97ページ~奥付 - クリエイティブコンソーシアム(美容)

1.4.2
タイにおける美容教育
1.タイの教育制度
タイの教育制度は日本と似ており、就学前教育、初等教育6年、前期中等教育3年、後
期中等教育・後期職業教育3年、高等教育3年以上となっている。日本同様、初等教育6
年及び前期中等教育3年の9年間が義務教育である。後期中等教育修了後は、約半分が高
等教育に進む。なお、学校の年度はこれまで5月始まりであったが、2015年末に予定
されているアセアン経済共同体の発足に合わせて、東南アジアで多い9月始まりに変更さ
れている。
職業教育は中等教育レベルのものと高等教育レベルものがあり、後者では職業(または
技術)学校と呼ばれる。職業(または技術)学校を修了すると、certificate と diploma
の 2 種類の卒業証書が授与される。タイ教育省は、近年、大卒者の未就職急増や産業界の
要求もあり、職業教育訓練学生を増加させる政策を推進しており、予算も増加している。
2.タイの資格枠組み
タ イ の 資 格 枠 組 み は、 National Qualifications Framework (NQF)及び Professional
Qualifications Framework (PQF)の 2 種がある。2011 年には、教育省の下、Thailand
Professional Qualification Institute (TPQI)が、内閣承認を受け設立されている。TPQI
の主な目的は、タイにおける専門(職業・貿易)資格を規制し、能力(competency)に基
づく標準化を行い、その水準を上げることにある。また、専門(職業・貿易)資格の質保
証制度を、透明なアクレディテーション過程により行い、2015 年のアセアン経済共同体
(ASEAN Economic Community)の成立に向けタイの専門・職業・貿易に関わる労働者の競
争力を高めるとしている。TPQI は首相府大臣が監督する形であるが、TPQI には産業省、労
働省、タイ商工会議所など多くのステークホルダーが関係するので、政治的なこともあり、
調整に時間がかかり、実際あまり動いていない模様である。2012 年度における対象の分野
は、石油化学・石油、ICT、タイ料理シェフ、ロジスティックス、病院・健康サービス、建
設、宝石・、服とファッション、スパ・美容セラピーである。TPQI ではレベルを 1 から 8
まで設定し、キャリアパスを構築する試みであり、各レベルに対し必要なコンピテンス(知
識・スキル)規定している。この点は、本文科省事業と共通の発想がある。なお、タイの
職業教育訓練に関しては、教育省は専門学校監督により修了証を保証し、労働省は短期間
訓練という管轄の違いがある。
タイでは、一般的に、海外の資格(医師、弁護士など)を持っていても、国内の資格に
パスしない限り使えない。労働省が定めた技能制度でレベル 1 から3まであり、レベルが
賃金に反映されることになっている。ブルーカラーワーカーの技能の公的証明書としての
意味があり、機械工、電気・電子工、産業工業、建設工などが対象となっている。美容に
近いものとして、サービス技能者(タイ式マッサージ師、西洋式スパセラピスト)がある。
マッサージ師はワット・ポーという寺院が発行している。タイ政府は、医療ツーリズムと
教育ツーリズムに力を入れている。
教育省の職業教育委員会(OVEC)は職業学校 421 校の監督をし、コアカリキュラムを設
97
定し、学校はそれに沿った教育を行う必要がある。421 校には様々な種別、内容がある。
単位制度を用い、certificate と diploma の 2 種類の卒業証書がある。元々OVEC の下にあ
ったポリテクニクは大学に昇格したため管轄が教育省高等教育委員会(CHE)に移行した
16
。
職業学校の卒業にはスキルなどを測る卒業試験に合格することが必要であり、職に就く
には更に上述の TPQI の基準に基づく certificate にもパスしなければならない。パスには
経験だけでは不足している。もっとも、基準を設定するだけでは不十分で、実質化するに
は雇用側である産業界からも受け入れられる必要がある。実際、職業教育修了者が高等教
育修了者より給料が高い例がある。TPQI の試験のための独立したセンター設置が必要にな
る可能性もある。職業学校間で規模や質の差が大きいことから、基準設定が必要とされて
いる。TPQI は各省などが関わり進捗が遅いことから、ドイツと協定を結ぶなど OVEC は独
自 で 設 定 を 行 っ て い る 。 ド イ ツ の dual vocational training (DVT)に 基 づ い た Dual
vocational education (DVE)を実施するとともに、産学連携を推進している。石川県の「さ
わや」とプロジェクトを実施しており、タイ人の研修を行っている(石川高専とキングモ
ンクット工科大学の連携の下、研修 1 か月間) 17。
国境付近のタイの職業教育機関はカンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム(いわゆ
る CLMV)に対し受入れや協力を行っている。例えば、ミャンマー難民にはカンチャナブリ
で職業訓練を提供し、ラオスに対しては教員に対して研修を行っている
18
。
3.美容業界、美容教育、美容師資格の導入計画
バンコクの美容師についての稀な調査である水上(2007) 19 によれば、美容師の公的免
許や職業組合が未発達な多くの発展途上国同様、タイの美容師は無免許、無登録で開業、
営業が可能であり、参入が容易な職業であるとしている。簡単な職業訓練により技術を取
得すれば営業できるため、義務教育(中学校まで)を修了して農村から流入した女性が大
半を占めている。美容師に公的制度・資格がないため、美容師を都市インフォーマルセク
ターの中の生活サービス部門に位置付けている。タイでは、このような美容師が営業する
小規模零細美容室が多くある一方、近年日本を含む外国資本による直営店や高級・大型美
容室も増加し、規模が二極化していると指摘されている。
美容師になるには、主に美容室の見習、公的な職業訓練校、私立の美容・美容師専門学
校という3つの方法がある。見習いは当初の劣悪な労働環境を耐える必要があるが、職業
訓練校では比較的低い授業料で 1-2 年をかけ技能を習得し、修了書を得ることができる。
私立の専門学校は、学費は高いが、半年間で高いレベルの技術を習得でき、課程修了後、
技能認定証明書や修了証明書を得る。
2014 年 11 月には、バンコク市内にある 4 つのポリテクニク・カレッジの 1 つであるシ
プラヤ・ポリテクニク・カレッジを訪問した。同校はフォーマル教育を 1-2 年の期間提供
している。インフォーマル教育については2か月のコースを年 4 回提供し、授業料は 1 時
16
2014 年 11 月の現地インタビュー。
2014 年 11 月の現地インタビュー。
18
2014 年 11 月の現地インタビュー。
19
水上祐二(2007)「バンコクの美容師の就業とライフコースの分析」横浜国際社会科学
研究 12 巻 1 号
17
98
間 1 バーツ程度で廉価である。コース当たり 150 時間の学習を行う(150 バーツ)。現在は
15-40 歳の学生 60 人が在籍しており、デパートなどから派遣されてきた学生もいる。8
割がタイ人で、2 割がラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジアなどの周辺国からであ
る。なお、ロレアルが設備を寄付し、製品も提供し、かつ恵まれない人向けのプログラム
を行っている
20
。以下は同校の写真である。
(実習室)
(入口)
(教室)
(ロレアル支援の表示)
タイでは美容師の資格制度がないため、労働ビザと滞在ビザを取得できれば美容室を開
業できる。現地で外国人が美容室を開設するには、タイ人が 51%のシェアを持ち、4 人以
上のタイ人を雇用、200 万バーツを投資する必要がある。日本人はそもそも美容行為はで
きないが、事実上チェックはないようである。更に、免許制度ができると業界に大きな影
響があり、日本人の資格取得は困難とされる
21
。
日本人の進出は、プル要因として、日本人コミュニティの拡大による需要増加の期待が
あり、毎年 2-3 軒増加している。20 年前は 4 軒のみであった。日本人進出の別の背景と
20
21
2014 年 11 月の現地インタビュー。
2014 年 11 月の現地インタビュー。
99
しては、タイにおける日本や韓国への憧れ、イメージ、プライドなどがある。日本人経営
の美容室は元々日本人コミュニティ用だったが、清潔で技術が高いということから、タイ
人も利用するようになってきている。タイでは日本の物やサービスは質が高いというイメ
ージが定着しており、美容分野でも同様の認識がある。日本は韓国とともに美容分野のト
レンド作りをリードしており、タイは注目している。タイのマッサージが日本で人気があ
り、日本の美容室がタイで人気が出るのは相互にいいことであるという意見もある
22
。
日系美容室
美容師学校の監督は教育省が行い、美容師資格は存在しないため、監督を受ける学校
が出す修了証が事実上の質保証となっている。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事
務所(2011)は、ヘアサロン業界の問題として、美容師に国家資格がないことであり、資
格・基準の設定が必要としているが、政府関係者、美容師学校などにおけるヒアリングに
よれば、特に不都合も問題も認識していないようである
23
。規制のない理由として、規則、
就業規則などの成文化されたものに対する嫌悪という国民性、気質があるとの指摘がある。
労働省としては、将来もし必要と判断すれば、美容師資格を模索し、欧米や日本の調査を
行う予定にしている。
現地の美容師市場は、資格や登録も必要ない市場でありながら、市場原理は有効に機能
しており、技術に応じて給与も高くなる。キャリアパスは特にはっきりしておらず、20
万円学費を投資して半年の勉強をしたり、2-3年の経験で開業する者もいれば、15年
間シャンプーのみをする者もいる。恐らく、向上心のレベル、上昇志向のレベルで、個人
差が出てくると思われる。美容師の特色として、資格の有無よりも、技術の有無、技能の
確かさが本質的に重要なものであり、資格がないからといって、タイの美容師市場に欠陥
があるわけではない。むしろ、資格がないところで、技術のレベルという基準で美容師は
判断されるため、判断基準が明快である。形式と実質の乖離という日本の問題がタイには
ないといえる。逆に、免許があるからといって、腕が確かである保証はない。日本の美容
師資格は利用し資格とともに、戦後にできたものが改正されずにきており、衛生面や技術
22
2014 年 11 月の現地インタビュー。
日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所(2011)タイにおけるサービス産業基礎
調査。矢島洋一(2013)「タイの日本食レストラン事情並びに食品事情について 2013 年
版」ジェトロバンコク事務所などより。
23
100
面の基準において、実態に追いついていない面がある
24
。
2014 年 11 月の調査では、全国美容師協会のブンチュ副会長(OMC(世界理美容機構)タ
イ代表など)に話を伺った。これまでは美容師には資格制度や基準はなく、美容学校の修
了書があるのみであったが、2015 年末予定のアセアン経済共同体成立への準備の一環とし
て、美容師の全国資格制度を 2015 年第一四半期頃に導入予定である。この取組みの背景と
しては、アセアン統合を控え、国内で気運が高まってきたことがある。スパなど別の分野
については、別個に策定の予定がある。資格策定には教育省職業教育委員会も一部関与し
ており、全国美容協会を代表し同氏も検討作業に加わり、他の団体・美容室も参加してい
る
25
。
検討に際しては、欧米や日本を含むアジアの制度を参考にしているが、日本の資料は、
タイの資料と同様、英語のものが少なく、国外からのアクセスの 1 つの壁となっている。
各国が相互に学ぶには、英語で情報が発信されていなくてはならず、これが最初のステッ
プであるとする。従って、現在の制度は 2015 年大きな変化を遂げると予想される。資格に
は衛生基準なども含まれる予定である。この資格検討に当たって美容とサロン経営などス
キルに応じたレベル分けを考えている点では、本文科省事業と共通している。資格導入後
に入学・在学する学生はもちろん資格取得の必要があるが、現職の美容師に資格取得を求
めるかは検討中である。美容師免許制度が導入されれば、18 か月の猶予期間が設けられ、
この間に現職美容師は免許を取得することが要求される見込みである。なお、アセアン各
国はそれぞれ美容師資格を策定中であり、策定後にアセアン全体として資格の通用性をど
のようにするかは政府間の交渉となる
26
。
前述のように、美容師には地方出身の女性への就職機会の提供という側面は確かにあっ
たが、質の保証も必要であり、免許制度の導入は質の向上につながるはずとする。徒弟制
度で美容師となった場合、スキルはあっても基本的な知識が欠如・不足している場合が多
い。美容師学校の質も玉石混交であり、これも標準化することにより、消費者の保護にも
つながる。美容師学校の経営者は美容室を持つ人が多く、資格制度ができると学校に行か
ずに実地で美容師を目指すグループに対し負担とならないかとの質問に対し、私立でも授
業料は低いので問題ないのではとの意見であった
27
。
一方、スパ分野については、2014 年 11 月にタイ・スパ協会(Asia Spa Institute 併設)
のウコス政府関係委員会委員長にインタビューを行った。スパ営業については、基準が設
定されているため、保健省に登録する必要ある。教育においては、学習項目ごとに時間数
が設定されている。しかし、登録されていないスパもあるが、政府によるチェックはない。
3 年前に始まった TPQI などによる質の標準化は望ましいが、実際の監督は難しいようであ
る。スパ分野でアセアンで共通の枠組みを作ろうという動きはあるが、各国の文化や伝統
に基づいた制度作りが優先されるべきであり、共通の物は作れず、地域の枠組みは参考と
しての意味合いが強い
24
25
26
27
28
2013 年
2014 年
2014 年
2014 年
2014 年
28
。
10 月及び 2014 年 11 月の現地インタビュー。
11 月の現地インタビュー。
11 月の現地インタビュー。
11 月の現地インタビュー。
11 月の現地インタビュー。
101
1.4.3
韓国における美容教育(追加)
25 年度事業においては、26 年度事業から本コンソーシアムの構成機関に参加した韓国の
東元大学からカリキュラムに関する情報を得て、和訳した上で報告書に記載した。26 年度
事業では、韓国における諸規制の下で、美容系の大学、専門大学等において、一般的にど
のようなカリキュラムになっているかを調査してまとめた。以下は、その報告の和訳であ
る。 29
韓国の美容教育の運営が、学術的カテゴリとして認識されたのは、1991 年に東州女子
専門大学、嶺東専門学校に美容関連学科が開設されてからである。、以後 2 年制と 4 年制
大学と特性化高校
30
に至るまで続々美容学科が開設・運営されている。
2013 年における美容関連学科開設状況は、全部で 184 校、情報が未公開であるために
詳細不明であった専門学校を除くと、2 年制と 4 年制大学で合計 146 個の学科、総人員は
11,192 人である。毎年専門学士または一般学士として輩出される美容師が 11,192 人以上
である。
区分
学校
学科
人数
特性化高校
63
-
-
2 年制
大学校
88
109
8,942
4 年制
大学校
33
37
2,250
韓国の美容関連学科の教科目編成は、一般的に、ヘア、皮膚、メイクアップ、ネイルケ
アに細分化されており、4 年制大学は、全分野を学習するように編成されている。2 年制
大学は、1 学期または 1 年の間に共通科目を履修した後の詳細専攻を選択して、残りのプ
ロセス中に専攻教科目を履修するように組織されている。
4 年制美容関連の学校専攻科目の構成を分析すると、ヘア教科 32%、皮膚教科 38%、
メイクアップ教科 30%で、比較的均一な分布を示している。
美容関連学科のうち、最小卒業教養履修単位が分かれていない大学、専攻科目の理論と
実践科目が分かれていない大学、学科の名称に詳細専攻が分かれた大学を除いた 2 年制
27 校の大学と 4 年制 20 大学の教育課程を対象に専門実習科目の専攻別単位の割合を比
較・分析をすると、2 年制大学では、ヘア実習科目 26.9%、皮膚実習科目 29.6%、メイ
クアップ実習科目 23.7%、その他実習科目は 22.7%となった。
全体的に見て、ヘア、皮膚、メイクアップにおいては、実習科目が比較的高い割合を示
してはいるが、ネイルにおいては、ネイルアートを含む教職、卒業作品発表、インターン
シップ、セミナー、現場実習などの他の教科を合わせて、平均 21.3%であり、ネイルア
ート関係の実習授業の割合は低くなっている。
29
本コンソーシアムの運営委員である、大韓美容師会中央会付設ビューティ産業研究所所
長宋姈優氏によるレポートの一部(第 4 章部分)を翻訳した資料である。
30
「特性化高校」は、特定分野の専門人材育成を目指す専門系(職業教育)及び一般系(代
案教育)の高等学校のことである。
102
表
学科
メイクア
ップ系列
31
教育訓練課程
区分
大学
専門大学
美容 ․ビ
ューティ
系列
韓国における美容関連学科の一般的なカリキュラム構成
大学
専門大学
科目
内容
比率
専攻理論
皮膚科学、美容学概論、公衆衛生、美容色彩学、美容栄養学、化粧品
学、メイクアップトレンドセミナーなど
40.0%
実務/実習
メイクアップ、イラスト、エステ、基礎ヘアスタイリング、イメージ
メイキング 3D、イラスト、ヘアデザイン、舞台メイクアップ、アップ
スタイル、アートメイクアップ、性格メイクアップと特殊メイクアッ
プなど
60.0%
専攻理論
美容色彩学、解剖生理学、衛生管理学など
20.0%
実務/実習
メイクアップ、美容トレンドの研究、印刷画像メイクアップ、美容文
化史とデザイン発想、美容マーケティング、舞台メイク、アプリケー
ションの構造、応用メイクアップ、電波映像特殊メイク、エアブラシ
デザイン、結婚式メイクアップ、基礎美容、プレゼンテーション実習
など
80.0%
専攻基礎
ベーシックヘアカット、ベーシックメイクアップ、美容色彩、基礎エ
ステ、基礎パーマネント、ベーシックネイルケア、美容イラスト、エ
ステ実務など
20.0%
専攻理論
毛髪学、個人的な販売およびプロモーション法、公衆衛生、衛生、人
体生理学、顧客サービス論、マネージャー開発論、式と栄養、美容師
学、老化生理学、美容セラピーマネジメント、美容経営など
25.0%
実務/実習
現場実務、ファームヘア、カットヘア、男性カット、カラーリングヘ
ア、スタイリングヘア、サロン環境、顧客管理、ストレートパーマヘ
ア、フェイシャルトリートメント、ボディトリートメント、足半史学、
半永久脱毛と永久脱毛、美容セラピー、アロマセラピー、ヘアセミナ
ー、ブロードライやアイロン、美容デザイン臨床実習、美容セミナー、
基礎化粧品、カラー診断、および画像メイキング、メイクアップトレ
ンドセミナー、ファンタジーメイク、エアブラシ、ボディペインティ
ング、特殊メイク、美容写真映像学など
50.0%
外国語
美容実務英会話など
専攻基礎
美容文化史、解剖生理学、公衆衛生、皮膚学、美容相談、美容師学(2)
など
10.0%
専攻理論
生理解剖学(2)、ピブハク(2)、公衆衛生および衛生法規(2)、美容と栄
養(2)、美容師学(2)、ビューティーマネジメント(2)、ネイル理論(2)、
美容経営(2)、美容学概論(2)、美容色彩学(2)、美容セミナー(3)、毛
髪と頭皮の管理(3)、ヘアデザインの相談(2)、製品をお勧め(2)
20.0%
31
5.0%
宋委員からのレポートでは、本表の左側に「理・美容」という産業分類の中分類を表す
文字があるが、本表の全体に係っているものなので、列を省略した。韓国の標準産業分類
において、美容業に関連する分類の定義は、大分類では「他の個人サービス業」、中分類で
は「理・美容業」、小分類では「理容及び美容業」となっている。参考までに、小分類「理
容及び美容業」は、さらに、「理容業」「美容業」「皮膚美容業」「その他美容業」に細分化
されている。
103
学科
教育訓練課程
特性化高校
皮膚美容
系列
大学
専門大学
ヘア美容
系列
専門大学
比率
実務/実習
メイクアップ(3)、エステ(3)、カット(3)、パーマネント&バーディト
リートメント(3)、色彩学(3)、美容筋肉学(2)、
スカルプ&メディカルエステ(3)リンパ・アローマテラピ(3)イメージ
メイクアップ(2)、キャッストンデザイン(2)、トレンドビューティー
テラピー(3)、韓国式テラピー(3)、ボーディフィトネス(2)、
ビューティマネジメント(2)、サロントリートメント(3)、
エステティック機器実習(3)、現場実習(2)ネイルケア(2)、頭皮と毛
髪管理(3)ビューティーイラスト(2)、ウエディングメイクアップ(3)
ヘアカラー(3)、ネイルアート(2)、ブロードライ&アイロン(3)、キャ
ッストンデザイン(2)、ヘアアートデザイン(3)、ビューティーコディ
ネーション(3)、ウエディングメイクアップ(3)、サロンメイクアップ
(3)、アートメイクアップ(3)メディアメイクアップ(3)、特殊メイク
アップ(3)、足ケアー(1)、美容マッサージ(2)、アップスタイル(2)、
ヘア創作(3)ビューティー色彩&イメージメイキング(3)、男性ヘアス
タイル研究(3)、化粧品製創学(4)、ヘアヘアスタイリング演出(2)、
トータルビューティー(3)、 顧客サービスマナー(2) など
65.0%
外国語
美容中国語(3)、美容英語(3)など
系列必須
コンピュータ一般(2)、人間開発(2)、生活サービス産業の理解(2)など
40.0%
学科必須
美容基礎実習(7)、ヘア美容(4)、スキンケア(4)、メイクアップ(4)、
公衆衛生(6)など
50.0%
学生選択
ネイルアート(2)、足のケアーと健康(4)など
10.0%
専攻基礎
基礎科学(3)など
専攻理論
皮膚生理学(2)、皮膚薬理学(3)、肥満と体形管理(3)、生体有機化学(3)、
界面化学(2)、皮膚細胞生物学(3)、化粧品の製造学(3)、皮膚免疫学(3)、
病院化粧品論(3)、問題性スキンケア(3)、美容師学概論(3)、栄養と健
康(2)、化粧品の成分学(3)、美容色彩学(3)、美容願書講読(3 )、バル
バン私学(2)、化粧品生物新素材(3)、解剖生理学(2)、筋(2)、美容ケ
イラク(3)、美容文化史(3)、アロマテラピー(2)、美容セミナー(3)な
ど 등
85.0%
5.0%
5.0%
実務/実習
スキンケア(2)、全身スキンケア(3)、メディカルスキンケア(2)、など
10.0%
専攻基礎
スキンケア概論(3)、一般的な化学および実験(3)、皮膚グァハクロン
(3)、ボディトリートメント概論(3)、経営学概論(2)など
15.0%
専攻理論
皮膚科学(2)、解剖生理学(2)、美容学概論(2)、美容師学(2)、公衆衛
生学(2)、相談実務、マーケティング(2)、頭皮·毛髪学(2)、色彩とイ
ラスト(2)、美容理論と機器学(2)、染色、脱色(3)、パーマ(3)、漢方
美容の理論と実践(3)、美容栄養と消毒疫学(2)、トータルコーディネ
ーション(2)、アロマセラピー(3)、サロンマネージメント(2)、ポート
フォリオ(2)など
40.0%
実務/実習
現場実習(2)、基礎メイクアップ実習 3)、ネイルケア(3)、基礎皮膚管
理実習(3)、リフレッサロ(3)、基礎カット(3)、基礎パーマ(3)、ビュ
ーティ色彩とイラスト(2)、ネイルアート(2)、応用皮膚管理実習(3)、
体系管理(3)、基礎ヘアカラー(3)、頭皮管理(3)、ヘアセットとドライ
(2)、 メディアメイクアップ(2)、皮膚管理機器学(2)、프드레니쥐(3)、
スポーツマッサージ(2)、応用パーマとカラー(2)、応用カット(3)、臨
床皮膚実習(3)、臨床ヘア実習(3)、티코디및フォトポリオ(3)、ビュー
ティーテラピー(3)、ヘアアップスタイル(3)、ファンタジーとアート
メイクアップ(3)など
40.0%
外国語
美容英語(2) など
5.0%
専攻基礎
公衆衛生管理学(2)、美容科学(1)など
5.0%
専攻理論
毛髪科学(2)、消毒法と伝染病学(2)、美容経営学(3)公衆衛生学、(2)、
解剖生理学(2)、美容色彩学、(3)など
37.5%
実務/実習
カット(3)、パーマネントウェーブ(3)、ドライ実習(2)、脱色とカラー
実習(2)、アップスタイル(2)、毛髪と頭皮ケアー(2)、現場実習(2)、
シャンプーとヘアケア(2)、ヘアスタイリングとコンサルティング(2)、
45.0%
104
学科
教育訓練課程
比率
ヘアデザイン(3)、ビューティートレンド研究(3)ビューティーマーケ
ティング(3)、アップスタイル(2)、ドライとアイロン(3)など
特性化高校
外国語
美容英語(2)、美容日本語(2)など
5.0%
系列必須
コンピュータ一般(3)、人間発達(3)など
5.0%
学科必修
ヘア美容(3)など
2.5%
105
1.4.4
台湾における美容教育(追加)
25 年度事業においては、台北にある私立大学の化粧品応用管理学科のカリキュラムに関
する情報を得て、和訳した上で報告書に記載した。26 年度事業では、同年度からコンソー
シアムの構成機関となった中学(美容学科)のカリキュラム情報を得ることができた。以
下は、その報告の和訳である。 32
32
本コンソーシアムの運営委員である、台北城市科技大学客員講師、蒋曼文氏のご協力を
いただいた。
106
台湾新竹市私立光復中学校(高校)2012 年度教学科目および単位表
適用クラス:トータルビューティ課程
類
別
名称
科
単
名
位
授業時限数
目
称
1 年次
単
位
8
4
4
英語 I II
8
4
4
数学領域 数学 I II
8
4
4
歴史 I
修
般
科
科
目
目
自然領域 基礎化学
基礎生物
2
音楽 I II
4
美術 I II
ライフデザイン I II
生活領域 生活と科学 I
6
専 138
科
攻
科
目
目
1
1
1
1
2
専攻-基礎メイク
2
パソコン課程
2
2
1
1
2
1
1
54
27
23
生命の教育 I II
2
1
1
英会話 I II
2
1
1
数学演習 I II
2
1
1
キャリア教育 I
2
2
キャリア教育 II
2
2
専攻-基礎エステ
情報処理
2
2
パソコン課程
生活と科学 II
2
2
専攻-基礎メイク
小計
.
1
2
国民国防教育 I II
択
1
4
体育領域 健康と保健 I II
般
2
6
健康と 体育 I II
一
後
2
コンピュータ概論 I
選
前
考
2
基礎物理
芸術領域
後
備
2
6
公民と社会
54
前
3 年次
2
社会領域 地理 I
一
後
国語 I II
国語領域
必
前
2 年次
2
2
0
0
専攻-基礎エステ
国語 III
IV
V
VI
16
4
4
4
4
英語 III
IV
V
VI
16
4
4
4
4
数学 III
IV
V
VI
16
4
4
4
4
体育 III
IV
V
VI
8
2
2
2
2
テロとその対策
1
1
軍事科学
1
選択課程 I II III IV
4
2
2
2
2
◎家政概論 I II
4
2
2
考1
◎家庭教育 I II
4
2
2
考1
◎色彩概論 I
2
2
◎美顔 I II
4
2
107
1
考2
2
資格-エステ丙級
類
名称
別
科
単
名
位
イベ
科目
ント
称
1 年次
単
位
前
後
前
後
2
2
3 年次
前
備
考
後
資格-エステ丙級
4
◎ファッション実務
2
◎美容概論
2
◎家政業衛生と安全
2
2
考2
◎エステ実務
2
2
実習
ファッションデザイン I
1
1
資格-女子ファッション丙級
◎家政業倫理
2
2
考1
◎家政販売とサービス
2
2
考2
基本設計 I II
4
2
2
身だしなみとマナー I II
4
2
2
課題制作 I II
4
2
2
実習
造形応用 I II
4
2
2
実習
トータルビューティ実務 I II
4
2
2
実習
主題設計
1
芸術史
2
2
芸術鑑賞
課題制作と展示
2
2
課題
ファッション分析
2
2
実習
位
18 時限
合
計
実習
2
実習
2
32
32
32
32
32
32
クラス会
6
1
1
1
1
1
1
週会および課外活動
12
2
2
2
2
2
2
210
35
35
35
35
35
35
注:試験科目-国語、英語、数学(A)、(1)家政概論、家庭教育
実習
実習
1
192
総合計(時限数)

