働く 感動を 側から 側へ “もらう” “つくる” 次世代音楽エンタテインメント業界への道 求む! 〜 未来のプロデューサー!〜 CC OO NN TT EE NN TT SS 02 04 06 もし音楽がなくなったら…… 音楽は生活に欠かせない文化なのだ! 音楽にかかわるすべてを網羅! プロダクションの業務内容マップ ひとめでわかる! コンサート制作スタッフ構成マップ 音楽業界にはこんな魅力がある! NEXT MUSIC BUSINESSの ここがすごい! 08 PART 1プロダクション編 池田正義(株式会社キューブ) 鶴田武志(株式会社パワープレイミュージック) 野村達矢(株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション) 12 PART 2コンサート制作編 中本あつし(株式会社ハンズオン・エンタテインメント) 14 素朴な疑問にお答えします! 音楽業界なんでもQ&A 15 あなたはこの仕事に向いている? 音楽業界適正チャート 先輩に聞く! 16 17 18 19 20 21 22 23 中川悠介(アソビシステム株式会社) 多賀英助(株式会社キティエンターテインメント) 新子雄太(株式会社GRIP) 渡辺“ジュンジュン”淳之介(株式会社つばさプラス) 丸野孝允(株式会社ニュースタイルヴィジョン) 山崎学(株式会社ラストラム・ミュージックエンタテインメント) 木村敏彦(有限会社ユークリッド・エージェンシー) 岩下英明(ライブマスターズ株式会社) 33 一般社団法人日本音楽制作者連盟正会員社一覧 プロデューサー&マネージャーインタビュー NEXT MUSIC BUSINESS 感動を “もらう” 側から “つくる” 側へ 次世代音楽エンタテインメント業界への道 〜求む!未来のプロデューサー!〜 発行人:大石征裕 編集人:菊地哲榮 企画:会員サポート委員会、 広報委員会 編集委員:門池三則、 安藤広一、 吉田幸司、 秋葉享子、 今井壱克、 西角郁哉 編集協力:アクセル・コミュニケーションズ デザイン:フラミンゴスタジオ Interview&text:佐々木美夏 [P08-11] photo:岡本真衣 (ODD JOB LTD.) [P09-12、 16-20、 22-23] 発行所:一般社団法人 日本音楽制作者連盟 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-48-1 神宮前和田ビル2F TEL:03-5467-6849 http://www.fmp.or.jp [email protected] 印刷所:大日本印刷株式会社 Printed in Japan ©2014 FMPJ 無断転載を禁じます。 巷では「音楽不況」などとよくいわれていますが、果たして本当にそうなんでしょう か? この冊子のサブタイトル「NEXT MUSIC BUSINESS」にも想いを込めま したが、今、音楽エンタテインメント業界は「次の時代」に入っています。レコード ビジネス主体からライブビジネス主体に移行し、その市場規模は、実は年々右肩上 がりで(下表参照)、プロダクションビジネスは無限の広がりを秘めています。 あなたも一緒に 感動を創りませんか? そうした状況のなか、音楽エンタテインメント業界に新たな風を吹かせる人材の確 保は責務といえるでしょう。志のある音楽関連会社は、未来を背負って立つ、志の ある人材を求めています。あなたに重要なのは、突き詰めればひとつだけ。何か に感動したとき、それを誰かに伝えたいと思ったことはありますか? そんなことを 思ったことが一度でもあるならば、あなたは音楽エンタテインメント業界に適した 人材といえるのです。 感動を“もらう”側から、 “つくる”側へ―。あなたも感動を一緒に創ってみませ んか? 一般社団法人 日本音楽制作者連盟 4,000 3,885 ※ 移 コンサート入場者数の推 ト (万人) インメント調査レポー 出典:2013ライブ・エンタテ 3,500 2,976 3,000 2,500 2,238 2,298 2,305 2,334 2,424 2,476 2,454 2,476 2,546 2,630 2,376 2,000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 。 の売上見込みとなっている 2001 なお、2013年は2,070億円 るだろう。 的に右肩上がりの状態といえ 協会)調査からの速報値 基本 ーズ 、 数は ータ 場者 ロモ ト入 トプ ー コンサ 般社団法人 コンサー に関しては、ACPC(一 ※ 2013 年の入場者数 2002 2003 2004 2012 2013 1 音楽の関連業界と利用形態 (編集部調べ) 通信業界 放送業界 radiko.jp、情報通信、オンデマンド、 テレビ、FM 放送、AM 放送、 ストリーミングサービス、 音楽配信サイト、etc. 短波放送、etc. 番組供給事業 CATV、YouTube、 ニコニコ動画、GyaO!、etc. 映像産業 映像プロジェクター、スクリーン、 映画、ビデオグラム、テレビ、DVD、 カメラ、Blu-ray、etc. ライブ エンタテインメント/ 興業界 ライブ、コンサートホール、 ライブハウス、スポーツ関連施設、 マーチャンダイジング、 ライブビューイング、 チケッティングサービス、etc. 新聞出版業界 キャラクター業界 キャラクターグッズ、 テーマソング、etc. N E XT MU S IC B US I NE S S 音楽はもちろん、 音楽業界だけのものではない。 ほとんどの業界が音楽なしでは 成り立たないはずで、 いってみれば衣食住に匹敵する、 生活に欠かせないレベルの 重要なものなのだ。 広告業界 新聞、一般書籍、音楽書籍、 音楽雑誌、楽譜、楽曲集、音楽サイト、 雑誌付録、絵本、etc. 2 音楽は 生活に欠 文化なの イベント、CM、CF、 街頭、ラッピング、etc. アミューズメント/ サービス業界 レンタル業界 レストラン、ライブハウス、カフェ、 Blu-ray、etc. レンタル CD、DVD、 マンガ喫茶、カラオケ、有線放送、BGM、 ジュークボックス、ウエディング、水族館、 パチンコ店、遊園地、 コンピューターゲームソフト、 ゲームセンター、etc. もし音楽が なくなったら…… かせない だ! レコード業界 電気/電子業界 レコード、テープ、 CD、MD、配信業者、 ミュージックカード、etc. 携帯プレイヤー、オーディオシステム、 録音機器、パソコン、スマートフォン、 コンピューターソフト、 コンピューター周辺機器、etc. 記録メディア業界 WEB / モバイルコンテンツ業界 CD、MD、DVD、Blu-ray ディスク、 ハードディスク、USB、etc. スマホアプリ、インターネットゲーム、etc. その他 楽器業界 街頭 BGM、着メロ、着うた、 競馬場、競輪場、競艇場、etc. 楽器、オルゴール、 音響機材、etc. 文化教育機関業界 学習教育、図書館、美術館 博物館、 音楽専門学校、専門学院、 通信教育、スポーツ機関、etc. 3 音楽にかかわるすべてを網羅! プロダクションの業務内容マップ 音楽プロダクションと一口にいっても、 その業務は多種多様。逆にいう と、NEXT MUSIC BUSINESSにおいて、 プロダクションは音楽とアー ティストにかかわるすべての業務にかかわっているということになる。 戦略 アーティスト プロモーション (譲渡・委任) (信頼) マネージメント (契約) (報酬) アーティストケア プロダクション スケジュール管理 4 N E XT MU S IC B US I NE S S 原盤制作・レーベル運営 ・CD、DVD、 Blu-ray 企画/制作 ・CD、DVD、 Blu-ray 宣伝/販促 etc. 原盤制作・レーベル運営 配信ビジネス マーチャンダイジング コンサート制作 ・企画/運営 ・チケット販売 ・グッズ製作 ・グッズ販売 ・協賛交渉 etc. ・企画/制作 ・グッズ製作 ・グッズ販売 ・販売告知 etc. 以前はレコード会社が行うのが基本 だったが、現在は音源制作に関する 企画、ディレクションからパッケージ 販売、予算管理などまで、プロダク ションが自ら行うことも多い。 マーチャンダイジング いわゆる “物販”のこと。NEXT MU SIC BUSINESSにおける重要な業 務のひとつであり、ユーザーをワクワ クさせるアイテムを考えるエキサイ ティングなセクションでもある。 コンサート制作 NEXT MUSIC BUSINESS の 主 流となるのがここ。P01 の表でも明 らかなように、ライブ/コンサートは 右肩上がりの状況にあり、今後もさら に発展することが予測されている。 著作権管理 ヴィジュアル制作 ・オフィシャル写真 ・衣装 ・ヘアメイク etc. ・原盤管理 ・著作権管理 ・著作隣接権管理 ・印税管理 etc. 映像制作 ・MV ・コンサート映像 ・YouTube ・ニコニコ動画 etc. FC 運営 サイト運営 ・HP 制作 ・情報管理 ・DM ・ブログ ・グッズ販売 etc. その他 ・アーティスト本 ・映画出演 ・CM 出演 ・モデル ・講演 ・タイアップ etc. ・会報誌制作 ・会員/会費管理 ・DM ・チケット優先予約 ・グッズ販売 etc. SNS ・Twitter ・Facebook etc. 著作権管理 いわゆる“権利ビジネス”。プロダク ション運営上の大切なセクションで あるのはもちろん、アーティストととも に創り上げた大切な音楽を守る意 味でも、 きわめて重要な業務だ。 ヴィジュアル制作 今の音楽に欠かせないのが“視覚的 要素”。MVはもちろん、コンサート でも映像は大きな位置を占めるし、 最近ではYouTubeやニコニコ動画 を活用した戦略も功を奏している。 FC 運営 いわゆる“ファンクラブ業務”。会報 誌の制作、チケット優先予約をはじ め、会員限定の様々なコンテンツを 用意し、ユーザーに楽しんでもらうこ とが求められるセクションだ。 サイト運営 以前はホームページとブログの管理 がメインだったが、SNS 時代に突入 して以降は、Twitter、Facebookな どを駆使した情報発信がきわめて重 要。無限大の拡散力を発揮する。 その他 音楽以外にも、アーティストは様々な 分野で活躍できる。その意味では、 アーティストの得意分野や個性を見 極めることも重要だ。 思わぬところ で大きな展開につながる可能性も。 5 ひとめでわかる! コンサート制作スタッフ構成マップ NEXT MUSIC BUSINESSに欠かせないコンサート。も ちろん規模や内容などによってケースバイケースだが、これ だけのスタッフがかかわっているということを知ってほしい。 