舌(口)を持っているわけだ。
当然ながらウグイスはレパートリーに入っていておかしくはない。美声で鳴らすオオルリ、ミソサザイなどもよく真似される鳥だ。いくら真似が上手
いといっても本物とは違う。本人もその辺はわきまえていて、高鳴きのような声を張り上げるようなことはせず、もごもごと押し殺した声でやるのが
いじらしい。山の方ではトビが群れになって旋回している。大きなトビがかたまっていると異様な感じを受け、それは、決して良い印象ではない。あ
の下には死体があるのだろうか、ついついそういった方向に考えてしまう。山陰川の支流の千鳥川を遡る。ススキ・セイタカアワダチソウ・ヨメナな
どが秋らしい風景を演出する。休憩時間では川に下りて遊んでいた。帰り道、参加者の祖父を見つけた。そこで目にしたのは焼き芋。思わぬプレ
ゼントで大喜びであった。学校に戻って少し頬張ったが、煙のしみ込んだとてもおいしい焼き芋であった。
西暦
月
日
メモ
2011
11
9
茶臼山ラインセンサス
茶臼山高原道路から南アルプスの山々を眺めた。日の出を直前に控えてオレンジ色をバックに3000メートル峰のシルエットが連なっている。思
わず路側に車を止め眺めてしまった。気温の表示は1度を示していた。寒いはずだ。センサスを開始する頃には茜色は消えていたので、あの時
眺めておいてよかったと思った。牧場の上をカワラヒワの集団が舞っている。冬らしい光景に満足感を覚える。冬季に種試食の種はしばしば群れ
で採餌する。バッチ状に点在する餌となる種子を効率よく採餌するのに都合が良いというのがその理由だそうだ。過去にも、カワラヒワを筆頭に、
ツグミ、アトリ、イカル、ハギマシコなどが見事な群れをつくっていたのを見たことがある。またその他の群れが見られるかも知れない、そんな期待
が頭をよぎる。そしてそれは現実となった。アトリがやって来ていたのである。遊歩道添いに標高を上げてゆく。灌木からベニマシコやカシラダカ
の声がする。これまた冬鳥の使者である。思いえがいたように事が運んでくれる。茶色に熟した種子が鈴なりの樹にコガラがやってきて、ぶら下
がったり,上からつついたり、大層にぎやかである。コガラは黒の帽子をかぶった愛らしい鳥である。そこには内に秘めた強さがある。雪で覆われ
た山頂から一歩も離れようとはしないのである。そこに青味が勝った灰色の小鳥が割り込んでくる。ゴジュウカラである。2種のカラたちの曲芸に
しばし見とれていたら、足元か黒っぽい小鳥が飛び出す。カヤクグリだ。こんなこともあるんだ。実は、もうひとつおまけがあった。ルリビタキもほぼ
同じ場所で鳴いていたのだった。ノートを書くのに大忙しの状態となり嬉しい悲鳴を上げてしまった。山々は時間が経つにつれぼんやりしてきて日
の出直前の時が最も美しかった。ああ、車を止めて正解だったなと自己満足する。
2011
11
13
室林道ラインセンサス
今朝の室林道は結構鳥の声で賑わっていた。特にどの鳥が多いというわけでなく、いろんな種類の声が聞こえてくる。しいていえばヒヨドリが目立
つ。それとホオジロの囀りである。こちらの方は10月の終盤から盛んに囀るようになった。それは、室林道でも茶臼山でも同様であった。冬鳥は、
クロジ、アオジ、シロハラは少し前からいるがルリビタキはまだ現れていない感じだ。シカの子どもを谷筋で見つけた。2頭の大きさは少し違がって
いた。それとは別にもう少し大きい個体が、ピュッと鋭い鳴き声をあげ逃げて行った。
2011
11
14
寺ノ入林道ラインセンサス
まだ暗いうちに家を出発したので、山頂だけに朝日が当たっている、少し神々しい姿の山を横に見て、ラインセンサスを行うことができた。メジロ
やヒヨドリに混ざって飛ぶ、寺ノ入林道としては初めての、ツグミの群れを確認した。さらには、高山鳥である、ルリビタキやミソサザイも来ていた。
もちろん、室林道で見かけたアオジとクロジもいた。昨日の室林道ではホオジロが囀っていたが、ここ寺ノ入林道では、ホオジロに加えて、ヒガラ
も時ならぬ囀りに夢中であった。シジュウカラも囀ろうと努力してはいるのだが、なかなか上手くいかない。囀りよりもぐぜりに近い。ここでもニホン
ジカの姿を見た。寺ノ入林道の植生は針葉樹の人工林と落葉樹の混成林である。紅葉する木はハゼくらいであとはみんな黄葉する。黄色いシロ
モジなどの林は派手ではないが、目や気持ちの休まる場所といってよいだろう。秋から冬にかけての寺ノ入林道は静寂が支配する。
2011
11
17
一宮金沢大池
豊川市役所の近くに行く用事があった。ならば、用をたしたら金沢大池に行こうと、バードウォッチングの道具を車に積んだ。カモは来ているだろう
か。湖面を見てもそれらしい姿がない。かろうじて対岸の木陰で休むカワウの姿を見つけた。暖かい日が続いているので飛来も遅れているのか
な、そう思いながら池の周りの道を進む。野仏に花が具えられていた。すっかりおなじみの仏さまである。それでも水面を注意深く見ていると、手
前の側にいたカモたちが池の中央に泳いでいくのが見られる。ハシビロガモとホシハジロであった。池の奥にももう一つの群れがいた。群れとい
っても数羽しいないのであるが。それはマガモであった。あと、カルガモが1羽だけ。すこしさみしい数ではあるが種の数としてはまずまずである。
池を離れる水辺の灌木の中から2種類の声がする。アオジとベニマシコだ。後者がいた事には少し驚いた。ホオジロの声もベニマシコに似ている
部分があるので疑ってみなければならない。それでもベニマシコの可能性が高いと思った。カキはどこも豊作である。付近の畑は一面カキ畑であ
るので、さぞかしすごいだろうと期待していたが、それほどでもなかった。もっとも、こちらの方は市場に出てしまったのだろう。山の方向から早い
羽ばたきで進んでくるものがいる。なにタカ?。遠すぎて大きさも判断がつかない。結局同定を諦めることにした。ところが、センサスを終えて再び
池に戻ってきた時に、彼は再び姿を現したのである。オオタカよりも小さい。ハイタカの可能性が高いと思った。
西暦
月
日
メモ
2011
11
18
琵琶湖
琵琶湖は滋賀県の自然に及ぼす影響が極めて大きいと想像に難くないと思われし、人々の生活にも古くから密接に関わりあってきたと信じれる。
地理的にも心情的にも滋賀県の中心であり続けているのだ。その琵琶湖に秋の日の一日だけとはいえ欠かさず訪れてみると、私の心の中にも
琵琶湖の持つ何かが根付いているような気がする。欠かさずと言ったが実は2年ぶりの訪問である。山の輪郭がわかりこの地方の象徴的な山で
ある伊吹山が、海抜0メートルから見上げるので数字以上の雄大さで聳えているのを認めたのは、コハクチョウの飛来地でもある早崎に着いてし
ばらく経ってからであった。ここは早崎ビオトープとして人工的に湿原をつくっている。冬季にはカモ類(コハクチョウも)が棲息し恰好の野鳥観察
の場所なのだ。たった数時間ではあるが野鳥の姿を追った記録として述べてみたい。訪れたのはここ早崎と少し北に位置す湖北町である。それ
と2ヶ所を結んだ間の湖から少し入った田園を回ってみた。目的とする鳥は(珍しいものであるほどそうであるが)コハクチョウ・オオヒシクイ・オオ
ワシ・ガン類とした。まずは場所ごとの様子から述べる。【早崎ビオトープ】湖岸周遊道路からもよく見えるので運転していても、コハクチョウがいれ
ばその大きさと白さで必ず確認できるのである。案の定縦に連なった湿地のあちことに点々と姿を認めた。空き地に車を止め辺りが明るくなるの
を待った後歩き始めた。コハクチョウはまだまどろみの中にいる様子であった。コガモは敏感に察知して水辺を離れていったがコハクチョウは悠然
としている。成鳥と若鳥の割合も接近しているように感じる。3箇所の池で110羽ほどいる。カモではコガモ・マガモ・カルガモといた淡水ガモが中
心だ。ハシブトガラスやモズといったなじみの鳥も多いが、水辺らしくチュウヒ(タカ科)が飛んでいた。湖岸に隣接しているのでコハクチョウが飛ん
でいる姿も見かける。既に今日の行動を開始している群れもいるらしい。湿地から田んぼへと向かう。実はここでマガンを見たことがあったのだ。
同じ柳の下のドジョウを狙うのである。今年の後半はドジョウだ。そしてあきれてしまったことにドジョウはいたのである。7羽いた。50メートルとは
離れていないのに逃げるそぶりも見せず熱心に餌をとっている。落穂があるのか草の実があるのかはっきりとはしないが良い採餌場らしい。ただ
あの体を維持するためには相当食べないと、と思うと中々大変だなと思う。それでもそのために人間が手心を加え、そのために不自然な生態系
がつくられているのをしばしば見聞きするのを鑑みると、この状態は良いように思える。この幸運は何がもたらしてくれたのだろうか。2匹目のドジ
ョウを狙ったのが良かったのか。私はそうだと思う。行動を起こさせてくれた原動力なのだから。もちろんマガンの群れがここだけのものとは言え
ない。しかし、ずっと頻繁に見られるコハクチョウ・オオヒシクイと比べても価値が落ちるとは私の中では考えられない。【湖北町】竹生島を間近に
みる湖北町のシンボルは野鳥センターから程近い浅瀬に飛来するオオヒシクイ(ヒシクイの亜種)とコハクチョウ、それとオオワシであろう。オオワ
シは小高いほどの山本山に飛来するようだ。3種とも野鳥センターではスコープで観察することができる。到着した時にはまだ開館していなかった
ので、双眼鏡・カメラ・録音機を携えて(かなり重いが)湖岸道路の堤防から観察を開始した。オオヒシクイはこの辺りでみるのが一番だ。あきらか
にカモたちとは桁外れに大きい姿を簡単に見つけられる。ざっとみても80羽から100羽ほどもいる。湖面に浮かぶもの、砂州や浅瀬で休むもの
など様々の恰好をしている。コハクチョウもすぐそばで羽を休めている。早崎よりも個体数は少ない。周りにいるその他の鳥にも注意してながめた
。個体数の多いのはホシハジロ・キンクロハジロである。それにポツポツと混じっているのが、カンムリカイツブリ・マガモ・ハシビロガモ。オオバン
の黒い姿はそれらよりも目だっているか。全体としては、たまたま今日がそうなのかもしれないが、湖面を多い尽すには程遠いくらい少ないもので
あった。道路と湖面との境界をなすグリーンベルトともいえる樹木や草むらからも小鳥の姿や声が聞かれる。カワセミ・ホオジロ・モズ・ジョウビタ
キ・スズメなどを確認できた。終わりになって、南の方向(早崎や長浜市のある)から細い帯になった集団がやってきた。接近するにつれ個々の姿
も分かりだしその大きさから、これがオオヒシクイであることが分かった。群れは、最初からいた群れと合流するように、ドヤドヤと土足のままとい
う表現がピッタリとあてはまるようにして湖面に着水したのであった。邪魔をするぜ!と言っているかのような進軍ラッパのような声をあげて。【付
近の田んぼ】野鳥センターから湖とは反対の方向を向くと山本山が見える。そこはオオワシ飛来の名所となっている。マガンで気を良くした私は当
然ながらオオワシもと考えた。先回はセンターの様子が大いに役立ったのだ。山本山に向けられたスコープを覗き込む人の姿をガラス越しに認め
、これは何かあると勘を働かせた結果が、オオワシ初確認へとつながったのだ。今回はそのような事はなかった。しばらく山本山を正面に仰ぐ所
で待ってみたが気配はなかった。そこで、今度はカラスを目標に変えた。ただのカラスではない。少なくとも住んでいる愛知県にはいないミヤマガ
ラスである。これもセンターの方の話がきっかけであった。以前にセンターの中で観察をしている時に湖面を飛ぶ群れを認めた。そこで初めてこ
の辺りはミヤマガラスがいることを知ったのだ。その日あちこち探したがだめであった。日頃カラスを100年目の親の仇と捜し求めることなんてな
いであろう。探せば探すほどカラスなんていないものなのだ。翌年にようやく念願がかなった。姿・鳴き声が図鑑のとおりであることを知ったことが
どんなにうれしかったことか。ある意味オオワシに匹敵するものであった。こちらの方はドジョウとはいきそうにない。カラスのいそうなところを見て
いくしかないのだ。田んぼ・民家地帯・河川の土手など車で回った。いてもそれはハシブトガラスであったりハシボソガラスであったり、ミヤマガラス
の姿は結局見られずしまいであった。秋の美しい景色は大いに気持のよいものであったので決して悔やんではいない。それどころか、思ってもみ
ない素晴らしいことを見つけることができたのだ。常は長浜インターから湖北町へは湖岸道路を利用する。風景も良いし道も広い。今回は途中ま
でミヤマガラスのために湖岸道路とは違うコースを辿ったのだ。そろそろ広い道路にでようとしていたら、長浜市川道で突然に驚くべき光景を見た
のだった。何の変哲も無い田んぼの一角にコハクチョウの白い姿がウジャウジャと認められたのだ。あわてて空き地に車を止める。近くには民家
西暦
月
日
メモ
や店などがあって決して静かとはいえない所だ。概算100以上。ここはコハクチョウの餌場であったのだ。推測するにねぐらは早崎ビオトークなど
にあって、朝になるとこのような場所で餌をとっているのであろう。まだ他にも餌場があるのかもしれない。それにしてもよほど好都合な場所なの
であろう。私にとっては偶然によって発見できた場所、その持つ意味合いは大きい。ドジョウもよいが、広く目を向けよとの教えのように思えてなら
ない。
2011
11
24
室林道ラインセンサス
実は昨日室林道を歩いたのであるが、途中から雨が降り出し残念にも傘の用意を忘れたため、道半ばで引き返してしまった。そこで今日こそはと
やって来たのだ。1992年11月21日が私のバードウォッチング開始の記念日である。その日に室林道に来たかったのは当然であるが、風をひ
いていて無理はできなかった。20年目に突入したことになるが当時と比べあまり上達していないことは確かのようだ。アオジとクロジ、ジョウビタ
キとルリビタキ、それぞれの鳴き声(この場合は地鳴き)の聞き分けは相変わらず苦手なままだ。ただデータだけは積み上げられていっている。こ
れだけが取り柄なのかもしれない。最初は野鳥に関する本は買いあさった(そんなにもないのではあるが)。しばらくしてからドーキンス(
Richard.Dawkins)の利己的な遺伝子(The Selfish Gine)を読んで進化(Evolution)に関心を持ち,
様々な著者の本を読むようになった。ドーキンスは全て読んだが自分の頭では難しい、しかし、どきどきするほど面白い。進化論といえばダーウィ
ン。種の起源は絶対読まなくてはと10以上年前がんばってみたがどれほどのことが理解できたのか全く分からない。その種の起源に(訳者はち
がうが)つい先ほど再挑戦した。こんどは少しは納得しながら読み進むことができたように思える。恐れ多いことではあるが、ふたりの名前は(好
きな科学者として)HPにも載させていただいた。TOPページにダーウィンとガラパゴス諸島で彼が出あったフィンチの挿絵を使わさせていただい
たが、そんないきさつが根底にはある。大胆にも、進化の理解に近づく観察をしたいとの願いが込められているのである。室林道にもどる。相変
わらず個体数も多そうであるし賑やかなのはヒヨドリで、もう他の種に圧倒的なリードをつけている。それは素直に認めよう。自分が確かめたいと
思ったのはその後の冬鳥の進出だ。ヒガラ、ミソサザイ、ルリビタキはまだ音羽では確認していない。ルリビタキらしい地鳴きは聞こえる。けれども
自分にはジョウビタキにも聞こえる。ハッキリしないのだ。ところが次の瞬間ルリビタキである決定的証拠を耳にした。接近した2ヶ所から地鳴きを
している個体が囀りを始めたのだ。囀りは繁殖期のものと思われがちだがそれだけではない。非繁殖期でも囀る種は結構ある。ホオジロは11月
になって再び囀りをしているし、ルリビタキだって繁殖地(標高の高い山)から平地へ越冬しに来て間もない頃(もしくは、春先に繁殖地に向かう頃
に)囀りを繰り返すことがしばしばある。今日の個体はまだ、越冬する間に命をつなぐ糧を分け合う領分(なわばり)が明確になっておらず、互いに
地鳴きで主張していた。ところがそれだけでは到底収まりそうになく囀りで決着を付けようとしたのであろう。さらに、直接的な戦いに進む可能性も
大いにある。これはまさに、ダーウィンがいうことの、限られた資源をめぐり生き物たちは闘争を繰りひろげ、そして、その闘争に打ち勝ったものだ
けが子孫を残す事ができるという自然選択の場面に相違ない、と気付いたのであった。ミソサザイも同様な状況下にあった。2個体が互いに接近
、対峠していた。ただし囀りはなくて地鳴きだけである(音羽でミソサザイの囀りを聞いた記憶はほとんど無い)。
2011
11
29
羽根・長根の田んぼ
ようやく回りの山々が色付いてきた。萩の里の紅葉はコナラ、クヌギなどの黄色になる雑木がほとんどである。ところが空の様子は春のような霞
のかかっ状態で、色付いた景色がぼんやりかすんでいる(少し不思議な感じがする)。センサスを開始してまもなく次々と中学生が下校してきた。
試験日なのかな。知った子も多いので「こんにちは」とあいさつする。冬鳥を中心に探すことになるが暖かい日が続いているのでどうなのかな。代
表的なタヒバリの個体数をみると相当少ない印象を受ける。数分の1程度ではないか。畦の草花も温かい天気の影響がでていてホトケノザはもう
花を開いてしまった。ハクセキレイやセグロセキレイはすでにペアを組んでいるのだろうか。そのようにもみえる個体を見かける。
西暦
月
日
メモ
2011
11
30
御津海岸
春の海のような穏やかさで太陽にキラキラ輝く部分は目を背けたいほどだ。冬の海はなんとはなしにその他の季節とは違ってみえるものだが、今
見ているのは春の海に違いない。5センチ7倍の双眼鏡はもっぱら海原を監視するために造られた。だからこうして眺めているのが一番相性がい
い。豊川の河口を見ている。海面には水鳥の姿は無かったが、海と空の境目(春のように靄でいくぶんすすけている)を西の方向から帯状になっ
た鳥の陰が近づいて来た。直接種を同定するにはあまりにも遠い。けれども予想はつく。たぶんスズガモやホシハジロであろう。着水したのちは
スコープに任せる。やはりスズガモたちであった。海面に幾筋も模様ができるには程遠い個体数ではあるが、それでも100羽ということはないだ
ろう。遠くの海に気を取られていて返って彼女の警戒心を弱めたのであろうか、イソヒヨドリ(メス成鳥)が目の前の堰堤にいた。一瞬、オスの成鳥
だったら良かったのに(差別行為)と思う。これだけ近ければコンパクトカメラでも何とか写りそうである。こちらの様子をうかがっているようにも見
えるが割と警戒心が薄い。順光になるように移動したらさすがに逃げ出した。空に飛び上がったと思ったら虫を捕まえ再び堰堤にとまる。捕らえた
のはバッタのようだ。場所を御津海岸に移す。そこは音羽川の流れ込んでいる場所で公園になっている。浅瀬ではヒドリガモ、オナガガモなどの
淡水ガモが水草を採っており、海面ではスズガモやホシハジロが浮かんでいた。双眼鏡で丹念に見てゆくとそれ以外にもミミカイツブリが30羽ほ
どの群れになっていた。1列になって採餌場まで移動している。カンムリカイツブリもいる。こちらは1羽の単独行動のようである。海から突き出た
パイプにミサゴが休んでいた。昔(とはいっても30年くらいの事であるが)この辺りは海苔の有力な産地であった。海苔を育てる竿が一面に広が
っていたものだ。今はそういったものは無く、ミサゴの漁にも影響がでていると思う。そのミサゴ、いつの間にかもう1羽いて、2羽で漁を開始した。
派手な水しぶきを上げた方向にカメラを向けシャッターを切る(あまり期待せず)。写真には魚をつかんで飛び上がるさまが写っていた。そして驚
きの時間がやってきた。沖からくる波(ごくゆるやかなものであった)を何とはなしに眺めていたときである。なにか黒っぽいものが見えたのだ。そ
れは沖から音羽川河口の方向に向かっていた。それも1つではない。目を凝らす。イルカのようにもみえるが?。スナメリではないか?。三河湾に
スナメリがいることを聞いたことがある。けれどもこんな海岸にまで接近するとは。丸いグレーの頭らしいものが写っていた。これが中々難しい。見
えてからシャッターを押しても写ってはいない。ましてレスポンスでは問題の多いコンパクトカメラである。進路を予想して連写する方法しか手はな
かった。下手な鉄砲数撃ちゃ当る方式である。再び沖に戻るのを待った。海面が盛り上がるのを注意深く探した。そしてそれは起こった。最初に
姿を現わしたのは撮れない。その後からが勝負とばかり進路を予想して連写。はたして写っているのか?。こればかりは運である。頭を出したと
きにパシャといかねばアウトだ。こうして証拠写真が得られたのであった。
2011
12
1
室林道ラインセンサス
センサスを開始してまもなく、どこからともなく、聞き覚えのある不思議な声がしてきた。アオバトである。あれ、アオバトは留鳥だったけ。それとも
?。なんだかわからなくなってきた。続いてミソサザイの地鳴きだ。こちらはOK。カワラヒワの囀りも聞こえる。冬季になると平地でも山でも群れを
つくって行動する。もうすでに、つがう相手を探しているのだろうか。ヒヨドリは、やはり、室林道で一番見る鳥に間違いなかろう。そして、一番啼く
鳥でもある。緑と黄色に分けられた中にポツンと赤い色が見える。小鳥たちに運搬を託す植物の実である。センリョウ・マンリョウなど。我家にもあ
るムラサキシキブの実がどの樹にも沢山生っている。それ以外の様々な植物が秋の実りを迎えているのがわかった。これらは鳥や小動物の大事
な食料になる。
2011
12
4
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道から三河湖に向かう。寺ノ入林道はきっと冷えているから、あまり早いと、鳥たちも行動を起こせていないだろうと感じたから。たしかに室林
道と比べ季節は半歩先にあって、葉を落とした木々がほとんど。ここではシジュウカラやヒガラが目立った。ヒガラは囀りまでしている。はっきりと
は分からないが、ヒヨドリでも番のように行動するのを頻繁に見るし、ヒガラ、カワラヒワ、ホオジロの囀りを聞くことも珍しくないことを思うと、オス
の求愛行動は、冬が始まる以前から行われているのではないだろうか。それとも、オスたちの囀り行動は、冬季の縄張り宣言だけに用いられてい
るのだろうか。ペアを早く作ったほうが有利ならばその方向に選択圧がかかるかもしれない。特に気をつけていたことがある。カケスの存在だ。と
ころが、寺ノ入林道でもカケスの声は一度も聞かれなかったのである。
2011
12
4
室林道ラインセンサス
一昨々日行ったばかりの室林道に向かった。寒さが本格化してきたので(鳥に)変化があるのかもしれない、と思ったからだ。終ってみるとあまり
変っていなかった。いる鳥も変わっていないが、いない鳥も変らない。意味がわからないと言われるだろう。実は、冬季にやってくる鳥たちの中で
も大概いつも確認しているカケスが、全く鳴き声を聞かせてくれないのだ。どうしてしまったのだろう?。クロジやシロハラも確認できなくなった。も
ちろん、継続した観察を行っていかないと何ともいえないが、今のところは気配を感じることもないのである。
西暦
月
日
メモ
2011
12
6
茶臼山ラインセンサス
茶臼山高原道路から朝日のあたる南アルプスを望むことができた。先回(11月9日)は見られなかった雪化粧の高峰を尊く見つめた。センサスを
開始する駐車場から周りをみると複数の鳥の群れが目に入ってきた。これが今日の目あてでもある。すなわち、冬季の野鳥の様子の一端を知り
たいと願っている。群れのひとつはカワラヒワ、もうひとつはツグミであった。後者は南下個体であろう。まだまだ平地(私の住む所では)において
は姿を見ることは少ない。飛来した個体はまずは山間部に下り、徐々に平地に広がってゆくと認識している。茶臼湖の畔ではさらに別種の群れを
見た。カシラダカである。こちらもツグミに似ている。やがて平地に姿を現わすことであろう。北の斜面のあちこちで霜柱ができているのを見つけた
。到着した時の気温は1度であった(電光によって知った)が氷点下になることも多いであろう。野鳥たちにも厳しい冬がやってきている事実を確
認したと思う。
2011
12
11
室林道ラインセンサス
空の青さの割に風はひかえめに吹いている。暖かさの勝ったうきうきする気分の日だ。土曜探鳥会の時にこのような日になってくれれば良かった
のに、どうにもならないが恨めしい。その上天気が行動に駆り立てたのであろうか、ヤマガラとルリビタキが囀りをしていた。そしてとうとうカケスの
姿を確認することができた。なんといってもカケスは冬季の室林道でなくてはならぬ鳥と思っているので、なかなか声すら聞かれないことにやきも
きしていたのだ。カケスの声は美声ではないけれども心に染み込んでくる。もしも真夏にも棲んでいて鳴いたならばこのようなことはないであろう。
凛とした空気の中で鳴くからこそなのだ。
2011
12
15
室林道ラインセンサス
正午ちかくにセンサスをはじめたためか、鳥のすがたがあまり見られない。記録をみると平常の半分以下であった。元気に鳴いているヒヨドリも4
個体数というありさまである。冬鳥の飛来を待ちわびている。マヒワ、ウソ、ヒガラなどであるが一向に気配なしである。今までが暖かったので影
響しているのかもしれない。
2011
12
17
御津海岸
こども10名おとな4名で、御津海岸に豊川市のマイクロバスをお借りしてでかけた。海岸に到着するころにはすっかり晴れ渡り浪間は銀色に輝い
ている。最初は2つの豊川が合流する河口の右岸に陣取った。大きな棕櫚が植えられたムードあふれるところではあるが、今日のように北風の
強い日は散歩をする人も少ない。近くで見られたのはホシハジロであった。もうすこし上流でまとまった群れが見られるが種を同定するのには遠
すぎる。たぶん、最も大きな群れをつくるスズガモではなかろうか。続いて向かったのは日本列島公園。入り江ではカモたちが採餌の真っ最中で
あった。逆立ちして海藻を食べているヒドリガモの中に交じり潜水するのはスズガモである。いろいろな色で飾られた飛行機の機体よろしく、ひっ
きりなしに飛び立ち、着水がくりひろげられている。オナガガモ、ヨシガモも水際で食事。ていねいに探せばもっといたであろう。カイツブリたちは小
柄な体を寄せ合っていた。地元にすんでいるカイツブリではなくミミカイツブリのことである。1羽だけで孤独なのはカンムリカイツブリだ。風を避け
て昼食をとる。子どもたちが一番楽しみにしている時だ。みんないい顔をして食べている。さすがに昼寝をする気にはなれないので大人同士の会
話を始める。子どもたちは体を動かす。バスに乗り込むまでの10分間ほど強烈な風にあおられた。それでも最後まで頑張り通した子どもをほめ
てあげよう。
2011
12
25
駒場池
用を足して池の近くを通るとカモの姿が見えた。久しぶりにスコープでのぞいてみようとあらためて用意をして戻った。マガモが主体である。その
ほかにはカルガモ、オナガガモもいた。堤防の下流ではいつものようにチョウゲンボウが狩りをしている。田んぼのあぜではノスリもいた。池は北
西の風で激しく波立っていた。白く輝く水鳥がいた。それらは時折潜水している。カワアイサであった。突如池の上空に一団の水鳥が飛来した。オ
シドリだと直感した。群れは湖面に下りオシドリであることを確認できた。ところが、下り立って数分とたたないうちに再び水しぶきをあげて飛び立
っていった。なぜだろう。その原因がすぐに分かった。ミサゴがすぐそばに降り立ったのだ。頻繁に通る所でこのような自然の営みが見られる、そ
のすごさに改めて驚くものである。
西暦
月
日
メモ
2011
12
25
室林道ラインセンサス
葉をすっかり落としさっぱりしたであろう雑木が、一点の曇りもない抜ける空に細やかな梢を広げるさまを見るのは、今のバードウォッチング一番
の楽しみである。萩の里は結果的にはほどよく常緑樹と落葉樹が混ざり合っていて、このことが、野鳥の種類が豊富である大きな要因ではない
かと思っている。冬季になれば吹きさらしの落葉樹よりも常緑樹(シイやスギ・ヒノキ)により多くの野鳥が潜んでいる。それは植樹林でも同様だ。
ヒノキ・スギの球果は大切な食糧源になる。センサスしてみると改めてヒヨドリの存在が大きいことに気が付く。ウグイスなどはいつの間にかなりを
潜めてしまったし、カラ類やエナガなどの混群もあまりで出あわない。ヒガラ・マヒワの姿はまだ見当たらない。これらは年ごとの変動幅がかなり大
きいので飛来するかどうかも分からない。声が聞こえていたので存在だけ承知していたニホンザルの群れが林道を悠々と歩いていた。大人やこ
ども20頭以上はいようか。母親にしがみついているアカンボもいて微笑ましい(彼らの、農作物への食害は笑い事ではないが)。室林道へは年内
にあと2度は行こうと思っている。最後の締めくくりはやはり室林道にしたい。
2011
12
28
室林道ラインセンサス
ようやくヒガラを確認することができた。ヒガラの地鳴きがとても繊細であることをあらためて思った。だから、今日をヒガラの初確認と記録は残し
たとしても事実はそうではないと、謙虚におもわなければいけないと感じている。そのヒガラであるが、大抵はヒノキの林で採餌しているのをみる
ことになる。葉を落とした樹木にいることはめったにない。実を付けた樹であれば寄り付くこともあろうが。2羽で実に静かに採餌するさまを観察し
内心ほっとしている。今季は見られないかもと思っていたからだ。エナガの群れにも出あった。混群にはなっていなかったがそれでも、鳥の少ない
この時期としては嬉しいものだ。
2011
12
29
羽根・長根の田んぼ
小春日和とまではいかないが、それでも数日前の寒波がうそのような穏やかな日である。羽根・長根の田んぼの冬季のセンサスは寒さとの我慢
比べの感がするが、今のところ、随分と楽をさせてもらっている。タヒバリの群れがいた。最初は2羽であったが、それに続いて10羽ほどが飛び
回っていた。数は少ないがヒバリも鳴いていた。セキレイでは冬季ということもあってハクセキレイが断然多い。日本固有種であるセグロセキレイ
の数が少ないのはやはりさみしい。ツグミの姿はまだ無い。カシラダカもあまり見かけないので今年は、冬鳥の飛来が遅れているのかもしれない
。草紅葉を眺めるのが好きだ。それと、わずかに残っている野の花たちを見つけ出すのも。残りあと3日。2011年の野鳥を最後まで眺めて楽しも
うと思う。
2012
1
1
羽根・長根の田んぼ
元旦の朝はとても穏やかに明けた。地区の神社の氏子としての務めを果たすのも随分と楽であった。そのあとお寺に年賀にまわる。和尚の二人
の息子(探鳥会メンバーであるが)のためにタカの写真を持参し、賑わいをよそに暫し老師のお部屋で歓談をする。お年寄りと話すときの心構え
を聞くためだ。家に戻り花に水をあげ、正月で沢山出るであろう野菜くずの処理に支障をきたさないよう、寝かした野菜くずを畑にすきこむ仕事を
行った。朝の雑煮がまだ腹に残っていて正午になったがお腹がすかない。実は、もう正月前から餅を食べていてお腹は満腹感なのだ。時間も遅
いので室林道はあきらめて羽根・長根の田んぼに向かう。早朝家の前でツグミの声を一声だけ聞いた。もしかすると田んぼで見られるかもしれな
いと思ったのだ。日差しはすっかりなくなっていたが風のない天気はそのまま、手袋を付けていなくてもかじかむことも無かった。ムクドリとカワラヒ
ワが電線で大小の数珠をつくる。タヒバリもざっと20羽ほどの群れをなしていた。スズメはもっと大きな群れである。特に珍しい鳥がいるわけでも
ない。居るべき鳥がいる、これが一番なのだ。明日は朝から室林道に行こう。そしてまた野鳥との出会いを楽しもう。
2012
1
2
室林道ラインセンサス
新年、今年最初の室林道ラインセンサスである。天気は、何とも中途半端な晴れているような曇っているような、あまり気持ちのよいものではない
。けれども、ハイキングをするわけでもないので気にしても仕方がない。相変わらずヒヨドリが多いがルリビタキも負けていない。2羽が接して鳴き
合う場面もあって楽しい。シジュウカラが鳴いていた。本格的な囀りとはいえないものの地鳴きとはあきらかに違う。ぐぜりであろう。上空を3羽の
ハトが飛び去る。白っぽい感じと羽ばたきがキジバトとは違う印象を受ける。センサスで聞いたアオバトの不思議な声を思いだした。
西暦
月
日
メモ
2012
1
3
寺ノ入林道ラインセンサス
三河湖に向かう道々路側に雪の塊が並んでいる。12月26日に降ったものが融けずに残っているのだ。困ったと思った。よりによって靴底のすり
減ったものを履いてきてしまった。これではどんなにか歩きづらいことだろう。寺ノ入林道の入口はつるつるで車は登れない。歩くのも最新の注意
が必要だ。でも進んでみるとそれほどの雪でもなかった。しかし、足元を雪に備えてこなかったのは反省すべきだ。アトリの群れを見た。100羽は
越していると思う。スギ林の中を猛スピードでとびまわっていた。私の地元ではアトリを見ることはほとんどない(過去に一度あったきり)。私はアト
リ科の鳥たちには羨望のまなざしを向けることが多い。理由ははっきりとは言えないがまだ見ぬ鳥が多いのもその一つではないか。アトリは科の
名前にもなっているほどの鳥である。見事な集団飛行にはいつも目を見張るのである。寺ノ入林道は寒さでも室林道を超える。その辺の理由な
のかヒヨドリよりもカラ類の方をよく見た。なかでもシジュウカラは特別だ。力強い声で鳴いていた。この鳥は、身近な所でも人里離れた山奥でも、
棲む所を選ばないのがすごいと思う。
2012
1
4
自宅周辺
家の周りを歩いた。あくまでも青い空、気持ちのよい午前である。正午を過ぎると北風が強くなり野外にいるのを避けたくなる。ほぼ毎日見かける
が、この日も上空をノスリが舞っていた。このノスリ、いつもカラスにモビングされている。のらりくらりとかわしてはいるが、たまには怒った姿を見
たいものだ。田んぼではタヒバリが群れている。数羽が飛び立ちこれで終わりかなと思っていると、まだまだとばかりに10数羽が飛び立つ。それ
だけいるのに観察者の目にはまったく引っかからない。羽色が実に田んぼの暗い土にとけあっているのだ。三が日もおわり新しい年の活動を開
始するこの日、いろいろなことをやっていかねばと、考え事をしながら鳥をながめていた。
2012
1
5
御津の海岸
土曜探鳥会では訪れなかった所を重点的にまわってみた。最初は音羽川と白川の合流するところ、音羽川の河口から少し上流部に当たり新幹
線がひっきりなしに通過するという少し騒々しい場所である。水鳥にとってはそれは苦にならならしくのんびりと川面に浮かんでいる。主だった鳥
は、オナガガモ、ヒドリガモの淡水ガモで、キンクロハジロやコガモが少し混ざっている。この辺りは干潮になれば干上がってしまうほど浅いので、
海藻食の彼らにはうってつけの場所なのだ。少し上流でかつてはユリカモメが多数いたが、それは、付近にハゼなどを佃煮に加工する工場があ
ったのが原因らしい。操業を止めた今ユリカモメの姿はほとんど見られなくなった。次いで、豊川が海に流れる側で密やかに口を開いている佐奈
川に向かった。音羽川を小さくしたような河口である。係留された船をそばを水鳥が泳いでいる。こちらもヒドリガモ、オナガガモがほとんどであっ
た。音羽川・佐奈川ともに小さな川であるが、河口には船が浮かんでいて漁師のひとたちの大切な仕事場である。上流に住む私も川の水をいた
だいて農産物をつくっている。そして、冬になれば多くの水鳥たちが生活するのを支えているのだ。
2012
1
6
萩一円を歩く
餅を毎日食べているので少し体重が増えた。そこで、ゆっくり長く歩いてみようと(双眼鏡も重く感じるので)フィールドノートと防寒だけはしっかりし
て家を12時30分に出発した。まずは山陰川沿いに下流に向かう。一昨日も見たノスリ、今日は2羽のハシブトガラスにモビングされている。ノス
リの常(空を旋回している時にあげるトビに似た声)とは異なる調子の声を聞くことができ面白かった。カワセミが川の土手で獲物をさがしている
様子もみた。早くダイビングしてくれないかと自分勝手な願いをしたが、そんなことは叶うはずもない。さらに下流を目ざして歩き続ける。今度はカ
モであった。コガモが8羽浮かんでいたのだ。こちらは頼みもしないのに早々に飛び去ってしまった。民家の路地を進む。ヒヨドリ、モズといったよく
見る鳥に出会う。ジョビタキがいてもおかしくないのであるが、今日は一羽にも出会うことがなかった。やがて、私の大切な羽根・長根の田んぼに
出た。タヒバリ、ハシボソガラスを確認。不思議とセキレイたちには会わなかった。長根側から室林道に上ってゆく。登りはやはり息をはあはあさ
せた。そして、室林道ラインセンサスでは歩かない部分の様子をみることができた。時間が遅いせいかあまり鳥の声がしない。ヒヨドリは相変わら
ず活発にないていたが、そのほかには、メジロ、エナガ、ウグイスが少しだけいた。冬季は、平地に比べ気温の低いこともあって室林道は鳥が減
るのが常である。それを裏付けるように、林道から下って民家を見ながら歩いていると、アオジ、ウグイス、カワラヒワなどの鳴き声を聞くことがで
きた。ほぼ3時間かけて萩を歩いたが、こんなことができるのも健康であればこそ。健康の大切さを考えることができたように思う。
西暦
月
日
メモ
2012
1
7
財賀時
新年の土曜探鳥会を財賀寺にすることに決めたのは探鳥会を開始した初期の頃であった。幼いころから文殊さんとして親しんでいたし、子どもた
ちに学問の仏さまをお参りしてもらうのも意味があると考えたのだ。コースになっている平尾CCと豊川自然歩道には随分と鳥を見に通いつめた。
ミヤマホオジロを見たのもここであった。山の北面と南面とで野鳥の個体数が全く違うことを実感できるコースでもある。萩町側ではほとんど見な
かったのが平尾町になった途端、エナガ、メジロ、カラ類が群れをなして移動するのを声や姿で確認することができた。ゴルフ場に設けられている
小さなため池はかなりの確率でカワセミを見ることができる。毎年楽しみにしているのであるが今年はダメであった。少し水位も下がっていて枯れ
池になりそうな状態であった。管理上あまり重要ではないのかな。ゴルフカートの音を横に聞いて尾根にのぼる階段(280段ほどある)にアタック
をかける。子どもたちはここでも大人を上回る。尾根道は風が吹き抜ける冷たいところである。一刻も早くここを通過したい、それだけである。奥ノ
院にはまだまだ初詣の人々が切れ目なく登ってきた(大勢いるという意味ではなく)。鐘をついてお祈りをする。一般の人とは反対に奥から入口へ
と向かう。文殊堂でそれぞれにお参りし、楽しみな昼の弁当を広げる所(毎年同じである)(ここには鎌倉時代の運慶作といわれる金剛力士像が
祭られている)の仁王門に向かった。正午には30分ほどあるが昼食開始である。歩き続け腹ペコだ。皆で食べる弁当はおいしいものだ。帰りは
峠越えの道(山仕事で使うだけの-それでも昔は立派な道としてあったのであろう)を通る。峠を下ればもう萩の里の景色になるのは当たり前で
はあるが不思議でもある。峠の魔力かな。予定時間どおりご父兄の待つ萩小に到着した。擦り傷の子と双眼鏡と一緒に転んだ子がいたが(注意
力の点でこどもは発達途中だ)まずは無事に探鳥会を終えることができた。同伴の先生にお礼を申し上げます。
2012
1
11
東三河ふるさと公園
買物やいろいろな用事で出かけている地域を見下ろす恰好になる東三河ふるさと公園に行った。実はこれから頻繁に訪れることになるので下見
に出かけたのである。平日ではあるが入口門に近い駐車場は7分ほどの混みよう。高齢者が散策やウォーキングで利用することが多いので別段
驚かない。近くで音がするので管理作業かなと思っていたが、まちがいで、それはししおどしの音であった。沢の流れを利用して何か所にも設置さ
れているようだ。風流なことをするものだ。特に風が強く、まるで小鳥が一斉に枝を離れるように木の葉が舞いあがる。それは予想不可能な動き
となって広がりその一部は私の周りにもやってきた。やはりヒヨドリはどこでも目立つ存在だ。いつでも元気はつらつ、分けてほしいくらだ。モズ、ホ
オジロ、コゲラ、メジロが道々で鳴いてはいるが元気がない(こちらの勝手な解釈であるが)。194メートルほどの最高点まで登れば眺望も開け、
豊橋市・豊川市市街地、三河湾の港や島々、本宮山を主峰とする山々のパノラマ風景がすばらしい。地元の御油の街は普段見る以上に家々が
あふれている。これも山から見下ろすことのなせる業であろう。
2012
1
12
室林道ラインセンサス
用事を済ませて室林道に向かう。日も高くなって寒さは感じられない。むしろ暖かいと思う。けれどもセンサスを終えてみると野鳥の姿は少なく、
今朝の寒さは相当なものであったのだろう。いつも室林道を賑しているヒヨドリもしかり。むしろ、シジュウカラの方が活発のようだ。つがいとみられ
る2羽が鳴きながら移動してゆく。個体数が少ないさみしさを救ってくれたのはエナガたちの群れだ。ヒガラと思われる声を聞いたが微かな音なの
でなんとも言えない。冬鳥も少ない。かろうじてシロハラ2個体を確認したのみ。概して最近の室林道は鳥が少ないように思う。
2012
1
14
羽根・長根の田んぼ
風が強いと羽根・長根の田んぼは厳しいコースとなる。今日はどうだろうか、恐る恐る出かける。子ども4人とおとな2人に、新しく参加してくれた2
人の合計8人で探鳥会を始める。山陰川の橋を渡り羽根・長根の田んぼに入る前に落葉樹が2本あってそこにイカルたちが種子をついばんでい
た。われわれがすぐそばにいるのに全然逃げようとせず採餌している。厳しい冬を一生懸命に生きているのだ。田んぼに入ると北風が強くなる。
それは地形のせいではあるが今までの経験からそう思いこんでいるふしもある。そこで初めてツグミを見た。今年はツグミが遅い。ムクドリ、タヒバ
リ、スズメ、ハシブトガラスたちが思い思いに群れをつくっている。イソライト工場の坂道に迷彩服の集団がいた。いつかも、自衛隊員が地図と地
形とを勉強する訓練をしていた。たぶん、新人隊員の訓練なのであろう。どんな職業でも覚えなければならないことは沢山ある。恐れていた北風
はかなり緩かった。おまけに、帰りの山陰川ではカワセミ出現のご褒美までも。
西暦
月
日
メモ
2012
1
16
健康ウォーキングコースの野鳥
最近、健康診断を受けた。分かってはいたが体重が少し増えた。正月明け早々に受けたのがまずかった。それに近頃歩くことが減ったのは自覚
している。このコースの野鳥観察が充実することを今年の目標のひとつにしよう。もうひとつは東三河ふるさと公園の野鳥の発展である。しかし、
そのために、それ以外のフィールドが手薄になってもまずいので、この2つの鳥に関する目標はかなりハードルが高いのである。自分で言うのも
なんだが我家の周辺は小鳥たちの多いところである。ツグミは一番最初に家の前で確認した。今日も葉を落としたイチョウの樹に4羽とまって、あ
の空を仰ぐようなポーズをとっていた。山から下りてきて最初は木々にとまるようだ。いきなり田畑に下りて餌をとることはないみたいである。地上
におりることはやはり危険が伴う。様子をみてから行動に移すことは理解できる。倉の山陰川ではホオジロの群れが河原と山とを往復していた。
この群れはオス3羽とメス1羽であったがどのような状況なのか。同じ所で帰りにはビンズイを4羽確認する。羽根・長根の田んぼではスズメ、ムク
ドリ、タヒバリ、カワラヒワが群れをなしている。いかにも冬の田んぼといった光景だ。セキレイではハクセキレイがセグロセキレイの個体数を上回
っている状況はいつもと変わりはない。個体数で多いのは先ほどの4種ともうひとつハシボソガラスである。時々ヒバリの姿と声を確認することが
できる。曇り空ではあるが風が無いので寒くはない。一生懸命に歩いたのでぽかぽかしている。
2012
1
18
我家周辺
朝からカラスが盛んに鳴いている。ガラス窓をとおして聞こえてくるほどである。それも1羽や2羽の声ではなさそうだ。朝食をすませ散歩を兼ねた
バードウォッチングで様子をみてみた。それはなかなか見ものであった。私のいるところは四方を山で囲まれているが、ハシブトガラスは主に南北
方向の移動をしていた。北からどんどんやってきて、移動の途中でも追いかけ行動をみせたり、互いにからみあったり、とても平常心とは思えない
様子なのだ。やはりこれはつがい相手を見つけるための行動ではないかろうか。山陰川沿いに歩いてみると(水辺にはつねにより多くの野鳥が
棲息するが)いつも新鮮な発見がある。エナガがサクラ並木を順に採餌してまわったり、ビンズイが尾をふりふり枝にとまっていたり、葦の中でき
れいなヨモギ色の顔をしたアオジが潜んでいたりと、たとえ、宝石(翡翠)にたとえられるカワセミがいなくとも十分満足できるのだ。ツグミの数はま
だ少ないけれど、ほぼ同じ姿恰好をしたムクドリが姿をよく見せるようになった。この地では、大群をなすことはまずないのでそれなりに風情があ
るし、時に、複雑な鳴き方をしているのでこれも、繁殖行動に関係している気がする。今はカラス類の行動がおもしろいようだ。
2012
1
19
室林道ラインセンサス
センサスを開始して間もなく、ヤシャブシの球果をついばむ鳥を見た。もしやと心ははやる。5cm7倍のクリヤな視野に入ってきたのは案の定マヒ
ワの姿であった。個体数は多くない。明るい黄色と飛び立つ際に上げた声でマヒワと確認できた。ようやくやってきたのだ。ツグミがそろそろ姿を
見せた。山の冬鳥たちの出現はあるのであろうか。ここしばらくは目を離せない。
2012
1
23
室林道ラインセンサス
週末から日曜日にかけては雨間の多い日であった。乾燥が少しやわらいだようだ。センサスのスタート時点はまだ雲が厚かった。念のために傘
を抱えのバードウォッチングとなった。アオバトがいつもながら不思議な声をあげている。賑やかなのはコジュケイだ。掛け合いで鳴いている。同
様にコゲラも2羽が互いに相手を呼んでいる。そのほかにもルリビタキも同様の声を掛け合っているのがみられる。これらは同じような目的でおこ
なっているのだろうか。今日一番はシジュウカラの囀りであろうか。シジュウカラは早くから囀りを開始する鳥であるが、日の長さが確実に伸びて
きてそろそろ我慢できなくなったのであろうか。また、久しぶりにミソサザイの声を聞いた。茶色の多い中で赤い色を探した。センリョウ、マンリョウ
、野イチゴ、名の分からない木の実、これらは冬の大切な食べ物になっているのであろう。
西暦
月
日
メモ
2012
1
24
観音山
久しぶりに観音山のコースを歩いてみた。観音山の麓から萩町の高峰である額堂山をまわるおよそ2時間あまりの林道である。その林道からケ
ーブルネットのバンが下ってきた。それとすれ違いにタクシーが4・5台脇を通り林道へと登ってゆく。これは何だ?。さっぱり分からないまま歩を
進めてゆくとタクシーが下ってくるのが見えた。あまりじろじろ見るのも気が引けたのでちらりと視線を乗客に向ける。なにやらヘルメットをした若者
のようだ。それが同じような姿ですべてのタクシーに乗っていた。最後が通り過ぎるまでそれが萩小の子たちとは気づかなかったのはあとから思
うと滑稽であった。タクシーに続いて先生たちの車がきてようやく合点がいった次第。安全のためにタクシーを使ったのだと。今日は恒例の山仕事
の日であった。財産管理委員の指導で間伐や枝打ち作業を実習する。観音山林道に入って間もなくハイタカが上空に現れた。もう少し麓では、い
つも見かけるノスリがつがいでいた。珍しくはないがタカの姿はいつも凛々しい。ハイタカはいかにもタカといった様子で数回旋回したのち山の端
に消えて行った。もう少し大きければオオタカなのにな、と贅沢なことを口走る。近くからシジュウカラの囀る声がした。室林道でも聞いた春を告げ
る声である。高度を上げてゆくと南西の方向に銀色の帯が目に入る。南中した日に輝く三河湾である。渥美火力発電所の高い煙突から白い蒸気
のようなものが上がる。さらに奥は三重県の山々である。正午にあわせて休憩し途中で買ったパンと持参したポットに入ったコーヒーを交互に口
に入れる。ゆで卵とスライスチーズも持ってきた。チエンソーの音がするもののいたって静かだ。あぐらをかいて昼食を楽しんだ(いたって質素で
はあるが)。後半はすべて下りになる。午後も過ぎると急に寒さが増す。両方の影響で汗が冷えて寒くなってきた。今までの遠足気分は消え心は
早く帰りたい方に傾きはじめた。高度が少し下がるだけで寒さが和らぐのが感じられる。民家までたどり着いてやれやれと一休みする。上空はい
つのまにか薄暗い雲がやってきていて、それに合わせるかのようにハシブトがらすたちの饗宴が始まった。付近に居合わせたトビやノスリたちは
恰好のターゲットにされ何羽ものハシブトガラスにモビングされていた。まったく恐れを知らない者たちとはこのことをいうのであろう。
2012
1
28
羽根・長根の田んぼ
ツグミの姿、なかなか地上に下りてこない。その確認のため羽根・長根の田んぼをセンサスする。ごく小雨ではあるが横着を決め込んで車からの
観察にする。ただし、歩く速度で。タヒバリが次々と飛び立つのはいつも見る光景だ。それよりムクドリが密集して飛ぶ姿が心を引く。大群を見る機
会は萩町ではほとんどないが、一糸乱れぬ連携を保ち行動するようすは感動的でもある。目はツグミの姿を慎重に追うが、今日もついに見つけ
ることができなかった。2月にまもなくなりなんとするにどうしたことであろうや。
2012
1
29
寺ノ入林道ラインセンサス
先日降った雪が消えないでいて欲しい、寺ノ入林道に向かう道中そう念じていた。秘密兵器を確かめたいからだ。ホームセンターの草払い機のコ
ーナーでいいものを見つけたのだ。足元を安定させる靴の底に着ける4本爪の金具である。このアイゼンのような(もちろんそんな本格的なもの
ではないが)金具をつければ今までスリップに悩まされたことが嘘のようになる(と思っている)。入口は雪もなく車は入れた。これはダメかな。雪
の無い所から付けてしまうとアスファルトで爪がすり減るので最初はぶら下げておく。雪があったら付けよう。ものの100メートルも行かないうちに
待望の雪が現れた。勇んで靴底にセットする(事前に練習をしたとおりに)。ザク、ザク、と小気味よい音をたてて進む。合計8本の爪はまったく安
定していて滑らない。ところが雪が消えると事態は困ったことになる。できるだけ爪がアスファルトに当たらないようにしないといけない。つま先で
歩いたり(爪は靴の真ん中に位置する)、落ち葉や土がたまっている道の脇を選んでゆかねばならないのだ。普通の靴とは正反対のことをするわ
けである。冷え込みはかなりのものだ。手袋の中の指先が痛い。湧水も幾本もの氷柱となって垂れ下がる。風が吹くと枝に残っている雪が粉とな
って舞う。なかなかきれいである。足元の雪は朝日を浴びてきらきらする。そのなかに無数の宝石。特に青色に輝くものが一番見事であった。シ
ジュウカラの囀りがした。やはりここでもシジュウカラが最初に歌うのか。そう思っていると,,やいやそうではありませんよ、とばかりにヒガラがより
高音をはりあげ歌い出す。よくわかったよ。いずれにしてもカラ類が多いようだ。ヤマガラもいた。室林道では断トツのヒヨドリもたまに声をあげる
だけ。それも控えめに。ミソサザイが突如鳴き出した。むろん地鳴きである。シダの生い茂った中に小さな姿を見出した。下り坂でもスリップの心
配はなかった。ただし凍っているところは避けた。ドドド・・大きな音がする。ヤマドリかな?。カケスも鳴く。これが突然であったので少し驚いた。車
に戻ってしたことは金具を外し爪を見ることであった。あれだけ注意したのに明らかにすり減っていた。今度使うまでにやすりがけをしなくては。
西暦
月
日
メモ
2012
1
31
健康ウォーキングコース・羽根・長根の田んぼ
歩きはじめてまもなく、厚い灰色の雲がやってきてあられをばらまき始めた。雨に打たれるより数段気分がよい。あられは霰と書くのでまき散らし
の意味でもある。さてはお空のかみなり様が鬼のかたきに豆ならぬ雪のつぶてを投げているのであろう。それも5分ともたなかったので材料費が
足らなかったのでは。田んぼでは、ハシボソガラス、タヒバリ、カワラヒワの群れが盛んに餌をとっていた。時折、ヒバリやケリの姿も見られる。とこ
ろが、明日から2月になろうとするのに、ツグミの姿が全くないのである。これほどツグミの少ないのは何か原因があろう。全くいないというわけで
はない。現に今日も3羽を確認しているのであるが、樹にとまったり電線にとまったりで地上におりてこないのである。セグロセキレイの中には囀
りのような声をあげている個体もいる。こういった行動が春を告げる先駆けとなるのである。休耕田は鳥たちにとっても格好の棲みかとなる。ホオ
ジロが20羽あまりも次々と草むらから飛び出し山に逃げていった。あられをまき散らした雲は南に去り、時折青空がのぞくようになった。航路に位
置しているのか旅客機の往来が頻繁なこの地では、飛行機雲がやたらにできる。それを見るのも面白い。旅客機よりも低空を南北に(旅客機の
航路は東西である)行き来するのは自衛隊の機である。プロペラ機も面白いし大型のヘリも面白い。新鋭のジエット機はあまり見られないが、見
られた時は珍しい鳥をみたのと同様の興奮を覚えるのは、子どもの頃、スターファイターの写真を見て興奮したものが体のどこかに残っているの
であろう。決して、武装としてのそれらを讃えているわけではないが。
2012
2
1
室林道ラインセンサス
早いものでもうひと月過ぎてしまった。冬の空をいろどるきらびやかな星たちのように、室林道にも冬鳥の到来を待ちこがれてすでに2か月がたっ
た。このままだとソメイヨシノは沢山の花をつけるだろうし、アトリ科の鳥たちによるヤシャブシの球果への食害も少なくなる。植物にとっては束の
間の平和といったところか。唯一囀りをしていたのはやはりシジュウカラであった。同じ仲間のヤマガラは一向に囀る気配はない。けれども、今ま
でも、ある日突然に囀りを始めるのである。ジョウビタキを見た。メスであった。ジョウビタキもあまり姿を見せない。背戸の細道を歩いているとこの
時期には、縄張りを犯されたと思いジョウビタキがあの火打石をたたくような音をあげるのが見られるのに。ところが今年は、そういった光景に出
会えないのである。
2012
2
8
高浜海岸・碧南火力発電所
頃合いもよかったので1年ぶりに、土曜探鳥会でご一緒させていただいている、高浜市にお住いの牧野さん宅に出向き一緒に高浜市周辺の海岸
の鳥を観察した。家から1キロも行けば海岸にでる。養鰻場や貯木場は今はもう無いが、その跡ははっきり残っていて海岸風景をつくっている。生
業として目途が立たないのはいかんともし難く、牧野さんの記憶にのみ、かつての賑わいと自然の豊かであった海岸の様子が残っている。鳥の
数も種類も今は面影はないという。池のような養鰻場跡ではキンクロハジロを主体としたカモが、北西の風を避けるように北側の堤防のそばに集
まっている。堤防を反対側は入り江で、ヒドリガモやコガモたちもキンクロハジロに交じっていた。上空にはミサゴが2羽、悠々と羽を広げ旋回して
いるし、カモたちの早い羽ばたきの群れが行き来する。貯木場跡とわかるのは等間隔に打ち込んである鉄の柱で、海面に接していない部分は錆
もなく貯木場としての役割は比較的最近まであったのであろう。確か10年ほどの前のことであるが、牧野さんんが、貯木場でカルガモの親子の
微笑ましい姿を見た、と話されていたことを思い出した。ここには、オナガガモの小さな群れ、防波堤にとまっているカワウとセグロカモメ、ユリカモ
メなどがいて、場面場面で鳥の種類が変わっていくのを楽しむことができた。12月におこなわれた観察会ではこれほどいなかったそうだ。高浜市
をあとにして南に位置する碧南市に向かう。行先は火力発電所である。中電は浜岡原発の運転停止を求められた。従って、ここや隣の武豊火力
発電所はフル稼働なのであろう。発電所に隣接する中電の市民への開放施設である「たんとぴあ」にある自然観察コースを歩いた。ここには人工
の水路、湿原、そこにやってくるシギ類を観察するシェルターのような施設などがあり、季節ごとのイベントで大いに賑わうとのことである。しかし、
今の季節には訪れる人も限られているみたいで自分たちを含めて4人という少なさだ。この日は鳥の姿も少なく、トビ、ヒヨドリを確認できたくらい
であった。ちょうど正午になり、数分の近くにある、生活活性センター「あおいパーク」で食事をとることにした。実は、ここが二人の探鳥会のでの行
きつけの所なのだ。帰りには碧南特産の人参を買った。再び高浜に向かい牧野さんのお宅にお邪魔する。奥様もご一緒しいろんな話をしたが、
実にゆったりとした気持ちのよい時間を過ごすことができた。午後3時をまわり家路についたのであった。
西暦
月
日
メモ
2012
2
12
室林道ラインセンサス
穏やかな朝を迎えた。雪で大変な目にあっている地方の人たちには申し訳ない気がする。2月2旬の室林道の記録をとるべく車を向けた。林道は
閑散としていた。少しばかりの鳥の声と風の音。そして、通奏低音をかなでる高圧線の弦による滝のような音である。室林道は大体において南に
開けた場所にあるので太陽が出ておれば冬でも暖かい。それでも真冬の林道は厳しいのであろう。野鳥も黙りくくっているようだ。アトリ科の鳥が
見たい、そう思って進んでゆくとヤシャブシの小枝が揺れている。マヒワ?。期待して目を凝らすがどうも違うようだ。おなじみのカワラヒワみたい
である。がっかりとまでは言わないが残念であった。久しぶりにミソサザイの声を聞く。日によっていたりいなかったりするのは偶然のなせる技な
のであろうか。カラ類の様子も気になる。シジュウカラのぐぜり、ヤマガラの明るい体色が暖かさを感じさせてくれる。それにしてもどうもこのまま、
マヒワ・ウソ・ヒガラなどといった(期待した)冬鳥の姿を見ないまま春を迎えそうな予感がしてきた。
2012
2
16
健康ウォーキングコース
遠くからイカルのさわやかな囀りが聞こえてきたので、その辺をぶらぶらしたくなりノートとカメラを持って家を出た。雲がかなり厚く垂れこめており
散歩日和とはいかないがそれでも、鳥の声や姿を探したり、冬枯れのあぜ道を歩くのは、気持ちがとても穏やかになる気がする。寒さを避けて山
を下りたのか、ヒヨドリの姿がよく目につく。川沿いでキセキレイがえさを探すのを何度も見た。おなじ科に属するタヒバリ・ビンズイも冬の鳥である
が、彼らは、やはりなじみのセグロセキレイやハクセキレイのように目立たず、ひっそりと過ごしているように見える。もっともタヒバリは、集団の近
くにうっかり踏み入れると、その名の通り優しい声ではあるが、警戒と迷惑さを込めた鳴き声をあげて逃げてゆくのである。再びイカルの澄んだ声
を聞く。春の訪れはもうすぐだ。
2012
2
18
室林道
萩小の子どもふたり、山口兄弟3名、そしておとな3名と、探鳥会の人数としてはちょうど良い。夏の探鳥会いらいの室林道へ向かう。萩小を出て
間もなくヤマガラの囀る姿を見つけた。明るい空をバックに梢で鳴いているのを探鳥会OBの山口君があっという間にスコープの視野におさめた。
その速さに子どもたちも感心している。すのすぐ後から隣にイカルがとまった。イカルも口笛を吹くような囀りを開始する。まったくグッドタイミングと
はこの事である。民家の途切れるところでジョウビタキを確認。オスのジョウビタキは紋付を見せびらかすようにお辞儀をくりかえす。しかし品行方
正とはいいがたく、いつの間に探したのか芋虫を咥えていたのだった。いや責められません。室林道への坂道は、夏の探鳥会では汗が噴き出る
厳しいものであるが、真冬の今日は体がほどよく温まってくれる。林道でも様々な鳥にであったが、エナガの群れが子どもたちには印象に残った
のではないだろうか。私自身も20年前に、エナガが突然現れて目の前で乱舞し、あっという間に去っていた時のことを忘れることはできない。そ
の光景をありありと思い浮かべることができる。先に2種の囀りを聞いて満足していたのに、室林道でさらにシジュウカラも囀っていた。エナガの
群れ(ここにはコゲラの姿も見られたので混群といってよい)は冬の様相を、3種の鳥たちの囀りは春の様相を、今はちょうど2つの季節のはざま
なのであろう。今日はとても気分のよい日であった。
2012
2
25
室林道ラインセンサス
雪が降り積もり野鳥の世界も大変だな、とほんの少し前まで感じていた。ところが、3日ほどは春本番の暖かさだ。この急変に体もついてはゆけ
ず、とうとうかぜをひいてしまった。できるだけ身軽にセンサスをしようと思ったが双眼鏡だけは何時ものやつにした。1.5キログラムあるので肩
が凝ってしまう。ほんの初期のかぜでも体は正直だ。暖かいせいか鳥たちの声も久しぶりに多そうだ。ヤマガラ、シジュウカラ、ホオジロ、カワラヒ
ワなどの囀りも聞こえてくる。とはいえ、北西の風は相変わらずのようで高圧線をブンブン鳴らしている。ルリビタキがいた。姿はこれまた久しぶり
の青いオスで、長玉を付けたカメラを持参してこなかったのが悔やまれる。けれども、体調の悪さは、普通の時ほど残念がることはさせなかった。
ついで現れたのはカケスたち。にぎやかな声とともに数羽が飛び去ってゆくのを見た。静かな山道で聞くカケスの声は、ウグイスなどのきれいな
囀りとは一味ちがう趣のあるものである。樹洞を見つけた。覗き込むと水がたっぷりあって生態系をなしているように見えた。ファイトテルマータで
あろうか。
2012
2
26
自宅周辺
ここへきてようやく、待ちに待った鳥がやってきた。ツグミは例年正月ころから姿を見せる(渡りはもっと早くからおこなわれ、平地に来るのがその
頃)。しかし今年は、梢や電線に数羽がとまるのを確認するのみ。田んぼや畑で採餌する姿は今の今まで見られなかったのである。この分だと見
ぬまま春の北上に入ってしまうのでは、とも思ってしまうほど。しかしながらようやく美しい姿を見ることができそうである。美しいと表現したが決し
て華美ではない。そうではなくて日本的な美である。日本画に描かれそうな感じといったらよいか。おなじ大型ツグミ類のイソヒヨドリも見ることが
できた。こちらは少し派手な青い姿である。どちら?と聞かれれば前者の方が好みと答えるだろうか。
西暦
月
日
メモ
2012
2
28
自宅周辺
イソヒヨドリの姿を見たことから今度センサスをするときにはカメラを持参しようと考えていた。今日、早朝の仕事を終えた後に、山陰川を往復する
かたちでセンサスをおこなった。イソヒヨドリは2か所で確認した。たぶん同一個体であろう。鬼瓦にちょこんととまっている。不思議な感じもするが
、次から次へと野鳥たちのさまざまな行動を見つけた。モズの捕食。ハシボソガラスがノスリを追いかける。ハシボソガラスの水浴び。アオサギや
ホオジロも割合近くまでの接近を許してくれる。久しぶりのHPを飾る写真が撮れそうだ。
2012
3
6
室林道ラインセンサス
3月下旬の暖かい気温とそれを後押しする暖かい雨が降り続いた。あたりの梅の木はいつの間に?と思うほど素早く白・ピンクの花を咲かせた。
トリガーはいまかいまかと引かれるのを待っていたのだ。そのことは鳥の世界にも言えた。シジュウカラやヤマガラなどの先発組にホオジロとウグ
イスが加わったさえずりが開始されたのだ。ウグイスは少し前まで地鳴きさえ控えていたのに、この身替わりの鮮やかさは驚きというしかない。多
少のぎこちなさはあるものの鳴きはじめとは思えない。ホオジロもソングポストで囀りを始めた。若いヒノキの林でその姿を見つけた。ウグイスは
頭になかったが鳴き声を録音しようと持ってきたTASCAMが大活躍した日であった。
2012
3
8
寺ノ入林道ラインセンサス
うっかりしていた。1月に観察して以来ひと月以上訪れるのを忘れていたのだ。平地では春の装いが日一日と深まっているが、ここ寺ノ入林道は
600メートルの標高がありそれだけで半月は冬に戻ることになる。しかしラインセンサスで感じたのは春を告げる小鳥たちの様子であった。カラ類
はいずれも囀りを聞かせてくれた。シジュウカラ、ヤマガラ、そしてヒガラたちだ。このあたりの平地ではあまりお目にかかれないミソサザイの囀り
個体も、さすがにこの標高では期待を裏切ることはしない。渓流の響きと一体化するようにして歌っていた。ピアノ伴奏のコロラテューラ歌手のよ
うである。もっとも人間と違いこちらはオスではあるが。美声の代表といえばウグイス。平地ではそこここで囀りを聞くことが聞かれるようになった
が、こちらは太陽のもう一押しの暖かさが必要みたいだ。植物の様子からは春の息吹を感じることはできない。ただ野鳥たちの囀りだけが春の近
いことを実感させた。
2012
3
10
観音山
探鳥会の朝、かなり本格的な雨が降っていた。それでも子どもたちが来るかもしれないと考え準備をする。さいわいに雲の流れる方向は予報のと
おり天気の回復を保証するものだった。校庭にもツグミやムクドリがやって来ていた。3人で萩小をスタートする。山陰川ではコガモがいた。周りの
たんぼではセグロセキレイがつがいで鳴いている。ハシボソガラスのつがいの一方が巣材をくわえて飛ぶのを見る。ウメの白い花が咲いている
近くを通ると微かに甘い香りがした。山のそばではヤシャブシが新芽を開いていた。それよりも目立つのは雄花の垂れ下がった姿だ。観音山に近
づくとホオジロの囀る姿があちこちで見られる。それとなんといってもウグイスの囀りだ。再びめぐり合えたウグイスたち(囀りで)。今年もよろしくと
言いたい気分であった。
2012
3
13
室林道ラインセンサス
日の輝きは確実に増してはいるものの大気の流れは寒気を誘い再び冬へと戻った。まさに絵に描いたような三寒四温ではなかろうか。その影響
は鳥にも出ていた。ウグイス、あれほど一斉に鳴きだしたウグイスであるが今日は一斉に口をつぐんでしまった。地鳴きと囀り個体が1羽づつとい
ったあり様だ。その点、カラ類の方は気温は気にしないようにみえる。シジュウカラ、ヤマガラは活発に囀り行動する。去年は見られなかったが毎
年この頃にヒキガエルの産卵を見る。変温動物のカエルにとってはまだまだ寒すぎると思うが不思議とこの時期なのである。産卵後はふたたび
地中に潜り込むのではあろうが。残念ながら今回は見られなかった。その場所はいたって不安定な水たまりで、水脈からポトポト落ちたのが林道
わきの側溝に溜まったものである。林道のため表土が自然と崩れ落ち流れをせき止める効果があるのだ。水が枯れる心配はないが定期的に側
溝の土砂を取り除くと産卵の環境は失われるというものだ。水たまりはできているので期待したい。カエルではないが別の春らしいものを見つけ
ることができた。ショウジョウバカマの紫の花である。まだ1輪ではあったが嬉しいものだ。
西暦
月
日
メモ
2012
3
13
羽根・長根の田んぼ
強烈な北風が吹き抜けていた。あやうく望遠レンズもろとも三脚が倒れるところであった。あわてて押さえつけたのは言うまでもない。怖くなり、そ
の後はノートを取る時三脚を倒しておかざるを得なくなった。それと強風でぶるぶる揺れ撮影どころではないのだ。ノートへはヒバリの囀りを記載
できた。やはり春の足音は急速に大きくなっていたのだ。一方で冬鳥の姿も。ツグミはようやく見かけるようになったし、タヒバリは北上前の生活を
自身の体色と同化した田起こしの始まった田んぼでおこなっている。畦には春の花が咲いていた。セイヨウタンポポ、ナズナなどである。寒さその
ものも冬のそれではなくなった。
2012
3
18
茶臼山ラインセンサス
本当は赤石や聖を見ながらラインセンサスをやりたかったが、なぜか、いまにも雨粒が落ちてきそうな冴えない日が2012年最初の茶臼山になっ
てしまう。確かに好い日とはいえなかった。ガスで鳥が見えないのは止む得ないとしても、防水の心配なカメラに雨粒がかかりだしたときは困った
。スキー場は最後の仕事とばかりにぎやかに放送をする。その音を避けるようにしてセンサスを開始。こんな日に来てくれてありがとう。小鳥たち
はそう言っていた。「綺麗には撮ってあげられないがね」と答える。シジュウカラとホオジロが囀りで迎えてくれる。ここまでは地元でも同じだ。しか
しその先があった。聞き覚えのある賑やかな声。すぐに思い出した(物忘れが激しくなったのに)。カシラダカの集団囀り。繁殖地に向かう前に出
あうことのできる光景である。それからアトリ科そのものアトリの群れだ。密度の高い陣形を保って自在に移動する姿は見事である。数では負け
ないとカワラヒワ(アトリ科)もアピールする。アトリに比べ少しバラけているのが残念だ。ベニマシコも加わりアトリ科は大活躍であった。美声を競
