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第1回 三町担当者会議 議事録
日 時:平成 26 年 10 月 2 日(木) 10:00~11:30
場 所:伊仙町公民館 会議室
出席者:11 名(男性 8 名、女性 2 名)
【徳之島町役場住民生活課】米島栄一(課長)、米田博久(生活環境係)
【伊仙町役場環境課】美延治郷(課長)
、清水隆也(主事補)
【天城町役場町民生活課】田畑彰洋(課長)
、玉江義寿(主事補)
【奄美大島在住獣医師】伊東圭子
【どうぶつ基金】佐上邦久(理事長)
、佐上悦子、小池英梨子
冒頭、伊仙町役場環境課美延課長から、プロジェクトの日程および会議の趣旨の説明が
あった。美延課長が議長となり、議事を開始した。
1.
「徳之島ごとさくらねこプロジェクト」について
どうぶつ基金佐上理事長より、
「徳之島ごとさくらねこプロジェクト」の設立経緯および
活動内容について、次のような説明がなされた。
・徳之島に生息する猫の推定値が 3,000 頭であること
・本年 11 月 17 日から 21 日に行う、初回 TNR300 頭を皮切りに、平成 27 年 3 月末まで
に 600 頭に TNR を行うこと
・その後 2 年以内に、全島(推定 3,000 頭)の TNR を行う計画であること
が伝えられた。プロジェクトの目的としては、猫を殺さずにアマミノクロウサギを守る
ことであり、まずは環境文化型の新しい国立公園指定を取得し、世界遺産登録を果たすこ
と、その上で徳之島での猫の殺処分をゼロにし、人、野性動物、猫の調和のとれたやさし
い島にする。
続いて、TNR とさくらねこについての説明が佐上理事長より行われた。TNR が猫の頭数
コントロール及び、苦情に対応する取組である実績と理由が説明され、全国での実践例(北
海道天売島、小笠原諸島)が紹介された。それを踏まえ、成功のポイントとして、短期間
でほぼ 100%の手術を行うこと、また手術を実践できる優秀な獣医の存在が重要であること、
そして猫を捕獲する島民と役場の協力体制が必要であること、が説明された。TNR を行っ
た猫の耳先をカットし、
「さくらねこ」と呼ぶことについて、TNR 済みの猫とそうでない猫
の見分けがつくようにし、再捕獲を防ぐという目的であることも紹介された。また、
「さく
らねこ」という名称で呼ぶことによって、人々に愛着を持ってもらうことができ、市民の
好感を得るだけでなく、観光資源にもなりえることが説明された。
2.各機関の役割の確認
佐上理事長より、現時点で想定している各機関の役割確認が行われた。
・どうぶつ基金:全体プロジェクト管理、助言、手術費用負担等
・3町の役割
:地元での会議、町民への周知とボランティア募集、猫の捕獲、マスコ
ミへの広報等
・徳之島高校
:理科室を手術会場として貸出。生徒にボランティアとして活動に参加
し、共存や命、人の責任についてや、世界遺産に登録されるとはどう
いうことかなど、学ぶ機会としてもらう。
・徳之島猫部 :町民のボランティア団体(美延課長が組織)
・希望協力
:JAL の空き貨物で保護猫の運搬が可能か検討する。
また、資金獲得として公益財団法人トヨタ財団の助成プロジェクトへ申請を行う予定で
あることが報告された。
3.参加者の自己紹介
各人自己紹介を行った。
4.飼い猫の扱いについて
飼い猫とノラ猫の区別の難しさに関わって、伊藤獣医から飼い猫を間違えて TNR してし
まう危険性について発言があり、佐上理事長から手術済みの誤捕獲が、2~3%あるため、
飼い猫にも耳カットをする必要があることが指摘された。続いて、手術を行うメリットと
して、発情期が来ないことによって、うるさい鳴き声やマーキングといった2大苦情であ
る発情期特有行動の抑制、病気の予防があり、デメリットとして太りやすくなるという内
容が説明された。現在、どうぶつ基金では平成 16 年より1万頭の不妊去勢手術を行い2頭
の死亡ケースがあった。米国では1万分の5という数字が出ているので世界的に見ても優
秀な獣医団であると説明された。
美延課長より、飼い猫の誤捕獲の懸念が発言され、佐上理事長より今回は飼い猫も含め
て手術を実施するので、問題ないのではないかという指摘がなされた。美延課長からは、
役場が捕獲するのではなく、役場は捕獲機の貸出を行い、猫の居る地区の方々に捕獲を委
託することで誤捕獲を防ぐというアイデアに賛成意見が多く出た。
5.伊仙町役場に寄せられた意見紹介
美延課長から 25 年間に環境課に寄せられた声が紹介され、早急にウサギのためだけでは
なく、人のためにも介入が必要であることが強調された。
6.捕獲機の使用の説明や注意事項確認
佐上理事長より、捕獲機の使用方法についてデモンストレーションされたのち、その後
質疑応答と意見交換がなされた。以下、出された意見は「・」で示し、質疑応答は「Q&A」
式で記述している。
Q.なぜ絶食が必要なのか?