企画・演出 アーティスト 企画立案 予算管理 制作 プロダクション コンサート プロデューサー コンサート プロモーター (イベンター) ブッキング エージェンシー マーチャン ダイジング 宣伝 全国統一 プロモーション レコードメーカー クライアント 広告代理店 6 N E XT MU S IC B US I NE S S クリエイティブスタッフ ・構成・演出・音楽監督・アレンジ・映像監督 ・ステージプロデューサー・ステージセットデザイナー ・ステージ構造デザイナー・音響プランナー ・照明プランナー・映像プランナー・楽器プランナー etc. ・衣装デザイナー・ヘア&メイクアップアーティスト ツアースタッフ ・舞台監督・美術スタッフ・音響オペレーター・照明オペレーター ・映像オペレーター・楽器テクニシャン・トランスポート etc. ・スタイリスト・ヘアメイク・トレーナー etc. ツアーマネージャー 会場 ・移動 / 宿泊手配 ・コンサートプロモーターとの交渉 ・会場押さえ・舞台係、照明係、音響係との連絡 各種手配 ・ホテル・市内交通・食事・現地舞台・現地照明 ・調律・アルバイト・ケータリング etc. 各種申請 ・会館・警察・消防 チケット販売 クリエイティブスタッフは、その 名の通り、コンサートを彩り盛 り上げる“クリエイティブ”な部 分を担当。 感性やセンスが重 要なので、アーティスト肌の強 い人も向いている。トレンドを キャッチするアンテナも大事。 コンサートを作り上げる、いわゆ る現場スタッフ。 様々な業種 からそれぞれの“プロフェッショ ナル”が集まるが、コンサートを 成功させるために、全員でひと つのチームとなる。その意味で は、職人気質と協調性の両方 を兼ね備えた人が向いている。 コンサートプロモーター(イベン ター)とは簡単にいうと、各エリ アの現地スタッフのこと。 表を 見てもわかるように仕事量はと ても多いが、アーティストの成 長のみならず、地域活性にも一 躍かっている。 人情に厚い人 が多い。 ・プレイガイドとの交渉、プランニング etc. 宣伝(ローカルプロモーション) ・テレビスポット・ラジオスポット・ポスター・チラシ ・新聞広告・雑誌広告・アーティストキャンペーン etc. 電波 紙 ・テレビスポット・ラジオスポット ・番組出演 etc. ・ポスター・チラシ ・新聞広告・雑誌広告 etc. 媒体 WEB ・アーティストオフィシャルホームページ ・アーティストブログ・アーティストTwitter ・アーティスト Facebook ・アーティスト LINE etc. コンサートやツアーを全国規模 で成功させるには、もちろん宣 伝が重要。そこにはレコードメー カーやメディアなども加わり、ま さに業界全体が一丸となる必要 がある。要するに、コンサートの 背景には、すべての音楽業界が 携わっているというわけだ。 プレイガイド施策 ・コンビニ展開・街頭展開交渉 etc. レコードメーカー ・テレビ局・ラジオ局・新聞社・雑誌社 ・WEB 会社・レコード店 etc. ・タイアップ etc. 7 音楽業界にはこんな魅力がある! 池田正義さん 株式会社キューブ 音楽業界に入ったきっかけ ―ではまず、音楽業界に入ったいきさつから。 鶴田 僕の場合は学生時代からコンサート関係のアル バイトをずっとやっていて、そのまんま入りましたね。 最初 はマネージメントよりも舞台を制作するほうに興味があっ て、たまたま福岡のイベンターから声がかかって就職し、4 年ほどは一生懸命やっていたんですけど、イベンターとい う職業はあまり水に合わず。自分でアーティストを持って のここがすごい! 権利商売をしなければいけないんじゃないかと考え、単身 東京に出てきてマネージメントを始めたという形ですね。 野村 明 治 大 学に入 学して、イベントを企 画して学 園 祭でライブをやるプロデュース研究会っていうサークルに 入ったんですよ。でも単純に好きなアーティストをブッキ NEXT MUSIC BUSINESS を支える 代表的な職種といえば、プロダクション とコンサート制作。 それぞれの第一人 者に、仕事の魅力と醍醐味、求められる 人材などを教えていただいた。 ングするだけじゃなくて、自分じゃなきゃできない企画がや りたくて。 大学 3 年のときに RC サクセションが好きだっ たからCHABOさんのソロライブができないかなと思っ て、事 務 所に企 画 書を手 紙 風にレポート用 紙 20 枚くら い書いて持っていったんです。そしたら興味を示してくれ て、じゃあやりましょうと。 当日 CHABOさんが学校に来 たときに「きみが野村くんか。 企画書読んだよ、ありがと うね」って握手を求められて、ステージ出たときに「イエー! 今日は明 治 大 学の野 村くんのおかげでライブができま す!」っていってくれて。そのときに初めて、バックステー ジに立ってる人間も満足感が得られるんだなってわかっ たんですよ。 CHABOさんをステージ袖から見ながら、こ ういう仕 事がしたいな、と思って大 学に求 人が来ていた 渡辺プロダクションを受けたらとんとん拍子に進んだって いう。 池田 自分は超平凡で何のストーリーもないんですけど (笑)、うちの父親が裁判所に勤めてたんですよ。うちテ PART 1 プロダクション編 現在、第一線を走るプロデューサー3 人 が登場。 それぞれに、業界入りした経緯 から、NEXT MUSIC BUSINESS の魅力、欲しい人材、業界の今 後の展望までを語ってい ただいた。 レビがなかったんですね。 小 学 校 5 年くらいまで。ラジ オしかない。ラジオか貸本屋で漫画読むっていうなかで 育ったから、父親への反発でこの業界に入ったんだと思 います。で、大学 4 年になって就職するときに、 じゃあどこ かなって考えて、やっぱりレコード会社か放送局がいいな と思ったんですよ。それでいくつか受けて最初に内定く れたのがキャニオンレコードで、普通に入りました。 鶴田 正 直、僕はあまり音 楽に興 味もなくこの業 界に 入っちゃってるんですよ。そもそも鹿児島って民放も 2 局 しかないし、ライブハウスもなくてホールで見るコンサート だけ、知ってるのはテレビに出るアーティストだけ。で、福 岡のイベンターになったときに初めてライブハウスというも のを知って、 なんなんだこの世界は、 と。それが22才とか。 8 N E XT MU S IC B US I NE S S 鶴田武志さん 株式会社パワープレイミュージック 野村達矢さん 株式会社ヒップランドミュージック コーポレーション 東京に出てきたときも、事務所もないからイベンターやっ あるけど、それを買った人が家で聴いてる姿までは見えな てた当時の知り合いを訪ねていって「机ひとつ貸してもら いじゃないですか。 即 売とかで CDをうれしそうな顔して えませんか?」 ってところから始まってる。 お金払って買っていってくれる顔を店頭で見るのも素晴 らしいと思うけど、もっとダイレクトにわかるのがライブだ 音楽業界の魅力 から、それを僕らは見れるっていうのはすごいありがたいこ とだと思いますね。この仕事はつらいこともいっぱいある ―この仕事をやってて良かったと思うのは、どんなとき し、時間は不規則だし、休みもない。だけど、そういうとき でしょう? は「ああ、やってて良かったなあ」 と思いますね。 野村 目の前にお客さんがいるときですよね。ライブ会 池田 一言でいうとお金じゃ買えないものを得られるっ てことですよね。 野村さんがおっしゃったラ イブもそうですけど、僕はレコーディング現場 が長かったんで、何もないところから完 成さ せていく過程にずっと立ち会えるっていうの は最高だと思うんですよ。音楽業界はめちゃ めちゃ楽しいと思ってるんです、僕は。 無か ら何かを作り出す喜びを味わえる、3 分半で 人を感動させられる音源を作れるっていうの はすごいことだし、それをゼロからできるって いうのは何ものにもかえがたいですよね。 鶴田 自分で見つけて育てたアーティスト が段階を踏んで、少しずつ聴いてくれる人が 増えていって、自分で演出したライブで喜ん でくれるのが 一 番うれしいで バックステージに立ってる人間も 満足感が得られるんですよ。 す。 アーティストとストイック に喧 嘩しながらものを作って いって、なんだかんだあった けどこれだけ入って良かった ね、っていう最 後の部 分、お 互い嫌いになりそうだったけ 場でお客さんがわーってなる瞬間を目の前にしたときのカ ど結果オーライか、みたいな。うちのアーティストはステー タルシス。 単 純に客 電をポンと落とした瞬 間にそうなる ジ上で「こんな豪 華なセットなんか作ってもらわなくてい のはすごく気 持ちいい。 要は、1 人の人が喜んでくれる い」 とかいいますからね (笑)。しかもそれ本心なんですよ。 だけでうれしいのに、人の塊が、あるタイミングで一斉に めちゃくちゃいわれる。 そうなるのはすごく気 持ちいいですよ。 だんだんその気 ―そんなに喧嘩するんですか? 持ち良さをおぼえてくると、その一歩向こうが見たい、その 鶴田 喧嘩というより、意見のいい合いはかなりちゃんと アーティストが売れる瞬間を見たい、 って踏み込んでいく。 しますね。 少なくとも 3 回は「 事務所やめる」っていわれ わーってなる瞬間を自分がプロデュースすることで仕込ん ました。お互い真剣になると、 それくらいにはなりますよ。 でいって、フタを開けたときにものの見事にそうなってくれ ― 今までで一番感動した瞬間はどんなときですか? てる場面を見るときがすごくうれしいですね。この瞬間で 池田 僕は自分の担当しているアーティストが渋公(渋 うわーっていわせたい、ここでうわーっていわせたいってい 谷公会堂)やったときですね。 僕らの世代はエッグマンか うのがハマるのはすごい快感。目の前にお客さんがいて ら道を渡って渋公に行くっていうのがステータスだったん それが見えるっていうのが一番楽しい。 で、渋公のワンマンは本当にうれしかったです。レコード ―ライブ会場での生の快感に勝るものはない。 会社時代ですけど、ついにここまで来たか、って泣いちゃ 野村 CD でいい作品を作ったなっていうのももちろん いましたね。 9 「無から何かを作り出す 喜びを味わえるのは、 めちゃめちゃ楽しいです。」 池田正義 いきものがかり、wacci、 ザ・マスミ サイルらをプロデュース。 www.cubeinc.co.jp 野村 一番最近でいえば、去年の某巨大フェスで 3 日 わかってるのは大事だと思うし、それがある人たちはそこか 間のうち 2 日間が自分の担 当アーティストがヘッドライ ら問題意識も持てると思うんですよ。自分の好きな世界 ナーをとったんですよ。サカナクションとBUMP OF CHI に染めていきたいから戦うわけじゃないですか。 染めてい CKEN。 金曜の夜と土曜の夜に約 6 万人もの人がメイ きたいけど染められない障害がある、それを乗り越えるため ンステージに集まってる光景を2 日連続で見たっていうの にはどんな問題があるのかを明確にして解決する、そこか は、感動っていうより達成感がありましたね。 結果として らまた自分のやりたいことを突き進めていくって意識にな こういうところまで行けたんだ、って。 個別のアーティスト ると思うんですね。だから好き嫌いがはっきりしてて、問題 ではそれぞれありますけどね。 意識を感じられて、それを解決できる人。あと、自分のオリ 鶴田 初の東京ドームをやる前に大阪城ホールがあっ ジナリティも必要っていうか。クリエイティブな仕事って、 て、そこで東京ドームやります、って発表したときですね。 