(57)【要約】 【課題】 吸水性、保水性、分解性に優れ、植物支持体など

JP 2006-321905 A 2006.11.30
(57)【 要 約 】
【課題】 吸水性、保水性、分解性に優れ、植物支持体などとして使用できる適度な脆さ
と硬さとを有する吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】 イソシアネート化合物、ヒドロキシ化合物、ポリジメチルシロキサン−ポ
リオキシアルキレン共重合体からなる整泡剤、水及び/又は他の発泡剤等を反応させて得
3
られるポリウレタンフォームであって、密度が13∼70kg/m 、40%圧縮放圧後
の厚み減少が10%以上、圧縮降伏点歪みが10%以下、降伏点圧縮応力は40%圧縮応
力の±20%以内、かつ吸水時の40%圧縮応力が9.8∼196kPaの範囲にあり、
好ましくは、吸水速度が5mm/分以上、更に吸水率が70%以上の保水性を有し、活花
用支持材等の植物固定支持材として好適な吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム。
【選択図】 なし
10
(2)
JP 2006-321905 A 2006.11.30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート化合物、ヒドロキシ化合物、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアル
キレン共重合体からなる整泡剤、水及び/又は他の発泡剤等を反応させて得られるポリウ
3
レタンフォームであって、密度が13∼70kg/m 、40%圧縮放圧後の厚み減少率
が10%以上、圧縮降伏点歪みが10%以下、降伏点圧縮応力は40%圧縮応力の±20
%以内、かつ吸水時の40%圧縮応力が9.8∼196kPaの範囲にあることを特徴と
する吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
吸水速度が5mm/分以上である請求項1に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフ
10
ォーム。
【請求項3】
吸水率70%以上の保水性を有する請求項1又は2に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウ
レタンフォーム。
【請求項4】
生分解性を有する請求項1∼3のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフ
ォーム。
【請求項5】
吸水性樹脂を含有する請求項1∼4のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォーム。
20
【請求項6】
植物固定支持材として使用される請求項1∼5のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質
ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
活花用支持材として使用される請求項6に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォ
ーム。
【請求項8】
イソシアネート化合物、ヒドロキシ化合物、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアル
キレン共重合体からなるシリコーン系整泡剤及び発泡剤等を反応させてポリウレタンフォ
ームを製造する方法であって、下記、a)∼c)の条件をすべて備えることを特徴とする
30
、請求項1に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームを製造する方法。
a)イソシアネート化合物は、基本構造およびNCO価の異なる2種以上の化合物より
構成され、NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物を、全ポリイソシアネート化
合物中10重量%以上使用する。
b)水酸基価が600gKOH/kg以上で、平均官能基数が2以上であるヒドロキシ
化合物を全ヒドロキシ化合物中20重量%以上使用する。
c)シリコーン系整泡剤として、ポリオキシアルキレン鎖のオキシエチレン比率が50
重量%以上であり、ポリオキシアルキレン末端がキャップされた構造を持つポリジメチル
シロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を、ヒドロキシ化合物100重量部に対して
0.2重量部以上使用する。
40
【請求項9】
NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物を、全ポリイソシアネート化合物中1
5∼70重量%使用する請求項8に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製
造方法。
【請求項10】
NCO価25∼35%のポリイソシアネート化合物を、全ポリイソシアネート化合物中
10重量%以上使用する請求項8又は9に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォー
ムの製造方法。
【請求項11】
NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートである請
50
(3)
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求項8∼10のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項12】
NCO価38%以上のイソシアネート化合物が脂肪族ポリイソシアネートである請求項
8∼10のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項13】
脂肪族ポリイソシアネートがリジントリイソシアネートである請求項12に記載の吸水
性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項14】
水酸基価が30∼120gKOH/kgのポリオールを、全ヒドロキシ化合物中5∼7
0重量%使用する請求項8∼13のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフ
10
ォームの製造方法。
【請求項15】
ヒドロキシ化合物の一部又は全部がリグノセルロース、デンプン、糖類等のバイオマス
物質である請求項8∼14のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム
の製造方法。
【請求項16】
水酸基価が600gKOH/kg以上のヒドロキシ化合物中、少なくとも40重量%は
水酸基価880gKOH/kg以上である請求項8∼15のいずれかに記載の吸水性連続
気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項17】
20
水酸基価が880gKOH/kg以上のヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの2価又は3価の低分子量ポリオール
、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、グルコース、サッカロースなどの糖類から
なる群から選択される少なくとも1種である請求項16に記載の吸水性連続気泡硬質ポリ
ウレタンフォームの製造方法。
【請求項18】
水酸基価が880gKOH/kg以上のヒドロキシ化合物中、グリセリンを40重量%
以上使用する請求項17に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項19】
分子内にオキシエチレンを20重量%以上含有するポリオールをヒドロキシ化合物中1
30
0重量%以上使用する請求項8∼18のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォームの製造方法。
【請求項20】
分子内にオキシエチレンを50重量%以上含有するポリオールをヒドロキシ化合物中1
