日本多読学会紀要 JERA Bulletin 2008 第 2 巻 第 【目 1 号 Web 版 次】 実践報告 p.2 レベル差に応じた対応をめざして ――2006 年度多読授業の分析と考察(黛 道子) 私の多読授業 p.14 辰野高等学校における英語多読授業の試み(内山由香里) 多読用図書紹介 p.22 やさしく読める絵本シリーズ ――Scholastic Bookshelf と Skyline Young Readers (黛 日本多読学会 Japan Extensive Reading Association 道子) There is a world inside a book And when you're curled up with a book It doesn't matter what your age is. You can take a flying leap into the pages. So take a leap, and take a look Inside the world inside a book. (“The World inside a Book” by Julia Donaldson, Charlie Cook’s Favorite Song Book) 1 実践報告 レベ ル 差に 応 じ た対 応 をめ ざ して ― ― 2006 年 度多 読 授 業 の 分 析 と考 察 Appropriate Guidance for Extensive Reading Classes at Different Levels: an Analysis and Consideration of Practice in 2006 黛 道子 MAYUZUMI Michiko( 順 天 堂 大 学 ) Ⅰ.はじめに 順天堂大学医療看護学部の多読授業報告にあたり、まず、背景となる英語カリキュ ラ ム の 概 要 を 述 べ て お き た い 。本 学 部 は 2 ∼ 4 年 生 は 各 学 年 100 人 、1 年 生 は 200 人 、 全 体 で 500 人 の 比 較 的 、小 規 模 な 学 部 で 、英 語 科 目 は 1 年 次「 多 読 」、2 年 次「 看 護 英 語 」を 通 年 必 修 と し 、1 年 次「 英 会 話 」、2 年 次「 英 語 作 文 」、4 年 次「 医 療 文 献 講 読 」 をそれぞれ通年選択科目とし、すべて週に 1 コマずつの授業を行っている。専任教員 が一人のため、すべての授業を企画・実践し、多くの授業を非常勤講師に依頼してい る現状である。専任は負担が大きいというマイナス面はあるが、授業を裁量する自由 をもつため、多読授業も比較的容易に始められた。 多読授業は 短 大 で あ っ た 2002 年 度 ∼ 2003 年 度 は 半 期 選 択 で 、 ま た 、 4 年 制 大 学 に な っ た 2004 年 度 か ら は 通 年 必 修 で 行 っ て い る 。 当 初 、 13 人 の 学 生 と 200 冊 に も 満 た な い 本 か ら ス タ ー ト し た 多 読 授 業( 黛 , 2005)で あ っ た が 、現 在 で は 人、蔵書数 学 生 数 200 約 4,000 冊 と 大 幅 に 拡 大 し 、「 看 護 英 語 」「 医 療 文 献 講 読 」 な ど の 多 読 授 業 以 外 の 英 語 科 目 に も 1 コ マ( 90 分 )中 、20∼ 40 分 の 読 書 時 間 を 設 け る な ど 、多 読 を 重視したカリキュラムを取っている。 2002 年 度 以 来 を 概 観 す る と 、例 年 、読 書 を 続 け る に つ れ 、学 生 の 読 む 本 の レ ベ ル が 上 が る の が 観 察 さ れ 、年 度 末 に 行 う ア ン ケ ー ト で は 、 「 楽 し か っ た 」と い う 回 答 が 75% を越え、 「読むのが楽になった」 「読む速度が増した」 「嫌いだった英語が好きになった」 「 こ れ か ら も 続 け た い 」 な ど 、 肯 定 的 な 反 応 を 多 数 、 得 て い る 。( 黛 , 2005, 2006) ま た 、 1 年 目 に 多 読 を し た 4 年 生 の 「 医 療 文 献 講 読 」 (2007 年 度 通 年 ・ 選 択 )の 授 業 では 選択したのは8人と人数は少ないが、過去の同様の授業に比べ、楽に次々と読 み進めることができ、特に難解な文献でなければ自然に読みこなす姿が見られた。 11 月 初 旬 の 最 終 授 業 後 に 書 い て も ら っ た 感 想 に は「 英 語 の 授 業 が 終 わ る の が さ び し 2 い 」「 卒 業 後 も 英 語 を 勉 強 し て い き た い 」「 こ れ か ら も 本 を 読 ん で い き た い の で 、 学 校 に借りに行く」 「 最 初 は 子 ど も 用 の 本 を 読 ん で 効 果 が あ る と は 信 じ ら れ な か っ た が 、今 は わ か る よ う な 気 が す る 。 先 生 、 疑 っ て ご め ん な さ い 」「 新 宿 の ブ ッ ク ク ラ ブ 1 ) に も 行ってみたい」など、肯定的な反応が多く聞かれた。多読が順調に進んだ場合の効果 を感じる結果であった。 Ⅱ . 2006 年 度 授 業 概 要 こ の よ う な 経 緯 の も と に 継 続 し て き た 本 学 の 多 読 授 業 で あ る が 、 2006 年 度 は そ れ ま で 、 100 名 で あ っ た 定 員 が 一 気 に 200 名 と な り 、 大 人 数 へ の 対 応 と い う 別 の 問 題が持ち上がった。事前に、入学者の学力差の幅がより大きくなることが予想された ため、習熟度により3レベルに分け、クラスにより使用する本を多少、調整したり、 必要があれば習熟度が低いクラスへの対策が行えるよう配慮した。 こ の よ う な 状 況 の も と に 行 わ れ た 2006 年 度 の 授 業 の 実 態 を 報 告 す る 。 1.対象・クラス編成・評価方法 対象:看護系学部 1 年生 216 名 ( 通 年 必 修 ) クラス編成:2コマを使い、それぞれのコマで3クラスが同時に授業 (のべ6クラス) 各クラス 36 名 授 業 時 間 数 : 1 コ マ 90 分 ×29 回 ( 前 期 15 回 、 後 期 14 回 ) 授業担当者:専任教員 1 名、非常勤講師2名 評 価 方 法: 出 席 60%( 欠 席 1 回 に つ き 、5 % マ イ ナ ス )、記 録 10% の 合 計 70% で 学 期 ご と の 基 礎 点 を 出 し 、そ の 平 均( 70 点 満 点 )に 読 ん だ 冊 数 、語 数 に 応 じ た ポ イ ン ト ( 50 冊 、 ま た は 1 万 語 ご と に 1 点 ) を 学 年 末 に 加 算 し て 算 出 。 2.使用教材2) 1 ) Leveled Readers Oxford Reading Tree (ORT) Stage1-9, Step 0-12, Longman Literacy Land Story Street(LLL) I Can Read Books(ICR) My First-Level 3, into Reading(SIR) Step 1-3, Step Springboard(SPB) Stage 1-16, Ready-to-Read Books(RTR) Pre-Level 1-Level 3, Scholastic Readers(SCR) Word by Word-Level-3, Puffin Easy-to Read-Books(PER) Level 1-3, All Aboard Reading(AAR) Picture Readers- Level 2, Cambridge Storybooks(CSB) Level 1-3, Welcome Books(WB), Oxford Wolf Hill Level 1-3, CTP Learn to Read(CTP) Level 1-3 3 2 ) Graded Readers Foundations Reading Easystarts-Level 2, Library(FRL) Penguin Young Level 1-5, Penguin Readers(PYR) Level Readers(PGR) 1-4, Macmillan Readers(MMR) Starter-Elementary, Macmillan New Wave Readers(MNW) Level 1-3, Oxford Bookworms Library(OBW) Starter-Stage 2, Starter-Level 2, Longman Shared Reading(LSR), (LSRM) Level 1-3, Cambridge Readers(CER) Longman Shared Reading Mice Addison Wesley Big and Little Books(AWBL), Oxford Classic Tales(OCT) Beginner Level 1-Elementary Level 3, 3) その他児童書 Curious George Series, the Great Series, Poppleton Series, Mr. Putter and Tabby Series, Magic Tree House Series(MTH), House Michelle Series, Franny K. Stein Series, Nate Full Corgi Pups Series 3 . 2006 年 度 に 新 た に 行 っ た こ と 1)多読初期にやさしい読み物が不足する恐れがあったため、急遽、本の補充を 図 り 、 各 ク ラ ス に ORT3 セ ッ ト 、 LLL1 セ ッ ト 、 FRL1 セ ッ ト 、 そ の 他 各 Graded Readers の レ ベ ル 0 ∼ 2 を 補 充 し て 配 備 し ( そ の 他 、 相 当 数 の 欠 本 の あ る セ ッ ト を 分 割 し て 使 用 )、そ の 他 の 本 は 各 ク ラ ス で 順 番 に 使 い ま わ す よ う に し た 。 2 )SLEP テ ス ト 3 ) を 行 い 、点 数 に よ っ て 3 段 階( 上 位 よ り A、B、C と す る )の レ ベル分けをし、さらにそれぞれのレベルを2クラスに分けた。 