人と同じことをやってたら抜け出られないわけだから、人の そのときは一番感動しました。 東京ドーム当日は記憶が やらないことをやりながらも理解してもらうっていう。それ ないんで(笑)。 終わって、気がついたら1 人でラーメン は人のやらないことだけをやればいいって話では当然なく 食べてました。打ち上げにも出ず。完全燃焼しちゃって。 て、人のやらないことだけど世の中に認められるっていうと ころに目を向けなきゃいけない。となると今度は世の中の 音楽業界に欲しい人材 ことをどれだけ知ってるかなんですよね。 世の中にちゃん と目を向けていながらも自分の個性を持ってるっていうの ―これからどういう人材に来てほしいですか? はすごい大事。 好き嫌いっていう主観的な尺度と、良い 池田 うちの会社は音楽とか俳優とか舞台の制作とか 悪いっていう客観的な尺度を持ち合わせてるのが大事。 いろんなことをやってるんで、結局は人の組み合わせだな 感度のいいアンテナと感度のいいセンサー。それを自分 と思うんですよ。「広く浅く」が得意な人と「深く狭く」が のなかでコントロールしながら勉強していくしかない。うち 得意な人がいるじゃないですか。 会社っていうのはその の会社に必要なのはそういう人ですね。 組み合わせだと思うから、極端なほうがいいと思うんです。 鶴田 マネージメントって仕事はライブもレコーディング 「 俺はこれしかわからないぜ」っていう人と、それを引いて もプロモーションもすべてを理解してないとできないもんだ 見て「こうしたほうがいいんじゃない?」っていえる客観性 し、何も知らずに入ってくる人はそこの壁にぶち当たると も必要だから、自分は何が得意なのかっていうのを考えて 思うんですよね。ゼネラリストは全部を把握してないとで みるのも大事だと思います。 きないから、10 年 15 年は軽くかかる。だからそのなかの 野村 やっぱり好き嫌いがはっきりしてて自分の好みが どれかに興味を持って、 自分はライブ制作に興味があるな プロダクションスタッフ ステップアップイメージ アシスタントマネージャー (一般的なパターンとして) 最初はアシスタントから始まり、だんだん多くのアー ティストにかかわるようになっていくのが基本。マネー ジャーもプロデューサーも、コンサート、レコーディン グ、出版と、ほぼすべての業務に携わることが多い。 10 N E XT MU S IC B US I NE S S 現場マネージャー 「自分で演出したライブで 「好き嫌いの主観的な尺度と、 お客さんが喜んでくれるのが 良い悪いの客観的な尺度の 一番うれしいです。 」 両方が大事。」 鶴田武志 野村達矢 BUMP OF CHICKEN、 サカナ クション、avengers in sci-fi、KA NA-BOONなどをプロデュース。 www.hipland.co.jp UVERworld、 AISA SunRise、 THE Hitch Lowke、 LAID BA CK OCEANらをプロデュース。 powerplay.co.jp らそこから入っていく、好きなものをひとつ決めて入ってい り方は様変わりしていって、このあとどうなっていくかはわ くと、レコーディングってこういう世界なんだ、プロモーショ からないけど、ライブは絶対変わらない。 お客さんを目の ンってこういうことしていくんだ、ってところから人のつなが 前にして音楽を奏でられるっていうのは絶対変わらない。 りを探せるようになると思うんで。ここを中心にやってい そこの部分で僕らが提案したもの、企画したものに、お客 きたいっていうのを作って、あとは周りでやってる人たちの さんが感動できるかどうかってところに向かってくと思うん 背中をちゃんと見れてちゃんと真似ができるってところじゃ で、そういうところに楽しみが感じられる人が増えるといい ないかなと思いますね。 なと思いますね。そこに興 味があってやりたいと思う人 池田 最近の若い世代は何に関しても「教えてくれ」っ が集まってくればいいと思う。 最近多いのはフェス流行り ていうのが多いんですよ (笑)。 で、FUJI ROCK 見て感動したんで自分もフェス企画しま 野村 僕らは教えてもらった記憶がない。自分で見てお した、ってただブッキングのラインナップ書いてある。そん ぼえていった。 確かに、教えてもらおうって姿勢だとこの なのは誰でもできるんで、 もっと元になる部分に携わって、 仕事はたぶんうまくいかない。 盗んでやろうって気持ちが もうちょっと深くを見てほしい。でもライブであることは間 ないと。 先輩たちがやってる仕事を観察して、こういうふ 違いないですね。そこが原点。 うにやればいいんだ、 ってやってける人じゃないと難しい。 池田 ものを作るっていうのは面白いですよ。 何事にも 鶴田 いまだにそうですもん。 僕も野 村さんがプロ かえられない面白みで、それが人を感動させられるってい デュースしてるライブとか見に行っていつも「くやしいー」 うのはこの業界しかない魅力だと思うんで、音楽業界に と思いながら帰る。そういうのがないと。 僕らも背中を見 入って本当に良かったと思ってます。 せるからにはこっちにも魅力がないとダメですけどね。 鶴田 目線として、裏 方の人たちのことももっと見ても 池田 あとすぐにやめないで、最低でも 3 年やってみた らって、 「ああ、こんなことやってるんだ」 「こういう仕掛けを らいいと思うんですけどね。3 年続いたら5 年やってみて、 するとこうなっていくんだ」っていうのがわかると、もっと夢 5 年やれたら10 年やってみる。 根気はすごい大事だなっ が広がると思いますね。 て最近特に思います。ものづくりは根気、粘り強さ。 野村 あとは国際化ですよね。今まで自分たちがやって きた仕事プラス、自分が担当してるアーティストや音楽が 音楽業界の展望 海外の人に聴かれたときにどう思われるんだろう、 っていう ところまで考えるようになってきてる。インターネットも含 ―これから音楽業界はどうなっていくでしょうか? め、今はそういう変化がどんどん起こっているから、これか 野村 ライブがなくなるってことはないから。音源の伝わ ら先も面白い可能性が広がる業界だと思います。 チーフマネージャー 統括プロデューサー プロデューサー 11 いな印象もあったと思うんですけど (笑)。で、面接に行った PART 2 コンサート制作編 NEXT MUSIC BUSINESSの中核を担 うのが、 プロダクションとかかわりの深い ライブエンタテインメント業界。コン サート制作とはどういうものなの か、現場の第一人者に教 えていただいた。 ら、今から忙しい時期だからっていわれて、もうあれよあれよ という間にそのまま入社して (笑)。 ―コンサート制作とは簡潔にいうとどんな仕事ですか? サッカーでたとえるとボランチのようなポジションっていう か。攻める起点にもなるし、守る起点にもなる。アーティス ト側でもあるし、オーディエンス側でもあるし、両方に気をつ かうというか。どっちに偏ってもいけないと思いますし、非常 にバランス感覚が大事なんです。コンサートのへそになる ような仕事だと思いますね。 ―コンサートを作るうえでの要になる。まさにボランチで すね。魅力や醍醐味はどこにあると思いますか? 今ですか? 若い頃ですか? ―どっちもいきましょう。 中本あつしさん 株式会社ハンズオン・エンタテインメント 若い頃は、いろんな町に行っていろんな人と知り合って、 専門学校じゃ教わらないようなことをいろいろ勉強できます し、聞けるし知ることができる。だから、好奇心があれば楽 しいと思います。 人との出会いは今でも非常にためになっ ていますし、財産ですね。 ―同時に、若い頃は苦労も多かったり? 今でこそだいぶ業界も優しくなったと思いますけど、やっ ぱりガテン系だっていうのはありますよね。だから、ヘコみ やすいっていうか、自分で背負っちゃうタイプだとなかなかし んどいだろうなっていう気はします。でも、僕なんかは若いこ ろは、寝たら次の日には忘れる(笑)。そのくらいだったら結 構楽だと思いますよ。 ―今の醍醐味は、 それより一歩上がったところに? そうですね。コンサートの中身もそうですけど、ハード面 や、アーティストのスキルも含めて、年々上がっているように 感じるんです。お客さんの目が肥えてきているっていうのも ありますし。そういったなかで、より良いものを作るために携 中本あつし ケツメイシ、 ソナーポケット、KARA、 The Birthdayなどのコンサート制作 を手掛けている。 www.handson.gr.jp コンサート制作とは ―どういう経緯で音楽業界に入られたんですか? 高校のときバンドもやってたんですけど、特に進学の予 定もなく、どうしようかなって思ってて。アルバイトの流れで そのまま就職しようかなとも思ったんですけど、親に音楽が 好きなら勉強してみればっていわれて、専門学校に行った んですね。ただ、音響技術科っていうレコーディングをメイ ンにやる学科に入ったんですけど、これは俺には向いてな いと (笑)。で、専門学校を出たらどうしようかなって思って て、学校にあった掲示板を見て、たまたま応募して受かった のが、キャピタルヴィレッジっていう制作会社だったんです。 それが 20 才のとき。 ―なぜそこを受けようと思ったんですか? なんかこう、ガチガチじゃないな、ちょっとゆるそうだなみた 12 N E XT MU S IC B US I NE S S わっている自分が、さっきいったようにそこのへそ的な位置 にいられる。 常に新しいものを作るチームの中心にいたい し、いられることっていうのは、やっぱりうれしいし、やりがい もありますね。 感動体験 ―業界に入るまでで、一番最初の感動って何ですか? 父親が大阪出身で、大の阪神タイガースファンなんです よ。だから物心ついたときから僕も阪神タイガースファンな んですけど、1985 年の日本一のときはやっぱり (笑)。その ときはもう、寝なかったですからね。 大人に混じって大喜び したのをおぼえてます。 ―そして、それを越える感動がきっと、音楽業界に入って から何度もあるわけですね? 阪神優勝を越える感動ですか? ないですね(笑)。 ―(笑)質問を変えます。これまでに、自分でも「これは やった!」と一番手応えを感じたことは? それは 2003 年の THEE MICHELLE GUN ELEPH ANT の解散コンサートですね。 今の会社に入って最初に 担当して、一緒に大きくなっていったアーティストが彼らなん です。 彼らの解散のとき、自分のなかで大きなひとつの仕 K-POPとアイドルとアニメ、この 3 つのジャンルが今後、10 事をやり遂げたっていう達成感がありました。 一時代が終 年先も同じ規模でやり続けられるかっていったときに、僕は わったじゃないですけど、やっぱり日本のロックの歴史が変 簡単じゃないと思うんですね。これはいろんな意見があると わったというか、そこが今の日本のロックバンドのひとつの 思うんですけども、僕は長く愛される純然たるJ-POP や J- ターニングポイントになったと思うんですよね。 ROCK のアーティストをしっかり育てていくことが大事だと ―確かに。そこでどういうドラマを作れたと思います? 思うんです。 