知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2055 号 2014.8.15 発行
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ストーカー事件:消えるアプリ過信禁物
深刻なネット被害
毎日新聞
2014 年 08 月 12 日
インターネット・ホットラインセ
ンターの吉川誠司氏=小関勉撮
影
ストーカー事件では出会
いから加害行為までインタ
ーネットが絡むケースが多
い。1996年から個人的に
ネット上のトラブル相談サ
イトを運営し、被害者の相談
に乗ってきたのが、一般財団
法人インターネット協会(東
京)が運営するインターネット・ホットラインセ
ンターのセンター長の吉川誠司さん(50)だ。
被害の実態や被害に遭わないための注意点などを聞いた。【藤沢美由紀】
ネットを使ったストーカー行為は、大まかに言えば3種類。元交際相手などへの復讐(ふ
くしゅう)や嫌がらせ▽交際や復縁を迫る▽見知らぬ相手が標的−−で、それぞれの目的に
よって行動も異なる。
復讐目的で行われる嫌がらせでは、プライベート写真などを流出させる「リベンジポル
ノ」が深刻だ。撮影後に相手が目の前でデータを削除したとしても後で記録媒体から復元
することはできる。
「すぐ消すから」と言われても、撮影させてはダメ。画像や動画を送信
しても、相手が開封した数秒後に自動的に消えるアプリも人気だが、その短時間内に別の
デジタルカメラなどで画面自体を撮影されることはあり得るので過信は禁物だ。
復讐の一環で、無料通信アプリ「LINE」やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・
サービス)のアカウントを乗っ取って悪意のある情報を発信したり、相手になりすまして
書き込みをしたりするケースもある。パスワードを使い回ししないなど地道に予防するし
かない。中傷や脅迫は削除してもまた投稿されるだろうから、相手が誰か推測できる場合
は警察に相談するのが一番だ。
ネット上には人探しを目的とした掲示板などがあり、例えば「借金を踏み倒された」な
どと口実をつけて相手の情報を求め、居場所を知ろうとするストーカーもいる。かつての
勤務先など相手が周囲に知られたくないであろう情報を書き込むことで嫌がらせをする場
合もある。
交際や復縁を迫る場合には、加害者はSNSで相手の趣味や行動パターンを把握しよう
とすることが多い。SNSで個人情報を発信している人は多いが、位置情報の発信機能は
できるだけ使わない方がいい。また、インストールしてしまうと携帯のGPS(全地球測
位システム)情報を抜き取られるアプリもあるので要注意だ。
見知らぬ相手へのストーカー行為でも、ネットが有効な手段になっている。海外の報告
事例では、ウェブカメラを遠隔操作して部屋などを盗撮する目的で、チャットサイトで標
的の女性を物色、細工を施したサイトに誘導して相手のウェブカメラを乗っ取ったという
加害例もある。
見知らぬ相手の後をつけ、家が分かるとごみをあさり、ネット上にアップしているケー
スもある。ごみはストーカーにとって相手を知るための貴重な情報源になる。下着は外か
ら見えないように捨てたり、出す時間帯に気をつけるなど、基本的なことから注意すべき
だ。1人暮らしの女性なら、外から見てそうと分かるカーテンをつけず、ベランダや玄関
に男物の服や靴を置いておくなど、できる自衛策はしておいた方がいい。
尾行用のGPS発信機を相手の車や持ち物に仕込んだり、小さな穴から室内をのぞくこ
とのできるリバースドアスコープなどストーカー行為に悪用されるツールもいろいろある。
相手の手口を知ることが防御につながるが、規制は難しい。機器は悪用も活用もできるか