3)これまで数年の授業から、英語力の低い学生に単語を 1 語ずつ拾って読む例を 多く見てきたので、チャンクごとにリズム良く読むのが効果的ではないかと考え た 。こ れ ま で そ の 点 を 意 識 し た こ と は な か っ た の で 、2006 年 度 は 試 み に C レ ベ ル に 導 入 す る こ と に し た 。他 の レ ベ ル に 導 入 し な か っ た の は 教室の設備の関係で、 全クラスで行うのが困難という事情もあった。 4.授業方法 「 100 万 語 多 読 」 ( 酒 井・神 田 , 2005)の 方 法 に よ り 、非 常 に や さ し い 本 か ら 始 め 、 辞書を使わず、一人一人に合わせて大量に読書することをめざす。 授 業 内 で 読 書 を し 、 貸 出 も 行 っ た 。( 5 冊 ま で ) 各 ク ラ ス 400∼ 500 冊 ほ ど の 本 を ブ ッ ク ト ラ ッ ク で 教 室 に 運 び 込 ん で 行 っ た 。 学 生 は 読 書 記 録 手 帳 ( SSS・ 古 川 , 2005) に 記 入 し 、 毎 回 、 読 書 経 過 記 録 用 紙 に その週の様子を1行、書くこととした。教員は授業時に手帳を見ながら、読書の ア ド バ イ ス を 行 っ た 。ま た 、学 期 ご と に 手 帳 を 回 収 し て 冊 数 、語 数 の チ ェ ッ ク を 行 い 、 その学期の読書経過への励ましや注意点、その後の読書の仕方についてのコメン ト を書き込んだ。そのほか、数人ずつ、ときどき回収し、進行状況を確認した。読 書 4 経過記録用紙は毎回、回収し、個々の状態、問題点、好きな本の傾向などの把握 に 役立てた。 【C レベルへの対応】 1)やさしいレベルの本を意識的に多く持ち込んだ。 2 )ORT-4 く ら い が 限 界 の 学 生 に は CTP を テ ー プ つ き で 読 ま せ た 。CTP を 使 用 し た 理由は、やさしい本を大量に読むことができること、絵が美しく、楽しい工夫が されていることのためである。テープの速度がゆっくりのため、英語が苦手な人 もついていけたようで、概ね好評であったが、中にはテープが遅すぎるのを嫌う 人 も あ っ た 。 そ の 場 合 は 、 絵 本 + テ ー プ の セ ッ ト や Dr. Seuss の も の を 使 用 し た 。 3)英語のイントネーションやリズムになじみ、チャンクで言葉を捉えることを体 得するために、ときどきリズムが楽しいものを中心に音読を行った。授業半ばに 10 分 程 度 入 れ た た め 、 気 分 転 換 に も な っ た よ う で あ る 。 使用した素材は次の通りである。 Nursery Rhyme か ら ・・・ Little Jack Horner; This Little Pig; The Wheels on the Bus; Itsy Bitsy Spider 絵 本 か ら ・・・ The Lady with the Alligator Purse; The Old Woman Who Was Not Afraid of Anything; Five Little Monkeys; The Doorbell Rang; I Like Me S I R か ら ・・・ Baker, Baker, Cookie Maker; Ducks in Muck; 早 口 言 葉 か ら ・・・ How Much Wood Would a Woodchuck Chuck?; I Like Bugs She Sells Seashells; Betty Botter Bought Some Butter 詩 か ら ・・・ Who Has Seen the Wind?; What Are Heavy? ( 共 に Christina Rossetti 作 品 ) 5.収集したデータ 1)読了冊数、読了語数 2 ) SLEP テ ス ト : 授 業 開 始 時 と 終 了 時 の 2 回 3)アンケート:授業終了時 6.倫理的配慮 順天堂大学倫理委員会の承認を得て研究を開始した。内容は 1)個人名が特定されることのないよう配慮する。 2)テストを行う際は 研究目的であること、結果が成績には反映されないことを 口頭、および書面にて伝え、許可を得ること 3)アンケートは無記名で行い、回答しない自由が認められていること、回答を拒 否したことで不利益を被らないことを 5 口頭および書面で伝えること Ⅲ.結果 レ ベ ル の 違 い に よ る 特 徴 を 見 る た め に 、 A、 B、 C に 分 け て デ ー タ を 集 計 し た 。 クラスは人数がほぼ同数になるようにしているので、レベル分けは必ずしも厳密な も の で は な い が 、 そ れ で も SLEP の 結 果 で は 各 レ ベ ル 間 で 約 5 ポ イ ン ト ず つ の 差 が あ るので、大まかなレベル別傾向が読み取れると思われる。 1 . 読 了 冊 数 ( 対 象 数 215 人 ) <表1 レベル別読了冊数> A (72 人 ) B (72 人 ) C (71 人 ) 合計 0∼100 0 0 0 0 100∼200 1 0 3 4 200∼300 23 15 29 67 300∼400 32 37 29 98 400∼500 10 18 9 37 6 2 1 9 348 358 320 342 500∼ 平均冊数 表 1 に 示 し た よ う に 、 年 間 の 読 了 冊 数 は 平 均 342 冊 で あ っ た 。 A 、 B の 冊 数 は ほ ぼ変わらず、Cが多少、少ない結果となった。 2 . 読 了 語 数 ( 対 象 数 215 人 ) <表2 レベル別読了語数> (単 位 :万 ) A (72 人 ) B (72 人 ) C (71 人 ) 合 計 (215 人 ) 0∼5 0 0 7 7 5∼10 13 14 50 77 10∼15 23 29 14 66 15∼20 15 22 0 37 20∼30 17 6 0 23 4 1 0 5 161,650 138,786 80,644 127,242 30∼ 平均語数 表2に示したように、年間の平均読了語数は 127,242 語 で 、 過 去 数 年 間 で も っ とも多くなった。語数は3レベルでかなり違い、特に C は A の半 分 ほ どに 止 ま り、 力 の 差 が 歴 然 と 表 れ た 。 C レ ベ ル は 時 折 、10 分 程 度 の 音 読 を 入 れ 、ORT-4 以 上 に 進 ま な い 4 ∼ 5 人 の 学 生 に は CTP を テ ー プ 付 き で 読 ま せ た が 、そ れ ら の 時 間 を 考 慮 し ても A と C の 読 書 量 の 開 き は 非 常 に 大 き い と 言 わ ざ る を 得 な い 。 特 に 10 万 語 を 6 越 え た 人 の 割 合 を 見 る と 、 A は 82% 、 B は 81% と 大 多 数 が 80% を 越 え て い る の に 対 し 、 C は 20% に 過 ぎ ず 、 10 万 語 が 大 き な 壁 と な っ て い る こ と が わ か る 。 3 . SLEP テ ス ト の 結 果 ( 受 験 者 数 211 人 ) 第 1 回 は 5 月 に Form 6 を 使 用 し て 、 第 2 回 は 1 月 に Form 4 を 使 用 し て 実 施 。 <表3 レ ベ ル 別 SLEP テ ス ト の 結 果 > L: Listening L-1 L-2 L-差 R-1 R-2 R: Reading R-差 T-1 T: Total T-2 T-差 A (70 人 ) 18.6 19.6 **1.0 23.2 22.8 -0.4 41.8 42.4 0.6 B (72 人 ) 16.0 16.2 0.2 20.3 21.4 **1.1 36.3 37.6 **1.3 C (69 人 ) 13.7 14.6 **0.9 17.6 19.3 **1.7 31.3 33.9 **2.6 合 計 (211 人 ) 16.1 16.8 **0.7 20.4 21.2 **0.8 36.5 37.9 **1.4 **p<0.01 表 3 に 示 し た よ う に 、 平 均 で 1.4 ポ イ ン ト 、 レ ベ ル 別 で 見 る と 、 A が 0.6 ポ イ ン ト 、 B が 1.3 ポ イ ン ト 、 C が 2.6 ポ イ ン ト と 、 レ ベ ル が 下 が る に つ れ 、 伸 び が 大 き い結果となった。 ま た 、t-検 定 の 結 果 で は 、全 体 的 に は Listening、Reading、Total の ど の 項 目 に も 有 意 な 差 が 認 め ら れ た 。 レ ベ ル 別 に 見 る と 、 A は Listening に 、 B は Reading と Total に 、 C は Listening、 Reading、 Total の ど の 項 目 に も 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 4.アンケート結果(回収数 208) アンケートはレベル別に集計してまとめた。そこからは次のような傾向が読み取れ た 。( 末 尾 の 付 録 を 参 照 ) 1)コースを取る以前の自分の英語力:全体的には「嫌いではないが得意ではなか った」が多数だが、Aには「好きだし、けっこう得意」との回答が相当数、ある のに対し、Cでは「嫌いだし不得意」が第 1 位となったのが対照的だった 2 )楽 し さ:「 と て も 楽 し か っ た 」「 割 合 、楽 し か っ た 」を 加 え る と 74% で 、大 多 数 が楽しく授業に参加したことが読み取れる。 3)多読しているときの状態: 内容理解度については、半数以上が「なんとなくわかる」と回答し、上位レベ ルほど理解度が高かった。 わからない単語、部分については、A、Bでは「少し気になる」がもっとも多 く、Cでは「たまに気になることがある」が第 1 位で、もっとも気楽に読んで いた。 読むときに和訳するかについては、 「 と き ど き 」と い う 回 答 が ど の レ ベ ル で も 多 数であった。 7 本 が 合 わ な い と き に つ い て は 、全 般 的 に は「 し ば ら く 我 慢 し て 無 理 な ら や め る 」 が多かったが、Bは「滅多にやめることはない」が第 1 位で、やや背伸びをし て読んだ可能性が考えられる。 