Ⅱ 地域課題の共有 - 茨城大学 COC事業

Ⅱ 地域課題の共有
ここでは地域課題の共有について 3 つの分類に分けて取り上げる。
地域円卓会議には、COC 統括機構でテーマを決めてシンポジウムに併設して行う
企画型と、教員に個々のテーマを募る公募型からなり、いずれにおいても学生教育と
連動しながら活発な議論が展開された。
企業現場でのニーズ調査は、平成 26 年度の 20 社限定の事業であったが、27 年度
も継続して 2 年で合計 47 社となり、企業とのパートナー関係を築く一歩となった。
シンポジウムや FD・SD でも活発な議論が行われたが、今後は両者を一緒に行う
などして地域と教職員の対話を促す工夫を検討したい。
7
Ⅱ
地域課題等の共有
1
地域円卓会議
茨城大学COC事業における地域円卓会議は、地域に顕在・潜在する様々な課題を情報共有・
協議の場に採り上げるための機能を持つものとして、あらゆるニーズに対応できるよう、以下の
ようなバリエーションを有するものと定義している。
1)分科会型地域円卓会議(COC統括機構企画型地域円卓会議)
シンポジウム、事業報告会に併せて実施するもので、広く一般市民、企業、県内自治体・
教育機関等に参加を呼びかけて開催する。「教育」「研究」「社会貢献」といった包括的な
テーマを設け、自由な意見交換を通じて地域の課題を探る。
今年度は、平成27年7月3日(水)に開催されたCOC事業シンポジウム第2部にて
「教育」「研究」「人材育成」の3つのテーマを掲げ実施した。
※ 52頁 シンポジウムの開催 を参照
8
【分科会報告】
分科会1
趣
教育
テーマ:「地域志向教育-地域課題を主体的に発見する教育のあり方」
旨: 茨城学をはじめとして地域志向の教育が新たなレベルで全学的に展開されはじめている。
本学ではこれまでも地域課題を考えるための様々な教育が行われてきたが、COC 事業の開
始に合わせてこれまでの地域志向の教育をさらにバージョンアップするための課題につい
て、話し合いたいと思う。
モデレーター 渋谷
ゲスト
敦司
玄蕃 由美子氏
COC地域共生委員長 人文学部教授
日刊工業新聞横浜総局長、
社会連携センターアドバイザリ-ボード
COC の地域志向教育支援事業として、地域志向教育を実践している先生方から発表頂い
モデレーター たあとに、意見交換をする。1 人あたり 5 分説明のあと、1,2 分ほど質疑応答を受け付け
からの趣旨
る。ゲストの玄蕃先生には後半の意見交換に入ってもらう。地域志向教育における地域志
説明
向とは何か?何を志向するのか?そもそも地域とは何を指すのか?現場を指すのか、大学
の外を指すのか、座学ではないことを指すのかを含めて議論を深めていきたい。
新聞記者をやっていた立場から、事前学習が一番重要であり、また「弁の立つ社長」ばかり
ではないので、話をうまく聞き出すには、今回の「地域連携論Ⅰ」のように「企業経営と自然
ゲストからの
環境」のようにテーマを絞って、続けてやっていくことで社長さんの話に横のつながりが出て
コメント
くる。それによって信頼関係が徐々に築かれていき、ベテラン新聞記者のように、深い話が
聞けるのではないか。
○「プロジェクト実習B,C,D」(神田大吾先生):B=里美(常陸太田市)、C=国際交流、D
=水戸市役所というテーマで実施。5~9 名で 1 チーム。初年度は教員がテーマを設定し
ていたが、途中から学生もテーマ設定をしている。茨城キリスト教大学からも受講生が入っ
ている。
○「水環境論」(阿部信一郎先生):学生は自分が生活していない環境の水資源に対する
共通理念を持ちにくい。今年度熊本県水俣市のまちあるきを企画。
プロジェクト
担当教員の
○「地域連携論Ⅰ」(牧良明先生):座学と現場の往復で学習。座学で学んだあと、地域企
発表
業に出向き、インタビューをする。企業に学生が入るインターンシップと違い、大学の学び
の中に企業を入れるということ。
○「居住地計画演習」(乾康代先生):陸軍施設があった茨城大学周辺の戦前と戦後復興
の歴史を地域の人を講師に招きながら学び、地域と大学、平和を考える。
(資料のみ:一ノ瀬先生、横溝先生、熊澤先生、大辻先生、荒木先生)
地域志向とは「地域で実践を学ぶ」という発言があり、社会に出ていく最終段階である大学
生活を理論だけの座学に済まさず、学問と実社会との関わりを理解するうえで、地域志向
参加学生から
教育は貴重な機会だと思った。教員側がある程度整備したフィールドの中で学生は世代や
のコメント
職種の異なる多様な人と交流し、専門分野だけではなく、地域そのものを深く学ぶことで、
仕事や人生の価値観に大きな影響を与えるのではないか。
9
○プロジェクト実習はどのようにテーマ設定を行っているのか?
○プロジェクト実習 B の里美の事例に見られるように、活動報告を地域でやることで、課題
に対しての議論が深まるのではないかと思う。
○地域をフィールドにした後でどのように地域と対話していくかが重要だと思う。
○大学で理論を学び、地域で実践を学ぶ。その双方向性が重要なのではないか。「体験あ
って学習なし」に陥らないよう経験至上主義ではなく、経験を理論化していくことが重要だと
思う。
○大学という「知」の資産を活かすためには教員が主導してプログラムをつくる必要がある。
分科会参加者 それを学生に任せすぎていないか。「知」のつくり方の指導は体系化すべきではないか。
による討論
○インパクトのある人に会わせる機会を学生に提供したい。そのためには「どうすごいの
か?」を教員が整理・言語化する必要がある。そこから学生がどのように問いを立てるの
か?学生が主体的に考えているように見せられるか?というストーリーを持つ必要がある。
○地域における「この人のこの一言」を出発点にして、コーディネートする教員側がうまく学
びをつくっていくこと、言語化・理論化し、大学における教育にもっていくことが必要。
○地域に出ていくだけでは価値はない。何を学ぶか?成績評価をどうするか?グループと
個人の関係性からもどう評価するのか、考える必要がある。
○教員がベースを教えること。学生が自分の想像を超えるものをつかんでくる。それをどう
伝えるか?は教えられる。
まとめ
学生が社会に出たまま、大学に帰ってこないのでは困る。学問とのやりとりが大切。地域の
大人のインパクトを持たせることは大切だが、そこで思考停止に陥ってはいけない。それを
どう学びに落とし込んでいくかは教員側が考えなければならない。教員側が地域での学び
をどう捉え、どう学問に向かわせていくのか?理論を持っている必要があるし、それを学生
の自発性と組み合わせて教育をつくっていかなければならない。何より大切なのは信頼関
係を地域で築いていくこと。
10
分科会2
趣
研究
テーマ:「大学の「研究力」を地域の発展に結びつけるために」
旨: 茨城大学では、「地域に支えられ、地域に頼りにされる大学」を目標とし、多くの自治体
や産業界、諸団体などと連携したさまざまな活動を行っている。地域社会が抱える人口減
少、中小企業競争力強化支援、農業振興など課題解決に向けて、総合大学である茨城大学
が持つ「研究力」がどのように活用できるか、昨年度で行った研究事例報告を受けて今後
の取組みおよび活動の方向付けについて、参加者の皆様とともに考えてみたいと思う。
モデレーター 周
立波
増山 弘 氏
COC地域研究委員長 工学部教授
常陽地域研究センター理事長、
社会連携センターアドバイザリ-ボード
ゲスト
加藤木 克也 氏 三友製作所代表取締役社長、
社会連携センターアドバイザリ-ボード
COC 事業も 2 年目に入り、今年は 10 の研究プロジェクトが採択された。今年度は産業(企
業)との共同研究以外の自治体や教育機関等との共同研究のプロジェクトが大幅に増え
モデレーター
た。これは人口減などの地域ニーズの変化がより反映せれた結果であり、大学の社会連携
からの趣旨
が益々重要になってきた。本分科会では、この重要性の増大に対応し、本学全体としての
説明
課題を明らかにし今後の方向性などを探っていきたい。特に、会の進め方に指定はされて
いないので、自由闊達な議論の場としていきたい。
ゲストからの
コメント
〇加藤木氏コメント:
メーカーとして過去 20 年以上茨大との共同研究等で付き合いがあるが、当初は簡単に
情報を出さず大学はかなり閉鎖的と感じていた。しかし、その後研究成果の公開など大学
に来てもらう形での情報発信、今はPBLなど外に出て企業との連携を図るよい形になって
きた。今後もこの流れを期待しているので是非推進してもらいたい。
〇増山氏コメント:
外に出ての教育、研究活動のためには、ニーズをきちんと取り込んで進めるのがポイント
である。また、茨大では 3 キャンパスの連携が不足しているように感じる。もっと、情報共有、
ネットワーク強化を行い、どのキャンパスでも様々なニーズに対応できるようにする必要があ
る。
本分科会に出席したプロジェクト担当教員より以下の説明があった。
○緊急ヘリ誘導用可搬LED照明の備蓄普及に向けた研究プロジェクト【26 年度実績】(工
学部小貫哲平先生):本年度は、共同研究を行った日邦電機産業㈱との共同研究契約締
結に至った。
プロジェクト ○地域創生を目的とした産学官民共同型『街ビジョン』【26 年度、27 年度継続】(工学部石
担当教員の 田智行先生):日立市、ケーブルテレビ JWAY と組んで継続的に地域活性化の番組を作っ
発表
ている
○次世代自動車用 CFRP 材の加工および評価に関する研究【27 年度】(工学部尾鷲裕隆
先生):県工業技術センターと組んでこれまで未着目だった CFRP の「織り方」に着目し研究
○広域避難者の災害時救援体制づくりのための円卓会議【27 年度】(人文学部原口弥生
先生):県内に居住する福島原発避難民への自治体も交えた支援体制の在り方検討
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○学内での COC など産学連携、社会連携活動に関する広報が不足しているように感じる。
また、その活動も水戸が中心であり、阿見や日立は少ないと感じる。全学としての広報、周
知が不足しているのが原因の一つではないか。
参加学生から
○上記にも関連するが、水戸、日立、阿見の連携といっても距離的な障害は大きく、各キャ
のコメント
ンパスを結ぶ連絡バスなどの運行などの施策が必要と思う。
○工学部学生の外部との接点は、企業(工場)見学、インターンシップなどあり有意義とは
感じているが、1,2年次の早いうちから進めたほうが学生にとっては良いと感じている。
○緊急時誘導用 LED 照明はドクターヘリなどが有効であると思われるが、その LED 利用の
実績はあるのか。他の用途でもかなり有望と考えられる。
⇒実績はない。航空照明業界はかなりまとまっており、規格などが厳格でなかなか新規参
入が難しいという実情があり課題でもある。
○CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の繊維の織り方に着目しさらに地域産業の結城紬の
技術を利用するなどの例は、地域連携の好例と言える。
○日本創生会議の増田氏は、地域創生の好例として静岡県牧之原市をあげている。その
成功の要因は、町内会など小さなレベルからボトムアップで活性化を進めているとのこと。
今回の「街ビジョン」などの例はそれに類するもので期待が持てる。
○一方、災害難民の場合、住民票を移さない人が多く、個人情報保護の観点で存在把握
分科会参加者 が難しく、行政のような大きな枠組みでの対応も重要である。
による討論
○「街ビジョン」の活動は現在日立市が中心で、茨城全体に広げるために、水戸や阿見の
他学部へどう広げていくかが課題である。
○一般論としても、大学が効果的に地域貢献を行うためには、水戸、日立、阿見にある 3 キ
ャンパスのを連携させて有効に使う必要がある。現状は、必ずしも 3 キャンパスの連携は十
分とは言えない。
○キャンパス間の連絡バスの整備など交通の改善も重要だが、情報交換・共有、学部の連
携、人の交流なども合わせて環境整備や教職員、学生の意識向上などが必要だ。
○社会連携センターも 3 キャンパス連携の強化を図り、体制の整備、情報共有・交換などを
積極的に進めており、それが大学全体のレベルでの 3 キャンパス連携強化につながると思
われる。
○学生に早いうちから地域連携(貢献)を意識させるために、1 年次からの「茨城学」、COC
の各プロジェクトなどを着実に実践していくいことが重要である。
まとめ
○茨城大学の特徴(弱み)でもある 3 キャンパスの問題は、地域全体を広くカバーできると
いう強みでもある。3 キャンパス間のつながりを強化することは、地域貢献の非常に大きな力
になるので、是非連携を推進していく必要がある。
○COC 事業は 26 年度から始まったばかりということもあり、外部評価では各項目ともA評価
であった。しかし、今後は期待が大きくなると同時に評価も厳しくなり、常に高い評価を得ら
れるように地域社会、産業界との連携を強化し活動をより活発化していく必要がある。
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分科会3
趣
人材育成
テーマ:「地域の未来づくりに向けた新たな人材育成」
旨: 茨城大学では、地域の再生と未来づくりに向けて、子どもたちがワクワクする理科教育の
展開、先進的なモノづくりを担う技術者の養成、さらに食と農と環境に向き合う人づくり
など、地域に頼られる新たな人材育成の取り組みを開始しました。この分科会では、CO
C事業を通じて新たな人材育成の可能性について意見交換していきたい。
モデレーター 小松﨑
ゲスト
将一
光畑 由佳 氏
COC地域貢献委員長 農学部教授
モーハウス代表取締役、
社会連携センターアドバイザリ-ボード
本学では地域に向けた人材育成事業として、地域の生涯学習にかかる公開講座や公開
授業、工学部を中心に技術者向けの公開講座なとを展開してきた。COC 事業では企業や
モデレーター 市町村との連携で円卓会議の開催等もあり、幅広い学際的なものに発展してきている。地
からの趣旨 域の「知の拠点」として、成果を地域に還元、地域に根ざした取り組みが展開されており、教
説明
員も学生も学びを深めているところであり、研究へとつながっていくものである。今回は人材
育成にかかる事例4件の取り組みを紹介し、地域の理科教育や専門技術者教育、食と農に
関わる人材育成事業報告を通じて成果を検証し、参加者のみなさんとの意見交換を行う。
○「農女」について:ファッションは大事で農業に従事するイメージを変え同時に持続可能
性な取り組みが大切。