音楽業界がその先も盛り上がっていくために ドラマを作ったのは僕じゃないですけどね。もちろんアー は、僕はそうしなければいけないと思ってます。 ティストとプロダクションが作ったものなんですけど、年間た ―なるほど。そのために絶対必要なのが、人材ですね。 ぶん100 本以上ライブをやってて、一回も手を抜いたライブ そうですね。あと、徐々に新陳代謝しないといけないと思 を見たことがないんですよ。 本当に 1 曲もないと思うんで うんです。 今の若いバンドやアーティストがやってる音楽 す。そういうバンドにかかわって、 で、お客さんも本気で向か は、今の同世代の若い音楽好きのユーザーにどんぴしゃの 若いアーティストと 世代の近いスタッフが必要なんです。 もののはずなんですよ。 であれば、 コンサート制作 もイベンターも、音響、照 明とかも、そのアーティス トと同じような世 代の方 たちが出てこないと。 い合って。あの熱さというか熱量というか、それはもう、その ―確かにそうですね。 前にも感じたことないし、それ以降も感じたことがないくらい だから僕らだと若いアーティストと仕事をする際にはPA すごかったですね。そんなアーティストとともに過ごした数 とか照明なんかは、できるだけ若いスタッフを使うようにして 年は、刺激がある濃密な時期でした。 ます。そうするとみんなで意見をいい合うんですよ。 誰か 1 人が決めるんじゃなくて。そこでアーティストもスタッフも 音楽業界に欲しい人材 同じテーブルで同じように意見をいい合って、ものを作る。 これが次世代のアーティストのライブを作るときに必要だと ―これから音楽業界を目指す人にアドバイスするとして、 思うんですよ。 どんな準備をしておいたらいいと思いますか? ―そう思います。でもそれは決して、ベテランの方が必要 業界本みたいなのがあるじゃないですか。たぶんそこに じゃないということではなく。 は絶対ギャップがあるから。だったら、アルバイトで何でも もちろん、キャリアのある方々もまだまだパワーありますか いいから、一回体験してみること。 頭でっかちになる前に、 ら、若いスタッフがもっとがんばらないと! コンサートの裏(スタッフ)はいくらでも募集してるから、そう ―ただ、若いアーティストの現場は、スタッフも若い人が いったものに一回チャレンジしてみるのが僕はいいと思いま 作るべき。 すね。 時給もいいし。 だと思います。 育った環境や、聴いてきた音楽が近いわ ―あ、 そうなんですか? けだし、そっちのほうが相乗効果を生んでいいものができる いいですよ〜。 2 食ついて、交通費も出て。できること と思います。 なら僕もやりたいですもん、バイト (笑)。 ―だからこそ、志を持った若い人に、どんどんこの業界に ―音楽業界は下降傾向にあると一般的には思われてい 来てほしいという結論になりますね。 ると思うんですけど、実はそんなことはなく。特にコンサート そうですね。コンサート制作って、やっぱりコンサートの 業界は盛り上がっているし、右肩上がりじゃないですか。 醍醐味を一番感じる仕事だと思うんです。ひとつ大きなコ 確かに、コンサートの動員数とか売り上げは上がってるっ ンサートのプロジェクトのなかで、自分が中心になって作り ていうじゃないですか。 最近の状況のなかでビジネスとして 上げたいって気持ちがあれば、ぜひアタックしてもらいたい は成功してる方も多いと思うんです。でも最近の主流の ですね。 コンサート制作スタッフ ステップアップイメージ(一般的なパターンとして) アシスタント プロデューサー ツアーマネージャー 統括プロデューサー 最初のアシスタントを学生時代にバイトで経験する人も多い。ライブ規模に置き換えると、 ライブハウスでの 対バン、 ワンマン、 ツアーを経て、大規模ライブハウス、 ホール、アリーナ、 ドーム、 とステップアップしていく。 13 Q Q 給料は いいですか? やっぱり こきつかわれるんですか? Q どこの業界も、いいところもあれば バラエティ番組などでマネージャーが 返ってくるはずだし、音楽業界は年 夜はプライベートの 時間を作れますか? 齢に関係なく、大きな成功をつかむ もちろん特に何もないときは問題 チャンスがあるだろうということ。 ないが、コンサートがある日、レコー 悪いところもあるはず。 ただ、ひと ついえるのは、成功すればそのぶん タレントにイジられる場面をたまに見 かけるが、勘違いしてほしくないのは、 マネージャーは “付き人”ではないとい うこと。 アーティストと一緒に感動を 創る、パートナーなのだ。意欲があれ ば仕事はどんどん広がります。 ディングが佳境にさしかかったとき などの多忙期は、そこにかかわって いるスタッフは難しいと思う。 ただ し、 これもどこの業界も同じはずだ。 Q Q 土日祝はちゃんと 休めますか? あなたはコンサートにいつ行くこと が 多 い で す か? 休 み の 日が 多く ないですか? そう、みんなが遊ぶ 素朴な疑問に お答えします! 時間こそが、この業界の大舞台なの だ。担当業務の時期にもよるが土日 祝出勤は多いはずで、そのぶん時間 ができた平日に調整して休みを取得 することになるはず。 音楽業界 なんでもQ&A 服装や髪色は 自由ですか? これは会社によってもまちまちだろ うし、配部署によっても異なるだろ う。 ただ、必ずしもスーツ着用がマ ストではない会社は多いはず。だか らといって、社会人としてのマナーを 逸脱したスタイルは当然厳禁だ。 音楽業界って普通とはちょっと違うイメージがあるけど、会社と してちゃんとしてるの? 休みとかあるの? 意外と誰も教えてく れない、みなさまの素朴な疑問にお答えします! Q 離職率は 高いですか? Q 自分が得意ではない 業務内容によって高いところもあれ ば低いところもあるし、会社によって ジャンルの仕事を 任されることはありますか? も当然異なる。 いずれにしろ、なり たい自分の未来像を持っていないと 厳しく感じることは多いかもしれな い。まずは3 年続けてみる根気は必 要だろう。 会社はチームプレイなので、どの業 界でも必ずしも希望部署に配属され るとは限らない。 ただ、それが不得 意かどうかはやってみないとわから ないはず。もしかしたら自分でも気 づかない才能を発揮できるかも! Q 人見知りが 激しいんですが 大丈夫ですか? 人と人とをつなぐ、その橋渡しをす るのが音楽業界の仕事でもあるとい えるので、コミュニケーションはとて も大切。極度の人見知りで話すこと もままならないような方だとすると ……ちょっと難しいかもしれません。 Q 音楽や楽器の専門知識は 必要ですか? 音楽理論や楽器の専門知識が必要 だと思っている方は意外と多いよう だけど、実はそんなこともなく、 「知っ ているに越したことはない」のレベ ル。実際に譜面が読めない人、楽器 が弾けない人はたくさんいますよ! Q 体力勝負なイメージですが 女性でも活躍できますか? もちろんです! 実際、女性マネー ジャーは多いし、バリバリ活躍してい る女性プロデューサーもたくさんい る。 仮に体力に自信はなくとも、女 性ならではのきめ細やかさみたいな ところを武器にしたって OK! 14 N E XT MU S IC B US I NE S S あなたはこの仕事に向いている? 音楽業界適性チャート 実は音楽業界に適した人の条件はただひとつ。「自分が感 動したことを誰かに伝えたいと思ったことがあるかどうか」。こ の冊子を読んでいる人は全員、音楽業界に向いているはず! Good! 質問2 質問2へ! 質問1 あなたは 感動したことが YES ありますか? このなかでいくつ該当しますか? □大きな夕日を見てジーンときたことがある □本を読んでいて時間を忘れたことがある □映画を観て泣いたことがある □花を見て立ち止まったことがある NO □落ち込んでいたときに誰かが声をかけてくれ、 元気になったことがある □一生を賭けても惜しくないと思ったときがある □このために自分は生まれてきたんだと 感じたときがある 業界に は音楽 あなた ! いません 向いて □今までどうしてもできなかったことができて 感動したことがある t! Go Ou □何回失敗しても、何度でも立ち上がる人を見て 勇気が出たことがある □自分をかえりみず、危険を承知で人を助けた人に 感動したことがある □自分と同じ苦しみの人が試練を越えられたとき、 うれしいと思った □少数が多勢に、弱者が強者に勝ったとき心がおどった □コンサートのとき、感動で圧倒されたことがある □今の自分と同じ気持ちを歌ってくれて共感したことがある □会場全体が演奏でひとつになり、 涙が止まらなかったことがある 15〜11個の人 10〜6個の人 5〜1個の人 0個の人 音楽業界が求めて いるのは、まさにあ なたのような方で す。 今すぐ門を叩 きましょう! あなたが音楽業界 で成 功できるチャ ンスは十分にある。 ここで活 躍して自 分を輝かそう! 何にでも感動する わけではないあな たは、音 楽 業 界 の 異端児として大成 功を収めるかも! ここに該当項目は ないけど、潜在的に 感動を欲している はず。 音楽業界で 感性を磨こう! 15 先輩に 聞く! プロデューサー/マネージャーインタビュー この仕事を僕がやってる理由って、 やっぱり人が好きなんですよ。 アソビシステム株式会社 代表取締役 中川悠介さん 原宿カルチャーを世界に発信し、きゃりーぱみゅぱみゅらを 輩出した中川社長。もともと人を集めるのが好きで、高校 時代からクラブイベントをプロデュースしてきた若き精鋭だ。 16 アソビシステム きゃりーぱみゅぱみゅ、CAPSULE、中田ヤス タカ (CAPSULE) 、 RAM RIDERらが所属。 数多くのイベントプロデュースも行っている。 asobisystem.com ―まずは、音楽業界に入られた経緯から教えてください。 ィストも人間だし、ユーザーも人間だし、そこにアプローチし 僕、どこにも就職したことがなくて(笑) 。イベント制作を自 てくってことは、やっぱり毎日がチャレンジで、だからこそ毎日 分でずっとやりながら、じゃあそこに出る人が必要だよねとか、 感動できるんだと思うんです。で、イベントの感動っていくつ 人を入れるための宣伝も必要だよねみたいなものからアソビ かあるんですけど、会場の大きさとかはあまり関係なくて。も システムが始まってるんです。 ちろん音楽は大事なんですけど、フロアにいる人が楽しそうに ―ということは、知識ゼロから? しているのを見ると、すごく感動するというか。やっぱりお客 知識ゼロです。毎日勉強しながら吸収していった感じですね。 さんが笑ってくれていることが一番の感動するポイントですね。 会社を作るときも、どうやって会社の銀行口座を作るかってこ たぶんこの仕事を僕がやってる理由って、やっぱり人が好き ともわからなかったり (笑) 。 なんですよ。もちろんいい音楽だったり、いいクリエイティブ ―(笑)そんな中川社長がこれまでに一番感動したことと だったりっていうのもあるんですけど、やっぱり人なんです。 いうと、何になりますか? ― では、資質的な部分でこの業界に適してるのはどんな いくつかあるんですけど、ひとつは ageHa @ STUDIO 人だと思いますか? COAST でうちがやってる “ASOBINITE!!!” を初めて月曜日にで 自分をちゃんと見れる人だと思うんです。