4 ) 多 読 開 始 以 前 と 以 後 と の 変 化 : 50 人 以 上 が ○ を つ け た も の を 、 多 い 順 に あ げ る と 「 英 語 の 本 を 読 む 抵 抗 感 が 少 な く な っ た 」「 読 む 速 さ が 増 し た よ う に 感 じ る 」 「 も っ と 英 語 の 本 を 読 み た く な っ た 」「 英 語 の 本 を 読 む の が 楽 に な っ た 」「 以 前 よ り 英 語 が 楽 し く な っ た 」で あ っ た 。一 方 で は 、 「 辞 書 を 引 け な く て 不 安 だ 」と の 回 答 も 20% 以 上 に 上 っ た 。 5)実力は伸びたと思うか:なんらかの伸びを実感した人が多かったが、実感でき なかった人も3分の1に上った。A、Bでは「少し伸びた」が第 1 位だったのに 対し、C では「あまり伸びていない」が第 1 位で、わずかな差で「少し伸びた」 が続いている。 6 ) 多 読 の コ ー ス の 存 続 :「 こ れ か ら も あ っ た 方 が よ い か 」 と い う 問 い に は 、「 非 常 に そ う 思 う 」「 か な り そ う 思 う 」 が 大 半 と な り 、 コ ー ス 存 続 に 肯 定 的 で あ っ た 。 Ⅳ.考察 1.全体の傾向 1)大部分の学生は楽しく読書をし、結果として多読を肯定的に受け止めた。 2 ) 年 間 平 均 読 了 語 数 は 約 12 万 語 と な り 、 こ れ ま で の 最 高 と な っ た 。 こ の 語 数 に 到 達 す る の に 、 340 冊 ほ ど の 本 を 読 ん で お り 、 や さ し く 語 数 の 少 な い 本 を 大 量 に 読んだことを示している。やさしい本を大量に読んだことが「英語の本を読むの に 抵 抗 が な く な っ た 」「 読 む 速 さ が 増 し た 」「 読 む の が 楽 に な っ た 」 な ど の 実 感 と なって表れたのではないだろうか。 3 ) SLEP テ ス ト で は Listening、 Reading、 Total の ど の 項 目 に 関 し て も 一 定 の 効 果が認められた。これはやさしいレベルで多くの本を読んでいることの効果とも 考 え ら れ 、 や さ し い 本 を 多 く 読 む 方 が 効 果 が 高 い と の 先 行 研 究 ( 高 瀬 : 2007) の 結 果 に も 一 致 す る 。ま た 、伸 び を 実 感 し た 人 が 実 感 で き な か っ た 人 よ り 20 人 ほ ど 多かったというアンケート結果とも一致した。 4 )前 年 度 ま で は 1 ク ラ ス 25 名 程 度 で あ っ た が 、2006 年 度 は 36 名 と 人 数 が 大 幅 に 増加したため、一人一人を把握するのに時間がかかった。多読クラスのサイズと しては 35 人 程 度 が 限 界 と い う の が 実 感 で あ る 。 2.レベル別の傾向 1)A レベル 多読開始前から英語が比較的得意で、好きだった人が多い。 平 均 16 万 語 を 読 み 、 3 分 の 1 は 20 万 語 以 上 読 ん だ 。 内 容 理 解 度 、 訳 さ ず に 読 める人の割合が共にもっとも大きかった。途中で意欲を失わなければ、順調に 読書が進むレベルと考えられる。 8 2 回 の SLEP テ ス ト の 結 果 で は Listening に 効 果 が 認 め ら れ た が 、 Reading と Total に は 効 果 は 認 め ら れ な か っ た 。 3 レ ベ ル 中 、 も っ と も 読 了 語 数 が 多 い グ ル ー プ で あ る が 、読 書 量 が 必 ず し も Rea ding の 伸 び に は 結 び つ か ず 、Listening の伸びに繋がったケースと考えることができる。 2)B レベル 多読開始前は「嫌いではないが得意ではなかった」という人が多数を占めた。 平 均 14 万 語 近 く 読 み 、 A レ ベ ル と の 開 き は 2 万 語 程 度 で あ っ た 。 一 方 、 冊 数 は 平 均 358 冊 で も っ と も 多 く 、 A レ ベ ル よ り も や さ し い 本 を た く さ ん 読 ん だ と 言 え る 。し か し 、読 書 の 態 度 で は「 分 か ら な い 部 分 が 気 に な る 」 「和訳しながら 読んでいる」 「 合 わ な い 本 で も 滅 多 に や め な い 」な ど の 反 応 が 多 く 、や や 無 理 を して読んいることを感じさせる結果であった。このレベルには無理をさせず、 自然に読書素材のレベルアップを図る必要があると思われる。 SLEP テ ス ト の 結 果 は Listening に は 効 果 が 認 め ら れ ず 、 読 書 量 は Reading の 伸 び に 繋 が り 、 結 果 と し て Total の 伸 び に 貢 献 し た 。 3)C レベル 多 読 開 始 前 は 「 嫌 い 」「 不 得 意 」 と い う 人 が 大 半 を 占 め 、 英 語 に 対 し て か な り 否定的なイメージを持っている人が多かった。それだけに楽しさを伝え、読む 意欲を失わせないことが必要と思われる。 読 了 冊 数 、 読 了 語 数 の 平 均 が そ れ ぞ れ 約 320 冊 と 約 8 万 語 に 止 ま り 、 冊 数 、 語 数ともにもっとも少ない。読書にも時間がかかり、やさしいレベルをなかなか 抜け出せなかったと見られる。 SLEP テ ス ト の 結 果 は Listening、 Reading、 Total と も 効 果 が 認 め ら れ 、 3 レ ベ ル 中 、も っ と も 効 果 が 表 れ た 。読 書 量 は も っ と も 少 な い が 、こ の レ ベ ル に は 、 英語に触れる機会が少なかった人や 苦手意識が強く、英語への拒否反応を示 していた人も少なくないので、少し読んだことが、プラスに働いたのではない かと思われる。 特別対策として入れた音読は概ね好評であった。最初はなかなか声が出なかっ た が 、 だ ん だ ん 声 が 出 せ る よ う に な っ た 。 CTP を 音 源 付 き で 読 ん だ 人 は 抜 け 出 せ な か っ た ORT-4 を 全 員 越 え 、 レ ベ ル 0 の Graded Readers を 読 む こ と が で き る よ う に な っ た 。以 上 を 考 察 す る と 、音 声 の 効 果 を 特 定 す る こ と は で き な い が 、 一定の効果はあるものと推測できる。 Ⅴ.今後に向けて 以上の分析、考察の結果、今後は次の点に留意して授業を行いたい。 1 ) 読 書 量 と テ ス ト 結 果 の 伸 び と は 必 ず し も 一 致 せ ず 、 Listening に 効 果 が 表 れ た り 、 Reading に 効 果 が 表 れ た り で あ る が 、 何 ら か の 効 果 が 期 待 で き る の で 、 こ れ からもやさしい本を多数、読むことを心がけたい。 2 ) 読 書 素 材 の 選 択 に 関 し て は 、 SLEP テ ス ト に よ り 、 平 均 40 ポ イ ン ト 程 度 の ク 9 ラ ス で は 、上 手 に レ ベ ル ア ッ プ を 図 る こ と 、35 ポ イ ン ト 程 度 の ク ラ ス で は 、無 理 せ ず に 読 む よ う 指 導 す る こ と 、30 ポ イ ン ト 程 度 の ク ラ ス で は 、読 む 意 欲 を 失 わ な いよう楽しい雰囲気を心がけることが大切である。 3)C レベルでは「単語がむずかしい」と訴えたり、ごく基本語の意味を尋ねるな ど、語彙が極端に少ない学生も相当数に上り、語彙不足が障害となって読書が進 ま な い こ と も あ る の で 、 語 彙 を 意 識 し た 音 読 、 ま と ま っ た 文 章 の 暗 誦 、 Dictation による筆記など、何らかの対策を検討したい。 注 1)SEGは日本多読学会の支援を行っている法人(代表:古川昭夫)で、東京都新 宿区に会員制のブッククラブを経営している。 2 ) 使 用 教 材 の 略 称 は ( 古 川 ・ 神 田 他 , 2007) を 参 照 。 3 )SLEP テ ス ト は Secondary Level English Proficiency Test を 指 す 。他 国 よ り ア メ リ カ の 高 校 へ の 入 学 希 望 者 の 英 語 力 測 定 の た め の テ ス ト で 、 Educational Testing Service が 主 催 。 Form 4、 5、 6 の 3 種 類 が あ る が 、 ど れ も 同 レ ベ ル の テ ス ト で 差 は な い 。 Listening、Reading の そ れ ぞ れ の セ ク シ ョ ン が 45 分 、Total 方式で換算して結果とする。換算後の結果は 10-35 ポ イ ン ト 、 Total 90 分 。正 答 数 を 指 定 の 10-32 ポ イ ン ト 、 Reading Listening 20-67 ポ イ ン ト の 範 囲 に 収 ま る 。 参考文献 S S S 英 語 学 習 法 研 究 会 ( 著 )・ 古 川 昭 夫 ( 編 )( 2005).『 め ざ せ 100 万 語 ! 読 書 記 録 手帳』 東京:コスモピア. 酒 井 邦 秀 ・ 神 田 み な み ( 編 著 )( 2005).『 教 室 で 読 む 100 万 語 ――多 読 授 業 の す す め 』 ( pp.5-32) 東 京 : 大 修 館 . 高 瀬 敦 子 (2007). Effects of Easy Books on Reading Proficiency JALT 第 33 回 年 次 大 会 古 川 昭 夫・神 田 み な み・黛 道 子・西 澤 一・畑 中 貴 美・佐 藤 ま り あ・宮 下 い づ み( 編 著 ) ( 2007).『 英 語 多 読 完 全 ブ ッ ク ガ イ ド 』( 改 訂 第 2 版 ) 東 京 : コ ス モ ピ ア . 黛 道 子 (2005). 実 践 報 告 : 英 語 多 読 授 業 の 導 入 と 成 果 ――短 期 大 学 に お け る 2 年 間 の 実践より 順 天 堂 大 学 『 医 療 看 護 研 究 』 1(1), 22-28. 黛 道 子 (2005). 