人事評価者研修 - 株式会社NSG教育ネットワーク

株式会社NSGアカデミー
人事評価者研修
2008年 9月
北島雅之
株式会社イニシア・コンサルティング
コンサルタント
北島 雅之 (きたじま まさゆき)
- 最近の主な参画プロジェクト-
北島経営研究所 代表
㈱イニシア・コンサルティング 取締役
外資系企業での人材育成戦略の立案と実施
エグゼクティブコンサルタント
教育系企業の人事システム改革と社員の行動変容
上智大学文学部英文学科卒
人材派遣会社の人材紹介業立ち上げ
博士前期過程経営学専攻 在学中
大手エネルギー会社や大手機械メーカーなどの管理職アセ
スメント
- 略歴 -
総合電器メーカーの管理職へのE-コンサル
「ビジョン/ミッション」により、組織を個人レベルから変容さ
せるファシリテーションを得意とする
【経歴】
1977年より20年間、教育、企画、広報関連に携わる。
1997年より外資系医療機器メーカーの人事本部にて組織・人
材開発を経て、コーポレートマーケティング本部でコーポレー
トコミュニケーション及びマーケティングコミュニケーション業
務を担当する。
2001年に独立。人材開発、キャリアデザインを主な領域とし
て組織人事のコンサルティングを行う。
2004年より現職。組織変革をテーマとする。
2002年、NPOキャリア文化研究所を設立し、主に若年者のキ
ャリア開発を支援。副理事長
2002年より2年間、埼玉県キャリアカウンセラー
2003年より成蹊大学非常勤講師、大学院でクリティカルシン
キング講座
著書「学生ケアのための教師用キャリアカウンセリングプログ
ラム」文部科学省委託事業
総合電機メーカーのブランド理念の行動化
公益事業法人の人事制度改革
研修: 管理者教育、アセスメント研修、制度定着化支援、考
課者研修、ビジョナリーキャリアデザイン、リクルーター教育、
論理思考トレーニング、目標設定研修
ほか
- 所属団体・学会/資格/著書 日本ベンチャー学会
日本キャリアデザイン学会
(社)日本産業カウンセラー協会
日本キャリア開発協会
J-APT会員
MBTI認定ユーザー
SLⅡ、DiSC他インストラクター資格
米国NLP協議会認定マスター・プラ
クティショナー
1
研修の主な内容
1.はじめに
2.スケジュール
3.適切な評価のために
4.新人事制度の確認
5.能力評価の運用
6.演習
7.評価のエラー
2
1.はじめに
3
NSGグループ経営の中での位置づけ
NSGグループ 池田弘の事業開発
新潟県および
地域の発展
社会人向け起業支援
英会話
スクール
異業種交流会
501
資格取得
クレアール
人材受け皿
教育サポート
社会人
生涯学習
教育サポート
事業創造
大学院大学
社会ニーズに応える
医療法人
愛広会
医療福祉大学
専門学校
NSG・FSG
医療法人
愛宕福祉会
(29校)
医療サポート
人材サポート
開志学園
高等学校
学習塾
NSGアカデミー
アルビレックス
小・中・高生の進学
新潟県に「熱狂」
地域ブランド化
4
ミッション経営の真髄
企業と地域社会のプラスの循環
企 業
上 場
地域社会
上場益
設備投資
ブランド力
雇
用
所得向上
大
拡
購買力向上
出 資
消費拡大
成 長
モチベーション
信用・ブランド
街の魅力アップ
支 援
起 業
人口増など
地域への想い
5
池田弘「神主さんがなぜサッカーチームの経営をするのか」東洋経済新報社2006
グループ内の人材育成のしくみ
資格取得奨励制度
語学研修援助制度
人材活性状況調査
部門間の異動
法人間の移動
新規事業部の設置
企業内起業
ビジネスリーダー育成
経営者能力開発支援制度
起業
事業創造大学院大学
へ通学制度
学びたいことが
学べる制度
組織全体が
拡大するしくみ
やりたいことが
できるしくみ
自身が成長を
続けるサイクル
グループ内支援
出典:2008年NSGグループ案内
6
アンゾフの成長マトリックス
新
多角化
市場浸透
新商品開発
市 場
市場開拓
既
既
新
製 品
7
各成長戦略のまとめ
• 市場浸透戦略
他社との競争に勝つことによって、マーケットシェアを高める戦略。一般的には、一般
顧客をロイヤルカスタマーへとかえることを目指す。ボリューム・ディスカウントやイン