○人材育成事業:政策を立案できる人を育てるキュレーション、シーズを活かすことができる
人材育成は大切。
○ヤギの除草について:つくばで「ヤギあります」という看板がありびっくりしたが、多角化の
視点で捉えると、里山を次の世代につなげていく取り組みになると考える。
ゲストからの
コメント
かつての日本では「子育ての社会化」をどこでもできていたが、ネパール支援で訪問して
みたら穏やかに子育てする様子を見て、伝統をつなぐことが大切だと感じた。COC プロジェ
クトが地域創成にも寄与し、これまでの茨城大学の社会貢献人材育成でも、大学にあるもの
を使って地域ニーズに対応することで大学が変わっていくと思う。「モーハウス」は、お母さ
んが外出しやすい環境整備を図るために設立。現在、赤ちゃん連れ出勤ができる会社にな
り、グットデザイン賞も受賞。自分でやってしまったほうが早いと、歩きながら考えてきた。大
学でも座学だけではなく、課題にあたることが求められている。地域がそれぞれの問題を考
えていくことが大切。現場主義を貫き、キュレーション、コーディネート、ダイバーシティ、レリ
ジエンスなどのキーワードを旨に今後も事業を展開していく。
プロジェクト担当教員の報告 【26 年度実績】
宮口右司先生(2件)茨城県の農業従事者を増やす人材育成を展開。県と協働し新規就農
者に向けた技術指導と加工品になっていく6次産業化につながるよう2つの事業を展開。①
コムギ栽培の技術を継承した若手国産コムギ農家の事例発表とパンづくり ②農女といわ
れる女性の新規就農者の体験談を聞くというもの。茨城は北海道に次ぐコムギの産地でコ
ムギをつくることで地力が回復する。また、女性就農者が農作業を美しくファッショナブルに
という話もあった。2015 年度はレンコンの普及を加工品を開発し通年流通できる仕組み、関
わる人、食品加工、学生が一緒に新しい食べ物を開発しようと考えている。
プロジェクト
担当教員の
小林久先生 再生可能エネルギーにかかる事業の政策立案ができる人材育成。茨城県と
発表
協働で 10名に修了証発行。地域の理解の底上げや啓発活動を担う入門講座を開催。県
内にある地域資源をどうつなげていくか、コーディネート能力が求められている。
安江健先生(2件)ヤギの飼育頭数は激減し、日本からいなくなることも。茨城県は耕作放
棄地が2番目に多く、ソーラー発電所が建設されているが、除草管理必要。除草にヤギを
活用できないかなどを、専業農家、学生と検討。2014年度の取り組みからヤギを飼う方法
を周知することが必要性がわかり、2015年は①茨城版ペーター育成事業として、除草、ソ
ーラーの会社が有料で管理する方法を模索を開始。除草以外に食料として乳製品の開発
を展開。常陸太田の里山でヤギがきれいに除草するテクニックを広めていく。また教育や福
13
祉分野でのアニマルセラピーとして戦略的地域プロジェクととして学校と取り組む。②未来
へ伝えるいばらきの食農里山 農学部と企業がパートナーシップで円卓会議を開催し、食
農環境を考える。外食産業の坂東太郎と連携し、銀座にある茨城マルシェで成果を発信す
る予定。
(資料のみ提供:野澤先生、森先生、久留主先生)
○学生地域参画プロジェクト「のらボーイのラガール」に参画。県民へ食や農業についてよ
り理解を図りたい。阿見町と耕作放棄地でソバを栽培し食農プロジェクトと連携。笠間市の
サツマイモ、阿見町でヤーコン栽培活動を通じて地域人材育成、学校教育の中へ参画して
いる。(学農学部4年)
○地元の地域活性に貢献したい。日立市出身だが就業先を地元を選ばない人が多く残
念。自分にとって人生設計はここ茨城。子どもの時から地元が好きになるような場を作って
あげたい。光畑さん自分の体験から事業を起されたが、カタチにしていくまで何故諦めなか
ったか伺いたい。(教育学部1年)
参加学生から
⇒光畑氏 展覧会の企画と編集のキュレーターを仕事としていた。そこで、自分の力はな
のコメント
くても人の力をかりればできる。自分が感じた課題、外での障壁がなくなれば楽しい…と思
った。産後鬱から救われる人がでればうれしいなど、歩いていく中で見つけたものが多く、
計画だけではできない。現在は、乳がんの治療中の方等にも利用は広がり、コーディネート
の力は大きいと思う。
○大学に在籍中。5月から茨城町の地域おこし協力隊として活動中。少子化から大学全入
時代になったが、私立大学で退学者の増加の傾向がある。学ぶ意義をもって、楽しく有意
義な大学生活となるような入学前研修を茨城町に誘致したいと考えている。ご協力をお願
いしたい。(茨城町地域おこし協力隊/学生)
○ヤギの乳は人間の乳に近いアレルギーが低いといわれており、世界的には高価で取引さ
れているが、日本ではヤギ乳文化は廃れてしまった。嗜好としては合わないのだろう。
○小林先生がコーディネートできる人材育成にあたってらっしゃるが、認知症予防推進の
一環でコミニティーソーシャルワーカー事業、生涯学習では社会教育主事などがあり、大学
の社会連携センターを核に事業展開している。
○ボランティアでカタリ場活動にあたてちるがコーディネート力は大切だと思う。高校生に
「聴く力」伝える力、コミュニケーション能力をつけてほしい、大学生の力を借りたい。学生の
分科会参加者
みなさんの、ご協力をお願いしたい。
による討論
○過疎化高齢化が進行している県北振興にあたっている。農業のネットワークフォーラムな
どでヤギの取り組み等を知られていくとよいと思う。地域振興に「若者、馬鹿者」が必要と言
われているが融合してできればよい。
○小林先生のプロジェクトに参加。耕作放棄値の利活用でにんにく、そば。大豆とみそづく
りなどを行う一社を立ち上げて活動。笠間や水戸観光協会でオーナー制度の農業体験を
年4回行いバーベキューを楽しみ、茨城のよさを感じてもらう取り組みを行っている。水戸市
内2000平米を確保したのが草ぼうぼうなのでヤギの除草に関心あり。
まとめ
本分科会では、茨城大学での多様な教育シーズを有効に活用した、新たな地域の人材育
成に取り組んでいる事例が報告された。これらの取り組みから、地域における多様な人材育
成のニーズがあること、それに応えようとする大学教員の努力の中から、新たな研究課題や
大学の魅力などが見出されることが認められた。地域への知の還元を促し、地域にとって馴
染みのあるかつ地域の再生につながる地域の人々の「学び」を深めていく新たな大学の展
開について示唆の多い意見が数多く出された。とくに、COC 事業を含めて今後の茨城大学
の地域展開の方向性について意見交換できたことは意義深い。
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2)地域円卓会議プロジェクト
本学教員が主体的に自治体等と連携して行うもので、教育・研究を通じて地域課題へのア
プローチを試みる。学内公募事業として実施する。
●募集要項(抜粋)
(1)支援プロジェクトテーマ
プロジェクトに該当するテーマ(複数選択可)を次の中から選択して、プロジェク
ト計画を策定してください。
① 人口減少地域の地域振興
② 中小企業の競争力強化支援
③ 農業振興
④ 地域の教育力向上支援
⑤ その他の地域の課題解決と活性化にかかわる課題
(2)応募要件
① 本学の常勤職員であること。
②
上記 1)の支援プロジェクトテーマに即して、本学の常勤教員と自治体・
団体等の地域のステークホルダーとが議論を重ね、課題を共有し、解決に向け
ての準備を行うプロジェクトであること。同一のテーマで複数回開催すること
を原則とします。
③
他から類似の経費の助成を受けていないこと。
(3)審査基準
プロジェクトは公募とし、茨城大学の常勤教員が申請して、COC統括機構のCOC
地域共生委員会による書類審査を行い選定し、機構長(学長)が決定します。
採択にあたっての評価基準としては、COC事業の推進に必要な取り組みであり、地
域社会の発展に寄与するものであること、学生教育と連動させた取り組みであること、多
様なステークホルダーから形成されること、期間終了後に(COC統括機構の「地域課
題解決型特定研究プロジェクト」や「地域人材育成プロジェクト」、茨城大学社会連携
センターの「戦略的地域連携プロジェクト」や「学生地域参画プロジェクト」などで)
地域円卓会議のテーマが実施に移されることなどを重視します。
●公募・審査・採択の状況
公募開始
平成27年 4月
6日
公募締め切り
平成27年 4月20日
プロジェクト審査・採択 平成27年 5月
8日
プロジェクト開始
平成27年 5月
8日
プロジェクト終了
平成28年 2月29日
15
平成 27 年度 COC 地域円卓会議プロジェクト実施一覧
COC 地域共生委員会
番号
プロジェクト実施責任者
プロジェクト名称
1
農学部長
久留主 泰朗
未来へ伝える"いばらき”の食・農・里山プロジェクト
2
人文学部教授
原口 弥生
広域避難者の災害時救援体制づくりのための円卓会議
3
工学部教授
山田 稔
大洗町ユニバーサルビーチ再整備・維持管理の市民参加体制
支援
16
●採択プロジェクトについて
地域円卓会議プロジェクトは、① 人口減少地域の振興 ② 中小企業の競争力強化支援 ③ 農
業振興 ④ 地域の教育力向上支援課題 ⑤ その他の地域の課題解決と活性化にかかわる課題、と
いうテーマに関連して、本学の常勤教員と自治体・団体等の地域のステークホルダーとが議論を
重ね、課題を共有し、解決に向けての準備を行うプロジェクトに対して支援を行うものである。
採択にあたっての評価基準としては、COC事業の推進に必要な取り組みであり、地域社会の発
展に寄与するものであること、学生教育と連動させた取り組みであること、多様なステークホル
ダーから形成されること、等が重視されている。
今年度採択されたプロジェクトは、「未来へ伝える"いばらき”の食・農・里山プロジェク
ト」、「広域避難者の災害時救援体制づくりのための円卓会議」、「大洗町ユニバーサルビーチ
再整備・維持管理の市民参加体制支援」、の3件であり、いずれも東日本大震災と福島第一原発
事故によって多大な影響を受けた茨城県および東日本の地域的課題の解決に向けて、大学と地域
社会の多様なステークホルダーが知恵と意見を出し合って議論する場をつくりだすことが切実に
求められているテーマをとりあげたもの、と言える。
また、いずれのプロジェクトも、それぞれのテーマと関連した学生独自の活動が多様に展開さ
れており、学生教育と連動させた取り組みとしても評価できるものであり、今後も「学生地域参
画プロジェクト」の内容として展開・継続されていくことも大いに期待される。
今年度の事業報告書を多くの皆さんがお読みになって、今後の地域志向の教育実践、COC 関連
事業の展開の参考にしていただけるよう、お願い申し上げる。
(COC地域共生委員会委員長 渋谷敦司)
17
●プロジェクト報告
未来へ伝える"いばらき”の食・農・里山プロジェクト
農学部 久留主
泰朗
① 活動実績
【概要】2014 年 2 月に農学部にて「ひざづめ交流会」(常陽銀行主催)を開催し、㈱坂東
太郎 青谷社長(現会長)から「母の里山つくば」の事業構想の提案を受け、その後、教
員・学生から連携活動に関する提案を実施するミーティングを実施した。その討議結果に
基づき、農学部おける教育・研究シーズを整理し、農学部での「食・農・里山保全」にか
かわる協力可能なシーズ集の作成を行った。これらのシーズをもとに、様々な企業交流会
などの場面でオープンに意見交換する場面を設定した。また、本学の教員、学生が同社の
主催する「茨城マルシェ」を訪問し、茨城の農産物の情報発信について現地見学や企業と
の意見交換を行い、新しい企業との連携の在り方を検討した。これらの個別の取り組みを
今回の円卓会議で総括し、両者のパートナーシップの効果的なあり方について意見の取り
まとめを行い、
「連携可能な教育・研究シーズ集」を本学と連携する企業に提出した。
【具体的な取り組み】
1)2015 年 11 月 19 日から 22 日まで、東京ビックサイトにおいて、アグリビジネス創設フ
ェアに参加し、茨城大学の教育・研究シーズを公開し、参加者との意見交換を行った。と
くに、
「フクレミ
カンを利用した
調理パン」
「イチ
ゴの温湯消毒技
術」
「新しいシャ
クヤク茶」
「食品
残渣を利用した
有機キャベツ生
産」
「農医連携に
よる心身の健康
科学のとりく
み」および「除
草ロボットの開
発」などの技術
公開を学生およ
び教員が行い、
全国的な企業
(43 社)との交
流を行った。こ
れにより、
「母の
里山つくば」事
業に提案可能な研究シーズとして取りまとめた。
2)2016 年 2 月 16 日につくば国際会議場において、
「常陽食の商談会」に学生および教員
が参加し、茨城大学の教育・研究シーズを公開した。常陽食の商談会 2016 in つくばは、
① 健康、ヘルスケア、介護② 海外輸出、インバウンド、販路拡大、食材仕入れ、相互交
流に向けて、加工食品、農産品、関連業者・団体など全 245 社が参加した。また、この商
談会には㈱坂東太郎も参加した。同イベントでは、
「ヤーコンやレンコンを利用した加工食
品」の他、
「シャクヤク茶」などの提案を行った。
18
当日は、農学部学生 6 名、教職員5名が参加し、茨城大学のもつ教育・研究シーズにつ
て PR 活動を行った。とくに、
「母の里山つくば」事業に提案可能な研究シーズである農医
連携や本学農学部と県立医療大学で構成する学生サークル楽農人による商品開発に関して
宣伝を行った。学生たちは、積極的に他のブースにも訪問し、本学の紹介を行ったほか、
参加者からの反応を非常によく、自治体や企業などの方とも名刺交換をするなど、積極的
に本学学生との連携を考えている自治体や企業もあり、今後の展開が期待された。
3)2016 年 2 月 19 日に、宮口右二教授および学生(2 年次から 4 年次)が、銀座「茨城マ
ルシェ」を訪問し、今後の教育・学生の交流について意見交換をおこなった。同店コンシ
ェルジュの澤田氏の案内で、店内をひと通り見学した後、ミーティングを行った。茨城マ
ルシェは、茨城県のアンテナショップで東日本大震災の風評被害の払拭を目的として、平
成 23 年 7 月にオープンしたことの紹介があった。また、この店舗が位置する銀座界隈には
約 20 店舗の茨城県以外のショップが集まっていること、このショップを営業することによ
り、お客様の生の声をきくことができ、その中には、次の商品展開へのアイデアが詰まっ
ているため、さらなる県産品の販売につなげられること、さらに同店舗は茨城県産品の販
売の他、レストランが併設されているため地元産を使った食事を提供できるほか、観光案
