50-51合併号

ニホ ンカワウ ソ
県の調査予算も絶滅危機
ニホンカワウソ、県予算も 絶滅 の危機!? 国
の特別天然記念物ニホンカワウソ調査にかかる
県の関連予算は、近年これといった情報がないこ
ともあり 12 年度以降は 10 万‐30 万円台で推移。
17 年度は 16 万円で過去最少となり、18 年度も前
年並みとなりそうだ。6 年度をピークに大掛かりな
調査が行われたころと比べると2けた少ない額に
まで減少している。
ニホンカワウソが国の特別天然記念物に指定さ
れたのは昭和 40 年。同 54 年に須崎市の新荘川
で度々目撃されたのを受け、55 年から国の委託
事業で年間 100 万-600 万円台の予算を投じて生
息調査などが行われた。
そして平成 4 年、幡多郡佐賀町の海岸にあった
ふんの中から刺し毛を発見したことをきっかけに、
同年から 10 年度まで「ニホンカワウソ緊急保護対
策事業」を展開。6 年には佐賀町の餌付け場に
24 時間態勢の自動監視システムを設置したこと
もあり、関連予算は 1420 万円まで膨らんだ。また
7 年からは重点地区に大勢の調査員を投入する
一斉濃密調査方式を導入、生息確認に全力を挙
げた。
この間、6 年には刺し毛の発見場所付近でター
ル便が見つかり話題を呼んだが、その後、4 年の
刺し毛も含めて「ハクビシンの可能性も否定でき
ない」と疑問視する声が浮上。4 年にわたる一斉
濃密調査でも生息に直接結びつく成果は上がら
なかった。
こうした事情を背景に、カワウソ予算に大ナタが
振るわれたのが 11 年度。前年度の3分の1近い
75 万円に減額された上、他と一くくりの「希少動
植物保護対策事業」の名目となった。
12‐15 年度は同事業の一項目として「カワウソ
調査費」を計上。目撃情報に対応する調査員の
旅費などに充てられたが、情報が少なく 20 万-30
万円台で推移し、17 年度に初めて 20 万円を下回
った。
もちろん、有力な情報が入れば今後大幅な増
額もあり得るが、県環境保全課に寄せられた目
撃情報は「ここ 3 年間で旧仁淀村、旧土佐山田町
などの 3、4 件」だけで、いずれも本格的な現地調
査に踏み切る緊急性の高い情報ではなかったと
いう。
ニホンカワウソの姿が最後に公式に確認された
のは昭和 54 年、須崎市の新荘川。それから 27
年、果たしているのか、いないのか。今や独自の
情報網で追跡を続ける個人や団体の研究者に頼
るばかり、というのが実情のようだが、同課では
タヌキの森
安住の地追われるピンチに
東京・新宿
高層ビルが林立する東京都新宿区の緑を残す
住宅跡地に暮らし、地域住民の人気者となったタ
ヌキたちが、安住の地を追われる危機に直面して
いる。この土地に低層マンションが建設されること
が決まったためで、住民側は緑を残そうと募金な
どの活動を始めた。だが、住民と開発業者の溝
が埋まるめどは立たず、24 日には、開発業者に
よる樹木の伐採が始まった。【小川節子】
この「タヌキの森」は新宿区下落合4の住宅街
にある約 1870 平方メートルの私有地。大正時代
に建造された屋敷は既に取り壊されたが、庭に
は樹齢 200 年のクスノキやケヤキ、サクラなどの
古木があり、野鳥が訪れる。モグラやタヌキも生
息し、夕方になると2、3匹のタヌキが出没するの
がよく目撃されるという。
■住民の買い取り募金届かず…マンション建設
へ伐採始まる
ところが 04 年夏、遺産相続のため開発業者に
土地が売却され、3階建て 30 戸の低層マンション
が建設されることが決まった。住民は土地を買い
戻そうと、昨年2月に「下落合みどりトラスト基金」
を設立。買い取りのための募金活動を始め、延
べ 800 人から 2 億 3200 万円を集めた。
これをもとに新宿区に公園用地としての買収を
求め、区側も不動産評価額を基に 5 億 4000 万円
の支出を検討。だが、業者側が提示した土地価
格は 10 億 5000 万円で、買収することはできなか
った。
住民の一部は、低層マンションの建築計画が東