A.手術の前日と当日は麻酔の副作用で吐き気をもよおした時に嘔吐物が気道に詰まり窒息
してしまう危険を回避するために絶食する必要がある。
・家庭から飼い猫を持ってくる際に洗濯ネットに入れて持ってきてもらうよう。
・連れてきた方にマイクロチップと登録を、その場でできるよう準備するべきである。
Q.捕獲した猫の世話について、管理できる部屋と人員があるのか?
A.猫部を組織してはいるが、対応できない部分は各町の保護した人で手術日まで保管する
ことも可能だとは思う。
・牛小屋に飼い猫と飼い猫かどうか微妙な猫がいる。
・独居老人がよく餌付けしている。10 頭単位のところも多い。
・捕獲をする場合はぽつぽつ色んなところでやるのではなく、1つのコロニーについて、
集中的に捕獲を行ってほしい。A~E のコロニーがあるのであれば、初回はたとえば AB
を集中的に全頭やるべき。そうでないと他の猫が捕獲機の危険性を教えてしまう。賢い
猫は非常にやっかいである。
「教育係」を作る前にコロニーを全頭行うことが有効。
Q.里親探しのためには、JAL の空き貨物で猫を運び本土で里親に出せるのであれば、皆リ
ターンせずに連れていけないか?
A.日本中に猫が溢れているため、全頭リターンで考えておいてほしい。手術ができないサ
イズの子猫であったり、障害などのためリターンできない猫に限って里親探しを検討す
る。
Q.猫の寿命は?
A.推定、飼い猫で 15 歳が長生き、20 歳でとても長生き。ノラ猫は3年から5年。
Q.この活動をしていけばいずれノラ猫はいなくなるか?
A.明日明後日にはいかないが、いなくなる。様々な地域で効果が出ている。3年から5年
で目立たなくなる。捨て猫がある限り、ノラ猫ゼロにはなかなかならなくても、苦情ゼ
ロには限りなく近くなる。継続が何よりも大事、一斉に 9 割 TNR を行っても5年放置し
てしまうと「元の木阿弥」になってしまう。
・餌やりさんについて、
「餌を与えないでください」というポスターを貼ってトラブルにな
ってしまうケースが多い。だが、餌をやることによって猫が増えるのではなく、TNR し
ていないことによって増える。啓発をするのであれば、餌をやる人を頭ごなしに指摘す
るとかえって逆効果になってしまうことがあるので、「起き餌の禁止」といった啓発に切
り替えてほしい。
・捕獲器を仕掛けっぱなしにしてしまわないように注意してほしい。できれば、ずっと見
張っていて、少なくとも2時間おきには見回って欲しい。猫が野犬に襲われることや他
の希少動物が入ってしまうことを防ぐため。
・優先順位として、アマミノクロウサギの生息域に住んでいる猫を第一に行う。次にノラ
猫。最後に飼い猫という順序で行う。
Q.野猫が最優先なのであれば、時間がかなりかかると思うので、そろそろ捕獲を始めては
どうか?
A.手間がかかってしまうが、手術日まで管理できるのであれば大丈夫。
Q.環境省が定点カメラを設置すると聞いたが、町と環境省との連携はあるのか?