内の拠点になっていることなどの説明があった。
学生からは、季節ごとの商品の入れ替えや商品の売れ筋などについて質問し、その回答
として、季節ごとにイチゴ(いばらキッス)や鉾田(旧旭村)のメロンに切り変わるほ
か、スイーツなどの商品でも冬は干芋プリンなど旬のものを販売しているとのことだっ
た。また、ショップの工夫として、茨城県内の高校が考えた商品を販売する他、野菜は有
機栽培にこだわるほか、昼と夜のレストラン営業ではメニューを変え、夜にはお酒に合わ
せたあんこう鍋などの食事を提供しているとのことであった。
19
本学学生たちから、同ショップへの提案として、試飲や試食の拡大やお弁当のようなテ
イクアウト商品の充実、和食以外のバリエーションの拡大、現在の 30~50 代の客層(男性
中心)から、20 代の若い女性の方(学生や OL など)も入りやすくし、彼女らが商品を購
入し安くする工夫があるとよいとの提案に、店でもできることは検討していきたいとのこ
とであった。また、今後ともインターンシップなど茨大生との連携も考えていきたいとの
意見もいただいた。
② プロジェクトの達成状況
農学部における地域農業振興に関する従来の取り組みでは、企業と連携した技術開発や自
治体との連携による振興策など取り組みがあるが、地元企業と連携した地域の農業振興の
取り組みは幅が広く、的を絞ることが困難な課題であった。今回の、
「母の里山つくば」構
想に農学部がいかに連携していくかという点について、アグリビジネスフェアや食の商談
会など多数の企業に本学の教育・研究シーズを報告し、それを取りまとめて坂東太郎社に
教育・研究シーズ集を提出できたことは、今後の具体的な取り組みに発展することが期待
される内容である。これらのことはマルシェなの顧客に対して企業と大学が連携し地域農
業の魅力を伝える活動へと発展させる可能性があり、大学の情報発信や企業の魅力向上に
つながることが期待できる。
③ 今後の計画と課題
今回の農学部における「食・農・里山」プロジェクトの活動の中で、農学部がもつ食育に
関する教育・研究シーズを体系化できたことは注目に値するといえる。これらの活動を背
景として、教員グループが連携して、平成 28 年度は、本学公開講座で「オトナのための食
育講座-食から心と体の健康を考えよう!-」を開講することにしている。同講座では、
私たちが健康な生活を送るために、
「食」に関する知識をはぐくむことの重要性が増してき
ていることから、食べ物がどこで、どのように作られてきたのか?よいおいしい食べ方
は?などのテーマを設け、豊かな食生活を過ごすため知っておきたい多くのことを授業の
中で提案していきたいと考えている。この食育は、学校教育のなかでも重要な位置を占め
ているが、同講義では「オトナの食育」として、食の持つ機能や有効性を地域の市民の方
にも学びを深めていきたい、という狙いを設定している。このように本プロジェクトで得
られた「食・農・里山」に関する教育・研究シーズを継続的に地域に還元する体制を整備
している。
④ 成果の公開
本プロジェクトでは、1)アグリビジネス創設フェアおよび 2)常陽食の相談会などを通じて
取り組みを公開している。また、食育に関する取り組みとしては、大学公開講座の開設に
より地域への知の還元を目指す。
20
広域避難者の災害時救援体制づくりのための円卓会議
人文学部
原口
弥生
① 活動実績
日付
第 1 回円卓会
議
参加者
内容
水戸市(地域安全課・福祉総務
6月8日
課)、
茨城大学(教員・学生)
第 2 回円卓会
議
8 月 19
日
第 3 回円卓会
議
1月5日
水戸市(地域安全課)、浪江町復
興支援員、茨城大学
1)自己紹介、
2)目的と今後の活動方針・
計画の確認、
3)本事業への期待
現状把握と課題の整理①
水戸市(地域安全課)、浪江町復
現状把握と課題の整理②、
興支援員、茨城大学
円卓シンポジウムについての検討
円卓シンポジウ
防災・福祉関係の行政関係者
ム
(福島県、水戸市、北茨城市、美
1)講演:牧秀一氏「阪神淡路大
浦村等)、社会福祉協議会(茨城
震災 20 年の見守り活動から広
県、笠間市)、民生委員(水戸
域避難者支援を考える」
市、牛久市)、浪江町復興支援
2)水戸市取組み報告
な見守りを考え
員、支援団体ふうあいねっと、学
3)ワークショップ&全体共有
る」
生など約 55 名
「東日本大震災
による広域避
難者の長期的
2 月 18
日
【円卓シンポジウム報告】
防災・福祉関係の行政関係者(福島県、水戸市、北茨城市、美浦村等)
、社会福祉協議会
(茨城県、笠間市)
、民生委員(水戸市、牛久市)
、
浪江町復興支援員、支援団体ふうあいねっと、学生
など約 55 名の参加があった。NPO 法人よろず相
談室・代表の牧秀一氏に阪神淡路大震災を事例に見
守り活動について報告を頂き、その後 8 グループに
分かれ「広域避難者の長期的見守り」をテーマに
右【8 グループに分かれての
ワークショップ】
左【牧氏の講演】
21
【各グループの発表では学生が報告者に】
議論し、各テーブルごとの議論
を最後に報告しあい、全体で共有
した。各方面から民生委員への期
待が高く負担が集中しており、学
生などがより参加する環境になる
にはどうすればよいかという指摘
が複数あった。
② プロジェクトの達成状況
合計3回の円卓会議ならびに最
後の円卓シンポジウムの開催を通
して、水戸市地域安全課・福祉総
務部とのコミュニケーションが図
れ、広域避難の長期的見守りにつ
いての現状把握と意見交換が図れた。今後の取組みのベースとなる信頼関係を築けたこと
が、第一の成果である。
次に、本事業の遂行においては、福島県避難者支援課ならびに茨城県防災危機管理課の
協力を得て実施したが、そのなかで広域避難者に関して、福島県から 2015 年 3 月の時点
で、住民票の異動に関係なく「災害時要援護者」リストには該当する方を含めるよう依頼
文書が出されていることが確認された。複数の市町村に確認したが、この依頼を認識して
いない市町村も複数あった。本事業の大きなテーマとしては、「広域避難の長期的見守り」
について幅広い関係者と今後も議論しつつも、各市町村に対しては、住民票がない方も
「災害時要援護者リスト」に含める手続きをとっていただくには、どのような方策がある
のかという今後検討すべき課題が明確になったことも、非常に有益であった。
第三に、2 月に開催した円卓シンポジウムでは、当初期待していた市町村関係者、民生委
員、社会福祉協議会関係者からの参加もあり、学生や広域避難の当事者を含め幅広い参加
者と、広域避難者の長期的見守りというテーマについて議論できたことで、当初の目的を
果たせたと考えている。
円卓会議ならびに円卓シンポジウムに参加した学生は、市町村、社協、民生員など、課
題の最前線で活動する方々との意見交換を通じて、大いに刺激を受けることができた。学
外の方が参加する円卓会議に参加した学生の問題意識を高める効果がみられた点で、高い
教育的効果があったこと、これも重要な成果であった。
③ 今後の計画と課題
今後も「地域資源を活かした広域避難の長期的見守り」を大きなテーマとして掲げなが
らも、各市町村にたいして住民票がない広域避難者の方も含めた「災害時要援護者リス
ト」作成に向けて、関係する幅広いセクターへの働きかけを継続していく。その際、茨
城県福祉指導課が窓口となるが、今回の円卓シンポジウムの趣旨説明を行い、後援も頂
いた。今後はより実質的な協力関係がとれるようアプローチしたい。
その前に、全市町村対象のアンケート実施などを行い、各市町村の対応についての現
状把握が必要と考えている。茨城県防災危機管理課には行政対象のアンケート実施につ
いては、すでに打診しており、可能であれば 6 月~7 月頃の実施を予定している。
④成果の公開
・円卓シンポジウムの開催については、NHK 水戸放送局(2 月 18 日昼・夕方ニュース)、
毎日新聞(茨城版)2016 年 2 月 19 日にてメディア報道され、多少の問題提起を行うこと
ができた。
・シンポジウムの講演内容等については、テープ起こし中であり、報告書を通じて一般に
公開するとともに、今後の取組みを検討するための資料とする。
22
大洗町ユニバーサルビーチ再整備・維持管理の市民参加体制支援
工学部
山田
稔
① 活動実績
1. 円卓会議の開催
5 月 4 日 6 月 21 日 9 月 5 日 10 月 18 日 11 月 3 日 12 月 17 日 1 月 11 日に開催
された。内容は、以下のとおりで、連続的に実施した。
参加者:
大洗ライフセービングクラブ、NPO 法人大洗海の大学、大洗町(都市建設課)、町内
事業者(商業、漁業)、住民、本学教員、本学学生
議題:
・ 障害者の屋外活動の実態 (児童養護施設関係者からの情報提供)
・ ユニバーサルツーリズムの事例勉強会
・ 震災復興事業の概要と課題および住民の関わりについて
・ 来訪者の受入れと、食・文化・自然を活かした活性化について
このほか、2 月 13 日には同じメンバーで、シンポジウム開催準備のための打合せを
行った。
本プロジェクトでは、これらのうち、おもにユニバーサルツーリズムの事例や障害者
の活動の物理的環境に関する情報提供を本学教員が担った。
2. シンポジウム開催
当初、地域で活動する障害当事者を中心とした複数回のワークショップ開催を予定し
ていたが、予定者の参加が難しくなったことと、世界のユニバーサルツーリズム事例に
詳しい車いす使用者のゲストをお招きする機会が得られたことから、公開のシンポジウ
ムを開催することとした。
大洗ライフセービングクラブ、NPO 法人大洗海の大学、大洗町職員、住民、本学教
員、本学学生等で、42 名(うち大洗町職員 6 名) の参加があった。
○ タイトル: ユニバーサルデザインシンポジウム@大洗 VOL2「世界照準から考える
…一周先のユニバーサルってなに
○ 日時, 場所 : 2016 年 2 月 14 日 (日) 10:30~12:30
大洗町中央公民館 視聴覚室 (茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6881−88)
○ 主催: 茨城大学
○ 共催: 大洗町、大洗サーフライフセービングクラブ
○ 後援: 茨城県社会福祉協議会
○ 進行記録 :
2/13 17:30-18:00
事前打ち合わせ、現地確認等 (織田氏、山口氏、足立氏参加)
2/14
9:00~10:00 会場準備
9:30~10:30 円卓会議参加者打合せ 於 大洗文化センター視聴覚室
山田、織田氏、山口氏、足立氏
10:00 開場
10:30~10:35 開会
開催主旨説明 山田稔 茨城大学工学部
10:35~12:00 話題報告
「車いす使用者の視点からの世界の観光」
車いすウォーカー 代表 織田友理子氏 / 映像ディレクタ 山口真弓氏
23
「ビーチのユニバーサルデザイン」
大洗ユニバーサルビーチクラブ代表 足立正俊 氏
12:00~12:45 円卓ディスカッション「みんなに楽しんでもらえる旅って?」
コーディネータ : 山田稔 茨城大学工学部
話題提供者の参加: 織田氏、山口氏、足立氏
行政の参加: 副町長、観光課、まちづくり課
13:00~13:30 話題提供者との事後打合せ
織田氏、山口氏、足立氏 : 議論のポイントの整理
② プロジェクトの達成状況
・ 継続的な円卓会議の支援に関して、予定された内容で実施された
・ 当初、連続ワークショップを予定していたところを、登壇者の事情によりシンポ
ジウム開催としたが、より広範なユニバーサルツーリズムの事例と利用者としての
立場からの視点を話題に載せることができ、これらは大洗町のサンビーチ整備を考
えるための参照事例として参加者に理解が広まった
・ 障害当事者のニーズを把握するためには、参加型手法が不可欠であることを、行
政担当者を含む参加者に認識してもらうことができた。
③今後の計画と課題
今後の計画:
・ 障害当事者のユニバーサルツーリズムの物理的環境整備へのニーズについて、当
事者参加手法による情報収集を継続する
・ ユニバーサルツーリズムに関心のある観光事業者等の参画を推進する
・ 円卓会議を発展させて、恒常的に大洗町のユニバーサルツーリズムの推進役とな
る協議会組織を設立する
課題:
・ 行政の財政的な事情で、平成 28 年度より築堤工事と合わせて実施される予定であ
ったサンビーチ整備の見直しが必要となる可能性があり、その規模等によっては
実質的に観光事業者等の関わり方が変わってくる可能性があり、その動向を見な
がら今後の協議会組織の在り方についても、再検討が必要になる可能性がある。
・ 本プロジェクト以外に、広範・多様な障害当事者の参加を得るための財源が不十
分であり、継続上の課題である
① 成果の公開
ワークショップの結果を公開できる形で取りまとめ、町内外の関係者に配付し
た。
大洗ライフセービングクラブ、および、NPO 法人大洗海の大学 の協力で、これ
らの団体の Web ページにも掲載する予定である。
24
2
企業現場でのニーズ調査
1)実施にあたって
(1)趣旨
「地域再生の拠点となる大学」を目指すためには、地元企業と永続的な関係を継続してい
くことが不可欠と考える。その第一歩として、地元企業との対話活動を進めていくために企
業訪問を実施した。
(2)訪問先企業
多様な業種の中から特色のある事業を展開しており、就職先として適うと思われる地場
中核企業を選定し、訪問を実施。
訪問先企業は、次頁の「平成27年度・企業訪問先一覧」のとおり。
(3)実施概況
本学訪問者は1社あたり5~7名、面談は1時間半から2時間程度。製造業企業は工場も
見学した。
本学からの公式訪問は初めてであり総じて歓迎され、本学訪問者は経営者との様々な意
見交換により得たものは多く、非常に意味深いものであった。経営者からも好意的な反応も
あり、今後もこうした機会を設けてほしいとの要望が多数あった。
(4)報告
各社別の報告は、27頁からの「企業訪問報告書」のとおり。
25
2)企業訪問報告書
平成27年度・企業訪問先一覧
No
企業名 (五十音順)
業種・製品
所在地
訪問日
掲載頁
1
株式会社アート科学
理化学機器等設計・製作
東海村
H27.8.7
27
2
株式会社旭物産
もやし生産、カット野菜製造
水戸市
H27.9.4
28
3
一誠商事株式会社
不動産賃貸・管理、売買、
つくば市
H27.8.20
29
コンサルティング
4
株式会社イトウ
梱包材料、フォーミング加工等
城里町
H27.8.5
30
5
株式会社大塚製作所
治工具、省力化機械設計製作
水戸市
H27.8.3
31
6
株式会社カスミ
