2011年8月25日・大阪府立岸和田高等学校での講演

論理と数理パズル
―クイズを通して数学を見る―
町
頭
義
朗
数理科学講座
Logic and Mathematical puzzles
-Seei ng Mat he mati cs t hroug h qui zze sYoshiroh M achig ashira
Di vision of Math emati cal S cien ce s
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はじめに
本論文では,筆者が2011年8月25日に大阪府立岸和田高校で行
った講演を元に,数学を通して,論理を高校生に教える方法を探る。
題材に選んだのは,入試問題やテレビのクイズ番組,あるいはネット
で出題されていた論理の問題である。情報をわかりやすく伝える1つの
方法として,伝えるべきことを数字に直して考えるということがあり,
特にコンピュータの世界では非常に有益な方法となっている。その場合
に注意するべきなのは,数字に直した時に漏れがないかどうか,また,
無駄なことをしていないかどうかを検証することである。
説得力のある人の話は,簡単なことを上手に積み重ねていて,必要な
ことだけを回りくどくなく説明しているという話から始め,それを数学
的に考えると,どういうことになるかを考えてみようという方向で話を
進めた。
典型的な例としては,子どもの数と飴の数が等しいかどうかを確かめ
ることであろう。子ども1人1人の前に飴を1つずつ置いていって,ど
の子の前にも飴が1つだけあり,さらに飴が余ってないとすれば,子ど
もの数と飴の数は等しい。ここには数字という概念がないが,人間は数
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字という概念を持っており,飴を1つずつ置いていかなくても,子ども
の数と飴の数を数えることにより,2つの数が一致するかどうかを確か
めることが出来る。数字というものが,あるいは数学というものが,物
事をわかりやすく説明するのに重要な役割を果たしているということを
伝えるつもりで講演を行った。
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内容
主として3つの問題を出題し,解答もさることながら,それを人に上
手に伝えるということは,どういうことなのかを生徒と一緒に考えてみ
ることを行った。
(1)問題1
問 題 1 : 白 石 180 個 と 黒 石 181 個 の ,合 わ せ て 361 個 の 碁 石 が 横 に 一 列
に並んでいる。碁石がどのように並んでいても,次の条件を満たす黒の
碁石が少なくとも一つあることを示せ。
条件:その黒の碁石とそれより右にある碁石をすべて除くと,残りは白
石と黒石が同数となる。ただし,碁石が一つも残らない場合も同数とみ
な す 。( 東 京 大 学 入 試 問 題 )
このままでは石の数が多過ぎるので,黒石が白石よりも1つ多いこと
が本質であると言い,白石4個と黒石5個の計9個で例を出した。
例1:○●○○●○●●●
例2:●●○○●○●○●
例3:○○●●○●●●○
例1では一番右の黒石を,例2では一番左の黒石とそれより右の石
(つまり全部)か,一番右の黒石を,例3では左から7番目の黒石とそ
れより右の石を,それぞれ取り除けば良い。何人かに例題について聞い
てみると,全て解けたので,問題の趣旨は理解していることが分かり,
次 に 進 む 。「 す ぐ に 分 か る こ と は 何 で し ょ う か ? 」 何 人 か が 何 か 言 い た
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そうな顔をしていたので当ててみると,
「 一 番 右 の 石 が 黒 の 時 は ,そ の 石
を取り除けば良い。また一番左の石が黒の時は,すべての石を取り除け
ば 良 い 。」 と 言 う 。 正 論 で あ る 。
“ 一 番 左 の 石 と 一 番 右 の 石 は 白 と 仮 定 し て 良 い ” と 板 書 し ,こ こ か ら ど
う 進 め る か 聞 い て み る と 1 人 の 手 が 挙 が っ た 。「 左 端 か ら 考 え て い く と ,
最終的には黒石が1個多いのだから,どこかで黒石の数と白石の数が同
