在留邦人向け「安全の手引き」

在留邦人向け
「安全の手引き」
~安全に暮らすには~
平成28年2月
在モントリオール日本国総領事館
Ⅰ 序言
一般的に,カナダの治安は,他国に比べ比較的良好であると言われていますが,当地を
訪れる旅行者や在住している日本人が犯罪に巻き込まれるケース(置き引き,スリ,車の
盗難,空き巣等)が毎年数十件発生しています。
当総領事館では,在留邦人や旅行者の皆様がトラブルに巻き込まれることがないようご
案内するとともに,万が一,事件・事故に巻き込まれた場合には相談に応じております。
皆様におかれましては,日本とは状況が異なる海外にいることを十分認識の上,トラブ
ルに巻き込まれる前に常に現地社会の変化に注意を払い,ご自身の安全対策に努めるよう
お願い申しあげます。
「安全の手引き」が,在留邦人の皆様や当地を訪れる邦人の方々の当地での滞在を快適に
するために少しでもお役にたてれば幸いです。
Ⅱ 防犯の手引き
1 防犯の基本的心構え
日本は,世界の中でも治安の良い国の一つです。それ故に日本での生活に慣れた日本人
が海外へ行った際には,予想もしない事件や事故に巻き込まれるケースが少なからず見受
けられます。カナダは一般的に治安が良いと言われていますが,それでも,刑法上の犯罪
発生率(人口10万人当たりの刑法犯罪発生件数)は日本より高い水準にあります。当地
に滞在中は,
「自分の身は自分で守る」という心構えを持ち,用心を怠ることのないように
注意し,一人一人がその土地柄に合った防犯の「知識」と「意識」を持って安全対策を講
じることが何よりも大切です。
(注:刑法上の犯罪とは,殺人・強盗・放火・暴行・傷害・窃盗など,その国の刑法な
どの法律によって,規定される犯罪です。)
2 最近の犯罪発生状況
(1)ケベック州モントリオール市警察管轄内犯罪発生件数(モントリオール市警察資料)
殺
殺
暴
強
性
人
人 未 遂
行
盗
的 暴 行
2015年
29件
84件
9,482件
2,107件
1,680件
2014年
28件
69件
9,040件
2,135件
1,529件
増減率
↑ 3.57%
↑21.74%
↑ 4.88%
↓ 1.31%
↑ 9.88%
(2)ケベック州のケベック市警察によれば,同市において,犯罪は減少傾向にあり特に
危険な地域はないとのことですが,夜間の一人歩きなどは極力避けるなど十分に注意して
ください。
(3)ノバスコシア州ハリファックス市警察管轄内犯罪発生件数(ハリファックス市警察
発表)
殺
人
2015年(1月~9月)
6件
2014年(1月~9月)
5件
殺人未遂
暴
行
強
盗
不法侵入
車上狙い・車両盗難
11件
1,914件
154件
859件
283件
21件
1,849件
123件
845件
284件
ハリファックス地域自治体警察及び連邦警察ハリファックス支部によれば,最近,ハ
リファックス・コモンズ地域(ダウンタウン地域から西方へ徒歩5分)における集団襲
撃事件が複数発生しており,ハリファックス地域自治体警察では,同地域の市民に対す
る注意喚起をするとともに,同問題の解決を優先事項として注力しています。
2015年の第3四半期は,前年同時期に比して犯罪件数が9%減少したものの,殺人
が1件,暴行が52件,強盗が16件増加し,対人暴力犯罪件数は9%増となっていま
す。警察当局は,暴力犯罪の増加問題を重視し,犯罪率が比較的高い地区(ホットスポ
ット)を特定し,犯罪につながる要素を見定めるとともに,警察の即時対応部隊,路上
犯罪対策部隊及び銃器・ストリートギャング対策部隊を展開することに優先して取り組
んでいます。
(4)プリンスエドワードアイランド州のシャーロットタウン市警察によれば,シャーロ
ットタウンでは,最近20年間に殺人事件は数件しか発生しておらず,犯罪組織の存在も
認められないとのことです。しかし,若者グループによる車上狙いが増加傾向にあります。
殺
人
暴
行
強
盗
性
的
暴
行
不
法
侵
入
放
火
車上狙い・車両盗難
2015年(4月~6月)
0件
78件
1件
7件
31件
2件
125件
2015年(7月~9月)
0件
94件
0件
12件
70件
0件
159件
(5)ニューファンドランド・ラブラドール州のセント・ジョンズ市などを管轄してい
る王立ニューファンドランド警官隊によれば,セント・ジョンズ市は,カナダ国内の他
地域に比べて治安は安定しており,2003年以降,銃に関連した犯罪はほとんど発生し
ておらず,殺人事件及び行方不明者の発生もほとんどない状況が続いています。