楽 し い 多 読 授 業 の 日 々 酒 井 ・ 神 田 (2005) 前 掲 書 ( pp.111-116) 黛 道 子 ・ 神 田 み な み ・ 畑 中 貴 美 (2006). 実 践 報 告 : 易 し い 教 材 の 効 果 的 な 使 用 法 を 実 践 の 中 で 考 察 す る ――3 大 学 に お け る 英 語 多 読 授 業 を 通 し て 療 看 護 研 究 』 2(1), 36-43. 10 順天堂大学『医 <付録:アンケート結果> 回答数 A B C 66 72 70 合計 208 人 1.自 分 の英 語 の力 をどのように思 っていましたか。(コースを取 る以 前 ) ア 好 きだし、けっこう得 意 な方 だ。 18 9 3 30 7 2 2 11 28 39 29 96 エ 嫌 いだし、不 得 意 だった。 5 9 30 44 オ その他 8 12 6 26 ア とても楽 しかった。 9 9 3 21 イ 割 合 楽 しかった。 43 48 42 133 ウ あまり楽 しくなかった。 7 8 13 28 エ ちっとも楽 しくなかった。 0 3 1 4 オ どちらとも言 えない。 7 4 7 18 ア とてもよくわかる。 10 7 8 25 イ かなりよくわかる。 27 24 9 60 ウ なんとなくわかる。 29 38 52 119 エ あまりわからない。 0 0 1 1 オ まったくわからない。 0 0 0 0 8 7 9 24 イ 少 し気 になる。 28 35 25 88 ウ たまに気 になることがある。 16 20 28 64 エ ほとんど気 にならない。 11 8 5 24 オ まったく気 にならない。 3 1 3 7 ア いつも訳 している。 6 6 8 20 イ かなり訳 している。 9 22 12 43 イ あまり好 きではないが、得 意 な方 だ。 ウ 嫌 いではないが、あまり得 意 ではなかった。 好 きだけど不 得 意 。 一 番 嫌 い。 2.取 ってみて: 楽 しかったですか? その理 由 も教 えてください。 プラス 英 語 が苦 痛 でなくなった。絵 がかわいかった。 マイナス ずっと読 んでいると眠 くなる。自 分 の好 き な本 がなかった。 3.あなたが多 読 をしているときの状 態 はどれに近 いですか? 1) 読 んだ内 容 は 2) わからない単 語 や部 分 が ア すごく気 になる。 3) 読 んだ部 分 を日 本 語 に訳 して理 解 していますか? 11 ウ ときどき訳 している。 32 35 40 107 エ 滅 多 に訳 すことはない。 16 5 8 29 3 2 2 7 5 4 7 16 イ しばらく我 慢 して、無 理 ならやめる。 36 25 38 99 ウ 滅 多 にやめることはない。 23 31 14 68 2 11 2 15 ア 英 語 の本 を読 むのに抵 抗 感 が少 なくなった。 45 42 39 126 イ 読 む速 さが増 したように感 じる。 38 36 24 98 ウ 以 前 より英 語 が楽 しくなった。 15 16 21 52 エ もっと英 語 の本 を読 みたくなった。 26 26 23 75 0 2 3 5 25 25 17 67 9 19 19 47 3 3 0 6 イ 少 し伸 びたと思 う。 30 32 22 84 ウ あまり伸 びていない。 18 18 24 60 3 1 7 11 12 17 16 45 オ まったく訳 していない。 4) 選 んだ本 が自 分 に合 わないと感 じたとき ア すぐやめて他 の本 にする。 エ 絶 対 やめないで読 む。 4.多 読 する前 と今 では どのような変 化 を感 じましたか? (複 数 回 答 可 ) オ もう英 語 の本 は読 みたくない。 カ 英 語 の本 を読 むのが楽 になった。 キ 辞 書 を引 けないので、不 安 だ。 5.取 ってみて: 実 力 は伸 びたと思 いますか? 理 由 は? ア とても伸 びたと思 う。 エ ちっとも伸 びなかった。 オ よくわからない。 プラス 本 のおもしろさが抵 抗 なくわかる。読 むのが楽 しく感 じられるようになった。 嫌 いな英 語 が楽 しかった。長 い文 章 を読 めるようになったから。 知 らなかった単 語 がわかるようになった。疲 れなくなった。 マイナス 伸 びた実 感 がない。わからない部 分 がそのままだから。 単 語 を忘 れているから。読 むだけで力 がつくとは思 わない。 8.このようなコースはこれからもあった方 がよいと思 いますか? ア 非 常 にそう思 う。 14 11 14 39 イ かなりそう思 う。 23 25 26 74 ウ それほど思 わない。 11 16 15 42 2 6 0 8 10 14 16 40 エ 全 然 、そうは思 わない。 オ どちらとも言 えない。 12 プラス 意 外 と読 めた自 分 にビックリです。 自 分 のペースで進 めていけるので、来 年 もやりたい。 英 語 が楽 しくなるし、英 語 が近 い存 在 になる。 自 分 に合 った本 を探 すのが楽 しかった。英 語 が好 きになった。 マイナス 英 語 を読 むのは楽 しくなったが伸 びていないような気 がする。 どうせ英 語 をやるのなら医 療 英 語 の方 がためになる。 13 私の多読授業 辰野 高 等学 校 に おけ る 英語 多 読授 業 の試 み Extensive Reading in Classes at Tatsuno Senior High School 内山 由 香 里 UCHIYAMA Yukari( 長 野 県辰 野 高 等 学 校 ) 1.はじめに 長野県辰野高等学校は各学年普通科3クラスと商業科2クラスがある、全校生徒 約550人の高校である。卒業生の進路は進学が全体の2/3で就職が1/3とい う割合であり、大学・短大進学者のほとんどは指定校推薦である。生徒は総じて元 気で明るく、部活動も活発であり、生徒・保護者・職員の三者による「開かれた学 校づくり」に早い時期から積極的に取り組んできていて、学校運営に三者が活発に 意見表明を行っている。しかし勉強は嫌い、苦手という生徒が多く、特に英語に対 する苦手意識が強い生徒がほとんどである。 辰 野 高 校 で は 2004 年 の 秋 よ り 、英 語 の 授 業 に 多 読 を 取 り 入 れ て い る 。生 徒 に も 概 ね 好 評 で あ り 、「 英 語 を 読 む の が 楽 し い 」「 長 文 を 読 む の が 苦 に な ら な く な っ た 」 と いう感想も聞かれる。4年間にわたり辰野高校でどのように多読授業に取り組んで きたか、なぜ英語に対する苦手意識の強い生徒たちにも受け入れられるのか、また この多読授業を進めるためにこれから何が必要となるのかをまとめ、考察してみた い。 2.辰野高校での多読授業について <表1 辰野高校での多読授業に対する取り組みの変遷> 年度 科 目 2004 英語Ⅰ 課外 2005 対象学年・人数 時間/週 2年選択(9人) 1年 1 (約20人) 英語Ⅰ 2年選択(19人) OCⅡ 3年選択(12人) 英語Ⅱ 2年必修(115人) OCⅠ 2年必修(75人) ORT, LLL ( 2 5 0 冊 ) 不定期 1 0.3 14 購入多読用図書(冊数) 1 ORT, SIR, AAR, ICR な ど (450冊) 2006 2007 英語Ⅰ 2年選択(16人) 1 英語Ⅱ 2年必修(116人) 1 OCⅠ 2年必修(70人) Reading 3年必修(71人) 0.5 英語Ⅰ 1年必修(115人) 不定期 英語Ⅰ 2年選択(21人) 1 英語Ⅱ 2年必修(112人) 1 OCⅠ 2年必修(72人) 1 100E, SPB, PER,絵 本 な ど (400冊) RTR, PM, ORT, FRL な ど (300冊) 2.1 多 読 授 業 1 年 目 ( 2 0 0 4 年 1 0 月 ∼ 2 0 0 5 年 3 月 ) 2004 年 は 多 読 用 の 書 籍 は す べ て 英 語 教 諭 の 私 物 だ っ た た め 利 用 が 限 定 さ れ 、2 年 生選択授業の生徒が週1回50分の授業の中で多読をしたほかは、授業での呼びか けに関心を持った1年生20人ほどの生徒に昼休みや放課後に個人的に本を貸し出 す形で行った。 授 業 で 多 読 を し た 生 徒 た ち は 、 5 ヶ 月 間 で 2 ∼ 3 万 語 を 読 み 、「 楽 し か っ た 」「 訳 さ な い で 読 む の は 難 し い 。で も 読 む 力 は 少 し は つ い た か な と 思 う 」 「単語とか調べな くても絵をみてると、だいたい予想してわかるからいいと思う。英語の本とかふだ ん読まないのに読んでるってすごい?!」 「英語のテストの文が前よりわかるように なったし、並びかえ(の問題)は今頃すごいできるようになって、多読のおかげか なーって思えるから、多読は時間少なくなっても続けてほしい」などの感想を残し ている。短期間ではあったが、手応えを感じてくれたようであった。 けれども、個人的に借りに来て読んでいた生徒たちは部活動などが忙しくなると 段々遠ざかってしまった。進学校ではない辰野高校のような学校の場合は、英語学 習や習得に対する生徒の熱意は高くはないこともあり、授業のように読む時間が保 障されていない条件下ではある程度の効果が実感できるまで継続して行うことは難 しいと思われる。また個人では本の管理も大変で、より多くの生徒が利用できる方 法と書籍の冊数の確保が必要だった。 そこで多読の効用を英語科や図書館で話し、また校長にも話したりしたところ、 年 度 末 近 く に な っ て「 辰 野 高 校 教 育 条 件 整 備 期 成 同 盟 会 」 ( 町 、同 窓 会 、P T A に よ っ て 構 成 さ れ て い る 組 織 ) の 予 算 で Oxford Reading Tree(ORT)、 Longman Literacy Land(LLL)が 1 セ ッ ト ず つ 購 入 で き 、 図 書 館 に 受 け 入 れ て も ら っ た 。 2.2 多 読 授 業 2 年 目 ( 2 0 0 5 年 4 月 ∼ 2 0 0 6 年 3 月 ) 2005 年 度 に は 図 書 館 に 多 読 用 図 書 が 入 っ た こ と に よ っ て 、図 書 館 で の 授 業 や 貸 出 が可能になった。そこで担当する選択科目で多読を本格的に行うことにした。また 英語科の同僚に、2年普通科必修の「英語Ⅱ」の授業の中に多読を取り入れたいと 提案したところ、同時展開の4講座すべてと商業科の英語Ⅱで多読を週1時間取り 組 め る こ と に な っ た 。