中国の商標法改正の動き 及び特許訴訟の実務

中国の商標法改正の動き
及び特許訴訟の実務
中科専利商標代理有限責任公司
中国専利代理人 張立岩
2010年11月 9日(東京)
2010年11月10日(大阪)
1
目次
中国知的財産保護の現状
前半 中国商標法改正の動き
後半 中国における特許訴訟の実務
2
1
前半 中国商標法改正について
目次:
はじめ 中国商標法に関する歴史
一、中国商標法改正の動きについて
二、商標の裁判例
三、商標権侵害の賠償金算出方法
3
はじめ① 中国商標法に関する歴史

商標法は中国知的財産権領域の1番初めの法律であり、1982年8月23日に
全国人民代表大会(国会)を通過した。
1983年3月1日施行以来、 商標法は登録商標の専用権の保護を図り、中国
経済発展の促進に重要な役割を果す。

商標法に対して1993年と2001年の2回改正を行った。

1993年の主な改正内容は、登録制度の開始及び役務商標の保護であり、
商標権侵害行為に対する取り締まりを拡大した。

2001年の改正の目的はWTOの規則と調和させるためであり、主な改正内
容は、商標権主体と客体範囲の拡大;地理的表示を商標の保護体系への
組み入れの明確化;著名商標の保護の明確化;商標に対する権利確認手
続における司法審査の導入;悪意の冒認出願行為の禁止;工商機関の取り
締まり方法の拡大等である。
4
2
はじめ② 商標法第三回改正の背景及び意義

中国は2001年にWTOに加入以来、国内外の貿易は迅速な発展を
遂げ、また、経済と社会環境も著しく変化してきたので、現行商標法
は多くの問題に直面している。
‒ 商標の権利確認手続が煩雑で、商標登録までの時間が長期化し
ている;
‒ 悪意の出願を阻止するため、異議申立ての実効性の強化が必要;
‒ 商標権侵害行為に対する処罰が経済社会の発展と合わなくなった;
‒ 商標登録手続と国際社会の慣例との間に差がある。
 中国《商標法》第三回改正を着実に推進するにあたり、現行の 《商
標法》の実施において、国内外の経済と社会環境の変化により生じた
新たな問題に対し、法改正により、一歩一歩完備し解決していく。
5
はじめ③ 商標法第三回改正の進展


2003年末、国家工商総局が《商標法》の改正をスタートした。6年間
の調査、論証、10回ほどの専門家会議、各業界への8回の書面意
見募集に基づいて10回の草稿を起草し、国家工商総局は2009年11
月18日に《商標法(送審稿)》を正式に国務院法制弁公室に提出し、
審議を請求した。
国務院法制弁公室が送審稿を受領した後、2010年2月23日に62
の中央機関、32の地方政府、10の人民法院、15の知名企業、7の国
内外関連協会、14の専門家学者に送付し、同時に世界知識産権組
織、日本特許庁、米国特許商標局、欧州商標局等に意見を求めた。
6
3
はじめ③ 商標法第三回改正の進展
2010年5月末までに、国務院法制弁公室に合計119部、約15万
字の回答意見が届いた。

2010年6月29日から30日までに、中国国家工商総局商標局、法
規部門とともに河南省洛陽市において《商標法》専門家論証会議
が開催され、全国人民大会常務委員会法制仕事委員会、最高人
民法院、最高人民検察院等11の専門機関及び10名の専門家・学
者が参加した。会議に出席した代表と学者が《商標法》改正の基
本思想、我国の商標制度と関連した国際条約との関係など10個
の重要議題について、検討論証し、《商標法》の改正に対して提案
と意見を述べた。

7
はじめ④ 商標法第三回改正の見方


異議申立て手続きの簡略化、馳名商標の認定及び保護制度、
地理標識の保護及び商標代理の規範の仕方等は、《商標法》
の改正において、社会各業界に注目されている話題である。
企業名称と商標権の衝突問題、即ち商号と商標の衝突の本
質は不正競争行為であるか、それとも商標権侵害行為である
かについて、現在各業界が異なる見方を持っている。
8
4
一、商標法第三回改正の動き










1.商標の概念の拡張化
2.馳名商標の定義の明確化、馳名商標の永久化の否定
3.一商標一区分出願の一商標多区分出願への改正
4.電子出願の制度化
5.信義誠実の原則に違反する登録行為の防止
6.拒絶査定不服審判の期限の延長
7.異議申立て手続きの改正
8.商標と企業名称衝突の解決条項の追加
9.商標権保護の強化
10.登録商標の使用は商標権利者が民事賠償を得る前提
9
1.商標の概念の拡張化

音声、匂い及び動態等の伝統的でない商標であっても使用
により識別可能となると、商標として登録を認める必要がある。
しかし、このような商標に対する登録と保護は一定の条件が
必要であるので、送審稿では中国商標局に委託し、実際的情
況によって適切な時期で伝統的でない商標の登録出願を受
理することにする。
10
5
2.馳名商標の定義の明確化

送審稿では馳名商標を「中国で関連する公衆に広く知られ、且つ
比較的高い名声を持つ商標」と定義している。
この定義によって、中国以外の国と地域で関連する公衆によ
く知られ且つ比較的高い名声を持つ商標であっても、中国で必ず
しも馳名商標に認定されるとは限らない。また、送審稿では同時
に、馳名商標の認定要素に重大な変化が起きて、社会に良くな
い影響を与えた場合、該商標は馳名商標として引き続き保護しな
いことを明確にした。
即ち、馳名商標の永久性が明確に否定されることになった。
11
3.一商標一区分を一商標多区分へ

商標出願人に便利なサービスを提供するために、送審稿では、
商標局が適切な時期に、一つの出願において同一商標を多数
の商品区分に出願することができることを明確にした。
12
6
4.電子出願の制度化

送審稿は、商標登録出願が電子出願方式で提出できる
ことを明確にした。
13
5.信義誠実の原則に違反する登録行為の防止

送審稿は、「出願される商標は、同一区分又は類似商品で、他人が中国で先に
使用した商標と同一又は類似し、出願人がその他人と契約、業務を通じて、又は
地域或いはその他の関係で他人の商標が存在することを明らかに知っていた場
合、登録されない。登録出願の商標は、他人が異なる又は類似ではない商品で
比較的強い識別性があり且つ一定の影響がある登録商標を盗用した商標であり、
公衆に誤認させやすいものである場合、登録されない。」ことを明確にした。

異議と評審実践から見れば、現行《商標法》は悪意の冒認出願を禁止する条
項が不完全であるので、悪意の冒認出願行為を完全に禁止することができていな
い。
送審稿に、この条項を新たに追加し、現行の規定を完備し、悪意の冒認出願行為
を禁止して、商標の先使用者の利益を保護することができるようにした。
14
7
6.拒絶査定不服審判の期限

