遺伝学的検査と遺伝サービスの適応範囲と還付金 Coverage and

遺伝学的検査と遺伝サービス の適応 範囲と還付金
Coverage and Reimburseme nt o f Genetic Te s ts and
Services
________________ ______________
遺伝、保健、社会に関する保健福祉長官諮問委員会報告書
Report of the
Secretary’s Advisory Committee on Genetics, Health and Society:
SACGHS
Feb ru ary 2 006
(h ttp ://www 4.od .ni h.go v/ob a/s acg hs .htm)
松 田一 郎
1
新川 詔夫
訳
訳者からのコメント
この報告文書の底流には、将来、遺伝医学とゲノム学が治療医学、予防医学、公衆衛生な
どに対して大きく寄与する可能性が高いとする認識がある。そこで、遺伝学的検査と遺伝
サービスを適切に利用するには、遺伝学的検査の分析的妥当性*、臨床的妥当性**、臨床的
有用性***などを厳しく評価すること、またその費用を適切に設定すること、さらに遺伝カ
ウンセラーや遺伝看護師などによる遺伝カウンセリングサービスを独立させて、特定の職
種として扱い、医療面での実務担当を円滑にしたいとする意向が汲み取れる。
遺伝学的検査の費用やカウンセリングの費用などについての提言などは大いに参考にして
よいであろう。しかし、アメリカの健康保険制度は日本と大きく異なり(米国の健康保険
制度は一般に、患者が先に医療機関に支払い、その領収書をもって保険会社・機関へ還付
金の請求を行う)、この報告はそうした事情下での提言であるだけに、わが国でそのまま当
てはめることができない憾みある。
こうした事情もあって、翻訳は、前書と要約についてのみ行なった。
* 分 析 的妥 当 性 (a nalytic a l valid ity): 検査が各検査施設で正確に行われているか
―つま
り、測定目的に叶う性質もしくは特性(property or characteristic)を正確に検査しているか、
という問題である。別の言葉で言えば、反復しても、また異なった検査所で検査しても同じ結果
が得られなければならない。
** 臨床的妥当性(c linic al va lidity): 臨床状況または素因の存在、または欠如を検査する際、
その診断の正確性を指す。まず一定の状況(condition)をもつある個人(逆にもたない個人に
ついて)について、その診断の成功率を検定しなければならない。
*** 臨床的有用性(clinic a l utility): 検査の有用性と検査を受けた人の情報の価値。もし検査
が有用なら、その結果
―陽性でも陰性でも―
それが提供する情報が効果的な治療に、または
予防措置に使用できるという意味である。治療や予防措置に有用でなくとも、その結果を知るこ
とでの便益はあるだろう。
2
前書
遺伝、保健、社会に関する保健社会福祉長官諮問委員会(SACGHS: Secretary’s
Advisory Committee on Genetics, Health and Society)は遺伝学的検査と遺伝
サービスの適応範囲とそれに要する還付金の問題は、それらに適切にアクセスし、医療
に定着させるための重要事項であるが、現在それにアクセスすることを制限している明
らかな障壁とデータ不足の状況が存在している。保健社会福祉省はそれらの障害を縮小
させ得る、もしくは除去させ得る力を持っていると信じている。
SACGHS は 2002 年に遺伝学的検査の開発と利用によりもたらされた人の健康と社会問題
について保健社会福祉長官(Secretary of Health and Human Services)にアドバイスを行
なう目的で作られた。この問題に関するスコープの視野は広く、従って最初の年は、委員
会は政策提言がヘルスケアに遺伝学とゲノミクスを取り込むことで、大きなインパクトが
もたらされる分野に焦点を当てることを目指して行動を開始した。委員会は遺伝学的検査
と 遺 伝 サ ー ビ ス が カ バ ー す る 範 囲 (coverage) と そ れ に 対 し て 還 付 さ れ る 費 用
(reimbursement)について、深く掘り下げた協議と解析を行なうことに高度の評価を下して