らだ。やみくもに情報を公開すれば悪用される可能性の方が高いだろう。せめてストーカ
ー相談で警察を訪れた人向けに、手口を網羅したパンフレットなどがあると有効だと思う。
ただ、案外アナログな手段で対抗できることもある。例えば、リバースドアスコープで
のぞかれたくなければドアののぞき穴を内側からふさいでしまえばいい。留守中の部屋に
侵入されていないか不安なら、外出時に紙片をドアに挟んで閉めておき、帰宅時に紙片が
落ちていないか確認するとよい。
ストーカー行為自体は以前からあるが、SNSやツイッターで自ら情報発信をする現代
は以前より見知らぬ人に狙われるリスクが高まっている。満員電車でスマホをいじってい
る人は多いが、ツイッターのアカウントが背後から丸見えだったりする。何がストーカー
行為のきっかけになるかわからないので、きっかけを誰にも与えないことは重要だ。
ただ、ネットやメールを介した行為は確実に記録が残り、証拠にもなる。また、ネット
上で知り合ってつきまといを始めたストーカーの場合、ばれたり警察に注意されたりする
と比較的やめることが多い。より深刻なのは元交際相手など関わりがあった場合で、警察
が出てきても行為をやめないことがある。相手を特定できる時には直接やり取りをしない
で、誰かに間に入ってもらう方がいいだろう。
被害者の相談を受ける中で思うのは一時保護のためのシェルターがもっと充実していた
らということ。誰もが実家や友人に頼れるわけではないからだ。ただ一方で、仕事はなか
なか休めないし、いつまでも隠れてはいられないのも事実。いつかはきちんと対処しなく
てはいけない。
被害に遭わないためには、まず日ごろから行動に気をつけることだ。そして、もしつき
まとわれていると思うなら、防犯カメラの設置などできる限り事実を確認し、証拠は確実
に保存する。そして警察に相談してほしい。
障害ある若者と心通わせ 同世代の学生が交流事業 北見
北海道新聞 2014 年 8 月 12 日
日赤道看護大の学生たちと触れ合った中川くるみさん
(右端)と後藤めぐみさん(左端)
【北見】特別支援学校高等部を卒業した重症
心身障害者に、同年代の人と交流する機会を提
供する「スマイル@カレッジ」が9日、北見市
内で始まった。障害のある中川くるみさん(2
3)と後藤めぐみさん(24)が、市内の日本
赤十字北海道看護大の学生たちとの触れ合いを
楽しんだ。
2人はレット症候群という神経疾患で、会話
ができず車いすなどの介助が必要となる。2009 年春に紋別養護学校きたみ分校(現北見支
援学校)を卒業し、現在は市内のデイサービスに通うが、週2回と回数が少ないほか、サ
ービスは介護的な側面も強いことから、家族以外の人と交流する機会が少ないのが現状だ。
こうした中、2人の母親は、本人たちが卒業後に楽しめる居場所を求め、在学中から関
係機関と協議。北見市社会福祉協議会や北見支援学校、北見市などが仕組みづくりを練り、
今回実施にこぎ着けた。
協力する日赤道看護大やオホーツク社会福祉専門学校などのボランティアには、重症心
身障害者との接し方の講座を受講し、基本的な対応を身につけてもらう。
同カレッジでは、こうしたボランティアにレクリエーションなどを一緒に楽しんでもら
う。介助が必要な場面もあるため、家族に加え、北見支援学校の教諭の有志も参加する。
初回は看護大の赤十字奉仕団の5人が中川さん、後藤さんの2人と市総合福祉会館でゲ
ームをし、一緒に昼食も食べた。団長の中條智夏さん(21)は「次第に表情から感情や
意図することが読み取れるようになった。私たちにとっても貴重な経験。出会えて良かっ
た」と話し、中川さんの母親の智恵子さんは「支援者としてでなく、同世代の人が同じ視
点で関わり、友達になりたいと思ってくれたのがうれしい」と喜んだ。
同カレッジは月1回土曜日に開催予定。ボランティアを希望する場合の問い合わせは市
