Product エンバイロテイナー

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リポート
エンバイロテイナー
3000台が輸入されていたものの、
輸出は約200台にとどまってい
温度管理が可能な特殊コンテナ提供
最新「RKNe1」含め国内実績拡大
エンバイロテイナー(本社=スウェーデン)は、温度管理が可能な特殊コンテナを製造、リースする世界最大手
の企業だ。世界的に温度管理を徹底したサプライチェーン、
“コールド・チェーン・マネジメント”への取り組み
が進む中、特殊コンテナへの需要も拡大している。同社のコンテナは現在、全世界で4000∼5000台が利用され
ている。今年末までには充電式の最新タイプ「RKN e1」の保有台数を昨年と比べ倍増の約250台とする計画だ。
日本でも「RKN e1」を含めた輸出用コンテナのリースおよびコンテナのハンドリング実績は拡大しており、取扱台
数は前年比4∼5倍の状況だ。
世界にネットワーク
「RKN」の搭載光景
た。ただ、今年1月から輸出用コ
国内でのコンテナの保管場所は、成田
ンテナのリースやグランド・ハン
空港外の日祥物流の成田ターミナル
(千葉
ドリングの実績が急激に増加し
県成田市)および関西空港内の南海の共
ている。取扱台数は輸出用コン
同上屋(第3国際貨物代理店ビル内)だ。
テナのリースが月平均10∼20
成田での取扱台数(輸出用コンテナリース
台、グランド・ハンドリングが50
とグランド・ハンドリングの合計)
は月平均
台。輸出用コンテナのリースは
40∼50台、関空では3∼4台だ。
今年4、5月に特需があり各50台、
最新の「RKN e1」も、輸出用コンテナ
合計100台利用された。月平均
のリースで12∼13台を取り扱うなど、好調
実績は07年に比べ4∼5倍の状
に推移している。これまでは「RKN e1」
況だ。グランド・ハンドリングも開
を成田で保管していなかったが、今年8∼
始当初は月平均2台ほどにとど
10月のオーダーが決まったことを受け、今
まっていた。
夏からは10台ほどを常時、保管する体制
実績拡大の要因は、成田でコ
エンバイロテイナーの本社は、ストックホ
日本で取扱台数5倍
ルム・アーランダ国際空港に近いラガ・マル
成田で保管拡大
ンテナ供給能力を増強したことが大きい。
となっている。
各コンテナの輸出の仕向地は、これまで
これまで、輸入超過だったため、国内に
北米、欧州が中心だったが、インド、中東
輸出用コンテナを確保することが難しかっ
など西アジア向け、タイ・バンコク、豪州向
けの問い合わせも増えている。
マにある。世界での自社営業拠点は17カ
日本での取り組みをみると、同社は05年
国、コンテナの修理や保管拠点でもある
8月、南海エクスプレスと日本地区総販売
た。国内に輸出用コンテナが少ないため、
「ステーション」は欧米を中心に48都市にあ
代理店(GSA)
の契約を締結した。南海は
航空会社は欧州などから輸出用コンテナ
フォワーダーとの取り組みをみると、日系
る。また、全世界のコンテナの予約やロジ
ニュートラルな立場で航空会社やフォワー
を調達し、利用する必要があった。航空
フォワーダーとの輸出契約に加え、欧州系、
スティクスを行うカスタマー・サービスセンタ
ダーにサービスを販売するとともに、荷主
会社は輸入用スペースを空コンテナで埋
米国系フォワーダー数社とはグローバル契
ーは、ドイツ・フランクフルトおよび米国・ダ
に対してサービスの案内なども行っている。
めていたことになる。
約を結び、取り扱いを拡大している。
ラスの2カ所に構えている。
また、南海はグランド・ハンドリング・エージ
ただ、航空会社からの要望や輸出での
同社は1995年に温度管理が可能なコン
ェント
(GHA)
としてカスタマー・サービスセ
需要増加を受け、同社は今年1月から試験
での取り組みが世界的に進む中、日本で
テナを開発し、翌96年からリース事業を開
ンターからの指示に基づき、コンテナの管
的に欧州系航空会社に対し、成田でのコ
も需要に応じた体制を整備し、実績拡大
理なども行っている。
ンテナ供給を開始した。サービスが軌道
につなげていく方針だ。
「RAP」の搭載光景
始した。99年には航空会社と提携し、リー
ス事業を展開。04年からは「コールドチェ
アイス式よりも、より精密に温度管理できる
ーン・マネジメントサービス」
を提供している。
ため、ケミカル関係で使用されている。
途に応じた「t1」
「t2」がある。
「t1」は食品・
同社は現在、全世界で4000∼5000台の
「t2」は医薬品向けだ。輸出で
生鮮関係、
コンテナを航空会社やフォワーダーにリー
は航空会社が「RAP」をメーンに使用して
スしている。
いる。治験薬、薬品の原液、ワクチン、抗
(JYPタイプ)
、
コンテナのタイプは「CLD」
がん剤、摂氏10度以下で送るような粉末
(LD3サイズ)、最新の「RKN e1」
「RKN」
などさまざまな用途に利用されている。輸
(同)、
「RAP」
(LD9サイズ)の4種類。最新
入ではチョコレート、モッツァレラチーズな
ど高級生鮮品でも使用される。
た。今年は最新の「RKN e1」を増やす方
同社のコンテナ保有台数の推移をみる
針だ。年末までに120台を追加し、年内に
る。一方「RKN e1」は充電式で、摂氏ゼ
と、07年には「RKN」および「RAP」を合計
250台体制とする。現在、フル回転で生産
ロ∼20度帯での温度管理が可能。ドライ
375台追加し、06年に比べ約10%増やし
している状況だ。
CARGO NOVEMBER 2008
(井上昭憲)
冷凍品が入った「CLD」
の熱交換機とドライアイスで温度を管理す
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に乗り、実績が拡大した。
また、
「RKN」
「RAP」にはそれぞれ、用
4000∼5000台をリース
の「RKN e1」以外は、サーモスタッド管理
国内の利用実績は、昨年まで年間約
同社は“コールド・チェーン・マネジメント”
CARGO NOVEMBER 2008
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