(6)一般市民及び渡航者が被害に遭う事例としては,上述の車両を狙った犯罪に加え,
置き引きの被害がほとんどです。邦人が被害に遭う事件も複数件発生しています。車上狙
いや車両盗難は,ケベック州だけではなく他州でも発生しており,各地の警察が車上狙い
等に対する注意を呼びかけています。自動車から離れる場合には,自宅の敷地内や屋内駐
車場に駐車する場合であっても,自動車のドアを施錠し,外部から見える車内に貴重品な
どを残さないようにしてください。また,外出する際は住居や宿泊先の玄関や窓を全て施
錠し,外出先でも置き引きやスリの被害に遭わないように手荷物をしっかり管理するなど
といった適切な防犯対策を講じてください。
3 防犯のための具体的注意事項
(1) 住居選択のポイント及び防犯対策
モントリオール市内及び郊外の住宅地域において,空き巣目的のピッキング等による
侵入被害が発生しています。特に,夏・冬の休暇の長期旅行などで家を留守にする場合
は注意が必要です。
ア 住居選択のポイント
●警察のホームページなどで地域の治安情勢をチェックしてください。
●集合住宅の場合,3階以上(1階~2階は独立家屋と同じ警備対策が必要)で管理人
が常駐しているところをお勧めします。
●火災の発生に際し,防火・消火設備,避難経路・避難場所,現地消防能力(上述の通
り3階以上の住居が望ましいといっても,現地消防救助活動の限界を越える高さの住居
は避けるべき)について十分調査し,その安全性を確かめてください。
●独立家屋を選択した場合は,屋外に面した全ての出入口や窓に対して防犯対策が施さ
れているか確認してください。
●住居の屋外に面した扉は強固な物か,また鍵は複数個設置されているかチェックして
ください。
イ 防犯対策
●外出が短時間であっても,必ず全てのドアや窓を施錠してください。
●玄関扉等に,鍵を複数個設置すればピッキング等による侵入の可能性が格段に低くな
ります。
(防犯チェーン等を設置すれば,在宅時の防犯対策として更に効果的です。
)
●侵入警報装置や建物周辺に防犯ベル,防犯灯を設置するのも効果的です。
●容易に侵入可能な窓には,鉄柵を設置すれば安全性が高まります。
●不在時や緊急時に協力が得られるよう,普段から良好な隣人関係の保持に努めてくだ
さい。
●不在時の新聞配達を一時停止する,タイマー式照明を設置するなど,外出や長期不在
を悟られないような対策を講じてください。
(2) 外出時及びホテル宿泊時の安全対策
ア 窃盗・強盗(スリや置き引き等)及びその対策
モントリオールでは,毎年多くの日本人が旅券等の盗難被害に遭遇しています。その
大半は,置き引きによる被害です。窃盗犯は,人のスキを狙っていますので,常に周囲
に気を配るようにしてください。
<対策>
●ズボンの後ろポケットやバッグの外側のポケット等人目に付くところにパスポ
ート、財布、スマートフォン等の貴重品は入れないようにしてください。
●昼夜を問わず、人通りの少ない路地を避け、なるべく大通りを歩くように心が
けてください(特に深夜の薄暗い路地は一人で歩かない)。
●見知らぬ人,初対面の人の誘いには軽々しく乗らないようにしてください。
●ホテルでのチェックイン,チェックアウト時,空港カウンターや到着ロビーで,機内
預けのスーツケース等の受け渡しをしているときは,特に貴重品の入ったバッグなどか
ら目を離さないよう注意してください。
●ホテルの部屋に入室したら必ず防犯チェーンを掛け,ノックされたらチェーンを付け
たままドアを開け相手を確認し,扉に覗き穴がある場合は,先ず覗き穴から外側を確認
してください。
●ビュッフェ形式の食事の際,テーブルや椅子などにハンドバッグ等をおいたまま席を
離れないようにしてください。また席に着いている時も,財布や旅券など貴重品を入れ
たままの上着やショルダーバッグを椅子の背もたれに掛けないでください。
●誰かに話しかけられている間に,他の何者かに鞄などから貴重品を抜き取られるケー
スも多く発生していますので,携行する荷物から注意を逸らさないようにしてください。
●不幸にして強盗にあった場合には,犯人が拳銃又はナイフ等を所持している可能性が
十分に考えられますので,抵抗しないで相手の要求どおりに従うことが,結果として被
害を最小限に抑えることつながります。
イ 車上狙い及びその対策
繁華街の有料駐車場でも,白昼に車上狙いが発生しています。自動車を利用される
方は,管理人が常駐しているなど,しっかり管理されている駐車場や周囲からの見通