6 月 に 県 の 予 算 が つ き 、ORT を さ ら に 1 セ ッ ト 、ま た Step Into 15 Reading(SIR)の セ ッ ト も 購 入 で き た 。 こ の 年 の 授 業 終 了 時 の 生 徒 ア ン ケ ー ト は 以 下 の通りである。 <表2 2005年授業終了時アンケート> 実 施 : 2006 年 2 月 質問項目 Q1.英語は 得意である。 Q2.英語は 好きである 対象:2年生(普通科・商業科) あてはまる 5 どちらかというと どちら どちらかというと あてはまる でもない あてはまらない 34 33 14 ( 3. 1 % ) ( 8 .7 % ) 15 17 ( 9. 3 % ) ( 1 0. 6 % ) 質問項目 Q3.英語を読むことが4月より 楽になったと思う Q4.英語を読む速さが4月より 速くなったと思う Q5.多読をやってよかったと 思う Q6.これからも多読を続けたい と思う Q6.これからも辰野高校で多読 を続けた方がよいと思う 回 答 数 : 161 ( 2 1. 1 % ) ( 2 0. 5 % ) 41 ( 2 5. 5 % ) あてはまらない 75 (4 6 .6 % ) 48 ( 2 9. 8 % ) 40 (2 4 .8 % ) あてはまる どちらともいえない あてはまらない 67 84 10 ( 4 1. 6 % ) ( 5 2. 2 % ) 78 81 ( 4 8. 5 % ) ( 5 0. 3 % ) 96 61 ( 5 9. 6 % ) ( 37 .9 % ) 106 50 ( 6 5. 9 % ) (3 1 % ) 120 38 ( 7 4. 5 % ) (2 3. 6 % ) ( 6. 2 % ) 2 ( 1. 2 % ) 4 ( 2. 5 % ) 5 (3.1% ) 3 (1 . 9 % ) Q 2 に つ い て は 、多 読 開 始 前 は「 あ て は ま る 」 「 ど ち ら か と い う と あ て は ま る 」と 答えた生徒は併せて15人であったので倍増している。またQ3、4の結果を見る と「どちらともいえない」と答えている生徒が多いが、もともと英語に対する苦手 意識が強く自信がない生徒が多いため、選択肢を控えめに選ぶ傾向が強かった。 2.3 多 読 授 業 3 年 目 ( 2 0 0 6 年 4 月 ∼ 3 月 ) 4月より2年生選択講座で週1時間、2年生商業科OCⅠ、3年生選択リーディ ングでの月3回程度の取り組みでスタートした。8月末より2年生普通科の必修授 業でも取り組み始めた。 この年の新たな取り組みとして、より効率的にたくさんの本を読めるように、8 月末の普通科必修授業での多読授業開始に合わせて読書記録の方法を変更した。新 たに利用を始めたのは中央大学杉並高等学校の飯田裕子先生が作成された隙間リ 16 ストである。これはシリーズごとにあらかじめ書名や語数がすべて記載された一覧 表で、生徒はこのチェックリストを見て、読み終えたものの書名を蛍光ペンでマー クしていき、授業終了前5分間でその日に読んだ冊数と語数を合計し、別の記録用 紙にその日読んだシリーズ名と授業の感想とともに記入するようにした。これが思 いのほか好評で、本を読むたびに書名を書き写したりする手間がかからず、また読 んだ本が一目でわかるようにマークすることで、まだ読んでいない本を探してシリ ーズ全部を読みたいという意欲が生徒たちには生まれるようで、2年普通科の必修 授 業 で 1 年 間 に 一 人 が 読 ん だ 冊 数 の 平 均 は 30 冊 増 加 、 語 数 の 平 均 は 約 1 万 語 も 増 えた。 ま た 県 の 「 創 意 あ る 学 校 経 営 支 援 事 業 」 の 予 算 が つ き 、 Springboard(SPB) 、 100 English(100E)、 Puffin Easy to Rea d(PER)な ど を 購 入 す る こ と が で き た た め 、 図 書 館 の 英 語 多 読 図 書 は 1000 冊 を 越 え た 。一 つ の シ リ ー ズ が 読 み 進 む に つ れ て レ ベ ル が 上 がり難しくなっても、別のシリーズを最初から読むことによって、飽きずに続けら れる環境が整ってきた。 2.4 多 読 授 業 4 年 目 ( 2 0 0 7 年 4 月 ∼ 現 在 ) 2007 年 度 は 4 月 に 2 年 生 選 択 と 商 業 科 で ス タ ー ト し 、5 月 末 か ら は 2 年 生 普 通 科 英 語 Ⅱ の 授 業 で 多 読 授 業 を 順 次 始 め た 。 今 年 は 日 本 多 読 学 会 の ORT の 短 期 貸 出 を 利 用したこともあり、導入はスムーズだった。また易しいレベルの本はレベルやシリ ーズごとに数冊ずつジッパー付きビニール袋に入れたため本を探すのが楽になり、 昨年度から利用している隙間リストとの相乗効果で、例年になく開始時から意欲的 に 取 り 組 む 生 徒 も 多 か っ た 。 ま た 本 校 と し て は 初 め て 、 50 分 の 授 業 で 5000 語 以 上 読 め る 生 徒 も 7 ∼ 8 人 で て き て い る 。現 在 私 が 担 当 し て い る 2 年 生( の べ 45 人 )の 読 書 冊 数 と 総 語 数 及 び 2006 年 と の 比 較 は 次 の 表 1 の と お り で あ る 。 <表3 11ヶ月間の一人あたりの読書平均冊数および語数> 平均冊数 最高冊数 最低冊数 2007 必 修 ( 25 人 ) 271.2 冊 549 冊 146 冊 2007 選 択( 20 人 )382.9 冊 596 冊 2006 必 修 (28 人 ) 288.2 冊 445 冊 206 冊 128 冊 平均語数 23,215 語 最高語数 最低語数 170,000 語 11,880 語 78,812 語 191,565 語 16,093 語 14,976 語 99,594 語 7,497 語 多 読 授 業 回 数 の 平 均 は 2006 年 度 2 2 回 、2007 年 度 選 択 3 1 回・必 修 2 3 回 で あ る 。 選択受講者は必修授業でも読んでいるため多読授業の回数が多く語数も多いが、必修 講 座 の 生 徒 に つ い て 2006 年 と 2007 年 を 比 較 す る と 昨 年 よ り 冊 数 こ そ 下 回 っ た が 、 そ の他の数値はすべて大幅に伸びている。学年によって生徒の雰囲気が若干異なること は あ る が 、 2007 年 は ORT の Stage8 や 9、 FRL の シ リ ー ズ な ど 1 冊 1000 語 を 越 え る 本 に挑戦する生徒がたくさん出てきたため、冊数が少なくなったものと思われる。また 17 易しいレベルの書籍と隙間リストが充実してきたこともあり、生徒がそれぞれ自分の 興味や力に合わせて徐々に読む本のレベルアップを図り、無理なく多読が進められる ようになってきた成果かもしれない。 3.実際の多読授業と生徒 3.1 実 際 の 授 業 の や り 方 1)多読ファイル(記録用紙・チェック用紙がセットされたもの)を配る。 2 )生 徒 は 自 分 の ペ ー ス で 、多 読 3 原 則 を 守 っ て 読 書 を す る 。 (教員は個々の生徒の様 子 を 見 て 声 を か け た り 、 本 を 整 理 し た り 、 本 を 探 す 手 伝 い を す る 。) 1 冊 読 む と 、 チェック用紙の書名に蛍光マーカーで印をつけ、日付を記入する。 3)授業終了5分前になると、その日に読んだ冊数と語数の合計を計算し、記録用紙 に感想とともに記入する。 ただし商業科のOCⅠの授業では、隣室でALTによる5∼6人の英会話のグループ レッスンも並行して行っている。 3.2 生徒の多読の進め方 初 め に 「 多 読 三 原 則 」( 酒 井 2003, 酒 井 ・ 神 田 2005) に つ い て 、 ま た 英 語 学 習 に おいて「量」の大切さについての講義を受けた後、実際に生徒は読み始める。 ま ず は Oxford Reading Tree(ORT)の Stage 1,1+,2,3 と Longman Literacy Land(LLL) の Foundation Step か ら Step 3 ま で を で き る だ け 全 部 読 む よ う に 勧 め る 。 そ れ ぞ れ Stage 3 く ら い に な る と 飽 き て き た り 、読 み に く さ を 感 じ る 生 徒 が 出 て く る た め 、 様 子 を 見 な が ら 100 English(100E)を 紹 介 す る 。 100E は 語 数 も 50∼ 100 語 程 度 と 読 みやすいこと、写真がきれいで目を引きやすいことから毎年人気があり、100冊 全部を読む生徒も多い。 100E を 多 く の 生 徒 が 読 み 終 え る 頃 に は ORT や LLL の シ リ ー ズ の 4 以 降 を 順 調 に 読 み 進 め る 生 徒 が 現 れ て く る 。 そ し て 100E に 目 新 し さ が 無 く な る 頃 合 い を 見 計 ら っ て 、 Springboard(SPB) 、 PM Library (PM) 、 Step into Reading(SIR) な ど を 順 次 紹 介していく。これらのシリーズはすべてチェックリストが用意してあるので、生徒 たちは蛍光マーカーで読んだ本に印をつけながら、まだ読んでいない本を探して、 各自で好みに合わせて読み進めている。 そ の 後 は Foundations Reading Library (FRL) 、 I Can Read(ICR) 、 Ready-to-Read(RTR)、 Penguin Reader(PGR)、 絵 本 、 MANGA な ど を 読 ん で い る 。 ORT や LLL を 再 読 す る 生 徒 も い る 。MANGA は 読 み た が る 生 徒 は 多 い が 意 外 に 難 し い た め 、 6万語以上読んだ生徒のみ読んでもよいことにしている。 18 3.3 授業での生徒の様子∼なぜ生徒は多読授業を受け入れるのか 授業が始まると本を探すためにややザワザワしているが、10分ほど経つとペー ジをめくる音が聞こえるほど静かになる。授業が始まる前から読み始めている生徒 もいて、集計作業に入る終了5分前になってもそのまま読み続ける生徒の姿も数多 く見られる。時々私語をしているかと思うと、本の感想を話していたり、友人に勧 めていたりする。