0重量%以上使用する請求項8∼19のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタ
ンフォームの製造方法。
【請求項21】
ポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレンを50重量%以上含有するポリオキシアル
キレン誘導体を、ヒドロキシ化合物100重量部に対して10重量部以上使用する請求項
8∼20のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
40
【請求項22】
ポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレンを50重量%以上含有する前記ポリオキシ
アルキレン誘導体が非電解質である請求項21に記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタン
フォームの製造方法。
【請求項23】
ポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレンを50重量%以上含有する前記ポリオキシ
アルキレン誘導体の分子量が600∼1500である請求項21又は22に記載の吸水性
連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項24】
フォーム構成成分中80重量%以上が分子量1300以下の化合物よりなる請求項8∼
50
(4)
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23のいずれかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項25】
発泡組成に吸水性樹脂を添加してから発泡することを特徴とする請求項8∼24のいず
れかに記載の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法に関し、更に詳
しくは、自己吸水性、保水性を有し、かつ適度な脆性及び強度により、例えば活花用支持
10
材(フラワーアレンジメント)等の植物固定支持材として使用した場合の、差込性、支持
性及び保水性を有する吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム並びにその製造方法に関
する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活花用支持材等の植物固定支持材の分野には、フェノール樹脂フォームや硬
質ポリウレタンフォーム等の合成樹脂フォームが利用されている。特に、フェノール樹脂
フォームは最も幅広く使用されている合成樹脂フォームであり、適度な脆性と強度を備え
ているため、活花用支持材としては独占的に使用されてきた。
【0003】
20
しかしながら、フェノール樹脂は、酸触媒により硬化を行うため、活花用支持材等の植
物固定支持材として使用した場合、保水した水のPHが下がり、活花の寿命が短くなる、
使用者の肌が荒れるなどの弊害が生じるおそれがある。また、最近では、ホルムアルデヒ
ド放出の可能性のある素材は敬遠されつつあり、一部にはフェノール樹脂フォームの不買
運動も起こっている。また、従来は、緑色の顔料を加え、支持する植物に同化し、目立た
ないフォームが一般的であったが、最近は、フォームの色にも芸術性を求め、多彩な色合
いが求められるようになったが、フェノール樹脂自身が酸化されやすく、使用前、使用中
において、早期に褪色するといった問題があった。
【0004】
一方、硬質ウレタンフォームについても、数多くの研究が進められてきている。硬質ウ
30
レタンは、軟質ウレタンとは異なり、形状回復性がないため、フォーム自身が自動吸水す
ると同時に、気泡がほぼ完全に連続気泡化(連続気泡率98%以上)しなければならず、
自動吸水性を付与した上に、フェノール樹脂フォームのような強度を付与することは困難
で、活花用支持材としての要求特性を満足することはできなかった。その理由は、以下の
ようなものである。即ち、従来の吸水性ポリウレタンフォームの殆どが、イソシアネート
との反応性が異なる少なくとも2種類のポリオールを使用することにより、連続気泡化を
図り、また、イソシアネートインデックスを下げ、フォーム内のOH基を残すことにより
親水性を付与するというものであった(例えば、特許文献1∼4等参照。)しかしながら
、これらの手法では、連続気泡化が不十分であり、残った独立気泡には水が入り込まず浮
力を与えることから、吸水が十分に行われず、また低イソシアネートインデックスによる
40
処方は、フォームに柔軟性をもたらし、目的とする植物の支持材として要求される差込性
、支持性、吸水性の全てを満足するものではなかった。
【0005】
また、前記のような従来の吸水フォームとは異なる手法で、差込性、支持性、吸水性を
備えたフォームも提案されている。これは、フォームの構造を、ウレタン結合ではなく、
イソシアヌレート結合を形成させることにより、フォームに脆性を付与する一方で、フォ
ームの吸水性は、特定の整泡剤、オキシエチレンを一定量以上含むポリオールと共に、ポ
リオキシアルキレン誘導体等の界面活性剤を使用することにより付与するというものであ
る(例えば、特許文献5参照。)。このフォームは、吸水性、保水性及び差込性ではフェ
ノール樹脂フォームには及ばないものの、従来の硬質ウレタンフォームよりは一段諸物性
50
(5)
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のバランスのとれたものであった。しかし、イソシアヌレート結合は、非常に疎水性の構
造であるため、このようなフォームは、使用中に界面活性剤などの親水性成分が流出した
場合、吸水性が大きく低下することがある。
【0006】
また、フェノール樹脂は、有機体であるにもかかわらず不燃性であるため、フォームを
活花用支持材として使用した後、投棄する段階になって、後処理が問題となる。即ち、フ
ェノール樹脂フォームは、燃えにくい素材であることから、高温での燃焼が必要であった
り、埋立処理が行われる。このため、環境保全の面からも、易燃焼性であったり、生分解
性を備えたフォームの開発が強く求められるようになっており、例えば、糖蜜などの植物
成分を、2価又は3価のポリオールに溶解し、ついてポリイソシアネートを添加し、触媒
10
の存在下、反応させてなる生分解性ポリウレタンの製造方法が提案されている(特許文献
6参照。)。しかし、この生分解性付与の手法を前記イソシアヌレート結合により製造さ
れるフォームに応用しようとしても、フォームの基本骨格となるイソシアヌレートは、イ
ソシアネートの6員環トリマーあるので化学的に安定であり、また、主に使用されるヒド
ロキシ化合物においても、高分子ポリオールが使用されていることから、生分解・加水分
解などによる処理は期待しにくく、また、高分子ポリオールであるが故に、バイオマス成
分との相溶性が悪く、満足なフォームを得ることが出来ない。
【特許文献1】特開昭46−741号公報
【特許文献2】特開昭48−25098号公報
【特許文献3】特開昭49−97897号公報
20
【特許文献4】特開平2−14209号公報
【特許文献5】特開2000−248039号公報
【特許文献6】特許第2663390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点に鑑み、優れた吸水性、保水性、差込性、支持性及び植
物生育適性を併せ持ち、例えば活花用支持材等の植物固定支持材として好適で、しかも使
用時及び使用後に環境に優しい吸水性フォームを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
30
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、従来のポリウレタンフォームの諸問題をふ
まえて鋭意研究を重ねた結果、硬質ポリウレタンフォームを製造するに当たり、特定のN
CO価のイソシアネート、即ち、NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物を用い
ること、好ましくは、NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物と、これと基本構
造及びNCO価の異なるポリイソシアネート化合物との混合物、好ましくはNCO価25