センティブ、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)などを導入します。
• 新製品開発戦略
新しい製品を、現在の顧客へ投入することで成長を図る戦略。製品に関連するアクセサ
リー製品を導入したり、機能を加えたり、まったく新しい製品を開発したりしますが、あ
くまで既存顧客への販売を目指すものです。
• 新市場開拓戦略
現状の製品を、新しい顧客へと広げることで成長を図る戦略。典型的には、海外展開で
あったり、赤ちゃん用のスキンケアを女性用に展開したりということが、当てはまります。
新市場への導入に際しては、しばしば、新しいブランドとして立ち上げることがあります。
• 多角化戦略
製品・市場ともに、現在の事業とは直接関連しない、新しい分野へと進出して成長を図
る戦略。当然、もっともリスキーな成長戦略となります。
8
多角化にもいろいろ
水平型多角化
同じ分野で事業を広げるタイプ。
例えば、オートバイメーカーであったホンダが自動車事業へと多角化したケー
スなど。
垂直型多角化
製造の上流もしくは販売という下流へと事業を広げるタイプ。
例えば、部品メーカーが製品まで手がけ、販売するケースなど。アイリスオー
ヤマ(大山ブロー工業)。
集中型多角化
現状の製品と近い製品によって新しい市場へと進出するタイプ。
例えばApple ComputerがiPodを開発、音楽配信に乗り出したケースなど。
集成型多角化(コングロマリット型多角化)
まったく新しい製品を、新しい市場に導入していくタイプ。
ソニーやイトーヨーカ堂による銀行業務への進出など。
9
成長マトリックスでの事業分布(仮)
市場開拓
多角化
アルビレックス
新潟医療福祉大学
新
生涯学習
事業創造大学院大学
イリノイアカデミー(英会話スクール)
医療法人
︻
市 場︼
社会福祉法人
全日本ウィンタースポーツ専門学校
一般的な専門学校群
国際ペットワールド専門学校
既
NSGアカデミー(学習塾)
日本アニメ・マンガ専門学校
クレアール(資格取得スクール)
JAPANサッカーカレッジ
国際アウトドア専門学校
等
開志学園高等学校
新商品開発
市場浸透
既
【製 品】
新
10
金のなる木?
高
花形製品
問題児
(Problem child)
金のなる木
負け犬
市場成長率
(Star)
低
(Cash cow)
大
(Dogs)
相対的マーケットシェア
小
このモデルでは、「金のなる木」は大きな追加投資なしにキャッシュフローを生み出す事業、「花形製品」は市場の成長
に合わせた投資を続けていくことが必要な事業、「問題児」は市場の成長に対して投資が不足している事業であり積極的な
追加投資か、撤退が必要な事業、「負け犬」は将来性が低く基本的に撤退すべき事業と考え、「金のなる木」から得た収益
11
を「問題児」に投入し、「花形製品」に育てるといった投資戦略が原則となる。
「何をするべきか」の方向性は、「ミッション」
NSGグループ経営理念
人々の幸福と豊かさを実現するために
社会のニーズに合った教育・医療・福祉事業の可能性を追求し
地域社会・国家・国際社会の発展に寄与する
12
ミッションから具体的なビジョンへ
手段
NSGグループ経営理念
目的
人々の幸福と豊かさを実現するために
社会のニーズに合った教育・医療・福祉事業の可能性を追求し
地域社会・国家・国際社会の発展に寄与する
目標
13
NSGグループ・ミッションの一翼を担う
NSGグループ 池田弘の事業開発
新潟県および
地域の発展
社会人向け起業支援
英会話
スクール
異業種交流会
501
資格取得
クレアール
人材受け皿
教育サポート
社会人
生涯学習
教育サポート
事業創造
大学院大学
社会ニーズに応える
医療法人
愛広会
医療福祉大学
専門学校
NSG・FSG
医療法人
愛宕福祉会
(29校)
医療サポート
人材サポート
開志学園
高等学校
学習塾
NSGアカデミー
アルビレックス
小・中・高生の進学
新潟県に「熱狂」
地域ブランド化
14
グループ・シナジーを最大化するために
NSG教育ネットワークは、
NSGアカデミーは、
どんな企業になっていくべきか?