社協(電)0157・61・8181のボランティア係へ。(金子俊介)
重症心身障害児施設の暮らし伝える 旭川・三浦記念館
北海道新聞
2014 年 8 月 12 日
三浦綾子記念文学館で開かれている「もうひとつのしる
し展」に訪れた北海道療育園の入所者たち
【旭川】旭川市の三浦綾子記念文学館(神楽
7の8)で、市内の重症心身障害児(者)施設
「北海道療育園」
(春光台4の10)入所者の記
録映像と手作り作品を紹介する「もうひとつの
しるし展」が開かれている。外部での展示は初
めて。映像からは入所者の生活ぶりがうかがえ、
作品から一生懸命に作った様子がしのばれる。
入所者は、身体と知的の二つの重度障害があ
り、自力での移動が難しく寝たきり状態であっ
たり、人工呼吸器の装着や、たんの吸引が必要
な場合が多い。療育園には現在335人が入所し、平均年齢は42・7歳。今年が開園4
5周年に当たることから記念事業として企画した。
会場には、日常生活や行事の様子をとらえた写真約130枚と、数十年にわたって入所
者の成長を追った動画が展示されている。祭りなどの行事で笑顔を見せたり、補助具を使
いながら全力で機能訓練に取り組む様子が印象的だ。
展示作品は、膨らませて和紙を貼った風船に入所者が絵の具で色を付け、約60個を束
ねたもの。制作には約40人が参加し、職員の手を借りながら筆や手足で思い思いに色を
塗っていったという。
療育園の松尾彰久事務局長は「入所者たちは互いの関わりや職員とのコミュニケーショ
ンを通して、ゆっくり成長している。その姿を見てほしい」と語る。同文学館を運営する
三浦綾子記念文化財団の松本道男専務理事は「精いっぱい生きている入所者の作品は、い
かにして生きるかを問い続けた三浦文学同様に大きな示唆を与えてくれる」と話している。
24日まで。入場無料だが入館料(一般500円など)が必要。
問い合わせは同文学館(電)0166・69・2626へ。(田辺恵)
食べて遊んで触れ合い 恵庭で初の「いけまぜフェス」 北海道新聞 2014 年 8 月 12 日
【恵庭】全道各地の障害児や家族、地域住民らが交流する「いけまぜ夏フェスinえに
わ」が、市総合体育館を主会場に市内で初めて開かれた。ボランティアを含め約1200
人が参加し、花火やレクリエーションなどを楽しんだ。
いけまぜは「障害の有無に関係なく、ごちゃまぜで楽しく過ごそう」という意味の造語。
1997年から全道各地で開催され、札幌のNPO法人「障がい児の積極的な活動を支援
する会にわとりクラブ」
(高橋義男理事長)と開催地の実行委が主催している。
16回目の今年は9、10の両日に開かれ、初日は紙皿を使った工作などの後、夕食の
夏野菜カレーや花火を楽しんだ。参加者は、汗をかきながらカレーをおいしそうにほおば
っていた。2日目の運動会では、約170人ずつ四つのグループに分かれ、直径1メート
ルほどの巨大な4個の風船が床に落ちないようにラリーを続ける「風船バレー」や、紙皿
に載せたカラーボールを落とさないように運ぶ「ボール運びリレー」などに歓声を上げた。
脳性まひで車いすを使う稚内市の小学4年小島柊音(ゆうの)君(9)と参加した母親
のまゆ子さん(38)は「息子は普段、学校と家の往復だけで、たくさんの人と触れ合う
機会がない。2日間みんなの中で楽しそうで良かった」と話していた。
(斉藤千絵、佐々木
風人)
施設の子供らに出張美容室…道具購入支援Tシャツ販売
読売新聞
2014 年 8 月 12 日
販売されているTシャツ。売り上げの半分がカットの道具などの
購入費に充てられる(大阪市西区で)
児童養護施設で暮らす子供たちに、施設内で美容室気
分を味わってもらおうと、大阪・ミナミやキタの美容師
らが道具などを購入するための協力を呼びかけている。
これまでもボランティアでカットを行っているが、私