っていたのは次の2種。ミソサザイとヒガラである。すでに三河湖の寺ノ入林道でも確認していたので特に新鮮味はないが、ウグイスの囀りが未だ
ない早春のこの時期に、「もう歌い始めたのか」と思わさせるで出来事はある。新鮮味ではキクイタダキが上であった。彼の歌声はあまりに繊細な
ためつい聞きもらしてしまうことが多い。たまたま近くにいた時だけがチャンスなのだ。念のために持参した例の雪上の滑り止めは全く用無しであ
った。日陰には薄汚れた雪が残っていたが雪は純白に限るようだ。木々や草花の春はまだまだ先だ。それにひきかえ野鳥はずっと先を進んでい
る。
2012
3
22
室林道ラインセンサス
日の光は増々強くなってきた。室林道の林床にある常緑樹も光線のあたり加減では銀色に輝いている。その林床付近を鳴きながら採餌するミソ
サザイを確認した。体色が周りの風景にすっかり溶け込んでいるので鳴かない限りではほとんど見つかることはないだろう。ただし、移動すること
による物音は観察者に味方するだろう。どうなのか、北上個体と言ってよいのであろうか。先日、茶臼山で囀り個体を見たことからして、越冬地か
らの北上は進んでいるに違いないだろう。室林道ではウグイスの地鳴き個体はかなり少なくなった。ウグイスと間違うことはないが未熟であった頃
のことを思い出して自然にウグイスと比較してしまう。ヒキガエルの産卵、期待過剰ではあったがやはり産卵は見当たらなかった。水たまりが落ち
葉で浅くなってしまったのが原因ではなかろうか。時々行われる側溝の掃除という一種の攪乱が起きないと難しいのでは。気温、太陽の光、こう
いった春への駆動力が動物・植物たちを春への営みに駆り立てると思うと、人間の及ぼす力は微々たるものなのかもしれない。でも一方で大自
然を変えつつあるともいえる。
2012
3
25
羽根・長根の田んぼ
田んぼ道を徒歩と車上とでセンサスをおこなうと違いがでてくると思う。徒歩ではじっくりと観察できるが反面鳥側からすると警戒すべき対象がさら
けだしであるのに対し、車上は速度をいくら遅めにしても注視できる範囲はぐっと狭まるが鳥からすると警戒心は弱まる。時と場合によれば徒歩
よりも車上が有利ということは十分ありうるのだ。今日は後者の方を取った。というのも、ヒバリが盛んに囀っていてその様子を観察したいと思った
からだ。ヒバリは大変警戒心が強く(たとえばハクセキレイなどと比べて)すぐに飛び去ってしまう。姿を車で覆い隠せば少しは接近できる。そんな
考えであった。名前が似ているタヒバリも同様(科は異なるが棲みかが似ているので体色も良く似る)。このようにしてムクドリやハクセキレイも観
察した。今年の冬はツグミの田畑など農地への飛来が少なかった(低山でや丘陵ではかなりの個体数がいるように感じる)。どのような理由なの
であろうか。
西暦
月
日
メモ
2012
3
25
乙女川
カワガラスの確認をしたくて乙女川に向かった。堰の工事が始まって、最も見る可能性の高い場所は絶望的となった。堰の下流は直角に折れ曲
がっている。大水で護岸がえぐられているが今回の堰の改修はそれと関係があるのだろうか。言えることは、カワガラスにとってはひとつ巣をかま
える所を失ってしまったわけだ。今日は別の所を歩いてみた。廃校になった小学校の前にバスが停まっている。子ども会のバスであった。自分が
川沿いに歩いているとバスの子どもや父兄がこちらを見ていた。何をしているのだろう?そんな感じだ。1週間ごとにきっちり雨が降ったので水量
は春先にしてはまあまあ多い。暗い雲と晴れ間が目まぐるしく変わる。砕けるしぶきが輝く。とても美しい。キセキレイが岩場で尾を振っている。レ
モン色がいっそう鮮やかに見える。脇の梢ではホオジロがソングボストで囀っていた。それに触発されたのかヤマガラも囀る。肝心のカワガラスの
気配はない。まあそう簡単には見させてはくれないのはいつものことである。
2012
3
27
我家周辺
花壇を含めてきれいに咲いている花の写真を撮ろうと思い、邪魔にはならないと双眼鏡とフィールドノートも持って近くを歩いてみた。好きなムラ
サキハナナの咲きだしたし、早咲のサクラも見頃になったので気分は春爛漫に近い。我が家にはパンジー・スノーフレーク・スイセンがあるがなか
なかきれいには咲いてくれない。自然の野草の美しさは認めるが品種ものも悪くはないと思う。ジョウビタキが潜んでいる隣の畑のコブシの蕾も
開き切った。そのジョウビタキが再び北へ戻る日もそう遠くない。ツグミも同様である。近所の奥さんが23日に最初のツバメを見た。それと同一個
体か分からないが2羽のツバメを確認することができた。
2012
3
29
室林道ラインセンサス
日中は暖かくなったけれどもセンサスを開始したころはまだ冷えていて、両手をジャンバーのポケットに入れていてノートを取る時だけ出すという、
少々だらしない状態であった。面白かったのはコジュケイとばったりあったことだ。以前、似たようなシーンがあった。その時は、つがいを見たので
あったが、撮った写真を確認してみると、オスが先に逃げてゆくのが分かった。今日は1羽であったが、こちらも、相手も、たぶん驚いた様子であっ
たことが面白かった。ルリビタキにも出あえた。漂鳥である。繁殖地への移動はそろそろ始まるか? 移動前にはよく囀ることがある。囀りといえ
ば、意外な気がしたがメジロの囀り確認が今日であった。もっと早くではなかったかといぶかしく思われた。
2012
4
4
室林道ラインセンサス
春の嵐は4名の尊い命を奪い去った。けが人にいたっては相当な数だ。今朝もその名残の黒雲が足早に流れていた。ただ、向かう先から判断す
ると晴れ間が広がるのもそう遠くない。寒冷前線の通過直後なので気温は低め、手袋も必要であるし、野鳥たちの動きも鈍そうだ。そんな中でメ
ジロのトレモロのような囀りは、少しずつ芽吹いた黄緑色のあかるい色とあいまって気持を明るくしてくれる。アオバトが鳴いた。この鳥はずっと居
座っているのだろうか?。ヤマガラ、ホオジロ、カワラヒワの囀りも時おり聞かれるが、いつもは一番にぎやかなヒヨドリがやけに静かなのが気に
かかる。今は少ない時なのかしらん。そろそろ春の草花が顔をのぞかせるのを見たいものだ。ショウジョウバカマは盛りになっているが
その後に続くものは?。ようやく見つけたのは半分開いたタチツボスミレ。薄紫色の自分も好きな花だ。濃いスミレよりもこちらの方が気に入って
いる。
2012
4
8
宮路山・西切山林道
平地(音羽の地では50~100メートルの標高)ではソメイヨシノは満開。山陰川沿いのサクラ並木は若いだけあって色が鮮やかである。向かった
宮路山西切山林道は300メートルの標高があり蕾の樹が大部分である。ここのフィールドの特徴は海岸線に近いということに尽きる。ということ
は、夏鳥がようやくの思いで到着したあとしばらく留りさらに繁殖地に向かうために体力の回復をはかる場所、と言える。従って、毎年サクラの咲く
頃になるといそいそと出かけることになる。ねらい目はコマドリ。音羽は一時の通過点にすぎないが、それだけに余計に見てみたいのである。残
念な結果ではあったがまだまだ時間はある。さらに出あいを期待して宮路山にでかけようと思う。その代りと言うわけでもないがオオルリ、ヤブサ
メ、センダイムシクイの3種に出あえた。特にオオルリとの出会いにはびっくり。突然目の前の枝にオスがとまったのだ。声を全くあげることなく、時
々地上に降りては採餌をする行動をくり返す。綺麗な青色がとても印象的であった。センダイムシクイとヤブサメも来ていたが、ともに囀りで確認
することができた。サクラは少し早かったが、タチツボスミレとツバキが林道を彩る。まさに春本番を迎えたという感じだ。
西暦
月
日
メモ
2012
4
8
室林道ラインセンサス
宮路山かそのまま室林道に向かった。宮路山で見られた3種の夏鳥は室林道でも見られるのか?の疑問に答えるために。結果は2種。オオルリ
とセンダイムシクイである。オオルリは囀りで、あとは姿も鳴き声も確認することができた。それ以外ではサシバW見た。はじめ鳴き声を、最後は3
羽のサシバが室林道から観音山の方向に向かう姿を。2羽ならばつがいと判断するが3羽なのでどう考えたらよいのか?。3日前に観音山で確
認したのと同一個体と思われるが、あの時は2羽であった。室林道と宮路山は隣接しているので同時期に夏鳥が見られると考えてよいのでは。
室林道にもコマドリへの期待がある。昨年は久しぶりに囀りを聞いた。まさにわくわくする思いだ。
2012
4
10
室林道ラインセンサス
夏鳥が飛来している時期なので間隔を狭めてセンサス観察をおこなっている。林道の入り口でオオルリの囀りを聞いたのは2日前であったがそ
の時に比べて今回の囀りはずいぶんしっかりとしている。2日間で風景は変わった。道路の谷がわに植えられたソメイヨシノが満開になったのだ。
その並木の中ではメジロとヒヨドリ2種の野鳥が飛び回る。大好きな花蜜を食している。普通、メジロはヒヨドリが横取りに来るまでの間に食事を済
ませなければならないがこのように大量の花は、そのような懸念をすることは全く必要ない。林床からはヤブサメの囀りが聞こえる。1か月前には
ヤブサメと同様な小型種のミソサザイの姿があった。両者はともに北上を続け現在に至っているのだ。室林道においてはオオルリよりもポピュラ
ーなキビタキにはまだ出あっていない。あの深みのある山吹色を早く見たいものだ。
2012
4
10
羽根・長根の田んぼ
雄ヒバリのディスプレイを見に田んぼに出かけた。あたりは春の香に満ち満ちていた。ぼんやりと春霞の山々。ヤマザクラが紫帯びた落葉樹とと
もにアクセントになっている。緑の林を漂っているのは花粉であろう。ヒバリは順々に大空の舞台へと舞い上がる。そして掛け値なしのパフォーマ
ンスをくりひろげるのだ。ツグミやタヒバリといった冬鳥もいるにはいるのであるが、一時と比べ個体数は減っている。もっともツグミは年の初めか
らあまり見かけなかったが。ツバメが舞っている。最も身近な夏鳥と言っても反対され名だろう。2年来のアルビノ突然変異個体との出あいによっ
て見る目が変わった。慣れ親しんだツバメをもっとよく観察しないといけないと思うようになったのだ。4月の終わりにはすべて水が張られ田植え
の風景が見られる。季節は休みなく移り変わっているのだ。
2012
4
10
ふるさと公園
入口門の脇に芝桜とソメイヨシノ、公園の大部分を占める山林を彩るヤマザクラ、華やかな季節が始まったわけだ。そんな公園内を飛び回るのは
大型ツグミ類のシロハラとツグミ、それとほぼ似た大きさのムクドリである。冬鳥である前者は繁殖地に北上するのも間近。群れをつくるのもこの
時期と言われている。秋の取り入れ間近の田んぼでスズメを見るほどと言っても言い過ぎではないほど。ツグミは芝生の明るい場所で、シロハラ
は灌木の陰に隠れて生活している。彼らの子育ての環境はどのような所なのか。越冬地とは似ても似つかない所なのか、想像するのは楽しい。
2012
4
14
宮路山・西切山林道ラインセンサス
コマドリを求めて宮路山に2回入った。今までのところ全く気配がないので今日もそんなに期待はしていなかった。淡々と林道を進んでゆく。平地
では散り始めたソメイヨシノがようやく満開になっている。タチツボスミレの薄紫色も其処ここで見られる。宮路山にはツバキの花も多くてべったり
と花びらを落としている樹も多い。センダイムシクやオオルリ、ヤブサメなどの夏鳥とシロハラ、ミソサザイといった冬鳥が同時期に見られるのもこ
の時期ならではのことである。けれどもコマドリの囀りは聞かれない。右にカーブをとりながら下る所に差しかかった。そこには谷川が流れていて
心地よい音を立てている。ウグイス鳴き、沢の上部からは小さいけれどもオオルリの声がしている。すると、道路から10メートルほど下の谷でや
や弱いもののハッキリと聞こえてきた。待ちに待ったコマドリの囀りである。こういう時はいつも同じだ。心臓がドキドキと高鳴る。ついに会えた。セ
ンサスだからとそのまま通り過ぎるのは忍びない。少し道草をしよう。録音機のスイッチを入れ道路上に置き、コンパクトカメラながら長い望遠を
使って姿を捕えようと根張った。後から見ると決してよい写真ではないが、自分のなかでは声ばかりの確認が多い中でコマドリと分かる写真を撮
ることができたのは幸運であった。
西暦
月
日
メモ
2012
4
16
室林道ラインセンサス
土・日曜の祭礼(初めての氏子総代)も無事に終えゆったりした気分で室林道に向かった。今度は室林道でコマドリでも(そんなに甘くはないか)。
ソメイヨシノは散り始めた。林道がピンク色になっている。それどもまだまだ沢山花びらがついているので花びらの数はすごいものだ。アオゲラとカ
ケスが鳴く。両者とも大型の鳥なので声量は大きい。微妙なのはヤブサメ。虫のような囀りである。この声はどこで鳴いているのか定位しづらいの
である(地鳴きだとすぐに居場所がわかるのであるが)。オオルリの出現が突然であったのと同じようにキビタキも前触れ(鳴き声)が無かった。シ
イの樹の繁みで小型の鳥が移動していた。枝の間から黄色い部分が見えたのでキビタキとわかる。姿を消すまでの2分ほどのあいだ一声も発す
ることはなかった。一方オオルリの方は一足早く飛来した余裕なのか、私がそばを通過するあいだ休みなく囀っていたのだった。この個体、イント
ロでヤマガラの囀りを真似ている。おもしろい。
2012
4
17
寺ノ入林道ラインセンサス
標高600メートルの春は平地よりも半月遅い。木々はようやく一部で芽吹いたばかりであるし当然のことながらヤマザクラの花を見ることはでき
ない。しかし、こと野鳥の世界に限れば今まさに春の訪れを迎えている。あらゆる鳴禽類は一斉に囀りを開始した。センサスで確認したものだけ
でも、アオゲラ・イカル・ウグイス・オオルリ・キビタキ・キクイタダキ・クロツグミ・コマドリ・シジュウカラ・センダイムシクイ・ホオジロ・ミソサザイ・メジ
ロ・ヤブサメ・ヤマガラと15種にも及ぶ。さらりと書いたがこれは大変な数である。中でもコマドリを確認できたことが収穫であった。寺ノ入林道は
海岸線からは30キロメートルも内陸に位置する。音羽地内の宮路山ではほぼ毎年コマドリの北上個体を観察しているが、寺ノ入林道でコマドリ
の確認はほとんど無い。海岸線から放射状に広がって行けば密度が低くなるのであるから当然のここと受け止めていたのであるが。それも2か
所でいたのである。2か所目では3羽は確認できた。ヒノキの植林の林床(細い水の流れがある)で囀りながら何となく求愛らしき行動を見せてい
た。薄暗くぶれる条件ではあるが撮影も試みた。もちろん録音の方も。尾羽を立てたり扇のように広げたりしている。たぶんオスがメスを追う行動
であろう。1994年頃に同様の光景を茶臼山で観察したことがある。コマドリのオス同様に私のほうも必死で見つめた。オオルリは未だ葉の開い
ていないコナラらしき樹で囀っていた。こちらの方は明るい春の日を浴び気持ちよさそうであった。
2012
4
23
室林道ラインセンサス
室林道も周りの山々も若葉が開き黄緑色のまだらになっている。私としては、秋の紅葉よりも若葉の風景の方を好む。年を取ったせいかな。もう
初夏と言ってもよいような陽気に小鳥たちの歌声は止むことはない。この季節に思い入れのある夏鳥がいる。それはサンショウクイ。白と黒のス
マートな姿と独特の鳴き声は一度出あえば忘れることはない。と思うのであるが。その姿はなぜかセーラー服の水兵さんをイメージするのだ。南
の大洋を帆船で渡るかっこいい姿を。カモメの水兵さんのイメージの刷り込みもあって小型カモメのようなサンショウクイにそのような役割を与え
てしまったのであろう。小学校に上がる前かその後かは分からないが、バスを乗り継ぎ海が見える所まで両親と行き、そこで迷子になったことが
ある。海は今と違って白砂青松の奥に広がり、ポンポン船(名前のとおりポンポンと音を立てていた)が行き交っているのを記憶の中に甦らせるこ
とができる。盆地に住む子どもにとって海は憧れのような存在だった。前置きが長くなった。そのサンショウクイの声が初めて聞こえた。音羽の地
でこの鳥は飛来数が増えているように思われる。夏鳥は全般的に個体数減少の傾向にあると思うが、音羽のサンショウクイに限るとそのような証
拠はない。むろん嬉しいが原因は?。サンショウクイにとって良い環境が他の夏鳥たちにはそうではないとなると手放しでは喜べないのは当然で
ある
2012
4
24
茶臼山ラインセンサス
音羽の地でコマドリなどの夏鳥を確認してからすでに10日あまり経過した。本当はもっと早くに茶臼山に行くべきであったのに果たせなかった。
満を持して新緑の美しい奥三河の山々を越えて愛知県下の最高峰にやってきた。気温こそ15度もあってセンサスでは暑く感じるほどであったが
、それはつい最近急に暖かくなったのであって木々の芽はまだ蕾を開くまでには至っていない。茶臼山高原道路から眺める景色のなかでも最高
なのは南アルプスの雪の峰であろう。北岳から聖岳までの3000メートル峰にはべっとりと雪が残っている。スタート地点の茶臼山を正面に見る
駐車場では数羽のイワツバメが地上に下りていた。頭の上を通過していったのは2羽のサンショウクイだ。昨日室林道でも初めて確認したが茶臼
山にも既に飛来していたとは。小鳥の森付近の渓流のある場所でミソサザイを確認。2羽のオスが囀りを交わし合っている。ここから徐々に標高
を上げていこうとするその矢先、道脇の林の中からコマドリの囀りが聞こえてきたのだ。ここは数年以上前からコマドリの声を聞いたことのない所
であったのでびっくりした。さらに山頂への登山口の近辺でも。ここでコマドリを確認できるのも久しい。すっかり有頂天になってしまった。茶臼山で
のコマドリの確認は年々減ってきており囀りすら聞けない年が続いたので、今年の様子は少々驚きであった。さらにもう一か所でも、都合3か所で
の確認は最近では記憶にない。これをもって個体数回復などとは言えないであろうがまずは喜ばしい。
西暦
月
日
メモ
2012
4
28
宮路山
連休の初日、子どもたちの行動は?。探鳥会に来てくれるのか来ないのか?。全く予想つかない。正直これほど来てくれるとは想像を超えていた
。まさか19人の参加とは。うまくまとまれるのか不安であった。不安を払しょくしてくれたのは主役である子どもたちと、もう一つの主役である野鳥
であった。次から次へと展開される鳥たちの姿に子どもたちが食いついたのだ。だから案内役としてはとても楽であった。最初はキビタキであった
。2か所目であったか、囀りの声がだんだん大きくなりついには姿を現した。その次はオオルリである。囀りの近くで見つけたのは地味なメスであ
った。そしてメスの後を追うようにしたオスも現れる。姿を追う子どもたちの真剣なこと。環境が整えば子どもたちは真剣になるものなのだ。頂上真
下でもサプライズがあった。ソングポストで囀るオオルリの姿をとらえることができたのだ。ご褒美をと、赤坂駅にもどる時間にあわせて遊びタイム
を作った。元気なのは女子。はだしになって川に入る。男子が滑り台で遊んでいる。頑張れ男子。
2012
5
3
室林道ラインセンサス
連休後半の初日とあって、室林道からながめる東名高速の車の流れは途切れることがない。若葉は雨に洗われて一層瑞々しい。林道の入口に
はフジの花が咲いていて、明るい葉とともに見ていてとても気持ちがよい。同じ場所で今年初めてサンコウチョウを聞いた。とても近くで鳴いてい
るのでもしやと注視していたら、1羽の尾羽の垂れ下がった個体が枝に止まっているのを認めた。これは幸先良い。姿も声も比較する相手がない
特徴をもっている鳥だ。土曜探鳥会のこどもに聞けば必ず、見てみたいという答えが返ってくる。気分よくセンサスを開始できたついでに、オオル
リの巣も気になるところだ。すでにこの付近にはオオルリが営巣の準備をしている。巣箱を確認するが認められない。自然の場所の方が良い。そ
う思って探してよくと昨年と同じ場所に青い苔が敷き詰められているのを確認する。これからまだ作っていくのであろう。ただし、どこまで成功する
かは全く未知数。どちらかと言えば悲観的だ。もっと巣が見つからない場所を探したらいいのにと思う。暫らくしてキビタキの地鳴きを聞く。囀りより
も地鳴きの時の方が興味深いことを見られるという経験則があるので、慎重に辺りを見回す。サクラの若葉の枝にオスがいた。声の方は2か所で
聞こえる。そのオスが移動した先にもう一羽のオスがいるのを確認。どうやら2羽のオスが出くわしたようだ。声などで威嚇するかと思って様子を
みたものの、あまりにあっけなく一方が去って行ってしまった。メジロの囀りも盛んだ。とても綺麗な声で鳴いている。オオルリは相変わらず見事な
歌を聞かせてくれた。個体ごとの特徴がよく現れるのがオオルリの特徴でもある。ヤマガラの囀りを取り入れたのもいる。センサスの復路でニホン
ザルの群れに出遭った。この辺は動物のなわばりとして認めてやろう。悠々と行動する様を腹立たしく思わないように努めよう。
2012
5
4
豊川河口
シギ、チドリの渡りの様子を見るために海岸にやってきた。ここは家から一番近い海岸。連休で道路はどこも渋滞しているので、本当はもう少し先
の汐川干潟のある海岸が良かったのであるが、こちらにした。潮干狩りをする人がいる。近くでは若者がバーベキューをしていていい匂いがしてく
る。満ち潮にかわる少し前に着いたようだ。干潟ではアオサギとハシボソガラスが採餌している。水の中にも点々と鳥がいた。コガモ、ヒドリガモ、
カルガモ、カワウたちだ。頻繁に潜っているのはひときわ小柄なカイツブリである。シギの姿なんて見当たらない。ところがよく見なければいけない
のだ。カキの殻で島のようになったそのうえでなにやら動くものが見える。スコープで確認するが図鑑を持ってこなかったのが悔やまれる。多分キ
アシシギであろう。写真に撮ってあとから確認すればいいか。さらに笛のような声が聞こえ近くの水辺に2羽の鳥が来た。こちらは特徴からイソシ
ギであることは分かった。近くの水辺はこれしかいない。沖の水際で点々鳥が見えるがそれはハシボソガラスであった。カラスが点にしか見えな
いのでは小型のシギは肉眼では無理。双眼鏡で探してよくと1か所、小さな鳥の群れがせっかちに動く様が見られた。遠すぎて種まではわからな
いが2種類いるようだ。3脚からカメラを外してスコープに切り替えると、小さい方は腹部の色からハマシギ、大きいほうは、先ほど見たキアシシギ
ではなかろうかとの結論に至った。海岸の鳥は本当に難しい。今度からは必ず図鑑を携帯しようと思った。
2012
5
5
室林道
子どもの日の今日、おおぜいの子どもが両親に連れられ遊びに出かけた事であろう。探鳥会のメンバーも例外ではないと思う。そんなわけで3人
の子どもと6人のおとなで室林道の野鳥を楽しみに出発した。林道までは車で行きゆっくりと鳥を見て歩くことにする。センダイムシクイが我々を迎
えてくれた。特徴ある囀りが探鳥会の間あちこちで聞かれた。次はキビタキである。かなり大きな声がしたが姿は見つからなかった。さらに進むと
別のキビタキがあらわれた。林道をちょこちょこ歩いていたのだ。地上に下りて採餌するヒタキをみるのはそんなに珍しいことではない。木漏れ日
がそそぐ中をゆっくりと歩くと谷の方から風が吹いてとても気分がよい。そこへ小鳥の歌、虫の羽音、カエルの恋歌などがこんぜん一体になって耳
から入ってくる。頭がぼーっとなりそうだ。それにしてもどの鳥も力のある歌声だ。掛け値なしに真剣なのであろう。
西暦
月
日
メモ
2012
5
6
前田町
岡崎の用事を済ませ前田町に向かう。天気予報では正午過ぎから雷が鳴るとのこと。たしかにぼんやりした空模様ではある。雨が降らないうちに
少しでも見ようと急いで現地に向かう。ところが予報が当たってしまい今にも泣き出しそうな空模様となった。ままよとばかりに傘をさして歩きはじ
める。嬉しいことにオオヨシキリの囀りが聞こえてきた。海岸から遠くはなれたそれも市街地の真ん中にこのような場所があることが信じられないく
らいだ。会社に勤めていたころは平日は毎朝歩いた懐かしい道である。今は年に2・3回しか来ないが懐かしさが込みあげてくる。駐車場の隣に
牧草地のようなところがあって、そこは、オオヨシキリの棲み処に好都合のようにみえる。ケリも盛んに鳴いていた。縄張りに入ってきたものはだ
れも容赦なく威嚇されるのだ。雨だけだったらこのままあと30分は居続けたのに、ピカリと閃光が走り出しては中止するしかない。残念ではある
が日をあらためて出なおしたい。
2012
5
7
汐川干潟
シギ・チドリの渡り、なんと魅力的な響きであろう。そして難敵。海の鳥は苦手だ。シギやカモメなど図鑑とにらめっこしても分からない鳥が多いこと
よ。今日は種の同定は及びもつかぬ状態であった。干潟が広がるはるか遠くに、アオサギやハシボソガラスでさえも小さく見える場所でゴマ粒の
ようなシギ類がうごめいていた。それはまったく気ままに、飛び立ったかと思えば急降下し着陸する。けし粒の塊は分かれたり集合したり、向きを
変えるときには背中と腹が入れ替わり見え方が変わる。種の同定には推測が入ってしまう。数が多いからハマシギではないかとか大きい方はダ
イゼンやチュウシャクシギではないかとかの。結局はっきりとは分からないのであった。海岸の反対は田んぼや昔養魚池のあった所が広がってい
て、以前はよくアオサギの巣が見られた。セッカとケリが大きな声で鳴いている。またオオヨシキリが芦原で囀ってもいた。シギと違い分かりやす
いしすぐ近くから観察もできる。川とおぼしき水路では小魚が群れになっている。群れの形をいろいろ変える。その様子は、スコープでようやく確
認できるシギの乱舞と重なるものであった。その川には何匹もの大きなカメもいた。どのカメも鼻だけを水面にだしているのが面白い。岸辺にいた
のはハクセキレイとピュと鳴いたキアシシギである。キアシシギは私が苦戦しているのを慰めるかのように至近で姿を見せてくれた。
2012
5
11
室林道ラインセンサス
青空に照葉樹(シイ)の黄色い花(?)が輝いて見える。フジの葉はいっそう緑を鮮やかにし、そこから滝のように花房が垂れ下がる。眼下の工場
の周りを飾るツツジがちょうど見ごろになっていて濃い紅色の額縁のようだ。小鳥たちの鳴き声も盛ん。ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、センダ
イムシクイ、ホオジロ、イカルたちが囀っている。また、ヒヨドリやメジロたちは木の葉に隠れ姿は見えないが相当の個体数が鳴いているようだ。1
週間前に確認したオオルリの巣はすっかり取り除かれていた。まったく腹立たしいことだ。
2012
5
13
東三河ふるさと公園
山頂に着くと思いがけない鳥のさえずりがした。普通は平地では聞かれない声だ。声の主は高山で繁殖しているメボソムシクイである。毎年6月
ごろに富士山で聞く声を標高でいうと10分の1しかない所で聞かれたのだから興奮する。北上個体が通過する様子をみているわけであるが、す
ごく珍しい程ではないもののとても印象に残るものには違いない。海岸に隣接する位置関係も助けになっているであろう(北上中のコマドリが海岸
で見られるように)。
2012
5
14
寺ノ入林道ラインセンサス
前のセンサスからひと月あまり経て寺ノ入林道はすっかり緑の風景に変身していた。シロモジなどの落葉樹は明るい葉をつけている。林道を囲む
林は比較的細い樹が多いのは、里山として燃料などに利用されてきたことによるのではと考える。その明るい林からアカショウビンの特徴ある声
が聞こえてきた。ただ残念なことにその声は2声3声で止んでしまい録音機を持っていたのにもかかわらず収めることは叶わなかった。そばでは
キビタキが囀をしていたが、今日のセンサスでは2か所でキビタキのオス同士が縄張り争いをしていたことが特記すべきものであろう。ブーンと羽
音をたてたり地鳴きで威嚇したりして相手を追いつめてゆく。それは一方が立ち去るまで続けられるのである。寺ノ入林道といえばサンショウクイ
。以前は確かにそうであった。かなり昔のことになるが営巣を観察したこともある。ところが最近は自分の住んでいる音羽の地でごく普通に見られ
る夏鳥になってしまった。確か、減少の著しい夏鳥のリストにこの鳥が入っていたはずなのに、どうしてであろうか。そのサンショウクイもコナラな
どの明るい葉の繁みに身を寄せているようだ。時折けたたましくアオゲラが鳴く。体が大きいので辺り一帯に響きわたる。オオルリがソングポスト
で囀っていた。するとその周囲をメスが行き来しているのが見られた。明らかにメスはその声にコントロールされているように見える。野鳥のさまざ
まな営みを垣間見てすっかり気分が高揚してしまった。朝の肌寒さも手伝って速足で車まで戻った。
西暦
月
日
メモ
2012
5
18
茶臼山ラインセンサス
天気予報では、愛知県東部は明け方まで雨が残るとのこと、では草花への水やりも済ませて少しゆっくりと出かけてみよう。8時ころに豊根村の
ビジターセンターに到着し、茶臼山高原を見上げると茶臼山本峰と萩太郎山の山頂部は雲に隠れていた。それでも少し低い所には雲は全く無か
ったので少しすれば雲も切れるだろうとたかをくくり登っていった。たかをくくるがピッタリの表現だ。標高1300メートルの寒冷前線通過がこれほど
つらいとは。防寒をしてこなかったことを悔やんだ。寒い分、坂道にかかっても手加減をしないで歩き続けた。それはそれで良かったが。ここが
1300メートルの高原であることを実感させてくれる鳥の出現を待った。できればコマドリでも。現実はコルリ。コルリがいけないことはないが、囀り
ではコマドリの方が数段上等だ。ソウシチョウもこの寒さにもかかわらず大きな声で鳴いていた。囀りもクロツグミほど美しくない。地鳴きにいたっ
てはアヒル並だ。こんな鳥が観賞用に輸入され、いまや、ウグイスと争うくらいに広まってしまったとは。無知な愛鳥家は全く罪なことをしたもので
ある。昔は大木が生えていたと思われる(面影だけが残っている)草地に残る一本の樹に止まった鳥があった。この鳥は仲間も含めとても風変わ
りな鳥で、飛び方も変わっている。のんびり派ではない。忙しなくてすばしこい。人間なら嫌われそうだ。いや、鳥の世界でも嫌われている。その名
はカッコウ。鳴き声は、少なくとも人の耳には心地よく聞こえる。嫌いな人がいたらお目にかかりたい。けれども、当の鳥たちの間では疫病神の声
にしか聞こえないのかも知れない。それはなんといっても先祖代々受け継がれ磨かれた寄生繁殖のなせる業だ。カッコウを責めることなんてでき
ようか。もうそうすることでしか彼らは生存することができないのだから。茶臼山本峰を巻く村道は一方通行になっていた。今は芝桜まつりの真っ
最中で(いつもは無料の駐車場も、スキーとこの時だけはしっかり料金を取られる)車の流れをスムーズにし回転率を上げるための方策なのだ。
地元の振興活性化に口出しする気は毛頭ない。しかしスキー場は良しとしても、いくらきれいだからと言っても、客が見に来てくれるとはいっても、
生き物も含めて自然の美しい茶臼山の一角に人工的な(どこかのテーマパークを習ったような)芝桜を敷き詰めるなんて。それをマスコミが取り上
げ、そんなものが出た日にはすぐにどこにでも飛んでゆく暇な人たちがごまんといるご時世であるから、今日のように家を出てくる時にはちょうど
良い服装がリフトに乗る頃には震えが出そうで私のように反省する御仁がたくさんおられたに違いない。1300メートルの山頂に芝桜が一面とは
なんと不自然な景色ではないか。小鳥やカッコウの囀りの代わりにFMラジオが流れていておよそお年寄りには似合わない曲が流れ続けていた
としても苦にならないとは。いや苦にしても止めてくれそうにもないが。寒さでノートの文字がミミズの這ったようになってきた頃嬉しいことが起きた
。コマドリではない。そうではないが久しぶりの囀りだった。マミジロが鳴いていたのだ。私にとってはコマドリ同様幻の鳥になりつつあるマミジロ。
20年弱前の事を今のように思い出す。茶臼山であったある野鳥観察家にマミジロとアカハラの囀りの違いを教えてもらったのだ。家にかえって本
でそのことが正しいことを知ったが、それ以来私の中ではマミジロとアカハラはセットメニューになっている。そのうちアカハラは頻繁に聞くことがで
きたがマミジロは疎遠になり生の声を聞くことができなくなった時期が続いた。忘れたころにポツリと思い出せるように出現するといったあんばい
である。それが今日になったのだかうれしかった訳だ。そこは皮肉にも芝桜まつり会場のすぐ側であった。長年の縁ある茶臼山を生活の糧にして
いる人たちを悪くは言えない。それでも一抹のさみしさと残念な気持は消せないのだ。
2012
5
22
室林道ラインセンサス
早いものだ。一年の折り返し点に徐々に近づきつつある。車を止め室林道を望む。山は新緑におおわれ、濃い針葉樹の区画とのコントラストがお
もしろい。こうしてみると結構落葉樹と常緑照葉樹の占める割合の大きいことに驚かされる。もっと山奥に行くと針葉樹(ヒノキやスギ)の占める割
合が大きいのである。山からの沢水で植えられた早苗もすくすく育っているようだ。室林道の付くとすぐに小鳥たちの囀りが聞こえてくる。平地に
いるとこんなに沢山のそれも多種の鳴き声を聞くことなんか思いもおよばない。まったく素晴らしいの一言に尽きる。車ならばたった10分で来られ
る近さなのだから恵まれていると思うし、地の利を生かした観察をしなくてはと意を固くする。例によってキビタキの羽音が聞こえ2羽が狭苦しい枝
の中で追いかけっこをしていた。まだやってるな。目を下に向けるとヤブサメの登場だ。この鳥は囀りの時は声から居場所を定位するのがとても
難しい(少なくとも私は)。全方向から聞こえてくるように感じられてならない。それに比べ地鳴きは定位が容易だ。その個体は地鳴きで鳴いていた
。すぐに声の主を見つけることができた。陰樹の枝にとまったり林床に下りたりしながら採餌している。薄暗い場所にすすけた小さな小鳥の姿。鳴
いてくれなければほとんど分からないだろう。突然頭の上の方から待ち望んでいた声が聞こえる。ホトトギスである。寄生繁殖という特殊な生活環
に進化した魅力的な属のひとつだ。ああこれで普通に見ることのできる夏鳥は全てそろったことになる。宿主の鳥たちには悪いがホトトギスも生き
延びてもらわないと困る。被害はごく一部であるし再繁殖や次年度繁殖も可能だ。オサムシの小競り合いを見つけた。2匹がもつれ合っている場
所からもう一匹が走り去っていく。どういう関係なのか?
西暦
月
日
メモ
2012
5
25
東三河ふるさと公園
この丘陵は野鳥も豊富だ。住宅団地に囲まれた(もともとは丘陵であった所が住宅地になった)静かな環境は市民の憩いの場所である。観察会
なども頻繁に行われている。サンコウチョウは周辺の住宅地から聞こえた。サンショウクイは公園内の明るい林が好みのようだ。夏鳥でもっとも多
いのはキビタキである。公園のあちこちから声がする。オオルリは囀りを止めてしまったが、道路を進んでいくと脇から突然現れる。今日はきれい
なオスであった。
2012
5
26
羽根・長根の田んぼ
子ども4、大人2、総勢6名のこじんまりとした探鳥会となった。それでも今までになく高学年の子が多く参加してくれた。初めての子もいたが、さす
が6年生だけあってよく鳥を知っている。校庭側ではスズメを見かけたが電線で交尾らしい行動をしていた。本当の交尾なのかは分からない。1
週間前の親子探鳥会で人気をさらったハシボソガラスの子どもたち、すべて巣の中にいたのが一部巣を離れ、羽根を羽ばたかせて巣立ち間近の
様子であった。しばらく観察していたら、その中の1羽が巣立っていった。見なかった子もいたので、何とか巣立ちの姿を観察しようと暫らく様子を
みた。けれども飛び立ちそうでなかなか飛び立たない。諦めかけていた時もう1羽が巣立ったのであった。巣の中に残っている子どももじきに飛び
立つことだろう。羽根・長根の田んぼに来た。ダイサギが田んぼで餌をとる様子が見られた。苗のあいだをカルガモが泳いでいたり、にぎやかな
声をあげてケリが飛び交ったり、ヒバリのさえずりも聞こえてくる。長根川ではセグロセキレイの子どもが餌を探し、そばの電線でキジバトが眠気
をさそう声をあげている。休憩時間には6年生は休む暇がなかった。フィールドノートに観察した鳥の名前を書く代わりに、持参した鳥の写真のシ
ール(担任の先生が用意された)を張りつけ、観察した様子を書き込む。なかなか良いアイデアだと思った。ウグイスのさえずりは近くの山に反射
してエコーがかかる。それがとても気持ち良い。近年とみに個体数を増やしたサンショウクイも萩小の校庭で姿を見つけた。
2012
5
30
室林道ラインセンサス
今年は宇宙ショウが3つも見られる特異的な年だそうな。金冠日食にはじまって部分月食、金星太陽面通過とのことである。自分はいまはそれほ
どでもないが、20歳前までは天文が好きであった。今年の3大ショウの終わりを飾る金星の太陽面通過は特に興味がある。まず見たことがない
ということ、それと、気の遠くなるほどの遠方の出来事であること。でも、見ている自分がいての出来事であることが特にすばらしい。いずれのショ
ウにも太陽の存在が大きい。その太陽はあとひと月で最も北に位置する所まできた。日の長さは生き物すべてに影響を与えるだろう(深海や洞窟
にいるものを除いて)。野鳥も例外ではない。繁殖期の生き物は子を育て子孫を残してゆく。それがすべてに優先していると思う(ただ知能を高度
に発達させたヒトは例外かもしれない)。林道をセンサスしてゆくとさまざまの様子をうかがい知る。さえずりで自己主張するオス、ヒナの食事をさ
がす親、寄生主を震えさせるホトトギスの声、などなど。本当に自然は奥深く不思議なものだ。決して神が創造したとは思わないが、人間にはま
だまだわかっていないことが一杯あると信ずる。
2012
6
2
観音山
6人の子どもたちが集まった。観音山へのコースは萩の里コースのなかでも好きな部類に入る。山や川、そして田畑など、変化に富んだ自然とそ
こに棲む野鳥に出あえるからだ。萩小の校門から50メートルほどの山陰川で早くもカワセミを見ることができた。橋のたもとから上流に向かって
一番きれいな背中のブルーを輝かせて飛び去って行った。そばの竹やぶではシジュウカラが囀っている。ここ2週間ほどのシジュウカラの囀り行
動はめざましいものがある。ジャルダンリラ(老人ホーム)の山からは、子どもたちが探鳥会で何度も聞いたことのある、ピッコロを吹いているかの
ような、キビタキの囀りが聞こえる。キビタキも少し大げさかもしれないがいたる所にいるようだ。今日は、どうしてもサンコウチョウの囀りを聞いて
帰ろうと子どもたちに話した。そのサンコウチョウに出あう前に素晴らしい鳥たちを見ることができたのはとてもラッキーであった。最初はハチクマ
である。観音山の手前の山の上を見え隠れしながらSン快晴する鳥を見つけた。2羽いた。あまりにも遠く種類が分からない。フィールドスコープ
で軌跡を追いかけようやくトビとは違うことは分かった。翼の幅がトビとは違っていた。ハチクマか可能性は0に近いがクマタカか?。もう少し接近
したい。2羽のうち1羽が気持を察してくれたわけでは決してないが、徐々に我々の方向に移動して来たのだ。もう分かった。可能性の高い方のハ
チクマの姿であった。天頂の星を眺めるような姿勢で空を見上げ続けた。縞模様がはっきりしないのは暗色系の個体のためであろう。尾羽の真
ん中が抜けていて面白い形をしていた。2番目はサンショウクイの出現である。この鳥はキビタキと同じで近年個体数が増加している。しかし、子
どもたちにとっては初めて見る鳥の部類に入るのは間違いない。私はこの鳥が大変気に入っている。観音山のふもとに近づいたころお目当ての
サンコウチョウが鳴いた。特徴ある囀りは忘れることができないものだ。内心ほっとする。ここで休憩にしよう。ささやかなおやつを食べ子どもたち
に提案した。ここは車も通らないので、大の字に寝て、3分間のあいだ周りから聞こえる音を聴いてみよう。その3分が終わると子どもたちに感想
を聞く。すぐには出てこなかった。「5分の方がいいな」と女の子が言う。彼らはいろんな音を聴いたはずだ。心の中で振り返ってくれればいい。こ
ずえで囀るホオジロがやけにきれいに見えた。これも周りの自然が後押ししてくれたためか?
西暦
月
日
メモ
2012
6
4
室林道ラインセンサス
6月に入ったので早く室林道に行かなくては、気ばかり焦ってしまったがようやく実行に移すことができた。今日は割と静かであった。日によって随
分と違うものである。ハヤブサ(らしい)を見た。室林道は空が開けて見える所が少ない。狭い空をトビやノスリが舞うのを見るわけであるが、今日
のは少しばかり様子が違った。鋭く尖った翼はハヤブサ科のものである。大きさから言ってハヤブサの可能性が高い。この時期に過去にも見た
のであろうか、あまり記憶にない。もうひとつ、ヤブサメである。ばかに警戒心の薄い個体だ。3羽が地鳴きを聞かせながら付近を素早く移動する
。警戒心が低いのは幼鳥である可能性は無いであろうか?。いずれにしてもヤブサメのこのような行動はあまり見たことがなくとても面白かった。
最後にエナガの事である。群れをなして採餌していたのは幼鳥であった。独り立ちしたヒナたちが群れをつくって採餌する様は見ていて勇気がわ
いてくる。
2012
6
8
蛇峠山
とても気になっていた蛇峠山と高嶺に出かけてきた。夕方から雨が降るとの予報なのでまず大丈夫だろう。そのとおりで、ときおり暗い空になった
りしたが雨粒が落ちてくることはなかった。標高1500メートル以上の気温は平地よりも10度は低い。それでも汗ばむことはなかったものの腕も
まくりたくなるのもしばしばであった。赤レンガ色のレンゲツツジが見ごろになっていて(山頂はまだ開花してはいなかったが)シラカバの明るい葉
色とのコントラストもよく、いかにも高原の風情である。谷の方からはミソサザイの囀りが聞こえてきたり、道路脇のササの繁みからもウグイスやコ
ルリの囀りが盛んにする。頭上の針葉樹ではコガラやヒガラの可愛らしい姿が見られた。カーブの特徴を思い出して、「そろそろコマドリの声が聞
かれるかな」期待と失望が相半ばする心持で歩を進めてゆく。茶臼山のコマドリにあまり期待できなくなった今、蛇峠山は自分のフィールドでコマ
ドリに出あえる数少ない所なのだ。そしてその期待は今年もかなったのである。
2012
6
8
高嶺
高嶺と蛇峠山は兄弟のように寄り添っている。お互いに懐に入ると自身の姿はあやふやになるが、そばには兄弟の立派な姿をながめることがで
きる。しいて言えば高嶺からの蛇峠山が堂々としているかな。高嶺を麓から山頂までセンサスしたことは1・2度しかない。車で頂上まで登れてし
まうがゆえの値なのである。今日も車でスイスイと登った。ここもコマドリの期待がかかる。しかし、蛇峠山よりも可能性は低い。今日は残念ながら
確認できなかった。いなかったとまでは言えないのは確かである。たまたま鳴き声がしなかっただけのことかもしれないのだから。その埋め合わ
せのように、コマドリの声を最もよく聞いた場所で車を止め耳をすましていた所へ、道路にそってある電線に2羽の小鳥の姿を見つけたのであった
。それは、色や大きさで判断する限りコサメビタキの仲間(コサメビタキ・エゾビタキ・サメビタキ)のどれかに似ていた。もう少し接近すれば同定で
きそうなのに。可能性の高いのはコサメビタキであろう。山頂(長者峰)からの眺めは全てが霞んで見えた。隣の蛇峠山も同じであった。ウグイス
が盛んに囀っていた。蛇峠山でもそうであったが、ウグイスと言えば声はすれども姿は見えずの代表格のように思っているが、今の季節では、ホ
オジロやオオルリのようにカラマツの天辺に陣取って縄張り主張をしているのである。2・3個体が目の届く範囲で見られるのも珍しくない。風の抜
ける山頂は気分がよくてすぐに下りるのがもったいなく思えたので、シートを倒してうたた寝をすることに決めた。それでも30分の経ってはいなか
ったであろう。長い帰り道のことを考えると早々に山を下りたのであった。
2012
6
10
羽根・長根の田んぼ
北から塊になった白い雲が流れてくる。羽根・長根の田んぼの早苗はその雲を運んできた風に波打っている。海面を風が渡るとできる複雑な模
様、それほどははっきりとはしないが、揺られて色が変わるさまは面白いものだ。葉の表と裏とで色彩が微妙に違っているのであろう。こういった
風景に最もマッチするのはツバメにおいて他にないだろう。巣で待つヒナに与える餌を捕り続けている。どこからともなくヒバリの歌が聞こえる。空
を見上げて探すが一向に目に入らない。地上から聞こえてくるようにも思えないが不思議だ。ハクセキレイが何かを咥えて横切って行った。ああ
この鳥も越夏が普通になったのだな。以前は秋から春先までしか見なかった。帰り道でカルガモとダイサギとアオサギが一所にいた。水田と緑の
山々。美しい季節である。
西暦
月
日
メモ
2012
6
13
室林道ラインセンサス
この時期だったのかな、アカショウビンの声を聞くのは。ヒナを連れているのも確認されているので鳴き声を聞いたからと言って特別驚くことでは
ないのだが。それでも嬉しくなってしまう。土曜探鳥会のメンバーでこの鳥の大好きな子がいたように記憶している。姿を見たのは一度だけ。その
時の色の感じはオレンジ色というよりは緑色ぽかった。化学的につくられた色というよりは物理学的な色であった。格子構造からできる干渉が色
のもとなわけだ。何度も鳴いたのに録音の結果はあまり期待できない。音が小さいのだ。そばからは、サンコウチョウも聞こえてきたが、この場合
の主役はアカショウビンになることを許してほしい。さえずりの結果としてヒナが誕生する。巣立ったヒナ、いよいよひとり立ちして生きてゆかねば
ならない。たった一羽ではとても心配だが兄弟力を合わせれば可能だ。その意味でも一腹の卵数が多いことはそれぞれの個体にとっても有利に
なるのでは。ヒトのようにかなりの年数を親が面倒を見ることが無いのであるから。エナガとヤマガラの幼鳥を何度も確認した。親の色とはだいぶ
違う。保護色の程度からすればヒナの方が上か。それが当然ではあるが。ヒヨドリのヒナが鳴いている。なんとなくスズメのヒナと似ている(毎日我
家の屋根の庇から聞こえる)。思ったのは、ヒナの声は定位し難いということだ。ヤブサメの囀りは最たるものだが、どこにいて鳴いているのか私
にはまったく分からない。360度の方向から聞こえてくるように思えるのだ。2羽のヒヨドリのヒナはサクラの枝のなかで戯れていた(擬人的な言い
回しはよそう)餌を捕っていたのであろう。葉の陰で1羽が羽を震わせる行動をする。よくみる親に甘える行動である。もしかして巣立ちしたものの
餌をねだっていたのかも。今日からTASCAM(録音機)のマイクを覆う風防をスポンジ製から毛皮製にグレードアップした。かなり高いと思ったが
音質が良くなればと思い購入した。わざわざ風の通る場所で試してみた。確かにスポンジの時のように目盛が振り切れることはなさそうだ。もっと
もっとたくさんの鳥の声を記録してやろう。
2012
6
16
土曜探鳥会 茶臼山
あいにくの雨にもかかわらず5名の子どもたちが参加してくれた。先生もお忙しい中ご一緒してくださった。最初に現れたのはアカハラである。キョ
ロン・キョロンと気分が浮き立つような歌を聴かせてくれる。ソウシチョウはとみに増えている鳥である。コルリとコマドリは似たところがあって勘違
いして覚えた昔のことを話す。よく聞けばまったく違っているのであるが。ミソサザイは鈴の声、それも金の鈴。この話は、鳥の師匠の山口仁さん
から教わった。ついでに、銀の鈴はカヤクグリである。子どもたちには地鳴きのきれいな声を聴いてもらう。初夏になると、ホオアカ・コヨシキリが
やってくる。よく似た環境で生活するが、その環境が失われてしまった。ベニマシコとハギマシコは赤い鳥である。特に後者はめったに出あえない
。最後はホトトギスとカッコウの姿と声。高原に来たなー。つくずくそう思わせる鳥たちである。こんなに見られたの? いやその。なにー。これは
萩小のランチルームで開いたバーチャル探鳥会なんです。あいにくの天気で茶臼山へ行けなかったので。ついでに、私のバードウォッチングにか
ける思いも伝えてみたかったので、次の話もしてみた。茶臼山で初めてコマドリを見、鳴き声を聴き感動したこと。ジョウビタキの越夏を野鳥の会
に報告し、公式記録として認定されたことが、その後の野鳥観察人生に大きな励みとなったこと。16年間も土曜探鳥会を続けられたのは、みなさ
んたち萩小の子どもとの出会いが大きかった。また、いろいろな人たちとも出あえることができ私の人生の幅が広がった。などなど。野外に出ずに
行った探鳥会は、今回と第1回の2度きりである。かすかに当時のことを思い出した。以前にくらべるとメンバーの規模では縮小傾向にあるのは
否定できない。それでも、野外観察を主とした土曜探鳥会の意義は薄れてはいないと思う。それどころかこのような時代こそ必要不可欠と信じて
いる。
2012
6
18
寺ノ入林道ラインセンサス
平地ではかなり蒸し暑い日になった。しかし、標高600メートルの寺ノ入林道は爽やかな朝である。山奥でのバードウォッチングのうれしい点のひ
とつだ。わりと静かな感じを受ける。にぎやかなウグイスやヒヨドリが割とおとなしい。ホトトギスの代わりにこれまた静かな雰囲気のツツドリが鳴
いたりしている。静かな分耳も小さな音に注意することができるのはうれしいことだ。セミがそんなに鳴いていないのも有利な条件のひとつ。ハル
ゼミが少し鳴いているだけであった。最初に聞こえたのはヤブサメの地鳴きと囀り。地鳴きだと居場所を同定しやすいので真剣に探してみた。どう
も物陰で鳴いているようで駄目であった。ついで、スギ林の下を通過するときに聞かれたのがキクイタダキである。こちらは、よほど近くで条件の
良い時でなければ周りがうるさいと聞き逃してしまう。今日のように鳥の声が少ない時にこそ確認しやすい鳥である。ウグイスが、センサスを終え
てから気が付いたのであるが、少なかった。囀り個体2であった。アジサイの野生種と思うが、薄紫色の花びらがあちこちで見られ、この梅雨の季
節にとてもマッチした様子が自分のお気に入りになっている。点々と赤い実が見えているのはクサイチゴ。手の届くやつを口の中に入れてみた。
酸っぱいなつかしい味がした。
西暦
月
日
メモ
2012
6
20
室林道ラインセンサス
天文ショーで何百年ぶりとか何年ぶりとかの言葉が躍った。台風も6月に上陸したのは何年ぶりからしい。その台風が私たちの地域を直撃する。
隣の豊橋市の避難勧告の数は断トツであった旨のニュースが全国版で紹介された。林道はそれこそ風がまき散らした小枝や葉っぱで覆われ、ジ
グザグに歩かないといけないのには閉口した。それだけならば台風一過の後としては文句も言えないが、ムラサキシキブの株もろとも節理に沿っ
てごろごろと岩が砕け林道に飛び散っていた様子は、大雨の威力をまざまざと知らしめていた。過去に2度ほど大規模な崩落があって、林道を完
全に塞いだことがあった。センサスコースの途中での崩落であったので、暫らくの間観察が十分できなかったことを思い出した。エナガの群れが
移動していった。20羽以上はいただろうか。羽の色は幼鳥を示している。幾つかの兄弟姉妹が群れの構成者なのだろうか。それにメジロの群れ
も加わり大層な賑わいをみせる。オオルリが囀っていた。このオオルリ、きまぐれらしく、ここ暫らくは全く気配を見せなかったのであるが、随分力
強く歌っていたのである。
2012
6
23
室林道ラインセンサス
昨日は夏至。野鳥に限らず北半球の生き物たちは、白夜の北極圏にまで足(翼?)を伸ばしたキョクアジサシも含め、繁殖のためのあらゆる努力
を自分の遺伝子を未来に伝えるために費やしている。ただひとつヒトという種を除いてだが。卵子の加齢による劣化という自然現象をまったく見過
ごしてきたという番組をテレビで見た。動物であるということを知性の種であるヒトが知らなかった(知らされていなかった・知ろうとしなかった)とは
、やれやれである。室林道では再び、ウグイスやキビタキなどの歌が溢れていた。どういう具合なのかはわからないが、囀り個体数の大きさにも
波があるようだ。それはただ単にランダムな浮動だけかもしれない。とくに印象に残る記載が見つからなかったのも一つの印象である。サンショウ
クイを聞いた。この鳥のことは何度も書いたが、平地に近い丘陵地で近年とみに個体数を増やしている感がある。日本野鳥の会の記事に個体数
減少の危機にあると記載されて久しくなるが、どうなのだろうか。ここ愛知県東三河だけの増加なのであろうか。梅雨と台風4号の雨で林道の湧
水が豊富になった。落ち葉がダムとなってできた水たまりをのぞくと体を触れ合うようにして3匹のイモリがいた。ここにも小さな世界があるのだ。
2012
6
25
茶臼山ラインセンサス
ピーカンの上天気よりも雨模様の方が、今までの経験からすると、鳥たちがよく見られるというのを信じて家をでた。600メートルよりも高い山々
は雲に没しているのを横目に見、東栄町ではかなりまとまった雨がフロントガラスに降りかかる中をひたすら進んできた。それでも少しずつ空が明
るくなってくるのを見ると元気がでてくる。結局、雨合羽で双眼鏡を覆い、こうもり傘をさしてセンサスを行うことになった。傘が無いとノートを開いた
途端大変なことになってしまう。自分にとっては大切なノートだ。幸いなことに風が弱いかほとんどない状態であった。これならば時々の風景撮影
や鳥たちの声を録音することも可能だ。そしてもっと良かったのは、予想以上に活発な鳥たちの声を聞くことができたことだ。これ以上にないくらい
ウグイスが囀っていた。ソウシチョウも相当数鳴いていたが、今日のウグイスはそれを圧倒していたのが心強かった。カッコウやホトトギスは控え
目であった。雨天が影響しているのかもしれない。声だけでなく姿もよく見られたのがホオジロ。電線や見晴らしの良い梢で鳴いている。コルリは
相当数確認できたがコマドリはゼロであった。飛来直後で囀りを聞いたもののその後のセンサスでは全くゼロ。茶臼山での繁殖は無いのであろう
か。マミジロ、アカハラも少ないものの確認できた。それぞれ決まった場所に棲みついているようだ。牧場で草を食んでいたのは牛たちではなかっ
た。薄茶色の点が見えたので双眼鏡を向けると、大人のや子どものニホンジカの群れであった。総数30頭。隣のスキー場にシバ桜があり観光客
で大層にぎわった。新聞記事で、シカたちがシバ桜を荒らして困っている旨を報じていいたが、彼らが張本人なのであろう。普通に考えればこの
位の山ならば野生生物の縄張りであると言っても良いと思うのだが。そうはできないのが人間の業なのかもしれない。カサが役に立ったのは最初
の1時間くらいであった。薄日が差すほどまで雲は高くなると、小鳥たちの声はますます威勢よくなってゆく。正午を過ぎても様子は変わらなかっ
た。これが晴れた日ならば、朝方で鳴き尽くした小鳥たちは昼前にはすっかり静かになっていたと思う。家を出発したのが8時過ぎと考えられない
ほど遅かったにもかかわらず、センサスの4時間ほどの間、途切れることのない歌声に包まれることが許されたのは、この悪天候が幸いしたに違
いない。
2012
7
1
羽根・長根の田んぼ
田んぼの早苗は一段と濃い緑となりたくましくなった。小雨が残っていたが瑞々しい緑の中を歩くのも悪くない。それに少し前からセッカの声が聞
こえてきて気になってもいた。場所によっては飛来と同時に姿を見ることができるが、ここ羽根・長根の田んぼでは、田植えの頃は未だお目にか
かれない。こうして苗がしっかりと成長した頃、オスが盛んに田んぼの上を賑やかに巡回するのだ。ほとんど人目につかない所に巣があるのであ
る。オスは縄張りを守るだけ。他のオスの侵入を防ぐことに一日を費やす。そしてセンサスを進めてゆくと、あちこちでつがいを発見する。ハシボソ
ガラスは仲良く電線に、ヒヨドリは巣のあるウメの樹へタイミングをずらして入って行った。スズメのカップルも多い。こうした光景は繁殖期の今だ
からこそのもの。野鳥たちに幸あれと言おう。別の場所ではあるが、偶然に、ネジバナの咲いているのを見つけた。ああ、もうそんな時期なのか。
西暦
月
日
メモ
2012
7
2
室林道ラインセンサス
繁殖行動も進んでそろそろその成果が見られるようになったと感じている。すなわち、巣立ち雛の確認である。比較的繁殖期の早いエナガについ
ては、兄弟姉妹の群れが賑やかに採餌する様子を何度も確認している。ヒヨドリやウグイスも鳴き声から巣立ち雛ではなかろうかと思われる個体
を見てきた。そして今日は、キビタキのヒナの姿を確認することができた。メスの胸に鹿の子の模様をあしらったような姿は一目で幼鳥と分かる。
羽の一部が青色になったオオルリの若鳥も姿を現した。半成りというそうだ。その他にも、オオルリのつがいの呼び交わし、無言で飛び去ったオ
オルリのオスが2個体など、いろいろ興味深い観察ができたのであるが、今日一番はなんといってもこれだ。エゾムシクイの地鳴きと囀りを確認し
たことにつきる。この個体がどの段階にあるのか興味深い。ここで繁殖、北上中の個体、南下中の個体。はたしてどれに該当するのであろうか。
2012
7
8
室林道ラインセンサス
7月2日のセンサスでエゾムシクイを確認した。地形からみてもここ室林道で繁殖しているなんて考えにくい。たった200メートルの丘陵のような
場所なのだから(本州では1000メートルが最低ラインらしい)。すると、南下か北上かとの疑問がでることになるのであるが。7月という時期がな
んとも微妙なところ。南下には早すぎるのでは?、北上としては遅すぎるのでは?という疑問がわいてくる。移動個体ならば時間がたてば通過し
て居なくなるのは明白であるから、継続した観察からはっきりするであろうと6日経た今日、エゾムシクイの存在を確かめることにしたのである。結
果、ほとんど同じ場所て1個体、そこから谷ひとつ隔てた所で1個体、合計2個体の囀り及び地鳴きを確認することができた。前者は6日前と同一
個体である証拠は持ち合わせないが、可能性としてはあるだろう。移動個体が6日間留まる可能性もあるであろうから、これだけでは繫殖個体と
は言えない。さらに観察を続ける必要がある。音羽の地での観察記録をひもといてみたら41件あった。内訳は4月・5月の北上記録が21件、8月
・9月の南下個体が15件、そして、7月が5件である(2005年7月17日・2010年7月23日・2012年7月2日・2012年7月8日)。今年の7月2
日と8日は際立っているようには見えるのであるが、どうなのであろうか。
2012
7
15
龍源寺
低い雲がどんどんと北に流れている。朝からずっとこうなのだ。雲が種切れになることもなく、行き場に困って雨を降らせるでもなく、ただ流れてい
るばかりである。今にも降りそうでなかなか降らない、しばらくはそのままでいて欲しい。でも時々我慢できないようにぱらぱらと頬に冷たいものを
感じさせるのだ。それにしても大勢(25名)の子が集まったものだ。うれしい事には違いないが雨脚のことを考えるとプレッシャーにもなる。傘持参
の子と学校置き傘の子で大半を占めることが分かったので、意を決し探鳥会をスタートさせることにした。きれいな夕暮れも見えなくて少々さみし
い感じもするが(過去にはきれいなアカネ雲を見た記憶があるが)、今日は雨さえ降らなければ上等だ。羽根・長根の田んぼでコウモリを見つけた
。普段見ることの少ないコウモリなので「出てくれてありがとう」と心で礼をする。カルガモの名前を最初に出したのは保育園児であった。それも自
信をもって答えた。龍源寺境内ではギョッとするものに出くわした。おなじみのヒキガエルではない。そうではなくてほんとに怖いものなのだ。白壁
の石垣に太く短い体をくねらせゆっくり動いていた。三角の頭はこのヘビには気を付けろとの印であった。察しのようにこのヘビの名はマムシ。マ
ムシの出現で警戒モードに切り替わってしまったのは仕方ない。墓地での肝試しはいの一番に中止だ。大きないぼガエルの方は子どもの人気を
独り占めしていた。手出しさえしなければこれほどひょうきんで可愛らしい生き物もそうない。境内のハス鉢にLEDライトを当ててみた。何とも幻想
的で、けがれなきものそのものである。
2012
7
16
室林道ラインセンサス
今一番の関心事はエゾムシクイである。ここ半月ほど室林道の2か所で囀りや地鳴きを聞いている。南下個体であるという可能性が高そうに思う
が、時間の幅があることが繁殖(可能性はきわめて低いと思うが)という魅力的な2文字を想像させてしまう。そこで最初の確認(7月2日)から2週
間へた今日でも今だにエゾムシクイがいるのかが、特に気になることになる。結果、先の2回でははっきりと囀り(地鳴きも)聞きとることができた
のに対し今日は、なんとも微妙なのだ。それらしく鳴いているようにも思えるし、そうではないような感じもある。結論は、いるともいないとも言えな
いということになる。
西暦
月
日
メモ
2012
7
17
蛇峠山
せっかく蛇峠山の近くまで来たのだから寄らない手はない。茶臼山でのセンサスを終え、まだ元気は残っている感じなので、県境を越えてここま
で来た。さすがに、隣の高嶺までは欲張りすぎというものだ。2つにひとつならば蛇峠山にしようと最初から決めていた。それもこれもコマドリに会
いたい一心からである。ここでもウグイスが天下であった。正午過ぎから登山道を歩いた。これが早朝であったら様子は違っていたかもしれない。
肝心のコマドリは鳴いてはくれなかった。囀りの季節は過ぎてしまったかも。山頂でのルリビタキも少しは期待していた。けれども、そこでもやはり
元気なウグイスの声を聞かされるはめになった。ここでも路傍に咲き乱れるウツボグサとヤマオダマキを見た。カラスアゲハの輝くばかりの姿を
写真におさめようと右往左往する。そうしたら頭の上はるか上を風に吹かれるように舞うアサギマダラを偶然見つけた。こちらも1枚と頑張ったが
、地上付近におりる気持ちは全く無いみたいであった。山頂で随分と時間を費やしてしまった。北から南までの山々が実によく見えたのである。恵
那・御嶽・乗鞍ははっきりと、穂高はそれらしく、木曽駒はまじかに、八ヶ岳も見えるではないか、南アルプスの山々は言わずもがなである。足元
には飯田の市街地が広がる。鳥の声を忘れて見入ってしまった。
2012
7
17
茶臼山ラインセンサス
どうやら茶臼山で見た青空は、台風も含めて少々荒っぽい梅雨らしからぬ梅雨が明けたものであったようだ。輝く積雲が夏の訪れを告げた。太陽
の光を浴びて気持ち良く囀るホオジロたち。電線には必ずと言ってよい程ホオジロが陣取っている。数ではウグイスが勝っているだろう。ライバル
(私が勝手に決めているだけではあるが)のソウシチョウをも凌ぐ勢いである。先の3種以外では、カッコウとホトトギスの大きな声があまり聞かれ
ない。マミジロの棲み処は定着しているみたいだ。その場所に近づくと決まって囀りが聞こえる。コマドリは全く聞かれない。繁殖しているのか相
当あやしい。アサギマダラを見た。これから徐々に渡る姿を見かけるようになるのであろう。ヤマオダマキを見つけた。薄黄色い清らかな感じの花
びらが下を向いている。図鑑で調べるまでは、ミヤマオダマキばかり思っていた。ミヤマオダマキよりも深い山で咲くことも分かった。確かに、ここ
茶臼山や、さらに標高の高い蛇峠山ではさらに多くのヤマオダマキが咲いていたので納得できる。
2012
7
22
室林道ラインセンサス
7月以降で4回目の、室林道でエゾムシクイを確認することができた。この時期になれば南下個体とも取れそうに思えるが、実際のところはどうな
のか?。それというのも、南下個体が20日の間同じところに留まっているのだろうか、そうではなくて、別の個体が同じ経路を南下していると見る
べきなのか?(そうなると南下個体はかなりの個体数がいることになると思うが)、それでもなくて、この個体は室林道に留まって繁殖しているのだ
ろうか?(繁殖の可能性は、書物を信じる限りではきわめて低い)。
2012
7
24
寺ノ入林道ラインセンサス
エゾムシクイを確認する。室林道での注目鳥になってしまった感があるが、もともとは、ここ寺ノ入林道で夏のジョウビタキと勘違いしたことがこの
鳥を知ったきっかけである。確かに地鳴きはジョウビタキと似ている(エゾムシクイの方が鋭い感じがするが)。南下個体か、それとも、繁殖個体か
?。前者の可能性が大きいとは思うが。キクイタダキがよく鳴いている。反対にウグイスの囀りがほとんど聞かれなかった。
西暦
月
日
メモ
2012
7
25
富士山
富士市街から見る富士山は山頂付近が雲の上に顔を出していた。剣ヶ峰がほぼ中央に位置ししていて、よく見かける写真などの形と異なって見
える。来週から8月まで富士山スカイラインは交通規制となり5合目まではシャトルバスで登ることになる。そこで、この時期に出かけることにした
。コースとして新東名も考えたが、山に住む身としては街や海の見える方がうれしい(新東名は山とトンネルばかりで面白味に欠ける気がする)。
今までどおり東名を使った。山麓に入ると涼しくなる。窓を開けエアコンは切る。しばらくするとメボソムシクイの声が聞かれるようになった。1500
メートル前後になるとその個体数がずっと増える。標高1600メートル高鉢駐車場で観察を開始する。遊歩道の入口に「熊出没」の警告がある。
いつ見ても気持が良いものではない。ひっきりなしに山を登ってゆく車の音がまだ充分残る辺りでも、さすがに富士山と言える鳥の鳴き声が聞か
れる。一番はやはりメボソムシクイであろう。私のよく通うフィールドではこの鳥の鳴き声は聞かれない。ルリビタキもいる。比較的静かな様子では
あったが暫らくして小鳥たちの群れがやってきた。鳴き声からして日頃聞きなれないものだ。ゴジュウカラであった。そこに加わったのはコガラ(こ
ちらはすぐに分かった)。いかにも山奥に来たなと思わせる組み合わせである。谷があったが水は流れていない。大雨の直後くらいしかできない
川なのだろう。火山灰でどんどんしみ込んでゆくのだ。その場所に似つかわしい鳥がいた。ミソサザイである。彼は(オスなので)こちらの気配を気
にしながらも囀りに精を出していた。その奥からはコマドリの囀りが聞こえる。これこそ待ちに待った瞬間だ。先の3種はいることが容易に想像でき
るが、コマドリは、個体数からしてもなかなか出あうことが難しい鳥になっている。私はそう感じている。まるで宝くじにでも当たったようだ。気を良く
して3合目の駐車場まで向かう。この辺りでは雲海に近く霧に覆われていた。メボソムシクイとルリビタキの比率が逆転している。高度をあげると
ルリビタキが多くなった。ミソサザイもいたが、残念ながら、去年のようにビンズイの囀りを聞くことはできなかった。3合目の標高は1900メートル
。さらに5合目(標高2400メートル)まで行こうか迷った。完全に雲海の中で景色は見えないだろう。沢山の車が登っていたので駐車するにも面
倒だ。未練なく3合目で下山することにする。11時になったばかりで時間はたっぷりある。国道1号線をのんびり走ることにしよう。富士市から西
の静岡県内の1号線はほとんどで高架になっていて信号機はほとんど無いのである。
2012
7
26
室林道ラインセンサス
センサス開始時間が遅かったので心配したが、早朝のような賑わいはないものの、よく目をこらし耳をすませば、実に多くの野鳥と出あえる見本
のような日であった。まずエゾムシクイであるが、ほぼ同じ場所で地鳴きを確認した。最初の確認から25日経過した。南下個体がこれほどまでに
とどまるのか。それとも別個体が次々と南下する様を見ているのか。いずれも有りそうもないことのように思える。アブラゼミの声が聞かれるよう
になった。今はセミしぐれまではいかず、野鳥の鳴き声をかき消すほどまでは多くない。変わった声がする。何かのヒナのようだ。鳴き声の主が背
中越しに飛んで行った。降りた先から聞こえたのは親鳥と思われるコジュケイの声であった。
2012
7
28
室林道
ロンドンオリンピックの開会式を途中まで見て、欠かせない朝の水やりを急いで済ませ、萩小で参加者を待つ。車のラジオから聞こえてきたのは
クライマックスに近づいた開会式の中継である。こりゃ来ないわな。子どもたちの姿が無い理由はオリンピックと猛暑だ、と慰めなければいけなく
なった。先生もやって来たが「子どもがいなくては中止しかないでしょう」とお話ししようした途端、1台の車がとまり親子の参加者が下りてきた。さ
らにもう一人。総勢で5名。そこで急きょ、得意のコース変更を切り出す。田んぼコースは暑すぎる。室林道ならばほとんどが木陰を歩ける。室林
道までは車を使う(それでなければコース変更をした意味がない)。静かであった。アブラゼミが鳴いているが暑苦しい感じはしない。ウグイスの