じ に な る 。だ か ら ,そ れ よ り 右 の 石 を 取 り 除 け ば 良 い 。」
感覚的にはそ
れ で 良 い の で あ る が ,そ れ だ け だ と 足 ら な い 。
「黒石と白石が同数になっ
た時,その次の石が黒ならそれで良いが,白だと,もう1歩踏み込まな
け れ ば な ら な い 。」 そ の 生 徒 が 少 し 考 え ,
「 そ の 場 合 は ,そ こ か ら ま た 数
え 直 せ ば 良 い 。」 と 言 っ た 。 そ の 通 り で あ る 。
「 ま と め て み ま し ょ う 。」
問 題 1 の ま と め:左 か ら i 番 目 ま で の 石 の ,
( 黒 石 の 数 )-( 白 石 の 数 )
と い う 量 を 考 え る 。i が 1 の 時 は - 1 で ,i が 3 6 1 の 時 は + 1 で あ る 。
ま た ,最 後 が 白 石 と 仮 定 し て よ い こ と か ら ,i が 3 6 0 の 時 は + 2 で あ る 。
この量は,1 ずつしか変化できないから,どこかで 0 から 1 に変わる
時がある。1 に変わった時の石は黒石で,その石とそれより右の石を取
り除くと,残った石は黒と白が同数になっている。
講演前は、次のような説明をすることも考えた。簡単のため,黒が6
個,白が5個とする。組み合わせの単元でよく出てくる,次のような図
を考える。
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SからGまで格子状の線の上を通って,遠回りすることなく行くのであ
るが,黒石を上に1マス進むこと,白石を右に1マス進むことに対応さ
せると,碁石の並べ方とSからGへの行き方は1対1に対応することが
わ か る 。 こ こ で , 次 の 図 の よ う に 斜 め に 直 線 ℓを 引 く 。
ℓ よ り も 上 の 部 分 を B ,下 の 部 分 を W と す る 。ス タ ー ト 地 点 S は ℓ 上 に
あり,ゴール地点 G は B 上にある。初めて B 上に達する点を P とする
と ,P の 1 つ 前 の 点 は ℓ上 に あ る こ と に な る 。な ぜ な ら ,1 つ 前 の 点 が P
の 左 の 点 だ と す る と ,そ の 点 は ,す で に B 上 に あ る か ら で あ る 。つ ま り ,
黒 石 に よ っ て P に 至 る こ と に な り ,そ の 前 の 黒 石 の 数 と 白 石 の 数 は 等 し
いことになるので,P に至らせた黒石および,それより右側にある碁石
を取り除くと,残った黒石と白石の数は等しいことになる。
この考え方は,カタラン数やランダム・ウォークを論じる時に非常に
有益であるが,そこまで踏み込むと,それだけで1つの講演を行うこと
になるので,今回は触れないことにした。
入試の解答としては,どの解答でも正解になるであろうが,厳密に言
えば,数学的帰納法で証明するべきだろう。数学的帰納法を習っていな
い生徒が多かったので,講演では言わなかったが,以下に一般の場合の
数学的帰納法による証明を書いておく。
問 題 1 の 一 般 化 :「 n を 自 然 数 と す る 。 白 石 n 個 と 黒 石 ( n + 1 ) 個 の , 合 わ
せ て ( 2 n + 1 ) 個 の 碁 石 が 横 に 一 列 に 並 ん で い る 。碁 石 が ど の よ う に 並 ん で
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いても,元々の問題の条件を満たす黒の碁石が少なくとも一つあること
を 示 せ 。」
数 学 的 帰 納 法 に よ る 証 明 : n = 1 の 時 は ,並 べ 方 は 3 通 り し か な く ,い
ず れ の 並 べ 方 で も ,条 件 を 満 た す 黒 石 が あ る こ と は ,す ぐ に わ か る 。 n =
k の時に題意が成立すると仮定し,n = k + 1 の時を考える。一番左の
石が黒なら,すべての石を取り除けば良いので,一番左の石は白だと仮
定して良い。この一番左の白石と,黒石の中で一番左にある石をないも
のとして考えてみる。そうすれば帰納法の仮定により,ないものとして
考えている黒石よりも右側の黒石が存在して,その石とそれより右側の