小売業
つくば市
H27.11.30
32
7
栗田アルミ工業株式会社
ダイカスト・金型等鋳造
土浦市
H27.9.1
33
8
株式会社サザコーヒー
コーヒー栽培・製造・販売
ひたちなか市
H27.9.4
34
9
三和ニードルベアリング株式会社
精密マイクロシャフト
つくば市
H27.12.3
35
10
助川電気工業株式会社
熱・計測のシステムエンジニア
高萩市
H28.1.15
36
リング
11
株式会社染めQテクノロジィ
ナノ技術活用した塗装工等研究 五霞町
H27.9.2
37
開発製作
12
株式会社タイショー
農業機械製造販売
水戸市
H27.12.7
38
13
タカノフーズ株式会社
納豆・惣菜類の製造
小美玉市
H27.8.21
39
14
株式会社タナカ
建物接合金物・印刷物等製造
土浦市
H27.9.24
40
15
株式会社タンガロイ
金属加工用切削工具等開発製造
いわき市
H27.11.20
41
16
株式会社長寿荘
ホテル業
ひたちなか市
H27.8.25
42
17
株式会社東京電機
自家発電装置製造
つくば市
H27.8.21
43
18
中川ヒューム管工業株式会社
ヒューム管製造
土浦市
H27.9.15
44
19
日本エクシード株式会社
精密研磨加工・洗浄
常総市
H27.8.24
45
20
株式会社東日本技術研究所
社会インフラ・マイコン応用等
日立市
H27.11.19
46
システム開発
21
マニー株式会社
医療機器開発・生産
宇都宮市
H27.8.19
47
22
メークス株式会社
ユニット式基礎鉄筋等製造
守谷市
H27.8.24
48
23
株式会社諸岡
ゴムクローラ式各種運搬車等
龍ヶ崎市
H27.8.10
製造
26
49
企業訪問報告書
会社名
株式会社 アート科学
URL
http://www.artkagaku.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
那珂郡東海村村松3135-20
代表取締役 佐藤 栄作
1982 年設立
24 名(平成 27 年 3 月現在)
理化学機器等の販売、試験装置の設計・製造、無機高分子材料開発及び受託試験
本社・工場
お客様に対し「発想とプライド」を持ち、ゼロからの企画・提案ができ、オンリーワンの
技術であらゆるビジネス・研究開発の「二歩先」のサポートが行える「研究開発支援型企
業」を目指し、自社技術の蓄積と社員の絆にて社会に貢献する。
1.当社の特徴・経営への思い
○企画提案、設計、製造、試験まで一貫してできる他に例のない研究開発支援のワンストップ
サービス企業として他社の追従を許さない強みがある。2008年「元気なモノ作り中小企
業300社」(経産省)、2010年「いばらき産業大賞・奨励賞」を受賞など外部からも高く
評価を受けている。
○お客様の研究開発をサポートするために「閃きをカタチにかえる」をキャッチフレーズに、
高い技術的知識を有した営業スタッフが企画提案を行い、お客様のニーズを超えた設計・製
造ができる技術力を持っている。
○他社と同じことをやるのではなく、個々の技術、サービスはもとよりそのインテグレーショ
ンにおいても常にオンリーワンを目指していきたい。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○「社内で叩き上げる」、「外に出して育てる」の両面の方法をとっている。社内ではOJT
はもとより外部コンサルを活用し組織横断的なテーマ設定による勉強会を行っている。これ
により社内の横断的活動がスムーズになる効果もある。
○国の研究機関等に入社1、2年目から社員を派遣し、社外でのOJTを積ませている。受け
入れ先は取引先でもあり、その視点からのつながりも深め、営業活動、ニーズ把握、そして
社員の教育というシナジー効果も生じている。
○大学が地元企業のニーズをしっかり把握する必要があるが、御用聞き営業のように企業に聞
きに行くのは難しい。一方、地元企業が大学にニーズを示すのも現状では難しい。お互いが
ニーズの把握、知識提供をスムーズにできるような連携を積極的に進めるべきである。その
ためには地元企業も積極的に大学にアプローチすべきと考える。
27
企業訪問報告書
会社名
株式会社 旭物産
URL
http://www.asahibsn.co.jp
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
水戸市平須町504
代表取締役社長 林 正二
1971 年創業
同年設立
580 名 (うち正社員150 名)
もやしの生産、サラダ・カット野菜・大根のツマ(パリケン)の製造・販売
本社・水戸工場、鉾田工場、小美玉工場
食の市場に何が求められているかを検索し、食品の基本である「味」はもちろんのこと「価
格」「品質」「独創性」「環境」に配慮しながら商品づくりに取組む。とりわけ「利便性」
を特徴に、より美味しく便利で安全な商品を届ける。
1.当社の特徴・経営への思い
○カット野菜が好評であり、自動生産化を目的に新工場を建設中。また製品の品質も非常に高
く、取引先評価では競合他社にくらべ味覚、知覚ともに最高得点を得ている。
○工場から排出される野菜くずから堆肥をつくり、契約農家の畑で土に還元され、そこで育っ
た野菜を購入しカット野菜などの製品を作る「生ごみのリサイクル率100%」の循環型の
廃棄物を出さない仕組みを構築している。
○当社は健康創造企業として野菜を通じて人々を健康にし、幸せにし、世の中の役に立つこと
を目的とした経営を目指している。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○成長する社員は、専門性と組織人としての素養が備わっているバランスの良い人材。「専門
バカ」で協調性のない理系出身者でも教育次第で成長し、今では重責を担っている人もいる。
○食を扱うため安全・衛生は最優先。それは従業員の行動に左右されるため、挨拶の励行、衛
生面での規律重視を徹底している。これは現場の作業員に限ったことではなく、管理職、技
術職等社員すべてに徹底している。結果、組織人としても円滑な業務遂行ができていると思
う。
○今後の国際化を考えると語学教育の充実は非常に期待している。加えて、当社で重視してい
る買い付け業務では野菜に対する知識はもとより生産者とのコミュニケーション力も重要
である。専門知識とコミュニケーション力をつけられる授業なども進めてほしい。
28
企業訪問報告書
会社名
一誠商事 株式会社
URL
https://www.issei-syoji.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
つくば市竹園2丁目2番地4
代表取締役 五十嵐 徹
1972 年創業
1979 年設立
191 名(2015 年 6 月)
不動産賃貸・売買・コンサルティング
県南を中心に10本支店。関連会社㈱スマイルサポート。
・不動産業を通じ、世のため、人のために貢献できる企業であることを目標として精進する。
・仕事を通し、知識と経験と判断力を養い、自己の成長と人格形成に向け精進する。
・会社の成長発展によって、社員と家族の将来の生活向上と安定を目指し精進する。
1.当社の特徴・経営への思い
○「つくばエクスプレス」の開業が後押し急成長を続け、北関東でも有数の不動産会社となっ
ている。また、つくば地域には外国人居住者も多くグローバル対応も強く求められている。
○不動産オーナーに様々な提案をし、オーナーが最大収益を上げられる営業が求められてい
る。そのためには、宅建の資格取得はもちろん、税制・保険・金融・リフォーム等様々な知
識を身につけた人材を育成し、様々なニーズに対応できる不動産綜合企業体となるべく社員
一同業務に励んでいく経営を行っている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○北陸の名旅館支配人から聞いた「気ばたらき」を重視して人を育てている。そのため入社当
初は、借主、家主双方に対し物件の細部や契約条件などいろいろと気を使わなくてはならな
い部屋賃貸事業に配属するようにしている。これによって不動産ビジネスの基礎が身につく
と考える。
○当社のような急成長の企業では人材の即戦力化が重要であり、内定者には入社前から当社で
のアルバイト推奨で若い人材を早くから育てることに努めている。入社前に実務を積んだ新
人は、すぐに即戦力として活躍している。
○大学には語学力(多言語)を重視した教育を求めたい。また、語学力だけでなくコミュニケ
ーション力を備え、自己を高めようとする意識の強い学生を育ててもらいたい。
○筑波大学の「学長を囲む会」のようなものを茨城大学でもやってはどうか。
29
企業訪問報告書
会社名
URL
本社所在地
株式会社 イトウ
http://www.ito-net.co.jp/
茨城県東茨城郡城里町那珂西 2270-1
代表者
代表取締役 佐々木 隆
創業・設立
1953 年創業、1965 年設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
社長の顔写真
写真番号〔9〕
80 名
絶縁用フィルム等のプレス加工
事務所・常北工場、石塚工場
お客さまからの信頼を大切にしながら、独自の技術を高め、社会に貢献できる企業になる。
1.当社の特徴・経営への思い
○1982 年現在地に事務所と工場を移転、1985 年に現社名に変更した。社名イトウの由来は、
創業時に義父から資金援助を受けたことから義父の姓をつけた。
○当社のキーワードは「絶縁紙」。技術面においては、10 ミクロン単位での微調整を行う精密
ハーフカット加工、多層貼り合わせのプレス加工、絶縁フィルム・絶縁紙のプレス加工・絞
り加工、といった特徴を持っている。
○顧客ニーズに的確に応えられる高い技術力と独自商品にこだわり抜くことで、国内有力企業
への強い販売力と、それらの企業からの信用・信頼を得ることにつながっている。
○主要取引先は、日立製作所グループ会社に加え、吉野石膏㈱、稲畑産業㈱、日東シンコー㈱、
フジケミ・トレーディング㈱、ミツミ電機㈱、㈱東芝、リコーインダストリー㈱など 300 社
以上にのぼる。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○化学分野など当社の業務領域の技術を保有する社員を新人として採用できる機会はこれま
であまりなかった。しかしながら、社内において OJT 等を通じて一から育成することで、大
切な人材が継続的に育ってきている。ひととおりの基本技術を習得するまで 2~3 年は必要
だ。
○これまで、茨城大学と連携しながら学生を採用することはなかった。しかしながら、数年前
に初めて茨城大学理学部の卒業生(2 名)を採用した。
○新入社員は、人間関係の構築や OJT によるスキル向上などを、企業に就職して初めて経験で
きる。アルバイトではなく、企業人としての入り口を学ぶことはとても大切なことだと思う。
例えば、人間関係面では、「苦手だと思う人こそ、その人とのコミュニケーションを克服し
なさい」と言っている。
30
企業訪問報告書
会社名
株式会社 大塚製作所
URL
http://ohthuka.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
水戸市谷津町細田1-64
代表取締役社長 根岸 貴史
1949 年創業
1953 年設立
43 名
自動車・建設機械・医療機器・発電タービン等の治工具製作
本社工場
「お客様本位の愛される工具工場」として「堅実な経営」「不断の努力」をすすめ『なく
てはならない企業』であり続ける。
1.当社の特徴・経営への思い
○設計から熱処理まで一貫製作で提供できるメリットを生かし、月間4、000を超える自動
車部品、建設機械、半導体関係等の生産ラインで使用される治工具を製作している。特にジ
グボーラーを駆使しての製作が高い評価を得ていることである。
○経済産業省の「円高・エネルギー節約のための先端設備投資促進事業」を活用し、最新式の
5軸マシニングセンターを2014年に導入し、積極的に大型の設備投資を進めている。
○創立65周年を迎え、今後、当社が歴史を積み重ねるには継承と進歩が必要である。少しず
つでも前に進みながら継続していくことが、お客様、協力会社、従業員に報いることになる
と考える。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○専門性、技術云々の前に、挨拶、報連相、時間を守る等の企業人としての素養を身に着つけ
させる基礎的な教育が第一歩である。
○自社のような高度/精密な加工では肌感覚での現場の経験も重要であり、大卒であっても最初
は現場を経験してもらいその感覚や経験を身に着けてもらうようにしている。
○日大工学部のキャンパスを見学したが、小学生向けの教室があるなど開かれたイメージが強
かった。茨城大学も公開講座などあるようだが、夜間に開講するなど積極的にオープン化を
進めてもらいたい。
○人文学部等の先生の別の視点からの提言は非常に参考になる。工学部だけではなくこのよう
な社会科学系の学部とも連携も図るべきではないか。
31
企業訪問報告書
会社名
株式会社 カスミ
URL
https://www.kasumi.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
つくば市西大橋599-1
代表取締役会長 小濵 裕正
1961 年設立
正社員2,035 名、パート等7,179 名(2015 年2 月末現在)
食料品、家庭用品、衣料品の小売販売
162 店舗、カスミつくばセンター、中央流通センター、精肉加工センター、リサイクルセンター、5 グループ会社
「大きさ」や「強さ」を誇る企業より『お客さまと時代に適応し続ける企業』になりたい。
~ Changing & Learning with the Customers ~
1.当社の特徴・経営への思い
○地域で一番愛される店舗を目指し、①生活者と対話・交流しカスミのファンになってもらう
②あらゆる場面で生活者にとって最高のサービスを考え実行する③ありきたりのお店から
地域に根ざしたお店へという「ソーシャルシフトの経営」に取り組んでいる。
○ワークライフバランスに力を入れており、「女性従業員の能力発揮を促進するための積極的
な取り組み」や「仕事と育児・介護との両立支援のための取り組み」をテーマに、効率的な
働き方や柔軟な働き方、そのバリエーションを増やすことに取り組んでいる。
○地域社会への貢献のため食育の推進として野菜の収穫ツアーや料理教室など開催している。