2 年次
◎フィシャル I II
単
必修
授業時限数
目
(2)色彩概論、家政業衛生と安全
8 限目の補習授業 (各学期に 5 時限の補習授業を加えること)
合
計
一上 一下 二上 二下 三上 三下
英語
4
1
1
1
1
数学
4
1
1
1
1
身だしなみとマナー
2
1
1
トータルビューティ 学期毎に 基礎メイク
2
1
1
課程進学クラス 5 時限を 基礎フィシャル
2
1
1
4
2
2
3
3
加える 基礎美容
美容
6
色彩概論の復習
2
1
1
家政概論の復習
2
1
1
家庭教育、衛生安全の復習
2
1
1
合計
30
5
5
108
5
5
5
5
資格-美容丙級

冬夏季長期休暇の補習授業 (35 時限を加えること)
高1
冬休み
科目
高2
高3
夏休み
時限
科目
冬休み
時限
科目
夏休み
時限
科目
冬休み
時
限
科目
時
限
国語
4
国語
4
国語
4
国語
4
国語
4
英語
4
英語
4
英語
4
英語
4
英語
4
数学
4
数学
4
数学
4
数学
4
数学
4
講師指導
1
講師指導
1
講師指導
1
講師指導
1
講師指導
1
顔
4
体育
2
美容
7
体育
2
家政概論の復習
2
フィシャル
4
美容丙級実技
7
女子ファッション丙級検定
7
家政概論
2
家庭教育の復習
2
美容
4
ブライダルプランナー
3
ブライダルプランナー
3
家庭教育
2
色彩概論の復習
2
エステ丙級実技
3
縫製
4
ネイルアート
3
色彩概論
2
衛生と安全の復習
2
美容丙級学科
2
製版
3
身だしなみとマナー
2
衛生と安全
2
課題制作
2
美容丙級実技
3
ネイルアート
2
課題制作
2
スタイリング
3
身だしなみとマナ ー
2
身だしなみとマナー 1
スタイリング
3
ファッションデザイン
3
ファッションデザイン
3
アートデザイン
3
ネイルアート
2
特殊デザイン
3
特殊メイク
2
時限数
35
時限数
35
時限数
35
109
時限数
35
時限数
35
1.5

メーカーによる人材育成の実態調査
目的
メーカーやディーラーにとって、美容サロンは重要な顧客の一つである。この観点から、
メーカーやディーラーは、美容サロンのスタッフに対する研修等を実施し、その営業・経
営を支援している。本事業では、その支援の実態を明らかにし、人材育成プログラム開発
の参考としたり、本事業の成果を海外に普及する足がかりにしたりすることを目的として、
調査を実施している。

対象
25 年度は、わが国において、主要メーカー及びディーラーが、美容サロンに対してどの
ような支援制度・資材を用意しているか、ヒアリングや各社が提供している資料(パンフ
レット、ホームページ等)を基に調査した。26 年度は、対象を海外に広げ、まず、韓国に
おける事例を調査することにした。
1.5.1