いる。委員会は、このカバー範囲と支払いの問題は遺伝学的検査とサービスに適切にアク
セスし、医療の場に取り込む際には重要な事項であると結論した。SACGHS は明らかな障
壁と必要なデータの不足が適切なアクセスと臨床への持込を制限していることを認識して
いる、そしてこうした障壁を取り除く、もしくは最小限に止めるように努力している。こ
の報告書は年余に渡る調査研究の結果(culmination)である。
委員会は(遺伝学的検査とサービスが)カバーする範囲と費用の問題は 2004 年 3 月に行な
われた専門家パネルによる第 3 回目の会合で取り上げた。パネルは臨床遺伝学者 2 人、基
礎医学研究者、薬理経済学者、遺伝学的検査領域の専門家それぞれ 1 人ずつ、メディケア
センターとメディケアサービスからの 2 人の正規職員で構成された。これらのエキスパー
トが持つバックグラウンドとデータは遺伝学的検査とサービス、同じく、それへの適切な
アクセスに対する障壁とギャップと関連した領域、及び還付金についての適切な見解を委
員会に提言した。
SACGHS は報告書作成のためのスタッフを指導するために、委員会メンバーと職権上の委
員(ex officio member)からなる専門調査会を作った。Cynthia Berry を委員長とする専
門調査会は 2004 年、委員会会議の間隙をぬって 1 日だけ開催されたが、その後カンファラ
ンスや e‐メイルを通じてしばしば相互に連絡した。
さらに、一般人がこの報告書の作成に情報を提供し、関与できる機会を作った。各会議が
3
終わる毎に概要報告書を作成し、口頭による供述書作成の機会を作り、記述によるコメン
トの提出を奨励した。2005 年 Federal Resister Notice を出版し、報告書の最終原稿前のド
概要版に一般人からのコメントを要請した。こうした要請に答えて、委員会は 83 に及ぶ機
関と個人からのコメント(Appendix C)を受け取った。
要約
遺伝学とゲノミクスの進歩は新たな遺伝学的検査と遺伝サービスを生んだが、それが適応
する領域とそのための費用の問題は、それらへのアクセスのし易さ(accessibility)とヘル
スケアシステムへの組み込みでの上で足枷になっている。この報告は遺伝学的検査と遺伝
サービスについて、適応範囲と還付金(coverage and reimbursement)の状況、及びこの
保険制度の問題点と障害について記載した。この問題については、SACGHS は遺伝学的検
査とサービスでの適応範囲と費用還付に関する機構上での障壁を除き、改善するために以
下のような提言を行なう。
提言 1:
証拠に基 づいた 適応範 囲の決 定 (Evi d enc e- based c over age dec i si onm aki ng)
ヘルスケアコストの制限、健康状態の結果改善への要求、品質についてのさらなる強化、
臨床利用のための新たな技術と手法の導入、これら全てがヘルスケアの費用支払い者に対
して、どのような検査やサービスを採用すべきか、どのような状況下でその費用の還付を
すべきか等の問題解決をめぐっての再検討を迫っている。健康保険プランではどの技術と
サービスを採用するのが適切かどうかの判断に際して、これまで証拠に基づいての適応範
囲の決定 (evidence-based coverage decision) が強調されてきた。しかし、情報に基づいて
何処まで適用するかを決定 (informed coverage decision) するのに必要な証拠は、多くの
遺伝学的検査と遺伝サービスでは、欠落している。更に、多くの遺伝病は稀で、しかもそ
の多くで治療や発症予防のオプションに欠けているのが現状であるし、また短期費用
(short-run cost) を短い時間枠では還付してもらうことが不可能なことを考えると、遺伝学
的検査と遺伝サービスをどこまでカバーするか、それを明らかにするのはかなり難しい。
1. 担 当 長 官 は 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 サ ー ビ ス の 適 応 範 囲 の 決 定
(cov er ag e
dec i si on- m ak ing ) を導く ための基 準設定 を行 なうため に、必 要な適 切なグ ルー
プを作る責任がある。ガイドの基準では、この報告書で規定された経済的評価/