また、社会貢献として陸前高田市の復興支援、市民マラソンの支援、ピンクリボン運動(乳
がんの早期発見)への協賛などを積極的に行っている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○当社では取引先も含め多様な人材が協力し合って働いている。求める人材はそのような多様
性を理解し、どのような人とも円滑なコミュニケーションがとれる人材である。
○ソーシャルシフトの経営を推進できる人を育てるために「場作り」を重視している。その一
環である地域貢献、社会貢献活動を積極的に進めている社員はソーシャルシフトの経営にも
積極的に取り組むようになっている。
○大学は「知識」のみならず「知恵」を教える場になってもらいたい。また、茨城大学は閉鎖
的なイメージがある。誰でも自由に出入りできるオープンな大学になり、そのための活動の
情報発信も積極的に行ってもらいたい。
32
企業訪問報告書
会社名
栗田アルミ工業
URL
http://www.kurita-al.co.jp
本社所在地
土浦市北神立町4-5
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
株式会社
代表取締役社長 栗田 壮浩
1951 年創業
1957 年設立
215 名
自動車部品のダイカスト・金型・砂型鋳造、機械加工
本社工場
地球環境を守り、当社及び当社に携わる企業の繁栄と、そこに働く社員と家族の幸せを願
い、魅力ある企業を目指す。そのために「元気」「やる気」「根気」を大切にする。
1.当社の特徴・経営への思い
○カーユーザーのトレンドや技術動向を反映した自動車メーカーのニーズを予測しながら、ア
ルミ特殊材料の提案から鋳造、熱処理、機械加工、組み立てまでの一貫体制を更に磨きをか
け、コスト競争においても業界上位を目指している。
○過去にリストラの断行で技術・ノウハウが流出し大きな痛手を被った経験から、現在は「絶
対に社員を切らない経営」「多様な雇用(ダイバーシティ)」を実践している。高齢・障害
者求職支援機構「70歳生き生き企業100選」、経済産業省「ダイバーシティ経営企業1
00選」を受賞している。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○「絶対に社員を切らない経営」からリーマンショック時もワークシェアリングを徹底し雇用
を守りぬいた。そのため長期的に人材を活用できる人材育成を心掛けている。
○多様な雇用(ダイバーシティ)を重視する方針から、高齢者、外国人、身障者(法定雇用比
率2%クリア)のバランスが取れるように採用し、それぞれに適した人材の育成を目指して
いる。
○企業の現場は、技術の進歩についていくのが精いっぱいで問題の原理/現象の解明に手が回ら
ない。そのため問題の本質がつかめず解決法もカンや経験に頼っている。現場で生じる問題
(品質、欠陥など)を共同研究などの形で茨城大学の力を借りて解決していければ良いと思
う。
○新型車の開発段階からメーカーと共同し新型車のコンセプトにあった部品開発も行ってい
る。そのような時こそ、マーケティングから材料、加工技術など幅広い知見、総合力を持つ
大学との協力関係を期待したい。
33
企業訪問報告書
会社名
株式会社 サザコーヒー
URL
http://www.saza.co.jp
本社所在地
ひたちなか市共栄町8-18
代表者
代表取締役会長 鈴木 誉志男
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
1942 年設立
約 190 名
コーヒー栽培、製造、販売、喫茶店舗運営
茨城・東京・埼玉に12店舗、コロンビアに直営農場
コーヒーのおいしさにこだわり、古い在来品種由来のコーヒーの味に情熱をかけ続ける。
そのために手間と時間を惜しまない徹底した差別化経営を行う。
1.当社の特徴・経営への思い
○おいしいコーヒー豆を求め世界的コーヒー品評会で優勝したコーヒーを公開オークション
で最高値落札をする、自ら栽培管理ができる直営農場を海外に持つなど徹底したこだわりを
持った経営。
○当社の商品は高く評価されており国際品評会のモンドセレクションでは「金賞、最高金賞、
国際品質賞」を多数受賞している。経営面での評価も高く2012年「いばらき産業大賞・
奨励賞」を受賞している。また、日本スペシャリティコーヒー協会の大会等で上位入賞者も
出している。
○情報誌「コーヒージャーナル」の発行、店舗に織物や仮面などを展示、ギャラリーを設置し
新人画家、陶芸作家等への開放を行っている。店舗は、地域への文化、情報の発信基地とし
ての役割も持たせている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○「自分のコーヒー園を持ちそこで理想のコーヒーを生産する」というコーヒーへのこだわり
や夢を理解し、良いもののためには手間も時間も惜しまずに仕事ができる人材の育成を行っ
ている。
○社員にコーヒーについての技術と専門知識を身に着けさせるために、月2回テクニカルセミナーを
実施している。内容は、抽出技術(ラテアート、サイフォン、ドリップ、カッピング、抽出器具)お
よび鑑定士、コーヒーインストラクター等の資格のための実技、講習など。各種大会へも多数参加
している。
○接客や会社の取り組みなどの理解のために、月1回スキルアップセミナーを実施している。
また、幹部クラスには管理/監督能力や経営者感覚の習得のために外部研修等も実施してい
る。
○海外農園の経験などを通じて強く感じることは、国際理解とは相手の立場に立って考えることか
ら始まり、仕事以外のお付き合いもする総合的な人間関係が重要である。グローバル人材の教育は
そのことも念頭において進めて欲しい。
34
企業訪問報告書
会社名
三和ニードルベアリング株式会社
URL
http://www.tnksanwa.co.jp
社長の顔写真
本社所在地
茨城県つくば市上大島 1904
写真番号〔30〕
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
代表取締役社長 田山 英明
1946 年設立
約 180 名
精密マイクロシャフト、各種精密金属部品製造
(国内)本社・筑波事業所、物流センター
(海外)中国福建省に現地法人(福州工場)
経営理念
自然の摂理を基本とし常に生産技術を開発して行く企業である。
1.当社の特徴・経営への思い
○世界トップの精密シャフトメーカー。自動車業界、情報通信業界、産業機械業界など多岐に
わたる業界の最先端技術開発(省エネ・環境など)に当社製品が活用されている。
○当社製品は、ステンレスを主とした金属材料に、切削、研削、熱処理加工したサブミクロン
単位の高精度品であり、国内海外の大手顧客との取引となっている。
○当社の「強み」は、外注加工を使わない「社内一貫生産」による徹底した品質管理と、顧客
ニーズに最適な技術提案や試作品提供にあり、顧客から確固たる信頼を得ている。
○国内の筑波事業所と中国福州工場で同一品を供給する能力があるので、有事のサプライチェ
ーン断絶リスクも回避できるため、当社からの一社購買により調達する顧客企業が多い。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○県内大学出身者が約 7 割で、茨城大学出身者も多い(現在 13 名)。
○従来は、専門分野に長けている理系出身の人材を多く採用してきたが、最近は、グローバル
な視点で外国顧客との取引拡大を狙っているため、語学力に長けている文系出身の人材採用
にも注力している。
○入社後も前向きな積極性が大切で、幅広い視点でビジネスを捉える行動力、ものづくりへの
チャレンジ精神力、高度な知識の習得力が必要となる。大学では、人とのコミュニケーショ
ン力や身に付けた専門分野の知識や技能の向上に努めてもらい、会社で実施している社員教
育や研修を通じて、更にスキルアップを図ってもらいながら、人間として大きく成長するこ
とが可能。
○茨城大学の卒業生は当社で大きな戦力になっており、今後も継続的に入社してもらえるよ
う、茨城大学工学部を中心に近隣の大学・研究所との深耕を図っていきたい。
面談時の写真
工場見学時の写真
写真番号〔11〕
写真番号〔34〕
35
企業訪問報告書
会社名
URL
助川電気工業株式会社
http://www.sukegawadenki.co.jp
本社所在地
茨城県高萩市上手綱 3333-23
代表者
代表取締役社長 小瀧 理
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営理念
社長の顔写真
写真番号〔 〕
1949 年設立
260 名
電気機械器具、精密機械器具、金属表面処理加工製品等の開発・製造・販売
国内4営業所、2工場
1.顧客には、誠実をむねとし、優秀な製品とゆき届いたサービスを提供し、好意にむくいることを
目標とします。
2.取引先には、信頼をむねとし、相互の連結を密にし、共存共栄をはかることを目標とします。
3.社員には、調和をむねとし、協力の精神をもととして、企業の繁栄につとめ、物心両面より生活
の向上をはかることを目標とします。
4.株主には、誠意をむねとし、最善な運営を行い、公正適正な利益還元を行うことを目標とします。
1.当社の特徴・経営への思い
○熱と計測のシステムエンジニアリングメーカー。売上構成は、原子力・火力発電所の温度制
御関連及び研究機関の安全性確証試験装置など「エネルギー関連」が 51%、鉄鋼・自動車・
半導体・液晶等の製造装置の熱と計測に関する部品に使用される製品など「産業システム関
連」が 44%、飲食店経営や調理機器等の開発など「その他」が 5%。
○原子力発電実験用の「模擬燃料集合体」や高温液体金属の連続測定を可能にした「液面計」、
「電磁ポンプ」、「電磁流量計」、及び「各種実験装置」の製作や真空装置など、「世にな
い技術への挑戦」をテーマに、広く産業界に貢献している。
○設備拡充に注力している。内容は、単なる量産化のためのものではなく、試験装置等の研究
開発面の拡充が中心。また、一つひとつの材料に成績書を付しての管理体制など、千差万別
の顧客ニーズに応ずる信頼性を高めている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○当社の思いを感じてくれる人達と、この地で一生懸命ともに働いていきたい。当社では、中
小企業であるがゆえ開発部門や営業部門など幅広い分野(部門)の人達との関わりから新た
な発見や成長ができる。業務内容が専門領域に特化しがちな大手企業では、味わえない充実
感を当社では感じることができる。
○茨城大学の先生方から、当社などの地元企業情報を学生に提供してもらえるとありがたい。
地元企業だからこその魅力や面白さを、学生にも知ってもらいたい。当社の良さを引き継い
で発信していきたいし、茨城大学からも発信してもらいたい
面談時の写真
面談時の写真
写真番号〔 〕
写真番号〔 〕
36
企業訪問報告書
会社名
株式会社 染めQテクノロジィ
URL
http://www.somayq.com
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
猿島郡五霞町元栗橋 5971-31
代表取締役 菱木 貞夫
2002 年設立
80 名
ナノ技術を活用した塗料等の研究・開発・製作
2工場(幸手、一関)、6営業所(東京、一関、名古屋、福山、広島、福岡)
「人生の感動を創造する」、「社会の明日を科学する」、「感謝の日々を体現する」とい
う理念のもと、“社会の困ったことを解決“していく研究開発型の企業。
1.当社の特徴・経営への思い
○ナノ技術を活用し除菌、抗菌、消臭などの新分野での製品を開発し事業化するなど製品、新
事業の開発を積極的に進めている。
○日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会の展示会等にて「人と環境にやさしい商品部門」を中心に多数の賞
を受賞している。また、マスコミでもそのユニークな経営が多数取り上げられている。
○社風は、自分たちの積極的な「提案」「考え」「工夫」をフルに活かし、自分自身を最大限
にアピールすることができる自由な社風。自社のオフィスやショールームを、社員のアイデ
ィアで自由にデザインさせることも行っている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○人が成長するためには、積極的、自主的に考えて行動することが重要と考えている。当社は
「するな3か条」~(説教するな。教えるな。)(否定語からスタートするな。)(響きの
良いアイマイ語で誤魔化すな。)~を制定し、自ら学ぼうとする自主的な姿勢を社員に徹底
させている。
○自分の専攻や得意分野にこだわらずに、何にでも興味を持ち積極的に取り組んでいく姿勢を
大切にしている。自分の経験に基づく価値判断にこだわらず、自分の経験以上のことを学ぶ
ために多くの人物に興味を持つことが重要である。
○ここ1年間の茨城大学の動きを見ていると、変革に向けて大きく変化していると感じてい
る。今後もこの変化を続けて欲しい。学生参画のプロジェクトの提案などのかたちで協力し
ていきたい。
○大学による企業訪問は、これまでにないことで素晴らしい。是非継続してほしい。
37
企業訪問報告書
会社名
株式会社 タイショー
URL
http://www.taisho1.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
茨城県水戸市元吉田町 1027 番地
代表取締役 矢口重行
1914 年創業・1943 年設立
100 名
農業機器製造・販売、太陽光発電システム・オール電化製品販売・施工
本社工場、つくば支店、流通センター(水戸市)
変化する日本農業の発展と自然エネルギーの普及に貢献し、これからの 100 年も愚直に歩
み続ける。
1.当社の特徴・経営への思い
○大正3年創業当初からの農業機械製造に加え、2009年から環境関連事業として太陽光発
電の施工・販売を開始した。合理化という価値観だけを背景にしたテクノロジーではなく、
「自然と共生のテクノロジー」というグローバルなテーマを理念とする。
○当社の「綱領」「信条」の書写は、昭和34年交流のあった茨城大学教授塚本勝義氏による
もの。
○業界初の安価なレザータイプコンテナ(穀物搬送機)やグレンコンテナはトップシェア。独
自に開発したGPS車速連動技術搭載の肥料散布機は、散布精度が高く、効率化、コスト削