要は、自分のこと きたとき。中田(ヤスタカ)くんが DJ してるときにメインフロア も客観的に考えられることが大事。僕、音楽業界の人って全 がお客さんでパンパンになったんですけど、そのときは泣くくら 員が 1 人ずつメディアだと思うんですよね。その人が発信する い感動しましたね。 ことが楽しいと思ってもらえるか、その集合体だと思うんです。 ―週末ではなく、月曜日なんですね? だから自分のことも客観的に見れないと、自分のエゴだけに 美容師ナイトをやってたので。美容師は火曜日休みが多い なっちゃうじゃないですか。 ので、月曜日の深夜にやってたんですよ。 ―ちなみに、「きつい」と言われがちな業界だったりもしま ―つまり、感覚的には土曜日の夜にやるのと同じなんです すけど、根性は必要ですか(笑) ? ね。それは何が勝因だったと思います? 仕事がきついと思う判断って人それぞれ違うと思うんですけ いや、とりあえずがんばったんですよ。みんなでひとつにな ど、やらされてると思うからきついんだと思うんですよ。「作ら って。それだけなんですけどね。でも、毎回感動してますよ。 されてる」じゃなくて、自分たちで「作ってる」と思えば別に 今だと、たとえば横浜アリーナできゃりー(ぱみゅぱみゅ)を きつくないし、そう思えれば「根性」って言葉は出てこない 見ても、ロサンゼルスのライブハウスがパンパンになってるきゃ と思うんですよね。 りーを見ても、常に感動してますね。何かに一番感動したっ ―たとえば学生のとき、学園祭の準備は大変でも苦しくな てことじゃなくて、常に感動できてることがいいのかなって思 かったし、徹夜しても楽しかったはずですよね。 います。 そう。僕は今も毎日が学園祭だと思ってますよ(笑) 。それ ―感動にゴールがないというか。 に、音楽業界、僕はまだまだ夢はすごくあると思いますしね。 はい。ゴールがないから楽しい業界なんじゃないですかね。 パッケージが売れなくなったといっても配信が伸びてたりとか、 たとえば CD を 100 枚しか売っちゃいけないっていうルールは コンサートが伸びてたりとか、様々なことがあるわけだから。 ないし。無限に、売れるだけ売ればいいわけだから。だから だって、きついだけだったら、音楽業界の人って今いないは 毎日刺激があるという。しかも、そういったものを自分で作っ ずじゃないですか(笑) 。それは楽しさが絶対あるからなんで ていけるんですよ。ある意味、自分たち次第じゃないですか。 すよ。僕はこんなに素晴らしい業界はほかにないと思うんで 決まったフォーマットで仕事してるわけじゃないから。アーテ すけどね。 N E XT MU S IC B US I NE S S ― 多賀さんは父親が自社の会長と、業界に入った経緯が いときもつらいときもそれが合い言葉だったんですけど、 ちょっと特殊ですよね。 本当にやったときは感無量でしたね。「そんなの無理でし 大学卒業するとき、僕自身も音楽をやっていて。ただ、 ょ」っていわれたり、やっぱりくやしい思いもしたので。 食ってかなきゃいけない。音楽でメシが食えるんだったら 絶対やってやる、見返してやるみたいなのはあったので、 何でもやるみたいな気持ちはありましたね、あのときは。 有言実行できたときはもう感無量でしたね。 ―当初は音楽活動をしながら働いていたんですか? ―業界に入る前の感動の原体験では、どうですか? はい。だから裏方に回ることに、最初は葛藤もありました。 大学生のときなんですけど、Mr.Children のライブを見て でも、まず生きてくことを優先しましたね(笑) 。 ―その後は魅力を感じるようになったわけですよね。 「自分もこういうライブがやりたい」と思ったのはあります ね。そのときは自分が立つ側としてですけど。 僕の場合、最初についたのが SCANDAL という新人アー ―今は立たせる側になっただけで、つながってますね。 ティストで。齢もわりと近いので、一緒に成長できる感じ だから、やりたいことは一緒で、やっぱりああいうライ があって。裏方だろうと表現の世界なので、裏方なりにア ブを作りたいんですよね。今って芸能的なロックバンドが イデアが採用されたり発想が功を奏したりしたのも、やっ 少ないじゃないですか。芸能界に対するアンチテーゼみた ぱりやりがいを感じましたね。 いなものを持ってるアーティストが増えていて。で、その ―実際、音楽をやりながらはきつかったですか? 反対にアイドルがいる。Mr.Children って、その両極のど真 きつかったです。自分のライブも何回か飛ばしましたし。 ん中だと思うんです。お客さんが。音楽が命!とかじゃない、 ただ、何より大きかったのは、SCANDAL を見てたら「あ、 要は音楽が生活の BGM 程度の人たちもいるけど、その人た 自分は素養的に無理なんだ」って。メジャーでやるパブリ ちも感動させることができる。そこがカッコいいと思った ック性みたいなものの、根本的な才能が違うんだなって思 んです。 ったんです。やめようと決意したのは、それが大きかった ―そこはある種、SCANDAL と通じていますよね。 かもしれないですね。あと、このままだと両方中途半端に まだまだおこがましいですが、ある意味ではそうなんです。 なるぞっていうのもありましたし。 ―では、音楽業界にはどんな人が適してると思います? SCANDAL はアイドルでもない、ロックバンドでもない、 「ど真ん中目指そうぜ」って。 意外と僕みたいに、もともと裏方につこうとしてなかっ ―これからの音楽業界はどうなっていくと思いますか? た人のほうが向いてるんじゃないかと思いますね。こうい 危険性と可能性の両方を持っていると思うんですけど、チ う冊子でいうのもアレですけど(笑) 、最初から裏方でって ャンスは転がっていると思うんです。というのも、たとえ いう人は、たとえばアーティストにこの瞬間何してほしいか、 CD とかの「情報」がなくなってしまってもライブは「体験」 次は何したらいいかっていうのを発想しづらい人が多いよ なので。「体験」はなくならない。そこに希望があると思い うな気がします。裏方だからでしゃばらないようにってい ますね。いろいろいわれてますけど、音楽業界が大変なこ うのは当然なんですけど、どこかで自己顕示欲みたいなも とは、どっちみちこの何十年も変わらなかったと思うんです。 のが強い人のほうが向いてる気がしますね。 なのでそういう言葉に惑わされずに、好きならやればいい ―裏方だからって、地味なわけではないんですよね。 と思うんですよね。だから、まずは飛び込むこと。で、自 裏方でもスターの人はいるので。やっぱり個性がなきゃ 分の居場所を確保することだと思います。それは安全な場 いけない。そこは大きいですね。 所にいようっていうことじゃなくて。競争なので、やっぱり。 ―ご自分のなかで、これまでに一番感動した記憶は? 自分の場所を強烈に確保して、自分の個性を発揮していれば、 SCANDAL がずっと大阪城ホールを目指していて、楽し 自ずと自分が生きていく道が見つかると思うんです。 裏方でもスターの人はいるので。 やっぱり個性は大事ですね。 株式会社キティエンターテインメント マネージャー 多賀英助さん SCANDALをデビュー時から支えている多賀さん。 もともとミュー ジシャンを目指していたが、 生活のためにと父親の会社に入社。 立場は違えど、 感動を一緒に創り上げていることでは一緒だ。 先輩に 聞く! キティエンターテインメント ミュージシャン、クリエイター、俳優などをマ ネージメントし、音楽、舞台、映画、アニメ、 ゲームなどを企画・制作・創造している。 kitty.co.jp プロデューサー/マネージャーインタビュー 17 先輩に 聞く! プロデューサー/マネージャーインタビュー 音楽でメシを食う覚悟。 必要なのはそれだけですね。 株式会社GRIP マネージャー 新子雄太さん 数あるラウドバンドのなかでも一歩突き抜け、2013 年には メジャー移籍も果たしたSiM。マネージャーを務める新子さ んは、バンドマン時代から根本は何も変わっていない。 18 GRIP SiM、coldrain が 所 属するマネージメン トであり、レーベルでもある「gil sound works」を運営している。 gil.shop-pro.jp ―もともとバンドをやられていたそうですね。 メシを食う覚悟。それしかいらないんじゃないですかね。 はい。いきなり根底から覆しちゃって申し訳ないんです ― 確かにそれはあるかも(笑) 。ご自身のなかで、これま が(笑) 、今も音楽業界にいるという実感はそこまでないです。 でに一番感動したことの記憶を教えてほしいんですけど。 15、16 才くらいのとき初めてインディーズのライブを見に これにつきるんですが、ツアーファイナルです。もう毎回。 行って、そのとき見たのがうちの社長のバンドだったんで バンドって結局、一連の動きじゃないですか。曲作って、 すね。で、「俺もバンドやりたい」っていうところから始ま プリプロして、録って、PV 作って、世に出して、ツアー回 り、そのまま今につながっちゃってるんで。要は、一番真 ってっていう。それのファイナルですからね。もう毎回、 剣になれる遊びが音楽であって、一番真剣になれる仕事も すごいグッとくる。あれだけは毎回感動しますね。 音楽だったっていうことなのかなと思いますね。 ―しかも、毎回きっと違う感動があるでしょうし。 ―バンドをやる感覚のまま裏方になっていった。 毎回違います。本当に歴史年表みたいな。よく学校の廊 僕もバンドをやっているときに、どうやって動かしたら 下とかに飾ってあるじゃないですか。なになにがあって、 一番いいのかとか、そういうことをよく考えてたんですね。 みたいな。あのなかにはいろんなドラマがあるわけじゃな 今はそこに特化してるだけっていう。良い音楽を作って良 いですか。僕らもそうだと思うんです。ツアー何本回った いライブができる環境を作って、こいつらの夢をかなえて とか、このときはこんな思い出があったとか、もういっぱ あげる。そこに特化した仕事なのかなって思いますね。 いあるわけで。たぶんメンバーもそうだと思うんです。や ―そんな新子さんの思う、今の音楽業界の魅力とは? めたいと思ったときもいっぱいあると思うし、もう無理だ 面白い人が多いですよね。「普通」の概念がちょっと違う って思ったときも何回もあるけど、最終的にファイナルに というか。だから、音楽業界の魅力というよりは、音楽業 来て、「ああ良かった!」って。今までのものを清算したう 界こそ好きな人しかできないんじゃないかなって思います。 えで、またそこにプラスアルファで余韻に浸れるというか。 音楽が嫌いな人には無理な気がします。そういう人が集ま ―そして、その規模がだんだん大きくなっていく。 ってるから。ダメな人もいっぱいいるし(笑) 。でもこの業界、 そう。最初は石ころだったのがどんどん大きくなってい ダメな人ほどダメじゃないんですよね。これ伝わるかな(笑) 。 って、周りを巻き込んでいく。そういうものを作るのも仕 変な話、資格がいらないじゃないですか。だからこそ、自 事なので。その実感を味わえるのもうれしいですよね。 由でいられる。だからこそ、責任も重いんだけど。 ―もしかしたら、もともと感動しやすいタイプでした? ― 確かに。逆に、一般企業ではダメだったとしても、音 いや、感動しにくいタイプでした。たとえば映画を観て 楽業界で力を発揮できるチャンスはいっぱいある(笑) 。 泣くとかあんまりなかったです。特に俺、人のことで泣く いや、これはちょっと自意識過剰なのかもしれないです っていうことはあんまりなかったですね。 けど、こっちで生きられている人は、一般社会でも何かし ―それが今、音楽に携わってから変わった。 らの成果をあげられると思うんです。だって、みんなすご そう。これがね、もうダメですね。何が起きて何があっ い考えてるし。今、音楽業界はたぶん一般的に見ると低迷 たとか、全部見てたので。そういうのが全部積もって、ツ してると思われているけど、それでも今あるっていうことは、 アーファイナルで、ワッ!ってなっちゃうっていうか(笑) 。 それを変えようとしている人がいっぱいいるってことにな ― いい話です。最後に、音楽業界を目指したいという人 りますよね? そう考えると、夢をまだ持てる。 にメッセージをお願いします。 ―音楽業界を目指す人には、どんな心得が必要ですか? 自分の人生なのでしっかり考えて選んでいただけたらと ひとつ、覚悟があればいいんじゃないですかね。音楽で 思います。覚悟はいるけど、夢はあります。楽しいですよ。 N E XT MU S IC B US I NE S S ―高校は中退で、大学には大検で入ったそうですね。 のはあるかもしれないですけど(笑) 、当てたりすると給料 はい。当時バンドをやってて高校やめちゃったんですけ はハネ上がるので。どこの業界も同じかもしれないですけ ど、バンドもうまくいかないし、やべえなみたいに思って ど、そこはまだまだ夢を持ってもらいたいなっていうか。 たときに、音楽就職ガイドみたいな本を見たんです。そこ それこそ情熱さえ持ってればなんとかなるんじゃないかな にいわゆる芸能マネージャーとか、レコード会社の制作マ っていうところはありますね。 ンとかコンサートプロモーターとかいろいろ書いてあった ―人生初体験の感動というと、何になります? んですけど、そのなかで一番やりたいなと思ったのがレコ FUJI ROCK ですね。中学 2 年生のときなんですけど、豊 ード会社だったんですね。で、ランク付けみたいなのがあ 洲でやったときの BLANKEY JET CITY のライブがすごく ったんですよ、ここは入りやすい、入りにくいみたいな。 良かったんですよ。初めてモッシュっていうのを体験して、 レコード会社が最難関ってなってて。就職希望者も多いし。 すごい楽しくて。音楽にかかわる仕事をしたいと思ったの ―当時は音楽業界といえばレコード会社でしたからね。 は、もしかしたらそこからかもしれないですね。 そうなんです。それで大検受けて大学に行ったんですけ ―それが今、担当している BiS にも活きている。 ど、音楽業界に入ってから、別に大学に行ったからって得 そうなんですよ。あと、これは音楽じゃないですけど、 したことはなくて。もちろん学歴で受かるわけでもないで 日本橋ヨヲコさんっていう漫画家さんがいて、その人のマ すし。結局レコード会社は全部落ちたんで、MUSICMAN- ンガで『極東学園天国』っていう学校ものがあって。僕、 NET(音楽業界総合情報サイト)を見て何社か履歴書を送 高校中退してるんで、学園祭みたいなのをやったことがな って。速攻で連絡が来たのがつばさだったんです。で、面 くて。やっぱり学校にコンプレックスがあるんですよね。 接に行ったら即採用みたいにいわれて(笑) 。 ちゃんと行けなかったから、ちゃんと行ってる人がうらや ―すんなり入れたと(笑) 。 ましいみたいな。なんで、BiS も終わらない文化祭をファ 最初から新卒で正社員で入ろうと思うと確かに狭き門か ンと一緒にずっと作ってるみたいな気持ちでやれたらいい もしれないですけど、意外とどこも人材不足なんで、人は なって。まあ、終わりはあるんですけど。それがそのマン 探してるんですよ。だから、入口はどこでもいいんじゃな ガのなかに詰まってて。すごい感動したんです。それも今 いかなって思います。あと、レーベルだろうが事務所だろ の仕事につながってるなみたいな。FUJI ROCK とかそのマ うがコンサート会社だろうが、やってることって今、クロ ンガから受けた感動と同じように、僕から発信するもので スオーバーしてきてて。そこも選ばないで飛び込めばいい 人の人生を変えたいっていうか。 かなって。自分のがんばりで何でもできるんで。とりあえ ―実際に音楽業界に入ってから感動したこととなると? ず入ることが一番大事かなみたいなところはありますね。 BiS でいうと、めちゃくちゃ感動したのは最初のリキッ ―とりあえず入ってしまえば、学歴とか知識は関係なく、 ドルームですね。それこそお客さんゼロからのスタートだ がんばりが活かされる世界でもあるというか。 ったので。みんなが無謀だっていってたのを、なんとか埋 そうなんです。だから、それこそ就活に失敗したとして まった形で見せられたのは、やっぱり感動しました。あれ も全然あきらめないでほしいなって。逆に、野心さえ持っ はやばかったですね。みんながんばったなみたいな気持ち ていれば、今は個人のパワーで面白いことができる環境に もあったんですけど、なにより俺がんばったなって(笑) 。 なってきたので、楽しいと思うんですけどね。 1 曲目から泣きました。やっぱりヒーローものが好きなん ―逆に、お金を稼ぎたいと思ってる人にはちょっとつら でしょうね。絶対勝てないっていわれてたやつらに勝って いかも(笑)? いくじゃないですか、ドラゴンボールとか。自分の成長も いや、いやらしい話、入った当初はマジかよ?っていう すごく感じられる。そこにもやっぱり感動しますよね。 野心さえ持っていれば、 自分のがんばりで何でもできる。 株式会社つばさプラス A&R 渡辺“ジュンジュン”淳之介さん 様々な話題を提供し続け、アイドルグループのBiSを横浜ア リーナで解散ライブを行うまでに成長させた渡辺さん。音楽 業界を目指し、大検で大学に入ったという努力家でもある。 先輩に 聞く! つばさプラス つばさグループとして、川嶋あい、山根康広 らが所属。 音楽マネージメント、レーベル 事業のつばさプラスには、BiSらが所属。 www.tsubasa-ent.co.jp プロデューサー/マネージャーインタビュー 19 先輩に 聞く! プロデューサー/マネージャーインタビュー 構造が変わってきた今だからこそ、 若い人が活躍できる可能性がある。 株式会社ニュースタイルヴィジョン 代表取締役社長 丸野孝允さん 30 代にして社長になった丸野さん。音楽業界の構造が根 本的に変わり従来の方程式が崩れた今だからこそ、新たな 人材が必要で、若い人にもチャンスがあると語ってくれた。 ―音楽業界に入ったきっかけ、経緯を教えてください。 20 ニュースタイルヴィジョン アーティストマネージメント、レーベル、イベン トの企画・制作などを行っているエンタテイン メント会社。九州男、 C&K、 ハジ→らが所属。 ns-v.co.jp ンスだと思うんです。 最初は大学 3 年生のときに、クラブを運営している会社 ―なるほど。ご自身の経験で一番感動したことは? に、給料いらないから働かせてくれって入り込みました。 僕、小学校から高校までサッカーやってたんですよ。や そこでいろんな人に出会ってかわいがってもらって、人を っぱりみんなでひとつのことをやるのが好きで、大会に優 つたって音楽業界に入っていった感じです。 勝したときとか目標を達成したときは感動しましたね。あ ―現場にまず、飛び込んでいった。 と2002年に日本でワールドカップがあったじゃないですか。 それまでは普通に大学を卒業して就職するのが当たり前 そのとき大学 3 年生だったんですけど、日本対ベルギー戦 だと思ってたけど、刺激的な人生を送りたいなと漠然と思 を観に行ったんですよ。引き分けだったんですけど、それ っていました。特に音楽が何よりも大好き!というわけで はすごく感動しました。ひとつのものをみんなで一体にな はなかったんですけど、音楽とか芸能の世界は若くても活 って応援する雰囲気に感動して、そこで少し自分が変わっ 躍している人が多くいるように見えたし、いろんな人に出 たかもしれないですね。これからはこういうのを提供でき 会えて、刺激が多そうだなって大学生ながらに思って飛び る側にいたいなって。 込んでみました。 ―仕事で感動したこととなると? ―音楽業界の魅力とは何ですか? 九州男と最初に出会ったときに目標を作ったんですけど、 アーティスト本人も含めて、この仕事ってチームでやる それが武道館でワンマンライブをすることだったんです。 ものだと思ってるんですけど、魅力のひとつはチームみん 高校卒業してから僕自身あんまり目標がなくて、ずっとど なで何か目標に向かって一緒にがんばれるとか、成し遂げ こか充実してる感じがしてなかったんです。何か具体的な られること。チームをそのときの規模に応じてどんどん大 ことに向けて走っていたわけではなくて、感動することも きくして、大きな目標を達成できるのはひとつの魅力。あ すごく減ってきてました。何やっても本気で泣けることが とはやっぱり、自分でも想像しきれないような活躍ができ なくて。だから武道館でできたら泣けるだろうなっていう る可能性があること。音楽業界の構造もいろいろ変わって のを最初から思ってたんですね。いざ実現したときは自然 きたし、ビジネスモデルも変えていかなきゃいけないとこ に泣けたから、そのときは感動したのかなって思います。 ろだと思ってるんですけど、そこがひとつチャンスだと思 まあ、みんなにバレないように泣きましたけどね(笑) 。 ってます。いわゆる一般企業だと、入社して一番下から入 ―サッカーの話もそうですけど、みんなで一緒にがんば って自分がやれる範囲が制限されてると思うんですけど、 って、それが結果を出したときに感動するタイプですね。 音楽業界は感性で勝負できるところもあるし、構造が変わ そこから立場も変わったし考え方も変わったんですけど、 ってきている今、若い人が活躍できる可能性があると思う やっぱり特にライブっていうのは感動しますね。やるほ んですよね。 うも観てるほうも楽しんでいるのを直に見るとうれしい ―従来の構造が崩れてきたことで、今は新しい力が必要 です。エンタテインメントって、自分たちが楽しまない だし、若い人がいきなり夢を作れる可能性もあると。 とたぶん伝わらないと思うんですよね。自分たちで楽し あると思います。それは音楽だけじゃないのかもしれな みながら人に楽しんでもらうことができたらいいなと思 いですけど。今まではモノの売り方の方程式がある程度あ ってます。 って、その枠を取れる人が勝ちだったように思うんですけ ―音楽業界を目指す人たちにメッセージ、エールを。 ど、その方程式が崩れ始めてきた。だから新しい方程式を これから入ってくる人たちが次の音楽業界を作っていく 考えられた人が勝てる可能性はあると思います。音楽業界 人たちでもあると思うので、一緒に楽しくできたらいいな は不況だっていわれてるけど、逆にこういうときこそチャ と思います。 