事 業 計 画 書 - 東京藝術大学附属図書館

-「クリストファ・N・野澤コレクション」公開促進事業-
事 業 計 画 書
Ⅰ 事業の目的及び意義
世界的 SP レコード研究家・収集家であったクリストファ・N・野澤氏が、半世紀以上に
亘って収集したクラシック音楽の貴重なコレクションであり、氏の急逝により、そのコレ
クション全体は、東京藝術大学附属図書館に寄贈された。
2万枚を超えると見積もられる SP レコード等から成る本コレクションは、洋楽レコー
ドのコレクションとしては国内最大級の規模を誇り、歴史的重要性の高い貴重音源が多数
含まれており、氏愛用の蓄音機で再生される独特のリアリティをもったそのサウンドは、
音楽を学ぶ学生や市民に対して多くの啓発や癒しを与えてくれることになろう。
本事業は、寄贈を受けた本学附属図書館の使命として、当コレクションから成る大規模
洋楽音源アーカイブとしてのデータベースを構築し、その速やかな公開を図り、本学の研
究成果を一般社会に還元し、我が国の芸術文化の発展に寄与するところの多い意義ある事
業である。
Ⅱ 事業についての概要
本コレクションを整理し、歴史に足跡を残した過去の大演奏家たちの演奏を蓄音機によ
る生の再生音で聴くことのできる一大拠点を整備するとともに、国内で初の大規模洋楽音
源アーカイブデータベースの一般社会への公開利用を促進する。
(本事業専用Webサイト(1 月公開予定)http://www.lib.geidai.ac.jp/nozawa/)
Ⅲ 事業の具体的な実施内容
1.ミニディスク(MD)の整理と公開活用
・ワープロ印刷の楽曲リスト(バインダー24 冊)を電子ファイル化
・MD から電子ファイル(WAV, MP3)への変換
・既に CD 化されている音源の分析及び活用の検討
・公開と維持・保存のための CD への媒体変換
・楽曲リストと音源(著作権上可能なもの)の一般公開(館内閲覧・試聴)
2.SP レコードの整理と公開活用
・MD の楽曲リストを元に、コレクションの概要把握・分析
・コレクションに適した目録入力項目の検討及びアーカイブシステムの検討
・SP レコード盤クリーニング(必要に応じて)
・SP レコード盤面(レーベル)デジタル撮影及び目録データ作成
・SP レコードコレクションの演奏史的観点からの分析
・SP レコード音源デジタル化資料の演奏史観点からの選択及び高音質デジタル化
・SP レコードの維持・保存のための保存箱及び保存袋の作成
・SP レコードの状態により、館内試聴、学生・一般対象の蓄音機レクチャー
コンサート等に活用
・SP レコード目録データとデジタル音源を一般公開
3.演奏会プログラム等の整理と公開活用
・コレクションの概要把握・分析及びコレクションに適した目録入力項目の検討
・演奏会プログラム等目録データ作成
・目録データとともに資料を一般公開
4.蓄音機コンサートの実施
・在学生向け蓄音機コンサートの実施
・一般向け蓄音機コンサートの実施(藝大独自の企画を検討)
Ⅳ 期待される成果・効果
1.蓄音機コンサートにより、音楽実技専攻学生が歴史に足跡を残した大演奏家たちの演
奏に触れることで、そこから思いもよらない発想や表現へと至る可能性への期待
2.洋楽演奏史の貴重な基本資料として音楽史上の学術的意味づけをすることにより、戦
前・戦後の演奏史研究の飛躍的な進展への期待
3.