商標登録人の便宜に資するため、特に外国登録人に
は十分な復審申請準備時間を持たせるため、送審稿は、
拒絶査定不服審判の期限を15日から30日に延長した。
15
7.異議申立て手続きの改正

送審稿は、もともと商標局が審理する異議案件を商標
評審委員会に委ね、同時に異議人の主体資格と異議理
由について限定し、先の権利人又は利害関係人のみが
申立てできることを明確にした。
さらに異議理由は相対理由のみに限定し、異議復審
過程を取り消した。審級を省略するため、商標権確認の
手続き時間を大幅に短縮した。
16
8
8.商標と企業名称衝突の解決条項の追加

商標権所有者は、他人が自分の登録商標を企業名称
で登録すれば、公衆に誤解を招くと考えている。
すでに登録済の不正企業名称については、商標所有者
は企業名称登録機関に登録の取り消しを提起することが
できる。
この条項の追加により商標と企業名称の衝突の解決に
明確な法律根拠を提供した。
17
9.商標権保護の強化

送審稿は、行政責任の観点から、「工商行政管理部門は2度
以上の商標権侵害行為をした者に対して厳しく処罰する」と
明確に規定しており、民事賠償の角度から、送審稿は法定
賠償額を50万元(約750万円)から100万元(約1500万
円)までに増加させ、商標権の保護を強化した。
18
9
10.登録商標の使用は民事賠償を得る前提条件である

送審稿は、「登録商標権者は損害賠償を求める際、三年以
内の当該登録商標の使用証拠及び他の証拠を提供するべ
き」と規定しており、本規定は商標権者が商標権を行使する
場合の前提として、明確な使用を要求している。
19
まとめ
《商標法改正送審稿》は、 主に以下の4つの問題に着手した:

出願人に便利を図る

商標権の確定期間を短縮する

悪意の冒認出願を防ぐ

商標の保護を強める
20
10
二、商標の裁判例
1、STARBUCKS 商標権事件
馳名商標及び企業名称の抵触問題
21
二、商標の裁判例
1 −① STARBUCKS 商標権事件
22
11
二、商標の裁判例
1ー ② STARBUCKS 商標権事件
上海市高級人民法院2006年12月20日判決
(2006)滬高民三(知)終字第32号(商標権侵害並びに不
正競争に係わる民事判決)
上訴人(原審被告):上海「星巴克」珈琲館有限公司
被上訴人(原審原告):上海統一星巴克珈琲館有限公司
(Starbucks Corporationより使用権)
STARBUCKS 中国語⇒「星巴克」
(意訳+音訳)
23
二、商標の裁判例
1ー③ STARBUCKS 商標権事件
事由:
上訴人の登録商標「STARBUCKS」の中国語訳で
ある「星巴克」商標を「上海星巴克珈琲有限公
司」を企業名称として登記し、同様のサービス
を提供する喫茶店で、目立つように使用した。
24
12
二、商標の裁判例
1ー④ STARBUCKS 商標権事件
馳名商標に類似する商号の取消しを現地商工局に請求し
た。(馳名商標の認定及び保護に関する規定第13条)
公衆を欺き、公衆を誤解させる場合
=商標権侵害
=差止め、損害賠償請求の対象
25
二、商標の裁判例
1ー⑤STARBUCKS 商標権事件
判決:
他人の登録商標を企業名称として、目立つような方法で
使用し、公衆に誤認を生じさせる恐れがある場合
⇒商標権侵害として取り扱う。
根拠:
商標法第52条5号に規定する「他人の商標権に対する
その他の侵害行為」に該当する。
( 「商標民事紛争事件の審理における法律適用に関する
若干問題についての最高裁判所の解釈」第1条第1項 法
釈[2002]32号)
26
13
二、商標の裁判例
1ー⑥ STARBUCKS 商標権事件
不正競争としての行為の差止め、損害賠償請求
根拠:

目立つような方法での使用がなくても、消費者
の混同を生じる恐れがある場合は不正競争行為
となる。
「最高裁判所民事 裁判第3庭{2004}民三他
字第10号所管の発表に関する通知」第2条誠実
信用の原則に違反
27
二、商標の裁判例
1ー⑦ STARBUCKS 商標権事件

