ご利用の手引き 進相コンデンサ関連の JIS規格改正について 高圧進相コンデンサ関連の JIS規格改正について 規格の一体化と新JIS規格 規格内容の主な変更点 高圧進相コンデンサ関連のJIS規格が1998年3月20日付で改正さ 定格電圧・定格容量の変更 れ1つの規格に一体化されました。 JIS C 4902(1990) 高圧及び特別高圧 進相コンデンサ 従 来 規 格 新 規 格 コンデンサに直列リアクトルを接続することが配電線の高調波拡 JIS C 4801(1990) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ用 直列リアクトル JIS C 4802(1990) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ用 放電コイル JIS C 4902(1998) 高圧及び特別高圧進相コンデンサ及び附属機器 規格本体:「高圧及び特別高圧進相用コンデンサ」 附属書1:「高圧及び特別高圧進相コンデンサ用直列リアクトル」 附属書2:「高圧及び特別高圧進相コンデンサ用放電コイル」 (JIS C 4801、4802はJIS C 4902に統合されたために廃止されました。) 大を防止し高調波抑制対策になることより、直列リアクトル(L=6 %)の取り付けを徹底するために直列リアクトルの取り付けを前 提とした定格電圧・定格容量が採用された。 このため、コンデンサの定格電圧は直列リアクトル(L=6 %)に よる電圧上昇を見込み、 【定格電圧 = 回路電圧 /(1-L / 100) 】 と して算出することに変更された。(従来は回路電圧をそのまま定格 電圧としていた) また、直列リアクトルとコンデンサを組み合わせた設備の容量を 「定格設備容量」 として定義され、コンデンサの定格容量は定格設 備容量に直列リアクトル容量を加えた、 【定格容量 = 定格設備容 量1 /(1-L / 100) 】に変更された。 この新しい定格電圧及び定格容量の考え方は、従来のL=13 % の考え方と同様になっています。これによって、6600 V、100 kvar の場合の計算方法及び例を下記に示します。 従来JIS 規格改正の理由と背景 直 国際規格IEC60871へ の整合化 定 列 回 リ ア 路 格 設 備 コ ン デ ン サ 我が国経済社会を国際的に開かれたものとし、自己責任原則と市 場原理に立つ自由な経済社会としていくことを基本とした「規制緩 直列リアクトル の一つとして、JISの国際整合化の推進が盛り込まれ、国際規格 に合致するものについてはJIS規格にも適合するようにして、外国 製品が容易に受け入れられるようにJIS規格の国際規格への整合 化が進められた。 ト 電 (IEC60871:Shunt capacitors for a.c. power systems having a rated voltage above 1000 V) 和推進計画(1995 3.31(閣議決定) )」が策定され、その具体策 ク 容 新JIS ル 無 有 有 圧 6600 V 6600 V 6600 V 100 kvar 量 (100 kvar)(106 kvar) 定 格 電 圧 6600 V 6600 V → 定 格 容 量 100 kvar 100 kvar 7020 V 106 kvar リアクタン ス ― 6% 6% 定 格 電 圧 ― 229 V 243 V 定 格 容 量 ― 6 kvar 6.38 kvar 定格電圧・定格容量の算出方法 回路電圧 定格設備容量 この結果、IEC60871に合わせて容量許容差・最高許容電圧・密 閉性試験が変更され、端子間耐電圧試験はIEC規格の試験方法 を追加し変更された。更にIEC規格に定められている自己回復性 試験・短絡放電試験・熱安定性試験がそれぞれに追加された。 高調波問題へ の対応 SRX (リアクタンス = L %) V SRX(リアクトル定格電圧) kvar SRX(リアクトル定格容量) 配電線に流れ込んだ高調波が夜間などの軽負荷時に直列リアク トル無しコンデンサによって拡大・増大されており、配電線の高調 波ひずみが大きくなっています。配電系統にあるコンデンサにすべ て直列リアクトル(L=6 %)を接続すれば、配電線の高調波ひず みは大幅に改善できることより、今後のコンデンサの設置に当たっ SC V SC(コンデンサ定格電圧) kvar SC(コンデンサ定格容量) ては直列リアクトル(L=6 %)の取り付けを原則とし、これを徹底 するために直列リアクトルの取り付けを前提とした定格電圧・定格 容量が採用された。 また、従来の許容電流のままL=6 %の直列リアクトルが配電系 統に接続されると過熱・焼損の危険があるため許容電流をアップ した高調波耐量強化タイプの直列リアクトルが追加された。更に、 過電流によるリアクタンス低下で高調波共振が発生して異常な高 調波過電流がコンデンサ回路に流入する現象(高調波引込み現 象)が、まれに発生していることもあり、これを防止するために直列 リアクトルのリアクアタンス特性が新たに規定された。 6600 6600 回路電圧 VSC = = = = 7021.27 → 7020 V (1−L / 100) (1−6 / 100) 0.94 100 定格設備容量 kvarSC = = = 106.38 → 106 kvar (1−L / 100) 0.94 L 6600 / √3 回路電圧 / √3 VSRX = × = × 0.06 = 243.22 → 243 V (1−L / 100) 100 (1−6 / 100) L 100 定格設備容量 kvarSRX = × = × 0.06 = 6.3830 → 6.38 kvar 0.94 (1−L / 100) 100 (間違いの例:kvarSRX = 106 × 0.06 = 6.36 → 6.36 kvar) ご 利 用 の 手 引 き ご利用の手引き 進相コンデンサ関連の JIS規格改正について 直列リアクトル高調波耐量強化タイプの追加 放電コイルの定格電圧・放電容量の変更 電力系統の電圧ひずみが増大しており、コンデンサ回路の高調波 過電流による直列リアクトルの障害事例が増大している。