一般を対象とした蓄音機コンサートの開催や歴史的洋楽音源アーカイブの公開により、
市民の癒しの場を提供するとともにアーカイブの利用促進による社会的効果を期待
4.我が国のかけがえのない文化遺産として、このコレクションを維持・保存していくこ
とに対する一般社会からの期待
「クリストファ・N・野澤コレクション」の概要
○SPレコード 約20,000枚以上 (SPレコードから転写された ・カセット 約1,200巻 ・CD-R 約1,000枚 ・MD 約1,300枚 を含む)
○LPレコード 約6,000枚以上 ○蓄音機(クレデンザ、アポロンなど) ○文献資料(レコード目録・レコード文献カタログ・演奏会プログラムなど)
コレクションは、洋楽全般に亘るものであるが、戦前のヴィルトゥオーソ(巨匠)と呼ばれる演奏家たちの名演が多数含まれている。特に、ヴァイオリニストの
レコードは、日本国内のみでなく世界的にも有数のコレクションであり、ミッシャ・エルマン、フリッツ・クライスラー、ジャック・ティボーといった著名な演奏家は
もちろんのこと、近年、再評価が進みつつあるブロニスラフ・フーベルマン、バーシャ・プシホダのような演奏家まで幅広く揃えられている。また、来日外国人
演奏家や日本人演奏家、日本人作曲家のレコード収集にも重点が置かれており、日本における洋楽導入史を語る上でも貴重なコレクションとなっている。
そのため、多くのSPレコード復刻CD作製にあたり、「from The Library of CHRISTOPHER N.NOZAWA」として音源が提供されている。
※ローム ミュージック ファンデーション「日本SP名盤復刻選集」/オクタヴィア・レコード「フーベルマンの芸術」「プシホダの芸術」/小学館「宮沢賢治の聴いたクラシック」 など
事業実施全体スケジュール
【事業名:「クリストファ・N・野澤コレクション」公開促進事業】
平成26年度
作業内容
平成27年度
平成28年度
平成29年度
平成30年度
平成31年度以降
1.ミニディスク(MD)の整理と公開活用
・楽曲リストの電子ファイル化
※Excelファイルで編集 ※検索を可能に
・MDから電子ファイルへの変換
※HDDにデジタルデータとしてアーカイブ
・CDへの媒体変換
※CD化で試聴を容易に ※バックアップとしても機能
・楽曲リストと音源の一般公開
※著作権上可能なものを館内閲覧・試聴を可能に
2.SPレコードの整理と公開活用
・コレクションの概要把握・分析
※MDの楽曲リストを参照し、コレクションの全体像を把握・分析
・目録入力項目の検討
※コレクションに最適な目録入力項目を検討
・アーカイブシステムの検討
・レコードレーベルデジタル撮影
・目録データ作成
・音源デジタル化資料の選択
・高音質デジタル化
・目録データとデジタル音源を公開
※最適なアーカイブシステムを検討
※レコード枚数が大量のため、作業を計画的に実施
※デジタル化の必要なものを厳選し、高音質デジタル化
※公開方法を検討
※公開用プラットフォームの構築
※公開
3.演奏会プログラム等の整理と公開活用
・コレクションの概要把握・分析
※コレクションの全体像を把握・分析
・目録入力項目の検討
※コレクションに最適な目録入力項目を検討
・目録データ作成
※資料が多岐に亘るため、作業を計画的に実施
・目録データとともに公開
※公開方法を検討
※公開用プラットフォームの構築
※公開
4.蓄音機コンサートの実施
・在学生向け蓄音機コンサート
※現役学生対象の蓄音機レクチャーコンサートを定期的に実施
・一般向け蓄音機コンサート
※一般対象の蓄音機レクチャーコンサートを定期的に実施 ※藝大の資源を生かしたコンサート
事業収支計画書
【事業名:「クリストファ・N・野澤コレクション」公開促進事業】
項目
自己資金
(単位:円)
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
480,000
480,000
480,000
480,000
2,800,000
2,800,000
科学研究費補助金(※申請予定)
収 入
研究助成団体助成事業(※申請予定)
8,930,000
5,650,000
5,450,000
その他助成金(※申請中/申請予定)
400,000
400,000
400,000
協賛金(※目標額)
収入合計
平成30年度 平成31年度以降
480,000
合計
2,400,000
5,600,000
20,030,000
400,000
500,000
1,000,000
1,000,000
1,000,000
500,000
980,000
10,810,000
10,330,000
10,130,000
1,380,000
1,600,000
4,000,000
-
33,630,000
MDの整理
・楽曲リストの電子ファイル化
作業費(学生バイト)
180,000
・音源の媒体変換及び電子化
作業費(学生バイト)
300,000
180,000
180,000
480,000
SPレコードの整理
支 出
・コレクションの把握・分析
作業費(学生バイト)
300,000
・レーベルデジタル撮影
業務委託費
975,000
・目録データ作成
業務委託費
975,000
975,000
975,000
2,925,000
・高音質デジタル化
業務委託費
6,000,000
6,000,000
6,000,000
18,000,000
・SPレコード保存箱・保存袋
物品費
500,000
500,000
500,000
1,500,000
・コレクションの把握・分析
作業費(学生バイト)
300,000
・目録データ作成
作業費(学生バイト)
480,000
480,000
480,000
480,000
80,000
80,000
80,000
80,000
80,000
400,000
320,000
320,000
1,600,000
300,000
975,000
975,000
2,925,000
演奏会プログラム等の整理
300,000
1,920,000
蓄音機コンサート
・在学生向け蓄音機コンサート 実施経費
・一般向け蓄音機コンサート
公開プラットフォームの構築
320,000
広報経費、実施経費
業務委託費
320,000
320,000
500,000
300,000
800,000
支出合計
480,000
10,110,000
9,830,000
9,630,000
880,000
400,000
31,330,000
年間収支合計
500,000
700,000
500,000
500,000
500,000
-400,000
2,300,000