人事制度はこれをサポート
15
2.スケジュール
16
新人事システムへ移行開始
旧制度維持
中間評価
新昇給
旧昇給
最終評価・期首面談
中間面談
期首面談
仮格付
旧昇給
職 能 評 価
社員説明会
旧評価法で評価する
新昇格
評価者研修
旧昇格
評価者研修
評価者研修
旧昇格
最終評価・年度目標
旧冬季賞与支給
中間面談
旧夏季賞与支給
業 績 評 価
キャリ面︵下期評価・上期目標︶
旧夏季賞与支給
キャリ面︵上期評価・下期目標︶
旧冬季賞与支給
キャリ面︵下期評価・年度目標︶
17
5
4
3
2
1
1
2
1
1
1
0
9
8
7
6
5
4
3
2
1
1
2
1
1
1
0
9
8
7
6
5
4
10年度
09年度
08年度
3.適切な評価のために
この場合の「適切」とは何を意味していますか?
18
経営資源の中の重要要素、「ヒト」
経営資源とは、会社が利益を得るために必要な資源のことで、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情
報」等をいいます。
とくに「ヒト」は、自分の判断で他の資源を扱うことができる唯一の存在です。
そして、「ヒト」を動かす制度すなわち「人事制度」が会社経営でもっとも重要な位置にある
わけです。
その人事制度の中心となるものが人事評価です。
人事評価は、個々の従業員が仕事にどのような姿勢で向かっているのか、どれだけの
業績を示したか、どれくらいの能力を持っているかなどの情報を得るツールであり、その
情報を評価することによって、従業員をもっとも適した部署に配置することが可能となり、
それが会社の活性化・業績の向上へと発展していくことになるのです。
①
業務上での行動、姿勢及び態度
②
目標に対する成果、成績
③
業務上必要な知識、技術、経験など
19
変化、維持、定着の原則
人の意識や行動を変化させ、それを維持し、定着させるには
リマインド
Remind
モニタリング Monitoring
• 変化を起こすきっかけと、その後の評価が必要。
• 評価にはモニタリングが欠かせません。
*人は意識を変え、行動を起こした後に、どのような結果が得られた
かという情報をもとに、将来の行動を決定づけます。
20
評価の方法の多様化
人事評価の原則は、上司が部下を評価しますが、それ以外につぎのような方法もとら
れるようになってきています。
・部下が自分の上司を評価する
・直属でない部署の上級者が評価する
・同僚同士が評価する
・被考課者自ら評価する
これらの評価は、その社員の可能性をつかむために、仕事上で関係するいろいろな角
度から評価するほうが、正確な情報を得ることができるという基本的な考え方から行わ
れている方法です。
また、これらの方法が行われる背景には、「顧客満足(CS活動)」を重視する思想があり、
個々の従業員の能力を正確に見るためには、仕事の対象者が評価するほうがもっとも
正確だという考えからきているものです。
そして、大切なのはこれらの人事評価を実施するためには、その目的を理解するととも
に、考課のルールを明確にし、従業員にオープンにすることが必要だということです。
21
職務遂行能力
保有している能力
発揮する能力
基本的習得能力
規律性
知識・技能・体力
責任制
精神的習熟能力
理解力・判断力・決断力
企画力・表現力・折衝力
管理統率力 など
×
仕事の結果
仕事量/質
=
協調性
積極性
経営意識
仕事の成果
課業達成度
など
安全意識
など
行動化
視覚化
22
「人事考課」に臨む姿勢
「人事考課」を公正に行うために
×
だれが良い、だれが悪い
そのためには、
○
この人材(部下)の
• どこが優れているか
• どこが不十分なのかを厳
しく見つめ
• なんとしても育成する
1.基準を明確にする
2.事実に基づく
3.評価ルールを守る
ことが不可欠です。
23
公正な評価の基本
不信をまねく評価
公正で納得性のある評価
1.