行政管理局による処理
根拠:
企業名称の変更「商標と企業名称における若干の
問題を解決することに関する意見」第9条
⇒抵触事件の解決について、省級以上の工商行政
管理局に請求できる。
28
14
二、商標の裁判例
2 −① CASIO商標権事件
当事者:
一審原告、二審被上訴人:カシオ計算機株式会社
*「CASIO」商標の権利者、中国語対訳「卡西欧」とし、
商品の宣伝、企業名称等に使用
vs.
一審被告、二審上訴人:上海博海汽車部件製造有限公司、
上海緑奔貿易有限公司(販売店)
*「卡西欧」、「KAXIOU」を電気自転車に使用(12類)
29
二、商標の裁判例
2 ー② CASIO商標権事件
<商標権>:
カシオ計算機株式会社の商標権
「 CASIO 」:全区分登録
「卡西歐」: 計11区分登録
(7,9,11,14,15,16,28,37,38,41,42類)
「卡西欧CASIO」: 計3区分
(9,14,15類)
<争点>:
「卡西欧」、「KAXIOU」の使用は、
登録商標“CASIO”に類似か ⇒ 類似する
30
15
二、商標の裁判例
2 ー③ CASIO商標権事件
<関連条文>:
商標法: 第13条、第52条
「商標民事事件紛争案件の審理における法律適用の若干
問題に関する最高人民法院の解釈」: 第9条、第10条
<類似性の判断>:
*「KAXIOU」の発音は、登録商標「CASIO」と全く同じ
*「卡西欧」は「CASIO」の対応漢字
*カシオ社の「卡西欧CASIO 」との使用により、中国の関連消費者は
「卡西欧」は「CASIO 」と直接的な関連性を形成していた
⇒その使用行為は、
登録商標“CASIO”を侵害する
31
二、商標の裁判例
2 −④ CASIO商標事件
<留意点>
*漢字以外の商標を使用する場合、
その対応中国語も併せて使用する。
*本件のように「卡西欧CASIO」の使用により、
両者の関連性を主張できる。
32
16
二、商標の裁判例
3 −① YAMAHA発動機商標事件
1.事件の性質
商標権侵害
2.要約
ヤマハ全面勝訴
中国スクーター商標権侵害訴訟
賠償額830万440人民元(約1億3200万円)
33
二、商標の裁判例
3 −② YAMAHA発動機商標事件
第一審:江蘇省高級人民法院
原告:ヤマハ発動機株式会社
被告:浙江華田工業有限公司
南京聯潤汽車摩托車销售有限公司
台州華田摩托車销售有限公司
台州嘉吉摩托車销售有限公司
第二審: 最高人民法院(最高人民法院判決(2006)
民三終字第1号)
終審
上訴人: 浙江華田工業有限公司
被上訴人:ヤマハ発動機株式会社
34
17
二、商標の裁判例
3−③ YAMAHA発動機商標事件
概要
①
日本ヤマハ発動機株式会社は中国で第12類
に商標登録した。
YAMAHA
雅马哈
FUTURE
1999年4月に「YAMAHA」と「雅馬哈」は、中国国家工
商総局が篇成した「全国重点商標保護名簿」に記録さ
れた。
35
二、商標の裁判例
3−④ YAMAHA発動機商標事件
二審の審決(2007年6月5日)
①浙江華田工業有限公司など3社がバイク、その部品、取り扱い説
明書、合格書、包装などに「華田摩托・日本YAMAHA株式会社」、
「FUTURE」の文字を付けることをやめさせる;
②浙江華田工業有限公司など3社が «摩托車商情»という雑誌に
て謝罪する;
③浙江華田工業有限公司は約830万440人民元( 約1億3200万円)
を賠償;
36
18
三、商標権侵害の損害賠償額の算出方法 ①
第五十六条
商標専用権を侵害した場合の損害賠償額は、侵害者が侵害期間
に侵害により得た利益、又は被侵害者が侵害された期間にその侵害
を被ったことにより受けた損失とし、被侵害者が侵害行為を制止する
ために、支払った合理的費用をも含むものとする。
前項にいう侵害者が侵害により得た利益、又は被侵害者が侵害を
被ったことにより受けた損失を確定することが困難であるときは、人
民法院が侵害行為の情状により50万元以下の賠償を命じるとの判
決を下す。
登録商標の専用権の侵害商品であることを知らずに販売した場合、
当該商品を自らが合法的に取得したことを証明でき、かつ提供者を
説明できる場合は、損害賠償責任は負わない。
37
三、商標権侵害の損害賠償額の算出方法 ②
最高人民法院の「商標紛争案件の審判における適用法律問題の若
干規定」
第十三条
人民法院が商標法第五十六条第一項の規定に基づき、権利侵害者
の賠償責任を決定する際には、権利者が選択した算出方法に基づい
て賠償額を算出することができる。
第十四条
商標法第五十六条第一項に規定する侵害により取得した利益は、
侵害商品の販売量に当該商品の単位利益を乗じて算出することがで
きる。該当商品の単位利益が明らかでない場合は、登録商標商品の
単位利益に基づいて算出する。
38
19
後半
中国特許訴訟実務
39
後半目次
1.中国特許制度の法体系
2.特許権侵害の定義
3.権利侵害に対応する救済方式
4.警告書
5.司法ルートと行政救済ルートの比較
6.司法ルートによる救済
7.行政ルートによる救済
8.税関の保護
40
20
司法における知的財産権の保護 (1)
全国の人民法院における知的財産権民事一審(2009年)
受理件数: 30,626 件(2008年と比べて25.49 %増)
<内訳>
特 許 : 4,422件 ( 8.54% ↑)
商 標 : 6,906件 (10.80%↑)
著作権 :15,302件 (39.73% ↑)
技術契約: 747件 (19.9% ↑)
不正競争:1,282件 ( 8.19% ↑)
その他 : 1,967件 (46.79%↑)
41
司法における知的財産権の保護(2)
知的財産権民事一審(2009年)
結審件数: 30,509件
(2008年と比べて29.73 %増)
その内:渉外事件1,361件 (2008年と比べて19.49 %増)
2009年一審結審率 85.04% 2008年一審結審率 1.73%
2009年上訴率 48.82% 2008年上訴率 49.32%
2009年再審率 0.33% 2008年再審率 0.44%
42
21
司法における知的財産権の保護(3)
2007年−2009年中国行政訴訟の件数
2007年 2008年 2009年
復審(拒絶査定不服
審判)の審決取消
行政訴訟
無効審判の審決
取消行政訴訟
58
86
64
736
757
528
43
2009年 国別 特許出願件数 トップ10
Top Ten Countries According to Their Applications in China in 2009
イタリア
1423
スウェーデン
1844
イギリス
スイス
オランダ
フランス
韓国
ドイツ
アメリカ
日本
アメリカ
ドイツ
韓国
フランス
オランダ
スイス
イギリス
スウェーデン
イタリア
1911
2823
3372
3624
7113
9694
24628
34382
日本
(件数)
※国家知識産権局のデータに基づき作成
中科専利商標代理有限責任公司
44
22
2009年中国特許(発明特許、実用新案、意匠を含む)出願件数 外国企業トップ10
Top Ten Foreign Corporations According to Their Applications in 2009
ランキング
国別
企業名
出願件数
1
日本
ソニー株式会社
2088
2
日本
松下電器産業株式会社
1825
3
オランダ
フィリップスエレクトロニクス
1601
4
韓国
三星電子株式会社
1351
5
日本
トヨタ自動車株式会社
1201
6
日本
シャープ株式会社
1073
7
韓国
LG電子株式会社
1010
8
日本
キャノン株式会社
1003
9
アメリカ
通用汽車環球科技運作公司(GM)
946
10
アメリカ
高通股份有限公司(QUALCOMM)
844
中科専利商標代理有限責任公司
※国家知識産権局のデータに基づき作成
45
2009年 中国への発明特許出願件数 外国企業トップ10
Top Ten Foreign Corporations According to Their Applications for Invention in 2009
ランキング
国別
企業名
出願件数
1
日本
ソニー株式会社
1970
2
日本
松下電器産業株式会社
1620
3
オランダ
フィリップスエレクトロニクス
1450
4
韓国
三星電子株式会社
1063
5
日本
トヨタ自動車株式会社
1125
6
日本
シャープ株式会社
1059
7
韓国
LG電子株式会社
849
8
日本
キャノン株式会社
973
9
アメリカ
通用汽車環球科技運作公司(GM)
902
10
アメリカ
高通股份有限公司(QUALCOMM)
844
中科専利商標代理有限責任公司
※国家知識産権局のデータに基づき作成
46
23
2003-2009年 国内外三種類特許出願件数比較
Application for Three Kinds of Patents Received from Home and Abroad,2003-2009
合
計
国
合計
発明
特許
実用
新案
意匠
小計
累 計
増加率
4210903
1468840
1240553
1501510
3565169
21.2%
20.0%
19.1%
24.6%
23.2%
2003
308487
22.1%
105318
31.3%
109115
17.2%
94054
18.7%
2004
353807
14.7%
130133
23.6%
112825
3.4%
2005
476264
34.6%
173327
33.2%
2006
573178
20.3%
2007
発明
特許
内
国
実用
新案
意匠
小計
発明
特許
915093
1230307
1419769
645734
26.2%
19.2%
25.6%
9.6%
251238
22.2%
56769
42.6%
107842
17.0%
86627
17.7%
110849
17.9%
278943
11.0%
65786
15.9%
111578
3.5%
139566
23.7%
163371
47.4%
383157
37.4%
93485
42.1%
210490
21.4%
161366
15.6%
201322
23.2%
470342
22.8%
694153
21.1%
245161
16.5%
181324
12.4%
267668
33.0%
2008
828328
19.3%
289838
18.2%
225586
24.4%
2009
976686
17.9%
314573
8.5%
310771
37.8%
外
実用
新案
意匠
553747
10246
81741
9.9%
7.0%
7.9%
57249
21.6%
48549
20.1%
1273
30.8%
7427
30.6%
101579
17.3%
74864
30.8%
64347
32.5%
1247
-2.0%
9270
24.8%
138085
23.8%
151587
49.2%
93107
24.4%
79842
24.1%
1481
18.8%
11784
27.1%
122318
30.8%
159997
15.9%
188027
24.0%
102836
10.4%
88172
10.4%
1369
-7.6%
13295
12.8%
586498
24.7%
153060
25.1%
179999
12.5%
253675
34.9%
107419
4.5%
92101
4.5%
1325
-3.2%
13993
5.3%
312904
16.9%
717144
22.2%
194579
27.1%
223945
24.4%
298620
17.7%
111184
3.5%
95259
3.4%
1641
23.8%
14284
2.1%
351342
12.3%
877611
22.4%
229096
17.7%
308861
37.9%
339654
13.7%
99075
-10.9%
85477
-10.3%
1910
16.4%
11688
-18.2%
中科専利商標代理有限責任公司
※国家知識産権局のデータに基づき作成
47
1.中国特許制度の法体系
1‐1法律