N E XT MU S IC B US I NE S S ―音楽業界に入った経緯を教えてください。 のに興味があるんですね。業界に入りたかったわけじゃな 僕は青森出身なんですけど、高校生のときにライムスタ くて、アーティストの宣伝プランを考えたいっていうか。 ーのファーストアルバムを聴いて。ファイルレコードから 新人発掘から、セールスの目的地と動員の目的地を決めて、 出てる。こんなに痛快な音楽があるのか!みたいな。それ こういうふうに展開していったら面白いんじゃないかって でレコード会社に入りたいって、漠然と思ったんです。ただ、 いうのを考えるのが好きなんです。で、それが世の中にハ 調べたら、大学を出てないと入りづらいと。それで受験勉 マって、チャートアクションがとれたり、動員がとれたり、 強を始めて、上京して大学に入ったんです。経緯はそれで、 話題になったりしたら、すごくうれしいですね。 なんとなく宣伝する仕事がしたかったんですね。 ―考えるだけじゃなく、そこに結果がついてきたとき。 ―制作ではなかったんですね。 そう。あと面白いのが、ヒップホップ/ R&B が流行って、 「この音楽を作りたい」よりは、「この音楽を広めたい」 レゲエが流行って、4 つ打ちが流行って、トランスが流行っ のほうが先でしたね。僕はプレイヤーじゃなかったんで。 て、次は何が来るんだっていったら、カウンターで超ロッ 地上派じゃ全然やってないけどスペースシャワーでヘビロ クとか来ちゃったりするじゃないですか。で、世界的には でかかってる音楽を友達にずっと聴かせてて。こういう仕 今 EDM が大盛況なのに、日本はそんなにぱっとしない。そ 事をやってみたいなって。それがきっかけですよね。 のなかで、一昨年見つけた Charisma.com は、EDMチック ― 実際には音楽業界って門戸が狭いじゃないですか。そ だよねみたいな。EDMじゃなくて。リリックもいいし、あ こはどうやって突破したんですか? とラップが超うめえなみたいな。こんな組み合わせは日本 ラグビーやっててあんまり勉強してなかったんで優秀な にいないなと思って。これだ!みたいな。そういうのも楽 大学じゃなかったんですよ。有名大学じゃないと入りづら しいですよね。 いって情報を聞いてたんで、横入りしかないなって思って、 ―音楽業界には、どんな人が向いてると思います? クラブイベントをオーガナイズするサークルを作って。そ 本当に好きじゃない人はやめたほうがいいですね。遊び こでいろんな人に会って、つながりがめちゃめちゃできた が仕事、仕事が遊びみたいな。僕も、働いてて、仕事をし んです。でも、就職活動でレコード会社受けたんですけど、 てるつもりはないんですよ。仕事はしてるんだけど、ずー 超就職氷河期で 4 社くらいしか新卒募集もしていなく…。 っと(笑) 。なんか、ずーっとロールプレイングゲームをし 全部落ちました。だけどクラブつながりで、クラブプロモ ているみたいな感じですね、感覚としては。 ーションみたいなバイトをやってて。そしたらある日、お ―要は、大変なんだけど、楽しいという。 世話になっていたレコードメーカーの A&R の方から電話が そう。ゼロからイチを作るのって、最高に面白いじゃな かかってきて、マネージャーをやってみないかみたいなこ いですか! 全然知らないやつがいきなり出てきて、それが とをいわれて。受かるかわからないけど、推薦してやるから、 いろんなところで超カッコいいっていわれるようになって。 とりあえず履歴書を出してみろと。で、40 〜 50 人集まっ やった!みたいな感じですよね。 たらしいんですけど、雇われることになったんです。それ ―今のうちにしておいたほうがいいことはありますか? が始まりですね。 興味があるならバイトに行ってみたらって。学生で時間 ―音楽業界って、どんな魅力がある場所ですか? があるうちに、バイトしながら「いろは」をおぼえればいい。 僕は別に音楽業界っていうものに興味はなくて、今こう 一回経験したほうがいい。僕がもし面接するんだったら、 いう音楽が出たら面白いだろうなとか、こういうメッセー ファミレスでバイトしてるやつよりは、CD ショップとかコ ジの曲が出たらみんな聴くんじゃないかなとか、そういう ンサート制作でバイトしてるやつを取りますからね。 ゼロからイチを作るのって、 最高に面白いじゃないですか ! 株式会社ラストラム・ミュージックエンタテインメント プロデューサー 山崎 学さん プロダクション機能もレーベル機能も充実しているラストラ ムで、現在、ケラケラやCharisma.comらを発掘育成して いる山崎さん。まさに現場叩き上げの「音楽好き」だ。 先輩に 聞く! ラストラム・ミュージックエンタテインメント SEKAI NO OWARI、ケラケラ、黒木渚ら が所属するプロダクションであり、 レーベルと してCharisma.com、平井大らを手掛ける。 www.lastrum.co.jp プロデューサー/マネージャーインタビュー 21 先輩に 聞く! プロデューサー/マネージャーインタビュー 情熱があれば誰にでも チャンスがある世界だと思う。 有限会社ユークリッド・エージェンシー 代表取締役 会長 木村敏彦さん ゴールデンボンバーを紅白バンドにまで育て上げた木村 CEO。レコード会社在籍時代にはディレクターとして岡本真 夜やリンドバーグらを成功に導いた、熱血の音楽制作者だ。 22 ユークリッド・エージェンシー プロダクション、デザイン、映像、出版などを 手掛ける総合音楽会社。ユークリッド・アー ティストにはゴールデンボンバーらが所属。 www.euclidagency.com ―最初のキャリアはキティミュージックですよね。 越さんっていう女の子が書いた習字があって(笑) 。彼女の 大学生のときに僕もちょっと音楽をかじってたので、音 習字はお手本とは全然違う。だけど美しいんですよ。あ、 楽業界に知り合いがいて。その知り合いに「うち、新卒の 才能ってこういうもんなんだなと思って、すごく感動した 募集があるから受ければ」っていわれて、受けてみたらた というか。圧倒されましたね。 またま受かったんです。ただ、配属されたのが総務だった ― 業界に入ってから一番感動したこととなると、いっぱ んですよね、最初(笑) 。 いありすぎて、あげるのは難しいと思うんですけど。 ―制作とか宣伝ではなく。 僕らって、ある程度先を読んでるじゃないですか。だか そう。ただ、経理も管理も契約も、総務で全部やってた ら感動よりも達成感みたいなもののほうが強くなっちゃう んですね。あとから考えたら実はすごく勉強になってて。 んですけど、その意味でいうと、一番達成感を感じたのは、 契約書を読むと、プロダクションとレコード会社ってこう 岡本真夜ちゃんのサードシングル「Alone」ですかね。当時、 いうビジネスのスキームでやってるんだとか、全部わかる 彼女のプロデューサーをやってて。「TOMORROW」がボー わけですよ。当時は嫌々やってたんですけど、今となって ンと売れて、まわりからは「TOMORROW」みたいな曲を みるとラッキーだったなと思いますね。 書いてくれっていうオファーしか来ないんですよ。2 枚目は ― 音楽業界に二の足を踏んでいる若い人たちに理由を聞 いわれる通りに出したんですけど、3 枚目もまた同じで。も いたら、知識がないからというのも多かったんです。 うないなと。このままじゃ彼女終わっちゃうなと思って。で、 全然関係ないと思います。僕なんか大学で勉強してたの 1 曲すごくいいバラードがあって、これが一番いいから出し 遺伝子工学ですよ。音楽業界と 1mm も関係ない。知識はあ たいと。宣伝とかにいうと「それじゃタイアップつきませ とから、いくらでも勉強できますから。音楽業界で僕が一 んよ」と。「だったら、タイアップなんかいらない!」って 番いいと思うのは……一般的に考えると、やっぱり資本力 いって。とはいったものの、気持ちはヒヤヒヤなわけです があったり、コネがあったりするほうが圧倒的に有利じゃ よ(笑) 。賛同者ゼロ。1 人で責任を背負ったわけで、危機感 ないですか。でも音楽業界って、資本力とかがなくても、 満載。でも、それが逆にモチベーションになるんですよね。 情熱があれば成功できるチャンスがある世界だと僕は思う ―策を必死で練らないといけないわけですからね。 んですよね。ある種のフェアさみたいなものが保たれてい そう。これは何か考えなきゃと。本当にいろんなことを る世界だと思うんです。特に今の時代って、誰でも発信で 考えてプロモーションして、結果初動が 13 位だったかな。 きるじゃないですか。だから、よりいっそうチャンスが誰 周囲からは非難ごうごうでした。僕にとっては想定内だっ にでもあるわけで。 たんですけどね。その後 20 位台に下がったんですけど、8 ―可能性が誰にでも平等にあるし、0 を 100 にもできる。 週目にベスト 10 に入ったんです。してやったり。それ以降、 と思います。ただ、心得じゃないですけど、まず音楽が コンサートも女の子が来てくれるようになって売り切れに 好きっていうのは大事な気がします。音楽が好きだから、 なって、その曲が入ってるアルバムも「TOMORROW」が そのアーティストが好きになって、そしたらみんなに聴い 入ってるアルバムより売れたんですよ。アーティストプロ てほしいと思うじゃないですか。その気持ちが原点だと思 モーションとして大成功だったってことじゃないですか。 うんですよね。 ―最後に、音楽業界を目指す人にエールを。 ―人生で最初に味わった、感動の原体験というと? 音楽って絶対なくならないし、さっきいったように、知 中学1年生のときかな。書き初めってあるじゃないですか。 識がなくても情熱があって努力を惜しまなければ成功でき 優秀な作品が正月明けに張り出されるんですよ。そこに水 る世界なので、ぜひ来てください。 N E XT MU S IC B US I NE S S ―音楽業界に入られた経緯を教えてください。 ぜ!っていう(笑) 。 もともとは大学の入学に合わせて上京してきて、当時の ―要は、人と人とをつなげるということですからね。 先輩に誘われて、コンサートの会場整理とかのアルバイト そうです。それで「あの日のあれは忘れられない」みた を 4 年間やってたんです。で、いざ就職というときにバブ いなポイントをどう作ってあげるかっていう。それはもち ルがはじけて。本当は音楽業界を目指していたわけではな ろんステージの演出とかでも作ることが可能なんですけど、 くて、実家に帰ろうとしたんですけど、就職氷河期でどこ もっと長いタームでいろいろ考える。たとえば「なんで今、 にも入れず。そんなときに、当時アルバイトの出入りの多 武道館やるの?」みたいなことだったりとか。お客さんの かったイベンターさんに誘われて入ったんです。 その「?」が、コンサートを実際見たあとに「!」に変わ ―その後、コンサート制作会社を経て、独立をされた。 る瞬間っていうのが、最高にたまらないんですよね。「あ、 やっぱり一緒に切磋琢磨して、そのバンドが成長するス こういうことだったんだ!」みたいな。 トーリーみたいなものを考えるのが好きで。そのコンサー ― そういう意味で、岩下さん自身がこれまでに一番感動 トをやることによって世の中が驚いて、その先のバンドの したことというと? 