県立図書館で調べよう 妖怪のこと 越後長岡の誇る妖怪研究のパイオニア、井上円了。彼は「洋の東西を 論ぜず、世の古今を問わず、宇宙物心の諸象中、普通の道理をもって解 釈すべからざるもの」をして、妖怪と呼びあらわしました。目には見え ないけれど、昔から身近な存在。怖いような、それでいてどこか懐かし いような……、今回は、そんな彼らについて調べるための手がかりを集 めてみました。 僕たちは 夏によく出る おばけだよ 新潟県立図書館 1 調べる手がかりとなるキーワードは? 「キーワード」とは、その名のとおり「情報にたどり着くカギと なることば」です。妖怪について調べたいときには、妖怪からさま ざまなもの、ことばを思い浮かべてみましょう。 例)妖怪 おばけ もののけ 怪談(怖い話) 民話 など 2 まずはおおまかに知る(辞書・辞典などを使う) 調べたいものについて、まずはおおまかに掴みたいときには、百 科事典や辞書、図鑑などが有効な資料です。ここでは特に妖怪を主 題にした辞典類を紹介します。 資料情報 場所 請求記号 『妖怪事典』村上健司/編 毎日新聞社 2000 常備図書コーナー R388 Mu43 常備図書コーナー R388 Mu43 常備図書コーナー R388 Ko61 常備図書コーナー R388 N95 『日本妖怪大辞典』水木しげる/画 村上健司/編 角川書店 2005 『日本怪異妖怪大辞典』小松和彦[ほか]/編 東京堂出版 2013 『昔話・伝説小辞典』野村純一[ほか]/編 みずうみ書房 3 1987 図書を探す 新潟県立図書館蔵書検索(OPAC)を使う 図書館の蔵書検索機や当館のホームページから、1に挙げたよう なキーワード、タイトル・著者名などを入力して検索することがで きます。 テーマの棚に行って本を探す 図書館にある本の背の部分には、ラベルが貼られています。その ラベルの一番上の段に書かれている数字(分類記号)は、本のテー 1 マを表しています。この分類記号の棚に行くと、同じような内容の 資料が近くに並んでいます。 分類番号 テーマ 147.6 妖怪 387 民間信仰 388 伝説 722 日本画 幽霊 迷信[俗信] 民話[昔話] 探し方①と探し方②の違いについてですが、キーワードから検索 する場合、タイトルなどにそのことばを含む本が検索されます。そ のため、そのことばがタイトルなどに含まれないときに、検索から もれてしまう可能性があります。そのようなときに、②のように直 接棚に行くことによって、テーマに合っているけれども検索からも れてしまった本が見つかることがあります。 ただし、貸出中の本はそこには並んでいません。①と②の両方を 使い分けて調べてみることをおすすめします。 それでは、「妖怪」 、「幽霊」をキーワードにして検索した結果の 中から、手に取りやすそうな入門書、ガイドブックを選んでご紹介 します。 ・『妖怪学の基礎知識』小松和彦/編著 角川学芸出版 2011 [388/Ko61]*妖怪に関する本を多く書き著している著者 が、妖怪についてコンパクトにまとめた1冊。 「ⅩⅠ 妖怪研究ブ ックガイド」には、妖怪に関する基本的な研究文献が詳解されてい ます。 ・『妖怪文化入門』小松和彦/著 せりか書房 2006 [388 /Ko61]*水木しげるや京極堂シリーズ、宮崎駿のジブリ作品 など、現代になお脈々と息づいている妖怪文化に迫る意欲的入門書。 「Ⅲ 妖怪文化研究の足跡」では、妖怪別に研究史概略をまとめて います。参考文献リストあり。 ・『妖怪学入門』小松和彦/著 小学館 1994 [388/Ko 61]*『妖怪文化入門』同様、入門書として好適。妖怪学の研究 2 史を踏まえ、そもそも妖怪とは何か、どこから来てどこへ去るのか に踏み込んでいます。 ・『怪異・妖怪百物語』小松和彦/編著 明治書院 2006 [3 88/Ko61]*国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪現象 データベース」を基に、多種多様な妖怪たちや、江戸時代のエッセ イにさらりと書かれた不思議の数々を紹介しています。複数のイラ ストレーターがイラストを添えており、現代版「百絵物語」として より親しみやすい本になっています。 ・『身近な妖怪ハンドブック』川村易/著 文一総合出版 2012 [388/Ka95]*妖怪を「理科系の目」で他の生き物と同じ ように扱っている点がユニークです。妖怪たちのビジュアルからそ の名前や特徴を検索することができ、標準和名や学名、分布図など の記述も想像力をかきたてます。 ・『妖怪は繁殖する』一柳廣隆 吉田司雄/編著 2006[388 /I17]*よ、妖怪って繁殖しちゃうんですか!?と思わず手に 取りたくなるようなタイトルです。作家や画家など、妖怪をこよな く愛するひとびとが様々な角度から妖怪の正体を見極めようとし ている好著です。巻末に妖怪ブックガイドがあります。 ・『妖怪たちのラビリンス』菊地章太/著 角川学芸出版 2013 [388/Ki24]*西洋異界案内というサブタイトルの示すと おり、こちらは西に棲む妖怪たちを取り上げています。ムーミント ロールから心霊写真まで、現代から過去へと駆け巡る迷宮の案内記 です。索引あり。 ・ 『妖怪の理妖怪の檻』京極夏彦/著 角川書店 2007 [388 /Ky3]*著者は直木賞受賞作家にして意匠家の京極夏彦。妖怪 マガジン「怪」に連載されていた記事を、加筆修正の上まとめた単 行本です。論文から講演録まで、硬軟幅広い文章で妖怪愛が綴られ ています。書誌一覧と妖怪年表あり。 ・『日本妖怪博物館』草野巧 戸部民夫/著 シブヤユウジ/画 1 994 [388/Ku84]*いわゆる妖怪のみならず、神話や 3 超常現象、動物など多岐に渡る項目を豊富なイラストとともに解説 しています。