石を取り除けば,残った石は黒と白が同数となる。これらと,ないもの
として考えた2つの石が実際に残っているわけであるが,ないものとし
て考えた石は白が1つ,黒が1つなので,n = k + 1 の時も証明できた
ことになる。証明終
「 で は , 次 の 問 題 に い き ま し ょ う 。」
(2)問題2
問題2:10人が縦に並んでいて,それぞれの人は,赤か白の帽子をラ
ンダムにかぶらされている。それぞれは,自分より前の人たちの帽子の
色はわかるが,自分や,自分より後ろの人の帽子の色はわからないもの
とする。一番後ろの人から順に全員に聴こえる声で自分の帽子の色を当
てていくのであるが,10人は帽子をかぶる前に全員で作戦を練ること
ができる。どのような作戦を取れば,自分の帽子の色を正解する人の人
数 を 増 や す こ と が 出 来 る だ ろ う か ? ま た ,確 実 に 当 て る こ と が で き る の
は 何 人 だ ろ う か ? た だ し ,ど の 人 も 「 赤 」 か 「 白 」 の い ず れ か し か 言 う こ と
ができず,声の大きさや態度などで何かを示すことは出来ないものとす
る。また,帽子の色が,赤,白,青の3色の場合はどうだろうか?
(テレビのクイズ番組で出題された問題を筆者がアレンジしてものであ
る 。)
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2色の場合は,講演要旨に問題を書いていたこともあり,かなりの生
徒 が 考 え て き て い た 。 一 応 , 「一 番 後 ろ の 人 は 犠 牲 に な り ま す 。 」と 言 う
と,友達同士で,偶数とか奇数とか言っている声が聞こえてくる。それ
以上のヒントの必要もなさそうなので,説明することにした。
「 一 番 後 ろ の 人 は ,前 の 9 人 の 帽 子 の 色 を 見 ま す 。9 人 な の だ か ら ,赤 の
人数と白の人数の一方は奇数で,もう一方は偶数ですね。赤の人数が奇
数 だ っ た ら , “赤 ”と 言 う こ と に し , 白 の 人 数 が 奇 数 だ っ た ら , “白 ”と 言
うことにしましょう。そうすると9番目の人は,自分より前の人の帽子
を見て,自分の帽子の色がわかることになりますね。」
「前から8番目の人は,一番後ろの人の言葉と,9番目の人の言葉を受
けて,自分の色を判定することができます。このようにして次々にやっ
て い く と ,一 番 後 ろ の 人 以 外 の 9 人 は 自 分 の 色 が わ か る こ と に な り ま す 。
次の例はどうでしょうか?」
何 人 か に 聞 い て み る と , み ん な “白 ”と 答 え た 。 ”
「そうですね。一番後ろの人の言葉から,1番から9番までの中に,白
の 人 が 奇 数 人 い る こ と が わ か り ま す 。 自 分 よ り 後 ろ の 7 番 目 ,8 番 目 ,
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9 番 目 の 中 に 白 が 偶 数 人 ,自 分 よ り 前 の 人 の 帽 子 の 色 を 見 る と ,白 は 偶
数 人 な の で ,合 わ せ て 白 は 偶 数 人 ,し た が っ て 自 分 の 色 は ” 白 ” と わ か
りますね。一番後ろの人は,当たっているかどうかわかりませんから,
正 解 は 9 人 と い う こ と に な り ま す 。」
「 帽 子 が ,赤 ,白 ,青 の 3 色 の 場 合 は ど う な る か ,わ か る 人 は 居 ま す か ? 」
さすがに誰も手を挙げない。次のように誘導する。
「ちょっと問題を変えてみましょう。それぞれの人は,背中に数字を書
い た 紙 を 張 ら れ て い ま す 。自 分 よ り 前 に 居 る 人 の 数 字 は 全 部 見 え る と し ,
さきほどの問題と同様に,一番後ろの人から,自分の背中の数字を当て
ていくことにします。この場合は何人が自分の数字を当てることができ
ますか?」これは,ほとんどの人がわかったような顔をしている。
「これは簡単ですよね。一番後ろの人は,前の9人の数字の和を答えま
す。前から9番目の人は,その数字から,前の8人の数字の和を引けば