コスト効 果 (ec on om ic ev alu atio n/co st‐ eff ec tiv en e ss)、予防、稀少疾 患の診
断 、治 療 効 果 、及 び 情 報 の 有用 性 を 含 んだ 課 題 を 取り 上 げ る べき で あ る 。 また 、
グループ は検査 の解析 的妥当 性 ( an aly tic al v ali di ty)、臨 床的妥 当性 (cl in ic al
vali di ty) 、臨床 的有用 性 (cli nic al util ity)を 検証する 証拠が 適切で あるか どう
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かを決め るため に、特定の 遺伝学 的検査 につて 、その タイプ 、質 、量に ついて 査
定すべき である。もしそ れがで きない なら、グ ループは それを 裏付け る全て のギ
ャップ (e vi de nti ary g ap s) につい て確認 する べきであ る。
このグル ープは 公的な セクタ ー(ア メリカ 合衆 国保健社 会福祉 省 [D e partme n t
of He al th an d Hum an Serv ice s ( HHS) Ag en cie s]) と民間 セクタ ーから の専
門家で構 成する べきで あり 、両セ クター の資源 とモデル を有効 に使用 するべ きで
ある。例えば このグ ループ は
キンググループ
実 践と予 防にお けるゲノ ム情報 の適用 の評価 ワー
(Ev alu ati on of Gen o mic Ap pl ic atio n s in Pr ac tice an d
Pre ven tion Wo rk ing Gr ou p) と 呼 ば れ 、 疾 病 制 御 と 予 防 セ ン タ ー (CCDP :
Cen ter f or Di se ase Co n tro l an d Pr ev en ti on) によって編 成され るべき である 。
それは双 方のセ クター からの 様々な 専門家 によ って構成 され 、関連 した業 務を遂
行する、 従って 、基準 開発の 仕事を 任せる こと が可能に なる。
さ ら に 、 こ の グ ル ー プ に よ っ て 明 ら か に さ れ た 証 拠 の ギ ャ ッ プ (ev id en ti ary
gap s)を 扱った 研究を 進める 、また 基金を 提供 する機構 が作ら れるべ きであ る。
提言 2:
民 間 健 康 保 険 業 界 に お け る メ デ ィ ケ ア の 影 響 力 (M ed ic are 's Inf lue nce o n
Priv ate In sur anc e M ar ke t)
メディケアはアメリカ合衆国では最大の健康保険プロバイダーなので、それが適応範囲
(coverage) に関して行なわれる論議は民間健康保険プランによって密接にモニターされて
きた。遺伝学的検査の多くは疾患の予防目的、出産目的、及び生活計画目的などについて
行なわれるので、また多くの遺伝病は 65 歳以下で発症するので、民間健康保険プランが予
測的遺伝学的検査及び易罹患性遺伝学的検査と遺伝サービスに関して、メディケアの適応
範囲決定に追従するのは適切といい難い。
2 . 公 的 、 及 び 民 間 支 払 い 機関 の 全 て に つ い て、 科 学 的 証 拠 を 利 用 し て 適 応範 囲 決
定の標準 化を行 なうこ とは理 想であ るが(提言 1 を参 照)、民 間健康 保険プ ラン
で は 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 サ ー ビ ス の 範 囲 決 定 には 、 彼 ら が 対 象 と し て い る 集 団
人 口 に 従 っ て 行 な う の が 望 ま し い 。 提 言 1 に 記載 し た グ ル ー プ は こ う し た 決 定
に必要な 科学的 証拠を 揃える べきで ある。
提言 3:
メ デ ィ ケ ア に よ る 適 応 範 囲 決 定 の 過 程 ( Me d icare C ov er age D eci si on m ak in g
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Proc e ss)