京都の建築安全条例に違反しているとして、安全
認定を出した新宿区に対し認定の取り消しを求
める訴訟を東京地裁に起こしている。
業者側は、5 月には建物の本格工事に入る予
定だ。同基金の事務局長、武田英紀さん(40)は
「タヌキのためにも裁判に負けるわけにはいかな
い。係争中なのに伐採を強行するのは無謀だ。
一度失われた自然を取り戻すのは大変なこと」と
話す。同基金のメンバーは、樹木が伐採されても、
公園として「タヌキの森」を残すために募金活動を
続けるという。
(毎日新聞 2006 年 3 月 25 日)
2
「絶滅と断定するには早すぎる。目撃情報があれ
ばぜひ知らせてほしい」と呼び掛けている。
(高知新聞 2006 年 3 月 1 日)
自然保護団体職員ら書類送検
野鳥密猟で警視庁
シジュウカラやメジロなどの野鳥を密猟、飼育
していたとして、警視庁立川署は 10 日までに、鳥
獣保護法違反の疑いで、社団法人奥多摩湖愛護
会の男性職員(57)=東京都奥多摩町=と、元
郵便局員の男性(53)=青梅市=を書類送検し
た。同愛護会は同町にある奥多摩湖周辺の自然
保護を主な事業とする団体。調べでは、男性職員
は 2003 年 7 月から昨年 11 月にかけ、自宅の庭
で、かごと棒などを使ってシジュウカラなど3羽を
捕獲。元郵便局員は、03 年 11 月から今年 2 月に
かけ、メジロなど7羽を捕獲するなどした疑い。 2
人は野鳥愛好家仲間で、「趣味で捕ってしまった。
申し訳ない」と話しており、同署は密猟した野鳥を
販売した仲間もいるとみて、捜査を続ける。
慶尚北道の喫茶店に現われた
カワウソ
キョン サ ン
ヨ ン ヤン
慶 尚北道の英陽郡のとある喫茶店にカワウソの
子どもが出現し、119 救助隊が出動するという騒
動があった。
英陽郡庁によると 16 日午後 5 時頃、英陽郡・
ス
ビ
(時事通信社 2006 年 5 月 10 日)
うそ?!
バ ル リ
首比面・発里里のある喫茶店に、体長 30 センチ
メートルの生後 10 か月になるカワウソの子ども 1
匹が出現した。開いていた出入り口を通って 1 階
の喫茶店に入ってきたこのカワウソは、店内を横
切って厨房を一周回っては浄水器の横でうつぶ
せになった。
喫茶店の主人クォン・ジョンエさん(女/52)は、
「喫茶店に従業員と 2 人だけでいたところに、
丸々してかわいらしいカワウソ 1 匹が店のドアか
らのそのそと入ってきた」とし、「驚いたような様子
もなく、まるで自分の家のようにのんびりと見回し
ては座って休んでいたんです」と語った。
クォンさんの通報を受けて出動した救助隊はカ
ワウソを生け捕りにして、英陽郡庁文化観光課
のキム・ドンゴル係長(46)に引き渡した。キム係
長の自宅の洗面台でドジョウ 17 匹をご馳走にな
るなどして一晩を過ごしたカワウソは、17 日午前
に動物病院で健康に問題がないという判定を受
けてから、午後 3 時頃近郊のチャンス川に放され
た。
キム係長は「カワウソが田んぼでカエルを捕ま
えている時に道に迷い、暗い場所を探しているう
ちに喫茶店まで行ったのだと思われる」とし、「危
険な道路に出ないで、喫茶店にたどり着いたの
は、カワウソにとってとても運がよかった」と語っ
た。
(朝鮮日報 2005 年 10 月 18 日)
鷽です
シャレに
ならんゎ
マングースさらに北上
環境省
希少種への影響懸念
環境省那覇自然環境事務所は 8 日、これまで
マングースの捕獲は雄 2 匹のみだった国頭村の
県道2号以北で 2005 年度、雌 1 匹を含む 3 匹を
捕獲したと発表した。雄、雌両方を捕獲したことで
繁殖の可能性が高くなっており、同事務所は「マ
ングースの生息区域がさらに広がり、北上する恐
れがある」と指摘、国指定天然記念物ヤンバルク
イナなど在来希少種への影響を懸念している。ま
た 05 年度の捕獲数は、北上防止柵を設置中のS
3
Fライン(塩屋―福地)を中心に、計 227 匹だった
ことも発表した。【比屋根麻里乃】
同事務所は 01 年度から防除事業を開始。県と
エリアを分担して、北部地区のマングース駆除に