∼35%のイソシアネート化合物との混合物並びに水酸基価が600gKOH/kg以上
のヒドロキシ化合物及び特定のポリオキシアルキレン誘導体からなるシリコーン系整泡剤
3
を用いることで、フォーム密度が13∼70kg/m 、40%圧縮放圧後の厚み減少が
10%以上、圧縮降伏点歪みが10%以下、降伏点圧縮応力は40%圧縮時の応力の±2
40
0%以内、かつ吸水させたフォームを40%圧縮した時の応力が9.8∼196kPaの
範囲にあり、更に好ましくは、吸水速度が5mm/分以上、吸水率が70%以上の保水性
を有し、本発明の目的に適したフォーム並びにその製造方法を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、イソシアネート化合物、
ヒドロキシ化合物、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体からなる整
泡剤、水及び/又は他の発泡剤等を反応させて得られるポリウレタンフォームであって、
3
密度が13∼70kg/m 、40%圧縮放圧後の厚み減少が10%以上、圧縮降伏点歪
みが10%以下、降伏点圧縮応力は40%圧縮応力の±20%以内、かつ吸水時の40%
圧縮応力が9.8∼196kPaの範囲にあることを特徴とし、活花用支持材等の植物固
50
(6)
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定支持材として好適なフォームであり、好ましくは、吸水速度が5mm/分以上、更に吸
水率が70%以上の保水性を有する前記フォームである。
【0010】
また、上記のような、植物固定支持材として好適な適度な吸水性、脆性、強度等を備え
た本発明に係る吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームを製造する方法は、イソシアネ
ート化合物、ヒドロキシ化合物、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合
体からなる整泡剤及び発泡剤等を反応させてポリウレタンフォームを製造する方法であっ
て、下記、a)∼c)の条件をすべて備えることを特徴とする。
a)イソシアネート化合物は、基本構造及びNCO価の異なる2種以上の化合物より構
成され、NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物を、全ポリイソシアネート化合
10
物中10重量%以上使用する。
b)水酸基価が600gKOH/kg以上であり、平均官能基数が2以上であるヒドロ
キシ化合物を、全ヒドロキシ化合物中20重量%以上使用する。
c)ポリオキシアルキレン鎖のオキシエチレン比率が50重量%以上であり、ポリオキ
シアルキレン末端がキャップされた構造を持つポリジメチルシロキサン−ポリオキシアル
キレン共重合体をヒドロキシ化合物100重量部に対して0.2重量部以上使用する。
【0011】
好ましい実施の形態としては、前記NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物を
全ポリイソシアネート化合物中15∼70重量%使用する、またNCO価25∼35%の
ポリイソシアネート化合物を、全ポリイソシアネート化合物中10重量%以上使用する、
20
前記NCO価38%以上のポリイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートである
、前記NCO価38%以上のイソシアネート化合物が脂肪族ポリイソシアネートであり、
更には前記脂肪族ポリイソシアネートがリジントリイソシアネートである。
【0012】
好ましい実施の形態としては、前記ヒドロキシ化合物として、水酸基価が30∼120
gKOH/kgのポリオールを全ヒドロキシ化合物中5∼70重量%使用する、ヒドロキ
シ化合物の一部又は全部がリグノセルロース、デンプン、糖類などのバイオマス物質であ
る、前記水酸基価が600gKOH/kg以上のヒドロキシ化合物中、少なくとも40重
量%は水酸基価880gKOH/kg以上である、水酸基価が880gKOH/kg以上
のヒドロキシ化合物が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプ
30
ロパンなどの2価又は3価の低分子量ポリオール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビト
ール、グルコース、サッカロースなどの糖類からなる群から選択される少なくとも1種で
ある、水酸基価が880gKOH/kg以上のヒドロキシ化合物中、グリセリンを40重
量%以上使用する、ヒドロキシ化合物中、分子内にオキシエチレンを20重量%以上含有
するポリオールを10重量%以上使用する、分子内にオキシエチレンをヒドロキシ化合物
中50重量%以上含有するポリオールを10重量%以上使用する、というものである。
【0013】
また、好ましい実施の形態としては、前記イソシアネート化合物、ヒドロキシ化合物及
びシリコーン系整泡剤に加えて、更に、ポリオキシアルキレン鎖中オキシエチレンを50
重量%以上含有するポリオキシアルキレン誘導体を、ヒドロキシ化合物100重量部に対
40
して10重量部以上使用する。更には前記ポリオキシアルキレン誘導体が非電解質である
こと、前記ポリオキシアルキレン誘導体の分子量が600∼1500であることが、好ま
しい実施の形態である。
【0014】
さらに、フォーム構成成分のうち80重量%以上が分子量1300以下の化合物よりな
ること、また発泡組成に吸水性樹脂を添加してから発泡することも好ましい実施の形態で
ある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、フォーム密度が13∼70kg
50
(7)
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3
/m の範囲内であることから、活花用支持材等の植物固定支持材として適切な気孔率を
有し、水分の保持や植物の生育に適する。また、圧縮降伏点歪みが10%以下であること
から、フォームが適度の脆性を有し、活け花等の植物の差し込みが容易である。さらに、
40%圧縮放圧後の厚み減少が10%以上であることから、活花用途等においては植物の
差込抵抗性が少なく、フラワーアレンジメント等を容易とする。また、吸水させたフォー
ムを40%圧縮した時の応力(40%圧縮応力)が9.8∼196kPaの範囲にあるこ
とから、植物固定支持材として必要な強度を備える。更に、吸水速度が5mm/分以上で
あれば、速やかな吸水性を示し、また吸水率70%以上の保水性を有することで、植物に
長時間、水分を提供することができる。
【0016】
10
従来、植物固定支持用には、ポリウレタンフォームを含む多用な材料が開発されてきた
が、切り花市場では、フェノール樹脂フォームがほぼ独占的に使用されてきた。これはフ
ェノール樹脂フォームが、使用にあたっての第一の特徴、即ち吸水性、吸水率及び支持性
等、実用性に優れ、他の追従を許さなかったためである。しかしながら、環境問題が盛ん
に取り上げられる昨今においては、フェノール樹脂フォームは、第二の特徴ともいえる廃
棄性が十分とはいえなかった。即ち、フェノール樹脂フォームの場合、容易に圧縮減容す
ることができるが、難燃性であることから、不燃ゴミとして取り扱われており、また生分
解性も低い。一方、硬質ポリウレタンフォームの場合、第一の特徴である実用性をある程
度満足するフォームとしては、唯一、活性水素を含まないポリオキシアルキレン化合物を
含むイソシアヌレートフォームの提案がなされている(前記、特許文献5参照。)。この
20
フォームでは、吸水性をヒドロキシ化合物に由来する水酸基によらず、活性水素を含まな
いポリオキシアルキレン化合物により確保し、フェノール樹脂フォームに類似した物性を
有するフォームを得ているが、保水性、再吸水性等の面においては、未だ不十分である。
また、このイソシアヌレートフォームは焼却は可能であるものの、イソシアヌレート結合
は、難燃性ポリウレタンフォームの処方としてしばしば用いられるようにポリウレタンを
構成する複数の結合において最も化学的に安定で燃えにくい結合であり、またフォームの
生分解性、加水分解性等の分解性は期待できない。
【0017】