しのよい駐車場を選び,車内に貴重品やバッグ等を放置したまま車から離れないよう
にしてください。また,携行が困難な貴重品などがある場合には,駐車場ではなく別
の場所で鍵のかかるトランク等に収納するなど,防犯対策を講じてください
ウ 誘拐への対策
●誘拐犯の多くは,実行に移すまでに徹底して事前調査を行うことがありますので,自
宅付近の不審人物の徘徊,不審車両の駐車等に注意し,万が一不審な兆候を発見した場
合には,迷わず現地警察に通報してください。
●御家族で滞在されている方は,家族の行動,居場所等を常に把握しておいてください。
●お子様に対する指導・教育(知らない人について行かない,知らない人の車に乗らな
い等)を徹底してください。
◎注意
カナダの国内法では,父母のいずれもが親権又は監護権を有する場合においても,ま
た,離婚後も子供の親権を共同で保有する場合においても,一方の親が他方の親の同意
を得ずに子供を連れ去る行為は,重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています。
例えば,カナダに住んでいる日本人の親が,他方の親の同意を得ないで子供を日本に
一方的に連れて帰ると,たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反することとなり,
再入国した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし,実際に,逮捕されるケ
ースが発生しています。
国際結婚した後に生まれた子供を日本に連れて帰る際には,こうした事情にも注意す
る必要があります。
○14歳未満の子の連れ去りの場合,10年以下の禁錮刑等を規定(カナダ刑法第2
82,第283条)
。
4 交通事情と事故対策
(1) カナダでは,基本的に高速道路は無料で利用できるうえ,都心部を除けば,交通量
はあまり多くありません。それ故,高速道路には制限速度が定められているものの,制限
速度をオーバーして走行している車両が多く見受けられます。また,日本と比べて,車間
距離を短く取ってくる車両が多いことも特徴です。このため,追突事故等が頻繁に発生し
ておりますので,御注意ください。
車両を運転される際には,一般の道路,高速道路ともに,スピード超過に注意するとと
もに,十分な車間距離の確保を心がけてください。
(2) 安全運転を心がけることは勿論ですが,万一の事故に備え,必ず自動車保険に加入
してください。また,交通事故,車両故障の事態に備え,緊急サービス CAA(Canada
Automobile Association)
(http://www.caa.ca)に入会しておくことも有用です。
なお,一般的にカナダを含め北米では赤信号でも基本的に右折可能ですが,モントリオ
ール島内は赤信号時の右折は禁止されているので注意してください。
(3) ケベック州は,カナダ国内でも交通量が多いうえ,運転が乱暴な傾向が見受けられ
ます。周囲の車に気を遣わない人が多いので注意してください。方向指示器なしでの急な
車線変更,無謀な割り込み,追い越し等々,一歩間違えば大事故となるような運転をして
いるドライバーが多く,また,歩行者や自転車が赤信号で横断をすることも日常茶飯事で
す。豪雪地域であるが故に道路事情も悪く,冬季になると道路に穴や亀裂が至るか所で生
じます。
(4) 冬期の冬用タイヤ装着について,州毎に規則が異なっております。概要については,
下記のとおりです。いずれにせよ,冬期の雪道等を走行する際には十分注意し,いつも以
上に車間距離を取る,早めにブレーキをかける,急ブレーキ・急ハンドルを避けるなど,
安全運転に心がけてください。
ア ケベック州
ケベック州では,州道路交通安全法(Code de la Sécurité Routière)第440条に
て,ケベック州に登録されている車については毎年12月15日から翌年3月15日ま
で,冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ又はスパイクタイヤ)の装着が義務づけられてい
ますので,12月14日までに夏用タイヤから交換してください。冬用タイヤを未装着
の場合,200~300カナダ・ドルの罰金が科されますので,御注意ください。
イ ニューブランズウィック州,ノバスコシア州,プリンスエドワードアイランド州,
ニューファンドランド・ラブラドール州
各州共に,法律では冬用タイヤの装着は義務づけられてはいませんが,冬期の雪道等