英語を見るのも嫌という生徒も少なくない本校での全員授業での 取り組みは、常に順風満帆というわけにはいかないが、自分のペースでできる多読 の授業を楽しみにしている生徒も多い。 ま た「 指 名 さ れ な い 」 「 テ ス ト が な い 」と い う 消 極 的 な 理 由 ば か り で は な く 、多 読 授業を前向きにとらえて楽しみにしている生徒も少なくない。易しく面白い図書が たくさんあることで生徒は飽きることなくたくさんの英語の本に自分のペースで、 自分で選んで触れることができる。また蛍光マーカーで塗られたチェックリストを 見 る こ と で た く さ ん 読 ん だ こ と を 実 感 し 、「 次 は こ の シ リ ー ズ を 読 も う 」「 全 巻 制 覇 しよう」と意欲がでてくる。そして語数や冊数を記録することで、以前の自分自身 より速くたくさん読めるようになったことに喜びを感じ、今後に向けて「次回は3 万 語 に 行 き そ う 」「 今 度 は 1 時 間 に 4000 語 読 も う と 思 う 」 な ど 、 目 標 を 定 め て い る 様子が記録用紙の感想欄から伺える。自らの進歩を自分自身で実感できる多読によ ってやる気と自信が生まれてきており、従来型の英語授業ではなかなか見られなか った自分から英語に取り組む姿勢が見られるようになっている。生徒の中に 「多 読」という言葉は浸透し、今までとは全く違うスタイルの授業が確実に定着してき ている。 3.4 多 読 の 効 果 多読授業の効果については「英語を読むことへの抵抗感の減少」が挙げられる。 生 徒 達 の 感 想 に は「 並 び か え の 問 題 が で き る よ う に な っ た 」 「 と ば し な が ら 、訳 さ ず に読めるようになった」など概ね肯定的な反応が多い。また「英語だけの本なんて 絶 対 読 め な い 」 と 言 っ て い た 生 徒 た ち が 、「 英 語 を 読 む 機 会 が 増 え て よ か っ た 」「 英 語が以前よりわかるようになってきた」 「 初 め は つ ま ら な か っ た が 、楽 し ん で 読 め た 」 と感想に書くなど、ただ読むだけではなく楽しんで読むようになっているというこ とは大きな変化である。 辰野高校では日本語の本を読む時にも、読めない漢字やわからない言葉があると スムーズに読み進められない生徒が少なくない。母語である日本語でさえ、読書を 楽 し ん だ 経 験 が 乏 し い の で あ る 。実 際 に 、2007 年 6 月 に 行 っ た 生 徒 実 態 調 査 で は 7 割が「普段まったく本を読まない」と答えるなど、もともとあまり読書の習慣がな い生徒たちが多いが、多読授業で本当に易しいレベルから1冊ずつ読み通す充実感 を味わい、 「 読 む 」経 験 を 積 み 重 ね て い く こ と を う ま く 継 続 し て い け ば 、英 語 多 読 を 足がかりにして、 「 物 語 」を 楽 し む 素 地 を 作 っ て い け る の で は な い か と 手 応 え を 感 じ ている。 19 多読を行うことによる具体的な変化については、実施前後で点数を比較できるよ うなテストを行っていないので示せるものがないが、英語検定では長文問題の正解 率がかなり上がっている感触がある。これは生徒たちにも自信になっているようで ある。また、リーディングの授業ではスキャニングの技能を必要とする課題を与え ても、大量の英文に目を通す作業に困難を感じる生徒が確実に減少している。 4.まとめにかえて∼今後の辰野高校の多読授業の課題 多読授業を行うにあたっての教員の課題としては、第一に多読授業を生徒のモチ ベーションを維持しながら、ある程度効果が実感できるまでどう指導していくかと いうことであろう。一斉授業と違って、多読授業は生徒たちが自分のペースで進め るものである。教員が精読の授業とはまったく違ったスタンスで臨まなければ、充 実 し た 多 読 授 業 を 行 う こ と は 難 し い と 感 じ て い る 。特 に 本 校 の 場 合 、講 座 に よ っ て 、 また同じ講座でも季節や時間帯によって、集中度、読了語数、冊数には差が見られ るのが常である。もともと英語に対する苦手意識が強く、学習に対する熱意があま りない生徒が多いため、 「読めない」 「つまらない」 「 や る 気 が し な い 」と い う 生 徒 の 訴えに対して、いかにつまずきの原因を探り、適切な対応ができるかが多読授業の 成否の鍵を握っていることを実感している。 具体的に言えば、一人一人の生徒の現時点での英語力を把握し、また興味・関心 の傾向をつかみ、いかに適切なタイミングで適切な本をすすめられるかが多読授業 で教員に求められる役割であると思う。ただ「たくさん読め」というだけではけっ して多読は楽しいものにはならないし、効果が実感できるまで続かないのである。 また訳さずに読める易しいレベルから始めて徐々にレベルを上げることが重要だが、 原則を守らず単に語数稼ぎのために、あるいは易しいレベルのものを軽んじてむや み に レ ベ ル を 上 げ て し ま い 、読 め な く な っ て 行 き 詰 ま る 生 徒 も 時 々 い る 。そ の た め 、 普段の授業以上に生徒一人一人に目を配り、様子を見てページが進まないようだっ たらもっと易しい本をすすめたり、関心が持てないようだったら違うシリーズの本 を渡したり、励ましたり声をかけたりというようなきめ細かい指導が必要となって くる。また感想にコメントをつけたり、語数によってシールや表彰状などを用意し たり、多読用図書についての知識を蓄えたり、本を調達したりといった授業外での 労力もかなり必要である。だが薦めた本が生徒の好みに合って楽しんでいる姿を見 るのは多読授業を行う教師冥利に尽きる。そのためにも、指導する側ができるだけ たくさんの多読用図書を読み、生徒の状況や興味に応じて薦められるように情報収 集を怠らないことと日頃から生徒との良い人間関係を作ることが重要であろう。 第二の課題としては、多読におけるレベルアップを促す指導が挙げられる。本校 では生徒たちの英語習得意欲が高くなく、勉強全般に対してどん欲に取り組む姿勢 がない生徒が多いため、多読に関しても「どんどん難しいものが読めるようになり たい」とは思わず、語数の蓄積が進んできても「このくらいでいい」という消極的 20 な 現 状 肯 定 が 蔓 延 し て い る 現 実 が あ る 。 2 0 万 語 以 上 読 ん で 、 1 冊 4000 語 程 度 の Magic Tree House な ど 英 米 の 小 学 生 が 読 む 児 童 書 の ペ ー パ ー バ ッ ク に 挑 戦 す る 生 徒 た ち を ど ん ど ん 育 て た い 。そ の た め の 方 策 と し て 、 『 レ イ ン ボ ー・マ ジ ッ ク (Rainbow Magic )』『 デ ル ト ラ ク エ ス ト (Deltra Quest)』『 ダ レ ン ・ シ ャ ン (Darren Shan)』『 ト ラ ベ リ ン グ ・ パ ン ツ (The Sisterhood of the Traveling Pants)』 な ど 翻 訳 が 生 徒 に 人 気 の あ る 本 は 、原 書 と 翻 訳 本 を 並 べ た コ ー ナ ー を 図 書 館 に 設 置 し て 、 「あの本の原 書を読んでみたい」という動機付けができれば、レベルアップのためのきっかけに なるのではないかと考えている。普段本を読む習慣自体がない生徒も多いので、な かなか容易ではないが、英語多読を通して本に対する抵抗感が薄れ、さらには物語 の面白さに目覚めて、日本語の本にもどんどん手を伸ばしてくれるようになること を期待している。 多読授業を通して、前向きに取り組み、自信をつけ、英語を学ぶことを楽しむ中 で、たくさんの人や本と出会い、知的好奇心を持ち、自分の考えを深め、人間とし て成長していってもらいたいと切に願っている。 参考文献 S S S 英 語 学 習 法 研 究 会 編 (2004)『 め ざ せ 1 0 0 万 語 ! ― ― 多 読 で 広 が る 英 語 の 世 界』東京:SSS英語学習法研究会. 酒 井 邦 秀 (2003)『 快 読 1 0 0 万 語 ! ペーパーバックへの道』東京:筑摩書房. 酒 井 邦 秀 ・ 神 田 み な み (2005)『 教 室 で 読 む 英語100万語』東京:大修館書店. 古 川 昭 夫 ・ 河 手 真 理 子 (2003)『 今 日 か ら 読 み ま す 英 語 1 0 0 万 語 ! 』 東 京 : 日 本 実 業出版社. 古 川 昭 夫 ・ 伊 藤 晶 子 (2005)『 1 0 0 万 語 多 読 入 門 』 東 京 : コ ス モ ピ ア . 21 多読用図書紹介 やさしく読める絵本シリーズ ――Scholastic Bookshelf と Skyline Young Readers 黛 道子 MAYUZUMI Michiko(順天堂大学) 児童から大人まで幅広く利用できるやさしい絵本のシリーズを2種類紹介する。 Ⅰ.Scholastic Bookshelf (Scholastic, USA) このシリーズはウェブ・マガジン「SSS多読通信第 106 号」で紹介し(黛 『英語多読完全ブックガイド』改訂第2版(古川他 2005)、 2007, p.362)にも 13 冊が掲載さ れているが、その後、続々と新刊が発行され、2008 年 1 月現在、41 冊と充実ぶりが著 しいので、新たに紹介する意義があるのではないかと考えた。 1.シリーズ概要 このシリーズはもともと単刊として出版された絵本を再版する際に Scholastic 社が シリーズ化したもので、個性あふれる多彩な絵本が収録され、有名作家の作品も多数、 見られる。たとえば、No, David!を初めとする David シリーズを書いた David Shannon、 Magic Tree House シリーズでお馴染みの Mary Pope Osborne、たがのはずれた開放感が たまらない Captain Underpants のシリーズを書いた Dav Pilkey、そして、Mr. Putter and Tabby、Poppleton、Henry and Mudge シリーズなど、素直に心に訴える作品が多くの人 を魅了する Cynthia Rylant など、多読する読者がどこかで出会う作家が名を連ねてい る。挿絵画家では Caldecott 賞の Honor を受賞した Yo! Yes?