これに対し、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、イソシアネート化
合物、特定のヒドロキシ化合物、特定のシリコーン系整泡剤及び発泡剤、更に好適には、
30
ポリオキシアルキレン鎖中オキシエチレンを50重量%以上含有するポリオキシアルキレ
ン誘導体を使用することにより、より吸水性、吸水率、差込性及び分解性が高く、植物固
定支持材分野に好適に使用され得る吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームを提供する
ことができた。
【0018】
また、本発明では、硬質用ポリオールを、イソシアネートインデックスおよそ100%
前後反応させることにより、フォームに強度を付与し、また、ポリオキシアルキレン鎖の
内、50重量%以上オキシエチレンを含有するポリオキシアルキレン誘導体を使用するこ
とによりフォームがより親水性となり、反応性の高い硬質ポリウレタン用のポリオールと
イソシアネートのゲル化反応をマイルドにすることで、スコーチの起こりやすい高反応性
40
ポリオールにおいても、スコーチを起こりにくくし、その結果、高反応性ヒドロキシ化合
物の使用量を増やすことが出来る。
【0019】
上記のようにして得られる本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームを構成す
る結合は、アルコールとの反応によるカーバメートが主に形成されていると考えられ、イ
ソシアヌレート結合が主として形成されているフォーム(前記特許文献5参照。)とは構
造が異なり、該イソシアヌレートフォームに較べてより可燃性であり、かつ生分解、加水
分解等の分解性の点においても優れたものである。
【0020】
このように、従来、活花用支持材等の分野にはフェノール樹脂フォームやポリウレタン
50
(8)
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フォームが利用されてきたが、廃棄性、即ち、可燃性、生分解性、崩壊性と、実用性、即
ち、吸水性、吸水率等とを同時に満足するものではなかった。本発明によれば、植物固定
支持材等の分野で要求される吸水性、差込性、支持性等の実用性に優れ、しかも加水分解
性、生分解性、崩壊性等の廃棄性にも優れ、環境負荷の小さいポリウレタンフォームを提
供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法について、
更に詳細に説明する。
【0022】
10
まず、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、従来、吸水性フェノール
樹脂フォームが用いられていた分野、即ち、植物固定支持材、とりわけ、剣山の代替とな
る、切花等の活花の支持等のフラワーアレンジメントで使用される活花用支持材の分野及
び草花等の植物の輸送のための支持材等の分野で使用される。切り花等の活花用支持材並
びに草花輸送用固定支持材の場合、植物固定支持用ポリウレタンフォームとしては、密度
3
が13∼70kg/m であって、10%以下、より好ましくは6%以下の歪みで降伏点
が生じ、発泡方向に対して平行の40%圧縮応力が発泡方向に対して平行方向の降伏点圧
縮応力のプラス20%乃至マイナス20%の範囲にあり、また同時に、発泡方向に対して
直角方向の40%圧縮応力が、発泡方向に対して直角方向の降伏点圧縮応力のプラス20
%乃至マイナス20%の範囲にあり、40%圧縮放圧後の厚み減少が10%以上で、しか
20
もフォームを飽和まで吸水させた際の10%乃至40%圧縮応力が、発泡方向に対して平
行方向並びに発泡方向に対して直角方向ともに9.8∼196kPaの範囲内にある硬質
ポリウレタンフォームが好ましい。ここで、前記「降伏点」とは、発泡体(フォーム)に
一定速度で力を加えていったとき、圧縮量(ひずみ)の増大に伴い抵抗(応力)が比例的
に上昇するが(応力−ひずみカーブ)、応力の上昇が急激に停止し又は逆に応力が減少し
、圧力を解放しても形状が元に戻らなくなる点をいい、降伏現象が起こる点の応力を降伏
点応力といい、歪みは降伏点歪みという。また、前記「圧縮方向」とは、発泡体(フォー
ム)の製造(調製)時、発泡原料を混合後、枠などの容器に入れて(この時点では原料は
液状)発泡(膨らむ)させながら硬化させるのであるが、この発泡による体積増大の方向
を「発泡方向」という。通常は、容器状の型に対し、底に混合液が溜まるので、発泡は上
30
方向にすすむ。従って、上下方向が発泡方向に平行ということになり、横方向が発泡方向
に垂直ということになる。さらに、40%圧縮応力とは、発泡体(フォーム)を当初の厚
みから40%圧縮した時の応力(硬さ)をいう。また、圧縮降伏点が生じない、又は歪み
が10%を超えて圧縮降伏点が生じるようなものでは、フォームの差込性が不十分で、活
花等のフラワーアレンジメント用途には適用しにくい。また、40%圧縮応力が降伏点圧
縮応力のプラス20%を超える場合は、植物の差込に伴う抵抗が大きくなり、不適である
。一方、40%圧縮応力が降伏点圧縮応力のマイナス20%よりも低い場合は、植物に対
する支持性が不足し不適である。
【0023】
また、植物固定支持材にあっては、いずれの用途にあっても、フォームが迅速に吸水で
40
きるよう、連続気泡率が高いほど好ましい。連続気泡率及び吸水速度によっては、ニード
ル等によりフォームに穴を開け、吸水速度を高めることもできる。このような加工なしに
迅速に吸水せしめるためには、フォームの連続気泡率を98%以上、好ましくは100%
の連続気泡率にする必要がある。なお、連続気泡率は、ASTM−D−2856−70法
により求めることができる。
【0024】
また、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、植物固定支持材用途とし
ての作業性を考慮し、吸水速度が5mm/分以上が好ましい。尚、本発明における吸水速
度とは、自然の状態で水を吸収する速度をいい、縦11cm×横23cm×高さ8cmの
ポリウレタンフォームを静かに水に浮かべた状態で、自然に水を吸収し、フォームが水中
50
(9)
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に沈む速さを意味する。
【0025】
更に、フラワーアレンジメント用途に使用される活花用支持材としてのポリウレタンフ
ォームにおいては、フォームに保持された水分のみから植物に適宜水分を補給する必要が
あるため、吸水率が70%以上であることが好ましい。尚、本発明における吸水率とは、
縦11cm×横23cm×高さ8cmの直方体形状のフォームを完全に水面下まで沈めて
完全に吸水させた後、水から取り出し、ふるい(100メッシュ)の上で高さが23cm
となる方向に1時間静置した後の重量Wa(g)を測定し、下式により算出した数値であ
る。
吸水率(%)=100×Wa/(8×11×23)
10
【0026】
従来、前記のような、活花用支持材等の植物固定支持材として要求される脆性、強度、
吸水性等の特性の全てを満足するポリウレタンフォームは存在しなかった。即ち、本発明
の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームは、活花用支持材等の植物固定支持材として
好適な特性を有し、しかもフェノール樹脂フォームのような植物、使用者並びに環境に対
する弊害もない、全く新規な合成樹脂フォームである。
【0027】
次に、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法について説明する
。ポリウレタンフォームに、本発明の目的に適う適度な脆性を付与するためには、イソシ
アネート化合物として、基本構造及びNCO価の異なる2種以上のポリイソシアネートを
20
併用する必要がある。尚、本発明においては、基本骨格が同じであって、重合度のみ異な
るイソシアネート(例えば、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートとジフェニ
ルメタンジイソシアネート)や、イソシアネート化合物中のアルキル鎖の長さのみ異なる
同族体等は、それぞれ同一種と見なす。基本構造及びNCO価の異なる2種以上のポリイ
ソシアネートのうち、少なくとも一方は、NCO価38%以上のイソシアネート化合物(