囀り、カラ類の声、静かなりに野鳥の存在を確かめることができた。そして、初めにお話しした鳥が鳴いてくれたのだ。言わずと知れたエゾムシク
イである。もう1ヶ月近くも室林道ですごしている。野鳥の姿が少ない代わりに地上を這う動物にはよく出くわした。子どものヘビ、立派なヤマカガ
シ、トカゲにカナヘビ、そして涼しげな様子が羨ましいイモリたち。その中で、一番美しい(と思われる)カナヘビは、一時の慰みとして子どもの手の
中にて拘束される羽目に相成った。少し鳥が出てほしいなーと思い始めた時、助け船を出してくれたのがサシバであった。ほとんど真上にいたの
であろう(日陰の多い室林道は、当然ではあるが、飛翔する鳥は苦手なのだ)。大きな声で鳴いてくれた。ああうれしや。高3の大きなお兄さん(本
当の兄ではない)を相手に話が弾む(我々大人よりも年齢が近いのが幸いしているのか)。そよ風にも助けられて暑い思いをせず3時間を過ごす
ことができたのは、まったくもって室林道のおかげである。ありがとう。
2012
8
2
室林道ラインセンサス
7月2日に最初のエゾムシクイを確認して1ヶ月経て、エゾムシクイの繁殖への期待がふくらむ一方である。今日のエゾムシクイの地鳴きの確認
は、繁殖を確信できるように思えた。もちろん証明できたわけではないのではあるが。いよいよセミの声が賑わしくなった。アブラゼミが野鳥たち
の声をかき消すように鳴く。決して嫌いではないが、野鳥観察のためには少し控え目に鳴いてほしいものだ。
西暦
月
日
メモ
2012
8
6
室林道
夏休み恒例の早朝探鳥会をおこなった。参加者こども2人とおとな2人の計4人。暑くなりそうなので今回も車を使う。そして萩のおもなフィールド
を巡回することにした。羽根・長根の田んぼから運動公園を経由して室林道へ。さらに、山を下り山陰川を横目に眺めて観音山がゴールとなる。
羽根・長根の田んぼではセッカと大型のサギ(ダイサギ・アオサギ)を見た。風にゆれる水稲にはすでに稲穂が出ている。運動公園、緑の田んぼ
から灰色の広場へ。色彩の変化と同時に鳥たちの変わりようも面白い。モズ、キジバトがネットにとまり暑さにうんざりといった感じであった(やは
り田んぼの方がいきいきしているように感じる)。そのあとは室林道を車で通りぬける考えだ。室林道のひんやりとした空気は車のエアコンを必要
としない。ウグイスの囀りが聞こえる(例年、盆過ぎまでは囀りを行っている)。あとは、メジロ、コゲラ、ヒヨドリなどが鳴いていた。水先案内人のよ
うに車の先を先導するのはセグロセキレイ。室林道ではもっぱらキセキレイが役割を担ってきたと思うが、今日は珍しい組み合わせとなった。毎
回出現していたエゾムシクイは残念ながらお休みの日であった。室林道から下がって川沿いの小道を進む。千鳥川(山陰川の支流)でカワセミを
見る。声のする方向に首を回すと、背中を輝かせて飛び去ってゆく一瞬をとらえることができた。電線には20羽ほどのツバメが並んでいる。2年
前に、同じような群れの中に真っ白のツバメを見たのであるが、「もしやして」と期待してしまうのは致しかたないことである。ゴールの観音山の麓
に来た。ここでもウグイスが囀っている。萩里の第一の鳥はやはりウグイスか。水をはった休耕田でオタマジャクシが泳いでいた。その際の畦で
はセグロセキレイの若鳥の姿があった。
2012
8
11
室林道ラインセンサス
ついにエゾムシクイの確認記録が途切れた。このことは室林道から去ったことを意味しているのではない。もうしばらく様子を見たいと思う。セミ時
雨のざわめきが押し寄せてきて野鳥の気配を隠そうとする。フィールドノートの連番にも表われている。セミが鳴かない時は50番くらいは記録して
いたのに今日は30番で終えている。記録にはいろいろな要因のバラツキがつきものだ(無い事の方があり得ないといってもよい)。だからできる
だけ多くのデータを取ってバラツキを無くすことが必要なのだ。
2012
8
17
室林道ラインセンサス
お盆過ぎの関心はウグイスの囀りである。ツクツクボウシが鳴きはじめるとそれに呼応するかのように、あれほど室林道を賑していたウグイスの
囀りがなりをひそめてくる。確かにそうだ。お盆がウグイスにとってのターニングポイントになっていることは。まったくのゼロではなかったものの囀
り2個体というのは、いままでのカウント数から比べたら格段に少ない。林道に植えられたサクラの中から、ヒヨドリよりも大きな黒っぽい個体が飛
び去るのを2度見る。同一個体と思われるその鳥は、或る間隔を踏み越えると飛び去る行動をしているように見えた。一度は背中越しの姿を双眼
鏡で捕えた。顔が分からないのが何とも残念である。尾羽の模様、大きさ、色から判断して、この鳥がホトトギスである可能性が高い。そして、一
度だけ鳴き声を聞くことができた。上空をノスリが旋回している。はじめは1羽だけであったがその後3羽で旋回しているのを確認できた。残暑の
ほうが厳しそうだ。頻繁に室林道に来て暑さをしのぎたいものである。
2012
8
25
室林道ラインセンサス
とうとうウグイスのさえずりが聞かれなくなった。ほぼ例年並みのタイミングであろう。さえずりの代わりに地鳴きをする個体が増えたかといえばそ
うでもなくて、この時期(換羽を控えた)はできるだけ省エネ生活に努めているのかもしれない。上空に現れたノスリは2羽で輪を描いていた(先回
のセンサスでは3羽であったが)。ノスリの他にもサシバを見た。彼らは1ヶ月もすると越冬地への旅に出る。季節の変化は野鳥以外にも表れてい
た。アブラゼミに代わりツクツクボウシが主役の座に躍り出た。ツクツクボウシの声がアブラゼミと比べなんとなく物悲しく感じるのは私だけではな
いだろう。それも、夏の終わりの時期がなせる業か。
2012
8
29
寺ノ入林道ラインセンサス
野鳥の声はほとんどセミたちの求愛の声にかき消されんばかりであった。ウグイスのさえずりは全くない。そのほかの鳥すべていれてもさえずり
をしている個体は見当たらなかった。そんな中で活発に鳴いていたのがサンショウクイとカケスだ。サンショウクイは私が住んでいる萩町では増え
ていて珍しい鳥のリストから外すのが妥当になったが、本家本元はここ寺ノ入林道なのである。秋の花がみられるのはもう少し先になるが、それ
でもハギの濃紅色がちらほらと緑一面のバックに見え隠れしている。野菊の季節が待ちどうしくもあり、そんなに急いでくれなくてもいいとも思う。
西暦
月
日
メモ
2012
8
30
茶臼山ラインセンサス
それは運命的と言ってよいほどだ。まさにこの日この時間帯にこの場所をセンサスしなかったら、たまたま鳴いていなかったら、この得体の知れ
ない黄色い小鳥にはめぐり合えなかった。たとえ図鑑を持参していてもし、聞いたことのない鳴き声の正体は分からなかったであろうし、日記を書
いている今でも分かっていないのだ。現地でノートに書いたのは、黄色い体、ムシクイ類とだけ。日本産のムシクイに該当するであろうと思いそう
書いたのだ。ところがおなかの黄色い種はなかった。それよりもなにも地鳴きが不思議であった。幸いにして録音はバッチリだ。姿のほうは散々だ
。粘ったが種名を言いえるようなはっきりとした姿の写真は皆無であった。少ない画像と音声データから種を同定できるのかはなはだ心もとない。
この鳥はもしかして日本産でないかもしれない。そうなると自分には手におえそうにない。今思案中なのだ。
2012
8
31
茶臼山ラインセンサス
昨日見た鳥のことで居ても立ってもおれずに再び茶臼山にやってきた。何とか種を特定できる画像を得たかった。こんなに興奮したのは1994年
のジョウビタキの越夏確認以来である。結果はどうあろうとも、野鳥観察の醍醐味をいまのいま味わっているのだと実感している。それは決してマ
イナスには作用しないであろう。
2012
9
5
室林道ラインセンサス
再びあのエゾムシクイのピッと鋭い鳴き声を聞いた。南下なのか繁殖なのか疑問だけを残し消息を絶った個体。今回は南下個体かな。オオルリ
などの夏鳥(エゾムシクイも)は越冬地への南下に備えて体作りに余念がない。まして今年生まれた子どもは時間との勝負だ。成鳥に守られてい
るとはいえ長い海路が待っているのである。渡り鳥い限らず、室林道では今、様々な種の幼鳥が独り立ちを目指して生活をしている。エナガの幼
鳥の群れはもうかなり安心して見ていられる。オオルリやキビタキははたしてどうであろうか。
2012
9
6
羽根・長根ラインセンサス
数日の間で羽根・長根のたんぼのほとんどで稲刈りが終了した。今日はそれほどでもないがコンバインが稼働している日には、そのまわりを多数
のツバメが舞っていた。田んぼから追いやられた昆虫などを捕食しているのだ。すっかり見通しのよくなった一帯をくまなく警らするするのはセッカ
。100メートルくらいの範囲を見張っているようだ。あぜに降りたり、まだ刈り残している田んぼに隠れたり、その先には可愛い妻と子どもたちがい
るのだろうか。セッカやヒバリを見ると子育てが人間の営みに大きく左右されるのではとの危惧をどうしても持ってしまう。たんぼの中の巣がコン
バインに押しつぶされてはいないのだろうか。その心配は拭いきれない。見晴らしがいいと探してしまうのがノビタキである。南下個体が姿を現す
のももう少しだ。観察をしながらローアングルで野草を撮っていたら気が付かないうちに双眼鏡のレンズが濡れていた。朝露が降りていたのだ。そ
ういえば朝露に最も似つかわしいツユクサも満開であった。見慣れた青い種に加えて紫色の種も見るようになった。自分としては昔からの種が好
きだ。コンバインが田んぼに刻んだ轍に水が溜まり格好の水辺となっている。トンボのタンデムがそこここでみられる。中でも、ここでみられる一番
大きくてきれいなギンヤンマのタンデムを見つけたときは嬉しかった。
西暦
月
日
メモ
2012
9
8
観音山
探鳥会を始める前にパラパラと雨粒が落ちてきた。久しぶりに日差しが遮られ暑くなくて嬉しいと思っていたがそううまくはいかない。その雨粒も
すぐにどこかに行ってしまい願ったりの天気のなかで探鳥会を進められた。さらに嬉しいことにそよ風も吹いてきた。最近は参加者が少なくなり(
特別なイベントがあると10人以上の参加があるが)今日も子ども1人と大人3人のこじんまりとしたものである。参加した子はとても熱心なのでや
りがいがあるのが救いだ。それと今日はイノシシの子どもが見られるというサプライズもある。カワセミを見ようが今日の題目であった。ウリ坊のい
る家までできるだけ山影川沿いを歩くことにする。このイノシシの子は市の害獣駆除活動で檻に捕られられた個体で、捕獲員(免許所持)の人が
家に連れて帰り餌を与えていた。自然の中の動物としては、ここ萩の里では、イノシシ・シカ・サルが代表的である。そのいずれもが農作物を食い
荒らす害獣指定となっている。食害のため耕作を放棄する田畑も増えてきて大きな問題となっている。農作業をやめるとどうなるか。田畑は荒地
となり農家のお年寄りは暇になって体調を崩すのである。ウリ坊の家にたどり着く前に少しでも鳥を観察しようと思った。田んぼの9割がたは稲刈
りを終えていて、そこには、セグロセキレイ、キセキレイ、モズなど身近な鳥が見られた。そして、あと300メートルほどで川ともお別れになるヶ所
に来たとき、突然大きな声で鳴くカワセミを見つけた。下流に向かったカワセミは目の前で何を思ったのか向きを変え上流に飛び去った。大人3人
がカワセミを眺めていた時1人観察野帳を書いていた子、彼は果たしてカワセミを見られたのだろうか? 聞いてみると、一瞬だけ見られたと言っ
ているのでほっとする。野鳥観察には素早い判断と行動を求められるものであるが、何回もの経験が彼をひとかどの観察者にしていることが分
かる。ウリ坊との対面、思った以上にちいさいのに驚いたようだ。”可愛いが野生の匂いはどうも”が正直なところか。いつもの観音山とは違うコー
スを通ることになった今回。大人たちはおおむね高評化であった。それは、昔ながらの道(切り通しや竹藪のトンネル)の風情いがポイントを稼い
だことにあった。最後は観音山を近くに見る川沿いに来た。この川は山影川に注ぐ千鳥川で、上流に民家が全くないので澄んでいる。秋草の生え
る水面は魚が群れになっている。これならばカワセミもいるに違いない。観音山の麓でしばらく休む。そこで見つけたのはノスリ。しばらく枝にとま
っていたが、ゆっくりとした羽ばたきで舞い上がり山の端に消えていった。同じ個体が再び山の端から現れたのを最初に見つけたのは若き観察者
であったのは言うまでもない。
2012
9
15
羽根・長根の田んぼ
積雲がぽっかり浮かび南の方向からは暗い雲が流れてきて日光をときおりさえぎる。これはとてもありがたいことで気持ち良く歩くことができる。
積雲の上空には高積雲が横たわり秋らしい風景となっているが、地上でも、虫の声を聞いたり野の草花をみても残暑にもかかわらず確実に秋に
向かっている様子がわかる。野鳥の世界も同様である。ウグイスのさえずりが消えて久しく、あれほどいたツバメも今日の探鳥会では10羽にも満
たない。スタート前の話では秋の南下について話したが、実際の場面でも確認することができたのは大変良かった。一つ目はタシギ(たぶん)の
家族。二つ目はノビタキである。ノビタキは、往路で全く確認できなかったのであきらめかけていた。ところが、復路でスズメの群れに交じっている
のを見つけることができたのだ。やはり最後の最後まで集中力を欠かさずに観察をすることの大切さを改めて教えてもらった感じがする。
2012
9
16
室林道ラインセンサス
昨日、ノビタキの南下個体を初めて見た。その勢いで室林道にもやってきたのであるが、いくつか疑わしいものには出会うことができた。ただし、
一瞬の姿なので断定までにはいたらず記録にも載せられない。エゾビタキかコサメビタキのような(キビタキかもしれない)個体であった。エゾビタ
キにしては腹の縦模様が薄く、コサメビタキにしては目のふちの白みが少ない、中途半端な印象であった。結局はキビタキであろうか。こういった
場合、写真記録は大いに参考になるが撮れるのはごく条件が限られてくる。短時間で特徴を把握するのはいかに難しいか。それを記憶するのも
同様に困難な業だ(特に年齢を重ねるると)。オオルリ、キビタキ、サンショウクイなどの夏鳥の姿も確認できた。中でも印象に残るのは、3-4羽
で杉林を移動していたサンコウチョウである。オスの成鳥にみるような長い尾羽こそ見られなったが、少し長めの尾羽をはっきり確認することがで
きた。サルが騒いでいる。そんな中から歌のようなものが聞こえてくるではないか。てっきりサルの仕業と思った(こんな鳴き声もあるのかと感心)
。ところが、カーブをまわって驚く。一人の女性が歌っている姿を発見。首に合唱曲の流れるカセットをかけ、両手に大きな譜面を持ち、まるで林
の木々を聴衆に見立てているかのごとく、少しうつむき加減で声を出している。文化祭の発表会があるのかしらん。それほど上手には見えなかっ
たが、長年室林道をセンサスしたが初めてのできごとなのでこちらが驚いてしまった。ただ、サルがいることを知ってか知らでか、女性一人なのは
別の意味で心配になる。
西暦
月
日
メモ
2012
9
17
寺ノ入林道ラインセンサス
センサスの間に傘を開いたり閉じたり何度やったことだろう。猫の目のようなめまぐるしさで天気が変わる。大切なカメラやレンズは濡らすわけに
はいかぬ。もっと大切なフィールドノートはいつもと逆の右ポケットにしまう。やりにくいのであるが、折りたたんだ傘を左手に引っ掛けていたため
左のポケットがすっかり濡れてしまったのだ。あれほど賑やかであったセミも少しのツクツクボウシが鳴くだけ。その分野鳥のつぶやきが明瞭にな
ってくる。シジュウカラ、ヤマガラ、ホオジロ、ヤブサメなどの地鳴きを聞きながら足を進める。往路の中ほどに差し掛かった時、林道にいた2・3羽
のやや大きめの鳥が灌木の中へと滑り込んでいった。何となく気になったので双眼鏡を向けてみる。すると、枝葉の隙間に見えたのは鱗片模様
がきれいなトラツグミの姿であった。どうりで大きかったはずだ(トラツグミは大型ツグミの中で一番大きい)。傘を差してセンサス。物好きのように
思われるかもしれないが、小雨程度なら結構鳥たちを見つけられるものなのだ。なまじっか能天気だとさっぱりのことが多い(経験上)。今日も結
構いた。帰り道にヤマドリを2羽見た。頭の部分だけが見えて、最初はなにか獣みたいにみえたが、そのあとにドドドと太鼓のような音を立てたの
でヤマドリと分かった次第。平地よりも半月くらい季節が進んでいる寺ノ入林道ではあるが、秋というよりも疲れた夏といったほうが似合っていると
感じた。
2012
9
19
茶臼山ラインセンサス
その日の天気は問題なく晴と予報していたのであるが、どこかが間違っていたとしか言えない。茶臼山への道中途切れることなく雨が降る。朝方
までは雨の可能性を示していたからここまでは予定通り。茶臼山は完全に雲の中で断続的に大きな雨粒がボンネットにたたきつける。ぼんやりし
た視界に見えるのは灰色がかった山肌とかたまって草を食む牛たちの群れだ。これは困った。このまま車を飛び出してもまともに観察ができると
は思えない、しばらく様子を見るしかなさそうだ。1時間以上待ったがかけやむ気配がないので意を決する。雨合羽の下にカメラとノートを入れた
バッグを潜ませ防水の双眼鏡はそのまま首に掛ける。牧場のあちこちにハシブトガラスが見える。声をあげることもなく静かな光景だ。野菊がぼ
んやりと見える。残念ながら撮影はお預けだ。ソウシチョウのさえずりが聞こえる。秋に入ってからも飽くことなく歌い続けているのだ。一番心配し
たのはノートへの記録、字がまともに書けるのだろうか?。できるだけ雨に当てないよう屈みこんで書き込むがそれでもどんどん滲んでくる。けれ
ど思ったほどではなかった。ノートの紙質が良くなったのだろうか(たしか値段は高くなった)。家に帰ってノートを恐る恐る開くと意外にもごわごわ
になっていなかった。
2012
9
24
室林道ラインセンサス
最初に聞こえてきたのは摩訶不思議なアオバトの声であった。ここ音羽における過去の記録をみると、そんなに頻繁とはいえないが周年観察で
きるようだ。次いでカケスのだみ声。この鳥は、室林道では秋から春にかけて著しく個体数増加がみられる。いわゆる漂鳥に分類できるのではな
いか。メジロも活発だ。さえずり個体こそ見られなくなったが、群れで行動することが目立つようになってきた。エナガも同様のことが言える。この
時期は珍しい種の南下個体を期待してしまうが、そんなに簡単には発見できない。今日見たのもエゾビタキやコサメビタキではなくキビタキのメス
のようだ。林道で1か所ヒガンバナが咲いている場所がある。いままさに満開になろうとしていた。
2012
9
27
茶臼山ラインセンサス
野鳥の世界は渡りの季節を迎えている。北半球では北から南へ向かう。南下個体との出会いが叶えられたらと願いながら登山道を進む。東の方
向に見えるのは光岳を盟主とする南アルプス最深部の山々たち。赤石や聖はまだ見えない。けれど、そのくっきりとした姿から想像は容易だ(きっ
と素晴らしい3000メートル峰の連なりが見られるだろう)。牧場のゆるやかなカーブの上に広がる青い空が輝く。気持ちがよい。いくらでも歩けそ
うだ。ハシブトガラスが鳴く。上空を軽やかに舞うのは数の減ったツバメ。茶臼山からはソウシチョウのさえずりも。ソウシチョウは最も目立つ存在
である。センサスコースのいたる所で鳴いている。さえずりも地鳴きも何でもあり。子どもが道を横断するように2・3羽づつ次から次へと目の前を
横切る。こうしていくつかの群れが餌を取りながら移動する。ウグイスもかなりいるが単独行動である。どうしても集団行動のソウシチョウのほうが
目立ってしまう。お目当ての南下個体は見られたか。ほぼ目的を達したと言ってよい。ノビタキとエゾビタキを確認することができたのだ。茶臼湖
の畔では10羽もの群れに出会うことができた。いかにも群れ行動をしている。バラバラで行動しているものが10羽いたというわけではないのだ。
一方のエゾビタキはなかなか厳しかった。地上性のノビタキに対して樹上性のため簡単には見つけられない。茶臼湖の畔はねらい目(10年以上
前に見た)であったが残念。次いで茶臼山への登り口も穴場。結局、そこで1羽(2羽かもしれない)を確認した。萩太郎山はスキー場のある茶臼
山の弟分、そこでハヤブサを見た。ハシブトガラスとトビに交じりスマートな翼を大きく羽ばたかせていた。時々ハシブトガラスに追いかけられてい
るようだ。渡りをする蝶アサギマダラにも注目した。結果は1匹。
西暦
月
日
メモ
2012
10
1
室林道ラインセンサス
18号は秋の台風らしく陽性ですがすがしい朝を迎えた。接近したかと思ったらあっという間に飛び去って行ったのだった。林道は小枝や木の葉で
隠れてしまうほどになっていたが、何年か前の大きな木を根こそぎ倒すような凶暴さは持っていなかったようだ。まずは不幸中の幸いか。水不足
の解消につながったか?。今回も南下個体の観察が楽しみであるがこれはというものは無かった。鳥ではないが、アサギマダラを室林道として初
めて確認した。秋を告げるにふさわしい混群を見たことや、ヒヨドリが再び活動的になったことが印象に残る。ヒヨドリなどは留鳥の部類に入れら
れているが秋の移動はよく知られている。近くの愛知県伊良湖岬でも多くのヒヨドリが海を渡る。だから、この時期の個体は夏までのものとは違う
のかもしれない。不気味なくらいまるまる太ったナメクジが押し葉にまぎれていた。さすがにカメラにおさめる気にはならない。そのすぐ隣にいたの
がオレンジ色したサワガニ。からかい半分に彼のポートレートを撮らせてもらった。
2012
10
10
第1回萩小愛鳥クラブ探鳥会
土曜探鳥会で先生から、10月10日の5・6時限を使ってクラブ活動をやることになり、野鳥のクラブもやりたいとのことであった。クラブの名前は「
愛鳥クラブ」。記念すべき第1回の探鳥会に招かれ、7人のクラブ員と顧問の先生の総勢9人で、一面の巻雲が広がる爽やかな秋空を仰ぎ見て
観音山への道を歩いた。トビがゆったり汎翔しヒヨドリが波状飛行している。モズの高鳴きはぜひ説明したいと思う。キセキレイのレモン色も見せ
たい。春には桜並木が見事であった山陰川沿いをカワセミを期待し歩くがそうとんやがおろさない。並木の終点からは山陰川の支流である千鳥
川に沿って進んでゆくことになる。農道をちょこちょこ歩いていたのは目当てのノビタキであった。初めの会で鳥の渡りの話をし、渡りの現場として
ノビタキのことを紹介したのである。私自身18年前の1994年10月に初めて、ノビタキたちが突如萩の田んぼに姿を現した時にはとても感動し
たことを覚えている。ノビタキの説明にはかなり力が入っていた。最初の1羽が2羽3羽と数が増えていった。あれも、またあれも、とノビタキが現
れるのであった。予定した1時間半はあっという間だ。もう少しとの思いもあったがノビタキが見られたので良しとしよう。
2012
10
11
室林道ラインセンサス
野原や田んぼでは今、ノビタキたちが群れをなして越冬地への旅をしている。その様子は感動的すらある。同じ個体がどの程度滞在するのだろう
か、知りたいものだ。一方、室林道など森林性の鳥たちの南下も始まっているはずではあるが、なかなか見つけられないでいる。そんな中で長距
離の渡りはしないが季節により住処を変える漂鳥がやってきた。室林道での代表的な漂鳥であるヒガラを確認することができたのだ。ヒノキの林
から林道を横切って谷に移動してゆく。付近にはヤマガラやシジュウカラの姿も見える。暑さも一段落し活動し易くなったのか、鳥たちの動きに俊
敏さが戻ってきたようにみえる。見た目がきれいなので換羽を終えて真新しい服装に着替えたのかも。夏鳥のほうはどうなのか。キビタキが2羽
薄暗い林にいたが、そろそろ室林道を離れるのではないだろうか。ヒガンバナは終わりつつあるが、萩の里はコスモスやツユクサなど秋を感じる
花でいっぱいだ。
2012
10
13
宮路山
赤坂の駅に子どもたちを乗せた車が次々と到着する。その前に7台の自転車が駐輪場にやってきた。もちろん探鳥会に参加の子どもたちだ。子
ども15名と大人4名は赤坂駅を出発した。音羽川で泳ぐカルガモや堤防を歩くハクセキレイとセグロセキレイを見ながら、大祭の準備でにぎわう
杉森八幡社の脇を宮路山登山道へと進む。ハヤブサらしい姿を見て子どもたちも元気がでる。さらには、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ
からなる混群がメンバーの横を追い越して行った。渡りをする蝶のアサギマダラも多数見られた。秋の草花の蜜を吸うものもいれば林のはるか上
空を風に吹かれている個体も多い。よほど腹を空かせていたのか、子どもたちが顔がくっ付くほど近づいても花から離れない個体がいた。最後は
コバノミツバツツジのトンネルをあえぎあえぎ進む。視界が開けると山頂だ。東三河の平野と海が眼下に広がる。貨物船や自動車運搬船が伊勢
湾方面から行ったり来たり、海岸に近いところではヨットの群れがいた。楽しみの一番はお弁当だ。私はパンとイワシ缶を食べる。皆も思い思いに
お母さんの作った弁当を食べている。野外でそれも見晴らしの良い山で食べるご飯は最高だ。しばし遊んだら下山だ。この下り坂が一番きつい。
いやいや足を出しているようで自分で自分が情けなくなる。時間調整で保健福祉センターでもうひと遊びする。ここで大体が靴や靴下がずぶ濡れ
にするはずなのだが、今年はわりと行儀の良い子が多かったようだ。
西暦
月
日
メモ
2012
10
17
寺ノ入林道ラインセンサス
午後からは雨の予報であった。なんとか雨がふり出す前にラインセンサスを終えておきたい。スタート地点に車を止めドアを開けたら、遠くから「ピ
ユー」と雄シカの声が聞こえてきた。何度も何度も繰り返している。今まさに彼らの恋の季節なのだ。恋の邪魔をするつもりは毛頭ないし、できた
ら出くわしたくもない。子連れなんかもってのほかであるが、あろうことか林道で2頭のシカに出合ってしまう。体格からして母親とその子どものよう
だ。カーブなので向こうはこちらが見えない。落ち着いてカメラを構えおさめる。すこし進むと私の姿を認めたようである。そこで、大きく柏手を打っ
たところ、親のほうが驚いた様子で、後ろ足を滑らせるようにして一目散に逃げた。子どもはその後を追う。姿を消した後でも、母親が子どもに発
する鋭い声が何回もした。それが引き金になったわけでもないだろうが、野鳥たちも騒ぎだしたのだ。一番手はカケスである。寺ノ入林道全体でど
のくらいるのであろうか。かなりの数にのぼるであろう。藪にはシジュウカラが潜んでいるし、林の上部からはヒガラの声が聞こえる。ぶら下がりな
がらアケビの実をついばむヤマガラや群れになって採餌するエナガの姿も一見の価値がある。私は季節の草花で(野生の)一番好きなのは秋の
野菊だ。理由を言えといわれると困ってしまう。かなり昔から好きなのである。その野菊を(正式名は別にあるが)カメラにおさめた。花の色が白い
のと紫色(濃さが微妙に違うが)とがあるが、写真で紫色を忠実に再現するのはかなり難しい。南下個体も注意してみたが分からなかった。冬鳥
の飛来にはもう少し時間が必要のようだ。
2012
10
21
室林道ラインセンサスと萩の冬鳥
予想しなかった鳥と出あった。珍しい鳥ではないが今日見るとは想定外であった。その鳥の名前はマヒワ。例年、11月の声を聞いてから姿を見る
ことが多いので意外だった。ヤシャブシやヒノキの球果を盛んにつばんでいる。その様子をみると、長旅で消耗した体をいたわるように懸命に食
べている。もう1種はヒガラである。ヒガラはマヒワよりも早くに飛来してきた。今年はヒガラの当たり年のようである。冬鳥の代表格のジョウビタキ
は19日に地鳴きを、昨日の夕方には背戸を徘徊しているのを車のライトに照らし出された。新堤池のオシドリは20-30羽はゆうに居りそうであ
るし、ノビタキの南下個体も羽根・長根の田んぼで羽を休めていた。室林道に話をもどすと、アサギマダラが2匹、ふわふわと舞っているのを見る
ことができたし、野菊も満開で、とても満足してラインセンサスを終えたのだった。
2012
10
22
東三河ふるさと公園
今の時期は山頂で日の出を拝むことになる。身の引き締まる一瞬だ。それに、実際の体感温度も夏のだらけたものとは一味違ってきた。様々な
鳥たちの声を聞きながら山頂にやてきたところ、大きな樹が生えているのだが、そこから懐かしい声が聞こえてきたのである。ツグミだ。去年の末
から今年の春先にかけてのツグミの様子を思い出した。地元の萩町ではなかなか田んぼに現れなかった。それに比してここふるさと公園では、
園内の芝生や樹木などいたる所からツグミの声がし餌をあさるのが目撃されたことを。すごく多い場所なんだなとの印象を強く持ったのである。そ
して今日の出会いである。ふるさと公園は東三河平野の西端にあり海岸にも大変近い。ツグミがどのルートで渡りをするのかはわからないが、海
岸から侵入するのであればさもありなんと思う。一種独特の雰囲気をもったツグミは渋いのが好きな玄人好みの鳥のひとつではないであろうか。
2012
10
24
茶臼山ラインセンサス
急激な気温の変化が紅葉を鮮やかにしたようだ。麓から仰ぎ見るとそれほどでもなかったが、間近にすると見事な紅葉であった。それともうひとつ
、南アルプスに冠雪があったことは得した気分である。いつもの駐車場におりるとかなり肌寒い。手袋を持ってきてよかったと思う。建物(体育館
の跡)の敷地内でノビタキを見る。南下個体はまだまだいるようだ。頭の上ではノスリがホバリングをする。カワラヒワの群れの1羽が小型のタカ
に襲われた。一瞬のできごとであった。種の特定ができず残念。冬季の楽しみはアトリ科の鳥を見ること。今日はマヒワが楽しませてくれた。独特
の声をあげて群れになり飛ぶ。センサスの後半ではそのマヒワが実をつけたキク科の花に取付いているのを近くからながめた。相当空腹であっ
たのだろう。ごく近くで見ていても逃げようとせず食べている。別の所ではヒガラやコガラの愛らしい姿をみた。針葉樹の古木の枝先や紅葉にもぶ
ら下がり丁寧に食べ物を探している。そこここからソウシチョウのさえずりが聞かれた。茶臼山で唯一さえずっているのがソウシチョウである。正
確なところは分からないがかなりの個体数にのぼるものと思われる。一番の冷え込みとあって一枚多く羽織り手袋をしてちょうど良いくらいであっ
た。次回にはどんな鳥が見られることか。
西暦
月
日
メモ
2012
10
26
萩一円
用事で電動自転車を使い萩を回った。自転車の良いところは省エネであるととも、自然に対して身近であるということ。野鳥の姿や声をたよりに名
前を確認し、止まってノートに記録するのを何度も繰り返す。羽根・長根の田んぼではノビタキの個体数をカウント。歩行よりも移動が速い分個体
数カウントには有利。あらためてモズの縄張り争いにも注目した。いたる所で目立った場所に陣取って主張を繰り広げている。できるだけ電動ア
シストを使わないようにしているが、走行距離が伸びるに従いボタンに左手の親指がゆく回数が増える。まして復路は登り坂なのだから。山陰川
沿いにさえずり裏並木の下を通過する。そこでこの秋最初にみる種が2つも同時にみつかった。ビンズイとアオジだ。ともに河川近くで見ることの
多い冬鳥(漂鳥)である。コンパクトカメラでも持っていたらよかったのに思う。空には巻雲が広がって寒気の南下を知らせているようだ。
2012
10
27
羽根・長根の田んぼ
今日は2年生3人組と特別会員3人が生徒である。今年の探鳥会中でも一番と言えるほど気持ちのいい日であった。そよ風と乾いた空気、ノボロ
ギクが揺れるたんぼ道を少し足早にゆく。民家の一角からジョウビタキの声がする。それは電線にとまっていた。早くも目当ての鳥のお出ましだ。
モズたちは縄張りを守ることに専念する。先を急ぐ理由がある。長根の先にある新堤池のオシドリを見るためだ。それでも左右に広がる田んぼに
目と耳を集中させることは怠れない。前日に8羽を数えたノビタキを見つけるためだ。ところがなかなかいないのである。これはダメかなと思い始
めたころ、セイタカアワダチソウの花の上に1羽だけ発見した。ありがたい々。今日は望遠鏡でのぞくのがとても楽であった。大きなお兄さんが素
早く目的の鳥を視野の中に入れてくれた。迷路のような長根の背戸を進み新堤池に着いた。意外にもオシドリの声がしないので不安をいだく。そ
れでも行かなくてはと茂みに進む。最初に見えたのはマガモであった。オシドリは池の周りの木々に隠れて見えない。2・3分くらいこの状態が続
いただろうか。もしかしてダメか!再び弱気が出始めた。そんな気持ちを察してくれたのか数羽のお目当ての鳥が水面を右に左に泳ぎ始めたの
である。子どもたちは写真で見たのと同じ実物を見て感嘆の声を上げた。それでも望遠鏡の視野から入ったり出たりして思うように見られないの
であった。ところが、その中の1羽が水面を蹴って飛び上がり樹にとまったのである。それもよく見える場所に。しめた。あとはゆっくりと観察するば
かりだ。樹にのぼるのが不思議に見えたようだ。彼らの好物はドングリと言うと2度びっくりしたようだ。池のまわりはやぶ蚊の巣であった。早々に
引き揚げよう。おやつタイムを楽しんで学校に戻る。
2012
11
2
室林道ラインセンサス
朝日が当たるとほっとする、ヒンヤリと肌寒い室林道である。林の中に光が入り照葉樹が金色に輝く。虫食いで青空が透けて見えるサクラの葉も
黄色に染まってきた。そこにいたのが、私には久しぶりのトラツグミ。春先の少々薄気味悪い鳴き声を最後に聞いたのは何時の頃であったろうか
。最近のことでないのは確かだ。それが突然目の前に現れたのだから驚いた。日が低いまだ薄暗いほどの所にいたので、最初肉眼では何だか
よく分からなかったが、あわてて双眼鏡を向け、その視野の中にに鹿の子模様をみつけた時には先にも述べたとおりドキッとしたわけだ。全く予
想もしていなかった鳥に出合うと驚きもし、幸運を喜びもする。それがあるからこそフィールドに出かける力も湧いてくるものだ。何があるのかわか
らないから面白い。これは、生活でも同じだし人生そのものではないか。もちろんふだんの鳥との出合いが詰まらないということでは決してない。
2012
11
4
羽根・長根から駒場池
チョウゲンボウが田んぼから飛び上がる。あっという間に姿が見えなくなる。一時、ハシボソガラスがその後を追ったもののすぐにあきらめたみた
いだ。ノビタキの姿はすでになかった。11月1日に豊川市の田んぼでタヒバリを見た。その時は遅くまでいるな、との印象を強く持った。だから、も
しかしたらいるのかも、淡い期待をもって田んぼの中を探したのであるが。その入れ替わりと言ってよいのかどうか、タヒバリの群れがやって来て
いた。軽やかな鳴き声をあげながら田んぼを飛び回っている。セグロセキレイの追い行動が秋の風物詩というのは大胆すぎるだろうか。けれど、
大騒ぎな声をあげてセグロセキレイが追いかけっこをするのを見つけることが多いのは、そろそろ冬の気配が感じられるこの時期なのだ。駒場池
に向かう。すでにマガモの飛来は新堤池で確認していた。ずっと広い駒場池でも当然いるであろう。湖面をすいすい泳ぐ姿を思い描きながら駒場
池へと向かい、木立の切れ目から水面を眺めた。ところがマガモの姿が見当たらない。意外!それでもと思ってゆっくり車を進める。なにしろこの
道は今なお未舗装で、おまけに水たまりが多いときている。なかなか完全に乾くことがない所なのでうっかり車から降りると泥だられになってしま
う。だから車の中から観察した。やがて、点々と水鳥が見えてきたが、思ったよりずっと少ないものであった。全体でみても30羽には達しないので
はないか。もちろんこれから増えてゆくだろうが。水たまりを避けながら(それでも大部分は避けきれないくらい大きな水たまりであった)先に進む
と、足元近くにきれいな鳥が見えた。ジョウビタキのオスだ。例のお辞儀を何度も繰り返しながら去って行った。
西暦
月
日
メモ
2012
11
8
乙女川
その美しい名前に引かれて、自分の中では早い頃からフィールドに登録していたのだが(ナンバー10が乙女川)、近年はあまり訪れたことがなか
った。それというのも、乙女川の素晴らしさを代表する(と私は思っている)種が見られなくなってしまった(と思いこんでいた)からだ。その種の名
前はカワガラス。水かきのない水鳥。水がなくては生きてゆけない鳥、水の中で採餌し、滝裏に営巣する鳥を想像すれば、カワガラスがいかに興
味深い鳥であることが分かっていただけることであろう。水がきれいな川でしか棲まない。だから私の住む山陰川では絶望的だ。カワガラスが見
られる最も近くに位置する川として一目も二目もおいてきた。それが、だんだんと足が遠のいた理由は先に述べた。しかし、もっともっとよく見ない
といけない、乙女川からそう言われていたのを分からなかったのだ。まずは現地に行け。そうなのだ。カワガラスは間違いなくいることが分かって
からは欠かさず出向くようになった。途中の記録が消失していることは自分の至らなさを忘れないためのものとして記憶しておこう。
2012
11
10
観音山
気持ちのよい秋晴れのもと、3名の萩小の子たちと、総勢9名で観音山へのコースで探鳥会をおこなった。少し風が強かったので鳥が現れてくれ
るか危惧したが余計な心配であった。それどころか、近くの山から山へと群れになった小鳥たちが次々と飛び上がる様子が観察され、遠くて種の
同定はできないがとてもわくわくとした気分になった。それは山陰川沿いを歩き始めて現実のものとなった。萩町としては冬鳥として観察されるほ
とんどが、たった200メートルにも満たない範囲で見たり、声を聞いたりできたのだ。名前を挙げる〈ジョウビタキ・アオジ・カシラダカ・シロハラ・ク
ロジ・ビンズイ〉こんなことはそうめったにあるものではない。カシラダカの冠羽を立てた姿、薄墨色のクロジなどは印象に残ったようだ。田んぼに
来ると別の野鳥が出迎えてくれる。やはり冬鳥であるタヒバリや留鳥のカワラヒワの群れなどである。青空をバックにホバリングをするノスリやトビ
にも目が向けられた。トビにモビングを仕掛けるハシブトガラスもいる。おもしろかったのは、ジョウビタキのメスが、畑に立っている獣が侵入する
のを防ぐための電線のポールを使い、ポールの先に止まったら次は地上で採餌し再びポールに止まる動作を、手前側から順序良く繰り返したこ
とだ。おかげで、至近距離からフィールドスコープで姿を観察できた。親切な彼女に感謝したい。山の裾にある樹の天辺にビンズイが、竹には10
羽ほどのカワラヒワが両方とも、フィールドスコープの視野の中にきれいな姿を見てとることができた。南よりの風を避け(北風が巻いていたのか
もしれない)陽だまりのような所でおやつタイムとした。質素ではあるが和やかな時間が過ぎる。
2012
11
13
室林道ラインセンサス
弱い前線通過がラインセンサスの間にあった。みるみる青空が無くなり、そして、センサスを終えてみれば太陽が再び輝いていた。空模様が気に
かかり仰いでいたら、偶然にもタカが飛んでいた。いつも見かけるノスリとは違っていた。ハイタカ類のようだ。オオタカかハイタカであろう。すっか
り気を良くしてセンサスを開始する。室林道には植林されたスギ、ヒノキの若木が多いが、その辺りから聞こえてくるのはヒガラのようだ。また、別
の声も聞こえてくる。これはマヒワだ。マヒワはヤシャブシの球果にくちばしをねじ込んで種を食するが、針葉樹の種も大切な食糧源のようだ。30
羽を超える群れが密になり一斉に飛び立ち驚いた。思わず「あっ」と声を上げてしまった。ウソも鳴いていた。ウソの声は優しいイメージであるが、
今日のは、とてもそのような感じではなかった。とても大きな声だったのだ。定番のサクラの樹にはいなかった。普通の樹の中で採餌しているのが
見られたのだ。まだサクラの芽は小さいから当然だろう。冬鳥の出現はこれだけでは終わらなかった。林床がシダに覆われた薄暗い所に差し掛
かった、そこでミソサザイの地鳴きを聞く。声の主を注意深く探す。こんな時には歩行を止めなければならないが許してもらおう。樹の根元や低い
枝を伝って移動しているこげ茶色の小さな姿を見つけた。ああ嬉しや!ミソサザイには思い入れがあって、たとえ地鳴きだけであっても嬉しくなる
。最後に確認したのが(まさにラインセンサスの折り返し点で)さえずり一発のルリビタキだ。山から下りてきて間もないころに、オスがさえずりを聞
かせることがある。それに出くわしたわけだ。さえずりは一回きりで、あとは数回の地鳴きがあった。復路では、先の土曜探鳥会(11月10日)でも
確認した薄墨色のクロジを再び見ることができ大満足であった。空のタカが気になりながら戻った。ところが、そのタカは林道脇の樹から現れたの
だ。その時の様子で、オオタカよりも小さいハイタカではなかろうかと思った次第。
西暦
月
日
メモ
2012
11
18
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道は紅葉よりも黄葉が多い。シロモジなどはイチョウにも負けないくらいに黄色が映える樹木のようだ。林道に広がっている落ち葉はま
だ新鮮味があって、幹を離れてから時間が経っていないのだろう。午後からのセンサスということもあり、鳥の声もあまりしないようだ。ただし、よく
聞けば結構鳴いていることがわかる。真剣に聞かなければならない。そうして聞いたのがヒガラの地鳴きだ。主に針葉樹の林で鳴いている。なか
なかデリケートな感じでエナガのようにも聞こえたりする。とても数までは言い当てることは不可能ではあるが、センサスの間あちこちでつぶやき
を耳にした。カヤクグリが鳴いた。高山鳥のカヤクグリが身近に見られるのは秋から冬にかけてだ。地元の萩の里山でカヤクグリに出合える機会
はあまりない。合えたなら幸運と言えるだろう。それに比べたら、ここ寺ノ入林道では合える可能性がずっと高い。カヤクグリは私にとってミソサザ
イとともに特別な鳥である。私の(鳥の)師匠が人工繁殖用に捕獲する(もちろん許可を取って)のを間近に見ることができたからだ。どのような所
に棲息しているのか随分と勉強になった。もう20年近くも前のことである。ヒガラ、ミソサザイ、カヤクグリなどは大いに歓迎するところであるが、
そんな気持ちを暗くする出来事が起こった。賑やかな声であった。茶臼山を席巻しつつあるソウシチョウであった。個体数は正確には言えない。
地鳴きとさえずりがともに聞こえる。寺ノ入林道でソウシチョウを確認した記憶が無い。今日が初めてなのかと思い調べてみたところ、2005年に
1度だけさえずりを聞いたようだ。珍しい事には間違いないが、なぜか喜べないのは、ソウシチョウが帰化鳥であることが理由の全てであろう。
2012
11
20
駒場池
カモたちはどの程度来ているのか、種数は?、オシドリはいるのか?、いろいろ気になるところがあって出かけた。ロック式ダムの堰堤下に車をと
めて、未舗装の周回道路をセンサスする。池に浮かぶ水鳥だけでなく周りの林からも種々の小鳥が現れるので好きなコースだ。カモ類は、マガモ
がおよそ100羽、カルガモが10羽、オナガガモ2羽、オシドリ2羽であった。カワウが枝にとまっている。小鳥は随分といた。メジロやヒヨドリが多
いが、冬鳥のヒガラやマヒワなどもいた。マヒワが2羽道路の水たまりで水飲みをしていたのを見たが、初めての経験であった。足元でカワセミが
盛んに鳴いていた、そして、対岸に向かって一直線に飛んで行ったがその早いこと。駒場池に飛来する水鳥の大部分はマガモである。残念では
あるが個体数は減少方向にあるようだ。
2012
11
20
金沢大池
金沢大池を訪れるのは秋から冬にかけてがほとんどである。この時期がもっとも野鳥の種類も数も多い。近くの工場からの昼のチャイムを聞きな
がら池の周りからセンサスを開始した。キンクロハジロやハシビロガモがのんびりと羽を休めている。池に突き出た枝にはカワウがいる。小型の
鳥はカイツブリだ。池の周りは灌木が茂る野鳥の棲みかとして絶好の場所で、季節風を北側の山々が遮ってくれ日溜まりのような所である。柿畑
が多いので、収穫後の残り物をご相伴できる特典もここにはある。灌木から盛んに声がする。どうやら群れが通過したようだ。声で判断する。シジ
ュウカラ、カシラダカのようだ。柿畑は林に囲まれていて
そこにはこの時期、アオジ、シロハラ、ウグイス、ジョウビタキが多い。柿畑に来るのはツグミ。上空ではノスリのつがいが2羽と、翼を早く羽ばた
かせて舞い上がり、あっという間に山に隠れてしまったハイタカがいた。ここはハイタカの宝庫(?)。これまでのことはほぼ毎年繰り返される光景
であるが、今日は、いつもとは異なる種が、それも広範囲で確認することになった。その種とは、ソウシチョウである。一昨日、三河湖で7年ぶりに
2度目の確認をしてショックを受けていたところに再びである。2010年12月に一度だけ記録がある。実は、4日前、自宅のごく近所でも地鳴きを
聞いていた。この冬は平地でソウシチョウの確認が増えるのではと危惧し始めたのである。
西暦
月
日
メモ
2012
11
21
室林道ラインセンサス
11月21日は、20年前、1992年に初めて探鳥会に参加した日付だ。場所は同じ室林道であった。講師の山口さんのすぐ後を歩いた。後からは
萩小の子どもたちと父兄が続く。麓から山の上空を見上げ、「今飛んでいるのはオオタカで、日本中合計しても3000羽しかいません」と山口さん
が言ったことを今でも忘れない。学校から室林道までの間に見たのは、ムクドリ、モズ、セグロセキレイ、オオタカ、ジョウビタキ、アオジ、イカル、ヒ
ガラ、ウグイスの9種であった。一発で鳥にはまってしまった。翌週の週末には近くの本屋で野鳥図鑑を買い、星を見るために買った古いニコンの
トロピカルがバードウォッチング用に早変わりした。重くてレンズにカビが生えている(窒素ガス封入なのに)代物ではあったが、口径5cmのレン
ズの切れは良かった。半年余りは小学校の娘が先生を務めた。その話がまわりまわって山口さんに伝わり、直接指導を受けることになったのだ。
当時山口さんは動物園で野鳥の繁殖をされていた。いくつかの種の繁殖に成功されているすごい人であることが分かった。それからは頻繁に野
外にお供をした。いろいろな話を食い入るように聞いたものだ。それが今の自分の基礎になっているものと確信している。趣味を通して人との交
流も増えた。動物園の飼育員の人たち、萩小学校の先生がた、そして子どもたち等々。野鳥は、大げさでなく、生きる希望になり、成すべきことを
教えてくれた。あれから20年、同じ日に同じ場所で、野鳥観察ができる幸せををかみしめながら、いつもの通りのやり方でラインセンサスを開始し
た。何度も言ってきたように、今年は冬鳥の飛来が多いように思う。ウソがあちこちで鳴いているし、ヒガラやマヒワの姿も珍しくない。初雪が遅く
なているとのニュースを聞いたが、野鳥の寒冷地からの脱出は早まったのであろうか。自分には分からないことばかり、それが野鳥観察の世界
だ。20周年ということは、ようやく成人を迎えたばかり。これから大人になるために、さらに精進してゆこう。そして、野鳥と子どもたちの橋渡しの
役を続けてゆこう。
2012
11
22
萩小探鳥会(1・2年生)観音山コース
薄雲がかかり風も無く穏やかな朝を迎えた。雨の降ることもありとの天気予報で心配していたが、まずまずひと安心である。低学年(1・2年)の児
童28名が2つに分かれて探鳥会をする。山口さんが室林道コース、私が観音山コースを受け持った。数名の父兄も一緒に参加する。学校の傍
の大きな樹からはヒヨドリの大きな声がする。隣接する保育園の園児たちが庭に出て遊ぶ声と負けないくらいの賑やかさだ。山陰川ではキセキレ
イが川辺で採餌し、葦の中からシジュウカラとホオジロが鳴いている。サクラ並木にとまっているのはカシラダカとホオジロ。薄暗い林の中からク
ロジの地鳴きがかすかにする。並木が終わると田んぼが広がる。上空にトビがやってきた。その数はどんどん増え大きな柱のようになり、旋回し
ながら上昇してゆく。同行のお母さんから「なにをしているのですか」と聞かれ、恋の季節を迎えるこの時期だから合コンかな?と答える。2時間は
瞬く間に過ぎた。初めに「5種類以上は見ようね」と話した。みんなの記録用紙に書かれた鳥はそれを大きく上回ったことだろう。
2012
11
24
羽根・長根の田んぼ
萩小の校庭がニキビがいっぱいできている。ミミズの仕業のようだ。モグラも10センチくらいの小山を造り上げた。ミミズと朝のラジオのネタからダ
ーウィンの話をする。今日11月24日は、1859年にダーウィンが種の起源を出した日だ。ダーウィンと共に進化論を提唱したウォーレスの事は
話さなかった。薄雲が日差しを遮っているが、北風はそれほど寒くは感じない。梢にツグミがとまっていた。羽根・長根の田んぼに来ると風が通り
抜けるためさすがに寒くなる。しかし、それを和らげてくれるかのように薄日が差してきた。元気を出して観察を続ける。ヒバリやタヒバリが一斉に
舞い上がると思えば、ケリがたたずんでいる姿が見られる。サクラの梢ではカワラヒワがきれいな黄色い模様を見せてくれる。太陽がすっかり出
たのでとても鮮やかに見える。最終目的地の新堤池に着くとオシドリの鳴き声が聞こえた。これならば姿も観察できそうだ。その通りで、樹に上る
もの、池を横断するものなど、鮮やかなオスと地味なメスの、オシドリ夫婦のカップルが数多く見られた。晴れ間は徐々に広がり、帰り道は汗ばむ
くらいになってきた。ときおり吹く風が心地よく、幸せな気分を味わうのだった。
西暦
月
日
メモ
2012
11
27
茶臼山ラインセンサス
スキーのリフトを支える鉄塔の上で点検する人がいた。近くに同じ会社の人がいて挨拶を交わす。ゲレンデに6基の降雪機が並んでいて、すごい
勢いで雪を飛ばしている。私の背中から太陽が照らしているので、まき散らす雪の周りに虹ができていた。珍しくもありカメラにおさめたが実物の
方がずっといい。紅葉も終わり、スキーの季節までしばらくは訪れる人も少ないのだろう。ひとり静かに歩く。すると、道路わきから鳥の鳴き声が聞
こえてきた。ベニマシコの地鳴きだ。辺りに目をこらすと、枯れたような草にへばりついて、実を貪るように食べている姿がそこにあった。きれいな
オスである。そういえば、同じような光景を見たのを思い出した。マヒワが、やはり草の実を一心不乱に食べていた。ともにアトリ科の鳥で、羽の色
彩こそ違いはあるが、同じように採餌する様子は、彼らが近い親戚関係にあるのだなーと実感させてくれた。そこから100メートルも行かないうち
に、今度は、きれいな澄んだ声がする。カヤクグリだ。この鳥も寒さに強い。ベニマシコとは対極にある地味な色の鳥ではあるが、そこが日本の鳥
らしくていいと思われる人も多いだろう。私のそのひとりである。茶臼山の山頂付近の木々が銀色に輝いていた。樹氷になっているのであろう。峠
を越すと長野県の山々が見える。恵那は雲に隠れていたが、大川入山は点々と輝く木々が見えた。南アルプスの高峰は雲が頂を隠していたが、
2800メートルくらいの脇座は雪で薄化粧され、主役が不在でも十分見ごたえがある。2800メートルもあれば、アルプス以外の所ならば抜きんで
ているのであるが。
2012
11
29
萩小 秋の探鳥会 4年生 駒場池コース
薄雲が太陽を覆っているものの暖かな朝を迎えた。学校に着くと、先を豊橋動物園のお二人が校舎に入って行くのが見える。校庭では、本日の
探鳥会を進行する役割の児童たちが最後の確認をしていた。校長室での打ち合わせを終え、3年生以上の子どもたちが整列する校庭に向かう。
慣れているとはいえ、身の引き締まる瞬間だ。自己紹介では、DNA構造発見者のひとりJ・ワトソン博士が、子供の頃から、父親に連れられてバ
ードウォッチングをすることを楽しみにしていて、後年の、生物の道に入るきっかけになっていた逸話を紹介した。ちなみに、2013年3月は、ワト
ソン、クリックがDNAが2重らせん構造であることをネイチャーに発表60周年記念になる。山中教授のIP細胞をはじめとして、今日までのバイオ
テクノロジ-の発展の始まりは、生物学上20世紀最大の発見と言われるDNA構造の解明にあった、と言われている。そんな偉人の幼少期に鳥
が関わっていたとは、嬉しい限りではないか。学校を出て、バイパス道路を目的地の駒場池に向かって進む。今は第2東名の工事が始まっており
、大型ダンプや運搬車の行き来がとても多い。ガードレールに守られた歩道を野鳥を見ながら歩く。ヒヨドリが大きなクスノキの中で飛び回ってい
たり、藪の中からウグイスの地鳴きが聞こえたりする。冬の使者ジョウビタキも何度か姿を現した。その時私は、オスとメスの羽の色の違いを話し
た。駒場池のカモにも通ずると思ったからだ。すると、子どもからは、なぜ色の違いがあるのか、との質問を受けてしまった。一瞬戸惑ったが、もう
4年だし分かってもらえると信じて、あのダーウインさえも悩み、一緒に進化論を提唱し、のちに、強力なダーウィニズムの擁護者となるウォーレス
でさえも認めなかった性選択説の聞きかじり知識を、子どもたちに話すことになった。メスによるえり好み(性選択説)とオス自身による広告(ハン
ディキャップ理論)の2説を述べたのだった。駒場池に着いた。木立の間からは湖面に浮かぶ水鳥が垣間見れる。すぐにその名前を口々に言って
いるのを聞くと、さすが
4年生と感心する。カルガモとマガモの2種類がいて、特にオスのきれいな羽が目に留まったようだ。この付近を歩くことは大人でもまず無いだろ
う。豊川市街地への抜け道としか認識されていないに違いない。だから、幹線道路から一歩離れるとこのような自然豊かな場所があることに、子
どもたちは驚いたようであった。事実、道路は未舗装で先日の雨の水たまりが残っていて、それを楽しみながら避けてあるいたのだ。シジュウカラ
やコゲラと言った慣れ親しんだ鳥もいたし、私自身は今年の冬は多いのでは感じているウソにも出合えた。コースの途中で出合えたウグイスやジ
ョウビタキの鳴き声も再び聞く。なんども聞いて、さすがに名前は直ぐに出てきた。樹木の切れ間が大きく、広く湖面が見渡せる所で改めてカモた
ちを観察する。そこで先の2種に加えて、オシドリという子どもたちに大きなプレゼントがあったのだ。内心期待していたが子供たちには話さないで
いたのが良かった。1列になりオシドリたちが進行するさまをじっくりと観察できた。フィールドスコープはこういう時のために使うもの。視野にとらえ
たきれいな姿に、一様に感嘆の声を上げた。美しい自然はいつまでも心に残るものだ。私は、彼らが大人になって同じ年頃になった自分の子ども
に、この日の探鳥会の話を聞かせているのを想像する。再び学校の校長室で簡単な反省会を開いた。先生からは、これからも萩小の特色である
探鳥会を続けていきたいとの決意を感じた。毎年の行事ではあるが、それが積み重なって萩小の歴史の高みへと向かってくれたらうれしい。私自
身が萩小の探鳥会から鳥が好きになるきっかけをいただいた。できるだけの恩返しは当然のことであろう。
西暦
月
日
メモ
2012
12
1
土曜探鳥会・室林道ラインセンサス
雪を降らせた雲なのであろうか北風にのって上空を過ぎてゆく。時折雨粒が落ちてくるのが気にかかる。高浜市から来ている牧野さんに雲の様
子を聞と、岡崎よりも西側は晴れていて、この付近だけが雲に覆われていたとのこと。では、しばらくすれば晴れ間も見られる。けれども途中で雨
に降られるのが心配なので、室林道へは車で行くことにした。9人のメンバーなので2台に分乗する。そうすれば室林道をゆっくりラインセンサス
できるので都合がいい。少しだけ標高が高いだけではあるが、冬の山はさすがに冷え込みが厳しい。その分冬の鳥を満喫することができるわけ
だ。ジョウビタキ(ルリビタキ?)の声がした。姿が見られたらいいのに残念。さらにウソの声。今年は早々とやってきた。期待どおりの展開である。
オスとメスがサクラの芽をついばんでいる。混群にも出合えた。コゲラ、ヤマガラ、シジュウカラが一斉に姿を現わし、あっという間に見えなくなって
しまった。休憩時間に目の前でメジロの群れが樹の実を食べているのが見られた。メジロが好きな子にとって素敵な光景であろう。同じく群れで採
餌するマヒワの群れに合う。彼らはヤシャブシの球果をかじっていた。あと見たいのはヒガラだ。声はするが姿が見られない。そろそろコースも終
わりになりかけた時、松の枯れ葉の中を数羽の小鳥が見られた。ヒガラだ。伊達な蝶ネクタイ姿を自慢げに餌を捕っているのだった。ああ良かっ
た。これでお目当ての3種がそろって見られた。牧野さんの言うとおり、やがて室林道の上空は冬晴になり、暖かな日差しが優しく包んでくれる。
太陽はなんてありがたいんだろう。
2012
12
6
羽根・長根ラインセンサス
午後になると、北風が吹き、寒さも一層厳しくなるのが冬の特徴であろうか。だから、やることは午前中に済ませておきたいと思うのは私だけでは
ないだろう。鳥の観察も例外ではない。ところがどうしても都合が付かないことも当然あるので、そんな時は、気合を入れて鳥を見に出かけること
になる。冬の羽根・長根の田んぼは、北風が通り抜ける地形の性格上一日を通して寒い場所であるが、特に午後からが本領を発揮する。今日は
、そんな時にセンサスを始めたわけだ。防寒具は万全にしたので知り合いに会っても向こうは誰だかわからないかも知れない。ケリがたたずむよ
うにして田んぼにいた。居た場所を思い起こすと、あぜの近くや水路の横など、比較的低く風の当たり具合が比較的優しい場所を選んでいたよう
である。タヒバリも水の流れていない水路を好んでいた。そこは風がほとんど当たらない。そのタヒバリとカワラヒワが群れていたが、両者とも30
羽は超えることなく、割と小さな群れであった。羽根・長根において、小鳥たちの捕食者の代表がチョウゲンボウであろう。田んぼの一角からさっと
飛び上がり、激しい羽ばたきで獲物を追う。小鳥にとっては気が気ではないだろう。今日もそのような姿を垣間見みれた。田んぼで活発に採餌す
ることの多いハクセキレイであるが、田んぼの畔にうずくまっている個体を見つけた。近づてみるとその場を離れたが、少し元気がないように見え
る。病気なのか?。1時間も経っていないのに寒さはぐっと増してきた。風も強くなったようだ。風邪がぶりかえしても詰まらない。車に向かって速
度を上げた。
2012
12
7
室林道ラインセンサス
今年は平地において、帰化鳥であるソウシチョウをよく見かけるが、とうとう、室林道でもその姿を確認することができた。数羽の個体が林道に降
り採餌していた。その間何らかの声を発することは無かったので、繁殖地における彼らの騒々しさを思うと意外に感じた。少し前に、豊川市金沢大
池でソウシチョウに出合ったが、その時は、さえずりと地鳴きを確認できた。肉眼で一見したところ、クロジの群れが採餌しているように見えてしま
ったが、思い込みは禁物。双眼鏡があるのだから横着してはダメだ。ヒヨドリが鳴いていた。2、3羽はいたであろう。すると、突然、声の辺りに飛
び込んでゆく鳥を見た。犠牲者はいないようだ。再び姿を見せると、種を特定する間もなくあっという間に飛び去ってゆく。大きさから判断してハイ
タカまたはツミではなかろうか。水平方向に視線をやると、木々の間から見るのはノスリだ。ゆったりとソアリングしている。センサスの終わりころ、
頭上に再び現れ白い翼を見せてくれた。
2012
12
9
平尾
平尾の池でコガモを見た。隣にある駒場池ではコガモの姿を見ることはないから不思議である。何が違うのか。確かに平尾の池には、毎年コガモ
が飛来する。浄化装置が回っているあまりきれいとは言えない池なのであるが、なぜか、ここが気に入っている様子。マガモのつがいもいたが、こ
こはコガモの楽園。隅でおとなしくしていたのが面白い。手前から池の奥に向かって一直線に飛ぶのはカワセミだ。その後から、アオサギがカワ
セミとは対照的にゆったりと飛んでいった。
2012
12
9
駒場池
マガモがのんびり浮かんでいるのはいつものことであるが、湖面ばかりに目を向けてほしくないとばかりに、池に覆いかぶさるようにある樹の一
角で白いものが見えた。あの白さは、ミサゴに違いない。手に持っていたフィールドスコープを向けたら、あたりをきょろきょろ見るミサゴの顔があ
った。黒い隈取が凛々しい。しばらくして、ゆったりと飛び立っていった。その際、ピヨピヨピヨと、精悍なタカらしからぬ声を上げていった。
西暦
月
日
メモ
2012
12
11
室林道ラインセンサス
林道を歩くと、頭上から昨日の名残の氷のかけらが降ってくる。当たっても痛くはないが、双眼鏡のレンズが濡れるのは困るので、フィールドノート
で隠すようにして歩く。ウソやヒガラの姿声が確認できる。ウソによる花芽採餌によりソメイヨシノの開花は期待できそうにない。ルリビタキにも出
合った。ジョウビタキの地鳴きと紛らわしくて(私の実力では、姿を見ないことには種を同定できそうにない)困る種であるが、今日はいずれもルリ
ビタキと自信を持って言える。いずれもオスであった。冷え込みが厳しいのか、ウグイスやヤマガラ、シジュウカラなどは鳴き声も少ない。
2012
12
11
御津海岸
室林道から向かったのは御津海岸。林道から眺める海岸の景色はとても明るくて気持ちがいい。22日には土曜探鳥会でカモを見に行くことにし
ている。思い立ったが吉日、下見をしておこう。音羽川を河口に向かって車を進める。最初に現れたのは淡水ガモたちだ。ヒドリガモ、オナガガモ
が多い。キンクロハジロも混じっている。堤防の下にはアオサギやカモたちが列を成して休んでいる。北西の寒風を避けるためだ。カワウが捕ら
れた魚をユリカモメが横取りしようと上空で待ち構えている。ユリカモメが襲う前にしっかりと呑み込んでしまった。河口付近に多いのが海水ガモ
だ。やはり水深の違いで棲み分けている。スズガモやホシハジロがいた。付近にいたのであろう、突然上空に現れたのは海岸でおなじみのミサゴ
だ。海面を舐めるように探査してゆく高性能マシンだ。埋立地に入り、豊川河口に向かう。工場群からの煙が白く輝く。海面もそれに劣らず銀色に
見える。とても美しい風景である。今いる所から海面までの高さは10メートルは切っているように見える。3月11日以前であったなら恐怖心も無
かったであろう。しかし、3月11日を知ってしまった。自然は美しく恐ろしいのだ。海面を5センチ7倍の双眼鏡で観察する。1キロメートルほど先の
河口付近で黒いスジ模様が見えた。海ガモだ。種の特定、個体数確認は無理。それでも、経験上、数百羽以上のスズガモの群れであろう、と推
定はできそうだ。埋立地の大部分は工場などが建っている。それでもまだかなりの空き地があって、そこをねぐらにしている野鳥も多いに違いな
い。カワラヒワ、ツグミ、ヒバリ、ヒヨドリを確認する。先ほどから工場わきの電線にとまっているのは何だろう。ハトかと思っていたが、飛び立って
分かった。チョウゲンボウである。陸側を眺めると標高1000メートルに満たない山なのに白く薄化粧をした山が目立った。茶臼山への探鳥はもう
止したほうがいいのかもしれないな。
2012
12
16
室林道ラインセンサス
三河湖から下りてきて、腹ごしらえを済ませ、そのままの足で室林道に向かう。すでに正午を回っているせいもあろう、とても静かである。鳥たちよ
、どこ行った?ウソもあまり見られない。ヒガラの姿もちらほら。こうしてみると、単に観察時間帯だけの問題ではなさそうに思える。鳥たちは頻繁
に場所を変えている可能性を否定できないのかもしれない。
2012
12
16
寺ノ入林道ラインセンサス
風はかなり強いものの、それほどの冷たさは無い。不思議な感じの天気である。昨夜雨が降った。鬱もならば路面凍結があっても不思議ではな
いが、この日は、まったく問題なく寺ノ入林道にやって来れた。とても静かだ。隣山の奥から聞こえるクレイ射撃場からの銃声を除けばであるが。
このくらい静かなら小鳥のつぶやきも聞くことができる。特にヒガラは、さえずりは別として、いたって小声な鳥であって、地鳴きから居場所を定位
するのが難しいのだ。少ない情報から、あっ、ヒガラだ!と耳が反応するのがたまらなく楽しい。春のさえずりとまた別の楽しみが冬の野山にもあ
る。私はむしろ後者の方を採りたいほどだ。ミソサザイの地鳴き、カケスの声、そしてヒガラの地鳴きなど、寺ノ入林道の森閑とした景色にマッチし
ていると思う。
西暦
月
日
メモ
2012
12
19
高浜市海岸と碧南火力発電所
土曜探鳥会の相棒である牧野さんの地元、高浜市と南隣の碧南市へバードウオッチングをしにいってきた。途中大型トラックの単独事故があった
りして渋滞がひどく、牧野さんの家まで2時間かかってしまった。ご本人は口には出さないが、土曜探鳥会に来られる牧野さんの苦労を改めて感
じとったところだ。さっそく高浜港周辺を見て回る。昔、貯木場のあった所が定まったフィールドであるが、北風を避けるようにして、堤防の下にか
たまってカモの姿があった。数か所のかたまりがあったように思う。スズガモ、ホシハジロの多い群れ、ハシビロガモの群れ、キンクロハジロの群
れなど。淡水ガモよりも海ガモの方が個体数では圧倒的に多い。しかし、牧野さんたちが観察会を開いたときは、ヒドリガモがずっと多かったとの
こと。この日はオオタカの姿はなかったが、ミサゴが目の前でホバリングを見せてくれた。海岸から白い山が見えるのも不思議な感じがする。御嶽
山や中央アルプスの雄大な姿が望めた。次いで臨海道路を南に走り碧南市にむかった。碧南火力発電所にも毎年行っている。広大な敷地の南
の外れに人工的に自然が作られていて様々な野鳥が生息している。樹木の手入れもすばらしくて歩いていても気持がいい。ここで一番多かった
のは何と言ってもメジロだ。常緑樹が多く実の生る木も多いのがその理由であろう。場所柄、鳥たちを驚かせるものもあまりないのかもしれない。
メジロと並んでヒヨドリも多い。ナンキンハゼでは様々の野鳥が実を啄んでいた。先の2種はもちろん、シジュウカラ、ヤマガラ、肉食のモズさえも
実を糧にしている。白く見える蝋状の物質が鳥たちにとってお気に入りのようだ。南端の小道でメジロの群れに出合った。ナンキンハゼはもちろん
、小さな実を付ける木々がふんだんにあって、メジロにとって天国のような所だ。時々シロハラやツグミの声姿がある。シジュウカラやヤマガラもい
る。海岸のすぐ脇での山の野鳥を観察できるとは、中電さんも粋なことをしたものだ。
2012
12
21
室林道ラインセンサス
今年最後の10日間に入った。室林道は特別なフィールドだからと、1ヵ月を上・中・下旬に3等分し、月3回必ず室林道に向かうことをノルマとして
課してきた。大好きな野鳥を見ることなので、苦痛に感じたりいやになることは一度もなかった。寒気団もひと息をいれているのか、日本列島に寒
風をお見舞いするために呼吸を整えているようにも思える。すなわち、あまり寒くない。それでも手袋は必需品だ。林道と太陽との角度によっては
一中陽が差しこまない所ができてくる。そこへ入ると手先が痺れてくる。ところが逆境をもろともしないで生活している野鳥がいる。その代表がミソ
サザイだ。越冬のためにやって来たとはいえ、小さな体にもかかわらず、もともと寒さには強そうである。室林道以外のフィールドに行ったとしても
、同じような条件の場所を見つけると、ミソサザイの姿や声を探してしまうのである。単独でいるミソサザイと対照的なのが群れでいるマヒワだ。こ
の日も、ミソサザイを確認した場所のすぐそばで、道を覆うように伸びている一面のヤシャブシの枝から一斉に、ひと声挙げて空に飛び立つのを
見た。その声を文字に現すのは自分には無理だ。ウソはオス・メスつがいになっているのだろうか。ある群れはオスが多かったり、その逆ももちろ
んある。今までの観察ではオス・メスが同数の群れはめったになかった。いろいろ突き詰めてゆくと分からないことだらけだ。
2012
12
23
羽根・長根の田んぼ
トラクタが田起こしをする傍でハクセキレイとセグロセキレイが餌をあさっている。ハクセキレイは背中の濃い個体、薄い個体、顔の薄黄色の個体
と、性別、年齢も様々である。ハクセキレイは夏季にも生息するようになった。冬季においてはセグロセキレイを圧倒する個体数となっている。日
本固有種のセグロセキレイよりも世界中に生息するハクセキレイの方が強いのであろうか。遺伝的多様性は高いのであろう。ヒバリとタヒバリ、よ
く似ている。鳴き声を聞けば区別できるので間違えることはないが。2羽のケリが滑空ながらやってきて田んぼに下りた。白と黒のハイコントラスト
の羽色が、地上におりて翼を畳んだ途端、グレーの田んぼの土色と同化する様は、見事と言うしかない。
2012
12
25
我が家周辺
周りを田んぼや畑で囲まれているおかげで我が家にはいろいろな野鳥がやってくる。いつもの場所(近くの電線)ではモズのメスが縄張りを主張