物などで対応してきた。Tシャツを販売し、購入費に充
てる計画で、美容師らは「大きな鏡やきれいな椅子で特
別な時間を演出し、
より喜んでもらえれば」としている。
美容師らでつくる大阪市のNPO法人「CONCENT」が実施。施設で過ごす子の大
半は金銭面などで美容室に通うことが難しく、同法人は4年前から、2か月に1度施設に
赴き、カットを続けている。ボランティアを受け入れている施設の一つ、
「聖家族の家」
(大
阪市東住吉区)の担当者は「はやりの髪形にしてもらえ、楽しみにしている子供も多い」
と話す。
しかし、店の道具を持ち出して使うことはできないため、各自が私物のはさみやスタイ
リング剤を持ち寄っている。また、カットを行う際は使い古したクロスやパイプ椅子を使
わざるをえず、今回、道具などの購入費100万円を集めることにした。購入したものは
施設に寄付する。
2000円のTシャツが売れると、経費を差し引いた1000円分が協力金に充てられ
る仕組み。Tシャツのデザインは「印象に残るものを」と心臓マッサージの方法を伝える
ものとした。7月からインターネットなどで販売。目標の半額が集まっている。
活動に参加する美容室オーナーの西山由里子さん(45)は「ワックスでセットすると、
トイレの鏡で照れくさそうに確認する子供たちの姿が印象的。道具や機材を充実させ、心
から楽しんでもらいたい」と期待し、同法人の井上光昭・代表理事は「施設への支援や関
心が広がるきっかけにもなれば」と話している。(北口節子)
イブラが男気!知的障害持つ母国代表に寄付
日刊スポーツ 2014 年 8 月 12 日
「タフでなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない」とは、
作家レイモンド・チャンドラーの小説「プレイバック」の中で、探偵フィリップ・マーロ
ウが発するせりふである。そして、現代のサッカー界において、最もタフで、最も優しい
心を持った選手の1人が、パリサンジェルマンのスウェーデン代表FWズラタン・イブラ
ヒモビッチ(32)だ。
知的障害を持った母国代表に寄付したイブラヒモビッチ(写真は201
2年5月6日)
みなさんは「INAS世界選手権」というサッカーの大会
をご存じだろうか。これは知的障害を持った選手たちのW杯
で、4年おきに開催され、W杯のホスト国がINAS世界選
手権も開催するのが慣例となっている。02年には日本でも
行われ、今年はブラジルで11日に開幕した。
その大会にイブラヒモビッチの母国スウェーデンの代表チ
ームも参加している。ただ地元のアフトンブラーデット紙(電
子版)によると、当初はブラジルまでの遠征費を捻出するの
も一苦労だったという。5万1000ドル(約510万円)
を集めるために、スタッフたちは奔走。最終手段として、有
名サッカー選手に道具の寄付を要請し、それをオークション
にかけて、資金を捻出する方法にたどりついた。
何人もの有名選手に協力してもらったのち、イブラヒモビッチに「ユニホームを寄付し
てもらえないでしょうか?」と電話をかけた。すると同FWの返事は予想を超えたものだ
った。
イブラヒモビッチ ユニホームを売ったところで、いくらにもならないでしょう。遠征
費はいくらかかるんですか? 銀行口座を教えてください。
イブラヒモビッチは全額をポンと寄付。晴れてスウェーデンの知的障害者チームはIN
AS世界選手権に出場できることになった。スウェーデン協会のホームページによると、
イブラヒモビッチは気前よくお金を出した理由について「サッカーは性別や、健常者か障
害者かどうかなどにかかわらず、だれにでもプレーされるべきだ」と話しているという。
同FW自身は今年のW杯ブラジル大会には出場できなかった。欧州予選プレーオフで、
ロナルド率いるポルトガルに敗れると「オレの出ないW杯は見る価値がない」と言い放っ