減に役立つ。
○現在は、農業・食品産業技術総合研究機構の平成27年度農業機械等緊急開発事業に参画が
決定し、「野菜用の高速局所施肥機の開発」を行っている。
○「需要家本位」「品質第一」「和親協力」の精神と実行力を磨き、変化する日本農業の発展
に貢献する。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○今年度は高校卒の内定者1名。大学卒の学生を採用したいが、大企業への就職志向が高く、
苦戦している。開発部は社員4名で全員機械工学専攻である。
○独自性のある新商品の開発、改良に加え、製品をさらに進化、深耕させるために、体験型研
修により、農業機械や米、野菜作りの知識を養っている。
○創立の周年記念として本社工場の敷地内に、「出会い」や「つどい」などと命名されたブロ
ンズ像を建立した。出会い集うことから創造が生まれ、新しい製品、新しいビジネスを提供
できる。
○3~5日間のインターンシップコースがあり、希望者の受け入れを実施している。会社説明
会の情報だけでなく、体験を通し実際の職場の空気を感じて欲しい。
38
企業訪問報告書
会社名
タカノフーズグループ
URL
http://www.takanofoods.co.jp
本社所在地
代表者
小美玉市野田1542
代表取締役社長 高野 成徳
創業・設立
1932 年創業、1957 年設立
従業員数
1,385 名(14 年 4 月現在)
業
種
事業所
納豆、豆腐、その他惣菜類の製造販売
本社・研究所、東京に営業本部、全国に21営業所、11工場、物流センター、
グループ会社9社
経営ビジョン
『おいしさからこの笑顔』のキャッチフレーズのもとに、健康食品産業の優良企業として
成長し、永続する。
1.当社の特徴・経営への思い
○経営理念『人づくり 健康づくり 食文化づくり』を掲げ、安全とおいしさにより多くの人
に支持されている「おかめブランド」を確立。なじみのある「おかめ納豆」は、納豆売上国
内シェア No.1 を誇り、納豆事業以外では、豆腐売上において関東で高いシェアを維持、ま
た、冷凍豆腐事業、和惣菜事業への事業展開も進めている食品メーカー。本社敷地内に納豆
博物館を併設、また、一般のお客様に見て頂くことを目的とした工場見学ツアーがあり、納
豆の普及活動もおこなっている。
○経営方針「三方よしの精神」をもとに、お客様は勿論のこと、納入業者そして地域社会の方々
にも感謝される会社として、共に成長していくことを基本的な考え方としている。
○タカノ農芸化学研究助成財団を創設し、毎年大学教員や研究機関職員に研究助成金を交付。
農学、特に、農芸化学(生物資源等)に関する学術研究の発展に寄与する活動をおこなって
いる。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○厳しさ99%、優しさ1%、愛情は120%注ぎ、会社の経営理念でもある『人づくり』を
おこなっている。小事真剣、凡事徹底を行動指針として、物事を真剣に取り組み、最後まで
やり抜く社員を育成。また、現場レベルまで考えを浸透させるために、たった 1 人の間違っ
た行動により今まで築き上げた信頼がゼロになり得る考え方『100-1=0』を徹底して
いる。
○大学教員が「ヒト、モノ、カネ」を生かすという「経営」の視点から学校教育を見つめ直し
ていくなど大学が変わり続けることが重要。大学教育を充実させることで、将来を担う若者
が必然的に育っていくものと考えている。
39
企業訪問報告書
会社名
株式会社 タナカ
URL
https://www.tanakanet.co.jp/
本社所在地
土浦市藤沢3495-1
代表者
代表取締役 田中 司郎
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
1950 年創業
1961 年設立
370 名 (平成 27 年 6 月現在)
住宅関連の接合金物、印刷物、選挙用ポスター掲示板等の製造販売
全国に 営業拠点15 ヶ所 並びに 製造拠点 4 ヶ所 を有する
経営理念「タナカは安心をお届けし、信頼される会社でありつづけます」
ビジョン「変化に対応するのではなく、自らが変化を創造していきます」
1.当社の特徴・経営への思い
事業を3部門に分け展開をしている。
○『住宅資材部門』は住宅関連の接合用金物の企画開発から製造、販売を行なっている。耐震ニーズの
高まりから当社の住宅接合用金物へのニーズが高まっている。
○『情報メディア部門』は、コンピュータ関連の連続帳票および各種ビジネスフォーム印刷物
の製造販売、ダイレクトメール等カラー印刷物の企画、製造、販売を行っている。近年は顧
客保有データの分析をベースとした提案営業による需要発掘の効果も大きい。
○『選挙ディスプレイ部門』は環境に配慮したリサイクル紙による選挙用ポスター掲示板を製
作し、全国の市町村選挙管理委員会等に納入している。全国シェア4割の実績がある。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○一般的に男子学生は、相対的に安全志向が高い。一方、女子学生は向上心が高く好奇心も旺
盛である。
○学生に求めたい資質は「自身の特徴あるポテンシャルを高める努力をし、仕事を理解する貪
欲さがあること」であり、そのためのコミュニケーション力、自主性などを育てていきたい。
○今後ますます多様化・複雑化が進む中、大学としては自分に自信が持てる知識とコミュニケ
ーション力を備えた人材の育成にも力を入れてもらいたい。
○当社はこれまで大学とのパイプはあまり太くはなかったが、技術力向上に資する人材の育成
に大学との連携を活用したいという思いが強くある。また、営業職、事務職においても基本
的な社会人としての常識ある考え方、人との接し方等において個性ある魅力を持った学生の
育成を期待する。
40
企業訪問報告書
会社名
株式会社 タンガロイ
URL
https://www.tungaloy.com/ttj/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
いわき市好間工業団地11-1
代表取締役社長 木下 聡
1934 年設立
1,486 名
(2013.9 現在)
金属加工用切削工具、摩擦材料部品、耐摩耗工具、土木建設用工具の開発製造
(国内)5 工場、3 支店、20 営業所
(海外)30 か国に海外子会社として販売・製造拠点あり
経営ビジョン
タンガロイは“High Engineering Company”として、これからも高い技術力を活かし、付加
価値の高い技術・製品・サービスの提供を通じて、お客様の生産性の向上、ならびに世界
の産業界の発展に貢献できる企業であり続けたい
1.当社の特徴・経営への思い
○高い競争力の維持、高付加価値獲得のために、イノベーションに向けて妥協しない取り組み
を行っている。国際特許も多数保有しており、その技術力を示すために自社施設を含め世界
各地でのセミナーや展示会を積極的に行っている。
○「お客様の問題=自分たちの問題」と捉え、世界のお客様を相手にセミナー、展示会などの
情報発信のほか、顧客の製造コスト全体での工具改善によるコスト削減の優位性を説明する
など、顧客の価値創造の提案など積極的に行っている。他社では外注化している広告、販売
促進の企画、デザインなどは内製化しておりお客様の評判も良い。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○常に進化していかないと市場競争に取り残されるので、社内での競争も重視している。社員
には常に競争意識を持たせ緊張感を保ってもらい切磋琢磨してもらうように努めている。
○成長する社員とは、自分で考え学べる人間である。単に知識を覚えるのではなく、自ら問題
を設定し、知り得た知識を応用し、知るべき知識を獲得し問題を解決していくことができる
社員が成長していくと思う。
○いわき市に本社移転した結果、本社、製造拠点の集中により意志疎通に大きなメリットがあ
った一方、リクルートは不利な状況となった。採用は東北地方の大学出身者が多くなる傾向
があるが、それ以上に茨城大学への期待は大きい。
41
企業訪問報告書
会社名
株式会社 長寿荘
URL
http://www.hotel-crystal.co.jp
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
ひたちなか市大平1-22-1
代表取締役 海野 泰司
1951 年創業
1967 年設立
241 名(常用雇用グループ計 平成 28 年 1 月現在)
ホテル、結婚式場、レストラン、写真スタジオの運営
3ホテル、2ビジネスホテル、他飲食店を運営
【グループビジョン】
FIRST CALL HOTEL 私たちは、地域における「ファーストコールホテル」を目指します
FIRST CALL PERSON そして社員ひとりひとりが「ファーストコールパーソン」を目指します
【グループミッション】
Smile Experience
誰かが笑顔になってくれるより幸せなことはない
1.当社の特徴・経営への思い
○ひたちなか市のクリスタルパレスを拠点に、県内主要都市の駅前(水戸駅前 2004 年開業、
日立駅前 2010 年開業、勝田駅前 2012 年開業)にホテルを開業し事業拡大を進めてきた。
○地域に必要とされるホテルとして、ライフステージに密着したアニバーサリー事業を核とす
るホテル運営を行っている。ブライダル事業(挙式、披露宴、祝い事関連の企画演出、施行)、
バンケット事業(企業による宴会・会議・集会利用、個人宴会)、宿泊事業、レストラン事業、
写真事業などを展開。
○人事制度改革の実施に際して、経営の幹として、上記の通り、長寿荘グループのコーポレー
トビジョンとして「長寿荘 OUR WAY」を構築、全事業所全員への価値感の共有につとめ
ている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○未来の人財のために:長い目で人材を育てることが重要であり、人材ビジョンを浸透させ 35
年後の創立 100 周年に向け、未来の長寿荘を創る社長を今から育てるつもりで、教育に注力
している。現在、採用と教育に積極的に投資し、階層別教育を展開、特にゲストに対峙する
ミドルマネジメントクラスの養成を重点事項として取り組んでいる。
○誰もが自分を活かし活躍できる場所を提供:「長寿荘 OUR WAY」において、顧客サービ
ス、自らの職務、個人生活までを関連付けることで、当社で働く意義を理解してもらい、こ
こに帰属することで成長実感が得られることが重要と考える。故に従業員には、少しでも長
く活躍してもらえる環境づくりと、その成果と行動に対して、誠実に評価を行っていくこと
を約束している。
○茨城大学に期待すること:ホテルに勤める人は、地元の歴史、文化に精通した知識ある人材
が必要。大学の公開講座など多種多彩なカリキュラムを是非活用できる関係性を構築してい
きたい。経営の様々な場面でプレゼンテーションが重要になっている。物事の本質を捉える
コンセプチャルスキルや、その展開としてプレゼンテーション・コミュニケーション技法な
どの教育も大学で積極的に行ってもらいたい。
42
企業訪問報告書
会社名
株式会社 東京電機
URL
http://www.tokyodenki.co.jp/
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
つくば市桜3-11-1
代表取締役社長 塩谷 智彦
1920 年設立
169 名
非常用・防災用の発電機・発電装置の設計、製造、据付、メンテナンス
本社・工場、全国に 8 営業所、関連会社東京電機サービス㈱
「非常用発電装置のリーディングカンパニー」として、「顧客第一」「品質第一」「創造
的製品の開発」を経営理念とする。
1.当社の特徴・経営への思い
○防災用自家発電装置の設置台数が全国シェア第2位の業界大手企業である。過去インフラの
代替需要、震災の復興需要に加え、防災に対する意識や法制度(基準)等が厳しくなり、当
社の製品分野に対する需要は堅調である。
○一般の企業経営においても事業継続(BCP)が重要となり、法で義務付けられている防災
用電源以外の非常用電源に対するニーズも増えてきた。今後は2020年の東京オリンピッ
クの関連施設での需要が見込まれている。
○今後も人とエネルギーの新しい関係を構築するため、21世紀の快適環境をめざして発電装
置の自動保守運転のエコモード搭載などのECOへの取り組みや、太陽光発電、風力発電の
研究開発、事業化などに取り組んでいく。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○大卒に限らず最近の若い人を育てるのは非常に難しい。精神的に弱く「はれものに触る」感
じで応対する必要も出てきた。最近は、若い人材の育成がとても難しくなったことを強く感
じる。
○当社は部品等の一部請負ではなく最終製品までを手掛ける会社であり、「○○ビルの非常電
源は自社製品である」ことにプライドや使命感を感じてもらうことを軸に人材を育ててい
る。これは社員のモチベーションアップともなり人材育成に有効であると感じている。
○TVにて本学の「茨城学」の取材を拝見したが非常に良い試みと感じている。一方、座学だ
けではなく学生に外に出てもらうことも重要で、工場見学なども含めて授業を進めていけば
良いと思っている。
43
企業訪問報告書
会社名
中川ヒューム管工業 株式会社
URL
http://www.h-nac.co.jp
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
土浦市真鍋1-16-11 延増第3ビル8階
代表取締役社長 中川 喜久治
1920 年創業
1939 年設立
278 名(平成 27 年 3 月 31 日現在)
ヒューム管、コンクリート製品、エコ製品、土木建築建材等の製造、加工、販売など
全国に8工場、14営業所・出張所、グループ会社あり
「自社の生み出す製品、付加価値を通じて国土建設に貢献する」
「最大の企業たらずとも最良の企業たるを期す」
1.当社の特徴・経営への思い
○国内では下水道の普及が進んだため、そのリニューアルや雨水処理、水質高度処理などに事
業が移っている。一方、成長著しいベトナムやタイなどのアジア地域の公共インフラの整備
が急速に進んでおり、海外市場の拡大が見込まれビジネスチャンスと捉えている。
○今日の公共インフラは、環境や防災面、施工の短期化、簡便化などに対するニーズからまだ