メディケアでの適応範囲決定は連邦国家レベルで、また州レベルで行われている。国レベ
ルでの決定は全ての受益者 (beneficiaries) を対象にしているが、州レベルでの決定は特定
の地域(全部で 28 州)に在住する受益者だけを対象にしたものである、それはそれぞれの
地域で様々であって同じではない。この二重構造は遺伝学的検査と遺伝サービスの範囲を
早く、且つ広くカバーするのに際しての障壁になっている。
3 . 担 当 長 官 は メ デ ィ ケ ア 及 び メ デ ィ ケ イ ド セ ン タ ー ( Cen ter f or Me dic ar e &
Me d ic ai d S ervic e s: C MS) を促 して、 合衆国 全体で対 応でき るよう に、ま た
メディケ アによ る適応 範囲政 策 (cov er ag e p ol i cy) に一貫性 をも たせる べく 、
新たに 地方で の適 応範囲 決定 の評価 プラ ンの 開 発を進 めるべ きで ある( この プ
ランはメ ディケ ア処方 薬、改善 、及び 近代化法 2003 ( Me d ic are Pr esc ri ptio n
Drug, Im pr ov em en t, an d M o der ni z atio n) の 731 条 に強制 的に従 うこと )。
731 条 実施の 一部と して、C MS は、地 方の一 定数のメ ディケ ア運営 委託業 者
(M ed ic ar e ad mi ni str ativ e co ntr ac tor s) に よ って 承 認 され た 遺 伝 学的 検査
と遺伝 サービ スの 適応範 囲の 全てつ いて 、全 国 的な適 応範囲 の検 討プロ セス が
自動的に 導入さ れるメ カニズ ムを考 えるべ きで ある。
提言4:
メディケ アでの スクリ ーニン グの除 外 (M e dic are Scre en ing Exc lu sion )
連邦法令は、特に議会が明確に認めない限り、メディケアが予防的サービスをカバーする
ことを抑制している。スクリーニングの除外は CMS 政策の中で、 兆候、症状、訴え、も
しくは個人的な罹患歴、もしくは損傷がない場合には、スクリーニングを目的とした検査
は、法令により特に認められた以外には、行なってはならない
と明記されている。CMS
は予測的遺伝学的検査、及び易罹患性遺伝学的検査をスクリーニング検査と位置づけ、こ
うした検査の範囲は議会によって明確に承認されていないので、メディケアはこれらをカ
バーしていない。このスクリーニングの除外問題は遺伝カウンセリングのメディケアの適
応範囲を制限している。
4 . 予 測 的 遺 伝 学 検 査 及 び 易罹 患 性 検 査 は 、 現在 は 兆 候 、 症 状 、 も し く は 個人 的 な
罹患歴が なくと も、臨床的 に有用 である 。こ う した予測 的遺伝 学検査 及び易 罹患
性遺伝学検査とそれに関係した証拠に基づいた標準サービスの提供はメディケ
アでカバ ーする べきで ある。
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担当長官 は連邦 議会に 働きか けて、 CM S が 国 全体とし て適応 範囲を 決定す るプ
ロセスに利用可能な予防サービスのための有用なカテゴリーを追加するべきで
ある、その 場合、どの 検査ま たはサ ービス を取 り入れる のが、現 在無症 状の人 の
発症予防、もしく は障害 発生予 防に役 立ち、従 ってカバ ーする べきで ある、と い
う決断を導くために必要となる現存している証拠にアセスすることも含むべき
である。
で きる だ け 早 期に 、 担 当 長官 は 場 合 によ っ て は 、 科学 的 証 拠 が保 証 す る よう に 、
ある 疾 患 の
個 人 的病 歴 ( p er so n al h i story )
は そ の 家族 の 病 歴を 含 む こと が
あり得る ことを 明確す るよう に C M S に 指示す るべきで ある。 こうし た改変 は、
メディケ アでカ バーす る範囲 の
理論 的で必 要 な
基準に 適合し て、ある疾 患の
家族歴を もつ人 を受益 者にす ること を可能 にす る。C MS はどの 時点で 家族歴 を
個人的病 歴とし て考慮 すべき か、そ の基準 をき める必要 性があ るだろ う。