以下、「イソシアネート化合物A」という。)を、全イソシアネート化合物中10重量%
以上使用する必要があり、より好ましくはイソシアネート化合物Aを15∼90重量%、
更に好ましくは20∼80重量%使用する。イソシアネートAとしては、より好ましくは
NCO価40%以上、更に好ましくはNCO価45%以上のイソシアネート化合物を用い
るのが良い。イソシアネートAとしては、例えば、2,4トリレンジイソシアネート、2
30
,6トリレンジイソシアネート、1,5ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート等の芳香族イソシアネートが使用でき、これらは単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。価格面からは、2,4トリレンジイソシアネート、2,6トリ
レンジイソシアネートの混合物が好ましい。また、フォーム廃棄の際の生分解性・崩壊性
や、フラワーアレンジメントなど芸術の分野における紫外線による変色(黄変)の抑制を
期待するのであれば、リジントリイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナ
ンジイソシアネート、ビス(イソサナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソ
シアネート等の脂肪族イソシアネートが良く、NCO価の高いリジントリイソシアネート
やヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。また、植物を支持するだけの強度を
付与するために、NCO価25∼35%のポリイソシアネート(以下、「イソシアネート
40
B」という。)を、全イソシアネート化合物中10重量%以上使用することが好ましい。
イソシアネートBとしては、例えば4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、シク
ロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げら
れ、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート及びその粗製品等が価格面から好ま
しい。イソシアネート化合物の混合比率は、用いるイソシアネート種、ヒドロキシ化合物
等により異なるが、好ましくはイソシアネートA:Bの比率が10:90∼80:20の
範囲になることが好ましい。イソシアネートAの割合が10未満の場合、フォームの脆さ
が低下し差込性が低下する傾向があり、イソシアネートAの割合が80を超える場合、フ
50
(10)
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ォームの強度が低下し支持性が低下する傾向がある。また、イソシアネートの使用量は、
イソシアネートのNCO基の当量数と全活性水素の当量数の比(イソシアネートインデッ
クス)が70∼130の範囲となる量であることが好ましく、更に好ましくはイソシアネ
ートインデックスが85∼120である。イソシアネートインデックスが70未満の場合
、フォームの強度及び脆性とも低下し、差込性及び支持性ともに低下する傾向がある。ま
た、イソシアネートインデックスが130を超えた場合、フォームの吸水性が低下する傾
向がある。
【0028】
本発明に使用するヒドロキシ化合物としては、水酸基価が600gKOH/kg以上、
より好ましくは880∼2000gKOH/kgのヒドロキシ化合物(以下、「ヒドロキ
10
シ化合物A」という。)を全ヒドロキシ化合物中20重量%以上使用する必要があり、3
0重量%以上がより好ましい。また、このヒドロキシ化合物Aの平均官能基数は2以上で
ある必要がある。ヒドロキシ化合物Aを前記の範囲で使用することで、フォームに圧縮降
伏点を付与し、かつ40%圧縮放圧後の厚み減少が10以上ある硬質フォームにすること
ができる。これは、フラワーアレンジメント等に使用される植物固定支持材等の用途の場
合の植物の差し込みに特に好ましい性質である。ヒドロキシ化合物の水酸基価が600g
KOH/kg未満であったり、又はその使用量が20重量%未満の場合、得られたフォー
ムの脆弱性が不十分で良好が差込性が得られない場合がある。ヒドロキシ化合物Aとして
は、例えば2価以上のアルコール、水酸基含有アミン化合物、多価アミノ化合物、有機カ
ルボン酸、アルキルフェノール等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアル
20
キルオキサイドを付加重合させたポリエーテル等が挙げられる。
【0029】
更に、ヒドロキシ化合物Aの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、サッカロース、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエレンジアミン、及びこれらを開始剤と
してエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられ
、価格、フォームの強度の面などからグリセリンが好ましい。
【0030】
また、ヒドロキシ化合物のうち、水酸基価が30∼120gKOH/kgのポリオール
30
(以下、ヒドロキシ化合物B」という。)を、全ヒドロキシ化合物中で5重量%以上使用
することが好ましく、ヒドロキシ化合物Bとしては、官能基数が3以上、水酸基価が40
∼80gKOH/kgがより好ましい。この種のヒドロキシ化合物Bは、前記高水酸基価
のポリオールであるヒドロキシ化合物Aとの相溶性が低いので、発泡の際に微小な相分離
を起こし、良好な連続気泡(連通性気泡)を有するフォームの形成に寄与する。ヒドロキ
シ化合物Bとしては、例えば、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン
)ポリ(オキシプロピレン)グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール等に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド等を反応させたポリオ
キシプロピレンポリオールやポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリオー
ル等が挙げられる。ヒドロキシ化合物Bの具体的な例としては、サンニックスGP300
40
0(三洋化成製)等が挙げられる。ヒドロキシ化合物Bの使用量は、全ヒドロキシ化合物
中の5∼70重量%、より好ましくは10∼50重量%である。ヒドロキシ化合物Bが5
重量%未満であると気泡連通化効果が不足する傾向があり、また70重量%を超えるとフ
ォームに柔軟性をもたらすとともに、フォームの保水性も低下させる傾向がある。
【0031】
上記のようなヒドロキシ化合物A及びヒドロキシ化合物Bの他に、吸水性及びフォーム
の硬さを向上する目的で、好ましくはオキシエチレンを20重量%以上含むポリオール(
以下、「ヒドロキシ化合物C」という。)、更に好ましくはオキシエチレンを50重量%
以上含むポリオールを使用することが好ましい。この場合、ヒドロキシ化合物Cを全ヒド
ロキシ化合物中で10重量%以上使用することが好ましく、より好ましくは15∼70重
50
(11)
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量%、更に好ましくは20∼50重量%である。ヒドロキシ化合物Cは、ヒドロキシ化合
物Bに属するものでもよい。ヒドロキシ化合物Cとしては、例えば、ポリオキシエチレン
グリコール、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)グリコール、グリセリン
、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等に、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイドを反応させたポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリオール
等が挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコール♯1000、サンニックスFA