当たっている。その結果、05 年度は 05 年 9 月に
雄一匹、06 年 3 月に雄と雌各一匹を、それぞれ
県道2号沿いで捕獲した。
県道2号以北では 02、03 年度に雄が一匹ずつ
捕獲されている。ほかに路上で轢死した個体や、
写真のみでの確認もされている。しかし、これら
の確認は飛び火的な分布の可能性もあり、詳し
い調査が必要とされていた。
琉球大学農学部の小倉剛助教授は「生息数が
少ない県道2号以北での捕獲は、非常に意味が
ある」とした上で「駆除作業で減数はしているが、
低密度でマングースが北上し続けている」と根絶
の難しさを強調した。
小倉助教授は、今後の駆除事業に(1)林の中
にもわなを設置(2)誘因物質の餌開発や犬を使
った捕獲―などを提案している。
同事務所は、06 年度に県道2号以北のモニタリ
ングと、わなの設置などを通年で行う。また、錯誤
捕獲を減らすための新型わなや、マングースの
体毛を採取することで、生息を確認する器具を開
発中という。
マングースの繁殖期は 5-7 月。同事務所の澤
邦之さんは「じわじわと分布区域が広がっている。
希少生物を守るため、やんばるでマングースを目
撃したら、連絡してほしい」と呼び掛けた。
(沖縄タイムス 2006 年 5 月 9 日)
放した子グマ死ぬ
親と再会願った関係者落胆
札幌市中央区の山中で 11 日朝、10 日に一度
保護した後に放した生後数カ月とみられる子グマ
が死んでいるのが見つかり、親グマとの再会を願
っていた関係者は「残念な結果になってしまった」
と落胆している。
同市などによると、10 日午前 9 時ごろ、同区盤
渓の山中にいた体長約 40 センチの子グマを通行
人が見つけた。通報を受けて駆けつけた西署員
が一度保護したが、猟友会などと話し合った結果
「一度保護すると野生に戻れなくなる」として、同
日午後、同じ場所に放した。
しかし、11 日朝、巡回中の猟友会のハンターが
放した所とほぼ同じ場所で子グマが死んでいる
のを発見した。外傷などはなく衰弱とみられてい
る。関係者によると、子グマは一度放した後もし
ばらくその場所を離れなかったという。
(共同通信 2006 年 5 月 11 日)
子ギツネ2匹、昼間の街に出没
子ギツネ 2 匹が、府中市土生町の府中自動車
学校そばの草むらでじゃれ合う光景を、同校指導
員の水田安夫さん(59)がビデオカメラで撮影した。
福山市立動物園によると、キツネが昼間に市街
地近くで目撃されるのは珍しい。
水田さんが 17 日午後 1 時ごろ、同僚と一緒に見
つけ、車の助手席から撮影した。ホンドギツネの
子どもとみられ、カメラを見つめる愛らしい場面も
収めた。約 4 分後、山中へと姿を消したが、再び
教習コースで目撃された。同校は芦田川右岸の
住宅街の一角にある。
水田さんは「小型のシバイヌくらいの大きさ。警
戒する様子は見せなかった」と話す。
備後地方ではキツネの生息数が減っており、こ
こ数年、同動物園が保護したケースはない。占部
哲也管理担当次長は「昨春、生まれたきょうだい
ではないか。人里近くで育ち、警戒心が薄いのか
もしれない」とみている。【武河隆司】
(中国新聞 2006 年 5 月 23 日)
子グマ 林道で男性が発見
山中に放す
やや衰弱
札幌
10 日午前9時ごろ、札幌市中央区盤渓の林道
を子グマがうろついているのを散 策中の男性
(57)が発見した。札幌西署員が一時捕獲、地元
猟友会のメンバーが付近を捜索したが近くに親グ
マはおらず、同区役所職員などと検討し、親グマ
の元に戻すことに決め、午後 2 時過ぎ、発見場所
から山中に放した。
子グマは生後 4 カ月ほどのヒグマで体長約 40
センチ、約 8 キロの雌。やや衰弱した状態だった。
発見された場所は、最も近い民家から約 500 メ
ートルの距離。同区役所員は「クマは自然に戻す
のが一番。早く親グマに迎えに来てほしい」と話し
ている。【久野華代】
(毎日新聞 2006 年 5 月 11 日)
まだ独身でも
1 歳以上なら
もう,子ども
じゃないよう
ママ、どこ?