提言 5:
メ デ ィ ケ イ ド * が カ バ ー す る 遺 伝 学 的 検 査 と 遺 伝 サ ー ビ ス の 適 応 範 囲 ( me dic ai d
cover ag e o f gen e tic te sts and servic e s)
新生児スクリーニングは例外として、遺伝学的検査と遺伝サービスでのメディケイド給付
金はオプショナルである。その結果、遺伝学的検査と遺伝サービスの適応範囲は国家予算
の削減によって影響を受ける。連邦政府のメディケイド基金が変われば、メディケイドで
カバーされている人々の遺伝学的検査と遺伝サービスへのアクセスが不安定になる。同様
に、全国的に見てメディケイドでカバーする範囲が違えば、遺伝学的検査と遺伝サービス
へのアクセスを統制のとれないものにする。遺伝学的検査と遺伝サービスへのアクセスの
国内での不均一性を是正するのには、事情をわきまえた上でメディケイドが適応範囲を決
める (informed medicaid decision coverage decision) ための情報と情報源が有用になる。
5.担当 長官は 、各 州政府 (S tate s) が 既に存 在 している 証拠に 基づい た情報 、さ ら
に遺伝学的検査と遺伝サービスを支持する情報、例えば適応範囲の決定
(cove r age de ci si on- m aking ) の 基 に な る 基 準 を ガ イ ド す る よ う な 情 報 を 取 得
す るこ と を 保 証す る べ き であ る ( 提 言1 を 参 照 )。 こ の情 報 は メ ディ ケ イ ド によ
る適応範 囲の決 定のた めに、 州政府 によっ て利 用される べきで ある。
補助金の 配分に あたっ て、保 健社会 福祉省 は適 切な証拠 に準拠 した遺 伝学的 検査
と遺伝サ ービス をカバ ーし、採 用し、提 供する ために、州 政府を 奨励し 続ける べ
きである 。
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*訳注:低所得者と障害者を対象とした医療保険
提言 6:
メディケ アの臨 床検査 料金計 画 (M e dic ar e Cl i nic al L abor atory F e e Sch ed ul e)
メディケアに支払い請求するプロバイダーの多くは、メディケアの検査料金は実際の検査
に要する費用に対して、インフレーションや、経済的、技術的変動に対応していないと主
張している。その結果、メディケアの検査料は遺伝学的検査の実費を反映していないこと
が多い。さらに、連邦議会は臨床検査料を 2009 年まで、2003 年の料金のままに凍結する
ことを決めている。そのことが受益者からケアへのアクセスを危険にし、支払われた税金
での不適切性 (misappropriation) に繋がるものなら、保健社会福祉省は支払いレベルを見
直すことができる職権(いわゆる当然の理由に基づく職権:"inherently reasonableness”
authority)を有している。
6.もし連 邦議会 が検査 料金凍 結を 2009 年に 解除する という のなら、担当長 官は遺
伝 学的 検 査 料 を、 実 費 を 反映 し た 支 払い に 改 め る べく 準 備 を 進め る べ き であ る 。
その間、長官は 固有の 合理的 権限 (i nh eren t r e aso n abl en ess author ity ) を行
使 し て 、 C MS に 遺 伝 学 的 検 査 に 関 す る 診 療 報 酬 請 求 料 金 表 (C P T: C urre n t
Proc e dur al Te rm in ol ogy co d e s) の支払 い率 の改変を 指示す るべき である 。
7. 提言
遺 伝 カ ウ ン セ リ ン グ サ ー ビ ス の 請 求 と 還 付 ( bi ll ing an d re im bur se men t f or
gen etic co un se li ng serv ice s)
遺伝カウンセリングは遺伝学的検査を適切に実施するに際して不可欠であるが、カウンセ
リングサービスに対して適切な報酬が支払われていない、この現状はこうしたサービスを
必要とする患者がアクセスする際に問題になる。この報酬問題は少なくとも 3 つ理由