103(いずれも、三洋化成社製)等が挙げられる。
【0032】
また、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造に際しては、フォーム
に生分解性、崩壊性等の特徴を付与するとともに、差込性を一層向上させるために、リグ
10
ノセルロース、デンプン、糖類等のバイオマス物質をヒドロキシ化合物の一部又は全部と
して使用することができる。バイオマス物質を使用する場合は、系全体の相溶性も考慮し
て、水や先に挙げたヒドロキシ化合物Aのグループのヒドロキシ化合物に溶解して使用す
ることが好ましい。バイオマス物質の例としては、グルコース、サッカロース、オリゴ糖
、デキストリン等の糖類、また、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、澱粉、糖蜜、
廃糖蜜等が挙げられる。
【0033】
更に、前記のようなヒドロキシ化合物の他に、所要のフォームの物性、連続気泡率等に
応じて、従来から一般的にポリウレタンフォームの製造に使用される他のポリオールを配
合してもよい。
20
【0034】
また、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造に使用する整泡剤は、
ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体からなるシリコーン系整泡剤であって、
ポリオキシアルキレン鎖のオキシエチレン含有率が50重量%以上であり、ポリオキシエ
チレン鎖の末端がメトキシ基などによりキャップされた構造を有するものが必須成分であ
る。オキシエチレン含有量が前記の範囲未満であったり、オキシアルキレン末端がOH基
を有すると、吸水性が劣るだけでなく、反応系全体の整泡性が落ちたり、良好なフォーム
が得られなくなる。オキシアルキレン末端にどうしてもOH基を導入したい場合は、ポリ
シロキサン−オキシアルキレン共重合体中のオキシアルキレン鎖数の25%以下となるよ
うにしなければならない。上記整泡剤の添加量は、全ヒドロキシ化合物100重量部に対
30
して0.2重量部以上であり、0.2∼10重量部であることが好ましく、0.5∼5重
量部が更に好ましい。整泡剤の添加量がヒドロキシ化合物100重量部に対して0.2重
量部未満であると、得られるフォームの吸水性が不十分になったり、気泡均一性が悪くな
る傾向があり、10重量部を超えて添加しても効果が増大せず、価格面で不利になる。ま
た、上記のシリコーン系整泡剤の他、必要に応じて、他の種類の整泡剤を併用することも
可能である。また、整泡剤と同時にジメチルポリシロキサンなどの公知の破泡剤を併用す
ることで、連続気泡率を高くするとともに、形状安定化を図ることも可能である。
【0035】
更に、本発明では、前記イソシアネート化合物、ヒドロキシ化合物及び整泡剤に加えて
、ポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレンを50重量%以上含有するポリオキシアル
40
キレン誘導体を更に使用することが好ましい。これはフォームに親水性を付与するととも
に、高水酸基価であるヒドロキシ化合物Aを多量に用いる本発明処方において、スコーチ
やボイドなどを抑える役割を果たし、良好な吸水性連続気泡フォームを得ることが出来る
。本誘導体は、発泡系全体の見かけ上の水酸基価を下げ、反応を穏やかにするため、イソ
シアネートと反応する活性水素は少ないほど良く、好ましくは水酸基価50gKOH/k
g以下、より好ましくは25gKOH/kg以下、更に好ましくは活性水素を含まない(
水酸基価0gKOH/kg)ポリオキシアルキレン誘導体であることが好ましい。ポリオ
キシアルキレン誘導体としてはポリオキシアルキレン脂肪族エーテル、ポリオキシアルキ
レンモノアルコール等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンモノオレイルエー
テル、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)モノオレイルエーテル、ポリオキシ
50
(12)
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エチレンジオレイルエーテル、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)ジオレイル
エーテル、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリ(オキシエチレン)(オキシ
プロピレン)モノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジラウリルエーテル、ポリ(オ
キシエチレン)(オキシプロピレン)ジラウリルエーテル等が挙げられる。また、ポリオ
キシポリオールの脂肪酸エステルでもよく、例えば、ポリオキシエチレンモノオレイン酸
エステル、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)モノオレイン酸エステル、ポリ
オキシエチレンジオレイン酸エステル、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)ジ
オレイン酸エステル等、その他、ラウリン酸、リノレン酸、ステアリン酸等のエステルが
挙げられる。
【0036】
10
前記ポリオキシアルキレン誘導体は、好ましくは分子量600∼1500の範囲が良い
。分子量が600未満であるとオキシエチレン鎖の長さが短く十分な親水性付与効果が得
られない傾向があり、また、気泡が崩壊しやすくなるため、保水率の高いフォームを得に
くくなる。分子量が1500を超えると、他の成分との相溶性が低下し良好な効果が得ら
れにくくなる傾向がある。また、前記ポリオキシアルキレン誘導体は、植物への影響を避
けるため、非電解質であることが好ましい。
【0037】
前記ポリオキシアルキレン誘導体の添加量は、全ヒドロキシ化合物100重量部に対し
て10∼500重量部、好ましくは100∼300重量部程度である。添加量が10重量
部未満では親水性の付与が不十分であり、500重量部を超えるとフォームの強度が低下
20
する傾向がある。
【0038】
本発明では、発泡剤としては、通常、水が使用される。実際には、この水とポリイソシ
アネートとの反応によって生成する炭酸ガスを利用するのであるが、便宜上、水を発泡剤
という。水の使用量は特に限定されるものではなく、通常、イソシアネートを除く発泡配
合物全体の0.5∼10重量%の範囲で、要求するフォームの比重により適宜配合すれば
よい。本発明に使用する発泡剤としては、水のみでも十分に目的を達成することができる
が、必要に応じて、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、1,1−ジクロロ−1−フル
オロメタン等の低沸点溶媒を使用することも可能である。
【0039】
30
本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの発泡は、ワンショット法でもプレ
ポリマー法でもよく、2種のイソシアネート化合物は発泡時に混合してもよいし、事前に
イソシアネート化合物のみを混合して使用してもよい。また、プレポリマー法の場合は、
プレポリマーを構成するイソシアネート化合物を基準にNCO価を算出する。
【0040】
また、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造に使用できる発泡触媒
としては、通常、ポリウレタン発泡に用いられる触媒を全て使用することができる。例え
ば、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の第3級アミン化合
物、ジブチルチンジラウレート等の有機金属化合物等が挙げられる。連続気泡率を高める
ために、アミン系触媒の使用がより好ましい。これらの触媒は、それぞれ単独で使用して
40
もよいし、2種以上を併用することもできる。また、触媒の添加量は、全ヒドロキシ化合
物100重量部に対して0∼10重量部であり、より好ましくは0.2∼5重量部である
。発泡条件によっては触媒は使用しなくてもよいが、一般的な外気温下での製造には0.