する。その隣の田んぼではオスのモズといった具合だ。ジョウビタキのオスは我が家も縄張りの範囲におさめており、毎日のように顔を合わせる
。夕方近くには赤い実をほおばる様子を見つけた。北隣の家の庭も食事の場所になっているようだ。彼は花木の植わった畑が棲家のようである。
そこにはもう1羽しろはらという宿主がいるのだ。ほとんど地上にいるが、時たま花木の小枝にとまって鳴いたりする。50メートルほど北にはセコ
イアが植わっていて、もう辺りの樹の中では一番の高さになっている。ここにとまれば見晴らしは最高である。今日はツグミが止まっていたが、モ
ズ、ヒヨドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラスらも常連客だ。近くの林に棲む小鳥たち(エナガ、シジュウカラ、コゲラ)が混群をつくってやってくるの
も毎日の日課となった。部屋の中にいながらにして様々な小鳥を楽しめるとは、ありがたいことだ。
西暦
月
日
メモ
2012
12
31
室林道ラインセンサス
今年最後の野鳥観察はやはり室林道にした。林道の入り口に車をとめて準備をおこなう。ノートと筆記具は一番大事なものだ。双眼鏡を首に掛
け、記録用のカメラも一緒に掛ける。今日は鳥は撮らない。歩き始めて間もなく、前方から鋭い声がした。一瞬何事かと思ったが、落ち着いてみる
と、室林道では珍しくもない、ニホンザルの発したものであることが分かった。エナガとシジュウカラの混群が常緑樹の中を飛び回っている。今の
季節は、常緑樹の中がえさ場なのだ。クヌギやナラなどの落葉樹にはあまり寄り付かない。スギやヒノキの植林は、特に冬季では、大事な採餌の
場所になっている。ウソやマヒワたちは、それぞれお気に入りの食べ物を持っているようであるが
、ヒノキなどの球果はそれらにもまして好まれているようにみえる。一概に落葉樹林が野鳥にとって好ましいとは言えないであろう。季節で変わっ
てくるのだ。エナガの群れはシイの樹にいたが、ヒガラの群れはヒノキにいることが多い。マツなども気に入っている。両者の鳴き声を聞くと、時々
どちらがどちらだか分からなくことがある。もちろん、エナガには独特の鳴き声があるので(例えばジュリ・ジュリ)しばらく待てば分かってくのである
が。カケスが鳴いた。冬の山に似つかわしい声だと思う。足元を見たら赤い粒粒が見える。マンリョウの実だ。もう少し経つと、ヤブツバキの赤い
花が咲くだろう。それまでの間は、センリョウやマンリョウが目の保養となる。
2013
1
4
室林道ラインセンサス
室林道でこの冬初めての氷柱を見た。春になるとその付近に可憐な花が顔を出す。濃い紅色をしたショウジョウバカマである。今は葉だけが水脈
から滴る水に濡れている。氷柱をつくる水は落ち葉のゆりかごになって溜まっている。この場所にも春にはイモリが潜んでいて、センサスをしてい
る私を観察しているみたいだ。しかし、今は冬だ。そこに命の息吹は感じられない。朽ちてゆく木の葉が見えるだけ。それでも室林道にはマヒワ、
ウソ、ルリビタキ、ヒガラがいる。彼ら冬鳥たちが思い思いに生きているさまを観察できるのは、冬、まさに今しかないのである。だから、痺れるよ
うな木陰も、寒風が抜ける切通しも、喜んで歩くことにしよう。
2013
1
5
財賀寺
土曜探鳥会のスタートを、初詣を兼ねて東三河の名刹財賀寺を訪れることにしたのは、随分前のことである。それには、私の幼い頃の記憶が大
きく影響している。同寺に大祭に出かけることが、一年を通してもかなり大きな楽しみであったのだ。仁王門から文殊堂までずらりと露店が並んで
いて、親からもらった小遣い銭を握りしめて、少しでも気に入ったものを手に入れようと目を皿にして歩いた。そんな記憶はかすかにしか覚えてい
ない。年上の子と一緒に山を越えてお寺に向かったのは間違いないことで、古い記憶を呼び起こそうとしたのかもしれない。当時と決定的に違う
のは、往路に平尾の山道を選んだこと。これは、野鳥観察であちこちを歩き回った賜物であろう。冬季の平尾は地形的に鳥が集まりやすいように
思う。言い換えれば、日当たりが良いことが幸いしているのだ。平尾に入るとアオゲラの鳴き声が聞こえた。地鳴きではなくさえずりだ。すぐそば
のコースからゴルファーの歓声があがる。その一角にある枯れたマツの木にアオゲラは身を寄せて鳴いていた。こんな時はスコープの出番。5人
の探鳥会だからあっという間に全員確認できた。アオゲラは初めて見た子ばかり。インパクトが大きかったようだ。財賀寺に着くことから薄い雲が
広がり始めた。北風がおさまったのはありがたいけれども、日差しも弱々しくなり、少しでも暖かい場所を選んで弁当箱を開いた。少人数であるこ
とが身に染みて分かるのはご飯を食べている時かもしれない。この時はもう少し賑やかなのがよい。じっとしているとやはり寒いので、早々に帰
路につくことにした。境内を裏山に向かい歩き始めた時であった。何羽もの小鳥が樹幹で採餌しているのを見つけた。ヒガラもいたが、それよりも
さらに小型の鳥もいたのだ。キクイタダキであった。日本産で一番の小型鳥と説明し、子どもたちも、普通に見られる鳥ではなさそうだなと感じてく
れたようだ。山を越えて萩に下りてきた。途中、ハプニングが起きたがここでは述べない。見覚えのある景色にほっとして、北風も弱まった田んぼ
道を萩小学校に向かってどんどん歩く。終わって思うに、最後の最後まで飽きさせることが無かった。カヤクグリが鳴いていた。私としては、音羽
地区でこの冬初めて聞いた声であった。さらに、山陰川ではカワセミのダイブまで。それも2羽もいたのだ。
西暦
月
日
メモ
2013
1
11
自宅周辺
新しい年に入って、平年を下回る気温が続いている。今になって思うと、昨年の秋に、冬鳥の飛来が例年よりも早く、個体数も多いことに気付いた
のは、理由があってのことなのだ。大陸での冬の到来が早かったに違いない。地球規模の環境変化が、身近に見る野鳥の変化にも繋がっている
、そう思うとわくわくしてくる。用事の合間に観察をしてやろうと、ノートと双眼鏡を持って、家から半径100メートルの辺りをゆっくりと歩いた。畑の
柿の木にはヒヨドリ、川の土手ではビンズイが枯れた草木にとまり何やらあさっている。似た姿のタヒバリとは、行動の面では違っているように見
える。神社のクスノキを除いて付近では群を抜いて高いセコイアは、鳥たちにとっても絶好の見晴らし台のようだ。次つぎと入れ替わりやってくる。
最初はツグミであったが、それをハシボソガラスが追い払い、ハシボソが飛び去った後からは、アオゲラが、幹の中ほどの高さから徐々に天辺に
向かって登ってゆく。境内を抜け冬枯れの雑草に覆われた田んぼに出る。そこで見たのは、落葉樹の梢にとまっているノスリであった。ノスリは最
もポピュラーな(タカ科の)鳥で、よく探鳥会などでも子どもたちに姿を見られている。野鳥観察入門の頃、オオタカもノスリも知らずにオオタカと記
録していた赤面の思いでがある。
2013
1
12
室から羽根へ
穏やかな青空が広がっている。うっすら巻層雲が広がっていることは、探鳥会にとって大敵の北風がやわらぐという、よい兆候のように思えた。今
日は萩小の子はお休みだ。先週の探鳥会から間が開いていないことも理由のひとつにあるだろう。特別メンバーの彼はお兄さんと一緒に参加。う
れしい限りである。風が感じられないので、当初予定の羽根・長根の田んぼでも良さそうにと思ったが、思い切って新しいコースを発掘するつもり
で、室から羽根の田んぼを周回する道を歩くことにした。小学校のすぐ隣は忠魂碑がある。そこに植えられているソメイヨシノには様々な野鳥がや
ってくるが、今日は、意外なお客さんがいた。5羽のウソが優しい声で鳴きながらソメイヨシノの花芽をついばんでいる。室林道よりも100メートル
以上低い所に位置する場所で、ウソがこのように採餌する姿を見たのは初めてである。かなり昔になるが、萩小の校庭にまでやってきて、ソメイヨ
シノの開花を阻害してしまったことがあった。今年は、はたして、それの再現があるだろうか。コースの途中で熊野神社に寄る。境内の裏山で、珍
しくキクイタダキとカヤクグリがいるとの情報を得たのだ。息を切らせて裏山を登り、せめて声でも聴かれたらと、まだ若いヒノキ林で待つ。5分くら
い待ったか。でも、予想はしていたが、全く気配は感じられなかった(このようなことは普通にある)。熊野神社から室川沿いに下り、羽根の田んぼ
に向かう。そこで、あっと驚くような鳥が山から飛び上がった。オオタカであった。ハイタカの可能性も疑った。ポイントは大きさだ。ハト大かカラス
大か?皆はハトよりも大きいという。今までこの付近ではハイタカの出現ばかりであったので、すぐにオオタカと決めつけるわけにはいかないと思
った。それでも、「あれはカラスくらいはありますよ」との声に押されて、探鳥会の記録用紙にオオタカと記入することにしたのだ。(カラスが並んで
いたら決断できるのに)単独で飛翔する個体の識別は本当に難しい。田んぼにはセキレイ科の鳥がいた(セグロセキレイ、ハクセキレイ、タヒバリ
)。見ればケリの姿もある。灌木の茂みから電線に飛び上がる姿に驚いた。イソヒヨドリではないか?。そのとおり、イソヒヨドリのオスがいた。皆に
は、逆光で色がよくわからないみたいだ。我々が進むと彼は後ずさりするように間合いを取る。しばらくは電線にとまっていたが、やがて田んぼに
下りた。そうしてようやく半逆光の位置になりきれいな姿を見ることができた。田んぼに出ても無風状態は変わらなかった。心地よい陽の光が降り
注ぐ中を、気分よく萩小学校に帰ってゆくことができた。ありがたい。
2013
1
13
室林道ラインセンサス
昨日に引き続いて、風のない穏やかな日となった。室林道から眺める景色も、まるで黄砂が飛来したかのように、ぼんやりと霞んでいる。ハシブト
ガラスが鳴いている。カラスやトビたちは小鳥よりもいち早く繁殖に入るという。両者の群れを見ることが多いが、つがう相手の品定めをしている
のかもしれない。シジュウカラの地鳴きが聞こえる。シジュウカラのさえずりは割と早い時期から始まるので、半年ぶりの歌声を聞かれるのが楽し
みだ。なんでもそうであるが、初めての印象は強く残る。ウソは相変わらずソメイヨシノにへばりついていたし、ヒガラも、群れではなかったが、存
在を確認することができた。センサスコースの中ほどでリスを見た。ヒノキの若木にいて、徐々に幹を下がり、林道をぴょこぴょこ跳んでゆき、再び
ヒノキに飛びついて登って行った。センサスの終点でようやく、今日最初の群れに出合った。エナガであった。エナガの元気さには何度も勇気づけ
られた。ひたすら、今の時間に全力投球している。教えられることばかりだ。
西暦
月
日
メモ
2013
1
21
健康ウォーキングコース
健康のために久々に早めに歩いた。その分、野鳥たちに神経が行き届かなくなるのは残念ではある。それと、双眼鏡も使わないことにした。双眼
鏡を構えるとどうしても立ち止まることになるからだ。でも、フィールドノートは携える。尚且つ、歩きながらの記録は止しにする。ミミズの這った字
で汚したくはなかった。ハシボソガラスとキジバトが最初にやってきた。畑の中でなにやら餌を探しているようであった。山陰川沿いではカワラヒワ
の群れがサクラにとまる。こういう場合に双眼鏡をもっていたらなと思う。大きさの違う鳥がいたようなのだ。地鳴きが聞こえるなら識別もできるが
、無言のままとまっていた。山に沿った道ではクロジやカケスを聞いた。それにハシブトガラスの鳴き交わしもあった。民家ではやはりヒヨドリが多
い。サザンカの花蜜でも探しているのだろうか。1羽、2羽とトビが舞っていた。その側を抜けようとしたら、どこから飛び立ったのか、いつの間にか
空には10羽ほどのトビが円を描いているではないか。ひと言トビと言っても、赤味の強いもの、白っぽいもの、いわゆる鳶色のものなど、いろいろ
な個体がいることが分かる。お寺の前を通るコースなので、少しばかり寄り道し、お墓参りをして帰った。
2013
1
22
室林道ラインセンサス
時間の経つのは早いもので(年齢を重ねると特にそう思う)もう1月の後半になってしまった。嬉しいこと、悲しいこと、どんなことが起きようとも時
間は過ぎてゆくのだ。健康診断を受けて、まだ時間があるので、鳥を見に行くことにした。三河湖か室林道かどちらにしようかと迷ったが(どちらも
、1月のうちに1回は訪れたいと思っている)、天気のことを考えると、三河湖(標高500メートル以上)はリスク大きそうだ。30分以上もかけて行っ
た先が雲の中では切ない。そこで、1月3旬の記録を取るために(時間がやや遅いことが気にかかるが)室林道に行くことに決めた。雨上がり特
有の、今の時期としては暖かい気温に背中を押され、今年3回目のラインセンサスを始める。ウソがソメイヨシノの芽を食べている。個体数を調べ
るのが目的なのでウソのようにカウントが容易な種は助かる、これは少々楽観視しすぎだ。先に見た個体と次に見た個体が別物とどう証明できる
のか。自分にはできそうにない。従って、私のカウント数は多めなのかもしれない。コゲラの姿も多かった。ギェーと鳴きながら幹をのぼり、鋭いく
ちばしで突く。ヤマガラも突くのが得意だ。コゲラが垂直の姿勢でも突けるのに対してヤマガラは、水平に保った姿勢でコンコンと音を立てる。突っ
つきについては、やはりコゲラの方に一日の長があるみたいだ。ヒガラの地鳴きは繊細で好きであるが、キクイタダキもそれに劣らないことが分
かった。1月5日の土曜探鳥会でキクイタダキを確認したのに続いて、室林道でもキクイタダキを確認することができた。菊模様もばっちり。今年
の冬はいつもと違う。ソウシチョウもいた。ヒガラも多い。そして、キクイタダキやカヤクグリがいた。昨日の天気予報で流氷着岸を聞いた。最低気
温が例年を大きく下回っていることも分かった。その前兆は、昨年の秋の冬鳥飛来からあったのだと思う。
2013
2
2
室林道ラインセンサス
この暖かさは! 手袋が全く不要であり、防寒具を着ていたら暑苦しくなった。車に戻って脱ぎ捨て、身軽になってラインセンサスを開始する。朝
まで降ったのだろう、葉っぱの水滴が風で揺られて首筋に落ちた。それほど不愉快でもない。最初に見たのはやはりウソだ。その前から鳴き声の
主はいくつかあった。シジュウカラ、エナガの混群らしいものと、ホオジロのさえずりだ。メジロがぐぜりのような声をあげている。シロハラが林床を
歩いている。カケスが鳴いた。湧水がリズミカルな音を立てている。傍にはロゼッタ状のショウジョウバカマが、びっしりと岩を覆い、赤い花弁を咲
かせる時をじっと待っている。一時の冬の中休みは小鳥たちに安寧を与えたか。
2013
2
2
寺ノ入林道ラインセンサス
2013年、寺ノ入林道における最初の観察は、年が明けて1か月も経ってからになってしまった。本当は1月に来たかった。半分は諦めていたが(
寺ノ入林道は凍結防止材はまったく撒かれない)。この陽気なら凍結の心配もないだろう。ここでも手袋はいらなかった。ミソサザイ、ヒガラ、、マヒ
ワなど、寺ノ入林道ならでは小鳥も魅力的ではあったが、なんといっても今日の主役はカケスであった。冬の山のカケスは一種独特の雰囲気を
持っている。そして、それは山のたたずまいが静かれあればあるほど、カケスの声は、身に沁みてくるのだ。ハシブトガラスも活発であった。互い
に鳴き交わしたり、目につく梢にとまり相手を呼んだりしている。その様子がとても優しい。カラスだなんてバカにしたり、嫌ったりしているが、カラ
スとてそんな一面ばかりでは可哀そうだ。
西暦
月
日
メモ
2013
2
7
自宅周辺
あぜ道を、春の気配を見つけようと、目を凝らして歩いた。所々で、ペンペングサやホトケノザが咲いている。大好きな、オオイヌノフグリの青い花
びらは、開くまでには至らず、ぺしゃんこに見える。黄金色の草紅葉もなかなか美しいものだ。春になると黄緑色に変身し、虫たちの大切な食糧源
となる。草紅葉の中でもスイバの紅色は特に目にとまる。ヒヨドリが隠れるような格好でロウバイにとまっている。香りに酔っているのか? 蜜と一
緒についばむのが目的なのだろう。氏神さまの境内に行くと、10羽くらいのキジバトが一斉に飛び立って、山の方角に向かった。シイやクスの実
が落ちているので食べていたのかもしれない。セコイアの梢は見張り台にもってこいだ。この日は、1羽のイカルが口笛を吹くようにさえずってい
た。神社のエノキも彼らのたまり場になっている。山陰川沿いの道を歩く。トビが群れになり輪を描いている。そこにちょっかいを出しにハシブトガ
ラスがやってくる。田んぼで採餌するのはハシボソガラスである。時々食べ物の取り合いをしている。厳しい寒さは採餌にも影響していることだろ
う。
2013
2
10
御津海岸
昨年末に一度行ったきりなので、やはり、水鳥たちの北帰行の前にもう一度(そんなことを言わず、もう何度か)姿を見てやろうと、オシドリを見た
後に思い立ち、昼ごはんのパンをコンビニで仕入れて、車を走らせた。三連休とあって家族連れの車が多い。海岸は北風の影響で防波堤に白い
波頭を見せていた。防寒をしっかりしてきたので安心だ。豊川の河口に向かう。きらきら輝く海は気持ちをまで明るくしてくれる。そして、その場で
繰り広げられたのは、今までにもそんなに経験したことのないものであった。豊川橋の手前に幾本もの黒い帯に見えるのは、すべて、スズガモ、
ホシハジロなどの海ガモの群れである。それだけなら珍しくはないが、その一部が飛び立って2から3の塊をつくり、河口から沖、沖から河口へと
ゆっくりと旋回し始めたのだ。数を推測するのも困難。無我夢中でカメラのシャターを切ったのであった。互いの群れが交差するときは、ファインダ
ーの視野は鳥で溢れ何とも言いようのないものであった。鳥たちのパフォーマンスにただただ驚くばかりだ。その後干潟にむかった。こちらは淡水
ガモが主役だ。浅瀬で倒立し海草などの餌をとっている。種類も多かった。マガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、ヨシガモ、オカヨシガモ、
カルガモの姿が見える。少数ではあるが、キンクロハジロもいた。人工の砂地ではツグミとイソシギが並んでいた。風は強いがそれほど冷たくは
なかった。そのせいか、家族で釣りをしたり、散歩をする姿も見られる。公園でアオジの姿を見た。緑色の植栽の上に緑色のアオジがよく映えてい
た。
2013
2
10
羽根・長根の田んぼ
あぜ道にぽつぽつとタンポポの黄色い点が見える。その隣には、笑顔をふりまくオオイヌノフグリの青。女の人が耕運機を使っていた。案の定、新
しい土が黒々と見える縞にそって野鳥がやってきていた。セグロセキレイやハクセキレイはこのプレゼントに大喜びだ。中には、他人の餌を横取り
しているものもいる。セキレイたちは水温の緩んだ長根川にも多数いた。採餌しながらさえずり声をあげているセグロセキレイもいた。群れで乱舞
するのはカワラヒワだ。雲の切れ目から差す陽に黄色い羽根が輝く。空を見上げている姿が印象的なのはツグミだ。このあたりにはチョウゲンボ
ウがいる。この怖い捕食者をいち早く見つけるには上空の監視がかかせない。先の、カワラヒワのように群れることの少ないツグミは、採餌の間
の大部分を、敵の監視に費やす必要があるのだ。思いがけない生き物に出合った。車もよく通過する道路わきをオレンジ色の動物が歩いていた
。茶色のネコではなかった。そうではなくて、それはイタチであった。しばらくは道路を進んでいたが、車が近づくと、さすがにそのまま進むことはた
めらい、田んぼに下りてそのまま進んでいった。その一部始終をカメラにおさめた。
2013
2
10
新堤池
オシドリが繁殖地に戻る前にもう一度合おうと、車を新堤池に向かわせた。鈴木農園のトラクターやコンバインは、今は、春からの始動に備えて
体を休めている(整備をしているのであろう)。池からは何の声を聞かれない。周りにいるヒヨドリの声はするが、今日の目的である水鳥の声は無
かった。少し心配になったが、水面が見えると、そこには、オシドリやマガモ、コガモが羽を休めているのが見られほっとした。つがいで水面を横切
ったり、木陰の中で寄り添ったり、マガモもオシドリも、春の繁殖の前に、つがいとしての絆を確認していることがよくわかる。
2013
2
11
室林道ラインセンサス
午後からのセンサスと考えても、今日の室林道は野鳥の姿が少なかった。ほとんど、鳥の姿のみならず鳴き声を聞くことも無かった。従って、特定
の種が目立って多いなどとは言えないものであった。原因は何であろうか。たまたま確認できなかったのか、それとも、本当に鳥が減ったのか。も
う少し注視してみたいと思う。
西暦
月
日
メモ
2013
2
12
萩小クラブ活動(愛鳥クラブ)
昨年10月10日に最初のクラブ活動をおこなった。今日は第2回のクラブ活動である。全部で6つのクラブがあるとのこと。参加は3名。やや少な
いようにも思えたが、これからの活動を通して、参加してみたいと思ってもらえるようにしてゆきたい。自然観察のクラブは少ないが、決して、必要
とされないとは思わない。低気圧が接近し湿った空気が入り込んできた。どんよりした空には様々な鳥が飛び交う。トビ、ハシブト・ハシボソガラス
、アオサギ、カワウなどである。小型の鳥もいた。シジュウカラが群れになって採餌する姿、平地のサクラんもやってきたウソ、田んぼであさる冬
鳥の代表ツグミ、やたら個体数の多いヒヨドリなど、冬の季節ならではのバードウォチングが楽しめたと感じている。6年生の女子が頼もしくメンバ
ーを引っ張った。少しばかり新鮮な気持ちがした。
2013
2
15
室林道ラインセンサス
傘を差してセンサスをした。4日前に行った時の印象は、個体数がとても少なかった、というものであった。日にちが経てば様子も変わるのではと
やってきたが、個体数の少なさはあまり変化がなかった。雨という条件が影響しているのかもしれない。日をおかずにもう一度、晴れた朝に出か
けてみよう。平地でアオジをよく見るようになったが、この日は室林道でも見つけた。
2013
2
17
自宅周辺
今日は善住禅師の観音様のお祭りの日だ。自分も役目を果たすべく、昨日は餅つき、今日は受付をおこなった。朝出発の前に時間が余ったので
、家の周りを散歩がてら鳥を見て回った。この日も目についたのはアオジである。室林道や萩小愛鳥クラブ活動の探鳥会でも見かけたが。次いで
ハシブトガラスとハシボソガラス。群れでいたのはヒヨドリとカワラヒワだ。特に、ヒヨドリの個体数は年間を通して最多に近いのではと思える。理由
として考えられるのは、山にいた個体のほとんどが、平地に下りてきているためだ。従って、室林道では冬季のヒヨドリの個体数が目立って少ない
。セグロセキレイのさえずりもぼちぼち聞かれるようになった。ローバイは満開、ウメは蕾がふくらんで、暖かい所の花は開いている。春ももう少し
だ。
2013
2
21
室林道ラインセンサス
陽射しは強くなった(春分までひと月あまりだ)。しかし、いつまでも気温は低いままである。予報士の口からでるのは、充分の寒さ対策をという聞
き飽きた言葉である。ここ数日のラインセンサスで感じたのは個体数の少なさだ。種数はそれほど少ないわけではないが個体数が少ない。そこで
、あらためて数に注目してみた。朝からよく日照っていて気温も比較的高いように思える。そのせいか個体数もそれほど少なくもない。混群などに
出くわすと一挙に個体数が増える傾向にあるが、この日は、エナガの群れに遭遇した。成鳥ばかりの群れであったが10羽くらいはいたであろう。
ウソ、マヒワといった定番のなかに、コジュケイ、ソウシチョウといった新顔も記録する。ソウシチョウは秋の初めにいたのを確認したが、その後は
気配すらなかったので驚いた。さえずりと地鳴きを聞く。コジュケイの方は子どもらしい。3羽が崖の上から林道を横切り谷に下りた。ドラミングの
音がした。音の主はアオゲラかアカゲラに間違いない。その時は特定できなかったが、少し進んだところで主の姿が現れた。アカゲラよりも大柄で
黒っぽい感じではないのでアオゲラとした。カケスとシロハラもよく見る鳥だ。
2013
3
1
室林道ラインセンサス
春の陽気に野鳥たちも活発になってきたようだ。ヤマガラ、シジュウカラのさえずり個体がちらほらと確認できる。ウソは室林道のみならず、萩一
帯のソメイヨシノに群がっていて、この分では開花のときに、あまりの花の少なさにみんなが不思議がるのではと心配している。ヒガラやキクイタ
ダキもまだまだいる。スギの枝先で採餌するたびに花粉が舞い散るのが見える。彼らは花粉症に悩まされることはないのだろうか。カラ類とともに
活発なのがコゲラである。繁殖の時期に入ったのであろうか。
西暦
月
日
メモ
2013
3
5
寺ノ入林道ラインセンサス
平地では暖かい日になったがここ寺ノ入林道は、標高600メートルを超すだけあって、いつもは滴り落ちる湧水が、ビール瓶ほどの太さの氷柱に
成長していた。株立ち状の落葉樹が目立つ中で常緑の木がある。アシビである。ここ寺ノ入林道にはアシビがとても多い。そのアシビに注意を払
いつつラインセンサスを開始。何に注意するのかって? 花が咲いていないか、見ているのである。結果は、ほとんどの樹が葉っぱだけであった
中で、ごく一部に、花の赤ちゃんが育っていた。アシビの花同様に小鳥の姿もなかなか見つからなかった。やはり寒さのせいか? 鳥を発見する
前に現れたのはシカの親子であった。黒っぽい姿が3つ見える。母親の後に2頭の小鹿がついていた。万が一を考えて山に入る時には小さな鈴
をぶら下げたバッグを使っている。クマがいたら気付かせるためにである。シカだって怖い。特に子供連れのメス鹿は。直ぐに逃げてくれたので内
心ホッとする。これを契機にして、理由は特にないと思うが、ようやく小鳥たちの出現となった。それもまとめてである。移動中の混群にであったみ
たいだ。ヒガラ、ヤマガラが最初に現れ、シジュウカラ、コゲラが加わり、最後尾には、小さなヒガラよりもさらに小さい、キクイタダキがスギの中を
飛び回りながら採餌していた。最初から最後までの30秒あまりの短い時間がとても充実していた。それもそのはず、片道1時間のセンサスで、鳥
の姿を確認できたのはこの時だけだったのだ。
2013
3
6
茶臼山
ふつうなら茶臼山ラインセンサスと言いたいところではあるが、雪道をセンサスするだけの元気がなく、ほんの下見的な観察に終わってしまった。
家を出たのも遅かった。用事を済ませたのが正午近くであったので、茶臼山まで出てゆくつもりは当初なかった。それでも来てしまったのは、茶臼
山はどんなのだろうか?ただそれだけである。来てみると、心配していた雪はきれいに除雪され、(冬用タイヤは履いていたが)問題なくやってこ
れた。しかし、センサスコースは毎年冬季間通行止めになる所にある。車を使うわけではないからそれはそれでいい。問題は徒歩でコースを一周
するのは相当の体力がいるということ。それと、全く動くものの気配がない。かろうじて確認できたのが、2羽のカシラダカ、1羽のホオジロの姿と
鳴き声だけ。もう少しいると期待してやって来たのであるが。うまくしたらアトリ科の鳥たちにも合えるかもしれない、などと淡い期待をしてやって来
たのが本心であったのに。どっと疲れが出てしまい、到底全コースを歩く気力も元気も出なくなってしまった。そのことが、ラインセンサスではない
と断った顛末なのだ。これは下見だ。もう少し雪が消えたらラインセンサスをしにやって来よう。そう誓って山を下る。すでに午後4時になっていた
。
2013
3
6
自宅周辺
暖かな朝を迎えた。秋に植えた庭のパンジーが大きくなったような気がするし、あちこちのウメやツバキが一斉に開きはじめている。のんびりとカ
メラを片手に歩く。ハシブトガラスが2羽並んで梢にとまっていた。仲良くとまっているのでつがいなのだろうか。それ以外にもカラスは活発に鳴い
ている。ハシブトとハシボソが交互に鳴くシーンもある。田んぼから飛びたつのはセグロセキレイとハクセキレイだ。セグロのほうはさえずりをして
いる。春先になるとさえずりが始まるのである。川に沿って歩いてみる。今最もよく見るのはアオジだ。この冬は特に多いように思える。そしてこの
日も、民家の近くにもかかわらずウソがサクラをついばんでいた。本気でサクラの開花時期が心配になった。ウソのせいで花が咲かなくなったこと
が知られたら?庭木から飛び立つものがいた。サクラの樹にとまる。イソヒヨドリのオスだ。きれいな青い色のオスだ。幸い手元にはカメラがある。
コンパクトカメラではあるがよく撮れるのだ。しかし、相手もさるもの、なかなかよい所に止まってくれない。そうしているうちにサクラから飛び立って
しまった。ああだめか! 諦めていたら、今度は電線に止まったではないか。これなら全身が撮れる。最初は遠くから撮りはじめ、数歩進んでパチ
リを繰り返したら、いつの間にかすぐ近くまで来てしまった。すると問題になるのがピントだ。鳥ではなく背景にピントが合ってしまう。ここがオートフ
ォーカスの泣き所。でもせっかくのシャッターチャンスを諦めるわけにはいかない。そこで思いついたのは、大体同じくらいの距離の景色にピント
合わせをしたのち、フォーカスをロックしてイソヒヨを狙うのだ。落ち着いて考えれば当然のことではあるが、焦ってしまうと思いつかない。我ながら
上手いことを考えた。目分量なので、場所を替えてフォーカスしてみた。下手な鉄砲数打ちゃ当たる方式である。うまくいった気がしたので上機嫌
で先に進む。再びウソに出合う。最初のウソとは別の群れである。ああ!ここにもウソだ。春を待つ人間のために少しは残しておいておくれ。
2013
3
7
東三河ふるさと公園
公園内を通ると道路を横切る鳥たちに頻繁にであう。最も普通に見るのはアオジとシロハラである。ご多分に漏れず、ウソの声もよく聞かれるの
でサクラの開花時期が心配になる。いずれにしても春がくるといつの間にかいなくなってしまう鳥たちなので、いまのうちに観察しておこうと思いた
ったわけである。丁寧に歩いてみるといろんなことが見えてくる。芝生で餌を探すカシラダカ、林床に群れるシジュウカラなどは新しい発見であっ
た。特に、シジュウカラが群れて移動する様子は感動的であった。種数、個体数ともに地元の室林道を上回っている感じがした。
西暦
月
日
メモ
2013
3
9
観音山
3人の参加者と先生たち総勢6名で探鳥会をした。今までの探鳥会とうってかわりポカポカ陽気の中、春のうららかな気分を味わった。花もいっぱ
い咲いていた。山陰川ではビンズイに合った。地味ではあるが複雑な模様が印象的な鳥である。川の土手を行ったり来たりして採餌する様子を
見ていると、越冬地から繁殖地への旅立ちが間近である予感がする。サクラ並木にいたのはトラツグミだ。ツグミの中でもひときわ大きな体を見て
、皆驚きの様子であった。老人ホームに設置されているグランドゴルフコースでは地元の老人クラブのお年よりがゲームを楽しんでいた。「やって
いくかね」などと声をかけられて楽しい思いをする。「家の近くでウグイスのさえずりを聞いたよ」と情報も得ることができた。天候が穏やだと人の心
も穏やかになるのかもしれないな
2013
3
11
室林道ラインセンサス
3月に入って暖かい日が続いているので、そろそろウグイスのさえずりが聞かれるかなと思い、室林道にやってきた。土曜探鳥会で歩いていた時
、グランドゴルフをしている人達の中に、室林道の入り口の集落に住んでいる人がいて、「1週間ほど前にさえずりを聞いたよ」と教えてくれたのも
きっかけのひとつであった。ところが、期待とは大きく異なり、ウグイスのさえずりどころか、これほどの陽気にもかかわらず野鳥の姿が目立って少
なかった。これはどうしたことだろうと思った。すでに、鳥の北上が始まっていて端境期になっているのだろうか、全く分からない。日を開けないでも
う一度観察に来ようと思う。
2013
3
16
室林道ラインセンサス
3月の半ばは季節の変わり目。野鳥の世界も冬と春の潮目にあたるのではないかと思う。室林道に行くと鳥の声でさぞかし賑やかではと思いた
いが、実際は、とても静かな日が続いている。少し下がった民家の集落では様々な鳥たちが、春の暖かさに誘われ活発に活動しているというのに
。その中で比較的よく見られたのはヤマガラだ。ヒノキの若木の林の中から呼び交わすような、聞きようによっては争いのようなな地鳴きが聞こえ
る。数羽のヤマガラの姿も見える。ライバルのシジュウカラは不思議と1羽も確認できない。今、庭先や畑に植えられた木々で鳴くシジュウカラは
よく見かけるのであるが。ウグイスもようやくさえずりを始めた。しかし、室林道では未だ聞いていない。冬鳥もはっきりしない。ただウソだけはソメ
イヨシノに取りついていた。
2013
3
17
2013
3
17
茶臼山ラインセンサス
10日ほど前に、茶臼山に今年最初の観察に来たときは、よく分からないが鳥の気配がほとんど無かった。その時は、これは下見であって本番は
別の日にと納得して帰った。その機会が訪れた。登山口に朝7時半には到着した(最近にしては力が入っている)。豊根村のセンターでミソサザイ
のさえずりを聞く。ああ!もうそんな時期なのか。半年ぶりの出合いには感慨深いものがある。スキー場には、名残を惜しむ人たちがいた。セン
サスの終わりはスキー場を横に見ながら進むことになるが、学校に上がる前くらいの子どもたちが、両親に見守られてそり遊びをしているのは、
いつみても微笑ましいものだ。スキー場からの賑わいが聞こえるのを避けるように長野県側へとセンサスをしながら歩く。道路わきには50センチ
くらいのすすけた雪が残されているが、日陰をのぞいて道路には雪は全くない。まず目に付くのは、ホオジロのソングポストでさえずる姿である。
麓で聞いたミソサザイのさえずりは、さすがに山頂ではまだなのではと予想していたが、意外にも2羽のさえずり個体がいた。標高1000メートル
を超す所も確実に春は近づいているのだと思う。コガラのさえずりが聞こえる。コガラの地鳴きはヤマガラと似たところがあってよく間違える。今日
も初めヤマガラかなと思っていた。ところが、地鳴きがだんだんと変わってきて、ついにさえずり始めたのだ。さえずりになればヤマガラとの区別
は簡単だ。少し拍子抜けのさえずりではあるが、私の地元では聞くことができないので貴重である。コガラにはほろ苦い経験がある。コガラとエゾ
ムシクイのさえずりが似てなくもないのだ。いるはずのないコガラのさえずりを聞いたと思っていた。しかし、その正体はコガラではなく、春、飛来し
たばかりのエゾムシクイであった。エゾムシクイの迷惑はこれだけに留まらない。ジョウビタキの地鳴きにも少し似ているのだ。今度は夏の終わり
にジョウビタキがいることになってしまう。景色はまだまだ春のものではない。芽は堅いしフキノトウのもう少し先だ。それに比べると、鳥たちの春
の取り込みは素早い。それはそうだ。鳥は長距離を移動できる。植物は動かない。殺風景さを補って余りあるのが白銀の峰々の姿である。南ア
ルプスの見える方向の空が澄んでいたのはよかった。3000メートル峰が贅沢に居並ぶ風景は神々しくもある。
西暦
月
日
メモ
2013
3
21
室林道ラインセンサス
3月も後半に入った彼岸の翌日、室林道に出かけてみると、10日前には聞くことのなかったウグイスのさえずりが先々で聞かれるようになってい
た。4日前に茶臼山でもウグイスのさえずりを聞いていた、また、家の周りからも大きな声で歌い始めたウグイスを見ているので、特に驚くことは
なかった。しかし、半年ぶりの懐かしい声は、何十年と経験しても嬉しいものである。特に、野鳥に興味を持ち出しからはその思いは大きいものに
なっていった。野鳥のことを教えてくれた方は、周りの人からは、鳴き声を聞くだけで鳥がどのような気持ちを持っているのかが分かってしまう、と
言われた人であった。自然のなりゆきで、自分も鳥の鳴き声に惹かれるようになった。センサスをしていて、個体数や種をカウントする一番の情報
源は、姿ではなくて鳴き声であることを知った。たとえ姿はなくとも、声から種を同定できるようになりたい、そんな思いで観察に励んできたのだっ
た。英語でSongと呼ばれるさえずりは無論魅力的である。しかし、地鳴き(Call)はセンサスではさらに重要だ。例外はあるにしても、さえずりは、
オスが繁殖期にする限定的なものだからである。鳥はオスとメスから成り立ているがいるし、秋・冬の季節も観察しなければならない。
2013
3
23
羽根・長根の田んぼ
3人参加してくれた。モクレンやレンギョウが咲き誇り、田んぼのあぜ道にはタンポポやオオイヌノフグリが可憐に笑う。校庭を後にして川原地区を
進む。民家の屋根で鳴いているスズメの声も冬の時のものとは随分違ってみえる。声に艶があるように感じるのだ。スズメに対抗するのはやはり
ツバメであろう。2週間前に行った土曜探鳥会で最初の姿を見てから日に日に数を増していった。今日も快晴の空を軽快に舞う姿をそこここで見
つけることができた。駐車場の中にいくつもの巣があるお宅に来たところ、入り口のシャッターは下りているのに、中からツバメの声がする。おかし
いと思い車庫を回ると、南側の窓が30センチほど開かれていて、そこからツバメが出入りしているのだった。帰り際、ご夫婦で草取りをしていたの
で話を伺うと、一昨日ほどに巣作りに入ったとのこと。新車の上に幾つもの巣、優しい人だと思う。トラクターが音を立てているが何となく動きが違
う。ばかに隅に寄っているように見える。近づくと理由が分かった。入った。あぜと田んぼの縁を土壁のように造っているのだ。その美しいほどの
できばえ。羽根・長根の田んぼに入ると風が強く吹いた。一時は猛烈に吹いて飛ばされそうにもなった。そんな中をヒバリがどんどん空高く昇って
ゆく。ホバリングをしながらさえずりを続けるのは人間ではできない業だ。運動公園でひと休みして萩小にもどる。向山大池では10名以上の釣り
人が糸を垂らしていた。水面も温み気持ちよさそうだ。
2013
3
23
寺ノ入林道ラインセンサス
土曜探鳥会を終えた足で三河湖へと車を走らせた。店に寄りパンと缶コーヒーを買い腹ごしらえをした。三河湖での観察が200回になることは分
かっていたので、多少無理しても出かけようと思った。逆に、200回記念になるのなら早朝の良い条件で観察してもよかったかもしれない、終わっ
てみてからそう思った。迎えてくれたのはシジュウカラであった。姿は見えないが灌木の奥からさえずりが聞こえる。続いてコゲラとヤマガラの地
鳴き。それからは鳥の声は聞こえなくなった。やはり時間が遅かったか。足元に目をやる。ここは少し前には氷柱ができていた所だ。もちろん今は
清水が流れている。そこにいるのは、きらいな人も結構いるかもしれないが、出来たて?のヒキガエルの卵だ。室林道ではここ数年来ヒキガエル
の卵を残念ながら見られなくなった。ここ寺ノ入林道ではいなくなることはあるまいと信ずる。ハシブトガラスのつがいなのか2羽の鳴き声がする。
姿はないが掛けあう声は1羽では出せないものだ。寺ノ入林道の植生ははっきりと2つに分かれる。落葉樹の林と植林のスギ・ヒノキ林だ。前者
はほとんど株立ち状になっている。昔から薪に供されていたのではと推測する。カラ類やキビタキなどが好む場所だ。冬は陽の光が林床まで届
いて明るい。後者は年中薄暗い感じだ。特に冬場は風を防いでくれるので鳥たちには嬉しい場所ではないかと思う。種子はアトリ科の鳥には大事
な食糧になるし、昆虫食のシジュウカラ科の鳥たちも安心だ。寺ノ入林道らしいヒガラやキクイタダキなどの可愛らしい鳥ももっぱら針葉樹の林に
いる。この日も、キクイタダキ・ヒガラのさえずりが聞かれた。春には寺ノ入林道にも可憐な花が咲く。代表格はスミレ。特に多いのは薄紫色のタチ
ツボスミレ。室林道でようやく咲き始めたタチツボスミレではあるが、ここは標高が600メートルと、室林道よりも500メートル近く高い所にある。も
う少し時間がかかりそうだ。実際、花の姿は地上ではなくて上を見上げないといけない。スギ・ヒノキ以外の常緑樹として寺ノ入林道に特に多いア
シビの白い釣り鐘状の花のことである。
2013
3
29
宮路山・西切山林道ラインセンサス
ソメイヨシノの満開が宮路山に向かわせることとなった。サクラが咲くころ毎年、宮路山でコマドリの飛来を確認するのが恒例行事になって20年
ほどになる。4月に入ってから観察開始する年が多いのであるが、今年は10日ほど早く開始した。結果であるが、コマドリこそ出合えなかったが
オオルリの姿を見つけた。その結果には少し驚いた。それもそのはず、3月でオオルリを確認したのは今度が初めてだったのだから。西切山林道
沿いにソメイヨシノが植わっているが、どの樹もウソに花芽を食べられ花びらが無い状態であった。平地のソメイヨシノにもウソがやって来たが極
端な食害は見られないようだ。鳥が悪者にされなくてホッとしている。林道には春の花もあった。宮路山にはヤブツバキが多い。緑の中の赤い花
はとても鮮烈だ。薄紫のタチツボスミレやショウジョウバカマも日本的で好きな花。それらが一斉に咲きそろうのは今の時期しかない。
西暦
月
日
メモ
2013
3
30
室林道ラインセンサス。サシバのつがい今春初確認。
昨日、宮路山でオオルリを確認したことに勇気づけられ室林道に向かった。結果は、オオルリはいなかったがサシバのつがいに合えた。室林道
の山頂を超えて隣の岡崎市方面に消えていった。ウグイスのさえずりはすっかり板につき谷渡りも上手なものだ。さえずりは繁殖活動に入ったこ
との証拠、その他の野鳥たちはというと、ヤマガラのさえずりが多いのに対してライバル的なシジュウカラ、これがあまりさえずりが聞こえない。そ
れどころかシジュウカラそのものがあまり見つからないのである。今の季節は野鳥たちは北へ北へと旅を開始している。種によってはあまりいな
い空白ができることも考えられるが真の原因は何であろうか。ウソがソメイヨシノに与えたダメージの大きさがハッキリした。それはマグニチュード
8クラスの凄さ。1本の樹についている花びらの数が数えることができるほど、それほど花芽を食べられてしまっていた。室林道から下がって萩小
・山陰川・工場の敷地内に植えられているソメイヨシノはそれほど平年と変わっていないように見える。この冬のウソはこういった平地の樹にもや
ってきていて、果たして、この春はどのようになってしまうのか心配するほどであった。丹念に眺めると食害の痕跡は見つかるのであるが、樹勢の
差もあるだろうから判断は難しい。食害を受けた樹は、樹の部位によって花の量が異なる、平均的に間引きされている、など一様ではないようだ。
一方、室林道や宮路山で見た樹は、無残と言えるほど跡形なく食べられていた。2回に1度室林道で会う人がこの日もウォーキングをしていた。
朝のあいさつを終え開口1番、「ここのサクラ遅いですね」返答は「いや、これでもう満開に近いんですよ」そしてウソの説明をする。
2013
4
2
室林道ラインセンサス
ソメイヨシノのまばらな花びらを眺めながら室林道を歩く。例年ならば満開の中をヒヨドリが、ヒヨドリが近くにいない時にはメジロが、花蜜を求めて
こぞってやってくるはずなのだ。従って今年の室林道はかなり静かになっている。ウグイスのさえずり個体はすっかり辺り一面から聞かれるように
なったし、ヤマガラ・メジロ・ホオジロのさえずりもにぎやかだ。夏鳥の気配は?と注意してみたが確認できなかった。ひと声だけオオルリのような
節が聞こえたが、小さな声であったし後が続かなかったので確信は持てない。落葉樹もヤシャブシを先頭にして次々芽吹きだした。ミツバツツジ
の花芽も濃い紅色になった。「この世のすべて、生きとし生けるものは輝いている」「釈迦が悟りを開いた時の言葉です」と、彼岸法要で和尚が出
席者に話をしたのはこのような様子なのだろう。鳥は歌い、蝶は舞い、土手の中はミミズたちがうごめいている。多種多様の生きものは少数の、も
しかしたらただ1種のものから、長い年月をかけて複雑な生きものになっていった(今でも変わりつつある)という考えは、壮大なものがある。この
言葉は、チャールズ・ダーウィンが種の起源の最後に述べたものだが、先の釈迦の言葉といい、ダーウィンの言葉といい、私たちを勇気づけるも
のだと思う。経済の復興だけが我々を蘇らすものではないのは自明である。追伸 室林道に行く前に飲み物を買った。自販機に恐ろしげな蛾がと
まっていた。怖い顔で睨みつけらるようであった。室林道から帰ってから家の前をタヌキが歩いていた。毛がほとんど抜けてしまい可哀そうなよう
すである。このタヌキ、猫の餌に誘われて頻繁に軒先に来るようになった。栄養を付けて病気がなおればよいが。
2013
4
4
西切山林道ラインセンサス
コマドリの飛来を確認する目的で宮路山(西切山林道)に出かけているが、もちろん、コマドリだけを見ているわけではない。私は、宮路山の位置
上、夏鳥の飛来の確認にはうってつけの場所だと思っている。毎年、サクラの咲く頃になると、集中して宮路山に出かけているのもその理由だ。
オオルリの初確認よ再び、とばかり意気込んでいたが今回は、いるにはいたが少々地味ではあった。その地味(失礼)な鳥の名はセンダイムシク
イ(代表的な夏鳥とまでは言えない意味において)。ヒガラ・ウソといった冬鳥の姿もまだあった。ヒガラは、シジュウカラと混群のようになって移動
していった。ウソは数羽の群れをつくっていた。そして、コマドリはまだ確認できていない。
2013
4
11
室林道ラインセンサス
ついにオオルリの姿を室林道で見た。それも、見事な色のオスだ。彼はいつ来たのであろうか。合った時は、無口を貫き通した。朝、別の場所でさ
えずりを聞いた。あまりうまくない歌であったが懐かしく感じた。そして午後、室林道で見たのは、突然現れた青い姿であった。ウグイス・メジロがさ
えずりの双璧である。オオルリは個体数ではとても前者には及ばない。そこで、質で対抗する。複雑なメロディーはウグイスにもメジロにも真似で
きないものだ。やがて、数は少ないが、存在感のある歌声を聞きながらセンサスを楽しむことができるだろう。
西暦
月
日
メモ
2013
4
16
室林道ラインセンサス
ほとんど期待していなかった。室林道でコマドリを確認できることを。淡々とセンサスを進めて行った。今日はいつもの半分の時間で切り上げねば
ならない。それも、あまり期待しなかった理由になろう。ところが、どうだろう。思いもよらない場所で、コマドリの、やや弱々しいさえずりを突然聞い
たのだ。そこは、若いヒノキの植林の内部で、日中でも薄暗い所である。確かに、コマドリはあまり明るい所にはいた例がないが、沢が流れている
のでもなく、こんなところに?と思うような場所であった。録音機の電源は入れたままにしていた。すぐさま録音ボタンを2度押す。1度押しはスタン
バイ。あわててしまうと、スタンバイのままで録音したつもりになる失敗を犯すことになる。確実に2回押した。海を渡り疲れた体を労わるように、あ
まり大声を張り上げることもしない。コマドリ本来の威勢のいい声ではないのだ。そういう時に限って、雑魚が邪魔をするものだ。雑魚と言っては
失礼だ。ウグイスとメジロが主役(コマドリ)の演技をかき消すかのごとく、元気いっぱいのさえずりをぶちかましてきた。「少し静かにしてくれ」本気
で思った。これだから野鳥観察は面白い。帰り道、今度はオオルリの独奏が始まった。こちらは、明るい舞台にあがってのパフォーマンスだ。どち
らに軍配をあげようか? コマドリに寄せる思いが少し勝っているかな。
2013
4
18
観音山ラインセンサス
観音山でコマドリのさえずりを聞いた。随分と久しぶりのできごとである。コマドリのいた所は沢があって、冬季にはミソサザイの地鳴きが聞かれる
所である。早朝、朝日が観音山の裾野から差したばかりで、現場はまだ薄暗い状態であった。樹冠からはメジロが、隣の尾根からはオオルリが、
今日の貴重な繁殖活動をさえずりという形で開始していた。コマドリがいるかもしれないという期待はあった。2日前に室林道、前日にはふるさと
公園で、いずれもさえずりを確認していたからだ。そして今日。嬉しかった。4月が終わるまでの10日が勝負だ。少しでも時間を割いて観察してい
きたい。
2013
4
20
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道は平地よりも半月春が遅い。いま、ヤマザクラが満開である。ちなみに、ソメイヨシノは植わっていない。若葉が出そろい黄緑色の景色
が広がる。植物は、確かに半月は遅れているように見える、しかし、移動距離の大きい野鳥はほとんど平地と変わらない。オオルリやキビタキも
同じようにさえずっている。それ以外の夏鳥はいないかと耳を澄ませる。コマドリは? 昨年、寺ノ入林道では初めて見たコマドリは? 柳の下の
ドジョウ狙いである。そううまくはいくはずもない。その代わりと言ったら申し訳ないが、ツツドリのポポ・ポポが聞こえた。湧水が音を立てて流れる
。澄んだ水の中に黒いものが見える。ほとんど動かないので、これがオタマジャクシの群れであることを確認するのは注意を要する。キクイタダキ
の絹のような繊細なさえずりが聞こえた。録音機をバッグから出す。少しでも対象に接近して録音したい、声のする方に徐々に近づいて行く。なに
しろ、キクイタダキときたら、同じくらい小さいヒガラやミソサザイと比べ本当に小声で話したり歌たりするのだから。
2013
4
20
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道からまっすぐ室林道にやって来た。出迎えてくれたのは梢でさえずるオオルリ。すぐ下の道路は車が行きかう。運転手にオオルリの歌
は届くだろうか。窓を開ければ聞こえるだろう。それがオオルリと思わなくとも。センサスを開始する。寺ノ入林道に比べると大きな違いがあった。
それは意外と思われるかもしれない。あの、ウグイスのさえずりの量が違った。寺ノ入林道の方がずっと少ないのである。もうひとつ、室林道より
も寺ノ入林道の方が、シジュウカラが活発に鳴いていた。個体数も多いのであろう。室林道はヤマガラが優勢だ。4日前にコマドリを確認した箇所
にやってきた。やはり緊張する。何ごともなく通り過ぎた。残念。今萩の里は花盛りだ。もう少しすると、工業団地の周りを、ピンク色のツツジが縁
取っているのが室林道から望まれる。春から初夏に移って行くのだ。
西暦
月
日
メモ
2013
4
21
西切山林道ラインセンサス
4月いっぱいがコマドリ通過を観察できるチャンスととらえて、可能性の高い場所を歩きまわっているわけであるが、本命視している、宮路山から
五井山を結ぶ西切山林道においては、残念ながら3回ともコマドリには出合えなかった。今日が4度目。4月も余すところ10日を切り、少し焦りも
出始めた。それでも、道中ではオオルリのさえずりを堪能することができ満足していたのであるが。ところで、西切山林道の総延長は数キロ以上、
さらに、アップダウンもあって結構きついのである。それと、コースの後半は薄暗い林の中を通るため何となく魅力を感じていなかったこともあって
、コースのほぼ半ばで折り返していた。しかし、4回目の今日は、全コースをセンサスしてやろうと最初にきめていた。それでもコマドリを確認でき
ないのならあきらめるつもりで。そのことが良かった。新たに歩いたコースで、それも、もう少しで林道が終わりになる地点で、コマドリのさえずりが
聞こえたのである。つくづく思う。諦めてはいけない。この時のコマドリの声も、この春聞いた3個体のものと同様、大層弱々しいものであった。へ
とへとになって海を渡ってきましたと言わんばかり。繁殖地で聞かれる馬のいななきに似た伸びやかな艶やかな美声とは、似ても似つかぬもので
ある。しかし、何度でもいうが、それによって日本三鳴鳥としての評価に、何ら影響を及ぼすものではないと確信する。いや、今の状態を考えれば
、すばらしいものを聞かせてもらったと思いたいのである。
2013
4
22
室林道ラインセンサス
気温の変動が激しい。昨日から寒気がぶり返して、雪の降っている所もあるようだ。音羽の地でも肌寒い気温となっている。今朝の室林道も手袋
が欲しい寒さである。そのせいか、小鳥たちの様子も若干静か気味で、明るい太陽が降り注ぎでいるのに、と思うほどだ。もちろん、今まさに繁殖
期の始まりであるから、あちこちから種々様々な歌声が聞こえてくるのは間違いない。ウグイス・センダイムシクイ・キビタキ・オオルリ・メジロ・ヤ
マガラ・シジュウカラなど。その中に加わったのが、コマドリ・サンショウクイらの新人歌手である。コマドリはすでに1度だけさえずりを聞いた。それ
と同じ個体ではないと思う。音羽およびその周辺で、コマドリをすでに5個体確認したことになる。20年近く前にはそれも珍しくはなかった。しかし
、ここ10年ほどでみると、茶臼山でも繁殖の様子は確認できていないほどで、ましてや、通過点である音羽でのコマドリの確認は、めったにでき
ないほどになってしまった。それを思うと、5個体(まだ増える可能性は高い)という数は嬉しい誤算であったというしかない。
2013
4
27
蛇峠山ラインセンサス
茶臼山から高嶺を経て蛇峠山にやってきた。麓の治部坂峠には、連休の初日らしく多くの行楽を楽しむ人たちがいた。昼に近くお腹も空いてはい
た(なんと、地元のコンビニは土曜日定休日)が、あまりゆっくりとはできないので我慢して蛇峠山への道を進む。馬の背で車を降りセンサス開始
だ。ウグイス、ヒガラ、アカゲラの声を確認。ここでも風が気になる。寒さが多少和らいできたのがなによりだ。何せここは1500メートルのこうちな
のだから、寒さは我慢しなければ。そしてついに、コマドリのさえずりを聞くことができた。うらめしいのは、ひと声鳴いたあとはだんまりを決め込ん
でしまうことだ。これでは録音もままならない。結局、録音をあきらめ先に進む。高嶺でも同じことを感じたが、ある程度以上に標高が高くなると鳥
の姿がめっきりと減るのだ。これでは山頂に向かうだけ無駄か?そんな気持ちが出はじめたとき、鉄槌をくらわすような、はつらつとしたコマドリの
さえずりが足元の方向から聞えたのだ。今年聞いた中では一番大きなさえずりであった。急いで録音機のボタンを押す。ところが、この個体も意
地悪なことに後を続けてくれない。再び泣く泣く諦め下山を開始する。鳴き声を聞いてからでは遅いのだ。たとえ足音などの邪魔者が入ったとして
も、録音したままでセンサスしないことには声を収められない。最初に聞いた場所の少し手前から録音を開始して歩いた。それは賭けのようで嬉
しいやりかたではないようにも思えたが、皮肉にもこれがうまくいったのだ。たった一声だけのさえずりを捉えることができたのだから。家に帰って
再生してみた。ザク、ザクと大きく誇張された足音が、コマドリの声を聞いた瞬間とまったのがはっきり分かった。この時の気持ちは何とも言えない
。コマドリはその後もう1個体確認できた。1時間弱のセンサスで3個体もいたのは上々の首尾である。それに、たったひと声のさえずりも記録でき
たのだから。
2013
4
27
高嶺
茶臼山の次は高嶺だ。平谷村を見下ろす位置にあるどっしりとした山容である。山頂まで車で登ることができる。麓ではウグイスの声もしていた
が、中腹(1300メートル)を過ぎるあたりから鳥の鳴き声も少なくなった。山頂からは風の音が聞こえるばかりである。たまに聞こえるのはハシブ
トガラス(番らしい)のものだけであった。この山の植生はカラマツの人工林だと思うが、麓では新芽がかなりはっきりと緑色をしているのに対して
、登るにつれて緑色が失せてくる。鳥の声も同じように無くなってくる。同期しているのがよく分かる面白い例である。コマドリの期待のできる谷か
らは、鳥たちの声は全く聞こえなかった。高嶺では確認できなかったのである。
西暦
月
日
メモ
2013
4
27
茶臼山ラインセンサス
ようやく茶臼山にやってきた。地元の山々で夏鳥の飛来を確認し、コマドリの通過を見てきたので、できるだけ早く標高のある山に行ってみたかっ
た。コマドリは既に到着しているのか?
その最も手っ取り早い場所が茶臼山なのである。車を降りて感じたのが寒さであった。スタートしてしばらくは手袋が必要であった。最初、目に入
ったのがホオジロ、それより、同じ場所にいたカシラダカに目を見張った。冬鳥としてやってくるカシラダカとは全く違っていた。顔の模様のことだ。
黒色がずっと濃いのである。風が出てきた。これは困ることだ。鳴き声が聴き難いのがその理由である。ウグイスのさえずり分かりやすいので問
題ない。困るのは、小声で鳴いている鳥を確認する時のことだ。例えば、疲労困ぱいのコマドリのさえずりを聞くときなど、少しでも風が静まってく
れたらと思う。そんな条件下ではあったが、1個体のみではあるが、コマドリを確認することができた。ほぼ同じ場所で、ルリビタキのきれいなオス
も。越冬から繁殖地に戻る姿なのであろう。近年、夏季の茶臼山に繁殖著しいのがソウシチョウであるが、そのソウシチョウの鳴き声も、広い範囲
で聞くことができた。
2013
5
1
室林道ラインセンサス
6年生の子どもたちが大挙してやってきた様子を思い浮かべ、それまでに自分のためのラインセンサスを終えておこうと、少し早めに室林道に来
た。「早起きは3文の得」のことわざはバードウォッチングの時にこそ言えよう。朝日は小鳥たちにパワーを与えるようだ。これまでにないほどの歌
声で溢れていた。おなじみの野鳥に加えて新顔も加わっていた。エゾムシクイ・サンショウクイたちである。このまま子どもたちに来てもらいたい、
時間の経過がどの程度影響あるのか、心配していないと言っては嘘になる。真昼になれば、小鳥たちの鳴き声がますます小さくなるのはよく経験
するところだ。少し冷やっこいが鳥の個体数の多さがそれを補ってくれた。
2013
5
1
萩小探鳥会(6年生)
5月の初めは萩小の探鳥会が続く。1日は6年生、2日は5年生、7日は3年生、8日は4年生の順となっている。今年はそれらすべてに参加させ
ていただくことになった。なんといっても6年生は緊張する。毎年、師匠の山口さんが6年生を看ていた。果たして自分が代わりに務められるか、
小学校最後の6年生、良い印象で卒業してもらえるかなど不安は尽きない。考えた末、自分にできる精一杯の講師役を努めようと決めた。具体的
には、自分流の観察方法を体験してもらうことにした。それは、室林道を歩きながら個体数のカウントをするラインセンサス(ロードサイドセンサス
)法である。記録用紙も用意した。山のバードウォッチングの難しさは、ほとんど姿が見られないということだ。いくら体験とはいえ、いきなりでは無
理ではないのか? 実際に始めるまでその不安は消えなかったが、それは余計な危惧であったことがよく分かった。最初にこのやり方を採った理
由などを言い訳がましく説明もしたが、たぶん、そのことが子どもたちにうまく伝わったというよりも、実際の野鳥の世界に入り込んだ子どもたちは
、その生き生きとした様子に感動し、引き込まれてしまい、私のほんの少しの補助で、往復2時間の野鳥のカウントという慣れない作業を無意識
のうちにこなしてしまったのだと思う。大きなサプライズもあった。皆が大好きなオオルリの姿を見れたことだ。フライングキャッチャーの異名を持つ
ヒタキ科の代表であるオオルリにしては異例の(強調するほどではないが)地上採餌の姿も見た。鳴き声中心の観察になりそうだと最初にクギを
刺してしまった手前、予想外の展開には自身に対してバツの悪さを少なからず感じた次第。けれども、子どもたちが喜んでくれたのだから喜んで
甘んじよう。6年生の教室に招かれ教壇に立った時は、野鳥のおかげでこのような場所にいられるのだな感慨無量であった(自分のようなものが
いる場所ではないのだから)。3人の子から質問を受けた。いずれも答えるのが難しいものであったが、20年の経験から自分の思うままを話せた
と思う。
西暦
月
日
メモ
2013
5
2
萩小探鳥会5年生 観音山方面
全国的に季節を2か月も後戻りさせる寒い日であったようだ。多少の寒さは問題ないが強い風には閉口した。子どもたちが持つ記録帳も引きちぎ
れんばかりだ。昨日の、6年生の好条件と比べ可哀そうになる。それでも、工夫次第で有意義な時間が過ごせるのだからと、頑張りを誓って探鳥
会を開始したのである。それでも思った以上に風は強い。校門を出て50メートルもしないところにマダケと樹木の藪があって、その中から野鳥の
声が聞こえる。風を避けて鳥の数も多いようだ。さっそく3班に分かれて観察を開始する。しばらくして中からきれいな声がしてくるのを皆気づいた
ようだ。「なになに!」と聞かれても、こちらは正解は明かさないでいる。開始した時の約束事なのだ。ヒントを出すので自分たちで考えてというわ
けである。派手な鳥がヒント。「黄色とオレンジ色?」 「そう」そんな会話からキビタキを思い浮かべるグループもいた。山陰川のそばで2羽のムク
ドリが歩いていた。今日の天気では彼らは貴重である。比較的近距離にも関わらずフィールドスコープで眺めた。田んぼ道は風を遮るものがなく
我々は翻弄された。そこで、野鳥の気持ちになって山に避難することに。昔からかまどのたきぎを取りにいった未舗装の道から山道へと入った。
風は全く入りこまない静寂が支配する世界である。これほど違うのかと思う。これならば小鳥がいくら小声でしゃべってもすぐ分かるはずだ。ところ
が辺りはしんとしたまま。終点まで着いてしまった。時間はもう引き返すべき時になっていた。あきらめていたら、突然、この探鳥会で強風の中竹
藪から聞えてきたのと同じ歌が。5年生はキビタキに気に入られたらしい。
2013
5
4
萩の田んぼ
ゴールデンウイークの間でほとんどの田んぼで田植えを行っている。今年も水の心配をすることなく順調に進んでいる。午前中を延び延びにして
いた仕事をやり、ずっとパソコンにかじりついていたので少しばかり腰が痛くなった。こんな時は歩くのが一番とばかり2時間あまりを鳥を観察しな
がら散歩した。特に目立ったのがカワラヒワである。グイーとさえずるオスの姿や、数羽の群れ、道端をつがいで採餌する様子などを観察した。黄
色いスポット模様や飛翔するときに透けて見える翼の黄色は、太陽の黄色い光線に馴染んでいて心地よく感じられるように私は思う。春先の溢れ
んばかりに日の光がよみがえるとき、カワラヒワの群れが光の精のように輝いて飛翔している様は、私には輝く命を具現化しているように見える
のだ。
2013
5
6
ふるさと公園
まだ夕方には少し間がある。それでも、すでに夜に備えての歌が始まっていた。キビタキ・ホオジロ・ヤマガラ・メジロ。いずれ劣らない美声だと思
う。この中に本命のオオルリがいなかったのが意外であった。鳴き声ばかりではない。今は繁殖期である。それらしい姿が見られたらうれしい。そ
う思ってきょろきょろ辺りを見やった。メスを追いかけるオスの構図をいくつかの種類で見た。最初は、遠見山展望台で興奮気味に飛び回るサンシ
ョウクイである。5羽までは確認できた。三角関係のようにも見えるのだが。ヤマガラのつがい、メジロのつがい、イカルのつがい、いずれも仲がよ
さそう。生きていることを精一杯表現する。自然には敵わない。
2013
5
6
室林道ラインセンサス
ゴールデンウイークに入って晴が続いている。それは嬉しいのであるがなぜか眠くて仕方がなく2日ほど野鳥から離れた。なかなかやれない読書
をする。寝転がっていると自然に瞼が閉じてくる。そして思い出したように本を広げる。モンテーニュと串田孫一さんの本である。以前はエッセイを
読んだ。最近までは生物のいろいろな本を買った。そして再び、昔買った本を読み返している。そして、本を置いて部屋から出、室林道に向かった
。少し体も軽くなっていたので精一杯歩いて野鳥の声を聞いた。5日前萩小の六年生の児童たちと歩いたのを思いだしながら。あの時児童のひと
りが見つけた古いオオルリの巣をもう一度見ようと、注意して歩いてみたつもりであったがついに分からなかった。けれども、さえずるオオルリの
姿は見ることができたので満足している。今日は、初めて合う鳥にも恵まれた。キビタキのメスである。野鳥のかなりの種でオスの綺麗さが目立っ
ているので、それらのメスを見たことがない、図鑑でしかしらない、ということはありそうである。やはり、オスメス両方を観察して初めて分かったと
いえるのではないだろうか。そのメス軍団の第1陣を見られたのはやはりうれしい。
西暦
月
日
メモ
2013
5
7
萩小探鳥会3年生 観音山方面
4連休明けは、萩小探鳥会の後半戦の初日である。天気は問題なく良いのであるが、5日前に5年生が行ったときに大変苦しめられた強い風が、
多少マシにはなってきたとはいえ影響なしと言えない程度に吹いている。反面、強い日差しを和らげてくれるプラスの面もあり、一概には良し悪し
を決められない。山影川に架かる潜水橋(昔の橋は川底すれすれにかかっていたので、たびたび増水により水を被っていたためこの名がある)
の下を子どもたちに覗いてもらう。そこにはイワツバメの巣があって、今日も親の姿を見たのでヒナに採餌する様子が見られるかもしれないと思っ
たからだ。その予想はうまく的中した。ヒナの糞の世話をしたり、餌を与えたり、親鳥の活躍を実際に見ることができた。よく見るツバメではないと
ころも興味を引く要因になったと思う。カワセミは見ることができなかった。それはそれで残念なことではあるが、思うようには事は運ばないという
のも真実だ。帰り道でフィールドスコープを役立たせる場面に出合った。ホオジロが梢でさえずりをしていたのだ。地上を採餌している鳥をスコー
プで眺めようとしても思うようにいかない。それは鳥は動物で一所にじっとしていないのが原因である。当たり前ではあるが困ってしまう。しかし、
さえずりに夢中になっている時は数少ないスコープが使えるチャンスである。ホオジロの名の由来である白い頬をしっかり見るよう念を押す。今日
の目当てはしっかり見る。はたしてうまくいったのかな。
2013
5
8
萩小探鳥会4年生 観音山方面
春の探鳥会は今日の4年生で終わりである。昨日よりも今日のほうが見るための条件は良さそうだ。それほど風は強くない。保育園の前を通過
する際に園児たちの見送りがあった。その園児たちも今日は遠足の予定らしく、年長の子が年少の子の手をつないで歩いているのに後程出会う
ことになる。平尾の山から大きな2羽の鳥が舞い上がる。双眼鏡で確認する限りではハチクマと思われる(あっという間に消えてしまったので100
%の自信はないが)。皆へのサプライズだねと話す。すぐにキビタキのさえずりの場所を通過し、昨日3年生が観察した、潜水橋下のイワツバメを
確認。ヒナが巣から顔を出している。しかし、親による給餌は見られない。このままここにいては給餌の邪魔になると思い橋の下から出るように指
示。あとで、みんなは勉強のために鳥の生活を邪魔していいのだろうか、鳥の気持ちになって探鳥会をやろう、と話したの良いことだったのでは。
カワセミを見たい子が当然ながら多かった。見たいと思う気持ちを強く持って、気をそらすことなく集中して観察すれば願いがかなうかもしれない。
しかし、必ずかなうとは言えない。それが自然だから。結局かカワセミは見られなかったのである。最後はハシボソガラスの育雛を見た。電柱に小
枝を敷き詰め巣を作り卵を抱いている様子を遠くから見た。カラスであることは見張っていた1羽が巣に下りて初めて分かった。2羽が巣を離れる
と子どもたちは卵の心配をする。1羽のトビが近づく。すると1羽がトビの方に飛んでゆき追い払うのだった。みんなカラスの応援をした。見事追い
払ったカラスに称賛の言葉を浴びせる。もう一羽もしっかり見張っていて、見えなかったけどしっかり卵を見守っていたことを知ったのだった。もう
これはドラマだ。説明をする必要もない。時間いっぱいまでたっぷりと鳥を観察し学校に戻ったのであった。
2013
5
12
室林道ラインセンサス
雨上がりの清々しさに心も浮き浮きする。雲間からの光が帯になって林の奥まで射している。昨日の雨でじっとしていた鳥たちはうっぷんを晴らす
べく思い思いに鳴いているようだ。雨上がりは絶好のバードウォッチング日和なのかもしれない。夏鳥しんがりの席は毎年ホトトギスが頑として譲
らない。ではブービーは? 私はサンコウチョウを挙げようと思う。そのサンコウチョウが室林道にやって来たようだ(見たのだから来た)。さえずり
ではなかったが鳴き声を聞くとすぐに、長い尾羽をひらつかせてオスのサンコウチョウが道路を横切って行った。これほどはっきりと姿を見るのも
珍しい。オオルリのメスを見つけた。そのすぐ近くにオスもいる。つがいになったのかこれからなろうとしているのかわからないが、営巣にまで発展
してほしいものだ。室林道ではオオルリは貴重な鳥であるから。ヤブサメのさえずりも多かった。いよいよ繁殖も佳境に入ったか?