好き嫌いや、先入観で評価する。
1.
客観的基準を設け、公開する。
2.
イメージや想像で評価する。
2.
3.
仕事以外のことまで、評価の対
象にいれる。
基準と照らしあわせる絶対評
価で行う。
3.
事実に基づいて評価する。
4.
部下同士比較をして、優劣を決
める。
4.
仕事上の行動のみを対象にす
る。
5.
評価者の経験や価値観だけで評
価する。
5.
評価結果は本人にフィードバッ
クする。
6.
評価結果をマル秘にする。
7.
評価基準を明らかにせず、評価
する。
24
4.新人事制度の確認
25
人事ポリシー(基本となる考え方)
私たちは、お客様、社員、そして企業の「夢」を実現するため、
あらゆる側面から教育サービスの質を追及し、社員一人ひとりが主体的に考え、
チャレンジし、多くの感謝と感動をいただけるプロフェッショナル集団を目指す。
3Cs
Create お客様の夢
私たちは、教育サービスのプロフェッショナルとして、
最高のチームワークでお客さまの夢の創造を支援する人となる。
Challenge 社員の夢
自ら将来のあるべき姿が語れ、自ら学び・考え、さらにチャレンジする人となる。
Contribute 会社の夢
組織の成長なくして最高のサービスは実現できない。
成長のための利益の追求・確保に貢献する人となる。
26
人事システムの方向性
人事ポリシーを実現するために、人事システムの方向性を以下のように設定し
ます。
1.
現等級制度を見直し、チャレンジを促す組織づくりを目指す
2.
結果だけでなくプロセスの品質も重視し、個々人の実績・能力に応じた処遇
制度の導入を目指す
3.
プロとしての能力向上を図るため、計画的な育成制度やキャリアパスの構
築を目指す
27
人事制度をどう変えたのか
旧制度
新システム
「新人事システムの手引き」P4参照
28
5.能力評価の運用
29
人事考課をうまく行うには
人事考課とはその評価の中で「仕事上の行動や結果、能力を評価すること」です。
個人的な評価ではありません。
年に2回か3回、人事考課を行う時は、そのような個人的な判断ではなく、決められたル
ールと基準で行うことが「人事考課」です。
人事考課は一定のルールと基準によって仕事上の行動や結果を評価することであって
、決して人物評価や好き嫌いの評価ではありません。
人事考課する前に、人事考課のルールと基準を明確にすることが大前提です。
これをしないで、人事考課すると「単なる評価」になってしまい、逆効果となります。
つまり、人事考課制度のルールと基準を明確にすることが、人事制度構築の成功の秘
訣です。
30
人事考課の目的
①
業務の遂行度や態度、能力の診断を実施し、能力開発や人材育成に結
びつけていく。
②
仕事に必要な知識・技能・適性を適切に評価し、昇格・昇進・配置等
を適正に行う。
③
従業員の信頼を得るために、業績・努力度を評価し、昇給や賞与等を
公正に決定する。
④
社内(上司・部下)のコミュニケーションを密にし、現場の情報や意
見を経営に活かす。
31
人事評価の構成
1)能力評価
能力評価とは、仕事にどういう姿勢や態度で臨み、どのような思考をして、ど
ういう行動をしたかなどを「職級定義書」に照らし評価するものです。
2)業績評価
業績評価とは、目標管理制度により、あらかじめ設定した目標や業務計画に対
して、その達成プロセスと達成度により評価するものです。
職務能力等級制度
能力評価
職級定義書
目標管理制度
プロセス
業績評価
業績結果
32
評価の対象
① 勤務態度
仕事への姿勢・態度・努力
② 業績
期待に応える結果
③ 能力
仕事の知識・技術・経験のレベル
+
① 適性
どの仕事に向いているか
② 人柄等の属性
業務遂行上どのような影響があるか
③ 個々人の特別な事情
配慮すべき特別な事情はあるか
これらを反映させることによって、はじめて適正な人事考課が可能となります。
33
職務遂行能力(職能)とは
• 社員一人ひとりの育成、活用や組織の活性化に向けていく能力とは、各人に本来備
わった能力(不変的なもの)を指すのではなく、仕事に求められる能力(努力次第で向上