を走行する際には十分注意し,安全運転に心がけてください。
ウ 各州共通の規定
冬タイヤのうちスパイクタイヤについては,以下の期間以外で使用された場合,車
輌の登録地の如何を問わず,各州の法律が適用され,罰則の対象になります。なお,
対象期間が州毎に異なる点に御注意ください。
●ケベック州:10月15日~5月1日
●ニューブランズウィック州:10月15日~5月1日
●ノバスコシア州:10月15日~5月31日
●プリンスエドワードアイランド州:10月1日~5月31日
●ニューファンドランド・ラブラドール州:11月1日~4月30日
5 万が一,犯罪等の被害に遭遇した場合
不幸にもトラブルに巻き込まれてしまった場合は,まず警察「911」に通報し,最寄
りの警察署に被害届を提出し,被害届出証明書を取得してください。被害届出証明書は,
被害にあった後の各種申請時に必要になります。特に,クレジットカードの盗難にあった
場合には,直ちにカード発行会社に連絡してください。
6 テロについて
(1) カナダでは,2014年10月,ケベック州において兵士を車でひき殺害し
たテロ事件,オタワ市中心部において兵士をライフル銃で射殺したテロ事件が連続
して発生しました。これら2つの事件は,ISIL(イラク・レバントのイスラム
国)が、米国、カナダ等の「連合」による攻撃を批判し,世界のイスラム教徒に対
して,対ISIL連合諸国の国民を攻撃するよう扇動する声明を発出し,カナダ治
安当局がテロ脅威レベルを「低程度」から「中程度」へ引き上げた直後に発生して
います。
(2) カナダには数多くのイスラム・コミュニティが存在し,国内外においてカナ
ダ国籍者或いはカナダに居住歴のあるイスラム過激派メンバーや支援者が多数検
挙されています。最近は,資金援助・物資支援・リクルート活動などテロを支援す
る動きが広がっており,テロ関連活動に参加する目的で海外渡航した者が帰国後に
テロを引き起こすことが懸念されています。
(3) なお,カナダは多くの難民を受け入れており,テロリストが難民に紛れ込ん
で入国する可能性も懸念されていることから,カナダ政府は警戒を強化しています。
近年,国内で発生した主なテロまたは未遂事件として以下があげられます。
●2015年1月:ISIL報道官による欧米諸国等へのテロの呼びかけ
●2014年10月:オタワ市中心部連邦議事堂等における銃撃テロ事件
●2014年10月:ケベック州における軍兵士を標的としたひき逃げテロ事件
●2013年7月:カナダデーを標的とした爆破テロ未遂事件
●2013年4月:VIA鉄道爆破未遂事件
以上を踏まえ,各州の政府・軍・警察関係施設に加え,バス停・駅・空港及び観光
施設・ショッピングモール・イベント会場など不特定多数の人が集まる場所を訪れ
る際には,周囲の状況に十分注意を払い,不審な状況を察したら速やかにその場を
離れるなど,身体の安全確保に十分注意するように心がけて下さい。
7 その他
(1)麻薬
カナダでは麻薬売買,所持は厳罰の対象になります。自らの人生を台無しにしないた
めにも,麻薬には絶対手を出さないでください。また,若者の麻薬問題に関する報道も
散見されていますので,若年者,学生などの御子様がいる御家庭は,特に注意して
ください。
なお,知らないうちに麻薬の運び屋にされることのないよう,見知らぬ人はもちろん,
例え知り合いであっても他人の荷物を安易に預かったり,国外に運んだりすることは避
けましょう。
(2)禁制品の持ち込み,持ち出し
持ち込み,持ち出し禁止(制限)品目や出入国時の外貨申告制度など,出入国に関わ
る規制は正確な情報を入手して,それを守ることが必要です。見つかっても没収される
程度というような安易な考えは禁物です。また,日本で所持しているだけでは罪にはな
らない物でも,当地では所持しているだけで罪になる物もありますので,出入国の際は
注意して下さい。また,パソコン内に保存されたデータも検査の対象となり得ますので,
持ち込み,持ち出し禁止(制限)品目となっているデータを保存したままでの出入国は
避けてください。
8 緊急連絡先
別表「緊急連絡先」参照
9 外務省の海外安全情報提供サービス
(インターネット)
・外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp
・在モントリオール日本国総領事館ホームページ
http://www.montreal.ca.emb-japan.go.jp/
10 緊急時に役立つ言葉(仏語/英語)
・助けて!
