ハーバード大学における取引機密窃盗事件に関して

平成14年7月15日
各
位
会 社 名 株式会社医学生物学研究所
代表者名 取締役社長 西田 克彦
(登録銘柄 4557
)
ハーバード大学における取引機密窃盗事件に関して
2002年6月19日にアメリカ司法省から「ハーバード大学メデカルスクールからの取引機
密窃盗の疑いで二人を告発」したとのプレスリリースが出された。
リリース記事は、「現在San Diego CA(サンデイゴ、カリフォルニア)在住の研究者二
人が、ハーバード大学メデカルスクール 細胞生物学教室においてリサーチフェローで
あった間の取引機密窃盗によって同大学から告訴され、ボストンの連邦法廷で発布され
た連邦申し立てにより、カリフォルニアで逮捕された。」との内容である。
『1997年2月27日頃から1999年12月31日頃までDr.ズー(Dr.Zhu)はハーバード ラボに
リサーチフェローとして雇用され、1998年10月1日頃から1999年12月31日頃までDr.金原
(KIMBARA)もまたハーバードラボのリサーチフェローとして雇用されていた。
Zhu とKimbaraは各々ハーバードに来て参加契約に締結し、その中で、大学活動に関し
またその部としての行いとまず理解される発明もしくは発見は、ハーバードに譲渡され、
その義務はハーバードでの雇用が終了した後も継続することに同意した。
その法的また契約義務に関わらず、Zhu とKimbaraは共謀してハーバードに属する専有
で高度な市場価値のある学術情報をとり、それらをテキサス(Texas)に持ち出し、か
かる情報から、日本の企業と協力してそうした情報を資本化するもしくは、関連、派生
製品の作成、販売から利益を得る意図であると申し立てされた。』
同記事中で、逮捕された両名が発見した3つの新規遺伝子を、日本のバイオケミカル企
業に抗体を作製してもらう目的で日本に送ったとされており、また、リリース文の末尾
に「日本の企業は充分協力し、ハーバード大ハーバードMedical Schoolに総てのリサー
チデータと製品を返却した。」との記述がみられるが、当該企業が当社である可能性が
あるとの当社自身の判断により、事実関係を広く明らかにすることとした。
【事実関係の経緯】
1997年から1998年までの期間に、当社医学生物学研究所(MBL)は、ハーバー
ド大学メデカルスクール細胞生物学教室に研究者を派遣した。同教室からは抗体作成依
頼を受けて抗体の作成を行った経緯があることから、そういった関係の一環として、当
社では、ハーバード大学メデカルスクールの研究者からの抗体作成依頼を無償で引き受
けることが、慣行となっていた。
1999年に、ハーバードメデカルスクールの研究者である Dr.Zhu 及び Dr.KIMBARA か
ら、CSP 1 と CSP 2 という二つの遺伝子の抗体作製を依頼された。当社では、それらの
遺伝子は両名が同定したものであると理解していた。遺伝子を受け取ったときに、当社
はその特許および登録状態を確認したが、いずれも問題ないとの回答だった。しかし、2
000年7月になって、遺伝子の所有権と Dr.Zhu と Kimbara の両氏がそれらを使用する
権利をめぐる問題があったことが分かった。この情報を得た後、当社は直ちに細胞生物学
教室の教授に連絡をして、当社が遺伝子を受け取ったこと、そしてそれらに対する抗体
を当社が作成したことを知らせた。更にその教授に対しては、当社はそのような活動を
即座に中止し、遺伝子を即座に返還する用意がある旨を申し出た。しかしこの後は先月
Dr.Zhu と Kimbara の逮捕についてのニュースが報道されるまで、先方からは何の連絡も
なかった。
【事件の報道後の当社の対応】
○本事件は、“研究者と大学、研究者と研究者、研究者と企業”の関係をいかに築いて
いくかを当社に考えさせるものであった。事実の確認のみならず契約書、確認書を交わ
すことを含め関係の明文化の対処の必要性を感じている。日本において産学連携が本格
的に開始されようとしている時であり、また明確なガイドラインに基づきながらこのよ
うな協力関係を進めることができるようにするために、知的財産権について法整備を行
う段階にある。
○上記2名の研究者については、早期に適切な判断が下されるものと強く信じている。
犯罪とされる事実の背景が明らかにされることを産業界側からの期待としたい。
以上、当社は外国法律事務弁護士事務所に依頼をして、打ち合わせを行い事実関係を公
表することとした。
なお、今後新たな事実が判明次第、弁護士と相談のうえご報告させていただく予定でお
ります。
以上