特許法
民法通則
契約法
中華人民共和国税関法
不正競争防止法
1‐2司法解釈




『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に適用される法律に関する若干への問題解釈』
(2001年)
『最高人民法院の訴訟前特許権権利侵害行為を防止に適用される法律に関する若干への問題
解釈』(2001年)
『最高人民法院の特許権侵害紛争案件の審理に適用される応用』(法釈〔2009〕21号)
その他司法解釈に関する返答
1‐3行政法規



国務院より公布された『中華人民共和国知的財産税関保護条例』(2003年)
国家知的財産権局より公布された『特許行政執法規則』(2001年)
各地立法機関より公布された『特許保護条例』あるいは『特許保護規則』
48
24
1‐4 最高人民法院の指導性文献


『最高人民法院の創作型国家の建設のため全面的知的財
産権審判を強めるに関する意見』(2007年)
最高人民法院『当面の現状経済情勢の下での知的財産審
判サービスに関する若干問題の意見』(2009年)
1‐5 地方高級法院の指導性文献



北京市高級人民法院『特許復審及び無効行政紛争案件に
関する若干問題の回答の通知(試行)』(1999年)
北京市高級人民法院『特許侵害判定の執行に関する若干
の意見の通知(試行)』(2001年)
北京高級人民法院『実用新案特許案件の審理に関する若
干の指導意見(試行)』(2008年)
49
2.特許権侵害の定義
2‐1[1] 特許法 第十一条

発明特許権及び実用新案特許権が付与された後、
本法律に別段の規定がある場合を除き、いかなる単
位又は個人も特許権者の許諾を得ずに、その特許を
実施してはならない。即ち、生産経営を目的にその
特許製品を製造、使用,販売の申し出、販売、輸入
してはならない。又はその特許方法を使用すること、
及び、その特許方法で直接得られた製品を使用、販
売の申し出、販売、輸入してはならない。
50
25
2‐1[2] 特許法 第十一条

意匠特許権が付与された後、いかなる単位又は個
人も特許権者の許諾を得ずに、その特許を実施して
はならない。即ち、生産経営を目的とした当該意匠
の特許製品の製造、販売の申出、販売、輸入しては
ならない。
51
2‐2 特許法 第五十九条

発明又は実用新案特許権の保護範囲は、その権
利請求の範囲の内容を基準とし、明細書及び図面は
権利請求の内容の解釈に用いることができる。

意匠特許権の保護範囲は、図面又は写真に示され
たその製品の意匠特許を基準とし、簡単な説明は、
図面又は写真に示されたその製品の意匠特許に対
する解釈に用いることができる。
52
26
2−3 『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に適用される
法律に関する若干への問題解釈』(法釈[2009]21号)



第7条 人民法院は、被疑侵害物件の技術的構成が特許権の保護範囲に入る
かどうかを判定する時、特許権者が主張するクレームに記載される全構成要件
を審理しなければならない。
(オールエレメント原則)
第8条 意匠特許権製品と同一または類似する種類の製品において、権利付与
された意匠と同一又は類似する意匠を採用した場合、人民法院は被疑侵害設
計が特許法第59条第2項に定めた意匠特許権の保護範囲に入る判定をしなけ
ればならない。
53
2‐4 最高人民法院の特許権権利紛争案件に適用される法律問題に
関する若干規定の解釈(2001年)21号

特許法第五十六条第一項にいう「発明又は実用新案の特許権の保護範囲
は、その権利請求の内容を基準とし、明細書と図面は権利請求の解釈に用い
ることができる」とは、特許権の保護範囲は、権利請求書に明確に記載された
必須の技術的特徴(構成要件と同意義)によって確定された範囲を基準とし、
その必須の技術的特徴と均等な特徴で確定される範囲も含むことを意味する。
均等な特徴とは、記載された技術的特徴と基本的に同一の手段で、基本的
に同一の機能を実現し、基本的に同一の効果を達成するもので、かつ当業者
が創造的作業なしに容易に想到できる特徴を指す。
54
27

2‐5 特許法 第六十条
特許権者の許諾を得ずに、その特許を実施し、即ち特許権侵害に
より紛争が起った場合、当事者の協議によって解決する。
協議を望まないか又は協議が成立しなかった場合、特許権者又は
利害関係人は人民法院に訴えることができ、また特許業務管理部
門に処理を請求することもできる。
特許業務管理部門が処理する時、侵害行為が認められる場合は、
侵害者に直ちに侵害行為の停止を命じ、当事者に不服がある場合
は、処理通知を受け取った日から15日内に、「中華人民共和国行
政訴訟法」に従って人民法院に訴訟を提起することができる。
権利侵害者が期間内に訴えを起こさず且つ侵害行為の中止しな
かった場合、特許業務管理機関は人民法院に強制執行を要請する
ことができる。処理を行う特許業務管理機関は当事者の請求に応
じ、特許権を侵害した賠償額の調停を行うことができる。
調停が成立しない場合、当事者は「中華人民共和国民事訴訟法」に
依って、人民法院に提訴することができる。
55
3.権利侵害に対応する救済方式
救済対策の選択
3‐1 相手の情報