(sources) を抱えている。第1に、現在の請求に対する CPT 規約が不適切である。遺伝カ
ウンセリングは少なくとも 2
3 時間を必要とする、しかし CPT 規約では極めて短時間に
設定されている。CPT 規約では時間を延長する道も残されているが、延長したサービスに
報酬が支払われることは極めて稀である。第2に、全ての遺伝カウンセラーがメディケア
に直接費用を請求できない点である。現在、看護師、医療助手、認定看護師、認定助産師、
臨床心理士、臨床ソーシャルワーカーは法令によってメディケアに直接費用請求できる。
非医師カウンセリング実施者 (non-physician counseling provider) は医師への付帯的請求
になる。また、もし自身のサービスについてメディケアに請求するなら、CPT 規約に従う
以外に選択肢はない。第 3 に、州からの認可は支払い者にとって資格のあるプロバイダー
と認定するための重要な信用証明物になる。しかし遺伝カウンセラーのライセンスは僅か 3
8
州でしか認定されていない。
7a. 全て のアメ リカ人 が遺伝 カウン セリン グサ ービスを 受ける 機会を 保障す るため
に、担当 長官は 以適切 な特定 領域 ( appr o pri ate en tity ) を迅速 に決定 しなけ
ればなら ない 。
(1)保 健専門 職 (he al th prof e ssi on s) は 遺伝カ ウンセ リング
を実施 するた めの 資格認 定を 行ない (遺 伝カ ウ ンセリ ングサ ービ ス、と 実施 者
について の議論は 49 ペー ジを参 照)、その 決定 を認定す る。(2) それは 医師
の指 導の な い (w i tho ut sup erv i sio n) 状況 下 で実 施可 能 であ るべ き であ るし 、
従って 彼らの サー ビスに つい て料金 は直 接支 払 われる べきで ある 。こう した 決
定がなさ れる特 定領域 は専門 家とし ての資 格、認可証、社会的 地位、実行範 囲、
それ以 外に適 切と 考えら れる 基準に よっ てガ イ ドされ る。多 くの 専門職 団体 の
資 格 認 定 基 準 ( cre d en ti alin g stan d ard s )、 例 え ば A mer ic an Bo ar d o f
Ge ne tic Co un seli ng and G en etic Nur si ng Cred en ti ali ng Com mi ssion が
基準点 (re fer enc e p oi nt) として 使用で きるだ ろう。現存す る資格 認定プ ログ
ラムは A p p en dix
B (遺 伝カ ウン セ リン グサ ービ スに 関す るワ ーキ ング グル
ープ報 告書) に記 載した 。も しもこ の検 討過 程 が保健 専門職 はそ れぞれ 独立 し
て仕事 をする こと が許さ れる べきと いう 結論 を 下すな ら、担 当長 官はメ ディ ケ
ア に 直 接 請 求 で き る 非 医 師 医 療 従 事 者 (non- ph ysi ci an pr actitio ner s) の リ
ストにこ の職業 を加え るべく 議会に 働きか ける べきであ る。
7b. 保 健 社 会 福 祉 省 は 現 存 し て い る C P T 評 価 及 び 取 り 扱 い 規 約
(E & M:
Evalu ati on & M an age me nt C o de s) の 適切性 、及び それに 関連し て生じ る遺
伝カ ウン セ リン グ サー ビス で の対 価価 値 (r el ative v alue ) を 査定 し なけ れば
ならな い。こ の査 定は遺 伝カ ウンセ リン グ実 施 者から の根拠 とな るデー タの 入
力によ って勧 めら れるべ きで ある。 保健 社会 福 祉省は 、適切 と考 えられ るな ら
如何なる 不備も 取り上 げなけ ればな らない 。
7c.
担当長 官は、 遺伝カ ウンセ リング を実行 す る資格が あると 認定さ れた 、また こ
れまで 医師に 付帯 的支払 いを 求めて いた 非医 師 医療従 事者に 、遺 伝カウ ンセ リ
ングにつ いて C PT 評価及 び取り 扱い規 約を全 面 的に使用 できる ように C MS に
指示する べきで ある。
7d.
