L A M B D A M E A S U R E M E N T AT T H E T E S T B E N C H 29 Lambda Measurement With Pressure Compensation 圧力補正の付いたラムダ計測 Matthieu Bourrat氏、Pascal Dorlhene氏、Renault S.A.S社、Abbo Mohamadou、ETAS Renault社、ES635ラムダ計測モジュールを採用 Renault社はラムダ計測の標準装置に、ES635ラムダ計測モジュールを採用しました。このモジュールは、Renault社の技術革新イニシア チブ「Pôle Innovation Mécanique (PIM)」の新しいテストベンチに最近展開されたものです。Renault社をCO2削減のリーダーにすると いう目標の下、フランスの国内外すべてのRenault社の技術センターがこのプログラムに参加しています。 正確なラムダ計測は、自動車の排出ガスを そのため、ETASでは、Renault社の仕様に ています。EPCアルゴリズムはRenault社 最低限に抑え、燃費に大きく影響する重要 従って排気圧補正(EPC)機能も実装しま が長年蓄積してきた経験的結果と経験を基 な要素です。ラムダ基準値の計測では、さ した。EPCアルゴリズムでは、関連する熱 にしています。 まざまなパラメータを考慮します。 力学パラメータと拡散パラメータを考慮し ■ ディーゼル、ガソリン、エタノールなど、 各種燃料のラムダ特性 ■ 夏や冬のテストにおける温度条件 ■ 高所テストにおける大気圧 ■ 排気システムの動圧 ラムダメータには、さまざまなテスト条件 や既存のツール環境に適応できる柔軟性が 必要です。 排気圧 ラムダセンサは大気圧だけでなく排気シス テムの動圧(排気圧)にも依存しています。 濃度の極値では圧力の依存関係が大きく異 なります。エンジンの排気管内の圧力変動 が400ミリバールの場合、ラムダ値の元に なるセンサのポンピング電流の偏差が10 パーセントになります。 ES635の評価 ES635ラムダモジュールは、大気圧に加え て、排気圧による影響も補正しています。 30 L A M B D A M E A S U R E M E N T AT T H E T E S T B E N C H 排気圧を補正してES635モジュールで 計測した合成ガス濃度(赤い三角)。 1.26 斜線はガスアナライザで計測した 設定値を表します。 ES635モジュールで計測した濃度 ES635の測定値は、設定値から 最大1.8パーセントずれています。 1.21 1.16 1.11 1.06 1.01 1.01 1.06 1.11 1.16 1.21 1.26 ガスアナライザで計測した濃度 濃度測定値に対するEPC排気圧補正の 影響を示すグラフ。 1500 0,400 10 1450 0,360 9 8 テストシステムでは濃度を一定値に設定し、 0,320 1350 0,280 濃度測定(青い曲線)は、大きく、 1300 0,240 6 0,200 5 1200 0,160 4 1150 0,120 3 1100 0,080 2 1050 0,040 1 1000 0,000 0 そして予想どおり、計測した圧力変化とは 逆方向に変化しました(赤い曲線)。 EPCを起動した状態では、排気圧が変化しても 1250 濃度 1400 排気圧[ミリバール] 圧力を変化させました(赤い曲線)。 ES635モジュールで、EPCの起動と停止を 繰り返します。EPCがオフのとき、 EPC on EPC off EPC on EPC off 7 測定濃度値の変化はわずかです。 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 時間[秒]350 課題 排気と燃費にはラムダ値が直接影響するので、エンジン開発とECU適合には正確なラムダ計測が必要です。 ソリューション ES635ラムダモジュールではラムダ測定値に対する排気圧効果を補正しており、めざましい精度の向上が見られます。 メリット 排気圧補正機能におけるRenault社のノウハウを活かせば、ES635モジュールはRenault社の現在の工場内で使用さ れているラムダメータソリューションにも置き換えることができます。 R E A LT I M E S J 2/2010–1/2011 LardyにあるRenault社のテクニカルセン タで実施されたES635/EPCの検証では、 まとめ 以下のテストを行いました。 バストでオープンな、そして柔軟性に富ん ■ ■ ■ ■ ETASのES635ラムダモジュールでは、ロ 0.1(希薄)から1.2(濃)の範囲の合成 ガス混合気による1/λ計測 ガソリン燃料とE85燃料による車載テスト だ、将来的にも先進性を失わないソリュー ディーゼルエンジンテストベンチにおける ルを備えています。ES635はINCA準拠で、 静的テストと過渡テスト 既存のアプリケーション用にオープンXCP 温度-20 °Cにおけるコールドチャンバテ インターフェースも用意しました。基本的 スト な用途に適したデフォルト特性に加え、 ションを提供します。スタンドアロン操作 ができるモジュールは使いやすい構成ツー Renault社固有のラムダ曲線もサポートし すべてのテストデータを収集したところ、 ています。このモジュールはボッシュのラ ES635では明らかにいくつかの改善が見ら れました。EPCなしでは計測濃度の最大誤 差が60パーセントに達しますが、EPCを有 効にすると最悪の状況でも誤差は10パーセ ントで済みました。-20 °Cのときにエンジ ムダセンサをサポートしており、Renault ンテストベンチ上のコールドチャンバで得 た 時 間 経 過 によ る濃 度 の 測 定 値 では、 気圧補正機能により、ES635モジュールは Renault社の工場内で使用されているラム ES635モジュールの時間分解能はエンジン ダメータの代替としても利用できます。 回転数を推定できる十分に高い値であるこ とがわかりました。 ES635のデータは、テストベンチで設定し た濃度にいつも非常に近い値でしたが(合 成ガスを利用して立証) 、 工場内のラムダ メータとの比較では、1つのテスト構成で 小さい偏差が見られました。偏差の原因は、 ES635 EPCの 圧 力 補 正 率 が 一 定 で 、 ES635でデフォルトのラムダ曲線を使用し たためだと考えられます。ETASではこれに すぐ対応して、圧力係数に適合できる新し いファームウェアバージョンをRenalut社 に納入しました。その後、微調整したラム ダ曲線や最適化した圧力係数による新たな テストが、Renault社の技術者によって計 画されています。 社がLSU4.9センサから最新のLSU ADVセ ンサに移行できるようにしています。 ES635 はRenault 社のプロセス、手法、 ツールに準拠しています。その高品質な排 31
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