特許権の安定性
行動の目的



権利侵害行為の中止
賠償の請求
時間の管理


企業の性質及び規模
輸出状況
国内市場の販売状況
迅速な解決
現地の執法環境


地方行政機関の保護主義
裁判官の素質
56
28
3‐2 相手の状況



企業の性質及び規模

国有・大手企業

小規模手作業の企業

台湾の会社

外国企業の子会社
権利侵害製品の輸出状況

全て輸出

海外の製品を証拠とする税関の押収
国内市場の販売状況

局部の市場

全国的或いは大区域の市場
57
3.権利侵害に対応する救済方式
救済対策の選択
3‐3 特許権の安定性
⇒完璧な特許権は存在しない

特許庁の特許権評価報告書
 実用新案及び意匠の評価報告書

特許法第61条第2項
特許権侵害紛争が実用新案特許又は意匠特許にかかわる場合、人民法院
又は特許業務管理部門は、特許権者又は利害関係人に対して、国務院特許
行政部門がかかる実用新案特許又は意匠特許に対して検索し、分析及び評
価を行った上、作成した特許権評価報告書の提出を要求し、それを以って
特許権侵害紛争を審理し、処分するための証拠とすることができる。

実用新案特許の評価報告書(旧特許法)
58
29
3‐4 無効審判及び訴訟における権利解釈の統一性
『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に適用される法律に関する若干への問
題解釈』 (法釈〔2009〕21号) 第6条
特許出願人、特許権者は特許権の付与又は無効審判において、クレーム及び明
細書に対する補正或いは意見陳述を行って放棄した技術的構成について、権利者
が特許権侵害訴訟においてその放棄した技術的構成を特許権の保護範囲に含ませ
ることを主張する場合、人民法院はこれを支持しない。

3‐5 権利主張の基礎
『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に適用される法律に関する若干への問
題解釈』 (法釈〔2009〕21号)第1条

人民法院は、権利者の主張するクレームに基づき、特許法第59条第1項の規
定に従って特許権の保護範囲を確定しなければならない。権利者が一審法廷で弁
論終了前に主張するクレームを変更する場合、人民法院はこれを認めなければな
らない。
権利者が従属クレームを以って特許権の保護範囲を確定することを主張した場
合、人民法院は当該従属クレームに記載の付加技術的特徴及びその引用するク
レームに記載の構成要件を以って特許権の保護範囲を確定しなければならない。
59
3‐6 訴訟の目的
①侵害の差し止め
 法官(裁判官)の心理


賠償の提出
事前に確実な証拠を取得する
②賠償の求め


「特許法」第65条
「最高人民法院の専利権侵害紛争事件の審理に適用される法律
に関する若干の問題への解釈」法釈[2009]21号第16条
60
30
3‐7 証拠の取得

自己取得




法院の証拠保全


購入公証
商業広告の獲得(ホームページに対する公証)
電話録音公証
「特許法」第67条
特許行政管理部門の現場検証

「特許行政執行弁法」第28条
61
3‐8 時間の管理



法院の手続き



迅速な解決
悠長な解決
外国に関する案件に対して法定審理期間の適用なし(1年以上は通常である)
正式である
 一審
 二審(最終審)
 再審(必ずしもある法律のプロセスではない不是必经的法律程序)
地方特許行政管理部門



時間自由
手続きの把握は難しい
後続の司法監督プロセスがある
62
31
3‐9 現地の執行環境

地方行政部門の保護主義

法院の仕事方式


地区による差が大きい
北京、上海法官の素質は比較的良い
63
3‐10 権利侵害鑑定の選択



必ずしも必要なプロセスではない
鑑定機構から出された鑑定報告は法定効力を有し
ない
 自分で委託した鑑定報告の結論は保護範囲に
入っているかどうかを含めることができる。
 ある法院から委託された鑑定は、報告の結論が
技術特徴の区別の比較に限られることが要求さ
れ、均等になるかどうかについて直接的な判断は
含まれない。(勧める)
一部分野の案件に対して、中国国内で技術認定の
能力と設備を考慮する必要がある。
64
32
4.警告書
4‐1 適用対象の分析




権利侵害者は正規の製造企業であるか(○)
販売業者が存在するか(○)
大手国有企業か(?)
小規模手作業企業か(×)
4‐2 タイミングの分析

特許権が付与された後か(○)

特許公開後、権利付与される前か(×)
65
4.警告書
4‐3 リスクの分析




警告書を受け取った相手或いは利害関係者から地元の法院で権利非侵害
確認の訴訟を提訴する可能性
無効審判手順
不正競争の訴訟
反訴
4‐4 必要性の分析


「権利者は警告書を出さなければならない」との規定は法律にはない。
権利侵害の認定及び賠償は主観的な故意権利侵害を考慮せず(但し、第三
者の使用及び販売を判断する際は除く)
4‐5 今後の行動の考慮
66
33
4.警告書
4‐6 リスク分析




警告書を受けた者、又は利害関係者が現地法院へ権利非侵害確認訴訟を
提起した場合、特許権者は主導権を失う。
 「最高人民法院の専利権侵害紛争事件の審理に適用される法律に関す
る若干の問題への解釈」 (法釈〔2009〕21号)第18条
無効審判の手続き
不正競争の訴訟
 悪意と知的財産権の濫用を告訴する
権利侵害の反訴
 相手が特許権を持っている場合
67
5.司法と行政による救済の比較
5−1 司法ルートによる救済

メリット:




法律は法定審理期間の適用を規定しており、訴訟全体の流れ
は予測できる。
判決の効力は高い。
賠償問題に関わる判決が得られる。
デメリット:

立案が難しい。
68
34
5‐2 行政ルートによる救済

メリット:



立案は容易である
些細な案件(例えば:販売業者に権利侵害行為を中止する要
求)は解決が早い
デメリット:




処理プロセスの全体の所要時間が把握しにくい。
鑑定請求を提出した後、拒絶される可能性が高い。
続いて行政訴訟のプロセスになると、時間的には長くなる。
賠償に関われない。
69
5‐3 司法による救済と行政ルートによる救済の共通の考え