韓国におけるメーカーの人材育成支援事例
33
グレイスイオンコリア社の事例

本社で実施している講座の事例
○シャンプー&塗布 1day
○ セミナー
2014 トレンドカラー&カット
33
本コンソーシアムの運営委員である、大韓美容師会中央会付設ビューティ産業研究所所
長宋姈優氏によるレポートの一部を翻訳したものである。
110
内容 :ダンディボリューム パーマ,リーゼントパーマ,分け目フォーム,スワロパ
ーマなどさまざまなスタイル提案


ロレアルプロフェショナル社の事例
カラーディプロマコース
○ブルーディプロマコース
○シルバーディプロマコース
○プラチナディプロマコース

ミルボンコリア社の事例
○カラーデイズ(4 回コース)
<1 回目>
111
色を理解しよう…色とは何か、色の種類、色の成立、色の三原色、補色の関係、トン
ピョ、ヘアカラーにおける色の意味
<2 回目>
毛髪を理解しよう…毛髪の構造とメラニンの関係について
毛髪の構造を理解しよう…メラニンの種類と違い、メラニンのタイプに応じた明るさ
との差の変化
薬剤を理解しよう…薬剤に対して、レフィーナの特徴、白髪の割合に応じた薬剤の選
び方、先着法及び後着法、強毛対応法
<3 回目>
薬剤を理解しよう…薬剤に対して、オルディブの特徴、アンダーによる色合いの違い、
トーンダウンの基本理論、2 種類のブラウン系を利用して、トーンダウンをしてみよう
<4 回目>
トーンコントロールを身につけよう…トーン表とトーンコントロールの配置構造表、
トーンコントロールを活用しよう、ヘアカラー剤の種類と特徴
素材の対応力を高めよう…毛質の判断、既染部の損傷を判断、残留ティントを判断、
メラニンの違いを判断
○カラーカウンセリング(2 回コース)
イメージ&パーソナルカラー
○ホイルワーク(3 回コース)
<1 回目>
ホイルワークとは…カラー市場の変化、ホイルワークの必要性、ホイルワークの可能
性、ホイルワークの効果
ホイルワーク実習…セショニングマスター。ウィービング&ホイルリングマスター
<2 回目>
ブレンディング…明るさのブレンディング、トーンブレンディング、色ブレンディン
グ
質感表現…ヘアカラーの質感表現、ブレンド質感表現
<3 回目>
パーソナルカラーの理解…肌の色の分類、ブルーアンダートーン、イエローアンダー
トーン
ホイルワークアプリケーション – ホイルの位置と方向に沿った効果、前髪のホイル配
置、スタイル別ホイル配置

アモス社の事例

マスターカラーシステム
○ベーシック(Basic)
カラー入門コースにカラーの基礎理論と実践をもとに、染色の理解を助けるためのカ
ラーの基礎コース
○エッセンシャル(Essential)
効果的なカラー施術のための必要なステップでカラー施術のステップバイステップの
112
アプローチを通じたヘアサロン染色施術のベースを復習しながらカラー実務
○エキスパート(Expert)
お客様のイメージ診断によるデザインカラーテクニック融合段階で、顧客タイプに応
じた染毛剤の選択と施術法の計画が可能なカラー上級コース

マスターカッティングシステム
○ファンデーション(Foundation)
カット入門コースへのカットの理論と基礎実習をもとにヘアサロンカット実務を備え
た女性&男性ベーシックカットコース
○ファンダメンタル(Fundamental)
頭形の変化に伴う理想的なカットのスタイルの演出のための必須テクニックで展開図
の書き方と読み方、カットバリエーションを適用した実務適用とコース
○コンテンポラリー(Contemporary)
カッティングアドバーンズコースには、ヘアシェイプに沿ったジョン&セクションを
活用した施術とディスコネクトを適用したトレンディなスタイルメイキングコース

ウェラ社の事例

COLOR
○GEP Color
完璧なカラーの結果や演出のための必須の理論とテクニックを習得することができる
基本的なカラーのコース
○GEP MCE Color
最高レベルのグローバルカラーリストの専門家のコースでレベルの検証を通じた希少
価値を目的とし、最高なカラーリストを養成するための専門コース

CARE
○GEP SP
SP システムを介してサロンケアサービスに必要な基本的な知識と技術をマスターする
ことができるケアーの基本プロセスです。
○GEP CARE Specialist
サロンケアサービスに必要な専門知識と技術をマスターすることができるケアーの専
門家のコース
○Shampoo&Massage
シャンプーとトリートメント、および関連のマッサージ法の体系的な理論と実践を身
につけ、基本的な接客のステップを一緒に身につけサロンサービスの付加価値を高め
ることができる基礎プログラム

PERM
○CUT FOUNDATION
カットの基本的な理論を理解して本格的なデザインカットに進むことができる基礎を
構築することができるプログラム
○CUT ADVANCE
基本的な切口から離れディスコネクトなどの応用のスタイルと質感処理法など、さま
113
ざまな応用のカットを学ぶことができるプログラム
○UP-STYLE FOUNDATION
ヘアスタイルのハーモニーを達成するためのアップスタイルの要素とテクニックを身
につけ、感覚と創造性を引き出す基本を培養してくれるプログラム
○UP-STYLE ADVANCE
実質的でクリエイティブなアプリケーションのスタイルのトレーニングを通じてアッ
プスタイルの幅を一層広げることができるよう支援するプログラム

GEP PERM
パーマの基本的な原理を理解し、実習を通して、必要な施術過程をマスターし、デザ
インに応じ、様々なテクニックを理解することができるプロセス

MANAGEMENT
○SALON MANAGEMENT
サロンのコンセプトと哲学を確立し、ビジネスとマネジメントについての全体的な概
念と文脈の理解を介して成功したサロンを運営していく道を開いてくれるサロンビジ
ネス入門プログラム
○SALON LEADERSHIP
マネージャーとして必要なリーダーシップの種類と形態を理解し、自分のスタイルに
合ったリーダーシップを点検してみることができるプログラム
○SALON STAFF MOTIVATION
チームのリーダーとしてチームメイトを効果的に管理し、動機を付与し、各チームメ
ンバーの業務を理解できるプログラム
○SALON MANAGEMENT SPECIAL
成功したサロンを運営している経営者たちの生々しい話とノウハウなど、ビジネスの
成功と発展的な未来のための特別セミナー
114
1.6

社内教育による人材育成の実態調査
目的
美容は人に対して直接的な施術を行うサービスであるから、実務に就いた直後から一人
前の仕事をすることはなく、一定期間の研修を経てスタイリストとしてデビューするのが
一般的である。したがって、多くの美容サロン、特に、複数店舗を持つ中規模以上のとこ
ろでは、社内研修システムを確立させているケースが多く、人材育成プログラムの開発に
関連するプロジェクトを進める上では、社内研修や社員教育制度の内容を十分に考慮する
必要がある。本調査はこのような認識にしたがい、日本や諸外国において実施されている
社員教育制度の実態を明らかにする目的で実施する。

対象と方法
25 年度事業では、わが国と中国におけるいくつかの事例を調査した。26 年度事業では、
韓国の著名な美容サロン等において実施されている研修・教育に関するドキュメントを収
集した。
1.6.1


韓国における美容サロン内教育の事例
34
ラビューティーコアの事例
ステップ1
強い基礎のテクニックと自信を目指す
34
本コンソーシアムの運営委員である、大韓美容師会中央会付設ビューティ産業研究所所
長宋姈優氏によるレポートの一部を翻訳したものである。
115

ステップ2
基礎や夢を開発

ステップ3
研修

(4/8 月)
パク·スンチョルヘアスタジオ(パク·スンチョルウィグアカデミー)の事例

T.N.T-TITI NEW TEST(レベルテスト)
○教育目的:正確な能力評価を介して人材養成課程をもとに置いたテスト
○教育対象:新入キャリア社員
No
1
経歴別
6 月未満
テスト内容
準備物
一般パーマ
ミディアム
レイヤーウィグパーマ道具類
(薬剤外)
2
1 年未満
縦パーマワインディング
3
1 年以上
ウェイブ
4
2 年以上
グラデーションカット
ドライ
ウィグ
ドライヤ
ロールブラシュー
ウィグ
ドライヤ
ロールブラシュー
カット道具一式

T.N.J(新入ジュニアトレーニング)
○教育目的:パク·スンチョルヘアスタジオだけの個性の創出と同一のサービスの創出
のため
○教育対象:新入インターン(他店経歴を含む)
○教育期間:3 回
日
教育科目
時間
1 日目
TNF-1(ビジョン提示、会社、アカデミーマニュアル)
AM10:00~PM5:00
2 日目
TNF-2(サービスマインド、マニュアル接客 13 段階)
AM10:00~PM5:00
3 日目
頭皮、毛髪ケアー理論診断実習
AM10:00~PM5:00

T.N.D(新入デザイナーコース)
○教育対象:新入デザイナー(他店経歴を含む)
116
○教育期間:合計 4 回目
日
教育課程
時間
1日目
サービス
2日目
頭皮診断によるセールスポイント
AM9:00~PM1:00
3日目
トレンドカット
AM9:00~PM1:00
4日目
トレンドアップスタイル
AM9:00~PM1:00

ビジョン提示
AM9:00~PM1:00
T.N.M(新入マネージャーのプロセス)
○教育対象:新入マネージャー(他店経歴を含む)
○教育期間:合計 1 回目
日
1日目
教育課程
時間
マネージャの役割
AM10:00~PM5:00
勤務規則、イベント案内
ホームページ活用法
従業員と顧客のための会話スキル
クレーム処理対応

T.N.S(新入スーパーバイザープロセス)
○教育対象:新入管理者(他店経歴を含む)
○教育期間:合計 1 回目
日
1日目
教育課程
時間
管理者の役割
AM10:00~PM5:00
エニアグラム自己診断
エニアグラムによる従業員分析
意思疎通

コミュニケーション
オープン教育
○教育対象:パク·スンチョルヘアスタジオ OPEN 店の元従業員
○教育期間:3 回目
日
教育過程
時間
1日目
TNF-1(ビジョン提示、会社、アカデミーマニュアル)
AM10:00~PM5:00
2日目
サービスマニュアル、接客 13 段階
AM10:00~PM5:00
3 日目
頭皮教育かつ指定製品教育
AM10:00~PM5:00

パク·スンチョルヘアスタジオ(パク·スンチョルウィグアカデミー)の事例

ウィグ

効率的ウィグ創業深化課程
スタイルリスト短期課程
117

id ヘア(id アカデミー)の事例

教育システム
partner 課程
30 月間(2 年 6 月間)
id basic
id salon
id salon Advance
4 作品(8 カ月)
10 作品(1 年 4 カ月)
6 作品(6 カ月)
カット、カラー、パーマ、ドラ
カウンセリング、展開図、ヘア
技術
イ、展開図、ヘアスケッチ
スケッチ、スタイリング教育
スタイリング教育
Shooting&blog 教育
shooting&blog 教育
shooting&blog 教育、
深化教育、new id line,
Model work

ジュノヘア(ジュノアカデミー)の事例

定期教育
プログラム
ワインディング
ドライ
カラー
basic
Junior
入社~6 カ月
6 カ月~1 年
1 年~1 年 6 カ月
1 年 6 カ月~2 年
2 年~2 年 6 カ月
クリストファー
マスター
SSL 課程
リーダーシップ
ナイト
サロンサービス

Stylist プログラム
定期教育
新入社員教育
3 カ月

ヘアデザイン教育

サービスマナー教育

人性教育

海外研修


リーダー
イチョルヘアカカの事例
インターンシップ
Kerker 支店の新入社員を対象にスタイルリストを育成するために教育
SEED(パーマ)→ROOT(DRY)→TREE(カット&カラー)
→FRUIT(KERKER スタイル)→JUNIOR(アドバンス)
118

chop hair の事例
顧客感動実現
顧客満足のために
サービス改善
人間尊敬をもとに
誠実と親切
目的と価値重視
チームワーク CHOP
は一つ
CHOP の従業員同士
の尊敬
定期教育
パーマ(6 カ月)
ドライ(1 年目)
カット(2 年目)
Stylist
教育プログラム
人性教育
新入社員教育
CS 教育
119
Admin
教育プログラム
人性教育
CS 教育
OS 教育

マーズロンロン訓練履修システムの事例(レベル別履修科目とコース内容)
初期段階(BE)〜初級ヘアデザイナー段階まで(P)
レベル区分
職業基礎能力レベル
BE段階
見習い
E段階報告書
月1回
(P)
1
E-1
2
E-2
3
E-3
4
E-4
5
E-5
6
E-6
7
L-1
8
L-2
9
10
11
12
13
L-3
L-4
L-5
L-6
L-7
14
P-1
L 段階
報告書
月2回
(P、CO)
P 段階
報告書
月3回
(P,CO,C)
訓練課程内容
備考
専門学士レベルの理解力、解読力、コンピューター活用能力, 言語力、コミ
ュニケーション能力、プレゼンテーション能力、時事および一般的な常識を
備えている者
マーズロンロンの施術プロセスに関
- シャンプー, 基本顧客応対
する認識能力、実行能力を評価
- 施術の準備
(チェクリスト項目全てを履修後E段
- 自分は勿論サロン環境整理
- 衛生と安全に対する対応能力、美容 階への進入可能)
業に関する理解力
かつ職業観確立
マーズロンロンに関する理解
基礎パーマ
基本ワインディング縦ワインディン
グ2ウェイワインディング
-1. 頭皮。毛髪ケアー
頭皮、毛髪関連製品 (例:シャンプー
-2. 製品の理論を理解や覚えるⅠ
など)
(役割と機能重心の内容)
基礎ヘアカラー
おしゃれ染め,白髪染め,ウェビンイ
ングテクニック
製品理論理解と眼記Ⅱ
スタイリング製品と前・後処理製品
(種類と成分重心の内容)
スタイル演出: フラットアイロンCカ
ールとストレート
スタイル演出Ⅱ: ブロードライCカー
ルとストレート
スタイル演出Ⅲ:ブロードライ S カー
ル
スタイルを演出Ⅳ:ボリュームアイロ
ン-S カール
スタイル演出Ⅴ:丸アイロン-S カール
1。クリッパー - -2。はさみ熟練度
デスク、毎日の仕上げ
製品理論Ⅲ
1。ワンレングス、-2。グラデーショ
ン、-3。ユニホームレイヤー、-4。イ
ンクリースレイヤベーシック
製品理論Ⅳ
評価する際モデル伴う
評価する際モデル伴う
評価する際のモデル伴う
評価する際のモデル伴う
評価する際のモデル伴う
速度と精度評価
現場での教育後の訓練
パーマ染と染毛剤
ベーシックカット 4 パターン評価プロ
セス
セールステクニック中心のプレゼン
テーション
15
P-2
人のヘアーカット 1、人のヘアーカッ 女性アプリケーションカット 6 パター
ン
ト2
ショートヘアカット 1、ショートヘア 男性応用カット 2 パターン
(当時最もトレンディーな作品を選
カット 2
ミディアムヘアカット 1、ミディアム 別)
ヘアカット 2
ロングヘアカット 1、ロングヘアカッ
ト2
16
P-3
モニタリング
70 人モニタリング施術。報告書の提出
後アップグレード
17
P- plus
初級ヘアデザイナー
指名 300 人獲得後、通常の手順 B に昇
格
BUTTERFLY アップグレード後力量強化プログラム進行
120
1.7