まだ高度な技術が要求されることが多くある。当社は今後、より一層の技術革新と新製品の
開発に傾注し「豊かな国づくり」のための事業を進めていく。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○企業は大学と同じで人を育てる場でもあると考えている。もちろん企業として利益は確保し
なければならないが、利益とは会社全体で出すものであり個々人のプラスマイナスで見るも
のではない。人を育てることは、コストがかかっても会社全体で見ればプラスである。
○長期雇用を前提に自社でしっかり育てていく方針を採っている。長期的視点で人材が会社に
貢献することを目指して、現場経験や部署移動などを行いながら人材の育成、教育を行って
いる。
○昨今、即戦力重視のもとに国立大学のタイプ分けや人文社会学等の不要論が議論されている
が、疑問に思っている。長期的な人材育成の視点を見失わないよう、大学としてしっかり見
極めて対応して欲しい。
○あと20年もすれば今ある産業の半分は新しいものに変わっていると言う話も聞いている。
大学は将来を予測し、その時点に必要な人材を今から育てていくべきところだと思う。
○今後、本学教員と密な関係を構築し、学生採用にもつなげていきたい。
44
企業訪問報告書
会社名
URL
日本エクシード
株式会社
http://www.nihon-exceed.co.jp
本社所在地
茨城県常総市内守谷町 4382-4
代表者
代表取締役社長 髙山 直紀
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
社長の顔写真
写真番号〔9〕
1961 年設立
120 名
半導体材料、酸化物材料、化合物材料、金属材料の精密研磨加工・洗浄
本社・工場、守谷工場
私達は、常に研磨の世界を極めるパイオニアであり続けたい。
1.当社の特徴・経営への思い
○光学機器の材料であるプリズムなどを研磨する会社として 1961 年に川口光学測器の社名で
創業。加工分野の広がりとともに、1981 年に社名を日本エクシードに変更。社名は従業員全
員から募り、決定したもので、「エクシード」にはすべてを超えるという意味がある。
○創業以来、研磨「磨く」ことを追い求めている。サブミクロン、ナノレベルでの高い平坦度、
平滑度の追求を業務としている。携帯電話の中心周波数や帯域を決める SAW フィルター(酸
化物結晶)の基盤材料研磨は、世界の約 30%のシェア。
○お客様からの要望に対し、「5 超の研磨技術」で高い信頼を得ている。5 超の研磨技術とは、
「超平坦化技術」「超薄化技術」「超無歪み化技術」「超清浄化技術」「超平滑化技術」で
あり、すべての結晶材料を研磨加工できるのは国内のみならず世界でも当社だけである。
○「どこの傘下にも属さず、独自の資本と技術で進歩する」ことで、多くの企業や研究機関の
お客様と多方面にわたる交流を持っている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○やれば報われるという会社の典型だと自負がある。会社の売上状況など開示できる情報を、
従業員にオープンにすることでモチベーションの向上を図っている。社長は世襲制でなく、
「社員から人選。おれはこの会社の社長となってやるぞ」という志が高い学生は大歓迎だ。
○当社の生産体制は、技術力と経験知によって支えられている。経験と勘、高い専門性を持つ
職人気質に支えられている面がある。このため、人材育成を経営の重点課題として取り組ん
でいる。
○主力製品の SAW フィルターは、スマートフォン市場の拡大と 1 台当り搭載数増による世界
的な増産オファーがある。さらに、IoT 市場向け半導体用途の研磨加工も期待され、中長期
的な業務量の拡大が見込まれている。こうした状況下、人材確保に悩んでいる。
面談時の写真
面談時の写真
写真番号〔2〕
写真番号〔6〕
45
企業訪問報告書
会社名
株式会社 東日本技術研究所
URL
http://www.tounichi-g.co.jp/
本社所在地
茨城県日立市大みか町 4-8-20
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営ビジョン
代表取締役 鈴木茂夫
1985 年創業、設立
490 名 (うち正社員451 名)
システム設計・開発・保守
10事業所(本社、東京、水戸、北茨城、いわき、仙台、土浦、小山、高崎、柏)
社員満足度最優先の経営により、社員が仕事に誇りを持ち、より良いシステムを提供する。
1.当社の特徴・経営への思い
○2015 年で創業 30 周年を迎えた。絶えず新しい技術や創造的な技術を習得し、先進的な情報
システムを提供できる未来志向の研究開発型企業を目指す。
○JRの運行管理システムやカメラ運転支援(自動運転)・カーナビシステムの開発など、社
会インフラシステム事業で培った技術を用い、高齢化社会を見据えて 2008 年に医療業界に
進出した。
○医療に貢献できるシステムづくりを目指し開発した内臓脂肪計測ソフト「ファットスキャ
ン」は、国内シェア 50%以上でニッチトップ商品である。
○‘1/fゆらぎ’理論をさらに発展させた最新ゆらぎ光制御技術は、癒しのリズムを長年追
求し確立した技術であり、韓国の SAMSUNG ELECTRONICS CO.LTD.に採用された実績を持つ。
光の輝度制御に用いられ、音楽に合わせたダイナミックなゆらぎが高い評価を得た。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○技術革新・環境進化の早い業界で、技術力を習得し保ち続けるために、社員は社外の技術研
修やセミナーに参加し、技術向上に取組んでいる。技術習得に意欲的で自己啓発できる人を
採用したい。
○チームでプロジェクトを担当するスタイルを基本としている。未経験者は先輩エンジニアよ
り指示指導を受けながら仕事を覚えられる。
○営業理念として、困難な課題を与えられてもまず請けることが第一。お客様の要望にいかに
応えるかを考えさせる。プラス思考で明るく連携できる社員が規範となる。
○茨城大学から直近3年間で5名入社している。今年度初めて工学部の学生をインターンシッ
プとして受け入れた。インターンシップを活用して、キャンパスでは学べないIT企業の設
計業務や設計者に必要な資質などを実感して欲しい。 茨城県内在住学生の定員枠を増やし
て欲しい。
46
企業訪問報告書
会社名
URL
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
マニー
株式会社
http://www.mani.co.jp
社長の顔写真
栃木県宇都宮市清原工業団地 8 番 3
写真番号〔5〕
取締役兼代表執行役社長 髙井 壽秀
1956 年創業、1959 年設立
280 名(単体)、3,500 名(連結)
医療機器の製造販売・輸入販売
本社・清原工場、高根沢工場。ベトナム・ミャンマー・ラオスに生産拠点、ベトナム・中国に販売拠点、
ドイツに生産・販売拠点
経営理念
患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発・生産・提供を通して世界の人々の幸福に
貢献する。
1.当社の特徴・経営への思い
○医科と歯科の医療機器メーカー。医科向けは手術用縫合針等の微小手術機器、歯科向けは根
管治療機器等の切削研削研磨刃機器を主に生産している。売上構成は、サージカル(外科用)
関連製品 35%、アイレス針(縫合針)関連製品 33%、デンタル関連製品 32%。素材や技術を
中心とした歴史から、独特の製品ポートフォリオを形成している。
○「ローカルな企業がグローバルなオペレーション、ローカルなことをグローバルにやろうじ
ゃないか」との考えで海外展開している。
○当社の海外売上高 67%。「世界一の品質を世界のすみずみへ」との営業基本方針のもと、コ
ストダウンを目的とせず高品質実現を追及して、ベトナムやミャンマー、ラオス等での海外
生産を主力としている。国内拠点は研究開発に特化している。
○手術用縫合針は国内生産量のシェア 70%以上、歯科用リーマ・ファイル(根管治療に使用す
る歯科用器具)では世界市場のシェア 35%以上を占めている。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○企業文化として、「熱心に粘り強く仕事する文化、上位職ほど謙虚でよく働く文化、真実を
語り合う文化」を大切にしている。
○指示待ち人間ではなく、新しい発想に取り組む人材が欲しい。優秀な人材もだいぶ来てくれ
るようになったが、その面でまだまだ課題がある。
○海外顧客が多いこともあり、人材育成にあたってはお客様の懐に飛び込むような意欲と英語
力を重視している。
○教育体系が完成している訳ではない。これまでは OJT を中心に人材を育ててきたが、これか
らは教育体系を確立していきたい。大学の知恵を提案して欲しい。
面談時の写真
面談時の写真
写真番号〔3〕
写真番号〔2〕
47
企業訪問報告書
会社名
メークス 株式会社
URL
http://www.i-makes.com
本社所在地
茨城県守谷市中央四丁目 10-9
代表者
代表取締役会長 森山 雅明
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
経営理念
社長の顔写真
写真番号〔9〕
1985 年設立
213 名
ユニット式基礎鉄筋、基礎用関連部材の製造・販売、温泉事業
本社、5 工場(茨城、九州、中部、関西、東北)、2 温泉施設
1
お客様に満足される研究、開発、サービス、製品の生産販売を行う。
2
夢が実現できる仲間を作り、企業人及び社会人として充実した生活を送る。
3
リスクを負い、自主的に意思決定を行い、企業の成長を図る。
1.当社の特徴・経営への思い
○設立 32 年目を迎える住宅基礎鉄骨のトップランナー。作る・造る・製作・製造を意味する
「MAKE」に、将来いろいろなものづくりに挑戦したいとの思いから「S」をつけて、1987 年
に現社名の「メークス」に改称。主要取引先は、積水ハウス、大和ハウス工業、一条工務店
等を中心に大手住宅メーカー。
○売上構成は、ユニット式基礎鉄骨等の製造部門 88%、その他 12%。主力のユニット式基礎鉄
骨は、建物の土台に使われる鉄骨を工場で切断・溶接して工事現場に運ぶため現場作業が短
縮できる。
○「現場作業を合理化する技術であれば挑戦する」との開発スタンスを持っている。当社の最
新技術の「Hi‐MS 工法」(鉄骨土台を備えた建設基礎構造及びその施工法)は、住宅基礎
の工期を従来の約 3 分の 1 に短縮する画期的な工法である。同工法は、2013 年に「常陽ビジ
ネスアワード 最優秀賞」、2014 年に「いばらき産業大賞 奨励賞」を受賞した。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○当社はこれからも大きな成長を目指している会社なので、頑張ってくれる人や仲間がもっと
欲しい。ものづくりを一緒にやっていって欲しいと思っている。
○機械工学やシステムの開発では理系出身者、営業職と事務職は文系出身者を採用している。
人材育成を大切な位置付けと考え、社内の教育プログラムを構築し、実践している。
○会社が大きくなればなるほど大勢の方々に協力頂くことになるので、仕事においても感謝の
気持ちも大切にして欲しい。
○インターンシップなど、もっと茨城大学とのつながりを持ちたいと考えている。学生に会え
る場面をセッティングして欲しい。学生には当社のことを知って欲しい。
面談時の写真
面談時の写真
写真番号〔2〕
写真番号〔4〕
48
企業訪問報告書
会社名
URL
本社所在地
代表者
創業・設立
従業員数
業
種
事業所
株式会社 諸岡
http://www.morooka.co.jp
社長の顔写真
茨城県龍ヶ崎市庄兵衛新田町 358
写真番号〔30〕
代表取締役 諸岡 正美
1958 年設立
約 130 名
建設機械、土木機械、環境機器、農業機械等の製造・販売
(国内)本社工場、美浦工場、研修技術センター、全国に 6 営業所
(海外)米国バージニア州に現地法人・工場
経営ビジョン
・お客様に喜ばれる、高品質で独創的な商品を提供する。
・道なき未知を切り開く、活力ある企業を目指す。
・人と自然環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献する。
1.当社の特徴・経営への思い
○通常のダンプが活動しにくい不整地や悪路に強い運搬車両(キャリアダンプ)が主力製品。
ゴムクローラーを備えている点が特徴である。ゴムクローラーの高い耐久性とギアチェンジ
を無くした独自の動力伝達装置が強み。
○湿地帯で工事車両が身動きできなくなるケースが頻発したことから、もぐらないで済む軽量
な土木建設機械を開発しはじめたことが原点。1975 年以降、不整地向け運搬車等を手掛けて
いるが、現在の主力製品は運搬車、林業車、フォークリフト、(木質系廃棄物や林地残材の)
破砕機等を製造販売している。
○社員一人ひとりの目標の設定・正しい評価・教育の充実を図り、あわせて会社としての組織
力と社員のコミュニケーションの向上に取り組むことで、「スピード、改革、グローバル化」
に注力した「道なき未知を切り開く活力ある企業」を目指している。
2.人材育成の考えと茨城大学に期待したいこと
○2012 年度からの中期経営計画の経営戦略の一つに「グローバル企業実現のための体制整備と
して、人材の育成と管理レベルの向上」を掲げている。
○社内で英語等の外国語講座を開催するなどグローバル人材の育成にも注力しているが、現状
の英会話スキルよりも「海外に出て行けるマインドのある人」育成中。
○茨城大学農場を実験する場所として提供して欲しい。先生方のアドバイスも頂きたい。(今
後、農学部が対応予定)
面談時の写真
工場見学時の写真
写真番号〔11〕
写真番号〔34〕
49
3)企業との交流会
●
交流会
平成27年4月23日(木)、文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」
の一環として、地域に根ざしながら、世界を視野にビジネスを展開する気鋭の企業を招き、交
流会を開催した(総勢57名参加。うち、企業からは26名の参加)。
茨城大学COC事業では昨年度、ともに人材を育成するパートナーとして、大学執行部が地
元の24企業を訪問し、ビジネスモデルや技術のみならず経営理念、経営方針、将来構想、ま
た、そこで働く従業員の様子、地域社会との関わりなど、様々な面から経営者と意見を交わす
