マーク・バショーン エコマジネーション担当副社長 ジェフリー・R・イメルト GE 会長兼 CEO 投資家の皆さま、お客さま、そしてステークホルダーの皆さまへ GE は、世界が直面する困難な課題をイノベーションで解決できると信じています。この信念は社員のモチベーションの礎です。 そして、これこそが GE が事業活動を行う理由であり、ecomagination(エコマジネーション)の基盤です。 ecomagination は、事業戦略として大成功を収めています。ecomagination により、GE はいっそうの説明責任を果たすととも にお客さまとの距離をより近くすることができ、投資を絞り込み優先順位を明確に持てるようになりました。そして、経済、 環境の両面においてスマートなかたちで、確固として事業を進めることができるようになったのです。ecomagination 製品ポ ートフォリオには、140 を超える製品とソリューションがあります。累積売上高は 1,050 億ドル以上に達し、ecomagination 戦 略の成長目標を超えました。その成長スピードは、GE の他のどんな事業をも上回っています。 しかしながら、ecomagination という事業戦略自体が持続可能でいられるのは、それをスタートさせた 2005 年以降、状況が大 きく変化したことを私たちがしっかり理解しているからにほかなりません。人口増加、資源不足、景気変動といったことがす べて、環境課題に対するプレッシャーとして積み重なっています。国家であれ、自治体であれ、企業、あるいはいち消費者で あっても、全てのお客さまは生産性を重視しています。皆さまが一様に、効率性を高めるソリューションを求めていらっしゃ います。それが、競争に勝つ唯一の手段だからです。 別の言い方をすると、クリーンエネルギーは政策作りに関わる人々にとっては利益になったりならなかったりします。GE の事 業は追い風に乗れる地域がある一方で、逆風に直面する地域もあります。しかし、我々のお客さまは一様に、自社事業の効率 と生産性の向上を必要としています。ですから GE は、これに対し具体的なアクションで応えていきます。 「green is green(環境問題はビジネスチャンス)」を掲げて ecomagination を立ち上げてから、ほぼ 8 年が経ちました。今日 GE は成長を重視すると同時に、照準を絞り込んだソリューションを提供しています。測定可能かつ市場に変革をもたらすソリ ューションです。社内のオペレーションだけでなく、バリューチェーン全体も考慮することで、リソースの最大化とパフォー マンス・トータルインパクトの向上を図っています。GE は変わらず精力的に再生可能エネルギーに取り組んでおり、先ごろ風 力発電事業への注力を始めてから 10 周年を迎えました。GE Wind(風力発電事業部門) はこれまでに 300 億ドルを売り上げ ました。2012 年末までには、風力タービンの設置基盤が 2 万基近くに達する見通しです。 一方で、地球の 80%が炭化水素から成っていることから GE は米国ペンシルベニア州からペルーに至る地域での石炭採掘にも 力を入れており、また、顧客企業の事業における高い生産性と環境性能を両立させる水処理ソリューションも開発しています。 中国では、ある企業と共に世界最大のシェールガス回収貯蔵の実現に取り組んでいます。ecomagination には、従来の「グリ ーン(環境)」領域以外のお客さまの難題を解決するための活動も含まれます。 先端技術への投資も継続しています。2010 年から 2015 年にかけて、GE は研究開発(R&D)に 100 億ドルを投じます。このよ うな巨額のイノベーションへ投資の対象となるのは、ソフトウェアやデータソリューションであり、その代表例が、貨車の運 行平均速度を引き上げることによりお客さまのディーゼル燃料消費量を年間 3,700 万ガロン削減できる RailEdge Movement Planner です。このほかにも、FlexEfficiency 50 を採用したコンバインド・サイクル発電プラント(最新のガスタービン技術を 活用して、よりクリーンで効率の高いエネルギーを電力網に供給し、最終的に一般家庭に提供)や電気自動車(EV)に関連す るソフトウェア開発にもこうした投資が充てられています。GE は昨年、2 万 5,000 台の EV を社用車として運用開始しました。 しかしそれだけにとどまらず、次世代自動車のインフラを丸ごと構築しようとしています。GE の CNG In A Box™は従来のガソ リン燃料に代わって天然ガスを供給するシステムであり、このシステムを採用して車両を運用すれば燃料費を約 40%、車両 1 台あたり年間 1,500 ドル以上を削減できます。