美容教育の質保証・向上策の実態調査
目的
美容教育のような職業教育の質を保証・向上させる国際的な取組実態を明らかにして、
教育プログラムの開発に役立てることが本調査の目的である。25 年度事業では、ユネスコ
などの国際機関、ASEAN など地域レベルその他の諸機関、諸外国における職業教育の質保
証に向けた取組み実態・状況、とりわけアジアにおける状況を明らかにすることを目的と
した調査を行った。
26 年度事業では、この目的を受け継ぎ、引き続きアジアの国際的な質保証・向上策に対
する取組を明らかにしていく。
さらに、26 年度事業では、美容教育機関を直接対象とした取組だけでなく、いわゆる「職
業能力基準」のように、個人を対象とした質保証・向上策の実態を明らかにすることも目
的として付け加えた。これは、25 年度事業の調査でわかったとおり、アジアで、かつ、職
業教育機関を直接対象とした具体的な質保証・向上策は取組途上の印象があることが理由
に 挙 げ られ る。 し かし、 25 年度 事 業の 調査 にお い て、 NQF(National Qualifications
Framework)のように、個人の能力を評価する具体的な基準は、アジア諸国でも独自のもの
が構築・普及されつつあることがわかった。このような「能力基準」は、教育機関の「教
育」の質を測るための共通ツールとして大きく貢献できると考えられる。つまり、
「能力基
準」の存在は、教育機関の質保証・向上の仕組み構築の前提になりうる。本事業では、そ
のような見解から、個人を対象にした「職業能力基準」の構築状況も明らかにしていくこ
とにした。

対象
(1)職業教育の質保証に関わる国際的機関
(2)タイにおける職業教育・資格監督機関、日本政府の機関、日系美容室
(3)インドネシアにおける美容教育機関
を対象として調査を実施した。