とともに、茨城大学COC事業の説明を通じ、同事業への理解を深めていただいた。
意見交換会では、企業経営者と学長、大学幹部との直接の意見交換が行われ、各企業の経営
者からは、大学に対する期待や要望、企業が求める人材の資質、能力等について意見を頂い
た。大学での教育が企業の現場でどのように活かされるか等について活発な議論が交わされ、
地域社会からの大学への期待度が大きいことがうかがえた。
茨城大学COC事業では、今後も地域の企業とのつながりを深め、地域PBL、また「茨城
学」等をはじめとする地域を志向する科目へのご登壇などを通じて、一層の連携を図ってい
く。
意見交換会
●
パートナー企業交流会
昨年度に引き続き、今年度も地元中堅企業と茨城大学とのパートナー関係を築くことを目的
に、大学執行部による23企業の訪問を実施した。これまでの活動の総括と、今後の永続的な
関係構築のために、企業と大学の交流の場として、平成28年3月4日(金)、4月に引き続
いて交流会を開催した(総勢139名参加。うち、企業からは72名の参加)。
今回は対象者を増やし、①本学教職員・学生、②パートナー企業(今までの訪問先47社)
の代表者、総務人事責任者、本学卒業生など、③パートナー企業の紹介先など、とした。
第一部は元富士通株式会社取締役副会長で元富士通総研代表取締役会長の伊東千秋氏をお迎
えし、「シリコンバレーから見える未来社会」と題したご講演をいただいた。世界中の企業
が、先を争うように開発拠点を設立するシリコンバレーで、今、最もホットなテーマは人工知
能とロボットであり、これらの先端技術は、未来における社会の仕組みや私たちの働き方を変
50
え、そこで働く人々のための教育のあり方を変えることになるといった今の動きを伝えていた
だいた。
第二部の意見交換会では『未来を拓くグローカル人材を育てよう!』をテーマとし、三村学
長による取組報告「茨城大学の大学改革」に続き、パネルディスカッション「~産学連携で考
える、企業が求める人材・大学が育成する人材~」が開催された。パネルディスカッションは
企業を代表する 4 名のパネリスト、新熱工業株式会社代表取締役社長の大谷直子氏、株式会社
野上技研代表取締役の野上良太氏、株式会社旭物産代表取締役社長の林正二氏、茨城トヨタ自
動車株式会社代表取締役社長の幡谷史朗氏に伊東氏を加え、
「大学在学中に身につけて欲しい
能力」
「成長し続ける人材が持つ特性、大切なポイント」の 2 つのテーマにて行われた。
パネリスト、企業の皆さんからは、
「ストーリー通りにいかなないときにどうするか」、
「学
んだことは活かされなければ意味がない」、「社員の成長が企業を成長させる」、「語学力の重要
性、持つか持たざるかで差は大きくなる」、「コミュニケーション力を高めるには?ディベー
ト、ディスカッションの重要性」
、
「産学連携がなぜ成功しないのか?教員と企業側のコミュニ
ケーション不足、意識の食い違い」
、等様々な提言、意見が発せられ、会場の企業関係者、学
生、教職員も交えて活発な議論が交わされた。
本会では企業訪問先企業 39 社の経営者の皆さまから、予め前記 2 テーマに対するアンケー
トをいただき、取りまとめ資料を配付した。経営者の想いが直接学生に響くよう、この資料は
今後、教育などでも活用していきたいと考えている。
今回のパートナー企業交流会を、地元企業と大学の連携による「学ぶ」と「働く」をつなぐ
プラットフォームと位置づけ、今回の意見交換から地域における人材育成の在り方を考え、大
学改革に反映していく。
三村学長による本学の改革取組報告
伊東千秋氏による特別講演
51
第二部
意見交換会
3
シンポジウム、FD・SDなど
1)シンポジウムの開催
本学の「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」も 2 年目を迎え、
「茨城と向き合い、地
域の未来づくりに参画できる人材育成」と題するCOC事業シンポジウムを市民、自治体関係者、
学生等 185 名の参加者を得て開催した(日立及び阿見キャンパスにはバーチャルキャンパスシス
テム(VCS)により第1部の模様が配信された)
。
開催日時 平成27年7月3日(金)13:00~15:50
会
場 水戸キャンパス 図書館ライブラリーホール
日立キャンパス IT基板センター研修室 205号室(VCS)
阿見キャンパス こぶし会館C(VCS)
13:00 第1部
主催者挨拶
三村 学長/機構長
基調講演「プロサッカーが地域に果たす役割」
株式会社鹿島アントラーズFC 代表取締役社長 井畑 滋 氏
平成26年度事業成果及び平成27年度の取り組みについて
内田 副機構長
「茨城学」と「イバラキカク」の取り組みについて
清水 社会連携センター准教授
平成26年度事業評価について
COC外部評価委員会委員長 増山 弘 氏(常陽地域研究センター理事長)
14:50 第2部(分科会式地域円卓会議(教育・研究・人材育成))
分科会①「教育」
会場:図書館セミナールーム(3階)
分科会②「研究」
会場:共通教育棟第一会議室(1号館2階)
分科会③「人材育成」 会場:社会連携センター研修室(3階)
シンポジウム第1部はCOC統括機構長である三村信男学長の開会挨拶に続き、株式会社鹿島
アントラーズFC 井畑滋 代表取締役社長をお迎えし、
「プロサッカーが地域に果たす役割」と題
する基調講演が行なわれ、鹿島アントラーズを育んだ地域「鹿島」の歴史からクラブの歩み、ク
ラブが取り組む事業の紹介を通じて、プロサッカーと地域社会との関わりについて語っていただ
いた。
COC事業の状況については、COC統括機構副機構長である内田聡教授から平成 26 年度事業
成果及び平成 27 年度の取り組みについて、社会連携センターの清水恵美子准教授からは今年度か
ら始動した地域志向教育プログラムの中核となる科目「茨城学」と、その課外活動にあたる「イ
バラキカク」の取り組みについて報告が行われた。
さらに平成 26 年度COC外部評価委員会委員長である増山弘氏(常陽地域研究センター理事
長)から、平成 26 年度事業評価結果が報告され、評価を通じて明らかになった課題と今後の本学
COC事業へ期待することについて提言がなされた。
52
シンポジウム第2部では会場を移し、地域円卓会議として教育分科会、研究分科会、人材育成
分科会がそれぞれ開催された。合計で 74 名の市民、自治体関係者、学生等が参加し、いずれの会
場でも活発に議論が交わされた。
本シンポジウムは、茨城大学COC事業の平成 26 年度の成果と平成 27 年度の取り組みの社会
に向けた発信として位置付けられるものである。今後も各事業、プログラムを推進していく。
三村信男学長による開会挨拶
鹿島アントラーズFC代表取締役
井畑滋氏による基調講演
2)アクティブラーニング講習会およびFD・SDの実施
昨年度はそれぞれ別に実施していたアクティブラーニング講習会とSD・FDについて、今年
度は両者を連動させながら、教育を中心にCOC事業全体についての理解を深め、さらなる参加
を促すことを目的として実施した。
(日立及び阿見キャンパスにはバーチャルキャンパスシステム
(VCS)により配信された)
開催日時 平成27年10月28日(水)13:00~15:00
会
場 水戸キャンパス 図書館ライブラリーホール
日立キャンパス 応接室(VCS)
阿見キャンパス 100番講義室(VCS)
13:00 アクティブラーニング講習会
開会挨拶
内田 副機構長
基調講演『金沢大学における「地域概論」の試行とアクティブラーニング』
金沢大学 人間科学系教授 佐川哲也 氏
14:00 FD・SD
平成26年度の成果と平成27年度の取組みの報告
平成26年度の外部評価の報告
各プロジェクトの委員長報告
内田 副機構長
内田 副機構長
周 COC地域研究委員会委員長
渋谷 COC地域共生委員会委員長
小松﨑 COC地域貢献委員会委員長
茨城学とイバラキカクの取組みの報告
茨城学登壇者の報告
福與 農学部教授
佐川講師からのコメント
53
清水 社会連携センター准教授
質疑応答
閉会挨拶
渋谷 COC地域共生委員会委員長
前半は、COC統括機構副機構長である内田聡教授の開会挨拶に続き、金沢大学人間科学系教
授の佐川哲也氏をお迎えし『金沢大学における「地域概論」の試行とアクティブラーニング』と
題する基調講演が行なわれた。金沢大学は、本学よりも1年早い平成25年度に大学COC事業に
採択されており、大学教育再生加速プログラムにおける優れたアクティブラーニング型授業を収
録した授業カタログ作成の取組みや、今年度始まった全学必修の「地域概論」の概要等が紹介さ
れた。
引き続き行われたFD・SDでは、内田教授から平成 26 年度の事業成果・外部評価結果及び平
成 27 年度の取組みについて「教育」
、
「研究」、
「社会貢献」などの面から解説が、周立波教授(C
OC地域研究委員会委員長)
、渋谷敦司教授(COC地域共生委員会委員長)及び小松﨑将一教授
(COC地域貢献委員会委員長)からは平成 26 年度及び平成 27 年度のプロジェクト概要につい
て報告があった。昨年度採択のプロジェクトの中には、今年度他省庁のプロジェクトに採択され
るものがあることなどが紹介された。続いて、社会連携センターの清水恵美子准教授から今年度
より始動した地域志向教育プログラムの中核となる科目「茨城学」と、その課外活動にあたる「イ
バラキカク」の取組みについて、
「茨城学」で実際に登壇した農学部の福與徳文教授から「茨城学
と地域計画学(地域志向科目)の事例」について報告が行われた。茨城学については、15回の
授業の各回の内容や、講義から「振り返り用紙」への学生の記述、学生同士の意見交換および学
生と講師との意見交換というアクティブラーニングの具体的な進め方などが紹介された。報告後、
佐川教授より、今回のFD・SDの報告について、
「教育」、
「研究」、
「社会貢献」が融合していく
ような展開が必要であることなどの講評をいただいた。
当日は遠隔会議用システム(VCS)を活用し、水戸キャンパスの会場から日立・阿見両キャンパ
スにも講習会の模様が配信され、熱心な教職員の参加により、アクティブラーニング型授業の成
績評価方法などについて活発な質疑応答が行われた。
本学では今年度より全学でアクティブラーニング型授業が導入され、今回の講習会およびF
D・SDの内容が、PBL科目を含めた授業の深化・充実に資することが期待される。
COC統括機構副機構長内田教授による
開会挨拶
金沢大学佐川哲也教授による基調講演
54
3)「茨城学」のFD・SD
「茨城学」の改善を図るため、授業を担当する教職員による打ち合わせを2回行った。
(1) 日時 平成27年9月28日(月)16:30~
会場 水戸地区 社会連携センター 3階 ミーティングルームⅢ
日立地区(VCS) N5 棟 2階 会議室(副センター長室)
阿見地区(VCS) 応接室
議題 「茨城学」の運営について
前期授業終了後、授業の成果と反省点を分析した。後期における取り組み方として、担当者間
で各講義を貫く問題意識、ねらい等を共有する必要性、ならびに県外者への対応などについて議
論した。また後期授業の構成変更、座席表の導入が提案された。
(2) 日時 平成27年12月3日(木)15:00~
会場 同上
議題 1.
「茨城学」平成27年度前期 学生アンケートについて
2.平成28年度の茨城学の構想(案)について
前期授業の学生アンケート結果を分析し、クラス満足度は他の科目との相対評価では低いが、
さまざまな制約を考えた場合、絶対評価としては一定の水準に達していると判断した。授業のね
らいと地域や茨城を意識しないで入学した学生の意識との乖離、テーマが県北に偏り、課題も地
域振興にフォーカスしすぎた点、運営側と講師との調整不足、情報・音響機器の不備などが改善
点として浮き彫りになり、その対応を議論した。また平成28年度授業構成を大学・自治体講師
の講義を混合したものに変更することとなった。
55
4)情報発信
(1)ホームページ
http://www.coc.ibaraki.ac.jp/
昨年度に開設された茨城大学COC事業ホームページは、現在、主にプロジェクトの紹介・
報告、イベント情報の発信、外部評価結果、事業報告書等の掲載・更新をしている。
今後も適宜更新しながら、内外に向けた情報発信を密に行い、ホームページの機能を高めて
いく。
(2)フェイスブックページ
https://www.facebook.com/ibadaicoc/
平成27年3月に、本学COC事業の最新情報を発信することを目的とし、「地域をデザイ
ンする茨城大学」と題したフェイスブックページを開設した。主な掲載内容として、COC統
括機構本部からのお知らせやCOC事業ホームページに掲載された新着ニュース、イベント情
報、「茨城学」の実施された各回の様子、イバラキカクの活動などを発信している。
今後も定期的に更新し、情報の発信に努めていく。
56
(3)本から近づく「茨城学」
新規科目「茨城学」について在学生のみならず、地域に開かれた図書館の機能を活用して広
く情報発信を図る授業と連動した取り組み。
「茨城学」に登壇した本学の教員の著書のうち図書
館蔵書を著者のメッセージとともに掲示した。
その目的として、
「茨城学」受講生に授業内容に沿った蔵書の展示により講義内容への興味関
心を喚起し、担当した教員の著書(研究成果等)を学習活用につなげていくこと。
地域に開かれた図書館内に蓄積された研究成果(シーズ)の発信し、図書館を利用する地域
の方のニーズとのマッチングの機能も担い、共同研究だけでなくより広義な図書館利用者の学
びの契機とする。図書館での知の蓄積を顕在化させることは茨城大学が「学び続ける地域」の
構築に貢献していることを可視化させ、
「地域」での学部を超えた横断的研究成果の検証にもつ
ながるなどがあげられる。
成果として、図書館の協力により図書館でも人目につく「茨大文庫」に隣接した場所に掲示
スペースを設け情報発信することができた。さらに、フェイスブックページでも情報を発信し、
「茨城学」授業への活用や図書館資料を活用した PBL などの情報提供の契機となった。
また課外活動「イバラキカク」の「まわし読み新聞」などで図書館をより積極的に活用する
機会につながった。
今後の課題としては、目的に掲げた「茨城学」授業への活用や図書館資料を活用した PBL へ
発展できるよう、より積極的な情報発信や書誌情報の提供につなげていくことが大切である。
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