Au secours!「オ スクー」/Help me!「ヘルプ ミー」
・警察を呼んで!
Appelez la police!「アプレ ラ ポリス」/Call the police! 「コール ザ ポリス」
・救急車を呼んで!
Appelez l’ambulance! 「アプレ ランビュランス」/Call the ambulance! 「コール
ジ アンビュランス」
・火事だ!
Au feu!「オ フゥ」/Fire!「ファイヤー」
・消防車を呼んで!
Appelez les pompiers!「アプレ レ ポンピエ」/Call the fire engine!「コール ザ
ファイヤーエンジン」
・泥棒だ!
Au voleur!「オ ヴォルー」/Robber!「ラバー」
Ⅲ 在留邦人用緊急事態対処マニュアル
1 平素の心構えと準備
カナダは,政治的に安定しており,内戦やクーデターは想定されにくいですが,一方,
2001年9月11日にアメリカで同時多発テロが発生して以降,これまで比較的安全と
いわれていた国においてもテロ等の緊急事態が発生しており,2010年7月にはケベッ
ク州でもトロワ・リヴィエールのカナダ軍施設で爆発事件がありました。そして,201
3年4月には,同じく隣国アメリカのボストンで爆破テロ事件が発生しており,同月には,
モントリオールを含むカナダ国内でも,テロ計画の容疑でテロリスト複数名が逮捕されて
います。2014年10月20日,ケベック州サン・ジャン・シュル・リシュリュー市に
あるカナダ政府機関の事務所前にてカナダ軍人2名が車に轢き逃げされるテロ事件が発生
したのに続き,同月22日,オタワ市内において銃撃テロ事件が発生しました。2014
年10月に発生した2件のテロ事件はともに,イスラム過激派に感化されたカナダ人によ
る単独のテロ事件でした。
2015年には,イスラム過激派組織のイラク・レバントのイスラム国(ISIL)の
関係者と思われる者により,日本国民の本国民の安全を脅かすことを示す発言がなされて
おり,日本人,日本企業,及び,日本人学校等の我が国の関係機関や組織がテロを含む様々
な事件に巻き込まれる危険があります。
また,鳥・新型インフルエンザ,大寒波等の不測の事態が発生する可能性も否定するこ
とはできません。そのため,平素から緊急事態に備えた心構えと準備が肝要です。
(1)連絡体制の整備
不測の緊急事態に備え,あらかじめ家族・友人・知人間,会社又は所属する各邦人団
体内での緊急連絡網を整備しておくことが重要です。また,緊急時に必要な情報が届く
よう,在留届の届出や連絡先変更がある場合における変更の届出を励行してください(ス
ムーズな安否確認のため,帰国時・転出時の在留届についてもその旨の通知をお願いい
たします)
。
(2)情報収集と一時避難場所
緊急事態発生の際には,常にその状況の進展に注意を払って情報を収集し,危険な場
所に近づかないことを心がけてください。
また,万が一緊急事態に巻き込まれた場合に備えて,平素から,いくつかのケースを
あらかじめ想定して一時避難場所を検討されることをお勧めします。
(3)緊急事態における携行品及び非常用物資の準備
旅券,現金,貴重品など最低限必要な物は,あらかじめまとめて保管し,携帯電話な
どの通信手段とともに,直ちに持ち出せるよう準備をしておきましょう。
また,緊急時に一定期間自宅で待機する場合もありますので,非常用食料・飲料,医
薬品,燃料などの緊急備蓄品を10日分程度準備されることをお勧めします。
(4)自動車の整備と燃料
いざとなった場合に,自動車は移動手段としてだけでなく,避難先にも,暖をとる場
所にも,ラジオ等からの情報を入手する場所にもなりますので,日頃から自動車の整備
を行うととともに,ガソリンが残り半分になったら,給油するなど,できるだけ燃料を
満タンに補充しておきましょう。
(5)オンライン安否照会システム