未来にもちゃんとつながることを一緒に考えるというか。 最近でいうと BUMP OF CHICKEN の QVC マリンフィー そこに醍醐味を感じちゃったんですよね。 ルド(千葉マリンスタジアム)ですね。バンドとしてはや ― つまり、コンサート制作の魅力はそこですね。単にコ ってしかるべきなんですけど、バンド的には一度もスタジ ンサートを作るだけじゃなく、その先も考えられる。 アムクラスでライブをやったことがなかったんですよ。こ そうですね。1 本のコンサートが到達地点とか出口じゃ れはもう、見事にハマったと思うんですよね。あとはやっ なく、それが終わったあとの未来をどこまで想像するか。 ぱり ELLEGARDEN の幕張メッセ。3 万 5 千人の。いろん もちろんステージセットだったり演出だったり、お客さん なプレッシャーと戦ったんですけど、それが始まったとき が普通にコンサートを観ていてときめくコンサート制作 に、やっぱり今までに見たことのない人の多さだったりと っていうストーリーもあれば、バンドをより多く、長く応 かして。「あ、俺たちとんでもないことをやったんだな」 援してもらうことを考えていくストーリーもあるんです っていうのを、始まった瞬間に感じましたよね。バンドが 「これをやりたい」って願ってたプロジェクトが成功して、 よね。 ―点を線でつなぐ醍醐味もあるわけですね。 そうです。だから、目指す人には本当に、妄想でもいい 無事に始まった瞬間っていうのは、本当にアガります。 「決まった!」みたいな感じですよね。 から想像力を豊かに、自分が何を作りたいのか、夢をふく ―最後に、音楽業界を目指す人にメッセージを。 らませまくってほしいですね。若者に話すときに、よくデ これはもう冗談じゃなく、こんな仕事してたらギャンブ ートにたとえるんですよ。要は、好きな者同士なわけじゃ ルとか全然興味ないですよ(笑) 。 ないですか。アーティストはお客さんが好き、お客さんは ―ギャンブルより面白いから。 アーティストが好きっていうなかで、じゃあ「何月何日に いや、ギャンブルですもん、これ自体が。 どこどこで」って、まず、そのデートの場所を確保しない ―ギャンブルより面白いギャンブルですね(笑) 。 と成立しないわけで。 そうなんです。このプロジェクトは成功するのかしない ―なるほど。デートコースを作ってあげるんですね。 のか、みたいな。もうドキドキですよ。とにかく、最初は そう。で、店のなかはこんな装飾がされてて、この席に 球拾いというか雑用から始まるだろうけど、経験値を積め 座ってもらって、1 曲目にこの曲をプレゼントして、みた ば積むほどそれが返ってくる世界なので、少しずつ真ん中 いな。そうやって、最終的に彼女のハートをゲットしよう に行けるように、ぜひがんばってほしいですね。 「?」が「!」に変わる瞬間が 最高にたまらないんですよね。 ライブマスターズ株式会社 代表取締役 岩下英明さん プロダクションと密接なかかわりのあるコンサート制作。単 にひとつのコンサートやツアーを仕切るだけでなく、アーティ ストの未来までも一緒に作っていくパートナーなのだ。 先輩に 聞く! ライブマスターズ BUMP OF CHICKEN、サカナクション、 [Al exandros] ( ex. [Champagne] ) など、数多 くのアーティストのコンサート制作を手掛ける。 livemasters.jp プロデューサー/マネージャーインタビュー 23 一般社団法人 日本音楽制作者連盟 正会員一覧 (株) アイアールシートゥコーポレーション (有)雲母社 (有) チャームサイド (株) フリーウェイ (株) アキオワンダー (有) グラシアス (株)DGエージェント (株) ブリッジ (株) アキラニ (株) グランドパッケージ (株) ティーズ・コーポレーション (有) フルフェイスレコード (有) アクアミュージックプロダクツ (株) グランドファンク (株) ディーゼルコーポレーション (株) ブルーミングエージェンシー アクセルミュージックエンターテイメント (株) (株) クリアスカイコーポレーション (有) ディーノ・パブリッシャーズ (有) ブレスト音楽出版 (株) アスク・エージェンシー (株) クリエイティブアイディアオブアソシエイツ (株) ティープロダクツ (株) プロマックス (株) アップストリーム (株) クリエイティブオフィスキュー (有) トイズオフィス (有) ベイビィズ (有) アップライズ・プロダクト (株) グレイスノーツ (株) ときおらミュージック (株) ベリーファーム (株) アーティマージュ (株) グレートデン (株) トライアングル (株) ポイントブランク (株) アミューズ (株) クレドプロモーション (株) トリニティー・アーティスト (株) ポイントローズ (株) アール・ユー・オフィス (株) グローイングアップ (株) ドリーミュージックアーティストマネージメント (有)voque ting (有) アーント音楽出版 (有)黒猫堂 (株) イー・スマート (株)KSR (株) ザ・ナイアガラ・エンタープライズ (有) ボーダー・グランド (株) イー・プランニング (有) コータロー音楽事務所 (有) ナオプラン (有) ポッションエッズ (株) イズム・アーティスト (株) コットンフィールズ (株)NAPOLEON RECORDS (株) イドエンターテインメント (有) コロニーサーフ音楽出版 (株) 日音アーティスト (株) マザーエンタープライズ (株) イノベーター (株) さだプロ (株) ニュースタイルヴィジョン (株) マゼラン (株) インクストゥエンター (有) さとう音楽事務所 (株) ネクストワン (有) マーマレード (有) ヴァーゴミュージック (有) サード・ストーン・フロム・ザ・サン (有) ノイ (株) ミスターミュージック (株) ヴァンプローズ (株)残響 (株) ハイウェーブ (株) ザ・ミュージックス (株) ウィード (株) サンデーフォークプロモーション (株) ハイスピードボーイズ (株) ミュージックマイン (株) ウエス (株) ジー・アイ・ピー ハウリング・ブル・エンターテイメント (株) (株) ミュージック・ランチ (株) ウェルストーン・ヴォイス (株) ジィーズ (株) バグ・コーポレーション (株) ももコマーシャル (株) ウルトラ・ヴァイヴ (有) ジェイティーコミュニケーションズ (株) バースデーソング音楽出版 (株) ヤマハミュージックパブリッシング (株) ハチク (株) ヤングジャパングループ (株)OORONG-SHA JET( 株) ドリームタイムミュージック (株) (有)北天壮 マーヴェリック・ディー・シー(株) (株) エーヴイーアール (株) シーズレコーズ (有) バックステージ東京 (株) ユイ エンタテイメント (株)SMCエンタテインメント (株) シーブロック (株) バッドニュース (株) ユイ ミュージック (株)A-Sketch (株) ジャグラー (株) バッド・ミュージック (有) ユークリッド・エージェンシー (有) エディション ガスパール ジャパンミュージックエージェンシー (株) (有) ハッピートーイ (株) ユーケーピーエム 江戸屋(株) (株) ショーン・ハラダ (有)buddy go (株) ユーケープロジェクト エドワード・エンターテインメント・グループ (株) シンコーミュージック・エンタテイメント (株) (株) ザ・バディスト・カンパニー (株) ユー・スタッフ (株) シンプレックス・ミュージック (株)花やしきミュージック (株) ユーズミュージック (株) パパドゥ音楽出版 (株) ヨロシタミュージック (株) ライフ (株) エヌ・ダブル・ピー (株) エフエフエム スイート・ベイジル (株) (株)FMMP (株) スウィート・チャイルド ハーフトーンミュージック&システムズ (株) (株)MSエンタテインメント (株) スコップ・ミュージック (株) パワープレイミュージック (株)MSエンタテインメント・プラス (株) スターダスト音楽出版 (株) パワー・ボックス (株)M-SMILE (株) スティーズラボミュージック (有) バンカー (株) ランタイムミュージックエンタテインメント (株) ハンズオン・エンタテインメント (株) ランティス (株) エムズ スパイラルアーツ (株) ラグーンミュージックオフィス (株) (株) ラフィン (有) エレメンツ (株) スピードスター・ミュージック (株) ビーイング (株) ランデブー (株) オゾンコーポレーション (株) スペースクラフトプロデュース (株) ビー・エー・シー (株) リアルロックス (株) オフィスウォーカー (株) スマイルカンパニー (株)BAJ (株) リズメディア (株) オフィス オーガスタ (株) ズームリパブリック (有) ピーエスカンパニー (株) レインボーエンタテインメント (有)SETSUNA INTERNATIONAL (有) ピザ・オブ・デス・レコーズ (株) ロックダムアーティスツ オフィス・ゲンキ (株) ビー・ジー・ビー・カンパニー(株) (株) ロードアンドスカイ (有) オフィス・プロフィット (株) セブンスソフトハウス (有)Office MAMA (有) セブンス・マザー (有) ビーズクラブオフィス (有) ロレイユ (株) オフィスレン (株) セレブランツ ヒップランドミュージックコーポレーション (株) (有) ロングフェロー (株) センスカンパニー (株) ビートニクス (有) ワイエスコーポレーション (有) オールスパイスカンパニー (株)SOFT CONTENTS MANAGEMENT (株) ピラミッド (有) ワイランド (有)音楽出版ジュンアンドケイ (有) ソリッドボンド (株) ビーンズ ワイルド・コーポレーション・リミテッド (有) ソロモン・アイ・アンド・アイプロダクション (株) (株) ファー・イースト・カンパニー (株) ワーズアンドミュージック (株)金子洋明事務所 (株) タイスケ (株) ファー・イースト・クラブ (株) ワーナーミュージック・ジャパン (有)喜喜 (有) タイニーボイスプロダクション (株)fivemanarmy (株) キティエンターテインメント (株) ダーウィン (株) ファンキー・ジャム (株) ワンダーシティ (株) キャピタルヴィレッジ (有)竹田企画 (株) ファンタジスタ (有) ワンダフル・ワールド (株) キャブ (有)竹中偉胤 フェイス ミュージックエンタテインメント (株) (株) キャンプ (株) ダダ ミュージック (有) フライング・ハイ (株) キューブ (株)大家 (株) フライングペンギンズ (株)揆楽舎 (株) チカラジュクエンタテインメント (株) プラナ オルスタエンタテインメント (株) 甲斐オフィス (株) ワールドアパート (有) 2014年4月1日現在
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