2013
5
12
プリンスアイスワールド2013名古屋
2年ぶりにPIWを鑑賞した。2005年愛地球博の会場にスケートセンターはある。PIWチームの顔触れも代わっていた。世代交代はどこの世界に
でも必然のこと。印象に残ったのは荒川さんだ。今でも現役として復帰できるのではと思わせる。タイタニックのマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンの
音楽に乗って優雅に舞った。たしかこの曲は現役の時も使っていたはずだ。青い衣装は(海だから当たり前)彼女の名を一躍世界的にしたトリノ
の時とかぶる。その後プロになってからも青は特別に考えているのかも知れない。もう一つの映画音楽で舞ったのは太田由紀奈さん。シネマパラ
ダイスの愛のテーマは彼女のエレガントさを一層強調していた。織田信成さんを久しぶりに見た。元気そうで良かった。鈴木明子さんはすっかり女
子の中心メンバーとなった。アイスチームも高度な技を何気なくにこやかにこなしている。ここがプロとアマの違いなのか。
西暦
月
日
メモ
2013
5
18
萩小探鳥会1・2年生 善住寺方面
1週間前の天気予報では萩小探鳥会の締めくくりとなる親子探鳥会の開催は悲観的にならざるをえなかった。それが、いつの間にか傘のマーク
が消え、雲のマークも消え、当日は、強い日差しが射る快晴の日となった。ヒバリは、青空と雲の間を上へ上へと昇ってゆく。それを1・2年生の子
どもたちとその親御さんが見守る。なぜあんなに大変なこと(人間技ではない)をやるの? 当然な質問に答えながら、どこの世界でも男は大変な
のさ、と言うと、思わず参加した女親の方たちから苦笑がもれた。少しはオスの頑張りに対して同情を示して欲しいものだ。今まさに繁殖期。見ど
ころはいっぱいある。ホオジロのさえずりはうまい具合に梢の頂きでやっていた。子どもたちは、ホオジロの、精一杯口を開け、一心不乱に歌う様
子を、どのように感じてくれたであろうか。そして、最後にクライマックスが用意されているとは思いもよらなかった(それが自然観察の醍醐味なの
だが)。ヒノキの林にハシボソガラスがちらちら見えたのがきっかけであったが、太いヒノキの中に巣のあることが偶然にも分かったのだ。そこには
卵を温める親のカラスの姿(下から見上げているので実際には尾羽の部分が見えるだけである)があった。こんな時の観察にはアングルビュー
のスコープが最高であるが、今日持参したのがまさにそれであった(探鳥会はA・B・C班に分かれて行い、3台のスコープを各班に割り当てた。そ
れがたまたまアングルビュータイプであった)。今回、ヒバリ・ホオジロ・ハシボソガラスと、まったく異なる情景を見られたことには感謝してよいと思
う。私としては、子どもたちの心にいつまでも消えない記憶として残ってくれたなら、それだけでもう言うことはないであるが。
2013
5
19
羽根・長根の田んぼ
しばらく来ないうちに田んぼの早苗の色が濃くなった。吹き抜ける風が気持ちいい。双眼鏡も何も持たないでノートだけでセンサスしようと思う。で
きるだけ視野を広く保って個体数を見ようと考えた。いつもの場所であるし見慣れた野鳥ばかりなので問題はないだろう。田んぼの上を舞ってい
るのはツバメと新顔のコチドリである。コチドリのスピードも相当なもので、慣れないとツバメと間違えられるかもしれない。水面を丹念に探してい
ると5・6羽のカルガモがじっとしてかたまっているのが見えた。そろそろ水草が増えはじめる頃なのか。農家にとっては除草に一役買ってくれあり
がたい存在だ。風にのって遠くから珍しい声が聞こえる。オオヨシキリのさえずりである。ここ萩においては、意外にもオオヨシキリの声を聞くこと
が少ない。5月初旬に1・2度我が家の前の草むらでさえずりを確認したのであるが、その後はまったく聞かなくなった。思うに、移動個体ではない
だろうか。ここのオオヨシキリは定着するのか興味が持たれる。夏の鳥セッカの様子も気になるところだ。海岸に行けば芦原などでさえずっている
のを見るが、萩では少し遅れて飛来するみたいである。畦をみるとアザミが紅と紫の花をつけていた。花もきれいだが葉の濃い緑もいい。シロツメ
クサの4葉でも探してみようか(それくらいの余裕が欲しい)。
2013
5
20
寺ノ入林道ラインセンサス
朝、霧雨が降っていたが何とかなると思って車を走らせた。向かう先は三河湖。しかし、フロントガラスにかかる雨粒が増えてきたため、残念では
あったがUターンしてきた。昼頃になってすっかり晴れてきたので迷ったあげく、夕方、センサスを開始することに決めた。私の場合鳴き声が中心
のセンサス法なので、鳴いてくれないと本当に困ってしまう。鳥が活発に鳴く早朝がだめなら次に良い条件の夕刻ではと思ったわけだ。それがう
まくいった。オオルリもキビタキもカラ類もよく鳴いていた。センサスを終えるとほぼ同時に太陽が山の端すれすれにいた。ああこれだと思った。な
ぜいままで試してみなかったのだろうと思った。真剣に考えていなかった。時間をやりくりして野鳥観察を続ける。ひと皮剥けたように感じた。夕焼
けの寺ノ入林道にサンショウクイの鳴き声が響いていた。今までにない新鮮な感じを受けた。
2013
5
22
室林道ラインセンサス
エゴノキが一面に白い花をつけてた。その下に開いた花からホバリングして蜜を吸っているのはハナバチである。足元で動き回っているのはオサ
ムシだ。オサムシには多くの種類があるそうだ。その分類についての話である。伝統的な形態から分けた分類と分子配列から分けた分類でかな
り異なっているそうだ。当然ながら伝統的な分類学者は異論を唱える。しかし、日本各地のオサムシを分子系統学的に分けた(たとえば古い年代
順に並べてみる)結果と、それらが生息している場所の地質年代とがぴったり一致しているようなのだ。オサムシは太古から飛べない昆虫だった
らしい。そう考えると、形態ではなく、遺伝子の配列から分類を見直すのは理にかなっている。同様のことは生物すべてに当てはまる。地球上に
生物はただ一つのいきものから、永い時間をかけて分かれていったという考えを否定する根拠はないからだ。鳥類は動物界・脊椎動物門に分類
される。さらに目・科・属・種に分かれる。分子配列から分類を試みられて久しい。そして今、野鳥の世界でも新しい(分子配列)方法でもとめられ
た分類に従ってカタログができている。日本産鳥類の分類も、昨年秋に、10年ぶりの改定がなされた(「日本鳥類目録改定7版」)。今、野鳥図鑑
の出版社は改定にそった見直しを進めているのだろう。自分もHPに記載している分類についていち早く、改定6版から改定7版に改めている。観
察記録にある分類や学名は7版に合わせて見直した。そして、すっきりとした気分になってこれからも野鳥の観察を続けていこうと思う。
西暦
月
日
メモ
2013
5
26
蛇峠山
高嶺から蛇峠山はすぐにある。両方とも麓から見る姿が堂々としていて1600メートルの山とは思えない。麓は別荘地帯でこんなところに住めた
ら(定住はごめん蒙りたいが)どんなにか野鳥の観察ができるだろうと思わなくもないが、毎日見ていたら飽いてしまう可能性の方が高そうだ。変
化がないと人間は耐えられないのかも。別荘帯を抜けた途端に私を喜ばせる声がした。コマドリがさえずっていたのである。この場所はまだ車で
上っていたので、他の車を気にしながら(極く少ないが対向車もあるので)エンジンを切る。じっくり耳を澄ませてみると、コマドリは1羽ではなくて2
羽で鳴き交わしていることが分かった。コマドリはメスがオスのようなさえずりをおこなう少ない例である(オオルリやサンコウチョウもメスがさえず
る)。馬の背で車を降り、山頂に向かい歩いてセンサスを開始する。これからが本番だ。ホトトギスが大きな声で鳴きだした。近くにいるに違いない
。すると、やはりすぐそばにいたと思われるウグイスがすぐに反応した。オスがけたたましくさえずりだしたのだ。このような光景にはよく出くわして
いる。ウグイスはホトトギスの被托卵鳥の代表格なのだから。14時を過ぎても夏至1か月前の太陽は十分高いのであるが、普段とは位置が異な
るせいか(朝センサスを開始し、正午には下山することが多い)周りの景色も少し違って見える。山の輪郭は同じであるが凹凸は太陽の位置でま
るで違いのはよく経験するところだ。センサスでの注目はやはりコマドリだ。4月のセンサスで聞いた場所は覚えているのでその場所に近づくとド
キドキする。結果は、期待以上であった。2か所で4月同様にコマドリのさえずりを聞くことができたのである。今回はそれにコルリも加わった。コ
ルリには悪いが、こと声に限っては、コマドリの方に軍配を挙げたい。麓では盛りの過ぎたレンゲツツジがまだオレンジ色の花を誇っていた。この
スカッとした色はほかのツツジには無いものだ。花の間を飛び回る昆虫たち。その中にアサギマダラがあった。これは北上個体ということになるの
だろう。山頂ではすっきりとした気分で周りを眺めることができた。晴れて空気が澄んでいたら乗鞍や北アルプスが見えるはずの方向は霞んでい
たし、3000メートル峰が連なる南アルプスも満足には見えなかったが、それでも気分は晴れ晴れとしていたように思う。
2013
5
26
室林道ラインセンサス
エナガの群れをみると皆幼鳥であることがわかる。当然といえば当然であるが、つがいをつくらない成鳥がいてもいいのではないかという疑問も
湧いてくる。なんとか繁殖期に、成鳥だけの群れに出あいたいものだ。今は確かに繁殖期の真っ最中だと思う。さえずり個体の多さからそれを感
じ取ることができる(感覚でものを言っては科学的ではないと言われるかもしれないが)。さえずりと地鳴きとの割合を示したいと思うが、結果はの
評価の評価は難しそうだ。はっきりとさえずりと地鳴きが区別できる種ばかりではないからだ。それに、さえずりと地鳴きでは観察者へのインパクト
が違う。地鳴き側からは公正に評価して欲しいとクレームが付くかもしれない。正直に言って、地鳴きの方が耳に残りにくいのは確か。例えば、ウ
グイスは、繁殖期でもコミュニケーション(少なくともメスからは)は地鳴きを使っているはずなのに、私の耳にはほとんど聞こえてこない。聞こえる
のはオスのさえずりばかりである。ヒナが巣立ちし親と行動を共にし始めると、ヒナの鳴き声(地鳴き)と親のヒナへの警戒声(地鳴き)はよく聞か
れるが、それはちょっと別物である。それでも無理やりさえずりと地鳴きの割合を出してみようと思う。結果は59対41であった。
2013
5
26
高嶺
国道153号線から高嶺登山道へ入ったときにはすでに13時に近かった。茶臼山での渋滞に癖壁し(今の茶臼山はシバザクラを見に来る車で休
日は大渋滞)、やっとのことで茶臼山から逃げてきたのだった。山頂までの道をゆっくり上る。この山は大部分がカラマツの植林で、芽だし時期の
緑も魅力的ではあるが、新緑の、ほかの樹木とはあきらかに異なる、新鮮な緑色が私は大好きである。地元の山では見ることのできない景色を
楽しむことにしている。だから、鳥が多い少ないなどという必要はないのであるが、あまりに少ないと、遠くまできたのにと残念がるのは仕方のな
いところだ。その点今日は及第点をつけてあげよう。目当てにしていたコマドリやコルリに出合えなかったのは少々残念ではあるが。高嶺とほぼ
同じ標高で、かつ、すぐ隣に位置する蛇峠山(高嶺を見たあと向かった)では、コマドリもコルリも確認することができた。なにが違っているのだろう
か?。センサス方法は違う。高嶺は車、蛇峠山は徒歩である。でもそれが原因とも思えない。種でもっともふつうにみられるウグイスは麓から山頂
まで万遍なくいる。中腹まではセンダイムシクイも盛んにさえずる。高嶺の山頂は冬季にはべっとりと雪で化粧をする。それは、樹木が無いせいだ
。クマザサと灌木の広がった山頂一帯は樹林を好む鳥には棲みにくい所なのだ。だから、ウグイスばかりが山頂で鳴いているのは至極もっともな
ことだ。
西暦
月
日
メモ
2013
6
1
室林道ラインセンサス
センサスのスタート地点で、オオルリがソングポストでさえずっていた。こんな時には何かいいことありそうだ。それが的中した。オオルリの巣がで
きあがっていたのだ。先回の時(5月26日)には無かったので、ここ1週間以内で造られたものである。ただし場所がいかにも悪い。丸見えなのだ
。毎年同じところに造っているが(同じ個体ではないにしても)最後まで行った(巣立った)例がないので、複雑な気持ちで見守ることになる。巣に
は近づかないでおこう。日によって、さえずりをする個体の多少があるみたいだ。この日はセンダイムシクイが多かった。気になったのがハシボソ
ガラスの声だ。室林道ではハシブトガラスが普通に見られる。ハシボソガラスは極く少数派であるが、この日は濁り声のハシボソガラスが鳴いて
いた。ハシボソガラスの多い田んぼからそんなに遠いわけでもないので、室林道にいたとしてもおかしくはないが、室林道で聞かれるのは不思議
と澄んだハシブトガラスなのである。
2013
6
2
茶臼山ラインセンサス
着いた瞬間に感じることができた。とてもたくさんの小鳥たちの声が聞こえたのだ。最近少なくなった、コルリやミソサザイも小鳥小屋の脇でさえず
っていた。もちろん、ウグイスや近年増加しつつあるソウシチョウは言うに及ばずだ。一番、初夏の茶臼らしい鳥と言えばカッコウ。少なくとも、高
原の雰囲気を醸してくれる意味で依存はないと思う。そのカッコウが牧場の広がる高原で鳴いている、茶臼山を訪れた人は心から癒されるに違
いない。その点、似たような行動をとるホトトギスの声からはもっと緊迫した雰囲気を感じとって、下界に戻った後の忙しない気持ちを呼び戻すか
もしれない。森の中を歩いていると、ひときわ響く声で、2羽のミソサザイがさえずっていた。お互いに呼び交わしているようにも思える。そのうちの
1羽が、急に目の前に現れて、枝にとまった格好でさえずり始めた。まるでこちらの行動を監視しているかのように。それが警戒の行動であったの
かわかる由もないが、場所を変えさえずるさまは、お前のことを見張っているぞ、と言っているかのようだ。カッコウと並んで高原らしい鳥と言えば
アカハラだ。明るい歌声に気持ちも晴れる思いだ。今日のところはアカハラは現れなかったが、似た鳴き声のマミジロが代役を務めてくれた。代役
で十分。マミジロもなかなか見ることができなくなった。そして、そろそろ真打に登場してもらう時がきた。スキー場のゲレンデにシバザクラを咲か
せて多くの行楽客を呼んでいる。今年は花のできが芳しくなく、交通整理員の話では、予定よりも早くシバザクラ祭りを切り上げるとのことだ。そん
な喧騒から離れた茶臼山の一角に真打はいた。ヒーンと2声・3声鳴いた時、私の心は小躍りしてしまった。本当に、最近の茶臼山でコマドリのサ
エズリを聞くことは、くじに当たるくらい珍しいことになってしまったのである。録音機のスイッチを入れ、再び鳴いてくれるのを待つのであるが、案
外、こういう時はすぐに鳴かないものである。気持ちがそう思わせていることは承知しているが。ところが、今回は休みを入れないで次々を鳴いた
。うれしいなんてものではない。録音をしていても必ずバイクや車のエンジン音がどこかに入っている。それだけ野生動物にとっては棲みにくい場
所になりつつあるのが茶臼山の現実なのであろう。
2013
6
8
室林道
6名のメンバーで2台に分乗して室林道に向かう。北風で吹いているのは雲の流れと、少しばかりの乾いた空気で感じ取ることができたが、それ
でも、遮るもののない校庭では暑さを覚えた。それが、室林道に着いた途端、窓からはひんやりとしたものが入ってきた。これは気持ちがいい。室
林道までの工程を端折ることができたので、あとはゆっくりと歩くことができる。学校の探鳥会(6年生)の再現のつもりでセンサスしてやろう。スタ
ートして間もなくオオルリの巣のある所にきた。覗きこまないかぎり巣に卵が産んであるのかは分からない。親を脅さないように道の端に寄って通
過する。キビタキを見つけた。若い彼は、小学生のころ探鳥会に参加していたので、スコープの操作も堂に入っている。すぐにキビタキを視野に入
れ見せてくれた。それはそれはきれいな姿であった。やがて、頭上にエナガたちがヤマガラを伴ってやってきた。声のから感じられるのは、つがい
ではなくて群れのようだ。声がどんどん大きくなり、2羽・3羽と姿だ見られるようになった。双眼鏡で見ると確かに幼鳥だ。一腹の兄弟姉妹なので
あろう。2種以外にも、センダイムシクイ・メジロなども新緑の陰で採餌しているのがわかる。そしてようやくウグイスの声が聞こえた。一度聞こえる
と、あとは芋づる式に鳴きだした(ように思えた)。牧野さんが、「家の近くでもウグイスが鳴いているけど、ここのウグイスの方が声がきれいだね」
と言われた。何となくうれしい。野イチゴの赤い実が美味そうだ。昔食べた経験のある者はすぐに頬張ったが、若い人は躊躇している様子であっ
た。ちょうど食べ頃でほのかに甘みを感じる。もうひとつ植物で。1本だけササユリが咲いていた。上品なピンク色の花は楚々としており、よく言わ
れる、”歩く姿は百合の花”はまさにこのことを指すのだろう。
西暦
月
日
メモ
2013
6
15
室林道ラインセンサス
8日に室林道で土曜探鳥会を行った。その時にオオルリの巣に卵があった。その後の様子は?。双眼鏡でみたら顔だけが何とかわかる。地味な
色なのでメスである。眼が慣れてくると、顔の両端についている目玉でこちらをじっと見ていることが分かる。接近しないように注意を払って横を通
過した。ここまではいつものことだ。抱卵・育雛と進んでいくのが難しい。障害が待ち受けているのだ。人間以外の天敵に邪魔されるのは自然界
のできごとであるから意見をのべることではない。しかし、理性を有する人間が、その意思で繁殖の邪魔をしたとあっては、どんな理由があろうと
もその行為を許すことはできない。
2013
6
17
愛鳥クラブ 室林道
今日も、梅雨とは名ばかりの晴天が広がる。寒暖計はどんどん上がっている。こんな日の野外活動は熱中症が一番怖い。自身も気を付けねばと
、大きな水筒に氷入りの水、それにひとつまみ塩を入れ学校に向かった。校庭には先生と6名の子どもたちがいた。今日はクラブ活動の日で、校
庭のボールゲームのチームには20名以上の子どもたちがいる。5月に行った学年ごとの探鳥会では観音山に行ったので今回は別の所に行きた
いとの希望を入れて、今まさに抱卵中のオオルリの様子を見せてあげようと思い、室林道に向かうことにした。室林道までは大人でも30分はか
かるので、できるだけ道草をせず行きたいと思っていたが、存外と鳥の姿が多くスコープで眺めたりしたため、室林道に到着した時には予定の半
分を過ぎていた。それでも、室林道の入り口ではサンコウチョウやセンダイムシクイが鳴いてくれ、オオルリへの期待も徐々に高まっていった。そ
していよいよ巣が見えてきた。巣の中には卵を抱く親の姿がいるはずだ。たぶん母親だろう。かなり手前でスコープの三脚を開き固定した。はたし
て子どもたちに姿を分かってもられるだろうか。案の定といっては失礼だが、鳥がいると最初から言った子はいなかった。頭の一部と目とくちばし
が薄暗い背景に溶け込んで何だか分からないのであろう。これが、抱卵してるのがオスならば見つけるのは簡単であろう。こういう場合、どのよう
に見えるのか想像しているのと現実が食い違っていることが原因のように思う。メスがまっすぐこちらを凝視している形を思い浮かべるのは案外
難しいのかもしれない。正面から見た姿であることを説明すると、少しずつオオルリの姿が見えてくる子が出はじめた。それで、スコープを順繰り
で覗き、4・5順目ほどになるとほとんどの子が「分かった」と答えるようになった。電線や梢にとまる鳥を見ることが多かった子どもにとっては、想
像していた以上に難しいと感じたのではなかろうか。それは当然だ。片方は(電線など)は目立とうとしているのに対して、こちら(巣)は目立っては
いけないのだから。近くからオオルリのさえずりが聞こえてきた。間違いなく抱卵中のメスのつがいになっているオスの声であろう。
2013
6
22
羽根・長根の田んぼ
ようやく青空を見ることができた。こんな気持ちは久しぶりだ。それほど近頃は梅雨らしくない梅雨になってしまったのであろう。でもぴーかんの快
晴は御免こうむりたい。1年で最も真上から照りつける太陽は雲に隠れていてほしい。そんな気持ちがほぼ叶った半日であった。探鳥会を終えた
午後からは晴れ間が広がって、昨日までの湿った大地をどんどん乾かしていった。萩小の校庭脇からシジュウカラのさえずりが聞こえてきた。よく
見ると電線にとまって鳴いていた。それが飛び立ったかと思うと、こちらの方に向かって来た。まさに真下から見たシジュウカラであった。田んぼの
中にある家の駐車場ではツバメの子育てが続いている。ご主人と奥様から聞いた話。今年は去年よりも巣立ちが順調で、今は2度目の繁殖との
こと。昨年は暑くてヒナが皆死んでしまったそうだ。嬉しそうな笑顔で話してくれた。山陰川を渡ると羽根・長根の田んぼが広がる。程よく曇り、微
風が途切れなく吹いてきて、今の季節としては気持ちよく歩ける。早苗の風紋も清涼感を増幅させる。ハルジョオンが揺れ、キョウチクトウが赤い
花を付け、ビワの樹には黄色い実が鈴なりになっていた。終点の運動公園から元気な声が聞こえていたが、まさにこれから野球の試合が始まる
ところであった。田んぼで今年最初のセッカを、と期待してきたのであるが(我が家でもセッカの声を聞いていたので)、残念ながら今日は出合うこ
とは無かった。再び神社の杜にやって来たとき、古いクスノキが見事なところであるが、突然大きな声がした。「ピヨー」「ピヨー」声の主はアオゲラ
である。大きな体から発せられる鳴き声は遠くからもはっきり聞こえて、同行した先生は、「毎日学校で聞いていました」とおっしゃった。
西暦
月
日
メモ
2013
6
23
室林道ラインセンサス
サンコウチョウのさえずりが聞こえる。サンコウチョウの場合はメスもさえずるのでどちらが鳴いているのか判断しずらいが、オオルリの場合(オオ
ルリのメスもさえずる)と同様でオスに比べ鳴き方が稚拙である(しかし、オオルリほど差は大きくない)。目の前を横切ったのは、体の3分の2以
上の長さをもつ尾羽をなびかせた、目をに張るようなオスであった。このあたりに飛来する夏鳥(いや、冬鳥も含めた全ての鳥)の中でも、このサ
ンコウチョウの姿と鳴き声は、最も忘れ難いものであると自信をもって言える。そのサンコウチョウが薄暗い林の中に消えてゆく。姿はカメラには
収められなかったが、その不思議なさえずりは見事に録音することができたので紹介したい。気を良くして先に進む。やがて、オオルリの巣が見
える。巣の中には抱卵中のメスの姿がいるはずであったが、遠方から双眼鏡で見る限りそんな姿は全くない。育児放棄? 悪い予感が頭を横切
った。卵は? 確認するためには巣に近づいて覗き込まないと無理だ。背に腹は代えられない。覗き込んでみると卵も無い。何者かに捕食された
? 盗難にあった? 悪いことばかり思い付く。薄暗いので巣の中が分からない。そこで、細い枝でそっと触ってみることにした。やってみた。びっ
くり仰天とはこのことだ。埃のような黒いものが動き、大きな口を開けたのだ。反射的に巣から離れたのはせめてものオオルリへの気遣いのつも
りであった。驚きはそれだけにとどまらなかった。巣箱に造られていた巣の中からこちらの方をじっと窺っているメスの目が見えたのだ。あわてて
巣から離れる。巣箱に造られていた巣のうちの完成間近であった方で抱卵が始まっていたのだ。2つの巣の間隔は100メートルも無い。こんなこ
とは初めだ。もうひとつの巣はまだ造り始めたままで変わりはなかった。何とか巣立ちまで行き着いて欲しいものだ。捕食者、托卵鳥、密猟者、さ
まざまな障害が待ちかまえている。そんな中でも、観察している私が一番迷惑な存在なのであろう。
2013
6
25
寺ノ入林道ラインセンサス
再び夕方の寺ノ入林道に来た。さまざまな事情があって、バードウォッチングの定番である早朝に時間が取れなくなったのだ。日中ではいかにも
鳥を見るには不利と思い夕方にしようと考え進めてきたが、はたして首尾よくいっているのかよく分からない。今日の結果も満足できない。それは
、朝と比較すると、鳥の鳴き方に違いがあるように思えるからだ。まず、種によって朝方・夕方にともに鳴くものと、夕方はあまり鳴かないものとに
分かれるみたいなのだ。もっと観察を続けないといけないが、それが本当だとすると、今までの記録と比較することに意味がなくなる気がする。ク
ロツグミが鳴いていた。朗らかな(そんな感じを受ける)歌声が寺ノ入林道に響く。夕日の情景も好ましかった。オオルリが沢の音に負けそうになり
ながら鳴いていた。最初はメスの声かと思った。オオルリはメスもさえずることがあり、オスにしては単調で弱々しい感じがしたのである。しかし、し
ばらく聞いているうちに、やはりこの個体はオスではないかと思うようになった。よく聞けばさまざまな節回しが入っている。最後、もう午後7時を回
っていたが、車に乗り込もうとした時のことであった。足元でかなり強い調子で鳴く鳥がいた。地鳴きである。思い付くのはヤブサメ。あまり聞いた
ことがないくらいの迫力なので、少々不安ではあったがヤブサメと記録した。面白かったのはオオルリとツツドリが一緒に鳴いていたことだ。ツツド
リの声にオオルリが反応したわけでもないだろうが(オオルリが被托卵鳥であることは聞いたことがある)、ホトトギスならばさもありなんと感じるが
、ほんわかムードのホトトギスでも同じなのか。
2013
6
29
寺ノ入林道ラインセンサス
2日間に行った夕方のセンサスは気になることがあった。早朝(朝方)に見る種と少し異なると思ったのだ。具体的には、カラ類が入っていないの
が気にかかる。カラ類は普通にいる鳥なのでそれらが入っていないのは聞き捨てならないことだ。その時は、日を置かないで朝方のセンサスを実
施し、朝夕の違いを調べてみようと思ったわけだ。谷の底から見上げる空には巻雲が架かっていた。どうりで涼しいくらいの朝だ。気にかかるの
はカラ類の様子だ。2日前の夕方には、カラ類の声はまったくと言ってよいほど聞くことができなかった。それはどうか?。結果はすぐに出た。車を
降りた途端ヤマガラの地鳴きを聞き。少し離れた所からはシジュウカラのさえずりがあった。センサスを進めると、カラ類の中でも特にシジュウカラ
が活発に採餌している様子を観察することができたのだった。やはり予想は当たっていたのだ。そして、これからのセンサスで留意すべきことが
分かった。夕方のセンサスはその旨を記すること。比較する場合には条件を合わせること。この日の中でのトピックスはオオルリのさえずりの交
わしだ。沢から少し離れ静かな場所に来た(沢音がかなり大きくて小さな声で聞き逃すくらいなのだ)。最初、ヒタキ科の語源となった ”カカッ”と
火打石を打つ音を聞いた。「オオルリか?」と口の中でつぶやく。こういう時は何かに出くわすことが経験的に分かっていたので、一気に緊張する
。やがて声の先からさえずりが聞こえてきた。それに呼応するように、山側からもう一つのオオルリのさえずりがした。右手(最初に聞こえた)と左
手の個体が鳴き交わす構図となった。注意を引いたのは、その一方が稚拙に聞えたからだ。もしかして、この個体はメスではないかと思ったほど
だ。最近同様の経験をした。鳴き交わしではないが、メスのさえずりのように思った。その時も今回も、結局のところ声の主はオスであることを確
認しているが、自分の耳のふがいなさに呆れるというよりは、まだまだ修行が足りないなと、前向きに考えることに同意することにした。
西暦
月
日
メモ
2013
6
30
茶臼山ラインセンサス
6月の初めの茶臼山では観光客が山頂(萩太郎山の)をそぞろ歩いていた。シバザクラを見に来ていたのだ。そして今日は、スキーのリフトがオ
ルゴールの音を奏でで運転するも空気ばかり運んでいた。ラインセンサス道路はバイクの隊列がけたたましいマフラー音を立てている。その脇を
自分は鳥を求めて歩いている。立派な歩道があるので安心だ。ただし、自分以外に歩道を歩いている人はほとんどいない。今日は一人だけいた
が。茶臼山のどこにいても、ホトトギスとカッコウの声は響き渡る。するとそれに刺激を受けるかのようにウグイスがさえずりを開始する。確かにホ
トトギスの鳴き声が引き金になっているように感じられる。その他の鳥はどうなのだろうか。ホオジロも多く鳴いていたし、ソウシチョウやコルリも林
の中で盛んにさえずっている。彼らは托卵されているのだろうか。そうならば托卵鳥の行動に何らかの影響を受けているに違いない。コルリはま
あまあ鳴いていたがコマドリはまったく確認できなかった。春先に(コマドリの飛来時期に)さえずりを聞いたきりなので、はたして茶臼山で繁殖し
ているのかと問われたら、否定的に答えざるを得ない。すぐ隣に位置する(10Kmは離れていると思う)蛇峠山ではコマドリの繁殖が確実な様子
なので、その違いを考えるのは意味あるように思う。自然の違いももちろんあるが、蛇峠山に登って感じる、人の気配が全く無いということが大き
なヒントになると思える。
2013
6
30
蛇峠山
茶臼山から蛇峠山に向かう。茶臼山ではコマドリの声が聞かれなかった。蛇峠山にはきっといるだろうから声を聞きたい。それが、茶臼山のライン
センサスで少々くたびれた足を激励し、ここまで来てコマドリの声を聞かずに帰るなんて、後悔を人質にとって、車を長野県側に向けて走り出した
のだった。雲が低くなったようだ。蛇峠山や高嶺の山頂は霞みに煙っている。気温もそれほど上がっていない。窓を全開にすればエアコンなしで
気持ちよく運転できる。治部坂の駐車場には何台もの車があった。今日は日曜だと改めて思う。休日ならばこそここまで鳥を見にくることができる
、ということを忘れていたのだった。山頂は霧の中は100パーセント間違いないので、山頂までのセンサスはよして(足のほうに相談したらそうす
ることを進めた)、コマドリが鳴いている所まで歩くことで合意した。足は馬の背(車の終点地点)で鳴いていて欲しいと思っただろう。すでに辺りは
霧に覆われていた。太陽の光は全く影をひそめた。その分寒さが勢力を盛り返してきて山頂に体を押し上げる力を後押しする。ウグイス、ソウシ
チョウ、コルリがよく鳴いている。彼らは棲息環境が似ているように思える。勢力を伸ばす種、縮小せざるを得ない種、どうなのだろうか。この場合
、それぞれの個体の繁殖成功率が、全体として種の成功率につながっているのではなかろうか(群淘汰を排除する身としては)。その中でのコマ
ドリの立ち位置は微妙だ。明らかに数を減らしているように見える。最初のポイント(センサスでよく確認する地点)を過ぎ、第2のポイントまで来た
(これから先はまだコマドリを確認していない)。ここまで来たらしばらく粘ってみるしか方法はなさそうだ。10分も耳を澄ませていたであろう。コル
リはいるらでもいるが(大げさに言えば)コマドリは鳴かない。あきらめかけて足を下に向けようとしたところ、かなり遠くて弱い声ではあるが、間違
いなくコマドリが鳴いた。コルリも決して悪声ではないが、コマドリに比べるのは気の毒になる。もう少し近くから聞きたいと思う。しかし、贅沢は言
えない。数回ほどさえずりを聞き、願いがかなったことを感謝しつつ、どんどん霧が濃くなってゆく登山道を下りて行った。
2013
7
4
室林道ラインセンサス
オオルリの営巣のその後は予想外の展開となっていた。正確に言えば、半分は予想していたことであり、半分は全くの想定外であった。巣箱でメ
スが抱卵していた場所には無事にヒナが孵っていた。覗き込むほどは近づかないようにして中の様子を見ると、親が運んでくる餌を待ちかねる、
大きな口を開けたヒナの姿を確認することができた。今までの室林道での観察記録を振り返ると、卵を温めている姿までは確認できたものの、無
事にヒナが孵った所まで確認できたことがなかったのだ。捕食や密猟などの被害にあっていたわけだ。こちらは、願っていたように事が進んでい
る。意外であったのは、巣箱でなく自然の中に巣を造った方だ。最後に見たときは(こちらは覗き込まないと中の様子は分からない)ヒナが口を開
けていた。だから今は、もっと大きく育って、もしかしたら巣立ちしていて巣の中は空になっているのではと思っていたのだが。ところが、巣の中に
は再び卵が産みつけられていた。一斉に疑問が噴き出てくる。①あのヒナは巣立ちしたのか?②ヒナを育てていた個体が卵を産んだのか③別の
個体が巣を拝借したのか④オオルリは続けて子育てをするのが普通なのか(②が正解の場合)⑤他人の巣に平気で卵を産むのか(③が正解の
場合)。それにしてもこの卵で3度目の卵の確認になる。このような経験も私にとっては初めてとなる。どうなのだろうか。すべてが巣立ちしたとし
たら、当然ながら個体数は増加する。そうなると人口過密になりはしないか。自然淘汰が働いているのだろうか。いろいろとりとめなく考えながら
センサスを進めていったのだった。
西暦
月
日
メモ
2013
7
9
室林道ラインセンサス
オオルリの営巣について。2か所で営巣していると報告したが、自然の場所に産み付けられている巣は、卵がひとつあるだけで抱卵の気配が無
い。本来いるべき親の姿が無いことから、はたしてこのままヒナが孵るのか疑問符が付いてきた。気温が気温なので親の抱卵の必要性が低いの
か?。巣箱の方のヒナは順調に育っているようにみえる。近くでは親が見守っている。さえずり個体がいたのでオスであろう。巣立ちまで何ともな
く過ぎて欲しいと思う。早く起きたつもりであったが室林道には朝日が当たっていた。林床にも。林床にはヤブサメがいて小さな体を素早く移動さ
せている。私はこの鳥が気に入っていて(いなせな感じが好きだ)さえずりを聞くと、何とかして鳴いている姿を見たいものだと思う。しかし、それは
なかなか難しそうだ。ヤブサメのさえずりは、どちらの方向から聞こえてくるのかまるで分らない。360度のすべて怪しく思ってしまう。だから探す
のは早々に諦める。地鳴きの場合はもっと初級向けだ。声の方向を見れば大抵見つけられる。センサスも折り返して最後の地点に差し掛かった
時、ひと声だけではあるが、これも待ち遠しく思う鳥の地鳴きが聞こえた。昨年の今時分は、この鳥のことがいっぱい書いてある。それはエゾムシ
クイの声である。今年も現れたか。
2013
7
14
夜の探鳥会
今年もやってきた土曜探鳥会の名物、夜の探鳥会。昨日の雨のあと少しばかり過ごし易くはなっているが日中はやはり暑い。帳が降りて人の顔
の判別が困難になった頃、子どもたちが両親に連れられて校庭に集まってきた。参加した12人の子どもたちと大人5名、総勢17名のにぎやかな
探鳥会である。龍源寺に向かう途中雲間から4日くらいの月と金星の輝きがあった。境内で静かに待つ。ここでも夏の一等星を見つける。ベガ・ア
ルタイル・アンタレス、春のスピカ・アークトゥールスだ。探鳥会なのに星々の話になってしまった。そろそろ生き物でもと思っていた。時間もそんな
に無い。ちょうどそんな時のことだ。タイミングが良すぎると思う。声の大きさからお寺からそんなに遠くないところで鳴いていると思われる。声の主
はアオバズクである。過去の夜の探鳥会でもアオバズクの出現はあった。しかし、今回ほど長く真近に感じたのは無かったように思う。腰を上げ
て戻り支度を始める。再びアオバズクが鳴いた。山門の上にさそり座が立ち上がる。夏の鳥と星座。いい取り合わせだと思った。
2013
7
14
室林道ラインセンサス
オオルリの営巣について。巣箱の方は最悪の結果になっていた。巣ごと無くなっていた。もう一方の巣にあった1つは保険にかけた卵であったよう
だ。順調にいけば生まれてこない運命なのだ。ヒナの方は返す返すも残念だ。こうしてみると、あのように目立つところに巣箱を設置したことが果
たして正しかったことか?そばでオオルリの姿が見られた。最初にメスが、そのあとでオスが弱々しいさえずりをしていた。心中察するに余りある。
2013
7
20
寺ノ入林道ラインセンサス
標高600メートルの早朝は気持ちいい。ヒヨドリが鳴く。ヒヨドリの個体数が一番多そうだ。個体数は少ないけれどとても印象に残る鳥がいる。今
日のそれはエゾビタキである。薄暗い灌木の中に、ジョウビタキやルリビタキの地鳴きよりも強くはっきりとした声で鳴いている姿を見つけた。セン
サスの間に2羽のエゾビタキを見たが、見つけた場所は、薄暗い林道沿いの灌木の生えているところ、という点で共通していた。鳴き声は比較的
簡単に録音できるが、姿の撮影となると場所が場所だけに難しい。何せ、レンズの明るさを開放にしてもシャッター速度が1/10秒が精一杯。相
手が少しでも動けばブレた写真になってしまう。結局その通りになってしまった。この程度の山に入れば動物たちに出合わない方が稀だ。鋭い声
の主が山の斜面を上って行った。お尻の白い毛が印象的なニホンジカである。角は生えてはいない。親から独り立ちした若い個体のように見えた
。相変わらずウグイスのさえずりは少ない。これが茶臼山や室林道であったなら何倍もの声を聞くことが出来たであろうに。何が違うのか。分から
ない。
西暦
月
日
メモ
2013
7
21
茶臼山ラインセンサス
豊根村のビジターセンターに着いて、車を降りセンサスの準備を行う。まずはフィールドノートと双眼鏡とを手元に置く。山頂までは走りながらのセ
ンサスとなる。車の交通量は少なくゆっくり走っても迷惑をかけることは無い。確認したことは適当な場所に止まってノートに記録する。山頂(もち
ろん厳密には山頂ではない)の駐車場に着くと今度は歩いてのセンサスが始まる。いでたちはかなりすごいものだ。貴重品・水・録音機をいれた
カバンを肩から下げ、双眼鏡を首に、コンパクトカメラをカバンと反対の方にたすき掛けし、最後に、筆記用3色ボールペンを掛ける。そして300ミ
リの望遠レンズを付けたカメラと三脚を担ぐのだ。全てを両手に持つとかなりの重さになり、我ながらよくもまあこんなことができると思う。およそ3
時間半かけて茶臼山の周辺を反時計回りにぐるりと回るのである。頼りになるのは体力・視力・聴力だ。そして気力も欠かせない。最大の障害は
今の時期、道路の正当な利用者たる4輪と2輪の面々。立派な歩道(私以外に使っているのかしらん)が付いているので轢かれる心配は無用で
あるが、マフラーからの騒音(彼らは騒音とは思っていないだろうが)がまことに邪魔なのである。鳥の声をかき消す役割をはたしているのは車ば
かりではない。先回のセンサス(6月30日)では気にならなかったセミたちの鳴き声がいよいよ始まったのだ。昆虫には弱いがハルゼミではない
だろうか。草原の開けた所ではウグイスたちのさえずりが盛んに聞かれ、森が迫る所に来るとセミの合唱に圧倒されるわけだ。ウグイスやホオジ
ロくらい大きな声で鳴く鳥ならばいくらセミが鳴いても問題ないが、キクイタダキやヒガラの地鳴きのようなか細い声の場合にはきっと聞こえないこ
とが多いだろう。種数のカウントにもきっと影響するに違いない。今日の鳴き声のベスト3(個体数で見たとき)は ①ウグイス ②ホオジロ ③ソウ
シチョウ であろう。いたる所で歌っていた。トピック的なできごとの第1番はコヨシキリのさえずりを確認したことだ。今まで茶臼山でコヨシキリを確
認できたのはたった11回だけ。2010年6月30日が最後であった。夏の茶臼山の楽しみの一つにもなっているコヨシキリではあるが、ここに行け
ば確認できるとまでは言えず、まったくの偶然にまかせたできごとなのである。今回も予想だにしない場所での確認であった。そこは、メイン道路
のすぐそばで、例の正当な利用者が切れ目なく通過している。コヨシキリにしては声が小さく間隔も間延びしていたので、せっかくの録音機が役に
立たず、悔しい思いをすることになった。姿の撮影も到底無理である。トピックその2は、前日に愛知県のほぼ中央部に位置する寺ノ入林道でセ
ンサスをしたが、その時に、エゾムシクイの地鳴きを聞いた(繁殖個体なのか移動個体なのかはわからない)。ここ茶臼山でも2個体確認すること
ができた。3時間半のセンサスで消耗した体を休め(昼ごはんは冷やし中華)、靄でぼんやりとしか見えない、これから行く蛇峠山での出あいを楽
しみに、簡単な昼寝をとった。
2013
7
21
蛇峠山ラインセンサス
治部坂峠には多くの車がとまっていた。夏休み最初の休日とあって子ども連れの姿も多い。自分は車をどんどん進め、別荘地帯を通過して、蛇
峠山への登山道の入り口(馬の背)で車を止める。あとはひたすら頂上に向かって歩くのみ。センサス開始だ。記録を見返すとウグイスばかり。そ
の外の鳥は肩身の狭い思いだろう。単調になりがちな気持ちを癒してくれたのは路傍の野草たちだ。ヤマホタルブクロが大きな釣鐘状の花を付
け、ミヤマオダマキが清楚な花を恥ずかしそうに下に向けていた。樹にも白い花を付けている。山頂付近にはマツムシソウが群生しているが、花
はもう少したたないと見られない。辺りを草刈した様子であったが、マツムシソウは丁寧に残しているのが嬉しい。ウグイス以外ではソウシチョウ、
ノスリ、ホオジロ、コガラ、ホトトギスが確認された。そして肝心のコマドリは、残念ながら声を聞くことはできなかった。コマドリよりも多いコルリにつ
いてもまったく声がしなかった(コルリについては茶臼山でも同様であった)。蛇峠山の山頂には雨量レーダーが設置されていて天気予報に役立
っている。自分もつい最近になって、気象庁ホームページから過去の気温データをダウンロードして使い始めた。蛇峠山はその意味でも自分にと
って身近な山になったわけだ。
2013
7
23
室林道ラインセンサス
寺ノ入林道と茶臼山・蛇峠山に次いで室林道でもエゾビタキを確認した。昨年は、室林道でエゾビタキを1か月余りにわたり観察した。異例の長さ
である。今年もそのようになるのであろうか(期待したい)。これらの個体が繁殖中のものなのか、それとも、南下中のものなのか、疑問がとめどな
く湧いてくる。繁殖の現場を観察できれば解決するのだが。家の周りにいるスズメにも今年生まれた幼鳥が見られるように、室林道でもヒヨドリ・ホ
オジロ・ヤマガラなど種々の鳥の幼鳥が目につくようになった。微笑ましい光景である。珍しくサンコウチョウの姿を見ることができた。メスが林の
木々の間を上下左右に飛び回っている。なかなか素早い動きで、餌を追いかけているようにも見える。これがオスだとどうなのだろう。あの長い羽
が邪魔することはなかろうか。
西暦
月
日
メモ
2013
7
26
羽根・長根の田んぼラインセンサス
田んぼのイネは日に日にたくましくなり、とうとう花を咲かせ、秋の実りへの準備を開始した。あまり考えたこともなかったが、風媒花である危うさ
は無いのであろう(現にコメは収穫されている)。サンゴや魚類たちが大量に放卵しそれを受精させているのと似ているように思えるが、偶然に任
せているようで、そうではないのであろう。野鳥のほうはもっと手堅い。セッカのオスは田んぼの周りを何回も回り巣とメスたちを監視する。今の羽
根・長根の田んぼで一番忙しそうにしているように見える。カルガモが10羽ほど、力強い羽ばたき(音が聞こえるくらいの)を見せて編隊飛行をし
ている。それに加わる形でカワウも空を縦断する。こちらは山陰川の何所かに下りるつもりなのであろう。セグロセキレイなどセキレイの姿が少な
かった。しばらくしたら、近くの自動車部品工場に通う車が増えてきた。会社通勤を止めて3年になる。
2013
7
27
乙女川
いくら川の流れに涼を感じようと思っても無理だ。暑いものは暑いのだ。そこに、例えばキセキレイの声が加わると幾分か
気分を紛らすことができるのは不思議だ。ただしどんな鳥でもよいかというとそんなことはない。例えばカケスのだみ声では余計に暑さを感じるだ
けだ。同じだみ声でも川の主たるカワガラスではどうか。難しい判断になる。そのカワガラスがいるのが乙女川だ。清流の鳥が棲息するだけあっ
て水はよく澄んでいる。川底が岩盤に覆われているのも特徴であろう。固い岩盤層が傾斜して川を横切っている様子があちこちに見られる。カワ
ガラスは見られなかったが、春先の方が発見しやすいのも分かっているので残念とも思わない。ごろごろと岩が転がっている上に鳥がいた。カワ
ガラス?と一瞬思ったが何となく違う。よく見ればそれはヒヨドリであった。頭がぼさぼさになっているので水浴びを終えたのであろう。うらやましい
限りだ。乙女川の傍の山からヤマガラの声がした。そのヤマガラが木々の中から飛び出して来て道路わきの電線に止まる。そこにはホオジロとい
う先客がいてさえずりをしている。ヤマガラは遠慮するかのように見えたが、まずは電線にとまってみた。ホオジロも気にする様子はない。30秒く
らいの短い時間であったが仲良く鳴いていたのが微笑ましく感じた。結局先に電線を離れたのはヤマガラであった。
2013
8
1
室林道ラインセンサス
九州北部・日本海側で大雨が降り続いている。前線の南下と共に東海地方も雨が降るとの予想になっている。大陸のある地域は、地震の恐れが
極めて低いとか、台風やハリケーンもやって来ない、などの平穏な生活を享受しているが、日本を含めて大部分の場所は、自然災害の心配から
逃れることができないのだ。科学・技術の発達は人類を他の生物との間に一線を引いたかに見えるが、そんな人類でさえも他の生き物と同列に
引き落とされるのが自然災害なのだ。それどころか、人為的災害すらなんら対処する術も持ち得ないでいるのが現実だ。マルサスの人口論はチ
ャールズ・ダーウィンに自然淘汰の考えをもたらした。現人類が地上に現れて10万年。地球の歴史からすればたった1秒の間に人間は、地球を
破壊する力を持つに至った。それを行使するか否かは人間が決めなければならない。室林道ではウグイスのさえずりが止むことなく続く。ホトトギ
スが鳴くとウグイスも一層声を張り上げているかのように聞こえる。人類が地上に現れる以前からこの関係は続いているのだろうか。センサスの
終わりに、時間にして数十秒に過ぎないが、あのエゾムシクイの地鳴きが聞かれた。南下個体なのか?
2013
8
3
自宅周辺が
オオマツヨイグサの優しい黄色の花びらがよく刈り込まれた畦に揺れている。オレンジ色に変異したものは盛りを過ぎたものだ。水量を減らし川底
の面積が残りわずかになった山陰川、無理もない、そこここからの水門が今まさに稲穂を充実させるべく口を開き飲み込んでいる。しかし心配す
ることはない、田んぼで役目を果たした水の流れは再び川に戻り下流での役割を喜んで受け持つのだ。電線にずらりと並ぶツバメは今年生まれ
た個体も含め25羽を超す。夏は昆虫を発生させる。その中には嫌われ者も少なくない。ボウフラは蚊となって襲い掛かる。動物たちも我々も犠牲
者だ。ウグイスが高山に渡るのは蚊から逃れるためだという説を本で読んだことがある。その蚊を食物にしているツバメとはなんて誇らしい立場
なのだろう。稲穂のおこぼれを頂戴するあのスズメとは大きく立ち位置を異にする。もっとツバメを大切にしないと自然からその報いを払わされる
に違いない。ハシブトガラスとハシボソガラスが共存するのがこの辺りの特色だ。鳴き声と姿の違いを両者は主張する。声では澄んでいるという
理由だけでハシブトガラスに軍配を挙げている私であるが、春からのハシボソガラスの営巣を身近にみていた者としては、あの時の子どもたちの
成長した姿を想像して一層真剣に眺めてしまう。
西暦
月
日
メモ
2013
8
10
室林道早朝探鳥会
恒例の早朝探鳥会を室林道でおこなった。早朝といっても6時30分集合であるから、今の季節では日は上っていて暑さを感じる。しかし、平地に
比べると1・2度は涼しいうえに林道は木陰の中にあるので、そよ風が吹くてくれたら極楽になるのだ。子どもの参加はないので車で林道入り口ま
で向かう。お盆を境目にしてウグイスのさえずりが止むことが多いのでそれにも注目した。また、昨年ずいぶんと気にかかったエゾムシクイについ
ても、今のところセンサスのたびに地鳴きを確認しているので、探鳥会でもとの期待はあった。ウグイスについては、未だお盆には1週間ほど間
があるとあって、さえずり個体は特別今までと変わった様子はない。気持ち少ないかとも思う程度である。エゾムシクイは今回も確認できた。地鳴
きが聞こえる場所も決まっていて、少し薄暗い茂みを好むようだ。センダイムシクイが樹上で生活しているのに対して、ウグイスほどではないが地
上に近い所にいるみたいだ。両者の中間の位置を占めるのか?。ヤマガラとエナガも目立った。一方シジュウカラは全く確認できない。
2013
8
13
室林道ラインセンサス
熱中症で亡くなられる人も毎日のように出ている。最高気温の更新もあった。この高温は人にとっても、人以外の生き物にとってもつらいものだろ
う。ところで、人以外の生き物全てにとってと言い切ってしまえるかは疑問附が付くだろう。こんな温度変化は全く関係ない生き物もきっと多いはず
だからである。野鳥の世界はどうか。寒さで大量死という話は聞いたり読んだりしたことがある。暑さでの大量死の話は聞いたことも読んだことも
ない。さて、室林道のラインセンサスを続けている意義を考えた。こうして時々立ち止まって考える。というのも、人間、残りが少なくなると今の時
間が一層大事なものに思えてくる。回り道や無駄なことはできるだけ避けたいと思うのはいけないことだろうか。もっとも、では何が無駄と言い当
てるほど物事を分かっていないので困るのであるが。そこで結論がでたか?。いやまだなのです。例えば、ウグイスの生活が1年間を通してどの
ようになっているのだとか、少し大きな時間で見た場合に変化しているのだろうかとか、そんなことを知ることができないかと考えている。結局、何
を計測すれば分かるのだろうかがよく分からないのである。山に出かけるときはそんなことは考えてはいない。自然には厳密な意味で同じことの
繰り返しはないのであるから、いつの日も何か新しい出合いがあると信じているのである。
2013
8
18
茶臼山ラインセンサス
センサスを開始したのは正午間近になってから。本当はもっと早く家を出発する予定であった。どうも体が重く感じてその気になれなかった。それ
でも暫く寝ていたら気力も出てきて出かけたわけである。お盆休みの日曜とあって親子連れの姿が多い。矢筈池や茶臼湖にもボートを漕ぐ姿が
見られた。スキー場のリフトもフル回転の状態でこれならば赤字ではないだろう。いつものコースでラインセンサスを開始。ソウシチョウの鳴き声
が茶臼山から聞えてくる。今最も元気なのがソウシチョウだ。次いでホオジロ。電線のあちこちにとまってさえずっている。繁殖の最盛期は過ぎた
と思うが今になってさえずるのはどんな理由なのか?。牧場ではツバメとイワツバメが虫を捕まえている。標高1300メートル辺りを歩いているの
で平地に比べたらずっと涼しい。汗をかくこともない。歩幅を狭めてリズムよく歩くように努める。ハナウド・フジバカマなどが咲いている。平地に比
べ、フジバカマはより早く、ハナウドはより遅い開花である。フジバカマに寄って来るチョウがアサギマダラだ。鳥と同じくらい真剣に探した結果2匹
見ることができた。黄色い声が聞こえてきた。大人の声で何か説明している。近くなったので内容が分かった。滑車を使った木登りにこれから挑戦
しようしていたのだ。スリルもありとても面白そうだ。きっと忘れられない夏休みの思い出になることだろう。
2013
8
19
寺ノ入林道ラインセンサス
実は昨日の夕方に寺ノ入林道に居たのだった。茶臼山からの帰り道、新城市を経由する道路は混雑するであろうと予想して、作手を経由するこ
とにしたのだ。そうすれば、もうひと頑張りして寺ノ入林道を歩けるかもしれないと目論んだわけだ。夕方の寺ノ入林道はどうかと考えたのは上出
来であった。しかし、実際はあまりよくはなかった。いつも歩くのと逆のコースを車で山を下りてきたときに気が付いた。小鳥の声が全くといってよ
いほどしなかったのである。その時は車を降りることなくそのまま家に帰った。そして次の日の朝、用事を済ませて、一目散にやってきたというわ
けだ。一番気になっていたのはウグイスのさえずり個体。茶臼山では地鳴き個体も多かったがさえずりも聞かれた。もともと寺ノ入林道はウグイス
が少ないので、もしかしたらさえずりを聞くことができないかもしれないと考えたのだ。その予想は見事に当たった。1個体すらさえずりをしていな
い。ヒヨドリ・ヤマガラ・カケス・アオゲラが鳴いていた。ときどきサンショウクイの声も聞かれる。もうひとつ、エゾムシクイも注目してみたが確認す
ることはできなかった。クマザサの生い茂る林床で大きな鳥の姿を見た。直前にドドドと羽音がしたのでその方向を見たのであるが、そこにいたの
は立派なヤマドリのオスであった。こちらも立派なオニヤンマが林道を行ったり来たりする。オニヤンマは野山で、ギンヤンマは田んぼで見つける
ことが多い。私はギンヤンマを気に入っている。
西暦
月
日
メモ
2013
8
22
室林道ラインセンサス
涼しいうちにと室林道出かけた。山はセミたちの声でむせ返らんばかりである。主役はツクツクボウシに移りつつあった。この声があふれるように
なると楽しい夏休みも残り少なくなり、心細くさみしい気持ちになったものだ。セミの合唱の合間には小鳥のつぶやきやら秋の虫の音もあるが、そ
れもすぐに大合唱に飲み込まれてしまった。ウグイスはどうしているかしらと、3日前に三河湖でウグイスのさえずり個体がなかったことを思い返
して、センサスを開始したのである。しばらくは三河湖と同じ様子であったので、これはやはりさえずりを終えたのであろうと思っていたところへ、1
羽のウグイスがさえずっているのに出くわすことになった。うれしいような残念なような複雑な気持ちでその声を聞いた。結局都合3個体のさえず
りを確認することになったのであるが、少ない数であることは間違いない。いつの間にか夏鳥たちのさえずりは聞かれないなり、その存在すらも怪
しむほどになってきたが、そんな折、足元からキビタキが飛び立ったのであった。肉眼でもその地味な色が分かったので、メスか今年生まれた幼
鳥なのであろう。枝の中に身を隠しじっとしていたので双眼鏡を向ける。腹部の色からするとメスの成鳥の可能性が高そうだ。別のところでは同じ
くキビタキの地鳴きを聞いた。野鳥が歌う華やかな季節は終わりを迎えたが、子どもを育て来年の繁殖期までの下ごしらえをする作業はまだまだ
続く。それらの意義深い様子をこれからもできるだけ観ていきたいものだ。
2013
9
5
室林道ラインセンサス
ウグイスがさえずりを終え、セミの声も一頃の勢いがなくなり、一気に季節は移って行ったようだ。室林道を歩いているとそれとなく秋を感じさせる
。それは空気感であったり静寂によるものではないかと思う。ヤブサメが鳴いていた。すでにさえずりは終え、もっぱら地鳴きである。地鳴きだと鳴
いている場所を定位しやすいこともあって、大概は、茶色な小ぶりの姿を薄暗い林床の中に認めることができる。ウグイスは皆地鳴きに変わって
いたが、1個体だけ、さえずりの練習をしているような、へたくそな歌を聞かせていた。今年生まれたオスなのであろうか?。それよりも驚いたのは
センダイムシクイの群れである。ササクラの樹の中で枝から枝えと飛び回り採餌している。メジロかと思った。双眼鏡の視界に入ったのはメジロで
はなくセンダイムシクイのスマートな姿であった。
2013
9
7
観音山
周りの田んぼの大部分は稲刈りを終えて、そのため一層秋らしくなったような気がする。スズメたちが落穂のおすそ分けにあずかろうと田んぼの
中を歩き回っている。セグロセキレイも、こちらは虫が中心ではあるが、尻尾をふりふりあちこち移動する。よく見ると、白と黒のコントラストがはっ
きりした成鳥よりも、全体にグレーがかった若鳥のほうが多いようだ。山陰川(川底に申し訳程度の水量)の中を覗くとキセキレイが何羽か賑やか
にしていた。レモン色がなんとも美しい。そこへ1羽のハクセキレイが舞い降りて、キセキレイとトラブルを起こしそうになった。はくセキレイは先に
いたキセキレイに追い払われるようにして土手に飛びのいたが、しばらくて再び川底に下りていった。電線に間隔を保ってツバメが羽を休めてい
る。こういった姿を見られるのももうしばらくのことだ。
2013
9
15
室林道ラインセンサス
早朝、ザーッと降った雨、しかし、室林道に向かう頃には雲の切れ間から日がこぼれ始めた。換羽の季節でもあり野鳥たちはあまり活発ではない
。そんな中でも特に、メジロ・ヒヨドリ・シジュウカラがよく鳴いているようだ。彼岸が近づくと気になるのがヒガンバナである。室林道でも2ヵ所にだ
け赤い花をのぞかせる。緑一色の中にポツンと咲く姿は神々しくもある。少し言い過ぎか?。子どもの蛇が首をもたげて、林道を横切るような格好
でじっとしていた。大きなヘビは歓迎したくないが、これくらい小さいと可愛らしくもある。上から見たり横から見たり、様々な角度からカメラを覗いた
。後から思った。正面の顔を撮るべきであったと。
2013
9
15
羽根・長根の田んぼ
台風からの雨雲がこれからやってこようとしている。北には積乱雲が堂々とそびえている。雲たちは足早に通り過ぎてゆく。10日ほど前に羽根・
長根の田んぼの稲刈りが終えた。今は畦に秋の草花(いわゆる雑草)が咲きみだれている。たかが雑草、されど雑草。色合いがじつに変化に富
んでいる。ツユクサの青、ヒガンバナの赤、オレンジ色の可愛らしい花はマルバルコウ。熱帯アメリカ原産だそうだ。前者たちに比べて大人しい色
のノボロギク。ボロとはひどい名前を付けたものだ。生い茂る畦の中を双眼鏡で注意深く探すのは、いよいよノビタキたちの南下が開始される季
節に入ったからだ。北上の様子はまだ観察したことがない。なぜか、南下の姿はごく普通に、まるでスズメを見るかのように観察できるのである。
セキレイはむろん秋の田んぼの主役だ。色のはっきりしている成鳥に交じって幼鳥が採餌をする姿をよく見る。ところでたった2個体ではあったが
、肝心のノビタキを見ることができたのだ。
西暦
月
日
メモ
2013
9
21
室林道ラインセンサス
田んぼにはノビタキの姿が見られいよいよ野鳥たちの南下がはじまったようである。室林道は今のところ目立った南下は感じられないが、山付き
の野鳥の南下は案外目立たないものだから実際は始まっているのかもしれない。室林道からすこし下がった田んぼでチョウゲンボウを見た。季
節は確実に変わっているようだ。
2013
9
22
羽根・長根の田んぼ
台風が往った後はまずまず爽やかな天気が続いている。直射日光は太陽がまだ赤道上にいるため弱くはないが、ひとつ木陰に入れば、そこへ
弱い風でも吹いてくれたなら、なんて気持ちがいいんだと思えるようになった。畦のあちこちに咲くヒガンバナは遠目でみるときれいではあるが、
近くではあまりよい出来栄えではない。赤味が足らないように思えるのだ。先週見たノビタキの南下が今日の見どころだ。それ以外にもセキレイ
のスマートな姿や、運が良ければやって来たばかりのチョウゲンボウにも出あえるかもしれない。セグロセキレイやキセキレイが川辺で鳴いてい
た。澄んだ声がキセキレイ、濁った声がセグロセキレイだ。セグロセキレイの幼鳥の色はハクセキレイと間違えやすいが、鳴き声の違いを覚える
と大変便利なものである。そうこうしているうちにそのことを試す機会がやってきた。4羽の灰色のセキレイが飛んでゆく。少し離れているので目視
では違いが判らなかった。しかし運よく鳴きながら飛んでいったので、あれはハクセキレイですと言うことができた。ノビタキも確実に個体数を増や
していた。狭い範囲でも5羽は確認できる。最近は運動公園が折り返し点になった。途中、池に竿を垂らしてのんびりと釣りを楽しむ人たちに出あ
う。20~30人はいそうだ。自分の性分ではこのようなゆっくり過ぎる行動は却ってストレスがたまりそうだ。運動公園もにぎやかであった。中学生
が3年最後の試合があって父兄が応援に来ているようだ。もうそんな時期なのか。自分は鳥のことで頭がいっぱい(最近は別のことも大きな割合
を占めるようになったが)で周りのことを見ることもできなかった。
2013
9
22
寺ノ入林道ラインセンサス
土曜探鳥会を終えて、昼食をとって一休みし、まだ夕方までに時間があるのでと思って、遅ればせながら三河湖に車を走らせた。道中で目に付い
たがバイクを駆る姿である。わざわざ心臓が飛び出んばかりの急な山道を登ってゆくのは何がさせているのだろうか。この人たちは普段は車にも
乗り、もしかしたら近くのスーパーに行くのにも自転車は使わないかもしれない。ロードスポーツでは買い物かごも様にならないだろうし。自分はこ
う思う。あのツールド・フランスの気分を味わいたいがゆえにやっているのだと。そのためにはバイクは高価でなければならないし、ウエアやヘル
メットも本格でないといけない。さらに第3の条件がいる。すなわち、フランスを周るコースのどこにも人垣ができ応援するような観客(行きづりの人
でいい)が自分たちを見てくれる必要があるのだ。無関心を装ってくれるとまことに都合が悪い。穿った見方であろうことは承知の上だ。マニア的
な趣味のある人のそれをやり続ける原動力に人の目が大きいと思う。バードウォッチングはそうでは無いと言いたいが例外は無い。スコープや高
価なドイツ製の双眼鏡、100万円もするカメラやレンズを肩に担いでいても(重そうなほどよい)、それを見てくれる人がいないと何と張り合いのな
いことだろう。このことはセンサスの間に考えたのではない。日ごろから思っていることを書いたまでだ。寺ノ入林道は台風に痛めつけられていた
。樹の枝や葉が道路一面に落ちていた。それだけならまだよい。コースの後半に差し掛かりあと10分ほどで終点というところで動けなくなった。大
量の倒木が道路をふさいでいたのだ。とても乗り越えて進めるものではなかった。ここでUターンだ。野鳥の姿も、すでに正午を大きく回っているこ
ともあって少なかった。そんな中ではカケスの鳴き声が印象深かった。ジャー・ジャーとお世辞にも美声ではない。しかし、その声には何か心打つ
ものがあるように思えてならない。家を出たときには日がでていた。ここは標高600メートルの山奥。地元の最高点よりもさらに200メートル高い