原告の選択

被告の選択
70
35
5‐3 司法による救済と行政ルートによる救済の共通の考え
 原告の選択

被告の選択
70
5‐3 司法による救済と行政ルートによる救済の共通の考え
 原告の選択
 国外の会社(特許権者)
 中国の子会社(独占許可人または排他許可人) (単一
選択又は共同選択)
 メリット:
 公証認定の委託手続きを省略する
 相手同士は中国の会社であり、できる限り言論的な
排他要素を避ける
 法院の審理期間の把握には有利(渉外案件の場合、
審査期限はない)
 デメリット:
 渉外案件の重視度は大きい
 司法実践中、許諾契約の中、訴訟権利の譲渡を規
定できるか否かを異議を持つ
70
36
5‐3 司法による救済と行政ルートによる救済の共通の考え

原告の選択
 被告の選択
70
5‐3 司法による救済と行政ルートによる救済の共通の考え

被告の選択
 国外の会社
 国内の会社(単独又は共同)
 メリット:
 国内会社が販売会社又は製造会社である場合、法
律的な地位は明確であるため、異議を存在しない
 国内会社の場合、送達は便利である
 国内会社の場合、執行には有利である
 デメリット:
 親会社が訴訟に巻き込まないため、対抗性が弱い
 親会社が責任を逃れやすい
70
37
6.司法ルートによる救済
6‐1 司法体系(四級法院)




最高人民法院;
高級人民法院(例えば、北京市高級人民法院、広東省高級人民法
院)
中級人民法院(例えば、北京市第一中級人民法院、広東省東莞市
中級人民法院)
地元人民法院(例えば、北京市海淀区人民法院)
6‐2 二審終審制


二審法院は終審である(普通の場合、一審法院は中級法院で、二審
理法院は高級法院である)
一審、二審は合計およそ1∼2年をかかる(案件の中止を考慮せず)
71
6.司法ルートによる救済
6‐3 執行

特許権が無効にされると始めから存在しなかったとみなす
特許権無効審判の決定は、以下の場合には遡及力を持たない
1.特許権無効審判前人民法院がすでに執行した特許権侵害の判決、和解
書
2.既に履行または強制執行の特許権侵害紛争処理決定;
3.既に履行の特許実施許可契約及び特許権譲渡の契約
(但し、特許権者の悪意で他人に損失を及ぼす場合、賠償を求められる)
 旧規定に基いて、特許権侵害賠償金、特許使用料、特許権譲渡費につ
いて、明らかに公平の原則に違反した場合、全部または部分的に返還
すべき。


再審で改めて判決する場合、 その判決に基づいて執行する
72
38
6.司法ルートによる救済
6‐4 原告


特許権者
利害関係者,特許実施許可契約の許可を受けた者、
特許財産権の合法的相続人などを含む。特許実施許
諾契約の許可を受けた者の中、独占実施許可契約の
許可を受けた者は単独で人民法院に提訴することが
できる。
排他実施許可契約の被許可人は特許権者提訴の場
合で訴訟の提出をすることができる。
73
6.司法ルートによる救済
6‐5 被告

権利侵害行為により分類





製造業者
販売業者
技術提供者
故意的権利侵害者を幇助する者
権利侵害者の国籍、地域により分類



中国大陸
台湾
海外
74
39
6.司法ルートによる救済
6‐6 管轄法院の地域選択

権利侵害地或いは被告所在地の人民法院が管轄する。

権利侵害地は、訴えられた発明、実用新案特許権製品の製
造、使用、販売の申出、販売、輸入などの行為の実施地;
特許方法使用行為の実施地,特許方法により直接に製品の
使用、販売の申出、販売、輸入などの行為の実施地;
意匠特許製品の製造、販売の申出、販売、輸入などの行為
の実施地

上記権利侵害行為の権利侵害結果が発生している(販売地)

被告の住所所在地
75
6.司法ルートによる救済
6‐7 管轄法院の等級選択


損害賠償額
高級人民法院の一審案件数量の制限
76
40
6.司法ルートによる救済
6‐8 [1] 法院の費用徴収(損害賠償案件は訴
額(賠償額)に基づき、以下の比率で納める)

1. 1万元以内、1件ごとに50元;

2.
1万元を超え、10万元まで、2.5%の比率で納める

3.
10万元を超え、20万元まで、2%の比率で納める

4.
20万元を超え、50万元まで、1.5%の比率で納める

5.
50万元を超え、100万元まで、1%の比率で納める

6.
100万元を超え、200万元まで、0.9%の比率で納める

7.
200万元を超え、500万元まで、0.8%の比率で納める

8.
500万元を超え、1000万元まで、0.7%の比率で納める

9.
1000万元を超え、2000万元まで、0.6%の比率で納める

10. 2000万元を超える場合、0.5%の比率で納める
77
6.司法ルートによる救済
6‐8 [2]

賠償額の追加と減少の戦略




賠償額の選択
審級の変化
裁判官に対する影響
メディアの報道
追加のタイミング


証拠の提示期限
審計の結果
78
41
6.司法ルートによる救済
6‐9 訴訟時効

特許権侵害の訴訟時効 ⇒ 二年
特許権者或いは利害関係者が知る又は知り得た日から計算

発明特許出願公開後特許権付与される前、その発明を使用し、使用費が
未納の場合、特許権者は使用費の支払い要求の訴訟時効は二年であり、
特許権者が知る又は知り得べき他人が自分の発明を使用した日から計
算する。但し、特許権者は特許権付与される前から既に知っていたか又
は知り得べきの場合、特許権付与される日から計算する。

権利者は二年を超えて訴訟提起する場合、権利侵害行為は訴訟提起時
点で依然として続いていれば、特許権有効期間以内、人民法院は被告に
権利侵害行為を停止する判決をすべきである。権利侵害の賠償額は権
利者が人民法院に訴訟を提起した日から二年前に遡って計算すべきであ
る。
79
6.司法ルートによる救済
6‐10 特許権者の権利
→提訴前の仮処分(特許法第64条)

特許権者或いは利害関係者は他人が実施又はまもな
く権利侵害行為を実施する証拠を持ち、早めに権利侵
害行為を阻止しない場合、自分の合法権益を受け難
しく損害を与える場合、訴訟提起前に人民法院に相関
侵害行為を阻止する命令を申請できる
80
42
6‐11 特許権者の権利
→訴訟前の証拠保全 (特許法第67条)

権利侵害行為を防止するため、証拠が遺失の可能性が
あるか或いは将来獲得しにくい場合、特許権者或いは
利害関係者は起訴する前、人民法院に証拠保全の申請
することができる。
81
6‐12 特許権者の権利
→権利侵害行為の差し止め

権利侵害行為の中止
82
43
6‐13 特許権者の権利
→損害賠償[1]