方法
まず、先行研究や資料の検討を行い、インドネシア及びタイにおける有力な調査対象に
アポイントをとり、実地調査を行った。
1.7.1
インドネシアにおける取組
インドネシアの職業高校(SMK)の美容学科では、卒業要件となる能力を公的に定義し
た LSK(Lembaga Sertifikasi Kompetensi)がある。さらに、この能力水準を満たした者は、
LSP(Lembaga Sertifikasi Profesi)という具体的な資格を取得する権利を持ち、この資格
を取得すれば、プロとしての美容技術を持っていると評価される仕組みになっている。
121
LSP の本体は、図 10 のようなフォームになっている。
図 10
LSP 本体のフォーム
図 10 に示した部分を和訳すると、図 11 のようになる。すなわち、図 10 の部分は、レ
ベルⅡ(レベルはⅡが最低で、最高はⅣ)である「ジュニアスタイリスト」が「洗髪(シ
ャンプー)」に関して有していなければならない能力を表している。
LSP は、RAMBUT(髪)と SPA(スパ)の 2 種類があり、「髪」の場合、このような能
力が 23 項目定義されており、「スパ」の場合、29 項目定義されている。
122
ヘアビューティ講習プログラム修了者のための資格のマニュアル
レベル :Ⅱ/ジュニアスタイリスト
番号
1
基礎能力
指標
シャンプーイング用具を決める。
1.1.手順に従ってシャンプーイング用具の
使用方法を特定する。
1.2.必要に応じてシャンプーイングの手段
を説明する:シャンプーイングの場所、
水路及び水容器、ひしゃく
1.3.シャンプーイングで使用する用具を説
明する:ケープ、小さいタオル、小さ
い洗面台
シャンプーイングのコスメを決め
2.
2.1.手順に従ってシャンプーイングコスメ
の使用方法を特定する。
る。
2.2.シャンプーイングで使用するコスメを
説明する:
1.髪種と頭皮に合わせたシャンプー
2.コンディショナー(シャンプーイング
後に使用される)
3.
シャンプーイングを決める
3.1.手順に従ってシャンプーイング方法を
特定する。
3.2.手順に従ってシャンプーイングについ
て説明する。
図 11
図 10 を和訳したもの
レベルごとに、どのような能力項目が求められているかを整理したものが、図 12 及び
図 13 である。
123
レベル
レベル
能力項目
Ⅱ/ジュニア
スタイリスト
シャンプーイングを行 う
レベル:Ⅱ ジュニア スタイリスト用
ヘアビューティ講 習 プログラム修 了
者資格
ヘアケアを行 う(ヘッドスパ)
シャンプーイング、ハンドドライヤーで髪 を乾 かす(ブロードライ)
Sanggul(束 髪 )をセッティングする(ヘアピース)
ヘアカッティングを行 う(基 礎 )
パーマネントウェービングを行 う(基 礎 )
レベル:Ⅲ スタイリスト用
ヘアビューティ講 習 プログラム修 了
者資格
ヘアプリセッティングを行 う(基 礎 )
ショットヘアセッティングを行 う
白 髪 ヘアカラーリングを行 う
チェマラ型 Sanggul(束 髪 )セッティングを行 う
伝 統 Sanggul(束 髪 )セッティングを行 う
モダン Sanggul(束 髪 )セッティングを行 う /ロングヘアセッティングを行 う
デザインカッティングを行 う
レベル:Ⅳ シニア スタイリスト用
ヘアビューティ講 習 プログラム修 了
者資格
デザインパーマネントウェービングを行 う
デザインプリセッティングを行 う
デザインセッティングを行 う
ハンドドライヤーで髪 を乾 かす
ヘアカラーリング
清 潔 ・安 全 な職 場 環 境 を作 る
職 場 でコミュニケーションを行 う
全 レベル(Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)用 のヘアビュ
ーティ講 習 プログラム修 了 者 資 格
お客 様 とコミュニケーションを行 う
同 僚 とコミュニケーションを行 う
上 司 ・スタッフとコミュニケーションを行 う
図 12
LSP( 髪 ) の 能 力 項 目 と レ ベ ル
124
Ⅲ/スタイリスト
Ⅳ/シニア
スタイリスト
レベル
レベル
能力項目
2 / スパ セラピスト
アシスタント
Boreh(ボレー)式 でボディトリートメントを行 う
レベル:Ⅱ スパ セラピスト
アシスタント 用 の
ヘアビューティ講 習 プログラム
修了者資格
ジャワボディスクラブ式 でボディトリートメントを行 う
スパでの職 場 準 備 を行 う
スパでの職 業 安 全 と衛 生
Mando Siraman(シャワー)でボディトリートメントを行 う
伝 統 マッサージでボディトリートメントを行 う
ボディマスクでボディトリートメントを行 う
ボディスチームトリートメントを行 う
レベル:Ⅲ ジュニア スパ
セラピスト用 の
ヘアビューティ講 習 プログラム
修了者資格
スパでの職 業 安 全 と衛 生
同 僚 とコミュニケーションを行 う(スパでの職 場 準 備 を行 う)
ボディスクラッブ/ピーリングでボディトリートメントを行 う
頭 皮 とヘアトリートメント(ヘアスパ)を行 う
手 動 式 フェイシャルスパトリートメントを行 う(フェイシャルスパマニュアル)
スパでのリラクゼーションマッサージでボディトリートメントを行 う
スパにおけるアロマセラピートリートメント
脱 毛 を行 う(ワクシング)
ハイドロバス(Hydrobath)トリートメントを行 う
上 司 ・スタッフとコミュニケーションを行 う
手 動 式 でアイトリートメント(Eye Treatment)を行 う
技 術 で手 足 スパ(Hand& Foot Spa)トリートメント
レベル:Ⅳ シニア スパ
セラピスト用 の
ヘアビューティ講 習 プログラム
修了者資格
ボディリフレクソロジーのテクニックを行 う
ストーンセラピーや地 熱 セラピー式 で体 の手 入 れを行 う
ボディラップ
技 術 でフェイシャルスパトリートメントを行 う
職 業 安 全 と衛 生
小 売 機 会 を操 作 する
手 動 でバストトリートメントを行 う(マニュアルバストトリートメント)
スパでの職 場 準 備 を行 う
サウナで体 の蒸 発 トリートメントを行 う
図 13
LSP( ス パ ) の 能 力 項 目 と レ ベ ル
125
3 /ジュニア スパ
セラピスト
4 / シニア スパ
セラピスト
「髪」の場合を例に取ると、23 の項目が定義され、それぞれの項目について、レベルご
とに図 10 に示したフォームを使って具体的な能力水準が規定されているので、全体では
100 ページ程度のボリュームを持った基準書になっている。ページ数の制約から割愛する
が、今回の調査では、これらの基準書に基づく授業科目のシラバスも入手しており、その
ボリュームは基準書以上のものである。
基準書は、わが国で言えば、文部科学省の学習指導要領の中で、専門高校における「商
業」や「工業」の部分が相当することになるので、わが国の学習指導要領に比べて、具体
的でかなりのボリュームを持った内容であることがわかった。
このように、インドネシアでは、職業高校の美容学科を卒業した者が、「髪」や「スパ」
を扱う職業に就くことに対して、国がフォーマルな形で規制している、言い換えれば、個
人に対する質保証・向上について、公式でかつ具体的な基準を明らかにしているという点
で、先進的な取組を行っているといえよう。
一方、プスピタ・マルタ美容学校においては、エステのプログラムが、エステ教育のグ
ローバルスタンダードの一つである CIDESCO の認定を受けていることなどからわかる通
り、国際的に認められるディプロマプログラムであるための質保証・向上の努力を行って
いることが明らかである。
したがって、たとえば、わが国の美容学校が、SMK やプスピタ・マルタとの連携によっ
て、単位互換制度のような仕組みを作ろうとした場合、むしろ、わが国の美容学校側が、
教育内容や学生の学修目標をフォーマライズすることに努力が求められる。
126
1.7.2
台湾における取組
日本の経済産業省に相当する、台湾の「経済部」はさまざまな職業に関して、かなり具
体的な「作業標準」を規定している。本コンソーシアムでは、これらのうち「美容服務産
業品質標準」の全文を入手した
35
。その目次は次の通りである。
2012 年度中小企業品質管理向上計画
エステサービス産業の品質管理基準
参考モデル手帳
目次
1.はじめに
004
2.産業現状の概要
2.1 エステサービス業の定義
2.2 本手帳所定の範囲
005
005
005
3.産業の品質管理基準
3.1 仕事環境区域における清掃作業の基準
3.2 エステ区域における準備作業の基準
3.3 電話マナーの基準
3.4 新規客の来店時の接待マナーの基準
3.5 顧客送迎マナーの基準
3.6 顔のフェイシャルの基準
3.7 ボディケアの基準
3.8 顧客のアフターサービスの基準
3.9 異常問題の対策の基準
006
006
012
013
017
020
022
045
068
074
4.終わりに
079
5.参考文献
080
台湾において、
「美容」は「エステ」を意味する。本資料の 005 ページに記述された「美
容服務産業」の定義は、次のようなものである。
エステサービス業(「美容服務産業」のこと)とは、指圧、機器、用具、用材、化粧品、食品
等の方式を使って、身体および感覚の健康美を維持・改善するために、実施する総合的な指導
および施術であり、かつ非医療行為である。そして企業のやり方を問わず経営によって運営し、
身体および感覚の健康美等に関する非医療行為を実施あるいは指導を行うことである。
本資料の「3.産業の品質管理基準」には、エステ店における技術的な事項、顧客対応の
仕方などに関する細かい手順例が、図やイラストも交えて示されており、サービス品質の
標準化や向上に大きく貢献している。次ページ以降、本資料の表紙、002~011 ページ及び
079 ページを原文のまま紹介する。サービス業の品質について、内容に関することより、
むしろ、このような「形式」にまとめていること自体、大いに参考となる資料である。
35
本コンソーシアムの運営委員である、台北城市科技大学客員講師、蒋曼文氏のご協力を
いただいた。
127
128
129
130
131
132
133
134
135
136
137
138
139
1.7.3
職業教育の質保証に対するユネスコ等国際機関の取組
2013 年度事業では、まず、先行研究や資料の検討を行い、タイにおいて 2013 年 10 月 30
日(水)~11 月 3 日(日)の期間、関係機関を訪問し、資料収集及びヒアリングを行った。
タイはユネスコなど国際機関が集中しており、また東南アジアの1つの事例国として選ん
だ。タイにおけるインタビューは、労働省スキル開発局スキル基準設定課長、ユネスコ・
バンコク事務所 TVET 担当課長及び APEID(アジア太平洋地域教育開発計画)課長、アジア
開発銀行主催のメコン地域会議出席者、JETRO バンコク事務所日本人アドバイザー、及び
日本人経営美容室(バンブー) を対象に行った。
2014 年度事業では、2013 年調査を踏まえ、2014 年 11 月 16 日(日)~11 月 20 日(木)
の期間追加調査を行い、政府機関として、教育省職業教育委員会、美容業界団体として全
国 美容 師協 会及 びタ イ・ スパ 協会 、美 容学 校と して 公立 職業 訓練 校で ある バン コク の
Siphraya Polyctehnic College(シプラヤ・ポリテクニク・カレッジ)、日本人経営美容室
として ASKA を訪問した。
まず、ユネスコが策定した「アジア太平洋地域における高等教育の資格の認定に関する
地域条約」はアジア・太平洋地域をカバーする枠組みである。
「高等教育」には大学教育及
び職業教育の両方が含まれ、学業、卒業証書、学位の相互認定を謳っている。
本事業の趣旨に関係する箇所を抜き出してみると、次のようになる。2012 年に改正され
る前の当初の条約においては、前文で、
「 学生や専門家がより自由に移動できるようにする」
ことを目指し、
「達成能力水準の評価を社会的、国際的移動促進の観点から行いうるような
学業認定の手法を講ずる必要」があるとしている。また、
「教員、学生、研究従事者及び職
業従事者がより移動可能なよう」という表現もある。第1章の定義の箇所では、
「職業の実
践を目的とする外国の課程修了証書、卒業証書又は学位の認定は、その保有者が当該職業
の実践に必要な技術的訓練を受けていることを認定することを意味する」ものとし、各国
に対しては、
「履修単位、授業課目、課程修了証書、卒業証書及び学位並びに高等教育への
入学・進学条件を比較可能ならしめる制度の適用を容易にするため、可能な限り、同様の
用語及び評価基準をつくり、採用すること」、「課程修了証書、卒業証書、学位及び他の関
連する個人の資格により証明される修得知識に留意しつつ、上級の学業段階への入学・進
学に関し、弾力的な方途を採用すること」、「到達した教育水準及び履修した課程の内容に
基づき、部分的学業の評価に対する柔軟な基準を採用すること」を要請している。
ただ、日本政府は職業資格認定に関する箇所に反対し批准をしてこなかったため、当該
箇所の削除などの修正を行う会議が 2012 年日本で行われた。その結果、現在日本は批准に
向け作業中である。その他の修正内容としては、(a)実質的な相違が見られない限り、他の
締約国において授与された学位等の高等教育資格を認定するとともに、高等教育機関にお
ける入学申請や修業年限の認定時においても、相当する学修を適切に認定すること、(b)
各締約国において「国内情報センター(National Recognition Information Center: NARIC)」
を設立し、各国の国内情報センターによる「アジア太平洋ネットワーク」を設立すること、
(c)資格相互認定の前提として、締約国が高等教育制度およびその質保証制度に関する情報
を相互に提供すること、(d)ユネスコのディプロマ・サプリメント(学位取得者の学習内容
140
を共通の様式で示す学位証書補足資料)及び(又は)これに類する文書を活用すること、
である。
この修正されたアジア・太平洋地域条約は通称「東京条約」と呼ばれるが、2015 年 2 月
現在、批准国数が規定数を満たしていないため、未発効である。一方、欧州、アフリカ、
南米・カリブ海、アラブ諸国の各地域に「高等教育の資格認定に関する地域条約」がある
が、形骸化し実質的機能を果たしていないもの、修正を加えて最新化されているものもあ
るなど、取り組みには差がある。このような背景から、ユネスコ本部は 2015 年を目途に、
地域条約に加え、世界レベルの「高等教育の資格認定に関する条約」策定を目指している
36
。
次に、世界をカバーする枠組みとしては、ユネスコ、OECD が中心となって策定された「国
境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン」が挙げられる。本ガイド
ラインは、政府、高等教育機関及び教員を含む教育提供者、学生団体、質保証・適格認定
機関、学位・学修認証機関、職能団体の 6 者に対する指針を示している。同ガイドライン
のうち、本事業の趣旨に関係する箇所としては以下のとおりである。 37
高等教育機関・提供者のためのガイドラインとしては、「海外で提供する教育プログラ
ムと国内で提供するそれとが、同等の質を持つものであることを保証するとともに、受入
国における文化意識、言語意識にも配慮」し、「質の高い教育、研究は、質の高い教員と、
自由に重要な真理の追究を行える教育研究環境によって初めて可能となることを認識」す
ること、また、
「教員、職員、大学生、大学院生など関係者の能力を最大限活用し、自国で
も海外でも同水準の学位等を提供することに最大限の責任を負う ために内部の質管理制
度を構築、維持又は再検証」すること、そして、
「グッド・プラクティスを共有」し、お互
いの学位等を同等又は互換可能と承認することで認証するプロセスを促進」すること、な
おかつ、
「質に関する内部、外部の評価や提供する学位等の認証に関する基準、手続きにつ
いて、正確で信頼できる情報を入手しやすい形で提供」し、
「学生が習得すべき知識、知性、
スキルの説明も付記して、提供するプログラムや学位等に関する詳細な説明も提供」する
こと、を示している。
学位・学修認証機関のためのガイドラインとしては、学位等の認証に関するユネスコ地
域条約は、
「学生や専門職業人材」を対象とし、 「情報及びグッド・プラクティスの交換、
知識の伝播、国際的な展開と課題に関する理解の増進、機関職員の専門性の向上のための
基盤となるような地域ネットワークや国際ネットワークを創設・維持」すること、
「学位等
が基本的な水準の質を有しているかを判断するプロセスを円滑化」すること、
「学位等の認
証方法と職業資格の認証方法との関連性を向上」させること、
「労働市場における学位等の
職業資格としての認証についても目を向け、海外の学位等の保有者と雇用者の双方に対し
て、職業資格としての認証に関する必要な情報を提供」し、「職能団体との 協力・調整」
を行うこと、が示されている。
職能団体のためのガイドラインとしては、
「情報の入手しやすさや質の向上など、透明性
36
Marklein, Mary Beth (2015). UNESCO chief posts pact on global recognition of
degrees. University World News Global Edition Issue 352 (30 January 2015).
37
ユネスコ/OECD『国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドライン』よ
り
141
の向上」を促し、「入手しやすい形で情報を提供する方法を確立」し、「学位・学修認証機
関だけでなく、職能団体、高等教育機関・提供者、質保証・適格認定機関間の関係を構築・
維持し、職業資格の認証方法を向上」させること、
「教育プログラムや学位等の比較のため
の評価の基準や手続きを確立し、実施」し、
「文化面から見て適切な学習成果と能力にも配
慮した基準・手続き」とすること、としている。
他方で、ユネスコは、TVET(Technical and Vocational Education and Training:職業
技 術 教 育 訓 練 ) に 関 しド イ ツ ・ ハ ン ブ ル グ に UNEVOC 国 際 セン タ ー を設 置 し て お り 、
2010-2015 年 TVET 戦略を策定している。ユネスコは TVET 国際会議を定期的に主催してき
ており、2012 年には第 3 回 TVET 国際会議が上海で開催された。会議で採択された「上海
コンセンサス」と呼ばれる提言では、資格の適用と学習者のキャリアパスの開発、ASEM(ア
ジア欧州会議)加盟国間の労働流動性、職業教育の質の確保、柔軟なキャリアパスと透明
で的確な結果をベースにした資格システムを通した個人学習の蓄積と認定が謳われている。
生涯学習戦略の一部として TVET を普通教育に関連付け、職業教育・資格を高等教育資格に
リンクさせる制度の構築を目指している。現在は、地域間のつながりを世界的な枠組み設
定へと発展させ、また、普通教育と職業教育に共通の質保証と学習成果のガイドライン作
りに向け現在国際タスクフォースが作業中であり、ユネスコ事務局長に提案することにな
っている。
142
1.7.4
職業教育の質保証に関する国際的な動向
経済のグローバル化、若年失業者増加、高等教育の内容と雇用に必要な能力・スキルの
ギャップなどに対応するため、先進国を中心に大学教育と職業教育に共通する資格枠組み
(qualifications framework)の構築が活発に進められており、ヨーロッパ資格枠組み
(EQF: European Qualifications Framework)、オーストラリア資格枠組み(AQF: Australian
Qualifications Framework)などが代表的なものである。これらの資格枠組みは、多様な
職業分野において必要とされる能力を明確化し、学位など学校教育に基づく資格との比較
ができるように設定されている。
オーストラリアの AQF は、資格枠組み設定で国際的に先導となる取り組みである。1995
年から高等教育セクター、職業教育・職業訓練セクター、学校教育セクターの 3 セクター
にまたがる全国共通の学位・資格枠組みとして 1995 年に運用が始まり、2000 年から全国
展開されている。15 の学士・資格に関しそれぞれの名前と標準となる学習成果が設定され
ている。学位・資格を全国的に標準化し、セクター間における職業と教育のリンクを明確
化する役割を持つ
38
。
オーストラリアの職業訓練教育に対する質保証システムは、AQF の他、オーストラリア
職業訓練教育質保証枠組み(AQTF: Australian Qualifications and Training Framework)、
訓練パッケージの 3 本柱から構成されている。職業教育機関は AQTF からアクレディテーシ
ョンを受けて職業教育訓練機関として登録されて初めて、学士や資格を提供することがで
きる。登録された職業教育訓練機関は、約 80 分野の職業における必要な知識や技能が明記
されている訓練パッケージに従う必要がある。日本の専門学校に相当するオーストラリア
の技術継続教育機関(TAFE)は、この訓練パッケージに基づき教育課程を編成するが、目
標とされる知識や技能をどう達成するかは各機関に任されている
39
。
ヨーロッパでは、ボローニャ・プロセスという高等教育の改革とコペンハーゲン・プロ
セスという職業教育の改革が、ヨーロッパのほとんどの国が参加して進められている。こ
れは、生涯学習の観点からの学術資格と職業資格の共通枠組み構築という意義を持つ。ま
た、この 2 つの改革とリンクさせ、ヨーロッパ全体で利用されうる資格枠組みが策定され
ている。この資格枠組みは、各国にある多様な学位や資格を相互に参照できるものとし、
また、学校修了資格と職業資格も相互に比較できるようにすることを目的としている。
ボローニャ・プロセスとは、1999 年より進められてきた大規模で超国家的な高等教育改
革である。ロシアを含む 47 の参加国を得て、
「欧州高等教育圏(EHEA)」の構築に向け、各
国多様な高等教育制度(学位サイクル、学修期間、成績、単位)の収斂化が 2010 年を 1
つの区切りとして行われてきており、現在も進行中の「プロセス」である。同プロセスの
主眼は、質保証制度の下、学生流動性と学位取得率を高め、結果として EHEA 学生の「雇用
可能性(employability)」を上げることにある。共通の学位(学士、修士、博士)や資格
38
杉本和弘(2010)「豪州の学位・資格枠組みと TAFE の職業教育から」、日本高等教育学
会発表要旨(関西国際大学)(2010 年 5 月)
39
杉本 (2010)
143
制度、ECTS(European Credit Transfer and Accumulation System:ヨーロッパ単位・蓄
積制度)という単位互換の制度の下、参加国の大学間で学生が自由に移動できることを目
標としている。
一方、コペンハーゲン・プロセスとは、2002 年に EU(European Union:欧州連合)加盟
国、ヨーロッパの職業教育担当大臣、欧州委員会(EC: European Commission)による会議
で採択された「職業教育におけるコペンハーゲン宣言」に基づく取組みである。このプロ
セスには 32 か国が参加し、ボローニャ・プロセスが高等教育で目指す目標を職業教育分野
で達成することを目的としている。2005 年には、個人の資格や能力を可視化するための「ユ
ーロパス」が開発されている。加えて、ボローニャ・プロセスの ECTS に対応する ECVET
(European Credit System for Vocational Education and Training:欧州職業教育単位
制度)が 2008 年に開発されており、1 年間のフルタイムの職業教育での学習成果を 60 単
位とし、協定機関の間で資格取得に必要な単位を互換するものである。
ボローニャ・プロセスとコペンハーゲン・プロセスをリンクさせているのが、2008 年 EU
が策定した EQF(European Qualifications Framework for Lifelong Learning:生涯学習
のためのヨーロッパ資格枠組み)である。これは、ヨーロッパ各国の各資格がどのレベル
にあり、当該資格保有者がどのような知識を有しているかを比較可能とするための枠組み
である。知識、技能、能力を 3 種に分類し、達成難易度をレベル 1 からレベル 8 までの 8
段階で設定している。現在、ヨーロッパの参加各国は EQF に対応する各国ごとの全国資格
枠組み(NQF: National Qualifications Framework)を策定している。
ドイツでは、EQF に対応した全国的枠組みとして DQF(ドイツ資格枠組み)を 2011 年に
策定した。各国で EQF に対応した NQF の構築の普及が進んでいけば、EQF を基準として各
国で異なる制度を翻訳することができるようになる。例えば、ドイツの資格枠組みでレベ
ル 3 である資格が EQF でレベル 4 に相当し、他の国の資格枠組みでレベル 5 である資格が
EQF でレベル 4 に相当するとすれば、ドイツの当該資格と他国の当該資格は同等のものと
見なされる、ということになる。これにより、学生は、異なる国の間で、かつ、高等教育
と職業教育の間で、自由に生涯学習を行うことができるという恩恵を受ける
40
。
資格枠組みの統合に従い、今後、単位互換制度である ECTS と ECVET の統合も目標とさ
れている。また、インプットとアウトプットに重点を置いて学習の到達点を理解するとい
う従来の考え方から、実際にどのような知識、スキル、能力を獲得したのかという学習成
果(ラーニング・アウトカム)を重視する方向に転換が図られている。。更に、2004 年ヨ
ーロッパ 32 か国の教育関係大臣が集まった会議で「マーストリヒト・コミュニケ」が採択
され、フォーマル教育、ノンフォーマル教育(フォーマルではないが体系的なもの)、イン
フォーマル教育(フォーマルでもなく体系的でもないもの)の中で得られた知識、スキル、
能力を EQF に従い明確化し、比較可能なものにしようという提案が行われている
41
。
アジア・太平洋地域では、アジア・太平洋地域質保証ネットワーク(Asia and Pacific
Quality Network: APQN)が 2003 年香港で作られており、2004 年にオーストラリア・ビク
40
木戸裕(2013a)
「 ドイツの看護教育をめぐる近年の動向」、
『 看護教育』54(4);木戸裕(2013b)
「ボローニャ・プロセスとコペンハーゲン・プロセス-ドイツの事例を中心にして-」、第
49 回日本比較教育学会発表資料(2013 年 7 月 6 日)
41
木戸 (2013a; 2013b)
144
トリア州政府に登録された民間の NPO 組織としての位置づけである。本部はメルボルンに
あり、現在の事務局は台湾にある。ユネスコ・OECD:
「国境を越えて提供される高等教育の
質保証に関するガイドライン」を補完するものとして、APQN はユネスコと共同で「ユネス
コ・APQN ツールキット:国境を越えた教育の質の規制(Toolkit: Regulating the Quality
of Cross-Border Education)」を 2006 年公表している。ツールキット発表直後に開催され
たアジア・太平洋地域教育大臣会合で採択された「ブリスベーン・コミュニケ」では、質
保証を伴った学生の移動の重要性が指摘され、同地域における資格やスキルの認証制度の
構築、ボローニャ・プロセスやコペンハーゲン・プロセスをモデルとするアジア・太平洋
地域での枠組み策定が提言された。なお、2008 年にはアセアン質保証ネットワーク(ASEAN
Quality Assurance Network: AQAN)が合意されている。
一方では、
「 アセアン地域資格枠組み」
( ASEAN Regional Qualifications Framework: ARQF)
が、現在オーストラリアとニュージーランドの主導により策定されつつある。これは、
ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(ASEAN-Australia-New Zealand
Free Trade Area: AANZFTA)との絡みで、ASEAN Australia Program の一部として 2000
年に始まったもので、National Qualifications Framework の共通化、調和化を目標とす
る。2015 年アセアン経済共同体構築に向けた動きでもある。学習者と労働者の流動性確保
を主な目的とし、工学、建築、測量、看護、医学、歯学、会計の 7 分野を共通の対象とし
ている。オーストラリアの資格が事実上のモデルとして提示されている。ただ、オースト
ラリアとニュージーランド主導のため、ASEAN 側のオーナーシップが弱いとされる
42
。
東南アジア諸国の国家資格枠組みの整備状況は以下のように整理できる。
策定済み
マレーシア:高等教育・職業教育
策定中
未策定
ブルネイ、ラオス
ミャンマー、ベトナム、東チモー
ル
シンガポール:職業教育のみ
タイ:高等教育のみ
フィリピン
インドネシア
カンボジア
TVET 質保証枠組みに関しては、東南アジア地域としてのものはまだ策定されていない。
加盟国間での透明性と一貫性を高めるため、共通の TVET 質保証枠組み構築を目標としてい
る。なお、この新たな枠組みには韓国も含めるとしている。
なお、2007 年開催された東アジア首脳会議(East Asia Summit: EAS)は国際教育協力
を強化することに賛成し、TVET を強化し TVET の地域ネットワークを強化する計画である。
2010 年の EAS 教育高級実務者会合において承認された教育の優先 13 プロジェクトの中で、
「職業教育事業者ネットワーク(East Asia TVET Provider Network)」構築は 3 番目の優
42
Dang, Que Anh (2011). ASEAN Regional Qualifications Framework: Current
Architecture and Challenges.
145
先順位を与えられた。その後、2012 年、EAS 教育大臣会合において、オーストラリアと韓
国がこのネットワーク設立のために資金を提供することを発表し、2013 年 12 月にソウル
で開催された設立会合において承認されたようである。これもオーストラリア主導であっ
た。
アジア・太平洋地域では、いち早く資格枠組みを構築したオーストラリアの活躍が目立
ち、オーストラリアのモデルの海外輸出という側面も垣間見える。オーストラリアはボロ
ーニャ・プロセスにも深く関与しており、ヨーロッパとアジア・太平洋地域の橋渡し的役
割を果たしている。
146
1.7.5
質保証取組調査のまとめ
1.アジア版美容師キャリアフレームワーク制度構築の要件
本事業が主眼とする共通の美容教育フレームワーク構築は、関連する条約や国際的ガイ
ドライン、その他の国際標準と整合性を持つ必要がある。上述の条約やガイドラインは相
互認証を謳っているが、この精神に基づけば、標準を作るのではなく、相互に認証、認定
し合う仕組み作りに主眼を置くことが必要となってくる。従って、各国の多様性を維持し
つつ相互認証を可能にし、促進するための仕組み、枠組み作りという方向性が維持される
べきであろう。具体的には、各レベルをある程度共通化し、レベルごとに知識、スキル、
態度、汎用的能力の明確化・可視化をすることが要求される。
本事業が進める学習ユニットの発想は上記の国際標準の趣旨を満たすものと考えられ
る。ただ、美容師資格が存在しないタイの場合、カリキュラムを持つ専門学校には適用で
きるが、見習いや職業学校では、しっくりこない。美容師は資格や学歴ではなく、手に持
つ技術、技能がすべてであることから、学習ユニットに基づく知識、スキルなどの可視化
が、資格や免許制度の有無にかかわらず広く適用できるのではないか。タイにおいては、
職業資格・キャリアフレームワーク:美容分野で必要とされる能力を段階的に可視化し評
価可能にし(複数段階の評価基準を整備)、学位や証明書など学校教育の資格との対応関係
を明確にするような評価制度はないことから、本事業の成果物の1つである学習ユニット
は適用可能性を秘めている。
ヨーロッパのボローニャ・プロセスとコペンハーゲン・プロセス、オーストラリアの国
内とアジアにおける活発な資格枠組みの取組みが事実上の国際標準を設定していると言え、
国内の資格枠組みをまだ持たない日本にとって、オーストラリアのアジアでの主導権には
十分注意を払う必要がある。
なお、ユネスコ「アジア太平洋地域における高等教育の資格の認定に関する地域条約」
には日本は未加盟であるが、特にネックとは言えない。これはあくまでも努力目標であり、
実際には大きな問題は生じないとみられる。
2.今後の展開
日本の中央職業能力開発協会(JAVADA)は、ASEAN 統合に向けた人材養成協力事業によ
るカンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの CLMV 諸国向け研修を行っている。タイと
ラオスは言語がほぼ共通のため、タイの美容教育の通用性がある。
日本のやり方を普及させ、啓蒙する活動は必要であろう。タイで日本の美容術、美容師
カリキュラムを普及させようとすれば、この JAVADA の取組みのような ODA 経由で技術移転
という形で進めることが高い可能性を秘める。美容師候補は社会の底辺に多くいるため、
資金提供による技術移転は人気を呼ぶのではないかと考えられる。一方で、質の高さがネ
ックとなることも念頭に入れる必要であり、
「現地化」の必要性がある。まず相互に違いを
認識する必要があり、文科省や JICA の支援による地域セミナー・シンポジウムを開催する
必要がある。
147
2
評価
2.1
共通する課題と方向性
内容が本格化した 25 年度事業の最後に、本コンソーシアムが解決すべき課題あるいは成
果を活用すべき局面として、次図の 6 つ(①~⑥)を掲げた
43
。
1
2
3
4
5
6
図 14
本コンソーシアムが解決すべき課題、成果を活用する局面
本コンソーシアムでは、これらの課題解決の達成度あるいは達成の見通しの観点から、
職域プロジェクトも含めて、事業内容を評価した。
2.2
キャリアフレームワークの構築と普及
本コンソーシアム発足以降、
「 美容師のためのキャリアフレームワークと教育プログラム
の構築およびその海外への普及」事業が、職域プロジェクト(以下、「プロジェクト」)と
して実施されている。まず、このフレームワークの構築状況について評価したい。