た。だが母国がINAS世界選手権に出場することで、その悔しさが少しは和らぐのだと
いう。
「W杯出場を逃して、本当に落胆した。でもINAS世界選手権の話を聞いた時、オレ
のできることなら何でもしたいと思ったんだ。彼らを通じてW杯を経験できるんだからね」
。
ピッチでは闘争心をむき出しにしてゴールを狙うイブラヒモビッチだが、本当の強さを持
っているからこそ、ひとたびスタジアムを離れれば他人に寛容に、そして優しくなれるの
だろう。
重度知的障害:大阪高裁 刑事責任能力認め1審無罪を破棄 毎日新聞 2014 年 8 月 12 日
車を盗んだとして常習累犯窃盗罪に問われた重度知的障害者の無職男(37)=別の常
習累犯窃盗罪で公判中=に対し、大阪高裁は12日、刑事責任能力を否定し無罪とした1
審・京都地裁判決を破棄、懲役2年(求刑・懲役3年)の実刑を言い渡した。上垣猛裁判
長は犯行時は心神耗弱状態だったとして刑事責任能力を認めた。
東京都に匹敵
市では全国最多
明石市の弁護士職員7人に
神戸新聞 2014 年 8 月 13 日
兵庫県明石市は12日、任期付専門職として新たに弁護士と司法修習生計4人を10月
以降に採用すると発表した。勤務中の弁護士資格を持つ職員3人と合わせると計7人とな
り、東京都の9人に次ぐ人数で、市レベルでは全国最多となる見込み。
同市は2012年度に弁護士職員の採用を開始。当初は5人が勤務していたが、13年
度中に2人が自己都合で退職し、今年7月に2人程度を募集した。
新たに採用する4人のうち、3人は管理職として、障害者・高齢者福祉やいじめ問題、
市民からの相談などに対応する。1人は係長としてDV(夫婦間の暴力)対応などに当た
る予定。
任期は5年で、試験に合格すれば65歳まで更新できる。年間給与は7人で計約660
0万円。
兵庫県内では、県に2人、姫路、伊丹市に各1人の弁護士職員が勤務している。
自身も弁護士の泉房穂市長は「弁護士職員は(投入した)税金以上の仕事ぶりで、非常
にコストパフォーマンスがいい」と話しており、積極採用を進めている。
(新開真理)
<キラリ★人生>
障害者の通所施設開く
中日新聞 2014 年 8 月 13 日
施設を利用する男性の絵を見て、色の塗り方の丁寧さを褒め
る磯野興子さん=静岡市駿河区の「アトリエいろは」で
静岡市駿河区の住宅と町工場が並ぶ一角に、障害
者の通所施設「アトリエいろは」がある。所長で、
運営する合同会社「もも」の社長を務める磯野興子
(こうこ)さん(62)=同区=は、身内の介護を
きっかけに、介護・福祉サービスの世界に飛び込ん
だ。
「サラリーマンの妻だった私が今、こうしているのは、いろんな人の後押しのおかげ」
十六年前、母親(86)が骨折で七カ月間入院。その翌年、母の退院直後に夫(67)
が転んで頭を強く打ち、入院した。夫は一カ月以上、意識不明が続き、命が危ぶまれた。
夫の意識が戻り、リハビリ病院に転院した後、今後の介護に役立つのでは、と、ヘルパー
の資格を取った。
夫は自宅で機能回復に努め、まひは随分解消したが、新たな難問に直面した。高次脳機
能障害が残ったのだ。感情のコントロールが難しくなり、周囲と頻繁にトラブルを起こす
ように。磯野さん自身、夫からの暴力や罵声に悩まされた。
そんな折、知人から、ヘルパーの資格を生かして高齢者の訪問介護にパートで入ってく
れないか、と頼まれた。結果的にこれがよかった。夫との適度な距離が生まれ、関係が改
善された。夫は公的な支援機関が開く催しに参加するようになり、その時間を使って仕事
を増やしていった。
その後、高齢者の介護から障害者の介護に移り、ケアマネジャーの資格も取った。障害
者の自宅に居宅介護の仕事で行くうち、介助に不向きな浴室に困っている本人や家族、日
中の活動の場を望む人が多いのを痛感した。ちょうど所有していた古い倉庫の借り手がい