損害賠償


特許権侵害の賠償額は権利者が権利侵害行
為により受けた実際の損失により計算する。
実際損失の確定が困難の場合、権利侵害者
は権利侵害による所得利益で計算する。
82
6‐13 特許権者の権利
→損害賠償[2]



権利者の損失或いは権利侵害者の所得利益の確定
が困難な場合、当該特許許可使用料の倍数を参考
にして、合理的に計算する。
賠償額は権利者が権利侵害を中止するための合理
的な費用も含む。
権利者の損失額、権利侵害者の所得利益及び特許
許可使用料のすべてからの確定が困難な場合、人
民法院は特許権の類型、権利侵害行為の性質及び
経緯などを参考にして、1万元以上、100万元以下
の賠償額を決定する。
83
44
6‐14 [1]



被告の抗弁
1)技術内容が同一又は均等でない。
2)権利の消尽
3)公知技術
84
6‐14 [2]
被告の抗弁
4)先使用権
 特許法 第69条 特許出願日前、すでに同じ商品を
製造し、同じ方法を使用又は既に製造、使用の必要
準備を完成し、更に従来範囲内で製造また使用を継
続する場合;
 『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に適
用される法律に関する若干への問題解釈』(法釈[20
09]21号) 第15条
 従来の輸入及び販売との関係
85
45
6‐14 [3]

被告の抗弁
5)善意の第三者

生産経営の目的で使用、販売申出または販売
のために、特許権者の許可を受けず製造かつ
販売した特許侵害品であることを知らなかった
場合、製品の出所は合法であると証明できるな
らば、賠償責任を負わない。
86
6‐14 [4]
被告の抗弁
6) 禁反言
『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に
適用される法律に関する若干への問題解釈』
(法釈〔2009〕21号)第6条


7)技術許諾または契約譲渡の譲受人である
 通常には人民法院が受理しない
 原告は被告の追加またはその可能性がある
87
46
6‐14 [5] 被告の抗弁
 8)賠償額の抗弁
『最高人民法院の特許権侵害紛争事件の審理に
適用される法律に関する若干への問題解釈』
(法釈〔2009〕21号)第16条
88
6‐15 審理の中止
89
47
6‐15 審理の中止

実用新案、意匠特許権侵害紛争案件における被
告が訴訟中止を請求する場合、答弁期間以内に
原告の特許権に対して無効審判を請求しなけれ
ばならない。
89
6‐15 審理の中止
人民法院が実用新案、意匠特許権侵害紛争案件を受
理し、被告が答弁期間内に該特許権に対して無効審判を請
求する場合、人民法院は訴訟を中止しなければならない。
ただし、下記情況の一つを有する場合は、訴訟を中止しな
いことができる。
(1)原告が提出した特許権利評価書により実用新案特許権
の新規性、進歩性が喪失する技術文献を発見していない場
合;
(2)被告が提供した証拠によりその使用された技術が既に
公知になったことを充分証明できる場合;
(3)被告が該特許権無効を請求するために提供した証拠、
或いは根拠にする理由が明らかに不十分である場合;
(4)人民法院が訴訟を中止するべきではない場合のその他
の情況。
89
48
6‐15 審理の中止


人民法院が実用新案、意匠特許権侵害紛争案件を受理
し、被告が答弁期間満了後に該特許権に対して無効審
判を請求した場合、人民法院が訴訟を中止してはなら
ない。ただし、審査を経って訴訟を中止する必要があ
ると認められる場合を除く。
人民法院が発明特許権侵害紛争案件又は特許復審委員
会より審査し特許権を維持した実用新案、意匠特許権
侵害紛争案件を受理し、被告が答弁期間内に該特許権
に対して無効審判を請求する場合、人民法院が訴訟を
中止しないことができる。
89
6‐16 [1] 一審の手続き
 原告起訴
 法院は一般的に2週間から1ヶ月以内に訴状な
ど書類を受け取りに来るように相手方に通知す
る;
 同時に法院より答弁期限及び立証期限を与え
る。一般的に30日。延期可;
90
49
6‐16 [1]


一審の手続き
管轄権異議のプロセス
 被告は答弁期間以内(15日又は30日)に管轄権の
異議を提起することができる
 法院は管轄権の異議について同意か否かを裁定し
なければならない。不服の方は、上訴することがで
きる。
 高級法院が審理し(通常は書面審査である)、最終
裁定を出し、案件の審理資格を持つ法院を明確す
る。
訴訟プロセスの中止
 法院は自身の判断に基づき、中止するか否かの判
断を下す
 法院の判断は自主性を持つ
90
6‐16 [1] 一審の手続き
 提訴後の約2ヶ月に開廷審理を行う;
 法廷前に証拠交換を行う予備廷を行う可能性
がある;
 技術説明予備廷を行う可能性がある;
 開廷審理は一般的に1回から2回あり、毎回半
日又は1日を要する;
90
50
6‐16 [2]

一審の手続き


一審の手続き
両方当事者は法院に技術鑑定を行うことを要求することができる。要求する
側はあらかじめ鑑定費用を支払いする。鑑定結論は証拠の尋問を通らなけ
ればならない。不服の場合、再び鑑定を要求することができる;

開廷後の約4ヶ月∼12ヶ月に一審判決が出される;

不服の場合、上訴することができる。
二審の手続き



開廷審理は一般的に1回から2回あり、毎回半日又は1日を要する;
再び鑑定を行う可能性がある;
開廷後の約4ヶ月∼12ヶ月に二審判決が出される。
91
6-17法院が特許権侵害紛争を審理する場合の新旧《特許法》の適
用の継続に関する問題





2009年10月1日以前に訴えられた特許権侵害行為に対して、改正前の特許
法を適用する;
2009年10月1日以後に訴えられた特許権侵害行為に対して、改正後の特許
法を適用する;
2009年10月1日以前に発生し且つ2009年10月1日以后に継続する特許権侵
害行為に対して、改正前と改正後の特許法によって侵害者が賠償責任を負
わなければならない場合、改正後の特許法を適用し、賠償額を確定する。
訴えられた特許権侵害行為が2009年10月1日以前に発生した場合、当事者
が2009年10月1日以後に人民法院に関する行為の停止を指令する措置の
採用を請求し、証拠保全を請求する場合、改正後の特許法を適用する。
『最高人民法院の訴訟前の特許権侵害行為の差止めにおける
法律適用問題に関する若干規定』、『最高人民法院の特許紛
争事件における法律適用問題に関する若干規定』における改
正後特許法と抵触する内容を適用しない。
92
51
7.行政ルートによる救済 (7‐1)