不思議なものたちがにぎやかに一同に会しているよう な本ですが、索引から引くことができます。参考文献あり。 ・『幽霊学入門』河合祥一郎/編著 新書館 2010 [388/ Ka93]*編者はシェイクスピア研究で知られる河合祥一郎。西 洋編、東洋編とに分かれて構成され、各分野の研究者がそれぞれの テーマにおける幽霊を論じる、さながら幽霊の豪華!東西対決です。 幽霊文学史や現代における幽霊小説ベストテンなども。索引あり。 ・ 『水木しげるの妖怪地図』荒俣宏/監修 平凡社 2011 [3 88/A64]*47都道府県のご当地妖怪を訪ねる本。妖怪は全 国津々浦々に出現していたのでした。もちろん、新潟県にも… …!?水木しげるの精彩なイラストをカラーで見ることができま す。付録に水木しげる略年譜あり。 4 新聞・雑誌記事を探す 図書では見つからない時事的な情報を探したいときには、データ ベースを使って新聞や雑誌の記事を探すこともできます。 データベース名 雑誌 MAGAZINE PLUS (マガジンプラス) 概要 国内最大規模の雑誌・論文情報データベース。雑誌記事情報 に人文社会系の年次報告や学術論文集を加えたおよそ71 9万件にのぼるデータを検索することができます。 1874(明治7)年の創刊号から最新号(前日付)までの 読売新聞 ( ヨ ミ ダ ス 歴 史 読売新聞記事約1100万件のデータを検索することがで きます。 館) 新聞 1879年(明治12年)の創刊号から今日までの朝日新聞 記事約1300万件の記事や広告を検索することができま す。雑誌「AERA」「週刊朝日」の記事も収録されていま す。 新潟日報の過去の記事を検索するときに使うのがこちらの データベース。当県ならではの情報を探すときに便利です。 新潟日報 ただし、検索範囲は2004年4月以降の朝刊、夕刊、別刷 (新潟日報デー りの記事です。また、新潟日報社に著作権のない寄稿記事、 タベース) 事件・事故で被害者名を含んだ記事などは、日付および見出 しのみの表示となります。 朝日新聞 (聞蔵Ⅱビジュ アル) 4 これらのデータベースは全て館内総合データベースコーナーにあ ります。閲覧は無料ですが、複写は有料です。複写をご希望の際はコ ピー受付カウンターにてお申し出ください。 5 インターネットで調べる インターネットは検索には便利ですが、情報源として信頼がおけ るかどうか、注意を払う必要があります。 ・怪異・妖怪情報データベース(国際日本文化研究センターホームペ ージ内)*http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiDB/ 民俗学関係雑誌や江戸時代の随筆類・各県史類に採録されている、 「怪異・妖怪」現象に関する書誌情報(文字情報のみ)を集めていま す。採録された怪異・妖怪伝承の事例データ件数は35,701件(2 007年5月現在)。妖怪の呼称などから、地域を限定して探すこと もできます。『新潟県史』も採録対象なので、新潟県のご当地妖怪を 探すときにもお役立ちのデータベースです。 ・怪異・妖怪画像データベース(国際日本文化研究センターホームペ ージ内)*http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiGazouMenu/ 国内外の大学・博物館・美術館等が所蔵する絵巻物や画幅などの絵 画資料であり、近世・近代の資料を中心に採録しています。その点数 は304点、画像データの件数は2,770件です。(2012年3 月現在) 。妖怪の特徴「すがた」 「かたち」や、その「しぐさ」から探 すことができる点もユニークなデータベースです。 ・新潟文化物語*http://www.n-story.jp/index.php 新潟県が開設し、新潟NPO協会が運営する web サイト。新潟県に まつわる多様なトピックスを積極的に配信するだけでなく、誰でも投 稿できる仕組みになっている、「みんなでつくる新潟の地域文化ポー タル」です。妖怪の目撃情報も、共有できるかも……!?また、特集 ファイルvol.41では、「今だから知りたい新潟の奇談~新潟の 風土の中で育まれた妖怪たち」をテーマに、全3頁で特集を組んでい ます(http://www.n-story.jp/special/41/page1.html)。当館おすす 5 め関連書籍も掲載されておりますので、こちらもあわせてどうぞ。 6 ほかの図書館の資料を利用する 探している図書が当館になく、他の図書館にある場合には、その資 料を当館に取り寄せることができます。職員にご相談ください。 7. 困ったときには 他にも妖怪をテーマにした図書は多数あります。もっともっと深く 妖怪について調べたいときはもちろん、何かお困りの際には、調査相 談カウンターにいる職員にお気軽にお声がけください。喜んで皆様の お調べ物のお手伝いをいたします。 凡例 『 』内は図書または雑誌のタイトル。 タイトルの後は、版・巻次、著編者、出版社、出版年、当館請 求記号。請求記号は[ ]内に記入。資料には館外貸出できない 資料もあります。貸出の可否は、蔵書検索の「取扱区分」で確認 してください。「取扱区分」に「禁帯」とあるものは、館外貸出 できません。 6 平成26年3月 新潟県立図書館 新潟市中央区女池南3-1-2 ℡ 025-284-6001(代表) http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/ 7
© Copyright 2024 Paperzz