なくなり、物件の活用を考えていたころで、「この土地を使い、障害者が地域で安心して暮
らせるような通所施設をつくろう」と思った。
浴室には、重度障害者も入りやすい特別な浴槽を設置。一般企業への就職は難しいが、
内職はできる人に就労の機会を提供したり、より障害が重い人には入浴や食事の介助、創
作活動の機会を提供したりする。定員は二十人。小規模でさまざまなニーズに応えようと
考えた。
建物を建て、既存の事業所に貸して運営してもらおうと考えていたが、話がまとまらず、
自前で運営することに。建築時に福祉施設として問題がないかを確認してくれた施設管理
者の海野(うんの)浩二さん(60)が、事業所の申請でも、力を発揮。一昨年十一月に
開所にこぎつけた。
施設には知的、精神、身体の障害のある人が車の送迎で通っている。安全ピンの部品を
組み立てたり、塗り絵や散歩をしたりして過ごす。
「いずれは障害者用の住居をつくり、地域の方と障害のある人が気軽に交流できる場も
つくっていけたら」と抱負を語る。 (佐橋大)
嚥下サポート食:「とろみ」を付けて水分補給
毎日新聞 2014 年 08 月 12 日
連日、全国で日中の気温が30度を超える真夏日が続いており、熱中症や脱水症状への
注意が促されている。予防には冷房の活用や、適度な水分補給が必要とされているが、脳
卒中の後遺症によるまひを持つ人や、重度心身障害者、要介護の高齢者などは飲み込む力
が弱く、水分は飲み込みにくいものとなってしまう。
水分や食物を飲み込む時に、食道に入らず気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と
いう。もしも、誤って水分や食物が気管に入ってしまった場合、飲み込みに問題が無い健
康な人であれば、せきなどで気管から押し戻したりすることができる。しかし、飲み込み
に困難がある人の場合、入りこんだ食物などがそのまま肺にとどまって炎症が起き、誤嚥
性肺炎になりかねない。
厚生労働省の統計によると、2013年の主な死因別死亡数の割合で肺炎は第3位。ま
た、肺炎が原因で死亡した75歳以上の7割が誤嚥性肺炎で占められている。
食物を口から胃まで運ぶ「飲み込み」を嚥下(えんげ)と言い、口から入った食物が気
管に入り込まず食道へ送られるためには、飲み込む力と気管に入らないようにふたをする
機能が働く必要がある。ところが、まひや障害により飲み込む力が弱くなったり、気管に
ふたをする機能が衰えたりすると、誤嚥を引き起こす。これを防ぐために、口腔(こうく
う)ケアや食べる姿勢が重要になるが、この際、飲み込みを助けるのが「とろみ」だ。
一般に焼き魚やゆで卵のようなパサパサした食物や、もちのようにべたつくものが飲み
込みにくい食品として知られているが、水分はのどを通過する速度が速すぎるため、気管
に入らないようにするのが間に合わなくなり、むせてせき込むことになる。この場合、水
分に「とろみ」を付けることで、のどを通過するスピードを遅め、気管に入り込みにくく
することができるという。
嚥下に困難をもつ人向けに嚥下補助食品を開発・販売するニュートリー社によると、「初
めからゼリー状になっていてふたを開けるだけで水分補給ができる製品もあるが、市販の
飲料に混ぜ簡単にとろみを付けることができる製品もある。それらを上手に利用して、水
分補給することで熱中症予防に役立てて欲しい」という。同社ホームページには製品の通
販だけでなく、嚥下サポート食のレシピなどもある。お問い合わせはニュートリーホーム
ページ(http://nutri-shop.jp/)まで。【千貫朋子】
埼玉)
「障害者トイレ改善を」 母子の願い、議会動かす
秩父市議会に出された「秩父市のユニバーサ
ルデザイン化に関する請願」が6月の定例会で、
全会一致で採択された。呼びかけたのは、自ら
