運動誘発性喘息・食物依存性運動誘発アナフィラキシーの知識と対応 1 運動誘発性喘息の知識と対応 喘息を持っている児童生徒には,運動をすることによって喘息発作を起こす場合があり ます。このことを運動誘発性喘息といいます。一般的には,20分∼30分くらい安静に していれば自然に回復してしまうものです。 要因としては,運動することによって呼吸数が多くなることにより,気管支粘膜の温度 が下がったり,水分が失われたりするためと考えられます。 喘息発作は,運動の種類やその時々の喘息の状態によって変化しますので,体育の授業 等において,一律に運動制限を加えることは避けるべきです。運動誘発性喘息について正 しい理解をした上で,体育はできるだけ参加できるように配慮することが大切です。 発作を起こしやすい運動の種類 発作を起こしにくい運動の種類 ランニング(マラソン) 登山 水泳 縄跳び 跳び箱 野球 自転車乗り ドッチボール (サイクリング) サッカー (1) ① 起こったときの対応 発 作 が 起 こ っ た と き に 早 く 見 つ け る 。( 発 作 が 起 こ っ た と き は , 周 り に 知 ら せ るよう指導しておく) ② 安静にできるところへ連れて行き休ませる。 ③ ゆっくり腹式呼吸をして呼吸を整えさせる。 ④ 発作が重い場合や20∼30分 たっても改善しない場合は,主治医の指示に従 い対処する。 (2) 予防 ① 適切な治療と指導を受けること。 ② 空気が乾燥して冷たいときには,マスクを使用する。 ③ 十分な準備運動(ウォーミング アップ)を行い,その日の体調に合わせた運動 の種類,時間,強度を調整する。 2 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの知識と対応 特定の食物摂取後に運動することによって,じんましん,呼吸困難,意識障害等のアナ フィラキシー症状を起こす場合を食物依存性運動誘発アナフィラキシーといいます。 常に食物と運動が組み合わされたとき症状が出るわけでなく,その時の気温や湿度等の 環境要因や疲労,風邪,ストレス等の体調の要因やアスピリン等の薬物の関与も考えられ ます。思春期の男性に多いようです。 (1) 症状 初期症状: 気分不良,冷や汗,じんましん,皮膚のかゆみ・あかみ・熱感 吐き気,下痢,嘔吐等 重 (2) 症: 呼吸困難,血圧低下,意識消失等,生命の危険を伴うこともある。 原因食品 ・ 小麦(特に,植物油で調理している場合が多い) ・ 甲殻・軟体類(かに,いか,えび,貝類等) ・ そば ・ ピーナッツ(ナッツ類) ・ 果物(ぶどう,桃等) (3) 誘発運動 ランニング,テニス,サッカー等比較的激しい全身運動を行ったときに起こりや すい。食事をとってから運動までの時間は2∼3時間以内が多く,運動を始めて2 0∼30分に発症する。 (4) 対応 初期症状の 気分不良,冷や汗,じんましん,皮膚のかゆみ等が認められたら直 ちに運動を中止し安静にする。 症状が急変し悪くなるような場合は,直ちに医療機関に受診する。 (5) 予防 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの既往のある者は,再発させないようにす る。 ・ 原因と考えられる食品は,食べないようにする。 ・ もし,原因と推定されている食品を食べた場合は,2∼4時間以内の運動を 制限する。 < 学校での注意> ・ 食物アレルギーを持つ児童生徒の把握 ・ 発症時の対処法の確認 ・ 給食後の授業時間割りの確認(体育の授業等の有無)
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