これに 放電コイルは、通常、コンデン サの端子に直接接続するため、 対応する為最大許容電流及び第5調波許容電流の見直しが行わ 直列リアクトル接続によるコン れた。 この結果、 「高調波抑制対策ガイドライン」などで示された電圧ひ デンサの端子電圧上昇分がそ のまま印加されることになる。 ずみの上限目標値にて実用上支障が生じないことを基準として、 第5調波電流含有率が定められ、下記の2種類が規定された。 このため、今回の改正では直 列リアクトルによる電圧上昇分 許容 最大許容電流 第5調波含有率 電流 (定格電流比)(基本波電流比) 回 % 種別 % 適 直列 リアクトル 放電コイル を見込んだコンデンサの定格 用 電圧がそのまま採用された。 しかし、放電コイルを直列リア 電圧ひずみの 上限目標値 路 電源側 コンデンサ Ⅰ 120 35 特別高圧 受電設備用 総合 :3.5 % 第5調波:2.5 % クトルの電源側に接続した場 合は、回路電圧がそのまま放電コイルに印加されることになり、コ Ⅱ 130 55 高圧配電系用 総合 :5.5 % 第5調波:4.0 % ンデンサの定格電圧に合わす必要はなく、回路電圧を放電コイル の定格電圧にすることができると記載されています。 但し、第5調波電圧ひずみが大きく上記の許容電流値を超過する 従って、この場合には直列リアクトルのリアクタンス値(L=6, 13 おそれがある場合は、更に高調波耐量の大きなものの適用が必 要であり、 %)によって放電コイルの定格電圧を変更する必要は無く、回路 電圧を定格電圧にした放電コイルが使用できるので、今後は放電 ● L=6%で第5調波含有率が70 %まで許容できるリアクトル ● L=13 %で第5調波含有率が35 %まで許容できるリアクトル コイルを直列リアクトルの電源側に接続することにして、例えば回 路電圧が6600 Vの場合は、放電コイルの定格電圧は6600 V品 のいずれかを適用することを検討しなければならない。 を選定することが望ましい。また、放電容量は従来はコンデンサ容 絶縁階級から絶縁強度へ の変更 量の最大値で表わすとされていたが、今回の改正では使用者にわ かりやすくするためコンデンサの定格設備容量の最大値で表わす 従来、端子〜ケース間の耐電圧レベルはJEC 193「試験電圧標 ことに変更された。 準」に従い、絶縁階級として3A、6A号等として表していたが、この JEC規格がJEC 0210「試験電圧標準」へ改正され、絶縁階級の 内線規程(JEAC 8001 )の改正について 用語が廃止されたために、JEC 2200「変圧器」に合わせてこれを 【絶縁強度】に変更するとともにその表記方法も試験電圧値を用い て 内線規程が2000年10月に全面改正されました。コンデンサ関係で は高調波抑制対策の観点から、 (商用周波試験電圧値)/(雷インパルス試験電圧値)kV で表記する方法に変更された。 ● 高圧進相コンデンサには直列リアクトルを施設することが規定され ました。 従って、絶縁階級:3A号 → 絶縁強度:16 / 45 kV 従って、絶縁階級:6A号 → 絶縁強度:22 / 60 kV ● 低圧進相コンデンサを各負荷に共用して施設する場合、直列リア となりました。 ● クトルを施設することが規定されました。 高圧受電設備の標準結線図等に直列リアクトルが記載されると ともに、凡例に直列リアクトルが追加されました。 (尚、IEC規格ではその表記はInsulation level:22 / 60 kVになっ ており、このIEC規格の表記方法と合致する方向となっていま す。) 低圧進相コンデンサJIS C 4901の改正について 低圧進相コンデンサのJIS規格が2000年7月20日に改正されまし た。 ● 国際規格のIEC60831に整合させるために、容量許容差や耐電 圧試験値などを変更しています。 主な改正点は、 ● 受電設備用のkvar品が高圧進相コンデンサのJIS規格改正と同 ● 直列リアクトルは高圧のJIS規格(JIS C 4902)で規定されてい るため、高圧と異なる標準使用状態、定格電圧、定格容量、絶 じように高調波対策により、L=6 %の直列リアクトルを接続する ことが標準として定格電圧・定格容量が定められました。 (μF品 縁強度などについて記述した附属書1(参考)が追加された。 また、直列リアクトルは標準として許容電流種別Ⅱ(I5=55 %許 は従来と同じ) 容品)が標準として採用された。 項 JIS C 4901定格関係の変更内容 目 種 類 μF品 kvar品 負荷となる主要電気機械器具に直結して使用するものに適 用する。 受電設備用に適用する 回 路 電 圧 ― ― 220 V 定 格 電 圧 200 V 400 V 234 V 468 V 量 ― ― 10 / 12〜50 kvar 10 / 12〜150 kvar 量 10〜1000 μF 5〜250 μF 10.6 / 12.8〜53.2 kvar 10.6 / 12.8〜160 kvar 定 定 格 設 格 備 容 容 直 列 リ ア ク ト ル 備 考 440 V ― L=6 %取り付けを標準 μF品の定格は変更無し 高圧進相コンデンサの規格改正と同じように、高調波対策 より、L=6 %直列リアクトルの取り付けを標準として、 定格電圧・定格容量が変更された。
© Copyright 2024 Paperzz