所にある。雨雲の中に来たといっても過言ではない。案の定、例の山崩れの現場から戻る頃になってぽつぽつ降ってきて、車まであと1キロメート
ルを残して本降りとなった。それも相当強烈だ。傘のように枝が広がっている側を歩いたがすっかりびしょ濡れになってしまった。ノートとカメラはカ
バンに、双眼鏡は濡れるに任せる(防止でよかった)。帰り道の車の中は乾燥機よろしくヒーターとエアコンをガンガンに効かすのだった。,
2013
9
30
室林道ラインセンサス
室林道の上に広がる空の色が水色から濃い青に変わってきた。その空をバックにアサギマダラがふわふわと舞っていた。アゲハの仲間はかなり
のスピードで、それもジグザグの軌跡をとって飛ぶ。それに比べアサギマダラの軌跡は明らかに違う。まずスピードが遅い。怖いものなしの飛び
方なのだ。それもそのはず、彼を狙う野鳥はその毒に苦しむことになるからだ。アサギマダラの南下は各地で確認されているが、ここ室林道でも
野鳥の南下とともに秋の楽しみのひとつである。久しく姿を見なかった夏鳥も健在だ。オオルリとキビタキを確認することができたのであった。留
鳥ではメジロ・ヒヨドリは相変わらずではあるが、活発になったウグイスの地鳴きが特に目立った。
西暦
月
日
メモ
2013
10
5
羽根・長根ラインセンサス
田んぼをセンサスする前にオシドリを見に新堤池に向かう。1週間ほど前には気配すらなかったのであるが、そろそろ来るのではと予感したのだ
。予感は的中。池の奥を横切る数羽のオスのオシドリが確認された。すべて夏羽になっていてエプリクス状態の個体は見つからなかった。しかし
、飛来個体がさらに増加してゆけばエプリクスも見つかると思う。羽根・長根の田んぼに向かう。田んぼの水路にはノビタキがいた。南下個体であ
る。数のほうもずっと増えていて全体では10羽以上と思われる。ヒガンバナはすでに盛りを過ぎ傷んでしまったし、秋の草花もなんとなく目立たな
くなってしまった。いつの間にか季節は移り替わってしまったのを実感する。
2013
10
5
室林道ラインセンサス
田んぼで夏鳥の南下を見、池にオシドリの初飛来を確認したりしたあと室林道に上る。何か変化があるだろうか。以前にも述べたが、山にいる夏
鳥が去ってしまう時期を特定することは私には無理だ。とても難しいことと思う。結果として最後に観察した日をそれに当ててはいるが、それは本
当ではないであろう。南下個体も分かりにくい。それでもすこし気づいたことがある。カケスの鳴き声が増えたことだ。カケスが渡りをすることは、
昔のことになるが、伊良湖岬で観察したことがある。実際に、秋が深まるにつれて室林道にカケスが多くやって来る。その気配がようやく感じられ
たのだ。それ以外はあまり変わったことはなかった。
2013
10
6
茶臼山ラインセンサス
ひとつ大きな行事を無事終えたので自分へのご褒美のつもりで茶臼山へ出かけた。ひと月ほど経って風景にも変化が見られた。紅葉にはしばら
く日数が必要ではあるが、秋が色濃く忍び寄っているのを感じた。私の好きな野菊の薄紫の可憐な花や、アキノキリンソウの目にも鮮やかな黄色
い花がセンサスの道々で出迎えてくれていた。秋に入ると小鳥たちのさえずりも減ってきて静かなセンサスになるものであるが、そんななかでソ
ウシチョウだけはまだまだ盛んにさえずっている。私の地元での田んぼではノビタキの南下が見られるが、茶臼山における南下個体の確認も今
日の目的であった。例えば、ノビタキやエゾビタキが見られたらと思っていた。エゾビタキのほうは簡単ではないと覚悟はしていたが、ノビタキの方
は牧場に行けばすぐにでもとたかをくくっていた。ところがそのノビタキをまったく見ることができないままセンサスは進んでゆく。がっかりし始めて
いたところで、思わぬ援助の手が差し伸べられたのだ。二つ目の牧場跡(昨年はここでノビタキを見た)を過ぎ、周りは灌木が広がる風景に変わっ
たところで、何度となく聞いたソウシチョウの鳴き声に交じって、今回はまったく予定にも入っていなかった夏鳥の声が聞こえてきたのである。もっ
たいぶった言い方で申し訳ない。ちょっとばかり嬉しかったので。それはメボソムシクイである。あの、高原性の夏鳥で有名な。このメボソムシクイ
は北上個体にもここ茶臼山で出あっている。なぜ思いつかなかったのだろうと恥じ入る気持ちだ。車道はバイクで占領され車は小さくなっている。
歩道があるのは上出来だ。たった一人で歩いている姿をバイクのライダーはどう見ているのだろうか。
2013
10
12
室林道ラインセンサス
ヒヨドリとカケスの存在感が増した。特にヒヨドリの南下個体が華やかさを演出している気がする。ヒヨドリが華やかとは、異を唱えられるかもしれ
ないが、例えば、愛知県伊良湖岬における秋のスペクタクルの主役は、私の考えでは、断じてサシバではなくヒヨドリである。双眼鏡の視野に入っ
てきたのは鳥のように高い空を移動するアサギマダラ。体に毒を潜ませて鳥たちと対等に舞うことができるのだ。アゲハの鋭角的な飛行形に比
べていかにもゆったりとしたものだ。秋を感じるのは路傍の菊。薄紫や白い色が清楚で大好きな花だ。
2013
10
12
御津海岸
室林道から駒場池に立ち寄る。湖面にはまだ水鳥の姿はなかった。そこで、海岸ではどうなっているのだろうか、と思うと居てもたってもおられなく
なり、その足で海に向うことにした。テトラポットに波頭が砕け散る。うねる海面に一団の水鳥が見えた。おっ、海ガモが来ている。豊川河口には
大量の海ガモたちがやってきて羽を休ませる。中でもスズガモの多さが際立っているが、目の前の群れもスズガモであった。個体数のカウントは
難しい。はなから諦めている。それは2つの集団であった。その一つは河口の近くにいてより大きく、1つの群れというよりは2つに分割された群れ
が交じりあうことなく行動しているのだった。うねりが群れをじゅんぐりに上下に弄ぶ。自分だったら酔っていただろう。セグロカモメが海風をものと
もせず尖った翼を打ち下ろす。セグロカモメの脇をすり抜けるのは小さな小さなツバメだ。スズガモを見た後に浅海に向かった。淡水ガモがいない
かと思ったからだ。駒場池にはまだ来ていなかったカモたち。海ならばとの期待は裏切られ全く鳥の姿はなかった。こちらで見たのはセグロカモメ
よりも一回り小型のユリカモメであった。あと幾日ほどしたら水鳥たちが大挙して来るのだろうか。
西暦
月
日
メモ
2013
10
17
我が家周辺
台風26号の猛威を一手に引きうけてしまった伊豆大島。さまざまなことが重なってあれほどの大きな災害になってしまった。”経験したことが無い
”という言葉が常に使われるのも毎度のことだ。我が萩町は久しく大きな災害に見舞われていない。だから、何か事が起これば経験したことのな
いという言葉を使うことになろう。山陰川も時には暴れ川に変身する。ひと月前に近くの豊橋市に上陸した18号の時は川が氾濫し床下浸水した
家もあった。時間降雨量も100ミリに達したようだ。その大水で山陰川の川底が大きくえぐれてしまった。とても恐ろしい。休校明けの快晴の中を
子どもたちが登校する。それを見守るために集合場所へ向かう間に野鳥たちを観察。モズ、ヒヨドリ、セキレイの仲間、スズメなどが電線や田んぼ
の中で鳴いている。ヒヨドリは黄色く色付いたカキにとまって見分している。そろそろ食べ頃かな。窓の外から懐かしい声が聞こえた。子どもたちを
学校へ送ったあと、家に戻り、やれやれと一休みしていた時のことであった。あの火打石を打つ音が聞こえたのだ。すぐに窓の外を見ればよかっ
たのであるがすこしのんびりし過ぎていた。声の主はすでに去った後であった。ジョウビタキに関する過去の記録をみると10月半ばに確認してい
る年は結構多い。まあまあ平年並みといったところか。
2013
10
19
宮路山
名電赤坂駅に集合して宮路山に登るコースは毎年多くの子どもが参加してくれる。今年は11名の子どもと、3名の大人が参加した。駅に集まった
頃から大粒の雨が降ってくる。天気予報では9時ごろには止むことになってはいるが不安ばかり。それでも、子どもたちのやる気に後押しされて決
行することに決めた。ただし、雨の状態によっては早めに切り上げることが条件で。赤坂旧東海道を横切って宮路山登山道に入る頃から空は明
るくなり、来ていたレインコートをリュックに詰めたり、傘をたたんだりしてで身軽になり、ようやく鳥の姿がちらほら見られるようにもなって探鳥会ら
しくなってきた。これからいよいよ上り坂というあたりに差し掛かった時、電線に尾をピンピンと振る小鳥の姿があった。「キビタキ」という子がいる。
オレンジ色っぽい姿が見えたのだ。「あれはジョウビタキ」と答えると、「きれい」と言う。自身もこの秋で2個体目の姿であった。曲がりくねった道を
どんどん進む。風で倒れた木が道を塞いでいる所があった。私は迂回したが、子どもたちの中には木の下を潜ったり、上を乗り越えたりしながら
障害を越えた。迂回する子も半分くらいいて、性格が分かるような気がして面白かった。頂上直下は特に急坂で階段になっている。この階段を山
頂まで数えながら登る集団がいた。大きな声が聞こえるので800段以上はあったことが分かった。頂上には自分たちしかいない(途中から一人
の男性が加わったが)。雨で洗われた空気がクリーンな風景を提供してくれた。これで日が射せば最高なのだが。この日の天気予報は朝と夕方
に雨とあって、厚い雲が切れることはなかった。子どもたちはビニルシートを広げ少し早い昼食が始まる。これが最大の楽しみなのだから。会話を
聞いていると今の子の日常が垣間見えて面白い。3年生の女の子はダイエット中らしい。お姉さんが作った弁当に妹を気遣う手紙が付いていた。
この子は学年で一番はやく御かわりをすることで有名らしい。何時もであれば鬼ごっこや隠れ家遊びに熱中するはずであるが、どうもそんな気分
にはなれないようだ。天気も心配なので早めに下山することにした。普段は車の通る安全ではあるが距離の長いコースを赤坂の町へと帰る。ここ
でひとつふたつの出来事があった。虫などを見つける名人(どこにもそのような子はいる)がいて、次から次へとみんなに戦勝品を見せてくれる。
最初はガのさなぎから始まり、自分の鎌で頭を切断しているカマキリ、親の体内から出て間もないマムシの子どもの死がい、きれいなクモが続い
た。そんなこんなでたっぷり時間がかかってしまったために、時間までに駅に着けるのか危ぶまれる事態になってしまった。足の重くなった子ども
たちを叱咤激励し14時の予定どおりに戻ってこれてほっとする。親御さんたちが「大変だったよね」と労いの言葉をかけてくれた。
2013
10
24
室林道ラインセンサス
大きな台風が2つ並走して日本列島に向かってくる。まずこの時期にくること自体が異例の出来事だ。海面温度の上昇の話はよく聞くが、それが
台風発生の源になっていることは間違いなさそうである。そうなると、台風は人類の営みから必然的に発生したことになろう。野鳥を含めた生態系
への影響も計り知れないといえよう。20年あまりの野鳥観察記録に過ぎないが、何か自然からの反撃(人類に対しての)が見つかるかもしれない
と思いこうして続けてきた。今日の室林道は南からの風にのって厚い雲が流れている。秋の虫も鳴いていた。穏やかな朝の空気が広がる中幾種
類もの野鳥の声も聞かれる。中でもカケスが元気に鳴いている。10月に入ってカケスの個体数が増加し、鳴き声だけで判断する限り、今室林道
で最も目立つ鳥となった。次いで、ハシブトガラスの声であろうか。秋になると盛んに鳴き合う。ヒヨドリ、ヤマガラ、メジロが後に続いているようだ。
アサギマダラにも注目している。アゲハチョウの姿がいつの間にか減り寂しくなってしまったが、それを補うように出現して私を喜ばせてくれるのが
アサギマダラである。秋の野草に止まり蜜を吸う姿、ふわふわと(アゲハのような忙しないのとは正反対の)舞う姿が見られないかと、野鳥と同じ
心持で接している特別な蝶である。この日は2個体も見ることができ大変満足している。
西暦
月
日
メモ
2013
10
26
茶臼山ラインセンサス
河内川・坂宇場川、いつもは静かに流れる山間の川が吠えていた。ともに1級河川である。我が2級河川の音羽川と比べてもそれほどすごい川に
は見えないが、一旦流域に大雨が降ったならば豹変するのである。これらの川に比べたら音羽川は猫のようなもの。茶臼山への道中は雨が降っ
たり止んだりして目まぐるしく変る。こんな様子に、少しずつ心配の心が増えてきた。晴れておればきれいな紅葉なのにと残念な気持ちはあるが、
自分は野鳥観察に来たのだから、観察ができれば景色は二の次とも思っている。最低でも雨が止んだらOKだ。ところが気持ちとはうらはらに、茶
臼山に着いてから1時間も待ちぼうけを喰らってしまった。ようやく雨が上がった。双眼鏡とコンパクトカメラは雨合羽の下に隠して、何時降り出し
て来てもあわてないようにし、フィールドノートが雨で滲まないように傘も忘れない。天気が良ければドライブやツーリングのエンジン音でずいぶん
と煩いことだろう。お陰さまで野鳥たちの声をじっくり聞くことができる。茶臼山を背にした広場でカワラヒワの群れがいた。秋深くなると、茶臼山で
の探鳥の楽しみのひとつがアトリ科の鳥たちとの出合いである。今日は最もポピュラーなカワラヒワであるが、アトリであったり、イカルであったり
、運が良ければすごい(ハギマシコなど)鳥に合うことも可能だ。こんなに秋が進んでも一向におさまらない鳥がいる。ソウシチョウのさえずりが今
でも聞こえてくる。生命力が強いのだろう。茶臼山らしい鳥もいた。コガラ・ヒガラが森の中で鳴いている。カケスはセンサスコースのどこからでも
聞こえてきた。コースの半分を過ぎたところで我慢できなくなった雲から霧雨を落としはじめた。つかさず傘の出番だ。双眼鏡もカメラも多少は濡
れてもよい。しかし、フィールドノートだけはせっかくの記録が台無しなって悲しい。2時間ほどのセンサスがあっという間に終わった。格好は悪い
が雨合羽を着たので震えることはなかった(手が思った以上に凍えたので)。もっとも、紅葉狩りの人はほとんどいなかった。
2013
10
27
寺ノ入林道ラインセンサス
聞えるのはカケスの鳴き声、飛行機のジェットエンジン音、風に載ってくるクレイライフル場の射撃音、3者には似通ったところがある。抑揚の抑え
られた単調な音、最初にどんと音がして消えゆくままに任せるところなど。それにしてもいつも思うのであるが、カケスは秋から冬にかけての山奥
で聞くのが一番似つかわしい。その点では今日はとてもいい日であった。なんとカケスの多い日か。小さな鳥が横切って行く。最初に姿を見せた
のはヒガラ。さすが標高600メートルの寺ノ入林道である。そのあとを追うのは、こちらは平地でも見かけるエナガの群れである。台風18号で木
々が押し流された所はむき出しの肌が痛々しい。スギの倒木は整理はされていたが横たわったままであった。現場のそばで山の持ち主たちが集
合しなにやら相談事をしているようだ。その脇を抜けるようにて進んだ。
2013
10
29
愛鳥クラブ
明るい午後の日差しが校庭に注いでいる。時刻前に萩小に到着すると上級生の児童がなにやら準備をしていた。クラブの準備なのかなと思った
(軟式テニスであったようだ)。校長先生と少しお話をしたのち(私以外にお1人が講師として呼ばれている)、子どもたちに呼ばれてそれぞれの持
ち場に向かった。校庭で今年1年間愛鳥クラブで共にしている4名(本来は6名であるが、風邪で休んだ児童がいた)と顔を会わせ、今日のコース
とポイントを話す。コースは最後の最後まで迷った(学校に向かう時に決めた)。目当ては冬鳥とした。先生・子どもと6人の探鳥会のスタート。キ
ジバトが眠気を誘う声をあげていた。これはまずい。頭が寝てくれては困る。田んぼにやって来た。室川に沿って歩くと実にたくさんの野鳥を見つ
けることができた。まずはセグロセキレイ・キセキレイ・ハクセキレイたち。縁石や川底の飛び石に下りて尻尾を振っている。その数ざっと20羽近く
もいたか。逃げる虫をしぶとく追いかける個体、野鳥どうしで喧嘩をしているような個体、追いかけっこをする個体、実に賑やかで見飽きることのな
い光景であった。室から川原へと。そこでは、見渡す範囲に2個体の、縄張り宣言をしているモズの姿があった。普通は野鳥は同じところに長くは
いないものであるが、こういう時は(縄張り宣言)比較的長時間同じ姿勢を保ってくれるとあって、なかなか出番の少ないフィールドスコープが大活
躍する場面となったのである。新たに見つけたコースのおかげで、1時間45分の制限時間をフルに使って、学校に戻ってきた。萩小農園では何
やら食べ物が、校庭では大勢のテニスプレイヤーが汗をかいていた。愛鳥クラブも最後をきっちり締めて終える。
2013
11
2
観音山方面
萩小探鳥会の下見を兼ねて観音山コースを歩いたが、風もなくおだやかな絶好の探鳥会日和となった。トビが頻繁に羽ばたいているのを見ると、
風がとても弱いことがよく分かる。探鳥会の良い条件の一つに強風でないことがあげられると思う。自分の場合は鳴き声から探すことがほとんど
なので、風にかき消されるのがとてもつらいことなのだ。例えば、ジョウビタキ・ビンズイ・ホオジロなどは地鳴きで探した。山陰川ではカワセミを確
認する。川面を探したところカルガモがいたのでそれで満足し移動しかけた所、今度はカワセミの鳴き声がしたので急いで戻る。かろうじて、上流
に向かって飛び去る姿を確認することができたのだった。ビンズイは春には見事なサクラ並木にとまっていた。道中ですでに3種類(セグロセキレ
イ・ハクセキレイ・キセキレイ)のセキレイを見てきたので、ビンズイが4種目のセキレイ科であることを説明。あわせて、11月28日の萩小探鳥会
では5種目のセキレイであるタヒバリの出現も予告しておいた(偉そう)。秋の代表的な鳥であるモズもしっかり現れてくれた。トビやカラス類はあ
ちこちで飛び回っているが、ノスリくらいはいるであろうと思っていたタカはとうとう見ることがなかった。残念。
西暦
月
日
メモ
2013
11
3
室林道ラインセンサス
今年も、あと2か月となってしまった。時間の過ぎるのの何と早いことか。昨日と同じように、風もなく穏やかな秋の日を(今が一番過ごしやすい)セ
ンサスに励むことができた。山陰川沿いのサクラの紅葉は見事に裏切られて、すべてモミジになる前に散ってしまった。ここ室林道のソメイヨシノ
もあまりきれいではない。ここは、野鳥に集中してセンサスしようと歩きだした。カケス・ヒヨドリの姿や声が非常に多い。彼らの大きな声ばかり聞
いているとついつい、微細な声を聞きもらすような不安を覚える。そろそろ聞きたいと思っている鳥たちがあるのだ。それは、ヒガラやクロジなどの
室林道にとっては冬鳥。彼らの地鳴きは、ヒヨドリやカケスのように、うっかりしていても耳に入ってくるほど生易しくはない。耳をそばだてていて丁
度よいのだ。ヒガラは樹冠部、クロジは林床部、首も疲れてくる。その結果、クロジらしい声を確認することができた。クロジは同科のアオジにも似
た地鳴きなので、耳がまだ慣れていない今頃が一番同定に自信が持てない。声が小さかったり回数が少ないなど悪条件の時は、いまだに迷って
いる。室林道でようやくジョウビタキを確認した。メスの成鳥であった。風は吹いていないと思っていたが、高圧線の弦の真下に差し掛かったら、風
の弓によってかき鳴らされた重低音が微かに聞こえていた。季節風の吹きすさぶのも直ぐ間近のようだ。
2013
11
10
観音山
早朝に観音山の麓に用事があって、ついでに、見るまま、聞こえるまま、野鳥の観察を楽しんだ。今日は、雲がどんどん北に向かっており、天気
予報どおりに下り坂に向かっていて、いつなんどき降り始めてもよい状態であった。昨日は素晴らしい秋晴れの空が広がり、同じようにここで観察
したのであるが、ホオジロのさえずりも聞かれたりして、とてもよい心持になった。今日の空は正反対の状態ではあるが、冬鳥の飛来が気になる
この頃なので、まったく、野鳥観察への心の入れ込みには影響することはなかった。たくさんの地鳴きのなかにカシラダカのものがあったように思
う。姿があれば安心できるるが、アオジやホオジロとも違う感じなので、多分合っていると思う。観音山の麓は景色もよくてお気に入りの場所だ。
電柱・電線が見られないのもそれを助けている。
2013
11
12
室林道ラインセンサス
室林道は結構(指先がかじかんでしまうほど)冷えていた。最近はウインドブレーカーが手放せない。これは一気に冬に突入か?。もう少しは秋を
味わいたいので天の神様にお願いしたい。野鳥も寒さを感じたのかやけにおとなしくしている。ヒヨドリやカケスたちの空気を切り裂くような鋭い声
もお休みだ。カラ類もいたって静か。耳を澄ませば、ヤマガラ・クロジ・メジロなどの地鳴きを薄暗い林で聞くことができる。さらに欲張って姿を探す
ものの容易ではない。山の鳥のセンサスはこんなことが多いのだ。目を鳥から逸らしてみる。足元には盛りの過ぎたノギク。木々の合間から赤く
色づいた実。鳥の記録が暇ならば別の楽しみがあるというものだ。
2013
11
21
萩小秋の探鳥会 1・2年生
起きたら青空が広がっていて、安心して探鳥会を迎えることができた。風もそんなにないのが特にうれしい。快晴で強風よりも曇り空の無風の方
が、野鳥観察にはずっと適しているのは経験から割り出したものだ。校庭には1年生17名、2年生10名と、数名の保護者も参加しての、探鳥会
としてはやや大人数と思われるものであった。低学年の児童をどのように野鳥に親しんでもらうのか、いつも考えてしまう。今年は2つの学年が合
同で行うことになった。そこで、例年、自分一人で担いでいる望遠鏡を2台に増やして、1台を引率の先生にお願いすることにした。さらに、前日に
望遠鏡を持ち込んで、操作に慣れていただくことにした。それというのも、低学年の子は、鳥そのものが見られなかったら、鳥が好きになったり興
味を覚えることは無理だろうと考えたからだ。結果は上々であった。ノスリやモズが子どもたちのために進んでモデルになってくれた。鳥たちも何
かと忙しかったと思うが、27名全員の円らな瞳にしっかり焼き付けられるだけの十分な時間、じっと動くことなく、その可愛らしい(勇ましい)姿を披
露してくれた。カワセミやジョウビタキの出現も期待した。しかし、そう簡単には現れてくれないのが現実だ。それでも、予想していなかった所でジョ
ウビタキのオスが、3羽のスズメがカキの樹に止まっているそばにやって来たのだった。最後は、山陰川に浮かぶカルガモを観察した。子どもたち
は野鳥を好きになってくれたであろうか。是非、そうであってほしいものだ。私事になるが、野鳥観察をライフワークにする(つもりである)きっかけ
となった萩小親子探鳥会に初めて参加して21年経った。鳥との付き合いは単に鳥だけに留まらず、このような子どもたちとの交流にも結び付て
いる。鳥たちにはいくら感謝しても足りないくらいだ。
西暦
月
日
メモ
2013
11
22
室林道ラインセンサス
上空を見れば、北西の方向から背の高い雲が列になって流れてくる。まだ、室林道を横切る高圧線の弦を振動させて、重低音を発生させるほど
の風は吹いてはいない。道には絨毯のように落ち葉が敷き詰められている場所もあり、秋の深まりを感じるが、周りの山々の紅葉を見るとあまり
綺麗とは言えないようだ。野鳥の世界にも秋の深まりを感じさせるものがあった。冬鳥の飛来である。ウソ・ミソサザイ・シロハラ・ルリビタキを確認
することができた。ジョウビタキ・アオジも里にやって来ているが、ここ、室林道にももちろんいる。この両者、鳴き声で私を泣かせる鳥だ。ふたつが
似ているのではなく、ジョウビタキはルリビタキと、アオジはクロジと、地鳴きの声がよく似ているのである。従って、鳴き声での種同定で大変苦労
している。声が小さい場合、どちらとも判断がつかないのである。
2013
11
23
茶臼山ラインセンサス
1000メートルを超すと、落葉樹はことごとく(ゆずり葉のようなものを除いて)、冬山の美しさのひとつでもある、ほうきのような小枝が広がる。そ
の灰色に少し茶の交じる林に飛び交うものがいた。だれもいない駐車場を下りた途端、目に入ったのは30羽以上の鳥が飛び交う姿。茶臼山にお
ける秋から冬にかけての野鳥観察の醍醐味のひとつは、アトリ科(またはホオジロ科)の冬鳥を、それが群れになって採餌したり飛び回っている
のを、だれもいない中で眺めることであると信じている。7倍の双眼鏡の視野に入ったのは、あの見慣れたカワラヒワの群れであった。普通の鳥
ではあるが、幸先の良さを感じながらセンサスの歩を進める。この日は特に、コガラの採餌をする姿を多く見ることができた。カラ類の中でも地味
なコガラ。厳冬になっても持ち場を離れないという強情っ張りの強さに引かれる鳥だ。幸先の良さが功を奏したのか、是非見たいなと思う鳥にも出
あうことができた。これはある点では必然(当然居るべきもの)ではあるが、時間・空間の妙でたまたまであったことは偶然の力を借りたことになろ
う。コガラよりも出あうのが難しいのがカヤクグリである。その地鳴きは鈴に例えられよう。私はまだ、美しいと言われているさえずりを聞いたこと
はない。しかし、その美しいさえずりを思い浮かべることのできる地鳴きでも十分満足している。特に、私の好きなフィールドで出合ったとあればな
おさらだ。カヤクグリと共に、冬になるとついつい姿や声を探してしまうのがミソサザイだ。こちらも地鳴きが主役になる。暗い林床に溶け込んだミ
ソサザイは容易には見つからないものだ。私はいつも、ウグイスの地鳴きとの違いを楽しみながら観察している。寒冷地性の針葉樹にはアトリの
姿があった。これこそ探していた鳥だ。球果にむしゃぶり付いているのが印象的であった。繁殖地からはるばる長い旅をしてきたことがよく分かる
。紅葉の時期は過ぎていたが、その代わりに素晴らしい景色をプレゼントしてくれた。冠雪の南アルプス(木曽山脈や御嶽山も見えた)の神々しい
姿である。霞もなくてくっきりと見える。センサスの所々で、前景の山々を従えている3000メートルの峰々は、やはり神様のようだと思いたくなる
のだ。
2013
11
24
寺ノ入林道ラインセンサス
茶臼山からの帰り道に三河湖に寄った。なにも最初からその予定ではなかった。朝が早かったので体を休めたい気持ちの方が強かった。それが
、道路工事による迂回(山間部の迂回の長さは半端ではないことが多いが、今日もそうであった)とコースミスの2つが重なって、いつの間にか、
三河湖に着いてしまっていた。それではということで、紅葉狩りで賑わう道を通過するのにへきへきしながらも、寺ノ入林道にやって来たのである
。まだ夕方には十分時間もあり、いつものラインセンサスよりも若干足の歩を速めれば問題なさそうと判断し、ただし重いカメラは使わないで歩き
始めた。結果的にはたいへん大きな収穫を得ることができたのだった。先に茶臼山で観察した鳥たちのかなりの部分を寺ノ入林道でも見たり聞い
たりすることができた。まずはアトリ。止まっている樹木の種類こそ違い、球果に取りつく姿があった。そして、カヤクグリとミソサザイも。ヒガラには
さえずり個体もいたが、これも、茶臼山と同様であった。カラ類の中でもさえずりをしていたのはコガラだけであったが、その点も茶臼山と同様だ。
今の時期にさえずる必要があるのかと思ってしまうが、ホオジロも繁殖期を終えて冬季に向かう今でもさえずっている。なんの意味があるのだろう
か。茶臼山では、昔、放牧場であった所(今でも有刺鉄線が残っているので分かる)でキジの雄叫びを聞いたのであるが、ここ寺ノ入林道でもそ
れに負けないものを見た。姿の立派さではキジを凌ぐ(と私は思う)ヤマドリを確認したのだ。むろんオスの方の。茶臼山しか見られなかったのは
、やはり、あの頑固者のコガラであった。時期が違えば、珍しい赤い鳥であるベニマシコもいるに違いない(過去には何べんも観察しているので)
。寺ノ入林道はその名のとおり林道である。従って、地元の人にしか利用されていない(ゼロではないが)。茶臼山のように、紅葉目当てのマイカ
ーに邪魔されることもなく、静かに深山の静けさを楽しみつつ(雪山のような景色は無いが)小鳥の声に耳を傾け、心行くまでセンサスできること
が、ここ三河湖の一番の特長だと信じている。
西暦
月
日
メモ
2013
11
28
萩小探鳥会 駒場池方面(4年生)
雨を降らすほどではないが厚い雲に覆われ、放射冷却は免れたものの、その後の、暖かい日光の恩恵も受けられないまま、先週行った低学年(
1・2年生)を除いた全校生による探鳥会がスタートした。私は、4年生(駒場池方面)を担当した。講師(5名)の自己紹介や注意事項を話したのち
、それぞれのコースに分かれて行った。校庭を出発して間もなく民家に出る。そこで見たのはジョウビタキ2羽。最初は担任の先生が見つけたメス
のジョウビタキであった。冬鳥の代表格のジョウビタキが見られるといいね、などと話をしている矢先のことであったので驚いた。そこからものの
50メートルも行かない場所でオスのジョウビタキが見られる。これは幸先が良いと思ったのであるが、そこまでで、それから暫くは姿はおろか鳴き
声すらも聞かれなくなった。これは、最終目的地の駒場池に急いだ方が得策のようだ。駒場池は紅葉に彩られて、水面に映る紅葉の色と水の織
り成す模様がなかなか美しかった。所々に点々と浮かぶ鳥たちが肉眼でも確認できる。さっそく、持参した20倍のフィールドスコープを向け、1列
に並んで観察を開始した。それらは、駒場池で1番個体数の多いマガモであったが、4年生はさすがに1発で名前を言い当てた。駒場池の東半分
は車の通りが極めて多く、西半分は舗装もされておらず自然道に近い。水たまりのできたぬかるみ道を移動しながらも湖面から目を離さないでい
ると、マガモの姿も一層はっきりと見えるようになった。マガモ以外も見せたいものだと、双眼鏡で辺りをざっと探してみたところ、幸運にも1羽だけ
ではあったが(それだけに一層印象に残るものになった)、きれいに飾ったオシドリを見つけた。右から左にゆっくり移動していたので、ほとんど1
人がフィールドスコープをのぞく度に位置を確認する必要があったが、木陰に隠れるまでの数分の間に、全員が何度か眺めることができたのはよ
かった。夜明けからほとんど気温が上がっていないのではと感じられたが、11時過ぎになりようやく薄日が差し始め、ほっとする暖かさが戻ってき
た。もう少し早くこうなって欲しかった。場面が田んぼに変わったこともあり、ようやく様々な野鳥に合うことになった。ホオジロは数羽のかたまりに
なって民家の近くで、モズは畑の中で生活している。帰りは多少リラックスして帰る。時々音楽の授業のような様相を呈する。まあ、良しとしよう。
2013
11
30
羽根・長根の田んぼ
萩小探鳥会から2日たち、この青空が欲しかったと思えるほど高く抜けた快晴が広がっていた。この時期としては風も穏やかで(午前中はもっと微
風であった)寒さに凍えることなくラインセンサスを楽しむことができた。黒い土色や鮮やかな緑色の田んぼが見せるモザイク模様を眺めていたら
、そこから聞えてきたのは、冬に入る前に飛来するタヒバリの澄んだ声。羽色が田んぼの黒と緑色に溶け込んでしまい、じっとしていたらきっと気
づかないであろうと思われるほど、みごとな保護色の小鳥の群れを見つけることができた。ではなぜ見つけられたのかって。それは、彼らはじっと
することが大層不得意であるという理由からだ。採餌するためには移動しなければならないのが理由だ。それでも、慣れていない人にとっては、
見つけることは容易でない。ハクセキレイとセグロセキレイも多くいたが、なかでも、ハクセキレイの個体数が一番多かった。長根川で水浴びをす
る様子を見た。今日はまだ暖かそうなのであるが、たとえいくら寒くても、気になるダニが洗い落とされる快感には代えられないのだろう。その沐
浴行者のそばにやってきたのが、スマートな体のキセキレイである。黄色いお尻をふりふり、まるで行者先生を誘惑しているかのようであるが、た
だ単に餌を捕ることだけが目的である。山々の紅葉(といっても、萩ではほとんど茶色であるが)は今が盛り。北風の一吹きとともに、先急ぐように
枝を離れてゆくのだ。
2013
12
1
室林道ラインセンサス
午前の用事を済ませ、昼食を取って、室林道に直行した。紅葉はまさに今が一番の見頃。冬鳥と秋の景色を楽しみながらラインセンサスをした。
今日一番の目玉はミソサザイであろう。全部で3個体を確認した。ミソサザイの地鳴きを聞くことで冬の訪れを感じる。室林道でウソの姿を見たの
は今日が初めてである。オスが2個体メスが1個体で、定番のソメイヨシノの花芽ではなくて、ハゼのような実を頬張っているのを観察する。ルリビ
タキの地鳴き(例によって、ジョウビタキかもしれない)も聞かれた。今朝、我が家近くの林縁で聞いたような、さえずりをする個体の再来を期待し
たが少々楽観的にすぎた。しかし、繁殖地から飛来して間もない頃は、季節外れのさえずりをする個体が多いのも確かである。冬鳥として飛来を
期待するのはヒガラ、マヒワ、カヤクグリなどまだまだ多数いる。楽しいセンサスが続く。
西暦
月
日
メモ
2013
12
7
羽根・長根の田んぼ
萩小学校の隣りにある萩保育園のお遊戯会が開かれるとあって、探鳥会の参加者なのかお遊戯会目当てなのか測りかねるところがあったが、
そんな中から、初参加の男の子とお母さんの二人が土曜探鳥会に参加してくれた。男の子に参加のきっかけをたずねてみた。すると、彼は、2週
間前に開いた”萩小学校秋の探鳥会”で、会の始めに私が、「この探鳥会で野鳥に興味を覚えたら、土曜探鳥会に参加して欲しい」と話したことを
覚えていて、おもしろそうなので参加したいと思ったと教えてくれた。その言葉の嬉しかったこと、想像していただけるであろう。この日はまさに、お
遊戯会日和であり、探鳥会日和でもあった。流れてくる雲で日差しが遮られるでもなし、北風に震えてしまうこともなく過ごすことができたのだった
。民家の庭先でジョウビタキの姿を見つけた。すかさずフィールドスコープで捉える。3人の探鳥会とあって何度も繰り返して眺めることが可能だ。
羽根・長根の田んぼには定番のハクセキレイ・セグロセキレイがいたのは無論のこと、冬鳥であるタヒバリの群れも確認することができた。その他
、年間をとおして観察できるハシボソガラス・ヒバリ、・カワラヒワが餌を探している様子を見ることができた。心配していた田んぼを吹き抜ける北風
もほとんど無く、むしろ、暖かな陽だまりのような状態で我々を包んでくれているようだった。しばらくして男の子は、自らフィールドスコープを肩に
担ぐようになり、捉えた野鳥の姿をお母さんと私に見せてくれるほどになっていた。その進歩たるや見事なものだ。音羽の運動公園が終点である
。そこでは元気な声をあげた少年たちが今まさに野球の試合をしていた。
2013
12
8
寺ノ入林道ラインセンサス
地区の奉仕作業を終えて(山の中を、荷物を運んだり、杭打ちしたり)疲れた体を鞭打って、寺ノ入林道に出かける。天気は良かった。しかし、時
間帯が遅いのが心配であった。時間をかけて行ったのに観察できる鳥に出あえなかっらどうしよう。まあそれも事実なのだからいいか、余計なこ
とを考えても仕方がない。そう言い聞かせて山を登ってきた。標高600メートルの季節は、地元の萩よりも半月ほど先を進んでいる。落葉樹は皆
、葉を落としていた。ここ寺ノ入林道では、冬季の野鳥たちはもっぱら、ヒノキ・スギ・アカマツといった常緑針葉樹を拠り所にして、採餌行動を繰り
広げているように思う。なぜなら、シイなどの常緑照葉樹があまり見られないからである。アトリ・マヒワといった冬鳥も多数飛来するが、彼らの声
は主にスギ林から聞かれるのである。ミソサザイの好む暗い林床も針葉樹林がほとんど。明るくなった落葉樹林(シロモジなどが多い)は意外に
静か(野鳥の鳴き声が少ない)なのである。自然の多様性の観点で人工針葉樹林は歩が悪そうに見える。一見するとそうかもしれない。けれども
、冬季に限れば、決して人工樹林は世間で言われるほどダメな存在ではない。資源としての存在価値は別としても。最後に、明るい林床でも大物
がいたことも言い添えなければいけない。ヤマドリのオスが重そうに長い尾羽を引きずっていたのだった。
2013
12
15
室林道ラインセンサス
林道を東西に横切る高圧線のケーブルからブーンと腹の底に響く重低音が降り注ぐ。ようやく冬の風景になってきたなと思う。景色はなにも目に
映るものだけではない。五感に響くすべてから感じ取ることができるものだと思う。身体で感じる気温、今日の、高圧が季節風に振るわされる音、
野鳥たちのつぶやきな、それらがいっしょくたになって冬を感じさせるのだと思う。気温がどんどん下がると生き物は不活発になる。野鳥も例外で
はない。冬の室林道は静かだ。だから、一層、耳に神経を集中させて鳥からのメッセージを受け取る。メジロが木々の間を伝わって行く。そのあと
をコゲラが追う。カケスも寒さに動じない鳥だ。しんと静まりかえった山を歩いていると、空気を切り裂く(破る)ようにカケスの声が聞こえる。私は、
カケスの声が美しいとは言わないが、味わい深い声だと思っている。北風に促され紅葉が梢を離れる。地上に落ちる時の音も聞かれる。また、幹
や枝が擦れ合って甘えるような音がする。これとよく似た音が電車に乗っていると聞かれる。車体が揺れるたびに空気バネがクッ・クッと甘えるよ
うな音を立てるそれである。シジュウカラがさえずりの声をあげている。本格的にさえずっているのではない。いわゆる”ぐぜり”であろう。
2013
12
17
金沢大池
金沢は冬に限る。そんな思い込みは10数年変わることがない。従って、ここの記録は大部分12月を中心とした時期に集中している。今年の冬も
金沢にやって来た。驚いたことがある。典型的な日本の里山だと思っていたのに、極今風の施設が突如として出現していたのだ。去年には姿も形
も無かったのに。それはソーラー発電のパネルであった。誰が何のために。大池には個体数こそそれほでもないが、種の数ではかなりのカモが
いた。中心となるのは毎年マガモある。それに、ヒドリガモ、キンクロハジロが加わる。さらに目を凝らしてみると、コガモ、カルガモ、ホシハジロ、オ
カヨシガモが確認できた。カモ以外にも、アオサギ、カワウ、バンもいるようだ。池の周りの林からはヒヨドリの声が賑やかい。このあたり一帯は富
有柿で有名だ。ヒヨドリたちは収穫されていない果実を御相伴にあずかっている。ハシブト・ハシボソガラスの声もよく聞かれる。彼らも、甘いカキ
の恩恵を受けているのだろう。また、意外に多かったのがシロハラだ。ウグイスの地鳴きをけたたましくしたような鳴き声を数カ所で聞いた。林の
中からは、本家のウグイス、アオジ、ジョウビタキが鳴いていた。最後に、湖面を一直線にカワセミが飛んだ。
西暦
月
日
メモ
2013
12
21
御津海岸
萩地区市民館に出発の1時間ほど前に到着、ひたすら天を仰ぐ。薄日が差すと思えば、上空に暗い雲がやってくるとパラパラと降り出すという、
目まぐるしい天気に気が気ではない。微かな望みとしては、探鳥会の行われる御津の方向を見ると明るということ。やがて市のマイクロバスもや
って来た。大丈夫だよと太鼓判を押してくれるも不安は残る。子どもたち7人と5人の大人を乗せたバスは定刻の9時に出発した。間もなく不安は
消え去った。日の光が一面に広がり半月状の虹さえも現れたのだ。御津海岸に着くと最初に豊川河口に向かった。河口にはスズガモの大群が来
ることが多いからだ。しかし残念ながらそれらしい姿は無い。小さな群れが波間を漂っているばかり。それはスズガモではあったが拍子抜けた。そ
れでも時折河口から沖に向かい小さな群れが海面に沿って移動している。比較的風は穏やかであった。子どもたちが突然海側に歩き出したのは
飛行船の姿を見つけたためだ。ここは大きな埋め立てでできた土地で、かなりの面積は既に工場や倉庫などで埋まっているものの、未だ未着手
の土地もあって、そこに飛行船が留まっていたというわけだ。知らなかったが結構飛行船がやってきているらしい。豊川河口は早々に諦めて今度
は音羽川の河口側に向かう。風力発電機の傍を右折すると埋立地の水路があり、そこもカモたちがたくさんいる所なのだが。最初水鳥の姿はな
かった。やれやれこちらもダメかと思った瞬間、道路から200メートルほどの至近距離に、およそ300羽ほどのスズガモが浮かんでいるのが見ら
れた。マイクロバスの窓越しに観察開始。そこは道路沿い。とても外には出られないし、風も強くなってきたのでありがたい。地元では日本列島で
通っている場所で車を降りてさらに水鳥を探す。ここは干潮時には干潟になるほど浅い場所なので淡水ガモが多く見られる。逆光なので分かりに
くいがヒドリガモが多そうだ。ところがよく見るとヒドリガモと勢力を二分する鳥がいることが分かった。黒くて尖ったくちばしはカモ類とは違ったシル
エットだ。琵琶湖に多いオオバンだ。ここ三河湾でもいるのだろが、久しぶりにこれほどの個体数のオオバンを見た。音羽川の河口を眺めると結
構いろいろなカモがいる。渚にはオナガガモが列になっているし、ヨシガモ・オカヨシガモが浪に上下していた。カモに交じって、ミミカイツブリの可
愛らしい姿も見られる。女子に人気があった。そろそろ風も出てきた。この寒く強い風ははここでは普通なのだが。そろそろお腹が空いてきた。昼
食は場所を移動してとった。向かった先は東三河ふるさと公園。海岸からすぐそばの小高い山に造られている。丁度正午。思い思いに陣取ってビ
ニルシートを広げる。日が射すと気持ちいい日なのだが、そうそううまい具合にはいかないものだ。雲が広がり風も出てきた。そうなるとのんびりと
胡坐をかくわけにもいかなくなる。ふるさと公園と我が萩町とは6キロしか離れていない。ほとんど予定時間通り市民館に戻ってきた。おだやかと
は言えない冬の海岸探鳥会を体験した子どもたち。どのように感じられただろうか。
2013
12
22
室林道ラインセンサス
小鳥の地鳴きが絶えることなく聞こえる。それが、特定の種に偏ることなく、いろいろの声が聞こえてくるのだった。(シジュウカラ・ヤマガラ・ウグイ
ス・ヒヨドリ・ウソ・エナガ・コゲラ・ホオジロ・カケス・ハシブトガラス・ルリビタキ)どの鳥もすてきだった。ルリビタキが突然林道を横切った。水色の
鮮やかな体色が目に焼き付く。この冬初めての出会いであった。この寒さの中でもホオジロはさえずりをしていた。これも珍しいと思った。随分と
たくさんの声が聞かれたので満足ではあったが、ついつい真剣に耳を凝らす時分がいた。それは、本格的な冬鳥が来ているのではと思っている
からだ。それらの鳥とは、カヤクグリ・マヒワ・ヒガラのことだ。ともに毎年毎年必ず出あえるとは限らない鳥たちである。昨年の冬は、2種の鳥が
多く見られた(マヒワ・ヒガラ)。年を越すかもしれないが何とか合いたいものだ。
2013
12
27
茶臼山ラインセンサス
豊根村の麓から見ると茶臼山は雲の中にあった。ヴィジターセンターに着くと、それまでは全く見られなかった雪が、道路わきにごろごろとしてい
た。冬タイヤに交換しておいてよかった。山頂は一面の雪の世界。視界も悪くラインセンサスの困難さが思いやられた。スキーを楽しむ子どもと教
えている大人の声だけが聞こえるが、全て周りは真っ白で何も見えない。鳥の姿は極めて少ない。姿を見るのは無理としても声は聞かれるだろう
と楽観視していたが、どうして、いくら歩を進めても鳥の鳴き声は聞かれなかった。およそ3時間のセンサスでたった7個体という状況である。無理
もないとも思った。少なくとも、道路沿いはすべて雪に覆われていて、餌を探すことは大変そうであるから。森の中に入れば少しは状況が変わる
かとは思うが。その厳しい状況で確認できた鳥たちとは。ヤマガラとコガラは樹の樹皮に潜む虫を探すことができる。よく似た地鳴きのこの2種を
確認。同様にして、キツツキ科のコガラも飢えをしのぐことができるだろう。ハシブトガラスとカケスは何を食べているのだろう。カケスはドングリを
隠しておくといわれている。両者の今日聞いた鳴き声は大層元気なようであった。ベニマシコはもともと寒さに強い鳥だ。種子をついばんで生きな
がらえることができそうだ。あとのひとつはキジである。今日の成果はたったこれだけ。正式なアイゼンというにはお粗末ではあるが、滑り止めの
金具の爪のおかげで雪道も安心して歩けた。実はこれはホームセンターで買ったものだ。草払い機のコーナーで見つけた。山などの斜面で草刈
作業をするときに装着する。小鳥の声は少なかったけれども、雪の上にはたくさんの足跡が残っていた。まだ新しいものもある。かなりの大きさで
鉢合わせしなければよいのだが、と思いながら進んだ。雪道は疲れる。腹が減ったので弁当のおにぎりを食べる。なぜかいつも以上にうまかった
。
西暦
月
日
メモ
2013
12
30
室林道ラインセンサス
たぶん今年最後の室林道センサスになるだろう。1月を3つ分けて(上旬・中旬・下旬)年間36日は必ず訪れるようにしようと決めて、この冬で15
回の冬を迎えることになる。今日も淡々と歩いて鳥を記録するばかりだ。冬季の楽しみは何と言っても種々の鳥たちが群れる混群だ。エナガがや
ってくると最低でも2種類くらいの鳥を連れてくる。コゲラはその常連。いつもしんがりを担当する。特に多かったのはヒヨドリだ。かなりの個体が里
に下りているとはいえ、まだまだ多くが山に残っているようだ。シジュウカラがさえずりをしていた。イカル・ホオジロは周年さえずりをする鳥である
が、それ以外では、シジュウカラは最も早くからさえずりをするように思う。今日もヒガラとマヒワを探してみる。しかし、どうしても確認できない。こ
のまま春が来てしまうのだろうか。目の高さの枝にシロハラがいた。
2013
12
30
羽根・長根の田んぼ
珍しく北風もなく穏やかな日である。羽根・長根の田んぼは地形から風の通り道になりやすい。冬季の観察は寒さとの戦いになる(少し大げさか)
。ハシブトガラスが田んぼに下りて餌を探している。羽根・長根にはハシブトガラスもいるけれど、田んぼの中で見るのは大部分ハシボソガラスで
ある。タヒバリの群れが飛び立った。タヒバリの体色は田んぼの色に同化して素晴らしい保護色になっている。たくさんの鳥がいても気づかないこ
とが多い。鳴き声を聞いて存在に気づくことがあるが、知らず知らずに彼らが決めた警戒ライン以内に接近したため一斉に飛び立って知ることの
ほうが多い。スズメがやけに艶っぽい声で鳴いていた。スズメの声は身近すぎて真剣に聞くことがほとんどない。これがコマドリやカヤクグリなら
ば目の色を変えて探すと思う。これではいけないのだけれども。
2014
1
2
室林道ラインセンサス
とても静かな正月を迎えた。さすがに初日は、氏神さまへの初詣や檀家寺への年始参り(ほとんど義務的に)に時間を取られて、野鳥どころでは
なかった。しかし、2日目ともなれば自由な時間がたくさんでき、今年最初の野鳥観察をおこなうことができる。場所の選定は難しくはなかった。や
はり、1番重要なフィールドにすべきなのだ。室林道に上ってくると三河平野が霞んで見えた。それほど風が強くない証拠だ。シジュウカラがさえ
ずっていた。この冬2度目のさえずりであった。前に聴いたのよりもはっきりと長く鳴いていた。カラ類はシジュウカラとヤマガラのみであった。この
日もヒガラの姿を確認することはなかった。ウソがサクラの芽をついばんでいる。今までもウソはいた。しかし、サクラを食しているのをみたのは今
日が最初であった。穏やかな空と思えたが、高圧線の下を通過した時には、風に震えた太い弦がブーンと低い音を立てていた。それとジェット旅
客機の雲が何本も何本も、風で消されていく端から新しく引かれてゆく。線の先頭付近の箱には、空の旅に心躍る人たちが同じ運命体として納ま
っている。大きな音を立てて行く先はきっと中部空港であろう。4年前の元旦にイタリア旅行から戻った私たちは、きっと地上から同じように見上げ
られていたのだろう。
2014
1
3
観音山方面
正月3日目も穏やかな朝を迎えた。テレビで箱根駅伝のスタートを見たあと、続きは携帯ラジオにバトンタッチして、小型の双眼鏡と小型デジカメ
を肩から下げ、防寒対策をしっかりして出発する。時刻は8時25分。まずは県道を上って萩坂峠に向かう。常は交通量の多い道路で路側を歩こ
うと思わないところであるが、正月はうって変わって静かになる。それというのも、主な通行主である新東名工事関係の大型車が通らないからで
ある。新東名工事も順調に進んでいるようだ。開通日だけが決まっていてそれにまっしぐら。あとはしゃにむにやるだけである。工事の骨組みにイ
ソヒヨドリがとまっていた。オスの成鳥である。我が家の近くにもイソヒヨドリのオスが顔を見せている。同一個体ではないと思うが。大きな声が聞
こえるが、子どものニホンザルが樹を揺らせていた。まったく最近のサルたちは、人の姿を見ても逃げる気配は毛頭ない。県道をそれ観音山林道
にはいる。ルリビタキのメスが迎えてくれた。枯草から飛び立ったのはアオジ。そして、とうとう、探していた鳥のひとつに出あった。マヒワである。
このあたりは林道の脇にヤシャブシが植えられていて、球果にとりつく鳥の中にマヒワがいた。カワラヒワもいた。観音山でもシジュウカラのさえず
り個体がいた。どうやら、シジュウカラの初さえずりは正月であったようだ。林道を下り観音山の麓に来た。千鳥川沿いに最後のセンサスをおこな
う。タヒバリが突然飛び立った。その声を聞きながら視線は一点にくぎ付けだ。視線の先にはカワセミの姿。最後の最後にお年玉をもらったようだ
。
西暦
月
日
メモ
2014
1
5
琵琶湖 湖北町野鳥センター・早崎ビオトーク
東名から名神に変わる頃、右前方に周りの山々を従えて御嶽山が迫って見えた。その左手には少し小さく乗鞍も白い衣装をまとっていた。そして
、左前方にドーム状の山容をを見せているのが、これから向かう琵琶湖の東岸に位置する伊吹山である。標高では先の2つの足元にも及ばない
が、中腹からべっとりと白粉を塗った姿は数字以上の高さを感じさせる。岐阜から三重にかけて白くまとった山々を見るにつけ、これから向かう琵
琶湖東岸の景色はいかばかりか、冬タイヤではあるが雪はできたら御免蒙りたい。長浜の市街地には所々にかき集められた雪の山ができてい
た。一時は相当積もっていたに違いない。しかし、幸いにしてそのほとんどは消えていて何ら支障はなさそうだ。湖岸の道路(さざなみ街道)を北
上する。左手の湖面をちらりちらりしながら(あまり真剣に見ては危ない)コハクチョウの姿を探すが、どうもいないようだ。早崎にあるビオトープに
差し掛かった。ここにはいるだろうと思っていたのに当てが外れてしまった。1羽の白い姿もなかったのである。そこで、最初は野鳥センターに向
かうことにした。
<湖北町>
センターに着くまでの間湖面にコハクチョウの姿はなかった。それはセンターの目の前の様子も同様であった。ただし、もうひとつの目玉であるオ
オヒシクイは今まで見た中では多いと思った。汀で休むものや湖面で逆立ちして採餌するものなど、その巨体とあいまって目を奪う光景であった。
ただし、一般のカモたちの姿があまり見られない。持参した双眼鏡とスコープを代わる代わる駆使してカモ探しを始めた。最初に見つけたのは防
波堤に上がっているカモたちだ。びっしりと防波堤の上を埋め尽くしているように見えた。種としては、マガモ・カルガモ・ヒドリガモたちだ。また、防
波堤の南側で文字通り風を避けているものもいる。コガモ・キンクロハジロ・カンムリカイツブリが種ごとにかたまって泳いでいる。反対側の防波堤
にもマガモを中心としたカモがやはり風を避けるような位置にいた。陸地の上でも体感温度は低いのだから相当に湖面の上は寒いのであろう。そ
うのんびりとしていられない状況なのだと思った。暖かい野鳥センターの中ならいつまでも観察できるのだろうが。身体のことを気遣って早々に引
き上げることにした。過去にセンターの中からスコープを覗いた経験があるので偉そうなことは言えないが、やはりそれは邪道だ。冬の観察をぬく
ぬくとやっては何かがおかしいと思う。センターから湖面とは反対側に位置する山本山にはオオワシが飛来する。それをを見ようとしたがやめにし
た。付近の道路にはこれ見よがしの大砲のようなカメラがずらりと並んでいたのだ。この光景には嫌悪感さえ覚える。海岸の時にもそうであったが
、カメラマンの中には望遠鏡はおろか双眼鏡すら持っていない人がいる。観察よりも撮影を優先しているのだろうが、これも私には解せないことだ
。面白くないので早々とここには見切りをつけ早崎ビオトークに戻ることにした。
<早崎>
改めて歩きながら見て回ったが、車上からと同様に1羽のコハクチョウも見いだせなかった。湿地はあきらめ田んぼ一帯を見て回る。以前にここ
でマガンの群れを見たこともあるので期待した。その期待はかなわなかったが、結構いろいろな鳥がいることが分かった。ヒバリが多い。次々と田
んぼから飛び立っていく。また、タゲリの多いことも分かった。タゲリの鳴き声も初めてしっかりと聴いた。まるで我が家のネコのようである。湖に流
れ込む川にはオオバンがいた。このあたりはすべての景色が絵になる。川の色も珍しく思える。視線を360度1周させると改めて琵琶湖の風光
明媚さが分かる。ただし、この時期は風よけを十分しないと30分ともたないだろうが。
2014
1
9
室林道ラインセンサス
昨夜の前線の通過により寒気が一層南下するとの予報があったものの、暖かな空気がまだ残っているらしくて過ごしやすい1日であった。今晩か
ら本格的な寒さが始まりそうである。その兆候は室林道ラインセンサスの始まりから感じられた。なにしろ目まぐるしく快晴から晴・曇と空模様は
変わってゆく。最も個体数の多いのはヒヨドリであった。それは鳴き声の活発さからも感じられた。メジロもよく鳴いている。室林道においてはこの
2種が個体数では横綱であろう。ミソサザイも確認できた。何といっても室林道における冬季の代表的な鳥なのだから、ウグイスの地鳴きとは一
味違うミソサザイの声が聞かれてうれしく思う。同じ意味でカケスも大切な鳥だ。さいわいにも活発に鳴いているのを確認することができた。
西暦
月
日
メモ
2014
1
11
平尾・豊川自然遊歩道・財賀寺
参加の子どもは2年生と3年生の3名である。それに大人2名が加わりコンパクトな探鳥会となった。予報ではとても寒い日となるはずであった。し
かしふたを開けてみれば、いまの時期としてはとても穏やかで温かい朝を迎えた。うれしい誤算である。萩小を出発してまもなく、電線にとまった
のは冬鳥の代表ツグミである。ようやく田んぼに現われ始めた。平尾に入ると混群に出あった。主になるのはエナガとメジロ、付き従うのはヤマガ
ラとコゲラ、ここまでは珍しくもないのであるが、そこに小ぶりの鳥が混ざっているのを見つけた。室林道であれほど探したのに見つからなかったヒ
ガラであった。やがて眼下に見えてきたのはゴルフ場のため池。昨年は氷が張っていて鳥の姿はもちろん無かったのであるが、たった1羽ではあ
るがキンクロハジロの姿があった。どうやらメスのようだ。それを観察していたら突然向こうから向かってくるものがある。カワセミだ。最初は我々
の方にとんできたものの、これはまずいと思ったのか、左に舵を切り、さらに小さな池の方に向かった。その際に、丁度太陽を背にした角度になり
翡翠色に輝く姿を見せてくれた。このまさかの展開に、メンバー一同は、びっくりするやら、そわそわするやら、要するにぽかんと口を開けたまま
魅入るばかりであった。その間たった数秒ではあったが、これほどカワセミの美しい色を堪能したのは久しぶりのことであった。ますます気を良くし
て財賀寺への道を進んで行く。ゴルフ場の隣に極く小さな池があり、そこにもカワセミがいて皆をさらに驚かせた。同一個体ではないように思う。こ
のカワセミとの出会いで、今日の自分たちは天気と幸運に恵まれたことをはっきり認識することになった。財賀寺では毎年と同じように参拝し鐘を
突いた。用事のできた先生と分かれ、境内の入り口を守る仁王様の隣で弁当を広げる。ここでも昨年のような震える昼食とはうってかわり、薄日
でもそれほど寒くはなく、薄雲が切れれば暖かな日差しが差し込むという、願ってもないお昼時であった。美味しそうにご飯とおかずをほおばる子
どもたちの幸せそうな顔。境内のそこここにある石の仏様の顔に似ている。帰りの道は4人で歩く。再び境内の裏山の坂を登り、今度は、落ち葉
の積もった道(もちろん極く細いすじのような)を下る。下りきった所が我が町”萩町”。見覚えのある家々を見つけて子どもたちのほっとした様子が
分かる。2人の子は初めての財賀寺へのコースであった。話を聞いていると、すでに来年はどうしようかと相談している様子だ。私としては来年も
是非参加して欲しいと願っている。
2014
1
12
寺ノ入林道ラインセンサス
昨日の土曜探鳥会の幸運がさらにパワーアップしたかのように思える。まさかまさかの鳥との出合いが叶ったのだ。寺ノ入林道のラインセンサス
のまさに最後にその鳥は落葉樹の枝にとまっていた。最初に気が付いたのは、やけに黄色い鳥が見えたからだ。マヒワの黄色とも違うしマヒワよ
りも大柄だ。今まで見たことのない鳥であった。双眼鏡の視野に入ったのは、くちばしが何かおかしい鳥の姿。すぐにピンときた。イスカに違いな
い。イスカにしては赤くない。いいのだろうか?。その疑問はすぐに解けた。そばに真っ赤な同じような鳥がいたからだ。こちらがオスで先のはメス
なのだ。カメラを持参してきて良かった。記録写真くらいにはなるだろう。実は、イスカに至るまでに結構楽しんでいたのだ。アトリの群れには出あ
えたし、冬季の寺ノ入林道としては初めてソウシチョウを確認した。2羽の小鳥が目の前の林道を谷から山側に横切った。その時少しだけ鳴いた
のがヒントになりソウシチョウであることが分かった。灌木の中を餌をあさっているのだ。双眼鏡でも色をはっきり確認する。繁殖期のさえずりや地
鳴きがうそのように寡黙である。これでは、たとえいたとしても確認するのはむつかしい。やはり鳴いてくれないと無理なのだ。同じ灌木の中にさら
に2種の小鳥がいた。クロジとカシラダカである。冬季の採餌場所をソウシチョウと分け合うとなると、夏季のソウシチョウの勢力拡大を見ているだ
けに、彼らの運命が心配になってくる。もうひとつ、これは鳥のことではない。定位置に車を止めた途端目に入ってきたのは、分厚い漫画本の山と
、打ち捨てられているタバコの空き箱と栄養ドリンクのビンであった。これには腹が立ち頭に来てしまった。大事にしている探鳥フィールドを踏みに
じられたと思った。最低の奴だ。仕方がないので、センサスの前にきれいにしようと、本とビンなどを車に積み込んだ。雨に打たれた本は冷凍食品
のようにかちんかちん。これでは本も可哀そう。あらためて、捨てた人間が憎らしくなった。最悪の気持ちでスタートしたのだが、自然の大きな包容
力で、野鳥の観察をいつも以上に成功させてもらえたのだ。それに比べて、人間の小ささを再認識させられたのだった。
2014
1
17
室林道ラインセンサス
太陽が南回帰線を再び北に舵をとって1月余り、大寒も間もなく、本当の寒さはこれからではあるが、日差しは確実に強くなっている。今日もそれ
を証明するできごとが続いた。シジュウカラやヤマガラのさえずり個体が増えてきたのだ。特にシジュウカラが活発にさえずっていた。2種ともかな
り早くからさえずりをする。ウグイスなどはずっと遅い。クロジとアオジもそろって確認する。あいかわらず、両者を地鳴きから判定するのは難しい
。林道に入った時から聞えてきたのがニホンザルの鳴き声であった。センサスの後半にその群れにであった。母親の背中にしがみつく赤ん坊。真
っ赤な尻のオス。やんちゃそうな子どもたち。ざっと数十匹。人間世界に入り込んでしまった野生動物の宿命として摩擦が絶えない。我が家からそ
う遠くないところに、市がサルようの捕獲檻を設置した。まだ捕獲した話は聞かないが、彼ら一党が一網打尽にされたと聞いたらどんな感じを覚え
るだろうか。
西暦
月
日
メモ
2014
1
19
御津海岸
豊川河口に浮かんでいる黒い帯状の正体は、何千羽ものスズガモを主体とした海ガモである。とても個体数を数え上げることはできない。ここで
は3000羽としておきたい。大きく3つの群れになっている。海は、強烈な西風によって吹き寄せられ、次々と白銀の波頭を生み出す。ゴマ粒たち
は現れたり消えたりして波間を漂う。フィールドスコープを使うのはあきらめた。強風が視界をブルブルと震わせるに決まっている。それでも、数キ
ロもある三脚をできるだけ地面近くに据え、カメラに愛用のレンズを付け、カモの群れの浮かぶ海面に向けてある一瞬を待っていた。カモが海面
を蹴るようにして飛び立つ瞬間。そうすれば彼らの群れの大きさが見当できるだろう。海岸に立ってから10分くらいしか経っていなかったであろが
、もっと長く感じた。その一瞬は突然始まった。どこからともなくゴマ粒が空中に弾けた。一度それが始まるとあとは止められない。ドンとすべての
個体が空中に舞い上がり、最初は、沖の方向に黒いカーテンを引いて行った。それはやがて向きを変える。もしも上から眺めたら、その形は巴の
ように見えたであろう。乱舞はほどなくおさまった。何事もなかったように波間に漂う。海ガモの次は淡水ガモたちを求めて浅瀬に向かう。こちらは
更に風が強かった。立っていられないほどだ。海岸と駐車場の境に生垣があったので、そこにうずくまって観察を開始する。ここでもスコープは使
えそうもない。けれども狭い範囲の浅瀬だ。7倍の双眼鏡で十分。見られるカモの90パーセント以上はヒドリガモとオオバンで占められている。
12月に行った土曜探鳥会と同じ構成だ。興味深いのはオオバンの存在だ。御津海岸でこれほどまとまった数が見られたのは正直初めてである
。その他のカモは気をつけないと見落としてしまう。カルガモ・ホシハジロが見られた。カモたちは食事の最中のようであった。海藻をくわえている
個体を追いかけて横取りしようとするとんでもない輩がいる。しかし、どうやらそれが当たり前のように、あちらこちらで繰り広げられているのには
恐れ入った。その中に、頭が白と緑色の個体が1羽、そのほかの鳥たちと違和感なく泳いでいるのが見えた。アメリカヒドリか?それとも雑種か?