いいですね。前から8番目の人は,一番後ろの人が言った数字から,前
から9番目の人が言った数字と,自分より前の7人の数字の和を引けば
いいですね。以下同様にして,一番後ろの人以外は自分の数字を当てる
こ と が で き ま す 。」
「では,もう少し難しくしましょう。それぞれの人は,0~9までの整
数のどれかを書いた紙を張られているとします。それぞれの人は,0~
9までの整数のどれかを答えることにします。また,それ以外の数字を
言うことはできません。ですから,さっきと同じように,一番後ろの人
は前の9人の数字の和を言うことはできませんね。9を超えている場合
が あ り ま す か ら 。」全 体 を 見 回 し な が ら 時 間 を 取 る と ,し ば ら く し て か ら ,
「下1ケタだけ」という声が聞こえてきた。
「そうですね。一番後ろの人は,前の9人の数字の和を言う必要はあり
ません。下1ケタだけ,つまり和を10で割った余りだけを言えばいい
ですね。次の例はどうでしょうか?」
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口だけでの説明だったので,少し不安であったが,理解してくれたみ
た い で , “6 ”と 答 え て く れ た 。 こ の 場 合 は , 5 か ら ( 8 + 3 + 0 + 4 )
と( 4 + 0 + 9 + 1 )を 引 い て ,1 0 で 割 っ た 余 り を 答 え れ ば 良 い 。
(例
えば,1から4を引くと7になることを注意しなければならない。それ
を 言 う の を 忘 れ た が , ほ と ん ど の 生 徒 は 理 解 し て く れ た よ う だ 。)
ここからが本題である。
「では,数字が0~9ではなく,0,1,2のどれかの場合はどうで
しょうか?
数字の個数が減った分,簡単そうに見えるのに,難しくな
っていますね。さっきは10で割った余りを考えましたが,今度は3で
割った余りを考えます。0か1か2ですよね。この考え方を,数学では
モジュロ3で考えると言います。整数論などの代数の分野になるのです
が,こういう考え方は非常に重要で,暗号理論などに使います。演算表
を書いておきましょう。
0 + 0 = 0, 0 + 1 = 1, 0 + 2 = 2
0- 0 = 0, 0- 1 = 2, 0- 2 = 1
1 + 0 = 1, 1 + 1 = 2, 1 + 2 = 0
1- 0 = 1, 1- 1 = 0, 1- 2 = 2
2 + 0 = 2, 2 + 1 = 0, 2 + 2 = 1
2- 0 = 2, 2- 1 = 1, 2- 2 = 0
となります。少し不思議な気がするかもしれませんが,実際に普通に自
然数や整数で計算して,3で割った余りを考えると,この演算表で良い
こ と が わ か り ま す 。 で は 例 題 で す 。」
こ こ で も , ほ と ん ど の 生 徒 が ”2 ”と 答 え た 。
「そうですね。2-1-0-1-2を演算表にしたがって計算すると
1 に な り ま す 。自 分 よ り 前 の 人 の 数 字 の 和 1 + 2 + 0 + 2 は 2 で す か
ら , 自 分 の 数 字 は 1 - 2 で 2 で す ね 。」
講義の後で,生徒から次のような質問があった。
生徒からの質問: 1番目から4番目の人の数字を足すと2,6番目か
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ら9番目までの人の数字を足すと1だから,合わせて0,それを一番後
ろの人が言った 2から引いた方が早いのではないでしょうか?
もちろん正論である。ただ,実際に並んでやる時は,2から次々に引
いて行く方が,間違いが少ないのではないかと答えた。実際にはメモを
取りながらやることになるだろうから,生徒からの質問のやり方の方が
いいのかもしれないが。
当初は,ここでモジュロ2での演算表
0 + 0 = 0, 0 + 1 = 1
0- 0 = 0, 0- 1 = 1
1 + 0 = 1, 1 + 1 = 0
1- 0 = 1, 1- 1 = 0
を板書し,赤と白だけの場合に赤を0,白を1とし,数字に置き換えて
考えることをやろうと思っていたのだが,時間の都合で割愛した。しか
し生徒は0,1,2でやった時点で気づいたようである。
「もう、わかりましたよね?