の Chris Raschka や When Sophie Is Angry—Really, Really, Angry の Molly Bang、The New York Times Best Illustrated Children’s Book となった How Are You Peeling?: Foods with Moods の Saxton Freymann、 How Do Dinosaurs や Poppleton シリーズの挿絵を描いた Mark Teague など豪華な顔ぶれ である。 ほのぼのした物語、風刺の効いた物語、おバカ系物語、民話、伝記、社会、自然科 学、算数、美術など、多種のジャンルをカバーしており、幅広い読書が体験できる。 また、人種差別やヒスパニック系、ユダヤ系の文化にも配慮した収録構成で、アメリ カ社会の文化的な背景を理解するのにも役立つだろう。 出版社では本の内容により、現在、14 種類(Adventure, Being Yourself, Biography, Family, Fathers and Sons, Feelings, Folk Tales, Friendship, Holiday, Humor, Math Skills, Nature, Self-Esteem, Sports)に分類している。このうち、内容がわかりにくいと思われ 22 るものについて説明を加えると、Being Yourself は他の誰でもない自分を大切にと教え る物語、Feelings は感情のコントロールが上手にできない子どもに、それは普通のこ とで そのままで良いと受容する物語、Self-Esteem は弱く小さな子どもでも自尊心を もって生きることを伝える物語となっており、自己形成期にある子どもたちに配慮し た分類となっている。 2.教材としての特徴 教材として見ると、Scholastic Bookshelf は次のような利点がある。 1)やさしいレベルの本が多く、ほとんどはレベル1、2である。 2)総語数 1,000 語以下の本がほとんどで、2,000 語を越えるものは少ない。 3)アマゾン、紀伊国屋ブックウェブなどで簡単に入手でき、以上の2社では価格 も 1 冊 700 円程度(2008 年 1 月現在)なので、希望するものを少しずつ、購入す ることができる。 4)もともと絵本として単刊で出版されたものだけあり、何よりも本として魅力的 なので、学習が楽しくなる。絵も美しく、ストーリーも楽しめるものが多い。 注意点としては、学習を目的として作られたシリーズではないため、総語数が少な いわりに読みにくく感じられる本もある。その場合は、背景を話す、内容を補足する など、指導者の配慮が必要となろう。 音源が少ないのは残念だが、児童から大人まで幅広く楽しめ、読書の醍醐味を感じ させてくれるシリーズとして推薦する。シリーズのそれぞれの本の内容は文末の資料 1を参照。 Ⅱ.Skyline Young Readers (Skyline Education, USA) アメリカの教育系出版社(http://www.skylinechildren.com)が発行した児童向きのシ リーズで、グリム、ペロー、アンデルセンなどの童話、イソップなどの寓話をやさし い英語で書き直した絵本 25 冊で編成されている。全部で3レベルあり、Level 1 と Level 2 は 10 冊ずつ、Level 3 は5冊という構成である。どの本も物語の後に短いドラマ仕 立てのスクリプトがついており、CDもセットされているという他のシリーズにはな い特徴があるため、さまざま利用が可能だと思われる。 1.物語部分の特徴 1)大判の絵本でどのページもカラフルな絵がほとんどの部分を占め、活字も大き く、字がまばらなので、誰でも抵抗感なく読むことができる。 2)ほとんどがレベル0で読め、総語数 800 語以内と短いため、読みやすい。 3)お馴染みのお話ばかりなので、展開が想像しやすい。 23 2.ドラマ部分の特徴 1)どれも5分以内で終わる程度のごく簡単な寸劇仕立てとなっている。 2)登場人物はナレーターを含め、4−7人、場面は2−8場面で構成され、スク リプトでは それぞれの登場人物が色を変えて表示されている。 3.付属CDの特徴 1)CDの構成はどの本も共通しており、 物語の朗読、 読み聞かせ用のBGM、 ドラマの朗読、 ドラマ用のBGMとなっている。 2)CDの物語部分は「ページめくり音」が入り、バックグラウンドに音楽や効果 音が入っている。朗読は聞きやすいアメリカ英語である。 3)ドラマ部分は数人が表情豊かに読んでおり、実際に演じる際の参考になると思 われる。ただ、実際に演じる際はBGMの効果音と実際のドラマの進行を合わせ るのがむずかしいかもしれない。 以上のような特徴から、絵本として楽しむ、CDを聞きながら読む、読み聞かせす る、ドラマを演じてみる、など、学校や家庭でさまざまな利用法が考えられる。また、 価格も1冊(CDつき)が 1,000 円程度なので、利用しやすい。 2008 年 1 月現在、日本ではネット書店などでは入手できず、販売はアバックス有限 会社(http://www.abax.co.jp)が行っている。ネリーズでも購入可能で、1 冊でもセッ ト(割引あり)でも購入できる。シリーズのそれぞれの本の内容は文末の資料2を参照。 参考文献 古川昭夫・神田みなみ・黛道子・西澤一・畑中貴美・佐藤まりあ・宮下いづみ(編著) (2007).『英語多読完全ブックガイド』(改訂第 2 版)東京:コスモピア. 黛道子(2005).SSS多読通信第 106 号(2005/12/1 発行) 入手先 <http://www.seg.co.jp/cgi-bin/kb7.cgi?b=sss-news&c=e&id=482> (参照 2008 年 1 月 21 日) 24 <資料1>Scholastic Bookshelf 分類は出版社の分類に準じた。書名に* を付したものは『英語多読完全ブックガイド』改訂第 2 版に掲載されたものである。★は音源あり。 タイトル 作者 ISBN The Shark God Rafe Martin James Mayhew Katie Meets the Impressionists Ruby in Her Own Time Jonathan Emmett 分 YL 語数 9780590395700 0.7-1.0 1076 AD 9780439935081 0.7-1.0 1447 AD 9780439862783 0.5-0.7 363 BY BY ★Ruby the Copycat Peggy Rathmann 9780439472289 0.8-1.2 775 ★A Bad Case of Stripes* David Shannon 9780439598385 2.0-3.0 1400 Jean Marzollo 9780439782241 0.6-0.9 592 BG Robert Coles 9780439598446 2.2-2.8 1008 BG ★Is Your Mama a Llama?* Deborah Guarino 9780439598422 0.7-1.0 344 Happy Birthday, Martin Luther King The Story of Ruby Bridges,* Pam Munoz 内 類 容 傷ついたサメを救った幼い兄と妹。禁じられた太鼓を鳴らし、死を 宣告されるが・・・ ハワイの民話より。 Katie はおばあちゃんと美術館に行った。絵を見ているうちに い つの間にか印象派の絵の中に入りこんで・・・ アヒル夫妻に生まれた 5 羽のひな。最後に孵った Ruby は何でも 遅れ気味。でも・・・ 転校生の Ruby は Angela のまねをしてばかり。Angela にも嫌がら れるが・・・ BY 人の目を気にしすぎて自分を失い、体中が縞模様に! 自由と平等に力を尽くした Martin Luther King, Jr.の生涯。版画風 の絵が雰囲気にぴったり。 黒人の少女が人種差別の壁を越えて白人の学校に入学しようと した。公民権運動に揺れた時代の話。 FM ママは他のどのママとも違う僕だけのママ。 FM Mice and Beans* Ryan 9780439701365 2.6-3.5 1128 Just the Two of Us* Will Smith 9780439669436 2.2-2.8 574 FS 父親から息子への愛にあふれたメッセージ。 How Are You Peeling?: Saxton Foods with Moods* Freymann 9780439598415 1.5-2.2 189 FE 果物や野菜が笑ったり、怒ったり。表情が豊かで楽しい。 25 おおらかなヒスパニック系大家族のあたたかさを感じるお話。 Sometimes I'm Bombaloo* Rachel Vail FE 9780439669412 1.6-2.3 320 Molly Bang 9780439598453 1.4-2.1 164 FE Audrey Wood 9780439812146 0.9-1.2 1186 FT Michaela Morgan 9780439748346 0.5-0.7 647 FR Yo! Yes? Chris Raschka 9780439921855 0.2 32 FR Miss Spider's Tea Party David Kirk 9780439918176 0.7-1.2 591 FR Joy Cowley 9780439769877 0.9-1.3 1943 HO David Shannon 9780439683470 1.7-2.4 1471 HO Fran Manushkin 9780439811118 1.7-2.5 1525 HO Shana Corey 9780439297554 0.7-1.0 1085 HO Phil Mendez 9780439769938 2.0-3.0 2925 HO Erica A. Kimmel 9780439769907 0.8-1.2 1439 HO When Sophie Gets Angry ―Really, Really, Angry The Bunyans Dear Bunny: A Bunny Love Story Gracias: The Thanksgiving Turkey The Amazing Christmas Extravaganza Miriam's Cup: A Passover Story Milly and the Macy's Parade The Black Snowman When Mindy Saved Hanukkah 26 たまには怒って爆発したいときだってある・・・子どもの気持がよく わかる本。 