26 年度プロジェクトの成果の概要

キャリアフレームワークの構築状況
図 15 は、26 年度プロジェクト終了時点における、キャリアフレームワークの全体像で
ある。
43
平成 25 年度本コンソーシアムの取組成果概要資料から引用。
148
図 15
キャリアフレームワークの全体像
· 構造の修正
美容人材のキャリアパスに関するあるべき姿をイメージし、領域とレベルによる枠組み
を構築し、そこからトップダウンに「スキル・知識体系」を導き出し、それを基にして、
キャリア形成(キャリアゲット、キャリアアップ、キャリアリフレッシュ、キャリアチェ
ンジ)に役立つ「講座・科目」を組み立てて実施する構図は変わっていない。また、同時
に、キャリアアセスメントの仕組みを構築し、学習者が自分のキャリアの状況を常に把握
できる環境を提供する考え方も変わっていない。ただし、25 年度事業終了時点と一点のみ
構造が変わっている。それは、従来、
「スキル・知識体系」から、講座単位に「学習ユニッ
ト」を導く仕組みだったのを、間にワンクッション入れ、「スキル・知識体系(図の②)」
の各ユニットにおける学習項目と学習目標を「学習ユニット(図の③)」として定義し直し、
その学習目標を達成するための「講座・科目(図の④)」を定義するものとして改めたこと
である。これは、将来、このキャリアフレームワークを活用した講座・科目を展開する上
での運用のしやすさを図るためとされている。また、
「スキル・知識体系」はトップダウン
なものであるから、上からの目線でそれを見たとき、25 年度事業の成果のままでは、あま
りに情報量が多く、自分の立ち位置が見えづらいという批判に応えたためである。
学習者から見たとき、多段階になったことで、見なければならないアイテムが増えたこ
とはマイナス要素であるが、②、③、④がそれぞれ簡潔な構造となっている分わかりやす
いというプラス要素がある。これらのプラス・マイナスを相殺すると、基本的には、プラ
149
スの方が大きいと評価できる。
· 領域ごとの構築状況
25 年度事業では、「メイク」領域のスキル・知識体系がほぼできあがった状態にあった
が、26 年度事業では、これを前述の構造変化に合わせて体系化し直している。結果的に、
非常に見通しのよいものになっており、
「メイク」については、運用面のルールを確定させ
れば、キャリアフレームワークとしての完成にかなり近づくと思われる。残る作業として
は、「学習ユニット」の精緻化、「アセスメントのためのテスト」の追加(レベル 2、レベ
ル 3 向け)が挙げられる。
また、これだけの完成度があれば、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に翻訳することに
よって、アジア諸国における美容教育にも適用可能な状態まで遠くないものと思われる。
27 年度事業において期待したいことは、
(1)
フレームワークとしての完成(運用ルールも含めて)
(2)
実証実験を行った上での修正
(3)
翻訳等によるアジア版の策定
である。
「メイク」という人材育成ニーズの大きな領域が完成すれば、他の領域もそれにな
らうことで、構築作業を加速できるであろう。
また、26 年度事業では、美容サロンの現場の意見を大幅に採り入れることにより、「ヘ
ア」領域の「スキル体系」を大きく見直している。その結果を見ると、非常に実践的な体
系を構築できている印象がある。もともと、
「ヘア」のスキルは美容師養成課程で磨くもの
であるから、美容師免許を取得すれば、一定以上のヘア・スキルを持っていることが保証
される。したがって、
「ヘア」領域の場合、そのスキルや知識を保証する他の仕組みに対す
るニーズは大きくないとされていた。
しかし、ヘア施術の多様化・進化により、美容師を対象にした分野ごとのスキル認定ニ
ーズが近年急速に高まってきた。その例として、次の 3 つの検定試験の創設を挙げること
ができる。
A
パーマ検定(パーマリスト認定制度)
平成 22 年 11 月~
B
ヘアケアマイスター認定制度
平成 24 年 5 月~
C
JHCAヘアカラリスト検定
平成 26 年 2 月~
今後は、これらの検定・認定制度の実施団体と連携して、キャリアフレームワークとの
互換を図ることで、ヘア領域の「スキル・知識体系」
「学習ユニット」
「講座・科目」
「キャ
リアアセスメント」の構築の加速が期待できる。
A~C の各制度について、その概要を簡単にまとめておく。
A
パーマ検定(パーマリスト認定制度):主催
ウェーブジャパン
44
●人材イメージ
パーマリストとはお客様にウェーブ(パーマ)を理論的に説明・提案できる実力のある
44
ホームページのアドレス http://wavejapan.net/wjn_act01.html
枠内の情報はこのホームページに掲載された情報を基に整理・記述した。
150
スタッフと認定されたスタイリスト
●実施されている検定の種類
・一般受検定
3級
受検資格
受験料
講習
検定試験の内容
・一般受検定
美容師免許取得者
6,000 円(税込 6,480 円)
講習受講・テキスト代金・検定料金すべて含む
2 時間
学科試験 40 分
2級
受検資格
受験料
講習
検定試験の内容
・学生検定 3 級
受検資格
受験料
パーマ検定 3 級合格者
20,000 円(税込 21,600 円)
講習受講・テキスト代金・検定料金すべて含む
2 日間
1 日目:座学講習・実技展示(6 時間)
2 日目:座学講習・実技展示(3 時間)
学科試験 30 分、実技試験 25 分
美容学校在学中の学生
6,000 円(税込 6,480 円)
講習受講・テキスト代金・検定料金すべて含む
2 時間
学科試験 40 分
講習
検定試験の内容
※ウィッグは各自用意
※1 級の検定は順次開催予定
※学生検定は 3 級のみ
●3 級 検定講習内容
・毛髪知識

毛髪の基礎知識

毛髪の構造

毛髪の主体

パーマ(原理・分類・薬液理論)

パーマ薬液に関する注意事項
・パーマ技術

ブロッキングの目的

ワインディングのポイントおよび注意

製作過程(1 剤・中間リンス・2 剤塗布について)
・A 角・B 角・C 角の知識(学生 3 級検定対象外)

ヘアスタイルのデザイン要素

デザインパーマを活かすための要素

カットとパーマの良い関係

シェービングの理解
151

毛流とクセ

ピンパーマの知識

パーマのかかりやすい部分、かかりにくい部分
●パーマリスト取得者数(平成 26 年 8 月現在)
パーマリスト 2 級取得者
128 名
パーマリスト 3 級取得者
409 名
●合否の発表について
・検定試験の約1か月後に WJ ホームページにて合格者の受験番号を発表
・ホームページでの発表後、3級合格者には「3級パーマリスト認定ディ
プロマ」を、2級合格者には「2級パーマリスト認定ディプロマ」と
「ピンパッジ」を送付
B
ヘアケアマイスター認定制度:主催
日本ヘアケアマイスター協会
45
●人材イメージ
ヘアケアマイスターは、ヘアケア知識が豊富でお客様の毛髪診断が正しくでき、それに
対する処置・アドバイスが的確にできる方へ与える称号
●認定の種類
次の図の通り、レベルの上から
・ヘアケアマイスター
・ミドルコース
・プライマリーコース
に区分されている。
オリジナルのテキストがあり、それぞれのコースの試験範囲との関係は、次の表の通り
である。
45
ホームページのアドレス http://www.jhcma.or.jp/
枠内の情報はこのホームページに掲載された情報を基に整理・記述した。
152
●受験資格
美容師、理容師の国家免許を取得し美容師、理容師として仕事に従事している者。「プ
ライマリー」から受験し、合格した人だけが次のコースへの受験資格を得る。
●試験の実施時期・実施方法
マイスター試験については、一次試験は 10 月のみ、二次試験は 5 月のみ。
協会編集の公式教則本「ヘアケアマイスターブック」より出題。
テストは、マークシート方式(100 問)/試験時間=1 時間/合格ライン=プライマリー・
ミドル 75 点以上、マイスター1 次・2 次 85 点以上。
●受験者数等(平成 26 年末時点)
全国 45 万人の理美容師のうちのべ 8 万人が各コースを受験。
合計 4 万人が認定を取得。
C
ヘアカラリスト認定制度:主催
認定制度の紹介スライド
46
47
JHCA
日本ヘアカラ―協会
46
47
ホームページのアドレス http://www.jhca.ne.jp/
枠内の情報はこのホームページに掲載された情報を基に整理・記述した。
上記ホームページの「JHCAヘアカラリスト検定」ページにあるプレゼン資料を引用
した。
153
154
●受検資格
・国家資格(美容・理容)を有すること
・認定美容専門学校を卒業すれば、「ヘアカラリスト(★なし)」
・★(シングルスター)以上は、セミナーを要受講
●受験者数等(平成 26 年末時点)
平成 26 年にスタートして、同年2月、5月、10月の検定試験後、トータル 850 名の
スター保持カラリストが誕生。ダブルスター合格者は 735 名、トリプルスター合格者は
115 名
155
2.3