担 当長官 は、全 ての HHS プロ グラム はそ れが合理 的で必 要性が あると 判断さ
れたなら 、サー ビスコ ードの 延長を 再考す るこ とを保証 するべ きであ る。
7.e
担 当 長 官 は 全 て の 非 医 師 医 療 従 事 者 が 国 家 プ ロ バ イ ダ ー 確 認 機 構 (N ati on al
9
Pro vi der Id en ti fi er) に、資格と して、健康プ ランに直 接費用 請求で きるよ う
に CMS を指示 するべ きであ る。
提言8:
プロバイ ダーの 教育と 訓練 ( Prov i der ed uc ati on an d tr ain ing)
遺伝学的検査はヘルスプロバイダーに、また直接消費者に市場開放されている。もしプロ
バイダーが遺伝学的検査の利用、解釈について適切に訓練を受けていなければ、彼らは患
者に対して不適切なサービスを提供しながら、患者からの支払いを要求することになろう。
プロバイダーは、患者がいつ遺伝学的検査を受けるのが適切か、また検査をいつ受けるか、
その決断を助けるために適切な遺伝教育と訓練をうける必要がある。遺伝に関する実際上
の知識 (working knowledge) が支払い側にも必要である、それは彼らが状況を知り、適切
にカバーする範囲を決める (informed and appropriate coverage decision) ことを助けて
くれるからである。
8. 遺伝 学的 検 査と 遺伝 サー ビ スは ヘル ス ケア の全 領域 に組 み込 ま れて いる の で、
また プロ バ イダ ーは 多様 な 集団 の中 で 遺伝 学的 検査 と遺 伝サ ー ビス の適 切 な利
用と アク セ スを 保証 する た めに 重要 な 役割 を持 って いる ので 、 ヘル スプ ロ バイ
ダー と支 払 い側 を遺 伝学 と ゲノ ム学 に つい て教 育、 訓練 する た めの プロ グ ラム
の必要性 は極め て高い 。
医療従 事者は 正確 な遺伝 学に 関する 知識 を身に つけ、 そこで 遺伝 学を効 果的 に
実 務 ( pr actice ) の中 に 取 り入 れ な けれ ば な ら な い。 長 官 は保 健 社 会福 祉 省機
関のた めに、 連邦 、州、 民間 機関と 共同 で遺伝 学やゲ ノム学 が関 与する ケー ス
スタデ ィーや 実際 モデル を開 発し、 目録 を作り 、配布 するプ ラン を開発 する べ
きである 。
担 当 長 官 は 遺 伝 学 の 教 育 と 訓 練 が も た ら す 保 健 上 の 成 果 (he alth ou tco me s)
に関する 影響力 を評価 するた めの経 済的支 援を 行なうべ きであ る。
担 当 長 官 は 遺 伝 学 や ゲ ノ ム 学 を 、 国 家 健 康 情 報 基 盤 ( N atio n al He al th
Inf orm ati on I nfr astruc tur e) を 含 む 保 険 社 会 福 祉 の 当 該 主 導 性 に 組 み 込 む
べく努力 するべ きであ る。
提言9:
社会の認 識 (P u bl ic Aw ar en e ss)
新しいヘルスケア検査 (health care test) と治療法に対する社会の認識は消費者の要求を
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生み出すことを可能にする。より大きな社会の認識と要求が新たに安全で、効果的な、そ
して適切な遺伝学的検査と遺伝サービスのカバー範囲を広げるのに役立つが、遺伝学検査
のもつ複雑性故に、遺伝学的検査や遺伝サービスに対して、誤った情報や、不適切な要求
をもたらす。
9 . 患 者 や 消 費 者 が ヘ ル ス 計画 を 通 じ て 受 け る便 益 や ヘ ル ス プ ロ バ イ ダ ー につ い て
評価を 下し、 彼ら 自身や 彼ら の家族 に最 も適 し た決定 を行な うた めには 、そ の
家族歴 、遺伝 、遺 伝学的 技術 に関す る確 実で 信 頼でき る情報 が必 要であ る。 担
当長官は 連邦政 府の w e b サイ ト、及び他 の適切 な公的情 報機関 を通じ て、遺 伝
学的検 査と遺 伝サ ービス につ いて決 定し た内 容 を伝え るため に教 育資源 を広 く
利用でき るよう に確保 するべ きであ る。
こうした提言を実施することで、適切なカバー範囲と支払い (appropriate coverage and
reimbursement) をヘルスケアシステムの中で確実なものにして、遺伝学的検査と遺伝サー
ビスへのアクセス及び利用の改善に助力するべきである。提言は第一義的には保健社会福
祉省に向けられているが、委員会は民間健康保険プランもこの問題に関連して明らかにさ
れた障壁を問題として取り上げるよう望んでいる。
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