2重量部以上使用することが好ましく、また触媒の使用量が10重量部を超えると発泡速
度が速すぎて発泡工程の制御が難しくなる傾向があるとともにコスト的にも不利となるの
で、なるべく触媒の使用量を抑えることが好ましく、好ましくは5重量部以下である。
【0041】
更に、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの製造においては、一般に使
用される公知の添加剤、充填剤等を加えることもできる。添加剤としては、例えば、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤、有機充填剤、顔料、酸化防止剤、紫外線防止
50
(13)
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剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0042】
本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームの処方において、生分解性、崩壊性
を付与する場合には、分子量1300以下の化合物が、発泡処方中、80重量%以上、更
には85重量%以上になるように処方することが望ましい。本条件を達成するためには、
特にヒドロキシ化合物とオキシエチレン含有ポリオキシアルキレン誘導体について分子量
を制限する必要が生ずるが、1300以下に設定することで、容易に微生物が分解し、フ
ォームの崩壊を促進する。
【0043】
また、本発明の吸水性連続気泡硬質ポリウレタンフォームにおいては、フォームの保水
10
性を更に高めるために、吸水性樹脂を添加して発泡することができる。吸水性樹脂として
は、特に限定はなく、通常使用される合成系又は天然系の吸水性樹脂を使用することがで
きる。例えば、架橋ポリアクリル酸系物質、デンプン/ポリアクリル酸系物質等のアクリ
ル酸塩系の高吸水性樹脂等が挙げられる。吸水性樹脂の添加量は特に制限はなく、要求す
る保水性に応じてフォーム全重量に対して0.5∼20重量%の範囲で適宜使用すればよ
い。
【実施例】
【0044】
以下、実施例並びに比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら
実施例により、なんら限定されるものではない。
20
【0045】
実施例及び比較例の記載に先立ち、使用した原料及び物性の評価方法を示す。
【0046】
(ヒドロキシ化合物)
ポリオール1:グリセリン(水酸基価1830gKOH/kg、分子量92)
ポリオール2:グリセリンを開始剤とするポリオキシプロピレンポリエーテルポリオー
ル。水酸基価56gKOH/kg。
ポリオール3:グリセリンを開始剤とするポリ(オキシエチレン)(ポリオキシプロピ
レン)ポリエーテルポリオール。オキシエチレンの含有率70重量%。水酸基価50gK
OH/kg。
30
ポリオール4:グリセリンを開始剤とするポリオキシエチレンポリエーテルポリオール
。水酸基価560gKOH/kg。
ポリオール5:グリセリン、グルコースを開始剤とするポリオキシプロピレンポリオー
ル。水酸基価550gKOH/kg。
バイオマス:廃糖蜜
【0047】
(整泡剤)
整泡剤1:オキシエチレン含有率80重量%で、末端がアセトキシ基によりキャップさ
れたポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体。
整泡剤2:オキシエチレン含有率75重量%未満で、末端がメトキシ基によりキャップ
40
されたポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体。
整泡剤3:オキシエチレン含有率100重量%、末端がメトキシ基によりキャップされ
たポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体。
整泡剤4:オキシエチレン含有率75重量%、末端がOHであるポリシロキサン−ポリ
オキシアルキレン共重合体。
整泡剤5:オキシエチレン含有率30重量%、末端がメトキシ基によりキャップされた
ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体。
【0048】
(オキシアルキレン誘導体)
オキシアルキレン誘導体1:ポリエチレングリコール(12)のオレイン酸ジエステル
50
(14)
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。
オキシアルキレン誘導体2:ポリエチレングリコール(4)のラウリン酸ジエステル。
【0049】
(イソシアネート)
TDI:コスモネートT−80(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレ
ンジイソシアネートとの混成品(8:2)(三井武田ケミカル社製)。
LTI:リジントリイソシアネート(協和発酵工業社製)。
MDI:PAPI135 粗製ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート(ダウケ
ミカル日本社製)。
【0050】
10
(圧縮降伏点歪み)
50mm×50mm×50mmの試験片(フォーム)を5mm/分の速度で圧縮し、圧
縮量(ひずみ)の増大に伴い抵抗(応力)が比例的に上昇するが(応力−ひずみカーブ)
、応力の上昇が急激に停止又は減少し、圧力を解放しても形状が元に戻らなくなる点(圧
縮降伏点)の圧縮量(mm)を測定した。
【0051】
(降伏点圧縮応力)
圧縮降伏点における応力(kPa)を測定した。
【0052】
(40%圧縮応力)
20
50mm×50mm×50mmの試験片(フォーム)を5mm/分の速度で圧縮し、厚
さの40%圧縮時点での応力(kPa)を測定した。
【0053】
(40%圧縮放圧後の厚み減少率)
50mm×50mm×50mmの試験片(フォーム)を5mm/分の速度で圧縮し、厚
さの40%圧縮後、直ちに圧力を開放し、20分静置した後、残留歪みの圧縮歪みに対す
る率であり、
40%圧縮放圧後の厚み減少率(%)=〔圧縮前の高さ(mm)−圧縮後の高さ(mm
)〕/圧縮前の高さ(mm)×100(%)
【0054】
30
(連続気泡率)
ASTM−D−2856−70法により測定した。
【0055】
(吸水速度)
縦11cm×横23cm×高さ8cmの試験片(フォーム)を純水上に静かに浮かべ、
1分間にフォームが吸水して水中に沈んだ長さから算出した。
【0056】
(吸水率)
縦11cm×横23cm×高さ8cmの試験片(フォーム)を水面下まで沈め、完全に
吸水させた後に水から取り出し、ふるい(100メッシュ)の上で高さが23cmとなる
40
姿勢で1時間静置した後の重量Wa(g)を測定し、下式で示される数値を吸水率とした
。
吸水率(%)=100×Wa/(8×11×23)
【0057】
(差込性)
完全に吸水させた縦11cm×横23cm×高さ8cmの試験片(フォーム)にガーベ
ラを差し込み、茎の折れることなく、内部まで差し込め、試験片(フォーム)のみで支え
ることが出来るかを確認した。
【0058】
(植物保水性)
50
(15)