GE はまた、Alternative Vehicle Innovation Center で代替燃料を使用する自動車技 術とソリューションをお客さまにご紹介し、代替燃料車の普及拡大に向け需要創出を後押ししています。 お客さま基盤が多様かつグローバルにわたる GE では、ecomagination 製品ポートフォリオは常識を覆すエネルギー効率化技術 を多彩に提供します。 私たちは、各事業部門だけでなく、米ニューヨーク州ニスカユナ 、中国の北京、インドのバンガロール、独ミュンヘンに加え て、ブラジルのリオデジャネイロに新設中のグローバル・リサーチ・センターでも、引き続き世界が直面する困難な課題への チャレンジを続けます。同時に、当然のことながら、GE 単独ですべてを一手に解決することができないことも認識しています。 2011 年に GE は新たなパートナーシップを結び、オーストラリアや中国をはじめ世界各地で重要な対話に参加しました。さら に、イノベーションアイデア・コンテスト「エコマジネーション・チャレンジ」を通じて、社外のイノベーションに対して門 戸を開きました。ベンチャーキャピタル数社とともに、画期的な最先端のエネルギー技術実現に向け、22 社に 1 億 3,000 万ド ル以上を投資しました。投資対象となった企業には、エネルギー効率が非常に高く、短期間で組立可能なプレハブ建築の設計 を手がける企業や、データセンターの消費電力削減に取り組む企業等です。みな市場に変革をもたらし、エネルギー効率を劇 的に向上させる可能性があるものばかりです。だからこそ私たちは、GE のグローバルな事業規模と世界屈指と自負する実用・ 事業化力と、こうした優れたアイデアとを結びつけ、互いに活かし合うことにコミットしています。 GE がお客さまに提供する価値の核はイノベーションです。GE の事業規模とノウハウにイノベーションをプラスし、エネルギ ー効率をはじめとする地球規模での課題にレーザー光線のように集中すれば、お客さまとコミュニティにとって「イノベーシ ョン」がさらに価値あるものとなるでしょう。これが、ecomagination の全てです。 GE は昨年、目標水準を引き上げました。優れた製品を生み出したことで、売上を拡大しました。グローバルな存在感を増しつ つも、各地域のお客さまの極めて近くで協働するパートナーであり続けています。EV や再生可能エネルギーといった従来のク リーンエネルギー事業では、リーダーとしての地歩を固めました。一方、石油やガスの採掘、鉱業など資源集約型の産業にも ecomagination を導入しました。GE が事業を行う分野は、大きく様変わりしました。ecomagination は、GE とお客さまの将来 への備えとなります。競争し、成功するための準備をお手伝いするものなのです。 ecomagination は、ますます本格的に始動します。 私たちは、GE に実現できることだけでなく、GE にしかできないことにも全力で取り組みます。ecomagination は、未来が必要 としている効率と生産性を実現しながら、コミュニティやインフラを築き(build)、発電技術を作り(power)、人々や大切 なものを運び(move)、そして、もっと健康な生活を実現するための医療上の技術を提供する(cure)ことによって、お客さ まと投資家の皆さまに価値をお届けします。 ジェフリー・R・イメルト マーク・バショーン GE 会長兼 CEO エコマジネーション担当副社長 Ecomagination: Progress 2005 年にスタートした ecomagination は、それまで一般的であった社内オペレーション のみを対象として展開する環境プログラムを超越しています。これは GE の事業戦略の 中核を成すものであり、バリューチェーンまで考慮してお客さまにソリューションを提 供しています。変動の激しい世界で、リソースの効率と生産性の向上をお届けするもの です。 29% 13.5% 23 億ドル 2004 年の基準値 (改正)からの 温室効果ガス (GHG)排出の削減量 2010 年比の 水消費の削減量 R&D 投資額 2010 年~2015 年に さらに 100 億ドルを 投資予定 210 億ドル 連携 ecomaginations 関連製品の 2011 年売上高 社外コミュニティと 連携したアイデア開発 LCM: ライフサイクル マネジメント 世界が直面する切迫した環境課題は、GE が得意とするものを発揮するチャンスでもあ ります。つまり、お客さまと社会のためになる革新的ソリューションを想像し、カタチ にすることです。 GE は長きにわたって、お客さまのために高効率な製品の開発に力を注ぎ、経済的価値の創出と環境負荷の低減を進めてきまし た。 