A.直接の連携はないが、虹の会がカメラの管理を行うので、そこと連携し、猫の通り道な
どの情報を得ることは可能。
また、捕獲機について、現在その提供を募集している。
Q.生息している地域に猫より強い動物はいるか?
A.アライグマはいない。犬、イノシシ、ウリ坊がいる。クロウサギなどが入ってしまうこ
とも十分注意したい。
Q.血のサンプルを取ることは可能か?
A.採血をできる人がきてくれるのであれば可能。
Q.猫を愛する強烈な猫おばさんは徳之島にはいる?
A.今のところいない。奄美にはいる。ポスターが剥がされたり、捕獲機壊されたりするこ
とがある。
・徳之島3町で飼い猫条例を作ったが、なかなか登録してもらえない。これを機にのっか
って登録数を稼ぎたい。現在はまだ、どうぶつ基金さんとの協働プロジェクトについて
広報していなかったが、今日記者会見もあるので、ここから広報していきたい。
(田畑)
A.手術は3種のワクチンとレボリューションというノミダニ駆除の薬も行う。費用的には
飼い主は3万円得することになる。
Q.飼っているというより、家のまわりで可愛がっている猫を持ってくる人もいると思うが
大丈夫か。
A.ノラ猫でも飼い猫でも今回はいいので大丈夫。
・猫の適正飼育の説明会をしたい。猫の知識レベルが低すぎる。適正飼育の徹底をするべ
き。小学生など子どもからやるべき。設定してもらえれば話に行く。
→3町で計画しないといけないですね。
→教育的意義は大いにある。今回のプロジェクトの子どもにむけた勉強会を設定しても
らえたら協力する。
・石垣島では一斉 TNR の間、毎日、新聞に大きく取り上げてもらったことによって、島民
の意識がものすごくあがった。他団体に不妊去勢手術をされることで営業妨害だと思っ
ていたが、どうぶつ基金の一斉 TNR が終わったのち、年内の不妊去勢手術の予約が満杯
になったと話してくれた。
→奄美では全島でできないので、奄美のある場所で TNR を行ったことが新聞に載ったら
捨て猫が一気に増えた。
→不妊去勢手術をせずに放し飼いにしている飼い主はブリーダー的存在。そこを止めな
いことには改善しない。
5.第2回の日程について
1週間獣医を確保することが大変なため、年内に実施する第2回目の日程を決定したい。
1月下旬から2月末までの間の5日間で設定する。
6.獣医について
佐上理事長より、プロジェクトの手術に関して説明がなされた。獣医は有償で依頼して
おり、年間の半分を出張手術に費やしているどうぶつ基金の顧問でもある山口武雄獣医に
獣医の責任者を担ってもらう。また、有償獣医とは別にボランティア獣医を募集する。ボ
ランティア獣医は交通費、食費など自腹で参加してもらう。手術にかかる材料費は山口獣
医が寄付してくださる。全 300 頭のうち、ボランティア獣医が 100 頭行った場合は、山口
獣医には 200 頭分の費用を支払ことになっている。
7.今後の検討課題
アマミノクロウサギが生息する地域の猫もリターンするのか?という質問が田畑氏から
なされた。佐上理事長から、どうぶつ基金は全体プロデュースを行うが、あくまで TNR の
N の部分を担う。地元の環境や状況に詳しい町の皆さんを中心にアマミノクロウサギが生
息する地域に住む猫への対策を考えてもらいたいということ、リターンはしない方向で検
討してもらいたいと発言があった。しかし野性化したノラ猫を家庭猫にすることは非常に
困難なので、里親に出すことは非常に困難であること、クロウサギのために猫が犠牲にな
るのではなく、動物福祉に配慮した対策を考えてもらいたい。TNR の R はリターンが基本
であるが、状況によってはリムーブも可能であるということが伝えられた。
8.おわりに
佐上理事長より、この島の立地、人、猫、ウサギの関係性はまさに日本の縮図であり、
ここで達成できれば、日本でも達成できる。逆に言えば、ここで失敗してしまうことで日
本の殺処分ゼロも夢物語になってしまう。世界が注目している。失敗できないので、皆さ
ん協力してやっていきましょう、と締めくくられた。
以上をもって、美延課長が閉会を宣し、第1回三町担当者会議は閉会した。
(以上)
資料1.席