行政体制(三又は四級)
 国家知的財産権局特許庁
 地方の省級政府下に属する行政部門(例えば北京市知的財産
権局、広東省知的財産権局)
 地方級政府下に属する行政部門(例えば広東省東莞市知的財
産権局)
国家知的財産権局特許庁の職能
 地方特許行政管理部門より特許権侵害紛争に対する処理、特
許紛争に対する調停について指導する。
具体的に行政ルートによる救済する処理部門
 省、自治区、直管轄市人民政府及び特許管理量が多く、且つ
実際に処理する能力を持つ、市人民政府が設立した特許行政
管理部門。
93
7.行政ルートによる救済 (7‐2)

特許権者の権利のその1:行政部門の現場検証を求め
ること

特許権者の権利のその2:行政部門の調停を求めること

被告の抗弁:司法ルートによる救済と同様

特許部門の処理手続き:基本的に司法ルートによる救済
の一審手続きと同様。不服の場合、同級の中級人民法
院に行政訴訟を提起することができる。
94
52
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
95
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
特許行政管理部門は特許権侵害が成立すると認定し、処
理を決定した場合、権利侵害者が直ちに侵害行為を停止
することを指令しなければならず、下記の侵害行為制止措
置を取る。
95
53
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
(1)権利侵害者が特許製品を製造する場合、直ちに製
造行為を停止し、侵害製品を製造する専用設備、金型を
廃棄し、且つ販売されていない侵害製品を販売、使用し
てはならず或は如何なるその他の方法で侵害製品を市
場に投入してはならないことを指令する。侵害製品の保
存が難しい場合、権利侵害者が該製品を廃棄することを
指令する。
95
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
(2)権利侵害者が特許方法を使用する場合、直ちに製
造行為を停止し、特許方法を実施する専用設備、金型を
廃棄し、且つ販売されていない、特許方法によって直接
得られた製品を販売、使用してはならず或は如何なるそ
の他の方法で侵害製品を市場に投入してはならないこと
を指令する。侵害製品の保存が難しい場合、権利侵害
者が該製品を廃棄することを指令する。
95
54
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
(3)権利侵害者が特許製品又は特許方法によって直接
得られた製品を販売する場合、直ちに製造行為を停止し、
且つ販売されていない侵害製品を使用してはならず、或
は如何なるその他の方法で侵害製品を市場に投入して
はならないことを指令する。販売されていない侵害製品
の保存が難しい場合、 権利侵害者が該製品を廃棄する
ことを指令する。
95
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
(4)権利侵害者が特許製品又は特許方法によって直接
得られた製品を販売の申し出する場合、直ちに製品の
販売の申し出行為を停止し、影響を取り除き、且つ如何
なる実際的な販売行為をしてはならないことを指令する。
95
55
7.行政ルートによる救済 (7‐3)
(5)権利侵害者が特許製品又は特許方法によって直接得
られた製品を輸入する場合、権利侵害者が直ちに輸入
行為を停止することを指令する。侵害製品が既に国境に
入った場合、該侵害製品を販売、使用してはならず、或
いは如何なるその他の方法で侵害製品を市場に投入し
てはならない。 侵害製品の保存が難しい場合、権利侵
害者が該製品を廃棄することを指令する。侵害製品がま
だ国境に入っていない場合、処理決定を関する税関に
通知することができる。
(6)侵害行為を停止するその他の必要な措置。
95
8.税関による保護(8‐1)

第1方式 先ず記録に載せる

第2方式 間もなく輸入または輸出される侵害製品
を発見した場合、直接差し押えを請求する
96
56
8.税関による保護(8‐1)
第1方式

先ず記録に載せる
=税関届出
第2方式 間もなく輸入または輸出される侵害製品
を発見した場合、直接差し押えを請求する
96
8.税関による保護(8‐1)

第1方式 先ず記録に載せる=税関届出
特許権利者は税関本部に届出を出し記録に載せること
ができる。
申請書は下記の内容を含む。
(1)特許権者の名称又は名前、登録地又は国籍など;
(2)特許の名称、内容及び関連情報;
(3)特許実施許諾状況;
(4)特許権利者が合法的に知的財産権を行使する貨物の名称、
産地、輸入輸出地税関、輸入輸出商社、主な特徴、価額等;
(5)既に知られている侵害製品の製造メーカ、輸入輸出商社、主
な特徴、価額等。
96
57
8.税関による保護(8‐1)

第1方式 先ず記録に載せる
=税関届出
 第2方式
間もなく輸入または輸
出される侵害製品を発見した場合、
直接差し押えを請求する
96
8.税関による保護(8‐1)

第2方式 間もなく輸入または輸出される侵害製品を発見した場合、直
接差し押えを請求する
 知的財産権の権利者は被疑侵害製品が間もなく輸入輸出されること
を発見した場合、貨物輸入輸出地税関に被疑侵害貨物の差し押えを
申請することができ、申請書及び関連証明書類を提出し、且つ、侵害
事実が明らかに存在し、充分に証明できる証拠を提供する。申請書
は下記の内容を含む。
(1)知的財産権の権利者の名称又は名前、登録地又は国籍など;
(2)知的財産権の名称、内容及び関連情報;
(3)被疑侵害貨物の荷受人と荷送人の名称;
(4)被疑侵害貨物の名称、規格等;
(5)被疑侵害貨物が輸入輸出可能な港、時間、輸送機関等。
被疑侵害貨物が記録に載せた知的財産権を侵害した疑いがある
場合、申請書に税関の登録番号を記載しなければならない。 96
58
8.税関による保護(8‐2)

基本手続き





知的財産権の権利者が税関に被疑侵害製品の差し押えを請求する場合、貨
物の等価を超えない担保を提供しなければならない;
荷受人又は荷送人はその貨物が知的財産権の権利者の知的財産権に対して
侵害をしていないと思う場合、税関に説明書を提出しなければならず、且
つ関する証拠を添付しなければならない。貨物の等価保証金を提供した後
に貨物を通過させることを請求できる。
知的財産権の権利者が合理的な期限内に人民法院に訴訟を提起していない
場合、税関は担保金を返還しなければならない。
税関の調査により(知的財産権主管部門が協力することが求められる場合
がある)知的財産権の侵害が認められた場合、税関より没収される。
知的財産権の権利者が税関に被疑侵害貨物の差し押えを請求した後、税関
は差し押えられた被疑侵害貨物が知的財産権の侵害について認定できない、
又は人民法院が知的財産権の権利者の知的財産権に対して侵害していない
とする判決はあった場合、知的財産権の権利者は法によって賠償責任を負
わなければならない。
97
ご清聴ありがとうございます。

ご質問等ございましたら、

お電話又はメールでご連絡を頂ければ幸いです。

E-mail:[email protected](日本事務所)

TEL: 06-6130-7051(日本事務所)

FAX: 06-6361-1162(日本事務所)
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