するもの)を指します。
• これを職務遂行能力(職能)といいますが、行動評価で対象になるのは、この職務遂行
能力であり、性格とか人柄などではありません。
• そして、この職務遂行能力は、仕事上で発揮された行動事実によって評価することが出
来るのです。
職能遂行能力のイメージ図
努力で変わる
仕事で求められ
る能力
行動評価
見える
人物評価
見えない
資質・潜在能力
不可変
人柄・性格・適性
容姿・学歴・人格
性別・年齢
34
人事考課の考え方
人事考課とは、「期待水準に対する達成確認の作業」です。
ここでいう期待水準とは、組織が社員に期待・要求する期待人材像のことであり、期待
する内容は、それぞれの企業や組織が独自に持つ枠組みや価値観に基づくものがベー
スとなります。
判断基準
期待像・期待値
〇
×
組織の枠組み・価値観
個人の枠組み・価値観
ギャップ
現 状
35
6.演 習
36
演習1 「ある後輩からの手紙」
人事考課の意義を確認するために演習を行います。以下の状況と手順にしたがって進めて下さい。
<状況>
あなたの学生時代の後輩から、一通の手紙が届きました。彼の会社では、この4月から人事考課制
度が導入されました。人事考課における悩みに、彼の先輩でもあり、管理職としても経験を持つあな
たが、応えてあげることになりました。
<手順>
個人研究
次ページの「手紙」を読み、アドバイスできる内容を「演習シート」にまとめて下さい。手紙文のアンダ
ーラインには極力具体的に応えるようにして下さい。
グループ研究
個人研究の結果をグループ内で共有します。そして、グループとしての一つの意見
(アドバイス)を「演習シート」にまとめて下さい。
発表
グループの代表者は、アドバイスの内容を口頭で、そのポイントのみ発表していただきます。
37
最長50分
人事考課に対する誤解
1.人間が人間を評価できるのか
2.人事考課はお互いの反目を招く
3.だれでも評価されることを嫌う
4.人事考課により処遇の差が生まれる
5.差をつけること自体よくない
6.正しい人事考課ができるのか
7.人事考課は主観的評価ではないか
38
「自分とは仕事をしながらつくるもの」 養老孟司 氏
人間を点数で管理すれば、上司や人事担当が一切責任を持つ必要がなくなる。そう
なると、会社に人間を見る目を持つ人がいなくなってしまう。当たり前です。
人間を見る力は、実際に自分で判断し、間違いを繰り返しながらしか身に付かないも
のなのですから。
39
行動プロセス(職能)評価の基本原則
1.被考課者に期待する内容・水準を明確に把握する
2.被考課者の職務の達成度合を明確に把握する
3.事実に基づく
4.先入観や偏見を持たない
5.客観的なルール・基準・手順をもとに判断する
6.育成的な観点から評価する
7.評価期間を意識して評価する
8.他人の評価に左右されることなく、自分の責任で評価する
40
「観察」がもっとも重要
フィードバック面談
日々のコミュニケーション
観察した事実
Monitoring
事実は相手に確認できる
信頼関係
納得できる認識の合意
ちゃんと見て
いてくれる:
安心感
41
行動プロセス評価の基本となる3つのステップ
1.職務行動の決定
資格等級に照らして、期待水準以上の職務行動、それ以下の職務行動を抽出する
2.考課項目の決定
それがどの考課項目に該当するかを決める
3.ランクの決定
考課項目ごとに集めた行動をみて、ランク(評価段階)を決める
42
仕事の成果は、5つの要素向上から
カテゴリー
思考力系
行動力系
人間関係力系
組織推進力系
専門能力系
個別要素
企画計画力
テキストP9
意思決定力
チャレンジ実行力
率先性
コミュニケーション力
人材育成力
リーダーシップ
チームワーク
専門知識・スキル
能力開発
仕事の成果(結果)= 思考力 × 行動力 × 人間関係 × 組織推進力 × 専門能力
43
例えば、リーダーシップ
リーダーは、
(1)明快なアイデア
(2)強い価値観をもち
(3)エネルギーに溢れ、他者にも前向きに働きかけ