海外で大規模な災害・事件が発生して邦人が多数巻き込まれる可能性がある場合に,
外務省の海外安全ホームページ上で安否確認照会を本邦及び海外の照会者が依頼するこ
とができるシステムで,外務省や在外公館が実施する安否確認の結果や情報の更新をホ
ームページ上で確認することができます。(照会者は被照会者の親族の方で二親等以内)
システムの御利用方法は,外務省海外安全ホームページ内の利用案内
(http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/online.html) を参照してください。
(6)外務省海外旅行登録「たびレジ」
2014年,
「在留届」提出義務の適用範囲ではない,3か月未満の短期渡航者(海外
旅行者,出張者)にも現地での滞在予定をオンライン登録できるシステム「たびレジ」
)
の運用を開始しました。
海外旅行者や出張者が,
「たびレジ」に旅行日程・旅行者情報を登録することで,緊急事
態発生など安全に関わる情報を登録した自身のパソコンや携帯端末のアドレスにて受信
することが可能となります。また,カナダ以外の海外においても,大規模な事故や災害
などが発生した場合,必要な支援がスムーズに受けられます。
なお,これらのメールは指定した家族や職場等のアドレスを追加登録して,受信する こ
ともできます。
「たびレジ」の御利用方法は,外務省海外安全ホームページ内の利用案内
(http://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg) を参照してください。
(7)海外安全アプリ
2015年7月より,海外安全アプリが公開されました。
ア 海外安全アプリとは
海外にお住まいの方や海外旅行・出張中の方に,安全に係わる情報をお届けするこ
とを目的としたアプリです。
イ このアプリでできること
●スマートフォンの GPS 機能を利用して現在地及び周辺国・地域の海外安全情報
を表示することが出来ます。
●任意の国・地域を「MY 旅行情報」機能から選択することで、その国・地域に対
する海外安全情報が発出された場合にプッシュ通知で受信することが出来ます。
●各国・地域の緊急連絡先を確認することが出来ます。
「海 外安全ア プリ」の御利 用方法は ,外務省海外 安全ホー ムページ内の 利用案 内
(http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/oshirase_kaian_app.html)を参照してくださ
い。
2 緊急時の行動
(1)基本的心構え
自宅やホテルなどで緊急事態の報に接した場合には,不用意に外出することは避け,
その場に待機することが賢明です。
また,外出中に遭遇した場合には,事件現場や群集には近づかず,好奇心で騒乱の場
に参加するような行動は決してとらないようにしてください。また,車で走行中であれ
ば,来た道を引き返し安全な場所に移動する,歩行中であれば,安全な建物に一時避難
してください。
なお,待機場所に留まることができない状況が発生した場合は,あらかじめ設定して
いる避難場所へ,なるべく複数人で避難してください。
(2)情報の把握
緊急事態が発生した場合,又は発生する恐れのある場合,総領事館は邦人保護に万全
を期するため,所要の情報収集,情報判断及び対策の策定を行い,在留届に基づき皆様
へ情報を連絡させていただきます。できるだけ平静を保ち,流言蜚語に惑わされたり群
集心理に巻き込まれたりすることのないようお願いします。
緊急事態発生の際には,テレビ,ラジオ,インターネット等で,冷静に関連情報を収集
するよう各自心がけてください。
(NHK 海外放送(ラジオジャパン)
:北米東部地域周波数(英語放送のみ)15190kHz,
西部地域11740kHz(放送時間が限られています。
)
(3)当館への通報