何ともいえない。帰りに再び音羽川を河口から遡った。新幹線が頭上を飛び去る。音羽川と合流しいている白川の堰がガラスのカーテンのよう
に見える。そのそばにコガモたちがいた。ひとつの家族のようにして、今まで見てきたカモよりも一回り小さい体を寄せ合っているのを見て、温か
さを感じ取ることができた気がする。今は、もちろん寒い冬なのであるが。
2014
1
19
東三河ふるさと公園
御津海岸からすぐそばにある、東三河ふるさと公園にも寄った。日曜日とあって駐車場はどこも満車に近かった。仕方なしに、一番遠い所に車を
停めて、双眼鏡やらカメラをぶら下げ、防寒のため目玉だけを出した格好で公園内に入って行ったが、異様に見えなかっただろうか。幸いにして、
いや不幸にして、天気予報とは異なって、昼を過ぎても北風は収まる気配は毛頭なく増々激しくなっていったので、これくらいの格好をしていても
許してもらえたと思う。強風は野鳥をも震わせた。ヒヨドリが風の当たらない常緑樹の中で鳴くのが精一杯といったところか。地面に近い所ではそ
れでも何種類かの鳥がいた。ハクセキレイ、シロハラ、ジョウビタキ、アオジなどである。東の空には冠雪の山々が見える。南アルプス南部の山で
あろう。空気は澄んでいるようにもみえるが、やはり富士山は駄目であった。
2014
1
20
高浜海岸
年に一度の牧野さんとの高浜市海岸のバードウォッチングをおこなった。今日の海岸は穏やかで暖かかった。こんな好天に恵まれて幸せだ。野
鳥の様子もそんな天気を反映していた。強風の海岸で見られるのは通常、首を羽の間に埋めひたすら寒さに耐えている姿でありスマートとは程
遠いものだ。今日は違っていた。それぞれの種でおおよそかたまって羽を休めたり採餌に勤しんだりしている。昔、貯木場のあった場所には、ヒド
リガモ、オオバンが多くいた。岸壁に付着している海苔をこそげ取る様子が珍しい。牧野さんの話では、オオバンをこの海岸で見たのは初めてと
の事。三河湾一帯に飛来しているのだろうか。高浜港ではユリカモメが岸壁に並んでいる。ユリカモメが餌付けをする人の周りを旋回している様
子も眺められた。20メートルほどの長さの浮桟橋の上にも野鳥が並んで体を温めている。桟橋は2つあって、その一つを占領していた鳥に驚い
た。それはカモではなかった。海岸に住まない自分にとっては初めて見るシロチドリの群れである。目をつむって休んでいる。おもわず車からカメ
ラを取り出してシャッターを切る。川の河口付近ではコガモが鳴いていた。こちらもかなりの個体数とみた。貯木場跡の杭に1羽のミサゴがじっとし
ている。こちらも防波堤に座り込んで海の様子をみる。ゆっくりと時間の過ぎるのを楽しむ。こんなことができるのも穏やかな天気のおかげだ。1
時間半ほど野鳥をながめた後、近くの吉浜の街に昼食に出た。人形店がデンと大店を構えた雰囲気のある商店街とみえた。その付近に人形小
路がある。10カ所の施設には、大河ドラマや昔ばなしなどの場面を等身大の人形で表わしているのだ。保存会の人たちが伝統を守っている。衣
装の模様には本物の貝を使っているのが特徴である。高浜市は街づくりに力を入れている。昼ごはんはそんなお店に入った。定食が300円で、
ご飯のおかわりができるという。チラシごはんと鳥めしの2種類あって、大抵のひとは2つとも食べるそうだ。お腹がよくなったので大山公園に出か
けた。こんもりとした小山一帯が公園になっていて、お城のような公民館と2社が並列にまつられた社がある。昔、津波で流された社をこちらに移
築したために、珍しい2社並列の社となったそうだ。鳥と街を十分に堪能して、牧野さんの双子のお孫さんに会って、高浜の街を後にした。車窓か
らは遥かに碧南火力発電所の煙突が見える。その白に煙りは、今朝来た時と同様、まっすぐ上っていた。
西暦
月
日
メモ
2014
1
25
室林道ラインセンサス
ここ3日ほど異常なほど気温の高い日が続いている。野鳥も春が来たと勘違いしないであろうか。陽気のいい割には室林道は静かであった。単
発的にヒヨドリ・メジロの姿を見る以外にはなかなか鳥の姿を見ることはできない。ましてや冬鳥(ヒガラ・マヒワ・ウソ)との出会いは夢のまた夢。
最後の期待は混群との遭遇であるが、これは運が全て。思うようにはいかないものだ。その運が1度だけ巡ってきた。エナガの声が聞こえてきた
からだ。混群の主役の出現にすこしドキドキする。けれども間近に観察することは叶わず、数十メートル先をさっさと飛び去ってしまう。萩小の先
生が軽トラに乗ってきた。薪の材料を取りに来た旨。少しだけ学校の野鳥活動について話をする。
2014
1
25
羽根・長根の田んぼ
センサスで歩くと少し汗ばむくらい暖かい。あぜ道にはオオイヌノフグリ・ナズナ・ホトケノザなどの春の花が顔を見せ始めた。タヒバリが田んぼで
採餌している。田んぼの土と同じような体の色のため、10羽・20羽と群れでいても、なかなか発見することができない。その点は、セグロセキレ
イやハクセキは容易だ。チョウゲンボウが獲物を狙って電柱にとまっているのを、目ざとくハシボソガラスが追いかけまわし、とうとうチョウゲンボ
ウは山に逃げ去るのを見た。全くカラス類は無敵だ。この時期になれば普通にツグミの姿が見られるのに、この冬は少し変だ。全くといってよいほ
どいないのである。
2014
1
26
寺ノ入林道ラインセンサス
静かな林道を歩いた。肝心の野鳥のほうもそっくり引っ越してしまったように、姿はおろか声もあまり聞かれない。鳥たちは一定の場所に居ついて
いるのではなくて、常に流動的になっているのかもしれない。営巣時期を除けば同じ棲みかにいなければならない理由があるのだろうか。確かに
、条件は同じでも観察される種や個体数は大きく変動しているのが実態だ。シジュウカラのさえずり個体を確認。やはりシジュウカラはさえずりを
開始するのが早い種のひとつであることは間違いない。一生懸命にイスカを探したが、柳の下に2匹目のドジョウはいなかった。冬鳥としてはミソ
サザイ・カシラダカを確認できた。イスカを見つけたときにあれほど大きかった氷柱であるが、その大部分が溶けてなくなっていた。冬季の寺ノ入
林道に行くこと自体二の足を踏むことが多かったのに今年の冬はどしたことか。観察が楽ちんになること自体は歓迎できるが、なとなく雪のない
寺ノ入林道は物足らなく感じられる。
2014
2
1
室林道ラインセンサス(土曜探鳥会)
牧野さんとふたりで室林道に向かった。10日前に牧野さんの地元である高浜市の海岸に行ったときは、冬の海岸には珍しいほどの穏やかです
ごし易かったが、今日の室林道もそれに負けないほどの好天である。萩小の校庭では、今年の冬としては一番多くツグミを観察することができた
。二人なので車で室林道に向かう。車中で、今年の室林道は、代表的な冬鳥であるウソやマヒワ・ヒガラが確認できていないことを話す。本当に
暖かい。必需品の手袋もいらないほどである。寒さの厳しい日にはあまり聞かれないウグイスの地鳴きも今日は聞かれる。さらには、ホオジロの
さえずりも遠くから聞えてきた。その個体は、100メートルくらいの距離にあるヒノキの梢でさえずっていた。双眼鏡を向けると、空に向かって口を
開けている姿が入ってきた。冬鳥の話をしながら歩く。ヒガラ・マヒワは皆無。ウソも最近は見ない。そう言っている時に、ウソの鳴き声が聞こえて
きたのには、余りのタイミングの良さに2人とも思わず苦笑してしまった。今日一番はエナガの群れとの出あいであろう。ジュリ・ジュリと声が聞こえ
、やがて、その小さな体を弾けさせて枝の中を動き回るのが見えてきた。牧野さんが「エナガはいいな」と言ったのが印象的であった。冬の室林道
のごく普通の様子を体感することができたと思っている。
2014
2
7
室林道ラインセンサス
暖かな立春から一変して真冬の寒さになった翌日、昨日ほどではないが寒い朝となった。室林道に向かう10時前の気温はかなり暖かいもので
あったが、急な冷え込みによる影響が野鳥たちにもでていないだろうか、と多少とも高揚した気分で向かった。終わってみると、それほど変わった
感じもしないものであった。相変らずヒガラやマヒワはいなかったし、その他の野鳥の様子も特に変わりはないようだ。景色では、氷柱が立派にで
きているのが見られた。やはり、昨日はよく冷えたのだ。さえずり個体はヤマガラとホオジロの2種を確認した。混群にも1度出あった。また、久し
ぶりにミソサザイ・ルリビタキを確認することができた。後者は2個体が寄り添うように見られた。オスの方は成鳥ではなかった。樹の根元でなにか
動くものがいる。しばらく様子をみているとそれは、樹の陰から現れ立ち上がるような姿勢で周りを見回した。大きな尻尾のニホンリスである。こち
らの存在に気づいていないのか、倒木の上を横切って林道のアスファルトを歩き出す。その様子が可愛らしいので思わず持っていたカメラのシャ
ッターを切った。
西暦
月
日
メモ
2014
2
9
乙女川
日本全国に乙女川という名の川がどれくらいあるだろうか。この美しい名を冠せられた幸運な川が萩町のすぐそばにあることを知ったのは、やは
り、野鳥観察のおかげであった。(野鳥の)師匠の山口さんからこの川でカワガラスを観察できることを教えてもらってから、繁殖時期を中心に足
繁くこの川に通うことになったわけだ。初めてカワガラスをみたのは1993年12月11日であった。だから、乙女川とは随分と長い付き合いなのだ
。川の脇に車を止め外に出た途端、強烈なる谷を抜ける風のカウンターパンチに見舞われた。あらためて、肌の露出を減らすべく身揃いを整えた
。これで大丈夫。まずは下流に向かって川面を注視しつつ歩きだす。ところが、いきなり本命が現れたのにはビックリ仰天した。黒いカワセミのよう
にも、大きなミソサザイにも例えられようこの鳥が、今回は、先のカワセミのように川面を一直線に上流に飛び去って行くのを見た。およそ100メ
ートル弱あたりで羽を止めた個体は、永年のうちにつるつるに磨かれた川床がすこし頭をだした所に立ち、これから餌を探そうという態勢にはいっ
た。何分距離があるし、太陽を背にしていて細部は分かりづらい。川に入ったり出たりしているのは見えたので、採餌行動であることはまちがいな
さそうだ。それにしても、こんなに簡単にカワガラスにあえたのはラッキーであった。樹を良くして今度は上流に向かい歩く
降雨のおかげで冬季にも関わらず水量はまあまあ多い。水も濁ってはいない。この川が名前に似つかわしくなく荒々しいと感じさせるのは、川の
大きさに比して立派過ぎる巨岩があちこちに転がっていることによる。川床は岩盤で覆われ砂の堆積がほとんどないことも、きれいな川との印象
をもたせることに寄与している。そんな川を棲みかにしてカワガラスは生活している。若いスギの植林の床から数羽のアオジが枝先に舞い上がり
、なにやら、お話をするかのように小声で鳴き始めた。よもぎ色の姿ははっきりとは分からない。このあたりの標高は私の地元萩町よりも高いと思
う。周りの山々にうっすらと雪が残っていた。
2014
2
9
観音山
カワガラスを見て、気分は最高のまま次に向かったのは観音山である。わざわざ向かったのではなく、帰りに寄り道をしたという方があたっている
。最初に見たのはルリビタキであった。それも、久しぶりにオスの成鳥である。カメラを持参していたが、残念なことに、乙女川のカワガラス同様、
光線が逆光であった。次いで、ホオジロが、ススキの穂を頬張っている様を観察する。夢中になっていて、少しずつ接近を試みたところ、かなりの
近距離で撮影することができた。景色はというと、案外遠くまで見えていた。三河湾の奥に渥美半島があって、さらに奥には伊勢志摩の山々がく
っきり見えていた。足元には新東名の工事現場が見える。見下ろしてみると感じがよくつかめるものだ。カヤクグリの声でもと淡い期待を持ってき
たが、さすがに、そう簡単には願いは叶いそうにない。
2014
2
16
室林道ラインセンサス
先日の大雪やら、台風並みの暴風警報発令やら、このところの天気はなにかおかしい。今日の室林道は、寒さは緩んできたものの、風の方はこ
の冬でもかなり強いものと言わなければならないだろう。高圧線が奏でる重低音がいつになく迫力満点だ。野鳥の声も途切れ途切れで、個体数
も少なめの気がする。その中で起きた出来事として、周りの様子と対照的なため、とても驚いたことがある。それは、春を告げるあの鳥、ウグイス
がさえずりを始めたのだ。それにしても少し早くはないか。聞き違えることはありえないし。耳を疑うような出来事であった。これ以外の出来事では
、ウソが3羽サクラにとまっていたり、茂みの奥からカケスが鳴いたり、ホオジロのさえずりが聞こえたりで、ごく普通の冬の室林道であった。氷柱
ができた湧水は小気味いい音を立てていた。へばり付くようにしてショウジョウバカマがあって、鮮やかな緑の葉が濡れている。やがて、葉の中心
から茎が伸びて紫色の品のいい花を付けるようになると、春を迎えることになる。滴り落ちた水は溝に溜まり、落ち葉が底に積もっている。昔は、
3月半ばともなるとヒキガエルが産卵したものであるが、ここ数年、産卵の様子は全くなくなってしまった。さみしいことである。
2014
2
17
萩小愛鳥クラブ 萩住宅・善住禅寺方面
今日は、萩小愛鳥クラブの探鳥会の日である。各学期に1回づつ行われ、これが、今年度の最後になる。メンバーは6名。こじんまりとしたクラブ
であるが、1年間観察を続けてきて、成長を実感してもらえたらうれしいのであるが。また、来年度も入会してくれることを願っている。各地で大雪
の被害が報道されているが、立春を過ぎてからが本当の冬、というのは当たっていたようだ。冬鳥のカシラダカは最近になってようやく姿を見せ始
めた。今日朝には、10羽を超す群れを確認した。そして、この探鳥会でも、ホオジロと一緒に田んぼで採餌するカシラダカを観察することができた
のだった。田んぼに接する民家の庭にもやって来ていた。うまい具合に、カシラダカとホオジロが並んで枝にとまっていた。体色の違いがよく分か
る絶好のポジションであった。セグロセキレイの色の薄い個体をハクセキレイと思ってしまう子もいたが、顔の色の輪郭で、同じセグロセキレイで
あることを説明する。識別ひとつを取っても難しいのだ。自分だってどれだけ苦労したかわからない。最後の、善住禅寺の境内では、裏庭の池に
いるカワセミを期待していたが(事前の説明があまりに期待を持たせるものであったので)、残念ながら見ることはできなかった(終わりの会でも残
念がる意見がでた)。
西暦
月
日
メモ
2014
2
22
室林道ラインセンサス(土曜探鳥会)
急きょ、観察場所を羽根・長根から室林道に変更し、3人で車に乗り、萩小を出発した。家を出たとき、学校でみんなを待っているとき、時折肌を刺
すような風が吹き抜けて、決してよい条件とは言えない日であったが、ともあれ出かけることにした。メンバーに室林道をこよなく好きな人がいて、
長い間室林道に通っている自分にとっては、うれしいやら、ありがたい気持ちでいっぱいである。歩き始めて最初に出あったのはヤマガラ。ヒノキ
の林の中にいた。その中の個体にさえずりをしているものがいた。地鳴き個体と掛け合いをしているので、つがいを形成しているのかもしれない。
やがて聞えてきたのがエナガの鳴き声。そして、御多分にもれず、それは、シジュウカラやヤマガラなどを引き連れた混群であった。ヤマガラのさ
えずりに続いてウグイスがさえずった。しかし、そのさえずりはものすごくへたくそなものであった。ヤマガラがさえずれば、ライバルのシジュウカラ
も黙ってはいない。おっとりとしたヤマガラとは対照的なスピードのある歌が得意な鳥だ。谷を覗く所に来た。視界が開けた先には街の広がりと三
河の海が臨める。そこで目にしたのは、いや、初めはさえずりであったが、ホオジロがソングポストで歌っている姿であった。それは、フィールドス
コープを水平に構えてぴったりと視界に捉えられる位置にあった。当たり前ではあるが、くちばしの動きと歌声がぴったりと重なるのがとても面白
い。もっと遠方でさえずっていたのなら、花火や雷のように、時差が発生するのだろうけれども。常には行わない小休止をセンサスの折り返し点で
おこなう。クッキーと揚げ煎餅を食べながらしばしの会話を楽しむ。センサス中は目と耳をフル動員するのだ。快晴の空はあくまで濃い青。それは
まだまだ冬の色であるが、センサスの中で聞いたいろいろな鳥のさえずりは、冬の終わりを告げていた。最後にこの鳥の歌で春の近いことを思い
知らされた。それは、亜高山帯で繁殖するルリビタキのさえずりであった。彼が、ここ越冬地を去る際に(秋の飛来時にも)短い期間ではあるが、
平地にもかかわらずさえずりをすることが多いのである。春に先立つものを鳥から感じることができ、とても満足した気持ちで林道を下った。最後
に、もう少したつと山奥に行って繁殖する、あのオシドリの姿を見に、新堤池方面にハンドルを切った。
2014
3
4
室林道ラインセンサス
春先の雨があがった翌々日の日、室林道は日差しはないが暖かい空気に覆われていた。そのせいか野鳥の声も多い。特に、室林道に春を告げ
る鳥、ウグイスの鳴き声が目立っていた。10日前のラインセンサスに比べさえずり個体が格段に増えていたのだ。さえずりの巧みさはまだまだで
あるが、中にはうっとりするような歌を聞かせてくれる個体もいる。彼は子孫をたくさん残すに違いない。ヤマガラやシジュウカラ、ホオジロといった
常連のさえずりに、カワラヒワのさえずりも加わった。彼の歌は一見(一聴か)すると歌には思えないものではあるが力強さはある。こうした種々の
さえずりが聞かれるようになると、春がやって来たなーと思えるから不思議だ。自分にとって季節の移り変わりは野鳥から教えてもらっていると思
っている。パソコンに記録を打ち込んでいて気がついた。常には一番個体数の多いヒヨドリが、この日は、1つのデータに留まっていたのだ。
2014
3
8
寺ノ入林道ラインセンサス
土曜探鳥会を終えてすぐに、昼食もそこそこにして三河湖に車を向けた。雪の影響は全くない。しかし、ここ寺ノ入林道は室林道よりも300メート
ルは高い所にある。冷え込みは一層厳しい。室林道よりも立派な氷柱ができている。車から降りたら小鳥が目に入る。ルリビタキであった。脇の
黄色が鮮やかな体色なのでオスの若鳥かもしれない。センサスを開始する。シジュウカラのさえずりが聞かれた。続いてルリビタキ。寺ノ入林道ら
しくアトリの姿もあった。それからは続けざまヒガラ、シジュウカラ、キクイタダキなどいろんなさえずりが聞える。ヒガラがさえずっているのはさすが
に寺ノ入林道のことはある。アオジやクロジもいる。室林道と違っているのはウグイスのさえずりが無かったこと。似ているのはヒヨドリの声が少な
かったことである。最後に、アカゲラの鮮やかな姿を間近に見ることができた。三河湖への出発が少し遅い感はあったがやってきて正解であった
。
2014
3
8
室林道ラインセンサス(土曜探鳥会)
室林道で大人3名の探鳥会をおこなった。その前に、萩小周辺ではツグミ、アオジ、ジョウビタキを確認する。お寺の境内からはヤマガラのさえず
りも聞かれる。車で室林道まで一直線。学校よりも少し寒いのは標高が200メートル弱高いためだ。カラ類やホオジロの鳴き声は最初からよく聞
こえてきたが、今日の目当てであるウグイスのさえずりはなかなか聞かれない。寒さのせいかとも思ったが我慢して先に進む。コースの半ばほど
で見晴らしの良い場所にでる。遠く三河湾が望める。眼下には谷が開けているが、そこから最初のさえずりが聞こえてきた。それからは続けざま
に聞こえた。合計で4個体ほどの確認ができ大満足だ。
西暦
月
日
メモ
2014
3
15
室林道ラインセンサス
5年ぶりにヒキガエルの姿を確認した。山を縫うように造られた室林道には、水脈から切れ間なく水がしたたり落ちる箇所があって、そのきれいな
たまり水にヒキガエルが産卵しているのが常であった。その時期は決まって3月15日頃である。それが2010年を境にバッタリ止まってしまった。
理由は分からない。今年もダメだろうと思っていた。ところが、たまり水が朝日に輝いている中に何やら動くものがいる。その正体はすぐに分かっ
た。ヒキガエルだ。それも2匹いるではないか。怯えさせるとすぐに潜ってしまうので(水たまりには落ち葉が堆積し、姿を隠すことができる)そっと
近づく。カメラを最初から望遠側にしてそっと記録した。まだ産卵はしていない。今日明日にも産卵するのだろうが、その時間の正確さには驚かさ
れる。今日のセンサスの一番の収穫はこれであった(見たかった鳥に思わず出あえた時と同じくらいの喜びを持って)。ウグイスのさえずりも日増
しに増えてはいるが、今日一番の鳥はヤマガラであろう。さえずり、地鳴きともに盛んに聞かれ姿も頻繁に見せた。ライバルのシジュウカラはそれ
ほど多くはない。地味なクロジ・アオジといった鳥もまだまだ室林道にいる。
2014
3
16
羽根・長根の田んぼ
午前中は地区の奉仕作業で体を動かした。2週連続の仕事で、先週は、午後から横になっていたらそのまま寝てしまった。そのことにもったいな
い思いがあったので、今日は暖かくて気持ちの好いこともあって、双眼鏡、コンパアクトカメラ、フィールドノートだけの軽装で、近くのフィールドに
車を走らせた。羽根・長根の田んぼには先日の雨がたまっていて直ぐにでも代かきができそうな様子だ(もちろん、代かきにはまだ早いが)。吹き
抜ける風は結構強い。しかし、北風のような寒さはないのがうれしい。タンポポ・ホトケノザ。オオイヌノフグリ・ナズナなど早春の花がすっかり出そ
ろい、風にブルブルと揺れている。ヒバリのさえずりが聞かれる。空中に飛び上がる個体もいれば、畦や田んぼの中でさえずっている個体もいる
。冬鳥もいた。代表格のツグミは4月までは見られるが、いつの間にか姿を消す感のあるタヒバリもいた。田んぼを占領していたのはハシボソガラ
スである。暖かくなってミミズなども地中から這い出てきているのであろうか。盛んにくちばしを動かしている。水路にコガモが3羽いた。先ほどから
鳴き声が聞こえていたようだ。コチドリ・ツバメもそろそろ姿を見せる頃だ。コチドリの声が聞こえたようにも思えたが、確認までには至らなかった。
2014
3
21
室林道ラインセンサス
今日の目当ては何と言ってもこれだ。1週間前に見たヒキガエルが産卵した卵を確認すること。それ以外のことは1週間前とあまり違いはないであ
ろうと予想する。まずヒキガエルの産卵は無事産みおえていた。きれいな湧水が朝日に輝いている。その片隅に、くねくねとした寒天状のものに
包まれたゴマを大きくしたような卵が見える。カエルは2匹いたはずだ。これで2匹分の卵なのか。それにしては随分と大きなものだと思う。鳥につ
いては、そんなに変化はないだろうとたかを括っていたことが恥ずかしい。やはり同じではないのだ。先週にはシジュウカラのさえずりほとんど聞
かれなかったが、今週はずっとシジュウカラのさえずり個体が増えていた。ツバキの花もより目立つようになったし、湧水の滴る傍に咲くショウジョ
ウバカマの株も花を開きだした。他の樹木に先立ち新芽を開かせるヤシャブシの雄花も10センチほどに伸びてきたし、その脇からは真新しい若
葉が開いている。里から眺めたなら薄緑に煙るようになるまでもう少しだ。午後からは暖かく霞んだ空から一変して季節風が吹く荒れた。3歩進み
2歩戻る。それを繰り返して春になるのだろう。
2014
3
21
我が家周辺
彼岸のお参りを終えて(その頃から天気は一変して、寒気に覆われてきた)、真冬の防寒に身を固めて家の周りを1時間少々歩いた。最近の暖か
さにより春らしい風景になってきた。白いモクレン、紫ダイコンババナ、ナノハナの黄色、カワズザクラは濃いピンクだ。北帰行を控えたツグミが田
んぼに下りて採餌する様子がよく見られるようになった。彼らとの出合いももうすぐ終わりになるかと思うとさみしい。ハシブトガラス、ハシボソガラ
スも繁殖に入った。あるペアは電柱に巣を作っていた。今は抱卵の段階で、春の雨が降っても、強い風に吹かれても、穏やかな日も、ずっと巣の
中に入って卵を温め、守っている。今日は待ちわびた鳥を見た。春の使者と言えばこの鳥。あの勤勉なツバメだ。神社の脇を飾るシダレウメのメ
スのジョウビタキを見た。このメスは我が家もその縄張りに入れていて、秋から頻繁にその姿を見せていた。この冬はこのメスが主人であった(過
去にはきれいなオスもいた)。どういう具合だか近寄っても逃げる様子がない。ほんの少しだけ残った花びらにジョウビタキの姿が重なる。それは
メスの地味な色の方が自然に見えた。
西暦
月
日
メモ
2014
3
22
茶臼山ラインセンサス
奥三河が大雪で孤立した、などのニュースが流れて久しいが、茶臼山に向かう気持ちを抑えさせたのは確かであった。でも平地は確実に春の様
相に変わってきていて、もうそろそろ出かけてもいいのではと思うようになった。いろんな条件が重なってついに出かけることを決意。萩ではウメの
盛りは過ぎつつあるが、道中のウメの名所は今が盛りと咲いている。国道を離れ茶臼山への登り口に雪の情報があって、本日はチェーン無で通
行可とあった。スタッドレスタイヤではあるがまずは一安心である。山頂にはまだ雪があるが主要道路は問題なく通れる。ただ、センサスコースと
なっている道路は冬季通行止めとなっている。実際歩いてみると山陰には100メートルくらいの長さで残雪となっておりとても車は通れないものだ
。それが数カ所にわたっていた。念のために滑り止めの金具も持参して歩き出す。これはとても重宝している。凍結している雪面では、これなしで
はとても危険だから。雪の締まりはよくてほとんど潜ることがない。ツガなどの針葉樹林を通るときには様々な鳥の声がした。一番多かったのはヒ
ガラで、枝先を転げまわるように移動して採餌する様子も観察できた。姿は見られなかったが、ヒガラのさえずりと同期するようにして、キクイタダ
キの繊細なさえずりも聞かれた。そんなに多くないゴジュウカラのさえずりがあった(何の鳥かと思いだすのにしばらく時間がかかった)。雪面の哺
乳類の足跡も興味深い。大小や形から何種類もの動物がいることが分かる。まだ新しいものもあって、その歩いている姿が見られたら最高なの
だが。歩道には雪のオブジェが見られた。洞窟があったり、動物の形をしていたり、逆三角形の不安定な形を保っていたりで、自然の芸術家の発
想には驚く外ない。牧場跡の開けた所ではあまり鳥を見ることはなかった。そのかわり素晴らしい山の景色を楽しむことができた。北には、三河
高原の最高峰恵那山が大川入山を従えて堂々と鎮座し、右手には、我がフィールドの蛇峠山が山頂付近に雪を残している。木曽の白峰が少しだ
け見え、その先からは、仙丈ヶ岳・北岳・間ノ岳・農鳥岳・塩見岳・荒川岳・赤石岳・聖岳と3000メートル峰が連なる。これほどの山容が一目で眺
められるのである。おまけに、今は冬季通行止めなのだから、この景色を独り占めできるのだ。ただし今日は一人だけいた。一般道から割と簡単
に徒歩で南アルプス観望ポイントに来れるのだ。ただし、私のように通行止め道路を歩いた気配は足跡を見る限りなかった。スキー場は3月いっ
ぱいは営業するようだ。ゲレンデを軽快に下りてくる姿や、子ども連れの親子が安全なコースで歓声をあげているのを見ることができた。夜間は
当然ながら氷点下になるのだろう。矢筈池・茶臼山湖には氷が張っていたし、一面に霜柱ができている場所もあった。ただし、それらも全盛時は
過ぎ、強くなった太陽の熱に身を細めつつあった。
2014
3
29
東三河ふるさと公園
園内の芝生に群がっていたのは、ムクドリならぬツグミの姿であった。ツグミは繁殖地に向かう前に群れをつくる、ということを聞いたことがある。
季節も押し迫りそのような時期に差し掛かってきたのは確かなようだ。
2014
3
29
室林道ラインセンサス
花曇りのような穏やかな天気である。明日からは天気が崩れるとの予報もある。3月最後の室林道と思って出かけることにした。林道のソメイヨシ
ノはウソの食害を免れびっしりと蕾を付けている。日当たりのよい枝は花も咲いている。ウグイスのさえずりはますます盛んになった。驚いたのは
、ルリビタキのさえずりが聞こえてきたことだ。それほど珍しい現象ではないが、かといって毎年のことでもない、ほどほどにうれしい出来事である
。残念なのは、さえずりの声が間近ではないために録音機のレベルを示すバーがそれ程でもなかったことだ。思うようにいかないのは自然相手
の常として諦めるしかないと自分を納得させる。そのかわりといってはカケスに気の毒ではあるが、メーターが振り切れないばかりに大声で鳴い
てくれた。カケスの声は嫌いではない。いや、好きなほうだから、喜んでマイクを声の方に向けていた。
2014
4
1
西切山林道ラインセンサス
今、この地方の平野部は、ソメイヨシノの花で埋め尽くされている(と大げさに言いたいくらいの)。緑の山々では葉と花が一緒に開いたヤマザクラ
が趣を添える。新芽が開いて美味しそうな緑色になっている箇所も見受けられる。山がサクラに染まる頃になると気分が浮き浮きする。なにも花
見ができるからではない。南の国から渡ってくる夏鳥の中のひとつ、コマドリが、今年も音羽の地に羽を休めに来るか否か、それを観察できるから
だ。観察の好適地、それが宮路山である。室林道のある山よりも海岸線に近くて、飛来したコマドリが最初に休息するのに適した場所なのだ。見
られる時期は4月の始めから5月の始めまで。長く見積もっても1月とない短期決戦なのだ。室林道よりも高い西切山林道ではソメイヨシノの満開
はもう少し先だ。けれども、見上げる枝先にはまんべんなく蕾があって、この地もウソは多くは飛来しなかったとみえる。ウグイス・ヤマガラのさえ
ずりがにぎやかに聞こえる。冬鳥の声もあった。ジョウビタキかルリビタキかは定かではないが、地鳴きが聞かれたのは1度や2度ではなかった。
難しいこととは思っていたが、コマドリには特に注意をしてセンサスをおこなった。沢音が聞こえる場所は速度を落とす。こうしておよそ1時間あま
りラインセンサスを続けた。予想通り、コマドリのさえずりは聞かれなかったが、再びコマドリを観察できる喜びを感じての山歩きであった。
西暦
月
日
メモ
2014
4
4
宮路山西切山林道
今年最初の夏鳥<ヤブサメ>を確認する。ヒノキ林の暗い林床からやや弱い声ではあるがハッキリと聞いた。ひとつ確認すると、後から後へと芋づ
る式に確認されるのが常のため、毎回が初確認の印で埋められることであろう。それがどの鳥になっても構わない。鳥に貴賤はないからだ。今の
様子を一言で表すと、ヤマガラ・ウグイスのさえずりが特に多いということになろう。シジュウカラやメジロもそれに対抗しつつある。宮路山は鳥た
ちの鳴き声で溢れ返っている。
2014
4
4
室林道ラインセンサス
宮路山ではヤブサメの初確認となったが、そのあとにセンサスしたここ室林道では、一風変わった鳥のさえずりを聞くことができた。それはキクイ
タダキである。室林道よりも標高の高い茶臼山や三河湖では普通に聞く鳥のひとつであるが、室林道では結構珍しい部類に入ると思う。そのキク
イタダキのさえずりを表現するのは難しい。比喩的にしか表わせないが、その細やかさは絹のレースとでも言ったらよいか。とてもデリケートな印
象を受ける声なのだ。ソメイヨシノが満開になり、それを目当てに、ヒヨドリたちが里から上ってきた。それにメジロも加わって、いっぺんに賑わいが
倍増した感じだ。水たまりに産み落とされたヒキガエルの卵、半月ほど経過しオタマジャクシになっていた。近くで見ると尾をくねらしているのが分
かる。
2014
4
11
西切山林道ラインセンサス
コマドリ探しも3日目に入る。夏鳥の代表のひとつ、センダイムシクイが宮路山にやってきた。どちらかといえば地味な姿であるがさえずりは特長
的なものだ。どの鳥も、久しぶりのさえずりを聞くのは懐かしくかつ嬉しいものだ。それ以外の夏鳥は確認できなかった。最初のセンサスで確認し
たヤブサメは、その後は全く聞かれないのが気になる所だ。その代わりにミソサザイの地鳴きを聞くことができた。ヤブサメよりもこちらの方がびっ
くりした。北上中の個体であろう。コマドリにはまだ会うことができない。たぶん、個体数はかなり減ってきているのだと思う。もうしばらく(10日くら
い)は頑張って探してみよう。
2014
4
14
室林道ラインセンサス
オオルリ・コマドリの飛来が確認できた。コマドリは室林道の中でも多く確認している沢で、コマドリとしては小さな声でさえずっていた。さえずりとさ
えずりの間が長いのでたった一度の鳴き声だけであった。従って、精度からすると少し心配なところもあるが、多分間違いはないと思う。オオルリ
は2個体確認できた。オスの成鳥ではあるが翼の部分は黒っぽい。コマドリについては宮路山が有望と考えせっせと通っているが、室林道に先を
越されてしまった。夏鳥ではあと、キビタキ・サンショウクイ・サンコウチョウなどが未確認となっている。いやいや、エゾムシクイも忘れてはいけな
い。
2014
4
14
宮路山 西切山林道ラインセンサス
室林道でコマドリとオオルリを確認した後、期待をふくらませて宮路山にやってきた。時間帯がやや遅いのが気にはなったが、行ってみないことに
はわからないのも確かだ。可能性はある。結果は、駄目であったが、自分的には珍しい鳥にであうことができた。日が傾いて薄暗くなった林床に
さらに黒っぽい鳥がいたのだ。この場合5センチ7倍の明るい視野がものをいう。くっきりとクロツグミのオスの姿が浮き出ていたのだ。あの明るい
鳴き声はよく聞くことがあるが、肝心の姿を見つけることはなかなか無かった。これも無理して来たおかげと思うと、常に結果が伴う訳ではないが
、やらなくては始まらないことも真なのだ。
2014
4
16
西切山林道ラインセンサス
コマドリを求めて宮路山に登る。夕方の限られた時間であったため、果たして見つかるのか、心配してもどうなるものではないがともかく出かける
。コマドリには会えなかったが、代わりに現われたのがトラツグクロツグであった。ともに大型のツグミ科の鳥で、クロツグミは地上で採餌している
のを、トラツグミは雌雄の個体が鳴き交わしているのを聞いた。オスがさえずるとメスが応えるパターンであると思う。オスの声の方が低くて大き
い。メスは細い声だ。メジロがそばでさえずっていたが、メジロの地鳴きはこれと逆でオスの声は高いのだ。面白かったのは、最初のうちはオスが
ひと声鳴くとめすがひと声返すのがほぼ等間隔で繰り返されていたが、だんだんとオスが鳴いてもメスがすぐには鳴き返さないようになり、それに
対してオスが返事を要求するかのように鳴くパターンに変化していったことだ。すなわち、オスが2度鳴くとメスが1度返事(らしき)の声をあげてい
たのである。人間世界に当てはめるとこれは面白いと思った。
西暦
月
日
メモ
2014
4
19
室林道ラインセンサス
10年ぶりに戸田先生と野鳥観察をした。先生は10年前に教職を終えられ、その後、自宅で塾を開いておられた。年齢の区切りのよいこの春に、
10年間やってきた塾も終わりにしたとのこと。それで、萩小探鳥会の講師の要請に応える時間ができたようだ。事前にコースを見ておきたいとの
気持ちから、思いがけず、先生から、一緒に鳥を見ないかとの誘いを受けたわけだ。喜んでお受けする。最初に行ったのは室林道。ここは6年生
のコースと決まっていて、学校から林道までの道中は自転車に乗る。林道でじっくりと観察するためだ。この日はとても恵まれていた。いきなり、キ
ビタキとオオルリのお出ましとなった。キビタキのオスが追いかけていたのがオオルリのメスであった。オオルリとキビタキのメスについていえば、
大きさが少し違うものの色はよく似ている。まさか、相手を間違えて追いかけているのではあるまい。なにか別の理由なのであろう。そこに姿を見
せたのがオスのオオルリ。一度に2種の綺麗な鳥が現われてくれた。探鳥会の当日もこうあって欲しいのであるが。今日は土曜日ではあるが、参
観日とPTA総会があり学校はやっている。そこで、事前に連絡し、戸田先生と学校に出向き、コースの打ち合わせとをした。昼も近いので昼食を
とることにした。そういえば、昔、探鳥会のあとには先生のおごりで食事をしたものだった。静かな部屋のテーブルで、お互いの近況を出し合った。
特に先生のここ3年間は、めまぐるしいほどの大変な時間であったようだ。それを、こともなげに話されるのを聴いていると、昔からそんな一面が
あった人だなとつくづく感じた。
2014
4
20
寺ノ入林道ラインセンサス
雨が降りそうな天気ではあったが、4月中に寺ノ入林道に行かなくてはという義務感に背中を押されてここにやってきた。音羽と比べ2週間くらい
は季節が遅れているようだ。新芽が開きだしたばかりで、道には散り始めたヤマザクラの花びらが色あせている。センダイムシクイの声を聞き、そ
の姿を探して林の上を見上げたところ偶然に、ドキッとする光景を見つけた(何か驚くべきものを見る時は、偶然の要素が高いように思える)。最
初はアトリと思いそうノートに書いた。しかし、すぐに別の鳥の可能性も考えた。その別の鳥が驚くべき対象なのだ。今年の1月にほとんど同じ場
所で、初めてイスカを見た。その時の驚きと言ったら。その鳥が今度は10羽以上の群れでいたのだから、これが驚かずにいつ驚けよう。距離と逆
光が種の同定を邪魔する。何度もみても自信が持てない。むろんカメラにはおさめた。あとは、写真から特長を判断して決めよう。植物は遅れて
春の姿を見せていたが、野鳥にとっては音羽と三河湖の距離は無視できるほどのようだ。オオルリなども同じようにさえずっている。標高が高い
なと思はせるのはミソサザイのさえずりやヒガラのさえずりであろう。もちろんコマドリにも注意をはらった。海岸から内陸に入ったこの地は、コマド
リのような、個体数の少ない、通過性の野鳥を発見するのには、拡散してしまう面でも厳しい側面がありそうだ。
2014
4
20
宮路山西切山林道
三河湖から戻り、そのまま宮路山に向かった。その前に、一度家に寄ってイスカの件をはっきりさせなくては。結果は、やはりイスカで間違いない
ようであった。微かに確認できる体色、決定的なのはやはりくちばしの形であった。先が猛禽類のように下くしばしの下に伸びている様子はアトリ
にはないものだ。意気揚々と宮路山に向かう。つきが落ちないうちに行こう。登山道を車で走らせると、前日の室林道のような光景を目にした。ま
ず、道路に下りて採餌するキビタキのオスがいた。さらに1分もしないうちにオオルリが現われた。こういう場合は、釣り上げた魚と同じ意味で、き
れいな成鳥に見えるものである。写真に撮ると実際には翼が黒かったりする場合が多い。またさらにオオルリと休むまもなく現れた。ますます運を
信じてしまう。いよいよ西切山林道のラインセンサスにとりかかる。往路はとくになんということもない。やはりコマドリは別物だ。復路に運の残りを
賭ける。1ヶ所だけ林が切り開かれて周りの景色がよく見渡せる場所がある。以前にここでコマドリが鳴いた。そこに差し掛かった時、背の低い灌
木の中から、いかにも憔悴したという感じで、コマドリのさえずりが聞こえてきたのだ。繁殖地で聞く声とは別人のような弱々しさである。やったー。
思わず心の中で叫んだが、もちろん声には出さずにおいた。
西暦
月
日
メモ
2014
4
21
茶臼山ラインセンサス
カレンダーを見ると、4月のうちに茶臼山まで遠出が可能なのは今日しかない。朝から雲の流れは下っていて天気は悪くなる方向である。しばらく
して雨になった。けれど、自分には2日ほど強運が付いている。科学的なやり方をめざすのは山々である。やる前のことは運が働くように思えてな
らない。今日行けば見られたのに明日はダメということは日常的なことではないか。三河湖よりもさらに倍も高い(茶臼山のコースは1200メート
ル以上)ので、春が来たとはお世辞にも言えない風景だ。1000メートル以下の麓でようやくサクラが咲きだしたくらいだ。霧と横なぐりの風が吹く
中を、ゴム長と雨具で身をかため、傘をさしてコースを歩き始めると、気温の低さを身に染みて感じた。素手ではどうにも寒いのだ。しかし、雨が降
っていては直ぐに濡れてしまうのは目に見えていて、手袋は逆効果になってしまう。仕方がないからできるだけ雨具に隠している。センサスコース
も問題であった。道路のある所は風の通り道となり、寒さが一層ひどく感じられる。そこで、今日はコースを森の中に求めることにしたのだ。その
分いつものコースは省いておく。その森の中のコースで強運が働いた。あてび平小鳥の森(名前からして鳥の多そうな場所、宿泊施設や茶屋もあ
り初夏にはバードウォチャーで賑わっている)の中を歩いていた。風が無くて外とは別世界のような所を散策するように進む。流れに咲くのはミズ
バショウ。すでに散り終えたザゼンソウの最後の一株がかろうじて残っている。樹上からはヒガラ・シジュウカラの声がする。人気のない気楽さか
、コガラが根元で何かを食べている。ようやくこちらに気が付いて急いでササの中に逃げ込んだ。霧の中からミソサザイの歌が聞こえる。こういっ
た光景を見ると、一概に雨はダメだとは言えない。雨の日でないと味わえないことは結構多い。クマザサが一面に茂っている所に来た。そして、強
運が賽を投げた。コマドリが、地元の平地で聞くような、息絶え絶えといった感じとは全く別物の、コマドリがそこにいて、ヒーーンととても力強く、
かつ美しくさえずった。最初は少しの間を置いて、やがて、ほとんど連続して歌いだす。これだけ間断なく鳴いているということは、こちらを相当警
戒の対象としているのか、経験的にメスもさえずると思っているので、オスメス2羽いて、鳴き交わしているに違いないと思う。無論録音機の準備
は怠りない。後から聴いてもほれぼれする声だ。森から出るとやはり駄目である。早々に打ち切った方が得策と心得て、安易な方に流れてしまっ
た。
2014
4
22
東三河ふるさと公園
海岸のすぐ隣に位置するこの公園にも当然、コマドリの休憩地があってしかるべきだ。現に、昨年確認している。公園に接する宮路山や近くの室
林道にいて、ここにいなければそれこそ不思議であろう。その疑問が今日晴れた。開門の仕事を終えて公園内を移動中に、標高でいえば150メ
ートル前後の場所で、コマドリのさえずりを聴くことができたのだった。公園内であり、早朝の散歩や犬の連れた人たちが訪れるので、低速度で車
を走らせているのが良かったのだ。案の定、とても小さな声で鳴いているので、普通、車の中からでは見逃してしまう。これで、このあたりの海岸
沿いでは今コマドリが飛来して、長旅の疲れを休めていることが明白になったわけだ。どこかに上陸した茶臼山の個体は、繁殖の準備が整うほど
元気がでていることも分かった。茶臼山に出かけたらば必ず、その個体の様子を見なければなるまい。果たして繁殖しているのか、それとも、一
時の通過点であったのか、茶臼山でもコマドリが減っていると感じているだけに、知りたいものだ。
2014
4
25
室林道ラインセンサス
センサスの開始地点ではオオルリのさえずる姿があった。梢の頂で朗々と歌っている。毎回同じ場所に陣取っているのでよほど気に入っている
のであろう。そのような場所が所々にあるものだ。我が家に近い林縁ではノスリのお気に入りの樹がある。それにしても今日は、個体数も多いし
見どころも多かった。オオルリのオスが地上で採餌する様子も見ることができたし、ヤマガラの求愛(給餌か)の場面にも出くわしたし、この春初め
て、ヤブサメの姿も確認した。オオルリのメスの姿も頻繁に見られるようになったので、つがいとなり営巣・抱卵・育雛へと進んでゆくことだろう。
西暦
月
日
メモ
2014
4
26
宮路山探鳥会
五月晴れと言いたくなるほどの上天気。赤坂駅に集まったこどもたちの顔も輝いている。大人が4人加わり総勢14名のかなりにぎやかな探鳥会
となりそうだ。赤坂の町中を音羽川に沿って杉森八幡社まで進み、旧東海道を横切ったあとは宮路山への登山道である。行楽日和と相まって宮
路山に向かう車もかなり多い。そのたびに子どもたちに注意を呼びかけなければいけないのは少々きつい。萩小の子は車に対してやや無防備だ
から仕方ない。宮路山はメジロの多い所でそのさえずりも上ものだ。やはり、今日の探鳥会の主役もメジロであった。まさに歌声のシャワーと言っ
た表現がピッタリである。それに夏鳥が加わる。その中ではキビタキが群を抜いて目立っていた。キビタキはどこへ行っても多い。それに比較され
るオオルリは個体数ではキビタキの後塵を拝しているが、美しい歌では決して負けてはいない。好みではあるが、自分はオオルリの方が気に入
っている。ヤブサメも、これが鳥かと疑うような(虫だろう)声で時々鳴いてくれた。しかし、この日を振り返ってみると、エナガの群れに遭遇した時
のにぎやかさが一番印象に残っている。最初は数羽くらいの声であった。やがて次々と合流してきて20羽を超えるほどになる。普通はあっという
間に離れていってしまうことが多いが、今回のエナガ台風は動きがのっそりであった。それが一斉に、さらにメジロたちの合唱も加わったのだから
すごい迫力である。見どころの多さと気温の上昇とでスピードが鈍ったのを挽回すべく、山頂直下の急斜面を休憩もなく歩き続ける。そしてとうとう
頂上に到着した。皆空腹であった。気持ちのいいそよ風が抜けるなかシートを広げ弁当箱を開ける。家で食べるより何倍もおいしい。その時、サ
ンショウクイのつがいが上空を飛び去った。
2014
5
2
春の探鳥会(4年生) 室方面
初夏のような太陽が照りつけ、そこかしこに見える黄緑色の若葉が輝いている。自分は探鳥会案内人(2名参加)の1人として、4年のクラス(19
名の児童と担任の先生)を先導した。天気は申し分ない。あとは、満足のいける野鳥観察ができるかである。野鳥の多い少ないは自分の力では
どうすることもできない。しかし、与えられた中で子どもたちに満足してもらえるかは、自分の力量に掛かっているともいえる。その意味で、かなり
プレッシャーになっているのも正直なところだ。体育館を過ぎた所でキビタキのさえずりが聞こえた。こんもりとした木々の中できれいな声で歌って
いる。そこで暫くの間、キビタキの歌を聞き入ることにした。子どもたちにしてみれば、図鑑のようなきれいな姿を見たくてしかたがない。(けれども
、そのことはなかなか難しいことなのだが。)後ろ髪を引かれる思いでコースの先へと子どもたちを導く。室のコースは高低の変化があって景色と
しても面白い。小学校からの登り坂を今度は下ってゆく。下り切ったら田んぼが広がる。その脇にある林でもキビタキが演奏会を開いている。似た
環境の所だ。実のところキビタキは、萩に限ってみると増えているのだ。それを証明するかのように、探鳥会のコースの先々でさえずりを聴くこと
ができた。(全部で6カ所確認できたと思う。)室から方向転換して善住蝉寺方面にコースをとる。ここは秋の愛鳥クラブの時にも面白い鳥を見た
所だ。ホオジロとカシラダカが庭木の上で一緒にとまっていたのをフィールドスコープで観察したのを覚えている。田んぼを見下ろせるまさに同じ
場所で、ダイサギがゆっくりと歩を運びながら獲物を狙っているのを見つけた。小鳥と違って堂々としていて隅々までよく観察できるのがうれしい。
捕った獲物の種類、くちばしの色の違い、3羽の間柄は親子なのか、どれがお父さんなのか、子どもたちの疑問はたくさんあった。もともと優雅な
姿を一層優美にしているレースのような飾り羽についても、「進化」という言葉を使って説明を加えた。4年生に「進化」という概念を言うのは適当
であったのか分からない。ただ自分自身が野鳥(生物)に興味を覚えた根本に「進化」があったので、つい口にしてしまった。予定時間いっぱい使
って再び萩小校庭に戻ってきた。さえずりと地鳴きの違いは野鳥観察では基本中の基本だと思っていたから、子どもたちの感想の中に鳴き声の
ことがでたことがとてもうれしかった。
2014
5
5
室林道ラインセンサス
ぽつぽつと雨粒が落ちてきた。双眼鏡の保護やフィールドノートのにじみを考えたら傘は持参しなければならないだろう。5月に入っても、オオルリ
やキビタキの姿は、あい変わらず頻繁に見ることができる。それも、つがいの姿である。そして、とうとう、ある巣箱で抱卵している姿を見つけた。
巣箱での抱卵は最近では珍しいことではない。ほとんど毎年抱卵している。しかし、残念なことに、なかなか巣立ちまでは進めないようだ。巣箱で
の営巣はあまりにも目立ってしまう。捕食者や密猟者にきわめて狙われやすいのだ。はたして、巣箱は必要なのか。サンショウクイがようやく室林
道でも鳴きだした。好きな鳥なのでうれしい。
西暦
月
日
メモ
2014
5
8
萩小春の探鳥会(5年生)
今日は高学年(5・6年生)が参加する探鳥会の日だ。この日も素晴らしい天気に恵まれた。このような天気を五月晴れと言って良いとか悪いとか
、気象予報士から一斉にうんちくが披露されるこの頃だ。天下のNHKも今は使ってもよいということらしいから、安心して使おう。それでも、おかし
いと学者ぶるリスナーもいたようだが。正直言うと、今日のコースでどれほどの観察ができうるのか不安であった。ツバメ・ヒヨドリ・スズメくらいしか
見られないのでは、昔のように、多くのサギがいたならば田んぼもすてたものではないのだが、あとは天に祈るしかないと本気で思った。終えてみ
れば、すごく面白い観察ができたと思っている。民家ではツバメの営巣を、ご主人の好意で庭の中まで入らさせていただき、巣から頭を出している
ヒナを観察した。電線を保護しているパイプの中にどうやらスズメの巣があるらしい。巣材を盛んに運んでいるのを見た。メジロやカワラヒワのさえ
ずり、コジュケイの地鳴き、鳥たちの鳴き声もバラエティに富んでいた。田んぼのあぜからヒバリが飛び出し、雲の中で歌っている。まさに雲雀で
あったし、モズのオスがメスに求愛行動をおもわせるさえずり(この場合は、外の鳥のものまね)をする様子も観察できた。これまた百舌鳥そのも
のであった。繁殖行動の一旦がつぶさに見られたわけであるが、果たして、こどもたちはどのように受け止めてくれただろうか。
2014
5
10
室林道探鳥会
今日は大人3人の探鳥会となった。初めての室林道を歩く人のために、できるだけ沢山の鳥が出てきて欲しいと願って車を室林道に走らせた。そ
の希望はほぼ叶えられたと思う。いや、それ以上の収穫があったと自負している。その筆頭はメボソクシクイである。繁殖地は高山。普通では出
あうことのないこの鳥に出あったのだ。あの特徴ある鳴き声が林の奥から聞えてきた時はビックリした。秋の南下の時にも見られると言われるが、
自分の経験ではどちらかというと、春の北上時にさえずりを聴くことが多かったように思う。それでも、毎年聴かれたわけではないので、今日の出
あいはまあ幸運であったと言えるであろう。オオルリの抱卵もスコープで観察した。すでに先客がいて、デジスコで抱卵の姿を撮影しようしていた
。オスの帰巣を待っていたのかもしれない。サンコウチョウのさえずりも聴かれた。少し前に別の場所で、サンコウチョウのオスが長い尾をたなび
かせて目の前を通過したのに出あった。だから、今年の最初の出会いではないが、さえずりを聴いたのは最初だ。その他にも定番のオオルリ・キ
ビタキ・ウグイス・センダイムシクイや、すこし不思議な声のヤブサメも参加してくれて、あまりの多さに、たぶん、頭に入り切らなかったのではなか
ろうか。自分はそうであった。
2014
5
10
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道は今、一年で一番、木々の若葉が明るく輝く時であろう。谷を渡る風も心地よく、ラインセンサスが楽しくて仕方ない。室林道と比べ沢
の数が勝り、その分、オオルリの個体数も明らかに多い。反面、キビタキやウグイスは少ないように感じる。寺ノ入林道での注目点はやはり、室
林道にはいない鳥たちの状況だと思う。その代表格がヒガラであろう。ヒガラは冬季には室林道にもやって来るが(必ずとまでは言えないにしても
)、繁殖にはまったくいなくなる鳥である。ヒガラは寺ノ入林道で繁殖しているのだろうか。それは、繁殖期を通してここで棲息しているかで決まる
のでは、と考えている。さらに山奥で繁殖しているならば、その期間は、ここ寺ノ入林道では確認できないに違いない。過去の記録、そして、今年
の記録を照らし合わせて考えてみたい。
西暦
月
日
メモ
2014
5
11
茶臼山ラインセンサス
茶臼山の山頂付近は、平地よりも季節が1か月くらいは遅い。ヤマザクラが咲いていたり、水仙の植栽(茶臼山高原道路沿いの)も今が見頃だ。
木々の新芽はようやく開き始め、薄緑色に林が煙っているようだ。恒例のシバザクラまつりを控えてすべての駐車場が閉鎖されたので、仕方なし
に、広くなっている路側に車を止めて、ラインセンサスを開始する。もう少しするとすべて有料駐車場に変身する。
行楽日和とあって車の通行も多い。特に、オートバイのグループがけたたましいエキゾースト音を立てている。茶臼山の野鳥はさぞかし迷惑なこ
とであろう。同情してもしきれぬ。先月、小鳥の森でコマドリを聞いた。今回もコースから外せないだろう。2匹目のドジョウを狙うわけだ。小鳥の森
に近づいたところで、今年初めての、コルリのさえづりを聞くことができた。さらには、サンショウクイのつがいと思われる姿も。サンショウクイは森
に入ってからも声がした。若葉の開き始めたばかりの森は明かるい。そんな環境に適しているのだと思う。先月の雨の日、傘をさして森の中を進
んだ。そして突然、コマドリのいななきに似た(もっと澄んだ美声である)さえずりと聴いたのだった。その時は本当に興奮した。けれども、今日は、
期待した鳴き声は無かった。これが現実なのだ。森を歩いていて2人りと出あった。何やら、観察会のような雰囲気であった。何か見られましたか
、と尋ねられた。双眼鏡をぶら下げているので目的はすぐに分かってもらえたようである。コルリ・ヒガラ似合いましたが、ミソサザイはまだです、と
答えた。左右に別れてしばらく進むと沢があり、そこから、沢音に混じりミソサザイの歌が聞こえてきたのには、まあなんというタイミングの良さと、
おもわず笑みがでてきた。小鳥の森から遊歩道を通って茶臼山湖に出る。森の中からもサンショウクイの声がしたので、数百メートル四方くらい
の中で生息しているのかなと推測する。道路わきからはウグイスやソウシチョウの声が溢れんばかりに聞こえる。ウグイスが単独行動に対してソ
ウシチョウは群れでいる。従って、聞えてくる箇所の数ではウグイスが勝ってはいるが、個体数はソウシチョウの方が案外多いのかもしれない。コ
マドリは確認できなかったがコルリはいた。暫らくすればアカハラ・マミジロの明るい声や、ホトトギス・カッコウといった托卵寄生をする鳥たちがや
ってくるだろう。茶臼山の初夏の様相を想像しながら山を下りた。
西暦
月
日
メモ
2014
5
17
平成26年度 萩小親子探鳥会 善住禅寺コース
萩小探鳥会の最後を飾るのは、1・2年の親子探鳥会である。豊川市一斉の学校の日がその日となったのは、音羽町から豊川市に変わった年か
らであったろうか、記憶の方は定かではない。自分が萩小の探鳥会に関わった当初は、探鳥会としては「親子探鳥会」ただ一つであっった。それ
が今では、伝統の「親子探鳥会」以外にも、3年生以上は、春と秋にも各学年ごとに観察会を行っているし、「愛鳥クラブ」もクラブ活動の中のひと
つとして、学期ごとに
開催している。それほど萩小の子どもたちは野鳥に触れる機会が多いのである。1年生が参加する今回の場合、コースもよく考えておかねばなら
ぬ。長時間の緊張は無理。体力も2年生とは格段の差がある。なにしろ、2か月前までは保育園児として保護されていたのだから。その点で、初
めての探鳥会を親の助けも借りられる条件で行うことは、実際面からみても、理にかなっていると自分は思う。当日の様子を一言でいえば、「天が
恵みを下さった」ということになろうか。冬に逆戻りをしたような昨日の空模様を考えたら、今朝の静かけさは、昨日が”うそ”でなくしてなんであっ
たろ”
探鳥会のコースは4つで、8名ほどの子ども(1・2年生合同)と先生、指導者が付いている。講師の「豊橋総合動植物園」の二人とはもう長い付き
合いであるが、今回は、私にとっても大切な時期に、萩小の先生として一緒「探鳥会」に関わってきた旧知の方も講師として参加することになり、
個人的になんとも言えない気持ちで行事に臨むことになった。校庭から一歩進んだところでスズメとツバメにあう。飛び方も鳴き声もまるで違うこと
を知ってくれたらいい。民家の中を通り過ぎると新たな鳥が現われる。ヒヨドリは木のなかから容易に姿を見せない。もっぱら鳴き声ばかりである
。その声だけでも興味を示してくれたことには感謝と感心の意を表したい。コースの先ではヒヨドリが次から次へと姿を見せた。ヒヨドリへの興味が
、姿を見られたその時ではなくして、声だけの時からの布石が功を奏していたのだと思いたい。ムクドリが”ジャー・ジャー”と鳴いていたのを、子ど
もたちは、手元にある野鳥チェックリストの中にカケスの鳴き声が”ジャー・ジャー”とあるのを認め、「『カケス』が鳴いた!」と口ぐちに言うので、「
そうじゃなくて、あれは”ムクドリだよ」と説明する必要性がでた。言葉で表わすと同じになるが、実際にはまるで違って聞こえるのは当たり前とい
えば当たり前のことではあるが、そんなことも実際に経験してみないと分からないものだ。コースの半ばで、2つの鳥が現われた。サンショウクイと
ノスリであった。特にサンショウクイは、「とても珍しい鳥」と説明した途端、子どもたちの目が輝いた。もらったチェックリストにも載っていなかったた
め、余計にその意を強くしたようだ。『今日は、珍しい鳥を見たんだ。』ノスリはその直後に上空に現われた。2年生の中にはノスリを知っている子
が多数いて、「見たかったんだ」と喜ぶ顔があった。この2つの出現で、親子の距離が接近したように見て取れた。きっと、今日夜の家族の話題に
サンショウクイとノスリが登っていることだろう。最後は”善住禅寺の裏庭”が舞台となった。たまたま住職がおられ、快く入庭を承諾していただいた
。ご老子以下数名の方が庭の手入れの最中である。場所柄大騒ぎは禁物。そこで、(昔はよく試したことのある)1度やってみたかったことを実行
する。池の周りの庭石があまりにも腰かけにもってこいであったのを認め、5分間の瞑想タイムを復活させたのだ。目を閉じて音だけを聴くのだ。
5分は結構長いもの。途中で我慢できず口を開くかなと少し意地悪な気持ちもあったのは白状する。こちらの意図を知ってか知らずか、5分間を
静かに過ごし終えたのだ。学校に向かう時の気持ちは晴々としていた(私は)。子どもたちはどうであったろうか。聞いてみたい気もしたが、『いや
、聞かないほうがいい。』と否定する自分の方が強かったみたいにも感じた。
2014
5
19
室林道ラインセンサス
萩小主催の一連の探鳥会も天候に恵まれて無事に終えることができた。この日は、自分のための時間を費やそうと室林道に出かけラインセンサ
スを行なった。1カ月を3等分し、上・中・下旬で各1回は訪れようと決め、1998年から実行している。むろん、できなかったことも多々ある。”やら
なければ”との思いが原動力になっていることは否定しない。趣味ではあるが趣味だけでもない状態かもしれない。ホトトギスが鳴いていた。シイ
の若葉がもこもことしていてブロッコリーのようだと表現した人がいるが、そのとおりだと思う。何とも香しい香りが山全体を覆っている。山歩きには
1年中でも最高の時期であろう。夏鳥たちの歌声がこだまする中に、ウグイスやホオジロなどの留鳥の声も交じり聞かれ、聖堂の中の音楽を聴い
ているような錯覚に陥る。私としては当然のことのように、自然の音楽の方へ肩入れするつもりだ。楽器ごとのセクションでみると、ヤブサメの奏
者が減ってきたように思えてならない。逆に過剰なのはキビタキだ。主席の座をめぐり熾烈な競争を繰り広げている。サンコウチョウはユニークだ
。誰が聴いても直ぐに楽器名を言い当てよう。見事に演奏された日には脱帽するしかない。本日のセンサスはサンコウチョウのソロでフィナーレを
迎えた。
西暦
月
日
メモ
2014
5
24
蛇峠山ラインセンサス
高嶺の上り下りでスタミナを使い果たした感はあったが、そう度々来ることもできないと欲を出して、今日2つ目の山に挑戦した。標高で言えばこち
らの方が100メートルばかり高いのであるが、実際の歩くところの標高差は高嶺に軍配があがる。途中見晴らしの良い所で車を止めて周りを眺
める。正面に大川入山がこちらを見下ろすように聳え、その奥には恵那山が隠れるようにしてある。2800メートルクラスの中央アルプス、左手に
御嶽・乗鞍の独立峰が並んで鎮座している。うっすらと北アルプスも見られるようだ。馬の背からは歩いて頂上に向かう。ここからが本当のセンサ
ス。ヒガラの鳴き声が多いように感じる。ウグイスのさえずりが多いのは勿論である。谷の下からはオオルリ。そして肝心のコマドリであるが、4個
体も確認できたのは予想外の多さであった。北側の斜面と南側の斜面に半分ずついた。頂上で靴を脱いで休む。飯田の街が午後の陽に輝いて
いる。その右手奥には、南アルプス3000メートル峰が、残雪でまだらになった巨体を横たえる。武田軍ののろし台跡があるというが定かではな
い。のろしは遥か先の長篠城に届けられたそうな。シンボル的な真っ白いドームが目の前にある。雨雲レーダーである。蛇峠山は独立峰で地の
利がよいのであろう。ドーム以外にもいろいろなアンテナ群が林立している。ドームの傍からキクイタダキの声が聞こえてきた。何か得した気分に
なる。下り道の方が足には応えた。指先がかなり痛い。それでも登りと違って休むこともなく馬の背に戻ってきた。再び車の中からの観察に変わる
。そこで驚くべき鳥を見つけたのだった。極めて地味な鳥である。しかし、もう10年以上も姿を見たことがなかった鳥だ。ヒタキ特有の採餌にピンと
きた。キビタキのメスか。それならば珍しくない。しかし、それはキビタキの姿ではない。目の周りの白いのがポイントであった。まさにそれは、10
年以上もお目に掛かれなかったコサメビタキだった。立ったりしゃがんだりしてカメラアングルを変えた。しゃがんだ場合は安定性がすこぶるよい。
カメラブレの無い1枚があることを期待して山を下りた。
2014
5
24
高嶺ラインセンサス
堂々たる山容の高嶺に麓から目指そうと思った時、少しばかり武者震いを覚えた。なぜかというと、毎年1・2回は山頂からの景色を楽しんではい
るものの、全て自力で登ってはいないからだ。確か1・2度だったと思う。いつの時期だったかは余り覚えていない。ただ記憶しているのは、暑い盛
りに登り途中で雨に降られたことがあった。どうせ汗で濡れるのだから雨でも同じこと、と少しやけになって歩いたことははっきり覚えている。その
時と比べたら今日などは、まったくもって恵まれたものだ。この山はカラマツ林でできているといってもよい。カラ松の緑は他の針葉樹には無い色
合いのものだ。高山らしい濃い空の色とカラマツの輝くばかりの緑が、これでもかとばかりに目に飛び込んでくる。国道153号線を登山道に折れ
、道路わきの手ごろな場所に車を駐車する。身支度を整えていざ出発。左肩から斜めに掛けた小さなバッグには録音機・ノート・財布・お茶のペッ
トボトル、首からは双眼鏡とコンパクトカメラ、バッグとたすき掛けに1眼デジカメ、筆記具も首からぶら下げる、といった人前ではあまり見せたくな
いものである。全てを秤にかると相当なものになることは間違いない。きっかり7時に出発。(これでも家は4時前には出ている。)センダイムシクイ
・ウグイス・ヒガラのさえずりが聞こえ始めた。これなら問題ないが、やがて耳に入りだしたのがソウシチョウである。うるさいばかりで
決して耳に優しい声ではないと思う。どうしても好きにはなれない。ウグイスが鳴いたかと思えばソウシチョウも鳴きだし、ソウシチョウが鳴けばウ
グイスもといった具合で、紅白合戦の様相を呈している。こちらは断然ウグイスの肩を持つ。沢が音を立る所に棲むのはオオルリとミソサザイと決
まっている。ここでも同様であった。どこにとまっているのかと探してみたが分からない。オオルリの声は遠くからでもよく聞こえる。ミソサザイのさ
えずりも谷底の方向から聞えるようだ。ただし、こちらは少し遠くになると減衰してはっきりと聞こえない。中腹からはコルリも参加する。コルリが現
われたならばどうしてもコマドリの出現を期待してしまう。その場所はセンサスコースでも1ヶ所しかない。下の方から沢音が聞こえてくる場所だ。
そこはよほど鳥にとって居心地がいいとみえて、ミソサザイ・オオルリ・キビタキ・ヒガラ・コガラ・コルリが一緒くたになって鳴いている所だ。その混
ざった声の中からコマドリを聞き分ける。コルリは多そうだ。しかし、コマドリは。そこで30分ほど留まっていた。やがて、待ちに待ったさえずりが聞
こえてきた。それも、急に大きな声で鳴いたのだ。かなり近い。欲がでて録音のみならず写真にも収めたくなった。しかし現実は厳しいものであっ
た。きれいに声が入っているだろうか。存在が確認できただけでも幸せとになければ。頭上を赤や青などに染められたパラグライダーがトビのよう
に円を描いている。そう言えば何度も車が往復して、平谷の町から高嶺の山頂に人を運び上げている。最初の飛行にはさぞかし度胸がいること
だろう。一歩一歩進んでようやく山頂付近までやってきた。山頂はササの山だ。そこはまさにウグイスの国。そこで期待する鳥が3種ある。カッコウ
・ホオアカ・アオジである。カッコウはいかにも高原の鳥だし、後の2種は昔は見られたのであるがという懐かしさのある鳥である。そしていまは全
くお目にかかっていない鳥でもある。そのうちの一角が本日崩れた。アオジがササの中に生える灌木で鳴いているのを見つけたのだ。アオジのさ
えずりも久しぶりに聞くと、すぐにアオジと言い当てられない自信の無さが露呈してしまう。何とか姿と両方を確認したいものだ。声の聞こえる方向
を探しても皆目見当が付かないでいたが、神の助けか、1羽の小鳥がさっと目の前を横切るのを見逃さなかった。止まった先に双眼鏡を向ける。
少し距離はあるものの間違いない。アオジである。近くからもアオジらしい地鳴きも聞こえる。つがいか。アオジのさえずりをこの地で確認できたの
は久方ぶりのことである。良かったという以外に言葉はない。
西暦
月
日
メモ
2014
5
25
室林道ラインセンサス
特別変わった様子ではなかった。変わったことがそう度々あるならば、そのことは、変わったことではなくなってしまうのであるから、やはり変わっ
たことは滅多には起こらないのだ。それにしてもノートをみると小鳥たちのさえずりの多さに驚いてしまう。生き物の世界で、鳥たちほどにぎやか
に過ごしているのも珍しいことではなかろうか。その意味では変わっている。ホトトギスが鳴いた。時折、室林道の空を高速で飛び回るのを見る。
被托卵鳥たちは気が気ではないであろう。けれども1番心配しているのは当のホトトギスではあるまいか。うまく自らの卵を宿主に育てさせなけれ
ば自らの系統は絶えてしまうのだから。その点被托卵鳥はまだ安心できる点はある。自分がその犠牲者になる可能性は低いのであるし、たとえ
被害を受けても次の機会もあるのだから。
2014
5
26
萩小愛鳥クラブ
学校に出かける頃になって雨が降り始めた。雨天用のプログラムの準備も急きょ行ない学校に向かった。雨天プログラムは以前に用意したもの
で、茶臼山の探鳥会が雨で中止した時に行ったものである。写真と音声で茶臼山の鳥の紹介をしたのだ。子どもたちは双眼鏡と探検バッグを用
意して玄関先に集まってきた。口々に、「先生、今日はやるの」と言う。雨だから嫌がっている様子ではない。迷ったが、意を決して予定通り行なう
ことにする。サクラ並木の一角でムクドリの群れが騒いでいた。枝にとまったり地上に降りて歩いたりしている。ここで鳥の歩き方について話をす
る。スズメは飛び跳ね、ムクドリは人間と同様に歩くのを見る。サクラ並木は山陰川にあって、そこで子どもたちはカワセミが飛んでいくのを見たよ
うだ。別の鳥に気を取られ気が付かなかった。その鳥とは、イワツバメである。橋の下に巣があって橋を潜って出入りするのである。普通のツバメ
との違いは腰の白いすじと尾の形、そして、羽ばたきと滑空とを繰り返す飛び方である。大きさもイワツバメが小さい。最後は萩っこの森に寄った
。子どもたちの話ではシジュウカラが巣箱を利用しているそうだ。雨の探鳥会、思い切ってやって良かった。
2014
5
31
羽根・長根の田んぼ
日本各地で夏日(30度以上)に達しているようだ。西日本で真夏日(35度以上)をも超えている地点があるという。我が萩も都会ほどではないに
しろ、暑さに慣れていない体にとって相当厳しい。私は戸外で過ごすことが多いので、まだまだこれくらいのことなら大丈夫。他人から「暑いね」と
声を掛けられれば、お義理で「暑いねー」とおうむ返しにするばかりだ。萩小の子どもは1人参加した。あとは大人と中学生である。まあまあ賑や
かにやれそうだ。川原の集落にはツバメの巣のある家が結構ある。接した2軒ともに巣があると、その周辺では当然ながら多くのツバメが見られ
る。電線のとまっているのは巣立ち雛。その3羽に親たちが餌を与えている。ホバリングをして体勢を保ち雛に餌を渡すのである。考えてみると、
ヒナの口に押し込むのか親の口から取り出すのかどちらかかまたは両方であろうが、不覚にも自分には分かっていなかった。今度見る時にはし
っかり観察しよう。おおい橋では川の様子を見た。参加した子は生き物が好きな、魚も虫も爬虫類にも興味がある子どもである。このような会には
うってつけの子といってよい。卒業までにいろいろ鳥のことを知ってもらいたい。おおい橋を渡り県道を横切ると羽根・長根の田んぼが見える。早
苗がそよ風になびいて気持ちのよい風景である。家族で畦の草を刈っているのも見える。田んぼの所々でダイサギが採餌している。その数10羽
以上。純白の羽が初夏を思わせる強い日を反射して目を細めないと我慢できないくらいだ。田んぼにはダイサギ以外にもいた。黄色い足と(足の
部分は苗で隠れていた)黄色いくちばしと赤い目(望遠鏡を覗いた子はすぐに目の色を言った)のケリの姿があった。望遠鏡でサギやケリを覗い
ている我々を見て周りの大人たちはどのように視ているだろうか。気にはならないが知りたい気持ちは多少ある。日陰らしい所といえば神社くらし
しかない。境内に腰を下ろしてしばし休息をとった。
2014
6
1
室林道ラインセンサス
早朝だけが1日のすごし易い日とは。夏の日が早々とやって来てしまった。こんな日の野鳥観察は早朝に限る。車を室林道の入り口に止めると
早速に、サンコウチョウ・オオルリ・キビタキのさえずりが聞こえてくる。そしてあのホトトギスの壮絶なほどの鳴き声。「おぐら、きよわお、ひとり行
けば」小学校(だと思うが)で習った「ホトトギス」という題の歌であったと記憶している。美しいメロディーで気持ちよく歌った。その頃はホトトギスの
鳴き声なんでまるで知らなかったので、あのような凄い鳴き声とは想像できなかった。ホトトギスが鳴きだすとほかの鳥も連れられて鳴くように感
じられる。被托卵鳥の反応なのか。目についたのは巣立ちした幼鳥だ。シジュウカラやヤマガラの幼鳥はいくらでもいる。圧巻だったのはシジュウ
カラの群れである。私の目の前数メートルの所で親鳥が警戒の声をあげる中、幼鳥たちが縦横無尽に飛び回っている。数はといえば20羽は越し
そうだ。そのにぎやかな事。スタートで聞いたサンコウチョウ、センサスの後半でも確認した。こちらの方は姿も見られたが、上手に鳴いていたの
はメスのサンコウチョウであった。確かにサンコウチョウはオス・メスともにさえずる。オオルリもそうである。オオルリの場合、メスがさえずった場
合は何となくわかる気がする。オスよりも上手ではないから。しかし、今回のメスは上手な歌であった。
西暦
月
日
メモ
2014
6
8
寺ノ入林道ラインセンサス
室林道を終えて一息つぐ。家にもどり横になって英気を養い、今度は三河湖へと向うことにした。2ヵ所を1日でセンサスするのは正直つらいが、
自分の自由に使える時間は現役引退の身なので有りそうなのに、実際はなかなか無いのである。梅雨の空模様で郊外に出る気を削がれたのか
、道中、あまり車に出あうことはない。寺ノ入林道の入り口からすこし入った場所に車を止める。ドアを開くとすぐに聞こえてきたのが、”ポポ ポポ
”と低い声でなくツツドリの声である。これも不思議といえば不思議な声だ。全く鳥らしくない。托卵鳥4種を鳴き声で分けるときれいにほのぼの派
と絶叫型になる。前者はこのツツドリとカッコウではなかろうか。耳に入る声が丸くとげとげしくない。後者はホトトギスとジュウイチである。のどか
ら血が出なければいいがなと思うくらいの絶叫ぶり。自分が鳴く立場になったなら後者にはなりたくはない。前者はおだやかな心持の持ち主かと
問われたらどう答えたらいいだろう。両者とも人間のモラルから外れた鳥(托卵寄生を生業とする鳥)なのだから。鳴き声がこれほど違っているの
はなぜなのか。あくまでも人間の感じ方の違いだけなのだから、詮索するのは意味がないのかもしれない。オオルリやキビタキも鳴いていた。け
れども、センサスを進めていくうちに「今日はウグイスの声を聴かれるかしらん」と思えてきた。室林道ではあれほど頻繁に聴くウグイスの声が無
いのである。ゼロならば反ってよいのに、終えてみると1個体だけ鳴いていた。もうゼロのようなものだ。時間帯の違いが影響しているのか。午前
中にはよく鳴いていた可能性はある。記録をみると、ここ寺ノ入林道でのウグイスの数は、室林道や茶臼山と比べると、少ない結果はでている。