4
アライグマ、県内で増殖
狩猟犬:「タミー」元気に
駆け込み遺棄? 農業被害も
散弾銃で撃たれ保護
弾100発、今も体内に/茨城
外来生物法で飼育や野外へ放すことが原則禁
止されているアライグマが、兵庫県内で増え続け
ている。県立人と自然の博物館(三田市)は、昨
年 6 月の同法施行と前後して、犬歯を削られた元
ペットの生息を確認、罰則逃れの 駆け込み遺
棄 の疑いを指摘する。ペットとして飼い始めたも
のの扱いが難しく、捨てるケースはかねてからあ
り、こうしたアライグマが繁殖。2005 年度の県内
の農業被害額は 2760 万円に達した。被害の拡大
や生態系への影響が懸念される。【佐伯竜一、上
田勇紀】
同博物館は 04-05 年、県内で捕獲されたアライ
グマ約 50 匹を調査し、そのうち 6 匹が犬歯を削ら
れていた。アライグマは気性が荒く、飼育する場
合、犬歯を削るという。坂田宏志主任研究員(38)
は「法施行による罰則を意識した遺棄では」と推
測する。
同博物館は、アライグマの目撃情報も調査。
03-04 年度に県内全 4195 地区で聞き取りをし、
回答があった 2640 地区のうち 414 地区で目撃さ
れていたという。
うち 250 地区では、初めて見た年代の回答もあ
った。内訳は 1999 年以前が 11%、90-99 年が
24%、00-04 年は 64%。ここ数年で生息範囲が急
激に広がったことが分かる。
地域別では神戸市北区、宝塚、三田、篠山、丹
波市の田園地帯に集中。三木や姫路市、市川町
も目立つ。
果物や野菜が食い荒らされる被害も続出してい
る。県によると、05 年の農業被害額は前年の 1.9
倍に急増した。
また、餌となる動物や、似た食性のタヌキやテン
の生息が脅かされる危険も。生態系への影響を
懸念する坂田研究員は「アライグマは繁殖力が
強く、できるだけ早い駆除が大切」と指摘してい
る。
■アライグマ 北米原産。1977 年、アニメ番組の
影響で人気のペットに。気性が荒く飼育は難しい。
雑食。メスは生後 1 年で生殖能力を持ち、4-6 月
ごろ、3-5 匹産む。
(神戸新聞 2006 年 5 月 31 日)
◇「絶えぬ置き去り考えて」−−2 月に保護
取手市戸頭の工務店の玄関先で 2 月、狩猟犬
のイングリッシュセッターが動けなくなっているの
が見つかり、同市の動物愛護団体が保護した。
獣医師の診察で、狩猟犬は散弾銃で撃たれ、100
発以上の弾が体内にあることが分かった。傷は
すべてふさがっていたが、同団体は「よく生き延
びてくれたなと思う半面、心ない一部の狩猟者に
怒りが込み上げる」と話している。
この狩猟犬は推定 7∼8 歳の雄で、「タミー」と名
づけられ、同団体から、守谷市に住む主婦、西沢
節子さん(52)に預けられた。当初は自力歩行も
困難だったタミーは徐々に元気を取り戻し、今は
走ることもできる。しかし、散弾銃の鉛弾(直径約
2 ミリ)は腰や両脚に残ったまま。消化器障害や
貧血などの症状が出る可能性があるが、診察し
た獣医師は「タミーのようなケースは過去に経験
がない。体に負担がかかる長時間の摘出手術が
本当に有効か分からない」と話し、手術のめどは
立っていない。
同団体によると、県内では毎年、狩猟期間(11
月 15 日∼翌年 2 月 15 日)が終わると、飼い主不
明の狩猟犬が多く見つかる。タミーもその中の一
匹とみられ、狩猟者に故意に撃たれた可能性も
あるという。
県動物指導センター(笠間市)によると、05 年 11
月∼今年 6 月にセッターやポインターなど計 67
匹の狩猟犬がセンターに保護された。狩猟者が
飼育の手間やコストを考えて狩猟犬を捨てたり、
老犬を置き去りにすることが考えられるという。同
センターは「狩猟犬を捨てないよう呼びかけるチ
ラシを配り、啓発しているが、毎年保護する犬が
出てくる」と嘆く。
同団体はこれまで県に、狩猟者の指導強化、狩
猟犬に個体識別のためのマイクロチップを取り付
けることなどを要望してきた。タミーについては警
察へ被害届を出すことも検討中だ。同団体は「タ
ミーの悲劇は今の狩猟犬の状況を象徴している。
タミーを『かわいそう』と思うだけでなく、置き去り
にされているほかの犬にも、目を向ける必要があ
る」と話している。【山崎理絵】
(毎日新聞 2006 年 7 月 2 日)
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