(4)困難な状況で大胆に決断し
(5)聞き手の琴線に触れるストーリーをもってビジョンを 伝えることができる。
(N.ティシー)
44
考課項目の決定
テキスト P10の練習課題
次の1∼14の行動・事実について、該当すると思うものを下の項目群の中から1
つ選び、その記号を「解答欄」の“個人”の欄に記入して下さい。
45
50分
演習2 「古町さんの事例」
問題:人事課長の立場で古町さんを評価して下さい。考課表は指定のものを使用して下さい。
あなた(
)の立場 :総務部人事課長
部下の仕事分担 今井 :人事(定期採用、中途採用)
植田
木村
西村、田中、辻
岩本
:教育(新人、中堅、管理者教育)
:人事(異動、昇進、人事制度)
:給与(給与、社会保険)
:労務管理(勤怠、就業規則)
古町さんのプロフィール
32才 入社10年目 入社以来人事課に所属。給与、採用を2年ずつ経験
職級3級
仕事内容: 人事考課制度の管理および事務処理
異動に関する事務取り扱い全般
昇進昇格制度の管理および事務処理
46
個人30分 グループ60分
「中間項」への配慮
人事考課を行う際、全面的に本人の責任とすることが難しい諸条件を「中間項」と言
います。
景気や天候といった企業外から職務に影響する「外部条件」、上司の指示命令・同僚
からの援助、与えられた仕事や担当領域が不適切であったなど「内部条件」、健康状
態や家庭の状況などの「本人条件」が中間項に該当します。
評価においては、職務基準に対する担当職務の遂行度、あるいは与えられた目標や
設定した業務の達成度といった「アウトプット」はもちろんのこと、こうした中間項を考
慮して、成果(業績)を出す「プロセス」での行動を見ることが納得感を高めるポイント
となります。
47
7.評価のエラー
48
評価のエラー
ハロー効果
halo effect
寛大効果
leniency effect
中心化傾向
restriction of range
ある側面の評価に他の評価が影響を受けることを示します。
例えば、営業成績の能力と職場内の人間関係を円滑に進める能力は、本
来、直接的な関連はない。しかし、なんの事実確認もなく、評価者が営業成
績の高い従業員に対して職場内の人間関係を円滑進めているという評価
を与えることなどです。
評価が全体として、好意的なものになることです。
実際の評価の場面では、評価の平均値が高くなるという現象が現れます。
寛大効果と同じ原理で、逆の効果として、厳格効果(severity effect) も存在し
ます。
評価者が評価スケールにおける自分の評価の範囲を限定することです。
例えば、8点尺度の評価スケールにおいて、評価が3点から4点の間の狭
い範囲でしか行われなかった場合にはこの効果によるエラーです。
中心化傾向は被評価者間の差別化を評価者が好まないことから生じます。
49
その他の考課エラー
ハロー効果
対象社員が、一つの効果要素にとくに優れていたり、反対に劣っていたりする
と、それが先入観となりほかの全部の要素も優れているとか、劣っていると考
えること。
寛大化傾向
対象社員への同情や全体のバランスを意識し、実際よりも高い評価をすること
。考課者に自信がないときにしがちな評価です。
厳格化傾向
考課者自身と比べて、対象社員の仕事ぶりが劣って見え、辛く評価すること。
極端化傾向
本当はBの評価なのに、AまたはCにするように良い、悪いをはっきりさせたがる
こと。
中心化傾向
極端化傾向と逆で、正確な評価ができず、平均値の評価に集中すること。
倫理的錯誤
一つの固定観念をこじつけ、複数の考課要素を結びつけて評価すること。
メイキング
総合点を最初に決めて、それにあわせて各要素を評価すること。
投影エラー
対象者社員の性格が自分と似ている場合に、相手を理想化し、甘く評価するこ
50
と。
評価エラーの起こる原因
1.
評価者が普段の職場の人間関係を円滑に進めるために、
評価を歪めるというもの。
2.
考課基準に対する理解不足。
3.
考課の結果がどのように人事管理に反映されるか理解し
ていないこと。
51