樹脂材料の特性可視化技術の開発

平成23~25年度
(A-STEP)
研究成果事例
樹脂材料の特性可視化技術の開発
-樹脂材料の選択-
[背景・目的]
国内の樹脂業界では多様化するニーズに合わせ、一つの種類の樹脂でも耐熱性グレー
ド、高剛性グレードなど多様なグレードの材料が各樹脂メーカーから販売されており、
生産現場では製品に合った適切な材料を選択することが難しくなっています。
そこで、ニューラルネットワークの一種である自己組織化マップ(SOM)を応用して樹
脂材料の特性が近いもの同士を近くに配置できる樹脂特性可視化マップを作成し、多数
のグレードの中から目的に合った材料を迅速に選択するためのツールを開発しました。
[研究成果]
本技術を活用して医療用器具の樹脂部品(図1)の材料の選択を支援しました。
・3社 32 グレードの透明ポリプロピレン樹脂材料の自己組織化マップ(図2)を作成
し、5つのグループに分類しました。
・3つのグループから代表的な材料を用いて、第一次試作を行い、試作品の物性評価試
験を行いました。
・この結果をもとに、製品に求められる物性値を満たす材料の候補を特性可視化マップ
から絞り込むことにより、製品に使用する材料の選択を迅速に行うことができました。
図1 県内企業で製造している医療器具部品
図2 透明ポリプロピレン樹脂の
特性可視化マップ
[研究成果の普及・技術移転の計画]
透明ポリプロピレン樹脂の他に、透明 ABS 樹脂やスチレン系エラストマーについても
特性可視化マップを作成しており、成形品を扱う技術者に本技術を紹介しています。
また、樹脂の材料選択やグレードの特性把握など、樹脂材料についての技術相談に対
応するツールとして利用しており、今後は、対応する樹脂の種類を増やしていき、Web
上から検索できる総合的な樹脂材料検索システムを作成する予定です。
協力機関
(独)産業技術総合研究所
お問い合わせ先
工業技術研究所
化学材料科
電話 054-278-3025