多読ライブラリーの勧め

図書館に多読ライブラリーのコーナーを設置しました。英語の学習にぜひご利
用ください。
場所:
東松山キャンパス
60 周年記念図書館の 4 階、入口付近
板橋キャンパス
4 階、B ブロック、13番書架
なぜ今多読なのか?
多読(Extensive Reading, ER)はやさしい語彙と文法を用いて書かれたテキストを、
自分で選んで読むアプローチです。外国語で読む場合には語彙や文法知識が母語のよう
にある程度完成されているわけではないので、辞書なしで読むことのできるテキストに
は限りがあります。多読は自然で楽しい読書を通じて外国語能力の発達を促します。
多読によりどのような効果があるのか?
母語や外国語による多読に関する研究から多読には次のような効果があることが明ら
かになっています。
1.
外国語習得を促すインプットの獲得
外国語の習得には i + 1 と呼ばれるインプット(Comprehensive Input, Krashen
1989, 1993)が必要であるといわれます。i は現在の外国語の理解できるレベルを
指し、それよりも少し高いレベルが混在したインプットを吸収する必要があるとい
う理論です。多読により効果的なインプットを獲得できます。
2.
外国語の読みのスキル発達を促す
リーディングでは単語を認知することが必要ですが、母語の場合私たちはほとんど
意識することなく、それを行っています。つまり、自動的に単語を認知し、私たち
の経験や知識にある情報とテキストから読み取った情報を統合しながら理解が進
んでいくわけです。多読はこの単語認知スキルの発達を促し、結果的には理解度の
向上につながると考えられています。
3.
語彙の発達を促す
効果的な読みを行うには充実した語彙知識が必要ですが、多読により自然に触れる
新しい語彙を文脈から獲得したり、学んだ語彙を復習したりすることができます。
4.
読む経験を通して読みのスキルは発達する
面白いテキストを自分で進んで読むことにより、知らず知らずのうちに読みのスキ
ルが発達していきます。
5.
外国語で読む抵抗感をなくす
外国語で読むというイメージは、辞書を使い、訳しながら読む、面倒で大変な作業
であるというイメージになりがちですが、多読により、読むという行為そのものが
楽しく、面白いものに変わります。
多読に取り組む際の留意点
1.
無理なく読めるものを選ぶ
辞書を使用しながら読まなければならないほど知らない単語があるものは選
ばないこと。ひとつの目安として 1 ページに未知の単語数が5語から7語ぐら
い程度のものを選ぶとよいでしょう。
2.
辞書は使用しないで読む
読み終わって、どうしてもわからなかった単語を調べるのはかまいません。
3.
わからない箇所や単語がある場合は、文脈から推測するようにする
どうしてもわからず、それがわからなければ先に進めない場合はそこだけ辞書
で調べたり、先生に質問したりしてもよいが、できるだけ推測をして読み進む
ようにします。
4.
読みの記録をとる --- 別途記録表を用意してあります
記録表に、読んだテキストの情報、取り組んだ時間、コメントなどを記します。
これはフォルダーで綴じてください。
5.
面白いと思うテキストを読む
最初の数ページを読んで、どうしても面白いと感じなければ本を変えてもかま
いません。大切なことは興味を持って読み進むことです。
参考文献
Krashen, S. (1989). We acquire vocabulary and spelling by reading: Additional
evidence for the input hypothesis. The Modern Language Journal, 73, 4, pp.
440-464.
Krashen, S. (1993). The power of reading: Insights from the research. Englewood,
CO: Libraries Unlimited.
Day, R. R., & Bamford, J. (1998). Extensive reading in the second language
classroom. Cambridge: Cambridge University Press.