新しい注目分野であるライフサイクルマネジメント(LCM)では、製品ライフサイクルの各段階において GE の製品とソリュー ションが環境面でどのようなインパクトをもたらすかについて理解を深めることができます。 GE は、カスタマイズ可能な LCM ツールを幅広く開発しています。実際に変化をもたらすことのできる最も有望なチャンスに 注力することで、お客さまに提供する価値を一層高めるためです。 ● GE Healthcare の細胞培養装置 WAVE Bioreactor™:綿密なライフサイクル分析(LCA)により、このプロセス技術をシングル ユース製品の Cellbag と利用すると、環境負荷が従来の装置に比べ大幅に低減できることが確認できました。 ● GE Transportation の新型蓄電池 Durathon:LCA により、Durathon は従来型技術の多くと比較して製品ライフサイクル全般 においてかなりの環境メリットを提供することが実証されました。 エコマジネーション・ チャレンジ オープンイノベーションが機能 GE が 2 億ドルを投じるオープンイノベーション、 エコマジネーション・チャレンジは 2011 年 1 月に 「Powering Your Home(未来のエコホーム)」を テーマに第 2 弾をスタートさせました。 GE は提携するベンチャーキャピタルとともに、「Powering Your Home」と第 1 弾「Powering the Grid(スマートグリッド)」 のエコマジネーション・チャレンジに合計 1 億 3,400 万ドル(予定投資分も含む)を投じました。 エコマジネーション・チャレンジには、150 カ国の革新的技術を手がける 7 万 5,000 人から 5,000 に上るアイデアが集まりまし た。その中からこれまでに新規事業をおこなう 22 の企業や団体と提携し、第 1 弾ではスマートグリッド技術を手がける FMC-Tech を買収することになりました。エコマジネーション・チャレンジを通じて GE がパートナーシップを結んだ主な企業 は、以下の通りです。 エコマジネーション・チャレンジというコミュニティを通じて、若い企業と起業家の方々は各自のソリューションを次のステ ップへと進めることができました。新たな資金と新しい顧客を手に入れるとともに、業界からも、商業的にも注目されたわけ です。 この取り組みを発展させる形で、GE は 2011 年 9 月、中国地域に特化したエコマジネーション・チャレンジを立ち上げました。 中国の莫大なエネルギー需要に対応するため、ガスを活用するエネルギー技術において優れたアイデアを発掘し、総額 1 億ド ルを投じる予定です。 Building, Powering, Moving, Curing ecomagination 認定を受けた製品とソリューションが、その力を発揮し貢献ています� � コミュニティやインフラを築き(build)、発電技術を作り(power)、人々や大切なも のを運び(move)、そして、もっと健康な生活を実現するための医療上の技術を提供 (cure)しています。 Building 輸送燃料としての天然ガスの普及加速 GE はチェサピーク・エナジー社とともに、輸送燃料用の圧縮天然ガス(CNG)ソリューション「CNG In A Box」を開発しまし た。天然ガス対応の軽量~重量自動車に、その場で圧縮した天然ガスを従来型の燃料ディスペンサーで充填するシステムです。 Powering FlexEfficiency 50:柔軟性と効率性を新たな水準に引き上げ FlexEfficiency 50 を採用した新型コンバインド・サイク ル発電プラントは再生可能エネルギーの電力網への統 合を促すことにより、燃料コストの低減、収益源の確 保、給電能力の改善、カーボン排出の削減を可能にし ます。風力/太陽光による発電量が不足している時は 発電量を引き上げ、逆に十分な場合は発電量を引き下 げます。 Moving GE トランスポーテーションと南米の機関車「AC44i」 AC44i は温室効果ガス排出量を抑制し、運用コストを大幅に 低減します。この機関車 2 台で従来モデル 3 台分のパフォ ーマンスを発揮し、二酸化炭素(CO2)排出量を年間 2,600 トン以上削減することができます。 Curing GE Healthcare の汎用超音波診断装置 LOGIQTM S8 と LOGIQ E9(progress の認定製品) 上記の新型汎用超音波診断装置は、業界でもトップクラスのエネルギー消費効率を誇ります。優れた画像取得能力と画質、高 水準の生産性、使い勝手のよいエルゴノミクス性能を提供します。
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