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差込性を評価した状態のまま、3日間放置し、試験片(フォーム)に保水した水のみで
、ガーベラが萎れるかどうかで判断した。
【0059】
(実施例1)
表1に示した原料処方で、以下の手順で発泡体を調製した。
まず、イソシアネート以外の全ての成分をビーカーで混合し、ポリオール組成物とした
(A液)。また、イソシアネートも同様に別の容器で混合した(B液)。これらをそれぞ
れ液温25℃に調整した。次に、A液及びB液の量が合わせて500gになるようにそれ
ぞれ秤量し、1000mlのプラスチックコップに注入し、6000rpmで10秒間高
速攪拌した後、内寸300mm×250mm×200mmの木製のボックス内に投入して
発泡させた。発泡体を24時間養生した後、スキン層を除去して必要な寸法で切り出し各
種の測定に供した。得られたフォームの諸物性を表1に示す。
【0060】
(実施例2∼4)
表1に示した原料処方で、実施例1と同じ要領で発泡体を調製した。得られたフォーム
の諸物性を表1に示す。なお、実施例3では、連続気泡率が低かったため、太さ1mmの
ニードルによりフォームに10mm間隔の格子状に穴を開けたのち、吸水速度を測定した
。
【0061】
10
(16)
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【表1】
10
20
30
【0062】
表1から分かるように、実施例1∼3の硬質ポリウレタンフォームは、圧縮降伏点歪み
が10%以下、降伏点圧縮応力は40%圧縮応力の±20%以内であり、かつ吸水時のフ
ォームの40%圧縮応力が9.8∼196kPaであり、吸水性、保水性に優れ、植物は
40
水の補充なしに萎れることがなかった。また、ヒドロキシ化合物B及びCをいずれも使用
しない実施例4においても、吸水性や保水性は実施例1∼3に較べてやや劣るものの、圧
縮降伏点歪みが10%以下、降伏点応力は40%圧縮応力の±20%以内であり、かつ吸
水時のフォームの40%圧縮応力は9.8∼196kPaの範囲であり、ガーベラをスム
ーズに差し込むことができた。
【0063】
(比較例1)
イソシアネート化合物としてMDI(イソシアネート化合物B)のみを使用した以外は
実施例1と同様の処方でフォームを調製した。
【0064】
50
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(比較例2)
イソシアネート化合物としてTDI(イソシアネート化合物A)のみを使用した以外は
実施例1と同様の処方でフォームを調製した。
【0065】
(比較例3)
イソシアネート化合物の内、5重量部のみTDIを用い、残りはMDIを用いた以外は
実施例1と同様の処方でフォームを調製した。
【0066】
(比較例4)
整泡剤としてポリオキシアルキレン鎖末端がOHであるポリシロキサン−ポリオキシア
10
ルキレン共重合体(整泡剤4)を用いた以外は実施例1と同様の処方でフォームを調製し
た。
【0067】
(比較例5)
破泡剤を使用せず、かつ整泡剤としてポリオキシアルキレン鎖末端がメトキシ基により
キャップされているが、ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン比率が30重量%で
あるポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(整泡剤5)を用いた以外は実施例
1と同様の処方でフォームを調製した。
【0068】
(比較例6)
20
グリセリン、バイオマスを全てその他のヒドロキシ化合物(ポリオール4)に置き換え
た以外は全て実施例1と同様の処方でフォームを調製した。
【0069】
(比較例7)
実施例1でヒドロキシ化合物Aとして用いたポリオール1(グリセリン)のうち、35
重量部をその他のヒドロキシ化合物(ポリオール4)に置き換えた(グリセリンを10重
量部使用)以外は実施例1と同様の処方でフォームを調製した。
【0070】
以上の比較例1∼7の原料処方及びフォームの諸物性を表2に示す。
【0071】
30
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【表2】
10
20
30
40
【0072】
50
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表2から分かるように、比較例1では、外観は良好なフォームが得られたが、圧縮降伏
点歪みが10%以上、また降伏点圧縮応力は40%圧縮応力を20%以上も下回り、支持
材特有の適度なもろさがなく弾性に富むフォームとなった。またフォームの連続気泡率が
低い上に、十分な吸水性が得られなかった。また、比較例2では、イソシアネート化合物
がTDIのみであることから十分な強度を持つフォームが得られなかった。比較例3では
、TDIの使用量が不足しているため、比較例1と同様に、十分な吸水性が得られなかっ
た。また支持材特有の適度な脆さがなく弾性に富むフォームとなった、比較例4では、良
好なフォームが得られ、圧縮降伏点歪みが10%以下、降伏点応力は40%圧縮応力の±
20%以内であったが、オキシアルキレン鎖末端がキャップされていない整泡剤を用いた
ため吸水しなかった。比較例5では、整泡が不十分で発泡工程における気泡の保持が良好
10
に行われず崩壊した。さらに、比較例6、7では、水酸基価が600gKOH/kg以上
のヒドロキシ化合物Aの使用量がヒドロキシ化合物中の20重量%未満(10重量%)と
少なかったため、降伏点歪み、40%圧縮応力が高く支持材特有の適度な脆さがなく弾性
に富むフォームとなり、吸水させたフォームにガーベラを差し込んだが、弾性があり、茎
が折れた。
【0073】
(実施例5)
実施例3で製造したフォームからコルクボーラーを用いて約1.5cmφ、厚さ5mm
の試験片を切り取り、分解誘導基質としてポリエステル系ウレタン及びブチルカーバメー
トを追加したDAVIS改変培地50mlにて300ml三角フラスコを用い、エステル
20
系ポリウレタン分解菌及びウレタン結合分解菌を植菌し、30℃で6日間、回転培養(1
00rpm)を行った。また、対照(Control)として植菌しないフラスコを用意
した。6日後には、実施例では重量減少、変色が認められ、ウレタン樹脂の分解、崩壊が
示唆された。
結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
30
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(72)発明者 姚 耀廣
滋賀県甲賀市甲賀町岩室1340番地 フジカーボン株式会社内
(72)発明者 藤田 勝久
滋賀県栗東市上砥山2222番地 スターライト工業株式会社内
Fターム(参考) 4J034 CA01 CA03 CA04 CA05 CB03 CB04 CB05 CB07 DA01 DB03
DB07 DC25 DG02 DG03 EA05 EA07 EA08 EA09 HA01 HA07
HA08 HB12 HC03 HC09 HC12 HC61 HC71 KA01 KB02 KB05
KC17 KD02 KD12 KE02 NA03 QB01 QB04 QB14 QB16 QC01
RA19