自分や家族又は他の邦人の生命・身体・財産に危害が及び,又は及ぶ恐れがある時は,
迅速かつ具体的にその状況を総領事館に通報してください。
緊急事態発生の際には,お互いに助け合って対応にあたることも必要となります。在
留邦人の皆様に御助力をお願いすることもございますので,宜しくお願いいたします。
(4)国外への退避
ア 事態が悪化し,各自の判断により自主的に,又は総領事館の指示により帰国乃至第
三国等へ退避する場合は,確実な所在確認と安否確認を行うため,その旨を総領事館
へ通報してください。総領事館への連絡が困難な場合は,日本の外務省海外邦人安全
課(電話番号+81-3-5501-8160)に連絡するようお願いいたします。
イ 日本の外務省より「退避勧告」が発出された場合で,自家用車や一般の公共交通機
関(商用機,列車,バス等)が安全な形で運行している間には,それを使って可能な
限り早急に退避してください。一般商業便等の運行がなくなった場合,又は満席の場
合などは臨時便やチャーター便により退避することが必要となってくることもあり得
ますので,総領事館の指示に従ってください。
3 緊急事態に備えてのチェックリスト
☐旅券
・6か月以上の残存有効期間があるか。
☐外国人登録証明書,滞在許可証等
・出国許可や再入国許可(これら許可が必要な場合)は常に有効なものとしておくことが
必要です。
☐現金,貴金属,貯金通帳等の有価証券,クレジットカード
・これらのものは,緊急時には旅券同様すぐ持ち出せるよう保管しておいてください。ま
た家族全員が10日間程度生活できる現金(カナダ・ドル及び外貨(米ドルなど))を用意
しておくことをおすすめします。
☐自動車の整備
・自動車をお持ちの方は常時整備しておくよう心掛けてください。
・燃料は十分入れておくようにしてください。
・車内には,常時,懐中電灯,地図,ティッシュ等を備えおきください。
・なお,自動車を持っていない方は,近くに住む自動車を持っている人と平素から連絡を
とり,必要な場合同乗できるよう相談しておいてください。
☐衣類・着替え
・長袖・長ズボンが賢明。行動に便利で,人目を引くような華美なものでないもの。夏季
の場合は麻,綿等吸湿性,耐暑製に富む素材のもの,冬季の場合は耐寒性の富むものが望
ましい。
☐履物
・行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの。
☐洗面用具
・タオル,歯磨きセット,石鹸等。
☐非常用食料等
・しばらく自宅待機する場合も想定して,米,調味料,缶詰類,インスタント食品,粉ミ
ルク等の保存食及びミネラルウォーターを家族全員が10日間程度生活できる量を準備し
ておいてください。
・一時避難の目的で自宅から他の場所へ避難する際にはこの中からインスタント食品,缶
詰類,粉ミルク,ミネラルウォーターを入れた水筒(大型が望ましい)を携行するように
してください。
☐医薬品
・家庭用常備薬の他,常用薬,外傷薬,消毒用石鹸,衛生綿,包帯,絆創膏など。
☐ラジオ
・NHK海外放送(ラジオジャパン)
,BBC等の短波放送が受信できる電池使用のもの(電
池の予備も忘れないようにしてください)。
☐その他
・懐中電灯,予備の強力バッテリー,ライター,ロウソク,マッチ,ナイフ,缶切り,栓
抜き,紙製の食器,割り箸,固形燃料,簡単な炊事用具,ヘルメットや防災頭巾等。
Ⅳ 結語
本手引きを読まれた皆様は,モントリオールで事件・事故に巻き込まれないために,
どのような対策が必要か,そして防犯や危機管理に対する意識のあり方について,御理
解いただけたのではないかと思います。しかし,この手引きでは紹介していないような
トラブルに遭遇することも十分にありますので,そのような場合に備え「自分の身は自
分で守る」という基本を忘れずに行動するように心がけてください。
万が一,御自身だけでは対処しきれない問題が発生した際には,遠慮なく当館へ御相
談ください。
(了)