空気集熱式ソーラー空調システムの利用率向上 と適用範囲拡大に関する

「太陽エネルギー新利用システム技術開発研究事業」
(事後評価) 第1回分科会資料
資料 7-1
新エネルギー技術開発研究
太陽エネルギー新利用システム技術開発研究
空気集熱式ソーラー空調システムの利用率向上
と適用範囲拡大に関する研究開発
委託先名
株式会社 東洋ソーラーシステム研究所
駒 沢 女 子 大 学
株式会社 渡辺治建築都市設計事務所
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原簿 P.ⅰ-1
研究の必要性
空気集熱式ソーラーシステムの特徴,実
用性と普及を妨げる要因
空気集熱ソーラー標準システム図
【空気集熱式ソーラーシステムの特徴】
希薄な太陽エネルギーの集熱に空気はマッチング
水を使わないので凍結,水漏れ,腐食の問題がない。
低コストの材料でシステム構成ができる。
屋根そのものが集熱器である合理性
1循環で湯が沸く 空気-水熱交換システムだから
タンク内の温度成層が保たれ、朝から太陽給湯が使える。
蓄熱装置と補助熱源の1台のエアコンで部屋毎
に制御できるダクトマルチエアコンとなっている。
高性能エアフィルターや光触媒空気浄化装置、
加湿器の取り付けも容易で、1台で全室に対応
全室換気システムを兼ねる
【普及を妨げる要因】
暖房・給湯システムは夏期の集熱温風は大部分が
捨てられる。 冷房は全てエアコンでは納得されない。
性能
原簿 P. ⅰ-1
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研究開発実施項目と目標
利用率向上
夏期に捨てられていた集熱温風を活用した
デシカント冷房システムの開発
適用範囲拡大
屋根方位が南向きではない集熱屋根面またはフラットな屋根に適応して効率
よく集熱できる高性能集熱板および集熱屋根パネルの開発
壁面集熱パネルでも効率よく集熱できる集熱パネルの開発
目標性能: 集熱効率が従来のものより5 % 以上向上、
生産コスト: 30,000円/㎡。
空気集熱式ソーラーシステムのコストの低減による適用範囲を広げる開発
少量生産で現状、非常に割高な集熱板を、少量生産でも低コストで
できる集熱板製造機を開発してシステム部材の低コスト化
作業性: 一人で操作できること
加工速度: 60枚/1分 以上
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原簿 P. ⅰ-2
デシカント冷房開発目標設定とその理由
デシカント冷房の方式
シリカゲル床と砕石深夜外気蓄冷方式
デシカントシステムの方式選定理由
•
シリカゲルベッドは蓄エネルギー装置
•
シリカゲルベッドは簡単構造
•
暖房用蓄熱装置の砕石が深夜外気蓄冷
による冷房用放熱器として活用できる
•
したがって冷房ために追加するものは二つのシリカゲ
ルベッドとその風路切換え制御装置を含むデシカントユ
ニットだけ
•
除湿機能は冷房以外にも利用できる
研究開発目標
シリカゲルの再生終了検知とシリカゲルの吸湿能力低下の
判定を含む制御方法の開発
2槽切り換え式シリカゲルユニットの開発試作試験
目標コスト: 30万円以下
補助熱源のヒートポンプとの協調運転方法の研究
乾燥空気を外気蓄冷されている砕石で冷却する際の異常温
度分布の原因と解決法の解明
砕石蓄熱装置がない場合の外気への放熱熱交換器の開発
試作
原簿 P. ⅰ-2
4
研究成果 シリカゲル層の局所含水率を測定できるセンサー確認試験
•
•
•
シリカゲル層の局所含水率を測定できるセンサーとして空気湿度セン
サーが利用できることを確認
シリカゲル層の中に埋め込むことにより、埋め込んだ位置のシリカゲル
の局所含水率を検出できることを確かめた。
二つのシリカゲルベッドを再生工程と冷房工程に交互に切換える自動制
御の方式の開発ができた
5
原簿 P. ⅰ-4
研究成果 8個の切換えダンパーと二つのシリカゲル槽を
一体としたデシカントユニット の開発試作
●
原簿 P. ⅰ-4
再生工程と冷房工程に交互に
切換える8個の風路切換えダ
ンパーと二つのシリカゲルべッ
ドを一体に組み合わせたデシ
カントユニット
•
駒沢女子大学の集熱屋根の
下の小屋裏に150kgのシリカ
ゲルベッドを設置して、実験を
行い、COP 40 % 以上の冷房
性能が得られることを確認した
•
ファン動力もシリカゲルベッド
の圧力損失が50Pa以下と小
さいことが確認された。
•
切り替えダンパーの空気漏れ
量1%以下のダンパーも開発
6
研究成果 デシカント冷房放熱器としての砕石蓄熱装置
と放熱熱交換器の開発試作
•
•
•
デシカント通過後の乾燥空気を砕石層に通し、排熱放熱器として利用
しようとすると砕石表面に土汚れがあると異常な温度分布を示す。
表面をよく洗浄した砕石と入替え、デシカント冷房の排熱放熱器として
利用できることを確かめた
プラスチック素材の外気への放熱熱交換器も有効である
7
原簿 P. ⅰ-5
駒沢女子大学のソーラーシステムにデシカントユニット
研究成果
原簿 P. ⅰ-5
と補助熱源のエアコンも組込みフィールドテスト
•
単純に補助熱源に
切り替える方式
•
デシカントは除湿を
エアコンは空気温
度を下げ
協調運転ができる
•
温風集熱量に対す
る冷房出力COPの
1例 8/22 43%
8
研究成果
高性能集熱板 の試作とそれによる集熱パネルの開発試験
•
フラット屋根や南面からずれた方
位の集熱屋根に適合する屋根材
兼用三角断面集熱パネル
•
蓄熱装置へのダクトも内蔵した壁
集熱パネル
•
従来の集熱板に対し、集熱効率の
上昇10%以上
9
原簿 P. ⅰ-6
研究成果
原簿 P. ⅰ-7
試作した集熱板折曲げ整形機
•
折曲げ整形の2段工程
•
加工速度 60~100枚/hour
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研究成果 建築構造一体空気搬送路システムと蓄熱装置の開発試験
•
床下にコンパクトに収まる
蓄熱装置
•
低い空気流れ抵抗と高い
熱伝達率
原簿 P. ⅰ-7
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対外発表と普及実用化に向けた活動
対外発表
•
•
•
学会研究発表講演 日本太陽エネルギー学会発表会講演 3件
学会誌 解説記事
ソーラー建築の現状と課題
1件
学会委員会等での依頼講演
2件
実用化に向けての研究継続
駒沢女子大学でのフィールドテストはH20年も継続し、デシカントシステムと
エアコンとの協調運転における省エネルギー効果を確認して実用化につなげる。
フラット屋根や南面からずれた方位の集熱屋根に適合する屋根材兼用三角
断面集熱パネルはコスト低減をさらに検討し、実用化する。
原簿 P.ⅰ-8
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まとめ
• 空気集熱式ソーラー空調システムの利用率向上を目指し
シリカゲルベッドによるデシカント冷房の開発を行った
• 従来の砕石蓄熱装置のある暖房・給湯システムにデシカント
ユニットを付加することで 冷房が可能である。砕石蓄熱装置
がない場合は空冷熱交換器によっても可能である。
• 集熱屋根の南方位にない場合やフラット屋根にも適合する
集熱パネルを試作試験を行い従来のものより5%以上の効
率向上を確認
• 少量生産でも低コストでできる集熱板折曲げ整形器を開発
原簿 P. ⅰ-7
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