も障害者の親で秩父市在住の主婦、勝又紀子さ
ん(38)
。車いすでも利用できる障害者用トイ
レの整備・改善を求める内容で、請願に賛同す
る約4千人分の署名も出された。
朝日新聞 2014 年 8 月 13 日
勝又紀子さんとしのちゃん親子。右側のベッドは小さく、
しのちゃんが横になれない=秩父市
勝又さんの長女しのちゃん(7)は、生後6カ月で難病のウエスト症候群と診断され、
話すことも歩くこともできない。介護のため2年前に17年間勤めた会社を辞め、夫婦で
しのちゃんと長男(2)の2人を育てている。
請願のきっかけとなったのは、遠足で障害者用トイレを使った時の実体験だ。しのちゃ
んが昨春、県立秩父特別支援学校に入学して間もなく、親子で秩父ミューズパークに遠足
に行った。長さ3キロ幅18メートルほどの遊歩道があり、車いすでも安心して過ごせる
場所だ。
“谷間”の若者に働く力を 中間的就労の場づくり
大阪日日新聞 2014 年 8 月 13 日
大阪府は、引きこもりや高校中退といった事情で就労に踏み出せない若者が、支援を受
けながら短時間勤務などで働く力を磨く「中間的就労」の場づくりを図っている。福祉や
職業紹介で対応できない公的制度の“谷間”にいる若者に自立の機会を提供するのが狙い。よ
り効果的な取り組みをどこまで地域で定着させていけるかが問われている。
中間的就労の対象者は、障害者雇用の対象ではないものの、ハローワークなどで求職活
動をしても就職や働き続けるのが困難な層。支援者が一人一人の状況に応じたサポートを
し、週数日で短時間勤務といった形で実際の業務に従事させながら一般就労に向けた訓練
を行う。
府は子どもや若者が再チャレンジできる仕組みづくりの一環で2013年度末、5団体
に事業委託。農業やカフェ運営、製造業など多様な職
種を用意した。報償費を支払って労働者としての自覚
や責任感を育む団体も多い。長期間支援し続けるので
はなく、3カ月といった期間を区切って対応し、年度
内に100人程度を就労に結び付ける方針だ。
中間的就労の場の一つとして新設した「チャシツ ファクトリ
ー」を紹介する塩山代表(左端)=4日午前、大阪市西区のハ
ローライフ
■場の自立も目標
若者の就労支援施設「ハローライフ」を運営するNPO法人スマイルスタイル(大阪市
西区)は4日、施設内で新設した菓子製造スペース「チャシツ ファクトリー」の内覧会
を実施。すでに菓子作りの練習を積んだ訓練生が、納品の時間に向けてそれぞれの役割を
果たしていた。
体調を崩して無職期間があった奈良県の男性(35)は週3回のペースで働き「チームプ
レーをするときの指示の出し方を学べた」と手応えを感じており、施設での訓練と並行し
てアルバイトに挑戦していくという。
塩山諒代表は「最低賃金は稼げる力を参加者全員に身に付けさせていきたい」と意欲を
示す。独自製品も開発して採算面を合わせ、中間的就労の場として継続させていく構えだ。
■高校生にも機会
家庭の経済的事情などで働く必要がある高校生らも対象にしているのは一般社団法人
「officeドーナツトーク」
(同市淀川区)
。同市阿倍野区で7月にカフェを開設した。
近年はバイトをしようとしても団塊の世代などと競合して採用されにくい現状があると
いい、田中俊英代表は「まずはバイトの面接で受かる力を身に付けても
らい、長期バイトができるようになれば将来的に正社員を目指せるよう
になるのではないか」と展望を語る。
府はこのほど、就労訓練生を募集するチラシを2千部作製して府内市
町村や引きこもり関連の支援施設に配布。周知を図っている段階で、担
当者は中間的就労の場について「社会資源の一つとして各地域で永続し
ていけるモデルを築ければ」としている。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行