環境が影響しているのだろうか。分からない。
2014
6
8
室林道ラインセンサス
雲の流れから北風が吹いているのがわかる。どうりで、今の季節としては爽やかなわけである。前日の強い風で林道にはヒノキの球果が大量に
落ち、歩いているとつぶれる音が小気味よい。夏至を控えますます野鳥たちの鳴き声が活発になった。ここに種類を上げるのが面倒なくらいだ。
そんな中でも、サンコウチョウの”ホイホイホイ”の声は人を喰った感じでもあり、耳に残る最右翼ではなかろうか。日本生まれには違いないが異
国から渡ってきた夏鳥と純日本産の留鳥とで、鳴き声を比べてみると面白い。その代表として、異国生まれは①オオルリ、②キビタキとする。純国
産は①メジロ、②ホオジロに出てもらう。異国生まれはメロディーがありそうだ。国産にはあまり感じられない。澄んだ綺麗な声を求めた場合には
、国産に歩が良さそうに思える。力強さでは異国に軍配をあげたい。国産の大将はもちろんウグイスだ。この鳥は型破りだ。力のある声、メロディ
と言えるかどうか、節回しは確かにある。そして、異国の破天荒がサンコウチョウ殿であろう。姿は誰が見てもびっくりする。それに劣らず声もびっ
くりものだ。
2014
6
14
室林道ラインセンサス
ウグイス・キビタキが特に目立っていた。特にこれというものはなかったが、開始時間が遅かった割にはよく鳴いていたと思う。それよりも今年初
めてアサギマダラを見たことが大きかった。北上個体ということになるのであろうか。蝶の渡りのルートはどのようになっているのであろう。成虫は
渡りができるほどの寿命があるのであろうが、にわかには信じがたい気もする。ウグイスの姿を見つけた。幼鳥のようにもみえるが自信はない。
同じくウグイスの地鳴きを聴いた。成鳥・幼鳥の区別はますます難しいが、もう幼鳥が活動を始めてもおかしくはないと思う。室林道ではないが(
観音山の方向であった)サシバとノスリとトビがかたまって飛んでいるのを見た。もしかして室林道でも見られるかなと期待したがだめであった。
西暦
月
日
メモ
2014
6
15
茶臼山ラインセンサス
梅雨に入った途端よく晴れる日が続いている。今日も抜けるような青空が広がり、温度計もどんどん上昇しそうだ。国道と並行して流れる坂宇場
川のほとりではオオルリが歌を口ずさんでいる。キセキレイの爽やかな声も多い。茶臼山高原で催された「シバザクラ祭り」は既に終了したことを
新聞で見ていたので安心していたが、現地に付くまでは、駐車場は有料ではないかしら、渋滞はないかしら、などとあらぬ心配をしていた。結局、
何時もの静かな茶臼山に戻ったことにホッとして、山頂付近の駐車場に降り立ったのだった。時折車が通るだけの静かな様子にまずは満足して
センサスを開始。先月のセンサスから変わったところは、カエルとセミの大合唱が加わったこと。小さな池を覗いてみるとオタマジャクシの群れに
よって2メートル四方くらいの池の底が黒く変色していた。そして辺りからはハルゼミの合唱が聞こえ、その合間を縫って鳴く野鳥たちの声を聞き
分けようと耳に意識を集中させる。おもな鳥は、ウグイス・ソウシチョウ・ヒガラ・ホオジロ・コルリなど。小鳥の森の中に入る(今年の4月からコース
に加えた)。「せせらぎの小路」と名付けられた沢沿いを歩いていたら、このような所に最も似つかわしい鳥に出合った。ミソサザイである。始めは
鳴き声だけであったが、暫くして、その小さな姿を切株の上に見つけることができた。やや短めのさえずりであるが、鳴き声と姿が一緒に確認でき
るのは珍しく、たまたまこのコースを選んだだけであるが幸運であった。小鳥の森の中ではキビタキやコルリが鳴いている。残念ながらコマドリは
4月に合ったきりである。今日は2種の少しばかり珍しい鳥に合った。ひとつはホオアカ。牧場の傍にある国民休暇村にいた。少しの茂みと草むら
が広がる明るい場所で、以前にも見たことがあるのでホオアカににとっては居心地がよい場所なのであろう。やはり鳴き声で気づいた。ホオジロ
にしては少しおかしいと思った。この個体は草むらの丈の高い場所に止まっていて、丁度、自分の位置からは体だけがかろうじ見えた。だから向
こうからは私の身体は見えなかったかもしれない。それで警されることなく観察できたのだった。コンパクトカメラではあるが記録用に撮ったのを見
るとホオアカであることがよく分かった。2つ目はモズである。普通のモズなら断わることもない。体色がやけに白っぽかった。たぶん、つがいであ
ろう。電線にとまっているのをみると2羽とも同じように白っぽい。もしかするとモズ科の別の種かと色めいたもののよく分からない。これも写真が
有効と思い比較的接近して撮影した。図鑑で確認。チゴモズ?。けれどもそんなのは滅多にいない種だ。最後に結論をだしてくれたのが高野伸
二さんの図鑑であった。モズのなかに「茶色味の少ないタイプ」紹介されていたものに特徴が似ていたのだ。普通種ではあったがこのような個体
を見たのは初めてであったので少なからぬと鼓動の高まりを覚えたのだった。
2014
6
19
観音山ラインセンサス
久しぶりに観音山へ鳥を見に出かける。林道からは歩いてセンサス。麓には大きく育ったヒノキ・スギがあってその中は薄暗い。昔からそこには
サンコウチョウがやって来る。随分古い話にはなるが巣を見つけたこともあった。限られた範囲でしか見られなかったサンコウチョウが、今は、萩
のいたる所で観察されるようになった。少し歩くと時期にあたりの風景は広がり、太陽の光をまともに受けることになる。幸いなことに今日は厚い
雲に覆われているので暑さの方はそれほどでもない。観音山は全体として若いヒノキが多く樹種の数もそれほど多くはない。従って、個体数につ
いていえば、室林道よりも明らかに少ない。反面、空を広く見渡せることでタカ科の観察には向いているように思う。ヒノキ林でよく見たのはメジロ
とカワラヒワであった。ともに背景に溶け込む体色ではあるが、梢で鳴いていたり群れで移動する姿は目に留まりやすいものだ。ウグイス・キビタ
キのさえずりも聴かれる。こちらはもっぱら鳴き声だけ。上空を飛ぶのはハシブトガラスだ。2羽はつがいなのか「カアカア」と辺りによく響く声で常
に鳴き交わしている。澄んだ空の日には遠く三河の海を望める。今日はむしっとしていて霞んでしまっている。道中で持ってきたパンをかじりペット
ボトルのお茶をぐいっと飲む。気分爽快。
2014
6
23
室林道ラインセンサス
一般的に野鳥観察一番やりやすい時間は早朝であろう。しかし、なかなか思うように時間が取れない。正午の前後はできたら避けたい時間帯だ(
あまり鳴いてくれない)。早朝に次いで鳥が鳴くのは日没前だ。そこで、夕方前にセンサスを決行。室林道に到着。静かである。これは当てが外れ
たか。キビタキが鳴いている。キビタキは室林道ではごく普通の鳥になってしまった。ヒヨドリやメジロのごとし。メジロが団体で移動している。ひと
腹の兄弟だけではとても足らない。20羽から30羽はいたであろうか。冬季のように混群はつくらないみたい。エナガの群れにも出くわした。巣立
ちした若鳥たちが群れをつくっていると思われる。日没が近づくにつれて鳥たちも鳴き始めたようだ。ウグイス、ホオジロ、センダイムシクイ、ヤマ
ガラなどである。キビタキは多いのにオオルリはどうした。このまま終わってしまうのか。センサスの折り返しが近づいたころ、待ちに待ったオオル
リがさえずりだした。力が抜けたようなすこし下手くそな歌である。それにつられるようにサンコウチョウも「ホイホイホイ」とやる。復路の3分の1く
らい来たところで、ほぼ水平線の角度の位置に赤っぽい大きな(カラスくらい)の鳥が(たぶんヒノキだと思う)とまっているのを見つけた。手には録
音機を持っていた。それを地面に置いて、コンパクトカメラに手をやった時点で、その鳥はこちらに気づいてしまい飛び去って行った。間違いなくサ
シバである。今萩にはノスリ・サシバがいる。室林道に来る前の時間に、ノスリのつがいが鳴きながら輪を描いているのを見た。太陽が沈むのは
もう少し後だ。
西暦
月
日
メモ
2014
6
28
室林道
参加した子の紹介をしてみたい。ひと昔ならどこにでもいた虫や生き物が大好きな(本人いわく、「爬虫類と昆虫が特に好き」。)、野外行動派とい
える子である。1年の時から土曜探鳥会に参加している。だれかと一緒というよりも自身で決めて参加しているようである。結局、彼と大人の指導
員3人で室林道に出かけることとなった。当方は一向に困らない。なぜかというと、3人とも自身が野鳥を観察したいと願っていて、経験的に、終
わってみれば必ずなにがしの得るものがあることを知っているから。どんよりした天気なのにさっぱりした気持ちのよい半日を過ごすことができた
。室林道が200~250メートルの標高があって、民家の点在する所より若干でも涼しいことが1番の理由であろうが、緑に包まれているのも大き
く影響していると思う。真夏の早朝観察は、同じ萩なのに別天地に行った気分を味わうことができる。小鳥たちも同じなのか。新緑の中で転げま
わるように動いていた。メジロは特に元気なようだ。緑色の体が緑をバックに映えて見える。その外にも子どもの姿が目につく。もちろん野鳥ので
ある。ヤマガラは多かった。室林道にはキビタキが多いので当然ではあるが、キビタキの子どもの姿も見られる。室林道にいるのは野鳥だけでは
ない。虫の類やトカゲ・イモリなどもいる。湧水の澄んだ水たまりにはオタマジャクシに混じってイモリもいる。棒きれで突いてみた。迷惑げに体をく
ねらせて木の葉の陰に逃げる。腹の朱色がだれかがペイントしたかのように、まるで作り物のようだ。ここで神様を出してきては失格だ。自然淘汰
がつくりあげたと言わねばなるまい。カナヘビと甲虫は子どもの玩具だ。先ほどから綺麗な声でキビタキが鳴いていた。それがようやく姿を表わし
た。それも姿を隠すことのできない枯れ木にとまったのだ。私たちは双眼鏡で存分に楽しんだ。小鳥たちにとって油断のならないのがホトトギスの
托卵だ。そのホトトギスをすぐ近くで見た。とても大きな声なので近くにいるのは分かっていた。実際はもっと近かった。すぐそばの樹の中から飛び
出てきたのだ。よく後を見ておけばよかったのに。出てきたのが托卵主の巣ではないとだれが言えよう。
2014
6
29
冨士山表登山道2合目(高鉢)
今年の富士山について、登山シーズンのマイカー規制をWebで調べたら7月10日からとなっていた。それではこの日しかチャンスはないと、6月
29日を冨士山の野鳥を見る日とカレンダーに載せておいた。その日がようやく訪れたのだ。東名で行けば楽なのだが代金がばかにならない。往
復で1万円にもなる。そこで多少時間は掛かっても一般道路を使うことにした。静岡内の国道1号線は高架なので準高速道路といってもよい。雲
の下からうっすらと稜線が見えるが頂きは隠れてしまっている。梅雨だから仕方がない。鳥が見られれば十分だ。その状況は1合目の駐車場でも
変わらなかった。それが、国道から分かれて五合目に向かう時に、一瞬ではあったが、日差しが強くなったので路側に車を止め、正面の富士山の
方向を見たら、紫色の地肌に雪渓の模様が鮮やかな山容が現われていたのであった。それもそれほど長くは続かなかった。2合目に到着し、鳥
の観察を終えて下山の時に仰いだ時は、日は照ってはいたが姿は雲に隠されていた。2合目の高鉢(1500メートル)から遊歩道を森の中へと進
みラインセンサスを試みる。録音機も携える。車の中からでも富士山らしい鳥の声を聞くことができた。メボソムシクイ・コルリ・ミソサザイなどであ
る。センサスの時にも状況は同じであった。ミソサザイやメボソムシクイは勿論のこと、道中では気の付かなかった、ルリビタキのさえずりも多かっ
た。意外だったのは、ウグイス・ソウシチョウといった常連の声が少なかったことだ。特にソウシチョウはもっと多く繁殖していると思っていた。もう
ひとつ予想と違っていた鳥がいた。コマドリだ。近年、大事なフィールドである茶臼山でほとんど確認できなくなったコマドリである。ここ高鉢でもき
わめて少数派であったコマドリが今日はとても多かった。嬉しい誤算である。はるばるやって来た甲斐ががあったというものだ。1個体は姿も見ら
れた。コマドリのいる所には必ずミソサザイも近くで鳴いていた。共通してそこは沢である。メボソムシクイとルリビタキは標高の高い場所にいると
いうイメージがある。富士山まで来たからには外せない鳥である。でも安心してよい。両者ともいたる所にいる。小さいながら溶岩の洞窟もある。
軽石の粒がさくさくして気持ちがいい。足元を見ると白い蝋でできたような銀竜草がひっそりと咲いてていた。
2014
7
3
室林道ラインセンサス
明日からしばらく雨模様の天気になるとのことなので、”7月上旬の室林道ラインセンサス”は今日しかないと林道に向かった。車から降りるとセン
ダイムシクイとメジロが出迎えてくれる。ガサガサと音がする。なにかが薄暗い林にいる。すこし緊張した。姿が見えて安心する。子どものニホンジ
カである。これが大人のオスだともっと緊張したことだろう。オオルリのさえずりは止んでしまった。(ライバルのキビタキは相変らずなのに。)その
代わりといっては何だが、むっつり状態で半成りが餌を捕っているのが見られた。半成りという言葉が正式なのか疑問はある。しかし、野鳥を覚え
始めたころに教えて頂いた、オオルリのオスの半分だけ青い状態を示すこの呼び名を特に気に入っている。さえずりはむろん美しくて気にってい
るが地鳴きも嫌いではない。ウグイスやヤブサメの地鳴きが聞かれるようになった。季節が進むうちに徐々に地鳴き個体が増えてゆく。
西暦
月
日
メモ
2014
7
5
龍源禅寺「夜の探鳥会」
午後7時から始まるというのに午後4時になっても時折強い雨がふる。半分はダメだと思った。雨天順延にしようか。いや、今日やってしまいたい。
気持ちは揺れ動く。午後5時になって雨はあがった。しかし、油断はできない。厚い雨雲が垂れこんでいる。午後7時が近づくにつれ、続々と母親
に(中には父親や祖父母に)連れられて子どもたちがやってくる。あらためて人数を数えてみると24名にもなった。型通りの注意事項を話すが、
今日は型通りでは済ませられない。闇に危険が隠れているかも知れないのだ。一番怖いのは毒を持ったヘビ。「マムシ」のことである。子どもたち
にとってくどくなるが仕方がない。鳥を見るのにはやや遅い時間帯に入っていたがアオサギとカルガモをそれぞれ2羽づつ確認できた。両者とも
につがいなのかも。龍源禅寺の入り口で記念写真を撮るが、あまりにも多い人数で、すべての顔をはっきり写すことができるのか心配になった。
むろんストロボを焚かないと写らない。運を天に任せるしかなさそうだ。境内に入る。さっそく例の者を探す。例の者とは?。でっぷりとしたヒキガエ
ルのことだ。雨が降っていたので湿度は高いはずではあるが、主役の姿があまり無い。今日は、たった一人のお出ましとなってしまった。けれども
、なずまず見栄えのする個体で、特におなかのでっぷり感がよく表れている。本堂の前で腰を掛けて暫く夜の物音に耳を澄ませる。一番はやはり
カエルだ。低い声、高い声、様々に重なって聞こえてくる。それに被って聞こえてくるのは水の音だ。お寺に噴水は似つかわしいのかどうか分から
ない。その音が聞こえる。子どもたちは10分ほどもおしゃべりを我慢をしていたであろうか。よう頑張った。最後の仕上げに肝試しを提案した。賛
否の声が挙がった。無理にやらなくてもいいとの条件でやることに。初めは怖がっていた子も2度3度とお墓の周りを回った。雨は最初から最後ま
で大丈夫であった。まったくもって天の助け。1人人数が足りないということもなく、時間通りに萩小に帰って来られた。
最後は恒例のスイカタイムだ。結構大きいスイカであるが人数が人数なので可愛らしいサイズに切り分けられた。
2014
7
5
羽根・長根のたんぼ
水稲の株が大きくなった。その間をオタマジャクシが体をくねらせ動き回る。畦にはシロツメクサやハルジョオンの白い花が散りばめられている。
花の蜜を探しにモンシロチョウやシジミチョウの仲間がやってくる。野鳥の様子と言えば、やはりこの季節はセッカが一番目立っているのだろう。
巣のありかを知ることは困難ではあるが、オスが巡回している範囲のどこかに、メスが育雛している愛の巣があるに違いない。鳥たちの姿はあま
りない。そのなかでカルガモを見つけた。畦で休んでいるようだ。農業用水路や川の中にはハクセキレイの姿があった。その中には幼鳥らしい個
体もいる。空を見上げると所々に青空が見える。日の当たる所には真っ白い雄大積雲もある。まさに夏の空だ。
2014
7
6
自宅周辺
ヒマワリの花があちこちで笑っている(みたいに見える)。夏と言えばヒマワリやアサガオを思い浮かべる。とくにヒマワリの黄色い色が夏の空によ
く似合っているように思う。もうすこしヒマワリの種が熟れてくると、それを目当てに野鳥がくる。特にカワラヒワが目立つようだ。我が家の近くには
3羽のハシボソガラスがいつもいる。電柱にいることが多いが畑や田んぼに降りて餌を探していることもある。もしかして、この春、これまた近くの
電柱で育ったこどもなのかとも思うが、こどもは2羽であった。田んぼ水稲とともに畑ではいろいろな夏野菜が育っている。ところが、それを付近の
山からやって来たニホンザルに取られてしまっている。ニホンザルは今、害獣の筆頭株なのだ。
2014
7
8
寺ノ入林道ラインセンサス
寺ノ入林道に向かう途中でノートを確認してみたところ、偶然にも、ひと月前の同じ日に寺ノ入林道でセンサスをしていた。あのときの様子を思い
だしてみると、たしか、寺ノ入林道とともに3つの主要フィールドである室林道や茶臼山に比べたとき、ウグイスの個体数がとても少ないということ
であった。今日もそれを念頭においてセンサスを進めようと思う。林道に入る前にウグイスのさえずりがあった。しかしこれはノーカウントだ。スタ
ート地点で再びウグイス。これは先月と様子が違うかな。先が楽しみである。さえずり個体でみると春先のような賑わいはもうない。わずかに、セ
ンダイムシクイ・キビタキくらいである。静かになったなと思う。そう思ったとたん、大きな声で明るく歌うだしたものがいる。クロツグミである。彼一
人で静かな林を盛り上げているかのよう。沢音が静かになって登りにはいった。オオルリが歌っている。耳を澄ませて聴いていたら突然のカケス
のだみ声。両者の違いにあらためて驚いていると、カケスのほうは個体数を増してきて互いに鳴き交わしているかのようだ。ちらほらと姿も見られ
る。上空からはハシブトガラスとサシバの声が聞える。ところで、このような自然の真っただ中にいる時にはよく足元にも注意が必要だ。Uターンし
た半分くらい戻ったところで、私としては苦手なものを見つけた。かなり大きなマムシである。道の中央を塞いでいる。まずやったのはカメラを構え
ることだ。十分な距離を保って撮る。この細長いものをうまくフレームに収めるのは結構難しい。横かはら、正面から、後姿、当のマムシ君は何と
思っているのだろう。「何かあったらかみ付いてやろう」かな。肝心のウグイス。やはり今回も少なかった。たった2羽の確認で終えたのだった。
西暦
月
日
メモ
2014
7
11
室林道ラインセンサス
今日の観察での主役(心に残った対象)は間違いなく野鳥ではなくクモだ。2種類のクモ(種別を判断できない自分にとっては、これしか言えない)
の生き残りをかけた戦いを目の当たりしたのだ。1匹の茶色いクモが巣を掛けている。2か所を往復しながら一番外側の部分の工事に入っていた
。巣を作るさまを真剣に見たことが無かったので、最後までは無理だけれども少しセンサスを中断するつもりでいた。すると、糸の所にいたのは、
いつの間に来たのだろうか、巣作りをしていた茶色のクモとは違う、体の大きさが2倍ほどもある黒っぽい別種のクモであった。茶色のクモはどう
したのかと周りを見ると、いたいた、それは、糸の端にいる。体格では絶対的に不利。君子危うきに近寄らずを決め込むのかと思ったが、実際は
そうではなかった。その不利な体を黒い相手にぶつけていったのだ。戦いが始まった。クモは8本の足がある。16本の足が絡み合い離れ合い攻
撃と防御を尽くす。5分くらいは対等に戦っていた茶色は徐々に動きが鈍くなる。10分もしたら動かなくなった。そこまでで観察を終えた。復路の
時に確認すればよいと思ったからだ。それが間違いであった。再び同じ所に来た時にはすでに2匹の姿はなかった。それにしても遁走ではなしに
、自殺に等しいような、大きい相手に向かっていったのはなにがそうさせたのだろうか。本能の命ずるままにしたのか。それともなにか別の逃走を
妨げる因子があったのだろうか。大きな謎ができた。午後半ばのセンサスではあったがた早朝と似ていた(よく鳴いている)。正午前後は鳥はそれ
ほど鳴かない。結果、正午前後に実施した場合個体数を少なく見積もることになる)。それを考えると、早朝か日の入り前にセンサスを行っていく
のが妥当なところかと思う。
2014
7
13
茶臼山ラインセンサス
朝3時に起きて(久しぶりの早朝起床であった)まだ暗い道を茶臼山に向かう。5時過ぎに到着。厚く雲が垂れ込め太陽の場所は分からないが、
すでにかなり高い位置にあるはず。日差しはなく、標高1300メートルの高原は肌寒い(半袖であった)。早速歩き始める。茶臼山からは、ウグイ
ス・ソウシチョウが盛んに鳴いている。反対の牧場の方向をみると、ホオジロ・カワラヒワ・ヒバリの姿がある。そして遠くからカッコウやホトトギスの
声がする。要するに、この時間帯(午前5時過ぎ)は茶臼山中の野鳥の最も盛んに鳴く時なのだ。センサスコースは、国民休暇村からスタートし、
茶臼山の周囲を反時計回りに7キロメートルほど歩く。広い道路なので鳥の姿がよく観察できるところが気に入っている。反面、行楽時期には車
やオートバイの排気ガスと音に悩まされる。今日は時間が早いので通りはほとんど無い。みるみるフィールドノートは鳥の名前・様子・数で埋めら
れていく。愛知県から長野県に入ろうとしたとき、鳥の集団が牧場の上を移動しているのを見つけた。小型の鳥ならばカワラヒワであるがもっと大
きい。肉眼でも緑色に見える。間違いなくアオバトの群れだ。そういえば鳴き声が聞こえていた。ざっと見ても50羽は下らない。毎年のように飛来
しているが、どのような環境が彼らに合っているのだろうか。センサスの合間合間でアオバトの姿に出くわしたので個体数カウントをどうしたらよい
か迷った。群れがバラバラになって行動しているのか、群れとは別のものなのか、である。今回は前者を仮定した。後者なら個体数は100羽を超
えると思われる。カッコウ・ホトトギスの托卵寄生は今最高潮のようだ。つがいで鳴きながら飛びまわっている。野鳥以外にもアサギマダラの姿を
確認した。センサスコースを出発点に戻ったのが9時過ぎ。行楽の車が山を登ってくるときには帰路についた。
2014
7
19
室林道ラインセンサス
うっかりして傘を家に置いてきてしまったが、今にも降り出す様な空模様だ。運を天に任せてセンサスを開始する。ノート・コンパクトカメラはバッグ
に仕舞うことができるが、愛用の大ぶり(5センチ7倍)の双眼鏡は雨に濡らすしかない。防水ということで信用するのみだ。最初は星を見るために
購入したので5センチという口径を選んだ。この種の場合ポロプリズムで合焦は左右単独形式が多い。頻繁に焦点合わせの必要な野鳥観察に
は向かないとされている。確かにその通りだが、慣れてくると存外使えるように思える。田んぼや原っぱなど見通しのきく所では無限遠か50メート
ルくらいにあらかじめ合わせて置く(アイピース側に刻まれた目盛りで行う)し、室林道などの山の場合は、およその目測距離からアイピースの目
盛りを合せている。覗きながら合焦させることをしない。その方法でほとんど不都合を感じない。結果としてより早く観察することができるのだ。そ
れというのも、使用機の特性として、多少の距離の違いはピント合わせをやり直す必要がないのだ。これが逆の性格をもつ機種ならばとても使え
る方法ではないであろう(中央繰り出し方式が有利)。ウグイスの地鳴き個体の存在が目立ったように思う。ひとつは、ウグイスにしては珍しく2羽
がサクラの枝先で採餌をしていたのを見た。はっきりとは分からないが幼鳥らしい。もうひとつは、ササの中を2個体で移動しているものだ。声の
場所とササの揺れが存在を示している。まだまださえずりは盛んであるが徐々に地鳴きにとって代わる時期が近づいている。ホトトギスが間断な
く鳴いていた。托卵は順調にできたのだろうか。学校は夏休みに入った。夏といえばセミの声だ。室林道でもアブラゼミが鳴き始めた。暫らくはセミ
の声に暑さを感じながらセンサスをおこなうことになる。
西暦
月
日
メモ
2014
7
23
高嶺ラインセンサス
2か月前に訪れたときに聞いたコマドリのさえずりがあまりにも鮮烈だったので、柳の下のどじょうよろしく、季節が移り替わっているので心配では
あるが、もう一度コマドリに会いたくなって長野県最南部まで車を走らせた。夏のバードウォッチングで山に出かけるのは避暑をするのと一緒で大
好きである。ここ高嶺も麓の1000メートルから山頂の1500メートルまで平地にくらべたら10度は低い。実際は坂を登るのだから汗もかく。けれ
どもこの状態が平地の気温の中であったならとても大変であったに違いない。高嶺は山頂まで車で行ける。去年まではほとんどそうしていた。今
年は心を入れ替えて?歩くことにした。従って、ラインセンサスデータとして(車上観察よりも上等なものとして)取り扱っている。歩き始めていきな
り聞こえてきたのがエゾムシクイの地鳴きだ。野鳥を観察し出した頃、この声を外の鳥と勘違いして恥をかいた。ジョウビタキだと思ったのだ。ジョ
ウビタキなら夏に声が聞かれたら大変なことになる。エゾビタキはさらに罪作りなことをした。さえずりがコガラのようにも感じたのだ。室林道のよう
な平地でコガラが鳴いた?。これもニュースになるのは間違いない。エゾビタキが結構いるのだ。本当に多いのがソウシチョウだ。ウグイスがさえ
ずればソウシチョウも鳴く。たぶんソウシチョウの方が個体数は多いと思う。彼らは群れ行動をしているので鳴き声では個体数がわからない。実
際はずっと多いのだ。ソウシチョウのさえずりは明るくまあいい声だ(それほどでもないが)。しかし、地鳴きはいただけない。2巨頭に対抗は無理
にしても存在感を示す鳥としては、先のエゾムシクイを筆頭にして、ホオジロ・センダイムシクイ・ヒガラたちがいる。オオルリやキビタキも期待した
のだが、キビタキが1個体のみであった。そして最後はコマドリであるが、いたのだ。5月に聞いたのと全く同じ場所で。声もベルカントで素晴らし
いかった。実は、山頂までかなり残して、コマドリの歌を聴いてすっかり満足してしまい、ここで引き返してしまったのだ。高嶺のあとに蛇峠山(高嶺
よりも高い)もやってやろうと体力温存モードに入ってしまったわけだ。蛇峠山は駄目であった。やる気はあるが通行を許してもらえない状況にな
ろうとは夢にも思っていなかった。蛇峠山に登る道の舗装工事があるとは。
2014
7
24
室林道ラインセンサス
この日の特徴は幼鳥オンパレードということ。むろん成鳥もいるが、日頃、あまり目に付くことのない幼鳥をわんさと見つけることができた。その中
で、撮って来た写真と図鑑をにらめっこして、たぶんこれではないのかなと仮決定した鳥があった。かなり大きな鳥であった。ヒヨドリかと思った。
幼鳥っぽい雰囲気なのでとりあえず写真を撮っておいた。ところがこれが難物であった。ヒヨドリでは断じてない。かといって小鳥のサイズではな
い。同じような経験を水鳥のエクリプスでしたと思う。成鳥(夏羽)ならば何でもないのであるが、幼鳥は結構迷うことがある。大概の図鑑ではトラ
ツグミの幼鳥など載っていない。手持ち図鑑のなかの1冊に載っていたトラツグミ幼鳥の写真が自分が撮ったのとよく似ていたのを見つけたとき
は(若干の心配はあるものの)ほっとした。もうひとつうれしいことがあった。夏鳥の中でも近年増加傾向のある、私の気に入っている、サンショウ
クイのつがいが目の前に現れてくれた。姿そのものは珍しくないのであるが、距離が近かったので、鳴き声の録音がとてもやり易かったわけだ。
2014
7
26
室林道ラインセンサス
猛烈な暑さだ。こうなると観察する場所も考えてしまう。地元ならば、できるだけ髙くて日陰のある室林道が最適ということになる。たしかに室林道
を歩いていて暑さが苦にならなかった。エゾムシクイの地鳴きを聞いた。3日前に高嶺で聞いた時よりも大人しく鳴いている。春先に、さえずりをし
ながら北上する個体を確認することもあるが、今の時期に地鳴きとはいえ存在を確認するということは、どう説明したらいいのか。この地でも繁殖
しているのだろいか。南下個体の可能性もある。どちらかといえばそのような気がする。オオルリは相当前から、キビタキも、さえずり個体がよう
やくいなくなったようだ。夏鳥でさえずりを繰り返しているのはセンダイムシクイだけになってしまった。その点地元の野鳥は元気が良い。
西暦
月
日
メモ
2014
7
31
上高地・大正池⇒河童橋
23年ぶりの、上高地への旅行に参加した。正直に言いますと「老人会バス旅行」です。総勢70名で、諏訪・安曇野・大町(宿泊)・上高地・飛騨・
美濃と、緑濃い夏の山々を眺めながらぐるりと回ってきた。中でも上高地は、過去に2度行ったこともあって、若き日・働盛りの日を思い出す場所
になっていた。そこで、旅行の案内をもらった時には、即答で参加を決めたのだった。2日目の行程は大町から上高地。ゆったりと走るバスの車
窓から見る景色は、自分が常々みているものとは随分と異なっていて見飽きることがなかった。居眠りを始めた人も少なくなかったが(昨日は、宴
会のあとすぐに寝てしまい、寝覚めもよかったので)頭は冴えていた。旅行中で富士山に似た山を2つ見た。一つは諏訪富士(蓼科山)、一つは信
濃富士(有明山)である。前者のことは知っていたが、信濃富士とは初めて聞いた。ともに2000メートルを優に超える立派な山である。大町から
上高地に向かう街道からこの有明山を間近に見た。見る角度によって山容が刻々と変化するのが面白い。雪の重みに耐えるよう縦長の信号機
の話を聞いたり、リンゴ畑横を通過したり、先頭バスの後ろをピッタリとバイク(自転車)が走るのをひやかしたり、ゆったりした地形にはゆったりし
た気持ちで臨めていることがよく分かるのだった。やがて、道を右に折れ、いよいよ上高地への道路を走り出すと、徐々にではあるが、地形の険
しさが増すごとに、こちらの気持ちも少しずつ張りつめていくのが分かった。1回目の上高地へは松本電鉄でいった。それが道路の左側を並列し
ている。懐かしい、「新島々」の名前をガイドさんが挙げた。無論、はっきりと覚えてはいない。無理もない、35年も前のことなのだから。それでも、
頭の中の記憶にかすかに、ガタゴト電車に揺られて新島々の駅に向かったことを覚えていたのだ。やがて梓川は深い谷の下を白みがかった青色
に染まり流れてゆくのを眺めることになる。その様子を別の場所から俯瞰して眺めていたら、本当に危ういものに見えるだろう。木々を取り去り岸
壁だけになっていたらぞっとする。バス同士・大型車同士がすれ違うのに緊張を強いられる箇所がいくつもある。運転士と同様に乗客も気を張り
詰めるのだ。飛行機がそのいい例ではないだろうか。そんな緊張も、釜トンネル(過去二回の時のトンネルとは別物)を抜けて、左手に大正池が
見え出すと気持ちは一気に解放される。ガイドが「よかった」「焼岳もよく見えます」と言う。バスの窓に顔を付けてゴツゴツとした山容を拝む。懐か
しい。希望者は大正池から河童橋までの3.5kmを歩くことになった。むろん希望をだした。数名がそれぞれのペースで歩くことになった。カバン
がかさばるのもいとわずこのために道具を持参していた。ノート・録音機・カメラである。双眼鏡は止めにした。大げさになるのとバッグには入らな
いのだ。ノートを片手にラインセンサスを行なうのだ。池のほとりにはオシドリがいた。今は否繁殖期なので繁殖羽の姿ではない。2羽いたが、くち
ばしの色でメスと分かった。ウグイスがあちこちから聞かれる。このセンサスで一番多く聞かれたのがウグイスであった。林のなかにぽっかりと沼
があり草原になっている場所にでた。そこから聞えてきたのがアオジのさえずりである。さすが上高地。ちゃんと亜高山の小鳥がいるではないか。
アオジは3個体確認。オシドリはきれいな池の中にいた。今度は、淀んでそれほど美しいとはいえない水のなかでカモが数羽採餌している。これ
も繁殖羽ではないので地味な姿だ。逆立ちして水草を食べているのを見ると淡水ガモだろう。カルガモと思うのが自然である。梓川の水をすくった
。とても冷たい。このあたり一帯はこの冷水のおかげで、太陽が照りつけても、気温の上昇に枠をはめることができているのであろう。焼岳・霞沢
岳・明神岳と、盟主穂高に従う山々は山頂まで姿を現している。穂高の中心部はどうしても雲が退こうとはしない。西穂・前穂は何とか見え出した
が、最高点の奥穂やジャンダルムは最後まで駄目であった。定点カメラの画像ネットを見た所、我々が来るまでは山全部見えていたが、10時頃
から雲に隠れ始めたようだ。これは運命である。記録を取り、自然をカメラにおさめ、アオジの声を録りながら河童橋まで1時間ほどかけて歩いた
。過去2回の時にはこのようなことはしなかった。当時は、野鳥には興味がなかったのだ。ただ自然の一部として、草花と共にカメラにおさめてい
たにすぎなかった。歩きを希望した一人が30分近く遅れてくるというハプニングがあった。当人も大変であったのだろうが、それ以上に待っている
身も苦難を強いられたのだった。環境保全のために停車中のアイドリングが厳禁なのだ。車内温度はどんどん挙がり、等々、ガイドさんは次の言
葉を発しざるを得なくなった。「一度バスから出て、木陰で待機してください。」と。
西暦
月
日
メモ
2014
8
1
室林道ラインセンサス
首をかしげることが起きた。今頃になって、もう随分と前からやめていたはずの、オオルリがさえずりを始めたのだ。それも、かなり離れているので
別の個体と考えられるが、2個体も。さらに、付け加えると、オスのさえずりの近くではメスの姿もあった。これだけ似ていると、同じ個体が場所を
変えて同じ行動をとっていることも疑いたくなるほど。今頃になってなぜ、当然ながら疑問がわいてくる。傍ではセンダイムシクイのさえずりと、キ
ジバトの眠気を誘う声がした。キジバトの声を聴いていたら、「分っからん、こりゃ・分っからん、こりゃ」と、自分の心の中を見透かされているように
感じた。自作の聞きなしのできあがりである。ウソのようなホントの話であるが、1週間くらいの間、ある中学生からの注文で悩んでいたのだ。それ
が解決した瞬間であった。注文とは、鳥の声の聞きなしを考えること。返す返すもOKを出したのを後悔していた。そう簡単なものではなかった。鳥
の鳴き声を人の言葉で表すのはとても難しいことが分かった。山に鳥を見に行くと試みる。今の鳴き声はなん言っているのかな。しかし、言葉が
当てはめられないのだ。この日も考え、そして、文才のなさに失望した。そこへオオルリの声が聞え、同時に、キジバトの声がかぶって来たのだ。
なぜ、今時分にオオルリがさえずりをするのかと自問している所に「分からん、これ」「分からん、これ」とやられたのだから、その時の気持ちは不
思議なものであった。いや、少しウソが入っている。本当は、キジバトの声が聞えたのが先であった。その時に聞きなしの言葉が浮かんだ。それ
は案外単純に思い付いた。その後からオオルリがさえずったのだ。そして、オオルリの声を不思議がる自分の心を代弁するかのようにキジバトが
繰り返して鳴いたのが本当のことである。
2014
8
5
室林道ラインセンサス
先回のセンサスでオオルリのさえずりを聞き、少し遅いさえずりと思い、なぜなのか大いに疑問を感じた旨を報告した。それから4日目の今日、同
じ場所で同じ数の(2個体)さえずりを再び確認した。そのうちの1羽の姿を見ることができ、何かのヒントになるのではと考えている。その姿は、体
の半分だけ青色の(半なり)若鳥といえるものであった。成鳥のさえずりと比べると、声量、節回し、ともに劣るものであったが、姿をみて「なるほど
な」と納得できた。ホオジロのさえずり個体数が、秋にもうひとつのピークをもつということが観察で示されているが、そのことと類似性はなのか?
。ツクツクボウシが鳴きだした。
2014
8
7
寺ノ入林道ラインセンサス
1カ月前に来た時と変わっているだろうか。あの時は、ウグイスがとても少なかった。センダイムシクイやキビタキのさえずりがあった。少しおっか
ないマムシも見られた。そこで今日の様子であるが、ウグイスは相変らず少なかった。さえずり個体は最低の1である。地鳴きも聞かれなかった。
そのウグイスを録音していると、まったく思いもかけていなかった鳥がいきなり鳴きだしたのだ。エゾムシクイである。同じ「ピッ・ピッ」と鳴いていて
も、とても鋭い声は他にないものだ。今では、ルリビタキやジョウビタキと間違えるへまはしないと思う。寺ノ入林道らしいと感じたのがヒガラのさえ
ずりだ。どう間違えても地元の室林道では聞くことのない声である。さすがに、ここは標高600メートルを超える山奥なのだ。位置でみるとまさに
愛知県の「へそ」といってもよい。オオルリももちろんいる。鳴き声を出すことなく静かに生活しているようだ。オスの成鳥1個体と幼鳥2個体を見た
。キビタキは地鳴きであった。これほどさまざまな鳥がいるのに、ウグイスがこんなに少ないとは。にわかには信じられないことだ。
西暦
月
日
メモ
2014
8
8
茶臼山ラインセンサス
台風11号が接近しつつあり今後の進路が心配される。台風が接近する前にやっておこうと思い茶臼山へやって来た。むろん青空は無いが、周り
の景色を見ても遠くまで見通しは良くきいていて、南アルプスの3000メートル峰たちもくっきと輪郭が見える。もっとも、徐々に雲が降りてきて、セ
ンサスの終わりに見たら山頂は雲の中であった。歩いていても全く暑さを感じさせないのはありがたかったが、時折、霧のような雨粒が落ちてきた
のにはハラハラさせられた。従って、センサスの距離も3分の2程度に短縮せざるを得なかった。リフトの運行に合わせて奏でるオルゴールを聞く
側でエゾムシクイの地鳴きを聞く。道路わきの疎な灌木の中で鳴いていた。三河湖でも室林道でも聞いているので驚きはしなかったが、ここでも、
疑問としてでてくるのは、繁殖中の個体なのか、それとも、南下中の個体なのかである。久しく、センサスのコースを反時計回りで行っていたが、
駐車場の位置の関係で、今回は、以前の時計回りで行なった。それがどう影響したかは何とも分からないが、センサスを開始して間もなく、以前
から最もコマドリに出あいやすい場所で、そのものずばり、コマドリのさえずりを確認したのだ。そこは、昔は牧場として開拓したと思われる、草地
と林の境界あたりに位置していた。あらゆる鳥が境界付近には多くいるように思う。ウグイス・ホオジロ・ソウシチョウが盛んにさえずっていた。あ
まりにもよく鳴いていたので録音機をバッグから取り出し、録音ボタンを押した時であった。少し距離が遠いのか録音するには不利な状態ではあ
ったが、いきなりコマドリの鳴き声がした。予想外のできごとに思わずびっくり仰天。これではいけないと、逸る気持ちを落ち着けてコマドリのさえ
ずりに耳を傾けたのだった。比較的短いピッチでさえずりを繰り返している。声も力強いようだ。センサスで鳴き声はとても重要な位置を占める。
鳴いてくれなければそのまま通り過ぎてしまうのだから。今回のコマドリ確認も運が作用しているといってよい。いつもと同じ順路で行っていたら別
の結果になっていた可能性は高い。個体数の多い鳥、例えば、ウグイス・ソウシチョウ・ホオジロなどは、逆回りにしたところでそれほど影響はしな
かったろう。だから、センサスの結果、たとえコマドリを確認できなかったといっても、それでコマドリがいないと結論づけることはできないのだ。パ
ラパラと雨粒を感じながらも気分は爽快であった。茶臼山で久しぶりにコマドリの声を聴いたのだから。牧童の乗る車が見られ、その近くでは放牧
牛が丸くかたまっていた。これもまた茶臼山の風物なのだと思った。
2014
8
9
土曜探鳥会 「室林道早朝探鳥会」
台風11号の接近を前にして天気はすこぶる怪しい。南から雲が猛スピードで通り過ぎてゆく。こんな状態だから中止しても不思議ではなかった。
ただ雲の流れが足早や過ぎて雨を降らせようとする暇を与えないようだ。雨が降らないならば学校に行かなくてはと用意を進める。常には使用し
ているフィールドスコープは無にしようとか、傘の必要性は高そうだとか、取りとめのないことを考えていたら集合時間(AM6:30)が迫ってきた。
車の中で待つこと10分、おとな2人の姿が見え出した。先生と、ひそかに、将来探鳥会を引き継いで欲しいと目論んでいる若者である。子どもた
ちは来なかった。この天気ではそれが当り前であろうと思う。3人で室林道に車を走らせる。車を降りて感じたのは「涼しい」ということだ。台風発
生前の猛暑がウソのようであった。各地に大きな爪跡を残して去ったが、人的被害が比較的軽微であったのが幸いだ。台風報道や自治体の対
応も明らかに変化したように思う。人間、自然相手に刃向っても対抗は敵わない、安全な場所に逃げ込むのが最善だ、と考えるように変わったの
か。11、3、11から少しばかり傲慢性を疎んで謙虚さに傾くにもみえるが、昨今の権力者の発言を聞くと、まだまだなんのその、人間の知恵、知
識はどんな問題も解決できると信じているようにみえる。そして自らの安全・安心が1義であるかのように言って説得にこれ務めておられる。探鳥
会はそういったもろもろの事を一時でも忘れさせてくれるありがたいものだ。鳥の声も早朝だけによく聞こえる。太陽は出ていないので鳥たちは日
の出時刻をどのようにして感じ、そして行動するのだろうか。ウグイスなどは歩き始めて暫くは全く鳴き声を聞かなかった。まさか、このままで終わ
ることもないだろうとは思いつつも、それが実現したらまた謎ができあがってしまう。どう転ぼうが面白い。結果は、復路ではいつも通り多くのさえ
ずりを確認したことで、特別ななぞは起こらなかった。折り返し地点で道端に腰を下ろし会話をした。話は、若者と先生とで主に交わされた。彼は(
若者)は養護学校の先生を目指している。自分には入り込めない世界のことであるが、自分も地域福祉に少しなりとも関わりつつある境遇なので
、また、自身の親や義母が支援を必要とする年齢になっているので、若者の夢が叶うことを心底願うのであった。先生がキビタキのオスを見つけ
た。自分もまたオオルリの若鳥をみつけた。こうした心躍る時間を過ごすことができることは幸せなことに違いない。
2014
8
13
室林道ラインセンサス
盆が近づくとウグイスのさえずり終焉を思う。早春、室林道の最初のさえずりが聞かれるととてもうれしい気分になるが、この時期、さえずりのお
終しまいにはそれほど未練は感じない。むしろ、気が付かないうちに体の方で秋の走りを感じているのか、しっとりした雰囲気の笹鳴き(地鳴き)
の方がぴったりとくる。この日は地鳴きよりもさえずり個体の方が多かった。土曜探鳥会でキビタキのオスを確認したが、今は何の前触れもなく現
われるのでびっくりすることが多い。今日もそうであった。半月余り前からキセキレイの姿をよく見る。林道に降りて尾っぽを振りふり採餌している
。幼鳥ではなさそうだ。センサスで歩いてゆくと一定の距離をおきて飛び去る。それの繰り返しで暫くはお相手をしてをくれた。
西暦
月
日
メモ
2014
8
16
我が家周辺
少しばかり野鳥の様子が変わってきた。カワリヒワの声や姿を多く確認できるようになったのだ。その大きな要因はヒマワリの花が実を結び出した
ことであろう。種子食の鳥が群がるのは当然だ。カワラヒワはヒマワリに似合っている。色目がヒマワリに似ていると思う。ヒマワリ中心のが頭状
花が茶色に変わる前の濃い緑色と周りの舌状花の黄色がカワラヒワ全体の緑と黄色のスポットと似ているのだ。だからヒマワリの花にとまるカワ
ラヒワは保護色に守られて安心しているように感じられる。
2014
8
16
羽根・長根の田んぼ
萩の田んぼは早稲米の作付けである。もうすでに穂は黄色味を帯び頭を垂れてきている。太平洋高気圧がおとなしい目で梅雨前線が一向に日
本列島から離れないので、ここしばらく曇空ばかり見ている。猛暑は多少和らいではいるとはいえ、過ぎたるは及ばざるがごとしの格言はここでも
生きている。お米にとって日照不足は困ることなのだ、と思う。最後の仕上げ期に入ってきた田んぼでは、野鳥は数は多いけれども種類は限られ
ている。第1番はなんと言ってもスズメであろう。昔のようなスズメ脅しはあまり見かけなくなったが、収穫を前に気になる存在ではある。あぜ道を
歩くのはハシボソガラスだ。緑の中に黒の体は大変目立つ。電線や電柱にとまっていることも多い。そうした場合たいてい、口を半開きにして暑さ
を耐えしのいでいる。数ではスズメの比ではないが存在感は負けていないのがセッカだ。我がテリトリを警邏しておられるのを見るのは、夏の羽
根・長根の田んぼの一番の楽しみである。野山ではその役割をウグイスが担っている。期せずして姿は瓜二つ。以前には同じウグイス科に含ま
れていたのであるが、改定によりセッカ科が独立し、セッカは1種・1属・1科になったようだ。分子系統学から割り出された分類法に依ったものらし
い。自分のHPの記録はその新しい分類方法で表わしている。
2014
8
22
室林道ラインセンサス
お盆を過ぎたら確認したいことがある。ウグイスがさえずりをしているか否かである。8月13日のラインセンサスではかなりの(ほとんどいつもと変
わらないくらいの)さえずり個体を確認していた。そして本日は8月22日。本当はもう数日前に確認しておくべきであったが、さえずりは全然聴か
れなかったのである。見事なくらいにウグイスはしきたりを遵守したのだった。1羽くらい変わり者がいてもよさそうに思うが、そうはいかないのであ
る。薄暗い林床でヤブサメが鳴いた。さえずりであったら姿を見ようとする努力は最初からしない。360℃どちらの方向からでも聞こえてくるように
しか思えないのだ。しかし、今回は地鳴きだ。地鳴きなら必ず見つけてやる。俄然その気になり道の端から声の方向に目をやる。地鳴きだと簡単
に定位できるのが不思議だ。さえずりはどうして定位不可(自分は)なのか。別の人だと答えは違ってくるのだろうか。ここにきてセミの鳴き声も変
わってきた。ツクツクボウシが主役の座に躍り出ようとしている。もちろんまだまだアブラゼミは健在ではあるが、何となく勢いでは前者に軍配をあ
げたい。
西暦
月
日
メモ
2014
8
23
羽根・長根の田んぼ
先生とふたりで久しぶりの羽根・長根の田んぼコースを歩いた。どんよりと重たそうな雲が立ち込め、微かではあるが雨粒も感じられたので、先生
は傘を持って出かけられた。自分は大丈夫だろうと持たなかったので、予想が外れた日には相々傘を覚悟しなくてはならない。幸いにして徐々に
空は明るくなったが、それと共に暑さも忘れず持ってきてくれた。校庭でハクセキレイが餌を探していた。田んぼなら多くの虫がいるだろうにと思う
。町内に2基しかない信号機を渡り山陰川に出る。何とかの一つ覚えのようにカワセミの姿を探す。普通は23分も留まって先に進のであるが、今
日は幸運であった。初めに声が聞えた。「先生!カワセミがいます」と2度ほど声をあげた。2人はカワセミ発見体制を整えて川面を凝視した。現
れれば必ず川面をすれすれに飛ぶはずだから。それは上流側から来た。橋の上では我々が待ちかまえている。機転のきく個体ならば、ここでコ
ースを変えて危険を避ける行動にでるのであるが、この鳥は我々から数メートルの傍を通過して下流へと飛び去った。そして、50メートルほど下
流の堰に降りたのだ。それからは例のシャックリしているような動作を交えながら川面を眺めている様子であった。フィールドスコープで眺めると、
体色が全体にくすんで見えるので若鳥のようである。うかつにも性別を確認することをしなかった。しばらくは同じような体勢をキープしてくれてい
たので、通りかかった友人にも見せることができた。彼が言うにはカワセミは頻繁に見るとのことである。コースの中ほどに別の友人の家があって
ツバメの巣作りを見守っている。新築の2階にも巣ができていた。今年は2回ヒナを孵し、1回目は4~5羽、2回目は3~4羽であったと言う。情報
に感謝し先に進む。神社の古木にアオサギがいた。羽色から判断すると幼鳥のようだ。さらにもう1羽、別の林の梢にとまっているのをみつけた。
こちらは成鳥であろう。コースで2つ目の山陰川に架かる橋を超えると間もなく羽根・長根の田んぼに入る。稲穂は重く頭を垂れ黄色く色づきだし
、月末からの刈取りも順調にできそうである。田んぼの上をツバメが飛び交っている。電線に並んでいるのはカワラヒワの群れだ。時折セッカの
元気な声も聞こえる。先生にセッカを見せようとしたが声ばかりでなかなか姿がない。心配になる頃、ようやく我々の頭の上の方角からさえずりが
聞こえた。見あげるとスキップをするような飛び方である。晴天ではないので飛んでいる姿をとらえやすいのが幸いした(野鳥のボールが青空で
見失うのはよくある現象である)。”小さな”が先生のセッカに対する第1印象のようであった。田んぼには野鳥いがいにもさまざまな昆虫がいた。
その中でも、その他の小型のトンボにくらべはるかに素早く飛び交う”ギンヤンマ”がその美しい青灰と緑色を煌めかせている姿が印相的であった
。
2014
8
28
室林道ラインセンサス
ヤブサメが林床から林道に出てきて顔を合わせた。とっさにカメラを出したが間に合わなかった。ヤブサメの前にウグイスの地鳴きを聞いた。すで
にさえずり個体はなく、渋い声をさせている。その声とヤブサメとを比べてみるとやはりウグイスの方が趣があるように感じられる。センサスを少し
残して打ち切ったことと、そろそろ換羽の季節と思い、個体数が少ないのもうなずけた。
2014
8
30
蛇峠山ラインセンサス
茶臼山のあとは蛇峠山に行くことを決めていた。先回、蛇峠山までやって来たのに果たせなかった。治部坂の駐車場から蛇峠山に向かう道路が
工事中で通ることができなかったのだ。そういえば来る道中でも道路工事があった。幸い、工事は終わっていて無事に馬の背の駐車場まで到着
する。周りを見渡すと蛇峠山を覆いかぶさるように雲が立ち込めている。山頂を撫でるように雲が流れると山は消える。山頂に至る道路は花街道
であった。フジバカマ(同属の別種かもしれない)・ホタルブクロ・アキノキリンソウなどは名前がでてくる。オレンジ色の目立つ花はオニユリかと思
う。家に帰り写真を図鑑で確認すると正しくはコオニユリであることが分かった。確認した鳥で最も個体数の多いのはウグイス、次いでソウシチョ
ウであった。夏鳥はほとんど鳴りを潜めていて確認できない。そんな中で1個体正体不明のものがあった。分からないというのは気持ちの悪いも
のだ。それに、コマドリのようにも見えたなどと尾鰭が付いてくるのも困り者だ。途中で雨に濡れるのはいやなので傘を持参した。両手を空けるた
めに傘をベルトに差す。座頭市の格好だと思って頂ければよい。人はいないので別段恥ずかしくもない。今回の蛇峠山では野鳥よりもあるものが
見たくて来たといってよい。それは、高原に行かないと見られない植物だ。茶臼山も高原ではあるがほとんど見たことがない。標高が足らないから
だ。その名前はマツムシソウである。1680メートルの蛇峠山の山頂から100メートル下がったくらいまでの狭い範囲だけに見られる。それも夏の
間にだけ。だから咲いているのか正直心配であった。しかし、案ずることはなかった。ひとつ見つかったあとは、標高が上るにつれてマツムシソウ
が群生していた。なぜこの花が気にかかるのか。若かりし頃、この花を長野県「美ヶ原」で初めて見て、理由は分からないがいつまでも覚えていた
のだ。野鳥を目当てにここに来たらマツムシソウが見られた。それからは、蛇峠山は唯一それが見られるフィールドとして定着したのである。花々
に群がる昆虫も目につく。アサギマダラは自信をもって言えるがその他のチョウは名前が出ない。写真を撮って図鑑と首っ引きである。ここでも涼
しさがうれしい。どんどん登ってどんどん下った。時間もあったので大回りを覚悟で、いつものと違う道で家路に着いた。道中のドライブも楽しむ心
のゆとりも必要だと思った。今まで、あまりにも野鳥中心でやってきた。
西暦
月
日
メモ
2014
8
30
茶臼山ラインンサス
夏でも平地に比べたら10度近くは低いので快適に過ごせる訳であるが、最近の曇り勝ちな空模様は、長そでの着用を余儀なくさせてくれた。気
温の低下とともに鳥たちの行動も変化があった。さえずりが減った。センサスでさえずりをしていたのは、今や茶臼山のメジャーとなった感のある
ソウシチョウと、さえずりのピークが2つある(繁殖期と秋)ホオジロの2種だけであった。その他の種は地鳴きで判定をしたのであるが、幸いにし
て、似たもの同士がいなかったので迷うことはなかった。それにしても、ソウシチョウのバイタリティはどこからくるのか。何か、ソウシチョウの産地(
中国)と我が国との関係を思わせる。外来種は基本的には根絶というのが基本のようであるが、植物にしても魚類にしても、そして鳥類にしても、
大変難しい問題だと思う。夏休み最後の休日とあって親子づれも多い。宿題はすべて終わり、安心して来た子たちばかりなどであろう。草木も秋
の色を濃くしてきた。ススキの穂が開き、草花もツリガネソウ・ヤマハハコ・アキノキリンソウ・アザミなどが可憐な色を見せてくれる。センサスも終
わりに近づいたころ茶臼山のすぐ近くにゆっくりソアリングしている大きな鳥を見た。肉眼でもトビとは違って見えた。双眼鏡を向けて驚いた。今ま
で茶臼山ではお目にかかったことが鳥であったからだ。白と黒の模様に特徴のある、普通、海岸に多い、魚類を主食にしている、あのミサゴが視
野にあったのだ。どうしてミサゴがいるのか。まずこの疑問がわいた。近くに、大きな湖水や河川があるのか。茶臼山を源流にする川はある。はた
して、カワセミやヤマセミならば養えると思うがミサゴまで?。しかし、現実にいたのであるから理由は必ずあるはず。ミサゴが見えなくなって間も
なく、今度はノスリが現われた。こちらはいつも見慣れた鳥なので安心できた。
2014
9
2
室林道ラインセンサス
もう9月になってしまった。回りの田んぼからはコンバインのエンジン音が聞こえてくる。来週になれば萩の大部分で稲刈りが終わりになりそうだ。
室林道はツクツクボウシの天下だ。アブラゼミに比較すると音楽的にも聞こえるが一斉にやれれたら騒音に近い。野鳥の声も消し去る怒涛の勢
いには敵わない。だから、種数・個体数とも伸び悩むのは当然の帰結になる。セミの声が途切れる一瞬とか、セミの個体数が比較的少ない場所、
とかに差し掛かると今日のでもかなりの野鳥を確認できる。メジロなどが群れで移動するのに当たることもある。しかし、換羽の時期に入り行動が
鈍くなっていることは間違いなさそうだ。センサスの終わりに、車に乗り込もうとしたら懐かしい声が聞えてきた。サンショウクイであった。
2014
9
4
寺ノ入林道ラインセンサス林道
林道は静かであった。セミの声も聞かれない。沢音だけがいつもよりもはっきりと聞こえてくるくらいであった。というのも、8月に入ってからは太陽
を遮断してしまう雲が居座ってしまっているからだ。当然のことながら雨もよく降り、沢の水量も多いのである。そんな静かな寺ノ入林道を歩くと心
も落ち着いてくる。沢音と鳥の声が聞える外は何も聞こえない。ああカケスが鳴いている。カケスの声は秋にこそふさわしい。それに刺激を受けた
のか、急に小鳥の声が増えてきた。耳を澄ますと何種類かいるようだ。シジュウカラ・メジロ・ヤマガラ・エナガなどが特に多い。なんだ、これは混
群か?。早々と混群を形成しているのか?一斉に来てあっという間に見えなくなった。種ごとの単独行動ではこう鮮やかにはいかないだろう思う。
混群には4種以外にもコゲラ(混群の常連)やセンダイムシクイもいた。後者ははたして群れの一員として行動していたか疑問は残るが。野鳥以
外に唯一鳴き声を聞いたのがニホンジカである。声だけでなく走り去る姿も確認できた。声の聞える箇所から判断して3頭以上はいたのではない
か。混群に遭遇できたからよかったものの、それがなかったら寂しいセンサスと言えた。微かな地鳴きに神経を集中させる。バードウォッチングは
繁殖期の賑わいは終わって秋冬のシーズンに入ったと言える。
2014
9
6
観音山方面
繁殖を終えて、さえずりなども必要なくなり、換羽の負担も多くあって、室林道に行って気づくのは、野鳥が静かになったことである。しかし、今日
の土曜探鳥会で考えを替えさせられた。今がおもしろい頃なのであることに。ようよく考えたら気づくべきであった。これから暫くのの間、日本全国
の野鳥(に限らない)は北から南に大移動(南下)するのだ。思いがけない南下個体に会えるチャンスが到来したと思わなければならなかった。そ
れを思いだささせたのが山陰川沿いで見たカッコウ科の鳥。赤い色を確認した。早速図鑑で調べるとツツドリのメスであることが分かった。ツツド
リであったことから南下を思いだしてわけだ。ところが、このツツドリは少し怪しいことになった。家に帰ってからもう少し詳しい図鑑でみると、ツツド
リだけでなくホトトギスも赤色のメスがいることが分かったのである。それはともかく、南下個体が興味深いことは間違いないと思う。山の上を2羽
のノスリが輪を描いていた。バックの空にあるのはうろこ雲。まさに秋の空であった。周りの田んぼには頭を垂れた黄金色の稲。今まさにコンバイ
ンが前進後退を繰り返して刈取りの真っ最中である。ここで常ならば、ツバメの群れがどこからともやってきて、田んぼから飛び出た虫を捕えるの
であるが、意外にもほとんどツバメを見なかった。とみに主張が目立ってきたのがモズである。高鳴きを聞かない日はないようになった。この日も
、ヒノキの梢でメスのモズが高鳴きをしていた。フィールドスコープでしげしげと見た感想は「あまりかわいくない」というものであった。
西暦
月
日
メモ
2014
9
12
室林道ラインセンサス
ウグイスの地鳴き個体が目立った。さえずりが終わってしばらくはこれほどではなかったように思う。暑さも和らぎ鳥たちにも好都合になったので
あろうか、いろいろの鳴き声が聞かれる。特にヒヨドリは賑やかだ。カケスもいる。カケスを見たり聞いたりすると秋の山を思い起こすのは自分だ
けであろうか。厳冬の中で聴くカケスの声はほかに比べるものがない。今回も群れに遭遇する幸運に恵まれた。少し大げさかもしれないが。エナ
ガ・メジロ・シジュウカラが次々横切っていく。果たして、これは混群なのか。あまりにも個体数が多いので全体像がつかめない。
2014
9
12
羽根・長根の田んぼ
カワラヒワが陽を浴びて輝きながら飛び交う。稲穂が消えてすっきりした田んぼには黒点が点々と。ハシブトガラスたちである。私が近くを通ると
いやいや逃げる様子を見せるが、ほんの申し訳程度にしか飛ばない。個体数ではカワラヒワには及ばないものの今の主役であろう。しかし、目を
引くという点では別のライバルがいる。たぶん、カラスとは仲の悪い、鳴けばうるさく飛んでも目立つ(その意味でもカラスにとっては目障りな存在
なのだろう)ケリである。いつの間にやって来たのでああろうか、優に10羽を超す群れが編隊飛行をしているのを目で追うのは爽快である。チドリ
科のことだけあって飛んでいる姿も美しい。長根川ではハクセキレイガ餌を捕っていた。護岸のコンクリート壁を突いているのは餌がいるのだろう
か。草花も咲きだした。一番目立つヒガンバナ。美しい青のツユクサ。少し薄い青の別種のツユクサ。カメラアングルに苦労して秋らしい風景を切
り取る。良く伸びた草にとまる鳥の姿を探す。ノビタキの南下個体である。今回は、少し早すぎるのか確認することはできなかった。しかし、いつや
って来ても驚かないことが肝心。田んぼを見たら目を光らせることにしよう。
2014
9
14
我が家周辺(距離で約1キロ)
天が高くまで澄んできたようだ。高所を飛ぶタカ科の観察にはもってこいの季節になった。家を出てすぐにタカを発見。サイズ・形からするとサシバ
のようだ。ハチクマとともに、これから南下するタカ科の種であるから、頻繁にその姿をみることになろう。モズの高鳴きは一層激烈を極めている。
モズについては、ソングポストでの様子ばかり目について、飛翔中の行動にはあまり注意を払っていなかった。それが今日は、ホバリングのよう
な飛び方をするのを見た。何らかのディスプレイ行動ではあろうが。山陰川も面白かった。川床にはセキレイ科の鳥がいた。それは格別言うべき
ものはない。それらが全て、川の側面を覆うブロックに飛びついて何やらしている様子に引かれたのだった。水面よりも数10センチ以上高い所に
止まる。何かいるのであろうか。この行動は、場所を替えて長根川の観察時にも気付いたことだ。川沿いのサクラには様々な野鳥が訪れる。カワ
ラヒワ・メジロ・ヤマガラがいた。この場所は、すぐ側まで山が迫っていて、山付きの鳥たちもよくやって来るのである。ヤマガラで面白い場面があ
った。例により枝先を器用に飛び回っていたヤマガラが突然ぶら下がりの体勢になった(まるでエナガのような)。ところが何か変である。枝から
10センチくらい下がっている。ホバリングではない。困った様子である。それはすぐに分かった。足にクモの巣が絡んでいて中吊になっていて、何
とか糸から逃れようとしているのであった。こんなのは滅多に見られるものではない。可哀そうではあるが飛んで行かないうちに記録写真を撮ら
なくては。今日も田んぼの畦に停まっていないかとノビタキを探してみる。やはり、やって来るのはもう少し先のようだ。
2014
9
21
茶臼山ラインセンサス
野鳥の南下。わくわくする言葉だ。繁殖も一通り終えて換羽に入り、野鳥の世界は静に入ったように思える。では、観察に不向きになったのかと
問われれば、「とんでもない」と言いたい。これから暫らくは野鳥たちの大移動で飽きさせてはくれないだろう。地元ではノビタキが南下するし、オ
シドリが池にやってくるのももうすぐだ。茶臼山での楽しみは、やはり南下個体に会うこと。その代表格がエゾビタキであろう。サメの名が冠されて
いるようにサメ肌のグレー色で地味な小鳥だ。山頂直下の駐車場に下りたらすぐにその当人が出迎えてくれた。3羽ほどのエゾビタキが枝から枝
えと渡り歩いている。ヒタキ科らしい所作も見える。これを始めにして、ラインセンサスの前半においては、ある個体は梢にとまり、ある個体は電線
で休み、それこそ極くありふれた種のごとく(例えれば、さえずりの盛んな時期のホオジロのように)振る舞っていたのだ。木の葉が色づき始め秋
の気配が一層感じられるようになったというのに、ただ一人気炎を吐いてさえずっている豪のものがいる。日本の仕来たり何するものぞ、中国生
まれのソウシチョウはそのように言っているかのようである。いつまでもさえずられると辟易してしまうのは自分だけだろうか。この国には潔しとす
る文化があるのに。南下は野鳥の専売ではない。あの弱々しいイメージの蝶も行なう。有名なのがアサギマダラだ。その他の蝶には申し訳ない
が、アサギマダラだけは鳥のように扱ってやる。この日も、上空高くふわふわと羽ばたいていた。やたらオートバイが多かった。それこそ、高速道
路で渋滞する車のように。センサスの最後に原因が分かった。何やら、オートバイの博覧会でもやらかしているようなのだ。つなぎで固めたの老
若男女の皆さん方がライダー製品の店や催しものに興じていた。なぜ茶臼山でやらなければいけないのかとも思ったが、これほどピッタリな場所
は無いことに直ぐ気が付いた。野鳥や動物たちにはまことにお気の毒としか言いようがない。なんとも言えない顔をした双眼鏡を下げたおじいさ
んが、旗をもって呼び込みをしているお兄さんの前を通り過ぎて行くのであった。
西暦
月
日
メモ
2014
9
22
室林道ラインセンサス
シジュウカラとカケスが元気であった。夏の終わりころ、シジュウカラは明らかにヤマガラに押されていた。それがどうだ。成鳥・幼鳥・若鳥が一緒
くたになって盛り上げてくれている、。カケスは明らかに、9月の声を聴いてから増えてきた。これも、野鳥大移動(南下)のお陰なのであろう。カケ
スの観察で面白い出来事があった。カケスはどんぐりなどを保存するなどと言われているが、室林道のカケスはグルメらしく山グリを食べるのだ。
どうしてそんなことが分かるかって。実は、栗のイガを咥えて運んでいるのを見てしまったのだ。木漏れ日はさまざまな景色を演出してくれる。中で
も気に入っているのは、大部分の人にとっていやなもの、八本足のクモとそれが作るクモの巣が木漏れ日で、それは美しい光の芸術作品に変身
するのである。絹糸にも負けないクモ糸。そのクモ糸が回折格子となってスペクトルができることは知られている。野鳥を追っていくと偶然にもそ
れらも一緒に発見することができる。ほんの少し目の位置を変えただけで、虹は様々に変わって来るし、まったく虹を発しなくもなる。それを、野鳥
を撮影する要領で撮るのである。巣を真上から見たり真横から見たり。何かに似ていると思った。それは、我が銀河系を含む渦巻き小宇宙なのだ
。斜めから見るとアンドロメダ小宇宙。真横なら何某。糸が虹色に輝いているので本物のようである(写真でしか見たことはないけれど)。深く考え
ないで思ったのは、これは、ホームページにクモの巣のコーナーを設けてもいいかな、であった。
2014
9
28
寺ノ入林道ラインセンサス
秋らしくなってはいるが紅葉にはまだ遠い。標高600メートルの寺ノ入林道にあってもそれは同じ。植物よりも野鳥の方が秋を先取っているようだ
。南下してきたカケスが林道一帯に活気をもたらしている。静寂を破る鳴き声は言うに及ばす、ふわふわと谷を横切る姿を何べんとなく見かけた。
この日1番の見せ場は、10羽あまりの群れが山頂に向かって飛び立ったことだろう。林道全体の個体数はどのくらいになるのであろう。想像もつ
かない。カケスの多さには驚きであるが、もう1つ、印象に残るものがあった。それは、ヒガラである。ヒガラのさえずり個体がいきなり聞こえてきた
のだ。なぜ、今の時期にさえずりか。繁殖期を終えた後のさえずりについてはホオジロで毎年経験している。ヒガラについても同じ経験を積み重
ねることで理由も分かってくるのではと期待する。
2014
10
2
新堤池→羽根・長根ラインセンサス
ノビタキの南下と同じ頃に、新堤池にオシドリが飛来する。初めから来るつもりならば虫よけ対策をしてきたのに。案の定、藪蚊の攻撃をくらいな
がら池の奥を双眼鏡で観察する。池に近づいた途端に10羽ほどのカモが木陰から飛び去った。色が暗かったのでカルガモではなくてオシドリの
可能性が高い。しかし、確定するまでには至らなかった。どうしても水面を移動するのを観察したいところだ。藪蚊を叩きながらじっと待つ。5分以
上も待ったであろう。蚊の攻撃にさらされている身にとってはとても時間が長く感じる。池にかぶさるように茂る陰から1羽のカモが出てきた。すか
さず双眼鏡を向ける。そしてホッとした。間違いなくオシドリのオスであった。夏羽になりかかりの個体であった。腕をボリボリ掻きながら早々に退
出する。薄暗い池から明るい田んぼへと景色は一変する。約1時間かけて、田んぼを一周するコースを歩く。ヒガンバナはすでに黒っぽく変色し
ていて、時間の移り変わりを実感する。10日前に最初のノビタキを確認が今日はどうであろうか。コースの4分の1の間は姿が見つからない。ま
さか、全くいないことはないだろう。それこそニュースになる。そして、そのようにはならなかった。次から次へとノビタキが目の前に現れたのだ。季
節の変わり目を感じさせるのはノビタキばかりではない。いつの間にかカワラヒワが山から下りてきて群れを作っていた。電線に止まっているだけ
でも30羽くらいはいる。ノートには30羽と書く。すると、そばの田んぼからカワラヒワの塊が飛び立つ。その数30羽。ノートを60羽に直す。これで
お終いではなかった。さらに大きい塊が現われる。3つの塊がひとつにまとまって田んぼを周回。ノートの数を100に再訂正した。秋のたんぼはと
ても野鳥たちの活気にあふれている。
2014
10
7
室林道ラインセンサス
静かになったなと感じたのはセミの類がいなくなったから。これからは、落ち着いて野鳥の声に耳を傾けることができる。何度も言っているが、カケ
スが特に目立っているように感じられる。室林道に限らず空を見上げていると、ふわふわとゆったりした羽ばたきでカケスが飛行しているのを見
かけることが多くなった。大抵数羽以上の群れでいる。飛び方が独特であり、がむしゃら感の無いところが良い。カケスに負けずに多かったのが
アサギマダラであった。こちらも、アゲハチョウなどに比べると飛ぶ速度もゆったりとしていて、カケスに通ずるところがあるようだ。秋は実りの季節
。種子を付け、花を咲かせる。花の中でも秋の路傍のノギクは、理由はうまく言えないが、日本の原風景を見ているようで大好きである。
西暦
月
日
メモ
2014
10
14
室林道ラインセンサス
台風19号、音羽周辺ではそんなに被害はでなかった。朝から絵にかいたような秋空が広がっている。しかし、風だけはかなり強いようだ。室林道
に架かる高圧線も久しぶりに重低音を奏でている。林道の途中でチエンソーの音がする。珍しいなと思って進んでゆくと理由が分かった。財産区
の面々が、10月最終日曜日に町民遠足の前に、連続して来た台風で折れた木を片づけていたのだ。行事はこのような人たちの支えで成り立っ
ている。林道は静かである。そんな中で目立ったのはヤマガラであった。シジュウカラもいるにはいたがヤマガラの比ではない。南下個体はどう
か。残念ながら、結局この日は見つけることができなかった。アサギマダラは1匹だけ見た。本日の室林道でもそうであるが、子どものヘビを見か
けることが多くなった。赤味の濃いヤマカガシである。大きなのは御免こうむりたいが、小さなのはネコやイヌ同様の可愛らしさが感じられないこと
もない。
2014
10
18
我が家周辺
乾いた微風が気持がよい。山陰川に沿ってセンサスをした。そこで気が付いたのは、川の中州や休耕田でセイタカアワダチソウが勢力を盛り返し
ていることだ。むかし、20年以上か、セイタカアワダチソウが猛威を振るっていたことがあった。それが、いつの間にか少しずつ姿を消していった
が、本当かどうか分からないが、あまりに増えすぎて、自身の毒(他のものを駆逐するために用いたもの)で消えていったということを聞いたことあ
った。セイタカアワダチソウの穂先にはモズやカワラヒワなどの小鳥がとまることが多い。今日は、南下個体のノビタキ1羽がとまっていた。そろそ
ろノビタキの通過も終わりになる頃だ。見られてうれしい。上流から下流へと川面を通過するカワセミにも出あった。落ち着いて観察することがで
きたので、くちばしが黒いオスであることも分かった。地上は穏やかだが雲は急ぎ足である。季節風を感じさせる。
2014
10
19
茶臼山ラインセンサス
茶臼山の山頂付近は、今が紅葉の見ごろである。真っ赤なモミジやウルシはそれほど多くはない。全体的には黄色のもみじといったところだ。風
景はすっかり秋の終盤に掛かったいえよう。にもかかわらず相変わらずのさえずりを繰り返す鳥がいる。言わずと知れたソウシチョウである。この
鳥はやはり日本産の鳥ではない。日本産と言うには違和感を覚える。一方やまから牧場側を見ると、緑色の草原の中には点々と黒いものがある
。それが23羽となって空に飛び立ち、旋回したり追いかけっこをしたり、とても活発に行動している。そのような姿が茶臼山のあちこちで見られた
。繁殖の準備であろうか。冬鳥の気配にも注意を払った。カヤクグリやアオジなどである。その結果、アオジの地鳴きらしいのを林辺で聞いた。セ
ンサスコースは茶臼山を鉢巻のように巻いている。歩道があるので安心なのだが相変らず車の量が多い。今日は特に、クラッシクカーと呼べるの
が多かった。いつ途切れるのかと思うくらいである。たぶん同じ仲間なのであろう。現代の車に比べマフラー音が大きいのには閉口だ。とどめは、
駐車場で開かれていたバイク祭り。旗が立っていた。愛知県二輪車販売協同組合とあった。少し前にも別のバイク祭りがあったが、豊根村はこう
いった事を積極的に進めているようだ。茶臼山の自然は騒音と人工物(シバザクラ)に蹂躙されつつあるようだ。
2014
10
25
宮路山
台風で延期になって、ようやく宮路山の探鳥会を開くことができた。快晴の朝を迎え気も晴々とする。赤坂駅には8名のこどもたちが集まって来た
。多くは、兄弟姉妹である。萩小の先生と2人で引率である。初めて参加する子も多かったので多少の不安はあったが、それが一部的中したのに
は困った。初めてというよりも、朝食向抜きで参加し、空腹でつらい様子であった。音羽川では子どもたちと同じ数の8羽のカルガモを見た。水が
透明なので水かきの付いた足を動かすのがよく分かる。付近にはセグロセキレイやハクセキレイが鳴いていた。両者の鳴き声による識別方法を
話す。ジョウビタキもやって来ていた。きれいなオスである。さらに別の声が聞えている。カワセミの鳴き声だ。みんなに川面から目を離さないよう
に注意する。川上側にカワセミはいた。我々も上流に向かって歩いてる。自然の成り行きでカワセミは場所を移動しようとする。それが、下流側で
あった。背中の綺麗なコバルトブルーが子どもたちの目に入ったみたい。ただし、全員ではなかったが。宮路山登山道からは