数字ではなくて色の場合でも,赤,白,
青 の 3 色 を そ れ ぞ れ , 0 ,1 , 2 に 置 き 換 え て 考 え れ ば い い で す ね 。 次
の問題はどうでしょうか?」
色を数字に置き換えて考えるため,少し長めに時間を取ったが,ほとん
どの生徒が赤と答えた。
「今やった2問は,どちらも数字に置き換えて考えるということを念
頭に置いて説明しました。このように,数字に置き換えると演算が出来
るため,情報を伝えやすくなります。この考え方は暗号理論などで大活
躍します。今まで,あまりなじみがなかったかもしれませんが,何かの
折 に ふ れ , 考 え て み て 下 さ い 。 で は , も う 1 問 出 し て お き ま す 。」
(3)問題3
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問題3: 先生1人と生徒3人で次のようなゲームをする。
“ A , B , C の 3 人 に , 赤 , 白 , 青 の い ず れ か の 帽 子 を か ぶ せ る 。( た だ
し、色が重複する可能性もある。)それぞれは,他の2人の帽子を見る
ことは出来るが,自分の帽子を見ることは出来ない。3人同時に,自分
がかぶっていると思われる帽子の色を言い,3人のうち1人でも正解す
れ ば 生 徒 の 勝 ち ,誰 も 当 た ら な け れ ば 先 生 の 勝 ち で あ る 。” 生 徒 3 人 は ,
帽子をかぶる前に作戦を立てることができる。さて,どんな作戦を立て
ればよいだろうか?(大手SNSの数学コミュニティで出題されていた
問題である。)
例えば,次の図のようになっているということである。
A は,B の赤色と C の白色は見えるが,自分の色は見えない。
B は,A の赤色と C の白色は見えるが,自分の色は見えない。
C は,A の赤色と B の赤色は見えるが,自分の色は見えない。
この問題も時間をかけて説明するつもりだったが,時間がなくなり,
問題の紹介だけにして,解答は自分で考えて貰うことにした。数字に置
き換えて考えるという趣旨で前の2問を説明したので,かなりの生徒は
わかったのではないかと思う。
以下に解答例をあげておく。
問題3の解答例: 赤,白,青にそれぞれ,0,1,2を割り当ててお
き,足し算をモジュロ3で考えることにする。A は,他の2人の色(数
字)を見て,自分の色(数字)を足すと0になるように答える。
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同様に,B は,自分の色(数字)を足すと1になるように,C は,自分
の色(数字)を足すと2になるように答える。
そうすると,次のように答えることになる。
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実 際 に か ぶ っ て い る 数 字 (色 )を た す と , 0 (赤 ) + 0 (赤 ) + 1 (白 ) = 1 な
の で ,足 し て 1 に な る よ う に 答 え る B が 正 解 と な る 。こ の よ う に ,ど ん
な場合でも誰か1人は正解となる。ただし,逆に言うと,1人しか正解
できない。
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まとめ
受講者は,1年生77人,2年生33人の計110人であった。少な
くとも高校1年生では,自力で全部を解くことは出来ないだろうが,少
しずつヒントを出していくうちに,かなりの生徒が“閃く瞬間”という
ものを経験してくれたと思う。物事を色々な角度から眺めると,今まで
見えなかったものが見えるようになること,また,それは物事をわかり
やすく説明するのにも役立つことを,少しでも理解してくれていたら幸
いである。
講演に出られなかった友達や,また弟や妹が居る人は,その人たちに
今日の問題を出し,わかりやすく説明してみるように伝え,講演を締め
くくった。
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謝辞
この講演を行うにあたって,ご尽力下さった大阪府立岸和田高校の堂
之本篤弘校長先生,寺戸真先生,田坂太一先生はじめ諸先生方および積
極的に参加してくれた生徒のみなさんに深く感謝致します。
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