モデル講座の活用
26 年度実証講座の評価
キャリアフレームワークプロジェクトでは、25 年度事業から、キャリアフレームワーク
の中核を検証するために、実証講座を開始している。25 年度は中国と日本で実施し、その
結果を踏まえつつ、ほぼ同一の内容で、26 年度は台湾と韓国で実施した。これで、アジア
の中で「美容」市場規模の大きな 4 カ国で一通りの講座を実施したことになる。ここであ
らためて、4 カ国における実施結果の比較を通じて、実証講座の総括的な評価を行ってみ
た。
次ページからの①~⑦は、ページごとに、4 カ国のアセスメント結果を一覧するための
図である。いずれのページも、左上が「日本」、右上が「中国」、左下が「韓国」、右下が「台
湾」である。
156
①知識アセスメント
項目ごと
日本
中国
韓国
台湾
157
②知識アセスメント
受講者ごと(ヘア領域)
日本
中国
韓国
台湾
158
③知識アセスメント
受講者ごと(メイク領域)
日本
中国
韓国
台湾
159
④スキルアセスメント
項目ごと
日本
中国
韓国
台湾
160
⑤スキルアセスメント
受講者ごと(ヘア領域)
日本
中国
韓国
台湾
161
⑥スキルアセスメント
受講者ごと(メイク領域)
日本
中国
韓国
台湾
162
⑦講座評価結果(受講者による)
日本
中国
韓国
台湾
163
●4 カ国の結果全体にいえること
25 年度事業において、日本・中国で実施した結果が、韓国・台湾でも同様に得られたこ
とは、非常に意義深い。総括的な知識アセスメントを表す①の図、スキルアセスメントを
表す④の図、講座の評価を表す⑦の図、いずれも同様の結果が得られている。これは、こ
の実証講座と同様の内容で 2 日間の講座を各所で実施すれば、おそらく同じ結果が得られ
る、すなわち、講座の効果の再現性が高いことを示しているといえる。
4 カ国間で、年齢層が多少異なり、また、厳密に言うと、専攻や既履修科目も異なるが、
美容に関する専門的教育を 2 年程度受けたという共通の背景を持った学生が、2 日間の実
践的な講座を行うことで大いに効果を上げられたことは、教育の生産性という観点からも、
今後の講座に役立つ結果であった。
●国民性の違いが感じられる点
25 年度事業で、日本と中国の比較を行った際、日本の受講者が「控えめ」な評価をして
いた点が指摘されたが、26 年度事業で韓国と台湾の結果が加わってみると、その傾向が一
層浮き彫りになった。そのことは、①、④、⑦の結果を見れば明らかである。
●台湾について
台湾の受講者は美容教育を受けている(そのカリキュラムは 1.4.4 を参照のこと)とは
いえ、「中学」の生徒である。しかし、①~⑥の結果を見ると、before の評価は決して低
くなく、そういう教育を受けてきたことに基づく自信のようなものが感じ取られた。一方
で、①、④の結果から、知識やスキルの伸びは大きくはなかった。その理由を探ると、②、
③、⑤、⑥から、before よりも after のほうが低い評価となった例が多かった、ことが挙
げられる。これは、講座内容のレベルが若干高かったために、after の段階で自分の未熟
さを感じ、after を低く評価したケースが多かったためではないかと推察される。
受講者の提供に協力してくれた新竹光復中学には、卒業後に進学する高級中学(日本の
「高等学校」に相当)もあり、ビューティ系列の学科もある。もし、受講者が高級中学の
生徒であったなら、結果は異なっていたかもしれない。
いずれにしても、before 評価だけを見ると、日本だけが他国に比べて低いし、韓国にも
若干そういう傾向が感じられ、漢民族のほうが、自分に自信があると思う傾向が強いのか
と思わせる。
●今後のモデル講座の展開について
・ASEAN 地域への拡張
この職域プロジェクトの目的の一つは、海外、とりわけ、アジアへの普及である。日本
をはじめとして、中国、韓国、台湾という北東アジア地域での講座を終えた今、普及の矛
先は自然と東南アジアへ向かう。本コンソーシアムの 26 年度事業において、インドネシア
の実地調査を進めた目的の一つは、ASEAN 地域でモデル講座を実施する下地作りである。
したがって、一つの期待として、インドネシア、ベトナム、タイといった ASEAN 諸国にお
ける講座の実施を通じて、本コンソーシアム・この職域プロジェクトの意義に対する理解
を広めてほしい。
164
実際、インドネシアなどでモデル講座を実施する上では、これまでのモデル講座とまっ
たく同一の内容で実施すべきかどうか、議論の余地があると思われる。インドネシアを例
に取ると、肌の色や顔の形が、北東アジア諸国とは異なるので、これまでの教材をそのま
ま使用して効果を上げることができるかという素朴な疑問がわき上がる。そのまま使用し
て実施し、結果が北東アジア諸国とどのように異なるかを確かめる趣旨で臨むのも一つの
考え方であるし、事前に相違点を明らかにして、インドネシア向きの教材に改めた上で臨
む考え方もある。いずれにしても、アジア標準の構築を目指す上では、避けて通れない壁
であり。十分な議論を重ねた上で、さらなる普及活動を目指してほしい。
・他分野への拡張
ASEAN 諸国への拡張も大切であるが、キャリアフレームワーク構築が進んできた今、こ
れまでのモデル講座とは異なる別の分野、たとえば、カットやパーマ、ヘアカラーなどの
分野を想定した新たなモデル講座の開発と、キャリアフレームの有効性の実証も進めてほ
しい。
・方法の多様性の検討
25 年度事業、26 年度事業で実施したモデル講座は、教育・学習方法としては、いずれも、
講義や実演、実習という従来のやり方のみで構成してきた。身につけるべきスキルの性質
上、実習を欠かすことはできないが、講義や実演は、インターネットを活用したオンライ
ン学習も可能である。また、キャリアアセスメントとして、知識のアセスメントに「テス
ト」を利用する考え方に基づき、26 年度事業の中で、メイク領域について「テスト問題」
も試作されているが、これも一工夫により Web を活用して実施することが可能である。
IT 技術も活用することは、海外への普及を加速する上で欠かすことのできない要素であ
る。講義と実演部分は収録・配信した上で、また、実習の方法については、現地の講師と
遠隔コミュニケーションによって指導した上で、現地のみで実習を行うという講座があっ
てもよいのではないだろうか。
165
2.4
美容教育の質保証・向上
文部科学省は、26 年度から「職業実践専門課程」の認定をスタートさせた。職業実践専
門課程は、
「専修学校の専門課程であって、職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成す
ることを目的として専攻分野における実務に関する知識、技術及び技能について組織的な
教育を行うものを、
『職業実践専門課程』として文部科学大臣が認定して奨励することによ
り、専修学校の専門課程における職業教育の水準の維持向上を図ることを目的とするもの
48
」である。美容分野では、全国 250 あまりの美容師認定施設を兼ねた専門学校から、41
校がこの認定を受けている
49
。
職業教育の質保証・向上を促進することは、世界共通の課題となっており、わが国にお
いても、職業教育機関として位置づけられる「専門学校」においてそのための認定制度が
発足したことは、非常に意義深い。
ただし、同課程の現状において、その認定基準は必ずしも厳しいものではなく、
「職業実
践専門課程認定校」に対する第三者評価制度の整備が、同時に解決すべき課題として挙げ
られている
50
。
教育機関の第三者評価においては、カリキュラムの開発方法やその内容が問われる。わ
が国の美容専門学校カリキュラムや教材は、厚生労働省の規制を受けており、美容専門学
校の第三者評価の第一のポイントとして、この規制に対する適合性の確認が考えられる。
一方、わが国の職業教育においては、国際通用性も求められており、上記規制に適合しつ
つ、国際通用性を保持するためのカリキュラム開発も求められている。したがって、厚労
省による規制の外側で、どのようなカリキュラムを編成すべきかは、それぞれの学校の考
え方や個性が反映されることになるわけであるが、そのことは、かえってカリキュラム編
成を難しく、多様化することにもつながっている。結局、全体として、美容専門学校の職
業実践専門課程としてふさわしいカリキュラムになっているかどうかについて、国際通用
性も含めて判断するとしたら、本コンソーシアムの調査結果や、職域プロジェクトで構築
されているキャリアフレームワークなどが有効な基準の一つとなりうるであろう。
今後は、文部科学省の「職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上の推進事
業」と本コンソーシアムが連携して、美容教育の質保証・向上に取り組むべきであると考
える。
48
文部科学省、「職業実践専門課程について」、
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1339270.htm
より引用
49
平成 26 年度当初の数である。職業実践専門課程として認定された学校の一覧は、下記
のページに掲載されている(平成 26 年 8 月 29 日現在)。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/20
14/10/03/1280896_2.pdf
50
この認識から、文部科学省では、平成 26 年度より、
「職業実践専門課程等を通じた専修
学校の質保証・向上の推進事業」を開始した。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1349942.htm
166
2.5
社会人(特に「女性」)の学び直し講座開発
本コンソーシアムの元となる文部科学省の「成長分野等における中核的専門人材養成の
戦略的推進事業」は、平成 27 年度予算案において、
「女性の活躍推進等のための環境整備」
カテゴリ内の事業としても認識された。予算案の中で、この事業の位置づけは、次のよう
に表現されている
51
。特に、下線を引いた部分に対応した講座の開発が求められている。
専修学校、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、高等学校等と産業界等が産学官コ
ンソーシアムを組織し、その下で職域プロジェクトを展開し、協働して、就労、キャリ
アアップ、キャリア転換を目指す社会人、育児休業中や子育てのために離職中の女性、
生徒・学生等に必要な実践的な知識・技術・技能を身につけるための学習システム等を
構築する。そのような取組を通じて成長分野等における中核的専門人材や高度人材の養
成を図る。
本コンソーシアムでは、26 年度事業において、27 年度以降に実施されると予想される「女
性の学び直し講座」に備えたニーズ調査を行い、その調査結果を受けて、職域プロジェク
トのほうでは、そのためのカリキュラムを検討している。これは、26 年度事業の終了にあ
たって、次年度以降に備えて実施した作業であり、現時点で評価の対象となるようなもの
とはいえない。
しかし、職域プロジェクトでは、本コンソーシアムのニーズ調査結果をベースに、構築
したキャリアフレームワーク、海外でも実施したモデル講座の実施結果などを参考にして、
ヘア領域で 1 講座、メイク領域で 3 講座を提案し、その他、連携を図れる可能性のあるメ
ーカー、ディーラー、業界団体の講座をリストアップするところまで進めている。
今後は、26 年度のコンソーシアム及び職域プロジェクトの事業結果をベースに、グロー
バル化とは別の職域プロジェクト(国内向けという意味で)を組織して取り組んでもらい
たいと考えている。
51
文部科学省、平成 27 年度「予算(案)主要事項」
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2015/01/21/13
54604_1.pdf より引用
167
2.6
サロンマネジメント教育への発展
職域プロジェクトにおいて現在構築中のキャリアフレームワークは、基本的に、美容師
(海外においてはそれと同等)の資格を持った者のキャリアパスを想定している。少なく
とも、現在構築中のレベル 1~レベル 3 が求めるスキル・知識は、美容各領域のスペシャ
リストとしてのものであり、マネジメントの要素は含まれていない。ただし、レベル 4 の
トレーナー、レベル 5 のオーナーでは、マネジメントの要素が含まれることは想定してい
るという。しかし、これらも、基本は現場の美容師からスタートして、ボトムアップにオ
ーナーまで上り詰めるパスの中で身につけるべきスキル・知識が中心である。したがって、
美容に関する技術を持たず、落下傘型でオーナーやマネージャーを務める想定に基づくキ
ャリアフレームワークは、同プロジェクトとは別の枠組みで実施したいとのことである。
しかしながら、女性の学び直し講座を実施する場合、一定のキャリアを積み、マネジメ
ントスキルもある程度自然に身につけた女性美容師が、産休その他の理由によって休職し、
その後休職が明けて復帰する場合、美容サロン側がその人材に対してマネジメントスキル
を求めるケースもあるという。
そのようなケースが多々あるのであれば、また、今はあまりなくても将来増えるニーズ
があるのであれば、今構築しているキャリアフレームワークの中でも、レベル 3、レベル 4
の段階で、マネジメントスキル・知識を加えることも検討してよいのではないだろうか。
本コンソーシアムでは、26 年度事業において、女性美容師に学び直しニーズを聞き取った
が、現実的・具体的に講座を企画する段階までに、美容サロンの経営側に対するニーズ調
査も行い、雇用側・非雇用側のニーズのマッチングを図るべきではないだろうか。
168
2.7
産学連携の発展
2.4 節で述べた「職業実践専門課程」の認定要件の一つが、
「企業との連携」である。美
容分野の学校であれば、美容サロンやメーカー、ディーラーなどと連携して、カリキュラ
ムの開発や授業の改善、インターンシップなどを行っているかが問われることになる。そ
の点でいえば、キャリアフレームワークの構築プロジェクトは、委員として参画した美容
サロン、メーカー、ディーラーの方々の意見を十分に聞いて進めているので、十分な連携
を達成しているといえよう。今後は、その連携をますます広め、各種業界団体との連携も
進めながら、成果に向けて加速してもらいたい。
「産」と「学」、美容分野では、「美容サロン」と「美容学校」ということになるが、連
携したくてもできないことが一つ存在する。それは、外国人美容師の育成である。現在の
行政の規制にしたがうと、外国人は美容師免許を取得できても、就労ビザが得られない限
り日本国内の美容サロンで働くことができない。人口減少社会に突入したわが国において、
このことは、今後大きな問題としてクローズアップされる可能性が高い。美容業は、典型
的な労働集約型のサービス業であり、
「人」がいなければサービスが成り立たないからであ
る。
そこで、今、政府の「国家戦略特区諮問会議」では、外国人美容師を受け入れ可能にす
ることが検討されている。以下は、平成 27 年 1 月 27 日に開催された「国家戦略特区諮問
会議」の内容を伝える Web ニュースの抜粋である
国家戦略特区、3月に第2弾
52
。
「地域限定美容師」など検討
2015 年 1 月 27 日 22 時 33 分 産経新聞
安倍晋三首相は27日の国家戦略特区諮問会議で、規制緩和で地域活性化を目指す地
方創生特区を3月をめどに指定する考えを明らかにした。
安倍首相は「やる気と志に満ちあふれた自治体を指定する」と述べた。昨夏以降に規
制改革事項の提案があった33の自治体を軸に、数カ所を選定する。創生特区の活用で
アベノミクスの地方への波及を後押しする狙いだ。
地方創生特区は国家戦略特区の第2弾の位置づけ。会議では、特区指定の基本的な考
え方を提示。指定の基準として、現行の戦略特区法に盛り込まれた規制改革事項の積極
的な活用や思い切った新しい改革事項の提案、遠隔医療や自動走行の実証実験を行う
「近未来技術実証特区」の積極的な受け入れなどをあげた。
また、昨年の衆院解散に伴って廃案となった国家戦略特区法改正案に盛り込む追加規
制緩和事項についても議論した。追加事項としては、廃案となった改正案に盛り込まれ
52
http://news.livedoor.com/article/detail/9721648/から抜粋
169
ていた外国人家事支援人材の活用や「地域限定保育士(仮称)」の創設などに加え、都
市公園内における保育所設置の解禁や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の製造における
血液使用の解禁、獣医師養成大学・学部の新設、地域限定美容師の創設や外国人美容師
の活動解禁などを例示した。
今後、必要な法令の改正や、特区でなく全国での規制緩和が可能かなどについて各省
との調整を急ぎ、今国会に改正法案を提出し、早期成立を目指す。
一方、会議では、国家戦略特区に指定された兵庫県養父市の追加の事業計画も認定し
た。同計画は、民間事業者が役員の要件を緩和する特例を利用し、地元農家と企業が連
携して設立した農業生産法人による農作物の栽培、旅館業法の特例を活用した古民家活
用の宿泊施設の営業などを盛り込んだ。
もし外国人が日本で美容師免許を取り、そのまま日本で就職することができるようにな
れば、人手不足になるであろう美容サロンと美容専門学校の間で情報の交換・共有が進む。
そういう情報のやり取りにおいて、具体的にどのような技能をどれくらい持っているか、
キャリアフレームワークの仕組みが確立されていれば、大いに役立つと想像される。職域
プロジェクトにおいて、海外へのグローバル要素を加味する場合、このような将来の状況
設定を考慮すべきであろう。何年先になるかわからないが、わが国の人材需給の現状を考
えれば、確実にそのような時代はやってくる。そのことを強く意識した取組を期待する。
170
3
女性の学び直しニーズ調査
本コンソーシアムは 26 年度が3年目であり、グローバルキャリアフレームワークの構築
プロジェクトが、
「 女性の学び直し」プログラム等の開発・実践を進める下地を支えていく。
翌平成 27 年度においては、出産・子育て等によって休職していた女性美容人材がキャリア
アップやキャリアチェンジを図ることができる「再生・復職プログラム」や、海外におけ
る美容業への就業や海外からの美容人材の受入・指導を担うことができる女性美容人材の
育成プログラムの開発・実施を支援していく。
わが国において、美容師の多くは女性である(70%以上)。美容業界では、女性が結婚・
出産・子育て等によって休業し、そのまま復職しない割合が高く、特に、経験豊富な美容
師の不足が日常化している。美容学校生の段階から、積み重ねたキャリアを客観的に評価
できるキャリアフレームワークの存在は、結婚・出産・子育てに関係なく、キャリアや経
験の積み重ねを可視化できる仕組みの存在でもある。その存在は、美容人材全体の知識・
技術・技能の底上げだけでなく、雇用促進を通じた経済社会の活性化にもつなげることが
できると考えている。
以上の認識の下、本コンソーシアムの今年度事業において、以下に示す「女性の学び直
し」に対応した取組を実施する。
3.1
調査の目的と概要
■目的:出産・子育てに伴って休業中の美容師を再生・復職させる学習
プログラム、衰退産業等から美容業界に転じるためのキャリア
チェンジプログラムなどを具体化する上で必要となる諸事項について
明らかにすることを目的とした調査を実施した。
■内容:再生・復職プログラムに対する内容面でのニーズ、プログラムに参加
するための環境的なニーズを主に調査した。