ちょっとしたことが重なって Sophie の怒りは大爆発。怒りの度合 いが色彩に表れている。(Caldecott Honor 受賞) アメリカの国土を作ったという伝説の巨人 Bunyan と一家の物語。 スケールの大きいこと! 「好き」と口にできず、手紙を書くシャイな2匹のウサギ。ネズミ一 家がからんで紆余曲折。 こんな短い言葉でも気持は通じる。コミュニケーションの原点が 見える本。(Caldecott Honor 受賞) 虫たちをお茶に招く Miss Spider。でも、みんな恐れて誰も来てく れず・・・ カラフルな絵がきれい。 「Thanksgiving 用に」と送られてきた七面鳥。Miguel は、かわいが って育てる。食べるなんて! クリスマスのデコレーションがだんだんエスカレートし、大変なこと に。ちょっと皮肉で、でも温かいお話。 ユダヤ教の「過ぎ越しの祭り」の由来をモーゼの姉 Miriam を中心 に描く。 New York の風物詩、Macy's 百貨店の Thanksgiving Day Parade の始まりを物語化。 黒人として生まれたことを受入れられない少年に、黒い雪だるま が伝えたことは・・・ 壁の穴に住む小人の一家はネコのために、Hanukkah のろうそく が手に入らない。Mindy は勇気をふるって取りに行く。 Rocking Horse Christmas Mary P. Osborne 9780439669382 0.6-0.9 504 HO Dav Pilkey 9780439669375 0.7-1.1 489 HO Wendell Minor 9780590521383 0.5-0.7 95 HO Fran Manushkin 9780439930482 1.3-2.0 1271 HO Cynthia Rylant 9780439769853 1.3-2.3 685 HO David Small 9780439812184 0.8-1.3 770 HM Arthur Dorros 9780439755399 0.8-1.2 598 HM Moog-Moog, Space Barber Mark Teague 9780439781220 0.7-1.0 1131 HM The Ant Bully John Nickle 9780439851169 0.8-1.0 486 HM Dav Pilkey 9780439598392 1.0-1.5 441 HM Twas the Night Before Thanksgiving Pumpkin Heads! Latkes and Applesauce: A Hanukkah Story Christmas in the Country* Hoover's Bride The Fungus That Ate My School Dog Breath: The Horrible Trouble with Hally Tosis* Dumb Bunnies, The* ★Pigsty* Dav Pilkey Mark Teague 9780439669443 1.8-2.5 426 9780439598439 1.7-2.5 412 27 HM HM 男の子はクリスマスに送られた木馬に夢中になるが、成長するに つれ、いつしか屋根裏にしまいこまれ・・・ 遠足に行った農園で七面鳥と遊んだ 8 人の子供たちは Thanksgiving のために七面鳥が殺されると知り・・・ 大きさも形も違うパンプキンが勢ぞろい。それぞれの豊かな表情 が Halloween 気分を盛り上げる。 吹雪のため、latke(ジャガイモのパンケーキ)やアップルソースも ない Hanukkah を過ごす一家だったが・・・ 作者が子ども時代を過した田舎の村の素朴なクリスマス。心のこ もった暖かさでいっぱい。 散らかし放題だった男。ある日、電気掃除機の威力に感嘆し、掃 除機と結婚することに。 理科の実験できのこの栽培を始めた。直後に大雨が降り、学校 は大変なことに! Elmo は床屋でとんでもない髪形にされ、とんがり帽子で隠した。 その夜、彼の前に現れたのは? いじめられっ子の Lucas はアリをいじめて腹いせしていた。魔法 でアリの大きさに変えられた彼は・・・ 無邪気な犬がちょっとかわいそう・・・ 緑色で表現された悪臭が 強烈。 丸木小屋に住むおバカなウサギ一家のお話。細部までがおふざ けモード。 「部屋が汚いとブタ小屋になる」とお母さんに言われたのに、放っ ていたらこのありさま! Math for All Seasons: Mind-Stretching Math Greg Tang 9780439755375 0.6-0.8 795 Greg Tang 9780439598408 2.0-2.8 768 Joy Cowley 9780439782210 0.4-0.6 192 Margery Cuyler 9780439669405 1.6-2.3 787 Shana Corey 9780439183062 0.7-0.9 886 Mark Teague 9780439812153 0.6-0.8 367 MS Riddles Grapes of Math, The: Mind-Stretching Math MS 四季おりおりの美しい絵を使って、上手に数を数える方法を学 ぶ。 なぞなぞ形式になった算数の本。絵がきれい。 Riddles* Red-Eyed Tree Frog Biggest, Best Snowman, The* Players in Pigtails The Field Beyond the Outfield AD:Adventure, HD:Holiday, BY:Being Yourself, HM:Humor, BG:Biography, FM:Family, MS:Math Skills, NA:Nature, NA 熱帯雨林の木の上に住むカエルの生態が美しい写真で紹介され ている。カエルがなかなかチャーミング。 SE 大型家族の中でひとり小さな末娘は森の動物たちと大きなことを 考える。 SP 第 2 次大戦中、選手が戦争に取られ、プロ野球は危機に。野球 が好きな Katie にはチャンスだった。 SP monster が怖い Ludlow。野球の試合中にふと見ると、隣りのグラ ウンドでは虫の怪獣が・・・ FS:Fathers and Sons, SE:Self-Esteem, FE:Feelings, FT:Folk Tales, SP:Sports <資料2>Skyline Young Readers タイトル ISBN YL Level 1 Boy Who Cried Wolf, The 9784900819252 0.5-0.7 357 「オオカミと少年」 Puss-in-Boots 9784900819221 0.5-0.6 184 「長靴をはいたネコ」 28 物語語数 内容 FR:Friendship Three Billy Goats Gruff, The 9784900819306 0.5-0.6 264 「3びきのやぎのがらがらどん Rose White and Rose Red 9784900819238 0.5-0.7 355 「赤バラと白バラ」 Bundle of Sticks, The 9784900819269 0.5-0.6 228 「3 本の棒」 Goddess and the Cat, The 9784900819283 0.5-0.6 240 「女神とネコ」 Fisherman's Wife, The 9784900819276 0.5-0.6 289 「3つの願い」 Ugly Duckling, The 9784900819313 0.5-0.7 268 「みにくいアヒルの子」 Little Mermaid, The 9784900819290 0.5-0.7 270 「人魚姫」 Ants and the Grasshopper, The 9784900819245 0.5-0.6 302 「アリとキリギリス」 9784900819320 0.7-0.9 601 「シンデレラ」 Goldilocks and the Three Bears 9784900819337 0.6-0.8 465 「3びきのクマ」 Jack and the Beanstalk 9784900819344 0.7-0.8 636 「ジャックと豆の木」 Elves and the Shoemaker, The 9784900819351 0.7-0.8 364 「小人のくつや」 Emperor's Clothes, The 9784900819368 0.6-0.8 679 「はだかの王様」 Gingerbread Man, The 9784900819375 0.7-0.8 636 「クッキー坊や」 Lion and the Little Mouse, The 9784900819382 0.6-0.8 473 「ライオンとネズミ」 Pied Piper of Hamelin, The 9784900819399 0.7-0.9 532 「ハムリンの笛吹き男」 Sun, the Wind and the Cloud, The 9784900819405 0.6-0.8 364 「北風と太陽」 Tortoise and the Hare, The 9784900819412 0.7-0.9 473 「ウサギとカメ」 9784900819474 0.7-0.9 744 「カエル王子」 Golden Goose 9784900819481 0.7-0.9 725 「金のガチョウ」 Little Red Riding Hood 9784900819498 0.7-0.9 713 「赤ずきんちゃん」 Sleeping Beauty 9784900819504 0.7-1.0 833 「ねむり姫」 Three Little Pigs 9784900819511 0.7-1.0 802 「3びきの子ブタ」 Level 2 Cinderella Level 3 Frog Prince 29 多読学会紀要編集委員会 (2007 年 8 月∼2008 年 3 月) 委員 神田みなみ 平成国際大学 竹田 恒美 東京工業高等専門学校 上田 敦子 茨城大学 黛 日本多読学会紀要 2008 年 3 月 28 日発行 道子 順天堂大学 第2巻 第1号 Web 版 編集兼発行人 日本多読学会 e-mail:jera-bulletin@seg.co.jp ホームページ http://www.seg.co.jp/era/ 30
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