■対象:現役の美容師(結婚・出産・子育て前)、休業中の美容師、復職した
美容師を対象にした調査を実施した。
■方法:これまで、この種のアンケート等にご協力をいただいた実績のある
美容サロンを通じて、所属する美容師に働きかけを依頼し、趣旨に
賛同を得た美容師にアンケートを実施した。
具体的には、コンソーシアムのホームページ上にアンケート回答
システムを組み込み、Web サイトを通じて回答を得る方法で行った。
3.2
調査の結果と分析
■調査の結果
個々の美容師に対する依頼は、それぞれの美容サロンに任せたため、何人の美容師に対
して回答を依頼したかは不明である。年末年始の需要が一段落した平成 27 年 1 月 11 日~
171
31 日にアンケートを実施したが、その時期は、多忙期の反動もあって、十分な回答数が得
られたとは言えない結果になった(回答数が 14 名)。しかし、学び直し講座に関する内容
面・環境面について、有益な示唆を含む回答が 12 件得られたので、以下、これらについて、
内容を詳細に記述したい。
●A さん
48 歳(美容師になって 27 年。群馬県出身、東京都世田谷区在住)
現在勤務中のサロン
単独の美容室で、自分は働いている美容師のひとり
美容師志望時期
中学生のとき
美容師志望理由
美容師の仕事が好き
休職経験
なし
休職中にしたこと
休職経験がないので、なし
今後の休職の予定
休職するつもりはありません
休職に対する懸念
該当ありません
復職しやすくする仕組み
復職に向けた技術研修の仕組みが必要と思います
復職研修に期待する内容
現状把握ができればよいと思います
復職研修に期待する配慮
不安を察してもらいながらのペースにあったレベルとスピードが求め
手に職を付けたい
られると思います
●B さん
45 歳(美容師になって 22 年。兵庫県出身。千葉県市川市在住)
現在勤務中のサロン
10 以上の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
高校 2 年のとき
美容師志望理由
美容師である母の影響を受けて
休職経験
なし
休職中にしたこと
休職経験がないので、なし
今後の休職の予定
今後は休職の予定無し
休職に対する懸念
固定客が離れる
給料が下がる
元の職場に復帰できない
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
一通り(カット、セット、メイク、着付け etc)
スタイリストとして任せられていた技術の確認程度と流行や接客もい
い意味でリスタートできるための情報共有など。
もしくはサロンレベルの話ではありますが休職中に新しく導入した薬
剤やスタイリング剤などの使用感覚などもリアルに困っている姿を見
ます。ど ちらもキッカケのようなものなので時間をかけずにカンを取
り戻すようなカタチでいいと考えます。
復職研修に期待する配慮
やはり、時間帯ですかね。個人対応で行うのか複数人になるのかによ
ってですが。それぞれの事情が変化してきていることが考えられるの
で。
●C さん
42 歳(美容師になって 22 年。東京都出身、東京都武蔵野市在住)
172
現在勤務中のサロン
2 以上 10 未満の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
小学校 4 年生の頃から美容師になることを決めていた。
美容師志望理由
美容師の仕事が好き
手に職を付けたい
着付けの勉強もしたかった
休職経験
あり(半年以上 1 年未満)
休職前の勤務先に復職
休職中にしたこと
自宅等で練習
美容関連の雑誌や本を読んだりして勉強
今後の休職の予定
今後は休職の予定無し
休職に対する懸念
固定客が離れる
先輩や同僚に迷惑をかける
給料が下がる
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
流行のカラー・パーマなどを教えてくれる研修があるとよいと思いま
す。
復職研修に期待する配慮
子供の体調が優先なため、やむをえず早退・欠勤を認めてもらいたい
と思います。
有給休暇を使えるようにしてほしいと思います。
●D さん
40 歳(美容師になって 17 年。千葉県出身。東京都江戸川区在住)
現在勤務中のサロン
2 以上 10 未満の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
高校 3 年生の 8 月
美容師志望理由
国家資格を取得できる職業だから
手に職を付けたい
技能が素晴らしいから
休職経験
あり(1 年以上 2 年未満)
休職前とは異なる勤務先に復職
休職中にしたこと
何もしなかった
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
固定客が離れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
技術の確認、新しい薬剤やお客様への新商品の知識も研修してもらえ
ると助かります
復職研修に期待する配慮
●E さん
子育てなどで、時間がとれないので、勤務中にできるとありがたい
40 歳(美容師になって 19 年。埼玉県出身。東京都練馬区在住)
現在勤務中のサロン
2 以上 10 未満の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
高校生のとき。16 歳ぐらいで
美容師志望理由
手に職を付けたい
173
美容師の仕事が好き
休職経験
あり(半年以上 1 年未満)
休職前と同じ勤務先に復職
休職中にしたこと
自宅等で練習した
美容関連の雑誌や本を読んで勉強した
外部の講習会を受けた
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職に向けた技術研修の仕組み
復職研修に期待する内容
その時に流行っている、旬なスタイルの技術研修(カット・パーマ・カ
ラー・フィニッシュワーク・アレンジ等カテゴリーから選べる)
復職研修に期待する配慮
●F さん
時間(ラッシュ時を避けた時間帯で 3 時間前後)
34 歳(美容師になって 11 年。富山県出身。東京都世田谷区在住)
現在勤務中のサロン
10 以上の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
高校 1 年生の 10 月ぐらい
美容師志望理由
手に職を付けたい
ブライダル美容にずっと憧れがあった
休職経験
あり(1 年以上 2 年未満)
休職前と同じ勤務先に復職
休職中にしたこと
美容関連の雑誌や本を読んで勉強した
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
元の職場に復帰できない
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
一般技術からブライダルの着付やアップ、接客マナーまで幅広いと良
い。しばらく休むと忘れている事もある。
復職研修に期待する配慮
子供を預けられる所があるとありがたい。研修の時間帯や日程など選
択肢が多いと嬉しい。時間割があって、希望するカリキュラムだけ受
講できるのも良いと思う。
●G さん
33 歳(美容師になって 13 年。埼玉県出身。埼玉県在住)
現在勤務中のサロン
10 以上の店を持つ美容サロンに勤務
美容師志望時期
小学校 4 年生の 10 月ぐらい
美容師志望理由
手に職を付けたい
美容師の仕事が好き
休職経験
あり(半年以上 1 年未満)
休職前と同じ勤務先に復職
休職中にしたこと
美容関連の雑誌や本を読んで勉強した
174
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
給料が下がる
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
技術(カット、アップ、着付など)
復職研修に期待する配慮
子供がいるので託児所を設けて欲しい
●H さん
33 歳(美容師になって 12 年。茨城県出身。東京都世田谷区在住)
現在勤務中のサロン
単独の美容室で、自分は働いている美容師のひとり
美容師志望時期
高校 2 年生の 4 月ぐらい
美容師志望理由
手に職を付けたい
美容師の仕事が好き
他業種より自分に向いている
休職経験
なし
休職中にしたこと
なし
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職する際の技術レベルを定義し、保証する仕組み(資格審査、レベ
ル審査等)
復職研修に期待する内容
時間体制やお給料の安定
復職研修に期待する配慮
特にわかりません
●I さん
32 歳(美容師になって 11 年。神奈川県出身。神奈川県川崎市在住)
現在勤務中のサロン
単独の美容室で、自分は働いている美容師のひとり
美容師志望時期
高校 3 年生の 6 月ぐらい
美容師志望理由
手に職を付けたい
休職経験
あり(2 年以上 3 年未満)
接客業が好きだから
休職前の勤務先に復職した
休職中にしたこと
自宅等で練習した
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
固定客が離れてしまう
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職に向けた技術研修の仕組み
復職研修に期待する内容
即現場に復帰できるような技術確認(流行りなど)
復職研修に期待する配慮
復帰する時の生活状況に合わせた研修時間
175
●J さん
32 歳(美容師になって 11 年。埼玉県出身。東京都世田谷区在住)
現在勤務中のサロン
単独の美容室で、自分は働いている美容師のひとり
美容師志望時期
高校 1 年生の 8 月ぐらい
美容師志望理由
美容師の仕事が好きだから
お客様の笑顔を近くで見られるから
休職経験
なし
休職中にしたこと
なし
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
休職中に新しく出た商材や商品のことを教えてもらいたい。
復職研修に期待する配慮
特になし
●K さん
31 歳(美容師になって 10 年。群馬県出身。神奈川県川崎市在住)
現在勤務中のサロン
2 以上 10 未満の店を持つ美容サロン
美容師志望時期
高校 3 年生の 8 月ぐらい
美容師志望理由
国家資格を取得できる職業だから
手に職をつけたいから
お客様の笑顔を近くで見られるから
休職経験
なし
休職中にしたこと
なし
今後の休職の予定
休職するつもりはないが、出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
技術的に遅れてしまう
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
固定客がいるところで同じ職場に復帰するのは、お客様にもスタッフ
にもご迷惑をおかけするのでできない。
復職しやすくする仕組み
復職に向けた技術研修の仕組み
子供がいた場合、お給料の安定と、周りの理解
スタッフさんが未
婚者の方々が多ければなおさら…
復職研修に期待する内容
全てにおいての勉強会、薬剤の説明〔最近は薬剤などの新しいものへ
の回転が速いので〕
その時の美容業界全般の流行りなどの講習会
場合によっては、基礎をみっちりしてほしい技術もあると思います。
お店によってお客様の客層が違うので、客層に合わせたヘアスタイル
復職研修に期待する配慮
最初に、どこまで技術が衰えてないかを見てから、研修をはじめてほ
しい
子供や介護中だとしたらこちら側の時間の融通をわかってほしい。こ
ちらの意見は、お店側が欲しくて求人を出したのであればですが…
●L さん
28 歳(美容師になって 6 年。福島県出身。東京都世田谷区在住)
現在勤務中のサロン
単独の美容室で、自分は働いている美容師の一人
美容師志望時期
高校 3 年生の 4 月ぐらい
176
美容師志望理由
国家資格を取得できる職業だから
他業種より自分に向いている
ファッション関連業界だから
休職経験
なし
休職中にしたこと
なし
今後の休職の予定
出産等があった場合休職したい
休職に対する懸念
先輩や同僚に迷惑をかけてしまう
給料が下がる
復職しやすくする仕組み
復職する際の給与水準を保証する仕組み
復職研修に期待する内容
その時の美容業界での新しい技術の紹介、美容業界の流れを教えても
らえる研修。自 分が仕事から離れてからどんな流れが来て、どんな商
品が出てきているなどの、今、必要な情報をもらえる研修があったら
良い。
復職研修に期待する配慮
それぞれの人がどんな状態で、何を求めて来ているのかを理解して取
り組んでもらえたら、戻りやすいと思います。復職したいにしても、
人により求める条件もあると思うので、そこも配慮してもらえたらと
思います。
以上の 12 名からの回答に見られる傾向を分析してみた。
■プロフィール
年齢は 28~48 歳に分布し、特に同じ年代に集中しているとはいえない。
依頼をした美容サロンのほとんどが東京に所在しており、多くは首都圏の出身で、現在
も首都圏に在住している。一部、首都圏ではない地域の出身者がいる。東京のサロンの一
般的傾向を反映しているといってよい。
勤務先の美容サロンの規模は、
・単独の美容サロンが 4 つ
・2 以上 10 未満の店を持つ美容サロンが 4 つ
・10 以上の店を持つ美容サロンが 4 つ
と、平均的に分布している。
美容師になることを決めた時期は、
・小学校のときが 2 名
・中学校のときが 1 名
・高校生のときが 9 名
となっている。
美容師になろうと決めた理由として、2 名以上が挙げた質問項目を、多い順に並べると、
・「手に職をつけたい」…9 名
・「美容師の仕事が好き」…6 名
・「国家資格を取得できる職業」…3 名
・「他業種より自分に向いている」…2 名
・「お客様の笑顔を近くで見られる」…2 名
177
となっている。
休職経験は、「あり」が 6 名、「なし」が 6 名と、ちょうど半分に分かれた。
本コンソーシアムでは、25 年度事業において美容師の基本的な意識調査を実施したが、
そのときの回答者 82 名のうち、美容師としての経験年数が 10 年未満である割合が 70%を
超えていて、かつ、休職の経験は「なし」の割合が 90%であった。25 年度事業では、男女
を問わず、比較的若い美容師を対象にした一般的なアンケートであったが、本年度は、女
性に限定し、かつ、その学び直しニーズ調査であることをうたったことから、美容サロン
のほうで、比較的年齢層が高く、経験が豊富な美容師に声がけして実施されたものと思わ
れる。
しかし、「美容師になろうと決めた時期」や「美容師になろうと決めた理由」は、25 年
度事業の結果と大きく異なってはいない。
■休職と復職のとらえ方
次に、休職や復職に関する意見について、休職経験の有無で層別した集計を行ってみた。
表A
休職することに対する懸念
休職
技術的に遅れて
固定客が離れて
先輩や同僚に迷惑を
経験
しまう
しまう
かけてしまう
元の職場に復帰
給料が下がる
合計
できない
あり
5
3
5
2
1
16
なし
2
1
4
2
1
10
合計
7
4
9
4
2
26
表B
休職者でも復職しやすくするために望ましいと思う仕組み
休職
復職する際の給与水
経験
準を保証する仕組み
あり
6
なし
4
合計
10
復職する際の技術レ
復職に向けた
ベルを定義し、保証す
合計
技術研修の仕組み
る仕組み
2
8
1
1
6
1
3
14
表 A、表 B、いずれをみても、休職経験がある美容師の回答が多かった。
休職することに対する懸念としては、休職経験の有無にかかわらず、
「先輩や同僚に迷惑
をかけてしまう」が最も多く、休職経験がある美容師の場合、
「技術的に遅れてしまう」も
同数である。
「固定客が離れてしまう」ことに対する懸念も、休職経験がある美容師の半数
が表明している。
休職者が復職しやすくする仕組みとしては、
「給与水準の保証」が断然トップで、休職経
験がある美容師は全員がこの選択肢を選択している。
以上を総合すると、この 12 名に関しては、
迷惑をかけること→技術的なこと→給料のこと
の順に、大きな懸念となっているといえる。
■復職のための研修内容
178
まず、内容については、大きく 2 つのニーズがあると思われる。
一つは、技術の「確認」である。回答記述の中に、
「確認」、
「把握」というキーワードが
登場する。
「基礎をみっちり」という記述もあるように、休職期間が自分の技術を衰えさせ
ていないかについて「確認」したい、チェックしたいというニーズが一番のようである。
もう一つは、「流行」を知ることである。回答記述の中に「流行」「流行る」というキー
ワードが多く登場する。休職していなければ知り得たことがらに対する知識ニーズという
点では、「新しい薬剤」などの知識を知りたいというものも含まれよう。
■復職のための研修に求める配慮
これも大きく 2 つのニーズがあると思われる。
一つは、
「子どもの扱い」である。回答者の念頭には、出産=休職というイメージが最も
強いと想像され、出産明け→復職のための研修、そこで子どもを預かってもらえば…
と
いう思考プロセスが目に見える回答となっている。このケースでは、託児所等の保育施設
と連携した研修の実施を検討すべきであると思われる。
もう一つは、「時間とお金」である。「子どもの扱い」とも関係するが、出産後復職とな
ると、身の回りの解決すべき課題がたくさんあって、やはり、日中に、しかも、比較的短
時間で研修を行うことで、さまざまな課題を解決したいという思惑がうかがえる。また、
美容サロンとの雇用が継続されている状況を前提にして、
「日中」に研修を行うということ
であれば、それは、有給の状況でありたい、つまり、研修費用は負担してほしい(あるい
は少額にしてほしい)という気持ちも見て取れる回答があった。
179
4
コンソーシアムのホームページについて
本コンソーシアムでは、
「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」の
「クリエイティブコンソーシアム(美容)」の事業実績・成果を公開するために、平成 27
年 1 月 9 日に
http://www.beauty-skill.net/
をオープンした。
このホームページでは、どのページにもメニューを配置しており、コンソーシアムその
180
ものの説明と、調査の内容は、それぞれ「コンソーシアム」
「調査研究」メニューのページ
に記述している
53
。
■「コンソーシアム」のページ
「コンソーシアム」のページの主要部分は、次図のとおりである。
このページには、本コンソーシアムの位置づけ、事業計画、委員会・分科会・成果報告
会開催実績、事業成果報告書などを掲載する。
53
「プロジェクト」
「海外普及」
「キャリアフレームワーク」のページは、職域プロジェク
トの事業実績・成果を公開するためのものである。
181
■「調査研究」のページ
「コンソーシアム」のページの主要部分は、次図のとおりである。
このページには、本コンソーシアムの中で実施した各種調査の内容と結果を公開してい
る。具体的には、事業成果報告書の PDF ファイルを、該当する調査項目に合わせて編集し
直して、アップロードしている。
182
平 成 26 年 度 文 部 科 学 省
成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業
美容分野の専門人材の育成を
支援する
産学官連携コンソーシアムの組織
事業成果報告書
発行日
発行者
平 成 27 年 2 月
学校法人メイ・ウシヤマ学園
〒 10 6-85 41
東 京 都 港 区 六 本 木 6-4- 1
ハリウッドビューティ専門学校
六本木ヒルズ ハリウッドプラザ
■禁無断転載■